(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-28
(54)【発明の名称】外科用器具における信号の転送または伝送
(51)【国際特許分類】
F16C 33/58 20060101AFI20230320BHJP
F16C 33/64 20060101ALI20230320BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20230320BHJP
F16C 41/00 20060101ALI20230320BHJP
F16C 35/07 20060101ALI20230320BHJP
H01R 39/12 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
F16C33/58
F16C33/64
F16C19/06
F16C41/00
F16C35/07
H01R39/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543772
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(85)【翻訳文提出日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 EP2021051061
(87)【国際公開番号】W WO2021148400
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】102020101171.7
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローランド-アロイス ヒューゲル
(72)【発明者】
【氏名】フレデリク レンツェンヒューバー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ バーク
【テーマコード(参考)】
3J117
3J217
3J701
【Fターム(参考)】
3J117AA01
3J117CA06
3J117DA01
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3J701AA02
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3J701EA78
3J701FA53
3J701FA60
3J701GA60
(57)【要約】
本発明はころ軸受(2)、特に、特に外科用器具に使用される玉軸受に関し、このころ軸受は電気信号を転送又は伝送するように設計され、この目的のために、ころ軸受に一体化された少なくとも1つの信号線又は信号経路を有する。本発明はまた、特に外科用器具に使用するためのスリーブ(18’’、18’’’)にも関し、このスリーブは電気信号を転送または伝送するように設計され、この目的のために、スリーブに一体化された少なくとも1つの信号線または信号経路を有する。本発明はまた、少なくとも1つの玉軸受と少なくとも1つのスリーブとを有する外科用器具、特に手持ち式フライスカッタにも関する。さらに、本発明は、ころ軸受の製造方法およびスリーブの製造方法に関する。
【選択図】
図9B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具(4)内で使用するためのころ軸受(2、2’)であって、
電気信号を転送または伝送するように構成されており、この目的のために、ころ軸受(2、2’)内に一体化された少なくとも1つの信号線(14)または信号経路を有する、ころ軸受(2、2’)、特に玉軸受(2)。
【請求項2】
前記ころ軸受(2、2’)に設けられるとともに、前記ころ軸受(2、2’)の軸方向の全長にわたって延在するボア(12)に挿入された少なくとも1つの前記信号線(14)であって、好ましくは軸方向に固定されている少なくとも1つの前記信号線(14)、特に信号リッツ線が設けられていることを特徴とする、
請求項1に記載のころ軸受(2、2’)。
【請求項3】
前記信号線(14)は、前記ころ軸受(2、2’)の前記軸方向に突出するとともに別の構成要素、特にスリーブ(18、18’、18’’、18’’’’、18’’’’’)と接触またはプラグ接続するように構成されていることを特徴とする、
請求項2に記載のころ軸受(2、2’)。
【請求項4】
外科用器具(4)内で使用するためのスリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)であって、
電気信号を転送または伝送するように構成されており、この目的のために、スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)内に一体化された少なくとも1つの信号線(34、36)または信号経路を有する、スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)。
【請求項5】
前記スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の第1軸方向端部(28)と第2軸方向端部(30)との間で軸方向に電気信号を転送または伝送するように構成され、および/または、
前記スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の内側シェル表面(26)と外側シェル表面(24)との間で半径方向に、電気信号を転送または伝送するように構成されていることを特徴とする、
請求項4に記載のスリーブ(18、18’、18’’、18’’’’、18’’’’’)。
【請求項6】
前記スリーブの外側シェル表面(24)は、前記スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の軸方向の全長にわたって延在する少なくとも1つの溝(32)を有し、
前記信号線(34)または前記信号経路は、前記溝(32)内に設けられることを特徴とする、
請求項4または5に記載のスリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)。
【請求項7】
前記信号線(34)または前記信号経路は、前記スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の前記外側シェル表面(24)に対して内側にシフトしており、
前記信号線(34)または前記信号経路は、前記溝(32)の下側領域にのみ設けられ、
絶縁体(42)は、前記信号線(34)または前記信号経路の上部に好ましくは配置される、
請求項6に記載のスリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)。
【請求項8】
前記スリーブ(18、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の内側シェル表面(26)が、少なくとも1つの信号線(36)または信号経路を有することを特徴とする、
請求項4から7のいずれか一項に記載のスリーブ(18、18’’’、18’’’’、18’’’’’)。
【請求項9】
前記スリーブ(18、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の内側シェル表面(26)に設けられた信号線(36)または信号経路が、前記スリーブ(18、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の外側シェル表面(24)に設けられた信号線(36)または信号経路と導電的に接続されていることを特徴とする、
請求項4から8のいずれか一項に記載のスリーブ(18、18’’’、18’’’’、18’’’’’)。
【請求項10】
電気接点(46、47)および/または読出しアンテナ(48)が、前記信号線(34、36)または前記信号経路と導電的に接続されていることを特徴とする、
請求項4から9のいずれか一項に記載のスリーブ(18’’’、18’’’’、18’’’’’)。
【請求項11】
一方が他方の内側に配置された複数のスリーブ(52、54、56)からなることを特徴とする、
請求項4から10のいずれか一項に記載のスリーブ(18’’’’’)。
【請求項12】
請求項1から3のいずれか一項に記載の少なくとも1つのころ軸受(2、2’)と、
請求項4から11のいずれか一項に記載の少なくとも1つのスリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)と、
を備える外科用器具(4)、特にフライスハンドピース。
【請求項13】
前記ころ軸受(2、2’)および前記スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)は、前記外科用器具(4)内で互いに隣接するように配置され
前記ころ軸受(2、2’)の少なくとも1つの前記信号線(14)または前記信号経路は、プラグ接続を介して前記スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の少なくとも1つの前記信号線(34、36)または前記信号経路に接続され、
前記外科用器具(4)は、前記ころ軸受(2、2’)および前記スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)間で信号転送または信号伝送するように構成されることを特徴とする、請求項12に記載の外科用器具(4)。
【請求項14】
ころ軸受(2、2’)、特に請求項1か3のいずれか一項に記載のころ軸受(2、2’)の製造方法であって、
前記ころ軸受(2、2’)の軸方向、特に前記ころ軸受の外輪(8)に延びる少なくとも1つの連続ボア(12)を、特にマイクロレーザドリル加工によって設けることと、
信号線(14)、特に信号リッツ線を前記ボア(12)に挿入することと、
前記ボア(12)内の前記信号線(14)の軸方向の固定を提供することと、
を備える、製造方法。
【請求項15】
スリーブ、特に請求項4から11のいずれか一項に記載のスリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の製造方法であって、
前記スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)を非導電性材料から製造することと、
導電性の信号線(34、36)または信号経路を、金属化し、選択的に導電性材料でコーティングすることによって、前記スリーブの外側シェル表面(24)および/又は内側シェル表面(26)上に提供することと、
を備える、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科用器具、例えば、フライス(milling)ハンドピースにおける信号転送または伝送に関する。特に、本発明は、ころ軸受、スリーブ、ころ軸受及びスリーブを備える外科用器具、ころ軸受の製造方法、及びスリーブの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外科用モータシステム、すなわち、フライスハンドピースのようなモータを有する外科用器具は、電気信号の伝達、転送、または伝送を必要とする新しい機能をますます有するようになっている。そのような新しい機能は、例えば、温度センサを介してフライスハンドピースの先端の温度を決定すること、ひずみゲージを介してフライス加工中の力を決定すること、または、例えば、RFIDまたはNFC読出しアンテナのようなセンサまたはアンテナを介してフライスハンドピースに挿入された工具の種類を識別することを含んでもよい。これらの新しい機能は、データの伝達、転送または伝送のために制御装置への電気的リンクを必要とするという共通点を有する。
【0003】
これまで、このような電気的リンクは例えば、フライスハンドピースに信号線を取り付けたり挿入したりすることによって実現されてきた。電気信号は、個々の絶縁された信号リッツ線を介して伝送され、このリッツ線はフライスハンドピースのシャフトを通って別個の通路に延び、フライスハンドピースの先端/遠位端部まで延びる。しかしながら、外科用フライスハンドピースのコンパクトな構造および限られた空間のために、フライスハンドピースへの従来の信号線の挿通または組み込みは、絶縁された信号リッツ線のための追加の通路が不可欠になるので、フライスハンドピースのシャフトの外径を拡大しなければならないことを意味する。
【0004】
しかしながら、フライスハンドピースの既存の構造において信号リッツ線が一体化していないと、ユーザの観点から望ましくなく、ユーザ/外科医の視覚的アクセスを悪化させ、ハンドピースが幅の狭いアクセスへの適合性を失うので、否定的であると判断されることとなる。更に、既存の構造は、バスシステムとして使用される場合、困難な組立て、困難な接続オプション、及び幾つかの信号発生器の複雑な接続が特徴である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この背景に対して、本発明の目的は、既存の解決策の欠点を回避または少なくとも低減することである。特に、信号線または信号経路は、外科用器具または器具に設けられた構成部品の寸法を変えることなく、すなわち、例えば、外科用器具の外径を増大させることなく、フライスハンドピースなどの外科用(モータ)器具の既存の構造に、より効果的に一体化されるべきである。
【0006】
本発明によれば、ころ軸受及びスリーブの新たな構造が提供され、これらの構成部品の間だけでなく、ころ軸受及びスリーブを介して電気信号の転送/伝送/伝達が可能となり、構成部品(ころ軸受及びスリーブ)の寸法は変わらないので、外科用器具の外径は増大しない。したがって、外科用器具はそのコンパクトな構造を保持し、既存の設置スペースが適切に利用される。
【0007】
したがって、上記目的は、請求項1に記載のころ軸受、請求項4に記載のスリーブ、請求項12に記載の外科用器具、請求項14に記載のころ軸受の製造方法、および請求項15に記載のスリーブの製造方法によって解決される。有利な実施形態およびさらなる展開は、従属請求項において請求され、および/または以下に説明される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1点として、ころ軸受、特に玉軸受に関し、この軸受は好ましくは多方向に、電気信号を転送または伝送するように構成され、この目的のために、玉軸受内に一体化された少なくとも1つの信号線または信号経路を有する。
【0009】
本発明は原則として、ころ軸受に関し、したがって、玉軸受に限定されず、すなわち、円筒ころ軸受、ニードルころ軸受、テーパころ軸受、球面ころ軸受、トロイダルころ軸受などの任意の他のころ軸受もまた、本発明によって包含されることとなる。しかしながら、玉軸受は、本発明に係るころ軸受の好適な実施形態である。さらに好ましくは、その玉軸受はマイクロ玉軸受である。
【0010】
ころ軸受/玉軸受は、好ましくは外科用(モータ)器具、特に外科用ハンドピース、特にフライスハンドピース/手持ちフライスカッタに使用するために構成されるか、または好適であるか、または設けられる。
【0011】
したがって、本発明が代替的にまたは追加的に、外科用器具におけるころ軸受/玉軸受の使用にも関することは、自明である。
【0012】
ころ軸受/玉軸受の外輪に信号線又は信号経路を一体化することは、有益である。
【0013】
好ましくは、ころ軸受/玉軸受(特にころ軸受/玉軸受の外輪)は、非導電性材料から作られる。好ましくは、ころ軸受/玉軸受(外輪)の材料は、硬質材料である。セラミックが特に適していることが証明されている。
【0014】
信号線又は信号経路は、好ましくは(高度に)導電性の材料、特に銅、銀又金で作られる。
【0015】
有利な構成例は、ころ軸受/玉軸受、特にころ軸受/玉軸受の外輪に設けられたボアに挿入された、少なくとも一つの信号線、特に信号リッツ線が設けられ、前記ボアがころ軸受/玉軸受の軸方向の全長にわたって延在するという事実が特徴である。好ましくは、信号線又は信号リッツ線がボア内で軸方向に固定される。
【0016】
したがって、ころ軸受/玉軸受、または、ころ軸受/玉軸受の外輪は、好ましくは少なくとも1つの微細ボアを有する。例えば、ボアの直径は、0.2mmより小さくてもよい。
好ましくは、直径は概して0.1mmの範囲である。特にマイクロレーザドリル加工は、このような微細なボアの製造/生産プロセスとして適していることが証明されている。
【0017】
従って、信号線又は信号リッツ線の直径は、0.2mmより小さいことが好ましく、0.1mmの範囲内にあることがより好ましい。
【0018】
ボア内に信号線又は信号リッツ線を軸方向に固定することは、例えば、信号線又は信号リッツ線の軸方向端部の塑性変形によって達成することができる。特に、ここでは、コーキングが適していることが証明されている。あるいは、ボアをまず金属化し(信号線または信号リッツ線が挿入される前に)、接着接続、またはろう付け接続を介して軸方向固定を達成することができる。
【0019】
信号線が特にころ軸受/玉軸受の両側/軸方向端部において、ころ軸受/玉軸受の軸方向に(外輪を越えて)突出し、その結果、信号線が、外科用器具の別の構成部品、特にスリーブと接触またはプラグ接続するように構成される場合も、特に有利である。好ましくは、信号線が外輪を越えて約0.1~0.5mm、特に好ましくは約0.1~0.3mm突出する。
【0020】
好ましくは、複数の信号線又は信号経路、例えば、2、3、4、5、6又はそれ以上が設けられる。原則として、ころ軸受/玉軸受/外輪の周囲に信号線や信号経路を任意に分散して配置してもよい。また、(外輪の)ころ軸受/玉軸受の全周を使用することも考えられる。したがって、信号線は、また、アニュラス(環帯)にわたって均等に分散して配置されてもよい。
【0021】
信号線又は信号経路の数の上限は、好ましくはころ軸受/玉軸受のサイズから生じる。
特に、玉軸受の外径D(mm単位)とボアまたは信号線の数Nとの比は(特に、好ましいボア直径または信号線の直径に対して)D/N>0.1であるべきということが分かっている。周縁に分散して配置された多数の信号線又は信号経路を提供することは、有利には接触抵抗を減少させることができる(キーワード:並列多導体技術)。
【0022】
本発明はさらに、電気信号を、好ましくは多方向の転送または伝送するように構成され、この目的のために、スリーブ内に一体化された少なくとも1つの信号線または信号経路を有するスリーブに関する。
【0023】
スリーブは、好ましくはスペーサスリーブである。さらに好ましくは、スリーブまたはスペーサスリーブが外科用(モータ)器具、特に外科用ハンドピース、特にフライスハンドピースで使用するために、それぞれ構成されるか、または適切であるか、または設けられる。
【0024】
ここで、本発明はまた、代替的にまたは追加的に、外科用器具におけるスリーブの使用に関することも理解される。好ましくは、スリーブは非導電性材料で作られる。さらに好ましくは、スリーブの材料は硬質材料である。セラミックが特に適していることが証明されている。
【0025】
信号線又は信号経路は、好ましくは(高度に)導電性の材料、特に銅、銀又は金から作られる。
【0026】
スリーブは好ましくはスリーブの第1軸方向端部と第2軸方向端部との間で軸方向に、および/またはスリーブの内側シェル表面と外側シェル表面との間で半径方向に、電気信号を転送または伝送するように構成される。
【0027】
有利には、スリーブの外側シェル表面は、スリーブの軸方向の全長にわたって延在する少なくとも1つの溝/通路を有する。好ましくは、信号経路または信号線は、溝/通路内に設けられるか、または配置される。換言すれば、導電性材料は、溝/通路内に位置する。これは電気信号が外側シェル表面/スリーブの外側領域で受け取られることができ、またはそれぞれの転送、または伝送されることができることを有利に保証する。
【0028】
少なくとも1つの通路または少なくとも1つの溝は好ましくは微細またはフィリグリーであり、研削または彫刻、特にレーザ彫刻によって製造される。通路又は溝は、好ましくは金属化され、高導電性材料で被覆されて、信号線又は信号経路を形成する。
【0029】
信号経路又は信号線がスリーブの外側シェル表面に対して内側にシフトしている場合には有利であり、その結果、信号経路又は信号線は、溝の下側領域にのみ設けられる。換言すれば、信号経路又は信号線はスリーブの(外部の)外側シェル表面が、スリーブの半径方向において信号経路又は信号線から離間するように、溝/通路内に完全に凹んでいることが好ましい。したがって、信号経路/信号線は、好ましくは外側シェル表面と面一ではなく、さらに内側に位置する。特に、2つ以上の信号経路または信号線が設けられる場合、これは、個々の信号経路または信号線が互いに電気的に分離されることを保証する。これは、特に、スリーブが挿入され、スリーブが直接当接することが好ましいフライスハンドピースの外側パイプは金属で作られていることが多いので、必要である。
【0030】
信号経路や信号線の上部に絶縁体を配置すれば実用的である。換言すれば、絶縁体が追加的に設けられていれば、前述した、信号経路又は信号線の互いからの電気的分離をより改善することができる。絶縁体は、例えば、特にシリコーン製のインサートであってもよい。あるいは、絶縁体は、例えば、接着層を介して実現されてもよい。追加の絶縁は、外科用器具、特にスリーブが挿入されることとなるフライスハンドピースを、浸透する導電性液体(例えば、生理食塩水)に対してあまり敏感でないようにする。
【0031】
有利な構成例は、スリーブの内側シェル表面が少なくとも1つの信号経路または信号線を有することを特徴とする。信号線又は信号経路がスリーブの内面に追加的又は代替的に設けられる場合、電気信号は、内側領域で受け取られることができ、また、転送又は伝送することもできる。例えば、金属化経路(少なくとも1つの金属化経路)を内側シェル表面上に設けてもよい。
【0032】
スリーブの内側シェル表面上に設けられた信号経路又は信号線がスリーブの外側シェル表面上に設けられた信号経路又は信号線に導電的に接続される場合には、特に利点がある。例えば、スリーブはスリーブの半径方向に延び、それを介して内側シェル表面上の信号線又は信号経路が外側シェル表面上の信号線又は信号経路(例えば、ボア内の導電性材料を介して)に導電的に接続可能/接続される微細ボア(マイクロボア)を有していてもよい。換言すれば、ボア(マイクロボア)は、好ましくは外側シェル表面上の溝/通路と、内側シェル表面上の信号線又は信号経路との間を走行する。換言すれば、スルーめっき(through-platings)は、好ましくは同時にランドとしても機能することができるプリント回路技術におけるように形成される。この手段は、SMD構成部品が好ましくは利用できない場合には、配線された構成部品をシステム内に一体化できるということである。
【0033】
信号経路または信号線は、基本的にそれぞれ異なる深さでスリーブに組み込むことができる。このようにして、少なくとも部分的に、非常に薄い壁を有するスリーブを実現することができる。更に、スリーブ内でそれぞれ異なる深さに組み込まれた多数の信号経路又は信号線を設けてもよい。これは、外側シェル表面および内側シェル表面に、それぞれ取り付けられた信号経路または信号線の両方に適用される。
【0034】
電気接点及び/又は読出しアンテナが、導電的に信号線又は信号経路に接続されている場合に有利である。これは、内側シェル表面上の信号線又は信号経路、及び外側シェル表面上の信号線又は信号経路の両方に適用される。複数の信号線又は信号経路が設けられる場合には、信号経路又は信号線が一方の側(例えば内側)で中断され、他方の側(例えば外側)で継続される場合に有利となり得る。これは、半径方向のボア内の導電性リンクによって達成することができる。
【0035】
例えば、スリーブの内側シェル表面は、センサ又は別の(電子)部品のための電気接触/電気接触表面を有してもよく、この電気接触表面は、好ましくは内側シェル表面に印加される信号線又は信号経路に導電的に接続される。
【0036】
さらに、読出しアンテナが内側シェル表面上に設けられることが考えられ、これは、好ましくは、内側シェル表面に印加される信号線又は信号経路に導電的に接続される。これはまた、信号線又は信号経路自体が読出しアンテナを形成するように、信号線又は信号経路が内側シェル表面上に配置又は形成されるようにして実現することができる。このような読出しアンテナは例えば、RFIDチップに対する読出しまたは書込みのために使用することができる。
【0037】
さらに、センサ用又は別の部品用の電気接点/電気接点表面は、好ましくは外側シェル表面に印加される信号線又は信号経路に導電的に接続されるスリーブの外側シェル表面に対しても、適用されてもよい。外部から印加された電気接点または接触面は、外部センサ、(電子)部品、(読出し)アンテナなどを接続するために使用することができる。
【0038】
さらに、スリーブが、一方が他方の内側に配置された複数(少なくとも2つ、好ましくは3つ以上)のスリーブからなる場合に有利である。換言すれば、いくつかのスリーブは、好ましくはいくつかの層で配置される。これにより、より多くの機能をスリーブに一体化させることができ、設置スペースを最大限に活用することができるので有利である。
【0039】
本発明は、さらに、少なくとも1つの上記のころ軸受と、少なくとも1つの上記のスリーブと、を備える外科用(モータ)器具またはハンドピース、特にフライスハンドピースに関する。
【0040】
好ましくは外科用器具において、外科用器具がころ軸受およびスリーブ間で信号転送または信号伝送するように構成されるように、ころ軸受およびスリーブは、外科用器具内で互いに隣接するように配置され、そしてころ軸受の少なくとも1つの信号線または信号経路が、プラグ接続を介してスリーブの少なくとも1つの信号線または信号経路に接続されることを特徴とする。
【0041】
有利には、電気信号は、玉軸受およびスリーブを介して、またはすなわち複数の玉軸受および複数のスリーブを介して、外科用器具の遠位領域から近位領域へ、およびその逆に、すなわち外科用器具の軸方向に、外科用器具/フライスハンドピース内で転送され、伝達され得る。
【0042】
本発明によれば、一体化された信号線を有するころ軸受及び一体化された信号線を有するスリーブが設けられ、ころ軸受の信号線はプラグ接続を介してスリーブの信号線に接続することができるので、電気信号は、これらの構成部品を介しても、およびこれらの構成部品間でも両方で伝送することができる。
【0043】
本発明によるころ軸受は、好ましくは遠位から近位へ、およびその逆の、すなわち、外科用器具またはころ軸受の軸方向への信号伝達を可能にし、内側から外側へ、およびその逆の、すなわち、外科用器具またはスリーブの半径方向への信号伝達を可能にする。
する。
【0044】
本発明によるスリーブは、好ましくは遠位から近位へ、およびその逆の、すなわち、外科用器具またはスリーブの軸方向への信号伝達を可能にし、内側から外側へ、およびその逆の、すなわち、外科用器具またはスリーブの半径方向への信号伝達を可能にする。
【0045】
全体として、多方向信号転送/伝送は、外科用器具/ハンドピース(フライスハンドピース)内にこのように設けられ、本発明による一体化された信号線/経路を有するころ軸受およびスリーブによって可能にされる。
【0046】
新しい/拡張された機能/機能性は、外科用ハンドピースのシャフトの外径または外側寸法を増大させることなく、外科用器具において実現される。本発明による解決策は、小型化された信号転送、簡単な組立構造、信号発生器、アンテナ又はセンサのための拡張/新規配置オプション、最小の設置スペースにおける複雑な回路の実現、及び既存の構成部品への適切な統合によって区別される。
【0047】
本発明は更に、ころ軸受の軸方向、特にころ軸受の外輪に延びる少なくとも1つの連続ボアを、特にマイクロレーザドリル加工によって設けることと、信号線、特に信号リッツ線をボアに挿入することと、ボア内の信号線の軸方向の固定を提供することと、を備える、ころ軸受/玉軸受、特に上述したようなころ軸受の製造方法に関する。
【0048】
有利な方法では、信号線をボア内に軸方向に固定するステップは、信号線の軸方向端部の塑性変形、特にコーキング、または信号線をボア内に挿入する前にボアを金属化し、信号線をボア内に挿入した後に接着接続またはろう付け接続を提供することによって達成される。
【0049】
さらに、本発明はスリーブ、特に上記のスリーブを製造する方法に関し、方法は、スリーブを非導電性材料から製造することと、導電性の信号線または信号経路を、金属化し、選択的に導電性材料でコーティングすることによって、スリーブの外側シェル表面および/又は内側シェル表面上に提供することと、を備える。
【0050】
有利には、この方法は、スリーブの外側シェル表面に少なくとも1つの通路/溝を研削または彫刻するステップ、特にレーザ彫刻するステップをさらに含む。
【0051】
有利には、本方法は通路/溝とスリーブの内側シェル表面との間にスリーブの半径方向に延在するボアを設けるステップをさらに含む。
【0052】
以下、図面を参照して本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1A】本発明による第1実施例の玉軸受の等角図である。
【
図1B】本発明による第1実施例の玉軸受の断面図である。
【
図2】本発明による第2実施例の玉軸受の等角図である。
【
図3A】本発明による第1実施例のスリーブの第1の等角図である。
【
図3B】本発明による第1実施例のスリーブの第2の等角図である。
【
図3C】本発明による第1実施例のスリーブの断面図である。
【
図3D】本発明による第1実施例のスリーブの詳細図である。
【
図4A】本発明による第2実施例のスリーブの断面図である。
【
図4B】本発明による第2実施例のスリーブの詳細図である。
【
図5A】本発明による第3実施例のスリーブの等角図である。
【
図5B】本発明による第3実施例のスリーブの断面図である。
【
図6A】本発明による第4実施例のスリーブの第1の等角図である。
【
図6B】本発明による第4実施例のスリーブの第2の等角図である。
【
図6C】本発明による第4実施例のスリーブの断面図である。
【
図7A】本発明による第5実施例のスリーブの第1の等角図である。
【
図7B】本発明による第5実施例のスリーブの第2の等角図である。
【
図8A】第6実施例による、多層構造における組み立てられた状態の本発明によるスリーブの等角図である。
【
図8C】
図8Aの多層スリーブの外側スリーブの第1の等角図である。
【
図8D】
図8Aの多層スリーブの外側スリーブの第2の等角図である。
【
図8E】
図8Aの多層スリーブの中間スリーブの第1の等角図である。
【
図8F】
図8Aの多層スリーブの中間スリーブの第2の等角図である。
【
図8G】
図8Aの多層スリーブの内側スリーブの第1の等角図である。
【
図8H】
図8Aの多層スリーブの内側スリーブの第2の等角図である。
【
図9C】
図9Aの外科用器具の中央遠位領域の断面図である 。
【
図9D】本発明の外科用器具における玉軸受およびスリーブの配置の等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明の実施例を添付する図面に基づいて説明する。
【0055】
図面は、本質的に単に概略的なものであり、単に本発明を理解するためのものである。同一の要素には同一の参照符号が付されている。個々の構成例/実施例の特徴は交換可能である。
【0056】
図1Aおよび
図1Bは、本発明による第1実施例の玉軸受2を示す図である。玉軸受2はマイクロ玉軸受であり、外科用器具4(
図1Aおよび
図1Bには図示せず)で用いられるように設けられている。玉軸受2は、内輪6及び外輪8を有する。内輪6と外輪8との間には、転動体(ころ)特に玉10が設けられ、これがケージ11によって保持されている。ここでもまた、本発明は、原則として玉軸受2に限定されるものではなく、円筒ころ軸受、ニードルころ軸受、円錐ころ軸受、球面ころ軸受、トロイダルころ軸受、ボールケージの有る/無い他のころ軸受なども本発明によって包含されることに留意されたい。
【0057】
この場合、玉軸受の外輪8は、非導電性の硬質材料、例えばセラミックスによって作られる。玉軸受2の軸方向に延びる3つのボア12は、玉軸受2の外輪8に設けられている。
図1Bから特に分かるように、ボア12は、玉軸受2の軸方向の全長にわたって延びている。したがって、ボア12は、貫通ボアである。ボアの直径は、好ましくは0.2mmより小さく、さらに好ましくは約0.1mmの範囲である。このボアは例えば、マイクロレーザドリル加工によって生成される。信号線(信号リッツ線)14が、ボア12内に挿入され、ボア12の軸方向の全長にわたって延在する。信号線14は、この場合、導電性の高い材料、特に銅、銀、または金で作られる。信号線14の直径はボアの直径とほぼ一致し、したがって、0.2mmより小さく、好ましくは0.1mmの範囲である。
【0058】
信号線14は、ボア12内で軸方向に固定されている。この軸方向の固定は、この場合、信号線14の軸方向端部16を塑性変形、特にコーキングによって実現される。そのため、信号線14は、
図1Bに示すように、その軸方向端部16においてわずかに拡大された直径を有する。あるいは、ボア12が(信号線14が挿入される前に)最初に金属化されてもよく、軸方向の固定は接着結合またはんだ付け接合によって達成されてもよい。
【0059】
信号線14(2つの)軸方向の端部16は玉軸受2の軸方向に外輪8を越えて好ましくは0.1~0.3mm程度突出する。これは、信号線14が外科用器具4の別の構成部品、例えばスリーブ18とのプラグ接続を形成することを可能にするのに役立つ。
【0060】
したがって、
図1Aおよび
図1Bに示す実施例によれば、玉軸受2は、玉軸受2に一体化された信号線14を備えている。玉軸受は信号線14を介して、玉軸受2の第1軸方向端部20から第2軸方向端部22に(近位から遠位に、およびその逆に、または玉軸受2の軸方向に)電気信号を伝送することができる。
【0061】
本発明による第1実施例の玉軸受2では3つのボア12、したがって3つの信号線14が設けられているが、本発明はこれに限定されず、1つ、2つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の信号線14を設けることもでき、これらの信号線14は、玉軸受2の外輪8の周縁周りに所望のように分散させて配置することができる。
【0062】
本発明による玉軸受2’の第2実施例によれば、玉軸受2’の外輪8全体が利用され、ボア12及び信号線14が設けられる(
図2参照)。ボア12又は信号線14は、玉軸受2’の外輪8上に均等に分散して配置されている。
図2に示す玉軸受2’は例えば、N=36個のボア12または信号線14を有し、4.763mmの外径を有し、その結果、上述のD/N>0.1の比が(依然として)満たされている。
図2に示される実施例における信号線14の直径は、好ましくはおよそ/概数で0.1mmである。
【0063】
図3A、
図3B、
図3C及び
図3Dは、本発明による第1実施例のスリーブ18を示す。スリーブ18は、好ましくはスペーサスリーブであり、外科用器具4(
図3A~
図3Dには示されていない)において使用されるように設けられる。スリーブ18は、非導電性の硬質材料、例えばセラミックから作られる。スリーブ18は、概して、外側シェル表面24、内側シェル表面26、第1軸方向端部28、及び第2軸方向端部30を有する。
【0064】
スリーブ18の外側シェル表面24には、スリーブ18の軸方向の全長にわたって延びる3つの直線/直線溝(通路)32が設けられている。溝32は比較的細かい又はフィリグリーであり、研削又は彫刻、特にレーザ彫刻によって製造される。信号線34は溝32に設けられており、これもスリーブ18の軸方向の全長にわたって延びている。信号線(信号経路)34はまず、溝32を金属化し、次いで、導電性の高い材料、特に銅、銀、または金で被覆することによって形成される。
【0065】
特に
図3Dに示されるように、スリーブ18の外側シェル表面24上の信号線34は、溝32のより低い領域にのみ設けられており、従って、スリーブ18の外側シェル表面24はスリーブ18の半径方向において各信号線(信号経路)34から離間しており、特に距離aを有している。
【0066】
本発明による第1実施例のスリーブ18では3つの信号線34が外側シェル表面24に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つ、2つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の信号線34を設けてもよく、これらの信号線は、スリーブ18の外側シェル表面24上に所望に応じて分散させて配置してもよい。スリーブ18の外側シェル表面24全体を利用することも可能であり、従って、信号線34を外側シェル表面24全体に(均一に)分散させて配置することも可能である。
【0067】
スリーブ18の内側シェル表面26には、3つの直線/直線信号線(信号経路)36が設けられている。内側シェル表面26上の信号線36は、スリーブ18の軸方向の全長にわたって延在し、金属化された(信号)経路として形成される。
【0068】
スリーブ18の内側シェル表面26上の各信号線36は、スリーブ18の外側シェル表面24上の信号線34としてスリーブ18の周方向の同じ位置に設けられている。従って、信号線34及び信号線36はスリーブ18の軸方向に平行且つ直線状に延び、スリーブ18の周方向の同じ位置に設けられている。
【0069】
好ましくは、スリーブ18の内側シェル表面26上の少なくとも1つの信号線36がスリーブ18の外側シェル表面24上の信号線34に導電的に接続される。原理的には、各信号線36はまた、対応する信号線34に導電的に接続されてもよい。ここで微細(マイクロ)ボア38は、スリーブ18内において、外側シェル表面24における溝32/信号線34と内側シェル表面26における信号線36との間に設けられる。ボア38の各々は、スリーブ18の半径方向に延在する。ボア38は(高度に)導電性の材料を含み、その結果、信号線34は、ボア38内の導電性材料を介して、導電的に信号線36に接続される。
【0070】
本発明による第1実施例のスリーブ18では内側シェル表面26に3つの信号線36が設けられているが、本発明はこれに限定されず、スリーブ18の内側シェル表面26にわたって所望のように分散して配置してもよい、1つ、2つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の信号線36が設けられてもよい。スリーブ18の内側シェル表面26全体を利用することも可能であり、従って、信号線36を内側シェル表面26全体に(均一に)分散して配置することも可能である。
【0071】
全体として、第1実施例のスリーブ18は、一体化された信号線34、36を有するスリーブ18である。スリーブ18の外側シェル表面24での信号線34により、スリーブ18の外側領域で電気信号を受け取り、転送し、伝送することができる。スリーブ18の内側シェル表面26上の信号線36により、スリーブ18の内側領域で電気信号を受け取り、転送し、伝送することができる。本発明によるスリーブ18は基本的に、スリーブ18の第1軸方向端部28とスリーブ18の第2軸方向端部30との間の軸方向と、内側シェル表面26と外側シェル表面24との間のスリーブ18の半径方向との両方における電気信号の転送又は伝送を可能にする。従って、スリーブ18は、電気信号の多方向転送又は伝送のために構成される。
【0072】
図4Aおよび
図4Bは、本発明による第2実施例のスリーブ18’を示す。第2実施例のスリーブ18’は、外側シェル表面24に信号線/信号経路34を有する。原則として、スリーブ18’は、非常に薄く成形されている。スリーブ18’の第1軸方向端部28、およびスリーブ18’の第2軸方向端部30においてのみ、スリーブ18’がわずかに厚く成形されている。外側シェル表面24に設けられた溝32は、様々な深さを有する。特に、スリーブ18’の第1軸方向端部28及び第2軸方向端部30における溝32の深さは、スリーブ18’の他の(中央)領域の残りの部分よりも深く/大きい。特に
図4Bから分かるように、信号線/信号経路34は、従って、異なる深さ(軸方向端部28、30においてはより深い)でスリーブ18’内に組み込まれるので、スリーブ18’の中央領域において特に極めて薄肉のスリーブ18’が実現される。
【0073】
この時点で、原則として、本発明による第1実施例のスリーブ18の信号線34、36(
図3A~
図3D参照)は、スリーブ18に異なる深さ(第2実施例に対応する)で組み込まれてもよいことに留意されたい。これは、外側シェル表面24及び内側シェル表面26に取り付けられた信号線34、36の両方に適用される。溝32は全体として異なる深さを有してもよい、すなわち、第1の溝32は、第2の溝32よりも深くてもよく、第1の信号線34も、それに対応して、第2の信号線34よりも深くスリーブ18内に組み込まれてもよく、/スリーブ18の軸方向により深く延びてもよい。
【0074】
図5A及び
図5Bは、本発明による第3実施例のスリーブ18’’を示す。第3実施例のスリーブ18’’は、外側シェル表面24上に3つの信号線/信号経路34を有する。第3実施例によるスリーブ18’’をさらに説明する前に、第1実施例のスリーブ18に関する説明(
図3A~
図3D参照)をさらに補足する:スリーブ18の外側シェル表面24上の信号線34が溝32のより低い領域にのみ設けられている理由は、特に信号線34の互いからの電気的分離を確実にするためである。当該電気的分離は、好ましくはスリーブ18が挿入され、スリーブ18が直接当接する外科用器具4の外側パイプ40が、しばしば金属製であるために必要となる。
【0075】
第3実施例のスリーブ18’’は信号線34の前述した電気的絶縁をさらに改善する。このために、各信号線34上のスリーブ18’’内に絶縁体42が配置される。絶縁体42は、ここでは特にシリコーン製のインサートである。あるいは、絶縁体42が接着層を介して実装されてもよい。絶縁体42は溝32内に配置され/溝32内に挿入され、信号線34上、換言すれば、信号線34に対して半径方向にさらに外側に配置される。絶縁体42は溝32又は信号線34の軸方向の全長にわたって延在し、従って、信号線34を完全に覆う。
【0076】
特に
図5Bに示されるように、凹部44はスリーブ18’’の第1軸方向端部28およびスリーブ18’’の第2軸方向端部30に、絶縁体42が信号線34に適用される領域に設けられる。凹部44は特に、玉軸受2、2’の突出する軸方向端部16(玉軸受2、2’の信号接点)とのプラグ接続を可能にするために設けられる。
【0077】
絶縁体42によって提供される追加の絶縁は、スリーブ18’’が挿入される外科用器具(フライスハンドピース)4を、浸透する導電性液体(例えば、生理食塩水)に対してあまり敏感でないようにする。
【0078】
図6A、
図6B及び
図6Cは本発明による第4実施例のスリーブ18’’’を示しており、特に
図6Aから分かるように、電気接点/接触面46は、スリーブ18’’’の内側シェル表面26上に設けられている。電気接点/接触面46は基本的に、センサ又は他の(電子)部品の接点/接触面として機能する。電気接点/接触面46の各々は、それぞれの信号線36に導電的に接続される。すなわち、2つの電気接点46のうち第1電気接点46は、3つの信号線36の第1の信号線36に導電的に接続され、2つの電気接点46のうち第2電気接点46は、3つの信号線36の第2の信号線36に導電的に接続される。
図6Aに示すように、電気接点46に接続される信号線36は、スリーブ18’’’の内側シェル表面26で中断され、ここで中断されるこれらの信号線36は、(マイクロ)ボア38(スリーブ18の第1の実施例)内の導電性材料を介して外側シェル表面24上の信号線34に接続され、それに応じてスリーブ18’’’の外側に継続される。
【0079】
さらに、内側シェル表面26に設けられた信号線36(第3の信号線36)は、導電的に読出しアンテナ48に接続される。特に
図6B及び
図6Cから分かるように、ここでは、内側シェル表面26上の第3の信号線36は、それ自体が読出しアンテナ48を形成するように形成される。これは、第3の信号線36の一部がスリーブ18’’’の軸方向には延びず、螺旋/コイル形状ですなわち巻きを有しており、したがって、スリーブ18’’’の概して円周方向に延びるという事実によって達成される(
図6C参照)。読出しアンテナ48は、RFIDチップ(図示せず)に対する読出しまたは書込みのために使用されることが好ましい。RFIDチップは、例えば、外科用器具(フライスハンドピース)、例えばフライス工具に挿入される(図示せず)工具に設けられてもよい。さらに、第4実施例のスリーブ18’’’に関して、先の実施例のスリーブ18、18’、18’’の記載、特に第1実施例のスリーブ18の記載が適用可能である。
【0080】
図7Aおよび
図7Bは、本発明による第5実施例の本スリーブ18’’’’を示す。スリーブ18’’’’では、2つの電気接点/接触面47が外側シェル表面24上に設けられ、その各々は導電的に信号線34に接続される。かくして、内側シェル表面26(内側)に設けられた電気接点/接触面46(第4実施例参照)に加えて、又はその代わりに、外側シェル表面24(外側)に設けられた電気接点/接触面47も本発明によれば考えられる。
【0081】
外部に設けられた電気接点/接触面47は、センサ又はアンテナのような外部(電子)部品を接続するために使用することができる。この場合、外科用器具(フライスハンドピース)4の外側パイプ40に凹部(図示せず)を設けることが必要であり、この凹部は外部(電子)構成要素(例えば、センサまたはアンテナ)のための設置スペースを形成する。電気信号は外側シェル表面24上の電気接点/接触面47を介して外部(例えば、外科用器具4の外側パイプ40へ)に伝送されることも考えられる。これは、例えば、外科用器具4の設置スペースが増加する外科用器具4の近位領域において有用であり得る。
【0082】
また、本実施例では、一方側(例えば
図7Aでは外側の信号線34)に中断された信号線34、36を、反対側(例えば内側の信号線36)のそれぞれの連続信号線34、36によって継続させることができる。また、
図7Bから分かるように、本第5実施例によれば、電気接点46/電気接点46は、好ましくはセンサ50が取り付けられる内側シェル表面26の内側/上にも設けられる。
【0083】
さらに、第5実施例のスリーブ18’’’’に関して、先の実施形態のスリーブ18、18’、18’’’、18’’’の記載、特に第1および第4実施例のスリーブ18、18’’’’の記載が適用可能である。
【0084】
図8Aおよび
図8Bは、本発明の第6実施例によるスリーブ18’’’’’を示す。スリーブ18’’’’’は、基本的に多層スリーブであり、一方が他方の内側に配置された、すなわちいくつかの層に配置された複数のスリーブまたはパイプからなる。特に、3つのスリーブ/パイプの一つが、他方の内側に配置される。即ち、3つのスリーブ/パイプの一つは、
図8C及び
図8Dに示されている外側スリーブ52、
図8Eおよび8Fに示されている中間スリーブ54、ならびに
図8Gおよび8Hに示される内側スリーブ56である。
【0085】
外側スリーブ52は、その外側(外側シェル表面)に信号線/信号経路34及び電気接点/接触面47を有する。特に、6つの信号線34及び4つの電気接点47が設けられている。導電性材料を含んでもよいマイクロボア38を介して、信号線34及び電気接点47の両方が、(スリーブ52の内側シェル表面に)内側に接続/接続可能である。信号線34を内部に接続することができるマイクロボア38は、規定された(特定の)接続領域58内にのみ設けられる。
【0086】
中間スリーブ54はまた、信号線/信号経路34及び電気接点/接触面47をその外側(その外側シェル表面上)に有する。さらに、外部にも読出しアンテナ48が設けられている。提供された6つの信号線34の2つの信号線34は、読出しアンテナ48に接続されている。残りの4つの信号線は、それぞれ電気接点47に接続されている。導電性材料を含んでもよいマイクロボア38を介して、信号線34及び電気接点47も、中間スリーブ54内の内部(スリーブ54の内側シェル表面に)に接続/接続可能である。信号線34を内部に接続するマイクロボアは、定義された(特定の)接続領域58内にのみ設けられ、外部信号線34を内部信号線36と接続する。外部信号線34及び内部信号線36の両方は、スリーブ54の軸方向の全長にわたって延在しない。
【0087】
中間スリーブ54は特に、内側から外側へ、または外側から内側へ(スリーブ18’’’’’の半径方向に)(信号線または電気接点の)連結/接続/配線のために使用される。更に、中間スリーブ54を介して、追加の信号線/信号経路が、適用可能となる(例えば、アンテナ形式で、読出しアンテナ48を形成する)。
【0088】
内側スリーブ56は、その外側(外側シェル表面)に信号線/信号経路34を有する。内部(その内側シェル表面上)には、信号線/信号経路36を有する。外部信号線34は内側スリーブ56の軸方向の全長にわたって延在し、従って連続している。内側スリーブ56は内側に2つの電気接点46を有し、各電気接点は信号線36に接続されている。電気接点46と信号線36との間のリンクを実現するために、本ケースでは、一つの信号線36が中断される。原則として、内側スリーブ56を内側スリーブ56の信号線34(外側)に接続することが可能である。しかしながら、中間スリーブ54に直接接続することも可能である。最後に、中間スリーブ54は特に内側スリーブ56の別の信号線34、36に、外側スリーブ52及び内側スリーブ56両方、内側スリーブ56には戻って接続することができる。
【0089】
1つの電気接点46のみ、又は電気接点46が設けられていない場合には、全ての信号線36が連続していてもよく、即ち、内側スリーブ52の軸方向の全長に沿って延びていてもよい。
【0090】
図8Bの半透明の図から特に分かるように、スリーブ52、54、56の信号線34、36は多層スリーブ18’’’’’が取り付けられているとき、重なり合う様式で、すなわち互いにそれぞれ直上または直下に配置される。外側スリーブ52および中間スリーブ54に設けられた接続領域58も、重なり合うように、すなわち、互いに直上または直下に配置されている。外側スリーブ52及び中間スリーブ54の両方に配置された接触面47についても同様である。
【0091】
3つのスリーブ52、54、56の間の電気的リンクは、マイクロボア38を介して実現される。特に、接続は、はんだまたは別の金属リンクを介して、特定の規定された点で行われ得る。前述の実施例と比較して、第6実施例によれば、さらに多くの機能をスリーブ18’’’’’に組み込むことができ、利用可能な設置スペースが最大限に利用される。
【0092】
図9Aは、本発明による外科用器具4の断面図を示す。外科用器具4は好ましくは外科用ハンドピースであり、さらに好ましくはフライスハンドピースである。外科用器具4は基本的に、遠位領域60および近位領域62を有する。近位領域62は、その中で設置スペースが増加するという事実が特徴である。遠位領域60には、外科用器具(フライスハンドピース)4の外側パイプ40(円筒状の細長い管)が基本的に設けられている。外側パイプ40の遠位端には、工具、例えばフライス工具を受け入れるのに役立つ連結要素64が配置されている。
【0093】
本発明によれば、設置スペースを増大させることなく、すなわち、例えば、外側パイプ40の外径を増大させることなく、電気信号を外科用器具4の遠位端から近位領域62に伝送することができる。本発明によれば、これは、本発明による玉軸受2、2’及び本発明によるスリーブ18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’が外側パイプ40内に配置される場合に達成される。
【0094】
特に
図9Bおよび
図9Cから分かるように、本発明による玉軸受2は、まず、遠位先端で連結要素64に隣接する。この後に、本発明によるスリーブが続き、このスリーブは例えば、スリーブ18’’(絶縁体42も省略してもよい)のように形成することができる。次に、玉軸受2が設けられ、次に、本発明によるスリーブが続く。このスリーブは、スリーブ18(追加の電気接点46を有する)に類似するか、またはスリーブ18’’’(読出しアンテナ48を有さない)に類似する。この後に、玉軸受2、スリーブ18’’(絶縁体42の有るものか無いもの)、玉軸受2、スリーブ18’、玉軸受2およびスリーブ18が続く。
【0095】
玉軸受2、2’とスリーブ18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’との間の電気的リンク/接続のために、玉軸受2、2’に設けられた信号線14の突出する軸方向端部16は、スリーブ18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’とのプラグ接続に入る。例えば、軸方向端部16を凹部44又は溝32に差し込んでもよい。
【0096】
玉軸受2、2’およびスリーブ18、18’、18’’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’(外側パイプ40なし)の配置を示す
図9Dから特に分かるように、任意の数の玉軸受2、2’およびスリーブ18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’は、それらを一緒に差し込むことによって組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0097】
2,2’:玉軸受
4:外科用器具
6:内輪
8:外輪
10:玉
11:ケージ
12:ボア
14:信号線
16:軸端(信号線)
18~18’’’’’:スリーブ
20:第1軸方向端部(玉軸受)
22:第2軸方向端部(玉軸受)
24:外側シェル表面
26:内側シェル表面
28:第1軸方向端部(スリーブ)
30:第2軸方向端部(スリーブ)
32:溝
34:信号線(外側シェル表面)
36:信号線(内側シェル表面)
38:(マイクロ)ボア
40:外側パイプ(外科用器具)
42:絶縁体
44:凹部
46:電気接点(内側)
47:電気接点(外側)
48:読出しアンテナ
50:センサ
52:外側スリーブ
54:中間スリーブ
56:内側スリーブ
58:接続領域
60:遠位領域
62:近位領域
64:連結要素
【手続補正書】
【提出日】2022-10-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのころ軸受けであって、電気信号を転送または伝送するように構成されており、この目的のために、
前記ころ軸
受内に一体化された少なくとも1つの
ころ軸受信号
線または
ころ軸受信号経路を有する、
ころ軸受けを備える、
外科用器具。
【請求項2】
前記ころ軸受に設けられるとともに、前記ころ軸受の軸方向の全長にわたって延在するボア(12)に挿入された少なくとも1つの前記
ころ軸受信号線(14)であっ
て、軸方向に固定されている少なくとも1つの前記
ころ軸受信号線
が設けられていることを特徴とする、
請求項1に記載の
外科用器具。
【請求項3】
前記
ころ軸受信号線は、前記ころ軸受の前記軸方向に突出するとともにスリー
ブと接触またはプラグ接続するように構成されていることを特徴とする、
請求項2に記載の
外科用器具。
【請求項4】
少なくとも一つのスリーブであって、電気信号を転送または伝送するように構成されており、この目的のために、
前記スリーブ内に一体化された少なくとも1つの
スリーブ信号
線または
スリーブ信号経路を有する、スリーブ
をさらに備える、
請求項1に記載の
外科用器具。
【請求項5】
前記スリーブは、
前記スリー
ブの第1軸方向端
部と第2軸方向端
部との間で軸方向に電気信号を転送または伝送するように構成され、および/または、
前記スリー
ブの内側シェル表
面と外側シェル表
面との間で半径方向に、電気信号を転送または伝送するように構成されていることを特徴とする、
請求項4に記載の
外科用器具。
【請求項6】
前記スリーブの外側シェル表
面は、前記スリー
ブの軸方向の全長にわたって延在する少なくとも1つの
溝を有し、
前記
スリーブ信号
線または前記
スリーブ信号経路は、前記
溝内に設けられることを特徴とする、
請求項
4に記載の
外科用器具。
【請求項7】
前記
スリーブ信号
線または前記
スリーブ信号経路は、前記スリー
ブの前記外側シェル表
面に対して内側にシフトしており、
前記
スリーブ信号線または
スリーブ前記信号経路は、前記
溝の下側領域にのみ設けられ、
絶縁
体は、前記
スリーブ信号
線または前記
スリーブ信号経路の上部
に配置される、
請求項6に記載の
外科用器具。
【請求項8】
前記スリー
ブの内側シェル表
面が、少なくとも1つの
スリーブ信号
線または
スリーブ信号経路を有することを特徴とする、
請求項
4に記載の
外科用器具。
【請求項9】
前記スリー
ブの内側シェル表
面に設けられた
スリーブ信号
線または
スリーブ信号経路が、前記スリー
ブの外側シェル表
面に設けられた
スリーブ信号
線または
スリーブ信号経路と導電的に接続されていることを特徴とする、
請求項
4に記載の
外科用器具。
【請求項10】
電気接
点および/または読出しアンテ
ナが、前記
スリーブ信号
線または前記
スリーブ信号経路と導電的に接続されていることを特徴とする、
請求項
4に記載の
外科用器具。
【請求項11】
前記スリーブは、一方が他方の内側に配置された複数のスリー
ブからなることを特徴とする、
請求項
4に記載の
外科用器具。
【請求項12】
前記スリーブは、
前記スリーブを非導電性材料から製造することと、
導電性の信号線または信号経路を、金属化し、および/又導電性材料でコーティングすることによって、前記スリーブの外側シェル表面および/又は内側シェル表面上に提供することと、
によって製造される、
請求項
4に記載の
外科用器具。
【請求項13】
前記ころ軸
受および前記スリー
ブは、前記外科用器具(4)内で互いに隣接するように配置され
前記ころ軸
受の少なくとも1つの前記
ころ軸受信号
線または前記
ころ軸受信号経路は、プラグ接続を介して前記スリー
ブの少なくとも1つの前記
スリーブ信号
線または前記
スリーブ信号経路に接続され、
前記外科用器
具は、前記ころ軸
受および前記スリーブ間で信号転送または信号伝送するように構成されることを特徴とする、請求項
4に記載の外科用器具
。
【請求項14】
ころ軸
受の製造方法であって、
前記ころ軸
受の軸方
向に延びる少なくとも1つの連続ボ
アを設けることと、
信号
線を前記ボ
アに挿入することと、
前記ボ
ア内の前記信号
線の軸方向の固定を提供することと、
を備える、製造方法。
【請求項15】
ころ軸受けの使用であって、
前記ころ軸受けは、電気信号を転送または伝送するように構成されており、この目的のために、前記ころ軸受内に一体化された少なくとも1つのころ軸受信号線またはころ軸受信号経路を有する、使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0096
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0096】
玉軸受2、2’およびスリーブ18、18’、18’’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’(外側パイプ40なし)の配置を示す
図9Dから特に分かるように、任意の数の玉軸受2、2’およびスリーブ18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’は、それらを一緒に差し込むことによって組み合わせることができる。
以下の項目は、出願当初の特許請求の範囲に記載されていた項目である。
(項目1)
外科用器具(4)内で使用するためのころ軸受(2、2’)であって、
電気信号を転送または伝送するように構成されており、この目的のために、ころ軸受(2、2’)内に一体化された少なくとも1つの信号線(14)または信号経路を有する、ころ軸受(2、2’)、特に玉軸受(2)。
(項目2)
前記ころ軸受(2、2’)に設けられるとともに、前記ころ軸受(2、2’)の軸方向の全長にわたって延在するボア(12)に挿入された少なくとも1つの前記信号線(14)であって、好ましくは軸方向に固定されている少なくとも1つの前記信号線(14)、特に信号リッツ線が設けられていることを特徴とする、
項目1に記載のころ軸受(2、2’)。
(項目3)
前記信号線(14)は、前記ころ軸受(2、2’)の前記軸方向に突出するとともに別の構成要素、特にスリーブ(18、18’、18’’、18’’’’、18’’’’’)と接触またはプラグ接続するように構成されていることを特徴とする、
項目2に記載のころ軸受(2、2’)。
(項目4)
外科用器具(4)内で使用するためのスリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)であって、
電気信号を転送または伝送するように構成されており、この目的のために、スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)内に一体化された少なくとも1つの信号線(34、36)または信号経路を有する、スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)。
(項目5)
前記スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の第1軸方向端部(28)と第2軸方向端部(30)との間で軸方向に電気信号を転送または伝送するように構成され、および/または、
前記スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の内側シェル表面(26)と外側シェル表面(24)との間で半径方向に、電気信号を転送または伝送するように構成されていることを特徴とする、
項目4に記載のスリーブ(18、18’、18’’、18’’’’、18’’’’’)。
(項目6)
前記スリーブの外側シェル表面(24)は、前記スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の軸方向の全長にわたって延在する少なくとも1つの溝(32)を有し、
前記信号線(34)または前記信号経路は、前記溝(32)内に設けられることを特徴とする、
項目4または5に記載のスリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)。
(項目7)
前記信号線(34)または前記信号経路は、前記スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の前記外側シェル表面(24)に対して内側にシフトしており、
前記信号線(34)または前記信号経路は、前記溝(32)の下側領域にのみ設けられ、
絶縁体(42)は、前記信号線(34)または前記信号経路の上部に好ましくは配置される、
項目6に記載のスリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)。
(項目8)
前記スリーブ(18、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の内側シェル表面(26)が、少なくとも1つの信号線(36)または信号経路を有することを特徴とする、
項目4から7のいずれか一項に記載のスリーブ(18、18’’’、18’’’’、18’’’’’)。
(項目9)
前記スリーブ(18、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の内側シェル表面(26)に設けられた信号線(36)または信号経路が、前記スリーブ(18、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の外側シェル表面(24)に設けられた信号線(36)または信号経路と導電的に接続されていることを特徴とする、
項目4から8のいずれか一項に記載のスリーブ(18、18’’’、18’’’’、18’’’’’)。
(項目10)
電気接点(46、47)および/または読出しアンテナ(48)が、前記信号線(34、36)または前記信号経路と導電的に接続されていることを特徴とする、
項目4から9のいずれか一項に記載のスリーブ(18’’’、18’’’’、18’’’’’)。
(項目11)
一方が他方の内側に配置された複数のスリーブ(52、54、56)からなることを特徴とする、
項目4から10のいずれか一項に記載のスリーブ(18’’’’’)。
(項目12)
項目1から3のいずれか一項に記載の少なくとも1つのころ軸受(2、2’)と、
項目4から11のいずれか一項に記載の少なくとも1つのスリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)と、
を備える外科用器具(4)、特にフライスハンドピース。
(項目13)
前記ころ軸受(2、2’)および前記スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)は、前記外科用器具(4)内で互いに隣接するように配置され
前記ころ軸受(2、2’)の少なくとも1つの前記信号線(14)または前記信号経路は、プラグ接続を介して前記スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の少なくとも1つの前記信号線(34、36)または前記信号経路に接続され、
前記外科用器具(4)は、前記ころ軸受(2、2’)および前記スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)間で信号転送または信号伝送するように構成されることを特徴とする、項目12に記載の外科用器具(4)。
(項目14)
ころ軸受(2、2’)、特に項目1か3のいずれか一項に記載のころ軸受(2、2’)の製造方法であって、
前記ころ軸受(2、2’)の軸方向、特に前記ころ軸受の外輪(8)に延びる少なくとも1つの連続ボア(12)を、特にマイクロレーザドリル加工によって設けることと、
信号線(14)、特に信号リッツ線を前記ボア(12)に挿入することと、
前記ボア(12)内の前記信号線(14)の軸方向の固定を提供することと、
を備える、製造方法。
(項目15)
スリーブ、特に項目4から11のいずれか一項に記載のスリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)の製造方法であって、
前記スリーブ(18、18’、18’’、18’’’、18’’’’、18’’’’’)を非導電性材料から製造することと、
導電性の信号線(34、36)または信号経路を、金属化し、選択的に導電性材料でコーティングすることによって、前記スリーブの外側シェル表面(24)および/又は内側シェル表面(26)上に提供することと、
を備える、製造方法。
【国際調査報告】