(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-28
(54)【発明の名称】ガスバリアアルミニウム蒸着フィルム及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 15/08 20060101AFI20230320BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20230320BHJP
C23C 14/14 20060101ALI20230320BHJP
C08J 7/043 20200101ALI20230320BHJP
【FI】
B32B15/08 F
B32B9/00 A
C23C14/14 B
C08J7/043 Z CER
C08J7/043 CEZ
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547287
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(85)【翻訳文提出日】2022-08-03
(86)【国際出願番号】 KR2020015408
(87)【国際公開番号】W WO2021162203
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0016713
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501380081
【氏名又は名称】東レ先端素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】TORAY ADVANCED MATERIALS KOREA, INC.
【住所又は居所原語表記】93-1, Imsu-dong, Gumi-si, Gyeongsangbuk-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ハン, スン フン
(72)【発明者】
【氏名】キム, キル ジュン
(72)【発明者】
【氏名】チュン, イン シク
【テーマコード(参考)】
4F006
4F100
4K029
【Fターム(参考)】
4F006AA35
4F006AB35
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4K029AA11
4K029BA03
4K029BA44
4K029BA58
4K029CA01
4K029CA05
(57)【要約】
本発明の一実施例によるガスバリアアルミニウム蒸着フィルムは、熱可塑性プラスチック基材フィルム上にヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH)及びカルボン酸基(-COOH)の中から選択された1種以上の官能基を多量含有するシードコーティング層を形成して、アルミニウム蒸着初期に蒸気化されたアルミニウム原子とコーティング層の表面において化学反応を通じてAlOxまたはAlNxなどのアルミニウムを均一に蒸着させうるシード(seed)分子層を形成することによって、以後に蒸着されるアルミニウム層の均一な蒸着を誘導して従来のアルミニウム蒸着フィルムに比べて優れた酸素及び水蒸気バリア性を有する蒸着フィルムを提供できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性プラスチック基材フィルムと、
前記熱可塑性プラスチック基材フィルムの一面に積層され、ヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH)及びカルボン酸基(-COOH)の中から選択された少なくとも一つ以上の官能基を有するシードコーティング層と、
前記シードコーティング層上に蒸着されたアルミニウム蒸着層と
を含む、ガスバリアアルミニウム蒸着フィルム。
【請求項2】
前記シードコーティング層は、300μmx300μm面積内にヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH)及びカルボン酸基(-COOH)の中から選択された少なくとも一つ以上の官能基を1.0e+5ないし1.0e+10個含む、請求項1に記載のガスバリアアルミニウム蒸着フィルム。
【請求項3】
前記熱可塑性プラスチック基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)である、請求項1に記載のガスバリアアルミニウム蒸着フィルム。
【請求項4】
前記熱可塑性プラスチック基材フィルムは、結晶化度が40%ないし60%である、請求項1に記載のガスバリアアルミニウム蒸着フィルム。
【請求項5】
前記熱可塑性プラスチック基材フィルムは、面配向度が0.150ないし0.200である、請求項1に記載のガスバリアアルミニウム蒸着フィルム。
【請求項6】
前記熱可塑性プラスチック基材フィルムは、厚みが5ないし100μmである、請求項1に記載のガスバリアアルミニウム蒸着フィルム。
【請求項7】
前記シードコーティング層は、共重合ポリエステル系コーティング組成物でコーティングされた、請求項1に記載のガスバリアアルミニウム蒸着フィルム。
【請求項8】
前記アルミニウム蒸着層の光学密度(Optical density,O.D)は、1.5ないし4.5である、請求項1に記載のガスバリアアルミニウム蒸着フィルム。
【請求項9】
前記ガスバリアアルミニウム蒸着フィルムの水蒸気透過率(Water VaporTransmission Rate,WVTR)は、0.01ないし0.5g/m
2・24hrである、請求項1に記載のガスバリアアルミニウム蒸着フィルム。
【請求項10】
前記ガスバリアアルミニウム蒸着フィルムの酸素透過率(Oxygen Transmission Rate,OTR)は、0.1ないし1.0cc/m
2・24hr・atmである、請求項1に記載のガスバリアアルミニウム蒸着フィルム。
【請求項11】
前記シードコーティング層の厚みは、10nmないし100nmである、請求項1に記載のガスバリアアルミニウム蒸着フィルム。
【請求項12】
熱可塑性プラスチック基材フィルムの一面にシードコーティング層をコーティングするステップと、
前記シードコーティング層上にアルミニウムを蒸着するステップと
を含む、ガスバリアアルミニウム蒸着フィルムの製造方法。
【請求項13】
前記シードコーティング層をコーティングするステップは、300μmx300μm面積内にヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH)及びカルボン酸基(-COOH)の中から選択された少なくとも一つ以上の官能基を1.0e+5ないし1.0e+10個含むシードコーティング層をコーティングするステップである、請求項12に記載のガスバリアアルミニウム蒸着フィルムの製造方法。
【請求項14】
前記シードコーティング層をコーティングするステップは、
熱可塑性プラスチックチップを溶融押出した後、冷却、固化させて無延伸シートを製造するステップと、
前記無延伸シートを縦方向に延伸して一軸延伸された基材フィルムを製造するステップと、
前記一軸延伸された基材フィルム上にヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH)及びカルボン酸基(-COOH)の中から選択された少なくとも一つ以上の官能基を有する共重合ポリエステル系コーティング組成物をコーティングして、シードコーティング層がコーティングされた基材フィルムを製造するステップと、
前記シードコーティング層がコーティングされた基材フィルムを横方向に二軸延伸した後に熱処理して、シードコーティング層がコーティングされた二軸延伸された熱可塑性プラスチック基材フィルムを製造するステップと
を含む、請求項12に記載のガスバリアアルミニウム蒸着フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリアアルミニウム蒸着フィルムに関し、さらに詳細には、アルミニウムと反応性のあるシード(seed)分子層を有したコーティング層を形成して、優れた酸素及び水蒸気バリア性を有するガスバリアアルミニウム蒸着フィルム及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レトルト食品用包装材料をはじめとする各種食料品包装材及び家電製品の断熱材、建築資材の断熱パネルなどの真空断熱材用外層包装材料などにアルミ箔が広く使用されている。このようなアルミ箔は、優れた酸素及び水蒸気に対するガスバリア特性を有しており、金属光沢による意匠性と高い光遮断性を有している。しかしながら、アルミ箔は、前記のような様々な長所にもかかわらず、焼却後にアルミニウム残渣が発生する問題によって、環境負担が大きく、焼却炉に対する大きな負荷を有する等の問題があった。
【0003】
このようなアルミ箔の問題を解消するために、熱可塑性プラスチック基材フィルム上に真空蒸着法を利用してアルミニウムを蒸着したアルミニウム蒸着フィルムがアルミ箔の代替品として開発されて使用されている。このようなアルミニウム蒸着フィルムの一例として韓国公開特許公報10-2004-0087479号は、透明プラスチックフィルムの一側面にアルミニウム蒸着層を部分的に形成する包装用アルミニウム部分蒸着フィルム製造方法を含んでいる。しかしながら、アルミニウム蒸着フィルムは、一般に基材フィルム上に数十ナノメートルの蒸着厚で薄膜蒸着を進行するので、バリア性の向上のためにアルミ箔のようにマイクロメートル単位の厚膜で蒸着するには、技術的/生産的な限界を有する。また、真空蒸着時に別の表面処理されない基材フィルムまたは通常のコロナ表面処理された基材フィルム上にアルミニウムを蒸着する場合、均一なアルミニウム蒸着層を得るのが困難であるから、蒸着されたアルミニウム層にピンホール及びクラックが発生しやすい。このようにアルミニウム蒸着層にピンホール及びクラックが発生する場合、従来のアルミ箔に比べて酸素及び水蒸気などのガスバリア特性が顕著に落ちるという問題を有する。これによって食料品包装材料として利用するとき、食品の変質及び変色の恐れがあるから、十分な流通期限の確保が困難であるという問題があり、断熱材料として使用する際、十分な断熱特性を確保し難いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決するために案出されたものであって、本発明の目的は、熱可塑性プラスチック基材フィルム上にアルミニウム蒸着層が形成されたガスバリアアルミニウム蒸着フィルムにおいて、蒸着されるアルミニウム層の均一な蒸着を誘導して、従来のアルミニウム蒸着フィルムに比べて優れた酸素及び水蒸気バリア性を有するガスバリアアルミニウム蒸着フィルム及びその製造方法を提供することにある。
【0005】
本発明の前記及び他の目的と利点は、好ましい実施例を説明した下記の説明によりさらに明らかになるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、熱可塑性プラスチック基材フィルムと、熱可塑性プラスチック基材フィルムの一面に積層され、ヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH)及びカルボン酸基(-COOH)の中から選択された少なくとも一つ以上の官能基を有するシードコーティング層と、シードコーティング層上に蒸着されたアルミニウム蒸着層とを含む、ガスバリアアルミニウム蒸着フィルムにより達成される。
【0007】
好ましくは、シードコーティング層は、300μmx300μm面積内にヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH)及びカルボン酸基(-COOH)の中から選択された少なくとも一つ以上の官能基を1.0e+5ないし1.0e+10個含むことができる。
【0008】
好ましくは、熱可塑性プラスチック基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)でありうる。
【0009】
好ましくは、熱可塑性プラスチック基材フィルムは、結晶化度が40%ないし60%でありうる。
【0010】
好ましくは、熱可塑性プラスチック基材フィルムは、面配向度が0.150ないし0.200でありうる。
【0011】
好ましくは、熱可塑性プラスチック基材フィルムは、厚みが5ないし100μmでありうる。
【0012】
好ましくは、シードコーティング層は、共重合ポリエステル系コーティング組成物でコーティングされたものでありうる。
【0013】
好ましくは、アルミニウム蒸着層の光学密度(Optical density,O.D)は、1.5ないし4.5でありうる。
【0014】
好ましくは、ガスバリアアルミニウム蒸着フィルムの水蒸気透過率(Water Vapor Transmission Rate,WVTR)は、0.01ないし0.5g/m2・24hrでありうる。
【0015】
好ましくは、ガスバリアアルミニウム蒸着フィルムの酸素透過率(Oxygen Transmission Rate,OTR)は、0.1ないし1.0cc/m2・24hr・atmでありうる。
【0016】
好ましくは、シードコーティング層の厚みは、10nmないし100nmでありうる。
【0017】
また、前記目的は、熱可塑性プラスチック基材フィルムの一面にシードコーティング層をコーティングするステップと、シードコーティング層上にアルミニウムを蒸着するステップとを含む、ガスバリアアルミニウム蒸着フィルムの製造方法により達成される。
【0018】
好ましくは、シードコーティング層をコーティングするステップは、300μmx300μm面積内にヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH)及びカルボン酸基(-COOH)の中から選択された少なくとも一つ以上の官能基を1.0e+5ないし1.0e+10個含むシードコーティング層をコーティングするステップでありうる。
【0019】
さらに好ましくは、シードコーティング層をコーティングするステップは、熱可塑性プラスチックチップを溶融押出した後、冷却、固化させて無延伸シートを製造するステップと、無延伸シートを縦方向に延伸して一軸延伸された基材フィルムを製造するステップと、一軸延伸された基材フィルム上にヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH)及びカルボン酸基(-COOH)の中から選択された少なくとも一つ以上の官能基を有する共重合ポリエステル系コーティング組成物をコーティングして、シードコーティング層がコーティングされた基材フィルムを製造するステップと、シードコーティング層がコーティングされた基材フィルムを横方向に二軸延伸した後に熱処理して、シードコーティング層がコーティングされた二軸延伸された熱可塑性プラスチック基材フィルムを製造するステップとを含むことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施例によるガスバリアアルミニウム蒸着フィルムは、熱可塑性プラスチック基材フィルム上にヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH)及びカルボン酸基(-COOH)の中から選択された1種以上の官能基を含有するシードコーティング層を形成して、アルミニウム蒸着初期に蒸気化されたアルミニウム原子とコーティング層の表面において化学反応を通じてAlOxまたはAlNxなどのアルミニウムを均一に蒸着させうるシード(seed)分子層を形成することによって、以後に蒸着されるアルミニウム層の均一な蒸着を誘導して従来のアルミニウム蒸着フィルムに比べて優れた酸素及び水蒸気バリア性を有する蒸着フィルムを提供できる。
【0021】
このように本発明によるガスバリアアルミニウム蒸着フィルムは、酸素及び水蒸気のようなガスバリア性に優れた蒸着フィルムを提供して、各種食品包装用または断熱材料用途のバリアフィルムとして使用することができる。
【0022】
ただし、本発明の効果らは、以上で言及した効果に制限されず、言及していないさらに他の効果は、以下の記載から当業者にとって明確に理解されるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一様相によるガスバリアアルミニウム蒸着フィルムの構成図である。
【
図2】本発明の他の様相によるガスバリアアルミニウム蒸着フィルムの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
添付した図面を参照して、本発明の実施例に対して本発明が属する技術分野における通常の知識を有した者が容易に実施できるよう、詳細に説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で具現化でき、ここに説明する実施例に限定されない。
【0025】
図面において、複数の層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。明細書全体にわたって類似の部分に対しては、同一の図面符号を付してある。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする時、これは他の部分の「直上に」ある場合だけでなく、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。これに対し、ある部分が他の部分の「直上に」あるとする時には、中間に他の部分がないことを意味する。
【0026】
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の熟練者により通常に理解されることと同じ意味を有する。相反する場合、定義を含む本明細書が優先するはずである。また、本明細書において説明されることと類似または同等な方法及び材料が本発明の実施または試験に使用されうるが、適合した方法及び材料が本明細書に記載される。
【0027】
図1は、本発明の一様相によるガスバリアアルミニウム蒸着フィルムの構成図である。
【0028】
図1に示すように、本発明の一様相によるガスバリアアルミニウム蒸着フィルムは、熱可塑性プラスチック基材フィルム10、シードコーティング層11及びアルミニウム蒸着層12を含む。このとき、熱可塑性プラスチック基材フィルム10の一面に積層されるシードコーティング層11は、AlOxまたはAlNx等アルミニウムシード(seed)を形成できるヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH)、カルボン酸基(-COOH)の中から選択された少なくとも一つ以上の官能基を含有する。
【0029】
1.熱可塑性プラスチック基材フィルム10
本発明において熱可塑性プラスチック基材フィルム10は、ポリエチレンフィルム、ポリプロフィレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ナイロンフィルム及びポリエチレンテレフタレートフィルムなどのような熱可塑性プラスチックフィルムのうち、少なくとも一つを含む。
【0030】
一実施例において、熱可塑性プラスチック基材フィルム10は、前記熱可塑性プラスチックフィルムのうち、どちらを使用しても良いが、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。ポリエチレンテレフタレートからなる熱可塑性プラスチック基材フィルム10は、無延伸状態のフィルムを使用することができるが、通常、二軸延伸されたフィルムが機械的強度及び厚さ均一性に優れており、バリア特性にも有利であるから好ましい。このとき、延伸方法には、通常の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを製造する方法であるロール延伸を利用した一軸延伸、テンター延伸法を利用した一軸延伸を併行する逐次二軸延伸方法を利用することが好ましいが、テンター延伸法を利用した同時二軸延伸、圧延延伸、ベルト延伸、チューブ延伸など、いかなる組み合わせを利用して製造しても良い。
【0031】
また、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する場合、熱可塑性プラスチック基材フィルム10の縦方向及び横方向延伸率は、2.0倍超過ないし5.0倍以下であることが好ましい。延伸率が2.0倍以下である場合、機械的強度が低下し、十分な厚さ均一性を確保することができず、5.0倍超過である場合、過度な延伸によりフィルム除膜工程において破断が頻繁に発生して、生産性が顕著に低下する問題が現れる。
【0032】
一実施例において、熱可塑性プラスチック基材フィルム10としてポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する場合、厚みは、5μmないし100μmであることが好ましい。5μm未満の場合、バリア包装材の機械的強度が弱いから、加工性が低下し、外部衝撃により容易に裂ける等、脆性問題があり、100μmを超過する場合、あまりにも厚くてバリア包装用途として加工性が顕著に低下するという問題がある。ただし、熱可塑性プラスチック基材フィルム10の厚みは、上述した範囲のみに限定されるものではなく、ガスバリアアルミニウム蒸着フィルムの用途及び目的によって調節が可能である。
【0033】
一実施例において、熱可塑性プラスチック基材フィルム10としてポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する場合、フィルム結晶化度は、40%ないし60%以下であることが好ましい。結晶化度が40%未満の場合、ガスバリア性が相対的に脆弱な非晶質領域が多いから、十分なバリア特性を確保し難く、結晶化度が60%を超過する場合、結晶化によりフィルムの透明性が低下するか、外部衝撃によりフィルムのクラックまたは破られる特性があって、包装用途のフィルムとして適合していないという問題がある。
【0034】
一実施例において、熱可塑性プラスチック基材フィルム10としてポリエチレンテレフタレートフィルムを使用する場合、面配向度は、0.150ないし0.200であることが好ましい。このような面配向度を有する場合、配向結晶の増加でポリエチレンテレフタレートフィルム自体のバリア特性を向上させることができる。反面に、面配向度が0.150未満の場合、機械的強度が落ち、十分な厚み均一性を確保することができず、面配向度が0.200を超過する場合、フィルムの製造時、過度な延伸により破断が発生する等、工程安定性が顕著に落ちるという問題がある。
【0035】
2.シード(Seed)コーティング層11
本発明においてシードコーティング層11は、熱可塑性プラスチック基材フィルム10の少なくとも一面にコーティングされて形成される。
【0036】
一実施例において、シードコーティング層11は、ポリウレタン系、アクリル系及び共重合ポリエステル系コーティング組成物のうち、少なくとも一つを含むことが好ましく、共重合ポリエステル系コーティング組成物であることがさらに好ましい。このとき、シードコーティング層11を形成する方法には、インラインコーティングまたはオフラインコーティングのうち、どちらを選択しても構わない。
【0037】
一実施例において、共重合ポリエステル系コーティング組成物は、ヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH)、カルボン酸基(-COOH)の中から選択された1種以上の官能基を含むことができる。これによって、シードコーティング層11は、300μmx300μm面積内にヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH)、カルボン酸基(-COOH)の中から選択された1種以上の官能基を1.0e+5ないし1.0e+10個含むことが好ましい。シードコーティング層11に含まれた前記官能基は、アルミニウム蒸着層12のアルミニウムとシード(seed)分子層を形成する。シードコーティング層11において前記面積内に官能基の数が1.0e+5個未満が存在する場合、十分なシード(seed)分子層を形成できないから、アルミニウム層が均一に蒸着されなくて十分なガスバリア特性を確保することができず、官能基の数が1.0e+10個を超過する場合、フィルムロールを巻き取った場合、ブロッキングなどの問題が発生でき、塗布膜の塗膜性またはコーティング外観が不良となる問題が発生できる。
【0038】
一実施例において、シードコーティング層11の厚みは、10nmないし100nmであることが好ましい。シードコーティング層11の厚みが10nm未満の場合、コーティング層がスクラッチに脆弱であるか、または部分的にコーティング層が塗布されなくてピンホール欠点などに脆弱な問題を有し、100nm超過の場合、コーティングむらなど、外観が不良な問題を有するためである。
【0039】
このようなシードコーティング層11は、アルミニウム蒸着初期に蒸気化されたアルミニウム原子とシードコーティング層の表面において化学反応をしてAlOxまたはAlNxなどのアルミニウムを均一に蒸着させうるシード(seed)分子層を形成することによって、以後に蒸着されるアルミニウムの均一な蒸着を誘導して従来のアルミニウム蒸着フィルムに比べて優れた酸素及び水蒸気バリア性を有する蒸着フィルムを提供できる。
【0040】
3.アルミニウム蒸着層12
本発明のアルミニウム蒸着層12は、シードコーティング層11上にアルミニウムを蒸着させて形成される。これを通じて、本発明の一実施例によるガスバリアアルミニウム蒸着フィルムは、熱可塑性プラスチック基材フィルム10、シードコーティング層11及びアルミニウム蒸着層12が順次に積層された構造を有する。
【0041】
一実施例において、アルミニウム蒸着層12の光学密度(optical density、OD)は、1.5ないし4.5であることが好ましく、さらに好ましくは、2.5ないし3.5であることが好ましい。また、アルミニウム蒸着層12の厚みは、20nmないし100nmであることが好ましく、さらに好ましくは、40nmないし80nmであることが好ましい。
【0042】
このとき、アルミニウム蒸着層12の光学密度が1.5未満であるか、または厚みが20nm未満の場合、バリア特性を付与するアルミニウム層があまり薄くて十分なバリア特性を確保することができず、光学密度が4.5を超過するか、または厚みが100nmを超過する場合、均一なアルミニウム薄膜を形成し難いから、クラックのような欠点が発生しやすく、また厚膜で蒸着する時にラインスピードが低下し、アルミニウムの使用量が増加して製造費用が増加するという問題を有する。
【0043】
アルミニウム蒸着層12は、多様な方法で形成されることができ、例えば、スパッタリング、電子ビーム蒸発、物理気相蒸着(PVD)、化学気相蒸着(CVD)、プラズマ強化化学蒸着またはメッキなどのような方法を使用することができる。また、アルミニウム蒸着層12の一例としてシードコーティング層11上に酸化アルミニウム層からアルミニウム金属層へ連続的に組成変化する蒸着層を形成できる。酸化アルミニウム層からアルミニウム金属層へ連続的に組成変化する蒸着層は、蒸着初期に酸化アルミニウム層が形成され、膜が成長しながらアルミニウム金属層へ変化する傾斜構造を有する蒸着層を示す。
【0044】
4.ガスバリアアルミニウム蒸着フィルム
熱可塑性プラスチック基材フィルム10、シードコーティング層11及びアルミニウム蒸着層12が順次に積層されたガスバリアアルミニウム蒸着フィルムは、水蒸気透過率が0.01ないし0.5g/m2・24hrであることが好ましく、酸素透過率が0.1ないし1.0cc/m2・24hr・atmであることが好ましい。水蒸気透過率と酸素透過率は、0に近接するほどバリア特性に優れているが、前記範囲未満の水蒸気透過率及び酸素透過率を達成するためには、アルミニウム蒸着層12の蒸着厚を1μm以上に蒸着することが求められる。しかしながら、アルミニウムの蒸着厚を1μm以上の厚膜で蒸着することは、生産性を顕著に落とすようになるだけでなく、厚膜アルミニウムは、蒸着時に蒸着されたアルミニウム層にクラックのような表面欠陥が多発するという問題があるから好ましくない。また、前記範囲超過のガス透過率及び酸素透過率を有する場合、食品包装材質で使用する場合、十分なバリア特性を確保できないから、長期間保管時、食品の変形及び変質が発生するという問題があり、断熱材料として使用される場合、十分な断熱効果を期待し難いという問題がある。
【0045】
図2は、本発明の他の様相によるガスバリアアルミニウム蒸着フィルムの製造方法を示すフローチャートである。
【0046】
図2に示すように、本発明の他の様相によるガスバリアアルミニウム蒸着フィルムの製造方法は、熱可塑性プラスチック基材フィルムの一面にシードコーティング層をコーティングするステップ(S201)、及びシードコーティング層上にアルミニウム蒸着層を蒸着するステップ(S202)を含む。
【0047】
熱可塑性プラスチック基材フィルムの一面にシードコーティング層をコーティングするステップ(S201)では、用意した熱可塑性プラスチック基材フィルムのインラインコーティングまたはオフラインコーティングのうち、いずれか一つのコーティング方法を介して一面にシードコーティング組成物をコーティングしてシードコーティング層を形成する。このとき、シードコーティング層を形成するシードコーティング組成物は、ポリウレタン系、アクリル系及び共重合ポリエステル系コーティング組成物のうち、少なくとも一つを含むことが好ましく、共重合ポリエステル系コーティング組成物であることがさらに好ましい。
【0048】
また、シードコーティング層をコーティングするステップ(S201)は、300μmx300μm面積内にヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH)及びカルボン酸基(-COOH)の中から選択された少なくとも一つ以上の官能基を1.0e+5ないし1.0e+10個含むシードコーティング層をコーティングするステップであることが好ましい。本発明では、熱可塑性プラスチック基材フィルム上にアルミニウム蒸着層を直に増着させる時に現れるピンホールの発生問題を解決するために、シードコーティング層をまず形成し、シードコーティング層がヒドロキシ基(-OH)、アミン基(-NH)、カルボン酸基(-COOH)の中から選択された1種以上の官能基を300μmx300μm面積内に1.0e+5ないし1.0e+10個含むようにして、十分なシード分子層を形成してアルミニウム蒸着層を均一に蒸着されるようにする。
【0049】
次に、シードコーティング層上にアルミニウム蒸着層を蒸着するステップ(S202)では、ステップS201で形成されたシードコーティング層上にアルミニウムを蒸着させてアルミニウム蒸着層を形成する。このとき、熱可塑性プラスチック基材フィルム上のシードコーティング層がアルミニウム蒸着初期に蒸気化されたアルミニウム原子とシードコーティング層の表面で化学反応をして、AlOxまたはAlNx等のアルミニウムを均一に増着させうるシード(seed)分子層を形成することによって、以後に蒸着されるアルミニウム蒸着層の均一な蒸着を誘導する。
【0050】
また、ステップS202においてシードコーティング層上にアルミニウム蒸着層を蒸着させる方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリング、電子ビーム蒸発、物理気相蒸着(PVD)、化学気相蒸着(CVD)、プラズマ強化化学蒸着またはメッキなどのような方法を使用することができる。
【0051】
上述した製造方法により製造されたガスバリアアルミニウム蒸着フィルムは、シードコーティング層を介してアルミニウム蒸着初期に蒸気化されたアルミニウム原子とコーティング層の表面で化学反応をして、AlOxまたはAlNxなどのアルミニウムを均一に増着させうるシード(seed)分子層を形成することによって、以後に蒸着されるアルミニウム層の均一な蒸着を誘導して従来のアルミニウム蒸着フィルムに比べて優れた酸素及び水蒸気バリア性を有する蒸着フィルムを提供できる。このように本発明によるガスバリアアルミニウム蒸着フィルムは、優れた酸素及び水蒸気バリア性を有するから、食品包装用または断熱材料用途のバリアフィルムとして使用可能である。
【0052】
以下、実施例を通じて本発明をさらに具体的に説明しようとする。本実施例は、本説明をさらに具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲が実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0053】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレートチップの水分を除去した後、押出機に入れて280℃で溶融押出してT-ダイ、キャストドラムを利用して冷却、固化させて無延伸シートを得た。以後、ガラス転移温度(Tg)以上の温度で縦方向へ3.5倍延伸した後、これの一面にカルボン酸基(-COOH)官能基を有する共重合ポリエステル系コーティング組成物(日本合成化学社製HR-514)を使用してグラビアコーティング方法により乾燥厚40nmでシードコーティング層を形成した後、横方向へガラス転移温度(Tg)以上の温度で3.5倍延伸を進行した。以後240℃の温度に熱処理を進行して厚みが12μmであるシードコーティング層(厚み40nm)がコーティングされた二軸延伸ポリエチレンテレフタレート基材フィルムを得た。
【0054】
このとき、シードコーティング層がコーティングされた二軸延伸ポリエチレンテレフタレート基材フィルムのコーティング面をTOF-SIMSを利用してカルボン酸基官能基数を測定した結果、シードコーティング層は、300μmx300μm面積内で3.7e+8個のカルボン酸基を有するのを確認した。
【0055】
以後、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート基材フィルムのシードコーティング層の上部に光学密度(optical density、O.D)が3.0になるように、ボートタイプの物理気相蒸着法を介してアルミニウムを蒸着して、ガスバリアアルミニウム蒸着フィルムを製造した。
【0056】
[実施例2]
実施例1においてシードコーティング層を形成するコーティング組成物を、ヒドロキシ基(-OH)官能基を有する共重合ポリエステル系コーティング組成物(日本合成化学社製WR-980)を使用し、シードコーティング層は、300μmx300μm面積内で5.7e+7個のヒドロキシ基を有するのを除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0057】
[実施例3]
実施例1においてシードコーティング層を形成するコーティング組成物を、アミン基(-NH)官能基を有するウレタン系コーティング組成物(DIC社製AP-40F)を使用し、シードコーティング層は、300μmx300μm面積内で2.9e+8個のアミン基を有するのを除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0058】
[実施例4]
実施例1においてシードコーティング層は、300μmx300μm面積内で1.0e+5個のカルボン酸基を有するのを除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0059】
[実施例5]
実施例1においてシードコーティング層は、300μmx300μm面積内で1.0e+10個のカルボン酸基を有するのを除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0060】
[実施例6]
実施例1においてアルミニウム蒸着層の光学密度が1.5であることを除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0061】
[実施例7]
実施例1においてアルミニウム蒸着層の光学密度が4.5であることを除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0062】
[比較例1]
実施例1においてシードコーティング層を形成しない無処理ポリエチレンテレフタレート基材フィルムにアルミニウムを蒸着したことを除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0063】
[比較例2]
実施例1においてシードコーティング層を形成するコーティング処理の代わりにコロナ処理を進行したポリエチレンテレフタレートフィルムにアルミニウムを蒸着したことを除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0064】
[比較例3]
実施例1においてシードコーティング層は、300μmx300μm面積内でカルボン酸基の官能基数が2.4e+4個であることを除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0065】
[比較例4]
実施例1にシードコーティング層は、300μmx300μm面積内でカルボン酸基の官能基数が7.1e+11個であることを除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0066】
[比較例5]
実施例1においてアルミニウム蒸着層の光学密度が1.3であることを除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0067】
[比較例6]
実施例1においてアルミニウム蒸着層の光学密度が5.0であることを除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0068】
[比較例7]
実施例1において横方向へガラス転移温度(Tg)以上の温度で3.5倍延伸した後、別の熱処理無しで二軸延伸フィルムを製造したことを除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0069】
[比較例8]
実施例1において縦方向延伸比を2.0倍に、横方向延伸比を2.0倍に下げたことを除いては、実施例1と同じ方法で製造した。
【0070】
実施例1ないし7及び比較例1ないし8において製造された蒸着フィルムに対して、下記の実験例を通じて物性を評価し、その結果を表1及び2に示した。
【0071】
[実験例]
(1)水蒸気透過率(g/m2・24hr)
温度40℃、湿度90%RH条件でアメリカMocon Inc.社製の水蒸気透過率計(PERMATRAN W3/31)を使用して、JIS K7129:2008付属書Bに記載された赤外線センサ法に基づいて水蒸気透過率を測定した。
【0072】
(2)酸素透過率(cc/m2・24hr・atm)
温度23℃、湿度0RH%の条件でアメリカMocon Inc.社製の酸素透過率系(OXTRAN 2/20)を使用して、JIS K7126-2:2006に記載された等圧法に基づいて酸素透過率を測定した。
【0073】
(3)光学密度測定
蒸着フィルムを5cm間隔で10ポイント(point)選定して、Optical Density meter(Gretag Macbeth,iC Film)で光学密度を測定し、平均値を計算した。
【0074】
(4)結晶化度の算出
ブローム化ナトリウム溶液を使用する密度勾配管(density gradient pipe)を用意して、25℃でフィルムの密度を測定する。そして、測定された密度(d)から下記数式1を使用して結晶化度を計算した。
【0075】
[数式1]
結晶化度Xc[%]={dcx(d-da)}/{dx(dc-da)}x100
【0076】
数式1中、daは、非結晶質密度、dcは、完全な結晶密度を表し、ポリエチレンテレフタルレートの場合には、1.335g/cm3がdaの値として使用され、1.455g/cm3がdcの値として使用される。
【0077】
(5)面配向度(fn)の算出
JIS-K7142に従ってアッベ屈折計(ATAGO Co.LTD)を利用して、測定温度25℃、湿度65%RH環境で測定した。試料数3で幅25mm、長さ30mmに切り出して、フィルムの長さ方向、幅方向、厚み方向に対して屈折率を測定し、平均値を出して各々の屈折率を計算した。そして、その結果を利用して下記数式2で面配向度(fn)を算出した。
【0078】
[数式2]
fn=(nMD+nTD)/2-nZD
【0079】
nMD:フィルムの長さ方向の屈折率
nTD:フィルムの幅方向の屈折率
nZD:フィルムの厚み方向の屈折率
【0080】
(6)官能基数の測定
ポリエチレンテレフタレート基材フィルム上にシードコーティング層を形成した製品(アルミニウム蒸着層を形成する前の製品)に対して、イオン電流1.01pA、イオン電圧30keVにおいてBi1
+1次イオンビームを300μmx300μmサンプルターゲット領域の上に100秒間ラスターリングしながら、PHI(アメリカミネソタ州チャンハッセン所在)nanoTOF II機器を使用して、サンプル上において飛行時間型2次イオン質量分析(ToF-SIMS)を行って、二次イオンの数を定量化した。
【0081】
(7)フィルムの外観観察
製造された蒸着フィルムをロールに巻き取った後、巻取状態及びフィルムの外観を肉眼で観察して不良の有無を確認した。
【0082】
【0083】
【0084】
前記表1及び表2に示したように、本発明の構成を満たす実施例1ないし7は、プラスチック基材フィルムの結晶化度、面配向度、水蒸気透過率及び酸素透過率を全部満たして、優れた性能のガスバリアアルミニウム蒸着フィルムを提供することが分かる。
【0085】
これに対し、シードコーティング層無しでプラスチック基材フィルム上にアルミニウム蒸着層を直に形成した比較例1は、水蒸気透過率及び酸素透過率が高いから、ガスバリア性能が落ちるのが分かる。
【0086】
また、シードコーティング層の代わりにプラスチック基材フィルムの表面をコロナ処理した後、アルミニウム蒸着層を形成した比較例2は、比較例1よりは、水蒸気透過率及び酸素透過率が低いが、実施例1ないし7と比較して顕著に高い水蒸気透過率及び酸素透過率を有するから、ガスバリア性能が落ちるのが分かる。
【0087】
また、シードコーティング層内の官能基の数が不足した比較例3は、シードコーティング層が十分なシード分子層を形成できなくてアルミニウム蒸着層が均一に蒸着できないから、実施例1ないし7と比較して高い水蒸気透過率及び酸素透過率を有するから、ガスバリア性能が落ちるのが分かり、シードコーティング層内の官能基の数が過度な比較例4は、比較例3よりは、水蒸気透過率及び酸素透過率が低いが、製造された蒸着フィルムをロールに巻き取った時に巻取不良が発生し、蒸着層の外観が不良な問題を確認することができる。
【0088】
また、アルミニウム蒸着層の光学密度が低い比較例5は、実施例1ないし7と比較して水蒸気透過率及び酸素透過率が高いから、ガスバリア性能が落ちるのが分かり、アルミニウム蒸着層の光学密度が高い比較例6は、実施例1ないし7と比較してアルミニウム蒸着層にクラックが発生して水蒸気透過率及び酸素透過率が高いから、ガスバリア性能が落ちるのが分かる。
【0089】
また、熱処理をしないプラスチック基材フィルムを使用した比較例7は、結晶化度が低くてガスバリア性が相対的に脆弱な非晶質領域が多いから、十分なバリア特性を確保し難く、ロールに巻き取る時に巻取不良が発生したことが分かり、また縦方向及び横方向に延伸比を2.0倍に下げたプラスチック基材フィルムを使用した比較例8は、面配向度が0.150未満なので、機械的強度が落ち、十分な厚み均一性を確保できないことを確認することができる。
【0090】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、以下の請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた、本発明の権利範囲に属するものである。
【国際調査報告】