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特表2023-512630固体インターロック機構を有する固体回路遮断器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-28
(54)【発明の名称】固体インターロック機構を有する固体回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/08 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
H02H3/08 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543753
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(85)【翻訳文提出日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 IB2021050596
(87)【国際公開番号】W WO2021144781
(87)【国際公開日】2021-07-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518042280
【氏名又は名称】イートン インテリジェント パワー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Eaton Intelligent Power Limited
【住所又は居所原語表記】30 Pembroke Road, Dublin 4 D04 Y0C2, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】リハウアー、アンドリュー ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
5G004
【Fターム(参考)】
5G004AA01
5G004AB01
5G004BA01
5G004BA03
5G004BA04
5G004DA04
5G004DC06
5G004EA01
(57)【要約】
【解決手段】 システムは、第1の固体スイッチ(100)、第1の機械的接点(500A)、及び第1の回路ブレーカを通って流れる電流を感知するように構成された電流センサ、を備える、第1の回路ブレーカ(10B~10N)と、第1の回路ブレーカ(10B~10N)に電気的に結合されており、第1の回路ブレーカに流れる電流を遮断するように構成されている、第2の回路ブレーカ(10A)と、を備え、第1の回路ブレーカ(10B~10N)は、第1の固体スイッチ(100)の故障モードを検出すると、第2の回路ブレーカ(10A)に要求(SSI REQUEST SIGNAL)を送信するように構成されており、第2の回路ブレーカ(10A)は、要求を受信することに応答して第1の回路ブレーカ(10B~10N)に流れる電流を遮断するように構成されており、第1の回路ブレーカ(10B~10N)は、第1の回路ブレーカ(10B~10N)を通って流れる電流が所定のレベルまで低下したときに第1の機械的接点(500A)を開くように更に構成されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
第1の回路ブレーカであって、第1の固体スイッチ、第1の機械的接点、及び前記第1の回路ブレーカを通って流れる電流を感知するように構成された電流センサ、を備える、第1の回路ブレーカと、
前記第1の回路ブレーカに電気的に結合されており、前記第1の回路ブレーカに流れる電流を遮断するように構成されている、第2の回路ブレーカと、を備え、
前記第1の回路ブレーカが、故障モードを検出したときに、前記第2の回路ブレーカに要求を送信するように構成されており、
前記第2の回路ブレーカが、前記要求の受信に応答して、前記第1の回路ブレーカに流れる電流を遮断するように構成されており、前記第1の回路ブレーカが、前記第1の回路ブレーカを通って流れる電流が所定のレベルまで低下したときに、前記第1の機械的接点を開くように更に構成されている、システム。
【請求項2】
前記第2の回路ブレーカが、第2の固体スイッチを含み、前記第2の回路ブレーカが、前記第1の回路ブレーカから前記要求を受信することに応答して、前記第2の固体スイッチを開いて、前記第1の回路ブレーカに流れる電流を遮断するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の回路ブレーカが、前記第1の機械的接点が開かれたときに、前記第2の回路ブレーカにクリア要求を送信するように更に構成されており、前記第2の回路ブレーカが、前記第1の回路ブレーカから前記クリア要求を受信することに応答して、前記第1の回路ブレーカに流れる電流の遮断を停止するために、前記第2の固体スイッチを閉じるように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2の回路ブレーカが、第2の機械的接点を含み、前記第2の回路ブレーカが、前記第1の回路ブレーカから前記要求を受信することに応答して、前記第2の機械的接点を開いて、前記第1の回路ブレーカに流れる電流を遮断するように構成されており、前記第1の回路ブレーカが、前記第1の機械的接点が開いたときに、前記第2の回路ブレーカにクリア要求を送信するように更に構成されており、前記第2の回路ブレーカが、前記第1の回路ブレーカから前記クリア要求を受信することに応答して、前記第2の機械的接点を閉じて、前記第1の回路ブレーカに流れる電流の遮断を停止するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記所定の電流レベルが、前記第1の回路ブレーカが前記第1の機械的接点を安全に開くことを可能にする電流値を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第2の回路ブレーカが、前記第1の回路ブレーカに流れる電流を遮断した後、所定の時間、前記第1の回路ブレーカに流れる電流を遮断することを停止するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2の回路ブレーカが、前記第1の回路ブレーカの上流に配置されており、前記システムが、前記第2の回路ブレーカの下流に配置された第3の回路ブレーカを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記故障モードが、前記第1の固体スイッチが開かない故障を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
固体回路ブレーカであって、
前記固体回路ブレーカを通って流れる電流を遮断するために開くように構成された固体スイッチと、
ガルバニック絶縁を提供するために開くように構成された機械的接点と、
前記固体回路ブレーカを通って流れる電流を感知するように構成された電流センサと、
前記固体スイッチを開く又は閉じることを制御するように、かつ前記機械的接点を開くことを制御するように構成された電子トリップユニットと、を備え、
前記固体回路ブレーカが、前記固体スイッチの故障モードを検出し、それに応答して、上流回路ブレーカに、前記固体回路ブレーカに流れる電流を遮断する要求を送信するように構成されている、固体回路ブレーカ。
【請求項10】
前記電子トリップユニットが、前記固体回路ブレーカを通って流れる前記電流が所定のレベルまで低下することを検出し、前記固体回路ブレーカを通って流れる前記電流が前記所定のレベルまで低下するときに開くように前記機械的接点を制御するように構成されている、請求項9に記載の固体回路ブレーカ。
【請求項11】
前記電子トリップユニットが、前記機械的接点を開くように制御した後、前記上流回路ブレーカにクリア要求を送信するように構成されており、前記所定のレベルが、前記固体回路ブレーカが前記機械的接点を安全に開くことを可能にする電流値を含む、請求項10に記載の固体回路ブレーカ。
【請求項12】
方法であって、
第1の回路ブレーカによって故障モードを検出することであって、前記故障モードが、前記第1の回路ブレーカの第1の固体スイッチが開かない故障を含む、検出することと、
前記第1の回路ブレーカによって、第2の回路ブレーカに要求を送信することと、
前記第2の回路ブレーカによる前記要求を受信することと、
前記要求を受信することに応答して前記第1の回路ブレーカに流れる電流を、前記第2の回路ブレーカによって、遮断することと、
前記第1の回路ブレーカを通って流れる電流が所定のレベルまで低下したことを検出することと、
前記第1の回路ブレーカを通って流れる前記電流が前記所定のレベルまで低下したことを検出することに応答して、前記第1の回路ブレーカによって、機械的接点を開くことと、を含む、方法。
【請求項13】
前記方法が、
前記機械的接点が開いたときに、前記第1の回路ブレーカによって、前記第2の回路ブレーカにクリア要求を送信することと、
前記クリア要求を受信することに応答して、前記第2の回路ブレーカによって前記第1の回路ブレーカに流れる電流の遮断を停止することと、を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の回路ブレーカに流れる電流を遮断することが、前記第2の回路ブレーカの第2の固体スイッチを開くことを含み、前記第1の回路ブレーカを通って流れる電流の遮断を停止することが、前記第2の回路ブレーカの前記第2の固体スイッチを閉じることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、
前記第1の回路ブレーカに流れる電流を遮断した後、所定の時間、前記第1の回路ブレーカに流れる電流の遮断を停止することを更に含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示された概念は、概して、回路遮断器に関し、特に、固体インターロック機構を有する回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器、例えば、限定されないが、回路ブレーカなどは、典型的に、過負荷状態、短絡などの過電流状態、又はアーク障害又は接地障害などの別の障害状態による損傷から電気回路を保護するために使用される。固体回路遮断器は、例えば、半導体デバイスを使用して、電源から負荷に流れる電流のオン及びオフを切り替える、固体構成要素を使用する。固体回路遮断器は、従来の機械的回路遮断器よりも利点、例えば、より速い遮断、より小さいサイズ、又はより良好な信頼性を提供し得る。
【0003】
UL 489Iは、固体成形ケース回路ブレーカについて調査するための要件の概要である。これは、成形ケース回路ブレーカ、成形ケーススイッチ及び回路ブレーカエンクロージャの安全性の標準であるUL 489と併せて使用されるべきである。UL 489Iの範囲は、半導体を使用して切り替え、絶縁を提供するための一体型空隙を有する、定格1000Vac及び1500Vdcの固体モールドケース回路ブレーカを対象としている。使用される半導体デバイスは、漏れ電流を有することが知られているため、負荷にガルバニック絶縁を提供するために、空隙が依然として必要とされる。機械的接点は、この空隙を作成するために一般的に使用される。
【0004】
固体回路ブレーカが従来の回路ブレーカを超える1つの利点は、この空隙のサイズである。固体ブレーカは、はるかに小さい空隙を使用することができ、エネルギーが半導体デバイス自体内で散逸されるため、アークシュートの使用を必要としない。ブレーカの信頼性は、空隙を作成する前に電流を中断する半導体の能力に基づく。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、固体構成要素、例えば、半導体デバイスの故障モードのうちの1つは、短絡である。そのような短絡故障が発生すると、固体回路ブレーカは開くことができない。回路ブレーカをトリップするこのような故障は、固体回路ブレーカ、故障している固体回路を含む回路遮断システム、及び負荷に悪影響を与える可能性がある。
【0006】
固体回路ブレーカ及び固体回路ブレーカを含むシステムの改善の余地がある。
【0007】
これらのニーズ及び他のニーズは、故障モードの固体回路ブレーカが上流回路ブレーカに流れる電流を遮断して機械的接点を開くことができるように要求する、開示された概念の実施形態によって満たされる。
【0008】
開示された概念の一態様によれば、システムは、第1の固体スイッチ、第1の機械的接点、及び第1の回路ブレーカを通って流れる電流を感知するように構成された電流センサ、を備える、第1の回路ブレーカと、第1の回路ブレーカに電気的に結合されており、第1の回路ブレーカに流れる電流を遮断するように構成されている、第2の回路ブレーカと、を備え、第1の回路ブレーカが、故障モードを検出したときに第2の回路ブレーカに要求を送信するように構成されており、第2の回路ブレーカが、要求を受信することに応答して第1の回路ブレーカに流れる電流を遮断するように構成されており、第1の回路ブレーカが、第1の回路ブレーカを通って流れる電流が所定のレベルまで低下したときに第1の機械的接点を開くように更に構成されている。
【0009】
開示された概念の別の態様によれば、固体回路ブレーカは、固体回路ブレーカを通って流れる電流を遮断するように開くように構成された固体スイッチと、ガルバニック絶縁を提供するために開くように構成された機械的接点と、固体回路ブレーカを通って流れる電流を感知するように構成された電流センサと、固体スイッチを開くこと又は閉じることを制御して機械的接点を開くことを制御するように構成された電子トリップユニットと、を備え、固体回路ブレーカが、固体スイッチの故障モードを検出し、それに応答して、上流回路ブレーカに、固体回路ブレーカに流れる電流を遮断する要求を、送信するように構成されている。
【0010】
開示された概念の別の態様によれば、方法は、第1の回路ブレーカによって故障モードを検出することであって、故障モードが、第1の回路ブレーカの第1の固体スイッチが開かない故障を含む、検出することと、第1の回路ブレーカによって、第2の回路ブレーカに要求を送信することと、第2の回路ブレーカによる要求を受信することと、要求を受信することに応答して第1の回路ブレーカに流れる電流を、第2の回路ブレーカによって、遮断することと、第1の回路ブレーカを通って流れる電流が所定のレベルまで低下したことを検出することと、第1の回路ブレーカを通って流れる電流が所定のレベルまで低下したことを検出することに応答して、第1の回路ブレーカによって、機械的接点を開くことと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の概念の完全な理解は、添付図面と併せて読むと、以下の発明を実施するための最良の形態から得ることができる。
図1図1は、開示された概念の例示的な実施形態による固体回路ブレーカの図である。
図2図2は、開示された概念の例示的な実施形態によるシステムの別の図である。
図3図3は、開示された概念の例示的な実施形態による、回路ブレーカを通って流れる電流の波形を例解している。
図4図4は、開示された概念の例示的な実施形態による固体インターロックの方法のフローチャートである。
図5図5は、開示された概念の例示的な実施形態による固体インターロックの方法の別のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用される方向句、例えば、左、右、前部、後部、頂部、底部、及びそれらの変形などは、図面に示される要素の配向に関するものであり、そこに明示的に記載されない限り、特許請求の範囲を限定しない。
【0013】
本明細書で用いられる場合、2つ以上の部品が一緒に「結合」されるという記述は、部品が直接、又は1つ以上の中間部品を介して接合されることのいずれかで、一緒に接合されることを意味するものとする。
【0014】
図1は、本開示の概念の例示的な実施形態による固体回路ブレーカ10の図である。固体回路ブレーカ10は、図2に示されるシステムなどの、追加の回路ブレーカ、固体及び/又は機械的回路ブレーカを含むより大きなシステムの一部であり得る。
【0015】
固体回路ブレーカ10は、LINE及びLOAD導体2,4を介して電源と負荷12との間に電気的に接続されるように構成されている。上流回路ブレーカは、電源と固体回路ブレーカ10との間に配置され得る。固体回路ブレーカ10は、負荷12、負荷12に関連付けられる回路、並びに固体回路ブレーカ10内の構成要素を保護するために、障害状態(限定されないが、例えば、過電流状態)の場合に負荷12に流れる電流を遮断するためにトリップオープン又はスイッチオープンするように構成されている。
【0016】
固体回路ブレーカ10は、固体スイッチ100、電子トリップユニット200、動作機構300、センサ400、及び機械的接点500を含む。固体スイッチ100は、負荷12に流れる電流を許可又は遮断するために、オン及びオフ(すなわち、開く及び閉じる)するように構成されている、固体スイッチング素子(限定されないが、例えば、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(metal-oxide-semiconductor-field-effect-transistor、MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated-gate bipolar transistor、IGBT))を含む。固体スイッチ100は、負荷12及び電子トリップユニット200に電気的に結合されている。
【0017】
電子トリップユニット200は、固体スイッチ100を制御して開いて閉じるように構成されており、かつ、また、センサ400からの信号に基づいて、動作機構300を制御して、機械的接点500をトリップオープンするように構成されている。電子トリップユニット200は、プロセッサ及びメモリを含み得る処理ユニットを含み得る。プロセッサは、例えば、限定されないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は他の好適な処理デバイス又は回路であり得る。メモリは、RAM、ROM、EPROM、EEPROM、FLASHなどの様々なタイプの内部及び/又は外部記憶媒体のうちの1つ以上のいずれかであり得、コンピュータの内部記憶領域のようにデータを記憶するための記憶レジスタ、すなわち機械可読媒体であり、揮発性メモリ又は不揮発性メモリであり得る。メモリは、固体インターロック(solid state interlocking、SSI)用のファームウェアソリューションを格納し得、この場合、第1の固体回路ブレーカ、例えば、下流回路ブレーカが、固体スイッチの短絡などにより、固体スイッチを開くことができない。SSIは、第1の固体回路ブレーカ及び第2の回路ブレーカ、例えば、第1の固体回路ブレーカに対する上流回路ブレーカによって実行される。第2の回路ブレーカは、固体回路ブレーカであっても、又はそうでなくてもよい。SSI対応の下流回路及びSSI対応の上流回路ブレーカは、一緒に監視し、それらの電力半導体の遮断能力に応答し得る。SSIは、図2を参照して更に考察される。
【0018】
電子トリップユニット200は障害状態(限定されないが、例えば、過電流障害)を判定し、障害状態に応答して開くように固体スイッチ100を制御するように構成されている。固体スイッチ100を開くと、負荷12に流れる電流が遮断される。
【0019】
動作機構300は、電子トリップユニット200からの信号に応答して機械的接点500を開くように構成されている。機械的接点500を開くことは、電源と負荷12との間のガルバニック絶縁を提供する。例えば、限定されないが、動作機構300は、例えば、限定されないが、可動アームを動かして機械的接点500を分離させることによって、機械的接点500を開くように構成されている。電子トリップユニット200は、固体回路ブレーカ10を通って流れる電流を遮断するために固体スイッチ100が開かれた後にのみ、機械的接点500を開くように動作機構300を制御するように構成されている。いくつかの例示的な実施形態では、機械的接点500は、固体回路ブレーカ10を通って流れる定格電流を遮断するように設計されておらず、固体回路ブレーカ10は、定格電流を遮断する機械的接点500の影響に対処するためのアークシュートなどの構成要素を欠いている場合がある。したがって、機械的接点500は、固体回路ブレーカ10を通って流れる電流が、機械的接点500を開くために安全であるレベルまで低下したときにのみ開かれるべきである。
【0020】
センサ400は、固体回路ブレーカ10を通って流れる電流を感知するように構成された電流センサ(限定されないが、例えば、変流器、ホール効果センサなど)であり得る。センサ400の出力は、電子トリップユニット200に提供され得る。
【0021】
電子トリップユニット200は、固体回路ブレーカ10の故障モードを検出するように構成されている。故障モードは、固体スイッチ100が開かない故障である。故障モードを検出することに応答して、電子トリップユニット200は、上流回路ブレーカに要求を出力するように構成される。要求に応答して、上流回路ブレーカは、固体回路ブレーカ10に流れる電流を遮断するように構成され、その結果、固体回路ブレーカ10を通って流れる電流が低下する。電子トリップユニット200は、低下している間に固体回路ブレーカ10を通って流れる電流を監視し、電流がいつ所定のレベルまで低下するかを判定するように構成されている。所定のレベルは、機械的接点500を開くために安全であるレベルである。例示的な所定のレベルは、5Aである。しかしながら、所定のレベルは、開示された概念の範囲から逸脱することなく、修正され得る。電流が所定のレベルに達すると、電子トリップユニット200は、動作機構300を制御して機械的接点500を開く。機械的接点500を開いた後、電子トリップユニット200は、上流回路ブレーカにクリア要求を送信する。クリア要求は、上流回路ブレーカが固体回路ブレーカ10に流れる電流の遮断を停止させることができることを示す。固体回路ブレーカ10を通って流れる電流の低下は、機械的接点500の安全に開くことを可能にする。クリア要求は、上流回路ブレーカが電流を迅速に回復させることを可能にし、それにより、上流回路ブレーカの下流の他の負荷への遮断が最小限に抑えられる。いくつかの例示的な実施形態では、遮断の持続時間はマイクロ秒のオーダーであり得、上流回路ブレーカの下流の他の負荷にほとんど影響を及ぼさないであろう。
【0022】
図2は、本開示の概念の例示的な実施形態によるシステム1の図である。システム1は、1つ以上の固体回路ブレーカ10を含み得る。図2では、システム1は、複数の回路ブレーカ、例えば、上流回路ブレーカ10A及び下流固体回路ブレーカ10B~Nを含み、Nは、整数である。上流回路ブレーカ10Aは、固体回路ブレーカであっても、又はそうでなくてもよい。
【0023】
回路ブレーカ10A~Nは、互いに電気的に結合され、任意の好適な通信プロトコルを介して互いに通信する。例えば、回路ブレーカ10A~Nは、有線又は無線通信を介して通信するように構成され得る。有線通信では、回路ブレーカ10A~Nは、電力線通信を介して、又は制御ラインを介して通信し得る。開示された概念の範囲から逸脱することなく、回路ブレーカ10A~Nの間に、任意の好適な通信形態が用いられ得ることが理解されよう。回路ブレーカ10A~Nは、例えば、故障モード、例えば、固体スイッチが開かない故障が検出され、固体回路ブレーカのうちの1つ以上が開かない場合に、固体インターロック(SSI)を要求又は実行するために互いに通信し得る。例えば、下流固体回路ブレーカ10Bの固体スイッチ100が短絡されている場合100A、下流固体回路ブレーカ10Bの固体スイッチ100は開かない場合がある。固体スイッチ100が開くことができず、電流が下流固体回路ブレーカ10Bを通って流れ続けるとき、機械的接点500Aを開くには安全ではない。故障モードに応答して、下流回路ブレーカ10Bは、要求(例えば、SSI要求)を上流回路ブレーカ10Aに送信する。
【0024】
SSIは、固体回路ブレーカ内の電力半導体デバイスに関連付けられた故障モードのうちの1つに対するハードウェア及びファームウェアソリューションの両方である。SSIは、通信スキームを提供し、上流回路ブレーカが故障モード、例えば、短絡事象中に固体回路ブレーカを開くことができない場合などで下流回路ブレーカを認識し、かつそれに対応することを可能にするという点でファームウェアソリューションを提供する。例えば、SSI対応の固体回路ブレーカが、半導体デバイスのうちの1つ以上において短絡故障を感知すると、最も近い上流回路ブレーカにSSI要求を送信し、それに応答して、最も近い上流回路ブレーカが下流回路ブレーカに流れる電流を遮断する。SSI要求は、下流回路ブレーカ10Bの固体スイッチが開かない故障があったことを示し、上流回路ブレーカ10Aを下流回路ブレーカ10Bに流れる遮断器電流に要求し得る。SSIは、回路ブレーカに埋め込まれた遮断ロジックを介して実行され得る。
【0025】
下流回路ブレーカ10Bは、遮断による電流低下を監視し、その後、電流が所定のレベルに達したときにその機械的接点500Aを開くように構成されている。所定のレベルは、要求している回路ブレーカの機械的接点が、全ての段階で安全に開くことができる電流レベルであり得る。上流回路ブレーカ10Aは、その半導体デバイス、例えば、SiC MOSFET、IGBTなどを一時的にオフにすることによって下流回路ブレーカ10Bに流れる遮断電流を作成し得る。上流回路ブレーカによる電流遮断の持続時間は、上流回路ブレーカ10Aの下流の他の負荷に最小限の影響を与えるために調整され得る。電流ゼロの持続時間は、マイクロ秒(μs)であり得る。上流回路ブレーカが非固体回路ブレーカ(non-solid state circuit breaker、非SSCB)である例では、非SSCB上流回路ブレーカは、その機械的接点を開くことによって電流を遮断し得る。したがって、非SSCBはまた、それ自体を再閉するための追加の作用を必要とし得る。しかしながら、いくつかの例示的な実施形態では、非SSCBは、その機械的接点を再閉することが可能であり得る。
【0026】
電流が遮断されると、下流固体回路ブレーカ10Bは、電流センサ(例えば、図1を参照して説明した電流センサ400)を介して所定のレベルに達するそれを通って電流の低下を検出し、その機械的接点500Aを開く。機械的接点500Aを開くと、下流回路ブレーカ10Bは、上流回路ブレーカ10Aにクリア要求を送信し得る。クリア要求は、故障モードが現在修復されていることを示している可能性があり、例えば、下流回路ブレーカ10Bの機械的接点が開いているため、上流回路ブレーカ10AがSSI機構を終了し、通常の動作を再開することは明らかである。
【0027】
クリア要求を受信すると、上流回路ブレーカ10Aは、例えば、その機械的接点又は固体スイッチを閉じることによってSSIを終了し得る。次いで、上流回路ブレーカ10Aは、その通常の動作を再開する。
【0028】
図3は、開示された概念の例示的な実施形態による、下流及び上流回路ブレーカを通って流れる電流の波形を含む。Aは、下流回路ブレーカ、例えばSSI対応の下流固体回路ブレーカを通って流れる電流の波形である。Bは、上流回路ブレーカ、例えば、SSI対応の上流回路ブレーカを通って流れる電流の波形である。
【0029】
時間t1において、下流回路ブレーカ及び上流回路ブレーカの両方が閉じられる。
【0030】
時間t1に続いて、時間t2の前に、下流回路ブレーカの故障モード(すなわち、固体スイッチが開かない故障)が発生する。下流回路ブレーカは、この故障モードを検出する。
【0031】
時間t2において、下流回路ブレーカは、上流回路ブレーカに要求を送信する。要求に応答して、上流回路ブレーカは、下流回路ブレーカに流れる電流を遮断して下流回路ブレーカを通って流れる電流を低下させる。次いで、下流回路ブレーカは、それを通って流れる電流が、その機械的接点を開くために安全である所定のレベルまで低下するのを待機する。
【0032】
時間t3において、下流回路ブレーカを通って流れる電流は、所定のレベルに達する。一例では、所定のレベルは、100Aの固体回路ブレーカに対して5A以下であり得る。しかしながら、本開示の概念の範囲から逸脱することなく、他の所定のレベルが使用され得ることが理解されるであろう。時間t3において、下流は、その機械的接点を開くプロセスを開始し得る。このプロセスはある量の時間を要するため、機械的接点は、実際にはt4まで開かれない場合がある。機械的接点が開いたら、下流回路ブレーカは、上流回路ブレーカにクリア要求を送信し、上流回路ブレーカが下流回路ブレーカに流れる電流の遮断を停止することができることを示す。
【0033】
時間t5において、上流回路ブレーカは、下流回路ブレーカからクリア要求を受信し、例えば、その固体スイッチ又は機械的接点を閉じることによって下流回路ブレーカへの電流の遮断を停止し得る。
【0034】
時間t5の間に、上流回路ブレーカが電流の遮断を停止するとき、時間t6により、上流回路ブレーカを通って流れる電流は、その通常のレベルまで上昇し、これは時間t6に達する。
【0035】
図4は、本開示の概念の例示的な実施形態による方法400のフロー図である。この方法は、図1図3を参照して説明したように、回路遮断器及びそれぞれの処理ユニットの上流回路ブレーカ及び下流回路ブレーカによって実行され得る。
【0036】
410において、第1の回路ブレーカは、故障モード(すなわち、固体スイッチが開かない故障)を検出する第1の回路ブレーカは、図2を参照して説明したように、下流回路ブレーカであり得る。
【0037】
要求は、第1の回路ブレーカの固体スイッチが開かない故障があったことを示し、第2の回路ブレーカに第1の回路ブレーカに流れる電流を遮断することを要求し得る。420において、第1の回路ブレーカは、第2の回路ブレーカに要求を送信する。第2の回路ブレーカは、図2を参照して説明されるように、上流回路ブレーカであり得る。回路遮断器内に1つ以上の上流回路ブレーカが存在し得、下流回路ブレーカは、SSI要求信号を最も近い上流回路ブレーカに送信する。上流回路ブレーカは、固体回路ブレーカ又は非固体回路ブレーカのいずれかであり得る。
【0038】
430において、第2の回路ブレーカは、第1の回路ブレーカから要求を受信する。
【0039】
440において、第2の回路ブレーカが第1の回路ブレーカに流れる電流を遮断する第2の回路ブレーカは、上流回路ブレーカのメモリ内に埋め込まれた遮断ロジックを介して、その半導体デバイス、例えば、SiC MOSFET、IGBTなどを一時的にオフにすることによって電流を遮断し得る。第2の回路ブレーカによる遮断の持続時間は、下流のブレーカの負荷に最小限の影響を与えるために調整され得る。持続時間は、マイクロ秒(μs)である。
【0040】
450において、第1の回路ブレーカは、それを通って流れる電流が所定のレベルまで低下するときに機械的接点を開く。第2の回路ブレーカは、第1の回路ブレーカからのクリア要求信号を待機する。クリア要求信号は、第1の回路ブレーカの機械的接点が開かれたことを示し得、したがって、第2の回路ブレーカが遮断を停止し、その通常動作を再開することが明らかである。
【0041】
460において、第1の回路ブレーカは、第2の回路ブレーカにクリア要求を送信する。
【0042】
470において、第2の回路ブレーカは、受信されたクリア要求に少なくとも部分的に基づいて、第1の回路ブレーカへの電流の遮断を停止する。次いで、第2の回路は通常の動作を再開する。
【0043】
図5は、本開示の概念の例示的な実施形態による方法500の別のフローチャートである。この方法は、図1図3を参照して説明したように、回路遮断器の上流回路ブレーカ及び下流回路ブレーカ、並びにその中のそれぞれのメモリに結合されたそれぞれの処理ユニットによって実行され得る。
【0044】
510において、下流回路ブレーカ及び上流回路ブレーカの両方が閉じられ、通常の動作を実行する。
【0045】
512において、下流回路ブレーカ内の障害事象が発生する。障害事象は、過電流事象を含み得る。
【0046】
514において、下流回路ブレーカは、故障モードが発生したことを検出する。すなわち、下流回路ブレーカは、その固体スイッチが開くことを失敗したことを検出する。
【0047】
516において、下流回路ブレーカは、要求信号を上流回路ブレーカに送信する。
【0048】
518において、上流回路ブレーカは、下流回路ブレーカから要求を受信する。
【0049】
520において、上流回路ブレーカは、その固体スイッチを開いて、下流回路ブレーカに流れる電流を遮断する。
【0050】
522において、下流回路ブレーカは、それを通って流れる電流のレベルを検出し、電流のレベルが所定のレベルまで低下したことを検出したとき、方法は526に進む。下流回路ブレーカは、電流センサ(例えば、図1を参照して考察される電流センサ400)を介して電流ゼロを検出し得る。所定のレベルは、その機械的接点を開くために下流回路ブレーカに対して安全であるレベルである。
【0051】
524において、下流回路ブレーカは、その機械的接点を開く。
【0052】
526において、下流回路ブレーカは、上流回路ブレーカにクリア要求を送信する。
【0053】
528において、上流回路ブレーカは、下流回路ブレーカからクリア要求を受信する。
【0054】
530において、上流回路ブレーカは、例えば、その固体スイッチを開くことによって、下流回路ブレーカに流れる電流の遮断を停止する。
【0055】
532において、上流回路ブレーカは、通常の動作を再開する。
【0056】
本開示の概念の特定の実施形態について詳細に説明してきたが、当業者であれば、それらの詳細に対する様々な修正及び代替が、本開示の全体的な教示に照らして開発され得ることを理解するであろう。したがって、開示された特定の配設は、単に例解的なものであり、添付の特許請求の範囲の全容及びそれらの任意の及び全ての等価物を与えられる本開示の概念の範囲に関して限定されるものではないことを意味する。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】