(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】キラルプロスタグランジンエノール中間体の調製プロセス及び本プロセスに有用な中間化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 307/935 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
C07D307/935
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537494
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-03
(86)【国際出願番号】 HU2020050058
(87)【国際公開番号】W WO2021123848
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522241295
【氏名又は名称】ユーロエーピーアイ・ハンガリー・リミテッド・ライアビリティー・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】イレーン・ホルトバージ
(72)【発明者】
【氏名】ジュジャンナ・カルドス
(72)【発明者】
【氏名】マリウス・ケルテス
(72)【発明者】
【氏名】イシュトバーン・ラースローフィ
(72)【発明者】
【氏名】イイディコ・メレグ
(72)【発明者】
【氏名】ユディット・ポティ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・サンタネ・チュートル
(72)【発明者】
【氏名】ラースロー・タカーチ
(57)【要約】
【化1】
本発明は、分別結晶化によって式16-(R,S)-10の化合物をそのジアステレオマーへ分離するステップと、式16-(R)-10の化合物の15-オキソ基を還元し、それによって式15-(R,S),16-(R)-11の化合物を得るステップと、引き続き式15-(R,S),16-(R)-11の化合物の保護基を除去し、式1の化合物を単離するステップと、任意選択的に、式1の化合物を結晶化するステップとを含む、式1のキラルプロスタグランジンエノール中間体の調製プロセスに関する。任意選択的に、分別結晶化中に形成された望ましくない異性体は、エピマー化し、結果として生じた混合物から更なる量の望ましい異性体を回収することができる。本発明はまた、本プロセスに有用な新規中間体を提供する。本発明は、更に、式16-(R,S)-10の化合物の分別結晶化プロセスに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】
の化合物の調製プロセスであって、
式16-(R,S)-10の化合物を分別結晶化によってそのジアステレオマー16(R)-10と16-(S)-10とへ分離するステップ、
【化2】
式16-(R)-10の前記化合物の15-オキソ基を還元し、それによって式15-(R,S),16-(R)-11の化合物を得るステップ、
【化3】
式15-(R,S),16-(R)-11の前記化合物の保護基を除去し、式1の前記化合物を単離するステップ、
【化4】
及び任意選択的に、式1の前記化合物を結晶化するステップ
を含むプロセス。
【請求項2】
式16-(R,S)-10の前記化合物の前記分別結晶化のために使用される溶媒は、C
1~3アルコール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から、好ましくはメタノール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
式16-(R,S)-10の前記化合物の前記分別結晶化は、
(a)式16-(R,S)-10の前記化合物を前記溶媒に懸濁させ、懸濁液を還流させ、引き続き混合物を25~35℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶K
r1を得るステップと;
(b)洗浄液と組み合わせた濾液に、式16-(R)-10の前記化合物の結晶を接種し、懸濁液を0~5℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶K
r2を得るステップと;
任意選択的に
(c)前記前に濾過した結晶K
r1を、洗浄液と組み合わせた濾液に懸濁させ、懸濁液を還流させ、引き続き混合物を25~35℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶K
r3を得るステップと;
(d)洗浄液と組み合わせた濾液に、式16-(R)-10の前記化合物の結晶を接種し、0~5℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶K
r4を得るステップと
を含み、
ここで、式16-(S)-10の化合物は、ステップ(a)において及び任意選択のステップ(c)において結晶K
r1及びK
r3として得られ、式16-(R)-10の化合物は、ステップ(b)において及び任意選択のステップ(d)において結晶K
r2及びK
r4として得られる、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
C
1~3アルコール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から;又は前記溶媒とジクロロメタンとの混合物から、好ましくはメタノールとジクロロメタンとの混合物から、又はtert-ブチルメチルエーテルとジクロロメタンとの混合物から選択される溶媒から前記結晶K
r2及び/又はK
r4を再結晶する更なるステップを含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記得られた結晶K
r1又はK
r3を酸性又は塩基性条件下でエピマー化し、引き続き請求項3又は4に記載の分別結晶化を繰り返す更なるステップを含む、請求項3又は4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記エピマー化は、約15~20時間の間ずっと撹拌することによって約65~75℃でパラ-トルエンスルホン酸を使ってトルエン中で、又は約10~14時間の間ずっと撹拌することによって約55~65℃でトリエチルアミンを使って、シリカゲルの存在下に酢酸エチル中で実施される、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
式16-(R)-10の前記化合物の15-オキソ基は、シリカゲルの存在下に水素化ホウ素ナトリウムの水溶液で還元される、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
式1の前記化合物は、溶離液としてジクロロメタン:アセトンを使って好ましくはシリカゲルカラムでの、クロマトグラフィーによって単離される、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
式1の前記得られた化合物は、エーテル型溶媒又は溶媒混合物から、好ましくはtert-ブチルメチルエーテルとジイソプロピルエーテルとの混合物から結晶化される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
式16-(R,S)-10の前記化合物は、式9のアルデヒドを式3-(R,S)-4のラセミホスホネート:
【化5】
と反応させることによって調製される、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記反応は、約20~25℃で水酸化カリウム塩基を使って、又は約0~10℃で水素化ナトリウムを使って実施される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
式(3-(R,S)-4)の前記ラセミホスホネートは、変形A)又はB)に従って、以下の反応スキーム:
【化6】
(ここで、変形A)は、
式12のメチルフェニル酢酸を、ブチルリチウム又はリチウムジイソプロピルアミドなどの、強塩基の存在下で好ましくはヨウ化メチルでアルキル化するステップ;
式13の結果として生じたメチルフェニルプロピオン酸を、塩酸又は硫酸などの、酸の存在下でメタノールを使用して式14のメチルエステルへ変換するステップ;
引き続き式14の前記メチルエステルを、ブチルリチウム又はリチウムジイソプロピルアミドなどの、強塩基の存在下でジメチルメチルホスホネート(DMMP)と反応させ、それによって式3-(R,S)-4のラセミホスホネートを得るステップ
を含み;
変形B)は、
式12のメチルフェニル酢酸を、塩酸又は硫酸などの、酸の存在下でメタノールを使用して式15のメチルフェニル酢酸メチルエステルへ変換するステップ;
式15の前記メチルフェニル酢酸メチルエステルを、ブチルリチウム又はリチウムジイソプロピルアミドなどの、強塩基の存在下で好ましくはヨウ化メチルでアルキル化し、それによって式14のメチルエステルを得るステップ;
引き続き式14の前記メチルエステルを、ブチルリチウム又はリチウムジイソプロピルアミドなどの、強塩基の存在下でジメチルメチルホスホネート(DMMP)と反応させ、それによって式3-(R,S)-4のラセミホスホネートを得るステップ
を含む)
によって調製される、請求項9~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
式16-(R,S)-10:
【化7】
の化合物。
【請求項14】
式16-(R)-10:
【化8】
の化合物。
【請求項15】
式16-(S)-10:
【化9】
の化合物。
【請求項16】
式15-(R,S),16-(R)-11:
【化10】
の化合物。
【請求項17】
C
1~3アルコール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から選択される、好ましくはメタノール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から選択される溶媒を使用する式16-(R,S)-10
【化11】
の化合物の分別結晶化プロセスであって、
好ましくは、
(a)式16-(R,S)-10の前記化合物を前記溶媒に懸濁させ、懸濁液を還流させ、引き続き混合物を25~35℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶K
r1を得るステップと;
(b)洗浄液と組み合わせた濾液に、式16-(R)-10の前記化合物の結晶を接種し、懸濁液を0~5℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶K
r2を得るステップと;
任意選択的に
(c)前記前に濾過した結晶K
r1を、洗浄液と組み合わせた濾液に懸濁させ、懸濁液を還流させ、引き続き混合物を25~35℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶K
r3を得るステップと;
(d)洗浄液と組み合わせた濾液に、式16-(R)-10の前記化合物の結晶を接種し、0~5℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶K
r4を得るステップと
を含み、
ここで、
式16-(S)-10の化合物は、ステップ(a)において及び任意選択のステップ(c)において結晶K
r1及びK
r3として得られ、式16-(R)-10の化合物は、ステップ(b)において及び任意選択のステップ(d)において結晶K
r2及びK
r4として得られ、
任意選択的に、前記得られた結晶を、C
1~3アルコール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から、又は前記溶媒とジクロロメタンとの混合物から;好ましくはメタノールとジクロロメタンとの混合物から、又はtert-ブチルメチルエーテルとジクロロメタンとの混合物から選択される溶媒から再結晶するステップと
を含むプロセス。
【請求項18】
式16-(S)-10
【化12】
の化合物の調製プロセスであって、
(a)式16-(R,S)-10の化合物を、C
1~3アルコール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から選択される、好ましくはメタノール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から選択される溶媒に懸濁させ、懸濁液を還流させ、引き続き混合物を25~35℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶K
r1を得るステップと;
任意選択的に
(b)洗浄液と組み合わせた濾液に、式16-(R)-10の前記化合物の結晶を接種し、懸濁液を0~5℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過するステップと;
(c)前記前に濾過した結晶K
r1を濾液に懸濁させ、懸濁液を還流させ、引き続き混合物を25~35℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶K
r3を得るステップと;
任意選択的に、前記得られた結晶K
r1又はK
r3を、ジクロロメタンと、C
1~3アルコール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から選択される溶媒との混合物から、好ましくはメタノールとジクロロメタンとの混合物から、又はtert-ブチルメチルエーテルとジクロロメタンとの混合物から再結晶し、それによって式16-(S)-10の前記化合物を得るステップと
を含むプロセス。
【請求項19】
6.2;11.4;14.5;15.6;17.4;18.1;18.6;20.4;23.2及び24.9±0.2度2-thetaに銅アノードを用いて得られるその粉末X線回折パターンにおける主ピークを有する式1
【化13】
の化合物の結晶形態。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式1のキラルプロスタグランジンエノール中間体の調製プロセスに関する。本発明は、更に、このプロセスに使用される中間体及びそれらの調製に関する。
【背景技術】
【0002】
式1のキラルエノールは、ヒトの治療に有用な有効プロスタグランジン及びプロスタサイクリン誘導体の潜在的な重要な中間体である。
【0003】
式1の化合物は、プロスタグランジン番号付けに従って16-メチル-17-(3-メチルフェニル)-15-ヒドロキシエノールと命名される。
【化1】
【0004】
Chemical Abstractsによる式1の化合物の名前は、(3aR,4R,5R,6aS)-ヘキサヒドロ-5-ヒドロキシ-4-[(1E,3R,4R)-3-ヒドロキシ-4-(3-メチルフェニル)-1-ペンテン-1-イル]-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オンである。
【化2】
【0005】
式1の化合物の調製は、特許文献1及び特許文献2に記載されている。式1の化合物は、前記文書に特許請求されている、プロスタグランジン誘導体の中間体である。
【0006】
上記の文書に記載されている公知のプロセスによれば(引用された出願において、式1の化合物の調製のために同じ方法が記載されている)、光学活性2-(R)-(3-メチルフェニル)プロピオン酸(2)が、メタノール及び硫酸でメチルエステル(3)に変換され、メチルエステル(3)をジメチルメチルホスホネート(DMMP)と反応させることによって、キラルホスホネート(4)が調製された。キラルホスホネート(4)は、ジメトキシエタン(DME)中で水素化ナトリウム塩基の存在下に、Horner-Wadsworth-Emmons(HWE)反応でベンゾイル-Coreyアルデヒド(5)と反応させられた。結果として生じた保護されたエノン(6)は、ベンゾイルエノール(7)へと-40℃においてTHF中で(-)-B-クロロ-ジイソピノカンフェイルボラン、((-)-DIP-Cl)で還元された。ベンゾイルエノールは、精製されなかった。ベンゾイル基は、メタノール性炭酸カリウムで除去されて式1のキラルエノールを与え、それは、溶離液としてヘキサン:酢酸エチル及び酢酸エチルを使ってシリカゲルカラムでのクロマトグラフィーによって精製された。生成物の結晶化又は状態は全く記載されていない。
【化3】
【0007】
キラル出発原料を使用する公知のプロセスの全収率は、ベンゾイル-Coreyアルデヒド(5)を基準として計算される17%である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2010029925 A1号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2011111714 A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
公知のプロセスの不利点は、次のとおりである:
・ 側鎖の形成が、高価な3-(R)-光学活性ホスホネート(4)を使って実施される;ホスホネート(4)の合成のための出発原料は、高価な、キラル2-(R)-(3-メチルフェニル)プロピオン酸(2)である、
・ HWE反応の塩基性条件(NaH、DME)下で、キラル側鎖が容易にラセミ化でき、6エノンの光学純度の低下をもたらす、
・ 6エノンの15-オキソ基の還元が、-40℃での低温凍結での反応において、大過剰の高価なキラル試薬((-)-DIP-Cl)を使って実施される。
【0010】
それ故、より穏和な反応条件で、より容易に入手可能な出発原料を使用して、式1の化合物をより経済的に製造するためのプロセスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
我々は、
・ アルデヒド(5)のベンゾイル保護基が、15-オキソ基の還元を容易にするために、p-フェニルベンゾイル基で置き換えられた、
・ 側鎖が構築された後に結晶質エノンを得、それが、分別結晶化によってエノンジアステレオマーの分離を可能にした、
・ 側鎖の形成が、安価なラセミホスホネート(3-(R,S)-4)を使って実施される、
・ HWE反応にラセミホスホネートを使用することによって、塩基性媒体中でラセミ化を受け、製造収率及び光学純度を下げる、キラルホスホネートを使用する不利点を回避する、
・ エノンの15-オキソ基は、容易にアクセスできる試薬で還元することができ、その結果エネルギー集約的低温凍結を必要とする化学反応を用いる必要がない
プロセスを開発した。
【0012】
我々の発明の重要な要素は、結晶質である、ラセミ側鎖を含有する新規エノン中間体(16-(R,S)-10)と、分別結晶化によるエノンジアステレオマーの成し遂げられた分離とを提供することである。
【0013】
したがって、本発明は、式1
【化4】
の化合物の調製プロセスであって、
式16-(R,S)-10の化合物を、分別結晶化によってそのジアステレオマー16-(R)-10と16-(S)-10とへ分離するステップ、
【化5】
式16-(R)-10の化合物の15-オキソ基を還元し、それによって式15-(R,S),16-(R)-11の化合物を得るステップ、
【化6】
式15-(R,S),16-(R)-11の化合物の保護基を除去し、式1の化合物を単離するステップ、
【化7】
及び任意選択的に、式1の化合物を結晶化させるステップ
を含むプロセスに関する。
【0014】
式16-(R,S)-10の化合物の分別結晶化のために使用される溶媒は、好ましくは、C1~3アルコール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から選択される。メタノール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物が好ましい。tert-ブチルメチルエーテルが特に好ましい。
【0015】
式16-(R,S)-10の化合物の分別結晶化は、好ましくは、
(a)式16-(R,S)-10の化合物を溶媒に懸濁させ、懸濁液を還流させ、引き続き混合物を25~35℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶Kr1を得るステップと;
(b)洗浄液と組み合わせた濾液に、式16-(R)-10の化合物の結晶を接種し、懸濁液を0~5℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶Kr2を得るステップと;
任意選択的に
(c)前に濾過した結晶Kr1を、洗浄液と組み合わせた濾液に懸濁させ、懸濁液を還流させ、引き続き混合物を25~35℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶Kr3を得るステップと;
(d)洗浄液と組み合わせた濾液に、式16-(R)-10の化合物の結晶を接種し、0~5℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶Kr4を得るステップと
を含む。
【0016】
式16-(S)-10の化合物は、ステップ(a)において及び任意選択のステップ(c)において結晶Kr1及びKr3として得られ、式16-(R)-10の化合物は、ステップ(b)において及び任意選択のステップ(d)において結晶Kr2及びKr4として得られる。
【0017】
ステップ(a)における及び任意選択のステップ(c)における結晶Kr1及びKr3は、異性体16-(S)-10を主に含有する。それ故、結晶Kr1及びKr3は、本説明において式16-(S)-10又は16-(S)-PPB-エノンの化合物とも呼ばれる。
【0018】
ステップ(b)における及び任意選択のステップ(d)における結晶Kr2及びKr4は、異性体16-(R)-10を主に含有する。それ故、結晶Kr2及びKr4は、本説明において式16-(R)-10又はPPB-エノンの化合物とも呼ばれる。
【0019】
ステップ(a)において及び任意選択のステップ(c)において、還流後に、混合物は、好ましくは30~32℃に冷却され、この温度で撹拌される。
【0020】
25~35℃での(好ましくは30~32℃での)ステップ(a)における及び任意選択のステップ(c)における、並びに0~5℃でのステップ(b)における及び任意選択のステップ(d)における、撹拌は、好ましくは約0.5~3時間、より好ましくは約30~60分間続行される。
【0021】
収率を最大限にするために、任意選択のステップ(c)及び(d)が、好ましくはその上実施される。
【0022】
得られた結晶Kr2及び/又はKr4は、任意選択的に、好ましくはC1~3アルコール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から;又は前記溶媒とジクロロメタンとの混合物から選択される溶媒から再結晶される。再結晶のために、メタノールとジクロロメタンとの混合物、又はtert-ブチルメチルエーテルとジクロロメタンとの混合物が特に好ましく、ここで、ジクロロメタンの比率は、好ましくは、最大でも30vol%であり;例えばメタノール:ジクロロメタン5:1混合物又はtert-ブチルメチルエーテル:ジクロロメタン5:1混合物である。
【0023】
本発明の別の重要な態様は、分別結晶化によって得られた「ふさわしくない」16-(S)-異性体を容易にエピマー化できることを我々が見いだしたことである。それ故、収率を上げるために、得られた結晶Kr1又はKr3は、好ましくはエピマー化され、上記の分別結晶化が繰り返される。
【0024】
エピマー化は、酸性条件か又は塩基性条件下かのどちらかで実施することができる。エピマー化は、例えば、トリエチルアミンを使ってシリカゲルの存在下に酢酸エチル中で、又は酸化アルミニウムの存在下に酢酸エチル中で、又はパラ-トルエンスルホン酸を使ってトルエン中で実施することができる。
【0025】
好ましくは、エピマー化は、約15~20時間中撹拌することによって約65~75℃でパラ-トルエンスルホン酸を使ってトルエン中で、又は約10~14時間中撹拌することによって約55~65℃でトリエチルアミンを使ってシリカゲルの存在下に酢酸エチル中で実施される。
【0026】
式16-(R)-10の化合物の15-オキソ基は、当技術分野において公知の方法を用いて、好ましくはシリカゲルの存在下に水素化ホウ素ナトリウムの水溶液で還元することができる。
【0027】
式15-(R,S)-16-(R)-11の化合物の保護基は、公知の方法を用いて、例えば、炭酸カリウムの存在下でのメタノール分解によって、又はNaOMe/メタノール、好適な水性-有機溶媒混合物中のNaOH若しくは他の塩基を使用することによって、又はアルコール中の鉱酸によって等で除去することができる。
【0028】
脱保護後に、所望の生成物が単離される。単離は、結晶化若しくはクロマトグラフィー、又はそれらの組合せなどの、公知の方法を用いて実施され得る。好ましくは、クロマトグラフィーが適用され、その方法によって、所望の15-エピマーを、単一ステップで望ましくないものから及び他の不純物から分離することができる。クロマトグラフィーは、ジクロロメタン:アセトン溶離液を使って、好ましくはジクロロメタン:アセトン=7:1混合物、引き続き2:1混合物を使って例えばシリカゲルカラムで実施され得る。
【0029】
生成物を含有する分画は、好ましくは組み合わせられ、蒸発させられ、それによって生成物がオイルの形態で得られる。任意選択的に、蒸発残渣は、結晶化させられ、それによって式1の結晶質ヒドロキシエノールが得られる。ヒドロキシエノールは、好ましくは、エーテル型溶媒又は溶媒混合物から、例えばtert-ブチルメチルエーテルとジイソプロピルエーテルとの混合物から結晶化させられる。
【0030】
式16-(R,S)-10の化合物は、好ましくは、式9のアルデヒドを式3-(R,S)-4のラセミホスホネートと反応させることによって調製される:
【化8】
【0031】
文献においてHorner-Wadsworth-Emmons(HWE)として知られる、上記の反応は、様々な塩基を使用して;好ましくは約20~25℃で水酸化カリウム塩基を使って、又は約0~10℃で水素化ナトリウムを使って実施され得る。
【0032】
HWE反応の出発原料の1つ、式9のアルデヒドは、好ましくは、当技術分野において公知の方法で、例えばリン酸の存在下にジメチルスルホキシド及び例えばジシクロヘキシルカルボジイミドで、又はニトロキシルラジカルを含有する触媒の存在下で次亜塩素酸ナトリウムで、好ましくはニトロキシルラジカルを含有する触媒の存在下で次亜塩素酸ナトリウムで、式8のPPB-Coreyラクトンを酸化することによって調製される:
【化9】
【0033】
式8の化合物(PPB-Coreyラクトン)は、多数のプロスタグランジン誘導体のための出発原料であるため、プロスタグランジン化学において多量に入手可能な、容易にアクセスできる化合物である。
【0034】
HWE反応の他の出発原料は、ラセミホスホネート(3-(R,S)-4)である。式4の光学活性ホスホネート及び式(3-(R,S)-4)のラセミホスホネートは、公知の化合物である(国際公開第2011111714 A1号パンフレット、国際公開第2010029925 A1号パンフレット)。キラルホスホネートは、費用のかかるプロセスによって高価なキラルカルボン酸(J.Chem.Soc.,Perkin Trans.2,1998,pp 1767-1775に公表された研究は、出発キラルカルボン酸それ自体を得ることの困難さを強調している)から調製することができるが、一方、ラセミ化合物は、費用のかからないプロセスによって安価なラセミカルボン酸から調製することができる。
【0035】
工業規模生産に好適である、ラセミ化合物の調製のための2つのプロセス変形が提供される。
【0036】
したがって、式(3-(R,S)-4)のラセミホスホネートは、有利には、変形A)又はB)に従って、以下の反応スキーム:
【化10】
(ここで、変形A)は、
式12のメチルフェニル酢酸を、ブチルリチウム又はリチウムジイソプロピルアミドなどの、強塩基の存在下で好ましくはヨウ化メチルでアルキル化するステップ;
式13の結果として生じたメチルフェニルプロピオン酸を、塩酸又は硫酸などの、酸の存在下でメタノールを使用して式14のメチルエステルへ変換するステップ;
引き続き式14のメチルエステルを、ブチルリチウム又はリチウムジイソプロピルアミドなどの、強塩基の存在下でジメチルメチルホスホネート(DMMP)と反応させ、それによって式3-(R,S)-4のラセミホスホネートを得るステップ
を含み;
変形B)は、
式12のメチルフェニル酢酸を、塩酸又は硫酸などの、酸の存在下でメタノールを使用して式15のメチルフェニル酢酸メチルエステルへ変換するステップ;
式15のメチルフェニル酢酸メチルエステルを、ブチルリチウム又はリチウムジイソプロピルアミドなどの、強塩基の存在下で好ましくはヨウ化メチルでアルキル化し、それによって式14のメチルエステルを得るステップ;
引き続き式14の前記メチルエステルを、ブチルリチウム又はリチウムジイソプロピルアミドなどの、強塩基の存在下でジメチルメチルホスホネート(DMMP)と反応させ、それによって式3-(R,S)-4のラセミホスホネートを得るステップ
を含む)
によって調製される。
【0037】
本発明の更なる目的は、以下の新規中間化合物:
式16-(R,S)-10:
【化11】
の化合物、
式16-(R)-10:
【化12】
の化合物、
式16-(S)-10:
【化13】
の化合物、
及び式15-(R,S),16-(R)-11:
【化14】
の化合物である。
【0038】
これらの化合物は、プロスタグランジン及びプロスタサイクリン誘導体の調製のための中間体として有用である。
【0039】
本発明の更なる目的は、C1~3アルコール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から選択される、好ましくはメタノール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から選択される溶媒を使用する、式16-(R,S)-10の化合物の分別結晶化プロセスであって、
好ましくは、
(a)式16-(R,S)-10の化合物を溶媒に懸濁させ、懸濁液を還流させ、次いで混合物を25~35℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶Kr1を得るステップと;
(b)洗浄液と組み合わせた濾液に、式16-(R)-10の化合物の結晶を接種し、懸濁液を0~5℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶Kr2を得るステップと;
任意選択的に
(c)前に濾過した結晶Kr1を、洗浄液と組み合わせた濾液に懸濁させ、懸濁液を還流させ、次いで混合物を25~35℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶Kr3を得るステップと;
(d)洗浄液と組み合わせた濾液に、式16-(R)-10の化合物の結晶を接種し、0~5℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶Kr4を得るステップと
を含み、
ここで、
式16-(S)-10の化合物は、ステップ(a)において及び任意選択のステップ(c)において結晶Kr1及びKr3として得られ、式16-(R)-10の化合物は、ステップ(b)において及び任意選択のステップ(d)において結晶Kr2及びKr4として得られる
プロセスである。
【0040】
両異性体とも、好ましくは、C1~3アルコール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から;又は前記溶媒とジクロロメタンとの混合物から;好ましくはメタノールとジクロロメタンの混合物から、又はtert-ブチルメチルエーテルとジクロロメタンとの混合物から選択される溶媒からの、再結晶によって更に精製することができる。
【0041】
本発明の更なる目的は、式16-(S)-10の化合物の調製プロセスであって、
(a)式16-(R,S)-10の化合物を、C1~3アルコール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から選択される、好ましくはメタノール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から選択される溶媒に懸濁させ、懸濁液を還流させ、引き続き混合物を25~35℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶Kr1を得るステップと;
任意選択的に
(b)洗浄液と組み合わせた濾液に、式16-(R)-10の化合物の結晶を接種し、懸濁液を0~5℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過するステップと;
(c)前に濾過した結晶Kr1を濾液に懸濁させ、懸濁液を還流させ、引き続き混合物を25~35℃に冷却し、温度を維持しながら撹拌し、引き続き沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、それによって結晶Kr3を得るステップと;
任意選択的に、得られた結晶Kr1又はKr3を、ジクロロメタンと、C1~3アルコール、tert-ブチルメチルエーテル及びそれらの混合物から選択される溶媒との混合物から;好ましくはメタノールとジクロロメタンとの混合物から、又はtert-ブチルメチルエーテルとジクロロメタンとの混合物から再結晶し、それによって式16-(S)-10の化合物を得るステップと
を含むプロセスである。
【0042】
本発明の別の目的は、6.2;11.4;14.5;15.6;17.4;18.1;18.6;20.4;23.2及び24.9±±0.2度2-thetaに、銅アノードを用いて得られるその粉末X線回折パターンにおける主ピークを有する式1
【化15】
の化合物の結晶形態である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】実施例1に従って調製された16-(R,S)-PPB-エノンのDSC曲線を示す。
【
図2】実施例1に従って調製された16-(R,S)-PPB-エノンの粉末X線回折パターンを示す。
【
図3】実施例3.aに従って調製された16-(R)-PPB-エノンのDSC曲線を示す。
【
図4】実施例3.aに従って調製された16-(R)-PPB-エノンの粉末X線回折パターンを示す。
【
図5】実施例3.bに従って調製された16-(R)-PPB-エノンのDSC曲線を示す。
【
図6】実施例3.bに従って調製された16-(R)-PPB-エノンの粉末X線回折パターンを示す。
【
図7】実施例4に従って調製された16-(S)-PPB-エノンのDSC曲線を示す。
【
図8】実施例4に従って調製された16-(S)-PPB-エノンの粉末X線回折パターンを示す。
【
図9】実施例7に従って調製された結晶質ヒドロキシエノールのDSC曲線を示す。
【
図10】実施例7に従って調製された結晶質ヒドロキシエノールの粉末X線回折パターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本説明において用いられる用語及び略語
本明細書で用いるところでは、不斉炭素原子に関連して、
R記号は、Cahn-Ingold-Prelog則による置換基の結合順が時計回りであることを意味し、
S記号は、Cahn-Ingold-Prelog則による置換基の結合順が反時計回りであることを意味し、
R,S記号は、Cahn-Ingold-Prelog則による置換基の結合順が同じ割合で時計回り及び反時計回りであることを意味する。
【0045】
エナンチオマーは、全ての不斉炭素原子が互いに逆の立体配置を有するそれらの立体異性分子である(すなわち、それらは互いに鏡像である)。
【0046】
ジアステレオマーは、互いに鏡像関係にはない、それらの立体異性分子である。
【0047】
エピマーは、ただ一つのキラル中心の立体配置においてのみ異なる、それらのジアステレオマーである。
【0048】
本説明において、比率が液体に関連して与えられる場合、それらは、体積/体積比であることを意味する。
【0049】
好ましくは、完全プロセスの出発原料は、PPB保護基を含有するCoreyラクトン(8)であり、それは、第1の反応ステップにおいてアルデヒド(9)へと酸化され、9アルデヒドは、Horner-Wadsworth-Emmons(HWE)反応において3-(R,S)-4ラセミホスホネートと反応させられる。
【0050】
本プロセスの出発原料は、直接には、式9のアルデヒドであり得る。しかしながら、アルデヒドはより不安定であり、PPB-Coreyラクトン8がより容易に入手可能であり、貯蔵するのがより容易であり、そのため後者の使用がより好都合である。
【0051】
得られたエノンジアステレオマー(16-(R,S)-10)は、分別結晶化によって分離される。
【0052】
望ましくない、「ふさわしくない」異性体(16-(S)-10)は、酸性媒体又は塩基性媒体中でエピマー化することができる。約1:1の異性体比16-(R)-10:16-(S)-10に達した後に、更なる量の所望の異性体、PPB-エノンを分別結晶化によって得ることができる。
【0053】
PPB-エノンの結晶は組み合わせられ、15-オキソ基は、ヒドロキシル基へと還元される。p-フェニルベンゾイル保護エノール(15-(R,S),16-(R)-11)の保護基を除去した後、式1の所望の化合物が単離される。
【化16】
【0054】
PPB-Coreyラクトンから出発する、全体プロセスの個々のステップが、以下に詳述される。
【0055】
ステップ1:酸化
PPB保護Coreyラクトン(8)の第一級ヒドロキシル基は、第一級ヒドロキシル基をアルデヒドに選択的に変換する任意の公知の酸化方法によって酸化することができる。酸化方法は、例えば、
・ コリンズ試薬(三酸化クロム-ピリジン錯体、CrO3・Py2))、重クロム酸ピリジニウム、又はクロロクロム酸ピリジニウムなどのクロム含有酸化剤
・ Dess-Martin酸化などの超原子価ヨウ素試薬
・ Swern酸化、Pfitzner-Moffatt酸化などの、活性化ジメチルスルホキシド(DMSO)
・ ニトロキシルラジカル[TEMPO(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル)又はAZADO(2-アザアダマンタン-N-オキシル)などの]を含有する触媒の存在下での次亜塩素酸ナトリウム(水溶液又は結晶質五水和物)
を含み得る。
【0056】
PPB-Coreyラクトンの酸化は、活性化ジメチルスルホキシド-DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)を含むPfitzner-Moffatt酸化系及び次亜塩素酸ナトリウム-TEMPO酸化剤を使用するAnelli酸化で行われる。
【0057】
Pfitzner-Moffatt酸化(J.Am.Chem.Soc.,1963,85,3027-3028):
【化17】
Anelli酸化(J.Org.Chem.,1987,52,2559-2562):
【化18】
【0058】
両方の酸化は、PPB-Coreyアルデヒド(9)の調製に好適である。Horner-Wadsworth-Emmons(HWE)反応の前にアルデヒドを単離することは必要ではない。
【0059】
しかしながら、Pfitzner-Moffatt酸化手順は、非常に不快な副生成物、嫌な臭気を有する、ジメチルスルフィド、及びDCU(ジシクロヘキシル尿素)を生み出すため、Anelli酸化がより好ましいと考えられる。DCUの除去は、よく結晶化するDCUは結晶質PPB-エノンを汚染するため、PPB-エノンを精製するときに費用のかかる及び時間を消費するカラムクロマトグラフィーを必要とする。
【0060】
酸化後に、敏感なアルデヒドを反応混合物から単離することは必要ではなく;好ましくは、結果として生じた反応混合物は、次の反応ステップに運ばれる。
【0061】
ステップ2:HWE反応
p-フェニルベンゾイル保護基を含有するCoreyアルデヒド(9)は、HWE反応(R.Bruckner,Organic Mechanism,M.Harmata編、Springer-Verlag Berlin Heidelberg 2010)を用いてラセミホスホネート(3-(R,S)-4)と反応させられる。ホスホネートアニオンの形成のために文献において利用可能な幾つかの塩基があり;これらのうちで、水素化ナトリウム及び水酸化カリウムが我々の実験のために選択された。
【化19】
【0062】
両方の場合に、ホスホネートアニオンとPPB-Coreyアルデヒド(9)との間のHWE反応が完全であったため、ホスホネートアニオンの形成は、両塩基で適切であった。しかしながら、スケールアップの観点から、水酸化カリウム溶液の使用が好ましい。
【0063】
水酸化カリウム溶液は、空気湿度に敏感である、水素化ナトリウム分散系よりも取り扱うのがはるかに容易であり、そのため無水媒体を必要とせず、且つアニオン形成及びHWE反応は、NaH塩基を使用する場合よりも少ない冷却エネルギーを必要とする。
【0064】
16-(R,S)-PPB-エノン(16-(R,S)-10)の収率は、酸化がAnelli方法によって実施され、水酸化カリウム溶液がホスホネートアニオンを形成するために使用された場合に最高であった。この場合に、イソプロパノールから結晶化させられた、16-(R,S)-PPB-エノンの収率は85%であった。生成物は、1:1の比でPPB-エノン(16-(R)-10)(「適した」)と、そのエピマー、16-(S)-PPB-エノン(16-(S)-10)(「ふさわしくない」)異性体とを含有する。
【化20】
【0065】
ステップ3:分別結晶化
ジアステレオマーの物理的特性が異なることは化学文献において周知である(例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/Diastereomer、2019年5月20日にダウンロードされた)。したがって、開発の早期段階において、我々は、カラムクロマトグラフィーによってPPB-エノンジアステレオマーを分離することを試みた。我々は、良好な収率での効果的な、工業的に適用できるクロマトグラフ分離を見いださなかったが、我々は、この技法によって純粋なエピマーを得た。クロマトグラフ分離後に得られた両異性体(16-(R)-10及び16-(S)-10)は、結晶質であった。
【0066】
その後、ジアステレオマーの分別結晶化のための幾つかの溶媒が試みられ、C1~3アルコール及びtert-ブチルメチルエーテルがこの目的に好適であることが分かった。
【0067】
それらを使って結晶化が試みられた溶媒のいくつかへのPPB-エノン異性体の溶解度(g/100ml)が以下に示される。
【0068】
【0069】
溶解度データに基づき、C1~3アルコール及びtert-ブチルメチルエーテル(TBME)における分別結晶化は、比較的良好な収率で行うことができる(しかしながら、同様にエーテル型である、ジイソプロピルエーテル(DIPE)は、溶解度の観点から、好適ではないことが注目されるべきである)。メタノール及びtert-ブチルメチルエーテル並びにこれらの溶媒の混合物が特に好ましい。
【0070】
結晶化手順を数回繰り返すと、メタノールの場合に、第1世代生成物はいくつかのバッチにおいて2、3パーセントより高い16-(S)-PPB-エノン含有量で結晶化することが分かった。実験は、TBMEの使用がこの技術をより確固不動のものにすることを示し、メタノールに反して、例外が観察されることはなかった。更なる利点は、16-(S)-誘導体が室温で両溶媒に等しく不溶性でありながら、「適した」異性体がメタノールによりもTBMEにわずかにより溶けやすいことである。これは、我々がはるかによりきれいな生成物を得た理由であり得る。既に第1世代において、16-(S)不純物は、約2.5%にすぎず、それは、再結晶後に約0.5%に低下する。最終生成物中の不純物の総量が1.5%を超え得ないため、これは非常に有利である。こうして、より少ない結晶化ステップがより純粋な生成物をもたらす。
【0071】
加えて、最終生成物からの16-(S)不純物の除去は、はるかにより困難であり、ヒドロキシエノール(1)の多数の再結晶を必要とし、そのため初めにより純粋な生成物を得ることが特に有利である。
【0072】
TBME及びメタノールにおける分別結晶化の比較:
【0073】
【0074】
上記に基づき、とりわけ工業規模での、分別結晶化のために、tert-ブチルメチルエーテルが特に好ましい溶媒である。
【0075】
アルコールに及びTBMEにの両方で、より溶けにくい16-(S)-PPB-エノン(16-(S)-10)が、約30℃での、分別結晶化中に先ず沈澱する。
【0076】
分別結晶化は、好ましくは、約15~60分間、16-(R,S)-PPB-エノンをtert-ブチルメチルエーテル中で若しくはC1~3アルコール中で、又はそれらの混合物中で還流させることによって実施され、次いで反応混合物は、約25~35℃に、好ましくは約30~32℃に冷却され、温度を維持しながら、更なる0.5~3時間、好ましくは約30分間撹拌される。
【0077】
16-(S)-PPB-エノンの沈澱した結晶(Kr1)は、濾過され、濾液は、PPB-エノン種晶を接種され、約0~5℃に冷却され、所望の異性体(16-(R)-異性体)が、0.5~3時間にわたって、好ましくは約1時間にわたって結晶化させられる(Kr2)。
【0078】
PPB-エノン種晶は、溶離液としてクロロホルム:tert-ブチルメチルエーテルを使ったシリカゲルカラムでのジアステレオマー混合物のカラムクロマトグラフィーによって得られた。
【0079】
好ましくは、濾過されたKr1結晶を母液に添加し、懸濁液を再加熱して還流させ、結晶化プロセスを繰り返すことによって追加の16-(R)-異性体、PPB-エノンを結晶化混合物から回収することができる。16-(S)-PPB-エノン(Kr3)は、約25~35℃で結晶化させられ、その後、母液は、PPB-エノン結晶を接種され、0~5℃に冷却され、第2世代のPPB-エノン結晶が得られる(Kr4)。
【0080】
実験データに基づき、メタノール又はメタノール含有結晶化溶媒混合物の使用は、所望のエピマー純度の生成物を生み出すためにより多くの再結晶を必要とする。
【0081】
以下の具体的な例のデータに基づく、TBMEからの分別結晶化の収率:
PPB-エノン(Kr2及びKr4を一緒にした)の収率:出発16-(R,S)-PPB-エノン(16-(R,S)-10)を基準として計算される:31%、それに含有されるPPB-エノン(16-(R)-10)を基準として:62%。
【0082】
組み合わせられたKr2及びKr4結晶は、TBME:ジクロロメタン混合物から再結晶することができる。再結晶の収率は98%である。
【0083】
16-(S)-PPB-エノン(Kr3の量)の収率:出発16-(R,S)-PPB-エノン(16-(R,S)-10)を基準として計算される:48.5%。
【0084】
エピマー化
我々のプロセスの更なる利点は、「ふさわしくない」異性体、16-(S)-PPB-エノン(16-(S)-10)を、塩基性媒体中及び酸性媒体中の両方でエピマー化できることである。
【0085】
エピマー化に関して、分子は塩基に及びその上酸にも敏感である(分解/脱離を予期することができる)ため、化合物が許容できる収率でエピマー化できることが意外にも見いだされたことは注目される。これは、酸性条件及び塩基性条件の両方に関して真実である。エピマー化平衡は、およそ1:1の異性体比においてである。1:1の比率でPPB-エノンジアステレオマーを含有する、反応混合物から、分別結晶化によって追加のPPB-エノンを得ることができる。1エピマー化によってこのようにして達することができる、収率増加は、用いられる条件に応じて、16-(R,S)-PPB-エノンを基準として計算されるおよそ12~17%(16-(S)PPB-エノンを基準として24~34%)である。
【0086】
16-(S)-PPB-エノンの繰り返しエピマー化は、PPB-エノンの収率を著しく高め得る(理論的にはほとんど100%まで)が、エピマー化中に形成される副生成物は、PPB-エノンの最大収率をかなり低下させる。我々の経験では、エピマー化の繰り返しは、収率の注目すべ増加をもたらさない。
【化21】
【0087】
エピマー化によって得られるPPB-エノン結晶を考慮すると、PPB-エノンの収率は、47%(16-(R,S)-PPB-エノンを基準として計算される)である。
【0088】
組み合わせられたPPB-エノン結晶は、必要ならば、それらの純度を更に高めるためにジクロロメタン:TBME混合物から98%の収率で再結晶することができる。
【0089】
ステップ4:還元
次のステップは、PPB-エノン(16-(R)-10)の15-オキソ基の還元である。還元中に、予期される生成物、PPB-エノール(15-(R),16-(R)-11)に加えて、エピマー不純物、15-(S)-PPB-エノール(15-(S),16-(R)-11)もまた形成される。
【化22】
【0090】
還元は、当技術分野において慣習的な方法に従って実施され得る。
【0091】
シリカゲルの存在下での水性水素化ホウ素ナトリウムでの還元(米国特許第6482959 B1号明細書)は、予期される異性体が大量に生み出されることを示した。還元後に、粗生成物中の異性体比は、PPB-エノール:15-(S)-PPB-エノール=6:4であった。
【0092】
還元後に、クエンチされた及びワーク-アップされた反応混合物は、ジアステレオマーの分離なしに、次の反応ステップに運ばれた。
【0093】
ステップ5:脱保護、単離及び結晶化
最後の変換は、p-フェニルベンゾイル保護基の除去であり、それは、例えばプロスタグランジン化学において一般的に用いられる公知の方法によって、炭酸カリウムの存在下でのメタノール分解によって実施することができる。他の試薬、例えばNaOMe/メタノール、好適な水性-有機溶媒混合物中のNaOH若しくは他の塩基、又はアルコール中の鉱酸もまた使用され得る。
【0094】
所望の生成物は、次いで、結果として生じた混合物から単離される。単離は、結晶化若しくはクロマトグラフィー、又はそれらの組合せなどの、当技術分野において公知の方法を用いて実施され得る。好ましくは、クロマトグラフィーが適用され、その方法によってワンステップで望ましくないエピマーから及び他の不純物から所望の15エピマーを分離することができる。
【0095】
クロマトグラフィーは、好ましくは、例えば、溶離液としてジクロロメタン:アセトンを使ってシリカゲルカラムで実施される。所望のエピマーを含有する分画が組み合わせられ、蒸発させられる。
【0096】
蒸発残渣は、式1のヒドロキシエノール生成物に相当する。
【0097】
ヒドロキシエノール1はまた、必要ならば、エーテル型溶媒若しくはエーテル型溶媒混合物からの、好ましくはtert-ブチルメチルエーテルとジイソプロピルエーテルとの混合物からの残渣の結晶化によって、結晶形態で得ることができる。
収率:48% オイルの形態でのヒドロキシエノール(1)[PPB-エノン(16-(R)-10)を基準として計算される]
収率:35% 結晶質ヒドロキシエノール(1)[PPB-エノン(16-(R)-10)を基準として計算される]
【0098】
出発原料として使用される、ラセミホスホネート(3-(R,S)-4)の調製
HWE反応のために必要とされるラセミホスホネート(3-(R,S)-4)は、公知の化学ステップによって公知の化合物から調製することができる。我々の実験に関しては、ラセミホスホネート(3-(R,S)-4)は、3-メチルフェニル酢酸から出発して、2つの方法で調製された。
【0099】
方法Aによれば、メチルフェニル酢酸(12)は、第1ステップにおいてアルキル化され、結果として生じたメチルフェニルプロピオン酸(13)は、メチルエステル(14)に変換され、メチルエステルは、強塩基の存在下でジメチルメチルホスホネート(DMMP)と反応させられ、それによってラセミホスホネート(3-(R,S)-4)を得た。
【0100】
方法Bによれば、最初の2つのステップが入れ替えられる、すなわち、出発メチルフェニル酢酸(12)が先ずメタノールでエステル化され、結果として生じたメチルフェニル酢酸メチルエステル(15)が、メチルフェニルプロピオン酸メチルエステル(14)を得るためにアルキル化された。
【化23】
【0101】
方法A)
メチルフェニル酢酸(12)のアルキル化は、塩基としてブチルリチウム又はリチウムジイソプロピルアミド(LDA)を使用して、ヨウ化メチルで実施された。転化率は、両塩基に関して99.5%超であったが、工業的実現可能性を考慮すると、リチウムジイソプロピルアミドが、低温凍結を必要とせず、且つスケールアップするのにより安全であるため好ましい。
【0102】
メチルフェニルプロピオン酸(13)のエステル化は、濃塩酸又は濃硫酸の存在下でメタノールで行われた。転化率は、両酸に関して95%超であり、そのため腐食性の少ない硫酸の使用がより好ましいと考えられる。
【0103】
ホスホネート(3-(R,S)-4)は、強塩基の存在下でメチルフェニルプロピオン酸メチルエステル(14)をジメチルメチルホスホネート(DMMP)と反応させることによって調製された。この場合に使用される塩基は、また、ブチルリチウム又はリチウムジイソプロピルアミドであった。ブチルリチウムの使用は、より少ない副生成物を生成したが、反応が低温凍結を必要とし、一方、リチウムジイソプロピルアミド塩基に関する反応温度は、0~10℃である(J.Org.Chem.2009,74,7574-7576)。
【0104】
方法B)
方法B)において、メチルフェニル酢酸(12)が第1の反応ステップにおいてエステル化される。エステル化は、濃硫酸の存在下にメタノール中で実施された。結果として生じたメチルフェニル酢酸メチルエステル(15)は、LDAの存在下にヨウ化メチルでアルキル化された。
【0105】
このようにして得られたメチルフェニルプロピオン酸メチルエステル(14)は、方法A)において記載されたようにホスホネート(3-(R,S)-4)に変換された。
【0106】
上記の方法(A及びBの両方)は、3-(R,S)-4の調製のための工業的に適用できるプロセスを提供する。
【0107】
メチルフェニル酢酸を基準として計算される式3-(R,S)-4の化合物の収率(ルートA、実施例8.1.2、8.1.3及び8.1.5)は90.2%であり、(ルートB、実施例8.2):92.9%であった。
【0108】
要約すれば、式1の光学活性ヒドロキシエノールの調製のための新規プロセスが開示される。式1のヒドロキシエノールは、プロスタグランジン及びプロスタサイクリン最終生成物及び誘導体の、例えば国際公開第2010029925 A1号パンフレット及び国際公開第2011111714 A1号パンフレットに記載されるものの合成における貴重な中間体であることができる。
【0109】
我々は、容易に入手可能な出発原料から、結晶質であり、且つ分別結晶化によってジアステレオマーへ分離することができる、新規中間体、16-(R,S)-PPB-エノンを調製できることを見いだした。
【0110】
我々はまた、望ましくない異性体、16-(S)-PPB-エノンを、塩基性媒体中及び酸性媒体中の両方でエピマー化できることを見いだした。平衡反応混合物において、ジアステレオマーの比率は、PPB-エノン:16-(S)-PPB-エノン=1:1である。
【0111】
エピマー化後に、分別結晶化は、追加量の所望の異性体、PPB-エノンを提供することができる。
【0112】
PPB-エノン及びその16-エピマー、16-(S)-PPB-エノン、並びに16-(R,S)-PPB-エノンは、新規化合物である。
【0113】
我々は、PPB-エノン(16-(R)-10)を、シリカゲルの存在下に水素化ホウ素ナトリウムの水溶液で有利に還元できることを見いだした。還元中に形成されるジアステレオマーの比率はPPB-エノール:15-(S)-PPB-エノール=6:4である。
【0114】
PPB-エノール及びその15-エピマー、15-(S)-PPB-エノール、並びに15-(R,S)-PPB-エノールは、新規化合物である。
【0115】
好ましくは、式16-(R,S)-10の化合物は、大量にプロスタグランジン化学において入手可能である、p-フェニルベンゾイル(PPB)保護基を含有する光学活性Coreyラクトン(8)から、及び順繰りに安価な出発原料から簡単に調製することができる、式3-(R,S)-4のラセミホスホネートから、PPB-Coreyラクトン(8)の第一級ヒドロキシル基の酸化及びこのようにして得られたPPB-Coreyアルデヒド(9)のHorner-Wadworth-Emmons(HWE)反応でのラセミホスホネート(3-(R,S)-4)との反応によって調製することができる。生成物、16-(R,S)-PPB-エノンは、16-メチル基の立体配置が異なる、ジアステレオマーを1:1の比率で含有する。
【0116】
本発明のプロセス及び公知のプロセスの収率に関連して、我々は、下記:
式4のホスホネート及び式3-(R,S)-4のラセミホスホネート(側鎖を形成するために使用される出発原料)の調製:
- 公知のプロセス、キラル合成(欧州特許第2343292号明細書の実施例1及び2):
式2の2-(R)-(3-メチルフェニル)プロピオン酸を基準とする式4のキラルホスホネートの収率:75.9%
- 本明細書に記載されるラセミ合成:
ルートA)(実施例8.1.2、8.1.3.、及び8.1.5.):式13のラセミ(3-メチルフェニル)プロピオン酸を基準とする式3-(R,S)-4のラセミホスホネートの収率:90.2%
ルートB)(実施例8.2):式12のメチルフェニル酢酸を基準とする式3-(R,S)-4のラセミホスホネートの収率:92.9%
に注目する。
【0117】
本出願に記載されるプロセスによって、ラセミホスホネートは、相当するキラル出発原料からの公知のキラルホスホネートよりも高い収率でラセミ出発原料から調製することができる(75.9%の代わりに、収率は、それぞれ、90.2%及び92.9%であり;後者の場合、収率は、早期の出発原料から計算される)。
【0118】
それぞれ、式4のホスホネート及び式3-(R,S)-4のラセミホスホネートからの式1のヒドロキシエノールの調製:
- 公知のプロセス(欧州特許第2343292号明細書の実施例3~5):
式4のキラルホスホネートから出発して:15.3%
- 本発明によるプロセス[実施例1.b.(3-(R,S)-4を基準として収率を考慮する)、(2+5.4)、6.及び7、結晶化なし]:
式(3-(R,S)-4)のラセミホスホネートから出発して:14.8%
適した異性体に対して、すなわち、式4の化合物を基準として:29.6%
【0119】
ラセミ出発原料から出発して、我々は、公知のプロセスに従ってキラル出発原料から出発して得られる収率にほぼ達した、すなわち、所与の量のラセミ出発原料から、公知のプロセスによって同じ量のキラル出発原料からとほとんど同じ量のキラル標的化合物を生み出すことができる。我々が「適した」異性体に関して計算する場合、収率は、15.3から29.6にほぼ倍増する。
【0120】
キラル又はラセミ(3-メチルフェニル)プロピオン酸からの式1のヒドロキシエノールの調製(一緒に上記の2つの段階)
- 公知のプロセス(欧州特許第2343292号明細書の実施例1~5):
2-(R)-(3-メチルフェニル)プロピオン酸(式2の化合物)を基準として:11.6%
- 本発明によるプロセス[実施例8.1.3.、8.1.5.、1.b(3-(R,S)-4)を基準とする収率を考慮する)、(2+5.4)、6.及び7、結晶化なし]:
2-(R,S)-(3-メチルフェニル)プロピオン酸(式13の化合物)を基準として:13.3%
適した異性体に対して、すなわち、式2の化合物を基準として:26.6%
【0121】
ラセミ出発原料から出発して、我々は、キラル出発原料に関して記載された収率を超えた。「適した」異性体を基準として計算される場合、収率は、11.6%から26.6%倍増超である。
【0122】
「主な」プロスタグランジン出発原料からの式1のヒドロキシエノールの調製:
- 公知のプロセス(欧州特許第2343292号明細書の実施例3~5):
ベンゾイル-Coreyアルデヒド(5)を基準として:17.0%
- 本発明によるプロセス[実施例1.b、(2+5.4)、6.及び7、結晶化なし]:PPB-Coreyラクトン(8)を基準として:19.2%
【0123】
2.2百分率ポイント増加が収率において達成され、それは、13%の相対的増加に相当する(この値は、我々がアルデヒド関してデータを提供できるならば、更により高いであろうが、我々がもう一つの反応ステップを考慮することになるため、敏感なアルデヒドは反応混合物から単離されなかった)。
【0124】
我々は、ラセミ側鎖が出発原料へ組み入れられるため、原則として、材料の半分が所望の最終生成物を形成できないことに注目する。そのため、我々が同じ効率で同じ方法でステップを全て行った場合、理論的には、収率は、公知のプロセスの収率の半分、すなわち8.5%であろう(これと比較して我々は19.2%を達成した)。
【0125】
しかしながら、すなわち、ラセミ側鎖の組み入れとプロセスのその後の中間体での所望の異性体の分離(分別結晶化による)とによって、我々は、公知のプロセスの製造を達成した、及びそれを超えさえし、我々は、プロセスの全体収率を大きく向上させた。製造におけるこの向上は、恐らく、
- 我々がキラル側鎖のラセミ化による損失を回避する、
- 分別結晶化によるそのエピマーへのラセミ保護エノン中間体の分離が効率的である(加えて、より高い割合の望ましくない異性体を含有する結晶をエピマー化し、更なる分別結晶化が更なる所望の異性体をもたらす)、
- 15-オキソ基の還元がより効率的に(及びより穏和な反応条件下で)実施される
などの、幾つかの要因による。
【0126】
PPB-Coreyラクトン(8)から出発する完全プロセスに関連して、我々は、以下に注目する:
・ それは、出発原料の1つのみが大量に入手可能である光学活性の、PPB-Coreyラクトン(8)であるため、公知のプロセスよりも経済的である。ラセミホスホネート(3-(R,S)-4)の費用のかかる分割又はその費用のかかる立体選択的合成は必要とされない。
・ 全収率は、公知のプロセスの収率よりも高い。
・ 我々のプロセスに従って調製されたヒドロキシエノール(1)は、好ましくは結晶化し、一方、公知のプロセスでは、生成物は結晶化せず;物質のその外観又は状態は、記載されていない又は特徴付けられていない。しかしながら、結晶質中間体は、取り扱うのがより容易であり、且つ一般に他の形態(例えばオイル)よりも安定である。
・ p-フェニルベンゾイル保護基を含有するジアステレオマー混合物(16-(R,S)-PPB-エノン)は、結晶質であり、ジアステレオマーエノンの結晶質エピマーの分離が分別結晶化によって可能になる。16-(R,S)-PPB-エノンエピマー間の相違は非常に少なく、小さいメチル基が異なる空間位置にあるにすぎず、そのためエピマーが分別結晶化によって分離できることは意外であることが注目される。
・ 15-オキソ基の還元は穏和な条件下で起こり、その結果国際公開第2010029925 A1号パンフレット及び国際公開第2011111714 A1号パンフレットに記載されるキラル試薬及び-40℃を適用する方法を用いることが必要ではないことが分かった。
【0127】
以下の非限定的な例は、本発明を例示するのに役立つ。
【0128】
X線、DSC及びNMR記録は、以下のパラメーターを用いて取った:
X線ディフラクトグラム:
装置:Panalytical X’pert Pro
開始位置[°2Theta]:2.0084
終了位置[°2Theta]:39.9864
測定温度[℃]:25.00
アノード材料:Cu
K-Alpha1[Å]:1.54060
K-Alpha2[Å]:1.54443
DSC:
装置:METTLER TOLEDO DSC1 STARe System,Stare basic V9.30
方法:開始温度:30℃
終了温度:150℃
加熱速度:5℃/分
量:2~6mg、穴あきアルミニウムるつぼ(40μl)
NMR:
装置:Bruker Avance III 500MHz
溶媒:DMSO
【実施例】
【0129】
実施例1:16-(R,S)-PPB-エノンの調製
酸化及びHWE反応
[(3aR,4R,5R,6aS)-4-[(E)-4-(m-トリル)-3-オキソ-ペンタ-1-エニル]-2-オキソ-3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロシクロペンタ[b]フラン-5-イル]4-フェニルベンゾエート
【化24】
【0130】
実施例1.a
酸化:Pfitzner-Moffatt酸化
5.94kgのp-フェニルベンゾイルCoreyラクトン(PPB-Coreyラクトン)(8)を41kgの蒸留トルエンに懸濁させ、9.0kgのN,N-ジシクロヘキシルカルボジイミドを添加し、次いで、不活性雰囲気下で、3.4Lの、ジメチルスルホキシド(DMSO)中のリン酸の0.75M溶液を添加した。30分間撹拌した後、反応混合物を50℃に加熱した。温度を維持しながら反応混合物を撹拌し、次いで2×0.65Lの、DMSO中の0.75Mリン酸を30分毎に添加した。DMSO中のリン酸の第2の0.65L部分の添加後に、それを再び30分間撹拌した。
【0131】
HWE反応
PPB-Coreyアルデヒド(9)を含有する、酸化後に形成された反応混合物に、3-(R,S)-4ホスホネートの溶液を-30℃で添加した。HWE反応が完了した(約40分)後に、67Lの1M硫酸水素ナトリウム溶液を反応混合物へ添加し、それを室温で約1.5時間撹拌した。結晶質反応混合物を遠心分離器に入れ、遠心分離した結晶を43kgのジクロロメタンで洗浄した。濾液と洗浄液とを組み合わせ、1M炭酸水素ナトリウム溶液で中性に、次いで飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、蒸発させた。蒸発濃縮物をジクロロメタンで希釈し、次いでジクロロメタンと酢酸エチルとの混合物を使用して、トルエンで調製されたシリカゲルカラムでのクロマトグラフィーによって精製した。生成物含有分画を組み合わせ、大気圧で濃縮し、濃縮物をイソプロパノールで結晶化させた。結晶質懸濁液を0~5℃で撹拌して結晶化を完了させた。結晶を次いで濾過し、洗浄し、乾燥させた。
収量:5.56kg(67%)、m.p.:127~146℃。
【0132】
ホスホネート溶液の調製(塩基:水素化ナトリウム):
15.6kgの蒸留トルエンに、0.943kgの水素化ナトリウムを無水雰囲気下で量り取り、次いで、0℃で、11Lの蒸留トルエン中の6.15kgの3-(R,S)-4ホスホネートの溶液を0~10℃で添加した。添加後に、冷却を停止し、反応混合物を完全な溶解まで撹拌した。
【0133】
実施例1.b
酸化:Anelli酸化
640mLのジクロロメタンと33.5mLのイソプロパノールとの混合物に、2.6gの臭化カリウム、55.1gの炭酸水素ナトリウム、77.0gのPPB-Coreyラクトン(8)、0.683gのTEMPO及び540mLのジクロロメタンを添加した。激しく撹拌しながら、反応混合物を-5~0℃に冷却し、119mLの次亜塩素酸ナトリウム溶液(1.93M水溶液)を添加し、次いで温度を維持しながら撹拌した。酸化が完了したとき、390mLの水及び77mLの20%チオ硫酸ナトリウム溶液を10~20℃で反応混合物に添加した。添加後に、反応混合物を約30分間30~35℃で撹拌し、次いで相を分離し、水相を130mLのジクロロメタンで抽出した。組み合わせた有機相は、式9のPPB-Coreyアルデヒドを含有し、それを、更なる精製なしに次の反応ステップ(HWE反応)に使用した。
【0134】
HWE反応
0~5℃に冷却されたホスホネートの溶液に、酸化ステップにおいて形成されたPPB-Coreyアルデヒド(9)の溶液を不活性雰囲気下で添加し、次いで反応混合物を、温度を維持しながら撹拌した。反応の完了後に、反応混合物を、5~10℃で180mLの2M硫酸水素ナトリウム溶液へ注ぎ、撹拌後に、相を分離し、有機相を減圧下で濃縮し、濃縮物の溶媒をイソプロパノールに変えた。濃縮中に、結晶化が起こる。追加のイソプロパノールを結晶質反応混合物に添加し、それを次いで3時間0~5℃で撹拌した。結晶を濾過し、冷イソプロパノールで洗浄し、乾燥させた。
収量:91.86g(85%)。
【0135】
ホスホネート溶液の調製(塩基:水酸化カリウムの水溶液):
76.77gのホスホネート(3-(R,S)-4)を、146mLのジクロロメタン中へ、不活性雰囲気下に、室温で量り取り、24.6mLの水中の14.68gの水酸化カリウムの溶液を添加した。完全な溶解後に、反応混合物を0℃に冷却した。
【0136】
16-(R,S)-PPB-エノンのDSC曲線を
図1に示す。
【0137】
16-(R,S)-PPB-エノンの粉末X線回折パターンを
図2に示し、特性ピークを下の表1にリストアップする。
【0138】
【0139】
16-(R,S)-PPB-エノンの
13C及び
1H NMRスペクトルの帰属を下の表2に示す。
【化25】
【0140】
【0141】
【0142】
実施例2(参考例):PPB-エノン(16-(R)-10)の調製
カラムクロマトグラフィー
[(3aR,4R,5R,6aS)-4-[(E,4R)-4-(m-トリル)-3-オキソ-ペンタ-1-エニル]-2-オキソ-3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロシクロペンタ[b]フラン-5-イル]4-フェニルベンゾエート
【化26】
1.595gの16-(R,S)-PPB-エノン(16-(R,S)-10)を5mlのクロロホルム:tert-ブチルメチルエーテル=30:1に溶解させた。クロロホルム:tert-ブチルメチルエーテル=30:1及び10:1を溶離液として使用して、50gのシリカゲルでできたカラムでクロマトグラフィーを実施した。
【0143】
先ず式16-(R)-10のエピマーが、その後式16-(S)-10のエピマーが、両方ともオイルとして溶離された。
収量:PPB-エノン:0.367g、23%(放置すると結晶化するオイル)
16-(S)-PPB-エノン:0.073g、4.6%(放置すると結晶化するオイル)
【0144】
得られた結晶は、分別結晶化において種晶として使用することができる。
【0145】
実施例3:PPB-エノン(16-(R)-10)の調製
分別結晶化
[(3aR,4R,5R,6aS)-4-[(E,4R)-4-(m-トリル)-3-オキソ-ペンタ-1-エニル]-2-オキソ-3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロシクロペンタ[b]フラン-5-イル]4-フェニルベンゾエート
【化27】
【0146】
実施例3a.:tert-ブチルメチルエーテルにおける分別結晶化
5.58kgの16-(R,S)-PPB-エノン(16-(R,S)-10)を167Lのtert-ブチルメチルエーテルに懸濁させ、次いで加熱して還流させた。約30分間還流させた後、混合物を30~32℃に冷却し、温度を維持しながら、更なる30分間撹拌した。結晶(Kr1)を濾過し、洗浄し、乾燥させた。先ず、望ましくない異性体、16-(S)-PPB-エノンが沈澱し;濾過された結晶において、16-(S)-PPB-エノン:PPB-エノンの比は約78:22であった。
【0147】
洗浄液と組み合わせた濾液に、PPB-エノン結晶(16-(R)-10)を接種し、懸濁液を0~5℃に冷却し、温度を維持しながら、1時間撹拌した。結晶(Kr2、PPB-エノン、16-(R)-10)を濾過し、冷tert-ブチルメチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。
【0148】
洗浄液と組み合わせた濾液に、前に濾過したKr1結晶(16-(S)-PPB-エノン、16-(S)-10)を懸濁させ、懸濁液を加熱して還流させた。約30分間還流させた後、混合物を30~32℃に冷却し、温度を維持しながら、追加の1時間撹拌した。結晶(Kr3、16-(S)-PPB-エノン、16-(S)-10)を濾過し、洗浄し、乾燥させた。
16-(S)-PPB-エノンの収量:2.706kg(48.5%)、純度85%超(HPLC)。
【0149】
16-(S)-PPB-エノンは、実施例4に従って更に精製することができる。
【0150】
洗浄液と組み合わせた濾液に、PPB-エノン(16-(R)-10)を接種し、0~5℃に冷却し、温度を維持しながら、1時間撹拌した。結晶(Kr4、PPB-エノン、16-(R)-10)を濾過し、冷(0~5℃)tert-ブチルメチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。
PPB-エノン(Kr2及びKr4結晶)の収量:1.71kg(31%)無色結晶。
【0151】
組み合わせたPPB-エノン(16-(R)-10)結晶を、40~42℃でtert-ブチルメチルエーテル:ジクロロメタン=5:1混合物(10.3L)に溶解させ、約25Lのtert-ブチルメチルエーテルをそれに添加し、PPB-エノン(16-(R)-10)を接種し、約30分間撹拌した後、懸濁液を0~5℃に冷却した。約1時間撹拌した後、結晶を濾過し、冷tert-ブチルメチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。
収量:1.67kg(98%)、無色結晶。
【0152】
ジアステレオマー混合物16-(R,S)-PPB-エノンの分別結晶化(TBME溶媒における)によって得られたPPB-エノンの収量:1.67kg(30%)。
【0153】
HPLCによって測定される、このようにして得られたPPB-エノン生成物中の異性体比:
PPB-エノン:16-(S)-PPB-エノン=99.6:0.4
【0154】
【0155】
PPB-エノンの粉末X線回折パターンを
図4に示し、特性ピークを下の表3にリストアップする。
【0156】
【0157】
【0158】
PPB-エノンの
13C及び
1H NMRスペクトルの帰属を下の表4に与える。
【化28】
【0159】
【0160】
【0161】
実施例3.b:メタノールにおける分別結晶化
5.58kgの16-(R,S)-PPB-エノン(16-(R,S)-10)を167Lのメタノールに懸濁させ、次いで加熱して還流させた。約30分間還流させた後、混合物を30~32℃に冷却し、温度を維持しながら、更なる30分間撹拌した。結晶(Kr1)を濾過し、洗浄し、乾燥させた。先ず、望ましくない異性体、16-(S)-PPB-エノンが沈澱した。
【0162】
洗浄液と組み合わせた濾液に、PPB-エノン結晶(16-(R)-10)を接種し、懸濁液を0~5℃に冷却し、1時間撹拌した。結晶(Kr2、PPB-エノン、16-(R)-10)を濾過し、冷(0~5℃)メタノールで洗浄し、乾燥させた。
【0163】
洗浄液と組み合わせた濾液に、前に濾過したKr1結晶(16-(S)-PPB-エノン、16-(S)-10)を懸濁させ、懸濁液を加熱して還流させた。約30分間還流させた後、混合物を30~32℃に冷却し、温度を維持しながら、追加の1時間撹拌した。結晶(Kr3、16-(S)-PPB-エノン、16-(S)-10)を濾過し、洗浄し、乾燥させた。これは、2.9gのKr3結晶(収率52%)、78%超の純度(HPLC)を与えた。
【0164】
洗浄液と組み合わせた濾液に、PPB-エノン結晶(16-(R)-10)を接種し、0~5℃に冷却し、温度を維持しながら、1時間撹拌した。結晶(Kr4)(PPB-エノン、16-(R)-10)を濾過し、冷メタノールで洗浄し、乾燥させた。
収量(Kr2及びKr4結晶):1.69kg(30%)無色結晶。
【0165】
組み合わせたPPB-エノン(16-(R)-10)結晶を40~42℃でメタノール:ジクロロメタン=5:1混合物に溶解させ、約25mLのメタノールをそれに添加し、PPB-エノン(16-(R)-10)を接種し、約30分間撹拌した後、懸濁液を0~5℃に冷却した。約1時間撹拌した後、結晶を濾過し、冷メタノールで洗浄し、乾燥させた。
【0166】
沈澱した結晶をメタノール:ジクロロメタン=5:1に溶解させ、上記の結晶化を繰り返した。
収量(2つの再結晶ステップに関して):1.62g(96%)、無色結晶。
【0167】
ジアステレオマー混合物16-(R,S)-PPB-エノンの分別結晶化(メタノール溶媒での)によって得られたPPB-エノンの収量:1.62g(29%)。
【0168】
HPLCによって測定される、このようにして得られたPPB-エノン生成物中の異性体比:PPB-エノン:16-(S)-PPB-エノン=97.89:2.11。
【0169】
注:このプロセスを数回繰り返したとき、約4回の繰り返し毎に、沈澱したKr2+Kr4結晶の量は、1.69gから1.70~1.75gへ増加し、10%超の望ましくないエピマー、16-(S)-PPB-エノンを含有した。
【0170】
【0171】
PPB-エノンの粉末X線回折パターンを
図6に示し、特性ピークを下の表5にリストアップする。
【0172】
【0173】
PPB-エノンの
13C及び
1H NMRスペクトルの帰属を下の表6に与える。
【化29】
【0174】
【0175】
【0176】
実施例4:16-(S)-PPB-エノン(16-(S)-10)の結晶化
[(3aR,4R,5R,6aS)-4-[(E,4S)-4-(m-トリル)-3-オキソ-ペンタ-1-エニル]-2-オキソ-3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロシクロペンタ[b]フラン-5-イル]4-フェニルベンゾエート
実施例3.aにおいて調製された10gのKr3結晶(少なくとも85%の16-(S)-PPB-エノンを含有する)を60mLのジクロロメタンに溶解させ、次いで室温で撹拌しながら200mLのtert-ブチルメチルエーテルを添加した。沈澱した結晶を濾過し、洗浄し、乾燥させ、次いで結晶化をもう2回繰り返した。最後の結晶化の生成物(16-(S)-PPB-エノン)は、2%未満のPPB-エノンを含有した。
収量:6.4g(64%)、m.p.:168.6~169.5℃
【0177】
16-(S)-PPB-エノンのDSC曲線を
図7に示す。
16-(S)-PPB-エノンの粉末X線回折パターンを
図8に示し、特性ピークを下の表7にリストアップする。
【0178】
【0179】
【0180】
16-(S)-PPB-エノンの
13C及び
1H NMRスペクトルの帰属を下の表8に与える。
【化30】
【0181】
【0182】
【0183】
実施例5:16-(S)-PPB-エノン(16-(S)-10)のエピマー化、引き続く実施例3.aに従った分別結晶化による混合物からのPPB-エノンの調製
実施例5.1
実施例3.aにおいてKr3として得られた5.000gの16-(S)-PPB-エノン(16-(S)-10)を100mLの酢酸エチルに溶解させ、次いで5.0gのシリカゲル及び2.50mLのトリエチルアミンをそれに添加し、約23時間55~65℃で撹拌した。反応の終わりに、異性体比はおよそ1:1であり、10~15%の副生成物が形成された。反応混合物を次いで冷却し、濾過し、結晶を酢酸エチルで洗浄し、組み合わせた濾液を蒸発させた。蒸発残渣を、実施例3.aに記載されたように分別結晶化してPPB-エノン(16-(R)-10)を得た。
PPB-エノンの収量:1.442g(29%;16-(S)-PPB-エノン(Kr3)を基準として計算される、14.5% 出発16-(R,S)-PPB-エノンを基準として計算される)。
【0184】
実施例5.2
実施例3.aにおいてKr3として得られた5.000gの16-(S)-PPB-エノン(16-(S)-10)を150mLの酢酸エチルに溶解させ、75.0gの酸化アルミニウムミンをそれに添加し、次いでそれを約1.5時間20~25℃で撹拌した。反応の終わりに、異性体比はおよそ1:1であり、10~15%の副生成物が形成された。反応混合物を次いで冷却し、濾過し、結晶を酢酸エチルで洗浄し、組み合わせた濾液を蒸発させた。蒸発残渣を、実施例3.aに記載されたように分別結晶化してPPB-エノン(16-(R)-10)を得た。
収量:0.865g(17%;16-(S)-PPB-エノンを基準として計算される、8.5%;16-(R,S)-PPB-エノンを基準として計算される)。
【0185】
実施例5.3
実施例3.aにおいてKr3として得られた5.000gの16-(S)-PPB-エノン(16-(S)-10)を100mLのトルエンに溶解させ、2.5mLのテトラヒドロフラン中の0.500gのpTsOH・H2Oの溶液をそれに添加し、次いで、それを約15~20時間65~75℃で撹拌した。反応の終わりに、異性体比はおよそ1:1であり、約5%の副生成物が形成された。反応混合物を次いで冷却し、0.422mLのトリエチルアミンで中和した。沈殿物を濾過し、結晶をトルエンで洗浄し、組み合わせた濾液を蒸発させた。蒸発残渣を、実施例3.aに記載されたように分別結晶化してPPB-エノン(16-(R)-10)を得た。
収量:1.698g(34%;16-(S)-PPB-エノンを基準として計算される、17%;16-(R,S)-PPB-エノンを基準として計算される)。
【0186】
実施例5.4
実施例3.aにおいてKr3として得られた57.771gの16-(S)-PPB-エノン(16-(S)-10)を1155mLの酢酸エチルに溶解させ、28.8gのシリカゲル及び57.7mLのトリエチルアミンをそれに添加し、次いで、それを約12時間55~65℃で撹拌した。反応の終わりに、異性体比はおよそ1:1であり、10~15%の副生成物が形成された。反応混合物を次いで冷却し、濾過し、結晶を酢酸エチルで洗浄し、組み合わせた濾液を蒸発させた。蒸発残渣を、実施例3.aに記載されたように分別結晶化してPPB-エノン(16-(R)-10)を得た。
収量:20.10g(34.8%;16-(S)-PPB-エノンを基準として計算される、17.4%;16-(R,S)-PPB-エノンを基準として計算される)。
【0187】
結果として生じたPPB-エノン(16-(R)-10)結晶は、実施例3.aに記載されたようにtert-ブチルメチルエーテル:ジクロロメタン=5:1の混合物から再結晶することができる。
収量:19.70g(98%)。
【0188】
実施例6、PPB-エノンの還元
15-オキソ基の還元
[(3aR,4R,5R,6aS)-4-[(E,4R)-3-ヒドロキシ-4-(m-トリル)ペンタ-1-エニル]-2-オキソ-3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロシクロペンタ[b]フラン-5-イル]4-フェニルベンゾエート
【化31】
【0189】
シリカゲルの存在下での水素化ホウ素ナトリウムでの還元:
1.51kgのPPB-エノン(16-(R)-10)を13.7Lのジクロロメタンに溶解させ、2.04kgのシリカゲルを添加し、懸濁液を不活性雰囲気下で0±5℃に冷却した。激しい撹拌下に、340mLの水中の0.183kgの水素化ホウ素ナトリウムの溶液を添加した。温度を維持しながら反応混合物を撹拌した。1時間撹拌した後、270mLのメタノールを添加した。還元が完了した後(約5~8時間)、2.05Lの水中の515mLの濃塩酸の溶液を0±5℃で注意深く添加し、次いで、冷却を止めた後、1.36Lのメタノールを添加した。約20分間撹拌した後、反応混合物を濾過し、濾過された固体をジクロロメタン:メタノール=5:1で洗浄し、組み合わせた濾液を十分に撹拌し、相を分離した。有機層を水で、次いで飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで乾燥剤を濾別し、洗浄し、蒸発させた。
収量 1.52kg(100%)、粘着性のオイル。異性体比:PPB-エノール:15-(S)-PPB-エノール=6:4。
【0190】
実施例7、PPB保護基の除去
(3aR,4R,5R,6aS)-5-ヒドロキシ-4-[(E,3R,4R)-3-ヒドロキシ-4-(m-トリル)ペンタ-1-エニル]-3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロシクロペンタ[b]フラン-2-オン
【化32】
実施例6の1.36kgのPPB-エノール(15-(R,S),16-(R)-11)を、40~45℃で4.9Lの蒸留メタノールに溶解させ、0.38kgの炭酸カリウムを添加した。温度を維持しながら、反応混合物を1時間撹拌し、次いでそれを0~5℃に冷却し、4.28Lの1M塩酸溶液を添加した。温度を維持しながら、撹拌を1時間続行し、次いで沈澱した結晶を濾別し、メタノール-水混合物で洗浄した。3.62Lの1M塩酸を組み合わせた濾液に添加し、それを30~45分間室温で撹拌した。撹拌を完了すると、反応混合物を減圧下で濃縮した。濃縮溶液を2×10Lのジクロロメタンで抽出し、組み合わせた有機相を1M炭酸水素ナトリウムで洗浄し、洗浄液を5Lのジクロロメタンで抽出し、組み合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、乾燥剤を濾去し、ジクロロメタンで洗浄し、洗浄液を有機相に添加した。組み合わせた有機相を減圧下で(約3.5kgに)濃縮した。
【0191】
溶離液としてジクロロメタン:アセトン=7:1、その後ジクロロメタン:アセトン=2:1を使用して、ジクロロメタン:アセトン=7:1を使って調製されたシリカゲルカラムでのクロマトグラフィーによって蒸発濃縮物を精製した。生成物含有分画を組み合わせ、減圧下で濃縮した。
収量:415.93g(48%)濃厚オイル。
【0192】
蒸発残渣は好ましくは結晶化する。
【0193】
これを行うために、蒸発残渣を、40~50℃での浴を用いてtert-ブチルメチルエーテルに溶解させ、次いで撹拌しながら0~5℃に冷却した。結晶化が始まった後、結晶懸濁液を追加の25~35分間撹拌し、ジイソプロピルエーテルの添加によって結晶化を完了させた。沈澱した結晶を含有する混合物を、温度を維持しながら、追加の1時間撹拌した。
【0194】
結晶を濾過し、洗浄し、一定重量まで室温で乾燥させた。
収量:303.6g(結晶化ステップに関して73%)、無色結晶。
【0195】
化合物それ自体は、例えば、特許出願国際公開第2010029925 A1号パンフレット及び国際公開第2011111714 A1号パンフレットから公知であるが、この化合物の結晶形態は、その中で記載されても特徴付けられてもいない。
【0196】
結晶形態は、72.5~73.4℃の融点及び[α]D=25°(1%エタノール溶液で、20℃で測定される)の旋光度で特徴付けられる。
【0197】
結晶質ヒドロキシエノールのDSC曲線を
図9に示す。
【0198】
ヒドロキシエノールの粉末X線回折パターンを
図10に示し、特性ピークを下の表9にリストアップする。
【0199】
【0200】
ヒドロキシエノールの
13C及び
1H NMRスペクトルの帰属を下の表10に示す。
【化33】
【0201】
【0202】
実施例8、ラセミホスホネートの調製
(2-オキソ-3-m-トリル-ブチル)ホスホン酸ジメチルエステル
実施例8.1、ルートA
出発原料:メチルフェニル酢酸
反応ステップ:アルキル化(メチル化)
エステル化(メチルエステルの形成)
ホスホネート形成
【化34】
8.1.1.メチルフェニルプロピオン酸(13)の調製
a)塩基:ブチルリチウム
4.31kgのメチルフェニル酢酸(12)を38.0kgの無水テトラヒドロフランに溶解させた。不活性雰囲気下で、反応混合物を-60~-75℃に冷却し、26.2kgの15%ブチルリチウム溶液を添加した。添加後に、反応混合物を更なる15分間撹拌し、次いで温度を維持しながら、805mLのジイソプロピルアミン(DIPA)を添加した。15分間撹拌した後、反応混合物を-30℃に加熱し、3.60Lのヨウ化メチルを添加した。冷却を停止し、10分間撹拌した後、反応混合物を98Lの1M硫酸水素ナトリウムへ投入した。沈降後に、相を分離し、水相をtert-ブチルメチルエーテルで抽出した。組み合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液(3×32kg)で洗浄し、最初の洗浄ステップにおいて、81.8gのピロ亜硫酸ナトリウムをまた混合物へ添加した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、乾燥剤を濾去し、洗浄し、濾液を減圧下で蒸発させた。
収量:4.62kg(98%)、オレンジ色液体。
【0203】
8.1.2.メチルフェニルプロピオン酸(13)の調製
b)塩基:リチウムジイソプロピルアミド(LDA)
LDA溶液の調製:
187mLのジイソプロピルアミンを300mLの無水テトラヒドロフランに溶解させた。不活性雰囲気下で、溶液を-20℃に冷却し、次いで511mLの2.5Mブチルリチウム溶液を滴加した。反応混合物を-10℃で2時間撹拌した。
【0204】
アルキル化
80gのメチルフェニル酢酸(12)を800mLの無水テトラヒドロフランに溶解させた。不活性雰囲気下で、溶液を-20℃に冷却し、次いで、温度を維持しながら、調製されたLDA溶液をそれに添加した。反応混合物を30分間-10℃で撹拌し、次いで40mLのヨウ化メチルを-20~-10℃で添加した。添加後に、反応混合物を30分間0℃で撹拌した。反応混合物を次いで1200mLの2M硫酸水素ナトリウム溶液でクエンチし、激しい撹拌後に相を分離した。水相をtert-ブチルメチルエーテルで抽出した。組み合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム容積で2回洗浄し、最初の洗浄ステップにおいて、1.52gのピロ亜硫酸ナトリウムをまた混合物へ添加した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、乾燥剤を濾去し、洗浄し、濾液を減圧下で蒸発させた。
収量:87.5g(100%)、オレンジ色液体。
【0205】
8.1.3.メチルフェニルプロピオン酸メチルエステル(14)の調製
a)塩酸を使用するエステル化
4.60kgのメチルフェニルプロピオン酸(13)を35kgの蒸留メタノールに溶解させ、350mlの濃塩酸を添加し、それを室温で撹拌した。所望の転化率に達した後(約12時間)、1.17Lのトリエチルアミンを反応混合物に添加し、次いで大気圧で、それを約15Lに濃縮した。40kgのトルエンを添加し、激しく撹拌した後、水相を分離した。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、乾燥剤を濾去し、トルエンで洗浄し、濾液を減圧下で蒸発させた。
収量:4.74kg(95%)、黄色液体。
【0206】
8.1.4.メチルフェニルプロピオン酸メチルエステル(14)の調製
b)硫酸を使用するエステル化
4.60kgのメチルフェニルプロピオン酸(13)を36kgの蒸留メタノールに溶解させ、225mlの濃硫酸を添加し、それを20~25℃で撹拌した。1時間後に、激しく撹拌しながら、890gの炭酸ナトリウムを反応混合物に添加し、次いで減圧下で、それを約4.6kgに濃縮した。32kgのtert-ブチルメチルエーテルを濃縮物に添加し、それを10%炭酸ナトリウム溶液で3回洗浄し、組み合わせた水相をブチルメチルエーテルで1回抽出し、組み合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、乾燥剤を濾去し、洗浄し、組み合わせた濾液を蒸発させた。
収量:3,25kg(65%)、黄色液体。
【0207】
8.1.5.ラセミホスホネート(3-(R,S)-4)の調製
a.)塩基:ブチルリチウム
23.8kgの15%ブチルリチウム溶液を、不活性雰囲気下で、49kgの蒸留トルエンに添加し、その後反応混合物を-75~-85℃に冷却し、温度を維持しながら、24kgの蒸留トルエン中の8.25kgのジメチルメチルホスホネート(DMMP)の溶液を添加した。温度を維持しながら、反応混合物を30分間撹拌し、次いで、-75~-85℃で、20kgの蒸留トルエン中の4.74kgのメチルフェニルプロピオン酸メチルエステル(14)の溶液を添加した。30分間撹拌した後、反応混合物を、70Lの1M硫酸水素ナトリウム溶液と13Lの飽和塩化ナトリウム溶液との混合物へ投入した。混合物を30分間室温で撹拌し、沈降後に、相を分離し、水相を2×20Lのトルエンで抽出し、組み合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、それを硫酸ナトリウム上で乾燥させた。乾燥剤を濾去し、洗浄し、組み合わせた濾液を減圧下で蒸発させた。
収量:6.83kg(95%)、淡黄色オイル。
【0208】
8.1.6.ラセミホスホネート(3-(R,S)-4)の調製
b.)塩基:LDA
LDA溶液の調製
45mLの無水テトラヒドロフラン中の13.9mLのジイソプロピルアミンアミンの溶液を不活性雰囲気下で0℃に冷却し、54mLのブチルリチウム溶液(ヘキサン中の1.6M)を滴加した。添加後に、それを20分間撹拌した。
【0209】
ホスホネート形成:
64mlの無水テトラヒドロフラン中の6.36gのメチルフェニルプロピオン酸メチルエステル(14)の溶液に、不活性雰囲気下で、37.7mlのジメチルメチルホスホネートを添加した。調製されたLDA溶液を0℃で滴加した。5~10分の後撹拌後に、反応混合物を、激しい撹拌下に5N塩酸で酸性化し(pH=2~3)、相を分離し、水相を酢酸エチルで抽出し、有機相を水で、及び飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、それを硫酸ナトリウム上で乾燥させ、乾燥剤を濾去し、洗浄し、組み合わせた濾液を蒸発させた。収量:8.91g(92.4%)。
【0210】
実施例8.2、ルートB
出発原料: メチルフェニル酢酸
反応ステップ:エステル化(メチルエステルの形成)
アルキル化(メチル化)
ホスホネート形成
【化35】
メチルフェニル酢酸メチルエステル(15)の調製
31.74gのメチルフェニル酢酸(12)を315mlのメタノールに溶解させた。室温で撹拌しながら、1.8mLの濃硫酸をそれに添加した。反応の完了(2~3時間)後に、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を210mLのジクロロメタンに溶解させ、1M炭酸水素ナトリウム溶液で、次いで飽和ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、乾燥剤を濾去し、洗浄し、組み合わせた濾液を蒸発させた。
収量:34.11g(98.3%)オイル。
【0211】
メチルフェニルプロピオン酸メチルエステル(14)の調製
19.2mLのジイソプロピルアミンを345mLの無水テトラヒドロフランに溶解させた。不活性雰囲気下で、それを-60℃に冷却し、85.9mLの、ヘキサン中のブチルリチウムの1.6M溶液を撹拌しながら滴加した。10分の後撹拌後に、16mlの無水テトラヒドロフラン中の15.01gのメチルフェニル酢酸メチルエステル(15)の溶液を反応混合物に滴加した。10分の後撹拌後に、15mLのヨウ化メチルを添加した。15分間撹拌した後、反応混合物を340mLの2N塩酸へ注いだ。相を分離し、水相をジイソプロピルエーテルで抽出し、有機相を1M炭酸水素ナトリウム溶液で、次いで飽和ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、乾燥剤を濾去し、洗浄し、組み合わせた濾液を蒸発させた。
収量:16.21g(99.5%)。
【国際調査報告】