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特表2023-512633流体管理システムの無空気充填のためのデバイス及び方法
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  • 特表-流体管理システムの無空気充填のためのデバイス及び方法 図1
  • 特表-流体管理システムの無空気充填のためのデバイス及び方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-28
(54)【発明の名称】流体管理システムの無空気充填のためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20230320BHJP
【FI】
A61M1/16 185
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544198
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(85)【翻訳文提出日】2022-07-20
(86)【国際出願番号】 EP2021051418
(87)【国際公開番号】W WO2021148586
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】102020000466.0
(32)【優先日】2020-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597075904
【氏名又は名称】フレゼニウス メディカル ケア ドイッチェランド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【弁理士】
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】レンメルト ニコ
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA05
4C077BB01
4C077DD07
4C077DD25
4C077HH10
4C077HH13
4C077JJ08
4C077JJ19
4C077KK19
(57)【要約】
本発明は、液圧応用部からの気泡の除去が保証される透析装置の液圧応用部を充填及び洗浄するためのデバイス及び方法に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管理システムであって、
洗浄液を供給するための流体投入部と前記洗浄液を排出するための流体放出部とに接続することができる機械内部流体ラインと、
前記流体ラインを第1及び第2の流体ライン部分に分割する前記流体ライン内のロッキングデバイスと、
前記ロッキングデバイスの上流に配置された第1の流体搬送手段の作動に応答する前記第1の流体ライン部分内の第1の流体搬送手段と、
前記ロッキングデバイスから下流に配置された第2の流体搬送手段の作動に応答する前記流体ライン部分内の第2の流体搬送手段と、
前記ロッキングデバイス、前記第1の流体搬送手段、及び前記第2の流体搬送手段を制御するための制御デバイスと、
を有し、
前記制御デバイスは、前記第2の流体ライン部分内の圧力に対して前記第1の流体ライン部分内の圧力を増大するために前記ロッキングデバイスの方向に液体を搬送するように前記第1の流体搬送手段を制御するように構成され、前記ロッキングデバイスから下流の前記第1の流体ライン部分内の前記圧力に対して前記流体ライン部分の第2のもの内の圧力を低減するために前記ロッキングデバイスから離れるように液体を搬送するように前記第2の流体搬送手段を制御するように構成され、
前記制御デバイスは、前記第1の液体部分内の圧力が増加した場合及び前記第2の液体部分内の圧力が低下した場合に前記ロッキング手段を少なくとも1度開くように構成される、
ことを特徴とする流体管理システム。
【請求項2】
前記制御デバイスは、前記第1及び第2の液体ライン部分間の圧力差を構築するために前記ロッキング手段を繰り返し閉じ、かつ前記圧力差を補償するためにそれを開くように構成されることを特徴とする請求項1に記載の流体管理システム。
【請求項3】
前記第1及び前記第2の流体ライン部分は、再循環回路を形成するために閉じられ、かつ空気分離手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流体管理システム。
【請求項4】
前記流体ライン部分のうちの一方、好ましくは前記第2の流体ライン部分は、貫通管腔の少なくとも1つの狭窄部を有し、前記ロッキング手段は、前記狭窄部の上流に配置され、第2のポンピング手段が、前記狭窄部から下流に配置されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の流体管理システム。
【請求項5】
前記ロッキング手段は、前記流体ライン部分内で前記貫通管腔の前記狭窄部の上流0.5から50cm、好ましくは10-30cmに配置されることを特徴とする請求項4に記載の流体管理システム。
【請求項6】
前記貫通管腔の前記狭窄部は、体外血液回路のための接続点に配置されることを特徴とする請求項4に記載の流体管理システム。
【請求項7】
流体管理システムが、各場合に、少なくとも前記第1及び前記第2の流体ライン部分のうちの一方に圧力測定手段を有し、前記制御デバイスは、前記圧力測定手段によって決定された圧力値を通じて前記ロッキングデバイスの前記開放又は交互する開放及び閉鎖を制御するように構成されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の流体管理システム。
【請求項8】
上流及び下流流体ライン部分間の圧力差が、1000から3000hPa、好ましくは1600から2500hPaに到達した時に前記ロッキング手段の開放が行われることを特徴とする請求項7に記載の流体管理システム。
【請求項9】
前記流体管理システムが、時間測定手段を有し、前記制御デバイスは、前記時間測定手段によって決定された時間にわたって前記ロッキングデバイスの前記開放又は交互する開放及び閉鎖を制御するように構成されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の流体管理システム。
【請求項10】
前記制御デバイスは、前記ロッキングデバイスの前記開放又は交互する開放及び閉鎖を前記流体搬送手段のうちの少なくとも一方の作動サイクルの関数として制御するように構成されることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の流体管理システム。
【請求項11】
前記ロッキング手段は、バルブ、例えば、電磁バルブ、又はチュービングピンチバルブであることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の流体管理システム。
【請求項12】
前記流体搬送手段は、ポンプ、例えば、蠕動ポンプ、又は好ましくは歯車式ポンプであることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の流体管理システム。
【請求項13】
前記流体管理システムは、腎代替療法のための液圧応用システム又は血液処理装置の一部であることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の流体管理システム。
【請求項14】
好ましくは請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の機械内部流体管理システムを洗浄する方法であって、
A)前記ロッキングデバイスが開いている間に少なくとも1つの流体搬送手段を作動させることによって前記流体管理システムの流体ラインを洗浄流体で充填する段階、
その後に、
B)前記ロッキングデバイスを閉じる段階、及び
C)前記流体搬送手段のうちの少なくとも一方を作動させることによって第1及び第2の流体ライン部分間に圧力差を構築する段階、
D)前記ロッキングデバイスを開く段階、
を有することを特徴とする方法。
【請求項15】
前記方法段階B)からD)は、数回、好ましくは3-7回繰り返されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも前記第2の流体搬送手段は、前記ロッキング手段を開放することに応答して作動することを特徴とする請求項14又は請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば透析装置の流体管理システムの液圧応用部の無空気充填のためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性血液透析のための最新の透析装置は、必要な透析液を機械内部液圧応用システム内でオンラインで調製する。この機械内部液圧応用システムは、透析液を機械外部体外血液循環回路の中に搬送し、血液循環回路からの使用済み透析物は、この液圧応用システムによって受け入れられて出口の中に誘導される。
【0003】
システムの衛生状態を保証するために、この機械内部液圧応用システムの定期的な消毒が必要である。
【0004】
特に、消毒の前に液圧応用システムが空気で充填された時に、消毒液での面の完全な湿潤を保証することができるように、液圧応用部の液体充填に応答して空気の完全除去が続けて行われなければならない。従って、高温消毒中の密封までの熱伝導も、並びに消毒後の消毒液の完全な洗い流しも続けて行われる。
【0005】
洗浄液の均等な流れを用いた液圧応用部の単純な充填の場合に、特にこの液圧応用部の形状が洗浄液を通した気泡の除去を妨げる液圧応用部の構成要素は、無空気方式で充填することができない。同じことは、上昇する気泡が液体流れの外側に位置付けられる結果を有する形状を備えるチャンバ及び中空空間に対して当て嵌まる。液圧応用部内の流体ラインの流れ断面の狭窄、例えば、体外血液回路のチューブキットのための結合点、特に、オンラインポートは、このタイプの特殊な形状の例である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、流体管理システム、特に、腎代替療法のための血液治療装置の液圧応用システムと、機械内部流体ラインの無気泡充填を保証する流体管理システムを洗浄する方法との提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の教示により、この目的は、請求項1によるデバイス及び請求項14による方法を用いて解決される。特殊な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0008】
本発明は、流体管理システムに関する。例えば、透析液を生成する及び/又は搬送するのに役立つ透析装置の液圧応用システムは、このタイプの流体管理システムとすることができる。流体管理システムは、洗浄液のサプライへの接続のための流体投入部と洗浄液を排出するためのラインに接続するための流体放出部とを備える機械内部流体ライン(機械構成要素としての)を有する。
【0009】
特許請求の範囲により、機械内部は、それにより、流体ラインが一実施形態で完全に機械の内側に配置されることを意味することができる。別の実施形態では、機械内部流体ラインは、同様に、機械内で部分的にのみ誘導される流体ラインも備える。
【0010】
流体ラインを第1及び第2の流体ライン部分に分割するロッキングデバイスが、流体ラインに配置される。
【0011】
第1の流体ライン部分は、第1の流体搬送手段を有し、これは、本発明によるその作動中に、ロッキングデバイスの上流に配置される。
【0012】
第2の流体ライン部分は、第2の流体搬送手段を有し、これは、本発明によるその作動中に、ロッキングデバイスから下流に配置される。
【0013】
流体管理システムは、ロッキングデバイス、第1の流体搬送手段、及び第2の流体搬送手段を制御するための制御デバイスを有し、制御デバイスは、ロッキングデバイスの上流の第1の流体ライン部分内の圧力を増大するためにロッキングデバイスの方向に液体を搬送するための第1の流体搬送手段を制御するように構成され、ロッキングデバイスから下流の流体ラインシステムの第2の流体ライン部分内の圧力を低減するためにロッキングデバイスから離れる方向に液体を搬送するための第2の流体搬送手段を制御するように構成され、制御デバイスは、第1の液体部分内の圧力が増大した場合及び第2の液体部分内の圧力が低下した場合に少なくとも1度ロッキング手段を開放するように構成される。
【0014】
制御デバイスは、それにより、プロセッサ、データストレージ媒体、及びデータラインを備えることができる。プログラムコードは、その実行に応答して対応する信号がそれぞれの構成要素に送られるものであるが、ストレージ媒体上に格納することができる。
【0015】
ロッキングデバイスをそれぞれ例えば3から7回交互に開く及び閉じることも可能である。反復開閉は、流体ライン部分内の全ての気泡のより完全な又は完全な除去が達成されることを可能にすることができる。
【0016】
流体ライン部分は、再循環回路を形成するために閉じることができ、それにより、洗浄液の消費が低減される。再循環回路から空気を除去することができるように、第1の又は好ましくは第2の流体ライン部分に空気分離手段を配置することができる。空気分離手段は、ロッキング手段から下流に配置することができる。入口及び出口を備えるチャンバとチャンバの上側領域内の第3の開口部とは、チャンバから空気を排出するためにこのタイプの空気分離手段として使用することができる。空気分離手段はまた、外側へのかつポンプへの接続部とすることができ、液体は、気泡と共に、流体部分から外に搬送される。例えば流体管理システムの入口にある水投入チャンバ又は流体管理システムの出口にあるチャンバは、空気分離チャンバとして使用することができる。再循環の結果として、より高流量の場合に、水ソースを通じた高い送出量に対する依存性はもはや存在しない。
【0017】
流体ライン、特に第2の流体ライン部分は、貫通管腔の少なくとも1つの狭窄部を有することができる。気泡は、流体ラインの貫通管腔の狭窄部の特に上流を通過することができない又は困難を伴って通過することができるのみである
【0018】
このタイプのボトルネックは、例えば、体外血液回路のための液圧応用部の結合点に存在する。このタイプの結合点は、患者血液の中に透析物を例えば直接に搬送するのに使用される。これは、本明細書では置換ポートと呼ぶ。別の結合点である洗浄ポートは、治療の開始前のチューブキットの充填及び洗浄に応答して患者接続の接続部として使用される。有効な消毒がここで特に重要であり、その理由は、液圧応用部と体外血液回路の直接接触があるからである。
【0019】
そのようなボトルネックでの気泡を最適に除去するために、ロッキング手段は、この狭窄部の上流に配置することができ、第2の流体搬送手段は、この狭窄部から下流に配置することができる。閉じたロッキング手段の場合に、第2の流体搬送手段の作動に応答してロッキング手段と第2の流体搬送手段の間に負圧が生成される。この負圧は、この領域に位置付けられた気泡の容積を最初に増大させる。ロッキングデバイスの上流の第1の流体搬送手段を作動させることにより、ロッキングデバイスの上流の流体ライン内の圧力も同時に増大させることができる。
【0020】
ロッキングデバイスの上流及びロッキングデバイスの下流の流体ライン部分の間の圧力差が構築された後で、ロッキングデバイスの開放、従って負圧によって増大して不安定になった気泡を小さい微小気泡に分割するロッキングデバイスから下流の衝撃圧力、に応答して、圧力補償が大体においてもたらされる。これらの気泡は、流体ライン部分内のボトルネックをより容易に通過することができる。負圧、並びにロッキングデバイスから下流の流体ライン部分内の流量ピークに起因して、これらの小さい気泡は、次に、それらが再び集まってより大きい気泡を形成する前に狭窄部を通って引き出され、すなわち、流体ラインシステムから除去することができる。
【0021】
この効果は、ロッキングデバイスと貫通管腔の狭窄部との間の流体ラインのコンプライアンスができるだけ小さい時、例えば0.5と50cmの間、好ましくは10-30cmである時に特に有効である。
【0022】
ロッキングデバイスの開放に応答して十分な圧力差が存在することを保証するために、流体管理システムは、圧力測定手段を有することができ、制御デバイスは、内部流体ライン部分の内側の圧力測定手段によって決定された圧力値を通じてロッキングデバイスの開放又は交互する開放及び閉鎖を制御するように構成することができる。この目的に対して、圧力測定手段は、特に第1の流体ライン部分と流体連通して、第2の圧力測定手段は、第2の流体ライン部分と流体連通して配置される。
【0023】
十分な圧力差は、例えば、差が1000と3000hPaの間、好ましくは1600と2500hPaの間にある時に達せられる。
【0024】
これに代えて又はこれに加えて、流体管理システムは、時間測定手段を有することができる。制御デバイスは、次に、これらの時間測定手段を用いて決定された時間を通じてロッキングデバイスの開放又は交互する開放及び閉鎖を制御するように構成することができる。ポンプの送出速度が既知である場合に、十分な圧力差に達することは、それぞれロッキングデバイスを開放する前の複数フェーズの持続時間又はロッキングデバイスを開放する前のフェーズの持続時間、及びロッキングデバイスの開放の持続時間によっても保証することができる。
【0025】
ロッキング手段は、例えば1-5秒にわたって、好ましくは2秒にわたって閉じることができる。
【0026】
ロッキング手段の開放は、2-6秒にわたって、好ましくは4秒にわたって行うことができる。
【0027】
これに加えて、バルブの開放は、圧力補償が20と500msの間、好ましくは20と60msの間の時間間隔で行われるように迅速に行うことができる。気泡は、すなわち、特に有効により遠くに搬送することができる。
【0028】
これに代えて、制御デバイスは、例えば膜ポンプ又は平衡チャンバタイミングがポンピング手段として使用される時に、少なくとも1つの流体搬送手段のある一定の数の作動サイクルの関数としてロッキングデバイスの開放又は交互する開放及び閉鎖を制御するように構成することができる。
【0029】
ロッキング手段は、必要な圧力差をもたらすように流体ライン部分を互いから分離するのに適するいずれかの手段とすることができる。ロッキング手段は、好ましくは、バルブ、例えば、電磁バルブ又はチュービングピンチバルブとすることができる。
【0030】
洗浄液を搬送するために、流体管理システムは、必要な正圧又は必要な負圧をそれぞれ構築するのに適するいずれかのタイプの流体搬送手段を有することができる。流体搬送手段は、好ましくは、ポンプ、例えば、蠕動ポンプ、膜ポンプ、又は特に好ましくは歯車式ポンプとすることができる。
【0031】
流体管理システムは、例えば、腎代替療法のための血液処理装置、例えば血液透析のための装置の液圧応用システムの一部とすることができる。このタイプの血液治療装置の液圧応用システムでは、例えば、脱気ポンプは、正圧を構築するための第1の流体搬送手段とすることができ、流量ポンプは、負圧を発生させるための第2の流体搬送手段とすることができる。両方のポンプは、歯車式ポンプとすることができる。
【0032】
本発明はまた、本発明による流体管理システムを洗浄液で無気泡充填する方法に関連し、本方法は、第1及び/又は第2の流体搬送手段を作動させることによって洗浄液でシステムを充填する段階を有する。ロッキング手段は、流体ラインの充填中は開いている。流体ラインの充填後に、システムは、最初に、第1及び/又は第2の流体搬送手段を作動させることにより、ある一定の期間、例えば、5-60秒にわたって洗浄することができる。次の段階では、ロッキングデバイスは閉じられる。第1の流体ライン部分内の圧力を増大するために及び/又は第2の流体ライン部分内の圧力を低減するために、流体搬送手段の少なくとも一方は継続して作動する。流体の搬送は、中断することもできる。ロッキング手段を閉じた後で、少なくとも一方は、圧力差を形成することができるように次に作動される。圧力差が形成された後で、ロッキングデバイスは開かれる。
【0033】
ロッキングデバイスの閉鎖及び開放は、好ましくは3から9回繰り返して行うことができる。
【0034】
気泡の最適除去に関して、ロッキング手段の開放は、少なくとも第2の流体搬送手段の同時の作動に応答して行うことができる。
【0035】
本発明の更に別の詳細及び利点は、図面に例示した例示的実施形態に基づいてより詳細に以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による流体管理システムの概略図である。
図2】概略図に基づいて本明細書に説明する方法の例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
透析装置の液圧応用部の一部分を流体管理システムに対する一例として概略方式で図1に示している。
【0038】
洗浄媒体ソース14は、最初に、水投入チャンバ10の中に洗浄液を供給する。液圧応用部を充填するために、洗浄液は、脱気ポンプ1及び脱気チャンバ9を通して第1の流体部分15の中に、そして左平衡チャンバ8の清水チャンバの中に、そして流量ポンプ2を作動させることによってロッキングデバイス4を通して第2の流体部分16の中へ誘導される。そこでは、洗浄液は、右平衡チャンバ8’の廃水側を通じて換気手段17を用いて水投入チャンバ10の中に誘導して戻される。圧力測定手段5が、ロッキングデバイス4の上流の第1の流体部分15に配置される。圧力測定手段6は、ロッキングデバイス4の下流の第2の流体部分16に配置される。これに加えて、体外血液チューブシステムのための結合点7が、第2の流体部分16に位置付けられる。
【0039】
この結合点7は、装置前面上に配置される。体外血液チューブシステムへの結合の後で、液圧応用部から体外血液回路の中への透析液の直接送出は、こうして行うことができる。この結合点の完全消毒に備えるために、結合点は、例えば、内側チューブとその周りに同軸に配置された外側チューブとを備える同軸設計を有する。内側チューブは、外側チューブに対して陥凹している。洗浄又は消毒モードでは、外側チューブは、フラップを用いて外側に対して密封される。洗浄又は消毒モードでは、洗浄又は消毒液は、それぞれ、内側チューブを通してその周りに同軸に配置された外側チューブに流入し、そこから出口ラインに流入する。内側及び外側チューブ間の距離は6mmである。結合点7は、更に、その長手軸に沿って傾けられ、そのために液体出口は、液体のポートを完全に空にすることを容易にするために内側チューブの放出部よりも低く配置される。従って、気泡は、陥凹した内側チューブの上流に足止めすることができ、かつ浮力に対抗して外側チューブのこの狭い間隙を通る層流に応答して洗浄モードでは出口の中に容易に運び去ることができない。特に、チューブシステムへの及び従って潜在的に感染性の媒体への接続点を形成するこのボトルネックは、次に、消毒液に対して完全にはアクセス可能ではないと考えられる。無空気充填は、更に、フラップの密封までかつ消毒の完了後の消毒液の完全な洗い流しまで液体消毒液を通した熱伝達を最適化する。
【0040】
気泡の完全除去を達成するために、透析装置は、制御ユニット3を有する。この制御ユニット3は、流量ポンプ2を連続流れで作動させることによって流体部分15及び16を充填し、かつそれらをその後に循環させるように構成される。
【0041】
流量ポンプ2及び脱気ポンプ1の同時作動に応答して、ロッキングデバイス7は、次に閉じられる。正圧が、第1の流体部分15に構築され、負圧が、第2の流体部分16に構築される。洗浄中に第2の流体部分16内の貫通管腔の狭窄部を通過しなかった気泡は、最初に負圧で膨張する。圧力測定手段5及び6が第1の流体部分15及び第2の流体部分16間の十分な圧力差を検出すると直ちに、ロッキングデバイス4が開かれ、それによって圧力補償が行われる。第2の流体部分16内の衝撃圧力を用いて、気泡は、より小さい気泡に分割される。後者は、次に、脱気ポンプを通して狭窄部を通して直ちに搬送され、次に、それらが大気中に排出される水投入チャンバ10の中に到達する。水投入チャンバ内の流体レベルが予め決められた値よりも低くなると、それは、洗浄液で充填される。
【0042】
高流量を有するフェーズ中に脱気が回避されることになる場合に、脱気スロットル9は、バルブ12を開くことによってバイパスすることができる。
【0043】
ロッキングデバイス7を交互に閉鎖及び開放するプロセスは、数回、例えば、7回繰り返すことができる。
【0044】
流体搬送手段1及び2は、その後に停止され、システムは換気され、バルブは閉じられる。
【0045】
本発明による方法の実施形態の流れ図が図2に示されている。
【0046】
透析治療の開始時に、体外血液チューブシステムのための透析装置の同軸に構成された結合点の外側チューブとそこから離れるように延びる流体ラインとは空にされ、従って、空気で充填される。
【0047】
充填プロセスの第1の段階101では、図1に示す水投入チャンバ10と平衡チャンバの区画とは、各場合に水で充填される。
【0048】
第2の方法段階102では、洗浄液は、図1に示されている流体回路内で循環される。バルブ4、11、及び12は開いている。この方法段階は、約5秒続く。
【0049】
第3の方法段階103では、結合点は、連続流れで洗浄される。この方法段階103は、約5秒続く。
【0050】
第4の方法段階104では、バルブ4が閉じられ、1800hPaよりも高い正圧が、脱気ポンプ1を作動させることによってバルブの上流に構築される。-400hPaよりも低い負圧が、流量ポンプ2を作動させることによってバルブ4から下流に構築される。この方法段階は、約2秒続く。
【0051】
第5の方法段階105では、バルブ4が約4秒にわたって開かれるという点で圧力差が低減される。
【0052】
空気を完全に除去するために、方法段階104及び105は、次に、7回まで繰り返される。
【0053】
第6の方法段階106では、ポンプ1及び2が停止され、システムは換気される。
【0054】
第7の方法段階107では、使用されたバルブが閉じられる。
【0055】
参考番号リスト
第1のポンプ 1
第2のポンプ 2
制御デバイス 3
ロッキング手段 4
第1の圧力測定手段 5
第2の圧力測定手段 6
体外血液チューブシステムのための結合点 7
平衡チャンバ 8
脱気チャンバ 9
水投入チャンバ 10
バルブ 11
バルブ 12
流体管理システム 13
洗浄媒体ソース 14
第1の流体ライン部分 15
第2の流体ライン部分 16
換気手段 17
図1
図2
【国際調査報告】