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特表2023-512944固体バイオマス燃料を生成するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】固体バイオマス燃料を生成するための方法
(51)【国際特許分類】
   C10L 5/44 20060101AFI20230323BHJP
   B02C 11/08 20060101ALI20230323BHJP
   B02C 19/06 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
C10L5/44
B02C11/08
B02C19/06 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544060
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(85)【翻訳文提出日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 GB2021050260
(87)【国際公開番号】W WO2021156628
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】2001650.7
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519385397
【氏名又は名称】バイ ホン メイ
【氏名又は名称原語表記】BAI, HONG MEI
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】バイ ホン メイ
【テーマコード(参考)】
4D067
4H015
【Fターム(参考)】
4D067BB06
4D067BB11
4D067BB16
4D067CA02
4D067GA11
4D067GA14
4H015AA12
4H015AB01
4H015BA01
4H015BA07
4H015BA09
4H015BA13
4H015BB03
4H015BB10
4H015CB01
(57)【要約】
本発明は、固体バイオマス燃料を生成するための方法、及び前記方法によって生成される固体バイオマス燃料に関する。加えて、本発明は、前記固体バイオマス燃料を、エネルギーを生じるように燃焼させるステップを含む燃焼方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体バイオマス燃料を生成するための方法であって、
(i)30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有する、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ、
(ii)前記1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~10,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ、
(iii)前記微粉化バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥微粉化バイオマス粉末を提供するステップ、
(iv)前記乾燥微粉化バイオマス粉末を成形して、成形バイオマス生成物を提供するステップ、
(v)前記成形バイオマス生成物を、0.25~5時間、160℃~420℃の温度に加熱して、固体バイオマス燃料を提供するステップ、及び
(vi)前記固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ
を含み、
前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、バガス、ヒマワリ茎、小麦茎、トウモロコシ茎、ソルガム茎、大豆茎、ピーナッツ茎、綿茎、菜種茎、ココナッツ殻、パーム殻、海藻、ピーナッツ皮、又はこれらの組合せを含む、前記方法。
【請求項2】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、バガス、ヒマワリ茎、小麦茎、トウモロコシ茎、ソルガム茎、大豆茎、ピーナッツ茎、綿茎、菜種茎、ココナッツ殻、パーム殻、海藻、ピーナッツ皮、若しくはこれらの組合せから本質的になる、又はこれらからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有する1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ(i)が、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、前記1又は2以上のバイオマスの供給源をチョッピングすることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~10,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ(ii)が、(a)負圧空気輸送装置の使用を伴う方法で前記1又は2以上のバイオマスの供給源を粉砕することであって、前記1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が20重量%以下である、前記粉砕することを含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
微粉化バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥微粉化バイオマス粉末を提供するステップ(iii)が、乾燥シリンダー内で微粉化バイオマスを乾燥させることを含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
微粉化バイオマス粉末の水分率が20重量%以下であり、方法が、単一の乾燥シリンダー内で微粉化バイオマスを乾燥させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
微粉化バイオマス粉末の水分率が20重量%以上であり、方法が、複数の乾燥シリンダー内で微粉化バイオマスを乾燥させることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
微粉化バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥微粉化バイオマス粉末を提供するステップ(iii)が、乾燥させながら微粉化バイオマス粉末粒子を混合することをさらに含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
乾燥微粉化バイオマス粉末を成形するステップ(iv)が、成形バイオマス生成物の密度が制御されるように、前記成形するステップを適応させることを含み、任意に、前記成形バイオマス生成物の密度が制御されるように、前記成形するステップを適応させることが、前記成形するステップに使用される型の圧縮比を制御することを含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
乾燥圧縮バイオマス粉末を成形するステップ(iv)の前に、乾燥微粉化バイオマス粉末に添加剤を加える、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
添加剤によって、成形バイオマス生成物の収率が上昇する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
成形バイオマス生成物を加熱するステップ(v)が、0.4~2.5時間行われる、及び/又は
成形バイオマス生成物を加熱するステップが、前記成形バイオマス生成物を、180℃~350℃、任意に210℃~280℃の温度に加熱することを含む、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
成形バイオマス生成物を加熱するステップ(v)が、前記成形バイオマス生成物の焙焼を誘導するための条件下で、前記成形バイオマス生成物を加熱することを含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
成形バイオマス生成物を加熱するステップ(v)を、固体バイオマス燃料の一様性が制御されるように適応させ、任意に、ステップ(v)を、前記固体バイオマス燃料の一様性が制御されるように適応させることが、前記成形バイオマス生成物を加熱しながら回転させる装置において、ステップ(v)を実施することを含み、任意に、ステップ(v)を、前記固体バイオマス燃料の一様性が制御されるように適応させることが、前記成形バイオマス生成物の回転の速さ又は方向を制御することを含み、任意に、前記成形バイオマス生成物を、前記装置において、反時計回りと時計回りとの両方の方向に回転させる、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
加熱するステップ(v)の後、かつ固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ(vi)の前に、前記固体バイオマス燃料を冷却するステップをさらに含む、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ(vi)が、スクリーンを用いて、前記固体バイオマス燃料から塵粒子を除去することを含む、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
スクリーンが2mm~8mmのポアサイズを有し、好ましくは、前記スクリーンが2mm~5mmのポアサイズを有し、より好ましくは、前記スクリーンが2mm~3mmのポアサイズを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するスクリーニングデバイスとしてドラムシーブが使用され、好ましくは、前記ドラムシーブが回転ドラムシーブを含む、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ(vi)が、前記固体バイオマス燃料を、振動、回転、ローリング、又はこれらの任意の組合せに供することを含む、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ(vi)が、振動スクリーンを使用することを含み、前記振動スクリーンが2mm~8mmのポアサイズを有し、好ましくは、前記スクリーンが2mm~5mmのポアサイズを有し、より好ましくは、前記スクリーンが2mm~3mmのポアサイズを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
DIN EN 15103によって決定される固体バイオマス燃料のバルク密度が、0.55kg/l~0.8kg/l、好ましくは0.60kg/l~0.75kg/l、より好ましくは0.60~0.70kg/Lである、及び/又はDIN EN 15210-1によって決定される固体バイオマス燃料の機械的耐久性が、90%以上、93%以上、若しくは95%以上である、請求項1~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
(i)1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、バガスを含み、若しくはバガスから本質的になり、固体バイオマス燃料が、0.60kg/L~0.65kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が95%以上であるか、
(ii)1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、ヒマワリ茎を含み、若しくはヒマワリ茎から本質的になり、前記固体バイオマス燃料が、0.60kg/L~0.65kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が95%以上であるか、
(iii)1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、小麦茎を含み、若しくは小麦茎から本質的になり、前記固体バイオマス燃料が、0.58kg/L~0.65kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が95%以上であるか、
(iv)1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、トウモロコシ茎を含み、若しくはトウモロコシ茎から本質的になり、前記固体バイオマス燃料が、0.61kg/L~0.66kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が96%以上であるか、
(v)1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、ソルガム茎を含み、若しくはソルガム茎から本質的になり、前記固体バイオマス燃料が、0.62kg/L~0.66kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が97%以上であるか、
(vi)1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、大豆茎を含み、若しくは大豆茎から本質的になり、前記固体バイオマス燃料が、0.61kg/L~0.66kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が96%以上であるか、
(vii)1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、ピーナッツ茎を含み、若しくはピーナッツ茎から本質的になり、前記固体バイオマス燃料が、0.62kg/L~0.68kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が97%以上であるか、
(viii)1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、綿茎を含み、若しくは綿茎から本質的になり、前記固体バイオマス燃料が、0.62kg/L~0.68kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が98%以上であるか、
(ix)1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、菜種茎を含み、若しくは菜種茎から本質的になり、前記固体バイオマス燃料が、0.58kg/L~0.65kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が98%以上であるか、
(x)1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、ココナッツ外殻を含み、若しくはココナッツ外殻から本質的になり、前記固体バイオマス燃料が、0.62kg/L~0.72kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が98%以上であるか、
(xi)1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、パーム殻を含み、若しくはパーム殻から本質的になり、前記固体バイオマス燃料が、0.62kg/L~0.70kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が98%以上であるか、
(xii)1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、海藻を含み、若しくは海藻から本質的になり、前記固体バイオマス燃料が、0.61kg/L~0.66kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が96%以上であるか、又は
(xiii)1若しくは2以上のバイオマスの供給源が、ピーナッツ皮を含み、若しくはピーナッツ皮から本質的になり、前記固体バイオマス燃料が、0.61kg/L~0.66kg/Lのバルク密度を有し、前記固体バイオマス燃料の機械的耐久性が97%以上であり、
前記バルク密度がDIN EN 15103によって決定され、前記機械的耐久性がDIN EN 15210-1によって決定される、請求項1~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
(i)バイオマス固体燃料の総乾燥硫黄含有量が、0.5重量%以下、好ましくは0.45重量%以下、最も好ましくは0.40重量%以下であり、前記総乾燥硫黄含有量がDIN EN 15289によって決定される、(ii)バイオマス固体燃料の総乾燥水素含有量が、3重量%以上、好ましくは5重量%~10重量%、より好ましくは5重量%~7重量%であり、前記総乾燥水素含有量がDIN EN 15104によって決定される、(iii)バイオマス固体燃料の総乾燥酸素含有量が、20重量%以上、好ましくは25重量%~42重量%、より好ましくは28重量%~40重量%であり、前記総乾燥酸素含有量がDIN EN 15296によって決定される、(iv)バイオマス固体燃料の総乾燥炭素含有量が、40重量%以上、好ましくは45重量%~65重量%、より好ましくは50重量%~60重量%であり、総乾燥炭素含有量がDIN EN 15104によって決定される、及び/又は(v)バイオマス固体燃料の総乾燥窒素含有量が、5.0重量%未満、好ましくは3.0重量%未満、より好ましくは2.5重量%未満であり、前記総乾燥窒素含有量がDIN EN 15104によって決定される、請求項1~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
(i)固体バイオマス燃料の化学的酸素要求量(COD)が、水中に浸漬させる場合、5000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、最も好ましくは3200ppm以下であり、前記化学的酸素要求量がGB/11914-89によって決定される、(ii)固体バイオマス燃料の固定炭素含有量が、20重量%以上、好ましくは25重量%~45重量%であり、前記固定炭素含有量がDIN EN 51734によって決定される、(iii)固体バイオマス燃料の灰分が、20重量%未満、好ましくは18重量%未満、より好ましくは10重量%未満であり、前記灰分が550℃において、EN 14775によって決定される、(iv)固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量が、35重量%~80重量%、より好ましくは40重量%~80重量%、最も好ましくは50重量%~80重量%であり、前記揮発性物質含有量がDIN EN 15148によって決定される、及び/又は(v)固体バイオマス燃料の内部水分率が、8重量%未満、好ましくは6重量%未満、より好ましくは5重量%未満であり、前記内部水分率が、DIN EN 14774によって決定される、請求項1~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
バイオマス固体燃料が、4300kcal/kg~6500kcal/kg、好ましくは4800kcal/kg~5800kcal/kgの発熱量を有し、前記発熱量がDIN EN 14918に従って決定される、請求項1~24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
バイオマス固体燃料が、10重量%未満、好ましくは8重量%未満、最も好ましくは6重量%未満のベース水分率を有し、前記ベース水分率がGB/T211-2017によって決定される、請求項1~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
固体バイオマス燃料のpHが4~10である、請求項1~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
固体バイオマス燃料の燃焼時のコークス残分が、1~4、好ましくは2~3である、請求項1~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
固体バイオマス燃料が、最大20日間、好ましくは最大30日間、より好ましくは最大40日間耐水性である、請求項1~28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
固体バイオマス燃料の燃焼時のPM1.0排出が、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である、請求項1~29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
成形バイオマス生成物のバルク密度がAであり、バイオマス固体燃料のバルク密度がBであって、B/Aが0.55~1であり、前記バルク密度がDIN EN 15103に従って決定される、請求項1~30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
バイオマスに由来する材料が、固体バイオマス燃料中に、前記固体バイオマス燃料の総燃料含有量の少なくとも95重量%の量で存在する、請求項1~31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
請求項1~32のいずれかに記載の方法によって得ることができる又は得られた固体バイオマス燃料。
【請求項34】
1又は2以上のバイオマスの供給源に由来する固体バイオマス燃料であって、前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、
(i)バガスを含む、バガスからなる、若しくはバガスから本質的になる、
(ii)ヒマワリ茎を含む、ヒマワリ茎からなる、若しくはヒマワリ茎から本質的になる、
(iii)小麦茎を含む、小麦茎からなる、若しくは小麦茎から本質的になる、
(iv)トウモロコシ茎を含む、トウモロコシ茎からなる、若しくはトウモロコシ茎から本質的になる、
(v)大豆茎を含む、大豆茎からなる、若しくは大豆茎から本質的になる、
(vi)ソルガム茎を含む、ソルガム茎からなる、若しくはソルガム茎から本質的になる、
(vii)ピーナッツ皮を含む、ピーナッツ皮からなる、若しくはピーナッツ殻から本質的になる、
(viii)綿茎を含む、綿茎からなる、若しくは綿茎から本質的になる、
(ix)菜種茎を含む、菜種茎からなる、若しくは菜種茎から本質的になる、
(x)ココナッツ殻を含む、ココナッツ殻からなる、若しくはココナッツ殻から本質的になる、
(xi)パーム殻を含む、パーム殻からなる、若しくはパーム殻から本質的になる、
(xii)海藻を含む、海藻からなる、若しくは海藻から本質的になる、又は
(xiii)ピーナッツ皮を含む、ピーナッツ皮からなる、若しくはピーナッツ皮から本質的になる、
前記固体バイオマス燃料。
【請求項35】
1若しくは2以上のバイオマスの供給源又は固体バイオマス燃料が、請求項1~32のいずれかに規定される通りである、請求項33又は34に記載の固体バイオマス燃料。
【請求項36】
請求項33~35のいずれかに記載の固体バイオマス燃料を、エネルギーを生じるように燃焼させるステップを含む、燃焼方法。
【請求項37】
石炭などの化石燃料と一緒に固体バイオマス燃料を同時焼成し、燃焼させる、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
方法のPM1.0排出が、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
燃焼方法における燃料としての、請求項33~35のいずれかに記載の固体バイオマス燃料の使用であって、任意に、前記固体バイオマス燃料を、請求項36~38のいずれかに記載の方法に使用することを含み、任意に、前記燃焼方法が、石炭などの化石燃料と一緒に前記固体バイオマス燃料を同時焼成することを含む、前記使用。
【請求項40】
燃焼方法のPM1.0排出が、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
固体バイオマス燃料を生成するための1又は2以上のバイオマスの供給源の使用であって、前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、(i)バガスを含む、バガスからなる、若しくはバガスから本質的になる、(ii)ヒマワリ茎を含む、ヒマワリ茎からなる、若しくはヒマワリ茎から本質的になる、(iii)小麦茎を含む、小麦茎からなる、若しくは小麦茎から本質的になる、(iv)トウモロコシ茎を含む、トウモロコシ茎からなる、若しくはトウモロコシ茎から本質的になる、(v)大豆茎を含む、大豆茎からなる、若しくは大豆茎から本質的になる、(vi)ソルガム茎を含む、ソルガム茎からなる、若しくはソルガム茎から本質的になる、(vii)ピーナッツ皮を含む、ピーナッツ皮からなる、若しくはピーナッツ皮から本質的になる、(viii)綿茎を含む、綿茎からなる、若しくは綿茎から本質的になる、(ix)菜種茎を含む、菜種茎からなる、若しくは菜種茎から本質的になる、(x)ココナッツ殻を含む、ココナッツ殻からなる、若しくはココナッツ殻から本質的になる、(xi)パーム殻を含む、パーム殻からなる、若しくはパーム殻から本質的になる、(xii)海藻を含む、海藻からなる、若しくは海藻から本質的になる、又は(xiii)ピーナッツ皮を含む、ピーナッツ皮からなる、若しくはピーナッツ皮から本質的になる、前記使用。
【請求項42】
1又は2以上のバイオマスの供給源を、請求項1~32のいずれかに記載の方法に使用することを含む、及び/又は固体バイオマス燃料が、請求項32~34のいずれかに規定される通りである、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
固体バイオマス燃料の生成において使用するために、1又は2以上のバイオマスの供給源を前処理するための前処理方法であって、
(i)30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有する、前記1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ、
(ii)前記1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~10,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ、
(iii)前記微粉化バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥微粉化バイオマス粉末を提供するステップ、
を含み、
前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、バガス、ヒマワリ茎、小麦茎、トウモロコシ茎、ソルガム茎、大豆茎、ピーナッツ茎、綿茎、菜種茎、ココナッツ殻、パーム殻、海藻、ピーナッツ皮、又はこれらの組合せを含む、前記前処理方法。
【請求項44】
30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有する1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ(i)が、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、前記1又は2以上のバイオマスの供給源をチョッピングすることを含む、請求項43に記載の前処理方法。
【請求項45】
1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~10,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ(ii)が、(a)負圧空気輸送装置の使用を伴う方法で前記1又は2以上のバイオマスの供給源を粉砕することであって、前記1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が20重量%以下である、前記粉砕することを含む、請求項43又は44に記載の前処理方法。
【請求項46】
微粉化バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥微粉化バイオマス粉末を提供するステップ(iii)が、乾燥シリンダー内で微粉化バイオマスを乾燥させることを含む、請求項1~45のいずれかに記載の前処理方法。
【請求項47】
微粉化バイオマス粉末の水分率が20重量%以下であり、方法が、単一の乾燥シリンダー内で微粉化バイオマスを乾燥させることを含む、請求項46に記載の前処理方法。
【請求項48】
微粉化バイオマス粉末の水分率が20重量%以上であり、方法が、複数の乾燥シリンダー内で微粉化バイオマスを乾燥させることを含む、請求項46に記載の前処理方法。
【請求項49】
微粉化バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥微粉化バイオマス粉末を提供するステップ(iii)が、乾燥させながら微粉化バイオマス粉末粒子を混合することをさらに含む、請求項43~47のいずれかに記載の前処理方法。
【請求項50】
1又は2以上のバイオマスの供給源が、請求項1~32のいずれかに規定される通りである、請求項43~49のいずれかに記載の前処理方法。
【請求項51】
請求項43~50のいずれかに記載の前処理方法であって、固体バイオマス燃料を生成する方法の前に行われ、前記固体バイオマス燃料を生成する方法が、1又は2以上のバイオマスの供給源を成形又は加熱するステップを含み、任意に、前記生成する方法が、請求項1~32のいずれかに規定される通りである、前処理方法。
【請求項52】
固体バイオマス燃料を後処理するための後処理方法であって、前記固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップを含み、前記固体バイオマス燃料が、1又は2以上のバイオマスの供給源に由来し、前記1又は2以上のバイオマスの供給源が、バガス、ヒマワリ茎、小麦茎、トウモロコシ茎、ソルガム茎、大豆茎、ピーナッツ茎、綿茎、菜種茎、ココナッツ殻、パーム殻、海藻、ピーナッツ皮、又はこれらの組合せを含む、前記後処理方法。
【請求項53】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップが、スクリーンを用いて、前記固体バイオマス燃料から塵粒子を除去することを含む、請求項52に記載の後処理方法。
【請求項54】
スクリーンが2mm~8mmのポアサイズを有し、好ましくは、前記スクリーンが2mm~5mmのポアサイズを有し、より好ましくは、前記スクリーンが2mm~3mmのポアサイズを有する、請求項53に記載の後処理方法。
【請求項55】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するスクリーニングデバイスとしてドラムシーブが使用され、好ましくは、前記ドラムシーブが回転ドラムシーブを含む、請求項53又は54に記載の後処理方法。
【請求項56】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップが、前記固体バイオマス燃料を、振動、回転、ローリング、又はこれらの任意の組合せに供することを含む、請求項52~55のいずれかに記載の後処理方法。
【請求項57】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップが、振動スクリーンを使用することを含み、前記振動スクリーンが2mm~8mmのポアサイズを有し、好ましくは、前記スクリーンが2mm~5mmのポアサイズを有し、より好ましくは、前記スクリーンが2mm~3mmのポアサイズを有する、請求項56に記載の後処理方法。
【請求項58】
請求項52~57のいずれかに記載の後処理方法であって、固体バイオマス燃料を生成する方法の後に行われ、前記固体バイオマス燃料を生成する方法が、1又は2以上のバイオマスの供給源を成形又は加熱するステップを含み、任意に、前記生成する方法が、請求項1~32のいずれかに規定される通りである、前記後処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体バイオマス燃料を生成するための方法、及び前記方法によって生成される固体バイオマス燃料に関する。したがって、本発明は、前記固体バイオマス燃料を、エネルギーを生じるように燃焼させるステップを含む、燃焼方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭火力発電は、世界中で発電所及び工業プロセスにおいて使用されている。石炭及び他の化石燃料は、非再生可能エネルギー資源である。ここ数十年にわたって、石炭火力発電所における石炭の消費を低減し、代わりにエネルギーのために再生可能資源を使用することが要求されている。
【0003】
バイオマスに由来する燃料は、石炭に取って代わる、又は少なくとも部分的に取って代わるように使用することができる、再生可能エネルギー源の一例である。バイオマス由来燃料は、発電所におけるエネルギーを生じるための燃焼方法において、酸素の存在下で燃やすことができる。バイオマス由来燃料は、当初は石炭燃焼用に設計された伝統的な発電所において燃焼させることができ、又はバイオマス由来燃料は、特にバイオマス燃焼用に建設された発電所において燃焼させることができる。ある特定の形態のバイオマスは、石炭と混合して、発電所内の同じ燃焼方法において燃焼させることができる。このような方法は、バイオマスの石炭同時焼成として公知である。石炭との同時焼成に好適であるためには、バイオマス由来燃焼は、典型的には、特性に関するある特定のレベルの質及び均質性など、ある特定の特性を有しなければならない。例えば、均質なサイズ、密度、水分率等の粒子を含むバイオマス燃料は、同時焼成方法に特に望ましい。バイオマス燃料が低レベルの灰を含有することも望ましい。バイオマス由来燃料中の灰のレベルは、典型的には、石炭に見られるレベルよりも高い。
【0004】
バイオマス供給源から固体バイオマス燃料を生成するための様々な方法が公知である。国際公開第2014/087949号パンフレットは、バイオマスの供給源を水蒸気爆砕した後でバイオマスブロックに成形し、次いで、バイオマス燃料が形成されるように加熱する、固体バイオマス燃料を生成するための方法を開示している。この方法の狙いは、貯蔵時の十分な取り扱い性を有し、貯蔵時の排水中の化学的酸素要求量(COD,chemical oxygen demand)が低減した、バイオマス燃料を生成することである。この方法において使用されるバイオマス供給源は、パーム核外殻である。
【0005】
国際公開第2016/056608号パンフレットは、国際公開第2014/087949号パンフレットの教示のもとに構築され、燃料を生成するために水蒸気爆砕ステップを必要としない、固体バイオマス燃料を製造するための方法を開示している。この方法は、バイオマス供給源を粉砕した後、圧縮してバイオマスブロックに成形する、成形するステップを含み、その後バイオマスブロックを加熱する。前記方法における使用について教示されるバイオマス供給源は、ベイマツ、ベイツガ、スギ、ヒノキ、ヨーロッパアカマツ、アーモンド古木、アーモンド外殻、アカシア木部、アカシア樹皮、クルミ外殻、サゴヤシ、空果房、メランティ、及びゴムなどの樹木である。
【0006】
国際公開第2017/175733号パンフレットは、バイオマス供給源を粉砕した後、圧縮してバイオマスブロックに成形する、成形するステップを含み、その後バイオマスブロックを加熱する、同様の方法を開示している。国際公開第2017/175733号パンフレットの方法は、低崩壊を呈し、雨水に曝露した場合の排水中のCODの低減を達成するバイオマス燃料を提供することを対象とする。この方法に使用されるバイオマスの供給源は、ゴムノキ、アカシア、メランティ、ユーカリ、チーク、及びカラマツとトウヒとカバノキとの混合物から選択される。
【0007】
国際公開第2019/069849号パンフレットは、輸送及び貯蔵が容易であり、貯蔵時の自然燃焼への抵抗性があるバイオマス燃料を提供することを狙いとする。バイオマス燃料は、バイオマス供給源を粉砕した後、圧縮してバイオマスブロックに成形する、成形するステップを含み、その後バイオマスブロックを加熱する方法によって作製される。燃料を生成するためのバイオマス供給源は、ゴムノキ、アカシア樹木、ラジアータパイン、カラマツとトウヒとカバノキとの混合物、並びにトウヒ、マツ、及びモミから選択される。
【0008】
国際公開第2019/069860号パンフレットは、バイオマス固体燃料を生成するための装置を開示している。この装置は、成形バイオマス生成物を炭化させて、バイオマス固体燃料を得るための炭化炉を含む。この装置は、収率算出ユニット、温度測定ユニット、及び制御ユニットをさらに含む。制御ユニットは、バイオマス燃料の自然燃焼特性に基づいて、炭化炉に適用される熱を制御する。成形バイオマス生成物は、バイオマス供給源を微粉化してペレットにした後、前記ペレットを成形バイオマス燃料に成形することによって形成される。バイオマス供給源は、ゴムノキ、アカシア、フタバガキ(dipterocarp)、ラジアータパイン、カラマツとトウヒとカバノキとの混合物、又はトウヒとマツとモミとの混合物から選択される。
【0009】
国際公開第2018/181919号パンフレットは、固体バイオマス燃料を生成するための、上に論じたものとは異なる方法を開示している。この方法には、バイオマスの供給源を、バイオマスが炭化されるように熱水中で加圧する、バイオマスの水熱炭化のステップが伴う。この方法は、高収率かつ低減した製造コストで、高い微粉砕性を有するバイオマス燃料を提供することが報告されている。バイオマスの供給源は、殻、パーム核外殻、ココヤシ、竹、空果房、アンズ、及びナスから選択される。
【0010】
国際公開第2017/175737号パンフレットは、炭化バイオマスを冷却するための冷却装置を開示している。この装置は、半炭化成形バイオマスの冷却効率を改善する。この装置はバイオマスを、水を噴霧することによって冷却する。冷却器は、振動平板、及び平板に水を噴霧するための噴霧セクションを含む。バイオマス燃料は、上に論じたものと同じ方法によって生成する。バイオマス燃料を生成するためのバイオマスの供給源は、ベイマツ、ベイツガ、スギ、ヒノキ、ヨーロッパアカマツ、アーモンド古木、アーモンド外殻、アカシア木部、アカシア樹皮、クルミ外殻、サゴヤシ、空果房、メランティ、及びゴムノキである。
【0011】
最後に、国際公開第2014/050964号パンフレットは、石炭とともに微粉砕できるように、バイオマスの微粉砕性を改善するための方法を開示している。この方法には、微粉砕木質バイオマスの水分率を10~50%に上昇させること、0.55g/cm以上の密度を有するようにバイオマスを高密度化した後、バイオマスを焙焼に供することが伴う。バイオマスの供給源としては、ウッドチップ、樹皮、経木、及びおがくずが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際公開第2014/087949号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2016/056608号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2017/175733号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2019/069849号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2019/069860号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2018/181919号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2017/175737号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2014/050964号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の発明者らは、上の文献において論じられた固体バイオマス燃料及びその製造のための方法が、これらに関連する様々な問題を有することを認識している。例えば、上の文献に記載されるバイオマス供給源はすべて、典型的には天然にのみ存在し、商業規模において栽培及び収穫することが容易ではない植物及び樹木である。本発明者らは、容易に成長させ、収穫できる、又は商業規模において利用可能なバイオマスの供給源を有することが有利であると認識している。バイオマス供給源の質及び特定の特徴を制御できるように、成長させ、収穫できるバイオマスの供給源を有することも有利である。燃料として使用するための十分な量のバイオマス供給源を提供するために、大規模な伐採を必要としない、代替バイオマス供給源を有することも有利であろう。
【0014】
加えて、本発明者らは、すべて木質材料又は同様の材料を含む、上の文献に記載されるバイオマスの供給源は、当技術分野において公知である従来の微粉化技法に供する場合、低い均質度を有する粒子を形成することを見出した。さらに、バイオマス供給源を微粉化することは、木材及び木材様材料は微粉化が困難であるという性質に起因して、費用がかかる。本発明の発明者らは、当技術分野において公知である従来の微粉化技法によってより容易に微粉化され、微粉化した場合により均質なサイズの粒子を形成するバイオマスの供給源を有することは、有利であると認識している。
【0015】
加えて、本発明者らは、上の文献において論じられたバイオマス供給源から調製される、及び上の文献における方法によって調製される、固体バイオマス燃料は、十分な防水特徴を有しないことを見出した。固体バイオマス燃料は、燃焼方法(単独で、又は石炭との同時焼成の場合のいずれか)に使用する時点で乾燥(又は少なくとも十分に乾燥)している必要があるため、防水特徴は固体バイオマス燃料には重要である。バイオマス燃料は、貯蔵又は輸送中に(例えば雨水から)、頻繁に水分に曝露される。したがって、耐水能力が上昇したバイオマス燃料が望ましい。
【0016】
本発明者らはまた、上の文献に記載されるバイオマス燃料生成方法は、十分な質及び一様性を有する燃料を提供しないことを認識している。特に、上に論じた方法は、成形するステップ中のバイオマスの密度の十分な制御を提供しない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、以前の方法に関連して上に論じた問題に対処するものである。本発明の発明者らは、驚くべきことに、固体バイオマス燃料を提供するのに有用な、ある特定のバイオマスの供給源を、商業規模において成長させ、収穫できることを見出した。そうすることで、決まった一定のバイオマスの供給源を、燃料の生成のために、成長サイクルにおいて提供することができる。加えて、前記バイオマスの供給源を商業規模において成長させ、収穫すると、例えば、栽培及び交配の技法によって、バイオマス供給源の質及び一様性を制御することができる。
【0018】
加えて、本発明の発明者らはまた、農業廃棄生成物である、ある特定のバイオマスの供給源を使用して、固体バイオマス燃料を生成できることを見出した。
【0019】
上記に加えて、本発明の発明者らはまた、方法の微粉化するステップ、成形するステップ及び/又は加熱するステップを変更することによって、改善された耐水特徴を有するバイオマス燃料を提供できることを見出した。本発明の方法の微粉化するステップ、成形するステップ及び加熱するステップの適応及び制御によって、固体バイオマス燃料生成物の質及び一様性が改善し、燃焼方法における使用に非常に好ましいある特定の物理的特徴が、固体バイオマス燃料生成物に付与されることも見出した。さらに、成形するステップ及び加熱するステップを適応させることで、固体バイオマス燃料の収率が上昇し、輸送及び貯蔵を容易にする特徴が、燃料に付与されることが見出されている。本発明者らは、バイオマス供給源の性質と、微粉化、成形及び加熱するステップの特定の特性とがともに作用して、当技術分野において公知のものを超える、燃焼方法における使用のための優れたバイオマス燃料生成物を提供することを見出した。
【0020】
本発明の第1の態様によれば、固体バイオマス燃料を生成するための方法であって、
(i)30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(average particle diameter)(D50)を有する、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ、
(ii)1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~10,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ、
(iii)微粉化バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥微粉化バイオマス粉末を提供するステップ、
(iv)乾燥微粉化バイオマス粉末を成形して、成形バイオマス生成物を提供するステップ、
(v)成形バイオマス生成物を、0.25~5時間、160℃~420℃の温度に加熱して、固体バイオマス燃料を提供するステップ、及び
(vi)固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ
を含み、
1又は2以上のバイオマスの供給源が、バガス、ヒマワリ茎、小麦茎、トウモロコシ茎、ソルガム茎、大豆茎、ピーナッツ茎、綿茎、菜種茎、ココナッツ殻、パーム殻、海藻、ピーナッツ皮、又はこれらの組合せを含む、方法が提供される。
【0021】
好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源が、バガス、ヒマワリ茎、小麦茎、トウモロコシ茎、ソルガム茎、大豆茎、ピーナッツ茎、綿茎、菜種茎、ココナッツ殻、パーム殻、海藻、ピーナッツ皮、又はこれらの組合せから本質的になる、又はこれらからなる。
【0022】
典型的には、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有する1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ(i)は、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、1又は2以上のバイオマスの供給源をチョッピングすることを含む。
【0023】
実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~10,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ(ii)は、(a)負圧空気輸送装置の使用を伴う方法で1又は2以上のバイオマスの供給源を粉砕することであって、1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が20重量%以下である、粉砕することを含む。
【0024】
典型的には、微粉化バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥微粉化バイオマス粉末を提供するステップ(iii)は、乾燥シリンダー内で微粉化バイオマスを乾燥させることを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、微粉化バイオマス粉末の水分率は20重量%以上であり、方法は、複数の乾燥シリンダー内で微粉化バイオマスを乾燥させることを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、微粉化バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥微粉化バイオマス粉末を提供するステップ(iii)は、乾燥させながら微粉化バイオマス粉末粒子を混合することをさらに含む。
【0027】
典型的には、乾燥微粉化バイオマス粉末を成形するステップ(iv)は、成形バイオマス生成物の密度が制御されるように、成形するステップを適応させることを含み、任意に、成形バイオマス生成物の密度が制御されるように、成形するステップを適応させることは、前記成形するステップに使用される型の圧縮比を制御することを含む。
【0028】
典型的には、乾燥微粉化バイオマス粉末を成形するステップ(iv)の前に、乾燥圧縮バイオマス粉末に添加剤を加える。好ましくは、添加剤によって、成形バイオマス生成物の収率が上昇する。
【0029】
典型的には、成形バイオマス生成物を加熱するステップ(v)は、0.4~2.5時間行われる、及び/又は成形バイオマス生成物を加熱するステップは、成形バイオマス生成物を、180℃~350℃、任意に210℃~280℃の温度に加熱することを含む。好ましくは、成形バイオマス生成物を加熱するステップ(v)は、成形バイオマス生成物の焙焼を誘導するための条件下で、成形バイオマス生成物を加熱することを含む。
【0030】
典型的には、成形バイオマス生成物を加熱するステップ(v)を、固体バイオマス燃料の一様性が制御されるように適応させ、任意に、ステップ(v)を、固体バイオマス燃料の一様性が制御されるように適応させることは、成形バイオマス生成物を加熱しながら回転させる装置において、ステップ(v)を実施することを含み、任意に、ステップ(v)を、固体バイオマス燃料の一様性が制御されるように適応させることは、成形バイオマス生成物の回転の速さ又は方向を制御することを含み、任意に、成形バイオマス生成物を、装置において、反時計回りと時計回りとの両方の方向に回転させる。
【0031】
好ましくは、この方法は、加熱するステップ(v)の後、かつ固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ(vi)の前に、固体バイオマス燃料を冷却するステップをさらに含む。
【0032】
典型的には、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ(vi)は、スクリーンを用いて、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去することを含む。典型的には、スクリーンは2mm~8mmのポアサイズを有し、好ましくは、スクリーンは2mm~5mmのポアサイズを有し、より好ましくは、スクリーンは2mm~3mmのポアサイズを有する。いくつかの実施形態では、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するスクリーニングデバイスとしてドラムシーブが使用され、好ましくは、ドラムシーブは回転ドラムシーブを含む。
【0033】
あるいは、又は加えて、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ(vi)は、固体バイオマス燃料を、振動、回転、ローリング、又はこれらの任意の組合せに供することを含む。いくつかの実施形態では、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ(vi)は、振動スクリーンを使用することを含み、振動スクリーンは、2mm~8mmのポアサイズを有し、好ましくは、スクリーンは2mm~5mmのポアサイズを有し、より好ましくは、スクリーンは2mm~3mmのポアサイズを有する。
【0034】
典型的には、DIN EN 15103によって決定される固体バイオマス燃料のバルク密度は、0.55kg/l~0.8kg/l、好ましくは0.60kg/l~0.75kg/l、より好ましくは0.60~0.70kg/Lである。
【0035】
典型的には、DIN EN 15210-1によって決定される固体バイオマス燃料の機械的耐久性は、90%以上、93%以上、又は95%以上である。
【0036】
この方法のいくつかの実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源及び固体バイオマス燃料は、次の通りである:
(i)1又は2以上のバイオマスの供給源は、バガスを含み、又はバガスから本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.60kg/L~0.65kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、
(ii)1又は2以上のバイオマスの供給源は、ヒマワリ茎を含み、又はヒマワリ茎から本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.60kg/L~0.65kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、
(iii)1又は2以上のバイオマスの供給源は、小麦茎を含み、又は小麦茎から本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.58kg/L~0.65kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は95%以上であり、
(iv)1又は2以上のバイオマスの供給源は、トウモロコシ茎を含み、又はトウモロコシ茎から本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.61kg/L~0.66kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は96%以上であり、
(v)1又は2以上のバイオマスの供給源は、ソルガム茎を含み、又はソルガム茎から本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.62kg/L~0.66kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は97%以上であり、
(vi)1又は2以上のバイオマスの供給源は、大豆茎を含み、又は大豆茎から本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.61kg/L~0.66kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は96%以上であり、
(vii)1又は2以上のバイオマスの供給源は、ピーナッツ茎を含み、又はピーナッツ茎から本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.62kg/L~0.68kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は97%以上であり、
(viii)1又は2以上のバイオマスの供給源は、綿茎を含み、又は綿茎から本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.62kg/L~0.68kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は98%以上であり、
(ix)1又は2以上のバイオマスの供給源は、菜種茎を含み、又は菜種茎から本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.58kg/L~0.65kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は98%以上であり、
(x)1又は2以上のバイオマスの供給源は、ココナッツ外殻を含み、又はココナッツ外殻から本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.62kg/L~0.72kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は98%以上であり、
(xi)1又は2以上のバイオマスの供給源は、パーム殻を含み、又はパーム殻から本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.62kg/L~0.70kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は98%以上であり、
(xii)1又は2以上のバイオマスの供給源は、海藻を含み、又は海藻から本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.61kg/L~0.66kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は96%以上であり、
(xiii)1又は2以上のバイオマスの供給源は、ピーナッツ皮を含み、又はピーナッツ皮から本質的になり、固体バイオマス燃料は、0.61kg/L~0.66kg/Lのバルク密度を有し、固体バイオマス燃料の機械的耐久性は97%以上であり、
バルク密度はDIN EN 15103によって決定され、機械的耐久性はDIN EN 15210-1によって決定される。
【0037】
典型的には、バイオマス固体燃料の総乾燥硫黄含有量は、0.5重量%以下、好ましくは0.45重量%以下、より好ましくは0.40重量%以下、最も好ましくは0.15%~0.20%であり、総乾燥硫黄含有量はDIN EN 15289によって決定される。
【0038】
典型的には、バイオマス固体燃料の総乾燥水素含有量は、3重量%以上、好ましくは5重量%~10重量%、より好ましくは5重量%~7重量%であり、総乾燥水素含有量はDIN EN 15104によって決定される。
【0039】
典型的には、バイオマス固体燃料の総乾燥酸素含有量は、20重量%以上、好ましくは25重量%~42重量%、より好ましくは28重量%~40重量%であり、総乾燥酸素含有量はDIN EN 15296によって決定される。
【0040】
典型的には、バイオマス固体燃料の総乾燥炭素含有量は、40重量%以上、好ましくは45重量%~65重量%、より好ましくは50重量%~60重量%であり、総乾燥炭素含有量はDIN EN 15104によって決定される。
【0041】
典型的には、バイオマス固体燃料の総乾燥窒素含有量は、5.0重量%未満、好ましくは3.0重量%未満、より好ましくは2.5重量%未満であり、総乾燥窒素含有量はDIN EN 15104によって決定される。
【0042】
典型的には、固体バイオマス燃料の化学的酸素要求量(COD)は、水中に浸漬させる場合、5000ppm以下、好ましくは4000ppm以下、最も好ましくは3200ppm以下であり、化学的酸素要求量はGB/11914-89によって決定される。
【0043】
典型的には、固体バイオマス燃料の固定炭素含有量は、20重量%以上、好ましくは25重量%~45重量%であり、固定炭素含有量はDIN EN 51734によって決定される。
【0044】
典型的には、固体バイオマス燃料の灰分は、20重量%未満、好ましくは18重量%未満、より好ましくは10重量%未満であり、灰分は550℃において、EN 14775によって決定される。
【0045】
典型的には、固体バイオマス燃料の揮発性物質含有量は、35重量%~80重量%、より好ましくは40重量%~80重量%、最も好ましくは50重量%~80重量%であり、揮発性物質含有量はDIN EN 15148によって決定される。
【0046】
典型的には、固体バイオマス燃料の内部水分率は、8重量%未満、好ましくは6重量%未満、より好ましくは5重量%未満であり、内部水分率は、DIN EN 14774によって決定される。
【0047】
典型的には、バイオマス固体燃料は、4300kcal/kg~6500kcal/kg、好ましくは4800kcal/kg~5800kcal/kgの発熱量を有し、発熱量はDIN EN 14918に従って決定される。
【0048】
典型的には、バイオマス固体燃料は、10重量%未満、好ましくは8重量%未満、最も好ましくは6重量%未満のベース水分率を有し、ベース水分率はGB/T 211-2017によって決定される。
【0049】
典型的には、固体バイオマス燃料のpHは4~10である。
【0050】
典型的には、固体バイオマス燃料の燃焼時のコークス残分は、1~4、好ましくは2~3である。
【0051】
典型的には、固体バイオマス燃料は、最大20日間、好ましくは最大30日間、より好ましくは最大40日間耐水性である。
【0052】
典型的には、固体バイオマス燃料の燃焼時のPM1.0排出は、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である。
【0053】
典型的には、成形バイオマス生成物のバルク密度がAであり、バイオマス固体燃料のバルク密度がBであって、B/Aは0.55~1であり、バルク密度はDIN EN 15103に従って決定される。
【0054】
好ましくは、バイオマスに由来する材料は、固体バイオマス燃料中に、固体バイオマス燃料の総燃料含有量の少なくとも95重量%の量で存在する。
【0055】
本発明の第2の態様によれば、先行する請求項のいずれかによる方法によって得ることができる又は得られた固体バイオマス燃料が提供される。
【0056】
本発明の第3の態様によれば、1又は2以上のバイオマスの供給源に由来する固体バイオマス燃料であって、1又は2以上のバイオマスの供給源が、
(i)バガスを含む、バガスからなる、若しくはバガスから本質的になる、
(ii)ヒマワリ茎を含む、ヒマワリ茎からなる、若しくはヒマワリ茎から本質的になる、
(iii)小麦茎を含む、小麦茎からなる、若しくは小麦茎から本質的になる、
(iv)トウモロコシ茎を含む、トウモロコシ茎からなる、若しくはトウモロコシ茎から本質的になる、
(v)大豆茎を含む、大豆茎からなる、若しくは大豆茎から本質的になる、
(vi)ソルガム茎を含む、ソルガム茎からなる、若しくはソルガム茎から本質的になる、
(vii)ピーナッツ茎を含む、ピーナッツ茎からなる、若しくはピーナッツ茎から本質的になる、
(viii)綿茎を含む、綿茎からなる、若しくは綿茎から本質的になる、
(ix)菜種茎を含む、菜種茎からなる、若しくは菜種茎から本質的になる、
(x)ココナッツ殻を含む、ココナッツ殻からなる、若しくはココナッツ殻から本質的になる、
(xi)パーム殻を含む、パーム殻からなる、若しくはパーム殻から本質的になる、
(xii)海藻を含む、海藻からなる、若しくは海藻から本質的になる、又は
(xiii)ピーナッツ皮を含む、ピーナッツ皮からなる、若しくはピーナッツ皮から本質的になる、
固体バイオマス燃料が提供される。
【0057】
好ましくは、本発明の第2及び第3の態様における1又は2以上のバイオマスの供給源又は固体バイオマス燃料は、本発明の第1の態様に従って上に規定される通りである。
【0058】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第2又は第3の態様に従った固体バイオマス燃料を、エネルギーを生じるように燃焼させるステップを含む、燃焼方法が提供される。
【0059】
好ましくは、石炭などの化石燃料と一緒に固体バイオマス燃料を同時焼成し、燃焼させる。
【0060】
好ましくは、方法のPM1.0排出は、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である。
【0061】
好ましくは、固体バイオマス燃料の燃焼時のコークス残分は、1~4、好ましくは2~3である。
【0062】
本発明の第5の態様によれば、燃焼プロセスにおける燃料としての本発明の第2又は第3の態様による固体バイオマス燃料の使用であって、任意に、本発明の第4の態様による方法において固体バイオマス燃料を使用することを含み、任意に、燃焼方法が、石炭などの化石燃料と一緒に固体バイオマス燃料を同時焼成することを含む、使用が提供される。
【0063】
好ましくは、方法のPM1.0排出は、175mg/kg未満、好ましくは150mg/kg未満である。
【0064】
好ましくは、固体バイオマス燃料の燃焼時のコークス残分は、1~4、好ましくは2~3である。
【0065】
本発明の第6の態様によれば、固体バイオマス燃料を生成するための1又は2以上のバイオマスの供給源の使用であって、1又は2以上のバイオマスの供給源は、(i)バガスを含む、バガスからなる、若しくはバガスから本質的になる、(ii)ヒマワリ茎を含む、ヒマワリ茎からなる、若しくはヒマワリ茎から本質的になる、(iii)小麦茎を含む、小麦茎からなる、若しくは小麦茎から本質的になる、(iv)トウモロコシ茎を含む、トウモロコシ茎からなる、若しくはトウモロコシ茎から本質的になる、(v)大豆茎を含む、大豆茎からなる、若しくは大豆茎から本質的になる、(vi)ソルガム茎を含む、ソルガム茎からなる、若しくはソルガム茎から本質的になる、(vii)ピーナッツ茎を含む、ピーナッツ茎からなる、若しくはピーナッツ茎から本質的になる、(viii)綿茎を含む、綿茎からなる、若しくは綿茎から本質的になる、(ix)菜種茎を含む、菜種茎からなる、若しくは菜種茎から本質的になる、(x)ココナッツ殻を含む、ココナッツ殻からなる、若しくはココナッツ殻から本質的になる、(xi)パーム殻を含む、パーム殻からなる、若しくはパーム殻から本質的になる、(xii)海藻を含む、海藻からなる、若しくは海藻から本質的になる、又は(xiii)ピーナッツ殻を含む、ピーナッツ殻からなる、若しくはピーナッツ殻から本質的になる、使用が提供される。
【0066】
好ましくは、使用は、本発明の第1の態様による方法において1若しくは2以上のバイオマスの供給源を使用することを含み、及び/又は固体バイオマス燃料は、本発明の第2若しくは第3の態様に従ったものである。
【0067】
本発明の第7の態様によれば、固体バイオマス燃料の生成において使用するために、1又は2以上のバイオマスの供給源を前処理するための前処理方法であって、
(i)30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有する、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ、
(ii)1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~10,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ、
(iii)微粉化バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥微粉化バイオマス粉末を提供するステップ
を含み、
1又は2以上のバイオマスの供給源が、バガス、ヒマワリ茎、小麦茎、トウモロコシ茎、ソルガム茎、大豆茎、ピーナッツ茎、綿茎、菜種茎、ココナッツ殻、パーム殻、海藻、ピーナッツ皮、又はこれらの組合せを含む、
前処理方法が提供される。
【0068】
典型的には、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有する1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップ(i)は、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、1又は2以上のバイオマスの供給源をチョッピングすることを含む。
【0069】
典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~10,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップ(ii)は、(a)負圧空気輸送装置の使用を伴う方法で1又は2以上のバイオマスの供給源を粉砕することであって、1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が20重量%以下である、粉砕することを含む。
【0070】
典型的には、微粉化バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥微粉化バイオマス粉末を提供するステップ(iii)は、乾燥シリンダー内で微粉化バイオマスを乾燥させることを含む。典型的には、微粉化バイオマス粉末の水分率が20重量%以下である場合、方法は、単一の乾燥シリンダー内で微粉化バイオマスを乾燥させることを含む。典型的には、微粉化バイオマス粉末の水分率が20重量%以上である場合、方法は、複数の乾燥シリンダー内で微粉化バイオマスを乾燥させることを含む。
【0071】
典型的には、微粉化バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥微粉化バイオマス粉末を提供するステップ(iii)は、乾燥させながら微粉化バイオマス粉末粒子を混合することをさらに含む。
【0072】
好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源は、本発明の第1の態様に従って上に規定される通りである。
【0073】
典型的には、前処理方法は、固体バイオマス燃料を生成する方法の前に行われ、固体バイオマス燃料を生成する方法が、1又は2以上のバイオマスの供給源を成形するステップ又は加熱するステップを含み、任意に、方法は、本発明の第1の態様に従って上に規定される通りである。
【0074】
本発明の第8の態様によれば、固体バイオマス燃料を後処理するための後処理方法であって、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップを含み、固体バイオマス燃料が、1又は2以上のバイオマスの供給源に由来し、1又は2以上のバイオマスの供給源が、バガス、ヒマワリ茎、小麦茎、トウモロコシ茎、ソルガム茎、大豆茎、ピーナッツ茎、綿茎、菜種茎、ココナッツ殻、パーム殻、海藻、ピーナッツ皮、又はこれらの組合せを含む、後処理方法が提供される。
【0075】
好ましくは、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップは、スクリーンを用いて、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去することを含む。好ましくは、スクリーンは2mm~8mmのポアサイズを有し、好ましくは、スクリーンは2mm~5mmのポアサイズを有し、より好ましくは、スクリーンは2mm~3mmのポアサイズを有する。
【0076】
典型的には、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するスクリーニングデバイスとしてドラムシーブが使用され、好ましくは、ドラムシーブは回転ドラムシーブを含む。
【0077】
加えて、又はあるいは、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップは、固体バイオマス燃料を、振動、回転、ローリング、又はこれらの任意の組合せに供することを含む。いくつかの実施形態では、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップは、振動スクリーンを使用することを含み、振動スクリーンは、2mm~8mmのポアサイズを有し、好ましくは、スクリーンは2mm~5mmのポアサイズを有し、より好ましくは、スクリーンは2mm~3mmのポアサイズを有する。
【0078】
典型的には、本発明の後処理方法は、固体バイオマス燃料を生成する方法の後に行われ、固体バイオマス燃料を生成する方法が、1又は2以上のバイオマスの供給源を成形するステップ又は加熱するステップを含み、任意に、方法は、本発明の第1の態様に従って上に規定される通りである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
例として、添付の図を参照しながら、本発明をここに記載する。
図1】DIN EN ISO 17828によって決定された、本発明の様々な固体バイオマス燃料のバルク密度を示す図である。
図2】DIN EN 15210-1によって決定された、本発明の様々な固体バイオマス燃料の機械的耐久性を示す図である。
図3】DIN EN 15289によって決定された、本発明の様々なバイオマス燃料の硫黄含有量を示す図である。
図4】DIN EN 15104によって決定された、本発明の様々なバイオマス燃料の乾燥水素含有量を示す図である。
図5】DIN EN 15296によって決定された、本発明の様々なバイオマス燃料の乾燥酸素含有量を示す図である。
図6】DIN EN 15104によって決定された、本発明の様々なバイオマス燃料の乾燥炭素含有量を示す図である。
図7】DIN EN 15104によって決定された、本発明の様々なバイオマス燃料の乾燥窒素含有量を示す図である。
図8】GB11914-89によって決定された、本発明の様々なバイオマス燃料の化学的酸素要求量(COD)を示す図である。
図9】DIN EN 51734によって決定された、本発明の様々なバイオマス燃料の固定炭素含有量を示す図である。
図10】DIN EN 14775によって、550℃において決定された、本発明の様々なバイオマス燃料の灰分を示す図である。
図11】DIN EN 14774-2によって決定された、本発明の様々なバイオマス燃料の内部水分率を示す図である。
図12】DIN EN 15148によって決定された、本発明の様々なバイオマス燃料の揮発性物質含有量を示す図である。
図13】ドイツECN試験研究所の標準方法によって決定された、本発明の様々なバイオマス燃料のPM1.0排出を示す図である。
図14】DIN EN 14918によって決定された、本発明の様々なバイオマス燃料の発熱量を示す図である。
図15】GB/T 211-2017によって決定された、本発明の様々なバイオマス燃料の受け取りベース水分率(received base moisture content)を示す図である。
図16】DIN EN 18847によって決定された、本発明の様々なバイオマス燃料の粒子密度を示す図である。
図17】GB/T7702.16-1997によって決定された、本発明の様々なバイオマス燃料のpHを示す図である。
図18】GB/T212-2008によって決定された、本発明の様々なバイオマス燃料のコークススラグ特徴を示す図である。
図19】GB/T211-2017によって決定された、20日間水に浸した後の、本発明の様々なバイオマス燃料の総水分率を示す図である。
図20】1又は2以上のバイオマスの供給源をチップ化するために使用することができる、当技術分野において公知の装置の写真である。
図21】1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮するために使用することができる、当技術分野において公知の装置の写真である。
図22】1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮するために使用することができる、当技術分野において公知の装置の写真である。
図23】1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮するために使用することができる、当技術分野において公知の装置の写真である。
図24】本発明に従って使用されうる、典型的な圧縮型の略図である。
図25】~
図26】本発明のバイオマス固体燃料生成物の振動、ローリング、又は回転において使用されうる装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
バイオマスの供給源
本発明に従って使用される1又は2以上のバイオマスの供給源は、上に論じたもののいずれであってもよい。典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源は農業廃棄物を含む。本発明に従って使用するために上述したバイオマスの供給源の多くは、農業廃棄物であってもよい。本明細書で使用される「農業廃棄物」という用語は、典型的には、農業操業の副生成物として生成する植物系廃棄生成物を指す。例えば、農業廃棄物は、収穫されて残った植物系生成物、又は収穫された植物系生成物の不用な成分を含みうる。
【0081】
本発明に従って使用されるバイオマスの供給源は、農業操業の副生成物として、農業廃棄物として生成しうる。あるいは、これらのバイオマスの供給源は、特に、バイオマス固体燃料の調製のための供給原料とする目的のために成長させてもよい。トウモロコシ茎は、農業廃棄物として生成しうる材料の特定の例である。例えば、ヒトが消費するために、トウモロコシを育て、収穫してもよい。ヒトが消費するためのトウモロコシ植物を加工する場合、加工には、非食用のトウモロコシ穂軸から、食用のトウモロコシを取り去ることが伴いうる。したがって、トウモロコシ穂軸及び茎は、農業廃棄生成物である。いくつかの実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源が、バガス、ヒマワリ茎、小麦茎、トウモロコシ茎、ソルガム茎、大豆茎、ピーナッツ茎、綿茎、菜種茎、ココナッツ殻、パーム殻、海藻、ピーナッツ皮、若しくはこれらの組合せを含む、これらからなる、又はこれらから本質的になる。好ましい実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源が、バガス、ヒマワリ茎、小麦茎、トウモロコシ茎、ソルガム茎、大豆茎、ピーナッツ茎、綿茎、菜種茎、ココナッツ殻、パーム殻、海藻、ピーナッツ皮、又はこれらの組合せから本質的になる、又はこれらからなる。
【0082】
上に論じた1又は2以上のバイオマスの供給源のそれぞれは、当技術分野において公知の従来の方法によって、得る、又は収穫することができる。
【0083】
本明細書で使用される「含む(comprising)」という用語は、任意のさらなる不定の成分が存在してもよいことを意味するために使用される。本明細書で使用される「からなる(consisting)」という用語は、特に列挙されたもの以外のさらなる成分が、存在してはならないことを意味するために使用される。本明細書で使用される「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、さらなる不定の成分が存在してもよいが、これらの成分は、組成物の本質的な特徴には実質的に影響しないことを意味するために使用される。
【0084】
上に論じたように、本発明に使用する1又は2以上のバイオマスの供給源は、商業規模において成長させ、収穫することができ、先行技術において使用される材料と比較して、バイオマス供給源の質及び特定の特徴の制御の上昇を提供することが見出されている。前記材料の使用によって、必要な伐採など、樹木を使用することに関連する環境への損害も回避される。
【0085】
本発明に使用する1又は2以上のバイオマスの供給源の使用では、驚くべきことに、木材などの前記以前から使用されていた材料よりも、微粉砕するのが容易であることも見出されている。これによって、微粉砕プロセスのコストが低減する。
【0086】
本発明の材料の使用はまた、微粉砕する場合、前記以前から使用されていた材料よりも、均質な粒子サイズのミックスを提供する。理論によって限定されるものではないが、これによって、バイオマス燃料生成物のより高い一様性及び連続性など、最終的な固体燃料生成物に有利な特性が付与されると考えられる。これは、複数の理由のために、燃焼方法において望ましい。
【0087】
1又は2以上のバイオマスの供給源の準備
上に論じたように、本発明の方法は、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有する、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップを含む。
【0088】
バイオマス供給源の1又は2以上の供給源は、当技術分野において公知の標準的な技法によって、サイズを低減してもよい。バイオマスは、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)、例えば40,000μm~50,000μmの平均粒子直径をバイオマスが有するように、サイズを低減してもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源は、従来のチップ化装置に導入することによって、上記範囲におけるサイズを有する粒子として準備されるが、これは当然、特定のバイオマスの供給源次第である。例えば、バイオマスの供給源が自然に存在し、粒子が上記範囲におけるサイズを有するならば、チップ化は必要でないことになる。したがって、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、1又は2以上のバイオマスの供給源をチョッピングするステップを含んでもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有する1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップは、従来のコンバインで1又は2以上のバイオマスの供給源を収穫することを含んでもよい。コンバインプロセスは、1又は2以上のバイオマスの供給源を所望のサイズの粒子にチョッピングすること、及び分解することを伴う。
【0091】
30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有する1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップは、バイオマスの水分率を50重量%未満に低減することをさらに含んでもよい。このようなステップは、1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮することを含んでもよい。この圧縮ステップは、典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が、50重量%未満に低減するように、1又は2以上のバイオマスの供給源から水分を圧搾する。したがって、いくつかの実施形態では、上に論じた粒子サイズを有するバイオマスを準備するステップは、70重量%超の水分率を有する1又は2以上のバイオマスの供給源を、圧縮後には、1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が50重量%未満となるように、圧縮するステップを含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、上に論じた粒子サイズを有するバイオマスを準備するステップは、バイオマスを圧縮するステップ、及びまたバイオマスをチョッピングするステップの両方を含む。
【0093】
チョッピングするステップ、及び圧縮ステップ(含まれる場合)は、別々の装置を使用して行ってもよい。あるいは、これらのステップを、バイオマスのチップ化と圧縮との両方のために構成された、単一の装置において行ってもよい。例えば、バイオマスを圧縮するのに好適なモーター付きローリングデバイスを、従来のチップ化デバイスに供給する搬送ベルト上に設置してもよい。この点において、バイオマス供給源はチッパーに入る前に圧縮される。1又は2以上のバイオマスの供給源を圧縮及びチップ化するステップを行うのに好適な装置は、当技術分野において公知である。チップ化のために使用される装置の例を、図20に示す。図20に示したものなどのチップ化装置は、典型的には、供給ポートを通じて材料を供給する搬送ベルトなどの搬送システムを介して、材料がチッパーに入るという原理において動作する。次いで、高速回転ブレード(図示せず)及び機械の基部に取り付けられたブレード(図示せず)によって、材料が切断されてチップとなる。前記メカニズム及び同様のチップ化メカニズムの機能は、当技術分野における当業者には公知である。
【0094】
圧縮ステップのために使用される装置の例を、図21に示す。
【0095】
上に論じたように、いくつかの実施形態では、図21に示したものなどのローリングデバイスを搬送ベルト上に設置して、供給源材料を圧縮した後で、前記供給源材料を図20に示したものなどのチップ化デバイスに入れることができる。
【0096】
他の実施形態では、1又は2以上のバイオマスの供給源を準備するステップは、1若しくは2以上のバイオマスの供給源を圧縮することを含まない、及び/又は1若しくは2以上のバイオマスの供給源の水分率を低減させることを含まない。
【0097】
バイオマスの微粉化
ステップ(ii)は、1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~10,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供することを含む。
【0098】
バイオマス供給源は、当技術分野において公知の標準技法によって、バイオマス粉末に微粉化されうる。バイオマス供給源は、バイオマス粉末が1000μm~10,000μmの平均粒子直径(D50)を有するように、微粉化されうる。好ましくは、1又は2以上のバイオマスの供給源は微粉化されて、1000μm~8000μm、より好ましくは1000~5000μmの平均粒子直径を有する。上に論じたように、本発明における使用のために特定のバイオマス供給源を微粉化することで、以前から公知のバイオマス供給源を微粉砕することによって提供されるよりも小さい、有利な粒子サイズ分布を有するバイオマス粉末が提供されることが見出されている。
【0099】
微粉化バイオマス粉末の粒子が小さいほど、バイオマス固体燃料生成物の質及び性能特徴が向上することがさらに見出されている。理論によって限定されるものではないが、これは最終的な固体バイオマス燃料生成物の一様性及び均質性がより高いためと考えられる。最終的な燃料生成物の粉末粒子サイズを小さくし、一様性及び均質性を高めることは、燃料の燃焼時における性能特徴の向上、また固体燃料生成物の防水特徴の向上につながると考えられる。
【0100】
微粉化の前に、30,000μm~60,000μmの平均粒子直径(D50)を有する1又は2以上のバイオマスの供給源は、典型的には50重量%未満の水分を含む。
【0101】
異なる水分率を有する、異なるバイオマスの供給源においては、異なる微粉化方法が好ましい。例えば、1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が20重量%以下である場合、好ましくは、バイオマスを微粉化するステップは、負圧空気輸送装置の使用を伴う。そのような負圧空気輸送装置は、当技術分野において公知である。
【0102】
1又は2以上のバイオマスの供給源の水分率が20重量%以上である場合、1又は2以上のバイオマスの供給源は、負圧空気輸送装置を使用せずに直接微粉化してもよい。
【0103】
1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、1000μm~10,000μmの平均粒子直径(D50)を有する微粉化バイオマス粉末を提供するステップの後、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、下でより詳細に論じる乾燥ステップの前にバイオマス粉末を圧縮するステップを含んでもよい。例えば、バイオマス粉末が30重量%を超える水分率を有する場合、微粉化後のバイオマスの圧縮が望ましいことがあるが、より低い水分率を有するバイオマス粉末に対しても圧縮を行ってもよい。
【0104】
圧縮ステップには、当技術分野において公知である好適な装置を使用して、バイオマス粉末を圧縮することが伴いうる。このような装置の例を、図22に示す。このような装置は、液圧圧縮デバイスによってバイオマス粉末を圧縮することによって動作する。材料を、図22に示したメッシュ付きコンテナに挿入することができる。次いで、材料を、液圧圧縮デバイスによる液圧圧縮に供してもよく、メッシュの孔を通じて、水がメッシュ付きコンテナを出ていく。
【0105】
バイオマス粉末を圧縮するために使用されうる別の装置は、図23に示した装置であり、スクリュー水圧搾機である。圧縮する材料を、螺旋状押出容器に導入する。材料から出た水分は、モーター駆動螺旋スクリューの回転によって、スクリーンメッシュを通じて圧搾される。
【0106】
上に論じたようにバイオマスを微粉化した後で圧縮ステップを行うことで、いっそう低い水分率を有する圧縮バイオマス粉末が提供されることが見出されている。典型的には、圧縮バイオマス粉末の水分率は、30重量%未満、例えば25重量%未満、又は20重量%未満である。圧縮ステップ中にバイオマスの水分を低減することは、後続の乾燥ステップの開始時にバイオマスがより低い水分率を有するために望ましいことがある。バイオマスから水分を除去する必要がより少ないため、このようにして乾燥ステップが高速化される。しかし、上に論じたように、微粉化バイオマス粉末を乾燥前に圧縮することは必須ではないことが理解されよう。
【0107】
他の実施形態では、本発明の方法は、微粉化バイオマス粉末を圧縮するステップを含まない、及び/又は、微粉化バイオマス粉末の水分率を低減させることを含まない。
【0108】
したがって、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、いかなる圧縮ステップも含まない。有利なことに、1又は2以上のバイオマスの供給源から固体バイオマス燃料を形成する間に圧縮ステップを行う必要がないことが見出されている。ここで、1又は2以上のバイオマスの供給源は、上に規定される通りである。これは、加工して固体バイオマス燃料にする際に、水分率を低減させるため、典型的には圧縮が必要である、イネ科植物などの、バイオマス固体燃料を生成するために使用することができる他のバイオマスの供給源とは対照的である。
【0109】
微粉化バイオマス粉末の洗浄
任意に、1又は2以上のバイオマスの供給源を微粉化して、微粉化バイオマス粉末にするステップの後、微粉化バイオマス粉末を洗浄してもよい。任意の好適な洗浄液を使用してもよい。洗浄液の例としては、水などの水性洗浄液が挙げられる。洗浄ステップは、バイオマスからカリウム、ナトリウム、塩素、カルシウム及びリンを含む塩などのミネラルを除去する点で有利であることが、本発明者らによって見出されている。バイオマス粉末中のミネラルが少ないと、後述する加熱(焙焼)プロセスが容易になり、また、形成後の固体バイオマス燃料の燃焼が容易になる。使用することができる洗浄ステップの例としては、国際公開第2013/162355号パンフレットで論じられている前洗浄ステップが挙げられる。
【0110】
微粉化バイオマス粉末の乾燥
この方法のステップ(iii)において、バイオマスを乾燥させる。微粉化バイオマス粉末を乾燥させて、乾燥微粉化バイオマス粉末を提供するステップ(iii)は、典型的には、乾燥微粉化バイオマス粉末が、10重量%~18重量%、好ましくは12重量%~15重量%の水分率を有するように、微粉化バイオマス粉末を乾燥させることを含む。しかし、乾燥微粉化バイオマス粉末がこの範囲内の水分率を有することは必須ではないことが理解されよう。
【0111】
バイオマス粉末を乾燥させるステップはまた、微粉化バイオマス粉末を混合することを含んでもよい。方法において1種類のバイオマスの供給源を使用する場合、この単一のバイオマスの供給源は混合されてもよい。あるいは、方法において2種以上のバイオマスの供給源を使用する場合、乾燥ステップには、微粉化バイオマス粉末と、1又は2以上の追加のバイオマスの供給源とを混合することが伴いうる。例えば、1又は2以上のバイオマスの供給源が少なくとも2のバイオマスの供給源を含む場合、本発明の方法の任意のステップ中に、2又は3以上のバイオマスの供給源を混合することができるが、好ましくは、本発明の方法の乾燥ステップ中に、1又は2以上のバイオマスの供給源を混合する。いくつかの実施形態では、微粉化バイオマス粉末を、やはり本明細書に記載する方法のステップを使用して調製した微粉化バイオマス粉末である、追加のバイオマスの供給源と混合する。他の実施形態では、1又は2以上の追加のバイオマスの供給源は、本明細書に記載するようには加工されない。例えば、本明細書に記載するように調製した微粉化バイオマス粉末を、異なる方法で調製した、1又は2以上の追加のバイオマスの供給源と混合してもよい。
【0112】
微粉化バイオマス粉末は、当技術分野において公知の標準的な乾燥シリンダーを使用するなど、任意の好適な方法を使用して乾燥させてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、乾燥ステップは、回転乾燥ドラムを含む乾燥装置において行う。回転乾燥ドラムの回転を使用して、微粉化バイオマス粉末を、上に記載した1又は2以上の追加のバイオマスの供給源と混合することができる。典型的には、回転乾燥ドラムは、リフティングプレートを含む。リフティングプレートは、乾燥シリンダーを回転させながら、材料を連続的に持ち上げる。驚くべきことに、本発明の発明者らは、1若しくは2以上のバイオマス粉末を追加の材料とともに乾燥させる、又は2若しくは3以上のバイオマス粉末を混合する、リフティングプレートを有する回転乾燥シリンダーを使用することで、1又は2以上のバイオマス粉末の混合が改善することを見出した。
【0113】
微粉化バイオマス粉末が20重量%未満の水分率を有する実施形態では、典型的には、微粉化バイオマス粉末は単一の乾燥シリンダー内で乾燥される。したがって、これらの実施形態では、本発明の方法は、1つのみの単一の乾燥シリンダー内で、微粉化バイオマス粉末を乾燥させることを含む。
【0114】
微粉化バイオマス粉末が20重量%を超える水分率を有する実施形態では、微粉化バイオマス粉末は、典型的には、複数の乾燥シリンダー内で乾燥される。したがって、これらの実施形態では、本発明の方法は、2種以上の乾燥シリンダー内で、微粉化バイオマス粉末を乾燥させることを含む。例えば、本方法は、2若しくは3以上、3若しくは4以上、4若しくは5以上、又は5若しくは6以上の乾燥シリンダー内で微粉化バイオマス粉末を乾燥させることを含んでもよい。
【0115】
乾燥微粉化バイオマス粉末の成形
乾燥微粉化バイオマス粉末を成形して、成形バイオマス生成物を提供する。成形するステップは、当技術分野において公知である任意の成形装置において、当技術分野において公知のバイオマス成形技法に従って行ってよく、押出成形システムを含んでもよい。好ましくは、成形するステップは、圧縮型において行われる。好ましくは、圧縮型は、成形物脱出孔を含む。成形するステップは、中国特許第105435708号明細書に記載される装置を使用して行ってもよい。
【0116】
好ましくは、成形するステップは、乾燥微粉化バイオマス粉末をペレットに成形することを含む。したがって、好ましい実施形態では、成形バイオマス生成物と固体バイオマス燃料生成物とが、バイオマスペレットを構成する。
【0117】
バイオマス粉末を成形して成形バイオマス生成物を生成することは公知であるが、本発明の本発明者らは、驚くべきことに、成形するステップを、前記ステップから生成される成形バイオマス生成物の密度が、ある特定の範囲内に制御されるように適応させることで、最終的な固体バイオマス燃料生成物に、ある特定の有利な特性が付与されることを発見した。特に、成形するステップを、成形バイオマス生成物の密度が1.0~1.35kg/Lの範囲内となるように制御することで、最終的なバイオマス燃料生成物に有利な特性が付与されることが見出された。好ましくは、成形するステップを、成形バイオマス生成物の密度が1.0kg/L~1.35kg/Lの範囲内となるように制御する。典型的には、上述の密度は、NY/T 1881.7-2010によって決定される。したがって、いくつかの実施形態では、成形するステップは、成形バイオマス生成物の密度が1.0kg/L~1.35kg/Lであるように制御されており、密度はNY/T 1881.7-2010によって決定される。
【0118】
成形するステップは、多様な方法で制御されうる。成形プロセスが圧縮型の使用を含む場合、典型的には、8未満、好ましくは7未満、より好ましくは6未満の圧縮比を使用することによって、密度が制御される。非常に好ましい実施形態では、3.8~6.5の圧縮比が使用される。典型的には、圧縮比が小さいほど、成形バイオマス生成物の密度が低くなる。しかしながら、圧縮比が大きいほど、成形バイオマス生成物の収率が低くなる。
【0119】
成形物脱出孔を有する圧縮型についての圧縮比は、成形物脱出孔の長さと直径との比として定義されうる。
【0120】
図24は、本発明に従って使用されうる圧縮型の例を示す。乾燥微粉化バイオマス生成物を型の内部に挿入した後、図における成形物脱出孔を出ていくように、圧力によって型の内側から押し出す。圧力比を、成形物脱出孔の長さと直径との比として図に示す。
【0121】
本発明の方法において、好ましくは、乾燥微粉化バイオマス粉末を成形するステップ(iv)は、成形バイオマス生成物のその密度が1.1kg/L~1.35kg/Lの範囲内に制御されるように、成形するステップを適応させることを含み、典型的には、密度は、NY/T 1881.7-2010によって決定される。好ましくは、圧縮型を使用し、圧縮型の圧縮比を制御することによって、密度が制御される。より好ましくは、圧縮比は3.8~6.5である。
【0122】
成形するステップ中の成形バイオマス生成物の密度を制御することで、驚くべきことに、最終的なバイオマス燃料生成物に耐水能の上昇が提供されることが見出されている。好ましくは、1.1kg/L~1.35kg/Lの範囲内の密度を有する成形バイオマス生成物から生成される固体バイオマス燃料生成物は、最大20日間、好ましくは最大30日間、十分に耐水性である。
【0123】
好ましくは、乾燥微粉化バイオマス粉末を成形するステップ(iv)の前に、乾燥微粉化バイオマス粉末に添加剤を加える。前記添加剤は、成形プロセスを改善し、成形するステップから生成される成形バイオマス生成物の収率を上昇させると考えられる。好適な添加剤は、当技術分野において公知であり、限定するものではないが、デンプン又はデンプン誘導体が挙げられる。
【0124】
典型的には、上に論じたものなどの添加剤の他には、成形するステップ中の乾燥微粉化バイオマス粉末に、他の燃料供給源を加えない。したがって、成形するステップの成形バイオマス生成物は、典型的には、固体バイオマス燃料中に、燃料供給源としてバイオマスに由来する材料のみを含む。例えば、乾燥微粉化バイオマス粉末をペレットに成形する場合、典型的には、この方法の終了時に生成する固体バイオマス燃料ペレットが、バイオマスに由来する燃料供給源のみを含有するように、成形する前に、他の燃料供給源を乾燥微粉化バイオマス生成物に加えない。したがって、好ましい実施形態では、固体バイオマス燃料は、燃料の全燃料含有量の少なくとも50重量%、例えば、バイオマスに由来する材料の少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%を構成する。
【0125】
固体燃料の全燃料含有量という用語が本明細書において使用される場合、これは、バイオマス由来材料及び石炭など、可燃性材料である固体燃料の成分を指すことが意図される。固体燃料に対する燃料含有量という用語は、固体燃料ペレット中に存在しうる、それ自体の燃焼によってエネルギーを生じない添加剤を包含することを意図しない。
【0126】
成形するステップはまた、最終的なバイオマス固体燃料生成物の耐水特性を増強することも見出されている。成形するステップ中に起こる密度の上昇は、より高密度の成形バイオマス生成物粒子には、水がより染み込みにくいことを意味する。
【0127】
さらに、生成物が高密度化するにつれて、より多くのバイオマスが成形物の内部に濃縮され、水とは直接接触しなくなる。
【0128】
成形バイオマス生成物の加熱
成形バイオマス生成物を、固体バイオマス燃料が生成するように加熱する。加熱は、0.25~5時間、160℃~420℃の温度において行われる。好ましくは、成形バイオマス生成物を加熱するステップは、0.4~2時間行われる。好ましくは、成形バイオマス生成物を加熱するステップは、成形バイオマス生成物を、180℃~350℃の温度に、より好ましくは210℃~280℃の温度に加熱することを含む。
【0129】
好ましくは、成形バイオマス生成物を加熱するステップ(v)は、成形バイオマス生成物の焙焼を誘導するための条件下で、成形バイオマス生成物を加熱することを含む。焙焼は、10%未満の酸素含有量の雰囲気など、低酸素雰囲気において加熱を行う、穏やかな熱分解のプロセスである。焙焼の好適な条件及びプロセスは、当技術分野において公知である。したがって、好ましくは、成形バイオマス生成物を加熱するステップ(v)は、焙焼を含む。
【0130】
加熱するステップは、成形バイオマス生成物を加熱するために好適な、当技術分野において公知である任意の装置において行ってよい。例えば、加熱するステップは、欧州特許出願公開第3287509(A1)号明細書に開示されている装置において、開示されているプロセス条件を使用して行ってよい。
【0131】
好ましくは、成形バイオマス生成物を加熱するステップ(v)を、固体バイオマス燃料の一様性が制御されるように適応させ、任意に、ステップ(v)を、固体バイオマス燃料の一様性が制御されるように適応させることは、成形バイオマス生成物を加熱しながら回転させる装置において、ステップ(v)を実施することを含み、任意に、ステップ(v)を、固体バイオマス燃料の一様性が制御されるように適応させることは、成形バイオマス生成物の回転の速さ又は方向を制御することを含み、任意に、成形バイオマス生成物を、装置において、反時計回りと時計回りとの両方の方向に回転させる。固体バイオマス燃料の一様性も、上に論じた加熱温度及び期間によって最適化される。
【0132】
いくつかの実施形態では、本発明の方法は、加熱後に固体バイオマス燃料を冷却するステップを含んでもよい。本発明の方法が、バイオマスを加熱するステップの後に冷却するステップを含む場合、冷却するステップは、固体バイオマス燃料を回転させることを含んでもよい。バイオマスは、欧州特許出願公開第3287509(A1)号明細書に開示されているものなど、好適な装置において回転させてもよい。好ましくは、加熱するステップ(v)と、バイオマスを冷却するステップとの両方が、バイオマスを回転させることを含む。冷却するステップ又は加熱するステップのいずれかにおいてバイオマスを回転させる場合、バイオマスを、連続サイクルにおいて時計回りと反時計回りとの両方など、異なる方向に回転させてもよい。
【0133】
固体バイオマス生成物の「一様性」という用語は、固体バイオマス燃料又は成形バイオマス生成物の各粒子の端から端まで、及び固体バイオマス燃料生成物又は成形バイオマス生成物のバルク試料内の複数の粒子の端から端まで、一定の又は同様の特性を有する固体バイオマス燃料又は成形バイオマス生成物を指すために使用される。例えば、限定するものではないが、粒子の密度、粒子の燃焼の容易さ、粒子の化学組成、及び粒子の水抵抗特性。一様性は、燃焼プロセスにおいて使用するためのバイオマス燃料について、非常に望ましい特性である。
【0134】
本発明者らはまた、上に論じたように加熱するステップを制御すると、先行技術のバイオマス燃料と比較して、増強された耐水特性を有する固体バイオマス燃料生成物の提供がさらに支援されることも見出した。加熱するステップの間に、バイオマス粉末中に存在する、水を吸収する親水性化合物が分解する。さらに、加熱するステップによって、バイオマス粉末中に存在する油が、バイオマス粉末粒子の外部に移動して、前記粒子の疎水性が上昇する。
【0135】
固体バイオマス燃料からの塵粒子の除去
本発明の方法には、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップを伴う。本発明の発明者らは、当技術分野において公知のバイオマス固体燃料生成方法では、かなりの量の塵が固体バイオマス燃料に付着することを見出した。この塵は、固体バイオマス燃料の輸送及び包装中に大気を汚染しうるため、問題である。塵はまた、局地的な環境も汚染しうる。さらに、開放空気中に貯蔵する場合、塵粒子が白カビを形成し、固体バイオマス燃料の性能及び質に影響を及ぼす。したがって、固体バイオマス燃料の粒子の表面の塵は、除去することが有益であることになる。
【0136】
本発明者らは、バイオマス固体燃料粒子の表面の塵は、粒子間の摩擦を誘起することによって除去されうることを見出した。例えば、固体バイオマス燃料粒子を振動又は回転させることなどの手段により、摩擦を誘起することで、粒子に付着している塵が除去されうる。したがって、固体バイオマス粒子から塵を除去するステップ(vi)は、固体バイオマス燃料の粒子間の摩擦を誘起することを含んでもよい。例えば、固体バイオマス粒子から塵を除去するステップ(vi)は、振動、回転、ローリング、又はこれらの任意の組合せに、粒子を供することを含んでもよい。固体バイオマス燃料粒子のローリング、回転、及び振動を実施するのに好適な装置は、当技術分野における当業者に公知であり、これを図25及び26に示す。粒子から塵を除去するために使用することができる装置の一例は、回転ドラムシーブである。
【0137】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去するステップ(vi)は、スクリーンを用いて、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去することを含んでもよい。典型的には、スクリーンは2mm~10mm、好ましくは2mm~8mm、より好ましくは2mm~5mm、最も好ましくは2mm~3mmのポアサイズを有する。固体バイオマス燃料粒子に混入している塵粒子は、スクリーンを通過することによって、固体バイオマス燃料から分離されうる。より大きな固体バイオマス燃料粒子はスクリーンを通過せず、したがって、塵粒子から分離される。スクリーニングステップを実行するのに好適な装置及び方法は、当技術分野における当業者に公知であり、前記好適な装置のいずれかを使用してもよい。例えば、固体バイオマス燃料のスクリーニング、ローリング、及び回転を用いる装置を使用して、固体バイオマス燃料から塵粒子を除去してもよい。このようなデバイスの使用において、固体バイオマス燃料をスクリーン上に置いてもよく、モーターの動作によってスクリーンを駆動して、軸上でローリング及び回転させてもよい。スクリーンのローリング/傾斜及び回転中、スクリーンの篩表面の材料はひっくり返る。一部の材料はスクリーンを通過して、スクリーンを通過しない材料から分離される。スクリーンのローリング及び回転によって、スクリーンの空隙にはまり込んだ材料が落ち、これによって、スクリーンの空隙の詰まりが防止される。あるいは、固体バイオマス燃料粒子を振動させてスクリーニングする装置を使用してもよい。この場合、モーターを使用してスクリーンを振動させてもよく、これによって、スクリーン表面の材料が投げ上げられる。このプロセスによって、大きな粒子に付着している小さな粒子が解き放たれ、次いでスクリーンにおける空隙を通過しうる。スクリーンと振動とを用いて小さな粒子から大きな粒子を分離する、小さな粒子は大きな粒子に付着していても、していなくてもよい、装置の例は、中国実用新案登録第201324717号に教示されているデバイスである。
【0138】
したがって、本発明の方法は、固体バイオマス燃料粒子間の摩擦が誘起されるように、固体バイオマス燃料粒子を、ローリング、回転、及び振動のうち1又は2以上に供して、前記固体バイオマス燃料粒子に付着している塵粒子が、前記粒子から除去されるステップを含みうる。この方法は、次いで、好ましくは、固体バイオマス燃料粒子と塵粒子との混合物を、上に論じたスクリーニングステップに供して、前記固体バイオマス燃料粒子から前記塵粒子を除去することを含む。したがって、除去ステップ(vi)は、前記固体バイオマス燃料の粒子から塵を除去するための、有効な後処理である。
【0139】
前処理及び後処理
固体バイオマス燃料が形成されるように成形及び加熱する、上に論じたステップ(iv)及び(v)は、典型的には、1又は2以上のバイオマスの供給源を、固体バイオマス燃料に変換する主要な生成ステップであると考えることができる。
【0140】
対照的に、バイオマスを準備する、微粉化する、及び乾燥させるステップ(i)~(iii)は、1又は2以上のバイオマスの供給源を前処理する方法であって、前記1又は2以上のバイオマスの供給源(乾燥微粉化バイオマス粉末として加工された形態における)を、成形するステップ及び加熱するステップを通じて固体バイオマス燃料に変換する前に、前処理する方法であると考えることができる。したがって、本発明は、上に論じた前処理方法を提供する。前処理方法は、バイオマスを準備する、微粉化する、及び乾燥させるステップ(i)~(iii)を含む。これらのステップは、固体バイオマス燃料を生成する本発明による方法の文脈において、上に論じたステップ(i)~(iii)と同じであってもよい。
【0141】
本発明の前処理方法は、好ましくは、固体バイオマス燃料を作製する方法である、上に論じたステップ(iv)~(vi)の前に行う。しかしながら、これは必須ではなく、本発明の前処理方法は、1又は2以上のバイオマスの供給源を固体バイオマス燃料に変換するための任意の方法の前に行ってもよい。好ましくは、前処理方法は、成形するステップ、加熱するステップ、又は成形と加熱との両方をするステップを含む、固体バイオマス燃料を生成するための方法の前に行う。
【0142】
本明細書で使用される「前処理」という用語は、1又は2以上のバイオマスの供給源を固体バイオマス燃料に変換するための方法における出発材料を、状態調節するために行うプロセスを指す。好ましくは、「前処理」という用語は、バイオマス供給源出発材料を、前記バイオマス供給源を固体バイオマス燃料に変換する方法の前に、処理することであって、前記方法には、成形するステップ又は加熱するステップが伴う、処理することを指す。
【0143】
固体バイオマス燃料から塵粒子を除去する、上に論じたステップ(vi)は、固体バイオマス燃料の後処理ステップであると考えることができる。したがって、本発明は、上に論じた後処理方法を提供する。
【0144】
本発明の後処理方法は、好ましくは、固体バイオマス燃料を作製する方法である、上に論じたステップ(iv)~(v)又はステップ(i)~(v)の後に行う。しかしながら、これは必須ではなく、本発明の後処理方法は、1又は2以上のバイオマスの供給源を固体バイオマス燃料に変換するための任意の方法の後に行ってもよい。好ましくは、後処理方法は、成形するステップ、加熱するステップ、又は成形と加熱との両方をするステップを含む、固体バイオマス燃料を生成するための方法の後に行う。
【0145】
本明細書で使用される「後処理」という用語は、固体バイオマス燃料を1又は2以上のバイオマスの供給源から生成した後に、前記固体バイオマス燃料に行う方法を指す。好ましくは、「後処理」という用語は、固体バイオマス燃料出発材料を、バイオマス供給源を前記固体バイオマス燃料に変換する方法の後に、処理することであって、前記方法には、成形するステップ又は加熱するステップが伴う、処理することを指す。
【0146】
固体バイオマス燃料生成物
固体バイオマス燃料生成物は、上に論じた物理的特性のいずれかを有しうる。
【0147】
上に論じたように、本発明のバイオマス固体燃料は、好ましくはペレットを含む。ペレットは、任意の好適なサイズであってよい。好ましくは、ペレットは、3mm~100mm、より好ましくは、5mm~8mmの直径を有する。好ましくは、ペレットは、20mm~60mm、より好ましくは30mm~50mmの長さを有する。上に論じたように、驚くべきことに、本発明の固体バイオマス燃料生成物は、先行技術の方法によって作製される固体バイオマス燃料生成物と比較して、増強された耐水特徴を有することが見出されている。これは、微粉化、成形及び/又は加熱するステップが、上に論じたように制御されることに起因すると考えられる。本発明者らは、先行技術のバイオマス燃料が最大10日間しか十分に耐水性でないことを見出した。対照的に、本発明の固体バイオマス燃料生成物は、最大20日間、好ましくは30日間、より好ましくは40日間、十分に耐水性であることを見出した。
【0148】
固体バイオマス燃料の耐水特性は、Energy Research Centre of the Netherlands(ECN)の標準試験によって決定されうる。
【0149】
本発明のバイオマス固体燃料の水分率も、標準ECN試験方法によって決定されうる。本発明の固体バイオマス燃料の内部水分率は、典型的には8重量%未満、好ましくは6重量%未満、より好ましくは5重量%未満であり、内部水分率は、DIN EN 14774によって決定される。
【0150】
バイオマス固体燃料は、典型的には、10重量%未満、好ましくは8重量%未満、最も好ましくは6重量%未満のベース水分率を有し、ベース水分率はGB/T211-2017によって決定される。
【0151】
本発明の固体バイオマス燃料はまた、予想外に高い機械的耐久性を有することも見出されている。機械的耐久性は、典型的には90%超、好ましくは95%超である。これは、95%以上の機械的耐久性のバイオマスペレットは、2カ月もの期間、損傷せずに外に貯蔵できることが見出されているため、有利である。対照的に、90%未満の機械的耐久性を有するバイオマスペレットは、典型的には、降雨によって損傷し、外に貯蔵できない。したがって、高い機械的耐久性は、本発明のバイオマスペレットのさらなる利点である。
【0152】
固体バイオマス燃料粒子の高い耐久性に関連するさらなる利点は、ペレットが力によって何らかの形で破壊された場合、低い機械的耐久性を有するペレットよりも大きなピースに分解することである。これによって、粉塵爆発のリスクがあるとしても、最小化される。
【0153】
上に論じたように、好ましい実施形態では、典型的には、上に論じたものなどの添加剤の他には、成形するステップ中の加熱バイオマス生成物に、他の燃料供給源を加えない。したがって、固体バイオマス燃料は典型的には、固体バイオマス燃料中に、燃料供給源としてバイオマスに由来する材料のみを含む。例えば、加熱バイオマス生成物をペレットに成形する場合、典型的には、成形するステップによって生成される固体バイオマス燃料ペレットが、バイオマスに由来する燃料供給源のみを含有するように、成形する前に、他の燃料供給源を加熱バイオマス生成物に加えない。
【0154】
したがって、好ましい実施形態では、固体バイオマス燃料は、燃料の全燃料含有量の少なくとも50重量%、例えば、バイオマスに由来する材料の少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%を構成する。
【0155】
燃焼方法
本発明の生成物は、多様な異なる燃焼方法に使用されうる。特定の方法における使用についての前記生成物の適合性は、当技術分野における当業者には明らかであろう。例えば、本発明のバイオマス燃料は単独で、発電所における燃焼方法、又は工業プロセスに使用してもよい。あるいは、本発明のバイオマス生成物は同時焼成において、石炭などの追加の燃料とともに、燃焼方法に使用してもよい。
【0156】
有利なことに、本発明の生成物は、当技術分野において公知である他のバイオマス燃料と比較した場合、非常に少ないPM1.0排出を提供することが見出されている。加えて、この方法のPM1.0排出は、石炭の燃焼を伴う方法よりも少ない。
【0157】
有利なことに、本発明のバイオマス燃料の改善された物理的特性によって、バイオマスが、石炭との同時焼成に特に好適となることが見出されている。例えば、生成物の改善された質及び一様性によって、本発明のバイオマス燃料を、石炭と特に良好に同時焼成させることができる。本発明のバイオマス燃料の改善された耐水特性はまた、バイオマスを石炭と同時焼成させ、その耐水的性質に起因して、貯蔵及び輸送をより容易とするのに特に好適であることを意味する。
【実施例1】
【0158】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、バガスのみであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。固体バイオマス燃料は、DIN EN 15103によって決定された0.60~0.65kg/Lのバルク密度を有していた。
【実施例2】
【0159】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、ヒマワリ茎のみであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。固体バイオマス燃料は、DIN EN 15103によって決定された0.60~0.65kg/Lのバルク密度を有していた。
【実施例3】
【0160】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、小麦茎のみであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。固体バイオマス燃料は、DIN EN 15103によって決定された0.58~0.65kg/Lのバルク密度を有していた。
【実施例4】
【0161】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、トウモロコシ茎のみであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。固体バイオマス燃料は、DIN EN 15103によって決定された0.61~0.66kg/Lのバルク密度を有していた。
【実施例5】
【0162】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、ソルガム茎のみであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。固体バイオマス燃料は、DIN EN 15103によって決定された0.62~0.66kg/Lのバルク密度を有していた。
【実施例6】
【0163】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、大豆茎のみであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。固体バイオマス燃料は、DIN EN 15103によって決定された0.61~0.66kg/Lのバルク密度を有していた。
【実施例7】
【0164】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、ピーナッツ茎のみであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。固体バイオマス燃料は、DIN EN 15103によって決定された0.62~0.68kg/Lのバルク密度を有していた。
【実施例8】
【0165】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、綿茎のみであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。固体バイオマス燃料は、DIN EN 15103によって決定された0.62~0.68kg/Lのバルク密度を有していた。
【実施例9】
【0166】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、菜種茎のみであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。固体バイオマス燃料は、DIN EN 15103によって決定された0.58~0.65kg/Lのバルク密度を有していた。
【実施例10】
【0167】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、ココナッツ殻のみであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。固体バイオマス燃料は、DIN EN 15103によって決定された0.62~0.72kg/Lのバルク密度を有していた。
【実施例11】
【0168】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、パーム殻のみであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。固体バイオマス燃料は、DIN EN 15103によって決定された0.62~0.70kg/Lのバルク密度を有していた。
【実施例12】
【0169】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、海藻のみであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。固体バイオマス燃料は、DIN EN 15103によって決定された0.61~0.66kg/Lのバルク密度を有していた。
【実施例13】
【0170】
本発明による方法を行った。バイオマスの供給源は、ピーナッツ皮のみであった。加熱するステップの温度は、0.4~2時間、220℃~280℃であった。加熱するステップの後、固体バイオマス燃料生成物を冷却した。固体バイオマス燃料は、DIN EN 15103によって決定された0.61~0.66kg/Lのバルク密度を有していた。
【0171】
実施例1~13において生成した固体バイオマス燃料生成物の特性評価を、図1図18に示す。これらの図において、Aは実施例1の生成物に対応し、Bは実施例2の生成物に対応し、Cは実施例3の生成物に対応し、Dは実施例4の生成物に対応し、Eは実施例5の生成物に対応し、Fは実施例6の生成物に対応し、Gは実施例7の生成物に対応し、Hは実施例8の生成物に対応し、Iは実施例9の生成物に対応し、Jは実施例10の生成物に対応し、Kは実施例11の生成物に対応し、Lは実施例12の生成物に対応し、かつMは実施例13の生成物に対応する。
【0172】
図19は、20日間水に浸した後の、実施例のバイオマス燃料の総水分率を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【国際調査報告】