(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-29
(54)【発明の名称】プリルを作成する方法
(51)【国際特許分類】
B01J 2/12 20060101AFI20230322BHJP
B01J 2/18 20060101ALI20230322BHJP
【FI】
B01J2/12
B01J2/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547912
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 NL2021050079
(87)【国際公開番号】W WO2021158114
(87)【国際公開日】2021-08-12
(32)【優先日】2020-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522312160
【氏名又は名称】マシーネファブリーク・クレバー・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】パウルス・ヨハネス・ニコラース・ディトス
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ヴィルヘルムス・マリア・フルーネヴェーヘン
【テーマコード(参考)】
4G004
【Fターム(参考)】
4G004HA04
(57)【要約】
プリルを作成する方法は、 - 第1の回転軸回りで回転するように構成された中空本体を提供するステップであって、中空本体は、第1の軸回りで回転対称に構成された壁を備え、それにより内部空間を囲み、壁は、ノズルを形成する複数の貫通孔を備える、ステップと、 - 中空本体の内部空間の中に嵌合するような形状をした第2の本体を提供するステップであって、第2の本体を中空本体の内側に入れ子にし、したがって、中空本体の壁の内面と、第2の本体の外面と、の間に間隙が得られるようにする、ステップと、 - 間隙と液体接続状態にある液体入口を通して、間隙に液体の流れを供給するステップと、 - 回転駆動ユニットを用いて、第1の回転軸回りで中空本体および第2の本体の少なくとも一方の回転運動を駆動することにより、第1の軸に対して少なくとも半径方向外側にノズルから液体の噴流を生成するステップと、 - 往復駆動ユニットを用いて、第1の回転軸に沿って中空本体および第2の本体の一方を中空本体および第2の本体の他方に対して動かすことにより、液体の噴流に対して往復圧力励起を加えるステップと、 - 中空本体および第2の本体の一方、ならびに往復駆動ユニットの回転を分離するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリルを作成する方法であって、
第1の回転軸回りで回転するように構成された中空本体を提供するステップであって、前記中空本体は、前記第1の回転軸回りで回転対称に構成された壁を備え、それにより内部空間を囲み、前記壁は、ノズルを形成する複数の貫通孔を備える、ステップと、
前記中空本体の前記内部空間の中に嵌合するような形状をした第2の本体を提供するステップであって、前記第2の本体を、前記中空本体の内側に入れ子にし、したがって、前記中空本体の前記壁の内面と、前記第2の本体の外面と、の間に間隙が得られるようにする、ステップと、
前記間隙と液体接続状態にある液体入口を通して、前記間隙に液体の流れを供給するステップと、
回転駆動ユニットを用いて、前記第1の回転軸回りで、前記中空本体および前記第2の本体の少なくとも一方の回転運動を駆動することにより、前記第1の回転軸に対して少なくとも半径方向外側の方向に前記ノズルから液体の噴流を生成するステップと、
往復駆動ユニットを用いて、前記第1の回転軸に沿って前記中空本体および前記第2の本体の一方を前記中空本体および前記第2の本体の他方に対して動かすことにより、液体の前記噴流に対して往復圧力励起を加えるステップと、
前記中空本体および前記第2の本体の一方、ならびに前記往復駆動ユニットの回転を分離するステップと、
を含む、プリルを作成する方法。
【請求項2】
回転を分離する前記ステップは、
前記往復駆動ユニットと、前記中空本体および前記第2の本体の前記一方と、の間に結合機構を提供するステップと、
前記結合機構により、前記中空本体および前記第2の本体の前記一方と、前記往復駆動ユニットと、の間の相対的な回転を可能にするステップと、
を含む、請求項1に記載のプリルを作成する方法。
【請求項3】
前記結合機構は、第1の回転軸受ユニットおよび第2の回転軸を備え、前記結合機構を提供する前記ステップは、前記往復駆動ユニットの下端を前記第1の回転軸受ユニットの第1の部分に結合し、前記中空本体および前記第2の本体の前記一方を前記第1の回転軸受ユニットの第2の部分に結合するステップを含み、
往復圧力励起を加える前記ステップ中に、前記往復駆動ユニットの下端が、第1の位置と第2の位置との間で前記第2の回転軸に対して実質的に平行な方向に移動し、また、
相対的な回転を可能にする前記ステップは、前記第2の回転軸回りで前記第1の回転軸受ユニットの第1の部分に対して前記第1の回転軸受ユニットの前記第2の部分を回転させるステップを含む、請求項2に記載のプリルを作成する方法。
【請求項4】
前記提供される中空本体は、少なくとも部分的に、実質的に円筒形および/または円錐形の形状をしており、前記内部空間は、少なくとも部分的に、実質的に円筒形または円錐形の形状をしており、また、前記提供される第2の本体は、前記中空本体の前記内部空間と実質的に同様の形状をしており、したがって、前記得られる間隙の幅は、前記第2の本体の周囲全体に沿って実質的に一定である、請求項1から3のいずれか一項に記載のプリルを作成する方法。
【請求項5】
前記方法は、前記中空本体、前記第2の本体、および前記第1の回転軸受ユニットを同軸に構成するステップを含み、したがって、前記第1の回転軸および前記第2の回転軸は一致し、また前記中空本体、前記第2の本体、および前記第1の回転軸受ユニットは、同じ回転軸回りで回転する、請求項4に記載のプリルを作成する方法。
【請求項6】
コントローラを用いて、前記中空本体および前記第2の本体の前記一方を前記中空本体および前記第2の本体の前記他方に対して所定の運動周波数および振幅で動かすために、前記往復駆動ユニットを制御するステップをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のプリルを作成する方法。
【請求項7】
前記往復駆動ユニットをフレーム組立体に結合し、前記結合機構を前記往復駆動ユニットから軸方向に懸架するステップを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のプリルを作成する方法。
【請求項8】
前記方法は、前記往復駆動ユニットと前記フレーム組立体との間に、第3の回転軸回りで回転するように構成された第2の回転軸受ユニットを配置するステップをさらに含み、前記第3の回転軸は、前記第2の回転軸と実質的に平行であり、好ましくは一致する、請求項7に記載のプリルを作成する方法。
【請求項9】
回転ブロック機構により、前記第2の回転軸回りにおける往復駆動ユニットの実質的にいずれの回転もブロックするステップを含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のプリルを作成する方法。
【請求項10】
前記回転をブロックするためのブロックピンを前記回転ブロック機構に設けるステップを含む、請求項9に記載のプリルを作成する方法。
【請求項11】
前記往復駆動ユニットに、重ねられた圧電素子を提供し、前記中空本体および前記第2の本体の前記一方を前記中空本体および前記第2の本体の前記他方に対して動かすために、前記第1の回転軸に実質的に平行な方向に、前記重ねられた圧電素子を収縮するかつ/または拡大するステップをさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のプリルを作成する方法。
【請求項12】
付勢機構を用いて、前記往復駆動ユニットにプリロードを加えるステップをさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載のプリルを作成する方法。
【請求項13】
付勢機構を用いて、前記往復駆動ユニットにプリロードを加える前記ステップは、
前記往復駆動ユニットに張力プリロードを加えるために、前記往復駆動ユニットから、前記結合機構、ならびに前記中空本体および前記第2の本体の前記一方を懸架するステップ
を含む、請求項12に記載のプリルを作成する方法。
【請求項14】
第1のシャフトおよび第2のシャフトを備えるシャフト組立体を提供し、前記結合機構と、前記中空本体および前記第2の本体の前記一方と、の間に前記第2のシャフトを配置し、前記第1のシャフトを、前記回転駆動ユニットと、前記中空本体および前記第2の本体の前記他方と、の間に配置するステップをさらに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のプリルを作成する方法。
【請求項15】
前記第1のシャフトおよび前記第2のシャフトを同軸に配置するステップをさらに含む、請求項14に記載のプリルを作成する方法。
【請求項16】
前記第2のシャフトを前記半径方向において少なくとも部分的に囲むように前記第1のシャフトを配置するステップ、または前記第1のシャフトを前記半径方向において少なくとも部分的に囲むように前記第2のシャフトを配置するステップを含む、請求項14または15に記載のプリルを作成する方法。
【請求項17】
シャフト組立体を提供する前記ステップは、第3の軸受システムを提供し、前記第1のシャフトと前記第2のシャフトとの間に前記第3の軸受システムを配置するステップをさらに含み、前記第3の軸受システムは、少なくともリニア軸受部材を備え、
前記方法は、往復駆動ユニットを用いて、前記第1の回転軸に沿って、前記中空本体および前記第2の本体の一方を前記中空本体および前記第2の本体の他方に対して動かしながら、前記軸方向に前記第2のシャフトを前記第1のシャフトに対して動かすステップをさらに含む、請求項14から16のいずれか一項に記載のプリルを作成する方法。
【請求項18】
前記中空本体と前記第2の本体との間に回転伝達機構を配置するステップと、
回転伝達機構により、前記第1の回転軸回りにおける前記中空本体および前記第2の本体の回転運動を結合するステップと、
をさらに含む、請求項1から17のいずれか一項に記載のプリルを作成する方法。
【請求項19】
前記間隙に液体の流れを供給する前記ステップは、前記第2の本体内で開く前記液体入口を通して、その後に続いて前記間隙と前記液体入口との間に液体接続を形成する、前記第2の本体の少なくとも1つの貫通孔を通して、前記液体を供給するステップを含む、請求項1から18のいずれか一項に記載のプリルを作成する方法。
【請求項20】
前記第1の回転軸に実質的に平行に延び、かつ前記中空本体の下側セクションで開く一次貫通孔を構成するステップと、
前記液体を、前記一次貫通孔を通して、前記中空本体の前記下側セクションへと供給するステップと、
をさらに含む、請求項19に記載のプリルを作成する方法。
【請求項21】
前記第2の本体の周囲に、前記第1の回転軸から見て少なくとも半径方向外側に延びる二次貫通孔を構成するステップと、
前記液体を、前記二次貫通孔を通して前記間隙に供給するステップと、
をさらに含む、請求項19または20に記載のプリルを作成する方法。
【請求項22】
前記二次貫通孔を構成する前記ステップは、半径方向に沿って見て、前記中空本体のノズルのゼロ以外の距離に、前記第2の本体の前記二次貫通孔を配置するステップを含む、請求項21に記載のプリルを作成する方法。
【請求項23】
前記第2の本体の前記貫通孔に、実質的にフィン形状の部材を配置するステップと、
前記フィン形状の部材により、液体の前記流れを前記第2の本体の回転と共に回転させるステップと、
を含む、請求項19から22のいずれか一項に記載のプリルを作成する方法。
【請求項24】
前記中空本体および前記第2の本体は、中空の円錐台であり、また往復圧力励起を加える前記ステップは、前記中空本体と前記第2の本体との間の前記間隙の幅を往復的に変えるステップを含む、請求項1から23のいずれか一項に記載のプリルを作成する方法。
【請求項25】
液体の前記噴流は液滴へと離散し、前記方法は、
冷却流体の流れを生成するステップと、
分配された前記液滴を、前記液滴が冷却流体の前記生成された流れを通って移動するときに冷却することにより、少なくとも部分的に凝固させるステップと、
をさらに含む、請求項1から24のいずれか一項に記載のプリルを作成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリルを作成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリル化は、ある量の液体を、特にある量の溶融物質を、複数の適度に一様な球体粒子へと変換するための知られたプロセスである。プリル化は、2つの動作を含む、すなわち、第1に、ある量の液体から液滴を生成すること、および第2に、その液滴が、上昇する周囲の空気流を通って落下するとき、個々に液滴を冷却することによって凝固させることを含む。凝集は形成されないので、液滴の寸法分布が、製品の寸法分布を決定する。プラスチックのプリルおよび粉末洗剤は、得られた製品の例である。
【0003】
基本的に大きな冷却タワーであるプリル化タワーの上部に液滴生成機を取り付けることにより、液滴が落下し凝固するとき、熱が液滴から空気に伝達され、粒子がタワーの床との衝突時に破損しない程度に十分強度があるように、タワーは十分な高さを有する必要がある。
【0004】
通常、これらの液滴を生成するための2つの手法が区別される。第1の手法は、静止プリル化バケットを使用し、その最も簡単な形態においては、シャワーヘッドと最もよく比較することができ、その場合、液体は、分散されたノズルを備える静止バケットを通して押し出され、液体の噴流を生成する。これらの噴流は、一定の距離の後に離散して、それにより液滴が形成される。第2の手法は、回転プリル化バケットを使用する。回転プリル化バケットは、側壁および/または底部に分散されたノズルを備える。バケットを一定の回転速度で回すことにより、遠心力が、液体をノズルを通して押し、それにより、噴流を生成する。回転プリル化バケットを備えるプリル化装置は、静止バケットを備えるものよりも大きな作成能力を有する傾向がある。
【0005】
プリル化プロセスにおける重要なステップは、液体の流れから液滴を生成することであり、特に、液滴の寸法を、またそれにより得られるプリルの寸法を、精密かつ正確に制御することである。既存の液滴供給方法を用いて生成されるプリルの寸法分布(粒子寸法分布としても知られている)は、通常かなり広い。特にそれらの方法は通常、「塵埃粒子」を生成し、それは、プロセスの歩留まりを低下させ、装置の周囲を汚染する傾向がある。他方で、それらの方法はまた、通常、大きな液滴を生成するので、それらの液滴は、プロセスの最後において、すなわち、タワーの床に達するときに、十分に凝固されていない。その結果、それらの液滴は、衝突時に壊れて、タワーの底部に集められる球体粒子を共に「くっつける」(すなわち、塊にする)可能性がある。これは、プロセスの歩留まりのさらなる低下を生ずる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、前述の問題の少なくとも一部を軽減することである。特に、プリル化の歩留まりを高めることが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明は、
- 第1の回転軸回りで回転するように構成された中空本体を提供するステップであって、中空本体は、第1の軸回りで回転対称に構成された壁を備え、それにより内部空間を囲み、壁は、ノズルを形成する複数の貫通孔を備える、ステップと、
- 中空本体の内部空間の中に嵌合するような形状をした第2の本体を提供するステップであって、第2の本体を中空本体の内側に入れ子にし、したがって、中空本体の壁の内面と第2の本体の外面との間に間隙が得られるようにする、ステップと、
- 溶融物質などの液体の流れを、好ましくは、間隙と液体接続状態にある液体の入口を通して、間隙へと供給するステップと、
- 好ましくは回転駆動ユニットを用いて、第1の回転軸回りで、中空本体および第2の本体の少なくとも一方の回転運動を駆動することにより、第1の軸に対して少なくとも半径方向外側の方向にノズルから液体の噴流を生成するステップと、
- 好ましくは往復駆動ユニットを用いて、第1の回転軸に沿って中空本体および第2の本体の一方を中空本体および第2の本体の他方に対して動かすことにより、液体の噴流に対して往復圧力励起を加えるステップと、
- 中空本体および第2の本体の一方、ならびに往復駆動ユニットの回転を分離するステップと、
を含む、プリルを作成する方法を提供する。
【0008】
往復駆動ユニットにより、中空本体および第2の本体の一方を第1の軸の軸方向に沿って往復駆動することにより、変化する圧力が、間隙内に存在する液体に加えられる。その場合であっても、中空本体および第2の本体が互いに接触しないように、間隙が十分大きく形成されるように第2の本体は懸架される、すなわち、入れ子にされることに留意されたい。これらの圧力パルスは、中空本体の壁のノズルを通して生成される液体の噴流へと伝播して、噴流の液滴への等しい離散を生じ、実質的により均一な寸法の液滴になる。液体に対して加えられる圧力変動を制御できる正確さを向上させるために、中空本体および第2の本体の一方、ならびに往復駆動ユニットの少なくとも第1の軸に平行な軸回りにおける回転は、分離される。それにより、往復駆動ユニットは、中空本体と共に回転する必要がなく、それはまた、往復駆動ユニットのより簡単でロバストな構成を可能にする、または普通であれば、往復駆動ユニットに導入されることになる中空本体および第2の本体の一方から伝播されるものなど、何らかのねじり力に対抗できる必要がなくなる。例えば、中空本体だけが駆動されるような場合であっても、間隙内に存在する液体は、流体結合として有効に働くことになり、それにより、第2の本体にトルクを伝達する。したがって、往復駆動ユニットをこれらの回転および関連するトルクから分離することは、往復駆動ユニットにおいて重ねた圧電素子を用いることができる。これらのものは、十分大きな力の振幅を有する大きな帯域の周波数で振動を生成することができ、かつ正確に制御することができるので、小振幅の強い振動を所定の周波数で生成することができ、中空本体および第2の本体の一方に伝えることができる。これは、所定の周波数を有する往復圧力励起により、間隙内にある液体の励起を可能にする。しかし、圧電素子は、ねじり負荷に対してきわめて敏感であり、したがって、容易に損傷され得る。
【0009】
本方法は、内側空間の実質的にすべての周囲にわたって、液体における実質的に一様な圧力分布を生成することができる。それは、液滴の寸法をより精密にかつ正確に制御することができ、それにより、粒子/液滴の寸法分布の点において、プリル化プロセスの性能を向上させる。さらに、それは、プリル化タワーの幅にわたってより一様に液滴を分布させることができ、それにより、プリル化プロセスの歩留まりをさらに向上させる。本方法は、したがって、従来技術によるプリル化方法と比較したとき、寸法変動が少ない液滴を作成することが可能になる。溶融物質などの液体の流れは、プリル化プロセスにおいて、液滴へと変換され、それは、時間の経過とともに凝固し、それによりプリルを得ることができる。本方法は、すなわち、液滴を供給する方法はまた、他のプロセスに適用することができ、わずかな寸法変動を有する液滴を供給することは有利であることに留意されたい。
【0010】
好ましい実施形態においては、回転を分離するステップは、往復駆動ユニットと、中空本体および第2の本体の一方と、の間に結合機構を提供するステップと、中空本体および第2の本体の一方と、往復駆動ユニットと、の間で、少なくとも第1の軸に平行な軸回りで、結合機構により相対的な回転を可能にするステップと、を含む。結合機構すなわち結合ユニットは、中空本体および第2の本体の一方と往復駆動ユニットとの間で相対的な回転を、信頼性のある方法で可能にするように構成される。
【0011】
好ましい実施形態では、結合機構は、第1の回転軸受ユニットおよび第2の回転軸を備え、結合機構を提供するステップは、往復駆動ユニットの下端を第1の回転軸受ユニットの第1の部分に結合し、中空本体および第2の本体の一方を第1の回転軸受ユニットの第2の部分に結合するステップを含み、往復圧力励起を加えるステップ中に、往復駆動ユニットの下端が、第1の位置と第2の位置との間で第2の軸に実質的に平行な方向に移動し、また、相対的な回転を可能にするステップは、第2の回転軸回りで、第1の回転軸受ユニットの第1の部分に対して回転軸受ユニットの第2の部分を回転させるステップを含む。往復駆動ユニットならびに中空本体および第2の本体の一方は、それにより、回転軸受を介して有効に結合され、したがって、実質的に損傷させるねじり負荷が、往復駆動ユニットへと伝達されることはない。
【0012】
好ましい実施形態では、提供される中空本体は、少なくとも部分的に、実質的に円筒形であり、かつ/または円錐形状をしており、内部空間は、少なくとも部分的に実質的に円筒形または円錐形状をしており、また提供される第2の本体は、中空本体の内部空間と実質的に同様の形状をしており、したがって、得られる間隙の幅は、第2の本体の周囲全体に沿って実質的に一定である。このような中空本体において、実質的に一様な圧力分布が、内部空間の実質的に周囲全体にわたって、液体において生成することができ、それは次いで、一様な寸法の液滴の点において性能を向上させ、またさらに、プリル化タワーの幅にわたって、より一様にそれらを分布させることができ、それにより、プリル化プロセスの歩留まりを高めることができる。
【0013】
次いで、本方法は、さらに、中空本体、第2の本体、および第1の回転軸受ユニットを同軸に構成するステップをさらに含むことがさらに好ましく、したがって、第1の回転軸および第2の回転軸は一致し、また中空本体、第2の本体、および第1の回転軸受ユニットは、同じ回転軸回りで回転する。それにより、使用中に、実質的に軸方向力だけが、第1の回転軸受ユニットに作用し、したがって、何らかの他の反作用力を、例えば、装置の支持フレームに伝達する必要がなく、ロバストでありかつ簡単な構成を達成することができる。
【0014】
好ましい実施形態によれば、本方法は、コントローラを用いて、往復駆動ユニットを制御するステップをさらに含み、中空本体および第2の本体の一方を、所定の運動周波数および振幅で、中空本体および第2の本体の他方に対して動かす。コントローラの制御されたアクションは、周波数および/または振幅のカスタマイズを可能にし、それを用いて、歩留まりがさらに向上するように往復駆動ユニットを駆動する。例えば、往復駆動ユニットを駆動するための動作周波数および/または動作振幅は、例えば、液体の粘性に基づいて決定でき、それにより、噴流は、実質的により均一な寸法である液滴へと離散し、それにより歩留まりが向上することが見出された。
【0015】
好ましい実施形態では、本方法は、往復駆動ユニットをフレーム組立体に結合し、結合機構を往復駆動ユニットから軸方向に懸架するステップを含む。これは、正確に、かつ高い信頼性で動作するように、一定量の事前張力を必要とする往復駆動ユニットを使用できるようにする。本方法が、第2の回転軸受ユニットを配置するステップをさらに含むことがさらに好ましく、第2の回転軸受ユニットは、往復駆動ユニットとフレームとの間で第3の回転軸回りで回転するように構成され、第3の回転軸は、第2の回転軸と実質的に平行であり、好ましくは一致する。それにより、往復駆動ユニットは、2つの軸受ユニットの間に配置され、その軸回りで自由に回転する。第1の軸受ユニットが(部分的に)失敗した場合であっても、第2の軸受ユニットは、中空本体および第2の本体の一方から生ずる過度のトルクを、往復駆動ユニットが受ける必要をなお阻止することができる。
【0016】
好ましい実施形態において、本方法は、回転するブロック機構により、第2の回転軸回りにおける往復駆動ユニットの実質的にいずれの回転もブロックするステップを含む。結合機構は、回転するブロック機構を含むことが好ましい。例えば、結合機構におけるわずかな摩擦量に起因して、比較的わずかなトルクが結合機構をなお通過できる可能性がある。提供されるブロック機構を用いて回転をブロックすることにより、このトルクは、ブロック機構により受けられ、それにより、往復する駆動機構を迂回させられる。回転を(フレームに対して)ブロックするために、好ましくはブロック機構内にブロックピンが設けられることが好ましく、これは、回転をブロックする簡単で信頼性のある方法を可能にする。
【0017】
好ましい実施形態は、往復駆動ユニットに、重ねられた圧電素子を提供し、また中空本体および第2の本体の一方を中空本体および第2の本体の他方に対して動かすために、第1の軸に対して実質的に平行な方向に、重ねられた圧電素子を収縮するかつ/または拡大するステップをさらに含む。重ねられた圧電素子は、圧力変動、または圧力パルスを伝播させるのに必要な力を噴流に送達することができ、したがって、それら圧電素子は、より等しい寸法の液滴に離散する。さらに、必要な力のレベルにおいても、重ねられた圧電素子は、周波数および振幅の点で正確に駆動され得る。
【0018】
付勢機構を用いて、往復駆動ユニットにプリロードを加えるステップが、本方法の好ましい実施形態にさらに含まれる。作動器のいくつかのタイプは、適正に機能するために、一定量のプリロードを必要とする。非限定的な例では、高い信頼性で機能できるように、最小の所定量の張力プリロードを必要とする重ねられた圧電素子が利用可能である。例えば、付勢機構を用いて往復駆動ユニットに事前に負荷をかけるステップは、往復駆動ユニットに張力プリロードを加えるために、結合機構ならびに中空本体および第2の本体の一方を、往復駆動ユニットから懸架するステップを含む。それにより、重力自体が、往復駆動ユニットに加えられたプリロードとして働き、したがって、簡単かつロバストな付勢機構を得ることができる。
【0019】
好ましくは、本方法は、第1のシャフトおよび第2のシャフトを備えるシャフト組立体を提供し、結合機構と中空本体および第2の本体の一方との間に第2のシャフトを配置し、回転駆動ユニットと中空本体および第2の本体の他方との間に第1のシャフトを配置するステップをさらに含む。第2の本体は、中空本体の内部空間内に配置され、また本体は、異なる方法で駆動される必要があるので、シャフト組立体は、第2のシャフトが、結合機構と、中空本体および第2の本体の一方と、の間に配置され、かつ中空本体および第2の本体の一方を往復運動するように駆動することができるように、また第1のシャフトが、回転駆動ユニットと、中空本体および第2の本体の他方と、の間に配置されて、中空本体および第2の本体の少なくとも他方を回転することができるように配置されて、それにより、間隙内の液体に遠心力を加えるように構成される。本方法が、第1のシャフトおよび第2のシャフトを同軸に配置するステップをさらに含むことが好ましく、それにより、述べられる目的に適した小型のシャフト組立体が得られる。代替的に、または加えて、本方法は、第1のシャフトを、第2のシャフトを半径方向に少なくとも部分的に囲むように配置する、または第2のシャフトを、第1のシャフトを半径方向に少なくとも部分的に囲むように配置するステップを含むことが好ましい。それによりまた、小型のシャフト組立体を取得することができ、その場合、内側シャフトはまた、外側シャフトにより保護される。
【0020】
代替的に、または加えて、シャフト組立体を提供するステップは、第3の軸受システムを提供し、第3の軸受システムを第1のシャフトと第2のシャフトとの間に配置するステップをさらに含むことが好ましく、第3の軸受システムは、少なくともリニア軸受部材を備え、本方法は、往復駆動ユニットを用いて、第1の回転軸に沿って中空本体および第2の本体の一方を中空本体および第2の本体の他方に対して動かしながら、第2のシャフトを第1のシャフトに対して軸方向に動かすステップをさらに含み、これらは、第3の軸受システムが可能な相対運動だけであることが好ましい。第3の軸受システムは、それにより、摩擦を低減させた滑らかな動作が可能になる。さらに、第3の軸受システムを介して第1のシャフトおよび第2のシャフトを結合させることにより、第2のシャフトに加えられた力は、シャフト回りのトルクおよび軸方向力とは関係なく、結合機構に代えて第1のシャフトへと伝達される。
【0021】
好ましい実施形態では、方法は、中空本体と第2の本体との間に回転伝達機構を配置するステップと、回転伝達機構により、第1の軸回りにおける中空本体および第2の本体の回転運動を結合するステップと、をさらに含む。それにより、回転駆動から中空本体へと伝達された回転運動は、同様に第2の本体に伝達される。両方の本体は、それにより同じ回転速度で回転するので、液体内におけるせん断作用は低減するが、これらのせん断作用は、例えば、中空本体および第2の本体の速度差に起因して存在することになり、液体に対して速度低下作用を有する。したがって、中空本体および第2の本体の回転運動を結合することにより、間隙内の液体に作用する遠心力、およびそれによる中空本体の壁の内面に作用する液体の圧力を、したがって、より正確に制御することができる。
【0022】
好ましくは、提供される回転伝達機構は、第1の軸から中空本体および第2の本体の一方へのゼロ以外の半径方向距離に配置された雄コネクタと、中空本体および第2の本体の他方に配置された雌コネクタと、を備え、雌コネクタは、中空本体および第2の本体の回転運動を結合するために、雄コネクタを摺動可能に受け入れるように構成されるが、軸方向への中空本体と第2の本体との間の相対運動は可能にする。それにより、回転の簡単かつロバストな結合を得ることができる。
【0023】
好ましい実施形態では、本方法は、液体の流れを間隙に供給するステップを含み、このステップは、第2の本体内で開く液体入口を通して、その後に続いて、間隙と液体入口との間に液体接続を形成する、第2の本体の少なくとも1つの貫通孔を通して、液体を供給するステップを含む。使用時に、それにより、液体は、中空本体と第2の本体との間に位置する間隙に供給される。その場合、本方法は、第1の軸に対して実質的に平行に延び、かつ中空本体の下側セクションで開く一次貫通孔を配置するステップと、液体を、一次貫通孔を通して中空本体の下側セクションに供給するステップと、をさらに含むことが好ましい。それにより、間隙への液体の供給は、半径方向に間隙の周囲にわたって実質的に均一に行われ、それにより、それは、第1の貫通孔が、第2の本体において、実質的に中心に配置される場合もまた好ましい。代替的に、または加えて、本方法は、第2の本体の周囲において、第1の軸から見て少なくとも半径方向外側に延びる二次貫通孔を構成するステップと、二次貫通孔を通して液体を間隙に供給するステップと、をさらに含むことができる。それにより、液体の供給は、間隙にわたって、分散させることができ、したがって、軸方向に、間隙の周囲にわたってより均一な分布が得られる。次いで、二次貫通孔を構成するステップは、半径方向に沿って見たとき、中空本体のノズルのゼロ以外の距離において、第2の本体の二次貫通孔を配置するステップを含むことが好ましい。孔および出口を、実質的にそれらが重ならないように配置することにより、中空本体の内壁にわたってより均一な圧力分布を得ることができる。壁におけるより均一な圧力分布は、壁に配置されたノズルにおいて、より均一な(液体の)条件を生ずる。それにより、噴流の条件が、より均一になり、したがって、液滴は、様々なノズルにわたりより均一に形成される。
【0024】
好ましい実施形態では、本方法は、第2の本体の貫通孔に、実質的にフィン形状の部材を配置するステップと、フィン形状の部材により、液体の流れを第2の本体の回転と共に回転させるステップと、を含む。フィン形状の部材は、液体入口から入る液体の流れに対して、中空本体および/または第2の本体の回転運動を付与するために使用することができる。フィン形状の部材は、貫通孔の範囲を定める周囲壁から内側方向に突き出していることが好ましい。フィン形状の部材は、実質的に半径方向内側に突き出ていること、かつ/またはそれらは、少なくとも周囲壁の位置において、貫通孔の実質的に全高さにわたって延びることがさらに好ましい。それにより、液体の流れを、回転により、回転運動へと有効に強制させることができ、それにより、中空本体または第2の本体の内側に液体の安定した渦を形成する。
【0025】
好ましい実施形態では、中空本体および第2の本体は、中空の円錐台であり、また往復圧力励起を加えるステップは、中空本体と第2の本体との間の間隙の幅を往復的に変化させるステップを含む。バケット形状の本体は、外側において、例えば、切頭円錐、すなわち、円錐形の円錐台のような形状であり得る。中空本体および/または第2の本体は、実質的に同様の形状をした内部空間を備えることが好ましい。バケット形状(すなわち、切頭円錐または円錐台)に起因して、本体は、実質的に対称的であり、したがって、本体を実質的に同軸に構成することにより、第2の本体の外面と中空本体の壁の内面との間に均一の間隙が得られる。中空本体および第2の本体の一方を往復駆動することにより、間隙の幅は往復的に変化され、したがって、圧力パルスが、間隙内に存在し得る液体に導入され得る。
【0026】
液体の噴流が液滴へと離散する好ましい実施形態では、方法は、冷却流体の流れを生成するステップと、供給された液滴を、それらが生成された冷却流体の流れを通って移動するときに冷却することにより、少なくとも部分的に凝固させるステップと、をさらに含む。それにより、好ましくは溶融物質である液体の液滴は、冷却流体の流れにより凝固する。冷却流体は、例えば、液体の特性に応じて、冷却液または冷却ガスのいずれかとすることができる。加えて、冷却流体の流れの方向は、実質的に、落下する液滴の方向に(例えば、実質的に重力方向に垂直下方になど)沿ったものとすることができるが、また落下する液滴の方向とは実質的に反対の方向に(例えば、重力方向とは反対の実質的に垂直上方に)することもできる。冷却流体の流れのこれらのパラメータを変化させることにより、液滴が、少なくとも部分的に凝固する時間(および/または距離)を、所望する仕様に合わせて調整することができる。例えば、非常に小さいプリルに対してであっても、プリルが適切な冷却タワーの底部へと落下すること、およびプリルが冷却タワーの底部に達したとき、それらプリルは、プリルの凝集が大幅に低減される程度にまで、またはさらに実質的に阻止される程度にまで少なくとも凝固されることが保証され得る。
【0027】
本発明は、以下の図によってさらに示され、図は、本方法の好ましい実施形態を示しており、液滴を供給する装置が、液体の流れからプリルを生成するために使用される。図は、本発明の範囲を決して限定するようには意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明による方法の実施形態を実施するために使用されるプリルを作成するための液滴供給装置の概略的な3D斜視図である。
【
図2】第1の平面における
図1の液滴供給装置の概略的な断面図である。
【
図3】装置の上部セクションにおいて拡大された、第1の平面における液滴供給装置の概略的な断面図である。
【
図4】装置の底部セクションにおいて拡大された、第1の平面における液滴供給装置の概略的な断面図である。
【
図5】第2の平面における
図1の液滴供給装置の概略的な断面図である。
【
図6】装置の上部セクションにおいて拡大された、第2の平面における液滴供給装置の概略的な断面図である。
【
図7】装置の底部セクションにおいて拡大された、第2の平面における液滴供給装置の概略的な断面図である。
【
図8】液滴供給装置において使用される往復駆動機構および結合機構の好ましい実施形態を概略的に示す図である。
【
図9】従来の液滴供給装置の実験的結果の写真である。
【
図10】本発明の実施形態による液滴供給装置の実験的結果の写真である。
【
図11】中空本体の周囲壁に配置された2つの異なるタイプのノズルを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明による方法の実施形態を実施するために使用される液滴供給装置の3D斜視図を概略的に示す。液滴供給装置1は、中空本体21および第2の本体22を備える下側回転組立体2を備える。回転駆動ユニット3は、下側回転組立体2の回転を駆動するように構成され、往復駆動ユニット4は、回転軸Iに沿って第2の本体22を往復駆動するように構成され、また結合機構8は往復駆動ユニット4から回転を分離するように構成される。装置は、例えば、適切な冷却タワー、すなわち、プリル化タワー(図示せず)内に装置を取り付けるための取付けブラケット51を備える静止フレーム組立体5をさらに備えることができる。さらに、シリンダ52は、装置を、通常、プリル化タワー内に取り付けるために挿入される必要のある開口部の寸法と類似している。入口配管システム6は、装置1の下側回転組立体2に液体を供給するために設けられ、以下でより詳細に述べられる。装置1の実施形態の動作は、
図1~
図8、および
図11を参照して、以下でより詳細に述べられる。
【0030】
図2~
図4は、第1の平面における
図1のプリルを作成するための液滴供給装置1の断面図を概略的に示す。
図5~
図7は、第1の平面に対して実質的に直角な第2の平面における
図1の液滴供給装置の断面図を概略的に示す。下側回転組立体2は、回転する中空本体21を備え、中空本体21に、回転する第2の本体22が配置される。中空本体21および第2の本体22は、第2の本体22が、中空本体21の内部空間211の中に嵌合し、かつ(少なくともその外側において)実質的に形状が内部空間211と一致するような形状をするような形状をしており、それにより、第2の本体22の外面と、中空本体21の周囲壁の内面と、の間に間隙23を形成する。中空本体21および第2の本体22は、好ましくは、実質的にバケット形状(すなわち、中空の円錐台として形成される)をしており、プリル化タワーに取り付けられると、本体21、22の上部セクションが、本体21、22の底部セクションよりも大きな寸法(例えば、直径)を有するように構成される。こうすることは、プリル化タワーの全体を通して液滴をより均一に分布させることを助ける。
【0031】
第2の本体22は、回転軸Iの周りで見られるように、第2の本体22の周囲壁における異なる(角度)位置に配置され得るいくつかの貫通孔222の列にわたって配置され得る複数の小さな貫通孔222に加えて、その底部に開口部221を備えることができる。貫通孔222のこれらの列は、第2の本体22の実質的に全高さにわたって延びることができる。
【0032】
使用時に、中心入口24は、液体の流れを、第2の本体22の内部空間へと導く。中心入口24は、第2の部材22の内部空間に向けてかつ/または回転方向に流れを導くのを助ける複数の流れ誘導要素241、242を備え得る。この後、流れは、開口部221を通って流れ、かつ/または複数の貫通孔222を通って間隙23へと流れる。ノズル91、92とも呼ばれる複数の貫通孔は、中空本体21の周囲壁212に配置される。使用時に、中空本体21は、回転軸Iの回りで回転し、したがって、間隙23内に保持されたいずれの液体もこの回転から生じた遠心力に曝され、それにより、液体に圧力を生成し、液体は、複数のノズル91、92から押し出され、したがって、液体の噴流901、911を形成し(
図9および
図10を参照のこと)、液体の噴流901、911は、回転軸Iに対して半径方向外側に少なくとも部分的に導かれる。間隙23の幅は、往復駆動ユニットを駆動することにより、往復的に変化され得るので、より詳細に以下で述べられるように、圧力脈動が、間隙23内に存在する液体に導入され得る。これらの脈動は、ノズル91、92から放出される噴流に伝播されることになる。間隙23の幅がそれにより変化する周波数および振幅を調整することにより、噴流を液滴へと急速に離散させる圧力脈動が得られ、実質的に等しい寸法の液滴が得られ、液滴寸法における広がりは、大幅に低減される。
【0033】
ノズル91、92(
図11を参照のこと)は、周囲壁212に異なる方法で構成され得る。例えば、第1のノズル91、第2のノズル92、またはこれらのおよび他のタイプのノズルの任意の組合せが、周囲壁212に配置され得る。第1のノズル91は、周囲壁212の外面および/または内面に対して実質的に直角である貫通孔として構成される。第2のノズル92は、液滴供給装置がプリル化タワーに取り付けられた後、実質的に水平に、すなわち、回転軸Iに対して実質的に直角に延びる貫通孔として構成される。代替的に凹部93が、中空本体21の周囲壁212の外面に配置され、したがって、第2のノズル92の貫通孔が、凹部93内で開くことができるようになり、凹部93の表面は、第2のノズル92の貫通孔に対して実質的に直角である。
【0034】
第2の本体22は、第2の本体22の周囲壁225に向けて実質的に半径方向に、中心軸接続本体224から延びるいくつかのフィン形状の部材223をさらに備えることができる。これらのフィン形状の部材223は、第2の本体22の内部空間に入る液体を、第2の本体22と共に回転させる。さらに、さらなる流れ誘導要素226が、フィン形状の部材223の上部セクションに配置されて、第2の本体22の全体を通して液体を分散させるのを助けることができる。それにより、回転する液体の安定な、かつ実質的に一定な渦が、第2の本体および中空本体において得ることができ、それにより、ノズル91、92において、より一定なプロセス条件が生成され、したがって、プロセスの良好な制御が行われる。この実施形態においては、第2の本体22は、その上部セクション226において、中空本体21の上部セクション213に接続される。中空本体21自体は、回転駆動ユニット3によって駆動される。外側シャフト71は、第1の端部711において回転駆動ユニットに接続され、また第2の端部712において、中空本体の上部セクション213に接続されて提供される。外側シャフト71は、回転軸受74によって、静止フレーム組立体5に接続され得る。静止フレーム組立体は、液滴生成装置1を、プリル化タワーに取り付ける、または配置するためのフレーム取付けブラケット51を備える。
【0035】
第2の本体22は、内側シャフト72の下側部分721を受け入れかつ下側部分721に結合するように構成された中心軸接続本体224を用いて、内側シャフト72に接続される。内側シャフト71は、外側シャフト72によって大部分囲まれており、またいくつかの滑り軸受73によって支持されており、したがって、内側シャフト71は、外側シャフト72に対して、回転軸Iに沿った方向に、また回転軸Iの回りの回転方向に移動可能であり、好ましくは回転軸Iに沿った方向に、また回転軸Iの回りの回転方向にのみ移動可能である。塵埃および/または液体汚染から、滑り軸受73、および内側シャフトと外側シャフト71、72との間の空間を保護するために、可撓性のあるシャフトカバー75が、外側シャフト71の底部セクション712と、中心軸接続本体224と、の間に配置される。
【0036】
図3は、装置1の上部セクションにおいて拡大された、第1の平面における液滴供給装置の断面図を概略的に示す。回転駆動ユニット3は、現在の実施形態において、外側シャフト71の第1の端部711に直接接続され得る第2のプーリ34を用いて、外側シャフト71を駆動するように提供される。回転駆動ユニット3は、第1のプーリ32を駆動する(電子)モータ31を備えることができ、第1のプーリ32および第2のプーリ34は、回転運動をモータ31から外側シャフト71へと伝達する駆動ベルト33により結合される。しかし、このために、任意の他の適切な回転伝達機構、または歯車機構を使用できることに留意されたい。外側シャフト71は、回転軸受74を介して、シャフト保持フレーム54に結合され、シャフト保持フレーム54は、回転軸受74を接続しかつ保持する管状部材により形成され、またシャフト保持フレーム54は、次いで、取付けブラケット51をまた備えるフレームベース部材53に接続される。
【0037】
外側シャフト71により最大の部分が囲まれる内側シャフト72は、その上端721において、外側シャフトの第1の端部711から延びる。上端721は、結合機構8の外側シャフト81により受け入れられる。回転軸受82を備える結合機構8は、内側シャフト72の回転運動を受け、それにより、好ましくは、重ねられた圧電素子である振動要素41を損傷する可能性もある何らかのねじり力から、往復駆動ユニット4を保護する。重ねられた圧電素子は、十分に大きな力の振幅を用いて、広帯域周波数の振動を生成することができ、小さな振動振幅が得られるように正確に制御することができる。
【0038】
したがって、振動要素41を固定するために、要素41は、下側接続部材42と上側接続部材43との間に保持される。振動要素41は、上側接続部材43に直接接続され、かつ保持される。下側接続部材42は、結合機構8の上側セクション83に直接結合される。上側接続部材43は、回転軸受85をまた備える第2の結合機構84により保持される。それにより、往復駆動ユニット4は、回転軸Iの回りで、その回転が制限されず、したがって、結合機構8を介してわずかなねじり力が伝達される場合であっても、振動要素41は、内側シャフト72から伝達される可能性のある何らかの損傷を与える可能性のあるねじり力から実質的に隔離される。これをさらに支援するために、結合機構8は、生じたねじり力をフレーム懸架部材55に伝達するブロックピン86を備える。
【0039】
第2の結合機構84は、その上側の静止セクション86を介して、懸架部材55に直接接続される。それにより、往復駆動ユニット4、結合機構8、内側シャフト72、および第2の本体22はすべて、懸架部材55から吊り下げられる。これらの部分からの軸方向力は、したがって、振動要素41を介して伝達され、それにより、振動要素41に加えられるプリロードを有する。これらの懸架される部分8、72、22は、したがって、実質的に、振動要素41に対する付勢機構を形成する。懸架部材55は、静止フレーム組立体5の一部である。
【0040】
図2~
図4の平面に対して実質的に直角な平面において得られた断面図を示す
図5は、液体入口セクション6を示しており、液体入口セクション6は、管状部材の組立体を備え、かつその第1の端部61において、液体供給システムに接続するように構成されまたその第2の端部62において、液体入口セクション6は、中心入口24に出る。中心入口24の静止した第1のセクション244を介して、液体は、中心入口24の第2のセクション242に流れるように構成され、第2のセクション242は、中空本体21と共に回転する。
【0041】
使用時に、中空本体21は、上記で述べたように、回転駆動ユニット3により駆動されて、回転軸Iに沿って回転する。液体は、液体入口セクション6を通って第2の本体22へと供給され、したがって、液体は、いくつかの開口部221、222を備える第2の本体21を通って間隙23に達する。往復駆動ユニット4が、次いで、間隙23の幅を変化させるために使用される。現在の実施形態では、これは、結合機構8および内側シャフト72を介して、回転軸Iに沿った往復運動を第2の本体22へと伝達する振動要素41を駆動することにより達成される。所定の周波数および振幅にしたがって、振動要素41を制御することにより、圧力脈動は、中空本体21に保持された液体へと導かれる。回転に起因する遠心力と、液体に導かれた圧力脈動と、の組合せは、ノズル91、92を介して、個々の液滴に離散する噴流を形成することができ、個々の液滴は、わずかな寸法変動を有するだけであり(従来の回転する液滴生成装置と比較したとき)、したがって、それらは、実質的に均一な寸法であると見なすことができる。
【0042】
このようなデバイスを用いた実験的設定からの結果が、
図10で示されており、従来の回転する液滴生成装置の実験的設定からの結果は、
図9に示されている。写真は、第1のノズル91および第2のノズル92の双方を備える中空本体121を示す。第2のノズル92は、中空本体121の外面に配置された凹部93内で開くように構成される。
図9では、液体901の実際の噴流が、ノズル91、92を離れるのを見ることができ、それは、一定の距離の後に、一連の異なった寸法の液滴902へと離散している。液滴902は、寸法における大きな分布を有しており、噴流は、大きな第1の液滴に、小さな第2のものに、または付随する液滴へと離散する。さらなる下流では、いくつかの異なる液滴が、再度結合されてさらに大きな液滴を形成する可能性があり、液滴寸法に大きな幅を生ずる。
【0043】
図10では、中空本体22における液体は、所定の周波数および振幅を用いた圧力脈動により励起される。噴流911は、それがノズル91、92から出た後、事実上直ぐに離散し始めること、また得られた液滴912は、液滴911と比較したとき、はるかに寸法が類似していることは明らかである。加えて、個々の液滴912は、より規則的な間隔で広がることが見られ、それにより、液滴の合体がほとんど生じていない。実験的設定においては、異なる粘度を有する水/グリセリン混合物が試験されている。第1の試験では、1mPa*sの粘度を有する水が使用されており、得られた噴流における水の速度が1.5m/sであるようにバケットを回転させることにより、かつ約280Hz、また20μmの振幅を備える振動を導入することによって生じた圧力脈動を導入することにより、優れた結果(液滴寸法の狭い分布の点で)を得ることができることが見出された。4mPa*sの幾分さらに粘性のある混合物を使用したとき、1組の実質的に理想的な条件は、例えば、液体噴流の速度が1.3m/sである場合に、約240Hzで、35μmの振幅を有する振動を導入することにより生ずる圧力脈動を導入することによって見出された。35mPa*sの粘度を有するより極端な混合物を用いた場合、優れた結果は、例えば、1.15m/sの速度に対して、約190Hzで35μmの振幅を有する振動を導入することにより得られた。
【0044】
図8は、さらに、結合機構108の代替の実施形態と、第2の結合機構1084の代替の実施形態と、を示しており、すべての他の構成要素は、
図1~
図7で示された実施形態に等しい。結合機構108は、特にスラスト球面ころ軸受である2つの回転軸受1082を備え、それら軸受は、実質的に等しいことが好ましい。軸受1082は、第1の端部1086が互いに隣接して配置されるように、軸受が、結合機構108のハウジングユニット187に対して出力シャフト82の回転運動のみをもたらすように、軸方向に最小の遊びを有する信頼性のある結合機構108が得られるように、構成される。結合機構108の軸方向の遊びは、振動要素41から第2の本体22への振動伝達に影響し、したがって、液滴生成装置1の性能に負の影響を与えることになる。さらに、スラスト球面ころ軸受は、高い軸方向(すなわち、スラスト)負荷を伝達するのによく適しており、したがって、往復駆動ユニット4から第2の本体へと軸方向力を伝達するために、信頼性のある結合機構108が得られる。第2の結合機構1084はまた、特にスラスト球面ころ軸受である2つの回転軸受1085の同様の構成を備える。
【0045】
本発明は、示された実施形態に限定されることはなく、添付の特許請求の範囲に含まれる他の実施形態に対しても拡張される。
【符号の説明】
【0046】
1 液滴供給装置
2 下側回転組立体
3 回転駆動ユニット
4 往復駆動ユニット
5 静止フレーム組立体
6 入口配管システム、流体入口セクション
8 結合機構
21 中空本体
22 第2の本体
23 間隙
24 中心入口
31 モータ
32 第1のプーリ
33 駆動ベルト
34 第2のプーリ
41 振動要素
42 下側接続部材
43 上側接続部材
51 フレーム取付けブラケット
52 シリンダ
53 フレームベース部材
54 シャフト保持フレーム
55 懸架部材
61 第1の端部
62 第2の端部
71 外側シャフト
72 内側シャフト
73 滑り軸受
74 回転軸受
75 可撓性のあるシャフトカバー
81 外側シャフト
82 回転軸受、出力シャフト
83 上側セクション
84 第2の結合機構
85 回転軸受
86 ブロックピン、上側の静止セクション
91 ノズル
92 ノズル
93 凹部
108 結合機構
121 中空本体
187 ハウジングユニット
211 内部空間
212 周囲壁
213 上部セクション
221 開口部
222 貫通孔
223 フィン形状の部材
224 中心軸接続本体
225 周囲壁
226 流れ誘導要素、上部セクション
241 流れ誘導要素
242 流れ誘導要素、第2のセクション
244 静止した第1のセクション
711 第1の端部
712 第2の端部
721 下側部分、上端
901 噴流
902 液滴
911 噴流、液滴
912 液滴
1082 回転軸受
1084 第2の結合機構
1085 回転軸受
1086 第1の端部
I 回転軸
【国際調査報告】