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特表2023-512464誘電バリア放電を生成する装置及び活性化すべき対象物を処理する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】誘電バリア放電を生成する装置及び活性化すべき対象物を処理する方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/24 20060101AFI20230317BHJP
   B01J 19/08 20060101ALI20230317BHJP
   A61K 6/818 20200101ALN20230317BHJP
   A61K 6/84 20200101ALN20230317BHJP
【FI】
H05H1/24
B01J19/08 E
A61K6/818
A61K6/84
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543071
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2020086796
(87)【国際公開番号】W WO2021144111
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】102020100828.7
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518379278
【氏名又は名称】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】コルゼック,ザリウス
(72)【発明者】
【氏名】ネッテスハイム,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】フロイント,フロリアン
【テーマコード(参考)】
2G084
4C089
4G075
【Fターム(参考)】
2G084AA05
2G084AA07
2G084AA24
2G084CC03
2G084CC19
2G084CC34
2G084DD13
2G084DD17
2G084DD22
2G084DD25
2G084DD49
2G084EE15
2G084FF04
2G084FF07
2G084FF38
4C089AA06
4C089BA05
4C089BB07
4G075AA30
4G075BA05
4G075CA47
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB41
4G075EC21
4G075ED01
4G075ED13
4G075FB02
4G075FB06
4G075FC11
4G075FC15
(57)【要約】
本発明は、非熱的大気圧プラズマで活性化すべき対象物(1)を処理するための誘電バリア放電を生成するための装置であって、誘電材料製の壁部(3)を有し、作用空間(4)を取り囲む誘電作用チャンバ(2)であり、作用空間(4)の反対側を向いた壁部(3)の外面上に金属化部(6)が設けられており、作用空間(4)は開放容積である、誘電作用チャンバ(2)と、活性化すべき対象物(1)が作用空間(4)に配置された場合に、金属化部(6)に又は活性化されるべき対象物(1)に高電圧を印加するように設計された高電圧源(9)と、を備える。さらなる態様によれば、本発明は、非熱的な大気圧プラズマで活性化すべき対象物(1)を処理するための方法に関するものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非熱的大気圧プラズマで活性化すべき対象物を処理するための誘電バリア放電を生成するための装置であって、
- 誘電材料製の壁部を有するとともに作用空間を取り囲む誘電作用チャンバであり、前記作用空間の反対側を向いた前記壁部の外面上に金属化部が設けられており、前記作用空間は開放容積である、誘電作用チャンバと、
- 前記活性化すべき対象物が前記作用空間に配置された場合に、前記金属化部に又は前記活性化されるべき対象物に高電圧を印加するように設計された高電圧源と、
を備える装置。
【請求項2】
前記活性化すべき対象物を収容して、前記作用空間に移動するように設計されたレセプタクルをさらに備える、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記レセプタクルは、前記活性化すべき対象物を前記作用空間内で回転運動及び/又は並進運動で移動するように設計されている、
請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記活性化すべき対象物は、医療処理の前に非熱的大気圧プラズマで処理されるインプラントである、
請求項1乃至3いずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記高電圧源は、前記活性化されるべき対象物と金属化部との間で誘電バリア放電を生成するように設計されている
請求項1乃至4いずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記作用空間が大気圧であるか又は1気圧未満である、
請求項1乃至5いずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、非熱的大気圧プラズマによる前記処理によって、前記活性化すべき対象物の表面を親水化するように設計されている、
請求項1乃至6いずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記誘電作用チャンバを収容するための開口を有するベースユニットをさらに備える、
請求項1乃至7いずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記誘電作用チャンバは、プラズマによる前記処理の前に、前記ベースユニットの前記開口内に装入され、プラズマによる前記処理を実行した後に前記ベースユニットの前記開口から取り外される、ように設計されている
請求項8記載の装置。
【請求項10】
前記高電圧源は前記ベースユニットに配置されている、
請求項8又は9項記載の装置。
【請求項11】
前記誘電作用チャンバの前記壁部は、他の領域よりも厚い厚さを有する領域を備え、前記領域は、前記誘電作用チャンバの入口に配置されている、
請求項1乃至10いずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記金属化部は連続したスリーブ状の金属化部であるか、又は、前記金属化部は互いに分離したリング状のセクションを有する、
請求項1乃至11いずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記高電圧源は圧電トランスを有する、
請求項1乃至12いずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記装置は換気部及び/又はフィルタを有する、
請求項1乃至13いずれか1項記載の装置。
【請求項15】
前記作用空間は空気で充填されている、
請求項1乃至14いずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記誘電作用チャンバは交換可能な使い捨てアイテムである、
請求項1乃至15いずれか1項記載の装置。
【請求項17】
前記誘電作用チャンバの前記壁部の内径は4mm以上7mm以下の範囲内にある、
請求項1乃至16いずれか1項記載の装置。
【請求項18】
前記装置は、複数の高電圧源を有する、
請求項1乃至17いずれか1項記載の装置。
【請求項19】
非熱的大気圧プラズマで活性化すべき対象物を処理するための方法であって、
- 無菌パッケージから誘電作用チャンバを取り出すステップであって、前記誘電作用チャンバは作用空間を取り囲む誘電材料製の壁部を有し、前記作用空間の反対側を向いた前記壁部の外面上に金属化部が設けられてる、ステップと、
- 前記誘電作用チャンバをベースユニットの開口内に装入するステップであって、前記ベースユニットは高電圧源を有する、ステップと、
- 前記活性化すべき対象物を前記作用空間内に導入するステップと、
- 前記活性化すべき対象物又は前記金属化部に高電圧を印加し、それにより、前記対象物と前記金属化部との間に誘電プラズマ放電を発生させるステップと、
を含む、方法。
【請求項20】
前記処理は20秒未満かかる、
請求項19記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非熱的大気圧プラズマで活性化すべき対象物を処理するための誘電バリア放電生成装置及び非熱的大気圧プラズマで活性化すべき対象物を処理する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
活性化されるべき対象物は、例えば、人体や動物の体内に設置されることを意図したインプラントであり得る。ただし、親水性の表面が所望される他の対象物であり得る。
【0003】
例えば歯科分野などの、インプラントの場合、親水性である場合に生着期間が大幅に短縮されることが知られている。さらに、親水性インプラントは疎水性インプラントと比較して、生着プロセスでの安定性が著しく向上し、生着挙動(オッセオインテグレーション又は骨結合)も良好であることが分かっている。インプラントは通常、表面が親水性の材料、例えばグレード4などのチタンや酸化ジルコニウムなどで作られている。しかしながら、有機不純物はインプラントの表面を疎水化することがある。これらの有機不純物は、例えば、インプラントの製造時や保管時に発生することがある。表面を親水化することで、表面の有機物汚染に起因する炭化水素基を親水性のOH基に置換できるはずである。かかる親水化は空気中では長期安定的ではないため、インプラント装入の直前に実施する必要がある。インプラント装入時のワークフローをなるべく変えないために、親水化を短時間で実行できると有利である。
【0004】
インプラントを親水化するための方法は、WO 2015/087326 A1から知られており、インプラントが送達される完全に密閉された容器又はパッケージ内でプラズマが点火される。プラズマプロセス後、容器を開封し、インプラントを生体環境内に移植する。インプラントメーカーにとって、無菌・密封・プラズマ発生装置との適合性を考慮したパッケージや容器の開発・承認・製造は大変な労力を要するものである。このパッケージを使用するメーカーのインプラントしか、その装置と互換性がない。したがって、その装置はあらゆるインプラントに使用できるわけではない。
【発明の概要】
【0005】
そこで、本発明の課題は、例えば、活性化されるべき対象物に特定のパッケージを必要としない、活性化されるべき対象物のプラズマ処理のための改良された装置を提供することである。さらなる課題は、プラズマ処理のための改良された方法を提供することである。
【0006】
これらの課題は、請求項1による装置と、第2の独立請求項による方法によって解決される。
【0007】
非熱的大気圧プラズマで活性化するべき対象物を処理するための誘電バリア放電を生成する装置が提案されている。装置は、誘電作用チャンバ及び高電圧源を備える。誘電作用チャンバは、作用空間を取り囲む、誘電材料製の壁部を有し、作用空間の反対側を向いた壁部の外面上に(auf einer vom Wirkraum wegweisenden Aussenseite der Wand)金属化部が設けられている。作用空間は開放容積である。高電圧源は、金属化部に又は活性化されるべき対象物に高電圧を印加するように設計されている。
【0008】
本明細書ではカプセル化されていない容積又は閉鎖されていない容積を「開放容積(offenes Volumen)」と称することができる。開放容積は、気体、例えば空気が容積から出ることができ、環境からの気体、例えば空気、が容積に入ることができるという事実によって特徴付けられることができる。パッケージ又は容器で密閉されていない容積は開放容積と称されることができる。
【0009】
本装置は、作用チャンバに導入可能なようにサイズ決定された対象物であれば、プラズマ処理を行うことができる。本装置は、例えば特定のパッケージ内に配置された特定のインプラントに限定されるものではない。したがって、この装置は汎用的に使用することができる。作用チャンバは開放容積であり、金属化部と活性化すべき対象物物との間のプラズマの自己点火が可能であるため、活性化すべき対象物のカプセル化に特別な要件はない。むしろ、そのようなカプセル化を省くことも可能である。
【0010】
誘電活性チャンバの作用空間は、閉じた体積ではない。むしろ、空気の流れが作用空間を通過できるように、作用空間には入口と出口を設けることができる。あるいは、作用空間には入口だけを設けることができる。
【0011】
金属化部は、壁部に材料結合的に塗布された金属層であることができる。あるいは、金属化部は、ギャップ寸法の小さい隙間によって壁部から分離されることも可能である。さらに、金属化部は、例えばプラグイン接続によって壁部に設けられることができる。
【0012】
誘電材料製の壁部が、金属化部と活性化すべき対象物とを隔て、高電圧源は金属化部と対象物との間に高電圧を印加するように設計されている。その際、壁部が誘電バリアとして機能するため、金属化部と活性化すべき対象物との間で誘電バリア放電によってプラズマを確実に点火することができる。金属化部は電極として機能できる。プラズマは、誘電バリア放電の際に大部分が誘電バリアに直接点火される。壁部の内側面だけでなく、活性化すべき対象物の表面も誘電バリアとして機能することができる。そのため、活性化すべき対象物の表面で直接プラズマを点火できる。相応に、プラズマは対象物の表面を高い効率で活性化し、親水化することができる。
【0013】
対象物の親水化のために、誘電バリア放電によるプラズマ点火は複数の利点をもたらす。誘電バリア放電の際に、プラズマの大部分が誘電バリアで直接点火される。相応に、プラズマの多くは対象物の表面で点火され、その表面を活性化する。誘電バリア放電の際に、プラズマ点火が面状に分布するマイクロ放電で行われるため、対象物を表面全体にわたって均一に活性化させることができる。誘電バリア放電の際に、対象物の表面の親水化に寄与する酸素種が生成される。誘電バリア放電の際に、過剰な局所エネルギー密度が得られないため、活性化すべき対象物の損傷を回避することができる。
【0014】
活性化すべき対象物の処理は、雰囲気圧力で行うことができる。作用チャンバ内には雰囲気圧力が存在することができる。相応に、低圧チャンバのポンプ排気を省略することができる。相応に、使用される機器は、低圧チャンバを有する装置をベースとした装置と比較して、小型化、モバイル化、低コスト化を実現することができる。さらに、通常数分かかる低圧チャンバの排気ステップを省くことができるため、方法は顕著に早く行うことができる。さらに、プラズマを活性化すべき対象物に直接焼き付けることができるため、プラズマ処理ステップを大幅に短縮することもできる。
【0015】
全体として、この装置は、活性化すべき対象物を素早く処理することを可能にする。これにより、親水化のためのプラズマ処理をワークフローに組み込むことが可能になる。活性化すべき対象物の中間貯蔵を回避することができる。
【0016】
さらに、装置は、活性化すべき対象物を収容し、作用チャンバ内に移動させるように設計されたレセプタクルを有することができる。
【0017】
装置は、活性化すべき対象物がレセプタクルのみに直接機械的にコンタクトするように設計することができる。そのため、誘電チャンバの壁部や高電圧源による対象物の汚染を防ぐことができる。
【0018】
レセプタクルは、活性化すべき対象物を把持して保持するように設計された機械的要素であり得る。レセプタクルは、定義された経路に沿って活性化すべき対象物を移動させるように設計することができる。また、レセプタクルは、活性化すべき対象物に電位を印加するように設計することもできる。
【0019】
レセプタクルは、活性化するべき対象物を作用空間内で回転運動及び/又は並進運動で移動するように設計されていることができる。レセプタクルは手動で動かすことも、モーターなどの機械駆動で動かすことも可能である。作用空間内で活性化すべき対象物を回転及び並進運動させることで、活性化すべき対象物にプラズマを均一に作用させることができる。
【0020】
活性化すべき対象物は、医療処理に先立って非熱的大気圧プラズマで処理されるインプラントであることができる。例えば、歯科用インプラントであることができる。インプラントを非熱的大気圧プラズマで処理することにより、水や血液との濡れ性を向上させ、インプラントの生着挙動(das Einwachsverhalten)を改善することができる。インプラントのプラズマ処理は、医療的処理に先立って行われる。この装置によれば、インプラントのプラズマ処理を短時間で行うことができるため、医療処理の開始直前にプラズマ処理を行うことができ、中間貯蔵を省くことができる。
【0021】
高電圧源は、活性化すべき対象物と金属化部との間に誘電バリア放電を生成するように設計することができる。
【0022】
作用空間は、好ましくは大気圧である。代替的な実施形態では、作用空間の圧力は1気圧未満とすることができる。作用空間が大気圧であることは、作用空間を排気するステップを省くことができ、より短時間で処理を行うことができるという利点をもたらす。
【0023】
この装置は、非熱的な大気圧プラズマで処理することにより、活性化すべき対象物の表面を親水化するように設計されている。
【0024】
装置は、誘電作用チャンバを受け入れるための開口を有するベースユニットを有することができる。再利用可能な、すなわち、異なる対象物の複数のプラズマ処理に使用できる、装置のすべての要素は、ベースユニットに配置することができる。特に、高電圧源は、ベースユニットに配置することができる。ベースユニットは、誘電作用チャンバを受け入れるための開口が形成された閉鎖されたハウジングを有することができる。
【0025】
誘電作用チャンバは、プラズマ処理の前にベースユニットの開口内に装入され、プラズマ処理を実行した後にベースユニットの開口から取り外されるように設計されることができる。相応に、誘電作用チャンバは、1回のプラズマ処理にのみに使用される使い捨てアイテムである。プラズマ処理ごとに、適切に構成された誘電作用チャンバを選択することができる。例えば、装置は、異なるプラズマ処理を可能にする一組の異なる誘電作用チャンバを有することができる。
【0026】
誘電作用チャンバの壁部は、誘電作用チャンバの入口に配置され、他の領域よりも厚い厚さを有する領域を備える。この領域はカラーを形成することができる。誘電作用チャンバの入口は、活性化すべき対象物を作用空間に導入することができる誘電作用チャンバの開口であることができる。
【0027】
肉厚領域には、いくつかの目的がある。肉厚領域によれば、誘電作用チャンバをベースユニットに支持することで、誘電作用チャンバをベースユニット上の所定の位置に位置決めすることができる。肉厚領域は、レセプタクルのための支持面を形成することもでき、それによって、レセプタクル及びレセプタクルによって保持される活性化すべき対象物を誘電作用チャンバに対して所定の位置に位置決めすることができる。また、肉厚領域は、金属化部とレセプタクルとの間のアイソレーション(Isolierung)となることもできる。
【0028】
金属化部は、連続するスリーブ状の金属化部であっても、互いに分離した複数のリング状の部分を有するものであってもよい。スリーブ状の金属化部は、大型インプラントのプラズマ処理を均一に行うことができるため、処理時間をさらに短縮することができる。リング状の金属化部は、静電容量が小さく、電極とインプラントとの間の寄生負荷が小さいという利点がある。また、リング状の金属化部のエッジ部分の電界強度が特に高いことがわかる。さらなる選択肢は、個別のリング状のセグメントであり、被処理対象物の寸法よりも小さい広がりを有する。この場合、被処理対象物の全表面を十分にプラズマ処理できるように、リング状セグメントに対して被処理物を移動させることができる。
【0029】
高電圧源は、圧電トランスを有することができる。高電圧は、圧電トランスの出力側から機械的コンタクトを介して取り出され、電極又は活性化すべき物体に印加されることができるか、あるいは、非接触スパークギャップ(Funkenstrecke)によって、圧電トランスの出力領域から電極又は活性化すべき対象物に伝達されることができる。圧電トランスは、とりわけ、電池などの低い入力電圧でさえ動作できるため、モバイル機器として設計できるという利点がある。
【0030】
本装置は、換気部(Luefter)及び/又はフィルタ要素を有することができる。換気部やフィルタがベースユニットに配置されることができる。換気部は、活作用空間を通る空気流を生成し、それによって活性化すべき対象物が冷却されるように、配置されることができる。ベースユニット外部での過剰なオゾン濃度を防ぐことができるオゾンフィルタであることができる。
【0031】
作用空間には、空気で充填されることができる。装置は、空気を処理ガスとしてプラズマ処理を行うように設計されることができる。アルゴンなどの高価な特殊ガスを使用する必要はない。
【0032】
誘電作用チャンバは、交換可能な使い捨てアイテムであることができる。
【0033】
誘電作用チャンバの壁部の内径は、4mm以上7mm以下とすることができる。この内径は、一般的な歯科用インプラントの収容を可能にする。壁部は、管内の可能な限り高い電界強度を得るために、必要以上の内径を有するべきではない。活性化すべき対象物の表面を活性化するために、管内には少なくとも5kV/mmの電界強度が必要である。
【0034】
さらなる態様によれば、本発明は、非熱的な大気圧プラズマで活性化すべき対象物を処理する方法であって、以下のステップを含む方法に関する:
- 無菌パッケージから誘電作用チャンバを取り外すステップであって、誘電作用チャンバは、作用空間を取り囲む誘電材料製の壁部を有し、作用空間の反対側を向いた壁部の外面上に金属化部が設けられてる、ステップと、
- 誘電作用チャンバを前記ベースユニットの開口内に装入するステップであって、ベースユニットは高電圧源を有する、ステップと、
- 活性化すべき対象物を作用空間内に導入するステップと、
- 活性化すべき対象物又は金属化部に高電圧を印加し、それにより、対象物と金属化部との間に誘電プラズマ放電を発生させるステップと、を含む方法。
方法は、90秒未満、好ましくは60秒未満、特に30秒未満を要する。
【0035】
作用空間は、その際、開放容積であり得る。活性化すべき対象物は、作用空間に装入する直前に、滅菌カバーから活性化する対象物を取り出すことができる。活性化すべき対象物をレセプタクルで把持し、レセプタクルによって作用空間に装入することができる。
【0036】
第2態様による方法は、上述した装置を用いて実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
以下、添付図を参照しながら、本発明を説明する。
図1図1は、誘電バリア放電を生成するための装置を模式的に示した図である。
図2図2は、図1に示した装置をより詳細に示した図である。
図3】3は、無菌パッケージに入った誘電作用チャンバを示す図である。
図4図4は、誘電作用チャンバの代替的実施形態を示す図である。
図5図5は、誘電作用チャンバの代替的実施形態を示す図である。
図6図6図9は、誘電バリア放電を生成する装置の代替的実施形態を示す図である。
図7図7は、誘電バリア放電を生成する装置の代替的実施形態を示す図である。
図8図8は、誘電バリア放電を生成する装置の代替的実施形態を示す図である。
図9図9は、誘電バリア放電を生成する装置の代替的実施形態を示す図である。
図10図10は、誘電作用チャンバの代替的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、誘電バリア放電を生成する装置を模式的に示したもので、活性化すべき対象物1を非熱的な大気圧プラズマで処理するように設計されている。活性化すべき対象物1は、人体又は動物の体内に装入されるように設計されたインプラントである。特に、歯科用インプラントである。しかしながら、この装置は、非熱的な大気圧プラズマで他の対象物を処理することもできるように設計されている。例えば、活性化すべき対象物1は、チタン、特にグレード4のチタン、又は酸化ジルコニウム製であり得る。これらの材料は、通常インプラント用のものである。代替的又は付加的に、処理すべき対象物1は、金属、プラスチック又はセラミックを含み得る。
【0039】
非熱的大気圧プラズマによる処理により、対象物1の表面が親水化される。インプラントの表面が親水性であれば、インプラントの生着期間が大幅に短縮され、インプラントの生着性(オッセオインテグレーション又は骨結合)が大幅に改善することが知られている。また、親水性の対象物の際の生着プロセスは向上した安定性を有する。
【0040】
純チタンの表面は親水性であり、相応に、水や血液に非常によく濡れることができる。しかしながら、有機不純物によって表面が疎水化されることがある。このような不純物は、例えば、インプラントの製造時や保管時に発生することがある。図1の装置内でインプラント処理することにより、インプラントを体内に装入する直前に、表面が親水性であることを確実にすることができる。インプラントの血液との良好な濡れ性は、短い生着期間と安定した生着プロセスをもたらす。
【0041】
装置は、誘電作用チャンバ2を有する。誘電作用チャンバ2は、活性空間4を取り囲む誘電材料製の壁3を有する。作用空間4は、開放容積である。図1に示す実施形態例では、壁部3はスリーブ状である。誘電作用チャンバ2は、被処理対象物1を作用チャンバ4内に導入することができる入口2aと、出口2bとを有している。出口2bは、入口2aの反対側にある。空気流は、入口2aから出口2bまで作用チャンバ4を通って流れることができる。
【0042】
壁部3の材料は化学的に不活性であるため、活性化すべき対象物1の、プラズマ処理中の化学的汚染を回避することができる。壁部3は、例えば、石英、ガラス、又は酸化アルミニウムを含むことができる。
【0043】
壁部3の厚さDは、0.5mm以上3.0mm以下、好ましくは1.0mm以上2.0mm以下である。例えば、壁の厚さDは1.5mmであることができる。このような壁部3の厚さDにより、プラズマ放電の際に壁部3が誘電バリアとして機能することができる。厚さDは、壁部3の内側面7と壁3の外側面5との間の距離を示す。
【0044】
壁部3は、作用空間4を取り囲んでいる。作用チャンバ4内には大気圧が存在することができる。この装置によれば、プラズマ処理前に作用チャンバ4内を減圧する必要がない。しかしながら、装置の代替的実施形態では、作用空間4内の圧力が1気圧未満になるように、作用空間4内の圧力を下げることができる。
【0045】
作用空間4には、空気が満たされている。代替的実施形態では、作用空間4は、異なるプロセスガスで満たされる。
【0046】
作用空間4の反対側を向いている外側面5を、部分的又は完全に金属化部6で覆うことができる。金属化部6は、電極を形成する。金属化部6は、例えば銅や銀などの、導電性材料で構成されている。金属化部6は、スパッタリング又は電気メッキで堆積することができる。金属化部6の堆積方法のさらなる可能性としては、接着フィルム、管にプレスされた金属ホース、又は導電性スプレー塗料の使用である。
【0047】
金属化部6は、円筒状の壁部3の外周に沿って完全に取り囲んでいる。金属化部6の長さLは、金属化部6の長手方向の広がりを示す。長手方向は、誘電作用チャンバの円筒状の壁部3の対称軸に沿って延在する。
【0048】
金属化部6の長さLは、被処理対象物1の長さに適合するべきである。金属化部6の長さLは、10mm以上30mm以下である。例えば、金属化部6の長さは、20mmを選択することができる。このような長さLを有する金属化部6は、一般的な歯科用インプラントを完全に包囲するのに十分であり、したがって、インプラント全体が同時に処理されることを確実にする。また、プラズマ点火は電極とインプラントとの間だけで行われるため、金属化部6を長くすることができる。代替的に、金属化部6の長さLは、被処理対象物1の長さよりもはるかに小さくなるように選択することができる。この場合、被処理対象物1が完全にプラズマ処理されることを確実にするように、被処理物1を金属化部6に対して長手方向に移動させる必要がある。
【0049】
図1に示す実施例では、金属化部6がコンタクト8を介して高電圧源9に接続されている。高電圧源9は、高電圧を生成し、金属化部6に印加するように設計されている。例えば、高電圧源9は、圧電トランスであることができる。圧電トランスの出力領域で生成した高電圧を取り出し、コンタクト8を介して金属化部6に印加する。また、高電圧の交流電圧を供給する、代替的高電圧源9を使用することも可能である。
【0050】
さらに、本装置は、被処理対象物1を把持し、作用空間4に導入するためのレセプタクル10を有する。被処理対象物1は、レセプタクル10を介して基準電位、特に接地電位に接続される。レセプタクル10は、被処理対象物1を作用空間4内に直線的移動で導入するように設計されている。さらに、レセプタクル10は、作用空間4内で被処理対象物1を直線的移動させるように設計することができる。例えば、上下移動であることができる。さらに、レセプタクル10は、作用空間4内で被処理対象物1を回転運動させるように設計することができる。作用空間4内での被処理対象物1の直線及び回転運動により、被処理対象物1の表面を均一にプラズマ処理することを確実にできる。
【0051】
レセプタクル10を介して基準電位が印加されている被処理対象物1は、プラズマ放電時に対向電極として作用し、その際、電極は壁部3の金属化部6を介して形成される。壁部3は、金属化部6と被処理対象物1との間の誘電バリアとして作用する。したがって、誘電バリア放電を介してプラズマ点火され、その際、プラズマは被処理対象物1の表面の直接上で生成される。
【0052】
レセプタクル10は、手動で動かすか、機械的な駆動部に接続された工具であることができる。たとえば、トルクラチェットやレンチであることもできる。
【0053】
図2は、図1に示した装置をより詳細に示したものである。この装置は、誘電作用チャンバ2が装入されるハウジング12を有するベースユニット11をさらに備える。誘電作用チャンバ2は、無菌交換ユニットとして設計されている。プラズマ処理の直前にハウジング12に装入される。ベースユニット11は、誘電作用チャンバ2が装入される開口を有する。
【0054】
ベースユニット11には、高電圧源9と、場合によってはさらなる要素が配置される。ベースユニット11には、高電圧源9を制御するための制御ユニット13が配置されている。制御ユニット13は、ユーザとの相互作用のためのインタフェースを有する。例えば、制御ユニット13は、ディスプレイとファンクションキーとを有する。さらに、ベースユニット11は、換気部14を有することができる。換気部14は、作用チャンバ2を通って一定の空気流を供給し得る。これにより、被処理対象物1が空気流によって冷却され、プラズマ処理中に加熱されすぎることを確実に防止することができる。さらに、ベースユニット11は、誘電作用チャンバ2と換気部14の空気出口との間に配置されたフィルタ15を有することができる。フィルタ15は、特に、オゾンを濾過するように設計されることができる。オゾンはプラズマ処理の際に副生成物として発生するもので、濃度が高すぎると健康に害を及ぼす可能性がある。オゾンフィルタ15の追加により、ハウジング12の外部で過剰なオゾン濃度が発生しないようにすることができる。
【0055】
活性化すべき対象物1をプラズマ処理するたびに交換する必要のない装置の構成要素は、ベースユニット11に恒久的に配置されている。高電圧源9、制御ユニット13、換気部14、フィルタ15などである。
【0056】
プラズマ処理の直前に、誘電作用チャンバ2をベースユニット11に装入する。誘電作用チャンバ2をベースユニット11の開口に装入されると、誘電作用チャンバ2は、金属化部6が高電圧源9に電気的にコンタクトするように配置されているので、高電圧源9は、金属化部6に高電圧を印加することができる。誘電作用チャンバ2がベースユニット11に装入されると、金属化部6がコンタクト8に接続される。
【0057】
その後、レセプタクル10により、被処理対象物1を作用チャンバ4内に導入することができる。このため、被処理対象物1をレセプタクル10で把持し、誘電作用チャンバ2の入口2aから装入する。ここで、プラズマ処理が開始され、これにより、プラズマ処理中に被処理対象物1がレセプタクル10によって移動される。プラズマ処理の持続時間は、90秒未満、好ましくは60秒未満、特に30秒未満である。
【0058】
プラズマ処理後、まず活性化すべき対象物1、その後誘電作用チャンバ2をベースユニット11から取り外す。プラズマ処理の終了後、活性化すべき対象物1を誘電作用チャンバ2から取り出し、例えば、直ちに、インプラントを挿入するステップを伴う医療処理を開始することができる。被処理対象物1の中間貯蔵は必要ない。プラズマ処理の時間が短いため、インプラントを挿入する医療処理の直前にプラズマ処理を行うことができる。
【0059】
誘電作用チャンバ2の壁部は、入口2aの領域において、領域16を有し、その厚さは、誘電作用チャンバ2の残りの領域における壁部3の厚さよりも大きい。肉厚化した厚さにより、領域16は、誘電作用チャンバ2のカラーを形成する。領域16は、誘電作用チャンバ2がベースユニット11の開口に位配置される場合に、ハウジング12上に載せられる支持部を形成している。このようにすることで、誘電作用チャンバ2をベースユニット11上に安定的に位置決めすることができる。これにより、誘電作用チャンバ2が所定の位置に配置されることが確実にされる。さらに、肉厚領域16は、活性化すべき物体1をレセプタクル10から作用チャンバ2に装入する際に、レセプタクル10の支持部として機能する。このようにして、活性化すべき対象物1は、作用空間4内の所定位置に配置される。肉厚領域16は、さらに、金属化部6とレセプタクル10との間のアイソレーションを提供する役割を果たす。さらに、肉厚領域16は、誘電作用チャンバ2が装入されるハウジング12の開口からオゾンがほとんど逃げないようにハウジング12に密封性を提供する。
【0060】
図3は、誘電作用チャン2を無菌パッケージ17に入れた状態を示している。誘電作用チャンバ2はプラズマ処理の際に1回だけ使用され、プラズマ処理の実行後は廃棄するものである。次のプラズマ処理の前に、新たな誘電作用チャンバ2がベースユニット11に装入されることになる。このようにすることで、非常にコストのかかる高電圧源9の洗浄を回避することが可能となる。ベースユニット11に装入される直前に、誘電作用チャンバ2は無菌パッケージ17から取り出される。このようにして、誘電作用チャンバ2が汚染されないようにすることができる。
【0061】
図4は、誘電作用チャンバ2の代替的実施形態を示す。図4に示す代替的実施形態では、壁部3は、作用チャンバの出口を閉鎖する底部18をさらに有する。この誘電作用チャンバは、ハウジングに装入することも可能です。
【0062】
図5は、誘電作用チャンバ2の別の代替的実施形態を示す。図5に示す実施形態では、作用チャンバ2の底部に作用物質19が追加的に配置されている。作用物質19は、プロセスガス又は液体であることができる。誘電バリア放電時に、作用物質19を所定の蒸気圧で供給すると、強い酸化特性を有するか又は還元特性を有する新たな種が気相で発生するか、化学的に反応するフラグメントが放出されることができ、活性化すべき対象物上に粗いガラス状の層が発生することができる。例えば、作用物質19は、水や過酸化水素を含むことができ、誘電バリア放電の際に酸化を起こすことができる。代替的又は付加的に、作用物質19は、誘電バリア放電の際に還元的に作用する水素を含んでいてもよい。代替的又は追加的に、活性物質19は、PECVD(プラズマ強化化学気相堆積:plasma enhanced chemical vapour deposition)によって適用されるHMDSO又はTEOS有機ケイ素化合物であることができ、化学反応フラグメントを放出するものであることができる。
【0063】
金属化部6は、外側に突出した突出部6aを有し、金属化部6のコンタクトを可能にする。さらに、金属化部6はアイソレーション6bによって覆われており、突出部6aはアイソレーション6bから突出しているため、アイソレーション6bから解放された状態を保つことができる。アイソレーション6bは金属化6を保護する。突出部6aはアイソレーション6bにもかかわらず金属化部6のコンタクトを可能にする。また、先の図に示した作用チャンバ2は、外側に突出した突出部6a及びアイソレーション6bを備える金属化部6を有することができる。
【0064】
図6は、本装置の代替的実施形態を示す。図6に示す実施形態では、高電圧源9、この場合は、圧電トランスは、配線又はコンタクト8を介して誘電作用チャンバ2上の金属化部6に直接接続されない。その代わり、高電圧源9と金属化部6との間のエネルギー伝達は、例えば放電やスパークギャップを介して非接触で行われる。
【0065】
図7は、別の代替的実施形態を示す。図7に示す実施形態では、高電圧源9は、誘電作用チャンバ2上の金属化部6には接続されておらず、被処理対象物1に接続されている。相応に、被処理対象物1に高電圧を印加する。誘電作用チャンバ2上の金属化部6は、基準電位に接続されている。先の実施形態と同様に、被処理対象物1の表面と金属化部6との間の電位差により、誘電放電及びプラズマ点火が起こる。誘電作用チャンバ2の壁部3は、ここでは誘電バリアとしても機能する。
【0066】
図8は、実施形態のさらなる例を示す図である。図8に示す実施形態では、誘電作用チャンバ2の周囲に高電圧源9として複数の、例えば3つの圧電トランスが配置されている。圧電トランスは、図5にも示すように、オープンに動作する(offen betrieben)。すなわち、エネルギー伝達はスパークギャップ又は放電を介して行われる。複数の高電圧源9を使用することで、非接触エネルギー伝送で不可避的に発生するエネルギー損失を補うことができる。活性化すべき対象物1は、プラズマ処理中に作用空間4内で回転する。
【0067】
図9は、別の代替的実施形態を示し、圧電トランスである第1高電圧源9が、作用チャンバ2の長手方向面に配置され、非接触でエネルギーを金属化部6に伝達する。さらに、誘電作用チャンバ2の底部18の下には、第2高電圧源、特に第2圧電トランスが配置されている。作用チャンバ4の反対側である底部18の外側面には、金属化部6が設けられ、圧電トランスはこれに高電圧9を伝達する。この結果、底部18と活性化すべき対象物1との間でプラズマ点火が起こる。第2高電圧源9と底部18の金属化部6との間のエネルギー伝達は非接触、つまり放電又はスパークギャップを介して行われる。あるいは、第2高電圧源9は、コンタクト8を介して金属化部6と電気的に接続されることができる。
【0068】
図10は、誘電作用チャンバ2のさらなる実施形態を示す。図10に示す実施形態では、金属化部6は連続しておらず、互いに分離した複数のリング状の金属化部6からなる。金属化部6の各リングは、例えば、1mmから3mmまでの範囲の長さを有することができ、2つのリング間に、長手方向に0.5mm以上2.0mm以下の間の広がりを有する、金属化部6フリーの面積がそれぞれ配置される。
【0069】
金属化部6のリング状のデザインは、静電容量の減少をもたらし、それによって寄生負荷が減少する。これにより、装置の消費電力が減り、流れる無効電流も少なくなる。さらに、リングのエッジ部分の電界強度が特に高いため、特に効率よくプラズマ処理を行うことができる。あるいは、金属化部6として1つのリングのみを使用し、被処理対象物1を長手方向に十分に移動させて、その全体表面が処理されるようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 活性化すべき対象物/インプラント
2 誘電作用チャンバ
2a 入口
2b 出口
3 壁部
4 作用空間
5 外側面
6 金属化部
6a 突出部
6b アイソレーション
7 内側面
8 コンタクト
9 高電圧源
10 レセプタクル
11 ベースユニット
12 ハウジング
13 制御ユニット
14 換気部
15 フィルタ
16 領域/カラー
17 パッケージ
18 底部
19 活性物質
D 壁部の厚さ
L 金属化部の長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】