IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グレッセル アーゲーの特許一覧

特表2023-5130382つのクランプ装置間で被加工物を再クランプするための再クランプ装置及び方法
<>
  • 特表-2つのクランプ装置間で被加工物を再クランプするための再クランプ装置及び方法 図1
  • 特表-2つのクランプ装置間で被加工物を再クランプするための再クランプ装置及び方法 図2
  • 特表-2つのクランプ装置間で被加工物を再クランプするための再クランプ装置及び方法 図3
  • 特表-2つのクランプ装置間で被加工物を再クランプするための再クランプ装置及び方法 図4
  • 特表-2つのクランプ装置間で被加工物を再クランプするための再クランプ装置及び方法 図5
  • 特表-2つのクランプ装置間で被加工物を再クランプするための再クランプ装置及び方法 図6
  • 特表-2つのクランプ装置間で被加工物を再クランプするための再クランプ装置及び方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】2つのクランプ装置間で被加工物を再クランプするための再クランプ装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/04 20060101AFI20230323BHJP
   B23Q 7/00 20060101ALI20230323BHJP
   B23Q 3/06 20060101ALI20230323BHJP
   B25J 15/04 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
B23Q7/04 B
B23Q7/04 A
B23Q7/00 M
B23Q3/06 303E
B25J15/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546365
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(85)【翻訳文提出日】2022-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2021050768
(87)【国際公開番号】W WO2021156038
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】102020102787.7
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591144501
【氏名又は名称】グレッセル アーゲー
【氏名又は名称原語表記】GRESSEL AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュリセル,マルセル
【テーマコード(参考)】
3C016
3C033
3C707
【Fターム(参考)】
3C016CA07
3C033EE00
3C033HH05
3C033HH21
3C033HH30
3C707AS12
3C707BS09
3C707DS01
3C707ES03
3C707ET08
3C707EU01
3C707EV02
3C707GS03
3C707HS27
(57)【要約】
本発明は、2つの万力(3a,3b)を位置決めして作動させるためのハンドリング装置(4)と、第1の万力(3a)を正確な位置に保持するためのキャリア(15)を含む再クランプステーション(5)とを有する、2つの万力(3a,3b)間で被加工物(2)を再クランプするための再クランプ装置(1)に関する。本発明によれば、再クランプステーション(5)は、被加工物(2)をキャリア(15)上に位置される第1の万力(3a)に押し付けるためのアクチュエータ(25)によってキャリア(15)に対して移動可能な加圧プランジャ(17)を伴う加圧装置(16)を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの万力(3a,3b)を位置決めして作動させるためのハンドリング装置(4)と、第1の万力(3a)を正確な位置に保持するためのキャリア(15)を含む再クランプステーション(5)とを有する、前記2つの万力(3a,3b)間で被加工物(2)を再クランプするための再クランプ装置(1)であって、前記再クランプステーション(5)は、前記被加工物(2)を前記キャリア(15)上に位置される前記第1の万力(3a)に押し付けるためのアクチュエータ(25)によって前記キャリア(15)に対して移動可能な加圧プランジャ(17)を伴う加圧装置(16)を含むことを特徴とする、再クランプ装置(1)。
【請求項2】
前記加圧装置(16)は、前記ハンドリング装置(4)によって前記第1の万力(3a)に対して移動され得る第2の万力(3b)を案内するように設計されることを特徴とする、請求項1に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項3】
前記ハンドリング装置(4)によって前記第1の万力(3a)に対して移動され得る前記第2の万力(3b)に接続するために位置合わせ及び位置決め要素(27)が前記加圧装置(16)上に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項4】
前記加圧プランジャ(17)は、前記キャリア(15)と対向するその側に把持プロファイル(26)を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項5】
前記加圧プランジャ(17)は、前記キャリア(15)に対して移動され得るスライド(21)上に配置されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項6】
前記スライド(21)は、前記キャリア(15)に対して直角である案内プレート(24)上で案内キャリッジ(22)及び案内レール(23)を介して移動可能に案内されることを特徴とする、請求項5に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項7】
前記加圧プランジャ(17)は、前記スライド(21)上に固定して又はその長手方向で移動可能に配置されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項8】
前記キャリア(15)は、心出しレセプタクル(18)及び/又は位置決め要素(19)を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項9】
再クランプ中に被加工物の高さを検出するための測定システムが前記加圧装置(16)上に配置されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項10】
前記加圧装置(16)の前記アクチュエータ(25)は、伸縮可能なピストンロッドを伴うピストン(28)を含む空気圧シリンダとして設計されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項11】
第1の万力(3a)が最初にハンドリング装置(4)によって固定再クランプステーション(5)のキャリア(15)内に堆積され、その後、被加工物移送のために前記第1の万力(3a)の上方に被加工物(2)が前記第1の万力(3a)と対向する状態で第2の万力(3b)がハンドリング装置(4)によって位置決めされる、2つの万力(3a,3b)間で被加工物(2)を再クランプするための方法であって、前記再クランプステーション(5)に配置される加圧装置(16)によって被加工物移送中に被加工物(2)が前記第1の万力(3a)上の接触面(30)に押し付けられることを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記万力(3a,3b)が被加工物移送のために互いに対して90°回転されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
再クランプ後、前記被加工物(2)の高さが前記加圧装置(16)における経路測定によって測定されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
両方の万力(3a,3b)が前記ハンドリング装置(4)によって搬送されて作動されることを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの万力(vice)間で被加工物を再クランプするための再クランプ装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、一般的な再クランプ装置を開示する。この再クランプ装置は、第1の万力を保持するための固定装着位置に配置される第1の把持及び位置決め装置を有する。第2の万力を保持するための第2の把持及び位置決め装置がロボットアームに取り付けられる。2つの万力間に被加工物を再クランプするために、第2の把持及び位置決め装置を装備したロボットは、最初に、固定装着位置に設置固定された第1の把持及び位置決め装置に空の万力を搬送する。空の第1の万力を固定装着位置に移送した後、第2の把持及び位置決め装置を装備したロボットは、既に機械加工された被加工物を備える第2の万力を拾い上げ、被加工物を更なる機械加工のために第2の万力から第1の万力へ移送できるように被加工物を下方に突出させた状態で空の第1の万力の上方で旋回させる。被加工物が移送された後、第2の把持及び位置決め装置を伴うロボットは、この時点で、空の第2の万力をセットダウンし、その際、新たに装填された第1の万力を固定装着位置から切り離してそれを被加工物の更なる機械加工のために加工機における加工位置へと搬送することができる。この再クランププロセスの欠点は、万力における被加工物の位置決め精度がロボットの精度に依存することである。第1の万力は、被加工物移送中に固定装着位置に位置され、したがって正確に位置決めされるが、第2の万力はロボットによって保持されるため、堆積物位置精度はロボットの位置決め精度と同程度にしか正確ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2018 106 210号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、変更精度を向上させることができる、2つのクランプ装置間で被加工物を再クランプするための再クランプ装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有する再クランプ装置によって及び請求項11の特徴を有する方法によって解決される。本発明の適切な実施形態及び有利な更なる進展が従属請求項に与えられる。
【0006】
2つの万力間で被加工物を再クランプするための本発明に係る再クランプ装置は、2つの万力を位置決めして作動させるためのハンドリング装置と、第1の万力を正確な位置に保持するためのキャリア(carrier、荷台、運送機)を含む再クランプステーションとを備える。また、再クランプステーションは、キャリア上に位置される第1の万力に被加工物を押し付けるためのアクチュエータによってキャリアに対して移動可能な加圧プランジャを伴う加圧装置も有する。本発明に係る再クランプ装置において、一方の万力から他方の万力への被加工物の移送中の被加工物の位置は、ハンドリング装置によってではなく、別個の加圧装置によって決定される。加圧プランジャは、ハンドリング装置の位置決め精度にかかわらず、被加工物を引き取る万力の接触面に被加工物を正確に押し付け、それにより、変更位置を大幅に改善することができる。本発明に係る再クランプ装置の更なる重要な利点は、両方の万力が開いている場合でも、一方の万力から他方の万力への移送中に被加工物が加圧装置によってしっかりと保持されるという点である。両方の万力のクランプジョー(clamping jaw)が開いている場合でも、加圧装置は、被加工物を強固に保持して、正確な位置決めを確保する。
【0007】
有利な実施形態において、加圧装置は、ハンドリング装置によって第1の万力に対して移動され得る第2の万力を移送位置へのその移動中に案内するために使用することもできる。万力は、例えば、その基体の側面を介して、結合要素又は万力の基体上に配置されたゼロ点クランプ要素(Zero point clamping element、基準点把持要素)を介して、加圧装置上で案内され得る。案内は受動的であってもよく、その場合、ハンドリング装置は、加圧装置上の案内形状に対して万力を押し付ける。また、案内は、能動的な結合によって、例えばロックを伴う又は伴わない積極的な接続によってもたらすこともできる。万力と加圧装置との接触は、変更精度を高めることができる。能動的なロックにより、変更精度の更なる向上が可能である。
【0008】
1つの想定し得る実施形態では、ハンドリング装置によって第1の万力に対して移動され得る第2の万力に接続するために位置合わせ及び位置決め要素を加圧装置上に配置することができる。例えば、伸縮可能なピンとして設計される位置合わせ及び位置決め要素は、案内切り欠き又は万力の基体上の他の対応する嵌合要素に係合することができる。また、位置決めは、万力を加圧装置に強固に接続してハンドリング装置から切り離すことができるように、取り囲んで能動的にロックするように設計することもできる。
【0009】
他の適切な実施形態において、加圧プランジャは、キャリアと対向する側に把持プロファイルを有することができる。これにより、被加工物を特に確実に保持することができる。
【0010】
加圧プランジャは、キャリアに対して移動可能なスライド上に適切に配置され得る。スライドは、キャリアに対して直角である案内プレート上で案内キャリッジ(guiding carriage、案内用運搬台)及び案内レールによって移動可能に案内され得る。加圧プランジャは、スライド上に固定して配置され得る。しかしながら、万力をスライドに対して容易に結合又は分離するために、加圧プランジャをスライド上に移動可能に配置することもできる。
【0011】
キャリアは、第1の万力を位置的に正確に保持するための心出しレセプタクル(centering receptacle、中央揃え容器)及び/又は位置決め要素を含むことができる。再クランプ中に被加工物の高さを検出するための測定システムを加圧装置上に配置することもできる。これにより、プロセスの信頼性を向上させることができる。
【0012】
加圧装置のアクチュエータは、例えば、伸縮可能なピストンロッドを伴うピストンを含む空気圧シリンダとなり得る。しかしながら、他のアクチュエータも想定し得る。
【0013】
また、本発明は、2つの万力間で被加工物を再クランプするための方法に関し、この方法においては、第1の万力が最初にハンドリング装置によって固定再クランプステーションのキャリアに堆積され、その後、被加工物移送のために第1の万力 の上方に被加工物が第1の万力と対向する状態で第2の万力がハンドリング装置によって位置決めされる。本発明によれば、被加工物は、被加工物移送中に再クランプステーションに配置される加圧装置によって第1の万力の接触面に押し付けられる。
【0014】
好ましくは、万力は、被加工物移送のために互いに対して90°回転される。このように互いにオフセットされるジョー位置により、2つのクランプ設定において6つの側面で被加工物を完全に機械加工することができる。加圧装置を伴う再クランプステーションに起因して、万力を再クランプして搬送するために1つのハンドリング装置のみで済む。
【0015】
本発明の更なる特徴及び利点は、図面に基づく好ましい実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】再クランプステーション及びハンドリング装置を伴う再クランプ装置を第1の斜視図で示す。
図2図1の再クランプ装置の第2の斜視図を示す。
図3】万力を伴う再クランプステーションを斜視図で示す。
図4図3の再クランプステーションの側面図を示す。
図5図3の再クランプステーションの正面図を示す。
図6】万力を伴わない図3の再クランプステーションを斜視図で示す。
図7】万力を伴わない図3の再クランプステーションを断側面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1及び図2は、2つの万力3a及び3b間で被加工物2を自動再クランプするための再クランプ装置1の異なる図を示す。そのような再クランプ装置1によって、第1のクランプ設定でアクセスできない領域を第2のクランプ設定で機械加工するために、第1のクランプ設定で機械加工された被加工物2を一方の万力3bから他方の万力3aに移送することができる。この目的のために、再クランプ装置1は、2つの万力3a及び3bを位置決めして作動させるためのハンドリング装置4と、再クランププロセス中に万力3a及び3bを正確な位置に保持して案内するための再クランプステーション5とを備える。図示の実施形態において、ハンドリング装置4は、万力3a及び3bに結合され得るとともに関節アームロボットのロボットアーム7上に配置される把持及び作動ユニット6を含む。しかしながら、把持及び作動ユニット6は、異なる方向に移動するためのガントリロボット又は異なって構成される搬送又は位置決めシステム上に配置することもできる。ハンドリング装置4によって、万力3a及び3bは、再クランプステーション5と、万力3a又は3bにクランプされた被加工物2を機械加工するための加工機との間で、又は、万力3a又は3bを堆積又は除去するための格納設備へと搬送され得る。
【0018】
図3図5は、2つの万力3a及び3bを伴う再クランプステーション5の異なる図を示す。万力3a及び3bは、基体8と、機械加工されるべき被加工物2をクランプするためのクランプジョー9及び10とを有する。外側に突出する調整スピンドル11が、クランプジョー9及び10の少なくとも一方を調整するために基体8に配置される。図示の実施形態の例において、クランプ万力3a及び3bは、互いに対して調整可能な2つのクランプジョー9及び10を伴う中心クランプ装置として設計される。しかしながら、それらの万力は、1つの固定クランプジョー及び1つの可動クランプジョーを有することもできる又は3つ以上のクランプジョーを伴う複数のクランプ装置として設計され得る。ねじ付きスピンドルとして設計される調整スピンドル11の自由端にある、ここでは外部六角形の形態を成す外部プロファイルを介して、2つのクランプジョー9及び10の相互調整のためにこれを回転させることができる。外部六角形として設計される外部プロファイルの代わりに、スプラインシャフト、爪取付具、正方形接続部、トラニオン取付具を伴うトルクス(登録商標)接続部又はシャフトなどの他の結合解決策を使用することもできる。
【0019】
下方に突出するゼロ点クランプ要素12が基体8の下側に配置される。ここではクランプスピゴットの形態で設計されるゼロ点クランプ要素12は、万力3a又は3bの正確な位置決め及び保持のためにそれ自体知られているゼロ点クランプシステムの一部となり得る。このゼロ点クランプ要素12を介して、対応するレセプタクルを備えるとともに適切なクランプ装置によってクランプされる加工機の機械テーブル上の正確な位置にクランプ万力3a又は3bを配置することができる。更に、図1及び図2に示される把持及び作動ユニット6と結合するために、外側に突出するボルト形状の結合要素13が万力3a及び3bの基体8の2つの端面に配置される。
【0020】
図1及び図2に示される把持及び作動ユニット6は、再クランプ装置1と加工機又は格納設備との間で万力3a及び3bを把持して搬送するように設計されるだけでなく、万力3a及び3bをクランプ又は解放のために作動させることができる一体型アクチュエータ14も有する。この目的のため、把持及び作動ユニット6のアクチュエータ14は、クランプジョー9及び10の電動式の閉鎖又は開放のために万力3a及び3bの調整スピンドル11に結合され得る結合要素を含む。把持及び作動ユニット6が万力3a又は3bに結合されると、それらのクランプジョー9及び10も、したがってモータによって開閉することができる。把持及び作動ユニット6の更なる構造の詳細については、その開示内容が本明細書本文の一部も成す独国特許出願公開第10 2018 106 210号明細書を参照されたい。
【0021】
万力3a及び3bを伴わない図6及び図7に示される再クランプステーション5は、第1の万力3aを受けて正確な位置に保持するための固定プレート状のキャリア15と、被加工物2を第1の万力3aに押し付けるためにキャリア15に対して移動可能な加圧プランジャ17を伴う加圧装置16とを含む。心出しレセプタクル18及び位置決め要素19が、万力3aを位置的に正確な態様で保持して回転しないように固定するためにプレート状キャリア15に設けられる。図示の実施形態において、位置決め要素19は、万力3a又は3bの基体5の下側に配置された図3に示される突起20に係合するために互いに直角に配置された溝として設計される。
【0022】
加圧装置16は、キャリア15に対して移動可能であるスライド21を含み、スライド21には、ここでは片持ち梁の形態を成す加圧プランジャ17が配置される。スライド21は、キャリア15に対して直角に配置される案内プレート24上で案内キャリッジ22及び案内レール23によって移動可能に案内されるとともに、ここでは空気圧シリンダの形態を成すアクチュエータ25によって案内プレート24に沿って保持されて移動され得る。図1によれば、スライド21に配置される加圧プランジャ17は、キャリア15の中央でキャリア15の上方に突出するとともに、図5に示されるように、被加工物移送のために第1の万力3aの上方に位置される第2の万力3bの2つのクランプジョー9及び10間に係合することができるように設計される。結果として、第1の万力3aの接触面上に載置される被加工物を、加圧プランジャ17によって第1の万力3aの接触面に対して中央に押し付けることができる。加圧プランジャ17は、その自由前端に、被加工物2と接触するための把持プロファイル26(grip profile 26、把持用外形)を伴う下方に突出するノーズ(nose、突出部)を含む。把持プロファイル26を伴うノーズは、キャリア15上に配置される万力3aのクランプジョー9及び10間の中央に位置するように配置される。これにより、被加工物2を中心で押圧することができる。ボルト形状の位置合わせ及び位置決め要素27も万力3bと係合するためにスライド21に設けられる。
【0023】
図7の断面図から分かるように、空気圧シリンダとして設計されるアクチュエータ25は、伸縮可能なピストンロッドを伴うピストン28を有し、このピストン28により、加圧プランジャ17を伴うスライド21を保持できる又はキャリア15の方向に又はキャリアから離れる方向に移動させることができる。位置合わせ及び位置決め要素27は、ピストン29によって伸縮され得るボルトとして設計される。図示の実施形態において、加圧プランジャ17は、スライドから自由に突出するようにスライド21に強固に装着される。しかしながら、位置合わせ及び位置決め要素27と同様に、加圧プランジャ17は、収縮位置と伸長加圧位置との間で例えば空気圧的、油圧的又は電気的に移動できるようにその長手方向で移動可能となるべくスライド21上に配置させることもできる。
【0024】
前述の再クランプステーション5には、図1に係るジョイントアームロボットのロボットアーム7上に配置される把持及び作動ユニット6を伴うハンドリング装置4によって第1の万力3aを装備することができる。この第1の万力3aは、未だ被加工物を収容せず、開放しクランプジョー9及び10を有する。ハンドリング装置4を介して、未だ開いているクランプジョー9及び10を伴う未だ空の第1の万力3aは、第1の万力3aの基体8の下側から突出するゼロ点クランプ要素12がキャリア15の心出しレセプタクル18に入るとともに基体5の下側の突起20がキャリア15の上側の関連する溝形状の位置決め要素19に入るように、再クランプステーション5のキャリア15上に配置される。心出しレセプタクル18の幾何学的形状は、接続時に正確な位置合わせ及び位置決めが達成されるようにゼロ点クランプ要素12に適合される。結果として、回転しないように固定された空の第1の万力3aの位置的に正確な配置が達成される。図示の実施形態では、第1の装置3aがキャリア15に正に接続されているにすぎない。任意選択で、万力3aをキャリア15にロックすることもできる。ブロー空気を供給するためにブローホール又はクリーニングホールをキャリア15に配置することもできる。これにより、接続前にキャリア15と第1の万力3aとの間の接触領域から切り屑又は他の汚染物質を除去することができる。
【0025】
再クランプステーション5に未だ空の第1の万力3aが装填されると、万力3aのクランプジョー9及び10は、調整スピンドル11を介して把持及び作動ユニット6に組み込まれるアクチュエータ14によって開位置に設定される。必要な開放幅に関するデータは、プロセス又は機械制御システムによって把持及び作動ユニット6に送信され得る。このデータに基づいて、クランプジョー9及び10は、調整スピンドル11を介して必要な開放位置に調整される。
【0026】
続いて、被加工物2を第2の万力3bから第1の万力3aに移送するために、一方側が既に機械加工されている被加工物2をクランプした第2の万力3bを、図2に示されるように第1の万力3aから再び切り離されるハンドリング装置4を介して未だ空の第1の万力3a上に上方から、第1の万力3aに対して反転した位置で、すなわち、被加工物2が下方に突出してゼロ点クランプ要素12が上方に突出した状態で配置することができる。この目的のため、第2の万力3bは、最初に、ハンドリング装置4を介して加圧装置16のスライド21と接触させられ、次いで、スライド21と共にキャリア15の方向で第1の万力3aに向かって移動される。第2の万力3bは、図5に示されるように加圧プランジャ17がクランプジョー9及び10と基体5と第2の万力3b上の被加工物2との間の開口に入ることができるように、加圧装置16のスライド21上に位置される。
【0027】
第2の万力3bとスライド21との接触によって、第1の万力3aに対する第2の万力3bの正確な位置合わせ、及び、加えて、第2の万力3bの第1の万力3aの方向へのその移動中の正確な案内を達成することができる。図示の実施形態の例において、第2の万力3bは、スライド21と対向する第2の万力3bの基体8の側面の案内切り欠きに係合するボルト形状の位置合わせ及び位置決め要素27によってスライド21に対して位置決めされる。ボルト形状の位置合わせ及び位置決め要素27は、異なる幅の基体8を伴う万力を万力3a上にわたって正確に中央に位置決めできるようにピストン29を介して異なる程度まで延在され得る。第2の万力3bは、位置合わせ及び位置決め要素27又は他の結合要素を介して加圧装置16のスライド21上でのみ案内され得る。しかしながら、第2の万力を、端面又は基部側に配置された他の結合要素及び対応するカウンタ要素を介して案内することもでき又はスライド21に能動的に結合することもでき、それにより、スライドに保持させることができる。
【0028】
第2の万力3bの更なる案内及び位置決めが完全に省かれ、第2の万力3bの更なる案内又は結合を伴うことなく被加工物2が加圧プランジャ17のみで第1の万力3aに押し込まれることも想定し得る。
【0029】
被加工物2を移送するために、第2の万力3bは、ハンドリング装置4によって、図3に示される位置決め位置から図1に示される移送位置に移動される。第2の万力3bが移送位置に移動されると、加圧装置16のスライド21も加圧プランジャ17又はカップリングを介して搬送される。移送位置に達するまで、アクチュエータ25のピストン28は、ピストンロッドがキャリア15の方向でのスライド21の移動に対して僅かな抵抗しか与えないように伸長方向で圧縮空気により加圧することができない又は僅かにのみ加圧することができる。
【0030】
移送位置に到達した後、ピストン28は、加圧プランジャ17が未だ開いている第1の万力3aの接触面に被加工物2を押し付けるように進入方向で加圧される。接触面は、図3に示される段付きクランプジョー9及び10上の接触面30、基体8の上面、又は、基体8と被加工物2との間のスペーサとなり得る。
【0031】
したがって、アクチュエータ25を介してキャリア15の方向に引き寄せられる加圧プランジャ17は、第1の万力3aの未だ開いている2つのクランプジョー9及び10間で被加工物2を確実に保持する。加圧プランジャ17の下側の把持プロファイル26を介して、被加工物2も滑り止め態様で横方向に保持されることが確保され得る。
【0032】
次いで、第2の万力3bのクランプジョー9及び10を開くことができる。基体5とクランプジョー9及び10と被加工物2との間の加圧プランジャ17の配置に起因して、第2の万力3bは、クランプジョーが開放された後は自由であり、ハンドリング装置4を介して離れるように搬送され得る。次いで、被加工物2は、第1の万力3aの未だ開いているクランプジョー9及び10内に位置し、加圧プランジャ17によって固定される。
【0033】
その後、把持及び作動ユニット6を伴うハンドリング装置4は、アクチュエータ14を調整スピンドル11に結合した後に、第1の万力3aへと移動し、そのクランプジョー9及び10を閉じることができる。第1の万力3aのクランプジョー9及び10が閉じられる場合であっても加圧プランジャ17がその把持プロファイル26で被加工物2を位置的に正確に且つ確実に保持するため、第1の万力3a内の被加工物2の極めて正確な位置決めが達成される。
【0034】
被加工物2を第1の万力3aにクランプした後、加圧プランジャ17を伴うスライド21を開始位置まで移動させることができ、第1の万力3aを再クランプされた被加工物2と共に機械加工プロセスに戻して更なる機械加工作業を実行することができる。再クランププロセス全体の間にわたって、被加工物2は、再クランプ中に高い精度及びプロセス信頼性を達成できるように加圧プランジャ17によって保持される。
【0035】
好ましくは、2つのクランプ万力3a及び3bは、移送位置において互いに90°回転される。これにより、被加工物2を2つのクランプ設定において6つの側面で完全に機械加工することができる。
【0036】
加圧プランジャ17、案内キャリッジ22、案内レール23又はアクチュエータ25に経路測定装置を設けることができる。これにより、再クランプ中に被加工物の高さを測定することが可能になり、プロセスの信頼性が更に向上する。
【0037】
上記で詳細に説明した実施形態において、被加工物の最終的な機械加工を目的とした万力3aは、固定再クランプステーション5のキャリア15上に配置され、また、既に機械加工された被加工物を保持する第2の万力3bは、被加工物の移送のために、未だ空の万力3aの上方で上から、逆の位置で、すなわち、被加工物が下方に突出した状態で位置される。被加工物の最終的な機械加工を目的とした空の万力3aを上部に位置させ、既に機械加工された被加工物を保持する更なる万力3bを下部に位置させることも装置し得る。万力を上下に配置して示される垂直配置の代わりに、万力を並べて配置した水平配置も想定し得る。図示の実施形態では、万力が同一の形態を成す。しかしながら、これらの万力は、異なる形態及びサイズを成すこともできる。
【符号の説明】
【0038】
1 再クランプ装置
2 被加工物
3a 第1の万力
3b 第2の万力
4 ハンドリング装置
5 再クランプステーション
6 把持及び作動ユニット
7 ロボットアーム
8 基体
9 クランプジョー
10 クランプジョー
11 調整スピンドル
12 ゼロ点クランプ要素
13 結合要素
14 アクチュエータ
15 キャリア
16 加圧装置
17 加圧プランジャ
18 心出しレセプタクル
19 位置決め要素
20 突起
21 スライド
22 案内キャリッジ
23 案内レール
24 案内プレート
25 アクチュエータ
26 把持プロファイル
27 位置合わせ及び位置決め要素
28 ピストン
29 ピストン
30 接触面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの万力(3a,3b)を位置決めして作動させるためのハンドリング装置(4)と、第1の万力(3a)を正確な位置に保持するためのキャリア(15)を含む再クランプステーション(5)とを有する、前記2つの万力(3a,3b)間で被加工物(2)を再クランプするための再クランプ装置(1)であって、前記再クランプステーション(5)は、前記被加工物(2)を前記キャリア(15)上に位置される前記第1の万力(3a)に押し付けるための加圧装置(16)を含み、前記加圧装置(16)が、アクチュエータ(25)によって前記キャリア(15)に対して移動可能な加圧プランジャ(17)を含み、前記加圧プランジャ(17)が前記キャリア(15)の中央で前記キャリア(15)の上方に突出するように設計されており、且つ前記加圧プランジャ(17)が被加工物の移送のために前記第1の万力(3a)の上に位置する第2の万力(3b)の二つのクランプジョー(9、10)の間に係合することができるように設計されていることを特徴とする、再クランプ装置(1)。
【請求項2】
前記加圧装置(16)は、前記ハンドリング装置(4)によって前記第1の万力(3a)に対して移動され得る前記第2の万力(3b)を案内するように設計されることを特徴とする、請求項1に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項3】
前記ハンドリング装置(4)によって前記第1の万力(3a)に対して移動され得る前記第2の万力(3b)に接続するために位置合わせ及び位置決め要素(27)が前記加圧装置(16)上に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項4】
前記加圧プランジャ(17)は、前記キャリア(15)と対向するその側に把持プロファイル(26)を含むことを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項5】
前記加圧プランジャ(17)は、前記キャリア(15)に対して移動され得るスライド(21)上に配置されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項6】
前記スライド(21)は、前記キャリア(15)に対して直角である案内プレート(24)上で案内キャリッジ(22)及び案内レール(23)を介して移動可能に案内されることを特徴とする、請求項5に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項7】
前記加圧プランジャ(17)は、前記スライド(21)上に固定して又はその長手方向で移動可能に配置されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項8】
前記キャリア(15)は、心出しレセプタクル(18)及び/又は位置決め要素(19)を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項9】
再クランプ中に被加工物の高さを検出するための測定システムが前記加圧装置(16)上に配置されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項10】
前記加圧装置(16)の前記アクチュエータ(25)は、伸縮可能なピストンロッドを伴うピストン(28)を含む空気圧シリンダとして設計されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の再クランプ装置(1)。
【請求項11】
第1の万力(3a)が最初にハンドリング装置(4)によって固定再クランプステーション(5)のキャリア(15)内に堆積され、その後、被加工物移送のために前記第1の万力(3a)の上方に被加工物(2)が前記第1の万力(3a)と対向する状態で第2の万力(3b)がハンドリング装置(4)によって位置決めされる、2つの万力(3a,3b)間で被加工物(2)を再クランプするための方法であって、前記再クランプステーション(5)に配置される加圧装置(16)によって被加工物移送中に被加工物(2)が前記第1の万力(3a)上の接触面(30)に押し付けられ、前記被加工物(2)は、被加工物の移送中に、加圧装置(16)の加圧プランジャ(17)によって前記第1の万力(3a)上の接触面(30)に押し付けられ、前記加圧プランジャ(17)は、アクチュエータ(25)によって、キャリア(15)に対して移動可能であり、前記加圧プランジャ(17)は、前記キャリア(15)の中央で前記キャリア(15)の上方に突出し、前記被加工物の移送のために前記第1の万力(3a)の上に位置する第2の万力(3b)の二つのクランプジョー(9、10)の間に係合することを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記万力(3a,3b)が被加工物移送のために互いに対して90°回転されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
再クランプ後、前記被加工物(2)の高さが前記加圧装置(16)における経路測定によって測定されることを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
両方の万力(3a,3b)が前記ハンドリング装置(4)によって搬送されて作動されることを特徴とする、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】