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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】フォトニック集積回路のための構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/10 20060101AFI20230323BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20230323BHJP
   G02B 6/125 20060101ALI20230323BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
H01L31/10 A
H01L31/02 D
G02B6/125 301
G02B6/12 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543627
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 EP2021052198
(87)【国際公開番号】W WO2021152143
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】2001404.9
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522074936
【氏名又は名称】スマート フォトニクス ホールディングス ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】レモス アルバレス ドス サントス,ルイ マニュエル
(72)【発明者】
【氏名】クライン,スティーブン エヴァラード フィリップス
(72)【発明者】
【氏名】タイス,ペトリュス ヨハネス アドリアヌス
【テーマコード(参考)】
2H147
5F149
5F849
【Fターム(参考)】
2H147AB02
2H147AB03
2H147AB05
2H147AB10
2H147AC02
2H147BA05
2H147BE22
2H147EA12A
2H147FA04
2H147FA07
5F149AA04
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5F149AB17
5F149BA04
5F149BA23
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5F849EA07
5F849FA05
5F849GA06
5F849XB18
5F849XB37
(57)【要約】
フォトニック集積回路の構造であって、基板と、基板の第1の表面エリア上のn型半導体材料の第1の部分と、基板の第2の表面エリア上のn型半導体材料の第2の部分と、導波路と、第1の部分と第2の部分との間の要素と、を備えている、フォトニック集積回路の構造。導波路は、要素上にあるとともに、要素と接触している。この要素は、導波路を介する光の伝播の間に第1の部分から第2の部分への電流の流れを低減させるように構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトニック集積回路の構造であって、
基板と、
前記基板の第1の表面エリア上のn型半導体材料の第1の部分と、
前記基板の第2の表面エリア上のn型半導体材料の第2の部分と、
導波路と、
前記第1の部分と前記第2の部分との間の要素であって、前記導波路が、前記要素上にあるとともに前記要素と接触しており、前記要素が、前記導波路を介する光の伝播の間に前記第1の部分から前記第2の部分への電流の流れを低減させるように構成されている、前記要素と、
を備えている、前記構造。
【請求項2】
前記要素が、前記基板の一部であるとともに、前記基板と実質的に同じ材料である、請求項1に記載の構造。
【請求項3】
前記要素が、前記基板の第3の表面エリア上にあり、かつ、前記基板と実質的に同じ材料であるか、または前記基板とは異なる材料である、請求項1に記載の構造。
【請求項4】
前記第1の部分の前記n型半導体材料が、前記第2の部分の前記n型半導体材料と同じであり、前記n型半導体材料の第1の層が前記第1の部分及び前記第2の部分を含んでいる、先行請求項のいずれかに記載の構造。
【請求項5】
前記導波路の長手軸に垂直な横断方向の軸に沿って、前記導波路が前記第1の部分または前記第2の部分と重ならず、
前記導波路の前記長手軸上の第1のポイントにおいて、前記導波路の第1の部分が前記要素と重なり、
前記導波路の前記長手軸上の第2のポイントにおいて、前記導波路の第2の部分が前記要素と重ならない、
先行請求項のいずれかに記載の構造。
【請求項6】
前記導波路の前記長手軸上の第3のポイントであって、前記第1のポイントが前記第2のポイントと前記第3のポイントとの間にある、前記第3のポイントにおいて、前記導波路の第3の部分が前記要素と重ならない、請求項5に記載の構造。
【請求項7】
前記導波路の前記第2の部分が、n型半導体材料の前記第1の部分の上にあるとともに前記第1の部分と接触しており、前記導波路の前記第3の部分が、前記n型半導体材料の前記第2の部分と重なっている、請求項6に記載の構造。
【請求項8】
前記要素が、前記要素に当接している、前記第1の部分の一部、または、前記第2の部分の一部の少なくとも1つの厚さに実質的に等しい厚さを有している、先行請求項のいずれかに記載の構造。
【請求項9】
前記導波路の前記第1の部分が、第2のPIC構成要素に前記導波路によって光学的に接続された第1のPIC構成要素の間に位置している、請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の構造。
【請求項10】
前記要素が、前記第1のPIC構成要素と前記第2のPIC構成要素との間の電流の流れを低減させるか、防止するか、または抗するかの少なくとも1つをするように、前記要素が、寸法決めされるとともに電気抵抗を有する材料である、請求項9に記載の構造。
【請求項11】
前記第1のPIC構成要素が、前記n型半導体材料の前記第1の部分の一部を含み、前記第2のPIC構成要素が、前記n型半導体材料の前記第2の部分の一部を含む、請求項9または請求項10に記載の構造。
【請求項12】
前記第1のPIC構成要素が、前記導波路の前記第2の部分上のp型半導体材料の第1の部分を含んでいる、請求項11に記載の構造。
【請求項13】
前記第1のPIC構成要素が第1のフォトダイオードである、請求項9から請求項12のいずれか一項に記載の構造。
【請求項14】
前記第2のPIC構成要素が、前記導波路の前記第3の部分上のp型半導体材料の第2の部分を含んでいる、請求項9から請求項13、及び請求項6のいずれか一項に記載の構造。
【請求項15】
前記導波路が第1の導波路であり、前記構造が、前記第2のPIC構成要素を第3のPIC構成要素に光学的に接続する第2の導波路を備えている、請求項13に記載の構造。
【請求項16】
前記要素が第1の要素であり、前記構造が、
n型半導体材料の第3の部分とn型半導体材料の第4の部分との間にある第2の要素であって、前記第2の導波路の第1の部分が、前記第2の導波路の長手軸上の第1のポイントにおいて、前記第2の要素上にあるとともに前記第2の要素と接触しており、前記第2の要素が、前記第3の部分と前記第4の部分との間の電流の流れを低減させるように構成されている、前記第2の要素を備え、
前記第2の導波路の前記長手軸上の第2のポイントにおいて、前記第2の導波路の第2の部分がn型半導体材料の前記第3の部分と重なっており、
前記第2の導波路の前記長手軸上の第3のポイントにおいて、前記第2の導波路の第3の部分がn型半導体材料の前記第4の部分と重なっている、
請求項15に記載の構造。
【請求項17】
前記要素が、それぞれの前記導波路の前記長手軸に沿って取られる際に、前記第1の導波路及び前記第2の導波路に光学的に接続された導波路連結部と、前記第1のPIC構成要素及び前記第3のPIC構成要素の各々との間に位置し、
前記第2の導波路の前記長手軸上の第2のポイントにおいて、前記第2の導波路の第2の部分がn型半導体材料の前記第1の部分と重なっており、
前記第2の導波路の前記長手軸上の第3のポイントにおいて、前記第2の導波路の第3の部分がn型半導体材料の前記第2の部分と重なっている、
請求項15に記載の構造。
【請求項18】
前記第1の導波路の一部分と、前記第2の導波路の一部分との各々が、前記要素の上にあるとともに前記要素と接触している、請求項17に記載の構造。
【請求項19】
前記第3のPIC構成要素が、前記第1のフォトダイオードと組み合わせて、バランス型光検出器として機能するように構成された第2のフォトダイオードである、請求項15から請求項18のいずれか一項に記載の構造。
【請求項20】
前記第2のPIC構成要素が、光スプリッタまたはマルチモード干渉計、MMIの少なくとも1つを備えている、請求項17、請求項18、または請求項19に記載の構造。
【請求項21】
前記n型半導体材料が、III-V族化合物である、先行請求項のいずれかに記載の構造。
【請求項22】
前記III-V族化合物がInPである、請求項21に記載の構造。
【請求項23】
前記要素が、鉄、FeでドープされたIII-V族化合物またはInPの少なくとも1つである、先行請求項のいずれかに記載の構造。
【請求項24】
フォトニック集積回路の構造の製造方法であって、
基板を提供することと、
前記基板の第1の表面エリア、第2の表面エリア、及び第3の表面エリアの上にn型半導体を堆積させることと、
前記第3の表面エリア上の前記第1の層のn型半導体を除去することと、
前記第3の表面エリア上に要素を形成することであって、それにより、前記要素が、前記第1の表面エリア上のn型半導体材料の第1の部分と、前記第2の表面エリア上のn型半導体材料の第2の部分との間にあるようになる、前記形成することと、
少なくとも前記要素の上にあるとともに前記要素と接触する導波路を形成することであって、前記要素が、前記導波路を介しての光の伝播の間に、前記第1の部分から前記第2の部分への電流の流れを低減させるための材料を含んでいる、前記形成することと、
を含む、前記製造方法。
【請求項25】
フォトニック集積回路の構造の製造方法であって、
基板を提供することと、
前記基板の第1の表面エリアを形成するように前記基板の第1の部分を除去し、前記基板の第2の表面エリアを形成するように前記基板の第2の部分を除去して、前記第1の表面エリアと前記第2の表面エリアとの間の前記基板の除去されていない部分を残すことであって、前記除去されていない部分が、前記基板の第3の表面エリアに対応する、前記除去することと、
前記第1の表面エリア及び前記第2の表面エリアの上にn型半導体を堆積させることと、
少なくとも前記除去されていない部分の上にあるとともに前記除去されていない部分と接触している導波路を形成することであって、前記除去されていない部分が、n型半導体材料の第1の部分とn型半導体材料の第2の部分との間の要素であり、前記要素が、前記導波路を介しての光の伝播の間にn型半導体材料の前記第1の部分からn型半導体材料の前記第2の部分への電流の流れを低減させるための材料を含んでいる、前記形成することと、
を含む、前記製造方法。
【請求項26】
第1のPIC構成要素を形成することと、
前記導波路によって前記第1のPIC構成要素に光学的に接続された第2のPIC構成要素を形成することであって、前記要素が、前記第1のPIC構成要素と前記第2のPIC構成要素との間の電流の流れを低減させるか、防止するか、または抗するかの少なくとも1つをするように、前記要素が、寸法決めされるとともに電気抵抗を有する材料である、前記形成することと、
を含む、請求項24または請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のPIC構成要素がフォトダイオードであり、前記第2のPICがマルチモードの干渉計である、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
p型、真性、及びn型の半導体(PIN)領域が、デバイスを構築するために半導体構造において組み合わせて一般的に使用されている。たとえば、オプトエレクトロニクスデバイスでは、PIN領域は、導波路によって搬送された光を検出し、光信号を電気信号に変換する光検出器を形成するために使用される。この電気信号は、増幅し、次いで処理することができる。
【0002】
多くの用途では、半導体構造は、基板上に堆積された層から作られる。半導体構造内にPINデバイスを構築するために、n型の半導体材料の層を、通常は、ベースとして堆積させ、デバイスの他の構成要素である層を頂部に堆積させる。PINデバイスは、基板の表面にわたって二次元的に分離されている。このことは、すべてのPINデバイスが、共通のカソードとして作用する、同じ低抵抗のn型半導体材料ベースを共有することに繋がる。
【0003】
オプトエレクトロニクスデバイスでは、PIN半導体構造などの構成要素は、導波路によって光学的に接続されている。このため、各構成要素は、導波路及び低抵抗n型半導体材料によって接続されている。PIN半導体構造は、しばしば、光検出器などのセンサを形成する。構成要素間の電気接続は、電気的なクロストークに繋がり得る。このクロストークは、構成要素の耐用年数を低減させ、繊細な測定においてエラーを引き起こし得る。
【0004】
フォトニック集積回路(PIC)の構成要素間の電流の望ましくない流れを低減させることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】実施例に係る、基板、n型半導体材料、及び要素を含むフォトニック集積回路の構造を示す概略図である。
図2】実施例に係る、導波路を伴う図1からのフォトニック集積回路に関する構造を示す概略図である。
図3】実施例に係る、図2からの導波路をより詳細に示す概略図である。
図4】実施例に係る、PIC構成要素を伴う図2からのフォトニック集積回路に関する構造を示す概略図である。
図5】実施例に係る、バランス型光検出器を含むフォトニック集積回路の構造を示す概略図である。
図6】実施例に係る、図5のバランス型光検出器の態様をより詳細に示す概略図である。
図7】実施例に係る製造方法を示す図である。
図8】実施例に係る製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書に記載の実施例は、フォトニック集積回路(PIC)のための構造に関する。この構造では、少なくとも2つ構成要素の間の電気接続性が低減され、それにより、構成要素間で電流が流れる傾向が制限されるか、防止されるか、または抗されるようになっている。したがって、そのような構造は、構成要素間の電気的なクロストークを低減させている場合がある。このことは、PIC構成要素の耐用年数、ひいてはPIC自体の耐用年数を増大させ得、また、光検出器などのセンサまたは検出器のPIC構成要素において引き起こされるエラーを低減させ得、より繊細な測定を可能にする。このことは、より効率的な光電子工学デバイス、したがって、より効率的なPICを可能にする。
【0007】
具体的には、導波路に沿う光の伝播の間、望ましくない電流も導波路自体を通って流れる場合がある。さらに、電流は、下にあるn型半導体材料など、導波路と接触している半導体材料を介しても流れる場合がある。本明細書に記載の実施例では、n型半導体材料の各部分の間に要素が存在し、この要素は、光が導波路に沿って伝播する間、1つの部分から他の部分への電流の流れを低減させるように構成されている。そのような要素は、たとえば、適切な寸法を有し、適切な電気抵抗の材料の、材料のブロック、または層、または容量、または領域の少なくとも1つであり、それにより、要素が、導波路に沿って光が伝播する間にn型の半導体材料の各部分間の電流の流れを低減させるようになっている。たとえば、要素の材料の抵抗率は、たとえば少なくとも10000倍、いくつかの実施例では、10億倍を超えて、n型半導体材料の抵抗率より高い。いくつかの実施例では、要素の材料の抵抗率は、1オームセンチメートル(Ωcm)以下のn型半導体材料の抵抗率に比べると、10Ωcm以上である。流れを低減させることは、電流の流れを制限する、防止する、または抗することの少なくとも1つとすることができる。このため、限定として考えられるべきではないが、導波路及び当接している半導体材料が、ともに導電体として作用し、要素の存在が、電流が通ることができる導電体の断面積を低減させると考えられる。このため、要素は、導波路に当接している半導体材料を介する電流の流れを低減させるか、または弱め、ひいては、電流の最大の量を低減させると考えられ得る。それにより、たとえば、電流が、導波路及び当接している半導体材料の組合せの導電性よりむしろ、導波路の導電性に近くなるか、等しくなるようになっている。
【0008】
構造図に関し、本開示に関連する半導体材料層が図示されることに留意されたい。導電性またはPIC内の環境に対するパッシベーションなどの補助的な機能を満たす材料及び構造は、明確化のために構造図からは省略されているが、当業者は、適切である場合にはこれら材料及び構造の存在を理解するであろう。たとえば、光を閉じ込めるように、導波路と接触している、導波路上のp型半導体材料、及び/または、空気、ガラス、ポリマーなどの、適切な屈折率を有する別の材料が存在する場合がある。
【0009】
図1は、実施例に係る、電流の流れを低減させるように構成された、基板、n型半導体材料、及び要素を含むPICの構造を示す概略図である。以下に記載の実施例では、n型半導体材料の第1の部分及び第2の部分が、第1の層のものであり、このため、第1の部分のn型半導体材料が、第2の部分のn型半導体材料と実質的に同じ(たとえば、許容可能な公差内で同じ)である。しかし、他の実施例では、第1の部分と第2の部分とは、互いから離れて堆積されたか、少なくとも全体的に互いから離れている、異なる層のものである場合がある場合がある。これらの各々は、異なるn型半導体材料を有する場合がある。
【0010】
図(1の)100は、構造の各部の平面図である。図(1の)100aは、図(1の)100における線A---Aに対応する長手軸に沿う構造100の断面の第1の実施例を示している。図(1の)100aの構造は、基板104aと、n型半導体材料の第1の層の第1の部分101と、n型半導体材料の第1の層の第2の部分102と、n型半導体材料とは異なる材料の要素103と、を備えている。本明細書に記載の実施例の要素は、材料のブロック、たとえば立方体のような層として図示されている。各実施例における、第1の層の各部分の間の要素の寸法及び割合は、電流の流れに対する必要な抵抗に応じて選択される。いくつかの実施例では、要素には、横方向の側部の1つまたは複数、またはすべてで、n型半導体材料が当接している。
【0011】
基板104aは、実質的に平滑な表面(たとえば、許容可能な公差内で平滑)を有する、固体の結晶構造の材料である。この材料は2要素の半導体の組成である場合がある。たとえば、基板104aはInPを含んでいる。すなわち、基板104aは、主としてInPを含んでいる。基板104aが主として特定の組成、たとえばInPを含むと言うことにより、半導体材料は、化学的な組成で、その要素、たとえばInPを50%より多く含んでいる。基板104aは、少なくとも99%のInPを含む材料の、(許容可能な純度の公差内の)純粋なInPである場合がある。基板104aは、ドーパントまたは不純物などの他の材料を含む場合がある。たとえば、基板がnドープされるように、基板104aはあるドーパント材料でドープされている。基板104aは、そのドープされていない状態に比べて基板104aの電気抵抗率が増大するように、ドープされる場合がある。
【0012】
n型半導体材料の第1の層は、基板104a上にあり、第1の層が基板104aの上面と直接接触している。他の実施例では、n型半導体材料の第1の層が基板上にあり、ここでは第1の層が基板によって支持されているが、基板と第1の部分及び第2の部分との間に少なくとも1つの層が介在していることが予想される。n型半導体材料は、ドナー不純物でドープされた半導体材料を備えており、それにより、自由電子が潤沢に存在し、真性の半導体材料またはドープ前の半導体材料に比べ半導体材料の導電性が増大している。n型半導体材料の電荷担体の多くは、負の電子である。実施例では、n型半導体材料は、ドナー不純物で高度にドープされている場合があり、ここでは、ドーパントが半導体材料の化学的組成のかなりのパーセンテージを含んでいる。
【0013】
n型半導体材料の第1の層は、基板の第1の表面エリア上の第1の部分101と、基板の第2の表面エリア上の第2の部分102と、を備えている。半導体材料の一部分は、半導体材料の容量または領域に関する。第1の層の厚さは、たとえば基板と接触している第1の層の表面と、第1の層が接触する基板の表面に対して垂直な方向に基板から離れた第1の層の表面との間で取られる。実施例では、基板の第1の表面エリアは、基板の第2の表面エリアとは重なっていない。このため、n型半導体材料の第1の部分と第2の部分とは重なっていない。実施例では、n型半導体材料の第1の部分101と第2の部分102とは、許容可能な公差内で同じ厚さ(たとえば0.1ミクロン以上であり、かつ、たとえば10ミクロン以下である)を有しており、また、実質的に平滑である(たとえば、これら部分は、層の各々の上面が、第1の層が堆積される基板104aの表面と平行であるように、基板104a上に堆積されている)。実施例では、第1の部分と第2の部分との両方が、完全な層の単一の堆積プロセスの間に同時に堆積されるが、基板104aの第1の表面エリアと第2の表面エリアとの組合せは、第1の層によってカバーされていない基板の少なくとも第3の表面エリアが存在するという点で、基板104aの表面エリア全体をカバーしていない。
【0014】
要素103は、n型半導体材料の第1の層の第1の部分101と第2の部分102との間にある。要素103は、第1の部分101及び第2の部分102に当接している。実施例では、要素が上に置かれる表面エリアは、基板の第1の表面エリアと基板の第2の表面エリアとの組合せによって少なくとも部分的に境界が定められている。要素は、第1の表面エリアと第2の表面エリアとの間の、基板104aの第3の表面エリア上にある。基板の第3の表面エリアは、基板104aの第1の表面エリア及び第2の表面エリアとは重なっていない。
【0015】
要素103は、要素103に当接している第1の層の、第1の部分101の一部、または、第2の部分102の一部の少なくとも一部の厚さに実質的に等しい厚さを有している。実施例では、要素103と組合せて、第1の部分101及び第2の部分102を有する第1の層は、基板の表面エリアの実質的に全体をカバーする(たとえば、半導体が製造される反応器のウェーハクランプによってクランプされる場合がある基板のエリアを除く)。第1の部分101、第2の部分102、及び要素103は、実質的に等しい厚さである(たとえば、許容可能な公差内で等しい厚さである)。層の厚さは、前に説明したように取られる。第1の部分101、第2の部分102、及び要素103の各々の上面は同一平面内にあり、さらなる層を堆積させるための平坦な表面をともに生成する。
【0016】
要素103の材料は、第1の部分または第2の部分の少なくとも1つのn型半導体材料の電気抵抗に比べて高い電気抵抗を有している。電気抵抗は、電流の流れを制限するか、防止するか、抗する、材料の能力の測定値と解することができる。電気抵抗は、材料の電気抵抗率及び寸法(そしてひいては、体積)に依存する。このため、n型半導体材料は、要素の材料の導電性に比べて高い導電性を有している。導電性は、電流が半導体材料を通って流れることの容易性または割合の測定値と解することができる。要素の材料は、基板の材料と実質的に同じであるか同様のものとすることができるか、または他の実施例では、基板とは異なる材料とすることができる。電気抵抗率は、所与の単位体積の材料に関する、電流の流れを制限するか、防止するか、抗する、特定の材料の固有の特性と解することができる。
【0017】
実施例では、n型半導体材料は、主としてInPを含み、硫黄(S)またはケイ素(Si)などの適切なドーパントでドープされている場合がある。実施例では、要素の材料には、その要素に、n型半導体材料に比べて半絶縁性を与えるように、ある材料でドープされたInPが含まれる。半絶縁性材料は、通常、絶縁体の導電性に近い導電性を有しているが、いくらかの範囲で依然として電流を搬送することができる。実施例では、要素の材料は、たとえば1e16cm-3から1e19cm-3の間のドーパント濃度で、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、バナジウム(V)、及び/またはチタン(Ti)でドープされた、燐化インジウム(InP)、インジウムアルミニウムヒ化物(InAlAs)、インジウムガリウムアルミニウムヒ化物(InGaAlAs)、及び/またはインジウムガリウムヒ化燐化物(InGaAsP)である。要素は、いくつかの実施例では、500ミクロン以下の、(対応する導波路の長手軸に沿って)光の伝播方向に取られる長さを有している。光の伝播方向に垂直である要素の幅は、たとえば、少なくとも要素上の導波路の一部分の幅であり、いくつかの実施例では、1ミリメートル以下の幅である。
【0018】
他の実施例では、n型半導体材料は、3元の半導体合金、または4元の半導体合金を含み、たとえば、周期表のIII族およびV族からの要素を含むIII-V半導体化合物である。III族の材料には、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、及びインジウム(In)が含まれる。V族の材料には、窒素(N)、燐(P)、ヒ素(As)、及びアンチモン(Sb)が含まれる。n型半導体材料は、たとえば、窒化物、燐化物、ヒ化物、またはアンチモン化物である。
【0019】
図(1の)100bは、図(1の)100における線A---Aに対応する長手軸に沿う構造100の断面の第2の実施例に係る図である。図(1の)100aの特徴は、第1の部分と第2の部分との間の要素が、基板104bの一部であることを除き、図(1の)100bの特徴と類似である。このため、基板104bは、上述の要素103の材料など、要素と実質的に同じ材料(たとえば、許容可能な公差内で同じ材料)であり、n型半導体材料に比べて高い電気抵抗を有している。図(1の)100bの実施例の要素は、基板の一体の部分であり、そのため、第1の層の第1の部分と第2の部分との間で、第1の表面エリア及び第2の表面エリアの平面から突出している。
【0020】
1つの図の特徴が、別の図の特徴と共通しているか類似であることに留意されたい。そのような特徴には、同じ参照符号が付されるが、図の番号に対応する異なる値を先頭に置いている。そのため、図1の特徴101は図2の特徴201に対応している。そのような特徴に関し、簡潔性のため、前の特徴の記載は、後に記載する図の特徴に関して適用されるように取られるものとする。前の実施例が、基板104aの表面上に堆積された要素103を有する構造を示しているが、他の実施例では、基板と要素とが一体にされており、同じ材料104bであることにも留意されたい。基板及び要素のそのような代替形態は、後に記載するさらなる実施例に適用されることが予想される。
【0021】
図2は、実施例に係る、導波路を伴う図1からのPICに関する構造を示す概略図である。図(2の)200は、構造の各部の平面図を示している。図(2の)200aは、長手軸に対応する線A---Aに沿う断面であり、図(2の)200bは、長手軸に対して垂直な横断方向の軸B---Bに沿って取られる断面である。構造は、要素203上にあるとともに、要素203に接触している導波路205を備えている。導波路は、少なくともいくつかの実施例では、最小のエネルギ損失で、電磁波をガイドする構造である。実施例では、導波路は、光のエネルギの伝達を1つの方向に制限することによって光をガイドする。いくつかの実施例では、導波路は、単一のInGaAsP合金の少なくとも1つの層及びInP層によるものであり、または他の実施例では、導波路は、各々が異なるInGaAsP合金及びInPによる少なくとも1つの層によるものである。導波路の材料(複数可)は、その性能を調整するようにドープされる場合がある。少なくともいくつかの実施例では、導波路の外側の境界が、導波路に沿って伝播する光を内部に閉じ込める境界に対応することを理解されたい。
【0022】
実施例では、導波路は、真性の半導体材料を備えている。真性の半導体材料は、純粋な半導体材料と解することができる。純粋な半導体材料は、かなりの量のあらゆるドーパント種の存在を伴わない半導体材料であり、それにより、伝導帯における電子の数が、許容可能な公差内で、動作温度における価電子帯の正孔の数に等しくなっている。動作温度は、真性の半導体材料を含むデバイスの機能が利用される温度である。実施例では、導波路は、複数の層を備えている。導波路は、InGaAsPとInPとの2つの材料層を含み、光が層間に閉じ込められる。他の実施例では、導波路は、半導体材料の1つの層を含む場合がある。
【0023】
図3は、実施例に係る、図2からの導波路をより詳細に示す概略図である。図(3の)300は、構造の各部の平面図を示しており、図(3の)300aは、図(3の)300における線A---Aに対応する構造の長手方向断面を示している。導波路305は、導波路の第1の部分305a、導波路の第2の部分305b、及び導波路の第3の部分305cを有している。第1の部分305a、第2の部分305b、及び第3の部分305cは、実質的に同じ厚さを有しており、それにより、導波路305の上面が平坦な表面を有するようになっている。第1の部分305a、第2の部分305b、及び第3の部分305cは、導波路の長手軸に沿って配置されており、ここで、第1の部分305aが長手軸の第1のポイントにあり、第2の部分305bが長手軸の第2のポイントにあり、第3の部分305cが長手軸の第3のポイントにある。
【0024】
実施例では、導波路の第1の部分305aが、要素のある表面エリア上にあるとともに表面エリアと接触している。導波路の第1の部分305aは、第1の部分301もしくは第2の部分302と重ならず、または、それどころか、n型半導体材料の第1の層のいずれとも重なっていない。導波路の第2の部分305bは、n型半導体材料の第1の層の第1の部分301の表面エリア上にある。第1の層の第1の部分301の表面エリアは、要素303とは重なっていない。導波路の第3の部分305cは、n型半導体材料の第1の層の第2の部分302の表面エリア上にある。第1の層の第2の部分302の表面エリアは、要素303とは重なっていない。
【0025】
基板304の表面に対して水平であり、かつ導波路の長手軸に対して垂直である、構造の横断方向の軸に沿う導波路305は、実施例では、導波路の長手軸に沿っての導波路305の長さ未満であり、かつ要素の幅以下である幅を有している。
【0026】
図4は、実施例に係る、PIC構成要素を伴う図2からのフォトニック集積回路に関する構造を示す概略図である。図(4の)400は、構造の各部の平面図を示している。図(4の)400aは、図(4の)400における線A---Aに対応する構造の長手方向断面図を示しており、図(4の)400bは、図(4の)400における線B---Bに対応する構造の横断方向断面を示している。実施例では、構造は、p型半導体材料の第1の部分406及び第2の部分407を備えている。p型半導体材料の第1の部分406は、導波路の第2の部分405bの一部の上に堆積されており、p型半導体材料の第2の部分407は、導波路の第3の部分405cの一部の上に堆積されている。p型半導体材料の第1の部分406は、n型半導体材料の第1の層の第1の部分401の一部の上に堆積されており、p型半導体材料の第2の部分407は、n型半導体材料の第1の層の第2の部分402の一部の上に堆積されている。
【0027】
p型半導体材料は、アクセプタ不純物でドープされた半導体材料を備えており、それにより、正孔が潤沢に存在し、真性の半導体材料またはドープ前の半導体材料に比べ半導体材料の導電性が増大している。p型半導体材料の電荷担体の多くは、正の正孔である。実施例では、p型半導体材料は、アクセプタ不純物で高度にドープされている場合があり、ここでは、ドーパントが半導体材料の化学的組成のかなりのパーセンテージを含んでいる。p型半導体材料は、たとえば、ドープされたInP、InGaAsP、InAlGaAs、InGaAs、またはInAlAsである。
【0028】
p型半導体材料の第1の部分406と、導波路の第2の部分405bの一部と、n型半導体材料の第1の部分401の一部との組合せが、PIN構造を備えた第1のPIC構成要素410の少なくとも一部を形成する。第1の電気接触層408は、p型半導体材料の第1の部分406の上に堆積されている。p型半導体材料の第2の部分407と、導波路の第3の部分405bの一部と、n型半導体材料の第2の部分402の一部との組合せが、PIN構造を備えた第2のPIC構成要素411を形成する。第2の電気接触層409は、p型半導体材料の第2の部分406の上に堆積されている。実施例では、第1の電気接触層408及び第2の電気接触層409は、金属材料で構成されている。電気接触層は、各PIN構造にわたって電圧を印加させる。p型半導体材料に関する接触層は、たとえば、チタン(Ti)、白金(Pt)またはクロム(Cr)、及び金(Au)の組合せである。
【0029】
いくつかの実施例では、2つのPIC構成要素のp型半導体層の間の、それぞれの導波路の長手軸に少なくとも沿って、p型半導体材料が存在しない。たとえば、空気など、p型半導体材料よりも高い抵抗率の材料が存在する場合がある。このことは、PIC構成要素に関してp型材料を含むようにp型半導体材料の層を堆積させ、次いで、PIC構成要素間のp型材料をいくらか除去するようにエッチングすることによって達成される場合がある。そのようなp型材料の不在は、特に本明細書に記載の要素がn型半導体層内の電流の流れを低減させるために使用される場合に、PIC構成要素間の電流の流れを低減させることを補助することもできる。
【0030】
PIC構成要素は、PICを形成するために使用できる、電気的または光学的な任意の構成要素である。PIC構成要素は、導波路、マルチモードの干渉計(MMI)、P-N接合部、半導体光学増幅器(SOA)、電子吸収変調器(EAM)、または電気光学位相変調器(EOPM)を含んでいる。MMIは、光を、その構成要素の固有モードに分割するために使用することができる。P-N接合部は、p型及びn型の半導体材料を含んでおり、また、光検出器などの多くのPIC構成要素を構築するために使用される。
【0031】
実施例では、第1のPIC構成要素410及び第1の電気接触層408のPIN構造は、ともに第1のフォトダイオードである。フォトダイオードは、光信号を電気信号に変換することができる光検出器である。光検出器は、導波路内に閉じ込められた光によって搬送することができる信号の電気的な読取りを可能にする。他の実施例では、第2のPIC構成要素411及び第2の電気接触層409のPIN構造は、ともに第2のフォトダイオードである。
【0032】
導波路の第1の部分405aは、導波路の長手軸に沿って取った場合に、第1のPIC構成要素と第2のPIC構成要素との間に位置している。第1のPIC構成要素410と第2のPIC構成要素411とは、導波路405によって光学的に接続されている。光学的な接続は、通常、導波路405によって閉じ込められた光が、エネルギを著しく損失することなく、第1のPICと第2のPIC構成要素との間を移動できることを意味している。エネルギを著しく損失しないことは、通常、エネルギが失われないことを意味するが、無視できる量のエネルギが、許容可能な公差内で失われている場合がある。
【0033】
要素403の材料は、第1のPIC構成要素410と第2のPIC構成要素411との間の電流の流れを制限するか、防止するか、または抗するように構成されており、それにより、要素403がn型半導体材料の代わりである場合の2つのPIC構成要素間に流れる電流に比べ、第1のPIC構成要素410と第2のPIC構成要素411との間に流れる電流の、観測可能な低減または防止が存在するようになっている。電流の流れを全体的に防止するケースにおいてさえも、無視できる電流が依然として2つのPIC構成要素間を流れていることが理解されていることに留意されたい。
【0034】
実施例では、要素403は、長手軸に沿って取られた場合、第1のPIC410と第2のPIC構成要素411との間にある。要素403は、この要素403が、第1の層の第1の部分401及び第2の部分402のn型半導体材料に比べて高い電気抵抗を有しているように構成されている。電流は、n型半導体材料の第1の層の第1の部分401を介して、第2の要素403を通ってn型半導体材料の第1の層の第2の部分402へ、第1のPIC構成要素と第2のPIC構成要素との間をある程度流れることが依然として可能である場合がある。電流は、第1のPIC構成要素と第2のPIC構成要素との間を、導波路405の材料(複数可)を介して流れることもできる。しかし、要素403の、より大である電気抵抗は、導波路405への電流の流れを制限する場合があり、ひいては、電流が流れることができる電気伝導性材料の断面の量(たとえば、B---Bに沿う)を低減させる。
【0035】
図5は、実施例に係る、バランス型光検出器を含むPICの構造を示す概略図である。図は、構造の少なくとも一部の平面図を示している。この構造は、半導体材料の構造である。構造は、第1のPIC構成要素510と、第1のPIC構成要素を第2のPIC構成要素514に光学的に接続する第1の導波路505aとを備えている。第2のPIC構成要素514は、第2の導波路505bによって第3のPIC構成要素516に光学的に接続されている。第1の導波路505a及び第2の導波路は、たとえば、許容可能な公差内で、同一の材料の組成502bで構成されている。
【0036】
構造は、n型半導体材料の第1の層を上に有する基板を備えている。n型半導体材料は、第1の電気抵抗を有している。いくつかの実施例では、基板は、第1の要素503a及び第2の要素503bをも備えている。他の実施例では、第1の要素及び第2の要素の代わりに、構造が、基板の上面エリア上に堆積された第3の要素503cを代わりに備えている。要素は、上述の半絶縁性材料のブロック、容量、領域、または層に関し、各ブロックのいずれかの側で第1の層のそれぞれの第1の部分と第2の部分との間の電流の流れを低減させるように適切な寸法になっている。複数のn型半導体材料の部分501、502、ならびに、第1の要素503a、第2の要素503b、及び第3の要素503bは、互いに重なっていない。
【0037】
要素の材料は、第2の電気抵抗を有している。第1の電気抵抗は、第2の電気抵抗未満であり、それにより、各要素がn型半導体材料の電気抵抗よりも大である電気抵抗を有することから、たとえば抵抗器の機能と同様に、それぞれの要素の各々が、電流を低減させるように構成されている。そのような要素は、たとえば、電流の流れを制限するか、防止するか、または抗することにより、要素の一方側から他方側への電流の流れを低減させる。n型半導体材料の第1の層の複数の部分501、502、ならびに、第1の要素503a、第2の要素503b、及び第3の要素508は、ともに実質的に平滑な上面を提供する。第1の導波路505a及び第2の導波路505bは、n型半導体の第1の層上、また、それぞれの要素上にも、堆積される。
【0038】
図6は、実施例に係る、図5のバランス型光検出器の態様をより詳細に示す概略図である。図(6の)500aは、第1の導波路505aに関し、図(5の)500における線A---Aに対応する長手軸における構造の断面を示している。第1の要素503aは、n型半導体材料の第1の部分501aと、n型半導体材料の第2の部分502aとの間に堆積され、これらの各々に当接する。第1の要素503aは、第1の導波路505aの長手軸上の第1のポイントに位置しており、かつ、第1の導波路505aの第1の部分が重なるとともに、接触している。重なっていることは、通常、第1の導波路505aの第1の部分が、第1の要素503aの少なくとも一部の上にあるか、一部をカバーしていることを意味する。第1の導波路の長手軸上の第2のポイントにおいて、第1の導波路505aの第2の部分は、n型半導体材料501aの第1の層の第1の部分の上にあるとともに第1の部分と接触している。第1の導波路505aの長手軸上の第3のポイントにおいて、第1の導波路505aの第3の部分は、n型半導体材料502aの第1の層の第2の部分の上にあるとともに第2の部分と接触している。
【0039】
図(6の)500bは、第2の導波路505bに関し、図(5の)500における線B---Bに対応する長手軸における構造の断面を示している。第2の要素503bは、n型半導体材料の第3の部分501bと、n型半導体材料の第4の部分502bとの間に堆積され、これらの各々に当接する。第2の要素503bは、第2の導波路505bの長手軸上の第1のポイントに位置しており、かつ、第2の導波路505bの第1の部分が重なっている。第2の導波路505bの長手軸上の第2のポイントにおいて、第2の導波路505bの第2の部分が、n型半導体材料501bの第1の層の第3の部分と重なっている。第2の導波路505bの長手軸上の第3のポイントにおいて、第2の導波路505bの第3の部分は、n型半導体材料502bの第1の層の第4の部分と重なっている。
【0040】
図5の実施例などの実施例では、第2のPIC構成要素514は、マルチモードの干渉計(MMI)である。MMIの前には、光は単一の導波路によって閉じ込められている。MMIの後は、光は連結部に到達し、ここで、単一の導波路が第1の導波路505aと第2の導波路505bとに分割される。図(6の)500cは、導波路連結部518に関し、図(5の)500における線C-Cに対応する横断方向の軸における構造の断面を示しており、導波路連結部518において、導波路が第1の導波路505aと第2の導波路505bとに分割される。第3の要素503cは、n型半導体材料の第5の部分501cと、n型半導体材料の第6の部分502cとの間に堆積され、これらに当接する。第3の要素503cは、一方側では第1のPIC構成要素と第2のPIC構成要素との間に位置しており、他方側では、導波路連結部518が、第1の導波路505a及び第2の導波路505bに光学的に接続されている。間との用語は、少なくともこの実施例では、それぞれの導波路の長手軸上の構成要素を参照して使用され、導波路のあらゆる曲げまたは他の直線状ではないライン形状を考慮している。第1の導波路505aの一部分は、第3の要素503cの第1のパート上に堆積されている。第2の導波路505bの一部分は、第3の要素503cの第2のパート上に堆積されている。第3の要素503cの第1のパートと第2のパートとは重なっていない
【0041】
第1のPIC構成要素510は、n型半導体材料の第1の層の一部、第1の導波路505aの一部、第1の導波路505aの一部分の上に堆積されたp型半導体材料の第1の部分、及び、p型半導体材料の第1の部分の一部分の上に堆積された電気接触層で構成されている。
【0042】
第3のPIC構成要素516は、n型半導体材料の第1の層の一部、第2の導波路505bの一部、第2の導波路505aの一部分の上に堆積されたp型半導体材料の第2の部分、及び、p型半導体材料の第1の部分の一部分の上に堆積された電気接触層で構成されている。
【0043】
第1のPIC構成要素510及び第3のPIC構成要素516は、フォトダイオードであり、バランス型光検出器として動作するようにMMI503と組み合わせて構成されている。一実施例では第1の要素503a及び第2の要素503bにより、また、代替的な実施例では、第3の要素503cにより、各要素は、たとえば第1のフォトダイオード510と第2のフォトダイオード516との間の電流の流れを制限するか、防止するか、または抗することにより、低減させるように作用する。このため、フォトダイオード間の電気的なクロストークを低減させることができる。
【0044】
当業者には理解されるように、様々な技術が、本明細書に記載の実施例にしたがって、半導体材料の層の堆積及びパターン化のために使用される場合がある。そのような技術には、有機金属気相エピタキシー(MOVPE)または分子線エピタキシー(MBE)などの化学蒸着技術が含まれる場合がある。エッチング技術は、当業者には理解されるように、パターニングの一部として、材料の各部分を除去するために使用される場合がある。
【0045】
このため、いくつかの実施例によれば、また図7の701から705を参照すると、上述の実施例に係る構造が、基板を提供することと、基板の第1の表面エリア、第2の表面エリア、及び第3の表面エリアの上にn型半導体を堆積させることと、第3の表面エリア上の第1の層のn型半導体を除去することと、第3の表面エリア上に要素を形成することであって、それにより、要素が、第1の表面エリア上のn型半導体材料の第1の部分と、第2の表面エリア上のn型半導体材料の第2の部分との間にあるようになる、形成することと、少なくとも要素の上にあるとともに要素と接触する導波路を形成することであって、要素が、導波路を介しての光の伝播の間に、第1の部分から第2の部分への電流の流れを低減させるための材料を含んでいる、形成することと、を含む方法によって製造される。
【0046】
他の実施例によれば、図8の801から804を参照すると、構造は、基板を提供することと、基板の第1の表面エリアを形成するように基板の第1の部分を除去し、基板の第2の表面エリアを形成するように基板の第2の部分を除去して、第1の表面エリアと第2の表面エリアとの間の基板の除去されていない部分を残すことであって、除去されていない部分が、基板の第3の表面エリアに対応する、除去することと、第1の表面エリア及び第2の表面エリアの上にn型半導体を堆積させることと、少なくとも除去されていない部分上にあるとともに除去されていない部分と接触している導波路を形成することであって、除去されていない部分が、n型半導体材料の第1の部分とn型半導体材料の第2の部分との間の要素であり、要素が、導波路を介しての光の伝播の間にn型半導体材料の第1の部分からn型半導体材料の第2の部分への電流の流れを低減させるための材料を含んでいる、導波路を形成することと、を含む方法によって製造される。
【0047】
さらに、実施例における本方法は、第1のPIC構成要素(フォトダイオードなど)を形成することと、導波路によって第1のPIC構成要素に光学的に接続された第2のPIC構成要素(MMIなど)を形成することであって、要素が、第1のPIC構成要素と第2のPIC構成要素との間の電流の流れを低減させるか、防止するか、または抗するかの少なくとも1つをするように、要素が寸法決めされるとともに、ある電気抵抗を有する材料である、形成することと、を含んでいる。
【0048】
上述の実施例は、説明的な実施例として理解されるものとする。任意の1つの実施例に関して記載された任意の特徴が、単独で、または、記載の他の特徴と組み合わせて使用される場合があり、また、任意の他の実施例の1つまたは複数の機能と組み合わせて、または、任意の他の実施例の任意の組合せで使用される場合もあることを理解されたい。さらに、上述されていない均等及び変更も、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、採用される場合がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】