(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】輸送システム
(51)【国際特許分類】
B61B 13/02 20060101AFI20230317BHJP
B61B 10/00 20060101ALI20230317BHJP
【FI】
B61B13/02 C
B61B10/00 D
B61B10/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548193
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 IB2021050940
(87)【国際公開番号】W WO2021156804
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】202021005522
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522314991
【氏名又は名称】カルゲトゥ・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ナレンドラ・パティダール
(57)【要約】
いかなる原動力もない複数のワゴン(110)で、それぞれのワゴンと摩擦係合し移動させる駆動ベルトが設置されている主起動を複数有する輸送システム(100)である。ワゴン(110)は通勤者の出発点と目的地との間の継ぎ目のない接続を変更なく提供するために、ラストワンマイル配達車両によって運ぶことができる。輸送システムは、進路変更ベルト(104)、加速機/減速機パス(106)および進路変更装置(114)を有するステーション(150)を含み、ワゴン(110)を主軌道(102)とラストワンマイル配達車両との間で積み替えることを開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の主軌道であって、主軌道のそれぞれが、主軌道の長さに沿って配置された複数のエンドレスな摩擦係合ドライブベルトを備え、複数のエンドレスな摩擦係合ドライブベルトのそれぞれが、複数のエンドレスな摩擦係合ドライブベルトの上面に複数の係合手段を備える、主軌道と、
摩擦係合ドライブベルトの係合手段に係合し、主軌道の長さに沿って推進するように構成された複数のワゴンと、を含む、輸送システムであって、
係合手段は、複数のエンドレスな摩擦係合ドライブベルトの上面に設けられた摩擦材料であり、複数のワゴンは、ワゴンの底面に配置された縦方向に方向付けされたチャネルを含み、チャネルは、対応する摩擦係合ドライブベルトがチャネルと係合し、チャネルと摩擦材料との間の摩擦力が牽引力を提供して、ワゴンを摩擦係合ドライブベルトとともに移動さるよう設計される、輸送システム。
【請求項2】
前記ワゴンをステーションから対応する主軌道に向けるか、前記ワゴンを主軌道から前記ステーションに迂回するための少なくとも1つの進路変更ベルトと、
前記ワゴンを前記ステーションから加速し、前記加速されたワゴンを前記進路変更ベルトの速度と同期した速度で前記進路変更ベルトに配達する、または前記ワゴンがステーションに到達するときに前記進路変更ベルトから受入れた前記ワゴンを減速する、少なくとも1つの加速/減速パスと、
複数のワゴンのうちの少なくとも1つを運び、通勤者の出発点または通勤者の目的地まで少なくとも1つの前記ワゴンと共に移動するように構成された少なくとも1つのラストワンマイル配達車両と、
少なくとも1つの前記ラストワンマイル配達車両と少なくとも1つの前記加速/減速パスとの間で前記ワゴンを輸送するために、前記ステーションに配置された少なくとも1つの進路変更装置と、をさらに含む、請求項1に記載の輸送システム。
【請求項3】
前記ワゴンを出発点から通勤者の対応する目的地に移動させるために、前記主軌道の各々を制御する制御部、少なくとも1つの前記進路変更ベルト、少なくとも1つの前記加速/減速パス、複数のワゴンの各々で構成されたセンサからの信号に基づいた少なくとも1つの前記ラストワンマイル配達車両積み降ろしワゴンを制御する制御ユニットを備える、請求項2に記載の輸送システム。
【請求項4】
前記主軌道の摩擦係合ドライブベルト間および進路変更軌道と対応する主軌道との間に設けられた複数のシンクロナイザを備える、請求項1に記載の前記輸送システム。
【請求項5】
前記主軌道は、複数の前記摩擦係合ドライブベルトに平行な前記主軌道の長さに沿って位置する少なくとも1つの不動区域を含み、前記ワゴンは、少なくとも1つの前記不動区域上に載置され、前記ワゴンの重量の少なくとも一部を負担するように構成された車輪を含む、請求項2に記載の輸送システム。
【請求項6】
前記車輪は、前記車輪の下端が前記ワゴンの底面よりも高く配置され、前記ワゴンの底面が少なくとも1つの前記進路変更ベルトおよび少なくとも1つの前記進路変更装置に支持されるように構成される、請求項5に記載の輸送システム。
【請求項7】
少なくとも1つの前記加速/減速パスは、前記ワゴンのチャネルと係合するように構成された一連の車輪を含み、前記一連の車輪は、前記加速/減速パスが前記加速パスとして用いられる場合には徐々に増加する速度で回転し、前記加速/減速パスが減速パスとして使用される場合には徐々に減少する速度で回転し、また、前記一連の車輪の各々は、隣接する車輪の速度を増減させるギアリング又はベルト機構によって前記隣接する車輪に係合される、請求項1に記載の輸送システム。
【請求項8】
少なくとも1つの前記進路変更装置と少なくとも1つの前記ラストワンマイル配達車両上の運送領域との各々は、移動軸ローラの配列を組み込んでおり、前記移動軸ローラの回転軸は、前記ラストワンマイル配達車両からのワゴンの積み降ろし中に前記ワゴンの必要な移動方向を得るために前記移動軸ローラを方向付けるように回転可能である、請求項1に記載の輸送システム。
【請求項9】
少なくとも1つの主軌道と、
主軌道の長さに沿って推進されるように構成された複数のワゴンと、
少なくとも1つの主軌道の端部に構成され、前記ワゴンをステーションから前記主軌道に向ける、または前記ワゴンを前記主軌道から前記ステーションに迂回する少なくとも1つの進路変更ベルトと、
前記ステーションから前記ワゴンを加速し、前記加速されたワゴンを前記進路変更ベルトの速度に同期した速度で前記進路変更ベルトに輸送する、または前記ワゴンが前記ステーションに到達するときに前記進路変更ベルトから受け取った前記ワゴンを減速するための少なくとも1つの加速/減速パスと、
複数の前記ワゴンの各々で構成されたセンサからの信号に基づいて、少なくとも1つの前記主軌道、少なくとも1つの前記進路変更ベルトおよび少なくとも1つの前記加速/減速パスの各々を制御し、前記ワゴンを前記ステーションから前記主軌道へ、または前記主軌道から前記ステーションへ移動させる制御ユニットと、を含む、輸送システムであって、
少なくとも1つの前記進路変更ベルトは、前記主軌道の長さに概ね整合した方向に沿って移動するエンドレスコンベアと、前記エンドレスコンベア上に設けられた複数のローラと、を備え、複数の前記ローラの少なくとも一部は、前記エンドレスコンベアの移動方向と直交する軸に沿って選択的に回転するように構成され、前記エンドレスコンベアの移動方向を横切る方向にワゴンを移動させる、輸送システム。
【請求項10】
複数の前記ローラの各々は、専用のモータによって回転され、複数の前記ローラの前記モータは、制御システムに動作可能に係合され、前記制御システムは、複数の前記ワゴンからの信号に基づいて、前記ワゴンの下部ローラを識別し、対応する前記モータを選択的に作動させて前記ワゴンを横方向に動かし、前記ワゴンを前記主軌道と合流するか、前記ワゴンを前記主軌道から迂回させ、前記対応するモータを作動させないことで前記ワゴンを前記主軌道の移動方向に進行させる、請求項9に記載の輸送システム。
【請求項11】
複数の前記ローラの少なくとも一部は移動軸ローラであり、前記移動軸ローラの回転軸は、前記移動軸ローラが前記ワゴンの必要な移動方向を得るために方向付けするよう選択的に回転可能である、請求項9に記載の輸送システム。
【請求項12】
前記ローラは、前記専用のモータ自体からなり、これにより重量及びスペースの要件を低減する、請求項10に記載の輸送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輸送の技術分野に関する。特に、車両を乗り換えることなくユーザのドアツードア移動を可能にする公共交通機関システムに関連している。
【背景技術】
【0002】
本明細書の背景情報は、以下、本開示に関するが、必ずしも先行技術ではない。平均的な人が都市交通で毎日費やす時間は1時間~1.5時間である。バスや電車などの公共交通機関の車両の重量と乗客の重量との比率は大きくなっている。これは、車両の自重によるエネルギーの消費に影響する。地下鉄や電車の場合、通勤者は多くの場合、出発地/目的地と地下鉄/列車の駅との間で車両を変更する必要がある。通常、平均移動速度は、ピーク時の交通渋滞のために非常に遅くなる。線路上の中間駅で地下鉄/列車を複数回停車させると、行程の所要時間はさらに長くなる。
【0003】
従来の輸送モードに必要なインフラは、強固で耐久性のあるものであることが要求される。交通渋滞の問題を解決するために、高架鉄道、高架および/または地下の地下鉄線が建設された。道路上の高架鉄道は、重い負担に耐える必要がある。また、高架鉄道は、利用可能な用地が不足しているため、建設には費用が掛かるうえ概ね複雑になる。経済が発展するにつれて個人のニーズは進化し、多くの個人はプライバシーを必要とし、車両の変更(例えば、ある路線から別の路線への列車の乗り換え)を嫌い、ノンストップの移動を好み、輸送のドアツードアの可用性を求め、また安全性の向上を求める。同時に、輸送システムは、より経済的であれば民衆にさらに受け入れられる。
【0004】
自動運転または無人運転ならびにPRT(パーソナル・ラピッド・トランジット)は最も注目されている研究開発分野の1つであるが、技術が発達するまでに時間がかかるため、そのような車両が近い将来利用可能になる可能性は低い。自動化されたPRTシステムのもう1つの問題は、動的な自動制御に関連しており、システム容量を減少させる前進を必要とする。ロープウェイ、ケーブルカー関連の交通システムは容量及び速度の問題を抱えている。ハイパーループ、「第5の輸送モード」は、驚異的な移動速度を持つように設計されているが、都市内で必要な停止の数及び頻度により、頻繁な加速及び減速に高いエネルギーが必要なため、都市内輸送に利用不可能である。
【0005】
したがって、先行技術に関連する問題を緩和する輸送システムの必要性を感じている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ドアツードアサービスを提供する輸送システムを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、高速、コンパクト、エネルギー高効率、高い信頼性、安心及び安全である大容量輸送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の態様は、いかなる原動力もない複数のワゴンに基づいており、ワゴンと係合し、ワゴンを主軌道に沿って移動させる柔軟な運転を有する主軌道によって移動されるように構成された輸送システムに関する。ワゴンはさらに、ある輸送手段から他の輸送手段へ、通勤者の出発点と目的地との間の継ぎ目のない接続を変更なく提供するために、ラストワンマイル配達車両によって運ばれる。輸送システムには、進路変更ベルト、加速機/減速機軌道、ラストワンマイル配達車両の積み下ろしゾーンを備えた積み替えステーションが含まれており、軌道とラストワンマイル配達車両との間のワゴンを積み替える。
【0009】
一態様では、開示された輸送システムは、複数の主軌道と、それぞれの主軌道の長さに沿って配置された複数のエンドレス(無端)な摩擦係合ドライブベルトと、を有し、複数のエンドレスな摩擦係合ドライブベルトの各々の上面に複数の係合手段を有する。このシステムはさらに、複数のワゴンが主軌道の長さに沿って推進する摩擦係合ドライブベルトと係合する構成を含む。
【0010】
一態様では、係合手段は、摩擦係合ドライブベルトの上面に設けられた摩擦材料である。複数のワゴンは、ワゴンの底面に位置する縦方向に方向付けしたチャネルを含み、このチャネルは、対応する摩擦係合ドライブベルトがチャネルと係合してチャネルと摩擦材料との間に摩擦力を発生させ、摩擦係合ドライブベルトと共にワゴンを移動させる牽引力として作用するように設計される。
【0011】
1つの実施形態では、輸送システムは、ワゴンをステーションから対応する主軌道に導くか、少なくとも1つの進路変更ベルトにより主軌道からステーションに迂回させ、ステーションからワゴンを加速し、加速されたワゴンを進路変更ベルトの速度に同期した速度で進路変更ベルトに搬送するか、ワゴンがステーションに到達するにつれて、進路変更ベルトから受け取ったワゴンを減速するための少なくとも1つの加速/減速パスをさらに含むことができる。
【0012】
1つの実施形態では、輸送システムは、複数のワゴンのうちの少なくとも1つを運び、通勤者の出発点から通勤者の目的地までワゴンと共に移動するように構成された少なくとも1つのラストワンマイル配達車両と、少なくとも1つのラストワンマイル配達車両と少なくとも1つの加速/減速パスとの間でワゴンを輸送するためにステーションに配置された少なくとも1つの進路変更装置と、をさらに含むことができる。
【0013】
1つの実施形態では、輸送システムは、主軌道の各々、少なくとも1つの進路変更ベルト、少なくとも1つの加速/減速パス、複数のワゴンの各々で構成されたセンサからの信号に基づいたラストワンマイル配達車両積み下ろしパッチを制御するユニットを有する制御システムを含むことができ、ワゴンを出発点から通勤者の対応する目的地に移動する。
【0014】
1つの実施形態では、輸送システムは、主軌道の摩擦係合ドライブベルト間及び進路変更軌道と対応する主軌道との間に設けられた複数のシンクロナイザを含むことができる。
【0015】
1つの実施形態では、主軌道は、複数の摩擦係合ドライブベルトに平行な主軌道の長さに沿って位置する少なくとも1つの不動区域を含むことができる。また、ワゴンは少なくとも1つの不動区域上に置かれ、ワゴンの重量の少なくとも一部を負担するように構成された車輪を有する。
【0016】
1つの実施形態では、車輪は、車輪の下端がワゴンの底面よりも高く位置するように構成され、ワゴンの底面が少なくとも1つの進路変更ベルトおよび少なくとも1つの進路変更装置に支持されることを可能にする。
【0017】
1つの実施形態では、加速/減速パスは、ワゴンのチャネルと係合するように構成された一連の車輪を有することができる。車輪は、加速/減速パスが加速パスとして使用される場合、徐々に増加する速度で回転し、加速/減速パスが減速パスとして使用される場合、徐々に減速速度で回転することができる。各車輪は、隣接する車輪の速度を増減させるギアリングまたはベルト機構によって、隣接する車輪に係合することができる。
【0018】
1つの実施形態では、少なくとも1つのラストワンマイル配達車両の進路変更装置およびキャリア領域の各々は、移動軸ローラの配列を有することができる。移動軸ローラの回転軸は、ラストワンマイル配達車両からのワゴンの積み下ろし時に、ワゴンの必要な移動方向を得るための移動軸ローラを方向づけるために回転することができる。
【0019】
1つの実施形態では、進路変更ベルトは、主軌道の長さと概ね整列した方向に沿って移動するエンドレスコンベアと、エンドレスコンベア上に設けられた複数のローラと、を含むことができる。ローラの少なくとも一部は、エンドレスコンベアの移動方向に対して垂直方向の軸に沿って選択的に回転するように構成され、ワゴンをエンドレスコンベアの移動方向に対して横方向に移動させる。
【0020】
1つの実施形態では、複数のローラは、専用のモータによって回転させることができ、ローラのモータは、制御システムに動作可能に係合することができる。制御システムは、複数のワゴンからの信号に基づいて、ワゴン下部のローラを識別し、対応するモータを選択的に作動させてワゴンを横方向に移動させ、ワゴンを主軌道と合流するか、ワゴンを主軌道から迂回させるか、または対応するモータを動作させないことによってワゴンが主軌道の移動方向に進むように構成することができる。
【0021】
1つの実施形態では、ワゴンの必要な移動方向を得るために、移動軸ローラの回転軸を選択的に回転させて移動軸ローラを方向付けることができるように、複数のローラの少なくともいくつかを移動軸ローラとすることができる。
【0022】
本発明の主題の様々な目的、特徴、態様及び利点は、好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、同様の数字が同様の構成要素を表す添付の図面とともにより明らかになる。
【0023】
添付の図面は、本開示のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する。図面は、本開示の例示的な実施形態を示し、説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立てる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1A】本開示の実施形態による、開示された輸送システムの例示的なシステム図を示す。
【
図1B】本開示の実施形態による、開示された輸送システムのステーションの概略図を示す。
【
図2A】本開示の実施形態によるワゴンの例示的な透視図を示す。
【
図2B】本開示の実施形態によるワゴンの例示的な正面図を示す。
【
図3A】本開示の実施形態による主軌道の例示的な透視切断図を示す。
【
図3B】本開示の実施形態による、
図3Aの主軌道の複数の摩擦係合ドライブベルトの例示的な配置を示す。
【
図3C】本開示の実施形態による進路変更ベルトの例示的な透視図を示す。
【
図3D】本開示の実施形態による加速機/減速機軌道の例示的な透視切断図を示す。
【
図4A】本開示の実施形態による、ワゴンなしのラストワンマイル配達車両の例示的な透視図を示す。
【
図4B】本開示の実施形態による、ワゴンありのラストワンマイル配達車両の例示的な透視図を示す。
【
図5】本開示の実施形態によるラストワンマイル配達車両積み下ろしゾーン及び停止ゾーンを有するステーションの例示的な上面図を示す。
【
図6】本開示の実施形態による、開示された輸送システムの主軌道の例示的な旋回パッチを示す。
【
図7A】本開示の実施形態による移動軌道の故障の例示的な場合を示す。
【
図7B】本開示の実施形態による、あらゆるタイプの障害に対処するために構成された輸送システムの例示的な構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下は、添付の図面に描かれた本開示の実施形態の詳細な説明である。実施形態は、本開示を明確に伝えるような詳細である。しかしながら、提供される詳細の量は、実施形態の予想される変化を制限することを意図するものではない。それどころか、意図は、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の精神および範囲内に入るすべての修正、均等物、および代替物を含むものである。
【0026】
本明細書で説明する実施形態は、あらゆる原動力を伴わない複数のワゴンに基づいており、ワゴンと係合し、主軌道に沿ってワゴンを移動させる摩擦係合ドライブベルトを有する主軌道によって移動されるように構成された輸送システムに関する。さらに、このワゴンを通勤者の出発点と目的地との間で、ラストワンマイル配達車両によって継ぎ目のない接続により運ぶことができる。輸送システムには、進路変更ベルト、加速/減速軌道、ラストワンマイル配達車両積み下ろしゾーンを備えた積み替えステーションが含まれており、軌道とラストワンマイル配達車両との間のワゴンを積み替える。
【0027】
ここで、輸送システムの異なる態様が開示されている
図1A~
図7Bを参照すると、輸送システム100は、複数の主軌道102(移動軌道または単に軌道とも呼ばれ、後に本明細書で互換的に使用されるこれらの用語のすべて)であって、主軌道102の長さに沿って配置された複数のエンドレスな摩擦係合ドライブベルト302(
図3Aを参照)を有する、主軌道102と、主軌道102の長さに沿って推進および移動されるための摩擦係合ドライブベルト302に係合するように構成される複数のワゴン110と、を含む。したがって、ワゴン110は、主軌道102に沿って移動するためのICエンジンやモータなどの原動力がないことが特徴であり、主軌道102は、摩擦係合ドライブベルト302を介してワゴン110に必要な牽引力を提供する。
【0028】
一態様において、摩擦係合ドライブベルトの係合手段は、摩擦係合ドライブベルト302の外側面に設けられた摩擦材料304(
図3Aを参照)とすることができる。ワゴン110は、ワゴン110の底面に位置する縦方向に方向付けしたチャネル206(
図2Aおよび
図2B参照)を含むことができる。チャネル206は、対応する摩擦係合ドライブベルト302がチャネル206と係合してチャネル206と摩擦材料304との間に摩擦力を生成し、摩擦係合ドライブベルト302と共にワゴン110を移動させる牽引力として作用することができるように設計することができる。
【0029】
輸送システム100はまた、ワゴン110を主軌道102から合流又は迂回させる少なくとも1つの進路変更ベルト104と、ワゴン110を加速し、進路変更ベルト104の速度に同期した速度で加速したワゴンを進路変更ベルト104に搬送するための少なくとも1つの加速/減速パス106とを含むことができ、あるいは進路変更ベルト104から受け取ったワゴン110を減速させる。一態様では、進路変更ベルト104および加速/減速パス106はまた、ワゴン110自体による牽引努力なしにワゴン110を所望の方向に移動させるように構成されている。
【0030】
1つの実施形態では、
図1Bに示すように、進路変更ベルト104は、その機械的構成を適切に構成することにより、スプリッタベルト104b(以下、スプリッタサイディングとも呼ばれ、互換的に用いられる2つの用語)または合流ベルト104a(以下、合流サイディングとも呼ばれ、互換的に用いられる2つの用語)の機能性について大きな変更なく構成することができる。同様に、加速/減速パス106は、その機械的構成に大きな変更を加えることなく、加速軌道106a(以下、加速パスとも呼ばれ互換的に用いられる2つの用語)または減速軌道106b(以下、減速パスとも呼ばれ互換的に用いられる2つの用語)を構成することができる。
【0031】
1つの実施形態では、交通システム100は、通勤者の起点(発信元/発信元の位置および以下、互換的に使用される用語をいう)から、通勤者の目的地(目的地点および以下、互換的に使用される用語をいう)まで、そのユーザにラストワンマイル配達車両の接続を提供する手段をさらに含むことができる。この手段は、少なくとも1つのラストワンマイル配達車両の接続車両400(
図4Aおよび
図4B参照)を含み、ステーション150(
図5参照)と目的地または起点との間の輸送システム100の利用者(通勤者とも呼ばれる)に1つ以上のワゴン110を運ぶことができる。ある態様では、ユーザはワゴン110に搭乗するためにラストワンマイル配達車両400から降りる必要はなく、代わりにラストワンマイル配達車両400は、ユーザがその中に座った状態でワゴン110自体を運ぶように構成される。したがって、提案された交通システム100は、出発点と目的地との間の通勤者に継ぎ目のない移動手段を提供し、それによってドアツードア接続を提供する。
【0032】
図1Bに示す実施形態では、提案された輸送システムのステーション150の構成が開示されており、ステーション150などの複数のステーションを102ネットワーク上の所定の位置に設けることができる。ステーション150は、通勤者のそれぞれの出発点から入ってくるワゴン110を受信すること、ワゴン110を主軌道102からユーザのそれぞれの目的地の行程へ降ろすこと、および通勤者がラストワンマイル配達車両400のサービスを使用せずにステーション150で自らワゴンから降りることを可能にすることのいずれか、または組み合わせた機能を提供するように構成することができる。
【0033】
図1Bに示すように、ステーション150は、ワゴン110を他の場所からステーション150に運び、ワゴン110をステーション150から他の場所に搬送するように構成された主軌道102を含むことができる。ステーション150は、対応する通勤者が降りた後のワゴン110、またはラストワンマイル配達車両400から受け入れたワゴンが、軌道102上のワゴンの流れに合流することを可能にするように、またそれだけでなく、ワゴン110が、通勤者が降りるために、またはラストワンマイル配達車両400に載せるために、軌道102上のワゴン110の流れから分岐することを可能にするように構成することができる。このために、ステーション150は、軌道102上のワゴンの流れと合流する必要があるワゴン110を加速するための加速機パス106aと、他の場所からステーション150に来ているワゴン110を減速するための減速機パス106bと、を含むことができる。ステーションはさらに、加速機パス106aと主軌道102との間に位置付けられる合流ベルト104a、および減速機軌道106bと主軌道102との間に位置するスプリッタベルト104bなどの進路変更ベルト104を含む。
【0034】
図1Bに示すように、輸送システム100のステーション150に、加速機パス106aと減速機パス106bとの間に位置するワゴン110の停止ゾーンを含むことができ、これは、到着ワゴンおよび出発ワゴンの駐車に使用することができる。停止ゾーンは、ステーション150のそれぞれの位置にワゴン110の位置決めを適切な方法で可能にするために、進路変更ベルト104および加速/減速パス106と共に構成された少なくとも1つの進路変更装置114とすることができ、後の段落で説明するように、進路変更装置114は、個々のワゴン110を任意の方向に移動させる機能を有する。
【0035】
1つの実施形態では、
図1Aに示すように、輸送システム100は、ワゴン110の各々で構成されたセンサからの信号に基づいて、主軌道102、進路変更ベルト104、加速/減速パス106、進路変更装置114の各々を制御する集中制御及び個別制御ユニットを有する制御システム160をさらに含むことができる。制御システム160の集中制御は、それぞれの集合体/構成要素を制御することにより、対応する進路変更ベルト104、加速/減速パス106、進路変更装置114を適切に作動させ、各通勤者の出発点から対応する目的地位置へのワゴン110の移動を可能にすることができる。1つの実施形態では、中央制御をサーバに具現化することができ、始動、停止、緊急ブレーキの適用などに機能させることができる。別の実施形態では、集合体/構成要素を制御する個別制御ユニットを、集合体/構成要素自体に配置することができる。
【0036】
1つの実施形態では、開示された搬送システム100の制御システム160は、集中制御に加えて、ワゴン110からの信号を介して、ワゴン110間の直接通信に基づいて動作することができるローカル制御システム、および主軌道102、進路変更ベルト104、加速/減速パス106、進路変更装置114などの他の集合体/構成要素を含むことができる。信号に基づいて、主軌道102、進路変更ベルト104、加速/減速パス106、進路変更装置114の各々の制御ユニットは、それぞれの目的地に至る所望のパスに沿ってワゴン110を移動させることができる。
【0037】
1つの実施形態では、主軌道102のネットワークは、軌道102の異なる速度を有するゾーンを含むことができる。1つの実施形態では、第1のゾーンは、時速30kmの速度を有することができ、第2のゾーンは、時速60kmの速度を有することができ、第3のゾーンは、時速90kmの速度を有することができ、第4のゾーンは、時速120kmの速度を有することができる。
【0038】
図2A及び
図2Bは、ワゴン110の透視図及び正面図を示す。ワゴン110は、1人以上のユーザを収容するための推進力をもたない、受動的な軽量キャビンである。ワゴン110は、キャビンの重量を最小限に抑えながら、1人または2人の平均的な大人およびその持ち物の体重を支持するように構成される。ワゴン110は、特に加速、減速、荷重、横方向の変位などの間に、その上に加わる様々な力に対して安定するようになっている。ワゴン110はまた、軌道102に沿って推進されるために軌道102の摩擦係合ドライブベルト302と係合することができる底面側に位置する1つ以上のチャネル206を含むことができる。ワゴン110の各々に特別な固有の識別装置を設けて、輸送システム100上でその位置を識別し、その識別および位置を制御システム160、または異なる集合体/構成要素の制御ユニットが使用して、輸送システム100上の他の集合体/構成要素を制御して、ワゴン110をそれぞれの出発点と対応する目的地との間で移動させることができる。識別装置はまた、スキャナシステム(QRコード(登録商標)、スマートカードなどのグループから選択)を介して乗客の目的地情報を受信し、保存することができる。識別装置はまた、制御システム160を介して、または直接、ラストワンマイル配達車両400、停止ゾーン内の進路変更装置114、アクセル/減速パス106、進路変更ベルト104および主軌道102のような他の集合体/構成要素に目的地情報を送信する能力を有することができる。
【0039】
1つの実施形態では、ワゴン110は、移動または支持される軌道102およびステーション150から受電するように構成することができ、これらは、進路変更ベルト104、進路変更装置114、加速機/減速機パス106およびラストワンマイル配達車両400を含む。ワゴン110には、上述したように受電した電力により充電可能なバッテリを設けることもでき、さらに、ワゴン110内に設置された集中型視聴覚情報や注意喚起装置、乗員の個人機器、換気扇等への電力供給に利用することができる。
【0040】
1つの実施形態では、ワゴン110は、救急車ワゴン、貨物ワゴン、貨物、ならびに乗客車両構成のようなあらゆる形態で利用可能にすることができる。また、ワゴン110の前輪202及び後輪204には、分岐サイディング104b/合流サイディング104aと主軌道102との円滑な移動を容易にするための衝撃吸収サスペンションを設けることができる。
【0041】
図3Aは、主軌道102の推進機構を示す主軌道102の透視切断図を示す。推進機構は、軌道102の長さに沿って敷設された複数の摩擦係合ドライブベルト302を含む。各摩擦係合ドライブベルト302は、チェーンなどの接続されたリンクを含むエンドレスフレキシブルエレメントに基づいて、所望の柔軟性を提供することができる。摩擦係合ドライブベルト302は、摩擦係合ドライブベルト302の長さに沿った複数の係合手段を含むことができる。ある態様では、係合手段は摩擦係合ドライブベルト302のリンクの外側面に設けられた摩擦材料304でなり得る。摩擦材料304は、チャネル206と摩擦材料304との間に摩擦力を発生させ、ワゴン110の底面でチャネル206と係合して、摩擦係合ドライブベルト302と共に動かす牽引力として作用する。
【0042】
摩擦係合ドライブベルト302は、複数のアイドラーローラ312に巻き付けることができ、
図3Aに示すように、モータ308に係合された少なくとも1つのローラを介してモータ308によって駆動することができる。また、摩擦係合ドライブベルト302の弛み側には、少なくとも1つのテンショナースロット付きローラを設けることができる。主軌道102はさらに、平行に走る摩擦係合ドライブベルト302のいずれか一方または両側に位置する少なくとも1つの不動区域310を有することができる。シンクロナイザ機構306は、
図3Bに示すように、隣接する摩擦係合ドライブベルト302の駆動手段間に設けられ、それらが、1つの摩擦係合ドライブベルト302から次の摩擦係合ドライブベルト302へのワゴン110の急な動きのない移行のために同じ直線速度で移動することを保証することができる。シンクロナイザ機構306はまた、負荷条件の変化によるフレキシブルな駆動の任意の速度偏差を補償するように作用することもできる。1つの実施形態では、シンクロナイザは、任意の集合体/構成要素の制御ユニットから、または隣接する摩擦係合ドライブベルト302が異なる速度または同じ速度で移動することを選択的に可能にする制御システム160から作動指令を受け取ることができるクラッチ機構を含むことができる。別の実施形態では、シンクロナイザの機能は、それぞれの摩擦係合ドライブベルト302の回転速度を監視し、関連するモータ308の速度をデジタル的に制御することができる。
【0043】
1つの実施形態では、ワゴン110の車輪202、204および軌道102の少なくとも1つの不動区域310は、車輪202、204および少なくとも1つの不動区域310の各々の最下部において、ワゴン110の底面よりも高く位置するように構成することができる。これにより、ワゴン110の底面が輸送システム100の他の集合体、すなわち車輪202および204がそれぞれの集合体に干渉することなく進路変更ベルト104を有する進路変更装置114と接触することを可能にするが、ワゴン110が主軌道102に沿って移動しているときに車輪202、204が不動区域310上を転がることを可能にする。別の実施形態では、車輪202および204は、不動区域310が車輪202および204を介してワゴン110の部分荷重のみを負担するようにワゴン110と共に構成することができ、残りの重量は摩擦係合ドライブベルト302によって負担され、これはワゴン110の牽引に十分な摩擦力を提供するのに十分である。したがって、移動軌道102を駆動するモータの全体的な定格負荷を必要な容量とし、これにより移動要素の重量が低減される。
【0044】
図3Cは、複数のローラ354の配列を有する移動エンドレスコンベア352を有する進路変更ベルト104の透視図を示す。複数のローラ354の各々は、エンドレスコンベア352の移動方向と整列した軸に沿って回転するように構成することができ、ワゴン110をエンドレスコンベア352の移動方向に対して横方向に移動させることができる。他の実施形態では、複数のローラ354の各々は、エンドレスコンベア352の移動方向に対して横方向にワゴン110を移動させるために、エンドレスコンベア352の移動方向と整列した軸に沿って回転するように構成される。ローラ354の可動軸構成は、ローラ354の回転軸をコンベア352の移動方向に対して垂直に方向付けて、その後、一方向または他の方向に回転させて、その上に支持されるワゴン110の速度を増減させることができる。1つの実施形態では、ローラの外側面が可動軸構成を有する場合、ワゴン110の底面とローラ354との間より小さい接触面積を提供することによって、過度の摩擦および摩耗なしにローラの軸の回転を可能にする凸形状を有することができる。
【0045】
1つの実施形態では、ローラ354は、専用のモータによって回転させることができ、複数のローラ354のモータは、制御システム160に動作可能に係合することができる。制御システム160は、ワゴン110からの信号に基づいて位置を確認し、ワゴン110の下部ローラ354を識別し、対応するモータを選択的に作動させてワゴン110を横方向に移動させ、加速機軌道106aを介して受信したワゴン110を主軌道10と合流するように構成することができ、または、受信したワゴン110を主軌道102から減速軌道106bに迂回させる。ローラ354はまた、対応するモータを作動させないことによって、ワゴン110が主軌道102の移動方向に進行することを可能にするための静止状態に保たれてもよい。
【0046】
1つの実施形態では、ローラ354を回転させるための専用のモータをローラ自体の内部に組み込むことができ、これはすなわち、ローラ354の重量、スペースの消費を低減するためにモータ自体で構成することができる。例えば、モータの外側ケーシングは、モータのロータとして構成することができ、さらにローラの円筒面の機能性を提供するように構成することができる。同様に、ローラ402(
図4参照)およびローラ502(
図5参照)も、共通性および品種の低減のために専用のモータで構成することができる。
【0047】
1つの実施形態では、ローラ354を専用のモータによって回転させることができ、複数のローラ354のモータは、ワゴン110からの信号に基づいてワゴン110の特定の位置として作動させることができ、ワゴン110下部のローラ354を識別し、対応するモータを選択的に作動させてワゴン110を横方向に移動させ、加速機軌道106aを介して受信したワゴン110を主軌道102と合流するよう作動させることができる。または、受入れしたワゴン110を主軌道102から減速軌道106bに迂回させる。ローラ354はまた、ワゴン110が主軌道102の移動方向に進行することを可能にするために、対応するモータを作動させない静止状態に保たれてもよい。
【0048】
別の実施形態では、ローラ354は、ワゴン110からの信号のみに基づいて作動させることができ、これは、システムを高速にし、制御システム160の通信負荷を軽減し、制御システム160からの干渉なしにローカル制御として機能する。
【0049】
1つの実施形態では、進路変更ベルト104は、動力を与えることができる第1のローラセット354と、動力を与えないローラとすることができる第2のローラセット354と、を有することができる。進路変更ベルト104は、シンクロナイザ機構306などのシンクロナイザを設けるなどして、主軌道102と同じ速度で回転するように構成してもよい。
【0050】
さらに別の実施形態では、進路変更ベルト104は、ローラ354の代わりに自動選別機を有することができる。
【0051】
図3Dを参照すると、加速機/減速機パス106は、ワゴン110の速度をゼロから所定の速度に、またはその逆に、所定の速度が主軌道102と同じ速度になるよう上昇または減少させるように構成される。別の実施形態では、加速機パス106aは、ワゴン110の速度を第1の所定速度から第2の所定の速度まで上昇させるように構成され、減速パス106bは、ワゴン110の速度を第2の所定の速度から第1の所定の速度に導くように構成されている。1つの実施形態では、加速機/減速機パス106は、加速機パス106aまたは減速機パス106bとしての用途に応じて、徐々に増加または減少する速度で回転する一連の車輪356を含む。一連の車輪356の各々は、隣接する車輪356の速度を減少または増加させるギアリングまたはベルト機構358によって、隣接する車輪356に係合することができる。加速機/減速機パス106は、駆動モータを含むことができる。車輪356は、ワゴン110のチャネル206と係合するように構成することができ、ワゴン110の加速または減速中にワゴン110と加速機/減速機パス106との間の力の伝達を可能にする。1つの実施形態では、車輪356は、摩擦力を発生させるために車輪356の外側に設けられた摩擦材料を含み、ワゴン110の底面におけるチャネル206と係合するように構成することができる。別の実施形態では、加速機/減速機パス106はまた、不動区域310と同様の少なくとも1つの不動区域も含み、それに平行に走る一連の車輪356のいずれか一方または両側に位置するワゴン110の車輪202および204は、不動区域に載ってワゴン110を部分的に支持することが可能である。
【0052】
1つの実施形態では、減速機パス106bは、ワゴン110から運動エネルギーを回収し、後で使用するためにこれを貯蔵することができる回生減速機とすることができる。
【0053】
本開示のラストワンマイル配達車両400は、
図4A及び
図4Bに例示されるように、複数のワゴン110のうちの1つ以上を通勤者と共にそれらの起点から進路変更装置114を介して主軌道102上のワゴンの流れと合流させるステーション150まで輸送する、または、ワゴン110をステーション150から運ぶために、それらが主軌道102から受入れて仕分けされた後、目的地の場所へ搬送するように構成される人間による運転車両とすることができる。ラストワンマイル配達車両400の搬送エリアは、ラストワンマイル配達車両400の側面からワゴン110を積み降ろしするためのラストワンマイル配達車両400の縦方向に横切る方向、または、ラストワンマイル配達車両400の後方側からワゴン110の積み降ろしを行うラストワンマイル配達車両400の縦方向に平行な方向など、任意の方向へのワゴン110の移動を可能にするために、複数の可動軸ローラ402の配列を組み込むことができる。ローラ402、ローラ354およびローラ502(
図5参照)は、共通性および品種の減少のために同一であり得ることを理解されたい。
【0054】
1つの実施形態では、運転者を各ラストワンマイル配達車両400に割り当てることができる。別の実施形態では、ラストワンマイル配達車両400は、人工知能を用いて可能となった自動運転モードで移動するように構成された自律車両とすることができる。ラストワンマイル配達車両400は、予め定義された制限速度、例えば、時速25kmを有し得る。
【0055】
図5は、ステーション150のさらなる詳細を示し、ステーション150は、ワゴン110のラストワンマイル配達車両400を積み降ろしするためのラストワンマイル配達車両積み降ろしゾーン112と、ラストワンマイル配達車両の接続のためにラストワンマイル配達車両400を利用することを望まない通勤者をワゴン110に降車または乗車させることを可能にするプラットホーム504を有する停止ゾーン108と、を有する。進路変更装置114は、ワゴン110を減速機パス106bからラストワンマイル配達車両積み降ろしゾーン112または停止ゾーン108へ移動させるため、およびワゴン110をラストワンマイル配達車両積み降ろしゾーン112または停止ゾーン108から加速機パス106aに向かって移動させ、ワゴン110の必要な移動方向を得るために回転軸を配列して制御することができる移動軸ローラ502を有することができる。この場合も、進路変更ベルト104のローラ354の場合と同様に、可動軸ローラ502の各々は、ローラ502の回転軸の選択的回転のために、またはワゴン110からの信号に基づいて直接、制御システム160に動作可能に係合され、ローラ502の上に載っている識別済みのワゴン110および識別済みのワゴン110の目的地に基づいてローラ502を回転することが可能である。
【0056】
移動軌道102の旋回パッチ11を
図6に示す。旋回パッチ11は、カーブの始点にある減速機パス106bと、旋回パッチ11のカーブの端部にある加速機パス106aと、を含むことができる。1つの実施形態では、直線移動軌道102沿いのワゴンの速度が時速60kmであり、減速機パス106bは、旋回パッチ11に入るワゴンを、例えば時速60kmから時速30kmまで減速するように構成され、加速機パス106aは旋回ワゴン11を出るワゴン110を、例えば時速30kmから時速60kmまで加速するように構成することができる。旋回パッチ11は、少なくとも1つの旋回パッチセグメント11aをさらに備えている。さらに、1つの実施形態では、パッチ11は、旋回パッチ11の曲線の出入口にそれぞれ分岐サイディング104bと合流サイディング104aとを有する、複数の並列の旋回パッチセグメント11a、lib等を有する。複数の旋回パッチセグメントを設けることにより、旋回中の安全性を提供するために旋回に沿った移動速度が低減される一方で、同じ全体的なワゴン流量が確保できることを保証する。
【0057】
ある線路のある故障の例示的なケースを
図7A及び
図7Bにより示し、ここで、ステーションN1、N1、N3、…N6は通常のステーションであり、Xはクラッシュやフレキシブルエレメントチェーンの破損/故障などの望ましくない偶発的な状況が発生したポイントである。ステーションS1は、より高い容量と2つの特別な主軌道兼減速機軌道MD1、MD2および2つの進路変更ベルトDP1、DP2を有する特別なステーションの一例である。ステーションS2は、より大容量で1つの特別な主軌道兼減速機軌道MA1を備えた特別なステーションの一例である。第1の主軌道兼減速機軌道MD1は、緊急時に減速機パス(例えば、時速60km~時速45km)として作動する能力を有するように構成され、通常の場合には、第1の主軌道兼減速軌道MD1は、主軌道として作動するように構成される。第2の主軌道兼減速機軌道MD2は、緊急時に減速パス(例えば、時速60km~45km)として機能するように構成されており、通常の場合には、第2の主軌道兼減速軌道MD2が主軌道として機能する。なお、分岐を提供する目的は、到着ワゴン間に所定のギャップを有することであり、主軌道兼加速機軌道MAIは、緊急時に加速機パス(例えば、時速45km~時速60km)として機能する能力を有するように構成され、通常の場合には主軌道兼アクセラレーター軌道MA1は、主軌道として機能することができる。第1進路変更ベルトDP1はワゴンを分岐するように構成され、第2進路変更ベルトDP2はワゴンを合流するように構成されている。
【0058】
ステーションS1では、緊急時に
図7Bに示す避難区域(EZ)にブレーキがかかる。緊急時には、分岐サイディングのワゴンは安全に「避難ゾーン」(EZ)に入り、次の瞬間から他のワゴンは分岐を開始する。
【0059】
ステーションS2では、緊急時に
図7Bに示す避難区域(EZ)にブレーキがかかる。緊急時には、分岐サイディングのワゴンは避難ゾーン(EZ)から安全に出て、次の瞬間から他のワゴンは分岐を開始する。
【0060】
あるいは、動力ローラ(図には示されていない)をワゴン110に取り付けることができる。取り付けられた動力ローラは、ワゴン110を任意の方向に移動させることができ、これらのローラはデジタル制御することができる。合流サイディング104a及び分岐サイディング104bに摩擦係数の高いプレーンベルトを設けることにより、合流サイディング104a及び分岐サイディング104bに動力ローラを設けることができる。ワゴン110の動力ローラは、分岐/合流しながら必要な方向に移動することができる。インターチェンジステーション150は、ワゴン110がサイディング運動自体を行うことができるようにプレーンベルトを有することができ、ワゴン110のサイディング運動は、センサを使用して誘導されながらデジタル的に制御することができる。また、ワゴン110の動力ローラを用いてワゴン110をラストワンマイル配達車両400上に移動させることができる。
【0061】
1つの実施形態では、制御システム160の集中制御は、機能を監視するための監視システムをサーバ上に具体化することができ、集中制御は、以下、「中央制御監視サーバ」と呼ばれる。様々なタイプの装置を、異なる集合体/構成要素、すなわち、主軌道102、進路変更ベルト104、加速機/減速機パス106に取り付けることができ、ワゴン110のリアルタイム位置、ワゴン110の速度、ワゴン110の向き、摩耗や損傷またはその他ダメージなどの部品の状態、モータ状態、ブレーキ状態、RPM情報、異物、負荷条件などを「中央制御監視サーバ」に提供する。
【0062】
1つの実施形態では、異なる集合体/構成要素に設置された装置から受信したデータを、ワゴン110の各々の位置の検出、ステーションの群衆管理、空のワゴン110の他のステーションへのルート変更/管理、ラストワンマイル配達車両の予約、緊急事態警報、様々な線路上のワゴンの量などに使用することができる。
【0063】
1つの実施形態では、異なる集合体/構成要素に設置された装置は、電子デバイス、カメラ、コンピュータ、サーバ、センサ又は処理ユニットのいずれか又は組み合わせであり得る。これらのデバイスは、非常に短い待ち時間で有線またはワイヤレス接続を介して他のデバイスとデータを送受信することができる。
【0064】
1つの実施形態では、「中央制御監視サーバ」は、主軌道102のモータ、進路変更ベルト104のローラの専用のモータ、加速/減速パス106のモータ、進路変更装置114のローラの専用のモータ、および影響のある箇所に対して緊急時にブレーキを適用する能力を有する構成とすることができる。
【0065】
1つの実施形態では、「中央制御及び監視サーバ」は、コンピュータ、センサ、電子デバイス、無線または有線で様々な構成要素を制御することができるコンピュータで構成することができる。
【0066】
上記では本発明の様々な実施形態について説明しているが、本発明の他のさらなる実施形態は、その基本的な範囲を逸脱することなく考案され得る。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。本発明は、記載された実施形態、解釈または実施例に限定されるものではなく、当業者が利用可能な情報および知識と組み合わせて本発明を製造および使用することを可能にするために含まれる。
【0067】
[発明の効果]
本明細書で上記に記載した本開示は、ドアツードアサービスを提供する輸送システムの実現を含むが、これらに限定しないいくつかの技術的利点を有する。
【0068】
本開示は、高速、コンパクト、高いエネルギー効率、高い信頼性、確実及び安全な大容量輸送システムを提供する。
【国際調査報告】