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特表2023-5124303次元(3D)NANDメモリのための単結晶垂直配向シリコンチャネルを製造するための電熱的方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】3次元(3D)NANDメモリのための単結晶垂直配向シリコンチャネルを製造するための電熱的方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 43/27 20230101AFI20230317BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20230317BHJP
   H01L 21/20 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
H01L27/11582
H01L29/78 371
H01L21/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540855
(86)(22)【出願日】2020-12-31
(85)【翻訳文提出日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 US2020067637
(87)【国際公開番号】W WO2021138541
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】62/956,920
(32)【優先日】2020-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597035274
【氏名又は名称】シノプシス, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SYN0PSYS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】アモローゾ サルヴァトーレ
(72)【発明者】
【氏名】モローズ ヴィクター
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
5F152
【Fターム(参考)】
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083GA06
5F083GA10
5F083GA11
5F083GA27
5F083GA30
5F083JA04
5F083JA05
5F083JA19
5F083PR25
5F083PR40
5F101BA45
5F101BB05
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BF09
5F101BH11
5F152BB02
5F152CC08
5F152CC16
5F152CE04
5F152CF17
5F152CG05
5F152FF28
5F152FF48
(57)【要約】
多数の垂直NANDメモリセルを形成する方法は、一部分において、多数の絶縁材料(20、30)をシリコン基板(50)上に形成することと、トレンチを絶縁材料内に形成し、シリコン基板の表面を露出させることと、ポリシリコン(70)の層をトレンチの側壁に沿って堆積させることと、トレンチに酸化物(80)を充填することと、金属層(90)をトレンチの上方に形成することと、NANDメモリセルのための単結晶チャネルを形成することであって、電圧(98)をシリコン基板と金属層との間に印加し、ポリシリコン側壁を融解させること、および融解したポリシリコン側壁が単結晶チャネルに再結晶することを可能にすることによって、単結晶チャネルを形成することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の垂直NANDメモリセルを形成する方法であって、前記方法が、
複数の絶縁材料をシリコン基板上に形成することと、
トレンチを前記複数の絶縁材料内に形成することであって、前記トレンチが前記シリコン基板の表面を露出させる、形成することと、
ポリシリコンの層を前記トレンチの側壁に沿って堆積させることと、
前記トレンチに酸化物を充填することと、
金属層を前記トレンチの上方に形成することと、
前記複数のNANDメモリセルのための単結晶チャネルを形成することであって、
電圧を前記シリコン基板と前記金属層との間に印加し、前記ポリシリコン側壁を融解させること、および
前記融解したポリシリコン側壁が前記単結晶チャネルに再結晶することを可能にすること、
によって、前記単結晶チャネルを形成することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記金属層を前記複数の絶縁材料の上方に形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チャネルの形成が、エピタキシャル層を前記トレンチの底部の近くに形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記チャネルの形成が、エピタキシャル層を前記トレンチの上部の近くに形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記トレンチおよび前記複数の絶縁材料の部分を除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記電圧の前記印加後に複数のパルスを前記金属層と前記基板との間に印加することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の絶縁材料が酸化物および窒化物の交互層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記窒化物層を除去し、複数の開口部を前記トレンチに沿って形成することであって、各開口部が前記複数のNANDメモリセルのうちの異なるものに関連付けられており、該異なるものを形成するように適合されている、形成することと、
少なくとも酸化物の第1および第2の層を各開口部の側壁および底部に沿って堆積させることであって、酸化物の前記第1の層が前記関連NANDメモリセルのトンネル酸化物を形成し、酸化物の前記第2の層が前記関連NANDメモリセルの蓄積酸化物を形成する、堆積させることと、
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも酸化物の第3の層を各開口部の側壁および底部に沿って堆積させることをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
酸化物の前記第3の層の前記堆積に続いて金属層を各開口部内に堆積させることをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電圧が前記ポリシリコン側壁の抵抗率によって規定される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
複数の垂直NANDメモリセルを形成する方法であって、前記方法が、
金属および酸化物の複数の交互層をシリコン基板上に形成することと、
トレンチを前記金属および酸化物の前記交互層内に形成することであって、前記トレンチが前記シリコン基板の表面を露出させる、形成することと、
酸化物の第1の層、酸化物の第2の層、および酸化物の第3の層を前記トレンチの側壁に沿って堆積させることと、
ポリシリコンの層を、前記トレンチの側壁に沿って、および前記トレンチ内の酸化物の前記第1の層に隣接して堆積させることと、
前記トレンチに酸化物を充填することと、
金属層を前記トレンチの上方に形成することと、
前記複数のNANDメモリセルのための単結晶チャネルを形成することであって、
電圧を前記シリコン基板と前記金属層との間に印加し、前記ポリシリコン側壁を融解させること、および
前記融解したポリシリコン側壁が前記単結晶チャネルに再結晶することを可能にすること、
によって、前記単結晶チャネルを形成することと、
を含む方法。
【請求項13】
前記金属層を金属および酸化物の前記複数の交互層の上方に形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
エピタキシャル層を前記トレンチの底部の近くに形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
エピタキシャル層を前記トレンチの上部の近くに形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記トレンチならびに金属および酸化物の前記複数の交互層の部分を除去することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記電圧の前記印加後に複数のパルスを前記金属層と前記基板との間に印加することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
第1の時点と第2の時点との間に印加されるパルス高が、前記第2の時点と第3の時点との間に印加されるパルス高よりも高く、前記第1の時点が前記第2の時点の前に生じ、前記第2の時点が前記第3の時点の前に生じる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記電圧が前記ポリシリコン側壁の抵抗率によって規定される、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
シリコン基板と、
前記シリコン基板の上方に配設されており、前記基板と実質的に垂直な単結晶シリコンによって規定されたチャネルを含む第1のNANDメモリセルであって、前記第1のNANDメモリセルが、
前記チャネルに隣接したトンネル酸化物、
前記トンネル酸化物に隣接した蓄積酸化物、および
前記蓄積酸化物に隣接した阻止酸化物、
をさらに含む、第1のNANDメモリセルと、
前記シリコン基板の上方に配設されており、前記単結晶シリコンによって規定された前記チャネルを含む第2のNANDメモリセルであって、前記第2のNANDメモリセルが、
前記チャネルに隣接したトンネル酸化物、
前記トンネル酸化物に隣接した蓄積酸化物、および
前記蓄積酸化物に隣接した阻止酸化物、
をさらに含む、第2のNANDメモリセルと、
を備える垂直NANDメモリ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、「Electro-Thermal Method to Manufacture Monocrystalline Vertically Oriented Silicon Channels for Advanced 3D NAND Memories」と題する、2020年1月3日に出願された米国特許出願第62/956,920号の利益を主張する。同出願の内容はその全体が本明細書において参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、集積回路メモリおよび対応する集積回路メモリ製作システムに関する。詳細には、本開示は、3D NANDメモリのための単結晶垂直配向シリコンチャネル(monocrystalline vertically oriented silicon channel)の電熱的製造のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
先端的なNANDメモリの製造は、一般的に3次元NANDまたは3D NANDセルと称される、NANDメモリセルの垂直に積層されたストリングへ移行しつつある。垂直スタックはセルの特徴サイズに関する要求を緩和し、これにより、短チャネル関連効果(short-channel related effect)、およびセル間のクロストーク干渉を低減し、その一方で、チップ当たりのメモリ密度を増大させる。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一実施形態に係る、多数の垂直NANDメモリセルを形成する方法は、一部分において、多数の絶縁材料をシリコン基板上に形成することと、トレンチを絶縁材料内に形成し、シリコン基板の表面を露出させることと、ポリシリコンの層をトレンチの側壁に沿って堆積させることと、トレンチに酸化物を充填することと、金属層をトレンチの上方に形成することと、電圧をシリコン基板と金属層との間に印加し、ポリシリコン側壁を融解させることによって、NANDメモリセルのための単結晶チャネルを形成することと、を含む。融解したポリシリコン側壁は、単結晶チャネルに再結晶することを可能にされる。
【0005】
一実施形態では、本方法は、一部分において、金属層を多数の絶縁材料の上方に形成することをさらに含む。一実施形態では、本方法は、一部分において、エピタキシャル層をトレンチの底部の近くに形成することをさらに含む。一実施形態では、本方法は、一部分において、エピタキシャル層をトレンチの上部の近くに形成することをさらに含む。一実施形態では、本方法は、一部分において、トレンチの部分および絶縁材料の部分を除去することをさらに含む。
【0006】
一実施形態では、本方法は、一部分において、電圧がシリコン基板と金属層との間に印加された後に、多数のパルスを金属層と基板との間に印加することをさらに含む。一実施形態では、絶縁材料は、一部分において、酸化物および窒化物の交互層を含む。一実施形態では、本方法は、一部分において、窒化物層を除去し、多数の開口部をトレンチに沿って形成することをさらに含む。各々のこのような開口部は多数のNANDメモリセルのうちの異なるものに関連付けられており、該異なるものを形成するように適合されている。本方法は、一部分において、少なくとも酸化物の第1および第2の層を各開口部の側壁および底部に沿って堆積させることをさらに含む。酸化物の第1の層は関連NANDメモリセルのトンネル酸化物を形成し、酸化物の第2の層は関連NANDメモリセルの蓄積酸化物(storage oxide)を形成する。
【0007】
一実施形態では、本方法は、少なくとも酸化物の第3の層を各開口部の側壁および底部に沿って堆積させることをさらに含む。一実施形態では、本方法は、酸化物の第3の層の堆積に続いて金属層を各開口部内に堆積させることをさらに含む。一実施形態では、シリコン基板と金属層との間に印加される電圧はポリシリコン側壁の抵抗率によって規定される。
【0008】
本開示の一実施形態に係る、多数の垂直NANDメモリセルを形成する方法は、一部分において、金属および酸化物の多数の交互層をシリコン基板上に形成することと、トレンチを金属および酸化物の交互層内に形成し、シリコン基板の表面を露出させることと、酸化物の第1の層、酸化物の第2の層、および酸化物の第3の層をトレンチの側壁に沿って堆積させることと、ポリシリコンの層を、トレンチの側壁に沿って、およびトレンチ内の酸化物の第1の層に隣接して堆積させることと、トレンチに酸化物を充填することと、金属層をトレンチの上方に形成することと、複数のNANDメモリセルのための単結晶チャネルを形成することであって、電圧をシリコン基板と金属層との間に印加し、ポリシリコン側壁を融解させること、および融解したポリシリコン側壁が単結晶チャネルに再結晶することを可能にすること、によって、単結晶チャネルを形成することと、を含む。
【0009】
一実施形態では、本方法は、一部分において、金属層を金属および酸化物の多数の交互層の上方に形成することをさらに含む。一実施形態では、本方法は、一部分において、エピタキシャル層をトレンチの底部の近くに形成することをさらに含む。一実施形態では、本方法は、一部分において、エピタキシャル層をトレンチの上部の近くに形成することをさらに含む。一実施形態では、本方法は、一部分において、トレンチの部分ならびに金属および酸化物の多数の交互層の部分を除去することをさらに含む。
【0010】
一実施形態では、本方法は、一部分において、電圧の印加後に多数のパルスを金属層と基板との間に印加することをさらに含む。一実施形態では、第1の時点と第2の時点との間に印加されるパルス高は、第2の時点と第3の時点との間に印加されるパルス高よりも高い。第1の時点は第2の時点の前に生じ、第2の時点は第3の時点の前に生じる。一実施形態では、印加される電圧はポリシリコン側壁の抵抗率によって規定される。
【0011】
垂直NANDメモリ構造(vertical NAND memory structure)が、一部分において、シリコン基板と、第1および第2のNANDメモリセルと、含む。第1のNANDメモリセルはシリコン基板の上方に配設されており、基板と実質的に垂直な単結晶シリコンによって規定されたチャネルを含む。第1のNANDメモリセルは、一部分において、チャネルに隣接したトンネル酸化物、トンネル酸化物に隣接した蓄積酸化物、および蓄積酸化物に隣接した阻止酸化物(blocking oxide)をさらに含む。第2のNANDメモリセルはシリコン基板の上方に配設されており、単結晶シリコンによって規定されたチャネルを含む。第2のNANDメモリセルは、一部分において、チャネルに隣接したトンネル酸化物、トンネル酸化物に隣接した蓄積酸化物、および蓄積酸化物に隣接した阻止酸化物をさらに含む。
【0012】
本開示は、以下に与えられる詳細な説明から、および本開示の実施形態の添付の図からより完全に理解されるであろう。図は、本開示の実施形態の知識および理解を提供するために用いられ、本開示の範囲をこれらの特定の実施形態に限定しない。さらに、図は必ずしも原寸に比例して描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、シリコン基板の上方に形成されており、垂直3D NANDメモリセルのストリングを形成するために用いられる二酸化ケイ素および窒化ケイ素の交互層のスタックを含む半導体構造を示す図である。
図2】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、スタック内のトレンチの形成後の図1の半導体構造を示す図である。
図3】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、トレンチの側壁に沿ったポリシリコンの形成後の図2の半導体構造を示す図である。
図4】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、トレンチに二酸化ケイ素を充填した後の図3の半導体構造を示す図である。
図5】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、スタックの上方の金属層の形成後の図4の半導体構造を示す図である。
図6】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、基板内のオーム接点の形成、および金属層とオーム接点との間の電圧の印加後の図5の半導体構造を示す図である。
図7】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、ポリシリコン側壁を融解および再結晶させ、3D NANDメモリセルのチャネルを形成した後の図6の半導体構造を示す図である。
図8】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、トレンチおよびポリシリコン側壁の上方の金属セグメントの形成、基板内のオーム接点の形成、ならびに金属セグメントとオーム接点との間の電圧の印加後の図4の半導体構造を示す図である。
図9A】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、トレンチの底部内におけるエピタキシャル層の堆積後の図3の半導体構造を示す図である。
図9B】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、トレンチの上部および底部におけるエピタキシャル層の堆積後の図4の半導体構造を示す図である。
図10】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、ポリシリコン側壁の融解後に図6および図8の半導体に印加され得る漸減する電圧パルスのタイミング図である。
図11】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、金属、およびスタックの1つまたは複数の層の除去後の図7の半導体構造を示す図である。
図12】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、金属および窒化ケイ素層を除去し、開口部をスタック内に形成した後の図7の半導体構造を示す図である。
図13】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、スタック内に形成された開口部の底部および側壁に沿ったトンネル酸化物、蓄積酸化物,および阻止酸化物の形成後の図12の半導体構造を示す図である。
図14】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、スタックの開口部に金属を充填し、3D NANDメモリセルのゲートを形成した後の図13の半導体構造を示す図である。
図15】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、シリコン基板の上方に形成されており、垂直3D NANDメモリセルのストリングを形成するために用いられる二酸化ケイ素および金属の交互層のスタックを含む半導体構造を示す図である。
図16】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、スタック内のトレンチの形成後の図15の半導体構造を示す図である。
図17】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、トレンチの側壁に沿ったトンネル酸化物、蓄積酸化物,および阻止酸化物の形成後の図16の半導体構造を示す図である。
図18】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、トンネル酸化物に隣接しており、トレンチの側壁に沿ったポリシリコンの形成後の図17の半導体構造を示す図である。
図19】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、トレンチに二酸化ケイ素を充填した後の図18の半導体構造を示す図である。
図20】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、トレンチおよびポリシリコン側壁の上方の金属セグメントの形成、基板内のオーム接点の形成、ならびに金属セグメントとオーム接点との間の電圧の印加後の図19の半導体構造を示す図である。
図21】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、ポリシリコン側壁を融解および再結晶させ、3D NANDメモリセルのチャネルを形成した後の図20の半導体構造を示す図である。
図22A】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、一部分において、ポリシリコン側壁、金属ゲート、トンネル酸化物、蓄積酸化物、および阻止酸化物を含む半導体構造を示す図である。
図22B】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、ポリシリコン側壁が融解および再結晶させられ、単結晶シリコンチャネルを形成した後の図22Aの半導体構造を示す図である。
図23A】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、一部分において、ポリシリコン側壁、金属ゲート、トンネル酸化物、蓄積酸化物、および阻止酸化物を含む半導体構造を示す図である。
図23B】本開示の1つの例示的な実施形態に係る、ポリシリコン側壁が融解および再結晶させられ、モン結晶シリコンチャネルを形成した後の図23Aの半導体構造を示す図である。
図24】本開示の実施形態が動作し得る例示的なコンピュータシステムの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
垂直集積3D NANDメモリストリングの製作において用いられる半導体プロセスは、材料の多層スタックを貫く深い円筒形トレンチ、ならびに(i)垂直チャネルを形成するためのアモルファスシリコン層、およびii)ゲート制御を改善するための内部酸化物コアの後続の堆積を形成し得る。堆積させられたアモルファスシリコン層は製作プロセスの残りの部分の間に多結晶シリコン粒子に結晶する。多結晶シリコンチャネルは、単結晶シリコンよりも高い抵抗を有し、それゆえ、3D NANDメモリセルの性能の低下をもたらす。さらに、粒子間境界は電荷捕獲部位の役割を果たし、これにより、さらなるランダムテレグラフノイズ変動およびキャリア移動度劣化を生じさせる。このような確率的不安定性は重大な読み取り/書き込み誤りを生じさせ得る。
【0015】
読み取り/書き込み誤りの影響を部分的に軽減するための1つの既知の技法は、誤り訂正符号(ECC:Error Correction Code)アルゴリズムを用いることである。しかし、ECCアルゴリズムを遂行するために必要とされる回路機構は比較的大きいシリコン区域を占有し、これにより、垂直3D NANDセルから得られる恩恵を打ち消す。
【0016】
本開示の実施形態によれば、3D NANDメモリセルのストリングは、単結晶シリコンを有する垂直集積チャネルを含む。アモルファスシリコンおよび内部コア酸化物堆積ステップに続いて、半導体材料の電熱アニーリング(electro-thermal annealing)および冷却が行われる。本開示の一態様によれば、電流がポリシリコン側壁内へ強制的に流され、これにより、ポリシリコンの局所的なジュール加熱および融解を誘起する。融解は、酸化物の間に挟まれたポリシリコンの細い幾何学形状によって促進される。
【0017】
単結晶シードの存在は、本開示の一態様によれば、冷却期間の間におけるチャネル結晶化の出発点の役割を果たす。このような期間の間に、本開示の一態様によれば、融解したポリシリコンは、冷却し、シードの場所から再結晶させられ、冷却/結晶化をポリシリコンの残りの部分へ徐々に進展させていく。
【0018】
図1は、結晶シリコン基板50(以下において、代替的に、基板と称される)の上に形成されており、本開示の一実施形態に係る複数の3D NANDメモリセルを形成するために用いられる、二酸化ケイ素(代替的に、本明細書において酸化物と称される)20および窒化ケイ素(代替的に、本明細書において窒化物と称される)30の交互層のスタック10を示す。本明細書において示される図は円筒形構造の2次元(2D)断面図であることが理解される。スタック10は典型的な半導体プロセスを用いて作製され得る。酸化物20および窒化物30の交互層のスタック10は絶縁材料である。次に、マスキングおよびパターニングステップを用いて、図2に示されるように、例えば、高アスペクト比反応性イオンエッチング(high-aspect ratio reactive ion etch)を用いて、トレンチ60がスタック内に形成される。トレンチ60は基板50の表面を露出させる。
【0019】
次に、図3に示されるように、ポリシリコンの層70がトレンチ60の側壁に沿って堆積させられる。その後、図4に示されるように、トレンチ60に酸化物80が充填され、半導体メモリ構造(代替的に、本明細書において、半導体構造またはメモリ構造と称される)100を形成する。酸化物80は、以下においてさらに説明されるように、チャネルの静電的制御および駆動性(drivability)を改善する。次に、図5に示されるように、金属の層90がメモリ構造100の上部上に堆積させられ、オーム接点95が基板50の底部領域に形成され、図6に示される、メモリ構造120を形成する。金属層90は、層の上部酸化物20、トレンチ酸化物80、およびポリシリコン側壁70を覆うように示されている。
【0020】
その後、図6に示されるように、電圧98が金属層90とオーム接点95との間に印加される。このように印加される電圧レベルは、2つの金属節点の間で、ポリシリコン側壁70を通って流れる電流(破線92を用いて示されている)がポリシリコン側壁の局所的融解を生じさせることを引き起こすように選択される。電圧レベルは、3D NANDメモリセルのチャネルを形成する、ポリシリコン側壁の固有抵抗によって部分的に決定される。チャネル(代替的に、本明細書において、ナノワイヤと称される)の比較的小さい寸法は電熱効率を増大させ、それゆえ、ポリシリコン側壁を融点に至らせるために必要とされる電流を低減し得る。
【0021】
ポリシリコンを融解するために必要とされる電圧はポリシリコンの抵抗率に部分的に依存する。このような抵抗率は、以下においてさらに説明されるように、例えば、ポリシリコンのドーピングによって、または電圧をNANDセルの制御ゲート(ワード線)に印加することによって、変更され得る。ポリシリコンの局所的な融解を誘起するために必要とされる典型的な温度は約1400℃である。誘起される温度は、周囲の酸化物の融解を防止するために、1710℃未満でなければならない。電圧の振幅、形状、および持続時間は、(i)(例えば、100個のメモリセルを含み得る)NANDストリング長、(ii)スタックを形成する材料の組成、および(iii)各々のこのような材料の厚さに部分的に依存することになる。印加電圧を用いてチャネルへ送られる電力はP=V2/Rによって規定される。ここで、Vはボルト単位の電圧振幅を表し、Rはオーム単位のチャネルストリング抵抗を表す。この電力に関連付けられるジュール熱QはQ=P・tによって規定される。ここで、tは電圧パルスの持続時間である。このように発生された熱の相当部分は、基板、上部インターコネクト、および横方向の側壁を通して散逸させられる。熱の比較的より小さい部分はチャネル温度の増大を生じさせる。一例では、周囲の酸化物を融解することなくポリシリコンを融解するために必要とされる温度の増大を達成するために、電圧の振幅および持続時間は、例えば、メモリ読み取り動作の間にNANDストリングへ送られるエネルギーよりも100~1000倍高いエネルギーを誘起するように選択される。
【0022】
- 以下においてさらに説明されるように、その後、メモリセルのチャネルをスタック10内に形成する - ポリシリコン側壁70に沿って融解条件が確立された後に、融解したポリシリコン側壁が冷却することを可能にするために、電圧が除去される。シリコン基板50は比較的大きいヒートシンクに相当するため、融解したポリシリコン側壁は、ポリシリコン側壁とシリコン基板50との間の境界面において冷却し始め、結晶し始めることになる。結晶化は、その後、融解したポリシリコン側壁の底部(すなわち、ポリシリコン側壁と基板50との間の境界面)からポリシリコン側壁の上部へ伝搬することになる。したがって、本開示の実施形態によれば、ポリシリコン側壁の融解はジュール効果によって達成され、融解したポリシリコンの再結晶は、異なる、非対称の熱散逸によって達成される。図7は、ポリシリコン側壁70が融解および再結晶させられ、NANDメモリセルチャネルのチャネル85をスタック10内に形成した後の図6のメモリ構造を示す。
【0023】
図8に示されるものなどの、実施形態によっては、上部金属層90は、電圧の印加の前に、トレンチ充填酸化物80およびポリシリコン側壁70のみを覆う比較的小さい金属セグメント12を形成するようにパターニングされる。金属セグメント12の比較的小さいサイズは、それを通した熱散逸を低減し、これにより、電熱効果を増大させる。上部金属層90の区域を低減することは、融解したポリシリコンの上部の時期尚早の冷却をさらに軽減し、それゆえ、結晶化波(recrystallizing wave)が基板50およびポリシリコン側壁70の境界面の近くの底部から十分に伝搬することを可能にする。
【0024】
実施形態によっては、図3に示されるとおりのポリシリコン側壁の堆積後に、シリコンのエピタキシャル層がトレンチの底部において堆積させられ、次に、図9Aに示されるように、比較的薄いエピタキシャル層135をトレンチの底部の近くに形成するようにエッチングされる。その後、トレンチに酸化物80が充填される。エピタキシャル層135は結晶スーパーシード(crystalline super-seed)を形成し、融解したポリシリコン側壁のシーディング面(seeding surface)および結晶性伝搬効率(crystallinity propagation efficiency)の両方を増大させる。(図示されない)実施形態によっては、エピタキシャル層は、基板50の上方に、スタック10およびトレンチ60の形成前に形成される。実施形態によっては、エピタキシャル層が、トレンチの底部、およびトレンチの上方の両方に形成される。例えば、図9Bでは、シリコンの第1のエピタキシャル層135が、トレンチ内に形成されたように示されており、シリコンの第2のエピタキシャル層137が、トレンチの上方に形成されたように示されている。さらに他の実施形態では、エピタキシャル層がトレンチの上方に形成され、トレンチの底部には形成されない。
【0025】
実施形態によっては、ポリシリコン側壁は、金属ゲート、トンネル酸化物、蓄積酸化物、および阻止酸化物の堆積後に融解および再結晶させられる。図22Aは、メモリ構造400が、融解および再結晶させられていないポリシリコン側壁を含むことを除いて、図14に示されるメモリ構造と同様である半導体メモリ構造400を示す。メモリ構造400の金属層12とオーム接点95との間の電圧(図示せず)の印加後に、ポリシリコン側壁70は融解および再結晶させられ、単結晶シリコンチャネルを形成する。図22Bは、このような電圧が印加され、それに続いてポリシリコン側壁70が融解および再結晶させられ、単結晶シリコンチャネル70を形成した後の図22Aのメモリ構造を示す。図22Aを参照すると、金属ゲート180に印加される電圧を変化させることによって、ひいては、ポリシリコン側壁70の抵抗率を変更することによって、ポリシリコン側壁70を融解させるために必要とされる電圧レベルが変化させられ得る。
【0026】
本開示の一実施形態に係る、多数の垂直配向NANDメモリセルを形成する方法は、一部分において、第1および第2の絶縁体の多数の交互層をシリコン基板上に形成し、スタックを形成することと、シリコン基板の表面を露出させるトレンチを多数の第1および第2の絶縁体内に形成することと、ポリシリコンの層をトレンチの側壁に沿って堆積させることと、トレンチに酸化物を充填することと、金属層をトレンチの上方に形成することと、第1の絶縁体層をスタックから除去し、多数の開口部をトレンチに沿って形成することと、を含む。各々のこのような開口部はNANDメモリセルのうちの1つに関連付けられており、それに適合されている。本方法は、一部分において、少なくとも酸化物の第1、第2、および第3の層を各開口部の側壁および底部に沿って堆積させることと、酸化物の第1、第2、および第3の層の堆積に続いてゲート金属層を各開口部内に堆積させることと、多数のNANDメモリセルのための単結晶チャネルを形成することと、をさらに含む。単結晶チャネルは、少なくとも第1の電圧を各金属ゲートと基板との間に印加し、ポリシリコン側壁の抵抗率を変化させること、第2の電圧をシリコン基板と金属層との間に印加し、ポリシリコン側壁を融解させること、および融解したポリシリコン側壁が単結晶チャネルに再結晶することを可能にすることによって形成される。
【0027】
実施形態によっては、融解したポリシリコン側壁の(すなわち、基板50およびポリシリコン側壁70の境界面における)底部からの結晶化波の伝搬を支援するため、および/または温度の増大に伴うポリシリコンの抵抗率の減少によって誘起される正のフィードバックループ(熱暴走)を制御するために、例えば、金属層90(もしくは金属セグメント12)およびオーム接点95を用いて、一連の漸減する電圧パルスがメモリ構造に印加され得る。図10は、図6および図8に示されるメモリ構造に印加され得る漸減する電圧パルスの例示的なタイミング図である。
【0028】
実施形態によっては、上述されたように、ポリシリコン側壁を融解および再結晶させ、チャネル85を形成した後に、上部金属層90、およびメモリデバイス構造の上部の部分が除去される。例えば、図11のメモリ構造150を参照すると、金属層90(または図8に示される金属セグメント12)の除去後に、例えば、エッチングプロセスまたは化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を用いてメモリ構造の部分140が除去される。図11では、例示的な部分140は、酸化物20の2つの層および窒化物30の層を、相接したトレンチと一緒に含むように示されている。しかし、スタック10内の酸化物および窒化物のより多くの層が除去されてもよいことが理解される。部分140を除去することによって、上部接点からの時期尚早の熱損失のゆえに再結晶を経ていない可能性のある部分140内のポリシリコン側壁70も除去される。メモリ構造150の残りの部分は、結晶化の均一性を有するチャネル85を有する。このような除去に対応するために、酸化物および窒化物の交互層のスタック、ならびにトレンチは、除去ステップ後に、トレンチが所望の長さに達するよう、所望されるよりも長くなるように適合され得る。
【0029】
ポリシリコン側壁の融解および結晶化、メモリ構造の上部からの金属層/セグメントの除去、ならびに図11を参照して説明されたとおりの、メモリ構造の上部の部分の任意選択的な除去後に、エッチングプロセスを用いて窒化物層30が除去され、これにより、図12に示されるメモリ構造160を形成する。窒化物層の除去は、図12に示されるように、スタック10内の開口部36の形成をもたらす。
【0030】
次に、図13に示されるように、トンネル酸化物172の層、蓄積酸化物174の層、および阻止酸化物176の層が各開口部36の側壁および底部に沿って形成される。その後、図14に示されるように、金属180の層が各開口部36内に堆積させられる。各金属180はNANDメモリセルのゲートを形成する。各ゲート180は、同じ開口部36内に形成されたその関連トンネル酸化物172、蓄積酸化物174、および阻止酸化物176と共に、垂直NANDメモリセルを形成する。各々のこのようなメモリセルのためのチャネルは、周知のように、トンネル酸化物172に面したポリシリコンチャネル85の部分である。図14に示されるものなどの、メモリ構造は、例えば、100個のNANDメモリセルを垂直スタック10内に有し得る。
【0031】
図15図21は、本開示の別の実施形態に係る、垂直3D NANDメモリセルのストリングを形成する際に用いられる様々な処理ステップを示す。図15は、堆積方法、パターニング、およびエッチングステップを用いて結晶シリコン基板350の上に形成された酸化物20および金属(タングステンなど)30の交互層のスタック300を示す。次に、図16に示されるように、基板350の表面まで延びたトレンチ360が、マスキングおよびパターニングステップを用いてスタック300内に形成される。
【0032】
次に、図17に示されるように、阻止酸化物376の層、蓄積酸化物374の層、およびトンネル酸化物372の層がトレンチの側壁に沿ってそれぞれ堆積させられる。その後、図18に示されるように、ポリシリコン380の層が、トレンチの側壁に沿って、およびトンネル酸化物層372に隣接して形成される。その後、図19に示されるように、トレンチに酸化物390が充填される。
【0033】
次に、図20に示されるように、金属392の層がポリシリコン側壁380および酸化物390の上に形成される。(図示されていない)実施形態によっては、金属層392はスタック300の上面を覆う。オーム接点394が基板350内に形成された後に、電圧396が金属層392とオーム接点394との間に印加される。印加された電圧によって、電流が2つの金属節点の間で、ポリシリコン側壁380を通って流れ(破線396を用いて示されている)、ポリシリコン側壁の局所的融解を生じさせる。電圧レベルはポリシリコン側壁の固有抵抗によって部分的に決定される。
【0034】
ポリシリコン側壁内で融解条件に達した後に、融解したポリシリコンが冷却することを可能にするために、電圧は除去される。シリコン基板350は比較的大きいヒートシンクに相当するため、融解したポリシリコンは、ポリシリコンとシリコン基板350との間の境界面において冷却し、再結晶し始める。再結晶は、その後、底部(すなわち、ポリシリコンと基板350との間の境界面)からスタック300の表面の近くのポリシリコンの上部へ伝搬することになる。したがって、本開示の実施形態によれば、ポリシリコン側壁の融解はジュール効果によって達成され、融解したポリシリコンの再結晶は、異なる、非対称の熱散逸によって達成される。
【0035】
図21は、ポリシリコン側壁が融解および結晶させられ、メモリセルチャネル385を形成した後の図20のメモリデバイス構造を示す。各金属層330は、その関連トンネル酸化物372、蓄積酸化物374、阻止酸化物376、およびトンネル酸化物172に面したポリシリコンチャネル385の部分と共に、NANDメモリセルをスタック300内に形成する。1つのこのようなNANDセルが図21においてNANDメモリセル400として識別されている。
【0036】
図23Aは、メモリ構造500が、融解および再結晶させられていないポリシリコン側壁380を含むことを除いて、図21に示されるメモリ構造と同様である半導体メモリ構造500を示す。メモリ構造500の金属層392とオーム接点394との間の電圧(図示せず)の印加後に、ポリシリコン側壁380は融解および再結晶させられ、単結晶シリコンチャネルを形成する。図23Bは、このような電圧が印加され、それに続いてポリシリコン側壁380が融解および再結晶させられ、単結晶シリコンチャネル385を形成した後の図23Aのメモリ構造を示す。図23Aを参照すると、金属ゲート370に印加される電圧を変化させることによって、ひいては、ポリシリコン側壁380の抵抗率を変更することによって、ポリシリコン側壁380を融解させるために必要とされる電圧レベルが変化させられ得る。
【0037】
本開示の一実施形態に係る、多数の垂直配向NANDメモリセルを形成する方法は、一部分において、金属ゲートおよび酸化物の多数の交互層をシリコン基板上に形成することと、トレンチを金属ゲートおよび酸化物の交互層内に形成し、シリコン基板の表面を露出させることと、酸化物の第1の層、酸化物の第2の層、および酸化物の第3の層をトレンチの側壁に沿って堆積させることと、ポリシリコンの層を、トレンチの側壁に沿って、およびトレンチ内の酸化物の第1の層に隣接して堆積させることと、トレンチに酸化物を充填することと、金属層をトレンチの上方に形成することと、複数のNANDメモリセルのための単結晶チャネルを形成することと、を含む。単結晶チャネルは、少なくとも第1の電圧を各金属ゲートと基板との間に印加し、ポリシリコン側壁の抵抗率を変化させること、第2の電圧をシリコン基板と金属層との間に印加し、ポリシリコン側壁を融解させること、および融解したポリシリコン側壁が単結晶チャネルに再結晶することを可能にすることによって形成される。
【0038】
図24は、機械に、本明細書において説明される方法論のうちの任意の1つまたは複数を遂行させるための命令のセットが内部で実行され得るコンピュータシステム900の例示的な機械を示す。代替的実装形態では、機械は、LAN、イントラネット、エクストラネット、および/またはインターネット内の他の機械に接続され得る(例えば、ネットワーク化される)。機械は、クライアント-サーバネットワーク環境内のサーバまたはクライアント機械の立場で、ピアツーピア(または分散)ネットワーク環境内のピアマシン(peer machine)として、あるいはクラウドコンピューティングインフラストラクチャまたは環境内のサーバまたはクライアント機械として動作し得る。
【0039】
機械は、パーソナルコンピュータ(PC:personal computer)、タブレットPC、セットトップボックス(STB:set-top box)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA:Personal Digital Assistant)、セルラー電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ、またはブリッジ、あるいはその機械によって取られるアクションを指定する命令(順次的または他の様態)のセットを実行する能力を有する任意の機械であり得る。さらに、単一の機械が示されているが、用語「機械」はまた、本明細書において説明される方法論のうちの任意の1つまたは複数を遂行するための命令のセット(または複数のセット)を、個々に、または合同で実行する機械の任意の集合を含むと解釈されるものとする。
【0040】
例示的なコンピュータシステム900は、処理デバイス902、主メモリ904(例えば、リードオンリーメモリ(ROM:read-only memory)、フラッシュメモリ、シンクロナスDRAM(SDRAM:synchronous DRAM)などのダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM:dynamic random access memory)、スタティックメモリ906(例えば、フラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM:static random access memory)等)、およびバス930を介して互いに通信するデータ記憶デバイス918を含む。
【0041】
処理デバイス902は、マイクロプロセッサ、中央処理装置、または同様のものなどの1つまたは複数のプロセッサを表す。より具体的には、処理デバイスは、複合命令セットコンピューティング(CISC:complex instruction set computing)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC:reduced instruction set computing)マイクロプロセッサ、長大命令語(VLIW:very long instruction word)マイクロプロセッサ、または他の命令セットを実施するプロセッサ、または命令セットの組み合わせを実施するプロセッサであり得る。処理デバイス902はまた、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、ネットワークプロセッサ、または同様のものなどの1つまたは複数の専用処理デバイスであり得る。処理デバイス902は、本明細書において説明される動作およびステップを遂行するための命令926を実行するように構成され得る。
【0042】
コンピュータシステム900は、ネットワーク920を通じて通信するためのネットワークインターフェースデバイス908をさらに含み得る。コンピュータシステム900はまた、映像表示ユニット910(例えば、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)または陰極線管(CRT:cathode ray tube))、英数字入力デバイス912(例えば、キーボード)、カーソル制御デバイス914(例えば、マウス)、グラフィック処理装置922、信号生成デバイス916(例えば、スピーカ)、グラフィック処理装置922、映像処理装置928、ならびに音声処理装置932を含み得る。
【0043】
データ記憶デバイス918は、本明細書において説明される方法論または機能のうちの任意の1つまたは複数を具現する命令926の1つまたは複数のセットまたはソフトウェアが記憶された機械可読記憶媒体924(非一時的コンピュータ可読媒体としても知られる)を含み得る。命令926はまた、コンピュータシステム900によるそれらの実行の間に、主メモリ904内、および/または処理デバイス902内に完全に、または少なくとも部分的に常駐し得、主メモリ904および処理デバイス902も機械可読記憶媒体を構成する。
【0044】
実装形態によっては、命令926は、本開示に対応する機能性を実施するための命令を含む。機械可読記憶媒体924は、例示的な実装形態において、単一の媒体であるように示されているが、用語「機械可読記憶媒体」は、命令の1つまたは複数のセットを記憶する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中または分散データベース、ならびに/あるいは関連キャッシュおよびサーバ)を含むと解釈されるべきである。用語「機械可読記憶媒体」はまた、機械による実行のための、ならびに機械および処理デバイス902に本開示の方法論の任意の1つまたは複数を遂行させる命令のセットを記憶または符号化する能力を有する任意の媒体を含むと解釈されるものとする。したがって、用語「機械可読記憶媒体」は、限定するものではないが、ソリッドステートメモリ、光媒体、および磁気媒体を含むと解釈されるものとする。
【0045】
上述の詳細な説明のいくつかの部分は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴリズムおよび記号表現の言葉で提示された。これらのアルゴリズム的記述および表現は、データ処理技術分野における当業者によって、彼らの仕事の内容を他の当業者へ最も効果的に伝えるために用いられる手段である。アルゴリズムは、所望の結果をもたらす一連の演算であり得る。演算は、物理量の物理的操作を必要とするものである。このような量は、記憶され、結合され、比較され、および他の仕方で操作される能力を有する電気または磁気信号の形態を取り得る。このような信号は、ビット、値、要素、記号、文字、項、数、または同様のものと称され得る。
【0046】
しかし、これらおよび同様の項の全ては適切な物理量に関連付けられることになり、単にこれらの量に適用される好都合な標識にすぎないことに留意されたい。別途特に断りのない限り、本開示から明らかなように、本説明全体を通じて、特定の用語は、コンピュータシステムのレジスタおよびメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを操作し、コンピュータシステムのメモリもしくはレジスタまたは他のこのような情報記憶デバイス内の物理量として同様に表される他のデータに変換する、コンピュータシステム、または同様の電子コンピューティングデバイスのアクションおよびプロセスを指すことが理解される。
【0047】
本開示はまた、本明細書における動作を遂行するための装置に関する。この装置は、意図される目的のために特別に構築されていてもよく、あるいは、この装置は、コンピュータ内に記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に作動または再構成されるコンピュータを含み得る。このようなコンピュータプログラムは、限定するものではないが、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、および光磁気ディスクを含む任意の種類のディスク、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)、EPROM、EEPROM、磁気または光カード、あるいは電子命令を記憶するために適しており、コンピュータシステムバスに各々結合された任意の種類の媒体などの、コンピュータ可読記憶媒体内に記憶され得る。
【0048】
本明細書において提示されるアルゴリズムおよびディスプレイはいかなる特定のコンピュータまたは他の装置にも本質的に関連しない。様々な他のシステムが、本明細書における教示に係るプログラムと共に用いられてもよいし、または本方法を遂行するためにより特殊な装置を構築することが都合良いと判明する場合もある。加えて、本開示はいかなる特定のプログラミング言語も参照して説明されない。種々のプログラミング言語が、本明細書において説明されるとおりの本開示の教示を実施するために用いられ得ることは理解されるであろう。
【0049】
本開示は、コンピュータシステム(または他の電子デバイス)を、本開示に係るプロセスを遂行するようにプログラムするために用いられ得る命令が記憶された機械可読媒体を含み得る、コンピュータプログラム製品、またはソフトウェアとして提供され得る。機械可読媒体は、機械(例えば、コンピュータ)によって可読の形式の情報を記憶するための任意の機構を含む。例えば、機械可読(例えば、コンピュータ可読)媒体は、リードオンリーメモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス等などの、機械(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体を含む。
【0050】
上述の開示において、本開示の実装形態はそれらの特定の例示的な実装形態を参照して説明された。添付の請求項において記載されるとおりの本開示の実装形態のより広い趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更がそれらに対して行われ得ることは明らかであろう。本開示がいくつかの要素に単数形で言及する場合には、1つを超える要素を図に示すことができ、同様の要素は同様の参照符号で標識される。したがって、本開示および図面は、限定的な意味でなく、例示的な意味で捉えられるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図23A
図23B
図24
【国際調査報告】