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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】コンパクトな光アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20230323BHJP
   G02B 27/48 20060101ALI20230323BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20230323BHJP
   G03H 1/22 20060101ALI20230323BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B27/48
G02B5/30
G03H1/22
H04N5/64 511A
H04N5/64 501D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546090
(86)(22)【出願日】2021-01-25
(85)【翻訳文提出日】2022-07-28
(86)【国際出願番号】 EP2021051562
(87)【国際公開番号】W WO2021151814
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】2001291.0
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521309824
【氏名又は名称】ヴィヴィッドキュー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VividQ Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン, アルフレッド ジェームズ
【テーマコード(参考)】
2H149
2H199
2K008
【Fターム(参考)】
2H149AA01
2H149BA02
2H149BA04
2H199CA12
2H199CA23
2H199CA29
2H199CA42
2H199CA45
2H199CA46
2H199CA47
2H199CA64
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA70
2H199CA75
2K008AA14
2K008CC03
2K008HH12
2K008HH13
2K008HH19
2K008HH26
(57)【要約】
光アセンブリ(1)は、光源(11)、光源(1)からの光を変調するための光変調要素(12)、及び光アセンブリ(1)からの変調された光を方向づけるための終端光学素子(13)を含む。光学素子は、光源(11)から光変調要素(12)へ第1の経路で光を導き、光変調要素(12)から終端光学要素(13)へ第2の経路で変調された光を導くために設けられる。第1の経路及び第2の経路は、例えばC字形など、類似した形状であり、入れ子構成で配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光アセンブリであって、
光源と、
前記光源からの光を変調するための光変調要素と、
前記光アセンブリからの変調された光を方向づけるための終端光学素子と、
前記光を導くための複数の光学素子と、
を備え、
前記複数の光学素子が、前記光源から前記光変調要素へ第1の経路で前記光を導き、前記光変調要素から前記終端光学素子へ第2の経路で前記変調された光を導くように配置され、
前記第1の経路及び前記第2の経路が類似した形状であり、入れ子構成で配置される、
光アセンブリ。
【請求項2】
前記第1の経路及び前記2の経路が、入れ子構成で配置されたC字形の経路である、請求項1に記載の光アセンブリ。
【請求項3】
前記光源、前記光変調要素、及び前記終端光学素子が、前記光アセンブリの周辺に位置する、請求項1または2に記載の光アセンブリ。
【請求項4】
前記光源、前記光変調要素、及び前記終端光学素子が、前記第1の経路及び前記第2の経路が実質的に同じ平面に設けられるように、実質的に線形の配置で設けられる、請求項3に記載の光アセンブリ。
【請求項5】
前記複数の光学素子が、前記光源からの光のビームを狭めるように構成されたコリメータを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の光アセンブリ。
【請求項6】
前記複数の光学素子が、前記光変調要素の前に位置する偏光ビームスプリッタを備え、
前記光変調要素に達する光が、前記第1の経路で前記偏光ビームスプリッタによって反射され、前記光変調要素からの変調された光が、前記第2の経路で前記偏光ビームスプリッタを通過する、請求項1~5のいずれか一項に記載の光アセンブリ。
【請求項7】
偏光子が、前記偏光ビームスプリッタと前記光変調要素との間に設けられる、請求項6に記載の光アセンブリ。
【請求項8】
前記終端光学素子が反射器を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の光アセンブリ。
【請求項9】
前記終端光学素子が、操縦可能な視野走査ミラーである、請求項1~8のいずれか一項に記載の光アセンブリ。
【請求項10】
前記終端光学素子がレーザースペックルリデューサーである、請求項1~8のいずれか一項に記載の光アセンブリ。
【請求項11】
前記複数の光学素子が、前記終端光学素子に隣接する前記第2の経路に位置するプローセル光学部品を含み、
前記プローセル光学部品が1対の対称光学素子を備え、前記光アセンブリから出力される縮小画像を生成するように構成される、請求項1~10のいずれか一項に記載の光アセンブリ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の光アセンブリを備えるホログラフィックディスプレイ。
【請求項13】
前記光変調要素が、再生画像を生成するために、入射光ビームの位相を変調するように構成される、請求項12に記載のホログラフィックディスプレイ。
【請求項14】
前記光アセンブリからの画像を別の光源からの光と結合するコンバイナを備える、請求項12または13に記載のホログラフィックディスプレイ。
【請求項15】
前記ホログラフィックディスプレイがニアアイディスプレイである、請求項12~14のいずれか一項に記載のホログラフィックディスプレイ。
【請求項16】
前記ホログラフィックディスプレイが、第1の光アセンブリ及び第2の光アセンブリを備える両眼ホログラフィックニアアイディスプレイである、請求項15に記載のホログラフィックディスプレイ。
【請求項17】
内蔵型ヘッドセットの形の請求項15または16に記載のホログラフィックディスプレイ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光アセンブリに関する。より具体的には、光アセンブリは、ホログラフィック拡張現実(AR)ヘッドセットまたは仮想現実(VR)ヘッドセットなどのニアアイディスプレイでの使用向けである。そのようなARヘッドセット及びVRヘッドセットでは、光アセンブリは、後にヘッドセットを装着しているユーザーに配信されるホログラフィック再生画像を生成するために使用され得る。また、ヘッドアップディスプレイ(HUD)またはプロジェクタでの使用など、他の用途も検討される。
【背景技術】
【0002】
ユーザーが眼鏡に類似した外観を有するヘッドセットを装着する拡張現実(AR)ヘッドセットが知られている。一部のARヘッドセットでは、2D画像は、ユーザーが自分の周囲と画面要素上に投影される画像の両方を見ることができるように、ユーザーの目の前の画面要素上に投影される。用語「複合現実」はまた、実物体とインタラクションする仮想画像(画面要素上に投影される画像)を説明するために使用されることがある。本願の目的のために、用語「拡張現実」は、用語「複合現実」を含むと広く理解される。ユーザーが画面要素上に投影された画像を見るが、自分の周囲は見ないようにユーザーの目を覆うヘッドセットを装着する仮想現実(VR)ヘッドセットも知られている。
【0003】
ARヘッドセット及びVRヘッドセットは、ゲーム用途から、設計プロトタイピングなどの商業的用途まで広範囲の潜在的な用途を有する。
【0004】
ARヘッドセット及びVRヘッドセットを設計するときには、画像再生の質、ARヘッドセット及びVRヘッドセットの快適さ、及び携帯性を含むいくつかの要因が重要である。快適さと携帯性の両方における重要な要因は、ARヘッドセット及びVRヘッドセットのサイズ及び重量である。
【0005】
光を操作して物体の三次元画像を作成するホログラフィックディスプレイも知られている。光の位相を制御して3次元画像を再現するために、そのようなディスプレイで空間光変調器を使用することも検討されてきた。
【0006】
本発明は、望ましい品質を備えたヘッドセットユニットを設計するという課題を考慮してなされた。
【発明の概要】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、光源と、光源からの光を変調するための光変調要素と、光アセンブリからの変調された光を方向づけるための終端光学素子と、光を導くための複数の光学素子とを含む光アセンブリが提供され、複数の光学素子は、光源から光変調要素へ第1の経路で光を導き、光変調要素から終端光学要素へ第2の経路で変調された光を導くために配置され、第1の経路及び第2の経路は類似した形状であり、入れ子構成で配置される。
【0008】
これはコンパクトな設計を可能にする。特に、第1の経路及び第2の経路を入れ子にすることにより、光学素子のよりコンパクトの配置が可能になる。
【0009】
第1の経路及び第2の経路は、入れ子構成で配置されたC字形の経路であってよい。C字形の経路を使用することにより、光学経路の容易な入れ子が可能になる。
【0010】
光源、光変調要素、及び終端光学素子はすべて、光アセンブリの一方の半分に配置され得る。光源、光変調要素、及び終端光学素子は、光アセンブリの周辺に位置してよい。いくつかの例では、周辺は外面である。これにより、光アセンブリ内での電気部品への配線をより容易にすることができる。特に、電源は、光源と同じ光アセンブリの側に設けられ得、電力を必要とする光アセンブリの要素へのコンパクトな配線を可能にする。
【0011】
いくつかの実施形態では、光源、光変調要素、及び終端光学素子は、第1の経路及び第2の経路が実質的に同じ平面内に設けられるように、実質的に線形の配置で設けられる。電気部品への配線をより容易にすることに加えて、経路が同じ平面または近い平面内に設けられるため、この構成は、コンパクトな光アセンブリも可能にする。
【0012】
光アセンブリ内の複数の光学素子は、光源からの光のビームを狭めるように構成されたコリメータを含み得る。コリメータによって引き起こされる光のビームの狭まりによって、よりコンパクトな光アセンブリが可能になる。
【0013】
光アセンブリ内の複数の光学素子は、光変調要素の前に位置する偏光ビームスプリッタを含み得、その結果、光変調要素に達する光は、第1の経路で偏光ビームスプリッタによって反射され、光変調要素からの変調された光は、第2の経路で偏光ビームスプリッタを通過する。そのような実施形態では、偏光ビームスプリッタは、2つの経路間の遷移を制御する。利点は、偏光ビームスプリッタを使用することによって、光変調要素に出入りする経路を使用することができ、空間のより効率的な使用を提供することである。
【0014】
代わりに、偏光ビームスプリッタは、第1の経路で光を伝えるように配置されてもよい。したがって、光アセンブリの複数の光学素子は、光変調要素の前に位置する偏光ビームスプリッタを含み得、その結果、光変調要素に達する光は、第1の経路で偏光ビームスプリッタを通過し、光変調要素からの変調された光は、第2の経路で偏光ビームスプリッタによって反射される。
【0015】
偏光子は、偏光ビームスプリッタと光変調要素との間に設けられ得る。
【0016】
終端光学素子は、多くの異なる形を取り得る。いくつかの実施形態では、終端光学素子は反射器を含む。反射器は、操縦可能な視野走査ミラーであってよい。さらなる実施形態では、終端光学素子は、レーザースペックルリデューサーである。終端要素が電力を必要とする実施形態は、配線をコンパクトに保つために、光アセンブリの一方の半分に配置されるか、及び/または上述の実質的に線形の配置に設けられるかどちらかであることから恩恵を受け得る。
【0017】
複数の光学素子は、終端光学素子に隣接する第2の経路上に位置するプローセル光学部品を含み得、プローセル光学部品は1対の対称光学素子を含み、光アセンブリから出力される縮小画像を生成するように構成される。プローセル光学部品は、比較的に少ない光学素子で良好な画質を提供する傾向がある。さらに、プローセル光学部品は、光アセンブリをコンパクトに保つのに役立つ短い焦点距離を有する。
【0018】
光アセンブリは、光源からの光の強度を検出し、光の強度を調節できるように、フィードバックを提供して、光源への電力を制御するためにモニタセンサを含み得る。
【0019】
本発明の別の態様によれば、上述の光学特徴を有する、または有さない上述の光アセンブリを含むホログラフィックディスプレイが提供される。そのようなディスプレイはコンパクトな形を有し得る。光変調要素は、再生画像を生成するために、入射する光ビームの位相を変調するように構成され得る。ディスプレイは、光アセンブリからの画像を別の光源からの光と結合するためのコンバイナを含み得、これにより、例えば拡張現実の用途が可能になる。
【0020】
いくつかの例では、ディスプレイはニアアイディスプレイである。用語「ニアアイディスプレイ」は、VR及びARの用途においてなど、ディスプレイが使用中に目に近く配置される用途を包含するために当技術分野で使用される。例えば、ニアアイディスプレイは、目から10mm以内、20mm以内、30mm以内、40mm以内、50mm以内、100mm以内、または200mm以内にあってよい。一例では、ホログラフィックディスプレイは、第1の光アセンブリ及び第2の光アセンブリを含む両眼ホログラフィックニアアイディスプレイである。光アセンブリのそれぞれは、それらが、光アセンブリがユーザーの目のそれぞれ1つの視野内にそれぞれの再生画像を生成するように配置され得る。ニアアイディスプレイは、内蔵型ヘッドセットであってよい。内蔵型ヘッドセットは、光学エンジンの構成要素が、外部構造よりむしろユーザーの頭部によって支持され、光学系のコンパクトな構造によって可能にされるヘッドセットである。内蔵型ヘッドセットは、電力及び/またはデータ用のケーブル接続を備える場合もあれば、例えば無線通信プロトコルを使用し、ヘッドセット内に電源を含むなど、ケーブル接続を有さない場合もある。
【0021】
本発明の別の態様によれば、上述の光アセンブリを含むヘッドアップディスプレイが提供される。本発明のさらに別の態様によれば、上述の光アセンブリを含むプロジェクタが提供される。
【0022】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の図面を参照して作成された、例としてのみ与えられた、本発明の好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ホログラフィック拡張現実ヘッドセットの構成要素を示す概略図である。
図2図1に示される光学エンジン内の構成要素を示す図である。
図3図2に示される光学エンジンのいくつかの構成要素を示す概略図である。
図4】本発明の第2の実施形態を示す概略図である。
図5】ホログラフィック拡張現実ヘッドセットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、一般的に、光学エンジン1の形の光アセンブリ、及び光学エンジン1からの光をユーザーの周囲からの光と結合し、それをユーザーに表示するための光コンバイナ2を含むホログラフィック拡張現実ヘッドセットの構成要素を示す。周囲からの光を、光学エンジン1によって生成された画像と結合することによって、ユーザーのために拡張現実効果を作り出すことができる。光学コンバイナ2は、一般に、光学エンジン1からの光を導くための1つまたは複数の光学素子、及びホログラフィック画像をユーザーの周囲からの光と結合して、結合された光を、見るためにユーザーに配信するディスプレイ要素を含む。光学コンバイナ2は、光学エンジン1からユーザーの目3へ光を導く。
【0025】
図2は、光学エンジン1の詳細を平面図で示している。光学エンジン1は、空間光変調器12の形の光変調要素を照らすように構成された、RGBレーザーダイオード11(以降、「レーザーダイオード」)の形の光源を含む。レーザーダイオード11は、Sumitomo Electric(RTM)SLM-RGB-T20-F-2レーザーダイオードであるが、他のレーザーダイオードも使用し得る。レーザーダイオード11は、発散するレーザー光を出射する。光は垂直偏光(垂直方向は、図2を見るときにページの中から出る)により、及び水平面内(ページ平面内)でより大きな発散により発せられる。レーザーダイオード11は、それが異なる色のレーザー光の発出を迅速に切り替え、赤の光、緑の光、及び青の光を周期的に発するため、RGBレーザーダイオードと呼ばれる。異なる色が発せられる異なるときにレーザー光を変調することによって、ユーザーのためにカラーホログラフィック画像の外観が作成され得る。
【0026】
空間光変調器12は、複合フォトニクス(RTM)DP1080p26マイクロディスプレイであり、それに入射する光の位相を調整するように構成される。光の位相を制御することによって、干渉を使用してホログラフィック再生画像(以後「再生画像」)を作成することが可能である。空間光変調器12は、ピクセルのアレイを含む。各ピクセルは、反射された光の位相を調整するために制御することができるミラーリングされたバックプレーンの前に、可変液晶リターダを含む。本発明は、特定の空間光変調器技術またはディスプレイに結び付けられておらず、この技術は経時的に変化し、例えば解像度及びリフレッシュレートを上げることが予想される。再生画像は、出力折り畳みミラー13、より具体的には金属プラノミラーの形の終端光学素子で光学エンジン1から出力される。図1を参照すると、出力折り畳みミラー13からの光は、ユーザーへの送達のために光学コンバイナ2の光学素子に送られる。
【0027】
光学素子は、レーザーダイオード11から空間光変調器12に光を導くために提供される。レーザーダイオード11からの光を反射するように機能する第1の折り畳みミラー14の形の反射器は、レーザーダイオード11の反対側に設けられる。出力折り畳みミラー13と同様に、第1の折り畳みミラー14は金属プラノミラーである。
【0028】
第1の折り畳みミラー14からの光は、発散する光のビームを狭める構成要素であるレーザーコリメートレンズ15の形のコリメータに向けられる。第1の実施形態では、光ビームは、レーザーコリメートレンズ15を離れるとわずかに収束するように、レーザーコリメートレンズ15は、第1の折り畳みミラー14からの光を狭める。本実施形態では、レーザーコリメートレンズ15は、Thorlabs(RTM)の部品AC080-016-Aであるが、別のコリメートレンズを使用し得る。
【0029】
第1の折り畳みミラー14とレーザーコリメートレンズ15との間の経路は、図2には示されていないバッフルによって囲まれている。バッフルは、構成要素及び光路の形状に一致するように3Dプリントされ得る。
【0030】
コリメートされた光は、レーザーコリメートレンズ15を通過した後、偏光ビームスプリッタ16に入射する。偏光ビームスプリッタ16は、垂直偏光(示されるように紙の中から)で光を反射し、水平偏光(示されるように、紙の平面内で)で光を渡すように構成される。偏光ビームスプリッタ16は、Thorlabs(RTM)の部品PBS101であるが、別の偏光ビームスプリッタを使用できるであろう。
【0031】
上述のように、光は、垂直偏光でレーザーダイオード11から発せられる。偏光ビームスプリッタ16は、ほぼすべての光が偏光ビームスプリッタ16から空間光変調器12に向けて反射されるように構成される。
【0032】
図2から、レーザーダイオード11からの光が、空間光変調器12への第1のC字形の経路をたどることが分かる。特に、Cの3つの側面は、i)レーザーダイオード11から第1の折り畳みミラー14へ、ii)第1の折り畳みミラー14から偏光ビームスプリッタ16へ、及びiii)偏光ビームスプリッタ16から空間光変調器12へ通過する光により形成される。
【0033】
より注意深く図2を見ると、レーザーコリメートレンズ15は、偏光ビームスプリッタ16の光軸に対してわずかな角度で設けられる。このわずかな角度は、2で除算される再生視野の幅であり、次のように計算される。
【数1】

上式で、λminは、光ビームの最短波長であり、δは、空間光変調器12のピクセルピッチであり、θは、レーザーコリメートレンズ15の軸が、偏光ビームスプリッタ16の光軸から軸外になる角度である。θの典型的な値は、3~6度の領域内にある可能性がある。第1の実施形態では、最短波長は450nmであり、ピクセルピッチは3μmであり、角度θは4.3度である。
【0034】
レーザーコリメートレンズ15のこの軸外整列の理由は、コリメートされた光の中心を空間光変調器12の上に軸外で照らすためである。これは、光の中心が、空間光変調器12の中心にあるが、空間光変調器12の垂直軸に対してある角度で空間光変調器12に当たることを意味する。空間光変調器12は、レーザーコリメートレンズ15の傾斜のために軸外で照らされるが、空間光変調器12に続くすべての光学部品が軸上に位置することに留意されたい。これは、空間光変調器12以降の収差は、補正するのが困難であるのに対し、空間光変調器12までの光路により引き起こされる収差は、空間光変調器12で変調された画像に固定位相マスクを追加することによって、ソフトウェアで完全に補正することができるためである。
【0035】
偏光子17は、偏光ビームスプリッタ16と空間光変調器12との間に設けられている。偏光子17は平面偏光子であり、水平偏光面と垂直偏光面との間で45度に偏光面を備えて配置されている。結果的に、光が偏光ビームスプリッタ16から空間光変調器12へ偏光子17を通過するとき、垂直に偏光された光の約50%が、空間光変調器12に透過される。光は、偏光方向を変えることなく、空間光変調器12から反射され、その結果、空間光変調器12からの実質的にすべての光が、垂直偏光及び水平偏光に45度での偏光方向で偏光ビームスプリッタ16に達する。したがって、光が空間光変調器12から戻るときに、光は偏光子17でほとんど失われない。偏光ビームスプリッタ16は、空間光変調器12から反射された光の約半分を通過させる。残りの半分は、レーザーコリメートレンズ15、第1の折り畳みミラー14、及びレーザーダイオードに向かって反射され、そこで、光は発せられた光への干渉を最小限にして吸収される。
【0036】
空間光変調器は、45度の偏光を有する入射光でうまく機能するため、上記の構成は、上述の複合フォトニクス(RTM)DP1080p26空間光変調器を使用するときに最適である。ただし、空間光変調器の他の例は、異なる偏光の光で最適に機能し得る。そのような場合、複屈折要素を偏光子17と空間光変調器12との間に追加して、光の偏光を好ましい角度に回転させることができる。非偏光ビームスプリッタの使用を含む他の構成も可能である。
【0037】
偏光子17は、偏光ビームスプリッタ16の光軸に対してわずかな角度で傾斜している。本実施形態では、偏光子17は、光軸に対して1度傾斜している。しかしながら、偏光子17の設置の製造公差を使用しても、満足の行く結果を提供し得る。傾斜の理由は、偏光子17の表面からのいずれの直接反射も、再生画像の光とは反対側の0次光に送られることを確実にするためである。
【0038】
空間光変調器12で、入射光は、その位相を制御して再生画像を作成するマイクロディスプレイから反射される。しかしながら、空間光変調器12の欠陥及びピクセル間のアドレス指定不可能な領域のために、回折により、0次光ビームを形成させる。0次ビームは非常に明るく、ユーザーに表示するには望ましくない場合がある。空間光変調器12に入射する光ビームは軸外であるので、0次ビームも軸外に形成される。
【0039】
偏光ビームスプリッタ16によって渡される空間光変調器12からの光は、光学エンジン1の反対側の空間光変調器12の反対側に位置する第2の折り畳みミラー18の形の反射器に達する。第1の折り畳みミラーと同様に、第2の折り畳みミラー18は金属プラノミラーである。光は、第2の折り畳みミラー18によって対物レンズ19の形の収束システムに向かって反射される。対物レンズ19は、変調された光を異なる焦点面に集束させて、実際の中間画像121を形成するために役立つ。対物レンズは、Thorlabs(RTM)の部品AC080-020-Aであるが、他の光学部品を使用し得る。
【0040】
ここでより詳細に説明されるように、0次光を除去するために、対物レンズ19の後ろに視野絞り開口120の形の光除去器が設けられる。対物レンズ19によって集束された空間光変調器12からの0次光は、偏光ビームスプリッタ16を通過し、第2の折り畳みミラー18によって反射されて、視野絞り開口120に達した。さらに、レーザーコリメートレンズ15に関連して上述されたように、レーザーコリメートレンズ15からの光は、レーザーコリメートレンズ15の軸外配置のために、それが軸外で空間光変調器12に当たると、わずかに収束する。結果的に、0次光は軸外であり、わずかに収束しており、それが視野絞り開口120によって除去できるように、対物レンズ19によって集束される。0次光は、視野絞り開口120の固体部分の上でまたはその近くで集束される。空間光変調器12からの変調された光は、対物レンズ19によって集束され、視野絞り開口120の開口を通過して視野絞り開口120の後ろに再生画像を形成する。いま述べたように、0次光は空間光変調器12ですでにわずかに収束していたため、より早期に集束するので、再生画像の無限焦点面(平行光)は、視野絞り開口120の後ろで対物レンズ19によって集束される。
【0041】
上述の偏光子17からの任意の直接反射光はまた、それが、再生画像の光と比較して0次光の反対側に位置していたので、視野絞り開口120によって遮られる。
【0042】
視野絞り開口120は、任意選択で、その上にまたは近くに配置された、光センサを有して、視野絞り開口120に当たる0次光を確実に把握し得る。そのような実施形態では、センサからの光の検出は、レーザーダイオード11への電力を論理的に制御するために使用され得る。特に、電力がレーザーダイオード11に供給される場合(つまり、レーザーダイオードがレーザービームを出射している)場合、次に、センサによって光が検出されない場合、0次光を把握できないため、制御ユニット(図示せず)は、レーザーダイオード11への電力を遮断し得る。これにより、光学エンジン1の不適切な設定のために、0次光がユーザーに不注意に渡されるのが防がれる。
【0043】
空間光変調器12は、視野絞り開口120での0次光の位置決めの制御を可能にするために傾斜自在に取り付けられ得る。空間光変調器12の傾斜角度の制御は、当技術分野で既知のタイプの傾斜自在の取り付けにより得る。代わりに、空間光変調器12は、その向きを調整するために製造中に調整され得る(例えば、シムを入れて水平にされ得る)。
【0044】
実際の中間画像121は、視野絞り開口120を越えて様々な焦点面で形成され、3Dホログラフィック再生画像である。再生画像の焦点面の前で平面内の0次光を除去することによって、視野絞り開口120によって生じる視野に対する粗いエッジを回避することができる。さらに、中間画像が形成される領域の前で0次光が集束するため、0次光は中間画像内で発散し、ユーザーはそれに集束することができない。これはまた、有利な安全機能でもある。
【0045】
現在、0次光が除去されている対物レンズ19からの光は、プローセル光学素子123の形のプローセル光学部品に入射する前に、再び金属のプラノミラーである、第3の折り畳みミラー122の形の反射器によって反射される。プローセル光学素子123は、既知のタイプであり、出力折り畳みミラー13によって出力される準備が完了した縮小画像を生成する。プローセル光学素子123は、「プローセル接眼レンズ」と呼ばれることがあり、2の対称光学素子を含む。本実施形態では、2つの対称光学素子は、Thorlabs(RTM)の部品AC064-013-Aであるが、他の光学部品を使用できるであろう。この光学素子の利点は、それが相対的に少ない光学素子を含み、良好な視野を有し、良好な画質を提供することである。プローセル接眼レンズの焦点距離は、通常、非常に短く、これは光学エンジン1をコンパクトに保つのに役立つ。
【0046】
第2の開口124は、プローセル光学素子123の後ろに設けられる。この段階で、第2の折り畳みミラー18の追加の機能を説明することが適切である。第2の折り畳みミラー18は、事実上開口を提供する凹部に設けられる。第2の開口124及び第2の折り畳みミラー18の凹部は、ともに軸外の迷光を除去し、ユーザーのために再生画像の外観を改善する。
【0047】
空間光変調器12の削減された(縮小された)画像は、プローセル光学素子123の後ろに、かつ光が出力折り畳みミラー13によって光学コンバイナ2に向かって反射される前に、領域125内でプローセル光学素子によって形成される。第1の実施形態では、領域125に形成された再生画像は、空間光変調器12によって生成された再生画像のサイズの約3分の1のサイズを有する。
【0048】
光学コンバイナ2は、拡張現実ヘッドセット用のいくつかの既知のコンバイナの1つである可能性がある。例えば、コンバイナは、光学エンジン1からの再生画像を、外部からヘッドセットに入射する光と結合するために、半透明のミラーまたはビームスプリッタを使用できるであろう。コンバイナ2は、平面要素及び球形要素を含む、当技術分野で既知のタイプの「バードバス」コンバイナであってよい。
【0049】
図2から、光が空間光変調器12から出力折り畳みミラー13へ第2のC字形の経路をたどることが分かる。特にCの3つの側面は、i)空間光変調器12から第2の折り畳みミラー18へ、ii)第2の折り畳みミラー18から第3の折り畳みミラー122へ、及びiii)第3の折り畳みミラー122から出力折り畳みミラー13へ通る光によって形成される。
【0050】
図3は、レーザー光がたどる経路をより容易に認識できるようにするために、図2の特定の構成要素を示す概略図である。図3は、レーザーダイオード11、第1の折り畳みミラー14、偏光ビームスプリッタ16、空間光変調器12、第2の折り畳みミラー18、第3の折り畳みミラー122、及び出力折り畳みミラー13を示している。第1のC字形の経路は、上述のように、レーザーダイオード11と空間光変調器12の間に見ることができ、第2のC字形の経路は、空間光変調器12と出力折り畳みミラー13との間に見ることができる。レーザーダイオード11、空間光変調器12、及び出力折り畳みミラー13はすべて、光学エンジン1の一方の半分に設けられている。より具体的には、レーザーダイオード11、空間光変調器12、及び出力折り畳みミラー13は実質的に線形配置で配置されている。さらに、第1のC字形の経路は、第2のC字形の経路内に入れ子にされている。これにはいくつかの利点がある。第1に、第1のC字形の経路と第2のC字形の経路を入れ子にすることにより、光学素子のコンパクトな配置が可能になる。これにより、ヘッドセットのサイズが縮小され、それによりユーザー体験が向上する。第2に、電源を必要とする構成要素であるレーザーダイオード11及び空間光変調器12は、互いに近くに設けられるため、デバイスの配線をコンパクトかつ効率的にすることができる。
【0051】
図2及び図3の光学エンジンの全体的な寸法は、25×30×10mmほど小さくすることができ、コンパクトなサイズが有益である、ヘッドセットなどの構成要素へのより容易な統合を可能にする。
【0052】
第1の実施形態では、終端の光学素子は、出力折り畳みミラー13である。しかしながら、他の実施形態では、出力折り畳みミラー13は、視野の調整を可能にするために操縦可能な視野走査ミラーによって、またはレーザーダイオード11を使用することにより生じるスペックルノイズを平滑化するためにマイクロスケールバイブレータによって置き換えられ得る。これらの構成要素のそれぞれは電源を必要とし、また、有利なことに、コンパクトかつ効率的な配線を可能にするために、光学エンジン1の片側で互いの近くに位置する。
【0053】
光学エンジン1は、良好な光学性能が可能であり、いくつかの場合、光学コンバイナ2を介してユーザーのために再画像化される回折限界に近い画像を生成し得る。
【0054】
図4は、レーザーダイオード11と空間光変調器12との間の第1のC字形の経路、及び空間光変調器12と出力折り畳みミラー13または別の出力光学素子との間の第2のC字形の経路が逆にされている、本発明の第2の実施形態を示す。本実施形態では、レーザーダイオード11からの光は、第1のC字形の経路の中に入れ子にされた第2のC字形の経路内で移動する前に、最初に光学エンジン1の外側の周りで移動する。
【0055】
第2の実施形態では、光学部品の順序は実質的に変わらない。ただし、レーザーダイオード11の位置は、出力折り畳みミラー13の位置と交換される。上述同様に、レーザーコリメートレンズ15は、第1の折り畳みミラー14の後ろで、偏光ビームスプリッタ16の前に設けられる。レーザーコリメートレンズ15は、折り畳みミラー122の前または後ろのどちらかに設けられてもよい。偏光子17の場所は変わらず、偏光ビームスプリッタ16と空間光変調器12との間に留まる。対物レンズ19は、偏光ビームスプリッタ16と折り畳みミラー18との間の経路に設けられている。折り畳みミラー18及び122の位置は、折り畳みミラー18が位置する凹部が光変調要素12の後ろで軸外の光を遮ることを可能にするために交換される。視野絞り開口120は、対物レンズ19の後ろで、折り畳みミラー18の前に位置する。プローセル光学素子123は、折り畳みミラー18の後ろで、出力折り畳みミラー13の前に設けられている。第2の開口124は、上述同様にプローセル光学素子123に続く。
【0056】
当業者は、偏光ビームスプリッタが、第1のC字形経路で光を透過させ、第2のC字形経路で光を反射するように、レーザーダイオード11により出射される光の偏光及び/または偏光ビームスプリッタの偏光を調節できることを理解する。
【0057】
図5は、本発明のさらなる実施形態による、ホログラフィック拡張現実ヘッドセット50を示している。ホログラフィック拡張現実ヘッドセット50は、メインハウジング51、1対のアーム52、及び1対の光学コンバイナ53を含む。メインハウジング51は、第1または第2の実施形態に関連していま説明されたタイプの1対の光学エンジン(図示せず)を含む。光学エンジンの対の第1の光学エンジンは、ユーザーの右目での表示用のホログラフィック画像を生成し、光学エンジンの第2の光学エンジンは、ユーザーの左目での表示のためのホログラフィック画像を生成する。光学コンバイナ53は透明な画面であり、ユーザーにホログラフィック再生画像を配信するように構成される。使用中、ユーザーは、光学エンジンによって生成されるホログラフィック再生画像を見るために光学コンバイナ53を通して見ることができる。
【0058】
上記の実施形態は、本発明の説明目的の実施例として理解されるべきである。本発明のさらなる実施形態が想定される。例えば、図には示されていないが、光学エンジン1は、レーザーダイオード11からの光の強度(明るさ)を測定するためにモニタフォトダイオードをさらに含み得る。モニタフォトダイオードは、レーザーダイオード11の近くに、または光路のさらに奥に設けられてよい。レーザーフォトダイオードは、光の強度を測定するために設けられる。光の測定されたレベルは、レーザーダイオード11への電力を制御し、それによってレーザー出力の閉ループ制御が一様なレーザー輝度を確実にすることを可能にするために使用される。
【0059】
ヘッドセットと関連した光学エンジンの使用が上述されている。しかしながら、さらなる実施形態では、光学エンジンは、ヘッドセット以外の他の用途で使用される。例えば、プロジェクタは、上述の実施形態のいずれかに説明された光学エンジンを含み得る。プロジェクタは、ピコプロジェクタまたはLCoSプロジェクタであってよい。LCoSはLiquidCrystalon Siliconの略であり、ここでは詳しく説明されていない既知の技術である。他の実施形態では、光学エンジンは、ヘッドアップディスプレイ(HUD)に含まれるであろう。例えば、HUDは、自動車用途での使用に適している場合がある。
【0060】
任意の1つの実施形態に関連して説明された任意の特徴は、単独でまたは説明した他の特徴と組み合わせて使用し得、また、他の任意の実施形態の1つ以上の特徴、または任意の他の実施形態の任意の組み合わせと組み合わせて使用し得ることを理解されたい。さらに、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、上述されていない均等物及び修正が採用されてもよい。

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】