(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】酸化防止剤の腸への直接的送達
(51)【国際特許分類】
A61K 31/355 20060101AFI20230323BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230323BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20230323BHJP
A61K 31/375 20060101ALI20230323BHJP
A61K 31/525 20060101ALI20230323BHJP
A61K 31/015 20060101ALI20230323BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20230323BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20230323BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20230323BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230323BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20230323BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230323BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230323BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230323BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20230323BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20230323BHJP
【FI】
A61K31/355
A61P1/00
A61P39/06
A61K31/375
A61K31/525
A61K31/015
A61P3/00
A61P3/10
A61P3/04
A61P1/04
A61P3/02
A61P29/00
A61P9/00
A61P43/00 121
A23L33/15
A23L33/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543083
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(85)【翻訳文提出日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 EP2021051685
(87)【国際公開番号】W WO2021160417
(87)【国際公開日】2021-08-19
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ファム, タン‐ヴァン
(72)【発明者】
【氏名】レーマン, アティークル
(72)【発明者】
【氏名】シュタイネール, ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】シベスマ, ウィルバート
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B018MD07
4B018MD23
4B018MD25
4B018MD26
4B018ME11
4B018ME14
4B018MF02
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA09
4C086BA18
4C086CB09
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
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4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA66
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
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4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA66
4C206ZC75
(57)【要約】
本発明は、腸内微生物叢に送達される酸化防止剤の組合せの使用に関する。酸化防止剤は、リボフラビン、ベータカロチン、ビタミンC及びビタミンEである。それらは、可溶性繊維などの既知のプレバイオティクスに匹敵する、腸内健康に対する改善をもたらすことが見出された。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトを含む動物の腸内健康を改善する際に使用するための、
ビタミンC、ビタミンB2、ベータカロチン及びビタミンEからなる群から選択される少なくとも2種の酸化防止剤の有効量から本質的になる組成物であって、
前記改善が、
i.微生物叢の活性の増加、
ii.腸内での少なくとも1種の短鎖脂肪酸又はその塩の濃度の増加、
iii.腸内で形成されるアンモニア量の減少、
iv.腸内での微生物叢多様性の増加、
v.腸内での有益細菌の存在量の増加、
vi.腸のバリア機能の改善、及び/又は
vii.腸内での病原体の存在量の減少
を含むか又はそれからなり、前記酸化防止剤を大腸に送達する組成物。
【請求項2】
前記動物がヒトであり、且つ前記酸化防止剤の前記有効量が遅延放出製剤によって送達される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記酸化防止剤が、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB2及びベータカロチンである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記改善が、腸内での少なくとも1種の短鎖脂肪酸又はその塩の濃度の増加を含み、前記短鎖脂肪酸が、酢酸、プロピオン酸及び酪酸又はその塩からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ヒトを含む前記動物が、代謝障害、2型糖尿病、肥満、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾病、過敏性大腸症候群、リーキーガット、栄養失調、慢性炎症及び心血管疾病からなる群から選択される状態を経験している、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記改善が、腸内での微生物叢多様性の増加を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項7】
前記微生物叢多様性が増加し、及び/又は有益細菌の存在量が結腸内で増加する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
増加する前記細菌が、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、アッカーマンシア(Akkermansia)、フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)及びバクテリオデス(Bacteriodes)からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
ヒトを含む前記動物が、代謝障害、2型糖尿病、肥満、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾病、過敏性大腸症候群、リーキーガット、栄養失調、慢性炎症及び心血管疾病からなる群から選択される状態を経験している、請求項6~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記改善が、腸のバリア機能の改善を含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項11】
ヒトを含む前記動物が、代謝障害、2型糖尿病、肥満、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾病、過敏性大腸症候群、リーキーガット、栄養失調、慢性炎症及び心血管疾病からなる群から選択される状態を経験している、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
ヒトを含む動物の腸内健康を改善するための方法であって、
ビタミンC、ビタミンB2、ベータカロチン及びビタミンEからなる群から選択される少なくとも2種の酸化防止剤の有効量
から本質的になる群から選択される組成物を前記動物に投与することを含み、
前記腸内健康の改善が、
i.微生物叢の活性の増加、
ii.腸内での少なくとも1種の短鎖脂肪酸又はその塩の濃度の増加、
iii.腸内で形成されるアンモニア量の減少、
iv.腸内での微生物叢多様性の増加、
v.腸内での有益細菌の存在量の増加、
vi.腸のバリア機能の改善、及び/又は
vii.腸内での病原体の存在量の減少
を含むか又はそれからなり、前記組成物が前記酸化防止剤を大腸に送達する、方法。
【請求項13】
前記酸化防止剤が、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB2及びベータカロチンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記改善が、少なくとも1種の短鎖脂肪酸の増加、及び/又は動物内でのブチレート合成経路活性の増加である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記動物が、代謝障害、2型糖尿病、肥満、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾病、過敏性大腸症候群、リーキーガット、栄養失調、慢性炎症及び心血管疾病からなる群から選択される状態を経験している、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記改善が、腸内での微生物叢多様性の増加、及び/又は腸内での有益細菌の存在量の増加である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記動物において、微生物叢多様性の改善が、代謝障害、2型糖尿病、肥満、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾病、過敏性大腸症候群、リーキーガット、栄養失調、慢性炎症及び心血管疾病からなる群から選択される症状の治療、予防又は緩和方法である、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記改善が、腸バリア機能の改善である、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記腸バリア機能の改善が、代謝障害、2型糖尿病、肥満、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾病、過敏性大腸症候群、リーキーガット、栄養失調、慢性炎症及び心血管疾病からなる群から選択される症状の治療、予防又は緩和方法である、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ビタミンC、ビタミンB2、ベータカロチン及びビタミンEなどの少なくとも2種の酸化防止剤を含む組成物の腸内微生物叢への直接的送達に関する。本組成物は、微生物叢調節/プレバイオティクス活性を有することが見出され、短鎖脂肪酸生成の増加、有益細菌の存在量の増加、及び腸内微生物叢の活性の増加をもたらす。
【0002】
[発明の背景]
種々のビタミン及び他の活性成分の腸への直接的送達は説明されている。例えば、結腸直腸腺腫ポリープ及び結腸直腸がんを予防するためのビタミンD及び任意選択的にさらなるビタミンを含む、結腸ターゲット単回投薬形態に関する米国特許第9,433,583B2号明細書、及びフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)の集団を刺激するためのリボフラビン(ビタミンB2)の使用に関する国際公開第2014/070014号パンフレットを参照されたい。
【0003】
腸内微生物活性を改善するために相乗効果的な様式で作用する活性成分の組合せを有することが望ましい。
【0004】
[発明の詳細な説明]
本発明によると、酸化防止剤の組合せ、特にビタミンC、ビタミンB2、ビタミンE及びベータカロチンの組合せは、腸に直接的に送達される場合、腸内微生物叢に対して相乗効果的な微生物叢調節効果を有する可能性があることが見出された。したがって、本発明の一態様は、腸に直接的に酸化防止剤の組合せを投与することを含む腸内健康を増強する方法である。
【0005】
好ましくは、酸化防止剤は、ビタミンC、ビタミンE、リボフラビン及びベータカロチンの少なくとも2種、より好ましくはそれらの全てである。
【0006】
したがって、本発明の一実施形態は、ヒトを含む動物の腸内健康を改善する際に使用するための、
ビタミンC、ビタミンB2、ベータカロチン及びビタミンEからなる群から選択される少なくとも2種の酸化防止剤の有効量から本質的になる組成物であって、
前記改善が、
i.微生物叢の活性の増加、
ii.腸内での少なくとも1種の短鎖脂肪酸又はその塩の濃度の増加、
iii.腸内で形成されるアンモニア量の減少、
iv.腸内での微生物叢多様性の増加、
v.腸内での有益細菌の存在量の増加、
vi.腸のバリア機能の改善、及び/又は
vii.腸内での病原体の存在量の減少
を含むか又はそれからなり、酸化防止剤を大腸に送達する組成物である。
【0007】
本発明の別の実施形態は、ヒトを含む動物の腸内健康を改善する際に使用するための、
ビタミンC、ビタミンB2、ベータカロチン及びビタミンEからなる群から選択される少なくとも2種の酸化防止剤から本質的になる有効量の使用であって、前記改善が、
i.微生物叢の活性の増加、
ii.腸内での少なくとも1種の短鎖脂肪酸又はその塩の濃度の増加、
iii.腸内で形成されるアンモニア量の減少、
iv.腸内での微生物叢多様性の増加、
v.腸内での有益細菌の存在量の増加、
vi.腸のバリア機能の改善、及び/又は
vii.腸内での病原体の存在量の減少
を含むか又はそれからなる、酸化防止剤を大腸に送達する薬剤又は機能性食品の製造における使用である。
【0008】
本発明の別の実施形態は、ヒトを含む動物の腸内健康を改善するための方法であって、
ビタミンC、ビタミンB2、ベータカロチン及びビタミンEからなる群から選択される少なくとも2種の酸化防止剤の有効量
から本質的になる群から選択される組成物を動物に投与することを含み、
前記改善が、
i.微生物叢の活性の増加、
ii.腸内での少なくとも1種の短鎖脂肪酸又はその塩の濃度の増加、
iii.腸内で形成されるアンモニア量の減少、
iv.腸内での微生物叢多様性の増加、
v.腸内での有益細菌の存在量の増加、
vi.腸のバリア機能の改善、及び/又は
vii.腸内での病原体の存在量の減少
を含むか又はそれからなり、前記組成物が酸化防止剤を大腸に送達する方法である。いくつかの実施形態において、動物はそのような酸化防止剤を必要とする。
【0009】
好ましい実施形態において、酸化防止剤は全4種の酸化防止剤を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本研究に使用された(Prodigest,Technologiepark-Zwijnaarde 94,9052 Gent,Belgiumによって提供されるSHIME又はTWINSHIME又はQuadSHIMEなどの)連続バッチ発酵モデルの改訂版を示す。St:胃腸管、SI:小腸管、St/SI:胃及び小腸として機能する管、PC:近位結腸及びDC:遠位結腸。
【
図2A】ブランク対照(CTRL)と比較された、DSM非プレバイオティクスブレンド(ANTIOX)、並びに商業的なプレバイオティクス(FOS)及び(XOS)処理の効果。
図2Aは、ドナーBに関する近位(PC)でのアセテート生成(mM)を示し、
図2Bは、ドナーAに関する近位(B)及び遠位結腸(C)でのブチレート生成(mM)を示す。
【
図2B】ブランク対照(CTRL)と比較された、DSM非プレバイオティクスブレンド(ANTIOX)、並びに商業的なプレバイオティクス(FOS)及び(XOS)処理の効果。
図2Aは、ドナーBに関する近位(PC)でのアセテート生成(mM)を示し、
図2Bは、ドナーAに関する近位(B)及び遠位結腸(C)でのブチレート生成(mM)を示す。
【
図2C】ブランク対照(CTRL)と比較された、DSM非プレバイオティクスブレンド(ANTIOX)、並びに商業的なプレバイオティクス(FOS)及び(XOS)処理の効果。
図2Aは、ドナーBに関する近位(PC)でのアセテート生成(mM)を示し、
図2Bは、ドナーAに関する近位(B)及び遠位結腸(C)でのブチレート生成(mM)を示す。
【
図3】ドナーA(上部パネル)及びドナーB(下部パネル)に関する近位(A及びC)並びに遠位結腸(B及びD)でのビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)の存在量におけるブランク対照(CTRL)と比較された、DSM非プレバイオティクスブレンド(ANTIOX)並びに商業的なプレバイオティクス(FOS)及び(XOS)処理の効果。
【
図4A】ドナーAに関する近位(A)及び遠位結腸(B)でのバクテリデス・フラジリス(Bacterides fragilis)の存在量におけるブランク対照(CTRL)と比較された、DSM非プレバイオティクスブレンド(ANTIOX)並びに商業的なプレバイオティクス(FOS)及び(XOS)処理の効果。
【
図4B】ドナーAに関する近位(A)及び遠位結腸(B)でのバクテリデス・フラジリス(Bacterides fragilis)の存在量におけるブランク対照(CTRL)と比較された、DSM非プレバイオティクスブレンド(ANTIOX)並びに商業的なプレバイオティクス(FOS)及び(XOS)処理の効果。
【0011】
[定義]
全体を通して使用される場合、以下の定義が適用される。
【0012】
「リボフラビン」という用語は、「ビタミンB2」と交換可能に使用可能であり、リボフラビン及びそのエステル、特にリボフラビン-5’-ホスフェートが含まれる。
【0013】
「ビタミンC」という用語は、「アスコルビン酸」と交換可能に使用可能であり、その薬理学的に許容される塩(例えば、アスコルビン酸ナトリウム及びアスコルビン酸カルシウム)、並びにその薬理学的に許容されるエステル(特にパルミチン酸アスコルビル)も含まれる。
【0014】
「β-カロチン」という用語は、β-カロチン又はプロピタミンAを指す。
【0015】
「ビタミンE」という用語には、トコフェロールの4つの形態(アルファ-トコフェロール、ベータ-トコフェロール、ガンマ-トコフェロール及びデルタ-トコフェロール)並びにトコトリエノールの4つの形態(アルファ-トコトリエノール、ベータ-トコトリエノール、ガンマ-トコトリエノール及びデルタ-トコトリエノール)が含まれる。
【0016】
「短鎖脂肪酸」(SCFA)という用語は、本明細書で使用される場合、2~6個の炭素原子を有する脂肪酸を指す。SCFAには、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、2-メチルプロパン酸、3-メチルブタン酸及びヘキサン酸が含まれる。最も重要なSCFAは、酢酸、プロピオン酸及び酪酸である。
【0017】
「短鎖脂肪酸(SCFA)生成の増加」には、酢酸、プロピオン酸及び酪酸の一部又は全部の生成の増加、並びにラクテートはSCFA前駆体であるため、ラクテート生成の増加が含まれる。「SCFAの増加」には、アンモニウム及び分枝状SCFA(一般に、宿主健康に対して悪影響を有するタンパク質分解発酵のマーカーであるイソ酪酸、イソ吉草酸及びイソカプト酸(isocaptoic acid))の減少も含まれることが可能である。
【0018】
「微生物叢活性の増加」には、基礎消費の増加が含まれ、全SCFA生成の増加、酢酸、プロピオン酸及び酪酸一部又は全部の生成増加、並びにラクテート生成の増加も含まれる。腸内SCFA生成の減少などの微生物叢活性の減少は、肥満及び炎症性腸疾病を含む疾病と相関する。
【0019】
[短鎖脂肪酸の増加]
動物の結腸での1つ又はそれ以上のSCFAの濃度の「増加」は、活性酸化防止剤が投与されていない動物のSCFA濃度との比較である。活性酸化防止剤が投与されていない動物は、本明細書中、「対照動物」と記載される。好ましくは、動物の結腸での1つ又はそれ以上のSCFAの濃度の増加は、活性酸化防止剤が投与されていない同一動物のSCFA濃度との比較である。すなわち、この状況での対照動物は、典型的に、活性酸化防止剤の投与開始より前の同一動物である。好ましくは、対照動物は、少なくとも28日間、栄養サプリメントの形態で本明細書に記載される活性酸化防止剤を受け取っていないものであった。
【0020】
一実施形態において、1つ又はそれ以上のSCFAの濃度は、活性酸化防止剤の単回投与時に増加する。別の実施形態において、1つ又はそれ以上のSCFAの濃度は、2日間連続で適用される活性酸化防止剤の2回投与時に増加する。別の実施形態において、1つ又はそれ以上のSCFAの濃度は、7日間連続で適用される活性酸化防止剤の7回投与時に増加する。別の実施形態において、1つ又はそれ以上のSCFAの濃度は、14日間連続で適用される活性酸化防止剤の14回投与時に増加する。好ましくは、1つ又はそれ以上のSCFA(例えば、酢酸、プロピオン酸及び/又は酪酸)の濃度は、21日間連続で適用される活性酸化防止剤の21回投与時に増加する。最も好ましくは、1つ又はそれ以上のSCFA(例えば、酢酸、プロピオン酸及び/又は酪酸)の濃度は、1日1回、28日間連続で適用される活性酸化防止剤の28回投与時に増加する。
【0021】
結腸内のSCFAの濃度は、対照の結腸内のSCFA濃度と比較して、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、又少なくとも15%、又は少なくとも20%増加し得る。対照では、活性酸化防止剤は投与されなかった。
【0022】
結腸内のSCFAの濃度は、活性酸化防止剤が投与された哺乳類からの糞便試料を得、1つ又はそれ以上のSCFAの濃度を測定することによって決定することができる。
【0023】
例えば、ガスクロマトグラフィーによって、一般に既知のSCFAの濃度を測定する方法は、当業者に既知である。例えば、De Weirdtら(2010)(DOI:10.1111/j.1574-6941.2010.00974.x)には、適切な方法が記載される。
【0024】
或いは、活性酸化防止剤の投与時の1つ又はそれ以上のSCFAの増加は、本出願の実施例に記載されるような生体外モデルとして反応器及び糞便懸濁液を使用して決定することができる。
【0025】
SCFAの増加が、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)などの病原性細菌の存在量の減少を伴うことも観察された。
【0026】
本発明の別の実施形態は、ヒトを含む動物の腸内健康の改善における、ビタミンC、ビタミンB2、ビタミンE及びベータカロチンからなる群から選択される少なくとも2種、好ましくは4種の酸化防止剤の使用であって、改善が、腸内での少なくとも1種の短鎖脂肪酸又はその塩の濃度の増加を含み、短鎖脂肪酸が、酢酸、プロピオン酸及び酪酸又はその塩からなる群から選択される、使用である。
【0027】
本発明の別の実施形態は、腸内の少なくとも1種の短鎖脂肪酸又はその塩の濃度の増加に使用するための、活性酸化防止剤がベータカロチン、ビタミンC、ビタミンE及びリボフラビンからなる群から選択される少なくとも2種である、活性酸化防止剤組成物である。
【0028】
本発明の別の実施形態は、代謝障害、2型糖尿病、肥満、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾病、過敏性大腸症候群、リーキーガット、栄養失調、慢性炎症及び心血管疾病からなる群から選択される状態を経験しているヒトを含む動物の腸内健康の改善に使用するための活性酸化防止剤組成物であって、改善が、腸内での少なくとも1種の短鎖脂肪酸又はその塩の濃度の増加を含む、組成物である。
【0029】
[微生物叢の多様性の改善]
本発明の別の実施形態は、微生物叢の多様性を増加させるため、及び/又は腸、特に結腸内の有益細菌の量を増加させるための酸化防止剤組成物の使用である。結腸にいることが知られている有益細菌としては、アシダミノコッカス(Acidaminococcus)、アッカーマンシア属(Akkermansia sp.)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium spp.)、ブラウティア・プロダクタ(Blautia producta)、クロストリジウム・コクレアツ(Clostridium cocleatum)、コリンゼラ・アエロファシエンス(Collinsella aerofaciens)、ドレア・ロンギカテナ(Dorea longicatena)、大腸菌(Escherichia coli)、ユーバクテリウム属(Eubacterium spp.)、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)、ラクノスピラ・ペクチノシザ(Lachnospira pectinoshiza)、ラクトバシラス属(Lactobacillus spp.)、パラバクテロイデス・ディスタソニス(Parabacteroides distasonis)、ラオウルテラ属(Raoultella spp.)、ロゼブリア属(Roseburia spp.)、ルミノコッカス属(Ruminococcus spp.)及びレンサ球菌属(Streptococcus spp.)が含まれる。
【0030】
好ましくは、増加する細菌は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、アッカーマンシア(Akkermansia)、フィーカリバクテリウム(Faecalibacterium)及びバクテリオデス(Bacteriodes)からなる群から選択される。より好ましくは、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、バクテロイデス・オバツス(Bacteroides ovatus)、バクテロイデス・キシラニソルベンス(Bacteroides xylanisolvens)、ラクノクロストリジウ属(Lachnoclostridium sp.)、アッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)、ブラウティア・ウェクスレラエ(Blautia wexlerae)及び/又はフィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ(Faecalibacterium prausnitzii)は、本発明の酸化防止剤の投与の後、増加する。
【0031】
細菌の多様性を増加させること、及び/又は有益細菌の量を増加させることは、ヒトを含む動物が、代謝障害、2型糖尿病、肥満、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾病、過敏性大腸症候群、リーキーガット、栄養失調、慢性炎症及び心血管疾病からなる群から選択される状態を経験している時に特に有用である。
【0032】
[腸のバリア機能の改善]
本発明の別の実施形態は、腸のバリア機能を増加させるための酸化防止剤組成物の使用である。バリア機能の改善は、ヒトを含む動物が、代謝障害、2型糖尿病、肥満、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾病、過敏性大腸症候群、リーキーガット、栄養失調、慢性炎症及び心血管疾病からなる群から選択される状態などのバリア機能が損傷を受ける状態を経験している時に特に重要である。SCFAは、腸内上皮細胞の燃料として作用し、腸バリア機能を補助することが知られており、特にブチレートは免疫調節性効果がある。
【0033】
[投与]
好ましくは、リボフラビンは、結腸内でのその局所的濃度が少なくとも0.05g/L、好ましくは少なくとも0.1g/L、より好ましくは0.125g/Lであるような量で投与される。結腸内での好ましい局所的濃度は、約0.1g/L~約0.5g/L、又は約0.1g/L~約0.2g/Lの範囲、好ましくは約0.125g/Lである。1日あたりの好ましい用量の1つは、最大200mgであることが可能である。
【0034】
好ましくは、β-カロチンは、結腸内でのその局所的濃度が、少なくとも0.1g/L、好ましくは少なくとも0.15g/L、最も好ましくは少なくとも0.2g/Lであるような量で投与される。結腸内での好ましい局所的濃度は、約0.05g/L~約0.4g/L、より好ましくは、約0.15g/L~約0.25g/Lの範囲である。1日あたりの好ましい用量の1つは、最大150mgである。
【0035】
好ましくは、ビタミンE(50%)は、結腸内でのその局所的濃度が、少なくとも0.005g/L、好ましくは少なくとも0.05g/L、最も好ましくは少なくとも0.15g/Lであるような量で投与される。結腸内での好ましい局所的濃度は、約0.005g/L~約2.5g/L、より好ましくは約0.15g/L~約1.75g/Lの範囲である。1日あたりの好ましい用量の1つは、最大1000mgである。
【0036】
好ましくは、アスコルビン酸は、結腸内でのその局所的濃度が、少なくとも0.05g/L、好ましくは少なくとも0.1g/L、最も好ましくは少なくとも0.8g/Lであるような量で投与される。結腸内での好ましい局所的濃度は、約0.05g/L~約1.5g/L、より好ましくは約0.5g/L~約1g/L、最も好ましくは約0.8g/L~約0.9g/Lの範囲である。1日あたりの好ましい用量の1つは、最大2000mgである。
【0037】
好ましくは、酸化防止剤は以下の比率で存在する:
リボフラビン 0.5~2
アコルビン酸(Acorbic Acid) 4~15
ビタミンE 1~5
ベータ-カロチン 0.5~3
【0038】
より好ましくは、リボフラビン/アスコルビン酸/ビタミンE/β-カロチンの比率は、1.0/6.6/1.3/1.6である。
【0039】
好ましい実施形態において、組成物は長期間投与され、例えば、少なくとも3日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間及び少なくとも4週間、1日あたり少なくとも1回投与される。
【0040】
酸化防止剤(anitoxidants)は、好ましくは、酸化防止剤(actioxidant)が腸内で放出される製剤で投与される。そのような形態は当該技術分野において既知である。或いは、おそらく好ましくは、ヒト以外の投与に関して、動物には、酸化防止剤(anioxidant)が腸(instestine)内に存在するように十分高い投与量で投与される。
【0041】
本発明をよりよく説明するために、下記の非限定的な実施例を示す。
【0042】
[実施例]
本研究の目的は、直接供給された酸化防止剤の効果を2つの確立されたプレバイオティクス:キシロオリゴサッカリド(Xylooligosacchrides)(XOS)及びフルクトオリゴサッカリド(Fructooligosaccharides)(FOS)の効果と比較することであった。
【0043】
長期SHIME(登録商標)実験のために2つのドナーを選択し、管腔腸内微生物叢の(SCFA、ラクテート、分枝状SCFA及びアンモニア生成によって評価される)活性及び(16S Illuminaシーケンスによって評価される)構成における試験製品の繰り返し摂取の影響を評価した。
【0044】
[SHIME(登録商標)実験の設計]
SHIME(登録商標)の典型的な反応器機構は、ヒト成人の消化管を表す。それは、ヒト消化管の種々の部分をシミュレートする5つの反応器の連続を有する。最初の2つの反応器は、食品摂取及び消化における種々の工程をシミュレートするためのフィル・アンド・ドロー原理のものであり、蠕動ポンプによって、定義された量のSHIME供給(140mL 3回/日)並びに膵液及び胆汁液(60mL 3回/日)を、それぞれ胃(V1)及び小腸(V2)区画に加え、そして明記された間隔後にそれぞれの反応器を空にする。最後の3つの区画は、大腸をシミュレートする。これらの反応器は連続的に撹拌され、それらは一定体積及びpH制御を有する。種々の管の維持時間及びpHは、結腸の種々の部分における生体内状態に類似するように選択される。糞便微生物叢による接種時に、これらの反応器は、上行結腸(V3)、横行結腸(V4)及び下行結腸(V5)をシミュレートする。接種物調製、維持時間、pH、温度設定及び反応器供給物構成は、他の箇所に記載されている。結腸の種々の領域の微生物群の安定化と同時に、代表的な微生物群は3つの結腸区画に定着する。それは種々の結腸領域において構成及び機能性が異なる。
【0045】
従来のSHIME機構は、TWINSHIME構成からQuadSHIME(登録商標)構成まで応用されて、同時に4つの種々の状態を比較することが可能である(
図1)。この特定のプロジェクトの間、2人の健康成人ヒトドナーの微生物叢を使用し、3つの異なる試験成分及びブランク対照の特性を2つの平行TripleSHIME(登録商標)構成において評価した。これは、各ドナーが別個のQuadSHIME(登録商標)実験で試験されたことを意味する。追加的な試験条件に関する妥協点として、結腸領域は、TWINSHIMEで3つの領域と比較して、2つの領域に限定された。維持時間及びpH範囲は、完全GITシミュレーションを表す結果を得るために最適化された。実際には、QuadSHIME(登録商標)実験において、それぞれがAC-TC-DC構成(上行、横行及び下行結腸)から構成される2ユニットで運転する代わりに、4PC-DCユニットを使用する。ヒト成人の糞便微生物叢による接種時に、これらの反応器は、近位結腸(PC;pH5.6~5.9;維持時間=20時間;500mLの体積)及び遠位大腸(DC;pH6.6~6.9;維持時間=32時間;800mLの体積)をシミュレートする。
【0046】
本研究のためのSHIME(登録商標)実験は、2段階からなった(以下の表1)。
【0047】
安定化期間:適切な糞便試料による結腸反応器の接種の後、2週間の安定化期間によって、微生物群が、局所的環境条件次第で種々の反応器中で分化することが可能であった。この期間中、基礎栄養マトリックスをSHIMEに提供し、糞便接種物中に最初から存在する腸内微生物叢の最大多様性を補助した。この期間の終了時の試料の分析によって、種々の反応器中の基本的微生物群構成及び活性を決定することが可能である。
【0048】
処理期間:この2週間は、SHIME反応器を基準状態で運転したが、試験製品が補充された食事を用いた。この期間に結腸反応器から採取した試料によって、在住する微生物群構成及び活性に対する特定の効果を調査することが可能となる。ブランク対照条件のために、標準SHIME栄養分マトリックスは、14日間のモデルにさらに投与された。これらの反応器の試料の分析によって、種々の反応器における基準微生物群構成及び活性を決定することが可能であり、これは、処理効果を評価するための参照として使用される。
【0049】
【0050】
以下の時間点において試料を採取し、種々の試験製品への微生物叢の適応を追跡した:
- 安定化期間の最後の3日;
- 第1の処理週の最後の2日;
- 第2の処理週の最後の2日。
【0051】
[微生物群構成及び活性の分析]
SHIMEの重要な特徴は、安定化された微生物叢群によって機能し、さらなる分析のために異なる腸内領域から規則的に試料を回収することが可能であることである。結腸領域の大きい体積は、微生物群を妨害することなく、又は残りの実験を危険に陥れることなく、各日、十分な体積の液体の回収を可能にする。全てのSHIME実験を通して、多数の微生物パラメーターを監視する。これらの測定は、モデルの性能を評価するために必要であり、そしてプレバイオティクス処理による微生物群構成及び活性の基本的変化を監視することを可能にする。
【0052】
[全発酵活性]
酸/塩基消費:結腸反応器内での微生物代謝物質の生成によってpHは変化する。(酸又は塩基の添加による)連続的pH制御を行わない場合、pHは一定間隔を越える。酸/塩基の消費は、連続的に監視される。
【0053】
[微生物群活性]
短鎖脂肪酸(SCFA):酢酸、プロピオン酸及び酪酸の濃度を分析した。
【0054】
[ラクテート:SCFA及び潜在的抗微生物剤の前駆体]
アンモニウム及び分枝状SCFA(イソ酪酸、イソ吉草酸及びイソカプロン酸)は、タンパク質分解発酵のマーカーであり、むしろ宿主健康に悪影響を及ぼす。
【0055】
[微生物群構成]
16SターゲットIlluminaシーケンスのための試料を回収した。
【0056】
[微生物群構成の分析]
異なる処理によって誘導される群のシフトをマッピングするために2つの技術を組み合わせた。詳しくは、以下の通りである。
・16SターゲットIlluminaシーケンス、PCRベース法。これによって、微生物塩基配列が飽和まで増幅され、したがって、異なる系統発生的レベル(微生物門、科及びOTUレベル)における異なる分類群の比例存在量が提供される。ProDigestによって適用された方法論は、16S rDNAの2つの超可変領域(V3-V4)に及ぶプライマーを含む。ペアシーケンスアプローチ、2x250bpのシーケンスを使用することによって、424bpアンプリコンが得られる。そのようなフラグメントは、分類学上より有益ではない、より小さいフラグメントと比較して、分類学上より有用である。
・フローサイトメトリーによる試料中の全細菌細胞の精密な定量化。フローサイトメトリーによる細胞数の正確な列挙と一緒に16SターゲットIlluminaの高解像度系統発生的情報を組み合わせて、反応器内の異なる分類学上の実体の高度に精密な定量的存在量を得ることができる。
【0057】
各反応器から追加的な試料を採取し、それらを等分し、4℃において10分間10,000rpmで遠心分離し、続いて、0.2μmフィルターを通して濾過した。上澄み及びペレットをDSMに送った。さらにまた、100mLのSHIME栄養媒体及び100mLの膵液を回収し、DSMに送った。
【0058】
微生物代謝マーカー及び微生物群パラメーターに関する異なる安定化及び処理週の正規分布データの比較は、等分散を仮定するスチューデント(Student)のT検定によって実行された。p<0.05である場合、相違点は有意であると考えられた。
【0059】
[トライアル]
このプロジェクトでは、ブランク対照と比較して、3つの異なる種々の試験製品を試験した。試験された試験製品及びそれらが試験された生体外投与は、表2に見ることができる。
【0060】
【0061】
[結果]
必要に応じて、安定化期間の終了時に、酸/塩基消費、SCFA、ラクテート、アンモニウム及び微生物叢構成は、SHIMEユニットのそれぞれの中で全て非常に安定であり、その間で再現可能であった。これは、SHIMEモデルがその最適な条件で運転され、安定且つ再現可能な結腸微生物叢をもたらすことを示した。高い再現性によって、異なる試験製品間の直接的な比較が可能であるが、この安定性は、処理の間に観察された効果が投与された試験製品から本当に得られたことを断言するための必要条件である。
【0062】
[微生物活性結果]
ANTIOX補充は、対照と比較して、試験された全てのドナーに関して、両結腸領域で塩基消費を有意に増加させた。近位結腸において、最も強い酸性化は、XOSでの処理時に観察された。興味深いことに、ドナーBにおいて、ANTIOX及びFOS処理群の酸塩基消費は互いに相当しており、このことは、試験されたANTIOX構成が確立されたプレバイオティクスFOSと類似して作用することを示唆する。遠位結腸において、最も強い酸塩基消費は、両方の試験されたドナーにおいて、FOSでの処理時に観察された。興味深いことに、ドナーAにおいて、ANTIOX及びXOS処理における微生物活性(酸塩基消費)は相当しており、このことは、試験されたANTIOX構成が確立されたプレバイオティクスXOSと類似して作用することを示唆する。
【0063】
[短鎖脂肪酸結果(
図2)]
図2に見ることができるように、興味深いことに、非プレバイオティクスビタミン酸化防止剤混合物は、対照インキュベーションと比較して、アセテート及びブチレートを増加させたが、プロピオネートレベルを増加させなかった。ドナーAに関して、対照並びにプレバイオティクスFOSで処理された管と比較して、酸化防止剤混合物によって処理された近位結腸管において、アセテート濃度の増加が観察された。ドナーBに関して、対照及びプレバイオティクスFOSで処理された管と比較して、近位並びに遠位結腸管においてSCFAブチレートの増加が観察された。
【0064】
[全SCFA生成]
全SCFAによって類似の効果が見られた。非プレバイオティクス酸化防止剤混合物は、確立されたプレバイオティクスで見られる効果と類似の効果の規模で、対照インキュベーションと比較して全SCFAを増加させた。
【0065】
[ラクテート]
同様に、近位結腸において、試験された両ドナーに関して、対照インキュベーションと比較して、ANTIOX及びXOSブレンドの補充時にラクテートレベルの有意な増加が観察された。
【0066】
[アンモニウム及び分枝状SCFA]
プレバイオティクス試験製品ほど顕著ではないが、酸化防止剤ブレンドの添加によって、両結腸領域(近位及び遠位結腸)においてアンモニウムレベルの減少がもたらされた。同様に、酸化防止剤ブレンドの投与によって、対照と比較して、ドナーAの近位結腸において分枝状SCFA生成の減少が導かれた。
【0067】
[微生物叢]
[1.多様性]
【0068】
【0069】
ANTIOXによる処理によって、遠位結腸及び近位結腸での多様性の増加が導かれた。
【0070】
興味深いことに、近位結腸において、ブランク対照と比較して、プレバイオティクスブレンド2(XOS)及びプレバイオティクスブレンド3(FOS)による処理において、処理期間の終了時に有意に減少した多様性が観察された。
【0071】
[2.有益細菌の存在量の増加(
図3)]
酸化防止剤による近位及び遠位結腸管の処理によって、対照と比較して、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)の存在量の増加がもたらされた。この観察は、ドナーA及びドナーBに関して一貫していた。興味深いことに、この増加は、ドナーAに関して、プレバイオティクスXOS及びFOSで処置された近位結腸管よりも大きかった。ドナーAの遠位結腸に関して、XOSと比較すると、antioxで処理された管中のビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)の存在量はより高かった。ドナーBに関して、antioxで処理された管中のビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)の存在量は、FOSで処理された近位結腸管より高いが、antioxで処理された遠位結腸管中のビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)の存在量は、プレバイオティクスXOS及びFOSで処理された管より高かった。
【0072】
[3.病原性細菌の減少(
図4)]
ドナーAに関して、対照近位及び遠位結腸と比較して、酸化防止剤混合物で処理された管中で日和見病原体バクテリデス・フラジリス(Bacterides fragilis)の存在量の減少が観察された。興味深いことに、存在量のこのような減少は、プレバイオティクスFOSより大きかった。
【国際調査報告】