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特表2023-512796EMIフィンガープリント:重要なユーティリティアセットにおける偽造検出のためのアセット構成発見
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-29
(54)【発明の名称】EMIフィンガープリント:重要なユーティリティアセットにおける偽造検出のためのアセット構成発見
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20230322BHJP
【FI】
G01R31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547932
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(85)【翻訳文提出日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 US2021013633
(87)【国際公開番号】W WO2021158348
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】16/784,506
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】502303739
【氏名又は名称】オラクル・インターナショナル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェザービー,エドワード・アール
(72)【発明者】
【氏名】ワン,グアン・シィ
(72)【発明者】
【氏名】グロス,ケニー・シィ
(72)【発明者】
【氏名】デイリンガー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ルイス,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ゲルデス,マシュー・ティ
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA28
2G036BA01
(57)【要約】
複数の電子部品を含むターゲットユーティリティデバイスが本物であるか偽造が疑われるかを検出することは、ターゲットデバイスを通電および非通電するテストシーケンスを実行して、ターゲットデバイスによって発せられる電磁干渉(EMI)信号を収集するステップと、収集されたEMI信号からターゲットEMIフィンガープリントを生成するステップと、データベースライブラリから複数の基準EMIフィンガープリントを検索するステップとによって行われ、各基準EMIフィンガープリントは、ターゲットデバイスと同一の型およびモデルの本物のデバイスの電子部品の異なる構成に対応し、上記検出することはさらに、ターゲットEMIフィンガープリントと検索された基準EMIフィンガープリントとを繰り返し比較して、比較された各組間の類似性メトリックを生成するステップと、(i)いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての類似性メトリックが閾値テストを満たす場合にはターゲットデバイスが本物であることを示し、いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての類似性メトリックがテストを満たさない場合にはターゲットデバイスが偽造が疑われるデバイスであることを示すステップによって行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品を含むターゲットユーティリティデバイスが本物であるか偽造が疑われるかを検出する方法であって、
特定のモデルの前記ターゲットデバイスを通電および非通電するテストシーケンスを実行して、前記通電および前記非通電中に前記ターゲットデバイスによって発せられる電磁干渉(EMI)信号を収集するステップと、
前記ターゲットデバイスの前記通電および前記非通電中に収集された前記EMI信号からターゲットEMIフィンガープリントを生成するステップと、
データベースライブラリから複数の基準EMIフィンガープリントを検索するステップとを備え、各基準EMIフィンガープリントは、前記ターゲットデバイスと同一の前記特定のモデルの本物のデバイスの電子部品の異なる構成に対応し、各基準EMIフィンガープリントは、前記本物のデバイスの前記対応する構成に対する通電および非通電シーケンスの実行中に収集された基準EMI信号から生成され、前記方法はさらに、
前記ターゲットEMIフィンガープリントと前記複数の基準EMIフィンガープリントの中の個々の基準EMIフィンガープリントとを繰り返し比較して、前記ターゲットEMIフィンガープリントおよび前記個々の基準EMIフィンガープリントの比較された各組間の類似性メトリックを生成するステップと、
(i)いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての前記類似性メトリックが閾値テストを満たす場合には前記ターゲットデバイスが本物のデバイスであることを示す信号を生成し、(ii)いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての前記類似性メトリックが前記閾値テストを満たさない場合には前記ターゲットデバイスが偽造が疑われるデバイスであることを示す信号を生成するステップとを備える、方法。
【請求項2】
前記通電および前記非通電中に発せられるEMI信号を前記ターゲットデバイスから収集するステップは、前記ターゲットデバイスが通電されている間のEMI信号の第1の組を収集するステップと、前記ターゲットデバイスが非通電されている間のEMI信号の第2の組を収集するステップとを含み、
前記ターゲットEMIフィンガープリントは、前記EMI信号の第1の組と前記EMI信号の第2の組との組み合わせから生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ターゲットデバイスを通電および非通電する前記テストシーケンスは、複数回の通電または非通電を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ターゲットデバイスのセンサ部品からテレメトリ信号を受信するステップと、
前記テレメトリ信号に基づいて、前記ターゲットデバイスを前記特定のモデルのターゲットデバイスであると分類するステップとをさらに備え、
前記データベースライブラリからの前記複数の基準EMIフィンガープリントの前記検索は、前記ターゲットデバイスの前記分類に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基準EMIフィンガープリントにおける各々の特定の周波数について、前記基準EMIフィンガープリントにおける前記特定の周波数における基準振幅-時系列信号と、前記ターゲットEMIフィンガープリントにおける前記特定の周波数におけるターゲット振幅-時系列信号の多変量状態推定技術(MSET)推定値との間の残差を生成することと、
前記生成された残差を組み合わせて、前記類似性メトリックを生成することと、によって前記類似性メトリックを生成するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記類似性メトリックは、前記基準EMIフィンガープリントと前記ターゲットEMIフィンガープリントとの間の特定の周波数の組における平均絶対誤差に基づく、請求項1または5に記載の方法。
【請求項7】
前記類似性メトリックは、表面平均絶対誤差である、請求項1、5または6に記載の方法。
【請求項8】
(i)前記収集されたEMI信号を、前記基準EMIフィンガープリントのうちの1つまたは複数との比較に最適な長さにトリミングするステップ、または、(ii)前記収集されたEMI信号の第1の位相を前記基準EMIフィンガープリントのうちの1つの第2の位相と同期させるステップ、のうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記基準EMIフィンガープリントおよび前記ターゲットEMIフィンガープリントのうちの1つに基づいて、3D残差表面の視覚イメージを生成して、グラフィカルユーザインターフェイス上に表示するステップと、
(i)前記ターゲットデバイスが本物のデバイスであることを前記信号が示す場合、前記ターゲットデバイスが本物であるという視覚的表示を前記グラフィカルユーザインターフェイス上に表示して、型、モデルおよび部品構成の説明を前記グラフィカルユーザインターフェイス上に表示するステップと、
(ii)前記ターゲットデバイスが偽造が疑われるデバイスであることを前記信号が示す場合、前記ターゲットデバイスが疑わしいまたは偽造であるという視覚的表示を前記グラフィカルユーザインターフェイス上に表示するステップとをさらに備える、請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載の方法。
【請求項10】
コンピュータによって実行可能な命令を格納する非一時的なコンピュータ読取可能媒体であって、前記命令は、少なくともコンピュータのプロセッサによって実行されると、前記コンピュータに、
繰り返し可能なテストシーケンスにおいてターゲットデバイスが通電されてから非通電される間に前記ターゲットデバイスによって発せられる電磁干渉(EMI)信号を、ソフトウェア定義無線機およびアンテナを使用して収集させ、
前記ターゲットデバイスが通電および非通電された間に収集された前記EMI信号からターゲットEMIフィンガープリントを生成させ、
データベースライブラリから複数の基準EMIフィンガープリントを検索させ、各基準EMIフィンガープリントは、前記ターゲットデバイスと同一の特定のモデルの本物のデバイスの電子部品の異なる構成に対応し、各基準EMIフィンガープリントは、前記繰り返し可能なテストシーケンスにおいて前記本物のデバイスが通電されてから非通電される間に収集された基準EMI信号から生成され、前記命令はさらに、少なくとも前記コンピュータの前記プロセッサによって実行されると、前記コンピュータに、
前記ターゲットEMIフィンガープリントと前記複数の基準EMIフィンガープリントの中の個々の基準EMIフィンガープリントとを繰り返し比較して、前記ターゲットEMIフィンガープリントおよび前記個々の基準EMIフィンガープリントの比較された各組間の類似性メトリックを生成するようにさせ、
いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての前記類似性メトリックが閾値テストを満たす場合には前記ターゲットデバイスが本物であるという視覚的表示を生成してグラフィカルユーザインターフェイス上に表示し、いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての前記類似性メトリックが前記閾値テストを満たさない場合には前記ターゲットデバイスが疑わしいまたは偽造であるという視覚的表示を生成してグラフィカルユーザインターフェイス上に表示するようにさせる、非一時的なコンピュータ読取可能媒体。
【請求項11】
前記通電および前記非通電中に発せられるEMI信号を前記ターゲットデバイスから収集させることは、前記ターゲットデバイスが通電されている間のEMI信号の第1の組を収集することと、前記ターゲットデバイスが非通電されている間のEMI信号の第2の組を収集することとを含み、
前記ターゲットEMIフィンガープリントは、前記EMI信号の第1の組と前記EMI信号の第2の組との組み合わせから生成される、請求項10に記載の非一時的なコンピュータ読取可能媒体。
【請求項12】
前記ターゲットデバイスを通電および非通電する前記テストシーケンスは、複数回の通電または非通電を含む、請求項10または11に記載の非一時的なコンピュータ読取可能媒体。
【請求項13】
命令をさらに備え、前記命令は、少なくとも前記プロセッサによって実行されると、前記コンピュータに、
前記ターゲットデバイスのセンサ部品からテレメトリ信号を受信させ、
前記テレメトリ信号に基づいて、前記ターゲットデバイスを前記特定のモデルのターゲットデバイスであると分類させ、
前記データベースライブラリからの前記複数の基準EMIフィンガープリントの前記検索は、前記ターゲットデバイスの前記分類に基づく、請求項10に記載の非一時的なコンピュータ読取可能媒体。
【請求項14】
命令をさらに備え、前記命令は、少なくとも前記プロセッサによって実行されると、前記コンピュータに、(i)前記収集されたEMI信号を、前記基準EMIフィンガープリントのうちの1つまたは複数との比較に最適な長さにトリミングすること、または、(ii)前記収集されたEMI信号の第1の位相を前記基準EMIフィンガープリントのうちの1つの第2の位相と同期させること、のうちの少なくとも1つを行なわせる、請求項10、11、12または13に記載の非一時的なコンピュータ読取可能媒体。
【請求項15】
複数の電子部品を含む特定のモデルのターゲットユーティリティデバイスが本物であるか偽造が疑われるかを検出するシステムであって、
繰り返し可能なテストシーケンスにおいて前記ターゲットデバイスを交互に通電および非通電するように電力を自動的に制御するように構成されたテストシーケンスジェネレータと、
EMIフィンガープリント偽造スキャナとを備え、前記EMIフィンガープリント偽造スキャナは、
(i)前記ターゲットデバイスが通電されてから非通電される間に前記ターゲットデバイスによって発せられる電磁干渉(EMI)信号を収集し、
(ii)前記ターゲットデバイスが通電および非通電された間に収集された前記EMI信号からターゲットEMIフィンガープリントを生成し、
(iii)データストアから複数の基準EMIフィンガープリントを検索するように構成されており、各基準EMIフィンガープリントは、前記特定のモデルの本物の基準デバイスに対応し、前記特定のモデルの前記本物の基準デバイスの電子部品の別個の構成にさらに対応し、前記EMIフィンガープリント偽造スキャナはさらに、
(iv)前記ターゲットEMIフィンガープリントと前記複数の基準EMIフィンガープリントの中の個々の基準EMIフィンガープリントとを繰り返し比較して、前記ターゲットEMIフィンガープリントおよび前記個々の基準EMIフィンガープリントの比較された各組間の類似性メトリックを生成し、
(v)いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての前記類似性メトリックが閾値テストを満たす場合には前記ターゲットデバイスが本物であるという視覚的表示を生成してグラフィカルユーザインターフェイス上に表示し、いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての前記類似性メトリックが前記閾値テストを満たさない場合には前記ターゲットデバイスが疑わしいまたは偽造であるという視覚的表示を生成して前記グラフィカルユーザインターフェイス上に表示するように構成されている、システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
国際的サプライチェーンにおける偽造電子部品は、エレクトロニクスを使用する全ての業界全体(情報技術分野、医療分野、軍事分野、ゲーム分野、輸送分野および公益事業分野を含む)で年間2000億ドルにおよぶと推定されている。偽造のシステムは、サービスエンジニアが簡単な目視検査によってそれらを真正なシステムと区別できないほどにリアルに見えることが多い。しかし、偽造のシステムは、多くの場合、廃棄されたシステムからのスクラップ部品、安価に製造された部品、または真正なシステムのように見えるようにパッケージングし直された、リサイクルされたビンテージシステムからの古い部品を含んでいることが多い。
【0002】
このようなシステムは、その後、ブローカーチャネルを経由してサプライチェーンに組み込まれる。偽造のシステムが顧客に出荷されると、それらは到着時に故障しているか、または非常に短期間で故障することが多く、大きな保証損失、平均故障間隔の短縮、および顧客の不満を生じさせる。状況によっては、偽造のシステムは、偽造のシステムに対する不正アクセスまたは制御を許可する可能性があるスパイチップさえも含んでいる。公益事業分野では、偽造電子部品の使用は、費用のかかる厄介なものどころではなく、大きな安全上の懸案事項である。ユーティリティ部品の故障は、停電および火災などの生命を脅かす状況を生じさせる可能性がある。
【0003】
北米電力信頼度協議会(北米公益事業規制機関)は、大規模電気システムの確実な動作に対するリスクを軽減するためのサプライチェーンリスク管理規則(No.CIP-013-1)を発行した。この規則は、2020年7月までに北米大陸の全ての公益事業が発電設備、監視制御およびデータ取得(SCADA)サブシステム、ならびに配電網アセットで使用される全ての電力システムアセットについて偽造部品を検出するための技術を実装しなければならないことを義務づけている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
一実施形態において、複数の電子部品を含むターゲットユーティリティデバイスが本物であるか偽造が疑われるかを検出する方法は、特定のモデルの上記ターゲットデバイスを通電および非通電するテストシーケンスを実行して、上記通電および上記非通電中に上記ターゲットデバイスによって発せられる電磁干渉(EMI)信号を収集するステップと、上記ターゲットデバイスの上記通電および上記非通電中に収集された上記EMI信号からターゲットEMIフィンガープリントを生成するステップと、データベースライブラリから複数の基準EMIフィンガープリントを検索するステップとを備え、各基準EMIフィンガープリントは、上記ターゲットデバイスと同一の上記特定のモデルの本物のデバイスの電子部品の異なる構成に対応し、各基準EMIフィンガープリントは、上記本物のデバイスの上記対応する構成に対する通電および非通電シーケンスの実行中に収集された基準EMI信号から生成され、上記方法はさらに、上記ターゲットEMIフィンガープリントと上記複数の基準EMIフィンガープリントの中の個々の基準EMIフィンガープリントとを繰り返し比較して、上記ターゲットEMIフィンガープリントおよび上記個々の基準EMIフィンガープリントの比較された各組間の類似性メトリックを生成するステップと、(i)いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての上記類似性メトリックが閾値テストを満たす場合には上記ターゲットデバイスが本物のデバイスであることを示す信号を生成し、(ii)いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての上記類似性メトリックが上記閾値テストを満たさない場合には上記ターゲットデバイスが偽造が疑われるデバイスであることを示す信号を生成するステップとを備える。
【0005】
一実施形態において、複数の電子部品を含むターゲットユーティリティデバイスが本物であるか偽造が疑われるかを検出する方法であって、上記通電および上記非通電中に発せられるEMI信号を上記ターゲットデバイスから収集するステップは、上記ターゲットデバイスが通電されている間のEMI信号の第1の組を収集するステップと、上記ターゲットデバイスが非通電されている間のEMI信号の第2の組を収集するステップとを含み、上記ターゲットEMIフィンガープリントは、上記EMI信号の第1の組と上記EMI信号の第2の組との組み合わせから生成される。
【0006】
一実施形態において、複数の電子部品を含むターゲットユーティリティデバイスが本物であるか偽造が疑われるかを検出する方法であって、上記ターゲットデバイスを通電および非通電する上記テストシーケンスは、複数回の通電または非通電を含む。
【0007】
一実施形態において、複数の電子部品を含むターゲットユーティリティデバイスが本物であるか偽造が疑われるかを検出する方法は、上記ターゲットデバイスのセンサ部品からテレメトリ信号を受信するステップと、上記テレメトリ信号に基づいて、上記ターゲットデバイスを上記特定のモデルのターゲットデバイスであると分類するステップとをさらに備え、上記データベースライブラリからの上記複数の基準EMIフィンガープリントの上記検索は、上記ターゲットデバイスの上記分類に基づく。
【0008】
一実施形態において、複数の電子部品を含むターゲットユーティリティデバイスが本物であるか偽造が疑われるかを検出する方法は、上記基準EMIフィンガープリントにおける各々の特定の周波数について、上記基準EMIフィンガープリントにおける上記特定の周波数における基準振幅-時系列信号と、上記ターゲットEMIフィンガープリントにおける上記特定の周波数におけるターゲット振幅-時系列信号の多変量状態推定技術(MSET)推定値との間の残差を生成することと、上記生成された残差を組み合わせて、上記類似性メトリックを生成することと、によって上記類似性メトリックを生成するステップをさらに備える。
【0009】
一実施形態において、複数の電子部品を含むターゲットユーティリティデバイスが本物であるか偽造が疑われるかを検出する方法であって、上記類似性メトリックは、上記基準EMIフィンガープリントと上記ターゲットEMIフィンガープリントとの間の特定の周波数の組における平均絶対誤差に基づく。
【0010】
一実施形態において、複数の電子部品を含むターゲットユーティリティデバイスが本物であるか偽造が疑われるかを検出する方法であって、上記類似性メトリックは、表面平均絶対誤差である。
【0011】
一実施形態において、複数の電子部品を含むターゲットユーティリティデバイスが本物であるか偽造が疑われるかを検出する方法は、(i)上記収集されたEMI信号を、上記基準EMIフィンガープリントのうちの1つまたは複数との比較に最適な長さにトリミングするステップ、または、(ii)上記収集されたEMI信号の第1の位相を上記基準EMIフィンガープリントのうちの1つの第2の位相と同期させるステップ、のうちの少なくとも1つをさらに備える。
【0012】
一実施形態において、複数の電子部品を含むターゲットユーティリティデバイスが本物であるか偽造が疑われるかを検出する方法は、上記基準EMIフィンガープリントおよび上記ターゲットEMIフィンガープリントのうちの1つに基づいて、3D残差表面の視覚イメージを生成して、グラフィカルユーザインターフェイス上に表示するステップと、(i)上記ターゲットデバイスが本物のデバイスであることを上記信号が示す場合、上記ターゲットデバイスが本物であるという視覚的表示を上記グラフィカルユーザインターフェイス上に表示して、型、モデルおよび部品構成の説明を上記グラフィカルユーザインターフェイス上に表示するステップと、(ii)上記ターゲットデバイスが偽造が疑われるデバイスであることを上記信号が示す場合、上記ターゲットデバイスが疑わしいまたは偽造であるという視覚的表示を上記グラフィカルユーザインターフェイス上に表示するステップとをさらに備える。
【0013】
一実施形態において、コンピュータによって実行可能な命令を格納する非一時的なコンピュータ読取可能媒体であって、上記命令は、少なくともコンピュータのプロセッサによって実行されると、上記コンピュータに、繰り返し可能なテストシーケンスにおいてターゲットデバイスが通電されてから非通電される間に上記ターゲットデバイスによって発せられる電磁干渉(EMI)信号を、ソフトウェア定義無線機およびアンテナを使用して収集させ、上記ターゲットデバイスが通電および非通電された間に収集された上記EMI信号からターゲットEMIフィンガープリントを生成させ、データベースライブラリから複数の基準EMIフィンガープリントを検索させ、各基準EMIフィンガープリントは、上記ターゲットデバイスと同一の特定のモデルの本物のデバイスの電子部品の異なる構成に対応し、各基準EMIフィンガープリントは、上記繰り返し可能なテストシーケンスにおいて上記本物のデバイスが通電されてから非通電される間に収集された基準EMI信号から生成され、上記命令はさらに、少なくとも上記コンピュータの上記プロセッサによって実行されると、上記コンピュータに、上記ターゲットEMIフィンガープリントと上記複数の基準EMIフィンガープリントの中の個々の基準EMIフィンガープリントとを繰り返し比較して、上記ターゲットEMIフィンガープリントおよび上記個々の基準EMIフィンガープリントの比較された各組間の類似性メトリックを生成するようにさせ、いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての上記類似性メトリックが閾値テストを満たす場合には上記ターゲットデバイスが本物であるという視覚的表示を生成してグラフィカルユーザインターフェイス上に表示し、いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての上記類似性メトリックが上記閾値テストを満たさない場合には上記ターゲットデバイスが疑わしいまたは偽造であるという視覚的表示を生成してグラフィカルユーザインターフェイス上に表示するようにさせる。
【0014】
一実施形態において、非一時的なコンピュータ読取可能媒体であって、上記通電および上記非通電中に発せられるEMI信号を上記ターゲットデバイスから収集させることは、上記ターゲットデバイスが通電されている間のEMI信号の第1の組を収集することと、上記ターゲットデバイスが非通電されている間のEMI信号の第2の組を収集することとを含み、上記ターゲットEMIフィンガープリントは、上記EMI信号の第1の組と上記EMI信号の第2の組との組み合わせから生成される。
【0015】
一実施形態において、非一時的なコンピュータ読取可能媒体であって、上記ターゲットデバイスを通電および非通電する上記テストシーケンスは、複数回の通電または非通電を含む。
【0016】
一実施形態において、非一時的なコンピュータ読取可能媒体は、命令をさらに備え、上記命令は、少なくとも上記プロセッサによって実行されると、上記コンピュータに、上記ターゲットデバイスのセンサ部品からテレメトリ信号を受信させ、上記テレメトリ信号に基づいて、上記ターゲットデバイスを上記特定のモデルのターゲットデバイスであると分類させ、上記データベースライブラリからの上記複数の基準EMIフィンガープリントの上記検索は、上記ターゲットデバイスの上記分類に基づく。
【0017】
一実施形態において、非一時的なコンピュータ読取可能媒体は、命令をさらに備え、上記命令は、少なくとも上記プロセッサによって実行されると、上記コンピュータに、(i)上記収集されたEMI信号を、上記基準EMIフィンガープリントのうちの1つまたは複数との比較に最適な長さにトリミングすること、または、(ii)上記収集されたEMI信号の第1の位相を上記基準EMIフィンガープリントのうちの1つの第2の位相と同期させること、のうちの少なくとも1つを行なわせる。
【0018】
一実施形態において、複数の電子部品を含む特定のモデルのターゲットユーティリティデバイスが本物であるか偽造が疑われるかを検出するシステムであって、繰り返し可能なテストシーケンスにおいて上記ターゲットデバイスを交互に通電および非通電するように電力を自動的に制御するように構成されたテストシーケンスジェネレータと、EMIフィンガープリント偽造スキャナとを備え、上記EMIフィンガープリント偽造スキャナは、(i)上記ターゲットデバイスが通電されてから非通電される間に上記ターゲットデバイスによって発せられる電磁干渉(EMI)信号を収集し、(ii)上記ターゲットデバイスが通電および非通電された間に収集された上記EMI信号からターゲットEMIフィンガープリントを生成し、(iii)データストアから複数の基準EMIフィンガープリントを検索するように構成されており、各基準EMIフィンガープリントは、上記特定のモデルの本物の基準デバイスに対応し、上記特定のモデルの上記本物の基準デバイスの電子部品の別個の構成にさらに対応し、上記EMIフィンガープリント偽造スキャナはさらに、(iv)上記ターゲットEMIフィンガープリントと上記複数の基準EMIフィンガープリントの中の個々の基準EMIフィンガープリントとを繰り返し比較して、上記ターゲットEMIフィンガープリントおよび上記個々の基準EMIフィンガープリントの比較された各組間の類似性メトリックを生成し、(v)いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての上記類似性メトリックが閾値テストを満たす場合には上記ターゲットデバイスが本物であるという視覚的表示を生成してグラフィカルユーザインターフェイス上に表示し、いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての上記類似性メトリックが上記閾値テストを満たさない場合には上記ターゲットデバイスが疑わしいまたは偽造であるという視覚的表示を生成して上記グラフィカルユーザインターフェイス上に表示するように構成されている。
【0019】
明細書に組み入れられて明細書の一部を構成している添付の図面は、さまざまなシステム、方法および本開示の他の実施形態を示している。図面に示されている要素境界(たとえば、囲い枠、囲い枠群、または他の形状)は境界の一実施形態を表している、ということが理解されるであろう。いくつかの実施形態では、1つの要素が複数の要素として実現されてもよく、または当該複数の要素が1つの要素として実現されてもよい。いくつかの実施形態では、別の要素の内部構成要素として示されている要素は外部構成要素として実現されてもよく、逆の場合も同様である。さらに、要素は一定の縮尺で描かれているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】EMIフィンガープリント偽造スキャナおよび例示的なターゲットユーティリティデバイスの一実施形態を示す図である。
図2】EMIフィンガープリント偽造スキャナを動作させる環境の一実施形態を示す図である。
図3】ユーティリティアセット構成発見および偽造検出に関連付けられた方法の一実施形態を示す図である。
図4】ユーティリティデバイスを通電および非通電する間に収集されたEMI信号からEMIフィンガープリントを生成することに関連付けられた方法の一実施形態を示す図である。
図5】センサテレメトリ信号を使用して同様の型およびモデルのカテゴリに事前に分類された異なる型/モデルを有する例示的なユーティリティデバイスを示す図である。
図6】センサテレメトリ読取値に基づいてターゲットユーティリティデバイスを事前に分類することに関連付けられた方法の一実施形態を示す図である。
図7】対応するGSのEMIフィンガープリントを使用してターゲットEMIフィンガープリントを区別する一例のための、基準波形(「ゴールデンシステム」または「GS」)をターゲット波形(「テスト対象ユニット」または「UUT」)とともに示す図である。
図8】信号ベクトルを最適な長さにトリミングするために自動エッジ検出が適用された後の基準EMIフィンガープリントおよびターゲットEMIフィンガープリントの両方における同一のEMIフィンガープリントシグネチャ周波数を示す図である。
図9】基準(GS)信号およびターゲット(UUT)信号に対する解析リサンプリングプロセスを使用した最適同期化の効果を示す図である。
図10】信号比較メトリックを対比するための、例示的な未処理信号についてのトリミングされていないEMI信号およびトリミングされたEMI信号を使用した例示的なEMI残差を示す図である。
図11(a)】偽造検出技術のための自動型-モデル構成発見の概略および手順の一実施形態を示す図である。
図11(b)】MSETベースのMAE特徴付けを行う方法の一実施形態を示す図である。
図12】2つの異なるユーティリティデバイスの比較によって生成された例示的な3D EMI残差表面を示す図である。
図13】2つの同様の(または、同一の)ユーティリティデバイスの比較によって生成された例示的な3D EMI残差表面を示す図である。
図14】MSETアラームを作動させる周波数ビンのうちの1つにわたる2つの異なるユーティリティデバイス間の例示的なEMI残差を示す図である。
図15】MSETアラームを作動させない周波数ビンのうちの1つにわたる2つの同様の(または、同一の)ユーティリティデバイス間の例示的なEMI残差を示す図である。
図16】ターゲットユーティリティデバイスのEMIフィンガープリントスキャンの結果を視覚的に表示するためにEMIフィンガープリント偽造スキャナのディスプレイとともに使用されるグラフィカルユーザインターフェイスの一実施形態の2つの表示を示す図である。
図17】本明細書に開示されている例示的なシステム、方法および/または特別目的機器で構成されたコンピューティングシステムの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
電磁干渉(EMI)フィンガープリントを介した重要なユーティリティアセットにおける自動アセット構成発見および偽造検出を提供するシステムおよび方法が本明細書に記載されている。
【0022】
EMI信号は、動作中に、変圧器、発電機、インバータ、計器または他の配電網システムなどの電力ユーティリティデバイスによって生成される。これらのEMI信号は、一般にノイズとみなされるが、これらのEMI信号は、ユーティリティデバイスのための固有のEMIフィンガープリント(EMIF)を生成するのに使用することができる情報を運ぶこともできる。たとえば、未知の部品構成を有するターゲットユーティリティデバイスによって発せられたEMIは、スキャンされて、ターゲットユーティリティデバイスのためのターゲットEMIフィンガープリントを生成することができる。生成されたターゲットEMIフィンガープリントは、既知の構成の基準ユーティリティデバイスの基準EMIフィンガープリントと比較されて、ターゲットユーティリティデバイスが既知の型、モデルおよび構成のユーティリティデバイスであることを確認することができ、または、ターゲットユーティリティデバイスが既知の型、モデルおよび構成のユーティリティデバイスでないため、1つもしくは複数の偽造が疑われる部品を含んでいる可能性がある、もしくは完全に偽造であることが疑われ得ることを通知することができる。
【0023】
電力ユーティリティデバイスのための偽造検出は、サプライチェーンに沿った箇所で、たとえば積載もしくは搬入ドック、または入口もしくは出口ポート、または他の管理境界で、ユーティリティデバイスを最終的に据え付ける前に行われることが最も都合がよい。これらの場所でEMIフィンガープリントスキャンを行う人は、スキャンに割く時間がほとんどない。しかし、スキャンを行う人がターゲットユーティリティデバイスをスキャンする前にターゲットユーティリティデバイスの厳密な型、モデルおよび内部部品構成を確認することを要求することは、労働集約的な、エラーが発生しやすいプロセスである。
【0024】
現に、ユーティリティデバイスの型およびモデルの数よりも多くの許容可能な真正な内部部品構成の順列が存在する、ということに注目されたい。ユーティリティデバイスに割り当てられる型およびモデルは必ずしも、ユーティリティデバイスの新たな生産工程において内部部品がアップグレードされるたびに変化するわけではない(これは、複雑なおよび/または高コストのユーティリティデバイスに特に当てはまる)。そのため、型およびモデルは何年も変化しないにもかかわらず、内部部品はユーティリティデバイスの出荷または生産工程の「ビンテージ」とともに変化し得る。たとえば、内部部品は、インクリメンタルバッチで生産または購入されるので、変化し得る。これらのバッチは、全ての品質および性能仕様を満たすが、異なるEMI特性を有している場合がある。これらの複数回の内部部品リフレッシュは、出荷日または生産日のビンテージに従って同一の型およびモデルの本物のユーティリティデバイスのための複数の個別のEMIフィンガープリントをもたらすことができるが、この情報は、EMIフィンガープリントスキャンを行う人が容易に入手できるわけではない。したがって、EMIフィンガープリントスキャンを行う人が簡単な検査によってターゲットデバイスの内部構成を完全に識別することは不可能であろう。
【0025】
しかし、基準EMIフィンガープリントの型、モデルおよび内部部品構成を誤って選択することは、ターゲットユーティリティデバイスを偽造の可能性があるとしてフォールスポジティブに識別することになりがちである。したがって、スキャンを行う人が、スキャン対象のユーティリティデバイスの厳密な型、モデルおよび内部部品構成を識別してスキャン機器に入力しなければならないようにすることは、実現不可能であり、または望ましくない。
【0026】
その代わりに、スキャン手順は、ターゲットユーティリティデバイスのどんな型、モデルおよび部品構成がスキャンされていても、迅速であって、できる限り容易であって、完全にアグノスティックである必要がある。さらに、これらの場所でEMIフィンガープリントスキャンを行う人は、スキャンを行う人が結果を解釈するために高度なデータサイエンス学位を保有していることを要求しないスキャン手順を必要とする。
【0027】
一実施形態において、スキャン対象の各ターゲットユーティリティデバイスについての型/モデルおよび内部部品製造者は、新規の自律的なユーティリティアセット型、モデルおよび部品構成発見パターン認識フレームワークによって自動的に検出される。一実施形態において、ユーティリティデバイスの型、モデルおよび構成(または、「タイプ」)のための基準ユーティリティデバイスから基準EMIフィンガープリントが取得される。型、モデルおよび構成のための基準ユーティリティデバイスは、ユーティリティデバイス(「ゴールデンシステム」)の型、モデルおよび構成の本物の例であると確認されるものである。一実施形態において、ターゲットユーティリティデバイスは、EMIフィンガープリント表面平均絶対誤差(EMIF SMAE)と呼ばれる構成類似性メトリックを使用してターゲットEMIフィンガープリントを基準EMIフィンガープリントのライブラリに対して比較する反復パターン認識プロセスにかけられる。この認識プロセスは、ターゲットユーティリティデバイス(または、テスト対象ユニット(UUT))の構成を迅速に推論し、次いで、起こり得る偽造についてのアラート、または、たった今スキャンされたアセットが本物の、真正な、許容可能な構成であって、偽造を含まないという証明を提示する。
【0028】
電力ユーティリティデバイスの文脈において本発明を説明しているが、本発明の一般的原理および技術は、少なくとも1つの電子部品を備えるいかなる電子システムにも適用可能である。
【0029】
-例示的なEMIフィンガープリント偽造検出器-
図1は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100および例示的なターゲットユーティリティデバイス105の一実施形態を示す図である。EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、ソフトウェア定義無線機などの無線機120に接続されたアンテナ(または、他のEMI信号センサ)115を含む。一実施形態において、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、テレメトリバス135によって、または代替的に送受信機140と145との間の無線周波数送信によってターゲットユーティリティデバイス105のセンサ部品130に接続され得るテレメトリコレクタ125も含む。EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、無線機120およびテレメトリコレクタ125に接続されたローカルデータストレージ150も含む。EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、ユーティリティデバイス構成発見および偽造検出ロジック155も含む。EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、ネットワークインターフェイス160およびディスプレイ165も含む。
【0030】
ユーティリティデバイス105は、電力がユーティリティデバイス105に提供されるとEMI信号110を生成する、ということに注目されたい。さらに、ユーティリティデバイス105は、ユーティリティデバイス105への電力が切断された後も、少なくともしばらくの間EMI信号110を生成し続けることができる、ということに注目されたい。EMI信号は、ユーティリティデバイス105の1つまたは複数の内部部品から生成され、1つまたは複数の内部部品は、制御装置、スイッチ、モータ、インダクタ/変圧器巻線、キャパシタ、センサおよび他の部品を含み得るが、それらに限定されるものではない。いくつかの例において、EMI信号は、複数の部品間の相互作用によって生成され得る。一実施形態において、アンテナ115は、EMI信号110を検知して、これらのEMI信号をアンテナ115に結合された無線機120に適用するように構成されている。アンテナ115および無線機120の構成によっては、EMI信号は、たとえば約1メガヘルツから約4ギガヘルツまでの周波数の幅広いスペクトルにわたって検知される。
【0031】
一実施形態において、アンテナ115は、ダイポールアンテナ、八木・宇田アンテナ、ループアンテナ、電気的短絡アンテナ(たとえば、四分の一波長未満の長さを有するオープンエンドワイヤ)、フラクタルアンテナ、パラボラアンテナ、マイクロストリップアンテナ、クワッドアンテナ、ランダムワイヤアンテナ(たとえば、一波長よりも大きな長さを有するオープンエンドワイヤ)、ビバレージアンテナ、ヘリカルアンテナ、フェーズドアレイアンテナ、および現在公知のまたは後に開発されるその他のタイプのアンテナを含み得る。1つの単純かつ安価な実施形態では、アンテナ115は、固定長の絶縁体が剥がされた絶縁ワイヤであってもよい。一実施形態において、アンテナのタイプおよび長さは、最適な識別感度およびロバスト性を実現するように選択することができる。
【0032】
アンテナ115は、ターゲットユーティリティデバイス105に近接して、またはターゲットユーティリティデバイス105から離れて位置決めされ得る。アンテナ115においてよりよい感度を実現するため、したがってEMIフィンガープリント偽造スキャナ100においてより高い信号対雑音比(SNR)を実現するために、ターゲットユーティリティデバイス105とアンテナ115との間の距離が小さいことが好ましい。距離に加えて、アンテナ115の感度は、ターゲットユーティリティデバイス105に対するその向きによっても影響を受ける可能性がある。
【0033】
一実施形態において、アンテナ115は、スキャン中にターゲットユーティリティデバイス105に対して予め定められた距離および向きで位置決めされる。この予め定められた距離および向きは、ターゲットユーティリティデバイス105と同一の型およびモデルの基準ユーティリティデバイスから基準EMI信号を検出するのに使用される距離および向きと同一であってもよい。スキャン対象のユーティリティデバイスに対するアンテナ配置の一貫性は、ターゲットEMIフィンガープリントを基準EMIフィンガープリントとマッチングさせてターゲットEMIフィンガープリントを基準EMIフィンガープリントから区別するEMIフィンガープリント偽造スキャナ100の能力を向上させることができる。
【0034】
一実施形態において、アンテナ115は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100に取り付けられてもよい。一実施形態において、アンテナ115は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100によるターゲットユーティリティデバイス105のスキャン中は、ターゲットユーティリティデバイス105に対して固定位置(距離および向き)にあり得る。たとえば、アンテナ115は、ターゲットユーティリティデバイス105に近接した場所に設置されて、スキャン中は移動されないであろう。アンテナ115は、ターゲットユーティリティデバイス105のハウジングに取り付けられてもよく、またはターゲットユーティリティデバイス105のハウジング内に取り付けられてもよい。一実施形態において、複数のアンテナおよび無線機(図示せず)がスキャン中にターゲットユーティリティデバイス105に対してさまざまな場所および向きに位置決めされてもよい。一実施形態において、アンテナ115は、スキャン中にターゲットユーティリティデバイス105に対して複数の異なる場所および向きに移動される。これらのさまざまなアンテナ位置および構成、ならびに他の位置および構成の実現例は、ターゲットユーティリティデバイス105全体について検出されたEMI信号の信号対雑音比(SNR)を向上させるのに望ましいように、またはターゲットユーティリティデバイス105の特定の部品によって発せられるEMI信号を強調するのに望ましいように選択され得る。
【0035】
一実施形態において、無線機120は、受信されたEMI信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、これらの信号の電力振幅および周波数を規定の時間間隔で記録するように構成されている。一実施形態において、無線機120は、記録された信号をデータ構造としてローカルデータストレージ150に格納し、またはそれらを解析のためにユーティリティアセット構成発見および偽造検出ロジック155に直接提供し得る。
【0036】
ターゲットユーティリティデバイス105などのユーティリティデバイスは、一般に、温度、電流、電圧または他の検出可能な情報などのユーティリティデバイスのさまざまな側面のステータスを記載しているセンサテレメトリ信号を提供するセンサ部品130を用いて製造される。たとえば、センサ部品130は、SCADAまたは他の分散制御システムのリモートターミナルユニット(RTU)と接続するように構成され得る。一実施形態において、テレメトリコレクタ125は、センサ部品130とのRTUインターフェイスを提示するように構成されている。
【0037】
一実施形態において、テレメトリコレクタ125は、センサテレメトリ信号を受信して処理する。たとえば、テレメトリコレクタ125は、テレメトリバス135を介して受信したセンサテレメトリ信号を構文解析して、ステータス情報を抽出し得る。次いで、テレメトリコレクタ125は、当該ステータス情報をデータ構造としてローカルデータストレージ150に格納するか、またはそれらを解析のためにユーティリティアセット構成発見および偽造検出ロジック155に直接提供し得る。
【0038】
一実施形態において、ローカルデータストレージ150は、モバイルデバイスまたはコンピュータのローカルデータストアである。一実施形態において、ユーティリティアセット構成発見および偽造検出ロジック155は、本明細書に記載されているシステムの機能のうちの1つまたは複数を実行するための命令で特別に構成されたモバイルデバイスまたはコンピュータのプロセッサである。
【0039】
-EMIフィンガープリントスキャンのための例示的な環境-
図2は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100を動作させる環境200の一実施形態を示す図である。
【0040】
一実施形態において、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、ソフトウェア定義無線機120およびアンテナ115に結合されたモバイルデバイス205またはコンピュータ210である。一実施形態において、ネットワークインターフェイス160は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100が通信ネットワーク215を介して1つまたは複数のリモートコンピュータと対話することを可能にするように構成されている。一実施形態において、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、ウェブインターフェイスサーバ220などのウェブサーバに要求を送信し、ウェブサーバから応答を受信し得る。これらの通信は、JavaScriptオブジェクト表記法(JSON)をデータ交換フォーマットとして使用するリモート・リプリゼンテーショナル・ステート・トランスファ(REST)要求、またはXMLサーバとのシンプル・オブジェクト・アクセス・プロトコル(SOAP)要求の形態をとり得る。
【0041】
一実施形態において、ウェブインターフェイスサーバ220は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100がクラウドアプリケーションインフラストラクチャ225によって提供されるリソースにアクセスすることを可能にするように構成されている。ウェブインターフェイスサーバ220に加えて、クラウドアプリケーションインフラストラクチャ225は、サーバ側ユーティリティアセット構成発見および偽造検出システム230および1つまたは複数のデータストレージデバイス235も含む。ウェブインターフェイスサーバ220、システム230およびデータストレージデバイス235は、ローカルネットワーク240によって相互接続されている。一実施形態において、サーバ側ユーティリティアセット構成発見および偽造検出システム230は、本明細書に記載されているシステムの機能のうちの1つまたは複数を実行するための命令で特別に構成された1つまたは複数のコンピューティングデバイスである。一実施形態では、ターゲットEMIフィンガープリントの解析は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100からの要求に応答してサーバ側ユーティリティアセット構成発見および偽造検出システム230によって行われ、結果は、ユーザに表示するためにEMIフィンガープリント偽造スキャナ100に返される。別の実施形態では、ターゲットEMIフィンガープリントの解析は、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100によって行われる。
【0042】
一実施形態において、テストシーケンス生成装置245も設けられている。テストシーケンス生成装置245は、ターゲットユーティリティデバイス105における1つまたは複数の部品を通る電力を制御するように動作する。動作時、テストシーケンス生成装置245は、ターゲットユーティリティデバイス105の部品を通る電力振幅の矩形波を作成し得る。これらの矩形波の振幅および期間を含むテストシーケンスのための命令は、テストシーケンス生成装置245において事前にプログラムされ、および/または、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100によって制御され得る。
【0043】
一実施形態において、いくつかのタイプのユーティリティデバイスでは、ターゲットユーティリティデバイス105に供給される電力供給を高電力供給状態と低電力供給状態との間で切り換えて、ターゲットユーティリティデバイス105を「通電」動作状態(高電力供給)および「非通電」動作状態(低電力供給)にもっていくことによって、適切な矩形波が生成され得る。一実施形態において、通電状態は、フルパワー電力供給状態であり得る。一実施形態において、通電状態は、低電力供給状態よりも相対的に高い電力供給状態であり得て、非通電状態は、高電力供給状態よりも相対的に低い電力供給状態である。一実施形態において、非通電状態は、電力供給の完全な遮断の電力供給状態、すなわち「ノーパワー」電力供給状態であり得る。一実施形態において、非通電状態は、ターゲットユーティリティデバイス105に供給される電力が、可能な限り低い電力レベルでターゲットユーティリティデバイス105の動作を維持するのに必要な最小電力である「アイドル」電力供給状態であり得る。この構成では、テストシーケンス生成装置245は、電源250とターゲットユーティリティデバイス105との間に並んで設置され、電源250からターゲットユーティリティデバイス105への電力の供給を制御する。テストシーケンス生成装置は、ターゲットユーティリティデバイス105を通電および非通電するテストシーケンスのための命令に従ってハイパワーおよびローパワー電力供給のテストシーケンスをターゲットユーティリティデバイス105に提供するように構成されている。
【0044】
別の実施形態では、いくつかのタイプのユーティリティデバイスでは、ターゲットユーティリティデバイス105に対する負荷を高消費電力状態と低消費電力状態との間で切り換えて、ターゲットユーティリティデバイス105を通電動作状態(高消費電力)および非通電動作状態(低消費電力)にもっていくことによって、適切な矩形波が生成され得る。一実施形態において、通電状態は、フルパワー消費電力状態であり得る。一実施形態において、通電状態は、低消費電力状態よりも相対的に高い消費電力状態であり得て、非通電状態は、高消費電力状態よりも相対的に低い消費電力状態である。一実施形態において、非通電状態は、負荷の完全な遮断の消費電力状態、すなわち「ノーパワー」消費電力状態であり得る。一実施形態において、非通電状態は、ターゲットユーティリティデバイス105から引き出される電力が、可能な限り低い電力レベルでターゲットユーティリティデバイス105の動作を維持するのに必要な最小電力である「アイドル」消費電力状態であり得る。この代替的な構成では、テストシーケンス生成装置245は、ターゲットユーティリティデバイス105と接地255との間に並んで設置され、ターゲットユーティリティデバイス105から引き出される電力負荷を制御する。テストシーケンス生成装置は、ターゲットユーティリティデバイス105を通電および非通電するテストシーケンスのための命令に従ってハイパワーおよびローパワー消費電力(負荷)のテストシーケンスをターゲットユーティリティデバイス105に提供するように構成されている。
【0045】
一実施形態において、テストシーケンス生成装置245は、初期のパワーオンセルフテストのステージング領域に追加されることができる。ユーティリティアセットは、一般にパッケージングされていないため、生産システムに据え付ける前にまずPOSTテスティングにおいて通電される。したがって、EMIフィンガープリント偽造スキャンを行うのに都合がよい時間は、ターゲットユーティリティデバイスがPOSTテスティングのためにセットアップされている間である。一実施形態において、ターゲットユーティリティデバイスがテスティングのためにステージング領域においてセットアップされている間に、テストシーケンスがターゲットユーティリティデバイスに適用される。
【0046】
-例示的な構成発見および偽造検出方法-
一実施形態において、本明細書に記載されている方法の1つまたは複数のステップは、1つまたは複数のコンピューティングデバイスのプロセッサ(図17を参照して示され、説明されるプロセッサ1710など)によって実行され得て、このプロセッサは、(i)メモリ(図17を参照して示され、説明されるメモリ1715および/または他のコンピューティングデバイスコンポーネントなど)にアクセスし、(ii)システムに方法のステップ(図17を参照して示され、説明されるユーティリティアセット構成発見および偽造検出ロジック1730など)を実行させるロジックで構成されている。たとえば、プロセッサは、メモリにアクセスして、メモリに対して読み書きして、本明細書に記載されているコンピュータによって実行される方法のステップを実行する。これらのステップは、(i)任意の必要な情報を検索するステップと、(ii)任意のデータを計算、決定、生成、分類または作成するステップと、(iii)計算、決定、生成、分類または作成された任意のデータを格納するステップとを含み得る。ストレージまたは格納への言及は、コンピューティングデバイスのメモリまたはストレージ/ディスク(図17を参照して示され、説明されるコンピューティングデバイス1705またはリモートコンピュータ1765のメモリ1715またはストレージ/ディスク1735など)へのデータ構造としての格納を意味する。一実施形態において、方法の後続のステップは、少なくとも後続のステップが開始するのに必要な程度まで前のステップが実行されたことを示す受信信号または検索された格納データを構文解析することに応答して開始し得る。一般に、受信信号または検索された格納データは、前のステップの完了を示す。
【0047】
図3は、ユーティリティアセット構成発見および偽造検出に関連付けられた方法300の一実施形態を示す図である。方法300は、複数の電子部品を含むターゲットユーティリティデバイスが本物であるか偽造が疑われる(たとえば、少なくとも1つの偽造部品を含む)かを検出する方法である。
【0048】
方法300は、(i)EMIフィンガープリント偽造スキャナのユーザ(または、管理者)が方法300を開始したことを示す信号をネットワークを介して受信すること、もしくは、EMIフィンガープリント偽造スキャナのユーザ(または、管理者)が方法300を開始したことを示す格納データを構文解析すること、または(ii)他のトリガなどのさまざまなトリガに基づいて開始され得る。方法300は、受信信号または検索された格納データを構文解析して、方法300が開始すべきであることを信号または格納データが示していると判断したことに応答して、開始ブロック305から開始する。処理はプロセスブロック310に進む。
【0049】
プロセスブロック310において、システムは、特定のモデルのターゲットデバイスを通電および非通電するテストシーケンスを実行して、通電および非通電中にターゲットデバイスによって発せられる電磁干渉(EMI)信号を収集する。次いで、プロセスブロック310における処理は完了して、処理はプロセスブロック315に進む。
【0050】
プロセスブロック315において、システムは、ターゲットデバイスの通電および非通電中に収集されたEMI信号からターゲットEMIフィンガープリントを生成する。プロセスブロック315における処理は完了して、処理はプロセスブロック320に進む。
【0051】
プロセスブロック320において、システムは、データベースライブラリから複数の基準EMIフィンガープリントを検索する。各基準EMIフィンガープリントは、ターゲットデバイスと同一の特定のモデルの本物のデバイスの電子部品の異なる構成に対応する。また、各基準EMIフィンガープリントは、本物のデバイスの対応する構成に対する通電および非通電シーケンスの実行中に収集された基準EMI信号から生成される。プロセスブロック320における処理は完了して、処理はプロセスブロック325に進む。
【0052】
プロセスブロック325において、システムは、ターゲットEMIフィンガープリントと複数の基準EMIフィンガープリントの中の個々の基準EMIフィンガープリントとを繰り返し比較して、ターゲットEMIフィンガープリントおよび個々の基準EMIフィンガープリントの比較された各組間の類似性メトリックを生成する。プロセスブロック325における処理は完了して、処理は判断ブロック330に進む。
【0053】
判断ブロック330において、システムは、いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての類似性メトリックが閾値テストを満たすか否かを判断する。いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての類似性メトリックが閾値テストを満たす場合(YES)、判断ブロック330における処理は完了して、処理はプロセスブロック335に進む。いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての類似性メトリックが閾値テストを満たさない場合(NO)、判断ブロック330における処理は完了して、処理はプロセスブロック340に進む。
【0054】
プロセスブロック335において、システムは、ターゲットデバイスが本物のデバイスであることを示す信号を生成する。プロセスブロック335における処理は完了して、処理は終了ブロック345に進み、プロセス300は終了する。
【0055】
プロセスブロック340において、システムは、ターゲットデバイスが偽造が疑われるデバイスであることを示す信号を生成する。プロセスブロック335における処理は完了して、処理は終了ブロック345に進み、プロセス300は終了する。
【0056】
方法300の上記のプロセスブロックの各々について、以下でさらに詳細に説明する。
-テストシーケンスを実行して、信号を収集する-
再びプロセスブロック310を参照して、一実施形態において、特定のモデルのターゲットデバイスを通電および非通電するテストシーケンスは、たとえばテストシーケンス生成装置245によって実行される。一実施形態において、ターゲットデバイスを通電および非通電するテストシーケンスは、複数回の通電または非通電を含む。一実施形態において、テストシーケンスは、(i)高電力供給または負荷を提供してターゲットデバイスを通電状態にもっていくことおよび(ii)低電力供給または負荷を提供してターゲットデバイスを非通電状態にもっていくことのおおよそ等しい部分間を循環する。一実施形態では、ターゲットデバイスへの高電力供給または負荷(通電)で30秒およびターゲットデバイスへの低電力供給または負荷(非通電)で30秒のサイクルを有するテストシーケンスが適切であろう。他の実施形態では、たとえばより短いもしくはより長い通電/非通電期間、または等しくない通電/非通電期間を有する他のテストシーケンスが適切であろう。一実施形態において、テストシーケンス生成装置は、繰り返し可能なテストシーケンスにおいてターゲットデバイスを交互に通電および非通電するように電力または負荷を自動的に制御するように構成されている。
【0057】
テストシーケンス生成装置245がターゲットデバイスへの電力供給を制御する一実施形態では、テストシーケンス生成装置245は、テストシーケンスにおいてターゲットデバイスをそれぞれ通電および非通電するために高電力および低電力を電源250から入力(変圧器の一次端子のうちの1つなど)に提供する。たとえば、ターゲットデバイスへの電力は、繰り返されるサイクルの中で交互に提供されたり中断されたりする。テストシーケンス生成装置245がターゲットデバイスから引き出される電力負荷を制御する別の実施形態では、テストシーケンス生成装置245は、テストシーケンスにおいてターゲットデバイスをそれぞれ通電および非通電するために高電力負荷および低電力負荷を出力(変圧器の二次端子のうちの1つなど)に対して提供する。たとえば、ターゲットデバイスに対する負荷は、繰り返されるサイクルの中で交互に加えられたり中止されたりする。
【0058】
一実施形態において、プロセスブロック310においてターゲットデバイスに対して実行されるテストシーケンスは、それぞれの基準EMIフィンガープリントを生成するために基準デバイスに対して当初実行されたテストシーケンスと同一である。言い換えれば、基準EMIフィンガープリントの生成にもターゲットEMIフィンガープリントの生成にも同一のテストシーケンスが使用される。
【0059】
依然としてプロセスブロック310を参照して、一実施形態において、アンテナ115および無線機120は、テストシーケンス生成装置245によって実行される通電および非通電中にターゲットデバイスによって発せられる電磁干渉(EMI)信号を収集する。一実施形態において、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、繰り返し可能なテストシーケンスにおいてターゲットデバイスが通電されてから非通電される間にターゲットデバイスによって発せられる電磁干渉(EMI)信号を、ソフトウェア定義無線機120およびアンテナ115を使用して収集するように構成されている。アンテナは、EMI信号の収集中は、図1を参照して上記したように位置決めされ得る。ターゲットデバイスからのEMI信号の収集は、ターゲットデバイスの「スキャン」と称され得る。EMI信号は、ターゲットデバイスが通電されている間も非通電されている間も、ターゲットデバイスから収集される。たとえば、通電および非通電中に発せられるEMI信号をターゲットデバイスから収集することは、ターゲットデバイスが通電されている間のEMI信号の第1の組を収集することと、ターゲットデバイスが非通電されている間のEMI信号の第2の組を収集することとを含む。言い換えれば、連続的な時系列信号は、矩形波の「最上部」(高電力または通電状態を表す)と、矩形波の「最下部」(低電力または非通電状態を表す)とを含む。ターゲットユーティリティデバイスがオフにされると、矩形波の最下部はゼロになる。ターゲットユーティリティデバイスが「アイドル」に切り換えられると、矩形波の最下部はゼロではないが、何らかの低電力状態になる。しかし、矩形波の最下部について収集されたEMI信号の性質にかかわらず、ターゲットEMI信号についての収集された矩形波シーケンス全体は、最上部も最下部も、ターゲットEMIフィンガープリントに含まれる。ターゲットEMIフィンガープリントは、EMI信号の第1の組とEMI信号の第2の組との組み合わせから生成される。EMI信号の第2の組は、ターゲットユーティリティデバイスが低電力状態でオフにされる場合でもEMIフィンガープリントを生成するのに有用であろう。なぜなら、ターゲットデバイスは、ユーティリティデバイスへの電力が遮断された後でさえEMI信号を生成し続けることができるからである。したがって、ターゲットEMIフィンガープリントを生成する際、矩形波の最下部は、矩形波の最上部と全く同じように処理される。最上部および最下部の周期的な繰り返しは全て、テストシーケンスにわたる1つの長い時系列に含まれる。
【0060】
-フィンガープリントを生成する-
再びプロセスブロック315を参照して、一実施形態において、システムは、ターゲットデバイスの通電および非通電中に収集されたEMI信号からターゲットEMIフィンガープリントを生成する。上記のように、一実施形態において、収集された信号は、ターゲットデバイスが通電状態にある間に収集されたEMI信号も、ターゲットデバイスが非通電状態にある間に収集されたEMI信号も含む。
【0061】
図4は、方法300のプロセスブロック315などの、ユーティリティデバイスを通電および非通電する間に収集されたEMI信号からEMIフィンガープリントを生成することに関連付けられた方法400の一実施形態を示す図である。なお、ターゲットユーティリティデバイスのターゲットEMIフィンガープリントも、基準(真正であると確認された)ユーティリティデバイスの基準EMIフィンガープリントも、収集されたEMI信号から同様の方法で生成することができる。方法400は、方法400が開始すべきであることを示す受信信号または検索された格納データを構文解析することに応答して開始ブロック405を開始する。
【0062】
プロセスブロック410において、システムは、収集されたEMI信号に関連付けられた周波数範囲を複数の「ビン」に分割し、各々の個別のビンを代表周波数値で表す。一実施形態において、これらの周波数ビンおよび関連付けられた周波数値は、等間隔にされる。一実施形態において、これらのビンおよび代表周波数は、ローカルデータストレージ150またはデータストア235に格納される。プロセスブロック410における処理は完了して、処理はプロセスブロック415に進む。
【0063】
プロセスブロック415において、システムは、各代表周波数値について一定時間間隔ごとに(1秒に1回など)振幅-時間ペアを抽出して、当該代表周波数のための振幅-時系列を形成する。一実施形態において、振幅-時間ペアは、ローカルデータストレージ150に格納された記録信号のデータ構造から検索されることができ、結果として得られる時系列は、ローカルデータストレージ150またはデータストア235に格納され得る。プロセスブロック415における処理は完了して、処理はプロセスブロック420に進む。
【0064】
プロセスブロック420において、システムは、最も強いパワースペクトル周波数に関連付けられたN個の代表周波数値のサブセットを選択する。最も高い信号対雑音比を有する信号は、一般に、パワースペクトル密度(PSD)プロット上で最も高いピークを有する。一実施形態において、高速フーリエ変換(FFT)などの変換が各代表周波数の振幅-時系列に対して実行される。これらの代表周波数は、変換結果の順にランク付けされ、代表周波数をピークの高さの順にランク付けする。最も高いピークを有する上位N個の代表が選択される。本発明の一実施形態において、Nは一般に20以下である。これらN個の選択された周波数は、「シグネチャ周波数」と称され得る。一実施形態において、シグネチャ周波数のインジケータがローカルデータストレージ150またはデータストア235に格納され得る。プロセスブロック420における処理は完了して、処理はプロセスブロック425に進む。
【0065】
プロセスブロック425において、システムは、シグネチャ周波数に関連付けられた振幅-時系列を使用してEMIフィンガープリントを生成する。一実施形態において、生成されたEMIフィンガープリントは、ローカルデータストレージ150またはデータストア235に格納される。プロセスブロック425における処理は完了して、処理は終了ブロック430に進み、プロセス400は終了する。
【0066】
-基準EMIフィンガープリントを検索する-
再び方法300を参照して、プロセスブロック320において、システムは、データベースライブラリから複数の基準EMIフィンガープリントを検索する。一実施形態において、データベースライブラリは、基準ユーティリティデバイスの全ての本物の型およびモデルの全ての可能な有効な順列部品構成のための基準EMIフィンガープリントのリポジトリである。各型、モデルおよび構成について、ユーティリティデバイスの当該型、モデルおよび構成の本物の例であることが認証された、確認されたまたは分かったユーティリティデバイスに対してテストシーケンスを実行して、そのユーティリティデバイスから発せられるEMI信号を収集することによって、基準EMIフィンガープリントが作成される。次いで、結果として得られるEMIフィンガープリントは、ユーティリティデバイスの型、モデルおよび構成を参照してデータベースライブラリに格納される。一実施形態において、データベースライブラリは、クラウドサーバ上、たとえばデータストア235内など、リモートで管理される。EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、ウェブインターフェイスサーバ220への要求(REST要求など)によって検索を開始して、データストア235から基準EMIフィンガープリントを検索する。ウェブインターフェイスサーバ220は、データストア235から基準EMIフィンガープリントを検索して、REST要求がEMIフィンガープリント偽造スキャナ100のネットワークインターフェイス160に送信されると基準EMIフィンガープリントを返す。別の実施形態では、データベースライブラリは、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100のローカルデータストレージ150内に維持される。EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、ローカルデータストレージ150から基準EMIフィンガープリントを検索するためのコマンドを生成して実行する。ローカルで管理されるデータベースライブラリは、クラウド上で管理されるデータベースライブラリと比べて、随時更新され得る。
【0067】
一実施形態において、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、データストアから複数の基準EMIフィンガープリントを検索するように構成されている。一実施形態において、基準EMIフィンガープリントは、特定のモデルの本物の基準デバイスに対応し、さらに特定のモデルの本物の基準デバイスの電子部品の個別の構成に対応する。
【0068】
-ターゲットユーティリティデバイスの事前分類-
一実施形態において、同様のユーティリティデバイスは、センサ部品130によって検出可能な同様の特性を示し得る。上記のように、所与の型-モデルのユーティリティデバイスの多くの部品構成が存在し得る。ユーティリティデバイスのさまざまな型、モデルおよび部品構成は、完全に異なるトランスデューサ群および異なる数のセンサを有し得るが、構成発見に関わるのは、ユーティリティデバイスが示す一般的なパターンである。センサ部品130によって検出されてテレメトリコレクタ125に提供される情報は、EMIフィンガープリント偽造スキャナが以下のうちの1つまたは複数を決定することを可能にする。
【0069】
1.(i)外部周囲温度当たりおよび(ii)(巻線電流からの)負荷シグネチャ当たりの個々のガスの変化率
2.温度信号、たとえば内部温度センサの読取値-負荷シグネチャ当たりの-外部周囲温度におけるデルタ
3.周囲温度および負荷シグネチャの二変量関数と比較した部分放電信号(入手可能である場合)の移動窓部分放電相関係数、および
4.この分野における劣化にさらされたユーティリティデバイスでは事前障害の傾向を示すが、正常なアセットでは同一のパターンを示さない他の信号の正規化比率
たとえば、第1の型およびモデルのユーティリティデバイスは、80~100℃で動作し得るが、第2の型およびモデルのユーティリティデバイスは、150~200℃で動作し得る。これらの物理的特性は、センサ部品130によって検出可能であり、これら2つのタイプが完全に異なる性質を有していることを証明することができる。したがって、センサテレメトリ信号のうちの1つまたは複数およびそれらから導き出されるメトリックに基づいて、多種多様なユーティリティデバイスの型、モデルおよび部品構成を図5に示されるように分類することができる。図5は、センサテレメトリ信号を使用して同様の型およびモデルのカテゴリ510に事前に分類された異なる型/モデルを有する例示的なユーティリティデバイス505を示す図である。
【0070】
一実施形態において、ターゲットユーティリティデバイスは、したがって、センサテレメトリ読取値に基づいて、全ての可能なタイプの型、モデルおよび部品構成の組の特定の型およびモデルサブセットに属するとして事前に分類されることができる。これにより、検索してターゲットEMIフィンガープリントと比較する必要がある基準EMIフィンガープリントの数が減少する。この比較のための基準EMIフィンガープリントの減少は、非常に重要であろう。たとえば、データベースライブラリが何万もの基準EMIフィンガープリントを含む場合、ターゲットユーティリティデバイスを特定の型およびモデルに属するとして識別する能力は、比較のための基準EMIフィンガープリントの数を減少させて、当該型およびモデルに関連付けられたいくつかを選択するだけにする。この比較回数の減少は、ターゲットユーティリティデバイスを本物または偽造が疑われるとして識別するのに必要な時間を大幅に減少させ、クラウドアプリケーションインフラストラクチャ225に対する検索処理負荷も減少させる。
【0071】
図6は、センサテレメトリ信号に基づいてターゲットユーティリティデバイスを事前に分類することに関連付けられた方法600の一実施形態を示す図である。方法600は、たとえばEMIフィンガープリント偽造スキャナ100のユーザが方法600を開始したことを示す信号をネットワークを介して受信すること、または、たとえばEMIフィンガープリント偽造スキャナ100のユーザが方法600を開始したことを示す格納データを構文解析することなどのさまざまなトリガに基づいて開始され得る。方法600は、方法600が開始すべきであることを示すトリガに応答して開始ブロック605から開始する。処理はプロセスブロック610に進む。
【0072】
プロセスブロック610において、システムは、ターゲットデバイスのセンサ部品からテレメトリ信号を受信する。一実施形態において、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、テレメトリコレクタ125を介してセンサ部品130からテレメトリ信号を受信する。プロセスブロック610における処理は完了して、処理はプロセスブロック615に進む。
【0073】
プロセスブロック615において、システムは、テレメトリ信号に基づいて、ターゲットデバイスを特定のモデルのターゲットデバイスであると分類する。一実施形態において、システムは、検知されたユーティリティデバイスの型およびモデルであるようにラベル付けされる本物のユーティリティデバイスについてのセンサテレメトリ情報に関する機械学習モデル(多変量状態推定技術(以下では「MSET」によって示される))を訓練する。ターゲットユーティリティデバイスから受信されたセンサテレメトリ信号は、型およびモデルを割り当てるために訓練済み機械学習モデルに提供される。一実施形態において、データベースライブラリから検索される基準EMIフィンガープリントは、識別される型およびモデルに適用可能なものに限定される。言い換えれば、(方法300のプロセスブロック320における)データベースライブラリからの複数の基準EMIフィンガープリントの検索は、ターゲットデバイスの分類に基づく。プロセスブロック615における処理は完了して、処理は終了ブロック620に進んで、プロセス600は終了する。
【0074】
上記のセンサテレメトリ事前分類解析は、便利なフロントエンド事前処理であって、ターゲットEMIフィンガープリントと繰り返し比較される必要がある基準EMIフィンガープリントの数を大幅に減少させることによって、偽造検出のための自動構成発見に必要な時間および算出負担を減少させる。
【0075】
-EMIフィンガープリントを繰り返し比較する-
再びプロセスブロック325~340を参照して、システムは、ターゲットEMIフィンガープリントと複数の基準EMIフィンガープリントの中の個々の基準EMIフィンガープリントとを繰り返し比較して、ターゲットEMIフィンガープリントおよび個々の基準EMIフィンガープリントの比較された各組間の類似性メトリックを生成する。一実施形態において、M個の基準EMIフィンガープリントの各々とターゲットEMIフィンガープリントとが順番に比較される。この比較プロセスは、(i)生成された類似性メトリックが閾値テストを満たす場合には個々の基準EMIフィンガープリントが見つかるまで、または、(ii)ターゲットEMIフィンガープリントをM個の基準EMIフィンガープリントの各々とを比較した後に類似性メトリックが閾値テストを満たさなくなるまで続く。閾値テストを満たすことは、ターゲットEMIフィンガープリントと基準EMIフィンガープリントとが一致することを意味し、閾値テストを満たさないことは、ターゲットEMIフィンガープリントと基準EMIフィンガープリントとが一致しないことを意味する。
【0076】
一実施形態において、たとえば複数のターゲットデバイスについてEMIフィンガープリントスキャンが完了され、次いでその後のバッチ処理のために格納されるプロセスでは、複数のターゲットユーティリティデバイスからの複数のターゲットEMIフィンガープリントが取得されている。M個の基準EMIフィンガープリントとN個のターゲットEMIフィンガープリントとは、全ての可能な基準-ターゲットペアを体系的に考慮に入れる順列演算を通じて対にされる。上記のように、類似性メトリックは、各比較について生成され、閾値テストを満たすことは一致を意味し、満たさないことは、比較されたEMIフィンガープリント間の不一致を意味する。
【0077】
基準EMIフィンガープリントのうちのいずれかによって類似性メトリックが満たされる場合、システムは、ターゲットデバイスが真正な本物のデバイスであることが実証されたという信号を生成する。いずれの基準EMIフィンガープリントによっても類似性メトリックが満たされない場合、システムは、ターゲットデバイスが偽造である可能性がある、または少なくともデータベースライブラリの中にEMIフィンガープリントを持たない構成で構築されているという信号を生成する。
【0078】
なお、類似性メトリックを満たさないこと、および、結果として得られる、ターゲットデバイスが偽造の可能性があるという信号は、ターゲットデバイス全体が偽造部品で構成されていることを必ずしも意味するものではない。その代わりに、それは、ターゲットデバイスが1つまたは複数の偽造部品を含んでいることが疑われることを意味する。状況によってはターゲットデバイス全体が偽造である場合もあるが、ターゲットデバイスが1つまたはいくつかの内部偽造部品を有しているに過ぎない可能性が高い。これは、ターゲットデバイスが多くの部品からなる大型のシステムである場合に特に当てはまるであろう。本明細書では、ターゲットユーティリティデバイスは、「1つまたは複数の偽造部品を含んでいることが疑われる」の省略表現として「疑わしい/偽造が疑われる」と称され得る。
【0079】
一実施形態において、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100は、(i)いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての類似性メトリックが閾値テストを満たす場合にはターゲットデバイスが本物であるという視覚的表示を生成してグラフィカルユーザインターフェイス上に表示し、(ii)いずれかの個々の基準EMIフィンガープリントについての類似性メトリックが閾値テストを満たさない場合にはターゲットデバイスが疑わしいまたは偽造であるという視覚的表示を生成してグラフィカルユーザインターフェイス上に表示するように構成されている。
【0080】
一実施形態において、この視覚的表示は、グラフィカルユーザインターフェイス上の型、モデルおよび部品構成の説明の表示を含み得る。これは、ターゲットユーティリティデバイスの型、モデルおよび構成番号またはビンテージ情報を表示することと同程度に簡単であり得る。または、この説明は、ターゲットユーティリティデバイスの特定の構成についての追加情報を含み得る。
【0081】
一実施形態において、「緑色光」報知は、各ターゲットユーティリティデバイス(UUT)が内部偽造部品を持たないことが証明された場合に表示される。または、「赤色光アラーム」は、ターゲットユーティリティデバイス(UUT)が1つまたは複数の内部偽造を有していることが疑われる場合に表示される。システムは、たとえばフラグをデータ構造としてデータストア235に格納することによって、サービスおよびセキュリティスタッフによるその後の詳細な解析のためにターゲットユーティリティデバイス(UUT)にフラグを立て得る。
【0082】
一実施形態において、ターゲットデバイスが本物のデバイスであることを信号が示す場合、システムは、ターゲットデバイスが本物であるという視覚的表示をグラフィカルユーザインターフェイス上に表示する。たとえば、この視覚的表示は、ターゲットユーティリティデバイスが「本物である」、「真正である」、「実証されている」ことを示す大きな緑色のアイコン、または、ターゲットユーティリティデバイスのためのターゲットEMIフィンガープリントが本物のデバイスのための基準EMIフィンガープリントと一致することを示す他の文言の表示であってもよい。
【0083】
また、アラームは、真正なシステムであるがデータベースライブラリの中に基準(GS)EMIフィンガープリントがまだない場合にも作動する。このターゲットユーティリティデバイスからスキャンされた型/モデル/構成は、次いで、データベースライブラリの中の当該型およびモデルについての基準(GS)EMIフィンガープリントに追加され得る。通常は、この状況は期待されない。ユーティリティデバイスロールアウト手順は、導入された各々の新たな部品構成について基準(GS)EMIフィンガープリントをデータベースライブラリにアップロードすることを含むからである。したがって、赤色光アラームが安全上の懸念を知らせる可能性がはるかに高い。しかし、このシステムがデータベースライブラリの中に基準(GS)EMIフィンガープリントを含めることができなかった場合の迅速な修正も可能にすることは便利である。さらに、プロセスまたはビジネスの失敗があって許容可能な構成が基準(GS)EMIフィンガープリントのデータベースライブラリに対する最新の更新にならない場合、それはこのステップ中に把握される。
【0084】
-EMIフィンガープリント比較のための信号整列-
ターゲットEMIフィンガープリントと基準EMIフィンガープリントとを比較する際、比較対象の信号は、偽造の可能性があるユーティリティデバイスのフォールスポジティブ検出を回避するために事前に処理(たとえば、クリーニング)されて整列されるべきである。図7は、EMIフィンガープリントの1つの例示的なシグネチャ周波数のための、基準波形(「ゴールデンシステム」または「GS」)(上)705をターゲット波形(「テスト対象ユニット」または「UUT」)(下)710とともに示す図である。基準波形705およびターゲット波形710は、ここでは、任意の信号クリーニングプロセスおよび整列の前の比較のために示されている。波形プロットのx軸上の値は、EMI信号の取得サンプル数を単位として示されており、y軸上の値は、デシベル-ミリワット(dBm)を単位として示されている。サンプリングレートは、基準EMIフィンガープリントとターゲットEMIフィンガープリントとの間で一貫している。図7にプロットされる電力信号のおおよそ矩形波のパターンは、テストシーケンスに従った基準ユーティリティデバイスおよびターゲットユーティリティデバイスのオン/オフ、通電/非通電、高電力/低(無)電力動作によるものである。
【0085】
一実施形態において、信号品質および整列は、ターゲット信号を最適な長さにトリミングすることによって向上する。図8は、フィンガープリントシグネチャにおける振幅の大きな遷移で開始および終了する最適な長さに信号ベクトルをトリミングするために自動エッジ検出が適用された後の基準EMIフィンガープリントおよびターゲットEMIフィンガープリントの両方における同一のEMIフィンガープリントシグネチャ周波数を示す図である。このトリミングにより、基準信号およびターゲット信号が粗く整列される。この整列は、高振幅状態と低振幅状態との間の遷移付近のEMIフィンガープリント間の残差における望ましくないスパイクを防止する。なお、基準(GS)信号(上)805は、ターゲット(UUT)信号(下)810とは位相がずれている。この位相シフトは、両方の信号のサンプルポイントドメインを(x軸に沿って)検査すると目に見える。この位相がずれた整列は不可避である。なぜなら、ターゲットユーティリティデバイスをスキャンする人間によってスキャンが手動で作動されるからである。したがって、一実施形態において、システムは、(i)ターゲット(収集された)EMI信号を基準EMIフィンガープリントのうちの1つまたは複数との比較に最適な長さにトリミングし、(ii)基準EMI信号をターゲット(収集された)EMI信号との比較に最適な長さにトリミングし、または(iii)ターゲット(収集された)EMI信号および基準EMIフィンガープリントの両方を互いに対する比較に最適な長さにトリミングする。
【0086】
一実施形態において、オラクルラボの解析リサンプリングプロセス(ARP)などの位相シフト同期を適用することによって、位相整列がさらに向上し、位相シフトが修正される。図9は、基準(GS)信号およびターゲット(UUT)信号に対するARPを使用した最適同期化の効果を示す図である。元の基準(GS)信号およびターゲット(UUT)信号は、これら2つの信号がいかに大幅に位置ずれしているかを示すために、同一の軸(上)905にプロットされるように示されている。また、基準(GS)信号およびターゲット(UUT)信号は、ARPが適用された後は同一の軸(下)910にプロットされるように示されており、これら2つの信号がいかに実際に同期しているかを示している。したがって、基準(GS)ユーティリティデバイスおよびターゲット(UUT)の蓄えられた時系列EMI信号は、ARPによって最適に同期される。したがって、一実施形態において、システムは、ターゲット(収集された)EMI信号の第1の位相を基準EMIフィンガープリントのうちの1つの第2の位相と同期させる。
【0087】
各シグネチャ周波数が、最も有益であるとしてEMIフィンガープリントに含まれるように選択された最も高い信号対雑音比を有する上位N個の周波数ビンのうちの1つである、ということを想起されたい。一実施形態において、各システムの3D EMIフィンガープリントを表すようにN=20個のビンが選択される。しかし、フレームワークは、柔軟であって、より多くの数またはより少ない数のビンにも拡張可能である。実際には、N=20個のビンが上手くいく。図8を参照して説明した信号ベクトルのトリミングと、図9を参照して説明した位相シフト同期とを含む信号クリーニングおよび整列プロセスは、EMIフィンガープリントのN個全てのシグネチャ周波数(上位の周波数ビン)について反復ループで繰り返される。シグネチャ周波数についての基準(GS)信号とターゲット(UUT)信号との各ペアは、基準EMIフィンガープリントおよびターゲットEMIフィンガープリントのより正確な比較を保証するようにトリミングおよび位相シフトされる。
【0088】
-EMIフィンガープリント表面平均絶対誤差-類似性メトリック-
本明細書では、ターゲットユーティリティデバイスの未知の構成を迅速に推論するために、EMIフィンガープリント表面平均絶対誤差(EMIF SAMEまたはSMAE)と呼ばれる自律的な類似性メトリックまたは「類似」メトリックが導入される。一実施形態において、方法300を参照して説明した類似性メトリックは、EMIフィンガープリント表面平均絶対誤差である。SMAEおよびその成分平均絶対誤差(MAE)は、三次元の表面の区別のための定量的な数値メトリックである。SMAEは、システムのユーザの対話/注意散漫を必要としない、スキャン対象のターゲットユーティリティデバイスの厳密な真正な構成の自動化された経験的な選択を可能にする。
【0089】
2つの3D EMIフィンガープリント表面間の人間目視比較は、類似性の定性的比較のみをもたらす。この定性的比較は、基準(GS)ユーティリティデバイスおよびターゲット(UUT)が好き-好き構成であるか好き-嫌い構成であるかの一貫性のないインジケータである。さらに、人間目視比較は拡大縮小しない。人間は、増えていく作業量を、リソースをシステムに追加することによって処理する能力を持っていない。ここでは、上記のトリミングおよび位相シフト同期後の個々の信号に適用される平均絶対誤差(MAE)と呼ばれる定量的メトリックを導入し、次いで、アセット「フィンガープリント」を表すように選択されるN個全てのシグネチャ周波数についてのEMIフィンガープリントの3D表面にわたる合計である表面MAE(SMAE)を導入する。
【0090】
一実施形態において、類似性メトリックは、基準EMIフィンガープリントとターゲットEMIフィンガープリントとの間の特定の周波数の組における平均絶対誤差に基づく。
【0091】
シグネチャ周波数における基準信号とターゲット信号との間の平均絶対誤差MAEは、以下の式によって表すことができる。
【0092】
【数1】
【0093】
式中、Mはシグネチャ周波数についての振幅-時系列を構成する振幅-時間ペアの総数(ターゲット信号の長さ)であり、iは添え字であり、yは添え字iにおける基準信号の値であり、xは添え字iにおけるターゲット信号の値である。
【0094】
フィンガープリントの各シグネチャ周波数にわたる表面平均絶対誤差SMAEは、以下の式によって表すことができる。
【0095】
【数2】
【0096】
式中、NはEMIフィンガープリントにおけるシグネチャ周波数の総数であり、jは添え字である。したがって、ターゲット(UUT)EMIフィンガープリントについての矩形波時系列全体を基準(GS)EMIフィンガープリントについての矩形波時系列全体から減算して、表面MAEを算出する。
【0097】
図10は、信号比較メトリックを対比するための、例示的な未処理信号についての例示的なトリミングされていない残差1005およびトリミングされた残差1010を示す図である。ARP同期が適用される前およびARP同期が適用された後の基準(GS)EMI信号とターゲット(UUT)EMI信号との間の残差(上)は、信号間の相関関係を判断するために使用されるメトリックである。MAEは、個々の時系列信号の残差のスカラ表現であり、SMAEは、信号群間の累積的相関関係を判断するために使用されるスカラ値である(下)。図から推論することができるように、位相差は、信号間の差を誤って示す可能性があり、ARPは、個々の信号のMAEメトリックの全てを実質的に向上させ、ここでは基準(GS)EMI信号およびターゲット(UUT)EMI信号の全ての順列について一対比較で3D EMIF間の類似性を正確に識別する。
【0098】
ビン残差および表面残差は、トリミング動作およびARP最適同期化の前後にMAEおよびSMAEによって特徴付けられる。なお、元のトリミング前のSMAE1015は大きく、ほぼ560である。信号をトリミングすることにより、ARP前の特徴付け1020に示されるようにSMAEは272に減少する。最終的な最適化された類似性メトリック1025は、たった6というSMAEを示す。この例示的なデータでは、これらの改良が未処理SMAEを560から6に減少させている。これは、ターゲットEMIフィンガープリントと基準EMIフィンガープリントとの間の比較のために設定され得る閾値のサイズの目安になる。
【0099】
-偽造検出のための例示的な自動型-モデル構成発見
一実施形態において、基準EMIフィンガープリントにおける各々の特定の周波数について、基準EMIフィンガープリントにおける特定の周波数における基準振幅-時系列信号とターゲットEMIフィンガープリントにおける特定の周波数におけるターゲット振幅-時系列信号のMSET推定値との間の残差を生成し、生成された残差を組み合わせて類似性メトリックを生成することによって、類似性メトリックが生成される。
【0100】
図11(a)は、偽造検出技術のための自動型-モデル構成発見の概略および手順1100の一実施形態を示す図である。図11(b)は、MSETベースのMAE特徴付けを行う方法の一実施形態を示す図である。図11(a)および図11(b)におけるモジュールについて、番号が付けられた以下のステップでさらに説明する。
【0101】
1.ユーティリティアセット(本明細書では「ユーティリティデバイス」とも称され、矩形波シグネチャのさまざまな変形体を有し、そこからN個の15分間の従来のセンサテレメトリ信号を収集することができる)を通電/非通電する(1103,1105および1107)。
【0102】
2.任意の単一のスカラベースのメトリック(たとえば、MAE)を介してユーティリティアセット型/モデルを分類する(1109)。
【0103】
3.M個の構成を有する分類されたシステムは、スコープスキャンを実行することによって解析されて、M個のEMIフィンガープリントをもたらし、これらM個のEMIフィンガープリントは、基準(GS)EMIフィンガープリントライブラリに格納される。信号対雑音比(SNR)を低減するために、各EMIFを備える微粒子RF周波数(好ましい実施形態では、4000個の微細なビン周波数)はさらに100個の粗い周波数ビンにサブグループ化される(1111,1151~1161)。
【0104】
4.100個のビンから、時系列EMIコンテンツが周波数ドメイン内で顕著な周期性を示す20個の最良周波数ビンが決定される。この顕著な周期性は、ターゲットユーティリティアセット(UUT)上の負荷ダイナミクスを反映している。一実施形態において、20個の最良周波数ビンは。これらの基準周波数ビンは、その後の残りの動作中、不変であって変化しない(1163)。
【0105】
5.ターゲットユーティリティアセット(UUT)も、従来のテレメトリによって分類され、その後、スコープスキャンによって解析され(1113,1115)、微細な周波数ビンは再び合体されて100個の粗い周波数ビンになり、次いで、基準(GS)について前に決定された同一の20個の最良周波数が、スキャン対象の各ターゲットユーティリティアセット(UUT)上で使用される(1111,1151~1161)。UUTの型/モデルに対応する構成EMIFの事前に格納されたGSライブラリがデータベースライブラリから検索される。
【0106】
6.M個の基準(GS)EMIフィンガープリントとN個のターゲット(UUT)EMIフィンガープリントとは、全ての可能な基準-ターゲット(GS-UUT)ペアを体系的に考慮に入れる順列演算を通じて対にされる。次いで、基準GSについての20個の周波数ビンを訓練することによってMSETモデルが構築され、次いで、ターゲットUUTについての20個の周波数ビンについてMSET推定値が生成されて、MSET-UUTをもたらす(1175)。
【0107】
7.それに対応して、GSおよびMSET-UUTの両方についての20個の周波数ビンが再び併合されて、2つの時間的に同期されたEMI表面をもたらす(1177)。
【0108】
8.2つのEMI表面が2D表面減算演算によって処理され、3D空間内にノイズの混ざった2D残差表面を生じさせ(1181)(以下の視覚イメージの例)、この残差表面からMAEが計算されて記録される(1183)。
【0109】
9.GSおよびUUT EMIFの全ての可能なペアにわたってステップ6~8がパラメータ的に繰り返される(ループを規定する1157~1189)。
【0110】
10.高いMAE値を有する基準(GS)とターゲット(UUT)とのペアは、2つのシステムが異なっていることを示唆し(図12に例示)、低いMAE値を有するペアは、それらが同一であることを意味する(図13に例示)。
【0111】
図12は、2つの異なるユーティリティデバイスの比較によって生成された例示的な3D EMI残差表面1200を示す図である。2つの異なるユーティリティデバイスについてのEMIフィンガープリント間の減算および併合演算が、時間的に同期された20個の周波数ビンに対して実行されて、ばらつきが大きい残差表面を生じさせる。この表面から計算されるMAEまたはSMAEは高いであろう。
【0112】
図13は、2つの同様の(または、同一の)ユーティリティデバイスの比較によって生成された例示的な3D EMI残差表面1300を示す図である。2つの同一の(または、同様の)ユーティリティデバイスについてのEMIフィンガープリント間の減算、併合および同期演算が、時間的に同期された20個の周波数ビンに対してビンごとに実行され、次いで、表面全体にわたって集計されて、ばらつきが小さい実質的に平坦な残差表面を生じさせる。この表面から計算されるMAEまたはSMAEは低いであろう。
【0113】
図14は、3D EMI残差表面1200を構成する20個の周波数ビンのうちの1つにわたる2つの異なるユーティリティデバイス間の例示的なEMI信号残差1400を示す図である。一実施形態において、残差における異常対対応する蓄えられたGS周波数時系列は、MSETによって見つけられて特定される。MSET異常アラートは、この残差に対する異常アラートを示す、全てが論理値1を有するドットによって示される(右側のy目盛りを参照)。論理値1におけるドットの実線1405によって示されるように、EMI信号残差1400は常に異常状態にあることがMSETによって特定される。
【0114】
異常なし対対応する蓄えられたGS周波数時系列の信号では、MSET結果に異常はない(論理値0)。
【0115】
図15は、3D EMI残差表面1300を構成する20個の周波数ビンのうちの1つにわたる2つの同様の(または、同一の)ユーティリティデバイス間の例示的なEMI信号残差1500を示す図である。3D残差表面における明白な異常は視覚的に見つからない。これは、MSETによって確認される。異常アラートが無いことは、全てが論理値0を有するドットによって示される(右側のy目盛りを参照)。論理値0におけるドットの実線によって示されるように、EMI信号残差1500は常に非異常(または、適合)状態にあることがMSETによって特定される。
【0116】
-グラフィカルユーザインターフェイス-
図16は、ターゲットユーティリティデバイスのEMIフィンガープリントスキャンの結果を視覚的に表示するためにEMIフィンガープリント偽造スキャナ100のディスプレイ165とともに使用されるグラフィカルユーザインターフェイスの一実施形態の2つの表示を示す図である。
【0117】
一実施形態において、「失敗」表示1600は、ターゲットユーティリティデバイスが既知の有効な構成ではないことを結果に関する信号が示す場合に表示され得る。一実施形態において、「失敗」表示1600は、大きな視覚的インジケータ1605を含み、この視覚的インジケータ1605は、赤色の八角形であり得て、ターゲットデバイスが偽造が疑われる(少なくとも1つの偽造部品を含む)ことを示す。一実施形態において、「失敗」表示1600は、スキャン結果の概要1610も含み得る。
【0118】
一実施形態において、「成功」表示1650は、ターゲットユーティリティデバイスが既知の有効な構成であることを結果に関する信号が示す場合に表示され得る。一実施形態において、「成功」表示1650は、大きな視覚的インジケータ1655を含み、この視覚的インジケータ1655は、緑色の円形であり得て、ターゲットデバイスが本物のデバイスであることを示す。一実施形態において、「成功」表示1650は、スキャン結果の概要1610も含み得て、スキャン結果の概要1610は、ターゲットユーティリティデバイスの型、モデルおよび構成番号またはビンテージ情報を含み得る。
【0119】
一実施形態において、システムはさらに、基準EMIフィンガープリントおよびターゲットEMIフィンガープリントのうちの1つに基づいて、3D残差表面の視覚イメージ1675を生成してグラフィカルユーザインターフェイス上に表示する。別の実施形態では、図12図15を参照して説明したものを含む任意のタイプの視覚イメージがグラフィカルユーザインターフェイス上に表示されてもよい。これは、ターゲットデバイスがなぜ本物であると確認されたか、または確認できなかったかについてのさらに他の情報をユーザに提供することができる。
【0120】
-クラウドまたは企業の実施形態-
一実施形態において、本明細書に示され、記載されているデータベースライブラリおよび/他のシステムの部分は、データベースアプリケーションまたは分散データベースアプリケーションの集合体を含むコンピューティング/データ処理システムである。アプリケーションおよびデータ処理システムは、クラウドベースのネットワーキングシステム、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)アーキテクチャ、プラットフォーム・アズ・ア・サービス(PaaS)アーキテクチャ、インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス(IaaS)アーキテクチャ、または他のタイプのネットワーク接続されたコンピューティングソリューションで動作するか、またはそのようなものとして実現されるように構成され得る。一実施形態において、クラウドコンピューティングシステムは、サーバ側システムであり、このサーバ側システムは、本明細書に開示されている機能のうちの1つまたは複数を提供し、EMIフィンガープリント偽造スキャナ100、または、コンピュータネットワークを介してクラウドコンピューティングシステム(サーバとして機能する)と通信する他のクライアントコンピューティングデバイスを介して多くのユーザによってアクセス可能である。
【0121】
-コンピューティングデバイスの実施形態-
図17は、本明細書に記載されている例示的なシステムおよび方法のうちの1つまたは複数、および/または、それらの等価物で構成および/またはプログラムされた例示的なコンピューティングデバイス1700を示す図である。例示的なコンピューティングデバイスは、バス1725によって作動的に接続されたプロセッサ1710、メモリ1715および入力/出力ポート1720を含むコンピュータ1705であり得る。一例において、コンピュータ1705は、図1図16に示されるロジックおよびシステムと同様のユーティリティアセット構成発見および偽造検出を容易にするように構成されたユーティリティアセット構成発見および偽造検出ロジック1730を含み得る。他の例では、ロジック1730は、ハードウェア、格納された命令を有する非一時的なコンピュータ読取可能媒体、ファームウェアおよび/またはそれらの組み合わせで実現されてもよい。ロジック1730は、バス1725に取り付けられたハードウェアコンポーネントとして示されているが、他の実施形態では、ロジック1730は、プロセッサ1710において実行されてもよく、メモリ1715に格納されてもよく、またはディスク1735に格納されてもよい、ということが理解されるべきである。
【0122】
一実施形態において、ロジック1730またはコンピュータは、記載されているアクションを実行するための手段(たとえば、構造:ハードウェア、非一時的なコンピュータ読取可能媒体、ファームウェア)である。いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイスは、クラウドコンピューティングシステムで動作するサーバ、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)アーキテクチャで構成されたサーバ、スマートフォン、ラップトップ、タブレットコンピューティングデバイスなどであってもよい。
【0123】
上記手段は、たとえば、ユーティリティアセット構成発見および偽造検出用にプログラムされたASICとして実現されてもよい。また、上記手段は、メモリ1715に一時的に格納されてからプロセッサ1710によって実行されるデータ1740としてコンピュータ1705に提供される格納されたコンピュータによって実行可能な命令として実現されてもよい。
【0124】
ロジック1730は、ユーティリティアセット構成発見および偽造検出を実行するための手段(たとえば、ハードウェア、実行可能な命令を格納する非一時的なコンピュータ読取可能媒体、ファームウェア)も提供し得る。
【0125】
コンピュータ1705の例示的な構成について大まかに説明すると、プロセッサ1710は、デュアルマイクロプロセッサおよび他のマルチプロセッサアーキテクチャを含む種々のさまざまなプロセッサであり得る。メモリ1715は、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリを含み得る。不揮発性メモリは、たとえば、ROM、PROMなどを含み得る。揮発性メモリは、たとえば、RAM、SRAM、DRAMなどを含み得る。
【0126】
ストレージディスク1735は、たとえば入力/出力(I/O)インターフェイス(たとえば、カード、デバイス)1745および入力/出力ポート1720を介してコンピュータ1700に作動的に接続され得る。ディスク1735は、たとえば、磁気ディスクドライブ、ソリッドステートディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、テープドライブ、ジップドライブ、フラッシュメモリカード、メモリスティックなどであってもよい。さらに、ディスク1735は、CD-ROMドライブ、CD-Rドライブ、CD-RWドライブ、DVD ROMなどであってもよい。メモリ1715は、たとえばプロセス1750および/またはデータ1740を格納することができる。ディスク1735および/またはメモリ1715は、コンピュータ1705のリソースを制御して割り当てるオペレーティングシステムを格納することができる。
【0127】
コンピュータ1705は、I/Oインターフェイス1745および入力/出力ポート1720を介して入力/出力(I/O)デバイスと対話し得る。入力/出力デバイスは、たとえば、キーボード1780、マイク1784、ポインティングおよび選択デバイス1782、カメラ1786、ビデオカード、ディスプレイ1770、スキャナ1788、プリンタ1772、スピーカ1774、ディスク1735、ネットワークデバイス1755などであってもよい。入力/出力ポート1720は、たとえば、シリアルポート、パラレルポートおよびUSBポートを含み得る。入力/出力デバイスは、ソフトウェア定義無線機1790および関連付けられたアンテナ1792を含み得る。
【0128】
コンピュータ1705は、ネットワーク環境で動作することができ、そのため、I/Oインターフェイス1745および/またはI/Oポート1720を介してネットワークデバイス1755に接続され得る。ネットワークデバイス1755を介して、コンピュータ1705はネットワーク1760と対話し得る。ネットワーク1760を介して、コンピュータ1705はリモートコンピュータ1765に論理的に接続され得る。コンピュータ1705が対話し得るネットワークは、LAN、WANおよび他のネットワークを含むが、それらに限定されるものではない。
【0129】
-定義および他の実施形態-
別の実施形態では、記載されている方法および/またはそれらの等価物は、コンピュータによって実行可能な命令で実現されてもよい。したがって、一実施形態において、非一時的なコンピュータ読取可能/記憶媒体は、マシンによって実行されるとマシン(および/または、関連付けられた構成要素)に方法を実行させるアルゴリズム/実行可能なアプリケーションの格納されたコンピュータによって実行可能な命令で構成されている。例示的なマシンは、プロセッサ、コンピュータ、クラウドコンピューティングシステムで動作するサーバ、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)アーキテクチャで構成されたサーバ、スマートフォンなどを含むが、それらに限定されるものではない。一実施形態において、コンピューティングデバイスは、開示されている方法のうちのいずれかを実行するように構成された1つまたは複数の実行可能なアルゴリズムで実現される。
【0130】
1つまたは複数の実施形態において、開示されている方法またはそれらの等価物は、方法を実行するように構成されたコンピュータハードウェア、または、非一時的なコンピュータ読取可能媒体に格納されたモジュールにおいて具体化されるコンピュータ命令のいずれかによって実行され、これらの命令は、少なくともコンピューティングデバイスのプロセッサによって実行されると方法を実行するように構成された実行可能なアルゴリズムとして構成されている。
【0131】
説明を簡単にするために、図面に示されている手法は、アルゴリズムの一連のブロックとして示され、説明されているが、これらの手法はブロックの順序によって限定されるものではないということが理解されるべきである。いくつかのブロックは、異なる順序で行われてもよく、および/または、示され、説明されているブロック以外のブロックと同時に行われてもよい。さらに、示されている全てのブロックよりも少ないブロックを使用して例示的な手法を実現してもよい。ブロックは、組み合わせられてもよく、または複数のアクション/構成要素に分離されてもよい。さらに、さらに他のおよび/または代替的な手法は、ブロックに示されていないさらに他のアクションを用いてもよい。
【0132】
以下は、本明細書で用いられる選択された用語の定義を含む。これらの定義は、用語の範囲内に含まれる、実現のために使用され得る構成要素のさまざまな例および/または形態を含む。これらの例は、限定的であるよう意図されるものではない。用語の単数形も複数形も定義の範囲内である。
【0133】
「一実施形態」、「実施形態」、「一例」、「例」などへの言及は、そのように記載された実施形態または例が特定の特徴、構造、特性、性質、要素または制約を含み得るが、全ての実施形態または例が必ずしも当該特定の特徴、構造、特性、性質、要素または制約を含むものではないということを意味する。さらに、「一実施形態において」というフレーズの反復使用は、同一の実施形態を指す場合もあるが、必ずしもそうではない。
【0134】
ASIC:特定用途向け集積回路
CD:コンパクトディスク
CD-R:記録可能なCD
CD-RW:書換可能なCD
DVD:デジタル多用途ディスクおよび/またはデジタルビデオディスク
LAN:ローカルエリアネットワーク
RAM:ランダムアクセスメモリ
DRAM:ダイナミックRAM
SRAM:同期RAM
ROM:リードオンリメモリ
PROM:プログラム可能なROM
EPROM:消去可能なPROM
EEPROM:電気的に消去可能なPROM
USB:ユニバーサルシリアルバス
XML:拡張可能マークアップ言語
WAN:ワイドエリアネットワーク
本明細書で用いられる「データ構造」は、メモリ、ストレージデバイスまたは他のコンピュータ化されたシステムに格納される、コンピューティングシステムにおけるデータの編成である。データ構造は、たとえばデータフィールド、データファイル、データアレイ、データレコード、データベース、データテーブル、グラフ、ツリー、リンク付きリストなどのうちのいずれかであってもよい。データ構造は、多くの他のデータ構造から形成され、多くの他のデータ構造を含んでもよい(たとえば、データベースは多くのデータレコードを含む)。他の実施形態に従って、データ構造の他の例も可能である。
【0135】
本明細書で用いられる「コンピュータ読取可能媒体」または「コンピュータ記憶媒体」は、実行されると開示されている機能のうちの1つまたは複数を実行するように構成された命令および/またはデータを格納する非一時的な媒体を指す。いくつかの実施形態において、データは命令として機能し得る。コンピュータ読取可能媒体は、不揮発性媒体および揮発性媒体を含むがそれらに限定されない形態をとり得る。不揮発性媒体は、たとえば光ディスク、磁気ディスクなどを含み得る。揮発性媒体は、たとえば半導体メモリ、ダイナミックメモリなどを含み得る。コンピュータ読取可能媒体の一般的な形態は、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス、コンパクトディスク(CD)、他の光媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、メモリチップもしくはカード、メモリスティック、ソリッドステートストレージデバイス(SSD)、フラッシュドライブ、および、コンピュータ、プロセッサもしくは他の電子デバイスが一緒に機能することができる他の媒体を含み得るが、それらに限定されるものではない。各タイプの媒体は、一実施形態において実現のために選択される場合、開示および/またはクレームされている機能のうちの1つまたは複数を実行するように構成されたアルゴリズムの格納された命令を含み得る。
【0136】
本明細書で用いられる「ロジック」は、コンピュータもしくは電気ハードウェア、実行可能なアプリケーションもしくはプログラムモジュールの格納された命令を有する非一時的な媒体、および/または、それらの組み合わせで実現されて、本明細書に開示されている機能もしくはアクションのうちのいずれかを実行し、および/または、別のロジック、方法および/もしくはシステムからの機能もしくはアクションを本明細書に開示されているように実行させる構成要素を表す。等価のロジックは、ファームウェア、アルゴリズムでプログラムされたマイクロプロセッサ、ディスクリートロジック(たとえば、ASIC)、少なくとも1つの回路、アナログ回路、デジタル回路、プログラムされたロジックデバイス、アルゴリズムの命令を含むメモリデバイスなどを含み得て、それらはいずれも開示されている機能のうちの1つまたは複数を実行するように構成され得る。一実施形態において、ロジックは、開示されている機能のうちの1つまたは複数を実行するように構成された1つまたは複数のゲート、ゲートの組み合わせ、または他の回路構成要素を含み得る。複数のロジックが記載されている場合には、これら複数のロジックを1つのロジックに統合することが可能であろう。同様に、単一のロジックが記載されている場合には、当該単一のロジックを複数のロジックに分配することが可能であろう。一実施形態において、これらのロジックのうちの1つまたは複数は、開示および/またはクレームされている機能を実行することに関連付けられた対応する構造である。どのタイプのロジックを実現するかの選択は、所望のシステム条件または仕様に基づき得る。たとえば、高速化が検討事項である場合には、機能を実現するためにハードウェアが選択されるであろう。低コスト化が検討事項である場合には、機能を実現するために格納された命令/実行可能なアプリケーションが選択されるであろう。
【0137】
「作動的な接続」またはエンティティが「作動的に接続される」接続は、信号、物理的通信および/または論理的通信が送信および/または受信され得るものである。作動的な接続は、物理インターフェイス、電気的インターフェイスおよび/またはデータインターフェイスを含み得る。作動的な接続は、作動的な制御を可能にするのに十分なインターフェイスおよび/または接続のさまざまな組み合わせを含み得る。たとえば、2つのエンティティは、直接的にまたは1つもしくは複数の中間エンティティ(たとえば、プロセッサ、オペレーティングシステム、ロジック、非一時的なコンピュータ読取可能媒体)を介して互いに信号を通信するように作動的に接続されることができる。論理的および/または物理的通信チャネルを使用して作動的な接続を作成することができる。
【0138】
本明細書で用いられる「ユーザ」は、1つまたは複数の人、コンピュータもしくは他のデバイス、またはそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されるものではない。
【0139】
開示されている実施形態を相当詳細に示し、説明してきたが、添付の特許請求の範囲をこのような詳細に制限またはいかようにも限定することを意図しているわけではない。当然のことながら、主題のさまざまな局面を説明することを目的として構成要素または手法の考えられる全ての組み合わせを説明することは不可能である。そのため、本開示は、示され、記載されている具体的な詳細または例示的な例に限定されるものではない。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲内に含まれる修正例、変形例および変更例を包含するよう意図されている。
【0140】
「含む(includes)」または「含んでいる(including)」という用語は、詳細な説明または特許請求の範囲で用いられる限りにおいて、当該用語が請求項で移行語として用いられる場合に解釈されるように、「備えている(comprising)」という用語と同様に包含的であるよう意図されている。
【0141】
「または」という用語は、詳細な説明または特許請求の範囲で用いられる(たとえば、AまたはB)限りにおいて、「AまたはBまたはそれら両方」を意味するよう意図されている。出願人が「AのみまたはBのみであって、両方ではない」ことを示したい場合には、「AのみまたはBのみであって、両方ではない」というフレーズが使用されるであろう。したがって、本明細書における「または」という用語の使用は、包含的使用であって排他的使用ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11(a)】
図11(b)】
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】