(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-28
(54)【発明の名称】多くとも1つの金属リチウム堆積ステーションを使用したエレクトロクロミックスタックの形成
(51)【国際特許分類】
G02F 1/15 20190101AFI20230320BHJP
G02F 1/153 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
G02F1/15 505
G02F1/153
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545148
(86)(22)【出願日】2021-02-11
(85)【翻訳文提出日】2022-09-20
(86)【国際出願番号】 US2021017732
(87)【国際公開番号】W WO2021163385
(87)【国際公開日】2021-08-19
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504416080
【氏名又は名称】セイジ・エレクトロクロミクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モーゲンセン、ポール
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウェン
(72)【発明者】
【氏名】ギロン、ジャン - クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】メルカディエール、ニコラス アントワーヌ
【テーマコード(参考)】
2K101
【Fターム(参考)】
2K101AA22
2K101DA01
2K101DC52
2K101EG52
2K101EH01
2K101EJ32
2K101EJ33
(57)【要約】
本開示は、多くとも1つの金属リチウム堆積ステーションを使用してエレクトロクロミックスタックを形成する様々な方法を説明する。いくつかの態様では、方法は、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック対電極内にのみ金属リチウムを堆積させるステップを含むことができる。いくつかの態様では、方法は、リチウム含有セラミックス対電極ターゲットを使用してエレクトロクロミック対電極を形成するステップと、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極内または上にのみ金属リチウムを堆積させるステップとを含むことができる。いくつかの実施形態では、方法は、リチウム含有セラミックス電極ターゲットを使用するステップと、任意選択で、可動リチウムをエレクトロクロミックスタックに追加するために、金属リチウムを追加的に堆積させるステップとを含むことができる。いくつかの実施形態では、方法は、エレクトロクロミックスタックのイオン伝導層とエレクトロクロミック電極との間に金属リチウムを堆積させるために、単一の金属リチウム堆積ステーションを使用するステップを含むことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレクトロクロミックスタックを形成する方法であって、
電極ステーションで、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極(EC)層の少なくとも一部を堆積させるステップと、
単一の金属リチウムステーションで、電極ステーションに堆積された前記エレクトロクロミックEC層上に金属リチウムを堆積させるステップと、
対電極ステーションで、リチウム含有セラミックス対電極ターゲットを利用して、前記エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック対電極(CE)層を堆積するステップとを含む、方法。
【請求項2】
第2の電極ステーションで、前記エレクトロクロミックEC層の第2の部分を、前記単一の金属リチウムステーションで堆積された前記金属リチウム上に堆積させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記エレクトロクロミックEC層の前記第1の部分は、20nm以上である第1の厚さを有し、前記エレクトロクロミックEC層の前記第1の部分と前記エレクトロクロミックEC層の前記第2の部分とを合わせた厚さは、約400nmである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
イオン伝導(IC)ステーションで、前記エレクトロクロミックスタックのIC層を、前記第2の電極ステーションで堆積された前記エレクトロクロミックEC層の前記第2の部分上に堆積させるステップをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
イオン伝導(IC)ステーションで、前記エレクトロクロミックスタックのIC層を、前記単一の金属リチウムステーションで堆積された前記金属リチウム上に堆積させるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記リチウム含有セラミックス対電極ターゲットは、混合リチウムニッケルタングステン(Li:Ni:W)セラミックスターゲットである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
下層ステーションで、前記エレクトロクロミックスタックの下層を堆積させるステップと、
第1の導電層ステーションで、前記エレクトロクロミックスタックの第1の導電層を堆積させるステップであって、前記エレクトロクロミックEC層の前記少なくとも一部を、前記第1の導電層ステーションで堆積された前記第1の導電層上に堆積させる、ステップと、
第2の導電層ステーションで、前記エレクトロクロミックスタックの第2の導電層を堆積させるステップであって、前記エレクトロクロミックCE層を、前記第2の導電層ステーションで堆積された前記第2の導電層上に堆積させる、ステップと、
上層ステーションで、前記エレクトロクロミックスタックの上層を堆積させるステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記上層を堆積させるステップに続いて、前記エレクトロクロミックスタックの熱処理を行うステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
エレクトロクロミックスタックであって、前記エレクトロクロミックスタック内に配置された単層の金属リチウムを有し、前記エレクトロクロミックスタックは、
エレクトロクロミック電極(EC)層と、
前記エレクトロクロミックEC層の上に直接重なる金属リチウムと、
前記金属リチウムの上にあり、LiNiWO
x材料を含む、エレクトロクロミック対電極(CE)層とを含む、エレクトロクロミックスタック。
【請求項10】
前記金属リチウムと前記エレクトロクロミックCE層との間に配置されたイオン伝導(IC)層をさらに含む、請求項9に記載のエレクトロクロミックスタック。
【請求項11】
前記エレクトロクロミックEC層は、第1の部分および第2の部分を含み、
前記金属リチウムは、前記エレクトロクロミックEC層の前記第1の部分の上に直接重なり、
前記エレクトロクロミックEC層の前記第2の部分は、前記金属リチウムの上に直接重なる、請求項9に記載のエレクトロクロミックスタック。
【請求項12】
前記エレクトロクロミックEC層の前記第2の部分と前記エレクトロクロミックCE層との間に配置されたイオン伝導(IC)層をさらに含む、請求項11に記載のエレクトロクロミックスタック。
【請求項13】
前記エレクトロクロミックEC層の前記第1の部分は、20nm以上である第1の厚さを有し、前記エレクトロクロミックEC層の前記第1の部分と前記エレクトロクロミックEC層の前記第2の部分は、組み合わされた厚さが約400nmである、請求項11に記載のエレクトロクロミックスタック。
【請求項14】
前記エレクトロクロミックデバイスはエレクトロクロミックスタックを含み、該エレクトロクロミックスタックは、前記エレクトロクロミックスタック内に配置された単層の金属リチウムを有し、前記エレクトロクロミックスタックは、
エレクトロクロミック電極(EC)層と、
前記エレクトロクロミックEC層の上に直接重なる金属リチウムと、
前記金属リチウムの上にあり、LiNiWO
x材料を含む、エレクトロクロミック対電極(CE)層と
を含む、エレクトロクロミックデバイス。
【請求項15】
前記金属リチウムと前記エレクトロクロミックCE層との間に配置されたイオン伝導(IC)層をさらに含む、請求項14に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項16】
前記エレクトロクロミックスタックの前記エレクトロクロミックEC層は、第1の部分および第2の部分を含み、
前記金属リチウムは、前記エレクトロクロミックEC層の前記第1の部分の上に直接重なり、
前記エレクトロクロミックEC層の前記第2の部分は、前記金属リチウムの上に直接重なる、請求項14に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項17】
前記エレクトロクロミックEC層の前記第2の部分と前記エレクトロクロミックCE層との間に配置されたイオン伝導(IC)層をさらに含む、請求項16に記載のエレクトロクロミックスタック。
【請求項18】
前記エレクトロクロミックEC層の前記第1の部分は、20nm以上である第1の厚さを有し、前記エレクトロクロミックEC層の前記第1の部分と前記エレクトロクロミックEC層の前記第2の部分は、組み合わされた厚さが約400nmである、請求項16に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【請求項19】
エレクトロクロミックスタックであって、
電極ステーションで、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極(EC)層の少なくとも一部を堆積させるステップと、
単一の金属リチウムステーションで、電極ステーションに堆積された前記エレクトロクロミックEC層上に金属リチウムを堆積させるステップと、
対電極ステーションで、リチウム含有セラミックス対電極ターゲットを利用して、前記エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック対電極(CE)層を堆積するステップとを含む方法によって形成された、エレクトロクロミックスタック。
【請求項20】
前記方法は、前記エレクトロクロミックCE層を堆積させるステップに続いて、前記エレクトロクロミックスタックの熱処理を行うステップをさらに含む、請求項19に記載のエレクトロクロミックスタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレクトロクロミックスタックを対象とするものであり、より具体的には、多くとも1つの金属リチウム堆積ステーションを使用してエレクトロクロミックスタックを形成する方法を対象とするものである。
【背景技術】
【0002】
エレクトロクロミックデバイスは、可視光の透過を遮断し、建物の部屋や車の客室が暖かくなりすぎないようにするのに役立つ。エレクトロクロミックスタックは、物理蒸着によって金属リチウムを含む薄膜層をスパッタリングすることによって製造することができる。金属リチウムは、水と接触すると非常に燃えやすいため、特別に設計されたスパッタリング区画でのみスパッタリングされ、他のプロセスから隔離されるように特別に設計され、大部分のマグネトロンチャンバとは異なり、水で冷却することはできない。
【発明の概要】
【0003】
これにより、リチウムのスパッタリング区画をコーターに含めることは非常に高価になる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】いくつかの実施形態に係る、加熱焼き戻し後に堆積された金属リチウムありと無しのエレクトロクロミック電極および対電極を示す。
【
図2】いくつかの実施形態に係る、エレクトロクロミックスタックの対電極層内に金属リチウムを堆積させるために単一の金属リチウムステーションを利用するステップを含む、エレクトロクロミックスタックを形成する方法の一例を示す流れ図である。
【
図3】いくつかの実施形態に係る、
図2に示した方法に従って形成されたエレクトロクロミックスタックの様々な層を示すブロック図である。
【
図4】いくつかの実施形態に係る、単一金属リチウムステーションを利用して、エレクトロクロミック電極層上に金属リチウムを堆積させるステップと、リチウム含有セラミックスターゲットを利用して、エレクトロクロミックスタックの対電極層を形成するステップとを含む、エレクトロクロミックスタックを形成する方法の一例を示す流れ図である。
【
図5】いくつかの実施形態に係る、
図4に示した方法に従って形成されたエレクトロクロミックスタックの様々な層を示すブロック図である。
【
図6】いくつかの実施形態に係る、単一の金属リチウムステーションを利用して、エレクトロクロミック電極層内に金属リチウムを堆積させるステップと、リチウム含有セラミックスターゲットを利用して、エレクトロクロミックスタックの対電極層を形成するステップとを含む、エレクトロクロミックスタックを形成する方法の一例を示す流れ図である。
【
図7】いくつかの実施形態に係る、
図6に示した方法に従って形成されたエレクトロクロミックスタックの様々な層を示すブロック図である。
【
図8】いくつかの実施形態に係る、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極層および対電極層を形成するためにリチウム含有セラミックスターゲットを利用することによって、金属リチウムステーション無しでエレクトロクロミックスタックを形成する方法の一例を示す流れ図である。
【
図9】いくつかの実施形態に係る、
図8に示した方法に従って形成されたエレクトロクロミックスタックの様々な層を示すブロック図である。
【
図10】いくつかの実施形態に係る、リチウム含有セラミックスターゲットを利用して、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極層を形成するステップと、単一の金属リチウムステーションを利用して、エレクトロクロミックスタックの対電極上に金属リチウムを堆積させるステップとを含む、エレクトロクロミックスタックを形成する方法の一例を示す流れ図である。
【
図11】いくつかの実施形態に係る、
図10に示した方法に従って形成されたエレクトロクロミックスタックの様々な層を示すブロック図である。
【
図12】いくつかの実施形態に係る、単一の金属リチウムステーションを利用して、エレクトロクロミックスタックのイオン伝導(IC)層と電極層との間に金属リチウムを堆積させるステップを含む、エレクトロクロミックスタックを形成する方法の一例を示す流れ図である。
【
図13】いくつかの実施形態に係る、
図12に示した方法に従って形成されたエレクトロクロミックスタックの様々な層を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
当業者は、図中の要素が単純化および明確化のために図示されており、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを理解するであろう。例えば、図面のいくつかの要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を深めるのを助けるために、他の要素に対して誇張されている場合がある。
本開示は、金属リチウムを多くても1つの堆積ステップで(例えば、多くても1つのステーションで)堆積させながら、エレクトロクロミックスタックを得て、したがって2つ以上のリチウム堆積ステップ/ステーションを必要とする解決策と比較してコストを節約する方法を説明する。いくつかの実施形態では、方法は、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック対電極(本明細書では「対電極」とも呼ばれる)内にのみ金属リチウムを堆積させるステップを含むことができる。いくつかの実施形態では、方法は、リチウム含有セラミックス対電極ターゲット(例えば、混合Li:Ni:Wセラミックスターゲット)を使用して対電極を形成するステップと、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極(本明細書では「電極」とも呼ばれる)の中または上にのみ金属リチウムを堆積させるステップとを含むことができる。いくつかの実施形態では、方法は、リチウム含有セラミックス電極ターゲットを使用するステップと、任意選択で(例えば、対電極ターゲットがリチウム含有混合ターゲットでない場合)、金属リチウムを追加的に堆積させてエレクトロクロミックスタックに可動リチウムを追加するステップとを含むことができる。いくつかの実施形態では、単一の金属リチウム堆積ステーションを使用してエレクトロクロミックスタックを形成する方法は、対電極、イオン伝導(IC)層、およびIC層の上および電極の下に金属リチウムを堆積させるステップを含むことができる。本開示の様々な実施形態に関連する利点には、リチウムのスパッタリング区画の数を減らすことが含まれ、これにより、コスト削減、安全性の向上、および製造方法における柔軟性が向上する。
【0006】
エレクトロクロミックスタックの製造方法には、通常、導電性材料として使用される酸化インジウムスズ(ITO)を結晶化し、電極と対電極の部分的な結晶化を引き起こす層の堆積後に、1つまたは複数の熱処理ステップが含まれる。実験に先立って、両方の電気化学的特性、例えばそれらが収容できる可動電荷の量を最適化するために、熱処理ステップの前に電極と対電極の両方にリチウムを存在させることが望ましいと本発明者らは理解していた。しかしながら、本発明者らは、熱処理の温度が上昇するにつれて、対電極に存在するリチウムの量を低下させることが望ましいことを実験結果が示していることを観察した。これは、熱処理後に各々の電極が収容できる可動リチウムの量、したがって電極と対電極との間で交換できる電荷量、および透明/白化状態と着色状態との間のコントラストが最大化するのを助長する。温度を変化させることは、いくつかの目的で望ましい場合がある。例えば、場合によっては、コーティングされたガラスを高温で焼き戻しすることにより、ガラス基板の増加した機械抵抗を得ることができる。他の場合では、バスバーフリットが、焼成前にコーティングされたガラスに塗布され、焼成温度は、フリットの導電率を最大化するように調整することができる。
【0007】
したがって、本明細書に記載の発明は、様々な利益を有し得る。1つの潜在的な利点は、プロセス中に金属リチウムのスパッタリング区画を1つだけ使用してエレクトロクロミックコーティングを製造できることである。別の潜在的な利点は、プロセスに柔軟性を導入することであり、これによって例えば、積層されるエレクトロクロミックスタックと、焼き戻される別のエレクトロクロミックスタックを同じ生産ラインで製造できる。
【0008】
本発明の実施形態の各々において、金属リチウムは、様々なタイプの物理蒸着によって単一の堆積区画内に堆積させることができる。物理蒸着の最初の例は、リチウムの蒸着である。この方法は、蒸着によって基板上にリチウムを堆積させるために、リチウム粒を沸点まで加熱するステップを含む。この方法は、いくつかの利点を提供する。1つの利点は、かなりの堆積速度(例えば、標準的なマグネトロンスパッタリングプロセスにおける10~30nm/分に対して100nm/分を超える)に達することを可能にすることである。もう1つの利点は、プロセスにリチウムを供給するためにリチウム区画を開く必要がないため、稼働時間を増やし、メンテナンス時間を短縮することである。物理蒸着の第2の例は、リチウムのマグネトロンスパッタリングである。マグネトロンスパッタリング構成の特定の一実施形態では、回転ターゲットが(平面ターゲットの代わりに)使用され、材料の使用を最大化し、堆積速度を増加させる。リチウムターゲットは、漏れが発生した場合にリチウムと水が偶発的に反応するのを防ぐために、非水ベースの液体冷却剤(例えば、油)で冷却することができる。調整可能なマグネットバーを使用して、リチウムの均一性を向上させることができ、これは、スパッタリングガスによるトリミング(一般的な手法)よりも正確であり、金属リチウムが蓄積する可能性のある領域(頻繁なクリーニングが必要である)を生成する調整可能なマスクの使用よりも安全であり得る。
【0009】
図面と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示される教示の理解を助けるために提供される。以下の議論は、教示の特定の実装および実施形態に焦点を当てる。この焦点は、教示の説明を支援するために提供されており、教示の範囲または適用可能性を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0010】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、またはそれらの任意の他の変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図している。例えば、構成のリストを含むプロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもそれらの構成のみに限定されるわけではなく、明示的に列挙されていない、またはそのようなプロセス、方法、物品、または装置に固有の他の構成を含む場合がある。さらに、別段の記載がない限り、「または(or)」は排他的orではなく、包括的orを指す。例えば、条件AまたはBは、Aが真(または存在する)かつBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)かつBが真(または存在する)、およびAとBの両方が真(または存在する)のいずれかによって満たされる。
【0011】
「a」または「an」の使用は、本明細書に記載の要素および構成要素を説明するために使用される。これは単に便宜上、および本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われる。説明は、別の意味であることが明らかでない限り、1つまたは少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数形は複数形も含み、またはその逆も同様である。
【0012】
「約」、「およそ」、または「実質的に」という言葉の使用は、パラメータの値が、述べられた値または位置に近いことを意味することを意図している。しかしながら、わずかな違いにより、値または位置が正確に記載されている通りにならない場合がある。したがって、値の最大10パーセント(10%)の違いは、正確に記載されている通りの理想的な目標からの妥当な違いである。
【0013】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法、および例は、説明のためだけのものであり、限定することを意図したものではない。本明細書に記載されていない範囲で、特定の材料および処理行為に関する多くの詳細は従来のものであり、ガラス、蒸着、およびエレクトロクロミック技術の教科書およびその他の情報源に見つけることができる。
【0014】
図面に示され、以下に説明されるような実施形態は、本明細書に説明されるような概念を実装するための特定の用途を理解するのに役立つ。実施形態は例示であり、添付の特許請求の範囲を限定することを意図していない。
【0015】
図1は、焼き戻しされたエレクトロクロミック電極および対電極の容量およびコントラストを示す。
図1の上部に示されるスタックは、焼き戻しされた電極に対応し、
図1の下部に示されているスタックは、焼き戻された対電極に対応する。
【0016】
図1の上部の焼き戻しされた電極を参照すると、左側のスタックは、約650℃で約5分間加熱焼き戻し後のITO/WO
x(すなわち、金属LiがWO
x層上に堆積されていないもの)を示しており、右側のスタックは、約650℃で約5分間加熱焼き戻し後のITO/WO
x/Li(すなわち、金属LiがWO
x層上に堆積されたもの)を示している。
図1に示される特定の例について、本発明者らは、金属Liが堆積されていない焼き戻しされた電極(左側スタック)が、65mC/cm
2の電荷容量および14のコントラストを有することを見出した。これに比べて、本発明者らは、金属Liが堆積された焼き戻しされた電極(右側スタック)が、5mC/cm
2の荷電容量および2.2のコントラストを有することを見出した。したがって、約650℃の比較的高い温度での熱処理の場合、本発明者らは、リチウムの存在が焼き戻しされた電極のエレクトロクロミック活性に有害であると判断した。
【0017】
図1の下部の焼き戻しされた対電極を参照すると、左側のスタックは、約650℃で約5分間加熱焼き戻し後のITO/NiWO
x(すなわち、金属LiがNiWO
x層上に堆積されていないもの)を示しており、右側のスタックは、約650℃で約5分間加熱焼き戻し後のITO/NiWO
x/Li(すなわち、金属LiがNiWO
x層上に堆積されたもの)を示している。
図1に示される特定の例について、本発明者らは、金属Liが堆積されていない焼き戻しされた対電極(左側スタック)が、約0mC/cm
2の電荷容量および約1のコントラストを有することを見出した。これに比べて、本発明者らは、金属Liが堆積された焼き戻しされた対電極(右側スタック)が15mC/cm
2の電荷容量および4.5のコントラストを有することを見出した。したがって、約650℃の比較的高い温度での熱処理の場合、本発明者らは、リチウムの存在が焼き戻しされた対電極のエレクトロクロミック活性にとって有利であると判断した。
【0018】
図2は、いくつかの実施形態に係る、エレクトロクロミックスタックの対電極層内に金属リチウムを堆積させるために単一の金属リチウムステーションを利用するステップを含む、エレクトロクロミックスタックを形成する方法の一例を示す流れ図である。
【0019】
図2では、金属リチウムが対電極「内」でスパッタリングされる。
図3に関して図示され、本明細書でさらに説明されるように、いくつかの実施形態によれば、対電極の第1の部分は、金属リチウムの前にスパッタリングされる(例えば、X nmの厚さに対応する)ことができ、対電極の第2の部分は、金属リチウムの後にスパッタリングされる(例えば、270-X nmの厚さに対応する)ことができる。エレクトロクロミックスタック内の金属リチウムの「上」にスパッタリングされた厚さに対する、エレクトロクロミックスタック内の金属リチウムの「下」の対電極の厚さを調整することで、焼成プロセス中にWO
x電極に拡散するリチウムの量を調整でき、スタックを様々な焼成条件に適合させることができる。
【0020】
図2に示される構成は、かなりの柔軟性を提供するという利点がある。例えば、焼き戻し不可能スタックと焼き戻し対象スタックが同じ生産ラインで製造される場合、スタックはかなり異なる熱処理を受ける可能性がある。例示すると、焼き戻し不可能スタックは約400℃で熱処理にかけられ、焼き戻し対象スタックは約700℃で熱処理にかけられる。対電極中の金属リチウムの位置は、いくつかの実施形態によれば、対電極堆積ステーションの各々で使用される蒸着電力を変えることによって、それに応じて調整され得る。
【0021】
図2は、単一の金属リチウムステーションを利用して、エレクトロクロミックスタックの対電極層内に金属リチウムを堆積させることを含む、エレクトロクロミックスタックを形成するために使用できる一連のステーションを示す。
【0022】
下層ステーション202を使用して、エレクトロクロミックスタックの下層を形成することができる。いくつかの実施形態では、下層ステーション202は、複数の材料を含む下層に使用することができる。例示すると、下層ステーション202を使用して、ある材料から下層の一部を形成し、異なる材料から下層の別の部分を形成することができる。例示的で非限定的な例として、下層ステーション202で形成される下層の第1の部分は、エレクトロクロミックスタック設計に従って第1の厚さを有する第1の材料(例えば、Nb2O5)の第1の層に対応し得る。下層ステーション202で形成される下層の第2の部分は、エレクトロクロミックスタック設計に従って第2の厚さを有する第2の材料(例えば、SiO2)の第2の層に対応し得る。
【0023】
下層ステーション202から進んで、
図2は、第1の導電層ステーション204を使用して、エレクトロクロミックスタックの第1の導電層を形成することができることを示している。特定の一実施形態では、第1の導電層ステーション204を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有する酸化インジウムスズ(ITO)層を形成することができる。
【0024】
第1の導電層ステーション204から進んで、
図2は、電極ステーション210を使用して、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極(EC)層を形成できることを示している。
図2に示される特定の実施形態では、電極ステーション210は、タングステン(W)ターゲット212を利用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するWO
x EC層を形成する。
【0025】
電極ステーション210から進んで、
図2は、いくつかの実施形態において、イオン伝導(IC)ステーション220を使用して、エレクトロクロミックスタックのIC層を形成することができることを示している。特定の一実施形態では、ICステーション220を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するSiO
x層を形成することができる。代替の実施形態では、
図2の破線によって示されるように、ICステーション220は省略されてもよい。
【0026】
ICステーション220から(またはICステーション220が省略されている場合には電極ステーション210から)進んで、
図2は、第1の対電極ステーション230を使用して、エレクトロクロミックスタックの対電極(CE)層の第1の部分を形成することができることを示している。
図2に示される例では、第1の対電極ステーション230は、混合ニッケルタングステン(Ni:W)ターゲット232を利用して、第1の厚さを有するCE層の第1の部分を形成する。本明細書でさらに説明するように、第1の厚さは、焼成プロセス中に十分な量の金属リチウムが(電極ステーション210で形成される)WO
x EC層に拡散するように、特定のエレクトロクロミックスタック設計および特定の焼成条件を含む様々な要因に基づいて決定することができる。
【0027】
第1の対電極ステーション230から進んで、
図2は、単一の金属リチウムステーション233を使用して、CE層の第1の部分上に金属リチウムの層を堆積させることができることを示している。金属リチウムの層の厚さは、焼成プロセス中に十分な量の金属リチウムが(電極ステーション210で形成される)WO
x EC層に拡散するように、特定のエレクトロクロミックスタック設計および特定の焼成条件を含む様々な要因に基づいて決定することができる。
【0028】
単一の金属リチウムステーション233から進んで、
図2は、第2の対電極ステーション236を使用して、エレクトロクロミックスタックのCE層の第2の部分を形成することができることを示している。
図2に示される例では、第2の対電極ステーション236は、混合ニッケルタングステン(Ni:W)ターゲット238を利用して、第2の厚さを有するCE層の第2の部分を形成する。本明細書でさらに説明するように、第2の厚さは、焼成プロセス中に(金属リチウムステーション233で堆積された)十分な量の金属リチウムが(電極ステーション210で形成される)WO
x EC層に拡散するように、特定のエレクトロクロミックスタック設計および特定の焼成条件を含む様々な要因に基づいて決定することができる。
【0029】
エレクトロクロミックスタック内の金属リチウムの「上」にある(第2のCEステーション236で形成される)CE層の第2の部分の厚さに対する、エレクトロクロミックスタック内の(金属リチウムステーション233で形成される)金属リチウムの「下」にある(第1のCEステーション230で形成される)CE層の第1の部分の厚さを調整することによって、焼成プロセス中に(電極ステーション210で形成される)WOx EC層に拡散するリチウムの量を調整することをでき、スタックを異なる焼成条件に適合させることができる。例示すると、焼き戻し不可能なスタックは、約400℃で熱処理を受け得る。対照的に、焼き戻し対象のスタックは、約700℃で熱処理を受け得る。対電極における金属リチウムの位置は、いくつかの実施形態によれば、対電極堆積ステーション230および236の各々で使用される蒸着電力を変えることによって、それに応じて調整することができる。
【0030】
第2の対電極ステーション236から進んで、
図2は、第2の導電層ステーション240を使用して、エレクトロクロミックスタックの第2の導電層を形成することができることを示している。特定の一実施形態では、第2の導電層ステーション240を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するITO層を形成することができる。
【0031】
第2の導電層ステーション240から進んで、
図2は、上層ステーション242を使用して、エレクトロクロミックスタックの上層を形成できることを示している。特定の一実施形態では、上層ステーション242を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するSiO
x層を形成することができる。
【0032】
上層ステーション242から進んで、
図2は、熱処理ステーション244を使用して、エレクトロクロミックスタックの熱処理を行うことができることを示している。例示的で非限定的な例として、焼き戻し不可能なスタックは、熱処理ステーション244で、約400℃で熱処理を受け得る。別の例示的で非限定的な一例として、焼き戻し対象のスタックは、熱処理ステーション244で、約700℃で熱処理を受け得る。
【0033】
図3は、いくつかの実施形態に係る、
図2に示す方法に従って形成されたエレクトロクロミックスタックの様々な層を示すブロック図である。
【0034】
図3は、(
図2の下層ステーション202で形成される)エレクトロクロミックスタックの下層302が複数の材料を含み得る特定の一実施形態を示す。例えば、下層302の第1の部分は、第1の厚さ(例えば、約10nm)を有するNb
2O
5層に対応することができ、下層302の第2の部分は、第2の厚さ(例えば、約20nm)を有するSiO
2層に対応することができる。
【0035】
図3は、(
図2の第1の導電層ステーション204で形成される)エレクトロクロミックスタックの第1の導電層304が約420nmの厚さを有するITO層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0036】
図3は、(
図2の電極ステーション210で形成される)エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極310が約400nmの厚さを有するWO
x EC層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0037】
図3は、(
図2のICステーション220で形成される)エレクトロクロミックスタックのIC320が5nm未満の厚さを有するSiO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。本明細書に記載の例では、ケイ素酸化物IC層の存在は任意選択である。
【0038】
図3では、エレクトロクロミックスタックの対電極は、第1の対電極部分330および第2の対電極部分336を含み、(
図2の単一の金属リチウムステーション233で形成される)金属リチウム333は、第1の対電極部分330と第2の対電極部分336との間の対電極「内」にある。
図3は、第1の対電極部分330が、スタック内の金属リチウム333の「下」に(
図3では「X」nmとして識別される)第1の厚さを有する(
図2の第1の対電極ステーション230で形成される)第1のNiWO
x層に対応する特定の一実施形態を示す。第2の対電極部分336は、スタック内の金属リチウム333の「上」に(
図3では「270-X」nmとして識別される)第2の厚さを有する(
図2の第2の対電極ステーション236で形成される)第2のNiWO
x層に対応する。
図2に関して本明細書で前述したように、エレクトロクロミックスタック内の金属リチウム333の「上」の第2の対電極部分336の第2の厚さに対する、エレクトロクロミックスタック内の金属リチウム333の「下」の第1の対電極部分330の第1の厚さを調整することにより、焼成プロセス中にWO
x電極310に拡散する金属リチウムの量を調整することができ、スタックを異なる焼成条件に適合させることができる。特定の一実施形態では、第1の対電極部分330の第1の厚さ(X)は、約270nmの総対電極厚に対して、少なくとも20nm、多くとも250nmとすることができる。
【0039】
図3は、(
図2の第2の導電層ステーション240で形成される)エレクトロクロミックスタックの第2の導電層340が約420nmの厚さを有するITO層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0040】
図3は、(
図2の上層ステーション242で形成される)エレクトロクロミックスタックの上層342が約70nmの厚さを有するSiO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0041】
したがって、
図2および
図3は、エレクトロクロミックスタックの対電極層内に金属リチウムを堆積させるために単一の金属リチウムステーションが利用される、本開示の第1の実施形態を示す。エレクトロクロミックスタック内の金属リチウムの「上」にある対電極の第2の部分の厚さに対する、エレクトロクロミックスタック内の金属リチウムの「下」にある対電極の第1の部分の厚さを調整することによって、焼成プロセス中にWO
x電極に拡散するリチウムの量を調整することができ、スタックを異なる焼成条件に適合させることができる。
【0042】
図4は、いくつかの実施形態に係る、単一金属リチウムステーションを利用して、エレクトロクロミック電極層上に金属リチウムを堆積させるステップと、リチウム含有セラミックスターゲットを利用して、エレクトロクロミックスタックの対電極層を形成するステップとを含む、エレクトロクロミックスタックを形成する方法の一例を示す流れ図である。
【0043】
図4では、リチウムを含むセラミックスターゲットを使用して対電極をスパッタリングする。このようなセラミックス材料は、金属リチウムよりもはるかに扱いやすく、標準の水冷式マグネトロン区画内で処理され得る。この構成では、金属リチウムは依然としてスパッタリングされて、電極の行き場のない電荷を補償し、可動リチウムをスタックに導入する。しかしながら、金属リチウムは、単一のステーションでスパッタリングされ得る。リチウム含有セラミックス対電極の組成を調整することにより、焼成ステップ前の電極と比較して対電極が必要とする過剰なリチウムを管理することが可能になる。
【0044】
図4は、単一の金属リチウムステーションを利用して、金属リチウムをEC層上に堆積させるステップと、リチウム含有セラミックスターゲットを利用して、エレクトロクロミックスタックのCE層を形成するステップとを含む、エレクトロクロミックスタックを形成するために使用され得る一連のステーションを示す。
【0045】
下層ステーション402を使用して、エレクトロクロミックスタックの下層を形成することができる。いくつかの実施形態では、下層ステーション402は、複数の材料を含む下層に使用することができる。例示すると、下層ステーション402を使用して、ある材料から下層の一部を形成し、異なる材料から下層の別の部分を形成することができる。例示的で非限定的な一例として、下層ステーション402で形成される下層の第1の部分は、エレクトロクロミックスタック設計に従って第1の厚さを有する第1の材料(例えば、Nb2O5)の第1の層に対応し得る。下層ステーション402で形成される下層の第2の部分は、エレクトロクロミックスタック設計に従って第2の厚さを有する第2の材料(例えば、SiO2)の第2の層に対応し得る。
【0046】
下層ステーション402から進んで、
図4は、エレクトロクロミックスタックの第1の導電層を形成するために第1の導電層ステーション404を使用できることを示している。特定の一実施形態では、第1の導電層ステーション404を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するITO層を形成することができる。
【0047】
第1の導電層ステーション404から進んで、
図4は、エレクトロクロミックスタックのEC層を形成するために電極ステーション410を使用できることを示している。
図4に示される特定の実施形態では、電極ステーション410は、タングステン(W)ターゲット412を利用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するWO
x EC層を形成する。
【0048】
電極ステーション410から進んで、
図4は、金属リチウムの層をWO
x EC層上に堆積させるために、単一の金属リチウムステーション413を使用できることを示している。金属リチウムの層の厚さは、焼成プロセス中に十分な量の金属リチウムがWO
x EC層に拡散するように、特定のエレクトロクロミックスタック設計および特定の焼成条件を含む様々な要因に基づいて決定することができる。
【0049】
金属リチウムステーション413から進んで、
図4は、いくつかの実施形態において、エレクトロクロミックスタックのIC層を形成するためにICステーション420を使用できることを示している。特定の一実施形態では、ICステーション420を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するSiO
x層を形成することができる。代替の実施形態では、
図4の破線によって示されるように、ICステーション420は省略されてもよい。
【0050】
ICステーション420から(またはICステーション420が省略されている場合には電極ステーション410から)進んで、
図4は、エレクトロクロミックスタックのCE層を形成するために、対電極ステーション430を使用できることを示している。
図4に示される例では、対電極ステーション430は、混合リチウムニッケルタングステン(Li:Ni:W)セラミックスターゲット432を利用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するLiNiWO
x CE層を形成する。
【0051】
対電極ステーション430から進んで、
図4は、エレクトロクロミックスタックの第2の導電層を形成するために、第2の導電層ステーション440を使用できることを示している。特定の一実施形態では、第2の導電層ステーション440を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するITO層を形成することができる。
【0052】
第2の導電層ステーション440から進んで、
図4は、エレクトロクロミックスタックの上層を形成するために、上層ステーション442を使用できることを示している。特定の一実施形態では、上層ステーション442を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するSiO
x層を形成することができる。
【0053】
上層ステーション442から進んで、
図4は、エレクトロクロミックスタックの熱処理を行うために、熱処理ステーション444を使用できることを示している。
【0054】
図5は、いくつかの実施形態に係る、
図4に示す方法に従って形成されたエレクトロクロミックスタックの様々な層を示すブロック図である。
【0055】
図5は、(
図4の下層ステーション402で形成される)エレクトロクロミックスタックの下層502が複数の材料を含むことができる特定の一実施形態を示す。例えば、下層502の第1の部分は、第1の厚さ(例えば、約10nm)を有するNb
2O
5層に対応することができ、下層502の第2の部分は、第2の厚さ(例えば、約20nm)を有するSiO
2層に対応することができる。
【0056】
図5は、(
図4の第1の導電層ステーション404で形成される)エレクトロクロミックスタックの第1の導電層504が約420nmの厚さを有するITO層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0057】
図5は、(
図4の電極ステーション410で形成される)エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極510が約400nmの厚さを有するWO
x EC層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0058】
図5は、(
図4の単一の金属リチウムステーション413で形成される)金属リチウム513がエレクトロクロミックスタック内のEC層510の「上」にある特定の一実施形態を示す。
図5は、(
図4のICステーション420で形成される)エレクトロクロミックスタックのIC520が5nm未満の厚さを有するSiO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
図5は、エレクトロクロミックスタックの対電極530が、約420nmの厚さを有する(混合Li:Ni:Wセラミックスターゲット432を使用して
図4の対電極ステーション430で形成される)LiNiWO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0059】
本明細書に記載の例では、ケイ素酸化物IC層の存在は任意選択である。したがって、
図5に示される実施形態は、電極510とIC520との間に配置された金属リチウム513を示すが、代替の実施形態は、電極510と対電極530との間に(介在するIC520無しで)直接配置された金属リチウム513を含むことができる。
【0060】
図5は、(
図4の第2の導電層ステーション440で形成される)エレクトロクロミックスタックの第2の導電層540が約420nmの厚さを有するITO層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0061】
図5は、(
図4の上層ステーション442で形成される)エレクトロクロミックスタックの上層542が約70nmの厚さを有するSiO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0062】
したがって、
図4および
図5は、単一の金属リチウムステーションが利用してエレクトロクロミックスタックの電極層の上に金属リチウムを堆積させ、リチウム含有セラミックス対電極ターゲットを利用してエレクトロクロミックスタックの対電極層を形成する、本開示の第2の実施形態を示す。
【0063】
図6は、いくつかの実施形態に係る、エレクトロクロミック電極層内に金属リチウムを堆積させるために、単一の金属リチウムステーションを利用するステップと、エレクトロクロミックスタックの対電極層を形成するために、リチウム含有セラミックスターゲットを利用するステップとを含む、エレクトロクロミックスタックの形成方法の一例を示す流れ図である。
【0064】
図6では、リチウムを含有するセラミックスターゲットは、対電極をスパッタリングするために使用される。このようなセラミックス材料は、金属リチウムよりもはるかに扱いやすく、標準の水冷式マグネトロン区画内で処理され得る。この構成では、金属リチウムは依然としてスパッタリングされて、電極の行き場のない電荷を補償し、可動リチウムをスタックに導入する。しかしながら、金属リチウムは、単一のステーションでスパッタリングされ得る。リチウム含有セラミックス対電極の組成を調整することにより、焼成ステップ前の電極と比較して対電極が必要とする過剰なリチウムを管理することが可能になる。
【0065】
図6は、単一の金属リチウムステーションを利用してEC層「内」に金属リチウムを堆積させることと、リチウム含有セラミックスターゲットを利用してエレクトロクロミックスタックのCE層を形成することとを含む、エレクトロクロミックスタックを形成するために使用できる一連のステーションを示す。
【0066】
下層ステーション602は、エレクトロクロミックスタックの下層を形成するために使用することができる。いくつかの実施形態では、下層ステーション602は、複数の材料を含む下層に使用することができる。例示すると、下層ステーション602を使用して、ある材料から下層の一部を形成し、異なる材料から下層の別の部分を形成することができる。例示的で非限定的な一例として、下層ステーション602で形成される下層の第1の部分は、エレクトロクロミックスタック設計に従って第1の厚さを有する第1の材料(例えば、Nb2O5)の第1の層に対応し得る。下層ステーション602で形成される下層の第2の部分は、エレクトロクロミックスタック設計に従って第2の厚さを有する第2の材料(例えば、SiO2)の第2の層に対応し得る。
【0067】
下層ステーション602から進んで、
図6は、エレクトロクロミックスタックの第1の導電層を形成するために第1の導電層ステーション604を使用できることを示している。特定の一実施形態では、第1の導電層ステーション604を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するITO層を形成することができる。
【0068】
第1の導電層ステーション604から進んで、
図6は、エレクトロクロミックスタックのEC層の第1の部分を形成するために、第1の電極ステーション610を使用できることを示している。
図6に示される例では、第1の電極ステーション610は、タングステン(W)ターゲット612を利用して、第1の厚さを有するWO
x EC層の第1の部分を形成する。本明細書でさらに説明するように、第1の厚さは、特定のエレクトロクロミックスタック設計および特定の焼成条件を含む様々な要因に基づいて決定することができる。
【0069】
第1の電極ステーション610から進んで、
図6は、WO
x EC層の第1の部分上に金属リチウムの層を堆積させるために、単一の金属リチウムステーション613を使用できることを示している。金属リチウムの層の厚さは、特定のエレクトロクロミックスタック設計および特定の焼成条件を含む様々な要因に基づいて決定することができる。
【0070】
金属リチウムステーション613から進んで、
図6は、エレクトロクロミックスタックのEC層の第2の部分を形成するために、第2の電極ステーション614を使用できることを示している。
図6に示される例では、第2の電極ステーション614は、タングステン(W)ターゲット616を利用して、第2の厚さを有するWO
x EC層の第2の部分を形成する。本明細書でさらに説明するように、第2の厚さは、特定のエレクトロクロミックスタック設計および特定の焼成条件を含む様々な要因に基づいて決定することができる。
【0071】
エレクトロクロミックスタック内の金属リチウムの「上」にある(第2の電極ステーション614で形成される)EC層の第2の部分の厚さに対する、エレクトロクロミックスタック内の(金属リチウムステーション613で形成される)金属リチウムの「下」にある(第1の電極ステーション610で形成される)EC層の第1の部分の厚さを調整することで、スタックを異なる焼成条件に適合させることができる。例示すると、焼き戻し不可能なスタックは、約400℃で熱処理を受け得る。対照的に、焼き戻し対象のスタックは、約700℃で熱処理を受け得る。EC層内の金属リチウムの位置は、いくつかの実施形態によれば、電極ステーション610および614の各々で使用される蒸着電力を変えることによってそれに応じて調整することができる。
【0072】
第2の電極ステーション614から進んで、
図6は、いくつかの実施形態において、エレクトロクロミックスタックのIC層を形成するためにICステーション620を使用できることを示している。特定の一実施形態では、ICステーション620を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するSiO
x層を形成することができる。代替の実施形態では、
図6の破線によって示されるように、ICステーション620は省略されてもよい。
【0073】
ICステーション620から(またはICステーション620が省略されている場合には第2の電極ステーション614から)進んで、
図6は、エレクトロクロミックスタックのCE層を形成するために、対電極ステーション630を使用できることを示している。
図6に示される例では、対電極ステーション630は、混合リチウムニッケルタングステン(Li:Ni:W)セラミックスターゲット632を利用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するLiNiWO
x CE層を形成する。
【0074】
対電極ステーション630から進んで、
図6は、エレクトロクロミックスタックの第2の導電層を形成するために、第2の導電層ステーション640を使用できることを示している。特定の一実施形態では、第2の導電層ステーション640を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するITO層を形成することができる。
【0075】
第2の導電層ステーション640から進んで、
図6は、エレクトロクロミックスタックの上層を形成するために、上層ステーション642を使用できることを示している。特定の一実施形態では、上層ステーション642を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するSiO
x層を形成することができる。
【0076】
上層ステーション642から進んで、
図6は、エレクトロクロミックスタックの熱処理を行うために、熱処理ステーション644を使用できることを示している。
【0077】
図7は、いくつかの実施形態に係る、
図6に示した方法に従って形成されたエレクトロクロミックスタックの様々な層を示すブロック図である。
【0078】
図7は、(
図6の下層ステーション602で形成される)エレクトロクロミックスタックの下層702が複数の材料を含むことができる特定の一実施形態を示す。例えば、下層702の第1の部分は、第1の厚さ(例えば、約10nm)を有するNb
2O
5層に対応することができ、下層702の第2の部分は、第2の厚さ(例えば、約20nm)を有するSiO
2層に対応することができる。
【0079】
図7は、(
図6の第1の導電層ステーション604で形成される)エレクトロクロミックスタックの第1の導電層704が約420nmの厚さを有するITO層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0080】
図7では、エレクトロクロミックスタックの電極は、第1の電極部分710および第2の電極部分714を含み、(
図6の単一の金属リチウムステーション613で形成される)金属リチウム713は、第1の電極部分710と第2の電極部分714との間の電極「内」にある。
図7は、第1の電極部分710が、スタック内の金属リチウム713の「下」の(
図7では「X」nmとして識別される)第1の厚さを有する(
図6の第1の電極ステーション610で形成される)第1のWO
x層に対応する特定の一実施形態を示す。第2の電極部分714は、スタック内の金属リチウム713の「上」の(
図7では「400-X」nmとして識別される)第2の厚さを有する(
図6の第2の電極ステーション614で形成される)第2のWO
x層に対応している。
図6に関して本明細書で前述したように、エレクトロクロミックスタック内の金属リチウム713の「上」の第2の電極部分714の第2の厚さに対する、エレクトロクロミックスタック内の金属リチウム713の「下」の第1の電極部分710の第1の厚さを調整することにより、スタックを異なる焼成条件に適合させることができる。特定の一実施形態では、第1の電極部分710の第1の厚さ(X)は、約400nmの総電極厚に対して、少なくとも20nm、多くとも380nmとすることができる。
【0081】
図7は、(
図6のICステーション620で形成される)エレクトロクロミックスタックのIC720が5nm未満の厚さを有するSiO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。本明細書に記載の例では、ケイ素酸化物IC層の存在は任意選択である。
【0082】
図7は、エレクトロクロミックスタックの対電極730が、約270nmの厚さを有する(混合Li:Ni:Wセラミックスターゲット632を使用して
図6の対電極ステーション630で形成される)LiNiWO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0083】
図7は、(
図6の第2の導電層ステーション640で形成される)エレクトロクロミックスタックの第2の導電層740が約420nmの厚さを有するITO層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0084】
図7は、(
図6の上層ステーション642で形成される)エレクトロクロミックスタックの上層742が約70nmの厚さを有するSiO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0085】
したがって、
図6および
図7は、単一の金属リチウムステーションを利用して、エレクトロクロミックスタックの電極層「内」に金属リチウムを堆積させ、リチウム含有セラミックス対電極ターゲット(例えば、LiNiWO
x)を利用して、エレクトロクロミックスタックの対電極層を形成する、本開示の第3の実施形態を示す。
【0086】
図8は、いくつかの実施形態に係る、リチウム含有セラミックスターゲットを利用して、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極層および対電極層を形成することによってエレクトロクロミックスタックを形成する方法の一例を示す流れ図である。このようなセラミックス材料は、金属リチウムよりもはるかに扱いやすく、標準の水冷式マグネトロン区画で処理され得る。リチウム含有セラミックスターゲットを利用して電極と対電極の両方をスパッタリングすると、電極と対電極に十分な量のLiが存在し、組成がLi
xNi
yW
zOAでX>(Y+Z)/2であるならば、潜在的にあらゆる金属リチウム堆積プロセスを完全に除去できる可能性がある。特定の一実施形態では、Li
xNi
yW
zOAの組成は、(Y+Z/2)<X<(2y+Z)である。
【0087】
図8は、金属リチウムステーションを利用せず、リチウム含有セラミックスターゲットを利用してエレクトロクロミックスタックのEC層およびCE層を形成することを含む、エレクトロクロミックスタックを形成するために使用することができる一連のステーションを示す。
【0088】
下層ステーション802を使用して、エレクトロクロミックスタックの下層を形成することができる。いくつかの実施形態では、下層ステーション802は、複数の材料を含む下層に使用することができる。例示すると、下層ステーション802を使用して、ある材料から下層の一部を形成し、異なる材料から下層の別の部分を形成することができる。例示的で非限定的な一例として、下層ステーション802で形成される下層の第1の部分は、エレクトロクロミックスタック設計に従って第1の厚さを有する第1の材料(例えば、Nb2O5)の第1の層に対応し得る。下層ステーション802で形成される下層の第2の部分は、エレクトロクロミックスタック設計に従って第2の厚さを有する第2の材料(例えば、SiO2)の第2の層に対応し得る。
【0089】
下層ステーション802から進んで、
図8は、エレクトロクロミックスタックの第1の導電層を形成するために第1の導電層ステーション804を使用できることを示している。特定の一実施形態では、第1の導電層ステーション804を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するITO層を形成することができる。
【0090】
第1の導電層ステーション804から進んで、
図8は、エレクトロクロミックスタックのEC層を形成するために電極ステーション810を使用できることを示している。
図8に示される例では、電極ステーション810は、混合リチウムタングステン(Li:W)セラミックスターゲット812を利用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するLiWO
x EC層を形成する。
【0091】
電極ステーション810から進んで、
図8は、いくつかの実施形態において、エレクトロクロミックスタックのIC層を形成するためにICステーション820を使用できることを示している。特定の一実施形態では、ICステーション820を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するSiO
x層を形成することができる。代替の実施形態では、
図8の破線によって示されるように、ICステーション820は省略されてもよい。
【0092】
ICステーション820から(または、ICステーション820が省略されている場合には電極ステーション810から)進んで、
図8は、エレクトロクロミックスタックのCE層を形成するために対電極ステーション830を使用できることを示している。
図8に示される例では、対電極ステーション830は、混合リチウムニッケルタングステン(Li:Ni:W)セラミックスターゲット832を利用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するLiNiWO
x CE層を形成する。
【0093】
対電極ステーション830から進んで、
図8は、エレクトロクロミックスタックの第2の導電層を形成するために第2の導電層ステーション840を使用できることを示している。特定の一実施形態では、第2の導電層ステーション840を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するITO層を形成することができる。
【0094】
第2の導電層ステーション840から進んで、
図8は、エレクトロクロミックスタックの上層を形成するために上層ステーション842を使用できることを示している。特定の一実施形態では、上層ステーション842を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するSiO
x層を形成することができる。
【0095】
上層ステーション842から進んで、
図8は、エレクトロクロミックスタックの熱処理を行うために熱処理ステーション844を使用できることを示している。
【0096】
図9は、いくつかの実施形態に係る、
図8に示した方法に従って形成されたエレクトロクロミックスタックの様々な層を示すブロック図である。
【0097】
図9は、(
図8の下層ステーション802で形成される)エレクトロクロミックスタックの下層902が複数の材料を含むことができる特定の一実施形態を示す。例えば、下層902の第1の部分は、第1の厚さ(例えば、約10nm)を有するNb
2O
5層に対応することができ、下層902の第2の部分は、第2の厚さ(例えば、約20nm)を有するSiO
2層に対応することができる。
【0098】
図9は、(
図8の第1の導電層ステーション804で形成される)エレクトロクロミックスタックの第1の導電層904が約420nmの厚さを有するITO層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0099】
図9は、エレクトロクロミックスタックの電極910が、約400nmの厚さを有する(混合Li:Wセラミックスターゲット812を使用して
図8の電極ステーション810で形成される)LiWO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0100】
図9は、(
図8のICステーション820で形成される)エレクトロクロミックスタックのIC920が5nm未満の厚さを有するSiO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。本明細書に記載の例では、ケイ素酸化物IC層の存在は任意選択である。
【0101】
図9は、エレクトロクロミックスタックの対電極930が、約270nmの厚さを有する(混合Li:Ni:Wセラミックスターゲット832を使用して
図8の対電極ステーション830で形成される)LiNiWO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0102】
図9は、(
図8の第2の導電層ステーション840で形成される)エレクトロクロミックスタックの第2の導電層940が約420nmの厚さを有するITO層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0103】
図9は、(
図8の上層ステーション842で形成される)エレクトロクロミックスタックの上層942が約70nmの厚さを有するSiO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0104】
したがって、
図8および
図9は、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極層およびエレクトロクロミック対電極層の両方を形成するためにリチウム含有セラミックスターゲットが利用される、本開示の第4の実施形態を示す。リチウム含有セラミックスターゲットを利用して電極と対電極の両方をスパッタリングすると、電極と対電極に十分な量のLiが存在するならば、潜在的にあらゆる金属リチウム堆積プロセスを完全に除去できる可能性がある。
【0105】
図10は、いくつかの実施形態に係る、リチウム含有セラミックスターゲットを利用してエレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極層を形成するステップと、単一の金属リチウムステーションを利用してエレクトロクロミックスタックの対電極層上に金属リチウムを堆積させるステップとを含む、エレクトロクロミックスタックを形成する方法の一例を示す流れ図である。
【0106】
図10では、電極をスパッタリングするために、リチウムを含むセラミックスターゲットを使用する。このようなセラミックス材料は、金属リチウムよりもはるかに扱いやすく、標準の水冷式マグネトロン区画で処理され得る。
図10は、場合によっては、(35mC/cm
2のLiイオンの最大量に対応する)少量の金属リチウムを任意選択でスパッタリングして、可動リチウムをスタックに追加できることを示している。スパッタリングされる金属リチウムの量が減少するため、この構成では、金属リチウムをスパッタリングするために使用できるターゲットのペアが1つだけで、潜在的に高い(例えば、0.5メートル/分を超える)製造速度を維持できる可能性がある。
図10に示される実施形態では、金属リチウムは、熱処理後の材料のエレクトロクロミック特性に対する過剰なリチウムのプラスの影響により、対電極の上にスパッタリングされる。
【0107】
図10は、リチウム含有セラミックスターゲットを利用してエレクトロクロミックスタックのEC層を形成することと、単一の金属リチウムステーションを利用してエレクトロクロミックスタックのCE層の上に金属リチウムを堆積させることを含む、エレクトロクロミックスタックを形成するために使用することができる一連のステーションを示す。
【0108】
エレクトロクロミックスタックの下層を形成するために、下層ステーション1002を使用することができる。いくつかの実施形態では、下層ステーション1002は、複数の材料を含む下層に使用することができる。例示すると、下層ステーション1002を使用して、ある材料から下層の一部を形成し、異なる材料から下層の別の部分を形成することができる。例示的で非限定的な一例として、下層ステーション1002で形成される下層の第1の部分は、エレクトロクロミックスタック設計に従って第1の厚さを有する第1の材料(例えば、Nb2O5)の第1の層に対応し得る。下層ステーション1002で形成される下層の第2の部分は、エレクトロクロミックスタック設計に従って第2の厚さを有する第2の材料(例えば、SiO2)の第2の層に対応し得る。
【0109】
下層ステーション1002から進んで、
図10は、エレクトロクロミックスタックの第1の導電層を形成するために第1の導電層ステーション1004を使用できることを示している。特定の一実施形態では、第1の導電層ステーション1004を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するITO層を形成することができる。
【0110】
第1の導電層ステーション1004から進んで、
図10は、エレクトロクロミックスタックのEC層を形成するために、電極ステーション1010を使用できることを示している。
図10に示される例では、電極ステーション1010は、混合リチウムタングステン(Li:W)セラミックスターゲット1012を利用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するLiWO
x EC層を形成する。
【0111】
電極ステーション1010から進んで、
図10は、いくつかの実施形態において、エレクトロクロミックスタックのIC層を形成するためにICステーション1020を使用できることを示している。特定の一実施形態では、ICステーション1020を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するSiO
x層を形成することができる。代替の実施形態では、
図10の破線によって示されるように、ICステーション1020は省略されてもよい。
【0112】
ICステーション1020から(またはICステーション1020が省略されている場合には電極ステーション1010から)進んで、
図10は、エレクトロクロミックスタックのCE層を形成するために対電極ステーション1030を使用できることを示している。
図10に示される例では、対電極ステーション1030は、混合ニッケルタングステン(Ni:W)ターゲット832を利用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するNiWO
x CE層を形成する。
【0113】
対電極ステーション1030から進んで、
図10は、金属リチウムの層をNiWO
x CE層上に堆積させるために単一の金属リチウムステーション1033を使用できることを示している。金属リチウムの層の厚さは、特定のエレクトロクロミックスタック設計および特定の焼成条件を含む様々な要因に基づいて決定することができる。
【0114】
単一の金属リチウムステーション1033から進んで、
図10は、エレクトロクロミックスタックの第2の導電層を形成するために第2の導電層ステーション1040を使用できることを示している。特定の一実施形態では、第2の導電層ステーション1040を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するITO層を形成することができる。
【0115】
第2の導電層ステーション1040から進んで、
図10は、エレクトロクロミックスタックの上層を形成するために上層ステーション1042を使用できることを示している。特定の一実施形態では、上層ステーション1042を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するSiO
x層を形成することができる。
【0116】
上層ステーション1042から進んで、
図10は、エレクトロクロミックスタックの熱処理を行うために熱処理ステーション1044を使用できることを示している。
【0117】
図11は、いくつかの実施形態に係る、
図10に示された方法に従って形成されたエレクトロクロミックスタックの様々な層を示すブロック図である。
【0118】
図11は、(
図10の下層ステーション1002で形成される)エレクトロクロミックスタックの下層1102が複数の材料を含むことができる特定の一実施形態を示す。例えば、下層1102の第1の部分は、第1の厚さ(例えば、約10nm)を有するNb
2O
5層に対応することができ、下層1102の第2の部分は、第2の厚さ(例えば、約20nm)を有するSiO
2層に対応することができる。
【0119】
図11は、(
図10の第1の導電層ステーション1004で形成される)エレクトロクロミックスタックの第1の導電層1104が約420nmの厚さを有するITO層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0120】
図11は、エレクトロクロミックスタックの電極1110が、約400nmの厚さを有する(混合Li:Wセラミックスターゲット1012を使用して
図10の電極ステーション1010で形成される)LiWO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0121】
図11は、(
図10のICステーション1020で形成される)エレクトロクロミックスタックのIC1120が5nm未満の厚さを有するSiO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。本明細書に記載の例では、ケイ素酸化物IC層の存在は任意選択である。
【0122】
図11は、エレクトロクロミックスタックの対電極1130が、約270nmの厚さを有する(混合Ni:Wターゲット1032を使用して
図10の対電極ステーション1030で形成される)NiWO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0123】
図11は、(
図10の単一の金属リチウムステーション1033で形成される)金属リチウム1133がエレクトロクロミックスタック内のCE層1130の「上」にある特定の一実施形態を示す。
【0124】
図11は、(
図10の第2の導電層ステーション1040で形成される)エレクトロクロミックスタックの第2の導電層1140が約420nmの厚さを有するITO層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0125】
図11は、(
図10の上層ステーション1042で形成される)エレクトロクロミックスタックの上層1142が約70nmの厚さを有するSiO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0126】
したがって、
図10および
図11は、リチウム含有セラミックス電極ターゲットを利用してエレクトロクロミックスタックの電極層を形成し、単一の金属リチウムステーションを利用してエレクトロクロミックスタックの対電極層の上に金属リチウムを堆積させる、本開示の第5の実施形態を示す。
【0127】
図12は、いくつかの実施形態に係る、エレクトロクロミックスタックのIC層と電極層との間に金属リチウムを堆積させるために単一の金属リチウムステーションを利用するステップを含む、エレクトロクロミックスタックを形成する方法の一例を示す流れ図である。
【0128】
図12は、エレクトロクロミックスタックのIC層と電極層との間に金属リチウムを堆積させるために単一の金属リチウムステーションを利用することを含む、エレクトロクロミックスタックを形成するために使用できる一連のステーションを示す。
【0129】
エレクトロクロミックスタックの下層を形成するために、下層ステーション1202を使用することができる。いくつかの実施形態では、下層ステーション1202は、複数の材料を含む下層に使用することができる。例示すると、下層ステーション1202を使用して、ある材料から下層の一部を形成し、異なる材料から下層の別の部分を形成することができる。例示的で非限定的な一例として、下層ステーション1202で形成される下層の第1の部分は、エレクトロクロミックスタック設計に従って第1の厚さを有する第1の材料(例えば、Nb2O5)の第1の層に対応し得る。下層ステーション1202で形成される下層の第2の部分は、エレクトロクロミックスタック設計に従って第2の厚さを有する第2の材料(例えば、SiO2)の第2の層に対応し得る。
【0130】
下層ステーション1202から進んで、
図12は、エレクトロクロミックスタックの第1の導電層を形成するために、第1の導電層ステーション1204を使用できることを示している。特定の一実施形態では、第1の導電層ステーション1204を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するITO層を形成することができる。
【0131】
第1の導電層ステーション1204から進んで、
図12は、エレクトロクロミックスタックのCE層を形成するために、対電極ステーション1217を使用できることを示している。
図12に示される例では、対電極ステーション1217は、混合ニッケルタングステン(Ni:W)ターゲット1218を利用して、特定の厚さを有するCE層を形成する。本明細書でさらに説明するように、CE層の厚さは、特定のエレクトロクロミックスタック設計を含む様々な要因に基づいて決定することができる。
【0132】
対電極ステーション1217から進んで、
図12は、エレクトロクロミックスタックのIC層を形成するために、ICステーション1220を使用できることを示している。特定の一実施形態では、ICステーション1220を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するSiO
x層を形成することができる。
【0133】
ICステーション1220から進んで、
図12は、金属リチウムの層をIC層上に堆積させるために、単一の金属リチウムステーション1221を使用できることを示している。金属リチウムの層の厚さは、特定のエレクトロクロミックスタック設計および特定の焼成条件を含む様々な要因に基づいて決定することができるため、十分な量の金属リチウムが焼成プロセス中に(電極ステーション1237で形成される)WO
x EC層に拡散する。
【0134】
単一の金属リチウムステーション1221から進んで、
図12は、エレクトロクロミックスタックのEC層を形成するために、電極ステーション1237を使用できることを示している。
図12に示される特定の実施形態では、電極ステーション1237は、タングステン(W)ターゲット1238を利用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するWO
x EC層を形成する。
【0135】
電極ステーション1237から進んで、
図12は、エレクトロクロミックスタックの第2の導電層を形成するために、第2の導電層ステーション1240を使用できることを示している。特定の一実施形態では、第2の導電層ステーション1240を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するITO層を形成することができる。
【0136】
図12の第2の導電層ステーション1240から進んで、
図12は、エレクトロクロミックスタックの上層を形成するために上層ステーション1242を使用できることを示している。特定の一実施形態では、上層ステーション1242を使用して、エレクトロクロミックスタック設計に従って特定の厚さを有するSiO
x層を形成することができる。
【0137】
上層ステーション1242から進んで、
図12は、いくつかの実施形態において、任意選択の熱処理ステーション1244を使用してエレクトロクロミックスタックの熱処理を行うことができることを示している。例示的で非限定的な一例として、いくつかの実施形態によれば、熱処理ステーション1244において約400℃で焼き戻し不可能スタックに熱処理を施すことができる。
【0138】
図13は、いくつかの実施形態に係る、
図12に示す方法に従って形成されたエレクトロクロミックスタックの様々な層を示すブロック図である。
【0139】
図13は、(
図12の下層ステーション1202で形成される)エレクトロクロミックスタックの下層1302が、複数の材料を含み得る特定の一実施形態を示す。例えば、下層1302の第1の部分は、第1の厚さ(例えば、約10nm)を有するNb
2O
5層に対応することができ、下層1302の第2の部分は、第2の厚さ(例えば、約30nm)を有するSiO
2層に対応することができる。
【0140】
図13は、(
図12の第1の導電層ステーション1204で形成される)エレクトロクロミックスタックの第1の導電層1304が、約420nmの厚さを有するITO層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0141】
図13は、(
図12のCE層ステーション1217で形成される)エレクトロクロミックスタックのCE層1317が、約270nmの厚さを有するNiWO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0142】
図13は、(
図12のICステーション1220で形成される)エレクトロクロミックスタックのIC1320が、5nm未満の厚さを有するSiO
x層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0143】
図13では、(
図12の単一の金属リチウムステーション1221で形成される)金属リチウム1321が、IC層1320の「上」かつ(
図12のEC層ステーション1237で形成される)電極層1337の「下」に堆積される。
【0144】
図13は、(
図12の第2の導電層ステーション1240で形成される)エレクトロクロミックスタックの第2の導電層1340が約420nmの厚さを有するITO層に対応し得る特定の一実施形態を示す。
【0145】
図13は、(
図12の上層ステーション1242で形成される)エレクトロクロミックスタックの上層1342が、約70nmの厚さを有するSiO
x層に対応し得る、特定の一実施形態を示す。
【0146】
したがって、
図12および
図13は、CE層およびIC層がEC層の前に堆積され、単一の金属リチウムステーションを利用して、スタック内でIC層の「上」かつEC層の「下」に金属リチウムを堆積させる、本開示の別の一実施形態を示す。
【0147】
本開示のいくつかの実施形態では、エレクトロクロミックスタックは、電極ステーションで、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極(EC)層を堆積させるステップと、第1の対電極ステーションで、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック対電極(CE)層の第1の部分を堆積させるステップと、単一の金属リチウムステーションで、第1の対電極ステーションで堆積されたエレクトロクロミックCE層の第1の部分上に金属リチウムを堆積させるステップと、第2の対電極ステーションで、単一の金属リチウムステーションで堆積された金属リチウム上にエレクトロクロミックCE層の第2の部分を堆積させるステップとを含む方法に従って形成することができる。場合によっては、この方法は、エレクトロクロミックCE層の第2の部分を堆積させるステップの後に、エレクトロクロミックスタックの熱処理を行うステップをさらに含むことができる。
【0148】
本開示のいくつかの実施形態では、エレクトロクロミックスタックは、電極ステーションで、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極(EC)層の少なくとも一部を堆積させるステップと、単一の金属リチウムステーションで、電極ステーションで堆積されたエレクトロクロミックEC層上に金属リチウムを堆積させるステップと、対電極ステーションで、リチウム含有セラミックス対電極ターゲットを利用して、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック対電極(CE)層を堆積させるステップとを含む方法に従って形成することができる。場合によっては、この方法は、エレクトロクロミックCE層を堆積させるステップの後に、エレクトロクロミックスタックの熱処理を行うステップをさらに含むことができる。
【0149】
本開示のいくつかの実施形態では、エレクトロクロミックスタックは、電極ステーションで、リチウム含有セラミックス電極ターゲットを利用して、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極(EC)層を堆積させるステップと、対電極ステーションで、対電極ターゲットを利用して、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック対電極(CE)層を堆積するステップとを含む方法に従って形成することができる。場合によっては、この方法は、エレクトロクロミックCE層を堆積させるステップの後に、エレクトロクロミックスタックの熱処理を行うステップをさらに含むことができる。
【0150】
本開示の実施形態は、以下の条項を考慮して説明することができる。
(条項1)
エレクトロクロミックスタックを形成する方法であって、
電極ステーションで、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極(EC)層を堆積させるステップと、
第1の対電極ステーションで、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック対電極(CE)層の第1の部分を堆積させるステップと、
単一の金属リチウムステーションで、第1の対電極ステーションで堆積されたエレクトロクロミックCE層の第1の部分上に金属リチウムを堆積させるステップと、
第2の対電極ステーションで、エレクトロクロミックCE層の第2の部分を、単一の金属リチウムステーションで堆積された金属リチウム上に堆積させるステップとを含む、方法。
(条項2)
下層ステーションで、エレクトロクロミックスタックの下層を堆積させるステップと、
第1の導電層ステーションで、エレクトロクロミックスタックの第1の導電層を堆積させるステップとをさらに含み、
エレクトロクロミックEC層は、第1の導電層ステーションで堆積された第1の導電層上に堆積される、条項1に記載の方法。
(条項3)
イオン伝導(IC)ステーションで、エレクトロクロミックスタックのIC層を、電極ステーションで堆積されたエレクトロクロミックEC層上に堆積させるステップをさらに含み、
エレクトロクロミックCE層の第1の部分は、ICステーションで堆積されたIC層上に堆積される、条項2に記載の方法。
(条項4)
エレクトロクロミックCE層の第1の部分は、電極ステーションに堆積されたエレクトロクロミックEC層上に堆積される、条項2に記載の方法。
(条項5)
第2の導電層ステーションで、エレクトロクロミックスタックの第2の導電層を堆積させるステップと、
上層ステーションで、エレクトロクロミックスタックの上層を堆積させるステップとをさらに含む、条項2に記載の方法。
(条項6)
上層を堆積させるステップに続いて、エレクトロクロミックスタックの熱処理を行うステップをさらに含む、条項5に記載の方法。
(条項7)
エレクトロクロミックCE層の第1の部分は、20nm以上の第1の厚さを有し、エレクトロクロミックCE層の第1の部分およびエレクトロクロミックCE層の第2の部分の組み合わされた厚さは約270nmである、条項1に記載の方法。
【0151】
(条項8)
エレクトロクロミックスタックを形成する方法であって、
電極ステーションで、リチウム含有セラミックス電極ターゲットを利用して、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極(EC)層を堆積させるステップと、
対電極ステーションで、対電極ターゲットを利用して、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック対電極(CE)層を堆積させるステップとを含む、方法。
(条項9)
対電極ターゲットは、リチウム含有セラミックス対電極ターゲットである、条項8に記載の方法。
(条項10)
リチウム含有セラミックス対電極ターゲットは、混合リチウムニッケルタングステン(Li:Ni:W)セラミックスターゲットを含む、条項9に記載の方法。
(条項11)
リチウム含有セラミックス電極ターゲットが、混合リチウムタングステン(Li:W)セラミックスターゲットを含む、条項8に記載の方法。
(条項12)
単一の金属リチウムステーションで金属リチウムを堆積させるステップをさらに含む、条項8に記載の方法。
(条項13)
金属リチウムが、対電極ステーションで堆積されたエレクトロクロミックCE層上に堆積される、条項12に記載の方法。
(条項14)
セラミックス対電極ターゲットは、混合ニッケル-タングステン(Ni:W)ターゲットを含む、条項13に記載の方法。
【0152】
(条項15)
エレクトロクロミックスタックを形成する方法であって、
対電極ステーションで、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック対電極(CE)層を堆積させるステップと、
イオン伝導(IC)ステーションで、エレクトロクロミックスタックのIC層を堆積させるステップと、
単一の金属リチウムステーションで金属リチウムをIC層上に堆積させるステップと、
エレクトロクロミック電極(EC)ステーションで、エレクトロクロミックEC層を、単一の金属リチウムステーションで堆積された金属リチウム上に堆積させるステップとを含む、方法。
(条項16)
下層ステーションで、エレクトロクロミックスタックの下層を堆積させるステップと、
第1の導電層ステーションで、エレクトロクロミックスタックの第1の導電層を堆積させるステップとをさらに含み、
エレクトロクロミックCE層は、第1の導電層ステーションで堆積された第1の導電層上に堆積される、条項15に記載の方法。
(条項17)
第2の導電層ステーションで、エレクトロクロミックスタックの第2の導電層をエレクトロクロミックEC層上に堆積させるステップと、
上層ステーションで、エレクトロクロミックスタックの上層を第2の導電層上に堆積させるステップとをさらに含む、条項16に記載の方法。
(条項18)
上層を堆積させるステップに続いて、エレクトロクロミックスタックの熱処理を行うステップをさらに含む、条項17に記載の方法。
【0153】
(条項19)
エレクトロクロミックスタック内に配置された単層の金属リチウムを有するエレクトロクロミックスタックであって、エレクトロクロミックスタックは、
エレクトロクロミック電極(EC)層と、
エレクトロクロミックEC層の上にあるエレクトロクロミック対電極(CE)層とを含み、エレクトロクロミックCE層は、
エレクトロクロミックEC層の上にある第1の部分と、
エレクトロクロミックCE層の第1の部分の上に直接重なる金属リチウムと、
金属リチウムの上に直接重なる第2の部分とを含む、エレクトロクロミックスタック。
(条項20)
エレクトロクロミックEC層とエレクトロクロミックCE層の第1の部分との間に配置されたイオン伝導(IC)層をさらに含む、条項19に記載のエレクトロクロミックスタック。
(条項21)
エレクトロクロミックCE層の第1の部分は、20nm以上の第1の厚さを有し、エレクトロクロミックCE層の第1の部分とエレクトロクロミックCE層の第2の部分の組み合わされた厚さは、約270nmである、条項19に記載のエレクトロクロミックスタック。
【0154】
(条項22)
エレクトロクロミックデバイスであって、
エレクトロクロミックスタック内に配置された単層の金属リチウムを有するエレクトロクロミックスタックを含み、エレクトロクロミックスタックは、
エレクトロクロミック電極(EC)層と、
エレクトロクロミックEC層の上にあるエレクトロクロミック対電極(CE)層とを含み、エレクトロクロミックCE層は、
エレクトロクロミックEC層の上にある第1の部分と、
エレクトロクロミックCE層の第1の部分の上に直接重なる金属リチウムと、
金属リチウムの上に直接重なる第2の部分とを含む、エレクトロクロミックデバイス。
(条項23)
エレクトロクロミックEC層とエレクトロクロミックCE層の第1の部分との間に配置されたイオン伝導(IC)層をさらに含む、条項22に記載のエレクトロクロミックデバイス。
(条項24)
エレクトロクロミックCE層の第1の部分は、20nm以上の第1の厚さを有し、エレクトロクロミックCE層の第1の部分とエレクトロクロミックCE層の第2の部分の組み合わされた厚さは、約270nmである、条項22に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【0155】
(条項25)
エレクトロクロミックスタック内に金属リチウムが配置されていないエレクトロクロミックスタックであって、
LiWOx材料を含むエレクトロクロミック電極(EC)層と、
エレクトロクロミックEC層の上にあり、LiNiWOx材料を含む、エレクトロクロミック対電極(CE)層とを含む、エレクトロクロミックスタック。
(条項26)
エレクトロクロミックEC層とエレクトロクロミックCE層との間に配置されたイオン伝導(IC)層をさらに含む、条項25に記載のエレクトロクロミックスタック。
【0156】
(条項27)
エレクトロクロミックデバイスであって、
エレクトロクロミックスタック内に金属リチウムが配置されていないエレクトロクロミックスタックを含み、エレクトロクロミックスタックは、
LiWOx材料を含むエレクトロクロミック電極(EC)層と、
エレクトロクロミックEC層の上にあり、LiNiWOx材料を含む、エレクトロクロミック対電極(CE)層とを含む、エレクトロクロミックデバイス。
(条項28)
エレクトロクロミックEC層とエレクトロクロミックCE層との間に配置されたイオン伝導(IC)層をさらに含む、条項27に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【0157】
(条項29)
エレクトロクロミックスタック内に配置された単層の金属リチウムを有するエレクトロクロミックスタックであって、エレクトロクロミックスタックは、
LiWOx材料を含むエレクトロクロミック電極(EC)層と、
エレクトロクロミックEC層の上にあるエレクトロクロミック対電極(CE)層と、
エレクトロクロミックCE層の上に直接重なる金属リチウムとを含む、エレクトロクロミックスタック。
(条項30)
エレクトロクロミックEC層とエレクトロクロミックCE層との間に配置されたイオン伝導(IC)層をさらに含む、条項29に記載のエレクトロクロミックスタック。
【0158】
(条項31)
エレクトロクロミックデバイスであって、
エレクトロクロミックスタック内に配置された単層の金属リチウムを有するエレクトロクロミックスタックを含み、エレクトロクロミックスタックは、
LiWOx材料を含むエレクトロクロミック電極(EC)層と、
エレクトロクロミックEC層の上にあるエレクトロクロミック対電極(CE)層と、
エレクトロクロミックCE層の上に直接重なる金属リチウムとを含む、エレクトロクロミックデバイス。
(条項32)
エレクトロクロミックEC層とエレクトロクロミックCE層との間に配置されたイオン伝導(IC)層をさらに含む、条項31に記載のエレクトロクロミックデバイス。
【0159】
(条項33)
エレクトロクロミックスタック内に配置された単層の金属リチウムを有するエレクトロクロミックスタックであって、エレクトロクロミックスタックは、
エレクトロクロミック対電極(CE)層と、
エレクトロクロミックCE層の上に直接重なるイオン伝導(IC)層と、
IC層の上に直接重なる金属リチウムと、
金属リチウムの上に直接重なるエレクトロクロミック電極(EC)層とを含む、エレクトロクロミックスタック。
(条項34)
下層をさらに含み、エレクトロクロミックCE層が下層の上にある、条項33に記載のエレクトロクロミックスタック。
(条項35)
エレクトロクロミックEC層の上にある上層をさらに含む、条項33に記載のエレクトロクロミックスタック。
【0160】
(条項36)
エレクトロクロミックデバイスであって、
エレクトロクロミックスタック内に配置された単層の金属リチウムを有するエレクトロクロミックスタックを含み、エレクトロクロミックスタックは、
エレクトロクロミック対電極(CE)層と、
エレクトロクロミックCE層の上に直接重なるイオン伝導(IC)層と、
IC層の上に直接重なる金属リチウムと、
金属リチウムの上に直接重なるエレクトロクロミック電極(EC)層とを含む、エレクトロクロミックデバイス。
(条項37)
下層であって、エレクトロクロミックCE層が下層の上にある、下層と、
エレクトロクロミックEC層の上にある上層とをさらに含む、条項36のエレクトロクロミックデバイス。
【0161】
(条項38)
電極ステーションで、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極(EC)層を堆積させるステップと、
第1の対電極ステーションで、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック対電極(CE)層の第1の部分を堆積させるステップと、
単一の金属リチウムステーションで、第1の対電極ステーションで堆積されたエレクトロクロミックCE層の第1の部分上に金属リチウムを堆積させるステップと、
第2の対電極ステーションで、エレクトロクロミックCE層の第2の部分を、単一の金属リチウムステーションで堆積された金属リチウム上に堆積させるステップとを含む方法に従って形成された、エレクトロクロミックスタック。
(条項39)
エレクトロクロミックCE層の第2の部分を堆積させるステップに続いて、エレクトロクロミックスタックの熱処理を行うステップをさらに含む、条項38に記載のエレクトロクロミックスタック。
【0162】
(条項40)
電極ステーションで、リチウム含有セラミックス電極ターゲットを利用して、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック電極(EC)層を堆積させるステップと、
対電極ステーションで、対電極ターゲットを利用して、エレクトロクロミックスタックのエレクトロクロミック対電極(CE)層を堆積させるステップとを含む方法に従って形成された、エレクトロクロミックスタック。
(条項41)
エレクトロクロミックCE層を堆積させるステップに続いて、エレクトロクロミックスタックの熱処理を行うステップをさらに含む、条項40に記載のエレクトロクロミックスタック。
【0163】
上記の実施形態はかなり詳細に説明されてきたが、上記の開示が十分に理解されると、当業者には明らかとなるように、多数の変更および修正を行うことができる。以下の特許請求の範囲は、そのようなすべての修正および変更を包含するように解釈され、したがって、上記の説明は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で見なされるべきであることが意図されている。
【国際調査報告】