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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】短絡検出回路
(51)【国際特許分類】
   H04L 25/02 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
H04L25/02 V
H04L25/02 301B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543624
(86)(22)【出願日】2021-01-18
(85)【翻訳文提出日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 US2021013794
(87)【国際公開番号】W WO2021146672
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】16/746,796
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【弁護士】
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】サトヤ サムスワラ カウシック ヤナマンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ソウムヤ チャンドラモウリ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル シンシュール ルー
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029AA06
5K029CC01
5K029EE01
5K029KK14
5K029KK24
(57)【要約】
本記載の態様は回路(400)を提供する。少なくとも幾つかの例において、この回路は、差動導体を介して送信するための電圧が存在する出力ノード(420)を含む。この回路は、電圧供給ノード(418)と出力ノードとの間に結合され、第1の量の抵抗を含むように構成される第1のプルアップネットワークを更に含む。この回路は、電圧供給ノードと出力ノードとの間に結合され、第2の量の抵抗を含むように構成される第2のプルアップネットワーク(408)を更に含む。この回路は、出力ノードに結合される第1の入力端子と、基準電圧を受け取るように構成される第2の入力端子と、比較結果を出力するように構成される出力端子とを有する比較器(416)を更に含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路であって、
差動導体を介する送信のための電圧が存在する出力ノードと、
電圧供給ノードと前記出力ノードとの間に結合され、第1の量の抵抗を含むように構成される第1のプルアップネットワークと、
電圧供給ノードと前記出力ノードとの間に結合され、第2の量の抵抗を含むように構成される第2のプルアップネットワークと、
前記出力ノードに結合される第1の入力端子、基準電圧を受け取るように構成される第2の入力端子、比較結果を出力するように構成される出力端子を有する比較器と、
を含む、回路。
【請求項2】
請求項1に記載の回路であって、
前記第1のプルアップネットワークが、
前記第1の量の抵抗を有する第1のプルアップ抵抗器と、
前記電圧供給ノードと前記出力ノードとの間で前記第1のプルアップ抵抗器と直列に結合される第1のトランジスタと、
を含み、
前記第2のプルアップネットワークが、
前記第2の量の抵抗を有する第2のプルアップ抵抗器と、
前記電圧供給ノードと前記出力ノードとの間で前記第2のプルアップ抵抗器と直列に結合される第2のトランジスタと、
を含む、回路。
【請求項3】
請求項1に記載の回路であって、
前記差動導体が電圧供給又は接地ノードに短絡されているとき、前記第1の量の抵抗が、前記差動導体の予期される終端抵抗よりも小さく、前記差動導体上に存在する抵抗よりも大きく、
前記差動導体が高インピーダンス状態にあるとき、前記第2の量の抵抗が、前記差動導体の前記予期される終端抵抗よりも大きく、前記差動導体上に存在する抵抗よりも小さい、回路。
【請求項4】
請求項1に記載の回路であって、前記第1の量の抵抗が前記差動導体上に存在する抵抗よりも大きい場合、障害が存在し、前記第2の量の抵抗が前記差動導体上に存在する前記抵抗よりも小さい場合、高インピーダンス状態が存在する、回路。
【請求項5】
請求項4に記載の回路であって、
前記障害が存在するとき、前記第1のプルアップネットワークがアクティブになった後、事前定義された時間期間、送信のための前記電圧が基準電圧よりも小さく、
前記高インピーダンス状態が存在するとき、前記第2のプルアップネットワークがアクティブになった後、事前定義された時間期間、送信のための前記電圧が前記基準電圧よりも大きい、回路。
【請求項6】
請求項1に記載の回路であって、
前記第1のプルアップネットワークがアクティブであり、前記第1のプルアップネットワークがアクティブになった後、事前定義された時間期間、送信のための前記電圧が基準電圧よりも小さい場合に障害が存在し、
前記第2のプルアップネットワークがアクティブであり、前記第2のプルアップネットワークがアクティブになった後、事前定義された時間期間、送信のための前記電圧が前記基準電圧よりも大きい場合、高インピーダンス状態が更に存在する、回路。
【請求項7】
請求項6に記載の回路であって、
前記差動導体が電圧供給又は接地ノードに短絡されているとき、前記第1の量の抵抗が、前記差動導体の予期される終端抵抗よりも小さく、前記差動導体上に存在する抵抗よりも大きく、
前記差動導体が前記高インピーダンス状態にあるとき、前記第2の量の抵抗が、前記差動導体の前記予期される終端抵抗よりも大きく、前記差動導体上に存在する抵抗よりも小さい、回路。
【請求項8】
請求項1に記載の回路であって、
前記電圧供給ノードと第1のノードとの間に結合される第1の抵抗器と、
前記第1のノードと前記出力ノードとの間に結合される第2の抵抗器と、
前記第1のノードに結合される第1の入力端子、前記差動導体に関連するコモンモード電圧を受け取るように構成される第2の入力端子、及び前記出力ノードに結合される出力端子を有する増幅器と、
を更に含む、回路。
【請求項9】
請求項8に記載の回路であって、前記第1の抵抗器、前記第2の抵抗器、及び前記増幅器が、前記第1の出力ノードを、前記電圧供給ノードに存在する電圧供給信号の値の1/2にほぼ等しい値に強いる、回路。
【請求項10】
方法であって、
差動導体上の送信が少なくとも部分的に基づくコモンモード電圧を受け取ることと、
前記差動導体に結合される第1のプルアップネットワークをイネーブルすることと
前記プルアップネットワークの抵抗が、前記差動導体に関連する抵抗よりも大きいとき、第1の時間期間の後、前記差動導体に存在する電圧を基準電圧と比較することによって、前記差動導体上の障害の存在を示す比較結果を生成することと、
前記プルアップネットワークの前記抵抗が、前記差動導体に関連する前記抵抗よりも小さいとき、前記差動導体に存在する前記電圧を前記基準電圧と比較することによって、前記差動導体上に障害がないことを示す前記比較結果を生成することと、
を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記第1の時間期間、前記第1のプルアップネットワークをイネーブルにされるように制御することと、
前記差動導体の障害状態を判定するために、前記第1の時間期間の終わりに前記比較結果をサンプリングすることと、
を更に含む、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、
前記差動導体に結合される第2のプルアップネットワークをイネーブルすることと、
前記第2のプルアップネットワークの抵抗が、前記差動導体に関連する前記抵抗よりも小さいとき、前記差動導体に存在する前記電圧を前記基準電圧と比較することによって、前記差動導体上の高インピーダンス状態の存在を示す前記比較結果を生成することと、
前記プルアップネットワークの前記抵抗が、前記差動導体に関連する前記抵抗よりも大きいとき、前記差動導体に存在する前記電圧を前記基準電圧と比較することによって、前記差動導体の終端を示す前記比較結果を生成することと、
を更に含む、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
第2の時間期間イネーブルされるように前記第2のプルアップネットワークを制御することと、
前記差動導体の状態を判定するために、前記第2の時間期間の終わりに前記比較結果をサンプリングすることと、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、
前記差動導体の第1の極性部分が前記高インピーダンス状態になるように、及び、前記差動導体の第2の極性部分が有効な終端によって終端されるように、制御することと、
前記差動導体の前記第1の極性部分が終端されているか否かを判定することと、
前記差動導体の前記第1の極性部分が終端されていると判定されると、前記差動導体の前記第1の極性部分が有効に終端されるように、及び、前記差動導体の前記第2の極性部分が前記高インピーダンス状態にあるように、制御することと、
前記差動導体の前記第2の極性部分が終端されているか否かを判定することと、
前記差動導体の前記第2の極性部分が終端されているとき、前記差動導体の前記第1の極性部分と前記差動導体の前記第2の極性部分との間に短絡が存在すると判定することと、
を更に含む、方法。
【請求項15】
システムであって、
障害検出回路を含むトランスミッタと、
終端回路を含むレシーバと、
差動導体と、
を含み、
前記障害検出回路が、
前記差動導体を介する送信のための電圧が存在する出力ノードと、
或る電圧供給ノードと前記出力ノードとの間に結合される第1のプルアップネットワークと、
或る電圧供給ノードと前記出力ノードとの間に結合される第2のプルアップネットワークと、
前記出力ノードに結合された第1の入力端子、基準電圧を受け取るように構成される第2の入力端子、及び比較結果を出力するように構成される出力端子を有する比較器と、を含み、
前記差動導体が、
前記出力ノードを前記レシーバと結合する正導体であって、前記障害検出回路及び前記終端回路に結合するように構成される前記正導体と、
前記トランスミッタを前記レシーバに結合する負導体であって、前記障害検出回路及び前記終端回路に結合するように構成される前記負導体と、
を含む、システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、前記障害検出回路が、
差動導体上の送信が少なくとも部分的に基づくコモンモード電圧を受け取り、
前記第1のプルアップネットワークをイネーブルし、
前記第1のプルアップネットワークの抵抗が前記差動導体に関連する抵抗よりも大きいとき、前記差動導体に存在する電圧を基準電圧と比較することによって、前記差動導体上の障害の存在を示す比較結果を生成し、
前記第1のプルアップネットワークの前記抵抗が前記差動導体に関連する前記抵抗よりも小さいとき、前記差動導体に存在する前記電圧を前記基準電圧と比較することによって、前記差動導体上に障害がないことを示す前記比較結果を生成する、
ように構成される、
システム。
【請求項17】
請求項15に記載のシステムであって、前記システムが、
前記正導体を高インピーダンス状態に維持し、前記負導体を有効な終端を用いて終端させるように、前記終端回路を制御し、
前記正導体が終端されているか否かを判定し、
前記正導体が終端されていると判定された場合、前記負導体を前記高インピーダンス状態に維持し、前記正導体を前記有効な終端を用いて終端させるように、前記終端回路を制御し、
前記負導体が終端されているか否かを判定し、
前記負導体が終端されていると判定された場合、前記正導体と前記負導体との間に短絡が存在すると判定する、
ように構成される、システム。
【請求項18】
請求項15に記載のシステムであって、前記障害検出回路が更に、
前記第2のプルアップネットワークをイネーブルし、
前記第2のプルアップネットワークの抵抗が、前記差動導体に関連する前記抵抗よりも小さいとき、前記差動導体に存在する前記電圧を前記基準電圧と比較することによって、前記差動導体上の高インピーダンス状態の存在を示す前記比較結果を生成し、
前記プルアップネットワークの前記抵抗が、前記差動導体に関連する前記抵抗よりも大きいとき、前記差動導体に存在する前記電圧を前記基準電圧と比較することによって、前記差動導体の有効な終端を示す前記比較結果を生成する、
ように構成される、システム。
【請求項19】
請求項15に記載のシステムであって、前記障害検出回路が、
前記電圧供給ノードと第1のノードとの間に結合される第1の抵抗器と、
前記第1のノードと前記出力ノードとの間に結合される第2の抵抗器と、
前記第1のノードに結合される第1の入力端子、前記差動導体に関連するコモンモード電圧を受け取るように構成される第2の入力端子、及び前記出力ノードに結合される出力端子を有する増幅器と、
を更に含む、システム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、
前記差動導体が電圧供給又は接地ノードに短絡されているとき、前記第1のプルアップネットワークが、前記差動導体の予期される終端抵抗よりも小さく、前記差動導体に存在する抵抗よりも大きい抵抗を含み、
前記差動導体が高インピーダンス状態にあるとき、前記第2のプルアップネットワークが、前記差動導体の前記予期される終端抵抗よりも大きく、前記差動導体上に存在する抵抗よりも小さい抵抗を含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の態様は或る回路を提供する。少なくとも幾つかの例において、この回路は、差動導体を介して送信するための電圧が存在する出力ノードを含む。この回路は、電圧供給ノードと出力ノードとの間に結合され、第1の量の抵抗を含むように構成される第1のプルアップネットワークを更に含む。この回路は、電圧供給ノードと出力ノードとの間に結合され、第2の量の抵抗を含むように構成される第2のプルアップネットワークを更に含む。この回路は、出力ノードに結合される第1の入力端子と、基準電圧を受け取るように構成される第2の入力端子と、比較結果を出力するように構成される出力端子とを有する比較器を更に含む。
【発明の概要】
【0002】
本明細書の他の態様が方法を提供する。少なくとも幾つかの例において、この方法は、差動導体上の送信が少なくとも部分的に基づくコモンモード電圧を受け取ることを含む。この方法は更に、差動導体に結合される第1のプルアップネットワークをイネーブルすることを含む。この方法は更に、プルアップネットワークの抵抗が差動導体に関連する抵抗よりも大きい場合に、第1の時間期間の後、差動導体に存在する電圧を基準電圧と比較することによって、差動導体上の障害の存在を示す比較結果を生成することを含む。この方法は更に、プルアップネットワークの抵抗が差動導体に関連する抵抗よりも小さい場合に、差動導体に存在する電圧を基準電圧と比較することによって、差動導体上に障害がないことを示す比較結果を生成することを含む。
【0003】
本明細書の他の態様が、システムを提供する。少なくとも幾つかの例において、システムは、障害検出回路を含むトランスミッタを含む。障害検出回路は、差動導体を介して送信するための電圧が存在する出力ノードと、電圧供給ノードと出力ノードとの間に結合される第1のプルアップネットワークと、電圧供給ノードと出力ノードとの間に結合される第2のプルアップネットワークと、出力ノードに結合される第1の入力端子、基準電圧を受け取るように構成される第2の入力端子、及び比較結果を出力するように構成される出力端子を有する比較器とを含む。このシステムはまた、終端回路を含むレシーバを含む。このシステムは、差動導体を更に含む。差動導体は、出力ノードをレシーバに結合する正導体であって、障害検出回路及び終端回路に結合するように構成される正導体と、トランスミッタをレシーバに結合する負導体であって、障害検出回路及び終端回路に結合するように構成される負導体とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
種々の例の詳細な説明について、添付図面を参照する。
【0005】
図1】種々の例に従った例示のシステムのブロック図を示す。
【0006】
図2】種々の例に従った例示の回路の概略図を示す。
【0007】
図3A】種々の例に従った例示の信号波形の図を示す。
【0008】
図3B】種々の例に従った例示の信号波形の図を示す。
【0009】
図4】種々の例に従った例示の回路の概略図を示す。
【0010】
図5A】種々の例に従った例示の信号波形の図を示す。
【0011】
図5B】種々の例に従った例示の信号波形の図を示す。
【0012】
図6A】種々の例に従った例示の信号波形の図を示す。
【0013】
図6B】種々の例に従った例示の信号波形の図を示す。
【0014】
図7】種々の例に従ったピンストラップ検出の例示の方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
現代の回路設計において、特徴セットを増大させることと、物理的サイズを低減すること、従って構成要素のコストを低減することという競合する利益がしばしば生じる。例えば、差動導体(例えば、正及び負の差動信号線を有するもの)を含むシステムにおいて、差動導体が電圧供給(VDD)又は接地(GND)ノードに短絡されているか否かを判定することが望ましい場合がある。しかしながら、差動導体を含む少なくとも幾つかの回路実装は、差動導体に関連する直流(DC)情報へのアクセスを防止する交流(AC)デカップリングキャパシタも含む。少なくとも幾つかの実装において、差動導体に関連するそのDC情報へのアクセスがないと、差動導体の終端状態(例えば、有効な終端か又は短絡か)を判定することが複雑になるか又はより高価になる。例えば、一つの解決策として、ピン(例えば、入力/出力(I/O)インタフェース)を回路に付加して、ACカップリングキャパシタの反対側(例えば、ACカップリングキャパシタの、差動導体に結合されている側)でDC電圧感知を可能にすることが含まれる。しかしながら、この解決策は、回路の物理的サイズを増大させ、従って、回路のコストを増加させるため、少なくとも幾つかの回路使用例にとっては、望ましいことではない。
【0016】
本明細書の少なくとも幾つかの態様が、回路を提供する。この回路は、幾つかの例において、終端状態判定回路である。この回路は、少なくとも幾つかの例において、差動導体が有効に終端されているか(例えば、50オーム(Ω)又は特定されたその他の抵抗によって終端されているか)又は短絡されているか(例えば、約10Ω未満の抵抗が存在するか)を回路が判定できるようにする機能性を含む。回路の少なくとも幾つかの実装は更に、差動導体の正導体と負導体との間の短絡と、差動導体の正導体又は負導体の一方と、VDD又はGNDとの間の短絡とを区別する機能性を含む。回路は、複数の抵抗値を用いてプルアップネットワークを実装することによって、少なくとも部分的に2工程プロセスに従って、上述の機能性を達成する。第1の工程で、回路は、差動導体の正導体又は負導体が高インピーダンス(高Z)状態にあるか又は低インピーダンス状態にあるかを判定する。第2の工程で、回路は、差動導体の正導体又は負導体が予期される抵抗(例えば、約50Ω等)又は予期される抵抗よりも小さい幾つかの他の抵抗を用いて終端されているか否かを判定する。このように、回路は、差動導体の正導体又は負導体が高Z状態にあるか否かを判定する。回路は更に、差動導体の正導体又は負導体が、予期される抵抗よりも小さい他の抵抗を用いて終端されているか否かを判定し、そのような状況では、差動導体の正導体又は負導体のそれぞれ一つに対する短絡の存在を判定する。
【0017】
ここで図1を参照すると、例示のシステム100のブロック図が示されている。システム100の少なくとも幾つかの実装は、差動導体106を介して通信可能に結合されるトランスミッタ102及びレシーバ104を含む。このように、システム100は、トランスミッタ102及びレシーバ104が両方とも同じデバイスに実装されるデバイス及びトランスミッタ102又はレシーバ104の一方のみを含むデバイスを含む、複数のデバイスを表す。少なくとも幾つかの例において、システム100は、自動車又は他の輸送車両(例えば、飛行機、ボート、バス、トラック等)を表すか又はその中に実装される。
【0018】
少なくとも一つの実装において、トランスミッタ102は、ドライバ108及び障害検出回路110を含む。ドライバ108は、トランスミッタ102の第1の出力端子112に結合される第1の出力と、トランスミッタ102の第2の出力端子114に結合される第2の出力とを含む。差動導体106は、正導体116及び負導体118を含む。レシーバ104は、レシーバフロントエンド120及び入力終端回路122を含む。レシーバフロントエンド120は、レシーバ104の第1の入力端子124に結合される第1の入力端子と、レシーバ104の第2の入力端子126に結合される第2の入力端子とを含む。第1の出力端子112は、キャパシタ128を介して正導体116に結合される。第1の入力端子124は、キャパシタ130を介して正導体116に結合される。第2の出力端子114は、キャパシタ132を介して負導体118に結合される。第2の入力端子126は、キャパシタ134を介して負導体118に結合される。
【0019】
システム100の通常動作の間、入力終端回路122は、特定された量の抵抗を用いて、正導体116及び負導体118の各々を終端させる。少なくとも幾つかの例において、その抵抗は50Ωにほぼ等しい。他の例において、その抵抗は、システム100に対して適用可能な業界標準又は設計判断に従って決定及び設定される。以下の説明は、第1の出力端子112及び正導体116を参照してなされる。しかしながら、類似の機能性が第2の出力端子114及び負導体118に関しても適用する。正導体116に障害が存在するか否かを判定するために、少なくとも幾つかの実装において、障害検出回路110は、第1の出力端子112を監視する単工程プロセスを含む。例えば、障害検出回路110は、第1の出力端子112を監視して、第1の出力端子112に存在する信号の値(TXPと呼ばれる)が、特定された時間期間の後、閾値を超えるか超えないかを判定する。閾値は、幾つかの例において、障害検出回路110が受け取った基準電圧(VREF)である。特定された時間期間の満了時に、TXPがVREFよりも大きい場合、障害検出回路110は、正導体116内に障害が存在しないと判定する。特定された時間期間の満了時に、TXPがVREFよりも大きくない場合、障害検出回路110は、正導体116内に障害が存在すると判定する。障害は、正導体116の、VDD又はGNDのいずれかへの短絡である。
【0020】
少なくとも幾つかの例において、障害検出回路110は、正導体116に分圧器(図示せず)を実装するために適した構成要素を含み、そのため、入力終端回路122によって提供される終端が分圧器の底部抵抗器であり、障害検出回路110の構成要素の一つ又は複数が分圧器の頂部抵抗器であり、第1の出力端子112が分圧器の出力となる。少なくとも幾つかの例において、障害検出回路110の一つ又は複数の構成要素は切り替え構成要素であり、そのため、それらは分圧器を活性化又は非活性化するように信号経路への入出を選択的に切り替えられる。例えば、少なくとも一つの例において、一つ又は複数の構成要素は、一つ又は複数のプルアップネットワークを含むか又は形成する。幾つかの例において、システム100は更に、障害検出回路110の少なくとも幾つかの構成要素を制御する回路136を含む。種々の実装において、回路136は、論理回路、デジタル回路、プロセッサ、デジタルコア等の種々の形態を取る。少なくとも幾つかの例において、回路136は、トリガ信号(TRIG1)を生成して障害検出回路110に出力し、分圧器の活性化又は非活性化を制御する。他の例において、回路136はVREFを障害検出回路110に出力する。更に別の例において、障害検出回路110は、回路136に結合される出力端子を含み、例えば、TRIG1の状態が変化したときに、回路136が回路136の出力値をサンプリングすることを可能にする。
【0021】
他の例において、障害検出回路110は、正導体116に障害が存在するか否かを判定するために第1の出力端子112を監視する多工程プロセスを含む。例えば、障害検出回路110は、障害検出回路110内に複数の分圧器を選択的に生成するように、切り替え可能に制御された複数の構成要素を含む。例えば、第1の工程で、障害検出回路110は、正導体116が高Z状態にあるか又は終端されているかを判定する。高Z状態の存在は、幾つかの例において、障害(例えば、開回路)の証拠であり、他の例においては、単なる報知(例えば、レシーバ104がデータを受け取る準備ができていないことを示すもの)である。第2の工程で、障害検出回路110は、正導体116の終端が、入力終端回路122によってなされた有効な終端であるか又はVDD又はGNDへの短絡であるかを判定する。障害検出回路110は、第1の量の抵抗を信号経路に切り替え、第1の電圧ドライバを生成することによって、第1の工程で判定を実施する。入力終端回路122によって提供される終端が第1の分圧器の底部抵抗器であり、障害検出回路110の一つ又は複数の構成要素が第1の分圧器の頂部抵抗器であり、第1の量の抵抗を提供し、その際、第1の出力端子112が第1の分圧器の出力である。
【0022】
少なくとも幾つかの例において、キャパシタ128及びキャパシタ130は、第1の出力端子112と入力終端回路122との間に結合される。従って、幾つかの例において、キャパシタ128及びキャパシタ130は、正導体上に存在するインピーダンスを変更する(例えば、第1の出力端子112からわかるように、第1の分圧器の底部抵抗器として)。また、本明細書の他の箇所に詳細に説明されるように、キャパシタ128は、頂部抵抗器と底部抵抗器の電圧の比に基づいて充電し、正導体116が有効に終端されているか又は短絡されているかに関して、事前定義された時間期間の後のサンプリング時の指標を提供する。キャパシタ128及びキャパシタ130は、変化しないままであるので、それらは、概して、第1の出力ノード112での出力を用いて形成される分圧器に関しては、本明細書では説明されていない。障害検出回路110は、第2の量の抵抗を、第2の分圧器を生成する信号経路に切り替えることによって、第2の工程で判定を実施する。入力終端回路122によって提供される終端は、第2の分圧器の底部抵抗器であり、障害検出回路110の一つ又は複数の他の構成要素は、第2の分圧器の頂部抵抗器であり、第2の量の抵抗を提供し、その際、第1の出力端子112は、第2の分圧器の出力である。少なくとも幾つかの例において、障害検出回路110は、第1の工程のために構成要素の切り替えを制御するためにTRIG1を受信することに加えて、第2の工程のために構成要素の切り替えを制御するために第2のトリガ信号(TRIG2)を回路136から受信する。
【0023】
障害検出回路110が2工程プロセスを実装する場合、第1の工程で、特定された時間期間の満了時にTXPがVREFよりも大きくない場合、障害検出回路110は、正導体116が終端されていると判定する。同様に、第1の工程で、特定された時間期間の満了時にTXPがVREFよりも大きい場合、障害検出回路110は、正導体116が高Z状態にあり、無効に終端されていると判定する。第2の工程で、特定された時間期間の満了時にTXPがVREFよりも大きい場合、障害検出回路110は、正導体116が終端されていると判定する。同様に、第1の工程で、特定された時間期間の満了時にTXPがVREFよりも大きい場合、障害検出回路110は正導体116に短絡が存在しないと判定する。特定された時間期間の満了時にTXPがVREFよりも大きくない場合、障害検出回路110は、正導体116とVDD又はGNDとの間に短絡が存在すると判定する。
【0024】
少なくとも幾つかの例において、特定された時間期間の満了時にTXPがVREFを超えるか否かは、少なくとも部分的に、正導体116上に存在する抵抗に対する障害検出回路110のプルアップ抵抗の関係に従って判定される。例えば、充電時間は、キャパシタ128の容量、障害検出回路110の抵抗、及び正導体116上に存在する抵抗に従って判定される。キャパシタ128の容量は実質的に一定のままであるので、TXPの充電時間の変動は、その後、障害検出回路110の抵抗と正導体116上に存在する抵抗との関係に従って定義され得る。例えば、障害検出回路110の抵抗が正導体116上に存在する抵抗よりも小さい場合、TXPは、より速い速度で充電する。障害検出回路110の抵抗が正導体116上に存在する抵抗よりも大きい場合、TXPはより遅い速度で充電する。
【0025】
幾つかの例において、トランスミッタ102及び/又は回路136、又はトランスミッタ102及び/又は回路136が実装されるデバイスは、レシーバ104に対して制御を行使することができない。しかしながら、他の例において、トランスミッタ102及び/又は回路136、又はトランスミッタ102及び/又は回路136が実装されるデバイスは、レシーバ104に対して制御を行使することができる。レシーバ102が、トランスミッタ102及び/又は回路136、又はトランスミッタ102及び/又は回路136が実装されるデバイスによって制御可能であるそのような例において、システム100は更に、正導体116と負導体118との間に短絡が存在するか否かを判定するための機能性を含む。正導体116と負導体118との間の短絡検出の少なくとも一つの実装において、レシーバ104は、正導体116を高Z状態に置き、負導体118を有効に終端させるように制御される。障害検出回路110はその後、2工程障害検出プロセスの第1の工程を実装して、正導体116が、障害検出回路110で、レシーバ104が正導体116を高Z状態に置いたにも拘わらず、有効に終端されているとして検出されたか否かを判定する。障害検出回路110が、正導体116が有効に終端されていると判定した場合、レシーバ104は次に、負導体118を高Z状態に置き、正導体116を有効に終端させるように制御される。障害検出回路110はその後、2工程障害検出プロセスの第1の工程を繰り返して、レシーバ104が負導体118を高Z状態に置いたにも拘わらず、負導体118が、障害検出回路110で、有効に終端されたか否かを判定する。障害検出回路110が、負導体118もまた、有効に終端されていると判定する場合、障害検出回路110(又は、障害検出回路110の一つ又は複数の出力信号に基づいて回路136)は、正導体116と負導体118との間に短絡が存在すると判定する。障害検出回路110によって、正導体116又は負導体118のいずれかが高Z状態であると判定された場合、障害検出回路110(又は、障害検出回路110の一つ又は複数の出力信号に基づいて回路136)は、正導体116と負導体118との間に短絡が存在しないと判定する。
【0026】
ここで図2を参照すると、例示の障害検出回路200の概略図が示される。少なくとも幾つかの例において、回路200は、図1のシステム100の障害検出回路110の一部としての実装に適している。例えば、回路200は、正導体116における障害を検出する障害検出回路110の一部としての実装に適している。回路200の別の事例は更に、正導体116に関して本明細書で説明したものと実質的に同様に、負導体118における障害を検出する障害検出回路110の一部としての実装に適している。あるいは、回路200は、正導体116(又は代替的に、負導体118)が高Z状態にあるか否かを判定する障害検出回路110の一部としての実装に適している。少なくとも一つの実装において、回路200は、スイッチ202、抵抗器204、及び比較器206を含む。少なくとも幾つかの例において、スイッチ202は、トランジスタ等のソリッドステートスイッチングデバイスとして実装され、TRIG1を受信し、TRIG1に少なくとも部分的に従って制御されるように構成される。他の例において、スイッチ202は、TRIG1を受信し、TRIG1に従って少なくとも部分的に制御されるように構成される、機械的スイッチングデバイスとして実装される。ノード210に結合された導体の予期される終端抵抗が約50Ωである回路200の少なくとも一つの実装において、抵抗器204の抵抗は約20Ωの抵抗である。
【0027】
回路200の例示のアーキテクチャにおいて、スイッチ202及び抵抗器204は、ノード208とノード210との間に直列に結合される。スイッチ202及び抵抗器204は、少なくとも幾つかの例において、集合的にプルアップネットワークと呼ばれる。少なくとも幾つかの例において、ノード208は、VDDが存在するノードであり、ノード210は出力ノードである(例えば、その結果、回路200のノード208は、トランスミッタ102の第1の出力端子112に類似する)。図2において、ノード208に結合するスイッチ202及びノード210に結合する抵抗器として図示されているが、幾つかの実装において、この方向は逆になる。比較器206は、ノード210に結合された第1の入力端子(例えば、負又は反転の入力端子)、及びノード212に結合された第2の入力端子(例えば、正又は非反転の入力端子)を有する。比較器206の出力端子がノード214に結合される。少なくとも幾つかの例において、VREFがノード212で受信され、出力信号COMP OUTがノード214で提供され、COMP OUTは、ノード210に結合された導体において、障害(又は、回路200の実装に応じて、高Z状態)が検出されたか否かを示す。
【0028】
回路200の動作の例において、信号がノード210で受信される。少なくとも幾つかの例において、信号はTXPとして送信するためのコモンモード電圧(VCM)である。少なくとも幾つかの例において、信号は差動成分を含まない(例えば、差動データの送信の前に、システム始動時に本明細書の障害検出が実施される場合等)。回路200がディセーブルされると、ノード210で受信された信号は、実質的に変更されず、同じくノード210で、TXPとして出力される。TRIG1がアサートされる場合等に、回路200がイネーブルされると、スイッチ202は活性化し、抵抗器204をノード208に電気的に結合する。VDDがノード208に存在する場合、ノード210は、抵抗器204及びスイッチ202を介して、高にプルされる(例えば、VDDの値に近づく)。VREFは、少なくとも幾つかの例において、VCMよりも大きく、VDDよりも小さい値である。TXPが送信される正導体116等の、ノード210に結合された導体の予期される終端抵抗(約50Ω等)を知ることによって、回路200は導体がVDD又はGNDに短絡されているか否かを判定する。
【0029】
抵抗器204が、TXPが送信される導体の予期される終端抵抗よりも少ない量の抵抗を有する場合、TXPの値は、TRIG1がアサートされている間、VREFを超えるように増加する。抵抗器204が、TXPが送信される導体の予期される終端抵抗よりも大きな量の抵抗を有する場合、TRIG1がアサートされている間、TXPの値はVREFを超えるように増加しない。少なくとも幾つかの例において、抵抗器204の抵抗の値は、有効に終端されている導体及びVDD又はGNDに短絡されている導体の両方の条件に対して、比較器206が最大のマージン(例えば、比較器206に、条件が満たされているか否かの判定を可能にさせるマージン)を有するように選択される。少なくとも幾つかの例において、TXPが送信される導体がVDD又はGNDに短絡される場合、導体上に存在する抵抗は抵抗器204の抵抗よりも小さい。例えば、導体上に存在する抵抗は約10Ωよりも小さい。逆に、TXPが送信される導体が、VDD又はGNDに短絡されず、その代わりに有効に終端されている場合、TXPが送信される導体の予期される終端抵抗が導体上に存在する。少なくとも一つの例において、導体上に存在する抵抗は、約40Ωより大きいか又は約50Ωにほぼ等しい。抵抗器204の抵抗と導体上に存在する抵抗との間の関係に基づいて、TXPの値は増加する。抵抗器204の抵抗が導体上に存在する抵抗よりも大きい場合、VDDの大部分は、抵抗器204の両端間で降下し、その結果、TXPの値がゆっくり増加する。逆に、抵抗器204の抵抗が導体上に存在する抵抗よりも小さい場合、VDDの大部分は、導体の両端間で降下し、その結果、TXPの値がより急速に増加する。
【0030】
例えば、TRIG1の第1のエッジ遷移が生じた後、TRIG1は、TXPが送信される導体の予期される終端抵抗及び抵抗器204の抵抗に少なくとも部分的に従って決定された事前定義された時間期間、アサートされたままである。少なくとも幾つかの例において、事前定義された時間期間は、ノード210に結合された抵抗器204及びACカップリングキャパシタ(例えば、キャパシタ128)、並びに正導体116上に存在する抵抗によって生成される抵抗器-キャパシタ(RC)時間定数に従って判定される。TRIG1の第2のエッジ遷移で、VREFを超えてTXPの値が増加する場合、回路200は、導体上に存在する抵抗が抵抗器204の抵抗よりも大きいため、導体内に短絡はないと判定する。しかしながら、TRIG1の第2のエッジにおいて、TXPがVREFよりも小さいままである場合、回路200は、導体上に存在する抵抗が抵抗器204の抵抗よりも小さいので、導体内に短絡が存在すると判定する。この判定は、少なくとも幾つかの例において、比較器206がTXPをVREFと比較してCOMP OUTを生成することによってなされる。図2に図示されるような幾つかの例において、比較器206は、TXPがVREFよりも小さく短絡が検出されるときにCOMP OUTがアサートされるように構成される。他の例において、比較器206の第1及び第2の入力端子の極性は、図2に示されている極性とは逆であり、その結果、TXPがVREFよりも小さいときCOMP OUTはデアサートされる。少なくとも幾つかの例において、回路200は図1の回路136に結合される。このような例において、回路200は、回路136からTRIG1を受信し、COMP OUTを回路136に提供する。また、このような例において、回路136は、TRIG1の第2のエッジ遷移と実質的に同時に、COMP OUTの値をサンプリング(例えば、記録及び/又は格納)する。他の例において、回路136は、TRIG1の第2のエッジ遷移と時間的に隣接する時間にCOMP OUTの値をサンプリングする。例えば、回路136は、TRIG1の第2のエッジ遷移の僅かに前か又は僅かに後に、COMP OUTの値をサンプリングする。
【0031】
ここで図3A及び図3Bを参照すると、例示の信号波形の図形が示される。少なくとも幾つかの例において、図形305は、短絡が存在する場合に図1のシステム100及び/又は図2の回路200に存在する少なくとも幾つかの信号を表す。また、少なくとも幾つかの例において、図形310は、短絡が存在しない場合(例えば、有効な終端が存在する場合等)に図1のシステム100及び/又は図2の回路200に存在する少なくとも幾つかの信号を表す。従って、図3A及び/又は図3Bの説明の少なくとも幾つかの態様は、図1及び/又は図2の構成要素及び/又は信号を参照する。更に、上記の説明と同様に、図3A及び図3Bは、第1の出力端子112、TXP、及び正導体116に関して説明される。第2の出力端子114、第2の出力端子に存在する信号(本明細書においてTXNと呼ばれる)、及び負導体118に対する波形は、図3A及び図3Bに示されるものと実質的に類似している。
【0032】
図形305に示されるように、TRIG1がアサートされると、TXPの値が増加し始める。TRIG1は、VREF、VCM、及び抵抗器204の抵抗の値に少なくとも部分的に従って判定された事前定義された時間期間、アサートされたままである。例えば、TRIG1は、VCMの値及びTXPの値に基づいて、抵抗器204の抵抗が正導体116上に存在する抵抗よりも大きいか又は小さいかを判定するのに充分な時間期間、アサートされたままである。正導体116がVDD又はGNDに短絡している場合、正導体116上に存在する抵抗は抵抗器204の抵抗よりも小さい。正導体116上に存在する抵抗が抵抗器204の抵抗よりも小さい場合、TRIG1がアサートされCOMP OUTがデアサートされたままである期間、TXPはVREFよりも小さいままである(この例では、論理高レベルであるが、他の例では、論理低レベルである)。
【0033】
図形310にも示されるように、TRIG1がアサートされると、TXPの値が増加し始める。図形305を参照して説明されるように、TRIG1は、事前定義された時間期間、アサートされたままである。正導体116が、抵抗器204の抵抗よりも大きい抵抗を用いて有効に終端されていて且つ/又はVDD又はGNDに短絡されていない場合、正導体116上に存在する抵抗は、抵抗器204の抵抗よりも大きい。正導体116上に存在する抵抗が抵抗器204の抵抗よりも大きい場合、TRIG1のデアサートの前に、TXPはVREFを超え、COMP OUTはアサートされる(この例では、論理低レベルに設定されるが、他の例では、論理高レベルに設定される)。
【0034】
ここで図4を参照すると、例示の障害検出回路400の概略図が示される。少なくとも幾つかの例において、回路400は、図1のシステム100の障害検出回路110の少なくとも一部としての実装に適している。例えば、回路400は、正導体116における障害又は高Z状態を検出する障害検出回路110の一部としての実装に適している。回路400の別の事例は更に、正導体116に関して説明した様式と実質的に同じ様式で、負導体118における障害又は高Z状態を検出する障害検出回路110の一部としての実装に適している。少なくとも一つの実装において、回路400は、トランジスタ402、抵抗器404、トランジスタ406、抵抗器408、抵抗器410、抵抗器412、増幅器414、及び比較器416を含む。トランジスタ402及び抵抗器404は、少なくとも幾つかの例において、集合的にプルアップネットワークと呼ばれる。トランジスタ406及び抵抗器408もまた、少なくとも幾つかの例において、集合的にプルアップネットワークと呼ばれる。種々の他の例において、トランジスタ402及び/又はトランジスタ406は、他のプロセス技術のトランジスタ、機械的スイッチ等、任意の他の適切な制御可能なスイッチングデバイスで置換される。
【0035】
回路400の例示のアーキテクチャにおいて、トランジスタ402は、ノード418に結合されるソース端子と、抵抗器404を介してノード420に結合されるドレイン端子と、トリガ信号TRIG1を受信するように構成されるゲート端子とを有する。トランジスタ406は、ノード418に結合されたソース端子と、抵抗器408を介してノード420に結合されたドレイン端子と、トリガ信号TRIG2を受信するように構成されたゲート端子とを有する。抵抗器410は、ノード418とノード421との間に結合され、抵抗器412は、ノード421とノード420との間に結合される。増幅器414は、ノード421に結合された第1の入力端子(例えば、負又は反転入力端子)と、ノード422に結合された第2の入力端子(例えば、正又は非反転入力端子)と、ノード420に結合された出力端子とを有する。比較器416は、ノード420に結合された第1の入力端子(例えば、負又は反転入力端子)と、ノード424に結合された第2の入力端子(例えば、正又は非反転入力端子)と、ノード426に結合された出力端子とを有する。少なくとも幾つかの例において、VDDはノード418に存在し、VREFはノード424で受信され、COMP OUTは、ノード426で出力され、COMP OUTは、ノード420に結合された導体において障害か又は高Z状態が検出されたか否かを示す。また、少なくとも幾つかの例において、ノード422は、ドライバ108の正の出力を受け取るように構成され、ノード420は、第1の出力端子112に類似し、そのため、TXPがノード420に存在する。また、少なくとも幾つかの例において、抵抗器410は、制御可能であるか又はプログラム可能な構成要素であり、従って、抵抗器410の抵抗の量が可変であり選択可能である。ノード420に結合された導体の予期される終端抵抗が約50Ωである回路400の少なくとも一つの実装において、抵抗器404の抵抗は約1,000Ωであり、抵抗器408の抵抗は約20Ωである。
【0036】
回路400の動作の或る例において、VCMがノード422で受け取られる。抵抗器410及び抵抗器412は、ノード421における出力を用いて、ノード418とノード420との間に分圧器を形成する。増幅器414は、少なくとも幾つかの例において、演算増幅器であり、抵抗器410及び抵抗器412と一緒になってノード420を約VDD/2の値まで駆動する。他の例において、増幅器414、抵抗器410、及び抵抗器412は、少なくとも部分的にVCMに基づいて、ノード420を任意の他の適切な値まで駆動する。少なくとも幾つかの例において、増幅器414がイネーブルされると、増幅器414はノード420をVDD/2まで駆動する。幾つかの例において、受信したイネーブル信号(EN)がアサートされると、増幅器414がイネーブルされる。幾つかの例において、TRIG1及びTRIG2が各々デアサートされると、ENがアサートされ、TRIG1又はTRIG2のいずれかがアサートされると、ENがデアサートされる。少なくとも幾つかの例において、EN、TRIG1、及びTRIG2の各々が回路136から受信され、COMP OUTが回路136から出力される。
【0037】
TRIG1及びTRIG2が各々デアサートされると、回路400の障害検出がディセーブルされ、VDD/2がTXPとして出力される。TRIG1がアサートされると、回路400の2工程障害検出プロセスの第1の工程がアクティブになり、EN及びTRIG2の両方がデアサートされる。障害検出プロセスの第1の工程がアクティブであるとき、回路400は、ノード420に結合された導体(例えば、正導体116等)が高Z状態であるか又は終端されているかを判定する。少なくとも幾つかの実装において、ノード420に結合された導体に対する予期される終端抵抗を用いる有効な終端と、ノード420に結合された導体の短絡との両方が、障害検出プロセスの第1の工程における終端であると判定される。
【0038】
TRIG1がアサートされると、トランジスタ402が活性化し、抵抗器404をノード418に電気的に結合する。VDDがノード418に存在すると、抵抗器404及びトランジスタ402を介してノード420が高にプルされる(例えば、VDDの値に近づく)。VREFは、少なくとも幾つかの例において、VDD/2よりも大きいがVDDよりも小さい値である。TXPが送信される、正導体116等の、ノード420に結合された導体の予期される終端抵抗(約50Ω等)を知ることにより、回路400は、導体が高Z状態にあるか又は終端されているかを判定する。例えば、抵抗器404が導体の予期される終端抵抗よりも少ない量の抵抗を有する場合、TRIG1がアサートされている間、TXPの値はVREFを超えるように増加する。抵抗器404がTXPが送信される導体の予期される終端抵抗よりも大きな量の抵抗を有する場合、TRIG1がアサートされている間、TXPの値はVREFを超えるように増加しない。少なくとも幾つかの例において、TXPが送信される導体が終端される場合、導体上に存在する抵抗は、抵抗器404の抵抗よりも小さい。例えば、導体上に存在する抵抗は約200Ωよりも小さい。逆に、TXPが送信される導体が高Z状態にある場合、抵抗器204の抵抗よりも大きい抵抗が導体上に存在する。例えば、導体上に存在する抵抗は約10,000Ωよりも大きい。抵抗器404の抵抗と導体上に存在する抵抗との間の関係に基づいて、TXPの値が増加する。少なくとも幾つかの例において、値の増加速度が、障害(又は高Z状態)が存在するか否かを示す(例えば、導体が高Z状態にあるか又は導体がVDD又はGNDに短絡されている)。抵抗器404の抵抗が導体上に存在する抵抗よりも大きい場合、VDDの大部分は抵抗器404の両端間で降下し、その結果、TXPの値がゆっくり増加する。逆に、抵抗器404の抵抗が導体上に存在する抵抗よりも小さい場合、VDDの大部分が導体の両端間で降下し、その結果、TXPの値がより急速に増加する。
【0039】
例えば、TRIG1の第1のエッジ遷移が生じた後、TRIG1は、TXPが送信される導体の予期される終端抵抗と抵抗器404の抵抗とに少なくとも部分的に従って決定された事前定義された時間期間、アサートされたままである。TRIG1の第2のエッジ遷移において、TXPの値がVREFを超えて増加した場合、回路400は、導体上に存在する抵抗が抵抗器404の抵抗よりも大きいので、導体が高Z状態にあると判定する。しかしながら、TRIG1の第2のエッジにおいて、TXPがVREFよりも小さいままである場合、回路400は、導体上に存在する抵抗が抵抗器404の抵抗よりも小さいので、導体が終端されていると判定する。判定は、少なくとも幾つかの例において、比較器416がTXPをVREFと比較してCOMP OUTを生成することによって行われる。図4に示されるような幾つかの例において、比較器416は、TXPがVREFよりも小さく終端が検出された場合に、COMP OUTがアサートされるように構成される。他の例において、比較器416の第1及び第2の入力端子の極性は、図4に示されるものとは逆であり、そのため、TXPがVREFよりも小さい場合にCOMP OUTがデアサートされる。少なくとも幾つかの例において、回路400は、図1の回路136に結合される。そのような例において、回路400は、回路136からTRIG1を受信し、回路136にCOMP OUTを提供する。更に、そのような例において、回路136は、TRIG1の第2のエッジ遷移と実質的に同時にCOMP OUTの値をサンプリング(例えば、記録及び/又は格納)する。他の例において、回路136は、TRIG1の第2のエッジ遷移に時間的に隣接する時間に、COMP OUTの値をサンプリングする。例えば、回路136は、TRIG1の第2のエッジ遷移の僅かに前か又は僅かに後に、COMP OUTの値をサンプリングする。
【0040】
導体が終端されているか否かを判定した後、TRIG1がデアサートされ、トランジスタ402を非活性化し、障害検出プロセスの第1の工程が終了する。障害検出プロセスの第2の工程を開始するために、TRIG2がアサートされる。TRIG2がアサートされると、トランジスタ406が活性化し、抵抗器408をノード418と電気的に結合する。ノード418においてVDDが存在すると、抵抗器408及びトランジスタ406を介してノード420が高にプルされる(例えば、VDDの値に近づく)。TXPが送信される正導体116等のノード420に結合された導体の予期される終端抵抗(約50Ω等)を再び知ることによって、回路400は、導体が、予期される終端抵抗によって終端されているか又はVDD又はGNDに短絡されているかを判定する。例えば、抵抗器408が、TXPが送信される導体の予期される終端抵抗よりも少ない量の抵抗を有する場合、TRIG2がアサートされている間、TXPの値がVREFを超えるように増加する。抵抗器408が、TXPが送信される導体の予期される終端抵抗よりも大きな量の抵抗を有する場合、TRIG2がアサートされている間、TXPの値はVREFを超えるように増加しない。少なくとも幾つかの例において、TXPが送信される導体がVDD又はGNDに短絡されている場合、導体上に存在する抵抗は抵抗器408の抵抗よりも小さい。例えば、導体上に存在する抵抗は約10Ωよりも小さい。逆に、TXPが送信される導体が有効に終端されている場合、TXPが送信される導体の予期される終端抵抗は導体上に存在する。少なくとも一例において、導体が有効に終端されている場合、導体上に存在する抵抗は、約40Ωより大きいか又は50Ωにほぼ等しい。抵抗器408の抵抗と導体上に存在する抵抗との間の関係に基づいて、TXPの値は増加する。上述されるように、値の増加の速度は、少なくとも幾つかの例において、障害又は高Z状態が存在するか否かを示す。抵抗器408の抵抗が導体上に存在する抵抗よりも大きい場合、VDDの大部分が抵抗器408の両端間で降下し、その結果、TXPの値がゆっくり増加する。逆に、抵抗器408の抵抗が導体上に存在する抵抗よりも小さい場合、VDDの大部分が導体の両端間で降下し、その結果、TXPの値がより急速に増加する。
【0041】
例えば、TRIG2の第1のエッジ遷移が生じた後、TXPが送信される導体の予期される終端抵抗と抵抗器408の抵抗とに少なくとも部分的に従って判定された事前定義された時間期間、TRIG2はアサートされたままである。TRIG2の第2のエッジ遷移において、TXPの値がVREFを超えるように増加した場合、回路400は、導体上に存在する抵抗が抵抗器408の抵抗よりも大きいため、導体に短絡が存在しないと判定する。しかしながら、TRIG2の第2のエッジにおいて、TXPがVREFよりも小さいままである場合、回路400は、導体上に存在する抵抗が抵抗器408の抵抗よりも小さいため、導体に短絡が存在しないと判定する。判定は、少なくとも幾つかの例において、比較器416がTXPをVREFと比較してCOMP OUTを生成することによって行われる。幾つかの例において、回路200は、回路136からTRIG2を受信し、回路136は、TRIG2の第2のエッジ遷移と実質的に同時に、COMP OUTの値をサンプリング(例えば、記録及び/又は格納)する。他の例において、回路136は、TRIG2の第2のエッジ遷移に時間的に隣接する時間において、COMP OUTの値をサンプリングする。例えば、回路136は、TRIG2の第2のエッジ遷移の僅かに前か又は僅か後に、COMP OUTの値をサンプリングする。
【0042】
ここで図5A及び図5Bを参照すると、例示の信号波形の図形が示される。少なくとも幾つかの例において、図形505は、正導体116が有効な終端又は短絡に終端されている場合に、図1のシステム100及び/又は図4の回路400に存在する少なくとも幾つかの信号を表す。また、少なくとも幾つかの例において、図形510は、正導体116が高Z状態の場合に、図1のシステム100及び/又は図4の回路400に存在する少なくとも幾つかの信号を表す。従って、図5A及び/又は図5Bの説明の少なくとも幾つかの態様は、図1及び/又は図4の構成要素及び/又は信号を参照する。また、上記の説明と同様に、図5A及び図5Bは、第1の出力端子112、TXP、及び正導体116に関して説明される。第2の出力端子114、第2の出力端子に存在する信号(本明細書ではTXNと呼ばれる)、及び負導体118に対する波形は、図5A及び図5Bに図示されるものと実質的に類似している。
【0043】
図形505に示されるように、TRIG1がアサートされると、TXPの値は増加し始める。TRIG1は、VREF、VCM、及び抵抗器404の抵抗の値に少なくとも部分的に従って判定された事前定義された時間期間、アサートされたままである。例えば、TRIG1は、VCMの値及びTXPの値に基づいて、抵抗器404の抵抗が正導体116上に存在する抵抗よりも大きいか又は小さいかを判定するのに充分な時間期間、アサートされたままである。正導体116上に存在する抵抗は、正導体116が、短絡されて終端されているか、又は予期される終端抵抗を用いて終端されているかいずれかの場合、抵抗器404の抵抗よりも小さい。正導体116上に存在する抵抗が抵抗器404の抵抗よりも小さい場合、TXPは、TRIG1がアサートされ、COMP OUTがデアサートされたままである期間の間、VREFよりも小さいままである(この例では、論理高レベルであるが、他の例では、論理低レベルである)。
【0044】
また、図形510にも示されるように、TRIG1がアサートされると、TXPの値が増加し始める。例えば、本明細書の他の箇所に説明されるように、TRIG1のアサートの後のTXPの増加の速度は、抵抗器404の抵抗と正導体116上に存在する抵抗との比に依存する。更に、また、本明細書の他の箇所に説明されるように、TXPにおける増加の速度は、正導体116上に障害か又は高Z状態かが存在するか否かを示す。TRIG1は、図形505を参照して説明されるように、事前定義された時間期間、アサートされたままである。正導体116が高Z状態にある(例えば、終端されていない)場合、正導体116上に存在する抵抗は、抵抗器404の抵抗よりも大きい。正導体116上に存在する抵抗が抵抗器404の抵抗よりも大きい場合、TXPは、TRIG1のデアサートの前にVREFを超え、COMP OUTがアサートされる(この例では、論理低レベルに設定されるが、他の例では、論理高レベルに設定される)。
【0045】
ここで図6A及び図6Bを参照すると、例示の信号波形の図形が示されている。少なくとも幾つかの例において、図形605は、短絡が存在する場合に、図1のシステム100及び/又は図4の回路400に存在する少なくとも幾つかの信号を表す。また、少なくとも幾つかの例において、図形610は、短絡が存在しない場合(例えば、有効な終端が存在する場合等)に、図1のシステム100及び/又は図4の回路400に存在する少なくとも幾つかの信号を表す。従って、図6A及び/又は図6Bの説明の少なくとも幾つかの態様は、図1及び/又は図4の構成要素及び/又は信号を参照する。更に、上記の説明と同様に、図6A及び図6Bは、第1の出力端子112、TXP、及び正導体116に関して説明される。第2の出力端子114、第2の出力端子に存在する信号(TXNと呼ばれる)、及び負導体118に対する波形は、図6A及び図6Bに図示されるものと実質的に類似している。
【0046】
図形605に示されるように、TRIG2がアサートされると、TXPの値が増加し始める。TRIG2は、VREF、VCM、及び抵抗器408の抵抗の値に少なくとも部分的に従って判定された事前定義された時間期間、アサートされたままである。例えば、TRIG2は、VCMの値及びTXPの値に基づいて、抵抗器408の抵抗が正導体116上に存在する抵抗よりも大きいか又は小さいかを判定するのに充分な時間期間、アサートされたままである。正導体116がVDD又はGNDに短絡している場合、正導体116上に存在する抵抗は、抵抗器408の抵抗よりも小さい。正導体116上に存在する抵抗が抵抗器408の抵抗よりも小さい場合、TXPは、TRIG2がアサートされ、COMP OUTがデアサートされたままである時間期間、VREFよりも小さいままである(この例では、論理高レベルであるが、他の例では論理低レベルである)。
【0047】
また、図形610にも示されるように、TRIG2がアサートされると、TXPの値が増加し始める。TRIG2は、図形605を参照して説明されるように、事前定義された時間期間アサートされたままである。正導体116が、抵抗器408の抵抗よりも大きい抵抗を用いて有効に終端され、及び/又は、VDD又はGNDに短絡されていない場合、正導体116上に存在する抵抗は抵抗器408の抵抗よりも大きい。正導体116上に存在する抵抗が抵抗器408の抵抗よりも大きい場合、TXPは、TRIG2のデアサートの前に、VREFを超え、COMP OUTがアサートされる(この例では、論理低レベルに設定されるが、他の例では論理高レベルに設定される)。
【0048】
ここで図7を参照すると、例示の方法700のフローチャートが示される。少なくとも幾つかの例において、方法700は障害検出方法である。方法700は、幾つかの例において、障害又は高Z状態が導体内に存在するか否かを判定するための一つ又は複数の電気的構成要素によって実装される。導体は、幾つかの例において、差動導体における相対する極性の導体ペアの少なくとも一つである。少なくとも幾つかの例において、方法700は、差動導体の正導体及び負導体の両方に対して、個別に実施される。このように、正導体又は負導体の一方が有効に終端されている場合でも、正導体又は負導体の他方が障害に遭遇しているか否かが判定可能である。
【0049】
動作702において、コモンモード電圧が受け取られる。少なくとも幾つかの例において、コモンモード電圧は差動ドライバから受け取られる。コモンモード電圧は、少なくとも幾つかの例において、差動導体の正導体又は負導体上で送信するための差動ドライバによって出力される。他の例において、コモンモード電圧は、差動導体の正導体又は負導体上で送信するための信号の判定に用いられる。概して、差動導体の正導体又は負導体上の送信は、受け取ったコモンモード電圧に少なくとも部分的に従って判定される。
【0050】
動作704で、差動導体に結合されたプルアップネットワークがイネーブルされる。少なくとも幾つかの例において、プルアップネットワークは、プルアップ抵抗器と、プルアップネットワークがイネーブルされるとアクティブになり、プルアップネットワークがディセーブルされると、非アクティブになる切り替え可能な構成要素とを介して、差動導体をVDDに結合することによってイネーブルされる。少なくとも幾つかの例において、プルアップ抵抗器の抵抗は、差動導体の予期される終端抵抗よりも小さいが、差動導体がVDD又はGNDに短絡されている場合に、差動導体上に見られる抵抗よりも大きい。
【0051】
動作706で、障害又は高Zが差動導体上に存在するか否かを示す比較結果が生成される。単工程障害検出プロセス等の少なくとも幾つかの例において、比較結果は、差動導体の、例えばVDD又はGNDへの短絡が存在するか否か、又は差動導体が高Z状態にあるか否かを示す。少なくとも幾つかの例において、比較結果は、受け取ったVREFを、事前定義された時間の量の後、差動導体上に存在する電圧と比較することによって生成される。例えば、プルアップネットワークを活性化することによって、頂部抵抗としてのプルアップ抵抗器と、底部の底部抵抗としての導体の終端抵抗と、分圧器の出力ポイントとしての差動導体とを有する分圧器が形成される。VREFを、事前定義された時間の量の後、差動導体上に存在する電圧と比較することによって、比較結果は、頂部抵抗か又は底部抵抗のいずれの値が大きいかを示す。
【0052】
本明細書で既に説明したように、少なくとも幾つかの例において、一つ又は複数のキャパシタが、分圧器の出力ポイントと終端抵抗を提供するインピーダンス要素との間に結合され、終端抵抗を正確に反映したものから底部抵抗を潜在的に改変する。更に、少なくとも幾つかの例において、キャパシタは分圧器の出力ポイントの充電速度を変更する。しかしながら、キャパシタが変更されないままであり、プルアップネットワークの活性化又は非活性化のみが変化するため、キャパシタは、本明細書で説明される分圧器では考慮されない。例えば、頂部抵抗が、値において、底部抵抗よりも大きい場合、差動導体上に存在する電圧は、事前定義された時間量の満了時に、VREFよりも小さくなる。逆に、頂部抵抗が、値において、底部抵抗よりも小さい場合、差動導体上に存在する電圧は、事前定義された時間量の満了時に、VREFよりも大きくなる。差動導体上に存在する電圧が、事前定義された時間量の満了時に、VREFよりも大きい場合、比較結果がアサートされ、差動導体が有効に終端されている(例えば、VND又はGNDに短絡されていない)ことを示す。
【0053】
多工程障害検出プロセスにおけるような他の例において、比較結果は、差動導体上に高Z状態が存在するか否かを示す。この例では、多工程障害検出プロセスの第1の工程で、比較結果は、差動導体が終端されているか又は高Z状態にあるかを示す。終端は、有効な終端(例えば、予期される終端抵抗を用いるもの)又は短絡のいずれかである。少なくとも幾つかの例において、受け取ったVREFを、事前定義された時間量の後、差動導体上に存在する電圧と比較することによって、比較結果が再び生成される。例えば、プルアップネットワークを活性化することによって、頂部抵抗としてのプルアップ抵抗器と、底部抵抗としての差動導体の終端抵抗と、分圧器の出力ポイントとしての差動導体とを有する分圧器が形成される。VREFを、事前定義された時間量の後、差動導体上に存在する電圧と比較することによって、比較結果は、頂部抵抗又は底部抵抗のどちらの値が大きいかを示す。例えば、頂部抵抗の値が底部抵抗の値よりも大きい場合、差動導体上に存在する電圧は、事前定義された時間量の満了時に、VREFよりも小さくなる。逆に、頂部抵抗の値が底部抵抗の値よりも小さい場合、差動導体上に存在する電圧は、事前定義された時間量の満了時に、VREFよりも大きくなる。差動導体上に存在する電圧が、事前定義された時間量の満了時に、VREFよりも大きい場合、比較結果がアサートされ、差動導体が高Z状態にある(例えば、終端されていない)ことを示す。
【0054】
動作706がどの形態を取るかに基づいて任意選択である動作708で、差動導体上に障害が存在するか否かを示す別の比較結果が生成される。この例では、多工程障害検出プロセスの第2の工程で、比較結果は、差動導体が終端されているか又は高Z状態にあるかを示す。少なくとも幾つかの例において、差動導体が高Z状態にあることは、差動導体上の障害を示す。他の例において、差動導体が高Z状態にあることは、構成要素がデータを受け取る準備ができていないという情報を提供する等の情報にすぎない。終端は、有効な終端(例えば、予期される終端抵抗を用いる)か又は短絡のいずれかである。少なくとも幾つかの例において、受け取ったVREFを、事前定義された時間量の後、差動導体上に存在する電圧と比較することによって比較結果が再び生成される。例えば、別のプルアップネットワークを活性化することによって、頂部抵抗としての別のプルアップネットワークのプルアップ抵抗器と、底部抵抗としての差動導体の終端抵抗と、分圧器の出力ポイントとしての差動導体とを有する第2の分圧器が形成される。VREFを、事前定義された時間量の後、差動導体上に存在する電圧と比較することによって、比較結果は、頂部抵抗又は底部抵抗のどちらの値が大きいかを示す。例えば、頂部抵抗の値が底部抵抗の値よりも大きい場合、差動導体上に存在する電圧は、事前定義された時間量の満了時に、VREFよりも小さくなる。逆に、頂部抵抗の値が、底部抵抗の値よりも小さい場合、差動導体上に存在する電圧は、事前定義された時間量の満了時に、VREFよりも大きくなる。差動導体上に存在する電圧が、事前定義された時間量の満了時に、VREFよりも大きい場合、比較結果がアサートされ、差動導体が有効に終端されている(例えば、VND又はGNDに短絡されていない)ことを示す。
【0055】
また、少なくとも幾つかの例において、上記の動作702~動作708は、差動導体の正導体と負導体との間に短絡が存在するか否かを判定するために操作される。例えば、正導体又は負導体の一方を高Z状態にし、正導体又は負導体の他方を有効に終端させるように制御し、そして、その後、その手順を反対にすることによって、両方の構成に対する結果を監視しながら、差動導体の正導体と負導体との間に短絡が存在するか否かの判定が行われる。この手順は、図1に関して上記に詳細に説明されている。
【0056】
任意選択で、方法700は更に動作710を含む。動作710で、比較出力がサンプリングされ、比較結果に基づいて、割り込みフラグの値が設定される。少なくとも幾つかの例において、サンプリング及び設定は、デジタル論理回路等の少なくとも幾つかの処理又は論理機能を有する回路によって実施される。幾つかの例において、回路は、プルアップネットワーク及び/又は別のプルアップネットワークがイネーブルされる事前定義された時間期間を判定する回路と同じ回路である。幾つかの例において、障害が導体上に存在すると判定された場合(例えば、比較結果が、アサートされた値を有する場合)割り込みフラグがアサートされ、そうでない場合はデアサートされる。
【0057】
方法700の動作を説明し、数値参照によって表示してきたが、種々の例において、方法700は、本明細書に説明されていない付加的な動作を含む。幾つかの例において、本明細書に説明される任意の一つ又は複数の動作は、一つ又は複数のサブ動作(例えば、中間比較、論理演算、マルチプレクサ等を介する出力選択、フォーマット変換、判定等)を含む。幾つかの例において、本明細書に説明される任意の一つ又は複数の動作は省かれる。幾つかの例において、本明細書に説明される動作の任意の一つ又は複数は、本明細書に提示された順序以外の順(例えば、逆の順序で、実質的に同時に、重複しながら、等)で実施される。これらの選択肢の各々は、本明細書の範囲に入る。
【0058】
前述の説明において、用語「含む」及び「包含する」は、制限のない用法で用いられ、従って、「を含むがそれらに限定されない」を意味する。用語「結合する」が本明細書全体を通して用いられている。この用語は、本明細書の説明と一貫する機能的関係を可能にする、接続、通信、又は信号経路を網羅し得る。例えば、デバイスAが、制御デバイスBを制御して或るアクションを実施する信号を生成する場合、第1の例では、デバイスAがデバイスBに結合され、又は第2の例では、デバイスAが中間の構成要素Cを介してデバイスBに結合され、ただし、その際、デバイスAによって生成された制御信号を介してデバイスBがデバイスAによって制御されるように、介在構成要素Cが、デバイスAによって生成された制御信号を介してデバイスAとデバイスBとの間の機能的関係を実質的に変更しない。或るタスク又は機能を実施するように「構成された」デバイスは、製造時に製造者によって、それらの機能を実施するように構成され(例えば、プログラム及び/又はハードワイヤードされ)得、或いは、それらは、それらの機能及び/又は他の付加的な又は代替的な機能を実行するように、製造後ユーザにより構成可能(又は再構成可能)であり得る。こういった構成は、デバイスのファームウェア及び/又はソフトウェアプログラミングを介してもよく、又はハードウェア構成要素の構成及び/又はレイアウトを介してもよく、デバイスの相互接続を介してもよく、又はそれらの組み合わせを介してもよい。更に、或る構成要素を含むと言われる回路又はデバイスは、代わりに、それらの構成要素に結合するように構成されて、説明された回路要素又はデバイスを形成し得る。例えば、一つ又は複数の半導体要素(トランジスタ等)、一つ又は複数の受動要素(抵抗器、キャパシタ、及び/又はインダクタ等)、及び/又は一つ又は複数の源(電圧及び/又は電流電源等)を含むとして説明される構造は、その代わりに、単一の物理デバイス(例えば、半導体ダイ及び/又は集積回路(IC)パッケージ)内に半導体要素のみを含んでもよく、受動要素及び/又は源の少なくとも幾つかに結合するように構成されてもよく、それによって、製造時又は製造時以降の時点のいずれかで、例えば、エンドユーザ及び/又は第三者によって、説明された構造を形成する。
【0059】
或る構成要素は、本明細書において、特定のプロセス技術(例えば、FET、金属酸化物半導体FET(MOSFET)、n型、p型など)のものであるとして説明されているが、これらの構成要素は、他のプロセス技術の構成要素と交換可能であり得る(例えば、FET及び/又はMOSFETをBJTに交換する、n型をp型に交換する、又はその逆等)。交換された構成要素を含む再構成回路は、構成要素の交換の前に利用可能であった機能に少なくとも部分的に類似した所望の機能性を提供する。特に明記されない限り、抵抗器として示される構成要素は、概して、図示された抵抗器によって表されるインピーダンスの量を提供するために、直列及び/又は並列に結合される任意の一つ又は複数の要素を表す。また、前述の説明における「接地電圧電位」という用語は、シャーシ接地、アース接地、浮動接地、仮想接地、デジタル接地、コモン接地、及び/又はその他、本明細書の教示に適用可能な、又は適した接地接続の任意の形態を含む。特に明記されない限り、値の前の「約」、「およそ」、又は「実質的に」は、記載された値の+/-10パーセントを意味する。
【0060】
上述の説明は、本明細書の原理及び種々の例を説明することを意味する。上述の説明が完全に理解されると、多くの変形及び改変が当業者にとって明らかになるであろう。本明細書は、そのような全ての変形及び改変を包含する。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
【国際調査報告】