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▶ センコー アドバンスド コンポーネンツ インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】弾性平均結合
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20230317BHJP
【FI】
G02B6/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573416
(86)(22)【出願日】2021-02-03
(85)【翻訳文提出日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 US2021016490
(87)【国際公開番号】W WO2021158716
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】62/969,536
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516183185
【氏名又は名称】センコー アドバンスド コンポーネンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
(72)【発明者】
【氏名】ヴァランス,ロバート ライアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】メンゲシャ,テオドロス
【テーマコード(参考)】
2H137
【Fターム(参考)】
2H137AB04
2H137AB08
2H137BA15
2H137BC41
2H137BC52
2H137CA12A
2H137CA43
2H137CA51
2H137CA73
2H137CA74
2H137CA78
2H137CB22
2H137CC05
2H137EA06
(57)【要約】
アラインメント特徴部の第1の二次元平面アレイを有する光コネクタとアラインメント特徴部の第2の二次元平面アレイを有する基台との間の受動的光学アラインメント結合が提供される。アレイの一方は、それぞれが直行する縦溝によって互いに分離される切頭された頂部を有する略四角錐形状である離散突起のアレイを画定する直交する縦溝のネットワークであり、他方のアレイは、長手方向の円筒形突起である。円筒形突起は溝内に受容され、円筒形突起の特記表面は溝表面と接触し、離散突起の頂部は円筒形突起によって囲まれる表面に接触する。光コネクタは、基台に取外し可能に取り付けられて着脱可能な結合を画定し、アラインメント特徴部の第1のアレイがアラインメント特徴部の第2のアレイに対して弾性平均結合を画定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を伝送する第1の本体を備える、光コネクタ、
前記光コネクタと光信号を通信する外部光電子デバイスに対するアラインメント基準を提供する第2の本体を備える、基台
を備える、受動的光学アラインメント結合であって、
前記第1の本体は、第1のベースを画定し、該第1のベースは、該第1のベースの第1の表面上に一体的に画定されたアラインメント特徴部の第1の二次元平面アレイによって画定された第1の平面を有し、
前記第2の本体は、第2のベースを画定し、該第2のベースは、該第2のベースの第2の表面上に一体的に画定されたアラインメント特徴部の第2の二次元平面アレイによって画定された第2の平面を有し、
前記アラインメント特徴部の第1のアレイおよび前記アラインメント特徴部の第2のアレイの一方は、直交する縦溝の第1のネットワークを備え、前記アラインメント特徴部の第1のアレイおよび前記アラインメント特徴部の第2のアレイの他方は、それぞれが前記第1のベースの第1の表面または前記第2のベースの第2の表面のうちの対応する1つに平行な長手軸を有する長手方向円筒形突起の第2のネットワークを備え、
前記円筒形突起の第2のネットワークは、前記円筒形突起の突起表面が前記溝の溝表面と接触した状態で、前記溝の第1のネットワーク内に受容され、かつ
前記光コネクタは、前記基台に取外し可能に取り付けられて着脱可能な結合を画定し、前記アラインメント特徴部の第1のアレイが前記アラインメント特徴部の第2のアレイに対して弾性平均結合を画定し、それによって、前記光コネクタを前記基台にアラインメントする
ことを特徴とする、受動的光学アラインメント結合。
【請求項2】
前記第1のアラインメント特徴部の直交する縦溝の第1のネットワークが、前記第1のベースの第1の表面または前記第2のベースの第2の表面の対応する1つ上に直交する縦溝によって互いに分離および隔離された離散突起のアレイを画定し、該離散突起はそれぞれ、切頭された頂部を有する略四角錐形状であることを特徴とする、請求項1に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項3】
前記離散突起のアレイが隆起構造を備え、該隆起構造はそれぞれ、前記第1のベースの第1の表面および前記第2のベースの第2の表面のうちの対応する1つに直交する第1の平面に関して対称であり、さらに、前記第1の平面に直交しかつ前記第1の表面および前記第2の表面のうちの対応する1つに直交する第2の平面に対して対称であることを特徴とする、請求項2に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項4】
前記離散突起のアレイがさらに、前記第1の表面および前記第2の表面のうちの対応する1つの周囲/エッジに沿って位置する隆起構造を有する複数のガイドキー突起を備え、該ガイドキー突起は、前記周囲/エッジから離れる方向を向く表面において、前記周囲/エッジの内側に位置する前記対称的な離散突起の表面プロファイルと比較して、異なる表面プロファイルを有し、それによって、前記アラインメント特徴部の第1および第2のアレイの相対位置を最初にガイドし、前記光コネクタを所定の意図された相対位置で前記基台に結合するために、前記アラインメント特徴部の第1のアレイを有する前記光コネクタおよび前記アラインメント特徴部の第2のアレイを有する前記基台の相対位置を一意に着座させることを特徴とする、請求項3に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項5】
前記離散突起のアレイが、(M+1)×(N+1)個の離散突起の矩形アレイであり、前記交差溝の第1のネットワークが、M×N個の直交する縦溝を含み、かつ、約3mm×3mmの平面面積を有する前記光コネクタと前記基台との間の結合インターフェースについて、前記光コネクタと前記基台との間の1マイクロメートル未満の結合精度を達成するために、Mは好ましくは3~10の範囲内であり、Nは3~10の範囲内であることを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項6】
前記長手方向円筒形突起の突起表面が、前記光コネクタが前記基台に結合されると、前記溝表面と線接触して線接触のアレイを画定し、前記縦溝がV字状溝であり、かつ、前記離散突起の各々は、前記溝表面に対応する実質的に平坦な表面を備え、前記光コネクタが前記基台に結合されると前記突起表面との前記線接触を画定することを特徴とする、請求項2~5のいずれか一項に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項7】
前記長手方向円筒形突起の突起表面が、前記光コネクタが前記基台に結合されると、前記溝表面と点接触して点接触のアレイを画定し、かつ、前記離散突起の各々は、前記溝表面に対応する凸曲面を備え、前記光コネクタが前記基台に結合されると前記突起表面との前記点接触を画定することを特徴とする、請求項2~5のいずれか一項に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項8】
前記光コネクタが前記基台に結合されると、前記縦溝によって画定される前記離散突起が、前記第1の表面および前記第2の表面のうちの対応する1つに接触することを特徴とする、請求項2~7のいずれか一項に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項9】
前記円筒形突起の前記第2のネットワークが、交差する長手方向円筒形突起のネットワークを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項10】
前記円筒形突起の第2のネットワークが、M×N個の直交する長手方向円筒形突起を含み、前記交差する縦溝の第1のネットワークに合致することを特徴とする、請求項9に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項11】
前記円筒形突起の第2のネットワークがそれぞれ、断面において実質的に半円形であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項12】
前記第1のベースが、第1の可鍛性金属材料を含み、前記光コネクタのアラインメント特徴部の第1のアレイが、前記可鍛性金属材料をスタンピングすることによって前記第1のベース上に一体的に画定され、前記第2のベースが、第2の可鍛性材料を含み、前記アラインメント特徴部の第2のアレイが、前記第2の可鍛性金属材料をスタンピングすることによって前記ベース上に一体的に画定されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項13】
前記光コネクタが、第1のマイクロミラー光学ベンチを備え、該第1のマイクロミラー光学ベンチは、
前記第1のベース;
前記第1のベース上に画定されたミラーの第1のアレイであって、各ミラーは、前記第1のベースの前記第1の表面に実質的に平行な第1の平面内の第1の方向に沿った第1の光路と、前記第1の平面の外側の第2の方向に沿った第2の光路との間で光を方向転換する構造化反射表面プロファイルを含む、ミラーの第1のアレイ;および
前記第1のベース上に画定されたファイバ溝のアレイであって、各溝はそれぞれ光ファイバのセクションをその長手軸が前記第1の光路に沿った状態で受容し、端部は前記第1の光路に沿った対応するミラーと光学的にアラインメントされる、ファイバ溝のアレイ
を備えることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項14】
前記基台が、第2のマイクロミラー光学ベンチを備え、該第2のマイクロミラー光学ベンチは、
前記第2のベース;および
前記第2のベース上に画定されたミラーの第2のアレイであって、該ミラーの第2のアレイ内の各ミラーは、前記第2のベースの前記第2の表面に実質的に平行な第2の平面内の第3の方向に沿った第3の光路と、前記第2の平面の外側の第4の方向に沿った第4の光路との間で光を方向転換する構造化反射表面プロファイルを含む、ミラーの第2のアレイ
を備えることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項15】
前記光コネクタが、前記第1のベース上に画定されたミラーの第1のアレイを備え、前記基台が、前記第2のベース上に画定されたミラーの第2のアレイを備え、前記ミラーの第1のアレイが、前記第1のベース上に前記アラインメント特徴部の第1のアレイと同時に画定され、前記ミラーの第2のアレイが、前記第2のベース上に前記アラインメント特徴部の第2のアレイと同時に画定されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項16】
前記光コネクタおよび前記基台が、前記光コネクタと前記基台との間に配置される任意の屈折光学素子なしに自由空間結合を画定することを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項17】
前記光コネクタと前記基台との間の前記取外し可能な結合が、任意の相補的なアラインメントピンおよびアラインメントホールを使用せずに画定されることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項18】
前記光コネクタの前記第1のベースが、該第1のベースの第1の側に第1の基準面を有し、前記基台の前記第2のベースが、該第2のベースの第2の側に第2の基準面を有し、前記第1の基準面および前記第2の基準面は、前記アラインメント特徴部の第1のアレイが前記アラインメント特徴部の第2のアレイに対向した状態で、前記第2のベースに対して前記第1のベースをバイアスするコンプライアントクリップによって概ねアラインメントされることを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項19】
前記基台が、フォトニック集積回路PICに結合され、前記光コネクタの前記第1のベースが、光ファイバアレイを支持することを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の受動的光学アラインメント結合。
【請求項20】
支持体;
前記支持体の上面に取り付けられた光電子デバイス;および
請求項1~19のいずれか一項に記載の受動的光学アラインメント結合
を備え、
前記基台が、前記光電子デバイスおよび/または前記支持体上のいずれかにおいて、前記光電子デバイスに対して位置決めされ、
前記基台が、前記光電子デバイスが前記基台に取外し可能/着脱可能に結合された前記光コネクタと光信号を通信するためのアラインメント位置を画定する
ことを特徴とする、フォトニック装置。
【請求項21】
前記光電子スデバイスが、フォトニック集積回路(PIC)チップの外部への光学インターフェースとして光学素子を備えるPICチップを備え、前記基台が、前記PICチップの光学素子と光学的にアラインメントされていることを特徴とする、請求項20に記載のフォトニック装置。
【請求項22】
前記基台が、前記PICチップに対して光学的にアラインメントされて前記支持体上に支持されたエッジカプラを備え、前記PICチップの前記光学素子が、光を前記PICチップのエッジに導き、前記エッジカプラが、前記PICチップの前記光学素子と光学的にアラインメントされたミラーのアレイを備え、光が、前記ミラーのアレイ内のミラーと前記PICチップ内の対応する光学素子との間の光路に沿って伝送されることを特徴とする、請求項21に記載のフォトニック装置。
【請求項23】
光コネクタと光電子デバイスとの間に接続を提供するための方法であって、
支持体を提供する工程;
前記光電子デバイスを前記支持体の上面に取り付ける工程;および
請求項1~22のいずれか一項に記載の受動的光学アラインメント結合を提供する工程
を含み、
前記基台が、前記光電子デバイスおよび/または前記支持体上のいずれかにおいて、前記光電子デバイスに対して位置決めされ、
前記基台が、前記光電子デバイスが前記基台に取外し可能に結合された前記光コネクタと光信号を通信するためのアラインメント位置を画定する
ことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本出願は、2020年2月3日出願の米国仮特許出願第62/969,536号の優先権を主張する。この出願は、参照により、その内容が本明細書に完全に記載されているかのように完全に組み込まれているものとする。以下で言及される全ての刊行物は、参照により、それらの内容が本明細書に完全に記載されているかのように完全に組み込まれているものとする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、光電子部品(例えば、フォトニック集積回路(photonic integrated circuit;PIC))の入力および出力に光を結合する技術に関し、より詳細には、PICに対する光ファイバの光接続に関する。
【背景技術】
【0003】
フォトニック集積回路(PIC)または光集積回路は、動作の基礎として電流ではなく光を用いるエマージング技術の一部である。PICデバイスは、複数(少なくとも2つ)のフォトニック機能を統合し、したがって、電子集積回路に類似する。上記の2つの主な違いは、フォトニック集積回路は、通常は可視スペクトルまたは近赤外の850nm~1650nmにおける光学波長に与えられる情報信号のための機能を提供することである。
【0004】
PICは、遠距離通信、計測、および信号処理の分野において様々な用途に使用される。PICデバイス(フォトニックチップパッケージの形態で)は通常、光導波路を用いて、様々のオンチップ(on-chip)素子、例えば、導波路、オプティカルスイッチ、カプラ、ルータ、スプリッタ、マルチプレクサ/デマルチプレクサ、モジュレータ、増幅器、波長変換器、光-電気(O/E)および電気-光(E/O)信号変換器(例えば、フォトダイオード、レーザ)等を、実装および/または相互接続する。PICデバイス中の導波路は通常、導波路のコアとクラッディングとの間の屈折率コントラストにより光をガイドするオンチップソリッド導光体である。
【0005】
フォトニックネットワーク内の最も高価な部品の1つは、光ファイバコネクタである。適正な動作のために、PICは、典型的には、外部光ファイバと1つまたは複数のオンチップ導波路との間で光を効率的に結合する必要がある。PICデバイスはしばしば、光通信の組織化ネットワークの形態で、他のPICデバイスへの光接続を有することが必要とされる。接続距離は、チップ間接続の場合の数ミリメートルから、最大で長距離用途の場合の数キロメートルまでの範囲でありうる。低損失光ファイバによって長距離に亘って非常に高いデータ転送速度(>25Gbps)で光ファイバ内を光が通過できるので、光ファイバは、有効な接続方法を提供できる。適正な動作のために、PICデバイスは、外部光ファイバと1つまたは複数のオンチップ導波路との間で光を効率よく結合する必要がある。PICデバイスにおいて回路動作の基礎として光を用いる利点は、高速信号伝達のためのエネルギー費が、電子チップのものよりも実質的に低いということである。したがって、この利点を維持する、PICデバイスと光ファイバのような他の光学デバイスとの間の有効な結合が、PICの重要な態様である。
【0006】
光ファイバをPICデバイス(またはPICチップパッケージ)に結合する1つのアプローチは、光ファイバアレイをPICチップのエッジに取り付けることである。従来、光ファイバアレイは、能動的なアラインメントアプローチを用いてPIC上の要素とアラインメントされ、このアプローチにおいて、光ファイバの位置および配向は、ファイバとPICとの間で伝達される光の量が最大となるまで機械的に調整される。これは、通常はPICがウエハからダイシングされパッケージ内に実装された後に行われる、時間のかかるプロセスである。これによって、光ファイバの接続は製造プロセスの最後にまわされる。接続は一旦行われると恒久的であり、PICへ光ファイバアレイを再び取り付けたいといういかなる要望に対しても、おそらく接続の完全性を破壊することなしに、取り外し、分離しまたは着脱することができない。言い換えれば、光ファイバアレイは、PICデバイスに取外し可能に取り付けることができず、ファイバアレイ接続および分離は、破壊的であり可逆的でない(すなわち、再接続可能でない)。
【0007】
現行技術水準は、ポリマーコネクタ要素を用いて厳しいアラインメント公差を達成しようとするが、ポリマーにはいくつかの根本的な不利点がある。第1に、ポリマーは伸縮自在であり、外部の印加された負荷の下で容易に変形する。第2に、ポリマーは寸法安定性ではなく、特にコンピューティングおよびネットワーキングハードウェアで見られるような高温にさらされるとサイズおよび形状を変え得る。第3に、ポリマーの熱膨張率(CTE)は、PICデバイスで通常使用される物質のCTEよりもはるかに大きい。したがって、温度サイクルによって、光ファイバとPICデバイス上の光学素子との間にアラインメントずれが生じる。場合によっては、ポリマーは、PICデバイスをプリント回路基板上にはんだ付けする間に用いられる処理温度に耐えることができない。
【0008】
さらに、個々のPICをウエハからダイシングする前に光ファイバ接続を作成できれば有利であろう;これはしばしばウエハ-レベルの取付けと称される。集積回路およびPICの製造業者は、しばしば、サブミクロンのアラインメントが可能な高価な資本設備(例えば、集積回路をテストするためのウエハプローバおよびハンドラ)を有するが、チップをパッケージングする会社は通常、能力の低い機械(典型的には、シングルモードデバイスには適さない数ミクロンのアラインメント公差)を有し、しばしば手動操作を使用する。しかしながら、ダイシング前に光ファイバをPICに恒久的に取り付けることは非現実的である、なぜならば、光ファイバが絡み合い、ダイシング作業およびパッケージング手順の際に邪魔になり、PICがプリント回路基板上にピックアンドプレースされ次いで高温でPCBにはんだ付けされる際に光ファイバを管理することが事実上不可能であるからである。
【0009】
特許文献1(本出願の譲受人に共通に譲渡され、参照により本明細書に完全に組み込まれる)は、光電子デバイスのための取外し可能な光コネクタを開示している。開示された取外し可能な光コネクタは、弾性平均結合の実施を含み、光ファイバの入力/出力をPICに光結合させるための改善された手法を提供し、これにより、低コストで、公差、製造性、使いやすさ、機能性および信頼性を改善する。従来技術において知られているように、弾性平均化は、表面結合タイプのサブセットを表し、ここで、改善された精度は、多数の接触表面にわたる誤差の平均化から導出される。キネマティック設計とは対照的に、弾性平均化は、多数の比較的柔軟な部材で固体を著しく過剰に拘束することに基づく。システムに予荷重が加えられると、材料の弾性特性により、固体全体にわたる接触特徴の合計に対して、各々の接触特徴のサイズおよび位置の誤差が平均化される。弾性平均化によって得られる再現性および精度は、決定論的システムほど高くない可能性があるが、弾性平均化設計により、キネマティック結合と比較した場合、より高い剛性およびより低い局所応力が可能となる。良好に設計され予荷重された弾性平均結合では、再現性は、接触点の数の平方根にほぼ反比例する。
【0010】
ほとんどのPICデバイスは、通常は1マイクロメートル未満の、光ファイバとPICとの間の厳しいアラインメント公差を必要とするシングルモード光接続が必要である。オンチップシングルモード導波路へおよびオンチップシングルモード導波路から外部光ファイバへの有効な光結合は、シングルモード導波路と光ファイバ内の導光コアとの間のサイズの不一致により困難である。例えば、通常のシリカ光ファイバの寸法は、PIC上の通常の導波路より約40倍大きい。このサイズの不一致により、シングルモード導波路と光ファイバとが直接結合されると、導波路および光ファイバのそれぞれのモードが有効に結合せず、許容できない挿入損失(例えば、>20dB)が生じうる。
【0011】
特許文献2(本出願の譲受人に共通に譲渡され、参照により本明細書に完全に組み込まれる)は、PIC用のマイクロミラー光学ベンチを有する取外し可能なエッジカプラを開示しており、これは、ファイバアレイ中の光ファイバおよびオンチップ光学素子のモードサイズを互いに近づけ、光ファイバの入力/出力をPICデバイスに効率的に光結合する機構を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0161686号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2020/0124798号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
必要とされるのは、低コストで公差、製造性、使いやすさ、機能性および信頼性をさらに改善する、改良された弾性平均化手法に基づく、コネクタ間の改善された取外し可能な光結合である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、高いアラインメント精度を達成する取外し可能/分離可能かつ再接続可能な受動的アラインメント結合/接続を提供することによって、従来技術の欠点を克服する。光コネクタ(例えば、光ファイバを支持する光学ベンチを支持するまたはその一部である)は、基台とアラインメントされた状態で再接続するために、非破壊的で取外し可能に取り付けできるように構成および構造化される。基台は、光電子デバイスの一体部分(例えば、フォトニック集積回路(PIC)チップの一部)であってもよく、光電子デバイスに取り付けられた別個の部品であってもよい。
【0015】
本発明を図示の実施形態に関連して説明する。基台は、光電子デバイス内の電気光学素子(例えば、格子カプラ、導波路など)にアラインメントすることができる。基台は、光電子デバイスに対して恒久的にアラインメントされて、外部光コネクタに対するアラインメント基準を提供する。光コネクタは、光学ベンチ内の光学部品/光学素子を所望の光路に沿って光電子デバイスに正確に光学的にアラインメントする「分離可能」または「取外し可能」または「着脱可能」な動作を介して、基台に取外し可能に取り付けることができる。接続および切断ならびに再接続の各々に対して光学的アラインメントを維持するために、このコネクタは、基台に対して精密かつ正確にアラインメントされる必要がある。本発明によれば、コネクタおよび基台は、2つの本体上の幾何学的特徴から構成される受動的機械的アラインメント、具体的には、弾性平均アラインメントを用いて、互いにアラインメントされる。上記を導入として、本発明を以下に要約することができる。
【0016】
本発明は、光コネクタおよび基台(例えば、PICチップに関連付けられる)のための受動的光学アラインメント結合を対象とする。光コネクタは、光信号を伝送する第1の本体を備える。第1の本体は、第1のベース(光ファイバアレイを支持し得る)を画定し、第1のベースは、第1のベースの第1の表面上に一体的に画定されたアラインメント特徴部の第1の二次元平面アレイによって画定された第1の平面を有する;基台(フォトニック集積回路PICに結合され得る)は、光コネクタと光信号を通信する外部光電子デバイスに対するアラインメント基準を提供する第2の本体を備える。第2の本体は、第2のベースを画定し、第2のベースは、第2のベースの第2の表面上に一体的に画定されたアラインメント特徴部の第2の二次元平面アレイによって画定された第2の平面を有する。アラインメント特徴部の第1のアレイおよびアラインメント特徴部の第2のアレイの一方は、直交する長手方向の開口溝の第1のネットワークを備え、アラインメント特徴部の第1のアレイおよびアラインメント特徴部の第2のアレイの他方は、それぞれが第1のベースの第1の表面または第2のベースの第2の表面のうちの対応する1つに平行な長手軸を有する長手方向円筒形突起(各々が、連続的な円筒形突起であってもよく、または円筒形突起の破断チェーンであってもよい)の第2のネットワークを備える。(あるいは、光コネクタおよび基台上のアラインメント特徴部は交換されてもよい。)円筒形突起の第2のネットワークは、円筒形突起の突起表面が縦溝の溝表面と接触した状態で、開口溝の合致する相補的な第1のネットワーク内に受容される。光コネクタは、基台に取外し可能に取り付けられて着脱可能な結合を画定し、アラインメント特徴部の第1のアレイがアラインメント特徴部の第2のアレイに対して弾性平均結合を画定し、それによって、光コネクタを基台にアラインメントする。
【0017】
一実施形態では、第1のアラインメント特徴部の直交する縦溝の第1のネットワークは、第1のベースの第1の表面上(あるいは第2のベースの第2の表面上)に直交する縦溝によって互いに分離および隔離された離散突起のアレイを画定し、これらはそれぞれ、切頭された頂部(例えば、平坦またはわずかに凸状の湾曲した頂部)を有する略四角錐形状である。離散突起のアレイは、それぞれ、第1のベースの第1の表面および第2のベースの第2の表面のうちの対応する1つに直交する第1の平面に関して対称であり、さらに、第1の平面に直交し第1の表面および第2の表面のうちの対応する1つに直交する第2の平面に関して対称である、隆起構造を備えてもよい(すなわち、隆起構造は、光コネクタの第1のベースの第1の表面(あるいは、基台の第2のベースの第2の表面上)に直交する中心軸の周りの2つの直交平面に沿ってそれぞれ対称である。
【0018】
一実施形態では、円筒形突起の第2のネットワークは、交差する長手方向の円筒形突起のネットワーク(対応するベースの表面上にクロスグリッド構造を形成する)を備え、各々は、一実施形態では、断面において実質的に半円形のプロファイルであり得る。他の凸曲断面(例えば、楕円、放物線、またはゴシックアーチプロファイル)を採用してもよい。
【0019】
一実施形態では、長手方向の円筒形突起の突起表面は、光コネクタが基台に結合されると、溝表面と線接触して線接触のアレイを画定する。この実施形態では、縦溝はV字状溝であり、各離散突起は、溝表面に対応する実質的に平坦な表面を備え、光コネクタが基台に結合されると突起表面との線接触を画定する。別の実施形態では、長手方向の円筒形突起の突起表面は、光コネクタが基台に結合されると、溝表面と点接触して点接触のアレイを画定する。この実施形態では、各離散突起は、溝表面に対応する凸曲面を備え、光コネクタが基台に結合されると突起表面との点接触を画定する。
【0020】
一実施形態では、離散突起のアレイは、M×N個の直交する縦溝を含む交差溝の第1のネットワークに対応する(M+1)×(N+1)個の離散突起の矩形アレイである。円筒形突起の第2のネットワークは、M×N個の直交する長手方向の円筒形突起を含み、M×N個の交差する縦溝の第1のネットワークに合致する。約3mm×3mmの平面面積を有する、光コネクタの第1の表面と基台の第2の表面との間の結合インターフェースについて、光コネクタと基台との間の1マイクロメートル未満の結合精度を達成するために、Mは好ましくは3~10の範囲内であり、Nは3~10の範囲内である。
【0021】
一実施形態では、縦溝によって画定される離散突起は、光コネクタが基台に結合されると、第1の表面および第2の表面のうちの対応する1つに接触する。さらに、一実施形態では、光コネクタが所定の固有の位置で基台上に着座することを確実にするために、離散突起のアレイは、第1の表面(あるいは第2の表面)の周囲/エッジに沿って位置する隆起構造を有する複数のガイドキー突起をさらに備え、これらは、周囲/エッジから離れる方向を向く表面(すなわち、光コネクタが基台に結合される際に円筒形突起に接触しない表面)において、周囲/エッジの内側に位置する対称的な離散突起(すなわち、第1の表面および第2の表面のうちの対応する1つに接触する離散突起)の表面プロファイルと比較して、異なる表面プロファイルを有する。例えば、離散突起の10×5アレイ(すなわち、M=9およびN=4)の周囲、例えば、コーナー(1、1)、(10、1)、(1、5)および(10、5)における離散突起のいくつかはそれぞれ、アレイの周囲から離れた内部位置における(例えば、(2、2)~(9、2)などにおける)離散突起の表面プロファイルとは異なる表面プロファイルを含んでもよい。コーナー突起の形状は、対向面の4片上の円筒形突起によって囲まれる内部空間に適合しないであろう。コーナー突起は、円筒形突起によって囲まれないため、対向面上のコーナーにおける空間にのみ適合するであろう。したがって、ガイドキーは、結合インターフェースに設けられてアラインメント特徴部の第1のアレイおよびアラインメント特徴部の第2のアレイの嵌合を最初にガイドし、光コネクタを所定の意図された相対位置で基台に結合するために相補的なアラインメント特徴部の相対位置を一意に着座させる。
【0022】
一実施形態では、第1のベースは、第1の可鍛性金属材料を含み、光コネクタのアラインメント特徴部の第1のアレイは、可鍛性金属材料をスタンピングすることによって第1のベース上に一体的に画定され、第2のベースは、第2の可鍛性材料を含み、アラインメント特徴部の第2のアレイは、第2の可鍛性金属材料をスタンピングすることによってベース上に一体的に画定される。
【0023】
一実施形態では、光コネクタは、以下を備える第1のマイクロミラー光学ベンチをさらに備える:第1のベース;第1のベース上に画定されたミラーの第1のアレイであって、各ミラーは、第1のベースの第1の表面に実質的に平行な第1の平面内の第1の方向に沿った第1の光路と、第1の平面の外側の第2の方向に沿った第2の光路との間で光を方向転換する構造化反射表面プロファイルを含む、ミラーの第1のアレイ;および、第1のベース上に画定されたファイバ溝のアレイであって、各溝はそれぞれ光ファイバのセクションをその長手軸が第1の光路に沿った状態で受容し、端部は第1の光路に沿った対応するミラーと光学的にアラインメントされる、ファイバ溝のアレイ。一実施形態では、基台は、以下を備える第2のマイクロミラー光学ベンチを備える:第2のベース;および、第2のベース上に画定されたミラーの第2のアレイであって、ミラーの第2のアレイ内の各ミラーは、第2のベースの第2の表面に実質的に平行な第2の平面内の第3の方向に沿った第3の光路と、第2の平面の外側の第4の方向に沿った第4の光路との間で光を方向転換する構造化反射表面プロファイルを含む、ミラーの第2のアレイ。一実施形態では、ミラーの第1のアレイおよびアラインメント特徴部の第1のアレイは、金属ブランクの第1の本体をスタンピングすることによって第1のベース上に同時に画定され、ミラーの第2のアレイおよびアラインメント特徴部の第2のアレイは、金属ブランクの第2の本体をスタンピングすることによって第2のベース上に同時に画定される。基台および光コネクタ上に受動的アラインメント特徴部および/またはマイクロ光学ベンチ(MOB)を一体的に/同時に形成するための高精度スタンピングによって、部品を大量にまたは少量で経済的に生産することが可能になると同時に、公差、製造性、使いやすさ、機能性、および信頼性が改善される。基台および/または光学ベンチの部品は、コバール、インバー、ステンレス鋼、アルミニウムなどの延性金属のようなスタンピング可能な材料で作られる。好ましくは、光学ベンチおよび基台はいずれも、温度サイクル中にアラインメントずれが生じず、かつ応力/歪みが発生しないように、近い熱膨張係数(CTE)を有する。
【0024】
一実施形態では、光コネクタの第1のベースは、第1のベースの第1の側に第1の基準面を有し、基台の第2のベースは、第2のベースの第2の側に第2の基準面を有する。第1の基準面および第2の基準面は、アラインメント特徴部の第1のアレイがアラインメント特徴部の第2のアレイに対向した状態で、第2のベースに対して第1のベースをバイアスするコンプライアントクリップによって概ねアラインメントされる。
【0025】
本発明によれば、光コネクタおよび基台は、光コネクタと基台との間に配置される任意の屈折光学素子なしに自由空間結合を画定し、光の再整形を提供する。さらに、光コネクタと基台との間の取外し可能な弾性平均結合は、任意の相補的なアラインメントピンおよびアラインメントホールを使用せずに画定される。
【0026】
本発明の弾性平均結合は、フォトニック装置に配備することができる。一実施形態では、フォトニック装置は以下を備える:支持体;支持体の上面に取り付けられた光電子デバイス;および、本発明の弾性平均結合を含む受動的光学アラインメント。基台は、光電子デバイスおよび/または支持体上のいずれかにおいて、光電子デバイスに対して位置決めされ、光電子デバイスが基台に取外し可能/着脱可能に結合された光コネクタと光信号を通信するためのアラインメント位置を画定する。光電子スデバイスは、フォトニック集積回路(PIC)チップを備えてもよく、これは、PICチップの外部への光学インターフェースとして光学素子を備える。基台は、PICチップの光学素子と光学的にアラインメントされている。
【0027】
一実施形態では、基台は、PICチップに対して光学的にアラインメントされて支持体上に支持されたエッジカプラを備える。PICチップの光学素子は、光をPICチップのエッジに導く。エッジカプラは、PICチップの光学素子と光学的にアラインメントされたミラーのアレイを備えてもよく、光は、ミラーのアレイ内のミラーとPICチップ内の対応する光学素子との間の光路に沿って伝送される。
【0028】
本発明はまた、光コネクタと光電子デバイスとの間に着脱可能な接続を提供するための方法を対象とし、この方法は以下:支持体を提供する工程;光電子デバイスを支持体の上面に取り付ける工程;および、請求項のいずれかに記載の受動的光学アラインメント結合を提供する工程、を含み、基台は、光電子デバイスおよび/または支持体上のいずれかにおいて、光電子デバイスに対して位置決めされ、かつ、基台は、光電子デバイスが基台に取外し可能に結合された光コネクタと光信号を通信するためのアラインメント位置を画定する。
【0029】
一実施形態では、光コネクタは、まず基台に結合される。光コネクタは、光電子デバイスと光コネクタ(例えば、光コネクタによって支持される光ファイバ)との間の最適な光信号を得るために、光電子デバイス(例えば、PICチップまたは光I/Oチップ)に対して基台を位置決めすることによって、光電子デバイスに対して能動的にアラインメントされる。基台の位置は、アラインメントされた位置において光電子デバイスに対して固定される(例えば、インターポーザ、プリント回路基板、サブマウントなどの光電子デバイス用の支持体上に、はんだを使用して基台の位置を留める)。次いで、光コネクタは基台から取り外され、基台は、支持体上のその位置を変更することなく、支持体に恒久的に取り付けられ得る(例えば、はんだをリフローする)。その後、光コネクタは、光コネクタと光電子デバイスとの間の能動的アラインメントによって得られる元の光学的アラインメントを失うことなく、非破壊的に基台に繰り返し接続および切断ならびに再接続することができる。元の能動的アラインメントに従った光学的アラインメントは、接続および切断ならびに再接続ごとに維持され、光コネクタを基台に精密かつ正確にアラインメントする。
【0030】
一実施形態では、基台は、光電子デバイスまたは光電子デバイス用の支持体の一体部分であってもよい。
【0031】
好ましい使用態様に加え、本発明の性質および利点のより完全な理解のために、添付の図面と共に読まれる以下の詳細な説明を参照されたい。以下の図面においては、図面全体に亘り、類似の参照番号は、同様または類似の部分を指している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1A】本発明の一実施形態による、光コネクタおよび基台の受動的アラインメント特徴部を示す図
図1B】本発明の一実施形態による、光コネクタおよび基台の受動的アラインメント特徴部を示す図
図1C】本発明の一実施形態による、光コネクタおよび基台の受動的アラインメント特徴部を示す図
図2A】本発明の一実施形態による、基台に対する光コネクタの弾性平均結合インターフェースを示す図
図2B】本発明の一実施形態による、基台に対する光コネクタの弾性平均結合インターフェースを示す図
図2C】本発明の一実施形態による、基台に対する光コネクタの弾性平均結合インターフェースを示す図
図2D】本発明の一実施形態による、基台に対する光コネクタの弾性平均結合インターフェースを示す図
図3A】本発明の別の実施形態による、光コネクタおよび基台の受動的アラインメント特徴を示す図
図3B】本発明の別の実施形態による、光コネクタおよび基台の受動的アラインメント特徴を示す図
図4A】本発明の別の実施形態による、基台に対する光コネクタの弾性平均結合インターフェースを示す図
図4B】本発明の別の実施形態による、基台に対する光コネクタの弾性平均結合インターフェースを示す図
図4C】本発明の別の実施形態による、基台に対する光コネクタの弾性平均結合インターフェースを示す図
図4D】本発明の別の実施形態による、基台に対する光コネクタの弾性平均結合インターフェースを示す図
図5】本発明の別の実施形態による、ガイドキー突起を示す図
図6A】本発明の一実施形態による、PICチップに対するエッジカプラとしての基台の位置決めを示す図
図6B】本発明の一実施形態による、PICチップに対するエッジカプラとしての基台の位置決めを示す図
図7A】本発明の一実施形態による、基台への光コネクタの接続を示す図
図7B】本発明の一実施形態による、基台への光コネクタの接続を示す図
図7C】本発明の一実施形態による、基台への光コネクタの接続を示す図
図8A】本発明の一実施形態による、後続の取外し可能な接続のために基台の位置を固定するプロセスを示す図
図8B】本発明の一実施形態による、後続の取外し可能な接続のために基台の位置を固定するプロセスを示す図
図8C】本発明の一実施形態による、後続の取外し可能な接続のために基台の位置を固定するプロセスを示す図
図8D】本発明の一実施形態による、後続の取外し可能な接続のために基台の位置を固定するプロセスを示す図
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しつつ、様々な実施形態を参照しながら本発明を説明する。本発明は、本発明の目的を達成するための最良の態様(ベストモード)に関して説明されているが、当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、これらの教示内容を考慮して複数のバリエーションを実現できることを理解できるであろう。
【0034】
本発明は、高いアラインメント精度を達成する取外し可能/分離可能かつ再接続可能な受動的アラインメント結合/接続を提供することによって、従来技術の欠点を克服する。光コネクタ(例えば、光ファイバを支持する光学ベンチを支持するまたはその一部である)は、基台とアラインメントされた状態で再接続するために、非破壊的で取外し可能に取り付けできるように構成および構造化される。基台は、光電子デバイスの一体部分(例えば、フォトニック集積回路(PIC)チップの一部)であってもよく、光電子デバイスに取り付けられた別個の部品であってもよい。
【0035】
本発明の弾性平均結合の概念は、光電子デバイスとしてのPICと、光学ベンチを備え、光学ベンチ内に支持される光学部品(例えば、光ファイバ)の入力/出力端を光電子デバイスに光学的に結合する、光コネクタとの実施例を参照して以下に論じられる。本発明は、他の分野で使用される取外し可能/再接続可能な形態の構造および部品を提供するために適用可能である。
【0036】
図1A~1Cは、本発明の一実施形態による、光コネクタ10および基台12の受動的アラインメント特徴部を示す。光コネクタ10は、光信号を伝送する光ファイバアレイ(点線FAで概略的に示される)を支持する第1の本体B1を備える。基台12は、光コネクタ10内で光ファイバOFと光信号を通信する外部光電子デバイス(例えば、図7のPICチップ100、または図8のASICチップ(例えば、CPU、GPU、スイッチASIC)102のためのI/O PICチップ101)に対するアラインメント基準を提供する第2の本体B2を備える。
【0037】
コネクタ10の第1の本体は、光ファイバアレイFAを支持する第1のベースB1を画定し、この第1のベースB1は、第1の平面S1を有し、これは、第1のベースB1の第1の表面S1上に一体的に画定されたアラインメント特徴部の第1の二次元平面アレイF1によって画定される。本実施形態では、コネクタ10は、光ファイバアレイFAを支持してアラインメントするためのマイクロ光学ベンチOBを内蔵している。光ファイバアレイFAは、保護バッファおよびマトリックス/ジャケット層Pによって保護された複数の光ファイバOFを有している。コネクタ10のベースB1は、光ファイバOF(保護バッファおよびマトリックス/ジャケット層Jがなく露出したクラッドを有する)のむき出しの部分を保持するための開口溝Gを備えた、アラインメント構造を含む構造化特徴部と、ベースB1のより大きい平面に対してある角度で傾斜した平面を有する、構造化反射面(例えば、8つのミラーM1)とを画定する。開口溝Gは、第1の光路L1に沿ってミラーMの第1のアレイに対してアラインメントされた光ファイバOFの端部セクションを受容するようにサイズ決めされ、かつこれを正確に位置づけるように配置される。各光ファイバOFの端面(入力/出力端)は、対応するミラーM1に対して所定の距離に維持される。図6Aの実施形態では、透明ガラス、石英、またはサファイアプレートカバーSP1が、光学ベンチOB上の露出面を覆ってミラーM1を保護する。一実施形態では、コネクタ10は、ミラー表面M1とプレートカバーSP1との間を屈折率整合エポキシで充填されてもよい。
【0038】
一実施形態では、各ミラーM1は、ベースB1から離れる方向を向く露出した反射自由側を有する、ベースB1の露出した自由表面(すなわち、空気に露出した表面、または光学ベンチのベースの本体の内部ではない表面)である。露出した反射自由側は、光が光ファイバOFにおよび基台12に出入りするよう方向付けられる構造反射表面プロファイルを含む。各ミラーM1は、入射光を曲げ、反射し、および/または再整形する。構造反射表面プロファイルの構成および形状(例えば、曲率)に応じて、ミラーMは、入射光ビームを、コリメート、拡張、または集光しうる。例えば、構造反射表面プロファイルは、以下の幾何学的形状/プロファイルのうちの1つを含み得る:(a)楕円体、(b)軸外放物線、または(c)他の自由形状光学表面。例えば、ミラー表面は、光パワーを提供するために、次のいずれかの表面幾何学的曲率関数を個別に、または重ね合わせて有してもよい:楕円体または双曲線円錐焦点、さまざまな数の偶数または奇数の非球面項を持つトロイダル非球面、さまざまな数の偶数または奇数項を持つX-Y非球面曲線、さまざまな次数のゼルニケ多項式、およびこれらの関数に含まれるより単純な表面のさまざまなファミリ。表面はまた、任意の平面またはベクトルに沿って対称性のない自由形状の表面であってもよい。ミラーMは、可鍛性金属材料をスタンピングすることによってベースB上に画定され得る。工具鋼または炭化タングステン工具でスタンピング可能なさまざまの可鍛性金属は、ミラーの本体を構成することができ、任意の300または400シリーズのステンレス鋼、コバールの任意の組成、任意の沈殿または固溶硬化金属、およびAg、Al、Au、Cuの任意の合金を含む。1310nmを超える長波長では、アルミニウムは反射率が高く(>98%)、スタンピングによって経済的に成形される。ミラーを構成する金属の部分の反射表面は、上記の金属のいずれか、または、スパッタリング、蒸着、またはめっきプロセスによって適用される反射率の高い金属の任意のコーティングであり得る。
【0039】
本願と同様に本願の譲受人に譲渡された、米国特許第7,343,770号明細書は、公差の小さい部品を製造するための、新規な精密スタンピングシステムを開示している。それに開示されているようなコネクタ10および基台12の構造(上述の光学ベンチOBのための構造、ならびに以下に論じる構造を含む)を生成するため、そのような新規なスタンピングシステムを実装することができる。これらのスタンピング処理は、最終的な表面特徴(他の規定された表面特徴部と精密なアラインメントが取られる所望の幾何学形状を有する反射表面を含む)を、厳しい(すなわち小さな)公差で形成するために、可鍛性バルク金属材料(例えば、金属ブランクまたはストック)をスタンピングする処理を包含する。本願と同様に本願の譲受人に譲渡された、米国特許出願公開第2016/0016218号明細書は、異種の金属材料の主要部分と補助部分とを有するベースを含む、複合構造をさらに開示している。ベースおよび補助部分は、スタンピングにより成形される。補助部分がスタンピング形成されると、補助部分はベースとインターロックし、それと同時に補助部分上に所望の構造特徴部(たとえば、構造反射面や、光ファイバのアラインメントのための特徴部等)を形成する。このアプローチにより、比較的重要性の低い構造特徴部は、比較的大きな公差を維持する少ない労力により、ベースのバルク上に成形され得る一方、補助部分上に存在するより重要性の高い構造特徴部は、より小さな公差で寸法、幾何学形状および/または仕上げ状態を規定するさらなる考察をもって、より精密に成形される。補助部分は、異なる構造特徴部をスタンピング形成するための異なる特性を伴う2つの異種の金属材料の、さらなる複合構造を含むものとされてもよい。このスタンピング形成のアプローチは、それより前の米国特許第7,343,770号明細書における、スタンピングに供されるバルク材料が均質材料(例えば、コバールやアルミニウム等の、金属のストリップ)であるスタンピング形成のアプローチに対し、改良をもたらすものである。スタンピング処理は、単一の均質材料から構造特徴部を生成する。したがって、異なる複数の特徴部がその材料の特性を共有することとなり、その特性は、1つ以上の特徴部にとって最適な特性ではないかもしれない。例えば、アラインメント特徴部をスタンピング形成するのに適した特性を有する材料は、光信号の損失を低減するのに最適な光反射効率を有する反射性の表面特徴部をスタンピング形成するのに適した特性を、有していないかもしれない。
【0040】
光学ベンチOBの全体的な機能的構造は、概して、上述した譲受人の以前の特許文献において開示された、光学ベンチのいくつかの実施形態の構造に類似している(すなわち、構造化反射面とアラインメントされたファイバアラインメント溝、および適切な光学アラインメントを助ける追加の特徴部)。先に開示された複合構造およびスタンピング技術は、光学ベンチOB内のミラーM1、溝Gおよびアラインメント特徴部の第1のアレイF1を含むコネクタ10、およびさらに、ミラーM2および以下に説明するアラインメント特徴部の第2のアレイを含む基台12を生成するために採用し得る。それぞれのアラインメント特徴部F1およびF2は、平面S1およびS2上にそれぞれ形成され、これによって、以下で説明するように、基台12に対する、したがってPICチップ100/チップ102またはI/Oチップ101に対するコネクタ10のアラインメントおよび/または正確な位置決めが容易になる。
【0041】
光コネクタにおけるミラーM1表面および光ファイバアラインメント構造は、ストック材料(例えば、金属ブランクまたはストリップ)の精密スタンピングによって一体的/同時に形成することができ、これにより、公差、製造性、使いやすさ、機能性および信頼性を改善しながら、コネクタ部品を大量または少量で経済的に製造することが可能になる。構造反射面、受動的アラインメント特徴部(以下で論じる)、および光ファイバアラインメント構造を同じ単一の最終スタンピング操作で同時に形成することによって、同じワークピース/パーツ上でのアラインメントを必要とするすべての特徴部の寸法関係を、最終スタンピングステップにおいて維持することができる。光学ベンチ上に全ての特徴部を形成するための単一の打撃のパンチによるパンチング操作の代わりに、光学ベンチ上に特定の特徴部を漸進的に予備成形するために複数の打撃が実施されることが考えられてもよく、最終的な打撃により、設計光路に沿ったそれぞれの部品/構造の適切なアラインメントを確実にする(または確実にするのに重要な役割を果たす)ために必要とされる、ミラー、光ファイバアラインメント構造/溝、以下で論じる受動的アラインメント特徴部などを含む、光学ベンチ上のさまざまな構造化された特徴部の最終的な寸法、幾何形状および/または仕上げが同時に画定される。
【0042】
本質的に、光コネクタ10に関して、ベースB1は、ミラーM1に対して光ファイバOFをアラインメントするための光学ベンチOBを画定する。ミラーMをさらに画定する同一の単一構造にファイバ溝Gを含むことによって、ミラーM1に対する光ファイバOFの端部セクションのアラインメントは、別個のパーツまたは構造上に画定される特徴部に基づいてまたは別個の形成ステップに基づいて同様のアラインメントを達成しようとする場合と比較して、最終構造を単一パーツで同時に画定する単一の最終スタンピングによって、比較的小さい公差でより精密に達成することができる。ミラーM1および光ファイバアラインメント溝Gを、同じ単一の最終スタンピング操作で同時に形成することによって、同じワークピース/パーツ上でアラインメントを必要とする(またはアラインメントを実現する役割を果たす)すべての特徴部/部品の寸法関係を、最終スタンピングステップにおいて維持することができる。さらに、同じトークンによって、アラインメント特徴部の第1のアレイF1はまた、同じ単一の最終スタンピング操作でミラーM1および溝Gと同時に形成されて、全ての特徴部(すなわち、溝G、ミラーM1およびアラインメント特徴部F1)の寸法関係を維持し、小さな公差で所望のアラインメントを達成することができる。
【0043】
図1A図1Cに示す実施形態では、コネクタ10のアラインメント特徴部の第1のアレイF1は、直交する長手方向開口溝LG1および長手方向開口溝LG2の第1のネットワークを含み、これらはそれぞれ平坦な壁を有するV字状溝である。一実施形態では、第1のアラインメント特徴部F1の直交する縦溝LG1およびLG2の第1のネットワークは、第1のベースB1の第1の表面S1上に直交する縦溝LG1およびLG2によって互いに分離および隔離された離散突起Pのアレイを画定し、これらはそれぞれ、4つの平坦な傾斜面GSおよび切頭された頂部T(例えば、平坦またはわずかに凸状の湾曲した頂部)を有する略四角錐形状である。突起Pの頂部Tは、第1の表面S1に概ね適合する。各離散突起P(以下でさらに説明するように、コーナーおよび/またはエッジにおけるものを除いて)は、第1のベースB1の第1の表面S1に直交する第1の平面に関して対称であり、さらに、第1の平面に直交し第1の表面S1に直交する第2の平面に関して対称である、隆起構造である(すなわち、隆起構造はそれぞれ、第1のベースB1の第1の表面S1に直交する中心軸Aを中心として2つの直交する平面に沿って対称である)。突起Pの特徴部は、図1Cの拡大図により良く示されている。
【0044】
米国特許出願公開第2020/0124798号明細書(本出願の譲受人に共通に譲渡され、参照により本明細書に完全に組み込まれる)は、PIC用のマイクロミラー光学ベンチを有する取外し可能なエッジカプラを開示しており、これは、ファイバアレイ内の光ファイバおよびオンチップ光学素子のモードサイズを互いに近くしてPICデバイスへの光ファイバの有効な光結合入出力を達成する機構を提供する。本明細書の基台12は、エッジカプラと同様の構造を有し、実際には、本明細書に開示される受動的アラインメント特徴部と比較して基台12上の受動的アラインメント特徴部を除いて、本明細書に先に開示されるエッジカプラと同様に構成することができる。
【0045】
図1Aおよび図1Bを参照すると、基台12は、ベースB2(例えば、シリコン、ガラス、コバール、インバー、アルミニウム、ステンレス鋼などの可鍛性金属で作製される)を有する本体を備え、ミラーM2の第2のアレイがベースB2上に画定される。図6Bの実施形態では、透明ガラス、石英、またはサファイアプレートカバーSP2が、ベースB2上の露出面を覆う。一実施形態では、基台12は、ミラー表面M2とプレートカバーSP2との間において屈折率整合エポキシで充填されてもよい。基台12のベースB2上のミラーM2の構造は、コネクタ10のベースB1上のミラーM1の対応する構造に非常に類似している。それぞれのミラーM1およびM2の光学ジオメトリは、所望の光路を実現するように選択される。図示の実施形態では、基台12は、コネクタ10と比較して光ファイバを含まない。しかしながら、ベースB2はさらに、米国特許出願公開第2020/0124798号明細書で開示されるエッジカプラの場合のように、光信号をミラーB2との間で通信する導波路として光ファイバの短いセクション(図示せず)を受容する溝を画定してもよい。
【0046】
基台12のベースB2は、第2のベースB2の第2の表面S2上に一体的に画定されたアラインメント特徴部F2の第2の二次元平面アレイによって画定された第2の平面S2を有する。基台12のアラインメント特徴部F2の第2のアレイは、それぞれが第2のベースB2の第2の表面S2の対応する1つに平行な長手軸を有する、長手方向円筒形突起(各々が、連続的な円筒形突起、または離散円筒形突起の共通の軸方向における離散円筒形突起の破断チェーンまたは列であり得る)の第2のネットワークを備える。この図示の実施形態では、円筒形突起の第2のネットワークは、交差する長手方向円筒形突起LP1および長手方向円筒形突起LP2(図1Aおよび図1Bに示すようにクロスグリッド突出構造を形成する)のネットワークを含み、それぞれが断面において実質的に半円形の断面を有する。他の凸曲断面(例えば、楕円、放物線、またはゴシックアーチプロファイル)を採用してもよい。
【0047】
図2A~2Dは、本発明の一実施形態による、基台に対する光コネクタの弾性平均結合インターフェースを示す。図2Aは、光ファイバOFの長手軸に沿った方向の端部から見た、基台12上のコネクタ10の結合の図である。図2Aは、アラインメント特徴部の第1のアレイと第2のアレイとの間の接触面の拡大図である。図2Cおよび図2D(拡大断面図)は、図2Aおよび図2Cにおける線2C-2Cに沿った断面図を示す。直交する円筒形突起LP1およびLP2の第2のネットワークは、直交する開口溝LG1およびLG2の相補的に合致する第1のネットワーク内に受容される。円筒形突起LP1およびLP2の突起面は、縦溝LG1およびLG2の溝表面GSに接触する。
【0048】
図2Bに見られるように、縦溝LG1はそれぞれ、その長手方向に平坦な溝壁面を有するV字状溝であり、各離散突起Pは、V字状溝表面に対応する実質的に平坦な傾斜面を含む。V字状溝LG1の平坦面および円筒形突起LP1の凸曲面は、光コネクタ10が基台12に結合されると、(図2Cおよび図2Dに示すように)隣接する円筒形突起LP2の間に線接触LCを画定する。したがって、交差長手方向円筒形突起LP1およびLP2のネットワークの突起表面は、それぞれの長手方向において直線面であり、光コネクタ10が基台12に結合されると、交差する縦溝LG1およびLG2のネットワークの平坦面と線接触して、線接触LCのアレイを画定する。複数の線接触は、弾性平均結合に対応し、光コネクタ10は、取外し可能な結合部を画定するように基台に取外し可能に取り付け可能であり、アラインメント特徴部F1の第1のアレイがアラインメント特徴部F2の第2のアレイに対して弾性平均結合を画定し、それによって、光コネクタが基台に対してアラインメントされる。線接触LCを達成するために、円筒形突起LP1およびLP2はそれぞれ、円筒形突起表面が各離散突起Pの平坦面GSとのインターフェースの領域内に存在する限り、基台12のベースB2に平行な軸方向に沿った離散/隔離円筒形突起の破断チェーンであってもよいことに留意されたい。言い換えれば、円筒形突起LP1およびLP2は、図1Aおよび図1Bに示されるようなクロスグリッド構造を形成するために物理的に交差する必要はない。
【0049】
図3Aおよび3Bは、本発明の別の実施形態による、光コネクタおよび基台の受動的アラインメント特徴部を図示する。この実施形態では、基台12は、図1に示す実施形態と同様のままである。コネクタ10は、概して先の実施形態と同様であり、交差する縦溝LG1’およびLG2’ならびに離散突起P’の構造に変更が加えられる。突起部P’はそれぞれ、略四角錐形状であり、溝表面GS’および平坦または凸状頂部Tに対応する凸曲面GS’を有する。交差する縦溝LG1’およびLG2’は、図1の先の実施形態の場合のような平坦な壁面を有するV字状溝ではなくなっている。この実施形態では、縦溝LG1’およびLG2’は、突起P’に対応する凸面を備えた側壁をそれぞれ有する略V字状の溝である。特に、突起P’は、少なくとも縦溝に沿った方向に凸状の傾斜面GS’を有する。傾斜面GS’は、高さ方向または傾斜方向あるいはそれらの組合せに湾曲してもよいことに留意されたい。
【0050】
図4A図4Dは、図3Aおよび図3Bの実施形態による、基台12への光コネクタ10の弾性平均結合インターフェースを示す。図4の図は、前述の図2の図に対応し、先の実施形態との比較を提供する。
【0051】
図4Bに見られるように、縦溝LG1’はそれぞれ、略V字状の溝であり、各離散突起P’は、溝表面GS’に対応する凸状傾斜面GS’を備える。溝LG1’の凸面GS’および円筒形突起LP1の凸曲面は、光コネクタ10が基台12に結合されると、(図4Cおよび4Dに示されるように)隣接する円筒形突起LP2の間の点接触PCを画定する。したがって、交差長手方向円筒形突起LP1およびLP2のネットワークの突起表面は、それぞれの長手方向において直線面であり、光コネクタ10が基台12に結合されると、交差する縦溝LG1’およびLG2’のネットワークの凸面GS’と点接触して、点接触PCのアレイを画定する。複数の点接触PCは、改良された弾性平均結合に対応し、それにより、光コネクタ10は、取外し可能な結合部を画定するように基台に取外し可能に取り付け可能であり、アラインメント特徴部F1の第1のアレイがアラインメント特徴部F2の第2のアレイに対して弾性平均結合を画定し、それによって、光コネクタが基台に対してアラインメントされる。点接触PCを考慮すると、円筒形突起LP1およびLP2はそれぞれ、円筒形突起表面が各離散突起PLの凸面GS’とのインターフェースの領域内に存在する限り、基台のベースB2に平行な軸方向に沿った離散/隔離円筒形突起の破断チェーンであってもよいことに留意されたい。言い換えれば、円筒形突起LP1およびLP2は、図1に示されるようなクロスグリッド構造を形成するために物理的に交差する必要はない。
【0052】
離散突起のアレイ(P、P’)は、M×N個の直交する縦溝(LG1、LG2;LG1’およびLG2’)を含む交差溝の第1のネットワークに対応する(M+1)×(N+1)個の離散突起の矩形アレイである。円筒形突起の第2のネットワークは、M×N個の直交する長手方向の円筒形突起LP1およびLP2を含み、M×N個の交差する縦溝の第1のネットワークに合致する。図2および図4に示す両方の実施形態では、例示のみを目的としてM=10およびN=4である。約3mm×4mmの平面面積を有する、光コネクタ10の第1の表面S1と基台12の第2の表面S2との間の結合インターフェースについて、光コネクタと基台との間の1マイクロメートル未満の結合精度を達成するために、Mは好ましくは3~10の範囲内であり、Nは3~10の範囲内である。
【0053】
図2Bの実施形態を参照すると、コネクタ10上の交差する縦溝LG1およびLG2のネットワークによって画定される離散突起Pは、光コネクタ10が基台12に結合されると、基台12の隣接する円筒形突起LP1の間の空間内の第2の表面S2に接触する。同様に、図4Bの実施形態では、コネクタ10上の交差する縦溝LG1’およびLG2’によって画定される離散突起P’は、光コネクタ10が基台12に結合されると、基台12の隣接する円筒形突起LP1の間の空間内の第2の表面S2に接触する。
【0054】
一実施形態では、図1Cを参照すると、光コネクタ10が所定の固有の位置で基台12上に着座することを確実にするために、離散突起Pのアレイはさらに、第1の表面S1の周囲/エッジに沿って位置する隆起構造を有する複数のガイドキー突起GPを備え、これらは、周囲/エッジから離れる方向を向く表面(すなわち、光コネクタが基台に結合される際に円筒形突起に接触しない表面)において、周囲/エッジの内側に位置する対称的な離散突起(すなわち、基台12の第2の表面S2に接触する離散突起)の表面プロファイルと比較して、異なる表面プロファイルを有する。図1Cに示されるように、第1の表面S1の周囲に沿った突起GPはそれぞれ、周囲から離れる方向を向く直線状の壁面Wを有する。壁面Wを考えると、突起GPの形状は、対向面S2の4辺上の円筒形突起LP1およびLP2によって囲まれる内部空間に収まらないであろう。しかしながら、直線状の壁面Wはエッジにおいて円筒形突起に囲まれていないため、突起GPは、対向面S2上のエッジに沿った空間にのみ収まるであろう。
【0055】
図5は、図3の実施形態において凸状突起表面GS’に実装され得るガイドキー突起の実施形態を示す。例えば、図示される離散突起P’の10×5アレイ(すなわち、M=9およびN=4である)の場合、コーナー(1、1)、(10、1)、(1、5)および(10、5)における離散突起GP’はそれぞれ、図示のように、周囲/エッジから離れる方向を向く表面において、アレイの周囲から離れた内部位置における(例えば、(2、2)~(9、2)などにおける)離散突起の表面プロファイルとは異なる表面プロファイルを含んでもよい。コーナー突起GP’の形状を考えると、これらは、対向面S2の4辺上の円筒形突起LP1およびLP2によって囲まれる内部空間に収まらないであろう。コーナー突起GP’は、コーナーにおいて円筒形突起LP1およびLP2によって完全に囲まれていないため、対向面S2上のコーナーにおける空間にのみ収まるであろう。
【0056】
したがって、GPおよびGP’などのガイドキーを結合インターフェースに設けて、アラインメント特徴部F1の第1のアレイおよびアラインメント特徴部F2の第2のアレイをガイドし、相補的なアラインメント特徴部の相対位置を独自に着座させて、光コネクタ10を所定の意図された相対位置で基台12に結合することができる。
【0057】
あるいは、上述の実施形態において開示された縦溝および長手方向円筒形突起アラインメント特徴部は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、光コネクタ10および基台12のインターフェース面の間で交換されてもよいことが理解される。
【0058】
一実施形態では、第1のベースB1は、第1の可鍛性金属材料を含み、光コネクタ10のアラインメント特徴部F1の第1のアレイは、可鍛性金属材料をスタンピングすることによって第1のベース上に一体的に画定され、第2のベースB2は、第2の可鍛性材料を含み、基台のアラインメント特徴部F2の第2のアレイは、第2の可鍛性金属材料をスタンピングすることによってベース上に一体的に画定される。一実施形態では、ミラーM1の第1のアレイおよびアラインメント特徴部F1の第1のアレイは、金属ブランクの第1の本体をスタンピングすることによって第1のベース上に同時に画定され、ミラーM2の第2のアレイおよびアラインメント特徴部F2の第2のアレイは、金属ブランクの第2の本体をスタンピングすることによって第2のベース上に同時に画定される。基台および光コネクタ上に受動的アラインメント特徴部および/またはマイクロ光学ベンチ(MOB)を一体的に/同時に形成するための高精度スタンピングによって、部品を大量にまたは少量で経済的に生産することが可能になると同時に、公差、製造性、使いやすさ、機能性、および信頼性が改善される。基台および/または光学ベンチの部品は、コバール、インバー、ステンレス鋼、アルミニウムなどの延性金属のようなスタンピング可能な材料で作られる。好ましくは、光学ベンチおよび基台はいずれも、温度サイクル中にアラインメントずれが生じず、かつ応力/歪みが発生しないように、近い熱膨張係数(CTE)を有する。
【0059】
図6Aおよび図6Bは、本発明の一実施形態による、PICチップ100に対するエッジカプラとしての基台12の位置決めを示す。図示されるように、基台12は、PICチップ100に対して突き当てられるか、または基台のベースB2のエッジとPICチップ100の対向エッジとの間にギャップを設けて配置され(図7Cに示されるように)、カバーSP2は、PICチップ100の上に延在する。この実施形態では、基台12は、PICチップ100に対して光学的にアラインメントされた状態で支持体Sに支持されている。PICチップ100の光学素子は、光をPICチップ100のエッジに導く。基台12は、エッジカプラとして機能する。上記で説明したように、基台12のミラーM2のアレイは、PICチップ100の光学素子と光学的にアラインメントされ、ミラーアレイ内のミラーM2とPICチップ100内の対応する光学素子との間の光路L3に沿って光が伝送される。
【0060】
図6Aに示す実施形態では、基台12内のミラーM2およびPICチップ100内の光学素子の光学的アラインメントは、基台12のベースB2のエッジを越えてカバーSP2の延長セクション上に設けられた基準(fiducials)V、およびPICチップ100のエッジ近くの上面に設けられた基準(図示せず)に基づく、PICチップのエッジへのミラーM2の受動的アラインメントによって達成される。ギャップは、PICチップ100上の光ファイバのコアおよび導波路と同様の光学屈折率を有する材料で充填されてもよい。カバーSP2上の基準VをPICチップ100の上面に設けられた基準(図示せず)に光学的にアラインメントすることによって、基台12がPICチップ100に受動的にアラインメントされる。別の実施形態では、基台12は、PICチップ100またはPICチップ100用の支持体Sの一体部分であってもよい。
【0061】
図7A図7Cは、本発明の一実施形態による、基台12への光コネクタ10の接続を示す。PICチップ100は、図7Bにおいてプリンタ回路基板PCB上に支持され得る支持体S(サブマウント、インターポーザであり得る)上に支持される。光コネクタ10の第1のベースB1は、第1のベースB1の少なくとも片側に第1の基準面R1を有し、基台12の第2のベースB2は、第2のベースB2の第2の側に少なくとも第2の基準面R2を有する。第1の基準面R1および第2の基準面R2は、第2のベースB2に対して第1のベースB1をバイアスするコンプライアントクリップCによって概ねアラインメントされ、アラインメント特徴部F1の第1のアレイは、アラインメント特徴部F2の第2のアレイに対して着座される。図7Bにおいて、光ファイバアレイFAは、PICチップ100と光信号通信するための柔軟な光接続を提供する光ファイバジャンパケーブルであってもよい。
【0062】
図7Cは、図7Aの線7A-7Aに沿った断面図である。ミラーM1はそれぞれ、コネクタ10の第1のベースB1の第1の表面S1に実質的に平行な第1の平面内の第1の方向に沿った第1の光路L1と、第1の平面の外側の第2の方向に沿った第2の光路L2との間で、光を方向転換する(例えば、90度)構造化反射面プロファイルを含む。第1のベースB1上に画定されたファイバ溝Gのアレイはそれぞれ、第1の光路L1に沿って対応するミラーM1と光学的にアラインメントされた状態で、光ファイバOFの端部セクションを支持する。基台の第2のベースB2上に画定された第2のミラーアレイM2はそれぞれ、第2のベースB2の第2の表面S2に実質的に平行な第2の平面内の第3の方向に沿った第3の光路L3と、第2の平面の外側の第4の方向に沿った第4の光路L4との間で、光を方向転換する構造化反射面プロファイルを含む。光路L3およびL4は、図示の構成においてコネクタ10および基台12の結合時に一致し、PICチップ100とファイバアレイFA内の光ファイバOFとの間に光路が完成する。
【0063】
ミラーM1および/またはミラーM2の構造化反射面プロファイルは、PICチップ100からの光ビームを再整形して、コネクタ10内の光ファイバOFのモードフィールドにより厳密に合致するモードフィールドを生成するように構成され得る。さらに、基台12内のミラーM2は、PICチップ100内の光学素子からの光ビームを拡張またはコリメートし、コネクタ10内のミラーM1に出力するための反射面プロファイルを備えて構成されてもよく、コネクタ10内のミラーM1は、基台12内のミラーM2からの光ビームを、コネクタ10内の光学ベンチのベースB1上の溝G内に保持される光ファイバOFの先端/端面のコアに集光するための反射面プロファイルを備えて構成されてもよい。この拡張されたビーム光結合構成によって、ミラーM2とコネクタ10内に保持される光ファイバOFとの間の光学アラインメント公差要件が低減される。
【0064】
図8A~8Dは、本発明の一実施形態による、後続の取外し可能な接続のために基台12の位置を固定するプロセスを示す。この実施形態では、ASIC(例えば、CPU、GPU、スイッチASIC)チップ102とインターフェースするために追加のI/Oチップ101が設けられる。光路は、図7Cに示される光路と同様であり、I/Oチップ101がPICチップ100に取って代わる。まず、図8Aにおいて、光コネクタ10が基台12に結合される。光コネクタ10は、チップ101/チップ102と光コネクタ10によって支持される光ファイバOFとの間の最適な光信号を得るために、チップ101に対して基台12を位置決めすることによって、チップ101に対して能動的にアラインメントされる。基台12の位置は、光学的にアラインメントされた位置でチップ101に対して固定される(例えば、チップ101用の支持体S(インターポーザ、プリント回路基板、サブマウントなど)上に、はんだを使用して基台12の位置を留める)。次いで、図8Bにおいて、光コネクタ10は基台12から取り外される。図8Cにおいて、基台12は、支持体S上のその位置を変更することなく、支持体Sに恒久的に取り付けられ得る(例えば、はんだをリフローする)。その後、図8Dにおいて、光コネクタ10は、非破壊的に、かつ、光コネクタ10とチップ101/チップ102との間の能動的アラインメントによって得られる元の光学的アラインメントを失うことなく、基台12に繰り返し接続および切断ならびに再接続することができる。元の能動的アラインメントに従った光学的アラインメントは、接続および切断ならびに再接続ごとに維持され、光コネクタ10を基台12に精密かつ正確にアラインメントする。
【0065】
本発明によれば、光コネクタおよび基台は、光コネクタと基台との間に配置される任意の屈折光学素子なしに自由空間結合を画定し、光の再整形を提供する。さらに、光コネクタと基台との間の取外し可能な弾性平均結合は、任意の相補的なアラインメントピンおよびアラインメントホールを使用せずに画定される。
【0066】
以上、好ましい実施形態を参照して、本発明を具体的に示し説明してきたが、当業者であれば、本発明の精神、範囲および教示内容から逸脱することなく、形態および詳細に関し様々な変更が可能であることを理解できるであろう。したがって、ここに開示された発明は単に説明目的のものと捉えられるべきであり、添付の請求項で規定されるとおりにのみ、範囲が限定されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
【国際調査報告】