(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】組織再生の促進に有用なHMGB1に関連するポリペプチド、それを含む組成物、及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 19/00 20060101AFI20230317BHJP
C07K 14/435 20060101ALI20230317BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20230317BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230317BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230317BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20230317BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20230317BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230317BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230317BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20230317BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230317BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20230317BHJP
A61P 19/00 20060101ALI20230317BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230317BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230317BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230317BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230317BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230317BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20230317BHJP
【FI】
C07K19/00
C07K14/435 ZNA
A61K38/17
A61P1/04
A61P1/16
A61P1/18
A61P7/00
A61P9/00
A61P9/10
A61P9/04
A61P13/12
A61P17/02
A61P19/00
A61P25/00
A61P25/16
A61P25/28
A61P3/10
C12N15/12
C12N15/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528186
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(85)【翻訳文提出日】2022-07-05
(86)【国際出願番号】 IB2020060674
(87)【国際公開番号】W WO2021094983
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518000017
【氏名又は名称】オックスフォード ユニバーシティ イノベーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ナンチャハル、ジャグディープ
(72)【発明者】
【氏名】ビナルス・ギタルト、アルバロ
(72)【発明者】
【氏名】ユエ、ワイアット
(72)【発明者】
【氏名】バージェス-ブラウン、ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ツォン・ユエン
(72)【発明者】
【氏名】エスピリト・サント、アナ・イザベル
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA44
4C084CA18
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA36
4C084ZA51
4C084ZA66
4C084ZA75
4C084ZA81
4C084ZA89
4C084ZA94
4C084ZA96
4C084ZC35
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、以下の式:H2N-A-X-B-A-X-B-HOOC
(式中、Aは連続するアミノ酸であり、その配列は、(1)野生型HMGB1のアミノ酸90~93の配列と同一の配列を含み、(2)そのアミノ末端側に、配列が野生型HMGB1のアミノ酸90の前の対応する1~6個のアミノ酸の配列と同一である、1~6個の連続するアミノ酸、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、又は6個のアミノ酸を有し、場合によっては、(3)アミノ末端はメチオニンであり、Xは連続するアミノ酸であり、その配列は、野生型HMGB1のアミノ酸94~162の配列と同一であり、Bは連続するアミノ酸であり、その配列は、(1)野生型HMGB1のアミノ酸163~168の配列と同一の配列を含み、(2)そのカルボキシ末端側に、配列が野生型HMGB1のアミノ酸168の後の対応する1~6個のアミノ酸の配列と同一である、1~6個の連続するアミノ酸、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、又は6個のアミノ酸を有し、それぞれの-は、AとX、XとB、BとA、AとX、及びXとBのそれぞれの間のペプチド結合を表す)
で表されるポリペプチドを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
H
2N-A-X-B-A-X-B-HOOC
(式中、Aは連続するアミノ酸であり、その配列は、(1)野生型HMGB1のアミノ酸90~93の配列と同一の配列を含み、(2)そのアミノ末端側に、配列が野生型HMGB1のアミノ酸90の前の対応する1~6個のアミノ酸の配列と同一である1~6個の連続するアミノ酸を有し、場合によっては、(3)アミノ末端はメチオニンであり、
Xは連続するアミノ酸であり、その配列は、野生型HMGB1のアミノ酸94~162の配列と同一であり、
Bは連続するアミノ酸であり、その配列は、(1)野生型HMGB1のアミノ酸163~168の配列と同一の配列を含み、(2)そのカルボキシ末端側に、配列が野生型HMGB1のアミノ酸168の後の対応する1~6個のアミノ酸の配列と同一である1~6個の連続するアミノ酸を有し、
-は、AとX、XとB、BとA、AとX及びXとBの間のペプチド結合を表す)
で表されるポリペプチド。
【請求項2】
アミノ末端はメチオニンである、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
Aは、そのアミノ末端側に、野生型HMGB1のアミノ酸89に対応する1つのアミノ酸を有する、請求項1又は2に記載のポリペプチド。
【請求項4】
Bは、そのカルボキシ末端側に、野生型HMGB1のアミノ酸169~174に対応する6つのアミノ酸を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のポリペプチドと担体を含む組成物。
【請求項6】
前記ポリペプチドが治療又は予防有効量で存在し、前記担体が薬学的に許容される担体である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
修復をCXCR4
+細胞に依存する組織又は細胞の再生を促進することによって緩和される状態を患う、又はそのような状態になる危険性を有する対象を治療する方法であって、前記対象に、前記組織の再生を促進するのに有効な量の請求項1~4のいずれか一項に記載のポリペプチド又は請求項6に記載の医薬組成物の治療若しくは予防用量を投与することを含む、方法。
【請求項8】
前記状態が心筋梗塞であり、前記組織が心臓組織/心筋である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリペプチドが前記心筋梗塞から5時間以内に投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記状態が骨折であり、前記組織が骨である、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記状態が肝臓損傷に関係し、前記組織が肝臓組織である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記状態が、脳又は神経系の損傷に関係し、卒中、パーキンソン病、及び認知症を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記状態が肺の損傷に関係する、請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記状態が、消化管に関係し、外科手術及び炎症性腸疾患を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項15】
前記状態が、皮膚の損傷に関係し、外科手技、熱傷、及び潰瘍を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項16】
前記状態が1型糖尿病を含む膵臓に関係し、前記細胞が膵島細胞である、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
前記状態が、例えば化学療法後の好中球減少症であり、前記組織が骨髄である、請求項7に記載の方法。
【請求項18】
前記状態が腎不全であり、前記組織が腎臓組織である、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年11月12日に出願された米国仮出願第62/934,299号の利益を主張し、その内容はこの明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願全体を通じて、括弧内で参照されるものを含め、様々な刊行物が参照される。本出願において言及されるすべての刊行物の開示は、その全体が、本発明が属する技術分野及び本発明により用いることができる技術分野における特徴に関する説明を提供するために、本出願に組み込まれる。
【0003】
配列表の参照
本出願は、ファイル名「201112_91203-A-PCT_Sequence_Listing_AWG.txt」のヌクレオチド配列を組み込み、これは、サイズが78キロバイトであり、IBM-PC機形式で2020年11月12日に作成されており、MS-Windows(登録商標)とのオペレーティングシステム適合性を有し、本出願の一部として2020年11月12日に提出されたテキストファイルに含まれる。
【0004】
技術分野
本開示は、有害な炎症を伴うことなく組織再生を促進するHMGB1に関連する操作されたポリペプチド、及び操作されたポリペプチドをそれを必要とする対象に投与することによって急性組織傷害を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0005】
常在する幹細胞及び前駆細胞は、恒常性を維持すること及び傷害後に多数の組織の修復を実行することにおいて、重要な役割を果たす[1]。しかしながら、成体におけるほとんどの組織は、瘢痕化によって治癒する。骨髄移植の成功後[2]、固体器官の再生を促進するための外因性幹細胞療法に相当な関心が存在していたが、成功は眼[3]及び皮膚[4]などの一部の器官に限定されていた。組織傷害後の炎症性の環境は、幹細胞生着にはつながらず、その後の瘢痕化は、幹細胞ニッチを破壊する[5]。したがって、内因性修復機序を刺激することによる組織再生の促進に焦点がシフトした[6]。成功する治療薬の開発は、これらの経路を促進する可溶性媒介因子の特定に依存する。本発明者らは、以前に、骨、血液、及び骨格筋を含む、複数の組織における修復の重要な媒介因子として、高移動度群ボックス1(HMGB1)を特定した[7]。
【0006】
HMGB1は、プロトタイプのアラーミンであり[8, 9]、生理学的条件下では、転写において重要な役割を有する[10, 11]。それは、細胞傷害時に、損傷細胞及び壊死細胞から細胞外及び循環中に受動的に放出され、幹細胞及び前駆細胞に対して、それらをG0とG1との間の中間状態[12]であるGAlert[7]へ移行させるように作用する。適切な活性化因子に曝露されると、GAlertにある細胞は急速にG1に入り、組織修復を実行できる。必要とされない場合、GAlertにある幹細胞は、およそ3週間後にG0に戻り[12]、それによって、確実にそれらが疲弊せず、ニッチが枯渇されないようになる。
【0007】
HMBG1は、2つのL字型ボックスドメインA及びBを含み、それぞれ、LPS(ボックスAのN末端及び隣接するC末端リンカー領域)[13]又はRAGE(ボックスBのC末端)[14]の結合に関与する可動性の領域によって接続された3つのα-ヘリックス(I~III)を含む。タンパク質のC末端は、本質的に秩序がなく、酸性テールを構成するカルボン酸残基(Glu/Asp)を高い比率で含む。これは、HMGボックスに結合して、TLR2[10, 15, 16]及び可能性としてさらにはRAGE[15]との相互作用を含む、活性を調節する(
図1A~1B)。HMGB1システイン残基(ボックスAにおけるCys22、Cys44、及びボックスBにおけるCys105)の酸化状態は、HMGB1の細胞外活性の重要な決定因子であり、これが、放出の機序に依存する。3つの異なる酸化還元形態が、in vivoで説明されている[17]。傷害又は細胞壊死後に核から受動的に放出されるHMGB1は、完全還元型の形態(FR-HMGB1)である。それは、CXCL12に結合し、ヘテロ複合体が、細胞表面受容体CXCR4を介して、幹細胞及び前駆細胞をG
Alertに移行させるようにシグナル伝達する[7]。局所的炎症環境における部分的酸化は、ジスルフィドHMGB1(DS-HMGB1)の形成をもたらし[18, 19]、これは、Cys22とCys44との間にジスルフィド結合を有する。これはまた、アセチル化[20]及びN-グリコシル化[21]後に免疫細胞によって能動的に分泌される形態である。終末糖化産物受容体(RAGE)を介したDS-HMGB1シグナル伝達は、血小板を活性化させ、血栓症の重要な媒介因子である[22, 23]。DS-HMGB1は、TLR4及びTLR2を介して作用し、TNF及びIL-6を含む炎症促進性サイトカインの放出ももたらす[24]。3つすべての受容体を介した細胞内シグナル伝達が収束して、MyD88依存性の様式で[26, 27]NF-κβ活性[25]を誘導する。細胞外反応性酸素種の作用による3つのシステイン残基の酸化は、スルホニル-HMGB1(SO
3)をもたらし、これは、生物学的に不活性である[17, 28]。
【0008】
DS-HMGB1のボックスAにおけるジスルフィド架橋(Cys22-Cys44)は、TLR4シグナル伝達に必須であり(
図1A~1B)、TLR4への結合を開始させるが、解離速度も比較的高い。次いで、MD-2は、親和性は低いものの非常に低い解離速度でボックスBに結合し、相互作用を安定化させ[29]、ボックスBにおけるPhe-Cys-Ser-Glu(FCSE、104~107)ペプチドは、この相互作用に必須である[30]。DS-HMGB1がTLR4を介してシグナル伝達する能力は、22位、44位、及び105位におけるシステインを、セリンに置換し、3S-HMGB1[17]として記載される操作された形態をもたらすことによって弱められた。Tirone Mらは、3S-HMGB1が、FR-HMGB1と比較して増強された再生特性を有することを主張していたが[31]、本発明者らは、骨、血液、及び骨格筋の傷害では、それがFR-HMGB1と同等であったことを見いだした。興味深いことに、3S-HMGB1は、心筋梗塞後に局所的に投与した場合、有害であるのに対して、FR-HMGB1は、4週間にわたる評価で、梗塞が小さくなり、心臓機能の増強をもたらした[32]。TLR2又はRAGEシグナル伝達に対する3S置換の作用に関して、公開されているデータは存在しない。
【0009】
TLR2相互作用の部位は、明確に定義されていないが、グリチルリチンが、この相互作用を阻害することは公知である[33]。これは、少なくとも一方、及び可能性としては両方のHMGボックスドメイン及び酸性テールが関与していることを示唆する[10]。酸性テールは、HMGB1を負に調整し、HMGB1の酸性テールをボックスドメインから転置してTLR2を介したシグナル伝達を可能にするためには、共リガンド[34]が必要であることが報告されている[35]。しかしながら、いくつかの刊行物は、HMGB1単独でのTLR2依存性炎症促進性シグナル伝達を報告しており[24, 36]、共リガンドの要件は、細胞型及び状況に依存する可能性がある。TLR2シグナル伝達に関するHMGB1の酸化還元状態の役割は、ジスルフィド形態[22]及び完全還元型形態[34]の両者が、TLR2を通じてシグナル伝達することが提示されているため、不明瞭なままである。RAGE相互作用は、主として、HMGボックスB(残基149~182)内のペプチドにマッピングされており[14](
図1A~1B)、この配列に由来するペプチドは、HMGB1-RAGEシグナル伝達を効果的に阻害できる[37]。加えて、ボックスA内には第2のカスパーゼ依存性部位も存在する。より最近では、第2のRAGE結合部位が、HMGボックスAで特定されており[38]、カスパーゼ11によるタンパク質分解後にのみアクセス可能である[38]。しかしながら、RAGEシグナル伝達に対するそれぞれの部位の相対的な寄与は、不明なままである。RAGEによって媒介される血栓形成促進性シグナル伝達が、HMGB1のジスルフィド形態を必要とすることも認識されており、ボックスAが関与していることが示される[22]。HMGB1の酸性テールは、RAGE結合ペプチド内の残基に結合するため、TLR2と類似の様式でRAGEシグナル伝達を負に調節する可能性がある[10, 15, 39]。
【0010】
FR-HMGB1の再生活性を医薬に移行することの成功は、CXCL12結合及びCXCR4を介したシグナル伝達を維持しながら、RAGE、TLR2、及びTLR4を介したすべての可能性のある有害なシグナル伝達を排除することに依存する。ここでは、CXCL12との結合に重要であるHMGB1内の残基を特定し、再生活性を維持しながら、RAGE結合並びにTLR2及びTLR4シグナル伝達を排除する、HMGB1バリアントについて説明する。
【発明の開示】
【0011】
本発明は、以下の式:
H2N-A-X-B-A-X-B-HOOC
(式中、Aは連続するアミノ酸であり、その配列は、(1)野生型HMGB1のアミノ酸90~93の配列と同一の配列を含み、(2)そのアミノ末端側に、配列が野生型HMGB1のアミノ酸90の前の対応する1~6個のアミノ酸の配列と同一である、1~6個の連続するアミノ酸、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、又は6個のアミノ酸を有し、場合によっては、(3)アミノ末端はメチオニンであり、
Xは連続するアミノ酸であり、その配列は、野生型HMGB1のアミノ酸94~162の配列と同一であり、
Bは連続するアミノ酸であり、その配列は、(1)野生型HMGB1のアミノ酸163~168の配列と同一の配列を含み、(2)そのカルボキシ末端側に、配列が野生型HMGB1のアミノ酸168の後の対応する1~6個のアミノ酸の配列と同一である、1~6個の連続するアミノ酸、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、又は6個のアミノ酸を有し、
それぞれの-は、AとX、XとB、BとA、AとX、及びXとBのそれぞれの間のペプチド結合を表す)
で表されるポリペプチドを提供する。
【0012】
本発明はまた、本発明によるポリペプチドと担体を含む、組成物、並びに修復をCXCR4+細胞に依存する組織又は細胞の再生を促進することによって緩和される状態を患う、又はそのような状態になる危険性を有する対象を治療する方法であって、対象に、組織又は細胞の再生を促進するのに有効な量の本発明のポリペプチド、又は本発明の医薬組成物の治療若しくは予防用量を投与することを含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1A】
図1A~1Bは、HMGB1の構造の概略図及び判明している免疫原性活性の位置を示す。
図1A:HMGB1の構造(PDB 2YRQ、立体構造異性体1)。LPS、TLR4、又はRAGEとの公知の相互作用に応じてPyMolで色付け。転写モジュレーション及び殺細菌活性に関与する酸性テールは示していない。
【
図1B】
図1B:結合部位の概略表示。ボックスA-青色、ボックスB-緑色、ピンク色:グリチルリチン結合に関与する残基を示す。赤色:ボックスA又はボックスBに隣接するN末端側の可動性領域、オレンジ色:システイン残基、白色:HMGボックス間のリンカー領域、明るい黄緑色:RAGE結合領域(黄色の酸性テール内に延在するため不完全)。
【
図2A】
図2A~2Fは、CXCL12結合に重要であり、N末端側のD-P-X-X四量体を含む、それぞれのHMGボックスドメイン内の保存された残基を示す。
図2A:1μMのCXCL12-His6とともにインキュベートし、抗His5-HRP抗体で検出した、HMGB1の15量体のペプチドアレイ(11×10)。スポットの強度は、ペプチドに結合したCXCL12の量に対応し、アレイにおける最初の2つ及び最後の2つのスポットは、10-His陽性対照を含んでいた。
【
図2B】
図2B:10-his対照に対して正規化した
図2Aにおけるスポット強度の定量化(2回の実験)。アラニンスキャニング実験に使用したペプチドを強調表示。酸性テール内のペプチドは、その高い負電荷に起因してCXCL12などのカチオン性分子に非特異的に結合する可能性があるため含めなかった。グラフ内のペプチドは、左から右へ、配列番号8~104で表される。
【
図2C】
図2C:
図2A~2Bで特定したペプチド内の単一の位置におけるアラニン変異誘発のペプチドアレイ。それぞれの列における最初のスポットは、陽性対照に対応し、2番目のスポットは、未改変のペプチドに対応する。示したペプチドは、配列番号105~111で表される。
【
図2D】
図2D:未改変のペプチドに対して正規化した
図2Cのペプチド(配列番号105~111)のアレイの強度の定量化。CXCL12シグナルにおいて、アラニン残基において見られる観察される変動(Ala->Ala、同義変異、灰色)よりも高い変動を示した残基を赤色で示す。
【
図2E】
図2E:CXCL12に結合するビオチン化HMGB1コンストラクト[全長FR赤色/3S黒色、最小ボックスA 8~78(紫色)及びボックスB 94~162(褐色)、拡張型ボックスA 1~88(ピンク色)及びボックスB 89~174(灰色)]のミカエリス・メンテン飽和当てはめ。
【
図2F】
図2F:
図2Eから導出された動態パラメーターの概要。両者の当てはめから得られた親和性(Kd)定数は、同じ関係性に従い、HMGB1 94~162については大幅に減少しており、当てはめたデータから1方向ブラウン・フォーサイスANOVAによって分析した。一対比較(カラム因子)において有意差が見られなかったため、Kd値を、事後2方向ANOVAによって比較し、両者の値を平均した。加工前のインターフェログラムを
図9に示す。
【
図3A】
図3A~3Bは、CXCL12結合に関与する残基のNMR検証を示す。
図3A:CXCL12(0.42、0.84、及び1.42モル当量)で滴定した後、最終濃度点の後に測定したCXCL12なしの並列対照(CSPドリフト対照)を含む複数のHSQCスペクトルにわたって計算した、ヘリックスのみのビオチン化ボックスB(94~162、HMGB1A-c028)又は完全なボックスB(89~174、HMGB1A-c038)の累積CSP。グラフ内の緑色の強度は相対CSPを示す。それぞれのHMGB1コンストラクトの配列を、残基番号とともにオーバーレイしてあり、空のカラム(番号なし)は、並列3D
1H-
15N HSQC/NOE/TOCSY実験でマッピングできなかった残基を表す。それぞれのHMGボックスに対応する残基の配列は、以下のように示す:水色、文献でCXCL12結合に関与することがこれまでに報告されている残基;赤色、ペプチドアレイで弱く関与していた残基;紫色、公開されている文献及びペプチドアレイの両者で関与していた残基。灰色、ペプチドアレイで評価できなかったCXCL12結合ペプチド(下線)内のアラニン残基。示した配列は、配列番号5で表される。
【
図3B】
図3B:
図3Aの累積ピーク高さ変化、NMR変化のヒートマップ。赤色は、すべての残基の1標準誤差を上回るI/I0変化を示し、青色は、-1標準誤差を上回る減少を示す。示した配列は、配列番号5で表される。
【
図4A】
図4A~4Cは、dBB12Lコンストラクトの設計を示す。
図4A:ボックスA+リンカー(1~88)(配列番号3)の、ボックスB+リンカー(89~174)(配列番号4)とのアライメントであり、値は、NMR命名法に対応する(N末端メチオニンを除く)。垂直方向の線は、厳密に保存されている位置を示し、二重の点は、類似の置換を示す。下線:第1のペプチドアレイから得られたCXCL12に結合するペプチド領域。赤色:NMRで検証できなかった、アラニンスキャンでCXCL12結合に関与するとしてフラグ付けされた残基。オレンジ色:アラニンスキャンでフラグ付けされ、CSP又はNMRによるピーク体積変化のいずれかを示す残基。シアン:本発明者らのNMRにおいてもペプチドアレイ実験においてもフラグ付けされなかったが、NMR文献[44]でCXCL12結合に寄与すると記載されている残基。紫色:ペプチドアレイ実験でフラグ付けされ、公開されているか又は本発明者らのNMRデータによって確認された残基。緑色:CXCL12に直接的に結合し得るか、又は近傍の残基への結合によって影響を受け得るのいずれか、NMR実験でのみフラグ付けされた残基。ピンク色:本発明者らのNMR実験及び公開されているデータの両者によってフラグ付けされた残基。
【
図4B】
図4B:FR-HMGB1 1~166(2YRQ)の構造。残基は
図4Aと同じ色に従って色付けされている。すべての色付けされた残基の側鎖が示されている。破線の円は、それぞれのHMGボックスにおけるグリチルリチン結合領域を示す。
【
図4C】
図4C:dBB12Lコンストラクト設計の概要。開始コドンMet1は、切断されたペプチドでは部分的に失われているため、ここではMet0として番号付けする。したがって、HMGB1 Met1-Gly2…Glu215は、Met0-Gly1…Glu214となる。FR-HMGB1(上部、配列番号1)及びdBB12Lコンストラクト(下部、配列番号2)のドメイン組成及び配列。dBB12Lコンストラクトは、次のように設計した:1.酸性テール及びRAGE結合ドメインの一部(175~214)が欠失されており、2.残基1~88(ボックスA)が、残基89~174と置換され、結果として2つのHMGボックスBドメインが生じ、3.ボックスBのC末端側の残基163~174が、天然のHMGB1におけるボックスAに対してC末端側にある天然の可動性リンカー(79~88)と置きかえられている。CXCL12結合ペプチドを赤色の文字で示す。ボックスBの繰り返し単位は、図内で黒色の破線によって分離されている。
【
図5A】
図5A~5Dは、dBB12Lが、FR-HMGB1 1~214/1~164に類似する安定性及び表面荷電構造を有することを示す。
図5A:全長及び1~164 FR-HMGB1、並びにdBB12Lの計算されたTm
50値(℃単位)。個々のTm
50値の濃淡は、すべてのコンストラクトのグローバルデータセット内の最も高い(緑色)及び最も低い(赤色)値を示す。N/A:曲線が当てはめられない。
【
図5B】
図5B:50mM、又は0.2M酢酸アンモニウム、pH6.5のHMGB1コンストラクトのネイティブESI/MS。3つすべてのHMGB1コンストラクトは、類似のネイティブM/Zプロファイルを有し、dBB12Lが、2つのHMGボックスが互いに離れており、還元型HMGB1コンストラクトに近似している。連続した線;コンパクト型モノマー。破線;拡張型モノマー(HMGボックスが互いに遠位である)。酸性テールの除去(青色の曲線のFR HMGB1 1~164を、赤色の曲線のFR-HMGB1と比較)及びより高いイオン強度(50mM、又は200mMの酢酸アンモニウムにおける同じコンストラクトのスペクトルの比較)は、より高いM/Z状態(部分的なアンフォールディング)の存在度を増加させる。
【
図5C】
図5C:
図5Dで得た、平均のフォールディングされたHMGB1モノマー、拡張型及びコンパクト型モノマー状態、並びにフォールディングされていないモノマーの溶媒接触可能表面積(SASA)の計算。
【
図5D】
図5D:0.2M酢酸アンモニウム、pH6.5において室温で180日間(D0~D180)保管した後のHMGB1コンストラクトの変性ESI/MSデコンボリューション、SDS-PAGE、及びSECプロファイル。
【
図6A】
図6A~6Fは、dBB12Lが、RAGEに対して低減された結合を有し、TLR2又はTLR4を通じてシグナル伝達しないことを示す。
図6A:酸化状態に関係なく、dBB12LコンストラクトによるRAGE結合の不在を示す、ハイブリッドELISA(濃度当たりn=4、グローバル当てはめ)により得られたミカエリス・メンテン飽和当てはめ。DS-HMGB1は、FR-HMGB1と比較してより強くRAGEに結合する。データは、DS-HMGB1対照に対して正規化している。
【
図6B】
図6B:バイオレイヤーインターフェロメトリー(0~25μMのHMGB1、6回の実験)により得られたミカエリス・メンテン飽和当てはめ。結合速度及び解離速度は、加工前のインターフェログラムのデータのみから計算。動態パラメーター及び色凡例を
図6Cに要約し、無効な当てはめは、R
2<0.6(結合不良)を表す。ELISAから得られたデータは、実験の性質に起因して、結合定数によってよりも、解離定数によって比例的により影響を受ける。それぞれの動態パラメーターについて、緑色は、最も高い親和性、最も速い結合(k
on)、又は最も遅い解離(k
Off)を有するコンストラクトを示し、中間点を黄色で示し、最も低いものは赤色で示す。
【
図6C】
図6C:
図6Bの動態パラメーター及び色凡例(ジスルフィド形態は破線で示す)の要約。
【
図6D】
図6D:DS-HMGB1が、ヒトTLR2及びCD14を発現するレポーターHEK-Dual細胞において、NF-κβ活性を促進したことを示す。DbB-HMGB1は、NF-κβシグナル伝達を促進しなかったが、一方でFR-HMGB1は、両者の細胞株においてわずかなNF-κβ活性を誘導するのみであり、これは、アッセイ中の部分的な酸化に起因する可能性がある。値を、対照(培地単独)と比較した平均±標準誤差の倍率変化として示す。
【
図6E】
図6E:DS-HMGB1が、マウスTLR4、MD-2及びCD14を発現するレポーターHEK-Dual細胞において、NF-κβ活性を促進したことを示す。DbB-HMGB1は、NF-κβシグナル伝達を促進しなかったが、一方でFR-HMGB1は、両者の細胞株においてわずかなNF-κβ活性を誘導するのみであり、これは、アッセイ中の部分的な酸化に起因する可能性がある。値を、対照(培地単独)と比較した平均±標準誤差の倍率変化として示す。
【
図6F】
図6F:ジスルフィドHMGB1(DS-HMGB1)は、単球においてTNF産生を増加させ、これは、準最適量のLTAの存在によって、さらに増強されたが、LPSでは増強されなかった。FR-HMGB1及びDbB-HMGB1のいずれも、LPS又はLTAとともに24時間事前インキュベートした場合であっても、TNF分泌を誘起しなかった。これらのコンストラクトとともに事前インキュベートしたLPSに対する応答もまた、それぞれ3つの技術的複製物を用いたn=3人のドナーで、有意に低減された。
【
図7A】
図7A~7Jは、最適用量のdBB-HMGB1及びFR-HMGB1の再生作用が、活性化傷害のものと同一であることを示す。
図7A:傷害後又はHMGB1がG
Alertを誘導した後の、筋肉幹細胞において差次的に発現する遺伝子を倍率変化で示す、ボルケーノプロット。積分は、反対側の下肢の傷害又は静脈内(iv)HMGB1によって誘導されるG
Alertにあるコア遺伝子の上方(褐色の点)及び下方(青色の点)調節の保存を示す。
【
図7B】
図7B:筋肉幹細胞におけるG
Alert誘導中の差次的に発現する遺伝子の遺伝子オントロジータームのネットワークマップ。
【
図7C】
図7C:再生を線維の断面積によって定量した、BaCl
2骨格筋傷害モデルにおけるFR-HMGB1の用量応答。最適用量は、0.75mg/kg(28.75nmol/kg)であり、これを後続のアッセイにおいて使用した。値は、ホルム・シダック補正を用いたネステッドANOVAにおける平均±標準誤差として示す(事後検定についての値を示す)。
【
図7D】
図7D:動物に、FR-HMGB1(最適用量)を、BaCl
2の注入後の様々な時点で投薬して、傷害後のFR-HMGB1での処置が有効である間隔を評価した。値は、ホルム・シダック補正を用いたネステッドANOVAにおける平均±標準誤差として示す(事後検定についての値を示す)。
【
図7E】
図7E:二相指数関数的減衰曲線に対して非線形最小二乗法によって当てはめた、マウスにおける静脈内HMGB1の薬物動態(最適用量の静脈内注入後の循環HMGB1)。
【
図7F】
図7F:5週目における心筋梗塞(MI)後の生存率。FR-HMGB1=83%、PBS=52%。
【
図7G】
図7G:駆出分画。破線は、正常/偽手術マウスにおける駆出分画。
【
図7H】
図7H:時間に対する処置の効果について、2方向ANOVAによって比較した梗塞サイズ。
【
図7I】
図7I:MI後1週間及び5週間における心臓周期の拡張終期及び収縮終期における代表的な心房中央の短軸cineMRI画像。心室内の血液は明るく見える。FR-HMGB1群は、心臓機能の保存及び壁部厚さの維持(黄色の矢印)を示し、収縮期における右及び左心室の分離を見ることができる(赤色の矢印)。対照的に、PBS処理群において、有意な左心室拡張(白色の矢印)があり、拡張期と収縮期との間の収縮は非常に限定されている。1群当たり10匹。すべてのMRIスキャンは、盲検観測者が行い、評価した。
【
図7J】
図7J:BaCl
2により筋肉が傷害を受けた動物を、PBS(黒色)、28.75nM/kgのFR-HMGB1A-c001(赤色)、又はdBB12L(緑色)で処置した後の所与の時点においてプロットした平均筋肉断面積。1群及び時点当たり5匹。ネステッドANOVA(ホルム・シダック事後補正)。それぞれの時点における代表的な画像を
図12に示す。
【
図8A】
図8A~8Bは、HMGB1と相互作用するCXCL12ペプチドのペプチドアレイの結果を示す。
図8A:全長CXCL12のペプチドアレイ。「+」の位置は、陽性対照10-Hisペプチドに対応し、残りのペプチドは、連続した2つの残基をC末端の方にシフトさせたCXCL12の15量体を含む。膜を、1uMのHMGB1(FR又は3S)-His6(1~214)、ボックスA-His6(8~78)、及びボックスB-His6(94~162)に、24時間曝露した。結合したタンパク質を、抗His-HRPコンジュゲートの化学発光によって検出した。全長HMGB1と相互作用するCXCL12のペプチドは、ボックスA又はボックスBのいずれか単独とは相互作用することができず、それぞれのボックスドメインのN末端側のセグメント(特に、ボックスAにおけるD4/ボックスBにおけるD90)の必要性を確認し、一般的なCXCL12ペプチドに関与するスポットの強度はまた、ボックスドメイン単独への結合の場合にはFL-HMGB1と比較して著しく減少する。3Sへの結合は、FRに対するものよりも高い強度であると見られ、これは、アッセイ中のタンパク質の酸化に起因する可能性が高いが、これは、使用された低いタンパク質濃度がESI/TOF MSに好適ではないことに起因して、定量化されなかった。BLIデータは、しかしながら、FR-HMGB1からよりも低い、3SからのCXCL12の解離速度を示す。
【
図8B】
図8B:HMGB1に結合する領域を強調表示したCXCL12二量体(PDB 2J7Z)。赤色:共通した結合領域。青色:共通しない結合領域。
【
図9】
図9は、固定化されたHMGB1コンストラクトに結合するCXCL12のBLIにおけるインターフェログラムを示す。ビオチン化HMGB1コンストラクトを、ストレプトアビジンをコーティングしたOctetバイオセンサーに固定化し、漸増濃度のCXCL12に浸漬させた。インターフェログラムは、CXCL12の濃度に応じて色付けられている(凡例を右上に示す)。所与のセンサーの3つの複製物のそれぞれのセット(サイクル)は、コンストラクトに応じて色付けしたオーバーレイによって囲まれている。FR FL-HMGB1(c011)、黒色:3S-FL HMGB1(c022)、紫色:FR-HMGB1ボックスA 8~78(c027)、褐色:FR-HMGB1ボックスB 94~162(c028)、ピンク色:FR-HMGB1ボックスA 1~88(c037)、灰色:FR-HMGB1ボックスB 90~162(c038)。
【
図10A】
図10A~10Dは、CXCL12結合に関与する残基のNMR検証を示す(
図3の続き)。
図10A:1:2モル当量のCXCL12を一工程で添加した際のHMGB1 3S 1~184(HMGB1A-c007)の累積CSP(1:1のHMGボックス対CXCL12の比)。ボックスA及びボックスBの残基は、中央値CSP計算の目的で、別個の分子と考えている。棒グラフにおける緑色の強度は、より高い相対CSPを示す。それぞれのHMGB1コンストラクトの配列に、残基番号をオーバーレイしてあり、空のカラム(番号なし)は、並列3D 1H-15N HSQC/NOE/TOCSY実験でマッピングできなかった残基を表す。それぞれのボックスに対応する残基の配列は、以下に従って色付けし、それぞれの条件の真ん中に示す:水色、文献においてCXCL12結合に関与することがこれまでに報告されている残基;赤色、ペプチドアレイにおいて弱く関与していた残基;紫色、公開されている文献及びペプチドアレイの両者で関与していた残基。示した配列は、配列番号6及び7で表される。
【
図10B】
図10B:(A)10mM HEPES、150mM NaCl pH7.5緩衝液における15N HSQC-HQMCピークスペクトル。タンパク質濃度をスペクトルオーバーレイで示す。
【
図10C】
図10C:HMGB1A 94~162(2日間の実験)。10mM HEPES、150mM NaCl pH7.5緩衝液における15N HSQC-HQMCピークスペクトルを示す。タンパク質濃度をスペクトルオーバーレイで示す。
【
図10D】
図10D:HMGB1A 89~174(6日間の実験、軽微な分解が4日目以降に生じる)。10mM HEPES、150mM NaCl pH7.5緩衝液における15N HSQC-HQMCピークスペクトルを示す。タンパク質濃度をスペクトルオーバーレイで示す。
【
図11】
図11は、固定化されたFc-RAGEに結合するHMGB1コンストラクトのBLIにおけるインターフェログラムを示す。RAGE-Fcを、AHCセンサーの表面に固定化し、漸増濃度の異なるHMGB1コンストラクトに浸漬させた。2回の実験を、異なる濃度範囲で行った:左側の3つのグラフの列は、9段階にわたって0~22.22μMのHMGB1であり、右側は、7段階にわたって0~25μMであった。いずれも、濃度で色付けしている(上部)。色は、特定のコンストラクト濃度を示す。それぞれのグラフは、単一のセンサー(複製物)に対応する。赤色の長方形で囲まれたインターフェログラムは、品質不良(例えば、ドリフト)に起因して排除したデータ点を有していた。
【
図12】
図12は、PBS対照(黒色)と比較して、FR-HMGB1(赤色)又はdBB12L(緑色)に応答して再生する筋肉の組織学的画像を示す。
【
図13】
図13A~13Cは、プラスミドベクターマップを示す。特徴及び制限部位を有するベクターマップ。TEV:タバコエッチ病ウイルスプロテアーゼ認識部位。6-His:10/6-ヒスチジン残基親和性エピトープ。FLAG:FLAG親和性エピトープ。StrepTag:ストレプトアクチンXT親和性エピトープ。SacB:レバンスクラーゼ前駆体(スクロースの存在下における陰性選択)。pLIC:コロニースクリーニングにおいて使用するシーケンシングプライマーのアニーリング部位。すべてのプラスミドは、カナマイシン耐性を含む(50μg/mL)。
【
図14】
図14は、3S-HMGB1を生成するためのFR-HMGB1配列の変異誘発を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
用語
本発明の理解を促進するために、別途本明細書に明示的に提供されている場合を除き、以下の用語のそれぞれは、以下に説明する意味を有する。
【0015】
本明細書では、「操作された」とは、天然に存在する化合物を変化させることに基づいて作製された非天然の化合物を意味する。操作された化合物、例えば、ポリペプチドは、改変又は再配列されている天然に存在する化合物の一部分を含んでもよい。そのような操作されたポリペプチドは、天然に存在するポリペプチドの「アナログ」又は「誘導体」とも称される。
【0016】
本明細書では、「幹細胞」は、造血幹細胞を含むがこれには限定されない、体内において多数の異なる細胞型に発達する可能性を有する、任意の特化されていない細胞を意味する。
【0017】
本明細書では、「有効量」という用語は、所望の結果を達成すること、例えば、状態又はそれと関連する症状、例えば、この明細書に記載の急性組織傷害を緩和できる化合物の量を意味する。本発明に従って投与される化合物の具体的な用量は、当然ながら、状態と関連する特定の作用、例えば、投与の経路、対象の生理学的状態、及び治療する状態の重症度によって決定される。例えば、対象に投与される操作されたHMGB1タンパク質は、好ましくは、治療有効量の操作されたHMGB1タンパク質を含む組成物の形態である。
【0018】
「薬学的に許容される」という語句は、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激作用、アレルギー応答、又は他の問題若しくは合併症を伴わない、妥当なリスク/ベネフィット比に相応の、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに好適な化合物、材料、組成物、又は剤形を指す。本明細書では、「薬学的に許容される担体」という語句は、薬学的に許容される材料、組成物、又はビヒクル、例えば、液体又は固体フィラー、希釈剤、賦形剤、又は溶媒封入材料を意味する。任意の具体的な薬学的に許容される担体の選択は、十分に当業者の知識の範囲内である。したがって、広範な好適な担体が利用可能であり、医薬組成物において日常的に使用されている。
【0019】
本明細書では、「1つの(a)」及び「1つの(an)」という用語は、列挙された成分の「1つ以上」を指すことを理解されたい。
【0020】
本明細書では、提供されるすべての数値範囲は、端点、及び文脈と一致して、範囲の端点間に含まれるすべての数字を明示的に含めることを意図する。
【0021】
発明の態様
本発明は、以下の式:
H2N-A-X-B-A-X-B-HOOC
(式中、Aは連続するアミノ酸であり、その配列は、(1)野生型HMGB1のアミノ酸90~93の配列と同一の配列を含み、(2)そのアミノ末端側に、配列が野生型HMGB1のアミノ酸90の前の対応する1~6個のアミノ酸の配列と同一である、1~6個の連続するアミノ酸を有し、場合によっては、(3)アミノ末端はメチオニンであり、
Xは連続するアミノ酸であり、その配列は、野生型HMGB1のアミノ酸94~162の配列と同一であり、
Bは連続するアミノ酸であり、その配列は、(1)野生型HMGB1のアミノ酸163~168の配列と同一の配列を含み、(2)そのカルボキシ末端側に、配列が野生型HMGB1のアミノ酸168の後の対応する1~6個のアミノ酸の配列と同一である、1~6個の連続するアミノ酸、例えば、1個、2個、3個、4個、5個、又は6個のアミノ酸を有し、
それぞれの-は、AとX、XとB、BとA、AとX、及びXとBのそれぞれの間のペプチド結合を表す)
で表されるポリペプチドを提供する。
【0022】
いくつかの態様において、メチオニンが、ポリペプチドのアミノ末端に存在する。
【0023】
他の態様において、Aは、そのアミノ末端側に、野生型HMGB1のアミノ酸89に対応する1つのアミノ酸を有する。
【0024】
いくつかの態様において、Bは、そのカルボキシ末端側に、配列が野生型HMGB1のアミノ酸169~174の配列に対応する6つのアミノ酸を有する。
【0025】
本発明はまた、提供される態様のうちのいずれか1つに記載のポリペプチドと、担体を含む、組成物も提供する。
【0026】
いくつかの態様において、ポリペプチドは、治療又は予防有効量で存在し、担体は、薬学的に許容される担体である。
【0027】
本発明はまた、修復をCXCR4+細胞に依存する組織又は細胞の再生を促進することによって緩和される状態を患う、又はそのような状態になる危険性を有する対象を治療する方法であって、対象に、組織又は細胞の再生を促進するのに有効な量の提供される態様のいずれか1つに記載のポリペプチド、すなわち、治療又は予防有効用量の本発明の医薬組成物を投与することを含む、方法も提供する。
【0028】
ある特定の態様において、状態は、心筋梗塞であり、組織は、心臓組織、特に、心筋である。
【0029】
現在好ましい態様において、ポリペプチドは、心筋梗塞から5時間以内、好ましくは、4時間以内、より好ましくは、3時間以内、さらにより好ましくは、2時間以内、及び最も好ましくは、1時間以内に投与される。
【0030】
いくつかの態様において、状態は、骨折であり、組織は、骨である。
【0031】
他の態様において、状態は、肝臓損傷に関係し、組織は、肝臓組織である。
【0032】
なおもさらなる態様において、状態は、脳又は神経系に対する損傷に関係し、卒中、パーキンソン病、及び認知症を含む。
【0033】
いくつかの態様において、状態は、肺に対する損傷に関係する。
【0034】
なおもさらなる態様において、状態は、消化管に関係し、外科手術及び炎症性腸疾患を含む。
【0035】
いくつかの態様において、状態は、皮膚に対する損傷に関係し、外科手技、熱傷、及び潰瘍を含む。
【0036】
追加の態様において、状態は、1型糖尿病を含む、膵臓に関係し、細胞は、膵島細胞である。
【0037】
さらなる態様において、状態は、好中球減少症、例えば、化学療法後の好中球減少症であり、組織は、骨髄である。
【0038】
いくつかの態様において、状態は、腎不全であり、組織は、腎臓組織である。
【0039】
さらなる非限定的な詳細は、本発明の理解を補助するために記載されているが、決して開示される本発明の範囲を制限することを意図するものでもそのように解釈されるものでもない、以下の実験の詳細の節に記載されている。
【実施例】
【0040】
結果
CXCL12結合に関与するHMGB1内のアミノ酸及びモチーフの特定
炎症促進性シグナル伝達を排除するために、FR-HMGB1のどの残基を変異できるかについて考察する前に、CXCL12との結合に関与するアミノ酸及びモチーフをマッピングすることが不可欠である。ペプチドSPOTアレイを使用し[40]、標的タンパク質(HMGB1)のうちの1つの配列をカバーする重複ペプチドを、CXCL12に結合するそれらの能力に関して免疫ブロッティングすることによって評価して、結合に関与する重要な配列を特定した。hisタグ化CXCL12に結合するヒトHMGB1ペプチドを用いた粗いペプチドアレイにより、ボックスAとボックスBとの間で、CXCL12に結合する同種配列の具体的なパターンが強調表示された。HMGB1配列に対するCXCL12結合ペプチドのクラスタリングによって、2つの主要な結合部位を特定した(
図2A及び
図2B)。第1のものは、グリチルリチン結合部位と重なる、HMGボックスの最初の1.5個のα-ヘリックスを包含していた[41]。第2のものは、第3のα-ヘリックスのC末端側の半分に位置していた。それぞれのHMGボックスにおいて、第1のCXCL12結合ペプチド(ヘリックスI及びII)は、このセグメントに由来するペプチドとCXCL12の結合の強度が、はるかに高かったため、CXCL12結合に最も関与しているように見えた。ボックスBのペプチドとCXCL12の結合は、免疫ブロットの強度に基づいて、ボックスAと比較してわずかに弱いように見えた。
【0041】
個々の残基の重要性をさらに説明するために、CXCL12結合ペプチド内のそれぞれのアミノ酸をアラニンに置換した第2のペプチドアレイを生成し、それらのCXCL12結合に対する作用を評価した。目的は、CXCL12相互作用に直接的に寄与するペプチド上のアミノ酸を指摘することであった。これにより、いくつかの残基のアラニンへの置換は、CXCL12との結合の強度を、その他の点では相同なペプチドから変化させたため(
図2C及び
図2D)、これらの残基は、CXCL12との結合に重要であることが確認された。CXCL12との相互作用は、HMGボックスのヘリックスセグメントが関与することのみが示された公開されているデータとは対照的に[42~44]、本発明者らは、それぞれのボックスの可動性N末端の隣接領域の一部(D
-4-P-X-X
-1)、並びにC末端の残基(ボックスAについてはIle78~Pro80及びボックスBについてはAla163~Asp168)が、CXCL12との相互作用に関与することを見いだした(
図2E)。これは、CXCL12ペプチドの逆ペプチドアレイ(
図9)で確認された。全長FR及び3S-HMGB1は、CXCL12のβシート全体をカバーする配列を含むペプチドに結合し、一方、隣接する可動性領域を含まないHMGB1ボックスコンストラクト単独(8~78ボックスA)又は(94~162ボックスB)[45]が、βシートのN末端鎖をカバーするペプチドとのみ相互作用した。
【0042】
本発明者らは、HMGボックスに隣接するこれらの可動性領域がCXCL12結合に関与するなら、それらの不在は、HMGB1とCXCL12の相互作用を顕著に変化させるという仮説を立てた。バイオレイヤーインターフェロメトリー(BLI)を使用して、本発明者らは、HMGボックスのそれぞれを、可動性隣接残基有り(完全なHMGボックスコンストラクト、ボックスAについてはHMGB1 1~88、ボックスBについてはHMGB1 89~174)[46]、又は無し(ヘリックスのみのHMGボックスコンストラクト、HMGB1 9~78、HMGB1 94~162)で含む、HMGB1コンストラクト、全長FR-HMGB1、及び非酸化性(3S)-HMGB1とCXCL12の結合を評価したが、これらは、野生型タンパク質のCXCL12結合特性が共通している[17]。予測のとおり、HMGB1とCXCL12の結合は、これらの可動性領域の存在によって大きな影響を受けた(
図2E及び
図2F)。隣接領域なしのヘリックスのみのコンストラクトの解離速度(k
off)の増加によって明らかなように、ヘリックスのみのコンストラクトは、インタクトな隣接領域を有する完全HMGボックスコンストラクトと比較して、CXCL12親和性及び結合能力が減少した。対照的に、全長HMGB1(FR又は3S)及び完全HMGボックスコンストラクトに対するCXCL12の親和性は、互いに同程度であり、ヘリックスのみのコンストラクトよりも高かった。
【0043】
本発明者らのペプチドアレイは、CXCL12結合に関与する残基が、1つはαヘリックスI及びIIのN末端側の半分とにまたがり、2つ目はαヘリックスIIIのC末端にわたる、2つのペプチドにクラスター化されていたことを示した。両者のペプチドが、それぞれのHMGボックスのN末端及びC末端に可動性隣接領域を含んでいた。これらのパターンは、HMG A及びBボックス全体に反映されていた(
図2B、
図2D、
図2E)。BLI動態データにより、単一のHMGボックスドメインにおける隣接領域の不在が、動員されるCXCL12の脱安定化をもたらし、ヘリックスのみのコンストラクトには結合したままとならなかったことが確認された(
図2F)。
【0044】
CXCL12は、ペプチドアレイ及びNMRによって示されるように、それぞれのHMGボックスの下側の凹部ポケットに結合する
次に、NMRを使用して、構造上の観点から、CXCL12結合に関与するHMGB1内のアミノ酸残基を確認した。CXCL12結合に関与する残基は、複合体の形成時にNMRシグナルの変化をもたらす。本発明者らは、隣接領域あり及びなしのHMGボックスを表すFR-HMGB1 94~162及び89~174、並びに3S HMGB1 1~184を使用した。750MHzにおいて3Dスペクトルの完全なセット(15N HSQC-TOCSY/NOESY及び関連する15N HSQCスペクトル)を取得するのに必要とされる時間は、FR-HMGB1の酸化をもたらし、ピーク共鳴及びCXCL12との相互作用を変化させることになるため、非酸化性3S-HMGB1を、本発明者らの全長コンストラクトとして使用した。
【0045】
HMGB1ボックスB 94~162のCXCL12滴定(
図3A)は、ペプチドアレイにおいて特定されたC末端及びN末端の結合領域において、複数の残基の、累積化学シフト摂動(CSP)又はピーク高さの変化(I/I
0)のいずれかのNMRシグナルの変化をもたらした。しかしながら、本発明者らのペプチドアレイにおいて特定され、文献にも記録[43, 44]されているいくつかの残基(A100、I112、L119、A136、Y154、D157、I158)は、CSPの変化も体積の変化も示さなかった。隣接領域を含むボックスBのコンストラクトについては、中央値CSP及び平均体積変化の両者が、有意に高かった。これらの隣接領域におけるいくつかの残基(D90、G165、K166)は、本発明者らのペプチドアレイデータに従って、CXCL12結合に関与することが見いだされていた。ヘリックスのみ(94~162)のコンストラクトにおけるCXCL12結合による影響を受けない残基、例えば、Y154、D157、及びI158、並びにペプチドアレイにおいてCXCL12結合に関与しているとして特定されたものは、完全HMGボックスコンストラクトにおいて有意なCSPを示し、隣接領域が存在する場合に、改善された結合を示した。加えて、本発明者らは、隣接領域を有するコンストラクトにおいて、ペプチドアレイでは特定されていなかった残基についてCSP変化を観察した(A147、M131、A169、K172、G173)。これまでに特定されていなかったが、ペプチドアレイにおいて可能性として重要であるとしてフラグ付けされた他の残基は、CXCL12の添加時にCSP変化又は体積変化を示さなかった(C105、E107、Y108)。これらの群の残基は、したがって、CXCL12にとって重要ではないとして再分類した。
【0046】
NMR実験を、3S-HMGB1 1~184を用いて繰り返すと、CXCL12添加により、シグナル対ノイズ比に起因して検出の閾値を下回るCSPの変化が生じた。驚くべきことに、公開されているデータ[47]とは対照的に、3S-HMGB1 1~184のボックスB内の残基A100、I112、L119、及びA136は、有意なCSP変化も体積変化ももたらすことができなかったが、これらのうちのいくつかに非常に近い残基(S99、K113)は、影響を受けた。このコンストラクト内で、HMGボックスBに対応する残基は、ボックスAにおけるものと比較して、CXCL12との相互作用に関与する残基について、弱いCSP変化を示した。これは、ボックスBの高い結合及び解離速度によって示唆されるように、CXCL12結合のさらなる流体平衡を表す可能性がある(
図2G)。これにより、本発明者らはまた、残基、H30、D32、又はS34を、ペプチドアレイからの偽陽性として示すことが可能となった(
図11)。ボックスB 89~174におけるK89は高いCSPを示したが、これは、N末端から3番目の残基(TEV切断後の残りのN末端残基、Ser-Met)である。3S HMGB1 1~184を用いた実験では、可動性リンカーの中央部にある場合、CSPは増加しなかった。したがって、ボックスB単独においてこの残基と関連する変化は、高い立体構造的可動性を許容する可能性のあるN末端の位置に関連する可能性が高い。
【0047】
CXCL12結合を保持し、同時に炎症促進性シグナル伝達を排除する、二重ボックスB HMGB1コンストラクトの設計
本発明者らは、ペプチドアレイ、アラニン置換、及びNMRから得られたデータを組み合わせ、それらをHMGB1のNMR構造にマッピングして(
図3A、PDB 2YRQ)、CXCL12との結合に関与する残基を特定した。本発明者らは、CXCL12結合残基が、HMGボックスドメインの凹部側を占有し、それぞれのHMGボックスの下側に、CXCL12結合ポケットを形成することを見いだした。これらの2つのポケット(それぞれのHMGボックスに1つ)には、それぞれのボックスのヘリックスIとIIとの間の、HMGB1-CXCL12結合の競合的阻害剤であるグリチルリチンの結合部位も含まれる[41]。HMGボックスA及びBは、それぞれ、同等な親和性で1つのCXCL12モノマーに結合できる。本発明者らは、それぞれのHMGボックス内のCXCL12と相互作用するペプチドの分布が、両者のHMGボックスの間で類似であり、ほぼ同一な結合ポケットを形成することも認識している(
図4A)。
【0048】
CXCL12との結合の配列を特定した後、本発明者らは、次に、これらの相互作用表面を有するが、炎症促進性シグナル伝達を減少するように配列を改変した、HMGB1コンストラクトを設計した。それぞれのHMGボックスがCXCL12モノマーに独立して結合できるという事実、並びにTLR4[48]並びに可能性としては血栓形成促進性RAGE[14, 22]及びTLR2[22, 33]シグナル伝達活性に、ボックスA(酸化型)及びボックスBの両者が必要であることに基づいて、本発明者らは、ボックスAを別のボックスBに置換した(すなわち、1~88を89~174に置き換えた)HMGB1コンストラクトが、TLR2、TLR4、又はRAGEを介してシグナル伝達しないという仮説を立てた。加えて、本発明者らは、ボックスBにおけるRAGE結合配列の一部(175~184)を欠失させて、この受容体に対する親和性をさらに減少させた。ボックスA配列をボックスBと置きかえることは、LPSグリカン結合ペプチドを、LPS脂質A結合ペプチドのコピーと置きかえることでもあり[13]、これは、LBPと類似の様式で、HMGB1の炎症促進性活性[49]及びLPSのTLR4/MD-2への伝達をさらに妨害する可能性がある。この操作されたコンストラクトdBB12L(
図4B)は、天然のHMGB1タンパク質の以下のセグメントから構成されていた:可動性N末端側領域(HMGB1 89~93に由来)、第1のボックスB(HMGB1 94~162に由来)、天然のボックスBのC末端側の12個の残基のリンカー(HMGB1 163~174に由来)、及び第2のボックスB(HMGB1 94~162に由来)。このdBB12Lにおける12個の残基の長さのリンカーは、天然のHMGB1のリンカーにおける10個のアミノ酸に類似である。リンカーの長さのこのわずかな増加は、本発明者らがCXCL12結合においてCSPの変化を示した残基172及び173を保存したことに起因する。
【0049】
本発明者らは、動的走査蛍光測定法(Dynamic Scanning Fluorimetry、DSF)及び溶媒接触可能表面積(SASA)を使用して、ネイティブ質量分析法(ネイティブESI/MS)及びサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって、dBB12L及び野生型HMGB1の熱安定性を比較した。dBB12Lは、同様に2つのHMGボックスドメインを含み、C末端側酸性テールを含まない、FR-HMGB1 1~164と類似の安定性及び表面荷電プロファイルを有していた。熱安定性の傾向は、すべてのコンストラクトで同様であり(
図5A)、等電点(dBB12L又は1-164のテールなしコンストラクトについては9.9、及びFL-HMGB1については6)付近のpHではTm
50が低くなり、臨床診療に関連する条件(PBS、精製緩衝液、及び生理食塩水溶液)において、すべてが同等に安定しており、Tm
50は約50℃であった。しかしながら、本発明者らは、FR-HMGB1/FR-HMGB1 1~164について、dBB12Lと比較して、異なる最適なイオン強度範囲を観察した。ネイティブESI/MSにおいて、3つすべてのHMGB1コンストラクトは、同様の荷電状態分布を有し、主要な種としてのコンパクト型モノマー、及びより高いSASAの拡張型モノマーを有していた(
図5B及び
図5C)。拡張型モノマーは、テールなしコンストラクト又はより高いイオン強度で、より多く存在した。ネイティブESI/MSにおいて観察された平均モノマーSASA値は、SEC又は公開されているNMR構造(PDB 2YRQ、HMGB1 1~164)に由来するものと整合性があった。コンパクト型FL-HMGB1モノマーSASAは、水中のFL-HMGB1の計算モデルと一致した[44]。最大180日間の保管は、SECプロファイル(等しいRVにおいて常に単分散性)、分解、又は凝集(
図5D)に影響を及ぼさなかった。これは、ESI/MSにおいて観察された立体構造が、HMGB1コンストラクトを表すか又はその天然のフォールディングであること、並びにdBB12Lが、2つのHMGボックスを単独で有するHMGB1コンストラクトと有意差がないことを示唆する。
【0050】
dBB12Lコンストラクトは、RAGEに対する親和性が大幅に低減し、TLR2又はTLR4を介してシグナル伝達できない
本発明者らは、次いで、dBB12Lが、TLR2、TLR4シグナル伝達、及びRAGE結合を減少させ、同時にHMGB1に媒介される再生を保存するかどうかを評価した。RAGEのための確立されたシグナル伝達アッセイが欠如していることに起因して、本発明者らは、リアルタイム動態(BLI)及びエンドポイントアッセイ(ELISA)を使用して、HMGB1へのRAGEの結合を評価した。ELISAに基づく親和性の測定(
図6A)は、平衡時の3S-、FR-、及びDS-HMGB1が、同様の量のRAGEに結合し、DS-HMGB1及び3S-HMGB1が、FR-HMGB1よりも有意に高い見かけの親和性を有することを示した。対照的に、dBB12Lは、このアッセイではRAGEに結合しなかった。インタクトなRAGE結合ペプチド及び酸化型ボックスAを有するが、酸性テールを有さず、したがって、RAGE結合のすべての必要条件を有する、DS-HMGB1 1~184、RAGE結合ペプチドの相当な部分が欠如しているが、酸化型ボックスAを保持する、DS-HMGB1 1~164、及びDS-ボックスA単独を含む、3つの追加のHMGB1コンストラクトを試験した。本発明者らは、DS-HMGB1 1~184が、RAGEに結合したが、全長DS-HMGB1と比較して能力及び親和性の低減を有したことを見いだした。比較によると、DS-HMGB1 1~164は、全長DS-HMGB1と比較してRAGE結合能力が大幅に減少したが、依然としてdBB12Lよりは高く、一方でDSボックスA 1~88(隣接領域を有する完全HMGボックスコンストラクト)は、RAGEに結合できなかった。
【0051】
BLIを使用した動態分析により、ELISAの結果を確認したが(
図6B)、2つの例外があった。BLI(
図6C)において、DS-HMGB1 1~184は、DS-HMGB1よりも低い親和性を有していたELISAと比較して、わずかに速い解離速度も有したが、すべての他のコンストラクトよりもはるかに高いRAGE結合親和性を有した。3S-HMGB1は、DS-又はFR-HMGB1と同等の量のRAGEに結合し、親和性はFR-HMGB1に類似であったが、全体的な動態速度ははるかに遅く、一方でELISAでは、DS-HMGB1と同等のRAGEに対する親和性及び結合能力を有した。BLIにおけるRAGEへのすべての他のHMGB1コンストラクトの結合は、ELISAにより得られた結果を再現した。両者のアッセイにおける、FRと比較して高い、RAGEに対するDS-HMGB1の親和性は、より高速な結合速度(k
on)に起因していたが、一方で解離速度(k
off)は、これらの2つの酸化還元形態でほぼ同一であった。対照的に、DS-HMGB1に近い結合速度を有したdBB12Lは、非常に不安定な結合を示し、非常に高い解離速度を呈した。DS-HMGB1 1~164はまた、全長DS-HMGB1よりも全体的に低い結合親和性であるがdBB12L-HMGB1よりも高い親和性で、より高速なRAGE結合平衡を有し、dBB12LにおけるボックスB内の最後の10個の残基(175~184)及びボックスA内のジスルフィド架橋(それをボックスBと置換することによる)の欠失により、RAGEの不安定な結合が生じた。
【0052】
HMGB1は、TLR2、TLR4、及びRAGEに結合し、すべての受容体からのシグナル伝達は、NF-κβ経路に収束する[25]。結果として、下流の炎症促進性サイトカイン産生を所与の受容体に帰属させることは困難である。したがって、本発明者らは、まず、TLR2又はTLR4の発現、及びそれらの共受容体の発現をさせるように操作されたNF-κβレポーター細胞系を使用して、TLR特異的シグナル伝達を評価した。ジスルフィドHMGB1は、TLR2(
図6D)及びTLR4(
図6E)を介してNF-kBシグナル伝達を促進した。対照的に、dBB12Lは、いずれの細胞型においてもシグナル伝達できなかった。次に、本発明者らは、初代ヒト単球に対する様々なHMGB1コンストラクトの作用を確認した。DS-HMGB1は、TLR2リガンド、例えば、LTAと相乗作用して炎症促進性シグナル伝達を促進することが報告されている[34]。本発明者らは、DS-HMGB1が、LTAと相乗作用して、LTA又はDS-HMGB1単独よりも高いTNF産生を促進したことを確認した。対照的に、dBB12L又はFR-HMGB1は、この相乗作用を示さず、単独で、培地単独よりも高いTNF分泌を誘起できなかった(
図6F)。DS-HMGB1及びTLR4リガンドLPSを用いた相乗応答については、説明されていない。LPSと組み合わせた場合、DS-HMGB1は、LPS単独と同程度に、初代ヒト単球によるTNF発現を促進した。対照的に、FR-HMGB1又はdBB12Lは、単独で、TNF産生を促進しなかった。しかしながら、LPSと組み合わせた場合、FR-HMGB1又はdBB12Lは、LPS単独と比較して、TNF発現を低減させた。
【0053】
まとめると、これらのデータは、dBB12Lが、同種リガンドの存在下においてさえも、TLR2又はTLR4を介してシグナル伝達せず、RAGEに対した大幅に減少した親和性を有することを示す。
【0054】
dBB12Lコンストラクトは、FR-HMGB1のものに匹敵する再生促進活性を有する
遠位傷害は、幹細胞をG
Alertに移行させることが、これまでに示されている[12]。したがって、本発明者らは、まず、対側肢への傷害に対するFR-HMGB1の骨格筋幹細胞のトランスクリプトーム応答を比較した。FR-HMGB1又は遠位傷害によって上方及び下方調節される遺伝子は、非常に類似しており(
図7A)、上方調節される主要な経路は、ミトコンドリア代謝、酸化的リン酸化、及び細胞周期(
図7B)を含む、G
Alertと関連するものであった[7, 12]。興味深いことに、CXCR4は、最も高度に調節された遺伝子のうちの1つであった。
【0055】
次に、本発明者らは、骨格筋傷害の検証済みのマウスモデルを使用して、FR-HMGB1の最適なin vivo治療用量を判定した[7, 12]。本発明者らは、0.75mg/kg(29nmol/kg)が、最大の応答をもたらし、より高い用量で再生活性にさらなる改善がなかったことを見いだした(
図7C)。本発明者らはまた、傷害後のin vivo投与の最適な時間も評価した。FR-HMGB1は、最大で傷害5時間後までに注入された場合、修復を促進するのに有効であることが見いだされた(
図7D)。その後は、改善はなかった。本発明者らは、次いで、静脈内投与後の循環中のFR-HMGB1の半減期について調べた。本発明者らは、初期の急速なクリアランス(t
1/2約11分)、続いて後続のより緩徐なクリアランス速度(t
1/2約120分)があったことを見いだした(
図7E)。これは、ヒトにおける25分の半減期と一致し[50]、このタンパク質は、ハプトグロビンに結合することによってクリアランスされる[51, 52]。
【0056】
本発明者らは、FR-HMGB1が、傷害後に、幹細胞及び前駆細胞のG
Alertへの移行を促進することによって、骨格筋、骨、及び血液の再生を加速させることを、これまでに示している[7]。哺乳動物の心臓には有意な幹細胞は存在せず、傷害後の新しい心筋細胞の大半は、既存の心筋細胞に由来する[53]。したがって、本発明者らは、FR-HMGB1の投与が、心臓再生を促進するかどうかを評価した。本発明者らは、心筋梗塞時における静脈内注入が、生存率の増強をもたらしたことを見いだした(PBS対照における52%と比較して、FR-HMGB1で治療したマウスでは83%)(
図7F)。FR-HMGB1は、5週間にわたって連続的MRIスキャンによって評価される梗塞サイズにおよそ60%の低減をもたらし(
図7H)、全体的な左室駆出分画に16%の改善をもたらした(
図7G)。
【0057】
最後に、本発明者らは、in vivoでの骨格筋再生の促進におけるdBB12Lの有効性を、FR-HMGB1と比較して評価した。最適用量(29nM/kg)のFR-HMGB1又はdBB12Lを注入したマウスは、中心核を有する再生している筋線維の平均断面積の増加によって判定した場合に、傷害後に同等に再生の加速を示した(
図7J)[7, 12]。これは、FR-HMGB1について以前に説明されたように、14日目に最も顕著であった[7]。
【0058】
考察
HMGB1は、組織修復治療薬として使用するためには、改変する必要がある
固体器官の修復を促進するための外因性幹細胞の投与に基づく治療法は、当初の見込みを果たすことができておらず[6, 54]、殺滅細胞は、免疫応答をトリガーすることで同じように効果を発揮する[55]。代替的で、可能性としてより有意義なアプローチは、常在する幹細胞及び前駆細胞を含む内因性再生修復過程を標的とすることである[56, 57]。プロスタグランジンデヒドロゲナーゼの阻害は、有望なアプローチであるが[58]、臨床移行までの進行には時間がかかっている[59]。成長因子の投与もまた、説明されているが[60, 61]、in vivoでのタンパク質分解によって制限される[62]。現時点では、複数の組織の再生を促進し、修復を加速させるための承認された治療薬は存在しない。
【0059】
本発明者らは、これまでに、FR-HMGB1の外因性投与が、常在する幹細胞及び前駆細胞を、組織傷害時に修復を実行するために放出される適切な活性化因子に容易に応答できるGAlertに移行させることによって、骨、骨格筋、及び血液の再生を加速させるのに有効であることを示している[7]。外傷後に患者において検出される全身性DS-HMGB1の大半は、第2の放出事象において分泌されるが[50]、in vivoで傷害の部位において局所的なFR-HMGB1からDS-HMGB1への変換を裏付ける証拠が集まっている[18, 19]。したがって、有害な炎症促進性シグナル伝達の可能性により、天然のFR-HMGB1を治療薬として使用することは排除される。
【0060】
ジスルフィドHMGB1は、TLR4[24, 30]、TLR2[24, 34, 35]、又はRAGE[14, 63]を通じてシグナル伝達して、炎症促進性サイトカインの発現を誘導し得る。DS-HMGB1によるTLR4シグナル伝達は、TNF[28]を含むいくつかの炎症促進性サイトカインの産生をもたらすが、TLR2シグナル伝達は、血栓症及び再灌流傷害[64]、並びに自己免疫障害[33]を含む、複数の過程において有害であることが示されている。RAGEを介したDS-HMGB1シグナル伝達は、血小板活性化及び血栓の形成を促進する好中球によるNET形成において重要な役割を果たす[23, 64~66]。3つすべての受容体は、最終的に、NF-κβに収束し[25, 67]、3つすべての受容体を介して炎症促進性サイトカインの相乗的発現をもたらす[68, 69]。したがって、治療薬としてのHMGB1の開発は、3つすべての受容体を介したシグナル伝達を排除するように分子を操作することに大きく依存する。
【0061】
ボックスA及びボックスBは、共通のペプチドパターンに起因して、独立してCXCL12に結合する
FR-HMGB1の再生活性は、CXCL12とのヘテロ複合体の形成及びCXCR4を介したシグナル伝達に大きく依存する。CXCL12は、HMGボックスに結合することが公知であるが[42, 70]、関与する構造モチーフは不明なままであり、提案されている残基がほとんどない[47, 71]。このシグナル伝達が、造血幹細胞の休止を強制することを含め、CXCR4軸を介したCXCL12のホモ二量体に関与するか、又は走化性を促進するCXCL12モノマーに関与するかについても、不明である[72~74]。
【0062】
ペプチドアレイにより、本発明者らがHMGB1-CXCL12相互作用に関与する残基[75]を特定することが可能となった。本発明者らは、ボックスA及びボックスBに存在するCXCL12に対する2つのペプチド結合領域の一般的なパターンを特定した。それぞれのHMGボックスにおいて、第1のペプチド領域は、N末端の可動性セグメントからヘリックスIIの半分に延在し、グリチルリチン結合部位とオーバーラップし[41]、第2のものはヘリックスIIIのC末端側部分にある。本発明者らは、アラニン変異を使用してこれらの残基の重要性を確認し、BLIによって隣接可動性領域の重要性も確認し、それらの除去がCXCL12の解離速度の劇的な増加をもたらすことを確認した。また、BLIにより、それぞれのボックスが、ボックス間の協同性を伴わずに、類似の親和性で、独立して、CXCL12モノマーに結合し得ることも確認した。さらに、HEPES緩衝液の使用により、CXCL12二量体化を防止したことで[76]、本発明者らは、それぞれのボックスが、モノマーのCXCL12に結合でき、CXCL12の二量体化は、複合体の形成の必要条件ではないと結論付けることができた。このモデルは、CXCR4を介したHMGB1-CXCL12ヘテロ複合体の提案されていたシグナル伝達機序と一致する[72]。
【0063】
本発明者らは、次いで、NMRを使用して、可動性隣接領域を含め、その不在が、完全又はヘリックスのみのHMGボックスBコンストラクトのいずれかに結合したときにCXCL12により誘導される変化の減少をもたらした、ペプチドアレイによって特定されたペプチド領域の重要な役割を確認した。これは、ヘリックスのみのHMGボックスBコンストラクトについてBLIにおいて観察された、隣接領域を含むものと比較して速い解離速度と一致する。本発明者らはまた、BLIにおいて全長ボックスBについてボックスAと比較してより高速な交換結合平衡が観察されること、及びさらにはペプチドアレイにおけるボックスBのCXCL12結合配列についてより弱いシグナルを裏付ける、ボックスAと比較して弱いシグナル(ピーク広がり)をボックスBについて観察した。一部の残基は、ペプチドアレイにおいてフラグ付けされていなかったにもかかわらず、NMRにおいてシフト変化を呈した。これらは、配列とは独立した結合への寄与、例えば、主鎖相互作用又はCXCL12に結合し、付近の位置に影響を及ぼす他の残基の中継作用を表し得る。
【0064】
本発明者が、NMR及びペプチドアレイで判定したCXCL12結合に関与する残基を、HMGB1 1~164(PDB 2YRQ)の構造に重ね合わせると、それぞれのボックスドメイン内にポケットが特定されたが、残基の側鎖がすべてそのポケットの中心に整列していた。アラニンスキャン及びNMRで特定された残基は、グリチルリチン結合部位も含むボックスBに凹部表面を形成する(
図3B、破線の円形)。対照的に、NMRにおける変化のみを示す残基のうちのいくつかは、側鎖がこのポケットから外側に向いており、配列とは独立したCXCL12への結合(主鎖に媒介される)、又は、それらがCXCL12結合時のHMGボックスの他の部分における間接的な化学環境の変化によって影響を受けることが示唆される。
【0065】
このCXCL12結合の詳細な理解により、本発明者らは、TLR4、TLR2、及びRAGEを介した炎症促進性シグナル伝達を排除するようにコンストラクトを設計することができた。このコンストラクトは、野生型HMGB1のものに類似の長さのリンカーによって分離されたタンデムの2つのHMGボックスBドメインからなり(dBB12L)、これは、ボックスAがボックスBで置きかえられているため、酸化されないが、2つのHMGボックスが存在するため依然としてCXCL12に結合するはずである。dBB12Lは、1~164 FR-HMGB1又は全長FR-HMGB1程度に安定であり、臨床的に関連する緩衝液条件(PBS、生理食塩水溶液)中で同等に熱安定性であり、長期間の保管時に凝集も分解も伴わなかった。dBB12Lの表面積及び荷電プロファイルもまた、HMGB1 1~164のものと同様であり、SECにおける単分散性プロファイル及びネイティブESI/MSにおける分布電荷を有した。この類似性は、dBB12Lと、2つのHMGボックス及びリンカー領域(FR-HMGB1 1~164)を有するが酸性テールを有さない野生型HMGB1コンストラクトとの間の溶液中での類似の立体構造を反映している。
【0066】
操作されたdBB12Lコンストラクトは、TLR2若しくはTLR4を介してシグナル伝達せず、RAGEに結合することもないが、完全な再生促進特性を保持する
TLR4/MD-2へのHMGB1の結合は、十分に説明されている[29]。酸化型ボックスAは、TLR4と相互作用することによってDS-HMGB1の結合を開始し、ボックスBは、MD-2に結合することによってこの相互作用を安定化し、ボックスB内のFCSEモチーフは、シグナル伝達に必須であることが示されている[30]。DS-HMGB1は、TLR4/MD-2を介してそれ自体でシグナル伝達できるが、それはまた、LPSに結合し、TLR4/MD-2への伝達及び認識を促進するLPS結合タンパク質(LBP)と置換することによって、LPSを介したシグナル伝達を促進することもできる[13]。本発明者らのdBB12LコンストラクトにおけるボックスAの欠失は、TLR4を介したシグナル伝達を効果的に排除する。興味深いことに、本発明者らは、FR-HMGB1及びdBB12Lが、LPSに応答して、単球によるTNF発現を減少させることを観察した。これは、これらのタンパク質がLPSに結合することに起因する可能性があるが、培養培地の血清中に存在する[77]LPS結合タンパク質(LBP)と効果的に置換できる[13]DS-HMGB1とは異なり、酸化型ボックスAの欠如に起因して、それをTLR4/MD2に伝達できないためであるかもしれない。
【0067】
HMGB1とTLR2との間の相互作用は、あまり詳細に説明されておらず、HMGB1がそれ自体でTLR2シグナル伝達を誘導できるか[24, 36]、又は活性を誘導するために共リガンドを必要とするかに関して、及びこの応答がタンパク質の酸化還元状態に依存するかどうかについても[34, 35]、いくらかの論議が存在する。HMGB1単独ではTLR2応答を誘導できなかった公開されているデータは、血清の不在下[35]、又は低いHMGB1濃度[34]のいずれかで行われたものであり、HMGB1単独は、TLR2を通じたシグナル伝達能力をいくらか保持するが、より高いレベルの応答を誘導するためには共リガンドが必要であることが示唆される。結合が、少なくとも1つのHMGボックスに関与するはずであること[33]、及び、酸性テールがTLR2との結合を負に調節すること[35]が、公知である。本発明者らは、DS-HMGB1が、単独で、TLR2を介してシグナル伝達でき、その作用が血清含有培地中のLTAの存在によって増強されたことを見いだした。しかしながら、LTAと相乗作用しないFR-HMGB1に対してもdBB12Lに対しても、応答は存在しなかった。これは、TLR4と同様に、TLR2に媒介される応答にはジスルフィド架橋を有する酸化型ボックスAが必要であること、及びTLR2共リガンドが、可能性としては酸性テールを転置させてTLR2相互作用を促進することによって、DS-HMGB1と相乗作用することを示唆する。
【0068】
HMGB1内のRAGE結合部位(残基150~183)は、これまでに説明されている[14]。同様のモチーフは、他のRAGEリガンド、例えば、S100タンパク質にも存在し、これらの配列に相同なペプチドは、HMGB1に媒介されるRAGEシグナル伝達の有効なアンタゴニストである[37, 78]。HMGB1の酸性テールは、RAGE結合ペプチドと残基が共通しており[15]、TLR2結合におけるその役割と類似して、RAGE相互作用の調節因子として提案されている。しかしながら、HMGB1のジスルフィド形態のみが、RAGEを介した血栓形成促進活性に特異的に関連付けられている[22]。本発明者らは、dBB12Lを含め、RAGE結合ペプチドが欠如しているコンストラクトが、ELISAアッセイにおいて、RAGEに結合できないことを見いだした。DS-HMGB1とは対照的に、また興味深いことには、3S-HMGB1も、FR-HMGB1よりも良好にRAGEに結合できた。本発明者らが、BLIを使用して相互作用の動態を分析したとき、本発明者らのELISAデータと一致して、dBB12Lが、RAGEに対して、FR-HMGB1及びDS-HMGB1と比較して、低い親和性を有することを見いだした。dBB12Lは、可能性としてはこのコンストラクトにおける2つの部分的なRAGE結合ドメインの存在に起因して、FR-HMGB1よりも3倍高い会合速度を有したが、解離速度は、5倍高く、これは全体として不安定で弱い結合を示した。ELISAに付随する広範な洗浄は、それぞれのアッセイにおいて異なるHMGB1コンストラクトの挙動をもたらす解離速度の作用を強調し、平衡時の結合状態を表す。例えば、BLIにおいてFR-HMGB1に類似するRAGEに対する親和性を有する3S-HMGB1は、その解離速度がFR-HMGB1又はDS-HMGB1のものよりもはるかに低く、結果としてRAGEが結合したままとなることに起因して、ELISAにおいてははるかに高い見かけの親和性を示す。このRAGE結合の増加は、部分的に、心筋梗塞のマウスモデルにおいて見られる対照と比較した線維症の増加を説明し得るが、一方で、FR-HMGB1は、再生を促進させ、機能を向上させた[32]。SPRを使用して、3S-HMGB1が、非常に高い親和性でRAGEに結合する可能性が高いことも示されているが、FR-HMGB1との比較は行われていなかった[64]。本発明者らは、BLIを使用したDS-HMGB1のRAGEに対する親和性(Kd=0.2~1.3μM)が、SPRを使用してこれまでに報告されていたものに類似であったことを見いだした(0.1[79]~0.65μM[22])。本発明者らのBLIデータはまた、酸性テールの消失が、HMGB1のRAGEに対する親和性を増加させるが高い解離速度に起因して安定性の低い結合をもたらし、一方でRAGE結合ペプチドの短縮又はボックスAの還元は、解離速度を大幅に増加させ、不安定な結合をもたらすことを示す。興味深いことに、酸化型ボックスA単独では、RAGEに結合することが不可能であり、相互作用が、RAGE結合ペプチドによって開始される可能性が高いことが示唆される。dBB12LにおけるRAGE結合ペプチドの短縮とともに、ボックスAの不在は、RAGE親和性の大幅な低減、及びFR-又はDS-HMGB1のいずれかと比較してもより高速な解離速度に起因して、一旦結合したRAGEを保持する能力の低減をもたらす。
【0069】
本発明者らは、骨格筋幹細胞においてFR-HMGB1によって誘導されるトランスクリプトームの変化が、遠位傷害によって誘導されるものに非常に類似しており、ミトコンドリア代謝、酸化的リン酸化、及び細胞周期GAlertの経路の上方調節と一致する[80, 81]ことを見いだした。HMBG1によるCXCR4発現の上方調節は、その作用を増強させる可能性がある。FR-HMGB1が傷害から5時間以内に投与された場合にのみ有効であることを示す本発明者らのデータは、それが幹細胞をGAlertに移行させることによって作用することと一致する。これよりも後の時点では、幹細胞は、活性化されており、したがって、GAlertに入ることができない。筋肉幹細胞は、傷害の5~6時間後にその部位に遊走し、およそ12時間で活性に分化を開始することが示されている[82]。本発明者らは、dBB12Lが、FR-HMGB1と同等にin vivoで再生活性を保持することを確認した。重要なことに、本発明者らは、心筋梗塞の際に静脈内投与されたFR-HMGB1が、生存率の改善、梗塞サイズの低減、左室駆出分画の改善をもたらしたことを見いだした。これらのデータに基づいて、本発明者らは、dBB12Lの投与が、修復を幹細胞に依存する組織、例えば、骨、骨格筋、及び血液、並びに再生が主として成熟細胞集団、例えば、心臓における心筋細胞に依存している組織の再生も促進すると予測する。本発明者らはまた、dBB12Lが、傷害後5時間以内に投与された場合に、有効である可能性が高いと予測する。これは、米国においてMI後に病院に収容されるまでの中央値時間が3時間であるため、重要である[83]。米国においておよそ800,000人が、毎年心筋梗塞を患っており[83]、およそ20~30%が、心不全を発症する。2012年の米国における心不全の医療費が300億ドルを上回り、2030年までに700億ドルに増加する見込みであるにもかかわらず、5年生存率は約60%にすぎず、これは、ほとんどのがんよりも悪い[83]。本発明者らのデータに基づいて、本発明者らは、事象から5時間以内のdBB12Lの投与が、心筋梗塞、特に、ST上昇型心筋梗塞を経験する患者の生存率を高め、梗塞サイズの低減及び駆出分画の保存を通じて、心不全の発生率及び重症度を低減すると予測する。マウス[32, 84, 85]及びヒツジ[86]モデルにおいて、梗塞の4時間後に梗塞周囲の領域において心筋にFR-HMGB1を直接注入することが、心臓修復を促進するのに有効であることを示しているものがある。静脈内投与の有効性を示している本発明者らのデータは、この経路が、臨床用途に容易に適用可能であるため、重要である。
【0070】
結論として、CXCL12結合に重要なHMGB1の部位をマッピングし、TLR2又はTLR4を介してシグナル伝達せず、RAGEに効果的に結合できないコンストラクト(dBB12L)を設計した。FR-HMGB1は、短い半減期にかかわらず、遠位傷害に類似の様式で、幹細胞をGAlertに移行させ、傷害後5時間以内に投与した場合に有効である。さらに、dBB12Lは、FR-HMGB1と同程度に有効にin vivoで組織再生を促進する。したがって、dBB12Lは、臨床への移行のために開発できる。
【0071】
概要
還元型高移動度群ボックス1(HMGB1)タンパク質は、CXCリガンド12(CXCL12)に結合し、CXC受容体4(CXCR4)を通じて、組織及び再生を促進するようにシグナル伝達し、幹細胞及び前駆細胞をGAlertに移行させることによって、修復を加速させる。しかしながら、FR-HMGB1のジスルフィド形態(DS-HMGB1)への局所的な変換は、Toll様受容体2(TLR2)及び4(TLR4)並びに終末糖化産物受容体(RAGE)を介したシグナル伝達を通じて有害な炎症をもたらし得る。したがって、臨床診療において組織再生を促進するためにHMGB1を投与することを考慮する前に、これらの有害となる可能性のある炎症促進性作用を排除するように分子を操作することが重要である。
【0072】
本発明者らは、ペプチドアレイ、バイオレイヤーインターフェロメトリー、及び核磁気共鳴の組合せを使用して、HMGB1-CXCL12ヘテロ複合体の形成に関与する残基を特定した。これらのデータを、炎症促進性受容体との相互作用の部位に関する入手可能な文献と組み合わせることで、本発明者らは、2つのHMG Bボックスをタンデムで含むコンストラクト(dBB12L)を設計し、これは、C末端酸性テールを有さない野生型の完全還元型HMGB1コンストラクトのものに類似の安定性及び立体構造を有する。明細書に示されるように、dBB12Lは、それらの共リガンドの存在下においてさえも、TLR2又はTLR4を通じてシグナル伝達を行わず、大幅に減少したRAGE結合を有する。さらに、dBB12Lコンストラクトは、in vivoにおいてFR-HMGB1と同等の再生活性を保持する。
【0073】
パテントランドスケープ及び科学文献の包括的な考察により、TLR4のシグナル伝達を防止するためにシステインをセリンと置換することについて記載している米国特許出願公開第2015/0203551号が特定されたが、しかしながら、このコンストラクトは、心筋梗塞後に過剰な心臓線維症をもたらすことが示されている(17)。さらに、このコンストラクトは、RAGEについてはFR-HMGB1と比較してより緩徐な解離を有し、その結果、ここで
図6Bに示されるように、平衡後にRAGEがより長く結合したまま残ることになり)、したがって、これらの置換は、本発明者らのコンストラクトでは回避された。米国特許出願公開第2009/0069227号(A9)は、幹細胞遊走及び増殖を促進するHMGB1コンストラクトが、アミノ酸1~187(本発明者らのデータでは0~186、0がN末端のMet)を含む必要があることを明記しており、米国特許第9,623,078号は、心臓再生に関してアミノ酸1~44(本発明者らのデータでは0~43)に限定されるペプチドに言及している。米国特許出願公開第2009/0202500号は、組織修復のための方法を開示しているが、全長(1~215)野生型HMGB1(本発明者らのデータでは0~214)にしか言及していない。明細書に提示されるdBB12Lコンストラクトは、RAGE結合もTLR4/2シグナル伝達も有さず、117個のアミノ酸の長さであり、これまでに説明されていなかったアミノ酸置換を含む。したがって、明細書に提示されるコンストラクトは、先行技術の範囲内には含まれない。
【0074】
臨床適用
本発明は、内因性再生過程を利用して組織修復を増強させるポリペプチド及び方法を提供する。本ポリペプチドは、2つのCXCL12分子とヘテロ複合体を形成し、それが、CXCR4、おそらくは細胞表面上の2つの隣接するCXCR4受容体を介してシグナル伝達することによって、組織再生を促進する、完全還元型の野生型HMGB1と同様に機能する。
【0075】
本発明者らのデータは、本発明のポリペプチド(dBB12L)が、類似の様式で作用することを示す。したがって、dBB12Lが、修復に関してCXCR4+細胞に依存する組織の再生を促進することが期待される。そのような組織としては、修復が主として幹細胞及び前駆細胞に依存する組織、例えば、骨格筋及び造血系、並びに修復が大部分を既存の成熟細胞、例えば、成体哺乳動物の心臓における心筋細胞に依存する組織が挙げられる。
【0076】
可能性のある臨床適応症:
心筋梗塞後の心臓
この適応症は、臨床試験に適している。世界的に見て、虚血性心疾患は、1億5300万人が罹患しており(101)、2017年には105,000,000を上回る障害調整年齢が失われている(102)。毎年、英国では205,000人(103)及び米国では805,000人が、心筋梗塞(MI)に罹患し、そのうち38%が、ST上昇型MI(STEMI)を経験している(101)。MI後に、個体のうちのおよそ30~40%が、心不全を発症し、世界中で3800万人が罹患している。2012年の米国における心不全の医療費が300億ドルを上回り、2030年までに700億ドルに増加する見込みであるにもかかわらず、5年生存率は約60%にすぎず、これは、ほとんどのがんよりも悪い(101)。主要な標的集団は、MI後の患者、特に、心不全を発症する危険性にあるものである(104)。心臓損傷を制限し、MI後の再生を促進し、心不全の発症を予防する新規な治療薬は、罹患率及び死亡率を劇的に低減させ、医療費の負担を著しく低減させる。確実に心筋細胞壊死をもたらす確立されている(105~108)恒久的な結紮マウスMIモデル(109)を使用した決定的なデータは、傷害時のFR-HMGB1の単回静脈内投薬が、生存率の増強[PBS(プラセボで治療した群における52%と比較して、FR-HMGB1で治療した動物では83%]、並びに対照と比較して、絶対心臓駆出分画の約16%の改善、及び5週間にわたってPBS対照と比較して梗塞サイズにおける約60%の低減をもたらすことを示す(
図7F)。
【0077】
骨格傷害モデルにおいて、FR-HMGB1の最適な用量は、0.75mg/kg(
図7C)であり、非常に短い半減期にも関わらず(
図7E)、傷害の最大5時間後に静脈内投与された場合でさえも有効である(109)(
図7D)。心筋梗塞後、虚血心筋の再灌流は、可能な限り早く達成されるべきである。例えば、STEMI後の患者は、経皮的介入を受けるはずである。データは、可能な限り早く、かつ最大で傷害後5時間以内でのHMGB1の投与が、損傷した心筋を保存し、再生を促進することを示す。
【0078】
天然のFR-HMGB1は、MI後に機能的回復を促進するが(
図7F~7I)、ジスルフィド形態への局所的な変換により、血栓形成、並びにRAGE、TLR2、及びTLR4を介した伝達が促進される(110)。他者により報告されているコンストラクト、例えば、RAGE結合を保持する3S-HMGB1(
図6B)は、MI後の過剰な線維症及び機能障害をもたらす(111)。FR-HMGB1もまた、DS-HMGB1よりも低い程度ではあるがRAGEに結合し、したがって、臨床使用に好適ではない。TLR2を介したHMGB1のシグナル伝達は、心筋梗塞後の虚血再灌流傷害(112)及び血栓症(110)において重要な役割を果たし、本発明者らは、ヒトアテローム性動脈硬化症(113)におけるTLR2の重要な役割を示している。TLR4シグナル伝達もまた、心筋再灌流傷害において重要である(114)。心筋梗塞後の損傷した心臓の虚血性及び炎症した微小循環における酸化還元条件は、FR-HMGB1のジスルフィド形態(DS-HMGB1)への変換を促進させ、この形態は、血栓症の中心的な媒介因子である(110)。MI後に心臓再生を促進するための承認された治療法は存在しない。造血幹細胞の再生作用を示すと主張している報告は、否定されており(115)、殺滅細胞は、免疫応答をトリガーすることで同程度に有効である(116)。多能性幹細胞を含む他の細胞型を用いたとしても、不整脈原性、免疫抑制、拡張可能性、バッチ変動性、送達、長期実現性、及び有効性を含む相当な課題が残っている(115, 117)。細胞に基づく治療法の大規模な臨床研究は、機能の有意な改善を示さず、不整脈が患者において報告されている(118~120)。
【0079】
成体心臓における有意な幹細胞集団の不在(121)及び限定的な心外膜前駆細胞(122)は、傷害後の新しい心筋細胞の大半が既存の心筋細胞に由来しているという理解とともに、内因性経路を操作することによって再生を促進することに焦点をシフトさせた(121)。これには、複数の転写因子のアデノウイルス形質導入(105, 108)、発生経路、例えば、Hippo(106)若しくはMeis1(123)の操作、成長因子、例えば、ニューレグリン(124)、IGF/HGF(125)、若しくはFSTL1(126)の付加、又はmiRNAの操作(127)が含まれる。これらのアプローチは、重大な欠点を有する:アデノウイルス形質導入及び成長因子(IFGF1/HGF)は、心臓内注入又は局所パッチ適用を必要とし(FSTL1)、発生経路の操作は、発癌の危険性を有し(128)、ブタにおけるmiRNA199-aのウイルス形質導入は、致命的な不整脈をもたらした(127)。免疫細胞のクリアランスを促進することによって、心臓再生を刺激するための代替的な戦略は、VEGF-Cの反復注入を必要とする(129)。MAP4K4の阻害は、心筋の生存を促進し、梗塞サイズを制限するが、再生作用はなかった(130)。現時点では、これらの戦略はいずれも、臨床試験には進んでいない。
【0080】
本発明は、心筋細胞の生存及び複数の組織の再生を促進するために内因性過程を標的とする固有の解決策を提供する。それは、抗線維性CAR-T細胞(131)を含む、細胞療法と関連する多数の障害物、例えば、法外な費用(132、133)を打開する。FR-HMGB1は、細胞表面受容体CXCR4を介して作用するため、例えば、転写因子又はmiRNAのアデノウイルス形質導入による、細胞内過程を標的とすることに関連する標的外作用を有することは予測されない。HMGB1阻害は、虚血再灌流傷害後の梗塞サイズを増加させ(134)、一方でFR-HMGB1の局所的な上方調節(135、136)又は心筋内注入は、マウス(111, 137, 138)及びヒツジ(139)の両者で有効であることが示されているが、本発明者らのデータは、静脈内投与が、有効であり、すべての標的細胞に到達する可能性がより高いことを示している。有害な炎症促進性シグナル伝達を回避する本発明の操作された二重ボックスBコンストラクトは、安全なはずである。
【0081】
ミラノのグループは、TLR4シグナル伝達を無効にするために3つのシステインがセリンと置きかえられたHMGB1アナログ(3S-HMGB1)について記載している(140)。彼らは、3S-HMGB1が、組織再生の促進においてFR-HMGB1よりも優れていると主張しているが(141)、本発明者らは、これが当てはまることを見いだしていない(142)。重要なことに、3S-HMGB1は、マウスMIモデルにおいて線維症を促進させ、心臓機能の悪化を伴い、一方で、FR-HMGB1は、組織再生を促進させ、左室駆出分画を改善した(111)。本発明者らは、3S-HMGB1が、DS-HMGB1又はFR-HMGB1のいずれかよりも長くRAGEに結合したままとなることを見いだしている(
図5A)。したがって、FR-HMGB1、3S-HMGB1、及びDS-HMGB1は、平衡時に同等の量のRAGEに結合するが、時間とともに、3S-HMGB1によって結合されるRAGEのレベルは、炎症促進性ジスルフィドHMGB1(DS-HMGB1)に匹敵し、FR-HMGB1よりも高くなる。本発明者らの二重ボックスBコンストラクトは、望ましくない炎症促進性シグナル伝達を排除しながら、FR-HMGB1と同等の再生活性を保持する。
【0082】
追加の適用:
骨折
骨折は、傷害後に生じる。しかしながら、最も一般的な骨格の「傷害」の1つは、関節置換術又は関節形成術である。本発明者らは、dBB12を使用して、骨折又は関節形成術後の治癒を促進し、それによって、合併症の可能性、例えば、コンポーネントの緩みの危険性を低減できることを提案する。
【0083】
脳及び神経系
dBB12Lは、卒中後の患者の予後を改善するために使用してもよい。他の可能性のある適応症としては、パーキンソン病及び認知症が挙げられる。
【0084】
肺
dBB12Lは、肺傷害後、例えば、新型コロナウイルス感染後、又は特発性肺線維症を有する患者において、予後を改善することが企図される。
【0085】
肝臓
米国の人口のうちの30%が、非アルコール性肝疾患に罹患していると推定される。これらのうちの60%は、非アルコール性脂肪性肝炎を発症し、それらのうちの20%は、肝硬変を発症する。これらの状態による肝臓損傷を制限し、予防するための治療が、開発されている。本発明者らは、dBB12Lを、これらの治療と組み合わせて使用して、肝臓再生を促進することを提案する。
【0086】
消化管
dBB12Lは、消化管、例えば、外科手術後、又は炎症性腸疾患、例えば、潰瘍性大腸炎を有する患者の治癒を促進するために、炎症を制御するための治療と組み合わせて使用してもよい。
【0087】
腎臓
dBB12Lは、腎臓の再生を促進し、それによって、可能性としては透析又は腎臓移植の必要性を回避するために使用してもよい。
【0088】
皮膚
dBB12Lは、例えば、外科手術後、熱傷、又は潰瘍、例えば、糖尿病性潰瘍を有する患者の創傷治癒を促進するために使用してもよい。
【0089】
膵臓
dBB12Lは、1型真性糖尿病を有する患者において、膵島細胞の再生を促進することによって、予後を改善するために使用してもよい。
【0090】
骨髄
dBB12Lは、例えば、化学療法後に、造血系の再生を促進し、それによって、重度の生命を脅かす危険性にある好中球減少症を予防してもよい。
【0091】
本発明者らは、FR-HMGB1が、傷害の最大2週間前に投与された場合でさえも有効であることを、これまでに示している(142)。dBB12Lは、FR-HMGB1と同等に有効であるため(
図7J)、このポリペプチドを、予防的に、例えば、軍によって、若しくは競技上の傷害のために、又は待機的手術若しくは化学療法の前に、使用してもよい。
【0092】
材料及び方法
大腸菌株
Mach-1 T1R細胞(Invitrogen、抗生物質耐性も誘導もなし、BL21(DE3)-R3-pRARE2(社内BL21誘導体、クロラムフェニコール耐性36μg/mL、T7-ポリメラーゼlac誘導[87])、及びBL21(DE3)-R3-pRARE2-BirA(上記のin vivoビオチン化誘導体、追加のスペクチノマイシン耐性、50μg/mL)を、社内で作製した化学的に適合性のあるストックから得た。
【0093】
細菌培養培地
SOC:20g/Lのトリプトン、5g/Lの酵母抽出物、0.5g/LのNaCl、0.1862g/LのKClを、オートクレーブし、4.132g/LのMgCl2及び20mMのグルコースを補充した。
【0094】
LB(Luria Bertani):10g/Lのトリプトン、5g/Lの酵母抽出物、10g/LのNaCl、pH7.2、オートクレーブ滅菌。2w/v%の寒天粉末を添加して、LB寒天プレートを作製した。
【0095】
TB(Terrific Broth):12g/Lのトリプトン、24g/Lの酵母抽出物、4g/Lのグリセロール、12.5g/LのK2HPO4、2.35g/LのKH2PO4、オートクレーブ滅菌。
【0096】
TB補充物質:1.6w/v%のグリセロール、1%のグルコース、25mMの(NH4)2SO4、10mMのMgSO4、10X微量金属、0.22μMで滅菌濾過。
【0097】
微量金属溶液:50mMのFeCl3(13.5g/L)、20mMのCaCl2(2.94g/L)、10mMのMnCl2(1.96g/L)、10mMのZnSO4(2.88g/L)、2mMのCoCl2(0.48g/L)、2mMのCuCl2(0.34g/L)、及び2mMのNiCl2(0.48g/L)、0.1M HCl中、0.22μMで滅菌濾過。
【0098】
M9最少培地:16g/LのNa2HPO4、4g/LのK2HPO4、1g/LのNaCl、pH7.2~7.3、及び2.5g/LのFeSO4、0.25mg/LのZnCl2、0.05mg/LのCuSO4、0.25g/LのEDTA、1mMのMgSO4を、オートクレーブし、4g/Lのグルコース、1g/LのU-99% 15NH4Cl(Cambridge Isotopes)、0.3mMのCaCl2、1.5mg/LのD-ビオチン、及び1.5mg/Lのチアミン-HCLを、滅菌濾過したストックから補充した。
【0099】
プラスミド
プラスミドは、SGCライブラリーから得た[87]。すべてのプラスミドは、TEV-切断部位を有する6×Hisタグを含み、pNIC-Bio3及びpDsbC-HT-CBioはまた、C末端ビオチン化エピトープ(終止コドンで除去できる)を有する。プラスミドDNAを、制限酵素消化:pNIC-CTHFについてはBfuA1(3時間、60℃)、又はBsaI(2時間、37℃)によって線形化した。切断したベクターDNAを、PureLink PCRキットで精製し、製造業者のプロトコールに従って0.25mMのdGTP(pNIC-CTHF)又はdCTPの存在下において、T4 DNAポリメラーゼ(NEB M0203)で処理した。
【0100】
クローニング
HMGB1コンストラクトを、哺乳動物遺伝子コレクションから得た(抗生物質を有するLB培地において一晩増殖させたMach1細胞からプラスミドとして精製)。コンストラクトを、PCRによって増幅させた:95℃/10分、25回(95℃/30秒、52℃/1分、68℃で0.5~1.5分間)、68℃/10分のプログラムを使用した。反応は、25μLの最終体積で、5μLのヘラクレスII緩衝液、1μMのそれぞれのプライマー、6μg/mLのプラスミド鋳型、1μMのdNTP混合物、及び1単位のヘラクレスIIポリメラーゼ(Agilent 600679、緩衝液及び100μMのdNTPストックとともに供給)からなっていた。PCR産物を、さらなる使用の前に精製した(PureLinkキット、ThermoFisher K310001)。
【0101】
増幅させたコーディング配列(対立遺伝子)を、ライゲーション非依存性クローニング(LIC)によって目的のベクターにクローニングした。インサートを、ベクターに使用したものと同種のヌクレオチド(10μLの反応体積)の存在下において、T4 DNAポリメラーゼで処理し、2μLを、1μLの処理済みベクターと混合し、30分間アニーリングした。40μLの氷冷Mach-1細胞(保管のため)又は20μLのBL21(DE3)-R3-pRARE2/BL21(DE3)-R3-pRARE2-BirA細胞(発現のため)を添加し、42℃で45秒間、熱ショックを与えた後、氷中で冷却した。5%スクロース及び抗生物質を有する選択培地に播種する前に、37℃で2時間、SOC培地において回収を行った。24時間後に、陽性クローンを採取し、製造業者のプロトコールに従って正しい分子量のバンドに特異的なシーケンシングプライマー対を用いて、MyTaqポリメラーゼでスクリーニングした。陽性形質転換体を、抗生物質を有する1mLの2× LB(2倍濃度のLB)において一晩増殖させ、-80℃において12v/v%グリセロールでストックした。
【0102】
3S-HMGB1変異体配列を、類似の様式で生成した。PCRを、別個に行って、S23-S45及びS106フラグメントを生成し、これらを、PCRによってアニーリングし、5μLのそれぞれの精製されたPCR産物を、この反応におけるプライマー及び鋳型の代替として用いた。この過程を、
図14に要約する。
【0103】
CXCL12コンストラクトを、成熟タンパク質のN末端側のインフレームSUMOプロテアーゼ部位を用いてクローニングして、pDsbC-HT-CBioベクター(DsbC-SUMO-CXCL12)におけるN末端融合タンパク質の周辺質分泌を可能にし、その活性に影響を及ぼし得るタンパク質へのN末端残基の付加を回避しながら[88, 89]、DsbC融合タンパク質系を介してフォールディングされた酸化型CXCL12を得た[90]。すべての変異体を、シーケンシングによって検証した(SourceBioscience)。HMGB1-dBBの配列は、大腸菌BL21-DE3ゲノム(アセンブリASM956v1)に従って、ボックスB 89~174の配列をコドン最適化し、天然のHMGB1ボックスB配列の後に配置することによってインシリコで設計し、Twist Bioscience(San Francisco, USA)によってin vitroで合成し、pNIC-CTHFにクローニングした。
【0104】
組換えタンパク質の発現
新しい寒天プレートの画線から増殖させたHMGB1発現株の形質転換体の一晩培養物20mLを、補充物質を有する1LのTB(又はM9)培地に植え付け、0.45RCF回転振盪で37℃において最大OD2.0(M9培地についてはOD0.6)まで増殖させた。15N標識したHMGB1の産生に使用した予備培養物は、まず、1000RCFで5分間回転沈降させ、M9培地において洗浄した。これを、標的ODに達するまで増殖させ、18℃に冷却した後、0.5mM又は0.25mMのIPTG(それぞれ、HMGB1及びCXCL12タンパク質について)を添加し、16時間増殖させた後、4000RCFで採取した。ビオチン化タンパク質については、PBS中の10mMのD-ビオチンを添加した後、誘導し、さらに1時間後に細胞採取した。
【0105】
組換えHMGB1の精製
誘導したHMGB1発現細胞のペレットを、1:1000のプロテアーゼ阻害剤(Calbiochem Set III, Merck 539134)、3μg/mLのベンゾナーゼ-MBP、1mMのMgSO4、0.5mg/Lのリゾチーム(Sigma L6876)、及び0.5v/v%のTriton(登録商標)X100を補充した1MのNaCl、5%のグリセロール、50mMのHEPES pH7.5、10mMのイミダゾール(緩衝液A)中に、14g/Lで再懸濁させた後、-80℃で凍結させ、この時点以降、すべての工程は、4℃で行った。解凍したペレットを、6780RCFで45分間回転沈降させ、上清を、事前平衡処理したニッケル-His GraviTrap(GE Healthcare)の1mLのカラムにロードした。滴下後に、カラムを、10CVの1M NaCl、50mM HEPES pH7.5、並びに1.5CVの0.4M NaCl、20mM HEPES pH7.5、1mM MgSO4、及び3μg/mLベンゾナーゼ-MBP溶液で洗浄して、残りのDNAを30分間消化させた。混入物を、30mMのイミダゾールを補充した15CVの0.5M NaCl、5%グリセロール、50mM HEPES pH7.5(緩衝液B)で洗浄した後、2.5mLの緩衝液B+500mMイミダゾールを用いてPD-10カラム(GE Healthcare、緩衝液B+20mMイミダゾールにおいて平衡処理)に直接的に溶出させた。タンパク質を、3.5mLの緩衝液B+20mMイミダゾールを用いてカラムから溶出させた後、1:20ODのTEV-GSTプロテアーゼを用いて16時間にわたってタグを除去した。
【0106】
プロテアーゼ及びさらなる混入物は、最初に精製するのに使用した同じGraviTrapカラム(緩衝液B+20mMイミダゾールにおいて平衡処理)にタンパク質溶液を再循環させることによって、除去した。ビオチン化タンパク質については、ストレプトアビジン-XT樹脂を、代わりに使用してビオチン化分子のみを選択し、樹脂における30分間のインキュベーションの後、試料を、滴下させ、30CVの緩衝液A及び1CVの緩衝液B+100mM D-ビオチンで洗浄し、3CVの同じ緩衝液における2時間インキュベーションによって、溶出させた。タンパク質を、生物物理学的研究用には10mM HEPES pH7.5+150mM NaCl、又は細胞及び動物の研究用には細胞培養グレードのPBSで、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)(Superdex S75 10/300-0.35mL/分又は16/600-1.2mL/分の流速)によってさらに精製した。組換えタンパク質は、還元型HMGB1タンパク質の場合には1mMのTCEPを添加して、保管のために瞬間凍結させた。
【0107】
組換えCXCL12の精製
DsbC-SUMO-CXCL12を発現する細胞の外膜を、浸透圧ショックによって溶解させた[91]。ペレットを、1Mスクロース、0.2M Tris-HCl pH8.0、1mM EDTA、1mg/mLリゾチーム、2×cOmpleteプロテアーゼ阻害剤セット(COEDTAF-RO, Roche)、50mMイミダゾール、及び3μg/mLベンゾナーゼ中に、40g/Lで再懸濁させた。これを、室温で45分間撹拌した後、4体積の氷冷18.2mΩ水を添加し、さらに10分間混合した後、1mM MgSO4を添加した。これを、16000RCF、4℃で1時間遠心分離し、上清を、10mL/分で、Aekta Xpress FPLCシステムのNi-NTA Superflowカラム(Qiagen, 30761)にロードし、細胞6Lごとに1つのカラムを使用した。タンパク質を、緩衝液Bにおいてイミダゾール勾配(10CVにわたって10~25mM、及び8CVにわたって25~500mM)によって溶出させ、1:10のODのUlp-1プロテアーゼを添加した後、100体積の0.2M NaCl、20mM HEPES pH8.0(緩衝液Ac)中で一晩透析した。翌日、タンパク質を、CaptoSカラム(CaptoS ImpAct, GE 17-3717-47)に2.3mL/分でロードし、20mM HEPES pH8.0中0.2~1.5M NaClの勾配において溶出させて、切断されたCXCL12をDsbC及びUlp-1から分離した。タンパク質を、HMGB1と同じ様式でSECによってさらに精製し、保管のために瞬間凍結させた。
【0108】
内毒素の除去
内毒素は、すべての事例において、Triton(登録商標)Tx-114を用いた相分離によって、サイズ排除クロマトグラフィーの前に除去した[92]。2v/v%のTX-114を、組換えタンパク質溶液に添加し、4℃で2000RCFにおいて回転振盪させながら20分間ホモジナイズし、37℃で5分間分離した後、界面活性剤相を25℃で8000RCFにおいて10分間ペレット化した。上清を、5w/v%のSM-2バイオビーズ(BioRad, 152-8920)と混合し、2%のTX-114で2時間清浄し、30CVのメタノール、30CVの内毒素不含18.2mΩ水、及び30CVの内毒素不含PBSで再生させた。これを、室温で4時間インキュベートして、残りのTriton(登録商標)及びPEGを吸着させた後[93]、滅菌したSEC系に注入し(12時間にわたって0.5M NaOHと接触させ、続いて6時間にわたって0.2M酢酸/20%エタノールと接触させ、細胞培養グレードのPBS中で平衡処理)、残留ポリマー混入物を完全に除去しながら、サイズ排除を行った。Triton(登録商標)及びPEGの不在を、ESI/QTOF-MS質量分析法においてそれらのそれぞれの荷電状態種の欠如によって検証した[94]。組換えタンパク質のLPS含量を、LAL方法(GenScript ToxinSensor L000350)によって評価した。試料は、含有するLPSがタンパク質1mg当たり4EU未満である場合に、細胞及び動物への使用が承認された。
【0109】
酵素産生
TEV-GSTプロテアーゼ(GST融合タンパク質)、ベンゾナーゼ-MBP、Ulp-1プロテアーゼを、SGCコレクションにおいて保管中の形質転換体から産生させ[87]、すべては、200μg/mLのアンピシリン耐性を有していた。TEV及びUlp-1を、HMGB1について記載されたプロトコールに従って1回のみのIMAC工程で精製し、一方でベンゾナーゼ-MBPは、CXCL12で取得した外膜ライセートから精製し、製造業者のプロトコールに従ってアミロース樹脂(NEB, E0821)を使用して単離した。いずれの事例においても、結果として得られるタンパク質を、50mM HEPES pH7.5、0.3M NaCl、10%グリセロール中で10mg/mLまで濃縮した。GST-TEVプロテアーゼ及びUlp-1を、液体窒素で瞬間凍結させ、精製中に0.5mM TCEPを補充し、ベンゾナーゼ-MBPには、50%グリセロール及び2mM MgCl2を補充し、-20℃で保管した。
【0110】
ペプチドアレイ
FMOCに連結したヒトHMGB1(Uniprot P09429)の15量体ペプチド又はCXCL12(Uniprot P48061、分泌シグナルを除外)を有する膜を、要求に応じて、公開されているプロトコールに従ってSarah Picaud博士がSGCにおいてプリントした[40]。膜を、20~25℃において、95%及び70%エタノールで再水和させ、PBST(PBS 1×+0.05% Tween(登録商標)20、3×)で平衡処理し、10% BSA/PBSTで8時間ブロッキングした。1μMのパートナーHisタグ付けタンパク質コンストラクトを添加し(PBS中)、4℃で24時間結合させた。過剰なBSA及びタンパク質を、PBST中で3回の洗浄によって除去し、すべての洗浄は、別途示されない限り1分間継続した。結合したタンパク質を検出するために、膜を、1:3000希釈のQiagen抗ペンタHis HRPコンジュゲート(Qiagen 34460)で処理し、過剰な抗体を、PBST中で20分間3回洗浄することによって除去した。結合した抗体を、次いで、化学発光(Pierce ECL基質-32109)によって定量化し、膜を、基質溶液で覆い、2つの透明なプラスチック製シートの間に入れた後、LAS-4000カメラ(化学発光設定)において2分間隔で段階イメージングを行った。それぞれの膜におけるペプチドの強度を、ImageJにおいて測定し、10-His対照に対して正規化した。アラニン変異誘発スキャンを、初期ペプチドアレイの間に特定されたものからなるプリントしたペプチドを用いて、同じ様式で行った。アラニンへの変異が、配列内のアラニン位置で観察されたものよりも高い強度変化をもたらした残基を、CXCL12結合への有意な寄与因子と考えた。
【0111】
バイオレイヤーインターフェロメトリー(BLI)
事前水和させたストレプトアビジンOctetバイオセンサー(ForteBio 18-5019)を、10mM HEPES、pH7.5、150mM NaCl(基礎緩衝液-BB)に0.5mM TCEPを加えたものにおけるビオチン化HMGB1タンパク質の4μM溶液でコーティングした(60秒のベースライン、60秒の結合)。非特異的結合を、動態アッセイの前に、BB+1%BSA+0.05%Tween(登録商標)20(動態緩衝液、KB)中で3分間インキュベートすることによって最小化させた。CXCL12との相互作用を、KB中の漸増CXCL12濃度(1:2希釈で0~150μM)の溶液において、センサーの段階浸漬を行うことによって測定した(60秒のベースライン、500秒の結合、420秒の解離、BB+0.5mM TCEPにおいて180秒の還元)。OctetRed 384機器を、これらの実験に使用した。動態データは、DataAnalysis 9.0(ForteBio)を使用して抽出した。平衡時の応答REqを、ミカエリス・メンテン飽和プロットにおいて濃度に対してプロットして、kD/Bmax(rEqに対する濃度の飽和プロット)を計算した。動態速度(結合速度kon及び解離速度koff)を、インターフェログラムにおけるすべての結合及び解離工程から得られるそれぞれのパラメーターの直接測定から導出し、すべての測定にわたって水平線(平均)に当てはめた。それぞれの複製回から得られたデータを、同じ様式でプールして、全体の平均を計算した。HMGB1へのRAGE結合動態を測定するために、PBS+0.1%BSA+0.02%Tween(登録商標)20中15μg/mLのRAGE-Fcを、抗IgGバイオセンサー(AHC, 18-5060)の表面上に30秒間固定化し、連続濃度のそれぞれのHMGB1コンストラクト中に浸漬し(60秒のベースライン、200秒の結合/解離)、同じ様式で当てはめて動態パラメーターを導出した。
【0112】
核磁気共鳴(NMR)
10mM HEPES、150mM NaCl pH7.5(BLI実験と同一の緩衝液及びイオン強度)中の15N標識した組換えHMGB1コンストラクトに、5v/v%のD2Oを補充し、ガラス製パスツールピペットで5mm Shigeimiチューブにピペッティングし、パラフィンで封止した。最終体積は、330μLを上回った。CXCL12を、同じ緩衝液に添加し、参照物の改変を回避するように最終体積を調整した。シグナルのロッキング、チューブのシミング、及び核の調整を、Bruker TopSpinソフトウェアによって手動で行った。水のシグナルは、1Hスペクトルをパワーレベル1(P1)=推定パルスキャリブレーション(pulsecal)で取得することによって抑制した。単一のピークが観察された場合、初期の4倍のP1値をベースラインとして使用し、1Hスペクトルに対称ピークが観察できるまで調整した。NMR実験を、これらのキャリブレーション工程の後に行い(1H-NMR、15N-HSQC、15N-NOESY-HSQC、15N-TOCSY-HSQCピークを、15N-HSQCスペクトルにおいて、HMGB1 1~184(BMRB 15418)の公開されているNMR表に基づいて割り当て、それぞれのコンストラクトについて本発明者ら独自のNOESY/TOCSYデータを分析した。CXCL12結合を測定するために、特定されたピークの化学シフト位置及び体積を、CCPNMR 3.0 Analyzeの化学シフト追跡モジュールによって、異なるモル当量のCXCL12(これらは、関連する画像に列挙されている)にわたって追跡した。ピーク強度の変化については、それぞれのセットにおける中央値強度変化を、ベースラインと考えた。完全な化学シフトの表及び実験のパラメーターは、この節の最後に示す。
【0113】
質量分析法
MS/MS及びトリプシン消化によるタンパク質の特定のために、SDS-PAGEゲルから得られたバンドを、切り取り、SGCオープンアクセスのMSプラットフォームに提出し、Rod Chalk博士、Tiago Moreira博士及びOktawia Borkowskaが、公開されているように分析した[94, 95]。タンパク質の同一性に注釈を付けるためのデータ分析(ペプチドマッピング)を、MASCOT検索エンジンを用いて、Uniprot(参照タンパク質配列)及びSGC(コンストラクト配列)データベースに対して行った。ネイティブESI/MS実験を、360μL/時で揮発性緩衝液(50又は200mM酢酸アンモニウム、pH6.5)においてESI/QTOF機器(Agilent Q-TOF 6545)に手作業で注入することによって行った。全イオンクロマトグラムにおいて安定なイオン流が観察された後に、シグナルを、少なくとも10カウント(30秒)取得した。変性実験については、記載されるように、試料を、0.2%ギ酸中に1mg/mLに希釈し、HPLC(Agilent 1100 HPLC)によって注入し、ギ酸/メタノールの移動相中に溶出させた[94]。荷電状態のそれぞれの連続的な分布を、異なる立体構造と考え、荷電状態(Z)を、mW=(mW/Z-プロトン質量)*Zの式に従って割り当てた。表面積を、文献中に提案されている式から導出し[96, 97]、これにより、ネイティブMSについては式ln(SASA)=ln(M/Z)*0.6897-4.063及び変性試料についてはln(SASA)=ln(M/Z)*0.9024-5.9013を得た。少なくとも3回の独立した注入を、すべてのMS試料に行った。これらの実験におけるすべての溶液は、HPLC水(電気化学グレード)及び溶媒を用いて作製した。
【0114】
SEC表面積定量
SECクロマトグラムを表面積と相関させるために、公知の構造を有する標準セット(BioRad 1511901)を、この実験で使用したSuperdex 75pg、10/300カラムに流した。これらに含まれるタンパク質のSASA及びGEにより供給されたキャリブレーション曲線標準物は、公開されているPDB構造(BSA、3V03;卵白アルブミン、1JTI;ミオグロビン、2V1I;RNAseA、1A5P;アプロチニン、1NAG;ビタミンB12、3BUL)から導出し、非線形最小二乗当てはめによって保持体積と相関させた(SASA=331.2×RV2-1.19e4×RV+1.08e5)。HMGB1試料間で比較したすべての実験は、ネイティブMSと同じ緩衝液(200mM酢酸アンモニウム、pH6.5)において行い、注入は、シグナルの飽和を回避するために1mg/mLで行い、すべての試料は、0.4mL/分で溶出させた。
【0115】
RAGE結合ELISAアッセイ
384ウェルのタンパク質結合ELISAプレート(Santa Cruz Biotechnology, sc-206072)を、それぞれ4つの複製物で、4℃において24時間、FL/DS HMGB1全長対照及びブランクを含め、PBS中40nMのHMGB1コンストラクトの溶液50μL(FR-HMGB1コンストラクトについては+0.5mM TCEP)でコーティングした。非特異的結合を、20~25℃で2時間、PBS中10%のBSAとともにインキュベートすることによって、遮断した。ある濃度範囲のRAGE-Fcキメラタンパク質(BioTechne, 1145-RG、1:4希釈で0~640nM)を、10%BSA/PBS中に添加し、4℃で2時間結合させた。結合したFCキメラを、20~25℃で2時間、1%BSA/PBS中に1:10000で希釈した抗ヒトIgG HRP(Agilent Dako P021402-2)とともにインキュベートすることによって検出した。これら3つの工程のそれぞれの間に、プレートを、100μLのPBSTで3回洗浄した。
【0116】
結合した抗体を検出するために、25μLのTMB基質(ThermoFisher N301)を、それぞれのウェルに添加し、反応を、FL-DS-HMGB1対照が明確な濃度依存性色勾配を発生するまで暗所で顕色させた後、25μLの0.5M H2SO4で反応を停止させた。OD450を、読み取り値(FluoStar OMEGA, BMG Labtech)として測定し、2× RAGE-Fc濃度(キメラは、RAGE二量体であるため)に対する飽和当てはめとしてプロットした。
【0117】
TLR4及びTLR2に媒介されるNF-κBシグナル伝達レポーターアッセイ
ヒトTLR2及びCD14又はマウスTLR4、MD-2、及びCD14を発現するHEK-Dual細胞(Invivogen)を、標準的な組織培養条件(37℃、5%CO2)において、10%FBS(Gibco)、1% L-グルタミン(Gibco)、及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco)を補充したDMEM(Gibco)中で維持した。FR-HMGB1、DS-HMGB1、及びdBB12Lが、TLR4及びTLR2シグナル伝達の活性化を誘導するかどうかを判定するために、104個のTLR4及びTLR2 HEK二重細胞を、96ウェルプレートのウェルに播種(3回の実験)し、TLR2については10μg/mLのl HMGB1及び(X濃度)FSL-1並びにTLR4については10ng/mLのLPSで刺激した。刺激から24時間後に、NF-κβ活性を、誘導された分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)のレベルを測定することによって判定した。
【0118】
単球総NF-κB分泌アッセイ
ヒト単球(StemCell Technologies)を、標準的な組織培養条件(37℃、5%CO2)において、10%FBS(Gibco)を補充したDMEM(Gibco)中で維持した。FR-HMGB1、DS-HMGB1、及びdBB12Lが、炎症促進性サイトカイン産生を誘導するかどうかを判定するために、105個のヒト単球を、96ウェルプレートのウェルに播種し(3回の実験)、10μg/mLのHMGB1及び50ng/mLのLPS又は10ng/mLのLTAで刺激した。刺激から24時間後に、TNFのレベルを、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)(Abcam)によって判定した。
【0119】
トランスクリプトーム分析
マウスを、50μLのPBSビヒクル中30μgのFR-HMGB1、又はPBSのみの対照の静脈内注入で、全身処理した。傷害細胞は、以下に記載されるように、BaCl2傷害マウスに由来する。Alert細胞は、BaCl2傷害マウスの傷害を受けていない反対側に由来する。マウス筋肉幹細胞(mMuSC)を、これまでに報告されているプロトコールに従って定義し、新たに単離した。筋肉細胞懸濁液を、大腿部の筋肉を切り刻み、コラゲナーゼ800U/ml(Worthington-Biochem)及びジスパーゼ1U/mL(Gibco)で酵素消化することによって作製した。その後に、すべての懸濁液を、70μm及び40μmのフィルタ(Greiner Bio-One)を通して濾し、それぞれの抗体で染色した。mMuSC、CD31-CD45-Sca-1-VCAM1+を、BD FACSAria III機器を使用して蛍光活性化細胞分取(FACS)によって単離した。新しくFACSにより単離したmMuSCから抽出したRNAを、Lexogen 3’キットライブラリープレップを使用してRNA-seq分析に送り、HiSeq400(Illumina)を使用してシーケンシングした。FASTQファイルを、FASTQCを使用して評価し、続いて、kallisto v0.42.4を用いてTPM値を生成した。TPM値を合計して、tximportを使用して遺伝子レベルの発現値を取得し、差次的発現分析を、DeSEQ2で行った。差次的に発現される遺伝子のGO濃縮を、Rパッケージ「clusterProfiler」[98]を使用して、ベンジャミニ-ホッホベルグ多重検定調整及び偽発見率のカットオフ0.1を用いて行った。視覚化を、Rパッケージの「ggplot2」及び「igraph」を使用して行った。
【0120】
in vivoマウス筋傷害モデル
11~12週齢の雌性C57BL/6近親交配マウス株を、Charles River UKから購入し、Kennedy Instituteで地域のBiological Safety Unit(BSU)に収容した。順化期間は、1~2週間であった。生きた動物に行ったすべてのプロトコールは、UK Home Office(PPL 30/3330及びPPL P12F5C2AF)によって、並びに地域の動物施設が指名した人物によって承認されており、ASPA規制のもとに適切なプロジェクト及び人物のライセンス下で登録されている。すべての消耗品は、外科手術用に認定されており、組換えタンパク質は、内毒素不含であった。外科手術は、選別施設とは別個の整った環境において行った。すべての動物は、術後6時間、及びその後の3日間は毎日モニタリングし、モニタリングは、その後、NVS/NACWOに移行した。
【0121】
外科手術は、これまでに記載されているように行った[7, 12]。動物は、2%イソフルランでエアロゾル麻酔し、痛覚を脱失させ、保温パッドに移し、右下後肢をポビドンヨードで、静脈内注入が行われる場合には尾部を70%エタノールで、滅菌した。50μLの1.2%BaCl2(Sigma)を、前脛骨筋(TA)の長さに沿ってそこに注入し、細胞死を誘導した。マウスを安楽死させ、示されている時間で下肢を摘出し、4%パラホルムアルデヒド(Santa Cruz Biotechnology)中に24時間固定した。TA筋を、切開し、さらに24時間固定した後、パラフィン中に埋込み、切片にした。切片(5μm)を、ヘマトキシリン及びエオシンで染色して、中心核を有する線維を特定し、10倍接眼/40倍対物レンズを使用してOlympus BX51でイメージングした。マウス1匹当たり少なくとも4枚の画像から得られた線維の断面積(CSA)を、ImageJ2ソフトウェア(NIH)のFIJI分布を使用して手動で測定した。データを、マウスごとにグループ分けした。マウスに、HMGB1コンストラクト(46nM/kg、PBS中に再懸濁)又はPBSビヒクル対照を、傷害と同時又は傷害後のHMGB1コンストラクトの最適な時間での投与のために傷害後に、筋肉内又は静脈内に注入した。
【0122】
in vivoマウス心臓傷害モデル
10~14週齢で25~30gの体重の雌性C57BL/6マウスを、外科手術に供した。すべてのマウスは、外科手術の直前にFR-HMGB1(46nM/kg、PBS中に再懸濁)又はビヒクル対照のいずれかの静脈内注入を受けた。ブプレノルフィン(ブプレノルフィン塩酸塩、Vetergesic)を、鎮痛を提供するために手技の20分前に0.015mg/mlの溶液として、腹腔内注入によって送達した。マウスに、2.5%イソフルランで麻酔を行い、気管内チューブを介して外的に人工呼吸させた。心臓傷害を、開胸術による左前下行枝冠状動脈(LAD)の恒久的な結紮によって誘導した。実験者らは、後続の心臓cineMRI及び分析のために処理群に対して盲検とした。マウスを、制御された環境において収容し、維持した。すべての外科手技及び薬理学的手技は、Animals(Scientific Procedures)Act 1986, UKに従って行った。
【0123】
心臓cineMRI及び分析
心臓cineMRIを、LAD結紮後にVarian DDRシステムを使用して7Tで行った。簡単に述べると、マウスに、酸素ガス中2%のイソフルランで麻酔し、恒温制御を有するカスタムの動物取扱システムに仰向けに置いた。前向きにゲーティングしたプロトン心臓画像を、機能的定量化のための2つ及び4つの心房の長軸図及び短軸スタックを得るために(128128の行列、25.6mm^2 FOV、0.2mmの平面分解脳)パーシャルフーリエ加速スポイルド勾配エコーCINE手順(TR 5.9ミリ秒、TE 2.2ミリ秒、30kHzバンド幅、30°FA、およそ20~30フレームを4ミリ秒の標識後遅延でR波にゲーティング;20%の部分的取得;4つの平均)によって、72mmのボリューム送信/4チャネル表面受信コイル(Rapid Biomedical GmbH)で取得した。未取得のパーシャルフーリエデータは、単純なデカルト座標のDFTの前に、凸集合への投影方法によって再構築した。盲検での画像分析を、ImageJ(NIH)を使用して行った。左心室の質量、体積、及び駆出分画を、これまでに説明されているように計算した1。相対梗塞サイズを、拡張期に測定されたすべての切片の薄い無動領域の心内膜と心外膜の外周長さの平均から計算し、全心筋表面に対するパーセンテージとして表した[99]。
【0124】
統計学的分析
すべての計算は、GraphPad Prism(v.8.41)を用いて行った。動態実験(BLI/RAGE ELISA)については、すべての当てはめは、非線形最小二乗法によって行った。RAGE ELISAについては、それぞれのRAGE濃度は、ウェルの残りから独立しており、すべてのデータは、1つの動態当てはめと考えたが、しかしながら、BLIにおいては、それぞれのセンサーは、計算の目的で独立した当てはめと考えた。パラメーター間の比較は、AUC法によって行った。マウス筋傷害モデルデータは、ネステッドANOVAとして分析し、ここでは、それぞれのカラムは、所与の動物に関するすべての筋肉CSA値を含み、それぞれの群は、生物学的変動を治療効果から分離するために、すべての動物を含む。いずれの事例においても等しい分散仮定を満たすことができなかった場合、データは、クラスカル・ワリス検定によって分析し、ネステッドANOVAについては、それぞれの動物に由来する等しい数のデータを、ランダムに選択して歪みを回避することになる。任意の他のデータは、不等分散性プロット及びQ/Qプロットが等しい分散仮定を裏付けた場合[100]、一方向ANOVAによって分析し、これらはまた、スピアマンの検定によっても検証した。多変量実験(例えば、心臓実験)については、2段階ANOVAを、同じ仮定のもとで使用した(この事例において不等分散性を乱すデータセットはなかった)。事後検定での比較は、ホルム・シダック補正(ANOVAファミリー検定)又はダンズ法(クラスカル・ワリス)によって重み付けした。それぞれの事例において選択された検定は、それぞれの図の凡例の下に記載されている。有意差の凡例:n.s;有意差なし、*;p<0.033、**;p<0.002、***;p<0.0002、****;p<0.0001。
【0125】
NMR化学シフトの表
0、0.42、0.82及び1.42モル当量のCXCL12A-c021で滴定したHMGB1-c028(94~162、ビオチン化)、
図3A及び3B
タンパク質の量の制限のため、順次、HMGB1試料にCXCL12を添加して滴定を行い、試料を希釈した。CCPNMRの化学シフト追跡モジュールでの計算はピークに依存しないので、これによって結果は変わらない。中央値の変化は容積の比較で示される。
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
3D実験(第1日)
3D特性のためこれらのスペクトルは示していないが、必要であれば、データは利用可能である。試料はベースライン1のものである。
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
【0143】
0、0.42、0.82及び1.42モル当量のCXCL12A-c021で滴定したHMGB1-c038(89~174、ビオチン化)、
図3A及び3B
タンパク質の量の制限のため、順次、HMGB1試料にCXCL12を添加して滴定を行い、試料を希釈した。CCPNMRの化学シフト追跡モジュールでの計算はピークに依存しないので、これによって結果は変わらない。中央値の変化は容積の比較で示される。
【0144】
【0145】
【0146】
【0147】
【0148】
3D実験(第1~5日)
3D特性のためこれらのスペクトルは示していないが、必要であれば、データは利用可能である。試料はベースライン1のものである。
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
10mM HEPES pH7.5、150mM NaCl中の、モル比1:2のHMGB1A-c007(3S、1~184)とCXCL12(1:1 モル比 CXCL12/HMGボックス)、
図12
【0163】
【0164】
【0165】
【0166】
【0167】
【0168】
3D実験(第1日)
3D特性のためこれらのスペクトルは示していないが、必要であれば、データは利用可能である。試料はベースライン1のものである。
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
【0176】
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【配列表】
【国際調査報告】