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特表2023-512900デバイスグループおよびサービスレベル目標を有するマイクロスライス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】デバイスグループおよびサービスレベル目標を有するマイクロスライス
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/10 20090101AFI20230323BHJP
   H04W 28/16 20090101ALI20230323BHJP
【FI】
H04W28/10
H04W28/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022539668
(86)(22)【出願日】2020-12-15
(85)【翻訳文提出日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 US2020065043
(87)【国際公開番号】W WO2021138043
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】62/956,066
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522219744
【氏名又は名称】セローナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヤヴズ メフメット
(72)【発明者】
【氏名】シャー ラジーブ
(72)【発明者】
【氏名】アンネボイナ ビナイ
(72)【発明者】
【氏名】ボン ナジー アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ナンデゥリ サイ
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD57
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
企業ネットワーク内のネットワーク管理者によってマイクロスライスを定義および管理するための方法および装置が記載される。マイクロスライスは、複数のネットワークを介してエンドツーエンド論理ネットワークを提供し、これは、ネットワーク管理者が定義されたサービス品質(QoS)によって企業ネットワーク内のデータフローを効率的に配置することを可能にする。4G LTEまたは5Gネットワークなどの無線通信ネットワークにおいてマイクロスライスを作成および実装するためのシステムの様々な実施形態が開示される。いくつかの実施形態では、論理ネットワークは、少なくとも無線アクセスネットワーク(RAN)およびコアネットワークを介して、企業ネットワーク内のUEを外部サーバと接続する。いくつかの実施形態では、ネットワーク管理者は、UEのグループを定義し、複数のサービスタイプを定義し、マイクロスライスに割り当てられる所定量のネットワークリソースを規定することができる。マイクロスライスインスタンスがセットアップされた後、ネットワーク動作は監視および変更されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業ネットワーク内のデータフローを効率的に配置し、前記企業ネットワーク内の無線ユーザ機器(UE)と外部サーバとの間のエンドツーエンドのサービス品質(QoS)を提供するために、前記企業ネットワークのネットワーク管理者によってマイクロスライスを定義する方法であって、
所望のサービス品質(QoS)を定義するステップであって、QoSパラメータを定義することを含む、定義するステップと、
マイクロスライスを作成および定義するステップであって、
前記ネットワーク管理者により、前記QoSパラメータを前記マイクロスライスに割り当てることと、
前記QoSパラメータに応答して、前記マイクロスライスのサービスレベル目標(SLO)を提供することと、
前記UEと前記外部サーバとの間のエンドツーエンド論理ネットワークを提供するために、前記マイクロスライスの前記QoSおよびSLOを満たす前記マイクロスライスに少なくとも1つのベアラを割り当てることであって、前記論理ネットワークが、少なくとも無線アクセスネットワーク(RAN)およびコアネットワークを介して前記UEと外部サーバとを接続する、割り当てることと、を含む、定義するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記ネットワーク管理者によってマイクロスライスを定義する方法が、前記マイクロスライスの使用を許容される少なくとも1つのアプリケーションを規定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ネットワーク管理者によって前記マイクロスライスを定義する方法が、前記マイクロスライスの使用を許容される複数のアプリケーションを規定することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ネットワーク管理者によって、UEの少なくとも1つのグループを定義することと、
前記ネットワーク管理者によって、前記マイクロスライスを前記デバイスグループに割り当てることと、をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ネットワーク管理者によって複数のマイクロスライスを定義するステップと、前記マイクロスライスを前記デバイスグループに割り当てるステップと、をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ネットワーク管理者によって、複数のサービスタイプを定義することと、
前記マイクロスライスを前記サービスタイプのうちの少なくとも1つに割り当てることと、をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ネットワーク管理者によって複数のマイクロスライスを定義するステップと、前記マイクロスライスを前記サービスタイプの1つに割り当てるステップと、をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ネットワーク管理者によってマイクロスライスを定義する方法が、前記マイクロスライスに割り当てられる所定量のネットワークリソースを規定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記所定量のリソースを規定するステップが、利用可能なリソースの割合を割り当てること、物理リソースブロック(PRB)に関してエアリンクリソースの量を割り当てること、CPUリソースを割り当てること、および前記マイクロスライスのためのメモリリソースを割り当てることのうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
UEと外部サーバとの間の通信サービスの要求を受信するステップと、
前記UEから、前記マイクロスライスに割り当てられた少なくとも1つのベアラを介してマイクロスライスインスタンスを作成するステップと、
前記マイクロスライスインスタンス上にデータフローを作成するステップと、
前記SLOおよび前記QoSパラメータに応答して、前記マイクロスライスインスタンス内の前記ベアラを制御するステップと、をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
企業ネットワーク内のデータフローを効率的に配置し、前記企業ネットワーク内の無線ユーザ機器(UE)と外部サーバとの間のエンドツーエンドのサービス品質(QoS)を提供するための装置であって、
ネットワーク管理者によって、マイクロスライスを定義する手段であって、
QoSパラメータを含む、所望のサービス品質(QoS)を定義する手段と、
前記QoSパラメータに応答して、前記マイクロスライスのサービスレベル目標(SLO)を定義する手段と、
前記UEと前記外部サーバとの間のエンドツーエンド論理ネットワークを提供するために、前記マイクロスライスの前記QoSおよびSLOを満たす前記マイクロスライスに少なくとも1つのベアラを割り当てる手段であって、前記論理ネットワークが、少なくとも無線アクセスネットワーク(RAN)およびコアネットワークを介して前記UEと外部サーバとを接続する、割り当てる手段と、を含む、定義する手段を備える、装置。
【請求項12】
前記UEから、前記マイクロスライスに割り当てられた少なくとも1つのベアラを介してマイクロスライスインスタンスを作成する手段と、
前記マイクロスライスインスタンス上にデータフローを作成する手段と、
前記SLOおよび前記QoSパラメータに応答して、前記マイクロスライスインスタンス内の前記ベアラを制御する手段と、をさらに備える、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記マイクロスライスに割り当てられるネットワークリソースの最小量を規定する手段と、
前記マイクロスライスインスタンスに前記ネットワークリソースを提供する手段と、をさらに備える、
請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ネットワーク管理者によって前記マイクロスライスを定義する手段が、前記マイクロスライスの使用を許容される複数のアプリケーションを規定する手段をさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項15】
前記ネットワーク管理者によって、UEの少なくとも1つのグループを定義する手段と、
前記ネットワーク管理者によって、前記マイクロスライスを前記デバイスグループに割り当てる手段と、をさらに備える、
請求項11に記載の装置。
【請求項16】
前記ネットワーク管理者によって、複数のサービスタイプを定義する手段と、
前記マイクロスライスを前記サービスタイプのうちの少なくとも1つに割り当てる手段と、をさらに備える、
請求項11に記載の装置。
【請求項17】
無線ユーザ機器(UE)と、無線アクセスネットワーク(RAN)と、コアネットワーク(CN)と、外部サーバとの間のエンドツーエンドのサービス品質(QoS)を提供するためにデータフローを効率的に配置し、データを送信するためにマイクロスライスを定義して使用する方法であって、
所望のサービス品質(QoS)を定義するステップであって、QoSパラメータを定義することを含む、定義するステップと、
マイクロスライスを定義するステップであって、
前記QoSパラメータを前記マイクロスライスに割り当てることと、
前記QoSパラメータに応答して、前記マイクロスライスのサービスレベル目標(SLO)を定義することと、
前記UEと前記外部サーバとの間の論理ネットワークを提供するために、少なくとも1つのネットワークベアラをマイクロスライスに割り当てることであって、前記論理ネットワークが、少なくとも無線アクセスネットワーク(RAN)およびコアネットワークを介して前記UEと外部サーバとを接続する、割り当てることと、を含む、定義するステップと、
前記定義されたQoSを提供するためにUEを前記マイクロスライスに関連付けるステップと、
前記UEから、前記マイクロスライスに割り当てられた前記少なくとも1つのベアラを介してマイクロスライスインスタンスを作成するステップと、
前記マイクロスライスインスタンス上にデータフローを作成するステップと、
前記SLOおよび前記QoSパラメータに応答して、前記マイクロスライスインスタンス内の前記ベアラを制御するステップと、を含む、方法。
【請求項18】
前記QoSパラメータが、ネットワーク管理者によって定義され、マイクロスライスに割り当てられる、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
複数のベアラを介して前記マイクロスライスインスタンスを作成することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記マイクロスライスに割り当てられる所定量のリソースを定義するステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記所定量のリソースを定義するステップが、利用可能なリソースの割合を割り当てること、物理リソースブロック(PRB)に関してエアリンクリソースの量を割り当てること、CPUリソースを割り当てること、および前記マイクロスライスのためのメモリリソースを割り当てることのうちの少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ネットワークが複数のCPUを含み、前記所定量のリソースを定義するステップが、前記マイクロスライスを前記CPUのうちの1つに割り当てることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記UE上で実行されているアプリケーションを前記マイクロスライスに関連付けるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
前記マイクロスライスを定義するステップが、少なくとも1つの許容されるアプリケーションを定義することをさらに含み、
さらに、
通信サービスの要求を受信するステップと、
サービスが要求されているアプリケーションを識別するステップと、
前記識別されたアプリケーションが前記マイクロスライスに定義された前記許容されるアプリケーションのうちの1つである場合にのみマイクロスライスインスタンスを作成し、それにより、前記識別されたアプリケーションが前記許容されるアプリケーションのうちの1つである場合にのみ通信を可能にするステップと、をさらに含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項25】
サーバ、宛先、クライアント、または送信元のうちの少なくとも1つのIPアドレス、
サーバ、宛先、クライアント、または送信元のうちの少なくとも1つのポート番号、
QoSマーキング、
DiffServ差別化サービスコードポイント(DSCP)情報、
使用されるトランスポートプロトコル、
URL/ヘッダのディープパケット検査(DPI)、
人工知能(AI)、
機械学習、
LTE/5Gデバイス専用ベアラ要求、
NSSAI(ネットワークスライス選択支援情報)、
DNSルックアップ、
次世代ファイアウォールクエリ、
SD-WAN情報、および
API情報、
のうちの少なくとも1つに応答して許容されるアプリケーションを識別するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記コアネットワークが、ワイドエリアネットワーク(WAN)に接続され、前記マイクロスライスが、前記UEと前記WANとの間に定義され、その結果、前記WANが、前記UEと外部サーバとを接続する前記論理ネットワークの一部である、請求項17に記載の方法。
【請求項27】
ローカルエリアネットワーク(LAN)が前記RANと前記コアネットワークとの間に設けられ、前記マイクロスライスが前記LANを含むように定義され、その結果、前記LANが、前記UEと外部サーバとを接続する前記論理ネットワークの一部である、請求項17に記載の方法。
【請求項28】
前記LANがセキュリティ機能を提供し、特定のセキュリティおよびアクセス制御規則が満たされることを保証する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記LANが、特定のQoSおよびサービスレベル目標(SLO)仕様が満たされることを保証する、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
少なくとも無線アクセスネットワーク(RAN)およびコアネットワークを介して、無線ネットワーク内の複数のUEを管理し、前記UEと外部サーバとの間のデータフローを効率的に制御する方法であって、
第1の複数の前記UEを含むデバイスグループを定義するステップと、
前記デバイスグループのQoSパラメータを決定するステップと、
前記QoSパラメータに応答して、前記デバイスグループのSLOを定義するステップと、
前記デバイスグループのための少なくとも1つのマイクロスライスを定義するステップであって、
前記デバイスグループの前記SLOおよびQoSパラメータを前記マイクロスライスに割り当てることと、
前記UEと前記外部サーバとの間に論理ネットワークを提供するために、ベアラのグループを前記マイクロスライスに割り当てることであって、前記論理ネットワークが、少なくとも無線アクセスネットワーク(RAN)およびコアネットワーク(CN)を介して前記UEと外部サーバとを接続する、割り当てることと、を含む、定義するステップと、を含む、方法。
【請求項31】
デバイスグループフィールドが、ネットワーク管理者によって定義される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも2つのマイクロスライスが前記デバイスグループに割り当てられる、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記デバイスグループ内の前記複数のUEのうちの第1のUEと前記外部サーバとの間のデータフローをセットアップして方向付けるステップであって、前記ベアラを介してマイクロスライスインスタンスを作成することと、前記SLOおよび前記QoSパラメータに応答して、前記マイクロスライスインスタンス内の前記ベアラを制御することと、を含む、セットアップして方向付けるステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記デバイスグループフィールドが、デバイスグループ名と、管理者名、信頼できる/信頼できないフィールド、VLAN ID、VxLAN ID、およびDHCPサーバアドレスのうちの少なくとも1つとを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
データフローが、少なくとも無線アクセスネットワーク(RAN)およびコアネットワーク(CN)を通過する、無線ネットワーク内の複数のUEと少なくとも1つの外部サーバとの間の前記データフローを効率的に制御する方法であって、
複数のサービスタイプを定義するステップと、
前記サービスタイプのそれぞれについてQoSパラメータを決定するステップと、
前記サービスタイプのそれぞれについてSLOを定義するステップと、
前記サービスタイプのそれぞれについてマイクロスライスを定義するステップであって、
前記サービスタイプのそれぞれについての前記SLOおよびQoSパラメータをマイクロスライスにそれぞれ割り当てることと、
前記サービスタイプを有するUEと前記外部サーバとの間に論理ネットワークを提供するために、ベアラのグループを各マイクロスライスに割り当てることであって、前記論理ネットワークが、少なくとも無線アクセスネットワーク(RAN)およびコアネットワーク(CN)を介して前記UEと外部サーバとを接続する、割り当てることと、を含む、定義するステップと、
前記デバイスグループ内の前記複数のUEのうちの第1のUEと前記外部サーバとの間のデータフローをセットアップして方向付けるステップであって、前記ベアラを介してマイクロスライスインスタンスを作成することと、前記SLOおよび前記QoSパラメータに応答して、前記マイクロスライスインスタンス内の前記ベアラを制御することと、を含む、セットアップして方向付けるステップと、を含む、方法。
【請求項36】
データフローが、少なくとも無線アクセスネットワーク(RAN)およびコアネットワーク(CN)を通過する、無線ネットワーク内の複数のUEと少なくとも1つの外部サーバとの間の前記データフローを監視および調整する方法であって、
前記データフローに対してマイクロスライスをスケジューリングするステップであって、前記マイクロスライスが、
前記データフローについての複数のベアラを含むデータ経路と、
前記データフローについてのSLOと、
前記データフローについてのQoSパラメータと、を定義する、スケジューリングするステップと、
前記UE、前記RAN、および前記CNを通る前記データフローについてのマイクロスライスインスタンスを作成し、前記SLOおよびQoSパラメータに応答して主要業績評価指標(KPI)を定義するステップと、
前記データフローを開始するステップと、
前記ベアラのうちの少なくとも1つを介して前記マイクロスライスインスタンス内の前記KPIを監視するステップと、
前記監視ステップに応答して、前記マイクロスライスインスタンス、前記データ経路、前記マイクロスライス定義のうちの少なくとも1つを調整するステップと、前記SLOおよび/または意図されたQCIパラメータを一時的に変更するステップと、前記ベアラを再割り当てするステップと、異なるマイクロスライスに再スケジューリングするステップと、前記インスタンスを変更するステップと、を含む、方法。
【請求項37】
RANに無線接続された複数のUEと、前記RANに接続されたコアネットワーク(CN)とを含む無線通信ネットワークであって、前記CNが、ネットワーク機能の制御および外部サーバへのアクセスを提供する無線通信ネットワークにおいてシステム負荷を管理および制御する方法であって、
前記UEと前記外部サーバとの間の複数のデータフローをスケジューリングするステップであって、各データフローが、前記データフローについての複数のベアラを含むデータ経路、前記意図されたデータフローについてのSLO、および前記意図されたデータフローについてのQoSパラメータを定義するマイクロスライスに関連付けられる、スケジューリングするステップと、
各データフローについてのマイクロスライスインスタンスを作成するステップと、
そのそれぞれのマイクロスライスインスタンス上で各データフローを開始するステップと、
前記マイクロスライスインスタンスの監視を含む、システム全体の負荷を監視するステップと、
前記SLOおよびQoSパラメータに応答して、システム負荷が閾値を超える場合、前記マイクロスライスインスタンスの優先度を評価するステップと、
前記システム負荷が前記閾値を下回るまで、最も優先度の低いマイクロスライスを削除するステップと、を含む、方法。
【請求項38】
RANに無線接続された複数のUEと、前記RANに接続されたコアネットワーク(CN)とを含む無線通信ネットワークであって、前記CNが、ネットワーク機能の制御および外部サーバへのアクセスを提供する無線通信ネットワークへのUEの許容を制御する方法であって、
前記UEと前記外部サーバとの間の複数のデータフローをスケジューリングするステップであって、各データフローが、前記データフローについての複数のベアラを含むデータ経路、前記データフローについてのSLO、および前記データフローについてのQoSパラメータを定義するマイクロスライスに関連付けられる、スケジューリングするステップと、
各データフローについてのマイクロスライスインスタンスを作成するステップと、
そのそれぞれのマイクロスライスインスタンス上で各データフローを開始するステップと、
UEから前記RANへの許容の要求を受信するステップと、
前記要求したUEを、前記データフローについての複数のベアラを含むデータ経路、前記意図されたデータフローについてのSLO、および前記意図されたデータフローについてのQoSパラメータを定義するマイクロスライスと関連付けるステップと、前記マイクロスライスに応答して、前記要求したUEの予想負荷を決定するステップと、
前記マイクロスライスインスタンスのKPI(主要業績評価指標)の監視を含む、現在許容されている前記UEのシステム全体の負荷を監視するステップと、
前記システム負荷が前記予想負荷とともに閾値を下回る場合には、前記要求したUEを前記RANに許容し、そうでない場合には継続するステップと、
前記システム負荷が前記予想負荷とともに閾値を下回る場合、前記意図されたマイクロスライスインスタンスの相対的な優先度を評価するステップと、
前記予想されるシステム負荷が前記閾値を下回るまで、最も優先度の低いマイクロスライスを削除するステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)(優先権の主張)
本出願は、「Method and Apparatus for Microslicing Wireless Communication Networks with Device Groups,Service Level Objectives,and Load/Admission Control」という名称の2020年2月13日に出願された米国特許出願第16/790,645号明細書および2019年12月31日に出願された米国仮特許出願第62/956,066号明細書の優先権を主張し、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
背景技術
【0002】
開示された方法および装置は、無線通信ネットワークに関し、より詳細には、ネットワーク管理者および事業者および他の企業が通信ニーズに合わせてネットワークアクセスをより密接に調整し、ネットワークリソースをより効率的に使用する方法を提供することを可能にするためにネットワークをスライスするための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
無線業界は、近年、目覚ましい成長を遂げている。無線技術は急速に改善されており、より高速でより多くのブロードバンド通信ネットワークが世界中に設置されている。これらのネットワークは、数十年前には考えられなかった速度および規模で人々と企業とを接続する世界的な通信システムの重要な構成要素になっている。無線通信の急速な成長は、より多くの帯域幅およびサービスに対する需要の増加の結果である。この急速な成長は、多くの点で規格によってサポートされている。例えば、4G LTEは、過去数年にわたって広く展開されており、次世代システム、および5G NR(ニューラジオ)が現在展開されている。これらの無線システムでは、複数のモバイルデバイスは、無線接続を介して音声サービス、データサービス、および他の多くのサービスを提供されるため、それらは、依然として接続されている間、モバイルのままであり得る。
【0004】
図1は、「4G LTE」(第4世代ロングタームエボリューション)または「5G NR」(第5世代ニューラジオ)ネットワークなどの通信ネットワークの基本構成を示している。このネットワーク構成により、ユーザ機器(UE)101aおよび101bは、外部パケットデータネットワーク(PDN)103に接続し、インターネット、アプリケーションサーバ、データサービス、音声サービスなどの様々なサービスのいずれかにアクセスすることができる。
【0005】
UE101aおよび101bは、それぞれの通信リンク105aおよび105bを介して、基地局/アクセスポイント(BS/AP)109を含む無線アクセスネットワーク(RAN)107に無線で接続する。そのようなネットワークの利点の1つは、デバイスが移動可能であり、絶えず移動している場合であっても、複数の無線デバイスとの間で通信を提供し、これらの無線デバイスに多数の他のデバイスおよびサービスへのアクセスを提供する能力である。
UE
【0006】
本明細書で使用される場合、「UE」という用語は、携帯電話、モノのインターネット(IOT)デバイス、仮想現実ゴーグル、ロボットデバイス、自動運転機、スマートバーコードスキャナ、および例えば、携帯電話、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、および他のタイプのパーソナル通信デバイスを含む通信機器などの、無線接続を有する広範囲のユーザデバイスを指す。場合によっては、UEは、モバイルであってもよい。他の場合には、それらは、固定位置に設置されてもよい。例えば、工場センサは、組立ラインまたはロボットアームの動きを遠隔で監視することができる固定位置に設置されてもよい。
BS/AP
【0007】
「BS/AP」という用語は、本明細書では、LTEネットワークの進化型NodeB(eNB)または5GネットワークのgNodeBを少なくとも含む基地局およびアクセスポイント、セルラー基地局(BS)、市民ブロードバンド無線サービスデバイス(CBSD)(これは、例えば、LTEまたは5Gデバイスとすることができる)、WiFi(登録商標)アクセスノード、ローカルエリアネットワーク(LAN)アクセスポイント、ワイドエリアネットワーク(WAN)アクセスポイントを含むように広く使用され、また、BS/APの範囲内の複数の無線トランシーバのネットワークへのアクセスを提供する他のネットワーク受信ハブを含むように理解されるべきである。通常、BS/APは、トランシーバハブとして使用されるが、UEは、ポイントツーポイント通信に使用され、ハブとしては使用されない。したがって、BS/APは、UEよりも比較的高い電力で送信する。
コアネットワーク
【0008】
RAN107は、UE101とコアネットワーク111とを接続する。コアネットワーク111の一機能は、UE101とRAN107との間の無線シグナリングの制御を提供することである。コアネットワーク111の別の機能は、そのネットワーク内、または外部PDN103などの他のネットワーク上の他のデバイスおよびサービスへのアクセスを提供することである。特に、セルラーネットワークおよびプライベートネットワークにおいて、BS/AP109は、UE101から無線信号を受信し、UEに無線信号を送信することができる。RAN107は、コアネットワーク111に結合される。したがって、RAN107およびコアネットワーク111は、セルラーネットワークまたはプライベートネットワークにおけるUEと、公衆交換電話網(PSTN)またはインターネットなどの他のネットワークとの間で情報が流れることを可能にするシステムを提供する。UE101とBS/AP109との間の無線データ伝送は、特定の周波数などの割り当てられたチャネルで行われる。BS/AP109とコアネットワーク111との間のデータ伝送は、無線、ケーブル、および光ファイバなどの任意の適切な通信手段を利用する。
【0009】
遠隔ネットワークへのアクセスを提供し、セルラーネットワークと外部PDN103との間で情報が流れることを可能にすることに加えて、コアネットワーク111は、BS/AP 119とUE101との間のエアインターフェースの制御を提供する。コアネットワーク111はまた、ネットワーク内の干渉を最小限に抑えるためにBS/AP109を調整することができる。
ネットワークスライシング
【0010】
4G LTE(LTE)および5G NR(5G)ネットワークなどのモバイル通信ネットワークでは、モバイルデバイスによって実行される様々なアプリケーションの特定の要件に接続性およびデータ処理を合わせることが望ましい。接続性およびデータ処理を特定の要件に合わせることにより、ビジネス通信プロセスのより大きな効率および生産性が達成されることができ、さらにまた、サービスプロバイダが異なるビジネスセグメントおよび企業により効果的に対処する機会が開かれる。この目的のために、LTE/5Gネットワークのためのネットワークスライシングが導入された。5Gでは、ネットワークスライシングは、同じ物理ネットワークインフラストラクチャ上の仮想化された独立した論理ネットワークの多重化を可能にするネットワークアーキテクチャである。各ネットワークスライスは、特定のアプリケーションによって要求される多様な要件を満たすように調整された分離されたエンドツーエンドネットワークである。
【0011】
GSMアソシエーション(GSMA)は、5Gに関与する通信業界グループである。2018年4月18日付けの「Network Slicing Use Case Requirements」と題された出版物は、ネットワークスライシングを論じている。モバイルオペレータの観点から、ネットワークスライスは、合意されたサービス品質を提供することができる、共有物理インフラストラクチャ上で動作する独立したエンドツーエンド論理ネットワークである。ネットワークスライシングを可能にする技術は、LTE/5Gネットワークを使用するビジネス顧客に透過的であり、ネットワークスライシングと組み合わせて、特定のビジネス要件に合わせて調整された接続性およびデータ処理を可能にする。カスタマイズ可能なネットワーク能力は、データ速度、品質、待ち時間、信頼性、セキュリティ、およびサービスを含む。これらの能力は、モバイルオペレータと企業顧客との間のサービスレベル合意(SLA)に基づいて提供されてもよい。
【0012】
ネットワークスライスは、ネットワークの複数の部分(例えば、アクセスネットワーク、コアネットワーク、およびトランスポートネットワーク)にまたがることができ、複数の事業者にわたって展開されることができる。ネットワークスライスは、専用および/または共有リソース(例えば、処理電力、ストレージ、および帯域幅に関して)を利用することができ、各ネットワークスライスは、他のネットワークスライスから効果的に分離される。
【0013】
モバイルネットワークオペレータは、複数の垂直市場のニーズを満たす単一のネットワークスライスタイプ、ならびに複数の多様な要件を有するビジネス顧客(ビジネスバンドル)を対象とした単一の製品としてパッケージ化された異なるタイプの複数のネットワークスライスを展開することができると予想される。例えば、車両は、インフォテインメントのための高帯域幅スライスとテレメトリ支援運転のための超信頼性スライスとを同時に必要とする場合がある。
【0014】
要約すると、ネットワークスライスは、顧客の定義されたビジネス目的に役立つために特定のネットワーク能力およびネットワーク特性を提供する論理ネットワークである。ネットワークスライシングは、共通の共有物理インフラストラクチャ上に複数の仮想ネットワークが作成されることを可能にする。ネットワークスライスは、異なるサブネット、例えば、無線アクセスネットワーク(RAN)サブネット、コアネットワーク(CN)サブネット、トランスポートネットワークサブネットからなる。
【0015】
ネットワークスライスプロバイダは、通常、ネットワークスライスが作成されるネットワークインフラストラクチャの所有者またはテナントである電気通信サービスプロバイダである。ネットワークスライスプロバイダは、ネットワークスライシングが構成する対応するリソースを管理および編成する責任を負う。企業顧客は、ネットワークスライス、例えば垂直産業の顧客を所有する。例えば、企業顧客は、企業または専門産業(「垂直産業」と呼ばれることが多い)の顧客とすることができる。
【0016】
様々な技術分野からの様々な技術および革新は、様々な標準開発機関(SDO)におけるネットワークスライシングの進歩に実質的に貢献してきた。現在、これらの異なる技術分野の技術仕様は、対応するSDOにおいて定義されている。例えば、無線アクセスネットワーク(RAN)やコアネットワーク(CN)は、3GPP(登録商標)によって定義され、トランスポートネットワーク(TN)は、BBFやIETFなどによって定義される。ITUT(GSTR TN5G)、IEEE(NGFI 1914)、MEFおよび他のSDOもまた、このトピックに取り組んでいる。
【0017】
例えば、3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)TS 23.501リリース16,v16.2.0(2019-09)仕様は、ネットワークスライシングの特定の態様を含む。詳細は、3GPP 23.501のセクション5.15に規定されている。UEデバイスは、ネットワークがデバイスのネットワークスライスインスタンス(NSI)のRANおよびコアネットワーク部分を選択するのを助けるために、ネットワークにネットワークスライス選択支援情報(NSSAI)パラメータを提供することができる。単一のNSSAIは、いくつかのスライスの選択をもたらすことができる。ネットワークはまた、選択を行うために、デバイス能力、加入情報、およびローカルオペレータポリシーを使用することができる。
【0018】
ネットワークスライスは、サポートされる機能およびネットワーク機能の最適化について異なることができ、その場合、そのようなネットワークスライスは、例えば、異なるスライス/サービスタイプ(SST)を有する異なるS-NSSAIを有することができる(3GPP TS 23.501のセクション5.15.2.1を参照)。オペレータは、例えば、異なるコミットされたサービスを配信するため、および/またはそれらが顧客専用であるため、全く同じ機能を配信するが、UEの異なるグループのための複数のネットワークスライスを展開することができ、その場合、そのようなネットワークスライスは、例えば、同じスライス/サービスタイプを有するが異なるスライス差別化器を有する異なるS-NSSAIを有することができる(TS 23.501のセクション5.15.2.1を参照)。
【0019】
ネットワークは、UEが登録されているアクセスタイプ(例えば、3GPPアクセスおよび/または非3GPP(N3GPP)アクセス)に関係なく、5Gアクセスネットワーク(5G-AN)を介して同時に1つ以上のネットワークスライスインスタンスを有する単一のUEにサービスすることができる。UEにサービスを提供するアクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)インスタンスは、UEにサービスを提供する各ネットワークスライスインスタンスに論理的に属する。すなわち、このAMFインスタンスは、UEにサービスを提供するネットワークスライスインスタンスに共通である。
【0020】
この規格は、ネットワークスライシングのための基本的なアーキテクチャを論じているが、それは限定されており、ネットワークスライスを定義および管理するための特定の機構を提供せず、通常、規格において定義されるようなネットワークスライスは、多数の顧客にサービスを提供する大規模な通信会社によって定義および管理され、これは、価格を高く保ち、比較的小規模な企業による採用のペースを低下させる。したがって、現在、より柔軟で、より効率的で、より容易に実装および管理されるネットワークスライシング機構が望まれている。そのような機構は、管理を単純化し、より多くの制御を可能にし、時間を節約し、遠隔管理を可能にし、限られた帯域幅をよりよく利用する。また、ネットワークスライシング機構が動作しているときにネットワークスライシング機構を監視し、動作を修正し、より高い効率を提供し、ネットワーク機能、ビジネス目標、および需要を満たすことも利点である。
LTEベアラ:LTE(4G)アーキテクチャ
【0021】
以下のセクションは、4G LTE、リリース10規格において定義されるようなベアラについて述べる。一般に、ベアラは、2つのエンドポイント間で共通のQoS処理を受信するトラフィックフローを提供し、一意に識別する。例えば、ベアラは、UEとPDN GW(P-GW)との間、またはUEとサービングGW(S-GW)との間で定義されることができる。
(1)LTEベアラ:サービス品質:
【0022】
LTEにおけるベアラは、それらが提供するQoSの性質に基づいて、最小保証ビットレート(GBR)ベアラおよび非GBRベアラの2つのカテゴリに分類されることができる。
【0023】
最小保証ビットレート(GBR)ベアラは、VoIPなどの用途に使用されることができる。これらは、ベアラ確立または変更時に専用送信リソースが(例えば、eNodeB内の許容制御機能によって)永続的に割り当てられる関連するGBR値を有する。リソースが利用可能であれば、GBRベアラのために、GBRよりも高いビットレートが許容されることができる。そのような場合、GBRベアラと関連付けられることもできる最大ビットレート(MBR)パラメータは、GBRベアラから予想されることができるビットレートに上限を設定する。
【0024】
非GBRベアラは、いかなる特定のビットレートも保証しない。これらは、ウェブブラウジングやFTP転送などのアプリケーションに使用されることができる。これらのベアラの場合、帯域幅リソースは、ベアラに永続的に割り当てられない。以下のセクションは、上述したように3GPP技術仕様に基づいており、異なるベアラのためのベアラおよびQoS処理について説明する。
LTEベアラ:3GPP 36.300-13.2 QoSパラメータ
【0025】
ベアラレベル(すなわち、ベアラごとまたはベアラ集合ごと)QoSパラメータは、QCI、ARP、GBR、およびAMBRである。各EPS無線アクセスベアラ(E-RAB)(GBRおよび非GBRの双方)は、以下のベアラレベルQoSパラメータに関連付けられる:
-QoSクラス識別子(QCI):ベアラレベルパケット転送処理(例えば、スケジューリング重み、許可閾値、キュー管理閾値、リンク層プロトコル構成など)を制御するアクセスノード特有のパラメータへの参照として使用され、eNodeBを所有するオペレータによって事前構成されたスカラ。標準化された特性に対する標準化されたQCI値の1対1マッピングは、3GPP TS 23.401に取り込まれている。
-割り当ておよび保持優先度(ARP):ARPの主な目的は、リソース制限の場合にベアラ確立/変更要求が受け入れられることができるか、拒否される必要があるかを決定することである。さらに、ARPは、例外的なリソース制限中(例えば、ハンドオーバ時)にどのベアラを削除するかを決定するために、eNodeBによって使用されることができる。
【0026】
各GBRベアラは、以下のベアラレベルQoSパラメータにさらに関連付けられる:-保証ビットレート(GBR):GBRベアラによって提供されると予想されることができるビットレート、
-最大ビットレート(MBR):GBRベアラによって提供されると予想されることができる最大ビットレート。MBRは、GBR以上とすることができる。
【0027】
UEまたは他のデバイスによる各APNアクセスは、以下のQoSパラメータに関連付けられる:
-APN集約最大ビットレート(APN-AMBR)ごと。
【0028】
集約された最大ビットレート(AMBR)は、全てのベストエフォートサービスのために、特定のLTEユーザについてのLTEオペレータによって設定された最大可能ビットレートである。ここでのキーワードは「可能」である。これは、帯域幅が利用可能である場合に可能な最大値であり、ユーザが使用しているサービスの種類および数にも依存する。これは、LTEオペレータによって設定された値であり、変化しない。
【0029】
非GBRとして分類されたLTEデータベアラは、加入者のAMBRにしたがってスケジューリングされる。これは、加入者がアクティブである全ての非GBRベアラに利用可能な合計無線リソースがAMBRを超えることができないことを意味する。
【0030】
状態EMM-REGISTEREDの各UEは、以下のベアラ集約レベルQoSパラメータに関連付けられる:
-UE集約最大ビットレート(UE-AMBR)ごと。
【0031】
APN-AMBRおよびUE-AMBRの定義は、[23.401]に取り込まれている。
【0032】
GBRおよびMBRは、ベアラごとのトラフィックのビットレートを示し、UE-AMBR/APN-AMBRは、ベアラのグループごとのトラフィックのビットレートを示す。これらのQoSパラメータのそれぞれは、アップリンクおよびダウンリンクコンポーネントを有する。
LTEベアラ:3GPP 23.203-6.1.7
【0033】
サービスレベルQoSパラメータは、QCI、ARP、GBR、およびMBRである。
【0034】
各サービスデータフロー(SDF)は、ただ1つのQoSクラス識別子(QCI)と関連付けられる。同じIP-CANセッションの場合、同じQCIおよびARPを有する複数のSDFは、SDF集約と呼ばれる単一のトラフィック集約として扱うことができる。SDFは、SDF集約の特殊なケースである。QCIは、パケット転送処理を制御するノード固有のパラメータ(例えば、スケジューリング重み、許可閾値、キュー管理閾値、リンク層プロトコル構成など)への参照として使用され、ノードを所有するオペレータ(例えば、eNodeB)によって事前構成されたスカラである。
LTEベアラ:標準化されたQCI特性
【0035】
ここで、図1Bおよび図1Cを参照する。図1Bは、クライアント/サーバアーキテクチャのための標準化されたQCI特性の範囲を示す図である。図1Cは、ピア/ピア通信のための標準化されたQCI特性の範囲を示す図である。
【0036】
このセクションは、標準化されたQCI値に関連する標準化された特徴を規定する。特性は、以下の性能特性の観点から、SDF集約がUEとPCEF(図1Bおよび図1Cを参照)との間でエッジツーエッジを受信するパケット転送処理を記述する。
1 リソースタイプ(GBRまたは非GBR);
2 優先度;
3 パケット遅延バジェット;および
4 パケットエラー損失率。
【0037】
標準化された特性は、いかなるインターフェース上でもシグナリングされない。それらは、各QCIのノード固有パラメータの事前構成のためのガイドラインとして理解されるべきである。対応する特性を有するQCIを標準化する目的は、そのQCIにマッピングされたアプリケーション/サービスが、マルチベンダーネットワーク構成においておよびローミングの場合に、同じ最小レベルのQoSを受信することを保証することである。標準化されたQCIおよびその対応する特性は、UEの現在のアクセス(3GPPまたは非3GPP)とは無関係である。
【0038】
ここで、標準化された特性に対する標準化されたQCI値の1対1マッピングを示す表である図1Dを参照する。
【0039】
リソースタイプは、(例えば、無線基地局における許容制御機能によって)サービスまたはベアラレベルの保証ビットレート(GBR)値に関連する専用ネットワークリソースが永続的に割り当てられているかどうかを判定する。したがって、GBR SDF集約は、通常、動的なポリシーおよび課金制御を必要とする認可された「オンデマンド」である。非GBR SDF集約は、静的ポリシーおよび課金制御を通じて事前許容されることができる。
【0040】
パケット遅延バジェット(PDB)は、UEとPCEFとの間でパケットが遅延されることがある時間の上限を定義する。特定のQCIの場合、PDBの値は、アップリンクとダウンリンクで同じである。PDBの目的は、スケジューリングおよびリンク層機能(例えば、スケジューリング優先度重みおよびHARQ目標動作点の設定)の構成をサポートすることである。PDBは、98パーセントの信頼水準での最大遅延として解釈されるものとする。
【0041】
PDBは、「期限切れ」パケット、例えばPDBを超えたリンク層SDUが(例えば、E-UTRANのRLCによって)破棄される必要がないという意味で、「ソフト上限」を示す。パケットの破棄(削除)は、例えば事前設定された削除閾値に基づいて、キュー管理機能によって制御されることが予想される。
【0042】
以下は、図1DのPDB欄において参照される注記1である。「注記1:無線インターフェースに適用されるパケット遅延バジェットを導出するために、PCEFと無線基地局との間の遅延の20msの遅延が所与のPDBから差し引かれるべきである。この遅延は、PCEFが無線基地局に「近接して」位置する場合(約10ms)と、PCEFが無線基地局から「遠くに」位置する場合、例えば、ホームルーティングされたトラフィックによってローミングする場合(欧州と米国西海岸との間の一方向パケット遅延は約50msである)との間の平均である。平均は、ローミングがあまり一般的でないシナリオであることを考慮に入れる。所与のPDBから20msのこの平均遅延を差し引くと、ほとんどの典型的な場合に所望のエンドツーエンド性能が得られると予想される。また、PDBは、上限を定義することに留意されたい。特にGBRトラフィックの実際のパケット遅延は、UEが十分な無線チャネル品質を有する限り、通常、QCIに規定されたPDBよりも低くなければならない。
【0043】
SRVCCのサポートは、TS 23.216にしたがってIMS音声セッションのためにのみQCI=1が使用されることを必要とする。
【0044】
非GBR QCIを使用するサービスは、輻輳関連のパケット削除を経験するように準備されるべきであり、輻輳によって削除されなかったパケットの98パーセントは、QCIのPDBを超える遅延を経験するべきではない。これは、例えば、トラフィック負荷ピーク中に、またはUEがカバレッジ制限された状態になるときに起こることがある。詳細については付属書Jを参照されたい。輻輳のために削除されていないパケットは、非輻輳関連のパケット損失の影響を受ける可能性がある(下記のPELRを参照)。
【0045】
GBR QCIを使用し、GBR以下のレートで送信するサービスは、一般に、輻輳関連のパケット削除が発生せず、パケットの98パーセントがQCIのPDBを超える遅延を経験しないと仮定することができる。例外(例えば、過渡的なリンク停止)は、無線アクセスシステムにおいて常に発生する可能性があり、GBR QCIを使用し、GBR以下のレートで送信するサービスであっても、輻輳関連のパケット削除につながる可能性がある。輻輳のために削除されていないパケットは、非輻輳関連のパケット損失の影響を受ける可能性がある(下記のPELRを参照)。
【0046】
各QCI(GBRおよび非GBR)は、優先度レベルに関連付けられている。優先度1が最も高い優先度である。優先度レベルは、同じUEのSDF集約を区別するために使用されるものとし、また、異なるUEからのSDF集約を区別するためにも使用されるものとする。そのQCIを介して、SDF集約は、優先度レベルおよびPDBに関連付けられる。異なるSDF集約間のスケジューリングは、主にPDBに基づくものとする。十分な無線チャネル品質を有する全てのUEにわたる1つ以上のSDF集約について、PDBによって設定されたターゲットがもはや満たされることができない場合、優先度は、以下のように使用されるものとする:この場合、優先度NのSDF集約のGBR(GBR SDF集約の場合)が満たされるまで、スケジューラは、優先度レベルN+1のSDF集約のPDBを満たすよりも優先して、優先度レベルNのSDF集約のPDBを満たすものとする。SDF集約のGBRを超えるトラフィックの処理に関するその他の態様は、本明細書の範囲外である。
【0047】
以下は、優先度1~5および7について図1Dにおいて参照される注記3である。「注記3:このQCIは、通常、オペレータ制御サービス、すなわち、SDF集約が許容された時点でSDF集約のアップリンク/ダウンリンクパケットフィルタが知られているサービスに関連付けられる。E-UTRANの場合、これは、対応する専用EPSベアラが確立/変更された時点である。
【0048】
以下は、優先度6について図1Dにおいて参照される注記4である。「注記4:ネットワークがマルチメディア優先サービス(MPS)をサポートしている場合、このQCIは、MPS加入者の非リアルタイムデータ(すなわち、最も典型的なTCPベースのサービス/アプリケーション)の優先順位付けに使用されることができる」。
【0049】
以下は、優先度8について図1Dにおいて参照される注記5である。「注記5:このQCIは、任意の加入者/加入者グループの専用の「プレミアムベアラ」(例えば、プレミアムコンテンツに関連付けられている)に使用されることができる。この場合も、SDF集約が許容された時点で、SDF集約のアップリンク/ダウンリンクパケットフィルタが知られている。あるいは、このQCIは、「プレミアム加入者」のためのUE/PDNのデフォルトベアラに使用されることができる。
【0050】
以下は、優先度9について図1Dにおいて参照される注記6である。「注記6:このQCIは、通常、非特権加入者用のUE/PDNのデフォルトベアラに使用される。AMBRは、デフォルトベアラ上の同じQCIを有する同じPDNに接続された加入者グループ間の加入者区別を提供するための「ツール」として使用されることができることに留意されたい。
【0051】
「十分な無線チャネル品質」の定義(または定量化)は、3GPP仕様の範囲外である。
【0052】
E-UTRANの場合、QCIの優先度レベルが、無線ベアラごとにアップリンク優先度を割り当てるための基礎として使用されることができる(詳細については、TS 36.300[19]を参照)。
【0053】
パケットエラー損失率(PELR)は、リンク層プロトコル(例えば、E-UTRANにおけるRLC)の送信者によって処理されたが、対応する受信者によって上位層(例えば、E-UTRANにおけるPDCP)に正常に配信されないSDU(例えば、IPパケット)のレートの上限を定義する。したがって、PELRは、非輻輳関連パケット損失率の上限を定義する。PELRの目的は、適切なリンク層プロトコル構成(例えば、E-UTRANにおけるRLCおよびHARQ)を可能にすることである。特定のQCIの場合、PELRの値は、アップリンクとダウンリンクで同じである。
【0054】
以下は、図1DのPELR欄において参照される注記2である。「注記2:無線基地局とPCEFとの間で発生する可能性のある非輻輳関連パケット損失の割合は無視できると見なされるべきである。したがって、標準化されたQCIに対して規定されたPELR値は、UEと無線基地局との間の無線インターフェースに完全に適用される。
【0055】
特性PDBおよびPELRは、アプリケーション/サービスレベル要件のみに基づいて規定され、すなわち、これらの特性は、アクセスに依存せず、ローミングシナリオ(ローミングまたは非ローミング)から独立し、オペレータポリシーから独立していると見なされるべきである。
LTEベアラ:割り当ておよび保持優先度(ARP)特性
【0056】
QoSパラメータ割り当ておよび保持優先度(ARP)は、優先度レベル、プリエンプション能力、およびプリエンプション脆弱性に関する情報を含む。優先度レベルは、リソース要求の相対的な重要度を定義する。これは、(通常、GBRトラフィックの許容制御に使用される)リソース制限の場合に、ベアラ確立または変更要求が受け入れられることができるか、拒否される必要があるかを決定することができる。これはまた、リソース制限中にどの既存のベアラをプリエンプションするかを決定するためにも使用されることができる。
【0057】
ARP優先度レベルの範囲は1から15であり、1が優先度の最高レベルである。プリエンプション能力情報は、サービスデータフローが、優先度レベルがより低い別のサービスデータフローに既に割り当てられていたリソースを取得することができるかどうかを定義する。プリエンプション脆弱性情報は、優先度レベルがより高いサービスデータフローを許容するために、サービスデータフローがそれに割り当てられたリソースを失う可能性があるかどうかを定義する。プリエンプション能力およびプリエンプション脆弱性は、「はい」または「いいえ」のいずれかに設定されることができる。
【0058】
ARP優先度レベル1~8は、オペレータドメイン内で優先順位付けされた処理を受信することを許容された(すなわち、サービングネットワークによって許容された)サービスのリソースにのみ割り当てられるべきである。ARP優先度レベル9~15は、ホームネットワークによって許容され、したがってUEがローミングしているときに適用可能なリソースに割り当てられることができる。これは、将来のリリースがARP優先度レベル1~8を使用して、例えば、後方互換性のある方法でオペレータドメイン内の緊急および他の優先サービスを示すことができることを保証することに留意されたい。これは、これらの優先度レベルの互換性のある使用を保証する適切なローミング合意が存在する場合のローミング状況におけるARP優先度レベル1~8の使用を妨げない。
LTEベアラ:説明
【0059】
EPSベアラは、EPS(進化型パケットスイッチドシステム)内でデータトラフィックが流れるパイプラインである。
【0060】
ここで図1Eを参照すると、EPSベアラが、UEからeNodeBおよびSGWを通り、PGWで終端する経路として示されている。
【0061】
図1Fを参照すると、EPSベアラは、その中にいくつかのベアラを含むことができる。
【0062】
LTEでは、「無線ベアラ」部分と「コアネットワークベアラ」の双方が以下の単一のメッセージによって構成される:「RRC接続再構成」。「RRC接続再構成」メッセージ内には、無線構成のための1つの部分と、コアネットワーク構成のための別の部分とが存在する。
【0063】
EPSベアラには2種類ある。1つは「デフォルトEPSベアラ」であり、もう1つは「専用EPSベアラ」である。デフォルトEPSベアラは、接続プロセス中に確立される。通常、デフォルトEPSベアラは、特定のQoSを有しない(名目QoSのみが適用される)。専用EPSベアラは、通常、通話中またはアイドルモード後に確立される。これは、規定されたデフォルトEPSベアラにリンクされ、特定の(通常は保証された)QoSを有することができる。
【0064】
典型的なケースでは、複数のアプリケーションがいつでもUEで実行されていることができ、各アプリケーションは、異なるサービス品質要件を有する。例えば、UEは、ウェブページを閲覧しながら、またはFTPファイルをダウンロードしながら、VoIP通話に関与することができる。VoIPは、ウェブ閲覧およびFTPよりも遅延および遅延ジッタに関してQoSに対するより厳しい要件を有するが、後者は、はるかに低いパケット損失率を必要とする。複数のQoS要件をサポートするために、進化型パケットシステム内に異なるベアラがセットアップされ、各ベアラは、QoSに関連付けられている。
LTEベアラ:デフォルトベアラ確立およびQoSパラメータのセットアップ
【0065】
アプリケーション/サービス層におけるULおよびDLサービスデータフロー(SDF)の図である図1Gは、EPSベアラが複数のインターフェース、すなわち、P-GWからS-GWへのS5/S8インターフェース、S-GWからeNodeBへのS1インターフェース、およびeNodeBからUEへの無線インターフェース(「LTE-Uuインターフェース」としても知られている)と交差しなければならないことを示している。各インターフェースにわたって、EPSベアラは、それぞれが独自のベアラ識別情報を有する下位層ベアラ上にマッピングされる。各ノードは、その異なるインターフェースにわたってベアラID間のバインディングを追跡し続けなければならない。
【0066】
S5/S8ベアラは、P-GWとS-GWとの間でEPSベアラのパケットを伝送する。S-GWは、S1ベアラとS5/S8ベアラとの間の1対1マッピングを記憶する。ベアラは、双方のインターフェースにわたってGTPトンネルIDによって識別される。
【0067】
EPSベアラのパケットは、S-GWとeNodeBとの間のS1ベアラによって、およびUEとeNodeBとの間の無線ベアラによって伝送される。eNodeBは、無線ベアラIDとS1ベアラとの間のマッピングを生成するために、これら2つの間の1対1のマッピングを記憶する。
【0068】
同じEPSベアラにマッピングされたIPパケットは、同じベアラレベルのパケット転送処理(例えば、スケジューリングポリシー、キュー管理ポリシー、レートシェーピングポリシー、RLC構成)を受ける。したがって、異なるベアラレベルのQoSを提供するために、各QoSフローに対して別個のEPSベアラが確立されなければならない。その後、ユーザIPパケットは、適切なEPSベアラにフィルタリングされなければならない。
【0069】
異なるベアラへのパケットフィルタリングは、トラフィックフローテンプレート(TFT)に基づく。TFTは、ソースおよび宛先IPアドレスならびに伝送制御プロトコル(TCP)ポート番号などのIPヘッダ情報を使用して、VoIPなどのパケットをウェブブラウジングトラフィックからフィルタリングし、その結果、それぞれを適切なQoSによってそれぞれのベアラに送出することができる。UE内の各ベアラに関連付けられたアップリンクTFT(UL TFT)は、IPパケットをEPSベアラにアップリンク方向にフィルタリングする。P-GW内のダウンリンクTFT(DL TFT)は、ダウンリンクパケットフィルタの同様のセットである。
【0070】
UEがネットワークにアタッチする手順の一部として、UEは、P-GWによってIPアドレスを割り当てられ、少なくとも1つのベアラが確立される。これは、デフォルトベアラと呼ばれ、UEに、そのPDNへの常時オンのIP接続を提供するために、PDN接続の寿命にわたって確立されたままである。デフォルトベアラの初期ベアラレベルQoSパラメータ値は、HSSから取得された加入データに基づいて、MMEによって割り当てられる。PCEFは、ポリシーおよび課金規則機能(PCRF)との相互作用において、またはローカル設定にしたがってこれらの値を変更することができる。専用ベアラと呼ばれる追加のベアラは、アタッチ手順の間または完了後の任意の時点で確立されることもできる。
【0071】
専用ベアラは、GBRまたは非GBRベアラのいずれかとすることができる(デフォルトベアラは、永続的に確立されているため、常に非GBRベアラである必要がある)。デフォルトベアラと専用ベアラとの間の区別は、アクセスネットワーク(例えば、E-UTRAN)に対して透過的であるべきである。各ベアラは、関連付けられたQoSを有し、所与のUEに対して2つ以上のベアラが確立される場合、各ベアラは、適切なTFTにも関連付けられなければならない。これらの専用ベアラは、例えばIMSドメインからのトリガに基づいてネットワークによって確立されることもでき、UEによって要求されることもできる。UEのための専用ベアラは、1つ以上のP-GWによって提供されることができる。
【0072】
専用ベアラのベアラレベルのQoSパラメータ値は、PCRFからP-GWによって受信され、S-GWに転送される。MMEは、S11参照点を介してS-GWから受信した値をE-UTRANに透過的にのみ転送する。
【0073】
QoSパラメータは、初期コンテキストセットアップ手順中にUEに対して定義される。MMEがeNodeBに初期コンテキストセットアップ要求メッセージを送信する。これは、eNodeBが新たなE-RABのために自身を構成することを可能にする。
【0074】
図1Hを参照すると、初期コンテキストセットアップ要求メッセージでは、QoSプロファイルに対して以下のパラメータが定義される:
1.UE-AMBR
2.E-RABレベルのQoSパラメータ
3.QCI
4.ARP
5.GBR
6.MBR
LTEベアラ:専用ベアラ確立およびQoSパラメータのセットアップ
【0075】
エンドユーザがデフォルトベアラによって提供されるものとは異なるQoSを必要とする場合、またはエンドユーザがデフォルトベアラによって提供されるものとは異なるPDNへの接続を必要とする場合、専用ベアラが必要とされる。専用ベアラは、既存のデフォルトベアラと並列に動作するように構成される。
【0076】
専用ベアラ確立手順は、ネットワークによって開始されるが、UEによって要求されてもよい。UEは、MMEにNASベアラリソース割り当て要求を送信することによって専用ベアラを要求することができる。
【0077】
図1Iは、上記セクションにおいて説明した機能を使用した、ネットワークノードにわたる典型的なエンドツーエンドベアラ確立手順を示すメッセージフロー図である。ベアラが確立されると、上述した各インターフェースにわたるベアラが確立される。
【0078】
PCRFは、ベアラに必要なQoSを示すポリシー制御および課金(PCC)決定提供メッセージをP-GWに送信する。P-GWは、このQoSポリシーを使用して、ベアラレベルのQoSパラメータを割り当てる。次いで、P-GWは、UEにおいて使用されるべきQoSおよびUL TFTを含む専用ベアラ作成要求メッセージをS-GWに送信する。S-GWがベアラQoS、UL TFT、およびS1-ベアラIDを含む専用ベアラ作成要求メッセージを受信した後、それをMMEに転送する(図1Iのメッセージ3)。
【0079】
次いで、MMEは、UL TFTおよびEPSベアラ識別情報を含むセッション管理構成情報のセットを構築し、それをeNodeBに送信するベアラセットアップ要求メッセージに含める(図1Iのメッセージ4)。セッション管理構成はNAS情報であるため、それはeNodeBによってUEに透過的に送信される。
【0080】
ベアラセットアップ要求はまた、ベアラのQoSをeNodeBへ提供する。この情報は、eNodeBによって呼受付制御のために、またユーザのIPパケットの適切なスケジューリングによって必要なQoSを保証するために使用される。eNodeBは、EPSベアラQoSを無線ベアラQoSにマッピングし、次いで、無線ベアラをセットアップするためにRRC接続再構成メッセージ(無線ベアラQoS、セッション管理要求、およびEPS無線ベアラ識別情報を含む)をUEにシグナリングする(図1Iのメッセージ5)。RRC接続再構成メッセージは、無線インターフェースの全ての構成パラメータを含む。これらは、主に層2(PDCP、RLC、およびMACパラメータ)の構成のためのものであるが、UEがプロトコルスタックを初期化するために必要な層1パラメータも含む。
【0081】
図1Iのメッセージ6から10は、ベアラが正しくセットアップされたことを確認するための対応する応答メッセージである。
【0082】
ホーム加入者サーバ(HSS)は、EPS加入のQoSプロファイルなどのユーザのSAE(システムアーキテクチャエボリューション)加入データおよびローミングのための任意のアクセス制限を含むデータベースである。それはまた、ユーザが接続することができるPDNに関する情報も保持する。これは、アクセスポイント名(APN)(PDNへのアクセスポイントを記述するDNS命名規則にしたがうラベル)またはPDNアドレス(加入したIPアドレスを示す)の形態とすることができる。
【0083】
PDNゲートウェイは、PCRFからの規則にしたがって、UEのIPアドレス割り当て、ならびにQoS実施およびフローベースの課金を担当する。それは、異なるQoSベースのベアラへのダウンリンクユーザIPパケットのフィルタリングを担当する。これは、トラフィックフローテンプレート(TFT)に基づいて行われる。P-GWは、保証ビットレート(GBR)ベアラのQoS実施を実行する。
【発明の概要】
【0084】
企業は、デジタルソリューションに移行しており、これは、そのビジネスアプリケーションの最適な性能のための計算、ストレージ、およびネットワーキングインフラストラクチャの最適化を含む。企業は、LTE/5Gネットワークを使用することを好むが、それは、それらがそれらの特定の要件を満たす高い信頼性を有する無線ネットワークインフラストラクチャを提供するためである。しかしながら、それらの特定のニーズは、典型的には大規模通信会社によって定義、設置、および管理される標準開発機関(SDO)によって定義された標準ネットワークスライスの概念を超える可能性がある。企業は、ネットワークスライスを柔軟に作成および管理する方法を必要としており、システムがIT専門家によって管理されることができれば有利であり、これは、コストを削減し、技術の採用のペースを速めるであろう。さらにまた、マイクロスライスがより効率的なネットワークを提供することが有利であろう。
【0085】
企業がより費用効果的且つ効率的に企業ネットワークを運用するのを支援するために、本明細書ではマイクロスライスについて説明する。マイクロスライスは、例えば、複数のネットワークを介してエンドツーエンド論理ネットワークを提供し、異なるサービスタイプまたはアプリケーションに対して特定のサービス品質(QoS)およびサービスレベル目標(SLO)要件が満たされることを保証するために使用されることができる。全体的な観点から、本明細書に記載のマイクロスライスを使用する実施形態は、標準ベースのネットワークスライシング手法よりも、企業LTE/5G展開のためのネットワークスライシングに対してより粒度の細かい手法をとり、サービスのより大きなカスタマイズ、より高速な更新、および管理の簡素化を可能にする。また、このより粒度の細かい手法は、ユーザおよび企業に、UEのための帯域幅およびより良好なサービスのより効率的な使用を提供する。
【0086】
無線通信ネットワークにおいてマイクロスライスを作成および実装するためのシステムの様々な実施形態が開示される。
【0087】
一実施形態では、マイクロスライスは、企業ネットワークのネットワーク管理者によって定義される。有利には、マイクロスライスが利用されて、企業ネットワーク内のデータフローを効率的に配置し、企業ネットワーク内の無線ユーザ機器(UE)と外部サーバとの間のエンドツーエンドのサービス品質(QoS)を提供することができる。管理者は、QoSパラメータを含む所望のサービス品質(QoS)を定義し、それらをマイクロスライスに割り当てる。QoSパラメータに応答して、システム(または管理者)は、マイクロスライスのサービスレベル目標(SLO)を提供する。少なくとも1つのベアラがマイクロスライスに割り当てられ、ベアラは、マイクロスライスのQoSおよびSLOを満たすように選択され、したがって、UEと外部サーバとの間のエンドツーエンド論理ネットワークを提供する。特に、論理ネットワークは、少なくとも無線アクセスネットワーク(RAN)およびコアネットワークを介してUEと外部サーバとを接続する。論理ネットワークはまた、セキュリティのために、および/またはQoSおよびSLO要件が満たされることを保証するために使用されることができ、同じ要件にしたがうWANと接続することができる企業のLANを含むことができる。
【0088】
ネットワーク管理者にとって有用であり得る複数の実施形態が開示される。いくつかの実施形態では、ネットワーク管理者は、マイクロスライスの使用を許容される1つ以上のアプリケーションを規定することができる。いくつかの実施形態では、ネットワーク管理者は、UEの1つ以上のグループを定義することができ、1つ以上のマイクロスライスをそれらのグループのそれぞれに割り当てることを含む。いくつかの実施形態では、ネットワーク管理者はまた、複数のサービスタイプを定義し、それらのサービスタイプに1つ以上のマイクロスライスを割り当てることができる。いくつかの実施形態では、ネットワーク管理者は、パーセンテージなど、マイクロスライスに割り当てられるネットワークリソースの量を規定することもできる。
【0089】
例えば、UEまたは別のデバイスもしくは構成要素によって要求が受信された後、マイクロスライスインスタンスは、UEから、マイクロスライスに割り当てられた少なくとも1つのベアラを介してセットアップされる。マイクロスライスインスタンス上にデータフローが作成され、マイクロスライスインスタンス内のベアラは、所望のサービス品質を提供するためにSLOおよび前記QoSパラメータに応答して制御される。SLOおよびQoSパラメータに応じて主要業績評価指標(KPI)が提供され、KPIを使用してマイクロスライスインスタンスが監視される実施形態が説明され、KPIが満たされない場合、通信システムの動作は、それに応じて変更されてもよく、および/または警報が提供されてもよい。
【0090】
上記に加えて、本明細書に記載の実施形態のいくつかによって以下の利点が提供されることができる:
・コアネットワーク(EPC)をマイクロサービスに分解することは、各マイクロスライスに「専用」または「隔離」リソースを割り当てる;
・各マイクロスライスインスタンスをインテリジェントに且つ独立してスケーリングする機能は、そのマイクロスライスのサービスレベル目標(SLO)を遵守する;
・場合によってはネットワーク管理者からの入力なしに自動的に実行されることができる、無線で独立して遠隔的に各マイクロサービス(マイクロスライス)をアップグレードする能力は、管理を容易にし、アップグレードコストを削減する;
・顧客のエッジとクラウドインスタンスとの間でサービスを動的に移動する能力は、バースト性のあるワークロードを迅速且つ効率的に処理するためのより大きな柔軟性を提供する;
・ログを作成し、必要なメトリックを取得する能力は、各マイクロスライスインスタンスの性能をリアルタイムで監視することを可能にする;
・ネットワーク(RANおよびコアネットワーク)を遠隔で操作および管理する能力は、ネットワークインフラストラクチャをサービスとして提供することを可能にする。特に、マイクロサービスアーキテクチャは、クラウド上のリソースをオンデマンドでスピンアップして、ネットワークインフラストラクチャの全てをクラウドネイティブアプリケーションとして技術的に提供する機会を提供する。
・既存の企業ローカルエリアネットワーク(LAN)および企業バックホールワイドエリアネットワーク(WAN)とのシームレスな統合;
・ネットワーク(RAN、LAN、および任意にWAN)にわたってエンドツーエンドのサービス品質(QoS)を提供することは、適切なリソースを使用してユーザが適切にサービスされることを保証する;および
・粒度の細かいアクセス制御実施を提供することは、ユーザが必要なものにアクセスすることを保証しながらセキュリティを強化する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
開示された方法および装置は、1つ以上の様々な実施形態にしたがって、以下の図を参照して説明される。図面は、例示のみを目的として提供されており、開示された方法および装置のいくつかの実施形態の例を示すにすぎない。これらの図面は、開示された方法および装置の読者の理解を容易にするために提供される。それらは、特許請求される発明の広がり、範囲、または適用性を限定すると見なされるべきではない。説明を明確且つ容易にするために、これらの図面は、必ずしも縮尺通りに作成されていないことに留意されたい。
図1A】「4G LTE」(第4世代ロングタームエボリューション)または「5G NR」(第5世代ニューラジオ)ネットワークなどの通信ネットワークの基本構成を示している。
図1B】クライアント/サーバアーキテクチャの標準化されたQCI特性の範囲を示す図である。
図1C】ピア/ピア通信のための標準化されたQCI特性の範囲を示す図である。
図1D】標準化された特性に対する標準化されたQCI値の1対1マッピングを示す図である。
図1E】4G無線通信システムにおけるEPSベアラおよび外部ベアラのシステム図である。
図1F】4G無線通信システムにおける異なるタイプのベアラを示すシステム図である。
図1G】4G無線通信システムにおけるアプリケーション/サービス層のシステム図である。
図1H】UEとeNBとMMEとの間のメッセージを示す、4G無線通信システムにおいてベアラをセットアップするためのメッセージフロー図である。
図1I】UE、eNodeB、MME、S-GW、P-GW、およびPCRFの間のメッセージを示す、4G無線通信システムにおいてベアラを確立するための詳細なメッセージフロー図である。
図2A】無線ネットワークを含む複数のネットワークにわたるマイクロスライスインスタンスを示すブロック図である。
図2B】無線ネットワーク、LAN、およびWANを含む複数のネットワークにわたるマイクロスライスインスタンスを示すブロック図である。
図3】マイクロスライスを定義するための方法のフローチャートである。
図4】マイクロスライス定義の例を示す表である。
図5】許容されるマイクロスライスのアプリケーション定義の例を示す表である。
図6】マイクロスライスをデバイスに割り当てるための方法のフローチャートである。
図7】デバイスグループ定義の例を示す表である。
図8】デバイスグループへのマイクロスライスの割り当ての例を示す表である。
図9】4G無線通信ネットワークのブロック図である。
図10】5G無線通信ネットワークのブロック図である。
図11】マイクロスライスデータフローをセットアップし、データフローを提供するためにマイクロスライスインスタンスを作成するための方法のフローチャートである。
図12】マイクロスライスを利用するシステムにおいて負荷制御を提供するための動作のフローチャートである。
図13】マイクロスライスを利用するシステムにおいて許容制御を提供するための動作のフローチャートである。
図14】いくつかの状況下でトリガされることができる警報動作のフローチャートであり、警報のトリガに応答して実行されることができる制御手順も示している。
【0092】
図面は、網羅的であること、または特許請求される発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。開示された方法および装置は、変更および代替によって実施されることができ、本発明は、特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されるべきであることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0093】
通信ネットワークおよびシステム構成要素は、本明細書では、4G(LTE)通信システム、および/または5G NR通信システムに共通の用語および構成要素を使用して説明される。しかしながら、本明細書に記載の通信ネットワークおよびマイクロスライスの原理は、4Gまたは5Gシステムだけでなく、他の通信システムにもより広く適用される。
【0094】
企業ネットワークのコンテキストにおけるマイクロスライス実装が本明細書で説明される。企業ネットワークのコンテキストで説明されているが、開示された原理は、任意のプライベートネットワーク、より一般的にはパブリックネットワークにも適用されることができる。企業ネットワークは、プライベートネットワークの一種である。プライベートネットワークは、限られた許容ユーザグループによる限られたエリア内での使用のために運用されるが、パブリックネットワークは、一般に、より広いエリアをカバーし、ネットワークオペレータによるサービスに加入する人による使用のためにオープンである。企業ネットワークは、倉庫、工場、研究センターまたは他の建物などの企業の場所で作成され、通常、それ自体の使用のために組織によって運用される。他のタイプのプライベートネットワークは、2つ以上の組織による使用のためにプライベートネットワーク管理者によって運用されてもよい。
(2)マイクロスライスインスタンスおよびマイクロスライスの概要
【0095】
ここで、無線ネットワーク200内のマイクロスライスインスタンスを示すブロック図である図2Aを参照する。図2Aでは、携帯電話UE201aは、無線リンク205aを介して、コアネットワーク211に接続されたRAN207に接続される。車両201bは、無線リンク205bを介してRAN207に接続される。異なるデバイス、およびUE内の異なる機能でさえも、異なる通信要件を有することは明らかである。例えば、携帯電話UE201aは、音声通信を必要とする場合がある。車両201bは、ナビゲーションのために信頼性の高いリンクを必要とし、データ通信のために別のリンクを必要とする場合がある。これらの必要性に対処するために、マイクロスライスが本明細書に記載される。マイクロスライスは、デバイスとの間のデータフローの経路を定義する。デバイスは、UEまたはアクセスポイント(AP)、ルータ、または通信ネットワーク内の他の構成要素などの他のデバイスであってもよい。通常、マイクロスライスのデータフローは、エンドツーエンドで(すなわち、UEから外部PDNのエッジへ)移動するが、データフローは、RAN、コアネットワーク、およびサービスプラットフォームの全てまたは一部を通過してもよい。マイクロスライスは、いくつかの方法のいずれかで定義されることができる。例えば、いくつかの実施形態では、マイクロスライスは、サービスタイプの要件を満たすように定義されてもよく、他の実施形態では、マイクロスライスは、アプリケーション、またはアプリケーションのグループに関連付けられてもよい。有利には、マイクロスライスは、企業場所において1つ以上のネットワークを操作するネットワーク管理者によって定義されることができ、定義されたマイクロスライスは、その後、企業場所のネットワーク内の通信に適用されることができる。
【0096】
ネットワーク200において、各マイクロスライスは、完全な論理ネットワークを形成するようにインスタンス化される(すなわち、「マイクロスライスインスタンス」内で確立される)。論理ネットワークは、物理的にはより大きなネットワークまたはローカルエリアネットワークの一部にすぎないかもしれないが、完全に分離した自己完結型ネットワークとしてユーザに見えるネットワークの仮想表現である。図2Aでは、携帯電話UE201aからRAN207を通ってコアネットワーク211までの第1のマイクロスライスインスタンス221が示されている。第2のマイクロスライスインスタンス222および第3のマイクロスライスインスタンス223は、車両201bからRAN207を介してコアネットワーク211に提供される。インスタンスはまた、RANおよび/またはコアネットワークの一部などの通信ネットワークの他の構成要素間、または通信ネットワークの他の構成要素間で確立されてもよい。例えば、インスタンスは、UE201aとRAN207との間、車両201bとRAN207との間、RAN207とコアネットワーク211との間、または利用可能とすることができる任意の通信リンク(例えば、説明されるように、ベアラ)に沿って確立されることができる。
【0097】
各マイクロスライスインスタンス221、222、223は、RAN207および/またはコアネットワーク211におけるネットワーク機能のセットを使用して実装される。コアネットワークの一例は、LTE/5Gネットワークにおける進化型パケットコア(EPC)である。LTE/5Gネットワークは、企業ITネットワークまたは他のネットワークの一部であってもよい。
【0098】
マイクロスライスは、データフローのパラメータおよび経路を定義する。データフローは、RAN、コアネットワーク、およびサービスプラットフォームを介したUEとの間のものとすることができる。LTE/5G実装において定義された「N」個のマイクロスライス(MS1、MS2、...、MSN)があり得ることに留意されたい。
【0099】
マイクロスライスのパラメータは、以下のような異なるサービスタイプまたはアプリケーションについて、特定のサービス品質(QoS)要件およびサービスレベル目標(SLO)が満たされることを保証するために使用される:
・IPカメラおよびコンピュータビジョン(CV)(例えば、顔認識)アプリケーション
・プッシュツートーク(PTT)またはボイスオーバーIP(VoIP)
・VT(テレビ電話)またはテレビ会議(例えば、ズーム、ビジネス向けスカイプ)
・拡張現実(AR)/仮想現実(VR)
・遠隔制御
・ロボティクスおよび自動化
・マルチメディアストリーミング
・モノのインターネット(IoT)センサデータ分析
・ベストエフォートトラフィック(FTP、ウェブブラウジングなど)
【0100】
この目的のために、マイクロスライスは、マイクロスライスに関連するいくつかのパラメータ、例えばサービスタイプ、アプリケーション、およびアプリケーションのグループのいずれかを使用して定義されることができる。これらのパラメータは、例えば、4Gシステム(図9)におけるホーム加入者サーバ(HSS)、または5Gシステム(図10)におけるユーザデータ管理(UDM)に記憶されることができる。インデックス「k」の各マイクロスライス(MSk)には、1つのQoSクラスインジケータ(QCI)値、保証ビットレート(GBR)値、最大ビットレート(MBR)値、および割り当ておよび保持優先度(ARP)値のQoSパラメータが割り当てられることができる。有利には、マイクロスライスアーキテクチャは、カスタマイズ可能なネットワーク能力、および異なるサービスタイプのQoSパラメータを選択する機能を可能にする。例えば、いくつかのサービスタイプのそれぞれは、固有のマイクロスライスに関連付けられ、定義されたデータスループット、品質、パケット誤り率(PER)、パケット遅延、信頼性、分離、およびセキュリティサービスのセットを有することができる。
(3)ネットワーク展開へのマイクロスライスQoSの統合および拡張
【0101】
図2Aは、UE201a、車両201b、RAN207、およびコアネットワーク211にわたって実装されたマイクロスライスインスタンス221、222、および223を示している。LTE/5Gネットワークが企業に展開されるにつれて、新たに展開されたネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)に統合される必要がある。ここで、ローカルエリアネットワーク(LAN)231およびワイドエリアネットワーク(WAN)232を含む追加のネットワークにわたるマイクロスライスインスタンスを示すブロック図である図2Bを参照する。図2Bでは、複数のUE201aおよび201cは、RAN207と無線接続される。ローカルエリアネットワーク(LAN)231は、RAN207とコアネットワーク211とを接続する。ワイドエリアネットワーク(WAN)232は、コアネットワーク211に接続され、多種多様な外部PDN103および他のサービスに接続する。これらのLANおよびWANは、コアネットワーク211の外部の外部PDNであってもよい。多くの場合、LANおよびWANを保護するために、ファイアウォール(例えば、次世代ファイアウォール)が存在することができる。これらのファイアウォールもまた、コアネットワーク211の外部にある。図2Bでは、マイクロスライスインスタンスは、UEからネットワークを通ってWAN232内に延在する。特に、第1のマイクロスライスインスタンス241は、UE(携帯電話)201aから、RAN207、LAN231、コアネットワーク211を通って延在し、WAN232内に延在する。各マイクロスライスのQoSパラメータは、QoSマーキングおよびDiffServ差別化サービスコードポイント(DSCP)などの標準的な機構を介して、これらのLAN、WAN、およびファイアウォールに拡張されることができる。同様に、第2および第3のマイクロスライス242および243は、RAN207、LAN231、コアネットワーク211を介して自動UE201bから延在し、WAN232内に延在する。
【0102】
図2Bでは、破線のブロック内に示されている企業ネットワーク250は、UE201、RAN207、LAN231、およびコアネットワーク211を含む。典型的には、これらは、建物または他の画定された領域などの共通の場所にあるが、いくつかの構成要素は、画定された領域の外側にあってもよい。ネットワーク管理者252は、適切なセキュリティを用いて、WANを介して企業ネットワーク250を遠隔で管理し、マイクロスライスをセットアップすることができる。あるいは、ネットワーク管理者252は、企業ネットワークに直接接続して、ネットワークを管理し、マイクロスライスをセットアップすることができる。
(4)マイクロスライスデータフィールド
【0103】
ここで、マイクロスライスを定義する1つの方法およびマイクロスライスを定義するパラメータを示すフローチャートである図3を参照する。動作が開始し(ステップ300)、次いでサービスタイプが定義される(ステップ302)。サービスタイプは、特定の選択されたサービス(例えば、ビデオ会議、インターネットダウンロードなど)を提供するために必要な特定のアクティビティまたはアプリケーションを指すことができる。サービスタイプは、いくつかの方法で具体的に定義されてもよく、例えば、5タプル(サーバ/宛先IPアドレス、ポート番号、およびトランスポートプロトコル)によって定義されてもよい。サービスタイプに基づいて、ビットレート、パケット遅延、およびジッタまたはパケット誤り率などのサービス品質(QoS)要件の特定のセットがマイクロスライスに割り当てられることができる(ステップ304)。マイクロスライスはまた、「許容されるアプリケーション」と呼ばれる1つ以上のアプリケーションに割り当てられてもよく、またはアプリケーションのグループに割り当てられてもよい(ステップ306)。各マイクロスライスに対してサービスレベル目標(SLO)も定義される(ステップ308)。SLOは、QoSパラメータおよび他の値から導出されてもよい。SLOは、マイクロスライスインスタンスを通るデータフローの監視に関して、本明細書の他の箇所でより詳細に説明される。一般に、各マイクロスライスのSLOは、それぞれのマイクロスライス上で実行されるサービスの性能を評価するための手段を提供する。
【0104】
ここで、例示的なマイクロスライス定義を示す図4を参照する。この例では、マイクロスライスは、フィールド内に存在するパラメータによって定義される。パラメータは、例えば、名称、許容されるアプリケーション定義、最小保証スループット、最大許容スループット、最大パケット遅延限界、最大パケット損失率、および優先度を含むことができる。
(5)許容されるアプリケーションタイプ
【0105】
許容されるアプリケーションタイプは、いくつかの方法において、例えば、以下を介して識別されることができる:
・サーバ(または宛先)のIPアドレスおよび/またはポート番号
・クライアント(または送信元)のIPアドレスおよび/またはポート番号
・QoSマーキングおよびDiffServ差別化サービスコードポイント(DSCP)
・使用されたトランスポートプロトコル(例えば、TCPまたはUDP)。
【0106】
図5は、特定のマイクロスライスにどのアプリケーションが割り当てられているかを示す定義の例を示している。例えば、マイクロスライスには、第1のエントリの基準を満たすアプリケーションが割り当てられてもよく、これは、マイクロスライスが任意のアプリケーションによって使用されることを可能にする。第2のエントリに適合するマイクロスライスに割り当てられたアプリケーションは、「アプリケーション1」(すなわち、1.1.1.1の宛先IPアドレス、宛先ポート123などを有する)の定義にしたがって定義されたアプリケーションによってのみ使用されることができる。
【0107】
マイクロスライスに割り当てられるアプリケーションを識別するためのさらなるオプションは、以下を含む:
・URL/ヘッダのDPI(ディープパケット検査)、
・自動割り当てのためのAI(人工知能)または機械学習、
・LTE/5Gデバイス専用ベアラ要求、
・5Gシグナリング:NSSAI(ネットワークスライス選択支援情報)、
・DNSルックアップ、
・次世代ファイアウォールクエリ、
・SD-WAN、および
・マイクロスライスを選択するためのアプリケーション用のAPI。
【0108】
企業ユースケースでの実装のために、各アプリケーションまたは同様のアプリケーションもしくはサービスタイプのグループについて、ユーザは、マイクロスライスを定義し、上述したようにQoS制約を規定することができる。
【0109】
企業環境では、マイクロスライスインスタンスが作成されると、特定のセキュリティおよびアクセス制御規則が満たされることを保証し、および/または特定のQoSおよびサービスレベル目標(SLO)仕様が満たされることを保証する目的で、既存の企業LANを介して(例えば、VLANまたはVxLANを介して)トラフィックがルーティングされることができる。ルーティング、および/または特定のセキュリティおよびアクセス制御規則は、マイクロスライスの定義の一部として管理者によって規定されることができる。
(6)マイクロスライスをデバイスまたはデバイスグループに割り当てる
【0110】
ここで、マイクロスライスをデバイスに割り当てるための動作(ステップ600)のフローチャートである図6を参照する。「デバイス」という用語は、UEおよび他のデバイス、またはルータもしくはAPなどの通信ネットワークの構成要素を含む。マイクロスライスは、上述したように、アクセス可能サーバに定義されて記憶される(ステップ602)。多くの異なるマイクロスライスが任意の特定の実施形態において定義されてもよく、そのいくつかの実施形態は、LTE/5G実装の一部であってもよい。
【0111】
次に、デバイスは、1つ以上のマイクロスライスに割り当てられる(ステップ606)。一般に、デバイスまたは他のエンティティがネットワークまたは管理者に知られるようになるか、そうでなければサービスを要求するとき、デバイスのニーズに最も適合するマイクロスライスは、デバイスにサービスを提供するために割り当てられるべきである。割り当ては、例えば、要求されたサービスタイプのデバイスを適切なマイクロスライスと照合することによって、いくつかの方法で行うことができる。他の実施形態では、マイクロスライスに関連する1つ以上の他のパラメータが、要求されたサービスタイプまたはデバイスに関連する他のパラメータと比較されて、デバイスとの間でデータを伝送するのにどのマイクロスライスが最も適しているかを判定することができる。割り当てを行う別の方法は、デバイスがデバイスグループのメンバーであるかどうかを確認し(以下を参照)、そうである場合、グループの以前に定義されたマイクロスライスを利用することである。
【0112】
1つの例示的な製品実装では、「デフォルト」と呼ばれるデフォルトのマイクロスライスが製品出荷に含まれ、したがって、「独創的に」定義される(すなわち、製品に予め定義されている)。このデフォルトのマイクロスライスは、例えば、一般にベストエフォート(BE)として知られる、いかなるQoS保証も有しなくてもよい。したがって、システムが最初に設置されるとき、例えばデバイスグループ全体(例えば、携帯電話である全てのUE)またはいくつかの実施形態では、全てのデバイス(または後述するデバイスグループ)がこのデフォルトのマイクロスライスに割り当てられることができる。これが意味することは、それらの全てのデバイスが、少なくとも、QoS保証なしで、全ての通信のためのデフォルトベアラをセットアップすることができることであり、これは初期設置および管理に有利である。一実装では、このデフォルトのマイクロスライスが(独創的に)定義されている場合、全てのフィールドがブランクに設定されることができ、アプリケーション定義フィールドが「全て許容」に設定されることができ、優先度が15に設定されることができる。
(7)デバイスグループ
【0113】
マイクロスライスの管理および実装を単純化するために、いくつかの実施形態は、管理を単純化するためにネットワーク管理者によって利用されることができるデバイスグループを含むことができる。デバイスグループは、1つ以上のマイクロスライスに割り当てられることができる。1つ以上の異なるデバイスグループに割り当てられることができるデバイスの例は、以下のようなデバイスを含むことができる:
・スマートフォン、
・タブレット、
・ハンドヘルドモバイルデバイス、
・販売時点情報管理(POS)端末、および
・バックホールのためのルータ/アクセスポイント。
【0114】
1つの例示的な実装では、デフォルトデバイスグループは、設置前にセットアップされ(すなわち、「独創的に」利用可能である)、したがって設置中に利用可能になる。このデフォルトのデバイスグループは、「デフォルト」と呼ばれることがあり、特に指定しない限り、各デバイスは、「デフォルト」デバイスグループに自動的に割り当てられて、初期設置および管理を容易にすることができる。
【0115】
デバイスグループは、デバイスの柔軟なグループ化である。デバイスグループを使用して、企業は、ネットワーク内で同様の使用、サービス、カバレッジ、および容量のニーズを有するユーザ/デバイスのカテゴリを柔軟に作成することができる。これは柔軟なグループ化であるため、企業は、現在のプロファイリングと一致し、デバイスおよびネットワークリソースをより効率的に管理するために、これらのグループを自由に定義することができる。
【0116】
デバイスグループは、デバイスグループ名、管理者名、信頼できる/信頼できないフィールド、VLANまたはVxLAN IDおよびDHCPサーバアドレスなどの特定の情報によって定義されることができる。図7は、フィールド名、そのフィールドの値例、およびそのフィールドのフィールド説明を含む例示的なデバイスグループ定義を示している。図7では、この例に固有のフィールド名は、デバイスグループ名、管理者、信頼、VLANまたはVxLAN ID、およびDHCPを含む。
【0117】
企業内のモバイルデバイス(UE)は、多くのモバイルUEを含むことができるデバイスグループに割り当てられることができるが、いくつかの実施形態では、特定のUEは、1つのグループのみに割り当てられることができる。
【0118】
デバイスは、例えば、管理者によってグループに割り当てられてもよく、またはデバイスによって提供された情報に応答して割り当てられてもよく、またはデフォルトで割り当てられてもよい。1つの実装では、割り当ては、コアネットワークにおいて実行されているコンテナ化されたアプリケーション、Kubernetes、または任意の他のそのようなシステムとして実装されることができる。Kubernetesは、アプリケーションの展開、スケーリング、および管理を自動化するためのオープンソースのコンテナ-オーケストレーションシステムである。コンテナは、企業がアプリケーションのより高速な開発および展開のためにDevOpsを使用するにつれて普及している。コンテナは、ファイルおよびライブラリを含む、ソフトウェアを実行するために必要な全てを含む。コンテナは、アプリケーションまたはマイクロサービスのライブラリを、ホストオペレーティングシステムのCPUまたはメモリリソースを枯渇させず、同じCPU上で実行される異なるサービスの分離を提供する1つの展開可能ユニットに組み合わせる。
【0119】
1つの好ましい実装では、EPC機能は、Kubernetes上で実行されるコンテナ化されたアプリケーションとして実装されることができる。これは、以下のような本明細書に記載のマイクロスライス実装の利点を可能にする:
1.コアネットワーク(EPC)をマイクロサービスに分解することは、各マイクロスライスに「専用」または「分離」リソースを提供する。
2.各マイクロサービスをインテリジェントに且つ独立してスケーリングすることは、マイクロスライスのSLOを遵守する。
3.ネットワーク管理者からのゼロタッチで各サービスを独立して無線でアップグレードすることは、コストを削減し、アップグレード処理を簡素化する。
4.顧客のエッジとクラウドインスタンスとの間でサービスを動的に移動させることは、バースト性のあるワークロードを処理するのに役立つ。
5.各マイクロスライスの性能を監視するために必要なメトリックを記録および取得する能力は、各UEが適切なレベルのサービスを受けていることを保証し、ネットワーク効率を改善する。
6.また、これは、ネットワーク(RANおよびEPC)がネットワークインフラストラクチャサービスとして実行されることを可能にする。マイクロサービスアーキテクチャは、クラウド上のリソースをオンデマンドでスピンアップする能力を提供するため、技術的にはネットワークインフラストラクチャの全ては、クラウドネイティブアプリケーションとして提供されることができる。
【0120】
図8は、マイクロスライスが異なるデバイスグループに割り当てられることができる方法の例を示す表である。例えば、図8は、デバイスグループ1が、「ストリーミング」と呼ばれるマイクロスライス、「ビデオ会議」と呼ばれるマイクロスライス、および「デフォルト」マイクロスライスに割り当てられていることを示している。デバイスグループが2つ以上のマイクロスライスに割り当てられることに加えて、企業のニーズに応じて、2つ以上のデバイスグループが同じマイクロスライスの1つ以上に割り当てられる可能性が高い。デバイスグループに対して複数のマイクロスライスが有効化されている場合、デバイスグループ内のデバイス上で実行されているアプリケーションの一部または全部は、有効化されたマイクロスライスの特定の1つに割り当てられることができる。あるいは、デフォルトのマイクロスライスは、他のマイクロスライスに割り当てられていない任意のアプリケーションまたはサービスに使用されることができる。あるいは、アプリケーションを実行するデバイスが割り当てられている複数のマイクロスライス間で選択するための決定機構が提供されてもよい。
(8)4Gおよび5Gアーキテクチャ
【0121】
本明細書に記載のマイクロスライスは、典型的には、LTEおよび/または5G無線通信ネットワーク、すなわち、3GPPなどのSDO(標準開発機関)の仕様にしたがって構築された通信ネットワークにおいて実装される。これらの通信ネットワークの基本的な構成要素は周知であり、詳細に説明する必要はない。しかしながら、説明の目的のために、これらの通信ネットワークについて本明細書で簡単に説明する。3GPP仕様TS 21.905、TS 22.852、TS 23.002、TS 23.203、TS 23.501、TS 36.300など、現在のSDO仕様では多くの追加情報が利用可能である。
【0122】
ここで、LTE(4G)無線通信システムのアーキテクチャを示すネットワーク図である図9を参照する。図9の4Gネットワークは、制御プレーンとユーザプレーントラフィックとが分離されたフラットな全IPアーキテクチャを有する。頭字語がネットワークブロックに示されている。以下は、ネットワークブロックに示されている頭字語および4Gシステムにおいて使用される他の頭字語のリストである。
【0123】
ANDSF:アクセスネットワーク発見および選択機能
【0124】
APN:アクセスポイント名
【0125】
ARP:割り当ておよび保持優先度
【0126】
AMBR:集約最大ビットレート
【0127】
ePDG:進化型パケットデータゲートウェイ
【0128】
E-RAB EPS無線アクセスベアラ
【0129】
EPC:進化型パケットコア
【0130】
EPS:進化型パケットスイッチドシステム)
【0131】
GBR:保証ビットレート
【0132】
HSS:ホーム加入者サーバ
【0133】
MBR:最大ビットレート
【0134】
MME:モビリティ管理エンティティ
【0135】
PCC:ポリシー制御および課金
【0136】
PCRF:ポリシーおよび課金規則機能
【0137】
PDB:パケット遅延バジェット
【0138】
PDN:パケットデータネットワーク
【0139】
PELR:パケット誤り率
【0140】
P-GW:パケットゲートウェイ
【0141】
QCI:QoSクラス識別子
【0142】
QoS:サービス品質
【0143】
RAB:無線アクセスベアラ
【0144】
RRC:無線リソース制御
【0145】
SAE:システムアーキテクチャエボリューション
【0146】
SDF:サービスデータフロー
【0147】
S-GW:サービングゲートウェイ
【0148】
TFT:トラフィックフローテンプレート
【0149】
VoIP:ボイスオーバーIP
【0150】
Wi-Fi(登録商標) AP:WiFiアクセスポイント
【0151】
図9に示す4Gアーキテクチャの主要構成要素は、コアネットワークである進化型パケットコア(EPC)である。いくつかの構成要素を以下に説明する。
【0152】
MME(モビリティ管理エンティティ:MMEは、LTEアクセスネットワークのための主要制御ノードである。それは、再送信を含むアイドルモードのUE(ユーザ機器)ページングおよびタグ付け手順を担当する。それは、ベアラアクティブ化/非アクティブ化プロセスに関与し、初期アタッチ時およびコアネットワーク(CN)ノード再配置を含むLTE内ハンドオーバ時にUEのためのSGWを選択する役割も担当する。それは、(HSSと相互作用することによって)ユーザを認証する役割を担当する。非アクセス層(NAS)シグナリングは、MMEで終端し、一時的な識別情報の生成およびUEへの割り当ても担当する。それは、サービスプロバイダの公衆陸上移動網(PLMN)にキャンプオンするUEの許可をチェックし、UEローミング制限を実施する。MMEは、NASシグナリングの暗号化/完全性保護のためのネットワーク内の終端点であり、セキュリティキー管理を処理する。シグナリングの合法的傍受もまた、MMEによってサポートされる。MMEはまた、SGSNからMMEで終端するS3インターフェースを用いて、LTEアクセスネットワークと2G/3Gアクセスネットワークとの間の移動のための制御プレーン機能を提供する。MMEはまた、UEをローミングするためにHSSに向かうS6aインターフェースを終端する。
【0153】
SGW(サービングゲートウェイ)SGWは、eNodeB間ハンドオーバ中のユーザプレーンのモビリティアンカーとして、およびLTEと他の3GPP技術との間のモビリティのためのアンカーとしても機能しながら、ユーザデータパケットをルーティングおよび転送する(S4インターフェースを終端し、2G/3GシステムとPGWとの間のトラフィックを中継する)。アイドル状態のUEの場合、SGWは、ダウンリンクデータ経路を終端し、ダウンリンクデータがUEに到着したときにページングをトリガする。それは、UEコンテキスト、例えば、IPベアラサービスのパラメータ、ネットワーク内部ルーティング情報を管理および記憶する。それはまた、合法的傍受の場合には、ユーザトラフィックの複製も実行する。
【0154】
PGW(パケットデータネットワークゲートウェイ):PDNゲートウェイは、UEのためのトラフィックの出口および入口のポイントであることによって、UEから外部パケットデータネットワークへの接続性を提供する。UEは、複数のPDNにアクセスするために、2つ以上のPGWとの同時接続性を有することができる。PGWは、ポリシー実施、各ユーザのパケットフィルタリング、課金サポート、合法的傍受、およびパケットスクリーニングを実行する。PGWの別の重要な役割は、3GPPと、WiMAXおよび3GPP2(CDMA 1XおよびEVDO)などの非3GPP技術との間のモビリティのためのアンカーとして機能することである。
【0155】
HSS(ホーム加入者サーバ):HSSは、ユーザ関連および加入者関連の情報を含む中央データベースである。HSSの機能は、モビリティ管理、呼およびセッション確立サポート、ユーザ認証およびアクセス許可などの機能を含む。HSSは、リリース4以前のホームロケーションレジスタ(HLR)および認証センター(AuC)に基づいている。
【0156】
ANDSF(アクセスネットワーク発見および選択機能):ANDSFは、3GPPアクセスネットワークおよび非3GPPアクセスネットワーク(WiFiなど)への接続性に関する情報をUEに提供する。ANDSFの目的は、UEが近隣のアクセスネットワークを発見し、これらのネットワークへの接続を優先順位付けおよび管理するための規則(ポリシー)を提供するのを支援することである。
【0157】
ePDG(進化型パケットデータゲートウェイ):ePDGの主な機能は、信頼できない非3GPPアクセス、例えばVoWi-FiでEPCに接続されたUEとのデータ伝送を保護することである。この目的のために、ePDGは、UEと確立されたIPsecトンネルの終端ノードとして機能する。
【0158】
構成要素への管理アクセスを可能にする、EPCに接続された管理PDNが提供され、図9の930に示されている。あるいは、EPCへの直接(非PDN)接続を介した管理アクセス940があってもよい。1つのマイクロスライス実装では、EPC内のマイクロスライスを定義およびセットアップし、通信ネットワーク内のマイクロスライスインスタンスを監視および動作させるための管理動作は、管理PDN930または管理アクセス940を介して実行されることができる。
【0159】
ここで、LTE(4G)無線通信システムのネットワーク図である図10を参照する。この5Gアーキテクチャでは、コアネットワークは、5GC(5Gコア)と呼ばれる。図10では、ネットワークブロック内に頭字語が示されている。以下は、ネットワークブロックに示されている頭字語および5Gシステムにおいて使用される他の頭字語のリストである。
【0160】
AF:アプリケーション機能
【0161】
AMF:アクセスおよびモビリティ管理機能
【0162】
AUSF:認証サーバ機能
【0163】
NEF:ネットワーク露出機能
【0164】
NRF:ネットワークリポジトリ機能
【0165】
NSSF:ネットワークスライス選択機能
【0166】
PCF:ポリシー制御機能
【0167】
PCEF:ポリシーおよび課金実施機能
【0168】
SD:スライス差別化器
【0169】
SMF:セッション管理機能
【0170】
SMSF:SMS(ショートメッセージサービス)機能
【0171】
SST:スライス/サービスタイプ
【0172】
UDM:ユーザデータ管理
【0173】
UPF:ユーザプレーン機能
【0174】
管理アクセス1030は、5GCにセキュアに接続されたPDNを介してなど、5GCに提供され、5GC内のUDMなどの構成要素への管理アクセスを可能にする。1つのマイクロスライス実装では、マイクロスライスを定義およびセットアップし、通信ネットワーク全体でマイクロスライスインスタンスを監視および動作させるためのEPCにおける管理動作は、この管理アクセスを介して実行されることができる。一例では、ユーザデータ管理(UDM)機能1050が利用されて、マイクロスライス、サービスタイプ、デバイスグループ、アプリケーション、および他の有用な情報に関連するデータフィールドをセットアップおよび記憶することができる。
(9)マイクロスライスのセットアップ:ベアラを割り当てる
【0175】
LTEおよび5G通信システムでは、ベアラは、定義された容量、遅延およびビット誤り率、ならびに場合によっては他の特性を有する情報伝送経路である。実装される通信システムの構成に応じて、いくつかのベアラがシステムの異なるブロックにわたって定義される。図9に示す4Gアーキテクチャを簡単に参照すると、ベアラは、構成要素を接続する線によって表されている。4G LTEネットワークアーキテクチャにおけるベアラは、後のセクションにおいて詳細に説明され、例えば、ベアラは、図17および図18に示され、それらを参照して説明されている。当業者にとって明らかなように、任意の特定のネットワークアーキテクチャにおいて利用可能なベアラは、実施形態間で異なることができる。特定のネットワークアーキテクチャが規格によって定義されている場合、ベアラは、それらの規格にしたがって実装される。
【0176】
ここで、マイクロスライスをセットアップするための動作のフローチャートである図11を参照する。動作が開始した後(ステップ1100)、QoSパラメータおよびSLOを含むマイクロスライスデータが提供される(ステップ1102)。次いで、利用可能なベアラは、例えばコアネットワークとの通信によって識別される(ステップ1104)。QoSパラメータおよび/またはSLOに応答して、ベアラがマイクロスライスに割り当てられる。特に、マイクロスライスは、通信システムの構成内で利用可能なベアラのうちの1つ以上によってセットアップされる。要約すると、マイクロスライスのSLOおよびQoS要件を満たすために、専用ベアラまたはデフォルトベアラにかかわらず、少なくとも1つのベアラがマイクロスライスに割り当てられる。
【0177】
マイクロスライスデータフィールドによって定義される以下の情報は、ベアラを選択するために一例において使用されることができる:
1.許容されるアドレスおよびポート番号、
2.最小スループット要件(IP層)、
3.最大スループット要件(IP層)、
4.最大パケット遅延バジェット(IP層-P-GWとUEとの間)、
5.最大パケット損失率(IP層-P-GWとUEとの間)、
6.優先度(1~15)、および
7.標準化された特性(マッピングは内部で行われる):
・QCI(QoSクラス識別子)(1~9)、
・GBR(保証ビットレート)(0~10Gbps)、
・MBR(最大ビットレート)(0~10Gbps)、および
・ARP(割り当ておよび保持優先度)プリエンプション能力/脆弱性、優先度(1~15)
【0178】
上記項目1~6は、各マイクロスライスに関連付けられたサービスレベル目標(SLO)に基づいて、エンドユーザ(例えば、ネットワーク管理者)によって定義される。項目7(標準化された特性)は、マイクロスライスに関連する標準化された特性(この例ではQCI特性)を定義するためにシステムによって行われるマッピングである。これらの特性を定義するためのマッピングは、実施される特定の規格に応じて、実施形態間で異なることができる。LTE 4G、リリース10の例では、標準化されたQCI特性が図1Dに示され、それを参照して説明されるように定義される。LTE/5G実装において定義された「M」個のマイクロスライス(MS1、MS2、...、MSN)があり得ることに留意されたい。各マイクロスライス「k」(MSk)には、QCI特性、すなわち、1つのQCI値、GBR値、MBR値、およびARP値が割り当てられる。
【0179】
システム内の異なるUEに対して異なるEPSベアラ(例えば、無線ベアラ、S1ベアラ、S5/S8ベアラ)がセットアップされるため、各ベアラは、特定のマイクロスライスに割り当てられる。RANおよびEPCの双方は、そのマイクロスライスの要件にしたがってベアラを処理する。
【0180】
また、ベアラが選択されるとき、それらは、RANおよびEPCのいずれかもしくは双方において、またはマイクロスライスが定義される他のネットワーク(例えば、LAN)において、所定量(例えば、パーセンテージ)のリソースが各マイクロスライスに割り当てられるように選択されてもよい。例えば、RANは、バッファに十分な量のデータがある限り、物理リソースブロック(PRB)に関して特定の量のエアリンクリソースを最小保証リソースセットとして予約することができる。同様に、マイクロスライスごとに、一定量のCPUおよびメモリリソースがEPCに割り当てられることができる。また、複数のCPUが存在する場合、CPUのうちの1つが特定のマイクロスライスに割り当てられてもよい。
(10)マイクロスライスインスタンスの作成
【0181】
再び図11を参照すると、ベアラが割り当てられた後(ステップ1106)、マイクロスライスは、通信目的で利用される準備ができている。UE(または他の何らかのエンティティ)は、通信のためのデータ経路を要求する(ステップ1108)。要求に応答して、割り当てられたベアラ上で、2つのエンティティ間にマイクロスライスインスタンスがセットアップされる(ステップ1110)。通信が開始された後、マイクロスライスインスタンス内のベアラは、それらの性能要件を満たすように試みるために、マイクロスライスのQoSパラメータおよびSLOに応答して制御される(ステップ1112)。ベアラを制御するための情報を提供するために、マイクロスライスデータフローが監視される(ステップ1114)。
(11)主要業績評価指標(KPI)
【0182】
前述したように、サービスレベル目標(SLO)は、各マイクロスライスに対して定義される。各マイクロスライスのSLOは、それぞれのマイクロスライス上で実行されるサービスの性能を測定する手段を提供する。ネットワークの性能を測定し、各マイクロスライスのSLOが満たされているかどうかを評価するのを助けるために、各マイクロスライス内の各ベアラまたはベアラの組み合わせについて主要性能指標(KPI)が測定および報告されることができる(ステップ1116)。次いで、測定されたKPIが所望のSLOと比較されて、性能目標が満たされている程度を判定することができる。KPIは、一例では以下を含むことができる:
・パケットスループット(IP層)、
・パケット待ち時間(IP層-EPCとUEとの間)、
・パケット損失率(IP層-EPCとUEとの間)、および
・パケットジッタレート(IP層-EPCとUEとの間)。
【0183】
KPIは、RAN、コアネットワークおよび/またはデバイスによって、組み合わせてまたは個別に監視されることができる。一実装では、好ましい方法は、コアネットワークのみを利用して、図10の1040に示す性能監視エンジン(PME)を使用してこれらのKPIを直接測定することである。
【0184】
4Gの実施形態では、各ベアラについて、EPCは、ダウンリンク方向およびアップリンク方向の双方で毎秒ビットにおいて実際に達成されたスループットを監視および報告することができるコアネットワークである。
【0185】
いくつかの実施形態では、EPCは、EPCとデバイスとの間のパケット遅延、損失率、およびジッタを測定するために診断トラフィックを生成する。このトラフィックは、必要に応じて特定のEPSベアラに対して生成されることができる。一実施形態では、測定は、ICMPプロトコルを使用し、ICMPアプリケーションによって生成されたIPパケットのラウンドトリップ特性を監視することによって達成されることができる。インターネット制御メッセージプロトコル(ICMP)は、定義されたインターネットプロトコルスイートにおけるサポートプロトコルである。ICMPは、別のIPアドレスと通信するときに成功または失敗を示すエラーメッセージおよび動作情報を送信するために、ルータを含むネットワークデバイスによって使用される。例えば、要求されたサービスが利用できない場合、またはホストもしくはルータに到達できなかった場合、エラーが示される。ICMPは、システム間でデータを交換するために通常使用されず、エンドユーザネットワークアプリケーションによって通常使用されないという点で、TCPおよびUDPなどのトランスポートプロトコルとは異なる。
【0186】
いくつかの実施形態では、以下の方法がKPIを監視するのに有用であり得る:
・EPCは、ベアラ(デフォルトベアラおよび専用ベアラ)ごとに異なるIPアドレスを割り当て、各アドレスを別々に監視する;
・パケットは、特定の周波数で、EPC、例えば、パケットゲートウェイ(P-GW)によって周期的に生成されるべきである;
・パケット生成に使用される特定の周波数は、測定値のより高い精度とネットワークで生成される追加の負荷との間の妥協点である。例えば、典型的には小さいパケットサイズおよび20msのパケット到着時間を有するボイスオーバーIP(VoIP)トラフィックフローの場合、100msの期間が使用されて、ベアラを監視するためのICMPパケットを作成することができる。
・パケットサイズは、性能が監視されている特定のベアラにおいて観察されるIPパケットサイズに合理的に近くなければならない;および
・進行中のデータトラフィックに対するROHCなどのデータ圧縮アルゴリズムの性能に対する診断トラフィックの影響に特に注意する必要がある。
【0187】
これらの測定は、通常、ラウンドトリップパケット測定であり、その場合、測定は、ダウンリンク対アップリンク性能の特定の指示を与えない。したがって、測定値がラウンドトリップである場合、簡単にするために、KPIは、ダウンリンクトラフィックおよびアップリンクトラフィックによって等しく寄与されると仮定されることができる。同じ方法が使用されて他のKPIを測定することもできる。
【0188】
TCP/IPプロトコル上で動作する特定のアプリケーションの場合、進行中のデータトラフィックのTCP/IPパケットヘッダの検査が使用されて、KPIを測定することができる。
【0189】
ラウンドトリップ遅延測定:TCP ACKパケットヘッダ(確認応答番号フィールド)は、どの特定のTCPパケット(シーケンス番号フィールド)が確認応答されているかを示す。または、(「TSval」ad TSecor」)などのTCP/IPヘッダファイルが使用されて、どの特定のTCPパケットが確認応答されるかを識別することができる。したがって、(元のTCPパケットから記録されたタイムスタンプを対応するACKパケット受信時間と比較することによって)EPCにおいて対応するTCPパケットとTCP ACKパケットとの間のラウンドトリップ遅延が測定されることができる。この動作は、ダウンリンク方向およびアップリンク方向の双方に対して実行されることができ、EPCとUEとの間、およびEPCとアプリケーションサーバとの間のRTTの測定値を与える。
【0190】
パケット再送信速度:TCPヘッダ(シーケンス番号フィールド)が使用されて、反復シーケンス番号の検出を介してパケット再送信速度の尺度を取得することができる。また、TCP ACKパケットヘッダ(確認応答番号フィールド)もまた、同じ目的のために利用されることができる。この動作は、ダウンリンク方向およびアップリンク方向の双方に対して実行されることができ、EPCとUEとの間、およびEPCとアプリケーションサーバとの間のパケット再送率の測定値を与える。
【0191】
非TCP/IPトラフィックの場合:人工知能(AI)技術が使用されて、トラフィックパターンと、パケット遅延、損失率、およびジッタなどの関連するKPIとを学習することができる。例えば、異なるマルチメディアアプリケーションは、利用可能なスループットおよびパケット誤り率に基づいてトラフィックレートおよびパケットサイズを調整することができ、またはネットワークKPIのいくつかと相関する特定の挙動を有するようにアプリケーションに関連付けられたトラフィックを制御することができる。
【0192】
また、PME1040(図10)が実施される場合、RANおよびUEによって提供されることができる任意の追加情報を利用することができる。例えば、eNB(RAN)が提供する性能メトリックは、以下を含むことができる:1)各ベアラについて達成されたパケット誤り率(PER)(MACおよびRLC層);および2)各ベアラのPRBリソース利用率。UEが提供する性能メトリックは、各ベアラについて達成されたPER(MAC、RLCおよびIP層)、およびチャネル品質(SNR)を含むことができる。この情報のいずれも、SLOが満たされているかどうかを判定するのに役立つことができる。
(12)負荷制御、許容制御、および警報
【0193】
データフローの数および量が増加し、LTE/5Gシステムがますます負荷されるにつれて、KPIは、最終的に性能が低下していることを示す。性能の劣化は、eNBにおいて到達した負荷、またはEPCもしくはシステムの他の部分における制限など、いくつかの要因のいずれかから生じることがある。KPIによって観察されるように、性能が特定のレベルまで低下した場合、個別にまたは組み合わせて、負荷制御、許容制御、および警報を含む、システム性能を改善するためのオプションが利用可能である。
【0194】
性能監視エンジン(PME)1040は、好ましくは、リアルタイムで現在のKPIを更新し、更新されたKPI値をRANおよびEPCネットワークの許容制御機能および負荷制御機能に提供することができ、その結果、現在のKPIは、必要な場合に利用可能である。現在のKPIは、KPIに関連する特定のベアラ、マイクロスライス、eNBおよび/またはPSEの指示を含むか、またはそれとともに送信されてもよい。
(13)負荷制御
【0195】
KPIによって測定されるように性能が特定のレベルまで低下した場合、1つのオプションは、負荷制御動作を実行することであり、優先度の高いトラフィックに対応するために、(例えば、EPCによって)優先度の低いトラフィックが削除される。ここで、図12を参照して、負荷制御動作(ステップ1200)を説明する。KPIは、好ましくは連続的に測定され(ステップ1202)、KPIのいずれかが閾値を超えると(ステップ1204)、測定される。例えば、インデックスj(KPIj)を有する任意の特定のKPIが(それぞれのSLOに応答して予め決定されることができる)KPIj_load_control閾値を規定された期間にわたって通過する場合、負荷がかかっているサービス(例えば、eNB、PSE)の特定の構成要素が識別されるべきである(ステップ1206)。この情報を使用して、特定のeNBおよびPSE内の全てのベアラは、それらのQCIによって定義されるようなそれらの優先度にしたがってソートされることができる(ステップ1208)。例えば、それらの割り当ておよび保持優先度特性にしたがって、KPI、特に評価中の特定のKPIjがKPIj_load_control値を満たすと決定される(ステップ1212)まで、最も低い優先度のベアラが削除されるべきである(ステップ1210)。マイクロスライスインスタンス内のベアラが削除される場合、マイクロスライスインスタンスは削除される。しかしながら、削除されたベアラを利用するマイクロスライスは再構成されることができ、それらのマイクロスライスインスタンスを作成するためにベアラの別のセットを利用することができる。
(14)許容制御
【0196】
特定の負荷では、KPIによって測定されるように性能が特定のレベルまで低下した場合、システム内の全ての他のUEおよび他のデバイスのためにKPIを所望のレベルに保つために、システムに新たな呼および/またはサービスが許容されない許容制御動作が実行されることができる。ここで、許容動作(ステップ1300)を示すフローチャートである図13を参照する。動作は、新たなサービスの要求(例えば、新たな呼または新たなベアラセットアップ要求)が受信されるまで待機状態のままである(ステップ1302)。新たなサービス要求が受信された後、システムは、新たなサービスに必要なリソースを推定し、次いで、KPI許容制御値を決定する(ステップ1308)。着信呼に必要なリソースの量は、AI/ML(人工知能/機械学習)技術を利用する進行中のフローの分析など、マイクロスライス要件および他のソースに基づいて推定される。この推定値および任意の他の有用な情報が使用されて、KPI許容制御値を決定することができる。
【0197】
全てのKPIがKPI許容制御値を下回っているかどうか、すなわち、インデックスjについて、全てのKPIjがKPIj_admission_control値を下回る場合かどうかを判定するための判定が行われる(ステップ1308)。そうである場合、新たな呼またはベアラは、システムに許容されることができ(ステップ1310)、許容制御動作が終了する。(ステップ1312)そうでなければ、システムは、新たなサービス要求の優先度を識別し(ステップ1314)、着信要求がより高い優先度を有し、新たなサービスに望まれるeNBおよびPSEの既存のフローの一部を上回るARP(割り当ておよび保持優先度)を有するかどうかを判定する(ステップ1316)。着信要求の優先度が低い場合、新たなサービスの要求は拒否され(ステップ1318)、動作は終了する(ステップ1312)。しかしながら、着信要求がより高い優先度を有する場合、フローは、優先度にしたがってソートされ(ステップ1320)、着信サービス要求のための十分なリソースを作成するために、より低い優先度のフローが終了される(上記の負荷制御セクションと同様に削除される)(ステップ1322)。次いで、新たなサービス要求が許容され(ステップ1324)、許容制御動作が完了する(ステップ1324)。
【0198】
KPIメトリックに加えて、eNBは、許容されるRRC-接続ユーザの最大数など、負荷を監視および制御するために利用可能な他のメトリックを有することができることに留意されたい。これらの他のメトリックは、eNBレベルで許容制御を実行するためにも使用されることができる。
【0199】
負荷制御と同様に、マイクロスライスインスタンス内のベアラが許容を拒否されるかまたは削除される場合、マイクロスライスインスタンスは削除される。しかしながら、削除されたベアラを利用するマイクロスライスは再構成されることができ、それらのマイクロスライスインスタンスを作成するためにベアラの別のセットを利用することができる。
(15)警報および制御手順
【0200】
好ましい実施形態では、SLOを超過する可能性があると思われる場合、警報がトリガされてもよく、および/または制御手順が利用されてもよい。警報手順は、任意の目的のために使用されてもよく、例えば、現在のまたは差し迫った問題をユーザまたはシステム構成要素に警告するために使用されてもよく、または上述したように負荷制御および/または許容制御を通知およびトリガするために使用されてもよい。ここで、警報および制御動作(ステップ1400)を説明する図14を参照する。特定の警報の特定の閾値が所望のレベルに設定される(ステップ1402)。一実施形態では、これらの閾値は、SLOによって許容される最大限界に対して特定の値に設定されることができる。例えば、KPIj_admission_controlは、SLOと一致して、最大許容値の80%において警報をトリガすることができ、KPIj_load_controlは、KPIjの最大許容値の90%において警報をトリガすることができる。
【0201】
その警報に関連するKPIが監視される(ステップ1404)。KPIが閾値を下回ったままである間、監視は継続する。(ステップ1406)。しかしながら、KPIのいずれかが超過した場合、警報がトリガされる(ステップ1408)(KPIj_alarm)。警報は、ネットワーク管理者、システム構成要素、ベアラ、UE、RAN、EPC、または例えば特定のベアラまたはシステム構成要素またはマイクロスライスインスタンスがその最大許容値に近付いていることを知ることに関心がある任意の他のエンティティなどの任意の関心エンティティに提供されてもよい。
【0202】
警報が制御手順をトリガするように設計されている場合には、制御手順がトリガされる(ステップ1410)。例えば、負荷制御(KPIj_load_control)手順をトリガするために特定の閾値が設定されることができ、許容制御(KPIj_admission_control)手順をトリガするために特定の閾値が設定されることができる。
(16)LTEベアラ:LTE(4G)アーキテクチャ
【0203】
マイクロスライスのセットアップに関するこの文書で説明されるように、マイクロスライスのデータ経路を提供するために、1つ以上のベアラが各マイクロスライスに割り当てられる。割り当てられたベアラは、その後、マイクロスライスインスタンスをインスタンス化するために使用される。当業者にとって明らかなように、任意の特定のネットワークアーキテクチャにおいて利用可能なベアラは、実施形態間で異なることができる。特定のネットワークアーキテクチャが規格によって定義されている場合、ベアラは、それらの規格にしたがって実装され、それらのベアラは、マイクロスライスに割り当てられることができる。
【0204】
開示された方法および装置は、実施形態および実装の様々な例に関して上述されているが、個々の実施形態のうちの1つ以上に記載されている特定の特徴、態様および機能は、それらが記載されている特定の実施形態への適用性において限定されないことを理解されたい。したがって、特許請求される発明の広がりおよび範囲は、上記で開示された実施形態を説明する際に提供される例のいずれによっても限定されるべきではない。
【0205】
本明細書で使用される用語および語句、ならびにそれらの変形は、特に明示的に述べられていない限り、限定ではなくオープンエンドとして解釈されるべきである。前述の例として、用語「含む」は、「限定されないが、含む」などの意味として読まれるべきである。「例」という用語は、その網羅的または限定的なリストではなく、議論中の項目の例を提供するために使用される。「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、「少なくとも1つの」、「1つ以上の」などを意味すると読まれるべきである。「従来の(conventional)」、「従来の(traditional)」、「通常の(normal)」、「標準的な(standard)」、「既知の(known)」などの形容詞および同様の意味の用語は、記載された項目を所与の期間または所与の時点で利用可能な項目に限定するものとして解釈されるべきではなく、代わりに、現在または将来のいつでも利用可能または既知であり得る従来の、従来の、通常の、または標準的な技術を包含するように読まれるべきである。同様に、本明細書が当業者に明らかであるかまたは知られている技術を指す場合、そのような技術は、現在または将来の任意の時点で当業者に明らかであるかまたは知られている技術を包含する。
【0206】
接続詞「および」と連結された項目のグループは、それらの項目のそれぞれおよび全てがグループ内に存在することを必要とすると解釈されるべきではなく、特に明記されない限り、「および/または」として解釈されるべきである。同様に、接続詞「または」と連結された項目のグループは、そのグループ間の相互排他性を必要とすると解釈されるべきではなく、特に明記されない限り、「および/または」としても解釈されるべきである。さらにまた、開示された方法および装置の項目、要素または構成要素は、単数形で記載または特許請求されることができるが、単数形に対する限定が明示的に述べられていない限り、複数形はその範囲内にあると考えられる。
【0207】
場合によっては、「1つ以上」、「少なくとも」、「しかしこれに限定されない」、または他の同様の語句などの拡大する単語および語句の存在は、そのような拡大する語句が存在しない場合がある場合に、より狭い場合が意図されるかまたは必要とされることを意味すると解釈されるべきではない。「モジュール」という用語の使用は、モジュールの一部として記載または特許請求される構成要素または機能が全て共通のパッケージ内に構成されることを意味しない。実際に、モジュールの様々な構成要素のいずれかまたは全ては、制御論理または他の構成要素にかかわらず、単一のパッケージに組み合わせられることができ、または別々に維持されることができ、さらに複数のグループまたはパッケージに、または複数の場所に分散されることができる。
【0208】
さらに、本明細書に記載の様々な実施形態は、ブロック図、フローチャートおよび他の図を用いて説明される。本明細書を読んだ後に当業者に明らかになるように、図示された実施形態およびそれらの様々な代替形態は、図示された例に限定されることなく実施されることができる。例えば、ブロック図およびそれらに付随する説明は、特定のアーキテクチャまたは構成を要求するものとして解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】