(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】ろう付けプレート式熱交換器及びその使用
(51)【国際特許分類】
F28F 3/04 20060101AFI20230317BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20230317BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
F28F3/04 B
F28D9/02
F28F3/08 311
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540565
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 SE2021050067
(87)【国際公開番号】W WO2021154152
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502298310
【氏名又は名称】スウェップ インターナショナル アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100120857
【氏名又は名称】渡邉 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】アンデション スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ダールベルク トーマス
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA18
3L103AA37
(57)【要約】
複数の第1及び第2の熱交換プレート110、120を含むろう付けプレート式熱交換器100であり、第1の熱交換プレート110には、隆起部及び溝部の第1のパターンが形成され、第2の熱交換プレート120には、流体が熱交換するためのプレート間流路の形成下で、隣接するプレートの少なくとも一部の交差する隆起部と溝部との間の接点を提供する隆起部及び溝部の第2のパターンが形成され、プレート間流路は、ポート開口部を介して選択的に流体連通する。隆起部及び溝部の第1のパターンが隆起部及び溝部の第2のパターンと異なるため、第1の熱交換プレート110の一方側のプレート間流路容積が第1の熱交換プレート110の反対側のプレート間流路容積と異なり、第1のパターンの隆起部及び溝部の少なくとも一部は第1の角度β1で延び、第2のパターンの隆起部及び溝部の少なくとも一部は、第1の角度β1とは異なる第2の角度β2で延びている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1及び第2の熱交換プレート(110、120)を含み、前記第1の熱交換プレート(110)には、隆起部及び溝部の第1のパターンが形成され、前記第2の熱交換プレート(120)には、流体が熱交換するためのプレート間流路の形成下で、隣接するプレートの少なくとも一部の交差する隆起部と溝部との間の接点を提供する隆起部及び溝部の第2のパターンが形成され、前記プレート間流路は、ポート開口部を介して選択的に流体連通するろう付けプレート式熱交換器(100)であって、
隆起部及び溝部の前記第1のパターンが隆起部及び溝部の前記第2のパターンと異なるため、前記第1の熱交換プレート(110)の一方側のプレート間流路容積が前記第1の熱交換プレート(110)の反対側のプレート間流路容積と異なり、
前記第1のパターンの隆起部及び溝部の少なくとも一部が第1の角度(β1)で延びており、前記第2のパターンの隆起部及び溝部の少なくとも一部が前記第1の角度(β1)とは異なる第2の角度(β2)で延びることを特徴とする、ろう付けプレート式熱交換器(100)。
【請求項2】
前記第1の熱交換プレート(110)の一方側の前記プレート間流路は、反対側のプレート間流路と異なる断面積を有する、請求項1に記載のろう付けプレート式熱交換器。
【請求項3】
前記第1の熱交換プレート(110)の少なくとも中央の主熱交換部は、第1の角度(β1)を示し、前記第2の熱交換プレート(120)の少なくとも中央の主熱交換部は、第2の角度(β2)を示す、請求項1又は2記載のろう付けプレート式熱交換器。
【請求項4】
前記第1の熱交換プレート(110)は、対称型熱交換プレートである、請求項1~3のいずれか一項に記載のろう付けプレート式熱交換器。
【請求項5】
前記第1の熱交換プレート(110)の溝部(G1)は、同じ波形深さ(D1)で形成され、前記第2の熱交換プレート(120)の第1の溝部(G2a)は、第1の深さ(D2a)で形成され、前記第2の熱交換プレート(120)の第2の溝部(G2b)は、前記第1の深さ(D2a)と異なる第2の深さ(D2b)で形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のろう付けプレート式熱交換器。
【請求項6】
前記第1の熱交換プレート(110)の溝部(G1)の深さ(D1)は、0.5~5mmの範囲内にあり、好ましくは0.6~2mmの範囲内にある、請求項1~5のいずれか一項に記載のろう付けプレート式熱交換器。
【請求項7】
前記第2の熱交換プレート(120)の第1の深さ(D2a)は、0.5~5mmの範囲内にあり、好ましくは、0.6~3mmの範囲内にあり、前記第2の熱交換プレート(120)の第2の深さ(D2b)は、前記第1の深さ(D2a)の30~80%の範囲内にある、請求項1~6のいずれか一項に記載のろう付けプレート式熱交換器。
【請求項8】
隆起部及び溝部の前記第1のパターンの前記第1の角度(β1)は、25~70°の範囲にある、請求項1~7のいずれか一項に記載のろう付けプレート式熱交換器。
【請求項9】
隆起部及び溝部の前記第2のパターンの前記第2の角度(β2)は、25~70°の範囲にある、請求項1~8のいずれか一項に記載のろう付けプレート式熱交換器。
【請求項10】
隆起部及び溝部の前記第1のパターンの前記第1の角度(β1)と、隆起部及び溝部の前記第2のパターンの前記第2の角度(β2)との差は、2~35°の範囲内にある、請求項1~9のいずれか一項に記載のろう付けプレート式熱交換器。
【請求項11】
前記第1の熱交換プレート(110)と前記第2の熱交換プレート(120)とは、異なる波形深さを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のろう付けプレート式熱交換器。
【請求項12】
前記第1の熱交換プレート(110)と前記第2の熱交換プレート(120)とは、異なる波形幅を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のろう付けプレート式熱交換器。
【請求項13】
前記第1のパターンは、第1のヘリンボーンパターン又は斜めに延びる直線の第1のパターンであり、前記第2のパターンは、第2のヘリンボーンパターン又は斜めに延びる直線の第2のパターンであり、前記第1のパターンの隆起部及び溝部並びに前記第2のパターンの隆起部及び溝部は、前記第1及び第2の熱交換プレートの一方側の長辺から他方側の長辺に延びており、前記第1の角度は、前記第1及び第2の熱交換プレートの一方側の短辺に向かっており、前記第2の角度は、反対側の短辺に向かっている、請求項1~12のいずれか一項に記載のろう付けプレート式熱交換器。
【請求項14】
前記第1の熱交換プレート(110)と前記第2の熱交換プレート(120)とは、交互に配置され、熱交換器(100)の全体にわたって、1枚おきに第1の熱交換プレート(110)であり、1枚おきに第2の熱交換プレート(120)である、請求項1~13のいずれか一項に記載のろう付けプレート式熱交換器。
【請求項15】
前記第1の熱交換プレート(110)と前記第2の熱交換プレート(120)との間のろう付け接合部(170)は、細長い形状であり、大きな容積を有するプレート間流路に第1の方向で配置され、小さな容積を有するプレート間流路に第2の方向で配置される、請求項1~14のいずれか一項に記載のろう付けプレート式熱交換器。
【請求項16】
媒体の蒸発又は凝縮のための、請求項1~15のいずれか一項に記載のろう付けプレート式熱交換器の使用。
【請求項17】
媒体は、小さな容積のプレート間流路で蒸発又は凝縮され、液体媒体は、大きな容積のプレート間流路に導かれる、請求項16に記載のろう付けプレート式熱交換器の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体が熱交換するためのプレート間流路の形成下で、隣接するプレートの少なくとも一部の交差する隆起部と溝部との間の接点を提供する隆起部及び溝部のパターンを有する複数の熱交換プレートを含む、ろう付けプレート式熱交換器(a brazed plate heat exchanger)に関する。本発明は、そのような熱交換器の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器は、流体媒体間で熱交換を行うために用いられる。熱交換器は、一般的に、スタートプレートと、エンドプレートと、プレート間に流路を形成するように互いに積み重ねられた多数の熱交換プレートとを含む。通常、ポート開口部は、当業者によく知られている方式で、流路から出入する流体の流れが選択できるように設けられている。
【0003】
プレート式熱交換器の共通の製造方法は、熱交換プレートを組み合わせてろう付けすることでプレート式熱交換器を形成することである。熱交換器をろう付けすることは、多数の熱交換プレートにろう付け材料が提供され、その後、熱交換プレートが互いに積み重ねられ、ろう付け材料の少なくとも一部が溶融するのに十分な温度を有する炉内に入れられることを意味する。炉の温度が低くなると、ろう付け材料が固まり、熱交換プレートは互いに接合され、コンパクトで強固な熱交換器を形成する。
【0004】
プレート式熱交換器の熱交換プレート間の流路が、隆起部と溝部のプレスされたパターンを有する熱交換プレートの提供によって作り出されることは、当業者によく知られている。多数の熱交換プレートは、典型的には、互いに積み重ねられ、対称型プレート式熱交換器を構成するために同じであってもよく、非対称型プレート式熱交換器を構成するために同じではなくてもよい。積み重ねられるとき、第1の熱交換プレートの隆起部が隣接する熱交換プレートの溝部と接することにより、プレートは、接点によって、互いにある距離を保つ。したがって、流路が形成される。これらの流路において、第1及び第2の流体媒体などの流体媒体は、これらの媒体間で熱伝達が行われるように導かれる。
【0005】
ヘリンボーンパターンの隆起部及び溝部を有するプレスされた波形パターンを有する複数のろう付けプレート式熱交換器は、従来技術において知られている。しかしながら、このような従来技術における熱交換器を改良する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、流体媒体間の流れの分布、圧力損失、熱伝達が好ましいプレート式熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るろう付けプレート式熱交換器(BPHE)は、複数の第1及び第2の熱交換プレートを含み、第1の熱交換プレートには、隆起部及び溝部の第1のパターンが形成され、第2の熱交換プレートには、流体が熱交換するためのプレート間流路の形成下で、隣接するプレートの少なくとも一部の交差する隆起部と溝部との間の接点を提供する隆起部及び溝部の第2のパターンが形成され、プレート間流路は、ポート開口部を介して選択的に流体連通するろう付けプレート式熱交換器であって、隆起部及び溝部の第1のパターンが隆起部及び溝部の第2のパターンと異なるため、第1の熱交換プレートの一方側のプレート間流路容積が第1の熱交換プレートの反対側のプレート間流路容積と異なり、第1のパターンの隆起部及び溝部の少なくとも一部が第1の角度で延びており、第2のパターンの隆起部及び溝部の少なくとも一部が第1の角度とは異なる第2の角度で延びることを特徴とする。プレートの両側に異なるプレート間流路容積と、異なる角度を有する少なくとも2つの異なるプレートパターンとの組み合わせにより、流体分布に好ましい特性を備えたBPHEが得られ、流体の流れの分布と圧力損失のバランスを取り、効率的な熱交換を達成する。これにより、同じプレートの両側にプレート間流路で異なる特性を実現することができ、一方側の流れと圧力損失は、反対側の流れと圧力損失とは異なる可能性がある。また、プレートの両側の異なる流路容積は、異なる種類の媒体に用いることができ、例えば、一方側にある流路容積が液体に用いられ、他方側にある流路容積が気体に用いられる。
【0008】
冷媒が蒸発し始めると、液体状態から蒸気状態に移行する。液体密度は蒸気密度よりはるかに高い。例えば、Tdew=5℃のR410Aは、液体密度が蒸気密度の32倍である。これはまた、蒸気が液体の32倍の速度で流路内を移動することを意味する。これにより、蒸気の動圧損失は、自動的に液体の動圧損失の32倍になり、即ち、蒸気は、すべての種類の冷媒に対して、はるかに高い圧力損失が生じる。
【0009】
熱交換器の性能(温度アプローチ、TA)は、水出口温度(熱交換器の流路の入口)から熱交換器の流路の出口の蒸発温度(Tdew)を引いた値で定義される。熱交換器の表面に沿った高い圧力損失により、局所的な飽和温度が異なり、流路の入口と出口との間で冷媒温度の合計差が比較的大きくなる。流路の入口では、温度が高くなる。入口の冷媒温度が高くなる(流路の圧力損失が高すぎるため)と、出口の水を正しい温度まで冷却することが困難になるため、熱交換器の性能に直接的に悪影響を与える。システムが高すぎる入口冷媒温度を補う唯一の方法は、正しい出口水温度に到達できるまで蒸発温度を下げることである。熱伝達特性が高く、かつ圧力損失特性が低い熱交換器の流路のパターンを作成することにより、熱交換器の性能を向上させることができる。流路内の全体的な冷媒圧力損失が低くなると、熱交換器の性能が向上するだけでなく、システム全体の性能、ひいてはエネルギー消費に好影響を与える。
【0010】
第1の熱交換プレート及び第2の熱交換プレートの少なくとも一方は、非対称型熱交換プレートであってもよい。或いは、第1の熱交換プレートは、第2の熱交換プレートとは別の波形幅(corrugation width)で形成される。第1の熱交換プレートは、対称型熱交換プレートであり、第2の熱交換プレートは、非対称型熱交換プレートであってもよい。したがって、第2の熱交換プレートの第1の溝部は、第1の深さで形成することができ、第2の熱交換プレートの第2の溝部は、第1の深さとは異なる第2の深さで形成することができる。異なる角度と波形深さのパターンを組み合わせることにより、流体の流れの分布と圧力損失は、効率的な熱交換を実現するために、用途に応じてカスタマイズすることができる。隆起部及び溝部のパターンは、ヘリンボーンパターンであってもよく、隆起部及び溝部のパターンの角度は、シェブロン角度である。
【0011】
また、第1の熱交換プレートと第2の熱交換プレートの深さは、プレート間流路が断面視で異なるサイズを有するように、互いに異なっていてもよく、プレート間流路は、プレートの両側に異なる容積を有する。したがって、プレート間流路は、プレートの両側に異なる断面積を有することができる。これにより、好ましい熱伝達と低い圧力損失とを組み合わせた非対称型プレート式熱交換器が得られ、暖房用、冷凍用、又は可逆冷凍システム用などの様々な目的のより効率的な熱交換器を実現することができる。
【0012】
第1及び第2のパターンは、ヘリンボーンパターン、又は、隆起部及び溝部が熱交換プレート上に斜めの直線で延びるパターンであってもよい。したがって、この角度は、熱交換プレートの平面内にあり、例えば、熱交換プレートの一側に向かっている。例えば、角度は、長方形の熱交換プレートの短辺と、隆起部及び溝部の延長部との間にある。第1及び第2のシェブロン角度などの第1及び第2の角度は、0~90°、25~70°又は30~45°であってもよい。したがって、好ましい流体分布が得られるように角度を選択することができる。第1の角度と第2の角度との差は、2~35°であってもよい。第1及び第2のパターンは、逆方向にすることができ、第1及び第2の角度は、長方形の熱交換プレートの対向する短辺に向かうなど、逆方向となる。
【0013】
媒体の蒸発又は凝縮のための、本発明に係るろう付けプレート式熱交換器の使用も開示されている。
【0014】
本発明のさらなる特徴及び利点は、以下の実施形態の説明、添付図面及び従属請求項から明らかになる。
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る熱交換器の概略的分解斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の熱交換器の一部の分解斜視図であり、熱交換器の第1の熱交換プレート及び第2の熱交換プレートを示す。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る第1の熱交換プレートの一部の概略的断面図であり、第1の熱交換プレートの溝部の同じ深さを示す。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る第2の熱交換プレートの一部の概略的断面図であり、第2の熱交換プレートの溝部の交互の深さを示す。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る交互に配置された第1及び第2の熱交換プレートを含む熱交換器の一部の概略的断面図である。
【
図6a】
図6aは、一実施形態に係る第1の熱交換プレートの概略的正面図であり、シェブロン角度の形態の第1の角度を有する第1の熱交換プレートの波形のヘリンボーンパターンを示す。
【
図6b】
図6bは、代替の実施形態に係る第1の熱交換プレートの概略的正面図であり、第1の角度を有する第1の熱交換プレートの波形パターンを示す。
【
図7a】
図7aは、一実施形態に係る第2の熱交換プレートの概略的正面図であり、シェブロン角度の形態の第2の角度を有する第2の熱交換プレートの波形のヘリンボーンパターンを示す。
【
図7b】
図7bは、代替の実施形態に係る第2の熱交換プレートの概略的正面図であり、第2の角度を有する第2の熱交換プレートの波形パターンを示す。
【
図8】
図8は、第2の熱交換プレートの上に配置された第1の熱交換プレートの概略的図であり、
図5の例に係る第1の熱交換プレートと第2の熱交換プレートとの間の接点を示す。
【
図9】
図9は、第1の熱交換プレートの上に配置された第2の熱交換プレートの概略的図であり、
図5の例に係る第1の熱交換プレートと第2の熱交換プレートとの間の接点を示す。
【
図10】
図10は、他の実施形態に係る第1及び第2の熱交換プレートを含む熱交換器の一部の概略的断面図である。
【
図11】
図11は、他の実施形態に係る第1及び第2の熱交換プレートを含む熱交換器の一部の概略的断面図である。
【
図12】
図12は、更に他の実施形態に係る第1及び第2の熱交換プレートを含む熱交換器の一部の概略的断面図である。
【
図13】
図13は、他の実施形態に係る異なる波形深さを有する第1及び第2の熱交換プレートの熱交換プレートスタックの一部の概略的断面図である。
【
図14】
図14は、波形パターンの他の実施形態を示すプレート式熱交換器の概略的斜視図であり、中央の主熱交換部の波形パターンの角度が熱交換プレートのポート開口部の角度とは異なる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照すると、一実施形態に係るろう付けプレート式熱交換器100が示され、その一部が
図2により詳細に示される。熱交換器100は、スタックに積み重ねられて熱交換器100を形成する、複数の第1の熱交換プレート110と複数の第2の熱交換プレート120とを含む。第1及び第2の熱交換プレート110、120は、交互に配置され、1枚おきに第1の熱交換プレート110であり、1枚おきに第2の熱交換プレート120である。或いは、第1及び第2の熱交換プレートは、追加の熱交換プレートとともに他の構成で配置される。熱交換器100は、非対称型プレート式熱交換器である。
【0018】
熱交換プレート110、120は、板金から作られ、流体が熱交換するためのプレート間流路の形成下で、隣接するプレート110、120の少なくとも一部の交差する隆起部と溝部との間の接点を提供することにより、プレートがスタックに積み重ねられて熱交換器100を形成するとき、流体が熱交換するためのプレート間流路がプレート間に形成されるように、隆起部(ridge)R1、R2a、R2b及び溝部(groove)G1、G2a、G2bのプレスされたパターンが設けられる。
図1及び
図2のプレスされたパターンは、ヘリンボーンパターンである。しかしながら、プレスされたパターンは、斜めに延びる直線の形態であってもよい。いずれの場合においても、隆起部及び溝部のプレスされたパターンは、波形パターン(corrugated pattern)である。プレスされたパターンは、プレート110、120に対して、接点を除いて、互いに距離を置いて、プレート間流路を形成するように適合される。
【0019】
図示の実施形態では、熱交換プレート110、120の各々は、熱交換プレートの平面にほぼ垂直に延びており、かつ熱交換器の円周に沿ってシールを提供するために、隣接するプレートのスカートに接するように適合されるスカートSで囲まれる。スカートSとポートO1~O4とは別に、熱交換プレート110、120の実質的に残りの部分は、熱交換面130、140を形成する。
【0020】
熱交換プレート110、120には、プレート間流路に熱交換する流体を出入させるためのポート開口部O1~O4が配置される。図示の実施形態では、熱交換プレート110、120には、第1のポート開口部O1、第2のポート開口部O2、第3のポート開口部O3、及び第4のポート開口部O4が配置される。ポート開口部O1~O4を囲む領域は、ポート開口部とプレート間流路との間の選択的な連通が達成されるように、異なる高さに設けられる。熱交換器100において、ポート開口部O1~O4を囲む領域は、第1及び第2のポート開口部O1及びO2が一部のプレート間流路によって互いに流体連通しているのに対し、第3及び第4のポート開口部O3及びO4が隣接するプレート間流路によって互いに流体連通しているように配置される。図示の実施形態では、熱交換プレート110、120は、角部が丸められた長方形であり、ポート開口部O1~O4は、角部の近傍に配置される。或いは、熱交換プレート110、120は、例えば、角部が丸められた正方形である。或いは、熱交換プレート110、120は、円形、楕円形、又は他の適切な形状で配置され、ポート開口部O1~O4は、適切な方法で分布する。図示の実施形態では、熱交換プレート110、120の各々には、4つのポート開口部O1~O4が形成される。
【0021】
なお、本発明の他の実施形態では、ポート開口部の数は、4よりも大きくてもよく、即ち、6、8、又は10であってもよい。例えば、ポート開口部の数は、少なくとも6であり、熱交換器は、少なくとも3つの流体の間で熱交換するように構成される。したがって、一実施形態では、熱交換器は、少なくとも6つのポート開口部を有し、かつ少なくとも1つの統合された吸気熱交換器を有して配置されるか又はそれなしで配置される、3回路の熱交換器である。或いは、ポート開口部の数は、少なくとも6であり、熱交換器は、1つ以上の統合された吸気熱交換器を含む。
【0022】
図示の実施形態では、熱交換器100は、第1及び第2の熱交換プレート110、120のみを含む。或いは、熱交換器100は、第3の熱交換プレートを含み、任意に第4の熱交換プレートも含み、第3の熱交換プレート及び任意の第4の熱交換プレートには、第1及び第2の熱交換プレート110、120とは異なるプレスされたパターンが配置され、熱交換プレートは、適切な順序で配置される。
【0023】
図示の実施形態では、熱交換器100は、スタートプレート150及びエンドプレート160を更に含む。スタートプレート150には、第1及び第2の熱交換プレート110、120によって形成されたプレート間流路に流体を出入させるためのポート開口部O1~O4に対応する開口部が形成される。エンドプレート160は、例えば、従来のエンドプレートである。
【0024】
図3を参照すると、一実施形態に係る第1の熱交換プレート110の断面図が概略的に示される。第1の熱交換プレート110には、隆起部R1及び溝部G1の第1のパターンが形成される。第1の熱交換プレートの溝部G1は、同じ深さD1で形成される。したがって、全ての溝部G1は、同じ深さD1で形成される。例えば、深さD1は、0.5~5mmであり、例えば、1~3mm又は1.5~3mmである。例えば、全ての隆起部R1は、対応する方法で同じ高さで形成される。換言すれば、第1の熱交換プレート110の波形深さ(corrugation depth)は、プレート全体又は少なくとも実質的にプレート全体にわたって、対称的で類似している。
【0025】
図4を参照すると、一実施形態に係る第2の熱交換プレート120の断面図が概略的に示される。例えば、全ての第2の熱交換プレート120は同じである。第2の熱交換プレート120には、第1及び第2の隆起部R2a、R2bと第1及び第2の溝部G2a、G2bとの第2のパターンが形成される。第2の熱交換プレート120の第1及び第2の溝部G2a、G2bは、異なる深さで形成され、第1の溝部G2aは、第1の深さD2aで形成され、第2の溝部G2bは、第2の深さD2bで形成され、第2の深さD2bは、第1の深さD2aとは異なる。例えば、第1の深さD2aは、0.5~5mm、例えば、0.5~3mmであり、第2の深さD2bは、第1の深さD2aの30~80%、例えば、40~60%である。隆起部R2a、R2bは、対応する方法で異なる高さを有する。図示の実施形態では、第1の深さD2aは、第2の深さD2bよりも大きい。第1及び第2の溝部G2a、G2bは、交互に配置される。或いは、第1及び第2の溝部G2a、G2b、及び他の深さを有する任意のさらなる溝部は、任意の所望のパターンで配置される。例えば、第2の熱交換プレート120の隆起部及び溝部のパターンは、非対称型パターンであり、即ち、第2の熱交換プレート120は、
図5を参照して以下に示すように、第1の熱交換プレート110と組み合わされるとき、非対称型熱交換器を形成する。一実施形態では、第2の熱交換プレート120の熱交換面全体には、溝部の少なくとも2つの異なる波形深さ(corrugation depth)D2a、D2bを有する隆起部及び溝部の第2パターンが形成される。
【0026】
図5を参照すると、一実施形態に係るプレート間流路の形成を概略的に示すために、複数の第1及び第2の熱交換プレート110、120が積み重ねられる。図示の実施形態では、1枚おきのプレートは、第1の熱交換プレート110であり、残りのプレートは、第2の熱交換プレート120であり、第1及び第2の熱交換プレートは、交互に配置されて、非対称型熱交換器100を形成し、プレート間流路は、異なる容積で形成される。或いは、プレート間流路の異なる容積は、同じプレス深さ又は波形深さの拡張プロファイルによって形成される。例えば、第1及び第2の熱交換プレートは、異なる波形深さを備える。例えば、第1及び/又は第2の熱交換プレートは、非対称型熱交換プレートである。或いは、第1及び/又は第2の熱交換プレートは、対称型熱交換プレートである。
【0027】
図6aを参照すると、第1の熱交換プレート110の隆起部R1及び溝部G1の第1のパターンが概略的に示される。上記パターンは、プレスされたヘリンボーンパターンであり、隆起部R1及び溝部G1には、中央に配置された頂点などの頂点で交わる2つの傾斜した脚部が配置されて、矢印の形状を形成する。例えば、隆起部R1及び溝部G1の上記脚部は、等しい長さを有する。例えば、頂点は、長方形の熱交換プレートの長手方向の中心線などの仮想の中心線に沿って分布する。例えば、ヘリンボーンパターンは、隆起部R及び溝部Gが第1の熱交換プレート110の一方側の長辺から他方側の長辺に延びるように、例えば、全ての頂点が1つの短辺を向いているように配置される。第1の熱交換プレート110のパターン、即ち、隆起部R1及び溝部G1の第1のパターンは、第1のシェブロン角度β1を示す。シェブロン角度は、隆起部と、長方形のプレートの長辺に垂直な、プレートを横切る仮想線との間の角度であり、仮想線は、破線Cによって概略的に示される。したがって、シェブロン角度は、頂点が向いている熱交換プレートの隆起部の脚部と短辺との間の角度である。熱交換プレートの長辺は、短辺に対して垂直に延びるため、隆起部及び溝部のパターンも、隆起部が長辺に対して角度を有するように配置される。例えば、シェブロン角度は、頂点の両側で同じである。例えば、隆起部及び溝部の第1のパターンの全体又は実質的に全体には、プレートの熱交換面130の全体にわたって第1のシェブロン角度β1が形成される。例えば、第1のシェブロン角度β1は、5°~85°、25°~70°、又は40°~65°である。
【0028】
図6bを参照すると、代替の実施形態に係る第1の熱交換プレート110の隆起部R1及び溝部G1の第1のパターンが概略的に示され、プレスされたパターンは、斜めに延びる直線の形態である。したがって、隆起部及び溝部のプレスされたパターンは、斜めに延びる直線の波形パターン(corrugated pattern)である。第1の熱交換プレート110の斜めに延びる直線は、角度β1で配置される。例えば、パターンは、隆起部R1及び溝部G1が、第1の熱交換プレート110の一方側の長辺から他方側の長辺まで、例えば平行に延びるように配置される。
【0029】
図7aを参照すると、第2の熱交換プレート120の隆起部R2a、R2b及び溝部G2a、G2bの第2のパターンが概略的に示される。上記第2のパターンは、第1の熱交換プレート110を参照して上述したように、プレスされたヘリンボーンパターンであるが、第1のシェブロン角度β1とは異なる第2のシェブロン角度β2を有する。したがって、第2の熱交換プレート120には、第1の熱交換プレートのパターンとは異なる角度を有するヘリンボーンパターンが配置される。例えば、第2のシェブロン角度β2は、5°~85°、25°~70°、又は40°~65°である。例えば、第2の熱交換プレート120の隆起部及び溝部のパターン全体又は実質的に全体は、プレートの熱交換面140の全体にわたって第2のシェブロン角度β2で形成される。隆起部R2a、R2b及び溝部G2a、G2bの第2のパターンは、隆起部R1及び溝部G1の第1のパターンと逆方向に配置される。第2の熱交換プレート120のヘリンボーンパターンの頂点は、第1の熱交換プレート110のヘリンボーンパターンの頂点と逆方向を向いている。このため、隆起部R1及び溝部G1の第1のパターンの頂点は、第1の熱交換プレート110の一方側の短辺を向いており、隆起部R2a、R2b及び溝部G2a、G2bの第2のパターンの頂点は、第2の熱交換プレート120の反対側の短辺を向いていることにより、ヘリンボーンパターンは、熱交換器100の全体にわたって交互に逆方向に配置される。したがって、第1の角度β1と第2の角度β2とは、逆方向となる。例えば、第1の角度β1は、熱交換プレートの一方側の短辺に向かっており、第2の角度β2は、反対側の短辺に向かっている。
【0030】
図7bを参照すると、代替の実施形態に係る第2の熱交換プレート120の隆起部R2a、R2b及び溝部G2a、G2bの第2のパターンが概略的に示され、プレスされたパターンは、斜めに延びる直線の形態である。したがって、隆起部及び溝部のプレスされたパターンは、斜めに延びる直線の波形パターン(corrugated pattern)である。第2の熱交換プレート120の斜めに延びる直線は、角度β2で配置される。例えば、パターンは、隆起部R及び溝部Gが、第2の熱交換プレート120の一方側の長辺から他方側の長辺まで、例えば平行に延びるように配置される。隆起部R2a、R2b及び溝部G2a、G2bの第2のパターンは、隆起部R1及び溝部G1の第1のパターンと逆方向に配置される。第2の熱交換プレート120のパターンは、第1の熱交換プレート110の斜めに延びる直線のパターンと逆方向に斜めになっているため、両方のパターンは、熱交換器100の全体にわたって交互に逆方向に配置される。例えば、第1の角度β1は、熱交換プレートの一方側の短辺に向かっており、第2の角度β2は、反対側の短辺に向かっている。
【0031】
したがって、第1及び第2の熱交換プレート110、120には、異なるシェブロン角度β1、β2と、異なるプレスされたパターンとが形成され、その結果、異なるプレート間容積をもたらす。例えば、第1及び第2の熱交換プレート110、120は、異なる波形深さ(corrugation depth)を備える。或いは、又は更に、第1及び第2の熱交換プレート110、120は、異なる波形周波数(corrugation frequency)を備える。例えば、第1及び第2の熱交換プレート110、120は、同じ波形深さを備えるが、異なる波形周波数を備える。したがって、第1及び第2の熱交換プレート110、120は、異なる波形深さ及び/又は異なる波形周波数を備える。例えば、第1及び第2の熱交換プレート110、120の一方は、対称型熱交換プレートであり、他方は、非対称型熱交換プレートである。或いは、第1及び第2の熱交換プレート110、120の両方は、非対称型熱交換プレートである。或いは、第1及び第2の熱交換プレート110、120の両方は、対称型熱交換プレートである。
【0032】
図8及び
図9では、第1及び第2の熱交換プレート110、120の間の接点が
図5の例を用いて概略的に示される。交差する隆起部と溝部との間の接点(contact point)170内及び/又はその周囲に、ろう付け接合部(brazing joint)170が形成される。
図8及び
図9の実施形態では、ろう付け接合部170が全ての接点内に形成される。或いは、ろう付け接合部170が一部の接点のみ内に形成される。
図8では、第1の熱交換プレート110は、第2の熱交換プレート120の上に配置され、接点は、第1のパターン内に形成される。
図8では、第1の熱交換プレート110の隆起部R1と第2の熱交換プレート120の隆起部又は溝部との全ての交差は、接点となる。
【0033】
図9は、第1の熱交換プレート110の上に配置された第2の熱交換プレート120の概略図であり、接点は、第2のパターン内に形成される。
図9では、第2の熱交換プレート120の第1の隆起部R2a間の交差のみが、ろう付け接合部170を形成し得る接点となり、第2の隆起部R2bは、第1の熱交換プレート110の交差する隆起部又は溝部と隙間をあけて配置される。したがって、第2の熱交換プレート120の第2の隆起部R2bと第1の熱交換プレート110との間には、接点が形成されず、ろう付け接合部が形成されない。
図9では、全ての接点がろう付け接合部170で示される。
【0034】
一実施形態では、第1及び第2の熱交換プレート110、120の間のろう付け接合部170は、楕円形などの細長い形状であり、ろう付け接合部170は、所望のプレート間流路内に好ましい圧力損失を与えるために、大きな容積を有するプレート間流路に第1の方向で、小さな容積を有するプレート間流路に第2の方向で配置される。例えば、ろう付け接合部170は、プレート110、120の長手方向に対して、大きな容積を有するプレート間流路に第1の角度で配置され、残りのプレート間流路に第2の角度で配置される。一実施形態では、第1の角度は、第2の角度よりも大きい。
【0035】
図10を参照すると、他の実施形態に係る第1及び第2の熱交換プレート110、120を含む熱交換器の一部の断面が概略的に示される。
図10の実施形態では、上述したように、第1の熱交換プレート110は、対称型熱交換プレートであり、第2の熱交換プレート120は、非対称型熱交換プレートである。したがって、第1の熱交換プレート110の波形深さは一定であり、第2の熱交換プレート120の波形深さは変化する。第2の熱交換プレート120は、少なくとも2つの異なる波形深さで形成される。また、第1及び第2の熱交換プレート110、120には、上述したように、シェブロン角度などの角度が異なる波形パターンが形成される。
図10の実施形態では、第1の熱交換プレート110のシェブロン角度は、54度であり、第2の熱交換プレート120のシェブロン角度は、61度である。例えば、隣接するプレート間容積が異なるため、第1の熱交換プレート110の一方側のプレート間容積と第1の熱交換プレート110の反対側のプレート間容積とが異なる。当然ながら、第2の熱交換プレート120についても同様である。したがって、第1及び第2の熱交換プレートの間のプレート間容積は、第2及び第1の熱交換プレートの間のプレート間容積と異なる。同様に、第1の熱交換プレート110の一方側の断面積は、第1の熱交換プレート110の反対側の断面積と異なる。
【0036】
図11を参照すると、更に他の実施形態に係る第1及び第2の熱交換プレート110、120を含む熱交換器の一部の断面が概略的に示される。
図11の実施形態では、上述したように、第1の熱交換プレート110は、対称型熱交換プレートであり、第2の熱交換プレート120は、非対称型熱交換プレートである。
図11の実施形態では、第1の熱交換プレート110のシェブロン角度は、45度であり、第2の熱交換プレート120のシェブロン角度は、61度である。
【0037】
図12を参照すると、更に他の実施形態に係る第1及び第2の熱交換プレート110、120を含む熱交換器の一部の断面が概略的に示される。
図12の実施形態では、第1の熱交換プレート110は、非対称型熱交換プレートであり、第2の熱交換プレート120も、非対称型熱交換プレートである。
図12の実施形態では、上述したように、第1の熱交換プレート110のシェブロン角度は、第2の熱交換プレート120のシェブロン角度と異なる。また、プレート間流路は、上述したように、異なる容積を有する。例えば、ろう付け接合部は、楕円形などの細長い形状であり、大きな容積を有するプレート間流路に第1の方向で、小さな容積を有するプレート間流路に異なる第2の方向で配置される。
【0038】
図13を参照すると、更に他の実施形態に係る第1及び第2の熱交換プレート110、120のスタックの一部の断面が概略的に示される。
図13の実施形態では、第1及び第2の熱交換プレート110、120は、異なる波形深さを備える。第1の熱交換プレート110は、対称型熱交換プレートであり、第2の熱交換プレート120は、非対称型熱交換プレートである。或いは、第1及び第2の熱交換プレート110、120の両方は対称型又は非対称型熱交換プレートである。第1の熱交換プレート110のシェブロン角度は、第2の熱交換プレート120のシェブロン角度と異なり、第1及び第2の熱交換プレート110、120がろう付け接合部で一体にろう付け接合されたときに形成されたプレート間流路容積は異なる。
【0039】
本発明に係る熱交換器は、例えば、凝縮又は蒸発に用いられ、ある時点で少なくとも1つの媒体が気相である。例えば、熱交換器は、熱交換のために用いられ、凝縮又は蒸発は、大きな容積を有するプレート間流路で行われる。例えば、水又はブラインなどの液体媒体は、小さな容積を有するプレート間流路を通って導かれる。
【0040】
図14を参照すると、第1の熱交換プレート110の隆起部R1及び溝部G1の第1のパターンが概略的に示される。
図14の実施形態に係るプレスされたパターンは、
図6a及び
図6bを参照して一般的に上述したように、ヘリンボーンパターンであるが、代替的には斜線のパターンであってもよいため、第1の角度β1を示す。しかしながら、
図14の実施形態では、第1の角度β1は、熱交換プレート110の中央の主熱交換部にある。したがって、第1のプレスされたパターンは、部分的に第1の角度β1を有する。例えば、中央の主熱交換部は、第1の熱交換プレート110の一方側から反対側に延びる。中央の主熱交換部は、本明細書において端部と呼ばれる、熱交換プレートのポート開口部の第1及び第2の熱交換部の間に配置される。第1及び第2の端部は、例えば、第1の熱交換プレート110の両端部に配置される。例えば、第1の端部及び第2の端部は、第1の熱交換プレート110の一方側から反対側に延びており、必要に応じて、熱交換プレートの短辺などの第3の側にも延びる。第1の端部は、第1のポート開口部O1及び第3のポート開口部O3などのポート開口部を含む。第2の端部は、第2及び第4のポート開口部O2、O4などのポート開口部を含む。隆起部R1及び溝部G1のプレスされたパターンは、第1及び/又は第2の端部などの少なくとも1つの端部で、角度β1’で配置され、角度β1’は、中央の主熱交換部におけるプレスされたパターンの角度β1と異なる。例えば、プレスされたパターンの方向は、中央の主部分と端部とにおいて同じである。例えば、角度は、両端部において同じである。或いは、第1の端部における角度は、第2の端部における角度と異なる。任意に、第2の熱交換部140は、第1の端部と異なるパターン又は角度で配置される。したがって、第1の熱交換プレート110の隆起部及び溝部の少なくとも一部は、第1の角度β1で延びており、他の部分は、異なる角度β1’で延びる。したがって、第1のパターンは、少なくとも一部が第1の角度β1で配置される。例えば、第1の角度β1は、異なる角度β1’よりも大きい。
【0041】
図14では、第1の熱交換プレート110が一例として示されるが、第2の熱交換プレート120の第2のプレスされたパターンは、対応する方法で設計され、隆起部R2a、R2b及び溝部G2a、G2bの第2のパターンは、中央の主熱交換部で、角度β2で配置され、1つ以上の端部は、異なる角度β2’(図示せず)で配置されることを理解されたい。したがって、第2の熱交換プレート120についても、隆起部R2a、R2b及び溝部G2a、G2bの少なくとも一部は角度β2で延びており、他の部分は、異なる角度β2’で延びる。したがって、第2のパターンは、少なくとも一部が第2の角度β2で配置される。第2の角度β2は、例えば、第1の角度度β1と逆方向となる。したがって、ヘリンボーンパターンの実施形態では、第1のパターンは、第2のパターンのシェブロンと逆方向のシェブロンを示し、したがって、逆方向のシェブロン角度を示す。
【0042】
図14では、第1の熱交換プレート110は、小ポート開口部SO1、SO2及び分割面DWを含み、このような設計の第1及び第2のプレート110、120を交互に配置してなる熱交換器の統合された吸気熱交換器を形成できる別の熱交換部を提供することができる。
【国際調査報告】