(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】ヒストトリプシー免疫感作のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61N 7/02 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
A61N7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545990
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(85)【翻訳文提出日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 US2021015532
(87)【国際公開番号】W WO2021155026
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500376829
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ ミシガン
(71)【出願人】
【識別番号】521125497
【氏名又は名称】ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ アズ リプリゼンティド バイ ザ デパートメント オブ ベテラン アフェアーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100157923
【氏名又は名称】鶴喰 寿孝
(72)【発明者】
【氏名】シュウ,ジェン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,クリフォード・スヒョン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ33
4C160JJ35
(57)【要約】
ヒストトリプシーおよび免疫療法のためのシステムおよび方法が提供される。一部の実施形態では、ヒストトリプシーは、標的組織体積に適用されて、標的組織体積を溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出することができる。一部の実施形態では、処置の免疫応答が評価され得る。他の実施形態では、免疫療法は、ヒストトリプシーを適用した後に適用され得る。一実施形態では、溶解および可溶化した細胞は組織から抽出され得る。抽出された細胞は、ワクチンを含む、免疫療法を創出するために使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織を処置する方法であって、
少なくとも1つの標的腫瘍を識別するステップと、
腫瘍抗原を放出する細胞応答を増加させる前記少なくとも1つの標的腫瘍の処置体積および処置位置を決定するステップと、
前記処置体積および処置位置に基づいてヒストトリプシー処置を、前記少なくとも1つの標的腫瘍に適用して、腫瘍細胞を機械的に溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
細胞応答が、免疫原性細胞死、炎症および抗原提示細胞の浸潤、T細胞の浸潤および活性化、腫瘍特異的T細胞の増加、ナチュラルキラー細胞、B細胞およびCD4+T細胞の浸潤、ならびに/または免疫抑制性制御性T細胞および骨髄由来サプレッサー細胞の枯渇を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの標的腫瘍の前記処置体積が、前記少なくとも1つの標的腫瘍の体積の25%~90%の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの標的腫瘍の前記処置体積が、体積で少なくとも1cm
3である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記溶解および可溶化した腫瘍細胞の免疫応答を評価するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記免疫応答を評価するステップが、免疫学的細胞死および/または免疫活性化の分析を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記免疫応答を評価するステップが、前記少なくとも1つの標的腫瘍をイメージングするステップ、および/または前記少なくとも1つの標的腫瘍に対して組織生検を実施するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記イメージングするステップが、CT、MRI、および/またはPETイメージングを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組織生検を実施するステップが、液体生検を実施するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
ヒストトリプシー処置を適用した後、免疫療法を適用するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記免疫療法が、チェックポイント阻害剤、免疫刺激療法、がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、中和免疫阻害剤、および活性化サイトカインからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記チェックポイント阻害剤が、CTLA-4、LAG3、TIM3、およびそれらの組合せを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記チェックポイント阻害剤が、PD-1遮断剤、PD-L1遮断剤、およびそれらの組合せを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記溶解および可溶化した腫瘍細胞を採取するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記溶解および可溶化した腫瘍細胞を使用して免疫指向療法を準備するステップと、前記免疫指向療法を患者に投与するステップとをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記免疫指向療法を投与するステップが、経口投与、全身注入、局所領域カテーテルベースの注入、腫瘍内注射、局所領域注射、皮下注射、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記免疫指向療法が、細胞療法である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
さらに、前記ヒストトリプシー処置を適用するステップが、前記少なくとも1つの標的腫瘍と同じ表現型の少なくとも1つの遠位腫瘍において免疫応答を誘発するように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの遠位腫瘍が、前記少なくとも1つの標的腫瘍とは異なる臓器または解剖学的位置に位置する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの標的腫瘍が、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、結腸直腸、腸、胃、食道、乳房、肺、頭部、頸部、甲状腺、皮膚、神経組織、血液悪性腫瘍、肉腫、原発および転移性病変、ならびに脳組織からなる群に位置する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記処置位置が、前記少なくとも1つの標的腫瘍の内側部分のみを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記処置位置が、前記少なくとも1つの標的腫瘍の外側部分のみを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記処置位置が、前記少なくとも1つの標的腫瘍を通して空間的に分布した複数のプログラムされた処置位置を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
放射線治療で以前に処置された、および/または放射線治療に耐性がある組織を処置する方法であって、
少なくとも1つの標的腫瘍を識別するステップと、
腫瘍抗原を放出する細胞応答を増加させる前記少なくとも1つの標的腫瘍の処置体積および処置位置を決定するステップと、
腫瘍抗原を放出する細胞応答を増加させる処置位置を決定するステップと、
ヒストトリプシー処置を前記少なくとも1つの標的腫瘍に適用して、腫瘍細胞を機械的に溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出するステップと
を含む、方法。
【請求項25】
免疫療法で以前に処置された、および免疫療法に非応答性または耐性がある組織を処置する方法であって、
少なくとも1つの標的腫瘍を識別するステップと、
腫瘍抗原を放出する細胞応答を増加させる前記少なくとも1つの標的腫瘍の処置体積および処置位置を決定するステップと、
腫瘍抗原を放出する細胞応答を増加させる処置位置を決定するステップと、
ヒストトリプシー処置を前記少なくとも1つの標的腫瘍に適用して、腫瘍細胞を機械的に溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出するステップと
を含む、方法。
【請求項26】
組織を処置する方法であって、
少なくとも1つの標的腫瘍を識別するステップと、
免疫原性細胞死の誘導を増加させる前記少なくとも1つの標的腫瘍の処置体積および処置位置を決定するステップと、
前記処置体積および処置位置に基づいてヒストトリプシー処置を、前記少なくとも1つの標的腫瘍に適用して、腫瘍細胞を機械的に溶解および可溶化し、免疫原性細胞死を誘導するステップと
を含む、方法。
【請求項27】
前記ヒストトリプシー処置を適用するステップが、ダメージ関連分子パターン(DAMP)の放出を引き起こす、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記DAMPが、高移動度グループボックス1(HMGB1)、カルレティキュリン(CRT)、アデノシン三リン酸(ATP)、熱ショックタンパク質(HSP)、フィブロネクチン(FN)、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
DNAが、無細胞DNAを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
RNAが、mRNAを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記溶解および可溶化した腫瘍細胞の免疫応答を評価するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
ヒストトリプシー処置を適用した後、免疫療法を適用するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記免疫療法を適用するステップが、チェックポイント阻害剤、免疫刺激療法、がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、中和免疫阻害剤、活性化サイトカイン、およびそれらの種々の組合せからなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記チェックポイント阻害剤が、CTLA-4、LAG3、TIM3、およびそれらの組合せを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記チェックポイント阻害剤が、PD-1遮断剤、PD-L1遮断剤、およびそれらの組合せを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記溶解および可溶化した腫瘍細胞を採取するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項37】
前記溶解および可溶化した腫瘍細胞を使用して免疫指向療法を準備するステップと、前記免疫指向療法を患者に投与するステップとをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの標的腫瘍が、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、結腸直腸、腸、胃、食道、乳房、肺、頭部、頸部、甲状腺、皮膚、神経組織、血液悪性腫瘍、肉腫、原発および転移性病変、ならびに脳組織からなる群に位置する、請求項26に記載の方法。
【請求項39】
組織を処置する方法であって、
標的組織体積を識別するステップと、
前記標的組織体積内のヒストトリプシートランスデューサーの焦点を配置するステップと、
ヒストトリプシーを前記標的組織体積のサブセットに適用して、前記標的組織体積の一部のみの腫瘍細胞を機械的に溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出するステップと、
前記溶解および可溶化した腫瘍細胞の免疫応答を評価するステップと
を含む、方法。
【請求項40】
標的組織体積を識別するステップが、第1の標的組織体積および第2の標的組織体積を識別するステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1および第2の標的組織体積が、同じ臓器または解剖学的位置に位置する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1および第2の標的組織体積が、異なる臓器または解剖学的位置に位置する、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記免疫応答を評価するステップが、1つまたは複数の臓器または解剖学的位置における前記免疫応答を評価するステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記免疫応答を評価するステップが、少なくとも1つの標的腫瘍をイメージングするステップ、および/または前記少なくとも1つの標的腫瘍に対して組織生検を実施するステップを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項45】
前記免疫応答を評価するステップが、組織、細胞、血液および/またはそれらの組合せのバイオマーカー解析を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
ヒストトリプシーを前記標的組織体積のサブセットに適用するステップが、ヒストトリプシーを前記標的組織体積の内側部分のみに適用するステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項47】
ヒストトリプシーを前記標的組織体積のサブセットに適用するステップが、ヒストトリプシーを前記標的組織体積の外側部分のみに適用するステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項48】
ヒストトリプシーを前記標的組織体積のサブセットに適用するステップが、ヒストトリプシーを、前記標的組織体積を通して空間的に分布した複数のプログラムされた処置位置に適用するステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項49】
前記標的組織体積の前記サブセットが、前記標的組織体積の約25%~90%を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項50】
前記標的組織体積の前記サブセットが、体積で少なくとも1cm
3である、請求項39に記載の方法。
【請求項51】
ヒストトリプシーを適用した後、免疫療法を適用するステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項52】
前記免疫療法が、チェックポイント阻害剤、免疫刺激療法、がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、中和免疫阻害剤、および活性化サイトカインからなる群から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記チェックポイント阻害剤が、CTLA-4、LAG3、TIM3、およびそれらの組合せを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記チェックポイント阻害剤が、PD-1遮断剤、PD-L1遮断剤、およびそれらの組合せを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記免疫療法を適用するステップが、ヒストトリプシーを適用してから1~6週間後に前記免疫療法を適用するステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記免疫療法を適用するステップが、ヒストトリプシーを適用してから2~4週間後に前記免疫療法を適用するステップをさらに含む、請求項51に記載の方法。
【請求項57】
前記焦点を配置するステップが、ロボット位置決めシステムにより前記焦点を配置するステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項58】
前記ロボット位置決めシステムが、最低でも3自由度を有するロボットアームを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記ロボット位置決めシステムが、予めプログラムされた三次元処置ルーチンを介してヒストトリプシー治療トランスデューサーを指向するロボットアームを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記免疫療法を適用するステップが、経口投与、全身注入、局所領域カテーテルベースの注入、腫瘍内注射、局所領域注射、皮下注射、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項52に記載の方法。
【請求項61】
前記ロボット位置決めシステムが、局所領域カテーテル注入、局所領域注射、腫瘍内注射、および/またはそれらの組合せのために使用される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記溶解および可溶化した腫瘍細胞を採取するステップをさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項63】
前記溶解および可溶化した腫瘍細胞を使用して免疫指向療法を準備するステップと、前記免疫指向療法を患者に投与するステップとをさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記少なくとも1つの標的腫瘍が、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、結腸直腸、腸、胃、食道、乳房、肺、頭部、頸部、甲状腺、皮膚、神経組織、血液悪性腫瘍、肉腫、原発および転移性病変、ならびに脳組織からなる群に位置する、請求項39に記載の方法。
【請求項65】
ワクチンを作製する方法であって、
標的組織体積を識別するステップと、
前記標的組織体積内にヒストトリプシートランスデューサーの焦点を配置するステップと、
ヒストトリプシーを前記標的組織体積のサブセットに適用して、前記標的組織体積の一部のみの細胞を機械的に溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出するステップと、
前記溶解および可溶化した細胞を採取するステップと、
前記採取した細胞の成分から標的化がんワクチンを作製するステップと
を含む、方法。
【請求項66】
前記標的組織体積が、がん性腫瘍である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記標的組織体積が、患者の内部に位置する、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記標的組織体積が、患者の外部に位置する、請求項65に記載の方法。
【請求項69】
前記標的組織が、生検に由来する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記生検が、細胞学的、全組織、外科的、新鮮、新鮮凍結、包埋、もしくは固定組織試料、および/またはそれらの組合せを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記標的組織体積が、同じ標的腫瘍表現型を有する複数の患者に由来する、請求項65に記載の方法。
【請求項72】
組織を処置する方法であって、
第1の標的腫瘍および1つまたは複数のさらなる非標的腫瘍を識別するステップと、
前記第1の標的腫瘍内にヒストトリプシートランスデューサーの焦点を配置するステップと、
ヒストトリプシーを前記第1の標的腫瘍のサブセットに適用して、前記第1の標的腫瘍の一部のみの腫瘍細胞を機械的に溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出するステップと、
前記1つまたは複数のさらなる非標的腫瘍に対する前記溶解および可溶化した腫瘍細胞の遠位免疫効果を評価するステップと
を含む、方法。
【請求項73】
組織を処置する方法であって、
複数の腫瘍のうちの少なくとも1つの標的腫瘍を識別するステップと、
前記少なくとも1つの標的腫瘍内にヒストトリプシートランスデューサーの焦点を配置するステップと、
ヒストトリプシー試験パルスを前記少なくとも1つの標的腫瘍に印加して、前記少なくとも1つの標的腫瘍内の1つまたは複数の試験位置におけるキャビテーション閾値を決定するステップと、
前記1つまたは複数の試験位置における前記決定したキャビテーション閾値に基づいてヒストトリプシー処置計画を導出するステップと、
前記処置計画を使用して自動化ヒストトリプシー治療を適用して、前記少なくとも1つの標的腫瘍の一部のみの腫瘍細胞を機械的に溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出するステップと、
前記溶解および可溶化した腫瘍細胞の免疫応答を評価するステップと、
免疫療法を投与して、前記複数の腫瘍を処置するステップと
を含む、方法。
【請求項74】
複数の腫瘍のうちの少なくとも1つの標的腫瘍を識別するように構成された医療用イメージングモダリティと、
ヒストトリプシー治療トランスデューサーを含むロボット位置決めシステムであって、前記少なくとも1つの標的腫瘍内にヒストトリプシートランスデューサーの焦点を配置するように構成された、ロボット位置決めシステムと、
前記ヒストトリプシー治療トランスデューサーから前記少なくとも1つの標的腫瘍にヒストトリプシー試験パルスを印加して、前記少なくとも1つの標的腫瘍内の1つまたは複数の試験位置におけるキャビテーション閾値を決定するように構成された電子制御器であって、前記1つまたは複数の試験位置における前記決定したキャビテーション閾値に基づいてヒストトリプシー処置計画を導出するようにさらに構成され、前記処置計画を使用して前記ヒストトリプシー治療トランスデューサーにより自動化されたヒストトリプシー治療を適用して、前記少なくとも1つの標的腫瘍の一部のみの腫瘍細胞を機械的に溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出するようにさらに構成された、電子制御器と、
前記溶解および可溶化した腫瘍細胞の免疫応答を評価するように構成された評価システムと
を含む、ヒストトリプシー治療システム。
【請求項75】
前記ロボット位置決めシステムが、免疫療法を投与して、前記複数の腫瘍を処置するようにさらに構成される、請求項74に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2020年1月28日に出願された米国仮特許出願第62/966,960号の優先権の利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
参照による組み込み
[0002]本明細書で言及されている全ての刊行物および特許出願は、それぞれの個別の刊行物または特許出願が、具体的かつ個別に参照により組み込まれていると示されている場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
[0003]本開示は、音響キャビテーションを生成するように構成された新規の高密度治療用超音波(HITU)システム、健康、疾患および/または損傷組織を最小限で非侵襲的に処置するための方法、デバイスおよび手順を詳述する。本明細書に記載される音響キャビテーションシステムおよび方法は、ヒストトリプシーとも称され、トランスデューサー、ドライブエレクトロニクス、位置決めロボット、イメージングシステム、ならびに患者の軟部組織についての包括的な処置および治療を提供するための総合的な処置計画および制御ソフトウェアを含み得る。
【背景技術】
【0004】
[0004]ヒストトリプシー、またはパルス超音波キャビテーション治療は、音響エネルギーの非常に短く、強力なバーストが、焦点体積内に制御されたキャビテーション(マイクロバブル形成)を誘導する技術である。これらのマイクロバブルの活発な膨張および崩壊により、焦点体積内の細胞および組織構造を機械的に均質化する。これは、熱アブレーションの特徴である凝固壊死とは非常に異なる最終結果である。非熱性のヒストトリプシー領域内で操作するために、低いデューティサイクルの高振幅音響パルスの形態で音響エネルギーを送達する必要がある。
【0005】
[0005]従来の集束超音波技術と比較して、ヒストトリプシーは以下の重要な利点を有する:1)焦点における破壊プロセスが、熱的ではなく、機械的である;2)キャビテーションが超音波イメージング上で明るく見えるので、処置の正確なターゲティングおよびローカリゼーションを確実にする;3)処置した組織が、常にではないが、全体的に、超音波イメージング上でより暗く見えるので(より低エコー)、操作者が、何が処置されたかを知る;ならびに4)ヒストトリプシーは、制御され、正確な様式で病変をもたらす。マイクロ波、高周波、および高密度集束超音波(HIFU)などの熱アブレーション技術とは異なり、ヒストトリプシーは、組織破壊のためにキャビテーションの機械的作用に依存することを強調することが重要である。
【0006】
[0006]がん免疫療法は、外来抗原の発現に基づいて腫瘍を認識し、拒絶するために免疫系の柔軟性および能力を利用する。CD8+T細胞を抑制するがんの能力を無効にするCTLA-4およびPD-1に対するモノクローナル抗体を使用した現代の免疫療法は、黒色腫および肺がんのようながんの管理に革命をもたらした。がんは以下の2つの方法で免疫系を克服する:(1)チェックポイント機構の関与を介するなどで免疫応答を能動的に無効にし、(2)検出を受動的に回避し、免疫系からそれらの抗原を隠す。がん免疫療法の進歩は、チェックポイント阻害(CI)療法によりようやく実現されている。CIは、免疫抑制の第1の機構を標的とするが、免疫回避の第2の機構を軽減することは何もしない。
【0007】
[0007]これらの種類の免疫療法の制限は既に明らかである。第1の制限は先天的な非特異性である。CIの効果は腫瘍指向性T細胞応答に制限されないので、その有効性は、自己免疫性合併症と密接に関連し、CIへのより積極的な組合せアプローチは、時折、生命を脅かす自己免疫のリスクを増加させただけであった。第2の制限は、その制限された有用性である。CIは、本質的に黒色腫および肺がんのような免疫原性がんに対して十分に機能するが、肝臓および膵臓の悪性腫瘍のような頑固な非免疫原性がんの予後を変化させない。
【0008】
[0008]最近、高密度集束超音波(HIFU)熱アブレーションが、前臨床および臨床研究において抗腫瘍免疫を誘導することが示されている。いくつかの証拠により、HIFUアブレーションゾーンの周辺にある細胞が、致死的な熱線量を受けないが、最終的にアポトーシスにつながる熱ストレスを経験し、腫瘍特異的炎症を誘発することが示唆されている。HIFUは、免疫原性が低いマウス腫瘍モデルにおいて抗腫瘍免疫を誘導することが示されている。さらに、組織を沸騰させて液化するためにミリ秒パルスを使用する沸騰ヒストトリプシーは、腫瘍に対する免疫応答を刺激し得ることを示す以前の証拠が存在する。
【0009】
[0009]本発明の新規な特徴は、以下の特許請求の範囲の中で特殊性とともに述べられている。本発明の特徴および利点のより良好な理解は、以下の詳細な説明および添付の図面を参照することによって得られることとなり、詳細な説明は、例示目的の実施形態を述べており、実施形態の中で、本発明の原理が利用されている。
【発明の概要】
【0010】
[0025]組織を処置する方法であって、少なくとも1つの標的腫瘍を識別するステップと、腫瘍抗原を放出する細胞応答を増加させる少なくとも1つの標的腫瘍の処置体積および処置位置を決定するステップと、処置体積および処置位置に基づいてヒストトリプシー処置を、少なくとも1つの標的腫瘍に適用して、腫瘍細胞を機械的に溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出するステップとを含む、方法が提供される。一部の実施形態では、この方法は、放射線治療で以前に処置された、および/または放射線治療に耐性がある組織を処置するためであり得る。他の実施形態では、この方法は、免疫療法で以前に処置された、および免疫療法に非応答性または耐性がある組織を処置するためであり得る。
【0011】
[0026]一部の実施形態では、細胞応答は、免疫原性細胞死、炎症および抗原提示細胞の浸潤、T細胞の浸潤および活性化、腫瘍特異的T細胞の増加、ナチュラルキラー細胞、B細胞およびCD4+T細胞の浸潤、ならびに/または免疫抑制性制御性T細胞および骨髄由来サプレッサー細胞の枯渇を含む。
【0012】
[0027]一部の実施形態では、少なくとも1つの標的腫瘍の処置体積は、少なくとも1つの標的腫瘍の体積の25%~90%の範囲である。他の実施形態では、少なくとも1つの標的腫瘍の処置体積は、体積で少なくとも1cm3である。
【0013】
[0028]一部の実施形態では、この方法は、溶解および可溶化した腫瘍細胞の免疫応答を評価するステップをさらに含む。
[0029]一実施形態では、免疫応答を評価するステップは、免疫学的細胞死および/または免疫活性化の分析を含む。一実施形態では、免疫応答を評価するステップは、少なくとも1つの標的腫瘍をイメージングするステップ、および/または少なくとも1つの標的腫瘍に対して組織生検を実施するステップを含む。一実施形態では、イメージングするステップは、CT、MRI、および/またはPETイメージングを含む。一部の実施形態では、組織生検を実施するステップは、液体生検を実施するステップを含む。
【0014】
[0030]一実施形態では、この方法は、ヒストトリプシー処置を適用した後、免疫療法を適用するステップをさらに含む。一実施形態では、免疫療法は、チェックポイント阻害剤、免疫刺激療法、がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、中和免疫阻害剤、および活性化サイトカインからなる群から選択される。一部の例では、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、LAG3、TIM3、およびそれらの組合せを含む。他の例では、チェックポイント阻害剤は、PD-1遮断剤、PD-L1遮断剤、およびそれらの組合せを含む。
【0015】
[0031]一部の実施形態では、この方法は、溶解および可溶化した腫瘍細胞を採取するステップをさらに含む。一部の実施形態では、この方法は、溶解および可溶化した腫瘍細胞を使用して免疫指向療法(immune directed therapy)を準備するステップと、免疫指向療法を患者に投与するステップとを含む。一部の実施形態では、免疫指向療法を投与するステップは、経口投与、全身注入、局所領域カテーテルベースの注入、腫瘍内注射、局所領域注射、皮下注射、およびそれらの組合せからなる群から選択される。一実施形態では、免疫指向療法は、細胞療法である。
【0016】
[0032]一部の実施態様では、ヒストトリプシー処置を適用するステップは、少なくとも1つの標的腫瘍と同じ表現型の少なくとも1つの遠位腫瘍において免疫応答を誘発するように構成される。一例では、少なくとも1つの遠位腫瘍は、少なくとも1つの標的腫瘍とは異なる臓器または解剖学的位置に位置する。
【0017】
[0033]一部の実施形態では、少なくとも1つの標的腫瘍は、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、結腸直腸、腸、胃、食道、乳房、肺、頭部、頸部、甲状腺、皮膚、神経組織、血液悪性腫瘍、肉腫、原発および転移性病変、ならびに脳組織からなる群に位置する。
【0018】
[0034]一部の実施形態では、処置位置は、少なくとも1つの標的腫瘍の内側部分のみを含む。他の実施形態では、処置位置は、少なくとも1つの標的腫瘍の外側部分のみを含む。別の実施形態では、処置位置は、少なくとも1つの標的腫瘍を通して空間的に分布した複数のプログラムされた処置位置を含む。
【0019】
[0035]放射線治療で以前に処置された、および/または放射線治療に耐性がある組織を処置する方法であって、少なくとも1つの標的腫瘍を識別するステップと、腫瘍抗原を放出する細胞応答を増加させる少なくとも1つの標的腫瘍の処置体積および処置位置を決定するステップと、腫瘍抗原を放出する細胞応答を増加させる処置位置を決定するステップと、ヒストトリプシー処置を少なくとも1つの標的腫瘍に適用して、腫瘍細胞を機械的に溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出するステップとを含む、方法が提供される。
【0020】
[0036]免疫療法で以前に処置された、および免疫療法に非応答性または耐性がある組織を処置する方法であって、少なくとも1つの標的腫瘍を識別するステップと、腫瘍抗原を放出する細胞応答を増加させる少なくとも1つの標的腫瘍の処置体積および処置位置を決定するステップと、腫瘍抗原を放出する細胞応答を増加させる処置位置を決定するステップと、ヒストトリプシー処置を少なくとも1つの標的腫瘍に適用して、腫瘍細胞を機械的に溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出するステップとを含む、方法もまた、提供される。
【0021】
[0037]組織を処置する方法であって、少なくとも1つの標的腫瘍を識別するステップと、免疫原性細胞死の誘導を増加させる少なくとも1つの標的腫瘍の処置体積および処置位置を決定するステップと、処置体積および処置位置に基づいてヒストトリプシー処置を、少なくとも1つの標的腫瘍に適用して、腫瘍細胞を機械的に溶解および可溶化し、免疫原性細胞死を誘導するステップとを含む、方法が提供される。
【0022】
[0038]一部の実施形態では、ヒストトリプシー処置を適用するステップは、ダメージ関連分子パターン(DAMP)の放出を引き起こす。一実施形態では、DAMPは、高移動度グループボックス1(HMGB1)、カルレティキュリン(CRT)、アデノシン三リン酸(ATP)、熱ショックタンパク質(HSP)、フィブロネクチン(FN)、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)およびそれらの組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、DNAは、無細胞DNAを含む。他の実施形態では、RNAは、mRNAを含む。
【0023】
[0039]一部の実施形態では、この方法は、溶解および可溶化した腫瘍細胞の免疫応答を評価するステップをさらに含む。
[0040]一部の実施形態では、この方法は、ヒストトリプシー処置を適用した後、免疫療法を適用するステップをさらに含む。一部の例では、免疫療法を適用するステップは、チェックポイント阻害剤、免疫刺激療法、がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、中和免疫阻害剤、活性化サイトカイン、およびそれらの種々の組合せからなる群から選択される。一実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、LAG3、TIM3、およびそれらの組合せを含む。別の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1遮断剤、PD-L1遮断剤、およびそれらの組合せを含む。
【0024】
[0041]一部の実施形態では、この方法は、溶解および可溶化した腫瘍細胞を採取するステップをさらに含む。
[0042]別の実施形態では、この方法は、溶解および可溶化した腫瘍細胞を使用して免疫指向療法を準備するステップと、免疫指向療法を患者に投与するステップとを含む。
【0025】
[0043]一部の例では、少なくとも1つの標的腫瘍は、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、結腸直腸、腸、胃、食道、乳房、肺、頭部、頸部、甲状腺、皮膚、神経組織、血液悪性腫瘍、肉腫、原発および転移性病変、ならびに脳組織からなる群に位置する。
【0026】
[0044]組織を処置する方法であって、標的組織体積を識別するステップと、標的組織体積内のヒストトリプシートランスデューサーの焦点を配置するステップと、ヒストトリプシーを標的組織体積のサブセットに適用して、標的組織体積の一部のみの腫瘍細胞を機械的に溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出するステップと、溶解および可溶化した腫瘍細胞の免疫応答を評価するステップとを含む、方法が提供される。
【0027】
[0045]一部の実施形態では、この方法は、第1の標的組織体積および第2の標的組織体積を識別するステップをさらに含む、標的組織体積を識別するステップを含む。一部の実施形態では、第1および第2の標的組織体積は、同じ臓器または解剖学的位置に位置する。他の実施形態では、第1および第2の標的組織体積は、異なる臓器または解剖学的位置に位置する。
【0028】
[0046]一実施形態では、免疫応答を評価するステップは、1つまたは複数の臓器または解剖学的位置における免疫応答を評価するステップを含む。他の実施形態では、免疫応答を評価するステップは、少なくとも1つの標的腫瘍をイメージングするステップ、および/または少なくとも1つの標的腫瘍に対して組織生検を実施するステップを含む。別の実施形態では、免疫応答を評価するステップは、組織、細胞、血液および/またはそれらの組合せのバイオマーカー解析を含む。
【0029】
[0047]一部の実施形態では、ヒストトリプシーを標的組織体積のサブセットに適用するステップは、ヒストトリプシーを標的組織体積の内側部分のみに適用するステップをさらに含む。別の実施形態では、ヒストトリプシーを標的組織体積のサブセットに適用するステップは、ヒストトリプシーを標的組織体積の外側部分のみに適用するステップをさらに含む。一部の実施形態では、ヒストトリプシーを標的組織体積のサブセットに適用するステップは、ヒストトリプシーを、標的組織体積を通して空間的に分布した複数のプログラムされた処置位置に適用するステップをさらに含む。
【0030】
[0048]一例では、標的組織体積のサブセットは、標的組織体積の約25%~90%を含む。別の例では、標的組織体積のサブセットは、体積で少なくとも1cm3である。
[0049]一部の実施形態では、この方法は、ヒストトリプシーを適用した後、免疫療法を適用するステップを含む。一実施形態では、免疫療法は、チェックポイント阻害剤、免疫刺激療法、がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、中和免疫阻害剤、および活性化サイトカインからなる群から選択される。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、LAG3、TIM3、およびそれらの組合せを含む。他の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1遮断剤、PD-L1遮断剤、およびそれらの組合せを含む。
【0031】
[0050]一例では、免疫療法を適用するステップは、ヒストトリプシーを適用してから1~6週間後に免疫療法を適用するステップをさらに含む。他の例では、免疫療法を適用するステップは、ヒストトリプシーを適用してから2~4週間後に免疫療法を適用するステップをさらに含む。
【0032】
[0051]一実施形態では、焦点を配置するステップは、ロボット位置決めシステムにより焦点を配置するステップをさらに含む。一部の例では、ロボット位置決めシステムは、最低でも3自由度を有するロボットアームを含む。別の実施形態では、ロボット位置決めシステムは、予めプログラムされた三次元処置ルーチンを介してヒストトリプシー治療トランスデューサーを指向するロボットアームを含む。
【0033】
[0052]一部の実施形態では、免疫療法を適用するステップは、経口投与、全身注入、局所領域カテーテルベースの注入、腫瘍内注射、局所領域注射、皮下注射、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0034】
[0053]別の実施形態では、ロボット位置決めシステムは、局所領域カテーテル注入、局所領域注射、腫瘍内注射、および/またはそれらの組合せのために使用される。
[0054]一部の実施形態では、この方法は、溶解および可溶化した腫瘍細胞を採取するステップをさらに含む。
【0035】
[0055]別の実施形態では、この方法は、溶解および可溶化した腫瘍細胞を使用して免疫指向療法を準備するステップと、免疫指向療法を患者に投与するステップとをさらに含む。
【0036】
[0056]一実施形態では、少なくとも1つの標的腫瘍は、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、結腸直腸、腸、胃、食道、乳房、肺、頭部、頸部、甲状腺、皮膚、神経組織、血液悪性腫瘍、肉腫、原発および転移性病変、ならびに脳組織からなる群に位置する。
【0037】
[0057]ワクチンを作製する方法であって、標的組織体積を識別するステップと、標的組織体積内にヒストトリプシートランスデューサーの焦点を配置するステップと、ヒストトリプシーを標的組織体積のサブセットに適用して、標的組織体積の一部のみの細胞を機械的に溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出するステップと、溶解および可溶化した細胞を採取するステップと、採取した細胞の成分から標的化がんワクチンを作製するステップとを含む、方法が提供される。
【0038】
[0058]一部の実施形態では、標的組織体積は、がん性腫瘍である。他の実施形態では、標的組織体積は、患者の内部に位置する。別の実施形態では、標的組織体積は、患者の外部に位置する。別の例では、標的組織は、生検に由来する。一部の実施形態では、生検は、細胞学的、全組織、外科的、新鮮、新鮮凍結、包埋、もしくは固定組織試料、および/またはそれらの組合せを含む。
【0039】
[0059]一実施形態では、標的組織体積は、同じ標的腫瘍表現型を有する複数の患者に由来する。別の実施形態では、標的組織体積は、複数の標的腫瘍表現型に由来する。
[0060]一部の例では、この方法は、1人または複数の患者にワクチンを投与するステップをさらに含む。一実施形態では、ワクチンは、局所、局部または全身に投与される。
【0040】
[0061]一部の例では、標的組織体積は、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、結腸直腸、腸、胃、食道、乳房、肺、頭部、頸部、甲状腺、皮膚、神経組織、および脳組織からなる群に由来する。
【0041】
[0062]また、組織を処置する方法であって、第1の標的腫瘍および1つまたは複数のさらなる非標的腫瘍を識別するステップと、第1の標的腫瘍内にヒストトリプシートランスデューサーの焦点を配置するステップと、ヒストトリプシーを第1の標的腫瘍のサブセットに適用して、第1の標的腫瘍の一部のみの腫瘍細胞を機械的に溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出するステップと、1つまたは複数のさらなる非標的腫瘍に対する溶解および可溶化した腫瘍細胞の遠位免疫効果を評価するステップとを含む、方法も提供される。
【0042】
[0063]一部の実施形態では、この方法は、ヒストトリプシーを適用した後、免疫療法を適用するステップをさらに含む。一例では、ヒストトリプシーを適用するステップは、免疫療法を適用するためのネオアジュバントである。
【0043】
[0064]一実施形態では、1つまたは複数のさらなる非標的腫瘍に対する遠位免疫効果は、第1の標的腫瘍と同じ臓器または解剖学的空間に位置する。別の例では、1つまたは複数のさらなる非標的腫瘍に対する遠位免疫効果は、第1の標的腫瘍とは異なる臓器または解剖学的空間に位置する。
【0044】
[0065]一部の実施形態では、免疫応答を評価するステップは、少なくとも1つの標的腫瘍をイメージングするステップ、および/または少なくとも1つの標的腫瘍に対して組織生検を実施するステップを含む。他の実施形態では、免疫応答を評価するステップは、組織、細胞、血液および/またはそれらの組合せのバイオマーカー解析を実施するステップを含む。別の実施形態では、免疫応答を評価するステップは、溶解および可溶化した腫瘍細胞に対する免疫応答の量を分析するステップを含む。
【0045】
[0066]一部の例では、サブセットは、第1の標的腫瘍の内側部分を含む。別の実施形態では、サブセットは、第1の標的腫瘍の外側部分を含む。別の実施形態では、サブセットは、第1の標的腫瘍を通して空間的に分布した複数のプログラムされた処置位置を含む。一部の例では、サブセットは、第1の標的腫瘍の25%~90%の範囲である。別の例では、標的組織体積のサブセットは、体積で少なくとも1cm3である。
【0046】
[0067]一部の実施形態では、この方法は、ヒストトリプシーを適用した後、免疫療法を適用するステップをさらに含む。一部の実施形態では、免疫療法は、チェックポイント阻害剤、免疫刺激療法、がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、中和免疫阻害剤、および活性化サイトカインからなる群から選択される。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、LAG3、TIM3、およびそれらの組合せを含む。別の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1遮断剤、PD-L1遮断剤、およびそれらの組合せを含む。
【0047】
[0068]一部の実施形態では、この方法は、溶解および可溶化した腫瘍細胞を採取するステップをさらに含む。
[0069]別の実施形態では、この方法は、溶解および可溶化した腫瘍細胞を使用して免疫指向療法を準備するステップと、免疫指向療法を患者に投与するステップとを含む。
【0048】
[0070]一実施形態では、配置するステップは、ロボット位置決めシステムにより焦点を配置するステップを含む。一実施形態では、ロボット位置決めシステムは、最低でも3自由度を有するロボットアームを含む。別の実施形態では、ロボット位置決めシステムは、予めプログラムされた三次元処置ルーチンを介してヒストトリプシー治療トランスデューサーを指向するロボットアームを含む。
【0049】
[0071]一部の例では、免疫療法を適用するステップは、経口投与、全身注入、局所領域カテーテルベースの注入、腫瘍内注射、局所領域注射、皮下注射、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0050】
[0072]一実施形態では、ロボット位置決めは、局所領域カテーテル注入、局所領域注射、腫瘍内注射、および/またはそれらの組合せのために使用される。
[0073]一部の実施形態では、第1の標的腫瘍は、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、結腸直腸、腸、胃、食道、乳房、肺、頭部、頸部、甲状腺、皮膚、神経組織、血液悪性腫瘍、肉腫、原発および転移性病変、ならびに脳組織からなる群に位置する。
【0051】
[0074]組織を処置する方法であって、複数の腫瘍のうちの少なくとも1つの標的腫瘍を識別するステップと、少なくとも1つの標的腫瘍内にヒストトリプシートランスデューサーの焦点を配置するステップと、ヒストトリプシー試験パルスを少なくとも1つの標的腫瘍に印加して、少なくとも1つの標的腫瘍内の1つまたは複数の試験位置におけるキャビテーション閾値を決定するステップと、1つまたは複数の試験位置における決定したキャビテーション閾値に基づいてヒストトリプシー処置計画を導出するステップと、処置計画を使用して自動化ヒストトリプシー治療を適用して、少なくとも1つの標的腫瘍の一部のみの腫瘍細胞を機械的に溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出するステップと、溶解および可溶化した腫瘍細胞の免疫応答を評価するステップと、免疫療法を投与して、複数の腫瘍を処置するステップとを含む、方法がさらに提供される。
【0052】
[0075]一例では、免疫療法を適用するステップは、ヒストトリプシーを適用してから1~6週間後に免疫療法を適用するステップをさらに含む。他の例では、免疫療法を適用するステップは、ヒストトリプシーを適用してから2~4週間後に免疫療法を適用するステップをさらに含む。
【0053】
[0076]一部の実施形態では、複数の腫瘍は、同じ臓器または解剖学的位置にある。他の実施形態では、複数の腫瘍は、異なる臓器または解剖学的位置にある。
[0077]一実施形態では、免疫応答を評価するステップは、1つまたは複数の臓器または解剖学的位置における免疫応答を評価するステップを含む。他の実施形態では、免疫応答を評価するステップは、少なくとも1つの標的腫瘍をイメージングするステップ、および/または少なくとも1つの標的腫瘍に対して組織生検を実施するステップを含む。
【0054】
[0078]一実施形態では、免疫応答を評価するステップは、組織、細胞、血液および/またはそれらの組合せのバイオマーカー解析を含む。
[0079]他の実施形態では、免疫応答を評価するステップは、溶解および可溶化した腫瘍細胞に対する免疫応答の量を評価するステップを含む。
【0055】
[0080]一例では、少なくとも1つの標的腫瘍の内側部分のみが、溶解および可溶化される。別の実施形態では、少なくとも1つの標的腫瘍の外側のみが、溶解および可溶化される。
【0056】
[0081]一部の例では、ヒストトリプシー処置計画は、少なくとも1つの標的腫瘍を通して空間的に分布した複数のプログラムされた処置位置を含む。
[0082]一実施形態では、ヒストトリプシー処置計画は、少なくとも1つの標的腫瘍の25%~90%を溶解および可溶化する。別の実施形態では、ヒストトリプシー処置計画は、少なくとも1つの標的腫瘍の少なくとも1cm3を溶解および可溶化する。
【0057】
[0083]一部の例では、免疫療法は、チェックポイント阻害剤、免疫刺激療法、がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、中和免疫阻害剤、および活性化サイトカインからなる群から選択される。一部の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、LAG3、TIM3、およびそれらの組合せを含む。別の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1遮断剤、PD-L1遮断剤、およびそれらの組合せを含む。
【0058】
[0084]一部の例では、この方法は、溶解および可溶化した腫瘍細胞を採取するステップをさらに含む。この方法は、溶解および可溶化した腫瘍細胞を使用して免疫指向療法を準備するステップと、免疫指向療法を患者に投与するステップとをさらに含み得る。
【0059】
[0085]一部の実施形態では、配置するステップは、ロボット位置決めシステムにより焦点を配置するステップを含む。一実施形態では、ロボット位置決めシステムは、最低でも3自由度を有するロボットアームを含む。別の実施形態では、ロボット位置決めシステムは、予めプログラムされた三次元処置ルーチンを介してヒストトリプシー治療トランスデューサーを指向するロボットアームを含む。
【0060】
[0086]一部の実施形態では、免疫療法を適用するステップは、経口投与、全身注入、局所領域カテーテルベースの注入、腫瘍内注射、局所領域注射、皮下注射、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0061】
[0087]一例では、ロボット位置決めは、局所領域カテーテル注入、局所領域注射、腫瘍内注射、および/またはそれらの組合せのために使用される。
[0088]一部の実施形態では、第1の標的腫瘍は、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、結腸直腸、腸、胃、食道、乳房、肺、頭部、頸部、甲状腺、皮膚、神経組織、血液悪性腫瘍、肉腫、原発および転移性病変、ならびに脳組織からなる群に位置する。
【0062】
[0089]複数の腫瘍のうちの少なくとも1つの標的腫瘍を識別するように構成された医療用イメージングモダリティと、ヒストトリプシー治療トランスデューサーを含むロボット位置決めシステムであって、少なくとも1つの標的腫瘍内にヒストトリプシートランスデューサーの焦点を配置するように構成された、ロボット位置決めシステムと、ヒストトリプシー治療トランスデューサーから少なくとも1つの標的腫瘍にヒストトリプシー試験パルスを印加して、少なくとも1つの標的腫瘍内の1つまたは複数の試験位置におけるキャビテーション閾値を決定するように構成された電子制御器であって、1つまたは複数の試験位置における決定したキャビテーション閾値に基づいてヒストトリプシー処置計画を導出するようにさらに構成され、処置計画を使用してヒストトリプシー治療トランスデューサーにより自動化されたヒストトリプシー治療を適用して、少なくとも1つの標的腫瘍の一部のみの腫瘍細胞を機械的に溶解および可溶化して、腫瘍抗原を放出するようにさらに構成された、電子制御器と、溶解および可溶化した腫瘍細胞の免疫応答を評価するように構成された評価デバイスとを含む、ヒストトリプシー治療システムが提供される。
【0063】
[0090]一部の実施形態では、ロボット位置決めシステムは、免疫療法を投与して、複数の腫瘍を処置するようにさらに構成される。
[0091]別の実施形態では、評価デバイスは、生検デバイス、血液検査デバイスもしくはシステム、または医療用イメージングデバイスもしくはシステムを含む。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図1】[0010]
図1A-1Bは、超音波イメージングおよび治療システムを示す。
【
図2】[0011][0012]ヒストトリプシー治療を用いて組織を処置するための1つの方法を記載するフローチャートを示す図である。
【
図3】[0013]中心/内側部分および周辺/外側部分を有する標的組織体積の例の図である。
【
図4】[0014]ヒストトリプシー治療を用いて組織を処置するための1つの方法を記載する別のフローチャートを示す図である。
【
図5】[0015]ヒストトリプシー治療を用いてがんワクチンを作製するための方法を記載するフローチャートを示す図である。
【
図6】[0016]がん抗原の放出を誘導する際のヒストトリプシーの有効性、およびヒストトリプシー治療を用いて形成されたがんワクチンの有効性を確立する1つの実験の結果を示す図である。
【
図7】[0017]
図7A及び7Bは、ヒストトリプシーアブレーションが、局所および全身の腫瘍特異的CD8+T細胞応答をどのように刺激するかを示す図である。
【
図8】[0018]マウスにおける側腹部腫瘍のヒストトリプシーアブレーションが、対照の場合と比較して対側の未処置腫瘍の有意な減少をもたらした別の実験を示す図である。
【
図9】[0019]
図9A~9Cは、片側B16GP33側腹部腫瘍を担持するマウスが、B16GP33の静脈内注射を受けて、肺転移を確立するさらなる実験を示す図である。
【
図10】[0020]
図10A-10Eは、ヒストトリプシーが、腫瘍微小環境内の炎症誘発性変化をもたらすことを示す図である。
【
図11】[0021]ヒストトリプシーが、処置された腫瘍から免疫原性新抗原を放出させる実験の結果を示す図である。
【
図12】[0022]チェックポイント阻害が、放射線または熱アブレーションによって増強されない実験を示す図である。
【
図13】[0023]
図13A-13Cは、ヒストトリプシーが、免疫療法の有効性を増強することを示す実験を示す図である。
【
図14】[0024]ヒストトリプシーで除去された腫瘍が、免疫防御がんワクチンとして機能し得ることを示す別の実験の図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
[0092]本開示のシステム、方法およびデバイスは、体外、経皮、内視鏡、腹腔鏡におけるもの、ならびに/またはロボットにより使用可能な医療システムおよび手順に統合されたものを含む、最小限または非侵襲性音響キャビテーション、ならびに健康、疾患および/または損傷した組織の処置のために使用され得る。以下に記載されるように、音響キャビテーションシステムは、カート、治療、統合されたイメージング、ロボティクス、カップリングおよびソフトウェアを含む、種々のサブシステムを含み得る。このシステムはまた、限定されないが、コンピューター、ケーブルおよびコネクタ、ネットワーキングデバイス、電源、ディスプレイ、ドロワー/ストレージ、ドア、ホイール、ならびに種々のシミュレーションおよびトレーニングツールなどを含む、種々の他のコンポーネント、付属品およびアクセサリーも含み得る。本明細書に開示される新たに関連する発明を含む、ヒストトリプシーを創出/制御/送達する全てのシステム、方法および手段は、本開示の一部とみなされる。
【0066】
[0093]
図1Aは、治療トランスデューサー102、イメージングシステム104、ディスプレイおよびコントロールパネル106、ロボット位置決めアーム108、ならびにカート110を含む、本開示によるヒストトリプシーシステム100の全体を示す。このシステムは、超音波カップリングインターフェースおよびカップリング媒体のソースをさらに含み得るが、示していない。
【0067】
[0094]
図1Bは、治療トランスデューサー102およびイメージングシステム104の底面図である。示されるように、イメージングシステムは、治療トランスデューサーの中心に配置され得る。しかしながら、他の実施形態は、治療トランスデューサー内の他の位置に配置されるか、またはさらに治療トランスデューサーに直接統合されたイメージングシステムを含み得る。一部の実施形態では、イメージングシステムは、治療トランスデューサーの焦点においてリアルタイムイメージングを生成するように構成される。
【0068】
[0095]ヒストトリプシーシステムは、1つまたは複数の治療トランスデューサーを介して音響キャビテーション/ヒストトリプシーを創出、適用、集中および送達することができる治療サブシステム、手順全体を通して処置部位およびヒストトリプシー効果のリアルタイム可視化を可能にする統合されたイメージングサブシステム(またはそれへの接続性)、治療トランスデューサーを機械的および/または電子的に操縦し、さらに治療トランスデューサーと患者との間の音響カップリングを可能にするためにカップリングサブシステムと接続/サポートまたは相互作用することを可能にするロボット位置決めサブシステム、ならびにシステムおよびコンピューターベースの制御システム(および他の外部システム)と通信、制御およびインターフェースで連結するソフトウェア、ならびに1つまたは複数のユーザーインターフェースおよびディスプレイ、および部分的または一緒に全て機能する関連するガイド付きワークフローを含む、種々の他のコンポーネント、付属品およびアクセサリーを含む、種々のサブシステムのうちの1つまたは複数を含み得る。このシステムは、限定されないが、ポンプ、バルブおよび流量制御、温度および脱ガス制御、ならびに灌流および吸引機能、ならびに流体の提供および貯蔵を含む、種々の流体工学および流体管理コンポーネントをさらに含み得る。これはまた、種々の電源および保護装置も含有し得る。
【0069】
カート
[0096]カート110は、特定の用途および手順に基づいて様々な手段およびフォームファクタで全体的に構成され得る。一部の場合、システムは、同様または異なる配置で構成された複数のカートを含み得る。一部の実施形態では、カートは、放射線環境において、一部の場合、イメージング(例えば、CT、コーンビームCTおよび/またはMRIスキャニング)と連携して使用されるように構成および配置され得る。他の実施形態では、これは、手術室および無菌環境で、またはロボットにより使用可能な手術室で使用するように配置されてもよく、単独で、または手術ロボットが、システムの使用および音響キャビテーション/ヒストトリプシーの送達の前、間または後に特定のタスクを行う、手術ロボット手順の一部として使用されてもよい。このように、および上述の実施形態に基づく手順環境に応じて、カートは、十分な作業スペースを提供し、患者の種々の解剖学的位置(例えば、胴体、腹部、側腹部、頭頸部など)にアクセスするように、ならびに他のシステム(例えば、麻酔カート、腹腔鏡タワー、手術ロボット、内視鏡タワーなど)のための作業スペースを提供するように配置され得る。
【0070】
[0097]カートはまた、手順前、手順中および手順後に行われるような変化を可能にすることを含む、多数の位置、角度および配向に患者を提示および再配置することを可能にするために患者表面(例えば、テーブルまたはベッド)とともに機能することができる。これは、物理的/機械的相互運用性(例えば、ヒストトリプシー前、ヒストトリプシー中および/またはヒストトリプシー後のイメージングデータを収集するためのコーンビームCT作業空間内の互換性)を含む、使用の手順および/または環境をサポートするために、1つまたは複数の外部イメージングまたは画像データ管理および通信システム、限定されないが、超音波、CT、蛍光透視法、コーンビームCT、PET、PET/CT、MRI、光学、超音波、ならびに1つまたは複数のモダリティの画像融合およびまたは画像フローとインターフェースで連結し、通信する能力をさらに含み得る。
【0071】
[0098]一部の実施形態では、1つまたは複数のカートは一緒に機能するように構成され得る。例として、1つのカートは、治療トランスデューサー、および治療発生器/増幅器などとともに使用可能な1つまたは複数のロボットアームを備えたベッドサイドの可動式カートを含み得るが、患者と連携し、離れて機能する随伴するカートは、手術ロボットおよびマスター/スレーブ構成と同様のロボットおよび治療ファセットを制御するための統合されたイメージングおよびコンソール/ディスプレイを含み得る。
【0072】
[0099]一部の実施形態では、システムは、音響キャビテーション手順を行うように装備された、1つのマスターカートに対して全てスレーブである複数のカートを含み得る。一部の配置および場合では、あるカート構成により、離れた特定のサブシステムのストレージが可能になり、手術室の混乱を減少させ得るが、別の連携したカートは、本質的にベッドサイドのサブシステムおよび構成部分(例えば、送達システムおよび治療)を含み得る。
【0073】
[0100]カート設計の多数の変形および構成を想定することができ、これらの例は、決して本開示の範囲を限定するものではない。
ヒストトリプシー
[0101]ヒストトリプシーは、組織の標的とする分画および破壊を可能にする、高密度でエネルギー的な「バブルクラウド(bubble cloud)」を生成するための短く、高振幅の集束超音波パルスを含む。ヒストトリプシーは、組織/流体界面を含む、組織界面に向けられた場合、制御された組織浸食、ならびにバルク組織を標的とする場合、細胞内レベルで明確に区別された組織分画および破壊を生じさせることができる。熱および放射線ベースのモダリティを含むアブレーションの他の形態とは異なり、ヒストトリプシーは、組織を処置するために熱またはイオン化(高)エネルギーに依存しない。代わりに、ヒストトリプシーは、組織構造に機械的に影響を及ぼし、一部の場合、細胞内成分内で組織を液化、懸濁、可溶化、および/または破壊するために、焦点で生成された音響キャビテーションを使用する。
【0074】
[0102]ヒストトリプシーは、以下を含む種々の形態で適用され得る:1)固有の閾値のヒストトリプシー:媒体内にキャビテーションを生成するために固有の閾値を超える1~2サイクルの高振幅の負/引張相圧力でパルスを送る(例えば、水ベースの軟部組織の場合、約24~28MPa)、2)衝撃散乱ヒストトリプシー:典型的に、持続時間で3~20サイクルのパルスを送る。生成された最初の個々のマイクロバブルから散乱した衝撃波(正/圧縮相)は反転した衝撃波を形成し、これは入ってくる負/引張相と構造的に干渉して、固有の閾値を超える高振幅の負/希薄相を形成する。このように、キャビテーションマイクロバブルのクラスターが生成される。パルスの引張相の振幅は、媒体内のバブル核が、パルスの持続時間全体にわたって焦点ゾーン内で慣性キャビテーションを受けるのに十分である。これらの核は入射衝撃波を散乱させ、これを反転させ、固有の核生成についての閾値を超えるように入射波と構造的に干渉する。3)沸騰ヒストトリプシー:持続時間でおよそ1~20msのパルスを利用する。衝撃を受けたパルスの吸収は媒体を急速に加熱し、それによって固有の核についての閾値を低下させる。この固有の閾値が、入射波のピーク負圧と一致すると、沸騰バブルが焦点で形成する。
【0075】
[0103]焦点で生成された大きな圧力により、音響キャビテーションバブルのクラウドが、ある特定の閾値を超えて形成し、これにより、組織に局所的な応力および歪み、ならびに顕著な熱沈着なしで機械的分解を生じる。キャビテーションが生成されない圧力レベルでは、最小の効果が焦点の組織で観察される。このキャビテーション効果は、10~30MPaピーク負圧のオーダーで、同様のパルス持続時間について水中の慣性キャビテーション閾値を規定する圧力レベルより顕著に大きい圧力レベルのみで観察される。
【0076】
[0104]ヒストトリプシーは、複数の手段および異なるパラメーター下で実施され得る。これは、集束超音波トランスデューサーを患者の皮膚上に音響的にカップリングし、覆っている(および介入する)組織を介して焦点ゾーン(処置ゾーンおよび部位)に経皮的に音響パルスを送信することによって完全に非侵襲的に実施され得る。これは、ヒストトリプシーによって生成されたバブルクラウドを、例えば、その使用(および関連する手順)により連続した可視化を可能にするBモード超音波画像上で非常に動的なエコー源性領域として可視化できることを考慮して、超音波イメージングを介して、直接可視化の下で、さらに標的を定め、計画し、指示し、観察することができる。同様に、処置および分画された組織は、処置を評価し、計画し、観察し、モニタリングするために使用され得るエコー輝度の動的な変化(典型的には減少)を示す。
【0077】
[0105]一般に、ヒストトリプシー処置では、1つまたは複数の音響サイクルの超音波パルスが適用され、バブルクラウド形成は、最初に開始されたまばらに分布したバブル(または単一のバブル)からの正の衝撃波前面の圧力放出散乱(時折、100MPaを超える、P+)に依存する。これは、「衝撃散乱機構」と称される。
【0078】
[0106]この機構は、トランスデューサーの焦点において最初の負の半サイクルのパルスで開始された1つの(または少しのまばらに分布した)バブルに依存する。次いでマイクロバブルのクラウドは、これらのまばらに開始されたバブルからの高ピークの正の衝撃波前面の圧力放出後方散乱に起因して形成する。これらの後方散乱された高振幅の希薄波は固有の閾値を超えるので、局所的な高密度のバブルクラウドが生じる。次いで次の音響サイクルの各々が、トランスデューサーに向かって成長する、バブルクラウド表面からの後方散乱によってさらなるキャビテーションを誘導する。結果として、超音波伝播方向と反対側の音響軸に沿って成長した伸長した高密度のバブルクラウドは、衝撃散乱機構を伴って観察される。この衝撃散乱プロセスにより、バブルクラウド生成は、ピーク負圧だけでなく、音響サイクルの数および正の衝撃の振幅にも依存する。非線形伝播によって発生した少なくとも1つの強い衝撃波前面がなければ、ピークの負の半サイクルが固有の閾値を下回る場合、高密度のバブルクラウドは生成されない。
【0079】
[0107]2サイクル未満の超音波パルスが適用されると、衝撃散乱を最小限に抑えることができ、高密度のバブルクラウドの生成は、媒体の「固有の閾値」を超える負の半サイクルの適用される超音波パルスに依存する。これは、「固有の閾値機構」と称される。
【0080】
[0108]この閾値は、人体の組織などの、水分含量の多い軟部組織の場合、26~30MPaの範囲であり得る。一部の実施形態では、この固有の閾値機構を使用して、病変の空間的範囲を明確に規定し、より予測可能にすることができる。ピーク負圧(P-)がこの閾値より顕著に高くないと、トランスデューサーの-6dBビーム幅の半分ほどの大きさのサブ波長の再現可能な病変が生成され得る。
【0081】
[0109]高周波ヒストトリプシーパルスを用いると、最小の再現可能な病変のサイズが小さくなり、これは、正確な病変生成を必要とする適用において有益である。しかしながら、高周波パルスは、減衰および収差の影響をより受けやすく、より深い侵入深さ(例えば、身体におけるアブレーション深さ)での処置、または高度に収差のある媒体(highly aberrative medium)(例えば、経頭蓋手順、またはパルスが骨を通して送信される手順)を介する処置が問題のあるものになる。ヒストトリプシーはさらに、高周波「プローブ」パルス(典型的に、2サイクル未満であり、2MHzより大きい周波数を有するか、または2MHz~10MHzの範囲である)と一緒に適用され得る、低周波「ポンプ」パルス(典型的に、2サイクル未満であり、100kHz~1MHzの周波数を有する)としても適用され得、低および高周波パルスのピーク負圧は構造的に干渉して、標的組織または媒体において固有の閾値を超える。減衰および収差により耐性がある低周波パルスは、関心領域(ROI)についてのピーク負圧P-レベルを上昇させることができるが、十分な正確さを提供する高周波パルスは、ROI内の標的化された位置を正確に示し、ピーク負圧P-を固有の閾値より上に上昇させることができる。このアプローチは、「二重周波数」、「二重ビームヒストトリプシー」または「パラメトリックヒストトリプシー」と称され得る。
【0082】
[0110]衝撃散乱、固有の閾値、ならびに周波数合成およびバブル操作を可能にする種々のパラメーターを使用した、最適化されたヒストトリプシーを送達するためのさらなるシステム、方法およびパラメーターは、焦点の操縦および位置決め、ならびに処置部位または介入する組織内での組織への影響(例えば、焦点化前(prefocal)の熱に付随する損傷)の同時管理に関する前記ヒストトリプシー効果を制御するさらなる手段を含む、本明細書に開示されるシステムおよび方法の一部として本明細書に含まれる。さらに、限定されないが、周波数、動作周波数、中心周波数、パルス繰り返し周波数、パルス、バースト、パルスの数、サイクル、パルスの長さ、パルスの振幅、パルス周期、遅延、バースト繰り返し周波数、前者のセット、複数のセットのループ、複数および/または異なるセットのループ、ループのセット、ならびにそれらの種々の組合せまたは変形などの複数のパラメーターを含み得る、種々のシステムおよび方法が、このようなものの将来の想定される実施形態を含む、本開示の一部として含まれることが開示される。
【0083】
治療コンポーネント
[0111]治療サブシステムは、本明細書および以下において「ヒストトリプシー」、ならびに沸騰ヒストトリプシーおよび他の熱高周波超音波アプローチを含む、その派生物とも称される音響キャビテーションを創出、最適化、送達、可視化、モニタリング、および制御するための他のサブシステムと一緒に機能し得る。また、開示された発明は、キャビテーション、機械的またはヒストトリプシーコンポーネントを含まない他の音響治療にさらに利益をもたらし得ることに留意されたい。治療サブシステムは、いくつかある特徴の中で特に、超音波治療トランスデューサーおよび超音波パルスを組織に送達するように構成されるパルス発生器システムを含み得る。
【0084】
[0112]ヒストトリプシーおよびヒストトリプシーの派生物を創出および送達するために、治療サブシステムはまた、限定されないが、1つまたは複数の関数発生器、増幅器、治療トランスデューサーおよび電源を含むコンポーネントも含み得る。
【0085】
[0113]治療トランスデューサーは、高振幅電気パルス(1000V超または生物に害を及ぼす可能性がある任意の他の電圧)で励起されるように構成される単一のエレメントまたは複数のエレメントを含み得る。ヒストトリプシーについての治療トランスデューサーを駆動するのに必要な振幅は、トランスデューサーの設計、および使用される材料(例えば、固体またはセラミックもしくは単結晶を含むポリマー/圧電複合材料)、および圧電材料の厚さに正比例するトランスデューサーの中心周波数に応じて変化する。したがって、高周波数で動作するトランスデューサーは、低周波治療トランスデューサーによって必要とされるよりも、所与の表面圧力を生成するためにより低い電圧を必要とする。一部の実施形態では、圧電性ポリマー複合材料または固体圧電材料を使用してトランスデューサーエレメントが形成される。さらに、圧電材料は、多結晶/セラミックまたは単結晶配合物であり得る。一部の実施形態では、CMUTおよびPMUT設計を含む、MEM技術を使用するシリコンを使用してトランスデューサーエレメントが形成され得る。
【0086】
[0114]一部の実施形態では、関数発生器は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他の適切な関数発生器を含み得る。FPGAは、限定されないが、周波数、パルス繰り返し周波数、バースト、バースト数を含む、本明細書において以前に開示されたパラメーターで構成され得、バーストは、パルス、パルスの数、パルスの長さ、パルス周期、遅延、バースト繰り返し周波数または周期を含み得、バーストのセットは、パラメーターセットを含み得、ループのセットは、遅延を含むもしくは含まない種々のパラメーターセット、または様々な遅延を含み得、複数のループのセットが繰り返されてもよく、ならびに/または、様々な時間遅延の独立して制御された新しいループのセット、ならびにこのようなものの種々の組合せおよび順列の新しいループのセットが、全体的におよび全体を通して導入されてもよい。
【0087】
[0115]一部の実施形態では、発生器または増幅器は、普遍的な単一サイクルまたは複数サイクルのパルス発生器であり、クラスDまたは誘導駆動を介する駆動をサポートするように、また、本開示の後の部分にも論じられている、全ての想定される臨床用途、使用環境にわたるように構成され得る。他の実施形態では、クラスDまたは誘導電流ドライバは、ステップアップ/ダウンコンポーネントをさらに提供するために、一部の場合、好ましくは、振幅のステップを可能にするために、変圧器および/または単巻変圧器駆動回路を含むように構成され得る。これらはまた、システムをさらにサポートし、限定されないが、使用環境、システムおよび治療システム、ならびにユーザーに、損害、損傷または問題をもたらす可能性があり得る、電気安全上の危険を含む種々の危険から、システムの他のパーツ(例えば、治療トランスデューサーおよび/または増幅器回路コンポーネント)、および/またはユーザーを保護する能力を提供するために、特定の保護機能も含み得る。
【0088】
[0116]開示された発生器は、システムが、限定されないが、以前に開示されたものを含む、種々のパラメーターを(可能なソフトウェアツールを介して)選択、変更および制御する能力、ならびに治療を開始/停止する能力、電圧レベル、パルスおよび/またはバースト繰り返し周波数、サイクルの数、デューティ比、チャンネルの有効化および遅延などを設定および読み取る能力、高圧電源とは無関係に速いタイムスケールでパルス振幅、および/または他のサービス、診断もしくは処置の特徴を調節する能力を可能にし、サポートすることができる。
【0089】
[0117]一部の実施形態では、増幅器などの治療サブシステムおよび/またはコンポーネントは、さらに統合されたコンピューター処理能力を含んでもよく、ネットワーク化、接続、アクセスされてもよく、および/または取り外し可能/携帯可能、モジュール式、および/またはシステム間で交換可能、および/または他のシステムから/他のシステムによって駆動/命令されてもよく、または種々の組合せであってもよい。他のシステムは、他の音響キャビテーション/ヒストトリプシー、HIFU、HITU、放射線治療、無線周波数、マイクロ波、および冷凍アブレーションシステム、ナビゲーションおよびローカリゼーションシステム、腹腔鏡、単一切開/単一ポート、内視鏡および非侵襲的手術ロボット、他のエネルギーベースまたは視覚システムを含む腹腔鏡または手術タワー、手術システムラックまたはブーム、イメージングカートなどを含み得る。
【0090】
[0118]一部の実施形態では、1つまたは複数の増幅器は、クラスD増幅器およびマッチングネットワークコンポーネントを含む関連する駆動回路を含み得る。トランスデューサーエレメント電気インピーダンスおよびマッチングネットワークコンポーネント(例えば、直列のインダクタL1および並列のコンデンサC1から構成されるLC回路)の選択に応じて、結合インピーダンスが、トランスデューサーエレメントを駆動するために必要な高振幅の電気波形を有するように積極的に低く設定され得る。クラスD増幅器の最大振幅は、駆動MOSFET/IGBTトランジスタ、マッチングネットワークコンポーネントまたはインダクタ、および変圧器または単巻変圧器を含む、使用される回路コンポーネントに依存し、それの中には、典型的に低いkV(例えば、1~3kV)の範囲であり得るものがある。
【0091】
[0119]治療トランスデューサーエレメントは、ヒストトリプシー治療に十分な圧力出力を生成するための振幅(電圧)を有する電気波形で励起される。励起電場は、圧電素子の厚さ当たりの必要な波形電圧として規定され得る。例えば、1MHzのトランスデューサーで動作する圧電素子は、同等の500kHz素子の厚さの半分であるので、それは、同じ電場および表面圧力を達成する電圧の半分を必要とする。
【0092】
[0120]ヒストトリプシー治療のための治療トランスデューサーを十分に駆動するために、他の実施形態では、増幅器は、従来の増幅器回路コンポーネントの動作限界を超える電圧を生成することが必要とされ得る。例えば、ヒストトリプシー治療のために超音波トランスデューサーを励起するように構成される誘導ドライバ回路が提供され得る。誘導ドライバ回路を用いると、治療トランスデューサーエレメントは、最大でおよそ3kVピーク正または最大で約4.5kVピーク間で駆動され得る。これらの電圧は、例えば、1MHzで動作する治療トランスデューサーには十分であり得るが、500kHzのトランスデューサーでは十分でない場合がある。誘導ドライバのこの例の最大駆動電圧は、IGBTトランジスタQ1の最大動作電圧およびそのスイッチング時間によって制限される。現在利用可能な誘導駆動回路について最高の性能を有するIGBTトランジスタは、最大で3kVの定格である。トランジスタが進歩するにつれて、この駆動電圧は向上し得ることは理解されるべきである。
【0093】
[0121]上記の誘導駆動回路はまた、組織内で減少した熱効果を生じる、より小さい/より正確なバブルクラウドを生成する能力(すなわち、マイクロトリプシー(microtripsy))などを含む、多くの利点を、より高周波のトランスデューサーに提供する。
【0094】
[0122]治療サブシステムはまた、種々の手順(および手順状況)での使用をサポートする、種々の設計および加工パラメーターの治療トランスデューサーを含み得る。システムは、さらに交換可能であり得、同様または異なる手段でシステムの種々の態様と機能し得る1つまたは複数の治療トランスデューサーを伴って構成され得る(例えば、共通のインターフェースおよび交換機能を使用してロボットアームにインターフェースで連結することができるか、または逆に、アプリケーション特有のイメージングプローブと異なって機能するように適応させることができ、異なるイメージングプローブは、特に異なる手段で治療トランスデューサーとインターフェースで連結し、統合することができる)。
【0095】
[0123]治療トランスデューサーは、サイズ、形状(例えば、長方形または円形、解剖学的に湾曲したハウジングなど)、幾何学的形状、焦点距離、エレメントの数、エレメントのサイズ、エレメントの分布(例えば、環状パターン化トランスデューサーについてのリングの数、リングのサイズ)、周波数、電子ビーム操縦の有効化などを含み得る種々のパラメーターから構成され得る。トランスデューサーは、種々の材料(例えば、圧電性、シリコンなど)、フォームファクタおよびタイプ(例えば、機械加工エレメント、チップベースなど)から構成されてもよく、および/または種々の製造方法によって構成されてもよい。
【0096】
[0124]トランスデューサーは、臨床用途(例えば、腹部腫瘍、末梢血管疾患、脂肪アブレーションなど)および所望の結果(例えば、介入組織に熱損傷を伴わない音響キャビテーション/ヒストトリプシー)のために設計され、最適化され得、比較的浅く、表面の標的(例えば、甲状腺または乳房結節)、それに対して、肝臓の中心または脳腫瘍などの到達するのにより深いまたはより硬い標的を含む、作業範囲の幅を与えることができる。それらは、限定されないが、周波数、パルス繰り返し率、パルス、パルスの数、パルスの長さ、パルス周期、遅延、繰り返し、同期遅延、同期周期、同期パルス、同期パルス遅延、種々のループ設定、その他、および変形を含む、上述のシステムコンポーネント(例えば、関数発生器および増幅器など)によって有効にされるような、種々のパラメーターおよび設定下で音響キャビテーション/ヒストトリプシーを有効にするように構成され得る。
【0097】
統合されたイメージング
[0125]開示されたシステムは、ユーザーが、患者の解剖学的構造、関連する関心領域および処置/手順部位のフィードバックを可視化、モニタリングおよび収集/使用することができ、ならびに周囲および介入組織にアクセスし、手順を計画し、行い、必要に応じて処置パラメーターを調整することができる種々のイメージングモダリティを含み得る。イメージングモダリティは、種々の超音波、x線、CT、MRI、PET、蛍光透視法、光学、造影剤もしくは薬剤を増強する型、および/またはそれらの種々の組合せを含み得る。種々の画像処理および特徴付け技術もまた、強化された可視化およびユーザーの意思決定を与えるために利用され得ることがさらに開示される。これらは、ユーザーによって手動で、またはシステムによって自動化された様式で選択または命令され得る。システムは、サイドバイサイド、トグリング、オーバーレイ、3D再構成、セグメンテーション、レジストレーション、マルチモーダル画像融合、画像フロー、ならびに/またはユーザーインターフェースおよびディスプレイの種々のシステムにおいて表示されるように、ユーザーが、手順の間にイメージングを使用する種々の態様を識別、規定および通知することを利用可能にする任意の方法論を可能にするように構成され得る。例には、臓器または組織の中、上にあるおよび/または周囲の関心領域、臓器系、潜在的な処置部位の位置特定、表示および特徴付け、管、血管、神経、尿管、亀裂、被膜、腫瘍、組織外傷/損傷/疾患、他の臓器、結合組織など、ならびに/または互いに対する文脈において、限定されない例として、1つまたは複数(例えば、腫瘍排出リンパ管もしくは血管系;または臓器被膜もしくは下層の他の臓器に近接する腫瘍)のものなどの重要な構造の識別が含まれ得る。
【0098】
[0126]システムは、オンボードの統合されたイメージングハードウェア、ソフトウェア、センサ、プローブおよびウェットウェアを含むように構成され得、ならびに/または外部イメージングおよび画像処理システムと通信し、インターフェースで連結するように構成され得る。上述のコンポーネントはまた、システムの治療サブシステムコンポーネントに統合され得、プローブ、イメージングアレイなどが、治療トランスデューサーに電気的、機械的または電気機械的に統合される。これにより、幾何学的にアラインされたイメージングならびに視野内での直接的な治療、一部の場合、イメージングと一致する治療を行う能力が部分的に与えられ得る。一部の実施形態では、この統合は、治療トランスデューサーに対する文脈においてイメージング能力(例えば、イメージングプローブ)の固定された配向を含み得る。他の実施形態では、アクティブにイメージングしている間に動的に移動/調整することを含む、角度、拡張(例えば、治療トランスデューサーまたは患者からの距離)、回転(例えば、超音波プローブの例ではイメージング面)および/または他のパラメーターを変更することを含む、イメージングソルーションにより、その位置を移動または調整することが可能になり得る。イメージングコンポーネントまたはプローブは、治療トランスデューサー、および/またはロボットにより使用可能な位置決めコンポーネントなどのシステムの別の態様に対するその配向および位置を決定できるようにコード化され得る。
【0099】
[0127]一実施形態では、システムは、ユーザーが、全てリアルタイムで、超音波イメージングおよび特徴付け(およびその種々の形態)、超音波ガイド下プランニング、ならびに超音波ガイド下処置を可能にすることを含む、システムディスプレイおよびソフトウェアを介して手順部位についてのフィードバックを可視化、モニタリングおよび受信できるようにさらに構成されるオンボードの超音波を含み得る。システムは、ユーザーが、手動、半自動または完全に自動化された手段で(例えば、手動によりまたはロボットにより使用可能なイメージャを使用することによって)、患者を撮像することができるように構成され得る。
【0100】
[0128]一部の実施形態では、イメージングのフィードバックおよびモニタリングは、以下の変化のモニタリングを含み得る:バブルクラウドからの後方散乱;後方散乱のスペックル低減;後方散乱スペックル統計;組織の機械的特性(すなわち、エラストグラフィー);組織灌流(すなわち、超音波コントラスト);せん断波伝搬;音響放出、電気インピーダンストモグラフィー、および/または他の形態のイメージング(例えば、CTまたはMRI)による表示または統合のようなものを含む、それらの種々の組合せ。
【0101】
[0129]一部の実施形態では、バブルクラウドからの後方散乱からのフィードバックおよびモニタリングを含むイメージングは、ヒストトリプシープロセスが開始されたか、適切に維持されているか、またはさらに終了したかどうかを即座に決定するための方法として使用され得る。例えば、この方法は、薬物送達、組織浸食などをリアルタイムで連続的にモニタリングすることを可能にする。この方法はまた、ヒストトリプシープロセスが、より高い強度で開始し、はるかに低い強度で維持することを可能にするフィードバックを提供することができる。例えば、後方散乱フィードバックは、任意のトランスデューサーまたは超音波イメージャによってモニタリングされ得る。治療トランスデューサーについてのフィードバックを測定することによって、補助的なトランスデューサーが、質問パルスを送信することができるか、またはキャビテーションを受動的に検出するように構成され得る。さらに、受信されたフィードバックの性質が、薬物送達および/または組織浸食プロセスを最適化するために音響パラメーター(および関連するシステムパラメーター)を調整するために使用され得る。
【0102】
[0130]一部の実施形態では、後方散乱およびスペックル低減からのフィードバックおよびモニタリングを含むイメージングが、システム内で構成され得る。
[0131]後方散乱を介するフィードバックおよびモニタリングを含むシステムに関して、ならびにバックグラウンドの手段として、組織が徐々に機械的に細分化、つまり、組織が均質化、破壊、または浸食されると、このプロセスは、音響散乱のサイズおよび分布の変化をもたらす。プロセスのある時点で、散乱粒子サイズおよび密度は、超音波がほとんど散乱しないレベルまで低減するか、または散乱する量が大幅に低減する。これにより、スペックルが大幅に低減し、このスペックルは、コヒーレント光源、この場合、超音波を使用した場合に画像に見られる明るいおよび暗いスポットのコヒーレントな構造的および破壊的な干渉パターンである。いくらかの処置時間の後、スペックル低減により、治療体積に暗い領域が生じる。スペックル低減の量は組織細分化の量に関連するので、それは、残りの組織断片のサイズに関連する可能性がある。このサイズが細胞内レベルまで低減すると、生存している細胞は存在しないと推定される。したがって、所望のスペックル低減レベルが達成されるまで処置は継続することができる。スペックルは、標準的な超音波イメージングシステムにおいて容易に見られ、評価される。本明細書に開示されたものを含む、専用のトランスデューサーおよびシステムもまた、後方散乱の変化を評価するために使用され得る。
【0103】
[0132]さらに、スペックルを介するフィードバックおよびモニタリングを含むシステムに関して、ならびにバックグラウンドの手段として、散乱分布が変化せず、撮像された対象物が動かない限り、画像はフレームごとに持続し得、ほとんど変化しない場合がある。しかしながら、散乱が、スペックル低減を引き起こすサイズに十分に低減されるかなり前に、それらは、シグナル処理および他の手段によって検出されるように十分に変化し得る。この一群の技術は、スペックル統計変化の検出器として動作し得る。例えば、画像内の1つまたは複数のスペックルのサイズおよび位置は、観察可能なスペックル低減が発生する前に相関関係がなくなり始める。適切な動き補償の後、スペックル非相関化は、組織の機械的破壊の高感度の尺度となり得るので、治療効果の尺度となり得る。このフィードバックおよびモニタリング技術により、音響キャビテーション/ヒストトリプシープロセスに起因する変化の早期観察が可能になり得、実質的または完全な組織への影響(例えば、浸食が発生する)の前に組織の変化を識別することができる。一実施形態では、この方法は、処置部位/組織が一時的に破壊され、組織損傷/浸食が望まれない場合の薬物送達を強化するための音響キャビテーション/ヒストトリプシープロセスをモニタリングするために使用され得る。他の実施形態では、これは、次第に流動化する治療体積における散乱の動きによるスペックル非相関化を含み得る。例えば、部分的または完全な組織浸食が望まれる場合である。
【0104】
[0133]エラストグラフィーを介するフィードバックおよびモニタリングを含むシステムに関して、ならびにバックグラウンドの手段として、処置部位/組織が、音響キャビテーション/ヒストトリプシー効果(均質化、破壊、または浸食)によってさらに細分化されると、その機械的特性は、軟質であるが、相互接続した固体から、長距離相互作用がほとんどない粘性のある流体またはペーストに変化する。これらの機械的特性の変化は、MRIおよび超音波イメージングシステムを含む、種々のイメージングモダリティによって測定され得る。例えば、超音波パルスは、局所的な組織体積に対する力(すなわち、放射力)を生成するために使用され得る。組織応答(変位、歪み、および速度)は、ヒストトリプシー処置の間、大幅に変化する可能性があるので、イメージングまたは他の定量的手段によって組織破壊の状態を判断することを可能にする。
【0105】
[0134]システムはまた、せん断波伝搬の変化を介するフィードバックおよびモニタリングを含み得る。バックグラウンドの手段として、組織の細分化により、組織はより流動的になり、固体が少なくなり、流動系は概してせん断波を伝搬しない。したがって、組織流動化の程度により、ヒストトリプシープロセスのフィードバックおよびモニタリングについての機会が提供される。例えば、超音波およびMRIイメージングシステムは、せん断波の伝搬を観察するために使用され得る。処置体積におけるこのような波の消滅は、組織破壊または崩壊の尺度として使用される。システムの一実施形態では、システムおよびサポートサブシステムは、相互作用するせん断波を生成し、測定するために使用され得る。例えば、2つの隣接する超音波焦点は、ある特定の手段で組織を押すことによって組織を混乱させる可能性がある。隣接する焦点が流体内にある場合、せん断波が伝搬して互いに相互作用することはない。組織が流動化しない場合、相互作用は、外部手段、例えば、2つのせん断波が非線形的に相互作用する場合にのみ検出される差周波数によって検出され、それらの消失は組織損傷に相関する。このように、システムは、音響キャビテーション/ヒストトリプシー手順のフィードバックおよびモニタリングを強化するためにこのモダリティを使用するように構成され得る。
【0106】
[0135]音響放出を介するフィードバックおよびモニタリングを含むシステムに関して、ならびにバックグラウンドの手段として、組織体積が細分化されると、音響キャビテーション/ヒストトリプシー(例えば、ここではバブルクラウド)に対するその効果は変化する。例えば、バブルは、より大きく成長し、異なる寿命を有し、流動化組織に対して無傷の組織において変化する特性を崩壊させる場合がある。組織が細分化された後、バブルはまた、移動し、相互作用する場合があるので、より大きなバブルまたはバブル間の共同的相互作用が生じ、これらの全ては音響放出の変化をもたらす可能性がある。これらの放出は、処置の間に分かることができ、それらは処置の間に変化する。これらの変化、および治療効果とのそれらの相関関係の解析により、治療の進行のモニタリングが可能になり、システムの機能として構成され得る。
【0107】
[0136]電気インピーダンストモグラフィーを介するフィードバックおよびモニタリングを含むシステムに関して、ならびにバックグラウンドの手段として、治療部位全体にわたる空間的電気特性に基づいて治療部位のインピーダンスマップが生成され得る。患者の治療部位の導電率または誘電率のイメージングは、得られた皮膚表面電気測定から推測され得る。導電性電極が患者の皮膚に取り付けられ、微小交流電流が電極の一部または全てに印加される。1つまたは複数の既知の電流が表面に注入され、電極を使用して複数の点において電圧が測定される。このプロセスは、印加電流の異なる構成に対して繰り返され得る。結果として得られた画像の解像度は、利用される電極の数を変更することによって調整され得る。皮膚表面内の治療部位の電気特性の尺度はインピーダンスマップから取得され得、音響キャビテーション/ヒストトリプシー(例えば、具体的には、バブルクラウド)の変化および位置、ならびにヒストトリプシープロセスは、システムおよびサポートサブシステムにおいて構成されるようにこれを使用してモニタリングされ得る。
【0108】
[0137]ユーザーはさらに、種々の関心領域または処置部位、および規定された処置標的(画像上)を選択し、注釈付け、マークし、強調し、および/または輪郭を描くことが可能になり得、それらのうちのものを使用して、システムソフトウェアおよびユーザーインターフェースおよびディスプレイによって、撮像、試験および/または処置する場所をシステムに命令および指示することができる。一部の配置では、ユーザーは、手順を行うために手動の超音波プローブ(例えば、診断ハンドヘルドプローブ)を使用することができる。別の構成では、システムは、システムによって指示および/もしくは自動化されるように、手順を行うためにロボットおよび/もしくは電気機械的位置決めシステムを使用することができるか、または逆にシステムは、手動および自動化された使用の組合せを可能にすることができる。
【0109】
[0138]システムは、処置部位(例えば、腫瘍、重要な構造、骨の解剖学的構造、解剖学的構造およびそれらの識別した特徴など)を含む、患者に対するシステムのナビゲーションおよびローカリゼーションを可能にするためのイメージングおよび画像データセットのレジストレーションを含む、画像レジストレーションを行う能力をさらに含み得る。一実施形態では、システムは、ユーザーが、統合された超音波を使用して関心領域、例えば、肝臓を撮像し、識別すること、ならびにシステムソフトウェアを通して/システムソフトウェアに表示された肝臓内に含まれる腫瘍(またはその代理マーカー)を選択し、マークすることを可能にし、前記システムは、システムによって規定された座標系に画像データを登録し、システムの治療およびロボットサブシステムが、同期した音響キャビテーション/ヒストトリプシーを前記マークされた腫瘍に送達することをさらに可能にする。システムは、以前に開示されたものを含む、種々の画像セットを互いに登録する能力、ならびに(例えば、前記画像を追跡する治療トランスデューサーおよびロボットサブシステムを伴って、CTまたはMRI/超音波融合画像への治療トランスデューサーの)ナビゲーションおよびローカリゼーションを利用可能にする能力を含み得る。
【0110】
[0139]システムはまた、単独および他のシステム(外科的/腹腔鏡タワー、視覚システム、内視鏡システムおよびタワー、超音波により有効化された超音波内視鏡(柔軟性および剛性)、経皮的/内視鏡的/腹腔鏡的および低侵襲ナビゲーションシステム(例えば、光学、電磁気、形状感知、超音波有効化など)と一緒を含む、様々な介入、内視鏡的および外科的環境において機能する能力を含み得、それらのうちのものはまた、種々の光学イメージング機能(例えば、ファイバーおよびまたはデジタル)と機能し得るか、または含み得る。開示されたシステムは、これらのシステムと機能するように、一部の実施形態では、それらと連携して一緒に機能するように構成され得るか、または他の実施形態では、システムの全てまたは一部は、上記のシステム/プラットフォーム(例えば、音響キャビテーション/ヒストトリプシーにより有効な内視鏡システムまたは腹腔鏡手術ロボット)に統合され得る。これらの環境の多くでは、治療トランスデューサーは、例えば、光学誘導内視鏡/気管支鏡の使用時もしくは使用時付近に利用され得るか、または別の例として、腹腔鏡ロボット(例えば、Intuitive Da Vinci*Xiシステム)が、組織/処置部位を調査/操作している時点に利用され得る。さらに、これらの実施形態および例は、前記他のシステム/プラットフォームが、通常の条件下では存在し得ない場合である、人工の音響窓の創出を可能にするために流体を(局所的に)送達するために使用される場合を含み得る(例えば、非侵襲性経胸壁処置(例えば、患者上/周囲に外部から配置されるトランスデューサー)による音響キャビテーション/ヒストトリプシーに備えて肺の断片または葉を流動化する)。本明細書に開示されたシステムはまた、本明細書に記載される他のシステムカート/コンソール/システム(例えば、音響キャビテーション/ヒストトリプシーシステムおよび/または統合され、前記ナビゲーションもしくは腹腔鏡システムから操作されるサブシステム)内にパッケージ化されるこれらのサブシステムハードウェアの全てまたは一部を含み得る。
【0111】
[0140]システムはまた、組織/バブルクラウド相互作用から処置中/処置後に得られた組織への影響を含む、時空間的にバブルクラウドのリアルタイムの可視化を表示するように、種々の上述のパラメーターおよび他のパラメーターを介して構成され得、システムは、バブルクラウド、およびそれに対するいずれかの変化(例えば、エコー輝度の減少または増加)を動的に撮像し、可視化し、表示し得、これは、強度、形状、サイズ、位置、形態、持続性などを含み得る。これらの機能により、ユーザーは、1つの統合された手順およびインターフェース/システムにおいてリアルタイムで処置を連続して追跡および追求することが可能になり得、オンザフライで処置の安全性および有効性を確認することができる(同一のものを達成するために複数の手順を必要とする他の介入または外科的モダリティと比べて、または処置効果がリアルタイムで可視化されない場合(例えば、放射線治療)、またはこのようなもの(例えば、熱アブレーション中の局所組織のリアルタイム可視化)を達成することができない場合、ならびに/または他の手順が、侵襲的アプローチ(例えば、切開または穿刺)および処置ステップの間のスキャナーの反復イメージング(例えば、CTまたはMRIスキャニング)をさらに必要とする場合と比べて。上記の開示されたシステム、サブシステム、コンポーネント、モダリティ、機能およびワークフロー/使用方法は、ハードウェア、ソフトウェア、ユーザーインターフェースおよび使用環境を有効にすることにより、制限されない様式で実装され得、この分野におけるさらなる改善、強化および創造、ならびに得られたデータおよび解析のために前記データを使用する手段、人工知能またはデジタルヘルスアプリケーションおよびシステムのいずれも、本開示の範囲内に含まれるとみなされる。
【0112】
ロボティクス
[0141]システムは、限定されないが、1つまたは複数のロボットアームおよびコントローラーを含む、種々のロボットサブシステムおよびコンポーネントを含み得、それらは、音響キャビテーション/ヒストトリプシーを送達およびモニタリングするために他のサブシステムまたはシステムのコンポーネントとさらに機能し得る。本明細書に以前に論じられているように、ロボットアームおよび制御システムは、1つまたは複数のカート構成に統合され得る。
【0113】
[0142]例えば、システムの一実施形態は、統合されたロボットアームおよび制御システムを備えるカート、ならびに治療、統合されたイメージングおよびソフトウェアを含み得、ロボットアームおよび他の列挙されたサブシステムは、単一のベッドサイドカートのフォームファクタを通じてユーザーによって制御される。
【0114】
[0143]他の実施形態では、ロボットサブシステムは、別個のマスターまたはカートからマスター/スレーブ構成において駆動され得る1つまたは複数の別個のカート内で構成され得、ロボットにより使用可能なカートは位置決めされたベッド/患者の側にあり、マスターは前記カートから離れている。
【0115】
[0144]開示されたロボットアームは、複数のジョイント、セグメント、および自由度から構成され得、種々の用途および安全性の機能のために実装された種々の統合されたセンサタイプおよびエンコーダーも含み得る。センシング技術およびデータは、例として、ビジョン、ポテンショメータ、位置/ローカリゼーション、運動学、力、トルク、速度、加速度、動的負荷、および/またはその他を含み得る。一部の場合、センサは、ユーザーが、ロボットコマンド(例えば、ハンドジェスチャーによりロボットを好ましいセットアップ位置にするか、またはホームにドッキングすること)を指示するために使用され得る。ロボットアームに関するさらなる詳細は、Kassowらの米国特許公開第2013/0255426号に見出され得、これはその全体が参照により本明細書に開示される。
【0116】
[0145]ロボットアームは、カートに収容され得る、ロボット制御システムから制御シグナルおよびコマンドを受信する。システムは、限定されないが、位置、トラッキング、パターン、トリガリング、およびイベント/アクションを含む、種々の機能性を提供するように構成され得る。
【0117】
[0146]位置は、固定位置、パレット位置、時間制御位置、距離制御位置、可変時間制御位置、可変距離制御位置を含むように構成され得る。
[0147]トラッキングは、時間制御トラッキングおよび/または距離制御トラッキングを含むように構成され得る。
【0118】
[0148]動きのパターンは、空間内の規定されたパスを介して、中間位置またはウェイポイント、および一連の位置を含むように構成され得る。
[0149]トリガーは、本明細書に開示されたもの、ならびに限定されないが、ビジュアル/イメージングベース、力、トルク、ローカリゼーション、エネルギー/パワーフィードバックおよび/またはその他を含む、距離測定手段、時間、および/または種々のセンサ手段を含むように構成され得る。
【0119】
[0150]イベント/アクションは、近接ベース(標的対象物への接近/離脱)、種々のエンドエフェクター(例えば、治療トランスデューサー)のアクティブ化または非アクティブ化、前記イベントのシーケンスの開始/停止/休止、イベント/アクションのトリガーの間のトリガリングまたはスイッチング、動きのパターンの開始および動きのパターンの間の変化/トグリング、ならびに/または規定された作業および時間空間にわたる時間ベースおよび時間を含む、種々の例を含むように構成され得る。
【0120】
[0151]一実施形態では、システムは、ユーザーが(システムのソフトウェアおよび関連するユーザーインターフェースを介して)、X、Y、およびZ座標系を介して治療トランスデューサーをマイクロ位置決めすることを可能にし得る、3自由度のロボット位置決めシステムを含み、トランスデューサーの全体的なマクロ位置決め(例えば、トランスデューサーを患者の身体にアラインする)は、手動で完了する。一部の実施形態では、ロボットは、X、Y、Z、ならびにピッチ、ロールおよびヨーを含む6自由度を含み得る。他の実施形態では、ロボットサブシステムは、ロボットアームサポートベースを、患者表面の全体的な方向に対して平行に走る直線軸に沿って位置決めすることを可能にする、および/またはサポートベースの高さを、上下に調節することを可能にする、さらなる自由度を含み得るので、ロボットアームの位置を、患者、患者表面、カート、カップリングサブシステム、追加のロボット/ロボットアーム、ならびに/または限定されないが、手術タワー、イメージングシステム、内視鏡/腹腔鏡システム、および/もしくはその他を含む、追加の手術システムに対して変更することを可能にする。
【0121】
[0152]1つまたは複数のロボットアームはまた、手動または半手動でアーム位置を操作および変更する際に補助するための種々の機能を含み得、それらのうちの前記機能は、治療トランスデューサーおよびロボットアームの最遠位ジョイント上またはそれらの間でインターフェースで連結することができる。一部の実施形態では、機能は、1つまたは複数の手で操作および手動制御を可能にするハンドルを含むように構成される。ハンドルはまた、ロボットアームのユーザー入力および電子制御機能を含み、種々の駆動能力またはモードを命令し、ロボットを作動させて、アームの全体的または微細な位置決めを補助する(例えば、自由駆動モードをアクティブ化または非アクティブ化する)ように構成され得る。ロボットアームおよび治療ヘッドの初期位置決めについてのワークフローは、カップリングソルーションにおいて治療トランスデューサー/ヘッドを最初に位置決めすることを可能にするように構成され得、治療トランスデューサーは、アームに直接インターフェースで連結されるか、または異なるワークフローでは、ユーザーが、カップリングソルーションを最初にセットアップすることを可能にし、ロボットアームを、後/端末セットアップステップとして治療トランスデューサー/カップリングソルーションにインターフェースで連結することを可能にする。
【0122】
[0153]一部の実施形態では、ロボットアームは、腹腔鏡、単一ポート、内視鏡、ハイブリッドもしくはそれらの組合せ、および/または他のロボット上にロボットアームを含み得、システムの前記ロボットは、前記アーム、および可能な場合、1つまたは複数の腹腔鏡アーム(および器具)および種々のヒストトリプシーシステムコンポーネントを作動させることを含む、他のタスク(ビジョン、イメージング、把持、切断、結紮、封止、閉鎖、ステープリング、アブレーティング、縫合、マーキングなど)を同時に実行するために備えている複数の他のアームを制御するマスターに対するスレーブであり得る。例えば、腹腔鏡ロボットは、より理想的な音響アクセスを提供するために臓器位置を操作し、一部の場合、呼吸運動を最小限にするために前記臓器をさらに安定化させることを含む、手術部位を準備するために利用され得る。これと同時および並行して、第2のロボットアームが、治療トランスデューサー(例えば、超音波)からのリアルタイムイメージング下、および腹腔鏡カメラを介する同時可視化で観察されるように、体腔を介して非侵襲的音響キャビテーションを送達するために使用され得る。他の関連する態様では、同様のアプローチが、内視鏡的および非侵襲的アプローチの組合せ、ならびにさらに内視鏡的、腹腔鏡的および非侵襲的アプローチの組合せで利用され得る。
【0123】
カップリング
[0154]システムは、様々なカップリングサブシステムの実施形態を含み得、それらの中には、効果的な音響キャビテーション/ヒストトリプシーを与える(例えば、トランスデューサーと患者との間の音響媒体を提供し、それをサポートする)ために患者への音響カップリングを可能にするように有効化され、構成されるものがある。これらは、開放型および閉鎖型のソルーション、ならびに音響媒体上の動的制御(例えば、温度、溶存ガス含有量、粒子濾過のレベル、無菌性など)を可能にするように構成され得る一部の配列を含む、このようなものの異なるフォームファクタを含み得る。このような動的制御コンポーネントは、システム(カート内)に直接統合され得るか、またはシステムと通信され得るが、外部に配置されてもよい。
【0124】
[0155]カップリングサブシステムは、典型的に、少なくとも、カップリング媒体、前記カップリング媒体を含有するためのリザーバ/容器、およびサポート構造を含む。ほとんどの実施形態では、カップリング媒体は水であり、水は、手順の前または間に調整(例えば、冷却、脱気、濾過など)され得る。システムの構成およびその意図される用途/アプリケーションに基づいて種々の調整パラメーターが利用され得る。
【0125】
[0156]リザーバまたは媒体容器は、患者に適応/適合するように形成および成形され得、治療トランスデューサーが、規定され、必要とされる作業空間(治療トランスデューサーを位置決めすることを可能にし、ならびに/または1つもしくは複数の処置位置もしくはパターンを介して、および種々のスタンドオフもしくは患者からの深さなどで移動する媒体の最小体積)ごとに音響媒体内で係合し、機能することを可能にし、前記リザーバまたは媒体容器はまた、機械的および/または電気機械的サポート構造の使用により、負荷、および負荷の分散を機械的にサポートすることができる。容器は、種々の形状、サイズ、曲率、および寸法であってもよく、様々な材料(単一、複数、複合体など)から構成されてもよく、それらの中には、全体を通して変化してもよいものもある。一部の実施形態では、これは、挿入可能および取り外し可能、ならびに/または中で製造され得るフィルム、ドレープ、膜、ベローズなどの機能を含み得る。これは、種々のセンサ、ドレイン、照明(例えば、LED)、マーキング、テキストなどをさらに含有し得る。
【0126】
[0157]一実施形態では、リザーバまたは媒体容器はシール可能なフレームを含有し、それらの中で膜および/またはフィルムは、患者へのインターフェースとしてリザーバ(後で治療トランスデューサーを含む)と接触する適合した手段を与えるために、中に位置決めされ得、これは、患者とトランスデューサーとの間の媒体(例えば、水)に対するバリアをさらに提供する)。他の実施形態では、膜および/またはフィルムは開口部を含み得、その端部は、患者に機械的シールを与えるが、対照的に患者との媒体連通(例えば、患者との直接的な水インターフェース)を可能にする。これらの両方の例におけるリザーバまたは媒体容器の上部構造は、開放または閉鎖するため(例えば、漏出を防ぐまたはさらなる機能を与えるため)の構造の近位部(例えば、上部)をさらに与え得る。
【0127】
[0158]開示された膜は、種々のエラストマー、粘弾性ポリマー、熱可塑性物質、熱硬化性ポリマー、シリコーン、ウレタン、剛性/可撓性コポリマー、ブロックコポリマー、ランダムブロックコポリマーなどから構成され得る。材料は、親水性、疎水性、表面改質、被覆、抽出などであってもよく、また、性能、外観または安定性を増強するための種々の添加物を含有してもよい。
【0128】
[0159]前記材料は、成型、鋳造、噴霧、超音波噴霧および/または有用な実施形態をもたらす任意の他の処理方法論によって有用な膜に形成され得る。それらは、使い捨てまたはリポーザブル(reposable)/再利用可能であってもよい。それらは、非滅菌、無菌洗浄または滅菌で提供されてもよく、滅菌は、限定されないが、エチレンオキシド、ガンマ、e-ビーム、オートクレーブ、蒸気、過酸化物、プラズマ、化学物質などを含む、任意の公知の方法を含み得る。
【0129】
[0160]開放リザーバまたは媒体容器は、このようなもの、一部の場合、規定された仕様の水(温度およびガス飽和率のレベルなど)に送達され得る、事前に準備された媒体または水を使用することを含む、種々の充填方法を含み得るか、またはそれらは、充填および排出を可能にする設計に不可欠なさらなる機能(例えば、ポート、バルブ、ホース、チューブ、フィッティング、バッグ、ポンプなど)を含み得る。
【0130】
[0161]リザーバまたは媒体容器の閉鎖の繰り返しは、シール、一部の実施形態では、リザーバ/容器の近位/上部部分もしくは構造に対するシールのための種々の機能を含み得るか、または他の場合、シールは、トランスデューサーに対してシールする実施形態、もしくはトランスデューサーハウジングに対する機能を含み得る。さらに、一部の実施形態は、前記流体内の気泡または乱流の可能性を最小限にするために、これらの設計内の流体の体積を制御する動的能力を含み得る。このように、流体連通、およびその制御を可能にする統合された機能(要求に応じて流体を提供/除去する能力)が提供され得、これには、上記に開示された一部である、種々の流体パラメーターをモニタリングおよび制御する能力が含まれる。この機能性を提供するために、システム全体、および一部として、カップリングサブシステムは、流体調整システムを含み得、これは、種々の電気機械デバイス、システム、パワー、センシング、コンピューティングおよび制御システムなどを含有し得る。
【0131】
[0162]カップリングサポートシステムは、リザーバ/容器および媒体を、患者および作業空間(例えば、ベッド)にインターフェースで連結するための種々の機械的サポートデバイスを含み得る。一部の実施形態では、サポートシステムは、3以上の自由度を有する機械的アームを含み。前記アームは、限定されないが、フレーム、レール、カスタマイズされたレールまたはインサート、およびリザーバまたは容器の1つまたは複数の位置を含む、ベッドの1つまたは複数の位置(および機能)とインターフェースで連結し得る。アームは、1つまたは複数のカート上に実装される機能であってもよく、カートが、開示されたサポート構造をサポートし、提供する役割のみを含む一部の場合では、カートは、種々の制限されない変形で構成されてもよい。
【0132】
[0163]一部の実施形態では、サポート構造およびアームは、スタンドアローンカートとして実装されるか、もしくは2つ以上のシステムのサブシステムをさらに含むカートに統合される、ロボットにより使用可能なアームであり得るか、またはロボットにより使用可能なアームは、介入、手術または他のタイプの別のロボットのアームであり、ロボットアームを作動/制御する(例えば、カップリング媒体に/内に位置決めする)ための種々のユーザー入力機能および/またはカップリングソルーション機能(例えば、充填、排出など)をさらに含み得る。
【0133】
ソフトウェア
[0164]システムは、ユーザーが、多数の臨床用途のためのシステムと相互作用、制御および使用することを可能にする種々のソフトウェアアプリケーション、機能およびコンポーネントを含み得る。ソフトウェアは、限定されないが、治療、統合されたイメージング、ロボットおよび他のコンポーネント、システムの付属品およびアクセサリーを含む、サブシステムの1つまたは複数と通信し、機能し得る。
【0134】
[0165]全体として、特に重要な順序ではないが、ソフトウェアは、システムの初期化およびセットアップ、システムのサービス、データの通信およびインポート/エクスポート/保存、ユーザーによる種々の設定およびパラメーターの変更/操作/構成/制御/コマンド、安全性および使用に関連するリスクの軽減、手順の計画、トランスデューサー、ロボットアームおよび駆動システム、関数発生器および増幅器回路/スレーブの種々の構成へのサポートの提供、超音波シーケンス、トランスデューサー操縦および位置決め(電気機械的および電子ビーム操縦など)の試験および処理、パターンの処理、イメージングおよびイメージングプローブのためのサポート、これらの手動および電気機械的/ロボットにより使用可能な動作、手順および処置部位(例えば、ある解剖学的位置から別の解剖学的位置までの深さなど)内または周囲の種々の寸法を測定/特徴付けるためのイメージングサポート、in situ処置部位特性および条件(例えば、それらの音響キャビテーション/ヒストトリプシー閾値および不均一性)を測定/特徴付けるための処置前の分析およびプロトコール、ターゲティングおよび標的アラインメント、キャリブレーション、マーキング/注釈付け、ローカライジング/ナビゲーティング、レジストリング、ガイディング、ワークフローによる提供およびガイド、手順ステップ、自立的な処置計画およびプロトコールの実行、ビューイングのための種々のビューおよびビューポートを含む、ソフトウェアによって表示されるリアルタイムイメージングによる自立的および直接下の間の観察およびビューイング、通信ツール(ビデオ、オーディオ、シェアリングなど)、トラブルシューティング、指示の提供、警告、アラート、ならびに/または種々のネットワーキングデバイスおよびプロトコールによる通信の許可、に関する機能およびサポートを提供することができる。ソフトウェアユーザーインターフェースおよびサポートディスプレイは、種々のボタン、コマンド、アイコン、グラフィックス、テキストなどを含み得、これらは、ユーザーが、ユーザーフレンドリーおよび効果的にシステムと相互作用することを可能にし、これらは、制限されない数の変形、レイアウトおよび設計で提示され得、1つより多いディスプレイ(例えば、タッチスクリーン、モニターおよびタッチパッド)を含み得、ならびに/または1つもしくは複数の外部ディスプレイもしくはシステム(例えば、別のロボット、ナビゲーションシステム、システムタワー、コンソール、モニター、タッチディスプレイ、モバイルデバイス、タブレットなど)とネットワーク化し得るシステムに対して同様または異なる様式または機能のセットで表示され得ることがさらに想定される。
【0135】
[0166]1つまたは複数のコンピュータープロセッサを含む、代表的なシステムの一部としてのソフトウェアは、種々の上述の関数発生器(例えば、FPGA)、増幅器、電源および治療トランスデューサーをサポートすることができる。ソフトウェアは、ユーザーが、音響キャビテーション/ヒストトリプシーについての種々のパラメーターおよび設定を選択、決定およびモニタリングすることを可能にし、性能および条件に対するフィードバックの観察/受信時に、ユーザーが、前記パラメーターおよび設定を停止/開始/変更することを可能にすることができるように構成され得る。
【0136】
[0167]ソフトウェアは、ユーザーが、複数のトランスデューサーのリストまたはメニューから選択し、システムへの接続(ならびに選択されたアプリケーションに基づく適切なシーケンスおよびパラメーター設定の検証)時に前記トランスデューサーの自動検出をサポートすることを可能にするように構成され得る。他の実施形態では、ソフトウェアは、特定のトランスデューサーの選択に基づいてターゲティングおよび増幅器の設定(例えば、チャンネル)をアップデートすることができる。ソフトウェアはまた、処置前および計画入力に基づいてトランスデューサーの推奨を提供することができる。逆に、前記治療トランスデューサー、増幅器および/または関数発生器の選択またはパラメーターに誤りがあり、障害または故障を生じる場合、ソフトウェアは、ユーザーにエラーメッセージまたは警告を提供することができる。これは、このようなものの詳細および位置の報告をさらに含むことができる。
【0137】
[0168]上記に加えて、ソフトウェアは、ユーザーが、リストまたはメニューから処置シーケンスおよびプロトコールを選択すること、ならびに特定の臨床用途または患者プロファイルに関連する選択されたおよび/または以前に選択されたシーケンスおよびプロトコールを保存することを可能にするように構成され得る。関連するプロファイルは、任意の関連する患者、手順、臨床および/または操作データを含み得、意思決定支援としてか、または手順自体のアクティブな部分としてかどうかにかかわらず(例えば、新たな処置を構築し、ガイドするための一連のデータセットを使用して)、現在または将来の処置または手順/介入を通知、変更および/またはガイドするために使用され得る。
【0138】
[0169]プランニングの一部として、または処置の間、ソフトウェア(およびシステムの他のコンポーネントと機能する)は、ユーザーが、ユーザーが選択した関心領域または規定された処置面積/体積の種々の位置において音響キャビテーション/ヒストトリプシーの閾値を評価および試験して、前記領域または面積/体積全体にわたる最小のキャビテーション閾値を決定して、処置パラメーターが、音響キャビテーション/ヒストトリプシーを達成、維持および動的に制御するために最適化されることを確実にすることを可能にし得る。一実施形態では、システムは、ユーザーが、種々の点において閾値パラメーターを手動で評価および試験することを可能にする。前記点には、選択された関心領域および処置面積/体積の規定された境界、境界の内部および中心位置/場所におけるものが含まれ得、得られた閾値の測定値は、ユーザーに報告/表示され得、また、処置前に治療パラメーターをアップデートするために利用され得る。別の実施形態では、システムは、上述のロボットサブシステムによって可能になるように、自動化された閾値測定およびアップデートを可能にするように構成され得、ユーザーはロボットに指示することができるか、またはロボットは、自立的に測定を実行するように命令され得る。
【0139】
[0170]ソフトウェアはまた、コンピュータープロセッサならびに1つまたは複数の関数発生器、増幅器および治療トランスデューサーと機能することによって、選択された面積/体積におけるおよびそれを介する送達および位置決めが最適化された音響キャビテーション/ヒストトリプシーの種々の変形を可能にするように構成され得る。これには、限定されないが、純粋に電気機械的位置決め構成を使用して固定された/自然な焦点配列で構成されたシステム、電子ビーム操縦(電気機械的位置決めを伴うまたは伴わない)、さらなる電気機械的位置決めを伴う新たに選択された固定された焦点に対する電子ビーム操縦、横(XおよびY)電気機械的位置決めを伴う軸(Z軸)電子ビーム操縦、横電気機械的位置決めを伴う高速軸電子ビーム操縦、3D空間における高速ビーム操縦、閾値測定に基づいて処置パラメーターをアップデートする上述の能力に基づく動的に変化する1つまたは複数の音響キャビテーション/ヒストトリプシーパラメーター(例えば、処置面積/体積にわたって動的に調整する振幅)を含む種々の組合せが含まれ得る。
【0140】
閾値試験
[0171]本明細書に記載されるシステムは、ユーザーが選択した関心領域または規定された処置面積/体積の種々の位置において音響キャビテーション/ヒストトリプシーの閾値を評価および試験して、前記領域または面積/体積全体にわたる最小のキャビテーション閾値を決定して、処置パラメーターが、音響キャビテーション/ヒストトリプシーを達成、維持および動的に制御するために最適化されることを確実にする能力を含む。処置プランニングの間または治療の間、キャビテーション閾値の試験パルスは、目的の複数の位置に送信され得る。目的の試験位置の数は、処置領域のサイズおよび/または形状に基づいて選択され得る。例えば、球形の処理領域は、球形の体積の極値を調べるために少なくとも7つの試験位置から恩恵を受ける。一例では、試験プロコールおよび試験パルスは、1)処置体積の中心、2)処置体積の最も近位の態様(上部)、3)処置体積の最も遠位の態様、4)処置体積の最も左の態様、5)処置体積の最も右の態様、6)処置体積の最も頭蓋の態様(頭部)、および7)処置体積の最も尾部の態様(後部)において位置決めされ得る。
【0141】
[0172]治療の間、目的の位置の各々におけるキャビテーション閾値は、キャビテーションが、次のPRFにインクリメントする前に形成されるかどうかを決定するために単一の治療PRFで評価され得る。例えば、キャビテーションの形成(または非形成)は、超音波イメージングなどのイメージングによりリアルタイムで観察され得る。一般に、組織内の活発なバブルクラウドを開始するのに必要とされる駆動電圧は、治療PRFが増加するにつれて減少する。組織内のキャビテーション閾値もまた、処置手順が進行するにつれて変化する可能性がある。したがって、処置の間の処置体積内の目的の種々の点を試験することは、リアルタイムでキャビテーション閾値を評価し、試験位置の各々での処置を最適化するために治療パルスのPRFおよび/または駆動電圧を調整するための有用なツールであり得る。次いで処置プロトコール自体が、試験パルスに基づいて調整され、試験結果に基づいて可変振幅/PRFを利用して、最適な量のエネルギーが、ヒストトリプシー治療のための組織の各位置に送達されることを確実にすることができる。さらに、試験位置の各々における深さが、最適な処置パラメーターを決定するためのシステムにさらなる情報を提供するために、(手動で、またはシステムにより自動的に)測定または決定され得る。
【0142】
[0173]一部の実施形態では、試験位置は、試験位置もしくは周囲または介入組織に望ましくない損傷を生じずに適用され得る最大量のエネルギーを決定するために使用され得る。例えば、試験位置の各々におけるキャビテーション閾値を決定している間、キャビテーションがリアルタイムイメージング下で観察されるまで、システムの駆動電圧および/またはPRFは増加し得る。一部の実施形態では、試験位置に対する望ましくない損傷または試験位置の外側の他の位置に対するキャビテーション/熱損傷が観察されるまで、駆動電圧および/またはPRFは増加し得る。これは、所与の試験位置に適用され得る最大量のエネルギーを決定するために使用され得る。
【0143】
[0174]試験プロトコールおよび試験されたキャビテーション閾値に基づいて、処置グリッド内の各点についての適切な駆動電圧が選択され得る。入力として役立つ標的体積の中心および6つの極値における必要な電圧を用いて、処置体積を含む残りの点についての電圧が補間され得る。次いで駆動電圧は、自動化された処置体積を介して治療が進行するにつれてソフトウェアによって自動的に調整され得る。このように、各点は、有効なバブルクラウドを維持するのに十分な振幅を使用してアブレーションされるが、音響パスにおける熱沈着を最小限に抑えるために過度にアブレーションされない。
【0144】
[0175]例えば、ヒストトリプシー治療を組織に送達する方法は、複数の標的試験位置においてヒストトリプシーパルスを組織に送達するステップと、リアルタイムで試験位置をイメージングして、キャビテーションが試験位置に形成されるかどうかを評価するステップとを含み得る。キャビテーションが試験位置に形成されない場合、ヒストトリプシーパルスの駆動電圧および/またはPRFは調整され得、調整されたパラメーターを有するヒストトリプシーパルスが、試験位置で組織に送達され得る。キャビテーションが各試験位置で形成されるかどうかを評価するために、リアルタイムイメージングが再度使用され得る。各試験位置でのキャビテーション閾値が決定されるまでこのプロセスは反復され得、音響経路および標的深さに固有の標的化された関心領域/処置体積にわたって閾値を外挿するための種々のアルゴリズムに基づいて高密度マップが作成され得る。例えば、キャビテーション閾値が、第1の試験位置および第2の試験位置で知られている場合、第3の試験位置におけるキャビテーション閾値が、第1および第2の試験位置のキャビテーション閾値に基づいて外挿され得る。この外挿は、組織の種類、標的組織の深さ、および第3の試験位置の音響経路にさらに基づき得る。
【0145】
[0176]一例では、組織を処置する方法は、少なくとも1つの超音波トランスデューサーを用いて超音波パルスを第1の試験位置に送信するステップと、第1の試験位置における第1のキャビテーション閾値を決定するステップと、少なくとも1つの超音波トランスデューサーを用いて超音波パルスを第2の試験位置に送信するステップと、第2の試験位置における第2のキャビテーション閾値を決定するステップと、第1のキャビテーション閾値に基づいて少なくとも1つのトランスデューサーの第1の駆動電圧および/またはPRFを調整するステップと、第1の調整された駆動電圧および/またはPRFで少なくとも1つの超音波トランスデューサーを用いて超音波パルスを第1の試験位置に送信して、第1の試験位置においてキャビテーションを生成するステップと、第2のキャビテーション閾値に基づいて少なくとも1つのトランスデューサーの第2の駆動電圧および/またはPRFを調整するステップと、第2の調整された駆動電圧および/またはPRFで少なくとも1つの超音波トランスデューサーを用いて超音波パルスを第2の試験位置に送信して、第2の試験位置においてキャビテーションを生成するステップとを含み得る。
【0146】
他のコンポーネント、付属品およびアクセサリー
[0177]システムは、限定されないが、コンピューター、コンピュータープロセッサ、高電圧電源を含む電源、コントローラー、ケーブル、コネクタ、ネットワーキングデバイス、セキュリティ、通信、病院情報システムを含む情報システムへの統合のためのソフトウェアアプリケーション、セルラー方式通信デバイスおよびモデム、ハンドヘルドの有線もしくは無線コントローラー、高度な可視化のためのゴーグルもしくは眼鏡、拡張現実もしくはバーチャルリアリティアプリケーション、カメラ、センサ、テーブル、スマートデバイス、電話、機能を可能にするモノのインターネット、特殊用途の「アプリ」もしくはユーザートレーニング資料およびアプリケーション(ソフトウェアまたは紙ベース)、バーチャルプロクターもしくはトレーナー、ならびに/または他の有効な機能、デバイス、システムもしくはアプリケーション、ならびに/または上記の使用方法を含む、種々の他のコンポーネント、付属品およびアクセサリーを含み得る。
【0147】
システムバリエーションおよび方法/アプリケーション
[0178]幅広い手順を実施することに加えて、システムは、ユーザーを支援するための強化されたプランニング、イメージングおよびガイダンスなどの、さらなる利点を可能にし得る。一実施形態では、システムは、ユーザーが、患者、標的およびアプリケーションに固有の処置計画を作成することを可能にし得、システムは、プランニングの間のシステムへのフィードバックに基づいて処置パラメーターを最適化するように構成され得、プランニングは、システムおよび計画への特定の入力を集めるために種々の試験プロトコールを実行する能力をさらに含み得る。
【0148】
[0179]フィードバックは、種々のエネルギー、パワー、位置、場所、組織および/または他のパラメーターを含み得る。
[0180]システムおよび上記のフィードバックはまた、手順の間、リアルタイムイメージング下で可視化されるように、最適化された処置計画およびプロトコールの送達を自立的に(およびロボットにより)実行し、ユーザーが局所的な処置組織への影響を、それが処置により進行するにつれて直接観察し、ユーザーの裁量で処置を開始/停止/変更することができるようにさらに構成され、使用されてもよい。試験および処置プロトコールの両方は、ユーザーの指示で、または一部の実施形態では、システム内に埋め込まれた論理に基づいて手順の過程にわたってアップデートされてもよい。
【0149】
[0181]また、これらの利点の多くは、高密度集束超音波(HIFU)、沸騰ヒストトリプシー(熱キャビテーション)を含む高密度治療用超音波(HITU)による熱アブレーションを含む、他の形態の音響治療をさらに改善し得ることが認識され、それらは本開示の一部とみなされる。
【0150】
[0182]別の態様では、1つまたは複数の増幅器、トランスデューサーおよび電源を部分的に含む治療サブシステムは、複数の音響キャビテーションおよびヒストトリプシーを駆動する能力を可能にするように構成され得、アプリケーション、方法および/または患者特有の用途に基づく特定の利点を与える。これらの利点には、限定されないが、より望ましい熱プロファイル、処置速度の増加および手順時間の減少、有効な電子ビーム操縦および/または他の機能を伴って、多くのエネルギーの送達を可能にし得る、処置パラメーターを良好に最適化し、制御する能力が含まれ得る。
【0151】
[0183]本開示はまた、複数の駆動アプローチ(例えば、単一および複数サイクルのパルス発生)を可能にし得る、新たなおよび「普遍的な」増幅器を含むシステムおよびサブシステムに関連する新規システムおよび概念を含む。一部の実施形態では、これは、電気的安全性または他の危険(例えば、トランスデューサーおよび/または増幅器回路構成の損傷)に関して、システムおよびユーザーをさらに保護するための種々の新規機能を含み得る。
【0152】
[0184]別の態様では、システムおよび治療サブシステムは、多数の治療トランスデューサーを含んでもよく、前記治療トランスデューサーは、特定のアプリケーションおよび用途のために構成され、広範囲の作業パラメーター(標的サイズ、深さ、位置など)にわたる処置に適応することができ、広範囲の作業仕様(以下に詳述する)を含むことができる。トランスデューサーはさらに、ロボットにより使用可能なシステムおよびカップリングサブシステムに適合し、インターフェースで連結し、接続することができ、トランスデューサーを、多くの実施形態では、同時イメージングおよび許容可能な音響窓を介するヒストトリプシー処置を可能にする音響カップリングデバイス内、またはそれと一緒に位置決めすることができる。治療トランスデューサーはまた、処置部位内のトランスデューサーの場所を表示し、決定し、処置部位の直接視野(またはその表示)を与えることができる、統合されたイメージングプローブまたはローカリゼーションセンサを含んでもよく、音響キャビテーション/ヒストトリプシーの組織への影響として、および前記処置内のその位置(例えば、腫瘍、周囲の健康な組織、重要な構造、脂肪組織など)に応じて、バブルクラウドは、処置全体を通じて、外観および強度を変化させてもよいか、または変化させなくてもよい。
【0153】
[0185]本明細書に開示されるシステム、方法およびシステムの使用は、軟部組織アブレーション、腫瘍学、高度なイメージガイド下手順、限定されないが、開口、腹腔鏡、単一切開、自然孔、内視鏡、非侵襲性、それらの種々の組合せを含む手術手順、血管、心血管および/または神経に関連する空間のカテーテルベースの手順のための種々の介入空間、化粧品/審美的、代謝(例えば、2型糖尿病)、可塑性および再建、眼および眼科、婦人科および男性の健康、ならびに疾患、損傷、望ましくない、または健康な組織、臓器または細胞を処置する他のシステム、デバイスおよび方法の分野における重要な満たされていない必要性を克服するために有益であり得る。
【0154】
[0186]処置時間を低減し、有効性を改善し、エネルギーの量および患者へ送達される焦点化前の組織への熱を低減することができる、組織内の処置パターンを改善するためのシステムおよび方法もまた、提供される。
【0155】
使用環境
[0187]開示されたシステム、使用方法、およびシステムの使用は、限定されないが、手順一式、手術室、ハイブリッドルーム、入院および外来患者の状況、歩行可能な状況、イメージングセンター、放射線科、放射線治療、腫瘍学、手術および/または任意の医療センター、ならびに診療所、モバイルヘルスケアセンターまたはシステム、自動車および関連する乗り物(例えば、バン)、および/または一時的な手順のサポートを提供することができる任意の構造(例えば、テント)を含む麻酔などの種々のサポートシステムを含むまたは含まない、多数の環境および状況において行われ得る。一部の場合、本明細書に開示されたシステムおよび/またはサブシステムはまた、他の環境に統合された機能、例えば、MRIスキャナーまたは患者の表面/ベッドへのヒストトリプシー治療サブシステムの直接統合として提供されてもよく、最低でも治療発生器およびトランスデューサーがこのようなものに不可欠であり、他の場合、ヒストトリプシー構成は、スキャナーまたはベッドの中心の設計に不可欠でもあり得るロボット位置決めシステムをさらに含む。一部の実施形態では、システムおよび/または種々のサブシステムは、実験室およびベンチの状況で使用されるように構成されてもよく、一部の場合、ヒストトリプシーは、治療、免疫療法または生物学的に標的化された治療として、またはこのようなもののさらなる準備において、さらに直接使用するための組織ホモジネートまたは溶解物を生じるように実施される。これには、限定されない例として、具体的には、細胞療法(樹状細胞またはT細胞)をプライミングするためのヒストトリプシー溶解物の使用が含まれ得る。さらに、このようなホモジネートまたは溶解物は、即座にまたは後で使用するために保存および貯蔵され得る。
【0156】
がん免疫療法
[0188]上記のように、ヒストトリプシーは、追加の外部薬剤を必要とせずに、標的組織内にキャビテーションマイクロバブルを創出する、焦点を合わせた、マイクロ秒の長さの、高圧の超音波パルスを送達する非侵襲的アブレーション法である。キャビテーションマイクロバブルの急速な膨張および崩壊は、標的組織内の細胞膜および構造を機械的に破壊する高度な歪みを生じさせ、結果として、液化した可溶性の組織ホモジネートをもたらす。したがって、ヒストトリプシー治療は、標的組織を、液化、溶解、および/または可溶化するように構成される。HIFU熱アブレーションとは異なり、ヒストトリプシーは、潜在的に抗原性の腫瘍ペプチドを加熱または変性させずに、細胞および核膜の破壊を引き起こすことによって腫瘍を破壊する。沸騰ヒストトリプシーもまた、液化した無細胞残屑を生じるが、そのプロセスは、細胞を破壊する大きな蒸気泡を生成するために沸騰温度に急速に加熱するので異なる。したがって、沸騰プロセスの間、タンパク質もおそらく変性し、組織の部分的な熱凝固に起因して、結果として生じた処置残屑は、従来のヒストトリプシーほど容易に可溶化しない場合がある。ヒストトリプシーによって生成された機械的に破壊され、可溶性の無細胞残屑は、全身的に再吸収される。このように、ヒストトリプシーは、腫瘍抗原およびバイオマーカーを含む、このようなものの液化および可溶化を介して、以前は隠されていた細胞内内容物を、保存および免疫系に提示しながら、腫瘍を破壊することができる。
【0157】
[0189]さらに、ヒストトリプシーは、がん細胞の免疫原性細胞死(ICD)を効果的に誘導する。がん細胞が死ぬ様式は、免疫検出に大きく異なる影響を与える可能性がある。アポトーシスによる非免疫原性細胞死(NICD)は、がんに対する適応免疫応答を最終的に抑制する非炎症性サイトカイン環境の中で、がん細胞残屑のマクロファージを媒介した除去をもたらす。対照的に、ICDは、壊死性がん細胞が、ダメージ関連分子パターン(DAMP)と呼ばれる細胞内内容物を放出するプロセスである。がん細胞膜の保護範囲外に放出されると、DAMPは、T細胞およびナチュラルキラー細胞の活性化に至る炎症イベントのカスケードを誘発する。がん細胞ICDの誘導は、がんの免疫学的検出を促進する可能性があると仮定される。残念なことに、放射線治療、化学療法、高周波アブレーション、およびマイクロ波アブレーションのような従来の腫瘍学的治療の、ICDを引き起こす能力は、わずかである。さらに、これらの介入は、ICDの効果をなくすオフターゲット効果を引き起こす。例えば、化学療法および放射線は、全体的な免疫抑制に向けて免疫系を歪める全身的な細胞毒性を有する。放射線および熱アブレーションは、DAMPにより媒介されるICDの有効性を制限し得る細胞内内容物の広範な変性、およびより制限されたDAMPのバイオアベイラビリティを引き起こす。しかしながら、ヒストトリプシー治療を利用する、本明細書に記載される新規アプローチは、DAMP放出およびICDを介する炎症イベントを誘発し、可能にし得る。さらに、その送達の完全に非侵襲的で正確に標的化された性質は、マイナスまたは有害なオフターゲット効果のリスクを最小限に抑える。
【0158】
[0190]本明細書に記載されるヒストトリプシー「免疫感作」技術は、腫瘍抗原を放出し、一部の場合、液化、溶解、および/または可溶化し、ICDを生じるように構成され、これにより、処置された腫瘍の免疫原性を増強し、がんを従来の免疫療法に対してより応答性にすると考えられる。したがって、本明細書に記載されるヒストトリプシー「免疫感作」は、免疫療法に対して以前に耐性があるがんを感作し、さらに免疫認識を可能にするために使用され得る。ヒストトリプシー免疫感作は、局所腫瘍アブレーションの単なるモダリティではなく、アブレーションゾーンの外側の播種性、難治性がんの患者を、免疫療法、放射線に対して、および全身的に応答性にし得ることを可能にする誘因である。これは、ヒストトリプシーアブレーション自体またはヒストトリプシーアブレーションと、種々の生物活性剤および限定されないが、例として、治療効果を最大化するためのチェックポイント阻害剤(CI)免疫療法を含む治療法(例えば、RNA/DNA、遺伝子、タンパク質、抗体、細胞および/または他の治療)との組合せによって行われ得る。
【0159】
[0191]本明細書に記載されるヒストトリプシー免疫感作は、ヒストトリプシー腫瘍アブレーションを含む、従来のヒストトリプシー処置とは質的に異なる。ヒストトリプシー免疫感作の目的は、遠位腫瘍部位において局部および/または全身(アブスコパル)効果(アブレーションゾーン外の腫瘍の成長阻害)を生じるのに十分な大きさである処置された腫瘍に対する免疫応答を刺激することである。一部の例では、これは、処置された腫瘍の選択された体積/位置によるヒストトリプシーの用量および分布によってモジュレートされ得る。一部の場合、完全な腫瘍アブレーションは、最終的な目標ではないか、またはヒストトリプシー免疫感作のために/について必要とされず、むしろ、全体的な目標は、全身的な腫瘍特異的免疫応答を刺激することである。一部の用途では、この免疫刺激を達成するために、ヒストトリプシー免疫感作が、本明細書に記載される革新的なアプローチにより実装され得る。ヒストトリプシーはまた、本明細書に記載されるように、アブスコパル効果を増強/最大化するためにチェックポイント阻害療法および他のアジュバント療法を含む、種々の治療法と組み合わされ得る。さらに、ヒストトリプシー免疫感作は、本明細書に記載されるヒストトリプシーがんワクチンまたは溶解物ベースの治療法を生み出すために使用され得る。一部の例では、ヒストトリプシー溶解物は、自己療法として患者に再投与され得、可溶化された溶解物が、治療として直接使用される(全身または局所的に送達される)か、または刺激するおよび/もしくは増強した治療を生み出すために使用され(例えば、活性化またはプライミングされた細胞療法)、ならびに/または他の治療とさらに組み合わされ得る。
【0160】
[0192]
図2は、ヒストトリプシー治療トランスデューサー、ロボット位置決めシステム、および/または手術ナビゲーションシステムを含む、上記のシステムコンポーネントを使用してヒストトリプシー免疫感作を実施するための例示的なステップを記載しているフローチャート200を示す。一部の実施形態では、この方法は、放射線治療で以前に処置された、および/または放射線治療に耐性がある組織を処置するために使用され得る。別の実施形態では、この方法は、免疫療法で以前に処置された、および免疫療法に非応答性または耐性がある組織を処置するために使用され得る。
【0161】
[0193]フローチャート200のステップ202において、少なくとも1つの標的腫瘍が、治療システムにより識別され得る。ステップ202は、標的腫瘍位置のサイズ、形状、体積、質量、および組織の種類に関する詳細を識別するステップを含む、患者の体内の標的腫瘍位置の正確な位置を識別するステップを含み得る。例えば、識別するステップは、腫瘍の種類、腫瘍が中に位置する組織または臓器の種類、および腫瘍自体の体積または質量を識別するステップを含み得る。一部の実施態様では、少なくとも1つの標的腫瘍を識別するステップは、超音波、MRI、CTなどの医療用イメージングモダリティにより達成され得る。
【0162】
[0194]標的腫瘍は、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、結腸直腸、腸、胃、食道、乳房、肺、頭部、頸部、甲状腺、皮膚、神経組織、血液悪性腫瘍、肉腫、原発および転移性病変、ならびに脳組織内の腫瘍または他の異常組織の体積を含み得る。
【0163】
[0195]フローチャート200のステップ204において、この方法は、腫瘍抗原を放出する細胞応答を増加、増強、および/または最大化するようにアブレーションするための標的腫瘍の処置体積を決定するステップを含み得る。例えば、選択された処置体積が非常に小さい場合、刺激される免疫応答は不十分になる。逆に、アブレーション体積が非常に大きい場合、処置に関連する臨床的合併症が、続いて起こる可能性があり、および/または免疫応答が最適以下になる場合がある。重大な合併症を生じずに十分な免疫刺激が達成されるように、処置体積を決定するステップは、免疫刺激の目的のために重要であり得る。一部の例では、十分な数の細胞のアブレーションは、典型的に、1mL超の組織または標的腫瘍の10%超のアブレーションを含む。別の実施形態では、少なくとも1つの標的腫瘍の処置体積は、少なくとも1つの標的腫瘍の体積の25%~90%の範囲である。別の実施態様では、少なくとも1つの標的腫瘍の処置体積は、体積で少なくとも1cm3である。ヒストトリプシーによる免疫刺激の程度は、アブレーション体積(20%対80%対100%;1mL対20mL対60mL)によって影響を受ける場合があり、がんの種類または標的腫瘍領域の位置によっても影響を受ける可能性がある。例えば、標的組織体積の位置または標的腫瘍の種類が、最適な処置体積を決定するために使用され得る。
【0164】
[0196]あるいは、フローチャート200のステップ204において、この方法は、免疫原性細胞死の誘導を増加、増強、および/または最大化する、アブレーションするための標的腫瘍の処置体積を決定するステップを含み得る。
【0165】
[0197]フローチャート200のステップ206において、この方法は、腫瘍抗原を放出する細胞応答を増加、増強、および/または最大化するための処置位置を決定するステップをさらに含み得る。例えば、一部の実施形態では、処置位置は、少なくとも1つの標的腫瘍の中心/内側部分のみを含む。他の実施形態では、処置位置は、少なくとも1つの標的腫瘍の周辺/外側部分のみを含む。別の実施態様では、処置位置は、少なくとも1つの標的腫瘍を通して空間的に分布した複数のプログラムされた処置位置を含む。ヒストトリプシーによる免疫刺激の程度は、アブレーションのパターンによって影響を受ける場合があり得る(例えば、内側コア/中心部分対外側縁/周辺のみのアブレーション;連続アブレーション対市松模様)。例えば、市松模様のアブレーションは、アブレーションされた無細胞残屑へのより多くの血管アクセスを可能にし得、連続アブレーションのパターンと比較して、刺激された免疫応答の大きさを増加させ得る。ステップ206で選択される処置位置は、腫瘍の種類/がんの種類、周囲組織、標的腫瘍のサイズおよびまたは形状などを含む、処置される組織の種類に依存し得る。
【0166】
[0198]あるいは、フローチャート200のステップ206において、この方法は、免疫原性細胞死の誘導を最大化する、アブレーションするための標的腫瘍の処置位置を決定するステップを含み得る。
【0167】
[0199]一部の実施形態では、細胞応答は、免疫原性細胞死、炎症および抗原提示細胞の浸潤、T細胞の浸潤および活性化、腫瘍特異的T細胞の増加、ナチュラルキラー細胞、B細胞およびCD4+T細胞の浸潤、ならびに/または免疫抑制性制御性T細胞および骨髄由来サプレッサー細胞の枯渇を含む。
【0168】
[0200]
図3は、標的腫瘍または標的組織体積300の例であり、中心/内側部分302および周辺または周囲/外側部分304を含む。標的腫瘍の周辺または周囲部分304は、標的体積の外縁に隣接する腫瘍の一部または一片であると考えられ得る。中心/内側部分302は、
図3に示すように、周辺によって完全に囲まれた標的腫瘍内の体積と称され得る。一部の例では、周囲部分の全体は、フローチャート200のステップ206からの処置位置を含み得る。他の例では、例えば、周囲部分内の体積306(フローチャート200のステップ204からの所望の処置体積を有する)などの周囲部分の一部のみが処置され得る。
【0169】
[0201]フローチャート200のステップ208において、ヒストトリプシー治療トランスデューサーは、ヒストトリプシー治療を、選択された処置体積および処置位置を有する標的腫瘍体積に適用して、十分な数の腫瘍細胞の腫瘍細胞膜を機械的に溶解、可溶化、および/または液化して、標的腫瘍体積内に腫瘍抗原を放出し得る。一部の実施形態では、ヒストトリプシー治療の適用は、免疫原性細胞死を誘導する。ヒストトリプシー治療は、タンパク質変性を引き起こすような標的組織体積内での十分な加熱を発生させずに腫瘍細胞膜を破壊するように適用される。この目標を達成するために、ステップ208に記載されるヒストトリプシー免疫感作治療が、1つまたは複数のセッションにおいて実行され得、そのセッションにわたって、最適な体積が各セッションの間にアブレーションされる。
【0170】
[0202]上記のように、ヒストトリプシー治療は、標的腫瘍体積を機械的に溶解、可溶化、および/または液化し、組織加熱を回避しながら、腫瘍細胞膜を破壊するために、マイクロ秒のパルス長(<20us)、高ピーク負圧(>10MPa)、および低いデューティサイクル(<5%)を有するヒストトリプシーパルスをヒストトリプシー治療トランスデューサーに印加することによって標的組織体積内にキャビテーションを創出する。
【0171】
[0203]別の例では、本発明者らの予備データは、1つの腫瘍部位のヒストトリプシー単独療法が、転移を含む、遠位の未処置の腫瘍部位の数および体積の有意な減少をもたらすことを示す(アブスコパル効果)。これは、局所的、局部的(排出リンパ液)および全身的(循環)な治療応答を含む。したがって、本明細書に提供される方法は、アブレーションされる腫瘍体積を処置するために使用されるだけでなく、標的とされる腫瘍体積と別個または離れた腫瘍/がん体積も処置するために使用され得る。さらなる例として、多数の結腸直腸転移のうちの1つは、肝臓で処置され得、観察される治療応答は、他の非処置腫瘍(および非肝臓起源)の腫瘍負荷の安定化または減少で見られる。
【0172】
[0204]特定の体積、形状、およびパターンのアブレーションを制御するために、ヒストトリプシー送達は、上記のロボットアームおよび/またはナビゲーションシステムによって支援され得、これは、ヒストトリプシー焦点が、特定の体積、形状、およびパターンを有する、計画された腫瘍体積を覆ってスキャンされるように、ヒストトリプシートランスデューサーを機械的に移動させるために使用され得る。さらに、システムは、特定の体積、形状、およびパターンのアブレーション、2Dフェーズドアレイ超音波トランスデューサーを使用する電子焦点操縦によるヒストトリプシー送達を制御するように構成され得、これは、ヒストトリプシー焦点が、特定の体積、形状、およびパターンを有する、計画された腫瘍体積を覆ってスキャンされるように、ヒストトリプシートランスデューサーを電子的に移動させるために使用され得る。
【0173】
[0205]上記のように、標的腫瘍へのヒストトリプシーターゲティングおよび送達は、リアルタイムイメージング、例えば、超音波イメージング、CT、またはMRIによってガイドされ得る。イメージングフィードバックにより、ヒストトリプシーが、特定の体積、形状、およびパターンの計画された腫瘍体積を処置するために使用されることを確認することができる。
【0174】
[0206]一部の実施形態では、ヒストトリプシー処置を適用するステップにより、ダメージ関連分子パターン(DAMP)の放出が引き起こされる。DAMPは、例えば、高移動度グループボックス1(HMGB1)、カルレティキュリン(CRT)、アデノシン三リン酸(ATP)、熱ショックタンパク質(HSP)、フィブロネクチン(FN)、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)およびそれらの組合せであり得る。一実施形態では、DNAは、無細胞DNAを含む。別の実施形態では、RNAは、mRNAを含む。
【0175】
[0207]必要に応じて、フローチャート200のステップ210において、この方法は、ヒストトリプシー治療を標的腫瘍位置に送達した後に免疫応答および治療効果を評価するステップをさらに含み得る。免疫応答を評価することにより、ヒストトリプシーによって生成された、溶解、可溶化、およびまたは液化した無細胞残屑が、腫瘍流入領域リンパ節および体循環内で適応免疫応答を刺激する時間を確保することができ、炎症およびDAMP放出を引き起こす時間を確保することができる。これらの変化は、局部および全身腫瘍特異的免疫応答をもたらすと考えられる。この評価ステップは、免疫学的細胞死および/または免疫活性化の分析を含み得る。
【0176】
[0208]評価するステップは、細胞応答をイメージングするステップを含み得、イメージングするステップは、超音波、CT、MRI、および/またはPETイメージングを含む。一部の実施形態では、免疫応答を評価するステップは、少なくとも1つの標的腫瘍をイメージングするステップ、および/または少なくとも1つの標的腫瘍に対して組織生検を実施するステップを含む。刺激された免疫応答は血液検査により評価され得、遠位腫瘍部位に対するアブスコパル効果は、ヒストトリプシー免疫感作後、非侵襲的イメージングにより評価され得る。一部の例では、免疫応答を評価するステップは、1つまたは複数の臓器または解剖学的位置における免疫応答を評価するステップを含む。他の実施形態では、免疫応答を評価するステップは、組織、細胞、血液および/またはそれらの組合せのバイオマーカー解析を含む。一部の例では、評価は、十分な免疫応答を刺激するために1~10日かかる場合がある。他の実施形態では、評価は、ヒストトリプシー治療を送達した後、数週間から数カ月行うことができる。
【0177】
[0209]免疫刺激の性質および大きさは、患者および腫瘍の種類の間で異なる場合がある。患者から採取された血液は、ヒストトリプシーによって誘導される免疫刺激の程度を評価するための特定の免疫バイオマーカー(例えば、T細胞サブセット、樹状細胞、好中球、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、制御性T細胞、骨髄由来サプレッサー細胞などの量および活性化状態)を試験するために使用され得る。さらに、アブスコパル免疫応答は、ヒストトリプシー処置後に遠位腫瘍部位から得られた生検に対して実施され得る関連する免疫細胞浸潤の免疫組織化学的解析を使用して測定され得る。遠位腫瘍に対するアブスコパル効果は、ヒストトリプシー免疫感作後、磁気共鳴イメージング(MRI)、コンピューター断層撮影(CT)、または超音波検査(US)などの非侵襲的イメージングを使用してモニタリングされ得る。
【0178】
[0210]本明細書に記載される技術は、アブスコパル効果を増加、増強、および/または最大化するために他の免疫調節治療と組み合わされ得る。免疫療法薬(例えば、PD-1およびCTLA-4に対するチェックポイント阻害モノクローナル抗体)は、上記のヒストトリプシー免疫感作と併せて適用され得る。チェックポイント阻害剤が送達されるタイミングは、理想的には、ヒストトリプシーによって刺激される最大免疫応答のタイミングと同時であり得る。したがって、フローチャート700のステップ710における評価は、免疫調節治療をいつ患者に適用できるか、または適用するかを決定するために使用され得る。
【0179】
[0211]さらに、アジュバントは、治療効果を増強するためにヒストトリプシーおよび免疫療法と組み合わされ得る。治療効果を増強するために、種々の種類のアジュバント(例えば、CpG、イブルチニブなど)が、免疫療法、放射線治療、または他のアブレーション治療と組み合わされる。免疫療法薬投与に加えて、または場合によってその代わりに、1回または複数回のアジュバント投与が、ヒストトリプシーの前または後に適用され得る。
【0180】
[0212]免疫刺激の性質および大きさは、患者および腫瘍の種類の間で異なる場合がある。患者から採取した血液は、最大免疫応答のタイミングおよび免疫療法薬投与の最適なタイミングを決定するための特定の免疫バイオマーカー(例えば、T細胞サブセット、樹状細胞、好中球、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、制御性T細胞、骨髄由来サプレッサー細胞などの量および活性化状態)を試験するために使用され得る。さらに、アブスコパル免疫応答は、ヒストトリプシー処置後に遠位腫瘍部位から得られた生検に対して実施され得る関連する免疫細胞浸潤の免疫組織化学的解析を使用して測定され得る。
【0181】
[0213]
図4は、ヒストトリプシー治療トランスデューサー、ロボット位置決めシステム、および/または手術ナビゲーションシステムを含む、上記のシステムコンポーネントを使用してヒストトリプシー免疫感作を実施するための例示的なステップを記載しているフローチャート400を示す。
【0182】
[0214]フローチャート400のステップ402において、少なくとも1つの標的組織体積が、治療システムにより識別され得る。ステップ402は、標的組織体積のサイズ、形状、体積、質量、および組織の種類に関する詳細を識別するステップを含む、患者の体内の標的組織体積の正確な位置を識別するステップを含み得る。例えば、識別するステップは、体積(例えば、腫瘍)の種類、体積が中に位置する組織または臓器の種類、および標的体積自体の体積または質量を識別するステップを含み得る。一部の実施態様では、少なくとも1つの標的組織体積を識別するステップは、超音波、MRI、CTなどの医療用イメージングモダリティにより達成され得る。
【0183】
[0215]標的組織体積は、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、結腸直腸、腸、胃、食道、乳房、肺、頭部、頸部、甲状腺、皮膚、神経組織、血液悪性腫瘍、肉腫、原発および転移性病変、ならびに脳組織内の腫瘍または他の異常組織の体積を含み得る。
【0184】
[0216]一部の例では、標的組織体積を識別するステップは、腫瘍抗原を放出する細胞応答を最大化するようにアブレーションするために標的腫瘍の処置体積を決定するステップをさらに含み得る。例えば、選択された処置体積が非常に小さい場合、刺激される免疫応答は不十分になる。逆に、アブレーション体積が非常に大きい場合、処置に関連する臨床的合併症が、続いて起こる可能性があり、および/または免疫応答が最適以下になる場合がある。重大な合併症を生じずに十分な免疫刺激が達成されるように、処置体積を決定するステップは、免疫刺激の目的のために重要であり得る。一部の例では、十分な数の細胞のアブレーションは、典型的に、1mL超の組織または標的腫瘍の10%超のアブレーションを含む。別の実施形態では、少なくとも1つの標的腫瘍の処置体積は、少なくとも1つの標的腫瘍の体積の25%~90%の範囲である。別の実施態様では、少なくとも1つの標的腫瘍の処置体積は、体積で少なくとも1cm3である。ヒストトリプシーによる免疫刺激の程度は、アブレーション体積(20%対80%対100%;1mL対20mL対60mL)によって影響を受ける場合があり、がんの種類または標的腫瘍領域の位置によっても影響を受ける可能性がある。例えば、標的組織体積の位置または標的腫瘍の種類が、最適な処置体積を決定するために使用され得る。
【0185】
[0217]他の実施形態では、標的組織体積を識別するステップは、腫瘍抗原を放出する細胞応答を増加、増強、および/または最大化するために処置位置を決定するステップをさらに含み得る。例えば、一部の実施形態では、処置位置は、少なくとも1つの標的腫瘍の中心/内側部分のみを含む。他の実施形態では、処置位置は、少なくとも1つの標的腫瘍の周辺/外側部分のみを含む。別の実施態様では、処置位置は、少なくとも1つの標的腫瘍を通して空間的に分布した複数のプログラムされた処置位置を含む。ヒストトリプシーによる免疫刺激の程度は、アブレーションのパターンによって影響を受ける場合があり得る(例えば、内側コア/中心部分対外側縁/周辺のみのアブレーション;連続アブレーション対市松模様)。例えば、市松模様のアブレーションは、アブレーションされた無細胞残屑へのより多くの血管アクセスを可能にし得、連続アブレーションのパターンと比較して、刺激された免疫応答の大きさを増加させ得る。ステップ206で選択される処置位置は、腫瘍の種類/がんの種類、周囲組織、標的腫瘍のサイズおよびまたは形状などを含む、処置される組織の種類に依存し得る。
【0186】
[0218]一部の実施形態では、標的組織体積を識別するステップは、第1の標的組織体積および第2の標的組織体積を識別するステップをさらに含む。一部の実施形態では、第1および第2の標的組織体積は、同じ臓器または解剖学的位置に位置する。他の実施形態では、第1および第2の標的組織体積は、異なる臓器または解剖学的位置に位置する。
【0187】
[0219]フローチャート400のステップ404において、この方法は、標的組織体積内にヒストトリプシー治療トランスデューサーの焦点を配置するステップを含み得る。一部の例では、焦点を配置するステップは、ロボット位置決めシステムにより焦点を配置するステップを含み得る。例えば、ヒストトリプシー治療トランスデューサーは、ロボット位置決めシステムのロボットアームに位置決めされ得、ロボット位置決めシステムは、標的組織体積内に焦点を配置するためにリアルタイムフィードバックを使用することができるか、または代替として、ロボット位置決めシステムは、組織内の望ましい位置に焦点を正確に配置するためにトランスデューサーの焦点距離の情報を使用することができる。一部の実施形態では、ロボット位置決めシステムは、最低でも3自由度を有するロボットアームを含む。他の実施形態では、ロボット位置決めシステムは、予めプログラムされた3次元処置ルーチンを介してヒストトリプシー治療トランスデューサーを指向するロボットアームを含む。
【0188】
[0220]一部の実施形態では、この方法は、ヒストトリプシー試験パルスを少なくとも1つの標的腫瘍に印加して、少なくとも1つの標的腫瘍内の1つまたは複数の試験位置におけるキャビテーション閾値を決定するステップをさらに含み得る。これらの試験パルスを使用して、この方法は、1つまたは複数の試験位置における決定したキャビテーション閾値に基づいてヒストトリプシー処置計画を導出するステップをさらに含み得る。
【0189】
[0221]フローチャート400のステップ406において、ヒストトリプシー治療トランスデューサーは、ヒストトリプシー治療を標的組織体積のサブセットに適用して、標的組織体積の一部のみの腫瘍細胞を機械的に溶解、可溶化、および/または液化して、腫瘍抗原を放出し得る。ヒストトリプシー治療は、タンパク質変性を引き起こすような標的組織体積内での十分な加熱を発生させずに腫瘍細胞膜を破壊するように適用される。この目標を達成するために、ステップ406に記載されるヒストトリプシー免疫感作治療が、1つまたは複数のセッションにおいて実行され得、そのセッションにわたって、最適な体積が各セッションの間にアブレーションされる。キャビテーション閾値に基づいてヒストトリプシー処置計画を導出するために試験パルスが使用される実施形態では、ヒストトリプシー治療を適用するステップは、ヒストトリプシー処置計画に基づき得る。
【0190】
[0222]上記のように、ヒストトリプシー治療は、標的腫瘍体積を機械的に溶解、可溶化、および/または液化し、組織加熱を回避しながら、腫瘍細胞膜を破壊するために、マイクロ秒のパルス長(<20us)、高ピーク負圧(>10Mp)、および低いデューティサイクル(<5%)を有するヒストトリプシーパルスをヒストトリプシー治療トランスデューサーに印加することによって標的組織体積内にキャビテーションを創出する。
【0191】
[0223]別の例では、本発明者らの予備データは、1つの腫瘍部位のヒストトリプシー単独療法が、転移を含む、遠位の未処置の腫瘍部位の数および体積の有意な減少をもたらすことを示す(アブスコパル効果)。これは、局所的、局部的(排出リンパ液)および全身的(循環)な治療応答を含む。したがって、本明細書に提供される方法は、アブレーションされる腫瘍体積を処置するために使用されるだけでなく、標的とされる腫瘍体積と別個または離れた腫瘍/がん体積も処置するために使用され得る。さらなる例として、多数の結腸直腸転移のうちの1つは、肝臓で処置され得、観察される治療応答は、他の非処置腫瘍(および非肝臓起源)の腫瘍負荷の安定化または減少で見られる。
【0192】
[0224]特定の体積、形状、およびパターンのアブレーションを制御するために、ヒストトリプシー送達は、上記のロボットアームおよび/またはナビゲーションシステムによって支援され得、これは、ヒストトリプシー焦点が、特定の体積、形状、およびパターンを有する、計画された腫瘍体積を覆ってスキャンされるように、ヒストトリプシートランスデューサーを機械的に移動させるために使用され得る。さらに、システムは、特定の体積、形状、およびパターンのアブレーション、2Dフェーズドアレイ超音波トランスデューサーを使用する電子焦点操縦によるヒストトリプシー送達を制御するように構成され得、これは、ヒストトリプシー焦点が、特定の体積、形状、およびパターンを有する、計画された腫瘍体積を覆ってスキャンされるように、ヒストトリプシートランスデューサーを電子的に移動させるために使用され得る。
【0193】
[0225]一部の実施形態では、ヒストトリプシーは、標的組織体積のサブセットのみに適用され得る。例えば、ヒストトリプシーは、標的組織体積のおよそ25%~90%を含む標的組織体積のサブセットのみに適用され得る。あるいは、サブセットは、体積で少なくとも1cm3を含み得る。一部の実施形態では、サブセットは、標的組織体積の中心/内側部分のみを含む。あるいは、サブセットは、標的組織体積の周辺または周囲/外側部分のみを含んでもよい。一実施態様では、ヒストトリプシーを標的組織体積のサブセットに適用するステップは、ヒストトリプシーを、標的組織体積を通して空間的に分布した複数のプログラムされた処置位置に適用するステップをさらに含む。
【0194】
[0226]上記のように、標的腫瘍へのヒストトリプシーターゲティングおよび送達は、リアルタイムイメージング、例えば、超音波イメージング、CT、またはMRIによってガイドされ得る。イメージングフィードバックにより、ヒストトリプシーが、特定の体積、形状、およびパターンの計画された腫瘍体積を処置するために使用されることを確認することができる。
【0195】
[0227]フローチャート400のステップ408において、この方法は、ヒストトリプシー治療を標的腫瘍位置に送達した後に免疫応答および治療効果を評価するステップをさらに含み得る。免疫応答を評価することにより、ヒストトリプシーによって生成された、溶解、可溶化、およびまたは液化した無細胞残屑が、腫瘍流入領域リンパ節および体循環内で適応免疫応答を刺激する時間を確保することができ、炎症およびDAMP放出を引き起こす時間を確保することができる。これらの変化は、局部および全身腫瘍特異的免疫応答をもたらすと考えられる。この評価ステップは、免疫学的細胞死および/または免疫活性化の分析を含み得る。
【0196】
[0228]評価するステップは、細胞応答をイメージングするステップを含み得、イメージングするステップは、超音波、CT、MRI、および/またはPETイメージングを含む。一部の実施形態では、免疫応答を評価するステップは、少なくとも1つの標的腫瘍をイメージングするステップ、および/または少なくとも1つの標的腫瘍に対して組織生検を実施するステップを含む。刺激された免疫応答は血液検査により評価され得、遠位腫瘍部位に対するアブスコパル効果は、ヒストトリプシー免疫感作後、非侵襲的イメージングにより評価され得る。一部の例では、免疫応答を評価するステップは、1つまたは複数の臓器または解剖学的位置における免疫応答を評価するステップを含む。他の実施形態では、免疫応答を評価するステップは、組織、細胞、血液および/またはそれらの組合せのバイオマーカー解析を含む。一部の例では、評価は、十分な免疫応答を刺激するために1~10日かかる場合がある。他の実施形態では、評価は、ヒストトリプシー治療を送達した後、数週間から数カ月行うことができる。
【0197】
[0229]必要に応じて、フローチャート400のステップ410において、この方法は、ヒストトリプシーを適用した後に免疫療法を適用するステップをさらに含み得る。一部の実施形態では、免疫療法は、チェックポイント阻害剤、免疫刺激療法、がんワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、中和免疫阻害剤、活性化サイトカイン、および/またはそれらのいずれかの組合せであり得る。一部の例では、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、LAG3、TIM3、およびそれらの組合せを含む。他の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、PD-1遮断剤、PD-L1遮断剤、およびそれらの組合せを含む。
【0198】
[0230]免疫療法の適用は、ヒストトリプシー治療後に行うことができる。一部の実施形態では、免疫療法は、ヒストトリプシーの数週間またはさらに数カ月後に適用される。例えば、一実施形態では、免疫療法は、ヒストトリプシーを適用してから1~6週間後に適用され得る。他の実施形態では、免疫療法は、ヒストトリプシーを適用してから2~4週間後に適用され得る。
【0199】
[0231]免疫療法を適用するステップは、経口投与、全身注入、局所領域カテーテルベースの注入、腫瘍内注射、局所領域注射、皮下注射、および/またはそれらの組合せを含み得る。一部の実施態様では、ロボット位置決めシステムは、局所領域カテーテル注入、局所領域注射、腫瘍内注射、および/またはそれらの組合せのために使用される。
【0200】
[0232]上記のヒストトリプシー免疫感作技術は、潜在的な腫瘍抗原を放出するために、切除された腫瘍組織を液化し、腫瘍細胞を機械的に破壊することによってin situがんワクチンの形態を作製するために使用され得る。一部の実施形態では、ヒストトリプシーシステムは、腫瘍溶解物および/またはワクチンを作製する目的のために、実験室および/またはベンチでの使用のために構成され得る。原発性病巣腫瘍を除去するための手術を受けた患者の場合、ヒストトリプシーは、in vitroで切除された腫瘍の一部をアブレーションするために使用され得る。アブレーションされ切除された腫瘍は、遠心分離および顕微鏡評価によって検査されて、腫瘍が無細胞残屑に十分に分解されたことを確認することができる。無細胞残屑は採取され、注射可能な腫瘍特異的ワクチンを作製するために使用され得る。このように生成されたヒストトリプシーによって生成されたがんワクチンの投与は、ワクチンが接種されていない対照と比較して、腫瘍成長を有意に減少させることができる。
【0201】
[0233]
図5のフローチャート500を参照すると、がんワクチンを作製する方法が記載される。フローチャート500のステップ502において、この方法は、少なくとも1つの標的組織体積を識別するステップを含み得る。ステップ502は、標的組織体積のサイズ、形状、体積、質量、および組織の種類に関する詳細を識別するステップを含む、患者の体内の標的組織体積の正確な位置を識別するステップを含み得る。例えば、識別するステップは、体積(例えば、腫瘍)の種類、体積が中に位置する組織または臓器の種類、および標的体積自体の体積または質量を識別するステップを含み得る。一部の実施態様では、少なくとも1つの標的組織体積を識別するステップは、超音波、MRI、CTなどの医療用イメージングモダリティにより達成され得る。
【0202】
[0234]標的組織体積は、肝臓、腎臓、脾臓、膵臓、結腸直腸、腸、胃、食道、乳房、肺、頭部、頸部、甲状腺、皮膚、神経組織、血液悪性腫瘍、肉腫、原発および転移性病変、ならびに脳組織内の腫瘍または他の異常組織の体積を含み得る。
【0203】
[0235]一部の例では、標的組織体積を識別するステップは、腫瘍抗原を放出する細胞応答を最大化するようにアブレーションするために標的腫瘍の処置体積を決定するステップをさらに含み得る。例えば、選択された処置体積が非常に小さい場合、刺激される免疫応答は不十分になる。逆に、アブレーション体積が非常に大きい場合、処置に関連する臨床的合併症が、続いて起こる可能性があり、および/または免疫応答が最適以下になる場合がある。重大な合併症を生じずに十分な免疫刺激が達成されるように、処置体積を決定するステップは、免疫刺激の目的のために重要であり得る。一部の例では、十分な数の細胞のアブレーションは、典型的に、1mL超の組織または標的腫瘍の10%超のアブレーションを含む。別の実施形態では、少なくとも1つの標的腫瘍の処置体積は、少なくとも1つの標的腫瘍の体積の25%~90%の範囲である。別の実施態様では、少なくとも1つの標的腫瘍の処置体積は、体積で少なくとも1cm3である。ヒストトリプシーによる免疫刺激の程度は、アブレーション体積(20%対80%対100%;1mL対20mL対60mL)によって影響を受ける場合があり、がんの種類または標的腫瘍領域の位置によっても影響を受ける可能性がある。例えば、標的組織体積の位置または標的腫瘍の種類が、最適な処置体積を決定するために使用され得る。
【0204】
[0236]他の実施形態では、標的組織体積を識別するステップは、腫瘍抗原を放出する細胞応答を増加、増強、および/または最大化するために処置位置を決定するステップをさらに含み得る。例えば、一部の実施形態では、処置位置は、少なくとも1つの標的腫瘍の中心/内側部分のみを含む。他の実施形態では、処置位置は、少なくとも1つの標的腫瘍の周辺のみを含む。別の実施態様では、処置位置は、少なくとも1つの標的腫瘍を通して空間的に分布した複数のプログラムされた処置位置を含む。ヒストトリプシーによる免疫刺激の程度は、アブレーションのパターンによって影響を受ける場合があり得る(例えば、内側コア/中心部分対外側縁/周辺のみのアブレーション;連続アブレーション対市松模様)。例えば、市松模様のアブレーションは、アブレーションされた無細胞残屑へのより多くの血管アクセスを可能にし得、連続アブレーションのパターンと比較して、刺激された免疫応答の大きさを増加させ得る。ステップ206で選択される処置位置は、腫瘍の種類/がんの種類、周囲組織、標的腫瘍のサイズおよびまたは形状などを含む、処置される組織の種類に依存し得る。
【0205】
[0237]一部の実施形態では、標的組織体積を識別するステップは、第1の標的組織体積および第2の標的組織体積を識別するステップをさらに含む。一部の実施形態では、第1および第2の標的組織体積は、同じ臓器または解剖学的位置に位置する。他の実施形態では、第1および第2の標的組織体積は、異なる臓器または解剖学的位置に位置する。
【0206】
[0238]一部の実施形態では、標的腫瘍体積は、患者から外科的に切除され得る。他の例では、標的組織体積の一部または全てが切除される。さらに、1つまたは複数の標的組織体積は、単一の外科手術において切除され得る。生検によって摘出された腫瘍試料をアブレーションすることが可能である。腫瘍は患者から切除され得るが、他の実施形態では、以下に記載されるように、ヒストトリプシーを使用して、患者内部の液化した無細胞残屑内でin situで腫瘍組織をアブレーションし、次いで、カテーテルを介して液化した細胞を外部に摘出して、ヒストトリプシーによるがんワクチンとして使用することが可能である。一部の場合、および以前に述べられているように、このような溶解物は、慢性疾患の管理または病期の進行の間を含む、後で使用するために貯蔵/保存され得る(例えば、根治手術時に、および再発または進行が発生した場合/ときに後で使用するために貯蔵される)。
【0207】
[0239]フローチャート500のステップ504において、この方法は、標的組織体積内にヒストトリプシー治療トランスデューサーの焦点を配置するステップを含み得る。一部の例では、焦点を配置するステップは、ロボット位置決めシステムにより焦点を配置するステップを含み得る。例えば、ヒストトリプシー治療トランスデューサーは、ロボット位置決めシステムのロボットアームに位置決めされ得、ロボット位置決めシステムは、標的組織体積内に焦点を配置するためにリアルタイムフィードバックを使用することができるか、または代替として、ロボット位置決めシステムは、組織内の望ましい位置に焦点を正確に配置するためにトランスデューサーの焦点距離の情報を使用することができる。一部の実施形態では、ロボット位置決めシステムは、最低でも3自由度を有するロボットアームを含む。他の実施形態では、ロボット位置決めシステムは、予めプログラムされた3次元処置ルーチンを介してヒストトリプシー治療トランスデューサーを指向するロボットアームを含む。
【0208】
[0240]フローチャート500のステップ506において、ヒストトリプシー治療トランスデューサーは、ヒストトリプシー治療を標的組織体積のサブセットに適用して、標的組織体積の一部のみの腫瘍細胞を機械的に溶解、可溶化、および/または液化して、腫瘍抗原を放出し得る。ヒストトリプシー治療は、タンパク質変性を引き起こすような標的組織体積内での十分な加熱を発生させずに腫瘍細胞膜を破壊するように適用される。この目標を達成するために、ステップ506に記載されるヒストトリプシー免疫感作治療が、1つまたは複数のセッションにおいて実行され得、そのセッションにわたって、最適な体積が各セッションの間にアブレーションされる。
【0209】
[0241]上記のように、ヒストトリプシー治療は、標的腫瘍体積を機械的に溶解、可溶化、および/または液化し、組織加熱を回避しながら、腫瘍細胞膜を破壊するために、マイクロ秒のパルス長(<20us)、高ピーク負圧(>10Mp)、および低いデューティサイクル(<5%)を有するヒストトリプシーパルスをヒストトリプシー治療トランスデューサーに印加することによって標的組織体積内にキャビテーションを創出する。
【0210】
[0242]別の例では、本発明者らの予備データは、1つの腫瘍部位のヒストトリプシー単独療法が、転移を含む、遠位の未処置の腫瘍部位の数および体積の有意な減少をもたらすことを示す(アブスコパル効果)。これは、局所的、局部的(排出リンパ液)および全身的(循環)な治療応答を含む。したがって、本明細書に提供される方法は、アブレーションされる腫瘍体積を処置するために使用されるだけでなく、標的とされる腫瘍体積と別個または離れた腫瘍/がん体積も処置するために使用され得る。さらなる例として、多数の結腸直腸転移のうちの1つは、肝臓で処置され得、観察される治療応答は、他の非処置腫瘍(および非肝臓起源)の腫瘍負荷の安定化または減少で見られる。
【0211】
[0243]特定の体積、形状、およびパターンのアブレーションを制御するために、ヒストトリプシー送達は、上記のロボットアームおよび/またはナビゲーションシステムによって支援され得、これは、ヒストトリプシー焦点が、特定の体積、形状、およびパターンを有する、計画された腫瘍体積を覆ってスキャンされるように、ヒストトリプシートランスデューサーを機械的に移動させるために使用され得る。さらに、システムは、特定の体積、形状、およびパターンのアブレーション、2Dフェーズドアレイ超音波トランスデューサーを使用する電子焦点操縦によるヒストトリプシー送達を制御するように構成され得、これは、ヒストトリプシー焦点が、特定の体積、形状、およびパターンを有する、計画された腫瘍体積を覆ってスキャンされるように、ヒストトリプシートランスデューサーを電子的に移動させるために使用され得る。
【0212】
[0244]一部の実施形態では、ヒストトリプシーは、標的組織体積のサブセットのみに適用され得る。例えば、ヒストトリプシーは、標的組織体積のおよそ25%~90%を含む標的組織体積のサブセットのみに適用され得る。あるいは、サブセットは、体積で少なくとも1cm3を含み得る。一部の実施形態では、サブセットは、標的組織体積の中心部分のみを含む。あるいは、サブセットは、標的組織体積の周辺または周囲/外側部分のみを含んでもよい。一実施態様では、ヒストトリプシーを標的組織体積のサブセットに適用するステップは、ヒストトリプシーを、標的組織体積を通して空間的に分布した複数のプログラムされた処置位置に適用するステップをさらに含む。
【0213】
[0245]上記のように、標的腫瘍へのヒストトリプシーターゲティングおよび送達は、リアルタイムイメージング、例えば、超音波イメージング、CT、またはMRIによってガイドされ得る。イメージングフィードバックにより、ヒストトリプシーが、特定の体積、形状、およびパターンの計画された腫瘍体積を処置するために使用されることを確認することができる。
【0214】
[0246]フローチャート500のステップ508において、この方法は、ヒストトリプシー治療を標的腫瘍位置に送達した後に免疫応答および治療効果を評価するステップをさらに含み得る。免疫応答を評価することにより、ヒストトリプシーによって生成された、溶解、可溶化、およびまたは液化した無細胞残屑が、腫瘍流入領域リンパ節および体循環内で適応免疫応答を刺激する時間を確保することができ、炎症およびDAMP放出を引き起こす時間を確保することができる。これらの変化は、局部および全身腫瘍特異的免疫応答をもたらすと考えられる。この評価ステップは、免疫学的細胞死および/または免疫活性化の分析を含み得る。
【0215】
[0247]評価するステップは、細胞応答をイメージングするステップを含み得、イメージングするステップは、超音波、CT、MRI、および/またはPETイメージングを含む。一部の実施形態では、免疫応答を評価するステップは、少なくとも1つの標的腫瘍をイメージングするステップ、および/または少なくとも1つの標的腫瘍に対して組織生検を実施するステップを含む。刺激された免疫応答は血液検査により評価され得、遠位腫瘍部位に対するアブスコパル効果は、ヒストトリプシー免疫感作後、非侵襲的イメージングにより評価され得る。一部の例では、免疫応答を評価するステップは、1つまたは複数の臓器または解剖学的位置における免疫応答を評価するステップを含む。他の実施形態では、免疫応答を評価するステップは、組織、細胞、血液および/またはそれらの組合せのバイオマーカー解析を含む。一部の例では、評価は、十分な免疫応答を刺激するために1~10日かかる場合がある。他の実施形態では、評価は、ヒストトリプシー治療を送達した後、数週間から数カ月行うことができる。
【0216】
[0248]フローチャート500のステップ510において、十分な細胞応答が観察された場合、液化および可溶化した腫瘍細胞は、標的組織体積から採取され得る。最後に、フローチャート500のステップ512において、採取された細胞は患者に注射され得る。一部の実施形態では、患者は、腫瘍が最初に切除された患者と同じ患者であってもよい。他の実施形態では、採取された細胞は、がんワクチンの形態で他の患者に注射されてもよい。
【0217】
[0249]一部の実施形態では、標的化がんワクチンは、採取された細胞の成分から作製され得る。ヒストトリプシーがんワクチンは、患者に特異的な腫瘍抗原を保有するので、本明細書に記載されるヒストトリプシーがんワクチンは、腫瘍組織がワクチンを作製するために摘出された患者由来である患者にとって最も効果的である。
【0218】
[0250]ヒストトリプシーがんワクチンの免疫保護効果は、免疫アジュバントまたは樹状細胞ビヒクルの使用によって増強され得る。本明細書に記載されるヒストトリプシーがんワクチンは、将来の使用のために凍結されてもよい。患者の腫瘍に由来する個別化された腫瘍特異的ワクチンの利用可能性は、腫瘍再発の事象における将来の投与を可能にし得る。ヒストトリプシーがんワクチンは、既存の腫瘍の成長を低減させるか、または将来再発する腫瘍の成長を阻止する可能性がある。
【0219】
[0251]治療効果のための適切なヒストトリプシーがんワクチン用量を得るために、切除される腫瘍の十分な体積が、ヒストトリプシーによってアブレーションされる必要がある。ヒストトリプシーがんワクチンの無細胞の性質は、同じ腫瘍の種類を有する他の患者でのこれらの使用を可能にし得る。ヒストトリプシーがんワクチンの有効性は、複数回の投与(ブースター)の使用によって増強され得る。さらに、ヒストトリプシーがんワクチンの有効性は、無細胞ヒストトリプシーがんワクチンをナノ粒子に封入することによって増強され得る。
【0220】
[0252]概念実証。ヒストトリプシーは、腫瘍内、ならびに局部および全身のリンパ区画内で強力な免疫応答を刺激する。
図6は、ヒストトリプシーが、アブスコパル免疫応答を刺激することを証明するために実施した実験を示す。
図6を参照すると、B16GP33腫瘍47~49を接種したC57BL/6マウスに、処置なし(対照)、放射線(XRT)、高周波アブレーション(RFA)、またはヒストトリプシーを10日目に与えた。21日目のTILのフローサイトメトリー(FACS)解析により、XRTまたはRFA後のCD8+T細胞浸潤の測定可能な増加は実証されなかったが、対照的に、ヒストトリプシーは、有意な腫瘍内CD8+T細胞浸潤を刺激した。
【0221】
[0253]
図7Aおよび7Bは、ヒストトリプシーアブレーションが、局部および全身の腫瘍特異的CD8+T細胞応答をどのように刺激するかを示す。この実験では、マウスにB16GP33メラノーマ腫瘍を接種し、次いで9日目におよそ80%のヒストトリプシーアブレーションを用いてまたは用いずに処置した。腫瘍流入領域リンパ節(TDLN)、対側腋窩非腫瘍流入領域リンパ節(NTDLN)、および脾細胞(SC)を20日目に採取した。20日目の同側腫瘍流入領域リンパ節(TDLN)、対側腋窩非腫瘍流入領域リンパ節(NTDLN)、および脾細胞(SC)のFACS解析により、ヒストトリプシーで処置したマウスのTDLNおよびSCの両方において、より多くのCD8+T細胞が識別された。
図7Aは、TDLNの中で腫瘍新抗原GP33に特異的なCD8+T細胞を示し、
図7Bは、SCの中で腫瘍新抗原GP33に特異的なCD8+T細胞を示す。
【0222】
[0254]
図8は、マウスにおける側腹部腫瘍のヒストトリプシーアブレーションが、対照の場合と比較して、対側の未処置の腫瘍の有意な減少をもたらした別の実験を示す。両側性側腹部Hepa1-6肝細胞がん腫瘍を保有するC57BL/6マウスに、処置なし(対照)または片側性腫瘍のヒストトリプシーを9日目に経験させた。側腹部腫瘍のヒストトリプシーアブレーションは、対照の場合と比較して、対側の未処置の腫瘍の有意な減少をもたらした。
【0223】
[0255]並行実験において、
図9A~9Cを参照すると、片側性のB16GP33側腹部腫瘍を保有するマウスに、B16GP33の静脈注射を与えて、肺転移を確立した。側腹部腫瘍のヒストトリプシーアブレーション(注射後9日目)は、未処置の対照と比較して、肺転移の数および体積を有意に減少させた(
図9A~9Bを参照のこと)。
図9Cに示すように、肺転移の免疫組織化学により、ヒストトリプシーによる高密度のアブスコパルCD8+T細胞浸潤が示される。このアブスコパル免疫刺激は、ヒストトリプシー免疫感作の治療可能性を実証する。
【0224】
[0256]
図10A~10Eは、ヒストトリプシーが、腫瘍微小環境内の炎症性変化をもたらすことを示す。B16GP33側腹部腫瘍を保有するC57BL/6マウスを、ヒストトリプシーアブレーションにより処置した。腫瘍浸潤細胞集団のFACS解析により、腫瘍微小環境内の顕著な炎症性変化を示す種々の非T細胞適応および先天性免疫集団の有意な上方制御が識別された。
図10Aは、より多くの数の樹状細胞を示し、
図10Bは、より多くの数のB細胞を示し、
図10Cは、より多くの数の好中球を示し、
図10Dは、より多くの数のナチュラルキラー細胞を示し、
図10Eは、ヒストトリプシー後のより多くの数のマクロファージを示す。したがって、ヒストトリプシーは、腫瘍ICDを支持し得る炎症誘発性状態を誘導する。
【0225】
[0257]生理的ストレスおよびヒストトリプシーは、がん細胞からのHMGB1の放出を誘導する。HMGB1は、Hepa1-6.50-5650-5253、55、5653、55、5653、55、56によって構成的に発現される。ヒストトリプシーの3日および10日後、免疫蛍光研究により、ヒストトリプシーで処置したB16GP33腫瘍において核外HMGB1のレベルの増加が識別された。ヒストトリプシーの10日後、ELISA研究により、血清中のHMGB1のレベルの増加が識別された。これらの発見により、ヒストトリプシーが、腫瘍内DAMPの強力な放出を介してICDを促進することができることが示唆される。
【0226】
[0258]ヒストトリプシーは、腫瘍から免疫原性ペプチドを放出する。B16GP33またはB16F10メラノーマ腫瘍を拡大させるか、またはC57BL/6マウスに接種した。メラノーマ細胞を遠心分離してペレットにし、沸騰、HIFU、またはヒストトリプシーによりin vitroで処置した。あるいは、メラノーマ腫瘍を、HIFUまたはヒストトリプシーによりin vivoで処置し、次いで摘出し、機械的に均質化した。GP33特異的CD8+T細胞を、LCMV感染の8日後にC57BL/6マウスの脾臓から採取し、次いでIL-1の存在下で沸騰、HIFUまたはヒストトリプシーにより処置した、B16F10またはB16GP33細胞株または腫瘍にin vitroで曝露した。刺激の5時間後、CD8+T細胞を収集し、IFNの発現についてフローサイトメトリーによって解析した。
図11に示すように、GP33特異的CD8+T細胞は、沸騰、HIFUまたはヒストトリプシーにより処置したB16F10細胞または腫瘍に応答してIFN放出を示さなかった(陰性対照)。沸騰またはHIFUにより処置したB16GP33細胞または腫瘍はIFN発現を誘導しなかったが、ヒストトリプシーにより処置したB16GP33細胞または腫瘍のみが、GP33特異的CD8+T細胞を刺激した。これらの方法論は、免疫原性的にインタクトな腫瘍新抗原ペプチドを放出するヒストトリプシーの能力が、その免疫刺激効果を媒介することを示す。
【0227】
[0259]
図12は、チェックポイント阻害が、放射線または熱アブレーションによって増強されない実験を示す。XRTおよびRFAは、CI免疫療法を増強しない。両側性B16GP33メラノーマ腫瘍を保有するC57BL/6マウスを、治療なし(対照)、6、9および12日目に抗CTLA-4mAb(CI)、10日目にXRTもしくはRFA、または併用療法(CI+XRTまたはCI+RFA)により処置した(
図12)。FACS解析により、CI後に局所CD8+TILの誘導が識別されたが、XRTまたはRFA後には識別されなかった。併用療法は、CI単独でのものを超えてCD8+TILを増加させなかった。この利点の欠如は、大幅な改善の機会であると考えられる。
【0228】
[0260]
図13A~13Cは、ヒストトリプシーが、免疫療法の有効性を増強することを示す実験を示す。ヒストトリプシーは、側腹部のHepa1-6腫瘍におけるCI免疫療法を改善する。両側性の側腹部のB16GP33メラノーマ腫瘍を保有するC57BL/6マウスに、治療なし(対照)、6、9および12日目に抗CTLA-4mAb(CI)、10日目に片側性腫瘍のヒストトリプシー、またはCIとヒストトリプシーを与えた。ヒストトリプシーとCIは、TDLN内で最高の腫瘍阻害、CD8+TIL、およびCD8+T細胞をもたらした。
図13Aは、対側(未処置)の腫瘍の腫瘍成長が、ヒストトリプシー治療後にどのように阻害されたかを示す。
図13Bは、ヒストトリプシーが、CD8+TILの有意な増加をもたらしたことを示し、最適なTIL集団がヒストトリプシー後に見られた。
図13Cは、TDLNの間の腫瘍特異的CD8+T細胞集団の存在が、ヒストトリプシー後に最も高かったことを示す。これらの観察は、ヒストトリプシーが、腫瘍を感作して免疫療法に応答することができることを示唆する。
【0229】
[0261]
図14は、ヒストトリプシーによりアブレーションされた腫瘍が、免疫保護がんワクチンとして機能し得ることを示す別の実験である。C57BL/6マウスにB16GP33腫瘍を接種した。腫瘍を10日目にヒストトリプシーアブレーションにより処置し、13日目に切除した。遠心分離によって生存細胞を除去した後、無細胞溶解物を、B16GP33腫瘍をチャレンジする1日前にマウスに腹腔内注射した。ヒストトリプシーがんワクチンにより処置したマウスは、ワクチン接種していない対照と比較して、有意に遅い腫瘍成長を実証した(
図14)。
【0230】
[0262]したがって、本明細書に記載される方法(ユーザーインターフェースを含む)のいずれかは、ソフトウェア、ハードウェアまたはファームウェアとして実装されてもよく、プロセッサ(例えば、コンピューター、タブレット、スマートフォンなど)により実行可能である命令セットを記憶する非一時的コンピューター可読記憶媒体として記載されてもよく、その命令セットは、プロセッサによる実行時に、表示、ユーザーとの通信、解析、パラメーター(タイミング、頻度、強度などを含む)の変更、決定、警告などを含むがそれらに限定されないステップのいずれかの実行をプロセッサに制御させる。
【0231】
[0263]本開示の好ましい実施形態が、本明細書に示され、記載されているが、このような実施形態は、例としてのみ提供されることは当業者に明らかであろう。現在、多数の変形、変更、および置換が、本発明から逸脱せずに当業者に想起されるであろう。本明細書に記載される本発明の実施形態に対する種々の代替が、本発明を実施する際に利用されてもよいことは理解されるべきである。本明細書に記載される実施形態の多数の異なる組合せが可能であり、そのような組合せは、本開示の一部とみなされる。さらに、本明細書のいずれか1つの実施形態に関連して論じられている特徴の全ては、本明細書の他の実施形態での使用に容易に適合され得る。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲の範囲内の方法および構造ならびにそれらの等価物が、本発明の範囲に含まれることが意図される。
【0232】
[0264]特徴もしくは要素が、本明細書において別の特徴もしくは要素「上」に存在すると称される場合、その特徴もしくは要素が、他の特徴もしくは要素上に直接存在してもよく、または介在する特徴および/もしくは要素がさらに存在してもよい。それに対して、特徴または要素が、別の特徴または要素「上に直接」存在すると称される場合、介在する特徴または要素は存在しない。同じく、特徴もしくは要素が、別の特徴もしくは要素と「接続」、「付着」もしくは「連結」していると称される場合、その特徴もしくは要素が、他の特徴もしくは要素と直接に接続、付着もしくは連結してもよく、または介在する特徴もしくは要素が存在してもよいと理解されるであろう。それに対して、特徴または要素が、別の特徴または要素と「直接に接続」、「直接に付着」または「直接に連結」していると称される場合、介在する特徴または要素は存在しない。一実施形態に関して記載または示したが、そのように記載または示した特徴および要素は、他の実施形態に適用することができる。同じく、当業者は、別の特徴と「隣接して」配置されている構造または特徴への言及は、隣接する特徴と重複またはその下にある部分を有し得ると理解するであろう。
【0233】
[0265]本明細書で使用される学術用語は、単に特定の実施形態を記載する目的のためであり、本発明を限定するとは意図されない。例えば、本明細書で使用される場合、単数形「一つの(a)」、「一つの(an)」および「その」は、文脈が明らかに異なる指定をしない限り、複数形も含むと意図される。さらに、「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記述される特徴、ステップ、操作、要素および/または成分の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、操作、要素、成分および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないと理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連して列挙される項目の1つまたは複数の任意および全ての組合せを含み、「/」と省略され得る。
【0234】
[0266]空間的に相対的な用語、例えば「下」、「下方」、「下側」、「上」、「上方」などは、図に示されるような、1つの要素または特徴の、別の要素または特徴との関係を記載する際の記載しやすさのために本明細書で使用され得る。空間的に相対的な用語は、図に描写される向きに加えて、使用または操作中のデバイスの異なる向きを含むことを意図すると理解されるであろう。例えば、図のデバイスを反転させた場合、他の要素または特徴の「下」または「下位」と記載される要素は、他の要素または特徴「上」を向くことになる。したがって、例示的な「下」という用語は、上および下の向きの両方とも含み得る。デバイスは、その他の向き(90度回転または他の向き)でもよく、本明細書で使用される空間的に相対的な記述語は、適宜解釈可能である。同様に、「上向き」、「下向き」、「垂直」、「水平」などの用語は、本明細書では、特に異なる指定がない限り、単に説明の目的で使用される。
【0235】
[0267]「第1の」および「第2の」という用語は、種々の特徴/要素(ステップを含む)を記載するために本明細書で使用され得るが、それらの特徴/要素は、文脈が異なる指定をしない限り、それらの用語によって限定されるべきではない。それらの用語は、ある特徴/要素を、別の特徴/要素から区別するために使用され得る。したがって、本発明の教示から逸脱することなく、以下に論じられる第1の特徴/要素は、第2の特徴/要素と呼ばれてもよく、同様に、以下に論じられる第2の特徴/要素は、第1の特徴/要素と呼ばれてもよい。
【0236】
[0268]本明細書およびそれに続く特許請求の範囲を通して、文脈が異なる要求をしない限り、「含む(comprise)」という単語、および変形、例えば、「含む(comprises)」および「含む(comprising)」は、種々の成分が、方法および物品(例えば、組成物、およびデバイスを含む装置、および方法)において一緒に利用されてもよいことを意味する。例えば、「含む(comprising)」という用語は、指定した任意の要素またはステップの包括を示唆するが、他のいかなる要素またはステップの除外も示唆しないと理解されるであろう。
【0237】
[0269]概して、本明細書に記載される装置および/または方法のいずれかは包括的であると理解されるべきであるが、成分および/またはステップの全てまたは一部は、代替として排他的であってもよく、種々の成分、ステップ、副成分またはサブステップ「からなる」または代替として「から本質的になる」と表され得る。
【0238】
[0270]例での使用も含めて明確に異なる指定がない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、全ての数は、たとえ明確には現れなくても、「約」または「およそ」という単語で始まるように読まれ得る。「約」または「およそ」という表現は、記載される値および/または位置が、値および/または位置の合理的な予想される範囲内にあることを示す大きさおよび/または位置を記載する場合に使用され得る。例えば、数値は、表示値(または値範囲)の+/-0.1%、表示値(または値範囲)の+/-1%、表示値(または値範囲)の+/-2%、表示値(または値範囲)の+/-5%、表示値(または値範囲)の+/-10%などである値を有し得る。本明細書で与えられる任意の数値も同じく、文脈が異なる指定をしない限り、約またはおよそその値を含むと理解されるべきである。例えば、値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。本明細書で列挙される任意の数値範囲は、そこに包含される全ての部分範囲を含むと意図される。同じく、ある値が開示される場合、その値と「同等以下」、「その値と同等以上」および値間の可能な範囲も、当業者が適切に理解するように開示されると理解される。例えば、値「X」が開示される場合、「Xと同等以下」と同様に「Xと同等以上」(例えば、Xは数値である)も開示される。同じく、本出願を通じて、データが多数の異なる形式で提供され、そのデータは、終点および始点、ならびにそれらのデータ点の任意の組合せに関する範囲を意味すると理解される。例えば、特定のデータ点「10」および特定のデータ点「15」が開示される場合、10および15を超える、10および15と同等以上、10および15を下回る、10および15と同等以下、ならびに10および15と同等が、10から15の間と同様に開示されているとみなされると理解される。同じく、2つの特定の単位間の各単位も開示されると理解される。例えば、10および15が開示される場合、11、12、13、および14も同じく開示される。
【0239】
[0271]種々の例示的実施形態が上に記載されているが、特許請求の範囲で記載される本発明の範囲から逸脱することなく、種々の実施形態に対して多数の変更のいずれかを行うことができる。例えば、記載される種々の方法ステップを実施する順序は、代替的実施形態において、多くの場合、変更可能であり、他の代替的実施形態では、1つまたは複数の方法ステップをまとめてスキップしてもよい。種々のデバイスおよびシステムの実施形態の任意の特徴は、一部の実施形態には含まれていて、他の実施形態には含まれていなくてもよい。したがって、前述の記載は、主として例示的な目的で提供されており、特許請求の範囲に明記される本発明の範囲を限定するものとは解釈されるべきではない。
【0240】
[0272]本明細書に含まれる例および例証は、限定としてではなく例証として、主題を実践し得る特定の実施形態を示す。述べたように、他の実施形態が、利用可能であり、本開示の範囲を逸脱することなく構造的および論理的な代用および変更がされ得るように導出可能である。発明の主題のそのような実施形態は、単に便宜上、かつ実際に2つ以上開示される場合は本出願の範囲をいかなる単一の発明または発明思想へとも任意に限定する意図なく、本明細書では個別または集団として、「発明」という用語で称され得る。したがって、本明細書では特定の実施形態を例証し、記載したが、同じ目的の達成を意図する任意の配置が、示した特定の実施形態の代わりに用いられ得る。本開示は、種々の実施形態の任意および全ての適合または変形を包含すると意図される。上記の説明を見直すと、上記の実施形態の組合せ、および本明細書に特には記載されない他の実施形態が、当業者には明らかになるであろう。
【国際調査報告】