(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】物体の光学撮像および測定のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/27 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
G01N21/27 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567719
(86)(22)【出願日】2021-01-13
(85)【翻訳文提出日】2022-08-15
(86)【国際出願番号】 IL2021050041
(87)【国際公開番号】W WO2021144795
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522281051
【氏名又は名称】ピーエックスイー コンピュテーショナル イメージング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】バーラツキー,ヨアフ
(72)【発明者】
【氏名】ハイニック,ヤニール
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB08
2G059EE01
2G059EE02
2G059FF02
2G059GG01
2G059JJ11
2G059KK04
2G059LL01
2G059MM01
(57)【要約】
撮像、物体の測定、およびサンプルの特徴付けのためのシステムおよび方法が提供される。光学スペックルベース撮像システムは、サンプルを照らすための少なくとも1つのコヒーレント光源を含む照明部と、サンプルからの入力光を収集するための収集部であって、撮像光学系および波面撮像センサからなる収集部と、入力光を分析してスペックル波面画像を生成するように照明部および収集部に結合される制御部と、を備え、少なくとも1つのコヒーレント光源は、サンプル内またはその上に一次スペックルを生成し、撮像光学系は、サンプル内またはその上に照明部によって引き起こされる二次スペックルパターンを捕捉する。
【選択図】
図2a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学スペックルベース撮像システムであって、
サンプルを照らすための少なくとも1つのコヒーレント光源を含む照明部と、
前記サンプルからの入力光を収集するための収集部であって、撮像光学系および波面撮像センサからなる収集部と、
前記照明部と前記収集部とに結合され、前記入力光を分析し、スペックル波面画像を生成するための制御部と、を備え、
前記少なくとも1つのコヒーレント光源は、前記サンプル内またはその上に一次スペックルを生成し、前記撮像光学系は、前記サンプル内またはその上に前記照明部によって引き起こされる二次スペックルパターンを捕捉する、システム。
【請求項2】
前記照明部の射出瞳は、前記撮像光学系の入射瞳よりも小さい、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御部は、前記射出瞳のサイズ、前記入射瞳のサイズ、およびそれらの間の関係のうちの少なくとも1つに影響を与える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコヒーレント光源は、(1)前記サンプルの光拡散長および(2)前記サンプルの表面粗さのうちの少なくとも1つよりも大きい時間的コヒーレンス長を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コヒーレント光源は空間的コヒーレンス長を有し、前記収集部は、点像分布関数の空間的コヒーレンス長を有し、前記サンプルに投影された前記コヒーレント光源の前記空間的コヒーレンス長は、前記撮像光学系を介して前記サンプルに投影された前記収集部の前記点像分布関数の前記空間的コヒーレンス長よりも大きい、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記照明部の光学特性および前記収集部の光学特性は、前記サンプル上の撮像されるすべての点について、前記サンプル上の任意の点から見た前記照明部の光学アパーチャによって定められる角度よりも大きい、前記サンプル上の同じ点から見た前記収集部の光学アパーチャによって定められる角度を形成するように選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記照明部は、照明角度を定める照明アパーチャを有し、前記収集部は、収集角度を定める収集アパーチャを有し、前記制御部は、前記照明部にさらに結合されて、前記照明光学特性に影響を与え、さらに、前記収集光学特性に影響を与えて前記サンプル上の任意の点から見た収集角度を形成し、前記収集角度は、前記サンプル上の前記撮像されるすべての点について、前記サンプル上の同じ点から見た前記照明角度よりも大きい、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記収集部は、スペックル強度、スペックル波面、およびスペックルコヒーレンスのうちの少なくとも1つを示すデータを測定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記照明部は、インコヒーレント光源をさらに含み、前記制御部は、インコヒーレント照明に応答して光照射野像を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御部は、前記照明部を動作させて、コヒーレント光およびインコヒーレント光を選択的に提供する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記照明部は、インコヒーレント光源をさらに含み、前記制御部は、前記インコヒーレント光の空間的コヒーレンス長が前記収集部の前記撮像光学系の空間的コヒーレンス長よりも短くなるように前記照明部のアパーチャを動作させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記波面撮像センサは、複数の同様のユニットセルを有するエンコーダと、前記波面撮像センサを通る入力光の全体的な伝播方向に関して前記ユニットセルの下流にある距離を置いて位置するセンサセルのアレイとを含む、
プレノプティックカメラ、
光照射野カメラ、
シャックハルトマン波面センサ、および
コヒーレンスカメラ波面センサからなる群のうちの1つであり、前記センサセルのアレイは、複数のサブアレイユニットセルを画定し、各サブアレイは、前記エンコーダの前記複数のユニットセルのうちの1つのユニットセルに対応し、各サブアレイは、所定の数のセンサ要素を含み、前記エンコーダは、前記エンコーダの各ユニットセルが、そこに入射する入力光の一部を、それに対応するサブアレイユニットセルおよび所定の近接領域内の1つ以上の近隣のサブアレイユニットセルに方向付けるように入力光に所定の変調を適用し、前記所定の数Mは、前記所定の近接内の所定の数のサブアレイユニットセルに従って決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記照明部は、コヒーレント光、部分的コヒーレント光、およびインコヒーレント光からなる群のうちの少なくとも1つの光を提供し、
前記照明部は、変化する光学特性のセットとして光をさらに提供し、前記光学特性は、選択された波長範囲、選択された時間的コヒーレンス範囲、選択された照明方向からなる群からのものであり、
前記制御部は、強度マップ、波面マップ、およびコヒーレンスマップからなる群のうちの1つ以上を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
撮像方法であって、
コヒーレント光でサンプルを照らすことと、
撮像光学系および波面撮像センサからなる収集部によって、前記サンプルからの入力光を捕捉することと、
前記収集部に結合された制御部によって、前記入力光を分析し、スペックル波面画像を生成することと、を含み、
少なくとも1つのコヒーレント光源は、前記サンプル内またはその上に一次スペックルを生成し、前記撮像光学系は、前記サンプル内またはその上に前記照明部によって引き起こされる二次スペックルパターンを捕捉する、方法。
【請求項15】
前記照明部の射出瞳のサイズは、前記撮像光学系の入射瞳のサイズよりも小さい、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記制御部は、前記射出瞳のサイズおよび前記入射瞳のサイズのうちの少なくとも1つ、およびそれらの間の関係に影響を及ぼす、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記サンプルからの少なくとも1つの追加の入力光を捕捉および分析し、少なくとも1つの追加のスペックル波面画像を生成することと、前記スペックル波面画像および前記少なくとも1つの追加のスペックル波面画像に基づいてサンプル変形を計算することと、を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
サンプル変形を計算することは、スペックル波面画像の1つ以上の対の間の局所的な傾きの変化を決定することによって実行される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
時空間変形マップの時間シーケンスを計算することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、前記サンプル内の特定の関心領域を選択すること、
前記時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、前記サンプルとサンプルの周囲を区別すること、
前記時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、前記サンプルの全体的な動きと局所的な変形または振動を区別すること、
前記時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、空間セグメンテーションを実行すること、
前記時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、時間セグメンテーションを実行すること、
前記時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、音響信号を抽出すること、
前記時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、バイオメトリックパラメータを測定すること、
前記時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、機械的振動モードをマッピングすること、からなる群のうちの少なくとも1つのステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
空間的にインコヒーレントな光および周囲光のうちの少なくとも1つで顔またはその一部を照らすことと、
インコヒーレントな波面画像を捕捉することと、
2次元(2D)強度画像および深度マップを計算することと、
一意の3次元(3D)顔認識データを抽出することと、
前記顔認識データを、記憶されている一意の3次元(3D)サンプル認識データと比較することと、
認識の承認または拒否の判断を決定することと、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、時空間バイオメトリックパラメータを抽出することと、
一意のバイオマーカーを抽出することと、
前記一意のバイオマーカーを記憶されている一意のバイオマーカーと比較することと、
認識の承認または拒否の判断を決定することと、をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
波長のシーケンスについて、照明、捕捉、分析、および生成の動作を繰り返すことと、
マルチスペクトル位相アンラッピングを実行することと、
表面プロファイルを推定することと、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
様々な角度に関して、波長のシーケンスに対して照明、捕捉、分析、生成の動作を繰り返し、マルチスペクトル位相アンラッピングを実行することと、
三次元回折トモグラフィーの屈折率分布を計算することと、をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年1月14日に出願された米国仮特許出願第62/960,716号からの優先権を主張し、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、光学撮像および測定、より具体的には、物体およびサンプルの光学撮像、測定および特徴付け、ならびに人または動物の光学バイオメトリック測定に関する。
【背景技術】
【0003】
光学スペックルベースの測定は、物体およびサンプルを非接触で測定する方法である。動き、向き、振動、および変形などの特性を測定することができる。様々な物体を多数の目的のために測定することができる。例えば、物体の機械的コンポーネントは、テストまたは作業条件におけるストレス下でのモニタリングおよび特徴付けのために測定することができる。
【0004】
別の例として、バイオメトリック測定が挙げられる。心拍数、血圧、呼吸、およびその他のパラメータは、体の関連部分に対して一連の測定を実行することによって測定することができる。さらに、音響信号は、音源、例えば、スピーカー、人間の首の領域、または音響信号によって振動する隣接する物体のいずれかの振動を測定することによって回復され得る。
【0005】
当技術分野では、様々な分野でサンプルカバレッジを改善する必要がある。当技術分野では、様々な物体の撮像および測定の感度およびロバスト性を強化する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態によると、物体を撮像し、測定し、サンプルを特徴付けるためのシステムおよび方法が提供される。
【0007】
本発明の一態様によると、光学スペックルベース撮像システムが提供され、サンプルを照らすための少なくとも1つのコヒーレント光源を含む照明部と、サンプルからの入力光を収集するための収集部であって、撮像光学系および波面撮像センサからなる収集部と、照明部および収集部に結合され、入力光を分析し、スペックル波面画像を生成するための制御部と、を備え、少なくとも1つのコヒーレント光源は、サンプル内またはその上に一次スペックルを生成し、撮像光学系は、サンプル内またはその上に照明部によって引き起こされる二次スペックルパターンを捕捉する。
【0008】
本発明の実施形態によると、光学スペックルベース撮像システムが提供され、サンプルを照らすための少なくとも1つのコヒーレント光源を含む照明部と、サンプルからの入力光を収集するための収集部であって、撮像光学系および波面撮像センサからなる収集部と、照明部および収集部に結合され、入力光を分析し、スペックル波面画像を生成するための制御部と、を備え、照明部の射出瞳のサイズは、撮像光学系の入射瞳のサイズよりも小さく、少なくとも1つのコヒーレント光源は、サンプル内またはその上に一次スペックルを生成し、撮像光学系は、サンプル内またはその上に、照明部によって引き起こされる二次スペックルパターンを捕捉する。
【0009】
本発明の一実施形態によると、制御部はさらに、射出瞳のサイズおよび入射瞳のサイズのうちの少なくとも1つ、ならびにそれらの間の関係に影響を与える。
【0010】
少なくとも1つのコヒーレント光源は、(1)サンプルの光拡散長および(2)サンプルの表面粗さのうちの少なくとも1つよりも大きい時間的コヒーレンス長を有し得る。
【0011】
コヒーレント光源は空間的コヒーレンス長を有することができ、収集部は点像分布関数の空間的コヒーレンス長を有することができ、サンプルに投影されるコヒーレント光源の空間的コヒーレンス長は、サンプル上に投影されると、サンプル上に撮像光学系を介して投影された収集部の点像分布関数の空間的コヒーレンス長程度またはそれよりも大きい。
【0012】
照明部の光学特性および収集部の光学特性は、サンプル上の撮像されるすべての点について、サンプル上の任意の点から見た照明部の光学アパーチャによって定められる角度よりも大きい、サンプル上の同じ点から見た収集部の光学アパーチャによって定められる角度を形成するように選択され得る。
【0013】
照明部は、照明角度を定める照明アパーチャを有することができ、収集部は、収集角度を定める収集アパーチャを有することができ、制御部は、照明部にさらに結合されて、照明条件に影響を与え、さらに収集条件に影響を与えてサンプル上の任意の点から見た収集角度を形成し、収集角度は、サンプル上の撮像されるすべての点について、サンプル上の同じ点から見た照明角度よりも大きい。
【0014】
収集部は、スペックル強度、スペックル波面、およびスペックルコヒーレンスのうちの少なくとも1つを示すデータをさらに測定することができる。
【0015】
照明部は、インコヒーレント光源をさらに含むことができ、制御部は、インコヒーレント照明に応答して光照射野像をさらに生成することができる。
【0016】
制御部は、照明部を操作して、コヒーレント光およびインコヒーレント光を選択的に提供することができる。
【0017】
照明部は、インコヒーレント光源をさらに含むことができ、制御部は、インコヒーレント照明の空間的コヒーレンス長が収集部の撮像光学系の空間的コヒーレンス長よりも短くなるように、照明部のアパーチャを操作することができる。
【0018】
波面撮像センサは、複数の同様のユニットセルを有するエンコーダと、波面撮像センサを通る入力光の全体的な伝播方向に関して該ユニットセルの下流にある距離を置いて位置するセンサセルのアレイと、を含む、プレノプティックカメラ、光照射野カメラ、シャックハルトマン波面センサ、およびコヒーレンスカメラ波面センサからなる群のうちの1つであり得、センサセルのアレイは、複数のサブアレイユニットセルを画定し、各サブアレイは、エンコーダの複数のユニットセルのうちの1つのユニットセルに対応し、各サブアレイは、所定の数Mのセンサ要素を含み、エンコーダは、該エンコーダの各ユニットセルが、それに入射する入力光の一部を、それに対応するサブアレイユニットセルおよび所定の近接領域内の1つ以上の近隣のサブアレイユニットセルに方向付けるように、入力光に所定の変調を適用し、所定の数Mは、所定の近接領域内の所定の数のサブアレイユニットセルに従って決定される。
【0019】
照明部は、コヒーレント光、部分的コヒーレント光、およびインコヒーレント光からなる群のうちの少なくとも1つの光を提供することができる。照明部は、変化する光学特性のセットとして光をさらに提供することができ、光学特性および条件は、選択された波長範囲、選択された時間的コヒーレンス範囲、選択された照明方向からなる群からのものであり、制御部は、強度マップ、波面マップ、およびコヒーレンスマップからなる群のうちの1つ以上を生成することができる。
【0020】
本発明の一態様によると、撮像方法が提供され、コヒーレント光でサンプルを照らすことと、撮像光学系および波面撮像センサからなる収集部によってサンプルからの入力光を捕捉することと、収集部に結合される制御部によって、入力光を分析し、スペックル波面画像を生成することと、を含み、少なくとも1つのコヒーレント光源は、サンプル内またはその上に一次スペックルを生成し、撮像光学系は、サンプル内またはその上に照明部によって引き起こされる二次スペックルパターンを捕捉する。照明部の射出瞳のサイズは、撮像光学系の入射瞳のサイズよりも小さくてもよい。制御部は、射出瞳のサイズおよび入射瞳のサイズの少なくとも1つ、ならびにそれらの間の関係に影響を及ぼし得る。
【0021】
この方法は、サンプルからの少なくとも1つの追加の入力光を捕捉および分析し、少なくとも1つの追加のスペックル波面画像を生成することと、スペックル波面画像および少なくとも1つの追加のスペックル波面画像に基づいてサンプル変形を計算することと、を含み得る。
【0022】
サンプル変形を計算する操作は、スペックル波面画像の1つ以上の対間の局所的な傾きの変化を決定することによって実行され得る。
【0023】
この方法は、時空間変形マップの時間シーケンスを計算することを含み得る。
【0024】
この方法は、時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、サンプル内の特定の関心領域を選択すること、時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、サンプルとサンプルの周囲を区別すること、時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、サンプルの全体的な動きと局所的な変形または振動を区別すること、時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、空間セグメンテーションを実施すること、時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、時間セグメンテーションを実施すること、時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、音響信号を抽出すること、時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、バイオメトリックパラメータを測定すること、時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、機械的振動モードをマッピングすること、からなる群のうちの少なくとも1つのステップを含み得る。
【0025】
この方法は、空間的にインコヒーレントな光および周囲光のうちの少なくとも1つで顔またはその一部を照らすことと、インコヒーレントな波面画像を捕捉することと、2次元(2D)強度画像および深度マップを計算することと、一意の3次元(3D)顔認識データを抽出することと、顔認識データを、記憶されている一意の3次元(3D)顔認識データと比較することと、認識の承認または拒否の判断を決定することと、を含み得る。
【0026】
この方法は、時空間変形マップの時間シーケンスを分析し、時空間バイオメトリックパラメータを抽出することと、一意のバイオマーカーを抽出することと、一意のバイオマーカーを、記憶されている一意のバイオマーカーと比較することと、認識の承認または拒否の判断を決定することと、を含み得る。
【0027】
この方法は、波長のシーケンスについて、照明、捕捉、分析、および生成の操作を繰り返すことと、マルチスペクトル位相アンラッピングを実施することと、表面プロファイルを推定することと、を含み得る。
【0028】
この方法は、様々な角度に関して、波長のシーケンスに対して照明、捕捉、分析、および生成の動作を繰り返し、マルチスペクトル位相アンラッピングを実施し、三次元回折トモグラフィーの屈折率分布を計算すること、を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0029】
その実施形態に関して本発明をよりよく理解するために、同様の符号が全体を通して対応するエンティティを示す、添付の図面を参照する。
【0030】
【
図1】本発明の一実施形態によるシステムを概略的に示すブロック図である。
【
図2a-2b】
図1に示すシステムの詳細を概略的に示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態による方法を示すフロー図である。
【
図4】本発明の一実施形態による方法を示す別のフロー図である。
【
図5a-5b】本発明の実施形態によるシステムを概略的に示すブロック図である。
【
図6a-6b】本発明の実施形態によるシステムを概略的に示すブロック図である。
【
図7a-7c】本発明の一実施形態による方法を示すフロー図である。
【
図8a-8b】本発明の実施形態による、直角入射でのコヒーレント照明を概略的に示す。
【
図9a-9b】本発明の実施形態によるマルチスペクトル位相アンラッピング技術を概略的に示す。
【
図10】本発明の一実施形態による方法を示すフロー図である。
【
図11a-11c】本発明の態様によるマルチスペクトル回折トモグラフィー法を概略的に示す。
【
図12】本発明の一態様による、いくつかの照明角度からのマルチスペクトルスペックル波面撮像を概略的に示す。
【
図13】本発明の一実施形態によるシステムを概略的に示すブロック図である。
【
図14】本発明の一実施形態によるシステムを概略的に示すブロック図である。
【
図15】本発明の一実施形態による方法を示すフロー図である。
【
図16】本発明の一実施形態によるシステムを概略的に示すブロック図である。
【
図17】本発明の一実施形態による波面撮像センサおよびシステムを概略的に示すブロック図である。
【
図18】本発明の一実施形態による波面撮像センサの一態様を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
物体およびサンプルの光学的測定および特徴付けは、透過率、反射率、形状、深さ、3D構造、およびテクスチャなどのパラメータを決定および評価するために使用される。時間の経過に伴うパラメータの変化を測定して、サンプルの動き、向き、変形、および振動の変化を検出することができる。一部の用途では、これらのデータを使用して、検査およびモニタリング目的のためにサンプルを特徴付けることができる。他の用途では、これらのデータは、バイオメトリックサンプリング、モニタリング、または認証、および音声などのサンプルからの音響信号の取得のために使用されてもよい。
【0032】
サンプルの特徴付けのためのいくつかの光学的測定および技術は、スペックルベースである。
【0033】
サンプルの動き、向き、振動、および変形のスペックルベースの測定のための現在の光学的方法は、コヒーレント光源でサンプルを照明し、散乱光を収集することに基づいている。スペックルベースの測定は、例えば、(1)光検出器に衝突する光の全体的な時間変化する強度分布を測定すること、(2)スペックル強度パターンを直接撮像すること、または(3)物体から変位した焦点面上のスペックルパターンを撮像することによって行われ得る。
【0034】
典型的には、スペックルベースの測定には、単一の実質的にコヒーレントなスポットまたは多数の別個のコヒーレントなスポットによるサンプルの照明が含まれる。シングルスポットおよびマルチスポット照明では、サンプルの表面は完全には覆われていない。したがって、サンプルの変形または振動の完全なマップを測定することができない。物体の移動、変形、および振動は、典型的には、サンプルの特定の領域でのみ測定される。
【0035】
シングルスポットおよびマルチスポットの照明測定では、それぞれのこのような別個の照明スポット内の不均一な変形または振動を区別できない場合がある。代わりに、それぞれの別個の照明スポット内の変形または振動が全体として扱われる。そのため、シングルスポットおよびマルチスポットの照明測定は、それぞれの別個の照明スポット内の変形または振動の空間平均を示すデータのみを提供することができる。言い換えると、それぞれの個別の照明スポット内の振動または変形マップの空間分解能はない。これは、サンプルから変位した焦点面上のスペックルパターンを撮像する場合に特に当てはまり、スペックルパターンが強いデフォーカスで撮像されるため、振動または変形の空間分解能が失われ、スペックルパターンの遠視野(フーリエ面)マップが得られる。
【0036】
サンプルのカバレッジがより広い他の測定方法は、追加の参照ビームまたは同じ領域を照らす複数のビームを有する干渉計のセットアップを使用することに基づく。これらの方法は、一般に電子スペックルパターン干渉法として知られている。干渉計のセットアップならびに多数のビームおよび光路は、そのコンポーネントの振動およびサンプルの外部振動に非常に敏感な測定システムを結果としてもたらし得、したがって、ロバスト性が低く、外部環境要因の影響を受ける。
【0037】
他の測定方法では、サンプルに取り付けられた特別なターゲットおよびリフレクターが使用されてもよい。このような方法では、データは、ターゲットまたはリフレクターが取り付けられているサンプルの領域からのみ収集され得る。多くの実用例では、ターゲットまたはリフレクターをサンプルに取り付ける要件は禁止されている。例えば、ターゲットおよびリフレクターを人または動物に取り付けると、不快感を引き起こし得、それ以外の場合、サンプルは乱されない場合がある、などである。また、非常に感度の高い測定では、サンプルの動きはターゲットに完全に伝達されず、最適な結果が得られない場合がある。
【0038】
さらに、スペックルベースの測定では、不透明なサンプルについてのサンプルの微視的な表面プロファイルに関する限られたデータが提供され、半透明のサンプルの内部に関する情報はほとんど提供されない。これは、最初に、ランダムなスペックル形成を引き起こすサンプル媒体の粗さ/拡散性の度合いが大きいためである。
【0039】
さらに、上記の方法は、典型的には、非撮像測定を実施し、標準の2D(2d、2次元)画像の提供、または3D(3d、3次元)光学測定の実行に容易に適合されない特殊な光学構成を利用する。全体的な反射率/透過率およびサンプルの形状など、サンプルに関するその他の情報を得るためには、通常、従来の2D撮像を実施するために別の撮像セットアップが必要となる。さらに、3D測定には、いくつか例を挙げると、ステレオ撮像、構造化光、レーザー三角測量、飛行時間測定、アクティブステレオ、および光照射野撮像などの様々な技術を使用した特別な機器が必要である。
【0040】
「定量的位相撮像」として知られる従来技術のシステムは、典型的には、干渉計のセットアップを使用して、顕微鏡サンプルの定量的位相画像を取得する。サンプルが比較的小さな位相変動を引き起こすという条件下では、結果として得られる位相マップは、サンプルの微視的構造に関連する規則的な特徴を有する。定量的位相撮像システムは、位相変動が大きい、粗く、拡散性があり、または巨視的なサンプルの撮像に使用される場合、ランダムなスペックル位相マップを提供し得る。そのため、単一のスペックル位相マップは、おそらく局所的な平均スペックル強度によって与えられる大まかな全体的な強度分布を除いて、サンプルに関する情報をほとんど提供しない。
【0041】
また、定量的位相撮像では、典型的には、照明角度がサンプルおよび撮像光学系の向きと一致している必要がある。この一致は、いわゆる「ゼロ次」透過または鏡面反射、つまり「明視野」セットアップを捕捉するために必要である。他方、本発明は、巨視的サンプルまたは大きな表面粗さもしくは拡散性を有するサンプルのスペックルレジームで使用することができ、スペックルは広範囲の角度にわたって散乱するため、照明角度はそれほど重要ではない。
【0042】
本発明の実施形態は、物体およびサンプルの光学スペックルベースの測定および特徴付けのためのシステムおよび方法を提供する。
【0043】
本発明の実施形態は、完全なサンプルカバレッジでスペックルベースの動き、向き、振動、および変形の測定を実施するために使用されてもよい。したがって、本発明の実施形態は、多数の干渉ビームを伴う複雑なセットアップの必要性を排除しながら、サンプルの異なる部分を区別するために、高い空間分解能で、動き、向き、振動、および変形データをマッピングする能力を容易にする。本発明の実施形態は、サンプルの形状、反射率/透明度、ならびに詳細な表面プロフィロメトリー、テクスチャまたは内部/外部3D構造などのサンプルに関するより多くの情報を得るために、同じ基本システムで様々なタイプの測定を実施することを可能にする。
【0044】
システムは、1つ以上の光源(照明源とも称される)を有し、可変的な照明条件でコヒーレントおよび/またはインコヒーレント光でサンプルを照らすように動作可能な照明部と、サンプルから戻される、および/またはサンプルを通過する光を収集するための撮像光学系および撮像センサを有する収集部と、収集部に結合されて、スペックル強度、スペックル波面、およびスペックルコヒーレンスのうちの少なくとも1つを示すデータを受信し、スペックル波面画像を生成する制御部とを備え、制御部は、照明部にさらに結合されて、照明条件または他の光学特性に影響を与える。
【0045】
制御部は、システムおよび様々なコンポーネントの光学特性にさらに影響を与え得る。制御部は、照明条件、収集条件、またはその両方に影響を与え得る。制御部は、照明部の光学特性および収集部の光学特性に影響を与え得る。制御部は、照明部の光学特性と収集部の光学特性との間の予め定められた関係を維持してもよい。可変的な照明条件は、コヒーレンス-コヒーレント照明、インコヒーレント照明、部分的コヒーレント、空間的コヒーレンスの程度、時間的コヒーレンスの程度、波長範囲、照明方向、および照明角度からなる群から選択され得る。
【0046】
システムは、撮像光学系の上流に位置するビーム分割装置をさらに備え、光をサンプルに投射し、撮像光学系を通してサンプルから戻される光を収集することができる。
【0047】
制御部はさらに、単一または多数の照明条件(または他の光学特性)の下で収集部から受信したデータスナップショットまたはシーケンスを処理して、サンプルの1つ以上の特性を示すデータを決定し、サンプルの1つ以上の特性(またはサンプルの表面)は、サンプルの反射率、サンプルの透過率、サンプルの形状、サンプルの深さ、サンプルの3次元構造、サンプルの表面の変形、サンプルの表面の動き、サンプルの振動、サンプルの向き、およびサンプルのテクスチャからなる群からのものである。
【0048】
撮像センサは、波面センサまたは光照射野センサでもよい。撮像センサは、参照により本明細書に組み込まれるWIPO特許出願WO/2018/185740に記載されているような、プレノプティックカメラ(光照射野カメラ)、シャックハルトマン波面センサ、またはコヒーレンスカメラ波面センサのうちの1つであり得る。
【0049】
波面撮像センサは、複数の同様のユニットセルを有するエンコーダ、および波面撮像センサ108を通る入力光の全体的な伝播方向に関して、該ユニットセルの下流にある距離を置いて位置するセンサセルのアレイを含んでもよい。センサセルのアレイは、複数のサブアレイユニットセルを定義し、各サブアレイは、エンコーダの該複数のユニットセルの1つのユニットセルに対応し、各サブアレイは、所定の数Mのセンサ要素を含む。エンコーダは、該エンコーダの各ユニットセルが、それに入射する入力光の一部を、それに対応するサブアレイユニットセルおよび所定の近接領域(PR)内の1つ以上の近隣のサブアレイユニットセルに方向付けるように、入力光に所定の変調を適用するように構成される。所定の数Mは、所定の近接領域内の所定の数のサブアレイユニットセルに従って決定される。
【0050】
照明源は、「一次スペックル」とも呼ばれる、サンプル上またはサンプル内にスペックルを引き起こすためのコヒーレント光源であり得る。これは、サンプルの光拡散長または表面粗さよりも大きい時間的コヒーレンス長を有する光源によって得ることができる。
【0051】
収集部の撮像光学系は、サンプル上またはサンプル内で引き起こされたスペックルパターンを解決するのに十分な空間分解能を持つことにより、「二次スペックル」画像を得るように構成される。システムは、照明部の射出瞳が収集部の入射瞳よりも小さくなるようにさらに配置されてもよい。この配置により、撮像システムが、画像面上で「二次スペックル」を得るのに十分な空間分解能を持つことが保証される。
【0052】
コヒーレント光源が、サンプル上に投影されると、サンプル上に撮像光学系を介して投影された収集部の点像分布関数の空間的コヒーレンス長よりも大きい空間的コヒーレンス長を有する場合、スペックルパターンを解決するのに十分な空間分解能を得ることができる。
【0053】
本発明の実施形態によると、コヒーレント光源の空間的コヒーレンス長は、サンプル上に撮像光学系を介して投影された収集部の点像分布関数の空間的コヒーレンス長よりも1.1倍、1.2倍、1.5倍、またはそれ以上だけ大きい。
【0054】
システムはさらに、サンプル上の撮像されるすべての点について(収集部の視野におけるすべての点とも称される)、サンプル上の任意の点から見た収集部の光学アパーチャによって定められる収集角度が、サンプル上の同じ点から見た照明部の光学アパーチャによって定められる照明角度よりも大きくなるよう、配置され得る。
【0055】
照明部は、コヒーレント照明源およびインコヒーレント照明源を含み得る。コヒーレント源は、上記のようにスペックル波面撮像を実施するために使用され、周囲光またはインコヒーレント源は、サンプルの光度と3D形状を推定するために光照射野撮像を実施するために使用される。照明源は、コヒーレント光およびインコヒーレント光を提供するように選択的に動作可能であり得る。インコヒーレント光は、結果として生じる照明の空間的コヒーレンス長が収集部の撮像光学系の空間的コヒーレンス長以下となるように、大きなアパーチャを通して提供され得る。制御部は、コヒーレント光とインコヒーレント光を切り替えることができる。
【0056】
本発明の態様によると、サンプルの光学撮像および測定に使用するためのシステムが説明されている。システムは、1つ以上の選択された波長範囲および/もしくは時間的コヒーレンス範囲でコヒーレント、部分的コヒーレント、またはインコヒーレント照明を提供し、ならびに/または様々な方向からのサンプルの照明を提供し、それをサンプルまたはその一部に方向付けるように構成された照明部と、サンプルから戻るおよび/またはサンプルを通過する光を収集し、波面撮像または光照射野撮像センサを使用してサンプルを撮像してサンプルと相互作用する光の強度、波面、およびコヒーレンスを示すデータを提供するように構成された収集部と、強度、波面、コヒーレンスマップの単一のスナップショットまたはシーケンスを分析するための制御部と、を備え、制御部はまた、照明部に影響を及ぼして、異なる程度の空間的および時間的コヒーレンス、ならびに波長範囲および照明方向を提供し、制御部は、単一または多数の照明条件(または他の光学特性)の下で収集部からのデータスナップショットまたはシーケンスを処理して、サンプルの反射率および/もしくは透過率、形状、深さ、3D構造、変形、動き、振動、向きならびに/またはテクスチャを示すデータを決定する。
【0057】
本発明の態様によると、波面撮像センサに基づく多用途の光学撮像および測定システムは、スペックルベースの撮像および測定を実施するために、コヒーレント光源とともに使用される。さらに、周囲またはインコヒーレントなフラッド照明を使用することにより、同じ波面撮像センサを使用して、2D撮像ならびに3D測定を実施することができる。光源を波長または照明方向のいずれか(または両方)において制御することにより、このシステムを使用して、高ダイナミックレンジの光学プロフィロメトリー、定量的位相撮像、または回折トモグラフィーを実行することができる。
【0058】
このような多用途の光学システムは、改善されたサンプルカバレッジ、システム感度、およびロバスト性を提供し得る。さらに、シンプルでロバストな単一視線波面撮像光学系モジュールとシンプルな照明要件を使用する。照明パラメータを簡単に変更するだけで、同じ基本構成を維持し、同じ波面撮像光学系を使用しながら、優れた柔軟性と適用範囲が提供される。
【0059】
図1は、本発明の一態様によるシステム10を概略的に示している。システム10は、コヒーレント光源(図示せず)および射出瞳102.1を有する照明部102と、サンプルから戻された、および/またはサンプルを通過する光を収集する収集部104と、収集部104に結合されてスペックル波面画像を生成し、さらに照明部に結合されて照明条件または他の光学特性に影響を与える制御部110と、を備える。収集部104は、入射瞳106.1を有する撮像光学系106および波面撮像センサ108からなり得る。
【0060】
サンプル100は、サンプルの微視的な光散乱特性によりサンプル100上にスペックル形成を引き起こすコヒーレント光ILで照射される。結果として生じるスペックルフィールド(スペックルパターン、または「一次」もしくは「客観的」スペックルとも称される)CLは、収集部104を通して撮像される。撮像光学系106は、スペックルフィールドPLの画像を波面撮像センサ108に投影する。このようにしてスペックル波面SWが形成される。
【0061】
「一次」スペックルは、以下の条件下で得られ得る。照明部102は、サンプル100の光拡散長または表面粗さよりも大きい時間的コヒーレンス長を有するコヒーレント光源を含み得る。
【0062】
収集部の104の撮像光学系106は、「二次」スペックル画像が画像面上に形成されるように構成される。これには、サンプル上またはサンプル内で生成された「二次」または「主観的」スペックルパターンを分解するのに十分な光学分解能を備えた撮像システムが必要である。この状態を取得するには、いくつかの方法がある。
【0063】
照明部102の光学特性と収集部104の光学特性との間の関係は、「二次」スペックルパターンが十分な分解能で分解され得るように選択される。本発明の一実施形態によると、照明部の射出瞳102.1は、収集部の入射瞳106.1よりも小さい。この文脈での「より小さい」とは、射出瞳102.1のサイズが入射瞳106.1のサイズよりも小さいことを意味し得る。
【0064】
本発明の実施形態によると、同じオーダーでの射出瞳102.1のサイズおよび入射瞳106.1のサイズは、例えば、1.1倍、1.2倍、1.5倍、およびそれ以上の倍数だけ異なる。
【0065】
本発明の実施形態によると、射出瞳102.1のサイズおよび入射瞳106.1のサイズ、ならびにそれらの間の関係は、予め設定される。本発明の他の実施形態によると、射出瞳102.1のサイズおよび入射瞳106.1のサイズ、ならびにそれらの間の関係は、動的かつ適応的に設定される。制御部110は、照明部102および収集部104に結合されて、照明部102および収集部104の光学特性に影響を与えることができる。本発明の実施形態によると、制御部110は、射出瞳102.1のサイズ、入射瞳106.1のサイズ、またはその両方に影響を与えることができ、したがって、それらの間の関係を制御することができる。
【0066】
照明部102の光学特性と収集部104の光学特性との間の関係は、以下のように説明することができる:照明部102のコヒーレント光源は、サンプル100に投影されると、サンプル上に撮像光学系106を通して投影される収集部104の点像分布関数の空間的コヒーレンス長よりも大きい、空間的コヒーレンス長を有し得る。
【0067】
照明部102および収集部104の光学特性の間の関係を表現する別の方法が
図5bに示されている。サンプル上の撮像されるすべての点について、サンプル100上の任意の点から見た収集部104の光学アパーチャによって定められた角度A
cは、サンプル100上の同じ点から見た照明部102の光学アパーチャによって定められた角度A
Iよりも大きくなければならない。
【0068】
波面撮像センサ108は、プレノプティックカメラもしくはシャックハルトマン波面センサ、または光回折限界分解能まで波面撮像を実行することができる他のタイプのコヒーレンスカメラであり得る。このようなコヒーレンスカメラは、本明細書では波面撮像センサと称される。
【0069】
制御部110は、スペックル波面SWデータを分析し、スペックル波面画像を生成する。スペックル波面SWデータは、スペックル強度、波面、およびコヒーレンスを示し得る。このデータは、サンプル100の様々な特性を測定および特徴付けるために使用される。
【0070】
制御部110は、典型的には、処理ユーティリティ111および記憶ユーティリティ113、ならびに入出力通信、および具体的には示されていない可能なユーザインターフェースを可能にする通信ユーティリティを含む。
【0071】
制御システム110は、収集部104、波面撮像センサ108、照明部102、または分離されたユニットと一体であり得る。いくつかの実施形態では、制御部110は、撮像システム10の他の要素から離れていてもよく、またはデータの遠隔もしくはクラウド処理に基づいていてもよい。そのような構成では、撮像システム10は、処理のために制御部110にデータを送信するように構成された通信モジュールを含むことができる。
【0072】
図1のシステム100の動作を、
図2aを参照してさらに論じる。
図1と同じ要素を指すために、同じ符号が使用される。システム10は、例えば、わずかな回転または変形を受けたわずかに乱されたサンプル101を測定する。サンプル101の回転または変形は、
図2aに破線で印されている。サンプルの乱れは、機械的または熱的ストレス、外部衝撃、振動、サンプルを通過する音響波、パルス、呼吸、音声、筋肉の動きなどの生物学的機能によって発生し得る。
【0073】
図2bは、乱されたサンプルの特定のパッチにズームインし、システム10のいくつかの要素、すなわち、撮像光学系106および波面撮像センサ108が示されている。サンプル101の乱れは、乱されていないサンプル101を表す実線および乱されたサンプル101を表す破線を参照して示されるパッチの局所的な剛直なシフトおよび傾きに対応する。
【0074】
説明を簡単にするために、小さなパッチの場合、θz回転を(x、y)の剛直なシフトとして扱うことができるため可能な回転θzが無視される。
【0075】
サンプルで発生するスペックルパターン(「一次」または「客観的」スペックルとしても知られる)に関しては、乱れはスペックル波面の剛直シフト(x、y、z)および傾き(θx、θy)として表される。
【0076】
スペックル波面SWは、収集部の撮像光学系を介して波面撮像センサ上に撮像される。スペックル波面SWoは、乱されていないサンプルの照明から生じたスペックル波面を示し、スペックル波面SWdは、乱されたサンプルの照明から生じたスペックル波面を示す。撮像されたスペックル波面SWoおよびSWdの対応する変化は、剛直シフト(x’、y’、z’)および局所的な傾き(θ’x、θ’y)であり、これらの量は光学系の撮像倍率により、元のパッチ量に関連している。
【0077】
撮像システムの光学分解能の限界により、ほとんどの実用的な巨視的シナリオでは、撮像されたスペックル波面の分解能ははるかに低くなる(「二次」または「主観的」スペックルとしても知られる)。実際には、この分解能の低下により、撮像されたスペックル波面における剛直シフト(x’、y’、z’)に関する情報はすべて消去され、局所的な傾きに関する情報は典型的には、良好に保存される(θ’x、θ’y)。
【0078】
本発明の一態様によると、乱されたスペックルの波面画像が捕捉される。ランダムな波面を持っているようにも見える。ただし、乱されていないサンプルの元のスペックル波面画像と比較すると、スペックル波面が局所的な傾き(θ’x、θ’y)によって異なることがわかる。したがって、元のスペックル波面画像を乱れたスペックル波面画像と比較することにより、サンプル全体の局所的な傾きを推測してマッピングし、サンプルの変形を正確に示すことができる。
【0079】
本発明者らは、局所的傾きマップが、サンプル上の異なる位置での局所的傾きの異なる値(θ’x、θ’y)を区別することを可能にする空間分解能を有することを見出した。本発明の実施形態によると、連続的な局所的傾きマップが提供される。連続的な局所的傾きマップは空間的に依存しており、サンプルのフルカバレッジを提供し得る。この新しい機能は、サンプルに衝突する明確で空間的に分離された照明スポットごとに均一な傾き値が得られる、従来技術のスペックルベースの測定を改善する。
【0080】
本発明の一実施形態によると、一連のスペックル波面画像が、例えば、サンプルの変形の前後に捕捉される。これは、フロー
図30として
図3に示されている。フロー30は、コヒーレント照明でサンプルを照らす動作300から開始される。動作302において、第1のスペックル波面画像が捕捉される。動作306において、第1のスペックル波面画像は、さらなる処理のために記憶される。動作304において、第2のスペックル波面画像は、第1のスペックル波面画像とは異なる時間に捕捉される。サンプルは、動作302での第1のスペックル波面画像の捕捉と動作304での第2のスペックル波面画像の捕捉との間でサンプル変形を受けることがある。動作308において、第2のスペックル波面画像は、さらなる処理のために記憶される。第1および第2のスペックル波面画像は、変形によって引き起こされる局所的な波面の傾きによって異なり得る。動作310において、サンプルの変形は、例えば、第1および第2のスペックル波面画像を比較することによって、およびサンプル全体にわたって計算された局所的な波面の傾きマップを生成することによって計算される。
【0081】
図4は、一連のいくつかのスペックル波面のフロー40を示している。動作400において、サンプルはコヒーレント照明を使用して照明される。動作402のループでは、時系列のスペックル波面画像が捕捉され(動作404、406)、記憶される(動作408、410)。動作412において、局所的な傾きの変化は、スペックル波面画像の対の間で決定される。例えば、局所的な傾きの変化は、スペックル波面画像の隣接する対間で決定される。局所的な傾きの変化に基づいて、サンプルの変形の時間依存の空間マッピングを推定することができる。動作414において、時空間変形マップシーケンスが計算される。これは、空間変形マップの時間シーケンスである。各時間ステップは、スペックル波面画像404の捕捉と次に捕捉されたスペックル波面画像406との間で測定された空間変形マップに対応する。時空間変形マップシーケンスをさらに分析して、サンプル内の特定の関心領域を選択したり、またはサンプルとその周囲を区別したり、またはサンプルの全体的な動きと局所的な変形および振動とを区別したり、または他の空間的もしくは時間的セグメンテーションを実施したりすることができる。例えば、用途に応じて、関心領域の時間依存性変形を分析し、動作416において、音声などの音響信号を抽出し、動作418において、パルスおよび呼吸などのバイオメトリックパラメータを測定し、筋肉の動きを追跡し、動作420において、機械的振動モードをマッピングすることができる。このシステムは、インコヒーレント光または周囲光を使用して、標準2Dおよび/または3D撮像を実行するためにも使用され得る。制御部110を使用して照明部102に影響を与え、波面撮像センサ108によって把持された各フレームについてコヒーレント照明とインコヒーレント照明を同期的に交互に切り替えることにより、上記の時間的スペックル画像シーケンス404および406を、サンプルの反射率および/または透過率、形状、深さ、3D構造を示す追加データを提供するように、インコヒーレント2D/3D撮像シーケンスとインターレースすることができる。これらのデータストリームは、同じ視点、同じ撮像光学系、および同じ波面撮像センサを利用する同じ収集部を使用して取得されるため、本質的に融合される。より詳細な説明は以下に見出すことができる。本発明の実施形態によると、時空間変形マップを、従来の2Dカメラ、ならびに他のタイプの3Dセンサなどの外部データソースと融合させることも可能である。これらの場合、データ融合動作は、外部データソースの異なる視点、異なる撮像光学系、および異なる撮像センサを考慮する必要がある。
【0082】
図4に示されるように、本発明の実施形態によって生成される情報は、様々な実装に有用である。例えば、動作414、416、418、または420において生成される空間情報を使用して、その外部環境によるサンプルの振動とサンプルの固有の振動とを区別することができる。このようにして、騒がしい環境で音声を拾い上げ、移動中の車両に乗っている人のバイオメトリックパラメータをモニタリングし、振動している環境で特定の機械部品をモニタリングすることが可能となる。
【0083】
図1のシステム100の動作およびその構成を、
図5aを参照してさらに論じる。
図1と同じ要素を指すために、同じ符号が使用される。本発明の一実施形態によると、照明部102の光学特性は、測定されるべきサンプルの光学特性に関連して設定または選択される。照明部102の光学特性は、適切なコヒーレント照明源を事前に選択することによって設定されるか、または制御部110の制御下で選択的に設定され得る。
【0084】
システム10は、サンプルのスペックル波面変形を測定するように設計されている。2つの条件が満たされなくてはならない。1)サンプル上またはサンプル内での「一次」スペックルの生成。2)収集部の104の撮像光学系106は、波面撮像センサ108の画像面に「二次」スペックルSWが形成されるように、十分な光学撮像分解能(「空間分解能」とも称される)を持たなければならない。
【0085】
本発明の実施形態によると、時間的コヒーレンス長、空間的コヒーレンス長、照明アパーチャ、照明部の射出瞳のサイズ、収集アパーチャ、収集部の入射瞳のサイズ、波長、照明の方向、およびサンプルに対する収集などの光学特性は、事前に選択される。本発明の他の実施形態によると、照明部102および収集部104の光学特性のいくつかまたはすべては、制御部110によって調整可能であり、制御可能である。
【0086】
システム10が、特定の光拡散長または特定のサンプル表面粗さ(
図5aに示されない)によって特徴付けられるサンプル100を測定する場合、第1の条件が得られ得る。照明部102のコヒーレンス照明源は、サンプル100の光拡散長または表面粗さL
S程度のまたはそれよりも大きい縦方向コヒーレンス長L
L(時間的コヒーレンス長としても知られる)を有するように設定される。
【0087】
コヒーレント波は、時間的コヒーレンス長LLで表される伝播距離にわたって、指定されたレベルのコヒーレンスを維持する。LLの値は、通常、λ2/Δλで与えられ、ここで、λは照明源の中心波長を示し、Δλは照明源のスペクトル幅を示す。例えば、スペクトルが非常に狭いシングルモードレーザーは、メートルからキロメートル程度のコヒーレンス長を持つことができる。より広いスペクトル幅のマルチモードレーザーは、センチメートルからデシメートル程度のコヒーレンス長を有するが、単純なダイオードレーザーは、通常、1ミリメートル以下程度のコヒーレンス長を有する。スペクトルが十分に狭い(約10nm)発光ダイオード(LED)でさえ、数十ミクロン程度のかなりのコヒーレンス長を有することができる。
【0088】
サンプルの光拡散長は、サンプルを出て収集システムによってその後捕捉される前にサンプルを伝播するときの光の平均経路差に対応する。多数のランダム散乱体からなるサンプルを伝播する光は、それぞれが異なるランダムな光路長を持つ多数の伝播経路を通過する。異なる伝播経路長の標準偏差は、サンプルLSの光拡散長を示す。拡散長LSのこのようなサンプルが、コヒーレンス長LL>LSのコヒーレント光で照明されると、一次スペックルパターンが生成される。
【0089】
表面粗さのあるサンプルの場合、典型的な長さLSは、表面粗さの統計、通常は表面粗さの標準偏差に対応する。この場合も、サンプルが、コヒーレンス長LL>LSのコヒーレント光で照明されると、一次スペックルが得られる。
【0090】
最後に、一次スペックルが形成されるほとんどの状況でLL>LS>λであることに注意する。ただし、「ゼロ次」明視野鏡面反射(または半透明サンプルの場合は直接透過)が収集部によって捕捉されないように光学システムが構成されている場合は、要件LS>λが緩和され得る。顕微鏡学では、このような構成は通常「暗視野」照明条件と称される。
【0091】
指定されたコヒーレンス長の要件に適合するコヒーレンス照明源を選択することにより、高コントラストのスペックル画像が得られ得る。時間的コヒーレンス長がサンプルの光拡散長または表面粗さ程度であるという要件により、コヒーレント照明が表面に衝突するか、またはそれを通過する間、強いスペックル応答が確実にされる。
【0092】
本発明の一実施形態によると、照明部102の光学特性は、収集部104の光学特性に関連してさらに設定される。照明部102の光学特性は、適切なコヒーレント照明源を事前に選択することによって設定され得るか、または制御部110の制御下で選択的に設定され得る。収集部104の光学特性は、制御部110によって制御されてもよい。これらの設定は、一次スペックルがサンプルで生成されたときにシステムの画像面で二次スペックルが得られるようにするために必要である。
【0093】
照明部102は、サンプル上に投影されたときの、照明源の空間的コヒーレンス長L
I(横方向コヒーレンス長としても知られ、
図5aのI-SCLによって示される)によって特徴付けられる。空間的コヒーレンス長は、空間内の様々な点における照明された波の間の関係を説明し、依然としてある程度相互にコヒーレントであるサンプル上の点の対間の横方向の距離の尺度である。
【0094】
収集部104は、値L
C(
図5aのC-SCL)によって示される、撮像光学系を通してサンプル上に投影される、収集部の撮像光学系の点像分布関数の空間的コヒーレンス長によって特徴付けられる。
【0095】
スペックル波面撮像を得るために、すなわち、システムの画像面上に二次スペックルを生成するために、サンプルに投影される照明部102の照明源の空間的コヒーレンス長L
Iは、撮像光学系106を通してサンプル100に投影される、収集部104の撮像光学系106の点像分布関数の空間的コヒーレンス長L
Cよりも大きくてもよい。数学的には、この関係はL
I>L
Cで与えられる。これを
図5aに概略的に示す。
【0096】
照明部102の光学特性と収集部104の光学特性との関係は、サンプル上の撮像されるすべての点について、サンプル100上の任意の点から見た収集部104の光学アパーチャによって定められる角度A
cが、サンプル100上の同じ点から見た、照明部102の光学アパーチャによって定められた角度A
Iよりも大きいという条件として表すこともできる。これを
図5bに示す。ステートメントA
I<A
Cは、前の関係L
I>L
Cとフーリエ光学的に同等である。
【0097】
照明部102および収集部104の光学特性の関係は、照明部の射出瞳(
図1に示される要素102.1)が収集部の入射瞳(
図1に示される要素106.1)よりも小さいという要件として表すこともできる。これは、ステートメントA
I<A
Cと幾何学的に同等であり、関係L
I>L
Cとフーリエ光学的に同等である。
【0098】
図6aおよび6bは、2次元(2D)および3次元(3D)撮像のためのインコヒーレント波面撮像が可能なシステム60、62の概略図である。
図1のシステム60、62、およびシステム10の同じ要素は、同じ符号で参照される。
【0099】
図6aに示されるように、システム60の照明部120は、コヒーレント照明器122およびインコヒーレント照明器124を備える。インコヒーレント照明器124は、周囲光源として、またはインコヒーレントフラッド照明器として実現することができる。
【0100】
図6bに示されるように、システム62の照明部130は、コヒーレント点灯とインコヒーレント点灯の両方を提供することができる。コヒーレント点灯(
図6bに実線で示されている)は小さなアパーチャから投影され、インコヒーレント点灯(
図6bに破線で示されている)は大きなアパーチャを使用する。大きいアパーチャが使用されるため、結果として得られる照明の空間的コヒーレンス長は、収集部の撮像光学系の空間的コヒーレンス長以下である。本発明の実施形態によると、収集部の撮像光学系の空間的コヒーレンス長は、照明の空間的コヒーレンス長よりも1.0倍以上大きくてもよい。
【0101】
インコヒーレント波面画像(「光照射野像」としても知られる)は、既知の技術に従って、インコヒーレント照明下で捕捉され、2D強度画像と深度データを抽出するように分析される。
【0102】
したがって、本発明の実施形態は、様々な使用例に使用することができる、多用途で、費用効果の高い撮像システムおよび方法を容易にする。例えば、安全性の高いバイオメトリック認証が効率的に実行され得る。インコヒーレント照明モード(
図6a~6bを参照して説明したように)を使用して、認証目的で、人の顔の2Dおよび3D撮像を実行することができる。コヒーレントスペックルベースの撮像シーケンス(
図1~5bを参照して説明したように)を使用して、顔のパルスパターン、呼吸、筋肉の動き、音声などの人のバイオメトリックマーカーを取得することにより、認証を実行することができる。照明方法を切り替えることで、同じシステムを使用して両方の認証方法を組み合わせることができる。
【0103】
図7aは、例えば、顔のバイオメトリック認証のために2D/3D撮像を実施するためのフロー70を説明している。動作700において、人の顔は、周囲点灯またはインコヒーレントフラッド点灯によって照らされる。動作702において、人の顔のインコヒーレントな波面画像スナップショットが捕捉される。動作704において、波面画像が分析され、2D強度画像および対応する3D深度マップが計算される。動作706において、2D強度画像および対応する3D深度マップがさらに分析されて、例えば、人工ニューラルネットワークを使用することによって、一意の3D顔認識データが抽出される。動作708において、例えば、システムへの登録中に捕捉された記憶された3D顔認識データが、検索される(または外部ソースから受信される)。動作710において、抽出された一意の3D顔認識データは、記憶された3D顔認識データと比較される。(動作714において)その人を承認するか、または動作712においてその人を拒否するかが決定される。
【0104】
図7bは、例えば、バイオメトリック認証を実行するためのスペックル波面撮像のためのフロー72を説明する。動作720において、対象はコヒーレント照明を使用して照らされる。動作722において、時系列のスペックル波面画像が捕捉され、局所化された時空間変形マップシーケンスが計算される。動作724において、変形マップは、顔のパルスパターン、呼吸、音声、協調された筋肉の動きおよびけいれんなどの特定のバイオメトリックパラメータ(バイオマーカー)などを取得するために分析される。バイオメトリックパラメータデータは、例えば、人工ニューラルネットワークを使用することによって、一意のバイオマーカー認識データを抽出するために、動作726においてさらに分析され得る。動作728において、例えば、システムへの登録中に取得された記憶されたバイオマーカーデータが検索される(または外部ソースから受信される)。動作730において、抽出された一意のバイオマーカーは、記憶されたバイオマーカーと比較され、(動作734において)その人を承認するか、または(動作732において)その人を拒否するかが決定される。
【0105】
図7cは、
図7aおよび7bで説明したコヒーレントおよびインコヒーレント波面撮像フロー70および72の両方を使用する、組み合わされた認証フロー74を説明する。フロー70および72は、照明条件を切り替えることによって順番に実行することができる。例えば、
図7aで説明されるインコヒーレント波面撮像認証シーケンスは、最初に周囲照明またはインコヒーレント照明の下で実行され、次に
図7bで説明されるスペックルベースの波面撮像認証がコヒーレント照明を使用して実行され、またはその逆である。動作740において、両方の方法からの組み合わされた認証データが分析され、(動作744において)その人を承認するか、または(動作742において)その人を拒否するか決定をするために使用される。
【0106】
説明を容易にするために、
図7cは、マルチパラメータ認証の動作740までの、フロー70および72の性能を全体として別個のフローとして示している。フロー70および72の様々な動作を同時にまたは順次に実行できることは明らかである。
【0107】
例えば、
図6aのシステム60または
図6bのシステム62を使用して、(フロー70の)動作700および(フロー72の)動作720を順次実行することができる。システム60の場合、コヒーレント照明器122およびインコヒーレント照明器124の動作は、順次切り替えられる。システム62の場合、照明部130は、そのコヒーレント照明モードとインコヒーレント照明モードとの間で変更するように制御され得る。その結果、(フロー70の)動作702および(フロー72)の動作722は、同じシステム要素(例えば、
図1の収集部104および制御部110)によって順次実行され得る。同様に、(フロー70の)動作704、706、708および(フロー72の)動作724、726、728は、制御部によって同時にまたは順次に実行され得る。(フロー70の)動作710および(フロー72の)動作730は、同時にまたは順次に実行され得、フロー74の動作740の入力として拒否決定または承認決定を提供する。あるいは、(フロー70の)動作710および(フロー72の)動作730の実行は、統合され、フロー74の動作740を構成し得る。様々な実施形態の範囲または趣旨から逸脱することなく、このフローに対して他の修正および変更を行うことができる。
【0108】
本発明の実施形態による撮像システムの多様性はまた、コヒーレント撮像とインコヒーレント撮像とを交互に行うことによって、人または無生物の物体の複合モニタリングを実行するために使用され得る。例えば、人のバイオメトリックモニタリングは、例えば、生命の兆候、パルス、呼吸、視線追跡、顔の表情の認識のために実行され得る。もう1つの用途は、機械の振動の複合モニタリングと、全体的な2Dおよび3D画像モニタリングとを実行することである。
【0109】
組み合わされたコヒーレントとインコヒーレントのモニタリングでは、一連の波面画像が、制御部によって影響されるように、コヒーレント照明と周囲光またはインコヒーレント照明とを交互に繰り返す照明条件下で捕捉される。次に、画像を2つのシーケンスに分離することができ、1つはインコヒーレント画像で、もう1つはコヒーレント画像である。コヒーレント画像のセットは、時空間歪みマップを計算し、前述のように特定の振動パターンまたはバイオメトリックパラメータを抽出するために使用される。2Dおよび3D画像のセットは、全体的な形状、形状、反射率の変化、およびその他の関心のある撮像パラメータをモニタリングするために使用され得る。
【0110】
一般に、波面画像のシーケンスは、コヒーレント照明とインコヒーレント照明の間で1:1の比率で分割される必要はない。用途によっては、各インコヒーレント波面画像に対していくつかのコヒーレント波面画像を取得することが有益な場合があり、その逆も同様である。
【0111】
前述のように、コヒーレント点灯条件下では、単一のスペックル波面画像は、そのランダム位相波面のためにサンプルに関する情報をほとんど提供しない。ランダム性は、照明とサンプルの間の相互作用によって引き起こされ、サンプルの光拡散長または表面粗さは、サンプルを照らすために使用される光の時間的コヒーレンス長よりも小さい。ランダム位相波面は、Rytov近似で使用されるような標準的な位相アンラッピング手法には適していない。ただし、いくつかの波長でスペックル波面画像を取得することにより、マルチスペクトル位相アンラッピングを実行し、不透明なサンプルまたは半透明のサンプルの内部構に対するサンプルの表面プロファイルを回復することができる。
【0112】
一般性を失うことなく、通常のコヒーレント照明で大きな表面プロファイルステップを扱う。「大きな」ステッププロファイルの意味は、まもなく明らかになるであろう。また、ここで説明する原理は、ランダムな粗さだけでなく、半透明のサンプルを通るまたはそこから反射される透過および/または反射にも有効である。ランダムな粗さの表面での反射の場合、ランダムな表面プロファイルは、表面に衝突する光のランダムな光路長を引き起こす。半透明のサンプルを透過または反射する場合、サンプルの内部構造によるランダムな散乱も、サンプルと相互作用する光のランダムな光路長を引き起こす。さらに、表面粗さのある半透明のサンプルは、両方の効果によりランダムな光路長を引き起こす。すべての場合において、以下に示す大きな表面プロファイルステップでの反射の例は、サンプル上の2点間の光路長差がどのように測定されるかを説明するための優れたプロキシを提供する。
【0113】
本発明の一態様によると、
図8aは、高さhのステッププロファイル810に直角入射で衝突する波長λを有するコヒーレント照明800を示している。
図8bに示されるように、光820は、ステップ810のいずれかの側から反射される。
図8aに示すように、入射光は均一な波面を有するが、反射光の波面は、
図8bの破線Dで示される位相ずれを有することに注意する。ステッププロファイルの左半分と右半分の間の位相差は、ステッププロファイル810の両側からの反射時に光が受けた往復時に蓄積されたΔL=2hの光路差の結果である。これにより、反射された波面の両側で2πΔL/λラジアンの位相差が生じる。ただし、撮像波面センサ(例えば、
図1の要素108)は、この位相差の小数部分を2πまでしか測定することができず、つまり、整数の波長である位相差の影響は受けない。したがって、測定された位相差は、ΔL<λに従う「小さな」ステップ高さについてのみ、ステップ高さの正確な推定値である。より大きなステップ高さの場合、位相シフトの整数部分は、ステップ高さの推定にあいまいさをもたらす。
【0114】
高さのあいまいさは、いくつかの波長で位相差を測定することで解決され得る。例えば、2つの近い波長λ、λ’=λ+Δλの場合、φ=2πΔL/λとφ’=2πΔL/(λ+Δλ)の位相差を測定し、これは、Δλ”λの仮定の下では、φ’=φ-2πΔLΔλ/λ2として1次に記載することができる。したがって、両方の波長間の位相差の変動は、およそΔφ=-2πΔLΔλ/λ2である。この場合も、この位相差は整数の波長までしか測定されず、つまり、2πの位相のあいまいさがある。ただし、実際の差が明確である有効範囲は、ΔL<λ・λ/Δλよりもはるかに大きく、これは、小さなステップ高さの場合よりもλ/Δλだけ大きい。量λ2/Δλは、位相のあいまいさが解消される仮想波長を定義するため、「合成波長」と称されることもある。
【0115】
上記の原理は、
図10a~10bに示すように、マルチスペクトル位相アンラッピング技術に容易に拡張される。
【0116】
図10aは、波長λ
1、λ
2...λ
nで測定された一連900の2D位相マップ(位相画像)φ
1(x、y)、φ
2(x、y)、…、φ
n(x、y)を概略的に示している。この場合、追加の波長は、より広い範囲の光路長の差にわたって高さのあいまいさをより確実に解決するのに役立つ。2D位相マップのセット(
図10aの各マップφにおいて「X」ラベルでマークされている)の各点(x、y)について、光路長ΔLを次のように計算する。特定の波長で位相を選択することから開始される。次に、隣接する波長の各対について、考慮中の点での位相差Δφを計算する。次に、波数k=2π/λの関数として位相差を累積することができる。これは、式1の積分に離散近似を実行することに似ている。
【数1】
【0117】
結果として生じる波数の関数としての累積位相差は、
図9bに示す線形プロット910を生成する。プロット920の傾きは、φ=2π/λ・ΔLの関係を通して光路差ΔLに直接関係している。位相マップのセット900の各点に対して繰り返されると、光路長マップΔL(x、y)が得られる。
【0118】
上記のマルチスペクトル位相アンラッピング技術は、本発明の実施形態によるシステムによって得られるスペックル波面画像に直接適用可能である。単一波長で得られるスペックル波面のランダムな性質は、コヒーレント光とサンプル自体の相互作用によって引き起こされる大きな光路差ΔLのランダムな分布の結果である。上記で説明したように、光路差は、反射性の不透明なサンプルの場合は表面粗さの結果、または半透明の対象では光の拡散、またはその両方の組み合わせの結果である可能性がある。典型的な光路差は波長ΔL>λよりもはるかに大きいため、単一波長の場合、位相のあいまいさがあり、単独では光路差を確認するために使用することはできない。サンプルの構造は光路差に直接関係しており、光路差はあいまいであるため、単一波長の位相画像からサンプルの構造を再構築することは事実上不可能である。
【0119】
ただし、波長λ
1、λ
2、…、λ
nのセットで一連のスペックル波面画像を取得することにより(
図9a~9bに示すように)、上記のようにマルチスペクトル位相巻き戻しを実行し、したがって、ΔLの空間分布の動作上および実用的な推定値を取得することが可能である。反射サンプルの場合、ΔL=2hの関係により、ΔLは表面プロファイルのちょうど2倍になる。透過型サンプルの場合、光路差は、ΔL=t・Δnによる屈折率分布の変化に直接関係し、ここで、tはサンプルの厚さ、Δnはある基準公称値からの屈折率の偏差である。
【0120】
図10は、本発明の実施形態による測定フロー12を示すフロー図である。この実施形態では、照明源は、いくつかの波長でコヒーレント照明を提供するために必要とされる。これは、例えば、フィルターホイールまたは調整可能なフィルターを備えた広帯域光源、例えば、調整可能な音響フィルターを備えたスーパーコンティニウムレーザーを使用することによって実現され得る。別の例では、調整可能なレーザー光源を使用することができる。さらに別の例によって、照明モジュールは、それぞれがいくつかの波長で、それぞれが順番に別々に使用されるいくつかの光源を含むことができる。
【0121】
フロー12は、第1の波長でコヒーレント照明を用いてサンプルを照らす動作1002から開始される。それぞれのスペックル波面画像は、動作1004において捕捉され、動作1006において記憶される。動作1008において、サンプルは第2の波長でコヒーレントに照らされ、再び、スペックル波面画像が捕捉され(動作1010)、記憶される(動作1012)。これは、残りのすべての波長に対して繰り返される(
図10に3つのドットで示され、その後に操作1014、1016、および1018が続く。動作1020において、一連のスペックル波面画像の各空間点について、位相のあいまいさは、説明したマルチスペクトル位相アンラッピング手順に従って決定される。これにより、光路差ΔLの空間分布が得られる。サンプルのタイプと用途に応じて、光路差ΔLの空間マッピングを使用して、表面プロファイル(動作1022)、屈折率分布、または両方の組み合わせを推定できる。例えば、広範囲の表面プロファイルを計算でき(動作1022において)、仮想光コヒーレンストモグラフィー(OCT)3D深度プロファイルを取得でき(動作1024で計算)、広範囲の定量的位相画像を生成できる(動作1026で計算)。
【0122】
一般性を失うことなく、スペックル波面画像の処理と位相アンラッピングは、上記のスペクトル画像取得シーケンスと組み合わせて進めることができることに注意する。
【0123】
本発明の実施形態によると、マルチスペクトル回折トモグラフィーを実施することができる。これは、一連の異なる照明角度に対してマルチスペクトルスペックル波面撮像を実行することに似ている。
【0124】
図11aは、コヒーレント照明1100によって上から照らされたL字型の半透明の物体Sを示している。ステップ屈折率プロファイルΔn1130は、
図10を参照して説明したように、マルチスペクトルスペックル波面撮像を実行することによって得られる。ただし、このプロファイルΔn1130は、物体Sの3D屈折率分布を推定するのに十分ではない。
図11bおよび11cは、屈折率プロファイルΔn1130と同様の屈折率プロファイルΔn1140および1150を得る物体S
1およびS
2を示している。屈折率プロファイルは、マルチスペクトルスペックル波面撮像により、式2に示すように、サンプルの厚さ全体にわたる累積屈折率の合計が推定されるため、類似している。
【0125】
式2ΔL=t・Δn。
【0126】
屈折率プロファイルのあいまいさは、
図12に示すように、いくつかの照明角度からマルチスペクトルスペックル波面撮像を実行することで解決され得る。各照明角度θ
i1200、1210、1220(i=1、2、3)は、それぞれ異なる屈折率プロファイルΔni1230、1240、1250を生成する。次に、物体の正しい3D屈折率プロファイルを、逆ラドン変換などの既知のトモグラフィー技術を使用して推定できる。
【0127】
図13は、本発明の実施形態によるシステム13を概略的に示すブロック図である。
図1、2a~2b、5a~5b、6a~6bと同じ要素を示すために、同じ符号が使用される。システム13は、マルチスペクトル回折トモグラフィーを実行するために使用され得る多数のマルチスペクトル照明部103、105、107を備える。別の実装(
図13には示されていない)によると、移動可能な照明部を使用して、サンプル100が異なる角度から照らされる。別の実装は、
図14に概略的に示されている:照明部102は、破線で表される可変の照明角度でサンプル100を照らすように適合され得る。さらに別の実施形態(
図13および14には示されていない)によると、単一の照明部が収集部104とともに移動される。別の実施形態によると、サンプルは、移動され、それによって、照明部、収集部、またはその両方に対して相対的な動きが作り出される。本発明は、マルチアングルスペクトル撮像を作り出すための方法によって制限されない。
【0128】
図15は、マルチスペクトル回折トモグラフィーを実行するためのフロー51を示すフロー図である。マルチスペクトルスペックル波面撮像は、第1の照明角度で実行され(動作1500)、対応する空間光路長マッピングが計算されて記憶される(動作1510)。他のすべての照明角度についても同じ動作が繰り返される。これは、
図15の動作1520、1530、および3つのドットとそれに続く操作1540および1550で表される。その結果、空間光路長マッピングのセットが取得される。動作1560において、空間光路長マッピングのセットは、逆ラドン変換などのトモグラフィー技術を使用してサンプルの3D構造を推定するために使用される。この技術は、サンプルの透過と反射の両方に適用できることに注意する。
【0129】
本発明の様々な実施形態に関する上記のすべての説明において、照明部は、収集部の光学系とは別個のものとして扱われる。ただし、いくつかの場合では、サンプルに撮像光学系を通して光を投射する照明部を使用することが有利となり得る。これは、例えば、
図16に概略的に示されているように実現され得る。説明を容易にするために、
図1の実施形態と比較して、
図16の実施形態について説明する。
図16のシステム80は、ビームスプリッタ配置112を有することで、
図1のシステム10とは異なる。ビームスプリッタ配置112は、照明経路において、照明部102と撮像光学系106との間に位置される。照明IL(破線)は、照明部102から出て、ビームスプリッタ配置112および撮像光学系106を通過し、サンプル100に衝突する。収集経路において、ビームスプリッタ配置112は、撮像光学系106と波面撮像センサ108との間に位置する。サンプル100から反射された、またはサンプル100を透過した光CLは、撮像光学系106およびビームスプリッタ配置112を通過し、波面撮像センサ108に到達する。一般性を失うことなく、本発明の他の実施形態では、ビームスプリッタ配置112は、撮像光学系106(図示せず)の前に配置され得る。最後に、ビームスプリッタのどの配置でも、縦方向および空間的コヒーレンスに関する関係で前述したように、一次および二次スペックルの形成の条件が維持されることを確実にするように注意する必要がある。照明の空間的コヒーレンスと収集経路の間の後者の前述の関係(
図1、5a、および5bに示されている)も、任意のタイプのビームスプリッタ配置で維持されるべきである。
【0130】
ビームスプリッタ配置は、例えば、
図2a~2b、5a~5b、6a~6b、13、および14に示されるように、発明の範囲または精神から逸脱することなく、適切な修正および変更を加えて、本発明の他の実施形態と統合され得る。
【0131】
波面撮像センサは、スペクトルに敏感であり得る。スペクトル感度は、いくつかの方法で達成でき、例えば、(1)RGB(赤緑青)ベイヤーフィルターやその他のタイプのパターンなど、センサピクセルにカラーフィルターアレイを使用することによって、(2)スペクトルフィルターを使用することによって、または(3)スペクトルチャネルごとに別個のセンサピクセルアレイを備えたダイクロイックプリズムを使用することによって達成され得る。本発明は、スペクトル感度を実現するための方法によって制限されない。
【0132】
波面撮像センサのスペクトル感度は、インコヒーレント点灯条件下で使用される場合、カラーまたはハイパースペクトル2D画像を取得するために使用されてもよい。このようなスペクトルに敏感な波面撮像センサは、照明器の波長がセンサのスペクトル感度範囲の1つに収まることが確実にされる限り、コヒーレント照明下でスペックル波面を捕捉するために引き続き使用され得ることに注意する。
【0133】
さらに、センサの上記のスペクトル感度を使用して、いくつかの波長範囲についてマルチスペクトルスペックル波面画像を同時に捕捉するために使用されてもよい。この同時捕捉は、前述のように、異なる照明波長でのマルチスペクトルスペックル波面画像の順次捕捉を置き換え得る。このタイプの同時マルチスペクトル画像捕捉は、画像取得時間を短縮でき、これは、マルチスペクトル波面画像捕捉シーケンス中のシステムスループットの向上またはサンプルの動きに対する感度の低下という点で有益となり得る。
【0134】
一般性を失うことなく、スペクトルに敏感な波面撮像センサを使用したマルチスペクトルスペックル波面画像の同時捕捉を、スペクトル波面画像の順次捕捉と組み合わせて使用することもできる。選択的な波長範囲の照明源を使用することができる。例えば、サンプルをいくつかの波長で同時に照らされることができ、各波長は、波面画像センサによってスペクトル分離される。サンプルは、波面画像センサでそれぞれがスペクトル分離されるように、いくつかの異なる波長で照らされてもよい。
【0135】
本発明の実施形態によると、波面撮像センサ108は、参照により本明細書に組み込まれるPCT特許出願公開第WO2018/185740号に記載されている光学的検出システムとして構成されている。
【0136】
図17は、本発明の実施形態によるシステムの一部を概略的に示しており、波面撮像センサ17は、エンコーダ1700、および放射伝播の全体的な方向に関してエンコーダ1700の下流の所定の距離Lに位置された検出器アレイ1710を含む。説明を容易にするために、波面撮像センサ17は、収集部104の他の部分とともに示され、撮像光学系106が示され、サンプル100およびエンコーダ1700上のその画像Imgが示される。波面撮像センサ17は、制御部110にさらに結合されている。
【0137】
エンコーダ1700は、(1)検出器アレイ1710とは別のユニットとして、(2)検出器アレイ1710とモノリシックに統合される、または(3)センサレイを製造するために使用されるプロセススタックの一部として、例えば、メタライゼーションプロセスステップ、および/またはセンサレイのピクセルフィルファクターを改善するために通常使用されるマイクロレンズアレイの製造に使用されるプロセスステップと同様のプロセスステップを使用して、実現されてもよい。
【0138】
波面撮像センサ17は、複数のユニットセルを定める周期的パターンを有するエンコーダ1700(
図17には示されない)を備えてもよく、センサセルのアレイ1710(
図17には示されていない)は、システムを通る入力光の伝播の全体的な方向に関してユニットセルの下流にある距離を置いて位置する。波面撮像センサ17は、センサセルのアレイ1710によって収集された入力データを受信し、エンコーダ1700の変調機能に関するデータに従って入力データを処理して、エンコーダ1700によって収集された入力光の相互コヒーレンスを示すデータを決定するように構成される制御部110に結合される。
【0139】
センサセルのアレイ1710は、複数のサブアレイユニットセル(
図17には示されていない)を定めることができ、各サブアレイユニットセルは、エンコーダ1700の複数のユニットセルのうちのユニットセルに対応し、各サブアレイユニットセルは、所定の数Mのセンサ要素を含む(
図17には示されていない)。
【0140】
エンコーダ1700は検出面を定めてもよく、光学撮像システムによって収集された入力光に所定の変調を適用するように構成され、所定の変調は、エンコーダ1700の各ユニットセルが、それに入射する収集された入力光の一部を、それに対応するアレイ1710のサブアレイユニットセルおよび所定の近接領域内の1つ以上の近隣のサブアレイユニットセルに方向付けることを提供する。
【0141】
所定の数Mは、所定の近接領域内のアレイ1710の所定の数のサブアレイユニットセルに従って決定され得る。
【0142】
アレイ1710のサブアレイユニットセルの所定の数Mのセンサ要素は、(M≧2nR+1)の条件を満たすように選択され、ここで、nRは、所定の近接領域内の所定の数の近隣のサブアレイユニットセルである。
【0143】
アレイ1710のサブアレイユニットセルの所定の数Mのセンサ要素は、収集された入力フィールドの相互コヒーレンス情報の再構築に使用するために選択された所定の数のコヒーレンス行列基底関数に従って選択され得る。
【0144】
エンコーダ1700のユニットセルの配置は、エンコーダ1700の各ユニットセルが、波面撮像センサ17によって生成された画像データのピクセルに関連するように、収集された光の離散化されたユニット測定値を定義してもよい。
【0145】
エンコーダ1700のユニットセルの物理的寸法は、エンコーダに入射する収集された光の回折限界スポットに対応し得る。例えば、エンコーダ1700のユニットセルの物理的寸法は、回折限界スポットの0.1~0.25の範囲にあり得る。
【0146】
エンコーダ1700は、1つ以上の選択された波長範囲の光を収集およびエンコーディングするように構成され得る。
【0147】
エンコーダ1700は、所定の波長範囲内の入力光に所定の変調を適用するように構成され得る。
【0148】
センサセルのアレイ1710は、2つ以上の波長範囲の光強度を別々に検出するように構成されたセンサセルを含み得る。
【0149】
図18は、
図17の波面撮像センサ17の態様を示している。
図18は、エンコーダ1700および検出器アレイ1710を示している。
図18はさらに、ピッチpでエンコーダ1700の単一ユニットセル1822を透過し、検出器アレイ1710に向かって距離Lを伝播する入力光SIを示している。
【0150】
検出器アレイ1710によって(強度検出において)検出され得る基本応答関数FRが形成される。説明を簡単にするために、基本応答関数FRの2次元構成を示す。基本応答関数FRは、エンコーダ1700の下流に伝播し、インパルス光照射野(例えば、撮像システム106の回折限界スポット励起、またはガウス、長方形、またはデルタ関数のような形)がエンコーダ1700のユニットセルに衝突することから生じる光照射野の複雑なデータ(振幅および位相)に関連する。
【0151】
一般に、単一のユニットセル1822に関連するエンコーダ1700の領域を通過する光、およびその基本応答は、波面撮像センサ18によって収集された強度分布データを処理するために使用され得る。図示されるように、エンコーダの単一のユニットセル1822に方向付けられた入力光照射野SIは、所定の光変調を受け、サブチャネル1830を通って検出器アレイ1710に向かって伝播される。
【0152】
一般に、単一のユニットセル1822によって提供される変調は連続的であり、実質的に連続的な基本応答関数FRを提供する。しかしながら、完全を期すために、5つのサブチャネル(D-2~D+2)を示す矢印が示されている。上記のように、これらのサブチャネルは、離散的な回折次数として扱うことができ、これは通常、エンコーダ1700の周期性に起因する。前述したように、特定のエンコーダユニットセル1822は、サブチャネル1830を介して、近接領域PR内のいくつかの検出器サブアレイに光を送信する。この関係は、単一のユニットセル1822に関連付けられた単一のサブアレイ1842が、同様の近接領域で定義された近隣のエンコーダユニットセルから適切なサブチャネル1830を介してそれに衝突する光を受信するという二重のステートメントと同等である。
【0153】
上に示したように、エンコーダ1700の異なるユニットセルに関連するサブアレイ1842または検出器アレイ1840内のセンサセルMの数は、エンコーダのパターン化および光を送信するサブチャネルの数に従って選択することができる。ユニットセル1822から特定の近接領域PR内のサブアレイ1842までのコンポーネント。
【0154】
さらに、センサセルの数Mは、選択された基底再構成に従って選択されてもよく、センサセルの数を減らして、収集された光の位相またはコヒーレンスマッピングの効果的な再構成を可能にする。
【0155】
一般に、基本応答関数FRは、近接領域PR外の無視できる値に低下する。例えば、エンコーダ1700のパターンは、収集された光と、1つ、2つ、またはそれ以上の近隣のユニットセルに関連する光成分との相互作用を提供するように構成されてもよく、たとえば、最も近い近隣の相互作用、次に近い近隣などを定義する。さらに、近隣の相互作用のレベルは、波面撮像センサ17の異なる横軸(xおよびy)に対して異なってもよい。
【0156】
概して、各ユニットセル1822に関連付けられたセンサセルの数Mは、M≧2nR+1以上であるように選択され、ここでnRは、近接領域PR内の近隣のユニットセルの総数である。nRは、所与のユニットセルに関するすべての近隣のユニットセルの相互作用の数であるが、各相互作用は1回だけカウントされる。しかしながら、上述したように、いくつかの構成では、センサセルの数Mは、収集フィールドの再構成に使用されるいくつかの基底関数に従って減少されてもよい。例えば、光学エンコーダ1700が、ユニットセルとその右側の最も近い近隣物およびその上の最も近い近隣物との間に相互作用を作り出すように構成されている場合、nR=2である。この特定のユニットセルは、その左および下のユニットセルとも相互作用する。ただし、これらの相互作用は、相互作用を2回カウントしないように、左と下のそれぞれの近隣のユニットセルに属するものとしてカウントされる。近接領域がx軸とy軸に沿った相互作用に分離可能である場合、M≧(2nxR+1)(2nyR+1)であり、ここで、nxRはx軸に沿った近隣のユニットセルの相互作用の数であり、nyRはy軸に沿った近隣のユニットセルの相互作用の数である。前述したように、相互作用が2回カウントされることがないよう、相互作用の数nxRとnyRは片側でカウントされる。
【0157】
本明細書に記載される本発明の実施形態は、収集された光の強度、位相、およびコヒーレンスを示すデータを決定するための光学スペックルベース撮像システムおよび対応する方法を提供する。
【0158】
したがって、上記の実施形態は例として引用されており、本発明は、上記で特に示され、説明されたものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の様々な特徴の組み合わせおよびサブ組み合わせの両方、ならびに前述の説明を読んだときに当業者が想定し、先行技術に開示されていないそれらの変形および修正を含む。
【0159】
当業者は、添付の特許請求の範囲において、およびそれによって定められるその範囲から逸脱することなく、前述のように、様々な修正および変更を本発明の実施形態に適用できることを容易に理解するであろう。
【国際調査報告】