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特表2023-512375機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置
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  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図1
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図2
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図3
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図4A
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図4B
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図4C
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図5
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図6
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図7
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図8
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図9A
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図9B
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図9C
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図9D
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図10
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図11
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図12
  • 特表-機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置 図13
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】機能性透明ゲル電解質システム及びその高速スイッチングエレクトロクロミック/電気化学装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/15 20190101AFI20230317BHJP
【FI】
G02F1/15
G02F1/15 502
G02F1/15 503
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022506441
(86)(22)【出願日】2021-02-15
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 IN2021050143
(87)【国際公開番号】W WO2021161348
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】202011006474
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511219191
【氏名又は名称】カウンシル・オブ・サイエンティフィック・アンド・インダストリアル・リサーチ・アン・インディアン・レジスタード・ボディ・インコーポレイテッド・アンダー・ザ・レジストレーション・オブ・ソサエティーズ・アクト・(アクト・21・オブ・1860)
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ビスワプリヤ・デブ
(72)【発明者】
【氏名】アジャヤゴシュ・アヤパンピライ
(72)【発明者】
【氏名】ランジャナ・ベヌゴパル
(72)【発明者】
【氏名】ガヤスリ・プラブ・スリチャル・ガネーシュ・プラブ
(72)【発明者】
【氏名】スリージス・シャンカール・プーパナル
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA22
2K101DA01
2K101DB04
2K101DB22
2K101DB32
2K101DC04
2K101DC06
2K101DC24
2K101DC52
2K101EB01
2K101EB21
2K101EK04
2K101EK05
(57)【要約】
電気化学装置の液体電解質は漏出の問題に悩まされているため、一般的にゲル又は固体電解質が好まれる。本発明は、組成が制御された分子状添加剤の添加による従来のゲル電解質とは異なるゲル電解質システムの開発、及び性能が改善された積層エレクトロクロミック装置におけるその使用を開示することを意図している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.ポリマーゲル化剤;
ii.溶媒;
iii.添加剤;及び
iv.イオン導電体;
を含み、
溶媒、ポリマーゲル化剤、添加剤及びイオン導電体の質量組成は、20:2:1:2から2000:200:1:20の範囲であり;
前記溶媒は、水、水及びアルコール(R-OH)の混合物、並びに水及びDMSOの混合物からなる群から選択され;式中Rは、C1~12アルキル、C1~12アリール、C1~12アルケニル又はC1~12アリルからなる群から独立して選択され;
前記ポリマーゲル化剤の分子量は、89,000から98,000の範囲であり;
前記イオン導電体は、リチウムカチオン又はアンモニウムカチオンの塩から選択され;
前記添加剤は、分子状ヨウ素である、透明ゲル電解質。
【請求項2】
アルコール又はDMSOの量が、水の量の25%を超えない、請求項1に記載の透明ゲル電解質。
【請求項3】
使用されるポリマーゲル化剤が、ポリビニルアルコール(PVA)である、請求項1に記載の透明ゲル電解質。
【請求項4】
前記イオン導電体のアニオンが、ハライド(F、Cl、Br、I)、スルホンアミド[N(CFSO]、過塩素酸塩(ClO )、アルコキシド(OR)、カルボキシレート(RCOO)、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、及びCF(CFSO (トリフラート)からなる群から独立して選択され、式中Rは、C1~12アルキル、C1~12アリール、C1~12アルケニル又はC1~12アリルからなる群から独立して選択される、請求項1に記載の透明ゲル電解質。
【請求項5】
i.溶媒、ポリマーゲル化剤、添加剤、及びイオン導電体を2000:200:1:20の質量組成で混合した後、60から90℃の範囲の温度で、5から24時間の範囲の期間で加熱して混合物を得る工程;
ii.工程(i)で得られた混合物を冷却した後、凍結融解(各1時間を3回)により乾燥して、25から30℃の範囲の室温で保管する工程;
を含む、透明ゲル電解質の合成方法。
【請求項6】
i.導電性の表面を有する、2つの導電性酸化物でコーティングされた電極;
ii.電界にさらされると可逆的に変更可能である所定の色を有する、酸化還元活性材料を含むエレクトロクロミック活性層;
iii.スペーサーとしての絶縁テープによって分離された前記基板の間に挟まれた請求項1に記載の透明ゲル電解質;を含むサンドイッチセル装置であって、
前記活性層は、一般式MO(式中Mは、タングステン、バナジウム又はニッケルであり、x>0である)を有する第1列遷移金属の電気泳動的に析出した酸化物であり、前記活性層は100nmから1200nmの厚みを有し;
前記活性層は、一般式MO(式中Mは、タングステン、バナジウム又はニッケルであり、x>0である)を有する第1列遷移金属のスプレーコーティング又はディップコーティング又はスピンコーティングされた酸化物であり、前記活性層は500nmから1200nmの厚みを有し;
前記活性層は、スプレーコーティング又はディップコーティング又はスピンコーティングされた一般式[M(py)m+mX又は[M(py)m+mXを有する金属ビピリジン、又は金属テルピリジンの錯体及びそれらの配位ポリマーであり、式中pyはビピリジン又はテルピリジンにおける配位リガンドを示し;
式中、Mは、Fe、Os、Ru、Ni、Co、Cuからなる群から独立して選択され;
n及びmは、0から3からそれぞれ独立して選択される整数であり、実質的にn>0、m>0であり;
Xは、ハライド(F、Cl、Br、I)、スルホンアミド[N(CFSO]、過塩素酸塩(ClO )、アルコキシド(OR)、カルボキシレート(RCOO)、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、及びCF(CFSO (トリフラート)からなる群から独立して選択されるアニオンであり;
前記活性層は60nmから1000nmの厚みを有する、サンドイッチセル装置。
【請求項7】
使用される前記基板は、ドープ/未ドープガラス、TCO(透明導電性酸化物)、コーティングされたガラス、ケイ素、石英、金属、金属酸化物、ポリマー、マイカ、クレイ、ゼオライト、膜、プラスチック、セラミック、アルミナ、スチール又は任意の導電性基版からなる群から選択され、シート、ビーズ、カラム、又はプレートの形態であり、最低限度の紫外可視近赤外スペクトル光に対する光透過性を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
同一の若しくは異なる酸化還元活性材料の単層、又は同一の又は異なる活性材料を有する複数の層を有し、前記活性材料はタングステン、バナジウム若しくはニッケルの酸化物、又は金属ビピリジン、又は金属テルピリジンの錯体、又は請求項1から5に記載のゲル電解質とともに導電性基板の間に挟まれたそれらの配位ポリマーから独立して選択される、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
着色効率が200から2000cm/Cの範囲を示し、1から3秒のスイッチング速度が、非機能性の従来の電解質と比較して好ましくは三倍速い、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
スマートウィンドウ、スマートミラー、電子ペーパー、スマートディスプレイ、ヘルメットバイザー、スマート眼鏡ガラス、光学データ記憶装置、グレア低減セットアップ、熱及び光伝達変調器、統合電荷貯蔵装置において有用である、請求項6に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学(elecrdochemical)又はエレクトロクロミック(electrochromic)セル及び装置における薄いフィルム/ゲルとして有用な透明ゲル電解質システムに関する。特に、本発明は、これらのゲル電解質を用いて製造したサンドイッチセル装置に関する。開示される電解質及び装置は、機械的に及び熱的に安定であり、長期間の安定稼働を十分に提供する。
【背景技術】
【0002】
スマート材料の研究開発は、スマート切替可能ウィンドウ(smart switchable window)等のスマート技術用途及び関連するオプトエレクトロニクス装置の増大する要求によって大いに推進されている。エレクトロクロミック材料は、電圧の適用下でその光学的特性を変えることができる「スマート材料」の仲間である。エレクトロクロミック材料の調節可能な光学的特性は、表面の光及び熱の伝達特性に直接反映され、効率的な室内照明及び冷却、美観、並びにグレアの低減をもたらす。例えば、これらのスマートウィンドウを介した熱及び光の伝達の動的調節は、室内温度及び視界の維持におけるエネルギー消費と直接相関し得、したがって、国内のエネルギー消費の大部分を低減し得る。
【0003】
全ての電気化学的プロセスにおける共通の成分である電解質は、エレクトロクロミック装置において重要な構成要素である。エレクトロクロミック装置における電解質の機能には、荷電平衡又は電気的中性、導電性、及びイオン移動性が含まれる。電解質において、電荷輸送は陽イオン及び陰イオンの運動を介して発生し、その導電性は存在するすべてのイオンからの寄与を有する。ECD(エレクトロクロミック装置)における電解質の使用は、高いイオン導電性、電気絶縁性、波長範囲での透過性、広い運転電気化学ウィンドウ、低い揮発性を要求する。したがって、電解質は2つの電極間のイオン導電体として使用され、カソード及びアノードを分離し、これにより、直接的な電気的接触を回避し、相互のイオン交換を可能にする。
【0004】
電解質のいくつかのクラスが報告されている。典型的には、水性電解質、有機液体電解質、イオン性液体、ゲル電解質及び固体ポリマー電解質が、ECDにおいて通常使用されている。純粋な液体電解質はより優れたイオン導電性及びより速いスイッチング(switching)を提供するが、それらは低い粘性、漏出、及び安定性に悩まされているため、ECDにおいてはゲル又は固体電解質が好ましい。これらは3つの主要なタイプを有する:(i)無溶媒状態でのイオン導電体と混合されたポリマー(例えば、PEO/イオン性塩)、(ii)水性/有機電解質溶液で膨張されたポリマー/ゲルマトリクス(PMMA/PC/ACN/LiClO)及び(iii)ポリマーマトリクス内で移動するイオン種(Nafion)。
【0005】
PEO又はPEO改質ポリマーは、ECDにおける固体/ゲル電解質のためのマトリクスの最も一般的に使用されるクラスの1つである(参照として以下が挙げられ得る:(a) Quartarone, E. 他、Solid State Ionics、1998年、110、1~14頁;(b) Kim, Y. T. 他、Solid State Ionics、2002年、149、29~37頁;(c) Plancha, M. L. 他、J. Electroanal. Chem.、1998年、442、91~7頁;(d) Serraino, F. F. 他、J. Eur. Ceram. Soc.、2004年、24、1385~1387頁;(e) Guinot, S. 他、Electrochim. Acta、1998年、43、1163~1170頁;(f) Rhodes, C. P. 他、Solid State Ionics、1999年、121、91~99頁)。ポリエーテル、ポリエステル、窒素/硫黄含有ポリマー、オレフィンハライドポリマー、ポリマー由来のシロキサン等は、効果的な結晶化をすることなく特にLi塩を溶解させるために使用されている(参照として以下が挙げられ得る:(a) Gong, Y. 他、Chinese J. Chem、2007年、25、1743~1747頁;(b) Gong, Y. 他、Chinese J. Polym. Sci.、2008年、26、91~97頁;(c) Zhang, S. 他、J. Functional Mater.、2006年、37、442~445頁;(d) Zhang, S. 他、J. Appl. Polym. Sci.、2007年、106、4091~4097頁;(e) Bohnke, O. 他、J. Electrochem. Soc.、1992年、139、1862~1865頁;Agnihotry, S. A.他、Electrochim. Acta、1999年、44、3121~3126頁;(f) Yang, D. 他、Chinese J. Polymer Sci.、2008年、26、375~380頁;(g) Erickson, M. 他、Electrochim. Acta、2003年、48、2059~2063頁;(h) Ramesh, S. 他、Solid Sta
te Ionics、2002年、148、483頁;(i) Magistris, A. 他、Solid State Ionics、2002年、152、347~354頁;(j) Liang, W. J. 他、Polymer、2004年、45、1617~1626頁;(k) Kraft, A. 他、Solar Energy Mater. Solar Cells、2006年、90、469~476頁;(l) Kobayashi, N. 他、Electrochim. Acta、2003年、48、2323~7頁)。リチウム又はアンモニウムカチオンの塩は、これらのポリマーベースの電解質のほとんどでイオン導電体として使用されてきた。ポリマーはイオン導電体に寄与しないが、ポリマーマトリックス内で自由に移動できるイオン導電体が存在するため、ゲル電解質は通常液体電解質と同じくらい導電性を有する。
【0006】
いくつかの特許がECDでの使用のための電解質の開発を教示している。国際公開WO 2009130316(Georen, 他)は、積層エレクトロクロミック装置のための三成分ゲル電解質システムを提示している。記載された電解質は、アミド系溶媒、イオン化可能なリチウム塩、及び光学的透明ポリマーから構成される。US 5229040(Desbat, 他)は、アルカリ性カチオンを伝導する、イオノマー、極性溶媒及び可塑化ポリマーから構成されるコロイド材料の使用、及びエレクトロクロミック装置での電解質としてのそれらの使用を開示している。US 20030165743は、非共有相互作用を介して室温液体電解質のゲル化が可能である、ヒドロキシル、アミノ、アミド、カルボキシル、及びアンモニウム基から構成される自己集合性化合物を、ECDのためのゲル電解質として提案している。US 3,521,941は、浸透性絶縁体及び電解質として活性材料(例えば、金属酸化物)の薄層及びイオン導電体から構成されるエレクトロクロミック装置を開示している。ポリマー及び金属酸化物、硫化物、フッ化物、及び窒化物が好適な電解質材料として提案されている。US 3,708,220において、硫酸をベースとするゲル電解質がWO及びMoOフィルムに高速スイッチング特性を与えることが示されている。US 4,175,837は、電解質でのイオン導電体としてナトリウム及びリチウムの塩の用途を提案している。しかしながら、酸電解質の使用は、金属酸化物ベースのエレクトロクロミック層の腐食をもたらすことも示されている。US 4,106,862及びUS 3,995,943は、金属(Ag、Zr)ベースの電解質の使用を提案しているが、それらは製造するのに非常に費用が掛かる。
【0007】
使用される省略
ECD - エレクトロクロミック装置
PMMA - ポリメチルメタクリレート
PC - プロピレンカーボネート
ACN - アセトニトリル
PVA - ポリビニルアルコール
DMSO - ジメチルスルホキシド
SEM - 走査型電子顕微鏡
nm - ナノメートル
FTO - フッ素ドープ酸化スズ
CE - 着色効率(coloration efficiency)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO 2009130316
【特許文献2】US 5229040
【特許文献3】US 20030165743
【特許文献4】US 3,521,941
【特許文献5】US 3,708,220
【特許文献6】US 4,175,837
【特許文献7】US 4,106,862
【特許文献8】US 3,995,943
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Quartarone, E.他、Solid State Ionics、1998年、110、1~14頁
【非特許文献2】Kim, Y. T.他、Solid State Ionics、2002年、149、29~37頁
【非特許文献3】Plancha, M. L.他、J. Electroanal. Chem.、1998年、442、91~7頁
【非特許文献4】Serraino, F. F.他、J. Eur. Ceram. Soc.、2004年、24、1385~1387頁
【非特許文献5】Guinot, S.他、Electrochim. Acta、1998年、43、1163~1170頁
【非特許文献6】Rhodes, C. P.他、Solid State Ionics、1999年、121、91~99頁
【非特許文献7】Gong, Y他、Chinese J. Chem、2007年、25、1743~1747頁
【非特許文献8】Gong, Y.他、Chinese J. Polym. Sci.、2008年、26、91~97頁
【非特許文献9】Zhang, S.他、J. Functional Mater.、2006年、37、442~445頁
【非特許文献10】Zhang, S.他、J. Appl. Polym. Sci.、2007年、106、4091~4097頁
【非特許文献11】Bohnke, O.他、J. Electrochem. Soc.、1992年、139、1862~1865頁
【非特許文献12】Agnihotry, S. A.他、Electrochim. Acta、1999年、44、3121~3126頁
【非特許文献13】Yang, D.他、Chinese J. Polymer Sci.、2008年、26、375~380頁
【非特許文献14】Erickson, M.他、Electrochim. Acta、2003年、48、2059~2063頁
【非特許文献15】Ramesh, S.他、Solid State Ionics、2002年、148、483頁
【非特許文献16】Magistris, A. 他、Solid State Ionics、2002年、152、347~354頁
【非特許文献17】Liang, W. J.他、Polymer、2004年、45、1617~1626頁
【非特許文献18】Kraft, A.他、Solar Energy Mater. Solar Cells、2006年、90、469~476頁
【非特許文献19】Kobayashi, N.他、Electrochim. Acta、2003年、48、2323~7頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の主な目的は、エレクトロクロミック装置における従来のゲル電解質と比較してより優れた性能を有する透明ゲル電解質システムを提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、この電解質を使用して改善された性能を備えた高性能ゲル電解質及び積層ECDを提供することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、機能性ゲル電解質及び活性エレクトロクロミック層を用いる優れたスイッチング速度及び着色効率を備えた、積層エレクトロクロミック装置を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様において、(i)ポリマーゲル化剤;(ii)溶媒;(iii)添加剤;及び(iv)イオン導電体;を含む透明ゲル電解質であって、溶媒、ポリマーゲル化剤、添加剤及びイオン導電体の質量組成は、20:2:1:2から2000:200:1:20の範囲であり;前記溶媒は、水、水及びアルコール(R-OH)の混合物、並びに水及びDMSOの混合物からなる群から選択され;式中Rは、C1~12アルキル、C1~12アリール、C1~12アルケニル又はC1~12アリルからなる群から独立して選択され;前記ポリマーゲル化剤の分子量は、89,000から98,000の範囲であり;前記イオン導電体は、リチウムカチオン又はアンモニウムカチオンの塩から選択され;前記添加剤は、分子状ヨウ素である、透明ゲル電解質が提供される。
【0014】
本発明の別の態様において、
溶媒、ポリマーゲル化剤、添加剤、及びイオン導電体を2000:200:1:20の質量組成で混合した後、60から90℃の範囲の温度で、5から24時間の範囲の期間加熱して混合物を得る工程;
工程(i)で得られた混合物を冷却した後、凍結融解(各1時間を3回)により乾燥して、25から30℃の範囲の室温で保管する工程;
を含む、透明ゲル電解質の合成方法が提供される。
【0015】
本発明のさらに別の態様において、
導電性の表面を有する、2つの導電性酸化物でコーティングされた電極;
電界にさらされると可逆的に変更可能である所定の色を有する酸化還元活性材料を含むエレクトロクロミック活性層;
スペーサーとしての絶縁テープによって分離された前記基板の間に挟まれた請求項1に記載の透明ゲル電解質;を含む、サンドイッチセル装置であって、
前記活性層は、一般式MO(式中Mは、タングステン、バナジウム又はニッケルであり、x>0である)を有する第1列遷移金属の電気泳動的に析出した酸化物であり、前記活性層は100nmから1200nmの厚みを有し;
前記活性層は、一般式MO(式中Mは、タングステン、バナジウム又はニッケルであり、x>0である)を有する第1列遷移金属のスプレーコーティング又はディップコーティング又はスピンコーティングされた酸化物であり、前記活性層は500nmから1200nmの厚みを有し;
前記活性層は、一般式[M(py)m+mX若しくは[M(py)m+mXを有するスプレーコーティング又はディップコーティング又はスピンコーティングされた金属ビピリジン、又は金属テルピリジンの錯体及びその配位ポリマーであり、式中pyはビピリジン又はテルピリジンにおける配位リガンドを示し;
式中、Mは、Fe、Os、Ru、Ni、Co、Cuからなる群から独立して選択され;n及びmは、0から3からそれぞれ独立して選択される整数であり、実質的にn>0、m>0であり;Xは、ハライド(F、Cl、Br、I)、スルホンアミド[N(CFSO]、過塩素酸塩(ClO )、アルコキシド(OR)、カルボキシレート(RCOO)、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、及びCF(CFSO (トリフラート)からなる群から独立して選択されるアニオンであり;
前記活性層は60nmから1000nmの厚みを有する、
サンドイッチセル装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、>90%の透明性を有し、電位窓0-2.5Vでの透過率変化がごくわずかである調製されたゲル電解質を図示したものである。(A)は調製されたゲル電解質としての写真を示し、(B)は0V及び-2.5Vでの電解質に対する透過率スペクトルを示す。
図2図2は、電位窓0~2.5Vにおいて、(A)分子状添加剤を含むゲル電解質及び(B)分子状添加剤を含まない従来のゲル電解質を用いて、WOから製造されたECDのエレクトロクロミックスイッチングへの分子状添加剤としてのヨウ素の効果を図示したものである。分子量89,000~98,000を有するPVAを両方の電解質の調製において使用した。空気中でのブランク実験がベースラインを提供した。
図3図3は、PVA(A)13,000~25,000、(B)89,000~98,000及び(C)1,25,000の分子量に基づくWOから製造されたECDの比較エレクトロクロミックスイッチング性能を図示するものである。(A)は不可逆であることが見出され、(B)は(C)と比較してより優れた特徴を示すことが見出された。これらの実験から、分子量89,000~98,000を有するPVAがさらなる実験のために特定された。空気中でのブランク実験がベースラインを提供した。
図4図4は、分子量(A)13,000~25,000、(B)89,000~98,000及び(C)1,25,000のPVAを用いて調製したゲル電解質の自立フィルムのSEM画像を図示するものである。
図5図5は、0~1.5Vの適用電位窓での、異なる分子量のPVAを用いて調製した機能性ゲル電解質を使用してWOから製造されたECDのスイッチング性能における違いを図示するものである(緑:MW=89,000~98,000;赤:MW=1,25,000)。空気中でのブランク実験がベースラインを提供した。
図6図6は、機能性ゲル電解質を使用してWOから製造されたECDのスイッチング性能に対する溶媒(A:水 vs B:DMSO)の効果を図示するものである。分子状添加剤は両方の電解質システムに存在していた。
図7図7は、(A)サンドイッチセル構造における装置製造及びアーキテクチャ、並びに(B、C)添加剤を含む機能性ゲル電解質を用いてWOから製造されたECDの写真を図示するものである。(B)製造時、(C)-2.5Vの電位を加えた後。
図8図8は、2つの異なる波長(破線:650nm、実線:800nm)で記録された、電位窓-2.5V~1.5Vにさらされた際の、添加剤を含む機能性ゲル電解質を使用してWOから製造されたECDの可逆的なスイッチング性能を図示するものである。着色及び漂白のほぼ完全な回復が、それぞれ-2.5V及び1.5Vの適用の際に観察された。
図9図9は、(A、B)添加剤を含まない従来のゲル電解質及び(C、D)添加剤を含む機能性ゲル電解質を使用してWOから製造されたECDの偏光顕微鏡画像を示すものである。
図10図10は、他の点は同一の条件下での、添加剤を含まない従来のゲル電解質を使用してWOから製造された(破線)と比較して、添加剤を含む機能性ゲル電解質を使用してWOから製造されたECD(実線)が電気化学的応答により優れることを示すものである。
図11図11は、ヨウ素の存在を確認するSEMで得られた機能性ゲル電解質のESDスペクトルを示すものである。
図12図12は、3cm×3cmFTO基板上のメタロ超分子ポリマー(metallosupramolecular)のエレクトロクロミックフィルムの写真を示すものである。
図13図13は、3cm×3cmFTO基板上のメタロ超分子ポリマーのエレクトロクロミックフィルムを使用して作成したエレクトロクロミック装置を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
当業者は、本開示が、具体的に記載されたもの以外の変形及び修正の対象となることを認識しているであろう。本開示は、全てのそのような変形及び修正を含むものであると理解されるべきである。また、本開示は、本明細書において参照した又は示した全てのそのような工程、特徴、組成物、及び化合物、並びに任意の又は複数のそのような工程若しくは特徴の任意の及び全ての組み合わせを、独立して又は集合的に含む。
【0018】
a.定義
便宜上、本開示のさらなる記載の前に、本明細書、及び実施例で使用される特定の用語をここで詳しく説明する。これらの定義は、本開示の残りの部分に照らし合わせて読まれ、当業者によって理解されるべきものである。本明細書で使用される用語は当業者に認識され知られる意味を有しているが、しかしながら、利便性及び完全性のために、特定の用語及びこれらの意味を以下で説明する。
【0019】
冠詞「a」、「an」及び「the」は、冠詞の文法的目的語の1つ又は1つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。
【0020】
用語「含む(comprise及びcomprising)」は、包括的で、開いた意味(open sense)で使用され、追加的な要素を含んでもよいことを意味する。「のみからなる」と解釈されることを意図していない。本明細書全体にわたって、文脈上他に必要とされない限り、単語「含む(comprise)」並びに「comprises」及び「comprising」等の変形は、記載された要素若しくは工程又は要素若しくは工程の群を含むことを意味し、任意の他の要素若しくは工程又は要素若しくは工程の群を除外しないものであると理解されるであろう。
【0021】
割合、濃度、量、及び他の数値データは、本明細書において範囲形式で提示されてもよい。このような範囲形式は、単に利便性及び簡潔性のために使用され、範囲の限界値として明示的に記載された数値だけでなく、各数値および小範囲(sub-range)が明示的に記載されているかのように、その範囲内に含まれるすべての個々の数値または小範囲を含めるように柔軟に解釈されるべきである。例えば、60~90℃の範囲の温度は、約60℃~90℃の明示的に記載された限界値だけでなく、61~89℃等の小範囲や、68.2℃、70.5℃等の具体的な範囲内の個々の量も含むと解釈されるべきである。
【0022】
本発明は、電気化学セル用の改質ゲル電解質システムを開示する。また、本発明は、前述のゲル電解質及び透明な導電性酸化物でコーティングされた基板を使用する積層サンドイッチセルの形態での高速スイッチング及び効率的なエレクトロクロミック装置の製造を開示する。
【0023】
電解質は、好適な溶媒、ポリマーゲル化剤、添加剤及びイオン導電体を含む。ポリマーの役割は、室温での安定性及び効率的な操作のためにイオン導電体を可塑化又はゲル化することである。従来のゲル電解質は、ポリマー、溶媒及びイオン導電体によって構成されている。
【0024】
本発明の一実施形態において、ポリマーゲル化剤;溶媒;添加剤;及びイオン導電体;
を含み、溶媒、ポリマーゲル化剤、添加剤及びイオン導電体の質量組成は、20:2:1:2から2000:200:1:20の範囲であり;前記溶媒は、水、水及びアルコール(R-OH)の混合物、並びに水及びDMSOの混合物からなる群から選択され;式中Rは、C1~12アルキル、C1~12アリール、C1~12アルケニル又はC1~12アリルからなる群から独立して選択され;前記ポリマーゲル化剤の分子量は、89,000から98,000の範囲であり;前記イオン導電体は、リチウムカチオン又はアンモニウムカチオンの塩から選択され;前記添加剤は、分子状ヨウ素である、透明ゲル電解質が提供される。
【0025】
本発明の一実施形態において、アルコール又はDMSOの量が、水の量の25%を超えない、本明細書において開示される透明ゲル電解質が提供される。
【0026】
本発明の一実施形態において、使用されるポリマーゲル化剤が、ポリビニルアルコール(PVA)である、本明細書において開示される透明ゲル電解質が提供される。
【0027】
本発明の一実施形態において、イオン導電体のアニオンが、ハライド(F、Cl、Br、I)、スルホンアミド[N(CFSO]、過塩素酸塩(ClO )、アルコキシド(OR)、カルボキシレート(RCOO)、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、及びCF(CFSO (トリフラート)からなる群から独立して選択され、式中Rは、C1~12アルキル、C1~12アリール、C1~12アルケニル又はC1~12アリルからなる群から独立して選択される、本明細書において開示される透明ゲル電解質が提供される。
【0028】
本発明の一実施形態において、添加剤が分子状ヨウ素である、本明細書において開示される透明ゲル電解質が提供される。本明細書に開示される本発明の別の実施形態において、添加剤を電解質システムに添加してより優れたエレクトロクロミック性能を付与し、ここで、前記添加剤は全成分の規定された質量組成で所定の量で添加され、溶媒は水又は水/アルコール(R-OH)の混合物、及び水/DMSOの混合物であり、Rは、C1~20アルキル、アリール、C1~20アルケニル、アリルから独立して選択され、ポリマーゲル化剤はポリビニルアルコール(PVA)であり、イオン導電体はリチウムカチオン又はアンモニウムカチオンの塩であり、添加剤は分子状ヨウ素であり、溶媒、ポリマーゲル化剤、添加剤及びイオン導電体は2000:200:1:20の質量組成を含む。
【0029】
本発明の一実施形態において、(i)溶媒、ポリマーゲル化剤、添加剤、及びイオン導電体を2000:200:1:20の質量組成で混合した後、60から90℃の範囲の温度で、5から24時間の範囲の期間で加熱して混合物を得る工程;(ii)工程(i)で得られた混合物を冷却した後、凍結融解(各1時間を3回)により乾燥する工程、及び(iii)25から30℃の範囲の室温で保管する工程;を含む、透明ゲル電解質の合成方法が提供される。
【0030】
本発明の一実施形態において、導電性の表面を有する、2つの導電性酸化物でコーティングされた電極;電界にさらされると可逆的に変更可能である所定の色を有する、酸化還元活性材料を含むエレクトロクロミック活性層;スペーサーとしての絶縁テープによって分離された前記基板の間に挟まれた透明ゲル電解質;を含むサンドイッチセル装置であって、前記活性層は、一般式MO(式中Mは、タングステン、バナジウム又はニッケルであり、x>0である)を有する第1列遷移金属の電気泳動的に析出した酸化物であり、前記活性層は100nmから1200nmの厚みを有し;前記活性層は、一般式MO(式中Mは、タングステン、バナジウム又はニッケルであり、x>0である)を有する第1列遷移金属のスプレーコーティング又はディップコーティング又はスピンコーティングされた酸化物であり、前記活性層は500nmから1200nmの厚みを有し;前記活性層は、スプレーコーティング又はディップコーティング又はスピンコーティングされた一般式[M(py)m+mX又は[M(py)m+mXを有する金属ビピリジン、又は金属テルピリジンの錯体及びそれらの配位ポリマーであり、式中pyはビピリジン又はテルピリジンにおける配位リガンドを示し;式中、Mは、Fe、Os、Ru、Ni、Co、Cuからなる群から独立して選択され;n及びmは、0から3からそれぞれ独立して選択される整数であり、実質的にn>0、m>0であり;Xは、ハライド(F、Cl、Br、I)、スルホンアミド[N(CFSO]、過塩素酸塩(ClO )、アルコキシド(OR)、カルボキシレート(RCOO)、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、及びCF(CFSO (トリフラート)からなる群から独立して選択されるアニオンであり;前記活性層は60nmから1000nmの厚みを有する、サンドイッチセル装置が提供される。
【0031】
本発明の一実施形態において、使用される前記基板は、ドープ/未ドープガラス、TCO(透明導電性酸化物)でコーティングされたガラス、ケイ素、石英、金属、金属酸化物、ポリマー、マイカ、クレイ、ゼオライト、膜、プラスチック、セラミック、アルミナ、スチール又は任意の導電性基版からなる群から選択され、シート、ビーズ、カラム、又はプレートの形態であり、最低限度の紫外可視近赤外スペクトル光に対する光透過性を有する、本明細書において開示されるサンドイッチセル装置が提供される。
【0032】
本発明の一実施形態において、同一の若しくは異なる酸化還元活性材料の単層、又は同一の若しくは異なる活性材料を有する複数の層を有し、前記活性材料はタングステン、バナジウム若しくはニッケルの酸化物、又は金属ビピリジン、又は金属テルピリジンの錯体、又はゲル電解質とともに導電性基板の間に挟まれたそれらの配位ポリマーから独立して選択される、本明細書において開示されるサンドイッチセル装置が提供される。
【0033】
本発明の一実施形態において、着色効率が200から2000cm/Cの範囲を示し、非機能性の従来の電解質と比較して好ましくは三倍速い、1から3秒のスイッチング速度を示す、本明細書において開示されるサンドイッチセル装置が提供される。
【0034】
本発明の一実施形態において、スマートウィンドウ、スマートミラー、電子ペーパー、スマートディスプレイ、ヘルメットバイザー、スマート眼鏡ガラス、光学データ記憶装置、グレア低減セットアップ、熱及び光伝達変調器、統合電荷貯蔵装置において有用である、本明細書において開示されるサンドイッチセル装置が提供される。
【0035】
一実施形態において、本発明は十分な電位を印加した時に色が変化するエレクトロクロミック要素を提供し、前記要素は2つの透明導電性酸化物でコーティングされた電極、エレクトロクロミック活性層、及び開示されるゲル電解質システムを含み、前記活性層は、一般式MOを有する遷移金属酸化物(式中Mは、タングステン、バナジウム若しくはニッケルから選択され、x>0である)、又は金属リガンドシステム(前記リガンドはテルピリジン、ビピリジン、若しくはこれらの誘導体から独立して選択され、前記金属はカチオン性であり、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)若しくはMn(II)から独立して選択される)を、単独で又は組み合わせて含む。
【0036】
一実施形態において、本発明は、改善された着色効率及び室温でのより速いスイッチング性能を有する積層ECDを提供する。
【0037】
エレクトロクロミックスイッチングを支援するそれらの性能に対する、ゲル電解質の組成に関する広範な研究において、特定の化合物(以後、本明細書では「添加剤」と呼ぶ)を添加すると、エレクトロクロミック装置のスイッチング性能が向上することが見出された。
【0038】
本発明におけるゲル電解質は、より広い電気化学ウィンドウ、したがって、動作電圧、高い透明性(>90%)、より速いエレクトロクロミックスイッチング、及びほぼ2倍の効率を可能にした。本発明によるゲル電解質は、ゲル化剤(ポリマー)、イオン導電体(アンモニウム塩又はリチウム塩)、溶媒(水又は水-有機混合物)、及び添加剤を含む。
【0039】
本発明は、より環境にやさしい電解質組成物を提供することを意図しており、選択される溶媒として水が好適であった。溶媒の組成は、必要な場合のみ例外的な環境において、少量の極性有機溶媒を加えることで変化させることができ、前記有機溶媒はDMSO又はアルコールであり、最大で水の全体積の25%までの量である。
【0040】
本発明における他の必須の構成要素は、ポリマーゲル化剤である。ポリマーの選択は、水との適合性を除けば特に限定されなくてもよいが、初期の結果はポリビニルアルコール(以下、本明細書において「PVA」と呼ぶ)が効果的なゲル化剤であることを示唆した。しかしながら、ポリマーがその主鎖に関連する高い極性を有するいくつかの基を有することが好ましい。本発明は、その分子量に対するポリマーゲル化剤(PVA)の選択を開示することを意図しており、実験的に特定されたPVAは具体的に89,000~98,000の範囲の分子量を有していた。より低い分子量を有するPVAベースの電解質は、実験条件下で不可逆的なエレクトロクロミックスイッチングをもたらすことが見出された。SEM画像から明らかなように、特定された分子量を有するPVAを用いて、より優れた形態を有する自立電解質フィルムが得られた。
【0041】
前記ゲル電解質のイオン導電体は、当該分野で知られるイオン性塩、すなわちアンモニウム塩又はリチウム塩から独立して選択されてもよい。アニオンは、ハライド(F、Cl、Br、I)、スルホンアミド[N(CFSO]、過塩素酸塩(ClO )、アルコキシド(OR)、カルボキシレート(RCOO)、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、及びCF(CFSO (トリフラート)から選択されてもよく、Rはアルキル、アリール、アルケニル、アリルから独立して選択される。
【0042】
全成分の規定された質量組成において所定の量で添加される前記添加剤が、電解質の導電性、ゲル化又は電気絶縁性に影響を及ぼさないように注意が払われた。質量組成2000:200:1:20の溶媒、ポリマーゲル化剤、添加剤及びイオン導電体で、分子状ヨウ素が最も優れた添加剤であることが見出された。調製された電解質中の全元素の存在は、SEMでのエネルギー分散型X線分析(EDS)を用いた元素分析によって確認した。
【0043】
本発明のゲル電解質の調製において、成分を90℃で24時間混合及び加熱することで均一化し、その後冷却して室温で保管した。このように調製されたゲル電解質は、エレクトロクロミック装置のみでの使用に限定されず、センサー又は関連する装置等の他の電気化学セルにも使用できる。
【0044】
エレクトロクロミック装置の製造のための活性材料は特に限定されず、公知の材料から選択されてもよく、前記材料は、無機、有機又は金属-有機である。性能を実証するための活性材料としての無機金属酸化物(一般式MO)、及び前記材料のエレクトロクロミックフィルムは、電気泳動析出又はスプレー/ディップ/スピンコーティング技術を介して透明導電性酸化物上に製造することができた。
【0045】
本発明のエレクトロクロミックセルの具体例の1つは、2つのFTOでコーティングされた導電性電極と、活性材料としてWOを含む積層構造と、スペーサーとしての絶縁テープによって分離された、電極の間に挟まれた前記ゲル電解質とを含む。製造される装置は、従来の電解質を使用する装置と比較して、より優れた電気化学スイッチング、速い着色-漂白サイクル、及び高い着色効率を可能にする。前記電解質を含む装置の実験的に特定された着色の応答時間は1.6秒であり、従来の電解質(添加剤を含まない)を有する装置の実験的に特定された着色の応答時間は6.4秒であった。対応する漂白の応答時間はそれぞれ1.2秒及び3.0秒であった。本発明で開示されるゲル電解質を使用すると、着色効率(η650nm)も2倍(211cm/C vs 112cm/C)向上することが見出された。
【0046】
また、本発明は、単一又は複数の活性層、並びにそれらの厚みについて、あまり特定するものでない。活性材料は、前記金属酸化物から独立して選択されてもよく、1200nm以下の厚みが許容されることが見出された。しかしながら、厚み及び選択する材料による添加剤の影響の程度を予測することはできないため、厚みに依存する特性変化の大きさを厳密に排除することはできない。
【0047】
ゲル電解質中の溶媒としての水のみの使用はスイッチング実験において最も優れた結果を提供したが、前述の質量組成で溶媒としてDMSOを使用すると従来のゲル電解質と類似の性能パラメータがもたらされた。
【実施例
【0048】
以下の実施例は説明の目的で与えられるものであり、したがって発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでない。
【0049】
実施例1. 従来のゲル電解質の合成
水(5mL)中で、ポリビニルアルコール(MW 89000;500mg)、LiClO(50mg)の混合物を90℃で24時間攪拌した。このようにして得られた均一な粘性溶液を25℃(室温)に冷却して、従来のゲル電解質を得た。
【0050】
実施例2. 機能性ゲル電解質の合成
水(5mL)中のポリビニルアルコール(MW 89000;500mg)、LiClO(50mg)の混合物に、分子状ヨウ素(2.5mg)を添加した。得られた混合物を90℃で24時間攪拌した。このようにして得られた均一な粘性溶液を25℃(室温)に冷却して凍結融解(各1時間を3回)により乾燥して、機能性ゲル電解質を得た。
【0051】
実施例3. WOを使用するエレクトロクロミック層の調製
多孔質WO層を含むエレクトロクロミック層を以下のように調製した。WO・HO粉末を、W粉末とHの12時間の反応により合成した。初めに、24時間氷浴中での持続的な攪拌の下、5gのW粉末を60mLのH(50%)に溶解させた。次に、溶液をろ過して、無色透明の液体がもたらされた。溶液を80℃で4時間攪拌することにより過剰の過酸化水素を分解し、溶液の色を深い黄色に変化させ;次にカバーをして1週間静置した。その後、この溶液を乾燥して黄色に着色したタングステン酸化物水和物(tungsten oxide hydrate)(WO・HO)粉末を生成した。第2の工程で、完全に溶解して淡黄色に着色した溶液が得られるまで攪拌することにより、0.5gのWO・HO粉末を30mLの10%Hに溶解させた。
【0052】
実施例4. ECDの製造
10分間5mAの電流を使用する実施例3で調製した溶液の電気泳動析出により、又はスピン/スプレー又はディップコーティングにより、活性FTO電極を調整した。機能性ゲル電解質を活性電極及び無処理(bare)FTOガラスの間に挟んだ。装置を密封し、エレクトロクロミック研究のための電圧源に接続した。
【0053】
実施例5. 4-(2,2′,6′,2′′-テルピリジン-4′-イル)フェニルボロン酸3の合成
EtOH(80mL)中のNaOH(4.8g、0.12mol)の溶液に、4-ホルミルフェニルボロン酸2(3.032g、0.02mol)及び2-アセチルピリジン1(5.39g、0.04mol)を添加した。室温で24時間攪拌した後、水性NHOH(28%、75mL)を添加して、得られた混合物を20時間還流した。混合物を室温に冷却し、ろ過によって固体を回収し、CHClで洗浄して、灰色がかった白色(off white)の固体として生成物3が与えられた。収率:4.686g、85%。1H NMR (500 MHz, CDCl3, 300 K) δ: 8.70-8.68 (m, 2H, tpy-H3’,5’), 8.65-8.62 (m, 4H, tpy-H6,6’’and tpy-H3,3’’), 8.00 (td, J = 7.7, 1.8 Hz, 2H, tpy-H4,4’’), 7.75 (d, J = 7.8 Hz, 2H, Ph-H), 7.73 (d, J = 8.0 Hz, 2H, Ph-H), 7.48 (ddd, J = 7.5, 4.8, 1.1 Hz, 2H, tpy-H5,5’’); ESI-MS (m/z): 計算値 [C21H16BN3O2+H]+: 354.1314; 実測値: 354.1366
【0054】
【化1】
【0055】
実施例6. Ph-TPyの合成
【化2】
【0056】
テトラブロモベンゼン4(100mg、0.25mmol)、ボロン酸3(538mg、6当量)、Pd(PPhCl(53.7mg、0.3当量)及びNaCO(806mg、30当量)をガラス圧力チューブに加えた。3回のアルゴン/排出サイクル(3 argon/evacuation cycles)の後、HO(10mL)、トルエン(30mL)、及びtert-ブチルアルコール(1.5mL)を、アルゴンのフロー下で添加した。圧力チューブを密封し、混合物を110℃で6日間攪拌した。室温に冷却した後、混合物をクロロホルム(50mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物をブライン(brine)で洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空内で濃縮した。粗生成物を、溶離液としてCHCl/MeOH(9:1)を用いてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色の固体としてリガンドPh-TPyを得た。収率:66mg、20%。1H NMR (500 MHz, CDCl3, 300 K) δ: 8.70 (s, 8H), 8.63 (d, J = 4.6 Hz, 8H), 8.58 (d, J = 8.0 Hz, 8H), 7.8-7.70 (m, 16H), 7.67 (s, 2H), 7.41 (d, J = 8.3 Hz, 8H), 7.25-7.23 (m, 8H). 13C NMR (125 MHz, CDCl3, 300K) δ: 155.30, 154.89, 148.72, 140.58, 138.49, 135.86, 135.77, 132.03, 129.46, 122.70, 120.29, 117.78. ESI-MS (m/z): 計算値 [C90H58N12+H]2+: 654.7471; 実測値: 654.7465.
【0057】
実施例7. 1,1,2,2-テトラフェニルエチレン6の合成
【化3】
【0058】
乾燥THF(80mL)中の亜鉛粉末(6.259g、0.095mol)の氷冷懸濁液を、アルゴン下で三つ口フラスコ内において調製した。TiCl(15mL、0.055mol)を30分間にわたってゆっくりと注入し、氷塩水浴を取り除いて、反応混合物を還流下で4時間加熱した。乾燥THF(20mL)中のベンゾフェノン5(5.00g、0.027mol)の溶液をシリンジを用いてゆっくりと加え、混合物を一晩還流した。反応混合物を室温まで冷却し、(発泡(effervescence)が停止するまで)炭酸ナトリウムの飽和溶液でクエンチし、その後クロロホルム(100mL×3)で抽出した。有機層を水(120mL×3)で洗浄し、合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた粗生成物を溶離液としてヘキサンを用いてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。収率:4.43g、49%。1H NMR (500 MHz, CDCl3, 300 K) δ: 7.05-7.00 (m, 12H), 6.98-6.94 (m, 8H). ESI-MS (m/z): 計算値 [C26H20+Na]+: 332.1463; 実測値: 355.1467.
【0059】
実施例8. 1,1,2,2-テトラキス(4-ブロモフェニル)エタン7の合成
テトラフェニルエチレン6(1.66g、5mmol)を丸底フラスコ内においてCHCl(100mL)に溶解し、続いてBr(3.0mL)を滴下した。混合物を室温で12時間攪拌し、反応を水性Na(20mL)によってクエンチした。続いて、混合物をCHCl(50mL×3)を用いて抽出した。有機層を水(60mL×3)で洗浄し、合わせた有機抽出物をMgSo上で乾燥させた。真空中で溶媒を蒸発させ、残留物を溶離液としてヘキサンを用いてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製した。化合物7を白色粉末として得た。収率:3.05g、95%。1H NMR (500 MHz, CDCl3, 300 K) δ: 7.19 (d, J = 8.2 Hz, 8H), 6.77 (d, J = 8.2 Hz, 8H).
【0060】
実施例9. TPE-TPyの合成
1,1,2,2-テトラキス(4-ブロモフェニル)エテン7(100mg、0.15mmol)、ボロン酸3(327mg、0.92mmol)、Pd(PPhCl(32mg、0.046mmol)及びNaCO(490.6mg、4.62mmol)をガラス圧力チューブに加えた。3回のアルゴン/排出サイクルの後、HO(10mL)、トルエン(30mL)、及びtert-ブチルアルコール(1.5mL)を、アルゴンのフロー下で添加した。圧力チューブを密封し、混合物を110℃で6日間攪拌した。室温に冷却した後、混合物をCHCl(50mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空内で濃縮した。粗生成物を、溶離液としてCHCl/MeOH(9:1)を用いてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色の固体としてTPE-TPyを得た。収率:68mg、28%。1H NMR (500 MHz, CDCl3, 300 K) δ: 8.78 (s, 8H), 8.74 (s, 8H), 8.68 (d, J = 7.7 Hz, 8H), 7.99 (d, J = 7.3 Hz, 8H), 7.88 (t, J = 7.9 Hz, 8H), 7.79-7.72 (m, 8H), 7.56-7.50 (m, 8H), 7.39-7.27 (m, 16H). 13C NMR (125 MHz, CDCl3, 300K) δ: 155.32, 154.98, 148.14, 138.27, 137.53, 135.84, 130.96, 126.70, 126.35, 125.50, 122.79, 120.38, 117.68, 113.04. MALDI TOF: 計算値 [C110H72N12]: 1561.60; 実測値: 1561.69.
【0061】
実施例10. チオ-TPyの合成
【化4】
【0062】
3,3′,5,5′-テトラブロモ-2,2′-ビチオフェン8(100mg、0.207mmol)、ボロン酸3(438mg、1.24mmol)、Pd(PPhCl(43mg、0.062mmol)及びNaCO(658mg、6.21mmol)をガラス圧力チューブに加えた。3回のアルゴン/排出サイクルの後、HO(10mL)、トルエン(30mL)、及びtert-ブチルアルコール(1.5mL)を、アルゴンのフロー下で添加した。圧力チューブを密封し、混合物を110℃で6日間攪拌した。室温に冷却した後、混合物をクロロホルム(50mL×2)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥し、真空内で濃縮した。粗生成物を、溶離液としてCHCl/MeOH(9:1)を用いてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色の固体として生成物チオ-TPyを得た。収率:56mg、17%。1H NMR (500 MHz, CDCl3, 300 K) δ: 8.78 (s, 8H), 8.74 (s, 8H), 8.68 (d, J = 7.7 Hz, 8H), 7.99 (d, J = 7.3 Hz, 8H), 7.88 (t, J = 7.9 Hz, 8H), 7.79-7.72 (m, 8H), 7.56-7.50 (m, 8H), 7.39-7.27 (m, 16H). 13C NMR (125 MHz, CDCl3, 300K) δ: 155.32, 154.98, 148.14, 138.27, 137.53, 135.84, 130.96, 126.70, 126.35, 125.50, 122.79, 120.38, 117.68, 113.04. MALDI TOF: 計算値 [C110H72N12]: 1395.44; 実測値: 1395.85.
【0063】
実施例11. スプレーコーティング用のメタロ超分子ポリマーの合成
MeOH中のFeCl.4HO(4.97mg、2当量)の溶液を、CHCl(5mL)中の対応するリガンド(Ph-TPy:6.5mg、TPE-TPy:7.8mg、チオ-TPy(Bihio-TPy):6.97mg)の溶液に加えた。メタロ超分子ポリマーの最終濃度は0.3mMであり、新たに調整した溶液を使用して、さらなる精製をすることなく、自動スプレーコーターを用いてFTOガラス基板上にスプレーコーティングを行った。
【0064】
実施例12. FTO基板上のMP(メタロ超分子ポリマー)のスプレーコーティングによるMPNFの製造
FTOガラス基板(3cm×3cm)をせっけん溶液中での洗浄により清潔にした後、水、アセトン及びイソプロピルアルコール中で、それぞれ15分間、超音波処理した。スプレーコーティングを、ワークピース上に事前にプログラムされたパターンで液体を施すノードソンEFD EVシリーズ自動ディスペンシングシステムを使用して行った。プログラムはDispenseMotion(商標)ソフトウェアを用いて作成した。150mm/sの回線速度(line speed)及び200mm/sのポイント間速度(ptp speed)を使用した。MPの0.3mM溶液の10回のスプレーを1堆積工程(one deposition step)とみなす。
【0065】
実施例13. エレクトロクロミック装置の製造
FTOガラス基板(カウンター/参照電極に対して、3cm×3cm)をせっけん溶液での洗浄により清潔にした後、水、アセトン及びイソプロピルアルコール中で、それぞれ15分間、超音波処理した。MPNF-改質FTO基板(3cm×3cm)を乾燥アセトニトリル中ですすぎ、アルゴンのフロー下で乾燥させた。無処理(bare)FTO基板をこれらの改質基板の最上部において、ショート(short circuit)を防ぎ、同時にセットアップを保持するために、それぞれの端で絶縁両面ゴリラテープ(厚み<200μm)でしっかりと固定した。続いてゲル電解質をシリンジを用いて注入して、サンドイッチ型アーキテクチャを形成し、空気乾燥機において、10分間60℃で乾燥させた。続いて、サンドイッチセルを密封した。端を、ポテンシオスタット/ガルバノスタットに接続し、固体状態のセットアップのエレクトロクロミック特性を研究した。
【0066】
表1は、機能性ゲル電解質の比較エレクトロクロミック特性を示す。
【0067】
【表1】
【0068】
本発明の利点
・非腐食性:酸性電解質は、エレクトロクロミック層の腐食を引き起こす
・費用効果:多くの報告された電解質は、製造に非常に費用がかかる
・無機又はハイブリッドエレクトロクロミック装置への汎用性
・より優れた性能パラメータ
・高いイオン導電性
・電気化学的に不活性
・紫外可視光赤外スベクトル範囲での>90%の透明性
・広い運転電気化学ウィンドウ(-3V~+3V)
・低い揮発性
・費用効果
・より速いスイッチング(従来の電解質よりも3倍速い)
・高い着色効率(従来の電解質よりも2倍高い着色効率)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
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図9A
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図10
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【国際調査報告】