(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-29
(54)【発明の名称】深紫外線放射を使用して製作される電気光学装置
(51)【国際特許分類】
G02B 6/136 20060101AFI20230322BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20230322BHJP
G02B 1/00 20060101ALI20230322BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20230322BHJP
G02F 1/05 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
G02B6/136
G03F7/20 502
G03F7/20 501
G02B1/00
G02B3/00 Z
G02F1/05 505
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547825
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(85)【翻訳文提出日】2022-10-04
(86)【国際出願番号】 US2021016675
(87)【国際公開番号】W WO2021158828
(87)【国際公開日】2021-08-12
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522206397
【氏名又は名称】ハイパーライト・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HYPERLIGHT CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン・ミアン
(72)【発明者】
【氏名】ルーク・ケヴィン
【テーマコード(参考)】
2H147
2H197
2K102
【Fターム(参考)】
2H147BA05
2H147EA05A
2H147EA05C
2H147EA13C
2H147EA14C
2H147EA15C
2H147FC03
2H147FC04
2H147FC05
2H147FD09
2H147GA19
2H197CA03
2H197CA06
2H197HA10
2K102AA05
2K102CA28
2K102DB01
2K102DD03
2K102DD05
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】光学装置について記載されている。光学装置の少なくとも一部分は、強誘電性非線形光学材料を含み、紫外線リソグラフィを利用して製作される。いくつかの態様では、光学装置の少なくとも一部分は、深紫外線リソグラフィを使用して製作される。いくつかの態様では、光学装置の少なくとも一部分の側壁の短距離二乗平均平方根表面粗さは、10ナノメートル未満である。いくつかの態様では、光学装置の少なくとも一部分は、2dB/cm以下の損失を有する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
前記装置は、光学装置を含み、前記光学装置の少なくとも一部分が、少なくとも1つの強誘電性非線形光学材料を含み、前記光学装置の前記少なくとも一部分は、紫外線(UV)フォトリソグラフィを利用して製作され、前記強誘電性非線形光学材料の側壁を含み、前記側壁は、10ナノメートル未満の短距離二乗平均平方根粗さを有し、
前記側壁は、前記UVフォトリソグラフィ、第1のエッチング、及び第2のエッチングを使用して製作され、
前記UVフォトリソグラフィは、ハードマスク層からハードマスクを製作するためのマスクを形成するために使用され、
前記第1のエッチングは、前記ハードマスク層の一部分を除去して前記ハードマスクを形成するためのものであり、
前記第2のエッチングは、前記強誘電性非線形光学材料の一部分を除去して前記側壁を形成するためのものであり、
前記第2のエッチングは、ドライエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、プラズマエッチング、及び化学エッチングから選択され、
前記第2のエッチングは、前記側壁が、10ナノメートル未満の前記短距離二乗平均平方根粗さを有するように、前記第1のエッチングとは異なる、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記少なくとも1つの強誘電性非線形光学材料は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸カリウム、ガリウム砒素、チタン燐酸カリウム、チタンジルコン酸鉛、及びチタン酸バリウムのうちの少なくとも1つを含む、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記少なくとも1つの強誘電性非線形光学材料は、タンタル酸リチウム及びニオブ酸リチウムから選択される、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記側壁は、少なくとも400ナノメートルの高さを有する、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記側壁は少なくとも1つのスティッチ領域に含まれ、前記少なくとも1つのスティッチ領域のそれぞれが、少なくとも10ミリメートル×10ミリメートルの面積を有する、装置。
【請求項6】
請求項51に記載の装置であって、前記短距離二乗平均平方根表面粗さは、5ナノメートル以下である、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、前記光学装置の前記少なくとも一部分は、2dB/cm以下の損失を有する、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、前記損失は、1.0dB/cm未満である、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記損失は、0.5dB/cm未満である、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、前記損失は、0.1dB/cm以下である、装置。
【請求項11】
光学装置を提供する方法であって、
強誘電性非線形光学層上にハードマスク層を設けることであって、前記強誘電性非線形光学層は、少なくとも1つの強誘電性非線形光学材料を含む、ことと、
前記ハードマスク層上にマスクを設けることであって、前記マスクは、紫外線(UV)リソグラフィを使用して形成されるパターンを有する、ことと、
前記パターンを前記ハードマスク層に転写することにより、前記ハードマスク層からハードマスクを形成することと、
前記パターンを前記ハードマスクから前記強誘電性非線形光学層に転写して、前記強誘電性非線形光学層の側壁を含む、前記光学装置の少なくとも一部分を形成することであって、前記側壁は、10ナノメートル未満の短距離二乗平均平方根粗さを有する、ことと、を含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記マスクを設けることは、
マスク層を設けることと、
摂氏140度を超えるベーク温度にて前記マスク層を熱処理することと、
前記熱処理の後、UV波長範囲内の電磁放射を使用して、前記マスク層の一部分を露光することと、
前記露光の後に、前記マスク層を現像して、前記パターンに対応する少なくとも1つの開口部を前記マスク層に形成して、前記マスクを形成することと、更に含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記マスクを設けることは、
前記露光の後かつ前記現像の前に、追加熱処理を実施することを更に含み、前記追加熱処理は、摂氏140度を超える追加温度で実施される、方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法であって、前記形成することは、前記ハードマスク層の一部分を除去して前記ハードマスクを形成するための第1のエッチングを実施することを更に含み、
前記パターンを前記ハードマスクから前記強誘電性非線形光学層に転写することは、前記強誘電性非線形光学材料の一部分を除去して前記側壁を形成するための第2を実施することを更に含み、前記第2のエッチングは、ドライエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、プラズマエッチング、及び化学エッチングから選択され、前記第2のエッチングは、前記側壁が、10ナノメートル未満の前記短距離二乗平均平方根粗さを有するように、前記第1のエッチングとは異なる、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法であって、
前記ハードマスクを形成することのうちの少なくとも1つは、前記パターンに対応する凹部を前記ハードマスク層に形成することを含み、
前記方法は、前記ハードマスク層の下地をなすストップ層を設けることと、前記ハードマスクの形成後に、前記ストップ層の一部分を除去することと、を更に含む、方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法であって、
前記パターンは複数のスティッチ領域を含み、前記スティッチ領域のそれぞれが、少なくとも10ミリメートル×10ミリメートルの面積を有する、方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法であって、前記ハードマスク層は、シリコン酸化物、アモルファスシリコン、及び窒化シリコンのうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項18】
請求項11に記載の方法であって、
前記強誘電性非線形光学層は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸カリウム、ガリウム砒素、チタン燐酸カリウム、チタンジルコン酸鉛、及びチタン酸バリウムのうちの少なくとも1つを含み、前記側壁は少なくとも400ナノメートルの高さを有する、方法。
【請求項19】
光学装置を提供する方法であって、
強誘電性非線形光学層上にハードマスク層を設けることであって、前記非線形光学層は、少なくとも1つの強誘電性非線形光学材料を含む、ことと、
前記ハードマスク層上にマスクを設けることであって、前記マスクは、深紫外線(DUV)リソグラフィを使用して形成されるパターンを有する、ことと、を含み、
前記マスクを設けることは、
マスク層を設けることと、
摂氏140度を超える第1の温度にて前記マスク層を熱処理することであって、前記熱処理は、前記マスク層のための温度を、毎分摂氏140度以下の速度で増加させることを含む、ことと、
DUV波長範囲内の電磁放射を使用して、前記マスク層の一部分を露光することと、
前記露光の後に、摂氏140度を超える第2の温度において追加熱処理を実施することであって、前記追加熱処理は、前記マスク層のための追加温度を、毎分摂氏140度以下の追加速度で増加させることを含む、ことと、
前記追加熱処理の後に前記マスク層を現像して、前記パターンに対応する少なくとも1つの開口部を前記マスク層に形成して、前記マスクを形成することと、
前記パターンを前記ハードマスク層に転写することにより、前記ハードマスク層からハードマスクを形成することと、
前記強誘電性非線形光学層をエッチングして、前記パターンを前記ハードマスクから前記強誘電性非線形光学層に転写し、それにより、前記強誘電性非線形光学層の側壁を含む、前記光学装置の少なくとも一部分を形成することであって、前記側壁は、10ナノメートル未満の短距離二乗平均平方根粗さを有し、前記エッチングは、前記パターンを前記ハードマスク層に転写することにより前記ハードマスクを形成するための他のエッチングとは異なる、ことと、を更に含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記強誘電性非線形光学層は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸カリウム、ガリウム砒素、チタン燐酸カリウム、チタンジルコン酸鉛、及びチタン酸バリウムのうちの少なくとも1つを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照:
本出願は、2020年2月7日に出願されたLITHIUM NIOBATE DEVICES FABRICATED USING DEEP ULTRAVIOLET RADIATIONと題する同時係属の米国特許出願番号第16/785,206号の一部継続出願であり、これがあらゆる目的で本明細書に参照として組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
導波管などの光学装置は、様々な用途で利用される。ニオブ酸リチウム装置が、導波管、共振器、及び他の光学及び電子光学装置において使用されることが望ましい場合がある。しかしながら、ニオブ酸リチウムは、所望の性能特性を有する装置に製作することが困難なことは周知である。したがって、ニオブ酸リチウムを利用し、かつ充分な性能特性を有する、光学装置を提供する機構が望まれる。
【0003】
本発明の様々な実施形態が、以下の詳細な説明及び添付の図面において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1A】
図1Aは、紫外線フォトリソグラフィを使用して製作する、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の実施形態を示す。
【
図1B】
図1Bは、紫外線フォトリソグラフィを使用して製作する、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の実施形態を示す。
【0005】
【
図2】
図2は、ニオブ酸リチウムを含み、紫外線フォトリソグラフィを使用して製作される、光学装置における透過率を示す測定値の一実施形態を示す。
【0006】
【
図3】
図3は、紫外線フォトリソグラフィを使用して、ニオブ酸リチウムを含む光学装置を形成するための方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【0007】
【
図4】
図4は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の実施形態を示す。
【
図5】
図5は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の実施形態を示す。
【
図6】
図6は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の実施形態を示す。
【
図7】
図7は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の実施形態を示す。
【
図8】
図8は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の実施形態を示す。
【0008】
【
図9】
図9は、深紫外線フォトリソグラフィを使用して、ニオブ酸リチウムを含む光学装置を形成するための方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【0009】
【
図10】
図10は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の別の実施形態を示す。
【
図11】
図11は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の別の実施形態を示す。
【
図12】
図12は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の別の実施形態を示す。
【
図13】
図13は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の別の実施形態を示す。
【
図14】
図14は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の別の実施形態を示す。
【
図15】
図15は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の別の実施形態を示す。
【0010】
【
図16】
図16は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の別の実施形態を示す。
【
図17】
図17は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の別の実施形態を示す。
【
図18】
図18は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の別の実施形態を示す。
【
図19】
図19は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の別の実施形態を示す。
【
図20】
図20は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の別の実施形態を示す。
【
図21】
図21は、製作中に紫外線フォトリソグラフィを使用して形成された、ニオブ酸リチウムを含む光学装置の別の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、プロセス、機器、システム、物体の組成、コンピュータ可読記憶媒体上に具現化されたコンピュータプログラム製品、及び/又はプロセッサ、例えばプロセッサに結合されたメモリに保存された及び/又はプロセッサに結合されたメモリが提供する命令を実行するように構成されたプロセッサ、としての方法を含む、多数の方法で実現することができる。本明細書では、これらの実現形態、又は本発明がとるかも知れない他のいかなる形態も、技術と呼ばれる場合がある。一般に、開示されたプロセスのステップの順序は、本発明の範囲内で変えることができる。
【0012】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細な説明が、本発明の原理を図示する添付の図面と共に、以下に提供される。本発明は、そのような実施形態に関連して記載されているが、本発明はいかなる実施形態にも限定されない。本発明の範囲は特許請求の範囲だけにより限定され、本発明は多数の変形形態、修正形態、及び等価物を包含する。本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が以下の記載で述べられる。これらの詳細は、例示を目的として提供され、本発明は、これらの具体的な詳細の一部又は全てを伴うことなく、特許請求の範囲に従って実施されてよい。明瞭にするために、本発明に関連する技術分野において公知の技術項目は、本発明を不必要に不明瞭にしないために詳細には記述していない。
【0013】
ニオブ酸リチウム(LN)は、光学装置において、特に電子光学装置において使用されることが望まれている。本明細書で使用する場合、光学装置は、光学装置及び電子光学装置を含む場合がある。LNの好ましさは、少なくとも部分的には、印加される外部電界に対するLNの屈折率の変化に起因する。しかしながら、所望の性能特性を有するLN光学装置の製作は難題である。例えば、LN光学装置は、望ましい値よりも大きい損失を有する場合がある。近年では、LN光学装置は、マスク層をパターニングするために、電子ビームを使用して(例えば、電子ビームリソグラフィを用いて)製作されてきた。下にあるハードマスク及びLN層が、他の技術を使用してエッチングされる場合がある。そのように形成されたLN光学装置は、改善された性能を有することができる。しかしながら、電子ビームリソグラフィは、時間を要し、不均一な可能性があり、再現性が制限される場合がある。電子ビームは、スキャン手順を利用してマスクをパターニングするが、これは本質的に遅い。その上、電子ビームは、使用中、ドリフトの影響を受けやすい。ビーム偏向は範囲が限定されるので、電子ビームフォトリソグラフィは、比較的小さい領域、例えば1平方ミリメートル又はそれ以下のオーダーの領域だけをパターニングできる。より大きな領域をパターニングするため、電子ビーム用のステージがシフトされ、電子ビームリソグラフィが繰り返される。電子ビームリソグラフィのこの態様は、スループットを遅くすることに加えて、これら領域間のスティッチにおいて位置ずれを生じさせる場合がある。これらの位置ずれは、製作されている装置の性能に悪影響を及ぼす。したがって、LN光学装置を製作する改善された方法が望まれる。
【0014】
他の非線形光学材料は、LNと類似の欠点を被る場合がある。例えば、タンタル酸リチウム(例えば、LiTaO3)は、LNと同様の光学特性を有する。タンタル酸リチウム(LT)はまた、製作が困難な場合がある。更に、LTは、高温製作方法の間、損傷を受けやすい場合がある。光学装置で使用するには、他の強誘電性非線形(例えば、2次)光学材料が望ましい場合がある。そのような強誘電性非線形光学材料は、ニオブ酸カリウム(例えば、KNbO3)、ガリウム砒素(GaAs)、チタン燐酸カリウム(KTP)、チタンジルコン酸鉛(PZT)、及びチタン酸バリウム(BaTiO3)を含んでよいが、これらに限定されない。記載されている技術はまた、他の非線形強誘電性光学材料用に、特に、他の方法では製作が困難な場合がある材料用に使用することができる。例えば、そのような非線形強誘電性光学材料では、フッ素、塩素、又は臭素の化合物などの従来のエッチング化学物質を使用すると、化学エッチング反応が不活発になる場合がある。その結果、LTなどの強誘電性非線形光学材料を利用する装置を製作する改善された方法が望まれる。
【0015】
光学装置を製作する方法、及びそのように形成された光学装置について記載されている。光学装置の少なくとも一部は、LNを含み、深紫外線(DUV)リソグラフィなどのフォトリソグラフィを利用して製作される。光学装置を製作することは、LN層上にハードマスク層を設けることを含んでよい。マスクは、ハードマスク層上に製作される。このマスクは、DUVフォトリソグラフィを使用して形成される。より具体的には、マスク層は、例えばDUVフォトレジスト上へのスピンコーティングにより、設けられる。マスク層は、熱処理されてよい。マスク層の一部分は、DUV波長範囲内の電磁放射に選択的に曝露されてよい。いくつかの実施形態では、マスク層は、露光後に再び熱処理される。マスク層は、現像される。したがって、マスク層の一部分が除去されて、下にあるハードマスク層を露出させる開口部のパターンが形成される。マスクのパターンをハードマスク層に転写することにより、ハードマスク層からハードマスクが形成される。例えば、マスクの開口部により覆われていない、ハードマスク層の一部分が、選択的にエッチングされてよい。ハードマスクは、ハードマスク層がエッチングされた領域に、凹部又は開口部を有する場合がある。ハードマスクのパターンは、例えば物理エッチングを使用して、LN層に転写させることができる。少なくとも露光は、基板表面全体の複数のスティッチ領域に対して複数回実施されてよい。場合によっては、これらスティッチ領域のそれぞれは、少なくとも10ミリメートル×10ミリメートルである。いくつかの実施形態では、スティッチ領域は、少なくとも15ミリメートル×15ミリメートルであってよい。いくつかの実施形態では、各スティッチ領域は、少なくとも20ミリメートル×20ミリメートルである。したがって、LNを含む、より長い及び/又はより多くの光学装置を、DUVリソグラフィを使用して単一スティッチ領域内で製作することができる。
【0016】
DUVリソグラフィを使用して製作された光学装置におけるLNは、側壁に関して改善された表面粗さを有する。例えば、DUVフォトリソグラフィを使用して形成された光学装置におけるLNの側壁の短距離二乗平均平方根表面粗さは、10ナノメートル未満である。いくつかの実施形態では、この二乗平均平方根表面粗さは、5ナノメートル以下である。場合によっては、短距離二乗平均平方根表面粗さは、2ナノメートルを超えない。光学装置におけるLNはまた、改善された性能を有することができる。いくつかの態様では、光学装置におけるLNは、2dB/cm以下の損失を有する。いくつかの実施形態では、LNは、1.0dB/cm未満の損失を有する。場合によっては、この損失は、0.5dB/cm以下である。したがって、LNを含む光学装置の性能を改善することができる。
【0017】
本明細書に記載されている装置及び方法は、LNとの関連で記載されているが、他の非線形(例えば、2次)光学材料、特に従来技術を使用して製作することが困難な場合がある強誘電性非線形光学材料、に適用されてよい。そのような非線形強誘電性光学材料では、フッ素、塩素、又は臭素の化合物などの化学物質を使用する従来のエッチングにとって、化学エッチング反応が不活発になる場合がある。例えば、LT、ニオブ酸カリウム、ガリウム砒素、チタン燐酸カリウム、チタンジルコン酸鉛、及び/又はチタン酸バリウムが、LNの代わりに又はLNに加えて、使用されてもよい。例えば、光学装置を製作する方法、及びそのように形成された光学装置は、光学装置の少なくとも一部分が、強誘電性非線形光学材料(例えば、LT)を含み、DUVリソグラフィなどのフォトリソグラフィを利用して製作されるようなものである。光学装置を製作することは、強誘電性非線形光学層上にハードマスク層を設けることを含んでよい。マスクは、ハードマスク層上に製作される。このマスクは、DUVフォトリソグラフィを使用して形成される。より具体的には、マスク層は、例えばDUVフォトレジスト上へのスピンコーティングにより、設けられる。マスク層は、熱処理されてよい。マスク層の一部分は、DUV波長範囲内の電磁放射に選択的に曝露されてよい。いくつかの実施形態では、マスク層は、露光後に再び熱処理される。マスク層は、現像される。したがって、マスク層の一部分が除去されて、下にあるハードマスク層を露出させる開口部のパターンが形成される。マスクのパターンをハードマスク層に転写することにより、ハードマスク層からハードマスクが形成される。例えば、マスクの開口部により覆われていない、ハードマスク層の一部分が、選択的にエッチングされてよい。ハードマスクは、ハードマスク層がエッチングされた領域に、凹部又は開口部を有する場合がある。ハードマスクのパターンは、例えば物理エッチングを使用して、強誘電性非線形光学層に転写させることができる。少なくとも露光は、基板表面全体の複数のスティッチ領域に対して複数回実施されてよい。場合によっては、これらスティッチ領域のそれぞれは、少なくとも10ミリメートル×10ミリメートルである。いくつかの実施形態では、スティッチ領域は、少なくとも15ミリメートル×15ミリメートルであってよい。いくつかの実施形態では、各スティッチ領域は、少なくとも20ミリメートル×20ミリメートルである。したがって、LNを含む、より長い及び/又はより多くの光学装置を、DUVリソグラフィを使用して単一スティッチ領域内で製作することができる。
【0018】
DUVリソグラフィを用いて製作された光学装置における強誘電性非線形光学材料は、側壁に関して改善された表面粗さを有する。例えば、DUVフォトリソグラフィを使用して形成された光学装置における強誘電性非線形光学材料(例えば、LT)の側壁の短距離二乗平均平方根表面粗さは、10ナノメートル未満である。いくつかの実施形態では、この二乗平均平方根表面粗さは、5ナノメートル以下である。場合によっては、短距離二乗平均平方根表面粗さは、2ナノメートルを超えない。光学装置における、LTなどの強誘電性非線形光学材料はまた、改善された性能を有することができる。いくつかの態様では、光学装置における強誘電性非線形光学材料は、2dB/cm以下の損失を有する。いくつかの実施形態では、強誘電性非線形光学材料は、1.0dB/cm未満の損失を有する。場合によっては、この損失は、0.5dB/cm以下である。したがって、強誘電性非線形光学材料を含む光学装置の性能を改善することができる。
【0019】
図1A及び
図1Bは、それぞれ、DUVリソグラフィなどのフォトリソグラフィを使用するLN製作を含む装置100A及び100Bの実施形態を示す。
図1Aは、基板101A上に形成された光学装置110Aを含む装置100Aを示す略図である。
図1Aは、縮尺通りではない。基板101Aは、キャリアウェハー、並びにウェハーと光学装置110Aとの間の任意の下層を含んでよい。光学装置110Aは、LN領域を含む。光学装置110Aの一部だけとして示されているが、層の全てがLNにより形成されてよい。いくつかの実施形態では、光学装置110Aは、図示していない他の構成要素を含んでよい。光学装置110Aは、平坦領域111A、側壁112A及び114A、並びに上面116Aを含む。したがって、光学装置110は、側壁112A及び114A並びに上面116Aを有する、隆起を含む。したがって、図示する実施形態では、LN層は、完全にはエッチングされていない。他の実施形態及び/又は他の領域では、LN層は完全にエッチングされて、基板101Aなどの下にある層が露出されてよい。そのような実施形態では、平坦領域111Aの一部又は全てが省略される場合がある。
【0020】
同様に、
図1Bは、基板(図示せず)上に形成された光学装置110Bを含む装置100Bの顕微鏡写真である。基板は、キャリアウェハー、並びにウェハーと光学装置110Bとの間の任意の下層を含んでよい。光学装置110Bは、LN層から構成される。いくつかの実施形態では、光学装置110Bは、図示していない他の構成要素を含んでよい。光学装置110Bは、側壁112B及び114A、並びに上面116B及び平坦領域111Bを有する隆起を含む。
【0021】
光学装置110A及び光学装置110BのLN領域は、DUVリソグラフィを使用して形成される。その結果、光学装置110A及び110Bの側壁112A、114A、112B及び114Bは、改善された表面粗さを有する。短距離二乗平均平方根(RMS)表面粗さは、(例えば、方向lに沿った)200ナノメートル以下の長さにおけるRMS表面粗さである。光学装置110AにおけるLN領域の側壁112A及び114Aの短距離RMS表面粗さ、並びにLN光学装置110Bの短距離RMS表面粗さはそれぞれ、10ナノメートル未満である。いくつかの実施形態では、光学装置110A及びLN光学装置110Bの両方のLN領域についての短距離RMS表面粗さは、5ナノメートル以下である。光学装置110A及びLN光学装置110BのLN領域の短距離RMS表面粗さは、いくつかの実施形態では、2ナノメートルを超えない。更に、上面116A及び116Bのそれぞれの短距離RMS粗さは、いくつかの実施形態では、1ナノメートル以下である。いくつかの実施形態では、側壁112A、114A、112B、及び/又は114Bの長距離(200ナノメートルより大きく、200マイクロメートルまで至る長さ)RMS表面粗さは、短距離RMS表面粗さとは異なる場合がある。
【0022】
改善された平滑性ゆえに、光学装置は、改善された性能を有することができる。これは、ニオブ酸リチウムを含み、紫外線フォトリソグラフィを使用して製作された、光学装置における透過率を示す測定値の一実施形態200を示す
図2を参照すれば分かる。グラフ200は、共振器として作動する、光学装置110A及び/又は110BなどのLN光学装置を通る透過率を示す。グラフ200における落ち込みは、共振を示す。いくつかの実施形態では、ピークの幅は、ピコメートルのオーダーであり、対応する光学装置の効率を示す。いくつかの実施形態では、光学装置110A及びLN光学装置110BのLN領域は、5dB/cm以下の信号損失を有する。いくつかの実施形態では、光学装置110A及びLN光学装置110BのLN領域はそれぞれ、2dB/cm以下の損失を有する。いくつかのそのような実施形態では、光学装置110A及びLN光学装置110BのLN領域のそれぞれに対する損失は、1.0dB/cm未満である。例えば、この損失は、いくつかの実施形態では、0.5dB/cm以下であってよい。
【0023】
したがって、DUVリソグラフィを使用して製作された光学装置110A及び110Bは、低減された表面粗さ及び改善された効率を有する場合がある。更に、パターニングがDUVリソグラフィを使用して実施されるので、光学装置110A及び110Bは、より高い再現性、より良好な均一性、より高いスループットで、基板101A及び101Bのより大きな領域にわたって製作することができる。したがって、LNを含む光学装置を製作するための方法、及びそのように形成された光学装置を改善することができる。
【0024】
図3は、DUVリソグラフィなどの紫外線リソグラフィを使用して、LNを含む光学装置を形成するための方法300の一実施形態を示すフローチャートである。方法300は、サブプロセスを有してよいプロセスとの関連で記載される。特定の順序で記載されているが、本明細書の記載と矛盾しない他の順序が利用されてもよい。方法300は、基板上にLN層が設けられた後に始まる。いくつかの実施形態では、LN層は薄くてよく、例えば、厚さが10マイクロメートル以下であってよい。いくつかの実施形態では、LN層は、厚さが1マイクロメートル以下であってよい。いくつかの実施形態では、LN層の厚さは、700ナノメートル以下であってよい。いくつかのそのような実施形態では、厚さは、400ナノメートル以下であってよい。他の厚さが可能である。二酸化シリコンなどの下層が、LN層とキャリアウェハーとの間に存在してよい。いくつかの実施形態では、キャリアウェハーは、シリコン、石英、シリカ、LN、サファイア、及び/又は他の材料を含んでよい。例えば、LN層は、名目上、少なくとも2マイクロメートル、かつ5マイクロメートル以下の厚さを有する二酸化シリコンの下層上に存在してよい。他の厚さ、追加の層、及び/又は他の層が存在してよい。
【0025】
302において、ハードマスク層が設けられる。いくつかの実施形態では、ハードマスクは、アモルファスシリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、セラミック、金属(例えば、Ti)、又は他のハードマスク材料のうちの1つ以上を含んでよい。いくつかの実施形態では、302において、化学蒸着(CVD)又は他の堆積方法が利用されてよい。
【0026】
304において、UVリソグラフィを使用して、ハードマスク層上にマスクが形成される。いくつかの実施形態では、304は、マスク層を設けることを含む。例えば、マスク層は、ハードマスク層上にスピンコーティングされたフォトレジスト層であってよい。UVリソグラフィを使用して、マスク層の一部分が選択的に露光される。いくつかの実施形態では、UVフォトリソグラフィのために使用される電磁放射の波長は、450ナノメートル以下である。いくつかの実施形態では、DUVリソグラフィが利用される。例えば、使用される電磁放射の波長は、250ナノメートル未満であってよい。いくつかの実施形態では、マスク層を露出させるために、電磁放射の他の波長が使用されてよい。また、304の一部として、露光の前及び/又は後に、マスク層が熱処理(例えば、ベーク)されてよい。露光されたマスクはまた、現像される。いくつかの実施形態では、現像後ベークは実施されない。したがって、マスク層の一部分が除去されて、マスク層に開口部が形成される。その結果、パターンを有するマスクが形成される。
【0027】
306において、ハードマスク層からハードマスクが提供される。そうするために、DUVリソグラフィにより形成されたマスクが利用される。したがって、マスクからのパターンが、ハードマスク層に転写されてよい。ハードマスクは、このように形成される。いくつかの実施形態では、306は、マスクにおけるパターンにより覆われていない、ハードマスク層の一部分を、化学的及び/又は物理的に除去することを含む。いくつかの実施形態では、306における除去により、ハードマスク層に開口部が形成されて、ハードマスクが設けられる。いくつかの実施形態では、306における除去により、ハードマスク層に凹部が形成されて、ハードマスクが設けられる。方法300においてハードマスクが使用されてよい。なぜなら、DUVリソグラフィを使用してパターニングされたマスクは、後述する、308においてLN層をパターニングするために使用されるエッチングによる除去の影響をより受けやすい場合があるからである。マスクのそのような除去により、光学装置の側壁が、望まれるよりも大きな表面粗さを有する結果になる場合がある。しかしながら、他の実施形態では、例えば、より大きい表面粗さが許容される場合、ステップ302及び304は省略されてよい。
【0028】
308において、LN層は、ハードマスクを使用してエッチングされる。したがって、308において、ハードマスクにおけるパターンは、LN層に転写されてよい。いくつかの実施形態では、308において、物理エッチングが使用される。308において、例えば、ドライエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、プラズマエッチング、及び/又は他の物理エッチング機構が利用されてよい。いくつかの実施形態では、308において、化学エッチング又は他のエッチングが使用されてよい。ハードマスクが開口部の代わりに凹部を含む実施形態では、308におけるパターン転写は、ハードマスクの薄い部分の少なくとも一部も除去する。いくつかの実施形態では、308をとおして、LN層は完全にはエッチングされていない。したがって、形成される光学装置は、308の後に残っている起立部分又は隆起であってよい。いくつかの実施形態では、308において、LN層の一部分は完全にエッチングされてよい。また、308において、残っているマスク及び/又はハードマスクは全てが除去されてよい。
【0029】
310において、方法300のいくつか又は全てが、任意選択で繰り返される。例えば、304において、マスク層が設けられ、ベークされてよい。1つの領域が露光された後、ステージがシフトされて、マスク層の追加領域が露光されてよい。したがって、304のこの部分は、繰り返されてよい。いったん全ての所望の領域が露光されると、マスク層に現像が実施されて、基板全体にマスクが設けられてよい。次いで、306及び308において、パターンは下にある層に転写されてよい。したがって、いくつかの実施形態では、304の少なくとも一部が1回以上繰り返される。他の実施形態では、302、304、306、及び308は、基板の異なる領域に対して繰り返されてよい。したがって、装置の複数の領域が製作されてよい。例えば、より大きな光学装置、及び/又はパターニングされた領域のエッジを横切って延びる光学装置が形成されてよい。
【0030】
例えば、
図4~
図8は、LNを含み、製作中に方法300を使用して形成された装置400の一実施形態を示す。
図4~
図8は縮尺通りではなく、装置400の一部分だけが示される。更に、装置400は、説明目的のためであって、特定の装置を表さない場合がある。例えば、側壁が概ね垂直かつ平坦に示される一方で、上面が概ね水平かつ平坦に示される。しかしながら、いくつかの変形形態が一般に存在する。
【0031】
図4は、304の一部として、マスク層が設けられた後の装置400を示す。したがって、キャリアウェハー、下層402、LN層410、ハードマスク層420、及びDUVマスク層430を含んでよい基板401が示される。下層402は、二酸化シリコンなどの絶縁体であってよい。本実施形態では、下層402は、基板401とは別々に示される。いくつかの実施形態では、他の層が存在してよく、及び/又は、示されるいくつかの層が省略されてよい。例えば、いくつか実施形態では、下層402が省略されてよい。
【0032】
図5は、304が完了した後の装置400を示す。DUVマスク層430は、DUV光に選択的に曝露され、現像されている。したがって、DUVマスク430Aが形成されている。ハードマスク層420の一部分は、DUVマスク430Aにより覆われていない。
【0033】
図6は、306が完了した後の装置400を示す。したがって、ハードマスク420Aが形成されている。図示した実施形態では、DUVマスク430Aのパターンは、ハードマスク420Aに転写されている。図示した実施形態では、ハードマスク層430がエッチングされた領域に、ハードマスク420Aが凹部422を有する。したがって、DUVマスク430Aのパターンは、ハードマスク420Aに転写されている。
【0034】
図7~
図8は、308が完了した後の装置400を示す。DUVマスク430A及びハードマスク420Aも、除去されている。
図7は、装置400の断面図である。
図8は、スティッチ(破線により示される)を示す装置400の平面図である。したがって、LN光学装置410Aが
図7及び
図8に示される。
図8には、LN光学装置410Bも示される。いくつかの実施形態では、LN光学装置410A及び/又はLN光学装置410Bは、他の構成要素を含む。しかしながら、簡略化のために、LN光学装置410Aの一部分及びLN光学装置410Bの一部分だけが示される。LN光学装置410A及び410Bは、ハードマスク420Aにより覆われていない、LN層の一部分を除去することにより、LN層410に形成された隆起とみなしてよい。したがって、側壁412及び414などの、光学装置410A及び410Bの側壁は、隆起のための側壁である。いくつかの実施形態では、308において、LN層410は完全にエッチングされてよい。そのような実施形態では、308が完了した後に、下層402などの下にある層は、露出される場合がある。
【0035】
LN光学装置410A及び410Bは、異なる時間に露出する異なるスティッチ領域にある。したがって、
図8に示すように、LN光学装置410A及び410Bは、整列していなくてよい。したがって、LN光学装置410A及び410Bは、そのような位置ずれの影響を低減させるために、スティッチの領域において僅かに広がっている。したがって、図示した実施形態では、LN光学装置410A及び410Bは、複数のスティッチ領域にわたる単一の光学装置の一部と考えることができる。LN光学装置410A及び410Bもまた、DUVリソグラフィを使用して形成される。したがって、それぞれが側壁を有する。LN光学装置410Aの側壁412及び414が、
図7及び
図8においてラベル付けされている。DUVリソグラフィを使用することにより、側壁412及び414は、改善された表面粗さを有する。LN光学装置410Aの側壁412及び414の短距離RMS表面粗さはそれぞれ、10ナノメートル未満である。いくつかの実施形態では、LN光学装置410Aの各側壁412及び414についての短距離RMS表面粗さは、5ナノメートル以下である。いくつかの実施形態では、LN光学装置410Aの各側壁412及び414の短距離RMS表面粗さは、2ナノメートルを超えない。LN光学装置410Bは、LN光学装置410Aとして類似した短距離RMS表面粗さを有する。
【0036】
光学装置410A及び410Bは、改善された性能を有することができる。いくつかの実施形態では、LN光学装置410A及び410Bはそれぞれ、5dB/cm以下の信号損失を有する。いくつかの実施形態では、LN光学装置410A及び410Bはそれぞれ、2dB/cm以下の損失を有する。いくつかのそのような実施形態では、LN光学装置410A及び410Bのそれぞれの損失は、1.0dB/cm未満である。例えば、この損失は、いくつかの実施形態では、0.5dB/cm以下であってよい。
【0037】
したがって、LN光学装置410A及び410Bは、改善された製造容易性と性能、及び低減された側壁表面粗さを有することができる。DUVリソグラフィが利用されるので、スループットは増加でき、装置400を製作するために要する時間は削減でき、均一性が改善でき、再現性が向上できる。DUVリソグラフィはまた、大きなスティッチ領域を有する。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも10ミリメートル×10ミリメートルであるスティッチ領域に、単一ショットでのDUVリソグラフィが実施されてよい。いくつかの実施形態では、スティッチ領域は、少なくとも15ミリメートル×15ミリメートルであってよい。例えば、スティッチ領域は、名目上、20ミリメートル×20ミリメートルであってよく、又はこれよりも大きくてよい。したがって、
図8に示されるようなスティッチの数が低減される。これは、スループット及び再現性を向上させることができるだけでなく、(例えば、LN光学装置410Aと410Bとの間に示されるような)光学装置の位置ずれを減らすこともできる。
【0038】
図9は、DUVリソグラフィを使用して、LNを含む光学装置を形成するための方法900の一実施形態を示すフローチャートである。方法900は、サブプロセスを有してよいプロセスとの関連で記載される。特定の順序で記載されているが、本明細書の記載と矛盾しない他の順序が利用されてもよい。方法900は、キャリアウェハーなどの基板上にLN層が設けられた後に始まる。いくつかの実施形態では、LN層は薄くてよく、例えば、厚さが10マイクロメートル以下であってよい。いくつか実施形態では、LN層は、厚さが1マイクロメートル以下であってよい。いくつかの実施形態では、LN層の厚さは、700ナノメートル以下であってよい。いくつかのそのような実施形態では、厚さは、400ナノメートル以下であってよい。他の厚さが可能である。二酸化シリコンなどの絶縁性下層が、LN層と下地ウェハーとの間に存在してよい。例えば、LN層は、名目上、少なくとも2マイクロメートル、かつ約5マイクロメートル以下の厚さを有する二酸化シリコンの下層上に存在してよい。他の厚さ、追加の層、及び/又は他の層が存在してよい。
【0039】
902において、ストップ層が設けられてよい。ストップ層は、ハードマスクを形成する際に使用することができるエッチングに無反応である。例えば、後述するように、ハードマスク層の一部分を選択的に除去する際に化学エッチングが利用される場合、902において設けられるストップ層は、このようなエッチングにおいて使用される化学物質に無反応である。ハードマスクを形成する際に複数のエッチングが利用される場合、902において設けられるストップ層は、ハードマスクをパターニングする際に使用される少なくとも最終エッチングに無反応であることが望まれる。902において設けられたエッチストップ層はまた、下にあるLN層への過度の損傷なしで除去されてよい。いくつかの実施形態では、902は省略されてよい。
【0040】
904において、ハードマスク層が設けられる。いくつかの実施形態では、ハードマスクは、アモルファスシリコン、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、二酸化チタン、セラミック、他の半導体、及び/又は他のハードマスク材料のうちの1つ以上を含んでよい。いくつかの実施形態では、金属ハードマスクが使用されてよい。いくつかの実施形態では、904において、CVD、プラズマ促進CVD、又は他の堆積方法が利用されてよい。
【0041】
906において、ハードマスク層上に反射防止コーティング(ARC)層が設けられる。いくつかの実施形態では、ARC層は、ハードマスク層上にスピンコーティングされる。ARC層は、DUVマスクのためのDUVリソグラフィの間、下にある層からのDUV電磁放射の反射を低減させるように構成されている。いくつかの実施形態では、906は省略されてよい。
【0042】
908において、ARC層上にDUVマスク層が設けられる。いくつかの実施形態では、DUVマスク層は、DUVフォトレジストなどのポリマーである。例えば、UV(商標)210 Positive DUV PhotoresistなどのDUVフォトレジストが使用されてよい。いくつかの実施形態では、908は、DUVマスク層をスピンコーティングすることを含む。しかしながら、他の堆積方法が可能である。
【0043】
910において、DUVマスク層は、露光の前に熱処理される。したがって、910は、露光前ベーク又は露光前熱処理とみなしてよい。いくつかの実施形態では、910における熱処理は、摂氏140度よりも大きい温度で実施される。いくつかの実施形態では、熱処理は、摂氏145度よりも大きい温度で実施される。例えば、910における熱処理のために、摂氏150度又はその近くの温度が使用されてよい。いくつかの実施形態では、熱処理は1分を超える。いくつかの実施形態では、熱処理のために、少なくとも70秒が使用される。いくつかの実施形態では、910における熱処理は、少なくとも80秒である。例えば、装置は、名目上90秒以上の時間にわたって、摂氏150度又はその近くの温度で熱処理されてよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、910は、露光前熱処理において装置が曝露される温度を徐々に上昇させることを含む。いくつかの実施形態では、(例えば、マスク層の、装置の他の部分の、又はオーブンにおいて若しくはホットプレート上で測定された)温度は、毎分摂氏140度以下の速度で増加される。いくつかの実施形態では、温度の増加速度は、毎分摂氏125度以下である。いくつかの実施形態では、温度は、毎分摂氏100度以下の速度で増加される。
【0045】
912において、DUVマスク層は、DUV放射に選択的に曝露される。例えば、912において、250ナノメートル以下の波長が使用されてよい。いくつかの実施形態では、912は、複数のスティッチ領域を露光することを含む。例えば、スティッチ領域が露光され、ステージが移動され、そして他の領域が同じ又は異なるレチクルを用いて露光されてよい。したがって、DUVマスク層は、DUV放射に選択的に曝露される。
【0046】
914において、DUVマスク層は、露光後に熱処理される。したがって、914は、露光後ベーク又は露光後熱処理とみなしてよい。いくつかの実施形態では、914における熱処理は、摂氏140度よりも大きい温度で実施される。いくつかの実施形態では、熱処理は、摂氏145度よりも大きい温度で実施される。例えば、914における熱処理のために、摂氏150度又はその近くの温度が使用されてよい。いくつかの実施形態では、熱処理は1分を超える。いくつかの実施形態では、熱処理のために、少なくとも70秒が使用される。いくつかの実施形態では、914における熱処理は、少なくとも80秒である。例えば、装置は、名目上90秒以上の時間にわたって、摂氏150度又はその近くの温度で熱処理されてよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、914は、露光後熱処理において装置が曝露される温度を徐々に上昇させることを含む。いくつかの実施形態では、(例えば、マスク層の、装置の他の部分の、又はオーブンにおいて若しくはホットプレート上で測定された)温度は、毎分摂氏140度以下の速度で増加される。いくつかの実施形態では、温度の増加速度は、毎分摂氏125度以下である。いくつかの実施形態では、温度は、毎分摂氏100度以下の速度で増加される。
【0048】
916において、露光されたDUVマスク層はまた、現像される。いくつかの実施形態では、現像後ベークは実施されない。したがって、DUVマスク層の一部分が除去されて、DUVマスク層に開口部が形成される。その結果、パターンを有するDUVマスクが形成される。
【0049】
918において、DUVマスクにおける開口部により覆われていないARC層の一部分は除去される。例えば、ARC層は、918においてエッチングされてよい。いくつかの実施形態では、918は省略されてよい。そのような実施形態では、ARC層は、920において利用されるものと同じ方法で除去されてよい。
【0050】
920において、DUVマスクのパターンは、ハードマスク層に転写される。いくつかの実施形態では、DUVマスクのパターンは、ARC層にも転写される。ハードマスクは、このように形成される。いくつかの実施形態では、920は、マスクにおけるパターンにより覆われていない、ハードマスク層の一部分を、化学的及び/又は物理的に除去することを含む。例えば、ハードマスク層が二酸化シリコン層である場合、920において、フッ素ベースの化学物質を使用してよい。他の実施形態では、ドライエッチング、RIE、又は他のエッチング機構が使用されてよい。いくつかの実施形態では、920における除去により、ハードマスク層に開口部が形成されて、ハードマスクが設けられる。そのような実施形態では、902において形成されたストップ層は、下にあるLN層への損傷を防止することができる。いくつかの実施形態では、920における除去により、ハードマスク層に凹部が形成されて、ハードマスクが設けられる。したがって、LN層への損傷を、依然として回避することができる。
【0051】
922において、ハードマスクのパターンは、ストップ層に転写されてよい。これは、化学又は物理エッチングを介して生じる場合がある。922においてストップ層を除去するために使用されるエッチングは、920においてハードマスクをパターニングするために使用されるエッチングのうちの1つ以上とは異なる。いくつかの実施形態では、922は省略されてよい。
【0052】
924において、ハードマスクにおけるパターンは、LN層に転写される。いくつかの実施形態では、924において、物理エッチングが使用される。例えば、ドライエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、プラズマエッチング、及び/又は他の物理エッチング機構が利用されてよい。いくつかの実施形態では、924において、化学エッチング又は他の除去機構が使用されてよい。いくつかの実施形態では、924において、LN層は完全にはエッチングされない。したがって、LN光学装置は、LN層の一部分の部分的な除去の後に残っている隆起で形成されてよい、又はその隆起を含んでよい。いくつかの実施形態では、LN層は、いくつかの領域において、完全にエッチングされてよい。ハードマスクが開口部の代わりに凹部を含む実施形態では、924におけるパターン転写は、ハードマスクの薄い部分の少なくとも一部も除去する。いくつかの実施形態では、924におけるパターン転写はまた、ハードマスクにより覆われていない、エッチストップ層の一部又は全てを除去してよい。920においてハードマスクを形成するために使用されるエッチングは、924においてLN層の一部分を除去するために使用されるエッチングから切り離されていてよい。その結果、これらのエッチングは、別々に最適化されることができる。これにより、製作されている光学装置における、より滑らかな側壁につながる場合がある。
【0053】
926において、あらゆる残っているDUVマスク、ARC層、及び/又はハードマスクが除去されてよい。装置の製作が完了されてよい。例えば、形成されたLN光学装置は個片化されてよく、及び/又は追加の構成要素が製作されてよい。
【0054】
例えば、
図10~
図15は、LNを含み、製作中に方法900を使用して形成された、装置1000の一実施形態を示す。
図10~
図15は縮尺通りではなく、装置1000の一部分だけが示される。更に、装置1000は、説明目的のためであって、特定の装置を表さない場合がある。例えば、側壁が垂直かつ平坦に示される一方で、上面が水平かつ平坦に示される。しかしながら、いくつかの変形形態が一般に存在する。
【0055】
図10は、904、906、及び908が完了した後の装置1000を表す。したがって、キャリアウェハー、下層1002、LN層1010、ハードマスク層1030、ARC層1040、及びDUVマスク層1050を含んでよい基板1001が示される。下層1002は、二酸化シリコンなどの絶縁体であってよい。本実施形態では、下層1002は、基板1001とは別々に示される。いくつかの実施形態では、他の層が存在してよく、及び/又は、示されるいくつかの層が省略されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、下層1002が省略されてよい。図示した実施形態では、エッチストップ層は利用されない。したがって、902及び922は省略される。
【0056】
図11は、910、912、914、及び916が完了した後の装置1000を表す。DUVマスク層1050は、露光前ベークされ、DUV照射に選択的に曝露され、露光後ベークされ、現像されている。このようにして、DUVマスク1050Aが形成されている。ARC層1040の一部分が、DUVマスク1050Aにより覆われていない。
【0057】
図12は、918が完了した後、すなわち、DUVマスク1050Aにより覆われていないARC層1040の一部分が別の方法で除去された(例えば、920の一部として)後の装置1000を示す。したがって、ハードマスク層1030の一部分が覆われていない。
【0058】
図13は、920が完了した後の装置1000を示す。したがって、DUVマスク1050Aのパターンは、ハードマスク1030Aに転写されている。図示した実施形態では、ハードマスク層1030がエッチングされた領域に、ハードマスク1030Aが凹部1030Bを有する。したがって、DUVマスク1050Aのパターンは、ハードマスク1030Aに転写されている。
【0059】
図14は、924が完了した後の装置1000を示す。したがって、LN光学装置1010A及び1010Bが形成された。LN装置1010Aは、側壁1012A及び1014Aを有する。LN光学装置1010Bは、側壁1012B及び1014Bを有する。
【0060】
図15は、926が完了し、LN光学装置1010A及び1010Bの上の層が除去された後の装置1000を示す。装置1000は、LN光学装置1010A及び/又は1010Bを利用して光学装置及び/又は他の装置を完成させるために、更なる処理が実施されてよい。
【0061】
LN光学装置1010A及び1010Bは、方法900のDUVリソグラフィを使用して形成される。したがって、LN光学装置1010A及び1010Bの側壁1012A、1014A、1012B、及び1014Bは、改善された表面粗さを有する。側壁1012A、1014A、1012B、及び1014Bの短距離RMS表面粗さはそれぞれ、10ナノメートル未満である。いくつかの実施形態では、側壁1012A、1014A、1012B、及び1014Bのそれぞれについての短距離RMS表面粗さは、5ナノメートル以下である。いくつかの実施形態では、側壁1012A、1014A、1012B、及び1014Bのそれぞれの短距離RMS表面粗さは、2ナノメートルを超えない。
【0062】
光学装置1010A及び1010Bは、改善された性能を有することができる。いくつかの実施形態では、LN光学装置1010A及び1010Bはそれぞれ、5dB/cm以下の信号損失を有する。いくつかの実施形態では、LN光学装置1010A及び1010Bはそれぞれ、2dB/cm以下の損失を有する。いくつかのそのような実施形態では、LN光学装置1010A及び1010Bのそれぞれの損失は、1.0dB/cm未満である。例えば、この損失は、いくつかの実施形態では、0.5dB/cm以下であってよい。
【0063】
図16~
図21は、LNを含み、製作中に方法900を使用して形成された装置1600の一実施形態を示す。
図16~
図21は縮尺通りではなく、装置1600の一部分だけが示される。更に、装置1600は、説明目的のためであって、特定の装置を表さない場合がある。例えば、側壁が垂直かつ平坦に示される一方で、上面が水平かつ平坦に示される。しかしながら、いくつかの変形形態が一般に存在する。
【0064】
図16は、902、904、906、及び908が完了した後の装置1600を表す。したがって、キャリアウェハー、下層1602、LN層1610、エッチストップ層1620、ハードマスク層1630、ARC層1640、及びDUVマスク層1650を含んでよい基板1601が示される。下層1602は、二酸化シリコンなどの絶縁体であってよい。本実施形態では、下層1602は、基板1601とは別々に示される。エッチストップ層1620は、ハードマスク層1630のために使用されるエッチングのうちの1つ以上に無反応であるアモルファスシリコン及び/又は他の材料を含んでよい。エッチストップ層1620は、いくつかの実施形態では、厚さが少なくとも10ナノメートル、かつ厚さが50ナノメートル以下であってよい。いくつかの実施形態では、エッチストップ層1620もまた、下にあるLN層1610に過度の損傷を与えることなく、除去されてもよい。いくつかの実施形態では、他の層が存在してよく、及び/又は、示されるいくつかの層が省略されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、下層1602が省略されてよい。
【0065】
図17は、910、912、914、916、及び918が完了した後の装置1600を示す。DUVマスク層1650は、露光前ベークされ、DUV照射に選択的に曝露され、露光後ベークされ、現像されている。このようにして、DUVマスク1650Aが形成されている。DUVマスク1650Aにより覆われていないARC層1640の一部分が除去されている。したがって、ARC層部分1640Aが残る。ハードマスク層1630の一部分が覆われていない。
【0066】
図18は、920が完了した後の装置1600を示す。したがって、DUVマスク1650Aのパターンは、ハードマスク1630Aに転写されている。図示した実施形態では、ハードマスク層1630がエッチングされた領域に、ハードマスク1630Aが開口部1630Bを有する。したがって、エッチストップ層1620の一部分が覆われていない。したがって、DUVマスク1650Aのパターンは、ハードマスク1630Aに転写されている。
【0067】
図19は、922が完了した後、すなわち、エッチストップ層1620が、LN層1610へのパターンの転写の一部として選択的にエッチングされた後の装置1600を示す。したがって、エッチストップ層1620の覆われていない領域が除去されている。エッチストップ層の一部分1620Aが残っている。いくつかの実施形態では、エッチストップ層1620は、922において完全に除去される必要はない。このような実施形態では、LN層1610は、エッチストップ層の一部分により覆われていてよい。そのような部分は、次いで、924におけるパターン転写により除去される。
【0068】
図20は、924が完了した後の装置1600を示す。したがって、LN光学装置1610A及び1610Bが形成された。LN装置1610Aは、側壁1612A及び1614Aを有する。LN光学装置1610Bは、側壁1612B及び1014Bを有する。
【0069】
図21は、926が完了し、LN光学装置1610A及び1610Bの上の層が除去された後の装置1600を示す。装置1600は、LN光学装置1610A及び/又は1610Bを利用して光学装置及び/又は他の装置を完成させるために、更なる処理が実施されてよい。
【0070】
LN光学装置1610A及び1610Bは、方法900のDUVリソグラフィを使用して形成される。したがって、LN光学装置1610A及び1610Bの側壁1612A、1614A、1612B、及び1614Bは、改善された表面粗さを有する。側壁1612A、1614A、1612B、及び1614Bの短距離RMS表面粗さはそれぞれ、10ナノメートル未満である。いくつかの実施形態では、側壁1612A、1614A、1612B、及び1614Bのそれぞれについての短距離RMS表面粗さは、5ナノメートル以下である。いくつかの実施形態では、側壁1612A、1614A、1612B、及び1614Bのそれぞれの短距離RMS表面粗さは、2ナノメートルを超えない。
【0071】
光学装置1610A及び1610Bは、改善された性能を有することができる。いくつかの実施形態では、各LN光学装置1610A及び1610Bは、5dB/cm以下の信号損失を有する。いくつかの実施形態では、LN光学装置1610A及び1610Bはそれぞれ、2dB/cm以下の損失を有する。いくつかのそのような実施形態では、LN光学装置1610A及び1610Bのそれぞれの損失は、1.0dB/cm未満である。例えば、この損失は、いくつかの実施形態では、0.5dB/cm以下であってよい。
【0072】
したがって、方法900は、改善された製造容易性と性能、及び低減された側壁表面粗さを有することができるLN光学装置1010A、1010B、1610A、及び/又は1610Bを提供する。DUVリソグラフィが利用されるので、スループットは増加でき、装置1000及び1600を製作するために要する時間は削減でき、均一性が改善でき、再現性が向上できる。その上、DUVリソグラフィの使用は、製造において多数の装置の製作に、より容易に拡大することができる。DUVリソグラフィはまた、より大きなスティッチ領域を有する。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも10ミリメートル×10ミリメートルであるスティッチ領域に、単一ショットでのDUVリソグラフィが実施されてよい。いくつかの実施形態では、スティッチ領域は、少なくとも15ミリメートル×15ミリメートルであってよい。例えば、スティッチ領域は、名目上、20ミリメートル×20ミリメートルであってよく、又はこれよりも大きくてよい。したがって、スティッチ(図示せず)の数は低減される。これは、スループット及び再現性を増加させることができるだけでなく、光学装置における位置ずれを減らすこともできる。したがって、LNを含む光学装置の製作及び性能を向上できる。
【0073】
上述したように、本明細書に記載される製作技術及び装置は、LTを含むがこれに限定されない強誘電性非線形光学材料などの、他の非線形光学材料に適用される。例えば、LT、ニオブ酸カリウム、ガリウム砒素、チタン燐酸カリウム、チタンジルコン酸鉛、及び/又はチタン酸バリウムが、LNの代わりに又はLNに加えて、使用されてもよい。したがって、強誘電性非線形光学材料を含む光学装置の性能及び製作を改善することができる。
【0074】
前述の実施形態は、理解を明瞭にする目的で、ある程度詳細に説明したが、本発明は、提供された詳細に限定されない。本発明を実現する多くの代替方法がある。開示された実施形態は、例示的であり制限的でない。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
前記装置は、光学装置を含み、前記光学装置の少なくとも一部分が、少なくとも1つの強誘電性非線形光学材料を含み、前記光学装置の前記少なくとも一部分は、紫外線(UV)フォトリソグラフィを利用して製作され、前記強誘電性非線形光学材料の側壁を含み、前記側壁は、10ナノメートル未満の短距離二乗平均平方根粗さを有し、
前記側壁は、前記UVフォトリソグラフィ、第1のエッチング、及び第2のエッチングを使用して製作され、
前記UVフォトリソグラフィは、ハードマスク層からハードマスクを製作するためのマスクを形成するために使用され、
前記第1のエッチングは、前記ハードマスク層の一部分を除去して前記ハードマスクを形成するためのものであり、
前記第2のエッチングは、前記強誘電性非線形光学材料の一部分を除去して前記側壁を形成するためのものであり、
前記第2のエッチングは、ドライエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、プラズマエッチング、及び化学エッチングから選択され、
前記第2のエッチングは、前記側壁が、10ナノメートル未満の前記短距離二乗平均平方根粗さを有するように、前記第1のエッチングとは異なる、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記少なくとも1つの強誘電性非線形光学材料は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸カリウム、ガリウム砒素、チタン燐酸カリウム、チタンジルコン酸鉛、及びチタン酸バリウムのうちの少なくとも1つを含む、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、前記少なくとも1つの強誘電性非線形光学材料は、タンタル酸リチウム及びニオブ酸リチウムから選択される、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、前記側壁は、少なくとも400ナノメートルの高さを有する、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、前記側壁は少なくとも1つのスティッチ領域に含まれ、前記少なくとも1つのスティッチ領域のそれぞれが、少なくとも10ミリメートル×10ミリメートルの面積を有する、装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の装置であって、前記短距離二乗平均平方根表面粗さは、5ナノメートル以下である、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、前記光学装置の前記少なくとも一部分は、2dB/cm以下の損失を有する、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、前記損失は、1.0dB/cm未満である、装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置であって、前記損失は、0.5dB/cm未満である、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、前記損失は、0.1dB/cm以下である、装置。
【請求項11】
光学装置を提供する方法であって、
強誘電性非線形光学層上にハードマスク層を設けることであって、前記強誘電性非線形光学層は、少なくとも1つの強誘電性非線形光学材料を含む、ことと、
前記ハードマスク層上にマスクを設けることであって、前記マスクは、紫外線(UV)リソグラフィを使用して形成されるパターンを有する、ことと、
前記パターンを前記ハードマスク層に転写することにより、前記ハードマスク層からハードマスクを形成することと、
前記パターンを前記ハードマスクから前記強誘電性非線形光学層に転写して、前記強誘電性非線形光学層の側壁を含む、前記光学装置の少なくとも一部分を形成することであって、前記側壁は、10ナノメートル未満の短距離二乗平均平方根粗さを有する、ことと、を含む方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記マスクを設けることは、
マスク層を設けることと、
摂氏140度を超えるベーク温度にて前記マスク層を熱処理することと、
前記熱処理の後、UV波長範囲内の電磁放射を使用して、前記マスク層の一部分を露光することと、
前記露光の後に、前記マスク層を現像して、前記パターンに対応する少なくとも1つの開口部を前記マスク層に形成して、前記マスクを形成することと、更に含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記マスクを設けることは、
前記露光の後かつ前記現像の前に、追加熱処理を実施することを更に含み、前記追加熱処理は、摂氏140度を超える追加温度で実施される、方法。
【請求項14】
請求項11に記載の方法であって、前記形成することは、前記ハードマスク層の一部分を除去して前記ハードマスクを形成するための第1のエッチングを実施することを更に含み、
前記パターンを前記ハードマスクから前記強誘電性非線形光学層に転写することは、前記強誘電性非線形光学材料の一部分を除去して前記側壁を形成するための第2
のエッチングを実施することを更に含み、前記第2のエッチングは、ドライエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、プラズマエッチング、及び化学エッチングから選択され、前記第2のエッチングは、前記側壁が、10ナノメートル未満の前記短距離二乗平均平方根粗さを有するように、前記第1のエッチングとは異なる、方法。
【請求項15】
請求項11に記載の方法であって、
前記ハードマスクを形成することのうちの少なくとも1つは、前記パターンに対応する凹部を前記ハードマスク層に形成することを含み、
前記方法は、前記ハードマスク層の下地をなすストップ層を設けることと、前記ハードマスクの形成後に、前記ストップ層の一部分を除去することと、を更に含む、方法。
【請求項16】
請求項11に記載の方法であって、
前記パターンは複数のスティッチ領域を含み、前記スティッチ領域のそれぞれが、少なくとも10ミリメートル×10ミリメートルの面積を有する、方法。
【請求項17】
請求項11に記載の方法であって、前記ハードマスク層は、シリコン酸化物、アモルファスシリコン、及び窒化シリコンのうちの少なくとも1つを含む、方法。
【請求項18】
請求項11に記載の方法であって、
前記強誘電性非線形光学層は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸カリウム、ガリウム砒素、チタン燐酸カリウム、チタンジルコン酸鉛、及びチタン酸バリウムのうちの少なくとも1つを含み、前記側壁は少なくとも400ナノメートルの高さを有する、方法。
【請求項19】
光学装置を提供する方法であって、
強誘電性非線形光学層上にハードマスク層を設けることであって、前記非線形光学層は、少なくとも1つの強誘電性非線形光学材料を含む、ことと、
前記ハードマスク層上にマスクを設けることであって、前記マスクは、深紫外線(DUV)リソグラフィを使用して形成されるパターンを有する、ことと、を含み、
前記マスクを設けることは、
マスク層を設けることと、
摂氏140度を超える第1の温度にて前記マスク層を熱処理することであって、前記熱処理は、前記マスク層のための温度を、毎分摂氏140度以下の速度で増加させることを含む、ことと、
DUV波長範囲内の電磁放射を使用して、前記マスク層の一部分を露光することと、
前記露光の後に、摂氏140度を超える第2の温度において追加熱処理を実施することであって、前記追加熱処理は、前記マスク層のための追加温度を、毎分摂氏140度以下の追加速度で増加させることを含む、ことと、
前記追加熱処理の後に前記マスク層を現像して、前記パターンに対応する少なくとも1つの開口部を前記マスク層に形成して、前記マスクを形成することと、
前記パターンを前記ハードマスク層に転写することにより、前記ハードマスク層からハードマスクを形成することと、
前記強誘電性非線形光学層をエッチングして、前記パターンを前記ハードマスクから前記強誘電性非線形光学層に転写し、それにより、前記強誘電性非線形光学層の側壁を含む、前記光学装置の少なくとも一部分を形成することであって、前記側壁は、10ナノメートル未満の短距離二乗平均平方根粗さを有し、前記エッチングは、前記パターンを前記ハードマスク層に転写することにより前記ハードマスクを形成するための他のエッチングとは異なる、ことと、を更に含む、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記強誘電性非線形光学層は、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸カリウム、ガリウム砒素、チタン燐酸カリウム、チタンジルコン酸鉛、及びチタン酸バリウムのうちの少なくとも1つを含む、方法。
【国際調査報告】