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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】手足保護装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/37 20060101AFI20230317BHJP
   A41D 13/08 20060101ALI20230317BHJP
   A41D 13/05 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
A61F5/37 Z
A41D13/08
A41D13/05 143
A41D13/08 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548182
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(85)【翻訳文提出日】2022-10-04
(86)【国際出願番号】 GB2021050259
(87)【国際公開番号】W WO2021156627
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】2001622.6
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ベルクロ
(71)【出願人】
【識別番号】522314717
【氏名又は名称】ロイター、モリッツ エミル
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100152308
【弁理士】
【氏名又は名称】中 正道
(74)【代理人】
【識別番号】100201558
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 恵二郎
(72)【発明者】
【氏名】ロイター、モリッツ エミル
【テーマコード(参考)】
3B011
4C098
【Fターム(参考)】
3B011AA09
3B011AA12
3B011AB00
3B011AC04
3B011AC18
3B011AC22
4C098AA08
4C098FF07
(57)【要約】
本発明は、使用者の手を保護するための手足保護装置に関する。装置は、手を含む使用者の手足の少なくとも一部を保護するように構成された保護部材であって、保護部材の近位端に配置され、使用者の手足を保護部材に挿入できるように寸法決めされた開口部を含む、保護部材を含む。装置はまた、手足が挿入され、開口部が使用者の手足に対して制限されると、手足が開口部を通って引っ込められないように、使用者の手足に対して開口部を制限するための手段を含む。装置はさらに、手足の少なくとも一部が保護部材内に拘束されるように、保護部材内で使用者の手によって閉鎖位置に移動させることができる閉鎖部材と、閉鎖部材を閉鎖位置に固定するためのロック機構とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の手を保護するための手足保護装置であって、
前記手を含む使用者の手足の少なくとも一部を保護するように構成された保護部材であって、前記保護部材の近位端に配置され、使用者の手足を前記保護部材に挿入できるように寸法決めされた開口部を含む、保護部材と、
前記手足が挿入され、前記開口部が前記使用者の手足に対して制限されると、前記手足が前記開口部を通って引っ込められないように、前記使用者の手足に対して前記開口部を制限するための手段と、
前記手足の少なくとも一部が前記保護部材内に拘束されるように、前記保護部材内で前記使用者の手によって閉鎖位置に移動させることができる閉鎖部材と、
前記閉鎖部材を前記閉鎖位置に固定するためのロック機構とを含む、手足保護装置。
【請求項2】
前記開口部を制限するための前記手段は、前記保護部材とは別個の制限要素を含み、前記制限要素は、前記制限要素の外寸が前記開口部より大きくなるように、使用者の手足の周りに取り付けるように構成され、これにより、前記使用者の手足に対して前記開口部を制限し、前記制限要素が、前記手足に取り付けられたときに、前記保護部材内で移動できるようにサイズ設定される、請求項1に記載の手足保護装置。
【請求項3】
前記ロック機構は、前記保護部材内で前記手足によって実行される所定の動作に続いて解除できるように構成され、前記閉鎖部材は、それを前記保護部材内の前記手足によって前記閉鎖位置から開放位置へ移動できるように構成される、請求項1または2に記載の手足保護装置。
【請求項4】
前記ロック機構は、互いに係合するための前記閉鎖部材上のねじ部分および前記保護部材上の対応するねじ部分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【請求項5】
前記ねじ部分および対応するねじ部分はそれぞれ、少なくとも半回転のねじ山を含む、請求項4に記載の手足保護装置。
【請求項6】
前記ロック機構は、前記閉鎖部材を前記閉鎖位置に固定するように構成されたスナップフィット機構を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【請求項7】
前記ロック機構は、前記閉鎖部材または保護部材のうちの一方に少なくとも1つの半径方向に延在する要素と、前記閉鎖部材または保護部材のうちの他方に前記半径方向に延在する要素を受け入れるための少なくとも1つの雌型受容部分とを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【請求項8】
前記ロック機構は、電磁ロック機構を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【請求項9】
前記閉鎖部材は、前記保護部材に枢動可能に取り付けられる、請求項1~3および6~8のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【請求項10】
前記閉鎖部材は、前記閉鎖部材を前記保護部材に対して移動させる際に使用するためのハンドグリップを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【請求項11】
前記閉鎖部材は、少なくとも前記閉鎖位置にあるとき、前記保護部材の外壁内に収容される、請求項1~10のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【請求項12】
使用者の手足の少なくとも一部を保護するように構成された保護部材であって、使用者の手足を前記保護部材に挿入できるように寸法決めされた開口部を含む、保護部材と、
前記保護部材とは別個の制限要素であって、前記制限要素は、前記制限要素の外寸が前記開口部より大きくなるように、使用者の手足の周りに取り付けるように構成されるため、使用者の手足は前記開口部を通って引っ込められず、前記制限要素は、前記手足に取り付けられたときに、前記保護部材内で移動できるようにサイズ設定される、制限要素とを含む、手足保護装置。
【請求項13】
使用者の手足が前記装置の遠位端を通過するのを恒久的に防止するように構成された閉鎖部材をさらに含む、請求項12に記載の手足保護装置。
【請求項14】
前記閉鎖部材は、前記閉鎖部材を貫通して延在する少なくとも1つの開口部を画定する、請求項1~11または13のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【請求項15】
前記制限要素は、調節可能なサイズを有する、請求項2または12~14のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【請求項16】
前記制限要素は、使用者の手足を受け入れるために開くことができ、前記使用者の手足の周りに固定するために閉じることができるように構成される、請求項2または12~15のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【請求項17】
前記制限要素は、少なくとも部分的に変形可能である、請求項2または12~16のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【請求項18】
前記制限要素は拡張可能である、請求項2または12~17のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【請求項19】
前記保護部材の近位端に通気孔をさらに含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【請求項20】
少なくとも前記保護部材は透明である、請求項1~19のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【請求項21】
少なくとも前記保護部材は、丸みを帯びた近位端および遠位端を含む材料のシートで形成される、請求項1~20のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【請求項22】
少なくとも前記保護部材は、少なくとも半剛性材料から形成される、請求項1~21のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【請求項23】
前記手足保護装置が使用者によって着用されている時間の長さを決定する手段をさらに含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の手足保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手足保護装置に関し、特に、使用者の手を保護するための手足保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人間や動物の手足は、多くの場合、様々な理由で保護を必要とする。例えば、手足を負傷した場合、手足へのさらなる損傷を防ぐために、手足を保護することが有益な場合がよくある。手足が、例えば身体の別の部分にアクセスして害を与えるのを防ぐために、手足はまた、しばしば保護される。例えば、アトピー性皮膚炎(湿疹)のある人の場合、手を使って身体を掻くのを防ぐように設計された手足シールドを使用する場合がある。湿疹の場合を例にとると、従来の解決策には、柔らかい手袋またはミトンが組み込まれた衣服が含まれる。しかし、そのような解決策は、指を覆う布の層を介して引っ掻くことを依然として許容するため、表面的な保護しか提供しない。また、直接引っ掻くのではなく、生地を肌にこすりつける行為により、表皮の外側の層が剥がれ(擦過傷)、生傷および開放創につながる可能性がある。
【0003】
上記のタイプの手袋およびミトンは引っ掻き傷を防ぐのに効果がないだけでなく、そのような手袋および衣類は睡眠中に無意識のうちに外されることが多く、通気性が不十分なため、非衛生的で不快なほど熱くなる。
【0004】
使用者の手を保護するための他の解決策には、使用者の手の周りに延在するように設計された、柔軟だが硬い材料で形成されたシールドが含まれる。このようなシールドは、シールドを使用者の手首または腕に固定するために、その一端にリストラップを含むことが多い。少なくとも片方の手がシールドによって保護され、したがって意味のある機能を実行できないという固有の問題により、そのようなシールドは、使用者が自分で着脱するのが難しく、多くの場合、シールドを着脱するには第三者が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記で概説した問題のいくつかに対処する、または少なくとも軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様から見ると、本発明は、使用者の手を保護するための手足保護装置であって、手を含む使用者の手足の少なくとも一部を保護するように構成された保護部材であって、保護部材の近位端に配置され、使用者の手足を保護部材に挿入できるように寸法決めされた開口部を含む、保護部材と、手足が挿入され、開口部が使用者の手足に対して制限されると、手足が開口部を通って引っ込められないように、使用者の手足に対して開口部を制限するための手段と、手足の少なくとも一部が保護部材内に拘束されるように、保護部材内で使用者の手によって閉鎖位置に移動させることができる閉鎖部材と、閉鎖部材を閉鎖位置に固定するためのロック機構とを含む、手足保護装置を提供する。
【0007】
このように、第三者からのさらなる支援を必要とせずに、使用者が自分で取り付け、任意選択で取り外すことができる手足保護装置が提供される。これは、手足保護装置によって保護されている同じ手を使用して達成することができる。使用者は、例えば、最初に保護部材の開口部に手を挿入し、その後、手が開口部から引っ込められないように、使用者の手足に対して開口部を制限するための手段を適用することができる。次に、閉鎖部材を閉鎖位置に移動し、閉鎖部材が閉鎖位置に保持されるようにロック機構を操作することができる。ロック機構は、保護部材内で手によって操作可能であり得る。したがって、この機構によって、使用者は手足保護装置を取り付けるために第三者に頼らない。手足保護装置を自己着脱できることによって、例えば、第三者からの支援が実現可能または実用的でない可能性がある家庭で使用され得るので、手足保護装置の多くの用途を開く可能性がある。
【0008】
手足保護装置は、保護装置内に含まれる手を保護するために使用することができる。例えば、手足保護装置は、物理的な危害または汚染された表面との接触による病原体への曝露から、保護装置内の手を保護するために使用することができる。例えば、手足保護装置は、ウイルス、例えばコロナウイルスから装置内の手を保護することができる。追加的または代替的に、手足保護装置は、例えば使用者の身体の他の部分にアクセスすることから、保護装置内の手を保護するために使用することができる。例えば、手足保護装置は、使用者が手および指を使って考えられる方法で自分自身または他の人に危害を加えること(例えば、引っ掻く、パンチする、静脈管を抜く、手首を切る、親指をしゃぶる、爪を噛む、過食症、薬物乱用または薬物、アルコール、タバコなどへの依存症)を物理的に防ぐために使用することができる。さらなる例として、手足保護装置は、使用者が手および指を使って直接的または間接的な接触を通して他の人に病原体を伝染させること、または使用者の顔の粘膜等の、使用者の身体の他の部分に病原体を拡散させることを物理的に防止するために使用することができ、これより感染、例えば新型コロナウイルス感染(COVID-19)を引き起こすリスクが低減される。この例は高齢の免疫不全の使用者または他の感染に臨床上脆弱な使用者の場合に特に重要であり得る。この例は、例えばパンデミック時に病原体に出くわすリスクが高い環境においても特に重要であり得る。
【0009】
手足保護装置は、アトピー性皮膚炎(湿疹)または慢性難治性掻痒症(例えば、接触性皮膚炎、乾癬、蕁麻疹、乾皮症、慢性単純性苔癬、扁平苔癬、結節性痒疹、バラ色粃糠疹、ホジキン病、HIV、疥癬、慢性肝疾患、腎疾患など)に関連する任意の他の状態を有する患者の引っ掻きを物理的に防止するのに使用するのに特に有利であり得る。慢性掻痒症は、人口の約 15%を苦しめていると推定されており、生活の質と感情的な幸福を著しく損なう可能性がある。保護装置は、患者が引っかき傷をよりよく制御できるようにする補助治療ツールであり得る。手足保護装置を自己着脱できることにより、必ずしも他人の助けを必要とせずに使用者自身が手足保護装置の装着を制御したい用途に特に適している。
【0010】
手足保護装置は、かゆみの強さがしばしばより激しく、ひっかき行為が潜在意識および不随意になる睡眠中、特に有用であり得る。手足保護装置は、装置を装着した患者が完全に自由な腕の動きを維持し、引っ掻く動作を依然として行う可能性はあるが、実際に皮膚に損傷を与えることがないように寸法決めすることができる。このように引っ掻くのを防ぐことで、皮膚に休息が与えられ、治癒過程が促進され、患者が最終的にかゆみと引っ掻きの悪循環を断ち切る可能性が高まる。手足保護装置は、発症の最初の徴候を抑制し、再発によるさらなる悪化が起こるのを防ぐことにより、寛解期間中にも役立ち得る。
【0011】
開口部を制限するための手段は、保護部材とは別個の制限要素を含み、制限要素は、制限要素の外寸が開口部より大きくなるように、使用者の手足の周りに取り付けるように構成され、これにより、使用者の手足に対して開口部を制限する。制限要素は、手足に取り付けられたときに、保護部材内で移動できるようにサイズ設定することができる。制限要素は開口部自体のサイズを直接制限するわけではないが、使用者の手足の有効な最外寸を大きくするように機能し、したがって使用者の手足に対する開口部のサイズを効果的に制限するように機能する。そのような制限要素は、使用者の手足に対して開口部を制限するための簡単な手段を提供することができる。また、そのような制限要素は、手足保護装置が使用者の手足に対してより自由に動くことを有利に可能にすることができる。例えば、それは、使用者の手足に対して横方向、長手方向、および回転方向の動きを可能にすることができる。この動きの自由度は、使用者の快適さを向上させ、使用者が手足保護装置を快適に着用できる期間を潜在的に増加させることができる。この動きの自由度は、保護部材、制限要素、開口部の適切なサイズ設定、および保護部材内の閉鎖部材の位置によって達成することができる。閉鎖位置にある閉鎖部材と開口部との間の距離は、保護装置内の長手方向の自由度を規定することができる。また、手足保護装置を所定の位置に固定せず、制限要素を設けることによって動きを可能にすることによって、使用者の手への血流は、必ずしも制限されない可能性がある。
【0012】
もちろん、手足保護装置によって保護された手によって操作することができる、開口部を制限するための任意の他の適切な手段を提供してもよい。例えば、開口部を制限するための手段は、手足保護装置内から操作可能な機械的アイリスを含んでもよい。
【0013】
保護部材自体は、任意の適切な寸法を有することができ、例えば、指を曲げるか、または拳を形成するために、使用者が保護部材内で手を動かすことができるような寸法にすることができる。保護装置は、使用者の腕の動きを制限しないように寸法決めすることができる。例えば、それは使用者の肘を越えて延在しないように寸法決めすることができる。これは、使用者が腕を曲げることを可能にし得る。この動きの自由は、保護装置の快適さを改善することができ、これは、使用者が保護装置を着用する可能性が高くなり、時期尚早にそれを取り外す可能性が低くなることを意味し得る。使用者が湿疹を掻き立てるのを防ぐために手足保護装置が使用される場合、これは、使用者が装置をより多く、より長い時間着用することを意味し、したがって引っ掻き傷の量を最小限に抑えることができる。
【0014】
閉鎖部材を閉鎖位置に固定するように動作可能なロック機構に加えて、ロック機構はまた、使用者がロック機構を操作して閉鎖部材を閉鎖位置から解放し、使用者が閉鎖部材を開位置に移動できるように構成され得る。したがって、これにより、使用者は装置を自己取り付けするだけでなく、自己取り外しすることも可能となり得る。したがって、使用者は、外部からの補助なしに保護装置を取り外すことができ、したがって使用者は手足保護装置の装着に完全な制御を与えることができる。これにより、使用者は緊急時に手足保護装置を取り外すことができ、したがって装置を装着している使用者は監視をあまり必要としないことが可能となり得る。この目的のために、任意の適切なロック機構を設けることができる。
【0015】
ロック機構は、保護部材内で手足によって実行される所定の動作に続いて解除できるように構成されてもよく、閉鎖部材は、保護部材内で手足によって閉鎖位置から開放位置に移動できるように構成される。所定の操作は、意識的な努力を必要とし、偶発的または無意識に実行することが困難な任意の操作とすることができる。したがって、使用者が所定の操作を実行する必要があることは、使用者に対するロック機構の解除を意図的に複雑にし、したがって取り外しに対する障壁を提供することが可能となる。したがって、使用者はロック機構を解除し、適切な所定の操作を実行することを意識的に決定しなければならないことを意味し得る。この構成は、例えば、使用者が睡眠中に無意識のうちに保護装置を取り外すことができることを防止できる。所定の操作は、任意の適切な操作とすることができる。
【0016】
ロック機構は、閉鎖部材上のねじ部分と、保護部材上の対応するねじ部分とを含み、互いに係合することができる。ねじ部分が互いに完全に係合すると、閉鎖部材を解放するために、使用者は、保護部材に対する閉鎖部材の回転を含む所定の操作を実行しなければならない。これは、使用者が無意識のうちに実行するのが困難である可能性があり、したがって、保護装置を取り外して所定の操作を実行することを積極的に決定する必要があり得る。ねじ部分および対応するねじ部分はそれぞれ、少なくとも半回転(好ましくは、完全な1回転)のねじ山を含むことができる。したがって、使用者は、ロック機構を克服し得る前に、閉鎖部材および保護部材を互いに対して少なくとも180度回転させなければならない。したがって、この回転量は、容易な取り外しに対する障壁を提供することができ、したがって、保護装置を着用する際のコンプライアンスを改善することができる。もちろん、より多くの回転のねじ山が提供されてもよく、それによって、保護部材に対して閉鎖部材を何回も回転させることが必要となる。
【0017】
ロック機構は、閉鎖部材を閉鎖位置に固定するように構成されたスナップフィット機構を含むことができる。このような構成により、閉鎖部材を閉鎖位置に容易に動かして固定することが可能となり得る。これにより、保護装置を使用者に取り付けることができる速度を高めることができる。解除に関しては、ロック機構を解除して閉鎖部材を開放位置に移動できるようにするために、使用者が1つまたは複数のスナップフィット部材に同時に力を加えることが必要となり得る。したがって、例えば、複数のスナップフィット部材の操作は、使用者にとって保護装置の取り外しをより困難にする所定の操作を構成し得る。任意の適切なスナップフィット機構を使用することができる。
【0018】
ロック機構は、閉鎖部材または保護部材の一方に少なくとも1つの半径方向に延在する要素と、閉鎖部材または保護部材の他方に半径方向に延在する要素を受け入れるための少なくとも1つの雌型受容部分とを含むことができる。したがって、このような構成は、例えばバヨネットタイプの継手を提供することができる。このような構成では、閉鎖部材を閉鎖位置に移動させ、また閉鎖位置から移動させるために、閉鎖部材を保護部材に対して回転方向および長手方向の両方に移動させる必要があり得る。したがって、この移動は、ロック機構を解除するために使用者が実行しなければならない所定の操作を構成し得る。移動方向が複数あると、使用者によって必要とされる操作が複雑になり、使用者が無意識のうちにまたは誤って保護 装置を取り外すことが難しくなり得る。ロック機構は、バヨネットタイプの継手またはストルツコネクタを含むことができる。
【0019】
ロック機構は、ロック部材が閉鎖部材を閉鎖位置に固定するロック位置に駆動されることができるように配置されたロック部材を含むことができる。ロック機構は、ロック部材を、例えば、ロック位置に出し入れするように駆動するように構成された電気モータをさらに含むことができる。
【0020】
別の一代替例では、ロック機構は、電磁ロック機構を含むことができる。このような電磁ロック機構は、ロック部材をロック位置に出し入れするように駆動するように構成することができる。ロック機構が電子的に制御される上記の変形例のいずれにおいても、例えば、電気モータまたは電磁ロック機構を介して、ロック機構は、電磁ロック機構または電気モータを操作するために使用者が操作しなければならないシールド内のスイッチング装置をさらに含むことができる。スイッチング装置は、ロック機構を解除するために使用者が実行しなければならない所定の操作を決定することができる。スイッチング装置を適切に設計することにより、使用者がロック機構を解除するために持続的な努力をしなければならないことを確実にすることが可能となり得る。例えば、これは、特定の順序でボタンを押す必要があり得る。この目的を達成するために、任意の適切な手段を提供することができる。
【0021】
保護装置は、保護部材の外側から操作可能な別のロック機構を含むことができる。任意の適切なさらなるロック機構を提供することができる。例えば、さらなるロック機構は、閉鎖部材を閉鎖位置に固定するラッチ装置を含むことができる。したがって、このようなさらなるロック機構により、使用者が保護部材内で手によって保護装置を解放できないように、保護装置を使用者に固定することができる。これは、使用者がいつ保護装置を取り外すことができるかをある程度制御したいと第三者(例えば、介護者)が考えている場合に役立つ可能性がある。保護部材の外側でさらなるロック機構が解除されると、保護部材内で手によってロック機構を操作することができる。
【0022】
閉鎖部材および保護部材は、分離可能な構成要素によって提供することができる。例えば、ねじ付き閉鎖部材と保護部材の場合、これらの2つの部分は互いに分離することができる。あるいはまた、閉鎖部材は、保護部材に対して閉鎖位置にスライドし、所定の位置に固定するために回転を必要としないスライド部材によって提供されてもよい。例えば、閉鎖部材は、保護部材内の少なくとも1つの溝内をスライドするように構成することができる。スライド閉鎖部材を適所に固定するために、任意の適切なロック機構を提供することができる。例えば、少なくとも1つのスナップフィット機構が、閉鎖部材をその閉鎖位置に固定することができる。
【0023】
別の一代替例では、閉鎖部材を保護部材に枢動可能に取り付けることができる。この場合、それらは別個の機能部品であるが、閉鎖部材は保護部材に取り付けることができる。これにより、閉鎖部材は常に保護部材に取り付けられており、使用者がそれを個別に手に取る必要がないので、使用者が閉鎖部材を操作するのが容易になり得る。そのような枢動可能に取り付けられた閉鎖部材は、保護部材と協働して閉鎖部材を閉鎖位置に固定するために、その一端にスナップフィット機構を含むことができる。
【0024】
閉鎖部材は、保護部材に対して閉鎖部材を移動させる際に使用するためのハンドグリップを含むことができる。ハンドグリップにより、使用者は閉鎖部材をより容易に操作可能となり得る。例えば、ハンドグリップは、使用者が保護部材に対して閉鎖部材を引っ張るおよび/またはひねることを可能にすることができる。ハンドグリップ自体は、使用者の手を保護装置内に拘束することができる、すなわち、使用者の手が保護部材の遠位端を通過するのを防止するように作用することができる。例えば、ハンドグリップは、手が保護装置の端部を通過するのを防止するように寸法決めすることができる。しかしながら、これは必須ではなく、ハンドグリップは、単に閉鎖部材の一部を形成するだけであり、手を保護部材内に拘束することには寄与しなくてもよい。ハンドグリップは、任意の適切な形態を取り得る。例えば、ハンドグリップは、使用者の手で握るのに適した棒状のバーの形態であってもよい。あるいはまた、ハンドグリップは、他の手段によって(例えば、円形リングの形態で)提供されてもよい。ハンドグリップは、使用者にとって気晴らしを提供する(例えば、湿疹に悩む人の場合のかゆみから気を散らす)かもしれない、使用者が握ることができる内部の特徴を有利に提供することができる。
【0025】
閉鎖部材は、少なくとも閉鎖位置にあるとき、保護部材の外壁内に収容することができる。これは、有利なことに、保護装置の外側が単一片の滑らかな材料から形成され得ることを意味し得る。換言すれば、他の方法で閉鎖部材と保護部材との間の接合部に形成される可能性のある不連続部は、保護部材の外面に存在し得ない。これにより、引っ掻きに使用され得る保護装置の表面の数を最小限に抑えることができる。しかしながら、これはもちろん必須ではなく、閉鎖部材は単に保護部材の端部に当接するだけでもよい。この場合、保護部材と閉鎖部材は、それらの間に形成される接合部ができるだけ滑らかになるように形作ることができる。例えば、これは、閉鎖部材と保護部材の互いに当接する部分を丸くすることによって達成することができる。
【0026】
開口部を制限するための手段として機能し、保護装置に対する使用者の手足の動きを可能にする制限要素は、それ自体で新規性および進歩性があり、したがって、さらなる態様から見ると、本発明は、使用者の手足の少なくとも一部を保護するように構成された保護部材であって、使用者の手足を保護部材に挿入できるように寸法決めされた開口部を含む、保護部材と、保護部材とは別個の制限要素であって、制限要素は、制限要素の外寸が開口部より大きくなるように、使用者の手足の周りに取り付けるように構成されるため、使用者の手足は開口部を通って引っ込められず、制限要素は、手足に取り付けられたときに、保護部材内で移動できるようにサイズ設定される、制限要素とを含む、手足保護装置を提供する。
【0027】
このような手足保護装置は、制限要素に関して上述した利点と同じ利点をもたらすことができ、すなわち、それは、使用者の手足に対する保護装置の少なくとも少量の動きを許容でき、保護装置の相対的な快適さを増加させることができる。この態様に係る手足保護装置は、必ずしも人間の手での使用に限定される必要はなく、代わりに、人間または動物の手足とすることができる任意の手足を保護するのに使用することができる。使用者が保護部材を自分で取り付けることは依然として可能であるが、本発明のこのさらなる態様の実施形態では、保護部材は、第三者(例えば、介護者)によって手足に取り付けられてもよい。
【0028】
制限要素および開口部は、手足が保護部材内にあるときに、保護部材に対する使用者の手足の横方向、回転方向、および長手方向の動きのうちの少なくとも1つを可能にするように寸法決めされ得る。保護部材は、手足全体を覆わなくてもよく、代わりに使用者の手足の一部を覆うために使用されてもよい。
【0029】
このさらなる態様の手足保護装置は、使用者の手足が装置の遠位端を通過するのを恒久的に防止するように配置された閉鎖部材を含むことができる。
【0030】
以下は、本発明の第1の態様またはさらなる態様のいずれかの実施形態に適用できる構成である。
【0031】
閉鎖部材は、提供される場合、閉鎖部材を通って延在する少なくとも1つの開口部を画定することができる。少なくとも1つの開口部は、装置を取り外すことなく、外部手段によって保護装置内の使用者の手の刺激を可能にすることができる。また、少なくとも1つの開口部は、使用者の手の制限された機能性を可能にできる、例えば、ドアノブを操作可能にできる。少なくとも1つの開口部は、通気口として機能することができる。この気流は、使用者にとっての保護装置の快適さを向上させることができる。開口部は、閉鎖部材自体にあってもよい。あるいはまた、閉鎖部材は、保護部材を部分的に閉鎖するだけでもよく、したがって、閉鎖部材が閉鎖しない開口部の部分は、少なくとも1つの通気口を形成することができる。例えば、バーの形態のヒンジ閉鎖部材を有する円形断面を有する保護部材の場合、バーと保護部材の内壁との間のバーの両側に開口部を形成することができる。
【0032】
制限要素は、制限要素を使用者の手足の周囲の適所に固定するように構成された締結要素を含むことができる。締結要素は、制限要素が使用者の手足に取り付けられると、使用者によって操作することができ、締結要素は、締結要素を解放することなく、使用者の手足から制限要素が取り外されるのを防止するように制限要素を固定することができる。締結要素は、例えば、ストラップを含むことができる。ストラップは、任意の適切な方法で制限要素を固定することができる。例えば、ストラップは、制限要素が所定の位置に固定される位置にストラップを保持するように構成されたベルクロ、ホック、またはバックルのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0033】
制限要素は、提供される場合、調節可能なサイズを有することができる。制限要素は、そのサイズの調節を可能にするための任意の適切な手段を含むことができる。例えば、調節は、調節可能なストラップによって達成することができる。これにより、制限要素が多くの異なる使用者および/または手足に適したものとなることができる可能性がある。このようなストラップは、上述のように締結要素としても機能し得る。
【0034】
使用者は、制限要素を開かずに、制限要素の開口部に手足を通すことができる。例えば、制限要素は、この形態の操作を許容するために部分的に拡張可能とすることができる。これは、制限要素が拡張可能な(例えば、伸縮性の)材料から作られることによって達成することができる。しかしながら、制限要素は、使用者の手足を受け入れるために開いて、使用者の手足の周りに固定するために閉じることができるように構成されてもよい。これは、制限要素を使用者の手足により簡単に取り付けることを可能にし得る。
【0035】
制限要素は、少なくとも部分的に変形可能とすることができる。これは、手足と保護部材との間に効果的にクッションを提供することができるので、使用者の快適さを高めることができる。制限要素は、使用者にとって快適となるように変形可能であるが、保護部材の開口部を強制的に通過できないように十分に剛性があり、それによって手足が開口部を通って引っ込められるのを防止する機能を提供する。制限要素は、例えば、変形可能な材料で満たすことができる。変形可能な材料は、中空繊維の充填物または発泡体を含んでもよい。追加的に、または代替的に、制限要素は、制限要素の変形可能性に寄与する複数のペレットで満たされてもよい。
【0036】
制限要素は拡張可能であってもよい。これは、制限要素はまた保護部材内に拘束され、使用者の手足が保護部材に挿入されたときに、その周りで単純に拡張することを有利に意味し得る。拡張可能な制限要素はまた、少なくとも部分的に変形可能とすることができるので、使用者にとって快適であり得る。
【0037】
手足保護装置は、保護部材の近位端に通気孔をさらに含むことができる。これにより、保護装置への気流がさらに促進され、それによって使用者の快適さが向上し得る。保護装置にさらなる通気口がある実施形態と組み合わせると、この追加の通気口は、装置を通る気流を促進するのに役立ち、それによって快適さが向上し得る。また、保護部材の近位端は、使用者の手足の一部(例えば、腕または手首)と頻繁に接触する可能性があるので、この端部の通気口は、使用者の手足と最も頻繁に接触する保護装置の部分への空気の流れを増加させることができる。これにより、快適さが向上し、手足保護装置を快適に装着され得る時間が長くなり得る。
【0038】
少なくとも保護部材は透明とすることができる。これにより、使用者または介護者は有利なことに、保護装置を取り外す必要なしに、使用者の手足を視覚的に検査および監視可能になり得る。もちろん、保護装置の他の部分、例えば閉鎖部材もまた透明であってもよい。
【0039】
少なくとも保護部材は、丸みを帯びた近位端および遠位端を含む材料のシートから形成することができる。シート材料を使用することにより、保護部材、ひいては保護装置の重量を最小限に抑えることができる。これにより、保護装置が使用者にとってより快適になり得る。丸みを帯びた近位端および遠位端は、使用者が保護装置の端部を引っ掻き手段として使用できることを防止することができる。また、丸みを帯びた近位端および遠位端は、シート材料が使用者にとって不快にならないことを保証することができる。丸みを帯びた近位端および遠位端は、任意の適切な方法で達成することができる。例えば、近位端および遠位端は、丸みを帯びるように成形することができる。代替的または追加的に、丸みを帯びた要素を近位端および遠位端に取り付けてもよい。丸みを帯びた要素は、保護部材と同じ材料から作ることができる。しかしながら、丸みを帯びた要素を別の材料で作成することも可能であり得る。保護部材は、その内面に配置された発泡体を含むことができる。これにより、使用者にとっての保護装置の快適さが向上する可能性がある。
【0040】
少なくとも保護部材は、少なくとも半剛性材料から形成することができる。そのような材料は、装置内で手足を保護し、また使用者が手足を他の目的のために(例えば、引っ掻くために)使用できないようにすることができる。少なくとも半剛性材料は、部分的に柔軟で変形可能であるが、使用者が保護部材を介して機能を実行できないほど(例えば、使用者が引っ掻き動作を行うのを防ぐのに)十分に高剛性であってもよい。保護部材は、高剛性材料から形成することができる。保護部材は、例えばプラスチック(例えば、高剛性プラスチック発泡体)から形成されてもよい。プラスチックの使用は、触ると冷たく、炎症を起こした皮膚をなだめるような表面を有利に提供することができる。もちろん、手足保護装置の他の部分も、プラスチックで作ることができる。
【0041】
手足保護装置は、手足保護装置が使用者によって着用されている時間の長さを決定するための手段をさらに含むことができる。これにより、使用者または介護者は、手足保護装置の装着をより正確に監視できるようになり得る。コンプライアンスが重要な特定のアプリケーションでは、これにより、使用者または介護者に役立つ追加情報が提供される場合がある。この目的のために、任意の適切な手段を提供してもよい。例えば、手足保護装置が装着されている時間の長さを決定する手段は、熱センサ、光電子センサ、および加速度計のうちの少なくとも1つを含むことができる。加速度計は、着用時間を間接的に測定することができる一方で、例えば、使用者が眠っている間に、使用者の動きと興奮の量も測定することができる。保護装置は、使用者が着用した時間に基づいて警告(例えば、介護者への警告)を発するように構成されてもよい。これは、任意の適切な手段によって達成することができ、警告は、保護装置または別の装置(例えば、モバイル装置)に提供することができる。
【0042】
着用コンプライアンスを監視するための代替手段を提供することができる。例えば、保護装置は、保護装置の除去時に破壊される破壊可能な要素を備えていてもよい。これは、ひもまたは他の適切な要素の形態とすることができる。保護装置は、保護装置が取り外されて再び取り付けられるときの再位置合わせを達成するのが困難なマーキングを含んでもよい。この位置ずれにより、介護者は、保護装置が取り外されたことを容易に判断できる場合がある。
【0043】
保護部材は、貫通して延在する複数の開口部を含むことができる。これにより、保護部材内への気流を増加させることができる。しかしながら、保護部材は、滑らかな外面を含んでいてもよい。そのような構成は、滑らかな表面が引っ掻き動作を行うのに適していないので、使用者が保護部材を使用して引っ掻くのを有利に防止することができる。保護部材の内側は、保護部材内の手足に快適さを提供するように滑らかとすることができる。
【0044】
より良い理解を可能にするために、本発明の実施形態はここで、添付の図面を参照して非限定的な例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】手足保護装置の分解図である。
図2図1に示される手足保護装置の断面側面図である。
図3図1に示される手足保護装置の構成要素の端面図である。
図4A-4D】図1に示される手足保護装置の使用者の手および腕への取り付けを示す概略図である。
図5A-5B】図1に示される手足保護装置の一変形例を示す側部断面図である。
図6A-6B】図1に示される手足保護装置の別の一変形例を示す断面図である。
図7図1に示される手足保護装置のハンドグリップの一変形例の斜視図である。
図8図1に示される手足保護装置の保護部材の一変形例の断面側面図である。
図9A-9B】代替のロック機構を含む、図1に示される手足保護装置の保護部材の一変形例の断面側面図である。
図10図1に示される手足保護装置の保護部材の閉鎖部材の一変形例の斜視図である。
図11図10に示される閉鎖部材と共に使用するための保護部材の一変形例の斜視図である。
図12図1に示される手足保護装置の保護部材のロック機構の一変形例の断面図である。
図13】調節可能なサイズを有する制限要素の一変形例の斜視図である。
図14A-14B】開閉可能な制限要素の別の一変形例の端面図である。
図15】固定閉鎖部材を有する手足保護装置の別の一変形例の断面側面図を示す。
図16】閉鎖部材のない手足保護装置の別の一変形例の断面側面図である。
図17】使用者の脚を保護するのに使用される、図16に示される手足保護装置の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、本発明の一実施形態に係る、使用者の手を保護するための手足保護装置2(以下、装置2と称する)の斜視図を示す。装置2は、手を含む使用者の手足の少なくとも一部を保護するように構成された保護部材4を含む。保護部材4は、円筒管6によって形成される。図示の実施形態では、保護部材4は円筒管6によって形成されているが、これは必須ではなく、保護部材4は、その特定の用途に応じて任意の適切な形状を有することができる。例えば、保護部材4の円筒管6は、円錐台形状を有してもよい。円筒管6は、必ずしも円形の断面を有する必要はなく、代わりに、円筒管6は、他の形状の断面(例えば、楕円形)を有してもよい。図1に示されるように、保護部材4は、シート材料から形成されてもよく、これは、装置2の重量が最小限に保たれることを意味し得る。保護部材4は、少なくとも半剛性材料から形成することができる。そのような材料は、部分的に柔軟で変形可能であるが、使用者が保護部材4を介して動作を行うことができないほど(例えば、引っ掻くのを防ぐように)十分に高剛性であってもよい。円筒管6は、例えば、0.3mm~3mmの範囲の壁厚を有することができる。
【0047】
装置2は、保護部材4とは別個の制限要素8を含む。制限要素8はトロイダル形状を有する。図示の実施形態では、制限要素8はトロイダル形状を有するが、制限要素8は他の適切な形状を有してもよく、必ずしもトロイダル形状である必要はなく、例えば、中空円筒として形成されてもよい。制限要素8は、使用者の手足を挿入できる穴18を含む。制限要素8は、変形可能であり、少なくとも部分的に拡張可能とすることができる。これにより、使用者は、制限要素8を手足に取り付けるために、開口部18を通して手を押し込むことができる。制限要素8は、制限要素8を使用者の手足の適所に固定するように構成された締結要素9を含むことができる。そのような締結要素は、締結要素9を解放することなく、制限要素8が使用者の手足から外れるのを防止することができる。締結要素9は、使用者の手足の周りに締結要素9を固定するように、対応する締結具11Aに固定することができるプレススタッド11を含む。制限要素8を使用者の手足に固定することができる任意の他の適切な締結要素を使用してもよい。
【0048】
制限要素は、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンのうちの少なくとも1つの小さなプラスチックペレットで満たすことができる。代替的または追加的に、制限要素8は、例えばポリエステル製の中空繊維充填物で満たされてもよい。制限要素8は、洗浄可能であってもよい。同様に、制限要素8は、拡張可能であってもよい。制限要素8は、後の図を参照してより明確になるように、装置内で使用者の手を拘束するように機能するだけでなく、保護部材4内で使用者の手首用のクッションとして機能することもできる。
【0049】
装置2は、閉鎖部材10をさらに含む。使用中の保護部材4、制限要素8、および閉鎖部材10の間の相互作用は、後の図を参照して以下でより詳細に説明される。図1に示すように、閉鎖部材10は、保護部材4の(図2に示される)ねじ部分20と係合するように構成されたねじ部分12を含む。ねじ部分12、20は共に、ロック機構を提供する。
【0050】
閉鎖部材10は、円筒形本体16の外壁間に延在するハンドグリップ14を除いて中空である円筒形本体16を含む。ハンドグリップ14は、任意の適切な手段によって円筒形本体16に取り付けられる別個の構成要素とすることができる。例えば、ハンドグリップ14は、接着剤によって適所に固定することができる。ハンドグリップ14は、保護部材4に対して閉鎖部材10を動かす際に使用することができる。後の図を参照してより明確になるように、ハンドグリップ14は、使用者の手が閉鎖部材10を通って伸びるのを防ぐように寸法決めされ得る。
【0051】
保護部材4および/または閉鎖部材10の少なくとも一部は、アモルファス熱可塑性物質(例えば、アクリル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートグリコール)などの硬質合成樹脂で作製することができる。追加的または代替的に、保護部材4は、高剛性発泡体から作られてもよい。
【0052】
図2は、図1に示される装置2の断面側面図を示す。この図に示されるように、保護部材4は、雌ねじ部分20を含む。前述のように、閉鎖部材10のねじ部分12および保護部材4のねじ部分20は、共に、閉鎖部材10を閉鎖位置に保持できるようにするロック機構を形成する。
【0053】
ねじ部分12、20はそれぞれ、少なくとも半回転のねじ山を含み、図示の実施形態では、少なくとも12回転のねじ山を含む。もちろん、任意の回転数を提供することができ、回転数は装置2の特定の用途に依存することができる。
【0054】
保護部材4の近位端22で、リング状要素24は、使用者の手足を保護部材4に挿入できるように寸法設定された開口部26を画定する。開口部26は円形とすることができるが、使用者の手足を受け入れることができる限り、任意の適切な形状を使用することができる。リング状要素24は、円筒管6に取り付けられる別個の部品であってもよい。例えば、リング状要素24は、開口部26を使用者の手足の周りでより快適にすることができる発泡体インサートによって提供されてもよい。あるいはまた、リング状要素24は、円筒管6と一体的に提供されてもよい。
【0055】
保護部材4の遠位端28は開放しており、制限要素8および閉鎖部材10を受け入れるように寸法決めされている。保護部材4、制限要素8、および閉鎖部材10の相対的な寸法は、図3により明確に示されている。
【0056】
図3は、保護部材4、制限要素8、および閉鎖部材10の端面図を示す。図示のように、開口部26の内径30は、少なくとも制限要素8が使用者の手足に固定されているとき、制限要素8の外径32より小さい。したがって、少なくとも制限要素8が使用者の手足に取り付けられている場合、制限要素8が取り付けられた状態で、開口部26を通して手足を引っ張ることはできない。さらに、円筒管6および閉鎖部材10は、円筒管6が、直径36を有する閉鎖部材10の円筒形本体16を受け入れるのに十分な内径34を有するように寸法決めされる。換言すれば、円筒形本体16の直径36は、円筒管6の内径34以下である。これらの相対的な寸法の結果として、閉鎖部材10は、円筒管6内でスライドすることができる。これは、後の図を参照するとより明らかになる。また、図示されるように、制限要素8の外径32は、制限要素8が円筒管6内に嵌合できるように、円筒管6の内径34よりも小さい。さらに、制限要素8の外径32は、制限要素8が円筒管6を通過し、ねじ部分20を通過することができるように、ねじ部分20の内径35よりも小さく、それにより、使用者が手足をそれに取り付けられた制限要素8と共に円筒管6内に完全に引っ込めることを可能にする。
【0057】
また、図3に最も明確に示されるように、閉鎖部材10のハンドグリップ14および円筒形本体16は、共に、2つの通気口38、40を画定する。これらの通気孔38、40は、少なくとも閉鎖部材10が保護部材4に固定されているとき、保護部材4への空気の流れを許容する。前述のように、これにより、使用者の快適さが向上し得る。
【0058】
上述の装置2の場合、保護部材4は、完全に滑らかで途切れのない外面を有する。これは、保護部材4自体が、例えば引っ掻きのために使用できないことを有利に意味する。しかしながら、保護部材4は、保護部材内の手足に追加の空気循環を提供するように有窓であってもよい。
【0059】
図4A図4Dは、使用者の手42および腕44への装置2の取り付けの例示的な断面図である。プロセスの第1のステップが図4Aに示されており、使用者は手42と腕44を保護部材4の近位端22の開口部26を通して挿入し、少なくとも手42が保護部材4の遠位端28から外へ伸びるまで、手42を保護部材4に対して前進させ続ける。
【0060】
図4Bに示されるように、手42が保護部材4から外へ伸びると、使用者は、制限要素8を腕44の周り、具体的には手首46の周りに取り付けることができる。これは、使用者のもう一方の手で制限要素8を保持しながら、制限要素8の開口部18を通して使用者の手42を押し込むことによって達成することができる。次に、固定要素9(図1を参照)を所定の位置に固定して、制限要素8を使用者の手首46に固定することができる。制限要素8が使用者の第1の手首46に取り付けられると、上記のプロセスは、両手が図4Bに示される構成になるように、使用者の他方の手で第2の装置2を用いて繰り返することができる。この段階でプロセスを繰り返すことにより、どちらの手42もまだ保護部材4内に完全に拘束されておらず、したがって、第1の手42は、第2の装置2を使用者のもう一方の手42に適用するのを自由に補助できる。
【0061】
図4Cに示されるように、使用者は次に進んで、閉鎖部材14のハンドグリップ14を手42でつかむことができる。図4Dに示されるように、使用者はその後、閉鎖部材10が円筒管6の内側に持ち込まれるように、ハンドグリップ14を握りながら、手42を後方に引っ込めることができる。したがって、閉鎖部材10は、使用者の手42によって閉鎖位置に移動することができる。図4Dに示されるように、閉じた位置にあるとき、使用者の手42、手首46、そして実際には腕44の一部、例えば使用者の手足の少なくとも一部は、保護部材4内に拘束される。閉鎖部材10は、ねじ部分12、20が互いに係合して閉鎖部材10を閉鎖位置に保持するように、ねじ部分12、20が係合し、保護部材4に対して回転する点まで後方に引っ張ることができる。したがって、共にロック機構を提供するねじ部分12、20は、閉鎖部材10を閉鎖位置に固定する。この図に示されるように、閉鎖部材10は、少なくとも閉鎖位置にあるとき、円筒管6(すなわち、保護部材4の外壁)内に収容することができる。
【0062】
図4Cおよび図4Dについて上述したステップは、第2の装置2上の使用者の第2の手42によって繰り返することができる。したがって、装置2は、第三者の助けを必要とせずに、使用者自身によって各々の手42に取り付けることができる。
【0063】
図4Dで明らかなように、様々な構成要素は、遠位端28の開口部が、使用者の手42の伸ばされた指から十分に離れており、それによって使用者が例えば自分自身に危害を加えることを防止するように構成されている。これは、管6の適切な寸法、管6内のねじ部分20の位置決め、そしてさらに閉鎖部材10の相対的な寸法によって達成することができる。管6の近位端22は、手首と肘の間の腕44上のどこにでも着座するように設計することができる。使用者の腕44上の管6の位置は、使用者が手42を装置2に挿入した距離に依存し得る。使用者42は、例えばハンドグリップ14を解放し、腕44を前後に引っ込めることによって、管6内で手42を長手方向に自由に動かすことができる。管6は肘を越えて延在することはできず、それによって肘で腕44を屈曲させることができる。再び、これは、使用者にとって装置2の快適さを改善することができる。
【0064】
図4Dに最も明確に示されているように、制限要素8が使用者の手足の周り(例えば、使用者の手首46の周り)に取り付けられている場合、制限要素8の外寸32は、リング状要素24によって画定される開口部26の内寸30よりも大きい。したがって、制限要素8は、使用者の手足に対して開口部30を効果的に制限する、すなわち、使用者の手首46(すなわち、使用者の手足)に対して開口部26を制限するための手段を提供する。したがって、腕46が挿入され、開口部26が使用者の手首46に対して制限されると、手首46は開口部26を通って引っ込めることができない。また図示されるように、制限要素8の外寸32は、円筒管6の内径34よりも小さい。したがって、手首46に取り付けられたときの制限要素8は、保護部材4内で自由に動くことができる。制限要素8の適切なサイズ設定、閉鎖位置における閉鎖部材10の位置、および円筒管6のサイズによって、制限要素8が保護部材4内で長手方向および横方向に移動でき、ならびに保護部材4に対して回転できるようにすることが可能となり得る。前述のように、この動きの自由は、使用者にとって装置2の快適さを大幅に向上させることができ、これは使用者が装置2を着用する可能性を高めることができ、装置2を着用する時間を潜在的に増加させることができる。
【0065】
装置2が使用者の手42の各々に取り付けられ得ることが上述されたが、もちろん、装置2を一方の手42に適用することのみが望まれる場合、使用者は上記のステップを第2の手42に必ずしも繰り返す必要はない。
【0066】
上述の装置2は、使用者が取り付けるだけでなく、取り外すこともできる。保護装置2を取り外すために、使用者は、図4A図4Dで上述したステップの逆を実行することができる。装置2が図4Dに示される構成である場合、使用者は、この例では、保護部材4に対する閉鎖部材10の回転の形態で、所定の操作を実行することができ、それによって、ねじ部分12、20によって提供されるロック機構を解除する。閉鎖部材10を保護部材4に対して回転させるとき、保護部材4を固定位置に保持することが必要な場合がある。これは、例えば、保護部材4を使用者の膝の間に保持することによって、または保護部材4を表面(例えば、ワークトップ)に対して静止させることによって達成することができる。ねじ部分12、20は、多数回のねじ山を含むため、使用者は、ねじ部分12、20を解放できるようになる前に、閉鎖部材10を完全に何回も回転させる必要がある。閉鎖部材10を解放するのに必要な回転数は、例えば、使用者が保護装置を偶発的または無意識に取り外すことを防止することができる。
【0067】
閉鎖部材10が十分な量だけ回転すると、ねじ部分12、20が外れ、使用者は手42で閉鎖部材10を保護部材4から外へ押し出すことができ、それによって閉鎖部材10を図4Dに見られる閉鎖位置から、図4Cに見られるような開放位置に向かって移動させることができる。
【0068】
次に、使用者は、閉鎖部材10を開位置に移動させるために、第2の手42について上記を繰り返すことができる。これに続いて、使用者はその後、手首46の各々から制限要素8を取り外し、その後、装置2の開口部26を通して手42を引き戻すことができる。
【0069】
上記は、ロック機構を解除するために使用者の継続的な努力を必要とするロック機構を有するものとして説明されているが、使用者がロック機構をより容易に解除することが望ましい場合がある。この場合、ロック機構はより容易に克服され得る。例えば、閉鎖部材10は、ねじ部分12、20ではなく、その代わりに締まり嵌めによって閉鎖位置に保持されてもよい。このような締まり嵌めは、使用者の手42によってより簡単に解放され得る。
【0070】
ここで、図1に示される手足保護装置2のいくつかの変形例について説明する。記載された変形例を除いて、手足保護装置2は、図1に示され、上述されたものと同じ構造を有する。したがって、同様の符号は同様の部品を参照し、その説明は繰り返さない。以下に説明する様々な変形例は、任意の組み合わせで共に適用され得る。
【0071】
図5Aおよび図5Bは、前の図に見られる装置2の一変形例を示す。この変形例では、ねじ部分20は、保護部材20の円筒管6の遠位端28に配置される。閉鎖部材10はまた、その外寸が円筒管6の外寸と一致するように寸法決めされる。したがって、閉鎖部材10が図5Bに示されるように保護部材4を閉鎖する閉鎖位置にあるとき、およびねじ部分12、20が係合されるとき、閉鎖部材10は円筒管6の遠位端28に当接する。したがって、閉鎖部材10は、図1に示される装置2の場合のように、円筒管6内でスライドしない。この変形例では、閉鎖部材10が円筒管6内に着座しないという事実を考慮して、閉鎖部材10は、前方に延在する保護部分48を含む。閉鎖部材10が図5Bに示される閉鎖位置にあるとき、使用者の指は、ハンドグリップ14を越えて伸びることができる場合がある。したがって、前方に延在する保護部分48は、指を保護するように機能し、したがって、使用者が指を使用して、例えば自分自身を引っ掻くことができないようにする。
【0072】
上記の装置2のいずれについても、保護部材4の外側からのみ操作することができるさらなるロック機構を設けることができる。例えば、ホックを備えたストラップが、閉鎖部材10と保護部材4との間に接続され、閉鎖部材10と保護部材4との相対的な回転を防止するように作用することができる。あるいはまた、閉鎖部材10と保護部材4の相対的な回転を防止するために、閉鎖部材10と保護部材4の内壁との間にくさびを挿入してもよい。そのようなさらなるロック機構は、使用者がねじ部分12、20によって提供されるロック機構を解除し得る前に、第三者によって解除される必要がある。
【0073】
図6Aおよび図6Bは、前の図に見られる装置2の別の一変形例を示す。この変形例では、別個の閉鎖部材の代わりに、閉鎖部材10が保護部材4に枢動可能に取り付けられている。図6Bに示されるように、使用者が手42を保護部材4に挿入し、制限要素8を取り付けると、図6Aの破線50によって示されるように、ハンドグリップ14の形態で示される閉鎖部材10をつかみ、それを閉鎖位置に引っ張ることができる。この閉鎖位置になると、使用者の手42は、装置2内に拘束され得る。閉鎖部材10は、閉鎖部材10を閉鎖位置に固定するように保護部材4と係合するために、その一端にスナップフィット機構を含むことができる。
【0074】
また、図6Aおよび図6Bに示される変形例も、保護部材4の近位端22に複数の通気孔51を含む。前述のように、そのような通気孔51は、特に使用者の腕44の周りに延在する保護部材4の部分の周りで、空気が保護部材4の内部に循環することを可能にすることができ、これは装置2の快適さを向上させることができる。
【0075】
図7は、閉鎖部材10のハンドグリップ14の一変形例の斜視図を示す。例えば、図1に示されるように、バーによって提供されるハンドグリップ14の代わりに、ハンドグリップ14は、図7に示されるようにリング状であってもよい。リング状のハンググリップ14は、複数の支持部材54によって外側リング52に接続することができる。ハンドグリップ14、外側リング52、および複数の支持部材54は、共に、複数の開口部56を画定する。リング状のハンドグリップ14はまた、中央開口部58を画定する。図7に示される構成は、図1に示される閉鎖部材のハンドグリップ14に取って代わることができる。使用者が閉鎖部材10を移動させたい場合、少なくとも1本の指を複数の開口部56の1つに通し、1本の指を中央開口部58に通し、これによりハンドグリップ14をつかむことを可能にすることによってハンドグリップ14をつかむことができる。次に、使用者は閉鎖部材10を引っ張り、それに従って回転させることができる。あるいはまた、使用者は、閉鎖部材10を操作するときに、中央開口部58に指を通すことなく、開口部56に2本以上の指を通してもよい。開口部56、58は、使用者の手42がそこを通過できないように寸法決めすることができ、したがって、図7に示される構成は、装置2内に使用者の手を拘束することに寄与することができる。開口部56および中央開口部58はまた、空気が保護部材4内に通過することを可能にする通気口を提供し得る。図2に示されるリング状要素24も、図7に示される要素と同様の構造を有することができるが、この場合、開口部58は、使用者の手足を装置2に挿入できるように十分に大きくする必要がある。
【0076】
図8は、図1に示される保護部材4の別の一変形例の断面側面図を示す。この変形例では、保護部材4の円筒管6は、材料のシートで形成され、保護部材4の近位端22および遠位端28に配置された丸いカバー60を含む。この変形例では、丸いカバー60は、円筒管6に取り付けられた別個の要素である。丸いカバー60は、例えば、滑らかなトロイダルカバーによって提供することができる。あるいはまた、円筒管6の近位端22および遠位端28は、適切な成形によって丸みを帯びていてもよい。丸いカバー60は、保護部材4の近位端22および遠位端28を鈍くするのに役立ち、それによって使用者の快適さを潜在的に改善し、保護部材4が引っ掻き手段として使用されるのを潜在的に防止することができる。
【0077】
図9Aは、図1に見られる装置2の一変形例の断面側面図を示す。ねじ部分12、20の代わりに、閉鎖部材10はスナップフィット部材62を含み、保護部材4(具体的には、円筒管6)は、スナップフィット部材62を受け入れるための開口部64を含む。スナップフィット部材62および開口部64は共に、ロック機構を提供する。図9Bに示されるように、閉鎖部材10は、スナップフィット部材62が開口部64と係合する閉鎖位置に移動することができる。閉鎖部材10が図9Bに示される閉鎖位置に移動されると、スナップフィット部材62は、それらが円筒管6の周りで拡張するように強制されるので、わずかに変形させられ得る。したがって、この変形により、スナップフィット部材62が開口部64と係合すると、スナップフィット部材62は開口部64内の所定の位置に保持される。
【0078】
使用者の手が保護部材4内に拘束されている場合、使用者は、スナップフィット部材62を保護部材4内から押して、開口部64から解放するようにすることにより、ロック機構を解除することができる。次に、使用者は、例えばハンドグリップ14を押すことによって、閉鎖部材10を閉鎖位置から押し出すことができる。したがって、複数のスナップフィット部材62の存在は、閉鎖部材10を解放し得る前に、複数のスナップフィット部材62の操作を含む、使用者による所定の操作を必要とし得る。したがって、これは取り外しに対する障壁を提供し得る。任意の適切なスナップフィット機構が提供され得る。任意の適切なスナップフィット機構(例えば、片持ち、ねじれ、または環状のスナップフィット)を使用することができる。
【0079】
図9Aおよび図9Bに示される装置は、例えば介護者によって、保護部材4の外側から操作することができるさらなるロック機構65を含む。さらなるロック機構65は、円筒管6に対して長手方向にスライドするように配置されたスライダ67を含む。閉鎖部材が図9Bに見られるように閉鎖位置にあり、スナップフィット部材62が開口部64に位置するとき、ロック機構65のスライダ67は、それがスナップフィット部材62と重なるように、またはさらには係合するように移動することができる。したがって、スライダ67は、スナップフィット部材62が半径方向外側に押されるのを防ぎ、それによって閉鎖部材10の解放を防ぐことができる。さらなるロック機構65は、例えば、使用者がいつ装置2を取り外すことができるかについて一定レベルの管理を必要とする介護者などの第三者によって操作されてもよい。図9Aおよび図9Bに示される構成は、可能なさらなるロック機構65の一例にすぎず、他の任意の適切なさらなるロック機構を使用してもよい。
【0080】
図10は、閉鎖部材10の別の一変形例の斜視図を示す。この変形例では、閉鎖部材10は、複数(この場合は4つ)の半径方向に延在する要素66を含む。図11は、図10に示される閉鎖部材10と共に使用するために設計された保護部材4の一変形例の側面図を示す。保護部材4は、その遠位端28に配置された複数のスロット68を含む。スロット68は、必ずしも保護部材4の遠位端28に配置される必要はない。代わりに、スロット68は、例えば、図2に見られるねじ部分20の位置に対応する位置で、保護部材4内に配置されてもよい。この場合、図示しないが、保護部材4は4つのスロットを含む。
【0081】
図10および図11を参照すると、複数の半径方向に延在する要素66およびスロット68が、共にロック機構を形成する。使用者は、閉鎖部材10を保護部材4に向かって移動させ、スロット68のそれぞれの1つに半径方向に延在する部材66の各々を係合させることができる。次に、使用者は、半径方向に延在する要素66がスロット68の端部69に向かって移動するように、閉鎖部材10を操作することができる。所定の位置になると、これはロック位置に対応することが可能となる。スロット68の比較的複雑な形状のために、使用者は、閉鎖部材10を解放するために、閉鎖部材10の回転運動と長手方向運動の両方を含む閉鎖部材10の比較的複雑な動きを実行しなければならない。したがって、この比較的複雑な動きは、使用者による所定の操作を構成し得る。もちろん、スロット68は、任意の適切な形状を有することができる。図10および図11に示される構成は、バヨネットタイプの継手を効果的に形成する。図示されていないが、図10および図11の装置は、例えば、スロット68の端部69で半径方向に延在する要素66を保持する力を提供するように作用し得るばねの形態である、少なくとも1つの弾性部材をさらに含むことができる。この場合、使用者はまた、閉鎖部材10を解放できるようになる前に弾性部材の力に打ち勝つ必要があり、それによってさらに所定の動作に寄与する。
【0082】
上述のものの代替として、ロック機構は、一連の連結フックおよびフランジを含むストルツコネクタを含むことができる。
【0083】
図12は、ロック機構が電磁ロック機構70を含む別の一変形例の断面側面図を示す。この変形例では、電磁ロック機構70は、2本のボルト72を閉鎖部材10に押し込んで閉鎖部材10を閉鎖位置に固定するように構成されている。ボルト72は、円筒管6を通って閉鎖部材10内に延在する。スイッチ74は、電磁ロック機構70を操作するために使用者による操作用に、保護部材4の内側に配置されてもよい。スイッチ74は、電磁ロック機構70を操作するために、使用者による持続的な努力を必要とし得る。例えば、スイッチ74は、電磁ロック機構70を解除するために特定の順序で押されなければならないいくつかの異なるボタンを含んでもよい。上述のものの代わりに、電磁ロック機構70を音声制御装置に接続してもよく、使用者が自分の声で電磁ロック機構を操作することが可能になり得る。
【0084】
また、図12に示される変形例では、保護部材4は、センサ75の形で、手足保護装置2が使用者によって着用された時間の長さを決定するための手段を含む。時間の長さは、保護装置2が連続して着用された時間量および/または保護装置2が着用された合計時間とすることができる。センサ75は、任意の適切なセンサ(例えば、熱センサ、光電子センサ、および/または加速度計)とすることができる。前述のように、このセンサ75は別の装置と協働して、使用者が装置2を装着した時間量に基づいて使用者または介護者に警告を発することができる。
【0085】
図13は、図1に示される制限要素8の一変形例の斜視図を示す。この変形例では、制限要素8は、ストラップ78およびバックル80を含む調節機構76を含む。ストラップ78は、制限要素8のサイズを調節するために、バックル80を通して引っ張ることができる。これにより、例えば、開口部18を縮小することが可能となり得る。これは、制限要素8を多くの異なる使用者による使用に適したものにする、および/または制限要素8を様々な異なる手足に使用できるようにすることを可能にする。追加的または代替的に、制限要素8は、制限要素の調節を達成するためのベルクロストラップを含むことができる。
【0086】
図14は、制限要素8の別の一変形例の端面図を示す。この変形例では、制限要素8は、ヒンジ30を介して接続された2つの半体8A、8Bを含む。図14Bに示されるように、ヒンジ30は、2つの半体8A、8Bが使用者の手足を受け入れるために開かれることを可能にする。2つの半体8A、8Bは、その後、使用者の手足の周りに固定するために閉じることができる。この構成は、有利なことに、使用者が手足を制限要素8に挿入することをより容易にすることができる。2つの半体8A、8Bは、任意の適切な手段によって、図14Aに見られるように閉じた位置に共に保持することができる。
【0087】
上記の制限要素8は円形であるが、これは必須ではなく、制限要素8は任意の他の適切な形状であってもよく、例えば楕円形であってもよい。その形状は、保護部材4の形状によって少なくとも部分的に画定され得る。制限要素8は完全な円を囲むように示されているが、これは必ずしも必要ではなく、使用者の手足と保護部材4の開口部26の特定の寸法に応じて、制限要素は代わりに使用者の手足の周りの途中までしか延在していなくてもよい。例えば、制限要素は、使用者の手足の周りに270°延在する途切れた輪の形態であってもよい。そのような途切れた輪は、使用者が制限要素8を自分の手足に取り付けることをより容易にすることができる。
【0088】
図15は、手足保護装置102の断面側面図を示す。図1に示される装置2と同様に、装置102は、その近位端22に開口部26を含む保護部材4を含み、これは、使用者の手足を保護部材4に挿入できるように寸法決めされる。装置102は、制限要素8の外寸が開口部26よりも大きく、使用者の手足が開口部を通って引っ込めることができず、手足に取り付けられたときの制限要素8が保護部材4内で移動できるように、使用者の手足の周りに取り付けるように構成された、保護部材4とは別個の制限要素8をさらに含む。
【0089】
装置102は、保護部材4の遠位端28に配置された閉鎖部材110を含み、使用者の手足が装置102の遠位端28を通過するのを恒久的に防止する。閉鎖部材110は、保護部材4と一体的に形成される。装置102を装着するために、使用者は、開口部26を通して保護部材4に手足を挿入し、制限要素8の開口部18を通して手足を押し込むことができる。制限要素8は拡張可能とすることができ、手足が挿入されると、制限要素8は、装置102内で手足の周りを把持するように拡張され得る。あるいはまた、使用者は、制限要素8を自分の手足に取り付け、開口部26を通して制限要素8を取り付けた状態で自分の手足を挿入し、続いて制限要素8を拡張させて、装置102内に手足を拘束することができる。この時点で、装置2内の手足の部分は、制限要素8により手足が開口部26を通って引っ込められるのを防止されるので、装置102内に拘束され得る。手足はまた、閉鎖部材110により、装置102の遠位端28を通過することが防止される。それにもかかわらず、制限要素8は、手足が保護部材4内で動くことを可能にし、したがって、使用者の快適さを潜在的に増加させる。
【0090】
装置102は、必ずしも手足全体を覆う必要はなく、装置102内に手足を完全に拘束する必要もない。代わりに、手足の一部は、装置102の遠位端28から外へ自由に伸ばすことができる。このタイプの手足保護装置102が図16に示されている。装置102は、その近位端22に開口部26を有する保護部材4を含む。装置102は、制限要素8をさらに含む。しかしながら、前の変形例とは異なり、装置102は閉鎖部材を含まない。したがって、装置102内に挿入され、制限要素8が取り付けられた手足は、開口部26を通って引っ込められることが防止されるが、それでも、保護部材4の遠位端28から外へ伸ばすことができる場合がある。これにより、使用者は手足の一部を保護することができ、手足に対する保護部材4のある程度の自由な動きを可能にすると同時に、手足の少なくとも一部の使用を維持する(例えば、使用者の手を装置102の遠位端28を通って伸ばす)ことができる。
【0091】
図16の装置102は、図17で使用中が示されており、装置102は、使用者の下腿82の一部を保護するために使用される。この図に示されているように、足84、および実際には使用者の脚82の最下部は、装置102の遠位端28から伸びている。制限要素8を使用することにより、制限要素が開口部26を通り抜けることができないため、保護部材4は使用者の脚82に保持され、落下が防止される。それにもかかわらず、保護部材4は、少なくとも部分的に、使用者の脚82に対して自由に動くことができる。例えば、保護部材4は、使用者の脚に対して回転方向および/または横方向に、制限要素8から離れて上向きに移動することができる。前述のように、これは、使用者にとって装置2の快適さを向上させることができる。理解されるように、制限要素8は、保護部材4および制限要素8が互いに対して移動できるように適切に寸法決めすることができる。
【0092】
図15図16、および図17に関して上述した装置は、人間または動物の任意の手足を保護するために使用することができる。図1図14に関して上述した関連する構成のいずれも、図15図17に関して上述した装置にも適用することができる。
【0093】
上記の変形例のいずれにおいても、少なくとも保護部材4は透明とすることができる。前述のように、これにより、使用者または介護者は、装置2内の手足を視覚的に調べることができる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
【国際調査報告】