(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】送信または受信できる検出器要素の様々な組み合わせを使用した検体の検出
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548149
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 IB2021050838
(87)【国際公開番号】W WO2021156747
(87)【国際公開日】2021-08-12
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522313879
【氏名又は名称】ノウ・ラブズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Know Labs, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100210701
【氏名又は名称】萩原 義則
(72)【発明者】
【氏名】ボスア,フィリップ
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL05
4C038KL07
4C038KX01
(57)【要約】
検体の検出方法は、送信回路に電気的に接続され、受信回路に電気的に接続された検出器アレイを使用してスキャンルーチンを実施することを含み、検出器アレイは、少なくとも3つの検出器要素を有する。第1のスキャンにおいて、検出器要素の第1の組み合わせを使用して、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数または可視範囲にある第1の送信信号を、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信し、ターゲットへの第1の送信信号の送信から生じる応答を検出するために使用される。第2のスキャンにおいて、第1の組み合わせとは異なる検出器要素の第2の組み合わせを使用して、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数または可視範囲にある第2の送信信号をターゲットに送信し、ターゲットへの第2の送信信号の送信から生じる応答を検出するために使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を検出する方法であって、
送信回路に電気的に接続され、受信回路に電気的に接続された検出器アレイを使用してスキャンルーチンを実施することであって、前記検出器アレイは、少なくとも3つの検出器要素を有する、こと、を含み、
前記スキャンルーチンは、
第1のスキャンにおいて、前記少なくとも3つの検出器要素のうちの2つ以上の第1の組み合わせを使用して、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数または可視範囲にある第1の送信信号を、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信し、前記少なくとも1つの対象の検体を含む前記ターゲットへの前記第1の送信信号の送信から生じる応答を検出すること、および
第2のスキャンにおいて、前記第1の組み合わせとは異なる、前記少なくとも3つの検出器要素のうちの2つ以上の第2の組み合わせを使用して、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数または可視範囲にある第2の送信信号を、前記少なくとも1つの対象の検体を含む前記ターゲットに送信し、前記少なくとも1つの対象の検体を含む前記ターゲットへの前記第2の送信信号の送信から生じる応答を検出すること、
を含む方法。
【請求項2】
前記方法は、
前記第1のスキャンおよび前記第2のスキャンのそれぞれの前記検出された応答を解析して、前記少なくとも1つの対象の検体を検出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの対象の検体を検出することは、前記少なくとも1つの対象の検体の量を決定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの対象の検体は、血中グルコース、血中アルコール、白血球、または黄体形成ホルモンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも3つの検出器要素は、少なくとも3つのアンテナを含み、前記第1の送信信号および前記第2の送信信号は、それぞれ、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも3つの検出要素は、少なくとも3つの発光ダイオードを含み、前記第1の送信信号および前記第2の送信信号は、それぞれ、電磁スペクトルの可視範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも3つのアンテナは、互いにデカップリングされる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも3つのアンテナは、互いに異なるジオメトリを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記ターゲットは、ヒト組織、動物組織、植物組織、無生物、土壌、液体、遺伝物質、または微生物である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも3つの発光ダイオードは、異なる波長の光を放射する、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
検体の非侵襲的検出方法であって、
送信回路に電気的に接続され、受信回路に電気的に接続された検出器アレイを使用して、スキャンルーチンを実施することであって、前記検出器アレイは、互いに異なるジオメトリを有する少なくとも3つの要素を有し、前記少なくとも3つの要素は、互いにデカップリングされている、こと、を含み、
前記スキャンルーチンは、
複数のスキャンを実行し、各スキャンは、前記少なくとも3つの要素のうちの2つ以上の異なる組み合わせを使用して、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数範囲にある信号を、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信し、前記少なくとも1つの対象の検体を含む前記ターゲットへの前記信号の送信から生じる応答を検出すること、
を含む方法。
【請求項12】
前記方法は、
各スキャンの前記検出された応答を解析して、前記少なくとも1つの対象の検体を検出することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの対象の検体を検出することは、前記少なくとも1つの対象の検体の量を決定することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの対象の検体は、血中グルコース、血中アルコール、白血球、または黄体形成ホルモンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記ターゲットは、ヒト組織、動物組織、植物組織、無生物、土壌、液体、遺伝物質、または微生物である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、
前記複数のスキャンのうちの1つのスキャンにおいて、前記少なくとも3つの要素のうちの少なくとも1つの要素を前記送信回路に電気的に接続し、前記少なくとも1つの要素を使用して、前記信号を送信し、および
前記複数のスキャンのうちの別のスキャンにおいて、前記少なくとも1つの要素を前記受信回路に電気的に接続し、前記少なくとも1つの要素を使用して、前記応答を検出すること、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記方法は、
前記複数のスキャンのうちの1つのスキャンにおいて、前記少なくとも3つの要素のうちの少なくとも1つの要素を前記送信回路に電気的に接続し、前記少なくとも1つの要素を使用して、前記信号を送信し、および
前記複数のスキャンのうちの別のスキャンにおいて、前記少なくとも3つの要素のうちの少なくとも2つの要素を前記送信回路に電気的に接続し、前記少なくとも2つの要素を使用して、前記送信信号を送信すること、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記方法は、
前記複数のスキャンのうちの1つのスキャンにおいて、前記少なくとも3つの要素のうちの少なくとも1つの要素を前記受信回路に電気的に接続し、前記少なくとも1つの要素を使用して、前記応答を検出し、および
前記複数のスキャンのうちの別のスキャンにおいて、前記少なくとも3つの要素のうちの少なくとも2つの要素を前記受信回路に電気的に接続し、前記少なくとも2つの要素を使用して、前記応答を検出すること、
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記検出器アレイは、少なくとも4つの要素を有し、前記方法は、
前記複数のスキャンのうちの1つのスキャンにおいて、前記少なくとも4つの要素のうちの少なくとも2つの要素を前記送信回路に電気的に接続し、前記少なくとも2つの要素を使用して、前記信号を送信し、追加の少なくとも2つの要素を前記受信回路に電気的に接続し、前記追加の少なくとも2つの要素を使用して、前記応答を検出すること、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電磁波を送信および受信することができ、送信検出器要素または受信検出器要素として使用することができる少なくとも2つの検出器要素を含む検体センサを使用して、分光技術によって検体を検出する装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ターゲット内の検体を検出および/または測定できることに関心がある。一例として、生体組織中のグルコースの測定がある。患者のグルコースを測定する例では、現在の検体測定方法は、指穿刺または実験室ベースの検査用の血液などの体液、または多くの場合侵襲的な経皮デバイスを使用して患者から採取された体液に対して測定を行うという点で侵襲的である。生体組織でグルコース測定を実行できると主張する非侵襲的な方法がある。しかしながら、非侵襲的な方法の多くは、一般に、グルコースなどの対象の検体に対する特異性の欠如、温度変動による干渉、皮膚の化合物(すなわち、汗)や色素による干渉、および配置の複雑さ、すなわち、センシングデバイスは、患者の体の複数の場所に存在するといった問題を抱える。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、一般に、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数帯域内などの非光学的周波数、または電磁スペクトルの可視範囲内の光学的周波数を使用する分光技術によって検体を検出する装置、システム、および方法に関する。一実施形態では、本明細書に記載の技術は、検体の非侵襲的検出に使用できる。他の実施形態では、本明細書に記載の技術は、検体のインビトロ検出に使用できる。本明細書に記載の検体センサは、電磁波を送信または受信できる少なくとも2つの検出器要素を有する検出器アレイを含む。一実施形態では、検出器アレイは、アンテナまたは発光ダイオードなどの発光素子とすることができる検出器要素を少なくとも3つ有することができる。検出器アレイ内の任意の1つまたは複数の検出器要素は、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数範囲または可視光範囲で生成された送信信号を対象の検体を含んでいるターゲットに送信するように機能する送信検出器要素として機能するように選択的に制御できる。さらに、検出器アレイ内の任意の1つまたは複数の検出器要素を、送信検出器要素によるターゲットへの送信信号の送信から生じる応答を検出するように機能する受信検出器要素として機能するように選択的に制御できる。複数のスキャンを含むスキャンルーチンを実施でき、各スキャンは、検出器要素の異なる組み合わせを使用して信号を送信し、応答を検出する。以下の説明では、アンテナであろうと発光ダイオードであろうと、送信検出器要素として機能するように制御される検出器要素は、単に送信要素と呼ぶことができ、一方、検出器要素は、アンテナであろうと発光ダイオードであろうと、受信検出器要素として機能するように制御されるものは、単に受信要素と呼ぶことができる。
【0004】
検出器アレイ内の検出器要素がアンテナである場合、送信アンテナとして機能するか受信アンテナとして機能するかに関係なく、アンテナは、互いにデカップリングされ、非襲的検体センサの検出能力を向上させるのに役立つ。アンテナ間のデカップリングは、送信アンテナによって送信される信号のできるだけ多くがターゲットに入るようにし、ターゲットに移動せずに送信アンテナから受信アンテナによって直接受信される電磁エネルギの量を最小化するか、あるいは排除する、いずれか1つまたは複数の手法を使用して達成することができる。デカップリングは、アンテナを互いにデカップリングするのに十分な、アンテナ間の1つまたは複数の意図的に製造された構成および/または配置によって達成できる。非限定的な一実施形態では、デカップリングは、互いに意図的に異なるジオメトリを有するアンテナによって達成できる。意図的に異なるジオメトリとは、意図的なアンテナの異なるジオメトリ構成を指し、例えば、製造誤差や公差が原因で、偶然または意図せずに発生し得るアンテナのジオメトリの違いとは異なる。
【0005】
アンテナのデカップリングを達成するための他の技術は、出力電力、アンテナのサイズ、周波数、およびシールドの存在などの要因に応じて、送信信号の電磁力線の一部をターゲットに強制的に送り込み、検体に到達するように、各アンテナ間に適切な間隔を使用することである。これにより、ターゲットに到達することなく、受信アンテナが送信アンテナから直接電磁エネルギを直接受信することを最小限に抑えるか、または排除する。この技術は、受信アンテナによって検出された応答が、送信アンテナから受信アンテナに直接流れる送信信号だけではなく、検体を測定していることを確認するのに役立つ。一実施形態では、センサは、間に第1の間隔を有する送信および受信アンテナの第1の対と、第1の間隔とは異なる第2の間隔を間に有する送信および受信アンテナの第2の対とを使用できる。
【0006】
本明細書に記載の技術は、対象の検体の存在、ならびにターゲット内の検体の量または検体の濃度を検出するために使用できる。本明細書に記載の技術は、単一の検体または複数の検体を検出するために使用できる。ターゲットは、例えば、ヒトまたは非ヒト、動物または非動物、生物または非生物など、検出したい検体を含む任意のターゲットであり得る。例えば、ターゲットは、ヒト組織、動物組織、植物組織、無生物、土壌、液体、遺伝物質、または微生物を含むことができるが、これらに限定されない。検体は、例えば、ヒトまたは非ヒト、動物または非動物、生物または非生物など、検出したい任意の検体であり得る。例えば、検体は、血中グルコース、血中アルコール、白血球、または黄体形成ホルモンのうちの1つまたは複数を含むことができるが、これらに限定されない。
【0007】
一実施形態では、本明細書に記載の非侵襲的検体センサシステムは、電磁波を放射できる少なくとも2つの検出器要素を有する検出器アレイを含むことができる。送信回路は、少なくとも2つの検出器要素の任意の1つまたは複数に選択的に電気的に接続可能であり、送信回路は、送信回路が電気的に接続されている少なくとも2つの検出器要素のうちの1つまたは複数によって、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信される少なくとも1つの送信信号を生成するように構成されている。さらに、受信回路は、少なくとも2つの検出器要素のいずれか1つまたは複数に選択的に電気的に接続可能であり、受信回路は、受信回路が電気的に接続されている少なくとも2つの検出器要素のうちの1つまたは複数によって検出された応答を受信するように構成されており、これは、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットへの少なくとも1つの送信信号の送信に起因する。
【0008】
他の実施形態では、非侵襲的検体センサシステムは、少なくとも2つのアンテナを有するアンテナアレイを含むことができる。送信回路は、少なくとも2つのアンテナのうちの任意の1つまたは複数に選択的に電気的に接続可能であり、送信回路は、送信回路が電気的に接続されている少なくとも2つのアンテナのうちの1つまたは複数によって、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信される少なくとも1つの送信信号を生成するように構成され、少なくとも1つの送信信号は、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数範囲にある。さらに、受信回路は、少なくとも2つのアンテナのうちの任意の1つまたは複数に選択的に電気的に接続可能であり、受信回路は、受信回路が電気的に接続されている少なくとも2つのアンテナのうちの1つまたは複数によって検出された応答を受信するように構成されており、少なくとも1つの送信信号を少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信することから生じる。
【0009】
一実施形態では、アンテナアレイは、デカップリングアンテナアレイであることができ、少なくとも2つのアンテナは互いにデカップリングできる。デカップリングは、アンテナ間のジオメトリの意図的な違いによって実現できる。他の実施形態では、デカップリングは、アンテナをデカップリングするのに十分な適切な間隔でアンテナを配置することによって実現できる。
【0010】
本明細書に記載の他の実施形態では、非侵襲的検体センサシステムは、センサハウジングと、センサハウジングに取り付けられた検出器アレイとを含むことができる。検出器アレイは、それぞれがアンテナとして機能できる少なくとも3つのデカップリングされた要素を有し、少なくとも3つのデカップリングされた要素は、互いに異なるジオメトリを有する。送信回路は、センサハウジング内に配置され、少なくとも3つの要素のうちの任意の1つまたは複数に選択的に電気的に接続可能であり、送信回路は、送信回路が電気的に接続されている少なくとも3つの要素のうちの1つまたは複数によって、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信される少なくとも1つの送信信号を生成するように構成され、少なくとも1つの送信信号は、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数範囲内にある。さらに、受信回路は、センサハウジング内に配置され、少なくとも3つの要素のうちの任意の1つまたは複数に選択的に電気的に接続可能であり、受信回路は、受信回路が電気的に接続されている少なくとも3つの要素のうちの1つまたは複数によって検出された応答を受信するように構成されており、これは、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットへの少なくとも1つの送信信号の送信に起因する。
【0011】
本明細書に記載のさらに他の実施形態では、非侵襲的検体センサシステムは、センサハウジングと、センサハウジングに取り付けられたアンテナアレイとを含むことができる。アンテナアレイは少なくとも6つのデカップリングアンテナを有し、少なくとも6つのデカップリングアンテナは互いに異なるジオメトリを有し、アンテナアレイは30.0mm×30.0mmを超えない。送信回路は、センサハウジング内に配置され、少なくとも6つのアンテナのうちの任意の1つまたは複数に選択的に電気的に接続可能である。送信回路は、送信回路が電気的に接続されている少なくとも6つのアンテナのうちの1つまたは複数によって、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信される少なくとも1つの送信信号を生成するように構成されている。少なくとも1つの送信信号は、複数の異なる周波数を有することができ、異なる周波数のそれぞれは、約10kHzから約100GHzの範囲にある。さらに、受信回路は、センサハウジング内に配置され、少なくとも6つのアンテナのうちの任意の1つまたは複数に選択的に電気的に接続可能である。受信回路は、受信回路が電気的に接続されている少なくとも6つのアンテナのうちの1つまたは複数によって検出された応答を受信するように構成され、対象となる少なくとも1つの検体を含むターゲットへの少なくとも1つの送信信号の送信から生じる。センサハウジング内に配置された1つまたは複数のコントローラは、少なくとも6つのアンテナのうちの任意の1つまたは複数への送信回路の電気的接続を制御し、少なくとも6つのアンテナのうちの任意の1つまたは複数への受信回路の電気的接続も制御する。さらに、再充電可能なバッテリは、センサハウジング内に配置され、再充電可能なバッテリは、センサシステムの動作に電力を供給する電力を提供する。
【0012】
本明細書に記載の他の実施形態では、検体の非侵襲的検出方法は、少なくとも2つの検出器要素を有する検出器アレイにおいて、送信回路を検出器アレイの少なくとも2つの検出器要素の任意の1つまたは複数に選択的に接続することを含む。少なくとも1つの送信信号は、送信回路を使用して生成され、少なくとも1つの送信信号は、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数または可視光範囲にある。次いで、少なくとも1つの送信信号は、送信回路に接続された少なくとも2つの検出器要素の1つまたは複数を使用して、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信される。さらに、受信回路は、検出器アレイの少なくとも2つの検出器要素のうちの異なる1つまたは複数に選択的に接続される。受信回路および検出器アレイの少なくとも2つの検出器要素の異なる1つまたは複数を使用して、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットへの少なくとも1つの送信信号の送信から生じる応答を検出する。
【0013】
本明細書に記載の他の実施形態では、検体の非侵襲的検出の方法は、それぞれがアンテナとして機能することができ、少なくとも3つのデカップリングされた要素が互いに異なるジオメトリを有する少なくとも3つのデカップリングされた要素を有する検出器アレイにおいて、アンテナアレイの少なくとも3つの要素のうちの1つの要素に送信回路を選択的に接続することを含む。送信回路を使用して少なくとも1つの送信信号が生成され、少なくとも1つの送信信号は、それぞれが約10kHzから約100GHzの範囲内にある少なくとも2つの異なる周波数を有する。少なくとも1つの送信信号は、送信回路に接続された少なくとも3つの要素のうちの1つの要素を使用して、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信される。さらに、受信回路は、検出器アレイの少なくとも3つの要素のうちの1つの異なる要素に選択的に接続される。受信回路および検出器アレイの少なくとも3つの要素のうちの1つの異なる要素を使用して、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットへの少なくとも1つの送信信号の送信から生じる応答を検出する。
【0014】
本明細書に記載の他の実施形態では、検体の非侵襲的検出方法は、送信回路に電気的に接続され、受信回路に電気的に接続された検出器アレイを使用してスキャンルーチンを実施することを含み、検出器アレイは、少なくとも3つの検出器要素を有する。スキャンルーチンは、第1のスキャンにおいて、少なくとも3つの検出器要素のうちの2つ以上の第1の組み合わせを使用して、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数または可視範囲にある第1の送信信号を、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信し、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットへの第1の送信信号の送信から生じる応答を検出する。第2のスキャンでは、第1の組み合わせとは異なる、少なくとも3つの検出器要素のうちの2つ以上の第2の組み合わせを使用して、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数または可視範囲にある第2の送信信号を、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信し、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットへの第2の送信信号の送信から生じる応答を検出する。
【0015】
本明細書に記載のさらに他の実施形態では、検体の非侵襲的検出の方法は、送信回路に電気的に接続され、受信回路に電気的に接続されたアンテナアレイを使用してスキャンルーチンを実施することを含み、アンテナアレイは、互いに異なるジオメトリを有する少なくとも3つのアンテナを有し、少なくとも3つのアンテナは、互いにデカップリングされている。スキャンルーチンは、複数のスキャンを実施することを含み、各スキャンは、少なくとも3つのアンテナのうちの2つ以上の異なる組み合わせを使用して、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数範囲にある信号を、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信し、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットへの信号の送信から生じる応答を検出する。
【0016】
本開示の一部を形成し、本明細書に記載の装置、システム、および方法を実施できる実施形態を示す添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係るターゲットに対する非侵襲的検体センサを有する非侵襲的検体センサシステムの概略図である。
【
図2A】本明細書に記載のセンサシステムで使用できるアンテナアレイの異なる配向例を示している。
【
図2B】本明細書に記載のセンサシステムで使用できるアンテナアレイの異なる配向例を示している。
【
図2C】本明細書に記載のセンサシステムで使用できるアンテナアレイの異なる配向例を示している。
【
図3A】異なるジオメトリを有する送信および受信アンテナの異なる例を示している。
【
図3B】異なるジオメトリを有する送信および受信アンテナの異なる例を示している。
【
図3C】異なるジオメトリを有する送信および受信アンテナの異なる例を示している。
【
図3D】異なるジオメトリを有する送信および受信アンテナの異なる例を示している。
【
図3E】異なるジオメトリを有する送信および受信アンテナの異なる例を示している。
【
図3F】異なるジオメトリを有する送信および受信アンテナの異なる例を示している。
【
図3G】異なるジオメトリを有する送信および受信アンテナの異なる例を示している。
【
図3H】異なるジオメトリを有する送信および受信アンテナの異なる例を示している。
【
図3I】異なるジオメトリを有する送信および受信アンテナの異なる例を示している。
【
図4A】送信および受信アンテナの端部が有し得る異なる形状の追加の例を示している。
【
図4B】送信および受信アンテナの端部が有し得る異なる形状の追加の例を示している。
【
図4C】送信および受信アンテナの端部が有し得る異なる形状の追加の例を示している。
【
図4D】送信および受信アンテナの端部が有し得る異なる形状の追加の例を示している。
【
図5】一実施形態に係るセンサデバイスの概略図である。
【
図6】一実施形態に係る検体を検出するための方法のフローチャートである。
【
図7】一実施形態に係る応答の解析のフローチャートである。
【
図8】2つのアンテナを有し、いずれかのアンテナを送信アンテナまたは受信アンテナとして使用できるように構成されたアンテナアレイを備えた非侵襲的検体センサシステムの他の実施形態の概略図である。
【
図9】3つのアンテナを有し、いずれかのアンテナを送信アンテナまたは受信アンテナとして使用できるように構成されたアンテナアレイを備えた非侵襲的検体センサシステムの他の実施形態の概略図である。
【
図10】6つのアンテナを有し、いずれかのアンテナを送信アンテナまたは受信アンテナとして使用できるように構成されたアンテナアレイを備えた非侵襲的検体センサシステムの他の実施形態の概略図である。
【
図11】スキャンルーチンからの結果の例を示している。
【
図12】検体センサと、検体センサと通信する外部デバイスとを含むシステムを示し、システムは、通知デバイスを含む。
【
図13】本明細書に記載の実施形態で使用できるアンテナアレイおよびアンテナ構成の追加の例の上面図である。
【
図14】本明細書に記載の実施形態で使用できるアンテナアレイおよびアンテナ構成の追加の例の上面図である。
【
図15】本明細書に記載の実施形態で使用できるアンテナアレイおよびアンテナ構成の追加の例の上面図である。
【
図16】本明細書に記載の実施形態で使用できるアンテナアレイおよびアンテナ構成の追加の例の上面図である。
【
図17】本明細書に記載の実施形態で使用できるアンテナアレイおよびアンテナ構成の追加の例の上面図である。
【
図18】本明細書に記載の実施形態で使用できるアンテナアレイおよびアンテナ構成の追加の例の上面図である。
【
図19】本明細書に記載の実施形態で使用できるアンテナアレイおよびアンテナ構成の追加の例の上面図である。
【
図20】光の形態の電磁エネルギを使用して本明細書に記載の非侵襲的検体検知を実行する非侵襲的検体センサを有する非侵襲的検体センサシステムの他の実施形態の一部の概略図である。
【
図21A】発光体と光検出器との組み合わせの一例を用いた
図20の非侵襲的検体センサの側面図である。
【
図21B】発光体と光検出器との第2の例示的な組み合わせを用いた
図20の非侵襲的検体センサの他の側面図である。
【0018】
同様の参照番号は、全体を通して同様の部分を表している。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下は、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数帯域または電磁スペクトルの可視範囲の光周波数などの非光周波数を使用する分光技術を介して検体を非侵襲的に検出する装置、システム、および方法の詳細な説明である。非侵襲的検体センサは、送信検出器要素(これは、送信要素とも呼ばれる)として機能し、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数または可視範囲にある生成された送信信号を、対象の検体を含むターゲットに送信するように機能する少なくとも1つの検出器要素と、受信検出器要素(これは、受信要素とも呼ばれる)として機能し、送信検出器要素による送信信号のターゲットへの送信から生じる応答を検出するように機能する少なくとも1つの検出器要素とを含む。検出器要素がアンテナの場合、送信アンテナと受信アンテナは互いにデカップリングされ、センサの検出性能が向上する。
【0020】
以下の説明は、
図1~
図19と共に、最初に検出器要素をアンテナとして説明し、アンテナを含む検出器アレイをアンテナアレイとして説明する。以下の説明の後半では、
図20~
図21A~
図21Bと共に、検出器要素は、発光ダイオード(LED)などの発光デバイス、およびLEDアレイとしてLEDを含む検出器アレイであるとして説明される。
【0021】
送信アンテナおよび受信アンテナは、ターゲットの近くに配置され、本明細書でさらに説明されるように操作されて、ターゲット内の少なくとも1つの検体の検出を支援できる。送信アンテナは、無線またはマイクロ波周波数範囲の少なくとも2つの周波数を有する信号をターゲットに向けて送信する。少なくとも2つの周波数を有する信号は、それぞれが別個の周波数を有し、各周波数で別個の時間に別個に送信される別個の信号部分によって形成できる。他の実施形態では、少なくとも2つの周波数を有する信号は、少なくとも2つの周波数を含む複数の周波数を含む複素信号の一部であり得る。複素信号は、複数の信号を一緒に混合または多重化し、続いて複素信号を送信することによって生成でき、それによって複数の周波数が同時に送信される。複素信号を生成するための1つの可能な技術は、逆フーリエ変換技術を使用することを含むが、これに限定されない。受信アンテナは、送信アンテナによる少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットへの信号の送信から生じる応答を検出する。
【0022】
送信アンテナおよび受信アンテナは、互いにデカップリングされる(離調などと呼ばれることもある)。デカップリングとは、送信アンテナと受信アンテナの構成および/または配置を意図的に製造して、送信アンテナと受信アンテナとの間の直接通信を最小限に抑え、好ましくは、シールドがないことを指す。送信アンテナと受信アンテナとの間のシールドを利用できる。しかしながら、送信アンテナと受信アンテナは、シールドがなくてもデカップリングされる。
【0023】
受信アンテナによって検出された信号は、受信信号の強度、および検体が送信信号を吸収する1つまたは複数の周波数での強度の低下に基づいて検体を検出するために解析できる。電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数範囲で動作する非侵襲的分光法センサを使用して検体を検出する例は、国際公開第2019/217461号に記載されており、その内容全体が参照により本明細書に援用される。受信アンテナによって検出される信号は、複数の信号成分を含む複素信号であり得、各信号成分は異なる周波数にある。一実施形態では、検出された複素信号は、例えば、フーリエ変換によって、異なる周波数のそれぞれで信号成分に分解できる。一実施形態では、受信アンテナによって検出された複素信号は、検出された信号が検体を検出するのに十分な情報を提供する限り、検体を検出するために全体として(すなわち、複素信号を逆多重化せずに)解析できる。さらに、受信アンテナによって検出される信号は、それぞれ別個の周波数を有する別個の信号部分であり得る。
【0024】
一実施形態では、本明細書に記載のセンサを使用して、ターゲット内の少なくとも1つの検体の存在を検出できる。他の実施形態では、本明細書に記載のセンサは、ターゲット中の少なくとも1つの検体の量または濃度を検出できる。ターゲットは、検出したい少なくとも1つの対象の検体を含む任意のターゲットであり得る。ターゲットは、ヒトまたは非ヒト、動物または非動物、生物または非生物であり得る。例えば、ターゲットは、ヒト組織、動物組織、植物組織、無生物、土壌、液体、遺伝物質、または微生物を含むことができるが、これらに限定されない。ターゲットの非限定的な例は、流体、例えば、血液、間質液、脳脊髄液、リンパ液または尿、ヒト組織、動物組織、植物組織、無生物、土壌、遺伝物質、または微生物を含むが、これらに限定されない。
【0025】
検体は、検出したい任意の検体であり得る。検体は、ヒトまたは非ヒト、動物または非動物、生物または非生物であり得る。例えば、検体は、血中グルコース、血中アルコール、白血球、または黄体形成ホルモンのうちの1つまたは複数を含むことができるが、これらに限定されない。検体は、化学物質、化学物質の組み合わせ、ウイルス、細菌などを含むことができるが、これらに限定されない。検体は、他の媒体に含まれる化学物質であることができ、そのような媒体の非限定的な例は、少なくとも1つの検体を含む流体、例えば、血液、間質液、脳脊髄液、リンパ液または尿、ヒト組織、動物組織、植物組織、無生物、土壌、遺伝物質、または微生物を含む。検体はまた、鉱物または汚染物質などの非ヒト、非生物学的粒子であり得る。
【0026】
検体は、例えば、天然に存在する物質、人工物質、代謝物、および/または反応生成物を含むことができる。非限定的な例として、少なくとも1つの検体は、インスリン、カルボキシプロトロンビン;アシルカルニチン;アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ;アデノシンデアミナーゼ;アルブミン;α-フェトプロテイン;アミノ酸プロファイル(アルギニン(クレブス回路)、ヒスチジン/ウロカニン酸、ホモシステイン、フェニルアラニン/チロシン、トリプトファン);アンドレノステディオン;アンチピリン;アラビニトール鏡像異性体;アルギナーゼ;ベンゾイルエクゴニン(コカイン);ビオチニダーゼ;ビオプテリン;c反応性タンパク質;カルニチン;プロBNP;BNP;トロポニン;カルノシナーゼ;CD4;セルロプラスミン;ケノデオキシコール酸;クロロキン;コレステロール;コリンエステラーゼ;共役1-βヒドロキシコール酸;コルチゾール;クレアチンキナーゼ;クレアチンキナーゼMMイソ酵素;シクロスポリンA;d-ペニシラミン;脱エチルクロロキン;デヒドロエピアンドロステロン硫酸塩;DNA(アセチル化多型、アルコール脱水素酵素、アルファ1-アンチトリプシン、嚢胞性線維症、デュシェンヌ型/ベッカー型筋ジストロフィー、アナライト-6-リン酸脱水素酵素、ヘモグロビンA、ヘモグロビンS、ヘモグロビンC、ヘモグロビンD、ヘモグロビンE、ヘモグロビンF、D-パンジャブ、ベータ-サラセミア、B型肝炎ウイルス、HCMV、HIV-1、HTLV-1、レーバー遺伝性視神経症、MCAD、RNA、PKU、三日熱マラリア原虫、性分化、21-デオキシコルチゾール);デスブチルハロファントリン;ジヒドロプテリジンレダクターゼ;ジフテリア/破傷風抗毒素;赤血球アルギナーゼ;赤血球プロトポルフィリン;エステラーゼD;脂肪酸/アシルグリシン;遊離β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン;遊離赤血球ポルフィリン;遊離サイロキシン(FT4);遊離トリヨードサイロニン(FT3);フマリルアセトアセターゼ;ガラクトース/gal-1-リン酸;ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ;ゲンタマイシン;アナライト-6-リン酸デヒドロゲナーゼ;グルタチオン;グルタチオンペルオキシダーゼ;グリココール酸;糖化ヘモグロビン;ハロファントリン;ヘモグロビン変異体;ヘキソサミニダーゼA;ヒト赤血球炭酸脱水酵素I;17-アルファ-ヒドロキシプロゲステロン;ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ;免疫反応性トリプシン;乳酸;リード;リポタンパク質((a)、B/A-1、β);リゾチーム;メフロキン;ネチルマイシン;フェノバルビトン;フェニトイン;フィタン酸/プリスタン酸;プロゲステロン;プロラクチン;プロリダーゼ;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ;キニーネ;逆トリヨードサイロニン(rT3);セレン;血清膵リパーゼ;シソマイシン;ソマトメジンC;特異抗体(アデノウイルス、抗核抗体、抗ゼータ抗体、アルボウイルス、オーエスキー病ウイルス、デングウイルス、ドラクンクルス・メディネンシス、エキノコックス・グラニュロサス、エンタメーバ・ヒストリチカ、エンテロウイルス、ジアルジア・デュオデナリサ、ヘリコバクター・ピロリ、B型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HIV-1、IgE(アトピー性疾患)、インフルエンザウイルス、リーシュマニア・ドノバニ、レプトスピラ、麻疹・おたふく風邪・風疹、マイコバクテリウムらい病、マイコプラズマ肺炎、ミオグロビン、軸捻転筋、パラインフルエンザウイルス、熱帯熱マラリア原虫、ポリオウイルス、シュードモナス属緑膿菌、呼吸合胞体ウイルス、リケッチア(スクラブ発疹チフス)、マンソン住血吸虫、トキソプラズマ・ゴンディ、梅毒トレペノーマ、トリパノソーマ・クルーズ/ランゲリ、小胞性口内炎ウイルス、ウケレリア・バンクロフト、黄熱病ウイルス);特定の抗原(B型肝炎ウイルス、HIV-1);スクシニルアセトン;スルファドキシン;テオフィリン;チロトロピン(TSH);サイロキシン(T4);チロキシン結合グロブリン;微量元素;トランスフェリン;UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼ;尿素;ウロポルフィリノーゲンIシンターゼ;ビタミンA;白血球;および亜鉛プロトポルフィリンを含むことができるが、これらに限定されない。
【0027】
検体はまた、ターゲットに導入される1つまたは複数の化学物質を含むことができる。検体は、造影剤、放射性同位体、または他の化学物質などのマーカを含むことができる。検体は、フルオロカーボンベースの合成血液を含むことができる。検体は、薬物または医薬組成物を含むことができ、非限定的な例は、エタノール;大麻(マリファナ、テトラヒドロカンナビノール、ハシシ);吸入剤(亜酸化窒素、亜硝酸アミル、亜硝酸ブチル、クロロ炭化水素、炭化水素);コカイン(クラックコカイン);覚せい剤(アンフェタミン、メタンフェタミン、リタリン、サイラート、プレルディン、ディドレックス、プレステイト、ボラニール、サンドレックス、プレジン);抑制剤(バルビツレート、メタカロン、バリウム、リブリウム、ミルタウン、セラックス、エクアニール、トランクセンなどの精神安定剤);幻覚剤(フェンシクリジン、リゼルギン酸、メスカリン、ペヨーテ、サイロシビン);麻薬(ヘロイン、コデイン、モルヒネ、アヘン、メペリジン、パーコセット、パーコダン、タクシオネックス、フェンタニル、ダルボン、タルウィン、ロモチル);デザイナードラッグ(フェンタニル、メペリジン、アンフェタミン、メタンフェタミン、フェンシクリジンの類似体、例えば、エクスタシー);蛋白同化ステロイド;およびニコチンを含む。検体は、他の薬物または薬学的組成物を含むことができる。検体は、例えば、アスコルビン酸、尿酸、ドーパミン、ノルアドレナリン、3-メトキシチラミン(3MT)、3,4-ジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)、ホモバニリン酸酸(HVA)、5-ヒドロキシトリプタミン(5HT)、および5-ヒドロキシインドール酢酸(FHIAA)など体内で生成される神経科学物質または他の化学物質を含むことができる。
【0028】
ここで
図1を参照すると、非侵襲的検体センサ5を有する非侵襲的検体センサシステムの実施形態が示されている。センサ5は、対象の検体9を含むターゲットに関連して描かれている。この例では、センサ5は、送信アンテナ/要素11(以下「送信アンテナ11」という)および受信アンテナ/要素13(以下「受信アンテナ13」という)を含むアンテナアレイを含むものとして示されている。センサ5は、送信回路15、受信回路17、およびコントローラ19をさらに含む。以下でさらに論じるように、センサ5はまた、バッテリ(
図1には図示せず)などの電源を含むことができる。いくつかの実施形態では、例えば、センサ5に接続されたコードを介してセンサ5を壁のソケットに差し込むことによって、主電源から電力を供給できる。
【0029】
送信アンテナ11は、電磁スペクトルの無線周波数(RF)またはマイクロ波範囲である信号21をターゲット7に送信するように位置決めされ、配置され、構成されている。送信アンテナ11は、無線周波数(RF)またはマイクロ波範囲の電磁信号の電極または任意の他の適切な送信機であり得る。送信アンテナ11は、検体検知を行うのに十分な、ターゲット7に対する任意の配置および配向を有し得る。非限定的な一実施形態では、送信アンテナ11は、実質的にターゲット7に向かう方向に面するように配置できる。
【0030】
送信アンテナ11によって送信される信号21は、送信アンテナ11に電気的に接続可能な送信回路15によって生成される。送信回路15は、送信アンテナ11によって送信される送信信号を生成するのに適した任意の構成を有し得る。RFまたはマイクロ波周波数範囲で送信信号を生成するための送信回路は、当技術分野で周知である。一実施形態では、送信回路15は、例えば、電源への接続、周波数発生器、およびオプションでフィルタ、増幅器、またはRFまたはマイクロ波周波数電磁信号を生成する回路のための任意の他の適切な要素を含むことができる。一実施形態では、送信回路15によって生成される信号は、少なくとも2つの離散周波数(すなわち、複数の離散周波数)を有し得、その各々は、約10kHzから約100GHzまでの範囲にある。他の実施形態では、少なくとも2つの別個の周波数のそれぞれは、約300MHzから約6000MHzまでの範囲にあり得る。一実施形態では、送信回路15は、約10kHzから約100GHzの範囲内、または他の実施形態では約300MHzから約6000MHzの範囲内の周波数範囲を掃引するように構成できる。一実施形態では、送信回路15は、複素送信信号を生成するように構成され得、複素信号は、複数の信号成分を含み、信号成分の各々は、異なる周波数を有する。複素信号は、複数の信号を一緒に混合または多重化し、続いて複素信号を送信することによって生成でき、それによって複数の周波数が同時に送信される。
【0031】
受信アンテナ13は、送信アンテナ11によるターゲット7への送信信号21の送信から生じ、検体9に衝突する1つまたは複数の電磁応答信号23を検出するように位置決めされ、配置され、構成されている。受信アンテナ13は、無線周波数(RF)またはマイクロ波範囲の電磁信号の電極または任意の他の適切な受信機であり得る。一実施形態では、受信アンテナ13は、それぞれが約10kHzから約100GHzの範囲、または他の実施形態では約300MHzから約6000MHzの範囲にある少なくとも2つの周波数を有する電磁信号を検出するように構成される。受信アンテナ13は、応答信号23の検出を可能にして検体検知を行うのに十分な、ターゲット7に対する任意の配置および配向を有し得る。非限定的な一実施形態では、受信アンテナ13は、実質的にターゲット7に向かう方向に面するように配置できる。
【0032】
受信回路17は、受信アンテナ13に電気的に接続可能であり、受信アンテナ13からの受信された応答をコントローラ19に伝達する。受信回路17は、受信アンテナ13によって検出された電磁エネルギを、応答信号23を反映する1つまたは複数の信号に変換するために、受信アンテナ13とインターフェースするのに適した任意の構成を有し得る。受信回路の構成は、当技術分野で周知である。受信回路17は、信号をコントローラ19に提供する前に、例えば、信号の増幅、信号のフィルタリングなどによって信号を調整するように構成できる。したがって、受信回路17は、フィルタ、増幅器、またはコントローラ19に提供される信号を調整するための任意の他の適切な構成要素を含み得る。一実施形態では、受信回路17またはコントローラ19のうちの少なくとも1つは、受信アンテナ13によって検出された、それぞれ異なる周波数の複数の信号成分を含む複素信号を、構成信号成分のそれぞれに分解または逆多重化するように構成できる。一実施形態では、複素信号を分解することは、検出された複素信号にフーリエ変換を適用することを含むことができる。しかしながら、受信した複素信号の分解または逆多重化は、オプションである。代わりに、一実施形態では、受信アンテナによって検出された複素信号は、検出された信号が検体を検出するのに十分な情報を提供する限り、検体を検出するために全体として(すなわち、複素信号を逆多重化せずに)解析できる。
【0033】
コントローラ19は、センサ5の動作を制御する。コントローラ19は、例えば、送信アンテナ11によって送信される送信信号を生成するように送信回路15に指示できる。コントローラ19はさらに、受信回路17から信号を受信する。コントローラ19は、受信回路17からの信号を任意に処理して、ターゲット7内の検体9を検出できる。一実施形態では、コントローラ19は、例えば、ブルートゥース(登録商標)などの1つまたは複数の無線接続、4G、5G、LTEなど、またはWi-Fiなどの無線データ接続を介して、ユーザデバイスおよび/またはリモートサーバ27などの少なくとも1つの外部デバイス25とオプションで通信し得る。提供される場合、外部デバイス25および/またはリモートサーバ27は、例えば、検体9を検出するために、コントローラ19が受信回路17から受信する信号を処理(またはさらに処理)し得る。提供される場合、外部デバイス25は、センサ5とリモートサーバ27との間の通信を提供するために、例えば、有線データ接続を使用して、または外部デバイス25の無線データ接続またはWi-Fiを介して、リモートサーバ27への接続を提供するために使用され得る。
【0034】
引き続き
図1を参照すると、センサ5は、内部空間31を画定するセンサハウジング29(破線で示される)を含み得る。センサ5の構成要素は、ハウジング29に取り付けられ、および/またはハウジング内に配置され得る。例えば、送信アンテナ11および受信アンテナ13は、ハウジング29に取り付けられる。いくつかの実施形態では、アンテナ11、13は、ハウジング29の内部空間31内に完全にまたは部分的に存在し得る。いくつかの実施形態では、アンテナ11、13は、ハウジング29に取り付けられ得るが、内部空間31の外側に少なくとも部分的または完全に配置され得る。いくつかの実施形態では、送信回路15、受信回路17、およびコントローラ19は、ハウジング29に取り付けられ、センサハウジング29内に完全に配置される。
【0035】
受信アンテナ13は、送信アンテナ11と受信アンテナ13との間の電磁結合が低減されるように、送信アンテナ11に対してデカップリングまたは離調される。送信アンテナ11と受信アンテナ13とのデカップリングは、ターゲット7からの応答信号23である受信アンテナ13によって検出される信号の部分を増加させ、受信アンテナ13による送信信号21の直接受信を最小限に抑える。送信アンテナ11と受信アンテナ13とのデカップリングは、結合された送信アンテナと受信アンテナを有するアンテナシステムと比較して、送信アンテナ11から受信アンテナ13への送信は、減少した順方向利得(S21)および出力時の増加した反射(S22)を有する結果をもたらす。
【0036】
一実施形態では、送信アンテナ11と受信アンテナ13との間の結合は95%以下である。他の実施形態では、送信アンテナ11と受信アンテナ13との間の結合は90%以下である。他の実施形態では、送信アンテナ11と受信アンテナ13との間の結合は85%以下である。他の実施形態では、送信アンテナ11と受信アンテナ13との間の結合は75%以下である。
【0037】
送信アンテナ11と受信アンテナ13との間の結合を低減するための任意の技術を使用できる。例えば、送信アンテナ11と受信アンテナ13との間のデカップリングは、送信アンテナ11と受信アンテナ13を互いにデカップリングするのに十分な、送信アンテナ11と受信アンテナ13との間の1つまたは複数の意図的に製造された構成および/または配置によって達成できる。
【0038】
例えば、以下でさらに説明する一実施形態では、送信アンテナ11と受信アンテナ13とのデカップリングは、送信アンテナ11と受信アンテナ13とを互いに異なるジオメトリを有するように意図的に構成することによって達成できる。意図的に異なるジオメトリとは、送信アンテナ11と受信アンテナ13の意図的な異なるジオメトリ構成を指す。ジオメトリの意図的な違いは、例えば、製造誤差や公差などにより、偶然または意図せずに発生し得る送信アンテナと受信アンテナのジオメトリの違いとは区別される。
【0039】
送信アンテナ11と受信アンテナ13のデカップリングを達成する他の技術は、アンテナ11、13をデカップリングして送信信号21の電磁力線の一部をターゲット7に押し込むのに十分な適切な間隔を各アンテナ11、13間に設け、それによって、ターゲット7に移動せずに送信アンテナ11から直接受信アンテナ13が電磁エネルギを直接受信することを可能な限り最小限にするかまたは排除することである。各アンテナ11、13間の適切な間隔は、送信アンテナ11からの信号の出力電力、アンテナ11、13のサイズ、送信信号の周波数または複数の周波数、およびアンテナ間のシールドの存在を含むがこれらに限定されない要因に基づいて決定できる。この技術は、受信アンテナ13によって検出された応答が検体9を測定しており、送信アンテナ11から受信アンテナ13に直接流れる送信信号21だけではないことを確実にするのに役立つ。いくつかの実施形態では、アンテナ11、13の間の適切な間隔を、アンテナ11、13のジオメトリの意図的な差異とともに使用して、デカップリングを達成できる。
【0040】
一実施形態では、送信アンテナ11によって送信される送信信号は、少なくとも2つの異なる周波数、例えば、7から12までの異なる離散周波数を有し得る。他の実施形態では、送信信号は、単一の周波数または複数の異なる周波数を有する各別個の信号を含む、一連の離散、別個の信号であり得る。
【0041】
一実施形態では、送信信号(または送信信号のそれぞれ)は、約300ミリ秒未満、それに等しい、またはそれより大きい送信時間にわたって送信され得る。他の実施形態では、送信時間は、約200ミリ秒以上であり得る。さらに他の実施形態では、送信時間は、約30ミリ秒未満、等しい、またはそれより大きくなり得る。送信時間はまた、例えば、1秒、5秒、10秒、またはそれ以上の、秒単位で測定される大きさを有し得る。一実施形態では、同じ送信信号を複数回送信でき、その後、送信時間を平均化できる。他の実施形態では、送信信号(または送信信号のそれぞれ)は、約50%以下のデューティサイクルで送信できる。
【0042】
図2A~
図2Cは、センサシステム5で使用できるアンテナアレイ33の例と、アンテナアレイ33をどのように方向付けることができるかを示している。アンテナアレイ33の多くの配向が可能であり、センサ5が検体9を感知するその主要な機能を実行できる限り、任意の配向を使用できる。
【0043】
図2Aでは、アンテナアレイ33は、実質的に平面であり得る基板35上に配置された送信アンテナ11および受信アンテナ13を含む。この例は、実質的にX-Y平面に配置されたアレイ33を示している。この例では、アンテナ11、13のX軸方向およびY軸方向の寸法を横方向寸法と見なすことができ、アンテナ11、13のZ軸方向の寸法を厚さ寸法と見なすことができる。この例では、アンテナ11、13のそれぞれは、その厚さ寸法(Z軸方向)よりも大きい少なくとも1つの横方向寸法(X軸方向および/またはY軸方向で測定される)を有する。換言すれば、送信アンテナ11および受信アンテナ13は、それぞれ、X軸方向および/またはY軸方向に測定された少なくとも1つの他の横方向寸法と比較して、Z軸方向において比較的平坦であるか、または比較的薄い厚さである。
【0044】
図2Aの実施形態の使用において、センサおよびアレイ33は、ターゲット7がZ軸方向でアレイ33の下にあるか、またはZ軸方向でアレイ33の上にあるように、ターゲット7に対して配置され得る。これにより、アンテナ11、13の面の1つがターゲット7の方を向く。あるいは、ターゲット7は、アンテナ11、13のそれぞれの端部の1つがターゲット7の方を向くように、X軸方向にアレイ33の左側または右側に配置できる。あるいは、ターゲット7は、アンテナ11、13のそれぞれの側面の1つがターゲット7の方を向くように、アレイ33のY軸方向の側面に配置できる。
【0045】
センサ5には、アンテナアレイ33に加えて、1つまたは複数の追加のアンテナアレイを設けることもできる。例えば、
図2Aは、実質的に平面であり得る基板35a上に配置された送信アンテナ11および受信アンテナ13を含むオプションの第2のアンテナアレイ33aも示している。アレイ33と同様に、アレイ33aも実質的にX-Y平面内に配置され得、アレイ33、33aはX軸方向に互いに離間している。
【0046】
図2Bでは、アンテナアレイ33は、実質的にY-Z平面に配置されているものとして示されている。この例では、Y軸方向およびZ軸方向のアンテナ11、13の寸法は、横方向寸法と考えることができ、X軸方向のアンテナ11、13の寸法は、厚さ寸法と考えることができる。この例では、アンテナ11、13のそれぞれは、その厚さ寸法(X軸方向)よりも大きい少なくとも1つの横方向寸法(Y軸方向および/またはZ軸方向で測定される)を有する。換言すれば、送信アンテナ11および受信アンテナ13は、それぞれ、Y軸方向および/またはZ軸方向で測定された少なくとも1つの他の横方向寸法と比較して、X軸方向において比較的平坦であるか、または比較的薄い厚さである。
【0047】
図2Bの実施形態の使用において、センサおよびアレイ33は、ターゲット7がZ軸方向でアレイ33の下にあるか、またはZ軸方向でアレイ33の上にあるように、ターゲット7に対して配置され得る。これにより、アンテナ11、13のそれぞれの端部の1つがターゲット7の方を向く。あるいは、ターゲット7は、アンテナ11、13のそれぞれの面の1つがターゲット7の方を向くように、X軸方向でアレイ33の前または後ろに配置できる。あるいは、ターゲット7は、アンテナ11、13のそれぞれの側面の1つがターゲット7の方を向くように、アレイ33のY軸方向の側面の1つに配置できる。
【0048】
図2Cでは、アンテナアレイ33は、実質的にX-Z平面に配置されているものとして示されている。この例では、アンテナ11、13のX軸方向およびZ軸方向の寸法は、横方法寸法と考えることができ、Y軸方向のアンテナ11、13の寸法は、厚さ寸法と考えることができる。この例では、アンテナ11、13のそれぞれは、その厚さ寸法(Y軸方向)よりも大きい少なくとも1つの横方向寸法(X軸方向および/またはZ軸方向で測定される)を有する。換言すれば、送信アンテナ11および受信アンテナ13は、それぞれ、X軸方向および/またはZ軸方向に測定された少なくとも1つの他の横方向寸法と比較して、Y軸方向において比較的平坦であるか、または比較的薄い厚さである。
【0049】
図2Cの実施形態の使用において、センサおよびアレイ33は、ターゲット7がZ軸方向でアレイ33の下にあるか、またはZ軸方向でアレイ33の上にあるように、ターゲット7に対して配置され得る。これにより、アンテナ11、13のそれぞれの端部の1つがターゲット7の方を向く。あるいは、ターゲット7は、アンテナ11、13のそれぞれの側の1つがターゲット7の方を向くように、X軸方向にアレイ33の左側または右側に配置できる。あるいは、ターゲット7は、アンテナ11、13のそれぞれの面の1つがターゲット7の方を向くように、Y軸方向でアレイ33の前または後ろに配置できる。
【0050】
図2A~
図2Cのアレイ33、33aは、X-Y平面、Y-Z平面またはX-Z平面などの平面内に完全に配置される必要はない。代わりに、アレイ33、33aは、X-Y平面、Y-Z平面、およびX-Z平面に対して角度を付けて配置できる。
【0051】
アンテナジオメトリの違いを使用したデカップリングアンテナ
【0052】
上述のように、送信アンテナ11を受信アンテナ13からデカップリングする1つの技術は、送信アンテナ11および受信アンテナ13を意図的に異なるジオメトリを有するように意図的に構成することである。意図的に異なるジオメトリとは、意図的な送信および受信アンテナ11、13の幾何学的構成の違いを指し、例えば、アンテナ11、13を製造する際の製造誤差または公差により、偶発的または意図せずに発生し得る送信および受信アンテナ11、13のジオメトリの違いとは区別される。
【0053】
アンテナ11、13の異なるジオメトリは、多くの異なる方法でそれ自体を明らかにし得、説明され得る。例えば、アンテナ11、13の各々の平面図(
図3A~
図3Iなど)では、アンテナ11、13の周囲エッジの形状は、互いに異なり得る。ジオメトリが異なると、平面図で異なる表面積を有するアンテナ11、13が得られる。異なるジオメトリは、アンテナ11、13が平面図において異なるアスペクト比(すなわち、異なる寸法におけるそれらのサイズの比、例えば、以下でさらに詳細に説明するように、アンテナ11の幅で割った長さの比は、アンテナ13の幅で割った長さの比と異なり得る)を有する結果となり得る。いくつかの実施形態では、異なるジオメトリにより、アンテナ11、13は、平面図における異なる周囲エッジ形状、平面図における異なる表面積、および/または異なるアスペクト比の任意の組み合わせを有することになる。いくつかの実施形態では、アンテナ11、13は、周囲エッジ境界内に形成された1つまたは複数の穴(
図2Bを参照)、または周囲エッジに形成された1つまたは複数のノッチ(
図2Bを参照)を有し得る。
【0054】
したがって、本明細書で使用されるように、アンテナ11、13のジオメトリの違いまたは幾何学的形状の違いは、それぞれのアンテナ11、13を平面図で見たときの、形、長さ、幅、サイズ、形状、境界(すなわち、周囲エッジ)によって閉じられた領域などにおける任意の意図的な違いを指す。
【0055】
アンテナ11、13は、本明細書に記載のアンテナ11、13の機能を果たすことを可能にする任意の構成を有し得、任意の適切な材料から形成され得る。一実施形態では、アンテナ11、13は、材料のストリップによって形成され得る。材料のストリップは、アンテナを平面図で見たときに、ストリップがその少なくとも1つの横方向寸法がその厚さ寸法よりも大きい構成(言い換えれば、
図3A~
図3Iのようにアンテナを平面図で見たときの長さまたは幅など、少なくとも1つの他の横方向寸法と比較して、ストリップが比較的平坦であるか、または比較的薄い厚さである)を含むことができる。材料のストリップは、ワイヤを含むことができる。アンテナ11、13は、金属および導電性非金属材料を含む任意の適切な導電性材料から形成できる。使用できる金属の例は、銅または金を含むが、これらに限定されない。使用できる材料の他の例は、非金属材料を導電性にするために金属材料でドープされた非金属材料である。
【0056】
図2A~
図2Cでは、アレイ33、33aのそれぞれのアンテナ11、13は、互いに異なるジオメトリを有する。さらに、
図3A~
図3Iは、互いに異なるジオメトリを有するアンテナ11、13の追加の例の平面図を示している。
図2A~
図2Cおよび
図3A~
図3Iの例は網羅的なものではなく、多くの異なる構成が可能である。
【0057】
最初に
図3Aを参照すると、異なるジオメトリを有する2つのアンテナを有するアンテナアレイの平面図が示されている。この例では(
図2A~
図2Cおよび
図3B~
図3Iの例と同様に)、本明細書の概念を説明する際の便宜上、一方のアンテナを送信アンテナ11とラベル付けし、他方のアンテナを受信アンテナ13とラベル付けする。しかしながら、送信アンテナ11としてラベル付けされたアンテナは、受信アンテナ13である可能性があり、受信アンテナ13としてラベル付けされたアンテナは、送信アンテナ11である可能性がある。アンテナ11、13の各々は、平面37を有する基板35上に配置される。
【0058】
アンテナ11、13は、表面37上の線形ストリップまたはトレースとして形成できる。この例では、アンテナ11は、ほぼU字形であり、第1の直線脚部40a、第1の脚部40aに垂直に延びる第2の直線脚40b、および脚部40aに平行に延びる第3の直線脚部40cを有する。同様に、アンテナ13は、脚部40a、40cと平行に、脚部40a、40cの間に延在する単一の脚部によって形成される。
【0059】
図3Aに示される例では、アンテナ11、13のそれぞれは、その厚さ寸法よりも大きい少なくとも1つの横方向寸法を有する(
図3Aでは、
図3Aを見たときに、厚さ寸法は、ページの内/外に延びることになる)。例えば、アンテナ11の脚部40aは、一方向(すなわち、横方向寸法)に、ページの内外に延びる脚部40aの厚さ寸法よりも大きい範囲で延在する。アンテナ11の脚部40bは、ある方向(すなわち、横方向寸法)に、ページの内外に延びる脚部40bの厚さ寸法よりも大きい範囲で延在する。アンテナ11の脚部40cは、一方向(すなわち、横方向寸法)に、ページの内外に延びる脚部40cの厚さ寸法よりも大きい範囲で延在する。同様に、アンテナ13は、一方向(すなわち、横方向寸法)に、ページの内外に延びるアンテナ13の厚さ寸法よりも大きい範囲で延在する。
【0060】
アンテナ11、13はまた、平面視したときのアンテナ11の総直線長さ(脚部40a~40cの個々の長さL1、L2、L3を足し合わせることによって決定される)が、平面視したときのアンテナ13の長さL13よりも大きい点で、互いにジオメトリが異なる。
【0061】
図3Bは、異なるジオメトリを有する2つのアンテナを有するアンテナアレイの他の平面図を示している。この例では、アンテナ11、13は、それぞれが横方向長さL
11、L
13、横方向幅W
11、W
13、および周囲エッジE
11、E
13を有する実質的に線形のストリップとして示されている。周囲エッジE
11、E
13は、アンテナ11、13の周囲全体に延在し、平面図で領域を画定する。この例では、横方向長さL
11、L
13および/または横方向幅W
11、W
13は、
図3Bを見るとき、ページの内/外に延びるアンテナ11、13の厚さ寸法よりも大きい。この例では、アンテナ11、13は、アンテナ11、13の端部の形状が互いに異なるという点で、ジオメトリが互いに異なる。例えば、
図3Bを見ると、アンテナ11の右端部42は、アンテナ13の右端部44とは異なる形状を有する。同様に、アンテナ11の左端部46は、右端部42と同様の形状を有し得るが、右端部44と同様の形状を有し得るアンテナ13の左端部48とは異なる。アンテナ11、13の横方向長さL
11、L
13および/または横方向幅W
11、W
13が互いに異なることも可能である。
【0062】
図3Cは、
図3Bと幾分似ている、異なるジオメトリを有する2つのアンテナを有するアンテナアレイの他の平面図を示している。この例では、アンテナ11、13は、それぞれが横方向長さL
11、L
13、横方向幅W
11、W
13、および周囲エッジE
11、E
13を有する実質的に線形のストリップとして示されている。周囲エッジE
11、E
13は、アンテナ11、13の周囲全体に延在し、平面図で領域を画定する。この例では、横方向長さL
11、L
13および/または横方向幅W
11、W
13は、
図3Cを見るとき、ページの内/外に延びるアンテナ11、13の厚さ寸法よりも大きい。この例では、アンテナ11、13は、アンテナ11、13の端部の形状が互いに異なるという点で、ジオメトリが互いに異なる。例えば、
図3Cを見ると、アンテナ11の右端部42は、アンテナ13の右端部44とは異なる形状を有する。同様に、アンテナ11の左端部46は、右端部42と同様の形状を有し得るが、右端部44と同様の形状を有し得るアンテナ13の左端部48とは異なる。また、アンテナ11、13の横方向幅W
11、W
13は互いに異なっている。アンテナ11、13の横方向長さL
11、L
13が互いに異なることも可能である。
【0063】
図3Dは、
図3Bおよび
図3Cと幾分似ている、異なるジオメトリを有する2つのアンテナを有するアンテナアレイの他の平面図を示している。この例では、アンテナ11、13は、それぞれが横方向長さL
11、L
13、横方向幅W
11、W
13、および周囲エッジE
11、E
13を有する実質的に線形のストリップとして示されている。周囲エッジE
11、E
13は、アンテナ11、13の周囲全体に延在し、平面図で領域を画定する。この例では、横方向長さL
11、L
13および/または横方向幅W
11、W
13は、
図3Dを見るとき、ページの内/外に延びるアンテナ11、13の厚さ寸法よりも大きい。この例では、アンテナ11、13は、アンテナ11、13の端部の形状が互いに異なるという点で、ジオメトリが互いに異なる。例えば、
図3Dを見ると、アンテナ11の右端部42は、アンテナ13の右端部44とは異なる形状を有する。同様に、アンテナ11の左端部46は、右端部42と同様の形状を有し得るが、右端部44と同様の形状を有し得るアンテナ13の左端部48とは異なる。また、アンテナ11、13の横方向幅W
11、W
13は互いに異なっている。アンテナ11、13の横方向長さL
11、L
13が互いに異なることも可能である。
【0064】
図3Eは、基板上に異なるジオメトリを有する2つのアンテナを有するアンテナアレイの他の平面図を示している。この例では、アンテナ11は、ほぼ馬蹄形の材料のストリップとして示され、アンテナ13は、ほぼ線形の材料のストリップとして示されている。アンテナ11、13の平面形状(すなわち、ジオメトリ)は互いに異なる。また、平面視におけるアンテナ11の全長(一端から他端までの測定される)は、平面視におけるアンテナ13の長さよりも長い。
【0065】
図3Fは、基板上に異なるジオメトリを有する2つのアンテナを有するアンテナアレイの他の平面図を示している。この例では、アンテナ11は、直角を形成する材料のストリップとして示され、アンテナ13も、より大きな直角を形成する材料のストリップとして示されている。アンテナ11、13の平面形状(すなわち、ジオメトリ)は、アンテナ13の平面図における総面積がアンテナ11の平面図における総面積よりも大きいため、互いに異なる。さらに、平面視におけるアンテナ11の全長(一端から他端まで測定される)は、平面視におけるアンテナ13の長さより短い。
【0066】
図3Gは、基板上に異なるジオメトリを有する2つのアンテナを有するアンテナアレイの他の平面図を示している。この例では、アンテナ11は、正方形を形成する材料のストリップとして示され、アンテナ13は、長方形を形成する材料のストリップとして示されている。アンテナ11、13の平面形状(すなわち、ジオメトリ)は互いに異なる。また、平面視におけるアンテナ11の幅/長さの少なくとも一方は、平面視におけるアンテナ13の幅/長さのいずれかよりも小さい。
【0067】
図3Hは、基板上に異なるジオメトリを有する2つのアンテナを有するアンテナアレイの他の平面図を示している。この例では、アンテナ11は、平面視において円を形成する材料のストリップとして示され、アンテナ13も、アンテナ11によって形成された円によって囲まれた平面で見ると、より小さな円を形成する材料のストリップとして示されている。アンテナ11、13の平面形状(すなわち、ジオメトリ)は、円の大きさが異なるために互いに異なる。
【0068】
図3Iは、基板上に異なるジオメトリを有する2つのアンテナを有するアンテナアレイの他の平面図を示している。この例では、アンテナ11は、材料の直線ストリップとして示され、アンテナ13は、平面で見ると半円を形成する材料のストリップとして示されている。アンテナ11、13の平面形状(すなわち、ジオメトリ)は、アンテナ11、13の形状/ジオメトリが異なるため、互いに異なる。
【0069】
図4A~
図4Dは、送信アンテナ11および受信アンテナ13の端部がジオメトリの違いを達成するために有し得る異なる形状の追加の例の平面図である。アンテナ11、13の端部の一方または両方は、
図3A~
図3Iの実施形態を含めて、
図4A~
図4Dの形状を有し得る。
図4Aは、端部がほぼ長方形であることを示している。
図4Bは、一方の角が丸く、もう一方の角は直角のままである端部を示している。
図4Cは、端部全体が丸みを帯びているか、外側に凸状になっていることを示している。
図4Dは、端部が内側に凹んでいることを示している。他の多くの形状が可能である。
【0070】
アンテナ11、13のデカップリングを達成するための他の技術は、送信アンテナ11によって送信される信号のほとんどまたはすべてをターゲットに強制的に送り込むのに十分な間隔を有する各アンテナ11、13間の適切な間隔を使用し、それによって、送信アンテナから直接に受信アンテナ13による電磁エネルギの直接受信を最小限に抑えることである。適切な間隔は、それ自体でアンテナ11、13のデカップリングを達成するために使用できる。他の実施形態では、適切な間隔を、アンテナ11、13のジオメトリの違いとともに使用して、デカップリングを達成できる。
【0071】
図2Aを参照すると、示された位置において、送信アンテナ11と受信アンテナ13との間に間隔Dが存在する。アンテナ11、13間の間隔Dは、各アンテナ11、13の全長(例えば、X軸方向)にわたって一定であってもよいし、アンテナ11、13間の間隔Dは、変化してもよい。間隔Dが、送信アンテナ11によって送信される信号のほとんどまたはすべてがターゲットに到達し、送信アンテナ11から直接に受信アンテナ13による電磁エネルギの直接受信を最小化し、それによって、アンテナ11、13を互いからデカップリングする結果になるのに十分である限り、任意の間隔Dを使用することができる。
【0072】
図5を参照すると、センサデバイス5の構成例が示されている。
図5では、
図1の要素と同一または類似の要素は、同じ参照番号を使用して参照される。
図5では、アンテナ11、13は、例えば、プリント回路基板であり得る基板50の1つの表面上に配置される。センサデバイス5に電力を供給するために、再充電可能なバッテリなどの少なくとも1つのバッテリ52が基板50の上に提供される。さらに、送信回路15、受信回路17、コントローラ19および第2のデバイス5の他の電子機器を配置することができるデジタルプリント回路基板54が設けられる。基板50およびデジタルプリント回路基板54は、フレキシブルコネクタ56などの任意の適切な電気接続を介して電気的に接続される。RFシールド58は、アンテナ11、13とバッテリ52との間、またはアンテナ11、13とデジタルプリント回路基板54との間に任意に配置されて、回路および電気部品をRF干渉からシールドし得る。
【0073】
図5に示されるように、アンテナ11、13、送信回路15、受信回路17、コントローラ19、バッテリ52などを含むセンサデバイス5のすべての要素は、ハウジング29の内部空間31内に完全に収容される。代替実施形態では、各アンテナ11、13の一部または全体が、ハウジング29の底壁60の下に突出できる。他の実施形態では、各アンテナ11、13の底部は、底壁60と同じ高さであるか、または底壁60からわずかに凹んでいることができる。
【0074】
センサデバイス5のハウジング29は、非侵襲性センサデバイスに使用するのに適していると思われる任意の構成およびサイズを有し得る。一実施形態では、ハウジング29は、50mm以下の最大長さ寸法LH、50mm以下の最大幅寸法WH、および25mm以下の最大厚さ寸法THを有し得、約62.5cm3以下の総内部容積を有し得る
【0075】
さらに、
図3A~
図3Iと共に
図5を引き続き参照すると、送信アンテナ11と受信アンテナ13との間に最大間隔D
maxおよび最小間隔D
minが存在することが好ましい。最大間隔D
maxは、ハウジング29の最大サイズによって決定され得る。一実施形態では、最大間隔D
maxは、約50mmであり得る。一実施形態では、最小間隔D
minは、約1.0mmから約5.0mmまでであり得る。
【0076】
ここで
図1と共に
図6を参照すると、ターゲット中の少なくとも1つの検体を検出するための方法70の一実施形態が示されている。
図6の方法は、本明細書に記載のセンサデバイス5の実施形態のいずれかを使用して実施できる。検体を検出するために、センサデバイス5は、ターゲットに比較的近接して配置される。比較的近接とは、センサデバイス5がターゲットに近接するが直接物理的に接触しない、あるいはセンサデバイス5がターゲットと直接密接に物理的に接触するように配置できることを意味する。センサデバイス5とターゲット7との間の間隔は、送信信号のパワーなどの多くの要因に依存し得る。センサデバイス5がターゲット7に対して適切に配置されていると仮定すると、ボックス72で、例えば、送信回路15によって送信信号が生成される。次に、送信信号は、送信アンテナ11に提供され、送信アンテナ11は、ボックス74で、送信信号をターゲットに向けて、かつターゲットに送信する。ボックス76で、送信信号が検体に接触することから生じる応答が、受信アンテナ13によって検出される。受信回路17は、受信アンテナ13から検出された応答を取得し、検出された応答をコントローラ19に提供する。ボックス78で、検出された応答を解析して、少なくとも1つの検体を検出できる。解析は、コントローラ19によって、および/または外部デバイス25によって、および/またはリモートサーバ27によって実行できる。
【0077】
図7を参照すると、方法70のボックス78での解析は、いくつかの形態をとることができる。一実施形態では、ボックス80で、解析は、検体の存在、すなわち、検体がターゲット中に存在するか否かを単に検出できる。あるいは、ボックス82で、解析は、存在する検体の量を決定できる。
【0078】
送信された信号と検体との間の相互作用は、場合によっては、受信アンテナによって検出される信号の強度を増加させ、他の場合には、受信アンテナによって検出される信号の強度を減少させ得る。例えば、非限定的な一実施形態では、検出された応答を解析するとき、検出されている対象の検体を含むターゲット内の化合物は、送信信号の一部を吸収でき、吸収は、送信信号の周波数に基づいて変化する。受信アンテナによって検出される応答信号は、検体などのターゲット内の化合物が送信信号を吸収する周波数での強度の低下を含み得る。吸収の周波数は、異なる検体に特有のものである。受信アンテナによって検出される応答信号は、検体による吸収に対応する信号強度の低下に基づいて検体を検出するために、このような信号強度の低下が対象の検体による吸収に対応する周波数で観測されるかどうかに基づいて、対象の検体に関連付けられた周波数で解析できる。検体によって引き起こされる信号の強度の増加に関して、同様の技術を使用できる。
【0079】
検体の存在の検出は、例えば、検体に関連する既知の周波数で受信アンテナによって検出される信号強度の変化を識別することによって達成できる。変化は、送信信号が検体とどのように相互作用するかに応じて、信号強度の減少または信号強度の増加であり得る。検体に関連付けられた既知の周波数は、例えば、検体を含むことが知られている溶液の試験によって確立できる。検体の量の決定は、例えば、入力変数が信号の変化の大きさであり、出力変数が検体の量である関数を使用して、既知の周波数での信号の変化の大きさを識別することによって達成できる。検体の量の決定は、例えば、ターゲットの既知の質量または体積に基づいて、濃度を決定するためにさらに使用できる。一実施形態では、検体の存在および検体の量の決定は、例えば、検体の存在を検出するために検出された信号の変化を最初に識別し、次に、量を決定するために変化の大きさを識別するために検出された信号を処理することによって、両方を決定され得る。
【0080】
図8~
図10は、非侵襲的検体センサシステム100の追加の実施形態の概略図である。
図8~
図10に示されるシステム100は、少なくとも2つ以上のアンテナ、少なくとも3つ以上のアンテナ、または少なくとも6つ以上のアンテナを含む。しかしながら、異なる数のアンテナを使用することもできる。各実施形態において、システム100は、アンテナアレイの1つまたは複数のアンテナを送信アンテナまたは受信アンテナとして使用できるように構成される。
図8~
図10では、同様の要素は、同じ参照番号を使用して参照される。一実施形態では、システム100を使用してスキャンルーチンを実施でき、スキャンルーチンは、複数のスキャンを含み、各スキャンは、アンテナの異なる組み合わせを使用して信号を送信し、応答を検出する。
図1~
図7の前述の実施形態と同様に、アンテナアレイは、デカップリングアンテナアレイであり得、アンテナアレイのアンテナは、互いにデカップリングされ得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、システム100のアンテナは、互いにデカップリングされ得ない。一実施形態では、
図8~
図10のアレイで使用されるアンテナは、互いに異なるジオメトリを有し得る。
【0081】
図8の実施形態では、システム100のアンテナアレイは、2つのアンテナ102a、102bを有し、これらの各々は、基板106上に配置するか、または別々の基板上に配置できる。アンテナ102a、102bは、
図1~
図7に関して上述した構造と同様の構造を有し得る。アンテナ102a、102bは、互いに異なるジオメトリを有し、アンテナ102a、102bは、互いにデカップリングされている。スイッチ108a、108bは、アンテナ102a、102bのそれぞれに電気的に接続され、1つまたは複数の送信および受信スイッチコントローラ110は、スイッチ108a、108bのそれぞれに電気的に接続され得る。スイッチ108a、108bは、1つまたは複数の送信信号のいずれかをそれぞれのアンテナ102a、102bに向ける、またはアンテナ102a、102bの他方によって検出された応答を受信するなど、スイッチ108a、108bの機能を実行するのに適した任意の機械的および/または電気的構造を有し得る。
図8は、スイッチ108a、108bを単極双投スイッチとして示しているが、他のスイッチ構造を使用できる。
【0082】
スイッチコントローラ110は、アンテナ102a、102bのいずれか1つへの送信回路112の電気的接続を制御して生成された送信信号を所望のアンテナ102a、102bに向け、送信アンテナとして機能させ、アンテナ102a、102bの1つに受信回路114の電気的接続を制御して受信アンテナとして機能させることを含む、スイッチコントローラ110の機能を実行するのに適した任意の機械的および/または電気的構造を有し得る。スイッチコントローラ110は、例えば、スイッチ108a、108bのいずれか1つの位置を適切に制御して適切なアンテナ102a、102bに接続し、送信回路112によって生成された送信信号を適切なアンテナ102a、102bに向けるなど、送信機能を制御するのに適した送信側を有すると考えることができる。スイッチコントローラ110はまた、例えば、応答を受信するための適切なアンテナ102a、102bに接続し、応答を受信回路114に向けるためにスイッチ108a、108bのいずれか1つの位置を適切に制御することによって、受信機能を制御するのに適した受信側を有すると考えることができる。スイッチコントローラ110は、スイッチコントローラ110の制御機能を管理および制御するために、1つまたは複数のコントローラを統合するか、適切に接続できる。
【0083】
スイッチコントローラ110の制御は、代わりに、システム100の1つまたは複数の他のコントローラ、例えば、送信回路112に関連するコントローラ、受信回路114に関連するコントローラ、システム100のメインコントローラ116、または1つまたは複数の他のコントローラを使用して達成され得る。
【0084】
送信回路112および受信回路114は、それぞれ、スイッチコントローラ110に電気的に接続される。送信回路112が、スイッチコントローラ110によって決定されるように、アンテナ102a、102bのいずれかが送信回路として作用することによって、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信するために、例えば、約10kHzから約100GHzなどの電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数範囲において少なくとも1つの送信信号を生成するように構成されているという点で、送信回路112は、上述の送信回路15と機能が類似している。さらに、受信回路114が、アンテナ102a、102bのいずれか1つが受信アンテナとして機能していることによって検出された応答を受信するように構成されており、応答が少なくとも1つの送信信号のターゲットへの送信からもたらされるという点で、受信回路114は、上述の受信回路17と機能が類似している。メインコントローラ116は、送信回路112に接続されて、送信回路112による送信信号の生成を制御する。コントローラ116(または別個のコントローラ)も受信回路114に接続され、例えば、受信アンテナによって検出された応答を適切なストレージ/メモリに格納する、および/または応答を解析する、上述のコントローラ19と機能が類似している。
【0085】
図8では、要素108a、108b、110、112、114、および116のうちの1つまたは複数を、別個の要素ではなく、機能的および/または機械的に組み合わせることができる。さらに、送信および受信スイッチコントローラ110は、
図9および
図10に関して以下で説明するように、受信スイッチコントローラとは別個の送信スイッチコントローラに物理的に分離できる。さらに、要素108a、108b、110、112、114、および116のうちの1つまたは複数の間の通信は、有線接続および/または無線接続を介して達成できる。さらに、スイッチ108a、108bおよびスイッチコントローラ110の動作位置は、任意の適切な手段、例えば、ソフトウェアおよび/またはハードウェアを使用して制御でき、任意の瞬間に、スイッチコントローラ110が同時に同じスイッチ108a、108bに接続されないことを保証することが可能である。さらに、以下に説明するスキャンルーチンを実施する場合、タイムスタンプの使用などの適切な技術を使用して、各スキャンの結果を区別および/または識別し、各スキャンが実行された頻度を示すことができる。
【0086】
図8の構成は、スキャンルーチンが複数のスキャンを含む場合に、スキャンルーチンを実施できるようなものである。スキャンルーチンの1回のスキャンでは、アンテナ102aを送信アンテナとして使用し、アンテナ102bを受信アンテナとして使用できる。他のスキャンでは、アンテナ102bを送信アンテナとして使用し、アンテナ102aを受信アンテナとして使用できる。次いで、2回のスキャンの結果を解析して、例えば、上述のように検体を決定し、場合により存在する検体の量を決定できる。
【0087】
図9は、
図8のシステム100と同様に機能するシステム100の他の実施形態を示している。
図9の実施形態では、システム100のアンテナアレイは、それぞれが基板106上に配置された3つのアンテナ102a、102b、102cを有する。システムはさらに、スイッチ108a、108b、108cのうちの3つ、受信スイッチコントローラ110a、および受信スイッチコントローラ110aとは別の送信スイッチコントローラ110bを含む。
【0088】
図9の実施形態では、スキャンルーチンのスキャン数は、
図8より多い。次の表(表1)は、実行可能な様々なアンテナの組み合わせを使用したスキャンのいくつかを示すスキャンルーチンの一部を示している。スキャンルーチンには、より多くのまたはより少ない数のスキャンを含めることができ、異なるアンテナの組み合わせを使用する他のスキャンを実施できる。次いで、スキャンの結果を解析して、例えば、上記のように検体を決定し、場合により存在する検体の量を決定できる。
【0089】
【0090】
表1に示されるように、単一のスキャンは、1つのアンテナを送信アンテナとして使用し、1つのアンテナを受信アンテナとして使用するか、または2つのアンテナを送信アンテナとして使用し、1つのアンテナを受信アンテナとして使用するか、または1つのアンテナを送信アンテナとして使用し、2つのアンテナを受信アンテナとして使用し得る。いくつかの実施形態では、単一のスキャンで、1つのアンテナを送信アンテナおよび受信アンテナの両方として使用することも可能である。
【0091】
図10は、
図8および
図9のシステム100と同様に機能するシステム100のさらに他の実施形態を示している。
図10の実施形態では、システム100のアンテナアレイは、それぞれが基板106上に配置された6つのアンテナ102a~102fと、6つのスイッチ108a~108fとを有する。一実施形態では、6つのアンテナ102a~102fによって形成されるアンテナアレイは、30.0mm×30.0mmを超えない寸法E
10×F
10を有し得る。
図8および
図9と比較して
図10のアンテナの数が多いため、
図10のシステム100は、より多くのアンテナの組み合わせを使用するより多くのスキャンを使用するスキャンルーチンの実施を可能にする。以下の表2は、実行可能な様々なアンテナの組み合わせを使用したスキャンのいくつかを示すスキャンルーチンの一部を示している。スキャンルーチンには、より多くのまたはより少ない数のスキャンを含めることができ、異なるアンテナの組み合わせを使用する他のスキャンを実施できる。次いで、スキャンの結果を解析して、例えば、上記のように検体を決定し、場合により存在する検体の量を決定できる。
【0092】
【0093】
表2に示されるように、単一のスキャンは、1つのアンテナを送信アンテナとして使用し、1つのアンテナを受信アンテナとして使用し、2つ以上のアンテナを送信アンテナとして使用し、1つのアンテナを受信アンテナとして使用し、1つのアンテナを送信アンテナとして使用し、2つ以上のアンテナを受信アンテナとして使用し、2つ以上のアンテナを送信アンテナとして使用し、2つ以上のアンテナを受信アンテナとして使用することなどである。いくつかの実施形態では、単一のスキャンで、1つのアンテナを送信アンテナおよび受信アンテナとして両方使用することも可能である。
【0094】
図8~
図10のシステム100は、検体の非侵襲的検出に使用できる。例えば、システム100では、少なくとも2つのアンテナを有するアンテナアレイにおいて、送信回路112は、例えば、スイッチコントローラ110、110aを使用して、アンテナアレイの少なくとも2つのアンテナのうちの任意の1つまたは複数に選択的に接続できる。送信回路112を使用して少なくとも1つの送信信号が生成され、少なくとも1つの送信信号は、それぞれが電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数範囲にある少なくとも2つの異なる周波数を有する。少なくとも1つの送信信号は、送信回路112に接続された少なくとも2つのアンテナのうちの1つまたは複数を使用して、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信される。さらに、受信回路114は、アンテナアレイの少なくとも2つのアンテナのうちの異なる1つまたは複数に選択的に接続される。次いで、受信回路およびアンテナアレイの少なくとも2つのアンテナのうちの異なる1つまたは複数を使用して、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットへの少なくとも1つの送信信号の送信から生じる応答を検出する。
【0095】
図8~
図10のシステム100のいずれか1つの動作において、アンテナアレイを使用してスキャンルーチンを実施できる。第1のスキャンでは、2つ以上のアンテナの第1の組み合わせは、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数範囲内にある第1の送信信号を、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信するために使用され、第1の送信信号の送信から生じる応答を、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに検出するために使用される。第2のスキャンでは、第1の組み合わせとは異なる2つ以上のアンテナの第2の組み合わせは、電磁スペクトルの無線またはマイクロ波周波数範囲にある第2の送信信号を、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに送信し、第2の送信信号の送信から生じる応答を、少なくとも1つの対象の検体を含むターゲットに検出するために使用される。アレイ内のアンテナの数に応じて、スキャンルーチンは、2つ以上のアンテナの追加の組み合わせを使用して送信信号を送信し、応答を検出する追加のスキャンを含むことができる。
【0096】
スキャンルーチンは、国際公開第2019/217461号に記載されているように、ある範囲の周波数にわたっていくつかの離散周波数で実施でき、その全内容は参照により本明細書に援用される。スキャンルーチンでは、各周波数でのスキャンごとに、送信アンテナとして機能しているいずれかのアンテナによって送信信号を送信し、受信アンテナとして機能しているアンテナで複数回、例えば、20回、応答を検出することができる。次に、検出された応答を平均して、S21値を得ることができる。
【0097】
検体は、上記のように検出できる。一実施形態では、スキャンルーチンの様々なスキャンにわたって、選択された周波数で最小/最大減算法を使用できる。他の実施形態では、選択された周波数で受信アンテナとして機能するアンテナによって受信された電力間の差を使用できる。例えば、
図11は、アンテナ(A3)が送信アンテナTxとして使用され、アンテナ(A1およびA2)が受信アンテナRxとして使用される例を示している。対象の周波数範囲にわたるベースライン応答スペクトルが示され、アンテナ(A1、A2)によって検出された応答スペクトルも示されている。ベースライン応答スペクトルと検出された応答スペクトルとの間のスペクトルの変化は、受信アンテナ(A1、A2)間で異なる。特定の周波数F1、F2、F3などで、検体濃度に相関する信号(検出された応答スペクトルの2つのdB値の差を示す垂直バーによって表される)を計算できる。
【0098】
上記のように、センサ5によって取得されたデータは、解析される必要がある。解析は、センサ5で、またはセンサ5とは別の1つまたは複数のデバイスまたはシステムで行うことができる。出願人によって別段の指示がない限り、デバイスまたはシステムという用語は、センサ5によって取得されたデータを解析できる任意のタイプのデバイスまたはシステムを包含するものとして広く解釈されることを意図している。データの解析に使用できるデバイスまたはシステムの例は、ハードウェアベースのコンピューティングデバイスまたはシステム、クラウドベースのコンピューティングデバイスまたはシステム、能動学習デバイスまたはシステムを含む機械学習デバイスまたはシステム、人工知能ベースのデバイスまたはシステム、ニューラルネットワークベースのデバイスまたはシステム、それらの組み合わせ、データの解析に適したその他のタイプのデバイスおよびシステムを含むが、これらに限定されない。
【0099】
次いで、解析から生じる、または解析に基づく1つまたは複数の出力信号が生成される。いくつかの実施形態では、出力信号は、データを解析するデバイスまたはシステムによって生成される。出力信号は、出力信号に基づくアクションを実施する1つまたは複数の他のデバイスまたはシステムに向けられる。一実施形態では、出力信号は、例えば、患者および/または患者の介護者に知覚可能な信号または警告を提供するために、少なくとも1つの人間の知覚可能な通知を生成する1つまたは複数の通知デバイス(以下でさらに論じる)に向けられる。この実施形態では、出力信号は、通知信号と呼ぶことができる。他の実施形態では、出力信号は、1つまたは複数の他の機械またはシステム、例えば、他の機械またはシステムの動作を変更するインスリンポンプなどの医療デバイスに向けられ得る。一実施形態では、出力信号または別個の出力信号は、1つまたは複数の通知デバイスおよび1つまたは複数の他の機械またはシステムの両方に向けることができる。一実施形態では、出力信号は、1つまたは複数の通知デバイスおよび/または1つまたは複数の他のデバイスまたはシステムへの送信とは別に、またはそれに加えて、適切なデータストレージに格納できる。
【0100】
図12は、出力信号生成の非限定的な一例を示している。この例では、システム100に含まれる通知デバイス130に出力信号が送信され、解析の結果として少なくとも1つの人間が知覚できる通知が生成される。通知デバイス130は、システム100に直接的または間接的に接続することができる。例えば、一実施形態では、通知デバイス130は、センサ5に組み込まれて、少なくとも1つの人間が知覚できる通知を、デバイス5を使用または着用している人に直接提供できる。他の実施形態では、通知デバイス130は、携帯電話(別名、セルフォン、スマートフォン);タブレットコンピュータ;ラップトップコンピュータ;パーソナルコンピュータ;時計、ヘッドマウントデバイス、衣服などのウェアラブルデバイス;ビデオゲームコンソール;椅子などの家具;車、自動車、トラックなどの車両;電球;スマート冷蔵庫などのスマート家電;センサ5と共に機能するように特別に設計された、これらのデバイスと同様の特定用途向けデバイスを含むが、これらに限定されない、デバイス5から物理的に分離されたデバイス132に組み込むことができる。通知デバイス130によって生成される少なくとも1つの人間が知覚できる通知は、可聴音通知、視覚通知、触覚通知、または嗅覚通知のうちの1つまたは複数であり得る。通知デバイス130の動作は、解析の結果として生成される通知または出力信号によってトリガできる。通知信号は、デバイス5によって、例えば、そのメインコントローラによって、またはデバイス5からデータを受信した後に解析を実行する上記のような別個のデバイスまたはシステムによって生成され得る。
【0101】
図8~
図10の実施形態のそれぞれにおいて、システム100は、
図1および
図5の実施形態と同様に使用でき、システムは、センサハウジング29を含み、アンテナアレイは、センサハウジングに取り付けられ、送信回路112は、センサハウジング内に配置され、受信回路114は、センサハウジング内に配置され、センサハウジング内に配置されたバッテリ52は、スイッチコントローラ110、110a、110b、送信回路112、受信回路114、およびコントローラ116を含むコンポーネントに電力を供給する。
【0102】
図13~
図19は、
図10のシステム100を含む、本明細書で説明する実施形態のいずれかで使用できるアンテナアレイおよびアンテナ構成および形状の追加の例の上面図である。
図13~
図19の実施形態のそれぞれにおいて、各アレイのアンテナは互いに異なるジオメトリを有し、アンテナは互いにデカップリングされている。
【0103】
図13~
図16の実施形態はそれぞれ、6つのアンテナ120a~120fを有するデカップリングアンテナアレイを示している。しかしながら、各アンテナアレイは、より少ない数のアンテナを使用することも、より多くのアンテナを使用することもできる。これまでに実施された試験で、出願人は、
図14~
図16のアンテナアレイと比較して、
図10に示すアンテナアレイと
図13に示すアンテナが最良の結果を達成すると判断している。
【0104】
図17は、6つの一次アンテナまたはより大きいアンテナ120a~120fと、より大きなアンテナ120a~120fの各側に配置された多数のより小さなポイントアンテナ122とを有するデカップリングアンテナアレイの他の実施形態を示している。ポイントアンテナ122を使用すると、アレイ内に配置できるアンテナの数が増加し、それによって、
図17のアンテナアレイを使用してスキャンルーチンで利用できるスキャンおよびアンテナの組み合わせの数が増える。
【0105】
図18は、3つのアンテナ124a~124cを有するデカップリングアンテナアレイの他の実施形態を示している。アンテナ124a~124cの1つまたは複数には、アンテナ124a~124cのジオメトリを変更するのに役立つ穴126が形成されている。
【0106】
図19は、5つのアンテナ128a~128eおよび各アンテナ128a~128eに接続するためのアンテナポート130a~130eを有するデカップリングアンテナアレイの他の実施形態を示している。
【0107】
図20、
図21Aおよび
図21Bは、非侵襲的検体センサシステムの他の実施形態の一部を形成する非侵襲的検体センサ150の他の例を概略的に示している。非侵襲的検体センサ150は、選択された電磁周波数で光波の形態の電磁エネルギを使用して、本明細書に記載の非侵襲的検体感知を実行する。センサ150は、ハウジング152と、光検出器(またはフォトディテクタ)として機能するだけでなく、光の形態で電磁エネルギを放射できる複数の検出器要素154を含むセンサアレイとを含む。図示の例は、アレイを、3×4または4×3アレイに配置された合計12個の検出器要素154を有するものとして示している。しかしながら、より多数またはより少数の検出器要素154をアレイに設けることができる。さらに、アレイは、円形アレイに配置されることを含む他の配置を有し得る。放射された光は、ターゲットを透過し、検体から反射し、少なくとも1つの検出器要素が反射光を検出する。
【0108】
図21Aおよび
図21Bを参照すると、いくつかまたはすべての検出器要素154は、各検出器要素154が発する光がセンサ150から送信され、各検出器要素154が戻り光を検出するように、ハウジング152の表面156と面一であり得る。他の実施形態では、検出器要素154のいくつかまたはすべてをハウジング152内に凹ませてもよいが、各検出器要素154からの光は、適切に外側に導かれ、戻り光は検出器要素154に適切に導かれる。さらに他の実施形態では、検出器要素154のいくつかまたはすべてが、ハウジング152から(部分的または完全に)突出し得る。
【0109】
検出器要素154は、検出器要素154の任意の1つまたは複数が光を発し、検出器要素154の任意の1つまたは複数が光検出器として機能できるように制御される。一実施形態では、検出器要素154は、発光ダイオード(LED)であり得、LEDを含むアレイは、LEDアレイと呼ぶことができる。光を放射する(すなわち、フォトエミッタ)かまたは光を検出する(すなわち、フォトディテクタ)ように選択的に制御できるLEDが知られている。Stojanovicら、発光ダイオードに基づく光感知アプローチ、ジャーナル・オブ・フィジクス:カンファレンス・シリーズ76(2007年);Rossiterら、光エミッタモードと光検出モードの両方で動作するLEDのマトリックスを使用した新しい触覚センサ、センサに関する第4回IEEE国際会議の議事録(IEEEセンサ2005)を参照されたい。米国特許第4202000号明細書も参照し、その全内容は、参照により本明細書に援用される。
【0110】
使用されるLEDは、好ましくは、少なくとも2つの異なる波長の光を放射できる(言い換えれば、1つのLEDが第1の波長を有する光を発し、第2のLEDが第1の波長とは異なる第2の波長を有する光を発する)。他の実施形態では、少なくとも3つ以上の異なる波長の光が、様々なLEDによって放射され得る。一実施形態では、LEDのそれぞれは、異なる波長の光を放射できる。一実施形態では、2つ以上のLEDは、同じ波長の光を放射できる。LEDは、青色光、赤色光、緑色光、白色光、オレンジ色光、黄色光、およびその他の色など視覚的に認識される波長を含む人間の可視スペクトル(すなわち、約380nmから約760nm)にある波長を放射でき、また赤外線波長および紫外線波長を含む人間の可視スペクトルでない波長を放射することもできるがこれらに限定されない。可視スペクトルと非可視スペクトルの波長の組み合わせも使用できる。センサ150によって放射される光波は、両方とも電磁波であるため、
図1~
図19のセンサによって放射されるRF波と同様に機能する。例えば、
図21Aを参照すると、光波158は、ターゲットに浸透し、ターゲット内の検体から反射して、検出される戻り光波160を形成する。
【0111】
検出器要素154は、
図8~
図10に記載のスイッチ、スイッチコントローラ、送信回路、受信回路、およびコントローラを含む、
図8~
図10に示す制御システムと同様の制御システムを使用して制御できる。例えば、
図21Aは、左側の検出器要素154aが光波158を放射するフォトエミッタとして機能するように制御され、右側の検出器要素154bが光波158の送信から生じる戻り光波160を検出するフォトディテクタとして機能するように制御される例を示している。
図21Bは、右側の検出器要素154bが、光波162を放射するフォトエミッタとして機能するように制御され、中央の検出器要素154cが、光波162の送信から生じる戻り光波164を検出するフォトディテクタとして機能するように制御される例を示している。
【0112】
スキャンルーチンは、LEDの異なる波長に基づく電磁周波数の範囲にわたって、多数の離散的な電磁周波数でセンサ150を用いて実施できる。応答スペクトルは、フォトディテクタとして機能する検出器要素154のそれぞれによって検出され、応答スペクトルは、特定の検体および検体濃度に相関する。
【0113】
他の実施形態では、非侵襲性センサは、本明細書に記載の2つ以上のアンテナと、本明細書に記載の2つ以上のLEDとの両方を含むことができる。アンテナとLEDを一緒に使用して、検体を検出できる。他の実施形態では、アンテナを使用して一次検出を実行でき、一方、LEDは、アンテナによる一次検出を確認できる。他の実施形態では、LEDを使用して一次検出を実行でき、一方、アンテナを使用してLEDによる一次検出を確認できる。
【0114】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することを意図しており、限定することを意図していない。「a」、「an」、および「the」という用語は、他に明確に示されていない限り、複数形も含む。「comprise」および/または「comprising」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、工程、操作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、工程、操作、要素、および/または構成要素の存在または付加を排除するものではない。
【0115】
本出願に開示された実施例は、あらゆる点で例示的であり、限定的ではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の請求の範囲によって示される。また、請求の範囲の均等の意味および範囲内にあるすべての変更は、そこに含まれることが意図されている。
【国際調査報告】