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特表2023-512871照明光学素子のためのマイクロレンズアレイ偏光再利用光学素子
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  • 特表-照明光学素子のためのマイクロレンズアレイ偏光再利用光学素子 図1
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  • 特表-照明光学素子のためのマイクロレンズアレイ偏光再利用光学素子 図6A
  • 特表-照明光学素子のためのマイクロレンズアレイ偏光再利用光学素子 図6B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】照明光学素子のためのマイクロレンズアレイ偏光再利用光学素子
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20230323BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20230323BHJP
   F21V 9/14 20060101ALI20230323BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20230323BHJP
   G02B 27/28 20060101ALI20230323BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20230323BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20230323BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20230323BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20230323BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B27/02 Z
F21V9/14
H04N5/64 511A
G02B27/28 Z
G02F1/1335 510
G02F1/13363
G02F1/13357
G02B3/00 A
G02B5/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533120
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(85)【翻訳文提出日】2022-07-27
(86)【国際出願番号】 US2021016892
(87)【国際公開番号】W WO2021158971
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】62/971,179
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517160525
【氏名又は名称】バルブ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハッドマン、ジョシュア マーク
【テーマコード(参考)】
2H149
2H199
2H249
2H291
2H391
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AB01
2H149AB22
2H149AB23
2H149BA01
2H149BA02
2H149DA04
2H149EA02
2H149EA10
2H149FC09
2H149FC10
2H149FD46
2H199AB12
2H199AB13
2H199AB29
2H199AB47
2H199AB52
2H199CA04
2H199CA23
2H199CA24
2H199CA25
2H199CA30
2H199CA42
2H199CA47
2H199CA62
2H199CA63
2H199CA65
2H199CA94
2H199EA10
2H249AA03
2H249AA13
2H249AA50
2H249AA60
2H291FA28Z
2H291FA29Z
2H291FA30Z
2H291FA42Z
2H291FA48Z
2H291FA52Z
2H291FA56Z
2H291FA62Z
2H291FA71Z
2H291FA85Z
2H291FB05
2H291MA02
2H291PA44
2H291PA82
2H391AA15
2H391AB04
2H391AB40
2H391AC13
2H391AC23
2H391EA13
2H391EA16
2H391EA29
2H391FA06
(57)【要約】
液晶ディスプレイアセンブリを備えるディスプレイシステム等の応用において使用するために偏光再利用構造を提供するシステム及び方法。偏光再利用構造は、第2の空間変化偏光子から離隔された第1の空間変化偏光子を備え得る。第1の空間変化偏光子は、光源から光を受け取り、第1の偏光状態の光を集束させ、第2の偏光状態の光を通すレンズアレイを含み得る。第2の空間変化偏光子は、第1の空間変化偏光子から光を受け取り、第1の偏光状態の集束光を通し、第2の偏光状態の光を第1の偏光状態に変換し、それによって、偏光再利用構造の出力において第1の偏光状態の光のみが提供される。偏光再利用構造は、照明サブシステムの効率性を改善し、それによって、電力消費量、コスト、空間要件が削減され、他の利点が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から入射光を受け取るように構成されている第1の空間変化偏光子であって、前記第1の空間変化偏光子は、第1の偏光状態の光を各々集束させる複数のレンズ素子を含むレンズアレイを形成し、前記第1の空間変化偏光子は、前記第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態を有する入射光を、そのような光が前記レンズアレイの前記レンズ素子によって集束されることなく、通すように更に構成されている、第1の空間変化偏光子と、
前記第1の空間変化偏光子から離隔され、前記第1の空間変化偏光子から光を受け取るように位置決めされた第2の空間変化偏光子であって、前記第2の空間変化偏光子は、前記第1の偏光状態を有する光を通すように構成された直線偏光子領域のアレイを有し、前記アレイにおける前記直線偏光子領域の各々は、前記第1の空間変化偏光子の前記レンズアレイの前記レンズ素子のうちのそれぞれ1つから前記第1の偏光状態の集束光を受け取るようにサイズ決め及び寸法決めされており、前記第2の空間変化偏光子は、前記直線偏光子領域を取り囲み、前記第2の偏光状態を有する光を前記第1の偏光状態を有する光に変換する偏光変換領域を更に有する、第2の空間変化偏光子と
を備える、偏光再利用構造。
【請求項2】
前記第1の空間変化偏光子及び前記第2の空間変化偏光子の各々は、マルチツイストリターダを含む、請求項1に記載の偏光再利用構造。
【請求項3】
前記第1の空間変化偏光子の前記レンズアレイは、マルチツイストリターダにおいてマイクロレンズアレイ回折パターンを含む、請求項1または2に記載の偏光再利用構造。
【請求項4】
前記偏光変換領域は、位相リターダを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の偏光再利用構造。
【請求項5】
前記偏光変換領域は、4分の1波リターダを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の偏光再利用構造。
【請求項6】
前記第2の空間変化偏光子は、前記第1の空間変化偏光子の前記レンズアレイの前記レンズ素子の焦点面において位置決めされる、請求項1から5のいずれか一項に記載の偏光再利用構造。
【請求項7】
前記直線偏光子領域の各々は、100ミクロン未満である最大寸法を有し、前記直線偏光子領域の各々は、各他の直線偏光子領域から少なくとも0.5ミリメートルだけ離隔される、請求項1から6のいずれか一項に記載の偏光再利用構造。
【請求項8】
前記直線偏光子領域は、累積的に、前記偏光変換領域の表面積の5パーセント未満である前記表面積を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の偏光再利用構造。
【請求項9】
光源と、
偏光再利用構造であって、
前記光源から入射光を受け取るように構成されている第1の空間変化偏光子であって、前記第1の空間変化偏光子は、第1の偏光状態の光を各々集束させる複数のレンズ素子を含むレンズアレイを形成し、前記第1の空間変化偏光子は、前記第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態を有する入射光を、そのような光が前記レンズアレイの前記レンズ素子によって集束されることなく、通すように更に構成されている、第1の空間変化偏光子と、
前記第1の空間変化偏光子から離隔され、前記第1の空間変化偏光子から光を受け取るように位置決めされた第2の空間変化偏光子であって、前記第2の空間変化偏光子は、前記第1の偏光状態を有する光を通すように構成された直線偏光子領域のアレイを含み、前記アレイにおける前記直線偏光子領域の各々は、前記第1の空間変化偏光子の前記レンズアレイの前記レンズ素子のうちのそれぞれ1つから前記第1の偏光状態の集束光を受け取るようにサイズ決め及び寸法決めされており、前記第2の空間変化偏光子は、前記直線偏光子領域を取り囲み、前記第2の偏光状態を有する光を前記第1の偏光状態を有する光に変換する偏光変換領域を更に含む、第2の空間変化偏光子と
を有する、偏光再利用構造と、
前記第2の空間変化偏光子から前記第1の偏光状態の光を受け取るように位置決めされた非発光ディスプレイアセンブリと
を備える、ディスプレイ。
【請求項10】
前記非発光ディスプレイアセンブリは、液晶ディスプレイアセンブリを含む、請求項9に記載のディスプレイ。
【請求項11】
前記光源は、発光ダイオードのアレイを含む、請求項9または10に記載のディスプレイ。
【請求項12】
前記ディスプレイは、ヘッドマウントディスプレイデバイス、テレビ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、コンピュータモニタ、又はウェアラブル電子デバイスのディスプレイである、請求項9から11のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項13】
前記第1の空間変化偏光子及び前記第2の空間変化偏光子の各々は、マルチツイストリターダを含む、請求項9から12のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項14】
前記第1の空間変化偏光子の前記レンズアレイは、マルチツイストリターダにおいてマイクロレンズアレイ回折パターンを含む、請求項9から13のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項15】
前記偏光変換領域は、位相リターダを含む、請求項9から14のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項16】
前記偏光変換領域は、4分の1波リターダを含む、請求項9から15のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項17】
前記第2の空間変化偏光子は、前記第1の空間変化偏光子の前記レンズアレイの前記レンズ素子の焦点面において位置決めされる、請求項9から16のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項18】
前記直線偏光子領域の各々は、100ミクロン未満である最大寸法を有する、請求項9から17のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項19】
前記直線偏光子領域の各々は、各他の直線偏光子領域から少なくとも0.5ミリメートルだけ離隔される、請求項9から18のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項20】
複数のレンズ素子を含むレンズアレイを形成する第1のマルチツイストリターダであって、前記レンズ素子の各々は、第1の偏光状態の光を集束させ、前記第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態の光を、そのような光を集束させることなく、通す、第1のマルチツイストリターダと、
前記第1のマルチツイストリターダの前記レンズアレイの前記レンズ素子の焦点面において位置決めされた第2のマルチツイストリターダであって、前記第2のマルチツイストリターダは、前記第1の偏光状態を有する光を通すように構成された直線偏光子領域のアレイを有し、前記アレイにおける前記直線偏光子領域の各々は、前記第1のマルチツイストリターダの前記レンズアレイの前記レンズ素子のうちのそれぞれ1つから前記第1の偏光状態の集束光を受け取るようにサイズ決め及び寸法決めされており、前記第2のマルチツイストリターダは、前記直線偏光子領域を取り囲み、前記第2の偏光状態を有する光を前記第1の偏光状態を有する光に変換する偏光変換領域を更に有する、第2のマルチツイストリターダと
を備える、偏光再利用構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ディスプレイシステムに関し、より具体的には、ディスプレイシステムのための偏光子に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイス、高精細テレビ、及び他の電子デバイスの成長と相まって、性能が高められたディスプレイに対する需要が高まっている。仮想現実システム及び拡張現実システム、特に、ヘッドマウントディスプレイを使用するそれらのシステムの人気の高まりが、そのような需要を更に高めている。仮想現実システムは、典型的には、装着者の眼を完全に包囲し、装着者の正面の実際の視野(又は実際の現実)を、「仮想」現実に置き換え、その一方で、拡張現実システムは、典型的には、実際の視野が追加の情報で拡張されるように、装着者の眼の正面の1つ又は複数のスクリーンの半透明又は透明のオーバーレイを提供する。多くの仮想現実システム及び拡張現実システムにおいて、そのようなヘッドマウントディスプレイの装着者の運動は、示されている画像がユーザの運動を反映することを可能にするために、様々な方法で、例えば、ヘッドマウントディスプレイ内及び/又はその外部にあるセンサを介して、追跡され得る。
【0003】
性能が改善され、それと同時にまた、現在入手可能であるディスプレイと比較して、より小さい又はより大きいサイズであり、消費電力が少なく、発熱が抑えられたディスプレイに対する需要がますます高まっている。したがって、改善されたディスプレイパネル、及びディスプレイパネルを製造及び使用するための改善された技法が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
偏光再利用構造は、光源から入射光を受け取るように構成されている第1の空間変化偏光子であって、前記第1の空間変化偏光子は、第1の偏光状態の光を各々集束させる複数のレンズ素子を含むレンズアレイを形成し、前記第1の空間変化偏光子は、前記第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態を有する入射光を、そのような光が前記レンズアレイの前記レンズ素子によって集束されることなく、通すように更に構成されている、第1の空間変化偏光子と、前記第1の空間変化偏光子から離隔され、前記第1の空間変化偏光子から光を受け取るように位置決めされた第2の空間変化偏光子であって、前記第2の空間変化偏光子は、前記第1の偏光状態を有する光を通すように構成された直線偏光子領域のアレイを有し、前記アレイにおける前記直線偏光子領域の各々は、前記第1の空間変化偏光子の前記レンズアレイの前記レンズ素子のうちのそれぞれ1つから前記第1の偏光状態の集束光を受け取るようにサイズ決め及び寸法決めされており、前記第2の空間変化偏光子は、前記直線偏光子領域を取り囲み、前記第2の偏光状態を有する光を前記第1の偏光状態を有する光に変換する偏光変換領域を更に有する、第2の空間変化偏光子とを備えるものとして要約され得る。前記第1の空間変化偏光子及び前記第2の空間変化偏光子の各々は、マルチツイストリターダを含む。前記第1の空間変化偏光子の前記レンズアレイは、マルチツイストリターダにおいてマイクロレンズアレイ回折パターンを含んでよい。前記偏光変換領域は、位相リターダを含んでよい。前記偏光変換領域は、4分の1波リターダを含んでよい。前記第2の空間変化偏光子は、前記第1の空間変化偏光子の前記レンズアレイの前記レンズ素子の焦点面において位置決めされてよい。前記直線偏光子領域の各々は、100ミクロン未満である最大寸法を有してよく、前記直線偏光子領域の各々は、各他の直線偏光子領域から少なくとも0.5ミリメートルだけ離隔されてよい。前記直線偏光子領域は、累積的に、前記偏光変換領域の表面積の5パーセント未満である前記表面積を含んでよい。
【0005】
ディスプレイは、光源と、偏光再利用構造であって、前記光源から入射光を受け取るように構成されている第1の空間変化偏光子であって、前記第1の空間変化偏光子は、第1の偏光状態の光を各々集束させる複数のレンズ素子を含むレンズアレイを形成し、前記第1の空間変化偏光子は、前記第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態を有する入射光を、そのような光が前記レンズアレイの前記レンズ素子によって集束されることなく、通すように更に構成されている、第1の空間変化偏光子と、前記第1の空間変化偏光子から離隔され、前記第1の空間変化偏光子から光を受け取るように位置決めされた第2の空間変化偏光子であって、前記第2の空間変化偏光子は、前記第1の偏光状態を有する光を通すように構成された直線偏光子領域のアレイを含み、前記アレイにおける前記直線偏光子領域の各々は、前記第1の空間変化偏光子の前記レンズアレイの前記レンズ素子のうちのそれぞれ1つから前記第1の偏光状態の集束光を受け取るようにサイズ決め及び寸法決めされており、前記第2の空間変化偏光子は、前記直線偏光子領域を取り囲み、前記第2の偏光状態を有する光を前記第1の偏光状態を有する光に変換する偏光変換領域を更に含む、第2の空間変化偏光子とを有する、偏光再利用構造と、前記第2の空間変化偏光子から前記第1の偏光状態の光を受け取るように位置決めされた非発光ディスプレイアセンブリとを備えるものとして要約され得る。前記非発光ディスプレイアセンブリは、液晶ディスプレイアセンブリを含んでよい。前記光源は、発光ダイオードのアレイを含んでよい。前記ディスプレイは、ヘッドマウントディスプレイデバイス、テレビ、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ、コンピュータモニタ、又はウェアラブル電子デバイスのディスプレイであってよい。前記第1の空間変化偏光子及び前記第2の空間変化偏光子の各々は、マルチツイストリターダを含んでよい。前記第1の空間変化偏光子の前記レンズアレイは、マルチツイストリターダにおいてマイクロレンズアレイ回折パターンを含んでよい。前記偏光変換領域は、位相リターダを含んでよい。前記偏光変換領域は、4分の1波リターダを含んでよい。前記第2の空間変化偏光子は、前記第1の空間変化偏光子の前記レンズアレイの前記レンズ素子の焦点面において位置決めされてよい。前記直線偏光子領域の各々は、100ミクロン未満である最大寸法を有してよい。前記直線偏光子領域の各々は、各他の直線偏光子領域から少なくとも0.5ミリメートルだけ離隔されてよい。
【0006】
偏光再利用構造は、複数のレンズ素子を含むレンズアレイを形成する第1のマルチツイストリターダであって、前記レンズ素子の各々は、第1の偏光状態の光を集束させ、前記第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態の光を、そのような光を集束させることなく、通す、第1のマルチツイストリターダと、前記第1のマルチツイストリターダの前記レンズアレイの前記レンズ素子の焦点面において位置決めされた第2のマルチツイストリターダであって、前記第2のマルチツイストリターダは、前記第1の偏光状態を有する光を通すように構成された直線偏光子領域のアレイを含み、前記アレイにおける前記直線偏光子領域の各々は、前記第1のマルチツイストリターダの前記レンズアレイの前記レンズ素子のうちのそれぞれ1つから前記第1の偏光状態の集束光を受け取るようにサイズ決め及び寸法決めされており、前記第2のマルチツイストリターダは、前記直線偏光子領域を取り囲み、前記第2の偏光状態を有する光を前記第1の偏光状態を有する光に変換する偏光変換領域を更に有する、第2のマルチツイストリターダとを備えるものとして要約され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図面において、同一の参照符号は、同様の要素又は動作を識別する。図面における要素のサイズ及び相対位置は、必ずしも縮尺どおりに描かれているわけではない。例えば、様々な要素の形状及び角度は、必ずしも縮尺どおりに描かれているわけではなく、これらの要素のうちの幾つかは、図面の読みやすさを改善するために、任意に拡大及び位置決めされてよい。さらに、描かれている要素の特定の形状は、当該特定の要素の実際の形状に関する何らかの情報を伝えることが必ずしも意図されているわけではなく、専ら図面において認識を容易にするために選択されたものであってよい。
【0008】
図1】1つの図示された実装に係る、デュアルディスプレイパネルを備えるヘッドマウントディスプレイデバイスの或る例である。
【0009】
図2】1つの図示された実装に係る、ディスプレイパネルを備えるラップトップの或る例である。
【0010】
図3】1つの非限定的な図示された実装に係る、ディスプレイパネルを備えるスマートフォンの或る例である。
【0011】
図4】1つの非限定的な図示された実装に係る、バックライトアセンブリと偏光再利用構造とを備えるディスプレイパネルの断面図である。
【0012】
図5】1つの非限定的な図示された実装に係る、図4において示された偏光再利用構造の簡略断面図である。
【0013】
図6A】1つの非限定的な図示された実装に係る、マイクロレンズアレイを提供する偏光再利用構造の第1の空間変化偏光子の正面図である。
【0014】
図6B】1つの非限定的な図示された実装に係る、偏光変換領域によって囲まれた直線偏光子領域のアレイを提供する偏光再利用構造の第2の空間変化偏光子の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明において、様々な開示される実装の十分な理解を提供するために、特定の具体的な詳細が記載される。しかしながら、当業者であれば、これらの具体的な詳細のうちの1つ若しくは複数を用いずに、又は、他の方法、コンポーネント、材料等を用いて、これらの実装が実施され得ることを認識するであろう。他の事例では、これらの実装の説明を不必要に曖昧にすることを回避するために、コンピュータシステム、サーバコンピュータ、及び/又は通信ネットワークに関連付けられた周知の構造は詳細には図示も説明もされていない。
【0016】
文脈上別段の意味に解釈されるべきである場合を除き、本明細書及びそれに続く特許請求の範囲全体を通して、「備える」という用語は「含む」と同義であり、包括的又はオープンエンドである(すなわち、追加の列挙されていない要素又は方法の動作を排除しない)。
【0017】
本明細書全体を通した「1つの実装」又は「或る実装」に対する言及は、その実装に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実装に含まれることを意味する。それゆえ、本明細書全体を通した様々な箇所における「1つの実装では」又は「或る実装では」という表現の出現は、必ずしも、全てが同じ実装を参照しているというわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実装において、任意の適した方法で組み合わされてよい。
【0018】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、「a」「an」、及び「the」という単数形は、そうでないことを文脈が明確に規定している場合を除き、複数の指示対象を含む。「又は/若しくは(or)」という用語は、概して、そうでないことを文脈が明確に規定している場合を除き、その意味において「及び/又は」を含むように利用されることも留意されるべきである。
【0019】
本明細書において提供される本開示の見出し及び要約書は、単に利便性のためのものであり、実装の範囲又は意味を解釈するものではない。
【0020】
多くの直視型フラットパネルディスプレイ及び投影型ディスプレイは、周囲光、CCFLランプ、発光ダイオード、又は他のタイプの光源等の無偏光光源を使用する。しかしながら、LCディスプレイ(LCD)又はLCオンシリコン(LCoS:LC on silicon)マイクロディスプレイを含む液晶(LC)材料を利用するディスプレイシステム等の多くのディスプレイシステムは、適切に動作するために光を偏光させる必要がある場合がある。所望の偏光を有する光を通すことのみを許容する従来の偏光子が利用可能であるが、それらは、望ましくない光が典型的には吸収されるか又は異なる方向に向かって反射されるので、非効率的である。これらのタイプの偏光子は、50%未満の効率性を有し得、これは、電力消費量、サイズ、熱生成、又はコストが重要な因子である応用において特に望ましくない。他の手法は、望ましくない偏光光を繰り返し反射させた後、当該光を再び受け取ることによって、当該光の少なくとも一部は正しい偏光となるようにして、当該望ましくない偏光光を再利用する。この技法は、反射型偏光子又は吸収型偏光子と比較して相対的に高い効率性(例えば、50%~75%)を提供するが、ランダム偏光光源からの光の大部分が依然として失われる。
【0021】
本開示の1つ又は複数の実装は、ヘッドマウントディスプレイデバイス、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、テレビ、スマートフォン、ウェアラブルコンピュータ、コンピュータモニタ等のような電子デバイスのディスプレイを含む多様な応用において使用するための偏光再利用構造を対象とする。そのようなディスプレイを含み得る電子デバイスの非限定的な例が図1図3において示されている。以下で更に論述されるように、本開示は、無偏光光又は45度偏光光を受け取り、ディスプレイシステム等の様々な応用において使用するための偏光光を効率的に提供する偏光再利用構造を提供することによって、ディスプレイシステム(例えば、LCD、LCoS)又は他のタイプのコンポーネントの性能を改善する。
【0022】
図1は、ヘッドマウントディスプレイデバイス100の形態の電子デバイスの非限定的な例を示しており、ヘッドマウントディスプレイデバイス100は、人間のユーザに仮想現実ディスプレイを提供するために有線接続又は無線接続を介してビデオレンダリングコンピューティングシステムに結合され得る。動作時、ユーザは、1つ又は複数のストラップ101を介して固定して、自身の頭部にHMDデバイス100を装着し、コンピューティングシステムから、HMDデバイスの支持構造104によって支持されるディスプレイ102a及び102bを介して各眼において、実際の物理的環境とは異なる模擬環境の表示された情報を受け取り、コンピューティングシステムは、コンピューティングシステム上で実行されるゲームプログラム(図示せず)及び/又は他のソフトウェアプログラム(図示せず)によって生成される画像等、ユーザへの表示のためにHMDデバイスに模擬環境の画像を供給する画像レンダリングシステムとして機能する。ユーザは、この例では実際の物理的環境を動き回ることが更に可能であり、有線接続又は無線接続を介してコンピューティングシステムに通信可能に結合されるハンドヘルドコントローラ等、ユーザが模擬環境と更にインタラクトすることを可能にする1つ又は複数のI/O(「入力/出力」)デバイスを更に有してよい。ユーザがロケーションを移動し及び/又はHMDデバイス100の配向を変更するに従い、HMDデバイスの位置は、例えば、模擬環境の対応する部分をHMDデバイス上でユーザに表示することを可能にするために、追跡されてよく、コントローラは、コントローラの位置を追跡する際に使用するために(及び任意選択で、その情報をHMDデバイスの位置を決定及び/又は検証する際に支援するのに使用するために)類似の技法を更に利用してよい。HMDデバイス100の追跡位置が知られた後、対応する情報は、コンピューティングシステムに送信され、コンピューティングシステムは、この追跡位置情報を使用して、ディスプレイ102a及び102bを介してユーザに表示するための模擬環境の1つ又は複数の次の画像を生成する。
【0023】
図2は、上部ハウジング202及び下部ハウジング204を有するラップトップコンピュータ200の形態の例示の電子デバイスを示しており、上部ハウジング202及び下部ハウジング204は、これらのハウジングが互いに対して回転することを可能にするヒンジ206を介してともに結合される。下部ハウジング204は、キーボード208を備え、他の構造(例えば、タッチパッド、様々なポート)を備えてよい。上部ハウジング202は、ユーザにコンテンツを表示するために使用され得るディスプレイパネル210を備える。
【0024】
図3は、スマートフォン300の形態の例示の電子デバイスを示している。スマートフォン300は、ディスプレイパネル304と複数の入力コンポーネント306(例えば、ボタン)とを備えるハウジング302を備える。少なくとも幾つかの実装では、ディスプレイパネル304は、例えば、タッチスクリーンディスプレイであってよい。
【0025】
より一般的には、本開示のディスプレイは、図1図3において示されているデバイス、又はミュージックプレイヤ、拡張現実デバイス、ゲーミングデバイス、ナビゲーションユニット、車両ディスプレイ、ウェアラブルデバイス、キオスク、若しくは1つ若しくは複数のディスプレイを備える他のタイプのデバイスを含む他のデバイス等の任意のタイプの電子デバイスにおいて実装されてよい。
【0026】
図4は、本開示の1つ又は複数の実施形態に係る例示の液晶ディスプレイ(LCD)400の断面側面図を示している。ディスプレイ400は、図1のデバイス100、図2のデバイス200、及び図3のデバイス300等の任意のタイプの電子デバイスにおいて実装されてよい。さらに、本開示の実装は、他のタイプのディスプレイ(例えば、LCoS)とともに、又は、無偏光(ランダム偏光)光から偏光光を効率的に取得することが望まれる他の任意の応用において、使用されてよいことが理解されるべきである。
【0027】
ディスプレイ400は、各々略類似した形状(例えば、矩形)であり得る複数のスタック層を含む。ディスプレイ400は、バックライトアセンブリ402のエッジに実質的に隣接して位置決めされた光源404から光403を受け取る当該バックライトアセンブリ402を備えてよい。ディスプレイ400は、LCDパネル406又は他のディスプレイ層(例えば、任意の非発光ディスプレイアセンブリ層)、光学フィルム408等の他の光処理層、及び偏光再利用光学素子又は構造410を含むディスプレイモジュールも備える。以下で更に論述されるように、偏光再利用構造410は、無偏光光を受け取るとともに、LCDパネル406によって使用するために直線偏光光を効率的に出力するように動作可能である。光学フィルム層408は、ホットスポットを低減させる1つ又は複数の拡散層(例えば、拡散フィルム)、軸外の視認を向上させる補償フィルム、又は他のタイプのフィルム(例えば、バックライト402をコリメートするプリズムフィルム)を含んでよい。
【0028】
図4において示された構成は、単なる例示であり、異なるように配置された同じ層、より少数又は多数の層、又は異なる層を含み得る他の構成も企図されることが理解されるべきである。
【0029】
図5は、本開示の特徴を実装し得る例示の偏光再利用構造500の簡略断面側面図を示している。偏光再利用構造500は、図1のデバイス100、図2のデバイス200、及び図3のデバイス300等の任意のタイプの電子デバイスにおいて実装されてよく、図4の偏光再利用構造410と同様又は同一であってよい。
【0030】
偏光再利用構造500は、第2の空間変化偏光子504から離隔された第1の空間変化偏光子502を備える。偏光子502及び504は、例えば、適した透明スペーサ素子又は層(図示せず)を使用して離隔されてよい。第1の空間変化偏光子502の簡略平面図が図6Aにおいて示されており、第2の空間変化偏光子504の簡略平面図が図6Bにおいて示されている。以下で更に論述されるように、第1の空間変化偏光子502及び第2の空間変化偏光子504の各々は、マルチツイストリターダ(MTR)材料から形成されてよい。動作時、偏光再利用構造500は、上記で論述されたように、光源(例えば、LED)からランダム偏光光506を受け取るとともに、第1の偏光状態の偏光光508をディスプレイの液晶コンポーネント等のコンポーネントに提供するように動作可能である。
【0031】
第1の空間変化偏光子502は、ランダム偏光入射光506を受け取るように構成されている。図5及び図6Aにおいて示されているように、第1の空間変化偏光子502は、第1の偏光状態の光512を各々集束させる複数のレンズ素子510を含むレンズアレイ(例えば、2Dマイクロレンズアレイ)を形成する回折パターンを提供してよい。第1の空間変化偏光子502は、第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態を有する入射光514(図5において破線で示されている)を、そのような光がレンズアレイのレンズ素子510によって集束されることなく、通すように更に構成されている。換言すれば、第1の空間変化偏光子502は、レンズ素子を介して第1の偏光状態の光を集束させ、かつ実質的な改変を伴わずに第2の偏光状態の光を通すという意味で、偏光感応性であり得る。
【0032】
第2の空間変化偏光子504は、第1の空間変化偏光子から離隔されてよく、第1の空間変化偏光子502から光512及び514を受け取るように位置決めされてよい。或る例として、第2の空間変化偏光子504は、第1の空間変化偏光子のレンズ素子510の焦点面において、又は当該焦点面に近接して位置決めされてよい。図5及び図6Bにおいて示されているように、第2の空間変化偏光子504は、第1の偏光状態を有する集束光512を通すように構成された直線偏光子領域516のアレイを含む。示されているように、アレイにおける直線偏光子領域516の各々は、第1の空間変化偏光子502のレンズアレイのレンズ素子510のうちのそれぞれ1つから第1の偏光状態の集束光512を受け取るようにサイズ決め及び寸法決めされてよい。
【0033】
第2の空間変化偏光子504は、直線偏光子領域516を取り囲み、第2の偏光状態を有する光514を第1の偏光状態を有する光に変換する偏光変換領域518を更に備える。或る例として、偏光変換領域518は、4分の1波リターダ等の位相リターダを含んでよい。それゆえ、偏光再利用構造500を出る光508は、ディスプレイシステム(例えば、LCD、LCoS)の液晶アセンブリ等の1つ又は複数の下流のコンポーネントによって必要とされる第1の偏光状態の光である。
【0034】
直線偏光子領域516の各々は、100ミクロン未満又はそれに等しい(例えば、20ミクロン、50ミクロン、80ミクロンの)最大寸法520(図5)を有してよく、直線偏光子領域の各々は、各他の直線偏光子領域から距離522だけ離隔されてよく、距離522は、幾つかの実装では、少なくとも0.5ミリメートル(例えば、0.5ミリメートル、1ミリメートル、2ミリメートル)であってよい。少なくとも幾つかの実装では、直線偏光子領域516は、累積的に、偏光変換領域518の表面積の5パーセント未満又はそれに等しい(例えば、0.5パーセント、1パーセント、3パーセントの)表面積を含む。直線偏光子領域516は、任意の適した表面積の形状(例えば、円形、矩形)を有してよい。
【0035】
偏光再利用構造500の動作の概要として、入射光506は、直交した第1の偏光状態及び第2の偏光状態の両方の光を含む。第1の偏光状態を有する光506の部分は、第1の空間変化偏光子502のレンズ素子510によって集束され、第2の空間変化偏光子504の直線偏光子領域516を通過して、第1の偏光状態の光508として偏光再利用構造500を出る。第2の偏光状態を有する光506の部分は、レンズ素子510によって集束されることなく(光514を参照)第1の空間変化偏光子502を通過し、第2の空間変化偏光子504の偏光変換領域518によって第1の偏光状態に変換されて、同様に第1の偏光状態の光508として偏光再利用構造500を出る。このように、偏光再利用構造500上に入射する光506の全てが、第2の空間変化偏光子504の直線偏光子領域516によって遮断される第2の偏光状態の光514を除いて、第1の偏光状態の光508として出力において提供される。しかしながら、直線偏光子領域の面積は、偏光変換領域518を主として含む空間変化偏光子504の総面積に対して小さいものであり得るので、光506のごく一部(例えば、1パーセント、5パーセント)のみが失われる。それゆえ、偏光再利用構造500は、有利には、非常に高い効率(例えば、90パーセント超、95パーセント超)で無偏光光から偏光光を提供してよい。
【0036】
上記で論述されたように、偏光再利用構造500の第1の空間変化偏光子502及び第2の空間変化偏光子504のうちの一方又は両方は、複屈折材料から形成される波リターダを含み得る。複屈折は、偏光及び光の伝搬方向に依存する屈折率を有する材料の特性である。波リターダは、当該波リターダを通って進行する光の偏光状態又は位相を改変する。波リターダは、遅軸(又は異常軸)及び速軸(通常軸)を有してよい。偏光光が波リターダを通って進行する際、速軸に沿った光は、遅軸に沿った光よりも迅速に進行する。
【0037】
少なくとも幾つかの実装では、空間変化偏光子502及び504は、マルチツイストリターダ(MTR)から形成されてよく、これは、単一の薄膜において正確でかつカスタマイズされたレベルの広帯域、狭帯域又は多帯域遅延を提供する波長板状の遅延フィルムである。より具体的には、MTRは、単一基板上に、かつ単一の配向層を有する2つ又はそれより多くのねじれた液晶(LC)層を備える。後続のLC層は、前の層によって直接配向され、それにより、簡単な製造が可能になり、自動的な層の位置合わせが達成され、その結果、連続的に変化する光学軸を有するモノリシックフィルムが得られる。
【0038】
上記で説明された様々な実装は、更なる実装を提供するために組み合わせることができる。上記の詳細な説明に鑑みて、実装に対してこれらの変更及び他の変更を行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を本明細書及び特許請求の範囲に開示された具体的な実装に限定するものと解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が対象とする均等物の全範囲とともに全ての可能な実装を含むものと解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】