(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】アイトラッキング眼底照明システム
(51)【国際特許分類】
A61B 3/12 20060101AFI20230323BHJP
A61B 3/113 20060101ALI20230323BHJP
A61B 3/15 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
A61B3/12
A61B3/113
A61B3/15
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535795
(86)(22)【出願日】2020-12-06
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 US2020063513
(87)【国際公開番号】W WO2021158277
(87)【国際公開日】2021-08-12
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】メタ プラットフォームズ テクノロジーズ, リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】META PLATFORMS TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】弁理士法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】シャーマ, ロビン
(72)【発明者】
【氏名】エル-ハダッド, モハメド タレク
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA09
4C316AA21
4C316FA06
4C316FA19
4C316FB26
4C316FY02
4C316FY05
4C316FY08
(57)【要約】
眼底照明システムは、アイトラッキングシステムと、照明光源と、レンズシステムと、制御モジュールとを含む。アイトラッキングシステムは、目の動きを追跡するように構成され、照明光源は、照明光を選択的に放出する光源のアレイを含む。レンズシステムは、目の眼底を照明するために、照明光を導くために照明光源と目との間に配設される。制御モジュールは、アイトラッキングシステムと照明光源とに通信可能に結合され、眼底の照明を維持するために、目の動きに基づいて光源のアレイのうちの少なくとも1つの光源を選択的に有効にする。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼底照明システムであって、
目の動きを追跡するように構成されたアイトラッキングシステムと、
照明光を放出するために選択的に有効にされるように構成された光源のアレイを含む照明光源と、
前記目の眼底を照明するために、前記照明光源によって生成された前記照明光を導くために前記照明光源と前記目との間に配設されたレンズシステムと、
前記アイトラッキングシステムと前記照明光源とに通信可能に結合された制御モジュールであって、前記制御モジュールが、前記眼底の照明を維持するために前記目の前記動きに基づいて光源の前記アレイのうちの少なくとも1つの光源を選択的に有効にするように構成された制御モジュールと
を備える、眼底照明システム。
【請求項2】
前記アイトラッキングシステムが、前記目の少なくとも1つの画像をキャプチャするためのカメラを備え、前記少なくとも1つの画像に基づいて前記目の前記動きを決定するように構成され、および/または
前記アイトラッキングシステムが、前記目の瞳孔の動きに基づいて前記目の前記動きを決定するための瞳孔トラッカーを備える、請求項1に記載の眼底照明システム。
【請求項3】
前記照明光源が、前記目の瞳面に接合する平面内に配置されるように構成されている、請求項1に記載の眼底照明システム。
【請求項4】
前記照明光が見えない光、赤外光、または近赤外光である、請求項1に記載の眼底照明システム。
【請求項5】
光源の前記アレイが発光ダイオード(LED)のアレイを備える、請求項1に記載の眼底照明システム。
【請求項6】
前記レンズシステムが、1つまたは複数のフーリエ変換レンズの4Fレンズ構成を備える、請求項1に記載の眼底照明システム。
【請求項7】
光源の前記アレイの各光源が光源の前記アレイ内の対応する位置を含み、前記制御モジュールが、前記少なくとも1つの光源のうちのどれを有効にするべきであるかを決定するために、前記目の前記動きを光源の前記アレイ内の位置に変換するように構成されている、請求項1に記載の眼底照明システム。
【請求項8】
前記制御モジュールが、前記目の前記動きを、前記目の前記動きとは反対の方向における光源の前記アレイ内の前記位置に変換するように構成されている、請求項7に記載の眼底照明システム。
【請求項9】
光源の前記アレイ内の第1の位置において第1の光源を有効にすることから、光源の前記アレイ内の第2の位置において第2の光源を有効にすることへの変更により、前記眼底の前記照明を維持するために、前記照明光が前記レンズシステムから放出される角度が変化する、請求項7に記載の眼底照明システム。
【請求項10】
目の眼底を照明する方法であって、前記方法は、
照明光を放出するために選択的に有効にされるように構成された光源のアレイを含む照明光源を与えることと、
前記目の前記眼底を照明するために、前記照明光源によって生成された前記照明光を導くために前記照明光源と前記目との間に配設されたレンズシステムを与えることと、
前記目の動きを追跡することと、
前記眼底の照明を維持するために、前記目の前記動きに基づいて光源の前記アレイのうちの少なくとも1つの光源を選択的に有効にすることと
を含む、目の眼底を照明する方法。
【請求項11】
前記目の前記動きを追跡することが、
前記目の少なくとも1つの画像をキャプチャすることと、
前記少なくとも1つの画像に基づいて前記目の前記動きを決定することと
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記目の前記動きを追跡することが、前記目の瞳孔の動きを追跡することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
光源の前記アレイの各光源が光源の前記アレイ内の対応する位置を含み、前記少なくとも1つの光源を選択的に有効にすることが、
前記少なくとも1つの光源のうちのどれを有効にするべきであるかを決定するために、前記目の前記動きを光源の前記アレイ内の位置に変換すること
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記目の前記動きを変換することが、
前記目の前記動きを、前記目の前記動きとは反対の方向における光源の前記アレイ内の前記位置に変換することを含み、および/または
光源の前記アレイ内の第1の位置において第1の光源を有効にすることから、光源の前記アレイ内の第2の位置において第2の光源を有効にすることへの変更により、前記眼底の前記照明を維持するために、前記照明光が前記レンズシステムから放出される角度が変化する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
眼底撮像システムであって、
請求項1または請求項9に記載の眼底照明システムと、
目の少なくとも1つの画像をキャプチャするように構成された第1のカメラと、
前記少なくとも1つの画像に基づいて前記目の動きを決定するための、前記第1のカメラに結合されたアイトラッキングモジュールと
を備え、
前記照明光源が、前記目の瞳面に接合する平面内に配置されるように構成され、
前記アイトラッキングシステムは、前記眼底が前記照明光で照明されている間に前記眼底の少なくとも1つの画像をキャプチャするように構成された第2のカメラを備える、眼底撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年2月6日に出願された「Eye-Tracking Fundus Illumination System」という名称の米国仮出願第62/970,945号の利益を主張する。米国仮出願第62/970,945号は、それらの全体が参照により本明細書に明確に援用される。
【0002】
本開示の態様は、一般に、眼底(ocular fundus)照明および撮像システムに関する。
【背景技術】
【0003】
眼底撮像は、眼底とも呼ばれる、目の後部部分を撮像(たとえば、写真撮影)することを伴う。特に、目の眼底は、レンズの反対側の、目の内面であり、網膜と、視神経乳頭と、網膜黄斑と、中心窩と、後極とを含み得る。いくつかのコンテキストでは、眼底画像の分析は、ケアプロバイダによる診断または治療反応目的のために有用であり得る。たとえば、医師は、眼底画像の検査に基づいて、感染、変性眼疾患、または先天性症状などの問題を識別することが可能であり得る。
【0004】
いくつかの従来の眼底撮像システムは、様々なオプティクスと、フラッシュ対応カメラとを含み得る。これらの従来の撮像システムの動作は、網膜上に投影されるターゲット画像(たとえば、ドット)に集中するように患者に指示することと、次いで、画像を取得するために瞳孔を光で満たす(たとえば、フラッシュをアクティブ化する)こととを含み得る。
【発明の概要】
【0005】
本発明によれば、眼底照明システムであって、目の動きを追跡するように構成されたアイトラッキングシステムと、照明光を放出するために選択的に有効にされるように構成された光源のアレイを含む照明光源と、目の眼底を照明するために、照明光源によって生成された照明光を導くために照明光源と目との間に配設されたレンズシステムと、アイトラッキングシステムと照明光源とに通信可能に結合された制御モジュールであって、制御モジュールが、眼底の照明を維持するために、目の動きに基づいて光源のアレイのうちの少なくとも1つの光源を選択的に有効にするように構成された制御モジュールとを備える、眼底照明システムが提供される。
【0006】
任意選択的に、アイトラッキングシステムは、目の少なくとも1つの画像をキャプチャするためのカメラを備え、少なくとも1つの画像に基づいて目の動きを決定するように構成される。
【0007】
任意選択的に、アイトラッキングシステムは、目の瞳孔の動きに基づいて目の動きを決定するための瞳孔トラッカーを備える。
【0008】
任意選択的に、照明光源は、目の瞳面に接合する平面内に配置されるように構成される。
【0009】
任意選択的に、照明光は、見えない光、赤外光、または近赤外光である。
【0010】
任意選択的に、光源のアレイは発光ダイオード(LED)のアレイを備える。
【0011】
任意選択的に、レンズシステムは、1つまたは複数のフーリエ変換レンズの4Fレンズ構成を備える。
【0012】
任意選択的に、光源のアレイの各光源は対応する光源のアレイ内の位置を含み、制御モジュールは、少なくとも1つの光源のうちのどれを有効にするべきであるかを決定するために、目の動きを光源のアレイ内の位置に変換するように構成される。
【0013】
任意選択的に、制御モジュールは、目の動きを、目の動きとは反対の方向における光源のアレイ内の位置に変換するように構成される。
【0014】
任意選択的に、光源のアレイ内の第1の位置において第1の光源を有効にすることから、光源のアレイ内の第2の位置において第2の光源を有効にすることへの変更により、眼底の照明を維持するために、照明光がレンズシステムから放出される角度が変化する。
【0015】
本発明によれば、目の眼底を照明する方法であって、本方法は、照明光を放出するために選択的に有効にされるように構成された光源のアレイを含む照明光源を与えることと、目の眼底を照明するために、照明光源によって生成された照明光を導くために照明光源と目との間に配設されたレンズシステムを与えることと、目の動きを追跡することと、眼底の照明を維持するために、目の動きに基づいて光源のアレイのうちの少なくとも1つの光源を選択的に有効にすることとを含む、目の眼底を照明する方法がさらに提供される。
【0016】
任意選択的に、目の動きを追跡することは、目の少なくとも1つの画像をキャプチャすることと、少なくとも1つの画像に基づいて目の動きを決定することとを含む。
【0017】
任意選択的に、目の動きを追跡することは、目の瞳孔の動きを追跡することを含む。
【0018】
任意選択的に、光源のアレイの各光源は対応する光源のアレイ内の位置を含み、少なくとも1つの光源を選択的に有効にすることは、少なくとも1つの光源のうちのどれを有効にするべきであるかを決定するために、目の動きを光源のアレイ内の位置に変換することを含む。
【0019】
任意選択的に、目の動きを変換することは、目の動きを、目の動きとは反対の方向における光源のアレイ内の位置に変換することを含む。
【0020】
本発明によれば、眼底撮像システムであって、目の少なくとも1つの画像をキャプチャするように構成された第1のカメラと、少なくとも1つの画像に基づいて目の動きを決定するための、第1のカメラに結合されたアイトラッキングモジュールと、照明光を放出するために選択的に有効にされるように構成された光源のアレイを含む照明光源であって、照明光源が、目の瞳面に接合する場所に配置されるように構成された、照明光源と、目の眼底を照明するために、照明光源によって生成された照明光を導くために照明光源と目との間に配設されたレンズシステムと、眼底の照明を維持するために、目の動きに基づいて光源のアレイのうちの少なくとも1つの光源を選択的に有効にするように構成された制御モジュールと、眼底が照明光で照明されている間に眼底の少なくとも1つの画像をキャプチャするように構成された第2のカメラとを備える、眼底撮像システムがまたさらに提供される。
【0021】
本開示の非限定的および非網羅的な態様について、以下の図を参照しながら説明し、別段に規定されていない限り、様々な図全体にわたって同様の参照番号は同様の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】本開示の態様による、眼底撮像システムを示す図である。
【
図1B】本開示の態様による、眼底撮像システムを示す図である。
【
図2A-2B】本開示の態様による、様々な目の動きと、それらの動きの、光源のアレイ内の位置への対応する変換とを示す図である。
【
図3A-3B】本開示の態様による、様々な目の動きと、それらの動きの、光源のアレイ内の位置への対応する変換とを示す図である。
【
図4A-4B】本開示の態様による、様々な目の動きと、それらの動きの、光源のアレイ内の位置への対応する変換とを示す図である。
【
図5A-5B】本開示の態様による、様々な目の動きと、それらの動きの、光源のアレイ内の位置への対応する変換とを示す図である。
【
図6】本開示の態様による、様々な目の動きと、それらの動きの、光源のアレイ内の位置への対応する変換とを示す図である。
【
図7】本開示の態様による、計算デバイスを示す図である。
【
図8】本開示の態様による、目の眼底を照明するプロセスを示すフローチャートである。
【
図9】本開示の態様による、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
アイトラッキングを含む眼底照明システムに関する具体例を示すために、様々な態様および実施形態が以下の説明および関係する図面において開示されている。代替的な態様および実施形態は、本開示を読めば、関連する技術分野における当業者に明らかになり、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく構築され、実施され得る。さらに、本明細書で開示される態様および実施形態の重要な詳細を不明瞭にしないように、よく知られている要素は、詳細には説明しないか、または省略することがある。
【0024】
本開示のいくつかの実装形態では、「ニアアイ」という用語は、ニアアイデバイスが利用されている間にユーザの目の50mm以内に配置されるように構成された要素を含むとして定義され得る。したがって、「ニアアイ光学要素」または「ニアアイシステム」は、ユーザの目の50mm以内に配置されるように構成された1つまたは複数の要素を含むであろう。
【0025】
本開示の態様では、可視光は、約380nm~700nmの波長範囲を有するとして定義され得る。見えない光は、紫外光および赤外光など、可視光範囲外にある波長を有する光として定義され得る。約700nm~1mmの波長範囲を有する赤外光は近赤外光を含む。本開示の態様では、近赤外光は、約700nm~1.4μmの波長範囲を有するとして定義され得る。白色光は、広い範囲の波長を含む光として定義され得、いくつかの事例では、可視スペクトルの複数の色を含み得る。
【0026】
上述のように、いくつかの従来の眼底撮像システムの動作は、患者(またはユーザ)の網膜上に投影されるターゲット画像(たとえば、ドット)に集中するように、患者(またはユーザ)に指示することを含み得る。ターゲット画像に集中するように患者に指示することの1つの目的は、眼底の照明を最大にするために目と照明光源(たとえば、フラッシュ)との間の正しい整合を保証することである。しかしながら、いくつかの事例では、患者は、身体的なまたは発育上の能力の低下により、ターゲットに集中するという指示に従うことができないことがある。たとえば、ユーザは、ユーザがターゲットに焦点を合わせることを妨げる眼球運動問題を有することがあるか、または、幼児/児童は、ターゲットに焦点を合わせるという指示に従うことができないことがある、などである。目が照明光源と整合していない場合、目の瞳孔は、照明光をぼかし、光が眼底に到達するのを妨げ得、それにより、得られた画像が劣化し得る。
【0027】
したがって、本開示の態様は、目の動きおよび/または目の整合に対して不変である眼底照明システムを提供する。すなわち、眼底照明システムは、目が照明光源と直接整合していない場合でも、および/または目が動いている場合でさえも、眼底の照明を維持し得る。一態様では、光源のアレイを含む照明光源が提供される。また、目の動きを追跡するアイトラッカーが提供され得、眼底の照明を維持するために、目の決定された動きに基づいて照明光を放出するためにアレイ中の光源のうちの1つまたは複数が選択的に有効にされる。これらおよび他の特徴について以下でより詳細に説明する。
【0028】
図1Aは、本開示の態様による眼底撮像システム100を示す。眼底撮像システム100の示されている例は、目108の眼底106の画像104をキャプチャするように構成された第1のカメラ102を含む。眼底撮像システム100はまた、照明光源110と、レンズシステム112と、アイトラッキングシステム(たとえば、第2のカメラ114)と、コンバイナ層140と、計算デバイス116とを含むとして示されている。本明細書で使用する際、照明光源110と、レンズシステム112と、アイトラッキングシステムと、コンバイナ層140と、計算デバイス116とは、まとめて眼底照明システムと呼ばれ得る。
【0029】
いくつかの例では、照明光源110は光源118A~118Gのアレイを含む。各光源118A~118Gは、照明光120を放出するために選択的に有効にされるように構成された発光ダイオード(LED)であり得る。一例では、光源118A~118Gによって生成される照明光120は白色光である。他の例では、照明光120は、赤外光または近赤外光など、見えない光である。いくつかの態様では、各光源118A~118Gは、列と行との2次元(2D)アレイにおける照明光源110内に構成される。いくつかの例では、各光源118A~118Gは、照明光120を放出するために1度に光源118A~118Gのうちの1つのみが有効にされる、点光源と呼ばれることがある(たとえば、
図1Aの図示の例では、照明光120を放出するために単一の光源118Dのみが現在有効にされている)。
【0030】
図1Aに示されているように、照明光源110は、目108の瞳面124に接合する平面122内に位置する。いくつかの実装形態では、目108に対する照明光源110の位置決めは、ユーザ/患者に与えられる頭/あご受けスタンド(図示せず)によって得られる。他の実装形態では、位置決めはヘッドマウントデバイス(たとえば、
図9のヘッドマウントディスプレイ参照)によって与えられる。
【0031】
図1Aに示されているように、レンズシステム112は、照明光120を受光し、目108の眼底106を照明するために照明光120を導くように構成される。いくつかの例では、レンズシステム112は、レンズシステム112が照明光120を瞳面124の焦点に集束するマクスウェル視を与える。
図1Aに示されているように、照明光120は、次いで、眼底106の大きいエリアを照明するために目108の後方に向かって瞳孔126を通る際に広がる。いくつかの態様では、レンズシステム112は1つまたは複数のフーリエ変換レンズ(たとえば、レンズ128Aおよび128B)の4Fレンズ構成を含む。レンズシステム112の示されている例は、照明光120の透過を利用する2つのフーリエ変換レンズを含むとして示されているが、他の例では、レンズシステム112は、代替的に、照明光120の反射を利用する単一のフーリエ変換レンズを含み得る。他の例では、照明光120の方向を制御するためにビームステアリングシステムが組み込まれる場合、レンズシステム112は省略され得る。例として、ビームステアリングシステムは、液晶ベースであり、走査ミラー、および/または回折ビームステアリングシステムであり得る。
【0032】
図1Aは、本開示の一態様による、眼底106から反射された反射光142を受光し、反射された光142をカメラ102にリダイレクトするように構成されたコンバイナ層140を示す。コンバイナ層140中の光コンバイナは、照明光120が目108に入射するようにコンバイナ層140中を伝搬することができるように、照明光120を光学的に透過するように構成される。いくつかの実施形態では、コンバイナ層140は、特に、光の他の波長を大体通しながらも、照明光源110によって放出された光の特定の波長をカメラ102にリダイレクトするように構成され得る。
【0033】
上述のように、眼底撮像システム100は、目108の動きを追跡するためのアイトラッキングシステムを含み得る。図示の例では、アイトラッキングシステムは第2のカメラ114として与えられる。第2のカメラ114は、目108の1つまたは複数の画像130をキャプチャするように構成される。第2のカメラは、1つまたは複数の画像130に基づいて目108の動きを追跡するように構成された計算デバイス116に通信可能に結合される。いくつかの例では、アイトラッキングシステムは、瞳孔126の動きに基づいて目の動きを決定するように構成された瞳孔トラッカーである。
【0034】
いくつかの例では、計算デバイス116のアイトラッキングモジュールは、アイトラッキング情報(たとえば、目108のロケーション、配向、凝視角など)を決定するように構成され得る。いくつかの態様では、アイトラッキングモジュールは、第2のカメラ114によってキャプチャされた画像130を受信し、1つまたは複数の鏡面反射を検出するために画像を処理するように構成され得る。アイトラッキングモジュールは、次いで、アイトラッキング情報(たとえば、目108の位置、配向、凝視角など)を決定するために、検出された鏡面反射を特定し得る。たとえば、アイトラッキングモジュールは、目108が正面、左方向、右方向、上方向、または下方向を見ているかどうかを決定し得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、計算デバイス116は、照明源110に通信可能に結合された制御モジュールを含み得る。
図1Aに示されているように、目108は、一般に前方を見ており、照明源110と整合している。したがって、このシナリオでは、照明光120を放出するために中心光源(たとえば、光源118D)が有効にされ得る。しかしながら、上述のように、目108が直接整合していない場合、または目108が動いている場合、瞳孔126は見えない光120をぼかし得る。したがって、計算デバイス116の制御モジュールは、眼底106の照明を維持するために、検出された目108の動きに基づいて光源118A~118Gのうちの少なくとも1つを選択的に有効にするために、1つまたは複数の制御信号132を生成し得る。
【0036】
たとえば、いくつかの態様では、光源のアレイの各光源118A~118Gはアレイ内の対応する位置を含み得る。制御モジュールは、光源118A~118Gのうちのどれを有効にするべきかを決定するために、検出された目108の動きをアレイ内の位置に変換するように構成され得る。いくつかの実施形態では、光源118A~118Gのうちのどれが有効にされるかを変更することにより、照明光120がレンズシステム112から放出される角度が変化する。例として、
図1Aは、照明光120を、光源118Dが有効にされているときにレンズシステム112から角度θ1で放出されているとして示すが、
図1Bは、照明光120を、光源118Aが有効にされているときに角度θ2で放出されているとして示す。したがって、動作中に、計算デバイス116のアイトラッキングモジュールは、画像130のうちの1つまたは複数に基づいて目108の動きを検出し得、制御モジュールは、次いで、目の検出された動き134を光源のアレイ中の光源の位置に変換する。
図1Bに示されているように、アレイ中の位置への動き134の変換の結果として、制御モジュールは、(
図1A中の光源と比較して)光源118Dを無効にし、光源118Aを有効にするために1つまたは複数の制御信号132を生成することになる。光源118Dを有効にすることから光源118Aを有効にすることへの変更により、眼底106の照明を維持するために、照明光120がレンズシステム112から放出される際の角度が(たとえば、θ1からθ2に)変化する。
【0037】
いくつかの例では、計算デバイス116の制御モジュールは、目108の動き134を、動き134の反対の方向における光源118A~118Gのアレイ内の位置に変換するように構成される。例として、
図2Aは上向きの方向202における目の動きを示す。
図2Bは、
図1Aおよび
図1Bの照明光源110など、照明光源中に含まれ得る光源のアレイ204の目に対向する側を示す。
図2Bに示されているように、制御モジュールは、照明光を放出するために光源208が次に有効にされるように、目108の上向きの動きを、下向きの方向206における(すなわち、目の動きの上向きの方向202の反対の)光源のアレイ204内の位置に変換した。同様に、
図3Aは下向きの方向302における目の動きを示すが、
図3Bは、光源210が有効にされるように、目108の下向きの動きの、上向きの方向306における光源のアレイ204内の位置への変換を示す。
【0038】
別の例では、
図4Aは、外向きまたは側頭方向402における(すなわち、ユーザの側頭に向かう)目の動きを示し、
図4Bは、光源212が有効にされるように、目108のその外向きの動きの、内向きまたは鼻方向406における(すなわち、ユーザの鼻に向かう)光源のアレイ204内の位置への変換を示す。別の例では、
図5Aは、内向き/鼻方向502における目の動きを示すが、
図5Bは、光源214が有効にされるように、目108のその内向き/鼻の動きの、外向き/側頭方向506における光源のアレイ204内の位置への変換を示す。
【0039】
図2A~
図5Bの上記の例は、X軸またはY軸に沿った目の動きの変換を示す。しかしながら、計算デバイス116の制御モジュールはまた、X軸とY軸の両方に沿って起こる目の動きを変換するように構成され得る。例として、
図6は、光源216が有効にされるように、下左向きの目の動きの、上右向き606における光源のアレイ204内の位置への変換を示す。方向に加えて、制御モジュールは、目の動きの大きさを変換するように構成される(すなわち、より大きい目の動きは光源のアレイ内のより大きい位置変化に変換されるなど)。
【0040】
図7は、本開示の態様による計算デバイス702を示す。計算デバイス702の示されている例は、通信インターフェース704と、1つまたは複数のプロセッサ706と、ハードウェア708と、メモリ710とを含むとして示されている。
図7の計算デバイス702は、
図1Aの計算デバイス116の1つの可能な実装形態である。
【0041】
通信インターフェース704は、他のデバイス/構成要素にデータを送信し、他のデバイス/構成要素からデータを受信するために計算デバイス702を有効にするワイヤレスおよび/またはワイヤード通信構成要素を含み得る。ハードウェア708は、追加のハードウェアインターフェース、データ通信、またはデータ記憶ハードウェアを含み得る。たとえば、ハードウェアインターフェースは、データ出力デバイスと、1つまたは複数のデータ入力デバイスとを含み得る。
【0042】
メモリ710は、コンピュータ記憶媒体などのコンピュータ可読媒体を使用して実装され得る。いくつかの態様では、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、または他のデータなど、情報の記憶のための任意の方法または技術において実装される、揮発性および/または不揮発性、リムーバブルおよび/または非リムーバブル媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体は、限定はしないが、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたは他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、高品位マルチメディア/データ記憶ディスク、または他の光ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気記憶デバイス、または、計算デバイスによるアクセスのために情報を記憶するために使用され得る任意の他の非伝送媒体を含む。
【0043】
計算デバイス702のプロセッサ706およびメモリ710はアイトラッキングモジュール712と照明光源制御モジュール714とを実装し得る。アイトラッキングモジュール712および照明光源制御モジュール714は、ルーチン、プログラム命令、オブジェクト、および/または特定のタスクを実行するかまたは特定の抽象データ型を実装するデータ構造を含み得る。メモリ710は、アイトラッキングモジュール712および/または眼底照明光源制御モジュール714によって使用されるデータストレージ(図示せず)をも含み得る。
【0044】
アイトラッキングモジュール712は、画像(たとえば、
図1Aの画像130)を受信し、目108の位置および/または動きを決定するために画像を処理するように構成され得る。アイトラッキングモジュール712は、次いで、決定された動き/位置に基づいて照明光源制御モジュール714と通信し得る。照明光源制御モジュール714は、目の動きを照明光源(たとえば、
図1Aの照明光源110)の光源のアレイ内の位置に変換し、眼底106の照明を維持するために、光源118A~118Gのうちの少なくとも1つを有効にするために1つまたは複数の制御信号(たとえば、制御信号132)を生成するように構成され得る。
【0045】
図8は、本開示の態様による、目の眼底を照明するプロセス800を示すフローチャートである。プロセス800は、
図1Aの計算デバイス116および/または
図7の計算デバイス702によって実行され得る1つまたは複数のプロセスブロックを含む。
【0046】
プロセスブロック802は、光源のアレイを含む照明光源(たとえば、
図1Aの照明光源110)を与えることを含む。プロセスブロック804は、照明光源と目(たとえば、
図1Aの目108)との間にレンズシステム(たとえば、
図1Aのレンズシステム112)を与えることを含む。いくつかの実装形態では、プロセスブロック802の照明光源を与えること、およびプロセスブロック804のレンズシステムを与えることは、目108の近くに眼底撮像システム100を位置決めすることを含む。
【0047】
プロセスブロック806において、目108の動きが追跡される。上記で説明したように、
図1Aの第2のカメラ114などのアイトラッキングシステムは、目の1つまたは複数の画像130をキャプチャし得、計算デバイス116は、次いで、目108の位置および/または動きを決定するために画像を分析する。次に、プロセスブロック808において、計算デバイス116は、目の動きに基づいて光源のアレイのうちの少なくとも1つの光源を選択的に有効にする。上記で説明したように、光源を有効にすることは、照明光120を用いて眼底106の照明を維持するために目108の動きを光源のアレイ内の位置に変換することを含み得る。
【0048】
いくつかの実装形態では、
図1Aの眼底撮像システム100など、本開示の態様は、診断または治療反応目的のためにヘルスケアのコンテキストにおいて利用され得る。そのような実装形態では、光源(たとえば、光源118A~118G)のうちの1つまたは複数は、眼底のカラー画像を生成するための白色光を放出するように構成され得る。眼底のカラー画像を有することは、目の健康を確認する際にケアプロバイダを助け得る。
【0049】
他の実装形態では、本開示の態様は、仮想現実(VR)または拡張現実(AR)デバイスなど、ヘッドマウントデバイスにおいて利用され得る。いくつかの態様では、ヘッドマウントデバイスは、ユーザの閲覧体験を高めるためにアイトラッキングシステムを組み込み得る。アイトラッキングは、いくつかの事例では、目の眼底中に存在する1つまたは複数の特徴の位置および/または動きを決定することによって支援され得る。たとえば、ヘッドマウントデバイスは、眼底の画像から中心窩(fovea)領域を識別し、次いで、識別された中心窩領域に基づいて目の凝視角を決定するように構成され得る。中心窩領域は1つまたは複数の画像処理技法を使用して決定され得る。凝視角が決定されたとき、ヘッドマウントデバイスのディスプレイによってユーザに提示される仮想画像が、決定された凝視角に応答して調整され得る。
【0050】
例として、
図9は、本開示の態様によるヘッドマウントディスプレイ(HMD)900を示す。HMD900など、HMDは、ユーザに人工現実コンテンツを与えるために、一般にユーザの頭部に装着されるヘッドマウントデバイスの1つのタイプである。人工現実は、たとえば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、混合現実(MR)、ハイブリッド現実、またはそれの何らかの組合せおよび/または派生物を含み得る、ユーザへの提示の前に何らかの様式で調整された現実の一形態である。HMD900の示されている例は、閲覧構造940と、上部固定構造941と、側部固定構造942と、後部固定構造943と、前部剛体944とを含むとして示されている。いくつかの例では、HMD900は、HMD900のユーザの頭部に装着されるように構成され、上部固定構造941、側部固定構造942、および/または後部固定構造943は、HMD900をユーザの頭部に固定するための弾性構造ならびに1つまたは複数の剛性構造(たとえば、プラスチック)を含むファブリックストラップを含み得る。HMD900はまた、任意選択的に、HMD900のユーザの耳にオーディオを供給するための1つまたは複数のイヤピース920を含み得る。
【0051】
示されているHMD900の例はまた、HMD900のユーザの顔に接触するためのインターフェース膜918を含み、インターフェース膜918は、少なくとも何らかの周囲光がHMD900のユーザの目に到達するのを遮るように機能する。
【0052】
例示的なHMD900は、HMD900の閲覧構造940のハードウェアを支持するためのシャシー(
図9に明示的に示されていないシャシーおよびハードウェア)をも含み得る。閲覧構造940のハードウェアは、処理論理、データを送信および受信するためのワイヤードおよび/またはワイヤレスデータインターフェース、グラフィックプロセッサ、およびデータとコンピュータ実行可能命令とを記憶するための1つまたは複数のメモリのいずれかを含み得る。一例では、閲覧構造940は、有線電力を受けるように構成され得、および/または1つまたは複数のバッテリーによって電力供給されるように構成され得る。さらに、閲覧構造940は、ビデオデータを含むワイヤードおよび/またはワイヤレスデータを受信するように構成され得る。
【0053】
閲覧構造940は、光をHMD900のユーザの目に導くための1つまたは複数の電子ディスプレイを有するディスプレイシステムを含み得る。ディスプレイシステムは、HMD900のユーザに光(たとえば、コンテンツ、画像、ビデオなど)を放出するための、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、マイクロLEDディスプレイなどのうちの1つまたは複数を含み得る。閲覧構造940は、ディスプレイシステムから画像光を受光し、(たとえば、画像光をコリメートすることによって)HMD900の着用者の目による閲覧のための仮想画像を生成するように構成された光学アセンブリをも含み得る。
【0054】
いくつかの例では、閲覧構造は、ユーザの目の眼底の1つまたは複数の画像を取得するための眼底撮像システム945を含む。眼底撮像システム945は、
図1Aの眼底撮像システム100を含む、本明細書で説明した実施形態のいずれかとして実装され得る。いくつかの例では、眼底撮像システム100がHMD900などのHMDに組み込まれるとき、光源118A~118Gは、ディスプレイのユーザの閲覧体験を妨げないように、見えない照明光(たとえば、IR、NIRなど)を放出するように構成され得る。
【0055】
本発明の実施形態は、人工現実システムを含むか、または人工現実システムとともに実装され得る。人工現実は、たとえば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、混合現実(MR)、ハイブリッド現実、またはそれらの何らかの組合せおよび/または派生物を含み得る、ユーザへの提示の前に何らかの様式で調整された現実の一形態である。人工現実コンテンツは、完全に生成されたコンテンツ、またはキャプチャされた(たとえば、現実世界)コンテンツと組み合わせられた生成されたコンテンツを含み得る。人工現実コンテンツは、ビデオ、オーディオ、ハプティックフィードバック、またはそれらの何らかの組合せを含み得、それらのいずれかが(閲覧者に3次元効果を生成するステレオビデオなど)単一のチャネルまたは複数のチャネルにおいて提示され得る。さらに、いくつかの実施形態では、人工現実はまた、たとえば、人工現実においてコンテンツを作成するために、および/または、さもなければ人工現実において使用される(たとえば、アクティビティを実行する)ために使用される、アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはそれらの何らかの組合せに関連付けられ得る。人工現実コンテンツを与える人工現実システムは、ホストコンピュータシステム、スタンドアロンHMD、モバイルデバイスまたは計算システム、あるいは1人または複数の閲覧者に人工現実コンテンツを与えることが可能な任意の他のハードウェアプラットフォームに接続されたヘッドマウントディスプレイ(HMD)を含む、様々なプラットフォーム上で実装され得る。
【0056】
要約書に記載されたものを含む、本発明の示された実施形態の上記説明は、網羅的なものでも、本発明を開示された正確な形態に限定するものでもない。本明細書において、説明の目的で、本発明の特定の実施形態および例について説明したが、当業者が認識するように、本発明の範囲内で様々な改変が可能である。
【0057】
これらの改変は、上記の発明を実施するための形態に照らして本発明に対して行われ得る。以下の特許請求の範囲において使用される用語は、本発明を本明細書において開示された特定の実施形態に限定すると解釈されるべきでない。そうではなく、本発明の範囲は、請求項解釈の確立された原則に従って解釈されるべきである以下の特許請求の範囲によって完全に決定されるべきである。
【国際調査報告】