(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-28
(54)【発明の名称】テープ張力制御システムを備えるテープ積層ヘッド
(51)【国際特許分類】
B65H 23/185 20060101AFI20230320BHJP
B26D 5/00 20060101ALI20230320BHJP
B26D 7/14 20060101ALI20230320BHJP
B65H 23/198 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
B65H23/185
B26D5/00 A
B26D7/14
B65H23/198
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547837
(86)(22)【出願日】2020-09-23
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 US2020052102
(87)【国際公開番号】W WO2021158260
(87)【国際公開日】2021-08-12
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518127543
【氏名又は名称】フィブ・マシニング・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】ボローズ,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】コーチャル-ラングレン,ダンカン
(72)【発明者】
【氏名】カステネーダ,コディ
(72)【発明者】
【氏名】ガセック,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】コチョン,アマンダ
【テーマコード(参考)】
3F105
【Fターム(参考)】
3F105AB00
3F105BA02
3F105BA07
3F105CA09
3F105CB02
3F105DA09
3F105DA17
3F105DA19
(57)【要約】
複合被加工物の形成中にモールドまたはマンドレル上に複合材テープを付着させるためのテープ積層ヘッド。しかし、テープ積層ヘッドが大型のテープ積層機械および組立体の一構成要素である。その多くの構成要素の中でもとりわけ、テープ積層ヘッドが、テープ供給リール、裏当て紙巻取リール、およびテープ張力制御システムを有する。テープ張力制御システムが、テープ供給リールの下流に位置する第1のダンサーローラー組立体を有し、さらには、裏当て紙巻取リールの上流に位置する第2のダンサーローラー組立体を有する。第1のダンサーローラー組立体が、第1のローラー、第1のガイド、第1のアクチュエータ、第1のロック装置、および第1の位置センサを有することができる。第2のダンサーローラー組立体が、第2のローラー、第2のガイド、第2のアクチュエータ、第2のロック装置、および第2の位置センサを有することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のサーボモーターを介して回転運動するように駆動されるテープ供給リールと、
第2のサーボモーターを介して回転運動するように駆動される裏当て紙巻取リールと、
テープ張力制御システムであって、
前記テープ供給リールの下流に位置する第1のダンサーローラー組立体であって、前記第1のダンサーローラー組立体が、第1のローラー、第1のガイド、第1のアクチュエータ、および第1の位置センサを備え、前記第1のローラーが、前記第1のガイドによって担持され、前記第1のアクチュエータを介して前記第1のガイド上で移動可能であり、前記第1の位置センサが、前記第1のガイド上での前記第1のローラーの位置を検出する、第1のダンサーローラー組立体;ならびに、
前記裏当て紙巻取リールの上流に位置する第2のダンサーローラー組立体であって、前記第2のダンサーローラー組立体が、第2のローラー、第2のガイド、第2のアクチュエータ、および第2の位置センサを備え、前記第2のローラーが、前記第2のガイドによって担持され、前記第2のアクチュエータを介して前記第2のガイド上で移動可能であり、前記第2の位置センサが前記第2のガイド上での前記第2のローラーの位置を検出する、第2のダンサーローラー組立体
を備える、テープ張力制御システムと、
を備え、
一動作モード中、前記テープ供給リールの回転速度が、前記第1の位置センサによって検出される、前記第1のガイド上での前記第1のローラーの位置に基づいて、前記第1のサーボモーターによって調整される、
テープ積層ヘッド。
【請求項2】
前記一動作モード中、前記裏当て紙巻取リールの回転速度が、前記第2の位置センサによって検出される、前記第2のガイド上での前記第2のローラーの位置に基づいて、前記第2のサーボモーターによって調整される、請求項1に記載のテープ積層ヘッド。
【請求項3】
前記一動作モード中、前記第1のローラーが、前記第1のアクチュエータを介して、前記第1のガイドの端部の間において前記第1のガイド上の第1のロケーションまで移動させられ、前記第2のローラーが、前記第2のアクチュエータを介して、前記第2のガイドの端部の間において前記第2のガイド上の第2のロケーションまで移動させられ、前記テープ張力制御システムが、前記第1の位置センサによって検出される、前記第1のガイド上での前記第1のローラーの位置に基づいて、及び、前記第1のサーボモーターによって前記テープ供給リールの回転速度を調整することにより、前記第1のローラーを前記第1のロケーションで維持するように制御し、さらに、前記テープ張力制御システムが、前記第2の位置センサによって検出される、前記第2のガイド上での前記第2のローラーの位置に基づいて、及び、前記第2のサーボモーターによって前記裏当て紙巻取リールの回転速度を調整することにより、前記第2のローラーを前記第2のロケーションで維持するように制御する、請求項2に記載のテープ積層ヘッド。
【請求項4】
前記第1のダンサーローラー組立体が第1のロック装置を備え、前記第1のガイド上での前記第1のローラーの移動が前記第1のロック装置を介してロック可能であり、前記第1のダンサーローラー組立体が第2のロック装置を備え、前記第2のガイド上での前記第2のローラーの移動が前記第2のロック装置を介してロック可能である、請求項1に記載のテープ積層ヘッド。
【請求項5】
別の動作モード中、前記第1のロック装置または前記第2のロック装置の一方がロック状態に設定され、前記第1のガイドまたは前記第2のガイド上での前記第1のローラーまたは前記第2のローラーの移動がロックされ、前記第1のロック装置または前記第2のロック装置の他方がロック解除状態に設定される、請求項4に記載のテープ積層ヘッド。
【請求項6】
テープウェブの位置を示すテープウェブエンコーダーをさらに備え、前記別の動作モード中、前記テープウェブが前記テープ積層ヘッドで移動させられ、前記テープウェブエンコーダーが前記テープウェブの位置を示す、請求項5に記載のテープ積層ヘッド。
【請求項7】
前記第1のガイド上での前記第1のローラーの移動が、前記第1のアクチュエータを介して、および、前記第1のガイド上での前記第1のローラーの移動を介して、テープウェブにおいて受ける張力の迅速な増大に追従可能であり、前記第2のガイド上での前記第2のローラーの移動が、前記第2のアクチュエータを介して、および、前記第2のガイド上での前記第2のローラーの移動を介して、前記テープウェブにおいて受ける張力の迅速な増大に追従可能である、請求項1に記載のテープ積層ヘッド。
【請求項8】
前記第1のアクチュエータが第1の空気圧シリンダアクチュエータであり、前記第2のアクチュエータが第2の空気圧シリンダアクチュエータである、請求項7に記載のテープ積層ヘッド。
【請求項9】
前記テープ張力制御システムが、前記テープ供給リール上で受けられた複合材テープの直径を示す第3の位置センサを備える、請求項1に記載のテープ積層ヘッド。
【請求項10】
前記テープ張力制御システムが、前記裏当て紙巻取リール上で受けられた裏当て紙の直径を示す第4の位置センサを備える、請求項1に記載のテープ積層ヘッド。
【請求項11】
請求項1に記載のテープ積層ヘッドを備えるテープ積層機械および組立体。
【請求項12】
第1のサーボモーターを介して回転運動するように駆動されるテープ供給リールと、
第2のサーボモーターを介して回転運動するように駆動される裏当て紙巻取リールと、
テープ張力制御システムであって、
前記テープ供給リールの下流に位置する第1のダンサーローラー組立体であって、前記第1のダンサーローラー組立体が、第1のローラー、第1のガイド、第1のアクチュエータ、第1のロック装置、および第1の位置センサを備え、前記第1のローラーが、前記第1のガイドによって担持され、前記第1のアクチュエータを介して前記第1のガイド上で移動可能であり、前記第1のガイド上での前記第1のローラーの移動が前記第1のロック装置を介してロック可能であり、前記第1の位置センサが前記第1のガイド上での前記第1のローラーの位置を検出する、第1のダンサーローラー組立体;ならびに、
前記裏当て紙巻取リールの上流に位置する第2のダンサーローラー組立体であって、前記第2のダンサーローラー組立体が、第2のローラー、第2のガイド、第2のアクチュエータ、第2のロック装置、および第2の位置センサを備え、前記第2のローラーが、前記第2のガイドによって担持され、前記第2のアクチュエータを介して前記第2のガイド上で移動可能であり、前記第2のガイド上での前記第2のローラーの移動が前記第2のロック装置を介してロック可能であり、前記第2の位置センサが前記第2のガイド上での前記第2のローラーの位置を検出する、第2のダンサーローラー組立体
を備える、テープ張力制御システムと
を備え、
一動作モード中、前記第1のロック装置がロック解除状態に設定され、前記第1のローラーが、前記第1のアクチュエータを介して、前記第1のガイド上での第1のロケーションまで移動させられ、前記テープ張力制御システムが、前記第1の位置センサによって検出される、前記第1のガイド上での前記第1のローラーの位置に基づいて、及び、前記第1のサーボモーターによって前記テープ供給リールの回転速度を調整することにより、前記第1のローラーを前記第1のロケーションで維持するように制御する、
テープ積層ヘッド。
【請求項13】
前記一動作モード中、前記第2のロック装置がロック解除状態に設定され、前記第2のローラーが、前記第2のアクチュエータを介して、前記第2のガイド上での第2のロケーションまで移動させられ、前記テープ張力制御システムが、前記第2の位置センサによって検出される、前記第2のガイド上での前記第2のローラーの位置に基づいて、及び、前記第2のサーボモーターによって前記裏当て紙巻取リールの回転速度を調整することにより、前記第2のローラーを前記第2のロケーションで維持するように制御する、請求項12に記載のテープ積層ヘッド。
【請求項14】
前記第1のロケーションが前記第1のガイド上での第1の概略中間ロケーションであり、前記第2のロケーションが前記第2のガイド上での第2の概略中間ロケーションである、請求項13に記載のテープ積層ヘッド。
【請求項15】
別の動作モード中、前記第1のロック装置または前記第2のロック装置の一方がロック状態に設定され、前記第1のガイドまたは前記第2のガイド上での前記第1のローラーまたは前記第2のローラーの移動がロックされ、前記第1のロック装置または前記第2のロック装置の他方がロック解除状態に設定される、請求項12に記載のテープ積層ヘッド。
【請求項16】
前記第1のガイド上での前記第1のローラーの移動が、前記第1のアクチュエータを介して、および、前記第1のガイド上での前記第1のローラーの移動を介して、テープウェブにおいて受ける張力の迅速な増大に追従可能である、請求項12に記載のテープ積層ヘッド。
【請求項17】
前記第2のガイド上での前記第2のローラーの移動が、前記第2のアクチュエータを介して、および、前記第2のガイド上での前記第2のローラーの移動を介して、前記テープウェブにおいて受ける張力の迅速な増大に追従可能である、請求項16に記載のテープ積層ヘッド。
【請求項18】
前記テープ張力制御システムが、前記テープ供給リール上で受けられた複合材テープの直径を示す第3の位置センサを備え、前記テープ張力制御システムが、前記裏当て紙巻取リール上で受けられた裏当て紙の直径を示す第4の位置センサを備える、請求項12に記載のテープ積層ヘッド。
【請求項19】
テープ積層リールに隣接して位置するダンサーローラー組立体であって、前記ダンサーローラー組立体が、
ローラー、
前記ローラーを移動可能に担持するガイド、
前記ガイド上で前記ローラーを移動させる空気圧シリンダアクチュエータ、
前記ガイド上での前記ローラーの移動をロックするロック装置、および
前記ガイド上での前記ローラーの位置を検出する位置センサ
を備える、ダンサーローラー組立体
を備え、
動作モード中、前記ロック装置がロック解除状態に設定され、前記ローラーが、前記空気圧シリンダアクチュエータにより前記ガイド上のロケーションまで移動させられ、前記ガイド上での前記ローラーの前記ロケーションが、概して、前記位置センサによって検出される、前記ガイド上での前記ローラーの位置に基づいて、および、前記テープ積層リールの回転速度を調整することにより、維持され、
前記動作モード中、維持される前記ガイド上での前記ローラーの前記ロケーションが、前記空気圧シリンダアクチュエータによって、および、維持される前記ロケーションからの前記ガイド上での前記ローラーの移動によって、テープウェブにおいて受ける張力の迅速な増大に追従可能である、
テープ積層ヘッドのテープ張力制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、その内容全体が本明細書に組み込まれている、2020年2月6日に出願した米国仮特許出願第62/971,052号の優先権の利益を主張する国際特許協力条約の特許出願である。
【0002】
[0002]本出願はテープ積層機械に関し、より詳細には、複合被加工物(composite workpiece)の形成中にモールド(換言すれば、型)またはマンドレル上に複合材テープを付着させるための、テープ積層機械内に備え付けられるテープ積層ヘッドに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]テープ積層機械は、複合被加工物の生産で使用される。テープ積層機械は、航空宇宙部品のための航空宇宙用途さらには他の部品のための他の用途で採用される。樹脂を含侵した繊維材料の形態の複合材料は、一体に複合被加工物を形成するために、テープ積層機械により、正確なロケーションおよび長さでモールドまたはマンドレルに付着される。テープ積層機械が、複合被加工物の最終形状で複合材テープを正確に付着させるために、モールドの上でテープ積層ヘッドを移動させる。テープ積層ヘッドが移動するとき、テープ積層ヘッドが区間(course)とも称される複数の複合材テープセグメントをモールド上に残す。これらの複合材テープセグメントをモールドに自動で付着させることは、複合材テープを保持し、移動させ、最終的に切断する機械の多様な集合体の協働を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
[0004]従来のテープ積層ヘッドは、その多くの構成要素の中でもとりわけ、テープ供給リールおよびバッキングペーパー(換言すれば、裏当て紙)巻取リールを有する。サーボモーターがテープ供給リールおよびバッキングペーパー巻取リールの両方の回転を駆動することができる。テープ供給リールから出発する複合材テープが、通常、下にあるモールドの上に付着される前に、複数のローラーの上でテープ積層ヘッドを通って移動する。テープ積層ヘッドを通るそのルート上での複合材テープ内の張力および緊張が、部分的に、被駆動テープ供給リールおよび被駆動バッキングペーパー巻取リールにより、ならびに、付着手順自体の結果として引っ張られることにより、維持され得る。従来のテープ積層ヘッド内の張力は、一般に、テープ区間の開始の始点、テープ区間の終点、さらにはその間の張力を含めて、付着手順中のすべての時間において等しいレベルで維持される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]一実装形態では、テープ積層ヘッドが、テープ供給リール、バッキングペーパー巻取リール、および、テープ張力制御システムを有することができる。テープ供給リールが、第1のサーボモーターにより回転運動するように駆動される。バッキングペーパー巻取リールが、第2のサーボモーターにより回転運動するように駆動される。テープ張力制御システムが、第1のダンサーローラー組立体および第2のダンサーローラー組立体を有することができる。第1のダンサーローラー組立体がテープ供給リールの下流に位置する。第1のダンサーローラー組立体が、第1のローラー、第1のガイド、第1のアクチュエータ、および第1の位置センサを有することができる。第1のローラーが第1のガイドによって担持され、第1のアクチュエータにより第1のガイド上で移動可能である。第1の位置センサが、第1のガイド上での第1のローラーの位置を検出する。第2のダンサーローラー組立体が、バッキングペーパー巻取リールの下流に位置する。第2のダンサーローラー組立体が、第2のローラー、第2のガイド、第2のアクチュエータ、および第2の位置センサを有することができる。第2のローラーが第2のガイドによって担持され、第2のアクチュエータにより第2のガイド上で移動可能である。第2の位置センサが、第2のガイド上での第2のローラーの位置を検出する。動作モード中、テープ供給リールの回転速度が第1のサーボモーターを介して調整される。回転速度の調整は、第1の位置センサを介して第1のガイド上での検出される第1のローラーの位置に基づいている。
【0006】
[0006]別の実装形態では、テープ積層ヘッドが、テープ供給リール、バッキングペーパー巻取リール、およびテープ張力制御システムを有することができる。テープ供給リールが、第1のサーボモーターにより回転運動するように駆動される。バッキングペーパー巻取リールが、第2のサーボモーターにより回転運動するように駆動される。テープ張力制御システムが、第1のダンサーローラー組立体および第2のダンサーローラー組立体を有することができる。第1のダンサーローラー組立体がテープ供給リールの下流に位置する。第1のダンサーローラー組立体が、第1のローラー、第1のガイド、第1のアクチュエータ、第1のロック装置、および第1の位置センサを有することができる。第1のローラーが第1のガイドによって担持され、第1のアクチュエータにより第1のガイド上で移動可能である。第1のガイド上での第1のローラーの移動が、第1のロック装置によりロックされ得る。第1の位置センサが、第1のガイド上での第1のローラーの位置を検出する。第2のダンサーローラー組立体が、バッキングペーパー巻取リールの下流に位置する。第2のダンサーローラー組立体が、第2のローラー、第2のガイド、第2のアクチュエータ、第2のロック装置、および第2の位置センサを有することができる。第2のローラーが第2のガイドによって担持され、第2のアクチュエータにより第2のガイド上で移動可能である。第2のガイド上での第2のローラーの移動が、第2のロック装置によりロックされ得る。第2の位置センサが、第2のガイド上での第2のローラーの位置を検出する。動作モード中、第1のロック装置がロック解除状態に設定される。第1のローラーが、第1のアクチュエータにより第1のガイド上の第1のロケーションまで移動させられる。テープ張力制御システムが、第1の位置センサを介して第1のガイド上での検出される第1のローラーの位置に基づいて第1のローラーを第1のロケーションで維持するように制御する。さらに、テープ張力制御システムが、第1のサーボモーターを介してテープ供給リールの回転速度を調整することにより第1のローラーを第1のロケーションで維持するように制御する。
【0007】
[0007]別の実装形態では、テープ積層ヘッドのテープ張力制御システムが、ダンサーローラー組立体を有することができる。ダンサーローラー組立体がテープ積層リールの近くに位置する。ダンサーローラー組立体が、ローラー、ガイド、空気圧シリンダアクチュエータ、ロック装置、および位置センサを有することができる。ガイドがローラーを移動可能に担持する。空気圧シリンダアクチュエータが、命令通りに、ガイド上でローラーを移動させる。ロック装置が、ガイド上でのローラーの移動をロックするように機能する。位置センサがガイド上でのローラーの位置を検出する。動作モード中、ロック装置がロック解除状態に設定される。ローラーが、空気圧シリンダアクチュエータによりガイド上の所定の位置まで移動させられる。ガイド上でのローラーの所定のロケーションが、概して、位置センサを介してガイド上での検出されるローラーの位置に基づいて、および、テープ積層リールの回転速度を調整することにより、維持され得る。さらに、動作モード中、ガイド上でのローラーの維持される所定のロケーションが、空気圧シリンダアクチュエータを介して、および、維持される所定のロケーションからのガイド上でのローラーの移動を介して、テープウェブにおいて受ける張力の迅速な増大に従うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008]テープ積層機械および組立体の実装形態を示す斜視図である。
【
図2】[0009]テープ積層機械および組立体内に備え付けられ得るテープ積層ヘッドの実装形態を示す斜視図である。
【
図3】[0010]複合材テープ経路を明示するテープ積層ヘッドの側面図である。
【
図4】[0011]複合材テープから取り外された後の、パッキングペーパー経路を示しているテープ積層ヘッドの一領域の拡大図である。
【
図5】[0012]テープ張力制御システムの実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0013]これらの図は、大型のテープ積層機械および組立体12内に備え付けられたテープ積層ヘッド10の実施形態を提示する。従来のテープ積層ヘッドとは異なり、テープ積層ヘッド10が、テープウェブ自体に張力の急激な増大を実質的に受けさせることなくテープウェブの張力の急激な増大を受け入れ、吸収することができるテープ張力制御システム14を有する。テープ張力制御システム14が、ある意味では、テープウェブでの緩衝効果を実現する。このような急激な増大は、しばしば、テープ積層ヘッド10のテープ付着手順中のテープ積層ヘッド10の迅速な加速時に、ガタツキ(jerk)時に、および可能性として他のタイミングで起こる。テープ張力制御システム14によって、張力の増大したテープウェブの使用が避けられるので、バッキングペーパーの破損、ブリッジ形成(bridging)、剥離、および/または他の事象(consequence)の望ましくない発生が、最小となるかまたは完全に排除される。したがって、テープ張力制御システム14により、テープ積層ヘッド10が、例えば、テープ切断機能中、ならびに、そのコンパクタ(compactor)の前進および後退中、従来で可能であったものと比較してより高速でおよびより高い加速度で動作することができる。さらに、本明細書で使用される場合の下流および上流という用語は、テープ積層ヘッドでの複合材テープの移動の方向を基準として使用される。したがって、下流が移動方向に一致する方向を意味し、上流が移動方向に逆らう方向を意味する。
【0010】
[0014]
図1を参照すると、テープ積層機械および組立体12が、複合材テープ16をモールド(換言すれば、型)に付着させることにより複合被加工物を調製するのに使用される。航空宇宙産業は、長くて細い平坦部品、複数の部品からなる入れ子状のラミネート、ドレープ成形のスキン、翼桁、縦通材、ビーム、フラップ、シヤタイ、プライパック、翼スキンおよび尾翼スキン、ならびに多くの他の部品などの、航空宇宙の被加工物のための機械および組立体を採用する。しかし、これらの機械および組立体は、他の産業および他の部品で使用されるのにも適する。テープ積層機械および組立体12が、特定の用途に応じて、および、調製することを意図されるその特定のパーツに応じて、多様なレイアウト、セットアップ、および設備を有することができる。
図1の実装形態では、テープ積層機械および組立体12が、概して、ガントリー20、真空テーブル22、およびオペレータステーション24を有する。テープ積層ヘッド10がガントリー20に結合され、ガントリー20が、複合材テープ16の付着中にテープ積層ヘッド10の一定程度の移動を実現する。X軸方向の移動が一対の長手方向ウェイ(換言すれば、軌道)26を介して実行され、例えば、ラック・ピニオン式の駆動ユニットによって達成され得る。Y軸方向の移動がクロスサドル28を介して実行され、例えば、線形モーターおよび永久磁石によって達成され得る。Z軸方向の移動が垂直方向スライド30を介して実行され、例えば、歯車箱およびサーボモーターを備える高精度のボールねじアクチュエータによって達成され得る。垂直方向スライド30がさらにC軸の回転運動を実現することができ、例えば、C軸の回転運動がサーボモーターおよび歯車箱によって達成され得る。しかし、テープ積層ヘッド10が他の設備によって実行されてもよく、その移動が他の手法で実現されてもよい。例えば、テープ積層ヘッド10が、上述の手法とは異なる手法でその移動を操作するロボットアームに設置されてもよい。
【0011】
[0015]継続して
図1を参照すると、モールド(図示せず)がテープ積層ヘッド10からの複合材テープ16の付着を受ける間において、真空テーブル22がモールドを保持する。オペレータステーション24がマンマシンインターフェース(HMI:human-to-machine interface)サイトとして機能することができ、テープ積層機械および組立体12の一定程度のオペレータによる制御および管理を可能にする。さらに、
図1に示されるように、テープ積層機械および組立体12が、パーツのためのトリミング能力を有する補助ガントリー32を有することができ、さらには、二次テープ積層ヘッドと、複合材テープの供給の必要時にまたは他の理由のためにガントリー20のところでテープ積層ヘッドを交換するための交換ステーション34とを有することができる。これらのレイアウト、セットアップ、および設備を用いて示されて説明されるが、テープ積層機械および組立体12は、他の実装形態では、より多くの、より少ない、および/または別の、レイアウト、セットアップ、および/または設備を有することもできる。
【0012】
[0016]テープ積層ヘッド10によって配置される複合材テープ16の細かい性質は、その特定の用途およびパーツによって決定されることになる。航空宇宙の例では、複合材テープ16が、複合材テープ16の2つの側のうちの一方側でキャリアまたはバッキングペーパー36を有する、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含侵した単方向の炭素繊維テープの形態であってよい。複合材テープ16の端から端の幅が、(やはり用途およびパーツに応じて)多様であってよく、航空宇宙の例では、50ミリメートル(50mm)、75ミリメートル(75mm)、150ミリメートル(150mm)、または300ミリメートル(300mm)であってよい。しかし、他の幅寸法も可能である。テープ積層ヘッド10内に装填される前に、複合材テープ16がテープ供給スプール38上に巻き付けられ、ここでは、複合材テープ16の粘着側あるいは粘着する側40が径方向外側を向いており、複合材テープ16のバッキングペーパー側42が径方向内側を向いている構成である。
【0013】
[0017]テープ積層ヘッド10が、使用されることを意図されるその特定の用途に応じて、および、調製することを意図されるその特定のパーツに応じて、多様なデザイン、構成、および構成要素を有することができる。
図2~5の実施形態では、テープ積層ヘッド10が、概して、フレーム44、カプラ46、テープ供給リール48、1組のローラー50、切断装置52、スクラップ収集装置54、バッキングペーパー取り外し組立体56、コンパクタ58、およびテープ張力制御システム14を有する。しかし、他の実施形態では、テープ積層ヘッド10が、本明細書に記載されるものと比較して、より多くの、より少ない、および/または別の構成要素を有することもできる。
【0014】
[0018]
図2および3を特に参照すると、フレーム44がテープ積層ヘッド10の主構造として機能し、フレーム44に対して他の構成要素が設置され、フレーム44の周りに他の構成要素が配置される。フレーム44は密閉ハウジングを形成することができるか、または図に示されるような側面が開いている構造であってもよい。カプラ46が、ガントリー20に対してテープ積層ヘッド10を取り付けたりガントリー20からテープ積層ヘッド10を脱着したりするための結合インターフェースを提供する。テープ供給リール48が、テープ供給スプール38およびそこに巻き付けられた複合材テープ16をテープ積層ヘッド10内に装填するために、テープ供給スプール38を受ける。テープ供給リール48が、テープ供給スプール38から複合材テープ16を外すことを目的としておよび下流において使用するためにテープ積層ヘッド10を通して複合材テープ16を給送することを目的として、第1のサーボモーター60を介して回転運動するように駆動される。第1のサーボモーター60が回転エンコーダーと対をなすことができる。ローラー50が、テープ供給スプール38およびテープ供給リール48の下流から、複合材テープ16を担持するのを支援する。複合材テープ16が概して、下にあるモールドのレイアップ面64に付着されるために、ローラー50を介して、内部でテープ積層ヘッド10を通って出口62(
図3)に到達する経路をとる。途中では、複合材テープ16が、ローラー50とは別個の他の構成要素によって担持および支持され得る。切断装置52が、その特定のモールドにおいて必要に応じて、および複合材テープ区間を終端させるために必要に応じて、複合材テープセグメントの終端部を作るために、テープ積層ヘッド10の使用中に複合材テープ16を切り離す。スクラップ収集装置54が、複合材テープ16を切断することにより発生する複合材テープ16のスクラップ片を集める。スクラップ収集装置54が、スクラップ片を収容するための容器を有することができる。
【0015】
[0019]テープ積層ヘッド10を通る複合材テープ16の経路は、概して、ローラー50のロケーションによって設定され、この経路が複合材テープ経路66を画定する。複合材テープ経路64に沿って緊張状態を維持する複合材テープ16が、テープ積層ヘッド10のテープウェブ68を構成する。複合材テープ経路66は、
図3では、テープ供給スプール38からローラー50の上を経由して出口62までのその緊張状態の範囲に沿って、複合材テープ16に平行に存在する多数の矢印線によって概略的に示される。
図3の実施形態では、複合材テープ経路66が、従来のテープ積層ヘッドの手法とは逆の手法で複合材テープ16の経路を決定する。このように反対方向に動くことにより複合材テープ16のバッキングペーパー側42が下側を向くようになり、レイアップ面64と向かい合うようになる。しかし、他の実施形態では、複合材テープ経路66が、テープ積層ヘッド10を通る、より従来的な経路をとることもでき、図に提示される反対方向の経路を呈する必要がなくてもよい。さらに、複合材テープ16がテープ積層ヘッド10を通る経路をとるときのテープウェブ68の位置を感知してテープウェブ68の位置を示すためのテープウェブセンサまたはテープウェブエンコーダー69がテープ積層ヘッド10内に設けられ得る。テープウェブエンコーダー69はテープ積層ヘッド10の特定の動作モードで採用され得、回転エンコーダーの形態であってよい。
【0016】
[0020]バッキングペーパー取り外し組立体56が、複合材テープ16のテープ本体からバッキングペーパー36を分離して剥がす。次に
図4を参照すると、この分離がローラー50の下流で行われ、さらには、出口62の上流かつコンパクタ58の上流で行われる。
図2~4の実施形態では、バッキングペーパー取り外し組立体56が、1組のローラー70、およびバッキングペーパー巻取リール72を有する。ローラー70が、テープ本体からバッキングペーパー36が分離されたときにバッキングペーパー36を担持するのを支援する。ローラー70の下流において、バッキングペーパー巻取リール72がバッキングペーパー36を堆積させ、給送されるバッキングペーパー36を巻き付ける。バッキングペーパー巻取リール72は、剥がされたバッキングテープ36を巻き取ることを目的として、第2のサーボモーター74を介して、回転運動するように駆動される。第2のサーボモーター74が回転エンコーダーと対をなすことができる。
【0017】
[0021]コンパクタ58が、テープ本体がレイアップ面64に付着されるときに複合材テープ16のテープ本体に圧縮圧力および荷重を作用させる。この実施形態では、
図2および3を参照すると、コンパクタ58は、圧縮ローラー76の形態である。圧縮ローラー76が出口62のところにまたはその近くに設置され、その結果、テープ本体が出口62を通して排出されるときに圧縮ローラー76がテープ本体に当接され得るようになる。図の実施例では、圧縮ローラー76が単一の軟質ポリウレタン圧縮ローラーである。
【0018】
[0022]さらに、特定のオペレーションを実施するための、ならびに、テープ積層ヘッド10の1つもしくは複数の電気システムおよび/または1つもしくは複数の電気サブシステムを管理するための、電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)78(
図2)がテープ積層ヘッド10に提供される。例として、ECU78が命令を出して第1のサーボモーター60および第2のサーボモーター74の回転速度を制御することができ、テープウェブエンコーダー69などのテープ積層ヘッド10のセンサと通信することができ、さらには、テープ張力制御システム14のセンサと通信することができる。これらのセンサのうちの一部が以下で言及される。
【0019】
[0023]テープ張力制御システム14が、テープ積層ヘッド10を通って複合材テープ16が移動するときにテープウェブ68内に張力および緊張状態を与えて維持するように機能する。テープ張力制御システム14は、テープ張力制御システム14が無い場合にテープウェブ68が、より直接的に受けることになる張力の急増を吸収することができる。この張力の急増を受ける場合、バッキングペーパーの破損、ブリッジ形成、剥離、および/または他の望ましくない事象が起こり得る。テープ張力制御システム14を使用することにより、望ましくない事象が最小になるかまたは完全に排除される。テープ張力制御システム14が、別の実施形態では、多様な設計、構成、および構成要素を有することができる。図の実施形態では、
図3~5を参照すると、テープ張力制御システム14が2ダンサー制御システム(two-dancer control system)であり、第1のダンサーローラー組立体80および第2のダンサーローラー組立体82を有する。第1のダンサーローラー組立体80は、テープ供給リール48のすぐ下流に存在し、テープ供給スプール38から複合材テープ16が離れるときに複合材テープ16が係合するのを最初に引き受ける。他方で第2のダンサーローラー組立体82がバッキングペーパー巻取リール72の上流に存在し、バッキングペーパー36がバッキングペーパー取り外し組立体56を介してテープ本体から引っ張られて、バッキングペーパー巻取リール72まで給送されるときに、第2のダンサーローラー組立体82はバッキングペーパー36が係合するのを引き受ける。
【0020】
[0024]テープ張力制御システム14と同様に、第1のダンサーローラー組立体80および第2のダンサーローラー組立体82が、別の実施形態では、多様な設計、構成、および構成要素を有することができる。一実施形態が
図5に提示される。
図5は、
図3に描かれているものと反対側のテープ積層ヘッド10の側面図を描いており、特には、第2のダンサーローラー組立体82の拡大領域を示す。第1のダンサーローラー組立体80および第2のダンサーローラー組立体82が対応する構成要素を有することを理由として、第1のダンサーローラー組立体80および第2のダンサーローラー組立体82の両方の本記述において
図5を参照する。第1のダンサーローラー組立体80が、第1のローラー84、第1のガイド86、第1のアクチュエータ88、第1のロック装置90、および第1の位置センサ92を有する。同様に、第2のダンサーローラー組立体82が、第2のローラー94、第2のガイド96、第2のアクチュエータ98、第2のロック装置100、および第2の位置センサ102を有する。しかし、他の実施形態では、第1のダンサーローラー組立体80および第2のダンサーローラー組立体82が、本明細書に記載されるものと比較して、より多くの、より少ない、および/または別の構成要素を有することもでき、必ずしも同じ構成要素を有する必要はない。
【0021】
[0025]ローラー84、94は、ガイド86、96によって担持され、アクチュエータ88、98による促進に反応してガイド86、96を横切って前後に移動することができる。テープ積層ヘッド10の使用中にそれぞれの複合材テープ16およびバッキングペーパー36がローラー84、94の上を移動するときに、ローラー84、94が自由に回転することができる。ローラー84、94の背面側では、キャリッジ104が、ガイド86、96に沿ってローラー84、94を誘導するのを支援する。各ローラー84、94が専用のキャリッジ104に連結される。キャリッジ104は、ガイド86、96に沿って摺動することができ、ローラー84、94に連結されていることを理由として、ガイド86、96に沿ってローラー84、94を運搬する。この実施形態では、キャリッジ104が、位置センサ92、102と相互作用するための延長部分106を有する。レーザー距離フィードバックセンサ(laser distance feedback sensor)の形態である位置センサ92、102の実施例では、延長部分106が、付随の放射レーザーのための標的として機能する。ガイド86、96が、第1の終端部110と第2の終端部112との間を線形的に延びている一対のスロット108によって画定される。したがって、ガイド86、96に沿うローラー84、94の移動が本質的に線形的かつ往復的となり、したがってローラー84、94が、ガイド86、96の上で、一方向において前方に移動し、反対方向において後方に移動する。
【0022】
[0026]ガイド86、96に沿うローラー84、94の移動を誘起するために、アクチュエータ88、98が起動される。アクチュエータ88、98およびローラー84、94が一体に連結される。アクチュエータ88、98が別の実施形態では異なる形態をとることができる。図の実施形態では、アクチュエータ88、98が空気圧シリンダアクチュエータ114、116の形態であり、具体的には、その伸長ストロークおよび後退ストロークならびに移動のために空気の力を採用する複動式の空気圧シリンダアクチュエータである。ここでは、空気圧シリンダアクチュエータ114、116のロッド118がキャリッジ104に接続され、その結果、ロッド118の伸長運動および後退運動がローラー84、94の前後の移動を引き起こす。ロック装置90、100が、ローラー84、94の移動を停止させてローラー84、94をガイド86、96上の定位置で保持する。この実施形態では、ロック装置90、100が、ロッド118を組み込まれたロッド型のロック装置(rod lock)120の形態である。さらに、位置センサ92、102がガイド86、96上でのローラー84、94の位置を検出し、その出力をECU78に通信することができる。この実施形態では、位置センサ92、102が、延長部分106に衝突することを意図されるレーザービーム124を放射するレーザー距離フィードバックセンサ122の形態である。
【0023】
[0027]最後に、テープ張力制御システム14が、第3の位置センサ126および第4の位置センサ128を有することができる。
図3で、第3の位置センサ126および第4の位置センサ128が概略的に描かれている。第3の位置センサ126が、テープ供給スプール38上に巻き付けられた複合材テープ16の直径を検出する。この検出は、使用中に、テープ供給スプール38から複合材テープ16が使い果たされたときの瞬間的なものであってよい。第3の位置センサ126の出力がECU78に通信され得る。同様に、第4の位置センサ182が、バッキングペーパー巻取リール72上に巻き付けられたバッキングペーパー36の直径を示す。この表示は、使用中に、パッキングペーパー巻取リール72上にバッキングペーパー36が堆積するときの瞬間的なものであってよい。第4の位置センサ128の出力がECU78に通信され得る。
【0024】
[0028]使用中、テープ張力制御システム14が、テープ積層ヘッド10によって実施されている特定のテープ付着手順に応じて多様な動作モード下で動作することができる。例えば、第1の動作モードまたは位置モードでは、テープ積層ヘッド10が、レイアップ面64上での複合材テープ区間の始点処理(initiation)または切断装置52の使用を伴うレイアップ面64上での複合材テープ区間の終端処理(termination)を実行することができる。しかし、第1の動作モードは、高いテープ付着精度を求める他の場合にでも要求され得る。第2の動作モードまたは張力モードでは、テープ積層ヘッド10は、複合材テープ16がコンパクタ58により作用される圧縮圧力下にある状態で、複合材テープ区間の主セクションを付着させることができる。主セクションの付着は、通常、複合材テープ区間の始点処理と終端処理との間で行われる。テープ張力制御システム14が、従来で可能であったものよりもより滑らかに、テープ積層ヘッド10の使用中に第1の動作モードと第2の動作モードとの間を移行することができる。このような移行は、臨機応変に任意のタイミングで行われ得、移行時に付着手順を明確に停止させることなく、特定のテープ付着手順中の複数のタイミングで行われ得る。したがって、より効率的でありかつより効果的であるテープ付着手順が実現される。テープ張力制御システム14が第1の動作モードまたは第2の動作モードのいずれで動作するかは、部分的に、テープ付着手順中に直面する特定の予測により、および、第1の動作モードまたは第2の動作モードのいずれでこの予測が適切に処理され得るかにより、決定される。
【0025】
[0029]テープ張力制御システム14が、第1の動作モードおよび第2の動作モードにおいて異なる手法で機能することができる。第1の動作モードでは、第1のロック装置90または第2のロック装置100の一方がロック状態に設定され、対して、第1のロック装置90または第2のロック装置100のもう一方がロック解除状態に設定される。特定の実施例では、第1のロック装置90がそのロック状態に設定され、第2のロック装置100がそのロック解除状態に設定される。テープウェブ68が第1のサーボモーター60および第2のサーボモーター74を介して所定の程度進むことができ、テープウェブエンコーダー69が、テープウェブ68の位置を検出することができる。ECU78が、示される位置に反応して、および意図される位置とのその比較に反応して、第1のサーボモーター60および第2のサーボモーター74の回転運動の命令を出すことができる。したがって、第1の動作モードは閉ループの機能性を呈することができる。
【0026】
[0030]第2の動作モードでは、第1のロック装置90がそのロック解除状態に設定され、第2のロック装置100がそのロック解除状態に設定される。ロック解除状態であることにより、第1のローラー84が第1のガイド86上で一定量の移動を行うことができ、第2のローラー94が第2のガイド96上で一定量の移動を行うことができる。第1のアクチュエータ88が、第1のガイド86の線形範囲での第1の所定の位置およびロケーションまでの第1のローラー84の移動を誘起するために起動される。第1の所定のロケーションは、第1のローラー84と第1の終端部110と間に一定の範囲(extent)およびクリアランスを提供するような、ならびに、第1のローラー84と第2の終端部112との間に一定の範囲およびクリアランスを提供するような、第1のガイド86上での位置であってよい。一実施例では、第1の所定のロケーションが第1のガイド86上での第1の概略中間ロケーションであるか、または、第1の空気圧シリンダアクチュエータ114の中間ストロークである。第1のガイド86の両側において、第1のローラー84の各側に設けられるこれらの範囲およびクリアランスが、テープウェブ68における張力の迅速な増大が第1のローラー84に伝達されるときの第1のローラー84の前後の移動を許容する。第1のローラー84がこのように移動することおよび付随的に第1のアクチュエータ88が追従することが、張力の迅速な増大を吸収するように働く。第1の空気圧シリンダアクチュエータ114の実施例では、このように追従することが、第1の空気圧シリンダアクチュエータ114内の空気圧縮によって達成される。テープ張力制御システム14は、第2の動作モード中に第1のローラー84の位置を第1の所定のロケーションで維持するように要求する。この実施形態では、第1の位置センサ92が、第1のガイド86上での第1のローラー84の位置を監視する。第1のローラー84が定位置から移動させられて第1の所定のロケーションから離れると、第1の所定のロケーションを維持するために第1のローラー84が第1のガイド86上でいずれの方向に移動する必要があるかに応じて、第1のサーボモーター60を介して、テープ供給リール48の回転速度が調整され得、つまり、増大または低下され得る。
【0027】
[0031]同様の手法で、上記の処置と同時に、第2のアクチュエータ98が、第2のガイド96の線形範囲での第2の所定の位置およびロケーションまでの第2のローラー94の移動を誘起するために起動される。第2の所定のロケーションは、第2のローラー94と第1の終端部110と間に一定の範囲およびクリアランスを提供するような、ならびに、第2のローラー94と第2の終端部112との間に一定の範囲およびクリアランスを提供するような、第2のガイド96上での位置であってよい。一実施例では、第2の所定のロケーションが、第2のガイド96上での第2の概略中間ロケーションであるか、または、第2の空気圧シリンダアクチュエータ116の中間ストロークである。第2のガイド96の両側において、第2のローラー94の各側に設けられるこれらの範囲およびクリアランスが、テープウェブ68における張力の迅速な増大が第2のローラー94に伝達されるときの第2のローラー94の前後の移動を許容する。第1のローラー84の移動と併せて第2のローラー94がこのように移動することおよび付随的に第2のアクチュエータ98が追従することが、張力の迅速な増大を吸収するように働く。第2の空気圧シリンダアクチュエータ116の実施例では、このように追従することが、第2の空気圧シリンダアクチュエータ116内の空気圧縮によって達成される。上述と同様に、テープ張力制御システム14が、第2の動作モード中に第2のローラー94の位置を第2の所定のロケーションで維持するように要求する。この実施形態では、第2の位置センサ102が、第2のガイド96上での第2のローラー94の位置を監視する。第2のローラー94が定位置から移動させられて第2の所定のロケーションから離れると、第2の所定のロケーションを維持するために第2のローラー94が第2のガイド96上でいずれの方向に移動する必要があるかに応じて、第2のサーボモーター74を介して、バッキングペーパー巻取リール72の回転速度が調整され得、つまり、増大または低下され得る。
【0028】
[0032]上記の記述が本発明の1つまたは複数の実施形態の記述であることを理解されたい。本発明は本明細書で開示される特定の実施形態のみ限定されず、むしろ、下記の特許請求の範囲のみによって定義される。さらに、上記の記述に含まれる説明は特定の実施形態に関連するものであり、用語またはフレーズを上で特別に定義してない限り、本発明の範囲または特許請求の範囲で使用される用語の定義を限定するものとして解釈されない。種々の他の実施形態、ならびに、開示される実施形態に対しての種々の変更形態および修正形態が、当業者には明らかとなろう。すべてのこのような他の実施形態、変更形態、および修正形態が、添付の特許請求の範囲に入ることを意図される。
【0029】
[0033]本明細書および特許請求の範囲で使用される「e.g.(例えば)」、「for example(例えば)」、「for instance(例えば)」、「such as(など)」、および「like(など)」という用語、ならびに、「comprising」、「having」、「including」という動詞およびその他の動詞形態は、各々、1つまたは複数の構成要素のリストまたは他のアイテムと共に使用される場合、開放的であると解釈され、このリストが他の追加の構成要素またはアイテムを排除するものとして解釈されないことを意味する。他の用語も、異なる解釈を必要とする文脈で使用されない限り、それらの最も広範囲の妥当な意味を使用して解釈される。
【国際調査報告】