(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】キトサンで架橋されたポリ尿素カプセル
(51)【国際特許分類】
B01J 13/10 20060101AFI20230323BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20230323BHJP
D06M 23/12 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
B01J13/10
C11D3/50
D06M23/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525276
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 IB2021000098
(87)【国際公開番号】W WO2021161107
(87)【国際公開日】2021-08-19
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516195258
【氏名又は名称】エンカプシス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】フェン、リンシェン
【テーマコード(参考)】
4G005
4H003
4L031
【Fターム(参考)】
4G005AA01
4G005AB25
4G005BA07
4G005BB13
4G005BB15
4G005DB17Y
4G005DC46Y
4G005DD39Z
4G005DE05Z
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4H003BA12
4H003DA01
4H003FA26
4L031AA02
4L031AA18
4L031AB31
4L031DA13
(57)【要約】
有益剤をカプセル化するポリ尿素キトサンマイクロカプセルの改良された形成方法が記載されている。本発明の方法は、6.5以下のpHの酸性媒体中でキトサンを長時間加水分解し、ポリイソシアネートと混ぜ合わせることによって水相を形成することを含む。加水分解されたキトサンとポリイソシアネートの反応生成物は、放出特性が改良され、試験法OECD 301Bにおいて崩壊性が向上したマイクロカプセルを製する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、コアを囲むシェルとを含むマイクロカプセル群の形成方法であって、該方法は、
キトサンを6.5以下のpHで少なくとも60℃の温度の水性酸性媒体中で少なくとも1時間加水分解することによって水相を形成することと、
少なくとも1つの有益剤と少なくとも1つのポリイソシアネートを選択的に追加の油で溶解することによって油相を形成することと、
高せん断撹拌下で水相および油相を過剰の水相内に混合し、これにより水相に分散した油相と有益剤からなる小滴を形成することによってエマルジョンを形成し、選択的にエマルジョンのpHをpH2~pH6の範囲内になるように調節することと、
小滴の界面に水相によってシェルを形成するために充分な時間、少なくとも40℃に加熱することによってエマルジョンを硬化させることと、を含み、シェルはポリイソシアネートと加水分解されたキトサンの反応生成物を含み、シェルは油相と有益剤の小滴を含むコアを囲む方法。
【請求項2】
キトサンはpH2~pH6.5のpH範囲および少なくとも45℃の温度で加水分解されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
加水分解工程のキトサンは、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%または少なくとも92%、脱アセチル化されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
加水分解工程のキトサンは、95kDa以下の平均サイズに解重合されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
形成されたシェルは、シェルの重量基準でキトサンの含有量が少なくとも21重量%のキトサンポリ尿素であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記マイクロカプセル群は、水性スラリーを含み、これはその中に加水分解された残留キトサンを有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
水性スラリーは、噴霧乾燥され、スラリーからマイクロカプセル上に堆積した加水分解された残留キトサンの層でオーバーコートされたマイクロカプセルを形成することを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
油相中のイソシアネートに対する水相中の加水分解されたキトサンの比は、重量基準で21:79~90:10または1:2~10:1または1:1~7:1であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン-付加物、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン-付加物、メチレンジフェニルイソシアネート、トルエンジイソシアネート、テトラメチルキシリデンジイソシアネート、ナフタレレン-1,5-ジイソシアネートおよびフェニレンジイソシアネートからなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
マイクロカプセルを乾燥させ、乾燥時に破砕し、コアを放出することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項11】
コア-シェルマイクロカプセルを含む組成物であって、コアは有益剤を含み、シェルは、ポリイソシアネートとキトサンの反応生成物を含むポリ尿素樹脂を含み、
キトサンが最初に6.5以下のpH、または6.5未満のpHまたは3~6のpHで少なくとも60℃の温度の酸性媒体中で少なくとも1時間、加水分解され、
シェルの少なくとも21重量%は、加水分解されたキトサンから派生した部分を含み、
シェルは、試験法OECD 301Bに従って試験した際に少なくとも14日で少なくとも40%崩壊する組成物。
【請求項12】
マイクロカプセルは、乾燥すると破裂し、有益剤を放出することを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項13】
加水分解されたキトサンに対するポリイソシアネートの比は、重量基準で79:21~10:90または2:1~1:10または1:1~1:7であることを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項14】
シェルは、コア-シェルマイクロカプセルの1~15重量%であることを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項15】
ポリイソシアネートは、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン-付加物、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン-付加物、メチレンジフェニルイソシアネート、トルエンジイソシアネート、テトラメチルキシリデンジイソシアネート、ナフタレレン-1,5-ジイソシアネートおよびフェニレンジイソシアネートからなる群から選択されることを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項16】
シェルは試験法OECD 301Bに従って試験した際に少なくとも20日後、少なくとも50%崩壊することを特徴とする請求項15記載の組成物。
【請求項17】
キトサンは少なくとも50%の脱アセチル化度を有することを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項18】
コア-シェルマイクロカプセルは、重量基準で99:1以下、または99.5:1以下のシェルに対するコアの比を有することを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項19】
有益剤は、香水、芳香剤、農業用活性剤、相変化材料、精油、潤滑剤、着色剤、保存料、抗菌活性剤、抗真菌活性剤、除草剤、抗ウイルス剤、防腐剤、酸化防止剤、生物学的活性剤、脱臭剤、軟化剤、湿潤剤、スクラブ剤、紫外線吸収剤、腐食防止剤、シリコーン油、ワックス、漂白粒子、衣料用柔軟剤、消臭剤、染料、漂白剤、制汗剤およびそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項20】
コア-シェルマイクロカプセルは、1~100ミクロンの平均粒径を有することを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項21】
マイクロカプセルはカチオン性であることを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項22】
マイクロカプセルは、4.5のpHで少なくとも15mVのゼータ電位を有することを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項23】
シェルは、試験法OECD 301Bに従って試験した際に少なくとも28日後、少なくとも60%崩壊することを特徴とする請求項15記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカプセルの製造方法およびその方法で作製されるマイクロカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロカプセル化の種々の工程およびその典型的な方法および材料がSchwantes(米国特許第6,592,990号)、Nagai等(米国特許第4,708,924号)、Baker等(米国特許第4,166,152号)、Wojciak(米国特許第4,093,556号)、Matsukawa等(米国特許第 3,965,033号)、Matsukawa(米国特許第3,660,304号)、Ozono(米国特許第4,588,639号)、Irgarashi等(米国特許第 4,610,927号)、Brown等(米国特許第4,552,811号)、Scher(米国特許第4,285,720号)、Shioi等(米国特許第4,601,863号)、Kiritani等(米国特許第3,886,085号)、Jahns等(米国特許第5,596,051号および同第5,292,835号)、Matson(米国特許第3,516,941号)、Chao(米国特許第6,375,872号)、Foris等(米国特許第4,001,140号、同第4,087,376号、同第4,089,802号および同第4,100,103号)、Greene等(米国特許第2,800,458号、同第2,800,457号および同第2,730,456号)、Clark(米国特許第 6,531,156号)、Saeki等(米国特許第4,251,386号および同第4,356,109号)、Hoshi等(米国特許第4,221,710号)、Hayford(米国特許第4,444,699号)、Hasler等(米国特許第5,105,823号)、Stevens(米国特許第4,197,346号)、Riecke(米国特許第4,622,267号)、Greiner等(米国特許第4,547,429号)およびTice等(米国特許第5,407,609号)に記載されており、とりわけKirk-Othmer Encyclopedia の Chemical TechnologyのV.16、438~463頁に“マイクロカプセル化”と題された章にHerbigによって教示されている。
【0003】
本出願を通して説明する各特許は、それぞれマイクロカプセル化および材料に関するガイダンスを提供する程度に参照することで本明細書に引用したものとする。
【0004】
Jabs等による米国特許第4,847,152号は、ポリ尿素壁を有するマイクロカプセルを教示している。壁は、芳香族イソシアネートとイソシアネート反応基との反応生成物である。イソシアネート反応基としてはN-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、エチレン-1,2-ジアミンなどのジアミンおよびポリアミンが挙げられる。
【0005】
Hotz等による米国特許出願公報第2013/0089590号は、ポリウレア壁を有する芳香マイクロカプセルを教示している。シェルは少なくとも2つの二官能性イソシアネートと二官能性アミンの反応生成物である。
【0006】
Maruyyamaによる欧州特許第1693104号は、多官能性イソシアネートと多官能性アミンの重縮合から得られるポリウレタンまたはポリ尿素壁を有するマイクロカプセルを開示している。
【0007】
米国特許第9,816,059号は、油のコアをカプセル化するポリ尿素カプセルについて記載しており、ポリ尿素は多官能性イソシアネートと多官能性アミンの反応生成物である。多官能性アミンとしては、ヘキサメチレンジアミンおよびキトサンを含む他のアミンを含む。キトサンは、この取り扱いの難しい材料の対処の仕方のガイダンスも例も示されていないが、安定剤、多官能性アミン、コーティングとして言及されている。
【0008】
キトサンは、多糖類であり、マイクロカプセル化工程に使用するのが難しい材料である。キトサンは、pH7超で水に不溶であり、そして約pH6.5未満でカチオン性である。キトサンは、塩酸、乳酸、プロピオン酸、コハク酸、酢酸、クエン酸およびリン酸などの低pHの酸性溶液に可溶であり、取り扱いが困難な粘性溶液を形成するが、一般にpH7超の水に不溶である。4未満のpH値ではキトサンのアミノ基が静電反発力を促進させ、ポリマーが膨張する。酸性溶液中では遊離アミノ基は、隣接する酸素基と水素結合を形成すると考えられている。
【0009】
溶解した多糖類はプラスに帯電した-NH3
+基を有し、アニオン性の面に付着する。キトサンは多価陰イオンと凝集体を形成し、重金属をキレート化する。
【0010】
当業界では良好な塗着効率、少ない遊離油として評価される低漏出、約7未満のpHでカチオン電荷を有するという点で改良された特性を有するポリ尿素型マイクロカプセルのニーズが存在する。キトサンを可溶性の架橋剤として有用にすることができれば、良好なポリ尿素壁材が可能になる。
【0011】
本発明は、現在の当業界の上述の欠陥をキトサンで架橋されたポリ尿素マイクロカプセルの改良を教示することによって克服する。キトサンは、加水分解され、キトサンが5超のpHであっても可溶になるようにし、界面カプセル化などのマイクロカプセル化工程に使用できるようにする。
【0012】
当業界では一般にキトサンはマイクロカプセル化において壁を形成できる成分として言及されているが、この取り扱いの難しい材料をどのように実践的に利用するかについての教示は殆ど無い。
【0013】
キトサンは、一般に水、アルカリそして殆どの有機溶媒に不溶である。酸性の低pH条件下であっても溶解度は一般に2重量%未満である。組成は、粘着性であり、取り扱いにくく、かなりの希釈を必要とする。2重量%未満のキトサン濃度では界面マイクロカプセル化に適さない。
【0014】
キトサンは、高いpHでは不溶であり、カプセル形成条件下でのカプセル形成は、7または9のpHまたはさらによりアルカリ性の条件を伴い、これはキトサンが界面カプセル化に適さなくなる実質的に不溶の粘着性の塊になる条件を表している。
【0015】
キトサンの処理の技術的課題を克服し、水相で2重量%超の有用な濃度で提供し、キトサン尿素ポリマーシェル形成を成功させる高キトサン濃度のキトサンポリ尿素組成物のニーズがある。
【0016】
キトサンはLei等による米国特許出願公報第2013/0330292などにはポリ尿素カプセルを調製するための架橋剤として言及されているが、Leiは、キトサンの採用の仕方について説明していない。キトサンは、低いpHでのみ可溶であり、高いpHレベルでは可溶ではない。pHが高くなるにつれてキトサンは溶液中で沈殿する。また高い分子量によってキトサンは、架橋剤としては極めて使用しにくい材料である。
【0017】
Bulgarelli等による国際出願公開パンフレット第2019063515号は、固体のキトサンを加えることによってLeiの欠陥を克服している。Bulgarelliは、エマルジョンの水相にキトサンを加えることを教示している。非プロトン化キトサンは、80℃の反応温度に到達すると添加される。特許請求の範囲ではキトサンが固体で加えられると記載しているが、Bulgarelliは、固体のキトサンの溶解の仕方についての例を教示していない。キトサンは、アルカリ性のpHまたは5を超えるpHであっても沈殿することが知られている。
【0018】
ポリ尿酸カプセルは、ホルムアルデヒドを含まないという利点があるので特定の用途において説明されている。今まで説明されてきたポリ尿素系の力学的特性は、洗剤、クリーナー、界面活性剤を有する組成物、変性剤または長時間の貯蔵の際にカプセルの性能にマイナスの影響を与えやすい他の材料などの特定の困難な用途に必要とされるコアの保持特性を有していなかった。従来可能であった濃度より高い濃度でキトサンを組み込む、追加の架橋剤を必要としないまたは漏出の少ないポリ尿素キトサンは、当業界において進歩になるであろう。そのように得られる組成物の改良された保存安定性、低漏出および崩壊性は有益になるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明により調製されたマイクロカプセルのゼータ電位のグラフである。
【
図2】本発明により調製されたマイクロカプセルのゼータ電位のグラフである。
【発明の概要】
【0020】
本発明は、コアと、コアを囲むシェルとを含むマイクロカプセル群を形成する組成物および方法に関し、この方法は、6.5以下のpHで少なくとも60℃の温度の酸性媒体中で少なくとも1時間キトサンを加水分解することを含む。加水分解されたキトサンの水相は上述の方法で形成される。加えて少なくとも1つの有益剤と少なくとも1つのポリイソシアネートを油相中に溶解または分散させることによって油相が形成される。有益剤は、大抵それ自体がポリイソシアネートと有益剤が一緒に溶けたまたは任意に添加された油を含む油相の油になり得る。高せん断撹拌下で水相と油相とを過剰の水相内に混合し、これにより水相に分散した油相と有益剤からなる小滴を形成することによってエマルジョンが形成され、この小滴は、コアーシェルマイクロカプセルのコアを含む。選択的にエマルジョンのpHをpH2~pH6の範囲内で調節することができる。エマルジョンを次に小滴の界面に水相によってシェルを形成するために十分な時間、少なくとも40℃またはさらに少なくとも60℃に加熱することによって硬化させるシェルは、ポリイソシアネートと加水分解されたキトサンとの反応物を含むポリ尿素であり、シェルは、油相と有益剤からなる小滴を囲む。多くの用途において目的とする滴径は、0.1~80ミクロン、さらには0.5~50ミクロンである。
【0021】
別の実施態様ではキトサンは、最初にpH3~pH6のpHなどの6.5未満のpHで少なくとも40℃、またはさらには少なくとも60℃またはさらには少なくとも80℃の温度で加水分解されることにより処理される。pHおよび温度に依存する加水分解時間は、大まかにしかしながら通常は少なくとも1時間、または少なくとも24時間になり得る。このような処理によって本発明の実施態様のいずれかの加水分解工程におけるキトサンは、少なくとも50%またはさらには少なくとも75%またはさらには少なくとも80%またはさらには少なくとも85%またはさらには少なくとも92%に脱アセチル化される。加水分解工程におけるキトサンは、95キロダルトン(kDa)以下の平均サイズに解重合されるのが望ましい。形成されたシェルは、ポリ尿素であり、イソシアネートモノマー、オリゴマーまたはプレポリマーのいずれかおよび加水分解されたキトサンを含むポリイソシアネートの反応生成物である。そのマイクロカプセル群は、水性スラリーを含む、あるいはこれとは別に基材上に噴霧してもよく、またはこれとは別に噴霧乾燥させて、形成されたマイクロカプセルの表面にさらにキトサンが堆積したポリ尿素-キトサンシェルが得られる。水性スラリー中の未反応のキトサンは、取り除かれなければ、形成されたマイクロカプセルの表面に堆積したさらなるキトサンを形成し得る。
【0022】
1つの実施態様ではマイクロカプセルを乾燥させ、乾燥させると破砕し、これによりコアを放出する。この実施態様は、香りを放出するクリーナーまたは農業用活性剤などの有益剤による農耕に利用することができる。乾燥すると破砕するドライ-ポップ型カプセルは、硬化時間の調節およびより薄い壁を有するカプセルを得るための温度調節などの反応条件を調節することで形成される。より長い硬化時間でより高い温度での硬化は、より高い架橋密度および脆性の向上を促進させる。0.1ナノメータ~約300ナノメータのような薄い壁は、それ自体で乾燥時に壊れやすくなる傾向がある。ドライ-ポップの実施態様であっても本発明のカプセルは、低漏出性および乾燥前のカプセルスラリー内のコアの良好な保持性を示す。
【0023】
特定の実施態様においてポリ尿素シェル中のキトサンは、ポリイソシアネートの量と比較してシェル全体の21重量%~85重量%または90重量%であってもよい。
【0024】
特定の実施態様において本発明の方法は、(ポリイソシアネートの量と比較して)ポリ尿素シェルにシェル全体の21重量%以上、より具体的には21重量%~90重量%または21重量%~85重量または21重量%~75重量%または21重量%~55重量%のキトサンを有するコア-シェルマイクロカプセルのポリ尿素シェルを可能にする。
【0025】
別の実施態様において本発明のキトサンポリ尿素カプセルは、ポリマー中に高い割合のキトサン部分を有する反応ポリマーシェルを形成することを可能にする。ポリマーシェルの尿素に対するキトサンの重量比は、21重量%キトサン、または21重量%~40重量%キトサン、または21重量%~60重量%キトサン、または25重量%~80重量%キトサンまたは90重量%までキトサンであってもよい。キトサンポリ尿素マイクロカプセルのこのような高い重量割合のキトサンにより界面型のカプセル化工程ではいままで達成できなかった良好なカプセル系を可能にする。本発明の方法および組成物は、本発明のポリマーがキトサンポリ尿素ポリマーシェルを形成するポリ尿素構成モノマー、オリゴマーおよびプレポリマーと共有架橋されるのでコアセルベーション系のイオン型工程とは異なる。
【0026】
本発明の組成物はコア-シェルマイクロカプセルを含み、コアは有益剤を含み、シェルは、イソシアネートモノマー、オリゴマーまたはプレポリマーと加水分解されたキトサンとの反応によって形成されたポリ尿素樹脂を含む。キトサンは、最初に6.5以下のpHの酸性媒体中で少なくとも60℃の温度で少なくとも1時間加水分解される。
【0027】
低いpHではキトサン中の遊離アミンがプロトン化される。本発明の目的のためにキトサンは、モノマー、オリゴマー、プレポリマーおよびそれらのポリマーを包含するものである。キトサンがプロトン化されると、キトサンは、架橋剤として作用する能力を失うと従来は理解されていた。またキトサンは、低いpH、一般にはpH4未満でエマルジョンとしての作用を停止する。
【0028】
意外にも低pHで本発明により形成されたカプセルは、尿素(またはポリイソシアネート)に対して高い重量%でキトサンを含み、低漏出の密なカプセルであるだけでなく、そのようなカプセルは比較的短期間で崩壊性を示す。本発明によるマイクロカプセルは、異なる反応条件下で同じまたは類似の材料で形成されたカプセルに比較して崩壊しやすい。僅かな反応条件の違いで予測しなかった著しく異なる性質のカプセル化が生じる。その効果は、キトサンの加水分解工程でpHが約pH4、またはpH2~6またはpH3~5、しかしながら、好ましくはpH3.5~5に調節される反応でより顕著になる。pH6超で加水分解されたキトサンで作製されたカプセルの場合、そのカプセルシェルは、OECD 301B法により最小の生分解性を示した。しかしながら、カプセルは、pH5以下で加水分解されたキトサンで作製された場合、カプセルシェルは28日で60%劣化した。崩壊性は、加水分解のpHがpH6未満になると増加する。
【0029】
本発明のカプセル形成工程におけるキトサンは、最初に酸性条件下(pH6.5以下)で加水分解される。選択的にキトサンは、2~6.5のpHまたは4~6のpHで加水分解される。これにより水溶性であって、それでもエマルジョンとして作用するまたはエマルジョンの必要性に取って代わる能力を保持し、追加のエマルジョンを任意にする脱アセチル化され、解重合されたキトサンが得られる。
【0030】
本発明によるマイクロカプセルは、pH4.5で少なくとも15ミリボルト(mV)またはpH4.5で少なくとも40mVまたはpH4.5で少なくとも60mVのゼータ電位を有するように作製される。そのようなマイクロカプセルは、カチオン性であり、アニオン性表面への堆積が望まれる用途に有用である。高いpHではカプセルは非イオン性またはアニオン性になる。
【0031】
1つの実施態様では加水分解されたキトサンに対するイソシアネートモノマー、オリゴマーまたはプレポリマーの比は、最大で重量で1:10である。ポリイソシアネートシェルの重量%としてキトサンは、シェルの僅か21%から95%まである。マイクロカプセル全体の重量基準でシェルは、少なくとも5重量%のコア-シェルマイクロカプセルを含み、または少なくとも3重量%または少なくとも1重量%のコア-シェルマイクロカプセルをそして15重量%以下のコア-シェルマイクロカプセルを含む。キトサンは少なくとも75%または少なくとも85%または少なくとも92%の脱アセチル化度を有する。特定の実施態様のコア-シェルマイクロカプセルのシェルに対するコア比は、重量基準で約99:1または99.5:0.5である。コア-シェルマイクロカプセルの有益剤は、芳香剤、農業用活性剤、相変化物質および本明細書中で説明するような他の活性剤から選択することができる。本発明のコア-シェルマイクロカプセルは、1~100ミクロンの平均粒径を通常有する。異なる粒径も乳化の際に滴径を制御することによって得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、改良されたポリ尿素マイクロカプセルを教示する。本発明でポリ尿素マイクロカプセルは、第1の工程でキトサンを加水分解し、加水分解されたキトサンの水溶液を作製することによって良好に調製される。加水分解されたキトサンは、コア-シェルマイクロカプセルを形成するための架橋剤として酸性から中性のpHで利用することができる。少なくとも2または3または少なくとも4のpHは、加水分解されたキトサンとイソシアネートモノマーの架橋を促進させる水相に有用である。
【0033】
本発明において加水分解されたキトサンは、ポリ尿素カプセルを調製するための架橋剤および乳化剤の両方として使用される。加水分解は、キトサンを脱アセチル化および解重合するのに有益であり、加水分解しなければ取り扱い困難な材料を安定化させる。本発明においてキトサンは、ジャケット付き反応器中の水に加えられ、2~または3~6.5のpHで濃縮HClなどの酸を使用して調節される。この混合物のキトサンは、85℃などの高温に60分間熱せられて加水分解され、その後この温度で1分~1440分、またはそれ以上保持される。その水相は、次に25℃に冷却される。任意に脱アセチル化を酵素でさらに促進または向上させてキトサンを解重合または脱アセチル化してもよい。油相は、キシリレンジイソシアネート(XDI)のトリマーまたはメチレンジフェニルイソシアネート(MDI)のポリマーを25℃の油に溶かすことによって調製される。希釈剤、例えばミリスチン酸イソプロピルを使用して油相の親水性を調節してもよい。油相は次に水相に加えられ、目的の大きさにするために高速で粉砕される。次に得られたエマルジョンを40℃、30分加熱し、40℃、60分間保持するなどの1つ以上の加熱工程で硬化させる。時間および温度はおおよそである。温度と時間は油相と水の連続相との界面でシェルを形成し、硬化させるのに充分な温度と時間が選択される。例えば、エマルジョンを85℃、60分間加熱し、85℃で360分間保持してカプセルを硬化させる。次にスラリーを室温に冷ます。
【0034】
本発明に有用なポリイソシアネートは、イソシアネートモノマー、イソシアネートオリゴマー、イソシアネートプレポリマーまたは脂肪族または芳香族イソシアネートのダイマーまたはトリマーなどが本発明の目的に合うと考えられている。このようなモノマー、プレポリマーまたはは脂肪族または芳香族イソシアネートのダイマーまたはトリマーは全て本明細書では「ポリイソシアネート」なる用語に包含されるものとする。
【0035】
ポリイソシアネートは、2以上のイソシアネート官能基の脂肪族または芳香族モノマー、オリゴマーまたはプレポリマーである。例えば、ポリイソシアネートは、カプセル化の壁形成に使用される芳香族トルエンジイソシアネートまたはその誘導体または脂肪族モノマー、オリゴマーまたはプレポリマー、例えばヘキサメチレンジイソシアネートおよびそのダイマーまたはトリマーまたは3,3,5-トリメチル-5-イソシアナートメチル-1-イソシアナートシクロヘキサンテトラメチレンジイソシアネートから選択することができる。ポリイソシアネートは、1,3-ジイソシアナート-2-メチルベンゼン、水素化MDI、ビス(4-イソシアナートシクロヘキシル)メタン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネートおよびそれらのオリゴマーおよびプレポリマーから選択することができる。このリストは例示であり、本発明に有用なポリイソシアネートを限定することを意図するものではない。
【0036】
本発明に有用なポリイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート基を有するイソシアネートモノマー、オリゴマーまたはプレポリマーまたはそれらのダイマーまたはトリマーを含む。最適な架橋剤は少なくとも3つの官能基を有するポリイソシアネートによって得られる。
【0037】
本発明の目的のためのポリイソシアネートは、少なくとも2つのイソシアネート基を有し、モノマー、オリゴマーまたはプレポリマーに脂肪族または芳香族部分を含むあらゆるポリイソシアネートを包含するものと理解されている。芳香族の場合、芳香族部分は、フェニル、トリル、キシリル、ナフチルまたはジフェニル部分、より好ましくはトリルまたはキシリル部分を含む。本発明の目的の芳香族ポリイソシアネートは、ビウレットおよびポリイソシアヌレートなどのジイソシアネート誘導体を含む。芳香族の場合ポリイソシアネートは、メチレンジフェニルイソシアネート、トルエンジイソシアネート、テトラメチルキシリデンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートのポリイソシアヌレート(商品名DesmodurR RCでBayerから入手可能である)、トルエンジイソシアネートのトリメチロールプロパン-付加物(商品名DesmodurR L75でBayerから入手可能である)またはキシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン-付加物(商品名TakenateR D-110Nで三井化学から入手可能である)、ナフタレレン-1,5-ジイソシアネートおよびフェニレンジイソシアネートであってもよい。
【0038】
脂肪族であるポリイソシアネートは、芳香族部分を全く含まないポリイソシアネートと理解される。芳香族ポリイソシアネートの方が好ましいが、脂肪族ポリイソシアネートおよびそのブレンドも使用可能である。脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリマー、イソフォロンジイソシアネートのトリマー、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチルプロパン-付加物(三井化学から入手可能である)またはヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット(DesmodurR N 100の商品名でBayerから入手可能である)。
【0039】
カプセルシェルは、ジエチレントリアミン(DETA)、ポリエチレンイミンおよびポリビニルアミンなどの多官能アミンおよび/またはポリアミンなどの追加の架橋剤を使用して補強することも可能である。
【0040】
コア
本教示のマイクロカプセルは、カプセル化されることを意図した1つ以上の成分を含む有益剤を含む。有益剤は、色素および染料、風味料、香料、甘味料、芳香剤、油、脂、顔料、洗浄油、薬剤、医薬用油、香油、かび防止剤、抗菌剤、接着剤、相変化材料、匂い材、肥料、栄養物および除草剤などの複数の異なる材料から選択されるがあくまで例示であり、これらに限定されない。有益剤と油はコアを含む。コアは液体または固体であってもよい。周囲温度で固体のコアの場合、壁材は、例えば塊のコアの利用が用途において望ましい特定の用途の場合コア全体より少なく包むのが有用である。そのような用途としては芳香剤、洗浄組成物、軟化剤、化粧品放出などがある。マイクロカプセルのコアが相変化材の場合、その用途は、マットレス、枕、寝具類、布地、スポーツ器具、医療機器、建築工業用品、建造物、HVAC、再生可能エネルギー、服、運動場の面、電子部品、自動車、航空機、靴、美容、洗濯およびソーラーエネルギーのカプセル化された材料などがある。
【0041】
コアはマイクロカプセルによってカプセル化される材料を構成する。通常、特にコア材が液体材料の場合、コア材はマイクロカプセルの内壁が形成される組成物の1つ以上または有益剤のための溶媒またはパーティショニング変性剤と混ぜ合わされる。コア材がカプセル中で油溶剤として機能できる、例えば壁形成材または有益剤のいずれかのための溶媒または担体として作用する場合、コア材をカプセル化される大半の材料とすることが可能であり、担体自体が有益剤の場合、それがカプセル化される全ての材料になってもよい。通常はしかしながら、有益剤はカプセルの内容物の0.01~99重量パーセント、好ましくはカプセル内容物の0.01~約65重量パーセント、より好ましくはカプセル内容物の0.1~約45重量パーセントである。特定の用途ではコア材は、ほんの僅かな量であっても有効になり得る。
【0042】
有益剤自体が特に壁形成材のための油相または溶媒として機能するのに充分でない場合、油相は好適な担体または溶媒を含んでもよい。この場合、有益剤自体が時には油であってもよいので、油は任意である。これらの担体または溶媒は、一般に沸点が約80℃超で低揮発性であり、可燃性でない油である。これらは好ましくは最大で18個の炭素原子または最大で42個の炭素原子の鎖長を有するエステルおよび/またはC6~C12脂肪酸とグリセリンのエステルなどのトリグリセリドの1つ以上を含むがこれらに限定されない。担体または溶媒の例としてはエチルジフェニルメタン、イソプロピルジフェニルエタン、ブチルビフェニルエタン、ベンジルキシレン、プロピルビフェニルおよびブチルビフェニルなどのアルキルビフェニル、ジアルキルフタレート、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジノニルフタレートおよびジトリデシルフタレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート、ドデシルベンゼンなどのアルキルベンゼン、ベンジルベンゾエートなどのアルキルまたはアラルキルベンゾエート、ジアリルエーテル、ジ(アラルキル)エーテルおよびアリルアラルキルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテルおよびフェニルベンジルエーテルなどのエーテル類、液体高アルキルケトン(少なくとも9個の炭素を有する)、アルキルまたはアラルキルベンゾエート、例えばベンジルベンゾエート、ジプロピルナフタレンなどのアルキル化ナフタレン、部分的に水素化されたテルフェニル、高沸点直鎖または分岐鎖炭化水素、トルエンなどのアルカリル炭化水素、菜種油、大豆油、コーン油、ひまわり油、綿実油、レモン油、オリーブ油およびパイン油などの植物および他の穀物油、植物および他の穀物油のエステル交換から得られる脂肪酸のメチルエステル、オレイン酸のメチルエステル、植物油のエステル、例えば大豆メチルエステル、直鎖パラフィン系脂肪族炭化水素およびこれらの混合物があるが、これらに限定されない。
【0043】
有用な有益剤は、アルコール類などの香水原料、ケトン、アルデヒド、エステル、エーテル、ニトリル、アルケン、芳香剤、芳香剤可溶化剤、精油、相変化材料、潤滑剤、着色剤、冷却剤、防腐剤保存料、抗菌または抗真菌活性剤、除草剤、抗ウイルス剤、防腐剤、酸化防止剤、生物学的活性剤、脱臭剤、軟化剤、湿潤剤、スクラブ剤、紫外線吸収剤、自己修復組成物、腐食防止剤、日焼け止め剤、シリコーン油、ワックス、炭化水素、高級脂肪酸、精油、脂質類、スキンクーラント、ビタミン、日焼け止め剤、酸化防止剤、グリセリン、触媒、漂白粒子、二酸化ケイ素粒子、消臭剤、染料、漂白剤、抗菌剤、制汗剤、カチオン性ポリマーおよびそれらの混合物がある。有益剤として有用な相変化材はあくまで例示であり限定されるものではないが、炭素数13~28のパラフィン系炭化水素、例えばn-オクタコサン、n-ヘプタコサン、n-ヘキサコサン、n-ペンタコサン、n-テトラコサン、n-トリコサン、n-ドコサン、n-ヘンイコサン、n-エイコサン、n-ノナデカン、オクタデカン、n-ヘプタデカン、n-ヘキサデカン、n-ペンタデカン、n-テトラデカン、n-トリデカンなどの種々の炭化水素を含む。相変化材料は、これとは別に任意に追加で2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-1,3-プロパンジオールなどの結晶材、エイコサン酸などの直鎖または分岐炭化水素の酸、パルミチン酸メチルなどのエステル、脂肪アルコールおよびそれらの混合物を含んでもよい。
【0044】
好ましくは芳香剤の場合、香油は、本明細書の実施例で説明するように有益剤および壁形成材の溶媒として作用する。
【0045】
本発明はキトサン尿素系マイクロカプセルの表面電荷の調整をその表面、特にマイクロカプセルの外面に得られたポリマーの荷電ドメインまたは荷電ペンダント基による化学的付着によって可能にする。
【0046】
選択的に水相は乳化剤を含んでもよい。乳化剤の非限定的な例としては、アルキルサルフェートの水溶性塩、アルキルエーテルサルフェート、アルキルイソチオネート、アルキルカルボキシレート、アルキルスルホスクシネート、アルキルスクシナメート、ドデシル硫酸ナトリウムなどのアルキルサルフェート、アルキルサルコシネート、タンパク質水解物のアルキル誘導体、アシルアスパルテート、アルキルまたはアルキルエーテルもしくははアルキルアリールエーテルリン酸エステル、ドデシル硫酸ナトリウム、リン脂質もしくはレシチン、または石鹸類、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムステアレート、オレエートまたはパルミテート、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチル、ジラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリ(スチレンスルホネート)ナトリウム塩、イソブチレン-無水マレイン酸コポリマー、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、硫酸セルロースおよびペクチン、ポリ(スチレンスルホネート)、イソブチレン-無水マレイン酸コポリマー、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ペクチン酸、トラガカントゴム、アーモンドゴムおよび寒天;カルボキシメチルセルロースなどの半合成ポリマー、硫酸化セルロース、硫酸化メチルセルロース、カルボキシメチルデンプン、リン酸化デンプン、リグニンスルホン酸;並びに無水マレイン酸コポリマーなどの合成ポリマー(その水解物を含む)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸ブチルアクリレートコポリマーまたはクロトン酸ホモポリマーおよびコポリマー、ビニルベンゼンスルホン酸または2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸ホモポリマーおよびコポリマー、並びにこのようなポリマーおよびコポリマーの部分アミドまたは部分エステル、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、およびリン酸変性ポリビニルアルコール、リン酸化または硫酸化トリスチリルフェノールエトキシレート、パルミタミドプロピルトリモニウムクロリド(Degussa Evonik(Essen,ドイツ)から入手可能なVarisoft PATCTM)、ジステアリルジモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、第四級アンモニウム化合物、脂肪族アミン、脂肪族アンモニウムハロゲン化物、アルキルジメチルベンジルアンモニウムハロゲン化物、アルキルジメチルエチルアンモニウムハロゲン化物、ポリエチレンイミン、ポリ(2-ジメチルアミノ)エチルメタクリレート)塩化メチル四級塩、ポリ(1-ビニルピロリドン-コ-2-ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリ(アクリルアミド-コ-ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(アリルアミン)、四級化ポリ[ビス(2-クロロエチル)エーテル-アルト-1,3-ビス[3-(ジメチルアミノ)プロピル]尿素]、およびポリ(ジメチルアミン-コ-エピクロロヒドリン-コ-エチレンジアミン)、アルキレンオキシドと脂肪族アミンとの縮合生成物、長鎖脂肪族ラジカルを有する第四級アンモニウム化合物、例えば、ジステアリルジアンモニウムクロライド、および脂肪族アミン、アルキルジメチルベンジルアンモニウムハロゲン化物、アルキルジメチルエチルアンモニウムハロゲン化物、ポリアルキレングリコールエーテル、アルキレンオキシドとアルキルフェノール、脂肪族アルコール、または脂肪酸との縮合生成物、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化アリールフェノール、エトキシル化ポリアリールフェノール、ポリオール、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、またはポリビニルアルコールポリビニルアセテートのコポリマーで可溶化したカルボン酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(2-ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリ(2-イソプロペニル-2-オキサゾリン-コ-メチルメタクリレート)、ポリ(メチルビニルエーテル)、およびポリビニルアルコール-コ-エチレン、並びにココアミドプロピルベタインが挙げられる。採用するのであれば乳化剤は、通常、処方の全量基準で約0.1~40重量%、好ましくは0.2~約15重量%、より好ましくは0.5~10重量%を構成する。
【0047】
本発明のマイクロカプセルは、有益剤に加えてパーティショニング変性剤(partitioning modifier)を封入してもよい。パーティショニング変性剤の非限定的な例としては、ミリスチン酸イソプロピル、C4~C24脂肪酸のモノ、ジ、およびトリエステル、ヒマシ油、鉱油、大豆油、ヘキサデカン酸、メチルエステルイソドデカン、イソパラフィン油、ポリジメチルシロキサン、臭素化植物油、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。マイクロカプセルは、異なる開放パターンを有し得る異なる群のマイクロカプセルを製するように有益剤に対するパーティショニング変性剤の様々な比率を有してもよい。このような群は、異なる開放パターンおよび異なる芳香体験を提示するマイクロカプセルの群を製するように異なる香油をさらに組み込んでもよい。米国特許出願公開第2011-0268802号は、マイクロカプセルおよびパーティショニング変性剤の他の非限定的な例を開示しており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
キトサンマイクロカプセルの形成において水性溶液は残存量の加水分解されたキトサンを含む。これはデキャンティング、ろ過、遠心分離または他の分離技術によってマイクロカプセルを脱水する選択肢を供する。これとは別にキトサンポリ尿素マイクロカプセルの水性スラリーを噴霧乾燥させて水相からの残留加水分解キトサンの層でさらにコーティングされたキトサンポリ尿素マイクロカプセルを形成してもよい。
【0049】
1つの実施態様では形成されたマイクロカプセルのスラリーは、追加の水にまたは乾燥すると破砕するキトサンポリ尿素マイクロカプセルを生じさせる低濃度の残留オーバーコート加水分解キトサンと分散させて、芳香剤の送出などのいくつかの用途に有用なまたは目標とする送出のための農業用活性剤を有するさらなる解放機構を供する。
【0050】
本発明の方法および組成物の一部の例ではマイクロカプセルは、1つ以上の個別の群からなる。本発明の組成物は、香油の正確な組成、中央粒径および/または香油にパーティショニング変性剤の重量比(PM:PO)の点で異なる少なくとも2つの異なる群のマイクロカプセルを有してもよい。一部の例では本発明の組成物は、正確な香油の組成および破砕強度の点で異なる2つ超の個別の群を含む。一部の別の例ではマイクロカプセルのこれらの群は、香油に対するパーティショニング変性剤の重量比が異なってもよい。一部の例では本発明の組成物は、2:3~3:2の第1の香油に対するパーティショニング変性剤の重量比である第1の比を有する第1の群のマイクロカプセルおよび2:3未満であるが、0超の第2の香油に対するパーティショニング変性剤の重量比である第2の比を有する第2の群のマイクロカプセルを含む。
【0051】
一部の実施態様ではマイクロカプセルの各個別の群は、個別のスラリーであることが好ましい。例えば、第1の群のマイクロカプセルは第1のスラリーに含有され、第2の群のマイクロカプセルは、第2のスラリーに含有されてもよい。当然のことながら組み合わせの個別のスラリーの数は限定されず、3、10または15の個別のスラリーが混ぜ合わされるように製造者が選択する。マイクロカプセルの第1および第2の群は、香油の正確な組成および中央粒径および/またはPM:PO重量比が異なってもよい。
【0052】
一部の実施態様では本発明の組成物は第1および第2のスラリーを少なくとも1つの補助添加物と混ぜ合わせることによって調整され、選択的に容器に梱包してもよい。一部の例ではマイクロカプセルの第1および第2の群は、個別のスラリーで調製され、噴霧乾燥させて粒子を形成する。個別のスラリーは噴霧乾燥の前に混ぜ合わされる、または個別に噴霧乾燥させてから微粒子粉末体になった際に混ぜ合わされる。粉体になると、第1および第2の群のマイクロカプセルは、補助添加物と混ぜ合わされ、消費者製品、産業製品、医療用製品または他の製品の製造の原料として有用な組成物を形成する。一部の例では少なくとも1つの群のマイクロカプセルは噴霧乾燥させ、第2の群のマイクロカプセルのスラリーと混ぜ合わされる。一部の例では少なくとも1つの群のマイクロカプセルが噴霧乾燥、流動層乾燥、トレイ乾燥または他のそのような利用可能な乾燥方法によって乾燥、調製される。
【0053】
一部の例ではスラリーまたは乾燥粒体は、担体、凝集阻害材、付着助剤、粒子懸濁ポリマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される加工助剤などの1つ以上の補助材を含んでもよい。凝集阻害材の非限定的な例としては塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、硫酸マグネシウムおよびこれらの混合物などの粒子の周りで電荷遮へい効果を有する塩が挙げられる。粒子懸濁ポリマーの非限定的な例としてはキサンタンガム、カラギーナンゴム、グァーガム、セラック、アルギン酸塩類、キトサンなどのポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、陽イオン性に帯電したセルロース系材料などのセルロース系材料、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、水素化ヒマシ油、ジステアリン酸エチレングリコールおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0054】
一部の実施態様ではスラリーは、水、2価の塩などの凝集阻害材、キサンタンガム、グァーガム、カルボキシメチルセルロースなどの粒子懸濁ポリマーから選択される1つ以上の加工助剤を含んでもよい。
【0055】
本発明の他の例ではスラリーは、非限定的に水、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの極性溶媒、非限定的に鉱油、香水原料、シリコーンオイル、炭化水素パラフィン油などの非極性溶媒からなる群から選択される1つ以上の担体を含んでもよい。
【0056】
一部の例では前記スラリーは1つの態様では多糖類、カチオン性変性スターチおよび/またはカチオン性変性グアーゴム、ポリシロキサン、ポリジアリルジメチルアンモニウムハライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドとポリビニルピロリドンの共重合体、ポリエチレングリコールとポリビニルピロリドンとを含む組成物、アクリルアミド、イミダゾール、イミダゾリニウムハライド、ポリビニルアミン、ポリビニルアミンとN-ビニルホルムアミドの共重合体、ポリビニルホルムアミド、ポリビニルアルコール、ホウ酸で架橋されたポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリグリセロールエーテルシリコーン架橋ポリマー、ポリアクリル酸類、ポリアクリレート、ポリビニルアミンとアミンのポリビニルアルコールオリゴマーの共重合体、1つの態様においてジエチレントリアミン、エチレンジアミン、ビス(3-アミノプロピル)ピペラジン、N,N-ビス-(3-アミノプロピル)メチルアミン、トリス(2-アミノエチル)アミンおよびこれらの混合物、ポリエチレンイミン、誘導体化ポリエチレンイミン、1つの態様ではエトキシ化ポリエチレンイミン、カルボン酸部分、アミン部分、ヒドロキシ部分およびポリブタジエン上のニトリル部分からなる部分から選択される少なくとも2つの部分を含む高分子化合物、ポリイソプレン、ポリブタジエン/スチレン、ポリブタジエン/アクリロニトリル、カルボキシル基端末ポリブタジエン/アクリロニトリルまたはこれらの組み合わせ、カチオン性ポリマーと組み合わされたアニオン性界面活性剤の予備形成されたコアセルベートからなる群から選択されるポリマーを含む付着助剤を含んでもよい。
【0057】
本発明を例示する一部の追加の例では少なくとも1つの群のマイクロカプセルは、凝集体に含有され、次に個別の群のマイクロカプセルおよび少なくとも1つの補助材と混ぜ合わされる。前記凝集体は、シリカ、クエン酸、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよびケイ酸ナトリウム、変性セルロース類、ポリエチレングリコール類、ポリアクリル酸塩、ポリアクリル酸、ゼオライトなどのバインダーおよびそれらの混合物からなる群から選択される材料を含んでもよい。
【0058】
ここに開示した方法に使用するのに好適な装置としては、連続撹拌式タンクリアクター、ホモジナイザー、タービンアジテーター、循環ポンプ、櫂形ミキサー、プロウシェアーミキサー、リボンブレンダー、バッチ式または可能である場合には連続工程用に構成された垂直軸グラニュレータおよびドラムミキサー、スプレードライヤーおよび押し出し器などが挙げられる。これらの装置は、Lodige Gmbh社(ドイツ、パーダーボルン)、Littleford Day, Inc.社(米国、ケンタッキー州、フローレンス)、Forberg AS(ノルウェー、ラルビク)、Glatt Ingenieurtechnik Gmbh社(ドイツ、ワイマール)、Niro社(デンマーク、ソーボルグ)、Hosokawa Bepex Corp.社(米国、ミネソタ州、ミネアポリス)、Arde Barinco社(米国、ニュージャージー州)などから入手可能である。
【0059】
分解率の測定手順
分解率は、1992年7月17日に導入された「OECD Guideline for the Testing of Chemicals」 301B CO2 Evolution(Modified Sturm Test)に従って測定される。参照しやすくするためにこの試験方法を本明細書では試験法OECD 301Bと言う。
【0060】
遊離油の測定手順
この測定方法は、水相中の油の量を測定し、内部標準溶液として1mg/mlジブチルフタレート(DBP)/ヘキサンを使用する。
【0061】
小さめのビーカーに250mgを僅かに超えるDBPを秤量し、250ml容量フラスコにビーカーを完全に浸しながら移す。250mlまでヘキサンを満たす。
【0062】
サンプル調製:約1.5~2グラム(40滴)のカプセルスラリーを20mlのシンチレーションバイアルに秤量し、10mlのISTD溶液を加え、栓をきつく閉める。30分、数回激しく振り、溶液をオートサンプラーバイアルにピペットで移し、GCで分析する。
【0063】
さらなる詳細 機器類:HP Chem ステーション Softwarenに接続されたHP5890 GC、カラム:1μmDB-1液相を有する5m×0.32mm内径、温度50度で1分、次に15度/分で320度まで加熱する;インジェクタ:275℃、検出器:325℃、2ul注射する.
【0064】
計算:サンプルとキャリブレーション用にDBP用の面積を引いた総ピーク面積を加える。遊離コア油のmgを計算する:
遊離コア油%を計算する:
【0065】
有益剤漏出の評価手順
有益剤粒子組成物の1グラムサンプルを2つ得る。1グラム粒子組成物(サンプル1)をその粒子が採用される製品マトリックス99グラムに加える。粒子を含む製品マトリックス(サンプル1)を密閉されたガラス瓶内で35℃で2週間エージングする。もう一方の1グラムサンプル(サンプル2)を同様にエージングする
【0066】
2週間後、製品マトリックス(サンプル1)および粒子組成物(サンプル2)から粒子組成物の粒子をろ過で回収する。各サンプルの粒子から全ての有益剤を抽出する溶媒で各粒子サンプルを処理する。各サンプルから有益剤含有溶媒をガスクロマトグラフ内に注入し、ピーク面積を積分して各サンプルから抽出された有益剤の総量を割り出す。
【0067】
以下の式に表されるようにサンプル2から抽出された有益剤の割合として表されるサンプル1を引いたサンプル2から抽出された有益剤の総量のために得られた値の違いを計算することによって有益剤の漏出の割合を割り出す。
有益剤の漏出割合=((サンプル2-サンプル1)/(サンプル2))×100
【0068】
キトサンで調製されたポリ尿素カプセルは、
図1に示すように陽ゼータ電位を示す。このようなカプセルは布地上での塗着効率が良好である。
【0069】
特に明記しない限り、全てのパーセンテージおよび比は重量で算出されている。全ての割合および比は、特に明記しない限り組成物全量基準で計算される。
【0070】
本明細書全体に亘って、全ての最大数値限定は、それより小さい全ての数値限定を、あたかも明確に記載されているものとして、理解すべきである。また本明細書全体に亘って、全ての最小数値限定は、それより大きい全ての数値限定を、あたかも明確に記されているものとして、含んでいると理解すべきである。さらに、本明細書全体に亘って、全ての数値範囲は、広い数値範囲に包含される、より狭い全ての数値範囲を、あたかも明確に記載されているものとして、含んでいると理解すべきである。
【0071】
以下の実施例において略語は表1に記載の材料に対応する。
【表1】
【0072】
比較例1
86.40gの5%のSelvol540を273.60g脱イオン水に混ぜて水相1を調製する。159.38gの香油と23.91gのミリスチン酸イソプロピルを混ぜ、次にTakenate D-110Nを4.0g入れ、混ぜながら溶かすことによって油相を調製する。水層2を0.38gのジエチルトリアミンを25.00gの水に混ぜて調製する。油相を水相1に混ぜて、目標粒径にするために粉砕してエマルジョンを形成する。次に水相2をエマルジョンに加えて、30分で40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、その温度で6時間、撹拌しながら維持する。最終的なスラリーの遊離油は4.068%である。
【0073】
比較例2
20.66gのChitoClearを439.00gの水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させて調製する。次に水相のpHを撹拌下で濃縮されたHClを使用して2.61に調節する。次に水相の温度を60分かけて85℃に上げ、そして85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。次に90分間の加水分解工程後、水相温度を25℃に下げる。139.58gの香油と23.91gのミリスチン酸イソプロピルを一緒に4.00gのTakenate D-110Nと室温で混合して油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。次にエマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。このpH条件下ではカプセルは形成されない。
【0074】
実施例3
12.40gのChitoClearを350.00gの水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させて水相を調整する。この水相のpHを濃縮されたHClを使用して撹拌下で4.7に調節する。次に水相の温度を60分かけて85℃に上げ、そして85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。水相温度は、90分間の加水分解工程の後、25℃に下げられる。87.50gの香油と22.50gのミリスチン酸イソプロピルを一緒に15.00gのTakenate D-110Nと室温で混ぜることによって油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。このpH条件で形成されたカプセルは、0.090%の遊離油を有し、1週間の漏れは3.604%であった。
【0075】
実施例4
12.40gのChitoClearを350.00gの水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させて水相を調整する。次に水相のpHを撹拌下で濃縮HClを使用して5.0に調節する。次に水相の温度を60分かけて85℃に上げ、そして85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。水相温度は、90分間の加水分解工程の後、25℃に下げられる。159.38gの香油と23.91gのミリスチン酸イソプロピルを一緒に室温で15.00gのTakenate D-110Nと混ぜて油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。このpH条件で形成されたカプセルは、0.088%の遊離油を有し、1週間の漏れは2.918%であった。
【0076】
実施例5
12.40gのChitoClearを350.00gの水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させて水相を調整する。次に水相のpHを撹拌下で濃縮HClを使用して5.5に調節する。次に水相の温度を60分かけて85℃に上げ、そして85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。水相温度は、90分間の加水分解工程の後、25℃に下げられる。159.38gの香油と23.91gのミリスチン酸イソプロピルを一緒に室温で15.00gのTakenate D-110Nと混ぜて油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。このpH条件で形成されたカプセルは、0.043%の遊離油を有し、1週間の漏れは2.009%であった。
【0077】
実施例6
12.40gのChitoClearを350.00gの水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させて水相を調整する。次に水相のpHを撹拌下で濃縮HClを使用して6.1に調節する。次に水相の温度を60分かけて85℃に上げ、そして85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。水相温度は、90分間の加水分解工程の後、25℃に下げられる。159.38gの香油と23.91gのミリスチン酸イソプロピルを一緒に室温で15.00gのTakenate D-110Nと混ぜて油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。このpH条件で形成されたカプセルは、0.111%の遊離油を有し、1週間の漏れは1.909%であった。
【0078】
実施例7
12.40gのChitoClearを350.00gの水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させて水相を調整する。次に水相のpHを撹拌下で濃縮HClを使用して6.0に調節する。次に水相の温度を60分かけて85℃に上げ、そして85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。水相温度は、90分間の加水分解工程の後、25℃に下げられる。159.38gの香油と23.91gのミリスチン酸イソプロピルを一緒に室温で15.00gのTakenate D-110Nと混ぜて油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。このpH条件で形成されたカプセルは、0.076%の遊離油を有し、1週間の漏れは1.112%であった。
【0079】
実施例8
26.45gのChitoClearを450.00gの水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させて水相を調整する。次に水相のpHを撹拌下で濃縮HClを使用して6.0に調節する。次に水相の温度を60分かけて85℃に上げ、そして85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。水相温度は、90分間の加水分解工程の後、25℃に下げられる。159.38gの香油と23.91gのミリスチン酸イソプロピルを一緒に室温で4.00gのTakenate D-110Nと混ぜて油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。このpH条件で形成されたカプセルは、0.674%の遊離油を有し、1週間の漏れは41.930%であった。
【0080】
実施例9
12.40gのChitoClearを350.00gの水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させて水相を調整する。次に水相のpHを撹拌下で濃縮HClを使用して6.0に調節する。次に水相の温度を60分かけて85℃に上げ、そして85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。水相温度は、90分間の加水分解工程の後、25℃に下げられる。159.38gの香油と23.91gのミリスチン酸イソプロピルを一緒に室温で4.00gのTakenate D-110Nと混ぜて油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。このpH条件で形成されたカプセルは、0.272%の遊離油を有し、1週間の漏れは13.222%であった。
【0081】
実施例10
20.66gのChitoClearを439.00gの水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させて調製する。次に水相のpHを撹拌下で濃縮HClを使用して6.0に調節する。次に水相の温度を60分かけて85℃に上げ、そして85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。水相温度は、90分間の加水分解工程の後、25℃に下げられる。159.38gの香油と23.91gのミリスチン酸イソプロピルを一緒に室温で4.00gのTakenate D-110Nと混ぜて油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。このpH条件で形成されたカプセルは、0.304%の遊離油を有し、1週間の漏れは17.454%であった。
【0082】
実施例11
20.66gのChitoClearを439.00gの水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させて調製する。次に水相のpHを撹拌下で濃縮HClを使用して3.8に調節する。次に水相の温度を60分かけて85℃に上げ、そして85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。水相温度は、90分間の加水分解工程の後、25℃に下げられる。159.38gの香油と23.91gのミリスチン酸イソプロピルを一緒に室温で4.00gのTakenate D-110Nと混ぜて油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。このpH条件で形成されたカプセルは、1週間の漏れは28.204%であった。
【0083】
実施例12
20.66gのChitoClearを439.00gの水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させて調製する。次に水相のpHを撹拌下で濃縮HClを使用して4.2に調節する。次に水相の温度を60分かけて85℃に上げ、そして85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。水相温度は、90分間の加水分解工程の後、25℃に下げられる。159.38gの香油と23.91gのミリスチン酸イソプロピルを一緒に室温で4.00gのTakenate D-110Nと混ぜて油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。このpH条件で形成されたカプセルは、1週間の漏れは24.174%であった。
【0084】
実施例13
20.66gのChitoClearを439.00gの水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させて調製する。次に水相のpHを撹拌下で濃縮HClを使用して4.9に調節する。次に水相の温度を60分かけて85℃に上げ、そして85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。水相温度は、90分間の加水分解工程の後、25℃に下げられる。159.38gの香油と23.91gのミリスチン酸イソプロピルを一緒に室温で4.00gのTakenate D-110Nと混ぜて油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンのpHを塩酸を使用して2.97に調節する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。このpH条件で形成されたカプセルは、1週間の漏れは76.182%であった。
【0085】
実施例14
20.66gのChitoClearを439.00gの水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させて調製する。この水相のpHを濃縮されたHClを使用して撹拌下で4.7に調節する。次に水相の温度を60分かけて85℃に上げ、そして85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。水相温度は、90分間の加水分解工程の後、25℃に下げられる。159.38gの香油と23.91gのミリスチン酸イソプロピルを一緒に室温で4.00gのTakenate D-110Nと混ぜて油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。このpH条件で形成されたカプセルは、0.225%の遊離油を有し、1週間の漏れは52.824%であった。
【0086】
実施例15
5.70gのChitoClearを350.00gの水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させて水相を調製する。この水相のpHを濃縮されたHClを使用して撹拌下で4.7に調節する。次に水相の温度を60分かけて85℃に上げ、そして85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。水相温度は、90分間の加水分解工程の後、25℃に下げられる。120.00gの香油と30.00gのミリスチン酸イソプロピルを一緒に3.78gのMondur MRと室温で混ぜることによって油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。このpH条件で形成されたカプセルは、7.358%の遊離油を有した。
【0087】
実施例16
5.70gのChitoClearを350.00gの水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させて水相を調製する。この水相のpHを濃縮されたHClを使用して撹拌下で4.0に調節する。次に水相の温度を60分かけて85℃に上げ、そして85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。水相温度は、90分間の加水分解工程の後、25℃に下げられる。150.00gのSAS-305と3.78gのMondur MRを室温で混ぜることによって油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。このpH条件で形成されたカプセルは、0.006%の遊離油を有した。
【0088】
実施例17
5.70gのChitoClearを350.00gの水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させて水相を調製する。この水相のpHを濃縮されたHClを使用して撹拌下で4.3に調節する。次に水相の温度を60分かけて85℃に上げ、そして85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。水相温度は、90分間の加水分解工程の後、25℃に下げられる。150.00gのSAS-150を3.78gのMondur MRを室温で混ぜて油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。このpH条件で形成されたカプセルは、0.005%の遊離油を有した。
【表2】
【0089】
実施例18-比較例
69.12gの5%Selvol540を218.88gの脱イオン水に混ぜることによって水相1を調製する。香油124.64gとミリスチン酸イソプロピル31.16gを混ぜ、次に3.40gのTakenate D-110Nを混ぜながら溶かすことによって油相を調製する。0.32gのジエチレントリアミンを25.00gの水に混ぜることによって水相2を調製する。油相を水相1に混ぜ、粉砕し、29.52μmの目的とする体積加重平均粒径中央値を得る。次に水相2をエマルジョンに加え、30分で40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、この温度で6時間、攪拌しながら保持する。次にエマルジョンを90分で25℃にまで冷ます。形成されたカプセルは、0.366%の遊離油を有し、1週間の漏れは20.77%であった。
【0090】
実施例19
121.50gのキトサンChitoclearを2578.5gの脱イオン水にジャケット付き反応器内で混ぜながら分散させてキトサン原液を調製する。次にキトサン分散液のpHを撹拌下で濃縮されたHClを使用して5.28に調節する。次にキトサン溶液の温度を60分かけて85℃に上げ、次に85℃でしばらく保持し、ChitoClearを加水分解する。次に温度を90分間の加水分解工程の後、25℃に下げる。加水分解されたキトサン溶液のpHは、5.36である。上記キトサン溶液362.36gをジャケット付き反応器内内で混ぜることによって水相を調製する。124.64gの香油と31.16gのミリスチン酸イソプロピルを一緒に室温で3.40gのTakenate D-110Nと混ぜて油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。形成されたカプセルは、0.057%の遊離油を有し、1週間の漏れは9.19%であった。
【0091】
実施例20
362.36gの上記キトサン原液を3.66gのSelvol540溶液とジャケット付き反応器内で混ぜて水相を調製する。124.64gの香油と31.16gのミリスチン酸イソプロピルを一緒に室温で3.40gのTakenate D-110Nと混ぜて油相を調製する。油相を水相に高せん断粉砕下で加えてエマルジョンを得る。エマルジョンを30分かけて40℃に加熱し、その状態で60分間維持する。次にエマルジョンを85℃に加熱し、攪拌しながら6時間この温度で維持する。形成されたカプセルは、0.065%の遊離油を有し、1週間の漏れは11.38%であった。
【0092】
デリバリー粒子を含む液体布用柔軟剤の性能評価
デリバリー粒子を含む液体布用柔軟剤を0.5%芳香等量を得るために表4に説明されているように調製した。処方を一晩(~12時間)平衡化した。9ポンドの重さの洗濯物は、表3に示したコットンとポリエステル/コットンブレンド品(テリー織りタオル、Tシャツ、枕カバーおよびハンドタオル)の混ざったものを含んだ。洗濯サイクルを無臭洗濯洗剤を使用して実行し、処方された製品を濯ぎサイクルにて90グラム投与した。
【表3】
【0093】
10人からなるパネリストが洗濯前および後に物品を次の基準で知覚強度を等級付けして評価した、0=無臭、1=微臭、2=独特な臭い、3=非常に強い臭い。洗濯した後の洗濯物をこすり合わせる前と後の知覚強度を表4に示す。
【表4】
【0094】
デリバリー粒子を含む液体洗濯洗剤の性能評価
デリバリー粒子を含む液体洗濯洗剤を0.5%芳香等量を得るために表5に説明されているように調製した。処方を一晩(~12時間)平衡化した。9ポンドの重さの洗濯物は、表3に示したコットンとポリエステル/コットンブレンド品(テリー織りタオル、Tシャツ、枕カバーおよびハンドタオル)の混ざったものを含んだ。処方製品はすすぎサイクルで40グラム投与された。
【0095】
10人からなるパネリストが洗濯前および後に物品を次の基準で知覚強度を等級付けして評価した、0=無臭、1=微臭、2=独特な臭い、3=非常に強い臭い。こすり合わせる前と後の知覚強度を表5に示す。
【表5】
【0096】
崩壊率はOECD Guideline for the Testing of Chemicals、試験法OECD 301Bの従って測定される。コピーはwww.oecd-ilibrary.orgで入手可能である。
【0097】
本発明による組成物のシェルは、試験法OECD TG 301Bに従って測定した際、14日後で少なくとも40%、少なくとも20日後で少なくとも50%、少なくとも28日後で少なくとも60%の崩壊率であった。
【0098】
単数で記載した用語は、特に明記しない限り、そして文脈によって明らかに矛盾しない場合に単数と複数の両方を網羅するものである。ここで使用する「含む」なる用語は、非制限的な用語として解釈される。ここで引用した公報、特許出願および特許などの引用文献は、参照することにより本明細書に組み込まれるものとする。「好ましい」実施態様としての特定の実施態様のあらゆる説明および他の好ましいとされる実施態様、特徴、または範囲の記載またはそれらを好ましいとする示唆は、限定するものとみなされない。本発明は現時点であまり好ましくないとされ、本明細書中でそのように説明されている実施態様を包含するとみなされる。ここで説明する全ての方法は、特に明記しない限り、そして文脈によって明らかに矛盾しない場合にあらゆる好適な順番で実施することができる。本明細書中のあらゆるおよび全ての例または例示的な言葉(例えば「などの」)の使用は、例示を目的としたものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明のまたは好ましい実施態様の特質または便益に関する本明細書中のあらゆる記載は、限定することを意図したものではない。本発明は、適用される法によって認められる本明細書中に記載した内容の全ての変性物および同等物を含む。さらに任意の上述の全ての可能な上述の要素の変型例におけるこれら要素のあらゆる組み合わせは、特に明記しない限り、そして文脈によって明らかに矛盾しない場合に本発明に包含される。たとえ「先行」として特定されたとしてもあらゆる参照または特許の本明細書中の説明は、そのような参照または特許が本発明に対して先行技術にとして利用可能であることを承認するものではない。特許請求の範囲に記載されていない文言は本発明の範囲を制限するとはみなされない。特許請求の範囲に記載された発明の構成要素を構成するというあらゆる記載または示唆は、特許請求の範囲に範囲に反映されてなければ限定することを意図したものではない。
【国際調査報告】