(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】スフェロマック融合および中性ビーム注入を介して、高エネルギー高温FRCプラズマを形成および維持するためのシステムならびに方法
(51)【国際特許分類】
G21B 1/05 20060101AFI20230317BHJP
G21B 1/11 20060101ALI20230317BHJP
G21B 1/15 20060101ALI20230317BHJP
G21B 1/13 20060101ALI20230317BHJP
H05H 1/14 20060101ALI20230317BHJP
H05H 1/22 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
G21B1/05
G21B1/11 A
G21B1/15
G21B1/13
H05H1/14
G21B1/11 C
H05H1/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022542697
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(85)【翻訳文提出日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 US2021013295
(87)【国際公開番号】W WO2021146329
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515056990
【氏名又は名称】ティーエーイー テクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】郷田 博司
(72)【発明者】
【氏名】タジマ, トシキ
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA13
2G084AA21
2G084BB01
2G084CC27
2G084DD38
2G084FF27
2G084FF29
(57)【要約】
スフェロマック融合および中性ビーム注入を介して、高エネルギー高温FRCプラズマを形成および維持するためのシステムならびに方法が提供される。高性能磁場反転配位(FRC)システムは、中心閉じ込めチャンバと、そのチャンバと結合される、2つのダイバータチャンバと、そのダイバータチャンバと結合される、2つの直径方向に対向するスフェロマック注入器とを含む。磁気システムは、FRCシステム構成要素に沿って軸方向に位置付けられる、準直流コイルを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁場反転配位(FRC)を用いて磁場を生成および維持するための方法であって、
第1および第2のスフェロマックプラズマを融合し、閉じ込めチャンバ内の前記融合されたプラズマを中心としてFRCを形成するステップと、
前記閉じ込めチャンバの中央平面に向かってある角度において、高速中性原子のビームを中性ビーム注入器から前記FRCプラズマの中に注入することによって、減衰を伴わずに、前記FRCを一定またはほぼ一定値に維持するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記FRCを形成するステップは、前記チャンバの中央平面に向かって、スフェロマックプラズマを対向する第1および第2のスフェロマック注入器から注入するステップと、前記スフェロマックプラズマを前記FRCを形成するために融合するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スフェロマックプラズマを融合し、前記FRCプラズマを形成するステップは、前記第1および第2のスフェロマック注入器から前記閉じ込めチャンバの中に注入される前記スフェロマックプラズマの逆ヘリシティスフェロマック融合を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1および第2のスフェロマック注入器は、磁化同軸プラズマガン(MCPG)を備える、請求項2および3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1および第2のスフェロマック注入器は、鉄心バイアスコイルシステムを含む、請求項2-4に記載の方法。
【請求項6】
前記鉄心バイアスコイルシステムの前記鉄心は、約250の透磁率を伴う鋳鉄である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記鉄心バイアスコイルシステムの前記鉄心は、約200,000と同等またはそれよりも大きい透磁率を伴う約99.9%のFeである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1および第2のスフェロマック注入器を別個に制御するステップをさらに含む、請求項2-7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のスフェロマック注入器から射出される前記スフェロマックプラズマは、前記第2のスフェロマックから射出される前記スフェロマックプラズマとは異なる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記閉じ込めチャンバの幾何学的軸に沿って、前記第1および第2のスフェロマック注入器の1つまたはそれを上回るものから、前記FRCプラズマに、1つまたはそれを上回るスフェロマックプラズマを補給するステップをさらに含む、請求項2-9に記載の方法。
【請求項11】
前記補給するステップは、前記第1および第2のスフェロマック注入器の1つまたはそれを上回るものから、前記FRCプラズマの中に、1つまたはそれを上回るスフェロマックプラズマをマルチパルス注入するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記マルチパルススフェロマックを形成し、前記FRCプラズマの中に注入するステップをさらに含む、請求項2-9に記載の方法。
【請求項13】
前記高速中性原子のビームを注入するステップは、第1のビームエネルギーと第2のビームエネルギーとの間の複数の中性ビームのビームエネルギーを調整するステップであって、前記第2のビームエネルギーは、前記第1のビームエネルギーとは異なる、ステップ、または第1のビームエネルギーと第2のビームエネルギーとの間の前記複数の中性ビームの前記ビームエネルギーを調整するステップであって、前記第2のビームエネルギーは、前記第1のビームエネルギーとは異なり、前記第2のビームエネルギーは、前記第1のビームエネルギーより高い、ステップ、または第1のビームエネルギーと第2のビームエネルギーとの間の前記複数の中性ビームの前記ビームエネルギーを調整するステップであって、前記第2のビームエネルギーは、前記第1のビームエネルギーとは異なり、前記複数の中性ビームは、注入ショットの持続期間の間、前記第1のビームエネルギーと前記第2のビームエネルギーとの間で切り替わる、ステップのうち1つを含む、請求項1-12に記載の方法。
【請求項14】
前記チャンバを中心として延在する準直流コイルを用いて、前記チャンバを中心として延在する準直流コイルを用いて、磁場を前記チャンバ内に生成するステップをさらに含む、請求項1-13に記載の方法。
【請求項15】
前記閉じ込めチャンバの端部に結合されるダイバータの中に、前記FRCの磁束面を誘導するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
形成区分およびダイバータを中心として延在する準直流コイルを用いて、磁場を前記ダイバータの中に生成するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記チャンバの対向する端部を中心として延在する準直流ミラーコイルを用いて、ミラー磁場を前記チャンバの対向する端部内に生成するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記チャンバに結合される鞍形コイルを用いて、磁気双極場および磁気四重極場のうちの1つを前記チャンバ内に生成するステップをさらに含む、請求項14-17に記載の方法。
【請求項19】
ゲッタリングシステムを用いて、前記チャンバおよびダイバータの内部表面を調整するステップをさらに含む、請求項15-18に記載の方法。
【請求項20】
前記ゲッタリングシステムは、チタン堆積システムおよびリチウム堆積システムのうち1つを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記FRCプラズマの縁層内の半径方向電場プロファイルを制御するステップをさらに含む、請求項1-20に記載の方法。
【請求項22】
前記FRCの縁層内の半径方向電場プロファイルを制御するステップは、バイアス電極を用いて、前記FRCの開磁束面群に電位分布を印加するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1および第2のスフェロマック注入器から、20mWbよりも大きい磁束を有するスフェロマックプラズマを注入するステップ、または前記第1および第2のスフェロマック注入器から、約25~30mWbよりも大きい磁束を有するスフェロマックプラズマを注入するステップのうち1つをさらに含む、請求項2-22に記載の方法。
【請求項24】
磁場反転配位(FRC)を用いて磁場を生成および維持するためのシステムであって、
閉じ込めチャンバと、
前記閉じ込めチャンバに結合される第1および第2のダイバータと、
第1および第2の直径方向に対向するスフェロマック注入器であって、スフェロマックプラズマを生成し、前記閉じ込めチャンバの中央平面に向かって前記スフェロマックプラズマを平行移動させるために、前記第1および第2のダイバータに結合される第1および第2の直径方向に対向するスフェロマック注入器と、
複数の中性原子ビーム注入器であって、前記閉じ込めチャンバに結合され、前記閉じ込めチャンバの縦軸の法線未満の角度で、前記閉じ込めチャンバの中央平面に向かって、中性原子ビームを注入するように配向される複数の中性原子ビーム注入器と、
磁気システムであって、前記閉じ込めチャンバと前記第1および第2のダイバータとの周囲に位置付けられる複数の準直流コイルと、前記閉じ込めチャンバと前記第1および第2の形成区分との間に位置付けられる準直流ミラーコイルの第1および第2のセットと、前記閉じ込めチャンバと前記第1および第2のダイバータとの間に位置付けられる第1および第2のミラープラグとを備える磁気システムと、
前記閉じ込めチャンバと、前記第1および第2のダイバータとに結合されるゲッタリングシステムと、
生成されたFRCの開磁束面に電気的にバイアスをかけるための1つまたはそれを上回るバイアス電極であって、前記1つまたはそれを上回るバイアス電極は、前記閉じ込めチャンバならびに前記第1および第2のダイバータのうちの1つまたはそれを上回るものの中に位置付けられている、1つまたはそれを上回るバイアス電極と、
前記閉じ込めチャンバに結合される2つまたはそれを上回る鞍形コイルと
を備える、システム。
【請求項25】
磁場反転配位(FRC)を伴う磁場を生成および維持するためのシステムであって、
閉じ込めチャンバと、
前記閉じ込めチャンバに結合される第1および第2のダイバータと、
前記第1および第2のダイバータに結合される第1および第2の直径方向に対向するスフェロマック注入器と、
複数のバイアス電極および第1および第2のミラープラグのうちの1つまたはそれを上回るものであって、1つまたはそれを上回るバイアス電極が、前記閉じ込めチャンバと前記第1および第2のダイバータのうちの1つまたはそれを上回るものの中に位置付けられ、第1および第2のミラープラグが、前記閉じ込めチャンバと前記第1および第2のダイバータの間とに位置付けられる複数のバイアス電極および第1および第2のミラープラグのうちの1つまたはそれを上回るものと、
前記閉じ込めチャンバと、前記第1および第2のダイバータとに結合されるゲッタリングシステムと、
前記閉じ込めチャンバに結合され、前記閉じ込めチャンバの中央平面に向かって角度付けられて配向される複数の中性原子ビーム注入器と、
磁気システムであって、前記閉じ込めチャンバと前記第1および第2のダイバータとの周囲に位置付けられる複数の準直流コイルと、前記閉じ込めチャンバの間に位置付けられる準直流ミラーコイルの第1および第2のセットとを備える磁気システムと
を備え、
前記システムは、前記中性ビームが、前記プラズマの中に注入される間、FRCを生成し、減衰を伴わずに前記FRCを維持するように構成される、
システム。
【請求項26】
前記第1および第2のスフェロマック注入器は、前記チャンバの中央平面に向かってスフェロマックプラズマを注入し、FRCプラズマを融合および形成するように構成される、請求項24および25に記載のシステム。
【請求項27】
前記第1および第2のスフェロマック注入器は、逆ヘリシティを有する第1および第2のスフェロマックプラズマを前記閉じ込めチャンバの中に形成および注入するように構成される、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記第1および第2のスフェロマック注入器は、磁化同軸プラズマガン(MCPG)を備える、請求項24-27に記載のシステム。
【請求項29】
前記第1および第2のスフェロマック注入器は、鉄心バイアスコイルシステムを含む、請求項24-27に記載のシステム。
【請求項30】
前記鉄心バイアスコイルシステムの前記鉄心は、約250の透磁率を伴う鋳鉄である、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記鉄心バイアスコイルシステムの前記鉄心は、約200,000と同等またはそれよりも大きい透磁率を伴う約99.9%のFeである、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
前記第1および第2のスフェロマック注入器は、別個に制御可能である、請求項24-27に記載のシステム。
【請求項33】
前記第1および第2のスフェロマック注入器は、1つを上回るスフェロマックプラズマを前記閉じ込めチャンバの中にマルチパルス注入するように構成される、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記複数の中性ビームは、第1のビームエネルギーと第2のビームエネルギーとの間で調節可能であり、前記第2のビームエネルギーは、第1のビームエネルギーとは異なり、前記複数の中性ビームのビームエネルギーは、注入ショットの持続期間の間、前記第1のビームエネルギーと前記第2のビームエネルギーとの間で切り替わる、請求項24-33に記載のシステム。
【請求項35】
前記第1および第2のダイバータと前記閉じ込めチャンバとに介在する、第1および第2の直径方向に対向する反転磁場シータピンチ形成区分をさらに備える、請求項24-34に記載のシステム。
【請求項36】
前記第1および第2の直径方向に対向する反転磁場シータピンチ形成区分と前記閉じ込めチャンバとに介在する第3および第4のダイバータをさらに備える、請求項36に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に説明される実施形態は、概して、磁気プラズマ閉じ込めシステムに関し、より具体的には、優れた安定性だけではなく、粒子、エネルギー、および磁束閉じ込めを伴う、高エネルギー高温度磁場反転配位(FRC)プラズマの形成および維持を促進する、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景情報
磁場反転配位(FRC)は、コンパクトトロイドとして知られる、磁気プラズマ閉じ込めトポロジの分類に属する。これは、主に、ポロイダル磁場を呈し、ゼロまたは小規模自己発生トロイダル磁場を有する(M. Tuszewski, Nucl. Fusion 28、2033(1988)参照)。そのような構成の魅力は、構築および保守の容易性のためのその単純な幾何学形状、エネルギーの抽出および灰の除去を促進するための無制限の自然ダイバータ、ならびに非常に高いβ(βは、FRC内側の平均プラズマ圧力と平均磁場圧力の比率である)、すなわち、高パワー密度である。高いβの本質は、経済的動作のために、かつD-He3およびp-B11等の進歩した非中性子燃料の使用のために有利である。
【0003】
FRCを形成する従来の方法は、磁場反転シータピンチ技術を使用し、高温高密度のプラズマを生成する(A. L. Hoffman and J. T. Slough, Nucl. Fusion33, 27(1993)参照)。これに関する変形例は、シータピンチ「源」内に作成されたプラズマが、概ね即座に一端を閉じ込めチャンバの中に吐出される、移行捕捉方法である。移行するプラズモイドは、次いで、チャンバの端部における2つの強力なミラー間に捕捉される(例えば、H. Himura, S. Okada, S. Sugimoto, and S. Goto, Phys. Plasmas 2, 191(1995)参照)。いったん閉じ込めチャンバ内に入ると、(中性または中和された)ビーム注入、回転磁場、RFまたはオーム加熱等の種々の加熱および電流駆動方法が適用されてもよい。源と閉じ込め機能の本分離は、潜在的な将来の核融合炉に対して重要な工学的利点を提供する。FRCは、非常に堅固であり、動的形成、移行、および激しい捕捉事象に耐性があることが判明している。さらに、それらは、好ましいプラズマ状態を担う傾向を示す(例えば、H. Y. Guo, A. L. Hoffman, K. E. Miller, and L. C. Steinhauer, Phys. Rev. Lett. 92, 245001(2004)参照)。過去10年において、他のFRCの形成方法の開発、すなわち、逆ヘリシティを伴うスフェロマックの融合(例えば、Y. Ono, M. Inomoto, Y. Ueda, T. Matsuyama, and T. Okazaki, Nucl. Fusion 39, 2001(1999)参照)によって、ならびに付加的な安定性も提供する、回転磁場(RMF)を用いて電流を駆動すること(例えば、I. R. Jones, Phys. Plasmas 6, 1950(1999)参照)によって、著しい進歩が成し遂げられてきた。
【0004】
かなり昔に提案された衝突融合技法(例えば、D. R. Wells, Phys. Fluids 9, 1010(1966)参照)は、さらに著しく発展してきた。すなわち、閉じ込めチャンバの対向する端部で2つの別個のシータピンチが、2つのプラズモイドを同時に生成し、プラズモイドを互いに向かって高速度で加速させ、次いで、閉じ込めチャンバの中心で衝突し、複合FRCを形成するために融合する。これまでで最大のFRC実験の1つの構築および成功した動作において、従来の衝突融合法は、安定しており、長持ちであり、高磁束、高温であるFRCを生産することが示された(例えば、M. Binderbauer, et al., Phys. Rev. Lett. 105, 045003(2010)参照)。ごく最近、主要な進歩が、長時間にわたって、比較的高温のFRCを生産する、ビーム駆動FRC実験において、衝突融合技法を使用し(典型的なプラズマパラメータは、Te約250eV、Ti約1keV、<ne>約2-3×1013cm3、Be約1kG、プラズマ寿命約30ms)、高電力中性ビーム(NB)注入(NBI)および効果的な縁バイアスを使用して、成し遂げられた。(Gota, H. et al., Nucl. Fusion 57, 116021 (2017); Gota, H. et al., Nucl. Fusion 59, 112009 (2019), and Gota, H. et al., Bull. Am. Phys. Soc. 64, UP10.00123 (2019)参照)。そのような実験では、NBIのための標的プラズマは、磁場反転シータピンチ(FRTP)動的形成技法(Binderbauer, Phys. Rev. Lett. 105)を使用して、2つのFRCプラズマの衝突および融合によって生産され、本技法においては、融合されたFRCの捕捉される磁束は、閉じ込め区分内に約1kGの外部磁場を伴う、リジッドローターモデルに基づいて、最初は約5mWbである。13MW以上の高電力(ショット中に、ビームエネルギーを調整することによって、最大約21MW増加する)を標的プラズマの中に注入することによって、注入された高速粒子は、捕捉され、主として電子を加熱するためだけではなく、電流駆動のために、大軌道を伴う区分線の内側および外側に進行し、この中で、高速イオンは、ほぼ古典的に閉じ込められる。本高電力NBIは、任意の他のCT実験で獲得されておらず、ビーム駆動FRC概念の妥当性およびその技術的な準備性の非常に重要な実証であった。(Gota, Nucl. Fusion 59; Gota, Bull. Am. Phys. Soc. 64)。
【0005】
高磁束対象FRCプラズマを生成するために改良されたシステム、デバイス、および方法、ならびに軸方向補給が望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
システム、デバイス、および方法の例示的実施形態が、高磁束標的FRCプラズマを生成し、FRCプラズマを軸方向に補給するために、本明細書に提供される。最適な初期高磁束標的FRCプラズマを生成するために、(CT注入器とも呼ばれる)中規模のスフェロマック注入器が、中心に位置付けられるプラズマ閉じ込めチャンバの端部に対向して結合される。スフェロマック注入器は、スフェロマックを閉じ込めチャンバの中央平面に向かって注入し、スフェロマックは、閉じ込めチャンバ内でFRCプラズマを融合および形成する。2つのスフェロマックの逆ヘリシティ融合は、上昇および捕捉された磁束を伴うFRCプラズマを生成する傾向がある。複数の中性ビーム注入器はまた、閉じ込めチャンバに結合され、FRCプラズマを駆動および維持する。
【0007】
例示的実施形態では、中性ビーム注入器は、初期電力レベルから増加された電力レベルまで調節可能である。
【0008】
さらなる例示的実施形態では、スフェロマック注入器は、効果的な補給および還流のために、閉じ込めチャンバの幾何学的軸に沿って、マルチパルス式スフェロマックをFRCプラズマの中に注入することが可能である。
【0009】
本明細書に説明される主題の他のシステム、デバイス、方法、特徴、および利点は、以下の図および発明を実施するための形態の吟味に応じて、当業者に明白である、または明白となるであろう。全てのそのような付加的なシステム、方法、特徴、および利点は、本明細書内に含まれ、本明細書内で説明される主題の範囲内にあり、付随の請求項によって保護されることが意図される。例示的実施形態の各特徴は、請求項内にそれらの特徴の明示的列挙がない場合でも、添付の請求項を限定するものとしていかようにも解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書の一部として含まれる、付随の図面は、現在の例示的実施形態を図示し、上記に与えられた概要および下記に与えられる例示的実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明および教示する役割を果たす。
【0011】
【
図1】
図1は、従来のFRC体系(CR)下と対比した、かつ他の従来のFRC実験と対比した、高性能FRC体系(HPF)下における本FRCシステムにおける粒子閉じ込めを図示する。
【0012】
【
図2】
図2は、本FRCシステムの構成要素および本FRCシステムにおいて生産可能なFRCの磁気トポロジを図示する。
【0013】
【
図3A】
図3Aは、上部から見た本FRCシステムの基本レイアウトを図示し、中心閉じ込め容器と、形成区分と、中性ビームと、電極と、プラズマガンと、ミラープラグと、ペレット注入器との好ましい配列を含む。
【0014】
【
図3B】
図3Bは、上部から見た中心閉じ込め容器を図示し、中心閉じ込め容器内の対称長軸に対して法線である角度で配列される、中性ビームを示す。
【0015】
【
図3C】
図3Cは、上部から見た中心閉じ込め容器を図示し、中心閉じ込め容器内の対称長軸に対して法線未満である角度で配列され、粒子を中心閉じ込め容器の中央平面に向かって注入するように指向される、中性ビームを示す。
【0016】
【
図3D】
図3Dおよび3Eは、それぞれ、本FRCシステムの代替実施形態の基本レイアウトの上面図および斜視図を図示し、中心閉じ込め容器と、形成区分と、内側および外側ダイバータと、中心閉じ込め容器内の対称長軸に対して法線未満の角度で配列される中性ビームと、電極と、プラズマガンと、ミラープラグとの好ましい配列を含む。
【
図3E】
図3Dおよび3Eは、それぞれ、本FRCシステムの代替実施形態の基本レイアウトの上面図および斜視図を図示し、中心閉じ込め容器と、形成区分と、内側および外側ダイバータと、中心閉じ込め容器内の対称長軸に対して法線未満の角度で配列される中性ビームと、電極と、プラズマガンと、ミラープラグとの好ましい配列を含む。
【0017】
【
図4】
図4は、形成区分のためのパルス式パワーシステムの構成要素の概略を図示する。
【0018】
【
図5】
図5は、個々のパルス式パワー形成スキッドの等角図を図示する。
【0019】
【
図6】
図6は、形成管アセンブリの等角図を図示する。
【0020】
【
図7】
図7は、中性ビームシステムおよび重要な構成要素の部分的な断面等角図を図示する。
【0021】
【
図8】
図8は、閉じ込めチャンバ上の中性ビーム配列の等角図を図示する。
【0022】
【
図9】
図9は、TiおよびLiゲッタリングシステムの好ましい配列の部分的な断面等角図を図示する。
【0023】
【
図10】
図10は、ダイバータチャンバ内に配設される、プラズマガンの部分的な断面等角図を図示する。関連付けられる磁気ミラープラグおよびダイバータ電極アセンブリもまた示される。
【0024】
【
図11】
図11は、閉じ込めチャンバの軸方向端部における環状バイアス電極の好ましいレイアウトを図示する。
【0025】
【
図12】
図12は、2つの磁場反転シータピンチ形成区分における、一連の外部反磁性ループ、および中心金属閉じ込めチャンバの内側に埋設される、磁気プローブから取得される、FRCシステム内の除外された磁束半径の進化を図示する。時間は、形成源における同期磁場反転の瞬間から測定され、距離zは、機械の軸方向中央平面に対して与えられる。
【0026】
【
図13】
図13A、
図13B、
図13C、および
図13Dは、本FRCシステム上の代表的な非HPF非持続的放電からのデータを図示する。時間の関数として、中央平面における除外された磁束半径(
図13A)と、中央平面CO
2干渉計からの6コードの線積分密度(
図13B)と、CO
2干渉計データからのアーベル変換密度半径方向プロファイル(
図13C)と、圧力平衡からの合計プラズマ温度(
図13D)とが示される。
【0027】
【0028】
【
図15】
図15は、閉じ込めチャンバの外側に搭載される、鞍形コイルの等角図を図示する。
【0029】
【
図16】
図16A、
図16B、
図16C、および
図16Dは、注入された中性ビームのFRC寿命時間およびパルス長の相関を図示する。示されるように、より長いビームパルスは、より長く存続するFRCを生産する。
【0030】
【0031】
【
図18】
図18A、
図18B、
図18C、および
図18Dは、本FRCシステム上の代表的なHPF非持続型放電からのデータを図示する。時間の関数として、中央平面における除外された磁束半径(
図18A)と、中央平面CO
2干渉計からの6コードの線積分密度(
図18B)と、CO
2干渉計データからのアーベル変換密度半径方向プロファイル(
図18C)と、圧力平衡からの合計プラズマ温度(
図18D)とが示される。
【0032】
【
図19】
図19は、電子温度(T
e)の関数として、磁束閉じ込めを図示する。これは、HPF放電のために、新しく確立された優れたスケーリング体系のグラフ表現を表す。
【0033】
【
図20】
図20は、角度付けられていない、および角度付けられた注入される中性ビームのパルス長に対応する、FRC寿命時間を図示する。
【0034】
【
図21】
図21A、21B、21C、21D、および21Eは、角度付けられた注入される中性ビームのパルス長と、角度付けられた注入される中性ビームのパルス長に対応する、プラズマ半径、プラズマ密度、プラズマ温度、および磁束のFRCプラズマパラメータの寿命とを図示する。
【0035】
【
図22】
図22Aおよび22Bは、コンパクトトロイド(CT)注入器の基本レイアウトを図示する。
【0036】
【
図23】
図23Aおよび23Bは、中心閉じ込め容器を図示し、そこに搭載されたCT注入器を示す。
【0037】
【
図24】
図24Aおよび24Bは、そこに結合されたドリフトチューブを有する、CT注入器の代替実施形態の基本レイアウトを図示する。
【0038】
【
図25】
図25は、調整可能エネルギービーム出力のための中性ビームシステムおよび重要構成要素の断面等角図を図示する。
【0039】
【
図26】
図26は、調整可能エネルギービーム出力を伴う中性ビームシステムを図示する、概略図である。
【0040】
【
図27】
図27は、閉じ込め容器(CV)内のFRCプラズマの軸方向位置制御機構を図示する、概略図である。
【0041】
【
図28】
図28は、一般的スライディングモード制御スキームのフロー図である。
【0042】
【
図29】
図29は、スライディングモード軸方向位置制御シミュレーションの実施例の複合グラフである。
【0043】
【
図30】
図30は、スライディングモード軸方向位置制御シミュレーションの実施例の複合グラフである。
【0044】
【
図31A】
図31Aおよび31Bは、対向するスフェロマック注入器を伴う、FRC閉じ込めシステムの例示的実施形態を描写する、概略図である。
【
図31B】
図31Aおよび31Bは、対向するスフェロマック注入器を伴う、FRC閉じ込めシステムの例示的実施形態を描写する、概略図である。
【0045】
【0046】
【
図33】
図33は、スフェロマック注入器の例示的実施形態を描写する、概略図である。
【0047】
図は、必ずしも縮尺通りではなく、類似構造または機能の各要素は、概して、図全体を通して、例示的目的のために、同様の参照番号によって表されることに留意されたい。また、図は、本明細書に説明される、種々の実施形態の説明を促進するためだけに意図されていることに留意されたい。図は、必ずしも、本明細書に開示される教示のあらゆる側面を説明するものではなく、請求項の範囲を限定するものでもない。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本主題が詳細に説明される前に、本開示は、説明される特定の実施形態に限定されず、したがって、当然ながら、変動し得ることを理解されたい。本開示の範囲は、添付の請求項によってのみ限定されるであろうため、本明細書内で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のみのためにあり、限定することは意図されないこともまた、理解されたい。
【0049】
別個および組み合わせの両方において、これらの付加的な特徴および教示の多くを利用する、本明細書に説明される実施形態の代表的実施例が、ここで、添付の図面を参照して説明されるであろう。本詳細な説明は、単に、当業者に、本教示の好ましい側面を実践するためのさらなる詳細を教示することを意図し、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。したがって、以下の詳細な説明において開示される特徴およびステップの組み合わせは、最も広義には、本発明を実践するために必要ではなくてもよく、代わりに、本教示の代表的実施例を特に説明するためだけに教示される。
【0050】
さらに、代表的実施例および従属請求項の種々の特徴は、本教示の付加的有用な実施形態を提供するために、具体的かつ明示的に列挙されない方法で組み合わせられてもよい。加えて、説明および/または請求項に開示される全ての特徴は、元々の開示の目的のためだけではなく、実施形態および/または請求項における特徴の複合物から独立して、請求される主題を制限する目的のために、相互から別個にかつ独立して開示されることが意図されることに明示的に留意されたい。また、全ての値範囲またはエンティティの群の指示は、元々の開示の目的のためだけではなく、請求される主題を制限する目的のために、あらゆる可能性として考えられる中間値または中間エンティティを開示することにも明示的に留意されたい。
【0051】
本明細書に提供される本実施形態は、優れた安定性だけではなく、粒子、エネルギー、および磁束閉じ込めを伴って、FRCの形成および維持を促進する、システムおよび方法を対象とする。本実施形態のいくつかは、調整可能ビームエネルギー能力を備える、中性ビーム注入器を利用しながら、上昇されたシステムエネルギーおよび改良された持続性を伴って、FRCの形成および維持を促進する、システムおよび方法を対象とする。本実施形態のいくつかはまた、半径方向および軸方向の両方におけるFRCプラズマの安定性と、FRCプラズマの平衡の軸方向安定性性質から独立して、FRCプラズマ閉じ込めチャンバの対称軸に沿ったFRCプラズマの軸方向位置制御とを促進する、システムおよび方法を対象とする。
【0052】
一対の中規模スフェロマック注入器(または磁化同軸プラズマガン(MCPG))を利用して、高磁束標的FRCプラズマの生成および維持、ならびにFRCプラズマの軸方向補給を促進する、システムおよび方法に目を向ける前に、従来のFRCに優る、優れた安定性だけではなく、優れた粒子、エネルギー、および磁束閉じ込めを伴う、高性能FRCを形成および維持するためのシステムおよび方法の議論が、提供される。そのような高性能FRCは、(医療用同位体生産、核廃棄物浄化、材料研究、中性子X線撮影、および断層撮影のための)コンパクト中性子源、(化学生産および処理のための)コンパクト光子源、質量分離および濃縮システム、ならびに将来のエネルギー生成のための軽核の融合用炉心を含む、あらゆる種々の用途への経路を提供する。
【0053】
種々の補助的なシステムおよび動作モードが、FRC内の優れた閉じ込め体系が存在するかどうかを評価するために、探求されてきた。これらの努力は、本明細書に説明される高性能FRCパラダイムの画期的な発見および開発につながってきた。本新パラダイムによると、本システムおよび方法は、多数の新規のアイデアおよび手段を組み合わせ、
図1に図示されるように、FRC閉じ込めを著しく改良するだけではなく、負の副作用もなく、安定性制御を提供する。下記により詳細に議論されるように、
図1は、FRCを形成および維持するための従来の体系(CR)に従って動作することに対比した、かつ他の実験で使用されるFRCを形成および維持するための従来の体系に従って粒子閉じ込めと対比した、FRCを形成および維持するための高性能FRC体系(HPF)に従って動作する、下記に説明される、FRCシステム10内の粒子閉じ込めを描写する(
図2および
図3参照)。本開示は、FRCシステム10および方法の革新的な個々の構成要素だけではなく、それらの集合効果についての概要および詳細を述べるであろう。
FRCシステム
真空システム
【0054】
図2および
図3は、本FRCシステム10の概略図を描写する。FRCシステム10は、2つの直径方向に対向する反転磁場シータピンチ形成区分200によって囲繞される、中心閉じ込め容器100と、形成区分200を越えて、中性密度および不純物汚染を制御するためのダイバータチャンバ300とを含む。本FRCシステム10は、超高真空を収容し、10
-8トルの典型的な底面圧で動作するように構築された。そのような真空圧は、噛合部品間の二連ポンプ噛合フランジ、金属O環、および高純度内壁の使用だけではなく、物理的かつ化学的洗浄等、組立に先立って、全ての部品の慎重な初期表面調整後の24時間250℃真空焼成および水素グロー放電洗浄を要求する。
【0055】
反転磁場シータピンチ形成区分200は、標準磁場反転シータピンチ(FRTP)であるが、下記に詳細に議論される、高度パルス式電力形成システム(
図4-6参照)を伴う。各形成区分200は、超高純度石英の2ミリメートルの内側裏張りを特徴とする、標準不透明工業グレード石英管から作製される。閉じ込めチャンバ100は、ステンレス鋼から作製され、多数の半径方向および接線方向ポートを可能にし、これはまた、下記に説明される実験の時間尺度上の磁束コンサーバとしての役割も果たし、高速磁気過度電流を限定する。真空は、ドライスクロール粗引きポンプと、ターボ分子ポンプと、低温ポンプとのセットを用いて、FRCシステム10内で作成および維持される。
磁気システム
【0056】
磁気システム400は、
図2および
図3に図示される。
図2は、他の特徴の中でもとりわけ、FRCシステム10によって生産可能なFRC450に関連する、(半径方向座標および軸方向座標の関数としての)FRC磁束および密度等高線を図示する。これらの等高線は、FRCシステム10に対応するシステムおよび方法をシュミレーションするために開発されたコードを使用して、2D抵抗ホールMHD数値シュミレーションによって取得されたものであり、測定された実験データと非常に合致する。
図2に見られるように、FRC450は、区分線451の内側のFRC450の内部453における閉場線のトーラスと、区分線451のすぐ外側の開場線452上の環状縁層456とから成る。縁層456は、FRCの長さを越えて、ジェット454の中に合体し、自然ダイバータを提供する。
【0057】
主磁気システム410は、構成要素に沿って、すなわち、閉じ込めチャンバ100に沿って、特定の軸方向位置に置かれる、一連の準直流コイル412、414、および416と、FRCシステム10の形成区分200と、ダイバータ300とを含む。準直流コイル412、414、および416は、準直流切替電源供給源によって給送され、閉じ込めチャンバ100と、形成区分200と、ダイバータ300との中に、約0.1Tの基本磁気バイアス場を生産する。準直流コイル412、414、および416に加えて、主磁気システム410は、閉じ込めチャンバ100の両端とその近接形成区分200との間に、(切替供給源によって送給される)準直流ミラーコイル420を含む。準直流ミラーコイル420は、最大5の磁気ミラー比を提供し、平衡成形制御のために独立して励起されることができる。加えて、ミラープラグ440が、各形成区分200と各ダイバータ300との間に位置付けられる。ミラープラグ440は、コンパクト準直流ミラーコイル430と、ミラープラグコイル444とを備える。準直流ミラーコイル430は、付加的誘導場を提供し、ミラープラグコイル444を通して通過する、小径通路442に向かって、磁束表面455を集束させる3つのコイル432、434、および436(切替供給源によって送給される)を含む。ミラープラグコイル444は、小径通路442の周囲に被着し、LCパルス型電力回路によって給送されるが、最大4Tの強磁気ミラー場を生産する。本コイル配列全体の目的は、磁束表面455および端部荷電プラズマジェット454をダイバータ300の遠隔チャンバ310の中に緊密に結束および誘導することである。最後に、鞍形コイル「アンテナ」のセット460(
図15参照)が、閉じ込めチャンバ100の外側に位置し、中央平面の両側上の2つは、直流電源供給源によって給送される。鞍形コイルアンテナ460は、回転不安定性の制御および/または電子電流制御のために、約0.01Tの準静的磁気双極または四重極場を提供するように構成されることができる。鞍形コイルアンテナ460は、印加される電流の方向に応じて、機械の中央平面を中心として対称もしくは非対称である、磁場を柔軟に提供することができる。
パルス型電力形成システム
【0058】
パルス型電力形成システム210は、修正されたシータピンチ原理で動作する。2つのシステムが存在し、それぞれが、形成区分200のうちの1つに電力を供給する。
図4-
図6は、形成システム210の主構築ブロックおよび配列を図示する。形成システム210は、形成石英管240の周囲に被着する、ストラップアセンブリ230(=ストラップ)のコイル232のサブセットをそれぞれ励起する、個々のユニット(=スキッド)220から成る、モジュール式のパルス型電力配列から成る。各スキッド220は、コンデンサ221と、インダクタ223と、高速高電流スイッチ225および関連付けられるトリガ222と、ダンプ回路224とから成る。全体として、各形成システム210は、350~400kJの容量エネルギーを貯蔵し、FRCを形成し、加速させるために、最大35GWの電力を提供する。本構成要素の協調された動作は、最先端のトリガならびに制御システム222および224を介して達成され、各形成区分200上の形成システム210の間で同期されたタイミングを可能にし、切替ジッタを数十ナノ秒まで最小限にする。本モジュール式設計の利点は、その柔軟な動作である。すなわち、FRCは、原位置で形成され、次いで、加速および注入される(静的形成)、もしくは同時に形成および加速される(動的形成)ことができる。
中性ビーム注入器
【0059】
中性原子ビーム600が、FRCシステム10上に展開され、加熱および電流駆動を提供するだけではなく、高速粒子圧力を発生させる。
図3A、
図3B、および
図8に示されるように、中性原子ビーム注入器システム610および640を構成する、個々のビーム線は、中心閉じ込めチャンバ100の周囲に位置し、衝突パラメータを用いて、高速粒子をFRCプラズマに対して接線方向に(かつ中心閉じ込め容器100内の対称長軸に対して垂直または法線である角度で)注入し、標的捕捉ゾーンが、十分に区分線451(
図2参照)の範囲内にあるようにする。各注入器システム610および640は、20~40keVの粒子エネルギーを用いて、最大1MWの中性ビームパワーをFRCプラズマの中に注入可能である。システム610および640は、正イオン多開口抽出源に基づいており、幾何学的集束、イオン抽出グリッドの慣性冷却、および差動ポンプを利用する。異なるプラズマ源の使用は別として、システム610および640は、主に、側方および上方注入能力をもたらす、その個別の搭載場所を満たすようなその物理的設計によって区別される。これらの中性ビーム注入器の典型的な構成要素は、側方注入器システム610に関する
図7に具体的に図示される。
図7に示されるように、各個々の中性ビームシステム610は、端部を被覆する磁気遮蔽614とともに、入力端部(これは、システム640内のアーク源で代用される)にRFプラズマ源612を含む。イオン光学源および加速グリッド616は、プラズマ源612に結合され、ゲート弁620は、イオン光学源および加速グリッド616と中和装置622との間に位置付けられる。偏向磁石624およびイオンダンプ628は、中和装置622と出口端部における照準デバイス630との間に位置する。冷却システムは、2つの低温冷凍機634と、2つの低温パネル636と、LN2シュラウド638とを備える。本柔軟性のある設計は、広範囲のFRCパラメータにわたる動作を可能にする。
【0060】
中性原子ビーム注入器600のための代替構成は、高速粒子をFRCプラズマに対して接線方向に注入するが、角度Aは、中心閉じ込め容器100内の対称長軸に対して90°未満であるものである。ビーム注入器615のこれらのタイプの配向は、
図3Cに示される。加えて、ビーム注入器615は、中心閉じ込め容器の中央平面の両側のビーム注入器615が、それらの粒子を中央平面に向かって注入するように配向されてもよい。最後に、これらのビームシステム600の軸方向位置は、中央平面により近接するように選定されてもよい。これらの代替注入の実施形態は、より中心における燃料補給選択肢を促進し、これは、ビームのより優れた結合、および注入される高速粒子のより高い捕捉効率を提供する。さらに、角度および軸方向位置に応じて、ビーム注入器615の本配列は、FRC450の軸方向伸長および他の特性のより直接的かつ独立した制御を可能にする。例えば、ビームを容器の対称長軸に対して浅角Aで注入することは、より長い軸方向伸展およびより低い温度を伴うFRCプラズマを作成するであろう一方、より垂直な角度Aで取り上げることは、軸方向により短いが、より高温のプラズマにつながるであろう。本方式では、ビーム注入器615の注入角度Aおよび場所は、異なる目的のために最適化されることができる。加えて、ビーム注入器615のそのような角度付けおよび位置付けは、(概して、より少ないビーム分散を伴う、より多くのパワーを堆積させるためにより好ましい)より高いエネルギーのビームが、そうでなければ、そのようなビームを捕捉するために必要となるであろうものより低い磁場の中に注入されることを可能にする。これは、(容器の対称長軸に対する注入角度が一定ビームエネルギーで低減されるにつれて、徐々に小さくなる)高速イオン軌道スケールを判定するのが、エネルギーの方位角成分であるという事実に起因する。さらに、中央平面に向かって角度付けられた注入、および中央平面に近接する軸方向ビーム位置は、注入周期の間に、たとえFRCプラズマが、収縮または別様に軸方向に縮小しても、ビーム-プラズマ結合を改良する。
【0061】
図3Dおよび
図3Eに目を向けると、FRCシステム10の別の代替構成は、角度付けられたビーム注入器615に加え、内側ダイバータ302を含む。内側ダイバータ302は、形成区分200と閉じ込めチャンバ100との間に位置付けられ、外側ダイバータ300と実質的に類似するように構成され、動作する。その中に高速切替磁気コイルを含む、内側ダイバータ302は、形成プロセスの間、事実上、非アクティブであって、形成FRCが閉じ込めチャンバ100の中央平面に向かって平行移動するにつれて、形成FRCが、内側ダイバータ302を通して通過することを可能にする。いったん形成FRCが、内側ダイバータ302を通して、閉じ込めチャンバ100の中に通過すると、内側ダイバータは、アクティブ化され、外側ダイバータと実質的に類似するように動作し、閉じ込めチャンバ100を形成区分200から隔離する。
ペレット注入器
【0062】
新しい粒子を注入するための手段を提供し、FRCの粒子装荷量をより良好に制御するために、12バレルのペレット注入器700(例えば、I. Vinyar et al., “Pellet Injectors Developed at PELIN for JET, TAE, and HL-2A,” Proceedings of the 26th Fusion Science and Technology Symposium, 09/27 to 10/01 (2010)参照)が、FRCシステム10上で利用される。
図3は、FRCシステム10上のペレット注入器700のレイアウトを図示する。円筒状ペレット(D約1mm、L約1~2mm)は、150~250km/sの範囲内の速度で、FRCの中に注入される。個々のペレットはそれぞれ、約5×10
19個の水素原子を含有し、FRC粒子装荷量と比較可能である。
ゲッタリングシステム
【0063】
中性ハロガスが、全ての閉じ込めシステムにおける重大な問題であることは周知である。電荷交換および再生利用(壁からの冷不純物材料の解放)プロセスは、エネルギーおよび粒子閉じ込めに及ぼされる、壊滅的な影響を有し得る。加えて、縁またはその近傍における中性ガスの任意の有意な密度は、注入された大軌道(高エネルギー)粒子(大軌道は、FRCトポロジ規模の軌道または少なくとも特性的磁場勾配長よりもかなり大きい軌道半径を有する粒子を指す)の寿命の即座の損失または少なくとも大幅な削減、すなわち、補助的なビーム加熱を介した融合を含む、全てのエネルギープラズマ用途にとって有害であるという事実につながるであろう。
【0064】
表面調整は、それによって、中性ガスおよび不純物のその有害な影響が、閉じ込めシステム内で制御または低減され得る手段である。この目的を達成するために、本明細書に提供されるFRCシステム10は、チタンおよびリチウム堆積システム810および820を採用し、Tiおよび/またはLiのフィルム(数十ミクロンの厚さ)を用いて、閉じ込めチャンバ(または容器)100ならびにダイバータ300および302のプラズマ対向表面をコーティングする。コーティングは、蒸着技法を介して達成される。固体のLiおよび/またはTiは、蒸発および/または昇華され、近傍表面上に噴霧され、コーティングを形成する。源は、誘導ノズルを伴う原子オーブン(Liの場合)822である、もしくは誘導シュラウド(Tiの場合)812を伴う固体の加熱された球体である。Li蒸発器システムは、Ti昇華装置が、大抵、プラズマ動作の合間に、断続的に動作される間、典型的には、連続モードで動作する。これらのシステムの動作温度は、高速堆積率を取得するためには、600℃を上回る。十分な壁被覆を達成するためには、多数の方略的に位置する蒸発器/昇華装置システムが必要である。
図9は、FRCシステム10内のゲッタリング堆積システム810および820の好ましい配列について詳細に示す。コーティングは、ゲッタリング表面として作用し、原子および分子の水素種(HおよびD)を効果的に圧送する。コーティングはまた、有意ではないレベルまで、炭素および酸素等の他の典型的な不純物を低減させる。
ミラープラグ
【0065】
前述したように、FRCシステム10は、
図2および
図3に示されるように、ミラーコイル420、430、および444のセットを採用する。ミラーコイル420の第1のセットは、閉じ込めチャンバ100の2つの軸方向端部に位置し、主磁気システム410のDC閉じ込めコイル、形成コイル、およびダイバータコイル、412、414、および416から独立して励起される。ミラーコイル420の第1のセットは、主に、融合中は、FRC450を操向し、軸方向に含有することに役立ち、持続中は、平衡成形制御を提供する。第1のミラーコイルセット420は、中心閉じ込めコイル412によって生産される。中心閉じ込め場よりも、公称上高い磁場(約0.4~0.5T)を生産する。ミラーコイル430の第2のセットは、3つのコンパクト準直流ミラーコイル432、434、および436を含むが、形成区分200とダイバータ300との間に位置し、共通の切替電力供給源によって駆動される。ミラーコイル432、434、および436は、(容量電力供給源によって給送される)よりコンパクトなパルス型ミラープラグコイル444と、物理的狭窄部442とともに、非常に高い磁場(約10~20msの立ち上がり時間を伴って、2~4T)を伴う、細い低ガス伝導性経路を提供する、ミラープラグ440を形成する。最もコンパクトなパルス型ミラーコイル444は、閉じ込めコイル412、414、および416のメータープラススケールボアおよびパンケーキ設計と比較すると、半径方向寸法がコンパクトであり、20cmおよび類似の長さのボアを有する。ミラープラグ440の目的は、多種多様である。すなわち、(1)コイル432、434、436、および444は、磁束表面452および端部荷電プラズマジェット454を遠隔ダイバータチャンバ300の中に緊密に結束および誘導する。これは、排出粒子が、適切にダイバータ300に到達すること、かつ中心FRC450の開場線452領域からダイバータ300まで辿る、連続磁束表面455が存在することを確実にする。(2)FRCシステム10内の物理的狭窄部442は、それを通して、コイル432、434、436、および444が、磁束表面452およびプラズマジェット454の通過を可能にするが、ダイバータ300内に着座する、プラズマガン350からの中性ガス流動に妨害を提供する。同じように、狭窄部442は、形成区分200からダイバータ300へのガスの逆流を阻止し、それによって、FRCの始動を開始するとき、FRCシステム10全体の中に導入される必要がある、中性粒子の数を低減させる。(3)コイル432、434、436、および444によって生産される、強軸方向ミラーは、軸粒子損失を低減させる、それによって、開場線上の平行粒子の拡散性を低減させる。
【0066】
図3Dおよび
図3Eに示される代替構成では、薄型縮径コイル421のセットが、内側ダイバータ302と形成区分200との間に位置付けられる。
軸方向プラズマガン
【0067】
ダイバータ300のダイバータチャンバ310内に搭載される、ガン350からのプラズマ流は、安定性および中性ビーム性能を改良することが意図される。ガン350は、
図3および
図10に図示されるように、ダイバータ300のチャンバ310の内側の軸上に搭載され、ダイバータ300内の開場線452に沿って、閉じ込めチャンバ100の中心に向かって流動する、プラズマを生産する。ガン350は、ワッシャスタックチャネル内の高密度ガス放電で動作し、5~10msにわたって、数キロアンペアの完全にイオン化されたプラズマを生成するように設計される。ガン350は、閉じ込めチャンバ100内のプラズマの望ましいサイズを伴って、出力プラズマ流に整合する、パルス型磁気コイルを含む。ガン350の技術的なパラメータは、5~13cmの外径および最大約10cmの内径を有するチャネルによって特性評価され、0.5~2.3Tのガン内在磁場を伴って、400~600Vで、10~15kAの放電電流を提供する。
【0068】
ガンプラズマ流は、ミラープラグ440の磁場を貫通し、形成区分200および閉じ込めチャンバ100の中に流動することができる。ミラープラグ440を通したプラズマ伝送の効率は、ガン350とプラグ440との間の距離の減少に伴って、ならびにプラグ440をより広くかつより短くすることによって、増加する。合理的条件下では、ガン350は、それぞれ、約150~300eVおよび約40~50eVの高いイオンおよび電子温度を伴って、2~4Tのミラープラグ440を通して、約1022個の陽子/秒を送達することができる。ガン350は、FRC縁層456の有意な補給およびFRC粒子閉じ込め全体の改良を提供する。
【0069】
プラズマ密度をさらに増加させるために、ガスボックスが、付加的なガスをガン350からプラズマ流の中に吐出するために利用されることができるであろう。本技法は、注入されたプラズマの密度を数倍増加させることができる。FRCシステム10では、ミラープラグ440のダイバータ300側上に配設される、ガスボックスは、FRC縁層456の補給、FRC450の形成、およびプラズマ線連結を改良する。
【0070】
上記に議論される、全ての調節パラメータを前提として、また、1つのみまたは両方のガンを用いた動作が可能であることを考慮に入れると、広帯域の動作モードが利用可能であることは、容易に明白である。
バイアス電極
【0071】
開磁束面に電気的にバイアスをかけることは、制御機構を提供する、方位角E×B運動を起こす、半径方向の電位を提供し、ノブを回すことと同様に、開場線プラズマの回転だけではなく、速度剪断を介した実際のFRCコア450を制御することができる。本制御を遂行するために、FRCシステム10は、機械の種々の部品内に方略的に設置される、種々の電極を採用する。
図3は、FRCシステム10内の好ましい場所に位置付けられる、バイアス電極を描写する。
【0072】
原則として、4つのクラスの電極がある。すなわち、(1)局所的充電を提供するための、FRC450の縁内の特定の開場線452と接触する、閉じ込めチャンバ100内の点電極905、(2)方位角的対称方式で遠縁磁束層456を充電するための、閉じ込めチャンバ100と形成区分200との間の環状電極900、(3)多数の同心磁束層455を充電するための、ダイバータ300内の同心電極910のスタック(各層の選択は、適切な電極910上で所望の磁束層456を終端させるように、ダイバータ磁場を調節するためのコイル416を調節することによって制御可能である)、および最後に、(4)(FRC450の区分線の近傍で、内側開磁束面455を奪取する)プラズマガン350自体のアノード920(
図10参照)である。
図10および
図11は、これらの中のいくつかに対して、いくつかの典型的な設計を示す。
【0073】
全ての場合において、これらの電極は、最大約800Vの電圧で、パルス型または直流電源によって駆動される。電極のサイズおよび横断されている磁束面に応じて、電流は、キロアンペアの範囲で引き込まれることができる。
FRCシステムの非持続型動作-従来の体系
【0074】
FRCシステム10上の標準プラズマ形成は、十分に開発された、反転磁場シータピンチ技法に従う。FRCを始動するための典型的なプロセスは、準直流コイル412、414、416、420、432、434、および436を定常状態動作に駆動することによって開始する。パルス型電力形成システム210のRFTPパルス型電力回路は、次いで、パルス型高速反転磁場コイル232を駆動し、形成区分200内に、約0.05Tの一時的な反転バイアスを作成する。この時点で、9~20psiで所定の量の中性ガスが、形成区分200の外側端部上に位置するフランジにおいて方位角的に配向される吐出谷のセットを介して、(北側および南側の)形成区分200の石英管チャンバ240によって画定される、2つの形成容積に注入される。次いで、小規模RF(約数百キロヘルツ)場が、石英管240の表面上に、アンテナのセットから生成され、中性ガス柱内で、局所的シードイオン化領域の形態で、予備イオン化を作成する。この後、パルス型高速反転磁場コイル232を駆動する電流上に、シータ共鳴変調を印加し、これは、ガス柱のさらに包括的な予備イオン化につながる。最後に、パルス型電力形成システム210の主パルス型電力バンクが、パルス型高速反転磁場コイル232を駆動するために始動され、最大0.4Tの順方向バイアス場を作成する。本ステップは、時系列であり得、順方向バイアス場が、形成管240の長さを通して均一に生成される(静的形成)、もしくは連続蠕動場の変調が、形成管240の軸に沿って達成される(動的形成)。
【0075】
本形成プロセス全体では、プラズマ内で実際の磁場反転が、約5μs内で急速に発生する。形成するプラズマに送達される、マルチギガワットパルス型電力は、容易に高温のFRCを生産し、これは、次いで、順方向磁場の時系列変調(磁気蠕動)、もしくは(閉じ込めチャンバ100に向かって、軸方向に指向する、軸方向磁場勾配を形成する)形成管210の軸方向外側端部近傍で、コイルセット232の最終のコイル内で一時的に増加された電流のいずれかの印加を介して、形成区分200から射出される。そのように形成および加速される、2つの(北側および南側の)形成FRCは、次いで、より大きな直径の閉じ込めチャンバ100の中に拡張し、準直流コイル412は、順方向バイアス場を生産し、半径方向拡張を制御し、平衡外部磁束を提供する。
【0076】
いったん北側および南側の形成FRCが、閉じ込めチャンバ100の中央平面近傍に到着すると、FRCは衝突する。衝突の間、北側および南側の形成FRCの軸方向運動エネルギーは、FRCが、単一のFRC450内に最終的に融合すると、大きく熱運動化される。プラズマ診断の大きなセットは、FRC450の平衡を研究するために、閉じ込めチャンバ100内で利用可能である。FRCシステム10での典型的な動作条件は、約0.4mの区分線半径および約3mの軸方向延在部を有する、合成FRCを生産する。さらなる特性は、約0.1Tの外部磁場、約5×1019m3のプラズマ密度、および最大1keVの合計プラズマ温度である。任意の持続がない場合、すなわち、中性ビーム注入または他の補助的な手段を介した、加熱および/または電流駆動がない場合、これらのFRCの寿命時間は、約1ms、すなわち、固有の特性的な配位減衰時間に限定される。
非持続型動作の実験データ-従来の体系
【0077】
図12は、区分線半径r
sに近似する、除外された磁束半径r
ΔΦの典型的な時間進化を示し、FRC450のシータピンチ融合プロセスの動態を図示する。2つの(北側および南側の)個々のプラズモイドは、同時に生産され、次いで、約250km/sの超音速v
Zで、個別の形成区分200から外へ加速され、z=0において、中央平面近傍で衝突する。衝突中、プラズモイドは、軸方向に圧縮し、その後、FRC450を形成するために最終的に融合する前に、急速に半径方向および軸方向に拡張する。融合するFRC450の半径方向および軸方向の両方の動態は、詳細な密度プロファイル測定値およびボロメーターベースの断層撮影によって証明される。
【0078】
FRCシステム10の代表的な非持続型放電からのデータは、
図13A、
図13B、
図13C、および
図13Dにおいて時間の関数として示される。FRCは、t=0で始動される。機械の軸方向中央平面における、除外された磁束半径は、
図13Aに示される。本データは、閉じ込めチャンバのステンレス鋼壁のすぐ内側に位置する、磁気プローブの配列から取得され、これは、軸方向磁場を測定する。鋼鉄壁は、この放電の時間尺度上、優れた磁束コンサーバである。
【0079】
z=0に位置する、6コードCO
2/He-Ne干渉計からの線積分密度が、13Bに示される。垂直(y)FRC変位を考慮に入れると、ボロメーター断層撮影によって測定されるように、アーベル変換は、
図13Cの密度カウンタをもたらす。最初の0.1msの間、いくつかの軸方向および半径方向の振動後、FRCは、白密度プロファイルを伴って整定する。本プロファイルは、典型的な2D FRC平衡による要求に応じて、極めて平坦であり、軸上に実質的な密度を備える。
【0080】
圧力平衡から導出され、トムソン散乱分光計測と完全に合致する、合計プラズマ温度が、
図13Dに示される。
【0081】
除外された磁束配列全体からの分析は、(除外された磁束軸方向プロファイルによって近似される)FRC区分線の形状が、レーストラック形から楕円形に徐々に進化することを示す。
図14に示される本進化は、2つから単一のFRCへの段階的な磁気再結合と合致する。実際に、おおよその推定値は、この特定の瞬間に、2つの初期FRC磁束の約10%が、衝突中に再結合することを示唆する。
【0082】
FRCの長さは、FRC寿命時間の間、3から約1mに至るまで、着実に収縮する。本収縮は、
図14で可視化されるように、主に、対流エネルギー損失が、FRC閉じ込めを支配することを示唆する。区分線の内側のプラズマ圧力が、外部磁気圧力よりも速く減少するため、端部領域内の磁場線張力は、FRCを軸方向に圧縮し、軸方向および半径方向の平衡を復元する。
図13および
図14で議論される放電に関して、FRC磁束、粒子装荷量、および熱エネルギー(それぞれ、約10mWb、7×10
19個の粒子、および7kJ)は、FRC平衡が低下するように現れるとき、最初の1ミリ秒以内におおよそ1桁分減少する。
持続型動作-HPF体系
【0083】
図12-
図14の実施例は、任意の持続を伴わない場合の、減衰するFRCの特性である。しかしながら、いくつかの技法が、HPF体系に対するFRC閉じ込め(内側コアおよび縁層)をさらに改良し、構成を持続させるために、FRCシステム10上で展開される。
中性ビーム
【0084】
最初に、高速(H)中性子が、8つの中性ビーム注入器600からビーム内に、Bzと垂直に注入される。高速中性子のビームは、北側および南側の形成FRCが、閉じ込めチャンバ100内で、1つのFRC450の中に融合する瞬間から注入される。主に電荷交換によって作成される、高速イオンは、(FRCトポロジ規模のまたは少なくとも特性磁場勾配長よりもはるかに大きい一次半径を伴う)ベータトロン軌道を有し、これは、FRC450の方位角電流を追加させる。放電のある割合後(ショットの中への0.5~0.8ms後)、十分に大きな高速イオン集団は、内側FRCの安定性および閉じ込め性質を有意に改良する(例えば、M.W. Binderbauer and N. Rostoker, Plasma Phys. 56, part 3, 451 (1996)参照)。さらに、持続性の観点から、中性ビーム注入器600からのビームはまた、電流を駆動し、FRCプラズマを加熱するための主要な手段でもある。
【0085】
FRCシステム10のプラズマ体系では、高速イオンは、主に、プラズマ電子上で減速する。放電の初期の間、高速イオンの典型的な軌道平均減速時間は、0.3~0.5msであり、これは、結果的に、主に、電子の有意なFRC加熱をもたらす。高速イオンは、内側FRC磁場が、本質的に低い(0.1Tの外部軸方向場に対して平均約0.03T)ため、区分線の外側において、大きな半径方向の逸脱をする。高速イオンは、中性ガス密度が、区分線の外側で非常に高い場合、電荷交換損失の影響を受けやすいであろう。したがって、FRCシステム10上で展開される、壁ゲッタリングおよび他の技法(他のものの中でもとりわけ、ガス制御に寄与するようなプラズマガン350およびミラープラグ440等)は、縁部中性子を最小限にする傾向があり、高速イオン電流の要求される構築を可能にする。
ペレット注入
【0086】
有意な高速イオン集団が、FRC450内に構築されると、より高い電子温度およびより長いFRC寿命時間を伴って、凍結されたHまたはDペレットが、FRC450の中にペレット注入器700から注入され、FRC450のFRC粒子装荷量を持続させる。予期されるアブレーション時間尺度は、有意なFRC粒子源を提供するために十分に短い。この率はまた、閉じ込めチャンバ100の中へ進入する直前に、注入管の最終区画の屈曲半径を厳密にすることにより、注入管のペレットと壁との間の摩擦を増加させることによって達成され得るステップである、ペレット注入器700のバレルまたは注入管の中にある間に、かつ閉じ込めチャンバ100に進入する前に、個々のペレットをより小さな断片に分割することにより、注入される一片の表面積を拡大することによって増加させることができる。12のバレル(注入管)の始動順序および率だけではなく、断片化を変動させることによって、まさに所望のレベルの粒子装荷量の持続を提供するために、ペレット注入システム700を調整することが可能である。ひいては、これは、FRC450における内部動圧およびFRC450の持続的な動作および寿命時間の維持に役立つ。
【0087】
いったんアブレートされた原子が、FRC450内で有意なプラズマに遭遇すると、それらは、完全にイオン化される。その結果として生じる、冷プラズマ成分は、次いで、固有のFRCプラズマによって、衝突で加熱される。所望のFRC温度を維持するために必要なエネルギーは、最終的に、ビーム注入器600によって供給される。この意味で、ペレット注入器700は、中性ビーム注入器600とともに、安定した状態を維持し、FRC4504を持続させるシステムを形成する。
CT注入器
【0088】
ペレット注入器の代替として、コンパクトトロイド(CT)注入器が、主に、磁場反転配位(FRC)プラズマに燃料補給するために提供される。CT注入器720は、磁化同軸プラズマガン(MCPG)を備え、
図22Aおよび
図22Bに示されるように、同軸円筒形内側および外側電極722および724と、内側電極726の内部に位置付けられる、バイアスコイルと、CT注入器720の放電の反対の端部上の、電気遮断器728とを含む。ガスが、ガス注入ポート730を通して、内側および外側電極722と724との間の空間の中に注入され、スフェロマック型状プラズマが、そこから放電によって生成され、ローレンツ力によってガンから押し出される。
図23Aおよび
図23Bに示されるように、一対のCT注入器720が、容器100の中央平面の近傍および対向側において、閉じ込め容器100に結合され、CTを閉じ込め容器100内の中心FRCプラズマの中に注入する。CT注入器720の放電端は、中性ビーム注入器615と類似する、閉じ込め容器100の縦軸に対してある角度で、閉じ込め容器100の中央平面に向かって指向される。
【0089】
代替実施形態では、CT注入器720は、
図24および
図24Bに示されるように、CT注入器720の放電端に結合される、伸長円筒形管を備える、ドリフトチューブ740を含む。描写されるように、ドリフトチューブ740は、チューブを中心として位置付けられ、それに沿って軸方向に離間される、ドリフトチューブコイル742を含む。複数の診断ポート744が、チューブの長さに沿って描写される。
【0090】
CT注入器720の利点は、(1)注入されるCTあたりの粒子装荷量の制御および調節性、(2)(極低温ペレットの代わりに)高温プラズマが堆積されること、(3)システムが、連続燃料補給を可能にするように、繰り返し率モードで動作されることができること、(4)システムがまた、注入されるCTが埋設磁場を搬送するにつれて、ある程度の磁束を復元し得ることにある。実験的使用のための実施形態では、外側電極の内径は、83.1mmであって、内側電極の外径は、54.0mmである。内側電極722の表面は、好ましくは、電極722から生じる不純物を低減させるために、タングステンでコーティングされる。描写されるように、バイアスコイル726が、内側電極722の内側に搭載される。
【0091】
最近の実験では、最大約100km/秒の超音波CT平行移動速度が、達成された。他の典型的プラズマパラメータは、以下の通りである。電子密度約5×1,021m-3、電子温度約30~50eV、および粒子装荷量約0.5~1.0×1,019。CTの高動圧は、注入されるプラズマが、FRCの中に深くまで透過し、粒子を区分線の内側に堆積させることを可能にする。最近の実験では、FRC粒子燃料補給は、FRC粒子装荷量の約10~20%が、CT注入器によって正常に提供される結果をもたらし、燃料補給がFRCプラズマを中断させずに容易に実施され得ることを実証した。
鞍形コイル
【0092】
安定した状態の電流駆動を達成し、要求されるイオン電流を維持するためには、(衝突イオン電子運動量の伝送から生じる)電子イオン摩擦力に起因する、電子のスピンアップを防止または有意に低減させることが望ましい。FRCシステム10は、革新的な技法を利用し、外部から印加される安定した磁気双極または四重極場を介して、電子分割を提供する。これは、
図15に描写される、外部鞍形コイル460を介して遂行される。鞍形コイル460から横断的に印加される半径方向磁場は、回転FRCプラズマ内の軸方向電場を誘発する。その結果として生じる軸方向電子電流は、半径方向磁場と相互作用し、電子上に、方位角分割力
【数1】
を生産する。FRCシステム10での典型的な条件に関し、プラズマの内側で要求され印加される磁気双極(または四重極)場は、十分な電子分割を提供するために、わずか0.001T程度である必要がある。約0.015Tの対応する外部場は、著しい高速粒子損失を引き起こさない、または別様に閉じ込めに負の影響を及ぼさないほどに十分小さい。実際、印加される磁気双極(または四重極)場は、不安定性を抑圧することに寄与する。接線方向の中性ビーム注入と軸方向のプラズマ注入を組み合わせると、鞍形コイル460は、電流の維持および安定性に対する制御の付加的なレベルを提供する。
ミラープラグ
【0093】
ミラープラグ440内のパルス型コイル444の設計は、中程度の(約100kJ)容量エネルギーを用いて、高磁場(2~4T)の局所的生成を可能にする。FRCシステム10の本動作に特有の磁場の形成のために、形成容積内の全ての場線は、ミラープラグ440において、狭窄部442を通して通過し、
図2で磁場線によって示唆されるように、プラズマの壁接触は発生しない。さらに、準直流ダイバータ磁石416と連動する、ミラープラグ440は、場線をダイバータ電極910の上へ誘導するように、もしくは場線を端部先端構成(図示せず)内で拡開するように、調節されることができる。後者は、安定性を改良し、平行電子の熱伝導を抑圧する。
【0094】
ミラープラグ440自体はまた、中性ガス制御に寄与する。ミラープラグ440は、ダイバータ300の中に逆流するガスが、プラグの小さなガス伝導性(わずか500L/s)によって有意に低減されるため、FRC形成中に、石英管の中に吐出される、重水素ガスのより優れた利用を可能にする。形成管210の内側に残留する吐出されたガスの殆どは、急速にイオン化される。加えて、ミラープラグ440を通して流動する高密度プラズマは、効率的な中性イオン化、故に、効果的なガス障壁を提供する。結果として、FRC縁層456からダイバータ300内で再生利用される中性子の殆どは、閉じ込めチャンバ100に戻らない。加えて、(下記に議論されるように)プラズマガン350の動作と関連付けられる中性子は、殆どがダイバータ300へ閉じ込められるであろう。
【0095】
最後に、ミラープラグ440は、FRC縁層閉じ込めを改良する傾向がある。20~40の範囲のミラー比(プラグ/閉じ込め磁場)を伴って、北側および南側のミラープラグ440の間に15mの長さを伴って、縁層粒子閉じ込め時間τ∥は、最大1桁分増加する。τ∥の改良は、FRC粒子閉じ込めを容易に増加させる。
【0096】
区分線容積453からの半径方向の拡散(D)粒子損失が、縁層456からの軸方向損失(τ∥)によって平衡されると仮定すると、(2πrsLs)(Dns/δ)=2πrsLsδ)(ns/τ∥)を取得し、そこから、区分線密度勾配長は、δ=(Dτ∥)1/2に書き直され得る。ここで、rs、Ls、およびnsは、それぞれ、区分線半径、区分線長、および区分線密度である。FRC粒子閉じ込め時間は、τN=[πrs
2Ls<n>]/[(2πrsLs)(Dns/δ)]=(<n>/ns)(τIτ∥)1/2であり、式中、τI =a2/Dおよびa=rs/4である。物理学上、τ∥の改良は、δの増加(区分線密度勾配およびドリフトパラメータの減少)、したがって、FRC粒子損失の低減につながる。FRC粒子閉じ込めにおける改良全体は、nsが、τ∥とともに増加するため、概して、二次方程式とは言い難い。
【0097】
τ∥における有意な改良はまた、縁層456が、極めて安定的な状態なままであること(すなわち、n=1のフルート、ファイアホース、または開放系に特有の他のMHD不安定性がないこと)を要求する。プラズマガン350の使用は、この好ましい縁部の安定性を提供する。この意味で、ミラープラグ440およびプラズマガン350は、効果的な縁部制御システムを形成する。
プラズマガン
【0098】
プラズマガン350は、線連結によって、FRC排出ジェット454の安定性を改良する。プラズマガン350からのガンプラズマは、方位角角運動量を伴うことなく、生成され、これは、FRCの回転不安定性の制御に有用であることを証明する。したがって、ガン350は、より古い四重極安定化技法を必要とすることなく、FRCの安定性を制御する効果的な手段である。結果として、プラズマガン350は、高速粒子の有益な効果を生かすこと、もしくは本開示において概略されるように、高度混成運動FRC体系にアクセスすることを可能にする。したがって、プラズマガン350は、電子分割にちょうど十分であるが、FRCの不安定性を引き起こす、および/または劇的な高速粒子拡散につながるであろう閾値を下回る、鞍形コイル電流を伴って、システム10が動作されることを可能にする。
【0099】
上記のミラープラグの議論で言及したように、τ∥が、有意に改良され得る場合、供給されるガンプラズマは、縁層粒子損失率(約1022/s)に匹敵するであろう。FRCシステム10におけるガン生産プラズマの寿命時間は、ミリ秒の範囲内である。実際に、端部ミラープラグ440の間に閉じ込められるmne約1013cm3の密度と、約200eVのイオン温度とを有するガンプラズマを検討する。捕捉長Lおよびミラー比Rは、ぞれぞれ、約15mおよび20である。クーロン衝突に起因するイオン平均自由経路は、λii約6×103cmであり、λiilnR/R<Lであるため、イオンは、ガス動的体系に閉じ込められる。本体系におけるプラズマ閉じ込め時間は、τgd~RL/2Vs~2msであり、式中、Vsは、イオン音速である。比較のために、これらのプラズマパラメータに対する古典的なイオン閉じ込め時間は、τc~0.5τii(lnR+(lnR)0.5)~0.7msであろう。異常横断拡散は、原則として、プラズマ閉じ込め時間を短縮し得る。しかしながら、FRCシステム10では、ボーム拡散率を仮定する場合、ガンプラズマに対する推定される横断閉じ込め時間は、τ^>τg約2msである。したがって、ガンは、FRC縁層456の有意な補給およびFRC粒子閉じ込め全体の改良を提供するであろう。
【0100】
さらに、ガンプラズマ流は、約150~200ミリ秒以内でオンにされることができ、これは、FRCの始動、平行移動、および閉じ込めチャンバ100内への融合における使用を可能にする。約t~0でオンにされる(FRC主バンク開始)場合、ガンプラズマは、本動的に形成および融合されるFRC450を持続することに役立つ。形成FRCから、かつガンから、混合された粒子装荷量は、中性ビーム捕捉、プラズマ加熱、および長時間持続性に対して十分である。tが-1~0msの範囲でオンにされた場合、ガンプラズマは、石英管210をプラズマで充填する、もしくは石英管の中に吐出されるガスをイオン化することができ、したがって、吐出されるガスが低減される、もしくはおそらくゼロでさえある状態でのFRC形成が可能にされる。後者は、反転バイアス磁場の高速拡散を可能にするために、十分に低温の形成プラズマが要求される場合がある。t<-2msでオンにされた場合、プラズマ流は、FRC到着に先立って、中性ビーム構築を可能にするために十分である、数1013cm3の標的プラズマ密度を伴って、形成区分200および閉じ込めチャンバ100の形成および閉じ込め領域の約1~3m3の場線容積を充填することができるであろう。形成FRCは、次いで、結果として生じる閉じ込め容器プラズマの中に、形成および平行移動されることができるであろう。このように、プラズマガン350は、多種多様な動作条件およびパラメータ体系を可能にする。
電気的バイアス
【0101】
縁層456内の半径方向電場プロファイルの制御は、種々の点において、FRCの安定性および閉じ込めに対して有益である。FRCシステム10において展開される革新的なバイアス構成要素によって、閉じ込めチャンバ100内の中心閉じ込め領域の十分外側にあるエリアから、機械全体を通して、開磁束面群に対して電位の様々な計画的な分布を印加することが可能である。このように、半径方向電場は、FRC450のすぐ外側で、縁層456を横断して、生成されることができる。これらの半径方向電場は、次いで、縁層456の方位角回転を修正し、E×B速度剪断を介して、その閉じ込めに影響を及ぼす。縁層456とFRCコア453との間の任意の差動回転は、次いで、剪断によって、FRCプラズマの内側に伝導され得る。結果として、縁層456の制御は、FRCコア453に直接影響を及ぼす。さらに、プラズマ回転内の自由エネルギーはまた、不安定性にも関与し得るため、本技法は、不安定性の開始および成長を制御するための直接的な手段を提供する。FRCシステム10では、適切な縁部バイアスは、開場線の移送および回転だけではなく、FRCコア回転の効果的な制御を提供する。種々の提供される電極900、905、910、および920の場所および形状は、磁束表面455の異なる群の、および異なるかつ独立した電位における制御を可能にする。このように、異なる電場構成および強度の幅広い配列が実現され、それぞれは、プラズマ性能上に異なる特性的な影響を及ぼし得る。
【0102】
全てのこれらの革新的なバイアス技法の重要な利点は、コアおよび縁部プラズマの挙動が、FRCプラズマの十分に外側から影響を及ぼされ得る、すなわち、任意の物理的な構成要素を(エネルギー、磁束、および粒子損失に対して重要な関係を有するであろう)中心高温プラズマと接触させる必要がないという事実である。これは、性能およびHPF概念の全ての潜在的な用途に主要かつ有益な影響を及ぼす。
実験データ-HPF動作
【0103】
中性ビームガン600からのビームを介した高速粒子の注入は、HPF体系を可能にする際、重要な役割を果たす。
図16A、
図16B、
図16C、および
図16Dは、この事実を図示する。描写されているのは、FRC寿命時間とビームパルス長との相関を示す、曲線のセットである。全ての他の動作条件は、本研究を構成する全ての放電に対して、一定に保たれる。このデータは、多くのショットにわたって平均化され、したがって、典型的な挙動を表す。より長いビーム持続時間が、より長く存続するFRCを生産することは、明らかに明白である。本研究中の本証拠だけではなく、他の診断から判断すると、ビームは、安定性を増加させ、損失を低減させることが実証される。ビームパルス長とFRC寿命時間との間の相関は、ビーム捕捉が、あるプラズマサイズを下回ると非効率的になるため、すなわち、FRC450が物理的なサイズにおいて収縮すると、注入されたビームの全てが、奪取および捕捉されるわけではないため、完璧ではない。 FRCの収縮は、主に、放電の間のFRCプラズマからの正味エネルギー損失(放電のほぼ中間で約4MW)が、特定の実験設定に関して、中性ビーム(約2.5MW)を介してFRCの中に給送される総パワーより幾分大きいという事実に起因する。ビームを容器100の中央平面により近接する場所に位置することは、これらの損失を低減させ、FRC寿命時間を延長させる傾向があるであろう。
【0104】
図17A、
図17B、
図17C、および
図17Dは、HPF体系を達成するための異なる構成要素の影響を図示する。これは、時間の関数として、FRC450の寿命時間を描写する、典型的な曲線系を示す。全ての場合において、一定かつ中程度の量のビーム電力(約2.5MW)が、各放電の持続期間全体にわたって注入される。各曲線は、各構成要素の異なる組み合わせの代表的なものである。例えば、任意のミラープラグ440、プラズマガン350、またはゲッタリングシステム800からのゲッタリングがない状態で、FRCシステム10を動作させると、結果として、回転不安定性の急速な開始およびFRCトポロジの損失をもたらす。ミラープラグ440のみを追加すると、不安定性の開始を遅らせ、閉じ込めを増加させる。ミラープラグ440およびプラズマン350を組わせて利用すると、さらに不安定性を低減させ、FRCの寿命時間を増加させる。最後に、ガン350およびプラグ440の上部にゲッタリング(この場合、Ti)を追加すると、最善の結果を産出し、結果として生じるFRCは、不安定性がなく、最長の寿命時間を呈する。各構成要素の完全な組み合わせが、最善の効果を生産し、最善の標的条件を伴うビームを生産することは、本実験的実証から明白である。
【0105】
図1に示されるように、新たに発見されたHPF体系は、著しく改良された移送挙動を呈する。
図1は、従来の体系とHPF体系との間における、FRCシステム10での粒子閉じ込め時間の変化を図示する。図に示すように、HPF体系においては、5倍を優に超えて改良されている。加えて、
図1は、先行する従来のFRC実験における粒子閉じ込め時間と比較して、FRCシステム10における粒子閉じ込め時間を詳細に示す。これらの他の機械に関しては、FRCシステム10のHPF体系が、5~約20倍、閉じ込めを改良している。最後に、最も重要なこととして、HPF体系における、FRCシステム10の閉じ込めスケーリングの本質は、全ての先行する測定値とは著しく異なる。FRCシステム10におけるHPF体系の確立前は、先行するFRC実験において、閉じ込め時間を予測するために、種々の実験的スケーリング則が、データから導出されていた。全てのそれらのスケーリング法則は、主に、比率R
2/ρ
iに依存し、式中、Rは、磁場ヌルの半径(機械の物理的なスケールの大まかな測定値)であり、ρ
iは、外部から印加された場において評価された、イオンラーモア半径(印加された磁場の大まかな測定値)である。
図1から、従来のFRCにおける長時間の閉じ込めは、大規模な機械サイズおよび/または高磁場においてのみ可能であることは、明白である。従来のFRC体系CRにおけるFRCシステム10の動作は、
図1に示されるように、それらのスケーリング法則に従う傾向がある。しかしながら、HPF体系は、非常に優れており、非常により優れた閉じ込めが、大規模な機械サイズまたは高磁場を伴わずに、獲得可能であることを示す。より重要なこととして、CR体系と比較して、HPF体系は、結果として、プラズマのサイズを低減させながら、閉じ込め時間の改良をもたらすこともまた、
図1から明白である。類似の傾向はまた、下記に説明するように、磁束およびエネルギーの閉じ込め時間に対しても明らかであり、これも同様に、FRCシステム10において、3~8倍を超えて増加している。HPF体系の画期的な進歩は、したがって、FRCシステム10および将来の高エネルギー機械において、FRC平衡を持続および維持するために、中程度のビーム電力、より低い磁場、およびより小規模のサイズの使用を可能にする。これらの改良と併せることで、より低い動作および構築コストだけではなく、エンジニアリングの複雑性の低減をもたらす。
【0106】
さらなる比較のために、
図18A、
図18B、
図18C、および
図18Dは、時間の関数として、FRCシステム10における代表的なHPF体系放電からのデータを示す。
図18Aは、中央平面における除外された磁束半径を描写する。これらのより長い時間尺度に関して、伝導性の鉄壁は、もはや良好な磁束コンサーバではなく、その鉄を通した磁束拡散を適切に考慮するために、その壁の内側にある磁気プローブは、その壁の外側のプローブとともに増大される。従来の体系CRにおける典型的な性能と比較して、
図13A、
図13B、
図13C、および
図13Dに示されるように、HPF体系の動作モードは、400%を超えるより長い寿命時間を呈する。
【0107】
線積分密度のトレースの代表的なコードが、そのアーベル変換補数とともに
図18Bに示され、密度等高線とともに
図18Cに示される。従来のFRC体系CRと比較して、
図13A、
図13B、
図13C、および
図13Dに示されるように、プラズマは、パルスを通してより不活発であり、非常に安定的な動作を示す。ピーク密度はまた、HPFショットにおいて若干低く、これは、
図18Dに示されるように、より高温の合計プラズマ温度(最大2倍)から必然的に導かれる結果である。
【0108】
図18A、
図18B、
図18C、および
図18Dに図示される、個別の放電に関し、エネルギー、粒子、および磁束閉じ込め時間は、ぞれぞれ、0.5ms、1ms、および1msである。放電の中への1msの基準時間において、貯蔵されるプラズマエネルギーは、2kJであるが、損失は、約4MWであり、本標的を中性ビーム持続に非常に好適なものにする。
【0109】
図19は、新しく確立された実験用HPF磁束閉じ込めスケーリングの形態における、HPF体系の全利点を要約する。
図19から分かるように、t=0.5msの前後、すなわち、t
<0.5msおよびt>0.5msで測定された測定値に基づいて、磁束閉じ込め(同様に、粒子閉じ込めおよびエネルギー閉じ込め)は、所与の区分線半径(r
s)に対して電子温度(T
e)のほぼ2乗に伴って変化する。T
eの正の指数(負の指数ではない)に伴う本強スケーリングは、閉じ込めが、典型的には、電子温度のある指数に反比例する、従来のトカマクによって呈されるものと完全に反対である。本スケーリングの現れは、HPF状態および大軌道(すなわち、FRCトポロジのスケールおよび/または少なくとも特性磁場勾配長スケール上の軌道)イオン集団の直接的結果である。基本的には、本新しいスケーリングは、高動作温度に実質的に有利に働き、比較的に中程度のサイズの炉を可能にする。
【0110】
HPF体系が提示する利点によって、中性ビームによって駆動される、FRC持続または定常状態が、達成可能であって、プラズマ熱エネルギー、総粒子数、プラズマ半径および長さだけではなく、磁束等の包括的プラズマパラメータが、実質的減衰を伴わずに、合理的レベルで持続可能であることを意味する。比較のために、
図20は、プロットAには、時間の関数としてのFRCシステム10内の代表的HPF体系放電からのデータを、プロットBには、FRC450が、中性ビームパルスの持続時間を通して、減衰を伴わずに持続される、時間の関数としてのFRCシステム10内の投影された代表的HPF体系放電のデータを示す。プロットAに関しては、約2.5~2.9MWの範囲内の総パワーを伴う中性ビームが、約6msの活性ビームパルス長のために、FRC450の中に注入された。プロットAに描写されるプラズマ反磁性寿命時間は、約5.2msであった。より最近のデータは、約7.2msのプラズマ反磁性寿命時間が、約7msの活性ビームパルス長を用いて達成可能であることを示す。
【0111】
図16A、
図16B、
図16C、および
図16Dに関して前述のように、ビームパルス長とFRC寿命時間との間の相関は、ビーム捕捉が、あるプラズマサイズを下回ると非効率的となるため、すなわち、FRC450の物理的サイズが収縮するにつれて、注入されるビーム全てが、奪取および捕捉されないため、完璧ではない。FRCの収縮または減衰は、主に、放電の間のFRCプラズマからの正味エネルギー損失(放電のほぼ中間で約4MW)が、特定の実験設定に関して、中性ビーム(約2.5MW)を介してFRCの中に給送される総パワーより幾分大きいという事実に起因する。
図3Cに関して記載のように、中央平面に向かって中性ビームガン600から角度付けられたビーム注入は、注入周期の間、FRCプラズマが収縮または別様に軸方向に縮小しても、ビーム-プラズマ結合を改良する。加えて、適切なペレット燃料補給は、必要プラズマ密度を維持するであろう。
【0112】
プロットBは、約6msの活性ビームパルス長および約10MWを若干上回る中性ビームガン600からの総ビームパワーを使用して行われたシミュレーションの結果であって、中性ビームは、約15keVの粒子エネルギーを伴うH(またはD)中性子を注入するものとする。ビームのそれぞれによって注入される等価電流は、約110Aである。プロットBに関して、デバイス軸に対するビーム注入角度は、約20°、標的半径は、0.19mであった。注入角度は、範囲15°~25°内で変更されることができる。ビームは、方位角的に並流方向に注入されるものとする。中性ビーム運動量注入からの正味側方力だけではなく、正味軸方向力は、最小限にされるものとする。プロットAと同様に、高速(H)中性子が、北側および南側形成FRCが閉じ込めチャンバ100内で融合する瞬間から、中性ビーム注入器600から1つのFRC450の中に注入される。
【0113】
プロットBのための基礎となったシミュレーションは、背景プラズマおよび平衡のための多次元ホールMHDソルバと、エネルギー性ビーム成分および全散乱プロセスのための完全運動モンテカルロベースのソルバとだけではなく、全プラズマ種に対して結合された輸送方程式集合も使用して、双方向損失プロセスをモデル化する。輸送成分は、実験的に較正され、実験データベースに対して広範囲にわたってベンチマークされる。
【0114】
プロットBによって示されるように、FRC450の定常状態反磁性寿命時間は、ビームパルス長となるであろう。しかしながら、重要となる相関プロットBは、ビームがオフにされると、プラズマまたはFRCが、その前ではなく、その時間において、減衰し始めることを示すことに留意することが重要である。減衰は、ビーム支援ではない(おそらく、ビームオフ時間を約1ms超える)、放電中に観察され、単に、固有の損失プロセスによって駆動されるプラズマの特性減衰時間の反映であるものと類似するであろう。
【0115】
図21A、
図21B、
図21C、
図21Dおよび
図21Eに目を向けると、図に図示される実験結果は、角度付けられた中性ビームによって駆動されるFRC持続性または定常状態の達成を示す、すなわち、プラズマ半径、プラズマ密度、プラズマ温度だけではなく、磁束等の包括的プラズマパラメータは、NBパルス持続時間と相関して減衰を伴わずに、一定レベルで持続可能である。例えば、そのようなプラズマパラメータは、本質的に、約5+msにわたって一定に保たれている。持続性特徴を含む、そのようなプラズマ性能は、強い相関NBパルス持続時間を有し、蓄積された高速イオンに起因して、NB終端から数ミリ秒後でさえ、反磁性が残存する。図示されるように、プラズマ性能は、NB注入器だけではなく、他のシステム構成要素等の多くの重要なシステムの関連付けられた電力供給源内の有限貯蔵エネルギーから生じるパルス長制約のみによって限定される。
中性ビーム調整可能ビームエネルギー
【0116】
図3A、
図3B、
図3C、
図3D、
図3E、および
図8に関して前述のように、中性原子ビーム600は、FRCシステム10上で展開され、加熱および電流駆動を提供するだけでなく、高速粒子圧力を発生させる。中性原子ビーム注入器システム600を備える、個々のビーム線は、中心閉じ込めチャンバ100の周囲に位置し、
図3C、
図3Dおよび
図3Eに示されるように、好ましくは、角度付けられ、中性粒子を閉じ込めチャンバ100の中央平面に向かって注入する。
【0117】
FRC持続性をさらに改良し、高プラズマ温度および上昇されたシステムエネルギーへのFRC漸増を実証するために、本FRCシステム10は、上昇された電力および拡張されたパルス長、例えば、例示的目的のためのみであるが、最大30msパルス長を伴う約20+MWの電力の中性ビーム注入器(NBI)システム600を含む。NBIシステム600は、複数の陽イオンベースの注入器615を含み(
図3Dおよび
図3E参照)、柔軟性のあるモジュール式設計を特徴とし、NBI注入器615のサブセット、例えば、8つのNBI注入器615のうちの4つを伴い、ショットの間、一定ビーム電流において、初期のより低いビームエネルギーから上昇されたビームエネルギーに、例えば、約15keVから約40keVにビームエネルギーを調整する能力を有する。NBI注入器615の本能力は、プラズマコア450のより効率的加熱および結果として生じる加圧を達成するために望ましい。特に、本能力は、低エネルギーレベルと比較して、ピークエネルギー動作レベルにおいて、高度に望ましい性能改良を可能にする。例えば、(i)最大2倍の加熱力、(ii)電荷交換損失における約5分の1の低減、および(iii)最大2倍の加熱効率である。加えて、NBI注入器615によって生産可能な持続的に可変のビームエネルギーは、漸増プロセスの間、瞬間磁気圧力プロファイルに対して、注入され、次いで、捕捉される高速イオンの軌道パラメータの最適合致を可能にする。最後に、0.1~10msの漸増持続時間を可能にする、高速漸増率は、ビームエネルギーおよびNBI注入器615の電力の高速(約1msまたはそれ未満)調整能力とともに、付加的効果的「制御ノブ」、すなわち、ビームエネルギーおよび電力の変調を介したプラズマ成形およびプラズマの能動フィードバック制御のための制御可能特徴を提供する。
【0118】
十分な加熱電力が、持続性だけではなく、高プラズマ温度および上昇されたシステムエネルギーへの漸増の両方のために、FRC450の加熱および加圧を可能にするために必要とされる。十分に低損失率であると仮定して、漸増の率は、主に、任意の所与の時間において、NBI注入器615によってFRCコア450内に堆積され得る、電力の量の関数である。注入ポートを通るより高い主中性ビーム電力が、したがって、常時、望ましい。
【0119】
さらに、NBI注入器615に起因する効果的な加熱率は、注入されるビームの特性と、全ての種の温度、電子およびイオン密度、中性濃度だけではなく、FRCコア450を横断する磁場のその時点での持続的瞬間プロファイルとの間の複雑な相互作用である。これらのうち、磁場プロファイルは、漸増の間、制御システムによって、サブミリ秒の時間尺度で慎重に変化されている一方、動圧関連プロファイルは、自己組織化プロセスから派生する固有の変化および注入プロセスによって堆積されるプラズマだけではなく、エネルギー内の乱流を介して進化する。ビームの調整能力は、これらの変動する条件に最も最適に適合する手段を提供する。
【0120】
例えば、電荷交換断面、すなわち、中性原子を形成するための高速イオンによる電子捕捉の確率は、ビームエネルギーの強い関数である。15~40keVの範囲に関して、主電荷交換率は、ビームエネルギーの関数として、著しく減少する。したがって、磁場の任意の所与のレベルにおいて、プラズマ内へのエネルギーの留保は、そのような磁場レベルに関して互換性がある最高エネルギーにおいて、粒子を注入するときに最も高い(他のものの中でもとりわけ、これは、注入される粒子のエネルギーが、結果的に、閉じ込めシステムの内壁内に適合する、捕捉イオン軌道半径をもたらすことを要求する)。
【0121】
全体的加熱効率上のプロファイル効果の別の実施例は、電力が堆積される場所に関わる。より高いビームエネルギーは、典型的には、コアと比べて、FRC周縁における比較的により高いエネルギー堆積につながるであろう。磁場を上昇させるが、ビームエネルギーを同一に保つことは、結果的に、より緊密な捕捉イオン軌道、およびそれに相応して、FRCコアプラズマへのより高い電力結合をもたらすであろう。これらの事実は、次いで、エネルギー留保上にも同様に著しく影響を及ぼし、例えば、周辺に堆積されるエネルギーは、開場線構造に沿ってシステムからはるかに容易に移送される一方、コアに堆積されるエネルギーは、より低い交差磁場移送時間に起因して、比較的によりゆっくりと損失される。したがって、磁場漸増とビームエネルギーの適切な増加の緊密な協調が、望ましい。
【0122】
ビームシステム600は、0.1~10msの範囲内の電圧の高速漸増のために設計される。これは、それぞれ、2および10倍、イオンおよび電子温度を増加させる潜在性を提供し、時間尺度上も、典型的巨視的不安定性成長時間より短くなる。したがって、プラズマ安定性は、基本的に、動作信頼性および再現性と同様に増加される。
【0123】
ビームが能動フィードバックシステムの一部として利用され得るように、0.05~1msの可変電圧上昇時間は、十分に迅速応答時間を提供する。このように、ビーム変調は、マクロおよびマイクロ安定性を制御するために使用されることができる。例えば、ビームエネルギーを変化させる(およびそれによって、半径方向エネルギー堆積パターンを偏移させる)ことによって、半径方向電力堆積プロファイルを一時的に偏移させることは、不安定なプラズマモードの発生に対向するし得る、圧力勾配に影響を及ぼし得る。
図3Dおよび
図3Eに示されるFRCシステム10は、本能力を高速磁気フィードバックとともに利用して、内部傾斜、回転率、ドリフト波発生、および他の動作シナリオを制御する。
【0124】
図25は、本FRCシステム10のNBI注入器615の例証を描写する。NBI注入器615は、例示的実施形態では、アーク駆動部650と、プラズマボックス651と、抽出および加速グリッドの三極管または四極管群を備える、イオン光学システム652と、照準ジンバル653と、例えば、Tiアーク蒸発器等のアーク蒸発器655、例えば、増加される低温ポンピングのために構成されるリブ付き表面構造等の表面構造を有する、低温ポンプ656、および非中性化イオンを除去するための偏向磁石656を備える、中性化器654と、断続ビーム特性評価、診断、および再較正のための挿入可能熱量計659を含む、コリメート開口658とを含むように示される。
【0125】
より具体的には、
図26を参照すると、調整可能ビームシステムの実装は、示されるように、好ましくは、三極管タイプイオン光学システム(=IOS)660に基づく。本概念は、加速-減速スキームである。
図26に図示されるように、第1のグリッドG1は、電圧V1に設定される一方、第2のグリッドG2は、電圧V2に設定され、最終グリッドG3は、電圧V3に設定される。抽出されるイオンは、最初に、G1とG2との間の間隙を通して横断しながら、エネルギーE1=e×(V1-V2)まで加速される(eは、ここでは、イオンの電荷を指す)。それらは、次いで、E2=E1+e×(V2-V3)となるように、G2とG3との間の間隙で減速される。電圧は、典型的には、V1>V2<V3となるように調節される。適切な個々の電力供給源PS1、PS2、PS3に基づいて、グリッド電圧は、放出されるイオン662の出力を変化させるように、パルスの間、徐々に調節されることができる。例えば、水素原子のビームパルスを始めるために、作業電圧は、V1=15kV、V2=-25kV、およびV3=0Vに調節されてもよい。初期ビームイオンは、次いで、最初に、40keVまで加速され、次いで、15keVのエネルギーを伴って、IOSから現れるであろう。パルスの後半において、電力供給源は、V1=40kV、V2=-1kV、V3=0Vを提供するように切り替えられることができる。第2の間隙におけるビーム減速は、次いで、事実上、不在となり、約40keVの出力ビームエネルギーをもたらすであろう。電力供給源はそれぞれ、個々に、制御可能であって、適切な電圧変調を提供する。初期ビームイオンは、標準的アークまたはRFベースのプラズマ源PSの規模から引き出される。IOS660から現れた後、ビームイオン662は、中性化器664を横断し、高速イオンは、中性化器664内に存在する低温中性ガスから離れた電子の電荷交換を介して、中性イオンに変換する。適切な低温ポンピングは、中性ガスが中性化器664の下流オリフィスから漏出しないように防止する。中性化器の終了時にはまた、非中性化高速イオン663の除去を提供する、適切な屈曲磁石666と、高速イオンおよびそのエネルギーを吸収するために関連付けられたイオンダンプ668とが存在する。現れる原子ビーム670は、次いで、適切な開口6720を通して通過され、ビーム発散を低減させ、良好にコリメートされた中性原子流を反応器のコアに向かって提供する。
【0126】
代替バージョンでは、IOSは、四極管設計に基づく。この場合、IOSは、三極管の場合に関して説明されるように、同一加速-減速原理を有する、4つのグリッドから成る。当業者は、システム構成要素と動作原理との間の類似性を容易に認識するであろう。第4のグリッドの導入は、さらなる微調整の可能性および全体的なより多くの動作柔軟性を提供する。
【0127】
本明細書に提供される例示的実施形態は、参照することによって本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/414、574号に説明されている。
プラズマ安定性および軸方向位置制御
【0128】
FRCの不安定性に対する従来の解決策は、典型的には、半径方向において不安定であることを犠牲にして、軸方向における安定性を、もしくは軸方向において不安定であることを犠牲にして、半径方向における安定性を提供するが、同時に両方向における安定性を提供しない。最優先するべきこととして、プラズマの位置が横方向または半径方向に安定している、平衡は、軸方向に不安定であることを犠牲にして、軸対称であるという所望の性質を有する。前述を考慮して、本明細書に提供される実施形態は、半径方向および軸方向の両方におけるFRCプラズマの安定性、ならびにFRCプラズマの平衡の軸方向の安定性性質から独立し、FRCプラズマ閉じ込めチャンバの対称軸に沿った、FRCプラズマの軸方向位置制御を促進する、システムおよび方法を対象とする。しかしながら、軸方向位置の不安定性は、FRCプラズマ軸方向位置を制御する、外部の軸対称コイルのセットを使用しながら、能動的に制御される。本システムおよび方法は、プラズマと同心円を成す外部コイルのセットに印加される電圧に作用し、非線形制御技法を使用することによって、プラズマ平衡の安定性性質から独立して、FRCプラズマの軸方向位置のフィードバック制御を提供する。
【0129】
本明細書に提示される実施形態は、半径方向の安定性を強化するために、FRCの軸方向に不安定な平衡を利用しながら、軸方向の不安定性を安定化または制御する。このように、軸方向および半径方向の両方の安定性が取得される。本制御方法は、外部または平衡磁場を改変し、軸方向に不安定であることを犠牲にして、FRCプラズマを半径方向または横方向に安定させ、次いで、閉じ込めチャンバの中央平面の周囲におけるオーバーシュートおよび/または発振を最小限にしながら、FRCプラズマの位置を中央平面に向かって即座に復元するために、半径方向場コイル電流に作用するように設計される。本解決策の利点は、制御のために要求されるアクチュエータの複雑性を低減することである。多自由度を有する従来の解決策と比較すると、本明細書に提示される実施形態の方法は、1自由度を有する、FRCプラズマ回転軸に沿った制御問題に対する複雑性を低減する。
【0130】
コイル電流の波形、燃料補給、および軸方向に不安定的なプラズマの中に生じる中性ビーム電力の組み合わせは、プラズマを軸方向に不安定な状況の中に配置する、プラズマ制御シナリオを定義する。本シナリオは、シュミレーションまたは実験の先行する知識、もしくは軸方向に不安定である平衡を維持するために制御されるフィードバックを使用しながら、予めプログラムされることができる。プラズマの位置は、放電中、平衡の安定性性質から独立して、制御されるべきであり、例えば、本制御スキームは、軸方向に安定または軸方向に不安定なプラズマのいずれかのために、限界まで機能するべきである。制御され得る最も軸方向に不安定なプラズマは、容器のスキン時間に匹敵する成長時間を有する。
【0131】
ここで、半径方向および軸方向の両方におけるFRCプラズマの安定性と、FRCプラズマ閉じ込めチャンバの対称軸に沿ったFRCプラズマの軸方向位置制御とを促進する、システムおよび方法に目を向けると、
図27は、簡略化されたスキームを示し、軸方向位置制御機構510の例示的実施形態を図示する。閉じ込めチャンバ100内に示される、回転FRCプラズマ520は、プラズマ電流522と、軸方向変位方向524とを有する。平衡場(図示せず)が、例えば、準直流コイル412(
図2、
図3A、
図3D、および
図3E参照)等の対称電流成分によって、チャンバ100内に生産される。平衡場は、軸変位方向524に正味力を生産しないが、横方向/半径方向または軸方向のいずれかに安定プラズマを生産するように調整されることができる。本明細書に提示される実施形態の目的のために、平衡場は、横方向/半径方向安定FRCプラズマ520を生産するように調整される。前述のように、これは、結果的に、軸方向不安定性、したがって、軸変位方向524におけるFRCプラズマ520の軸変位をもたらす。FRCプラズマ520が、軸方向に移動するにつれて、反対称である、すなわち、閉じ込めチャンバ100の中央平面の両側の閉じ込めチャンバ100の壁内で逆方向にある、電流514および516を誘発する。FRCプラズマ520は、これらのタイプの電流成分を容器内と、また、外部コイル内の両方に誘発するであろう。本反対称電流成分514および516は、半径方向場を生産し、これは、トロイダルプラズマ電流522と相互作用し、FRCプラズマ520の移動に対向する力を生産し、本力の結果は、プラズマ軸変位を減速させることである。これらの電流514および516は、閉じ込めチャンバ100の抵抗率に起因して、時間に伴って、徐々に消散する。
【0132】
中央平面の両側に閉じ込めチャンバ100を中心として配置される、半径方向場コイル530および531は、コイル530および531内で逆方向に誘発される、電流532および534に起因する、付加的半径方向場成分を提供する。半径方向場コイル530および531は、含有容器100の内部または外部に位置付けられ得る、軸対称コイルのセットを備えてもよい。半径方向コイル530および531は、準直流コイル412(
図2、
図3A、
図3D、および
図3E参照)と同様に、含有容器100の外部に位置付けられるように示される。コイル530および531のそれぞれ、またはコイルのセットは、中央平面の対向側のコイルと異なる電流を搬送し得るが、電流は、含有容器100の中央平面に対して反対称であって、中央平面に沿って、B
z≠0、B
r=0を伴う磁場構造を生産する。半径方向場コイル530および531は、トロイダルプラズマ電流522と相互作用し、軸方向力を生産する、補完的半径方向場成分を生成する。軸方向力は、順に、プラズマを閉じ込めチャンバ100の中央平面に向かって後退させる。
【0133】
制御機構510は、機械中央平面の周囲のオーバーシュートおよび/または発振を最小限にしながら、プラズマ位置を中央平面に向かって即座に復元させるために、半径方向場コイル電流に作用するように構成される、制御システムを含む。制御システムは、半径方向場コイル530および531と、準直流コイル412と、その個別の電力供給源と、例えば、磁気センサ等の他の構成要素とに動作可能に結合される、プロセッサを含み、プラズマ位置、プラズマ速度、およびアクティブコイル電流測定値を提供する。プロセッサは、本願に説明される算出および分析を実施するように構成されてもよく、非一過性コンピュータ可読媒体を含む、1つまたはそれを上回るメモリを含んでもよい、もしくはそれに通信可能に結合されてもよい。これは、マイクロコントローラ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、および本明細書に説明される各機能を実行可能な任意の他の回路またはプロセッサを使用する、システムを含む、プロセッサベースまたはマイクロプロセッサベースのシステムを含んでもよい。上記は、例示にすぎず、したがって、用語「プロセッサ」または「コンピュータ」の定義および/または意味をいかようにも限定することを意図するものではない。
【0134】
プロセッサの機能は、ソフトウェアルーチン、ハードウェア構成要素、またはそれらの組み合わせのいずれかを使用して実装されてもよい。ハードウェア構成要素は、例えば、集積回路または離散電子構成要素を含む、種々の技術を使用して実装されてもよい。プロセッサユニットは、典型的には、可読/書込可能メモリ記憶デバイスを含み、また典型的には、メモリ記憶デバイスに書き込み、および/またはそれを読み取るためのハードウェアおよび/またはソフトウェアを含む。
【0135】
プロセッサは、算出デバイスと、入力デバイスと、ディスプレイユニットと、例えば、インターネットにアクセスするためのインターフェースとを含んでもよい。コンピュータまたはプロセッサは、マイクロプロセッサを含んでもよい。マイクロプロセッサは、通信バスに接続されてもよい。コンピュータまたはプロセッサはまた、メモリを含んでもよい。メモリは、ランダムアクセスメモリ(RAM)と、読取専用メモリ(ROM)とを含んでもよい。コンピュータまたはプロセッサはまた、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、光ディスクドライブ、および同等物等、ハードディスクドライブまたは可撤性記憶ドライブであり得る、記憶デバイスを含んでもよい。記憶デバイスはまた、コンピュータプログラムまたは他の命令をコンピュータまたはプロセッサの中にロードするための他の類似手段であってもよい。
【0136】
プロセッサは、入力データを処理するために、1つまたはそれを上回る記憶要素内に記憶される、命令のセットを実行する。記憶要素はまた、所望に応じて、または必要に応じて、データまたは他の情報を記憶してもよい。記憶要素は、処理機械内の情報源または物理的メモリ要素の形態であってもよい。
【0137】
半径方向場コイルアクチュエータを使用して、軸方向に安定または不安定FRC構成の位置を制御する問題は、スライディングモード制御として知られる非線形制御理論の分岐を使用して解決される。システム状態(スライディング表面)の線形関数は、所望の漸近的安定(スライディング)挙動を伴う、エラー信号として作用する。スライディング表面は、広範囲のFRC動的パラメータ内で、漸近的安定性を呈するためのリアプノフ理論を使用して設計される。提案される制御スキームは、次いで、スライディング表面において使用されるパラメータを再調整する必要なく、軸方向に安定および不安定の両方のプラズマのために使用されることができる。本性質は、前述のように、平衡が、FRC放電の異なる位相において軸方向に安定平衡と軸方向に不安定平衡との間で遷移する必要があり得るため、有利である。
【0138】
制御スキーム500の構成は、
図28に示される。低域通過フィルタは、所望の制御帯域幅内の切替周波数を制限する。1サンプル遅延を伴う、サンプリングおよび信号伝送を要求する、デジタル制御ループが、仮定される。エラー信号(スライディング表面)は、コイル電流と、プラズマ位置と、およびプラズマ速度との線形組み合わせである。プラズマのプラズマ位置および速度は、外部磁気測定値から取得され得る。アクティブコイルシステム内の電流は、標準的方法によって測定されることができる。
【0139】
コイル電流およびプラズマ位置が、位置制御を実装するために要求される。プラズマ速度が、性能を改良するために要求されるが、随意である。本エラー信号の非線形関数(リレー制御法則)は、中央平面対称コイルに接続される、電力供給源の対毎の離散電圧レベルを生成する。中央平面対称コイルは、同一強度であるが、反対の符号のリレー電圧を供給される。これは、半径方向場成分を作成し、プラズマ位置を中央平面に向かって復元させる。
【0140】
制御スキームの実行可能性を実証するために、精密なプラズマモデルが、プラズマ動態をシミュレートするために使用される。モデルは、磁石幾何学形状を利用する。プラズマ電流分布は、プラズマおよび容器のみが検討されるとき、成長時間2msを伴う軸方向に不安定な平衡に対応する。電力供給源は、離散電圧レベル、典型的には、800Vステップを用いて作用すると仮定される。
【0141】
図29は、20cm軸方向に変位されたプラズマを中央平面に戻すために要求されるコイルピーク電流およびランプ率とともに、コイルに印加される電圧とプラズマ位置整定時間との間の関係を強調する、いくつかのプラズマ制御シミュレーションを示す。これらのスライディングモード軸方向位置制御シミュレーション実施例は、4対の外部トリムコイルを使用して、0.3Tで起動される。4つの例は、200V(黒正方形)、400V(黒円形)、800V(黒三角形)、および1600V(白正方形)ずつの離散電圧レベルを伴う電力供給源と対応するように示される。全ての4つの例に関して、制御帯域幅は、16kHzであって、サンプリング周波数は、32kHzである。プラズマ位置(上)、最外コイル対内の電流(中央)、およびコイル電流ランプ率(下)が示される。プラズマ変位は、20cmに到達するまで、不安定になることが可能にされる。本時点で、フィードバック制御が、印加される。
【0142】
シミュレーション結果は、以下を示す。
1. 5ms以内にプラズマを中央平面に戻すために(黒正方形トレース)、0.5MA/秒のコイルランプアップ率が十分であって、200V電力供給源を要求する。
2. 2.3ms以内にプラズマを中央平面に戻すために(黒円形トレース)、1MA/秒のコイルランプアップ率が十分であって、400V電力供給源を要求する。
3. 1.3ms以内にプラズマを中央平面に戻すために(黒三角形トレース)、2MA/秒のコイルランプアップ率が十分であって、800V電力供給源を要求する。
4. 1.0ms以内にプラズマを中央平面に戻すために(白正方形トレース)、4MA/秒のコイルランプアップ率が十分であって、1600V電力供給源を要求する。
【0143】
上記に研究された、第3の場合(2MA/秒ランプ率の場合)に関する、全てのトリムコイルのためのピーク電流はまた、トリムコイル位置の関数として
図30に示される。スライディングモード軸方向位置制御シミュレーション実施例は、3つのレベル(+800V、0、-800V)を伴う電力供給源と、16kHzの制御帯域幅と、32kHzのサンプリング率とを使用する、4対の外部トリムコイルを使用して、0.3Tで起動される。1.3ms以内にプラズマを中央平面に戻すために、2MA/秒のコイルランプアップ率が、要求される。全てのコイル対において要求されるピーク電流は、1.5kA未満である。要求される実際の切替周波数(約2kHz)は、制御システム帯域幅を優に下回る。
【0144】
制御システムはまた、プラズマ位置を伴わない、コイル電流およびプラズマ速度のみの関数である、標的表面を実装されることができる。この場合、軸方向位置制御ループは、制御ではなく、軸方向動態の安定化のみを提供する。これは、プラズマが、準安定状況にあって、その軸に沿ってゆっくりとドリフトし得ることを意味する。位置制御が、次いで、プラズマ区分線と容器との間のプラズマ間隙を制御する、付加的フィードバックループを使用して提供され、故に、これは、プラズマ形状および位置制御を同時に実施する。
【0145】
類似の制御システムが使用される、別のプラズマ閉じ込めデバイスは、トカマクである。プラズマ閉じ込めを維持するために、トカマクにおけるプラズマ電流は、それぞれ、プラズマ密度およびトロイダル場にほぼ比例する、下限と上限との間に保たれなければならない。高プラズマ密度で動作するために、プラズマ電流は、増加されなければならない。同時に、ポロイダル場は、可能な限り低く保たれなければならず、したがって、q安全係数は、q=2を上回る。これは機械軸方向に沿ってプラズマを伸長させることによって達成され、境界磁場をその安全限界を上回って増加させることなく、大プラズマ電流に適合することを可能にする(故に、高プラズマ密度を可能にする)。これらの伸長プラズマは、(トカマク型用語では、垂直方向として知られる)機械軸方向に沿って不安定であり、また、プラズマ安定化機構を要求する。トカマクにおける垂直プラズマ位置制御もまた、半径方向場コイルのセットを使用して復元され、したがって、RFC位置制御問題に非常に類似する。しかしながら、トカマクおよびFRCにおける安定化を要求する理由は、異なる。トカマクでは、プラズマ垂直不安定性は、大プラズマ電流で動作するために課される犠牲であって、高トロイダル場を伴って動作するためにプラズマ伸長を要求する。FRCの場合、プラズマ不安定性は、横方向安定性を取得するために課される犠牲である。トカマクは、構成を安定化させる、トロイダル場を有し、したがって、それらは、横方向安定化を必要としない。
【0146】
本開示は、高磁束標的FRCプラズマの生成および維持ならびにFRCプラズマの軸方向補給を促進することを対象とする。例示的実施形態では、プロセスは、対向するヘリシティを伴う2つのスフェロマックを融合することによる、大磁束FRC(最大30mWb)の形成を含む。融合実験は、トロイダル状に対称な線に沿って接触および再結合することを通して、2つのスフェロマック型プラズマトロイドをともに融合させることによる、磁気再結合を研究するために、種々のデバイス上で実行されている。スフェロマックは、球状またはトロイダル状に成形されるプラズマであり、この中で、フォースフリー電流(j×B=0)が、主軸における電流(磁束)ホールの存在に応じて、平衡構成を配置する。同一または対向するトロイダル場に同等のトロイダル電流を搬送する、2つのトロイダルスフェロマックは、制御される外部コイル電流によって強制的に融合され、これらは、それぞれ、共ヘリシティまたは逆ヘリシティ融合と呼ばれる。Yamada, M., et al., Phys. Rev. Lett. 65, 721 (1990)に説明されるように、逆ヘリシティ融合は、再結合サイトにおいて、逆平行磁場線再結合を生成し、磁気再結合が、非常に効率的に発生することが予期される(Bhattacharjee, A., Phys. Fluids 26, 3332(1983))。実験結果はまた、逆ヘリシティ融合が、実際に、共ヘリシティ融合の場合よりも、包括的にはるかに速く再結合させ、次いで、融合に起因するスフェロマックの逆方向性トロイダル場をキャンセル後、(ポロイダル場のみから成る)高磁束FRC構造を形成することも示す。
【0147】
例示的実施形態では、プロセスは、以下のステップを含む。
1. MCPGを使用した逆ヘリシティスフェロマック融合を介して、大磁束標的FRCプラズマ(ΦD約25~30mWb)を生成する。
2. 十分な磁束を伴う標的プラズマを形成し、高エネルギー中性ビームを注入し、したがって、ビームエネルギーをさらに熱エネルギーに変換することによって、核融合プラズマ条件に向けて、FRCプラズマを増幅、安定化、および電力強化する。
3. FRCプラズマ閉じ込め性質を持続および向上させるだけではなく、高磁束かつ稠密なFRC体系を達成するために、付加的なマルチパルス式スフェロマックを形成し、それを粒子補給および還流のためのFRCプラズマの中に注入する。
【0148】
図31Aおよび
図31Bに目を向けると、FRC閉じ込めシステムの例示的実施形態が、両端上に、閉じ込めチャンバ100と、その閉じ込めチャンバ100に結合される、一対のダイバータ302とを有するものとして、描写されている。最適な初期高磁束標的FRCプラズマ453を生成するために、一対の中規模スフェロマック注入器250(または磁化同軸プラズマガン(MCPG))が、中心に位置付けられるプラズマ閉じ込めチャンバ100の端部に対向して結合される。スフェロマック注入器250は、高磁束(20mWb未満)スフェロマックプラズマを閉じ込めチャンバ100の中央平面に向かって注入し、スフェロマックは、閉じ込めチャンバ100内で、FRCプラズマを融合および形成する。2つのスフェロマックの逆ヘリシティ融合は、上昇および捕捉された磁束を伴う、大磁束標的FRCプラズマ(Φ
D約25~30mWb)を生成する傾向がある。複数の中性ビーム注入器615はまた、閉じ込めチャンバ100の中央平面に向かう角度で、閉じ込めチャンバ100に結合され、FRCプラズマ453を駆動および維持する。例示的実施形態では、中性ビーム注入器615は、初期電力レベルから増加された電力レベルまで調節可能である。さらなる例示的実施形態では、スフェロマック注入器250は、効果的な補給および還流のために、閉じ込めチャンバの幾何学的軸に沿って、マルチパルス式スフェロマックをFRCプラズマの中に注入することが可能である。
【0149】
以前のスフェロマック融合研究(
図32A-32D参照)は、コンパクトトロイド核融合プラズマのための実行可能性および潜在性を実証した。Princeton Plasma Physics Laboratoryにおける、2004~2008年の一連のMRX実験では、逆ヘリシティ融合は、偏平FRCの形成、安定性、持続性の研究に適用された。トカマクにおいて使用される、中心オーム加熱ソレノイドは、抵抗減衰時間よりも長い時間にわたって、それを持続するために、FRCにおけるトロイダル電流を増幅するために使用され得ることが実証された(Gerhardt, S.P., et al., Phys. Plasmas 15, 032503 (2008))。加えて、場成形コイルが、FRC境界成形および伸長を制御するために使用された。これは、安定性に及ぼされる、これらの場成形の影響の研究を可能にした。n=1の傾動モード(nは、トロイダルモード番号)は、偏平FRCにおいて、安定化され得ることが実験的に実証された(Gerhardt, S.P.,et al., Phys. Rev. Lett. 99, 245003 (2007))。また、n≧2の成長率モードは、有利な形状を伴って減速した。これらの結果は、開境界FRC物理学の理解において、著しい前進をもたらした。これらの安定性および持続性の結果に加えて、有意なイオン加熱が、逆ヘリシティ融合実験において観察された。2つのスフェロマックの共ヘリシティ融合は、より少ない加熱だが、十分に高いベータスフェロマックプラズマ(β約0.2~0.3)を生成した。無視できないイオン温度(T
i>25eV、T≒10eV、n
e>10
14cm
3)を伴って、融合されたプラズマを生産する能力は、可変トロイダル磁場構成要素の高ベータプラズマの安定性特性の研究を可能にする。
【0150】
例示的実施形態では、スフェロマック注入器250は、
図33に描写されるように、外側電極254と、Wコーティングされた内側電極255と、外側電極254を中心として位置付けられる外側バイアスコイル252と、内側電極255の中に位置付けられる鉄心バイアスコイル253と、ガス吐出256と、H.V.電力供給源258とを有する、比較的コンパクトなスフェロマック注入器である。スフェロマック注入器250は、最近開発された鉄心バイアスコイルシステム253を利用および改良することによって、十分な磁束を生産する(Edo, T., et al., Jrnl of Plasma and Fusion Res. 13, 3405062 (2018)参照)。最近の予備テストでは、DC電力供給源を伴う、空心バイアスコイルは、約1.67μWb/アンペアを伴ってスケーリングされる、形成されたスフェロマックの磁束を生産しながら、鉄心(鋳鉄は、透磁率μ約250)バイアスコイルシステムを伴うMCPGは、アンペアあたり約100倍高い磁束(すなわち、約0.16mWb/アンペア)を生産することができる。電流密度を一定に保持することによって、スフェロマック注入器は、典型的には電極放電と関連付けられる、望ましくない影響を引き起こすことなく、はるかに高い磁束(30mWb未満)を生成するために、サイズにおいて十分にスケールアップされることができる。さらなる例示的実施形態では、鉄心は、純鉄(99.9%Fe;μ>200,000)を使用して形成され、これは、合理的なバイアス電流を伴って、より高い磁束を達成する傾向がある。
【0151】
図3Dおよび
図3Eは、閉じ込めチャンバ100と、閉じ込めチャンバ100の対向する端部に結合される第1の一対の内側ダイバータ302と、内側ダイバータ302に対する第1の端部上に結合される、対向するCT形成および注入システム200と、CT形成および注入システム300の第2の端部に結合される、第2の一対の外側ダイバータ300とを備える、CT融合FRCプラズマ閉じ込めシステム10を描写する。スフェロマック融合を達成するために、
図31Aに示されるように、
図3Dおよび
図3Eに示されるCT形成/注入区分200および外側ダイバータ300は、
図31Aおよび
図31Bに図示されるように、内側ダイバータに結合されるスフェロマック注入器250によって除去および代替される。スフェロマック注入器250は、縁部バイアスを介したFRC453の安定性制御のために使用される、ダイバータの同心電極310のすぐ内側に設置される。縁部バイアスシステムは、開場線上に半径方向電場を作成し、したがって、NBIと相乗的に、包括的MHDモードを安定化させる、FRC区分線(スクレイプオフ層領域)の周囲に、E
r×B
zによる方位角流動を生産する。スフェロマック注入器250は、種々のスフェロマックプラズマだけではなく、初期FRCを生成するために、個々に動作および制御され、これは、効果的な中性ビーム注入のための最適な標的FRCを発見するために、初期プラズマ密度および捕捉される磁束が変動されることを可能にする。スフェロマック形成、平行移動、および融合のプロセスの間、閉じ込め区分において、比較的低い平衡およびミラー場(B
e約1kG、約2のミラー比)が、平衡およびミラーコイル412および420によって印加され、FRCプラズマ453は、十分に形成されることができ、その後、それらの場は、FRCプラズマ453を閉じ込めおよび持続させるために、徐々に増加されるべきである(B
e最大3kG、約3~3.5のミラー比)。中性ビームはまた、放電を通して、注入器615から、閉じ込めチャンバ100の中に注入され、ビームエネルギーはまた、それに応じて、B
e漸増を伴って、初期から上昇された電力レベル、例えば、約15keV~40keVまで増加されることができる。さらに、磁石および中性ビーム注入器システムは、能動的に制御され得、FRCプラズマは、リアルタイムで安定化および維持されるべきである。
【0152】
閉じ込めチャンバ100の内側に、十分に粒子を補給するだけではなく、すでに形成されたFRCを還流するために、スフェロマック注入器250は、個々に制御される電源供給源258を用いて、電力を供給される。対向して配向されるCT注入器が、マルチパルス能力を有する閉じ込めチャンバの中央平面の近傍に配設されると、CT注入器は、FRCの中に、スフェロマック様のプラズモイドを半径方向に注入する。すなわち、換言すると、注入されたCTは、分裂すること、もしくは強磁気/密度摂動を生産することなく、横方向磁場(Bz約1kG)の中に、貫通する必要がある。さらに、中央平面近傍の半径方向CT注入は、ある程度、高速イオン閉じ込めに影響を及ぼし、システムは、高場核融合デバイスに対して拡大縮小可能ではない傾向がある。したがって、幾何学的軸上(すなわち、「軸方向」CT注入)で、スフェロマック注入器250からCTを注入することは、いくつかの科学的観点から、半径方向CT注入よりも有意に有益である。
【0153】
代替として、例示的実施形態において、
図2、
図3A、
図3D、および
図3Eに描写される、システム構成は、2つの直径方向に対向する反転磁場シータピンチ形成区分200を含むが、含有チャンバの中に含有されるFRCプラズマの補給のために、外側ダイバータ300に結合される、直径方向に対向するスフェロマック注入器250を含むように修正されることができる。
【0154】
本開示のある実施形態によると、磁場反転配位(FRC)を用いて磁場を生成および維持するための方法は、第1および第2のスフェロマックプラズマを融合するステップと、閉じ込めチャンバ内で融合されたプラズマを中心としてFRCを形成するステップと、閉じ込めチャンバの中央平面に向かう角度で、FRCプラズマの中に、中性ビーム注入器から、高速中性原子のビームを注入することによって、減衰なく、一定またはほぼ一定値で、FRCを維持するステップとを含む。
【0155】
本開示のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、チャンバの中央平面に向かって、対向する第1および第2のスフェロマック注入器から、スフェロマックプラズマを注入するステップと、FRCを形成するために、スフェロマックプラズマを融合するステップを含む。
【0156】
本開示のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、第1および第2のスフェロマック注入器から、閉じ込めチャンバの中に注入される、スフェロマックプラズマの逆ヘリシティ スフェロマック融合のステップを含む。
【0157】
本開示のさらなる実施形態によると、第1および第2のスフェロマック注入器は、磁化同軸プラズマガン(MCPG)を備える。
【0158】
本開示のさらなる実施形態によると、第1および第2のスフェロマック注入器は、鉄心バイアスコイルシステムを備える。
【0159】
本開示のさらなる実施形態によると、鉄心バイアスコイルシステムの鉄心は、約250の透磁率を伴う鋳鉄を備える。
【0160】
本開示のさらなる実施形態によると、鉄心バイアスコイルシステムの鉄心は、約200,000と同等、もしくはより大きい透磁率を伴う、約99.9%Feである。
【0161】
本開示のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、第1および第2のスフェロマック注入器を別個に制御するステップを含む。
【0162】
本開示のさらなる実施形態によると、第1のスフェロマック注入器から射出されるスフェロマックプラズマは、第2のスフェロマックから射出されるスフェロマックプラズマとは異なる。
【0163】
本開示のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、閉じ込めチャンバの幾何学的軸に沿って、第1および第2のスフェロマック注入器の1つまたはそれを上回るものから、1つまたはそれを上回るスフェロマックプラズマを伴って、FRCプラズマを補給するステップを含む。
【0164】
本開示のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、第1および第2のスフェロマック注入器の1つまたはそれを上回るものから、FRCプラズマの中に、1つまたはそれを上回るスフェロマックプラズマをマルチパルス注入するステップを含む。
【0165】
本開示のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、FRCプラズマの中に、マルチパルス型スフェロマックを形成および注入するステップを含む。
【0166】
本開示のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、第1のビームエネルギーと第2のビームエネルギーとの間の複数の中性ビームのビームエネルギーを調整するステップであって、第2のビームエネルギーは、第1のビームエネルギーとは異なる、ステップ、または第1のビームエネルギーと第2のビームエネルギーとの間の複数の中性ビームのビームエネルギーを調整するステップであって、第2のビームエネルギーは、第1のビームエネルギーとは異なり、第2のビームエネルギーは、第1のビームエネルギーより高い、ステップ、または第1のビームエネルギーと第2のビームエネルギーとの間の複数の中性ビームのビームエネルギーを調整するステップであって、第2のビームエネルギーは、第1のビームエネルギーとは異なり、複数の中性ビームは、注入ショットの持続期間の間、第1のビームエネルギーと第2のビームエネルギーとの間で切り替わる、ステップを含む。
【0167】
本開示のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、チャンバを中心として延在する準直流コイルを用いて、チャンバ内で磁場を生成するステップを含む。
【0168】
本開示のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、閉じ込めチャンバの端部に結合される、ダイバータの中に、FRCの磁束表面を誘導するステップを含む。
【0169】
本開示のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、形成区分およびダイバータを中心として延在する準直流コイルを用いて、磁場をダイバータ内で生成するステップを含む。
【0170】
本開示のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、チャンバの対向端部を中心として延在する準直流コイルを用いて、チャンバの対向端部内でミラー磁場を生成するステップを含む。
【0171】
本開示のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、チャンバに結合されるサドルコイルを用いて、磁気双極場および磁気四重極場のうちの1つをチャンバ内で生成するステップを含む。
【0172】
本開示のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、ゲッタリングシステムを用いて、チャンバの内部表面と、ダイバータとを調整するステップを含む。
【0173】
本開示のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、ゲッタリングシステムは、チタン堆積システムおよびリチウム堆積システムのうちの1つを含む。
【0174】
本開示のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、FRCプラズマのFRCの縁層内の半径方向電場プロファイルを制御するステップを含む。
【0175】
本開示のさらなる実施形態によると、バイアス電極を用いて、ある電位分布をFRCの開磁束面群に印加する。
【0176】
本開示のさらなる実施形態によると、本方法はさらに、20mWbより大きい磁束を有する、第1および第2のスフェロマック注入器からスフェロマックプラズマを注入するステップ、または約25~30mWbより大きい磁束を有する、第1および第2のスフェロマック注入器からスフェロマックプラズマを注入するステップのうち1つを含む。
【0177】
本開示のさらなる実施形態によると、磁場反転配位(FRC)を用いて磁場を生成および維持するためのシステムは、閉じ込めチャンバと、閉じ込めチャンバに結合される、第1および第2のダイバータと、スフェロマックプラズマを生成し、閉じ込めチャンバの中央平面に向かってスフェロマックプラズマを平行移動させるために、第1および第2のダイバータに結合される、第1および第2の直径方向に対向するスフェロマック注入器と、閉じ込めチャンバに結合され、閉じ込めチャンバの縦軸の法線未満の角度で、閉じ込めチャンバの中央平面に向かって、中性原子ビームを注入するように配向される、複数の中性原子ビーム注入器と、閉じ込めチャンバと第1および第2のダイバータとの周囲に位置付けられる、複数の準直流コイルと、閉じ込めチャンバと第1および第2の形成区分との間に位置付けられる、準直流ミラーコイルの第1および第2のセットと、閉じ込めチャンバと第1および第2のダイバータとの間に位置付けられる、第1および第2のミラープラグと、閉じ込めチャンバと、第1および第2のダイバータとに結合される、ゲッタリングシステムと、生成されたFRCの開磁束面に電気的にバイアスをかけるための1つまたはそれを上回るバイアス電極と、閉じ込めチャンバならびに第1および第2のダイバータのうちの1つまたはそれを上回るものの中に位置付けられる、1つまたはそれを上回るバイアス電極と、閉じ込めチャンバに結合される、2つまたはそれを上回る鞍形コイルとを備える。
【0178】
本開示のさらなる実施形態によると、磁場反転配位(FRC)を用いて磁場を生成および維持するためのシステムは、閉じ込めチャンバと、閉じ込めチャンバに結合される、第1および第2のダイバータと、第1および第2のダイバータに結合される、第1および第2の直直径方向に対向するスフェロマック注入器と、複数のバイアス電極、ならびに第1および第2のミラープラグのうちの1つまたはそれを上回るものであって、1つまたはそれを上回るバイアス電極は、閉じ込めチャンバ、ならびに第1および第2の外側ダイバータのうちの1つまたはそれを上回るもの内に位置付けられ、第1および第2のミラープラグは、閉じ込めチャンバ、ならびに第1および第2のダイバータとの間に位置付けられているものと、閉じ込めチャンバならびに第1および第2のダイバータに結合される、ゲッタリングシステムと、閉じ込めチャンバに結合され、閉じ込めチャンバの中央平面に向かって角度付けられて配向される、複数の中性原子ビーム注入器と、閉じ込めチャンバ、ならびに第1および第2のダイバータの周囲に位置付けられる、複数の準直流コイルと、閉じ込めチャンバの間に位置付けられる、第1および第2の準直流ミラーコイルのセットとを備える磁気システムであって、システムは、中性ビームが、プラズマの中に注入される間、FRCを生成し、減衰なくFRCを維持するように構成されるものとを含む。
【0179】
本開示のさらなる実施形態によると、第1および第2のスフェロマック注入器は、FRCプラズマを融合および形成するために、チャンバの中央平面に向かって、スフェロマックプラズマを注入するように構成される。
【0180】
本開示のさらなる実施形態によると、第1および第2のスフェロマック注入器は、逆ヘリシティを有する第1および第2のスフェロマックプラズマを形成し、閉じ込めチャンバの中に注入するように構成される。
【0181】
本開示のさらなる実施形態によると、第1および第2のスフェロマック注入器は、磁化同軸プラズマガン(MCPG)を備える。
【0182】
本開示のさらなる実施形態によると、第1および第2のスフェロマック注入器は、鉄心バイアスコイルシステムを含む。
【0183】
本開示のさらなる実施形態によると、鉄心バイアスコイルシステムの鉄心は、約250の透磁率を伴う鋳鉄である。
【0184】
本開示のさらなる実施形態によると、鉄心バイアスコイルシステムの鉄心は、約200,000と同等、もしくはより大きい透磁率を伴う、約99.9%Feである。
【0185】
本開示のさらなる実施形態によると、第1および第2のスフェロマック注入器は、別個に制御可能である。
【0186】
本開示のさらなる実施形態によると、第1および第2のスフェロマック注入器は、閉じ込めチャンバの中に、1つを上回るスフェロマックプラズマをマルチパス注入するように構成される。
【0187】
本開示のさらなる実施形態によると、複数の中性ビームは、第1のビームエネルギーと第2のビームエネルギーとの間で調節可能であり、第2のビームエネルギーは、第1のビームエネルギーと異なり、複数の中性ビームのビームエネルギーは、注入ショットの持続時間の間、第1のビームエネルギーと第2のビームエネルギーとの間で切替可能である。
【0188】
本開示のさらなる実施形態によると、バイアス電極は、開放磁力線に接触するために閉じ込めチャンバ内に位置付けられる、1つまたはそれを上回る点電極のうちの1つまたはそれを上回それを上回るものと、閉じ込めチャンバと第1および第2のダイバータとの間の環状電極のセットと、複数の同心磁束層を充電するために第1および第2のダイバータ内に位置付けられる、複数の同心状にスタックされた電極とを含む。
【0189】
本開示のさらなる実施形態によると、システムはさらに、第1および第2のダイバータと閉じ込めチャンバとに介在する、第1および第2の直径方向に対向する反転磁場シータピンチ形成区分を備える。
【0190】
本開示のさらなる実施形態によると、システムは、第1および第2の直径方向に対向する反転磁場シータピンチ形成区分と閉じ込めチャンバとに介在する、第3および第4のダイバータを備える。
【0191】
しかしながら、本明細書に提供される例示的実施形態は、単に、例証的実施例として意図され、いかようにも限定されない。
【0192】
本明細書に提供される、任意の実施形態に関して説明される、全ての特徴、要素、構成要素、機能、およびステップは、任意の他の実施形態からのものと自由に組み合わせ可能かつ代用可能であるように意図されている。ある特徴、要素、構成要素、機能、またはステップが、一実施形態のみに関して説明される場合、その特徴、要素、構成要素、機能、またはステップは、別様に明示的に記述されない限り、本明細書に説明される全ての他の実施形態とともに使用され得ることを理解されたい。したがって、本段落は、常に、請求項の導入のための先行する基礎ならびに書面による支援としての役割を果たし、これは、たとえ以下の説明が、特定の事例において、そのような組み合わせまたは代用が可能であることを明示的に記述しなくても、異なる実施形態からの特徴、要素、構成要素、機能、およびステップを組み合わせる、または一実施形態からの特徴、要素、構成要素、機能、およびステップを別のもので代用する。可能性として考えられる全ての組み合わせおよび代用を明示的に列挙することは、特に、本明細書を読むにあたり、ありとあらゆるそのような組み合わせおよび代用の可能性が、当業者によって容易に認識されるであろうことを考えれば、過度の負担である。
【0193】
多くの事例では、エンティティは、他のエンティティに結合されるように本明細書に説明される。用語「結合される」および「接続される」(またはその形態のいずれか)は、本明細書では同義的に使用され、両場合では、(任意の無視不可能である(例えば、寄生)介在エンティティを伴わない)2つのエンティティの直接結合、および(1つまたはそれを上回る無視不可能である介在エンティティを伴う)2つのエンティティの間接結合に包括的であることを理解されたい。エンティティが、ともに直接結合されるように示される、または任意の介在エンティティの説明を伴わずに、とともに結合されるように説明される場合、それらのエンティティは、文脈が明確に別様に示さない限り、同様に、ともに間接的に結合されることができることを理解されたい。
【0194】
実施形態は、種々の修正および代替形態を被る一方、その具体的実施例が、図面に示され、本明細書に詳細に説明されてきた。しかしながら、これらの実施形態は、開示される特定の形態に限定されるものではなく、対照的に、これらの実施形態は、本開示の精神内にある、全ての修正、均等物、および代替案を網羅するものであることを理解されたい。さらに、実施形態の任意の特徴、機能、ステップ、または要素だけではなく、その範囲内にない特徴、機能、ステップ、または要素によって請求項の発明の範囲を定義する消極的限定が、請求項に列挙または追加されてもよい。
【国際調査報告】