(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】Na-β-アルミネートからの成形体の製造
(51)【国際特許分類】
C04B 35/622 20060101AFI20230323BHJP
C04B 35/113 20060101ALI20230323BHJP
B28B 1/26 20060101ALI20230323BHJP
C01F 7/028 20220101ALI20230323BHJP
H01M 10/39 20060101ALI20230323BHJP
H01B 1/06 20060101ALN20230323BHJP
【FI】
C04B35/622
C04B35/113
B28B1/26
B28B1/26 101
C01F7/028
H01M10/39 A
H01B1/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525581
(86)(22)【出願日】2020-11-02
(85)【翻訳文提出日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 EP2020080680
(87)【国際公開番号】W WO2021089481
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】102019129869.5
(32)【優先日】2019-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513002566
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト ツア フェーアデルング デア アンゲヴァンテン フォルシュング エー.ファオ.
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロスラー ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ダークセン コーネリアス
(72)【発明者】
【氏名】シュルツ マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイデル ローラント
【テーマコード(参考)】
4G052
4G076
5G301
5H029
【Fターム(参考)】
4G052CA03
4G052CA09
4G052CC05
4G052CC07
4G076AA02
4G076AA18
4G076CA02
4G076DA30
4G076FA03
5G301CA12
5G301CA17
5G301CD01
5G301CE02
5H029AJ14
5H029AK05
5H029AL13
5H029AM15
5H029CJ02
5H029CJ03
5H029CJ06
5H029CJ08
5H029CJ28
5H029CJ30
5H029DJ16
5H029HJ00
5H029HJ01
5H029HJ05
(57)【要約】
本発明は、結合剤により結合されたナトリウム-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子から、スリップキャスティング法により、焼結可能な成形体を製造する方法に関する。前記粒子に加えて結合剤を含む注型可能なスリップは、成形型に導入され、凝固の後、成形体として脱型される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合剤により結合されたナトリウム-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子から、スリップキャスティング法により、焼結可能な成形体を製造する方法において、
前記粒子と、分散剤及び結合剤とを含む注型可能なスリップを成形型に導入し、凝固した後に成形体として脱型し、
前記スリップは水系懸濁液であり、且つ/又は、前記成形型は、有機又は無機の結合剤により結合された凝集粒子であることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、
前記スリップの前記Na-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子は、メジアン粒径(d
50値)が10μm未満である粒度分布を有することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2の方法において、
前記スリップは、30~95重量%、望ましくは50~85重量%のNa-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子と、10~60重量%、望ましくは25~45重量%の水と、30重量%まで、望ましくは20重量%までの分散剤、有機バインダー及び任意の他の助剤の形で他の組成物とを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つの方法において、
前記スリップの前記分散剤は、カルボン酸又は他の有機界面活性剤のような有機分散剤を含むか又はそれからなることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つの方法において、
前記スリップの前記結合剤は、例えば(多)糖類、PVA又はカルボン酸のような有機結合剤を含むか又はそれからなることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つの方法において、
前記スリップは、有機溶媒及び/又酸を含まないことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つの方法において、
前記スリップは、上流のプロセス工程において、前記Na-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子を前記水、前記分散剤及び前記結合剤と混合することによって調製され、
前記スリップは、望ましくは混合中又は混合後に真空を適用することにより脱気されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項9の方法において、
前記Na-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子の前記水、前記分散剤及び前記結合剤との混合は、ミル内において行われ、当該混合の間に同時に粒子が粉砕されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1つの方法において、
前記成形型は、50~99重量%、望ましくは70~99重量%の凝集粒子と、少なくとも1つの無機又は有機結合剤とを含み、
前記無機結合剤の割合は、50重量%まで、好ましくは30重量%までであり、
前記有機結合剤の割合は、20重量%まで、好ましくは15重量%までであることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つの方法において、
前記凝集粒子が、ポリエチレングリコール、酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム若しくはケイ酸、又は、それらの混合物の粒子であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つの方法において、
前記成形型内における前記スリップの滞留時間が5~20分の間であること、及び/又は前記成形型内に滞留する間に前記スリップが加圧されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1つの方法において、
前記成形体は、前記成形型内における滞留時間の終了後、又は、脱型後、乾燥され、
前記乾燥は、好ましくは常圧下において行われることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つの方法において、
前記成形体は、一端が閉じられた中空体であり、好ましくは、一端が閉じられた管、中空円筒又は漏斗の形状であることを特徴とする方法。
【請求項14】
焼結されたナトリウム-β-アルミネート粒子からセラミックモールド体を製造する方法において、
請求項1~12のいずれか1つに従う前記成形体の製造と、
前記成形体の焼成とを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
ナトリウム高温バッテリーの製造方法において、
請求項14に従う前記セラミックモールド体の製造と、
前記モールド体を前記バッテリー内のセラミック電解質として用いることを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Na-β-アルミネートからの成形体の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
ナトリウムイオンを伝導する能力があるので、Na-β-アルミネート(Na-β-Aluminate)セラミックは、例えば、Na/S又はNaNiCl2型の高温バッテリー及びAMTEC発電機に用いられる。これらの用途では、Na-β-アルミネートからなり、一方が閉じられ、内部容積が200~500cm3のセラミック管が必要とされる。
【0003】
最新の技術では、これらのセラミック管のための成形体(green body)は、セラミック懸濁液(スリップ)を調製することによるセラミック出発材料の造粒により工業的に製造される。造粒は、例えば噴霧乾燥及び等方圧プレスによる。この非連続的な技術は、十分に大きなプレス装置のために、高額の投資を要する。また、セラミック粒子は、加工の前に、精巧に造粒され、適切なバインダーと混合される必要がある。
【0004】
簡易且つ安価なスリップキャスティングによるセラミック技術は、少なくとも工業規模では、Na-β-アルミネートには適用されていない。その主な理由は、塩基性のNa-β-アルミネートスリップに対して標準的な石膏型の耐久性が低いことである。標準的な多孔質プラスチック型も使用できない。これは、その細孔が僅か数回の使用後に完全に詰まってしまうか、又は、Na-β-アルミネート粒子を適切に保持できないかという理由による。
【0005】
成形型材料の問題とは別に、Na-β-アルミネートは、注型可能な水性スリップに加工することが困難である。これらの問題から、コストの低いスリップキャスティングによる方法は、まだNa-β-アルミネートには適用されていない。
【0006】
以上に述べた問題の観点から、固体含有量の多いNa-β-アルミネートの注型可能なスリップを製造するために、従来技術において水の代わりに有機溶媒を用いることが考慮された。Na-β-アルミネートから水性スリップを製造する別の方法は、酸を用いてスリップのpHを低下させ、それにより組成物の懸濁特性を改善することである。いずれの方法も、火災に関する安全性、経済性及び環境保護の理由から、製造のためには実用的でない。
【0007】
Na-β-アルミネートから成形体を作成可能な成形型の製造のために、従来技術は、一度だけ使用可能なバルク粉末を用いることに言及している。米国特許US4,338,272 Aは、この例として引用できる。しかしながら、成形型の再利用の可能性が無いので、ここで提案された解決手段は工業的生産には不適等である。
【0008】
韓国公報 KR101 404 044 B1は、最初にスリップキャスティングによりAl2O3体を製造し、次にそれにナトリウム化合物を浸透させて焼結する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許4,338,272
【特許文献2】韓国広報101404044
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この背景に対して、本発明の目的は、ナトリウム-β-アルミネートから成形体を製造する方法を提供することであり、これはスリップ及び目的に適した型を含み、既に述べた問題を克服する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この背景に対し、本発明は、焼結可能な成形体(green body)を、バインダーによって結合されたNa-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子から、スリップキャスティングによって製造する方法に関する。ここで、粒子、分散剤及びバインダーを含むキャスティングスリップは、成形型に導入され、凝固の後、成形体として脱型される。本発明によると、スリップは水性懸濁液であり、且つ/又は、成形型は有機及び/又は無機バインダーにより結合された凝集粒子からなる。
【0012】
ナトリウム-β-アルミネートの理想的な式は、NaAl11O17である。しかし、通常、結晶はこの式で示されるよりも多くのナトリウムを含んでおり、これはアルミニウムの欠乏により補われ、Na1.0-2.0Al10-12O17、又は、多くの場合、Na1.3Al10.9O17である実際の構成になっている。この所望の変態、ナトリウム-β''-アルミネートは、純粋な形態、又は、例えばリチウム又はマグネシウムイオンを結晶構造に取り込むことで安定化された形態において存在できる。後者の場合、実際の組成であるNa1.0-2.0Al10-12Li0.1-1.0O17及び/又はNa1.0-2.0Al10-12Mg0.1-1.5O17を生じる。
【0013】
本発明の1つの変形例では、非安定化又は安定化Na-β-アルミネート粒子の代わりに、又は、これらの粒子に加えて、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、酸化アルミニウム(Al2O3)及び/又は水酸化アルミニウム(Al(OH)3)等の前駆体物質の粒子を懸濁させて、Na-β-アルミネート粒子の質量分率を完全に又は部分的に置き換えることができる。
【0014】
好ましくは、スリップのNa-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子は、メジアン粒径(d50値)が10μm未満である粒径分布を有する。これらの粒径は、スリップ特性及び得られる成形体の特性に関して有利であることが証明されている。
【0015】
スリップの組成に関しては、Na-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子が30~95重量%、望ましくは50~85重量%と、水が10~60重量%、望ましくは25~45重量%と、30重量%まで、望ましくは20重量%までの他の組成物を分散剤、有機バインダー及び任意の他の助剤の形で含むものであって良い。他の助剤の割合は、好ましくは最大でも10重量%であり、より好ましくは最大でも5重量%である。上記成分の割合は、合計で100重量%までである。
【0016】
スリップの分散剤は、有機分散剤、例えばカルボン酸又は他の界面活性剤を含有するか、又は、それらにより構成されていても良い。スリップの結合剤は、有機結合剤、例えば(多)糖類、PVA又はカルボン酸を含有するか、又は、それらにより構成されていても良い。更に、スリップは、金属酸化物、例えば酸化ニッケル、酸化チタン、酸化マンガン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化リチウム又は酸化マグネシウム等も含んでいても良い。
【0017】
好ましくは、スリップは有機溶媒を含まず、及び/又は、酸を含まない。これにより、経済性及び環境適合性が向上する。
【0018】
スリップは、上流のプロセス工程において、Na-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子を水、分散剤及び結合剤と混合することによって調製できる。混合中又は混合後に、スリップに真空を適用して脱気することが好ましい。混合中又は混合後に真空を適用すると、後に成形体において気泡が発生することを回避できる。Na-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子と、水、分散剤及び結合剤との混合は、ミル中で行うことができ、これにより粒子は混合の間に同時に粉砕される。例えば、混合はドラムミル内にて行われても良い。
【0019】
一実施形態では、成形型の材料は、50~99重量%、望ましくは70~99重量%の凝集粒子と、少なくとも1つの無機又は有機結合剤とを有する。無機結合剤の割合は、50重量%まで、好ましくは30重量%までとしても良い。有機結合剤の割合は、20重量%まで、好ましくは15重量%までとしても良い。更に、10重量%まで、好ましくは5重量%までの助剤及び添加剤が存在しても良い。上記の成分は、合計100重量%となる。好ましい変形例では、有機及び無機結合剤の混合物を、結合剤として使用できる
成形型の凝集粒子は、例えば、ポリエチレングリコール、酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム若しくはケイ酸塩、又は、それらの混合物の粒子であっても良い。成形型中の凝集粒子を結合させるのに適した無機結合剤は、石灰を含有するセメント系混合物を含む。成形型中の凝集粒子を結合させるのに適した有機結合剤は、エポキシ、フェノール又はポリエステル樹脂及び接着剤を含む。
【0020】
本方法の一実施形態では、成形型中のスリップの滞留時間は5~20分である。成形型中の滞留時間内に、成形型中でスリップに加圧できる。滞留時間内に、少なくとも部分的な乾燥及び凝固が行われる。必要であれば、型の液位を一定に保つために、滞留時間内に追加のスリップが加えられる。圧力を例えば2~5気圧加えることができる。これは、空気又は気体の圧力を加えて行うか、又は、型のキャビティ内に開口する液体カラムを介して行うことできる。液体カラムは、二重の機能として、スリップ自体により充填することもでき、体積の収縮を補う機能も果たす。成形型内滞留時間の後又は脱型の後、成形体は通常、更に乾燥される。この乾燥は、常圧下で行われることが好ましい。
【0021】
最初に記載された適用に関し、成形体は、好ましくは一端が閉じられた中空体であり、一端が閉じられた管、中空円筒又は漏斗の形状であることが好ましい。中空体の内部容積は、例えば50~1500cm3の間であり、好ましくは200~500cm3の間である。壁の厚さは1~4mmであり、これは焼結及び後の使用に有益であり得る。
【0022】
本発明はまた、焼結されたナトリウム-β-アルミネート粒子からセラミックモールド体を製造する方法に関する。当該方法は、上記の方法に従う成形体の製造と、これに続く成形体の焼成とを含む。成形体のナトリウム-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子は焼成中に焼結され、結合剤は加熱中に融け出るか又は気体として放出される。
【0023】
焼結は非加圧又は加圧のどちらでも良い。焼結中に収縮する可能性があることの他は、焼結体は成形体に対応する形状を有する。モールド体の大きさは、起こりうる収縮の後、最終的に内部容積が50~1500cm3の間、又は、200~500cm3の間となるように調整できる。
【0024】
更に、本発明は、セラミック電解質を有するナトリウム高温バッテリーの製造方法に関し、この方法は、上記の方法によってセラミックモールド体を製造すること及びこのモールド体をセラミック電解質として用いることを含む。モールド体は、固体電解質として機能する。この方法により製造可能なナトリウム高温バッテリーは、例えば、Na/S又はNaNiCl2型高温バッテリー及びAMTEC発電機を含む。
【0025】
(実施例)
本発明の更なる詳細及び利点は、以下に記す実施形態から明らかとなる。
【0026】
(Na-β-アルミネートスリップ)
Na-β-アルミネートスリップを製造するには、Na-β-アルミネート粒子、水、助剤つまり金属酸化物、有機結合剤、及び、有機分散剤がドラムミルに入れられ、粒子が混合されると同時に粉砕される。均一な懸濁液が得られ、Na-β-アルミネート粒子のd50が約1μmになるまで、ミルは運転された。混合の後、スリップは、後にセラミック中に気泡が生じることを避けるために、真空を適用することで脱気された。
【0027】
(成形型)
成形型を製造するために、構造形成Al2O3粒子(凝集体)、結合剤及び水の注型可能な混合物が真空下で脱気され、次いで、製造する成形型のネガ型に注入される。混合物が半凝結及び乾燥の後、成形型はネガ型から取り外され、更に乾燥される。
【0028】
(成形体の製造)
説明したスリップ及び成形型を用いた成形体を製造するための方法は、以下の通りである。
【0029】
第1の工程では、成形型にスリップを充填する。それは所定の時間そこに留まり、その間、型のキャビティに開口され且つスリップ自体により満たされた液体カラムを介して、にスリップに対して圧力が加えられる。更に、液体カラムは、滞留時間内に追加の懸濁液を充填し、型において沈下する液面を補填するための貯液部としても機能する。成形体の形成に必要とされないスリップは、滞留時間の後に除去される。型のキャビティ中に残った成形体は、成形型内で12時間乾燥された後、脱型される。
【0030】
その後、成形体の焼成が1500℃~1600℃の温度にて行われる。
【0031】
本発明によると、Na-β-アルミネートを水系でスリップに加工し、適切で再使用可能な型に注型することができる。スリップキャスティングの適用性が高いので、等方圧プレスに基づく既知の方法に比べて、コストが軽減される結果となる。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合剤により結合されたナトリウム-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子から、スリップキャスティング法により、焼結可能な成形体を製造する方法において、
前記粒子と、分散剤及び結合剤とを含む注型可能なスリップを成形型に導入し、凝固した後に成形体として脱型し、
前記スリップは水系懸濁液であり、且つ/又は、前記成形型は、有機又は無機の結合剤により結合された凝集粒子であることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、
前記スリップの前記Na-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子は、メジアン粒径(d
50値)が10μm未満である粒度分布を有することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2の方法において、
前記スリップは、30~95重量%、望ましくは50~85重量%のNa-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子と、10~60重量%、望ましくは25~45重量%の水と、30重量%まで、望ましくは20重量%までの分散剤、有機バインダー及び任意の他の助剤の形で他の組成物とを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つの方法において、
前記スリップの前記分散剤は、カルボン酸又は他の有機界面活性剤のような有機分散剤を含むか又はそれからなることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つの方法において、
前記スリップの前記結合剤は、例えば(多)糖類、PVA又はカルボン酸のような有機結合剤を含むか又はそれからなることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つの方法において、
前記スリップは、有機溶媒及び/又酸を含まないことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つの方法において、
前記スリップは、上流のプロセス工程において、前記Na-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子を前記水、前記分散剤及び前記結合剤と混合することによって調製され、
前記スリップは、望ましくは混合中又は混合後に真空を適用することにより脱気されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項
7の方法において、
前記Na-β-アルミネート及び/又は前駆体粒子の前記水、前記分散剤及び前記結合剤との混合は、ミル内において行われ、当該混合の間に同時に粒子が粉砕されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1つの方法において、
前記成形型は、50~99重量%、望ましくは70~99重量%の凝集粒子と、少なくとも1つの無機又は有機結合剤とを含み、
前記無機結合剤の割合は、50重量%まで、好ましくは30重量%までであり、
前記有機結合剤の割合は、20重量%まで、好ましくは15重量%までであることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つの方法において、
前記凝集粒子が、ポリエチレングリコール、酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム若しくはケイ酸、又は、それらの混合物の粒子であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つの方法において、
前記成形型内における前記スリップの滞留時間が5~20分の間であること、及び/又は前記成形型内に滞留する間に前記スリップが加圧されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1つの方法において、
前記成形体は、前記成形型内における滞留時間の終了後、又は、脱型後、乾燥され、
前記乾燥は、好ましくは常圧下において行われることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つの方法において、
前記成形体は、一端が閉じられた中空体であり、好ましくは、一端が閉じられた管、中空円筒又は漏斗の形状であることを特徴とする方法。
【請求項14】
焼結されたナトリウム-β-アルミネート粒子からセラミックモールド体を製造する方法において、
請求項1~12のいずれか1つに従う前記成形体の製造と、
前記成形体の焼成とを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
ナトリウム高温バッテリーの製造方法において、
請求項14に従う前記セラミックモールド体の製造と、
前記モールド体を前記バッテリー内のセラミック電解質として用いることを含む方法。
【国際調査報告】