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特表2023-512711反射偏光子及びディスプレイシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-28
(54)【発明の名称】反射偏光子及びディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20230320BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20230320BHJP
   H10K 59/35 20230101ALI20230320BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20230320BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20230320BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20230320BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
G02B5/30
H10K59/10
H10K59/35
H10K50/86
G09F9/00 313
B32B7/023
B32B27/00 B
B32B27/00 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547815
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 IB2021050788
(87)【国際公開番号】W WO2021156728
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】62/971,476
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ハーグ,アダム ディー.
(72)【発明者】
【氏名】デンカー,マルティン イー.
(72)【発明者】
【氏名】ネヴィット,ティモシー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2H149
3K107
4F100
5G435
【Fターム(参考)】
2H149AA18
2H149AB05
2H149BA03
2H149BA24
2H149DA04
2H149DA12
2H149EA02
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2H149EA22
2H149FA12W
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2H149FD10
3K107AA01
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3K107FF13
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK01C
4F100AK42
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4F100BA08
4F100GB48
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4F100JN10C
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4F100YY00B
4F100YY00C
5G435AA02
5G435AA03
5G435BB04
5G435BB05
5G435CC09
5G435CC12
5G435FF03
5G435FF05
5G435HH02
5G435LL04
(57)【要約】
実質的な垂直入射光に対して、青色、緑色、及び赤色波長について、反射偏光子は、第1の方向に沿って偏光された入射光に対する青色透過阻止帯域を有する透過スペクトルを有し、青色波長について、第1の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を反射し、青色、緑色、及び赤色波長の各々について、直交する第2の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を透過し、緑色及び赤色波長の各々について、第1の方向に沿って偏光された入射光の約50%~約95%を透過する。青色透過阻止帯域は、それぞれの第1の勾配の大きさS1及び第2の勾配の大きさS2を有する反対側にある第1及び第2の帯域端を有し、S1/S2≧2である。ディスプレイシステムは、ディスプレイパネル上に配置された反射偏光子を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の交互のポリマー層を備える反射偏光子であって、実質的な垂直入射光に対して、青色波長、緑色波長、及び赤色波長について、前記反射偏光子が、
第1の方向に沿って偏光された前記入射光に対して青色透過阻止帯域を有する透過スペクトルを有し、
前記青色波長について、前記第1の方向に沿って偏光された前記入射光の少なくとも約50%を反射し、
前記青色、緑色、及び赤色波長の各々について、直交する第2の方向に沿って偏光された前記入射光の少なくとも約50%を透過し、
前記緑色及び赤色波長の各々について、前記第1の方向に沿って偏光された前記入射光の約50%~約95%を透過し、
前記青色透過阻止帯域が、前記反射偏光子の前記透過率が波長の増加と共に減少する第1の帯域端と、前記反射偏光子の前記透過率が波長の増加と共に増加する反対側の第2の帯域端と、を有し、前記第1及び第2の帯域端が、それぞれの第1の勾配の大きさS1及び第2の勾配の大きさS2を有し、S1/S2≧2である、
反射偏光子。
【請求項2】
S1/S2≧3である、請求項1に記載の反射偏光子。
【請求項3】
複数の交互のポリマー層を備える反射偏光子であって、実質的な垂直入射光に対して、青色波長、緑色波長、及び赤色波長について、前記反射偏光子が、
前記青色波長について、第1の方向に沿って偏光された前記入射光の少なくとも約50%を反射し、
前記青色、緑色、及び赤色波長の各々について、直交する第2の方向に沿って偏光された前記入射光の少なくとも約50%を透過し、
前記青色、緑色、及び赤色波長のそれぞれにおいて、前記第1の方向に沿って偏光された前記入射光のTb、Tg、及びTr%を透過し、
Tbは、Tg及びTrの各々よりも少なくとも30%未満小さく、Tg及びTrは互いの20%以内であり、前記第1の方向に沿って偏光された前記入射光に対する前記反射偏光子の前記透過率が波長の増加とともに少なくとも約30%増加する最小波長範囲が、少なくとも25nm幅であり、前記青色波長と前記緑色波長との間にある、
反射偏光子。
【請求項4】
リターダ層上に配置された請求項1~3のいずれか一項に記載の反射偏光子を備える光学積層体であって、前記リターダ層が、前記赤色波長よりも前記青色波長についてより小さい、4分の1波長リターダからの偏差を有する、光学積層体。
【請求項5】
前記反射偏光子上であって前記リターダ層の反対側に配置された吸収偏光子を更に備え、前記第1の方向に沿って偏光された実質的な垂直入射光に対して、前記吸収偏光子が、前記青色、緑色、及び赤色波長の各々について前記入射光の少なくとも60%を吸収し、前記それぞれの青色、緑色、及び赤色波長について透過率Tb、Tg、及びTrを有し、Tr>Tb及びTgである、請求項4に記載の光学積層体。
【請求項6】
ディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネル上に配置された請求項4又は5に記載の光学積層体と、を備えるディスプレイシステムであって、前記ディスプレイパネルが、それぞれ青色、緑色、及び赤色波長において青色、緑色、及び赤色発光ピークを有する、青色、緑色、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する青色、緑色、及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも備える、ディスプレイシステム。
【請求項7】
複数の交互のポリマー層を備える反射偏光子であって、実質的な垂直入射光に対して、前記反射偏光子が、
第1の偏光状態について第1の波長範囲全体にわたって30%~70%の範囲の反射率であって、前記第1の波長範囲が少なくとも20nm幅であり、400nm~500nmの間にあり、前記第1の偏光状態ついて前記第1の波長範囲における最大反射率と最小反射率との差が15%未満である、反射率と、
前記第1の偏光状態について第2の波長範囲全体にわたって15%~40%の範囲の反射率であって、前記第2の波長範囲が少なくとも20nm幅であり、550nm~650nmの間にあり、前記第1の偏光状態について前記第2の波長範囲における最大反射率と最小反射率との差が15%未満であり、前記第1の偏光状態についての前記第2の波長範囲における前記最大反射率が、前記第1の偏光状態についての前記第1の波長範囲における前記最小反射率の0.8倍未満である、反射率と、
前記第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態について、少なくとも450nm~650nmに広がる波長範囲にわたって75%超である平均透過率と、
を有する、反射偏光子。
【請求項8】
前記第1及び第2の波長範囲のうちの少なくとも1つが、少なくとも30nm幅であり、前記第1の偏光状態について前記第1の波長範囲における前記最大反射率と前記最小反射率との間の前記差が12%未満であり、前記第1の偏光状態について前記第2の波長範囲における前記最大反射率と前記最小反射率との間の前記差が12%未満であり、前記第1の偏光状態についての前記第2の波長範囲における前記最大反射率が、前記第1の偏光状態についての前記第1の波長範囲における前記最小反射率の0.7倍未満である、請求項7に記載の反射偏光子。
【請求項9】
ディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネル上に配置されて、前記ディスプレイパネルによって放出された光を受ける請求項7又は8に記載の反射偏光子と、を備えるディスプレイシステムであって、前記ディスプレイパネルが、それぞれ青色、緑色、及び赤色ピーク波長において青色、緑色、及び赤色発光ピークを有する、青色、緑色、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する青色、緑色、及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも備え、前記青色ピーク波長が前記第1の波長範囲内にあり、前記第2の波長範囲が前記緑色ピーク波長と前記赤色ピーク波長との間にある、ディスプレイシステム。
【請求項10】
それぞれ青色、緑色、及び赤色ピーク波長において青色、緑色、及び赤色発光ピークを有する、青色、緑色、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する青色、緑色、及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも備えるディスプレイパネルと、
前記複数少なくとも備えられた青色、緑色、及び赤色発光ピクセル上に配置された反射偏光子と、
を備えるディスプレイシステムであって、実質的な垂直入射光に対して、前記反射偏光子が、
第1の方向に沿って偏光された前記入射光に対して、実質的に明瞭な青色透過阻止帯域を有する透過スペクトルを有し、
前記青色ピーク波長について、前記第1の方向に沿って偏光された前記入射光の少なくとも約50%を反射し、
前記青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々について、直交する第2の方向に沿って偏光された前記入射光の少なくとも約50%を透過し、
前記緑色及び赤色ピーク波長の各々について、前記第1の方向に沿って偏光された前記入射光の約50%~約95%を透過し、
前記実質的に明瞭な青色透過阻止帯域が、前記反射偏光子の前記透過率が波長の増加と共に減少する第1の帯域端と、前記反射偏光子の前記透過率が波長の増加と共に増加する反対側の第2の帯域端とを有し、前記第1及び第2の帯域端が、それぞれの第1の勾配の大きさS1及び第2の勾配の大きさS2を有し、S1/S2≧2である、
ディスプレイシステム。
【請求項11】
それぞれ青色、緑色、及び赤色ピーク波長において青色、緑色、及び赤色発光ピークを有する、青色、緑色、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する青色、緑色、及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも備えるディスプレイパネルと、
前記複数少なくとも備えられた青色、緑色、及び赤色発光ピクセル上に配置された反射偏光子と、
を備えるディスプレイシステムであって、実質的な垂直入射光に対して、前記反射偏光子が、
前記青色ピーク波長について、前記第1の方向に沿って偏光された前記入射光の少なくとも約50%を反射し、
前記青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々について、直交する第2の方向に沿って偏光された前記入射光の少なくとも約50%を透過し、
前記青色、緑色、及び赤色ピーク波長のそれぞれにおいて、前記第1の方向に沿って偏光された前記入射光のTb、Tg、及びTr%を透過し、
Tbは、Tg及びTrの各々よりも少なくとも30%未満小さく、Tg及びTrは互いの20%以内であり、前記第1の方向に沿って偏光された前記入射光に対する前記反射偏光子の前記透過率が波長の増加とともに少なくとも約30%増加する最小波長範囲が、少なくとも25nm幅であり、前記青色ピーク波長と前記緑色ピーク波長との間にある、
ディスプレイシステム。
【請求項12】
それぞれ青色、緑色、及び赤色の半値全幅(FWHM)を有し、かつ、それぞれ青色、緑色、及び赤色ピーク波長において青色、緑色、及び赤色発光ピークを有する、青色、緑色、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する青色、緑色、及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも備えるディスプレイパネルと、
前記複数のピクセル上に配置された反射偏光子と、
を備えるディスプレイシステムであって、実質的な垂直入射光に対して、前記反射偏光子が、
第1の方向に沿って偏光された前記入射光に対する反射スペクトルを有し、前記反射スペクトルが、対応する局所青色最大値と局所青色半値全幅(FWHM)とを含む局所青色反射帯域を有し、前記反射偏光子の前記局所FWHMが、前記青色発光スペクトルの前記FWHMと少なくとも部分的に重複し、
前記青色ピーク波長において、前記第1の方向に沿って偏光された前記入射光の少なくとも約50%を反射し、
前記青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々において、直交する第2の方向に沿って偏光された前記入射光の少なくとも約50%を透過し、
前記第1の方向に沿って偏光された前記入射光に対して、連続的に配置された第1、第2、及び第3のスペクトル部分を含む透過スペクトルを有し、前記第2のスペクトル部分が前記第1のスペクトル部分と前記第3のスペクトル部分とを結んでおり、各スペクトル部分について、
前記スペクトル部分が、前記青色ピーク波長と前記赤色ピーク波長との間にあり、幅Wを有し、W≧10nmであり、
前記透過スペクトルが、前記スペクトル部分の前記幅WにわたってΔTだけ増加し、前記第2のスペクトル部分についてのΔT/Wが、前記第1及び第3のスペクトル部分の各々についてのΔT/W未満である、
ディスプレイシステム。
【請求項13】
それぞれ青色、緑色、及び赤色の半値全幅(FWHM)を有し、かつ、それぞれ青色、緑色、及び赤色ピーク波長において青色、緑色、及び赤色発光ピークを有する、青色、緑色、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する青色、緑色、及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも備えるディスプレイパネルと、
複数のピクセル上に配置された反射偏光子と、
を備えるディスプレイシステムであって、実質的な垂直入射光に対して、前記反射偏光子が、
第1の方向に沿って偏光された前記入射光に対する反射スペクトルを有し、前記反射スペクトルが、対応する局所青色最大値と局所青色半値全幅(FWHM)とを含む局所青色反射帯域を有し、前記反射偏光子の前記局所FWHMが、前記青色発光スペクトルの前記FWHMと少なくとも部分的に重複し、
前記青色ピーク波長において、前記第1の方向に沿って偏光された前記入射光の少なくとも約50%を反射し、
前記青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々において、直交する第2の方向に沿って偏光された前記入射光の少なくとも約50%を透過し、
前記第1の方向に沿って偏光された前記入射光に対して、前記青色ピーク波長と前記赤色ピーク波長との間にある互いに間隔を空けた第1及び第2の局所透過阻止帯域を有する透過スペクトルを有し、各阻止帯域が、少なくとも7nm幅である、
ディスプレイシステム。
【請求項14】
発光面を有するディスプレイシステムであって、
複数の少なくとも青色発光ピクセルを備えるディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネル上に配置された反射偏光子であって、第1の方向に沿って偏光された実質的な垂直入射光に対する青色透過阻止帯域を有する透過スペクトルを有し、前記発光面を通って放出される青色光の輝度を少なくとも約10%増加させる、反射偏光子と、
を備え、前記発光面に実質的に垂直に入射するCIE標準光源D65光に対して、前記ディスプレイシステムが、前記入射光の8%未満を反射光として反射し、前記反射光が、CIELAB色空間座標a、bを有し、|a|<3及び|b|<6である、ディスプレイシステム。
【請求項15】
前記ディスプレイパネルが、緑色及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも更に備え、前記反射偏光子が、前記発光面を通って放出される実質的に白色の光の輝度を少なくとも約10%増加させる、請求項14に記載のディスプレイシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイは、典型的には、ディスプレイからの周囲光の反射を低減するために円偏光子を含む。
【発明の概要】
【0002】
本説明は、反射偏光子及びディスプレイシステムに関する。ディスプレイシステムは、複数の発光ピクセルを含むディスプレイパネルと、発光ピクセル上に配置され得る反射偏光子と、を含むことができる。反射偏光子は、例えば、吸収偏光子によって吸収されることになる光をリサイクルすることによって、ディスプレイシステムの光出力を増加させることができる。光学積層体は、反射偏光子と、リターダ層及び吸収偏光子のうちの少なくとも一方と、を含むことができる。
【0003】
いくつかの実施形態によれば、青色透過阻止帯域を有する反射偏光子を使用することにより、実質的な望ましくない周囲反射を生成することなく、かつ実質的なゴーストを生成することなく、青色ピクセルからの光のリサイクルが増加することが見出された。OLEDデバイスの青色ピクセルは、典型的には、他のエミッタよりも効率が悪く、かつ/または寿命が短い。したがって、青色におけるリサイクルによって、全体的な効率および/またはディスプレイの寿命を改善することができる。いくつかの実施形態では、反射偏光子は、緩やかな勾配を有する右帯域端を有する青色透過阻止帯域を有し、反射偏光子が緑色及び/又は赤色波長を有する光に対するいくらかの反射率をもたらす。いくつかの実施形態によれば、青色透過阻止帯域の右帯域端における緩やかな勾配は、ディスプレイから反射される周囲光の色ずれを低減し、ディスプレイシステムから放出される白色光の輝度利得を改善することができることが見出された。いくつかの実施形態では、反射偏光子は、局所青色反射帯域及び第1及び第2の局所透過阻止帯域を有することができる。いくつかの実施形態によれば、反射偏光子は、局所青色反射帯域を有し、連続的に配置された第1、第2、及び第3のスペクトル部分を有し、第2のスペクトル部分は、第1及び第3のスペクトル部分よりも、波長の変化あたりの透過率においてより低い平均変化を有する。いくつかの実施形態では、反射偏光子は、ブロック偏光状態について緑色-赤色波長範囲よりも青色波長範囲においてより高い反射率を有する。いくつかの実施形態によれば、反射偏光子は、青色光の輝度が少なくとも約10%増加し、ディスプレイに実質的に垂直に入射する実質的な白色光が低い色ずれ(例えば、従来のノッチ反射偏光子の使用と比較して、及び/又は広帯域反射偏光子の使用と比較して、より低い|a|、|b|)を有するように選択された反射スペクトルを有する。いくつかの実施形態によれば、反射偏光子は、広帯域反射偏光子を使用するディスプレイシステムよりも低いゴースト反射及び/又はより低い周囲反射をもたらしつつ、従来のノッチ反射偏光子を組み込んだディスプレイシステムよりも、ディスプレイシステムから反射された光の白色点の色ずれをもたらすと共に、輝度の増加をもたらすことができる。
【0004】
これら及び他の態様は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、いかなる場合も、この簡潔な概要は、特許請求の範囲の主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】例示的なディスプレイシステムの概略断面図である。
図2】例示的なディスプレイパネルの概略上面図である。
図3】物体に入射する光の概略断面図である。
図4】例示的な反射偏光子の概略断面図である。
図5】例示的な反射偏光子に関する、透過率及び反射率対波長のプロットである。
図6】例示的なディスプレイパネルからの発光ピクセルの発光スペクトルと共に、図5の反射偏光子に関する、透過率及び反射率対波長を示すプロットである。
図7】例示的なディスプレイパネルからの発光ピクセルの発光スペクトルと共に、図5の反射偏光子に関する、透過率及び反射率対波長を示すプロットである。
図8】例示的なディスプレイパネルからの発光ピクセルの発光スペクトルと共に、例示的な反射偏光子に関する、透過率及び反射率対波長を示すプロットである。
図9】例示的なディスプレイパネルからの発光ピクセルの発光スペクトルと共に、例示的な反射偏光子に関する、透過率及び反射率対波長を示すプロットである。
図10】例示的な反射偏光子に関する、反射率対波長のプロットである。
図11】例示的な反射偏光子に関する、透過率対波長のプロットである。
図12】リターダンス対波長の概略プロットである。
図13】波長に対する吸収偏光子の透過率の概略プロットである。
図14】反射偏光子に関する、層厚さプロファイルのプロットである。
図15】反射偏光子に関する、層厚さプロファイルのプロットである。
図16】反射偏光子に関する、透過スペクトルを示すプロットである。
図17】ディスプレイシステムに関する、周囲反射率対波長のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の説明では、本明細書の一部を形成し様々な実施形態が例示として示されている添付図面が参照される。図面は、必ずしも縮尺どおりではない。他の実施形態が想到され、本明細書の範囲又は趣旨から逸脱することなく実施されてもよい点を理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0007】
いくつかの実施形態によれば、本明細書に記載の反射偏光子は、反射偏光子がディスプレイの光出力を受けるように配置される場合に、ディスプレイシステムの性能を改善するために有用であることが見出された。例えば、いくつかの実施形態では、反射偏光子を、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、又は他の発光ディスプレイ上に配置された円偏光子で使用して、ゴースト又は他の画像の劣化を引き起こすことなくディスプレイの輝度及び/又はディスプレイの色域を改善することができる。光リサイクルによってディスプレイの輝度を増加させるために、広帯域反射偏光子をOLEDディスプレイの円偏光子に利用することが、米国特許第9,773,847号(Epsteinら)に記載されている。国際特許出願第CN2018/105712号(Xuら)に記載されているように、可視スペクトル内に帯域端を有するノッチ反射偏光子を利用して、ディスプレイの輝度および/または色域を増大させると共に、広帯域反射偏光子を使用する場合と比較してゴーストを実質的に少なくし、もしくは実質的になくし、かつ/または広帯域反射偏光子を使用する場合と比較して周囲光の反射を低減できることが見出された。しかしながら、ノッチ反射偏光子の使用により、周囲反射光及び/又はディスプレイから放出される光の色ずれが増加する可能性があることが見出された。本明細書のいくつかの実施形態によれば、反射偏光子は、実質的な望ましくない周囲反射を生成することなく(例えば、周囲反射は、約8%未満であり得る)、及び反射される任意の周囲光の望ましくない配色を生じさせることなく、青色ピクセルからの光のリサイクルを増加させる。本発明のいくつかの実施形態によれば、反射偏光子は、青色光の輝度が少なくとも約10%増加し、ディスプレイに実質的に垂直に入射する実質的な白色光が低い色ずれ(例えば、従来のノッチ反射偏光子の使用と比較して、及び/又は広帯域反射偏光子の使用と比較して、より低い|a|、|b|)を有するように選択された反射スペクトルを有する。いくつかの実施形態によれば、反射偏光子は、広帯域反射偏光子を使用するディスプレイシステムよりも低いゴースト及び/又はより低い周囲反射をもたらしつつ、従来のノッチ反射偏光子を組み込んだディスプレイシステムに比べて、ディスプレイシステムから反射される光のより低い白色点の色ずれを提供すると共に、輝度の増加をもたらすことができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、緩やかな勾配を有する右帯域端を有する青色透過阻止帯域を有する反射偏光子によって、所望の特性を達成することができ、反射偏光子が緑色及び/又は赤色波長を有する光に対するいくらかの反射率(例えば、ブロック偏光状態において少なくとも15%)をもたらす。いくつかの実施形態によれば、所望の特性は、局所青色反射帯域を有し、青色波長と赤色波長(例えば、ピーク発光波長)との間にある第1及び第2の局所透過阻止帯域を有する反射偏光子を使用して達成することができる。いくつかの実施形態によれば、所望の特性は、局所青色反射帯域を有し、緑色波長と赤色波長(例えば、ピーク発光波長)との間にある、連続的に配置された第1、第2、及び第3のスペクトル部分を有する反射偏光子を使用して達成することができ、第2のスペクトル部分は、第1及び第3のスペクトル部分よりも、波長の変化あたりの透過率においてより低い平均変化を有する。いくつかの実施形態によれば、ブロック偏光状態について緑色-赤色波長範囲よりも青色波長範囲の反射率が高い(例えば、少なくとも約10%高い)反射偏光子を用いて、所望の特性を達成することができる。
【0009】
図1は、いくつかの実施形態による、ディスプレイパネル10と、ディスプレイパネル10上に配置された反射偏光子20と、を含む例示的なディスプレイシステム300の概略断面図である。ディスプレイシステム300は、観察者333に対して画像330を表示するように適合させることができる。反射偏光子20は、ディスプレイパネル10によって放出された光331を受けるように配置されている。ディスプレイシステム300は、ディスプレイパネル10上に(例えば、間接的に)配置された吸収偏光子50と、吸収偏光子50とディスプレイパネル10との間に配置されたリターダ層40と、を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、第1の接着剤層60は、吸収偏光子50を反射偏光子20に結合し、第2の接着剤層70は、反射偏光子20をリターダ層40に結合する。直線吸収偏光子であり得る反射偏光子及び吸収偏光子は、実質的に整列した(例えば、20度以内、10度以内、又は5度以内に整列した)通過軸を有することができる。いくつかの実施形態では、第1の接着剤層60とは反対側の吸収変偏光子50上に反射防止コーティングが配置されている。いくつかの実施形態では、ガラス層が吸収偏光子50の上に配置され、反射防止コーティングが吸収偏光子50の反対側のガラス層上に配置される。接着剤層などの追加の層をリターダ層40とディスプレイパネル10との間に配置することができる、又はリターダ層40を、例えば、ディスプレイパネル10上に直接配置することができる。
【0010】
本明細書に記載の反射偏光子のいずれかについて、光学積層体は、反射偏光子と、リターダ層及び吸収偏光子のうちの少なくとも一方と、を含むことができる。図1に概略的に示される実施形態では、光学積層体301は、リターダ層40上に配置された反射偏光子20を含み、リターダ層40とは反対側の反射偏光子20上に配置された吸収偏光子50を更に含む。
【0011】
図2Cは、ディスプレイ表面10の概略上面図である。いくつかの実施形態では、ディスプレイパネル10は、複数の少なくとも青色発光ピクセルを含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイパネル10は、青色11b、緑色11g、及び赤色11r発光ピクセルを複数少なくとも備える。いくつかの実施形態では、ディスプレイパネル10は、複数の白色発光ピクセル11wを更に含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイパネル10は、例えば、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルであってもよい、又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルを含んでもよい。他の実施形態では、ディスプレイパネル10は、例えば、マイクロLEDディスプレイパネルであり得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムの様々な層又は要素は、層又は要素の光反射率、光透過率、及び/又は吸光度によって特徴付けることができる。図3は、層、素子又はシステム130に入射する光30の概略断面図である。層、要素又はシステム130は、例えば、反射偏光子20、吸収偏光子50又はディスプレイシステム300を表すことができる。光30の一部31は透過させることができ、光30の一部32は反射させることができ、光30の一部33は吸収させることができる。いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光30(例えば、垂直入射の20度以内、10度以内、又は5度以内)について、反射偏光子20は、第1の偏光状態(例えば、p方向に沿った偏光)の、少なくとも1つの波長について、入射光30の少なくとも約50%、少なくとも約60%、又は少なくとも約70%を反射し、直交する第2の偏光状態(例えば、s方向に沿った偏光)の、少なくとも1つの波長について、入射光の少なくとも約50%、少なくとも約60%、又は少なくとも約70%を透過する。いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光30について、吸収偏光子50は、第1の偏光状態(例えば、p方向に沿った偏光)の、少なくとも1つの波長について、入射光30の少なくとも60%又は少なくとも70%を吸収する。
【0013】
いくつかの実施形態では、層、要素又はシステム130は、ディスプレイシステム300を概略的に表し、入射光30は、実質的に白色光である。例えば、光30は、CIE(国際照明委員会)標準光源D65光であり得る。いくつかの実施形態では、反射光32は、CIELAB色空間座標a及びbによって特徴付けられる。例えば、いくつかの実施形態では、入射光30は、実質的に白色光であり、反射光32は、|a|<3及び|b|<6を満たすCIELAB色空間座標a及びbを有する。
【0014】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム300は、発光面302を有し、複数少なくとも備えられた青色発光ピクセル11bを含むディスプレイパネル10と、ディスプレイパネル10上に配置された反射偏光子20と、を含む。反射偏光子20は、第1の方向(p方向)に沿って偏光された実質的な垂直入射光に対して実質的に明瞭な青色透過阻止帯域15を有する透過スペクトル(例えば、図5に示されるTp)を有する。反射偏光子20は、発光面302を通って放出される青色光の輝度を少なくとも約10%、少なくとも約15%、又は少なくとも約20%増加させる。青色光は、400nm~500nm、もしくは420nm~480nmの範囲の波長を有してもよい、及び/又は青色発光ピクセル11bによって放出される光であってもよい。例えば、反射偏光子20は、青色発光ピクセル11bのみがオンになったときに発光面302を通って放出される光の輝度が、反射偏光子20が省略されたときと比較して少なくとも約10%増加するように、青色発光ピクセル11bによって放出された光が少なくとも部分的にリサイクルされるように光リサイクル効果を提供することができる。
【0015】
いくつかの実施形態では、発光面302に実質的に垂直に入射するCIE標準光源D65光に対して、ディスプレイシステム300は、入射光の8%未満を反射する(例えば、反射光32は、入射光30のエネルギーの8%未満を有し得る)、又は入射光の1~8%を反射光として反射する。反射光32は、CIELAB色空間座標a、bを有し、|a|<3及び|b|<6である。いくつかの実施形態では、-2.5<a<0.5及び-5<b<0である。いくつかの実施形態では、-2<a<0及び-4<b<-1である。
【0016】
いくつかの実施形態では、ディスプレイパネル10は、緑色(11g)及び赤色(11r)発光ピクセルを複数少なくとも更に備え、反射偏光子は、発光面を通って放出される実質的な白色光の輝度を少なくとも10%、又は少なくとも約15%増加させる。実質的に白色である白色光は、CIE1931xy色度図上に、例えば、約0.25~約0.35の範囲内のx及びy座標を有し得る。色度座標の範囲によって特徴付けられる光が白色であると見なすことができると理解されるため、実質的に白色の光は白色光と称され得る。
【0017】
反射偏光子20は、多層ポリマー反射偏光子であってもよい。多層ポリマー反射偏光子は当該技術分野において既知であり、例えば、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)、同第6,179,948号(Merrillら)、同第6,783,349号(Neavinら)、同第6,967,778号(Wheatleyら)、及び同第9,162,406号(Neavinら)に記載されている。図4は、いくつかの実施形態による反射偏光子20の概略断面図である。反射偏光子20は、z方向(厚さ方向)に沿って連続的に配置された複数の交互のポリマーの第1の層(921)及び第2の層(922)を含むことができる。第1及び第2の層の厚さプロファイル(異なる層の異なる厚さ)は、当該技術分野で既知であるように、所望の反射帯域(単数又は複数)を提供するように選択することができる。いくつかの実施形態では、反射偏光子20は、約30マイクロメートル未満、又は約20マイクロメートル未満の平均厚さT(反射偏光子の全領域にわたる重み付けされていない平均厚さ)を有する。いくつかの実施形態では、複数の交互のポリマーの第1及び第2の層の数は、少なくとも計30(例えば、50~500層又は50~300層)であり、第1及び第2の層の各層の平均厚さtは、約500nm未満、約400nm未満、又は約300nm未満である。いくつかの実施形態では、反射偏光子20は、反射偏光子20の最外主表面(単数又は複数)にスキン層123を更に含む。スキン層(単数又は複数)123は、例えば、約1マイクロメートル(例えば、2~20マイクロメートル)を超える厚さを有することができる。いくつかの実施形態では、反射偏光子20は、交互の第1の層と第2の層のパケット間に配置された保護境界層(単数又は複数)を更に含むことができる。実質的な垂直入射光30と入射角θで反射偏光子に入射する光34とが概略的に示されている。
【0018】
図5は、いくつかの実施形態による、例示的な反射偏光子の透過率及び反射率を示すプロットである。第1の方向(p)及び第2の方向(s)に沿ってそれぞれ偏光された実質的な垂直入射光に対する透過率Tp及びTsと同様、第1の方向(p)及び第2の方向(s)に沿ってそれぞれ偏光された実質的な垂直入射光に対する反射率Rp及びRsが示されている。
【0019】
図6図7は、例示的なディスプレイパネルの(任意の単位の)発光スペクトルと共に、図5の反射偏光子の透過率及び反射率を示すプロットである。ディスプレイパネルは、それぞれ青色(14b)、緑色(14g)、及び赤色(14r)ピーク波長において青色(13b)、緑色(13g)、及び赤色(13r)発光ピークを有する、青色(12b)、緑色(12g)、及び赤色(12r)発光スペクトルをそれぞれ有する青色(11b)、緑色(11g)、及び赤色(11r)発光ピクセルを複数少なくとも有する。図6に示す実施形態では、ディスプレイパネルはまた、白色発光スペクトル12wを有する白色発光ピクセル11wを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、反射偏光子20は、複数の交互のポリマー層を含み、実質的な垂直入射光30に対して、青色波長(例えば、14g)、緑色波長(例えば、14g)、及び赤色波長(例えば、14r)について、反射偏光子は、第1の方向(p方向)に沿って偏光された入射光に対して実質的に明瞭な(例えば、スペクトルの残りの部分とは明らかに又は明確に異なる)青色透過阻止帯域15を含む透過スペクトル(Tp)を有し、青色波長について第1の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を反射し(Rp)、青色、緑色、及び赤色波長の各々について、直交する第2の方向(s方向)に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を透過し(Ts)、緑色及び赤色波長の各々について第1の方向に沿って偏光された入射光の約50%~約95%(又は約60%~約95%)を透過する(Tp)。いくつかの実施形態では、反射偏光子20は、青色波長について、第1の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約60%を反射する。いくつかの実施形態では、反射偏光子は、青色、緑色、及び赤色波長の各々について、第2の方向(s方向)に沿って偏光された入射光の少なくとも約60%、少なくとも約70%、又は少なくとも約80%を透過する。
【0021】
青色波長は、400nm~500nmの任意の波長であり得、典型的には430nm~490nmの範囲である。緑色波長は、500nm~600nmの任意の波長であり得、典型的には510nm~570nmの範囲である。赤色波長は、600nm~700nmの任意の波長であり得、典型的には600nm~660nmの範囲である。青色、緑色、及び赤色波長は、例えば、ディスプレイパネルの青色、緑色、及び赤色のピーク発光波長に対応し得る。
【0022】
実質的に明瞭な青色透過阻止帯域15は、反射偏光子の透過率が波長の増加と共に減少する第1の帯域端16と、反射偏光子の透過率が波長の増加とともに増加する反対側の第2の帯域端17と、を有する。第1及び第2の帯域端は、それぞれの第1の勾配大きさS1及び第2の勾配大きさS2を有する。勾配は、透過率が帯域内の最小透過率の約1.2倍から帯域の両側の平均透過率の約80%まで移行する波長範囲の帯域端に対する最良の線形近似の勾配であると見なすことができる。あるいは、勾配は、一定量の透過率の変化(例えば、0.3又は30%の変化)を、この変化が生じる波長範囲で割った比率とすることができる。例えば、図5では、S1は、透過率の変化18を波長範囲99で割ったものとみなすことができ、S2は、透過率の変化18を波長範囲19で割ったものとみなすことができる。いくつかの実施形態では、S1/S2≧2、S1/S2≧3、又はS1/S2≧4である。
【0023】
いくつかの実施形態では、反射偏光子20は複数の交互のポリマー層を含み、それにより、実質的な垂直入射光30に対して、青色波長(例えば、14b)、緑色波長(例えば、14g)、及び赤色波長(例えば、14r)について、反射偏光子は、青色波長について、第1の方向(p方向)に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を反射し(Rp)、青色、緑色、及び赤色波長の各々について、直交する第2の方向(s方向)に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を透過し(Ts)、青色、緑色、及び赤色波長のそれぞれにおいて、第1の方向に沿って偏光された入射光のTb、Tg、及びTr%を透過する。Tbは、Tg及びTrの各々よりも少なくとも30%(すなわち、0~1の範囲で表される場合、少なくとも0.3)少ない。Tg及びTrは、互いの20%(又は0~1の範囲で表される場合、0.2)以内である。他の実施形態では、Tg及びTrは、互いの10%以内、又は互いの7%以内である。反射率及び透過率は、他の箇所に記載の範囲内であり得る。第1の方向に沿って偏光された入射光に対する反射偏光子20の透過率が波長の増加と共に少なくとも約30%増加する最小波長範囲(例えば、19)は、少なくとも25nm幅であり、青色波長と緑色波長との間にある。
【0024】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステムは、ディスプレイパネルの複数少なくとも備えられた青色、緑色、及び赤色発光ピクセル上に配置された図5図6の反射偏光子を備え、上述の青色、緑色、及び赤色波長は、それぞれ青色、緑色、及び赤色発光ピクセルの青色(13b)、緑色(13g)、及び赤色(13r)発光ピークのそれぞれの青色(14b)、緑色(14g)、及び赤色(14r)ピーク波長である。反射偏光子は、発光ピクセルの光出力を受けるように配置することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム300は、それぞれ青色(14b)、緑色(14g)、及び赤色(14r)ピーク波長において青色(13b)、緑色(13g)、及び赤色(13r)発光ピークを有する、青色(12b)、緑色(12g)、及び赤色(12r)発光スペクトルをそれぞれ有する青色(11b)、緑色(11g)、及び赤色(11r)発光ピクセルを複数少なくとも備えるディスプレイパネル10と、複数少なくとも備えられた青色、緑色、及び赤色発光ピクセル上に配置された反射偏光子(20)と、を含み、実質的な垂直入射光30に対して、反射偏光子20は、第1の方向(p方向)に沿って偏光された入射光に対して実質的に明瞭な青色透過阻止帯域15を含む透過スペクトル(Tp)を有し、青色ピーク波長について第1の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を反射し(Rp)、青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々について、直交する第2の方向(s方向)に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を透過し(Ts)、緑色及び赤色ピーク波長の各々について第1の方向に沿って偏光された入射光の約50%~約95%(又は約60%~約95%)を透過する(Tp)。いくつかの実施形態では、反射偏光子20は、青色ピーク波長14bについて、第1の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約60%を反射する。いくつかの実施形態では、反射偏光子は、青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々について、第2の方向(s方向)に沿って偏光された入射光の少なくとも約60%、少なくとも約70%、又は少なくとも約80%を透過させる。実質的に明瞭な青色透過阻止帯域は、反射偏光子の透過率が波長の増加と共に減少する第1の帯域端16と、反射偏光子の透過率が波長の増加とともに増加する反対側の第2の帯域端17と、を有する。第1及び第2の帯域端は、それぞれの第1の勾配大きさS1及び第2の勾配大きさS2を有し、S1/S2≧2である。いくつかの実施形態では、S1/S2≧3又はS1/S2≧4である。
【0026】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム300は、それぞれ青色(14b)、緑色(14g)、及び赤色(14r)ピーク波長において青色(13b)、緑色(13g)、及び赤色(13r)発光ピークを有する、青色(12b)、緑色(12g)、及び赤色(12r)発光スペクトルをそれぞれ有する青色(11b)、緑色(11g)、及び赤色(11r)発光ピクセルを複数少なくとも備えるディスプレイパネル10と、複数少なくとも備えられた青色、緑色、及び赤色発光ピクセル上に配置された反射偏光子(20)と、を含み、実質的な垂直入射光30に対して、反射偏光子20は、青色ピーク波長について第1の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を反射し(Rp)、青色、緑色及び赤色ピーク波長の各々について、直交した第2の方向に(s方向)沿って偏光された入射光の少なくとも約50%又は少なくとも約70%を透過し(Ts)、青色、緑色及び赤色ピーク波長のそれぞれにおいて、第1の方向に沿って偏光された入射光のTb、Tg、及びTr%を透過し、Tbは、Tg及びTrの各々よりも少なくとも30%少なく、TgとTrは互いの20%以内である。反射率及び透過率は、他の箇所に記載の範囲内であり得る。第1の方向に沿って偏光された入射光に対する反射偏光子の透過率が波長の増加と共に少なくとも約30%増加する最小波長範囲(例えば、19)は、少なくとも25nm幅であり、青色ピーク波長(14b)と緑色ピーク波長(14g)との間にある。代替的に又は追加的に、いくつかの実施形態では、第1の方向に沿って偏光された入射光に対する反射偏光子20の透過率は、少なくとも30nm幅であり、かつ、青色ピーク波長(14b)と緑色ピーク波長(14g)との間にある第1の波長範囲にわたって、約30%未満増加する。他の実施形態では、Tg及びTrは、互いの10%以内、又は互いの7%以内である。
【0027】
図8は、いくつかの実施形態による、例示的な反射偏光子の透過率及び反射率を示すプロットである。第1の方向(p方向)に沿って偏光された実質的な垂直入射光に対する反射率Rp及び透過率Tpが示されている。例示的なディスプレイパネルの発光スペクトルも示されている。第2の方向(s方向)に沿って偏光された実質的な垂直入射光に対する反射率Rs及び透過率Tsは、例えば概ね図5に示されているとおりであってもよい。あるいは、反射偏光子は、例えば、図6に示される発光スペクトルを有するディスプレイパネル上に配置され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム300は、それぞれ青色(W1b)、緑色(W1g)、及び赤色(W1r)の半値全幅(FWHM)を有し、かつ、それぞれ青色(14b)、緑色(14g)、及び赤色(14r)ピーク波長において青色(13b)、緑色(13g)、及び赤色(13r)発光ピークを有する、青色(12b)、緑色(12g)、及び赤色(12r)発光スペクトルをそれぞれ有する青色(11b)、緑色(11g)、及び赤色(11r)発光ピクセルを複数少なくとも備えるディスプレイパネル10と、複数のピクセル上に配置された反射偏光子20と、を含み、実質的な垂直入射光30に対して、反射偏光子20は、第1の方向(p方向)に沿って偏光された入射光に対する反射スペクトル(Rp)を有し、反射スペクトルは、対応する局所青色最大値25と局所青色半値全幅(FWHM)26とを含む局所青色反射帯域24を有し、青色ピーク波長について、第1の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を反射し(Rp)、青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々において、直交する第2の方向(s方向)に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%又は少なくとも約70%を透過し(Ts)、第1の方向に沿って偏光された入射光に対して、連続的に配置された第1のスペクトル部分(21)、第2のスペクトル部分(22)、及び第3のスペクトル部分(23)を含む透過スペクトル(Tp)を有し、第2のスペクトル部分は、第1のスペクトル部分と第3のスペクトル部分とを結んでいる。反射率及び透過率は、他の箇所に記載の範囲内であり得る。各スペクトル部分について、スペクトル部分は、青色ピーク波長と赤色ピーク波長との間にあり、幅W(図8の第1、第2、及び第3のスペクトル部分に対してそれぞれW1、W2、W3で示される)を有し、W≧10nmであり、透過スペクトルは、スペクトル部分の幅WにわたってΔT(図8の第1、第2、及び第3のスペクトル部分に対してそれぞれΔT1、ΔT2、ΔT3で示される)だけ増加し、第2のスペクトル部分22についてのΔT/Wは、第1のスペクトル部分21及び第3のスペクトル部分23についての各々のΔT/W未満である。いくつかの実施形態では、各スペクトル部分の幅Wは、少なくとも12nm又は少なくとも15nmである。反射偏光子20の局所FWHM26は、青色発光スペクトルのFWHM W1bと少なくとも部分的に重複する。いくつかの実施形態では、反射偏光子20の局所FWHM26は、青色発光スペクトルのFWHMW1bの少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%と重複する。第1、第2、及び第3のスペクトル部分の結果は、赤色ピーク波長14rの周りの透過率Tpを低下させることであり得、これは、いくつかの実施形態によればディスプレイシステムから反射された実質的な白色光の色を調整する(例えば、色ずれを低減する)ことが望ましい。
【0029】
あるいは、図8の反射偏光子は、ディスプレイパネルなしで(例えば、ディスプレイパネルを伴う今後の使用又は他の用途のために)提供することができ、局所FWHM26は、青色波長範囲と少なくとも部分的に重複し、第1のスペクトル部分(21)、第2のスペクトル部分(22)、及び第3のスペクトル部分(23)の各々が500nm~700nmの間にある。
【0030】
図9は、いくつかの実施形態による、例示的な反射偏光子の透過率及び反射率を示すプロットである。第1の方向(p方向)に沿って偏光された実質的な垂直入射光に対する反射率Rp及び透過率Tpが示されている。例示的なディスプレイパネルの発光スペクトルも示されている。第2の方向(s方向)に沿って偏光された実質的な垂直入射光に対する反射率Rs及び透過率Tsは、例えば概ね図5に示されているとおりであってもよい。あるいは、反射偏光子は、例えば、図6に示される発光スペクトルを有するディスプレイパネル上に配置され得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム300は、それぞれ青色(W1b)、緑色(W1g)、及び赤色(W1r)の半値全幅(FWHM)を有し、かつ、それぞれ青色(14b)、緑色(14g)、及び赤色(14r)ピーク波長において青色(13b)、緑色(13g)、及び赤色(13r)発光ピークを有する、青色(12b)、緑色(12g)、及び赤色(12r)発光スペクトルをそれぞれ有する青色(11b)、緑色(11g)、及び赤色(11r)発光ピクセルを複数少なくとも備えるディスプレイパネル10と、複数のピクセル上に配置された反射偏光子20と、を含み、実質的な垂直入射光30に対して、反射偏光子20は、第1の方向(p方向)に沿って偏光された入射光に対する反射スペクトル(Rp)を有し、反射スペクトルは、対応する局所青色最大値25’と局所青色半値全幅(FWHM)26’とを含む局所青色反射帯域24’を有し、青色ピーク波長について第1の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を反射し(Rp)、青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々について、直交する第2の方向(s方向)に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%又は少なくとも約70%を透過し(Ts)、第1の方向に沿って偏光された入射光に対して、青色ピーク波長と赤色ピーク波長との間にある互いに間隔を空けた第1の局所透過阻止帯域(28)及び第2の局所透過阻止帯域(29)を含む透過スペクトル(Tp)を有し、各阻止帯域が少なくとも7nm幅である。反射率及び透過率は、他の箇所に記載の範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、各阻止帯域は、少なくとも10nm幅、少なくとも12nm幅、又は少なくとも15nm幅である。いくつかの実施形態では、阻止帯域のうちの少なくとも1つは、少なくとも15nm幅又は少なくとも20nm幅である。反射偏光子20の局所FWHM26’は、青色発光スペクトルのFWHM W1bと少なくとも部分的に重複する。いくつかの実施形態では、反射偏光子20の局所FWHM26’は、青色発光スペクトルのFWHMW1bの少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%と重複する。第1及び第2の局所透過阻止帯域の結果は、いくつかの実施形態によれば、所望の緑色又は緑色-赤色波長範囲の光のリサイクルを強化して、ディスプレイシステムによって放出される実質的な白色光の色を調整することであり得る。代替的に又は追加的に、局所青色反射帯域24’と第1の局所透過阻止帯域28及び第2の局所透過阻止帯域29との組み合わせは、いくつかの実施形態によれば、ディスプレイシステムから反射された実質的な白色光の色ずれを低減することができる。
【0032】
あるいは、図9の反射偏光子は、ディスプレイパネルなしで(例えば、ディスプレイパネルを伴う今後の使用又は他の用途のために)提供することができ、局所FWHM26’は、青色波長範囲と少なくとも部分的に重複し、第1の阻止帯域(28)及び第2の阻止帯域(29)の各々が400nm~700nm又は440nm~650nmの間にある。
【0033】
図10図11はそれぞれ、第1の方向(p方向)に沿って偏光された実質的な垂直入射光に対する図9の反射偏光子の反射率Rp及び透過率Tpのプロットである。
【0034】
いくつかの実施形態では、反射偏光子20は、複数の交互のポリマー層を含み、実質的な垂直入射光30に対して、反射偏光子20は、(例えば、p方向に沿って偏光された)第1の偏光状態について、少なくとも15nm幅であり、かつ、400nm~500nmの間にある第1の波長範囲Δλ1全体にわたって30%~70%の範囲の反射率と、第1の偏光状態について、少なくとも15nm幅であり、かつ、550nm~650nmの間にある第2の波長範囲Δλ2全体にわたって15%~40%の反射率と、第1の偏光状態に直交する(例えば、s方向に沿って偏光された)第2の偏光状態について、少なくとも450nm~650nmに広がる波長範囲にわたって70%超、75%超、80%超、又は85%超の平均透過率と、を有する。いくつかの実施形態では、反射率は、第1の偏光状態について、第1の波長範囲Δλ1全体にわたって40%~70%又は45%~65%の範囲である。いくつかのそのような実施形態又は他の実施形態では、反射率は、第1の偏光状態について、第2の波長範囲Δλ2全体にわたって18%~40%又は20%~35%の範囲である。第1及び第2の波長範囲は、連続波長範囲である。いくつかの実施形態では、第1の波長範囲Δλ1は少なくとも20nm幅、少なくとも25nm幅、又は少なくとも30nm幅である。いくつかのそのような実施形態又は他の実施形態では、第2の波長範囲Δλ2は、少なくとも20nm幅、少なくとも25nm幅、又は少なくとも30nm幅である。いくつかの実施形態では、第1の波長範囲及び第2の波長範囲の少なくとも一方は、少なくとも30nm幅又は少なくとも35nm幅である。いくつかの実施形態では、第1の波長範囲は、約420nm~約490nmの間にある。いくつかの実施形態では、第2の波長範囲は、約550nm~約625nmである。
【0035】
図示の実施形態では、反射偏光子は、第1の偏光状態を有する実質的な垂直入射光に対して、第1の波長範囲Δλ1において最小反射率R1及び最大反射率R2と、第2の波長範囲Δλ2において最小反射率R3及び最大反射率R4と、を有する。第1の偏光状態についての第2の波長範囲Δλ2における最大反射率R4は、第1の偏光状態についての第1の波長範囲Δλ1における最小反射率R1の0.9倍未満、0.8倍未満、又は0.7倍未満である。いくつかの実施形態では、第1の波長範囲における最大反射率と最小反射率との間の差(R2(%として表される)-R1(%として表される))は、20%未満、15%未満、又は12%未満である。いくつかの実施形態では、第2の波長範囲における最大反射率と最小反射率との間の差(R4(%として表される)-R3(%として表される))は、20%未満、15%未満、又は12%未満である。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1の偏光状態を有する実質的な垂直入射光30に対して、少なくとも15nm幅又は少なくとも20nm幅であり、かつ、380nmと第1の波長範囲Δλ1との間にある第3の波長範囲Δλ3について、反射偏光子は、第1の波長範囲Δλ1にわたる平均反射率Ravg1よりも少なくとも10%少ない、第3の波長範囲にわたる平均反射率Ravg2を有する。いくつかの実施形態では、Ravg2は、Ravg1よりも少なくとも20%小さい。
【0037】
いくつかの実施形態では、実質的な垂直入射光30に対して、第1の偏光状態について、反射偏光子は、それぞれ第1の波長範囲(Δλ1)及び第2の波長範囲(Δλ2)の第1の波長(λ1)及び第2の波長(λ2)それぞれの入射光のT1及びT2%を透過し、T1は、T2よりも少なくとも25%少ない。いくつかの実施形態では、T1は、T2よりも少なくとも30%小さい。いくつかのそのような実施形態では、実質的な垂直入射光30に対して、第1の偏光状態について、反射偏光子の透過率が波長の増加と共に少なくとも約30%増加する最小波長範囲は、少なくとも25nm幅、又は少なくとも50nm幅である。代替的に又は追加的に、いくつかの実施形態では、第1の方向に沿って偏光された入射光に対する反射偏光子20の透過率は、少なくとも30nm幅であり、青色波長(例えば、14b)と緑色波長(例えば、14g)との間にある第1の波長範囲にわたって約30%未満増加する。
【0038】
いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム300は、ディスプレイパネル10と、ディスプレイパネル10によって放出された光331を受けるためにディスプレイパネル10上に配置された反射偏光子40(例えば、図9図11に示されるような反射率と透過率を有する)と、を含む。ディスプレイパネル10は、それぞれ青色(14b)、緑色(14g)、及び赤色(14r)ピーク波長において青色(13b)、緑色(13g)、及び赤色(13r)発光ピークを有する、青色、緑色、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する青色、緑色、及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも備える。いくつかの実施形態では、青色ピーク波長14bは、図9図10に示されるように、第1の波長範囲Δλ1内にある。代替的に又は追加的に、第2の波長範囲Δλ2は、図9図10に示されるように、緑色ピーク波長(14g)と赤色ピーク波長(14r)との間にあってもよい。
【0039】
リターダ層40は、フィルム、コーティング、又はフィルムとコーティングの組み合わせを含むことができる。例示的なフィルムとしては、例えば、Meadowlark Optics(Frederick,CO)から入手可能なものなどの、複屈折ポリマーフィルムリターダが挙げられる。リターダ層を形成するための例示的なコーティングとしては、例えば、米国特許出願公開第2002/0180916号(Schadtら)、同第2003/028048号(Cherkaouiら)、同第2005/0072959号(Moiaら)、及び同第2006/0197068(Schadtら)、及び米国特許第6,300,991号(Schadtら)に記載された線形光重合性ポリマー(LPP)材料及び液晶ポリマー(LCP)が挙げられる。適切なLPP材料にはROP-131EXP306LPPが含まれ、適切なLCP材料にはROF-5185EXP410LCPが含まれ、両方ともROLIC Technologies Ltd(Allschwil,Switzerland)より入手可能である。
【0040】
図12は、波長及びリターダンスが直線的に変化する、波長と理想的な4分の1波長リターダによって具体化されるリターダンスとの間の関係56と、波長とリターダ層40のいくつかの実施形態のリターダンスとの間の例示的な関係54と、を示すリターダンス対波長の概略プロットである。波長依存偏差Δが、リターダ層の関係54と理想的な4分の1波長の関係56との間に存在することも分かる。いくつかの実施形態では、リターダ層40は、赤色波長(例えば、赤色ピーク波長14r)よりも青色波長(例えば、青色ピーク波長14b)でより小さい、4分の1波長リターダからの偏差Δを有する。いくつかの実施形態では、リターダ層40は、緑色波長(例えば、緑色ピーク波長14g)よりも青色波長(例えば、青色ピーク波長14b)でより小さい、4分の1波長リターダからの偏差Δを有する。赤色波長よりも青色波長についてより低い偏差Δを有するリターダ層40を有することにより、例えば、ディスプレイから反射された周囲光の視野角で色ずれを低減し得ることが見出された。リターダ層は、リターダ層の厚さを適切に選択することによって、青色波長でより小さい、4分の1波長リターダからの偏差Δを有するように選択することができる。好適なリターダ層、及びリターダ層を含むディスプレイシステムは、2019年9月27日に出願された米国特許出願第62/906852号の「COLOR NEUTRAL EMISSSIVE DISPLAY WITH NOTCHED REFLECTIVE POLARIZER」に更に記載されている。
【0041】
いくつかの実施形態では、光学積層体301は、リターダ層40上に配置された本明細書に記載の任意の反射偏光子であり得る反射偏光子20を含み、リターダ層40は、赤色波長(例えば、14r)よりも青色波長(例えば、14b)でより小さい、4分の1波長リターダからの偏差Δを有する。いくつかのそのような実施形態、又は他の実施形態では、光学積層体301は、リターダ層40とは反対側の反射偏光子20上に配置された吸収偏光子50を更に備え、第1の方向に沿って偏光された実質的な垂直入射光30に対して、吸収偏光子が、青色(例えば、14b)、緑色(例えば、14g)、及び赤色(例えば、14r)波長の各々について入射光の少なくとも60%を吸収し、それぞれ青色、緑色、及び赤色波長について透過率Tb、Tg、及びTrを有し、Tr>Tb及びTgである。
【0042】
図13は、第1の偏光状態(例えば、x軸)を有する実質的な垂直入射光30に対する吸収偏光子50の透過率の概略プロットである。いくつかの実施形態では、フレネル反射は無視できるほど小さく、吸収偏光子の吸光度Aは約1(又は100%)から透過率を引いたものである。いくつかの実施形態では、吸光度Aは、可視範囲(400nm~700nm)全体にわたって、又は青色波長(例えば、青色ピーク波長14b)、緑色波長(例えば、緑色ピーク波長14g)、及び赤色波長(例えば、赤色ピーク波長14r)の各々について少なくとも60%又は少なくとも70%である。いくつかの実施形態では、ディスプレイシステム300又は光学積層体301は、リターダ層40とは反対側の反射偏光子20上に配置された吸収偏光子50を含み、第1の偏光状態を有する実質的な垂直入射光に対して、吸収偏光子50は、青色、緑色、及び赤色波長の各々について、入射光の少なくとも60%又は少なくとも70%を吸収し、青色、緑色、及び赤色波長について透過率Tb、Tg、及びTrを有する。いくつかの実施形態では、Tr>Tb及びTg(すなわち、Tr>Tb及びTr>Tg)である。いくつかの実施形態では、Trは、約30%未満、又は約20%未満、又は約10%未満である。いくつかの実施形態では、Tr-Tgは、約5%超(又は約0.05)である。いくつかの実施形態では、Tr-Tbは、約5%超(又は約0.05)、又は約8%超(又は約0.08)である。いくつかの実施形態では、第2の偏光状態を有する実質的な垂直入射光の透過率は、青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々について、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも80%である。吸収偏光子を通る透過率は、例えば、偏光子に使用される二色性染料の種類及び濃度を適切に選択することによって調整することができる。
【0043】
以下は、本開示の例示的な実施形態である。
【0044】
第1の実施形態は、複数の交互のポリマー層を備える反射偏光子であって、実質的な垂直入射光に対して、青色波長、緑色波長、及び赤色波長について、反射偏光子は、
第1の方向に沿って偏光された入射光に対して青色透過阻止帯域を有する透過スペクトルを有し、
青色波長について、第1の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を反射し、
青色、緑色、及び赤色波長の各々について、直交する第2の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を透過し、
緑色及び赤色波長の各々について、第1の方向に沿って偏光された入射光の約50%~約95%を透過し、
青色透過阻止帯域が、反射偏光子の透過率が波長の増加と共に減少する第1の帯域端と、反射偏光子の透過率が波長の増加と共に増加する反対側の第2の帯域端と、を有し、第1及び第2の帯域端が、それぞれの第1の勾配の大きさS1及び第2の勾配の大きさS2を有し、S1/S2≧2である、反射偏光子。
【0045】
第2の実施形態は、S1/S2≧3である、第1の実施形態の反射偏光子である。
【0046】
第3の実施形態は、複数の交互のポリマー層を備える反射偏光子であって、実質的な垂直入射光に対して、青色波長、緑色波長、及び赤色波長について、反射偏光子は、
青色波長について、第1の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を反射し、
青色、緑色、及び赤色波長の各々について、直交する第2の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を透過し、
青色、緑色、及び赤色波長のそれぞれにおいて、第1の方向に沿って偏光された入射光のTb、Tg、及びTr%を透過し、
Tbは、Tg及びTrの各々よりも少なくとも30%未満小さく、Tg及びTrは互いの20%以内であり、第1の方向に沿って偏光された入射光に対する反射偏光子の透過率が波長の増加とともに少なくとも約30%増加する最小波長範囲が、少なくとも25nm幅であり、青色波長と緑色波長との間にある、反射偏光子。
【0047】
第4の実施形態は、リターダ層上に配置された第1~第3の実施形態のいずれか1つの反射偏光子を備える光学積層体であって、リターダ層が、赤色波長よりも青色波長についてより小さい、4分の1波長リターダからの偏差を有する。
【0048】
第5の実施形態は、反射偏光子上であってリターダ層の反対側に配置された吸収偏光子を更に備える第4の実施形態の光学積層体であり、第1の方向に沿って偏光された実質的な垂直入射光に対して、吸収偏光子が、青色、緑色、及び赤色波長の各々について入射光の少なくとも60%を吸収し、それぞれの青色、緑色、及び赤色波長について透過率Tb、Tg、及びTrを有し、Tr>Tb及びTgである、光学積層体。
【0049】
第6の実施形態は、ディスプレイパネルと、ディスプレイパネル上に配置された第4又は第5の実施形態の光学積層体と、を備えるディスプレイシステムであって、ディスプレイパネルは、それぞれ青色、緑色、及び赤色波長において、青色、緑色、及び赤色発光ピークを有する、青色、緑色、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する青色、緑色、及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも備える、ディスプレイシステム。
【0050】
第7の実施形態は、複数の交互のポリマー層を備える反射偏光子であって、実質的な垂直入射光に対して、反射偏光子は、
第1の偏光状態について第1の波長範囲全体にわたって30%~70%の範囲の反射率であって、第1の波長範囲が少なくとも20nm幅であり、400nm~500nmの間にあり、第1の偏光状態について第1の波長範囲における最大反射率と最小反射率との差が15%未満である、反射率と、
第1の偏光状態について第2の波長範囲全体にわたって15%~40%の範囲の反射率であって、少なくとも20nm幅であり、550nm~650nmにあり、第1の偏光状態について第2の波長範囲における最大反射率と最小反射率との差が15%未満であり、第1の偏光状態についての第2の波長範囲における最大反射率が、第1の偏光状態についての第1の波長範囲における最小反射率の0.8倍未満である、反射率と、
第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態について、少なくとも450nm~650nmに広がる波長範囲にわたって75%超である平均透過率と、を有する、反射偏光子。
【0051】
第8の実施形態は、第7の実施形態の反射偏光子であって、第1及び第2の波長範囲のうちの少なくとも1つが、少なくとも30nm幅であり、第1の偏光状態について第1の波長範囲における最大反射率と最小反射率との間の差が12%未満であり、第1の偏光状態について第2の波長範囲における最大反射率と最小反射率との間の差が12%未満であり、第1の偏光状態についての第2の波長範囲における最大反射率が、第1の偏光状態についての第1の波長範囲における最小反射率の0.7倍未満である、反射偏光子。
【0052】
第9の実施形態は、ディスプレイパネルと、ディスプレイパネル上に配置されて、ディスプレイパネルによって放出された光を受ける実施形態7又は実施形態8の反射偏光子と、を備えるディスプレイシステムであって、ディスプレイパネルが、それぞれ青色、緑色、及び赤色ピーク波長において、青色、緑色、及び赤色発光ピークを有する、青色、緑色、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する青色、緑色、及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも備え、青色ピーク波長が第1の波長範囲内にあり、第2の波長範囲が緑色ピーク波長と及び赤色ピーク波長との間にある。
【0053】
第10の実施形態は、ディスプレイパネルと、ディスプレイパネル上に配置された第1又は第2の実施形態の反射偏光子と、を備えるディスプレイシステムであって、ディスプレイパネルは、それぞれ青色、緑色、及び赤色波長において、青色、緑色、及び赤色発光ピークを有する、青色、緑色、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する青色、緑色、及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも備える、ディスプレイシステム。あるいは、第10の実施形態は、
それぞれ青色、緑色、及び赤色のピーク波長において、それぞれの青色、緑色、及び赤色発光ピークを有する、青色、緑色、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する青色、緑色、及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも備えるディスプレイパネルと、
複数少なくとも備えられた青色、緑色、及び赤色発光ピクセル上に配置された反射偏光子と、
を備えるディスプレイシステムであって、実質的な垂直入射光に対して、反射偏光子は、
第1の方向に沿って偏光された入射光に対して、実質的明瞭な青色透過阻止帯域を有する透過スペクトルを有し、
青色ピーク波長について、第1の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を反射し、
青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々について、直交する第2の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を透過し、
緑色及び赤色ピーク波長の各々について、第1の方向に沿って偏光された入射光の約50%~約95%を透過し、
実質的に明瞭な青色透過阻止帯域が、反射偏光子の透過率が波長の増加と共に減少する第1の帯域端と、反射偏光子の透過率が波長の増加と共に増加する反対側の第2の帯域端とを有し、第1及び第2の帯域端が、それぞれの第1の勾配の大きさS1及び第2の勾配の大きさS2を有し、S1/S2≧2である、ディスプレイシステム。
【0054】
第11の実施形態は、ディスプレイパネルと、ディスプレイパネル上に配置された第3の実施形態の反射偏光子と、を備えるディスプレイシステムであって、ディスプレイパネルは、それぞれ青色、緑色、及び赤色波長において、青色、緑色、及び赤色発光ピークを有する、青色、緑色、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する青色、緑色、及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも備える、ディスプレイシステム。あるいは、第11の実施形態は、
それぞれ青色、緑色、及び赤色ピーク波長において、青色、緑色、及び赤色発光ピークを有する、青色、緑色、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する青色、緑色、及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも備えるディスプレイパネルと、
複数少なくとも備えられた青色、緑色、及び赤色ピクセル上に配置された反射偏光子と、
を備えるディスプレイシステムであって、実質的な垂直入射光に対して、反射偏光子は、
青色ピーク波長について、第1の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を反射し、
青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々について、直交する第2の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を透過し、
青色、緑色、及び赤色ピーク波長のそれぞれにおいて、第1の方向に沿って偏光された入射光のTb、Tg、及びTr%を透過し、
Tbは、Tg及びTrの各々よりも少なくとも30%未満小さく、Tg及びTrは互いの20%以内であり、第1の方向に沿って偏光された入射光に対する反射偏光子の透過率が波長の増加とともに少なくとも約30%増加する最小波長範囲が、少なくとも25nm幅であり、青色ピーク波長と緑色ピーク波長との間にある、ディスプレイシステム。
【0055】
第12の実施形態は、
それぞれ青色、緑色、及び赤色の半値全幅(FWHM)を有し、かつ、それぞれ青色、緑色、及び赤色ピーク波長において青色、緑色、及び赤色発光ピークを有する、青色、緑色、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する青色、緑色、及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも備えるディスプレイパネルと、
複数のピクセル上に配置された反射偏光子と、
を備えるディスプレイシステムであって、実質的な垂直入射光に対して、反射偏光子は、
第1の方向に沿って偏光された入射光に対する反射スペクトルを有し、反射スペクトルが、対応する局所青色最大値と局所青色半値全幅(FWHM)とを含む局所青色反射帯域を有し、反射偏光子の局所FWHMが、青色発光スペクトルのFWHMと少なくとも部分的に重複し、
青色ピーク波長において、第1の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を反射し、
青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々において、直交する第2の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を透過し、
第1の方向に沿って偏光された入射光に対して、連続的に配置された第1、第2、及び第3のスペクトル部分を含む透過スペクトルを有し、第2のスペクトル部分が第1のスペクトル部分と第3のスペクトル部分とを結んでおり、各スペクトル部分について、
スペクトル部分が、青色ピーク波長と赤色ピーク波長との間にあり、幅Wを有し、W≧10nmであり、
透過スペクトルが、スペクトル部分の幅WにわたってΔTだけ増加し、第2のスペクトル部分についてのΔT/Wが、第1及び第3のスペクトル部分についての各々のΔT/W未満である、ディスプレイシステム。
【0056】
第13の実施形態は、
それぞれ青色、緑色、及び赤色の半値全幅(FWHM)を有し、かつ、それぞれ青色、緑色、及び赤色ピーク波長において、青色、緑色、及び赤色発光ピークを有する、青色、緑色、及び赤色発光スペクトルをそれぞれ有する青色、緑色、及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも備えるディスプレイパネルと、
複数のピクセル上に配置された反射偏光子と、
を備えるディスプレイシステムであって、実質的な垂直入射光に対して、反射偏光子は、
第1の方向に沿って偏光された入射光に対する反射スペクトルを有し、反射スペクトルが、対応する局所青色最大値と局所青色半値全幅(FWHM)とを含む局所青色反射帯域を有し、反射偏光子の局所FWHMが、青色発光スペクトルのFWHMと少なくとも部分的に重複し、
青色ピーク波長において、第1の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を反射し、
青色、緑色、及び赤色ピーク波長の各々において、直交する第2の方向に沿って偏光された入射光の少なくとも約50%を透過し、
第1の方向に沿って偏光された入射光に対して、青色ピーク波長と赤色ピーク波長との間にある互いに間隔を空けた第1及び第2の局所透過阻止帯域を有する透過スペクトルを有し、各阻止帯域が、少なくとも7nm幅である、ディスプレイシステム。
【0057】
第14の実施形態は、発光面を有するディスプレイシステムであって、
複数の少なくとも青色発光ピクセルを備えるディスプレイパネルと、
ディスプレイパネル上に配置された反射偏光子であって、第1の方向に沿って偏光された実質的な垂直入射光に対する青色透過阻止帯域を有する透過スペクトルを有し、発光面を通って放出される青色光の輝度を少なくとも約10%増加させる、反射偏光子と、
を備え、発光面に実質的に垂直に入射するCIE標準光源D65光に対して、ディスプレイシステムが、入射光の8%未満を反射光として反射し、反射光が、CIELAB色空間座標a、bを有し、|a|<3及び|b|<6である、ディスプレイシステム。
【0058】
第15の実施形態は、ディスプレイパネルが、緑色及び赤色発光ピクセルを複数少なくとも更に備え、反射偏光子が、発光面を通って放出される実質的に白色の光の輝度を少なくとも約10%増加させる、第14の実施形態のディスプレイシステムである。
【0059】
第14又は第15の実施形態のディスプレイシステムに含まれる反射偏光子は、第1~第3の実施形態又は第7~第9の実施形態のうちのいずれか1つの反射偏光子であり得る。第4又は第5の実施形態の光学積層体は、ディスプレイパネル上に配置することができ、第14又は第15の実施形態のディスプレイシステムの反射偏光子を含む。
【実施例
【0060】
実施例1
計算モデルを使用して、反射偏光子の反射及び透過特性を計算した。計算モデルを、Berrimanアルゴリズムに基づいて4×4のマトリックスソルバルーチンによって実行した。このアルゴリズムでは、各層が物理的厚さおよび分散屈折率テンソルによって定義された1次元層の任意の積層体について反射および透過のマトリクス要素を計算することができ、屈折率テンソルの各主要要素は波長(λ)の関数である。
【0061】
多層光学フィルム反射偏光子は、ポリエチレンテレフタレート(PET)の高屈折率層と、ポリエチレンテレフタレートとグリコール変性剤として使用されるシクロヘキサンジメタノールのコポリエステル(PETG、例えば、Eastman Chemicals(Knoxville,TN)から入手可能)の低屈折率層とから成るものとしてモデル化された光学繰り返し単位(ORU)を含んでモデル化された。
【0062】
ミクロ層の厚さプロファイルを数学的に生成した。層厚さプロファイルを図14に示す。厚さプロファイルの両側を、2000nmの厚さを有する低屈折率材料の保護境界層によって境界付けた。
【0063】
以下の表に、x、y、z軸に沿ってそれぞれNx、Ny、Nzで示される高屈折率光学(HIO)層(PET)、及び低屈折率光学(LIO)層(PETg)の屈折率の代表的な値を示す。
【0064】
【表1】
【0065】
直交するp方向及びs方向に沿って偏光された垂直入射光に対する反射率及び透過率を計算し、図5に示す。
【0066】
実施例2~4
反射偏光子フィルムを以下のように作製し、275層の多層光学パケットを共押出した。パケットは、ポリエチレンテレフタレート(PET)と低屈折率層との交互の層を含み、低屈折率層は、PETG(グリコール変性PET)又はPETGとPCTG(グリコール変性ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)と、40mol%のテレフタル酸、10mol%のイソフタル酸、49.75mol%のエチレングリコール、及び0.25mol%のトリメチルプロパノールを有する「80:20」コポリエステルとの33:33:33ブレンドのいずれかで作製された。PET及びPETG又はco-PETブレンドポリマーを、以下の表に示されるように、目標f比(高屈折率層の光学的厚さ対光学的繰り返し単位の光学的厚さの比)で別個の押出成形機から多層共押出フィードブロックへ供給し、それらを交互の光学層のパケット(複数可)へと組み立て、両面にPETのより厚い保護境界層を加えた。次いで、多層溶融物を、ポリエステルフィルムに関する従来の方式で、フィルムダイを介してチルロール上にキャスティングし、キャスティングした際に、急冷させた。次いで、キャストウェブを、約6:1の延伸比でクロスウェブ方向に線形テンターで延伸した。延伸温度は、225°Fであり、アニールオーブンを使用して、フィルムを375°Fでヒートセットした。実施例2の層厚さプロファイルを図15に示す。実施例3及び4の層厚さプロファイルは、実施例2の層厚さプロファイルと同様であった。層厚さプロファイルは、図16に示す透過スペクトルを生成するように選択された。左帯域端及び右帯域端の平均勾配の大きさS1及びS2を、透過率が約30%で変化する波長範囲にわたって測定し、その結果を以下の表に記載する。
【0067】
【表2】
【0068】
比較例C1及びC2
反射偏光子フィルムを以下のように調製し、186層の多層光学パケットを共押出した。このパケットは、90%のポリエチレンナフタレート(PEN)及び10%のポリエチレンテレフタレート(PET)から構成されるポリマーである90/10coPENと、屈折率が約1.57であるような、かつ、フィルムを一軸配向した際に、等方性層が実質的に等方性を維持したままであるような、ポリカーボネートとコポリエステルのブレンド(PC:coPET)で作製された低屈折率等方性層との交互の層を含んでいた。PC:coPETのモル比は、およそ42.5mol%のPC及び57.5mol%のcoPETであり、摂氏105度のTgを有していた。この等方性材料は、延伸後に、2つの非延伸方向における等方性材料の屈折率が、非延伸方向における複屈折材料の屈折率と実質的に一致したままであり、延伸方向においては、複屈折層と非複屈折層との間に屈折率の実質的な不一致があるように、選択された。90/10PEN及びPC:coPETのポリマーを、0.5の目標f比で別個の押出成形機から多層共押出フィードブロックへと供給し、交互の光学層のパケット(単数又は複数)へと組み立て、両面にPC:coPETのより厚い保護境界層を加えた。次いで、多層溶融物を、ポリエステルフィルムに関する従来の方式で、フィルムダイを介してチルロール上にキャスティングし、キャスティングした際に、急冷させた。次いで、キャストウェブを、2006年6月4~9日にカリフォルニア州San FranciscoでのSociety for Information Displays(SID)International Conferenceにおいて発表された、著者Denkerらによる「Advanced Polarizer Film for Improved Performance of Liquid Crystal Displays」と題するInvited Paper 45.1、に記載されているものと同様のパラボリックテンターで延伸した。比較例C1の層厚さプロファイルが、図15に示されている。比較例C2の層厚さプロファイルは同様であった。比較例C1は、10.5マイクロメートルの厚さを有し、比較例C2は、11マイクロメートルの厚さを有した。
【0069】
p方向に沿って偏光された(ブロック偏光状態)実質的な垂直入射光の透過率を測定し、実施例2~4及び比較例C1~C2について図16に示す。電話LGv30からのディスプレイパネルの発光スペクトルも図示されている。
【0070】
様々な反射偏光子サンプルを一方の表面上の吸収偏光子及び他方上の1/4波長板と共に組み込んで、円偏光子を形成した。Sanritz(日本、富山)の吸収偏光子5618H型を、遮断軸が実質的に整列した実施例のフィルムに積層した。フィルムの反対側に、American Polarizers,Inc.(Reading,PA)製の商品名APQW92-004-PC-140NMHEの1/4波長板(QWP)を、3M Company(St.Paul,MN)の光学的に透明な接着剤8171で積層した。QWP光軸は、偏光子の光軸に対して約45度であった。次いで、得られた円偏光子を、元の円偏光子をディスプレイから取り外したLG OLED TVモデル55B8PUAに積層した。反射率を、PerkinElmer製のLambda900分光計によって測定し、図17に示す。CIE標準光源D65入射光について、反射光のCIELABa及びbパラメータを測定した。輝度利得は、白色光出力、及び青色ピクセルのみの光出力に対する輝度利得(反射偏光子有りの輝度を反射偏光子無しの輝度で除算した値×100%)を、Photo Research Inc.(Chatsworth,CA)製のPR-740分光光度計によって測定した。結果を以下の表中に記載する。
【0071】
【表3】
【0072】
「約(about)」などの用語は、これらが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者によって理解されよう。特徴部のサイズ、量、及び物理的特性を表す数量に適用されるような「約」の使用が、本明細書で使用及び説明されている文脈において、当業者にとって特に明確ではない場合には、「約」とは、指定された値の5パーセント以内を意味するものと理解されるであろう。約特定の値として与えられる量は、正確に特定の値であり得る。例えば、それが本明細書に使用及び記載されている文脈において、当業者にとって明らかではない場合、約1の値を有する量とは、その量が0.95~1.05の値を有することを意味し、その値が1であり得ることを意味する。
【0073】
上記において参照された参照文献、特許、又は特許出願の全ては、それらの全体が参照により本明細書に一貫して組み込まれている。組み込まれている参照文献の部分と本出願との間に不一致又は矛盾がある場合、前述の説明における情報が優先される。
【0074】
図中の要素についての説明は、別段の指示がない限り、他の図中の対応する要素に等しく適用されると理解されたい。特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例、又は変形例、又は組み合わせも包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
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【国際調査報告】