(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】照明オプティクスのための回折素子の偏光ベース多重化
(51)【国際特許分類】
G02B 27/02 20060101AFI20230323BHJP
G02B 27/28 20060101ALI20230323BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20230323BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20230323BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B27/28 Z
G02B5/18
G02B5/30
H04N5/64 511A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535115
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(85)【翻訳文提出日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 US2021017089
(87)【国際公開番号】W WO2021162990
(87)【国際公開日】2021-08-19
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517160525
【氏名又は名称】バルブ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハッドマン、ジョシュア マーク
(72)【発明者】
【氏名】ラウシュ、カメロン ウェイド
【テーマコード(参考)】
2H149
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H149AA21
2H149AB01
2H149BA05
2H149BA22
2H149FA27W
2H199AB12
2H199AB45
2H199AB58
2H199CA65
2H199CA67
2H199CA74
2H199CA92
2H199CA96
2H249AA02
2H249AA12
2H249AA43
2H249AA55
2H249AA60
2H249AA64
(57)【要約】
システムおよび方法は、様々な応用形態のための改善された照明オプティクスを提供する。照明オプティクスは、入射のコリメートされたビームのための大きな広がり角を提供するか、または従来の回折光学素子と比較してより精密な詳細または解像度を提供する光学ビーム広げ構造を含んでもよい。光学ビーム広げ構造は、互いに光学的に位置合わせされた第1の空間的変化偏光子および第2の空間的変化偏光子を含んでもよい。第1の空間的変化偏光子および第2の空間的変化偏光子は、マルチツイスト移相子(MTR)のような液晶材料で形成されていてもよい。第1の空間的変化偏光子および第2の空間的変化偏光子は、直交偏光状態の光を回折させてもよく、これにより、異なる回折パターンが単一の光学構造で用いられることを可能にする。2つのパターンは、第1の視野および第2の視野のいずれかよりも大きい組み合わせられた視野を共に提供してもよいか、または第1の視野もしくは第2の視野のみが提供し得るよりも精密な詳細または解像度を提供してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から入射光ビームを受け入れるように構成されている第1の空間的変化偏光子であって、前記第1の空間的変化偏光子が、第1の視野上において第1の偏光状態の光を回折させるように動作可能、かつ前記第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態を有する入射光を前記第1の空間的変化偏光子によって回折されることなく通過させるように動作可能である、第1の空間的変化偏光子と、
前記第1の空間的変化偏光子と光学的に位置合わせされ、かつ前記第1の空間的変化偏光子から光を受け入れるように配置された第2の空間的変化偏光子であって、前記第2の空間的変化偏光子が、第2の視野の上で前記第2の偏光状態の光を回折させるように動作可能、かつ前記第1の偏光状態を有する入射光を前記第2の空間的変化偏光子によって回折されることなく通過させるように動作可能である、第2の空間的変化偏光子と
を備える光学ビーム広げ構造。
【請求項2】
前記第1の空間的変化偏光子および前記第2の空間的変化偏光子の各々が、マルチツイスト移相子を有する、請求項1に記載の光学ビーム広げ構造。
【請求項3】
前記第1の空間的変化偏光子および前記第2の空間的変化偏光子の各々が、液晶材料を有する、請求項1または2に記載の光学ビーム広げ構造。
【請求項4】
前記第1の視野および前記第2の視野が、前記第1の視野および前記第2の視野の各々よりも大きい組み合わせられた視野を共に形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の光学ビーム広げ構造。
【請求項5】
前記光学ビーム広げ構造が、ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、飛行時間センサ、またはステレオ深さセンサにおけるコンポーネントである、請求項1から4のいずれか一項に記載の光学ビーム広げ構造。
【請求項6】
前記第1の空間的変化偏光子が、前記第1の偏光状態の光を第1の回折次数に回折させ、前記第2の空間的変化偏光子が、前記第2の偏光状態の光を前記第1の回折次数とは異なる第2の回折次数に回折させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の光学ビーム広げ構造。
【請求項7】
前記第1の回折次数および前記第2の回折次数の一方は、+1の回折次数を含み、前記第1の回折次数および前記第2の回折次数の他方は、-1の回折次数を含む、請求項6に記載の光学ビーム広げ構造。
【請求項8】
前記入射光ビームを生成するように動作可能なレーザ光源
をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の光学ビーム広げ構造。
【請求項9】
前記入射光ビームが、前記第1の偏光状態および前記第2の偏光状態に対して45度である角度で偏光された、請求項1から8のいずれか一項に記載の光学ビーム広げ構造。
【請求項10】
前記第1の視野および前記第2の視野が、少なくとも部分的に互いに重なる、請求項1から9のいずれか一項に記載の光学ビーム広げ構造。
【請求項11】
前記第2の視野が、前記第1の視野とは異なる、請求項1から9のいずれか一項に記載の光学ビーム広げ構造。
【請求項12】
前記第1の偏光状態および前記第2の偏光状態の一方が、p偏光を含み、前記第1の偏光状態および前記第2の偏光状態の他方が、s偏光を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の光学ビーム広げ構造。
【請求項13】
前記第1の空間的変化偏光子が、第1の方向における傾きを有する負レンズを実装し、前記第2の空間的変化偏光子が、前記第1の方向とは異なる第2の方向における傾きを有する負レンズを実装する、請求項1から12のいずれか一項に記載の光学ビーム広げ構造。
【請求項14】
前記第1の空間的変化偏光子が、第1の方向における傾きを有する負レンズを実装し、前記第2の空間的変化偏光子が、前記第1の方向の反対である第2の方向における傾きを有する負レンズを実装する、請求項1から13のいずれか一項に記載の光学ビーム広げ構造。
【請求項15】
レーザ光源と、
光学ビーム広げ構造であって、
前記レーザ光源から入射光ビームを受け入れるように構成されている第1の空間的変化偏光子であって、前記第1の空間的変化偏光子が、第1の視野上において第1の偏光状態の光を回折させるように動作可能、かつ前記第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態を有する入射光を前記第1の空間的変化偏光子によって回折されることなく通過させるように動作可能である、第1の空間的変化偏光子と、
前記第1の空間的変化偏光子と光学的に位置合わせされ、かつ前記第1の空間的変化偏光子から光を受け入れるように配置された第2の空間的変化偏光子であって、前記第2の空間的変化偏光子が、前記第1の視野とは異なる第2の視野の上で前記第2の偏光状態の光を回折させるように動作可能、かつ前記第1の偏光状態を有する入射光を前記第2の空間的変化偏光子によって回折されることなく通過させるように動作可能である、第2の空間的変化偏光子と
を有する光学ビーム広げ構造と
を備える広げ照明源。
【請求項16】
前記第1の空間的変化偏光子および前記第2の空間的変化偏光子の各々が、マルチツイスト移相子を有する、請求項15に記載の照明源。
【請求項17】
前記第1の視野および前記第2の視野が、前記第1の視野および前記第2の視野の各々よりも大きい組み合わせられた視野を共に形成する、請求項15または16に記載の照明源。
【請求項18】
前記照明源が、ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、飛行時間センサ、またはステレオ深さセンサにおけるコンポーネントである、請求項15から17のいずれか一項に記載の照明源。
【請求項19】
前記第1の空間的変化偏光子が、前記第1の偏光状態の光を第1の回折次数に回折させ、前記第2の空間的変化偏光子が、前記第2の偏光状態の光を前記第1の回折次数とは異なる第2の回折次数に回折させる、請求項15から18のいずれか一項に記載の照明源。
【請求項20】
前記第1の回折次数および前記第2の回折次数の一方は、+1の回折次数を含み、前記第1の回折次数および前記第2の回折次数の他方は、-1の回折次数を含む、請求項19に記載の照明源。
【請求項21】
前記入射光ビームが、前記第1の偏光状態および前記第2の偏光状態に対して45度である角度で偏光された、請求項15から20のいずれか一項に記載の照明源。
【請求項22】
前記第1の空間的変化偏光子が、第1の方向における傾きを有する負レンズを実装し、前記第2の空間的変化偏光子が、前記第1の方向とは異なる第2の方向における傾きを有する負レンズを実装する、請求項15から21のいずれか一項に記載の照明源。
【請求項23】
少なくとも1つのカメラと、
照明源であって、
レーザ光源と、
光学ビーム広げ構造であって、
前記レーザ光源から入射光ビームを受け入れるように構成されている第1の空間的変化偏光子であって、前記第1の空間的変化偏光子が、第1の視野上において第1の偏光状態の光を回折させるように動作可能、かつ前記第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態を有する入射光を前記第1の空間的変化偏光子によって回折されることなく通過させるように動作可能である、第1の空間的変化偏光子と、
前記第1の空間的変化偏光子と光学的に位置合わせされ、かつ前記第1の空間的変化偏光子から光を受け入れるように配置された第2の空間的変化偏光子であって、前記第2の空間的変化偏光子が、第2の視野の上で前記第2の偏光状態の光を回折させるように動作可能、かつ前記第1の偏光状態を有する入射光を前記第2の空間的変化偏光子によって回折されることなく通過させるように動作可能である、第2の空間的変化偏光子と
を有する光学ビーム広げ構造と
を有する照明源と
を備える深度カメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概して、照明オプティクスに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な応用形態は、コリメートされたビーム(例えば、レーザビーム)、およびコリメートされたビームを広げる光学系(例えば、負レンズ、ビームスプリッタ)を用いて照明パターンを提供する照明オプティクスを利用する。そのような応用形態は、ヘッドアップディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)システム、飛行時間センサ、ステレオ深さセンサ等を含んでもよい。例えば、有効なステレオカメラセンシングは、赤外線(IR)を検出することが可能な1または複数のカメラと併せて、IRの投射されたパターンを用いてもよい。特定の用途のために、より高い解像度を有するより大きな視野およびより大きな距離で動作するセンサおよび照明オプティクスを提供することが望ましくてもよい。
【0003】
そのようなパターンを生成するために、1または複数の回折光学素子(DOE)と併せたIRレーザが、それらの低減されたサイズ、重量、およびそれらの機能が原因で、照明源またはプロジェクタとして用いられてきた。しかしながら、DOEの視野または「広がり角」は、本質的にそのピッチまたは回折格子同士の間の距離に限定され、これにより、広がり角と詳細または解像度との間でのトレードオフが必要となる。したがって、現在利用可能なものよりも、より大きな視野を提供する様々な応用形態のための照明オプティクスを提供するニーズ、および/またはより精密な詳細または解像度を提供するニーズがある。
【0004】
上で記載したように、そのような照明オプティクスのための例示的な応用形態は、(パーソナルコンピュータ(PC)、ノートパソコン、またはゲームコンソールのような)据え置き型コンピュータにテザリングされ得るか、スマートフォンおよび/またはその関連付けられたディスプレイと組み合わせおよび/または統合され得るか、または自己完結型であり得る、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いて生成される仮想現実(VR)体験を含む。HMDは概して、ユーザの頭に装着され、一方の目(単眼HMD)または各目(双眼HMD)の前に小さいディスプレイデバイスを有するディスプレイデバイスである。これらのディスプレイユニットは、典型的には小型化されており、例えば、CRT技術、LCD技術、シリコン上液晶(LCos)技術、またはOLED技術を含んでもよい。双眼HMDは、異なる画像を各目に表示する可能性を有する。この能力は、立体画像を表示するために用いられる。
【0005】
スマートフォン、高精細度テレビ、ならびに他の電子デバイスの発展に伴い、高性能のディスプレイの需要が高まっている。仮想現実システムおよび拡張現実システム、特に、HMDを用いたものが普及してきていることで、そのような需要はさらに高まっている。仮想現実システムは、典型的には、装着者の目を完全に包み込み、装着者の前の実際の眺めまたは物理的な眺め(または実際の現実)を「仮想」現実に置き換えるが、拡張現実システムは、典型的には、実際の眺めが追加の情報で拡張されるように装着者の目の前に1または複数のスクリーンの半透明または透明なオーバーレイを提供し、媒介現実システムは、現実世界の要素を仮想要素と組み合わせた情報を視聴者へ同様に提示してもよい。多くの仮想現実システムおよび拡張現実システムでは、ユーザの動きを反映するように画像が示されることを可能にすべく、そのようなヘッドマウントディスプレイの装着者の動きは、例えば、ヘッドマウントディスプレイの内部および/または外部のセンサを介してのような、様々な方式でトラッキングされてもよい。
【0006】
位置トラッキングにより、HMDは、絶対位置を検出するためにハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを用いて、周りの環境に対する自らの位置を推定することが可能になる。位置トラッキングは、仮想現実における重要な特徴である。この特徴により、6自由度(6DOF)で動きをトラッキングすることが可能になる。位置トラッキングにより、仮想現実体験に対する様々な利点が促進される。例えば、位置トラッキングにより、かがむ、前方へもたれかかる、またはジャンプする等の異なる動作を反映するようにユーザの視点が変わってもよいと共に、仮想環境内でのユーザの両手または他の被写体の表現が可能になってもよい。また、位置トラッキングにより、視差(すなわち、目により近い被写体が遠く離れた被写体よりも速く動くやり方)が原因で、仮想環境の3D認識が向上する。
【0007】
位置トラッキングには、音響トラッキング、慣性トラッキング、磁気トラッキング、光学トラッキング等、および/またはこれらの組み合わせを含む異なる方法がある。インサイドアウトトラッキングは、位置トラッキングの1つのタイプであり、HMDおよび/または関連被写体(例えば、コントローラ)の位置をトラッキングするために用いられてもよい。インサイドアウトトラッキングは、HMDの位置を決定するために用いられるカメラまたは他のセンサの位置により、アウトサイドイントラッキングとは異なる。インサイドアウトトラッキングでは、カメラまたはセンサは、HMD上またはトラッキング中の被写体上に位置するが、アウトサイドアウトトラッキングでは、カメラまたはセンサは、環境内の固定位置に配置される。
【0008】
インサイドアウトトラッキングを利用するHMDは、1または複数のカメラを利用して「見張る」ことで、自らの位置が環境に対してどのように変化しているかを決定する。HMDが動いた場合、センサは、部屋内でのそれらの場所を再調節し、仮想環境は、それに対してリアルタイムで応答する。このタイプの位置トラッキングは、環境内に配置されるマーカの有無にかかわらず実現され得る。
【0009】
HMD上に配置されたカメラは、周囲環境の特徴を観察する。マーカを用いる場合、マーカは、トラッキングシステムにより容易に検出されるように設計され、特定のエリアに配置される。「マーカのない」インサイドアウトトラッキングでは、HMDシステムは、環境内に元々存在する際立った特性(例えば、自然の特徴)を用いて、位置および向きを決定する。HMDシステムのアルゴリズムは、特定の画像または形状を識別し、それらを用いて空間内でのデバイスの位置を計算する。加速度計およびジャイロスコープからのデータは、位置トラッキングの精度を高めるためにも用いられ得る。
【発明の概要】
【0010】
光学ビーム広げ構造は、光源から入射光ビームを受け入れるように構成されている第1の空間的変化偏光子であって、前記第1の空間的変化偏光子が、第1の視野上において第1の偏光状態の光を回折させるように動作可能、かつ前記第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態を有する入射光を前記第1の空間的変化偏光子によって回折されることなく通過させるように動作可能である、第1の空間的変化偏光子と、前記第1の空間的変化偏光子と光学的に位置合わせされ、かつ前記第1の空間的変化偏光子から光を受け入れるように配置された第2の空間的変化偏光子であって、前記第2の空間的変化偏光子が、第2の視野の上で前記第2の偏光状態の光を回折させるように動作可能、かつ前記第1の偏光状態を有する入射光を前記第2の空間的変化偏光子によって回折されることなく通過させるように動作可能である、第2の空間的変化偏光子とを含むとして要約されてもよい。前記第1の空間的変化偏光子および前記第2の空間的変化偏光子の各々が、マルチツイスト移相子を含んでもよい。前記第1の空間的変化偏光子および前記第2の空間的変化偏光子の各々が、液晶材料を含んでもよい。前記第1の視野および前記第2の視野が、前記第1の視野および前記第2の視野の各々よりも大きい組み合わせられた視野を共に形成してもよい。前記光学ビーム広げ構造が、ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、飛行時間センサ、またはステレオ深さセンサにおけるコンポーネントであってもよい。前記第1の空間的変化偏光子が、前記第1の偏光状態の光を第1の回折次数に回折させてもよく、前記第2の空間的変化偏光子が、前記第2の偏光状態の光を前記第1の回折次数とは異なる第2の回折次数に回折させてもよい。前記第1の回折次数および前記第2の回折次数の一方は、前記+1の回折次数を含んでもよく、前記第1の回折次数および前記第2の回折次数の他方は、前記-1の回折次数を含んでもよい。
【0011】
光学ビーム広げ構造が、前記入射光ビームを生成するように動作可能なレーザ光源をさらに含んでもよい。前記入射光ビームが、前記第1の偏光状態および前記第2の偏光状態に対して45度である角度で偏光されてもよい。第1の視野および第2の視野は、互いに少なくとも部分的に重なってもよい。第2の視野は、第1の視野とは異なってもよい。前記第1の偏光状態および前記第2の偏光状態の一方が、p偏光を含んでもよく、前記第1の偏光状態および前記第2の偏光状態の他方が、s偏光を含んでもよい。前記第1の空間的変化偏光子が、第1の方向における傾きを有する負レンズを実装してもよく、前記第2の空間的変化偏光子が、前記第1の方向とは異なる第2の方向における傾きを有する負レンズを実装してもよい。前記第1の空間的変化偏光子が、第1の方向における傾きを有する負レンズを実装してもよく、前記第2の空間的変化偏光子が、前記第1の方向の反対である第2の方向における傾きを有する負レンズを実装してもよい。
【0012】
照明源は、レーザ光源と、光学ビーム広げ構造であって、前記レーザ光源から入射光ビームを受け入れるように構成されている第1の空間的変化偏光子であって、前記第1の空間的変化偏光子が、第1の視野上において第1の偏光状態の光を回折させるように動作可能、かつ前記第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態を有する入射光を前記第1の空間的変化偏光子によって回折されることなく通過させるように動作可能である、第1の空間的変化偏光子と、前記第1の空間的変化偏光子と光学的に位置合わせされ、かつ前記第1の空間的変化偏光子から光を受け入れるように配置された第2の空間的変化偏光子であって、前記第2の空間的変化偏光子が、前記第1の視野とは異なる第2の視野の上で前記第2の偏光状態の光を回折させるように動作可能、かつ前記第1の偏光状態を有する入射光を前記第2の空間的変化偏光子によって回折されることなく通過させるように動作可能である、第2の空間的変化偏光子とを有する光学ビーム広げ構造とを含むとして要約されてもよい。前記第1の空間的変化偏光子および前記第2の空間的変化偏光子の各々が、マルチツイスト移相子を含んでもよい。前記第1の視野および前記第2の視野が、前記第1の視野および前記第2の視野の各々よりも大きい組み合わせられた視野を共に形成してもよい。前記照明源が、ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、飛行時間センサ、またはステレオ深さセンサにおけるコンポーネントであってもよい。前記第1の空間的変化偏光子が、前記第1の偏光状態の光を第1の回折次数に回折させてもよく、前記第2の空間的変化偏光子が、前記第2の偏光状態の光を前記第1の回折次数とは異なる第2の回折次数に回折させてもよい。前記第1の回折次数および前記第2の回折次数の一方は、前記+1の回折次数を含んでもよく、前記第1の回折次数および前記第2の回折次数の他方は、前記-1の回折次数を含んでもよい。前記入射光ビームが、前記第1の偏光状態および前記第2の偏光状態に対して45度である角度で偏光されてもよい。前記第1の空間的変化偏光子が、第1の方向における傾きを有する負レンズを実装してもよく、前記第2の空間的変化偏光子が、前記第1の方向とは異なる第2の方向における傾きを有する負レンズを実装してもよい。
【0013】
深度カメラシステムは、少なくとも1つのカメラと、照明源であって、レーザ光源と、光学ビーム広げ構造であって、前記レーザ光源から入射光ビームを受け入れるように構成されている第1の空間的変化偏光子であって、前記第1の空間的変化偏光子が、第1の視野上において第1の偏光状態の光を回折させるように動作可能、かつ前記第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態を有する入射光を前記第1の空間的変化偏光子によって回折されることなく通過させるように動作可能である、第1の空間的変化偏光子と、前記第1の空間的変化偏光子と光学的に位置合わせされ、かつ前記第1の空間的変化偏光子から光を受け入れるように配置された第2の空間的変化偏光子であって、前記第2の空間的変化偏光子が、第2の視野の上で前記第2の偏光状態の光を回折させるように動作可能、かつ前記第1の偏光状態を有する入射光を前記第2の空間的変化偏光子によって回折されることなく通過させるように動作可能である、第2の空間的変化偏光子とを有する光学ビーム広げ構造とを含む照明源とを含むとして要約されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面において、同一の参照符号は、同様の要素または動作を識別する。図面中の要素のサイズおよび相対的な位置は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。例えば、様々な要素の形状および角度は、必ずしも縮尺通りに描かれておらず、これらの要素のうちのいくつかは、図面の読みやすさを改善すべく、任意に拡大および配置されてもよい。さらに、これらの要素の描かれている特定の形状は、それら特定の要素の実際の形状に関する何らかの情報を伝えることが必ずしも意図されるものではなく、図面中で認識されることを容易にするために選択されただけであってもよい。
【0015】
【
図1】本開示の説明する技術による特定の実施形態における特定の方式の、双眼ディスプレイを含むヘッドマウントディスプレイシステムの上面図を示す。
【0016】
【
図2】本開示の説明する技術による特定の実施形態における特定の方式の、双眼ディスプレイサブシステムと、ステレオ深度カメラのコンポーネントである前方カメラおよびプロジェクタとを含むヘッドマウントディスプレイシステムの正面絵図である。
【0017】
【
図3A】1つの非限定的な示された実装形態による、機能を示す光学ビーム広げ構造の第1の空間的変化偏光子の側方断面図である。
【0018】
【
図3B】1つの非限定的な示された実装形態による、機能を示す光学ビーム広げ構造の第2の空間的変化偏光子の側方断面図である。
【0019】
【
図4A】1つの非限定的な示された実装形態による、その例示的な位相プロファイルを示す第1の空間的変化偏光子の平面図である。
【0020】
【
図4B】1つの非限定的な示された実装形態による、その例示的な位相プロファイルを示す第2の空間的変化偏光子の平面図である。
【0021】
【
図5】1つの非限定的な示された実装形態による、第1の空間的変化偏光子および第2の空間的変化偏光子を含む光学ビーム広げ構造を含む照明源の側方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の説明では、様々な開示される実装形態についての完全な理解を提供すべく、特定の具体的な詳細を記載する。しかしながら、当業者であれば、これらの具体的な詳細のうちの1または複数なしで、または他の方法、コンポーネント、材料等を用いて実装形態が実施されてもよいことを認識するであろう。他の例では、実装形態の説明を不必要に不明瞭にすることを回避するために、コンピュータシステム、サーバコンピュータ、および/または通信ネットワークに関連付けられた周知の構造については、詳細に図示または説明していない。
【0023】
文脈上別段の解釈が必要でない限り、本明細書およびそれに続く特許請求の範囲の全体にわたって、「備える」という語は、「含む」と同義であり、包括的またはオープンエンドである(すなわち、追加の記載されていない要素または方法の動作を排除しない)。
【0024】
本明細書の全体にわたって、「一実装形態」または「実装形態」への言及は、当該実装形態に関連して説明する特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実装形態に含まれることを意味する。それゆえ、本明細書の全体にわたって様々な箇所に「一実装形態では」または「実装形態では」という語句が現れた場合、必ずしもすべてが同じ実装形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1または複数の実装形態において任意の好適な方式で組み合わされてもよい。
【0025】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈により別段の明確な規定のない限り、複数の指示対象を含む。文脈により別段の明確な規定のない限り、「または」という用語は概して、「および/または」を含む意味で利用されていることにも留意されたい。
【0026】
本明細書において提供される見出しおよび要約書は、便宜のためのみのものであり、実装形態の範囲または意味を解釈するものではない。
【0027】
本開示のシステムおよび方法は、ヘッドアップディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)システム、飛行時間センサ、ステレオ深さセンサ等のような様々な応用形態のための改善された照明オプティクスを提供することに関する。1つの非限定的な示された実装形態によれば、入射のコリメートされたビームのための比較的大きな広がり角を提供すること、および/または回折格子同士の間のピッチもしくは距離によって限定される従来の回折光学素子と比較してより精密な詳細または解像度を提供することが可能である光学ビーム広げ構造が提供される。
【0028】
以下でさらに説明するように、光学ビーム広げ構造は、互いに光学的に位置合わせされる第1の空間的変化偏光子および第2の空間的変化偏光子を含んでもよい。第1の空間的変化偏光子および第2の空間的変化偏光子は、マルチツイスト移相子(MTR)のような液晶材料で形成されていてもよい。第1の空間的変化偏光子は、レーザ源のような光源から入射光ビームを受け入れるように構成されていてもよい。少なくともいくつかの実装形態では、入射光ビームは、特定の角度で偏光されてもよい。第1の空間的変化偏光子は、第1の視野上において第1の偏光状態の光を回折させるように動作可能であってもよく、第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態を有する入射光を第1の空間的変化偏光子によって回折されることなく通過させるように動作可能であってもよい。例えば、第1の空間的変化偏光子は、第1の偏光状態における光のための第1の方向における傾きパターンを有する負レンズを実装してもよい。第2の空間的変化偏光子は、第1の空間的変化偏光子から光を受け入れるように位置していてもよく、第2の視野上において第2の偏光状態の光を回折させるように動作可能、かつ第1の偏光状態を有する入射光を第2の空間的変化偏光子によって回折されることなく通過させるように動作可能であってもよい。例えば、第2の空間的変化偏光子は、第2の偏光状態における光のための第2の方向(例えば、第1の方向の逆)における傾きパターンを有する負レンズを実装してもよい。それゆえ、第1の視野および第2の視野が、第1の視野および第2の視野のいずれかよりも大きい組み合わせられた視野を共に提供、および/または第1の視野もしくは第2の視野のみが提供するよりも精密な詳細を提供する。
【0029】
最初に、
図1および
図2を参照して、本開示の照明オプティクスのための非限定的な例示的なHMDシステム応用形態を説明する。上で記載したように、本開示の特徴は、比較的大きな広がり角、および/または従来のDOEに対してより精密な詳細を提供するオプティクスを用いることが望ましい多数の応用形態において用いられてもよい。次に、本開示の光学ビーム広げ構造を含む照明源の一実施形態は、
図3~
図5を参照して説明される。
(例示的な応用形態:HMDのためのステレオ深度カメラ)
【0030】
図1は、一対のニアツーアイディスプレイシステム102および104を含むHMDシステム100の簡略上面図である。ニアツーアイディスプレイシステム102および104は、ディスプレイ106および108(例えば、OLEDマイクロディスプレイ)をそれぞれ含み、1または複数の光学レンズを各々が有するそれぞれの光学レンズ系110および112を含む。ディスプレイシステム102および104は、支持構造もしくはフレーム114に、またはフロント部116と、左テンプル118と、右テンプル120とを含む他のマウント構造に取り付けられてもよい。2つのディスプレイシステム102および104は、ユーザ124の頭122に装着され得る眼鏡構成内のフレーム114に固定され得る。左テンプル118および右テンプル120はそれぞれ、ユーザの耳126および128の上に載っていてもよく、一方、鼻アセンブリ(図示せず)は、ユーザの鼻130の上に載っていてもよい。フレーム114は、2つの光学システム110および112の各々を、それぞれユーザの目132および134の一方の前に配置するような形状およびサイズにされてもよい。フレーム114は、説明の目的で眼鏡と同様に簡略化した方式で示されているが、実際には、より洗練された構造(例えば、ゴーグル、統合ヘッドバンド、ヘルメット、ストラップ等)を用いて、ユーザ124の頭122の上にディスプレイシステム102および104を支持および配置してもよいことを理解されたい。
【0031】
図1のHMDシステム100は、毎秒30フレーム(または画像)または毎秒90フレームのような表示レートで提示される対応するビデオを介してのように、仮想現実ディスプレイをユーザ124に提示できる。一方、同様のシステムの他の実施形態は、拡張現実ディスプレイをユーザ124に提示することが可能である。ディスプレイ106および108の各々は、それぞれの光学システム110および112を介して透過され、かつ、ユーザ124の目132および134にそれぞれ焦点が合わせられる光を生成してもよい。ここでは図示されていないが、目の各々は、光が目に通過して入る所である、瞳孔の開口を含む。典型的な瞳孔サイズの範囲は、非常に明るい条件における直径2mm(ミリメートル)から暗い条件における最大8mmであり、一方、瞳孔が含まれる、より大きい虹彩は、およそ12mmのサイズを有し得る。瞳孔(およびそれを囲む虹彩)は、典型的には、まぶたが開いた状態の目の可視部分内で水平方向および/または垂直方向に数ミリメートル動く場合がある。これはまた、眼球がその中心を軸として回る時に、異なる水平位置および垂直位置に対してディスプレイの光学レンズまたは他の物理要素から異なる深度へ瞳孔を動かす(そして、瞳孔が動き得る3次元ボリュームがもたらされる)。ユーザの瞳孔に入った光は、ユーザ124により画像および/またはビデオとして見られる。いくつかの実装形態では、光学システム110および112の各々とユーザの目132および134との間の距離は、比較的短くてもよい(例えば、30mm未満、20mm未満)。この結果、光学システムおよびディスプレイシステムの重量がユーザの顔に比較的近いので、HMDシステム100が有利なことにユーザにとってより軽く思えるものになり、また、より大きい視野がユーザに提供されてもよい。
【0032】
HMDシステム100は、ステレオ深度カメラ136のカメラであってもよい前方カメラ136aおよび136bも含んでもよい。ステレオ深度カメラ136は、例えば、拡張現実応用形態において、または仮想現実応用形態と併せて、ユーザ124へ選択的に提示されてもよい画像データを撮像するように動作可能であってもよい。追加的にまたは代替的に、ステレオ深度カメラ136は、本明細書の他の箇所で述べるように、使用中にHMDシステム100の位置をトラッキングするために、HMDシステム100の位置トラッキングシステムにより用いられてもよい。例として、カメラ136aおよび136bの各々は、ビデオカメラと、比較的広い角度(例えば、60°、90°、120°、150°)を有し、前方カメラの視野内の画像をあるフレームレート(例えば、30Hz、60Hz、90Hz)で撮像する関連付けられたレンズシステムとを備えてもよい。カメラ136は概して、標的領域の少なくとも一部の画像を撮像することが可能である任意のデバイスであり得る。画像は、カラー画像であり得るか、またはグレースケール画像であり得る。例として、カメラ136は、開口を通じてカメラに入る光を修正、方向変更、および/または焦点合わせをするいくつかのレンズを含んでもよい。光センサ(例えば、CCD)は、レンズを通過する光を受け入れてもよく、画像の複数のピクセルを表すデータを出力する。例えば、データは、各ピクセルのための強度値を提供する。
【0033】
HMDシステム100はまた、標的領域または環境に向けた光パターン(例えば、構造化光パターン)を投射する照明源またはプロジェクタ138を含んでもよい。標的領域または環境は、特定の用途に依存して、メートル、センチメートル、ミリメートル等の次数の範囲を含む、HMDシステム100から任意の数の異なる範囲の距離であってもよい。非限定的な例として、プロジェクタ138は、複数のドット、線、グリッド、コード化されているパターンもしくはコード化されていないパターン、またはカメラ136によって検出可能な他のパターンを含み得る構造化光パターンを生成してもよい。
【0034】
図3~
図5を参照して以下にさらに説明するように、プロジェクタ138は、コリメートされたビームを広げるように動作可能な1または複数の光源および光学ビーム広げ構造を含んでもよい。プロジェクタ138はまた、1または複数の光源または光学ビーム広げ構造の動作を制御するために、制御回路(例えば、
図5のコントローラ334)を含んでもよい。1または複数の光源は、1もしくは複数のレーザ(例えば、IRレーザ)、発光ダイオード(LED)、ランプ、他の光源、またはこれらのいくつかの組み合わせを含み得る。
【0035】
光学ビーム広げ構造は、光源によって発された光を所望の光パターンに変形または別の方法で変更する。いくつかの実装形態では、光学ビーム広げ構造は静止している。例えば、光学ビーム広げ構造は、出射光を単一の深度の焦点に焦点を合わせるか、または焦点をぼかしてもよい。別の例として、光学ビーム広げ構造は、以下でさらに説明するように、所望の構造化光パターンを形成するために出射光の回折をもたらす特定の回折的パターンを有してもよい。
【0036】
他の実装形態では、光学ビーム広げ構造は、動的焦点変調を可能にする(すなわち、異なる回折的パターンは、様々な異なる焦点を出射光に与えるために、選択的に適用されてもよい)。1つの例として、光学ビーム広げ構造は、高周波数スイッチ可能回折パターンを可能にするマルチツイスト移相子のような液晶材料を含んでもよい。
【0037】
図1において示されていないが、そのようなHMDシステム100のいくつかの実施形態は、各目132および134について別個に瞳孔トラッキングを実行するため、頭位置および向きを(例えば、頭トラッキングの一部として)トラッキングするため、様々な他のタイプのユーザの体の動きおよび位置をトラッキングするためのような様々な追加の内部センサおよび/または外部センサ、(例えば、環境の)外部画像を記録するための他のカメラ等を含んでもよい。
【0038】
さらに、説明される技術は、
図1に示されるものと同様のディスプレイシステムを有するいくつかの実施形態において用いられてもよく、一方、他の実施形態では、単一の光学レンズおよびディスプレイデバイスを有するものまたは複数のそのような光学レンズおよびディスプレイデバイスを有するものを含む他のタイプのディスプレイシステムが用いられてもよい。他のそのようなデバイスの非排他的な例には、カメラ、望遠鏡、顕微鏡、双眼鏡、スポッティングスコープ、測量スコープ等が含まれる。加えて、説明される技術は、1または複数のユーザが1または複数の光学レンズを通して見る画像を形成するために光を発する多様なディスプレイパネルまたは他のディスプレイデバイスと共に用いられてもよい。他の実施形態では、ユーザは、別の光源からの光の一部または全体を反射する表面上でのように、ディスプレイパネルを介する以外の方式で生成される1または複数の画像を1または複数の光学レンズを通して見てもよい。
【0039】
HMDシステム100は、物理的にローカルまたはHMDシステムから遠隔であってもよいプロセッサおよびメモリを含んでもよい。プロセッサは、1つのプロセッサ、または共に動作可能に結合された複数のプロセッサであり得る。プロセッサは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、集積回路、コンピュータロジックを実装する回路、またはこれらのいくつかの組み合わせのような任意の処理デバイスであり得る。メモリは、これらに限定されないが、RAM、ROM、ハードドライブ、フラッシュドライブ、光学媒体、他のメモリデバイス、またはこれらのいくつかの組み合わせを含む任意の非一時的情報ストレージデバイスを含み得る。メモリは、プロセッサによって実行され得る命令を含むプロセッサによってアクセス可能である情報を格納し得る。命令は、プロセッサによって実行された場合、プロセッサに所望の機能を提供させる命令の任意のセットであり得る。メモリはまた、データを格納し得る。
【0040】
HMDシステム100は、カメラ136によって撮像された1または複数の画像のために複数の深度値を決定するために動作可能な深度ディターミナモジュールまたは回路を含んでもよい。いくつかの実装形態では、深度ディターミナは、メモリに格納されるか、またはメモリにロードされ、かつプロセッサによって実行されるプロセッサ実行可能命令を含む。他の実装形態では、深度ディターミナは、1または複数の回路(例えば、集積回路)、ロジックコンポーネント、またはコンピュータロジックを実装するか、もしくは他の機能を実行するように配置されたコンピュータハードウェアの他のアイテムを含む。他の実装形態では、深度ディターミナは、プロセッサ実行可能命令またはデータおよび回路のいくつかの組み合わせを用いて、実装され得る。
【0041】
HMDシステム100は、ローカルエリアネットワーク(例えば、イントラネット)、ワイドエリアネットワーク(例えば、インターネット)、内部デバイスバス、またはこれらのいくつかの組み合わせのような任意のタイプの通信ネットワークであり得るネットワークに結合されてもよく、任意の数の有線リンクまたは無線リンクを含み得る。概して、ネットワークを介したHMDシステム100のコンポーネント同士の間の通信は、多様な通信プロトコル(例えば、TCP/IP、HTTP、SMTP、FTP)、エンコーディングもしくはフォーマット(例えば、HTML、XML)、および/または保護スキーム(例えば、VPN、セキュアHTTP、SSL)を用いて、任意のタイプの有線接続および/または無線接続を介して伝達され得る。
【0042】
提供された例は説明の目的のためのHMDシステムであるが、提供された機能は、様々な他のデバイスまたは応用形態のために利用されてもよい。例えば、機能は、深度値の決定が有益である車両、テスト機器、人工知能デバイス、自動化システム、または任意の他のシステムもしくはデバイスの中に埋め込まれた深度カメラシステムにおいて提供されてもよい。他の実装形態では、本開示の特徴は、デスクトップコンピュータ、ノートパソコンコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン、ゲーミングコンソール、1または複数のサーバコンピューティングデバイス、またはこれらのいくつかの組み合わせにおいて提供されてもよく、他の機能を提供するために用いられてもよい。
【0043】
図2は、ユーザ202の頭に装着された場合の例示的なHMDシステム200の正面図を示す。HMDシステム200は、前を向いているステレオ深度カメラまたは前方ステレオ深度カメラ206aおよび206bと、プロジェクタ208とを支持する支持構造204を含む。カメラ206aは、本明細書において左カメラ206aと称される場合があり、カメラ206bは、本明細書において右カメラ206bと称される場合がある。ステレオ深度カメラ206aおよび206bは、
図1を参照して上で説明したカメラ136aおよび136bと同様または同一であってもよい。同様に、プロジェクタ208は、
図1のプロジェクタ138に同様または同一であってもよい。
【0044】
上の説明は、本開示の照明オプティクスの例示的な応用形態を提示するために提供される。上で記載したように、本開示の特徴は、ヘッドアップディスプレイ、飛行時間センサ、照明オプティクスを利用する他のデバイスを含む多数の他の応用形態等において利用されてもよい。
(例示的な照明源)
【0045】
図3~
図5は、前述のステレオ深度カメラ応用形態または他の応用のような様々な応用形態において用いられてもよい例示的な照明源300(
図5)を示す。以下でさらに説明するように、示された例において、照明源300は、第1の空間的変化偏光子および第2の空間的変化偏光子302および318を含む光学ビーム広げ構造301(
図5)を含む。
図3Aは、機能を示す第1の空間的変化偏光子302の側方断面図であり、
図3Bは、機能を示す第2の空間的変化偏光子318の側方断面図である。
図4Aおよび
図4Bはそれぞれ、例示的な位相プロファイルを示す、第1の空間的変化偏光子および第2の空間的変化偏光子302および318の平面図である。
図5は、1つの非限定的な示された実装形態による、第1の空間的変化偏光子および第2の空間的変化偏光子302および318を含む光学ビーム広げ構造301を含む照明源300の側方断面図である。
【0046】
光学ビーム広げ構造301の第1の空間的変化偏光子および第2の空間的変化偏光子302および318の一方または両方は、複屈折材料で形成する波長移相子を含んでもよい。複屈折は、光の偏光および伝搬方向に依存する屈折率を有する材料の性質である。波長移相子は、波長移相子を通って移動する光の偏光状態または位相を変更する。波長移相子は、遅相軸(または、異常軸)および進相軸(常軸)を有してもよい。波長移相子を通って偏光された光が進むにつれて、進相軸に沿って光は、遅相軸に沿っているよりも迅速に移動する。
【0047】
少なくともいくつか実装形態では、空間的変化偏光子302および318は、単一の薄膜における広帯域位相差、狭帯域位相差、または多帯域位相差の正確でカスタマイズされたレベルを提供する波長板のような位相差フィルムであるマルチツイスト移相子(MTR)で形成されてもよい。より具体的には、MTRは、単一の基板上で、かつ単一の配向層を有して、2つ以上のねじれ液晶(LC)層を備える。次のLC層は、前の層によって直接位置合わせされ、簡素な製造を可能にし、自動層間位置合わせを実現し、継続的に変化する光学軸を有するモノリシックな膜がもたらされる。
【0048】
図3Aは、説明の目的のための
図3Bにおいて示された第2の空間的変化偏光子318から別個に示された第1の空間的変化偏光子302の動作の
図303を示す。光源304は、一角度(例えば、45度)で直線的に偏光されたコリメートされたビーム306を生成する。図示していないが、光学構造(例えば、偏光子)は、ビーム306を好適なパターンおよび偏光状態に形成するように提供されてもよい。第1の空間的変化偏光子302は、第1の視野312上において広がり角313で第1の偏光状態の光310を回折させるように動作可能、かつ第1の偏光状態に直交する第2の偏光状態を有する入射光314を第1の空間的変化偏光子302によって回折されることなく通過させるように設計されている回折パターン322(
図4A)を含む。示された例では、光源304は、第1の偏光状態(例えば、p偏光)と第2の偏光状態(例えば、s偏光)との両方に対して45度の角度で偏光されたコリメートされた光ビーム306を提供する。第1の空間的変化偏光子302は、広がり角313を有する視野312上において(図示するような)上方傾きで第1の偏光状態の光310を回折させるように構成されている。例として、第1の空間的変化偏光子302の回折パターン322は、負レンズと特定の回折次数(例えば、+1、-1等)のために設計された傾きパターンとの組み合わせを実装するように設計されてもよい。
【0049】
図3Bにおいて示すように、第2の空間的変化偏光子318は、第2の視野320上において広がり角321で第2の偏光状態の光314を回折させるように設計され、かつ第2の偏光状態に直交する第1の偏光状態を有する入射光310を第2の空間的変化偏光子318によって回折されることなく通過させるように設計されている回折パターン324(
図4B)を含む。示された例では、第2の空間的変化偏光子318は、広がり角321を有する第2の視野320上において(図示するような)下方傾きで第2の偏光状態の光314を回折させるように構成されている。例として、第2の空間的変化偏光子318の回折パターン324は、負レンズと特定の回折次数(例えば、+1、-1等)のために設計された傾きパターンとの組み合わせを実装するように設計されてもよい。少なくともいくつかの実装形態では、第2の空間的変化偏光子318の傾きパターンは、第1の空間的変化偏光子302の傾きパターンとは異なる方向(例えば、反対方向)にあってもよい。例えば、第1の空間的変化偏光子302は、+1の回折次数に向かって設計されてもよく、第2の空間的変化偏光子318は、-1の回折次数に向かって設計されてもよい。
【0050】
図5は、第1の空間的変化偏光子および第2の空間的変化偏光子302および318が互いに光学的に位置合わせされた場合の、光学ビーム広げ構造301を含む照明源300を示す。図示するように、第1の空間的変化偏光子302は、視野312上において広がり角313で第1の偏光状態の光310を(図示のような)上方傾きで回折させ、第2の空間的変化偏光子318は、第2の視野320上において広がり角321で第2の偏光状態の光314を下方傾きで回折させる。それゆえ、第1の視野および第2の視野312および320は、第1の視野および第2の視野よりも大きい広がり角332を有する組み合わせられた視野を共に提供する。非限定的な例として、第1の視野および第2の視野がそれぞれ30度の広がり角を有し、互いに10度で重なる場合、組み合わせられた視野は、50度の広がり角を有してもよい(すなわち、30°+30°-10°=50°)。
【0051】
少なくともいくつかの実装形態では、前記第1の空間的変化偏光子302が、前記第1の偏光状態の光を第1の回折次数に回折させ、前記第2の空間的変化偏光子318が、前記第2の偏光状態の光を前記第1の回折次数とは異なる第2の回折次数に回折させる。非限定的な例として、前記第1の回折次数および前記第2の回折次数の一方は、前記+1の回折次数を含んでもよく、前記第1の回折次数および前記第2の回折次数の他方は、前記-1の回折次数を含んでもよい。
【0052】
図5において示すように、少なくともいくつかの実装形態では、第1の視野312および第2の視野320は、互いに少なくとも部分的に重なってもよいが、そのような特徴が必要であるわけではない。少なくともいくつかの実装形態では、第2の視野320は、第1の視野312とは異なる。他の実装形態では、第1の視野および第2の視野312および320は、実質的に同じであるが、単一の回折光学素子を用いて提供することが可能となるよりも大きな解像度を共に提供する。理解し得るように、2つの視野の間の重なりが最小である場合、組み合わせられた視野は、解像度を損失することなく個別の視野のほぼ2倍であってもよい。
【0053】
少なくともいくつかの実装形態では、光学ビーム広げ構造301は、第1の空間的変化偏光子または第2の空間的変化偏光子302および318の空間的に依存する位相差を任意の所望の構成に選択的に変化させるために、コントローラ334に動作可能に結合されてもよく、これにより、可変の組み合わせられた視野を提供する。そのような実装形態では、コントローラ334によって選択的に制御されるために、第1の空間的変化偏光子および第2の空間的変化偏光子302および318の空間的に依存する位相差を可能にする1または複数の電極層(例えば、薄膜トランジスター(TFT)層)を提供されてもよい。コントローラ334は、1回のみ、周期的、またはミリ秒もしくはマイクロ秒の次数上のレートのような任意の所望のレートで位相差を制御してもよい。別の例として、空間的変化偏光子302および318の各々は、所望の偏光特性を提供するために、コントローラ334によって有効状態と無効状態との間でそれぞれ選択的に切り替えられてもよい2つ以上の層のスタックを含んでもよい。
【0054】
示されたシステムおよびデバイスは、単に例示であり、本開示の範囲を限定するように意図していないことが理解されよう。そのようなコンピューティングシステムまたはデバイスは、これらに限定されるものではないが、デスクトップコンピュータ、ノートパソコンコンピュータ、スレートコンピュータ、タブレットコンピュータもしくは他のコンピュータ、スマートフォンコンピューティングデバイスおよび他の携帯電話、インターネット機器、PDAおよび他の電子手帳、データベースサーバ、ネットワークストレージデバイスおよび他のネットワークデバイス、ワイヤレスフォン、ページャ、(例えば、セットトップボックス、および/またはパーソナル/デジタルビデオレコーダ、および/またはゲームコンソール、および/またはメディアサーバを用いる)テレビベースシステム、および適切な相互通信能力を含む様々な他の消費財を含む、適切なソフトウェアを用いてプログラムされたまたは別の方法で構成された場合のような、説明したタイプの機能をインタラクトして実行し得る任意の組み合わせのハードウェアを備えてもよい。例えば、示されたシステムは、特定のコンピューティングシステムまたはデバイス上にロードおよび/またはこれらによって実行された場合、これらのシステムまたはデバイスのプロセッサを構成するように等、これらのシステムまたはデバイスをプログラムするまたは別の方法で構成するように用いられてもよい、少なくともいくつかの実施形態における実行可能ソフトウェア命令および/またはデータ構造を含んでもよい。代替的に、他の実施形態では、ソフトウェアシステムのいくつかまたはすべてが、別のデバイス上のメモリで実行してもよく、コンピュータ間通信を介して、図示されたコンピューティングシステム/デバイスと通信してもよい。加えて、様々なアイテムが様々な時点(例えば、用いられている間)でメモリまたはストレージに格納されるように示されているが、これらのアイテムまたはそれらの部分は、メモリ管理および/またはデータ統合性の目的で、メモリとストレージとの間で、および/または(例えば、異なる位置の)ストレージデバイス同士の間で転送され得る。
【0055】
それゆえ、少なくともいくつかの実施形態では、図示されているシステムは、プロセッサおよび/または他のプロセッサ手段により実行された場合、説明した動作をそのシステムのために自動的に実行するようにプロセッサをプログラムするソフトウェア命令を含むソフトウェアベースのシステムである。さらに、いくつかの実施形態では、システムのいくつかまたはすべては、少なくとも部分的に、1または複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、標準的な集積回路、コントローラ(例えば、適切な命令を実行し、マイクロコントローラおよび/または埋め込みコントローラを含むことによる)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)等を含むが限定されないファームウェアおよび/またはハードウェア手段においてのような、他の方式で実装または提供されてもよい。システムまたはデータ構造のいくつかまたはすべてはまた、ハードディスクもしくはフラッシュドライブもしくは他の不揮発性ストレージデバイス、揮発性メモリもしくは不揮発性メモリ(例えば、RAM)、ネットワークストレージデバイス、または適切なドライブによりもしくは適切な接続を介して読み込まれるポータブルメディア製品(例えば、DVDディスク、CDディスク、光ディスク、フラッシュメモリデバイス等)のような、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に(例えば、ソフトウェア命令コンテンツまたは構造化データコンテンツとして)格納されてもよい。システム、モジュール、およびデータ構造はまた、いくつかの実施形態では、無線ベースの媒体と有線/ケーブルベースの媒体とを含む様々なコンピュータ可読送信媒体上で、生成されたデータ信号として(例えば、搬送波または他のアナログまたはデジタル伝搬信号の一部として)送信されてもよく、様々な形式を取ることができる(例えば、単一または多重化されたアナログ信号の一部として、または複数の個別のデジタルパケットまたはフレームとして)。そのようなコンピュータプログラム製品は、他の実施形態では、他の形式も取ってもよい。したがって、本開示は、他のコンピュータシステム構成で実施されてもよい。
【0056】
当業者であれば、本明細書に記載される方法またはアルゴリズムの多くが、追加の動作を利用してもよく、いくつかの動作を省略してもよく、および/または、指定されるものとは異なる順序で動作を実行してもよいことを認識するであろう。
【0057】
前述の様々な実装形態は、さらなる実装形態を提供するために組み合わされ得る。上記の詳細な説明を考慮して、これらの変更および他の変更が実装形態に対して行われ得る。概して、以下の特許請求の範囲において、用いられている用語は、本明細書および特許請求の範囲において開示されている特定の実装形態に特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲の対象となる均等物の範囲全体と共にすべての可能な実装形態を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。
【国際調査報告】