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特表2023-512979電位駆動シェードのコイル歪み補正技術、及び/又は関連する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】電位駆動シェードのコイル歪み補正技術、及び/又は関連する方法
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/06 20060101AFI20230323BHJP
   E06B 3/66 20060101ALI20230323BHJP
   E06B 9/24 20060101ALI20230323BHJP
   E06B 9/42 20060101ALI20230323BHJP
   E06B 9/68 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
C03C27/06 101J
E06B3/66 E
E06B9/24 Z
E06B9/42 B
E06B9/42 C
E06B9/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544758
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(85)【翻訳文提出日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 IB2021051326
(87)【国際公開番号】W WO2021165844
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】16/792,348
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517413513
【氏名又は名称】ガーディアン・グラス・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GUARDIAN GLASS, LLC
【住所又は居所原語表記】2300 Harmon Road, Auburn Hills, MI 48326-1714 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】グー ヤベイ
(72)【発明者】
【氏名】ペトルミヒル ルドルフ
【テーマコード(参考)】
2E016
2E042
4G061
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016AA04
2E016BA01
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC02
2E016EA02
2E042AA06
2E042CA00
2E042CB00
4G061AA20
4G061BA01
4G061CB06
4G061CD12
4G061CD21
(57)【要約】
特定の例示的実施形態は、絶縁ガラス(IG)ユニットで使用可能な電位駆動シェード、かかるシェードを含むIGユニット、及び/又は関連する方法に関する。このようなユニットでは、動的シェードは、IGユニットを画定する基材間に配置され、後退位置と伸長位置との間で移動可能である。動的シェードは、透明導体、及び絶縁体膜又は誘電体膜、並びにシャッタを含む、ガラス上の層を含む。シャッタは、弾性ポリマー、導体、及び任意選択のインクを含む。ガラス上の透明な導体は、異なる領域にパターン化してもよい。シャッタコイル歪みが検出された場合、検出されたコイルの歪みを補償するか、又は他の方法でコイル歪みを補正することを試みるために、ガラス上の透明な導体の1つ以上の領域に電圧(複数可)を印加してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ガラス(IG)ユニットであって、
それぞれが内部主表面及び外部主表面を有する第1の基材及び第2の基材であって、前記第1の基材の前記内部主表面が、前記第2の基材の前記内部主表面に面している、第1の基材及び第2の基材と、
前記第1の基材及び前記第2の基材を互いに対して実質的に平行に離間した関係に維持し、前記第1の基材と前記第2の基材との間に少なくとも1つの間隙を画定することに寄与するスペーサシステムと、
少なくとも前記第1の基材と前記第2の基材との間に挿入された動的に制御可能なシェードであって、前記シェードは、
前記第1の基材の前記内部主表面に直接的又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングであって、前記第1の導電性コーティングは、互いに電気的に絶縁された複数のゾーンに分割されている、第1の導電性コーティングと、
前記第1の導電性コーティング上に直接的又は間接的に設けられた誘電体膜と、
第2の導電性コーティングを支持するポリマー基材を含むシャッタであって、前記ポリマー基材は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつシャッタ開位置まで後退可能である、シャッタと、を含む、シェードと、を備え、
前記第1の導電性コーティング及び/又は前記第2の導電性コーティングのうちの少なくとも一方は、電位差を設定し、静電力を生成して前記ポリマー基材を前記シャッタ閉位置まで駆動するように制御可能な電源に電気的に接続可能である、絶縁ガラス(IG)ユニット。
【請求項2】
前記電源は、前記複数のゾーンの少なくともいくつかに電気的に接続されており、前記IGユニットは、前記電源が、互いに独立した前記ゾーンに電圧(複数可)を送達することを可能にするように構成されているコントローラを更に備える、請求項1に記載のIGユニット。
【請求項3】
前記ポリマー基材は、電圧(複数可)を受け取らない他のゾーンと比較して、電圧(複数可)を受け取るゾーンに優先的に近接して延在するように構成されている、請求項1又は2に記載のIGユニット。
【請求項4】
前記第1の導電性コーティングは、少なくとも3つのゾーンに分割されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項5】
前記ゾーンは、行及び/又は列に配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項6】
前記ゾーンはそれぞれ、同じサイズ及び形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項7】
異なるゾーンで静電容量を測定するように構成されている検知回路を更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項8】
前記ポリマー基材は、後退時にコイル状に巻き、かつ伸長時にほどけるように構造化されており、前記IGユニットは、前記測定された静電容量に基づいて、前記ポリマー基材のコイルが伸長中及び/又は後退中に歪んでいるかどうかを推定するように構成されているコントローラを更に備える、請求項7に記載のIGユニット。
【請求項9】
前記ポリマー基材のコイルの歪みは、所定の閾値を超えて互いに異なる測定された静電容量を有する異なるゾーンに基づいて推定される、請求項8に記載のIGユニット。
【請求項10】
前記ポリマー基材のコイルの歪みは、所定の閾値を超えて1つ以上の基準ゾーンの測定された静電容量(複数可)とは異なる測定された静電容量を有する異なるゾーンに基づいて推定され、前記1つ以上の基準ゾーンは、前記IGユニット内の最も外側のゾーン(複数可)である、請求項8又は9に記載のIGユニット。
【請求項11】
前記コントローラは、前記ゾーンに電圧(複数可)を選択的に送達して、前記ポリマー基材のコイルの推定された歪みを補正するように、前記電源を制御するように更に構成されている、請求項8~10のいずれか一項に記載のIGユニット。
【請求項12】
前記ポリマー基材は、電圧(複数可)を受け取らない他のゾーンと比較して、電圧(複数可)を受け取るゾーンに優先的に近接して延在するように構成されている、請求項11に記載のIGユニット。
【請求項13】
ガラス基材であって、前記ガラス基材の上に設けられた動的に制御可能なシェードシステムを含み、前記シェードシステムは、
前記基材の主表面上に直接的又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングであって、前記第1の導電性コーティングは、互いに電気的に絶縁された複数のゾーンに分割されている、第1の導電性コーティングと、
前記第1の導電性コーティング上に直接的又は間接的に設けられた誘電体膜と、
第2の導電性コーティングを支持するポリマー基材を含むシャッタであって、前記ポリマー基材は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつシャッタ開位置まで後退可能である、シャッタと、を含み、
前記第1の導電性コーティング及び/又は前記第2の導電性コーティングのうちの少なくとも一方は、電位差を設定し、静電力を生成して前記ポリマー基材を前記シャッタ閉位置まで駆動するように制御可能な電源に電気的に接続可能である、ガラス基材。
【請求項14】
前記ポリマー基材は、後退時にコイル状に巻き、かつ伸長時にほどけるように構造化されており、ポリマー基材のコイル歪みは、前記ゾーンで測定された少なくとも静電容量に基づいて決定可能である、請求項13に記載の基材。
【請求項15】
前記電源は、前記ゾーンに電圧(複数可)を選択的に送達して、前記ポリマー基材のコイルの推定されたかつ/又は決定された歪みを補正するように制御可能である、請求項14に記載の基材。
【請求項16】
前記ポリマー基材は、電圧(複数可)を受け取らない他のゾーンと比較して、電圧(複数可)を受け取るゾーンに優先的に近接して延在するように構成されている、請求項15に記載の基材。
【請求項17】
絶縁ガラス(IG)ユニットの製造方法であって、前記方法は、
第1の基材及び第2の基材を有することと、
前記第1の基材及び/又は前記第2の基材上に動的に制御可能なシェードを設けることであって、前記シェードは、
前記第1の基材の内部主表面に直接的又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングであって、前記第1の導電性コーティングは、互いに電気的に絶縁された複数のゾーンに分割されている、第1の導電性コーティングと、
前記第1の導電性コーティング上に直接的又は間接的に設けられた誘電体膜と、
第2の導電性コーティングを支持するポリマー基材を含むシャッタであって、前記ポリマー基材は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつシャッタ開位置まで後退可能である、シャッタと、を含む、ことと、
前記第1の基材と前記第2の基材とを、少なくとも1つの間隙が前記第1の基材と前記第2の基材との間に画定され、少なくとも動的に制御可能な前記シェードが前記間隙内に配置されるように、実質的に平行に離間した関係に接続することと、を含み、
前記第1の導電性コーティング及び/又は前記第2の導電性コーティングのうちの少なくとも一方は、電位差を設定し、静電力を生成して前記ポリマー基材を前記シャッタ閉位置まで駆動するように制御可能な電源に電気的に接続可能である、方法。
【請求項18】
前記ゾーンは、行及び/又は列に配置されている、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ゾーンは、同じサイズ及び形状を有する、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
異なる前記ゾーンで静電容量を測定するように構成されている検知回路を更に備える、請求項17~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリマー基材は、後退時にコイル状に巻き、かつ伸長時にほどけるように構造化されており、前記方法は、測定された静電容量に基づいて、前記ポリマー基材のコイルが伸長中及び/又は後退中に歪んでいるかどうかを推定し、かつ/又は決定するように構成されているコントローラを設けることを更に含む、請求項17~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリマー基材のコイルの歪みは、(a)所定の閾値を超えて互いに異なる測定された静電容量を有する異なるゾーン、及び/又は(b)所定の閾値を超えて1つ以上の基準ゾーンの測定された静電容量(複数可)とは異なる測定された静電容量を有する異なるゾーンに基づいて推定され、かつ/又は測定され、前記1つ以上の基準ゾーンは、前記IGユニットの最も外側のゾーン(複数可)である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記コントローラは、前記ゾーンに電圧(複数可)を選択的に送達して、前記ポリマー基材のコイルの推定された歪みを補正するように前記電源を制御するように更に構成されている、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリマー基材は、電圧(複数可)を受け取らない他のゾーンと比較して、電圧を受け取るゾーンに優先的に近接して延在するように構成されている、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
絶縁ガラス(IG)ユニット内で動的シェードを操作する方法であって、前記方法は、
請求項17~24のいずれか一項に記載の方法に従って作製されたIGユニットを有することと、
前記シャッタ開位置と前記シャッタ閉位置との間で前記ポリマー基材を移動させるために、前記電源を選択的に作動させることと、
前記ポリマー基材のコイルの歪みを補正するために、前記ゾーンに選択的に電力を提供することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の特定の例示的実施形態は、絶縁ガラスユニット(IGユニット又はIGU)と共に使用され得るシェード、かかるシェードを含むIGユニット、及び/又はその製造方法に関する。より具体的には、本発明の特定の例示的実施形態は、IGユニットと共に使用され得る、電位駆動シェード、かかるシェードを含むIGユニット、及び/又はその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築部門は、世界の一次エネルギー消費の30~40%に相当することが示されている、そのエネルギー消費が高いことで知られている。特に、エネルギー効率の厳格性の低い建築基準で構築された古い構造体では、加熱、冷却、換気、及び照明などの運用コストが、この消費の大部分を占める。
【0003】
窓は、例えば、自然光、新鮮な空気、アクセス、及び外部世界への接続を提供する。しかしながら、それらはしばしば、無駄なエネルギーの重大な原因の典型でもある。建築用窓の使用を増加させる傾向が高まり、エネルギー効率及び人間の快適性の相反する利益をバランスさせることは、ますます重要になってきている。更に、地球温暖化及び二酸化炭素排出量に関する懸念が、新規なエネルギー効率の高いグレージングシステムの推進力になっている。
【0004】
この点に関して、窓は通常、建物の隔離において「弱いリンク」であり、ガラスのファサード全体を含むことが多い現代の建築設計を考慮すると、エネルギー浪費を制御及び低減する点で、より優れた絶縁窓を持つことが有利であろうことが明らかになる。したがって、絶縁性の高い窓の開発には、環境的にも経済的にも大きな利点がある。
【発明の概要】
【0005】
絶縁ガラスユニット(IGユニット又はIGU)が開発されており、建物及び他の構造物の絶縁性が向上している。図1は、例示的なIGユニットの断面概略図である。図1の例示的なIGユニットでは、第1の基材102及び第2の基材104は、実質的に平行であり、互いに離間している。スペーサシステム106は、第1の基材102及び第2の基材104の周辺部に設けられ、基材を互いに実質的に平行に離間した関係に維持し、基材の間に間隙又は空間108を画定するのに役立つ。間隙108は、例えば、全体的なIGユニットの絶縁特性を改善するために、場合によっては不活性ガス(例えば、Ar、Kr、Xeなど)で少なくとも部分的に充填されてもよい。場合によっては、スペーサシステム106に加えて、任意選択の外側シールが設けられてもよい。
【0006】
窓は、冬の太陽光取得及び一年中の昼光の形態で建物に「エネルギーを供給する」能力を有するという点で、ほとんどの建物において固有の要素である。しかしながら、現在の窓技術は、多くの場合、冬の過剰な暖房コスト、夏の過剰な冷却につながることが多く、多くの場合、光源の市販品の多くにおいて光が暗色化されるか又はオフにされることを可能にするという昼光の利益を捕捉し損ねている。
【0007】
薄膜技術は、窓性能を改善する1つの有望な方法である。薄膜は、例えば、製造中にガラス上に直接適用することができ、それに対応してより低コストで既に既存の窓に後付けすることができるポリマーウェブ上に適用することができる。過去20年間にわたって進歩が行われており、主に、静的又は「受動的」低放射率(低E)コーティングを使用することにより窓のU値を下げ、並びにスペクトル選択的低Eコーティングを使用することにより、太陽熱利得係数(solar heat gain coefficient、SHGC)を低減することによって、進歩が行われてきた。低Eコーティングは、例えば、図1に示され、図1に関連して記載されているものなどのIGユニットと関連して使用され得る。しかしながら、更なる強化が可能である。
【0008】
例えば、建物などへの改善された断熱を提供するという要望を考慮に入れたより動的なIGユニットオプションを提供することが望ましいであろうことは、太陽が建物の内部に「エネルギーを供給」する能力を利用し、また、より「オンデマンド」方式でプライバシーを提供することが望ましいことが理解されるであろう。このような製品は、美的外観も満足することが望ましいことが理解されるであろう。
【0009】
特定の例示的実施形態は、これら及び/又は他の懸念事項に対処する。例えば、本発明の特定の例示的実施形態は、IGユニットと共に使用され得る電位駆動シェード、かかるシェードを含むIGユニット、及び/又はその製造方法に関する。
【0010】
特定の例示的実施形態では、絶縁ガラス(IG)ユニットが提供される。第1の基材及び第2の基材はそれぞれ、内部主表面及び外部主表面を有し、第1の基材の内部主表面は、第2の基材の内部主表面に面している。スペーサシステムは、第1の基材及び第2の基材を互いに対して実質的に平行に離間した関係に維持し、それらの間に間隙を画定するのに役立つ。動的に制御可能なシェードは、第1の基材と第2の基材との間に挿入される。シェードは、第1の基材の内部主表面上に直接的又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングであって、第1の導電性コーティングは、互いに電気的に絶縁された複数のゾーンに分割されている、第1の導電性コーティングと、第1の導電性コーティング上に直接的又は間接的に設けられた誘電体膜又は絶縁体膜と、第2の導電性コーティングを支持するポリマー基材を含むシャッタと、を含み、ポリマー基材は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつシャッタ開位置まで後退可能であり、第1の導電性コーティング及び/又は第2の導電性コーティングは、電位差を設定し、静電力を生成してポリマー基材をシャッタ閉位置まで駆動するように制御可能な電源に電気的に接続可能である。
【0011】
特定の例示的な実施形態では、ガラス基材は、ガラス基材の上に設けられた動的に制御可能なシェードを含む。シェードは、基材の主表面上に直接的又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングであって、第1の導電性コーティングは、互いに電気的に絶縁された複数のゾーンに分割されている、第1の導電性コーティングと、第1の導電性コーティング上に直接的又は間接的に設けられた誘電体膜又は絶縁体膜と、第2の導電性コーティングを支持するポリマー基材を含むシャッタと、を含む。ポリマー基材は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつシャッタ開位置まで後退可能である。第1の導電性コーティング及び/又は第2の導電性コーティングは、電位差を設定し、静電力を生成してポリマー基材をシャッタ閉位置まで駆動するように制御可能な電源に電気的に接続可能である。
【0012】
特定の例示的実施形態では、絶縁ガラス(IG)ユニットの製造方法が提供される。本方法は、それぞれが内部主表面及び外部主表面を有する、第1の基材及び第2の基材を有することであって、第1の基材の内部主表面は、第2の基材の内部主表面に面している、ことと、第1の基材及び/又は第2の基材上に動的に制御可能なシェードを設けることと、を含む。シェードは、第1の基材の内部主表面上に直接的又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングであって、第1の導電性コーティングは、互いに電気的に絶縁された複数のゾーンに分割されている、第1の導電性コーティングと、第1の導電性コーティング上に直接的又は間接的に設けられた誘電体膜又は絶縁体膜と、第2の導電性コーティングを支持するポリマー基材を含むシャッタと、を含み、ポリマー基材は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつシャッタ開位置まで後退可能である。第1の基材及び第2の基材は、間隙がそれらの間に画定され、動的に制御可能なシェードが間隙に位置するように、実質的に平行に離間した関係で互いに接続される。第1の導電性コーティング及び/又は第2の導電性コーティングは、電位差を設定し、静電力を生成してポリマー基材をシャッタ閉位置まで駆動するように制御可能な電源に電気的に接続可能である。
【0013】
特定の例示的な実施形態では、検知回路は、異なるゾーンで静電容量を測定するように構成されてもよい。
【0014】
特定の例示的な実施形態では、ポリマー基材は、後退時にコイル状に巻き、かつ伸長時にほどけるように構造化されてもよく、IGユニットは、測定された静電容量に基づいて、ポリマー基材のコイルが伸長中及び/又は後退中に歪んでいるかどうかを推定するように構成されているコントローラを更に備えてもよい。
【0015】
特定の例示的な実施形態では、ポリマー基材のコイルの歪みは、所定の閾値を超えて1つ以上の基準ゾーンの測定された静電容量(複数可)とは異なる測定された静電容量を有する異なるゾーンに基づいて、所定の閾値を超えて互いに異なる、測定された静電容量を有する異なるゾーンに基づいて推定されてもよい(例えば、1つ以上の基準ゾーンは、IGユニット内の最も外側のゾーン(複数可)である)。
【0016】
特定の例示的な実施形態では、コントローラは、電圧(複数可)をゾーンに選択的に送達して、ポリマー基材のコイルの推定された歪みを補正するように電源を制御するように更に構成されてもよい。
【0017】
特定の例示的な実施形態では、ポリマー基材は、電圧(複数可)を受け取らない他のゾーンと比較して、電圧(複数可)を受け取るゾーンに近接して優先的に延在するように構成されてもよい。
【0018】
特定の例示的実施形態では、絶縁ガラス(IG)ユニット内で動的シェードを操作する方法が提供される。本方法は、本明細書に開示される技術に従って作製されたIGユニットを有することと、シャッタの歪みの補正を支援するために、1つ以上のゾーンに電圧(複数可)を提供することと、を含む。例えば、本方法は、電源を選択的に作動させることと、ポリマー基材をシャッタ開位置と閉鎖位置との間で動かし、選択的にポリマー基材のコイルの歪みを補正するためにゾーンに電力を供給することと、を含み得る。
【0019】
本明細書に記載の特徴、態様、利点、及び例示的実施形態は、更なる実施形態を実現するために組み合わされてもよい。
【0020】
これら及び他の特徴及び利点は、図面と併せて、例示的な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって、より良好かつより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】例示的な絶縁ガラスユニット(IGユニット又はIGU)の断面概略図である。
【0022】
図2】特定の例示的実施形態に関連して使用され得る、電位駆動シェードを組み込んだ例示的なIGUの断面概略図である。
【0023】
図3】特定の例示的実施形態による、シャッタ動作を可能にする、図2の実施例IGUの、例示的なガラス上の構成要素を示す断面図である。
【0024】
図4】特定の例示的実施形態による、図2の実施例IGUからの例示的なシャッタの断面図である。
【0025】
図5】特定の例示的実施形態による、導電率の差を促進する領域と共に、図2の実施例IGUからのガラス構成要素を組み込んだ基材の平面図である。
【0026】
図6A】特定の例示的実施形態による、導電率の差を促進する第1の例示的な領域を通して取られた図5の断面図である。
【0027】
図6B】特定の例示的実施形態による、ガラス上の構成要素とシャッタ上の構成要素との間の導電率の差を促進する第2の例示的な領域を通して取られた図5の断面図である。
【0028】
図7】特定の例示的実施形態による、導電率の差を促進する第3の例示的な領域の平面図である。
【0029】
図8】いくつかの事例においてシャッタがどのように歪んでいるか、又はずれている可能性があるかを示す平面図である。
【0030】
図9A】特定の例示的実施形態による、図5の実施例からのセグメント化されたガラスの構成要素の第1のセットを組み込んだ基材の平面図である。
【0031】
図9B】特定の例示的実施形態による、図5の実施例からのセグメント化されたガラスの構成要素の第2のセットを組み込んだ基材の平面図である。
【0032】
図10】特定の例示的実施形態による、複数の検知回路及びコイル歪みを補正するための電圧コントローラを有する図9Aの実施例を示す概略図である。
【0033】
図11】特定の例示的な実施形態で使用され得る第1の例示的な比較器回路の図である。
【0034】
図12】特定の例示的な実施形態で使用され得る第2の例示的な比較器回路の図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の特定の例示的実施形態は、IGユニットと共に使用され得る電位駆動シェード、かかるシェードを含むIGユニット、及び/又はその製造方法に関する。ここでより詳細に図面を参照すると、図2は、特定の例示的実施形態に関連して使用され得る電位駆動シェードを組み込んだ例示的な絶縁ガラスユニット(IGユニット又はIGU)の断面概略図である。より具体的には、図2は、実質的に平行に離間した第1のガラス基材102及び第2のガラス基材104が、スペーサシステム106を使用して互いに分離され、間隙108がそれらの間に画定される点で、図1と同様である。第1の電位駆動シェード202a及び第2の電位駆動シェード202bは、それぞれ、第1の基材102及び第2の基材104の内側主表面に近接する間隙108内に設けられる。以下に提供される説明から明確になるように、シェード202a及び202bは、シェード202aと202bと、基材102及び104の内面に形成された導電性コーティングとの間の電位差の生成によって制御される。また、以下に提供される説明から明確になるように、それぞれのシェード202a及び202bは、導電性コーティング(例えば、Al、Cr、ITOなどを含む層を含むコーティング)でコーティングされたポリマー膜を使用して作製され得る。アルミニウムコーティングされたシェードは、可視光の部分-完全反射、及び最大でかなりの量の総太陽エネルギーを提供し得る。
【0036】
シェード202a及び202bは通常、(例えば、巻き上げられて)後退されるが、例えば、「従来の」ブラインドのように、基材102及び104の少なくとも一部を覆うために、適切な電圧が印加されたときに急速に伸長する(例えば、展開する)。巻き上げシェードは、非常に小さい直径を有してもよく、典型的には、第1の基材102と第2の基材104との間の間隙108の幅よりもはるかに小さくなり、これにより、それらの間で機能することができ、巻き上げられるときに本質的に視界から隠され得る。展開されたシェード202a及び202bは、隣接する基材102及び104に強く付着する。
【0037】
シェード202a及び202bは、基材102及び104の可視又は「フレーム」領域の垂直長さの全て又は一部分に沿って、後退構成から伸長構成まで延びる。後退構成では、シェード202a及び202bは、フレーム領域を通る放射透過を実質的に可能にする第1の表面積を有する。伸長構成では、シェード202a及び202bは、フレーム領域を通る放射透過を実質的に制御する第2の表面積を有する。シェード202a及び202bは、それらが取り付けられる基材102及び104のフレーム領域の水平幅の全て又は一部にわたって延在する幅を有してもよい。
【0038】
それぞれのシェード202a及び202bは、第1の基材102と第2の基材104との間に配設され、好ましくは、それぞれが、基材の頂部付近で、1つの端部で基材の内面(又は基材の上に配置された誘電体若しくは他の層)に取り付けられる。この点で、接着剤層を使用してもよい。図2では、シェード202及び204は、部分的に展開されて(部分的に伸長されて)示されている。シェード202a及び202b、並びに任意の接着剤層又は他の取り付け構造は、好ましくは、シェード202a及び202bが少なくとも部分的に展開されたときにのみ見られるように、視界から隠される。
【0039】
完全に巻き上げられたシェードの直径は、好ましくは約1~5mmであるが、特定の例示的実施形態では5mm超であってもよい。好ましくは、巻き上げされたシェードの直径は、迅速かつ繰り返される展開及び巻き上げ操作を容易にするために、典型的には約10~15mmである間隙108の幅以下である。図2の実施例では2つのシェード202a及び202bが示されているが、特定の例示的実施形態では1つのシェードのみが設けられてもよく、また、1つのシェードが内側又は外側基材102又は104のいずれかの内側表面上に設けられてもよいことも理解されよう。2つのシェードがある例示的な実施形態では、その組み合わせ直径は、例えば、両方のシェードの展開及び巻き上げ操作を容易にするために、好ましくは、間隙108の幅以下であることが好ましい。
【0040】
シェード202a及び202bを駆動するのに役立つ電子コントローラが設けられてもよい。電子コントローラは、例えば、好適なリード線などを介して、シェード202a及び202b並びに基材102及び104に電気的に接続されてもよい。リード線は、組み立てられたIGユニットを介して見えないようにすることができる。電子コントローラは、シェード202a及び202bに出力電圧を提供するように構成されている。特定の例示的実施形態では、シェード202a及び202bを駆動するためにDC約100~500Vの範囲の出力電圧を使用することができる。この点に関して、外部AC又はDC電源、DC電池などが使用されてもよい。例えば、シェード202a及び202b、基材102及び104上の層などを含む製造パラメータ及び材料に応じて、より高い又はより低い出力電圧が提供され得ることが理解されるであろう。
【0041】
コントローラは、例えば、シェード202a及び202bが後退又は延長されるべきかどうかを示すために、手動スイッチ、遠隔(例えば、無線)制御、又は他の入力装置に連結されてもよい。特定の例示的実施形態では、電子コントローラは、制御信号を受信して復号するための命令を記憶するメモリに動作可能に結合されたプロセッサを含んでもよく、制御信号は、電圧を選択的に印加して、シェード202a及び202bの伸長及び/又は後退を制御する。他の機能が実現され得る更なる命令が提供されてもよい。例えば、ユーザ指定の又は他の時間にシェード202a及び202bが、伸長かつ後退するようにプログラムされ得るように、タイマーを設けることができ、ユーザ指定の屋内温度及び/又は屋外温度に達した場合に、シェード202a及び202bが伸長かつ後退するようにプログラムされ得るように、温度センサが設けられてもよい。構造体の外側の光の量に基づいて、シェード202a及び202bが伸長し、後退するようにプログラムされ得るように、光センサを設けることができる。
【0042】
上述したように、2つのシェード202a及び202bが図2に示されているが、特定の例示的な実施形態は、単一のシェードのみを組み込んでもよい。更に、上述のように、かかるシェードは、IGユニット全体に沿って、かつ実質的に全体にわたって垂直方向及び水平方向に延在するように設計されてもよく、異なる例示的実施形態は、それらが配置されるIGユニットの部分のみを被覆するシェードを含んでもよい。そのような場合、マンチンバーなどの内部構造又は外部構造を考慮して、平面シャッタをシミュレートするためにより選択可能な範囲を実現するために複数のシェードを設けてもよい。
【0043】
特定の例示的実施形態では、例えば、IGUの幅に沿ってIGUの底部にロック抑制部が配設されてもよく、これにより、シェードがその全長を展開することを防止するのに役立つ。ロック抑制部は、金属などの導電性材料から作製されてもよい。ロック抑制部はまた、例えば、ポリプロピレン、フッ素化エチレンプロピレン(fluorinated ethylene propylene、FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)などの低消散率ポリマーでコーティングされてもよい。
【0044】
シェード202a及び202bの動作の例示的な詳細が、図3図4に関連して提供される。より具体的には、図3は、特定の例示的実施形態に係る、シャッタ動作を可能にする、図2の実施例IGUの例示的なガラス上の」構成要素を示す断面図であり、図4は、特定の実施形態例に係る、図2の実施形態IGUの例示的なシャッタの断面図である。図3は、図2の基材102及び104のいずれか又は両方に使用され得るガラス基材302を示す。ガラス基材302は、ガラス上の構成要素304及びシャッタ312を支持する。特定の例示的実施形態では、巻かれていない場合、導体404は、インク層406よりも基材302に近くてもよい。他の例示的実施形態では、この構成は、例えば、巻かれていないときに、導体404がインク層406よりも基材302から遠くになり得るように、反転されてもよい。
【0045】
ガラス上の構成要素304は、透明な低ヘイズ接着剤310などを介して基材302に接着され得る誘電材料308と共に透明導体306を含む。これらの材料は、好ましくは実質的に透明である。特定の例示的実施形態では、透明導体306は、端子を介してコントローラへのリード線に電気的に接続される。特定の例示的実施形態では、透明導体306は、コンデンサの固定電極として機能し、誘電材料308は、このコンデンサの誘電体として機能する。
【0046】
透明導体306は、例えば、ITO、酸化スズ(例えば、SnO2又は他の好適な化学量論)などの任意の好適な材料から形成されてもよい。透明導体306は、特定の例示的実施形態において、厚さ10~500nmであってもよい。誘電材料308は、特定の例示的実施形態では、低消散率ポリマーであってもよい。好適な材料としては、例えば、ポリプロピレン、FEP、PTFE、ポリエチレンテレフタレート(polyethyleneterephthalate、PET)、ポリイミド(polyimide、PI)、及びポリエチレンナフタレート(polyethylenenapthalate、PEN)などが挙げられる。誘電材料308は、特定の例示的実施形態では、4~25マイクロメートルの厚さを有してもよい。誘電材料308の厚さは、(例えば、より薄い誘電体層が典型的に信頼性を低下させるのに対して、より厚い誘電体層は、典型的には、動作目的のために高い印加電圧を必要とするため)、シェードの信頼性をバランスさせるように選択することができる。
【0047】
既知のように、多くの低放射率(低E)コーティングは、導電性である。したがって、特定の例示的実施形態では、透明導体306の代わりに低Eコーティングが使用されてもよい。低Eコーティングは、銀ベースの低Eコーティングであってもよく、例えば、Agを含む1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の層が誘電体層の間に挟まれてもよい。このような場合、接着剤310の必要性は、低減されるか、又は完全に除去されてもよい。
【0048】
シャッタ312は、弾性層402を含んでもよい。特定の例示的実施形態では、弾性層402の一方の面に導電体404が使用されてもよく、任意選択的に、他方の面に装飾インク406が適用されてもよい。特定の例示的実施形態では、導体404は、透明であってもよく、示されるように、装飾インク406は、任意選択である。特定の例示的実施形態では、導体404及び/若しくは装飾インク406は、半透明であってもよく、又は別の方法で、シャッタ312に着色若しくは審美的特徴を付与することができる。特定の例示的実施形態では、弾性層402は、例えば、PEN、PET、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide、PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone、PEEK)などの収縮性ポリマーから形成されてもよい。弾性層402は、特定の例示的実施形態では、1~25マイクロメートル厚であってもよい。導体404は、異なる例示的実施形態において導体306に使用されるものと同じ又は異なる材料から形成されてもよい。例えば、金属又は金属酸化物材料が使用されてもよい。特定の例示的実施形態では、例えば、ITO、Al、Ni、NiCr、酸化スズなどを含む層を含む厚さ10~50nmの材料を使用することができる。特定の例示的実施形態では、導体404の抵抗は、40~200オーム/平方の範囲であってもよい。
【0049】
装飾インク406は、所望の可視色及び/又は赤外線を選択的に反射する、かつ/又は吸収する顔料、粒子、及び/又は他の材料を含んでもよい。
【0050】
図2に示すように、シェード202a及び202bは、通常、らせん状ロールとして巻かれ、らせんの外側端部は、接着剤によって基材102及び104(例えば、基材の上の誘電体)に固着されている。導体404は、端子を介してリード線などに電気的に接続されてもよく、導体306をコンデンサの固定電極として、かつ誘電体308をコンデンサの誘電体として有する、コンデンサの可変電極として機能してもよい。
【0051】
電気駆動部が可変電極と固定電極との間に設けられるとき、例えば、電圧又は電流の電気駆動が、シャッタ312の導体404と基材302上の導体306との間に印加されるとき、シャッタ312は、2つの電極間の電位差によって生じる静電力によって基材302に向かって引かれる。可変電極を引っ張ると、コイル状のシェードが展開する。可変電極上の静電力により、シャッタ312は、基材302の固定電極に対して確実に保持される。結果として、シェードのインクコーティング層406は、特定の可視色及び/又は赤外線を選択的に反射又は吸収する。このようにして、展開したシェードは、特定の光又は他の放射を選択的に遮断する、かつ/又は反射することによって放射透過を制御し、それによって、IGユニットの全体的な機能を透過して、部分的若しくは選択的に透過性であるか、又は更には不透明であるように、IGユニットの全体的な機能を変化させる。
【0052】
可変電極と固定電極との間の電気駆動が除去されると、可変電極上の静電力も同様に除去される。弾性層402及び導体404内に存在するばね定数により、シェードがその元の緊密な巻き位置に戻るようになる。シェードの動きは主に容量性回路によって制御されるため、電流は本質的に、シェードが展開中又は巻き上げ中のいずれかである間にのみ流れる。その結果、シェードの平均電力消費量は、非常に低い。このようにして、少なくともいくつかの例では、数年のシェードを操作するために、いくつかの標準的な単3電池を使用することができる。
【0053】
一実施例では、基材302は、譲受人から市販されている厚さ3mmの透明ガラスであってもよい。接着剤層310には、低ヘイズを有するアクリル系接着剤が使用されてもよい。導体306には、100~300Ω/平方の抵抗を有するスパッタITOが使用されてもよい。ポリマー膜は、12マイクロメートル厚の低ヘイズ(例えば、<1%ヘイズ)PET材料であってもよい。装飾インク406として、Sun Chemical Inc.から入手可能なPVC系インクを、3~8マイクロメートルの厚さで適用してもよい。弾性層402として、厚さ6、12、又は25マイクロメートルであるDuPontから市販されているPEN材料を使用することができる。375nmの公称厚さを有する、Alを蒸着させた不透明導体406を使用することができる。透明なオプションのために、スパッタリングされたITOが使用されてもよい。両方の場合において、抵抗は、100~400オーム/平方であってもよい。特定の例示的実施形態では、ITO又は他の導電性材料(複数可)は、それらのそれぞれのポリマーキャリア層上にスパッタリングされるか、又は他の方法で形成されてもよい。当然ながら、これらの例示的な材料、厚さ、電気特性、並びにそれらの様々な組み合わせ及び部分的組み合わせなどは、特に特許請求されない限り限定するものと見なされるべきではない。
【0054】
上述の説明から理解されるように、動的シェード機構は、導電層を有するコイル状ポリマーを使用する。特定の例示的実施形態では、導体402は、ポリマー402と一体であるように形成されてもよく、又はポリマー402上に適用、堆積、又は他の方法で形成される外的コーティングであってもよい。同様に上述したように、装飾インク406は、透明な導体材料(例えば、ITOに基づく)及び/又は部分的に透明若しくは不透明な導電層と共に使用されてもよい。不透明又は部分的に透明な導電層は、特定の例示的実施形態におけるインクの必要性をなくすことができる。この点に関して、特定の例示的実施形態では、金属又は実質的に金属材料が使用されてもよい。アルミニウムは、装飾インクと共に、又は装飾インクなしで使用され得る材料の一例である。
【0055】
1つ以上のオーバーコート層は、導体上に設けられて、可視光反射を低減し、かつ/若しくはシェードの色を変化させて、より審美的に満足のいく製品を提供することに役立ってもよく、並びに/又は、位相シフタ層がそれらの間に出現するように、導体を「分割」することによって役立ち得る。したがって、オーバーコートは、全体的なシェードの美的外観を改善するために含まれ得る。したがって、シャッタ312は、反射低減オーバーコート、誘電体鏡面オーバーコートなどを含み得る。そのような反射低減オーバーコート及び誘電体ミ鏡面オーバーコートは、導体404の上に、かつ、装飾インク406の反対側に(例えば)PENを含むシェードポリマー402の主表面上に設けられ得る。しかしながら、例えば、導体404が透明でない場合、インク406は、提供される必要はないことが理解されるであろう。例えば、Alなどの鏡面コーティングは、装飾インク406の必要性をなくすことができる。また、反射低減オーバーコート及び誘電体鏡面オーバーコートは、特定の例示的実施形態では、導電体404の反対側に(例えば)PENを含むシェードポリマー402の主表面上に設けられてもよいことも理解されよう。
【0056】
光学干渉技術を使用して反射を低減することに加えて、又はその代わりに、テクスチャ加工された表面をベースポリマーに追加すること、導電層を化学的若しくは物理的に改質し、かつ/又はインク層を追加して、例えば、同じ又は類似の端部を達成するために、望ましくない反射の更なる低減などを達成することも可能である。
【0057】
薄膜及び/又はシャッタを含む他の材料は、全体的なシェードの機能に従って多数の巻き上げ及び展開動作に耐えなければならないことを考慮すると、材料は選択されてもよく、形成された全体層積層体は、それを容易にする機械的及び/又は他の特性を有することが理解されるであろう。例えば、薄膜層積層体における過剰な応力は、典型的には不利であると見られる。しかしながら、いくつかの場合では、過剰な応力は、ひび割れ、「層間剥離」/除去、並びに/又は導体404及び/若しくは導体404の上に形成された1つのオーバーコート層若しくは複数のオーバーコート層への他の損傷につながり得る。したがって、特定の実施形態例では、シャッタのポリマー基材上に形成された層(複数可)と関連して、低応力(特に低引張応力)が特に望ましい場合がある。
【0058】
この点に関して、スパッタリングされた薄膜の接着は、とりわけ、堆積膜中の応力に依存する。応力を調整する1つの方法は、堆積圧力を使用することである。応力対スパッタ圧力は、単調曲線には追従せず、代わりに、各材料に固有であり、材料の融解温度と基材温度との比の関数である遷移圧力で注入される。応力工学は、これらのガイドポストを念頭に置いて、ガス圧最適化によって達成することができる。
【0059】
考慮に入れることができるシェードの他の物理的及び機械的特性としては、ポリマーの弾性率及びポリマーの上に形成された層、層の密度比(応力/ひずみに影響を及ぼし得る)などが挙げられる。これらの特性は、内部反射、導電性などに対するそれらの効果とバランスをとることができる。
【0060】
既知のように、IGユニットの内部の温度は、非常に高くなり得る。例えば、図2の実施例による、黒色顔料を含むIGユニットは、例えば、シェードの黒色部分が高温の高日射気候(例えば、アリゾナ州などの米国南西の領域など)で太陽に面している場合には、87℃の温度に達し得ることが観察されている。PENは、PET(Tg=67~81℃)、ポリプロピレン又はPP(Tg=約32℃)などの他の一般的なポリマーと比較して、PENがより高いガラス転移温度(~120℃)を有するので、巻き取り可能/展開不可能なポリマーにPEN材料を使用すると有利であり得る。更に、PENがガラス転移温度に近づく温度に曝露される場合、そうではない場合には有利な材料の機械的特性(材料の弾性率、降伏強度、引張強度、応力緩和弾性率などを含む)の性能は、特に高温曝露では経時的に劣化する場合がある。これらの機械的特性が著しく劣化すると、シェードはもはや機能しなくなる(例えば、シェードは後退しない)。
【0061】
シェードが高温環境によりよく耐えることを助けるために、PENからより高い温度耐性を有するポリマーへの置換が有利であり得る。2つの潜在的ポリマーとしては、PEEK及びポリイミド(PI又はカプトン)が挙げられる。PEEKは、約142℃のTgを有し、カプトンHNは、約380℃のTgを有する。これらの材料の両方は、PENと比較して、高温環境においてより良好な機械的特性を有する。これは、100℃を超える温度で特に当てはまる。以下のチャートは、PEN(Teonex)、PEEK、及びPI(カプトンHN)の機械的特性を参照する。UTSは、チャートにおける最終的な引張強度を表す。
【表1】
【0062】
シェード基材をその現在の材料(PEN)から、高温の機械的特性が増加した代替のポリマー(例えば、PEEK又はPI/カプトン)に変更することは、以下の意味で有利であり得ることが理解される。特にシェードが高温の気候に設置されている場合は、シェードが内部IG温度により良好に耐えられるようになる可能性がある。特定の実施形態例では、代替ポリマーの使用は、シャッタ及び/又はガラス上の層と関連して使用され得ることが理解されるであろう。
【0063】
加えて、又は代替として、特定の例示的実施形態は、染色されたポリマー材料を使用してもよい。例えば、染色PEN、PEEK、PI/カプトン、又は他のポリマーを使用して、各種の色及び/又は審美性を有するシェードを作り出すことができる。例えば、染色されたポリマーは、例えば、透明導電層が透明導電性コーティングなどである場合、透明/半透明の用途の実施形態に有利であり得る。
【0064】
代替のコイル状シェードのばね力を有益に修正して、様々な長さのために使用できるようにするために使用し得る。この点に関し、コイルの強度を増大させる導電層の特性には、弾性率の増加、ポリマー基材と導電層との間の熱膨張係数(coefficient of thermal expansion、CTE)の差の増加、及び弾性率対密度比の増加を含む。Al又はCrと比較してコイル強度を高めるために使用することができる純金属の一部としては、Ni、W、Mo、Ti、及びTaが挙げられる。研究された金属層の弾性率は、Alについての70GPaからMoについての330GPaの範囲であった。研究された金属層のCTEは、Alについての23.5×10-6/kからMoについての4.8×10-6/kまでの範囲であった。一般に、弾性率が高いほど、PEN又は他のポリマーと金属との間のCTEミスマッチがより大きいほど、密度がより低いほどなどで、コイル形成に関して材料選択がより良好になる。Mo及びTi系導電層をシェードに組み込むことは、Alで達成可能なものよりも著しく高いコイルのばね力をもたらしたことが見出されている。例えば、有利には、PEN、PEEK、PIなどに基づくポリマー基材を含み、(基材から離れる順番で)Alを含む層、続いてMoを含む層を支持し得る。Alよりも大きい弾性率及び低いCTEを有する、導電性コーティング内の薄膜層(複数可)及び/又は導電性コーティング自体を設けてもよい。
【0065】
シャッタとして使用されるPEN、PI、又は他のポリマー基材は、応力工学目的のAlを含む薄層を支持してもよく、薄層の上にMo、Tiなどを直接的又は間接的に含む導電層を支持してもよい。導電層は、Al、Ti、ステンレス鋼などを含む耐食層を支持してもよい。これらの層の反対側の基材の側面は、任意選択的に、装飾インクなどを支持することができる。
【0066】
特定の例示的実施形態は、光がシェードを通過することを可能にし、太陽の角度に基づいて漸進的な量の太陽透過率を提供する微小穿穴又は貫通穴を含んでもよい。
【0067】
更なる製造、動作、及び/又は他の詳細及び代替が実施されてもよい。例えば、米国特許第8,982,441号、同第8,736,938号、同第8,134,112号、同第8,035,075号、同第7,705,826号、及び同第7,645,977号、並びに2018年7月6日に出願された米国特許出願第16/028,546号を参照されたく、上記の文献のそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。とりわけ、穿孔構成、ポリマー材料、導電性コーティング設計、応力工学概念、建材一体型太陽光発電設備(building-integrated photovoltaic、BIPV)、及び他の詳細が、その中に開示され、少なくともそれらの教示は、特定の例示的な実施形態に組み込まれ得る。
【0068】
動的シェード設計に関連付けられた1つの問題は、シャッタが、急速に伸びたり後退したりして、底部のストッパ又はホルダに、カチカチ音を生じるのに足りる力で接触することである。すなわち、特定の例示的な実施形態では、ガラス上の構成要素(TCC306及びポリマー308を含む)は、基材302の表面の全て又は実質的に全てにわたって設けられる。上部ストッパ及び底部ストッパは、これらのガラス上の構成要素上に着座し、TCC306に電気的に接続され得る。シャッタの展開中、シャッタがエンドストッパに当たり、カチカチ音が出るまで、シャッタは伸長することとなる。一部の人々は、このカチカチ音を不快感として認知し、したがって、カチカチ音は、少なくとも一部の人々にとって、シェードを使用するのがあまり快適ではない。
【0069】
カチカチ音の問題に対処するのを助けるために、特定の例示的な実施形態は、シャッタが伸長するとき、より具体的には、シャッタが底部ストッパ又はホルダに近接する長さまで伸長するときにシャッタを減速させるための手段を実施する。シャッタがほぼ完全に伸長したときに減速が発生するため、シャッタは、依然として非常に良好に伸長する。言い換えれば、伸長部の初期段階を通して移動を開始し、それを維持する静力は変化しなくなり、完全に伸長した位置に向かって選択的に変更される。
【0070】
この減速は、底部ストッパに近接する領域内の静電力に影響を与えることによって、特定の例示的な実施形態において達成され得る。より弱い静電力は、シャッタをより遅い速度で伸長又は展開することができる。
【0071】
したがって、シャッタは、変更された静電力の領域によって、制御された方法で底部ストッパに向かって伸長することができ、これは、次に、底部ストッパに近接する対応する領域に導電率の差を導入することによって創出され得る。
【0072】
図5は、特定の例示的な実施形態による、この導電率の差を促進する領域506と共に、図2の実施例IGUからガラス上の構成要素304を組み込んだ基材102の平面図である。図5の例は、上部ストッパ502及び底部ストッパ504を示している。シャッタは、矢印の方向に、上部ストッパ502から底部ストッパ504まで延在している。
【0073】
変更された静電力を有するこの領域506は、多数の異なる方法で創出できる。例えば、図6Aは、特定の例示的な実施形態による、導電率の差を促進する第1の例示的な領域を通って取られた、図5の断面図である。図6Aに示すように、ガラス上の構成要素304’は、領域506中で部分的に除去されている。すなわち、ポリマー膜絶縁体308’及びTCC306’、及び場合によって、接着剤310’は、この領域で不連続である。それらは、基材302の側面に向かって延在するが、底部ストッパ504に近接する中央領域から欠落している。この構成では、ガラス上の構成要素304は、図5に示される領域506には存在しないと考えられ得る。
【0074】
この図6Aの構成は、多数の異なる方法で製造することができる。一例として、TCC308を有するポリマー膜絶縁体306が単に基材302上に適用(例えば、圧延)される場合、領域506から離れた領域で基材302に適用され得る。例えば、基材の上部から領域506の上部まで大きな面積を適用することができ、より小さいストリップを領域506の側面に沿って適用することができる。別の例では、領域506に設けられた任意のTCC及びポリマー膜絶縁体を容易に除去することができることを確実にするために、マスキングを使用することができる。これらの材料がシートとして設けられる場合、スパッタリングを使用してTCCを形成し、ポリマーが湿式技術などによって設けられる場合、マスキングが役立つ場合がある。更に別の例では、基材302をブランケットコーティングし(例えば、基材全体に展開される予め形成されたシートを使用して、スパッタリング及び液体コーティングを使用するなど)、次に、ブランクされたコーティング材料を領域506で除去することができる。ガラス上の構成要素304を形成するために使用されるアプローチに応じて、領域506においても、ガラス上の構成要素304’内に接着剤が残っていても、残っていなくてもよい。
【0075】
図6Aの配置の代替として、図6Bは、特定の例示的な実施形態による、ガラス上の構成要素とシャッタ上の構成要素との間の導電率差を促進する第2の例示的な領域を通って取られた図5の断面図である。図6Bの実施例におけるガラス上の構成要素304’’は、静電力が変更されることとなる領域506に提供される追加の絶縁体材料600を含む。この追加の絶縁体は、例えば、上記の材料のいずれか(例えば、PET、PEN、PEEK、PIなど)などの追加の透明なポリマー系材料であり得る。ポリマーは、領域506上に圧延され、適用されるか、又は他の方法でその中に形成され得る。あるいは、又は加えて、特定の例示的な実施形態では、追加の絶縁体600には、薄膜誘電体又は他の材料も使用され得る。これらの薄膜材料は、任意の好適な様式で領域506内の下にある基材302上に形成され得る。それは、シャッタ312上のTCC404から領域506のガラス上の構成要素304’’内のTCC306を効果的に電気的に絶縁し得るか、又は少なくともそれらの間の電気抵抗を増加させ得る。
【0076】
図7は、特定の例示的な実施形態による、導電率の差を促進する第3の例示的な領域506’の平面図である。矢印は、上記のように、シャッタの進行方向を示す。この領域506’は、ガラス上の構成要素が除去される領域704a~704cによって分離された複数のガラス上のセグメント702a~702d(例えば、図6Aに関連して上述したように)、及び/又は追加の絶縁材料が追加される場合(例えば、図6Bに関連して上述したように)を含むと考えられ得る。
【0077】
特定の例示的な実施形態では、ガラス上のセグメント702a~702dは、同じ構成(例えば、基材全体の高さ及び/又は幅)を有することができるが、異なる例示的な実施形態は、これらのガラス上のセグメント702a~702dの異なる構成を使用し得る。図7の例は、セグメント702a~702dが底部ストッパ504に近づくにつれてますますより小さくなるため、前者の構成を使用する。これは、より小さい力が、底部ストッパ504上のシャッタの「ソフトランディング」を生じさせることによって、より小さな力が提供され得るため、有利であり得、一方で、シャッタは、シャッタが遅くなっても延び続けられるよう促進されるよう「インパルス」が提供される。言い換えれば、この配置は、シャッタが底部ストッパ504の手前で停止しないことを確実にするのに役立ち得、また、シャッタがより制御された様式で底部ストッパ504に到達することを確実にするのに役立ち得る。
【0078】
特定の例示的な実施形態では、ガラス上のセグメント702a~702dは、均一に離間され得るか、又はいくつかの他の方法で離間され得る。図7の例は、セグメント702aとセグメント702bとの間の距離D1がセグメント702bとセグメント702cとの間の距離D2よりも小さく、セグメント702bとセグメント702cとの間の距離D2がセグメント702cとセグメント702dとの間の距離D3よりも小さいため、後者の構成を使用する。この考えの別の方法は、領域704a~704cが底部ストッパ504に向かって移動するにつれて、サイズ(例えば、基材全体の高さ及び/又は幅)を増加させ得ることである。
【0079】
図7の例示的な実施形態では、4つのガラス上のセグメント702a~702d及び3つの領域704a~704cが示されているが、特定の例示的な実施形態では、より多くの又は少ない一方又は両方が設けられ得る。更に、図7は、底部ストッパ504の上側(また、黙示的に下側も)に直接隣接するガラス上のセグメント702dを示しているが、異なる実施態様では、底部ストッパ504の底部側から、又は他の方法で底部ストッパ504への電気的接触を提供することができる。したがって、ガラス上のセグメント702dは、底部ストッパ504の底部側に再位置付け可能であると考えられ得る。
【0080】
図7の例示的な実施形態は、図6A及び/又は図6Bに関連して上述した技術を使用して製造することができ、これらの技術は、一般に異なるセグメントに対して単に繰り返されることが理解されよう。
【0081】
図7と同様の実施形態(例えば、複数のガラス上の構成要素セグメントが存在する場合)におけるこれらのセグメントは、異なる例示的な実施形態では、集合的かつ/又は個別に制御され得る。例えば、電圧は、一度に全てのセグメントに提供されてもよく、又は電圧は、より制御された様式で個々のセグメントに提供されてもよい。前者は、実装の容易さの観点から有利であり得る。他方、後者は、速度をより能動的に制御する(例えば、遅延させる)、電力要件を低下させるために有利であり得る。タイマーは、特定の例示的な実施形態において異なるセグメントを順番にアクティブ化することができるように実装してもよい。特定の例示的な実施形態では、撮像装置(例えば、カメラ、赤外線(infrared、IR)センサなど)を使用して、シャッタが伸長するときのシャッタの進行を追跡することができる。コントローラは、撮像装置から信号を受信し、その信号から決定されたシャッタの位置に基づいて、例えば、シャッタが移動する、かつ/又は適切な速度で移動することを確実にするために、セグメントの1つ以上の個々のセグメントを選択的にアクティブ化してもよい。
【0082】
したがって、特に底部停止部に近づくにつれて、シャッタの動きに関して能動的かつ/又は受動的に制御することができることが理解されよう。受動制御は、図6A及び図6Bの例示的な技術に従って領域506の特性を定義することによって、並びに図7の例示的な技術が各セグメントに提供される共通の電圧「トリガ」と関連して使用される場合に提供され得る。能動制御は、例えば、図7の例のセグメントを個別にアクティブ化することによって提供することができる。いずれにせよ、シャッタを駆動するのに十分な力があるが、クリック音を回避するために(又はクリック音を少なくとも知覚できないレベル及び/又は迷惑でないレベルまで顕著に低減するために)、力は、底部ストッパに近接すると減衰される。
【0083】
特定の例示的な実施形態は、ガラス上の構成要素と関連して異なる静電力及び/又は導電率の差を有する領域を作製することとして説明されてきたが、本明細書に記載のアプローチは、シャッタ312(そのTCC404を含む)に関連して使用され得ることが理解されよう。上述の領域の効果を創出するために、(例えば、圧延前に)シャッタ312が形成されているときに、伸長されるときなどに、代替的に又は追加的に、シャッタ312に変更を加えることができる。
【0084】
特定の例示的な実施形態では、導電性コーティング(例えば、ITO)が除去される領域に関して、寸法(絶対値又はバーに対する相対値)は、ほぼゼロとシェード直径の特性幅との間のどこにあってもよい。場合によっては、その領域の印加電圧を減速目標に達するように下げることができるため、そのような寸法の下限は基本的にはないこととなる。いくつかの場合において、そのような寸法の上限について、場合によっては、シェードが静電力場によって依然として影響を受けることを確実にすることが望ましい場合があり、これは実際に制限を課す可能性がある。
【0085】
上記の例は、端部ストッパに近づくにつれてシャッタを減速させるのに役立つ。シャッタは、底部ストッパと接触する前に完全に停止してもよいか、又はシャッタが底部ストッパに対して「ソフトランディング」を有するのに十分な速度まで遅くしてもよい。したがって、特定の例示的な実施形態は、人間が知覚可能な(例えば、可聴)カチカチ音を低減するか、又はそれを除去することさえできる。
【0086】
特定の例示的な実施形態では、シェードは、展開中に最終速度へと減速する初速度で展開してもよい。減速は、一定の速度又は非一定の速度で遅くなってもよい。最終速度は、完全又はほぼ完全な停止(例えば、ゼロ又はほぼゼロの速度)となり得る。このようにして、シェードは、底部停止部上に「ソフトランディング」してもよい。特定の例示的な実施形態では、シェードは、ソフトランディング中に底部停止部に必ずしも接触する必要はない。すなわち、特定の例示的な実施形態では、底部停止部が設けられなくてもよい。停止部が設けられる特定の例示的な実施形態では、停止部は、伸長位置にシェードを保持するために静電力を提供するための手段であり得、そのような場合、シェードは、ストッパに接触しても接触しなくてもよい。
【0087】
動的シェード設計に関連する別の問題は、シャッタコイルが、後退中及び/又は伸長中に歪むか、又はそうでなければ位置がずれることである。図8は、いくつかの例では、シャッタがどのように歪むか、又は位置がずれている可能性があるかを示す平面図である。図8に示されるように、シャッタ312は、コイルの左側がコイルの右側よりも「低い」(より伸長され、かつそれほど後退されていない)ため、展開中及び/又は後退中に歪んでいる。これらの歪み/位置ずれの問題は煩わしく、動的シェードを使用するのに心地良さを低減する可能性がある。同様の上部及び底部の位置のずれが、水平に展開する実施形態で発生し得ることが理解されよう。
【0088】
シャッタコイル歪み問題に対処するのを助けるために、特定の例示的な実施形態は、ガラス上の導電層の1つ以上の部分に電圧(複数可)を提供する。特定の例示的な実施形態では、これは、ガラス上の導電層を複数のセグメントにパターン化又は他の方法で分割することによって容易にすることができる。歪みが検出されるとき、又はそうでなければトリガされる場合、電圧(複数可)は、優先的な伸長及び/又は後退を促進するために、ガラス上の導電層の1つ以上の部分に提供され得る。
【0089】
図9Aは、特定の例示的な実施形態による、図5の実施例からのセグメント化されたガラスの構成要素の第1のセットを組み込んだ基材の平面図である。図5のガラス上の構成要素304と比較して、図9Aの実施例では、異なるゾーン304a~304cが作成される。これは、ITOコーティングされたPETを区画することで複数の区画を提供し、それによって複数のゾーン304a~304cを作成することによって達成され得る。図9Aの例は、垂直に配向されたシェードのためのものであり、したがって、区画は、同様にほぼ垂直に配向される。選択的電圧制御は、複数のゾーン304~304cに対して実装することができる。例えば、異なる電圧を個々の領域のそれぞれに印加することができ、いくつかの領域は、電圧を受け取ることができないが、一部は、例えば、選択的伸長及び/又は後退を促進するために電圧を受け取ることができる。結果として、垂直配置では、シェードの左側及び右側、並びに任意の数の任意選択の中間ゾーンが個別に駆動されて、コイル歪みが発生する事象における補正を促進することができる。図9Aの例では、シェードの幅にわたる電圧の独立した制御が提供される。例えば、複数のほぼ水平ゾーンが、コイル補正を促進するために独立して作成及び駆動され得るという点で、水平に配置されたシェードと関連して同様の技術が使用され得ることが理解されよう。
【0090】
パターン化は、ITOコーティングされたPETの別個の領域、又は導電性コーティングがその領域の上に形成されたその他の材料を適用することによって実行され得る。特定の例示的な実施形態では、レーザーエッチング、アブレーション、フォトリソグラフィエッチング、及び/又は他の技術を使用して、ガラス上の構成要素の一部又は全てをパターン化し、それによって異なるゾーンを作成することができる。特定の例示的な実施形態では、材料の異なるゾーンは、隣接するストリップ又は他の部分が互いに電気的に接触しないか、又は通信しないように、基材の表面全体に複数のストリップ又は材料の他の部分を適用することによって作製され得る。
【0091】
異なる例示的な実施形態では、任意の好適なパターンを使用してもよい。例えば、図9Aに示されるような垂直パターンを使用するのではなく、図9Bに示されるパターンを使用してもよい。図9Bは、特定の例示的な実施形態による、図5の実施例からのセグメント化されたガラス上の構成要素の第2のセットを組み込んだ基材の平面図である。図9Bでは、ゾーン304a~304iが複数の行及び複数の列を占める、よりグリッド様のパターンが設けられている。一般に、垂直方向に伸縮する/後退する実施形態では、少なくとも2つの垂直ゾーンが設けられるべきであり、かつ1つ以上の水平ゾーンが設けられるべきである。一般に、水平に伸長する/後退する実施形態の場合、少なくとも2つの水平ゾーンが設けられるべきであり、かつ1つ以上の垂直ゾーンが設けられるべきである。ゾーンは、(例えば、図9Aに示されるように)同じサイズ、形状、及び寸法を有してもよい、又は(例えば、図9Bに示されるように)異なるサイズ、形状、及び/又は寸法が提供されてもよい。特定の例示的な実施形態では、下部バー504に近接する別個のゾーンが必ずしも設けられる必要はない。
【0092】
コイル歪みは、任意の好適な技術によって検出することができる。例えば、光学撮像技術を使用して、コイルがその一方の側において、他方の側よりもより高い/より低い、かつ/又はより厚い/より薄いように見えるかどうかを判定することができる。特定の例示的な実施形態では、カメラ又は他の撮像手段は、アセンブリの周縁に位置することができる。撮像手段は、コイルの写真を撮影することができ、画像に対応するデータを処理回路に送ることができる。処理回路が、コイルが歪んでいるのを「見る」場合(例えば、コイルがより高い/より低い、かつ/又はより厚い/より薄いように見えるため)、コイルは歪んでいると見なすことができる。垂直配置では、アセンブリの上部及び/又は底部にカメラなどを設けることが有利であり得、一方、水平配置でアセンブリの左側及び/又は右側にカメラなどを設けることが有利であり得る。ただし、異なる実施例では、異なる配置を使用することができる。
【0093】
特定の例示的な実施形態では、コイルの補正は、ユーザがウィンドウ上のボタンを押すこと、ウィンドウに動作可能に接続されたリモコンなどによってトリガされ得る。
【0094】
特定の例示的な実施形態では、コイル歪みは、静電容量センサを実装することによって検出することができる。例えば、異なる静電容量センサを異なるそれぞれのゾーンに設けることができる。静電容量センサアレイは、電源と連携して、電圧(複数可)をゾーンのうちの1つ以上に選択的に導入して、各区画ゾーンの静電容量を均衡させることによってコイル歪みの補正を助けることができる。静電容量センサは、静電力がシェードの展開を駆動するのに役立ち、少なくとも部分的に展開されたシェードをガラスに「保持」するのに役立つという事実を利用する。展開の量が異なると、容量結合が異なる(したがって、ゾーンごとに容量が異なる)ため、その差は、部分的又は不均一な展開を反映するように測定かつ決定できる。
【0095】
例えば、図9Bの例のシャッタが、窓の左側に向かって大きく展開しているが、窓の右側に向かって少しだけ展開していると仮定すると、下端で、ゾーン304dのほぼ垂直方向の中心の点からゾーン304cの右下隅まで伸長する。この仮説では、シェードが均等に広げられた場合、ゾーン304dの静電容量は、ゾーン304e及び304fの静電容量と一致するはずである。しかしながら、シェードコイルが歪んでいるため、ゾーン304d及び304eの静電容量を測定する静電容量センサは、異なる値を報告し、そのような両方の値は、ゾーン304fの出力(歪んだコイルとの接触がない場合)とは著しく異なる。このタイプの歪みが発生した場合、図9Aのゾーン304a~304cと同様に静電容量の差が同様に現れる。
【0096】
異なる例示的な実施形態では、異なる比較を行うことができる。例えば、特定の例示的な実施形態では、ウィンドウの対向する縁部のゾーンを互いに比較することができる。例えば、静電容量の大きな絶対差が検出された場合、歪みを推定することができる。特定の例示的な実施形態では、一方の縁部のゾーンを基準と見なすことができ、それに隣接するゾーンを基準に対して考慮することができる。例えば、全て、ほとんど、又はいくつかのゾーンが、基準静電容量から閾値距離内の静電容量を有すると決定される場合、歪みなしの決定を行うことができる。閾値は、特定の例示的な実施形態では一定であり得るが、他の例示的な実施形態において、閾値は、基準ゾーンからの距離が増加するにつれて増加(又は減少)され得る。特定の例示的な実施形態では、隣接するゾーン対間で静電容量を測定することができる。例えば、全て、ほとんど、又はいくつかの隣接するゾーン対が閾値内にある場合、歪みなしの決定を行うことができる。
【0097】
静電容量はリアルタイムで測定することができるため、コイル歪みの自己検出及び自己補正もまたリアルタイムで実行することができる。例えば、電圧(複数可)は、伸長及び/又は後退を優先的に促進するために1つ以上のゾーンに印加され得る。例えば、シェードが伸長していて、左側が右側よりも完全に伸長している場合、最初に最も短い伸長を有するゾーン、2番目に短い伸長を有するゾーンなどに対して電圧をトリガすることができる。あるいは、電圧は、全てのゾーンについてトリガされ得るが、伸長が大きい(ただしまだ完全ではない)ゾーン(複数可)と比較して、伸長が最も短いゾーンでは長期間維持される。完全な伸長及び歪みの欠如は、各区画ゾーン内の静電容量がバランスが取れているとき、又は少なくとも閾値内でバランスが取れているときに決定され得る。
【0098】
静電容量は、例えば、1つ以上の検知回路を使用して、ITOコーティングされたPET内のコイルと各区画との間で測定することができる。比較器は、測定された静電容量を2つ以上の区画において比較し、様々なゾーンに提供された電圧V1、V2、V3、及び/又はVnを増加かつ/又は低減するように、電圧コントローラを制御するように構成されてもよい。
【0099】
図10は、特定の例示的な実施形態による、コイル歪みを補正するための複数の検知回路1002a~1002n及び電圧コントローラ1006を有する図9Aの例を示す概略図である。図10の例では、検知回路1002a~1002nは、コイルが伸長かつ/又は後退するときに、区画に結合された発振回路内の周波数変化を監視することができる。図10の例では、検知回路の数は、ゾーンの数と一致する(ただし、これは必ずしも異なる実施例ではそうである必要はない)。図10の例では、第1の検知回路1002aは、左側の基準を提供するために第1のゾーン304aに接続され、第2の検知回路1002bは、差の計算を提供するために第1のゾーン304a及び第2のゾーン304bに接続され、n番目の検知回路1002nは、右側の基準を提供するためにn番目のゾーン304nに接続され、第3のセンシング回路1002cは、n番目のゾーン304n及び第3のゾーン304cなどに接続されている。
【0100】
この例では、コイルが伸長又は後退すると、コイルと区画との間に形成された静電容量が変化する。コイルと区画との間に形成された静電容量は、コンデンサCと並列に、抵抗器Rと直列に接続され得る。抵抗器及び2つのコンデンサの全体的な静電容量は、RC発振器が発振する周波数を決定する。並列に接続された2つのコンデンサの全体的な静電容量が変化すると、発振周波数もまた変化する(例えば、静電容量が大きいほど周波数が低くなる。)。比較器回路1004は、発振周波数を他のゾーンの1つの基準周波数又は複数の基準周波数と比較して、区画が印加電圧を増加かつ/又は減少させることを決定することができる。
【0101】
図11は、特定の例示的な実施形態で使用され得る第1の例示的な比較器回路であり、図12は、特定の例示的な実施形態で使用され得る第2の例示的な比較器回路である。特定の例示的な実施形態では、周波数-電圧変換器は、発振信号を受信し、発振周波数を表す電圧値を生成することができる。電圧値は、他の区画内の発振信号に対応する1つの基準電圧又は複数の基準電圧と比較されて、区画が印加電圧を増加かつ/又は減少させることを決定することができる。
【0102】
異なる例示的な実施形態では、異なる回路設計を使用してもよく、上記の比較手法及び/又は他の比較手法を異なる例示的な実施形態で使用してもよいことが理解されよう。例えば、特定の例示的な実施形態では、発振周波数が増加又は減少する速度が測定かつ比較され得るように、回路設計への変更が行われてもよい。
【0103】
上記のように、ゾーンは、異なる例示的な実施形態では、同じ又は異なるサイズ、形状、及び/又は寸法を有し得る。比較は、実行することがより簡単であり得、かつ/又は、結果は、ゾーンが少なくとも同じ表面積を有する例示的な実施形態ではより正確であり得る。
【0104】
コイルが「直線」であるか又は歪んでいない(又は少なくとも顕著に歪んでいない)場合、静電容量は、同じであるべきであることが理解されよう。しかしながら、例えば、シェードの不均一な厚さ、基材及びシェード表面上の不均一な電荷、シェード移動中の不均一な摩擦、シェードの非完全なレベル、帯電表面上のデブリ、導電性表面のアークなどによって引き起こされるいくつかの変形が依然として存在し得る。したがって、特定の例示的な実施形態は、事前に知られている場合、及び/又は事前定義された閾値以下という点で異なる場合に結果が等しいと見なされる閾値化技術を適用することによって、これら及び/又は他の変数を考慮に入れることができる。
【0105】
電圧(複数可)は、異なる例示的な実施形態において、歪みを識別するために、伸長及び/又は後退の前、最中、及び/又は後に測定することができる。同様に、異なる例示的な実施形態において、伸長及び/又は後退の前、最中、及び/又は後に歪みを補正するために、電圧(複数可)を提供することができる。上記のように、例えば、静電力を使用して能動的に後退を促進する技術を用いてもよく、これらの技術は、歪みを補正するために適用され得る(例えば、1つのゾーンでの後退を促進しながら、シェードを別のゾーンでは適所に保持するため、1つのゾーンでの後退を促進しながら、別のゾーンでの伸長を促進するためなど)。
【0106】
本明細書に記載されるIGユニットは、表面1、2、3、及び4のうちのいずれか1つ以上に低Eコーティングを組み込んでもよい。上述のように、例えば、このような低Eコーティングは、シェードのための導電層として機能し得る。他の例示的な実施形態では、シェードに役立つこと及びシェードのための導電層に加えて、又はそれとは別に、低Eコーティングが別の内面に提供されてもよい。例えば、表面2に低Eコーティングを設けてもよく、表面3に対してシェードを設けてもよい。別の例では、シェード及び低Eコーティングの位置を反転させてもよい。いずれの場合も、別個の低Eコーティングは、表面3に対して設けられるシェードを操作するのを助けるために使用されても、使用されなくてもよい。特定の例示的実施形態では、表面2及び3上に設けられる低Eコーティングは、銀ベースの低Eコーティングであってもよい。低Eコーティングの例は、米国特許第9,802,860号、同第8,557,391号、同第7,998,320号、同第7,771,830号、同第7,198,851号、同第7,189,458号、同第7,056,588号及び同第6,887,575号に明記されており、上記の文献のそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。ITOなどに基づく低Eコーティングを内面及び/又は外面に使用してもよい。例えば、米国特許第9,695,085号及び同第9,670,092号を参照されたく、上記の文献のそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。これらの低Eコーティングは、特定の例示的実施形態に関連して使用され得る。
【0107】
反射防止コーティングは、IGユニットの主表面上に提供されてもよい。特定の例示的実施形態では、ARコーティングは、低Eコーティング及びシェードが提供されない各主表面上に提供されてもよい。例示的なARコーティングは、例えば、米国特許第9,796,619号及び同第8,668,990号、並びに米国特許出願公開第2014/0272314号に記載されており、上記の文献のそれぞれの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,556,066号も参照されたい。これらのARコーティングは、特定の例示的実施形態に関連して使用されてもよい。
【0108】
本明細書に記載される例示的な実施形態は、例えば、商業用途及び/又は住宅用途の内窓及び外窓、天窓、ドア、冷蔵庫/冷凍庫などの陳列棚(例えば、それらのドア及び/又は「壁」用)、車両用途などを含む、多種多様な用途に組み込むことができる。
【0109】
特定の例示的実施形態は、2つの基材を含むIGユニットに関連して記載されているが、本明細書に記載される技術は、いわゆる三重IGユニットに関して適用され得ることが理解されるであろう。このようなユニットでは、実質的に平行に離間した第1の基材、第2の基材、及び第3の基材は、第1のスペーサシステム及び第2のスペーサシステムによって分離され、シェードは、最も内側の基材及び最も外側の基材の内面のうちの任意の1つ以上に隣接して、かつ/又は中間基材の表面の一方若しくは両方に隣接して設けられてもよい。
【0110】
特定の例示的実施形態は、ガラス基材を組み込むものとして記載されているが(例えば、本明細書に記載されるIGユニットの内側及び外側のペインの使用のために)記載されているが、他の例示的な実施形態は、そのようなペインの一方又は両方のための非ガラス基材を組み込んでもよいことが理解されるであろう。例えば、プラスチック、複合材料などを使用してもよい。ガラス基材が使用される場合、そのような基材は、熱処理され(例えば、熱強化されかつ/又は熱焼戻しされ)、化学熱焼戻しされ、アニールされた状態のままなどであってもよい。特定の例示的実施形態では、内側基材又は外側基材は、同じ又は異なる材料の別の基材に積層されてもよい。
【0111】
本明細書で使用するとき、「~上」及び「~によって支持されている」などの用語は、明示的に記載されない限り、2つの要素が互いに直接隣接していることを意味するものと解釈されるべきではない。換言すれば、第1の層は、第2の層との間に1つ以上の層が存在する場合であっても、第2の層「上」又は「によって支持されている」とされ得る。
【0112】
特定の例示的実施形態では、絶縁ガラス(IG)ユニットが提供される。第1の基材及び第2の基材はそれぞれ、内部主表面及び外部主表面を有し、第1の基材の内部主表面は、第2の基材の内部主表面に面している。スペーサシステムは、第1の基材及び第2の基材を互いに対して実質的に平行に離間した関係に維持し、それらの間に間隙を画定するのに役立つ。動的に制御可能なシェードは、第1の基材と第2の基材との間に挿入される。シェードは、第1の基材の内部主表面上に直接的又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングであって、第1の導電性コーティングは、互いに電気的に絶縁された複数のゾーンに分割されている、第1の導電性コーティングと、第1の導電性コーティング上に直接的又は間接的に設けられ誘電体膜又は絶縁体膜と、第2の導電性コーティングを支持するポリマー基材を含むシャッタと、を備え、ポリマー基材は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつシャッタ開位置まで後退可能であり、第1の導電性コーティング及び/又は第2の導電性コーティングは、電位差を設定し、静電力を生成してポリマー基材をシャッタ閉位置まで駆動するように制御可能な電源に電気的に接続可能である。
【0113】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、電源は、ゾーンに電気的に接続されてもよく、IGユニットは、電源が互いに独立してゾーンに電圧(複数可)を送達することを可能にするように構成されたコントローラを更に備えてもよい。
【0114】
前の2つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ポリマー基材は、電圧(複数可)を受け取らない他のゾーンと比較して、電圧(複数可)を受け取るゾーンに近接して優先的に延在するように構成されてもよい。
【0115】
前の3つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、第1の導電性コーティングは、少なくとも3つのゾーンに分割されてもよい。
【0116】
前の4つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、ゾーンは、行及び/又は列に配置してもよい。
【0117】
前の5つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、ゾーンは、同じサイズ及び形状であってもよい。
【0118】
前の6つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、検知回路は、異なるゾーンで静電容量を測定するように構成されてもよい。
【0119】
前の7つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ポリマー基材は、後退時にコイル状に巻き、かつ伸長時にほどけるように構造化されてもよく、IGユニットは、測定された静電容量に基づいて、ポリマー基材のコイルが伸長中及び/又は後退中に歪んでいるかどうかを推定するように構成されたコントローラを更に備えてもよい。
【0120】
前の8つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ポリマー基材のコイルの歪みは、所定の閾値を超えて1つ以上の基準ゾーンの測定された静電容量(複数可)とは異なる測定された静電容量を持つ異なるゾーン(例えば、1つ以上の基準ゾーンがIGユニットの最も外側のゾーン(複数可)である場合)などに基づいて、所定の閾値を超えて互いに異なる測定された静電容量を有する異なるゾーンに基づいて推定されてもよい。
【0121】
前の9つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、コントローラは、ゾーンに電圧(複数可)を選択的に送達して、ポリマー基材のコイルの推定された歪みを補正するように、電源を制御するように更に構成されてもよい。
【0122】
前の10の段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ポリマー基材は、電圧(複数可)を受け取らない他のゾーンと比較して、電圧(複数可)を受け取るゾーンに優先的に近接して延在するように構成されてもよい。
【0123】
特定の例示的な実施形態では、ガラス基材は、ガラス基材の上に設けられた動的に制御可能なシェードを含む。シェードは、基材の主表面上に直接的又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングであって、第1の導電性コーティングは、互いに電気的に絶縁された複数のゾーンに分割されている、第1の導電性コーティングと、第1の導電性コーティング上に直接的又は間接的に設けられた誘電体/絶縁体膜と、第2の導電性コーティングを支持するポリマー基材を含むシャッタと、を含む。ポリマー基材は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつシャッタ開位置まで後退可能である。第1の導電性コーティング及び/又は第2の導電性コーティングは、電位差を設定し、静電力を生成してポリマー基材をシャッタ閉位置まで駆動するように制御可能な電源に電気的に接続可能である。
【0124】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ポリマー基材は、後退時にコイル状に巻き、かつ伸長時にほどけるように構造化されてもよく、ポリマー基材のコイル歪みは、ゾーンで測定された静電容量から推定できる。
【0125】
前の2つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、電源は、ゾーンに電圧(複数可)を選択的に送達して、ポリマー基材のコイルの推定歪みを補正するように制御可能であり得る。
【0126】
前の3つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、ポリマー基材は、電圧(複数可)を受け取らない他のゾーンと比較して、電圧(複数可)を受け入れるゾーンに近接して優先的に延在するように構成されてもよい。
【0127】
特定の例示的実施形態では、絶縁ガラス(IG)ユニットの製造方法が提供される。本方法は、それぞれが内部主表面及び外部主表面を有する、第1の基材及び第2の基材を有することであって、第1の基材の内部主表面は、第2の基材の内部主表面に面している、ことと、第1の基材及び/又は第2の基材上に動的に制御可能なシェードを設けることと、を含む。シェードは、第1の基材の内部主表面上に直接的又は間接的に設けられた第1の導電性コーティングであって、第1の導電性コーティングは、互いに電気的に絶縁された複数のゾーンに分割されている、第1の導電性コーティングと、第1の導電性コーティング上に直接的又は間接的に設けられた誘電体膜又は絶縁体膜と、第2の導電性コーティングを支持するポリマー基材を含むシャッタと、を含み、ポリマー基材は、シャッタ閉位置まで伸長可能であり、かつシャッタ開位置まで後退可能である。第1の基材及び第2の基材は、間隙がそれらの間に画定され、動的に制御可能なシェードが間隙に位置するように、実質的に平行に離間した関係で互いに接続される。第1の導電性コーティング及び/又は第2の導電性コーティングは、電位差を設定し、静電力を生成してポリマー基材をシャッタ閉位置まで駆動するように制御可能な電源に電気的に接続可能である。
【0128】
前段の特徴に加えて、特定の例示的実施形態では、ゾーンは、行及び/又は列に配置されてもよい。
【0129】
前の2つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ゾーンは、同じサイズ及び形状であってもよい。
【0130】
前の3つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、検知回路は、ゾーンに電気的に接続されてもよく、検知回路は、異なるゾーンで静電容量を測定するように構成されている。
【0131】
前の4つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ポリマー基材は、後退時にコイル状に巻き、かつ伸長時にほどけるように構造化されてもよく、本方法は、測定された静電容量に基づいて、ポリマー基材のコイルが伸長中及び/又は後退中に歪んでいるかどうかを推定するように構成されたコントローラを設けることを更に含んでもよい。
【0132】
前の4つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ポリマー基材のコイルの歪みは、(a)所定の閾値を超えて互いに異なる、測定された静電容量を有する異なるゾーンに基づいて、及び/又は(b)1つ以上の基準ゾーンの測定された静電容量(複数可)と所定の閾値を超えて異なる、測定された静電容量を有する異なるゾーンに基づいて、推定されてもよく、1つ以上の基準ゾーンは、IGユニットの最も外側のゾーン(複数可)である。
【0133】
前の5つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、コントローラは、ゾーンに電圧(複数可)を選択的に送達して、ポリマー基材のコイルの推定歪みの補正を支援するように、電源を制御するように更に構成されてもよい。
【0134】
前の6つの段落のうちのいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、ポリマー基材は、電圧(複数可)を受け取らない他のゾーンと比較して、電圧(複数可)を受け取るゾーンに優先的に近接して延在するように構成されてもよい。
【0135】
特定の例示的実施形態では、絶縁ガラス(IG)ユニット内で動的シェードを操作する方法が提供される。本方法は、本明細書に開示される技術に従って作製されたIGユニットを有することと、シャッタの歪みの補正を支援するために、1つ以上のゾーンに電圧(複数可)を提供することと、を含む。例えば、本方法は、電源を選択的に作動させることと、ポリマー基材をシャッタ開位置と閉鎖位置との間で動かし、選択的にポリマー基材のコイルの歪みを補正するためにゾーンに電力を供給することと、を含み得る。
【0136】
本発明は、現在実用的で好ましい実施形態と考えられるものと関連して説明されたが、本発明は、開示される実施形態及び/又は蒸着技術に限定されるものではなく、寧ろ、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものであることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
【国際調査報告】