(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】電気髭トリマー
(51)【国際特許分類】
B26B 19/06 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
B26B19/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544646
(86)(22)【出願日】2021-01-25
(85)【翻訳文提出日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 IB2021050558
(87)【国際公開番号】W WO2021149031
(87)【国際公開日】2021-07-29
(32)【優先日】2020-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508117514
【氏名又は名称】ブラウン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラインホルト アイヒホルン
(72)【発明者】
【氏名】アロイス コープル
(72)【発明者】
【氏名】ヤナ シュミット
(72)【発明者】
【氏名】マーティン フュルグラーベ
【テーマコード(参考)】
3C056
【Fターム(参考)】
3C056CA02
3C056CA07
3C056CA13
3C056CA16
3C056CA34
(57)【要約】
本発明は、第1の切断要素4及び第2の切断要素5を有する一対の協働する切断要素と、当該第2の切断要素を移動方向に駆動するモータと、一対の協働する切断要素を支持する支持構造体14と、を備える、電気かみそり及び/又はトリマー1用の切断装置システム3であって、積層挟持配置が、第2の切断要素が第1の切断要素と当該支持構造体との間に挟持されることによって提供される、切断装置システムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の切断要素(4)及び第2の切断要素(5)を有する一対の協働する切断要素(4、5)と、前記第2の切断要素(5)を移動方向に駆動するモータと、前記一対の協働する切断要素(4、5)を支持する支持構造体(14)と、を備える電気かみそり及び/又はトリマー用の切断装置システムであって、前記第2の切断要素(5)が前記第1の切断要素(4)と前記支持構造体(14)との間に挟持されることによって、積層挟持配置が提供され、前記積層挟持配置において、前記第2の切断要素(5)が両者の間に移動可能に受け入れられ、前記第1の切断要素(4)、前記支持構造体(14)、及び前記第2の切断要素(5)の間で、移動方向に垂直な方向に、特定の切断空隙(25a、25b)サイズを画定するための追加部品が設けられることを特徴とする、切断装置システム。
【請求項2】
前記追加部品が、前記切断空隙(25a、25b)サイズを画定する少なくとも1つのスペーサ(15)を含み、前記スペーサ(15)が、前記第2の切断要素(5)に隣接して配置され、前記第1の切断要素(4)と前記支持構造体(14)との間で、前記第2の切断要素(5)と一緒に挟持され、前記スペーサ(15)が、一方の側面で前記第1の切断要素(4)と、他方の側面で前記支持構造体(14)と当接接触するように設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の切断装置システム。
【請求項3】
前記切断空隙(25a、25b)サイズが、0.04mm未満であるように寸法決めされていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の切断装置システム。
【請求項4】
前記第1の切断要素(4)が、皮膚側上側面、2つの側方非毛髪切断側面、及びそれぞれが1列の第1の切断歯(6)を備える2つの長手方向側面を有する、平坦な板状構成で設けられ、前記第2の切断要素(5)が、前記移動方向に平行に延在する長手方向側面のそれぞれにおける、1列の第2の切断歯(7)と、両方の列の前記第2の切断歯を結合する平坦な主部とを設けられ、前記第2の切断要素(5)が、前記第1の切断要素(4)に向けられた上側面と、支持構造体(14)に向けられた下側面とを有し、前記第2の切断歯(7)の少なくともいくつかが、前記第2の切断要素(5)の前記下側面において、少なくとも先端部において覆われておらず、切断した無精髭の排出領域を形成し、スペーサ(15)が、前記スペーサ(15)に沿って往復運動又は回転運動し、前記スペーサ(15)を受け入れる案内凹部を有する、前記挟持された切断要素(5)を案内する、摺動ガイドを形成し、支持要素(17)、前記スペーサ(15)、及び他方の切断要素(4)が、互いに堅固に結合され、前記挟持された切断要素(5)が摺動可能に受け入れられる間隙(16)を有する、堅固な挟持フレームを形成することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の切断装置システム。
【請求項5】
第2の切断歯(7)は、前記第2の切断歯(7)が前記第2の切断要素(5)の主部から突出し始める歯部基準線が設けられ、前記第2の切断歯が、その長手方向延長部に沿って前記基準線から自由先端までの第2の歯の長さ(tl)を有し、前記支持構造体が、縁部(23)を有する支持要素(17)を含み、前記縁部が、少なくとも1つの第2の切断歯(7)に支持接触するか、又は前記第2の歯の長さ(tl)の2倍未満の、前記少なくとも1つの第2の切断歯(7)の前記基準線までの距離にあるか、又は前記第2の歯の長さ(tl)未満の、前記少なくとも1つの第2の切断歯(7)の前記基準線までの距離にあるか、又は前記第2の歯の長さ(tl)の半分未満の、前記少なくとも1つの第2の切断歯(7)の前記基準線までの距離にあることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の切断装置システム。
【請求項6】
前記支持要素(17)が、前記挟持された第2の切断要素(5)の前記第2の切断歯(7)に支持接触している、波状の又は歯状の縁部(23)を有することを特徴とする、請求項5に記載の切断装置システム。
【請求項7】
前記支持要素(17)が、前記第2の切断歯の列のそれぞれに隣接する両側面に直線縁部を有することを特徴とする、請求項5に記載の切断装置システム。
【請求項8】
支持要素(17)が、実質的に平面状である、及び/又は、前記第1の切断要素(4)の表面に実質上対応する形状を有する、支持面を形成する支持板を含み、それにより、前記支持板の前記支持面と前記切断要素(4)との間に形成された間隙(16)が実質的に一定の幅を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の切断装置システム。
【請求項9】
前記支持板が、前記挟持された切断要素の外側輪郭に対応する、及び/又は、実質的に長方形である、外側輪郭を有することを特徴とする、請求項8に記載の切断装置システム。
【請求項10】
前記挟持された切断要素(5)が、スペーサ(15)がそこを通って延在する、少なくとも1つの細長い又はスリット状の貫通孔(19)を含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の切断装置システム。
【請求項11】
前記挟持された切断要素(5)が、2つ以上のスペーサ(15)がそこを通って延在する、2つ以上の平行な細長い又はスリット状の貫通孔(19)を含むことを特徴とする、請求項10に記載の切断装置システム。
【請求項12】
更なる貫通孔(74)が、前記少なくとも2つ以上の平行な細長い又はスリット状の貫通孔の間に設けられ、前記更なる貫通孔が、切断された無精髭のための排出路を形成することを特徴とする、請求項11に記載の切断装置システム。
【請求項13】
支持要素(17)が、無精髭のための排出路を形成する貫通孔(74)を含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の切断装置システム。
【請求項14】
前記挟持された第2の切断要素(5)が、前記第1の切断要素(4)と支持要素(17)との間に取り外し不能に保持されており、スペーサ(15)のうちの少なくとも1つが、前記挟持された切断要素(5)の貫通孔を通って延在し、前記第1の切断要素(4)と前記スペーサのうちの少なくとも1つとの間の少なくとも2つの固定部が、前記第2の切断要素(5)の前記移動方向に垂直な方向に関して前記第1の切断要素において分散して配置されることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の切断装置システム。
【請求項15】
前記第1の切断要素(4)の分散固定部が、第2の歯の長さ(tl)の2倍未満の、第2の切断歯(7)のうちの少なくとも1つの基準線までの距離、又は第2の歯の長さ(tl)未満の、前記第2の切断歯(7)のうちの少なくとも1つの基準線までの距離、又は前記第2の歯の長さ(tl)の半分未満の、第2の切断歯(7)のうちの少なくとも1つの基準線までの距離で配置されることを特徴とする、請求項14に記載の切断装置システム。
【請求項16】
前記第1の切断要素(4)が、短毛切断領域を提供する前記第2の切断要素の開口部と協働する、開口部を含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の切断装置システム。
【請求項17】
前記第1及び第2の切断要素のいくつかの開口部が、細長い短毛切断部の列を形成し、少なくとも2列の細長い短毛切断部が、開口部を有さない結合領域によって分離され、スペーサが、前記第1及び第2の切断要素(4、5)の垂直方向で協働する結合領域の間に配置されることを特徴とする、請求項16に記載の切断装置システム。
【請求項18】
前記第1の切断要素(4)が、前記第2の切断要素(5)の歯先端(9)上に張り出す、厚肉化された及び/又は丸められた歯先端(8)を有することを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の切断装置システム。
【請求項19】
前記第1の切断要素(4)が、それぞれの第1の歯の長手方向断面において実質的にI又はL字状である第1の歯を有する、及び/又は、前記第1の歯の先端部が、前記支持構造体と結合されていない自由端を有することを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の切断装置システム。
【請求項20】
前記挟持された切断要素(5)が、前記挟持された切断要素(5)の片側でのみ他方の切断要素(4)によって案内され、前記挟持された切断要素(5)の歯先端が、前記他方の切断要素(4)の前記歯先端(8)から離間していることを特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載の切断装置システム。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項により構成されている、切断装置システムを備えることを特徴とする、電気かみそり及び/又はトリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数日分のあご髭の無精髭などの体毛を切断することに関する。より具体的には、本発明は、支持構造体によって互いに対して移動可能な一対の協働する切断要素を備える、電気かみそり及び/又はトリマー用の切断装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気かみそり及びトリマーは、様々な機構を利用して、毛髪切断機能を提供する。一部の電気かみそりは、剪断フォイル内の穿孔に入る毛髪を切断するために、剪断フォイルに対して移動可能な下方切断装置と協働する穿孔剪断フォイルを含む。かかる剪断フォイルタイプのかみそりは、多くの場合、日常的に使用されて、短いあご髭の無精髭が皮膚表面のすぐ上で切断される、清浄な髭剃りを提供する。
【0003】
他方で、互いに対して往復運動又は回転する複数の櫛状又は熊手状の切断歯を備えた一対の協働する櫛状の切断要素を含む他の切断装置システムは、長いあご髭の無精髭や、例えば、皮膚に対して非常に小さい角度で、又は非常に弾力性のある皮膚から成長することに起因して切断することが困難な問題の毛髪を切断するために使用されることが多い。かかる櫛状又は熊手状切断要素の歯は、通常、駆動運動のタイプに応じて、互いに実質的に平行に、又は実質的に径方向に突起し、切断歯間の間隙に入る毛髪を切断することができ、切断又は剪断は、協働要素の切断歯が、指状切断歯の間の間隙を閉鎖し、互いに通過するときに、はさみ状の方法で達成される。
【0004】
より長い毛髪のためのかかる切断装置システムは、電気かみそり又はトリマーに一体化されてもよく、それと同時に、前述の剪断フォイル切断装置を備え得る。例えば、櫛状切断要素は、例えば、一対の剪断フォイル切断装置の間に配置されてもよく、又は別個の伸長可能な長髪切断装置に配置されてもよい。一方、そのような櫛状切断要素のみで提供される電気かみそり又はトリマー又はスタイリング装置も存在する。
【0005】
例えば、欧州特許第2425938(B1)号は、剪断フォイル切断装置間に一体化された一対の長い毛髪トリマーを有するかみそりを示す。更に、欧州特許第2747958(B1)号は、かみそりヘッドの両側に配置された2列の協働する切断歯を有する毛髪トリマーを開示し、上部櫛状切断要素の切断歯が、下部切断要素の歯先端上に張り出した、丸められ厚肉化された歯先端を備え、これにより、突出する歯先端が皮膚に突き刺さること、及び皮膚を刺激することを防止する。同様の切断装置システムが、米国特許出願公開第2017/0050326(A1)号に示されており、このような切断装置システムでは、下部櫛状切断要素は、固定され、上部櫛状切断要素は、移動可能である。
【0006】
更に、CN206287174Uは、それぞれが2列の突出切断歯を備えた一対の協働する櫛状切断要素を有するあご髭トリマーを開示し、皮膚接触面を画定する上部切断要素は、下部切断要素の歯上に張り出した、厚肉化され丸められた歯先端を備えた切断歯を有する。当該厚肉化され丸められた歯先端は、皮膚接触面から離れるように湾曲しており、皮膚を実際に切断歯の主部に直接接触させて、皮膚表面に近いあご髭の無精髭を切断するように皮膚接触面に向かって突出していない。
【0007】
このようなあご髭の無精髭用トリマーは、非常に異なり、多岐にわたる機能的な要件及び性能問題、例えば、密着性、徹底性、切断場所の良好な視認性、効率、及び心地よい肌触り、良好な人間工学並びに取り扱いに対処する必要がある。密着性は、残りの無精髭が短い又は非常に短いことを意味するのに対し、徹底性は、特に首のような問題箇所において、剃りきれない毛髪がより少ないことを意味する。効率は、所望のトリミング結果を達成するために十分な、より少なく、より速いストロークを意味する。心地よい肌触りは、個々のユーザに依存するが、多くの場合、切り傷又は擦傷の形態の刺激が少なく、皮膚上へのより良好な滑りを含む。切断場所の視認性は、例えば1mmの長さの局所的な精度で除毛を達成するための輪郭のスタイリング又はエッジングの場合に特に重要である。
【0008】
そのような様々な性能問題を同時に満たすことは、非常に困難である。例えば、欧州特許第2747958(B1)号に示されるような厚肉化された端部を有する丸められた歯先端は、皮膚刺激を防止し得るが、よりアグレッシブで密着した髭剃りを可能にするものではない。一方、米国特許出願公開第2017/0050326(A1)号に示されるように、上部駆動櫛に比較的鋭い歯先端を有する切断装置システムは、密着性を達成し得るが、皮膚の刺激を引き起こすことなく、皮膚表面に実質的に垂直な突出歯で輪郭を切断するために使用することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第2425938(B1)号
【特許文献2】欧州特許第2747958(B1)号
【特許文献3】米国特許出願公開第2017/0050326(A1)号
【特許文献4】CN206287174U
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の根底にある目的は、先行技術の欠点の少なくとも1つを回避する、かつ/又は既存の解決方法を更に発展させる、改善された切断装置システムを提供することである。本発明の根底にあるより具体的な目的は、輪郭のエッジングの良好な制御を含み、同時に皮膚刺激を回避しつつ、長い無精髭や毛髪を密着し徹底的に切断することである。本発明の根底にある別の目的は、切断要素間の低摩擦、切断歯の低温、並びに低エネルギー消費及びそれゆえの長いエネルギー貯蔵寿命を犠牲にすることなく、毛髪を抜くこと及び引くことを回避するために協働する切断歯の確実かつ清浄な切断動作である。
【0011】
この目的は、請求項1の特徴によって解決される。更なる有利な特徴は、従属請求項によって提供される。
【0012】
一態様によれば、摩擦、熱放出、及び電池寿命の低減は、回避することができるが、それでもなお、毛髪を抜くこと及び強く引くことを回避する清浄かつ確実な切断動作は、切断要素及びその切断歯を互いに十分に近接して保持しつつも、歯の互いに対する低摩擦移動を依然として可能にする、特定の支持構造体によって達成され得る。より具体的には、切断要素の一方は、他方の切断要素と、支持要素又は支持構造体との間に挟持されてもよく、支持要素又は支持構造体は、支持要素から所定の距離に外側切断要素を正確かつ堅固に保持するスペーサを含み、それによって、挟持された切断要素が受け入れられる間隙を画定し、当該スペーサ、したがって当該間隙は、挟持された切断要素よりもわずかに厚い。このため、挟持された切断要素は、摩擦なしに、又は非常に低摩擦で外側切断要素に対して移動することができるが、それにもかかわらず、挟持された切断要素の厚さが非常に小さいときであっても、偏向は防止される。低摩擦を達成し、同時に、切断歯間の毛髪の把持を回避するために、当該スペーサは、例えば、挟持された切断要素よりも40μm未満厚いなど、通常の毛髪の厚さよりも小さい量でのみ、挟持された切断要素の厚さよりも大きい厚さを有してもよい。
【0013】
当該スペーサは、支持要素を他方の切断要素に堅固に結合して、スペーサ及び他方の切断要素を含む剛性支持構造体を形成することができ、挟持された切断要素は、当該スペーサを摺動可能に受け入れる1つ以上の中央の細長い貫通孔を含み得、スペーサは、挟持された切断要素の当該貫通孔を通って支持要素から他方の切断要素まで延在する。
【0014】
更なる態様によれば、挟持支持構造体は、切断要素の往復方向に平行な又は垂直であり、かつ当該皮膚接触面に垂直である断面平面で見たときに凸状又は凹状である切断装置システムの皮膚接触面を可能にし、挟持された切断要素が摺動可能に案内される間隙は、非円形の形状を有し得る凹状又は凸状の輪郭を有し得る。当該間隙によって画定されるそのような非円形凹状又は凸状経路に沿った挟持された切断要素の往復運動を可能にするために、挟持された切断要素は、可撓性であり得る、又は柔軟であり得る、又は鎖状に屈曲可能であり得る。
【0015】
皮膚接触圧が歯列の全長にわたって同じではない場合があるため、歯の構成は同じ協働する歯の列で変化し得る。より具体的には、少なくとも1列の協働する歯は、異なる構成の切断歯を含むことができ、当該列の中央部の切断歯は、歯先端部の形状及び/又はサイズ及び/又は位置の点から、当該列の端部の切断歯と異なり得る。切断装置ヘッドの皮膚接触面の輪郭に応じて、協働する歯の列の端部における皮膚接触圧は、当該列の中央部における皮膚接触圧よりも大きくてもよく、又は小さくてもよい。すべての部分で均一かつ効率的な切断を達成するために、皮膚接触圧が比較的低い部分の歯は、皮膚接触圧が比較的高い部分の歯よりもアグレッシブであるように構成され得る。低い皮膚接触圧の部分によりアグレッシブな歯を設けることによって、密着性と徹底性を達成することができる一方、高い皮膚接触圧の領域におけるあまりアグレッシブでない歯が、皮膚の刺激を回避する。アグレッシブな歯又は歯先端部には、より小さい皮膚接触面及び/又はより尖った先端部が提供され得る。これにより、毛髪の捕捉が確実になり、より少ないストロークで、より徹底的な毛髪切断がもたらされ、より密着した髭剃りが得られる。皮膚接触圧は、例えば、当該皮膚接触面の形状又は外形が、皮膚からより離れた他の領域に対して皮膚の近くに位置する領域を作り出す場合、又は切断システムを特定の中立配向/構成で押圧する形状又はばね荷重が、切断歯の一部の領域が他の歯領域に対して皮膚に対してより強く押圧される領域を生み出す場合、切断システムの皮膚面にわたって低くなり得る。あまりアグレッシブでない歯の幾何学形状は、上記のものとは反対であり、すなわち、よりアグレッシブな相互作用のために設計された他の歯よりも増大された、又は厚肉化された、又はより丸められた、皮膚接触面及び先端部をより大きく備えている。あまりアグレッシブでない歯は、依然として皮膚の快適さが提供され、敏感な皮膚が損傷しないことを保証する。そのようなあまりアグレッシブでない歯は、切断システムの皮膚接触圧が低い他の歯領域よりも、同じ切断システムの高い皮膚接触圧の歯領域にとって好ましい。
【0016】
更なる態様によれば、第1の切断要素及び第2の切断要素を有する一対の協働する切断要素と、当該第2の切断要素を移動方向に駆動するモータと、一対の協働する切断要素を支持する支持構造体と、を備える、電気かみそり及び/又はトリマー用の切断装置システムであって、第2の切断要素が第1の切断要素と当該支持構造体との間に挟持されることによって、積層挟持配置が提供され、当該積層挟持配置において、当該第2の切断要素が両者の間に移動可能に受け入れられ、第1の切断要素、当該支持構造体、及び当該第2の切断要素との間で、移動方向に垂直な方向に、特定の切断空隙サイズを画定するための追加部品が設けられることを特徴とする、切断装置システムが提供される。したがって、モータ駆動の第1の切断要素は、切断空隙が提供されるときに、この挟持構造体内で非常に低い摩擦で移動することができる。また、追加の部品は、第1の切断要素の薄いフォイルがユーザの皮膚に強く押圧されてわずかに変形し得る場合でも、切断空隙が維持されることを確実にする。
【0017】
更なる態様によれば、当該追加部品は、当該切断空隙サイズを画定する少なくとも1つのスペーサを含み、当該スペーサは、第2の切断要素に隣接して配置され、かつ、第1の切断要素と支持構造体との間で、第2の切断要素と一緒に挟持され、当該スペーサが、一方の側面で第1の切断要素と、他方の側面で支持構造体と当接接触するように設けられている。スペーサは、支持構造体の一部として作製され得る。スペーサは、1つ又は2つ又は3つ又は4つの長手方向バーの形態であり得る。これらのバーの側面は、レールのような可動の第2の切断要素を案内するように機能し得る。
【0018】
更なる態様によれば、当該切断空隙サイズは、毛髪の厚さよりも小さい、又は0.1mm未満であるように寸法決めされる。前述の間隙の厚さは、切断空隙の厚さと第2の切断要素の厚さの合計と同じであり得るスペーサの厚さに対応し得る。切断空隙の厚さが毛髪よりも小さい場合、切断歯間の毛髪の把持は、積層挟持配置の垂直厚さ方向に沿って回避され得る。
【0019】
更なる態様によれば、上記3つの段落のうちの少なくとも1つに記載されている特徴は、前述の特徴のいずれかと組み合わせることができる。
【0020】
これら及び他の利点は、図面及び可能な例に言及する以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1a】互いに対して往復運動する一対の協働する櫛状切断要素を有する切断システムを含む電気あご髭トリマーの斜視図であって、部分図(a)は、電気あご髭トリマーの前側を示し、部分図(b)は、あご上で働くあご髭トリマーを示す。
【
図1b】互いに対して往復運動する一対の協働する櫛状切断要素を有する切断システムを含む電気あご髭トリマーの斜視図であって、部分図(a)は、電気あご髭トリマーの前側を示し、部分図(b)は、あご上で働くあご髭トリマーを示す。
【
図2】協働する櫛状切断要素及び当該切断要素を駆動するための駆動システムを示す、あご髭トリマーの断面図である。
【
図3】一対の協働する櫛状切断要素と、切断要素を互いに対して支持するための支持構造体と、を含む切断装置システムの斜視図である。
【
図4a】剃毛される皮膚と接触している切断装置システムの断面図であり、切断装置ヘッドの対向側における非対称列の協働する切断歯を示し、これらの切断歯は、互いに異なって成形されて、剃毛される皮膚に沿って切断装置システムを移動させるときに異なる皮膚接触及び皮膚波を達成し、部分拡大図a及びbは、2列の切断歯の歯先端の異なる構成を示す。
【
図4b】剃毛される皮膚と接触している切断装置システムの断面図であり、切断装置ヘッドの対向側における非対称列の協働する切断歯を示し、これらの切断歯は、互いに異なって成形されて、剃毛される皮膚に沿って切断装置システムを移動させるときに異なる皮膚接触及び皮膚波を達成し、部分拡大図a及びbは、2列の切断歯の歯先端の異なる構成を示す。
【
図4c】剃毛される皮膚と接触している切断装置システムの断面図であり、切断装置ヘッドの対向側における非対称列の協働する切断歯を示し、これらの切断歯は、互いに異なって成形されて、剃毛される皮膚に沿って切断装置システムを移動させるときに異なる皮膚接触及び皮膚波を達成し、部分拡大図a及びbは、2列の切断歯の歯先端の異なる構成を示す。
【
図5a】丸められ厚肉化された歯先端を有する上部切断要素の歯の側面図及び上面図であり、図(a)は丸め及び厚肉部の側面図であり、図(b)は、間に間隙を有する一対の歯の上面図である。
【
図5b】丸められ厚肉化された歯先端を有する上部切断要素の歯の側面図及び上面図であり、図(a)は丸め及び厚肉部の側面図であり、図(b)は、間に間隙を有する一対の歯の上面図である。
【
図6】
図4aと同様の切断装置システムの断面図であり、切断装置ヘッドの両側における両方の列の協働する歯の歯先端は、皮膚接触面から離れるように屈曲させられ、皮膚接触面の反対側にのみ突出している。
【
図7a】異なる使用オプションによって剃毛されるべき皮膚と歯先端との係合の断面図であり、図(a)は、フォークモードでの密着切断のために滑らかに構成された歯先端を示し、図(c)は、フォークモードで使用される徹底的な切断のためにアグレッシブに構成された歯先端を示し、図(d)は、熊手モードでのアグレッシブに構成された歯先端を示す。
【
図7b】異なる使用オプションによって剃毛されるべき皮膚と歯先端との係合の断面図であり、図(a)は、フォークモードでの密着切断のために滑らかに構成された歯先端を示し、図(c)は、フォークモードで使用される徹底的な切断のためにアグレッシブに構成された歯先端を示し、図(d)は、熊手モードでのアグレッシブに構成された歯先端を示す。
【
図7c】異なる使用オプションによって剃毛されるべき皮膚と歯先端との係合の断面図であり、図(a)は、フォークモードでの密着切断のために滑らかに構成された歯先端を示し、図(c)は、フォークモードで使用される徹底的な切断のためにアグレッシブに構成された歯先端を示し、図(d)は、熊手モードでのアグレッシブに構成された歯先端を示す。
【
図7d】異なる使用オプションによって剃毛されるべき皮膚と歯先端との係合の断面図であり、図(a)は、フォークモードでの密着切断のために滑らかに構成された歯先端を示し、図(c)は、フォークモードで使用される徹底的な切断のためにアグレッシブに構成された歯先端を示し、図(d)は、熊手モードでのアグレッシブに構成された歯先端を示す。
【
図8a】異なる組立/分解図で協働する切断要素を含む切断装置システムを示し、図(a)は、組み立てられた切断システムの斜視図であり、図(b)は、挟持された切断要素を受け入れる間隙を画定するための支持要素と上部切断要素との間のスペーサを示す切断装置システムの分解図であり、図(c)は、スペーサが支持要素に取り付けられた状態の切断システムの部分分解図であり、図(d)は、スペーサと組み立てられた挟持された切断要素を示す部分分解図であり、図(e)は、丸められた及び/又は面取りした縁部を有する歯の皮膚接触面の部分斜視図であり、図(f)は、丸められた及び/又は面取りした縁部を有する歯の皮膚接触面の上面図であり、図(g)は、歯長手方向軸に沿って変化する歯の断面を示すために、部分
図8fに示すように、歯の異なる長手部分で取られた歯の皮膚接触面の縁部の丸め及び/又は面取りの2つの断面図である。
【
図8b】異なる組立/分解図で協働する切断要素を含む切断装置システムを示し、図(a)は、組み立てられた切断システムの斜視図であり、図(b)は、挟持された切断要素を受け入れる間隙を画定するための支持要素と上部切断要素との間のスペーサを示す切断装置システムの分解図であり、図(c)は、スペーサが支持要素に取り付けられた状態の切断システムの部分分解図であり、図(d)は、スペーサと組み立てられた挟持された切断要素を示す部分分解図であり、図(e)は、丸められた及び/又は面取りした縁部を有する歯の皮膚接触面の部分斜視図であり、図(f)は、丸められた及び/又は面取りした縁部を有する歯の皮膚接触面の上面図であり、図(g)は、歯長手方向軸に沿って変化する歯の断面を示すために、部分
図8fに示すように、歯の異なる長手部分で取られた歯の皮膚接触面の縁部の丸め及び/又は面取りの2つの断面図である。
【
図8c】異なる組立/分解図で協働する切断要素を含む切断装置システムを示し、図(a)は、組み立てられた切断システムの斜視図であり、図(b)は、挟持された切断要素を受け入れる間隙を画定するための支持要素と上部切断要素との間のスペーサを示す切断装置システムの分解図であり、図(c)は、スペーサが支持要素に取り付けられた状態の切断システムの部分分解図であり、図(d)は、スペーサと組み立てられた挟持された切断要素を示す部分分解図であり、図(e)は、丸められた及び/又は面取りした縁部を有する歯の皮膚接触面の部分斜視図であり、図(f)は、丸められた及び/又は面取りした縁部を有する歯の皮膚接触面の上面図であり、図(g)は、歯長手方向軸に沿って変化する歯の断面を示すために、部分
図8fに示すように、歯の異なる長手部分で取られた歯の皮膚接触面の縁部の丸め及び/又は面取りの2つの断面図である。
【
図8d】異なる組立/分解図で協働する切断要素を含む切断装置システムを示し、図(a)は、組み立てられた切断システムの斜視図であり、図(b)は、挟持された切断要素を受け入れる間隙を画定するための支持要素と上部切断要素との間のスペーサを示す切断装置システムの分解図であり、図(c)は、スペーサが支持要素に取り付けられた状態の切断システムの部分分解図であり、図(d)は、スペーサと組み立てられた挟持された切断要素を示す部分分解図であり、図(e)は、丸められた及び/又は面取りした縁部を有する歯の皮膚接触面の部分斜視図であり、図(f)は、丸められた及び/又は面取りした縁部を有する歯の皮膚接触面の上面図であり、図(g)は、歯長手方向軸に沿って変化する歯の断面を示すために、部分
図8fに示すように、歯の異なる長手部分で取られた歯の皮膚接触面の縁部の丸め及び/又は面取りの2つの断面図である。
【
図8e】異なる組立/分解図で協働する切断要素を含む切断装置システムを示し、図(a)は、組み立てられた切断システムの斜視図であり、図(b)は、挟持された切断要素を受け入れる間隙を画定するための支持要素と上部切断要素との間のスペーサを示す切断装置システムの分解図であり、図(c)は、スペーサが支持要素に取り付けられた状態の切断システムの部分分解図であり、図(d)は、スペーサと組み立てられた挟持された切断要素を示す部分分解図であり、図(e)は、丸められた及び/又は面取りした縁部を有する歯の皮膚接触面の部分斜視図であり、図(f)は、丸められた及び/又は面取りした縁部を有する歯の皮膚接触面の上面図であり、図(g)は、歯長手方向軸に沿って変化する歯の断面を示すために、部分
図8fに示すように、歯の異なる長手部分で取られた歯の皮膚接触面の縁部の丸め及び/又は面取りの2つの断面図である。
【
図8f】異なる組立/分解図で協働する切断要素を含む切断装置システムを示し、図(a)は、組み立てられた切断システムの斜視図であり、図(b)は、挟持された切断要素を受け入れる間隙を画定するための支持要素と上部切断要素との間のスペーサを示す切断装置システムの分解図であり、図(c)は、スペーサが支持要素に取り付けられた状態の切断システムの部分分解図であり、図(d)は、スペーサと組み立てられた挟持された切断要素を示す部分分解図であり、図(e)は、丸められた及び/又は面取りした縁部を有する歯の皮膚接触面の部分斜視図であり、図(f)は、丸められた及び/又は面取りした縁部を有する歯の皮膚接触面の上面図であり、図(g)は、歯長手方向軸に沿って変化する歯の断面を示すために、部分
図8fに示すように、歯の異なる長手部分で取られた歯の皮膚接触面の縁部の丸め及び/又は面取りの2つの断面図である。
【
図8g】異なる組立/分解図で協働する切断要素を含む切断装置システムを示し、図(a)は、組み立てられた切断システムの斜視図であり、図(b)は、挟持された切断要素を受け入れる間隙を画定するための支持要素と上部切断要素との間のスペーサを示す切断装置システムの分解図であり、図(c)は、スペーサが支持要素に取り付けられた状態の切断システムの部分分解図であり、図(d)は、スペーサと組み立てられた挟持された切断要素を示す部分分解図であり、図(e)は、丸められた及び/又は面取りした縁部を有する歯の皮膚接触面の部分斜視図であり、図(f)は、丸められた及び/又は面取りした縁部を有する歯の皮膚接触面の上面図であり、図(g)は、歯長手方向軸に沿って変化する歯の断面を示すために、部分
図8fに示すように、歯の異なる長手部分で取られた歯の皮膚接触面の縁部の丸め及び/又は面取りの2つの断面図である。
【
図9a】挟持された切断要素の切断歯上に張り出した、上部切断要素の丸められ厚肉化された歯先端を示し、挟持された切断要素を上部切断要素に密接に保持する支持要素を示す、協働する切断歯の部分斜視図であり、当該支持要素は、波状又は歯状の縁部輪郭を有する。
【
図9b】挟持された切断要素の切断歯上に張り出した、上部切断要素の丸められ厚肉化された歯先端を示し、挟持された切断要素を上部切断要素に密接に保持する支持要素を示す、協働する切断歯の部分斜視図であり、当該支持要素は、波状又は歯状の縁部輪郭を有する。
【
図9c】挟持された切断要素の切断歯上に張り出した、上部切断要素の丸められ厚肉化された歯先端を示し、挟持された切断要素を上部切断要素に密接に保持する支持要素を示す、協働する切断歯の部分斜視図であり、当該支持要素は、波状又は歯状の縁部輪郭を有する。
【
図10a】挟持された切断要素よりもわずかに厚い、挟持された切断要素を受け入れる間隙を画定するためのスペーサを含む支持構造体の断面図である。
【
図10b】挟持された切断要素よりもわずかに厚い、挟持された切断要素を受け入れる間隙を画定するためのスペーサを含む支持構造体の断面図である。
【
図10c】挟持された切断要素よりもわずかに厚い、挟持された切断要素を受け入れる間隙を画定するためのスペーサを含む支持構造体の断面図である。
【
図11a】協働する歯間の間隙を最小限に抑えるために、挟持された切断要素を上部切断要素に向けて付勢するばね装置を含む代替の支持構造体の断面図である。
【
図11b】協働する歯間の間隙を最小限に抑えるために、挟持された切断要素を上部切断要素に向けて付勢するばね装置を含む代替の支持構造体の断面図である。
【
図12a】各列で異なって構成された協働する歯を有する切断装置システムの皮膚接触面の上面図であり、部分図(a)は、協働する歯の列の中央部のよりアグレッシブに構成された歯と、列の反対側の端部のあまりアグレッシブに構成されていない歯とを有して、端部に向かって増加する皮膚接触圧を補償する例を示し、部分図(b)は、列の端部のよりアグレッシブに構成された歯と、列の中央部であまりアグレッシブに構成されていない歯とを有して、中央部に向かって増加する皮膚圧を補償する別の例を示す。
【
図12b】各列で異なって構成された協働する歯を有する切断装置システムの皮膚接触面の上面図であり、部分図(a)は、協働する歯の列の中央部のよりアグレッシブに構成された歯と、列の反対側の端部のあまりアグレッシブに構成されていない歯とを有して、端部に向かって増加する皮膚接触圧を補償する例を示し、部分図(b)は、列の端部のよりアグレッシブに構成された歯と、列の中央部であまりアグレッシブに構成されていない歯とを有して、中央部に向かって増加する皮膚圧を補償する別の例を示す。
【
図13】歯の列に沿って変化する歯の構成と皮膚接触圧との関係を示し、部分図aは、ユーザの皮膚と係合する協働する歯の列の歯先端の正面図であり、部分図bは、歯の列の異なる部分に接触する皮膚の異なる部分について、皮膚接触圧及びそれに反応する歯への圧力を示し、部分図cは、歯の列の中心からその側端に向かって増加する皮膚接触圧を示す。
【
図14a】
図13のaと同様の歯列に沿って変化する皮膚接触圧及び歯構成であり、皮膚接触圧が歯列の中心から側端部に向かって増加する、実質的に平坦な又は面状の皮膚接触面を有する切断装置システムを示す。
【
図14b】
図13のaと同様の歯列に沿って変化する皮膚接触圧及び歯構成であり、皮膚接触圧が歯列の側端部に向かって減少する、凸状の皮膚接触面を有する切断装置システムを示す。
【
図15a】外側層によって囲まれた充填材を有する複合歯先端を有する歯の斜視図である。
【
図15b】外側層によって囲まれた充填材を有する複合歯先端を有する歯の斜視図である。
【
図15c】外側層によって囲まれた充填材を有する複合歯先端を有する歯の斜視図である。
【
図16a】複合歯先端を有する歯、及びその歯に対して往復動して協働する歯の斜視図である。
【
図16b】複合歯先端を有する歯、及びその歯に対して往復動して協働する歯の斜視図である。
【
図16c】複合歯先端を有する歯、及びその歯に対して往復動して協働する歯の斜視図である。
【
図17】第1の切断要素とスペーサとの間の固定のための異なる固定位置の効果を示す切断装置システムの概略断面図である。
【
図18】第1及び第2の切断要素及びスペーサを備えるが、有利な固定点を示す支持構造体を有さない、切断システムの一部の下側を示す図である。
【
図19a】スペーサが結合された支持要素の上面図である。
【
図20a】2列の短髪切断領域を含む切断システムの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
滑らかで快適な切断動作を達成するために、毛髪が適切に切断されない、又は互いに対して移動する歯間で把持されることを回避するように、切断要素及び協働する歯を互いに分離するのを回避することが有用である。基本的に、これは、例えば、1つの切断要素の歯を他方の切断要素の歯に対して付勢するばね装置によって、協働する歯を互いに対して押圧することによって防止することができる。しかしながら、協働する歯間の大きな接触圧は、摩擦を増加させ、その摩擦が、次に熱を引き起こす。また一方、このような切断要素の加熱は、皮膚を刺激し、少なくともユーザを不快に感じさせる。更に、接触圧の増加、このための摩擦もまた、切断要素を互いに対して駆動するために必要なエネルギーを増加させ、ひいては電池寿命を低下させる。
【0023】
一方で毛髪を抜くこと及び強く引くことのない確実かつ快適な切断と、他方で摩擦の低減、熱発生の低減、ひいては電池寿命の延長を有する切断要素の効率的な可動性と、を組み合わせるために、切断要素は、改善された支持構造体によって互いに対して支持されてもよい。より具体的には、切断要素の一方は、他方の切断要素と、支持要素から所定距離に正確かつ堅固に保持するスペーサを含み得る支持フレームのような支持要素又は支持構造体との間で挟持されることによって、挟持された切断要素が摺動可能に及び/又は移動可能に受け入れられる間隙を画定し、当該スペーサ、したがって当該間隙は、挟持された切断要素よりもわずかに厚く、熱の生成を低減するように摩擦を低減する遊びをいくらか提供する。挟持された切断要素は、摩擦なしに、又は非常に低摩擦で外側切断要素に対して移動することができるが、それにもかかわらず、挟持された切断要素の厚さが非常に小さいときであっても、偏向が防止される。低摩擦を達成し、同時に、切断歯間の毛髪の把持を回避するために、当該スペーサは、切断される毛髪の厚さよりも小さい量でのみ挟持された切断要素の厚さよりも大きい厚さを有してもよい。
【0024】
より具体的には、スペーサの厚さが挟持された切断要素の厚さを超える量は、40μm未満であり得る。例えば、その量は、20μm~40μmの範囲であってもよい。このような構成は、製造が容易であることと、切断される毛を引き抜いたり強く引いたりするリスクが十分に小さいこととの間の良好な妥協点である。
【0025】
前述のスペーサは、二重機能を提供し得る。スペーサは、挟持された切断要素が受け入れられる間隙を正確に画定するだけでなく、当該スペーサに沿って往復運動し得る挟持された切断要素を案内するための摺動ガイドを形成し得る。
【0026】
より具体的には、挟持された切断要素は、スライドガイドを形成するスペーサが受け入れられるガイド凹部を含み得る。ガイド凹部の輪郭又は縁部が、当該ガイド凹部内に受容されたスペーサの外側輪郭に沿って摺動し得、それによって、往復運動のための案内を達成する。同時に、そのような凹部にスペーサを配置することで、切断要素の周囲の輪郭に沿って間隙が正確に画定される。より具体的には、中央に位置するスペーサは、間隙幅を一定に保ち、所望の距離で他方の切断要素を堅固に保持することができ、それにより、挟持された切断要素が、偏向するのを防止され、加えて高摩擦を防止されるように十分に支持される。
【0027】
スペーサは、往復運動も回転もしない支持要素及び/又は切断要素に堅固に結合され得る。
【0028】
したがって、支持要素、スペーサ、及び前述の他方の切断要素は、一緒に、挟持された切断要素を摺動可能に案内する剛性支持構造体を形成し得る。
【0029】
挟持された切断要素は、少なくとも1つのスペーサが摺動可能に受容される1つ以上の中央の細長い又はスリット状の貫通孔を含み得る。換言すれば、スペーサは、挟持された切断要素内の当該貫通孔を通って延在し、その中に摺動可能に受け入れられて、挟持された切断要素の他の切断要素に対する往復運動を可能にする。挟持された切断要素は、2つ以上のスペーサがそこを通って延在し得る2つ以上の細長い貫通孔を含み得る。
【0030】
挟持された切断要素は、挟持された切断要素を通って延在するスペーサによって、前述の間隙において解放不可能に保持され得る。装着を可能にするために、スペーサは、挟持された切断要素の貫通孔を通ってスペーサを挿入した後に、支持要素及び/又は他方の切断要素に堅固に締結され得る。例えば、スペーサは、他方の切断要素に溶接及び/又は接着され、及び/又は他の締結手段によってそこに堅固に締結され得る。
【0031】
明確に画定された剛性間隙へ挟持された切断要素を摺動可能に案内する支持構造体は、往復運動の湾曲路に沿って挟持された切断要素の屈曲及び/又は案内とを可能にする。より具体的には、当該間隙は、往復運動に平行又は垂直である、かつ切断装置システムの皮膚接触面に垂直である断面平面で見たときに、凸状及び/又は凹状の輪郭を有し得る。あるいは、当然のことながら、当該間隙は、往復動の直線経路を画定するための線状の直線構成を有し得る。線状の直線部と凹状又は凸状部との組み合わせが可能である。特に、間隙は、往復移動方向に平行又は垂直な断面平面で見たときに、非円形の凸状又は凹状部を有し得る。
【0032】
挟持された切断要素がそのような非円形の凸状又は凹状の経路に沿って往復運動することを可能にするために、挟持された切断要素は、可撓性であり得る、及び/又は柔軟であり得る、及び/又は鎖のように屈曲可能であり得る。
【0033】
挟持された切断要素は、駆動のタイプに応じて、往復運動又は回転し得る被駆動切断要素であってもよい。
【0034】
基本的に、協働する切断要素のそれぞれが、駆動されてもよい。しかしながら、容易な駆動システムを安全かつ柔らかい切断動作と組み合わせるために、皮膚接触面及び/又は張り出した歯先端部を有する上部又は外側切断要素が、起立していてもよく、及び/又は往復運動していなくてもよく、並びに回転していなくともよい一方で、挟持された切断要素であり得る下部又は内側切断要素は、往復運動又は回転振動してもよい。
【0035】
一方でよりアグレッシブでより密着性の高い切断動作と、他方でさほど激しくなく、より心地よい肌触りとの間での選択をユーザに与えるために、切断装置システムは、歯の厚肉化された及び/又は丸められた歯先端の形状及び/又はサイズ及び/又は位置付けの点から互いに異なる2つの別個の列の協働する歯を提供する。よって、第1の列の協働する切断歯の使用は、よりアグレッシブでより密着性の高い切断動作を提供し得る一方、第2の列の切断歯の使用は、さほど激しくなく、より心地よい肌触りを提供し得る。歯先端の構成、特に湾曲及び厚肉部の構成は、切断性能に大きな影響を及ぼし得、ユーザが密着性、徹底性、柔らかい肌触り、及び効率のいずれかを選択することができる。アグレッシブ性が異なって構成された歯先端を有する少なくとも2列の協働する歯により、切断装置システムの汎用性が大幅に向上する。
【0036】
より具体的には、協働する歯の列は、歯の主部に対する厚肉部の位置、並びにそのサイズ及び形状によって少なくとも部分的に画定される歯先端の高さに関して互いに異なり得る。一方の列では、厚肉部は、皮膚接触面の反対側にのみ突出することができ、これは、例えば、先端厚肉部が取り付けられている歯部を皮膚接触面から離れるように屈曲又は湾曲させる、及び/又は厚肉部を歯の主部に偏心して、具体的には皮膚接触面からわずかにずらして取り付けることによってことによって達成され得る。一方、協働する歯の第2の列では、歯先端における厚肉部は、歯の両側に、すなわち、皮膚接触面及びそれと反対側に突出し得る。
【0037】
より一般的には、切断歯列の非対称設計は、一方の列の切断歯の張り出した歯先端が、他方の列の切断歯の張り出した歯先端よりも、更に、切断歯の主部の皮膚接触面から、接触対象の皮膚に向かって突出することによって達成され得る。追加的に又は代替的に、当該他方の列の切断歯の張り出した歯先端は、当該一方の列の切断歯の張り出した歯先端よりも、更に、切断歯の主部の皮膚接触面から遠くに位置付けられ得る。
【0038】
下部櫛状切断要素又は下方切断装置の歯先端の穿孔に対する一種の保護を達成するために、上部切断要素は、下部切断要素の歯先端上に張り出し、下部切断要素の歯が位置付けられる平面に向かって突出する歯先端を有し、それにより、上部切断要素の厚肉化された歯先端が、下部切断要素の歯先端が皮膚を穿刺するのを防止する一種の障壁を形成し得る。より具体的には、上部切断要素の張り出した歯先端は、当該張り出した歯先端が、他方の切断要素の歯先端が位置付けられる当該平面内及び/又はそれを超えて延在するように厚肉化され得る、及び/又は湾曲され得る。したがって、他方の切断要素の当該歯先端は、突出する歯の長手方向軸に実質的に平行な方向で切断要素の歯の先端を見たとき、他方の切断要素の張り出した歯先端の後ろに隠されている。
【0039】
当該非対称列の協働する歯は、張り出す、厚肉化した及び/又は湾曲した歯先端を有する歯の高さが異なり得る。歯の高さは、歯の主部の皮膚接触面に対して実質的に垂直に、及び/又は歯の長手方向軸に対して垂直に測定され得、先端の厚肉部の輪郭及び歯の主部の上部及び/又は下部輪郭を含み得る。厚肉部が皮膚接触面から離れるように突出する、及び/又は歯が当該皮膚接触面から離れるように湾曲すると、高さは、厚肉部の最下点から皮膚接触面を画定する歯の主部の上面まで及び得る。
【0040】
そのような高さは、列毎に異なり得る。より具体的には、一方の列では、張り出した歯先端を有する切断歯の高さは、300~600μm又は350~550μmの範囲であり得るが、他方の列の高さは、200~500μm又は250~450μmの範囲であり得る。
【0041】
より一般的には、200~550μmの高さは、切断システムが皮膚に平行に適用されるとき、すなわち、歯の主部の皮膚接触面が皮膚に接触する、又は剃毛される皮膚に平行であるときに、貫通のリスクを排除し得る。
【0042】
前述の厚さは、球状、又は滴状若しくは真珠状などの球体と少なくとも同様の形状であり得、直径、滴状又は真珠状の場合の最小直径は、250~600μm又は300~550μm又は350~450μmの範囲であり得る。
【0043】
協働する歯の非対称構成の列を提供するために、一方の列の張り出した歯先端の厚さが、350~550μmの範囲の直径を有し得る一方、他方の列の歯先端の厚さは、250~450μmの範囲の直径を有し得る。
【0044】
剃毛される皮膚に対して実質的に垂直に延在する協働する歯を備えた熊手のように切断装置システムが使用されるとき、切断要素を往復又は回転させることなく、厚肉化された及び/又は丸められた歯先端を十分に長く張り出させて、他方の切断要素の往復又は回転する歯が皮膚に接触し刺激するのを防止することが有用であり得る。他方の切断要素の歯先端を越える張り出した歯先端の突出長さを画定するそのような張り出し長さは、400~800μm又は400~600μmの範囲であり得る。
【0045】
密着した切断を可能にするために、歯は、かなり薄い厚さを有し得る、及び/又は歯の厚さは、隣接する切断歯の対間の間隙に合わせて調整され得る。通常、剃毛される皮膚は、切断装置システムが剃毛される皮膚に押し付けられたときに隆起する。より具体的には、皮膚は、歯本体と接触して皮膚を押し下げる又は凹ませる切断歯間の間隙内へ隆起し得る。皮膚のそのような隆起作用により、切断動作を提供する歯の主部において、50~150又は30~180μmの範囲の歯の厚さを有することが有利であり得る。追加的に又は代替的に、隣接する切断歯との間の間隙の幅は、150~550又は200~500μmの範囲の間隙幅を有し得る。追加的に又は代替的に、歯は、200~600μm又は250~550μmの範囲の幅を有し得る。
【0046】
別の種類の非対称輪郭が、各歯又は少なくとも一群の歯の皮膚接触面の側縁部に設けられ得る。より具体的には、指形状を有し得る歯は、丸められた及び/又は面取りされた縁部を有し得る皮膚接触面を有し、丸め及び/又は面取りの程度又はレベルは、歯の長手方向軸に沿って変化し得る。
【0047】
前述の歯列の非対称構成に関係なく、張り出した歯先端部は、球状又は滴状又は真珠状の厚肉部と、当該厚肉部を対応する歯の主部に結合し、当該主歯部の肌接触面から離れるように屈曲又は湾曲した屈曲又は湾曲部とを含む、2段階の丸めを設けられ得る。厚肉部、及び厚肉部が取り付けられている隣接する歯部の湾曲又は屈曲構成の丸めを含むそのような二重丸め構成は、切断動作の密着性及び徹底性と、皮膚刺激を回避する心地よい肌触りとを組み合わせ得る。より具体的には、最も外側の先端部における実質的に球状の、したがって丸い厚肉部を設けることに加えて、皮膚接触面から離れるように歯を屈曲させることは、厚肉部がより小さい輪郭である場合でも皮膚穿刺及び皮膚刺激を確実に防止する一方で、密着性及び徹底性を達成するのに役立つ。当該2段階の丸め及び/又は湾曲は、2つの丸めの間に凹部、より具体的には、球状又は真珠状の厚肉部と隣接する湾曲部との間の凹部を含み得る。歯の端部の皮膚接触面への接線を考慮すると、当該接線は、一方で球状又は真珠状の厚肉部と接触し、他方で凸状湾曲部と接触し、当該凹部が、想像上の接線の当該2つの接触点の間で当該接線に対する間隙を形成する。言い換えれば、厚肉部と屈曲又は湾曲部との間の移行部は、いくらかの弛み及び/又は窪み及び/又は平坦部を含む。これらの厚肉部と屈曲又は湾曲部が、基本的に凸状の皮膚接触面を形成する一方、当該厚肉部と湾曲部との間の移行部は、平坦な又は凹状の皮膚接触面を形成する。
【0048】
より具体的には、実質的に球状の厚肉部は、最も外側の先端部を形成し得、隣接する内側に位置付けられた先端部は、主歯部の皮膚接触面から離れるように湾曲させ得る。当該内側に位置付けられた先端部は、歯先端部の一部であるが、厚肉部の一部ではなく、切断歯の内側部又は主部と同等又は同じ厚さを有する実質的に平坦な板状の構成を有し得る。
【0049】
他方の協働する歯が間隙を閉鎖し通過することにより切断動作を提供する切断歯の当該内側部又は主部は、歯本体の長手方向縁部によって形成される少なくとも実質的に平行な切断縁部を備えた実質的に細長の板状構造を有してもよい。そのような平行六面体の歯主部の先端では、実質的に球状の厚肉部が取り付けられて、歯の先端を形成し得る。
【0050】
特に、2段階の丸めは、切断装置システムが熊手モード及びフォークモードで使用されるときに、優れた切断性能を提供する。フォークモードで使用される場合、すなわち、歯の主歯部が皮膚に実質的に平行である、及び/又は皮膚に接する、及び/又は皮膚に接触することは、皮膚表面に沿って切断装置システムを摺動させるときに発生する皮膚波を小さく保つのに役立つ。皮膚接触面から離れるように厚肉部に隣接する歯先端部を屈曲させることにより、厚肉部と皮膚との間の摩擦を低減することができる。一方、熊手モードで切断装置システムを使用する場合、すなわち、切断歯の長手方向軸を皮膚に実質的に垂直に位置付ける場合、実質的に球状の厚肉部は、皮膚表面に沿って一対の切断要素を案内し、実質的に柔らかい切断手順を達成する。
【0051】
球状の厚肉部を歯の主部に結合する屈曲歯部は、400μmよりも小さい湾曲半径又は曲げ半径を有するように構成され得る。より具体的には、当該屈曲歯部の曲げ半径は、200~400μm又は250~350μmの範囲であり得る。
【0052】
厚肉部は、300~550μm又は350~500μmの範囲の直径を有し得る。
【0053】
基本的に、高さ、張り出し長さ、厚肉部の直径、歯幅、歯厚、及び又は間隙幅などの歯先端部構成の前述の他のパラメータは、歯先端部の2段階の丸め構成についても前述の範囲内で選択され得る。
【0054】
基本的に、協働する切断要素の各々が、駆動されてもよい。しかしながら、容易な駆動システムを安全かつ柔らかい切断動作と組み合わせるために、皮膚接触面及び/又は張り出した歯先端を有する上部又は外側切断要素が、起立していてもよく、及び/又は往復運動していなくてもよく、並びに回転していなくともよい一方で、挟持された切断要素であり得る下部又は内側切断要素は、往復運動又は回転振動してもよい。
【0055】
図1から分かるように、切断装置システム3は、かみそり及び/又はトリマー1のハンドル100に取り付けられ得る切断装置ヘッド2の一部であり得る。より具体的には、かみそり及び/又はトリマー1は、制御ユニット、電気駆動モータ又は磁気駆動モータ、及びモータの駆動動作を切断装置ヘッド2の切断装置システムに伝達するための駆動トレーンなどの電子構成部品及び/又は電気構成部品を収容する細長いハンドル100を含んでもよく、切断装置ヘッド2は、細長いハンドル100の一端に位置決めされてもよい。切断装置ヘッドは、可動切断要素の移動方向で平行な軸に沿って旋回するように支持80、18され得る、
図1を参照されたい。
図1bから分かるように、皮膚は、切断歯の列が設けられたトリマーの2つの長手方向縁部78、79の片側78にのみ隆起77する。したがって、皮膚圧は、皮膚の隆起を伴わない他方の側79よりも皮膚の隆起77に近い縁部78で高くなり得る。
【0056】
一対の協働する切断要素4及び5を含む切断装置システム3は、
図1に示される実施例の場合のように、切断装置ヘッド2の唯一の切断装置システムであってもよい。他方で、切断装置システム3は、剪断フォイル切断装置などの他の切断装置システムを有するかみそりヘッド2に組み込まれてもよく、例えば、少なくとも1列の協働する切断歯6、7を有する切断装置システム3は、一対の剪断フォイル切断装置の間に位置決めされてもよく、又は代替的に、かかる剪断フォイル切断装置の前方に位置決めされてもよい。
【0057】
図1に示されるように、切断装置システム3は、歯間の間隙を閉鎖し、互いに通過することによって切断動作をもたらすように直線経路に沿って互いに対して往復運動することができる、切断歯6及び7の細長い列を含んでもよい。他方で、切断装置システム3はまた、円に沿って位置合わせされ、及び/又は径方向に配置された切断歯6及び7を含んでもよい。このような回転切断要素4及び5は、実質的に径方向に突起する切断歯6及び7を有してもよく、切断要素4及び5は、互いに対して回転するように、及び/又は互いに対して回転振動するように駆動されてもよい。切断動作は、基本的に、径方向に延在する歯としての往復運動する切断要素と同様であり、回転及び/又は回転振動するとき、隣接する歯の間の間隙を周期的に閉鎖並びに再開放し、はさみのように互いの上を通過する。
【0058】
図2に示されるように、駆動システムは、モータを含んでもよく、モータのシャフトは、駆動体18のチャネル状の輪郭の間に受容される偏心駆動ピンを回転させることができ、この偏心駆動ピンは、切断要素4のうちの1つに接続され、回転する偏心駆動ピンと当該駆動体18の輪郭との係合に起因する往復運動をもたらす。
【0059】
図3、
図8、及び
図10によって示されるように、協働する切断要素4及び5は、基本的に、少なくともほぼ板状構成を有し得、切断要素4及び5はそれぞれ、
図8b及び
図10aを参照すると、板状切断要素4及び5の対向する長手方向側面に配置され得る2列の切断歯6及び7を含む。切断要素4及び5は、切断要素の平坦な側部が互いに上に横になるように支持され、及び位置決めされる。より具体的には、切断要素4及び5の切断歯6及び7は、はさみの刃のように、互いに背中合わせに接する。
【0060】
切断要素4及び5を互いに対して当該位置に支持しつつも、互いに対する歯の往復運動又は回転運動を依然として可能にするように、切断要素5は、他方の切断要素4と、上部又は外側切断要素4に堅固に結合され得るフレーム状又は板状の支持要素17を含み得る支持構造体14との間に挟持されて、それらの間に間隙16を画定し、挟持された切断要素5が間隙16内に受け入れられる(
図10cも参照)。切断空隙25a、25bは、隣接するスペーサ15のより大きな厚さと比較して、挟持された(内側又は第2の又は移動された)切断要素の厚さが薄いために提供され得る。1つのオプションとして、他方の(第1の)切断要素4は固定されており、モータによって駆動されない。
【0061】
短髪切断開口部75a、75bの列78a、78bは、切断要素の主要領域内に追加的に設けられなくてもよく、又は1つ若しくはいくつかが設けられてもよい。支持板17には、無精髭排出路74が設けられ得る。
【0062】
図8b、
図8c、及び
図8dから分かるように、スペーサ15は、当該間隙16の幅又は厚さを正確に画定するように、支持要素17と上部切断要素4との間に収容される。当該スペーサ15は、支持要素17と切断要素4との間の距離を正確に調整するように板状であり得る。
【0063】
より具体的には、当該スペーサ15は、一方で、間隙16がリング状である及び/又は当該スペーサ15を囲む、他方で、切断要素4と支持要素17との間の距離が、当該スペーサ15の中央位置により全ての側で制御されるように、間隙16の中心に配置され得る。
【0064】
挟持された切断要素5は、主に切断要素5の一方の側から他方の側まで進む貫通孔として形成され得、かつ当該スペーサ15が受け入れられ得る凹部19を含んでもよい。輪郭、特に、当該凹部19の内周輪郭及び/又は縁部は、切断要素5が往復運動時にスペーサ15に沿って案内されるように、スペーサ15の外側輪郭に適合され得る。より具体的には、スペーサ15の幅は、切断要素5がスペーサ15の長手方向側縁部に沿って摺動することができるように、凹部19の幅に実質的に対応し得る。細長いスペーサ15の長手方向軸は、切断要素5の往復軸と同軸である、
図8dを参照。
【0065】
板状であり得る又は平面内に延在するフレームとして形成され得る支持要素17は、
図8bに示されるように支持されるように切断要素5と基本的に同等のサイズ及び輪郭を有し、支持要素17は、2列10及び11の切断歯7に沿った線又はストリップに沿って切断要素5を支持する実質的に矩形の板形状を有してもよい一方、支持要素17は、切断要素5の歯7の少なくとも一部を支持するサイズ及び輪郭及び/又は構成を有してもよい。あるいは、支持要素17は、少なくとも歯7の根部まで延在し得る。
【0066】
図9a及び
図9bから分かるように、歯7の列に沿って延在する支持要素17の縁部は、それ自体が、間に突出部及び間隙を有する波状又は歯付き構成を有し得る。突出部20は、歯7を支持することができる位置で当該歯7の先端に向かって延在する。突出部20の間の間隙を含む支持要素17の縁部の歯付き構成により、切断装置システムが熊手として使用される場合でも、毛髪は協働する歯間の間隙に適切に入ることができる。にもかかわらず、突出部20は、撓みに対抗する歯7のより良好な支持を提供する。
【0067】
支持要素17は、それらの間の間隙16が正確に所望の厚さを有するように、切断要素4から所定の距離に堅固に保持される。これは、前述のスペーサ15によって達成され、その厚さは、間隙16の厚さを正確に画定する。
【0068】
望ましくない摩擦及び熱の発生を回避しつつ、歯6及び7を互いに十分に近接させて、確実な毛髪の切断を達成するために、当該スペーサ15は、挟持された切断要素5の厚さよりわずかに大きい厚さを有し得、スペーサ15の厚さが切断要素5の厚さを超える量は、通常の毛髪の直径よりも小さい。例えば、スペーサ15の幅は、20μm~40μmの範囲の量で、挟持された切断要素5の厚さよりも大きくてもよい。
【0069】
支持要素17、スペーサ15、及び切断要素4は、例えば、切断要素4の変更を可能にするスナップ嵌め輪郭によって互いに堅固に結合され得る。あるいは、溶接又は接着などの解放可能な締結も可能である。
【0070】
例えば、切断要素4は、例えば、軟らかな皮膚との係合のために丸められた及び/又は面取りされた輪郭を有する側方保護要素を形成することができる端部21によって、対向端で支持要素17に堅固に固定され得る。端部でのそのような固定は、スペーサ15を介した固定に加えて、又はその代わりに提供され得る。
【0071】
図11a及び11bから分かるように、支持構造体14はまた、協働する歯6と7との間の間隙を回避するように切断要素5を切断要素4上に付勢することができるばね装置22を含み得る。そのようなばね装置21は、切断要素5を切断要素4上に押圧するように、支持構造体14と下部又は下方切断要素5との間に設けられ得る。
【0072】
図4、5、及び6から分かるように、外側切断要素4の歯6は、協働する切断要素5の切断歯7と重なり合っており、そのような重なり合う歯6の歯先端8は、実質的に球状の厚肉部13を備えていてもよく、そのような厚肉部13を示す
図9を参照されたい。
【0073】
歯6の最も外側の歯先端を形成するそのような厚肉部13に加えて、切断要素4の当該歯6は、当該厚肉部13を歯の切断部を形成する主歯部6mに結合する屈曲部6bを備えてもよく、このような主歯部6mは、櫛状の突出対の歯間の間隙を開閉させ、互いの上を通過させるという点で、突出歯間の空間に入る毛の剪断を達成するために、他方の切断要素5の歯7と協働する刃を形成する。
【0074】
そのような屈曲部6bは、切断要素4の切断歯6の皮膚接触面12から離れるように湾曲し、そのような屈曲部6bの屈曲半径Rは、例えば、200~400μmの範囲であり得る。曲げ軸は、往復軸に平行に、及び/又は協働する歯6、7が配置される列10、11の長手方向延長部と平行に延在し得る。
【0075】
図5aから分かるように、厚肉部13が屈曲部6mから更に突出し、異なる湾曲半径r(厚肉部が球状である場合の球体半径)を有し得るため、湾曲部6bと厚肉部13との間の移行部はわずかな窪み又は凹状部を形成し得る。
【0076】
当該屈曲部6bは、10度~45度又は15度~30度又は10度~90度又は15度~180度の範囲の屈曲角度αにわたって延在し得る、
図5aを参照。
【0077】
歯先端8における実質的に球状の厚肉部13は、300~550μm又は350~500μmの範囲の直径を有し得る。
【0078】
皮膚接触面12に垂直な方向で測定された厚肉部13の輪郭全体及び歯主部6mを含む高さhは、切断システムが
図4及び
図6に示されるように皮膚に平行に適用されるとき、貫通のリスクを排除するために300~550μmの範囲であり得る。例えば、球又は滴の形態の歯6の端部における膨張部は、
図7b及び7dに示されるように、垂直適用時の危険を排除する。前述の最大400μmの曲げ半径Rでの屈曲部6bの追加の屈曲は、毛髪の捕捉に対して許容可能な影響で最適な誘導感覚を与える。
【0079】
図5aに示されるように、他方の切断要素5の歯7を越える張り出した歯6の突出長さを画定する張り出し長さoは、400~800μm又は400~600μmの範囲であり得る。
図7b及び
図7dに示されるように、切断装置システムが熊手のように使用されるとき、そのような張り出し長さoは、切断要素5の往復する歯7が皮膚に接触して刺激するのを防ぐのに役立つ。
【0080】
密着した切断を可能にするために、歯は、かなり薄い厚さtを有し得る、及び/又は歯6及び7の厚さtは、隣接する切断歯6及び7の対間の間隙22に合わせて調整され得る。前述の皮膚の隆起作用により、歯6の主部6mにおいて、50~150μm又は30~180μmの範囲の歯の厚さtを有することが有利であり得る。他方の切断要素5の歯7は、同じ厚さtを有し得る。
【0081】
隣接する切断歯6及び7の各対間の間隙22は、150~550μm又は200~500μmの範囲の間隙幅gwを有し得る。
【0082】
歯6及び/又は歯7の幅twは、200~600μm又は250~550μmの範囲であり得る。
図5bに示されるように、歯6及び7の幅g
wは、歯の長手方向軸に沿って実質的に一定であり得る。にもかかわらず、歯6及び7をわずかにV字形の構成にすることが可能であり、幅twは先端に向かって減少し得る。そのような場合、前述の幅範囲は、長手方向延長部の中央で測定される幅twに適用される。
【0083】
図8e、8f、及び8gから分かるように、指状歯6の皮膚接触面は、丸められた及び/又は面取りされた縁部6rを有し、そのような丸め及び/又は面取りは、より顕著であり得る、又は指状歯6の根部に向かって増加し得る。
【0084】
より具体的には、皮膚接触面の縁部の丸め及び/又は面取りは、中央部及び/又は歯先端に近い突出歯6の部分の丸め及び/又は面取りよりも歯6の基部又は根部でより顕著である、及び/又はより大きくなり得る。当該丸め及び/又は面取りは、歯6の基部に向かって連続的及び/又は滑らかに増加し得る。通常、皮膚接触圧は歯6の基部又は根部に向かって減少するため、歯6の皮膚接触面の縁部の丸め及び/又は面取りが増加すると、皮膚接触圧が低下するにもかかわらず、皮膚が歯6間の間隙内へ十分に隆起することが可能になる。したがって、効率的な毛髪切断及び密着性を、切断歯6の全長にわたって達成することができる。
【0085】
歯6の皮膚接触面の縁部の当該丸め及び/又は面取りはまた、歯6の列の長さに沿って変化し得るため、列の中央部における歯6の皮膚接触面の縁部の丸め及び/又は面取りは、歯6の列の端部における歯6の皮膚接触面の丸め及び/又は面取りとは異なり得る。特に、丸め及び/又は面取りは、皮膚接触圧が低い列の部分でより大きくなり得る及び/又はより顕著であり得る一方、丸め及び/又は面取りは、皮膚接触圧がより高い部分でより小さくなり得る。
【0086】
一方でよりアグレッシブでより密着性の高い切断動作と、他方でさほど激しくなくより心地よい肌触りとの間での選択をユーザに与えるために、切断装置システムは、歯6の厚肉化された及び/又は丸められた歯先端8の形状及び/又はサイズ及び/又は位置付けの点から互いに異なる2つの別個の列10、11の協働する歯6を提供する。よって、第1の列10の協働する切断歯6の使用は、よりアグレッシブでより密着性の高い切断動作を提供し得る一方、第2の列11の切断歯6の使用は、さほど激しくなくより心地よい肌触りを提供し得る。歯先端8の構成、特に湾曲及び厚肉部の構成は、切断性能に大きな影響を及ぼし得、ユーザが密着性、徹底性、柔らかい肌触り、及び効率のいずれかを選択することができる。
【0087】
より具体的には、列10、11の協働する歯6は、歯6の主部に対する厚肉部の位置、並びにそのサイズ及び形状によって少なくとも部分的に画定される歯先端8の高さに関して互いに異なり得る。一方の列10では、厚肉部は、皮膚接触面の反対側にのみ突出することができ、これは、例えば、先端厚肉部が取り付けられている歯部を皮膚接触面から離れるように屈曲又は湾曲させる、及び/又は厚肉部を歯6の主部に偏心して、具体的には皮膚接触面からわずかにずらして取り付けることによってことによって達成され得る。一方、協働する歯6の第2の列11では、歯先端8における厚肉部は、歯6の両側に、すなわち、皮膚接触面及びそれと反対側に突出し得る。
【0088】
当該協働する歯6の当該非対称列10、11は、張り出す、厚肉化された及び/又は湾曲した歯先端8を有する歯6の高さが異なり得る。歯6の高さは、歯6の主部の皮膚接触面に対して実質的に垂直に、及び/又は歯6の長手方向軸に対して垂直に測定され得、先端の厚肉部の輪郭及び歯6の主部の上部及び/又は下部輪郭を含み得る。厚肉部が皮膚接触面から離れるように突出する、及び/又は歯6が当該皮膚接触面から離れるように湾曲すると、高さは、厚肉部の最下点から皮膚接触面を画定する歯の主部の上面まで及び得る。
【0089】
そのような高さは、列毎に異なり得る。より具体的には、一方の列10では、張り出した歯先端8を有する切断歯6の高さは、300~600μm又は350~550μmの範囲であり得るが、他方の列11の高さは、200~500μm又は250~450μmの範囲であり得る。
【0090】
図1から分かるように、異なるアグレッシブ性を有する歯6、7の列10、11が、切断装置ヘッド2の両側に位置付けられてもよく、及び/又は切断装置ヘッド2を対向方向に移動させるときに、対向方向を覗きこんでいてもよい、すなわち、歯6が歯間の間隙に入るように対向方向に向かって開放されてもよい。
【0091】
より具体的には、切断装置システムは、切断デバイスの細長いハンドル100の長手方向軸に対して鋭角で傾斜している皮膚接触面を画定することができ、それにより、皮膚接触面の一方の側はハンドル100の前側に向かって下方に傾斜する一方、皮膚接触面の反対側は、ハンドル100の後側に向かって上昇する又は上方に傾斜する。ハンドル100の当該前側は、例えば、駆動ユニットをオン及びオフに切り換えるための動作ボタンを含み得、及び/又はハンドル100を把持する親指に適合された表面輪郭又は部分を含み得る。切断装置システムの当該皮膚接触面は、ハンドル100の一端に取り付けられた一種の単一勾配屋根を形成し得る、
図1を参照。しかしながら、皮膚接触面は、平坦又は平面状である必要はなく、当該皮膚接触面が凸状及び/又は凹状であるとき、皮膚接触面に接する平面は、ハンドル100の長手方向軸に対して前述の傾斜を有し得る。
【0092】
よりアグレッシブな構成を有する歯6の列11は、当該単一勾配の屋根の下側、すなわち、ハンドル100の前側に向かって下方に傾斜する皮膚接触面の側に配置され得る一方、あまりアグレッシブでない構成の歯6の列は、反対側、すなわち、ハンドル100の後側に向かって上昇する単一勾配の屋根の上側に配置され得る。通常、皮膚接触面がハンドル100の前側に向かって下方に傾斜するように傾斜している場合、下方傾斜側の皮膚接触圧は、上昇側の皮膚接触圧よりも低い。低皮膚接触圧は歯構成のアグレッシブ性を高めることによってある程度補償されているため、皮膚接触圧が低い下方傾斜側のよりアグレッシブな歯6は、皮膚の刺激を伴わずに、効率的な毛髪切断を達成し、困難な毛髪を捕捉し得る。一方、皮膚接触面の反対側の上昇側のあまりアグレッシブでない歯6は、高皮膚接触圧を補償し、皮膚の刺激を回避することができる。
【0093】
図12、13、及び14から分かるように、歯6のアグレッシブ性は、同じ列の協働する切断歯6内でも変化し得る。より具体的には、列の中央部の切断歯6は、異なるレベルのアグレッシブ性を提供するように、歯先端の形状及び/又はサイズ及び/又は位置の点から、当該列の端部の切断歯6とは異なり得る。より具体的には、比較的高い皮膚接触圧の部分では、歯6は低いアグレッシブ性を提供するように構成され得るが、比較的低い皮膚接触圧を有する部分に配置される歯6は、より高いレベルのアグレッシブ性を提供するように構成され得る。
図13は、皮膚83と切断システム85上に加わる、両方の相互作用による力/圧力を示す。皮膚内の中央側82と側方側81に例示的な矩形が示されている。側方側での切断歯6上のより高い皮膚圧は、側方側のより丸い、L字形、又はより厚肉化された歯先端6bと釣り合わせることができる。他方、第1の切断要素の中央側は、本実施例では、皮膚圧が小さいため、歯先端6aが皮膚に向かって方向付けられた歯先端に厚肉部を有して成形される。皮膚上の歯先端のアグレッシブ性に影響を与える他の設計オプションも同様に採用することができる。
【0094】
皮膚接触圧は、切断装置システムの皮膚接触面の輪郭に起因して変化し得る。例えば、切断装置システムの皮膚接触面が実質的に平坦である、及び/又は実質的に平面状である及び/又はわずかに凹状である場合、
図14aから分かるように、皮膚接触圧は皮膚接触面の側端部に向かって増加し得る。当該側端部は、互いに対する切断歯6の往復運動方向での端部を意味する。皮膚に沿った切断装置ヘッド2又は切断装置システムの通常の動きを考慮すると、当該側端部は、櫛状切断装置の右端部及び左端部である。そのような変動する皮膚接触圧にもかかわらず均一な切断を達成するために、低い皮膚接触圧を有する中央部に位置付けられた歯6は、丸められた歯先端のより小さい直径及び/又は皮膚接触面からのより小さい湾曲によって達成され得る、より高いアグレッシブ性を有するように構成され得る。一方、より高い皮膚接触圧を有する端部に位置付けられた歯6は、丸められた歯先端のより大きい直径及び/又は皮膚接触面からのより大きい湾曲によって達成され得る、低減されたアグレッシブ性を提供するように構成され得る。
【0095】
図14bから分かるように、切断装置システムの皮膚接触面は、互いに対する協働する歯6の往復運動の方向に平行で、かつ皮膚接触面に垂直な断面平面で見たときに凸状の輪郭を有し得る。言い換えれば、切断装置システムの皮膚接触面は、下方に傾斜し得る、又は歯6が往復運動する側端部に向かって皮膚から離れるように湾曲し得る。皮膚接触面のそのような凸状の輪郭により、皮膚接触圧は、切断装置システムの中央部から端部に向かって減少し得る。そのような様々な皮膚接触圧を補償するために、
図14bから分かるように、側端部の歯6は、アグレッシブ性が上昇するように構成され得る一方、中央部の歯6は、アグレッシブ性が低下するように構成され得る。矢印付きの点線86は、切断システムの皮膚側の頂点又は高さに向かう皮膚圧の増加の方向を示す。矢印付きの実線87は、第1の切断要素の歯先端6の「アグレッシブ性」の増加の方向を示す。本実施例で分かるように、互いにアグレッシブ性の異なる歯先端6を設計することは、より薄い先端若しくはより直線的なI状の歯、又は皮膚に向かって突出する歯先端の厚肉部若しくは丸めによって実現される。
図14bの凸状切断装置システムには、側部に向かうアグレッシブな歯先端6aが設けられる。この場合、あまりアグレッシブでない歯先端6bが、第1の切断要素4の凸状の皮膚側の頂点又は最高点に設けられる。このようなあまりアグレッシブでない歯先端6bは、この実施例では、皮膚側から離れるように屈曲するように設計されており、例えば、横断面にL字形状を作り出す、及び/又は先端に厚肉部又はより大きな丸めを提供することによってそのような歯先端6bの皮膚接触面を増加させる。
【0096】
前述の異なる構成及び異なるアグレッシブ性を有する列に3つ又は4つ又は5つのグループの歯6を有するのに十分であり得る。一方、歯6の列の構成は、歯6の列の中央から端部まで段階的に又は連続的に変更し得る、又は当該構成の変化は、歯6の列の中心に関して実質的に対称的な歯構成の分布を提供し得る。より具体的には、歯のアグレッシブ性は、
図14bから分かるように、列の中心から両端部に向かって段階的に又は連続的に変化し得る。
【0097】
図15及び
図16から分かるように、歯6又は歯6の少なくともいくつかは、異なる材料層及び/又は異なる材料を含む複合歯先端を有し得る。より具体的には、充填材又は内側層は、外側層によって囲まれ得る。
【0098】
図15から分かるように、指状歯6は、薄板状の金属シートから形成されてもよく、及び/又は実質的に板状の歯本体を含んでもよく、指状歯の外側又は突出する端部は、90度超又は100度超又は120度超屈曲され得る、及び/又は指状歯の屈曲又は湾曲した端部が歯先端の外側層を形成する、実質的にU字状の端部を形成し得る。そのような外側層は内側層又は充填層を囲み、U字状の端部の対向脚部間の実質的に空間全体を満たすことができ、
図15を参照されたい。そのような充填材層は、屈曲端部によって囲まれた空間を充填するためのポリマー材料又は発泡体材料又は任意の他の適切なマトリックス材料であり得る。歯先端6のU字状にもかかわらず、可動切断要素の歯先端5は、可動歯5の下側で覆われない。他の全ての実施形態について、可動歯5は、固定歯が長手方向軸に沿って断面にI字形状を有する場合に皮膚に面する側でのみ、又は/更にL字型又はU字形の第1の切断歯によって提供される(移動方向に垂直な方向で)最も外側の可動歯5の歯先端側において、固定歯によって覆われている。
【0099】
図15及び
図16に示される第1の切断歯先端の断面は基本的に、歯先端におけるU字形6c及び空間の充填6dにより、縁部にわずかな丸めを伴う矩形又は正方形である。第1の切断歯6は、その長手方向の歯延長部に沿って断面を、部分6fの正方形又は矩形とは異なる他の断面まで低減させることができる。
【0100】
図17の概略断面図は、例えば、第1の切断要素4とスペーサ15との間の溶接又は点溶接による固定位置の効果を示す。
図17は、効果をよりよく示すために、誇張された図で3つの異なる状態A、B、及びCにおける第1の切断歯6を示す。状態Aの切断歯Aは、非毛髪切断モードで提供されているため、力Fは歯に作用しない。切断歯の状態B及びCは、毛髪が切断されたときに相互作用する第1及び第2の切断歯の両方の間のはさみ作用により、皮膚に向かう方向で歯に対して作用する力Fを示す。図示されるように、第1の歯は、毛髪の硬度に起因して、第2の歯から離れるようにわずかに屈曲しようとする。この屈曲は、第1の切断要素とスペーサとの間の固定部/溶接点を第2の切断歯にできる限り近づけることによって制御又は最小化され得る。第2の切断歯7は、第2の切断要素の移動方向に垂直な長手方向歯軸方向に歯の長さtlを有し得る。溶接点又は固定部71は、スペーサ15の側面に分散配置されている。したがって、最小距離dwsは、固定部71と隣接する第2の切断要素との間に提供される。固定部71は、好ましくは隣接する第2の切断歯の長さの2倍未満、又はより好ましくは第2の切断歯の歯長未満である、第2の切断歯7の基準線までの距離dwtを有する。スペーサと第1の切断要素との間に中央固定部70のみを提供することにより、第1の切断歯6の歯先端部に対してはるかに長い距離Lがもたらされ、分散溶接点71を有する歯状態Bと比較して、歯状態Cでの垂直方向f1の複数倍の屈曲を可能にする。
【0101】
図18は、支持構造体を有さない切断システムの下側の図である。溶接点71は、第1の切断要素と結合するために、スペーサの長手方向側面に沿った分散点に配置される。側端における第1の切断要素のいかなる屈曲も回避するために、固定部又は溶接点72が、切断システムの側端に設けられたスペーサ15の最も外側に更に設けられていることに留意されたい。第1の切断要素4とスペーサ15との間の溶接点/固定部71、及びスペーサと支持板17との間の溶接点/固定部79の分散スペーサ位置を示す
図10cも参照されたい。整列ナブ73は、組み立て中に互いに対するすべての挟持された部品の適切な位置合わせを保証する。
【0102】
図19aから分かるように、スペーサ15と支持板17との間の結合/固定部は、当該スペーサの長手方向側面に沿った上記固定部の局在化を有する。これにより、一方の側面で支持板とスペーサとの間、他方の側面でスペーサと第1の切断要素との間の固定具の位置合わせが可能になる。大きな長手方向貫通孔74は、無精髭による詰まりを回避するために、無精髭排出路として、内側に隣接するスペーサ15の隣の支持板のより側方の側に設けられている。支持板17は、移動された切断歯7にできる限り近く、だが、好ましくは、移動された切断歯7の長さtlの2倍未満、又はより好ましくは移動された切断歯7の長さtl未満の距離に位置する長手方向外側に直線縁部を含む。あるいは、支持板17のこの長手方向外縁部は、波状又は歯状であり得る。
【0103】
図20は、板状切断システムの長手方向側面に、2列の協働する長髪切断歯6、7と、第1の切断要素の主中央部における短髪切断開口部75a、及び第2の可動切断要素5の主中央部における短髪切断開口部75bの追加の2つの別個の列を備えた切断システムの配置を示す。上記の一方の列は、横方向及び長手方向の両方にいくつかの隣接する開口部75aを備え得る。2列の細長い短髪切断開口部は、開口部を有さない細長い領域によって分離され得る。開口部を有さないこの中央領域を垂直下方には、細長いスペーサ15が、可動切断要素内の対応するスリット19内に配置され埋め込まれている。当該図示された2列の短髪切断開口部76a、76b、及び77a、77bの別個の提供は、互いに平行であり、かつ切断歯も開口部もない第1の切断要素の領域の下に位置する第2の切断要素の移動方向に平行である3つの細長いスペーサ15を必要とする。ここでは、3対のそのような細長いスペーサ15が提供される。
【0104】
上記の実施形態は、好ましくは少なくとも1つの中央スペーサ15を必要とする切断要素の中央領域に短毛切断開口部を備えていない切断システムと、少なくとも2つの細長いスペーサを(短髪切断開口部の左側と右側に)必要とする切断要素の長手方向側面に、櫛状切断要素6、7と平行な細長い1列の短髪切断要素を備えた切断システムと、を示しており、
図20の実施形態は、移動方向に平行に配置された少なくとも3つの細長いスペーサ15を必要とする別個の2列の短毛切断要素を開示している。これらの実施形態の上に記載された他の全ての特徴は、それらの全ての変形に適用され得ることを理解されたい。
【0105】
上述の全ての実施形態及び図面は、支持構造体と固定切断要素が固定櫛の歯を介して結合されていない平板状構成における両方の切断要素を示している。したがって、支持構造体に面する側の可動切断要素の歯の先端は、支持構造体又は非可動切断要素から覆われていない。これにより、切断された毛の良好な脱落が可能になり、全ての要素間の狭い間隙での毛詰まりが回避される。固定切断要素と支持構造体は、垂直方向にスペーサのみを介して、及び任意選択で側方の歯自由側を介して結合される。
【0106】
代替的に、上記の実施形態は、可動櫛の歯の上面及び下面の両方を包囲する固定櫛状歯を有するように修正することができ、それにより、固定櫛の支持構造体又は下面が、歯先端を介して皮膚側の固定櫛と結合される。この場合、スペーサと固定櫛、及び皮膚側と反対側でのスペーサと支持構造体又は固定櫛の垂直固定は、歯先端結合も提供されるために、それらの部品間の唯一の結合ではない。この代替の設計は、毛髪の目詰まり又は毛髪による摩耗が(これを避けるために他の解決策が提供されない限り)起こり得るという潜在的な欠点を有するものの、固定歯先端が毛髪切断中により安定したままであるという利点を有する。
【国際調査報告】