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特表2023-512964気液反応器用一体型ガス導入・攪拌装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】気液反応器用一体型ガス導入・攪拌装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/04 20060101AFI20230323BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20230323BHJP
   B01F 23/23 20220101ALI20230323BHJP
   B01F 27/13 20220101ALI20230323BHJP
   B01F 27/96 20220101ALI20230323BHJP
   B01F 27/2122 20220101ALI20230323BHJP
【FI】
C12M1/04
C12M1/00 D
B01F23/23
B01F27/13
B01F27/96
B01F27/2122
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544298
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2021052162
(87)【国際公開番号】W WO2021152128
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】102020102420.7
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506138258
【氏名又は名称】ライニッシュ-ヴェストフェリッシェ テクニッシェ ホッホシューレ(アールダブリュティーエイチ)アーヘン
(74)【代理人】
【識別番号】110000545
【氏名又は名称】弁理士法人小竹アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ボンガルツ
(72)【発明者】
【氏名】モーリッツ メイヤー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヴェスリング
【テーマコード(参考)】
4B029
4G035
4G078
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029DB16
4B029DB19
4B029DE08
4B029DF07
4B029GA08
4G035AB14
4G035AB28
4G035AE13
4G078BA05
4G078CA10
4G078DC06
(57)【要約】
本発明は、反応器内に存在する液体中にプロセスガスを気泡なく導入するためのガス導入ユニットに関し、ガス導入ユニットは、
第1のガス受け入れ室とそこから間隔をあけて配置された第2のガス受け入れ室とであって、2つのガス受け入れ室は、互いに間隔をあけると共に少なくとも一部が互いに固定された中空糸からなる少なくとも2つの2次元ガス伝導性拡散膜を介して互いに接続されているものと、
ガス受け入れ室の少なくとも1つに設けられたガス供給用のレセプタクルと、
ガス受け入れ室の少なくとも1つに設けられたシャフト用のレセプタクルと、を少なくとも備え、
反応器内の液体にガスを導入するためのガス導入ユニットは、ガス供給受けを介してプロセスガスを供給することができ、シャフト用レセプタクルを介して回転運動に設定することができ、ガス導入ユニットの液体中での回転運動を介して反応器内に対流を形成することができる。
【選択図】 図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応器(20)内に存在する液体中にプロセスガスを気泡なく導入するためのガス導入ユニット(10)であって、ガス導入ユニット(10)は、
プロセスガスを受け入れるための第1のガス受け入れ室と、そこから間隔をあけて配置され、プロセスガスを受け入れるための第2のガス受け入れ室(1)と、を備え、前記2つのガス受け入れ室(1)は、互いに間隔をあけて配置されると共に少なくとも部分的に互いに固定された中空糸(6)からなる少なくとも2つの2次元のガス伝導性拡散膜(6)を介して互いに接続されているものと、
前記ガス受け入れ室(1)の少なくとも1つに設けられたガス供給用のレセプタクル(4)と、
前記ガス受け入れ室(1)の少なくとも1つに設けられたシャフト(9)用のレセプタクル(4)と、を少なくとも備え、
前記反応器(20)内の液体にガスを導入するためのガス導入ユニット(10)は、ガス供給用のレセプタクル(4)を介してプロセスガスを供給することができ、また前記シャフト(9)用のレセプタクル(4)を介して回転運動させることができると共に前記液体中での前記ガス導入ユニット(10)の回転運動を介して反応器(20)内に対流を形成可能とすることを特徴とするガス導入ユニット。
【請求項2】
前記拡散膜(6)の前記ガス受け入れ室(1)への投影が円弧形状を有する、請求項1に記載のガス導入ユニット。
【請求項3】
前記ガス供給用のレセプタクル(4)および前記シャフト(9)用のレセプタクル(4)は、1つのガス受け入れ室(1)のみに配置されている、前記請求項のいずれか1項に記載のガス導入ユニット。
【請求項4】
2つの前記ガス受け入れ室(1)は、それぞれ円筒形であり、1つ以上の機械的支持体(12)を介して相互に接続されている、前記請求項のいずれか1項に記載のガス導入ユニット。
【請求項5】
少なくとも1つの保持ディスク(7)は、前記拡散膜(6)を機械的に保持するように設定されている、前記機械的支持体(12)上の前記2つのガス受け入れ室(1)の間に配置されている請求項4に記載のガス導入ユニット。
【請求項6】
前記機械的支持体(12)は、前記ガス受け入れ室(1)からプロセスガスを輸送するように適合されている請求項4又は5のいずれか一項に記載のガス導入ユニット。
【請求項7】
前記ガス受け入れ室の断面積に対する全中空糸断面積の面積比が5%以上45%以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のガス導入ユニット。
【請求項8】
ガス導入ユニット(10)の体積に対する拡散膜(6)の充填密度が、中空糸の表面積をガス導入ユニット(10)の体積で割ったものとして表され、0.1cm-1以上、7.5cm-1以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載のガス導入ユニット。
【請求項9】
反応器(20)内でプロセス液にガスを導入する方法であって、前記ガスの投入は、請求項1~8のいずれか1項に記載のガス導入ユニット(10)によって行われることを特徴とするガス導入方法。
【請求項10】
前記ガス導入ユニット(10)の最外縁における前記膜面(6)の回転速度が、0.1m/s以上、5m/s以下である、請求項9に記載のガス導入方法。
【請求項11】
少なくとも、外側反応器シェル(22)、駆動装置、ガス供給部(9)、及び、請求項18のいずれか一項に記載のガス導入ユニット(10)を備える気液反応器(20)。
【請求項12】
前記反応器(20)は、前記ガス導入ユニット(10)以外の攪拌ユニットを備えていない、請求項11に記載の気液反応器(20)。
【請求項13】
少なくとも1つのフローブレーカー(8)が、前記反応器シェル(22)とガス受け入れ室(1)との間に配置されている、請求項12に記載の気液反応器。
【請求項14】
プロセス溶液に懸濁させた生物学的培養物にプロセスガスを供給するため、又は、前記反応器内部または前記ガス導入ユニットに付着するための、請求項11~13のいずれか1項に記載の気液反応器(20)の使用。
【請求項15】
請求項14による使用であって、前記生物学的培養物が泡沫形成物質を生産するように適合されているもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応器内に存在する液体中にプロセスガスを気泡なく導入するためのガス導入ユニットに関し、ガス導入ユニットは、少なくとも、
プロセスガスを受け入れるための第1のガス受け入れ室と、そこから間隔をあけて配置され、プロセスガスを受け入れるための第2のガス受け入れ室とを備え、2つのガス受け入れ室は、互いに間隔があけられると共に、少なくとも一部が互いに固定された中空糸からなる少なくとも2つの2次元ガス伝導性拡散膜を介して互いに接続されているものと、
ガス受け入れ室の少なくとも1つに設けられたガス供給用のレセプタクルと、
ガス受け入れ室の少なくとも1つに設けられたシャフト用のレセプタクルと、
を備え、
反応器内の液体にガスを導入するためのガス導入ユニットは、ガス供給用レセプタクルを介してプロセスガスを供給することができ、シャフト用レセプタクルを介して回転運動させることができ、ガス導入ユニットの液体中での回転運動を介して反応器内に対流を形成することができる。
さらに、本発明は、プロセス液のガス導入方法、本発明に係るガス導入ユニットを含む気液反応器、および生物培養物にプロセスガスを供給するための本発明に係るガス導入ユニットの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
重要な基礎素材をより持続可能な生産方法で確実に生産することは、今日、ますます社会的な関心事となっている。このアプローチは、生産方法だけでなく、計画的な使用期間後に使用される物質の特性にも及んでいる。このことは、ここ数十年の間に石油から合成された多くの化学物質について、より資源やエネルギー効率の高い生産プロセスに加え、より速い分解性など、生産物質の化学的・生物的特性の改善が期待される代替・生物的生産方法の開発が進んでいるという事実からも明らかである。
【0003】
特に界面活性剤系生体分子は、環境に永続的な影響を与える物質であり、化粧品や医薬品などの付加価値により、現在まだ高い生産コストを相殺できるため、このアプローチが進められている。より環境に優しい製造方法として、再生可能な原料を栄養媒体として、酸素の供給下で行う生物系の発酵プロセスがある。しかし、タンパク質や界面活性剤の生合成では、通常、発酵槽の中で激しい発泡が起こり、性能とプロセス全体の流れに悪影響を与えるという欠点がある。これまで、このようなシステムのガス導入には、気泡ガスを発生させ、その後、スターラーや消泡剤を用いて気泡を破壊する方法が採用されてきた。これにより、バイオマスを失うことなく、泡のない発酵を実現できるはずである。しかし、気泡の破壊を含むバブルガッシングは、さらなる制御パラメータによってプロセスの制御が複雑になり、機械的な泡の破壊がエネルギー的にプロセスのコストを増加させるという欠点がある。
【0004】
発泡抑制剤は、下流のプロセスフローにおける追加の精製がプロセスコストに強く影響するため、持続可能な代替手段とは言えない。この点で、既存の発酵方法とそれに使用される装置は、泡の形成を伴わないシンプルで再現性のある発酵プロセスを確保するために改良する必要がある。
【0005】
発酵液の無気泡ガス導入については、特許文献にもいくつかの紹介されている。
例えば、DE 10 2006 008 687 A1には、特にバイオテクノロジー、特に細胞培養において、チューブ、シリンダーまたはモジュールなどの1つまたは複数の浸漬膜面を介してガス交換を行い、液体にガスを導入するプロセスが記載されており、同文献は、この膜面が液体中で任意の回転振動運動を行うことを特徴としている。
【0006】
さらに、DE 44 046 00 C1には、反応器内で担体材料上に固定化された微生物に気泡なくガス導入するためのプロセスが開示されており、同文献は、微生物が付着した担体材料に対して、片面に酸素含有ガスが塗布された膜を介して担体材料の上流側で酸素が豊富に含まれている水溶液を流すようにしている。
【0007】
別の特許文献であるDE 41 42 502 A1には、水性液体に水素を気泡なく導入するためのプロセスが開示されており、水素は膜を介して水性液体に導入される。このプロセスは、a)多孔質ポリマーで形成された支持構造、およびb)少なくとも1層の非多孔質ポリマーを含む膜を使用し、水性液体が非多孔質ポリマーの層の側で膜に接触していることを特徴としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006008687号明細書
【特許文献2】独国特許発明第4404600号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第4142502号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
先行技術から知られているこのような解決策は、特にプロセスガスによるプロセス液の供給効率に関して、また特に難しい製品特性を持つシステムであっても泡の形成を確実に防止することに関して更なる改善の余地がある。
したがって、本発明の課題は、先行技術から知られている欠点を少なくとも部分的に克服することである。特に、本発明の課題は、プロセス液のガス供給が特に効率的かつ均一に行われ、供給中の泡の形成が大幅に低減されるガス導入ユニットおよびそれを備えた気液反応器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、本発明に係るガス導入ユニット、本発明に係る気液反応器、本発明に係るプロセス、および本発明に係る使用に向けられた、それぞれの独立請求項の特徴によって解決される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項、説明または図に記載されており、それによって、従属請求項または説明または図に記載または示されているさらなる特徴は、文脈が明確に反対のことを示さない限り、個別にまたは任意の組み合わせで、本発明の目的を構成することが可能である。
【0011】
本発明によれば、この課題は、反応器内に存在する液体中にプロセスガスを気泡なく導入するためのガス導入ユニットによって解決され、ガス導入ユニットは、少なくとも以下の構成を有する。
‐プロセスガスを受け入れるための第1のガス受入室と、そこから間隔をおいて設けられ、プロセスガスを受け入れるための第2のガス受入室とを備え、2つのガス受入室は、互いに間隔をおいて設けられると共に少なくとも一部が互いに固定された複数の中空糸からなる少なくとも2つの2次元のガス伝導性拡散膜を介して互いに接続されているもの、
‐前記ガス受け入れ室の少なくとも1つに設けられたガス供給用レセプタクル、
‐前記ガス受け入れ室の少なくとも1つに設けられたシャフト用レセプタクル。
そして、前記反応器内の液体にガスを導入するガス導入ユニットは、前記ガス供給用レセプタクルを介してプロセスガスを供給することができ、前記シャフト用レセプタクルを介して回転運動をさせることができ、液体中での前記ガス導入ユニットの回転運動を介して反応器内に対流の形成を可能とするものである。
【0012】
驚くべきことに、上記の設計により、極めて効率的で弾力性のあるガス導入攪拌機の組み合わせが実現し、多種多様な(バイオ)リアクターでのガス導入用途に適していることが判明したのである。プロセスガスのプロセス液への導入は、高度に均質かつ穏やかに行われる。ガス注入と攪拌を同時に行うことができるため、特に多量のプロセスガスを交換面を介して液中に均一に導入することができる。これは特に、膜交換面が中空糸でできており、液体内での絶え間ない運動により、常に処理ガスの拡散から解放されていることに起因している。したがって、一方では、本発明に係る設計で使用される中空糸膜は、これまで知られているものよりも全体的に大きな交換面を実現することを可能にし、他方では、膜の表面でせん断されるガスの同時移動が付着するガス気泡による拡散妨害を完全に回避するので、先行技術のソリューションよりもさらに効率的に使用される。さらに、プロセスガスが中央に供給され、ガス受け入れ室内に均一に分布しているため、設計が非常に堅牢で、しっかりと固定された中空糸を介して、高い流速と強い対流を発生させることができる。また、ガス注入と攪拌の組み合わせにより、中空糸はプロセス液によって間接的に流されるだけでなく、積極的に流れることも保障される。モジュール自体にデッドスペースが生じないため、ガスの供給効率が向上し、ガス導入の均一化に寄与する。また、せん断により気泡の大きさが小さく保たれる。このように、フィードの均一性、ガスの多さ、および同時剪断による気泡サイズの制御により、液体媒体中の気泡および/または泡の形成を高度に防止できるため、例えば発泡促進物質の製造や、生体培養を伴う難しい発酵作業にも対応することができる。また、ガス導入ユニットは、直列に接続された任意の数のガス導入ユニットから構成することができ、これにより、個々のモジュールの洗浄および滅菌が容易になり、より大きな反応容積へのアップスケールの設計も容易となる。
【0013】
本発明に係るガス導入ユニットは、反応器内の液体にプロセスガスを気泡なく導入するのに好適である。反応器内のプロセス液は、本発明に係るガス導入ユニットによって、攪拌と処理ガスの供給を同時に行うことができる。つまり、プロセスガスは、ガス導入ユニットを介してプロセス液体中に連続的または不連続的に時間間隔をおいて導入される。プロセスガスの導入により、反応器内の液体中のプロセスガスの濃度が、少なくとも一時的に、供給点において増加する。可能なプロセスガスは、酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、または類似のガスまたはそれらの混合物を含むことができる。典型的には、プロセスガスは、プロセス流体中でさらなる化学反応を行うための反応物を形成する。本発明に係る構造は、プロセスガスを気泡なしでプロセス流体中に供給することを可能にする。本発明における気泡なしとは、特に、プロセスガスの気泡サイズが、膜の表面上の気泡が肉眼で見えない、または非常に困難で見えない範囲であることを意味する。例えば、気泡サイズは、数ミクロンのオーダーであり得る。本発明に係る設計は、特に、プロセスの過程でプロセス液体の表面上に泡が形成または堆積することを防止する。反応器内の液体は、例えば、水溶液、分散液、またはエマルジョンであり得る。しかしながら、本項目は水系に限定されるものではない。非水系液体系も、気泡なくガス導入することができる。
【0014】
ガス導入(供給)ユニットは、少なくともプロセスガスを受け入れるための第1のガス受け入れ室と、そこから間隔をあけて、プロセスガスを受け入れるための第2のガス受け入れ室とから構成される。プロセスガスは、ガス供給ラインを介して2つのガス受け入れ室のうちの1つに供給され、そこに均一に分配されることができる。ガス受け入れ室はプロセスガスの貯蔵庫となり、膜に直接供給するのとは対照的に、起こりうる圧力変動を補償することもできる。プロセスガスは、このガス受け入れ室から中空糸膜を経由して第2のガス受け入れ室に供給される。2つのガス受け入れ室間の距離は、反応器の寸法、中空糸の長さと機械的安定性、所望のガス入力および所望の流れの力学的な関数として選択することができる。このようなガス受け入れ室は、例えば、金属またはプラスチックで作ることができ、回転対称性を有する。また、2つのガス受け入れ室には、中空糸膜のレセプタクルがあり、このレセプタクルにより各中空糸膜を独立して固定することができる。中空糸膜のレセプタクルは、例えば、ガス受け入れ室の表面に設けられた溝であり、そこに中空糸膜を機械的に挟み込んだり、接着したりして、ガス受け入れ室に気密的に接続することができる。
【0015】
2つのガス受け入れ室は、互いに間隔をあけて少なくとも一部が固定された複数の中空糸からなる少なくとも2つの2次元のガス導電性拡散膜を介して互いに接続されている。したがって、プロセスガスは、ガス受入室を介して液体中に導入されるのではなく、2つのガス受入室にガス伝導可能に接続された中空糸膜を介して導入される。中空糸はそのまま、つまり単体で使用されることはない。複数の中空糸が隣同士または後ろに配置され、中空糸の配置から平坦な膜が形成されるようになっている。膜のさらに安定させるために、個々の中空糸は、さらなる機械的手段によって互いに固定することも可能である。例えば、個々の中空糸は、中空糸に対して垂直またはほぼ垂直に走る非ガス輸送性の糸または繊維を有する布の形態で互いに安定化させることができる。例えば、中空糸膜1cmあたりに好ましくは1本、さらに好ましくは2本、さらに好ましくは3本の不活性ポリマー糸の形態の固定具を挿入し、糸を中空糸の上下に交互に通し、中空糸を互いに固定することができる。拡散膜または精密ろ過膜は、ガスが先ず膜に拡散し、中空糸シェルを通過した後にプロセス液に拡散する膜である。膜は緻密でも多孔質でもよく、膜の多孔度は、十分な流量があれば、膜の外側での濃度分極、およびそれに伴う気泡の形で導入されるガスのガス放出を防止できる範囲であることが必要である。非「高密度」膜の孔径は、20nmから20μmの範囲とすることができる。「高密度」拡散膜は、多層構造をとることができる。これにより、プロセス液が膜に入るのを防いだり、必要であれば、不要なガスの膜への逆拡散を防いだりするために層を追加することができる。さらに、層状複合構造は、緻密な材料の極めて薄い膜を、活性層である多孔質PMP、TMCTSまたはPDMS/シリコーンなどの機械的に強い層上に確実に支持することができる。この薄く緻密な層は、使用するガスの透過性にとって重要である。できるだけ薄い層が高い物質移動性を保証する。膜を通過する物質移動量と膜厚の比率は、緻密な膜では逆数である。しかし、薄い活性層は通常、機械的に不安定であり、担体、いわゆるサポートが必要である。できるだけ多孔質の支持体は、プロセス流体へのガスの侵入に対して無視できるほどの抵抗となる。使用できる中空糸は、例えばPMP(ポリメチルペンテン)製で、内径0.2mm、外径0.38mmである。また、PDMS(ポリジメチルシロキサン)/シリコーン膜を用いることも可能であり、内径が約0.3mm、外径が約0.5mmとすることもできる。好ましくは、個々の中空糸から平面的な膜配列を形成するために、50本以上、さらに好ましくは100本以上、さらに好ましくは500本以上の中空糸が互いに隣り合ってまたは後ろに配置される。平面的な配置は、好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上の、間隔をあけて配置された、直接隣接しない2つの中空糸の間の領域が、さらなる中空糸で覆われている場合に生じる。このような平面的な配置は、例えば、上記寸法の中空糸を、0.05mm以上、2.5mm以下、さらに好ましくは0.1mm以上、1mm以下の間隔で、ガス受け入れ室上に互いに間隔をおいて固定することにより達成することができる。気体は、気体受入室を通って、互いに接合された中空糸に流入して膜を形成し、駆動力に応じて、繊維の外側で液相に放出する。
【0016】
ガス導入ユニットは、少なくとも2つの拡散膜から構成される。これは、ガス受け入れ室から出発して、連続したガス経路を有する複数の中空糸の1つの膜が第2のガス受け入れ室までプロセス液中に延びるだけでなく、第1のガス受け入れ室には互いに離間した複数の中空糸の少なくとも2つの膜が配置されており、別のガス経路を介してプロセス液にガスを供給することができることを意味している。好ましくは、第1のガス受け入れ室からプロセス液中に延びる中空糸を配列した個々の膜は10以上、さらに好ましくは50以上、さらに好ましくは100以上存在してもよい。
【0017】
個々の中空糸は、ガス受け入れ室上の特別に設計された装置において中空糸を機械的にクランプすることによって、または膜をそのようにガス受け入れ室に接着することによって、ガス受け入れ室に接続することができる。好ましくは、個々の中空糸膜は、ガス受け入れ室に接着することができる。
ガス受け入れ室の一方には、ガス供給用のレセプタクルが配置されている。ガス受け入れ室には、外部から反応器内を通る供給ラインを介してプロセスガスを供給することができる。この目的のために、外部のガス源は、ホースまたはキャピラリーシステムを介して反応器の内部からガス受け入れ室に供給することができる。そこで、ホースまたは毛細管は、この目的のために設計されたガス受け入れ室のレセプタクルに接続することができる。これは、例えば、継手によって、ガス密閉式に行うことができる。好ましくは、フランジレスフェルールを有するメートルフランジレス平底接続要素が、継手として使用され得る。継手は、例えば、金属製またはプラスチック製、例えばPEEK製とすることができる。継手は、ガス受け入れ室の中心に配置されてもよいし、中心から外れたところに配置されてもよく、有利には、継手は、ガス受け入れ室の中空糸膜に面する側に配置される。ガス導入ユニットの動作モードに応じて、1つのみまたは両方のガス受け入れ室に、ガス供給用のレセプタクルを備えることができる。特に、ガス導入ユニットが2つのモードで動作することが可能である。一方では、ガス供給は、「クロスフロー」モードまたは代替的に「デッドエンド」モードで動作させることができる。「デッドエンド」モードでは、ガスはガス導入ユニットのガス受け入れ室にのみ搬送される。このモードでは、導入されていないプロセスガスの排出のために、例えば他のガス受け入れ室でのピックアップは必要でない。
【0018】
シャフト用レセプタクルは、ガス受け入れ室の1つに配置されている。ガス導入ユニットを動かすのに必要な機械的エネルギーを入力するために、ガス受け入れ室の1つはシャフトを受けるための装置で構成されている。シャフトは、反応器内を案内され、駆動装置またはギアボックスに接続され、シャフトを回転運動させることができる。回転するシャフトはまた、ガス導入ユニットを回転させ、プロセス流を平面中空糸膜を横切って移動させることができる。シャフトの動き、ひいてはガス導入ユニットの動きは、一方向だけであってもよいし、好ましくは2方向であってもよい。したがって、異なる速度を有するガス導入ユニットの一定または交互の回転方向の動きが実現され得る。
【0019】
ガス導入ユニットは、反応器内の液体にガスを導入するためのガス供給用の吸気口を介してプロセスガスを供給することができ、それによってガス導入ユニットは、シャフト用の吸気口を介して回転運動に設定され、ガス導入ユニットの液体中での回転運動を介して反応器内に対流を形成することができる。ガスとシャフトの吸気口を通して、機械的エネルギーとプロセスガスの両方をガス導入ユニットに伝達することができる。中空糸膜を通してプロセスガスがプロセス液中に放出され、ガス導入ユニットの回転運動と中空糸膜の平面化により、反応器内の液中に指向性のある流れが形成される。
【0020】
ガス導入ユニットの好ましい実施形態において、ガス受け入れ室上への拡散膜の突起は、円弧形状を有することができる。反応液内で均一なフロープロファイルを形成するために、またガス導入ユニット内の個々の中空糸を均一にオーバーフローさせるために、個々の中空糸が直線上に配置されず、むしろガス受け入れ室上で縦方向および横方向の両方で互いに間隔を空けて配置されることが特に適していることが証明された。このように、膜の平面的な設計の枠内で、結果として、中空糸の配列面は直線ではなく、曲線になっている。この設計は、フロープロファイルの改善と均一化に加えて、特に、中空糸膜表面からの気泡の均一な剪断による液体へのガス侵入の改善に寄与することができる。特に、膜表面におけるより大きなガス気泡の発生を遅延させるか、または完全に防止することも可能となる。円弧形状の可能な実施形態が図に示されている。好ましくは、円弧は1m-1以上、100m-1以下、さらに好ましくは5m-1以上、70m-1以下の曲率を有していてもよい。
【0021】
ガス導入ユニットのさらに好ましい実施形態では、ガス供給用レセプタクルおよびシャフト用レセプタクルは、1つのガス受け入れ室のみに配置することができる。反応器内のフロープロファイルを均等にするために、ガス取り入れ口と駆動シャフト用の接続部が、1つのガス受け入れ室の中央に配置されることが特に有利であることが証明されている。さらに好ましくは、ガス受けとシャフト受けの両方を、例えば中空シャフトの形で一緒に設計し、両方の受けがガス導入ユニットの1つの接続部内に配置されるようにすることができる。これは、ガス導入ユニット上の機械的構成要素の数を減らすのに役立ち得る。さらに、この組み合わせポートは、好ましくは、ガス導入ユニット上の中央に設計することができる。好ましくは、ガス導入ユニットは、ガス受け入れ室の一方に一体化したレセプタクルのみを介して、プロセスガスと必要な運動エネルギーとを同時に供給するようにしてもよい。これにより、ガス導入ユニットのフロープロファイルを特に均質に保つことができ、機器の接続作業を軽減することができる。後者はまた、ガス導入ユニットの洗浄性および滅菌性の向上にも寄与することができる。
【0022】
ガス導入ユニットのさらに好ましい態様において、2つのガス受け入れ室はそれぞれ円筒形であり、1つまたは複数の機械的支持体によって相互に接続されてもよい。回転対称の円筒形の形状は、ほとんどのリアクター形状で可能な最も効率的な対流を形成するために特に有利であることが分かっている。ガス受け入れ室のこの設計により、ガス導入ユニット内と反応器自体の両方で、非常に均一で強い流れを再現性よく引き起こすことができ、プロセス液へのプロセスガスの供給が特に良好に行われることに貢献する。中空糸膜を介して2つのガス受け入れ室の相対位置を互いに固定することに加えて、1つまたは複数の機械的支持体を介して2つのガス受け入れ室の相対位置を互いに固定することも有利であることが判明している。この措置は、高速度下でのガス導入ユニットの同期および不要な振動を低減することができる。好ましくは、支持体は、円筒形に設計された2つのガス受け入れ室の中心を通って案内され得る。このような実施形態は、ガス導入ユニット内の流れプロファイル、ここでは特に個々の中空糸膜の間の流れプロファイルを改善することができる。
【0023】
ガス導入ユニットの好ましい特徴によれば、少なくとも1つの保持ディスクが、機械的支持体上の2つのガス受け入れ室の間に配置され、拡散膜を機械的に保持するように設計されることが可能である。多数の異なるリアクター形状内で鏡面対称の対流を形成するためには、支持体上の2つのガス受け入れ室の間に、中空糸膜に機械的に接触する保持ディスクを配置することが特に有利であることが証明された。中空糸膜は、保持ディスクによる機械的な保持によって「緩く」固定されるか、あるいは保持ディスクによってフォールラインから引き伸ばされるか、ねじられるかのいずれかである。前者の場合、中空糸膜を所定の位置に保持することにより、例えばガス導入ユニットの循環速度が速くなるため、膜を損傷する危険性なしに、より大きな機械力を実現することもできる。より壊れやすい中空糸を使用することができる。膜を保持する機械的な作業に加えて、保持ディスクによって実現可能な流れの形状に影響を与えることができる。個々の中空糸膜は、ガス受け入れ室への接続によって決められた形状から、選択的に偏向させたりねじったりすることができる。このたわみにより、膜の平面形状が変化し、流体中に特殊な対流パターンを発生させることができる。このようにして、膜は特定のガス処理タスクと反応器の形状に適合させることができる。
【0024】
ガス導入ユニットの好ましい実施形態では、機械的支持体は、ガス受け入れ室からプロセスガスを輸送するように適合させることができる。クロスフロー動作におけるユニットへの供給が改善された、ガス導入ユニットの可能な限りコンパクトな設計を達成するために、機械的支持体は、ガス受け入れ室との間でプロセスガスを搬送することもできる中空シャフトの形態であることが特に適していることが証明されている。
【0025】
ガス導入ユニットのさらに好ましい実施形態では、ガス受け入れ室の断面積に対する全中空糸断面積の面積比は、5%以上、45%以下とすることができる。提案された設計によって、先行技術の解決策と比較して著しく大きなプロセスガス交換面積を有するコンパクトなガス導入ユニットを提供することができる。これらの大きな交換面積は、気泡形成の低い傾向のみを示し、また、ガス導入ユニットのより好ましい流動挙動を形成する。総中空糸断面積は、単一の中空繊維の断面に、ガス受けユニット上に配置された繊維の数を乗じることによって計算される。ガス受け部の断面積は、プロセスガスが供給されるガス受け部の面積に起因する。ガス受け入れ室が、プロセスガスが供給されないために中空糸膜を取り付けることができない中心面又は外面を有する場合、ガス受け入れ室がこの面を含んでいても、この面は上記の比率に寄与しない。好ましい実施形態内では、面積比は7.5%以上、20%以下であってもよく、さらに好ましくは10%以上、15%以下である。ガス交換面積とガス受け入れ室のこれらの比率の範囲内で、大量のプロセスガスを均質な流れ条件の下で導入することができる。
【0026】
ガス導入ユニットのさらに好ましい実施形態では、ガス導入ユニットの体積に対する拡散膜の充填密度は、中空糸の表面積をガス導入ユニットの体積で割った値で表され、0.1cm-1以上、7.5cm-1以下であってもよい。この場合、中空糸の総表面積は、プロセス液が自由に行き来できる中空糸の本数と表面積を用いて算出することができる。円筒形または非円筒形の形状の場合、ガス導入ユニットの総体積は、ガス受け入れ室間でプロセス液にアクセスできるガス導入ユニットの体積を介して求められる。本発明に係る設計を用いると、非常に高い活性ガス導入領域を小さな空間に収容することができ、これは、同時攪拌と組み合わせた高いプロセスガス流に加えて、非常に高い反応器容積の効率的な供給にも貢献することができる。好ましくは、この比率も、0.25cm-1以上6cm-1以下、さらに好ましくは0.5cm-1以上、3cm-1以下とすることができる。
【0027】
さらに本発明によれば、反応器内でプロセス液体にガスを導入する方法であって、ガス導入が本発明に係るガス導入ユニットを介して実施される方法が挙げられる。本発明に係るガス導入ユニットを介してプロセス液体にガスを導入する工程は、いくつかのプロセス上の利点を有することができる。このプロセスステップでは、大量のプロセスガスを流体体積中に均質に供給することができ、攪拌とガス導入の組み合わせにより、気泡サイズがないまたは非常に小さな気泡サイズのみの導入が実現される。流体境界との直接接触と膜表面からの気泡の即時せん断により、中空糸表面での濃度分極による拡散阻害が回避され、静止配置とは対照的に、すべての繊維が均一に動くため、より多くの液量が反応器内に供給される。特に、この工程では対流が形成されいるため、反応器内およびガス導入ユニット内のデッドゾーンを回避することができる。
【0028】
本方法の好ましい実施形態では、ガス導入ユニットの最外縁における膜表面の回転速度は、0.1m/s以上、5m/s以下であってよい。本発明に係るセットアップによって、本質的に機械的に不安定な拡散膜であっても、液体中の高いせん断速度下で操作することができる。理論に束縛されることなく、これは、間隔を置いた中空膜表面は、液体の中またはその上を流れるので、液体の運動パルスの一部のみを吸収するという事実に起因するものである。有利なことに、これは拡散したプロセスガスのストリッピングと機械的ストレスの軽減をもたらす。ガス導入ユニットの速度は、ガス受け入れ室の面積の寸法とガス導入ユニットの回転速度によって調整することができる。ガス導入ユニットの中心から最も遠い中空糸を基準にすると、中空糸の回転速度は最大となる。したがって、ガス導入ユニットのさらに内側に横たわる中空糸は、低い循環速度を有する。さらに好ましくは、ガス導入ユニットの最外周における膜面の公転速度は、0.25m/s以上、4m/s以下、さらに好ましくは0.5m/s以上、3m/s以下とすることができる。
【0029】
さらに本発明によれば、気液反応器は、少なくとも外側反応器シェルと、駆動装置と、ガス供給装置と、本発明に係るガス導入ユニットとから構成される。本発明に係る反応器は、プロセスガスを用いてプロセス液を無気泡でガス導入するための気液反応器である。本発明の意味での気液反応器は、例えば鋼またはガラスで作ることができる外殻によって区切られ、その内部には、異なる充填レベルでプロセス液を充填することができる空間が形成されている。特に、PP、PC、PET、LDPE、EVA、PVDCのようなプラスチックおよびこれらのプラスチックからなる複合システムからなる使い捨て反応器としての使用も可能である。プロセス液は、そのような液体に加えて、反応物、浮遊細胞または生物、塩、pH調整剤または他の物質のような他の成分を含んでいてもよい。プロセス液は、例えば、水溶液、分散液またはエマルジョンの形態であってもよい。ガス導入ユニットは、ガス取入口を介してプロセスガス用の供給ラインに接続することができる。プロセスガスは、ガスボトルなどのさらなる貯留槽に存在させることができ、制御バルブを介して制御された方法で供給される。制御装置によって、ガス導入ユニットへのガス流量およびガス組成を調整することができる。例えば、ガスバルブによって、ガス導入ユニットの膜の内側と、膜の外側における例えば発酵ブロスの形態のプロセス液との間の膜貫通圧力を調整することができる。ブロスへのガス投入量は、通常、膜貫通圧に比例して増加する。ガスが膜の内側を連続的に流れる場合、動作モードは「クロスフロー」に設定される。この場合、ガスバルブは デッドエンド運転モードで開かれる。これは、プロセスからのガス、例えば従来の好気性発酵におけるCOが濃度勾配に沿って膜に入り、そこで濃縮される場合に特に有効である。この濃縮は、投入されるガスのガス分圧が低下し、駆動力が小さくなるため、ガス投入の全体的な性能の低下につながる可能性がある。また、細孔を通って膜内に侵入した凝縮水も、このように急速/間欠的に排出することができる。「デッドエンド」ガス導入の特に注目すべき利点は、化学量論的に、プロセスで代謝されるガス分子のみが「導入」される、すなわち使用されることである。このことは、(バイオ)プロセスの経済性に関係する。これらの最小構成要素に加えて、反応器はもちろん他の内部構成要素を持つことができる。例えば、センサー、供給および排出ライン、ヒーターおよび/または冷却装置などのさらなる構成要素がリアクター内部に配置されることが可能である。加熱装置または冷却装置は、反応器の外部に配置することも可能である。
【0030】
気液反応器の好ましい実施形態では、反応器は、ガス導入ユニットの他に、さらなる攪拌ユニットを有しないようにすることができる。ガス導入ユニットの内部に存在するプロセス液の均一な混合を伴う特に効率的なフロープロファイルを形成するために、反応器は、プロセス液に指向性のある流れを生成するための能動的な移動装置をさらに設けないことが適していることが判明している。この場合、プロセス液は中空糸の周囲を特に指向性をもって流れ、中空糸から拡散するプロセスガスの大部分を剪断することができる。さらにアクティブな攪拌ユニットを使用すると、達成可能な対流の対称性が乱され、プロセス液の単位体積当たりのガス投入量が異なる可能性がある。
【0031】
気液反応器の更なる好ましい実施形態では、少なくとも1つのフローブレーカーが反応器シェルとガス受け入れ室との間に配置されてもよい。対流の流れの非常に対称的な設計に加えて、反応器の特定の領域においてフローブレーカーによって本発明に係るガス供給及び攪拌ユニットを介して誘導される対流を方向転換することが有用である場合がある。これは、特定の反応器形状へのより良い適応性に寄与することができる。フローブレーカーは、ガス導入ユニットと反応器壁との間、及びガス導入ユニットと反応器底部及び蓋との間に配置することができる。特に好ましくは、少なくとも1つのフローブレーカーが、ガス導入ユニットと反応器蓋との間に取り付けられるとよい。このフローブレーカーは、円盤状にすることもできる。このフローブレーカーは、特にガス導入ユニットの高交換面積および高循環速度の場合に、反応器のヘッドガス空間からのガスの制御されない吸収を防止するのに役立つことができる。特に、ガス導入ユニットの方向へのプロセス液のコーニングが効果的に防止される。好ましくは、円盤状のフローブレーカーを、ガス導入ユニットの上端から液面までの距離の1/4以上、3/4以下の高さに導入することができる。
【0032】
さらに本発明によれば、プロセス溶液に懸濁させた、または反応器の内部もしくはガス導入ユニットに付着した生物学的培養物にプロセスガスを供給するための、本発明に係る気液反応器の使用が挙げられる。生物学的培養物、例えば細菌または真菌の形態は、原則として2つの異なる方法でバイオリアクター内で増殖させることができる。まず、生物は、例えば懸濁液の形態で溶液中に存在させることもできるし、表面に付着させることができる。バイオフィルムとしての培養は、原則として、本発明に係る反応器の壁またはガス導入ユニット上で行われ得る。本発明によれば、動的なガス導入および撹拌条件下でより均一な栄養分の供給が確保され得るので、後者が好ましい。この点で、より高い収率およびより速い変換が達成され得る。本発明に係るリアクター設計は、水性発酵培地中の微生物の増殖に特に適していることが証明されている。本発明に係るリアクター設計は、ガス導入ユニットによってリアクター容積全体の混合のごく一部が阻害されるだけで、目標とする再現可能な適応ガス量を反応媒体中に導入することができる。混合が少ないためデッドゾーンがなく、プロセスガス需要、例えば酸素をプロセス液の全容量に均一かつ迅速に分配することができる。微生物は、反応器内で繁殖することができる生物である。本発明に係るプロセスのさらなる利点については、本発明に係るガス導入ユニットの利点に明示的に言及する。
【0033】
さらに本発明によれば、栄養培地内のバクテリアに酸素を供給するための気液反応器の使用である。特に、本発明に係るリアクターは、栄養培地内のバクテリアに酸素を供給するために使用することができる。特に細菌は、栄養培地内での成長段階の関数として、様々なプロセスガス要件を示す。導入された酸素の均質な分散と均一な分布は、これらの場合、特に困難であり、ガス導入システムは、低量の酸素と高量の酸素の両方を選択的に栄養培地に導入するのに十分な蓄えを有していなければならないからである。このような場合、例えば、低量を再現性よく導入し、高量をバブリングなく導入できるように、膜貫通圧の柔軟性が高いことが求められる。使用できる細菌の例として、水中や土壌、植物に存在するグラム陰性の棒状細菌であるPseudomonas putida(P.putida)が挙げられる。ドイツでは、実験用菌株P. putida 5 KT2440はS1生物に分類され、GRASのステータスを持っている。P.putida KT2440 は、有機溶媒に対する顕著な耐性を持ち、多様な代謝を有することから、産業バイオテクノロジーにとって非常に興味深い生物である。さらに、P. putidaは遺伝子の異種発現に適した生物であり、グルコース上での高い増殖率を有している。
【0034】
使用のさらなる好ましい態様において、生物学的培養物は、泡沫形成物質を生産するように適合させることができる。特に泡沫形成物質、中でも特にバイオサーファクタントは、これらの界面活性剤が特に強い泡沫形成に自然に寄与するため、従来の反応器での発酵が特に困難である。バイオサーファクタントの一例として、生体触媒によって生成される界面活性分子であるラムノリピッドが挙げられる。このバイオ界面活性剤は、石油系界面活性剤とは異なり、生物学的に速やかに代謝されるため、環境適合性に優れているという生態学的な利点がある。これらは、本発明に係る反応器において、本発明に係るガス導入ユニットを用いて、特に有利に製造することができる。他のバイオサーファクタントは、様々な微生物によって生産されるものが存在する。これらには、特に、酵母によって生産されるソホロリピッドが含まれる。ソホロリピッドは、糖脂質に属する。さらに、リポペプチドに属するバイオサーファクタントとして、Bacillus subtilisが生産するサーファクチンがある。サーファクチンは、主に医療分野で使用されている。これらは、本発明のガス導入ユニットを用いることにより、ほとんど泡を出さずに製造することが可能となる。
【0035】
使用の好ましい実施形態において、反応器充填容積に対する拡散膜の膜面積(膜面積cm2を反応器充填容積cm3で割った値)は、0.05cm-1以上、1.0cm-1以下であってよい。特に、バイオリアクターでの細胞培養や生体分子の合成には、上記の膜面積とリアクター容積の比率が特に有利であることが証明されている。この比率により、バイオマスの量が著しく異なる、異なる成長段階において、プロセスガスを十分に供給することができ、それによって、細胞の増殖の初期にプロセスガスの投入を十分に制御することもできる。この設計により、非常に制御しやすい量のプロセスガスを必要に応じて供給し、膜貫通ブリッジが十分に小さい場合には、後の成長段階で適合した量を供給することができる。
【0036】
本発明に係る対象の更なる利点及び有利な実施形態は、図によって示され、以下の実施例において説明される。なお、図は説明的なものであり、本発明を何ら限定するものではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明に係る実施形態で、ガス受け入れ室の平面図である。
図2】ガス受け入れ室の本発明に係る更なる実施形態を示す平面図である。
図3】本発明に係るガス導入ユニットの一実施形態を示す斜視図である。
図4】本発明に係るガス導入ユニットの一実施形態を示す正面図である。
図5】本発明に係るガス導入ユニットの概略断面図である。
図6】本発明に係るガス導入ユニットを切断した切断図である。
図7】本発明に係るガス導入ユニットを備えた本発明に係る反応器の概略断面図である。
図8】可能な対流プロファイルを含む、本発明に係るガス導入ユニットを備えた本発明に係る反応器の概略正面図である。
図9】直列に接続された2つのガス導入ユニットからなる本発明に係るガス導入ユニットの概略正面図である。
図10】直列に接続された2つのガス導入ユニットからなる本発明に係るガス導入ユニットの概略斜視図である。
図11】媒体供給を伴う2つの直列に接続されたガス導入ユニットからなる本発明に係るガス導入ユニットの概略正面図である。
図12】媒体供給を伴う2つの直列に接続されたガス導入ユニットを有する本発明に係る反応器の概略正面図である。
図13】可能な対流プロファイルを含む、本発明に係る直列に接続された2つのガス導入ユニットを有する本発明に係る反応器の概略正面図である。
図14】本発明に係るガス導入ユニットの概略的な分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、ガス受け入れ室1の概略平面図である。ガス受け入れ室1は、円筒形であり、プロセスガス用レセプタクル4および/またはシャフト用レセプタクル4からなる内部領域に分割されている。このレセプタクル4を介して、ガス受け入れ室1には、プロセスガスと機械的駆動エネルギーの両方が供給される。プロセスガスは、レセプタクル4から台形接続部5を介してガス受け入れ室1内に導かれる。ガス受け入れ室1は、閉じた表面2を有し、この表面には、拡散膜(この図には示されていない)を受容するための対応する凹部3が設けられる。中空繊維の形態の拡散膜は、凹部3にクランプまたは接着することができ、拡散膜はガス受け入れ室1の内部に延び、これにより、レセプタクル4から前記接続部5を経てガス受け入れ室1の内部に、中空繊維膜まで連続したガス伝導経路が形成されている。なお、凹部3は、拡散膜固定面3とも言うことができる。拡散膜固定面3の形状は、拡散膜の平面的な配置を決定する。本実施形態では、拡散膜固定面3は円弧状の構成を有しており、その結果、これらの凹部に固定された中空糸は、全体として同様に円弧状の膜面を有している。上下のガス受け入れ室1は、鏡像の構成を有することができる。しかし、2つのガス受け入れ室1のうちの1つは、さらなる処理手段のためのレセプタクルを有しないことも可能である。運転中、ガス受け入れ室1は、下側または上側のカバーによって、プロセス媒体による直接的なアクセスから保護することができる。
【0039】
図2は、図1と比較して、ガス受け入れ室2の表面、拡散膜固定手段3、プロセスガス用および/またはシャフト用の受入れ手段、ならびにガス受け入れ手段4を備えたガス受け入れ室との接続部5について、実質的に同じ配置を示している。図1とは対照的に、この時点では、個々の円筒状中空糸が拡散膜固定面3に挿入されていることが示されている。したがって、連続した平らな膜ではなく、拡散膜固定面3の円弧状の構成に沿うように、X方向およびY方向に互いにオフセットした多数の個々の中空糸から形成されていることが明らかにされている。この点で、拡散膜の形状は円弧状に形成されている。2つのガス受け入れ室1での中空糸の固定に加え、個々の中空糸を互いに機械的に固定することもできる(この図には示されていない)。この追加的な固定は、例えば、中空糸の対称軸に垂直に膜に織り込まれた繊維または編み込まれた繊維によって達成することができる。こうして、中空糸と追加固定の繊維によって格子が形成され、これは、さらなる固定点の数の関数として、また追加繊維の機械的特性の関数として、拡散膜の必要な機械的負荷容量に調整可能である。
【0040】
図3は、本発明に係るガス導入ユニット10の一実施形態を示す図である。この図では、ガス導入ユニット10の全体を見ることができる。ガス導入ユニット10には、供給ライン9を介して、プロセス媒体のプロセスガスとエネルギーとが供給される。供給ラインは、第1のガス受け入れ室1のガス供給/シャフト用レセプタクル4に開口している(図示せず)。ガス受け入れ室1は、この時点で上カバーを備えている。ガス受け入れ室1から延びているのは、個々の拡散膜6であり、この拡散膜6は、第1のガス受け入れ室1(ここでは上部に示されている)から下部のガス受け入れ室1まで全体的に延びている。この図では、拡散膜6の平面的な設計を特に見ることができ、これは中空繊維の特定の配置によって達成される。拡散膜6は、第1のガス受け入れ室1から第2のガス受け入れ室1まで延び、保持ディスク7によって中央で固定されている。したがって、ガス受け入れ室1の間で、個々の拡散膜6のガス伝導が妨げられることはない。拡散膜6は、保持ディスク7によってのみ保持することができ、それらの元の位置から偏向させるか、または機械的に張力をかけることができる。したがって、保持ディスク7は、個々の拡散膜6の配向を変えることができ、これは当然、ガス導入ユニット10によって達成可能な対流に影響を及ぼす。この図では、反応器のヘッドスペースの方向でガス発生ユニット10の上部に配置されたフローブレーカー8も示されている。このフローブレーカーは、オプションであり、特にガス導入ユニット10の非常に高い回転速度において、反応液中の渦の形成を防止することができる。これにより、気泡の発生をさらに抑制することに寄与することができる。
【0041】
図4は、本発明に係るガス導入ユニット10を示す正面図である。ガス導入ユニット10には、供給ライン9を介してプロセス媒体のプロセスガスと機械エネルギーとが供給される。供給ラインは、第1のガス受け入れ室1のガス供給/シャフト用のレセプタクル(図示せず)に開口している。ガス受け入れ室1から延びるのは、上部ガス受け入れ室1から下部ガス受け入れ室1まで全体的に延びる個々の拡散膜6である。拡散膜6は、第1ガス受け入れ室1から第2ガス受け入れ室1まで延びており、中央部で保持ディスク7により保持されている。この図では、ガス導入ユニット10の上方で反応器の頭部空間方向に配置されたフローブレーカー8も示されている。
【0042】
図5は、本発明に係るガス導入ユニット10内の媒体供給の一例を示す図である。ガス導入ユニット10は、ガス供給/シャフト用のレセプタクル4でガス受け入れ室1に接続された中空のシャフト9によって駆動される。シャフトは、機械的エネルギーとプロセスガスの両方をガス受け入れ室1に搬送する。
ガス供給用のレセプタクル4及び接続ガスレセプタクルを介して、ガスは内部ガスレセプタクル11に導かれる。個々の中空糸膜6は、内部ガスレセプタクル11に延びるようにガス受け入れ室1上に配置されている。このため、中空糸膜には、内部ガスレセプタクル11からプロセスガスが供給され、拡散膜6の中空糸を介して他方のガス受け入れ室1に導かれる。プロセスガスは、拡散膜6の中空糸からプロセス液に通過させることができるので、プロセス液にプロセスガスが供給される。両ガス受け入れ室1は、さらに、機械的支持体12を介して互いに追加的に接続される。この支持体は、純粋に機械的な支持に加えて、他の技術的な機能に使用することが可能である。この実施形態では、第2の(より低い)ガス受け入れ室1は、プロセスガス用のレセプタクル4も構成している。膜6から拡散しなかったプロセスガスは、中空シャフトの形態の支持体12を介してガス導入ユニット10から排出される。このようにして、ガス導入ユニット10は、「クロスフロー」モードで運転される。一般に、プロセスガスは、中央の中空シャフト12を介して供給されるだけでなく排出させることができ、この中空シャフトは機械的支持体としても機能することができる。特に、後者の設計では、必要な接続点の数を減らすことができる。
【0043】
図6は、図5と同様に、本発明に係るガス導入ユニット内の媒体フローを示す。ガス導入ユニット10は、レセプタクル4によってプロセスガスおよび/または機械的エネルギーが供給される。レセプタクル4は、ガス受け入れ室1に接続されており、それによってプロセスガスは、内側ガス受け入れ室11に供給される。個々の中空糸膜6は、ガス受け入れ室1上に配置され、ガス受け入れ室1内に延在している。したがって、中空糸膜6には、内側ガス受け入れ室11からプロセスガスが供給され、このプロセスガスは、拡散膜6の中空糸を介して他方のガス受け入れ室1に導出される。プロセスガスは、拡散膜6の中空糸からプロセス液に通過させることができるので、プロセス液にプロセスガスが供給される。これにより、両方のガス受け入れ室1は、オプションでプロセスガスを誘導することもできる機械的支持体12を介して互いにさらに接続される。本実施形態では、第2の(より低い)ガス受け入れ室1もプロセスガスのためのレセプタクル4を構成している。膜6から拡散しなかったプロセスガスは、機械的支持体12のガスラインを経由してガス導入ユニット10から排出される。この実施形態では、ガス導入ユニット10は、「クロスフロー」モードで動作させることができる。したがって、一般に、プロセスガスの排出と同様に供給4も、中空軸の形態の中央機械的支持体12を介して効果的に行うことができる。特に、後者の設計は、必要な接続点の数を減らすことができる。
【0044】
図7は、本発明に係るガス導入ユニット10が内部に配置された本発明に係るバイオリアクター20を示す。反応器20はプロセス液で満たされており、プロセス液は反応器20内にプロセス液面21まで存在する。ガス導入ユニット10は、中空シャフト9の形態のプロセスガス/機械的エネルギー供給によって、反応器20内に保持され、反応器20内を移動する。ガス導入ユニット10の更なる構造は、図5の説明を援用することができる。また、さらなるフローブレーカーまたは導体8が、反応器壁22上または反応器20の液体容積中(この図には示されていない)に配置され、それによってプロセス液体の対流にこのさらなるフローブレーカー8によって影響を与えることが可能となる。
【0045】
図8は、本発明に係るガス導入ユニット10を備えた本発明に係る反応器20の設計のための1つの可能性を示している。この図では、反応器20内に対流の流れを形成するための1つの可能性が示されている。対流の流れは、反応器20及びガス導入ユニット10の形状の関数としての流れ挙動のシミュレーションから生じる。この図では、ガス導入ユニット10が非常に対称的な対流を形成し、それによって特にガス導入ユニット10の内部もプロセス液によって活発に流れることが分かる。特に、後者は、拡散膜6を介したプロセスガスのプロセス液体への効率的な導入に寄与し得る。特に、個々の中空糸6の周囲におけるプロセス液の対流は、小さな気泡を形成し、この気泡は中空糸6の表面からせん断されるため、プロセス液にプロセスガスを供給することが可能である。また、これにより、中空糸表面の気泡径を小さく保つことができる。
【0046】
図9は、モジュールカップリング31を介して結合された2つの個別ガス導入ユニット10からなる直列接続ガス導入ユニット30を示す。モジュールカップリング31を介して、プロセスガスと機械的運動の両方が、上部のガス導入ユニット10から下部のガス導入ユニット10に伝達される。複数のガス導入ユニット10を相互に接続することで、異なる形状の原子炉やサイズにも非常に効率的にプロセスガスを供給することができる。その結果、可能な限り少ない接続で、確実に予測可能な対流が得られる設計となっている。これは、特に直列接続されたガス導入ユニット30を介して、より大きな反応器20へのアップスケールも容易に行えることを意味する。
【0047】
図10は、図9の実施形態を別の視点から示した図である。
【0048】
図11は、直列に接続された2つのガス導入ユニット10の配置内の媒体供給の一例を示している。ガス導入ユニット10は、ガス供給/シャフト用レセプタクル4でガス受け入れ室1に接続された中空シャフト9によって駆動される。ガス供給用レセプタクル4と接続ガス取入口内室ガスレセプタクル5を介して、ガスは個々の中空糸膜6を介して、他方のガス受け入れ室1に供給される。この第2のガス受け入れ室1から、残りのプロセスガスは、モジュールカップリング31を介して第2のガス導入ユニット10に通過することができる。2つのガス導入ユニット10間のモジュールカップリング31は、個々のガス導入ユニット10間におけるプロセスガスの移送と機械的駆動エネルギーの移送の両方を可能にする。
【0049】
図12は、2つの個別ガス導入ユニット10からなるガス導入ユニット30を直列に接続した本発明に係る反応器20の一実施形態を示している。複数のガス導入ユニット10を直列に接続することで、特にアスペクト比が大きい反応器20にも確実にプロセスガスを供給することが可能となる。
【0050】
図13は、直列に接続された2つのガス導入ユニット30を備える反応器20の可能なフロープロファイルを示す。その結果、反応器領域全体と直列接続されたガス導入ユニット30内の両方で、プロセス液の均一な対流が実現される。
【0051】
図14は、本発明に係るガス導入ユニット10の分解斜視図である。ガス導入ユニット10は、例えば、レセプタクル4でガス受け入れ室1に接続された中空シャフト(この図には示されていない)によって駆動され、プロセスガスが供給される。シャフトは、ガス導入ユニットに機械的な動力を供給すると同時に、プロセスガスをガス受け入れ室1に輸送する。個々の中空糸膜6は、ガス受け入れ室1上に配置され、それらが内部ガス受け入れ室11内に延びるようになっている。したがって、中空糸膜には、内部ガス受け入れ室11からプロセスガスが供給され、拡散膜6の中空糸を介して他方の(下側の)ガス受け入れ室1に導かれる。プロセスガスは、拡散膜6の中空糸からプロセス液に通すことができるので、プロセス液にプロセスガスを供給することができる。これにより、両方のガス受け入れ室1は、機械的支持体12を介して互いに接続される。この支持体12は、純粋に機械的な支持に加えて、他の技術的な機能のために使用することができる。この実施形態では、第2の(下側の)ガス受け入れ室1も、プロセスガス用のレセプタクル4を構成している。膜6から拡散しなかったプロセスガスは、機械的支持体12の中空シャフトを介して、再びガス導入ユニット10の外へ導かれる。したがって、この実施形態では、ガス導入ユニット10は、「クロスフロー」モードで動作する。一般に、プロセスガスは、機械的支持体12における中央の中空シャフトを介して出入りすることができ、この中空シャフトは、レセプタクル4を介して一方または両方のガス受け入れ室1の外周に接続される。特に、後者の実施形態では、必要な接続箇所の数を減らすことができ、コンパクトな設計に寄与することができる。さらに、この実施形態では、個々のガス受け入れ室1がカバープレートによって上下を保護され得ることが分かる。
【符号の説明】
【0052】
1 ガス受け入れ室
2 ガス受け入れ室の表面
3 拡散膜固定面
4 ガス供給/シャフト用レセプタクル
5 接続ガス取入口内部ガス取入口
6 拡散膜
7 保持ディスク
8 フローブレーカー
9 プロセスガス/機械的エネルギー供給
10 ガス導入ユニット
11 内部ガス受け入れ室
12 サポート
20 気液反応器
21 プロセス液面
22 リアクターシェル
30 直列配置ガス導入ユニット
31 モジュールカップリング

図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】