(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】ハンドヘルドライタの温度警告インジケータ
(51)【国際特許分類】
F23Q 2/50 20060101AFI20230317BHJP
G01K 11/16 20210101ALI20230317BHJP
C09K 9/02 20060101ALI20230317BHJP
F23Q 7/00 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
F23Q2/50
G01K11/16
C09K9/02 C
F23Q7/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540630
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 EP2020086242
(87)【国際公開番号】W WO2021151580
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501436665
【氏名又は名称】ソシエテ ビック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE BIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルク,アレキサンダー
【テーマコード(参考)】
3K095
【Fターム(参考)】
3K095AA02
3K095AA14
3K095AA23
3K095AA25
3K095AA26
3K095AB02
3K095AB07
3K095JA04
(57)【要約】
本開示は、ハンドヘルドライタ用の温度警告インジケータに関し、これは、ユーザに火傷をさせることなく、ライタの一部が熱すぎて触れない可能性があることをユーザに警告する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性材料に点火するためのハンドヘルドライタであって、
熱源を生成するための点火機構と、
前記点火機構を起動させるための作動手段と、
金属製シールドであって、前記ハンドヘルドライタが動作するときに前記金属製シールドが前記熱源によって加熱されるように、前記点火機構に隣接して、前記点火機構から距離を置いて位置付けられている、金属製シールドと、
前記点火機構、前記作動手段および前記金属製シールドを備えるハウジングと、を備え、
前記金属製シールドが、
(a)電子供与性有機化合物(成分(a))と、
(b)電子受容性化合物(成分(b))と、
(c)反応媒体であって、前記反応媒体(成分(c))の融点または軟化点超で、前記成分(a)と前記成分(b)との間の可逆的電子移動反応を可能にする、反応媒体と、含む、サーモクロミックコーティング備え、
前記サーモクロミックコーティングが、前記金属製シールドの温度が約60℃以上の第1の温度に上昇することに応答して可逆的に色を変化させるように構成され、かつ、前記金属製シールドの温度が前記第1の温度よりも約0℃~約20℃低い第2の温度に低下することに応答して可逆的に色を変化させるように構成されている、ハンドヘルドライタ。
【請求項2】
前記熱源がガス炎であり、前記金属製シールドがウインドシールドである、請求項1に記載のハンドヘルドライタ。
【請求項3】
前記サーモクロミックコーティングが、コアシェルマイクロカプセルを含み、コアシェル微粒子が、コア成分およびシェル成分を含み、前記コア成分が、前記電子供与性有機化合物(成分(a))、前記電子受容性化合物(成分(b))、および前記反応媒体の前記融点または軟化点超で前記成分(a)と前記成分(b)との間の可逆的電子移動反応を可能にする前記反応媒体(成分(c))を含み、前記シェル成分が有機ポリマーを含む、請求項1または2に記載のハンドヘルドライタ。
【請求項4】
前記サーモクロミックコーティングが、前記金属製シールドの温度が約60℃以上の前記第1の温度に上昇することに応答して、着色状態から変色状態に変化するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のハンドヘルドライタ。
【請求項5】
前記金属製シールドが前記成分(c)の前記融点または軟化点を上回る温度に達するまで前記金属製シールドを加熱し、その後、前記金属製シールドを前記成分(c)の前記融点または軟化点を下回る温度に冷却するサイクルに10サイクル、前記金属製シールドを繰り返し曝露した後、前記成分(c)の前記融点または軟化点が、実質的に無変化を維持する、請求項1~4のいずれか一項に記載のハンドヘルドライタ。
【請求項6】
前記成分(a)と前記成分(b)との間の可逆的電子移動反応を可能にするための前記反応媒体が、ワックス状材料、特に、60℃~約95℃、具体的には約60℃~約85℃、特に、約65℃~約80℃の融点を有するワックスである、請求項1~5のいずれか一項に記載のハンドヘルドライタ。
【請求項7】
前記反応媒体(成分(c))の前記融点または軟化点超で、前記成分(a)と前記成分(b)との間の可逆的電子移動反応を可能にするための前記反応媒体が、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール;ステアリルステアレート、ステアリルアラキデート、ステアリルベヘネート、アラキジルステアレート、アラキジルアラキデート、アラキジルベヘネート、ベヘニルステアレート、ベヘニルアラキデート、ベヘニルベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、(ジオクタデシル)-3,3’-チオジプロピオネート;グリセロールモノラウレート、グリセロールモノステアレート、グリセロールジラウレート、グリセロールジステアレート、グリセロールジベヘネート、グリセロールトリパルミテート、グリセロールトリステアレート、グリセロールトリベヘネート;シクロドデカノン、4-メトキシベンゾフェノン、11-ヘネイコサノン、10-ノナデカノン、n-オクタデカオフェノン、ジトリデシルケトン、ジ-n-ヘプチルデシルケトン;パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸;n-オクタコサン、トリアコンタン、テトラトリアコンタン、テトラコンタン、ペンタコンタン、マイクロクリスタリンワックス、2,6-ジイソプロピルナフタレン;n-オクタデシルエーテル、トリエチレングリコール-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネートの群から選択される、請求項1~6のいずれか一項にハンドヘルドライタ。
【請求項8】
前記電子供与性有機化合物が、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド(ブルー63、CAS番号69898-40-4)、2’-(ジベンジルアミノ)-6’-(ジエチルアミノ)フルオラン(CAS番号34372-72-0)、N,N-ジメチル-4-[2-[2-(オクチルオキシ)フェニル]-6-フェニル-4-ピリジニル]ベンゼンアミン(イエローCK37、CAS番号144190-25-0)、7-(4-ジエチルアミノ-2-ヘキシルオキシフェニル)-7-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-7H-フロ[3,4-b]ピリジン-5-オン(ブルー203、CAS番号98660-18-5)、2-(2,4-ジメチルフェニルアミノ)-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン(ブラック15、CAS番号:36431-22-8)、および3,3-ビス-(1-ブチル-2-メチル-インドール-3-イル)-3H-イソベンゾフラン-1-オン(レッド40、CAS番号50292-91-6)から選択され、ならびに/または、前記電子受容性化合物が、4,4’-シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ、CAS番号843-55-0)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC、CAS番号79-97-0)、4-ヘキシル-1,3-ジヒドロキシベンゼン(4-ヘキシルレゾルシノール、CAS番号136-77-6)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール(ビスフェノールAF、CAS番号1478-61-1)、4,4’-(1-フェニルエチリデン)ビスフェノール(CAS番号1571-75-1)、2,2’-ジヒドロキシビフェニル(CAS番号1806-29-7)、4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(CAS番号2167-51-3)、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン(CAS番号2362-14-3)、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(CAS番号3236-71-3)、4,4’-(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(CAS番号13595-25-0)、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(CAS番号27955-94-8)、4,4’-(2-エチルヘキシリデン)ジフェノール(CAS番号74462-02-5)、α,α,α’-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン(CAS番号110726-28-8)、3,5,4’-トリヒドロキシ-トランス-スチルベン(レスベラトロール、CAS番号501-36-0)から選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載のハンドヘルドライタ。
【請求項9】
前記サーモクロミックコーティングが、非感熱性着色剤をさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のハンドヘルドライタ。
【請求項10】
前記サーモクロミックコーティングが、前記金属製シールドの温度が約60℃以上の前記第1の温度に上昇することに応答して、1つ以上の記号を描くように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載のハンドヘルドライタ。
【請求項11】
前記サーモクロミックコーティングが、前記金属製シールドの温度が約60℃以上の前記第1の温度に上昇することに応答して1つ以上の記号または色を描くように構成され、前記1つ以上の記号または色が、非感熱性着色剤によって形成されており、
前記サーモクロミックコーティングが、約60℃未満の前記金属製シールドの前記第1の温度で前記非感熱性着色剤によって形成された前記1つ以上の記号または色を少なくとも部分的に覆うように構成されており、
前記サーモクロミックコーティングが、前記金属製シールドの温度が約60℃以上の前記第1の温度に上昇することに応答して、着色状態から脱色状態に変化するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のハンドヘルドライタ。
【請求項12】
前記サーモクロミックコーティングが、少なくとも2つの層を含み、内層が前記非感熱性着色剤を含み、外層が前記成分(a)、(b)および(c)を含む、請求項11に記載のハンドヘルドライタ。
【請求項13】
前記サーモクロミックコーティングが、前記金属製シールド上に印刷されているか、または前記サーモクロミックコーティングが、接着剤で前記金属製シールド上に貼付されているラベルである、請求項1~12のいずれか一項に記載のハンドヘルドライタ。
【請求項14】
金属製シールド上にサーモクロミックコーティングを塗布することを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の可燃性材料を点火するためのハンドヘルドライタを作製する工程。
【請求項15】
可燃性材料に点火するためのハンドヘルドライタ用の温度警告インジケータとしてのサーモクロミックコーティングの使用であって、
可燃性材料に点火するための前記ハンドヘルドライタが、
熱源を生成するための点火機構と、
前記点火機構を起動させるための作動手段と、
金属製シールドであって、前記ハンドヘルドライタが動作するときに前記金属製シールドが前記熱源によって加熱されるように、前記点火機構に隣接して、前記点火機構から距離を置いて位置付けられている、金属製シールドと、
前記点火機構、前記作動手段および前記金属製シールドを備えるハウジングと、を備え、
前記サーモクロミックコーティングが、
(a)電子供与性有機化合物(成分(a))と、
(b)電子受容性化合物(成分(b))と、
(c)反応媒体であって、前記反応媒体(成分(c))の融点または軟化点超で、前記成分(a)と前記成分(b)との間の可逆的電子移動反応を可能にするための、反応媒体と、を含み、
前記サーモクロミックコーティングが、金属製シールドの温度が、約60℃以上の第1の温度の上昇することに応答して可逆的に色を変化するように構成され、かつ、前記金属製シールドの温度が、前記第1の温度よりも約0℃~約20℃低い第2の温度に低下することに応答して可逆的に色を変化させるように構成されている、サーモクロミックコーティングの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハンドヘルドライタ用の温度警告インジケータに関し、これは、ユーザに火傷をさせることなく、ライタの一部が熱すぎて触れない可能性があることをユーザに警告する。
【背景技術】
【0002】
ハンドヘルドライタは、タバコ、ろうそく、および他の多くの材料などの可燃性材料を点火するために広く使用されている。他のタイプも利用できるが、最も人気のあるハンドヘルドライタは、熱源としてガスの炎を使用し、ガスの裸火を安定させるために金属製ウインドシールドを使用する。ガス炎は金属製シールドを加熱し、稼働の長さによっては、金属製シールドが、直接触れるとユーザが火傷する可能性がある温度に達する可能性がある。
【0003】
本開示の目的は、ハンドヘルドライタの金属製シールドが触るには熱すぎる可能性があることをユーザに警告するための簡素で費用効果の高い手段を提供することである。
【発明の概要】
【0004】
第1の態様において、本開示は、可燃性材料に点火するためのハンドヘルドライタに関する。ハンドヘルドライタは、熱源を生成するための点火機構を備え得る。ハンドヘルドライタは、点火機構を起動させるための作動手段を含み得る。ハンドヘルドライタは、金属製シールドを含み得、金属製シールドは、ハンドヘルドライタが動作するときに金属製シールドが熱源によって加熱されるように、点火機構に隣接して、点火機構から距離を置いて位置付けられている。ハンドヘルドライタは、ハウジングを備え得る。ハウジングは、点火機構、作動手段、および金属製シールドを備え得る。
【0005】
ハンドヘルドライタの金属製シールドは、サーモクロミックコーティングを含み得る。サーモクロミックコーティングは、電子供与性有機化合物(成分(a))、電子受容性化合物(成分(b))、および反応媒体(成分(c))の融点または軟化点を上回って成分(a)と成分(b)との間で電子移動反応をできるようにするか、またはそれを可能にし得る反応媒体を含み得る。電子移動反応は可逆的であり得る。サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が、約60℃以上の第1の温度に上昇することに応答して、可逆的に色を変化するように構成され得る。サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が第1の温度よりも約0℃~約20℃低い第2の温度に低下することに応答して、可逆的に色を変化するように構成され得る。
【0006】
いくつかの実施形態では、ハンドヘルドライタの熱源は、ガス炎であり得、金属製シールドはウインドシールドであり得る。しかしながら、熱源は、加熱コイルまたは電気アークなどの異なる供給源、およびピエゾ、押しボタンまたはピボットリードなどの他の火炎発生装置、ならびに無炎加熱製品からのものであり得ること、また、金属製シールドは、ユーザによって熱源が直接向けられることを防止するか、妨げることなど、ガス炎を風から遮蔽するのとは異なる目的を果たすことも考慮されている。
【0007】
いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングは、コアシェルマイクロカプセルを含み得る。コアシェル微粒子は、コア成分およびシェル成分を含み得る。コア成分は、電子供与性有機化合物(成分(a))と、電子受容性化合物(成分(b))と、反応媒体(成分(c))の融点または軟化点超で成分(a)と成分(b)との間の可逆的電子移動反応を可能にするための反応媒体と、を含み得る。シェル成分は、有機ポリマーを含み得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が、約60℃以上の第1の温度に上昇することに応答して、着色状態から脱色状態に変化するように構成され得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、金属製シールドが成分(c)の融点または軟化点を上回る温度に達するまで金属製シールドを加熱し、その後、金属製シールドを成分(c)の融点または軟化点を下回る温度に冷却するサイクルに10サイクル、金属製シールドを繰り返し曝露した後、成分(c)の融点または軟化点は、実質的に無変化を維持し得る。前述の特性は、成分(c)がメルトメモリ効果を有していないと、説明できる。
【0010】
いくつかの実施形態では、成分(a)と成分(b)との間の可逆的電子移動反応を可能にする反応媒体は、ワックス状材料、特にワックスであり得る。ワックス状材料またはワックスは、約60℃~約95℃の融点、具体的には約60℃~約85℃の融点、特に、約65℃~約80℃の融点を有し得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、反応媒体(成分(c))の融点または軟化点超で成分(a)と成分(b)との間の可逆的電子移動反応を可能にするための反応媒体は、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール;ステアリルステアレート、ステアリルアラキデート、ステアリルベヘネート、アラキジルステアレート、アラキジルアラキデート、アラキジルベヘネート、ベヘニルステアレート、ベヘニルアラキデート、ベヘニルベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、(ジオクタデシル)-3,3’-チオジプロピオネート;グリセロールモノラウレート、グリセロールモノステアレート、グリセロールジラウレート、グリセロールジステアレート、グリセロールジベヘネート、グリセロールトリパルミテート、グリセロールトリステアレート、グリセロールトリベヘネート;シクロドデカノン、4-メトキシベンゾフェノン、11-ヘネイコサノン、10-ノナデカノン、n-オクタデカオフェノン、ジトリデシルケトン、ジ-n-ヘプチルデシルケトン;パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸;n-オクタコサン、トリアコンタン、テトラトリアコンタン、テトラコンタン、ペンタコンタン、マイクロクリスタリンワックス、2,6-ジイソプロピルナフタレン;n-オクタデシルエーテル、トリエチレングリコール-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネートを含む群から選択され得る。
【0012】
一実施形態によれば、反応媒体(成分(c))の融点または軟化点超で成分(a)と成分(b)との間の可逆的電子移動反応を可能にするための反応媒体は、化合物(c)の混合物ではなく、特に、上述の反応媒体c)の混合物ではない。
【0013】
いくつかの実施形態において、電子供与性有機化合物は、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド(ブルー63、CAS番号69898-40-4)、2’-(ジベンジルアミノ)-6’-(ジエチルアミノ)フルオラン(CAS番号34372-72-0)、N,N-ジメチル-4-[2-[2-(オクチルオキシ)フェニル]-6-フェニル-4-ピリジニル]ベンゼンアミン(イエローCK37、CAS番号144190-25-0)、7-(4-ジエチルアミノ-2-ヘキシルオキシフェニル)-7-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-7H-フロ[3,4-b]ピリジン-5-オン(ブルー203、CAS番号98660-18-5)、2-(2,4-ジメチルフェニルアミノ)-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン(ブラック15、CAS番号:36431-22-8)、および3,3-ビス-(1-ブチル-2-メチル-インドール-3-イル)-3H-イソベンゾフラン-1-オン(レッド40、CAS番号50292-91-6)から選択され得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、「現像剤」とも呼ばれる電子受容性化合物は、4,4’-シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ、CAS番号843-55-0)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC、CAS番号79-97-0)、4-ヘキシル-1,3-ジヒドロキシベンゼン(4-ヘキシルレゾルシノール、CAS番号136-77-6)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール(ビスフェノールAF、CAS番号1478-61-1)、4,4’-(1-フェニルエチリデン)ビスフェノール(CAS番号1571-75-1)、2,2’-ジヒドロキシビフェニル(CAS番号1806-29-7)、4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(CAS番号2167-51-3)、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン(CAS番号2362-14-3)、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(CAS番号3236-71-3)、4,4’-(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(CAS番号13595-25-0)、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(CAS番号27955-94-8)、4,4’-(2-エチルヘキシリデン)ジフェノール(CAS番号74462-02-5)、α,α,α’-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン(CAS番号110726-28-8)、3,5,4’-トリヒドロキシ-トランス-スチルベン(レスベラトロール、CAS番号501-36-0)から選択され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングは、非感熱性着色剤をさらに含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が約60℃以上の第1の温度に上昇することに応答して、1つ以上の記号を描くように構成され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が約60℃以上の第1の温度に上昇することに応答して、1つ以上の記号または色を描くように構成され得、1つ以上の記号または色は、非感熱性着色剤によって形成され得る。サーモクロミックコーティングは、約60℃の第1の温度を下回る金属製シールドの温度で、非感熱性着色剤によって形成されている1つ以上の記号または色を少なくとも部分的に隠すように構成されることができ、また、サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が約60℃以上の第1の温度に上昇することに応答して、着色状態から脱色状態に変化するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングが少なくとも2つの層を含み、内層が非感熱性着色剤を含み、外層が成分(a)、(b)および(c)を含むことが、有利であり得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングは、金属製シールド上に印刷されることができる。いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングは、接着剤で金属製シールドに貼り付けられるラベルであり得る。
【0019】
第2の態様において、本開示は、本開示の第1の態様で説明したように、可燃性材料に点火するためのハンドヘルドライタを作製する工程に関する。この工程は、本開示の第1の態様に記載されているようなサーモクロミックコーティングを金属製シールド上に塗布するセットを含み得る。
【0020】
サーモクロミックコーティングは、本開示の第1の態様に関してさらに規定されることができる。
【0021】
第3の態様において、本開示は、可燃性材料に点火するためのハンドヘルドライタの温度警告インジケータとしてのサーモクロミックコーティングの使用に関する。ハンドヘルドライタは、熱源を生成するための点火機構を備え得る。ハンドヘルドライタは、点火機構を起動させるための作動手段を含み得る。ハンドヘルドライタは、金属製シールドを含み得、金属製シールドは、ハンドヘルドライタが動作するときに金属製シールドが熱源によって加熱されるように、点火機構に隣接して、点火機構から距離を置いて位置付けられている。ハンドヘルドライタは、ハウジングを備え得る。ハウジングは、点火機構、作動手段、および金属製シールドを備え得る。
【0022】
温度警告インジケータは、サーモクロミックコーティングを含み得る。サーモクロミックコーティングは、(a)電子供与性有機化合物(成分(a))、電子受容性化合物(成分(b))、および反応媒体(成分(c))の融点または軟化点を上回って成分(a)と成分(b)との間で電子移動反応をできるようにするか、またはそれを生じさせ得る反応媒体を含み得る。電子移動反応は可逆的であり得る。サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が、約60℃以上の第1の温度に上昇することに応答して、可逆的に色を変化するように構成され得る。サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が第1の温度よりも約0℃~約20℃低い第2の温度に低下することに応答して、可逆的に色を変化するように構成され得る。
【0023】
サーモクロミックコーティングは、本開示の第1の態様に関してさらに規定されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示によるハンドヘルドライタの一例を示す。
【
図2】本開示のサーモクロミック着色色組成のヒステリシス特性を色濃度-温度曲線で説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示について詳細に説明する。本開示の説明および特許請求の範囲で使用される用語または単語は、共通言語または辞書の意味のみを有するものとして限定的に解釈されるべきではなく、以下の説明で特に定義されない限り、関連する技術分野で確立されたようなそれらの通常の技術的意味を有すると解釈されるべきである。詳細な説明は、本開示をよりよく示すために特定の実施形態を参照するが、提示された開示は、これらの特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。
【0026】
第1の態様において、本開示は、可燃性材料に点火するためのハンドヘルドライタに関する。ハンドヘルドライタの種類は、特に限定されるものではなく、なかでも、ガス炎、電気加熱コイル、または電気アークを熱源として利用するライタが含まれ得る。ハンドヘルドライタは、熱源を生成するための点火機構を備え得る。ガス炎の場合、点火機構は、火花を機械式に、または電気式に発生させるための手段と、可燃性ガスを点火機構に供給するガスリザーバに接続されたバルブと、を含み得る。点火機構を起動させるための作動手段は、ユーザによる作動時にバルブを開くレバーであり得る。ハンドヘルドライタは、金属製シールドを備え得、金属製シールドは、ハンドヘルドライタが動作するときに金属製シールドが熱源によって加熱されるように、点火機構に隣接して、点火機構から距離を置いて位置付けられている。金属製シールドの形状と目的は、特に限定されるものではなく、熱源を外部干渉から保護する、ガス炎を風から遮断する、ライタの構成要素を収容する、または取り付ける、審美的理由でライタの内部構成要素を隠す、など、様々な目的で提供されることができる。ハンドヘルドライタは、ハウジングを備え得る。ハウジングは、点火機構、作動手段、および金属製シールドを備え得る。ハウジングは特に限定されるものではなく、ライタの熱源に、特に、ガスタンクおよび/またはバッテリに燃料供給するためのリザーバなどの追加的なライタ構成要素をさらに含むことができる。このような構成要素は、交換可能または再補給可能である。
【0027】
本開示によるハンドヘルドライタの例は、
図1を参照して以下に説明される。
【0028】
一実施形態では、本開示によるハンドヘルドライタは、ガス炎を発生させることができる。したがって、ライタは、上側部分1および下側部分2を含み得る。下側部分2は、使用される燃料のための、特に、加圧された液体ブタンガス、または他の従来のライタ燃料のためのタンクを収容できる。上側部分1は、ノズルおよびバルブ機構を含む点火機構を取り付ける上側座部材3、バルブ機構を動作させるための作動手段、ならびに点火機構を取り付けて囲むウインドシールド4を備え得る。
図1に示される実施形態では、点火機構は、手動作動式点火ホイールまたはドラム5、およびそれと協調するように配置されたフリントを備える、よく知られた機械式のものである。点火ホイール5は、ユーザによる作動のためのわずかに大きな直径の2つの刻み付き側部セクションと、わずかに小さな直径であり、その作動時に点火ホイールと協働するように配置されたフリントストーンから点火火花を打つために適切に粗面化された表面を有する主セクションと、を備え得る。点火ホイール5は、ユーザによる作動のためにウインドシールド4の上端からわずかに突出し得、一方で、フリントストーンは、水平に取り付けられた点火ホイール5の下に配置され得、発生した点火火花が、ウインドシールド内の点火メカニズム4の燃焼ユニットに向けられるようになっている。
図1による実施形態では、ライタは作動手段を備えることができ、作動手段は、点火ホイール5の下に枢動可能に取り付けられ、ユーザがライタを保持している手の親指で点火ホイール5を作動する場合に、親指がレバー6を押して、そのカウンターピースをその静止位置から作動位置に旋回させるような様式で配置された作動レバー6を備え、作動位置では、前述のカウンターピースと協働して配置されたバルブが開かれ、ガスが点火機構のバーナーユニットに供給され得るようになっている。
【0029】
ハンドヘルドライタの金属製シールドは、サーモクロミックコーティングを含み得る。サーモクロミックコーティングという用語は、金属製シールドの温度変化に応答して金属製シールド上のコーティングの色の外観が変化するという事実を指すことができる。コーティングの種類は、特に限定されるものではなく、特に、金属製シールドの表面に提供される材料のフィルム、ラベル、およびストリップも含むことを意図している。サーモクロミックコーティングは、電子供与性有機化合物(成分(a))、電子受容性化合物(成分(b))、および反応媒体(成分(c))の融点または軟化点を上回って成分(a)と成分(b)との間で電子移動反応をできるようにするか、またはそれを可能にし得る反応媒体を含み得る。電子移動反応は可逆的であり得る。サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が、約60℃以上の第1の温度に上昇することに応答して、可逆的に色を変化するように構成され得る。サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が第1の温度よりも約0℃~約20℃低い第2の温度に低下することに応答して、可逆的に色を変化するように構成され得る。前述の色変化は、成分(a)と成分(b)との間の色形成電子移動反応に由来する(人間の目への)色の印象を指し、特に、有色から無色への変化、およびその逆、ならびに色濃度における知覚可能な変化を含むことが理解されるべきである。
【0030】
述べたように、サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が約60℃以上の第1の温度に上昇することに応答して、可逆的に色を変化するように構成され得る。概して、48.8℃(120°F)を上回る温度は、当局によって「安全に触れるには熱すぎる」と分類されており、それは、この温度において、皮膚タンパク質が変性し始めることからであるが、約60℃を上回る温度では、短い接触時間で皮膚に熱傷を生じるリスクは、ユーザに特定の警告を与えるのに十分なレベルに達している。したがって、前述の第1の温度によって提供される約60℃の温度閾値は、ユーザが、加熱されたライタで短い接触時間でも偶発的に自身に火傷を負わせる機会を低減するために選択される。これに接続して、サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が約60℃の温度閾値よりも約0℃~約20℃低い第2の温度に低下することに応答して、可逆的に色を変化させるように構成され得る。このことが、ライタに軽く触れ、および/またはライタをポケットに入れることが、再び安全になったときに、ユーザに示されることを確実にする。
【0031】
いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が約65℃以上、または約70℃以上、または約75℃以上の第1の温度に上昇することに応答して、可逆的の色を変化させるように構成されることが、有利であり得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が約60℃~約90℃の範囲にある、より具体的には約60℃~約80℃の範囲にある、特に約60℃~約75℃の範囲にある、またはそれ以上の第1の温度に上昇することに応答して、可逆的の色を変化させるように構成されることが、有利であり得る。
【0033】
電子供与性有機化合物(成分(a))は、電子受容性化合物と反応することによって、色印象を発現する化合物であり得る。電子供与性発色有機化合物は、サーモクロミックコーティングを形成するのに適している限り、特に限定されず、サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が約60℃以上の第1の温度に上昇することに応答して、可逆的に色を変化させるように構成され得、また、金属製シールドの温度が第1の温度よりも0℃~約20℃低い第2の温度に低下することに応答して、可逆的に色を変化させるように構成され得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、電子供与性有機化合物は、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド(ブルー63、CAS番号69898-40-4)、2’-(ジベンジルアミノ)-6’-(ジエチルアミノ)フルオラン(CAS番号34372-72-0)、N,N-ジメチル-4-[2-[2-(オクチルオキシ)フェニル]-6-フェニル-4-ピリジニル]ベンゼンアミン(イエローCK37、CAS番号144190-25-0)、7-(4-ジエチルアミノ-2-ヘキシルオキシフェニル)-7-(1-エチル-2-メチル-1H-インドール-3-イル)-7H-フロ[3,4-b]ピリジン-5-オン(ブルー203、CAS番号98660-18-5)、2-(2,4-ジメチルフェニルアミノ)-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン(ブラック15、CAS番号:36431-22-8)、および3,3-ビス-(1-ブチル-2-メチル-インドール-3-イル)-3H-イソベンゾフラン-1-オン(レッド40、CAS番号50292-91-6)から選択され得る。
【0035】
単一の電子供与性有機化合物を使用できること、または複数の電子供与性有機化合物を使用できることを理解されたい。これにより、知覚される色の印象を微調整することが可能となり得る。
【0036】
電子受容性化合物(成分(b))は、着色剤または色の印象の形成下で電子供与性有機化合物と反応する化合物であってもよい。電子受容性化合物は、活性プロトンを有する化合物、疑似酸性化合物、または電子正孔を有する化合物であってもよい。電子受容性化合物は、特に限定されておらず、特に、フェノール性ヒドロキシル基(フェノール、o-クレゾール、m-オクチルフェノール、n-ドデシルフェノール、n-ステアリルフェノール、ビスフェノール、およびレゾルシノールなど)カルボン酸およびその金属塩(サリチル酸亜鉛、サリチル酸亜鉛3,5-ジ(アルファ-メチルベンジル)など)、酸性リン酸エステルおよびその金属塩、尿素チオ尿素ベースの化合物およびその誘導体、ならびに1,2、3-トリアゾールおよびその誘導体を有する化合物から選択され得る。当然ながら、金属製シールドの温度が約60℃以上の第1の温度に上昇することに応答して可逆的に色を変化させるように構成され得、かつ、金属製シールドの温度が第1の温度よりも約0℃~約20℃低い第2の温度に低下することに応答して可逆的に色を変化させるように構成され得るサーモクロミックコーティングを形成できるように適切に選択されなければならない。
【0037】
いくつかの実施形態では、電子受容性化合物は、4,4’-シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ、CAS番号843-55-0)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC、CAS番号79-97-0)、4-ヘキシル-1,3-ジヒドロキシベンゼン(4-ヘキシルレゾルシノール、CAS番号136-77-6)、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール(ビスフェノールAF、CAS番号1478-61-1)、4,4’-(1-フェニルエチリデン)ビスフェノール(CAS番号1571-75-1)、2,2’-ジヒドロキシビフェニル(CAS番号1806-29-7)、4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(CAS番号2167-51-3)、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン(CAS番号2362-14-3)、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(CAS番号3236-71-3)、4,4’-(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(CAS番号13595-25-0)、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(CAS番号27955-94-8)、4,4’-(2-エチルヘキシリデン)ジフェノール(CAS番号74462-02-5)、α、α、α’-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン(CAS番号110726-28-8)、3,5,4’-トリヒドロキシ-トランス-スチルベン(レスベラトロール、CAS番号501-36-0)から選択され得る。
【0038】
単一の電子受容性化合物を使用できること、または複数の電子受容性化合物を使用できることを理解されたい。これにより、知覚される色の印象を微調整することが可能となり得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が約60℃以上の第1の温度に上昇することに応答して、着色状態から脱色状態に変化するように構成されることが有利であり得る。この特性は、温度が安全閾値を超えたときに表示される温度警告インジケータを隠す場合に特に有益であり得る。より具体的には、サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が約60℃以上の第1の温度に上昇することに応答して可逆的に変色するように構成され、かつ、金属製シールドの温度が第1の温度よりも約0℃~約20℃で、具体的には約2℃~16℃で、より具体的には約2℃~約11℃で、特に約4℃~約9℃低い第2の温度に低下することに応答して可逆的に変色するように構成されることは、有利であり得る。
【0040】
理論に拘束されることを望まないが、前述の実施形態で説明された温度上昇に対する変色効果は、成分(a)と成分(b)が、電子移動反応において着色された中間分子複合体を形成した可能性があるように説明され得る。反応媒体(成分(c))は、反応媒体の融点または軟化点超で、成分(a)と成分(b)との間の電子移動反応を妨げ、それによって変色反応を引き起こすことができる。反応媒体の軟化温度または融解温度とほぼ同じかそれ以上で、成分(c)は、成分(a)と成分(b)との間の電子移動反応を妨げるのに十分に移動可能であり得る。その後、成分(c)は、成分(a)および成分(b)を取り囲み、それらを互いに分離する(溶媒和する)溶媒として作用することができ、それにより、反応媒体の融点または軟化点を上回る温度での成分(a)と成分(b)との間の色形成電子移動反応を実質的に防止することができる。反応媒体(c)の融点または軟化点を下回ると、成分(a)と成分(b)との間の色形成電子移動反応のために、混合物(またはコーティング)が色付けされる。
【0041】
反応媒体の融点または軟化点は、示差熱分析(DTA)または示差走査熱量測定(DSC)などの確立された手段によって判定されることができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、成分(a)と成分(b)との間の可逆的電子移動反応を可能にするための反応媒体は、ワックス状の材料であり得る。「ワックス状材料」という用語は、ワックス、または周囲温度で展性のある固体状態および(多くのポリマー材料の場合のような融点範囲とは対照的に)定義された融点等のワックス様特性を有する材料を指し得る。ワックス状の材料は、ワックスであることが有利であり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、反応媒体(成分(c))の融点または軟化点超で、成分(a)と成分(b)との間の可逆的電子移動反応を可能にするための反応媒体は、以下を含む群から選択され得、それらは、
-アルコール、特に、少なくとも約20個の炭素原子を有する脂肪族線状アルコール、より具体的には、約20個~約30個の炭素原子を有する脂肪族線状アルコール、さらにより具体的には、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノールから選択されるアルコール;
-カルボン酸エステル、特に、脂肪族カルボン酸エステル、またはカルボン酸のモノ-、ジ-、トリ-、またはテトラ-エステル、または少なくとも約12個の炭素原子を有するカルボン酸のエステル;特に、ステアリン酸ステアリル、ステアリルアラキデート、ステアリルベヘネート、アラキジルステアレート、アラキジルアラキデート、アラキジルベヘネート、ベヘニルステアレート、ベヘニルアラキデート、ベヘニルベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、(ジオクタデシル)-3,3’-チオジプロピオネート;
-ケトン、特に、シクロドデカノン、4-メトキシベンゾフェノン、11-ヘネイコサノン、10-ノナデカノン、n-オクタデカオフェノン、ジトリデシルケトン、ジ-n-ヘプチルデシルケトン;
-カルボン酸、少なくとも約16個の炭素原子を有する脂肪族カルボン酸など、特に、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など;
-炭化水素、特に、完全に水素と炭素からなる有機化合物として定義される炭化水素、より具体的には、少なくとも約26個の炭素原子を有する直鎖炭化水素、より具体的には、約26~約50個の炭素原子を有する直鎖炭化水素、さらにより具体的には、n-オクタコサン、トリアコンタン、テトラトリアコンタン、テトラコンタン、ペンタコンタン、微結晶性ワックスから選択される炭化水素;
-エーテル、特に、n-オクタデシルエーテル、トリエチレングリコール-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート;
-およびそれらの混合物、である。
【0044】
いくつかの実施形態において、反応媒体(成分(c))の融点または軟化点超で、成分(a)と成分(b)との間の可逆的電子移動反応を可能にする反応媒体は、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール;ステアリルステアレート、ステアリルアラキデート、ステアリルベヘネート、アラキジルステアレート、アラキジルアラキデート、アラキジルベヘネート、ベヘニルステアレート、ベヘニルアラキデート、ベヘニルベヘネート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、(ジオクタデシル)-3,3’-チオジプロピオネート;シクロドデカノン、4-メトキシベンゾフェノン、11-ヘネイコサノン、10-ノナデカノン、n-オクタデカオフェノン、ジトリデシルケトン、ジ-n-ヘプチルデシルケトン;パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸;n-オクタコサン、トリアコンタン、テトラトリアコンタン、テトラコンタン、ペンタコンタン、マイクロクリスタリンワックス、;n-オクタデシルエーテル、トリエチレングリコール-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネートから選択されることが有利であり得る。
【0045】
一実施形態によれば、反応媒体(成分(c))の融点または軟化点超で、成分(a)と成分(b)との間の可逆的電子移動反応を可能にするための反応媒体は、化合物(c)の混合物ではない、特に、上述の反応媒体(成分(c))の混合物ではないことが有利であり得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、反応媒体(成分(c))は、約60℃~約95℃の融点または軟化点を有することで特徴化され得る。反応媒体が、約60℃~約85℃、特に約65℃~約80℃の融点または軟化点を有することが有利であり得る。コア成分の融点または軟化点は、示差熱分析(DTA)または示差走査熱量測定(DSC)等の確立された手段によって決定することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、金属製シールドが、成分(c)の融点または軟化点を上回る温度に達するまで金属製シールドを加熱し、その後、成分(c)の融点または軟化点を下回る温度に冷却するサイクルに10サイクル、金属製シールドを繰り返し曝露した後、成分(c)の融点または軟化点が、実質的に無変化を維持することが有利であり得る。前述の特性は、成分(c)がメルトメモリ効果を有していないと、説明できる。成分(c)にメルトメモリ効果がないことは、金属製シールドが熱すぎて触れることができないことをユーザに警告する際の信頼性を高めるのに有益となり得る。しかしながら、このような精度は、すべての用途に必要とされ得ない。この文脈において、「実質的に変化しない」という用語は、特に限定されるものでなく、前述の繰り返し曝露後に、約3℃未満で異なる、より具体的には、約2℃未満で異なる、特に、約1℃未満で異なる、成分(c)の融点または軟化点を指すことを意図している。
【0048】
成分(a)、(b)、および(c)は、金属製シールドの温度が約60℃以上の第1の温度に上昇することに応答して、サーモクロミックコーティングが可逆的に色を変化することができ、かつ、金属製シールドの温度が第1の温度よりも0℃~20℃低い第2の温度に低下することに応答して、サーモクロミックコーティングが可逆的に色を変化することができるように適切に選択され得る。
【0049】
理論に拘束されることを望まないが、上述の特性は、狭いヒステリシスを有するサーモクロミックコーティングとも称され得る。ヒステリシスの性質は、
図2を参照して以下で詳しく説明する。
図2は、色濃度-温度曲線におけるサーモクロミックコーティングのヒステリシス特性を説明するグラフである。
図2では、典型的なサーモクロミックコーティングの発色を示している。サーモクロミックコーティングの色濃度を縦軸に、温度を横軸にプロットする。この例では、サーモクロミックコーティングは温度の上昇とともに変色する。温度変化による色濃度の変化は、矢印の線の進行に沿って説明する。
図2では、Dは、完全に着色された状態が与えられる温度T1での密度を示す点である。温度が上昇すると、温度T3のポイントBに達するまで完全に着色された状態が維持されることができる。通常、この点は、成分(c)の溶融または軟化の開始とほぼ一致する。次に、コーティングは、変色状態に達する温度T4(T4は成分(c)の完全な溶融温度または軟化温度に対応する)まで急速に変色する。コーティングを再度冷却すると、温度T2の点Cに達するまで変色状態が維持される。サーモクロミック顔料のこの挙動は、当技術分野で十分に確立されている。線分の長さEFは、変色のコントラストを示す尺度であり、線分の長さHGは、ヒステリシス(ΔH)を示す温度幅である。線分HG(つまりヒステリシスΔH)は、それぞれT1とT2およびT3とT4の中間にある温度T
HとT
Gに基づいている。これは、色変化がどれだけ速く発生し、色変化が特定温度にどれだけ正確に相関するかを示す尺度である。図示されているように、上記のヒステリシスは狭くなる必要があり、つまり、ΔHは、例えば、約20℃未満、具体的には約15℃未満、より具体的には約10℃未満、特に約5℃未満など、低い値である必要がある。
【0050】
ヒステリシスが狭いサーモクロミックコーティングを施すことは、ライタの安全性をさらに高める機能であり、これは、上で説明したように、ライタが熱くなりすぎて触れても安全でないときにユーザに確実に通知するためだけでなく、再び触れるかまたはポケットに入れるのに十分にライタが冷却したときにもユーザに確実に通知する。
【0051】
本開示によれば、高温でなければ隠されている温度警告インジケータの実施形態の参照と考慮を容易にするために、温度が上昇する「約60℃以上の第1の温度」は、(実質的に)完全な変色と相関する温度(温度T4)を指すことができる。この温度では、いずれの温度警告インジケータも最もよく見られることができる。同様に、温度が低下する「第1の温度よりも約0℃~約20℃低い第2の温度」は、サーモクロミックコーティングの(実質的に)完全な(再)着色に相関する温度(温度T1)を指すことができる。この温度において、温度警告インジケータはいずれも、サーモクロミックコーティングによって最も良く隠され得る。したがって、いくつかの実施形態では、第2の温度は、第1の温度を約16℃未満で下回る、具体的には約11℃未満で下回る、より具体的には約5℃未満で下回る、特に約2℃未満で下回る温度であり得る。
【0052】
いくつかの実施形態において、核形成剤を成分(c)に添加することが有利であり得る。このことは、ヒステリシスをさらに狭めるのに役立ち得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングは、コアシェルマイクロカプセルを含み得る。コアシェル微粒子は、コア成分およびシェル成分を含み得る。コア成分は、電子供与性有機化合物(成分(a))と、電子受容性化合物(成分(b))と、反応媒体であって、反応媒体(成分(c))の融点または軟化点超で成分(a)と成分(b)との間の可逆的電子移動反応を可能にするための反応媒体と、を含み得る。シェル成分は、有機ポリマーを含み得る。このような配置は、成分(a)、(b)、および(c)を外部の影響から保護するさらなるバリアを導入することにより、経時的な色変化の安定性と均一性を促進するのに有益になり得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、シェル成分は、ポリ尿素、メラミン由来のポリマー、グアナミン由来のポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、重縮合ポリマー、およびそれらの混合物を含み得る。シェル成分が、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂を含むことが有利であり得る。
【0055】
コアシェルマイクロカプセルのサイズは、マイクロカプセルのサイズがナノメートルまたはマイクロメートルの範囲である限り、特に制限されない。いくつかの実施形態では、マイクロカプセルは、約0.1μm~約100μm、特に、約0.1μm~約50μm、具体的には、約0.2μm~約20μm、特に、約0.5μmから約10μmのサイズを有し得る。マイクロカプセルは、一般に、球形または実質的に球形の形状を有し得、したがって、それらのサイズは、顕微鏡法または電子顕微鏡法などの従来の手段によって決定され得る。これらの場合、マイクロカプセルの直径の測定された2次元表現は、前述のマイクロカプセルのサイズを代表するものとしてみなされ得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、電子供与性有機化合物の含有量が、サーモクロミックコーティング全体に基づいて、約0.01重量%~約15重量%であり、特に約0.1重量%~約10重量%であることが有利であり得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、電子供与性有機化合物が、マイクロカプセルの約0.1重量%~約30重量%の量で、特に、約1重量%~約20重量%の量でマイクロカプセルに含有されることが有利であり得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、電子受容性化合物の含有量が、サーモクロミックコーティング全体の約0.01重量%~約15重量%であり、特に約0.1重量%~約10重量%であることが有利であり得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、電子受容性化合物が、マイクロカプセルの重量の約0.1重量%~約30重量%で、特に約1重量%~約20重量%の量でマイクロカプセルに含有されることが有利であり得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、反応媒体(成分(c))の含有量が、サーモクロミックコーティング全体の約2重量%~約50重量%であり、特に約3重量%~約45重量%であることが有利であり得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、反応媒体(成分(c))の含有量は、マイクロカプセルの量の約20重量%~約95重量%であり、特に、約30重量%~約90重量%の量であることが有利であり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングが非感熱性着色剤をさらに含み得ることが有利であり得る。非感熱性着色剤を追加することは、コントラストを追加するか、または色の印象を調整するのに有益であり得る。また、サーモクロミックコーティングによって変調または隠蔽される恒久的な温度警告インジケータを組み込むことも可能にし得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が約60℃以上の、または約65℃超の、または約70℃超の、または約75℃超の第1の温度に上昇することに応答して、1つ以上の記号を描くように構成され得ることが有利であり得る。いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が約60℃以上の、または約60℃超の、または約65℃超の、または約70℃超の、または約75℃超の第1の温度に上昇することに応答して、1つ以上の記号または色を描くように構成され得、1つ以上の記号または色は、非感熱性着色剤によって形成され得る。サーモクロミックコーティングは、約60℃未満の、または約65℃の、または約70℃の、または約75℃の金属製シールドの温度で、非感熱性着色剤によって形成されている1つ以上の記号または色を少なくとも部分的に隠すように構成されることができ、また、サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が約60℃以上の、または約60℃超の、または約65℃超の、または約70℃超の、または約75℃超の第1の温度に上昇することに応答して、着色状態から脱色状態に変化するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングが少なくとも2つの層を含み、内層が非感熱性着色剤を含み、外層が成分(a)、(b)および(c)を含むことが、有利になり得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングは、金属製シールド上に印刷されることができる。いくつかの実施形態では、サーモクロミックコーティングは、接着剤で金属製シールドに貼り付けられるラベルであり得る。
【0065】
第2の態様において、本開示は、本開示の第1の態様で説明したように、可燃性材料に点火するためのハンドヘルドライタを作製する工程に関する。この工程は、本開示の第1の態様に記載されているようなサーモクロミックコーティングを金属製シールド上に塗布するセットを含み得る。
【0066】
本開示の第1の態様に関して上記で言及された実施形態は、本開示の第2の態様に等しく適用され、それらと組み合わせることができることを理解されたい。
【0067】
第3の態様において、本開示は、可燃性材料に点火するためのハンドヘルドライタの温度警告インジケータとしてのサーモクロミックコーティングの使用に関する。ハンドヘルドライタは、熱源を生成するための点火機構を備え得る。ハンドヘルドライタは、点火機構を起動させるための作動手段を含み得る。ハンドヘルドライタは、金属製シールドを含み得、金属製シールドは、ハンドヘルドライタが動作するときに金属製シールドが熱源によって加熱されるように、点火機構に隣接して、点火機構から距離を置いて位置付けられている。ハンドヘルドライタは、ハウジングを備え得る。ハウジングは、点火機構、作動手段、および金属製シールドを備え得る。
【0068】
温度警告インジケータは、サーモクロミックコーティングを含み得る。サーモクロミックコーティングは、電子供与性有機化合物(成分(a))、電子受容性化合物(成分(b))、および反応媒体(成分(c))の融点または軟化点を上回って成分(a)と成分(b)との間で電子移動反応をできるようにするか、またはそれを生じさせ得る反応媒体を含み得る。電子移動反応は可逆的であり得る。サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が、約60℃以上の第1の温度に上昇することに応答して、可逆的に色を変化するように構成され得る。サーモクロミックコーティングは、金属製シールドの温度が第1の温度よりも約0℃~約20℃低い第2の温度に低下することに応答して、可逆的に色を変化するように構成され得る。
【0069】
本開示の第1の態様に関して上記で言及された実施形態は、本開示の第3の態様に等しく適用され、それらと組み合わせることができることを理解されたい。
【0070】
以下において、本開示を例としてさらに詳しく説明する。
【実施例】
【0071】
サーモクロミック顔料およびマイクロカプセルの調製は、当技術分野で周知である。これらの顔料およびマイクロカプセルは、従来のインク処理技術によってコーティングおよびラベルに処理されることができる。
【0072】
第1の簡単な例では、レッドロイコ染料(3,3-ビス-(1-ブチル-2-メチル-インドール-3-イル)-3H-イソベンゾフラン-1-オン(レッド40、CAS番号50292-91-6))が、4,4’-シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ、CAS番号843-55-0)および1-エイコサノール(融点:64℃)と調合され、室温で赤色のサーモクロミックコーティングを提供し、これは、ガス炎ライタのウインドシールドを64℃で加熱すると、脱色し、金属製ウインドシールドを59℃未満に冷却すると、再着色する。
【0073】
より精巧な第2の例では、ハンドヘルドガス炎ライタの金属製ウインドシールドは、初めに、耐水性および耐光性の赤い顔料(Lanxessから入手可能な、例えば、Levanyl Rot BB-LF)を含有する恒久的な非サーモクロミックコーティングでコーティングされる。コーティングが、金属製ウインドシールドに塗布され、赤い温度警告インジケータを形成し、より具体的には「BURN RISK(火傷に注意)」という文言を形成する。この第1のコーティングは、2-(2,4-ジメチルフェニルアミノ)-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン(ブラック15、CAS番号:36431-22-8、Chemos GmbH&Coから入手可能)を成分(a)として、4,4’-シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ、CAS番号843-55-0、Sigma-Aldrichから入手可能)を成分(b)として、また、1-エイコサノール(64℃の融点を持つワックス、Sigma-Aldrichから入手可能)をホルムアルデヒド-メラミンシェル内に成分(c)として含む、従来式に調製されたコアシェルマイクロカプセルを含むサーモクロミックコーティング組成物でコーティングされている。サーモクロミックコーティング組成物は、室温では黒色であり、赤色の温度警告インジケータを、より具体的には室温で「BURN RISK」という文言を覆う。黒色のサーモクロミックコーティングは、成分(c)のほぼ溶融温度で、つまり約64℃で透明になり、「BURN RISK」という赤い文言を表す。金属製のウインドシールドが約60℃未満に冷却すると、サーモクロミックコーティングは、再び急速に黒くなり、温度警告インジケータを非表示にする。1-エイコサノールはメルトメモリ効果を有していないワックスであるため、温度警告インジケータが表示される温度は、金属製シールドを64℃超に加熱した後に続いて金属製シールドを60℃未満の温度に冷却するサイクルに10サイクル、金属製シールドを繰り返し曝露した後に、実質的に無変化を維持する。
【0074】
第3の例では、第2の例のコーティング層が、接着剤層を有するラベルに塗布されている。このラベルは、次いで、ハンドヘルドガス炎ライタの金属製ウインドシールドに貼り付けられる。
【0075】
本開示の好ましい実施形態が例示の目的で開示されてきたが、当業者は、本開示の趣旨から逸脱することなく、様々な修正および変更が可能であることを理解するであろう。また、そのような修正および変更は、本開示の範囲および添付の特許請求の範囲に組み込まれることを理解されたい。
【国際調査報告】