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特表2023-513032楕円運動を生成する超音波を用いて表面上にハプティック感覚を創出するためのデバイス
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  • 特表-楕円運動を生成する超音波を用いて表面上にハプティック感覚を創出するためのデバイス 図1A
  • 特表-楕円運動を生成する超音波を用いて表面上にハプティック感覚を創出するためのデバイス 図1B
  • 特表-楕円運動を生成する超音波を用いて表面上にハプティック感覚を創出するためのデバイス 図2
  • 特表-楕円運動を生成する超音波を用いて表面上にハプティック感覚を創出するためのデバイス 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】楕円運動を生成する超音波を用いて表面上にハプティック感覚を創出するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20230323BHJP
   H02N 2/06 20060101ALI20230323BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
G06F3/041 480
H02N2/06
G06F3/041 600
G06F3/01 560
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546350
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 FR2021000006
(87)【国際公開番号】W WO2021152227
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】2000932
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521285724
【氏名又は名称】アップ2ユー
【氏名又は名称原語表記】HAP2U
(71)【出願人】
【識別番号】518338518
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ・ドゥ・リール
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE DE LILLE
(74)【代理人】
【識別番号】100080447
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 恵一
(72)【発明者】
【氏名】リュパン,マチュー
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア,ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ジロー,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ジロー-オーディンヌ,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】セマイユ,ベティ
(72)【発明者】
【氏名】アンベルグ,ミシェル
【テーマコード(参考)】
5E555
5H681
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555BA04
5E555BB04
5E555CB05
5E555DA24
5E555FA00
5H681BB03
5H681CC02
5H681CC07
(57)【要約】
【課題】 公知のインタフェースが有する前述の欠点を改善することのできるハプティックフィードバックインタフェースを提案する。
【解決手段】超音波周波数波によって振動させられる振動プレート1を有し、表面に触れている指5が矢印6で表示された方向に動かされることに応答してハプティックフィードバック効果を生成することのできるインタフェース表面が形成されており、表面に対して接線方向の変位成分および表面に対して垂直な変位成分を有する楕円運動を、この表面の粒子に伝えることのできる超音波周波数波を生成するように構成され、超音波周波数波は、接線方向成分ut(t)の振幅Utと垂直成分un(t)の振幅Unがほぼ等しくなるように選択されている。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方ではユーザがインタフェース表面をタッチしたことに応答してハプティックフィードバック効果を生成することのできる前記インタフェース表面、そして他方では前記インタフェース表面の全ての点において、
と記される振幅を有し、u(t)と記される前記表面に対して接線方向の変位成分およびUと記される振幅を有し、u(t)と記される前記表面に対して垂直な変位成分を有する楕円運動を、この表面の粒子(4)に伝えることのできる少なくとも1つの超音波周波数波を生成するように構成された少なくとも1つの圧電アクチュエータ(2、3)、を含む触覚インタフェースにおいて、
前記少なくとも一つの圧電アクチュエータ(2、3)は、前記インタフェース表面の少なくとも一つの点において粒子(4)の接線方向変位の振幅Uが、粒子(4)の垂直変位の振幅Uにほぼ等しくなるように構成されていることを特徴とする、触覚インタフェース。
【請求項2】
前記超音波周波数波が、接線方向変位成分および垂直変位成分の振幅の比U/Uが0.5~1.5となるような接線方向成分u(t)および垂直成分u(t)を有する楕円運動を生成するように選択されていることを特徴とする、請求項1に記載のインタフェース。
【請求項3】
前記少なくとも一つの超音波周波数波が、90°位相がずれた制御信号を有する同じ周波数での2つの定常波の組合せによって得られることを特徴とする、請求項1または2に記載の触覚インタフェース。
【請求項4】
前記定常波が、結果として生じる超音波が進行波となるように選択されることを特徴とする、請求項3に記載の触覚インタフェース。
【請求項5】
前記超音波周波数波が、2つの屈曲波の組合せであることを特徴とする、請求項3または4に記載の触覚インタフェース。
【請求項6】
前記圧電アクチュエータ(2、3)が、インタフェースの表面に対して垂直な主成分を有する屈曲波とインタフェースの表面に対して接線方向の主成分を有する圧縮-膨張波とを組合せた波動を生成するように配置されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一つに記載の触覚インタフェース。
【請求項7】
インタフェースの表面が、その長さおよびその幅に対して小さい厚みの矩形プレートの形状を有し、
このプレートは、その縁部の一方に沿ってプレートの1つの面上に、プレート内に屈曲波を生成するように配置された第1の圧電アクチュエータアセンブリ(3)を含み、かつ前記縁部の厚み上に、プレート内に圧縮-膨張波を生成するように配置された第2の圧電アクチュエータアセンブリ(2)を含むことを特徴とする、請求項6に記載の触覚インタフェース。
【請求項8】
前記インタフェースの表面が、その長さおよびその幅に対して小さい厚みの矩形プレートの形状を有し、
このプレートは、その縁部の一方に沿ってプレートの1つの面上に第1の圧電アクチュエータアセンブリ(3)を含み、前記縁部に沿って反対側の面上に第2の圧電アクチュエータアセンブリ(3)を含み、2つのアクチュエータアセンブリは、プレート内で屈曲波および圧縮-膨張波を生成するように制御されていることを特徴とする、請求項6に記載の触覚インタフェース。
【請求項9】
前記プレートが、表示スクリーンに機械的に結合された透明なインタフェース表面を含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の触覚インタフェース。
【請求項10】
前記インタフェース表面上のユーザの指の押圧力を測定する接触力センサ、および押圧力が既定の閾値を超える場合にこの表面の振動を制御するための手段を含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一つに記載の触覚インタフェース。
【請求項11】
ユーザの指がインタフェース表面と接触する場合にユーザの指の位置を表示する位置センサ、および記録された接触位置が、予め定義された位置にあるか前記表面の予め定義されたゾーン内にある場合にこの表面の振動を制御するための手段を含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一つに記載の触覚インタフェース。
【請求項12】
前記触覚インタフェースが、指またはスタイラスペンの接触時に、インタフェースの表面の受動的タッチに応答してクリック効果または通知効果を生成するように構成されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一つに記載の触覚インタフェースの使用。
【請求項13】
指腹の下でハプティッククリック効果またはハプティック通知効果に比肩するパルス感覚を創出するために、楕円運動させられた粒子の回転方向を逆転させるように、90度位相がずれた2つの定常波に対して、単数または複数の180°の位相跳躍を適用することを特徴とする、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記触覚インタフェースが、指またはスタイラスペンの接触時に、インタフェースの表面の受動的タッチに応答して、この表面の既定のゾーンに向かう指またはスタイラスペンの誘導効果を生成するように構成されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一つに記載の触覚インタフェースの使用。
【請求項15】
前記触覚インタフェースが、指またはスタイラスペンの接触時に、インタフェースの表面の能動的タッチに応答して、超音波潤滑による仮想テクスチャ効果を生成するように構成されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一つに記載の触覚インタフェースの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波周波数ドメイン内で表面内を伝播する弾性波を用いて、ユーザが知覚できるハプティックフィードバックを生成する能力を有する表面に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが知覚できるハプティックフィードバック効果を有する触覚インタフェースの数は増加を続けている。
これらは、概して表面に結合された電気機械式アクチュエータを利用しており、この表面にユーザの指またはスタイラスペンで知覚可能な振動を伝える。
これらの触覚インタフェースは、アクチュエータに給電する電気信号の周波数、さらにはその振幅といったような複数のパラメータによって区別される。
【0003】
したがって、特に低周波振動-触覚フィードバックインタフェース、および「スクィーズフィルム」または超音波潤滑効果と呼ばれる効果によるハプティックフィードバックインタフェースが区別される。
【0004】
低-周波振動-触覚フィードバックインタフェースにおいては、振動アクチュエータが、アクチュエータの刺激周波数で指腹に巨視的な(ミリメートルオーダーの)機械的変形を生成する。
選択された刺激の周波数は、タッチにより知覚可能な周波数範囲(典型的には1~1000Hz、最も多くの場合50Hz~250Hz)内になければならず、振動振幅は、これらの周波数に対する指の知覚閾値を上回っていなければならない。
このような振動-触覚効果を生成するためには、起動させられた表面に対して垂直または平行な方向に刺激周波数で移動する可動部分を有する唯一のアクチュエータを利用することができる。
しかし、このアクチュエータは、概して分厚く、例えば仏国特許出願公開第3068840号明細書の中に記載の通り、弾性部品による可動部分の誘導を必要とする。
【0005】
振動触覚アクチュエータの使用例が、国際公開第2019/094440号中で、特にジョイスティックまたはその等価物への利用分野において説明されている。
使用されるアクチュエータは、特に、圧電タイプのアクチュエータと比較してコストが低いために選択されたLRA(線形共振アクチュエータ「Linear Resonant Actuator」またはERM(偏心回転質量「Eccentric Rotating Masses」)タイプの低周波アクチュエータであり、対象となっている利用分野用として本書では明白に避けられているものである。
その上、LRAまたはERMアクチュエータは、同様に、接触表面に対し局所的に伝達される楕円力を局所的にすなわちアクチュエータの上方で直接生成するそれらの能力のため採用されるものでもある。
ところが、この楕円運動は、接触点でのみ生成され、したがって、アクチュエータの上方で、直接に接触点でしかユーザによって知覚されない。
その結果、LRAまたはERMタイプというこのタイプの低周波アクチュエータは、アクチュエータから遠位であっても、ハプティックインタフェースのさまざまな点においてハプティックフィードバック効果を創出する能力を有する超音波周波数の進行波の生成には適していない。
【0006】
一般に、振動-触覚アクチュエータは、ユーザの指の機械受容器によって直接に知覚される周波数範囲内で、表面に対してほぼ垂直な、すなわち平面外の指の軸内の移動を生成する。
【0007】
低周波振動-触覚フィードバックインタフェースは、移動することなく表面上に受動的に置かれた指にとって十分知覚可能である振幅を有するハプティックフィードバックを有することができる。
指は、このとき、「クリック」効果または均一振動効果を知覚することができる。
反対に、このタイプのインタフェースは、表面上でスイープ運動中の指のように、能動的タッチにより知覚可能なテクスチャ効果の生成に適していない。
【0008】
さらに、アクチュエータが使用する可聴動作周波数を考慮すると、低-周波振動-触覚フィードバックインタフェースは、ノイズを生成するが、これは生成される変位が可聴周波数でノイズを生成するからである。
【0009】
この欠点は、超音波周波数での、したがって可聴でない励起を使用するハプティックフィードバックデバイスにおいて公知の方法で解決される。
このようなデバイスは特に、欧州特許出願公開第1956466号明細書中に記載されている。
このとき、振動の伝播媒質は、純粋に弾性かまたはわずかに粘弾性の薄いプレートである。
プレートは、それが他の2つの寸法に比べてかつ考慮対象の弾性波の波長に比べて小さい厚みを有する場合に「薄いプレート」と呼ばれる。
【0010】
公知のように、プレートは、モノリシックまたは多層でかつ矩形形状のものであり得る。
電気機械式アクチュエータは、軸方向振動モード、すなわちプレートの稜のうちの1つに平行なラインに沿って互いに整列している振動ノードを有するモードを励起するように、プレート上に配置されている。
【0011】
アクチュエータが生成する振動の波長の2倍を超えない厚みを有するプレートにおいては、低周波近似において一般に屈曲波と呼ばれているA0ラム波(または厚さが非対称な多層プレートの場合は一般化ラム波)が生成され、アクチュエータの整列ラインに平行な2つの境界に反射する。
【0012】
起動周波数が正しく調整されている場合、定常モードが励起され、これが共振効果により増幅器の役割を果たすことになる。
超音波周波数でこうして得られた大きな変位振幅は、ユーザの指腹の下で圧縮されたエアクッションの創出を結果として導く。
指は表面によって押し戻されることから、摩擦係数は減少し、こうして指を動かしている時にハプティックフィードバック効果を得ることができる。
これが、いわゆる超音波潤滑効果である。
【0013】
上記で言及した低-周波振動-触覚インタフェースと比べて、この第2のタイプのハプティックフィードバックインタフェースには、音が聞こえないという利点がある。
反対に、従来技術において、これは、表面上を移動する指の能動的タッチの一環としてユーザが感じ取る仮想テクスチャの創出に限定される。
これに対して、指またはスタイラスペンが不動である場合には、通常の使用条件において、いかなるハプティックフィードバックも知覚できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】仏国特許出願公開第3068840号明細書
【特許文献2】国際公開第2019/094440号
【特許文献3】欧州特許出願公開第1956466号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の一般的な目的は、以上で喚起された公知のインタフェースが有する前述の欠点を改善することのできるハプティックフィードバックインタフェースを提案することにある。
【0016】
本発明の特定の目的は、現在まで互換性のない異なる構造を必要とした複数のハプティック効果を、同一のハードウェア構造で生成する能力を有するハプティックフィードバックインタフェースを提案することにある。
【0017】
したがって、目的とされている唯一のインタフェースは、摩擦係数の実時間制御に基づきかつ(能動的タッチを構成する)表面の探索の際に知覚される人工的テクスチャ効果と同時に、皮膚の下に位置する機械受容器を直接にその通過周波帯(1Hz~1000Hz)内で励起させる能力を有する低周波振動効果をも生成することができなければならない。
【0018】
詳細には、目的とされるインタフェースは、表面上を移動する指に応答した仮想テクスチャ効果、または(例えば1つの文字または形の輪郭を感じ取るための)接線方向駆動力の創出を仮定する1つの軌道に沿った指の誘導効果、または指の移動が無い受動的タッチに応答したクリック効果または通知効果、を生成することができなければならない。
【0019】
本発明の別の目的は、人間の耳で聴こえるいかなるノイズも生成しないハプティックフィードバックインタフェースを提案することにある。
【0020】
本発明の別の目的は、極めてコンパクトで、インタフェース上に容易に統合できるアクチュエータを有するハプティックフィードバックインタフェースを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
原理的に、本発明は、インタフェースの平面内の特別な軸に沿って力を生成する能力を有する、わずかに楕円形の(すなわち可能なかぎり円に近い)軌道に沿ったインタフェースの表面の粒子の運動を誘発する弾性波を超音波周波数で生成することからなる。
このとき、これらの力は、インタフェースの表面におけるユーザの能動的タッチまたは受動的タッチに応答して、求められるハプティック効果を生成するために変調される。
【0022】
したがって、本発明は、一方ではユーザがインタフェース表面をタッチしたことに応答してハプティックフィードバック効果を生成することのできる前記インタフェース表面、そして他方では前記インタフェース表面内で、u(t)と記される前記表面に対して接線方向の変位成分およびu(t)と記される前記表面に対して垂直な変位成分を有する楕円運動を、この表面の粒子に伝えることのできる少なくとも1つの超音波周波数波を生成するように構成された少なくとも1つの圧電アクチュエータ、を含む触覚インタフェースにおいて、前記超音波周波数波は、接線方向成分u(t)の振幅Utと垂直成分u(t)の振幅Unがほぼ等しくなるように選択されていることを特徴とする触覚インタフェースを目的とする。
【0023】
一実施形態によると、超音波周波数波は、接線方向変位成分および垂直変位成分の振幅の比U/Uが0.5~1.5となるような接線方向成分u(t)および垂直成分u(t)を有する楕円運動を生成するように選択されている。
【0024】
一実施形態によると、結果として生じる超音波は、90°位相がずれた制御信号を有する同じ周波数での2つの定常波の組合せによって得られる。
【0025】
一実施形態によると、前記定常波は、結果として生じる超音波が進行波となるように選択される。
【0026】
一実施形態によると、結果として生じる超音波は、2つの屈曲波の組合せである。
【0027】
一実施形態によると、圧電アクチュエータは、インタフェースの表面に対して垂直な主成分を有する屈曲波とインタフェースの表面に対して接線方向の主成分を有する圧縮-膨張波とを組合せた波動を生成するように配置されている。
【0028】
一実施形態によると、インタフェースの表面は、その長さおよびその幅に対して小さい厚みの矩形プレートの形状を有し、このプレートは、その縁部の一方に沿ってプレートの1つの面上に、プレート内に屈曲波を生成するように配置された第1の圧電アクチュエータアセンブリを含み、かつ前記縁部の厚み上に、プレート内に圧縮-膨張波を生成するように配置された第2の圧電アクチュエータアセンブリを含む。
【0029】
一実施形態によると、インタフェースの表面は、その長さおよびその幅に対して小さい厚みの矩形プレートの形状を有し、このプレートは、その縁部の一方に沿ってプレートの1つの面上に第1の圧電アクチュエータアセンブリを含み、前記縁部に沿って反対側の面上に第2の圧電アクチュエータアセンブリを含み、2つのアクチュエータアセンブリは、プレート内で屈曲波および圧縮-膨張波を生成するように制御されている。
【0030】
一実施形態によると、前記プレートは、表示スクリーンに機械的に結合された透明なインタフェース表面を含む。
【0031】
一実施形態によると、触覚インタフェースはさらに、インタフェース表面上のユーザの指の押圧力を測定する接触力センサ、および押圧力が既定の閾値を超える場合にインタフェース表面の振動を制御するための手段を含む。
【0032】
触覚インタフェースは、また、ユーザの指がインタフェースの表面と接触する場合にユーザの指の位置を表示する位置センサ、および記録された接触位置が、予め定義された位置にあるかあるいはインタフェース表面の予め定義されたゾーン内にある場合にこの表面の振動を制御するための手段を含む。
【0033】
本発明は、また、指またはスタイラスペンの接触時に、インタフェースの表面の受動的タッチに応答してクリック効果または通知効果を生成するように構成されている上述の触覚インタフェースの使用をも目的としている。
【0034】
「受動的タッチ」とは、ユーザが、インタフェースの表面の平面に対して接線方向において指を動かすことなく表面上に指を置く対話モードを意味する。
【0035】
「クリック効果」と呼ばれるハプティック効果は、機械的ボタンの押圧の際にユーザが感じ取る感覚に類似するボタンクリック感覚を生成することからなる。
この効果は、インタフェース表面内で生成され、仮想ボタンを起動させるために表面を押圧する場合に、ユーザの指が感じ取るものである。
ハプティックフィードバックは、触知可能な物理的キーボードのキーまたはボタンを押圧するという行為がもたらす感覚に匹敵する感覚を表現する。
【0036】
「通知効果」と呼ばれるハプティック効果は、振動-触覚タイプの効果に対応するが、インタフェースデバイス全体、すなわちケースを含めたデバイス全体を振動させる公知の振動-触覚インタフェースとは異なり、この場合、超音波周波数波を用いたインタフェース表面への効果は局所的であり、ユーザの指がインタフェース表面と接触する場合にのみ感じ取られる。
ハプティック通知により、ユーザに、1つのタスクの終わり、コマンドの考慮、検討すべき情報の存在などを知らせることが可能になる。
【0037】
一使用形態によると、指腹の下でクリック効果に比肩するパルス感覚を創出するために、楕円運動させられた粒子の回転方向を逆転させるように、90度位相がずれた2つの定常波に対して、一回の180°の位相跳躍が適用される。
【0038】
一使用形態によると、触覚インタフェースは、指またはスタイラスペンの接触時に、インタフェースの表面の受動的タッチに応答して、インタフェースの表面の既定のゾーンに向かう指またはスタイラスペンの誘導効果を生成するように構成されている。
【0039】
一使用形態によると、触覚インタフェースは、指またはスタイラスペンの接触時に、インタフェースの表面の能動的タッチに応答して、超音波潤滑による仮想テクスチャ効果を生成するように構成されている。
【0040】
「能動的タッチ」とは、ユーザがインタフェース表面の「スイープ」に類似する運動においてインタフェースの表面の平面に対して接線方向にインタフェース表面上で指を移動させる対話モードを意味する。
【0041】
本発明について、以下で図面を用いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1A】本発明に係る触覚インタフェースの断面図を表わす。
図1B】本発明に係る触覚インタフェースの表面の粒子の楕円運動を表わす。
図2】本発明に係る触覚インタフェースの一実施形態の下からおよび上からの斜視図を表わす。
図3】本発明に係る触覚インタフェースの別の一実施形態の下からの斜視図を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の基本原理を、図1Aおよび1Bに関連して説明する。
これは、ユーザの指(またはスタイラスペン)とインタフェースの表面の接触点で、この表面の平面内に位置する軸に沿った接線方向力を含めたこれらの接触点上に及ぼされる駆動力を生成する目的で、触覚インタフェースの表面の粒子の特定の楕円運動を使用することからなる。
【0044】
図1Aで概略的に示されているように、例えば触覚スクリーンの表面ガラスにより構成された振動プレート1が、横断面で表現されている。
プレートは、プレートの各基本粒子を楕円運動に付すことによりプレート1を波打たせる超音波周波数波によって振動させられる。
このとき、プレート1の表面に触れている指5は、矢印6で表示された方向に動かされ、これは接触点に対応する粒子4の楕円運動の接線方向成分の方向に対応する。
【0045】
プレート表面の粒子4の楕円運動の軌道8は、図1Bに拡大して表現されている。
この軌道は、各瞬間において、プレートの平面に平行な変位に対応する接線方向成分u、およびプレートの平面に直交する変位に対応する垂直成分uを含む。
動作力の成分uは、触覚インタフェースの表面の上方への指の浮揚に基づく超音波潤滑効果に寄与する。
したがって、本発明の一環で、垂直成分uに対応する指のこの浮揚効果は、楕円運動の接線方向成分uに対応する指の側方駆動効果と組合わされる。
【0046】
これらの接線方向成分uおよび垂直成分uは、以下の関係式[式1][式2]から求められる。
【数1】
【数2】
式中、UおよびUは、楕円運動の軸の長さに対応する振幅であり、ωは楕円運動の脈動であり、tは時間を表わす。
【0047】
これらの条件下で、この楕円運動を受ける表面の粒子4に指5が触れる場合、この粒子は、脂腹にその速度を伝達する傾向を有し、このため、楕円の回転方向にしたがって方向づけられ指に加わる駆動力が存在することになる。
この運動が進行波の結果である場合、この運動は、波動の伝播方向とは無関係に時計回り方向または反時計回り方向であり得る。
定常波が重畳する場合、定常波の相対的位相のずれが、2つの波動の相互振幅によって制御可能な楕円運動を局所的に創出する。
【0048】
接線方向および垂直方向の振幅がU/U>>1となるようなものである場合、粒子4は、表面に対して垂直な方向に剥離を発生させることなく、ひいては表面との関係における指の駆動の発生に至ることなく、接触表面の平面に対して本質的に接線方向の往復運動(高い楕円率)を生成する。
2π/ωの周期で生成される平均力は、ゼロになる。
このとき、能動的であるか受動的であるかに関わらず、タッチに応答して知覚可能ないかなるハプティック効果も得られない。
【0049】
同様に、振幅がU/U<<1となるようなものである場合、粒子4は、表面の平面に対して接線方向の軸内で変位を生成することなく、プレート1の接触表面の平面に対し本質的に垂直な運動を描き、ひいては、指に加わる接線方向力はゼロである。
これらの条件下においては、仮想テクスチャ効果しか得ることができず、クリック効果または通知効果は得られない。
【0050】
本発明は、ユーザの能動的タッチまたは受動的タッチに応答して、目的とされる様々なハプティックフィードバック効果、つまり超音波潤滑効果または指もしくはスタイラスペンのクリック効果、通知効果または誘導効果を得ることができるようにするため、表面の粒子4の楕円運動を生成する超音波周波数波の接線方向成分および垂直成分の振幅UおよびUの最適な比U/Uが存在することの決定を可能にした。
【0051】
この最適比は、心理物理学研究によって決定されており、理想的には1であり、これは円運動に対応する。
【0052】
実際には、楕円率比U/Uが、心理物理学研究によって決定されたように0.5~1.5の間隔内に含まれるかぎりにおいて、非常に優れた結果を得続けることが可能である。
【0053】
したがって、好ましくは楕円率比U/Uは、以下の関係式[式3]を満たすものである。
【数3】
【0054】
これらの条件下では、超音波周波数の弾性波により起動されるインタフェース表面のいかなる接触点においても、いわゆる受動的タッチの一環で指が不動である場合を含め、指の下で確かに知覚可能なハプティック感覚を創出するのに十分な振幅の接線方向力が得られる。
【0055】
ハプティックスクリーンまたはハプティック表面全般という利用状況においては、使用されるプレートの厚みは、多くの場合小さいものである。
これらの厚みは、スマートホンのOLEDスクリーンの場合の10分の数ミリメートルから、工業用制御スクリーンまたは厚みのあるプラスチックの場合の数ミリメートルに至る。
【0056】
本発明の一態様によると、表面の粒子4の楕円運動を生成し、式(3)の基準を満たす波動を得る目的で、有利な手段は、横断方向の主成分を有する屈曲波を縦方向の主成分を有する圧縮-膨張のような他のタイプの振動と組合せることからなる。
【0057】
このアプローチに結び付けられる第1の実施形態が、図2に概略的に示されている。
これは、様々な方法で、特に起動すべき表面1の両側に置かれた同一の2つの圧電アクチュエータ網3を結合することによって得ることができる。
同一の2つの圧電アクチュエータ網3は、起動すべきプレート1の両側に、このプレートの縁部に沿って置かれる。
2つの起動信号の振幅比によって、屈曲波と圧縮-膨張波の間の比を制御することが可能である。
こうして、2つのアクチュエータ網の相対的振幅を制御することで、屈曲波および圧縮-膨張波のそれぞれの重さを調整して式(3)を満たすことが可能になる。
【0058】
この同じモード重畳を得るための別の実施形態は、図3に表わされており、上部のアクチュエータ3(図2)を、起動すべきプレート1の端面上すなわちその厚み内に位置するアクチュエータ2によって置換することからなる。
この場合、プレート1の下部面上に位置するアクチュエータ3は、屈曲波のみを生成する役割しか果たさず、プレートの端面上に位置するアクチュエータ2は、圧縮-膨張波のみを起動する。
【0059】
別の実施形態(図示せず)は、今回は、起動すべき表面1の同じ面上、ただし相対する縁部上に置かれた同一の2つの圧電アクチュエータ網3を用いて、2つの屈曲波を生成することからなる。
【0060】
表面の粒子4の楕円運動を生成し式(3)の基準を満たす波動を得るためには、他の実施形態を企図することができる。
【0061】
図のあらゆる事例において、同一の極めて単純なハードウェア構造で同時に、(例えば受動的タッチの一環で表面上に置かれたユーザの指の軌道を示唆するために)接線方向駆動力を創出すること、そして表面上の指のスイープの能動的タッチの一環で仮想テクスチャ効果を得るために摩擦係数を制御すること、が可能になる。
表面の点の楕円軌道は、圧縮-膨張波との関係において90°だけ屈曲波を位相シフトさせることによって得られる。
【0062】
この構成では、振動の回転方向を急激に逆転させることによって、圧電アクチュエータの位置から遠位であっても、インタフェース表面の任意の点において、ユーザの指(またはスタイラスペン)の静的押圧の際にハプティック効果を創出することができる。これは、2つの制御信号のうちの一方の上で180°の位相跳躍を創出することで実現される。このとき、指腹の下で、例えばクリック効果に比肩するパルス感覚が感じられる。
【0063】
(連続する複数の位相跳躍によって誘発される)粒子の楕円運動の回転方向の反転の増加によって、指腹の下に局所化されたハプティック通知の知覚に対応する指腹の振動負荷が可能になる。
この振動負荷によって、様々なクリック感覚の生成もまた可能となり得る。
【0064】
1に近い比U/Uを有する超音波周波数波を創出することによって、脂腹の下で駆動力を創出することが可能となり、これらの駆動力によって、表面またはスクリーン上で1本の指で軌道を示唆すること、またはスクリーンの2つのゾーンの間の指の移動に対抗する力を創出することで、これら2つのゾーンの間の境界を触知可能なものにすることができる。
【0065】
本発明の利点
本発明は、定められた目的を達成する。
【0066】
詳細には、本発明は、同一のハードウェア構造で、複数のハプティック効果、特に能動的タッチによる表面の探索に応答した人工的テクスチャ効果、あるいは受動的タッチ(ユーザによる指の移動無し)に応答した、軌道に沿った指の誘導効果、またはクリック効果または通知効果、を得ることを可能にする。
【0067】
その上、本発明に係るハプティックインタフェースは、超音波周波数で励起され、したがって人間の耳で聴こえるノイズを生成しない。
【0068】
最終的には、本発明は、圧電アクチュエータの使用によって可能となったコンパクトで、ハプティック表面での実装および統合が容易である。
【符号の説明】
【0069】
1 振動プレート
2 圧電アクチュエータ
3 圧電アクチュエータ
4 粒子
5 指
6 矢印
8 軌道
図1A
図1B
図2
図3
【国際調査報告】