(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】検査および衛生デバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/64 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546435
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 US2021015729
(87)【国際公開番号】W WO2021155164
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522301898
【氏名又は名称】セーフティスペクト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァセフィ、ファータシュ
(72)【発明者】
【氏名】バートン、ケネス エドワード
(72)【発明者】
【氏名】マッキノン、ニコラス ベネット
(72)【発明者】
【氏名】キャロル、デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】マリンコヴィチ、サヴァ
【テーマコード(参考)】
2G043
【Fターム(参考)】
2G043AA01
2G043AA03
2G043BA14
2G043CA05
2G043EA01
2G043FA01
2G043KA02
2G043KA03
2G043LA01
2G043LA03
2G043LA07
2G043NA01
(57)【要約】
デバイスが開示される。デバイスは、表面上の第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第1の光源と、第1の汚染物質の蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第1の光学センサと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上の第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第1の光源と、
前記第1の汚染物質の前記蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第1の光学センサと、
前記表面および前記汚染物質を表す第1のコンピュータ生成画像を描写するように構成されたディスプレイであって、前記第1のコンピュータ生成画像は、前記ディスプレイ上に示された前記表面の少なくとも一部を覆う、ディスプレイと
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記第1の汚染物質が少なくとも1つの病原体を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1の光源が、前記少なくとも1つの病原体を不活性化するのに適した波長および電力の照明を含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の光源が、前記少なくとも1つの病原体を死滅させるのに適した波長および電力の照明を含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1の光源が、前記第1の汚染物質を不活性化するのに適した波長および電力の照明を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の光源が、260nm~290nmの紫外線(UV)波長範囲の照明光を提供する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1の光学センサが、320nm~370nmの紫外線(UV)波長範囲における前記蛍光発光の少なくとも1つの画像をキャプチャするように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1の光学センサが、第1の波長帯域における前記蛍光発光の少なくとも1つの画像をキャプチャするように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第1の波長帯域が紫外線(UV)帯域である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1の波長帯域が可視帯域である、請求項8に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1の汚染物質の前記蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第2の光学センサをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記第2の光学センサが、第2の波長帯域内の前記蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第2の波長帯域が紫外線(UV)帯域である、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第2の波長帯域が可視帯域である、請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
前記表面上の前記第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第2の光源をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第1の光源が、第1の複数の発光ダイオード(LED)である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第2の光源が、第2の複数の発光ダイオード(LED)である、請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記第1のコンピュータ生成画像が第1の色を含み、前記ディスプレイは、第2の色を含む前記第1のコンピュータ生成画像を描写するように構成され、前記第2の色を含む前記第1のコンピュータ生成画像は、前記少なくとも1つの病原体が死滅した後に前記ディスプレイ上に示される前記表面の少なくとも一部を覆う、請求項4に記載のデバイス。
【請求項19】
前記デバイスが、
前記表面上の前記第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第2の光源と、
前記第1の汚染物質の前記蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第2の光学センサと、
をさらに備え、
前記第1の光源は、第1の波長範囲の照明光を提供し、
前記第2の光源は、第2の波長範囲の照明光を提供し、
前記第1の光学センサは、第1の波長帯域における前記蛍光発光の少なくとも1つの画像をキャプチャするように構成され、
前記第2の光学センサは、第2の波長帯域の前記蛍光発光の少なくとも1つの画像をキャプチャするように構成される、
請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記第1の光源が、前記第1の汚染物質を不活性化するのに適した波長および電力の照明を含む、請求項19に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスに関する。より詳細には、本発明は、検査デバイス、および消毒するように構成された検査デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
食品調製産業、輸送産業、ホスピタリティ産業、およびケアホーム産業などの多くの産業では、頻繁に触れられる可能性のある表面をクリーニングして、そのような表面に堆積した有機残渣またはヒト流体に含まれ得る細菌、ウイルス、カビ、または真菌などの潜在的に有害な病原体を除去しなければならない。そのような表面のクリーニングは、公衆衛生を維持するために不可欠であり、表面の使用を再開する前に行われなければならない。
【0003】
例えば、食品調製業界では、第1の食品成分または第1の調製者と第2の食品成分または第2の調製者との間の相互汚染を回避するために、新しい食品の調製に移行する前に、食品調製ステーションを十分にクリーニングしなければならない。クリーニングプロセスの有効性を保証するために、そのような表面は、新しいプロセスまたは製品で使用するために表面を解放する前に効果的にクリーニングされたことを検証されなければならない。例えば、食品安全規則は、使用するために表面を戻す前に調製表面の検査を必要とする。
【0004】
別の例では、輸送産業において、座席またはトイレなどの特定の領域で長時間を費やす乗客は、ハンドルまたはトレイテーブルなどの特定の表面に広範囲に接触する可能性がある。乗客が接触、咳またはこぼれた食物によって広がる可能性のある伝染病を有する場合、これらの表面は汚染される可能性がある。
【0005】
汚染の検査は、通常、ヒトのオペレータによる目視検査によって行われる。しかしながら、目視検査は、検査員の視力や年齢、検査員の訓練レベルなどの個人間のばらつき、および照明条件、視野角や距離などの環境の違いによる誤差、知覚に影響を及ぼす他の起こり得る問題を生じやすい。さらに、目視検査は定量的な方法ではない。検査後、表面上の残渣の実際のレベルは検査時に知られておらず、検査プロセスは、その精度、正確さ、または清浄度の限界に関して検証することができない。目視検査が実際に行われた唯一の文書化は、オペレータの署名である。視覚的な「閾値」限界は学術出版物に基づいて想定され得るが、定量的な尺度または客観的記録がないため、既存の評価方法は定性的であり、合否評価をもたらす。それらはまた、定量的かつ客観的ではなく主観的であり、または反復可能かつ一貫している。
【0006】
検査員が汚染の存在を検出すると、適切な方法でクリーニングすることによって除去することができるが、もはや視覚的に明らかではなく、不可視の汚染物質が実際にクリーニングされているかどうかの問題が依然として存在する。
【0007】
汚染を検査する別の1つの方法は、ATP試験スワブの使用などのスワブベースの試験である。次いで、これらのスワブは、一般的にはオフサイトまたはオンサイトの研究室にある機械によって分析される必要があり、その結果、評価の遅延および潜在的に高価なクリーニングおよび消毒の遅延が生じる。
【0008】
消毒の既存の方法には、手作業での化学物質による処理、化学的曇り、および電離放射線または非電離放射線による消毒が含まれる。これらの方法のいくつかは、オペレータにとって危険であり、特定の部位を標的としない限り適用が遅い。
【0009】
表面/オブジェクト上の汚染物質を検出するデバイスおよび/または方法が必要である。さらに、汚染された表面/オブジェクトを消毒するためのデバイスおよび/または方法が必要である。
【発明の概要】
【0010】
一般的に言えば、様々な実施形態に従って、一態様によれば、デバイスがここで開示される。デバイスは、表面上の第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第1の光源と、第1の汚染物質の蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第1の光学センサと、表面および汚染物質を表すコンピュータ生成画像を描写するように構成されたディスプレイであって、コンピュータ生成画像は、ディスプレイ上に示された表面の少なくとも一部を覆う、ディスプレイと、を備える。第2の態様によれば、デバイスがここで開示される。デバイスは、表面上の第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第1の光源と、第1の汚染物質の蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第1の光学センサと、を備える。第3の態様によれば、デバイスがここで開示される。デバイスは、表面上の第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第1の光源と、第1の汚染物質の蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第1の光学センサと、表面上の第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第2の光源と、第1の汚染物質の蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第2の光学センサと、を備える。第4の態様によれば、デバイスがここで開示される。デバイスは、表面上の第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第1の光源と、第1の汚染物質の蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第1の光学センサと、を備え、第1の光源は、第1の汚染物質を消毒および/または不活性化するのに適した波長および電力の照明を含む。第5の態様によれば、デバイスがここで開示される。デバイスは、表面上の第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第1の光源と、第1の汚染物質の蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第1の光学センサと、表面上の第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第2の光源と、第1の汚染物質の蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第2の光学センサと、を備え、第1の光源は、第1の汚染物質を消毒および/または不活性化するのに適した波長および電力の照明を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態によるデバイスの正面斜視図である。
【
図4b】本開示のいくつかの実施形態によるデバイスのいくつかの撮像構成要素の断面図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態によるデバイスのブロック図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による画像処理および分析を示す図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態によるタイミング図である。
【
図8】二重バンドパスフィルタの例示的な波長特性を示す図である。
【
図9】当技術分野で公知のサルモネラおよび大腸菌の蛍光発光を示すグラフである。
【
図10】当技術分野で公知のいくつかの有機残渣についての複数の波長にわたる蛍光相対強度応答を示す図である。
【
図11】当技術分野で公知の複数の波長にわたるクロロフィルの励起および発光スペクトル蛍光応答を示す図である。
【
図12a】当該技術分野で公知の複数の波長にわたる唾液の相対励起および発光スペクトル蛍光応答を示す図である。
【
図12b】当該技術分野で公知の複数の波長にわたる唾液の相対励起および発光スペクトル蛍光応答を示す別の図である。
【
図13】当技術分野で公知の複数の波長にわたる相対励起および発光蛍光スペクトル応答を示す図である。
【
図14】UVCによる細菌の死滅率を示すグラフである。
【
図15】本開示のいくつかの実施形態による動的リスク管理アルゴリズムのブロック図である。
【
図16】本開示のいくつかの実施形態による動的リスク管理アルゴリズムの別のブロック図である。
【
図17】本開示のいくつかの実施形態による例示的な監査初期化のフローチャートである。
【
図18】本開示のいくつかの実施形態による例示的な監査タスクのフローチャートである。
【
図19a】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図19b】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図19c】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図19d】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図19e】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図19f】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図19g】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図19h】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図19i】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図19j】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図19k】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図19l】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図19m】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図19n】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図19o】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図19p】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図19q】本開示のいくつかの実施形態による画像視野を示す図である。
【
図20】本開示のいくつかの実施形態によるユーザインターフェースを示す図である。
【
図21】本開示のいくつかの実施形態によるユーザインターフェースを示す図である。
【
図22】本開示のいくつかの実施形態によるユーザインターフェースを示す図である。
【
図23】本開示のいくつかの実施形態によるユーザインターフェースを示す図である。
【
図24】本開示のいくつかの実施形態によるユーザインターフェースを示す図である。
【
図25】本開示のいくつかの実施形態によるユーザインターフェースを示す図である。
【
図26】本開示のいくつかの実施形態によるユーザインターフェースを示す図である。
【
図27】本開示のいくつかの実施形態によるユーザインターフェースを示す図である。
【
図28】本開示のいくつかの実施形態によるユーザインターフェースを示す図である。
【
図29】本開示のいくつかの実施形態によるユーザインターフェースを示す図である。
【
図30】本開示のいくつかの実施形態によるユーザインターフェースを示す図である。
【
図31】本開示のいくつかの実施形態によるユーザインターフェースを示す図である。
【
図32】本開示のいくつかの実施形態によるユーザインターフェースを示す図である。
【
図33】本開示のいくつかの実施形態によるユーザインターフェースを示す図である。
【
図34】本開示のいくつかの実施形態によるユーザインターフェースを示す図である。
【
図35】本開示のいくつかの実施形態によるユーザインターフェースを示す図である。
【
図36】本開示のいくつかの実施形態によるシステムソフトウェア安全アルゴリズムを示す図である。
【
図37】本開示のいくつかの実施形態による保護プレートを示す図である。
【
図38】本開示のいくつかの実施形態による、プレートと組み合わせた保護ガラス窓を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、同様の要素を識別するために同様の参照符号が使用される。さらに、図面は、例示的な実施形態の主要な特徴を概略的に示すことを意図している。図面は、すべての実施態様のすべての特徴を示すことも、示された要素の相対的な寸法を示すことも意図しておらず、縮尺通りに描かれていない。
【0013】
以下の説明では、本明細書に開示される様々な特定の実施形態を明確に説明するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、当業者は、現在特許請求されている発明が、以下で論じられる特定の詳細のすべてなしで実施され得ることを理解されよう。他の例では、周知の特徴は、本発明を不明瞭にしないように記載されていない。
【0014】
一般的に言えば、様々な実施形態に従って、一態様によれば、デバイスがここで開示される。デバイスは、表面上の第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第1の光源と、第1の汚染物質の蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第1の光学センサと、表面および汚染物質を表すコンピュータ生成画像を描写するように構成されたディスプレイであって、コンピュータ生成画像は、ディスプレイ上に示された表面の少なくとも一部を覆う、ディスプレイと、を備える。第2の態様によれば、デバイスがここで開示される。デバイスは、表面上の第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第1の光源と、第1の汚染物質の蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第1の光学センサと、を備える。第3の態様によれば、デバイスがここで開示される。デバイスは、表面上の第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第1の光源と、第1の汚染物質の蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第1の光学センサと、表面上の第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第2の光源と、第1の汚染物質の蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第2の光学センサと、を備える。第4の態様によれば、デバイスがここで開示される。デバイスは、表面上の第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第1の光源と、第1の汚染物質の蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第1の光学センサと、を備え、第1の光源は、第1の汚染物質を消毒するのに適した波長および電力の照明を含む。第5の態様によれば、デバイスがここで開示される。デバイスは、表面上の第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第1の光源と、第1の汚染物質の蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第1の光学センサと、表面上の第1の汚染物質の蛍光発光を励起するように構成された第2の光源と、第1の汚染物質の蛍光発光の1つまたは複数の画像をキャプチャするように構成された第2の光学センサと、を備え、第1の光源は、第1の汚染物質を消毒するのに適した波長および電力の照明を含む。
【0015】
本開示の実施形態のいくつかは、検査、消毒、および文書化デバイス、ならびに検査、消毒、および文書化の関連する方法に関する。本開示の実施形態のいくつかは、複数の照明構成要素、複数の対応する多波長撮像システム、紫外線光消毒システム、ならびに/または照明のシーケンスや画像キャプチャを制御するための、および/もしくは撮像および消毒プロセスを通してオペレータを誘導するためのシステムを組み込んだハンドヘルドデバイスに関する。いくつかの実施形態によれば、本開示のシステムは、画像を処理および分析し、偶発的な紫外線(UV)露光を防止するための安全対策を提供するためのソフトウェアに組み込まれた方法を含み得る。いくつかの実施形態によれば、本開示のデバイスは、現場検査員が表面上の目に見えない汚染残渣を視覚化し、人が仕事、旅行、またはレクリエーションの目的で入る可能性がある領域が意図された使用にとって安全であることを保証するための即時消毒の能力を向上させる。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、本開示のシステムは、固有の特徴、すなわち(a)唾液/呼吸器飛沫の撮像;(b)検査員および管理者のためのワークフローガイダンスを有する顧客インターフェース;(c)容易な適応性および衛生標準操作手順(SSOP)との統合;(d)ウェブダッシュボードによるオンサイト/オフサイト管理、を含む検出、消毒、検証、および文書化の組み合わせを組み込む。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、本開示のハンドヘルドデバイスは、照明システム、カメラ、光学フィルタ、電子制御システム、システムプロセッサモジュール、バッテリ動作電源、ユーザインタラクションのための表示システム、および/またはユーザフィードバックのための手動で起動される制御部のうちの1つまたは複数を備え得る。いくつかの実施形態によれば、本開示のシステムは、撮像および消毒フィールド内のオブジェクトの存在、ならびにシステムからのそれらの距離を検出するためのセンサと、ハンドヘルドデバイスの動きおよび位置の変化を検出する動きおよび向きセンサとを備え得る。いくつかの実施形態によれば、本開示のシステムは、撮像および消毒のためのユーザコマンドに応答して、カメラ、センサ、および照明システムからデータを制御および/または収集するためのソフトウェアをさらに備え得る。いくつかの実施形態によれば、本開示のシステムはまた、データ記録ストレージ、清浄度報告、タスク管理、および/またはリスク評価のための情報の有線または無線通信を介して、本開示のデバイスと遠隔に配置されたデータ処理コンピュータサーバとの間の通信を提供し得る。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、本開示のシステムは、汚染の検出と汚染の即時消毒の両方を提供し得る。汚染物質の検出は、既知の汚染物質に特徴的であり、ヒトが定期的に接触する表面上にあり得る蛍光の撮像に基づいてもよい。本開示のいくつかの実施形態によれば、特に有利な蛍光撮像の1つのモードは、表面上のヒトの唾液および呼吸器飛沫の存在およびロケーションを決定する能力である。このモードでは、ヒトの唾液および呼吸器飛沫に見られるタンパク質の蛍光を励起するために使用される260~290nmの波長範囲の紫外線光で表面を照明してもよい。この選択された照明波長のさらなる特定の利点は、ウイルスを不活性化し、細菌を死滅させ、カビ/真菌を死滅させ、1つの照明源から2つの機能を提供するのに有効であることである。
【0019】
本開示のいくつかの実施形態によれば、特に有利な撮像の別のモードは、クロロフィル、ポルフィリン(しばしば細菌に見られる)、NADH、FAD、および脂質を含有するものを含む有機残基において蛍光を励起するために使用することができる375nm~425nmの範囲の青色/紫色波長を使用して照明を提供することである。
【0020】
本開示のいくつかの実施形態によれば、これら2つの撮像モードの組み合わせにより、識別の特異性を高め、汚染物質の検出範囲を広げることが、本発明のさらなる利点である。いくつかの実施形態による本開示のシステムの別の特定の利点は、汚染の蛍光発光の選択性を最大にする特定の波長フィルタを光路に有する複数のカメラの利用である。カメラセンサは、可視および/または紫外波長領域の出射光の波長に対する適切な感度に最適化され得る。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、本開示のシステムは、消毒表面に高強度UV光を送達する。本開示のいくつかの実施形態によれば、紫外線光の強度が高いと、不活性化または消毒時間がはるかに短くなる。本開示のいくつかの実施形態によれば、1つまたは複数のセンサおよび/またはソフトウェアは、条件がオペレータにとって安全でない場合にUV照明を無効にすることができる。安全でない状態の例には、消毒の分野に照明対象がないこと、オブジェクトが近すぎたり遠すぎたりしている間にUV照明を作動させること、UV照明が上を向いているとき、速すぎているとき、または他の人に遭遇する可能性がある方向に向いているときにUV照明を作動させること、ならびに起動制御部を偶発的に押すことが含まれ得る。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、本開示のハンドヘルドデバイスは、検査されるオブジェクトから様々な距離で使用されることができ、また、オペレータの疲労または不注意によるデバイスの移動に起因する検査または消毒中の位置の変化の影響を受けやすい。これは、消毒される表面が消毒のために適切なUV光エネルギーを受けるかどうかに影響を及ぼし得る。消毒に影響を及ぼす他の条件には、ウイルス濃度または細菌濃度、汚染領域のサイズ、汚染された表面のタイプ、および汚染物質の種類が含まれ、これらはすべて必要な消毒エネルギーに影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態によれば、本開示のシステムは、消毒が目標レベルで完了したことを確実にするために必要なUV露光時間、および処置中の動きまたは距離の変化が追加の消毒を必要とするかどうかを自動的に決定するための固有の情報を提供する(1つまたは複数の)カメラおよび/または(1つまたは複数の)センサを備える。いくつかの実施形態によれば、本開示のシステムを使用して汚染領域を再度撮像し、汚染残渣が完全に除去されたかどうかを確認することができる。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、本開示のシステムを使用して、遠隔サーバ上の検査データを収集および分析することができ、異なるロケーションおよび施設ごとの汚染の記録が検査の証明を提供する。いくつかの実施形態によれば、検査の証明はビデオグラフィックである。このデータは、局所的な危険および/または疾患の有病率に関する情報と組み合わせて、クリーニングおよび検査プロセスを更新し、デバイスユーザに更新された検査タスクリストを案内するために使用することができる施設内の各表面に関連するインテリジェントな動的リスク評価を提供し得る。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、本開示のデバイスは、現場検査員がオブジェクト上または領域内の唾液斑の存在を検出および伝達する能力を向上させる。現場検査員は、デバイスの感知ヘッド内の励起光を関心領域内に向ける。標的化された唾液斑が存在する場合、励起光は汚染を蛍光発光させる。放出された蛍光は、狭スペクトルのバンドパス・ビデオカメラフィルタを通過し、デバイス感知ヘッドに搭載されたビデオカメラによって検出される。ビデオカメラは、現場検査員に見えるディスプレイに画像を送信する。本発明はまた、遠隔配置された人員が検査を見てリアルタイムで検査所見に応答できるように、検査プロセスを記録、文書化、および無線通信することも可能である。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、検査ツールおよび関連する検査方法に関する。具体的には、本発明は、照明デバイス、対応するカメラシステム、および通信手段を組み込んだ専用ハンドヘルドツールに関する。このツールは、現場検査員が標的オブジェクト上または標的領域内の唾液斑の存在を検出および伝達する能力を高める。この方法を、パンデミック、人畜共通、および季節性流行性インフルエンザの広がりを制限するために使用することができる。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、本発明は、例えば、蛍光分光法を使用して、乾燥した唾液を検出することに関する。蛍光分光法は、タンパク質の構造、動力学および機能的相互作用を分析するために使用され得る。本開示の撮像方法は、蛍光材料が特定の波長で励起されると、記録することができるより長い波長の放射線を放出するという原理に基づいてもよい。唾液中に存在する酵素である唾液アミラーゼの重要なアミノ酸の1つである芳香族アミノ酸であるトリプトファンは、282nmの特定の波長で励起されると、345~355nmでの特徴的な発光スペクトルを与える。
【0027】
図1~
図4を参照すると、本開示のいくつかの実施形態によるデバイス10が示されている。
図5を参照すると、本開示のいくつかの実施形態によるブロック
図20が示されている。ブロック
図20は、デバイス10の構成要素のいくつか、およびそれらが互いにどのように通信するかを示す。本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10はハンドヘルドデバイスである。本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は、検査および消毒システムの一部である。
図1~
図5を参照すると、いくつかの実施形態によれば、デバイス10は、汚染衛生検査および消毒システム(CSI-D)として機能する。
【0028】
本開示のいくつかの実施形態によれば、オペレータ(すなわち、ユーザ、検査員)は、検査される表面の画像を収集するためにデバイス10を使用する。本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は、収集された画像を分析し、検査された表面上の1つまたは複数の汚染領域を識別する。本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は、以下に説明するようにディスプレイ70を使用してオペレータに1つまたは複数の汚染領域を示す。本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は、オペレータが1つまたは複数の汚染領域を消毒することを可能にし、および/または案内する。
【0029】
本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は、1つまたは複数のハンドル23を有するハウジング22を備える。いくつかの実施形態によれば、デバイス10のハウジング22は、耐久性のため、または落下/衝撃耐性を提供するための追加の材料を含む。
【0030】
本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は、(1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体を含み得る)メモリ74を備える。メモリ74は、1つまたは複数の磁気ディスクストレージデバイス、フラッシュメモリデバイス、または他の不揮発性ソリッドステートメモリデバイスなどの高速ランダムアクセスメモリおよび/または不揮発性メモリを含み得る。デバイス10の他の構成要素、例えば、1つまたは複数のシステムプロセッサモジュール65および周辺機器インターフェースによるメモリ74へのアクセスは、メモリコントローラ(図示せず)によって制御されてもよい。
【0031】
本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は、1つまたは複数のシステムプロセッサモジュール65を備える。1つまたは複数のシステムプロセッサモジュール65は、デバイス10のための様々な機能を実行し、データを処理するために、メモリ74に格納された様々なソフトウェアプログラムおよび/または命令セットを実行する。システムプロセッサモジュール65はまた、向きセンサ、動きセンサ、全地球測位システム、WiFiもしくはBluetoothシステムなどの無線通信システム、4G、LTEもしくは5Gなどのセルラネットワーク通信システム、または同様のシステムを備えてもよい。システムプロセッサモジュール65は、これらのシステムを使用してデバイスサーバ90と通信してもよく、または周辺インターフェースを介した有線接続を介してデバイスサーバと通信してもよい。システムプロセッサモジュール65はまた、これらのシステムを使用して、携帯電話、タブレット、スマートグラス、他の検査デバイスまたは他のスマートディスプレイなどの他の無線デバイス、ならびにRFIDシステム、バーコードリーダ、指紋リーダなどと通信してもよい。いくつかの実施形態によれば、これらの構成要素の一部またはすべては、単一チップ上に実装されてもよい。いくつかの実施形態によれば、これらの構成要素の一部またはすべては、別個のチップ上に実装されてもよい。
【0032】
本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は、オーディオ回路110と、スピーカ111と、マイクロフォン113とを備える。オーディオ回路110、スピーカ111、およびマイクロフォン113は、ユーザ(すなわち、オペレータ)とデバイス10との間のオーディオインターフェースを提供する。オーディオ回路110は、オーディオデータを受信し、オーディオデータを電気信号に変換し、電気信号をスピーカ111に送信する。スピーカ111は、電気信号をヒトの可聴音波に変換する。オーディオ回路110はまた、音波からマイクロフォン113によって変換された電気信号を受信する。オーディオ回路110は、電気信号をオーディオデータに変換し、オーディオデータを処理のために1つまたは複数のシステムプロセッサモジュール65に送信する。オーディオデータは、メモリ74から取り出され、かつ/またはメモリに送信されてもよい。オーディオ回路110はまた、ヘッドセット/スピーカジャック(図示せず)を備えてもよい。ヘッドセットジャックは、オーディオ回路110と、スピーカ、出力専用ヘッドフォンおよび/または出力(例えば、片耳用または両耳用のヘッドフォン)および入力(例えば、マイクロフォン)の両方を有するヘッドセットなどの取り外し可能なオーディオ入出力周辺機器との間のインターフェースを提供する。
【0033】
本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10はディスプレイ70を備える。ディスプレイ70は、タッチセンサ式ディスプレイ70であってもよい。タッチセンサ式ディスプレイ70は、便宜上「タッチスクリーン」と呼ばれることもあり、タッチセンサ式ディスプレイシステムとして知られているか、または呼ばれることもある。一実施形態では、タッチセンサ式タッチスクリーン70は、デバイス10とユーザとの間に入力インターフェースおよび出力インターフェースを提供する。タッチスクリーン70は、仮想またはソフトボタンおよび1つまたは複数のソフトキーボードを実装するように構成される。ディスプレイコントローラは、タッチスクリーン70との間で電気信号を受信および/または送信する。タッチスクリーン70は、ユーザに視覚的出力を表示する。視覚的出力は、グラフィック、テキスト、アイコン、ビデオ、およびそれらの任意の組み合わせ(総称して「グラフィック」)を含み得る。いくつかの実施形態では、視覚出力の一部またはすべては、ユーザインターフェースオブジェクトに対応してもよく、そのさらなる詳細を後述する。
【0034】
タッチスクリーン70は、触覚および/または触知接触に基づいてユーザからの入力を受け付けるタッチセンサ式表面、センサまたはセンサのセットを有する。タッチスクリーン70およびディスプレイコントローラは(メモリ74内の任意の関連するモジュールおよび/または命令セットと共に)、タッチスクリーン70上の接触(および接触の任意の移動または中断)を検出し、検出された接触を、タッチスクリーン上に表示されるユーザインターフェースオブジェクト(例えば、1つまたは複数のソフトキー、アイコン、ウェブページまたは画像)とのインタラクションに変換する。一実施形態では、タッチスクリーン70とユーザとの間の接触点は、ユーザの指に対応する。
【0035】
タッチスクリーン70は、LCD(液晶ディスプレイ)技術、またはLPD(発光ポリマーディスプレイ)技術を使用し得るが、他の実施形態では他のディスプレイ技術が使用されてもよい。タッチスクリーン70およびディスプレイコントローラは、これらに限られるわけではないが静電容量、抵抗、赤外線、および表面弾性波技術、ならびに他の近接センサアレイまたはタッチスクリーン70との1つもしくは複数の接触点を決定するための他の要素を含む、現在知られているまたは今後開発される複数のタッチ感知技術のいずれかを使用して、接触およびその任意の移動または中断を検出し得る。
【0036】
タッチスクリーン70のいくつかの実施形態におけるタッチセンサ式ディスプレイは、米国特許第6,323,846号明細書(Westermanら)、米国特許第6,570,557号明細書(Westermanら)、および/もしくは米国特許第6,677,932号明細書(Westerman)、ならびに/または米国特許出願公開第2002/0015024号明細書に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、タッチスクリーン70は、ポータブルデバイス10からの視覚出力を表示するが、タッチセンサ式タブレットは視覚出力を提供しない。
【0037】
タッチスクリーン70のいくつかの実施形態におけるタッチセンサ式ディスプレイは、以下の出願、すなわち、(1)2006年5月2日出願の米国特許出願第11/381,313号明細書、「Multipoint Touch Surface Controller」;(2)2004年5月6日出願の米国特許出願第10/840,862号明細書、「Multipoint Touchscreen」;(3)2004年7月30日出願の米国特許出願第10/903,964号明細書、「Gestures For Touch Sensitive Input Devices」;(4)2005年1月31日出願の米国特許出願第11/048,264号明細書、「Gestures For Touch Sensitive Input Devices」;(5)2005年1月18日出願の米国特許出願第11/038,590号明細書、「Mode-Based Graphical User Interfaces For Touch Sensitive Input Devices」;(6)2005年9月16日出願の米国特許出願第11/228,758号明細書、「Virtual Input Device Placement On A Touch Screen User Interface」;(7)2005年9月16日出願の米国特許出願第11/228,700号明細書、「Operation Of A Computer With A Touch Screen Interface」;(8)2005年9月16日出願の米国特許出願第11/228,737号明細書、「Activating Virtual Keys Of A Touch-Screen Virtual Keyboard」;および(9)2006年3月3日出願の米国特許出願第11/367,749号明細書、「Multi-Functional Hand-Held Device」に記載されているものであってもよい。これらの出願はすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
タッチスクリーン70は、100dpi~160dpiの解像度を有してもよい。ユーザは、スタイラス、指などの任意の適切なオブジェクトまたは付属物を使用してタッチスクリーン70と接触し得る。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェースは、主に、タッチスクリーン上の指の接触面積がより大きいためにスタイラスベースの入力よりもはるかに正確でない指ベースの接触およびジェスチャで動作するように設計されている。いくつかの実施形態では、デバイスは、粗い指ベースの入力を、ユーザが所望する動作を実行するための正確なポインタ/カーソル位置またはコマンドに変換する。
【0039】
タッチスクリーン70に加えて、デバイス10は、特定の機能を起動または停止するためのタッチパッド(図示せず)を備えてもよい。タッチパッドは、タッチスクリーンとは異なり、視覚出力を表示しないデバイスのタッチセンサ式領域である。タッチパッドは、タッチスクリーン70とは別個のタッチセンサ式表面、またはタッチスクリーンによって形成されたタッチセンサ式表面の拡張部であってもよい。
【0040】
1つまたは複数のシステムプロセッサモジュール65は、スマートディスプレイ70と通信して、検査中にユーザに情報を提供するか、または検査中にオペレータからの命令を受け入れるように構成され得る。いくつかの実施形態によれば、スマートディスプレイ70は、タッチスクリーンディスプレイなどの受動デバイスであってもよい。いくつかの実施形態によれば、スマートディスプレイ70は、スマートフォンまたはタブレットなどの複数の処理および通信機能を有するアクティブデバイスであってもよい。スマートディスプレイ70がアクティブデバイスである場合、システムソフトウェア機能の一部は、1つまたは複数のシステムプロセッサモジュール65とスマートフォンまたはタブレットとの間で共有されてもよい。いくつかの実施形態によれば、スマートディスプレイ70はスマートフォンである。
【0041】
デバイス10はまた、無線周波数(RF)回路108を備えてもよい。RF回路108は、電磁信号とも呼ばれるRF信号を受信および送信するように構成され得る。RF回路108は、電気信号を電磁信号に/電磁信号から電気信号に変換し、電磁信号を介して通信ネットワークおよび他の通信デバイスと通信する。RF回路108は、これらの機能を実行するための回路を含んでもよく、アンテナシステム、RFトランシーバ、1つまたは複数の増幅器、チューナ、1つまたは複数の発振器、デジタル信号プロセッサ、CODECチップセット、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリなどを含むが、これらに限定されない。RF回路108は、ワールドワイドウェブ(WWW)とも呼ばれるインターネットなどのネットワーク、携帯電話ネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク(LAN)および/またはメトロポリタンエリアネットワーク(MAN)などのイントラネットおよび/または無線ネットワーク、ならびに無線通信による他のデバイスと通信してもよい。無線通信は、これらに限定するものではないが、モバイル通信用グローバルシステム(GSM)、拡張データGSM環境(EDGE)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、広帯域符号分割多元接続(W-CDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、Bluetooth、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)(例えば、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11gおよび/またはIEEE802.11n)、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)、Wi-MAX、電子メール用プロトコル(例えば、インターネット・メッセージ・アクセス・プロトコル(IMAP)および/またはポストオフィスプロトコル(POP))、インスタントメッセージング(例えば、拡張可能メッセージングおよびプレゼンスプロトコル(XMPP)、インスタントメッセージングおよびプレゼンス利用拡張のためのセッション開始プロトコル(SIMPLE)、および/またはインスタントメッセージングおよびプレゼンスサービス(IMPS))、および/またはショートメッセージサービス(SMS))、または本文書の出願日現在まだ開発されていない通信プロトコルを含む任意の他の適切な通信プロトコルを含む、複数の通信規格、プロトコル、および技術のいずれかを使用してもよい。いくつかの実施形態によれば、無線周波数(RF)回路108は、デバイス10がデバイスサーバ90および/または外部サーバ95と通信することを可能にする。
【0042】
デバイス10はまた、入力制御デバイスとして、物理的または仮想的なクリックホイール(図示せず)および/または1つまたは複数の制御部80を備えてもよい。ユーザは、クリックホイールを回転させることによって、またはクリックホイールとの接触点を移動させることによって(例えば、接触点の移動量は、クリックホイールの中心点に対する角変位によって測定される)、または1つまたは複数の制御部80を作動させることによって、スクリーン70に表示される1つまたは複数のグラフィカルオブジェクト(以下、アイコンと呼ぶ)の間をナビゲートし、それらと対話してもよい。クリックホイールはまた、表示されたアイコンのうちの1つまたは複数を選択するために使用されてもよい。例えば、ユーザは、クリックホイールまたは関連するボタンの少なくとも一部を押し下げることができる。クリックホイールを介してユーザによって提供されるユーザコマンドおよびナビゲーションコマンドは、入力コントローラ、ならびにメモリ74内のモジュールおよび/または命令セットのうちの1つまたは複数によって処理されてもよい。仮想クリックホイールの場合、クリックホイールおよびクリックホイールコントローラは、それぞれタッチスクリーン70およびディスプレイコントローラの一部であってもよい。仮想クリックホイールの場合、クリックホイールは、デバイスとのユーザインタラクションに応答してタッチスクリーンディスプレイ上に現れたり消えたりする不透明または半透明のオブジェクトであってもよい。いくつかの実施形態では、仮想クリックホイールは、ポータブル多機能デバイスのタッチスクリーン上に表示され、タッチスクリーンとのユーザ接触によって操作される。
【0043】
本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は電力システム75を備える。電力システム75は、デバイス10の様々な構成要素に電力を供給する。電力システム75は、電力管理システム、1つまたは複数の電源(例えば、バッテリ、交流(AC))、充電システム、停電検出回路、電力コンバータまたはインバータ、電力状態インジケータ(例えば、発光ダイオード(LED))、および/またはポータブルデバイスにおける電力の生成、管理、および分配に関連する任意の他の構成要素を備えてもよい。
【0044】
本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は光学センサ25を備える。デバイス10の光学センサ25は、光学センサコントローラと電気的に結合されてもよい。光学センサ25は、電荷結合素子(CCD)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)フォトトランジスタを備えてもよい。光学センサ25は、1つまたは複数のレンズを介して投射された環境からの光を受光し、その光を、画像を表すデータに変換する。撮像モジュール(カメラモジュールとも呼ばれる)と連動して、光学センサ25は、視覚媒体(すなわち、静止画像またはビデオ)をキャプチャしてもよい。いくつかの実施形態では、光学センサ25は、デバイス10の背面のタッチスクリーンディスプレイ70とは反対側のデバイス10の前面に配置されてもよく、その結果、タッチスクリーンディスプレイ70は、静止画像および/またはビデオ画像の取得のためのビューファインダとして使用されてもよい。いくつかの実施形態では、光学センサ25は、ユーザの(1つまたは複数の)画像をキャプチャするためにデバイス10の背面に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、一方の光学センサ25はデバイス10の背面に配置されてもよく、別の光学センサ25はデバイス10の前面に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、光学センサ25の位置は、静止画像および/またはビデオ画像をキャプチャするためにタッチスクリーンディスプレイと共に単一の光学センサ25が使用され得るように、ユーザによって(例えば、デバイスハウジング内のレンズおよびセンサを回転させることによって)変更されてもよい。
【0045】
本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は光学センサ30を備える。デバイス10の光学センサ30は、光学センサコントローラと電気的に結合されてもよい。光学センサ30は、電荷結合素子(CCD)または相補型金属酸化膜半導体(CMOS)フォトトランジスタを備えてもよい。光学センサ30は、1つまたは複数のレンズを介して投射された環境からの光を受光し、その光を、画像を表すデータに変換する。撮像モジュール(カメラモジュールとも呼ばれる)と連動して、光学センサ30は、視覚媒体(すなわち、静止画像またはビデオ)をキャプチャしてもよい。いくつかの実施形態では、光学センサ30は、デバイス10の背面のタッチスクリーンディスプレイ70の反対側のデバイス10の前面に配置されてもよく、その結果、タッチスクリーンディスプレイ70は、静止画像および/またはビデオ画像の取得のためのビューファインダとして使用されてもよい。いくつかの実施形態では、光学センサ30は、ユーザの(1つまたは複数の)画像をキャプチャするためにデバイス10の背面に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、一方の光学センサ30はデバイス10の背面に配置されてもよく、別の光学センサ30はデバイス10の前面に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、光学センサ30の位置は、静止画像および/またはビデオ画像をキャプチャするためにタッチスクリーンディスプレイと共に単一の光学センサ30が使用され得るように、ユーザによって(例えば、デバイスハウジング内のレンズおよびセンサを回転させることによって)変更されてもよい。
【0046】
本開示いくつかの実施形態によれば、デバイス10はまた、
図5に示すような1つまたは複数の加速度計168を備えてもよい。加速度計168は、米国特許出願公開第20050190059号明細書「Acceleration-based Theft Detection System for Portable Electronic Devices」および米国特許出願公開第20060017692号明細書「Methods And Apparatuses For Operating A Portable Device Based On An Accelerometer」に記載されているように機能することができ、これらは両方とも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。情報は、1つまたは複数の加速度計168から受信したデータの分析に基づいて、タッチスクリーンディスプレイ70上に縦向きビューまたは横向きビューで表示されてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、メモリ74は、以下に説明するように、1つまたは複数のソフトウェア構成要素を格納するように構成されてもよい。
【0048】
メモリ74は、オペレーティングシステムを格納するように構成されてもよい。オペレーティングシステム(例えば、Darwin、RTXC、LINUX、UNIX(登録商標)、OS X、WINDOWS(登録商標)、またはVxWorksなどの組み込みオペレーティングシステム)は、一般的なシステムタスク(例えば、メモリ管理、ストレージデバイス制御、電力管理など)を制御および管理するための様々なソフトウェア構成要素および/またはドライバを備え、様々なハードウェア構成要素とソフトウェア構成要素との間の通信を容易にする。
【0049】
メモリ74は、システムソフトウェアを格納するように構成されてもよい。システムソフトウェアは、デバイス10から転送される測定値および他の情報のためのデータストレージを提供してもよい。システムソフトウェアは、デバイス10を使用して実施することができるジョブおよびタスクリストの作成を管理するためのシステム管理機能を提供してもよい。システムソフトウェアは、データストレージ、ならびに組織のための1つまたは複数のデバイス10のジョブおよびタスクリストの作成を管理するように構成されてもよい。システムソフトウェアは、ファームウェアソフトウェア、解析ソフトウェア、およびユーザインターフェースソフトウェアを含んでもよい。
【0050】
メモリ74はまた、通信モジュールを格納するように構成されてもよい。通信モジュールは、1つまたは複数の外部ポートを介した他のデバイスとの通信を容易にし、RF回路108および/または外部ポートによって受信されたデータを処理するための様々なソフトウェア構成要素も含む。一実施形態では、外部ポート(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、FIREWIRE(登録商標)など)は、他のデバイスに直接またはネットワーク(例えば、インターネット、無線LANなど)を介して間接的に結合するように構成される。
【0051】
メモリ74は、接触/動きモジュールを格納するように構成されてもよい。接触/動きモジュールは、タッチスクリーン70(ディスプレイコントローラと連動している)および他のタッチセンサ式デバイス(例えば、タッチパッドまたは物理的クリックホイール)との接触を検出するように構成される。接触/動きモジュールは、接触が発生したかどうかを判定すること、接触の移動があるかどうかを判定し、タッチスクリーン74を横切る移動を追跡すること、および接触が中断されたかどうか(すなわち、接触が終了したかどうか)を判定することなど、接触の検出に関連する様々な動作を実行するための様々なソフトウェア構成要素を含む。接触点の移動を判定することは、接触点の速さ(大きさ)、速度(大きさおよび方向)、および/または加速度(大きさおよび/または方向の変化)を判定することを含んでもよい。これらの動作は、単一の接触部(例えば、1つの指接触部)または複数の同時拙速部(例えば、「マルチタッチ」/複数の指接触部)に適用されてもよい。接触/動きモジュールおよびディスプレイコントローラはまた、タッチパッド上の接触を検出してもよい。接触/動きモジュールおよびコントローラは、クリックホイールへの接触をさらに検出してもよい。
【0052】
メモリ74は、グラフィックモジュールを格納するように構成されてもよい。グラフィックモジュールは、表示されるグラフィックの強度を変更するための構成要素を含む、タッチスクリーン70上にグラフィックをレンダリングおよび表示するための様々な既知のソフトウェア構成要素を含む。本明細書で使用される場合、「グラフィック」という用語は、テキスト、ウェブページ、アイコン(ソフトキーを含むユーザインターフェースオブジェクトなど)、デジタル画像、ビデオ、アニメーションなどを含むが、これらに限定されない、ユーザに表示することができる任意のオブジェクトを含む。
【0053】
メモリ74はまた、テキスト入力モジュールを格納するように構成されてもよい。テキスト入力モジュールは、グラフィックモジュールの構成要素であってもよく、テキスト入力を必要とする様々なアプリケーションにテキストを入力するためのソフトキーボードを提供する。
【0054】
メモリ74は、GPSモジュールを格納するように構成されてもよい。GPSモジュールは、デバイスのロケーションを決定し、様々なアプリケーションで使用するためにこの情報を(例えば、ピクチャ/ビデオメタデータとしてカメラモジュールに)提供する。
【0055】
メモリ74は、アプリケーションを格納するように構成されてもよい。アプリケーションは、以下のモジュール(または命令セット)のうちの1つまたは複数、またはそのサブセットもしくはスーパーセット;静止画像および/またはビデオ画像用のカメラモジュール;画像管理モジュール;ビデオプレーヤモジュール;および/またはオンラインビデオモジュールを含んでもよい。
【0056】
アプリケーションは、追加のモジュール(または命令セット)を含んでもよい。例えば、メモリ74に格納され得る他のアプリケーションは、連絡先モジュール(アドレス帳または連絡先リストと呼ばれることもある);電話モジュール;ビデオ会議モジュール;電子メールクライアントモジュール;インスタントメッセージング(IM)モジュール;ブラウザモジュール;カレンダモジュール;探索モジュール;メモモジュール;地図モジュール;ワードプロセッシングアプリケーション;JAVA(登録商標)対応アプリケーション;暗号化;デジタル著作権管理;音声認識;および/または音声複製、のうちの1つまたは複数を含んでもよい。
【0057】
カメラモジュール(例えば、タッチスクリーン70、ディスプレイコントローラ、(1つまたは複数の)光学センサ25および/または30、光学センサコントローラ、接触モジュール、グラフィックモジュール、ならびに画像管理モジュールと連動している)は、静止画像またはビデオ(ビデオストリームを含む)をキャプチャし、それらをメモリ74に格納し、静止画像またはビデオの特性を修正し、またはメモリ74から静止画像またはビデオを削除するように構成されてもよい。
【0058】
画像管理モジュール(例えば、タッチスクリーン70、ディスプレイコントローラ、接触モジュール、グラフィックモジュール、テキスト入力モジュール、およびカメラモジュールと連動している)は、静止画像および/またはビデオ画像を配置、修正、または操作、ラベル付け、削除、提示(例えば、デジタルスライドショーまたはアルバムにおいて)、および格納するように構成されてもよい。
【0059】
ビデオプレーヤモジュール(例えば、タッチスクリーン70、ディスプレイコントローラ、接触モジュール、グラフィックモジュール、オーディオ回路110、およびスピーカ111と連動している)は、(例えば、タッチスクリーン70上、または外部ポートを介して接続された外部ディスプレイ上で)ビデオを表示、提示、または再生するように構成されてもよい。
【0060】
オンラインビデオモジュール(例えば、タッチスクリーン70、ディスプレイシステムコントローラ、接触モジュール、グラフィックモジュール、オーディオ回路110、スピーカ111、RF回路108と連動している)は、ユーザが1つまたは複数のファイルフォーマットでオンラインビデオにアクセス、ブラウズ、受信(例えば、ストリーミングおよび/またはダウンロードによって)、再生(例えば、タッチスクリーン70上、または外部ポートを介して接続された外部ディスプレイ上で)、アップロードおよび/または他の方法で管理することを可能にするように構成されてもよい。
【0061】
上記の識別されたモジュールおよびアプリケーションの各々は、上記の1つまたは複数の機能を実行するための命令のセットに対応する。これらのモジュール(すなわち、命令セット)は、別個のソフトウェアプログラム、手順またはモジュールとして実装される必要はなく、したがって、これらのモジュールの様々なサブセットは、様々な実施形態において組み合わされてもよく、そうでなければ再配置されてもよい。例えば、ビデオプレーヤモジュールは、別のモジュールと組み合わせて単一のモジュールにすることができる。メモリ74は、上記で特定されたモジュールおよびデータ構造のサブセットを格納してもよい。さらに、メモリ74は、上述していない追加のモジュールおよびデータ構造を格納してもよい。
【0062】
デバイス10は、デバイス上の所定の機能セットの動作がタッチスクリーン70および/またはタッチパッドを介して排他的に実行されることを可能にするように構成されてもよい。タッチスクリーンおよび/またはタッチパッドをデバイス10の動作のための主な入力/制御デバイスとして使用することにより、デバイス10上の物理的な入力/制御デバイス(押しボタン、ダイヤルなど)の数を減らしてもよい。
【0063】
タッチスクリーンおよび/またはタッチパッドを介して排他的に実行され得る所定の機能セットは、ユーザインターフェース間のナビゲーションを含んでもよい。いくつかの実施形態では、タッチパッドは、ユーザによってタッチされると、デバイス10上に表示され得る任意のユーザインターフェースからメインメニュー、ホームメニュー、またはルートメニューにデバイス10をナビゲートする。
【0064】
図5に示すデバイス10は、図示よりも多いまたは少ない構成要素を備えてもよく、2つ以上の構成要素を組み合わせてもよく、または構成要素の異なる構成または配置を有してもよい。
図5に示す様々な構成要素は、1つまたは複数の信号処理および/または特定用途向け集積回路を含む、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアの両方の組み合わせで実装されてもよい。
【0065】
図5に示す構成要素は、1つまたは複数の通信バスまたは信号線103を介して通信してもよい。
【0066】
本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は、動きセンサ35、向きセンサ40、温度センサ45、距離センサ50、および/または第1の光源55を備える。本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10はまた、第2の光源60を備えてもよい。本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10はまた、手動制御部80および/または照明ドライバ85を備えてもよい。
【0067】
本開示のいくつかの実施形態によれば、第1の光源55は、365nm~410nmの波長範囲の光によって励起されたときに蛍光を発する汚染物質中の蛍光を励起するための照明を提供し得る。本開示のいくつかの実施形態によれば、第2の光源60は、260nm~290nmの波長範囲の光によって励起されたときに蛍光を発する汚染物質中の蛍光を励起するための照明を提供し得る。いくつかの実施形態によれば、一方または両方の光源55,60は、ウイルス、細菌、真菌、カビ、または他の病原性の疾患源の少なくとも1つを不活性化または死滅させるのに適した光を提供する。
【0068】
いくつかの実施形態によれば、第1の光源55は、
図3に示されるように複数の発光ダイオード(LED)56を備える。いくつかの実施形態によれば、LED56は、円形パターンで配置される。いくつかの実施形態によれば、LED56は、カメラ30の周りに円形パターンで配置される。いくつかの実施形態によれば、第2の光源60は、
図3に示すように複数の発光ダイオード(LED)61を備える。いくつかの実施形態によれば、LED61は、円形パターンで配置される。いくつかの実施形態によれば、LED61は、カメラ30の周りに円形パターンで配置される。カメラ25および30を再配置することができ、カメラ25はLED56および61の中心に配置されることを理解されたい。
【0069】
いくつかの実施形態によれば、照明ドライバ85は、光源55,60を制御し、適切な電力を供給する。光源55,60は、システムプロセッサモジュール65からの1つまたは複数の信号に応答して、照明ドライバ85によって作動され得る。いくつかの実施形態によれば、光源55,60は、(1つまたは複数の)光学センサ(すなわち、カメラ)25および/または30と同期して動作して、各カメラ25および/または30の適切な励起波長照明下で蛍光画像データを取得する。光源55,60は、連続照明モードまたはパルス照明モードで動作することができる。パルスモードは、背景画像のキャプチャを容易にして、より明るい周囲光における検出可能性を高める。照明ドライバ85は、光源55,60をオンおよびオフにするために、システムプロセッサモジュール65から1つまたは複数の信号を受信する。蛍光撮像モードの間、光源55,60は、システムプロセッサモジュール65からの1つまたは複数の信号を介して順次オンおよびオフにされる。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、光源55,60は、レーザ、発光ダイオード(LED)、ランプ、または蛍光励起および/または消毒のための適切な波長を提供することができる他の照明源であってもよい。いくつかの実施形態によれば、光源55および/または光源60は、UVおよび青色/紫色の波長範囲の高出力LEDである。いくつかの実施形態によれば、光源55および/または光源60は、1W~100Wの光電力の範囲で動作する。いくつかの実施形態によれば、光源55および/または光源60は、各励起波長に対して1ミリ秒~200ミリ秒の蛍光撮像のための照明時間を提供する。いくつかの実施形態によれば、光源55および/または光源60は、0.1秒~60秒の消毒時間を提供する。蛍光撮像または消毒のいずれかのための曝露の実際の時間は、実行されているタスク、表面までの距離、照明光エネルギー、励起に必要なエネルギー、消毒に必要なエネルギー、ならびに照明時間および撮像時間を計算するための他の要因を考慮に入れたシステムソフトウェアアルゴリズムによって制御され得る。
【0071】
実行されているタスクが蛍光撮像である場合、システムは、照明システムがシステム較正プロセス中に測定によって決定された既知の距離でUV照明下および青紫色照明下で提供するエネルギー量に基づいて照明時間を設定する。システムソフトウェアは、既知のサンプルを用いた実験的測定から抽出された事前知識から、唾液または生物残渣または細菌などの所望の汚染物質の検出に必要な照明の量を決定する。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、カメラ25は、検査される表面上の特定の汚染物質の存在を示すことができる蛍光画像データの収集のために構成される(すなわち、最適化される)。いくつかの実施形態によれば、カメラ25は、検査される表面上の唾液または呼吸器飛沫からの蛍光画像の収集のために最適化される。いくつかの実施形態によれば、カメラ25は、例えば320nm~370nmの範囲内の波長に対して増強された感度を有する画像センサを備える。320nm~370nmの波長範囲は、唾液アミラーゼおよび例えばトリプトファンなどの呼吸器飛沫タンパク質からの蛍光の発光の特徴である。いくつかの実施形態によれば、周囲光に対するカメラ25の応答を制限し、デバイス10を標的化された蛍光発光にさらに特異的にするために、デバイス10は、汚染を検出するのに十分な蛍光発光信号を通過させながら、励起照明(光学濃度OD3以上)および他の望ましくない波長を遮断するのに十分な光学密度を有するバンドパスフィルタ27,32を装備し得る。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、カメラ30は、検査される表面上の有機残渣および他の汚染物質からの蛍光画像を収集するように構成される(すなわち、最適化される)。いくつかの実施形態によれば、カメラ30は、例えば420nm~800nmの可視範囲の光の波長に対する感度が向上した画像センサを備える。420nm~800nmの波長範囲は、クロロフィル、ポルフィリン(しばしば細菌に見られる)、NADH、FAD、および脂質などの有機残渣および他の汚染物質からの蛍光の発光に特徴的である。NADHは、「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)+水素(H)」の略である。この化学物質は、体内で自然に発生し、エネルギーを発生させる化学プロセスにおいて役割を果たす。フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)は、代謝におけるいくつかの酵素反応に関与する様々なタンパク質に関連するレドックス活性補酵素である。いくつかの実施形態によれば、周囲光に対するカメラ30の応答を制限し、デバイス10を標的化された蛍光発光にさらに特異的にするために、デバイス10は、汚染を検出するのに十分な蛍光発光信号を通過させながら、励起照明(OD3以上)および他の望ましくない波長を遮断するのに十分な光学密度を有するデュアルまたはマルチバンドパスフィルタ27(
図8に示す例示的な波長特性)を装備し得る。デュアルバンドパスフィルタは、選択された緑色蛍光発光信号および選択された赤色蛍光発光信号を通過させ得る。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、カメラ25および/または30は、所望の波長を通過させるように最適化されたレンズ29,33を備え、各カメラ25および/または30の視野が重なり合うように配置され、それぞれの画像をその後処理して、共通の視野を有する位置合わせされた画像データを提供することができる。いくつかの実施形態によれば、少なくとも1つのカメラ25または30は、検査および消毒中にカメラ25,30を目標面に向けるときにオペレータを案内するために「ビューファインダモード」で使用される。「ビューファインダモード」では、カメラ25または30は、アンビエント照明またはデバイス10に組み込まれた他の光源の下で撮像している。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、システムプロセッサモジュール65は、
図5に示すように、中央処理装置(CPU)、複数のデータ入力および出力ポート、ならびに様々な他の構成要素への接続を有する周辺デバイスインターフェースを有する集積回路上のコンピュータを備える。システムプロセッサモジュール65は、検査を案内し、データを分析し、デバイス10のユーザ(すなわち、オペレータ)および1つまたは複数の外部サーバ90,95と通信するシステムソフトウェアをホストし得る。システムプロセッサモジュール65は、撮像および消毒の両方のためにカメラ25,30および光源55,60の制御を提供し得る。システムプロセッサモジュール65は、光源55,60とカメラ25,30による蛍光画像のキャプチャとのタイミングおよび同期を管理し得る。システムプロセッサモジュール65は、キャプチャされた画像を処理して、有意義な情報をオペレータおよび検査記録に提供し得る。
【0076】
システムプロセッサモジュール65は、距離センサ50、動きセンサ35、向きセンサ40、および画像センサ28,31のうちの少なくとも1つと通信し、それらからの情報を分析して、光源55および/または光源60を作動させるために状態が安全でないかどうかを判定するように構成され得る。システムプロセッサモジュール65は、消毒照明のための適切な曝露時間を決定して、消毒される表面までの特定の距離にある特定の標的種の消毒を確実にし、または消毒プロセスを制御および監視して、消毒中に完全な消毒を確実にするためのハンドヘルドデバイスの動きの十分な欠如があったかどうかを判定し得る。
【0077】
システムプロセッサモジュール65は、距離センサ50、動きセンサ35、向きセンサ40、および画像センサ28,31のうちの少なくとも1つと通信し、それらからの情報を分析して、画像がぼかされず、連続的にキャプチャされた画像が表面上の同じロケーションのものであるように、条件が画像キャプチャに適しているかどうかを判定するように構成され得る。
【0078】
いくつかの実施形態によれば、距離センサ50は、デバイス10(
図3に示す)の前向き方向に取り付けられ、検査される表面の視野に向けられた少なくとも1つの光検出および測距(LIDAR)センサを備える。いくつかの実施形態によれば、LIDARセンサの角度許容度を、カメラシステムの所望の視野に重なるようにプログラムで調整することができる。いくつかの実施形態によれば、複数のLIDARセンサを使用して、カメラ25,30の視野の異なる部分に重ねることができる。これは、視野内のいくつかのオブジェクトがより遠くにあり、いくつかのオブジェクトがより近い距離にあるため(すなわち、肘掛けのある椅子)、表面が不規則または狭い幅の場合に有用であり得る。
【0079】
システムプロセッサモジュール65は、デバイス10の手動制御部80から信号を受信および解釈するように構成されてもよい。手動制御部80は、ディスプレイ70上でカーソルを案内するために使用することができる、瞬間式押しボタンスイッチ、オン/オフプッシュボタンスイッチ、または多軸押しボタン制御部を含むことができる。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、デバイスサーバ90は、無線で、または安全な有線もしくは光ファイバ接続によってデバイス10に接続されたコンピュータシステムを備える。いくつかの実施形態によれば、デバイスサーバ90はクラウドサーバである。デバイスサーバ90は、1つまたは複数のデバイス10のための画像および検査履歴データベースをホストし、1つまたは複数のデバイス10上のシステムソフトウェアと通信するように構成されてもよい。いくつかの実施形態によれば、デバイスサーバ90は、1つまたは複数の外部サーバ95との間のデータおよびレポートの通信を管理する。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の外部サーバ95は、局所的な環境条件または局所的な疾患の罹患率などの他のデータを提供する顧客サーバまたはサーバであってもよい。デバイスサーバ90はまた、動的リスク管理アルゴリズム(
図15および
図16に記載)をホストしてもよい。デバイスサーバ90はまた、ウェブポータルをホストしてもよく、そこで、デバイス10のユーザおよびそれらのマネージャは、検査履歴、インシデントレポート、デバイスステータス、検査ステータスを見ることができ、ユーザは、検査タスクリストを設定し、検査タスクリスト、複数のハンドヘルドデバイスもしくはオペレータのための、施設の、または複数の施設の複数の検査タスクリストの清浄度ステータスおよびタスクの完全性に関する他の管理および報告機能を実行することができる。
【0082】
いくつかの実施形態によれば、LED56,61、カメラ25,30および/または距離センサ50はすべて、デバイス10によって使用される光の波長に対して透明な保護ガラス窓34の背後に配置される。
【0083】
いくつかの実施形態によれば、
図37に示すように、LED56,61、カメラ25,30および/または距離センサ50はすべて、薄い保護プレート3710の背後に配置され、プレートは、光が各LED56,61から3720を通過することを可能にし、光が3730,3740を通過してカメラ25,30に至ることを可能にし、光が3750を通過して距離センサ50に至ることを可能にするように穴が開けられている。いくつかの実施形態によれば、保護プレートは、金属、ポリマー、または光を遮断することができる他の適切な材料を含む。いくつかの実施形態によれば、各LED56,61、距離センサ50、およびカメラ25,30の保護プレートの穿孔は、各構成要素の光学機能に必要な最小開口のサイズにされ得る。
【0084】
いくつかの実施形態によれば、
図38に示すように、保護ガラス窓34を、多孔プレート3710または他の保護カバーと組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態によれば、保護ガラス窓および/または保護プレートは、破損を引き起こす可能性のある保護ガラス窓の屈曲からの保護を提供するために、保護ガラス窓とLED56,61が取り付けられているプリント回路基板57,62との間に配置された、例えばクッション発泡体、ゴム、またはシリコーンなどの材料63のリングによって支持される。
【0085】
図1および
図3を参照すると、デバイス10は、LED56,61を取り囲むフロントベゼル58を備えてもよい。いくつかの実施形態によれば、フロントベゼル58は、保護ガラスまたは保護プレートまたはカバーを保持するように構成され、デバイス10のファン駆動冷却システム107に換気を提供することも可能である。
【0086】
本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は、デバイス10のオペレータから離れて潜在的に汚染された表面に向かってファン駆動冷却システム107から冷却空気流排気を導くフロント通気ポート59を備え、それによってデバイス10のオペレータに対する潜在的な汚染の危険性を低減する。
【0087】
本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は、レーザまたはLEDインジケータを潜在的に汚染された表面上に投影して、どの検査領域が距離センサ50またはカメラ25,30の視野内にあるかをオペレータに知らせることができる構造化照明システムを備える。
【0088】
本開示のいくつかの実施形態によれば、システムソフトウェアは、デバイスサーバ90のメモリに完全にまたは部分的に格納される。本開示のいくつかの実施形態によれば、システムソフトウェアはデバイスサーバ90上で動作する。
【0089】
本開示のいくつかの実施形態によれば、システムソフトウェアは、デバイス10から転送される測定値および他の情報のためのデータストレージを提供してもよい。デバイスサーバ90上のシステムソフトウェアは、デバイス10を使用して実施することができるジョブおよびタスクリストの作成を管理するためのシステム管理機能を提供してもよい。デバイスサーバ90上のシステムソフトウェアは、データストレージ、ならびに組織のための1つまたは複数のデバイス10のジョブおよびタスクリストの作成を管理するように構成されてもよい。例えば、企業は、単一のデバイスサーバ90から管理される異なるロケーションに5つのデバイス10を有することができる。いくつかの実施形態によれば、デバイスサーバ90はまた、複数のデバイス10を有する複数の組織のためのデータストレージならびにジョブおよびタスクリストの作成を管理してもよい。
【0090】
本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイスサーバ90は、1つまたは複数のデバイス10に無線接続され、多くの組織にサービスを提供するクラウドサーバである。クラウドデバイスサーバ90は、ユーザまたはマネージャが1つまたは複数のデバイス10を管理することができるインターネットを介してアクセス可能なウェブポータルを備えてもよい。デバイスサーバ90上のシステム管理ソフトウェアは、検査および衛生レポートの作成、保存、および検索を提供してもよい。デバイスサーバ90上のシステム管理ソフトウェアは、各検査タスクのリスク指標の作成、ならびに進行中のリスクを分析し、各検査タスクに更新されたリスク指標を適用するための以前の検査および衛生レポートの分析を提供してもよい。デバイスサーバ90上のシステム管理ソフトウェアは、外部のデータソースと通信する能力を提供してもよい。外部データソースは、組織サーバ、機関サーバ、政府または規制機関からのデータを提供するサーバ、環境、健康、疫学、気象、人口、スケジューリング、輸送などの情報の公的または私的なソースからデータを提供するサーバのうちの少なくとも1つとすることができる。デバイスサーバ90上の管理ソフトウェアはまた、ローカル、地域、国内、もしくは国際機関または規制機関にデータを提供してもよい。
【0091】
デバイスサーバ90は、タスク管理情報を通信し、有線または無線の方法を介してデバイス10上のシステムソフトウェアにデータを収集してもよい。システムソフトウェアは、レポートおよび測定データならびにデバイス10のシステムステータスをデバイスサーバ90に通信することができる。システムソフトウェアは、ファームウェアソフトウェア、解析ソフトウェア、およびユーザインターフェースソフトウェアを含んでもよい。
【0092】
ユーザインターフェースソフトウェアは、ディスプレイ70上に情報および制御スクリーンを提供して、検査および検査タスクリストを通してユーザ(すなわち、オペレータ)を案内する。いくつかの実施形態によれば、ユーザインターフェースソフトウェアは、ディスプレイ70を介してオペレータにオプションを表示し、スマートディスプレイ上のディスプレイ70もしくは手動制御部80のいずれかを介してオペレータからの入力を受け入れる、ならびに/またはスマートディスプレイ70およびデバイス上の手動制御部80を介してオペレータからの入力を受け入れる。いくつかの実施形態によれば、ユーザインターフェースソフトウェアは、検査タスク、検査ステータス、および検査結果のデバイスサーバ90への通信を提供する。
【0093】
ファームウェアソフトウェアは、デバイス10のハードウェア構成要素に直接接続され、制御し得る。ユーザインターフェースソフトウェアは、デバイス10のオペレータに情報を提供し、デバイス10のオペレータからのコマンドを解釈する。分析ソフトウェアは、センサ測定値35,40,50,45を連続的に分析し、画像データを分析し、検査を案内するための情報をユーザに提供する。分析ソフトウェアはまた、測定値を解釈し、安全条件を継続的に評価し、安全でない条件ではUV照明を無効にする。分析ソフトウェアはまた、測定値を動的に解釈し、各タスクの効果的な消毒に必要なUV照明の持続時間を計算する。また、消毒が完了したかどうか、または消毒を繰り返す必要があるかどうかを判定するために消毒を監視する。
【0094】
ファームウェアソフトウェアは、露光時間、カメラゲイン、カメラオフセット、ピクセルビニング、および所望の画像をキャプチャするのに適したカメラの他のプログラム可能な設定を含むカメラごとの適切なパラメータを設定することによって、画像キャプチャのためにカメラ25,30および光源55,60を準備する。ファームウェアソフトウェアはまた、各照明源のオン時間およびオフ時間を設定する。
【0095】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ユーザによる画像キャプチャの開始時に、ファームウェアソフトウェアは、例えば、UV励起蛍光画像、UV励起蛍光画像に関連する背景画像、青色/紫色励起蛍光画像、および青色/紫色励起蛍光画像に関連する背景画像を含む4つの画像をキャプチャするための一連の動作を開始する。背景画像は、それらの関連する蛍光画像と比較して、同じまたは異なる露光時間でキャプチャされることができる。背景画像が異なる露光時間でキャプチャされる場合、それらの強度は、露光時間の差を補正するためにスケーリングされ得る。例えば、背景画像の露光時間が蛍光画像の半分の時間である場合、露光時間の差を補正するために強度が2倍に乗算される。画像がシステムプロセッサモジュール65のメモリにキャプチャされた後、
図6に示すように、画像処理および分析を開始することができる。
【0096】
本開示のいくつかの実施形態によれば、各蛍光画像301に関連する背景画像は、必要に応じて露光時間を補正するようにスケーリングされ、蛍光画像から減算されて、背景補正された蛍光画像303を生成する。背景補正された蛍光画像は、照明源の1つによって励起されたときに特定の波長帯域で放射された蛍光から作成された少なくとも1つの画像を含み得る。波長帯域は、開始波長と終了波長とを有し、開始波長と終了波長との間のすべての波長の光を含む。単一の画像に収集された1つまたは複数の波長帯域が存在し得る。1つまたは複数の波長帯域が収集された複数の画像も存在し得る。1つまたは複数のカメラ25,30から画像を収集することができる。カメラ25,30を通過する光の波長帯域を、カメラ25,30の画像経路に配置された少なくとも1つの光学フィルタ27,32によって選択することができる。光学フィルタはまた、カメラ25または30の画像センサ26,31と一体化されてもよい。画像センサ26と一体化された光学フィルタ28は、赤外線遮断フィルタなどの単一の均一フィルタであってもよいし、ベイヤーフィルタなどのモザイクフィルタであってもよい。均一フィルタは、センサ26,31の領域にわたる波長選択のために同じ光学特性を有する。モザイクフィルタは、画像センサ26,31の異なる画素に異なる波長帯域の光を提供する波長選択のための異なる光学特性を有する光学フィルタのパターン化された配置を含む。モザイクフィルタの例は、例えば、カラーデジタルカメラセンサに一般的に採用されている赤色、緑色、および青色フィルタのアレイを含むベイヤーフィルタであってもよい。いくつかの実施形態によれば、デバイス10内の少なくとも一方のカメラ25または30は、光路内に均一フィルタとモザイクフィルタの両方を備えてもよい。いくつかの実施形態によれば、均一フィルタは、所望の蛍光信号を通過し、そうでなければ望ましくない蛍光励起光波長および/または背景照明波長を遮断する少なくとも1つの波長帯域を含む。いくつかの実施形態によれば、均一フィルタは、所望の蛍光信号を通過し、そうでなければ望ましくない蛍光励起光波長および/または背景照明波長を遮断する少なくとも2つの波長帯域を含む。いくつかの実施形態によれば、均一フィルタは、所望の蛍光信号を通過し、そうでなければ望ましくない蛍光励起光波長および/または背景照明波長を遮断する少なくとも2つの波長帯域を含む。
【0097】
いくつかの実施形態によれば、モザイクフィルタは、所望の蛍光信号を通過する少なくとも2つの波長帯域を含む。いくつかの実施形態によれば、モザイクフィルタは、所望の蛍光信号を通過する少なくとも3つの波長帯域を含む。いくつかの実施形態によれば、モザイクフィルタは、所望の蛍光信号を通過させる少なくとも3~9つの波長帯域を含む。いくつかの実施形態によれば、光学フィルタリングシステムは、音響光学チューナブルフィルタ(AOTF)、液晶チューナブルフィルタ(LCTF)、および(線形可変スペクトルフィルタまたはフィルタホイール)による波長選択の他の電気機械的フィルタなどの電子制御スペクトルフィルタを含んでもよい。
【0098】
いくつかの実施形態によれば、2つのカメラ25,30は、それらの撮像経路が平行またはほぼ平行であり、画像の視野(FOV)が互いに重なり合い、光源55,60からの蛍光励起光によって照明される視野の部分を含むように、互いに横に(すなわち、隣接して)配置される。カメラ25,30は、蛍光の特定の波長範囲の検出に最適化され、そのカメラのレンズおよび光学フィルタリングシステムに最適化されたセンサを備えてもよい。いくつかの実施形態によれば、カメラ25または30の一方は、紫外蛍光発光の検出およびUVC蛍光励起の遮断、ならびに可視光範囲の他の波長のために最適化され、カメラ25または30の他方は、可視および近赤外範囲の蛍光発光の少なくとも2つの波長帯域の検出および青紫色励起光の遮断のために最適化される。いくつかの実施形態によれば、カメラ25は、モザイクフィルタ28と、可視光および近赤外光波長範囲の少なくとも2つの蛍光波長帯域を通過させ、青紫色励起光を遮断するバンドパスフィルタ27とを有するカメラセンサを備える。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、カメラ25,30からの画像は、共に位置合わせされてもよい。いくつかの実施形態によれば、カメラ25,30からの画像は、カメラ25,30が異なる倍率、または異なるセンサピクセルサイズを有する場合、歪み補正304を必要とし得、または画像に樽型歪みまたは糸巻き型歪みなどの画像歪みを生じさせる。樽型歪みでは、光軸から離れるにつれて画像倍率が小さくなる。明らかな効果は、球体(または樽型)の周りにマッピングされた画像の効果である。半球の視野をとる魚眼レンズは、無限に広いオブジェクト面を有限の画像領域にマッピングする方法としてこの種の歪みを利用する。ズームレンズでは、鏡筒歪みはレンズの焦点距離範囲の中央に現れ、範囲の広角端で最も悪くなる。糸巻き型歪みは、光軸から離れるにつれて画像倍率が大きくなる。可視効果は、画像の中心を通らない線が、糸巻きのように、画像の中心に向かって内側に曲がっていることである。
【0100】
いくつかの実施形態によれば、カメラ25,30は、カメラ25,30と撮像される表面との間の距離の関数として異なる補正および共位置合わせアルゴリズムパラメータを有することができる画像の歪みの補正および共位置合わせを提供するために、異なる撮像距離に対して較正される。この較正プロセスは、カメラ25,30から様々な距離で一連の画像をキャプチャし、各距離の画像を分析して、各距離の各カメラ25,30の画像補正プロセスを提供することによって実行され得る。いくつかの実施形態によれば、画像補正プロセスは、樽型歪みまたは糸巻き型歪みを補正すること、画像のサイズを調整すること、画像を横方向に並進させること、またはすべての画像が共に位置合わせされるように画像を回転させることのうちの少なくとも1つのための式を適用することを含む。
【0101】
画像歪み補正および画像共位置合わせの後、分析のために画像を準備することができる。いくつかの実施形態によれば、分析の準備は、ノイズ低減305、色補正、コントラスト強調306、および照明強度不均一性の調製306、または異なる露光時間での画像キャプチャのための補正のうちの少なくとも1つを含む。画像が、1つまたは複数の光源による照明のような異なる照明条件下で、または照明なしで連続的にキャプチャされる場合、システムソフトウェアは、照明が蛍光励起画像および背景画像の両方の画像キャプチャのための適切なカメラシステムと同期するように、画像キャプチャおよび照明のタイミングを制御し得る。
【0102】
図7は、2つの光源55,60および2つのカメラ25,30を有する、本開示のいくつかの実施形態によるタイミング図を示す。光源55,60またはカメラ25,30のオンおよびオフ期間の持続時間は、異なる撮像タスクまたはカメラの異なる配置に対して変化してもよく、検出の感度と画像取得の速度とのバランスをとるように調整することができる。いくつかの実施形態によれば、照明および画像キャプチャトリガのこのシーケンスの最終結果は、4つのキャプチャ画像である。これらの4つの画像は、500nm~565nmの発光範囲内の青色/紫色励起蛍光画像(
図8に示す)、660nm~735nmの発光範囲内の青色/紫色励起蛍光画像(
図8に示す)、青紫色励起照明をオフにした同じカメラシステムからの背景画像、および300nm~400nmの発光範囲内のUVC励起蛍光画像を含んでもよい。
【0103】
いくつかの実施形態によれば、青色/紫色蛍光励起撮像に使用されるカメラ25は、モザイクフィルタ付きセンサを有するカラーカメラである。カメラ25は、照明光源が有効にされていないビューファインダモードで動作することができ、カメラ25から最適な画像を提供するようにカメラ露出を調整することができ、それをさらに処理してカメラ視野のストリーミング画像をオペレータに提供して、蛍光撮像または消毒のためのデバイス10の照準および位置決めを支援することができる。
【0104】
デバイス10が検査のための位置にあるとき、システムオペレータは、処理および分析のための蛍光および背景撮像を提供する検査撮像シーケンスを起動することができる。いくつかの実施形態によれば、分析は、汚染情報を抽出するためのオブジェクト検出、セグメント化、および分類を含む。オブジェクト検出312は、蛍光発光を有する表面領域を識別するための強度ベースまたは形態ベースのアルゴリズムを使用することができる。画像セグメント化アルゴリズムは、画像強度ヒストグラム分析を使用した閾値最適化に基づくことができる。分類方法は、画像全体のセグメント化されたオブジェクトの比較を含むことができる。オブジェクトは、1つの蛍光画像のみに現れる場合もあれば、複数の蛍光画像に現れる場合もある。複数の波長でセグメント化されたオブジェクトの相対蛍光強度応答を比較することにより、既知のタイプの汚染の相対応答との比較によってオブジェクトを分類することができる。
【0105】
図9~
図13は、デバイス10によって検出され得る異なる汚染物質の蛍光応答の例を示す。
【0106】
図9は、大腸菌およびサルモネラ細菌病原体、ならびに細菌を含まない表面ダストおよびコントロールバイオフィルムの複数の波長にわたる蛍光相対強度応答のグラフを示す。所与の励起波長に対する各撮像波長帯域での相対応答を、これらの病原体の既知の相対スペクトル応答におけるその波長帯域の積分応答と比較することにより、画像内のオブジェクトに病原体が存在してもしなくてもよい可能性の定量的尺度が提供される。さらなる詳細は、Jun W,Kim MS,Lee K,Millner P,Chao Kによる論文Assessment of bacterial biofilm on stainless steel by hyperspectral fluorescence imaging.Sensing and Instrumentation for Food Quality and Safety.2009 Mar 1;3(1):41-8に見出すことができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0107】
同様に、
図10は、食品調製領域における一般的な背景表面であるステンレス鋼と同様に、いくつかの有機残渣についての複数の波長にわたる蛍光相対強度応答の例を示す。これらの有機残渣には、脂肪、血液、および家禽の死体からの数種の糞便が含まれる。所与の励起波長に対する各撮像波長帯域での相対応答を、これらの有機残渣の既知の相対スペクトル応答におけるその波長帯域の積分応答と比較することにより、画像内のオブジェクトがその特定の有機残渣を含有し得る可能性の定量的尺度が提供される。さらなる詳細は、Qin J,Chao K,Kim MS,Kang S,Cho BK,Jun Wによる論文Detection of organic residue on poultry processing equipment surfaces by LED-induced fluorescence imaging.Applied engineering in agriculture.2011;27(1):153-61に見出すことができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0108】
図11は、クロロフィルについての複数の波長にわたる相対励起および発光スペクトル蛍光応答の一例を示す。クロロフィル残渣は野菜および糞便中に見られ、表面が清浄でないという証拠の源となり得る。所与の励起波長に対する各撮像波長帯域での相対応答を、クロロフィル残渣の既知の相対スペクトル応答におけるその波長帯域の積分応答と比較することにより、画像内のオブジェクトがクロロフィル残渣を含有し得る可能性の定量的尺度が提供される。さらなる詳細は、Fernandez-Jaramillo AA,Duarte-Galvan C,Contreras-Medina LM,Torres-Pacheco I,Romero-TroncosoRD,Guevara-Gonzalez RG,Millan-Almaraz JRによる論文Instrumentation in developing chlorophyll fluorescence biosensing:A review.Sensors.2012 Sep;12(9):11853-69に見出すことができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0109】
図12a~
図12bは、ヒト唾液についての複数の波長にわたる相対励起および発光スペクトル蛍光応答の一例を示す。唾液残渣は、複数の細菌、病原性ウイルスの源となり得、表面が清浄でないという証拠を提供することができる。所与の励起波長に対する各撮像波長帯域での相対応答を、唾液および呼吸器飛沫残渣の既知の相対スペクトル応答におけるその波長帯域の積分応答と比較することにより、画像内のオブジェクトが唾液残渣を含み得る可能性の定量的尺度が提供される。さらなる詳細は、Nanda KD,Ranganathan K,Umadevi KM,Joshua Eによる論文A rapid and noninvasive method to detect dried saliva stains from human skin using fluorescent spectroscopy.Journal of Oral and Maxillofacial Pathology:JOMFP.2011 Jan;15(1):22に見出すことができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
図13は、複数の食品タンパク質ならびに唾液および呼吸器飛沫中に見出すことができるヒトタンパク質にとって必須の構成要素であるアミノ酸であるトリプトファンについての複数の波長にわたる相対励起および発光蛍光スペクトル応答の一例を示す。さらなる詳細は、Brancaleon L,Lin G,Kollias Nによる論文The in vivo fluorescence of tryptophan moieties in human skin increases with UV exposure and is a marker for epidermal proliferation.Journal of investigative dermatology.1999 Dec 1;113(6):977-82に見出すことができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
上述し
図9~
図13に示す汚染の例はすべて、特にそれらが低濃度である場合、デバイス10なしで視覚的に検出することが困難であり、クリーニング者はそれらの存在を検出することができないため、クリーニングにもかかわらず残留汚染を有する表面をもたらす可能性がある。
【0112】
本開示の分類アルゴリズムは、オブジェクトサイズ、オブジェクト形状、および分布パターンを含む画像フィールド内のオブジェクトの空間分析を含み得る。くしゃみまたは咳によって表面に堆積した呼吸器飛沫または唾液の分布パターンおよびサイズは、食物の汚染、こぼれによって、または汚れた手もしくは組織や汚れたクリーニング布などの保持されたオブジェクトで表面に触れるか拭き取ることによって引き起こされる有機残渣の分布パターンおよびサイズとは異なる。分類アルゴリズムは、オブジェクトの分布パターンおよびオブジェクト形状を使用して、それらがくしゃみまたは咳をしている間の呼吸器飛沫のスプレーパターン特性であるかどうか、または分布パターンが手の汚れまたは食物残渣のより特徴的なものであるかどうかを判定する。分類アルゴリズムは、これらのタイプの汚染の少なくとも1つと類似する確率を計算する。
【0113】
本開示の分類アルゴリズムはまた、画像内のオブジェクトの相対蛍光発光または励起応答を比較し、それらを既知の汚染物質の既知の応答と比較し、それらのタイプの汚染の少なくとも1つの類似性の確率を決定することができる。分類アルゴリズムは、これらのタイプの汚染の少なくとも1つに対する相対蛍光発光の類似性の確率を計算する。
【0114】
本開示の分類アルゴリズムはまた、画像フィールド内のオブジェクトの相対蛍光発光または励起応答または空間分析を比較して、表面またはアーチファクトからの反射または背景蛍光などの汚染以外のオブジェクトを分類することもできる。撮像システムまたはプロセスの異なる表面アーチファクトの以前の画像からのオブジェクトの存在を比較することによって、汚染に関連しないものとして識別および分類することができる。
【0115】
オブジェクトが分類されると、システムソフトウェアは、画像内のオブジェクトのロケーション、オブジェクトのバイナリマスク、オブジェクトの面積の測定値、オブジェクトを近似する楕円の長軸および短軸のサイズおよび向き、各蛍光発光波長帯域でのオブジェクトの平均蛍光応答、ならびにオブジェクトが少なくとも1つの特定の汚染タイプを含むか、またはアーチファクトもしくは偽陽性オブジェクトを含む計算された確率を含む、各オブジェクトに関連するデータのテーブルを作成し得る。この情報から、システムソフトウェアは、オブジェクトが汚染されているか否かを判定することができる。オブジェクトが汚染であるかどうかを判定するための閾値を、偽陽性を最小限に抑えるために、より高い感度またはより低い感度に調整することができる。オブジェクトが汚染であるか否かの判定は、はいまたはいいえなどのバイナリ判定として表すことができ、あるいはオブジェクトが汚染である確率を、例えばパーセンテージ確率または確率の他の表示、例えばなし、低、中、高として表すことができ、あるいはカラーコードまたはスライディングバーインジケータの形式でグラフィカルに表すことができる。オブジェクトが分類されると、オーバーレイ、オブジェクトの周りのアウトライン、またはオブジェクトの上もしくは近くのテキストもしくはマーカタグを用いて、格納されたまたはユーザに提示された画像内でオブジェクトをラベル付けすることができる。オーバーレイ、アウトライン、テキスト、またはマーカタグは、異なる種類の汚染を示すように色分けすることができる。
【0116】
オペレータへの情報の提示は、検査プロセス中およびプロセスの走査部分中にユーザを案内する視覚ディスプレイを介して達成されてもよく、上述の画像データのストリームを提供する。汚染が検出されると、画像表示は、汚染が識別された領域の撮像を停止して集中させるようにユーザに示すために視覚的および/または可聴もしくは振動アラームを提供する。ディスプレイは、同様に色分けすることができるオーバーレイ、アウトライン、テキスト、またはマーカタグを介して検出されたオブジェクトに関する情報を提示する(308)。次いで、ディスプレイ20は、必要に応じて領域を消毒するようにユーザに促してもよい。ユーザは、消毒に進んだり、消毒が不要であると判断したりして、消毒プロセスをスキップして検査を続行することができる。
【0117】
消毒が選択された場合、システムソフトウェアは、表面を消毒するのに必要なUV光の量を計算する。消毒効率は、いくつかの要因に比例することができる。これらには、消毒される表面に送達されるエネルギーの量、表面上の汚染のサイズおよび厚さ、汚染が乾燥しているか、または液体もしくはバイオフィルムの形態であるかどうか、消毒される表面の性質(表面の平滑、多孔性、金属、布地、光吸収または反射特性など)、ならびに汚染物質の種類または汚染物質中に存在し得る懸念種が含まれる。異なる種は、効果的な消毒のために多かれ少なかれUVエネルギーを必要とし得る。効果的な消毒は、死滅または不活性化された病原体の割合として定義される。多くの場合、このパーセンテージは、「対数減少」または1桁の形式で表される。例えば、1ログ減少は、微生物数が10倍減少した状態で標的微生物の90%を不活性化することに相当し、4ログ減少は、微生物数が1万倍減少した状態で標的微生物の99.99%を不活性化することに相当する。
【0118】
システムソフトウェアは、1平方メートル当たりのジュールで必要とされるエネルギー量を調べ、ハンドヘルドシステムのUV照明が消毒される表面のハンドヘルドシステムからの距離で送達する1秒当たりの1平方メートル当たりのジュールでエネルギー量を調べることによって必要とされるUV消毒曝露時間を計算する。ハンドヘルドシステム内のUV照明が送達するエネルギー量は、システムによって送達される消毒エネルギーがハンドヘルドシステムから様々な距離で測定される較正手順中に決定される。システムソフトウェアは、関心対象の病原体種を所望の対数減少レベルおよび消毒される表面からのデバイスの距離で効果的に消毒するのに十分な消毒エネルギーを送達するのに必要な時間量を計算する。
【0119】
デバイス10の距離は、距離センサ50または他の距離測定システムの測定値から決定される。消毒が開始されると、システムソフトウェアは、消毒のための照明曝露時間の持続時間を自動的に制御する。オペレータは、消毒期間中、システムを静止位置に保持することが重要である。ソフトウェアシステムは、動きセンサ35、カメラ25,30、および向きセンサ40のうちの少なくとも1つを監視する。これらのセンサのうちの少なくとも1つを監視するシステムソフトウェアが、ハンドヘルドデバイスが消毒される領域をもはや照明していないか、または部分的にしか照明していないことを示す場合、消毒が不完全であり、再実行する必要があることをオペレータに通知する。
【0120】
図14は、275nmでのUVC増加エネルギー(mJ/cm
2)による細菌の死滅率を示す。
【0121】
いくつかの実施形態によれば、本開示のデバイス10は、表面上の汚染物質を検出および消毒するために紫外線照明を使用する。細菌を死滅させ、ウイルスを不活化することができる同じ紫外線光も、ヒトの細胞および組織(例えば、眼および皮膚)に損傷を引き起こす可能性がある。いくつかの実施形態によれば、本開示のデバイス10は、ユーザが不注意に自身または他者をUV放射線に曝露しないように、デバイス10の安全な取り扱いをユーザに指示し得る。
【0122】
本開示のいくつかの実施形態によれば、UV光への偶発的曝露のリスクを低減するためのインテリジェントかつ自動化された安全対策が提供される。これらの安全対策は、デバイスが潜在的に安全でない状況にあるかどうかを検出し、状況が再び安全になるまでUV照明を無効にするセンサ、ユーザ制御部、およびソフトウェアアルゴリズムを含む。
【0123】
本開示のいくつかの実施形態によれば、センサは、距離測定センサ50、向きセンサ40、動きセンサ35、およびカメラシステム25,30の画像センサのうちの少なくとも1つを含む。本開示のいくつかの実施形態によれば、システムソフトウェア安全アルゴリズム(
図36に記載)は、センサ50,35,40の状態を監視し(3610、3620、3630)、センサ値のいずれかまたは組み合わせが安全でない状況を示す場合、UV照明は無効にされ、ユーザは可聴信号または視覚信号の少なくとも一方によって通知される。本開示のいくつかの実施形態によれば、UV照明の偶発的な起動を防止するために、システムソフトウェア安全アルゴリズムは、ユーザが両手でデバイスを保持し、同時にデバイスの左右のハンドル上の制御ボタンを押さない限りUV照明が無効になるように、ユーザ制御部80の状態を監視する(3640)。制御部の一方または両方が解除されると、UV照明は無効になる。
【0124】
本開示のいくつかの実施形態によれば、カメラ25,30は、立体測量の技術を使用することにより、またはカメラ25,30に組み込まれた自動焦点測定システムを使用することにより、測距装置(すなわち、距離センサ)として使用され得る。
【0125】
本開示のいくつかの実施形態によれば、向きセンサ40を監視する安全アルゴリズムは、デバイス10が共通の位置にある(すなわち、例えば空に向かって上を指す)か、または追加の安全上の考慮事項を有するため、UV照明を無効にし得る。これらの状況では、システムソフトウェアは、オペレータがリスクおよび追加の注意の必要性を認識しながら進めることを可能にするオーバーライドオプションを提供し得る。
【0126】
本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は、撮像視野の異なる領域に向けられ得る複数の距離センサ50(例えば、LiDAR)を備える。これは、安全性および線量測定を計算するための複数の距離測定点を提供し、検査される表面が狭い幅またはハンドヘルドデバイスからの距離が一致しないトポグラフィを有する場合に特に有利であり得る。本開示のいくつかの実施形態によれば、撮像ステレオ測量と測距装置感知との組み合わせは、不規則な形状を有する視野の真の深さを識別することができる。
【0127】
本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は、カメラ25,30および光源55,60をデバイス10のオペレータによるタッチから保護するための透明窓(図示せず)を備える。ほとんどのガラスは、消毒および潜在的な汚染物質(例えば、300~400nmでの唾液および呼吸器飛沫)の紫外線蛍光検出に最も効果的なUV波長領域の光の波長を透過しないため、この透明な窓は通常のガラスではあり得ない。本開示のいくつかの実施形態によれば、透明窓は、溶融シリカから製造され、検出および消毒に効率的に使用するUVおよび可視光CSI-Dを透過する反射防止コーティングでコーティングされる。
【0128】
本開示のいくつかの実施形態によれば、デバイス10は、例えば金属などの材料の薄いディスクを備えるか、または他の適切な材料が光源55,60およびカメラレンズ25,30の前に配置される。この薄いディスクは、照明の経路またはカメラの撮像経路を妨げないように十分なサイズの開口を提供しながら、LED56,61などの潜在的に高温の光学素子が触れられないように保護する一連の開口が穿孔されてもよい。
【0129】
ハンドヘルド検査システムの汚染オブジェクト分類313の能力は、汚染が存在し得るという有用な指標を提供することができるが、特定の病原体の種または株を確実に識別することはできない。スワビングなどの他の方法を実験室分析と組み合わせて使用して、特定の病原体の種または株を正確に同定することができる。これらのスワブは分析時に非常に特異的であり得るが、汚染が存在する領域に必ずしも接触しない。本開示のいくつかの実施形態によれば、本開示のハンドヘルドシステムを使用して汚染領域を識別することができる。一旦同定されると、それらは消毒される前に、種を同定することができるように拭き取られ、汚染に関する追加の情報を提供することができる。これは、ランダムなスワビング方法よりもコスト、速度、および効率の点で大きな利点をもたらす。
【0130】
本開示のいくつかの実施形態によれば、本開示のハンドヘルドシステムを使用して、蛍光タグまたはラベル311の存在を検出することができる。これらのラベルは、特定のタンパク質に結合するように設計されることができ、タンパク質に結合すると蛍光性になる。タンパク質の非存在下では、それらは蛍光を発しない。表面に噴霧もしくはミスチングすることによって、または何らかの他の方法でそれらを適用することによって、ラベルを適用することができる。ラベルはまた、トレイまたはアームレストなどに組み込まれたスワブ材料または他の基材表面と一体化することができる。
【0131】
抗菌コーティングは、交差汚染を起こしやすい高タッチ表面にますます適用されている。これらのコーティングに蛍光色素を組み込むことにより、蛍光シグナルが減少するにつれてそれらが摩耗して無効になるときを検出することが可能である。本開示のいくつかの実施形態によれば、CSI-Dデバイスによる検出に適した蛍光色素が抗菌コーティングに組み込まれ、ハンドヘルドシステムを使用して抗菌コーティングの状態およびそれをいつ再適用する必要があるかを監視する。
【0132】
本開示のいくつかの実施形態によれば、カメラ25,30のうちの一方は、赤外線領域の光の波長に敏感であり、水/水分の存在を明らかにする温度差およびパターンを検出する画像センサを組み込む。湿った表面は、細菌、真菌、およびカビの増殖を促進する傾向がある。
【0133】
本開示のいくつかの実施形態によれば、動的リスク管理方法1500を使用して、衛生を必要とするすべてのロケーションの実際のリスク状態を追跡し得る。それは、使用頻度、物理的特性、汚染源への近接性、消毒履歴、および局所的リスクプロファイルに基づいてリスクレベルを調整する。それは、インシデント1510を含むリアルタイムのリスク状態に動的に応答するように検査タスクリストを自動的に調整する。
【0134】
本開示のいくつかの実施形態によれば、人工知能(AI)リスク管理は、リスク戦略をリアクティブからプロアクティブに変換し得る。AIアルゴリズムは、各ロケーションおよび表面タイプに対するリスクの可能性および潜在的な影響を評価するために、内部の利害関係者から初期リスク1540および進行中のリスク1530評価を受け入れ、それに応じてリスクプロファイルおよび検査タスクリストを調整する(1545)。AIアルゴリズムは、本開示のシステムがクリーニング手順の前後に使用されるときに絶えず学習し(1520)、スポット脆弱性、ボトルネック、およびコンプライアンスの不足を自動的に識別し得る。
【0135】
AIシステムは、重み付きリスクスコアを絶えず更新し(1520,1525)、ユーザは、企業全体の重大なリスクに関する詳細なリアルタイムデータを配信するカスタム分析およびヒートマップを用いて報告および分析を行ってもよい。
図15は、本開示のいくつかの実施形態による動的リスク評価のための例示的な人工知能アルゴリズムを示す。
【0136】
本開示のいくつかの実施形態によれば、デッドラインによってトリガされる要求、透過的な追跡、および通知を容易にするために、ワークフロー管理システムによる自動文書収集を使用してもよい。リスク評価で収集されたデータから緩和を容易に生成する。所見を、期限および自動リマインダを有する個人に割り当てられた行動項目に変換する。視認性を高めるために、新規および既存のリスクアクティビティの継続的な監視を自動化する。
【0137】
本開示のいくつかの実施形態によれば、人工知能(AI)アルゴリズムは、特にガバナンス、リスク、およびコンプライアンス制御のために構築された構成可能なプロセスアプリのライブラリを使用して、組織の固有の要求に一致するように各プロセスをさらにカスタマイズしてもよい。
図16は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な人工知能アルゴリズムフローチャートを示す。機械学習アルゴリズム1660は、CSI-Dシステムからの事前センサデータ1650を受け入れ、入力データベース1630は、ロケーション、リスク指標、材料、および実際に複数の業界SSOPから反映されたリスク指標値への事前参照を含む。入力データベースは、エキスパートレビューに基づいて主観的にフィルタリングすることができ(1640)、リスクについてのグラウンドトゥルースラベルを割り当てることができる(1620)。グラウンドトゥルース/ラベル1620は、機械学習アルゴリズム1660を訓練するための入力としての統計データ、または業界コンセンサス評価からの情報である。MLは、機械学習モデルを訓練するために、CSI-Dまたはスワブベースの測定(例えば、ATP)の少なくとも一方を含む少なくとも1つの測定ツールからの事前測定データを使用することができる。機械学習モデル1660の目的は、検査タスクの優先順位付けに使用できるリスク評価を提供することである。通常、オペレータが毎日あらゆる潜在的な汚染部位を検査するには時間が不十分である。検査タスクは、リスクに基づいて優先順位を付ける必要がある。リスクは、局所疾患の有病率、使用または接触の頻度の増加、検査されるロケーション、および最後の検査からの時間間隔などの外的要因によって絶えず変化する。これらはすべて、ロケーションのリスクレベルへの入力となり、スケジューリングに影響を及ぼす。リスクに影響を及ぼす他の要因は、CSI-Dおよび/またはスワビングなどの他の第三者測定ツールを用いてロケーションが測定されるたびに特定される汚染の履歴である。検査タスクは、任意の特定の検査ジョブごとに変更され、そのロケーションの許容可能な清浄度リスクのレベルで検査に利用できる時間を調整する。汚染の頻度の変化は、上記の外的要因の結果、もしくは異なるクリーニングスタッフのクリーニング効率などの内部プロセスの結果とすることができ、またはリスクの動的変化のクリーニングおよび監視の方法の変化を、改善された衛生プロセスを識別するために管理によって使用することができる。
【0138】
本開示のいくつかの実施形態によれば、本開示のシステムは、ウェブポータルまたはデバイス10のユーザインターフェースを介してインシデント管理を提供し得る。潜在的なインシデントが記録され得、第1の応答が迅速かつ効率的に開始され得る。デバイスサーバ90および/または外部サーバ95は、検出および分析プロセスを通じてレスポンダを案内するインシデント応答チェックリストを送信し得る。本開示のシステムは、レスポンダがインシデント領域内の表面を走査するときに汚染物質を自動的に識別し得る。汚染が検出されると、レスポンダは、強いUV光による消毒をトリガするように促され得る。本開示のシステムは、デバイス10の距離および消毒される領域に応じて送達される光の量を自動的に制御し得る。次いで、表面を安全にクリーニングし、再走査して、表面に汚染の痕跡が残っていないことを確認することができる。消毒および検証プロセスは、チェックリストが完了するまで、検出されたすべての汚染表面について電子的に文書化され得る。インシデント後アクティビティには、直感的なレポートおよびダッシュボードが含まれ、管理は、組織がインシデントにどの程度うまく対応するかを追跡し、規定された時間枠内でインシデントが解決されることを保証する。
【0139】
図17は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な監査初期化のフローチャートを示す。
図18は、本開示のいくつかの実施形態による例示的な監査タスクのフローチャートを示す。
【0140】
図19a~
図19bは、本開示のいくつかの実施形態による、デバイス10を用いた衛生検査中の画像視野の線画を示し、カメラ視野と照明領域との相対位置を示す。撮像されているオブジェクトは、カップホルダ512および支持ブラケット514を示すエアライントレイテーブル510の一例である。破線520は、アンビエント照明下で青紫色蛍光励起画像ならびに背景画像をキャプチャすることができるカメラシステム25の視野を示す。破線530は、アンビエント照明下でUV蛍光励起画像ならびに背景画像をキャプチャすることができるカメラシステム30の視野を示す。破線540は、エアライントレイテーブル510上の青紫色蛍光励起光の照明野を示す。破線550は、エアライントレイテーブル510上のUV蛍光励起光の照明野を示す。
【0141】
図19cは、エアライントレイテーブル510と、青紫色蛍光励起画像をキャプチャすることができるカメラシステム25の画像視野のみを示す線画を示す。破線520は、アンビエント照明下で青紫色蛍光励起画像ならびに背景画像をキャプチャすることができるカメラシステム30の視野を示す。破線550は、エアライントレイテーブル510上の青紫色蛍光励起光の照明野を示す。
【0142】
図19dは、エアライントレイテーブル510と、青紫色蛍光励起画像をキャプチャすることができるカメラシステム25の画像視野のみを示す線画を示す。破線520は、カメラシステム30がアンビエント照明下で背景画像のみをキャプチャするときの視野を示す。
【0143】
図19eは、UV蛍光励起画像をキャプチャすることができるカメラシステム25によってキャプチャされたトレイテーブル510の一部の正方形画像を表す線画を示す。
【0144】
図19fは、赤外波長領域を選択するフィルタの組み合わせ26,27を用いて青紫色蛍光励起画像をキャプチャすることができるカメラシステム25によってキャプチャされた、
図19eの正方形画像よりも大きい視野を有するが画素数が少ないトレイテーブル510の一部の4:3アスペクト比画像560を表す線画を示す。
【0145】
図19gは、緑色波長領域を選択するフィルタの組み合わせ26,27を用いて青紫色蛍光励起画像をキャプチャすることができるカメラシステム25によってキャプチャされた、
図19eの正方形画像よりも大きい視野を有するが画素数が少ないトレイテーブル510の一部の4:3アスペクト比画像565を表す線画を示す。
【0146】
図19h~
図19jは、
図19eの正方形画像よりも大きい視野を有するが画素数が少ないトレイテーブル510の一部の4:3アスペクト比の赤色画像570、緑色画像575、および青色画像580を表す線画を示し、これは、青紫色蛍光励起画像をキャプチャできるカメラシステム25によってキャプチャされるが、励起照明はなく、アンビエント照明下で反射画像のみをキャプチャする。
【0147】
図19k~
図19lは、UV蛍光励起画像530を表す線画を示し、これは、画像560、画像565、画像570、画像575および画像580のうちの少なくとも1つの現実世界のオブジェクトのサイズに対するピクセル数に関して、スケールに一致するようにスケーリングされている。
【0148】
図19m~
図19nは、青紫色蛍光励起画像560および画像565を表し、画像560および画像565がさらなる画像処理および分析のために位置合わせされ得るようにトリミングされるスケーリング画像535の視野内の対応するサイズおよび相対ロケーション585を示す線画を示す。
【0149】
図19o~
図19qは、赤色画像570、緑色画像575、および青色画像580を表し、画像570、画像575、および画像580がさらなる画像処理および分析のために位置合わせされ得るようにトリミングされるスケーリング画像535の視野内の対応するサイズおよび相対ロケーション585を示す線画を示す。
【0150】
図20~
図35を参照すると、本開示のいくつかの実施形態によるデバイス10とのユーザの対話が示されている。
【0151】
本開示のいくつかの実施形態によれば、ユーザによる一連のジェスチャ(例えば、指タップ)に応答して、スクリーン70は、(
図20に示す)1つまたは複数のアイコン(すなわち、仮想ボタン)210を有するログインスクリーン200を表示する。本開示のいくつかの実施形態によれば、ユーザによる1つまたは複数の手動制御部80の起動に応答して、スクリーン70は、ディスプレイ70上に(
図20に示す)1つまたは複数のアイコン(すなわち、仮想ボタン)210を有するログインスクリーン200を表示する。情報は、1つまたは複数の加速度計168から受信したデータの分析に基づいて、縦向きビュー(
図20に示す)または横向きビュー(図示せず)で表示され得る。
【0152】
いくつかの実施形態によれば、正しいログイン情報を入力した後、スクリーン70は、(
図21に示す)1つまたは複数のアイコン220,230を有するスクリーン201を表示する。いくつかの実施形態によれば、スクリーン70上のアイコン220との指接触の検出に応答して、デバイス10はスクリーン202を表示する。いくつかの実施形態によれば、スクリーン70は、(
図22に示す)1つまたは複数のアイコン240,250,260を有するスクリーン202を表示する。1つまたは複数のアイコン240,250,260は、ジョブリストから1つまたは複数のジョブを表してもよい。
【0153】
いくつかの実施形態によれば、スクリーン70上のアイコン240との指接触の検出に応答して、デバイス10はスクリーン203を表示する。いくつかの実施形態によれば、デバイス10は、カメラ25,30のうちの一方をオンにして、ユーザがスクリーン202(
図23に示す)から選択されたジョブに関連する領域に位置するバーコード241のピクチャを撮影することを可能にする。いくつかの実施形態によれば、カメラ25または30を起動すると、バーコードのピクチャが撮影され、それをスクリーン202から選択されたジョブ240に関連する領域に関連付けられたバーコードと比較する。バーコード241がジョブ240に関連付けられたバーコードと一致しない場合、デバイス10は、ユーザが再試行することを可能にするためにスクリーン203を表示する。
【0154】
いくつかの実施形態によれば、バーコード241がジョブ240に関連付けられたバーコードと一致する場合、デバイス10は、ユーザが正しい領域を確認することを可能にするためにスクリーン204を表示し、ユーザがアイコン270を起動することによってすべての安全対策が考慮されたことを確認する。いくつかの実施形態によれば、バーコード241がジョブ240に関連付けられたバーコードと一致する場合、デバイス10は、次に進む前に安全対策をユーザに思い出させるためにスクリーン204を表示する。安全対策は、目の保護、手袋、他の人からの距離であってもよい。いくつかの実施形態によれば、ユーザが領域を検査する準備ができると、ユーザは、(
図25に示す)スクリーン205上のアイコン280を起動し、タスクリストスクリーン206に進む。タスクリストスクリーン206は、ジョブに関するすべてのタスクを順番に表示する。
【0155】
いくつかの実施形態によれば、走査を開始する前に、デバイス10は、
図36に記載されるように安全性チェックを実行する。
【0156】
いくつかの実施形態によれば、検査が始まると、デバイス10は、スクリーン207に示される1つまたは複数のアイコン290,291(
図27)でユーザを案内する。アイコン290は、検査されている表面にデバイス10を近づけるようにユーザに指示してもよい。アイコン291は、検査されている表面からデバイス10を遠ざけるようにユーザに指示してもよい。
【0157】
いくつかの実施形態によれば、検査が始まると、デバイス10は、スクリーン208,208に示される1つまたは複数のアイコン292,293でユーザを案内する(
図28~
図29)。アイコン292,293は、検査されている表面にわたってデバイス10をより遅く移動させるようにユーザに指示してもよい。
【0158】
いくつかの実施形態によれば、検査中、デバイス10は、単一のストリームと組み合わされた背景減算および画像位置合わせを用いて、1つまたは2つのビデオソースを処理する。デバイス10は、汚染の存在について蛍光画像をさらに分析してもよい。汚染が検出された場合、デバイス10は、汚染物質294,295を示すスクリーン211を表示する。いくつかの実施形態によれば、汚染物質はユーザには見えず、デバイス10は、汚染物質が検出された表面の部分の上にコンピュータ生成画像をオーバーレイする。これらのコンピュータ生成画像は、アイコン294,295として示されている。
【0159】
いくつかの実施形態によれば、汚染物質が検出された場合、デバイス10は、アイコン296を有するスクリーンを表示することによって汚染表面の消毒を開始するようにユーザを促してもよい。いくつかの実施形態によれば、デバイス10は、距離センサ50を使用して消毒される表面までの距離を測定し、消毒に必要な曝露を計算する。
【0160】
消毒時間は、消毒または不活性化される種に依存し、異なる種は、消毒効果をもたらすために特定の波長で異なる量のUVエネルギーを有する。
図14は、肺炎球菌血清型6A細菌を死滅させるために必要なUVCエネルギー(mJ/cm
2)の一例を示す。消毒は、「対数減少」を論じるときに上述したように部分的または実質的に完全であり得る。「対数減少」が大きいほど、
図14に示すように、より多くのエネルギーを送達する必要がある。エネルギー要件が決定され、表面までの距離が決定されると、システムは、様々な距離での以前に知られている/較正されたエネルギー分布から、消毒される所望の種に必要なエネルギーを送達するのに必要な時間を計算することができる。エネルギー要件の決定はまた、汚染のサイズもしくは厚さ、またはそれが乾燥しているか、溶液中にあるか、またはバイオフィルム、糞便、もしくは食品汚染中に存在するかどうかによって変えることができる。汚染を含む厚さおよび材料は、殺菌UV光を吸収し、有効性を低下させる可能性がある。病原体を含み得る汚染材料のサイズ、厚さまたは濃度を決定することによって、システムは、病原体を消毒(死滅または不活性化)するのに十分なエネルギーが送達されるように必要な時間を修正することができる。システムは、カメラ25および30によって取得された蛍光画像の画像分析によってサイズ、厚さ、および濃度を決定することができる。
【0161】
いくつかの実施形態によれば、デバイス10は、消毒が進行している間、スクリーン213を表示する(
図32に示す)。いくつかの実施形態によれば、デバイス10は、消毒が完了したときにスクリーン214を表示する(
図33に示す)。スクリーン214は、汚染された領域を表すコンピュータ生成画像297,298を示してもよい。コンピュータ画像297,298は、コンピュータ生成画像294,295とは異なる色で表示される。例えば、コンピュータ生成画像294,295は、汚染を示すために赤色で表示されてもよく、コンピュータ生成画像297,298は、消毒されて汚染のない領域を示すために緑色で表示されてもよい。
【0162】
いくつかの実施形態によれば、デバイス10は、検査および/または消毒プロセス中に1つまたは複数のビデオを記録する。1つまたは複数のビデオは、メモリ74および/またはデバイスサーバ90のメモリに格納されてもよい。
【0163】
いくつかの実施形態によれば、デバイス10は、消毒が完了するとスクリーン215を表示する。いくつかの実施形態によれば、デバイス10は、ユーザがアイコン250または260を選択することによって別の領域の走査を開始することを可能にするためにスクリーン202を表示する。250または260を選択した後、デバイス10は216(
図35に示す)を表示する。
【0164】
いくつかの実施形態によれば、監査の終わりに、デバイス10は、すべてのタスクがチェックマークされ、汚染が発見された航空機全体の監査報告、消毒、ビデオなどがクラウドデータベースにアップロードするために格納されることを示してもよい。
【0165】
いくつかの実施形態によれば、安全性チェックは、走査プロセスおよび消毒プロセスを通して連続的に実行される。
【0166】
いくつかの実施形態によれば、オペレータは、トグルビューボタンを選択して唾液残渣汚染物質(LED:270nm、UVカメラ)の探索を開始してもよい。デバイス10は、270nmの蛍光画像をスクリーン上に表示してもよい。カメラは10fpsでフリーランモードになる。アルゴリズムは、ホットスポットをチェックし、フレーム番号を記録し、アプリに警告する。蛍光撮像モードは、10秒後に自動的にデフォルトモードに切り替わる。アプリは、デフォルトモード(LED:405nm、RGBカメラ)に切り替わったときに、ユーザに通知する必要がある。
【0167】
いくつかの実施形態によれば、デバイス10、光源55,60および/またはカメラ25,20は過熱する可能性がある。過熱の場合、デバイス10は、所定の時間(例えば、60秒)または温度が低下するまで走査を無効にする。過熱事象が発生した後に温度が作動範囲内にあるとき、デバイス10は、走査を再開するようにユーザに通知する。
【0168】
いくつかの実施形態によれば、デバイス10は電力レベルを監視し、レベルが所定の閾値(例えば、フルバッテリの20%)を下回る場合、デバイス10は、「X分の走査が残っている」と決定してユーザに通知する。
【0169】
いくつかの実施形態によれば、デバイス10は、ヒトがRGBカメラの視野内にいるかどうかを判定する。デバイス10は、ヒトが検出された場合、検査/消毒プロセスを無効にする。
【0170】
いくつかの実施形態によれば、ユーザがデバイス10上の「シャットダウン」ボタンを押すと、デバイス10は「シャットダウン」イベントを送信し、監査が進行中である場合、監査の一部としてシャットダウンイベントを記録してもよい。
【0171】
いくつかの実施形態によれば、デバイス10は、加速度計を監視し、デバイス10にとって有害であり得る加速度の変化を報告する。そのようなイベントは、クラウドにさらにアップロードするためにログに格納されてもよい。そのようなイベントは、監査中に発生した場合、監査の一部として報告されてもよい。
【0172】
また、本明細書で使用される表現および用語は、説明のためのものであり、限定するものと見なされるべきではないことを理解されたい。本明細書における「含む(including)」、「備える(comprising)」または「有する(having)」およびその変形の使用は、その後に列挙される項目およびその均等物ならびに追加の項目を包含することを意味する。特に限定されない限り、本明細書における「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」、および「取り付けられた(mounted)」という用語ならびにそれらの変形は、広く使用され、直接的および間接的な接続、結合、および取り付けを包含する。さらに、「接続された(connected)」および「結合された(coupled)」という用語およびそれらの変形は、物理的または機械的な接続または結合に限定されない。
【0173】
さらに、本発明の実施形態は、説明の目的のために、構成要素の大部分がハードウェアのみに実装されているかのように図示および説明され得るハードウェアおよび電子構成要素またはモジュールの両方を含むことを理解されたい。しかしながら、当業者は、この詳細な説明を読むことに基づいて、少なくとも1つの実施形態では、本発明の電子ベースの態様がソフトウェアで実施され得ることを認識されよう。したがって、本発明を実施するために、複数のハードウェアおよびソフトウェアベースのデバイス、ならびに複数の異なる構造構成要素が利用され得ることに留意されたい。さらに、以下の段落で説明するように、図面に示される特定の機械的構成は、本発明の実施形態を例示することを意図しており、他の代替の機械的構成も可能である。
【0174】
本発明のいくつかの例示的な実施形態を示し説明したが、当業者であれば、多数の変形および代替の実施形態に想到するであろう。そのような変形および代替の実施形態が企図され、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく行われ得る。
【0175】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。「複数」という用語は、内容が明らかにそうでないことを指示しない限り、2つ以上の指示対象を含む。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0176】
例示的および好ましい実施形態の上記の詳細な説明は、法律の要件に従って例示および開示の目的で提示されている。網羅的であることは意図されておらず、本発明を記載された(1つまたは複数の)正確な形態に限定することも意図されておらず、本発明が特定の使用または実施にどのように適し得るかを当業者が理解できるようにすることのみを意図している。修正および変形の可能性は、当業者には明らかであろう。公差、特徴寸法、特定の動作条件、技術仕様などを含んでいてもよく、実装ごとに、または最新技術の変更によって変化してもよい例示的な実施形態の説明によって制限は意図されておらず、そこから制限は暗示されるべきではない。出願人は、現在の技術水準に関して本開示を行っているが、進歩も企図しており、将来の適応は、それらの進歩を考慮に入れることができ、すなわち、そのときの現在の技術水準に従う。本発明の範囲は、記載された特許請求の範囲および適用可能な均等物によって定義されることが意図される。単数形の請求項要素への言及は、明示的に述べられていない限り、「唯一の(one and only one)」を意味することを意図していない。さらに、本開示の要素、構成要素、または方法もしくはプロセスステップは、要素、構成要素、またはステップが特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公衆専用であることを意図していない。本明細書中のいかなる請求項要素も、要素が「...のための手段」という語句を使用して明示的に記載されていない限り、米国特許法第112条第6項の下で解釈されるべきではなく、本明細書中のいかなる方法またはプロセスステップも、ステップが「...のためのステップ」という語句を使用して明示的に記載されていない限り、米国特許法第112条第6項の下で解釈されるべきではない。
【国際調査報告】