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特表2023-512657IL-7タンパク質とCAR保有免疫細胞の組み合わせで固形腫瘍を治療する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-28
(54)【発明の名称】IL-7タンパク質とCAR保有免疫細胞の組み合わせで固形腫瘍を治療する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20230320BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20230320BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230320BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230320BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230320BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230320BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20230320BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230320BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230320BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20230320BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230320BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20230320BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20230320BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230320BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20230320BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20230320BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20230320BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230320BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230320BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230320BHJP
   C07K 14/54 20060101ALN20230320BHJP
【FI】
A61K35/17
A61K38/20
A61P35/00
A61P43/00 121
A61P37/02
A61P43/00 105
A61K39/395 W
A61P1/02
A61P1/04
A61P1/16
A61P1/18
A61P11/00
A61P11/02
A61P11/04
A61P13/12
A61P13/10
A61P13/08
A61P15/00
A61P25/00
A61K45/00
C12N5/10 ZNA
C07K14/54
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545359
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(85)【翻訳文提出日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 US2021016604
(87)【国際公開番号】W WO2021158783
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】62/970,554
(32)【優先日】2020-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597025806
【氏名又は名称】ワシントン・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】Washington University
(71)【出願人】
【識別番号】521208309
【氏名又は名称】ネオイミューンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ダイパーシオ, ジョン エフ.
(72)【発明者】
【氏名】クーパー, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, セ ファン
(72)【発明者】
【氏名】リ, ビョン ハ
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ドンフン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065BA01
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA22
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA41
4C084DA12
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA55
4C084MA58
4C084MA66
4C084NA03
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA341
4C084ZA591
4C084ZA661
4C084ZA671
4C084ZA751
4C084ZA811
4C084ZB092
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZC412
4C084ZC751
4C085AA33
4C085BB34
4C085BB36
4C085BB42
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087CA04
4C087MA02
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA34
4C087ZA59
4C087ZA66
4C087ZA67
4C087ZA75
4C087ZA81
4C087ZB21
4C087ZB26
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA02
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、改変免疫細胞、例えば、CAR保有免疫細胞(例えば、CAR-T細胞またはiNKT-CAR細胞)及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質により、固形腫瘍を治療する方法に関する。本明細書では、固形腫瘍の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、キメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞(「CAR保有免疫細胞」)の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて対象に投与することを含む方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形腫瘍の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、キメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞(「CAR保有免疫細胞」)の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記対象における腫瘍体積が、前記投与後に、参照腫瘍体積(例えば、IL-7タンパク質単独またはCAR保有免疫細胞単独のいずれかを受けた対応する対象における腫瘍体積)と比較して低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記腫瘍体積が、前記投与後に、前記参照腫瘍体積と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%低減する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象の生存期間が、前記投与後に、参照生存期間(例えば、IL-7タンパク質単独またはCAR保有免疫細胞単独のいずれかを受けた対応する対象における生存期間)と比較して増大する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記生存期間が、前記投与後に、前記参照生存期間と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、またはそれ以上増大する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
固形腫瘍を有する対象におけるキメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞(「CAR保有免疫細胞」)の抗腫瘍活性を向上させる方法であって、前記CAR保有免疫細胞の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項7】
前記抗腫瘍活性が、腫瘍体積の低減、生存期間の増大、またはその両方を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記腫瘍体積が、前記投与後に、参照腫瘍体積(例えば、IL-7タンパク質単独またはCAR保有免疫細胞単独のいずれかを受けた対応する対象における腫瘍体積)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%低減する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記生存期間が、前記投与後に、参照生存期間(例えば、IL-7タンパク質単独またはCAR保有免疫細胞単独のいずれかを受けた対応する対象における生存期間)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、またはそれ以上増大する、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
固形腫瘍を有する対象におけるキメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞(「CAR保有免疫細胞」)の増殖を増大させる方法であって、前記CAR保有免疫細胞の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて前記対象に投与することを含む前記方法。
【請求項11】
前記CAR保有免疫細胞の前記増殖が、前記投与後に、参照増殖(例えば、前記CAR保有免疫細胞の集団の投与のみを受けた対応する対象におけるCAR保有免疫細胞の増殖)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、またはそれ以上増大する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
固形腫瘍を有する対象におけるキメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞(「CAR保有免疫細胞」)の生存率及び/または残存率を増大させる方法であって、前記CAR保有免疫細胞の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて前記対象に投与することを含む前記方法。
【請求項13】
前記CAR保有免疫細胞の前記生存率及び/または残存率が、前記投与後に、参照生存率及び/または残存率(例えば、前記CAR保有免疫細胞の集団の投与のみを受けた対応する対象におけるCAR保有免疫細胞の生存率及び/または残存率)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、またはそれ以上増大する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記IL-7タンパク質が、約600μg/kg超、約700μg/kg超、約800μg/kg超、約900μg/kg超、約1,000μg/kg超、約1,100μg/kg超、約1,200μg/kg超、約1,300μg/kg超、約1,400μg/kg超、約1,500μg/kg超、約1,600μg/kg超、約1,700μg/kg超、約1,800μg/kg超、約1,900μg/kg、または約2,000μg/kg超の用量で投与される、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記IL-7タンパク質が、約610μg/kg~約1,200μg/kg、約650μg/kg~約1,200μg/kg、約700μg/kg~約1,200μg/kg、約750μg/kg~約1,200μg/kg、約800μg/kg~約1,200μg/kg、約850μg/kg~約1,200μg/kg、約900μg/kg~約1,200μg/kg、約950μg/kg~約1,200μg/kg、約1,000μg/kg~約1,200μg/kg、約1,050μg/kg~約1,200μg/kg、約1,100μg/kg~約1,200μg/kg、約1,200μg/kg~約2,000μg/kg、約1,300μg/kg~約2,000μg/kg、約1,500μg/kg~約2,000μg/kg、約1,700μg/kg~約2,000μg/kg、約610μg/kg~約1,000μg/kg、約650μg/kg~約1,000μg/kg、約700μg/kg~約1,000μg/kg、約750μg/kg~約1,000μg/kg、約800μg/kg~約1,000μg/kg、約850μg/kg~約1,000μg/kg、約900μg/kg~約1,000μg/kg、または約950μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記IL-7タンパク質が、約700μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約950μg/kg、約700μg/kg~約850μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、約700μg/kg~約800μg/kg、約800μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、または約850μg/kg~約950μg/kgの用量で投与される、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記IL-7タンパク質が、約650μg/kg、約680μg/kg、約700μg/kg、約720μg/kg、約740μg/kg、約750μg/kg、約760μg/kg、約780μg/kg、約800μg/kg、約820μg/kg、約840μg/kg、約850μg/kg、約860μg/kg、約880μg/kg、約900μg/kg、約920μg/kg、約940μg/kg、約950μg/kg、約960μg/kg、約980μg/kg、約1000μg/kg、約1100μg/kg、約1200μg/kg、約1,300μg/kg、約1,400μg/kg、約1,440μg/kg、約1,500μg/kg、約1,600μg/kg、約1,700μg/kg、約1,800μg/kg、約1,900μg/kg、または約2,000μg/kgの用量で投与される、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記IL-7タンパク質が、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、または12週間に1回の投薬頻度で投与される、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記CAR保有免疫細胞の集団が、前記対象の体重1キログラム当たりのCAR保有免疫細胞が約100,000個未満の用量で投与される、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記CAR保有免疫細胞の集団が、前記対象の体重1キログラム当たりのCAR保有免疫細胞が約50,000個未満の用量で投与される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記CAR保有免疫細胞の集団が、前記対象の体重1キログラム当たりのCAR保有免疫細胞が約10,000個未満の用量で投与される、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記CAR保有免疫細胞の集団が、前記対象の体重1キログラム当たりのCAR保有免疫細胞が約5,000個未満の用量で投与される、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記CAR保有免疫細胞の集団が、前記対象の体重1キログラム当たりのCAR保有免疫細胞が約2,500個未満の用量で投与される、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記CAR保有免疫細胞の集団が、前記対象の体重1キログラム当たりのCAR保有免疫細胞が約1,000個未満の用量で投与される、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記IL-7タンパク質及び前記CAR保有免疫細胞の集団が同時に投与される、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記IL-7タンパク質及び前記CAR保有免疫細胞の集団が順次投与される、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記IL-7タンパク質が、前記CAR保有免疫細胞の集団を投与する前に前記対象に投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記IL-7タンパク質が、前記CAR保有免疫細胞の集団を投与した後に前記対象に投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記IL-7タンパク質が、前記対象に、補足的投与、筋肉内投与、皮下投与、点眼、静脈内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、または腫瘍内投与される、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記CAR保有免疫細胞の集団が静脈内投与される、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記IL-7タンパク質が、野生型IL-7タンパク質ではない(すなわち、改変されている)、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記IL-7タンパク質が、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドを含む、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記オリゴペプチドが、メチオニン(M)、グリシン(G)、メチオニン-メチオニン(MM)、グリシン-グリシン(GG)、メチオニン-グリシン(MG)、グリシン-メチオニン(GM)、メチオニン-メチオニン-メチオニン(MMM)、メチオニン-メチオニン-グリシン(MMG)、メチオニン-グリシン-メチオニン(MGM)、グリシン-メチオニン-メチオニン(GMM)、メチオニン-グリシン-グリシン(MGG)、グリシン-メチオニン-グリシン(GMG)、グリシン-グリシン-メチオニン(GGM)、グリシン-グリシン-グリシン(GGG)、メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン(MGGM)(配列番号41)、メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン(MMGG)(配列番号42)、グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン(GGMM)(配列番号43)、メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン(MGMG)(配列番号44)、グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン(GMMG)(配列番号45)、グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン(GGGM)(配列番号46)、メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン(MGGG)(配列番号47)、グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン(GMGG)(配列番号48)、グリシン-グリシン-メチオニン-グリシン(GGMG)(配列番号49)、グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン-メチオニン(GGMMM)(配列番号50)、グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン(GGGMM)(配列番号51)、グリシン-グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン(GGGGM)(配列番号52)、メチオニン-グリシン-メチオニン-メチオニン-メチオニン(MGMMM)(配列番号53)、メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン(MGGMM)(配列番号54)、メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン(MGGGM)(配列番号55)、メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン-メチオニン(MMGMM)(配列番号56)、メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン(MMGGM)(配列番号57)、メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン(MMGGG)(配列番号58)、メチオニン-メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン(MMMGM)(配列番号59)、メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン-メチオニン(MGMGM)(配列番号60)、グリシン-メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン(GMGMG)(配列番号61)、グリシン-メチオニン-メチオニン-メチオニン-グリシン(GMMMG)(配列番号62)、グリシン-グリシン-メチオニン-グリシン-メチオニン(GGMGM)(配列番号63)、グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン(GGMMG)(配列番号64)、グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン(GMMGM)(配列番号65)、メチオニン-グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン(MGMMG)(配列番号66)、グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン(GMGGM)(配列番号67)、メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン(MMGMG)(配列番号68)、グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン(GMMGG)(配列番号69)、グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン(GMGGG)(配列番号70)、グリシン-グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン(GGMGG)(配列番号71)、グリシン-グリシン-グリシン-グリシン-グリシン(GGGGG)(配列番号72)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記オリゴペプチドが、メチオニン-グリシン-メチオニン(MGM)である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記IL-7タンパク質が、半減期延長部分を含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記半減期延長部分が、Fc、アルブミン、アルブミン結合性ポリペプチド、Pro/Ala/Ser(PAS)、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、ポリエチレングリコール(PEG)、長い構造不定の親水性アミノ酸配列(XTEN)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合性小分子、またはそれらの組み合わせを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記半減期延長部分がFcである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記Fcが、ヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含むハイブリッドFcであり、
前記ヒンジ領域が、ヒトIgDヒンジ領域を含み、
前記CH2ドメインが、ヒトIgD CH2ドメインの一部及びヒトIgG4 CH2ドメインの一部を含み、
前記CH3ドメインが、ヒトIgG4 CH3ドメインの一部を含む、
請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
前記IL-7タンパク質が、配列番号1~6及び15~25と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記CAR保有免疫細胞が自己由来である、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記CAR保有免疫細胞が同種異系である、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記CARが、固形腫瘍抗原に結合する抗原結合性ドメインを含む、請求項1~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記固形腫瘍抗原が、メソテリン、MR1、グアニル酸シクラーゼC(GC-C)、上皮増殖因子受容体(EGFRまたはerbB-1)、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2またはerbB2)、erbB-3、erbB-4、MUC-1、黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)、葉酸受容体1(FOLR1)、CD4、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD123、CD138、CD171、CEA、CSPG4、CXCR5、c-Met、HERV-エンベロープタンパク質、エリオスチン、Bigh3、SPARC、BCR、CD79、CD37、EGFRvIII、EGP2、EGP40、IGFr、L1CAM、AXL、組織因子(TF)、CD74、EpCAM、EphA2、MRP3カドヘリン19(CDH19)、上皮増殖因子2(HER2)、5T4、8H9、αβインテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CA9、FAP、FBP、胎児AchR、FRcc、GD2、GD3、グリピカン-1(GPC1)、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HLA-A1+MAGE1、HLA-A1+NY-ESO-1、IL-13Rcc2、Lewis-Y、KDR、MCSP、Muc1、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、PRAME、PSC1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、SP17、サバイビング、TAG72、TEM、癌胎児抗原、HMW-MAA、VEGF、CLDN18.2、またはそれらの組み合わせを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記CARが、CD2、CD3ε、CD4、CD5、CD7、CD19、TRAC、BCMA、TCRβ、またはそれらの組み合わせから選択される1以上の抗原に結合する抗原結合性ドメインを含む、請求項1~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記CAR保有免疫細胞が、CAR-T細胞、CAR-iNKT細胞、またはその両方を含む、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記CAR保有免疫細胞が、CAR-T細胞である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記CAR-T細胞が、ゲノム編集されたCAR-T細胞である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記ゲノム編集されたCAR-T細胞が、CD2、CD3ε、CD4、CD5、CD7、TRAC、TCRβ、またはそれらの組み合わせから選択される1以上の抗原の欠失または改変を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記CAR-T細胞が、デュアルCAR-T細胞またはタンデムCAR-T細胞である、請求項46~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記CAR保有免疫細胞が、CAR-iNKT細胞である、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記CAR-iNKT細胞が、ゲノム編集されたCAR-iNKT細胞である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記ゲノム編集されたCAR-iNKT細胞が、CD2、CD3ε、CD4、CD5、CD7、TRAC、TCRβ、またはそれらの組み合わせから選択される1以上の抗原の欠失または改変を含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記CAR-iNKT細胞が、デュアルCAR-iNKT細胞またはタンデムCAR-iNKT細胞である、請求項50~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
固形腫瘍の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、トランスジェニックT細胞受容体(TCR)を含む免疫細胞(「トランスジェニックTCR保有免疫細胞」)の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項55】
固形腫瘍を有する対象におけるトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を含む免疫細胞(「トランスジェニックTCR保有免疫細胞」)の抗腫瘍活性を向上させる方法であって、前記トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項56】
固形腫瘍を有する対象におけるトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を含む免疫細胞(「トランスジェニックTCR保有免疫細胞」)の増殖を増大させる方法であって、前記トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項57】
固形腫瘍を有する対象におけるトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を含む免疫細胞(「トランスジェニックTCR保有免疫細胞」)の生存率及び/または残存率を増大させる方法であって、前記トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項58】
前記固形腫瘍が、中皮腫、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、扁平上皮癌(例えば上皮扁平細胞癌)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌及び肺扁平上皮癌を含む肺癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌を含む胃癌もしくは胃の癌、膵臓癌、グリア芽細胞腫、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、直腸癌、大腸癌、子宮体癌もしくは子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌もしくは腎癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、頭頸部癌、またはそれらの任意の組み合わせに由来する、請求項1~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
少なくとも1つの追加の治療剤を前記対象に投与することをさらに含む、請求項1~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記追加の治療剤が免疫チェックポイント阻害剤を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1、PD-L1、LAG-3、Tim-3、CTLA-4、またはそれらの任意の組み合わせの阻害剤を含む、請求項60に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本PCT出願は、2020年2月5日に出願された米国特許仮出願第62/970,554号に基づく優先権の利益を主張し、同仮出願の全体を参照により本明細書に組み込むものである。
【0002】
EFS-WEBを介して電子提出された配列表への言及
本出願と共に提出された、ASCIIテキストファイルで電子提出された配列表(名称:4241_014PC01_SequenceListing_ST25.txt、サイズ:83,475バイト、及び作成日:2021年2月3日)の内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)免疫療法は、広く知られるようになってきている。T細胞が、抗原認識部分及びT細胞活性化ドメインから構成された融合タンパク質であるキメラ抗原受容体(CAR)を発現するよう遺伝子改変される。CARは、がん細胞で過剰発現する抗原を認識するよう設計されている。CAR-Tは、B細胞悪性疾患に対して類例のない臨床的効力を示し、KYMRIAH(商標)(チサゲンレクルユーセル、Novartis)及びYESCARTA(商標)(アキシカブタゲンシロロイセル、Kite/Gilead)の2つの療法がFDAによって承認されている。最近の開示は、CAR-T療法の反応をT細胞悪性疾患に対しても拡大すること、そして同種異系反応性なしに悪性疾患を治療するためにドナー由来の予め操作された細胞の「既製の(off-the-shelf)」使用を可能にすることにおいても可能性を示している。
【0004】
しかしながら、課題は残っている。CAR-T免疫療法は、操作された細胞の増殖をレシピエントの体内で成功させるのに限界があり、通常、大量の細胞の注入が必要とされる。さらに、対象に注入されたCAR-T細胞の残存率の喪失が観察されており、臨床的効力の喪失及び再発の可能性につながっている。そしてこれまで、CAR-T療法は、操作された細胞を含む腫瘍浸潤リンパ球による接近を腫瘍微小環境が妨げることから、血液悪性疾患に限定されてきた。したがって、がん患者、特に固形腫瘍患者において、許容できる安全性プロファイル及び高い効力を有する新たな治療選択肢が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、固形腫瘍の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、キメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞(「CAR保有免疫細胞」)の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて対象に投与することを含む方法が提供される。
【0006】
いくつかの態様において、対象における腫瘍体積が、投与後に、参照腫瘍体積(例えば、IL-7タンパク質単独またはCAR保有免疫細胞単独のいずれかを受けた対応する対象における腫瘍体積)と比較して低減する。ある特定の態様において、腫瘍体積は、投与後に、参照腫瘍体積と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%低減する。
【0007】
いくつかの態様において、対象の生存期間が、投与後に、参照生存期間(例えば、IL-7タンパク質単独またはCAR保有免疫細胞単独のいずれかを受けた対応する対象における生存期間)と比較して増大する。ある特定の態様において、生存期間は、投与後に、参照生存期間と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、またはそれ以上増大する。
【0008】
本明細書では、固形腫瘍を有する対象におけるキメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞(「CAR保有免疫細胞」)の抗腫瘍活性を向上させる方法であって、CAR保有免疫細胞の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて対象に投与することを含む方法も開示される。
【0009】
いくつかの態様において、抗腫瘍活性は、腫瘍体積の低減、生存期間の増大、またはその両方を含む。いくつかの態様において、腫瘍体積は、投与後に、参照腫瘍体積(例えば、IL-7タンパク質単独またはCAR保有免疫細胞単独のいずれかを受けた対応する対象における腫瘍体積)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%低減する。いくつかの態様において、生存期間は、投与後に、参照生存期間(例えば、IL-7タンパク質単独またはCAR保有免疫細胞単独のいずれかを受けた対応する対象における生存期間)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、またはそれ以上増大する。
【0010】
本開示は、固形腫瘍を有する対象におけるキメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞(「CAR保有免疫細胞」)の増殖を増大させる方法であって、CAR保有免疫細胞の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて対象に投与することを含む方法をさらに提供する。いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞の増殖は、投与後に、参照増殖(例えば、CAR保有免疫細胞の集団の投与のみを受けた対応する対象におけるCAR保有免疫細胞の増殖)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、またはそれ以上増大する。
【0011】
本明細書では、固形腫瘍を有する対象におけるキメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞(「CAR保有免疫細胞」)の生存率及び/または残存率を増大させる方法であって、CAR保有免疫細胞の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて対象に投与することを含む方法が提供される。ある特定の態様において、CAR保有免疫細胞の生存率及び/または残存率は、投与後に、参照生存率及び/または残存率(例えば、CAR保有免疫細胞の集団の投与のみを受けた対応する対象におけるCAR保有免疫細胞の生存率及び/または残存率)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、またはそれ以上増大する。
【0012】
いくつかの態様において、本明細書で開示される方法は、約600μg/kg超、約700μg/kg超、約800μg/kg超、約900μg/kg超、約1,000μg/kg超、約1,100μg/kg超、約1,200μg/kg超、約1,300μg/kg超、約1,400μg/kg超、約1,500μg/kg超、約1,600μg/kg超、約1,700μg/kg超、約1,800μg/kg超、約1,900μg/kg、または約2,000μg/kg超の用量でIL-7タンパク質を投与することを含む。
【0013】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約610μg/kg~約1,200μg/kg、約650μg/kg~約1,200μg/kg、約700μg/kg~約1,200μg/kg、約750μg/kg~約1,200μg/kg、約800μg/kg~約1,200μg/kg、約850μg/kg~約1,200μg/kg、約900μg/kg~約1,200μg/kg、約950μg/kg~約1,200μg/kg、約1,000μg/kg~約1,200μg/kg、約1,050μg/kg~約1,200μg/kg、約1,100μg/kg~約1,200μg/kg、約1,200μg/kg~約2,000μg/kg、約1,300μg/kg~約2,000μg/kg、約1,500μg/kg~約2,000μg/kg、約1,700μg/kg~約2,000μg/kg、約610μg/kg~約1,000μg/kg、約650μg/kg~約1,000μg/kg、約700μg/kg~約1,000μg/kg、約750μg/kg~約1,000μg/kg、約800μg/kg~約1,000μg/kg、約850μg/kg~約1,000μg/kg、約900μg/kg~約1,000μg/kg、または約950μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。
【0014】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約700μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約950μg/kg、約700μg/kg~約850μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、約700μg/kg~約800μg/kg、約800μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、または約850μg/kg~約950μg/kgの用量で投与される。
【0015】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約650μg/kg、約680μg/kg、約700μg/kg、約720μg/kg、約740μg/kg、約750μg/kg、約760μg/kg、約780μg/kg、約800μg/kg、約820μg/kg、約840μg/kg、約850μg/kg、約860μg/kg、約880μg/kg、約900μg/kg、約920μg/kg、約940μg/kg、約950μg/kg、約960μg/kg、約980μg/kg、約1000μg/kg、約1100μg/kg、約1200μg/kg、約1,300μg/kg、約1,400μg/kg、約1,440μg/kg、約1,500μg/kg、約1,600μg/kg、約1,700μg/kg、約1,800μg/kg、約1,900μg/kg、または約2,000μg/kgの用量で投与される。
【0016】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回、または12週間に1回の投薬頻度で投与される。
【0017】
いくつかの態様において、本明細書で開示される方法は、対象の体重1キログラム当たりのCAR保有免疫細胞が約100,000個未満の用量でCAR保有免疫細胞の集団を投与することを含む。いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞の集団は、対象の体重1キログラム当たりのCAR保有免疫細胞が約50,000個未満の用量で投与される。ある特定の態様において、CAR保有免疫細胞の集団は、対象の体重1キログラム当たりのCAR保有免疫細胞が約10,000個未満の用量で投与される。いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞の集団は、対象の体重1キログラム当たりのCAR保有免疫細胞が約5,000個未満の用量で投与される。いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞の集団は、対象の体重1キログラム当たりのCAR保有免疫細胞が約2,500個未満の用量で投与される。いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞の集団は、対象の体重1キログラム当たりのCAR保有免疫細胞が約1,000個未満の用量で投与される。
【0018】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質及びCAR保有免疫細胞の集団は同時に投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質及びCAR保有免疫細胞の集団は順次投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、CAR保有免疫細胞の集団を投与する前に対象に投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、CAR保有免疫細胞の集団を投与した後に対象に投与される。
【0019】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、対象に、補足的投与、筋肉内投与、皮下投与、点眼、静脈内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、または腫瘍内投与される。いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞の集団は静脈内投与される。
【0020】
いくつかの態様において、本明細書で開示される方法のいずれかで使用され得るIL-7タンパク質は、野生型IL-7タンパク質ではない(すなわち、改変されている)。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、1~10個のアミノ酸残基からなるオリゴペプチドを含む。いくつかの態様において、オリゴペプチドは、メチオニン(M)、グリシン(G)、メチオニン-メチオニン(MM)、グリシン-グリシン(GG)、メチオニン-グリシン(MG)、グリシン-メチオニン(GM)、メチオニン-メチオニン-メチオニン(MMM)、メチオニン-メチオニン-グリシン(MMG)、メチオニン-グリシン-メチオニン(MGM)、グリシン-メチオニン-メチオニン(GMM)、メチオニン-グリシン-グリシン(MGG)、グリシン-メチオニン-グリシン(GMG)、グリシン-グリシン-メチオニン(GGM)、グリシン-グリシン-グリシン(GGG)、メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン(MGGM)(配列番号41)、メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン(MMGG)(配列番号42)、グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン(GGMM)(配列番号43)、メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン(MGMG)(配列番号44)、グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン(GMMG)(配列番号45)、グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン(GGGM)(配列番号46)、メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン(MGGG)(配列番号47)、グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン(GMGG)(配列番号48)、グリシン-グリシン-メチオニン-グリシン(GGMG)(配列番号49)、グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン-メチオニン(GGMMM)(配列番号50)、グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン(GGGMM)(配列番号51)、グリシン-グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン(GGGGM)(配列番号52)、メチオニン-グリシン-メチオニン-メチオニン-メチオニン(MGMMM)(配列番号53)、メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン(MGGMM)(配列番号54)、メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン(MGGGM)(配列番号55)、メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン-メチオニン(MMGMM)(配列番号56)、メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン(MMGGM)(配列番号57)、メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン(MMGGG)(配列番号58)、メチオニン-メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン(MMMGM)(配列番号59)、メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン-メチオニン(MGMGM)(配列番号60)、グリシン-メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン(GMGMG)(配列番号61)、グリシン-メチオニン-メチオニン-メチオニン-グリシン(GMMMG)(配列番号62)、グリシン-グリシン-メチオニン-グリシン-メチオニン(GGMGM)(配列番号63)、グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン(GGMMG)(配列番号64)、グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン(GMMGM)(配列番号65)、メチオニン-グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン(MGMMG)(配列番号66)、グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン(GMGGM)(配列番号67)、メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン(MMGMG)(配列番号68)、グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン(GMMGG)(配列番号69)、グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン(GMGGG)(配列番号70)、グリシン-グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン(GGMGG)(配列番号71)、グリシン-グリシン-グリシン-グリシン-グリシン(GGGGG)(配列番号72)、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、オリゴペプチドは、メチオニン-グリシン-メチオニン(MGM)である。
【0021】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、半減期延長部分を含む。ある特定の態様において、半減期延長部分は、Fc、アルブミン、アルブミン結合性ポリペプチド、Pro/Ala/Ser(PAS)、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、ポリエチレングリコール(PEG)、長い構造不定の親水性アミノ酸配列(XTEN)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合性小分子、またはそれらの組み合わせを含む。
【0022】
いくつかの態様において、半減期延長部分はFcである。ある特定の態様において、Fcは、ヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含むハイブリッドFcであり、ヒンジ領域は、ヒトIgDヒンジ領域を含み、CH2ドメインは、ヒトIgD CH2ドメインの一部及びヒトIgG4 CH2ドメインの一部を含み、CH3ドメインは、ヒトIgG4 CH3ドメインの一部を含む。
【0023】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、配列番号1~6及び15~25と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0024】
いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞は自己由来である。いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞は同種異系である。
【0025】
いくつかの態様において、CARは、固形腫瘍抗原に結合する抗原結合性ドメインを含む。いくつかの態様において、固形腫瘍抗原は、メソテリン、MR1、グアニル酸シクラーゼC(GC-C)、上皮増殖因子受容体(EGFRまたはerbB-1)、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2またはerbB2)、erbB-3、erbB-4、MUC-1、黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)、葉酸受容体1(FOLR1)、CD4、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD123、CD138、CD171、CEA、CSPG4、CXCR5、c-Met、HERV-エンベロープタンパク質、エリオスチン、Bigh3、SPARC、BCR、CD79、CD37、EGFRvIII、EGP2、EGP40、IGFr、L1CAM、AXL、組織因子(TF)、CD74、EpCAM、EphA2、MRP3カドヘリン19(CDH19)、上皮増殖因子2(HER2)、5T4、8H9、αβインテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CA9、FAP、FBP、胎児AchR、FRcc、GD2、GD3、グリピカン-1(GPC1)、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HLA-A1+MAGE1、HLA-A1+NY-ESO-1、IL-13Rcc2、Lewis-Y、KDR、MCSP、Muc1、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、PRAME、PSC1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、SP17、サバイビング、TAG72、TEM、癌胎児抗原、HMW-MAA、VEGF、CLDN18.2、またはそれらの組み合わせを含む。
【0026】
いくつかの態様において、CARは、CD2、CD3ε、CD4、CD5、CD7、CD19、TRAC、BCMA、TCRβ、またはそれらの組み合わせから選択される1以上の抗原に結合する抗原結合性ドメインを含む。
【0027】
いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞は、CAR-T細胞、CAR-iNKT細胞、またはその両方を含む。ある特定の態様において、CAR保有免疫細胞は、CAR-T細胞である。いくつかの態様において、CAR-T細胞は、ゲノム編集されたCAR-T細胞である。いくつかの態様において、ゲノム編集されたCAR-T細胞は、CD2、CD3ε、CD4、CD5、CD7、TRAC、TCRβ、またはそれらの組み合わせから選択される1以上の抗原の欠失または改変を含む。いくつかの態様において、CAR-T細胞は、デュアルCAR-T細胞またはタンデムCAR-T細胞である。いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞は、CAR-iNKT細胞である。いくつかの態様において、CAR-iNKT細胞は、ゲノム編集されたCAR-iNKT細胞である。いくつかの態様において、ゲノム編集されたCAR-iNKT細胞は、CD2、CD3ε、CD4、CD5、CD7、TRAC、TCRβ、またはそれらの組み合わせから選択される1以上の抗原の欠失または改変を含む。いくつかの態様において、CAR-iNKT細胞は、デュアルCAR-iNKT細胞またはタンデムCAR-iNKT細胞である。
【0028】
本明細書では、固形腫瘍の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、トランスジェニックT細胞受容体(TCR)を含む免疫細胞(「トランスジェニックTCR保有免疫細胞」)の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて対象に投与することを含む方法が提供される。また、固形腫瘍を有する対象におけるトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を含む免疫細胞(「トランスジェニックTCR保有免疫細胞」)の抗腫瘍活性を向上させる方法であって、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて対象に投与することを含む方法も提供される。本開示は、固形腫瘍を有する対象におけるトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を含む免疫細胞(「トランスジェニックTCR保有免疫細胞」)の増殖を増大させる方法であって、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて対象に投与することを含む方法を提供する。本開示は、固形腫瘍を有する対象におけるトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を含む免疫細胞(「トランスジェニックTCR保有免疫細胞」)の生存率及び/または残存率を増大させる方法であって、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて対象に投与することを含む方法をさらに提供する。
【0029】
いくつかの態様において、固形腫瘍は、中皮腫、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、扁平上皮癌(例えば上皮扁平細胞癌)、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌及び肺扁平上皮癌を含む肺癌、腹膜癌、肝細胞癌、胃腸癌を含む胃癌もしくは胃の癌、膵臓癌、グリア芽細胞腫、肝臓癌、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌、結腸癌、直腸癌、大腸癌、子宮体癌もしくは子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌もしくは腎癌、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、頭頸部癌、またはそれらの任意の組み合わせに由来する。
【0030】
いくつかの態様において、本明細書で開示される方法は、少なくとも1つの追加の治療剤を対象に投与することをさらに含む。ある特定の態様において、追加の治療剤は、免疫チェックポイント阻害剤を含む。いくつかの態様において、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、LAG-3、Tim-3、CTLA-4、またはそれらの任意の組み合わせの阻害剤を含む。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1A】膵臓癌のマウスモデルにおける、メソテリン特異的CAR-T細胞単独、またはIL-7タンパク質と組み合わせた場合の抗腫瘍効果を示す。動物にGFP標識AsPC-1腫瘍細胞を注射し、その後、(i)バッファー+ビヒクル対照(「腫瘍単独」、三角形)、(ii)IL-7タンパク質+ビヒクル対照(「腫瘍+IL-7」、逆三角形)、(iii)バッファー+CAR-T細胞(「腫瘍+mesoCAR」、黒丸)、及び(iv)IL-7+CAR-T細胞(「腫瘍+mesoCAR+IL-7」、白丸)のうちの1つで処置した。生物発光アッセイによって測定した腫瘍負荷の比較を提供する。
図1B】膵臓癌のマウスモデルにおける、メソテリン特異的CAR-T細胞単独、またはIL-7タンパク質と組み合わせた場合の抗腫瘍効果を示す。動物にGFP標識AsPC-1腫瘍細胞を注射し、その後、(i)バッファー+ビヒクル対照(「腫瘍単独」、三角形)、(ii)IL-7タンパク質+ビヒクル対照(「腫瘍+IL-7」、逆三角形)、(iii)バッファー+CAR-T細胞(「腫瘍+mesoCAR」、黒丸)、及び(iv)IL-7+CAR-T細胞(「腫瘍+mesoCAR+IL-7」、白丸)のうちの1つで処置した。キャリパーによって測定した腫瘍負荷の比較を提供する。
図1C】膵臓癌のマウスモデルにおける、メソテリン特異的CAR-T細胞単独、またはIL-7タンパク質と組み合わせた場合の抗腫瘍効果を示す。動物にGFP標識AsPC-1腫瘍細胞を注射し、その後、(i)バッファー+ビヒクル対照(「腫瘍単独」、三角形)、(ii)IL-7タンパク質+ビヒクル対照(「腫瘍+IL-7」、逆三角形)、(iii)バッファー+CAR-T細胞(「腫瘍+mesoCAR」、黒丸)、及び(iv)IL-7+CAR-T細胞(「腫瘍+mesoCAR+IL-7」、白丸)のうちの1つで処置した。生存率データの比較を提供する。
図2A】膵臓癌のマウスモデルにおける、メソテリン特異的CAR-T細胞単独の、またはIL-7タンパク質と組み合わせた場合の抗腫瘍効果を示す。動物にGFP標識AsPC-1腫瘍細胞を注射し、その後、(i)バッファー+ビヒクル対照(「腫瘍単独」、三角形)、(ii)IL-7タンパク質+ビヒクル対照(「腫瘍+IL-7」、逆三角形)、(iii)バッファー+CAR-T細胞(「腫瘍+mesoCAR」、黒丸)、及び(iv)IL-7+CAR-T細胞(「腫瘍+mesoCAR+IL-7」、白丸)のうちの1つで処置した。生物発光アッセイによって測定した腫瘍負荷の比較を提供する。
図2B】膵臓癌のマウスモデルにおける、メソテリン特異的CAR-T細胞単独の、またはIL-7タンパク質と組み合わせた場合の抗腫瘍効果を示す。動物にGFP標識AsPC-1腫瘍細胞を注射し、その後、(i)バッファー+ビヒクル対照(「腫瘍単独」、三角形)、(ii)IL-7タンパク質+ビヒクル対照(「腫瘍+IL-7」、逆三角形)、(iii)バッファー+CAR-T細胞(「腫瘍+mesoCAR」、黒丸)、及び(iv)IL-7+CAR-T細胞(「腫瘍+mesoCAR+IL-7」、白丸)のうちの1つで処置した。キャリパーによって測定した腫瘍負荷の比較を提供する。
図2C】膵臓癌のマウスモデルにおける、メソテリン特異的CAR-T細胞単独の、またはIL-7タンパク質と組み合わせた場合の抗腫瘍効果を示す。動物にGFP標識AsPC-1腫瘍細胞を注射し、その後、(i)バッファー+ビヒクル対照(「腫瘍単独」、三角形)、(ii)IL-7タンパク質+ビヒクル対照(「腫瘍+IL-7」、逆三角形)、(iii)バッファー+CAR-T細胞(「腫瘍+mesoCAR」、黒丸)、及び(iv)IL-7+CAR-T細胞(「腫瘍+mesoCAR+IL-7」、白丸)のうちの1つで処置した。生存率データの比較を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
I.定義
本開示をより容易に理解することができるように、ある特定の用語をまず定義する。本出願で使用するとき、本明細書に別段に明記されない限り、次の用語の各々は、下記に示す意味を有するものとする。さらなる定義は本明細書の随所に示される。
【0033】
本開示の随所において、実体に付く「a」または「an」という用語は、1以上のその実体を意味する。例えば、「抗体(an antibody)」は、1以上の抗体を表すものと理解される。したがって、「a」(または「an」)、「1以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では同義に使用され得る。
【0034】
さらに、「及び/または」は、本明細書で使用する場合、2つの特定の特徴または構成要素の各々の具体的な開示として解釈され、他方の有無を問わないものとする。したがって、本明細書で「A及び/またはB」などの語句で使用される「及び/または」という用語は、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、及び「B」(単独)を含むことが意図される。同様に、「A、B、及び/またはC」などの語句で使用される「及び/または」という用語は、次の態様:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);ならびにC(単独)の各々を包含することが意図される。
【0035】
本明細書において「含む(comprising)」という言葉で態様が説明されている場合は常に、「からなる(consisting of)」及び/または「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語で説明されている他の類似の態様も提供されることを理解されたい。
【0036】
別段に定義しない限り、本明細書において使用する全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関連する技術分野における当業者により一般に理解されるものと同一の意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;及びOxford Dictionary Of Biochemistry And Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressが、本開示において使用される用語の多くの一般的な辞書を当業者に提供している。
【0037】
単位、接頭辞、及び記号は、それらの国際単位系(SI)で承認された形式で示される。数値範囲は、その範囲を定義する数を含む。特記なき限り、アミノ酸配列はアミノからカルボキシの方向で左から右に書かれている。本明細書において提供する見出しは、本明細書全体を参照することにより得ることができる本開示の様々な態様を限定するものではない。したがって、直下で定義する用語は、本明細書全体を参照することによって、より十分に定義される。
【0038】
「約」という用語は、本明細書では、およそ、大体、おおよそ、またはその範囲内の意味で使用される。「約」という用語が数値範囲と共に使用されるとき、それは、示された数値の上下に境界を広げることによってその範囲を修飾する。一般に、「約」という用語は、ある数値を、例えば10パーセント上または下の(より高いかまたはより低い)差異で、記載された値を上回るかまたは下回るように修飾することができる。
【0039】
本明細書で使用する場合、「投与すること」とは、当業者に知られている様々な方法及び送達系のいずれかを使用して、治療剤または治療剤を含む組成物を対象に物理的に導入することを意味する。本明細書に記載される治療剤の様々な投与経路には、例えば注射または注入による、静脈内投与経路、腹腔内投与経路、筋肉内投与経路、皮下投与経路、脊髄投与経路、または他の非経口投与経路が含まれる。「非経口投与」という語句は、本明細書で使用する場合、経腸投与及び局部投与以外の、通常は注射による投与様式を意味し、限定するものではないが、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、気管内、肺内、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、心室内、硝子体内、硬膜外、及び胸骨内の注射及び注入、ならびにin vivoエレクトロポレーションを含む。あるいは、本明細書に記載される治療剤は、局部投与経路、表皮投与経路、または粘膜投与経路などの非経口的でない経路によって、例えば、鼻腔内投与、経口投与、膣内投与、直腸投与、舌下投与、または局部投与することができる。また、投与は、例えば1回、複数回、及び/または1以上の長い期間にわたって行うことができる。
【0040】
本明細書で使用する場合、「抗原」という用語は、タンパク質、ペプチド、またはハプテンなどの任意の天然または合成の免疫原性物質を意味する。ある特定の態様において、抗原は、腫瘍抗原を含む。「腫瘍抗原」という用語は、通常の健康な細胞と比較して腫瘍細胞において固有にまたは異なって発現する抗原を意味する。いくつかの態様において、腫瘍抗原は、固形腫瘍で発現する(すなわち、「固形腫瘍抗原」)。
【0041】
本明細書で使用する「天然に存在する」という用語は、ある対象に適用される場合、対象を天然に見出すことができるという事実を指す。例えば、天然源から単離され得、かつ研究室において人間によって意図的に改変されていない生物(ウイルスを含む)に存在するポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。
【0042】
「ポリペプチド」は、少なくとも2つの連続的に連結したアミノ酸残基を含む鎖を意味し、鎖の長さに上限はない。タンパク質中の1以上のアミノ酸残基は、限定するものではないが、グリコシル化、リン酸化、またはジスルフィド結合形成などの改変を含み得る。「タンパク質」は、1以上のポリペプチドを含み得る。特記なき限り、「タンパク質」及び「ポリペプチド」という用語は同義に使用され得る。
【0043】
「核酸分子」という用語は、本明細書で使用する場合、DNA分子及びRNA分子を含むことが意図される。核酸分子は、一本鎖であっても二本鎖であってもよく、cDNAであってもよい。
【0044】
核酸は、全細胞に、細胞溶解物に、または部分的に精製された形態もしくは実質的に純粋な形態で存在し得る。核酸は、他の細胞成分または他の夾雑物、例えば、他の細胞核酸(例えば、染色体の他の部分)またはタンパク質から、アルカリ/SDS処理、CsClバンディング、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動、及び当該技術分野で周知の他の技術を含む標準的技術によって精製されている場合、「単離されている」または「実質的に純粋になっている」。F.Ausubel,et al.,ed.Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley Interscience,New York(1987)を参照されたい。
【0045】
核酸、例えばcDNAを、標準的技術に従って変異させて、遺伝子配列をもたらすことができる。コード配列の場合、これらの変異は、所望のようにアミノ酸配列に影響を与えることができる。特に、天然のV、D、J、定常配列、スイッチ、及び本明細書に記載される他のかかる配列と実質的に相同であるか、またはそれらに由来するDNA配列が想定される(ここで、「由来」は、配列が別の配列と同一であるか、またはそれから改変されていることを示す)。
【0046】
「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸残基が、同様の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されることを意味する。同様の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)、及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。ある特定の態様において、抗体中の予測される非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基で置き換えられる。抗原結合性を消失させないヌクレオチド及びアミノ酸の保存的置換を同定する方法は、当該技術分野で周知である(例えば、Brummell et al.,Biochem.32:1180-1187(1993)、Kobayashi et al.Protein Eng.12(10):879-884(1999)、及びBurks et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:412-417(1997)を参照されたい)。
【0047】
核酸の場合、「実質的な相同性」という用語は、2つの核酸、またはそれらの指定された配列が、最適にアラインされ比較された場合、適切なヌクレオチドの挿入または欠失を伴って、ヌクレオチドの少なくとも約80%、少なくとも約90%~95%、またはヌクレオチドの少なくとも約98%~99.5%で同一であることを示す。あるいは、セグメントが選択的ハイブリダイゼーション条件下で鎖の相補体にハイブリダイズする場合に、実質的な相同性が存在する。
【0048】
ポリペプチドの場合、「実質的な相同性」という用語は、2つのポリペプチド、またはそれらの指定された配列が、最適にアラインされ比較された場合、適切なアミノ酸の挿入または欠失を伴って、アミノ酸の少なくとも約80%、少なくとも約90%~95%、またはアミノ酸の少なくとも約98%~99.5%で同一であることを示す。
【0049】
2つの配列間の同一性パーセントは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要のあるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮した、配列に共通する同一の位置の数の関数(すなわち、相同性%=同一の位置の数/位置の総数×100)である。2つの配列間の配列の比較及び同一性パーセントの決定は、例えば以下の非限定的な例に記載されるような数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。
【0050】
2つのヌクレオチド配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(worldwideweb.gcg.comで入手可能)のGAPプログラムを使用し、NWSgapdna.CMPマトリックスと40、50、60、70、または80のギャップ加重及び1、2、3、4、5、または6の長さ加重を使用して決定することができる。2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列間の同一性パーセントは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれているE.Meyers and W.Miller(CABIOS,4:11-17(1989))のアルゴリズムを使用して、PAM120加重残基表、ギャップ長ペナルティ12及びギャップペナルティ4を使用して決定することもできる。加えて、2つのアミノ酸配列間の同一性パーセントは、GCGソフトウェアパッケージ(worldwideweb.gcg.comで入手可能)のGAPプログラムに組み込まれているNeedleman and Wunsch(J.Mol.Biol.(48):444-453(1970))アルゴリズムを使用して、Blossum 62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれかと、16、14、12、10、8、6、または4のギャップ加重及び1、2、3、4、5、または6の長さ加重を使用して決定することができる。
【0051】
本明細書に記載の核酸及びタンパク質配列をさらに、例えば、関連する配列を同定するために公共データベースに対して検索を行うための「クエリ配列」として使用することができる。このような検索は、Altschul,et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403-10のNBLAST及びXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して実行することができる。BLASTヌクレオチド検索は、本明細書に記載の核酸分子に相同なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で実行することができる。BLASTタンパク質検索は、本明細書に記載のタンパク質分子に相同なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で実行することができる。比較目的でギャップ付きのアラインメントを得るために、Altschul et al.,(1997)Nucleic Acids Res.25(17):3389-3402に記載されている通りに、Gapped BLASTを利用することができる。BLAST及びGapped BLASTプログラムを利用する場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLAST及びNBLAST)のデフォルトのパラメータを使用することができる。worldwideweb.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。
【0052】
本明細書で使用する場合、「エフェクター機能」という用語は、分化した免疫細胞の特化された機能を意味する。例えば、T細胞のエフェクター機能は、細胞溶解活性またはサイトカインの分泌を含むヘルパー活性であり得る。ナイーブT細胞、メモリーT細胞、またはメモリー型T細胞のエフェクター機能は、抗原依存性増殖を含むこともある。
【0053】
本明細書で使用する「フラトリサイド」という用語は、CAR-T細胞またはiNKT-CAR細胞が、CAR-TまたはiNKT-CAR細胞の標的と同じキメラ抗原受容体を含む別のCAR-T細胞またはiNKT-CAR細胞の標的となって殺滅されるときに起こるプロセスを意味し、これは、標的となる細胞が、両方の細胞のキメラ抗原受容体によって特異的に認識される抗原を発現するために起こる。キメラ抗原受容体が特異的に結合する抗原が欠損している、キメラ抗原受容体を含むCAR-T細胞またはiNKT-CARは、「フラトリサイド耐性」となる。
【0054】
本明細書で使用する「免疫細胞」という用語は、免疫応答に関与する細胞を意味する。したがって、いくつかの態様において、本開示で有用な免疫細胞は、固形腫瘍の治療及び/または根絶に関与し得る(例えば、抗腫瘍活性を有する)細胞である。いくつかの態様において、免疫細胞は、リンパ球、好中球、単球、マクロファージ、樹状細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。ある特定の態様において、リンパ球は、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、リンホカイン活性化キラー細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様において、リンパ球はT細胞である。いくつかの態様において、リンパ球はNKT細胞(例えば、インバリアントNKT細胞)である。
【0055】
本明細書に記載されるように、本開示で有用な免疫細胞は改変されている(すなわち、改変免疫細胞)。本明細書で使用する場合、「改変免疫細胞」という用語は、細胞が、対応する未改変免疫細胞には存在しない1以上の特性を呈するように、変化している(例えば、遺伝子的に)免疫細胞を意味する。例えば、いくつかの態様において、免疫細胞は、本明細書で開示されるキメラ抗原受容体を発現するように改変されている(例えば、CAR-T細胞またはiNKT-CAR細胞)。いくつかの態様において、免疫細胞は、トランスジェニックT細胞受容体を発現するように改変されている(例えば、操作されたT細胞)。本明細書で使用する場合、「トランスジェニックT細胞受容体」という用語は、改変されているT細胞受容体(TCR)で、対応する未改変TCRと1以上の特性において異なるようになっているTCRを意味する。例えば、いくつかの態様において、トランスジェニックT細胞受容体は、TCRを天然に発現しない免疫細胞で発現する(例えば、抗原Aに特異的なトランスジェニックTCRが、抗原Bに特異的なT細胞で発現する)。いくつかの態様において、トランスジェニックTCRは、標的抗原(例えば、固形腫瘍抗原)に対して所望の親和性で特異的に結合するよう操作されている。いくつかの態様において、トランスジェニックTCRは、標的抗原に対して所望の親和性を有し、TCRを天然に発現しない免疫細胞で発現するTCRを指し得る。免疫細胞に行うことのできるさらなる改変(例えば、フラトリサイド耐性)については、本開示の他の箇所で提示する。
【0056】
本明細書で使用する「ベクター」という用語は、連結している別の核酸を輸送することが可能な核酸分子を意味することが意図される。ベクターの一種には「プラスミド」があり、これは、追加のDNAセグメントがライゲートされ得る環状二本鎖DNAループを意味する。別の種類のベクターはウイルスベクターであり、ウイルスベクターの場合、追加のDNAセグメントがウイルスゲノムにライゲートされ得る。ある特定のベクターは、導入された宿主細胞において自律複製を行うことができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入されると宿主細胞のゲノムに組み込まれることができ、それによって宿主ゲノムと共に複製される。さらに、ある特定のベクターは、動作可能に連結した遺伝子の発現を指示することができる。かかるベクターは、本明細書では「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と称される。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、多くの場合、プラスミドの形態である。プラスミドは最も一般的に使用される形態のベクターであるため、本明細書において「プラスミド」及び「ベクター」は同義に使用され得る。しかしながら、均等な機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)のような他の形態の発現ベクターも含まれる。
【0057】
本明細書で使用する「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)という用語は、細胞に天然に存在しない核酸を含む細胞を意味するよう意図され、組換え発現ベクターが導入されている細胞であってもよい。かかる用語は、特定の対象細胞だけでなく、かかる細胞の子孫も意味するよう意図されることを理解されたい。変異または環境的影響のいずれかに起因して、後続世代においてある特定の改変が生じ得るため、かかる子孫は、実際には、親細胞と同一でない場合があるが、本明細書で使用する「宿主細胞」という用語の範囲に依然として含まれる。
【0058】
本明細書で使用する場合、「連結した」という用語は、2つ以上の分子の会合を意味する。この結合は、共有結合性であっても非共有結合性であってもよい。この結合は、遺伝子学的な(すなわち、組換え的に融合された)ものであってもよい。このような結合は、化学的コンジュゲーション及び組換えタンパク質の産生といった、当該技術分野で認識されている広範な技術を使用して実現することができる。
【0059】
「がん」とは、体内の異常細胞の成長がコントロールされないことを特徴とする様々な疾患の広範な群を意味する。細胞の分裂及び成長が制御されないことによって悪性腫瘍が形成され、隣接組織に浸潤し、リンパ系または血流を通って身体の遠位部に転移する場合もある。本開示で治療され得るがんには、固形腫瘍に関連するものが含まれる。
【0060】
本明細書で使用する場合、「固形腫瘍」という用語は、通常は嚢胞または液状領域を含まない異常な組織塊を意味する。異なるタイプの固形腫瘍が、それらを形成する特定の細胞にちなんで名付けられており、例えば、肉腫は結合組織細胞(例えば、軟骨または脂肪)から形成され、癌腫は上皮組織細胞(例えば、乳房、結腸、または膵臓)から形成され、リンパ腫はリンパ組織細胞(例えば、リンパ節、脾臓、または胸腺)から形成される。本明細書に記載されるように、本開示は、あらゆるタイプの固形腫瘍を治療するために使用され得る。いくつかの態様において、がんは、原発性癌、転移癌、及び/または再発癌を含む。
【0061】
「融合タンパク質」という用語は、元々別々のタンパク質をコードしていた2つ以上の遺伝子の結合によって作出されるタンパク質を意味する。この融合遺伝子の翻訳により、元のタンパク質の各々に由来する機能的特性を備えた単一のポリペプチドまたは複数のポリペプチドがもたらされる。いくつかの態様において、2つ以上の遺伝子は、そのヌクレオチド配列に置換、欠失、及び/または付加を含み得る。
【0062】
「Fc受容体」または「FcR」は、免疫グロブリンのFc領域に結合する受容体である。IgG抗体に結合するFcRは、これらの受容体の対立遺伝子バリアント及び選択的スプライシング型を含め、FcγRファミリーの受容体を含む。FcγRファミリーは、3つの活性化受容体(マウスではFcγRI、FcγRIII、及びFcγRIV;ヒトではFcγRIA、FcγRIIA、及びFcγRIIIA)及び1つの阻害性受容体(FcγRIIB)からなる。ヒトFcγRの様々な特性が当該技術分野で知られている。先天性エフェクター細胞型の大部分は1以上の活性化FcγR及び阻害性FcγRIIBを共発現するのに対し、ナチュラルキラー(NK)細胞は、1つの活性化Fc受容体(マウスではFcγRIII、ヒトではFcγRIIIA)を選択的に発現するが、マウス及びヒトの阻害性FcγRIIBを選択的に発現しない。ヒトIgG1は、ほとんどのヒトFc受容体に結合し、結合する活性化Fc受容体のタイプに関してマウスIgG2aと均等であると考えられている。
【0063】
「Fc領域」(断片結晶化可能領域)または「Fcドメイン」または「Fc」は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)上に位置するFc受容体または古典的補体系の第1成分(C1q)への結合を含め、宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介する、抗体の重鎖のC末端領域を意味する。したがって、Fc領域は、第1の定常領域免疫グロブリンドメイン(例えば、CH1またはCL)を除く抗体の定常領域を含む。IgG、IgA及びIgDの抗体アイソタイプでは、Fc領域は、抗体の2つの重鎖の第2(CH2)及び第3(CH3)の定常ドメインに由来する2つの同一のタンパク質断片を含み、IgM及びIgEのFc領域は、3つの重鎖定常ドメイン(CHドメイン2~4)を各ポリペプチド鎖に含む。IgGの場合、Fc領域は、免疫グロブリンドメインのCH2及びCH3、ならびにCH1ドメインとCH2ドメインとの間のヒンジを含む。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界の定義は、本明細書で定義するように様々であり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、IgG1ではアミノ酸残基D221、IgG2ではV222、IgG3ではL221、そしてIgG4ではP224から、重鎖のカルボキシ末端まで広がると定義され、ここで付番は、Kabatと同様にEUインデックスに従う。ヒトIgG Fc領域のCH2ドメインは、アミノ酸237からアミノ酸340まで延び、CH3ドメインは、Fc領域内のCH2ドメインのC末端側に位置している。すなわち、IgGのアミノ酸341からアミノ酸447もしくは446(C末端リジン残基が存在しない場合)または445(C末端グリシン及びリジン残基が存在しない場合)まで延びる。本明細書で使用する場合、Fc領域は、あらゆるアロタイプバリアントを含む天然配列Fcであっても、バリアントFc(例えば、天然に存在しないFc)であってもよい。Fcは、この領域を、単独で、または「Fc融合タンパク質」(例えば、抗体またはイムノアドヘシン)とも称される「Fc領域を含む結合性タンパク質」といった、Fcを含むタンパク質ポリペプチドとの関連で意味する場合もある。
【0064】
「天然配列Fc領域」または「天然配列Fc」は、天然に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列ヒトFc領域には、天然配列ヒトIgG1 Fc領域、天然配列ヒトIgG2 Fc領域、天然配列ヒトIgG3 Fc領域、及び天然配列ヒトIgG4 Fc領域、ならびにそれらの天然に存在するバリアントが含まれる。天然配列Fcには、Fcの様々なアロタイプが含まれる(例えば、Jefferis et al.(2009)mAbs 1:1を参照されたい)。
【0065】
さらに、本開示のFc(天然またはバリアント)は、天然形態と比較して、天然の糖鎖、増大した糖鎖、もしくは減少した糖鎖を有する形態であってもよく、または脱グリコシル化形態であってもよい。免疫グロブリンのFc糖鎖は、化学的方法、酵素的方法、及び微生物を使用する遺伝子操作方法などの従来の方法によって改変することができる。Fc断片から糖鎖を除去すると、補体第1成分C1のC1q部分への結合親和性が大幅に減少し、ADCCまたはCDCが減少または喪失するため、in vivoで不要な免疫応答が誘導されることはない。これに関して、脱グリコシル化または非グリコシル化形態の免疫グロブリンFc領域は、薬物担体としての本開示の目的により好適であり得る。本明細書で使用する場合、「脱グリコシル化」という用語は、糖がFc断片から酵素的に除去されているFc領域を意味する。さらに、「非グリコシル化」という用語は、Fc断片が、原核生物により、好ましくはE.coliにおいて、グリコシル化されていない形態で産生されることを意味する。
【0066】
本明細書で使用する場合、「免疫応答」という用語は、外来作用物質に対する脊椎動物における生物学的応答であり、これらの作用物質及びそれらに起因する疾患から生物を保護する応答を意味する。免疫応答は、免疫系細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、マスト細胞、樹状細胞または好中球)、及びこれらの細胞のいずれかまたは肝臓で産生される可溶性高分子(抗体、サイトカイン、及び補体を含む)の作用によって媒介され、脊椎動物の身体において、侵入病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、がん細胞もしくは他の異常細胞、または、自己免疫もしくは病的炎症の場合は、正常なヒトの細胞もしくは組織の選択的標的化、結合、損傷、破壊、及び/または排除をもたらすものである。免疫反応には、例えば、T細胞、例えば、CD4もしくはCD8T細胞などのエフェクターT細胞もしくはTh細胞の活性化もしくは阻害、またはTreg細胞の阻害が含まれる。
【0067】
「免疫調節剤」または「免疫制御剤」は、免疫応答の調節、制御、または改変に関与し得る薬剤、例えば、シグナル伝達経路の構成要素を意味する。免疫応答の「調節」、「制御」、または「改変」とは、免疫系の細胞またはかかる細胞(例えば、エフェクターT細胞)の活性における任意の変化を意味する。そのような調節には、様々な細胞型の数の増大もしくは減少、これらの細胞の活性の増大もしくは減少、または免疫系内で起こり得る任意の他の変化によって現れ得る、免疫系の刺激または抑制が含まれる。阻害性と刺激性の両方の免疫調節剤が同定されており、そのいくつかは、腫瘍微小環境で向上した機能を有し得る。好ましい態様において、免疫調節剤は、T細胞の表面に位置する。「免疫調節性標的」または「免疫制御性標的」とは、物質、薬剤、部分、化合物、または分子による結合の標的となり、その結合によって活性が変化する免疫調節剤である。免疫調節性標的には、例えば、細胞表面上の受容体(「免疫調節性受容体」)及び受容体リガンド(「免疫調節性リガンド」)が含まれる。
【0068】
「免疫療法」という用語は、免疫応答を誘導する、向上させる、抑制する、または別様に改変することを含む方法による、疾患に罹患しているか、または疾患の罹患リスクもしくは再発リスクがある対象の治療を意味する。対象の「治療」または「療法」とは、症状、合併症もしくは病態、または疾患に関連する生化学的兆候の発生、進行、発達、重篤度もしくは再発を逆転、軽減、回復、阻害、緩徐化、または防止する目的で、対象に対して行われる任意のタイプの介入もしくはプロセス、または対象に対する活性剤の投与を意味する。
【0069】
「免疫刺激療法」または「免疫刺激性療法」は、例えば、がんを治療するために、対象の免疫応答を増大させる(誘導または向上させる)結果となる療法を意味する。
【0070】
「エフェクターT細胞」(Teff)という用語は、細胞溶解活性を有するT細胞(例えば、CD4及びCD8T細胞)、ならびにサイトカインを分泌して他の免疫細胞を活性化し誘導するTヘルパー(Th)細胞を意味するが、制御性T細胞(Treg細胞)は含まない。いくつかの態様において、IL-7タンパク質とCAR保有免疫細胞の集団との組み合わせは、対象の固形腫瘍における、Teff細胞、例えば、CD4及びCD8T細胞を活性化させ、及び/またはその頻度を増大させることができる。いくつかの態様において、IL-7タンパク質とトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団との組み合わせは、対象の固形腫瘍における、Teff細胞、例えば、CD4及びCD8T細胞を活性化させ、及び/またはその頻度を増大させることができる。
【0071】
本明細書で使用する場合、「制御性T細胞」(Treg)という用語は、エフェクターT細胞の誘導及び増殖を低減または抑制し、これによって免疫応答を調節する能力を有するT細胞の集団を意味する。いくつかの態様において、Tregは、ナイーブT細胞の活性化及びエフェクターT細胞への分化を妨げ得る、IL-10、TGF-β、及びIL-35などの抗炎症性サイトカインの分泌により、免疫応答を抑制し得る。いくつかの態様において、Tregは、エフェクターT細胞のアポトーシスを誘導し得るグランザイムBなどの細胞溶解性分子を産生することもできる。いくつかの態様において、制御性T細胞は、内在性制御性T細胞(nTreg)である(すなわち、胸腺内で発達する)。いくつかの態様において、制御性T細胞は、誘導性制御性T細胞(iTreg)(すなわち、ある特定の刺激に曝露されると末梢組織でTregに分化するナイーブT細胞)である。Tregを同定する方法は、当該技術分野で知られている。例えば、Tregは、フローサイトメトリーを使用して測定できるある特定の表現型マーカー(例えば、CD25、Foxp3、またはCD39)を発現する。例えば、国際公開第WO2017/062035号A1、Gu J.,et al.,Cell Mol Immunol 14(6):521-528(2017)を参照されたい。いくつかの態様において、Tregは、CD45RACD39T細胞である。
【0072】
本明細書で使用する場合、「腫瘍浸潤リンパ球」または「TIL」という用語は、末梢から(例えば、血液から)腫瘍中に遊走したリンパ球(例えば、エフェクターT細胞)を意味する。いくつかの態様において、腫瘍浸潤リンパ球はCD4+TILである。いくつかの態様において、腫瘍浸潤リンパ球はCD8+TILである。
【0073】
免疫応答または免疫系を刺激する能力の増大は、T細胞共刺激受容体のアゴニスト活性の向上及び/または抑制性受容体のアンタゴニスト活性の向上に起因し得る。免疫応答または免疫系を刺激する能力の増大は、免疫応答を測定するアッセイ、例えば、サイトカインまたはケモカインの放出、細胞溶解活性(標的細胞で直接的に、またはCD107aもしくはグランザイムを検出することによって間接的に決定される)、及び増殖の変化を測定するアッセイにおける、EC50または最大活性レベルの増大倍率に反映され得る。免疫応答または免疫系の活性を刺激する能力は、少なくとも10%、30%、50%、75%、2倍、3倍、5倍、またはそれ以上向上し得る。
【0074】
本明細書で使用する場合、「インターロイキン-7」または「IL-7」という用語は、IL-7ポリペプチド、ならびに、例えば、IL-7受容体結合親和性の標準的なバイオアッセイまたはアッセイにおいて、野生型成体哺乳動物IL-7タンパク質と実質的なアミノ酸配列同一性を有し、かつ実質的に均等な生物学的活性を有する、その誘導体及び類似体を意味する。本開示で使用することのできるIL-7タンパク質に関するさらなる開示は、本明細書の他の箇所で提供する。
【0075】
IL-7タンパク質の「バリアント」は、1以上のアミノ酸によって変化しているアミノ酸配列と定義される。バリアントは、置換されたアミノ酸が同様の構造特性または化学特性を有する、例えば、ロイシンのイソロイシンでの置き換えのような、「保存的」変化を有し得る。さほど一般的ではないが、バリアントは、「非保存的」変化、例えば、グリシンのトリプトファンでの置き換えを有してもよい。同様のマイナーな変化には、アミノ酸の欠失もしくは挿入、またはその両方も含まれ得る。生物学的活性を損なうことなく置換、挿入、または欠失できるアミノ酸残基の種類及び数を決定する際の指針は、当該技術分野で周知のコンピュータプログラム、例えば分子モデリングまたはアラインメント生成のためのソフトウェアを使用して見出すことができる。本開示に含まれるバリアントIL-7タンパク質は、IL-7活性を保持するIL-7タンパク質を含む。タンパク質が実質的に均等な生物学的IL-7活性を保持する限り、付加、置換、または欠失も含むIL-7ポリペプチドも本開示に含まれる。例えば、完全長型のIL-7タンパク質と同等の生物学的活性を保持するIL-7のトランケーションが本開示に含まれる。いくつかの態様において、バリアントIL-7タンパク質はまた、野生型IL-7と少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約93%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、またはそれ以上の配列同一性を有するポリペプチドを含む。
【0076】
本明細書で使用する場合、「シグナル配列」または同等に「シグナルペプチド」という用語は、生物活性分子薬及び融合タンパク質の分泌を指示する断片を指し、宿主細胞で翻訳された後に切断される。本明細書で使用するシグナル配列は、小胞体(ER)膜を貫通するタンパク質の移動を開始させるアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドである。有用なシグナル配列には、抗体軽鎖シグナル配列、例えば、抗体14.18(Gillies et al..,J.Immunol.Meth 1989.125:191-202)、抗体重鎖シグナル配列、例えば、MOPC141抗体重鎖シグナル配列(Sakano et al.,Nature,1980.286:676-683)、及び当該技術分野で知られている他のシグナル配列(例えば、Watson et al.,Nucleic Acid Research,1984.12:5145-5164を参照されたい)が含まれる。シグナルペプチドの特徴は当該技術分野で周知であり、シグナルペプチドは従来16~30個のアミノ酸を有するが、より多いまたはより少ない数のアミノ酸残基を含んでもよい。従来のシグナルペプチドは、塩基性のN末端領域、中央の疎水性領域、及びより極性のC末端領域の3領域からなる。
【0077】
「対象」には、あらゆるヒトまたは非ヒト動物が含まれる。「非ヒト動物」という用語は、非ヒト霊長動物、ヒツジ、イヌ、ならびにマウス、ラット、及びモルモットなどの齧歯動物といった脊椎動物を含むが、これらに限定されない。いくつかの態様において、対象はヒトである。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書では同義に使用される。
【0078】
「治療有効量」または「治療上有効な投与量」という用語は、所望の生物学的結果、治療結果、及び/または予防結果をもたらす薬剤の量を意味する。その結果は、疾患の徴候、症状、もしくは原因のうちの1以上の低減、回復、緩和、減弱、遅延、及び/または軽減、または生物学的システムの任意の他の所望の変化であり得る。固形腫瘍に関して、有効量は、腫瘍を縮小させる及び/または腫瘍の成長速度を減少させる(例えば、腫瘍成長を抑制する)、または他の望ましくない細胞増殖を防止もしくは遅延させるのに十分な量を含む。いくつかの態様において、有効量は、腫瘍の発達を遅延させるのに十分な量である。いくつかの態様において、有効量は、腫瘍の再発を防止または遅延させるのに十分な量である。有効量は、1回以上の投与で投与することができる。有効量の薬物または組成物は、(i)がん細胞の数を低減させ、(ii)腫瘍サイズを縮小し、(iii)末梢器官へのがん細胞の浸潤を阻害し、遅らせ、ある程度緩徐化し、停止する場合もあり、(iv)腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度緩徐化し、停止する場合もあり、(v)腫瘍成長を阻害し、(vi)腫瘍の発生及び/または再発を防止もしくは遅延させ、及び/または(vii)がんに関連する症状のうちの1以上をある程度軽減することができる。いくつかの態様において、「治療有効量」は、進行固形腫瘍などのがんの著しい減少またはがんの進行の緩徐化(退行)に影響することが臨床的に証明されている、IL-7タンパク質の量と、本明細書で開示される改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団の量との組み合わせである。疾患退行を促進する治療剤の能力は、熟練した医師に知られている種々の方法を使用して、例えば、臨床試験中のヒト対象で、ヒトにおける効力を予測する動物モデル系で、またはin vitroアッセイで薬剤の活性をアッセイすることで評価することができる。
【0079】
「投薬頻度」という用語は、治療剤(例えば、IL-7タンパク質、CAR保有免疫細胞の集団、またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団)が特定の期間内に対象に投与される回数を意味する。投薬頻度は、例えば、1日1回、1週間に1回、または2週間に1回など、所与の時間当たりの投薬回数として示すことができる。本明細書で使用する場合、「投薬頻度」は、対象が治療剤の複数(または反復)投与を受ける場合に適用可能である。
【0080】
本明細書で使用する場合、「標準治療」という用語は、ある特定の種類の疾患に適切な治療として医療専門家に認められており、医療従事者によって広く使用されている治療を意味する。この用語は、次の用語:「ベストプラクティス」、「標準的医療」、及び「標準療法」のいずれとも同義に使用され得る。
【0081】
例として、「抗がん剤」は、対象のがんの退行を促進するか、またはさらなる腫瘍成長を防止する。ある特定の態様において、治療有効量の薬物は、がんを消失させるまでに、がんの退行を促進する。「がんの退行を促進する」とは、有効量の薬物を単独で、または抗新生物剤と組み合わせて投与することにより、腫瘍の成長またはサイズの低減、腫瘍の壊死、少なくとも1つの疾患症状の重症度の低下、疾患の無症状期間の頻度増大及び期間延長、または疾患の罹患による機能障害もしくは能力障害の防止をもたらすことを意味する。さらに、治療に関する「有効」及び「有効性」という用語は、薬理学的有効性と生理学的安全性の両方を含む。薬理学的有効性とは、患者のがんの退行を促進する薬物の能力を意味する。生理学的安全性とは、薬物の投与に起因する、細胞、器官、及び/または生物のレベルでの毒性または他の有害な生理学的効果(有害作用)のレベルを意味する。
【0082】
例として、固形腫瘍の治療において、治療有効量の抗がん剤は、未治療の対象と比して、またはある特定の態様では、標準治療療法で治療された患者と比して、細胞成長または腫瘍成長を少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、または少なくとも約80%阻害することができる。いくつかの態様において、少なくとも約20日、少なくとも約40日、または少なくとも約60日の期間にわたり、固形腫瘍の退行が観察され、継続し得る。治療有効性のこれらの最終的な測定値にかかわらず、免疫療法薬の評価は、「免疫関連」応答パターンも考慮に入れなければならない。
【0083】
本明細書で使用する場合、「免疫チェックポイント阻害剤」という用語は、1以上の免疫チェックポイントタンパク質を完全または部分的に低減させる、阻害する、妨げる、または調節する分子を意味する。免疫チェックポイントタンパク質は、T細胞の活性化または機能を制御する。CTLA-4ならびにそのリガンドのCD80及びCD86、ならびにPD-1とそのリガンドのPD-L1及びPD-L2など、多数のチェックポイントタンパク質が公知である。Pardoll,D.M.,Nat Rev Cancer 12(4):252-64(2012)。これらのタンパク質は、T細胞応答の共刺激性相互作用または阻害性相互作用の原因である。免疫チェックポイントタンパク質は、自己寛容性、ならびに生理学的免疫応答の期間及び程度を制御し、維持する。免疫チェックポイント阻害剤は、抗体を含むか、または抗体に由来する。
【0084】
本明細書で使用する「参照」という用語は、IL-7タンパク質と、本明細書で開示される改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団との組み合わせを受けなかった対応する対象(例えば、固形腫瘍を有する対象)、例えば、IL-7タンパク質単独、またはCAR保有免疫細胞もしくはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団単独を受けた対象を意味する。いくつかの態様において、参照対象は、IL-7タンパク質も、改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団も受けなかったものである。「参照」という用語は、同じがん対象だが、本明細書で開示される併用療法(すなわち、CAR保有免疫細胞またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質)の投与前を意味する場合もある。ある特定の態様において、「参照」という用語は、対象(例えば、固形腫瘍を有する対象)の集団の平均を意味する。
【0085】
本明細書で使用する場合、「ug」及び「uM」という用語は、それぞれ、「μg」及び「μΜ」と同義に使用される。
【0086】
本明細書に記載される様々な態様を、下記のサブセクションでさらに詳細に説明する。
【0087】
II.本開示の方法
本開示は、固形腫瘍(または固形腫瘍に関連するがん)の治療を、それを必要とする対象において行う方法であって、有効量のインターロイキン-7(IL-7)タンパク質を、有効量の、本明細書で開示される改変免疫細胞(例えば、キメラ抗原受容体(CAR)保有免疫細胞またはトランスジェニックT細胞受容体(TCR)保有免疫細胞)の集団と組み合わせて、対象に投与することを含む方法を対象とする。本明細書に記載されるように、本開示で有用なCAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞は、固形腫瘍で発現する抗原(すなわち、固形腫瘍抗原)に結合することができる。使用することのできる例示的なIL-7タンパク質及び改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及びトランスジェニックTCR保有免疫細胞)に関するさらなる開示は、本開示の他の箇所で提供する。
【0088】
いくつかの態様において、固形腫瘍の治療は、固形腫瘍のサイズ(すなわち、腫瘍体積)を低減させることを含む。ある特定の態様において、固形腫瘍を有する対象にCAR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質を投与することは、腫瘍体積を、参照腫瘍体積(例えば、IL-7タンパク質単独またはCAR保有免疫細胞の集団単独のいずれかを受けた対応する対象における腫瘍体積)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少させ得る。ある特定の態様において、固形腫瘍を有する対象にトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質を投与することは、腫瘍体積を、参照腫瘍体積(例えば、IL-7タンパク質単独またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団単独のいずれかを受けた対応する対象における腫瘍体積)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約100%減少させ得る。
【0089】
いくつかの態様において、固形腫瘍の治療は、固形腫瘍を有する対象の生存期間を延長させる(すなわち、増大させる)ことを含む。ある特定の態様において、固形腫瘍を有する対象にCAR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質を投与することは、対象の生存期間を、参照生存期間(例えば、IL-7タンパク質単独またはCAR保有免疫細胞単独のいずれかを受けた対応する対象における生存期間)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、または少なくとも約200%、またはそれ以上増大させ得る。いくつかの態様において、対象の(すなわち、CAR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質で治療された)生存期間は、少なくとも約10日、少なくとも約20日、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、または少なくとも約1年、またはそれ以上増大する。
【0090】
いくつかの態様において、固形腫瘍を有する対象にトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質を投与することは、対象の生存期間を、参照生存期間(例えば、IL-7タンパク質単独またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団単独のいずれかを受けた対応する対象における生存期間)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、または少なくとも約200%、またはそれ以上増大させ得る。いくつかの態様において、対象の(すなわち、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質で治療された)生存期間は、少なくとも約10日、少なくとも約20日、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、または少なくとも約1年、またはそれ以上増大する。
【0091】
いくつかの態様において、本開示の併用療法(すなわち、改変免疫細胞、例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質)を投与することは、固形腫瘍を有する対象の無増悪生存期間を増大させる。本明細書で使用する場合、「無増悪生存期間」という用語は、疾患の(例えば、本明細書で開示される改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団と組み合わせたIL-7タンパク質の投与による)治療の間または後に、対象が疾患を有するものの悪化せずに生存する(例えば、腫瘍のサイズが大きくならない)期間を意味する。いくつかの態様において、本明細書で開示される併用療法を投与した後、対象の無増悪生存期間は、参照対象(例えば、IL-7タンパク質単独または改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)単独のいずれかを受けた対応する対象)と比較して、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、または少なくとも約1年増大する。
【0092】
いくつかの態様において、本明細書で開示される併用療法(すなわち、改変免疫細胞、例えば、CAR保有免疫細胞またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質)を投与する、本明細書で開示される方法は、対象群における奏効率を効果的に増大させる。例えば、対象群における奏効率は、参照対象(例えば、IL-7タンパク質単独または改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団単独で治療された対応する対象)と比較して、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%、またはそれ増大する。
【0093】
いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質を投与することは、固形腫瘍を有する対象におけるCAR保有免疫細胞の抗腫瘍活性を向上及び/または改善させ得る。ある特定の態様において、CAR保有免疫細胞の抗腫瘍活性は、参照(例えば、IL-7タンパク質単独またはCAR保有免疫細胞単独のいずれかを受けた対応する対象における抗腫瘍活性)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、またはそれ以上増大する。
【0094】
いくつかの態様において、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質を投与することは、固形腫瘍を有する対象におけるトランスジェニックTCR保有免疫細胞の抗腫瘍活性を向上及び/または改善させ得る。ある特定の態様において、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の抗腫瘍活性は、参照(例えば、IL-7タンパク質単独またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞単独のいずれかを受けた対応する対象における抗腫瘍活性)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、またはそれ以上増大する。
【0095】
いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞の抗腫瘍活性及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の抗腫瘍活性は、対象における固形腫瘍のサイズ(すなわち、腫瘍体積)を低減させる能力を含む。いくつかの態様において、抗腫瘍活性は、固形腫瘍を有する対象の生存期間を延長させる能力を含む。いくつかの態様において、抗腫瘍活性は、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞が(例えば、同族抗原による刺激を介して)活性化した際にエフェクター機能を呈する能力を含む。本明細書で使用する場合、「エフェクター機能」という用語は、固形腫瘍の根絶及び/または殺滅に役立ち得る、活性化された細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の1以上の特性を意味する。エフェクター機能の非限定的な例としては、増殖、細胞溶解性分子(例えば、パーフォリンまたはグランザイム)の発現、サイトカイン(例えば、TNF-α、IFN-γ、及び/またはIL-2)の産生、腫瘍組織への輸送、免疫チェックポイント阻害性シグナル伝達(例えば、PD-1、LAG-3、TIM-3、またはCTLA-4)の減衰及び/または抵抗、あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0096】
当業者には明らかなように、本明細書で開示される改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の抗腫瘍活性は、当該技術分野で知られている任意の関連する方法によって測定され得る。例えば、腫瘍体積を低減させる及び/または対象の生存期間を延長させる改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはTCR-トランスジェニック免疫細胞)の能力は、実施例に記載するように測定することができる。エフェクター機能を呈する改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の能力は、フローサイトメトリー、ELISA、及び/またはELISPOTなどのアッセイを使用して測定することができる。
【0097】
本明細書に記載されるように、IL-7タンパク質(例えば、本明細書に記載されるもの)を、改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団と組み合わせて投与すると、対象における改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の増殖(proliferation)[すなわち、増殖(expansion)]が増大し得る。
【0098】
したがって、いくつかの態様において、本開示は、固形腫瘍を有する対象におけるCAR保有免疫細胞の増殖を増大させる方法であって、CAR保有免疫細胞の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて対象に投与することを含む方法を提供する。本明細書では、固形腫瘍を有する対象におけるトランスジェニックTCR保有免疫細胞の増殖を増大させる方法であって、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて対象に投与することを含む方法も提供される。ある特定の態様において、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の増殖は、投与後に、参照増殖(例えば、改変免疫細胞(すなわち、CAR保有免疫細胞またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団の投与のみを受けた対象における、対応する改変免疫細胞(すなわち、CAR保有免疫細胞またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の増殖)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、またはそれ以上増大する。
【0099】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるIL-7タンパク質は、固形腫瘍を有する対象において、改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団と組み合わせて投与すると、本明細書で開示される改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の生存率及び/または残存率を増大させるのに役立ち得る。ある特定の態様において、IL-7タンパク質と組み合わせて投与すると、改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の生存率及び/または残存率は、参照(例えば、改変免疫細胞の集団の投与のみを受けた対応する対象における改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の生存率及び/または残存率)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、またはそれ以上増大する。
【0100】
いくつかの態様において、上述の改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の増殖、生存率、及び/または残存率の増大は、固形腫瘍を有する対象に存在する改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の総数の増大をもたらし得る。ある特定の態様において、対象に存在する改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の総数は、参照(例えば、改変免疫細胞、例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団の投与のみを受けた対応する対象に存在する改変免疫細胞の総数)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、またはそれ以上増大する。
【0101】
当業者には明らかなように、利用可能な標準治療のがん治療(例えば、化学療法及び放射線療法)の多くがリンパ球減少症を引き起こすことが知られているため、多くのがん患者はリンパ球減少性である。したがって、本明細書で開示される方法は、リンパ球減少性の対象における固形腫瘍(または固形腫瘍に関連するがん)を治療するために使用することもできる。
【0102】
本明細書で使用する場合、「リンパ球減少性の対象」という用語は、リンパ球減少症を有する対象を意味する。本明細書で使用する場合、「リンパ球減少症(lymphopenia)」及び「リンパ球減少症(lymphocytopenia)」という用語は、同義に使用され、循環免疫細胞(例えば、リンパ球)の数が異常に低いことを特徴とする状態を意味する。リンパ球減少症を患う患者では、全てのタイプのリンパ球またはリンパ球の亜集団(例えば、CD4T細胞)の末梢循環が枯渇しているか、または異常に低い場合がある。例えば、Lymphopenia Description,The Merck Manual(18th Edition,2006,Merck&Co.)を参照されたい。いくつかの態様において、正常な対象(例えば、健康な個体)と比較して、リンパ球減少性の対象は、低減した数のT-リンパ球(「T-リンパ球減少症」)、B-リンパ球(「B-リンパ球減少症」)、及び/またはNK細胞(「NKリンパ球減少症」)を有する。
【0103】
定量的には、リンパ球減少症は様々なカットオフによって説明することができる。いくつかの態様において、リンパ球減少性の対象は、リンパ球減少症を呈さない対応する対象における循環血中総リンパ球数と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%少ない循環血中総リンパ球数を有する。いくつかの態様において、対象が約1,500リンパ球/μL未満、約1,000リンパ球/μL未満、約800リンパ球/μL未満、約500リンパ球/μL未満、または約200リンパ球/μL未満の循環血中総リンパ球数を有する場合、対象はリンパ球減少症を有する。
【0104】
リンパ球減少症には、広範な原因が考えられる。いくつかの態様において、リンパ球減少症は、腫瘍に起因または関連する。いくつかの態様において、リンパ球減少症は、腫瘍に対する以前の療法(例えば、化学療法または放射線療法)に起因または関連する。いくつかの態様において、リンパ球減少症は、ウイルス感染(例えば、HIVまたは肝炎感染)、細菌感染(例えば、活動性結核感染)、及び真菌感染を含む感染、右心室の慢性不全、ホジキン病及びリンパ系のがん、白血病、胸管の漏出または破裂、抗がん剤、抗ウイルス剤、及びグルココルチコイドを含む処方薬の副作用、低タンパク質の食事から生じる栄養失調、放射線療法、尿毒症、自己免疫障害、免疫不全症候群、高いストレスレベル、ならびに外傷に起因または関連する。
【0105】
いくつかの態様において、リンパ球減少症は特発性である(すなわち、病因が不明である)。特発性リンパ球減少症の非限定的な例としては、特発性CD4陽性T-リンパ球減少症(ICL)、急性放射線症候群(ARS)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0106】
本明細書に記載されるように、本明細書で開示される方法は、固形腫瘍(または固形腫瘍に関連するがん)を治療するために使用され得る。いくつかの態様において、固形腫瘍は、中皮腫、子宮頸癌、膵臓癌、卵巣癌、扁平上皮癌(例えば上皮扁平細胞癌)、肺癌(例えば、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌、肺腺癌及び肺扁平上皮癌)、皮膚癌(例えば、基底細胞癌(BCC)、皮膚扁平上皮癌(cSCC)、黒色腫、メルケル細胞癌(MCC))、腹膜癌、肝細胞癌、胃癌もしくは胃の癌(例えば、胃腸癌)、食道癌(例えば、食道胃接合部癌)、膵臓癌、脳癌(例えば、グリア芽細胞腫)、肝臓癌(例えば、肝細胞癌腫)、膀胱癌、肝細胞腫、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌(TNBC))、結腸癌、直腸癌、大腸癌、子宮体癌もしくは子宮癌、唾液腺癌、腎臓癌もしくは腎癌(例えば、腎細胞癌)、前立腺癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝癌、肛門癌、陰茎癌、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌)、またはそれらの任意の組み合わせに由来する。
【0107】
いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、転移癌、切除不能の難治性癌(例えば、以前のがん療法、例えば抗PD-1遮断抗体を用いる免疫療法などに対して、難治性のがん)、及び/または再発癌を治療するために使用することもできる。ある特定の態様において、以前のがん療法は、化学療法を含む。いくつかの態様において、化学療法は、白金ベースの療法を含む。いくつかの態様において、白金ベースの療法は、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、四硝酸トリプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、サトラプラチン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される白金ベースの抗新生物薬を含む。ある特定の態様において、白金ベースの療法はシスプラチンを含む。ある特定の態様において、白金ベースの療法はカルボプラチンを含む。
【0108】
いくつかの態様において、本明細書で開示される方法によって治療される対象は、1、2、3、4、5、またはそれ以上のがん治療を以前に受けている。いくつかの態様において、対象は、治療ナイーブである(すなわち、以前にがん治療を受けたことがない)。いくつかの態様において、対象は、他のがん治療において進歩したものである。ある特定の態様において、以前のがん治療は、免疫療法(例えば、抗PD-1抗体を用いる)を含んでいた。いくつかの態様において、以前のがん治療は、化学療法を含んでいた。いくつかの態様において、固形腫瘍は再発したものである。いくつかの態様において、固形腫瘍は転移性である。いくつかの態様において、固形腫瘍は転移性ではない。
【0109】
いくつかの態様において、本開示で治療され得る対象は、ラットまたはマウスなどの非ヒト動物を含む。いくつかの態様において、治療され得る対象はヒトである。
【0110】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるIL-7タンパク質の(例えば、ヒトに使用するための)単位用量は、0.001mg/kg~10mg/kgの範囲であり得る。ある特定の態様において、IL-7タンパク質の単位用量は、0.01mg/kg~2mg/kgの範囲である。いくつかの態様において、単位用量は、0.02mg/kg~1mg/kgの範囲である。単位用量は、治療される対象の疾患及び有害作用の存在によって異なり得る。
【0111】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるIL-7タンパク質は、体重ベースの用量で対象に投与され得る。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約20μg/kg~約600μg/kgの体重ベースの用量で投与され得る。ある特定の態様において、本開示のIL-7タンパク質は、約20μg/kg、約60μg/kg、約120μg/kg、約240μg/kg、約360μg/kg、約480μg/kg、または約600μg/kgの体重ベースの用量で投与され得る。
【0112】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるIL-7タンパク質は、約600μg/kg超の用量で対象に投与され得る。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約600μg/kg超、約700μg/kg超、約800μg/kg超、約900μg/kg超、約1,000μg/kg超、約1,100μg/kg超、約1,200μg/kg超、約1,300μg/kg超、約1,400μg/kg超、約1,500μg/kg超、約1,600μg/kg超、約1,700μg/kg超、約1,800μg/kg超、約1,900μg/kg、または約2,000μg/kg超の用量で対象に投与される。
【0113】
いくつかの態様において、本開示のIL-7タンパク質は、610μg/kg~約1,200μg/kg、650μg/kg~約1,200μg/kg、約700μg/kg~約1,200μg/kg、約750μg/kg~約1,200μg/kg、約800μg/kg~約1,200μg/kg、約850μg/kg~約1,200μg/kg、約900μg/kg~約1,200μg/kg、約950μg/kg~約1,200μg/kg、約1,000μg/kg~約1,200μg/kg、約1,050μg/kg~約1,200μg/kg、約1,100μg/kg~約1,200μg/kg、約1,200μg/kg~約2,000μg/kg、約1,300μg/kg~約2,000μg/kg、約1,500μg/kg~約2,000μg/kg、約1,700μg/kg~約2,000μg/kg、約610μg/kg~約1,000μg/kg、約650μg/kg~約1,000μg/kg、約700μg/kg~約1,000μg/kg、約750μg/kg~約1,000μg/kg、約800μg/kg~約1,000μg/kg、約850μg/kg~約1,000μg/kg、約900μg/kg~約1,000μg/kg、または約950μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。
【0114】
いくつかの態様において、本開示のIL-7タンパク質は、610μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、650μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約700μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約750μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約800μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約850μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約900μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約950μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、本明細書で開示されるIL-7タンパク質は、約1,000μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,050μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,100μg/kg~約1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,200μg/kg~約2,000μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,300μg/kg~約2,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,500μg/kg~約2,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,700μg/kg~約2,000μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約610μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約650μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約700μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。さらにある特定の態様では、IL-7タンパク質は、約750μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約800μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約850μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、本開示のIL-7タンパク質は、約900μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約950μg/kg~約1,000μg/kgの用量で投与される。
【0115】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約700μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約950μg/kg、約700μg/kg~約850μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、約700μg/kg~約800μg/kg、約800μg/kg~約900μg/kg、約750μg/kg~約850μg/kg、または約850μg/kg~約950μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約700μg/kg~約900μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約750μg/kg~約950μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約700μg/kg~約850μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約750μg/kg~約850μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約700μg/kg~約800μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約800μg/kg~約900μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約750μg/kg~約850μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約850μg/kg~約950μg/kgの用量で投与される。
【0116】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約650μg/kg、約680μg/kg、約700μg/kg、約720μg/kg、約740μg/kg、約750μg/kg、約760μg/kg、約780μg/kg、約800μg/kg、約820μg/kg、約840μg/kg、約850μg/kg、約860μg/kg、約880μg/kg、約900μg/kg、約920μg/kg、約940μg/kg、約950μg/kg、約960μg/kg、約980μg/kg、約1,000μg/kg、約1,020μg/kg、約1,020μg/kg、約1,040μg/kg、約1,060μg/kg、約1,080μg/kg、約1,100μg/kg、約1,120μg/kg、約1,140μg/kg、約1,160μg/kg、約1,180μg/kg、約1200μg/kg、約1,220μg/kg、約1,240μg/kg、約1,260μg/kg、約1,280μg/kg、約1,300μg/kg、約1,320μg/kg、約1,340μg/kg、約1,360μg/kg、約1,380μg/kg、約1,400μg/kg、約1,420μg/kg、約1,440μg/kg、約1,460μg/kg、約1,480μg/kg、約1,500μg/kg、約1,520μg/kg、約1,540μg/kg、約1,560μg/kg、約1,580μg/kg、約1,600μg/kg、約1,620μg/kg、約1,640μg/kg、約1,660μg/kg、約1,680μg/kg、約1,700μg/kg、約1,720μg/kg、約1,740μg/kg、約1,760μg/kg、約1,780μg/kg、約1,800μg/kg、約1,820μg/kg、約1,840μg/kg、約1,860μg/kg、約1,880μg/kg、約1,900μg/kg、約1,920μg/kg、約1,940μg/kg、約1,960μg/kg、約1,980μg/kg、または約2,000μg/kgの用量で投与される。
【0117】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約650μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、本明細書で開示されるIL-7タンパク質は、約680μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約720μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約740μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約750μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約760μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約780μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約800μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約820μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約840μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約850μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約860μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約880μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約900μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約920μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約940μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約950μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約960μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約980μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,000μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,020μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,040μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,060μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,080μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,100μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,120μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,140μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,160μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,180μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,200μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,220μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,260μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,280μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,300μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,320μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,340μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,360μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,380μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,400μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,420μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,440μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,460μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,480μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,520μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,540μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,560μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,580μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,600μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,620μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,640μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,660μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,680μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,700μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,720μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,740μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,760μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,780μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,800μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,820μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,840μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,860μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,880μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,900μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,920μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約1,940μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1,980μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約2,000μg/kgの用量で投与される。
【0118】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、一定用量で投与され得る。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約0.25mg~約9mgの一定用量で投与され得る。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約0.25mg、約1mg、約3mg、約6mg、または約9mgの一定用量で投与され得る。
【0119】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるIL-7タンパク質は、複数用量で対象に投与される(すなわち、反復投与)。ある特定の実施形態において、IL-7タンパク質は、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、少なくとも7回、少なくとも8回、少なくとも9回、または少なくとも10回、またはそれ以上対象に投与される。他の実施形態において、対象は、IL-7タンパク質の単回投与を(例えば、本明細書で開示される改変免疫細胞、例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団の投与の前に、それと同時に、またはその後に)受ける。
【0120】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1週間に1回、約2週間に1回、約3週間に1回、約4週間に1回、約5週間に1回、約6週間に1回、約7週間に1回、約8週間に1回、約9週間に1回、約10週間に1回、約11週間に1回、または約12週間に1回の投薬頻度で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、約10日に1回、約20日に1回、約30日に1回、約40日に1回、約50日に1回、約60日に1回、約70日に1回、約80日に1回、約90日に1回、または約100日に1回の投薬頻度で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、9週間に1回投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回投与される。
【0121】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約1週間、約2週間、約3週間、または約4週間の間隔で、約720μg/kgの量で2回以上投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約2週間、約3週間、約4週間、または約5週間の間隔で、約840μg/kgの量で2回以上投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、または約6週間の間隔で、約960μg/kgの量で2回以上投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、または約8週間の間隔で、約1200μg/kgの量で2回以上投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約2ヶ月、約8週間、約10週間、約12週間、または約3ヶ月の間隔で、約1440μg/kgの量で2回以上投与される。
【0122】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、1週間に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0123】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、2週間に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0124】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0125】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、4週間に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0126】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、5週間に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0127】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、6週間に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0128】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、7週間に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0129】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、8週間に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0130】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、9週間に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、9週間に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、9週間に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、9週間に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、9週間に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、9週間に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、9週間に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、9週間に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、3週間に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、9週間に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、9週間に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0131】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10週間に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0132】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、11週間に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0133】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、12週間に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0134】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、10日に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0135】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、20日に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0136】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、30日に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0137】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、40日に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0138】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、50日に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0139】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、60日に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0140】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、70日に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0141】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、80日に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0142】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、90日に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0143】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、60μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、120μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、240μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、720μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、960μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、1,200μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、1,300μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、1,400μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、1,420μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、1,440μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、1,460μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、1,480μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、1,500μg/kgの用量で投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、1,600μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、1,700μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、100日に1回の投薬頻度で、2,000μg/kgの用量で投与される。
【0144】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるIL-7タンパク質を、改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団と組み合わせて投与することで、臨床的効力を維持するために必要な改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団の用量(例えば、腫瘍体積を低減させる及び/または対象の生存期間を増大させるために必要な用量)を減少させることができる。したがって、いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞の集団の用量は、参照用量(例えば、単独で、または本開示のIL-7タンパク質以外の薬剤と組み合わせて投与されるときのCAR保有免疫細胞の集団の用量)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、またはそれ以上低減する。いくつかの態様において、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団の用量は、参照用量(例えば、単独で、または本開示のIL-7タンパク質以外の薬剤と組み合わせて投与されるときのトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団の用量)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、またはそれ以上低減する。
【0145】
いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞の集団の用量は、対象の体重1キログラム当たり約10,000,000個未満のCAR保有免疫細胞を含む。いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞の集団の用量は、対象の体重1キログラム当たり約1,000,000個未満のCAR保有免疫細胞を含む。いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞の集団の用量は、対象の体重1キログラム当たり約100,000個未満のCAR保有免疫細胞を含む。いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞の集団の用量は、対象の体重1キログラム当たり約50,000個未満のCAR保有免疫細胞を含む。いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞の集団の用量は、対象の体重1キログラム当たり約10,000個未満のCAR保有免疫細胞を含む。ある特定の態様において、CAR保有免疫細胞の集団の用量は、対象の体重1キログラム当たり約5,000個未満のCAR保有免疫細胞を含む。いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞の集団の用量は、対象の体重1キログラム当たり約2,500個未満のCAR保有免疫細胞を含む。いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞の集団の用量は、対象の体重1キログラム当たり約1,000個未満のCAR保有免疫細胞を含む。
【0146】
いくつかの態様において、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団の用量は、対象の体重1キログラム当たり約10,000,000個未満のトランスジェニックTCR保有免疫細胞を含む。いくつかの態様において、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団の用量は、対象の体重1キログラム当たり約1,000,000個未満のトランスジェニックTCR保有免疫細胞を含む。いくつかの態様において、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団の用量は、対象の体重1キログラム当たり約10,000個未満のトランスジェニックTCR保有免疫細胞を含む。いくつかの態様において、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団の用量は、対象の体重1キログラム当たり約50,000個未満のトランスジェニックTCR保有免疫細胞を含む。いくつかの態様において、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団の用量は、対象の体重1キログラム当たり約10,000個未満のトランスジェニックTCR保有免疫細胞を含む。ある特定の態様において、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団の用量は、対象の体重1キログラム当たり約5,000個未満のトランスジェニックTCR保有免疫細胞を含む。いくつかの態様において、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団の用量は、対象の体重1キログラム当たり約2,500個未満のトランスジェニックTCR保有免疫細胞を含む。いくつかの態様において、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団の用量は、対象の体重1キログラム当たり約1,000個未満のトランスジェニックTCR保有免疫細胞を含む。
【0147】
本明細書で開示されるIL-7タンパク質及び改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団は、任意の適切な投与経路によって固形腫瘍を有する対象に投与され得る。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、対象に、補足的投与、筋肉内投与、皮下投与、点眼、静脈内投与、腹腔内投与、皮内投与、眼窩内投与、脳内投与、頭蓋内投与、脊髄内投与、心室内投与、髄腔内投与、大槽内投与、嚢内投与、または腫瘍内投与される。いくつかの態様において、改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団は、静脈内投与される。
【0148】
いくつかの態様において、本明細書で開示される方法(例えば、改変免疫細胞、例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質を投与すること)は、1以上の追加の治療剤(例えば、抗がん剤及び/または免疫調節剤)と組み合わせて使用され得る。そのような薬剤には、例えば、化学療法薬、小分子薬、または所与のがんに対する免疫応答を刺激する抗体が含まれ得る。いくつかの態様において、本明細書に記載される方法は、標準治療の処置(例えば、手術、放射線、及び化学療法)と組み合わせて使用される。本明細書に記載される方法は、維持療法、例えば、固形腫瘍の発生または再発を防止することを目的とした療法として使用することもできる。
【0149】
いくつかの態様において、本開示で使用することのできる追加の治療剤は、免疫チェックポイント阻害剤を含む(すなわち、特定の免疫チェックポイント経路によるシグナル伝達を遮断する)。本願の方法で使用することのできる免疫チェックポイント阻害剤の非限定的な例は、CTLA-4アンタゴニスト(例えば、抗CTLA-4抗体)、PD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体)、TIM-3アンタゴニスト(例えば、抗TIM-3抗体)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0150】
いくつかの態様において、追加の治療剤は、免疫チェックポイント活性化因子を含む(すなわち、特定の免疫チェックポイント経路によるシグナル伝達を促進する)。ある特定の態様において、免疫チェックポイント活性化因子は、OX40アゴニスト(例えば、抗OX40抗体)、LAG-3アゴニスト(例えば抗LAG-3抗体)、4-1BB(CD137)アゴニスト(例えば、抗CD137抗体)、GITRアゴニスト(例えば、抗GITR抗体)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0151】
いくつかの態様において、本明細書で開示される併用療法(すなわち、改変免疫細胞、例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質)で治療される固形腫瘍を有する対象は、リンパ球枯渇剤でさらに治療されてもよい。リンパ球枯渇剤の非限定的な例としては、抗体(例えば、THYMOGLOBULIN(登録商標)、ATGAM(登録商標)、CAMPATH(登録商標))及び化学療法剤(例えば、フルダラビン(FLUDARA(登録商標))及びシクロホスファミド(CYTOXAN(登録商標))が挙げられる。いくつかの態様において、対象は、キナーゼ阻害剤(例えば、ダサチニブ(SPRYCEL(登録商標))でさらに治療される。ある特定の態様において、キナーゼ阻害剤は、CAR-T細胞機能を可逆的に遮断するために(例えば、サイトカイン放出症候群を軽減するために)使用され得る。
【0152】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質(例えば、本明細書で開示されるもの)と改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団とは、薬学的に許容できる担体中の単一の組成物として同時に投与され得る。いくつかの態様において、IL-7タンパク質と改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団とは、別々の組成物として同時に投与され得る。いくつかの態様において、IL-7タンパク質と改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団とは、順次投与され得る。例えば、ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団を投与する前に対象に投与される。ある特定の態様において、IL-7タンパク質は、改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団を投与した後に対象に投与される。
【0153】
III.本開示で有用なIL-7タンパク質
本明細書では、例えば固形腫瘍を治療するために、改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団と組み合わせて使用され得るIL-7タンパク質が開示される。いくつかの態様において、本願の使用に有用なIL-7タンパク質は、IL-7タンパク質が、例えば、IL-7Rに結合することができ、例えば、初期のT細胞の発達を誘導し、T細胞の恒常性を促進するなど、IL-7の1以上の生物学的活性を含む限り、野生型IL-7であっても改変IL-7(すなわち、野生型IL-7タンパク質ではない)(例えば、IL-7バリアント、IL-7機能性断片、IL-7誘導体、またはそれらの任意の組み合わせ、例えば、融合タンパク質、キメラタンパク質など)であってもよい。ElKassar and Gress.J Immunotoxicol.2010 Mar;7(1):1-7を参照されたい。いくつかの態様において、本開示のIL-7タンパク質は、野生型IL-7タンパク質ではない(すなわち、1以上の改変を含む)。そのような改変の非限定的な例は、オリゴペプチド及び/または半減期延長部分を含み得る。全体として参照により本明細書に組み込まれるWO2016/200219を参照されたい。
【0154】
IL-7は、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)と共通するIL-7Rα(CD127)(Ziegler and Liu,2006)と、IL-2、IL-15、IL-9及びIL-21と共通のγ鎖(CD132)との2つの鎖で構成される、その受容体に結合する。γcがほとんどの造血細胞で発現するのに対し、IL-7Rαはほぼリンパ球細胞だけで発現する。IL-7は、その受容体に結合した後、分化及び生存をそれぞれ担う2つの異なる経路:Jak-Stat(ヤヌスキナーゼ-シグナル伝達性転写因子)及びPI3K/Aktを介してシグナルを伝達する。IL-7シグナル伝達の非存在は、抗IL-7中和モノクローナル抗体(MAb)を投与したマウス;Grabstein et al.,1993)、IL-7-/-マウス(von Freeden-Jeffry et al.,1995)、IL-7Rα-/-マウス(Peschon et al.,1994;Maki et al.,1996)、γc-/-マウス(Malissen et al.,1997)、及びJak3-/-マウス(Park et al.,1995)において観察される胸腺細胞充実性の低減の原因である。IL-7シグナル伝達の非存在下では、マウスにはT細胞、B細胞、及びNK-T細胞がない。IL-7α-/-マウス(Peschon et al.,1994)は、IL-7-/-マウス(von Freeden-Jeffry et al.,1995)と同様だがより重度の表現型を有し、これはIL-7α-/-マウスではTSLPシグナル伝達も抑止されているためと思われる。IL-7は、γδ細胞(Maki et al.,1996)及びNK-T細胞(Boesteanu et al.,1997)の発生に必要である。
【0155】
いくつかの態様において、本開示で有用なIL-7タンパク質は、配列番号1~6のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、配列番号1~6の配列に対して約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%、またはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0156】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、改変IL-7またはその断片を含み、改変IL-7または断片は、野生型IL-7の1以上の生物学的活性を保持する。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、ヒト、ラット、マウス、サル、ウシ、またはヒツジに由来し得る。
【0157】
いくつかの態様において、ヒトIL-7は、配列番号1によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号P13232)を有し得、ラットIL-7は、配列番号2によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号P56478)を有し得、マウスIL-7は、配列番号3によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号P10168)を有し得、サルIL-7は、配列番号4によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号NP001279008)を有し得、ウシIL-7は、配列番号5によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号P26895)を有し得、ヒツジIL-7は、配列番号6によって表されるアミノ酸配列(Genbankアクセッション番号Q28540)を有し得る。
【0158】
いくつかの態様において、本開示で有用なIL-7タンパク質は、IL-7融合タンパク質を含む。ある特定の態様において、IL-7融合タンパク質は、(i)オリゴペプチド及び(i)IL-7またはそのバリアントを含む。いくつかの態様において、オリゴペプチドは、IL-7またはそのバリアントのN末端領域に連結している。
【0159】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるオリゴペプチドは、1~10個のアミノ酸からなる。ある特定の態様において、オリゴペプチドは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または10個のアミノ酸からなる。いくつかの態様において、オリゴペプチドの1以上のアミノ酸は、メチオニン、グリシン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある特定の態様において、オリゴペプチドは、メチオニン(M)、グリシン(G)、メチオニン-メチオニン(MM)、グリシン-グリシン(GG)、メチオニン-グリシン(MG)、グリシン-メチオニン(GM)、メチオニン-メチオニン-メチオニン(MMM)、メチオニン-メチオニン-グリシン(MMG)、メチオニン-グリシン-メチオニン(MGM)、グリシン-メチオニン-メチオニン(GMM)、メチオニン-グリシン-グリシン(MGG)、グリシン-メチオニン-グリシン(GMG)、グリシン-グリシン-メチオニン(GGM)、グリシン-グリシン-グリシン(GGG)、メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン(MGGM)(配列番号41)、メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン(MMGG)(配列番号42)、グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン(GGMM)(配列番号43)、メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン(MGMG)(配列番号44)、グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン(GMMG)(配列番号45)、グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン(GGGM)(配列番号46)、メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン(MGGG)(配列番号47)、グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン(GMGG)(配列番号48)、グリシン-グリシン-メチオニン-グリシン(GGMG)(配列番号49)、グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン-メチオニン(GGMMM)(配列番号50)、グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン(GGGMM)(配列番号51)、グリシン-グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン(GGGGM)(配列番号52)、メチオニン-グリシン-メチオニン-メチオニン-メチオニン(MGMMM)(配列番号53)、メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン(MGGMM)(配列番号54)、メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン-メチオニン(MGGGM)(配列番号55)、メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン-メチオニン(MMGMM)(配列番号56)、メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン(MMGGM)(配列番号57)、メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン(MMGGG)(配列番号58)、メチオニン-メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン(MMMGM)(配列番号59)、メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン-メチオニン(MGMGM)(配列番号60)、グリシン-メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン(GMGMG)(配列番号61)、グリシン-メチオニン-メチオニン-メチオニン-グリシン(GMMMG)(配列番号62)、グリシン-グリシン-メチオニン-グリシン-メチオニン(GGMGM)(配列番号63)、グリシン-グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン(GGMMG)(配列番号64)、グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン(GMMGM)(配列番号65)、メチオニン-グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン(MGMMG)(配列番号66)、グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン-メチオニン(GMGGM)(配列番号67)、メチオニン-メチオニン-グリシン-メチオニン-グリシン(MMGMG)(配列番号68)、グリシン-メチオニン-メチオニン-グリシン-グリシン(GMMGG)(配列番号69)、グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン-グリシン(GMGGG)(配列番号70)、グリシン-グリシン-メチオニン-グリシン-グリシン(GGMGG)(配列番号71)、グリシン-グリシン-グリシン-グリシン-グリシン(GGGGG)(配列番号72)、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの態様において、オリゴペプチドは、メチオニン-グリシン-メチオニン(MGM)である。
【0160】
いくつかの態様において、IL-7融合タンパク質は、(i)IL-7またはそのバリアント、及び(ii)半減期延長部分を含む。いくつかの態様において、半減期延長部分は、IL-7またはそのバリアントの半減期を延長する。いくつかの態様において、半減期延長部分は、IL-7またはそのバリアントのC末端領域に連結している。
【0161】
いくつかの態様において、IL-7融合タンパク質は、(i)IL-7(第1のドメイン)、(ii)メチオニン、グリシン、またはそれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列、例えば、MGMを含む、第2のドメイン、及び(iii)半減期延長部分を含む第3のドメインを含む。いくつかの態様において、半減期延長部分は、第1のドメインまたは第2のドメインのN末端またはC末端に連結していてもよい。さらに、第1のドメイン及び第2のドメインを含むIL-7は、第3のドメインの両末端に連結していてもよい。
【0162】
半減期延長部分の非限定的な例は、Fc、アルブミン、アルブミン結合性ポリペプチド、Pro/Ala/Ser(PAS)、ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニットのC末端ペプチド(CTP)、ポリエチレングリコール(PEG)、長い構造不定の親水性アミノ酸配列(XTEN)、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルブミン結合性小分子、及びそれらの組み合わせを含む。
【0163】
いくつかの態様において、半減期延長部分はFcである。ある特定の態様において、Fcは、Fc受容体及び/または補体との結合親和性の改変のために抗体依存性細胞傷害(ADCC)または補体依存性細胞傷害(CDC)が弱まった改変免疫グロブリンに由来する。いくつかの態様において、改変免疫グロブリンは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。いくつかの態様において、Fcは、ヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含むハイブリッドFc(「hFc」または「hyFc」)である。ある特定の態様において、本明細書で開示されるハイブリッドFcのヒンジ領域は、ヒトIgDヒンジ領域を含む。ある特定の態様において、ハイブリッドFcのCH2ドメインは、ヒトIgD CH2ドメインの一部及びヒトIgG4 CH2ドメインの一部を含む。ある特定の態様において、ハイブリッドFcのCH3ドメインは、ヒトIgG4 CH3ドメインの一部を含む。したがって、いくつかの態様において、本明細書で開示されるハイブリッドFcは、ヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含み、ヒンジ領域は、ヒトIgDヒンジ領域を含み、CH2ドメインは、ヒトIgD CH2ドメインの一部及びヒトIgG4 CH2ドメインの一部を含み、CH3ドメインは、ヒトIgG4 CH3ドメインの一部を含む。
【0164】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるFcは、Fcバリアントであり得る。本明細書で使用する場合、「Fcバリアント」という用語は、Fc領域の中でアミノ酸の一部を置換することによって、または異なる種類のFc領域を組み合わせることによって調製されたFcを意味する。Fc領域バリアントは、ヒンジ領域で切断されることを防止することができる。具体的には、いくつかの態様では、Fcバリアントは、配列番号9の144番目のアミノ酸及び/または145番目のアミノ酸の改変を含む。ある特定の態様において、144番目のアミノ酸(K)及び/または145番目のアミノ酸(K)は、GまたはSで置換される。
【0165】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるFcまたはFcバリアントは、次式:N’-(Z1)p-Y-Z2-Z3-Z4-Cによって表すことができ、式中、
N’は、N末端を含み、
Z1は、配列番号7の90~98位のアミノ酸残基のうち、98位のアミノ酸残基からN末端に向かって5~9個の連続したアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含み、
Yは、配列番号7の99~162位のアミノ酸残基のうち、162位のアミノ酸残基からN末端に向かって5~64個の連続したアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含み、
Z2は、配列番号7の163~199位のアミノ酸残基のうち、163位のアミノ酸残基からC末端に向かって4~37個の連続したアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含み、
Z3は、配列番号8の115~220位のアミノ酸残基のうち、220位のアミノ酸残基からN末端に向かって71~106個の連続したアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含み、
Z4は、配列番号8の221~327位のアミノ酸残基のうち、221位のアミノ酸残基からC末端に向かって80~107個の連続したアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含む。
【0166】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるFc領域は、配列番号9(hyFc)、配列番号10(hyFcM1)、配列番号11(hyFcM2)、配列番号12(hyFcM3)、または配列番号13(hyFcM4)のアミノ酸配列を含み得る。いくつかの態様において、Fc領域は、配列番号14(非溶解性マウスFc)のアミノ酸配列を含み得る。
【0167】
本開示で使用することのできるFc領域の他の非限定的な例は、全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,867,491号に記載されている。
【0168】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるIL-7融合タンパク質は、オリゴペプチドと半減期延長部分の両方を含む。
【0169】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、アルブミン、そのバリアント、または断片に融合していてもよい。IL-7-アルブミン融合タンパク質の例は、国際出願公開第WO2011/124718号A1で確認することができる。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、場合により可動性リンカーによって、プレプロB細胞増殖刺激因子(PPBSF)に融合している。US2002/0058791A1を参照されたい。いくつかの態様において、本開示で有用なIL-7タンパク質は、特定の三次元構造を有するIL-7コンフォマーである。US2005/0249701 A1を参照されたい。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、Ig鎖に融合していてもよく、ここで、IL-7タンパク質のアミノ酸残基70及び91は、グリコシル化されており、IL-7タンパク質のアミノ酸残基116は、グリコシル化されていない。US7,323,549 B2を参照されたい。いくつかの態様において、潜在的なT細胞エピトープを含まない(したがって抗IL-7 T細胞応答を低減させる)IL-7タンパク質を本開示で使用することもできる。US2006/0141581 A1を参照されたい。いくつかの態様において、カルボキシ末端ヘリックスD領域に1以上のアミノ酸残基変異を有するIL-7タンパク質を本開示で使用することができる。IL-7変異体は、受容体に対する結合親和性が低いにもかかわらず、IL-7R部分アゴニストとして作用し得る。US2005/0054054A1を参照されたい。上記の特許または刊行物に記載されているあらゆるIL-7タンパク質が、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0170】
加えて、本開示で有用な追加のIL-7タンパク質の非限定的な例は、US7708985、US8034327、US8153114、US7589179、US7323549、US7960514、US8338575、US7118754、US7488482、US7670607、US6730512、WO0017362、GB2434578A、WO2010/020766 A2、WO91/01143、Beq et al.,Blood,vol.114(4),816,23 July 2009、Kang et al.,J.Virol.Doi:10.1128/JVI.02768-15、Martin et al.,Blood,vol.121(22),4484,May 30,2013、McBride et al.,Acta Oncologica,34:3,447-451,July 8,2009、及びXu et al.,Cancer Science,109:279-288,2018に記載されており、これらは全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0171】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるオリゴペプチドは、IL-7またはそのバリアントのN末端領域に直接連結している。いくつかの態様において、オリゴペプチドは、リンカーを介してN末端領域に連結している。いくつかの態様において、本明細書で開示される半減期延長部分は、IL-7またはそのバリアントのC末端領域に直接連結している。ある特定の態様において、半減期延長部分は、リンカーを介してC末端領域に連結している。いくつかの態様において、リンカーはペプチドリンカーである。ある特定の態様において、ペプチドリンカーは、Gly及びSer残基からなる10~20アミノ酸残基のペプチドを含む。いくつかの態様において、リンカーはアルブミンリンカーである。いくつかの態様において、リンカーは化学結合である。ある特定の態様において、化学結合は、ジスルフィド結合、ジアミン結合、スルフィド-アミン結合、カルボキシ-アミン結合、エステル結合、共有結合、またはそれらの組み合わせを含む。リンカーがペプチドリンカーである場合、いくつかの態様では、任意の連結領域で接続が起こり得る。これらは、当該技術分野で知られている架橋剤を使用してカップリングされ得る。いくつかの態様において、架橋剤の例は、1,1-ビス(ジアゾアセチル)-2-フェニルエタン、グルタルアルデヒド、及び4-アジドサリチル酸などのN-ヒドロキシスクシンイミドエステル;3,3’-ジチオビス(スクシンイミジルプロピオン酸)などのジスクシンイミジルエステルを含むイミドエステル、ならびにビス-Nマレイミド-1,8-オクタンなどの二官能性マレイミドを含み得るが、これらに限定されない。
【0172】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるIL-7融合タンパク質のIL-7(またはそのバリアント)部分は、配列番号15~20に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ配列を含む。ある特定の態様において、本明細書で開示されるIL-7融合タンパク質のIL-7(またはそのバリアント)部分は、配列番号15~20に示されるアミノ酸配列を含む。
【0173】
いくつかの態様において、IL-7融合タンパク質は、IL-7の活性またはそれと同様の活性を有するポリペプチドを含む第1のドメインと、メチオニン、グリシン、またはそれらの組み合わせからなる1~10個のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列を含む第2のドメインと、第1のドメインのC末端にカップリングされた、改変免疫グロブリンのFc領域である第3のドメインとを含む。
【0174】
いくつかの態様において、本願の方法で使用することのできるIL-7融合タンパク質は、配列番号21~25に示されるアミノ酸配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ配列を含む。ある特定の態様において、本開示のIL-7融合タンパク質は、配列番号21~25に示されるアミノ酸配列を含む。ある特定の態様において、本明細書で開示されるIL-7融合タンパク質は、配列番号26及び27に示されるアミノ酸配列を含む。
【0175】
いくつかの態様において、本開示で有用なIL-7タンパク質は、対象に投与された場合、対象における絶対リンパ球数を増大させることができる。ある特定の態様において、対象は、本明細書に記載される疾患または障害(例えば、がん)を患っている。いくつかの態様において、対象は、健康な個体である(例えば、本明細書に記載される疾患または障害、例えば、がんを患っていない)。ある特定の態様において、絶対リンパ球数は、参照(例えば、IL-7タンパク質を受けなかった対象における対応するレベル)と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%、またはそれ以上増大する。
【0176】
IV.CAR保有免疫細胞
A.モノCAR-T細胞
本明細書に記載されるように、いくつかの態様において、例えば固形腫瘍を治療するために、本明細書で開示されるIL-7タンパク質と組み合わせて投与され得るCAR保有免疫細胞は、CAR-T細胞を含む。本明細書で使用する場合、「CAR-T細胞」という用語は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するT細胞を意味する。「キメラ抗原受容体」という用語は、抗原が細胞外ドメインに結合すると特化された機能を果たすよう細胞を誘導する、細胞内ドメインにカップリングされた抗原特異的細胞外ドメインを有する組換え融合タンパク質を意味する。「人工T細胞受容体」、「キメラT細胞受容体」、及び「キメラ免疫受容体」という用語は各々、本明細書では「キメラ抗原受容体」という用語と同義に使用され得る。キメラ抗原受容体は、MHC非依存性抗原に結合すると共に、その細胞内ドメインを介して活性化シグナルを伝達する能力により、他の抗原結合剤と区別される。CARの細胞外部分及び細胞内部分については、以下にさらに詳細に記述する。
【0177】
キメラ抗原受容体の抗原特異的細胞外ドメイン(すなわち、抗原結合性ドメイン)は、抗原、典型的には悪性疾患の表面発現抗原を認識し、それと特異的に結合する。いくつかの態様において、本明細書で開示されるCARの抗原結合性ドメインは、固形腫瘍抗原(すなわち、固形腫瘍で発現する抗原)に結合する。固形腫瘍抗原の非限定的な例は、メソテリン、MR1、グアニル酸シクラーゼC(GC-C)、上皮増殖因子受容体(EGFRまたはerbB-1)、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2またはerbB2)、erbB-3、erbB-4、MUC-1、黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)、葉酸受容体1(FOLR1)、CD4、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD123、CD138、CD171、CEA、CSPG4、CXCR5、c-Met、HERV-エンベロープタンパク質、エリオスチン、Bigh3、SPARC、BCR、CD79、CD37、EGFRvIII、EGP2、EGP40、IGFr、L1CAM、AXL、組織因子(TF)、CD74、EpCAM、EphA2、MRP3カドヘリン19(CDH19)、上皮増殖因子2(HER2)、5T4、8H9、αβインテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CA9、FAP、FBP、胎児AchR、FRcc、GD2、GD3、グリピカン-1(GPC1)、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HLA-A1+MAGE1、HLA-A1+NY-ESO-1、IL-13Rcc2、Lewis-Y、KDR、MCSP、Muc1、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、PRAME、PSC1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、SP17、サバイビング、TAG72、TEM、癌胎児抗原、HMW-MAA、VEGF、CLDN18.2、またはそれらの組み合わせを含む。
【0178】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるCARの抗原特異的細胞外ドメインは、約0.1pM~約10μM、例えば、約0.1pM~約1μM、または約0.1pM~約100nMの親和性定数または相互作用の親和性(K)で、抗原(例えば、固形腫瘍抗原)と特異的に結合する。相互作用の親和性を決定する方法は当該技術分野で知られている。本開示のCARで使用するのに好適な抗原特異的細胞外ドメインは、任意の抗原結合性ポリペプチドであってよく、これは当該技術分野で広範な種類が知られている。いくつかの態様において、抗原結合性ドメインは一本鎖Fv(scFv)である。他の抗体ベースの認識ドメイン(cAb VHH(ラクダ科抗体可変ドメイン)及びそのヒト化版、lgNAR VH(サメ抗体可変ドメイン)及びそのヒト化版、sdAb VH(単一ドメイン抗体可変ドメイン)ならびに「ラクダ化」抗体可変ドメインが使用に好適である。いくつかの態様において、一本鎖TCR(scTv、VアルファVベータを含む一本鎖2ドメインTCR)などのT細胞受容体(TCR)ベースの認識ドメインも使用に好適である。
【0179】
本明細書に記載されるように、本明細書で開示されるキメラ抗原受容体は、抗原が抗原特異的細胞外ドメインに結合すると細胞内シグナルを細胞(CARを発現するもの)に与える細胞内ドメインを含んでいてもよい。いくつかの態様において、CARの細胞内シグナル伝達ドメインは、キメラ受容体が発現されるT細胞のエフェクター機能のうちの少なくとも1つの活性化の原因である。
【0180】
「細胞内ドメイン」という用語は、CARのうち、抗原が細胞外ドメインに結合するとエフェクター機能シグナルを伝達し、特化された機能を果たすようT細胞を誘導する部分を意味する。好適な細胞内ドメインの非限定的な例としては、T細胞受容体のゼータ鎖またはその相同体のいずれか(例えば、イータ、デルタ、ガンマ、またはイプシロン)、MB1鎖、829、FcγRIII、FcγRI、及びシグナル伝達分子の組み合わせ、例えばCD3ゼータ及びCD28、CD27、4-1BB、DAP-10、OX40、及びそれらの組み合わせ、ならびに他の同様の分子及び断片が挙げられる。いくつかの態様において、本明細書で開示されるCARは、本明細書で開示されるタンパク質の細胞内ドメイン全体を含む。いくつかの態様において、細胞内ドメインは、トランケートされている。細胞内ドメインのトランケート部分は、依然としてエフェクター機能シグナルを伝達する限り、インタクトな鎖の代わりに使用されてもよい。したがって、細胞内ドメインという用語は、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な細胞内ドメインの任意のトランケート部分を含むことが意図される。
【0181】
いくつかの態様において、抗原特異的細胞外ドメイン(すなわち、抗原結合性ドメイン)は、膜貫通ドメインによってキメラ抗原受容体の細胞内ドメインに連結している。膜貫通ドメインは、細胞膜を横断し、CARをT細胞表面に固定し、細胞外ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインに接続し、したがってT細胞表面におけるCARの発現に影響を及ぼす。いくつかの態様において、抗原特異的細胞外ドメインは、ペプチドヒンジまたはスペーサーによってCARの膜貫通ドメインに接続している。ある特定の態様において、抗原特異的細胞外ドメインと膜貫通ドメインとの間に、またタンデムCARの場合は複数のscFv間にスペーサードメインを含めると、抗原結合性ドメイン(複数可)の柔軟性、ひいてはCAR機能に影響が及び得る。
【0182】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるCARは、1以上の共刺激ドメインをさらに含み得る。いくつかの態様において、共刺激ドメインは、サイトカイン産生、増殖、細胞傷害性、及び/または残存率をin vivoで向上させ得る共刺激性タンパク質の細胞内シグナル伝達ドメインに由来する。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは共刺激ドメインに融合しており、任意選択で、共刺激ドメインは第2の共刺激ドメインに融合しており、共刺激ドメインは、CD3ζに限定されないシグナル伝達ドメインに融合している。本明細書で開示されるCARに使用され得る好適な膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、及びスペーサーは、当該技術分野で公知である。
【0183】
B.ゲノム編集されたCAR-T細胞
いくつかの態様において、本開示で使用することのできるCAR保有免疫細胞は、ゲノム編集されたCAR-T細胞である。いくつかの態様において、そのような細胞は、CARが特異的に結合する1以上の抗原が細胞において欠損するように改変されている。したがって、いくつかの態様において、本明細書で開示されるCAR保有免疫細胞には、フラトリサイド耐性がある。いくつかの態様において、免疫細胞(例えば、T細胞)の1以上の抗原は、キメラ抗原受容体が1以上の改変抗原に特異的に結合しなくなるように改変される。例えば、キメラ抗原受容体によって認識される1以上の抗原のエピトープが1以上のアミノ酸変化(例えば、置換または欠失)によって改変されていてもよく、またはエピトープが抗原から欠失していてもよい。いくつかの態様において、免疫細胞(例えば、T細胞)において、1以上の抗原の発現は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれ以上低減する。タンパク質の発現を減少させる方法は、当該技術分野で知られており、タンパク質をコードする核酸配列に作動可能に連結したプロモーターを改変または置換することを含むが、これに限定されない。いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞(例えば、CAR-T細胞)は、例えば、1以上の抗原をコードする遺伝子の欠失または破壊により、1以上の抗原が発現されないように改変される。免疫細胞(例えば、CAR-T細胞)を遺伝子改変して1以上の抗原を欠損させる方法は、当該技術分野で周知である(例えば、CRISPR/cas9遺伝子編集)。
【0184】
いくつかの態様において、本開示に包含されるCAR-T細胞は、T細胞受容体(TCR)-CD3複合体の一部を欠失させる結果として、内因性T細胞受容体(TCR)シグナル伝達がさらに欠損していてもよい。いくつかの態様において、CAR-T細胞を生成するために同種異系T細胞が使用される場合、CAR-T細胞における内因性TCの一部、例えば、TCR受容体アルファ鎖(TRAC)、TCR受容体ベータ鎖(TRBC)、CD3ε、CD3γ、CD3δ、及び/またはCD3γを欠失させることを含むが、これに限定されない。TCR受容体複合体のRシグナル伝達を減少または消失させると、移植片対宿主病(GvHD)を防止または低減させることができる。内因性TCRシグナル伝達を消失させるまたは抑制する方法は、当該技術分野で知られており、TCR-CD3受容体複合体一部を欠失させると、TCR媒介性シグナル伝達を遮断することができ、したがって、生命を脅かすGvHDを誘導することなく、CAR-T細胞源としての同種異系T細胞の安全な使用を可能にすることができる。
【0185】
いくつかの態様において、本開示で有用なCAR-T細胞は、1以上の自殺遺伝子をさらに含み得る。本明細書で使用する場合、「自殺遺伝子」とは、当該技術分野で知られている標準的方法によってCAR-T細胞に導入され、活性化されるとCAR-T細胞の死をもたらす核酸配列を意味する。自殺遺伝子は、必要であれば、CAR-T細胞のin vivoでの効果的な追跡及び排除を促進することができる。自殺遺伝子を活性化することによる殺滅の促進は、当該技術分野で知られている方法によって行われ得る。当該技術分野で知られている好適な自殺遺伝子療法システムは、様々な単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSVtk)/ガンシクロビル(GCV)自殺遺伝子療法システムまたは誘導性カスパーゼ9タンパク質を含むが、これらに限定されない。ある特定の態様において、自殺遺伝子は、CD34/チミジンキナーゼキメラ自殺遺伝子である。
【0186】
C.デュアルCAR-T細胞
いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞は、デュアルCAR-T細胞である。本明細書で使用する場合、「デュアルCAR-T細胞」という用語は、同じエフェクター細胞内で発現する異なる標的抗原に対する親和性をもつ2つの別個のキメラ抗原受容体ポリペプチドを発現し、各CARが独立して機能するCAR-T細胞である。CARは、単一のポリヌクレオチド配列から発現されても複数のポリヌクレオチド配列から発現されてもよい。デュアルCAR-T細胞の非限定的な例を以下に記載する。
【0187】
ゲノム編集されたデュアルCAR-T細胞、すなわち、CD2*CD3e-dCARTΔCD2ΔCD3Δは、商業的に合成された抗CD2一本鎖可変断片を、CD28及び4-1BBの内部シグナル伝達ドメインを有する第3世代CAR骨格を含むレンチウイルスベクターにクローニングし、商業的に合成された抗CD3e一本鎖可変を、CD28及び4-1BBの内部シグナル伝達ドメインを有する追加の第3世代CAR骨格を含む同じレンチウイルスベクターにクローニングしてプラスミドをもたらし、同じベクターから2つのCAR構築物を発現させることにより、生成することができる。
【0188】
いくつかの態様において、本開示は、デュアルキメラ抗原受容体(dCAR)、すなわち、CD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)と特異的に結合する単一のレンチウイルス構築物から発現した2つのCARを含む、操作されたT細胞であって、CD5及びTRACが欠損しているT細胞(例えば、CD5*TRAC-dCARTΔCD5ΔTRAC細胞)を提供する。非限定的な例において、CD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が、改変されたCD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)と特異的に結合しなくなるような、T細胞によって発現されるCD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の改変、(b)T細胞において、CD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の発現が、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくはそれ以上低減するような、T細胞の改変、または(c)CD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)が発現されなくなるような(例えば、CD5及び/またはTCR受容体アルファ鎖(TRAC)をコードする遺伝子の欠失または破壊による)T細胞の改変から生じた。いくつかの態様において、T細胞は自殺遺伝子を含む。非限定的な例において、CD5*TRAC-CARTΔCD5ΔTRAC細胞で発現する自殺遺伝子は、ヒトCD34 cDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合した、改変されたヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0189】
いくつかの態様において、本開示は、CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)と特異的に結合するdCARを損なう、操作されたT細胞であって、CD7及びTRACが欠損しているT細胞(例えば、CD7*TRAC-dCARTΔCD7ΔTRAC細胞)を提供する。非限定的な例において、CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が、改変されたCD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)と特異的に結合しなくなるような、T細胞によって発現されるCD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の改変、(b)T細胞において、CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の発現が、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、もしくはそれ以上低減するような、T細胞の改変、または(c)CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)が発現されなくなるような(例えば、CD7及び/またはTCR受容体アルファ鎖(TRAC)をコードする遺伝子の欠失または破壊による)T細胞の改変から生じた。いくつかの態様において、T細胞は自殺遺伝子を含む。非限定的な例において、CD7*TRAC-dCARTΔCD7ΔTRAC細胞で発現する自殺遺伝子は、ヒトCD34 eDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合した、改変されたヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0190】
いくつかの態様において、本開示は、CD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)と特異的に結合するdCARを損なう、操作されたT細胞であって、CD2及びTRACが欠損しているT細胞(例えば、CD2*TRAC-dCARTΔCD2ΔTRAC細胞)を提供する。非限定的な例において、CD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が、改変されたCD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)と特異的に結合しなくなるような、T細胞によって発現されるCD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の改変、(b)T細胞において、CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の発現が、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、もしくはそれ以上低減するような、T細胞の改変、または(c)CD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)が発現されなくなるような(例えば、CD2及び/またはTCR受容体アルファ鎖(TRAC)をコードする遺伝子の欠失または破壊による)T細胞の改変から生じた。いくつかの態様において、T細胞は自殺遺伝子を含む。非限定的な例において、CD2*TRAC-dCARTΔCD2ΔTRAC細胞で発現する自殺遺伝子は、ヒトCD34 cDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合した、改変されたヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0191】
D.タンデムCAR-T細胞
いくつかの態様において、CAR保有免疫細胞は、タンデムCAR-T細胞である。本明細書で使用する場合、「タンデムCAR-T細胞」という用語は、異なる標的に対する親和性をもつ2つの別個の抗原認識ドメインを含む単一のキメラ抗原ポリペプチドを有するCAR-T細胞であって、抗原認識ドメインがペプチドリンカーを介して連結されており、共通の共刺激ドメイン(複数可)を共有し、いずれかの抗原認識ドメインの結合が共通の共刺激ドメイン(複数可)及びシグナル伝達ドメインを介してシグナル伝達するCAR-T細胞を意味する。タンデムCAR-T細胞の非限定的な例を以下に記載する。
【0192】
いくつかの態様において、本開示は、タンデムキメラ抗原受容体(tCAR)、すなわち、CD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)と特異的に結合する単一の細胞内ドメインを共有する2つのscFvを含む、操作されたT細胞であって、CD5及びTRACが欠損しているT細胞(例えば、CD5*TRAC-tCARTΔCD5ΔTRAC細胞)を提供する。非限定的な例において、CD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が、改変されたCD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)と特異的に結合しなくなるような、T細胞によって発現されるCD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の改変、(b)T細胞において、CD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の発現が、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくはそれ以上低減するような、T細胞の改変、または(c)CD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)が発現されなくなるような(例えば、CD5及び/またはTCR受容体アルファ鎖(TRAC)をコードする遺伝子の欠失または破壊による)T細胞の改変から生じた。いくつかの態様において、T細胞は自殺遺伝子を含む。非限定的な例において、CD5*TRAC-tCARTΔCD5ΔTRAC細胞で発現する自殺遺伝子は、ヒトCD34 cDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合した、改変されたヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0193】
いくつかの態様において、本開示は、CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)と特異的に結合するtCARを損なう、操作されたT細胞であって、CD7及びTRACが欠損しているT細胞(例えば、CD7*TRAC-tCARTΔCD7ΔTRAC細胞)を提供する。非限定的な例において、CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が、改変されたCD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)と特異的に結合しなくなるような、T細胞によって発現されるCD5及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の改変、(b)T細胞において、CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の発現が、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくはそれ以上低減するような、T細胞の改変、または(c)CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)が発現されなくなるような(例えば、CD7及び/またはTCR受容体アルファ鎖(TRAC)をコードする遺伝子の欠失または破壊による)T細胞の改変から生じた。いくつかの態様において、T細胞は自殺遺伝子を含む。非限定的な例において、CD7*TRAC-tCARTΔCD7ΔTRAC細胞で発現する自殺遺伝子は、ヒトCD34 cDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合した、改変されたヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0194】
いくつかの態様において、本開示は、CD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)と特異的に結合するtCARを損なう、操作されたT細胞であって、CD2及びTRACが欠損しているT細胞(例えば、CD2*TRAC-tCARTΔCD2ΔTRAC細胞)を提供する。非限定的な例において、CD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が、改変されたCD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)と特異的に結合しなくなるような、T細胞によって発現されるCD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の改変、(b)T細胞において、CD7及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)の発現が、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくはそれ以上低減するような、T細胞の改変、または(c)CD2及びTCR受容体アルファ鎖(TRAC)が発現されなくなるような(例えば、CD2及び/またはTCR受容体アルファ鎖(TRAC)をコードする遺伝子の欠失または破壊による)T細胞の改変から生じた。いくつかの態様において、T細胞は自殺遺伝子を含む。非限定的な例において、CD2*TRAC-tCARTΔCD2ΔTRAC細胞で発現する自殺遺伝子は、ヒトCD34 cDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合した、改変されたヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0195】
本開示により構築し使用することができるCAR-T細胞(例えば、モノCAR-T細胞、ゲノム編集されたCAR-T細胞、デュアルCAR-T細胞、またはタンデムCAR-T細胞)の非限定的な例を、表1及び2に提供する。
【表1】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【0196】
E.モノiNKT-CAR細胞
いくつかの態様において、本開示で使用することのできるCAR保有免疫細胞は、iNKT-CAR細胞を含む。本明細書で使用する場合、「iNKT-CAR細胞」または「CAR-iNKT細胞」という用語は、キメラ抗原受容体を発現するインバリアントナチュラルキラーT(iNKT)細胞を意味する。本開示により構築し使用することができるiNKT-CAR細胞の非限定的な例を、以下にさらに記載する。
【0197】
いくつかの態様において、本開示は、CD7と特異的に結合する単一のCARを含む操作されたiNKT細胞であって、CD7が欠損しているiNKT細胞(例えば、CD7-iNKT-CARΔCD7細胞)を提供する。非限定的な例において、CD7の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が、改変されたCD7と特異的に結合しなくなるような、iNKT細胞によって発現されるCD7の改変、(b)iNKT細胞において、CD7の発現が、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくはそれ以上低減するような、iNKT細胞の改変、または(c)CD7が発現されなくなるような(例えば、CD7をコードする遺伝子の欠失または破壊による)iNKT細胞の改変から生じた。いくつかの態様において、iNKT細胞は自殺遺伝子を含む。非限定的な例において、CD7-iNKT-CARΔCD7細胞で発現する自殺遺伝子は、ヒトCD34 cDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合した、改変されたヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0198】
CD7特異的iNKT-CAR細胞のCARは、商業的に合成された抗CD7一本鎖可変断片(scFv)を、CD28及び4-1BBの内部シグナル伝達ドメインを有する第3世代CAR骨格にクローニングすることによって生成することができる。細胞外hCD34ドメインをP2Aペプチドの後に付加して、ウイルス形質導入後のCARの検出と、抗hCD34磁気ビーズを使用した精製の両方を可能にすることができる。同様の方法に従って、他の悪性T細胞抗原に特異的なCARを作製することができる。
【0199】
F.デュアルiNKT-CAR細胞
いくつかの態様において、本開示で有用なCAR保有免疫細胞は、デュアルiNKT-CAR細胞を含む。本明細書で使用する場合、「デュアルiNKT-CAR細胞」または「iNKT-dCAR」という用語は、同じエフェクター細胞内で発現する異なる標的抗原に対する親和性をもつ2つの別個のキメラ抗原受容体ポリペプチドを発現し、各CARが独立して機能するiNKT-CAR細胞を意味する。CARは、単一のポリヌクレオチド配列から発現されても複数のポリヌクレオチド配列から発現されてもよい。そのようなCAR保有免疫細胞の非限定的な例を、以下にさらに記載する。
【0200】
いくつかの態様において、本開示は、デュアルCAR(dCAR)、すなわち、CD7及びCD2と特異的に結合する単一のレンチウイルス構築物から発現した2つのCARを含む、操作されたiNKT細胞であって、CD7及びCD2が欠損しているiNKT細胞(例えば、CD7xCD2-iNKT-dCARΔCD7ΔCD2細胞)を提供する。非限定的な例において、CD7及びCD2の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が、改変されたCD7またはCD2と特異的に結合しなくなるような、iNKT細胞によって発現されるCD7及びCD2の改変、(b)iNKT細胞において、CD7及びCD2の発現が、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくはそれ以上低減するような、iNKT細胞の改変、または(c)CD7及びCD2が発現されなくなるような(例えば、CD7及び/またはCD2をコードする遺伝子の欠失または破壊による)iNKT細胞の改変から生じた。いくつかの態様において、iNKT細胞は自殺遺伝子を含む。非限定的な例において、CD7*CD2-iNKT-dCARΔCD7ΔCD2細胞で発現する自殺遺伝子は、ヒトCD34 cDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合した、改変されたヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0201】
G.タンデムiNKT-CAR細胞
いくつかの態様において、本開示で有用なCAR保有免疫細胞は、タンデムiNKT-CAR細胞を含む。本明細書で使用する場合、「タンデムiNKT-CAR細胞」または「iNKT-tCAR」という用語は、異なる標的に対する親和性をもつ2つの別個の抗原認識ドメインを含む単一のキメラ抗原ポリペプチドを有するiNKT-CAR細胞であって、抗原認識ドメインがペプチドリンカーを介して連結されており、共通の共刺激ドメイン(複数可)を共有し、いずれかの抗原認識ドメインの結合が共通の共刺激ドメイン(複数可)及びシグナル伝達ドメインを介してシグナル伝達するiNKT-CAR細胞を意味する。そのようなCAR保有免疫細胞の非限定的な例を、以下にさらに記載する。
【0202】
いくつかの態様において、本開示は、タンデムCAR(tCAR)、すなわち、CD7及びCD2と特異的に結合する単一の細胞内ドメインを共有する2つのscFvを含む、操作されたiNKT細胞であって、CD7及びCD2が欠損しているiNKT細胞(例えば、CD7xCD2-iNKT-tCARΔCD7ΔCD2細胞)を提供する。非限定的な例において、CD7及びCD2の欠損は、(a)キメラ抗原受容体が、改変されたCD7またはCD2と特異的に結合しなくなるような、iNKT細胞によって発現されるCD7及びCD2の改変、(b)iNKT細胞において、CD7及びCD2の発現が、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくはそれ以上低減するような、iNKT細胞の改変、または(c)CD7及びCD2が発現されなくなるような(例えば、CD7及び/またはCD2をコードする遺伝子の欠失または破壊による)iNKT細胞の改変から生じた。いくつかの態様において、iNKT細胞は自殺遺伝子を含む。非限定的な例において、CD7*CD2-iNKT-tCARΔCD7ΔCD2細胞で発現する自殺遺伝子は、ヒトCD34 cDNAの細胞外ドメイン及び膜貫通ドメインにインフレームで融合した、改変されたヒト単純ヘルペスウイルス-1-チミジンキナーゼ(TK)遺伝子をコードする。
【0203】
ゲノム編集されたタンデムiNKT-CAR細胞、すなわち、CD7*CD2-iNKT-tCARΔCD7ΔCD2のためのtCARは、商業的に合成された抗CD7一本鎖可変断片(scFv)及び抗CD2一本鎖可変断片(scFv)を、CD28及び4-1BBの内部シグナル伝達ドメインを有する第3世代CAR骨格にクローニングすることによって生成することができる。細胞外hCD34ドメインをP2Aペプチドの後に付加して、ウイルス形質導入後のCARの検出と、抗hCD34磁気ビーズを使用した精製の両方を可能にすることができる。同様の方法に従って、他の悪性T細胞抗原に特異的なtCARを作製することができる。
【0204】
本開示により構築し使用することができるiNKT-CAR細胞(例えば、モノiNKT-CAR細胞、ゲノム編集されたiNKT-CAR細胞、デュアルiNKT-CAR細胞、またはタンデムiNKT-CAR細胞)の非限定的な例を、表1及び1に提供する。
【0205】
V.トランスジェニックTCR保有免疫細胞
本明細書に記載されるように、例えば固形腫瘍を治療するために、本明細書で開示されるIL-7タンパク質と組み合わせて、CAR保有免疫細胞以外の改変免疫細胞を使用してもよい。例えば、いくつかの態様において、本明細書で開示される固形腫瘍を治療する方法は、トランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団をIL-7タンパク質と組み合わせて投与することを含む。
【0206】
いくつかの態様において、トランスジェニック(TCR)保有免疫細胞は、固形腫瘍抗原を特異的に標的とすることができる。いくつかの態様において、固形腫瘍抗原は、メソテリン、MR1、グアニル酸シクラーゼC(GC-C)、上皮増殖因子受容体(EGFRまたはerbB-1)、ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2またはerbB2)、erbB-3、erbB-4、MUC-1、黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(MCSP)、葉酸受容体1(FOLR1)、CD4、CD19、CD20、CD22、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD70、CD123、CD138、CD171、CEA、CSPG4、CXCR5、c-Met、HERV-エンベロープタンパク質、エリオスチン、Bigh3、SPARC、BCR、CD79、CD37、EGFRvIII、EGP2、EGP40、IGFr、L1CAM、AXL、組織因子(TF)、CD74、EpCAM、EphA2、MRP3カドヘリン19(CDH19)、上皮増殖因子2(HER2)、5T4、8H9、αβインテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、CAIX、CA9、FAP、FBP、胎児AchR、FRcc、GD2、GD3、グリピカン-1(GPC1)、グリピカン-2(GPC2)、グリピカン-3(GPC3)、HLA-A1+MAGE1、HLA-A1+NY-ESO-1、IL-13Rcc2、Lewis-Y、KDR、MCSP、Muc1、Muc16、NCAM、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、PRAME、PSC1、PSCA、PSMA、ROR1、ROR2、SP17、サバイビング、TAG72、TEM、癌胎児抗原、HMW-MAA、VEGF、CLDN18.2、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0207】
本明細書に記載されるように、いくつかの態様において、免疫細胞に形質導入して外因性導入遺伝子を発現させることは、導入遺伝子を発現するベクター(例えば、レンチウイルスまたはレトロウイルス)の使用を含み得る。しかしながら、トランスジェニックTCRをコードするもののような導入遺伝子については、レンチウイルスまたはレトロウイルスによって導入遺伝子を挿入すると、複数の遺伝子座でランダムな組込み事象が発生し、したがって超生理的な発現レベルが生じ得る。トランスジェニックTCRの場合、内因性TCRとの誤対合が(例えば、改変されている免疫細胞がT細胞である場合)、除去されなければ、望ましくない特異性及び低い収量につながる場合もある。したがって、CAR保有免疫細胞(例えば、CAR-T細胞またはiNKT-CAR細胞)について上述したように、免疫細胞で内因的に発現される1以上の遺伝子を、導入遺伝子(例えば、トランスジェニックTCRをコードするもの)の発現に干渉しないように改変する(例えば、欠失させる)ことができる。
【0208】
いくつかの態様において、トランスジェニックTCR保有免疫細胞は、T細胞を含む。ある特定の態様において、T細胞はCD8+T細胞である。ある特定の態様において、T細胞はCD4+T細胞である。いくつかの態様において、T細胞は、CD8+T細胞とCD4+T細胞の両方を含む。ある特定の態様において、トランスジェニックTCRを発現するT細胞は、T細胞受容体(TCR)-CD3複合体の一部を欠損させる結果として、内因性T細胞受容体(TCR)シグナル伝達が欠損している。いくつかの態様において、トランスジェニックTCR保有免疫細胞を生成するために同種異系T細胞が使用される場合、T細胞における内因性TCRシグナル伝達を減少または消失させると、移植片対宿主病(GvHD)を防止または低減させることができる。いくつかの態様において、T細胞における内因性TCRシグナル伝達を減少または消失させると、細胞におけるトランスジェニックTCRの発現を増大させるのに役立ち得る。内因性TCRシグナル伝達を消失させるまたは抑制する方法は、当該技術分野で知られており、TCR-CD3受容体複合体の一部、例えば、TCR受容体アルファ鎖(TRAC)、TCR受容体ベータ鎖(TRBC)、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD3デルタ、及び/またはCD3ガンマを欠失させることを含むが、これに限定されない。
【0209】
いくつかの態様において、TCR保有免疫細胞は、自己由来細胞、すなわち、本明細書で開示される併用療法を必要とする対象から採取された免疫細胞または細胞である。そのような態様では、対象から単離された免疫細胞を、トランスジェニックTCRを発現するように改変し、次に対象に再導入してもよい。自己由来細胞には、免疫に基づく細胞の拒絶を回避する利点がある。あるいは、細胞は、同種異系、例えばドナーから採取されたものであってもよい。通常、細胞がドナーに由来する場合、細胞は、免疫抑制の必要性を低下または解消するために、レシピエントとの免疫学的適合性が十分にある、すなわち移植片拒絶反応が起こらないドナーに由来する。いくつかの態様において、細胞は、異種供給源、すなわち、レシピエントまたはレシピエントの種との免疫学的適合性が十分にあるように遺伝子操作されている非ヒト哺乳動物から採取される。免疫学的適合性を決定する方法は、当該技術分野で知られており、HLA及びABO決定因子についてドナーとレシピエントの適合性を評価するための組織型判定を含むが、これに限定されない。例えば、Transplantation Immunology,Bach and Auchincloss,Eds.(Wiley,John&Sons,Incorporated 1994)を参照されたい。
【0210】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるトランスジェニックTCR保有免疫細胞は、HLA非依存的に固形腫瘍抗原を認識する。いくつかの態様において、トランスジェニックTCR保有免疫細胞は、固形腫瘍を選択的に殺滅することができる(すなわち、健康な細胞を殺滅せず、健康な、ストレスを受けた、または感染した健康な細胞でさえも殺滅しない)。いくつかの態様において、トランスジェニックTCR保有免疫細胞は、単形性MHCクラス1関連タンパク質MR1を認識する。そのようなTCR保有免疫細胞の例は、Crowther,M.D.,et al.,Nat Immunol 21(2):178-185(Feb.2020)及びUS2019/0389926A1に提供されており、これらは各々、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0211】
VI.キメラ抗原受容体及びトランスジェニックT細胞受容体の構築
本開示で有用なCAR及び/またはトランスジェニックTCRは、当該技術分野で知られている任意の適切な方法によって設計することができる。例えば、WO2018027036A1及びWO2019138217A1を参照されたい。これらは各々、全体として参照により本明細書に組み込まれる。これらの文献で開示されているように、また、当該技術分野で知られている方法により、商業的供給源から、レンチウイルスベクター及び細胞株を取得し、ガイドRNAを設計し、検証し、合成することができる。
【0212】
操作されたCAR及び/またはトランスジェニックTCRは、キメラ抗原受容体またはトランスジェニックTCRをコードする核酸配列を標的細胞ゲノムに効率的かつ安定に組込むレトロウイルスを使用して、免疫細胞(例えば、T細胞またはiNKT細胞)に導入することができる。例えば、T細胞受容体(TCR)は、T細胞の表面に見られる分子であり、主要組織適合抗原複合体(MHC)分子に結合したペプチドとして標的抗原の断片を認識することに関与している。TCRは、2つの異なるタンパク質鎖から構成されるヘテロ二量体である。ヒトでは、T細胞の95%において、TCRは、アルファ(α)鎖及びベータ(β)鎖(それぞれTRA及びTRBによってコードされる)からなるが、T細胞の5%では、TCRは、ガンマ及びデルタ(γ/δ)鎖(それぞれTRG及びTRDによってコードされる)からなる。したがって、いくつかの態様において、本明細書で開示されるトランスジェニックTCR保有免疫細胞は、人工的に(例えば、ベクターを介して)TRA遺伝子及びTRB遺伝子またはTRG遺伝子及びTRD遺伝子を免疫細胞に導入することによって構築され得る。ある特定の態様において、TRA遺伝子及びTRB遺伝子またはTRG遺伝子及びTRD遺伝子は、同じベクターにおいて発現され得る。いくつかの態様において、TRA遺伝子及びTRB遺伝子またはTRG遺伝子及びTRD遺伝子は、別々のベクターにおいて発現される。
【0213】
当該技術分野で知られている他の方法は、レンチウイルス形質導入、トランスポゾンベースのシステム、直接RNAトランスフェクション、及びCRISPR/Casシステム(例えば、Cas3、Cas4、Cas5、Cas5e(またはCasD)、Cas6、Cas6e、Cas6f、Cas7、Cas8a1、Cas8a2、Cas8b、Cas8c、Cas9、Cas10、CaslOd、CasF、CasG、CasH、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1(またはCasA)、Cse2(またはCasB)、Cse3(またはCasE)、Cse4(またはCasC)、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csz1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、及びCu1966などのような、好適なCasタンパク質を使用するI型、II型、またはIll型システム)を含むが、これらに限定されない。ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)及び転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)を使用してもよい。例えば、Shearer RF and Saunders DN,“Experimental design for stable genetic manipulation in mammalian cell lines:lentivirus and alternatives,”Genes Cells 2015 Jan;20(1):1-10を参照されたい。
【0214】
VII.核酸、ベクター、宿主細胞
本明細書に記載されるさらなる態様は、本明細書に記載される治療剤(例えば、IL-7タンパク質、CAR、及び/またはトランスジェニックTCR)をコードする1以上の核酸分子に関する。核酸は、全細胞に、細胞溶解物に、または部分的に精製された形態もしくは実質的に純粋な形態で存在し得る。核酸は、他の細胞成分または他の夾雑物、例えば、他の細胞核酸(例えば、他の染色体DNA、例えば、天然に単離DNAに連結している染色体DNA)またはタンパク質から、アルカリ/SDS処理、CsClバンディング、カラムクロマトグラフィー、制限酵素、アガロースゲル電気泳動、及び当該技術分野で周知の他の技術を含む標準的技術によって精製されている場合、「単離されている」または「実質的に純粋になっている」。F.Ausubel,et al.,ed.(1987)Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing and Wiley Interscience,New Yorkを参照されたい。本明細書に記載される核酸は、例えば、DNAまたはRNAであってもよく、イントロン配列を含んでも含まなくてもよい。ある特定の態様において、核酸はcDNA分子である。本明細書に記載される核酸は、当該技術分野で知られている標準的な分子生物学技術を使用して得ることができる。
【0215】
本明細書で開示されるある特定の核酸分子は、IL-7タンパク質(例えば、本明細書で開示されるもの)をコードするものである。本明細書で開示されるIL-7タンパク質をコードする例示的な核酸配列は、配列番号29~39に示されている。
【0216】
いくつかの態様において、本開示は、本明細書で開示される治療剤(例えば、IL-7タンパク質)をコードする単離された核酸分子を含むベクターを提供する。いくつかの態様において、ベクターは、遺伝子療法のために使用され得る。
【0217】
遺伝子療法として(例えば、ヒトにおいて)使用される場合、本明細書で開示される治療剤(例えば、IL-7タンパク質)をコードする核酸は、0.1mg~200mgの範囲の投与量で投与され得る。ある特定の態様において、投与量は、0.6mg~100mgの範囲である。ある特定の態様において、投与量は、1.2mg~50mgの範囲である。
【0218】
本開示で好適なベクターには、発現ベクター、ウイルスベクター、及びプラスミドベクターが含まれる。いくつかの態様において、ベクターは、ウイルスベクターである。
【0219】
本明細書で使用する場合、発現ベクターとは、適切な宿主細胞に導入したときに、挿入されるコード配列の転写及び翻訳のために必要な要素、またはRNAウイルスベクターの場合には、複製及び翻訳に必要な要素を含む、任意の核酸構築物を意味する。発現ベクターは、プラスミド、ファージミド、ウイルス、及びそれらの誘導体を含み得る。
【0220】
本明細書で使用する場合、ウイルスベクターは、限定するものではないが、次のウイルス:モロニーマウス白血病ウイルス、ハーベイマウス肉腫ウイルス、マウス乳房腫瘍ウイルス、及びラウス肉腫ウイルスなどのレトロウイルス;レンチウイルス;アデノウイルス;アデノ随伴ウイルス;SV40型ウイルス;ポリオーマウイルス;エプスタイン・バーウイルス;パピローマウイルス;ヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;ポリオウイルス;ならびにレトロウイルスなどのRNAウイルスに由来する核酸配列を含む。当該技術分野で周知の他のベクターも容易に用いることができる。ある特定のウイルスベクターは、非必須遺伝子が目的の遺伝子に置き換えられている非細胞変性真核生物ウイルスに基づく。非細胞変性ウイルスにはレトロウイルスが含まれ、レトロウイルスのライフサイクルは、ゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転写を含み、その後、宿主細胞DNAにプロウイルスが組込まれる。
【0221】
いくつかの態様において、ベクターはアデノ随伴ウイルスに由来する。いくつかの態様において、ベクターはレンチウイルスに由来する。レンチウイルスベクターの例は、WO9931251、WO9712622、WO9817815、WO9817816、及びWO9818934に開示されており、これらは各々、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0222】
他のベクターにはプラスミドベクターが含まれる。プラスミドベクターは当該技術分野で広く報告されており、当業者に周知である。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989を参照されたい。過去数年間において、プラスミドベクターは、宿主ゲノム内で複製して宿主ゲノム内に組み込まれることがないため、in vivoで遺伝子を細胞に送達するのに特に有利であることが見出されている。しかしながら、宿主細胞に適合するプロモーターを有するこれらのプラスミドは、プラスミド内で作動可能にコードされた遺伝子からペプチドを発現することができる。商業的供給者から入手可能ないくつかの一般的に使用されているプラスミドには、pBR322、pUC18、pUC19、様々なpcDNAプラスミド、pRC/CMV、様々なpCMVプラスミド、pSV40、及びpBlueScriptが含まれる。特定のプラスミドのさらなる例としては、pcDNA3.1、カタログ番号V79020;pcDNA3.1/hygro、カタログ番号V87020;pcDNA4/myc-His、カタログ番号V86320;及びpBudCE4.1、カタログ番号V53220が挙げられ、これらはすべてInvitrogen(Carlsbad,CA.)によるものである。他のプラスミドも当業者には周知である。さらに、プラスミドは、特定のDNA断片を除去及び/または付加するように、標準的な分子生物学技術を使用してカスタム設計することができる。
【0223】
本開示には、本明細書で開示される治療剤(例えば、IL-7タンパク質)を作製する方法も包含される。いくつかの態様において、そのような方法は、治療剤をコードする核酸分子、例えば、配列番号29~39を含む細胞において、治療剤(例えば、IL-7タンパク質)を発現させることを含み得る。本明細書で開示されるIL-7タンパク質を作製する方法に関する追加の詳細は、例えば、全体として参照により本明細書に組み込まれるWO2016/200219に提供されている。これらのヌクレオチド配列を含む宿主細胞は本明細書に包含されている。使用することのできる宿主細胞の非限定的な例には、不死ハイブリドーマ細胞、NS/0骨髄腫細胞、293細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ヒト羊水由来細胞(CapT細胞)、COS細胞、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0224】
VIII.医薬組成物
本明細書では、生理学的に許容できる担体、賦形剤、または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences(1990)Mack Publishing Co.,Easton,PA)において所望の純度を有する1以上の治療剤(例えば、本明細書で開示されるIL-7タンパク質及び/または改変免疫細胞、例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団)を含む組成物がさらに提供される。いくつかの態様において、本明細書で開示される組成物は、IL-7タンパク質、または改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団を含む。本明細書で開示されるように、そのような組成物は、組み合わせて使用することができる(例えば、第1の組成物がIL-7タンパク質を含み、第2の組成物が改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団を含む)。いくつかの態様において、本明細書で開示される組成物は、IL-7タンパク質と、改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団の両方を含み得る。
【0225】
許容できる担体、賦形剤、または安定剤は、用いられる投与量及び濃度でレシピエントに対して無毒であり、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;ヘキサメトニウムクロリド;ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリド;フェノールアルコール、ブチルアルコール、もしくはベンジルアルコール;メチルパラベンもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンなどのアミノ酸;単糖、二糖、及び他の炭水化物、例えばグルコース、マンノース、もしくはデキストリン;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);及び/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含む。
【0226】
いくつかの態様において、本明細書で開示される組成物は、増量剤、安定化剤、界面活性剤、緩衝剤、またはそれらの組み合わせから選択される1以上の追加の成分を含む。
【0227】
本開示で有用な緩衝剤は、別の酸または塩基の添加後に溶液の酸性(pH)を選択した値付近に維持するために使用される、弱酸または弱塩基であり得る。好適な緩衝剤は、組成物のpHコントロールを維持することにより、医薬組成物の安定性を最大化することができる。好適な緩衝剤はまた、生理学的適合性を確実にするか、または溶解度を最適化することができる。レオロジー、粘性、及び他の特性も、組成物のpHに依存し得る。一般的な緩衝剤は、Trisバッファー、Tris-Clバッファー、ヒスチジンバッファー、TAEバッファー、HEPESバッファー、TBEバッファー、リン酸ナトリウムバッファー、MESバッファー、硫酸アンモニウムバッファー、リン酸カリウムバッファー、チオシアン酸カリウムバッファー、コハク酸バッファー、酒石酸バッファー、DIPSOバッファー、HEPPSOバッファー、POPSOバッファー、PIPESバッファー、PBSバッファー、MOPSバッファー、酢酸バッファー、リン酸バッファー、カコジル酸バッファー、グリシンバッファー、硫酸バッファー、イミダゾールバッファー、塩酸グアニジンバッファー、リン酸-クエン酸バッファー、ホウ酸バッファー、マロン酸バッファー、3-ピコリンバッファー、2-ピコリンバッファー、4-ピコリンバッファー、3,5-ルチジンバッファー、3,4-ルチジンバッファー、2,4-ルチジンバッファー、Aces、マロン酸ジエチルバッファー、N-メチルイミダゾールバッファー、1,2-ジメチルイミダゾールバッファー、TAPSバッファー、bis-Trisバッファー、L-アルギニンバッファー、乳酸バッファー、グリコール酸バッファー、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0228】
いくつかの態様において、本明細書で開示される組成物は、増量剤をさらに含む。増量剤は、生成物に体積及び質量を加えることで、その正確な計量及び取り扱いを容易にするために、医薬品に添加され得る。本開示で使用することのできる増量剤は、塩化ナトリウム(NaCl)、マンニトール、グリシン、アラニン、またはそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0229】
いくつかの態様において、本明細書で開示される組成物は、安定化剤を含んでもよい。本開示で使用することのできる安定化剤の非限定的な例には、スクロース、トレハロース、ラフィノース、アルギニン、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0230】
いくつかの態様において、本明細書で開示される組成物は、界面活性剤を含む。ある特定の態様において、界面活性剤は、アルキルエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アミンエトキシレート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、セチルアルコールもしくはオレイルアルコールなどの脂肪アルコール、コカミドMEA、コカミドDEA、ポリソルベート、ドデシルジメチルアミンオキシド、またはそれらの組み合わせから選択され得る。いくつかの態様において、界面活性剤は、ポリソルベート20またはポリソルベート80である。
【0231】
いくつかの態様において、IL-7タンパク質を含む組成物は、改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団(例えば、IL-7タンパク質と組み合わせて使用される)のために使用されるものと同じ配合を使用して配合され得る。いくつかの態様において、IL-7タンパク質と改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団とは、異なる配合を使用して配合される。
【0232】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるIL-7タンパク質は、(a)基礎バッファー、(b)糖、及び(c)界面活性剤を含む組成物に配合される。ある特定の態様において、基礎バッファーは、ヒスチジン-酢酸またはクエン酸ナトリウムを含む。いくつかの態様において、基礎バッファーは、約10~約50nMの濃度である。いくつかの態様において、糖は、スクロース、トレハロース、デキストロース、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様において、糖は、約2.5~約5.0w/v%の濃度で存在する。ある特定の態様において、界面活性剤は、ポリソルベート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、アルキル硫酸塩、ポリビニルピロリドン、ポロクサマー、またはそれらの組み合わせから選択される。いくつかの態様において、界面活性剤は、約0.05%~約6.0w/v%の濃度である。
【0233】
いくつかの態様において、本明細書で開示される組成物(例えば、IL-7タンパク質及び/または改変免疫細胞、例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団を含む)は、アミノ酸をさらに含む。ある特定の態様において、アミノ酸は、アルギニン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、またはそれらの組み合わせから選択される。ある特定の態様において、組成物は、糖アルコールをさらに含む。糖アルコールの非限定的な例としては、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0234】
いくつかの態様において、本明細書で開示されるIL-7タンパク質は、(a)クエン酸ナトリウム(例えば、約20mM)、(b)スクロース(例えば、約5%)、(c)ソルビトール(例えば、約1.5%)、及び(d)Tween(登録商標) 80(例えば、約0.05%)を含む組成物に配合される。
【0235】
いくつかの態様において、本開示のIL-7タンパク質は、全体として参照により本明細書に組み込まれるWO2017/078385 A1に記載されているように配合される。
【0236】
医薬組成物は、対象に対するあらゆる投与経路用に配合され得る。投与経路の特定例としては、筋肉内、皮下、点眼、静脈内、腹腔内、皮内、眼窩内、脳内、頭蓋内、脊髄内、心室内、髄腔内、大槽内、嚢内、または腫瘍内が挙げられる。皮下、筋肉内、または静脈内のいずれかの注射を特徴とする非経口投与も、本明細書では想定される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質と改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団とは、同じ投与経路を使用して投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質と改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団とは、異なる投与経路を使用して投与される。いくつかの態様において、IL-7タンパク質は、静脈内投与、皮下投与、または腫瘍内投与される。いくつかの態様において、改変免疫細胞(例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞)の集団は、静脈内投与される。
【0237】
注射物は、液体の溶液もしくは懸濁液、注射前に液体中の溶液もしくは懸濁液に好適な固体形態、またはエマルジョンのいずれかとして、従来の形態で調製され得る。注射物、溶液、及びエマルジョンはまた、1以上の賦形剤を含む。好適な賦形剤は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、またはエタノールである。さらに、所望の場合、投与される医薬組成物は、微量の非毒性補助物質、例えば、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解度向上剤、及び他のかかる薬剤、例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、及びシクロデキストリンなどを含んでもよい。
【0238】
非経口調製物で使用される薬学的に許容できる担体には、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗微生物剤、等張剤、バッファー、抗酸化剤、局所麻酔剤、懸濁剤及び分散剤、乳化剤、封鎖剤またはキレート剤、ならびに他の薬学的に許容できる物質が含まれる。水性ビヒクルの例には、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張デキストロース注射液、滅菌水注射液、デキストロース、及び乳酸加リンゲル注射液が含まれる。非水性非経口ビヒクルとしては、植物由来の固定油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、及びピーナッツ油が挙げられる。フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、ベンザルコニウムクロリド、及びベンゼトニウムクロリドを含む複数用量容器に包装される非経口調製物に、静菌性または静真菌性の濃度の抗微生物剤を加えてもよい。等張剤は、塩化ナトリウム及びデキストロースを含む。バッファーは、リン酸塩及びクエン酸塩を含む。抗酸化剤は、重硫酸ナトリウムを含む。局所麻酔剤は、塩酸プロカインを含む。懸濁剤及び分散剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポリビニルピロリドンを含む。乳化剤は、ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80)を含む。金属イオンの封鎖剤またはキレート剤は、EDTAを含む。薬学的担体は、水混和性ビヒクル用のエチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコール、ならびにpH調整用の水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸、または乳酸も含む。
【0239】
非経口投与用の調製物は、そのまま注射できる無菌溶液、使用直前に溶媒と組み合わされる無菌の乾燥した可溶性製品、例えば凍結乾燥粉末を含み、皮下錠剤、そのまま注射できる無菌懸濁液、使用直前にビヒクルと組み合わされる無菌の乾燥した不溶性製品、及び無菌エマルジョンを含む。溶液は、水性または非水性のいずれであってもよい。
【0240】
静脈内投与される場合、好適な担体には、生理食塩水またはリン酸緩衝食塩水(PBS)、ならびに増粘剤及び可溶化剤(グルコース、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール、ならびにこれらの混合物など)を含む溶液が含まれる。
【0241】
抗体を含む局部混合物は、局所及び全身投与について記載されるように調製される。結果として得られる混合物は、溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり得、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ローション、懸濁液、チンキ剤、ペースト、発泡剤、エアロゾル、灌注剤、スプレー、坐薬、包帯、皮膚パッチ、または局部投与に好適な任意の他の配合物として配合され得る。
【0242】
本明細書に記載される治療剤(例えば、IL-7タンパク質)は、吸入などによる局部適用のためのエアロゾルとして配合され得る(例えば、炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドの送達のためのエアロゾルについて説明する、米国特許第4,044,126号、同第4,414,209号、及び同第4,364,923号を参照されたい)。気道に投与するためのこれらの配合物は、単独で、またはラクトースなどの不活性担体と組み合わせて、ネブライザー用のエアロゾルまたは溶液の形態であってもよく、吹送用の超微粒粉末であってもよい。そのような場合、配合物の粒子は、一態様では50ミクロン未満、一態様では10ミクロン未満の直径を有する。
【0243】
本明細書で開示される治療剤(例えば、IL-7タンパク質)は、局所または局部適用、例えば、皮膚及び粘膜、例えば、眼への局部適用のために、ゲル、クリーム、及びローションの形態で、かつ眼への適用、または嚢内もしくは髄腔内適用のために配合され得る。局部投与は、経皮送達のため、また、眼もしくは粘膜への投与、または吸入療法のために想定される。抗体単独の、または他の薬学的に許容できる賦形剤と組み合わせた点鼻液を投与することもできる。
【0244】
イオン泳動デバイス及び電気泳動デバイスを含む経皮パッチは、当業者に周知であり、抗体を投与するために使用することができる。例えば、そのようなパッチは、米国特許第6,267,983号、同第6,261,595号、同第6,256,533号、同第6,167,301号、同第6,024,975号、同第6,010715号、同第5,985,317号、同第5,983,134号、同第5,948,433号、及び同第5,860,957号で開示されており、これらの各々は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0245】
ある特定の態様において、本明細書に記載される治療剤(例えば、IL-7タンパク質)を含む医薬組成物は、凍結乾燥粉末であり、溶液、エマルジョン、及び他の混合物として投与するために再構成することができる。固体またはゲルとして再構成及び配合することもできる。凍結乾燥粉末は、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合性部分、またはその薬学的に許容できる誘導体を、好適な溶媒に溶解することによって調製される。いくつかの態様において、凍結乾燥粉末は無菌である。溶媒は、粉末または粉末から調製される再構成溶液の安定性または他の薬理学的成分を改善する賦形剤を含み得る。使用することのできる賦形剤は、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース、または他の好適な薬剤を含むが、これらに限定されない。溶媒は、バッファー、例えば、クエン酸、リン酸ナトリウムもしくはリン酸カリウム、または当業者に知られている他のかかるバッファーを、一実施形態では、ほぼ中性のpHで含んでもよい。その後、当業者に知られている標準的な条件下で溶液を滅菌濾過し、続いて凍結乾燥することにより、所望の配合物がもたらされる。いくつかの態様において、結果として得られる溶液は、凍結乾燥用のバイアルに分配され得る。各バイアルは、単一投与量または複数投与量の化合物を含み得る。凍結乾燥粉末は、約4℃~室温などの適切な条件下で保管され得る。
【0246】
この凍結乾燥粉末を注射用水で再構成すると、非経口投与に使用するための配合物がもたらされる。再構成のためには、凍結乾燥粉末を滅菌水または他の好適な担体に加える。正確な量は、選択される化合物によって異なる。かかる量は経験的に決定され得る。
【0247】
本明細書で提供される組成物は、特定の組織、受容体、または治療される対象の身体の他の領域を標的化するように配合することもできる。そのような標的化方法の多くが当業者に周知である。本明細書では、そのような標的化方法のすべてが本発明の組成物で使用されることが想定される。標的化方法の非限定的な例については、例えば、米国特許第6,316,652号、同第6,274,552号、同第6,271,359号、同第6,253,872号、同第6,139,865号、同第6,131,570号、同第6,120,751号、同第6,071,495号、同第6,060,082号、同第6,048,736号、同第6,039,975号、同第6,004,534号、同第5,985,307号、同第5,972,366号、同第5,900,252号、同第5,840,674号、同第5,759,542号、及び同第5,709,874号を参照されたい。特定の態様において、本明細書で開示される併用療法(すなわち、CAR保有免疫細胞またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質)は、固形腫瘍を治療するために使用され得る。
【0248】
in vivo投与に使用される組成物は、滅菌されていてもよい。これは、例えば、滅菌濾過膜による濾過によって容易に行われる。
【0249】
以下の実施例は単なる例示であり、本開示を読めば当業者には多くの変形及び均等物が明らかになるので、断じて本開示の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
【実施例
【0250】
実施例1:抗メソテリンCAR-T細胞及びIL-7タンパク質の併用療法の抗腫瘍効果の分析
固形腫瘍の治療における本明細書で開示される併用療法(すなわち、CAR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質)の効力を評価するために、膵臓腫瘍マウスモデルを使用した。簡潔に述べると、馴化していないNSGマウスにGFP標識AsPC-1腫瘍細胞(2×10細胞/マウス)を注射した。in vivo投与のためのCAR-T細胞を調製するため、健康なドナーから採取された末梢血単核細胞(PBMC)からT細胞を単離/精製した。次に、抗CD3抗体及び抗CD28抗体を使用してT細胞をin vitroで活性化した。およそ2日後、CRISPR/Cas9システムを使用してTCR受容体アルファ鎖(TRAC)を欠失させた。翌日、メソテリンを標的とするCARをT細胞に形質導入した。形質導入されたT細胞をおよそ1週間さらに増殖させた。遺伝子編集を回避した残留するTCR+T細胞を磁気枯渇により除去し、その後、形質導入されたT細胞(すなわち、CD3-CAR+)を単離し、動物に投与した。
【0251】
腫瘍細胞の注射からおよそ15日後、動物に抗メソテリンCAR-T細胞(5×10細胞/マウス)を静脈内投与した。約24時間後、動物をビヒクルまたは改変IL-7タンパク質(例えば、本明細書に開示される)のいずれかでさらに処置した。IL-7タンパク質は、10mg/kgの用量で合計3用量を(CAR-T細胞投与後1日目、15日目、及び29日目に)動物に投与した。異なる処置群を表3(下記)に示す。腫瘍サイズと生存率の両方について動物を毎週モニタリングした。
【表3】
【0252】
図1A及び1Bに示すように、異なる処置群の間で腫瘍体積に有意な全体的低減はないようであった。IL-7タンパク質とCAR-T細胞の両方の組み合わせで処置された動物のうち少なくとも1頭は、CAR-T細胞投与の約75~80日後まで、腫瘍体積の有意な低減を呈した(図1Bを参照されたい)。腫瘍体積の有意な低減がないにもかかわらず、CAR-T細胞と組み合わせたIL-7タンパク質による動物の処置は、他の処置群と比較して全体的生存率を増大させた。
【0253】
実施例2:抗メソテリンCAR-T細胞及びIL-7タンパク質の併用療法の抗腫瘍効果のさらなる分析
固形腫瘍の治療における本明細書で開示される併用療法(すなわち、CAR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質)の効力をさらに評価するために、上記の実施例を次のように繰り返した。簡潔に述べると、馴化していないNSGマウスにGFP標識AsPC-1腫瘍細胞(1.5×10細胞/マウス)を注射した。in vivo投与のためのCAR-T細胞を調製するため、健康なドナーから採取された末梢血単核細胞(PBMC)からT細胞を単離/精製した。次に、抗CD3抗体及び抗CD28抗体を使用してT細胞をin vitroで活性化した。翌日、T細胞に抗メソテリンCAR(すなわち、実施例1で使用したものと同じ)を形質導入した。翌日、CRISPR/Cas9システムを使用してTCR受容体アルファ鎖(TRAC)を欠失させた。形質導入されたT細胞をおよそ1週間さらに増殖させた。遺伝子編集を回避した残留するTCR+T細胞を磁気枯渇により除去し、その後、形質導入されたT細胞(すなわち、CD3-CAR+)を単離し、動物に投与した。
【0254】
腫瘍細胞の皮下注射から7日後、動物に抗メソテリンCAR-T細胞(1×10細胞/マウス)を静脈内投与した。約24時間後、動物をビヒクルまたは改変IL-7タンパク質(例えば、本明細書に開示される)のいずれかでさらに処置した。IL-7タンパク質は、10mg/kgの用量で合計3用量を動物に隔週投与した。異なる処置群は、実施例1と同じである(表3を参照されたい)。腫瘍サイズと生存率の両方について動物を毎週モニタリングした。
【0255】
実施例1とは異なり、IL-7タンパク質とCAR-T細胞との組み合わせで処置された動物は、他の処置群と比較して腫瘍体積の有意な低減を呈した(図2A及び2Bを参照されたい)。腫瘍体積の低減は、早くもCAR-T細胞投与から約2週間後には顕著であった。図2Cに示すように、腫瘍体積の低減は生存率の増大に関連していた。他の処置群と比較すると、併用療法(すなわち、CAR-T細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質)を受けたすべての動物が、実験期間全体(すなわち、CAR-T細胞投与後100日間)にわたって生存した。
【0256】
まとめると、上記の結果は、本明細書で開示されるIL-7タンパク質がCAR-T細胞の抗腫瘍効果を大きく改善し得ることを示す。したがって、上記の結果は、本明細書で開示される併用療法(すなわち、改変免疫細胞、例えば、CAR保有免疫細胞及び/またはトランスジェニックTCR保有免疫細胞の集団と組み合わせたIL-7タンパク質)が、固形腫瘍の治療において効果的であり得ることを示唆する。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
【配列表】
2023512657000001.app
【国際調査報告】