(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】超音波トランスデューサ組立体
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545376
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(85)【翻訳文提出日】2022-09-15
(86)【国際出願番号】 US2021015095
(87)【国際公開番号】W WO2021154730
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519036352
【氏名又は名称】コーダンス メディカル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CORDANCE MEDICAL INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ラママーシー、バスカー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ニード、ダニエル イー.
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル、ジョン ディ.
(72)【発明者】
【氏名】ホフィウス、ジョナサン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ケララプラ、マリカ エス.
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD11
4C601EE09
4C601EE11
4C601GA18
4C601GA21
4C601GB03
4C601GC02
4C601GC03
4C601GC11
4C601GC22
4C601GC27
4C601GC28
(57)【要約】
超音波トランスデューサ組立体は、超音波システムに対して接続可能であり、キャップによって支持される1つまたは複数の超音波トランスデューサ要素を備える。超音波トランスデューサ要素は、超音波トランスデューサ組立体が被検者の頭部に装着されたとき、被検者の脳組織に向かって超音波エネルギーを向けるようにおよび/またはエコー超音波エネルギーを受け取るように動作可能である。いくつかの実施形態は、キャップの内側表面に対して結合され、1つまたは複数のトランスデューサ要素と音響接触する、充填可能なジャケットを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波システムに対して接続可能な超音波トランスデューサ組立体であって、前記組立体は、
外側表面と内側表面とを有する機械的サブ構造であって、前記内側表面は、内部に空洞を画定するように成形される、機械的サブ構造と、
前記機械的サブ構造によって支持される1つまたは複数の超音波トランスデューサ要素と、
前記機械的サブ構造の前記内側表面に対して結合され、前記1つまたは複数のトランスデューサ要素と音響接触する充填可能なジャケットであって、前記機械的サブ構造の前記内側表面を裏張りし、
変形可能なレセプタクルであって、あるボリュームの音響伝達流体を前記レセプタクルの変形可能なチャンバ内に保つための変形可能なレセプタクル、
前記変形可能なチャンバと流体連通するポート、および
前記ポートを通る流体流を制御するための弁であって、それによって前記変形可能なチャンバ内の前記音響伝達流体の前記ボリュームを制御する、弁
を備える、充填可能なジャケットとを備える、超音波トランスデューサ組立体。
【請求項2】
前記充填可能なジャケットが、前記機械的サブ構造に対して音響的に結合される、請求項1に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項3】
前記充填可能なジャケットと前記機械的サブ構造との間に位置する音響結合ゲルの第1の層をさらに備える、請求項2に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項4】
前記変形可能なレセプタクルが、ポリウレタン、ラテックス、およびシリコーンからなる群から選択される材料で作製される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項5】
前記音響伝達流体が、脱気水、ミネラルオイル、およびゲルからなる群から選択される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項6】
前記変形可能なチャンバと流体連通する第2のポートと、前記第2のポートを通る流体流を制御するための第2の弁とをさらに備える、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項7】
前記第1のポートが、前記音響伝達流体を前記変形可能なチャンバ内に受け取るために前記第1の弁を通して油圧システムの出力部と流体連通し、前記第2のポートが、前記変形可能なチャンバからの前記音響伝達流体を前記油圧システムに戻すために前記第2の弁を通して前記油圧システムの入力部と流体連通する、請求項6に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項8】
前記油圧システムが、前記第1のポートを通して前記変形可能なチャンバ内に前記音響伝達流体を連続的に圧送し、前記第2のポートを通して前記変形可能なチャンバから前記音響伝達流体を連続的に引き出すように構成された電子装置を備える、請求項7に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項9】
前記第1および第2の弁が、それぞれの前記弁を通る流体流の速さを検出するように構成されたそれぞれの電子センサを備える、請求項7または請求項8に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項10】
前記音響伝達流体内の気泡を検出するための気泡検出器をさらに備える、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項11】
前記気泡検出器が、超音波エネルギーのパルスを送達するように構成された前記1つまたは複数の超音波トランスデューサ要素の少なくとも1つを備える、請求項10に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項12】
前記油圧システムが、前記音響伝達流体内の気泡の検出に応答して、前記第1のポートを通して前記変形可能なチャンバ内に前記音響伝達流体を圧送し、前記第2のポートを通して前記変形可能なチャンバから前記音響伝達流体を引き出すように構成される、請求項10または請求項11に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項13】
前記油圧システムが、前記変形可能なチャンバから前記音響伝達流体を引き出す速さよりも速い速さで前記変形可能なチャンバ内に前記音響伝達流体を圧送するように構成される、請求項12に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項14】
前記充填可能なジャケットが、前記変形可能なレセプタクルの周囲周りを延びるOリングをさらに備え、前記充填可能なジャケットが、前記Oリングを含む前記充填可能なジャケットの縁部分を前記機械的サブ構造のチャネルに挿入することによって、前記機械的サブ構造に対して機械的に結合される、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項15】
前記Oリングが、導電性材料のセグメントを備え、前記セグメントは、前記Oリングが前記チャネル内に挿入されたときに前記チャネルの対応する導電性部分と電気接触する、請求項14に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項16】
前記導電性材料の前記セグメントが、前記Oリングの周りを部分的に延びる、請求項15に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項17】
前記Oリングが、
導電性材料の前記セグメントおよび前記変形可能なレセプタクルの外部表面上の導電体と電気接触する導電性パッドをさらに備える、請求項15または請求項16に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項18】
前記導電性パッドが、前記Oリングの一部の周りをポロイダル方向に延びる、請求項17に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項19】
前記Oリングが、
導電性材料の前記セグメントの第1のものおよび前記変形可能なレセプタクルの前記外部表面上に印刷された第1の導電体と電気接触する第1の導電性パッドと、
前記第1の導電性パッドから電気的に絶縁され、導電性材料の前記セグメントの第2のものおよび前記変形可能なレセプタクルの前記外部表面上に印刷された第2の導電体と電気接触する第2の導電性パッドとを備える、請求項17または請求項18に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項20】
前記導電体が、前記変形可能なレセプタクルの内側の外部表面上に位置する、請求項17乃至19のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項21】
前記導電体が、センサに対して電気的に接続される、請求項17乃至20のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項22】
前記センサが、前記変形可能なチャンバ内の音響伝達流体の温度を測定するように構成された温度センサを備える、請求項21に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項23】
前記センサが、前記超音波トランスデューサ組立体を着用している被検者の皮膚の温度を測定するように構成された温度センサを備える、請求項21に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項24】
前記変形可能なチャンバ内に位置する1つまたは複数のバッフルをさらに備える、請求項1乃至23のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項25】
前記バッフルが、前記音響伝達流体のものと同じ音響インピーダンスを本質的に有する材料で作製される、請求項24に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項26】
前記バッフルが、前記音響伝達流体内の音の波長未満である厚さを有する、請求項24または請求項25に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項27】
前記バッフルが、0.5mmから1.5mmの範囲内の厚さを有する、請求項26に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項28】
前記バッフルが、前記バッフルと前記変形可能なレセプタクルの外側表面との間に位置する穿孔部を備える、請求項24乃至27のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項29】
前記充填可能なジャケットが、脳波記録センサ、モーション・センサ、および加速度計の1つまたは複数をさらに備える、請求項1乃至28のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項30】
前記機械的サブ構造が、前記機械的サブ構造および前記機械的サブ構造に対して結合された充填可能なジャケットを被検者の頭部に対して固定するための保持機構を備える、請求項1乃至29のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項31】
前記充填可能なジャケットが、前記機械的サブ構造に対して取り外し可能に結合される、請求項1乃至30のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項32】
前記充填可能なジャケットが、使い捨て材料で作製される、請求項31に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項33】
前記機械的サブ構造が、剛性フレームを含む、請求項1乃至32のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項34】
前記フレームが、被検者の頭部に前記フレームをぴったりと固定するために前記被検者の頭部に向かって前記フレームを押し出すことを可能にするロッキング・ヒンジ機構を含む、請求項33に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項35】
前記変形可能なレセプタクルが、0.5MPaから10MPaの範囲内の弾性係数を有する材料で作製される、請求項1乃至34のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項36】
1つまたは複数の超音波トランスデューサ要素を支持するキャップの内側表面に対して取り付け可能な充填可能なジャケットであって、
変形可能なレセプタクルであって、あるボリュームの音響伝達流体を前記変形可能なレセプタクルの変形可能なチャンバ内に保つための変形可能なレセプタクルと、
前記変形可能なチャンバと流体連通するポートと、
前記変形可能なレセプタクルの周囲周りを延びるOリングとを備える、充填可能なジャケット。
【請求項37】
前記変形可能なレセプタクル上にセンサをさらに備える、請求項36に記載の充填可能なジャケット。
【請求項38】
前記センサが、前記変形可能なチャンバ内の前記音響伝達流体の温度を測定するように構成された温度センサを備える、請求項37に記載の充填可能なジャケット。
【請求項39】
前記センサが、被検者の皮膚の温度を測定するように構成された温度センサを備える、請求項37または請求項38に記載の充填可能なジャケット。
【請求項40】
前記変形可能なレセプタクルの外部表面上に印刷された導電体であって、前記センサに対して電気的に接続される、導電体と、
前記Oリング上に位置し、前記導電体に対して電気的に接続される導電性パッドと、
前記Oリングの一部の周りを円周方向に延び、前記導電性パッドに対して電気的に接続された導電性材料のセグメントとをさらに備える、請求項37乃至39のいずれか1項に記載の充填可能なジャケット。
【請求項41】
前記導電性パッドが、前記Oリングの一部の周りをポロイダル方向に延びるように成形される、請求項40に記載の充填可能なジャケット。
【請求項42】
前記変形可能なレセプタクルが、使い捨て材料で作製される、請求項36乃至41のいずれか1項に記載の充填可能なジャケット。
【請求項43】
前記変形可能なレセプタクルが、0.5MPaから10MPaの範囲内の弾性係数を有する材料で作製される、請求項36乃至42のいずれか1項に記載の充填可能なジャケット。
【請求項44】
超音波システムに対して接続可能な超音波トランスデューサ組立体であって、前記組立体は、
剛性材料で作製されたキャップと、
前記キャップによって支持される1つまたは複数のハウジングであって、前記1つまたは複数のハウジングのそれぞれは、
超音波トランスデューサ要素と、
前記超音波トランスデューサ要素が前記ハウジングに向かって移動されるとき、前記超音波トランスデューサ要素を第1の軸に沿って前記ハウジングから離れるように強制するように向けられた反応力を及ぼすために前記超音波トランスデューサ要素に対して結合されたばねと、
第2の軸周りの前記超音波トランスデューサ要素の回転運動を容易にするために前記超音波トランスデューサ要素に対して結合された枢動式支持体とを備える、ハウジングとを備える、超音波トランスデューサ組立体。
【請求項45】
前記枢動式支持体が、前記第2の軸の周りおよび第3の軸の周りの前記超音波トランスデューサ要素の回転運動を容易にするためのジンバル配置を備える、請求項44に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項46】
前記第1の軸、前記第2の軸、および前記第3の軸が、相互に直交する、請求項45に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項47】
前記ジンバル配置が、第1の回転式主軸を介して前記ハウジングに結合された第1のリングと、第2の回転式主軸を介して前記第1のリングに結合された第2のリングとを備える、請求項45または請求項46に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項48】
前記1つまたは複数のハウジングのそれぞれが、前記第2の軸に対する第1の回転角度を測定するように構成された第1のロータリ・エンコーダと、前記第3の軸に対する第2の回転角度を測定するように構成された第2のロータリ・エンコーダとをさらに備える、請求項45乃至47のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項49】
前記1つまたは複数のハウジングのそれぞれが、前記第1の軸に沿った前記トランスデューサ要素の変位を測定するように構成されたリニア・エンコーダをさらに備える、請求項44乃至48のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項50】
超音波システムに対して接続可能な超音波トランスデューサ組立体であって、前記組立体は、
可撓性材料で作製されたキャップと、
前記キャップに対して結合された1つまたは複数のハウジングであって、前記1つまたは複数のハウジングのそれぞれは、
超音波トランスデューサ要素と、
前記トランスデューサ要素に対して取り付けられた定位器とを備える、ハウジングと、
前記超音波トランスデューサ要素の対応する場所および配向を決定するために、前記定位器の位置および配向を検出するように構成された定位センサとを備える、超音波トランスデューサ組立体。
【請求項51】
前記定位器が、反射表面を備え、前記定位センサが、赤外線エミッタと、赤外線レシーバと、カメラとを備える、請求項50に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項52】
前記定位センサが、制御された照明を提供するための光源をさらに備える、請求項51に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項53】
前記定位器が、円形形状の反射表面を備える、請求項50乃至52のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項54】
前記可撓性材料が、シリコーンを備える、請求項50乃至53のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項55】
前記1つまたは複数のハウジングが、接着剤を介して前記キャップに取り付けられる、請求項50乃至54のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項56】
前記1つまたは複数のハウジングのそれぞれが、前記キャップに対して取り付けられた複数のグロメットの対応する1つに対して結合される、請求項50乃至55のいずれか1項に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項57】
前記ハウジングが、ねじ山によって前記対応するグロメットに対して結合される、請求項56に記載の超音波トランスデューサ組立体。
【請求項58】
本願に記載されるいずれかの新規かつ発明的な特徴、特徴の組み合わせ、または特徴の副組み合わせを有する装置。
【請求項59】
本願に記載されるいずれかの新規かつ発明的な工程、行為、工程および/または行為の組み合わせ、または工程および/または行為の副組み合わせを有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、超音波トランスデューサに関し、より詳細には超音波エネルギーを被検者の脳組織に対して送達し、および/または被検者の脳組織からエコー超音波エネルギーを受け取るために超音波システムに対して接続可能である超音波トランスデューサ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
器官および組織の外観において異常な塊(たとえば腫瘍)および/または変化を検出するために、超音波が医学上使用されることが多い。超音波検査では、超音波トランスデューサが高周波音波を送り出し、器官、組織などによって反射されたエコー波を検出する。超音波は、治療と診断の両方の目的で脳組織に対して送達され得る。
【0003】
超音波トランスデューサ要素と患者の組織との間に良好な音響結合を確立するには、良好な音響結合媒体が、超音波伝播のための効率的な経路を提供するために超音波トランスデューサ要素と組織との間に位置しなければならない。故に、医療施術者は、超音波プローブを被検者の皮膚に手動で押さえ付けることによって超音波検査を実施することが一般的である。
【0004】
脳は、湾曲した表面を有する硬質の頭蓋骨内に含まれる。頭蓋骨または頭部の輪郭は、通常、凹凸があり、非線形である。頭蓋骨の形状およびサイズはまた、被検者ごとに変わり得る。
【0005】
いくつかの場合、超音波を被検者の脳に対して送達するために、複数の超音波トランスデューサ要素を使用することが望ましい。たとえば、信号対ノイズ比を増大させるために、および/または標的領域の効率的な包含を提供するために、複数のトランスデューサを使用することが望ましくなり得る。そのような場合、複数の超音波トランスデューサ要素は、超音波トランスデューサ組立体の一部として提供され得る。
【0006】
超音波エネルギーを脳に対して送達するための超音波トランスデューサ組立体を設計することは、頭蓋骨の存在により困難となる。頭蓋骨の物理的および音響的特性は、脳内外で超音波エネルギーを結合させることへの課題を提示している。一部の超音波トランスデューサ組立体(たとえば診断撮像に使用されるもの)は、頭蓋骨または頭部の複雑な輪郭に合わさるようには設計されず、空隙を残したままにし、それによってトランスデューサ要素と脳組織との間の不十分な音響結合がもたらされる可能性がある。他の超音波トランスデューサ組立体は、種々の患者に適合可能ではなく、または長い設定時間を要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さまざまな患者の頭部のさまざまなサイズおよび形状に対応することができる超音波トランスデューサ組立体が、依然として必要とされている。また、超音波トランスデューサと被検者の脳との間に良好な音響結合を提供する超音波トランスデューサ組立体も、依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
関連技術およびそれに関連する制限の前述の例は、網羅的ではなく、例証的であることが意図される。関連技術の他の制限は、本明細書を読み取り、図を検討することで当業者に明らかになるであろう。
【0009】
以下の実施形態およびその態様は、範囲を限定するのではなく例示的および例証的であることを意味する、システム、ツール、および方法と併せて説明され、図示される。さまざまな実施形態では、上記で説明した問題の1つまたは複数は、低減または解消されており、その一方で他の実施形態は、他の改良に向けられている。
【0010】
本発明は、いくつかの態様を有する。これらは、非限定的に以下を含む:
・超音波エネルギーを脳に対して送達するのに有用な超音波トランスデューサ組立体、
・被検者の頭部との音響結合のための充填可能なジャケットを備える超音波トランスデューサ組立体、
・超音波トランスデューサ組立体用の充填可能なジャケット、
・位置決め可能なトランスデューサを含む超音波トランスデューサ組立体、および
・関連する方法。
【0011】
本発明の1つの態様は、超音波システムに対して接続可能である超音波トランスデューサ組立体に関する。組立体は、外側表面と内側表面とを有する機械的サブ構造を備える。内側表面は、内部に空洞を画定するように成形される。機械的サブ構造は、1つまたは複数の超音波トランスデューサ要素を支持する。超音波トランスデューサ要素のそれぞれは、超音波エネルギーを空洞に向かって向け、および/またはエコー超音波エネルギーを受け取るように動作可能である。組立体はまた、機械的サブ構造の内側表面に対して結合され、1つまたは複数のトランスデューサ要素と音響接触する充填可能なジャケットを備える。充填可能なジャケットは、機械的サブ構造の内側表面を裏張りする。充填可能なジャケットは、変形可能なレセプタクルであって、あるボリュームの音響伝達流体をレセプタクルの変形可能なチャンバ内に保つための、変形可能なレセプタクルと、変形可能なチャンバと流体連通するポートと、ポートを通る流体流を制御するための弁であって、それによって変形可能なチャンバ内の音響伝達流体のボリュームを制御する、弁とを備える。
【0012】
いくつかの実施形態では、充填可能なジャケットは、機械的サブ構造に対して音響的に結合される。いくつかの実施形態では、音響結合ゲルの層が、充填可能なジャケットと機械的サブ構造との間に位置する。
【0013】
変形可能なレセプタクルは、ポリウレタン、ラテックス、およびシリコーンからなる群から選択される材料で作製されてよい。音響伝達流体は、脱気水、ミネラルオイル、およびゲルからなる群から選択されてよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサ組立体は、変形可能なチャンバと流体連通する第2のポートと、第2のポートを通る流体流を制御するための第2の弁とを備える。第1のポートは、音響伝達流体を変形可能なチャンバ内に受け取るために、第1の弁を通して油圧システムの出力部と流体連通して置かれてよい。第2のポートは、変形可能なチャンバからの音響伝達流体を油圧システムに戻すために、第2の弁を通して油圧システムの入力部と流体連通して置かれてよい。油圧システムは、第1のポートを通して変形可能なチャンバ内に音響伝達流体を連続的に圧送し、第2のポートを通して変形可能なチャンバから音響伝達流体を連続的に引き出すように構成された、電子装置を備えてよい。いくつかの実施形態では、第1および第2の弁は、それぞれの弁を通る流体流の速さを検出するように構成されたそれぞれの電子センサを備える。
【0015】
いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサ組立体は、音響伝達流体内の気泡を検出するための気泡検出器を備える。気泡検出器は、超音波トランスデューサ要素(すなわち、超音波エネルギーのパルスを送達するように構成された超音波トランスデューサ要素)の少なくとも1つを含んでよい。油圧システムは、音響伝達流体内の気泡の検出に応答して、第1のポートを通して変形可能なチャンバ内に音響伝達流体を圧送し、第2のポートを通して変形可能なチャンバから音響伝達流体を引き出すように構成されてよい。油圧システムは、検出可能なチャンバから音響伝達流体を引き出す速さよりも速い速さで変形可能なチャンバ内に音響伝達流体を圧送するように構成されてよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、充填可能なジャケットは、変形可能なレセプタクルの周囲周りを延びるOリングを備える。充填可能なジャケットは、充填可能なジャケットの縁部分およびOリングをチャネルに挿入することによって、機械的サブ構造に対して機械的に結合されてよい。
【0017】
いくつかの実施形態では、Oリングは、これがチャネルに挿入されたときにチャネルの対応する導電性部分と電気接触する導電性材料のセグメントまたはストリップを備える。導電性材料のセグメントは、変形可能なレセプタクルの周囲周りを部分的に延びてよい。Oリングの導電性部分は、充填可能なジャケット上のセンサに対しておよび/またはセンサから信号を運ぶために適用されてよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、Oリングは、導電性材料のセグメントと電気接触する導電性パッドをさらに備える。導電性パッドは、たとえば、Oリングの一部の周りをポロイダル方向に延びてよい。導電体が、たとえば印刷することによって、変形可能なレセプタクルの外部表面上に設けられてよい。Oリングの導電性パッドは、Oリングが充填可能なジャケットをサブ構造に対して機械的に結合しているとき、充填可能なジャケットの対応する導電体と接触してよい。いくつかの実施形態では、Oリングは、導電性材料の対応する第1および第2のセグメント、ならびに変形可能なレセプタクルの表面上に支持される、対応する第1および第2の導電体と電気接触する、第1および第2の導電性パッドを備える。導電体は、変形可能なレセプタクルの内側の外部表面上に位置してよい。導電体は、センサ(たとえば温度センサ)に対して電気的に接続されてよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサ組立体は、変形可能なチャンバ内に位置する1つまたは複数のバッフルをさらに備える。バッフルは、音響伝達流体のものと同じ音響インピーダンスを本質的に有する材料で作製されてよい。バッフルは、音響伝達流体内の音の波長未満の厚さを有してよい。たとえば、バッフルは、0.5mmから1.5mmの範囲内の厚さを有する。バッフルは、バッフルと変形可能なレセプタクルの外側表面との間に位置する穿孔部を備えてよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、充填可能なジャケットは、温度センサを備える。温度センサは、変形可能なチャンバ内の音響伝達流体の温度および/または超音波トランスデューサ組立体を着用している被検者の皮膚の温度を測定するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、充填可能なジャケットは、機械的サブ構造に対して取り外し可能に結合される。いくつかの実施形態では、充填可能なジャケットは、使い捨て材料で作製される。いくつかの実施形態では、充填可能なジャケットは、脳波記録センサ、モーション・センサ、および加速度計の1つまたは複数をさらに備える。
【0021】
いくつかの実施形態では、機械的サブ構造は、機械的サブ構造およびこれに対して結合された充填可能なジャケットを被検者の頭部に対して固定するための保持機構を備える。いくつかの実施形態では、機械的サブ構造は、剛性フレームを含む。いくつかの実施形態では、フレームは、被検者の頭部にフレームをぴったりと固定するために被検者の頭部に向かってフレームを押し出すことを可能にするロッキング・ヒンジ機構を含む。
【0022】
本発明の別の態様は、1つまたは複数の超音波トランスデューサ要素を支持するキャップの内側表面に対して取り付け可能な充填可能なジャケットに関する。充填可能なジャケットは、変形可能なレセプタクルを備える。変形可能なレセプタクルは、あるボリュームの音響伝達流体を変形可能なチャンバ内に保つ。充填可能なジャケットは、変形可能なチャンバの内部と流体連通する少なくとも1つのポートを含む。ポートを通る流体流を制御し、それによって変形可能なチャンバ内の音響伝達流体のボリュームを制御するために、弁が設けられてよい。変形可能なジャケットは、Oリングによってキャップ内の所定場所に保たれてよい。いくつかの実施形態では、弁およびOリングの1つまたは複数は、充填可能なジャケットの一部である。
【0023】
いくつかの実施形態では、充填可能なジャケットは、変形可能なレセプタクル上に支持されたまたはこれに対して結合されたセンサを備える。センサは、変形可能なチャンバ内の音響伝達流体の温度および/または充填可能なジャケットが取り付けられたキャップを着用している被検者の皮膚の温度を測定するように構成された、温度センサを含んでよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、充填可能なジャケットは、1つまたは複数の導電体を備える。導電体は、たとえば、変形可能なレセプタクルの外部表面上に印刷されてよい。導電体は、充填可能なジャケットがOリングによってキャップに対して装着されたとき、Oリング上および/またはキャップ内で導電性パッドと電気接続するように設計されてよい。たとえば、充填可能なジャケット上の導電体は、Oリング上に位置する対応する導電性パッドと接触してよい。Oリングはさらに導電体を備えてよく、この導電体は、Oリングの一部の周りを周方向に延びる導電性材料のセグメントに対して導電性パッドを接続する。導電性材料のセグメントは、キャップ上の導体との電気接続を提供してよい。いくつかの実施形態では、導電性パッドは、Oリングの一部の周りをポロイダル方向に延びるように成形される。いくつかの実施形態では、変形可能なレセプタクルは、使い捨て材料で作製される。いくつかの実施形態では、変形可能なレセプタクルは、0.5MPaから10MPaの範囲内の弾性係数を有する材料で作製される。
【0025】
本発明の別の態様は、剛性材料で作製されたキャップによって支持された1つまたは複数のハウジングを有する超音波トランスデューサ組立体に関する。1つまたは複数のハウジングのそれぞれは、超音波エネルギーを送達するように動作可能な超音波トランスデューサ要素と、超音波トランスデューサ要素に対して結合されたばねと、超音波トランスデューサ要素に対して結合された枢動式支持体とを備える。ばねは、超音波トランスデューサ要素がハウジングに向かって移動されるとき、超音波トランスデューサ要素を第1の軸に沿ってハウジングから離れるように強制するように向けられた反応力を及ぼす。枢動式支持体は、第2の軸周りの超音波トランスデューサ要素の回転運動を容易にする。
【0026】
いくつかの実施形態では、枢動式支持体は、第2の軸の周りおよび第3の軸の周りの超音波トランスデューサ要素の回転運動を容易にするためのジンバル配置を備える。第1の軸、第2の軸、および第3の軸は、相互に直交してよい。ジンバル配置は、第1の回転式主軸を介してハウジングに結合された第1のリングと、第2の回転式主軸を介して第1のリングに結合された第2のリングとを備えてよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のハウジングのそれぞれは、第2の軸に対する第1の回転角度を測定するように構成された第1の回転式エンコーダと、第3の軸に対する第2の回転角度を測定するように構成された第2の回転式エンコーダとをさらに備える。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のハウジングのそれぞれは、第1の軸に沿ってトランスデューサ要素の変位を測定するように構成されたリニア・エンコーダをさらに備える。
【0028】
本発明の別の態様は、可撓性材料で作製されたキャップに対して結合された1つまたは複数のハウジングを備える超音波トランスデューサ組立体に関する。1つまたは複数のハウジングのそれぞれは、超音波エネルギーを送達するように動作可能な超音波トランスデューサ要素と、超音波トランスデューサ要素に対して取り付けられた定位器と、定位センサとを備える。定位センサは、超音波トランスデューサ要素の対応する場所および配向を決定するために、定位器の位置および配向を検出するように構成される。
【0029】
いくつかの実施形態では、定位器は、反射表面を備え、定位センサは、赤外線エミッタと、赤外線レシーバと、カメラとを備える。いくつかの実施形態では、定位センサは、制御された照明を提供するための光源をさらに備える。いくつかの実施形態では、定位器は、円形形状の反射表面を備える。いくつかの実施形態では、キャップは、シリコーンで作製される。いくつかの実施形態では、ハウジングは、接着剤を介してキャップに対して取り付けられる。他の実施形態では、ハウジングは、キャップに対して取り付けられた対応するグロメットに対して結合される。ハウジングは、ねじによってその対応するグロメットに対して結合されてよい。
【0030】
上記で説明された例示的な態様および実施形態に加えて、さらなる態様および実施形態が、図を参照し、以下の詳細な説明を検討することによって明らかになるであろう。
例示的な実施形態が、図面の参照符号付き図において図示される。本明細書に開示される実施形態および図は、制限的ではなく例証的であると考えられるものとすることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の例示的な実施形態による超音波トランスデューサ組立体の概略図。
【
図1A】超音波システムおよび油圧システムに対して接続された
図1の超音波トランスデューサ組立体を示す図。
【
図1B】
図1に示されるタイプの超音波トランスデューサ組立体の斜視図。
【
図1C】
図1の超音波トランスデューサ組立体の一セクションの分解斜視図。
【
図1D】
図1の超音波トランスデューサ組立体の一部として設けられてよいバッフルの概略図。
【
図1E】
図1の超音波トランスデューサ組立体を被検者の頭部に組み付け、装着するための方法を図示するフローチャート。
【
図2】本発明の別の例示的な実施形態による超音波トランスデューサ組立体の概略図。
【
図2A】
図2の超音波トランスデューサ組立体のトランスデューサ要素の前部断面図。
【
図3】本発明の別の例示的な実施形態による超音波トランスデューサ組立体の概略図。
【
図3A】超音波トランスデューサ組立体のトランスデューサ要素を図示する図。
【
図3B】
図3Aのトランスデューサ要素の位置および配向を決定するための例示的な定位センサを図示する図。
【
図3C】
図3Bの定位センサのカメラによって撮られた例示的な画像を図示する図。
【
図3D】
図3Bの定位センサのカメラによって撮られた別の例示的な画像を図示する図。
【
図3E】
図3Bの定位センサのカメラによって撮られた別の例示的な画像を図示する図。
【
図4A】複数のトランスデューサ要素を備えるサブアレイを図示する図。
【
図4B】
図4Aに示されるタイプのサブアレイを備える超音波トランスデューサ組立体を図示する図。
【
図5A】トランスデューサ要素と被検者の頭部との間に音響結合を達成するための例示的な技術を図示する図。
【
図5B】トランスデューサ要素と被検者の頭部との間に音響結合を達成するための例示的な技術を図示する別の図。
【
図5C】トランスデューサ要素と被検者の頭部との間に音響結合を達成するための例示的な技術を図示する別の図。
【
図6】快適な超音波組立体に関連する頭部の配向を測定するための例示的な技術を図示する図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下の説明を通じて、当業者により完璧な理解を提供するために、詳細な説明が記載される。しかし、本開示を不必要に曖昧にしないために、よく知られている要素は示されないことがあり、または詳細に説明されないことがある。それにしたがって、本説明および図面は、制限的ではなく例証的な意味でみなされるものとする。
【0033】
本発明の1つの態様は、超音波エネルギーを脳組織に対して送達するために適用されることが可能であり、種々の被検者に適合可能である(すなわち、種々の頭部形状およびサイズを有する種々の被検者に対応することができる)、超音波トランスデューサ組立体に関する。そのような組立体は、超音波エネルギーを被検者の脳組織に対して送達し、および/または被検者の脳組織からエコー超音波エネルギーを受け取るために、種々の被検者の頭部上に装着されてよい。頭部の形状およびサイズは被検者ごとに変わり得るため、本明細書に説明される超音波トランスデューサ組立体は、超音波トランスデューサ組立体のトランスデューサ要素と被検者の脳組織との間に超音波エネルギーの良好な結合を達成するのに役立つ特徴を含む。
【0034】
第1の例示的な実施形態
図1は、例示的な実施形態による超音波トランスデューサ組立体10を図示する。組立体10は、被検者3の頭部2上に装着される。超音波トランスデューサ組立体10は、
図1Aに示されるように、超音波システム5および/または油圧システム6に対して接続されてよい。超音波システム5は、たとえば、すべての目的のためにその全体が本願明細書に援用されるPCT公報の「ULTRASOUND GUIDED OPENING OF BLOOD-BRAIN BARRIER(血液脳関門の超音波ガイド下開放)」と題される国際公開第2018/026738号に説明されるタイプのものであってよい。
【0035】
超音波トランスデューサ組立体10は、1つまたは複数のトランスデューサ要素20を支持する機械的サブ構造12を備える。たとえば、機械的サブ構造12は、約256から1024個のトランスデューサ要素20を支持してよい。超音波トランスデューサ組立体10が被検者3の頭部2上に装着されたとき、トランスデューサ要素20は、超音波エネルギーを被検者3の脳組織に対して送達するように、および/またはエコー超音波エネルギーを受け取るように独立的にまたは集合的に動作されてよい。すなわち、いくつかのトランスデューサ要素20は、超音波エネルギーを受け取るのではなく送達するように動作されてよく、いくつかの他のトランスデューサ要素20は、超音波エネルギーを送達するのではなく受け取るように動作されてよい。いくつかの他のトランスデューサ要素20は、超音波エネルギーを送達し、受け取るように動作されてよい。トランスデューサ要素20のこれらのさまざまな動作モードは、治療、撮像、または監視の任意のもの、ならびにこれらの2つ以上の組み合わせを可能にするために適用されてよい。
【0036】
トランスデューサ要素20は、さまざまな周波数および/または周波数範囲を有する超音波エネルギーを伝達し、または受け取るように動作されてよい。たとえば、いくつかのトランスデューサ要素20は、低周波数超音波エネルギー(たとえば約200kHzから400kHz)を送達するように動作されてよい。別の例として、いくつかのトランスデューサ要素20は、低周波数超音波エネルギーを送達し、受け取るように動作されてよい。別の例として、いくつかのトランスデューサ要素20は、高周波数超音波エネルギー(たとえば2MHまたはそれ以上)を送達し、受け取るように動作されてよい。別の例として、いくつかのトランスデューサ要素20は、低周波数と高周波数の両方の超音波エネルギーを受け取るように動作されてよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサ組立体10は、超音波システム5に対して接続され、トランスデューサ要素20を動作させるために超音波システム5から信号を受け取る。
【0038】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ要素20のそれぞれは、
図1に描かれるように、機械的サブ構造12によって支持されるか、またはその独立したハウジング内に収容される。
【0039】
機械的サブ構造12は、内側表面12Aと外側表面12Bとを有する。内側表面12Aは、被検者3の頭部2を受け取るための空洞16を画定するように成形される(
図1Bを参照)。必要ではないが、機械的サブ構造12は、通常、キャップまたはヘルメットの全体構成を有する。したがって、機械的サブ構造12は、簡潔に、キャップまたはヘルメットとして本明細書に説明されるか、または参照されることがある。
【0040】
機械的サブ構造12は、剛性材料で作製され、および/または剛性フレーム14に対して結合される。フレーム14は、機械的サブ構造12と一体的に形成されるか、または機械的サブ構造12に対して(たとえばスナップ嵌め機構、ヒンジなどによって)取り外し可能に結合されてよい。フレーム14は、機械的サブ構造12を被検者3の頭部2に固定するのに役立つロッキング・ヒンジ機構を含んでよい。たとえば、フレーム14は、フレーム14を頭部2に向かって押し、フレーム14を被検者3の顔にぴったりと固定するために所定場所にロックすることを可能にする、ロッキング・ヒンジ機構を含んでよい。所定場所にロックされると、フレーム14は、頭部2に対する超音波トランスデューサ組立体10の移動を抑えるために、被検者3の顔の骨エリア(たとえばこめかみの下方のエリア)上に圧力をかける。
【0041】
いくつかの実施形態では、フレーム14は、フレーム14の内部表面のセクションに対して結合されたパディング14Aを備える(
図1Bを参照)。パディング14Aは、フレーム14が被検者3の顔に押さえ付けられたときに被検者3に対してより優れた快適性を提供することができる。
【0042】
充填可能なジャケット
超音波トランスデューサ組立体10は、機械的サブ構造12の内側表面12Aに対して結合された充填可能なジャケット30を備える。超音波トランスデューサ組立体10が頭部2上に装着されたとき、ジャケット30は、空洞16内の、機械的サブ構造12と頭部2との間に位置する。ジャケット30は、機械的サブ構造12の内側表面12Aに嵌まるように成形された外側表面と、被検者の頭部2を受け取るように成形された内側表面とを備えて成形されてよい。
【0043】
ジャケット30は、トランスデューサ要素20に対して音響的に結合される。いくつかの実施形態では、ジャケット30は、トランスデューサ要素20と物理的に直接接触する。ジャケット30は、音響伝達流体8を含むことができる1つまたは複数のチャンバを含む。音響伝達流体8は、(たとえばトランスデューサ要素20と頭部2との間の空隙を除去または低減することによって)トランスデューサ要素20と頭部2との間に良好な音響結合媒体を提供することができる。適切な音響伝達流体8の例は、それだけに限定されないが、水、ミネラルオイル、およびゲルを含む。音響伝達流体8の次の特性は、頭部2の組織のものに類似し得る:減衰係数、反射係数、伝達係数および/または音響インピーダンス。
【0044】
音響伝達流体8によって充填されたとき、ジャケット30は、拡張して頭部2と接触し、これに圧力をかける。これは、トランスデューサ要素20と頭部2との間の良好な音響接触を提供すると共に、頭部2に対する超音波トランスデューサ組立体10の移動をさらに抑え得る。超音波トランスデューサ組立体10は、適切な量の音響伝達流体8によって充填可能なジャケット30を充填することによって、種々のサイズの頭部2に対して嵌められてよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、ジャケット30は、これが頭部2の形状および/または輪郭に合わさるまで拡張されることが可能である(すなわち音響伝達流体8によって充填されることが可能である)。これにより、超音波トランスデューサ組立体10のトランスデューサ要素20と被検者3の脳組織との間の超音波エネルギーの良好な結合が容易になる。いくつかの場合、トランスデューサ要素20と頭部2の頭蓋との間に快適性および良好な音響結合を確立することが、特に望ましくなり得る。これにより、超音波エネルギーが4つの葉部(前頭葉、頭頂葉、側頭葉、および後頭葉)、小脳、および脳幹に到達し、その中で伝播することが可能になる。したがって、ジャケット30は、ジャケット30が音響伝達流体8によって充填されたときに、トランスデューサ要素20と頭部2の頭蓋との間に良好な快適さを提供するように成形されるか、または別の形で設計されてよい。
【0046】
図1に示される例示的な実施形態では、ジャケット30は、変形可能なチャンバ32Cを内部に画定する変形可能なレセプタクル32を備える。変形可能なレセプタクル32は、機械的サブ構造12の方に面する外側表面32Aと、機械的サブ構造12から外方に面する(すなわち空洞16の方に面する)内側表面32Bとを有する。変形可能なレセプタクル32は、流体8を損失しないようにチャンバ32Cをシールし、良好な音響伝達特性を有する、ポリウレタン、ラテックス、シリコーンなどの材料または材料の組み合わせで作製されてよい。レセプタクル32の少なくとも内側表面32Bを構成する材料は、レセプタクル32が多量のしわを形成することなく種々のサイズの頭部に対応するために拡張または収縮可能であるように弾性であってよい。
【0047】
ジャケット30は、
図1に示されるようにいくつかの領域50A、50B、50C、50D、50Eを含んでよい。変形可能なレセプタクル32の特定の部分の材料特性(たとえば厚さ、硬度、弾性など)は、種々の領域50間で変わってよい。たとえば、変形可能なレセプタクル32の内側表面32Bは、領域50Aまたは領域50Eと比較して領域50Cにおいてより薄くてよい。たとえば、内側表面32Bは、領域50Cにおいて厚さ約1~2mmおよび領域50A、50Eにおいて約3~4mmの範囲内の材料厚さを有してよい。別の例として、ジャケット30の種々の領域50の弾性は、0.5MPaから10MPaの範囲であってよく、それらの間の任意の値を含んでよい。
【0048】
変形可能なチャンバ32Cは、あるボリュームの音響伝達流体8(たとえば水、ミネラルオイル、ゲルなど)によって充填されてよい。
いくつかの実施形態では、変形可能なチャンバ32Cは、所望のボリュームの音響伝達流体8によって事前充填される。すなわち、変形可能なチャンバ32Cは、ジャケット30が機械的サブ構造12に対して機械的に結合される前、および/または組立体10が被検者3の頭部2上に装着される前に、音響伝達流体8によって充填されてよい。そのような実施形態では、ジャケット30は、超音波トランスデューサ組立体10が被検者の頭部2に嵌まるように、機械的サブ構造12と頭部2との間のジャケット30の一部内に含まれる音響伝達流体8の量を調整するためのシステムを含んでよい。そのようなシステムは、超音波トランスデューサ組立体10が人の頭部2を覆って置かれたときに音響伝達流体8が変形可能なチャンバ32Cから逃げることを可能にするポート40を備えてよい。簡単な実施形態では、ポート40は、変形可能なチャンバ32Cと流体連通する一方向弁に対して接続される。一方向弁は、音響伝達流体8が変形可能なチャンバ32Cから出ることを可能にする。たとえば、変形可能なチャンバ32Cは、余分量の音響伝達流体8によって事前充填されてよく、余分量の音響伝達流体8は、超音波トランスデューサ組立体10が被検者の頭部2に嵌められたときに一方向弁を通って変形可能なチャンバ32Cから引き出されてよい(すなわち、余分量の音響伝達流体8は、頭部2によって及ぼされた力により、変形可能なチャンバ32Cから引き出されてよい)。
【0049】
別の例示的な実施形態では、アキュムレータが、音響伝達流体8が変形可能なチャンバ32Cから逃げることを可能にするポートに対して接続される。アキュムレータは、変形可能なチャンバ32Cから変位された音響伝達流体を受け取ってよく、変位された音響伝達流体8上に穏やかな圧力を及ぼし、それによって充填可能なジャケットを頭部2に接触させるように拡張されたままにしてよい。音響伝達流体8は、超音波トランスデューサ組立体10が頭部2に嵌められるとき、アキュムレータと変形可能なチャンバ32Cとの間を行き来して流れてよい。
【0050】
他の実施形態では、変形可能なチャンバ32Cは、ジャケット30が機械的サブ構造12に対して機械的に結合される前、および/または組立体10が被検者3の頭部2上に装着される前、空のままにされるか、または部分的にしか充填されない。そのような実施形態では、変形可能なチャンバ32Cは、組立体10が被検者3の頭部2上に装着された後、(たとえば以下でより詳細に説明されるように1つまたは複数のポート40を通して流体8を圧送することによって)より多くの音響伝達流体8によって充填されてよい。たとえば、変形可能なチャンバ32Cは、より多くの音響伝達流体8によって充填され、変形可能なレセプタクル32が被検者3の頭部2の形状および/または輪郭に合わさるまで拡張されてよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、油圧システム6は、超音波トランスデューサ組立体10に対して接続され、音響伝達流体8を変形可能なチャンバ32C内に圧送し、および/または音響伝達流体8を変形可能なチャンバ32Cから引き出すように動作可能である。油圧システム6は、能動的油圧システム(たとえば電気的に動作されるか、または手動で動作されるシステム)および/または非能動的構成要素を含んでよい。いくつかの実施形態では、油圧システム6は、(たとえば変形可能なチャンバ32Cから流出した余分な流体8を受け取るための)集水バッグ、および任意選択により、(たとえば変形可能なチャンバ32Cに対して追加の流体8を提供するための)リザーバ・バッグを備える。いくつかの実施形態では、油圧システム6は、ポンプ、コンピュータ、コントローラおよび/または同様のものなどの能動的デバイスを備える。
【0052】
変形可能なレセプタクル32の外側表面32Aは、トランスデューサ要素20に対して音響的に接続される。説明を容易にする目的で、2つの要素(たとえばトランスデューサ要素20および頭部2)は、超音波パワーの約80%以上が第1の要素から第2の要素に対して伝達される場合、「音響的に結合される」。
【0053】
変形可能なレセプタクル32の外側表面32Aは、外側表面32Aと機械的サブ構造12の内側表面12Aとの間に位置する音響結合ゲル33(たとえばAquasonic(商標)ゲル、Bolx(商標)ゲルなど)の層を通して機械的サブ構造12に対して(特にトランスデューサ20に対して)音響的に結合されてよい。
【0054】
ジャケット30は、さまざまな異なる機構を通して機械的サブ構造12に対して機械的に結合されてよい。たとえば、ジャケット30は、機械的サブ構造12と一体的に形成されてよい。別の例として、変形可能なレセプタクル32の外側表面32Aは、接着剤を使用して機械的サブ構造12の内側表面12Aに対して接着されてよい。
【0055】
図1に示される例示的な実施形態では、ジャケット30は、機械的サブ構造12の円周方向に延びるチャネル15内に押さえ付けられるか、または別の形で挿入されてよいOリング34を備える。Oリング34をチャネル15に挿入することにより、ジャケット30は、機械的サブ構造12に対して機械的に結合される(たとえば
図1Cを参照)。有利には、Oリング34は、機械的サブ構造12の内側表面12Aと変形可能なレセプタクル32の外側表面32Aとの間に音響結合ゲル33を保つシールを提供するために、チャネル15内にぴったりと嵌まってよい。すなわち、Oリング34は、音響結合ゲル33が漏出することを防止するためにチャネル15内にぴったりと嵌まってよい。いくつかの実施形態では、Oリング34は、充填可能なジャケット30と一体化される(たとえば
図1Cを参照)。いくつかの実施形態では、Oリング34は、充填可能なジャケット30の縁をチャネル15内に保つ別個の部分である。
【0056】
いくつかの実施形態では、ジャケット30は、機械的サブ構造12から取り外し可能である。たとえば、ジャケット30は、チャネル15からOリング34を引き出すことによって機械的構造12から取り外されてよい。これらの実施形態では、ジャケット30およびその構成要素は、使い捨て材料で作製されてよい。種々のジャケット30が、種々の被検者に使用されてよい。いくつかの実施形態では、種々のジャケット30のセットが提供されてよく、このセット内では、種々のジャケット30は、より小さい頭部に対応するためにより多いボリューム、またはより大きい頭部に対応するためにより少ないボリュームなど、種々のボリュームを有する。
【0057】
ジャケット30は、ジャケット30を被検者3の頭部2に対して固定するためのロッキング機構を含んでよい。たとえば、ジャケット30は、
図1に示されるような変形可能なレセプタクル32の内側表面32B周りを延びる弾性バンド35を含んでよい。弾性バンド35は、変形可能なレセプタクル32と共に形成されてもよく、またはこれに融合されてもよい。有利には、弾性バンド35は、頭部2と変形可能なレセプタクル32の内側表面32Bとの間に適用された音響結合ゲル33が漏出しないようにするために被検者3の頭部2周りに固定されてよい。
【0058】
必須ではないが、ジャケット30は、通常、変形可能なチャンバ32Cと流体連通する1つまたは複数のポート40(すなわち開口部)を備える。ポート40は、機械的サブ構造12によって物理的に支持されてよい。たとえば、ポート40は、
図1に示されるように機械的サブ構造12上に位置する開口部を通して突出してよい。有利には、ポート40は、変形可能なレセプタクル32のボリュームを制御するために、音響伝達流体8を変形可能なチャンバ32C内に圧送し、および/または変形可能なチャンバ32Cから引き出すことを可能にする。
【0059】
油圧システム6は、ポート40に対して接続されてよく、音響伝達流体8を変形可能なチャンバ32C内に圧送し、および/または音響伝達流体8を変形可能なチャンバ32Cから引き出すように動作されてよい。
図1Aに示される例示的な実施形態では、ジャケット30は、油圧システム6に接続可能な、音響伝達流体8を受け取るための入口ポート40Aと、油圧システム6に接続された、音響伝達流体8を変形可能なチャンバ32Cから抜き出すための出口ポート40Bとを備える。ポート40は、1つまたは複数の可撓性チューブなどを通して油圧システム6と流体連通してよい。
【0060】
ポート40は、1つまたは複数の弁42を備えてよく、または別の形でその弁と流体連通してよい。弁42は、そこを通る流体流を可能にする開(OPEN)位置と、そこを通る流体流を防止する閉(CLOSED)位置との間で切り替えられてよい。
図1Aに示される例示的な実施形態では、油圧システム6が音響伝達流体8を変形可能なチャンバ32C内に圧送することを可能にするために、入口弁42Aはその開位置に切り替えられてよく、出口弁42Bはその閉位置に切り替えられてよい。すなわち、出口弁42Bは、音響伝達流体8によって変形可能なチャンバ32Cを充填するために入口弁42Aと出口弁42Bとの間の流れが確立された後、その閉位置に切り替えられてよい。
【0061】
同様に、油圧システム6が音響伝達流体8を変形可能なチャンバ32Cから引き出すことを可能にするために、入口弁42Aはその閉位置に切り替えられてよく、出口弁42Bはその開位置に切り替えられてよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、弁42は、電気的に動作される制御弁であり、および/または弁42を制御するために電子装置信号を受け取るための適切な電子装置を備える。これらの実施形態では、弁42は、弁42を制御する電子装置信号を受け取るために、油圧システム6および/または外部制御システム(図示されず)の一部として提供された制御システムに対して電気的に接続されてよい。弁42は、電気ケーブルなどを経由して油圧システム6および/または別の制御システムに対して電気的に接続されてよい。
【0063】
弁42は、変形可能なレセプタクル32の内側の圧力を制御するように動作されてよい。たとえば、弁42は、トランスデューサ要素20と頭部2内側の組織との間の良好な音響結合を提供し、被検者3にとって快適なレベルの圧力を変形可能なチャンバ32Cの内側に維持するように動作されてよい。いくつかの実施形態では、変形可能なレセプタクル32の内側の圧力は、1から3大気圧で維持される。
【0064】
変形可能なチャンバ32Cが、頭部2とトランスデューサ組立体10の内側表面12Aとの間の空間を充填するのに十分に拡張されているかを決定するために、1つまたは複数のトランスデューサ要素20は、超音波エネルギーのパルスを送達し、受け取るように動作されてよい。トランスデューサ要素20がパルスの発振時に即座に強い反射を検出した場合、これは、内側表面12Aと変形可能なレセプタクル32との間に空隙が存在することを表す。そのような場合、弁42は、即座の反射の強度が低減されるまで、変形可能なレセプタクル32の内側の圧力を増大させるように動作されてよい。超音波システム5は、パルス-エコー積分と変形可能なレセプタクル32の内側の圧力の増大を調和させるためにトランスデューサ組立体10に接続されてよい。たとえば、変形可能なレセプタクル32の内側の圧力は、段階的に増分的に増大されてよく、このとき各段階においてパルス-エコー測定が行われる。いくつかの実施形態では、超音波システム5は、最大圧力値を設定するように構成されて、変形可能なレセプタクル32の内側の圧力がその最大圧力値を超えることを防止する。
【0065】
ジャケット30は、任意選択により、変形可能なチャンバ32C内に位置する1つまたは複数のバッフル36を含む。有利には、バッフル36は、音響伝達流体8が特定のエリアに自由に流れることを防止することによって、変形可能なチャンバ32C内の音響伝達流体8のボリュームのより均等な分配を提供することができる。たとえば、バッフル36は、被検者3が超音波トランスデューサ組立体10を身につけたとき、変形可能なチャンバ32Cの底部における(たとえば重力による)音響伝達流体8の溜まりを低減するように配置されてよい。そのような溜まりは、望ましくないことに変形可能なチャンバ32Cの上部に空気ポケットを形成させる可能性がある。
【0066】
いくつかの実施形態では、バッフル36は、溜まりを防止するのに役立つ1つまたは複数の特徴を含む。たとえば、バッフル36は、外側表面32Aからの内側表面32Bの分離を限定するように構築されてよい。バッフル36は、低弾性または非弾性材料で作製されてよく、接着剤を介して外側表面32Aおよび内側表面32Bに対して物理的に結合されてよい。チャンバ32Cが満杯になると、バッフル36は、変形可能なチャンバ32Cが過剰に膨らまないようにするために、特定の距離を上回って外側表面32Aおよび内側表面32Bが分離するのを防止する力をかけてよい。
【0067】
バッフル36は、これが音響的に透過性であるか、またはほぼそうであるように、音響伝達流体8の音響インピーダンスと同じか、またはほぼ一致する音響インピーダンスを有する材料で作製されてよい。たとえば、バッフル36は、約1.54MRaylの音響インピーダンスを有するシリコーンで作製されてよく、音響伝達流体8は、約1.48MRaylの音響インピーダンスを有する水であってよい。
【0068】
好ましくは、バッフル36の厚さは、音響伝達流体8内にトランスデューサ要素20によって発せられる超音波の波長よりかなり小さい。たとえば、バッフル36は、約1mm以下の厚さを有してよく、この場合トランスデューサ要素20は、約220KHzまでの周波数を有する超音波を送達するように構成され、音響伝達流体8は、水、または音の速度が水中の音の速度に近い別の流体である。
【0069】
いくつかの実施形態では、バッフル36は、外側表面32Aと内側表面32Bとの間を延びるように構築される。バッフル36は、
図1Dに示されるように穿孔部37(たとえばバッフル36と外側表面32Bとの間の隙間)を残すように構築されてよい。穿孔部37は、音響伝達流体8のいくらかの流れがバッフル36を通過することを可能にする。穿孔部37は、バッフル36および変形可能なレセプタクル32の接合部において気泡が形成される可能性を低減することができる。
【0070】
第1の例示的な実施形態の補足的特徴
超音波トランスデューサ組立体10は、任意選択により、音響伝達流体8の流れおよび/または圧力特性を測定するように構成された1つまたは複数のセンサ44(たとえば電子水圧センサ、流れセンサ、温度センサなど)を備える。センサ44は、
図1Aに描かれるようにポート40と油圧システム6との間に位置してよい。センサ44は、油圧システム6および/または外部制御システム(図示されず)の一部として設けられた制御システムに対して電気的に接続されてよい。制御システムは、センサ44を制御し、センサ44にパワーを提供し、センサ44の出力信号を読み取り、センサ値を処理するなどを行ってよい。
【0071】
制御システムは、油圧システム6および/または超音波システム5に接続されてよく、またはその一部として設けられてよい。たとえば、油圧システム6は、制御システムを備えてよく、
図1Aに示されるようにシステム・インターフェース7を経由して超音波システム5に対して接続されてよい。
【0072】
図1Aは、超音波システム5に対して超音波トランスデューサ組立体10を電気的に接続する1つの例示的なやり方を図示する。
図1Aに示されるように、超音波トランスデューサ組立体10は、トランスデューサ要素20に対して接続されたワイヤを収容するケーブル・ハウジング層60、および任意選択により、本明細書の他所でより詳細に説明されるようにセンサ44、46に対して接続するワイヤを含む。ワイヤは、束ねられてよく、またはケーブル・ハウジング層60を通してコネクタ62まで個々にルーティングされてよい。トランスデューサ要素20と超音波システム5との間の電気接続は、コネクタ62と対合する取り外し可能なケーブル・コネクタを通して行われてよい。ケーブル・ハウジング層60は、ケーブル・ハウジング層60に対して機械的支持を提供するための柱(図示されず)などの機械的構造を含んでよい。これらの柱は、機械的サブ構造12からケーブル・ハウジング層60の上部まで延びてよい。いくつかの実施形態では、コネクタ62をトランスデューサ要素20に接続するために、フレックス回路が使用される。
【0073】
いくつかの実施形態は、トランスデューサ要素20が超音波エネルギーを被検者3の頭部2に対して送達するように動作されるとき、変形可能なチャンバ32Cを出入りする音響伝達流体8の流れを制御するためのさまざまな方法の1つまたは複数を適用する。超音波システム5、油圧システム6、および超音波トランスデューサ組立体10は、たとえば、以下の非限定的なやり方で動作されてよい。
【0074】
・油圧システム6は、弁42、センサ44、および/または外部制御システムから信号を受け取り、(たとえばシステム・インターフェース7を経由して)対応する信号を超音波システム5に対して伝達して、超音波伝達を開始および停止し、超音波伝達の特定の態様のタイミング(たとえば伝達パルス間のタイミング)を変調するなどを行う電子装置を備えてよい。
【0075】
・油圧システム6は、ジャケット30へのおよびジャケット30からの流体8の流れおよび/または変形可能なチャンバ32C内の圧力を変調するように手動でまたは自動的に制御されてよい。
【0076】
・油圧システム6は、音響伝達流体8を変形可能なチャンバ32C内に圧送し、頭部2がジャケット30によって抑えられていることに対応する閾値圧力をセンサ44が検出したときに圧送を停止してよい。
【0077】
・油圧システム6は、変形可能なチャンバ32Cを通して音響伝達流体8(たとえば脱気水)を連続的に流してよい。これは、気泡がジャケット30の内側に蓄積する可能性を低減し得る。流体8を循環させることは、トランスデューサ要素20を冷却するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、油圧システム6は、流体8を変形可能なチャンバ32C内に連続的に送達し、チャンバ32Cに入る流体8の流れの速さを変調すること、および変形可能なチャンバ32Cを出る流体8の流れを調節するために接続された弁を調整することの1つまたは複数によって、チャンバ32C内の圧力を調節する。
【0078】
超音波トランスデューサ組立体10はまた、任意選択により、1つまたは複数の温度センサ46を備えてもよい。温度センサ46は、たとえば、サーミスタ、サーモカップル、または他の適切な温度センサを備えてよい。温度センサ46は、たとえば、次の1つまたは複数において音響伝達流体8の温度を測定するために置かれ、そのように構成されてよい。
【0079】
・頭部2近くの場所
・トランスデューサ要素20近くの場所
・チャンバ32Cの出口ポート
・チャンバ32Cの入口ポート
・チャンバ32Cの上部
いくつかの実施形態では、充填可能なジャケット30は、1つまたは複数の温度センサ46を備える。温度センサ46は、変形可能なレセプタクル32の内側表面32Bの外側(すなわち変形可能なレセプタクル32と頭部2との間)に位置してよい。超音波トランスデューサ組立体10が超音波システム5に対して接続されたとき、温度センサ46は、センサ読み取り値を超音波システム5に対して伝達してよい。これにより、温度センサ46の測定値に基づいて、超音波システム5がトランスデューサ要素20を制御する(たとえば超音波エネルギー伝達を止める)ことが可能になる。たとえば、トランスデューサ要素20は、温度センサ46が閾値温度を測定するまで超音波エネルギーを送達するように制御されてよい。いくつかの実施形態では、温度センサ46は、被検者3の皮膚温度を推定するように配向される。そのような実施形態では、閾値温度は、被検者3に対する不快感を防止するために、たとえば40℃から43℃の間の値に設定されてよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、温度センサ46は、音響伝達流体8の温度を測定するように構成される。これらの実施形態では、温度センサ46によって測定される温度は、油圧システム6に対して(たとえば超音波システム5およびシステム・インターフェース7を通して)伝達されてよい。油圧システム6は、温度測定値に基づいて、ジャケット30に流入する音響伝達流体8の流量および/または温度を制御するように構成されてよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、油圧システム6は、ジャケット30に送達されている流体8の温度を調整するように動作可能な温度制御システムを備える。温度制御システムは、加熱器および/または冷却器を含んでよい。いくつかの実施形態では、音響伝達流体8の温度は、約35℃から40℃の範囲内に維持される。
【0082】
いくつかの実施形態では、温度センサ46のいくつかまたはすべては、変形可能なレセプタクル32の内側表面32B上に支持された導電体47によって、他のシステム(たとえば超音波システム5、油圧システム6など)に対して相互接続される。たとえば、導電体は、導電性インクを使用して印刷することによって形成されてよい。導電体47は、たとえば、変形可能なレセプタクル32の内側表面32Bの外側に印刷されてよく、または別の形でそこに設けられてよい(
図1Cを参照)。導電体47は、外部システム(たとえば超音波システム5)に対する充填可能なジャケット30のセンサ(たとえば温度センサ46)の電気接続を提供してよい。
【0083】
たとえば、導電体47は、温度センサ46が信号を超音波システム5から受け取り、および/または超音波システム5に対して伝達することを可能にするために、機械的サブ構造12上に支持された導電体に対して信号を運んでよい。たとえば、導電体47は、センサ46に対して、またセンサ46から電流を運んでよい。電流は、温度センサ46(および/または他のセンサ)にパワー供給し、および/または超音波システム5(またはジャケット30の外部の別のシステム)に対してデータをアナログおよび/またはデジタルの形態で伝達してよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、超音波システム5は、温度センサ46からの受け取られたデータに基づいて、超音波伝達発射順序を変調し、および/または超音波システム5の他の動作を制御するように構成される。たとえば、温度センサ46が閾値を上回る温度値を検出した場合、超音波エネルギーの伝達は、温度センサ46がそれより低い(事前に設定された)温度値を検出するまで中断されてよい。
【0085】
図1Cに示される例示的な実施形態では、導電体47A、47Bは、Oリング34上に位置する導電性パッド48を経由して金属ストリップ34A、34Bに対して電気的に接続される。導電性パッド48は、Oリング34の一部の周りをポロイダル方向に延びるように成形されてよい。通常、導電性パッド48の少なくとも一部は、
図1Cに示されるように変形可能なレセプタクル32の方に面するように(すなわち径方向に面するように)配向される。
【0086】
Oリング34は、対応する第1および第2の導電体47A、47Bに対して電気的に接続された第1および第2の導電性パッド48を備えてよい。
図1Cに示される例示的な実施形態では、第1の導電体47Aは、第1の導電性パッド48を通して第1の導電性(たとえば金属)ストリップ34Aに対して電気的に接続され、第2の導電体47Bは、第2の導電性パッド(図示されず)を通して第2の導電性ストリップ34Bに対して電気的に接続される。
【0087】
第1のストリップ34Aおよび第2のストリップ34Bは、互いから電気的に絶縁される。第1のストリップ34Aは、たとえば、センサ46に対しておよび/またはセンサ46から信号電流を運んでよい。第2のストリップ34Bは、たとえば、電気的接地に対して接続されてよい。
【0088】
Oリング34のように、ストリップ34A、34Bは、変形可能なレセプタクル32の周りを円周方向に延びてよい。Oリング34が機械的サブ構造12のチャネル15に挿入されたとき、Oリング34のストリップ34A、34Bは、チャネル15内に位置する対応する導電性ストリップ15A、15Bと接触する。ストリップ15A、15Bは、チャネル15の周りを円周方向に延びてよい。
【0089】
充填可能なジャケット30が複数のセンサ(たとえばいくつかの温度センサ46)を備える実施形態では、Oリング34のストリップ34A、34Bおよびチャネル15内に位置するストリップ15A、15Bは、断続的であってよい(すなわち、これらは、セクションに分けられてよく、このとき各セクションは、セクションの他の1つから電気的に絶縁されている)。
【0090】
超音波トランスデューサ組立体10は、幅広い範囲のバリエーションおよび/または補足的特徴を含んでよい。これらのバリエーションおよび/または補足的特徴は、適切な場合、上記で説明された超音波トランスデューサ組立体10の実施形態のすべてに適用されてよく、非限定的に以下を含んでよい:
・変形可能なレセプタクル32の内側表面32B(すなわち超音波トランスデューサ組立体10が被検者3の頭部2上に装着されたときに被検者3の頭部2に隣接して位置するジャケット30の表面)は、ゲル33などの音響結合材料の層でコーティングされてよい。すなわち、音響結合ゲル33の層が、変形可能なレセプタクル32の内側表面32Bと被検者3の頭部2との間に適用されてよい。
【0091】
・超音波トランスデューサ組立体10は、ジャケット30内の気泡の存在を検出する気泡検出器(たとえば気泡を検出するように構成されたトランスデューサ要素20)を含んでよい。油圧システム6および/または超音波トランスデューサ組立体10は、(たとえば変形可能なチャンバ32Cを空にし、再充填することによって、および/または変形可能なチャンバ32Cに入る音響伝達流体8の流量を増大させることなどによって)、検出されたすべての気泡をジャケット30から除去するように構成されてよい。
【0092】
・超音波トランスデューサ組立体10は、それだけに限定されないが、EEGセンサ、モーション・センサ、および加速度計を含む他のセンサを含んでよい。そのようなセンサは、たとえば、超音波トランスデューサ組立体10によって送達される超音波エネルギーを変調するために使用されてよい。
【0093】
図1Eは、超音波トランスデューサ組立体10を被検者3の頭部2上に組み付け、装着するための例示的な方法1000を図示するフローチャートである。工程1100において、音響結合ゲル33が頭部2に対して適用される。工程1200において、音響結合ゲル33は、機械的サブ構造12の内側表面12Aに対して適用される。工程1200は、工程1100の前、後、または同時に行われてよい。
【0094】
工程1300において、ジャケット30は、機械的サブ構造12に対して機械的に結合される。たとえば、工程1300は、ジャケット30のOリング34を機械的サブ構造12のチャネル15に挿入することを備えてよい。工程1300は、弁42を機械的サブ構造12から突出させ、通過させるやり方でジャケット30を機械的サブ構造12に対して機械的に結合することを備えてよい。工程1300は、工程1200の前、最中、またはその後で実施されてよい。
【0095】
ジャケット30を機械的サブ構造12に対して機械的に結合した後、超音波トランスデューサ組立体10は、工程1400において被検者3の頭部2上に装着される。工程1400は、超音波トランスデューサ組立体10を所定場所に固定するために、フレーム14を被検者3の顔に押さえ付けることを備えてよい。工程1500において、油圧システム6は、超音波トランスデューサ組立体10に対して(すなわちポート40を通して)接続され、音響伝達流体8をジャケット30内に圧送する。ジャケット30が音響伝達流体8によって充填されたとき、ジャケット30は、これが頭部2の形状に合わさるまで拡張する。これは、トランスデューサ要素20と頭部2との間に良好な音響結合を達成するのに役立ち、機械的サブ構造12および頭部2の相対動作を低減するのに役立つ。
【0096】
第2の例示的な実施形態
本発明の別の態様は、被検者の頭部の形状およびサイズに基づいて、種々の位置および/または配向をとってよいトランスデューサ要素を含む超音波トランスデューサ組立体に関する。そのようなトランスデューサ要素の位置および/または配向は被検者ごとに変わり得るため、ビーム成形における誤差を低減するためにトランスデューサ要素のこれらの位置および/または配向を測定するか、または少なくとも推定することが望ましい。ビーム成形誤差は、望ましくない音響ビーム・パターンおよび不正確な焦点などの問題を引き起こす可能性がある。
【0097】
いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサ組立体は、トランスデューサ要素の位置、トランスデューサ要素の配向、頭部の位置および/または頭部の配向を測定または推定するように構成される。超音波トランスデューサ組立体は、これらの測定値または推定を超音波システムに対して伝達してよい。有利には、超音波システムは、超音波トランスデューサ組立体によって行われた測定に基づいて、超音波パラメータ(たとえば、励起されるトランスデューサ要素のセット、トランスデューサ要素の励起のタイミング、各トランスデューサ要素の励起の振幅、位相遅延など)を算出してよい。
【0098】
たとえば、超音波システム(たとえば超音波システム5)は、標的領域に対して有意義なやり方で超音波エネルギーを送達するように適正に配向されていない(たとえば斜めになりすぎている)トランスデューサ要素20をオフにしてよい。これは、トランスデューサ要素20の放射パターンが均一に球形でないために起こり得る。一例として、円形平面トランスデューサ要素20は、jinc関数(「ソンブレロ関数」と呼ばれることもある)を近似する放射パターンを発する。トランスデューサ要素20から特定の角度に位置する標的点(すなわち被検者3の組織内の点)の場合、これらの点に送達される超音波エネルギーの量は、トランスデューサ要素20のすぐ前に位置する標的点に送達される超音波エネルギーの量より少ない。超音波システム5は、トランスデューサ要素20の場所および/または配向、トランスデューサ要素20の事前に確立された放射パターン、トランスデューサ要素20の寸法などに基づいて、特定の点に送達される超音波エネルギーの予想量を算出するように構成されてよい。算出された予想量が少なすぎる場合、トランスデューサ要素20は、いくつかの場合においてオフにされてよい。
【0099】
別の例では、トランスデューサ要素20の位置および配向は、特定のトランスデューサ要素20と標的領域との間の音響経路長を算出するように超音波システムによって処理されてよい。音響経路長は、たとえば、(頭蓋骨、脳組織などの頭部組織のさまざまな層を含む)頭部2のモデルを作成し、トランスデューサ要素20と標的領域との間の伝播経路を算出することによって算出されることが可能である。経路長が算出された後、超音波システムは、トランスデューサ要素20に特定の位相で超音波エネルギーを送達させて、超音波エネルギーを標的領域に集束させてよい。
【0100】
図2は、第2の例示的な実施形態による超音波トランスデューサ組立体10Aを概略的に図示する。トランスデューサ組立体10Aは、被検者3の頭部2上に装着される。超音波トランスデューサ組立体10Aは、1つまたは複数のトランスデューサ要素ハウジング120を支持する剛性の機械的サブ構造12を備える。超音波トランスデューサ組立体10Aは、任意選択により、上記で説明されたジャケット30を含むが、これは通常必要ではない。
【0101】
図2に示されるように、剛性の機械的サブ構造12は、剛性フレーム14を備える。フレーム14は、音響結合ゲル33を頭部2上に維持するために被検者3の頭部2の周りを円周方向に延びる弾性バンド35を含んでよい。バンド35は、
図2に示されるように機械的サブ構造12の底部リムに融合されてよく、またはこれに対して機械的に結合されてよい。
【0102】
トランスデューサ要素ハウジング
図2Aは、例示的なトランスデューサ要素ハウジング120の断面を概略的に図示する。トランスデューサ要素ハウジング120は、ハウジング・ベース121とハウジング本体122とを備える。ハウジング・ベース121は、機械的サブ構造12に対して機械的に結合される。ハウジング本体122は、ばね懸架式シャフト125(たとえばばね124によって懸架されるシャフト125)を収容し、このばね懸架式シャフト125は、第1の端部125Aにおいてトランスデューサ要素20に対して結合され、第2の端部125Bにおいて1つまたは複数の枢動式支持体130に対して結合される。シャフト125は、任意選択により、枢動式支持体130および/またはトランスデューサ要素20がトランスデューサ要素ハウジング120から分離することを防止するために第2の端部125Bに位置する蓋126を含む。
【0103】
図2Aに描かれるように、トランスデューサ要素20は、通常、ハウジング・ベース121内の隙間121Aを通って内方向に突出する。被検者3が超音波トランスデューサ組立体10Aを身につけたとき、頭部2は、トランスデューサ要素20と接触する。いくつかの場合、頭部2は、トランスデューサ要素20を軸101上で径方向外向きに機械的サブ構造12に向かって押し出し得る。トランスデューサ要素20が機械的サブ構造12に向かって押し出されたとき、ばね124は、径方向軸101に沿って頭部2に向かってトランスデューサ要素20上に復元力をかける。軸101に沿ったトランスデューサ要素20の位置は、頭部2の形状および/またはサイズに基づいてシフトしてよい。
【0104】
支持体130は、シャフト125およびこれに対して結合されたトランスデューサ要素20が1つまたは複数の軸の周りを回転することを可能にしてよい。
図2Aに示される例示的な実施形態では、枢動式支持体130は、頭部2の形状に合わさる配向(たとえばピッチおよびヨー)をトランスデューサ要素20がとることを可能にするジンバル配置を備える。ジンバル配置は、第1の回転式主軸132Aを介してトランスデューサ要素ハウジング120に対して結合された第1のリング130A(すなわち外側リング)と、第2の回転式主軸132Bを介して第1のリング130Aに対して結合された第2のリング130B(すなわち内側リング)とを含む(
図2Bを参照)。第1の回転式主軸132Aは、第1のリング130Aが軸B-B’に沿って枢動することを可能にする。第2の回転式主軸132Bは、第2のリング130Bが軸C-C’に沿って枢動することを可能にする。
【0105】
シャフト125は、第2のリング130Bに対して結合される。シャフト125は、2つ以上のシャフトボール軸受123を介して第2のリング130Bに対して結合されてよい。たとえば、第2のリング130Bは、ボール軸受123を受け入れるためにその本体内に切断されたポケットを含んでよい。ボール軸受123は、たとえば、頭部2がトランスデューサ要素20を押し付けたとき、シャフト125と接触し、シャフト125が軸101に沿って上下に移動するための転がり表面を提供する。
【0106】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ要素ハウジング120は、1つまたは複数のリニア・エンコーダおよび/またはロータリ・エンコーダを含む。エンコーダの値は、マイクロプロセッサなどの電子デバイスによって読み取られてよい。エンコーダからの信号は、たとえば、配線によって運ばれてよく、この配線は、トランスデューサ要素ハウジング120内のチャネルおよび/または機械的サブ構造12内のチャネルを通るようにルーティングされている。
【0107】
図2Bに示される例示的な実施形態では、トランスデューサ要素ハウジング120は、第1のリング130Aの配向(すなわち軸B-B’に対する角度)を測定するための第1のロータリ・エンコーダ134Aと、第2のリング130Bの配向(すなわち軸C-C’に対する角度)を測定するための第2のロータリ・エンコーダ134Bと、軸101に沿ったシャフト125の位置(すなわち初期位置に対する変位)を測定するためのリニア・エンコーダ134Cとを含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、リニア・エンコーダ134Cは、
図2Aに示されるように第2のリング130B上に装着される。リニア・エンコーダ134Cは、シャフト125に近接して位置してよい。リニア・エンコーダ134Cは、磁石または磁気センサを含んでよく、シャフト125は、磁気ストリップ、またはリニア・エンコーダ134Cが初期位置からのシャフト125の(軸101に沿った)変位を測定することを可能にする他の適切なマーキングを含んでよい。
【0109】
有利には、本明細書において説明されるリニア・エンコーダおよび/またはロータリ・エンコーダは、各トランスデューサ要素20の位置および/または配向の「ゼロ」状態などの基準位置を測定するように構成されてよい。超音波トランスデューサ組立体10Aを頭部2上に設置する前、ばね124は復元力を蓄えていないため、トランスデューサ要素20のすべては内方向に付勢されている(すなわち機械的サブ構造12から離れる方向に付勢されている)。ゼロ状態は、超音波トランスデューサ組立体10Aを頭部2上に装着した後の、各トランスデューサ要素20の新しい位置および/または配向を決定するために使用されてよい。超音波トランスデューサ組立体10Aが頭部2上に装着されたとき、各トランスデューサ要素20は、接触点における頭部2の位置および配向に対応する位置および配向をとる。本明細書において説明されるリニア・エンコーダおよび/またはロータリ・エンコーダは、トランスデューサ要素20の位置および/または配向を測定し、測定値を超音波システム(たとえば超音波システム5)に対して伝えてよい。
【0110】
本明細書において説明されるトランスデューサ要素20ならびにリニア・エンコーダおよび/またはロータリ・エンコーダは、超音波システムに対して接続可能であるパワー出力部に対して接続されたワイヤを経由してパワー供給されてよい。ワイヤは、超音波トランスデューサ組立体10に関連して上記で説明されたケーブル・ハウジング層60内に位置してよい。ケーブル・ハウジング層60は、超音波システムに対して(たとえば取り外し可能なケーブルまたはコネクタを通して)接続するためのパワー出力部を含んでよい。
【0111】
第3の例示的な実施形態
図3は、被検者3の頭部2上に装着された、第3の例示的な実施形態による超音波トランスデューサ組立体10Bを概略的に図示する。超音波トランスデューサ組立体10Bは、1つまたは複数のトランスデューサ要素ハウジング120Bを支持する非剛性(たとえば順応性のある)基板12Bを備える。順応性のある基板12Bは、可撓性および/または伸張可能であってよい。順応性のある基板12Bは、それだけに限定されないが、シリコーン、Lycra(登録商標)、および弾性ゴムなどの1つまたは複数の材料で作製されてよい。
【0112】
各トランスデューサ要素ハウジング120Bは、トランスデューサ要素20を収容する。トランスデューサ要素ハウジング120Bは、さまざまな可能な機構を経由して順応性のある基板12Bに対して機械的に結合されてよい。たとえば、トランスデューサ要素ハウジング120Bは、順応性のある基板12Bに対して糊付けされてよく、または接着されてよい。別の例として、順応性のある基板12Bは、グロメット200を含んでよく、トランスデューサ要素ハウジング120Bは、グロメット200に対して結合されてよい。これらの結合機構および順応性のある基板12Bにより、各トランスデューサ要素20が、トランスデューサ要素20と頭部2の接触点における位置および配向に一致する位置および配向をとることが可能になる。
【0113】
図3Aは、グロメット200を通して順応性のある基板12Bに対して結合された例示的なトランスデューサ要素ハウジング120Bを示す。グロメット200は、トランスデューサ要素ハウジング120Bの対応するねじ山を受け取るためのねじ山を含んでよい。
【0114】
トランスデューサ要素ハウジング120Bは、電気接続を順応性のある基板12Bからトランスデューサ要素20までルーティングすることを可能にする電気接続機構210を含んでよい。
図3Aに示される例示的な実施形態では、電気接続機構210は、トランスデューサ要素20が頭部2との接触点の位置および配向をとることを可能にするサービス・ループを含む。順応性のある基板12Bはまた、電気ワイヤのルーティングを可能にする順応性のあるチャネル220を含んでもよい。電気ワイヤは、順応性のある基板ケーブル・コネクタ260までルーティングされてよい。ケーブル・コネクタ260は、以下でより詳細に説明されるように、トランスデューサ要素20の定位器230と定位センサ250との間の光経路を妨げない場所にあってよい。超音波トランスデューサ組立体10Bを超音波システム5に対して接続するために、ケーブルが、ケーブル・コネクタ260と超音波システム5との間に接続されてよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、トランスデューサ要素20は、定位器230に対して機械的に結合される。定位器230は、反射表面を有するディスク、特有のパターンを有するディスク、反射表面を有するオブジェクトなどを含んでよい。定位器230は、トランスデューサ要素ハウジング120Bの一部として設けられてよい。定位器230は、たとえば、位置特定ベース245(
図3を参照)上に設けられた定位センサ250に関連するトランスデューサ要素20の位置および/または配向を示すように構成されてよい。トランスデューサ要素20の位置および/または配向を測定することは、本明細書の他所においてより詳細に説明されるように、ビーム成形の精度を増大するのに役立つことができる。定位センサ250は、たとえば、光学(たとえばカメラ・ベースの)定位センサ、磁気式定位センサなどであってよい。
【0116】
図3Bは、位置特定ベース245、定位センサ250および定位器230の一セクションを概略的に図示する。
図3Bに描かれるように、定位センサ250は、赤外線(IR)エミッタ252と、赤外線レシーバ254と、カメラ255とを含んでよい。定位センサ250は、任意選択により、制御された照明を提供するための光源(図示されず)を含む。動作において、IRエミッタ252は、定位器230に向かって光を向けるように構成されてよく、IRレシーバ254は、定位器230から反射された光を受け取るように構成されてよい。定位器230の位置は、たとえば、IRエミッタ252とIRレシーバ254との間の光進行の飛行時間を算出することによって決定されてよい。
【0117】
トランスデューサ要素20の配向は、
図3C、
図3D、および
図3Eに図示されるようにカメラ255によって測定されてよい。たとえば、カメラ255は、定位器230の表面の画像をキャプチャし、この画像を分析するためにコンピューティング・デバイス(図示されず)に送ってよい。定位器230の表面が円形であり、カメラ255のカメラ軸に対して垂直である場合、画像は、
図3Cに示されるような円形ディスクを示すことになる。定位器230の反射表面がピッチおよび/またはヨーにおいて角度がある場合、画像は楕円体を示すことになる。たとえば、定位器230の表面が
図3CのE-E’軸の周りで回転される場合、カメラ255によって撮られる画像は、
図3Dに示されるタイプの楕円体を示してよい。別の例として、定位器230の表面が
図3CのF-F’軸の周りを回転される場合、カメラ255によって撮られる画像は、
図3Eに示されるタイプの楕円体を示してよい。コンピューティング・デバイスは、カメラ255によって撮られた写真に基づいて、トランスデューサ要素20の配向を計算または推定してよい。
【0118】
いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサ組立体10Bのトランスデューサ要素20のいくつかまたはすべての位置および/または配向を測定するために、複数の定位センサ250が位置特定ベース245上に設置されてよい。いくつかの実施形態では、定位センサ250は、軸の周りで振動する機械的走査プラットフォーム上に装着される。走査プラットフォームは、定位センサ250の配向および/または場所を測定するエンコーダを含んでよい。これにより、より少ない定位センサ250を使用することが可能になる。
【0119】
定位センサ250は、上記で説明されたIRセンサおよびカメラ、ならびに/または他のタイプのセンサを含んでよい。たとえば、定位センサ250はまた、トランスデューサ要素20の位置および/または配向を検出するために電磁センサおよび/または無線周波数センサを含んでもよい。
【0120】
すべての例示的な実施形態の補足的特徴
本明細書において説明される超音波トランスデューサ組立体(たとえば、超音波トランスデューサ組立体10、10A、10B)は、1つまたは複数のサブアレイ21にグループ化されたトランスデューサ要素20を含んでよい。
図4Aは、第1のサブアレイ21Aと第2のサブアレイ21Bとを概略的に図示する。サブアレイ21を形成するトランスデューサ要素20のグループは、共通の基板または機械的サブ構造を共有してよい。すなわち、サブアレイ21は、トランスデューサ要素20を駆動するためにサブアレイ21の構造内に一体化された伝達駆動電子装置などの電子装置を有する自己充足型ユニットであってよい。サブアレイ21内の各トランスデューサ要素20は、異なって最適化されてよく、および/または異なる機能を実施してよい。たとえば、サブアレイ21内のいくつかのトランスデューサ要素20は、低周波数超音波エネルギーを伝達するように最適化されてよく、サブアレイ21内の他のトランスデューサ要素20は、エコー超音波エネルギーを受け取るだけのように最適化されてよい。
【0121】
有利には、サブアレイ21は、超音波機械5をトランスデューサ要素20に対して電気的に接続するために必要とされるケーブルの数および/または配線の複雑性を低減することができる。たとえば、超音波システム5からの単一のケーブルが、サブアレイ21内に含まれた、一体化された電子装置を通してサブアレイ21内の2つ以上のトランスデューサ要素20を駆動してよい。一体化された電子装置は、超音波システム5から入力信号を受け取り、サブアレイ21内のトランスデューサ要素20を制御する1つまたは複数の制御信号を生成することができる。
【0122】
電子装置のタイプは、サブアレイ21内に含まれるトランスデューサ要素20のタイプに応じて決まり得る。たとえば、サブアレイ21が低周波数トランスデューサ要素20のみを含む場合、電子装置は、トランスデューサ要素20ごとの超音波伝達ドライバ回路と、伝達ドライバ回路を通してトランスデューサ要素20の動作を順序付けるためのデジタル電子装置と、超音波システムから情報を受け取り、情報を超音波システムに対して送るためのデジタル電子装置とを含んでよい。この場合、超音波システムと複数の要素を含むサブアレイ21との間には、わずかな数のDC電力線およびわずかな数のデジタル信号線だけが必要とされる。サブアレイ21が複数の機能(たとえば、いくつかは低周波数超音波エネルギーを送達し、他のものはエコー超音波エネルギーを受け取るなど)を実行するトランスデューサ要素20を含む場合、一体化された電子装置は、低ノイズ増幅器(受け取りモードで動作しているトランスデューサ要素20ごとに1つ)および/または他の追加の回路を含んでよい。
【0123】
いくつかの実施形態では、サブアレイ21内の定位器230の数は、トランスデューサ要素20の数未満である。たとえば、サブアレイ21Aは、3つのトランスデューサ要素20を含むが、定位器230は1つだけ含んでよい。サブアレイ21Aでは、各トランスデューサ要素20は、同じ配向であるが異なる位置を有する。サブアレイ21A内の各トランスデューサ要素20の互いに対する位置は、固定され、したがって知られているため、サブアレイ21A内の3つすべてのトランスデューサ要素20の位置および配向は、定位器230から測定された位置および配向の値に基づいて算出されることが可能である。
【0124】
図4Bは、3つのサブアレイ21A、21B、21Cを有する超音波トランスデューサ組立体10の例示的な実施形態を示す。本明細書において説明される超音波トランスデューサ組立体は、任意の適切な数のサブアレイ21を含んでよい。
【0125】
本発明の追加の態様は、トランスデューサ要素20と頭部2との間に音響結合を達成するための技術に関する。
図5Aは、髪4を有する被検者3を図示する。音響結合ゲルの層が、
図5Bに示されるように、髪4(または被検者3が髪を有さない場合は頭皮)に適用されてよい。音響結合ゲルを頭部2に適用した後、頭部カバー9が、
図5Cに示されるように頭部2を覆って置かれてよい。頭部カバー9は、弾性材料で作製されてよく、
図5Cに示されるようにその底縁にきつい弾性バンド35を含んでもよい。頭部カバー9の弾性特性により、カバー9がさまざまな頭部サイズおよび形状に対応することが可能になる。底縁にあるきつい弾性バンドは、カバー9の外側へのゲルの浸透を防止または低減する。頭部カバー9はまた、
図5Cに示されるように1つまたは複数の穿孔部9Aを含んでもよい。穿孔部9Aは、カバー9が頭部2を覆って嵌められたときに空気が逃げることを可能にする。穿孔部9Aは、空気が存在し得る場所において頭部2にゲルを適用するために使用されてもよい。頭部カバー9は、シリコーン、ナイロンなどのさまざまな材料で作製されてよい。頭部カバー9は、単回使用製品(たとえば使い捨て材料で作製される)であってよい。
【0126】
本発明の別の追加の態様は、超音波トランスデューサ組立体に関連する頭部の相対位置を測定するために、本明細書において説明される超音波トランスデューサ組立体に接続して使用され得る撮像アレイに関する。いくつかの場合、超音波トランスデューサ組立体10に関連する頭部2の位置を測定または推定することが望ましい。超音波トランスデューサ組立体10に関連する頭部2の位置を測定または推定するために、トランスデューサ要素20の少なくともいくつかが、被検者3の頭蓋骨の薄い部分(すなわち音響窓)に隣接して位置決めされてよい。被検者3の生体構造(たとえば大脳動脈輪)の超音波画像が、そのようなトランスデューサ要素20を使用して得られる。結果として生じた画像は、次いで、核磁気共鳴画像法(MRI)などの別のモダリティによって事前に得られた被検者3の画像と位置合わせされてよく、またはこれに登録されてよい。MRIは、脳の高解像の診断品質画像を生み出すことができるので、たとえば、血液脳関門を開くことによって治療を必要とする脳のエリアが、これらの画像を使用して有資格者によって決定または選択されることが可能である。
【0127】
治療を必要とするエリアの相対位置は、超音波によって撮像されている生体構造に対して知られているため、この情報は、中継されて超音波システム5に戻されることが可能である。この情報は、治療が所望の場所に送達されるように活性化され得るトランスデューサ組立体の低周波数治療要素のセットを算出するために使用されることが可能である。
【0128】
図6は、超音波トランスデューサ組立体10に関連する頭部2の配向を測定する例示的な方法を図示する。
図6に描かれるように、いくつかのトランスデューサ要素20(すなわち黒色のもの)が、被検者3の頭蓋骨の薄いエリアに隣接して位置決めされ、頭蓋骨の内側の生体構造を撮像するのに最適に位置決めされる。他のトランスデューサ要素20(すなわち白色のもの)は、低周波数治療要素である。本明細書において説明される技術を使用して、各トランスデューサ要素20の相対位置および配向が算出される。特に、治療トランスデューサ要素20の相対位置および配向が、撮像要素に対して算出される。治療を受け取る必要がある生体構造の位置は、超音波とMRIの位置合わせを通して知られているため、算出が実施されて、どの治療要素のセットが活性化される必要があるかを決定することができる。
【0129】
用語の解釈
文脈によって別途明確に必要とされない限り、本説明および特許請求の範囲を通じて、
・「備える(comprise)」、「備えている(comprising)」などは、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味、すなわち、「それだけに限定されないが、含む」の意味で解釈されるものである。
【0130】
・「接続される」、「結合される」、「取り付けられる」またはそれらのいかなる変形形態も、2つ以上の要素間の直接的または間接的な任意の接続または結合を意味する。要素間の結合、接続または取り付けは、物理的、論理的、またはそれらの組み合わせであることができる。
【0131】
・「本明細書において」、「上記で」、「以下で」、および類似の意味の単語は、本明細書を説明するために使用されるとき、本明細書の任意の特定の部分ではなく、本明細書を全体として参照するものとする。
【0132】
・2つ以上の項目のリストへの参照における「または」は、単語の次の解釈のすべて:リスト内の項目のいずれか、リスト内の項目のすべて、およびリスト内の項目の任意の組み合わせを対象とする。
【0133】
・単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、および「その(the)」は、任意の適切な複数形の意味も含む。
本説明および任意の添付の特許請求の範囲(存在する場合)において使用される、「縦方向」、「横断方向」、「水平」、「上向き」、「下向き」、「前方」、「後方」、「内向き」、「外向き」、「縦方向」、「横断方向」、「左」、「右」、「前部」、「後部」、「上部」、「底部」、「下方」、「上方」、「下」などの方向を表示する単語は、説明および図示される装置の特有の方向によって決まる。本明細書において説明される主題は、さまざまな代替の配向をとってよい。したがって、これらの方向的用語は、厳密に定義されず、狭く解釈されてはならない。
【0134】
本発明の実装形態は、特別に設計されたハードウェア、構成可能なハードウェア、データ・プロセッサ上で実行することができるソフトウェア(任意選択で、「ファームウェア」を備えてよい)の提供によって構成されたプログラマブル・データ・プロセッサ、本明細書において詳細に説明される方法における1つもしくは複数の工程を実施するように特別にプログラムされ、構成され、または構築された特殊目的コンピュータまたはデータ・プロセッサおよび/またはこれらの2つ以上の組み合わせを使用して実装されてよい。特別に設計されたハードウェアの例は、ロジック回路、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、大規模集積回路(「LSI」)、超大規模集積回路(「VLSI」)などである。構成可能なハードウェアの例は、プログラマブル・アレイ・ロジック(「PAL」)、プログラマブル・ロジック・アレイ(「PLA」)、およびフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(「FPGA」)などの1つまたは複数のプログラマブル・ロジック・デバイスである。プログラマブル・データ・プロセッサの例は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(「DSP」)、埋め込みプロセッサ、グラフィックス・プロセッサ、数値演算コプロセッサ、汎用コンピュータ、サーバ・コンピュータ、クラウド・コンピュータ、メインフレーム・コンピュータ、コンピュータ・ワークステーションなどである。たとえば、本明細書において説明される(たとえば、超音波システム5および/または油圧システム6を備えてよい)装置の制御システム用の制御回路内の1つまたは複数のデータ・プロセッサは、プロセッサがアクセス可能なプログラム・メモリ内でソフトウェア命令を実行することによって、および/またはロジック回路もしくはFPGAなどの構成可能なデバイス内で構成されたロジックによりデータを処理することによって、本明細書において説明される方法を実装してよい。
【0135】
処理は、集中化されてよく、または分散化されてよい。処理が分散化される場合、ソフトウェアおよび/またはデータを含む情報は、中央にあるままでよく、または分散化されてよい。そのような情報は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、またはインターネット、有線もしくは無線のデータ・リンク、電磁信号、または他のデータ通信チャネルなどの通信ネットワークを経由して異なる機能ユニット間で交換されてよい。
【0136】
プロセスまたはブロックは所与の順で提示されているが、代替の例は、異なる順で、工程を有するルーチンを実施してよく、またはブロックを有するシステムを用いてよく、いくつかのプロセスまたはブロックが、代替策または副組み合わせを提供するために、削除、移動、追加、再分割、組み合わせ、および/または改変されてよい。これらのプロセスまたはブロックのそれぞれは、さまざまな異なるやり方で実装されてよい。また、プロセスまたはブロックは、時に、連続的に実施されるように示されているが、これらのプロセスまたはブロックは、その代わりに並列に実施されてよく、または異なる時間に実施されてよい。
【0137】
構成要素(たとえば、ジャケット、弁、センサ、組立体、サブ構造、基板など)が上記で参照される場合、別途表示されない限り、その構成要素への参照(「手段」への参照を含む)は、その構成要素の等価物として、本発明の図示される例示的な実装形態における機能を実施する開示された構造に構造的に等価でない構成要素を含む、説明された構成要素の機能を実施する(すなわち、機能的に等価である)任意の構成要素を含むと解釈されなければならない。
【0138】
システム、方法、および装置の特有の例が、図示の目的で本明細書において説明されてきた。これらは例にすぎない。本明細書において提供される技術は、上記で説明された例示的なシステム以外のシステムに適用されることが可能である。多くの変更、改変、追加、省略、および置換が、本発明の実践において可能である。本発明は、当業者に明らかであろう、説明される実装形態におけるバリエーションを含み、これらのバリエーションは、特徴、要素、および/または行為を等価の特徴、要素、および/もしくは行為と置き換えること、異なる実装形態からの特徴、要素、および/または行為を混合し、一致させること、本明細書において説明される実装形態からの特徴、要素、および/または行為を、他の技術の特徴、要素、および/または行為と組み合わせること、ならびに/または説明された実装形態からの特徴、要素、および/または行為の組み合わせを省略することによって得られるバリエーションを含む。
【0139】
さまざまな特徴が、「いくつかの実施形態」内に存在するものとして本明細書において説明されている。そのような特徴は、必須ではなく、すべての実施形態に存在しなくてよい。本発明の実施形態は、そのような特徴を含まなくてもよく、いずれか1つまたはその2つ以上の任意の組み合わせを含んでもよい。そのような特徴のすべての可能な組み合わせは、そのような特徴が異なる図に示され、および/または異なるセクションまたは段落において説明される場合であっても本開示によって企図される。これは、そのような特定の特徴のものが、不適合な特徴を組み合わせる実用的な実施形態を当業者が構築することは不可能であろうという意味で、そのような特徴の他のものに不適合である範囲にのみ限定される。その結果、「いくつかの実施形態」が特徴Aを所有し、「いくつかの実施形態」が特徴Bと所有するという説明は、本発明者が、(説明が別途述べない限り、または特徴AおよびBが基本的に不適合でない限り)特徴AおよびBを組み合わせる実施形態も企図することの明示的な表示として解釈されなければならない。
【0140】
したがって、これ以降に導入される特許請求の範囲は、合理的に推測され得るすべてのそのような改変、置換、追加、省略、および副組み合わせを含むように解釈されることが意図される。特許請求の範囲は、例に記載される好ましい実装形態によって制限されてはならず、全体として説明に矛盾が無い最も広範な解釈が与えられなければならない。
【国際調査報告】