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特表2023-513041快適性用途のためのポリウレタン発泡体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】快適性用途のためのポリウレタン発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20230323BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20230323BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20230323BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20230323BHJP
   C08G 18/30 20060101ALI20230323BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20230323BHJP
【FI】
C08G18/00 L
C08G18/10
C08G18/76 057
C08G18/48 033
C08G18/30 020
C08G18/00 G
C08G101:00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546470
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(85)【翻訳文提出日】2022-08-03
(86)【国際出願番号】 US2021015189
(87)【国際公開番号】W WO2021154789
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】62/968,185
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】スリヴァスタヴァ、ヤスミン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】クーンス、ウィリアム エー.
(72)【発明者】
【氏名】シェリダン、フィリップ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ガンボア、ロヘリオ
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA08
4J034CA03
4J034CA05
4J034CB02
4J034CB04
4J034CB05
4J034CC03
4J034CD01
4J034CE01
4J034DA01
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4J034DQ05
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4J034DQ28
4J034HA01
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4J034HA06
4J034HA07
4J034HA13
4J034HA14
4J034HC12
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034JA42
4J034MA11
4J034MA21
4J034MA26
4J034NA03
4J034NA07
4J034NA08
4J034QA01
4J034QA02
4J034QA03
4J034QA05
4J034QB01
4J034QB15
4J034QC01
4J034RA02
4J034RA03
4J034RA12
4J034RA15
(57)【要約】
親水性であるが、それにもかかわらず低い圧縮永久歪みを有するポリウレタン発泡体は、MDI及びTDIプレポリマーと、水と、ポリマーポリオールとの組み合わせから作製される。発泡体は、任意選択的に、発泡体配合物中に相変化材料を組み込んで作製される。相変化材料は、カプセル化を必要としない。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質ポリウレタン発泡体であって、
a)イソシアネート混合物であって、
a-1)第1のイソシアネート官能性プレポリマーであって、前記第1のイソシアネート官能性プレポリマーが、エチレンオキシドの少なくとも1つのヒドロキシル末端ポリマー並びに任意選択的にヒドロキシル官能性分岐剤及び/又はヒドロキシル官能性鎖延長剤と、ジフェニルメタンジイソシアネートの少なくとも50重量%が4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートである、過剰のジフェニルメタンジイソシアネートと、の反応生成物である、第1のイソシアネート官能性プレポリマーと、
a-2)任意選択的に、ジフェニルメタンジイソシアネートであって、成分a-1)及びa-2)が一緒に、成分a-1)及びa-2)の合計重量に基づいて、5~15重量%のイソシアネート含有量を有し、かつ30~75重量パーセントのオキシエチレン単位を含有し、成分a-1)及びa-2)が一緒に、前記イソシアネート混合物の総重量の40~60%を構成する、ジフェニルメタンジイソシアネートと、
a-3)第2のイソシアネート官能性プレポリマーであって、前記第2のイソシアネート官能性プレポリマーが、エチレンオキシドの少なくとも1つのヒドロキシル末端ポリマー並びに1分子当たり少なくとも3つのヒドロキシル基及び最大250g/当量のヒドロキシル当量を有するヒドロキシ官能性分岐剤と、過剰のトルエンジイソシアネートと、の反応生成物である、第2のイソシアネート官能性プレポリマーと、
a-4)任意選択的に、トルエンジイソシアネートであって、a-3)及びa-4)が一緒に、成分a-3)及びa-4)の合計重量に基づいて、5~15重量%のイソシアネート含有量を有し、かつ30~75重量パーセントのオキシエチレン単位と、成分a-3)及びa-4)の合計重量に基づいて、2~5重量%の前記ヒドロキシル官能性分岐剤からの残基と、を含有する、トルエンジイソシアネートと、を含み、成分a-3)及びa-4)が一緒に、前記イソシアネート混合物の総重量の40~60%を構成し、成分a-1)、a-2)、a-3)、及びa-4)が一緒に、前記イソシアネート混合物の重量全体を構成する、イソシアネート混合物と、
b)水と、
c)少なくとも1つのベースポリオール中に分散されたポリマー粒子を含む少なくとも1つのポリマーポリオールであって、前記ベースポリオールが、少なくとも50重量%のオキシプロピレン単位及び500~3000g/当量のヒドロキシル当量を有するポリエーテルである、少なくとも1つのポリマーポリオールと、
d)任意選択的に、ポリ(エチレンオキシド)であって、前記ポリ(エチレンオキシド)が、エチレンオキシドホモポリマーのホモポリマー、又は少なくとも80重量%のエチレンオキシド及び最大20重量%の別のアルキレンオキシドのランダム及び/若しくはブロックコポリマーであり、前記ポリ(エチレンオキシド)が、400~1200g/モルの数平均分子量を有する、ポリ(エチレンオキシド)と、
e)及びf)のうちの少なくとも1つであって、e)が、少なくとも1つのシリコーン界面活性剤であり、f)が、少なくとも1つのエチレンオキシド/高級アルキレンオキシドブロックコポリマーであり、前記ブロックコポリマーが、40~90重量%のオキシエチレン単位を含有し、かつ1500~12,000g/モルの数平均分子量を有する、e)及びf)のうちの少なくとも1つと、任意選択的に、
g)少なくとも1つの相変化材料であって、25~37℃の溶融温度又はガラス転移温度を有し、かつイソシアネート基又はイソシアネート反応性基を含有しない、少なくとも1つの相変化材料と、を含む、反応混合物の反応生成物を含み、
i)前記イソシアネート混合物が、成分a~gの合計重量の40~65%を構成し、
ii)水が、成分a~gの合計重量の15~41%を構成し、
iii)前記少なくとも1つのポリマーポリオールが、成分a~gの合計重量の8~20%を構成し、前記ポリマー粒子が、成分a~gの合計重量の0.5~10%を構成し、
iv)前記ポリ(エチレンオキシド)が、存在する場合、成分a~gの合計重量の最大5%を構成し、
v)前記少なくとも1つのシリコーン界面活性剤が、成分a~gの合計重量の0~3%を構成し、
vi)前記少なくとも1つのエチレンオキシド/高級アルキレンオキシドブロックコポリマーが、成分a~gの合計重量の0~3%を構成し、
vii)前記少なくとも1つの相変化材料が、成分a~gの合計重量の最大15%を構成し、
viii)成分a~gが、前記反応混合物の重量の少なくとも95%を構成する、軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項2】
前記相変化材料が、ポリエチレンワックス、ミツロウ、ラノリン、カルナバワックス、カンデリラワックス、オーリクリーワックス、サトウキビワックス、ホホバワックス、エピクチクラワックス、ココナツワックス、石油ワックス、又はパラフィンワックスなどの天然又は合成ワックスのうちのいずれか1つ以上を含む、請求項1に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項3】
前記相変化材料が、成分a~gの総重量の2.5~10パーセントを構成する、請求項1又は2に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項4】
成分a-1)及びa-2)が一緒に、前記イソシアネート混合物の重量の45~55%を構成し、成分a-3)及びa-4)が一緒に、それに対応して、前記イソシアネート混合物の重量の55~45%を構成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項5】
前記シリコーン界面活性剤及び前記エチレンオキシド/高級アルキレンオキシドブロックコポリマーが各々、成分a~gの合計重量の0.5~3%を構成する、請求項1~4のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項6】
前記シリコーン界面活性剤が、前記シリコーン界面活性剤の重量に基づいて、25~70重量%のポリシロキサン、10~75重量%の重合エチレンオキシド、及び0~10重量%の重合プロピレンオキシドを含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項7】
前記エチレンオキシド/高級アルキレンオキシドブロックコポリマーが、40~90%のオキシエチレン単位を含有し、かつ1,500~12,000の数平均分子量を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項8】
前記ポリ(エチレンオキシド)が、成分a~gの合計重量の0.5~5%を構成する、請求項1~7のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタン発泡体。
【請求項9】
軟質ポリウレタン発泡体を作製する方法であって、
A.反応混合物を形成することであって、前記反応混合物が、
a)イソシアネート混合物であって、
a-1)第1のイソシアネート官能性プレポリマーであって、前記第1のイソシアネート官能性プレポリマーが、エチレンオキシドの少なくとも1つのヒドロキシル末端ポリマー並びに任意選択的に、ヒドロキシル官能性分岐剤及び/又はヒドロキシル官能性鎖延長剤と、ジフェニルメタンジイソシアネートの少なくとも50重量%が4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートである、過剰のジフェニルメタンジイソシアネートと、の反応生成物である、第1のイソシアネート官能性プレポリマーと、
a-2)任意選択的に、ジフェニルメタンジイソシアネートであって、成分a-1)及びa-2)が一緒に、成分a-1)及びa-2)の合計重量に基づいて、5~15重量%のイソシアネート含有量を有し、かつ30~75重量パーセントのオキシエチレン単位を含有し、成分a-1)及びa-2)が一緒に、前記イソシアネート混合物の総重量の40~60%を構成する、ジフェニルメタンジイソシアネートと、
a-3)第2のイソシアネート官能性プレポリマーであって、前記第2のイソシアネート官能性プレポリマーが、エチレンオキシドの少なくとも1つのヒドロキシル末端ポリマー並びに1分子当たり少なくとも3つのヒドロキシル基及び最大250g/当量のヒドロキシル当量を有するヒドロキシ官能性分岐剤と、過剰のトルエンジイソシアネートと、の反応生成物である、第2のイソシアネート官能性プレポリマーと、
a-4)任意選択的に、トルエンジイソシアネートであって、a-3)及びa-4)が一緒に、成分a-3)及びa-4)の合計重量に基づいて、5~15重量%のイソシアネート含有量を有し、かつ30~75重量パーセントのオキシエチレン単位と、成分a-3)及びa-4)の合計重量に基づいて、2~5重量%の前記ヒドロキシル官能性分岐剤からの残基と、を含有する、トルエンジイソシアネートと、を含み、成分a-3)及びa-4)が一緒に、前記イソシアネート混合物の総重量の40~60%を構成し、成分a-1)、a-2)、a-3)、及びa-4)が一緒に、前記イソシアネート混合物の重量全体を構成する、イソシアネート混合物と、
b)水と、
c)少なくとも1つのベースポリオール中に分散されたポリマー粒子を含む少なくとも1つのポリマーポリオールであって、前記ベースポリオールが、少なくとも50重量%のオキシプロピレン単位及び500~3000g/当量のヒドロキシル当量を有するポリエーテルである、少なくとも1つのポリマーポリオールと、
d)任意選択的に、ポリ(エチレンオキシド)であって、前記ポリ(エチレンオキシド)が、エチレンオキシドホモポリマーのホモポリマー、又は少なくとも80重量%のエチレンオキシド及び最大20重量%の別のアルキレンオキシドのランダム及び/若しくはブロックコポリマーであり、前記ポリ(エチレンオキシド)が、400~1200g/モルの数平均分子量を有する、ポリ(エチレンオキシド)と、
e)及びf)のうちの少なくとも1つであって、e)が、少なくとも1つのシリコーン界面活性剤であり、f)が、少なくとも1つのエチレンオキシド/高級アルキレンオキシドブロックコポリマーであり、前記ブロックコポリマーが、40~90重量%のオキシエチレン単位を含有し、かつ1500~12,000g/モルの数平均分子量を有する、e)及びf)のうちの少なくとも1つと、任意選択的に、
g)少なくとも1つの相変化材料であって、25~37℃の溶融温度又はガラス転移温度を有し、かつイソシアネート基又はイソシアネート反応性基を含有しない、少なくとも1つの相変化材料と、を混合することによって形成され、
i)前記イソシアネート混合物が、成分a~gの合計重量の40~65%を構成し、
ii)水が、成分a~gの合計重量の15~41%を構成し、
iii)前記少なくとも1つのポリマーポリオールが、成分a~gの合計重量の8~20%を構成し、前記ポリマー粒子が、成分a~gの合計重量の0.5~10%を構成し、
iv)前記ポリ(エチレンオキシド)が、存在する場合、成分a~gの合計重量の最大5%を構成し、
v)前記少なくとも1つのシリコーン界面活性剤が、成分a~gの合計重量の0~3%を構成し、
vi)前記少なくとも1つのエチレンオキシド/高級アルキレンオキシドブロックコポリマーが、成分a~gの合計重量の0~3%を構成し、
vii)前記少なくとも1つの相変化材料が、成分a~gの合計重量の最大15%を構成し、
viii)成分a~gが、前記反応混合物の重量の少なくとも95%を構成する、形成することと、
B.前記反応混合物を反応させて、前記発泡体を生成することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記相変化材料が、成分a~gの総重量の2.5~10パーセントを構成し、前記相変化材料が、ポリエチレンワックス、ミツロウ、ラノリン、カルナバワックス、カンデリラワックス、オーリクリーワックス、サトウキビワックス、ホホバワックス、エピクチクラワックス、ココナツワックス、石油ワックス、又はパラフィンワックスなどの天然又は合成ワックスのうちのいずれか1つ以上を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記シリコーン界面活性剤及び前記エチレンオキシド/高級アルキレンオキシドブロックコポリマーが各々、成分a~gの合計重量の0.5~3%を構成し、前記シリコーン界面活性剤が、前記シリコーン界面活性剤の重量に基づいて、25~70重量%のポリシロキサン、10~75重量%の重合エチレンオキシド、及び0~10重量%の重合プロピレンオキシドを含有し、前記エチレンオキシド/高級アルキレンオキシドブロックコポリマーが、40~90%のオキシエチレン単位を含有し、1,500~12,000の数平均分子量を有する、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の軟質ポリウレタン発泡体を含むクッション。
【請求項13】
枕、マットレストッパー、マットレス、掛け布団、家具のシート若しくは背もたれ、自動車のシート若しくは背もたれ、断熱衣類のキルト若しくは物品、又は義肢用のパッドである、請求項12に記載のクッション。
【請求項14】
前記軟質ポリウレタン発泡体が、一定の重量に乾燥されたときに、48~80kg/mの密度及び10%以下の圧縮永久歪みを有する、請求項12又は13に記載のクッション。
【請求項15】
前記軟質ポリウレタン発泡体が、一定の重量に乾燥されたときに、27°Kで少なくとも2.5J/gの潜熱及び5秒以下の吸湿時間を示す、請求項12~14のいずれか一項に記載のクッション。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枕、マットレス、マットレストッパー、及びシートクッションなどの快適性用途に有用な軟質ポリウレタン発泡体に関する。
【0002】
ポリウレタン発泡体は、特に寝具及びシート用のクッション材を作製するために非常に多量に使用される。これらの発泡体の問題は、それらが熱をあまり効果的に伝達しないことである。したがって、使用者によって放出された熱は、使用者の体に密接に隣接する領域にある発泡体によって閉じ込められる。これは、使用者が不快であると感じることが多い局所的な温度上昇をもたらす。
【0003】
この問題に対処するために様々な方式が提案されている。発泡体の多孔度を増加させると、空気が発泡体を容易に出入りすることにかなり役立つ。発泡体をより親水性にすることにより、汗などの水分を使用者の体からより効果的に吸い取り、ひいては快適感の向上に寄与する。いわゆる「ゲル技術」は、感触に清涼感を付与するために使用され、これは店頭で重要である。
【0004】
これらのアプローチのいずれも完全に満足のいくものではなかった。高度に多孔質であり、かつ高気流を有する発泡体は、「通気性」であるが、必要な耐荷重特性を欠く場合がある。親水性発泡体は、不十分な圧縮永久歪みを有する傾向がある。これにより、発泡体の通常の使用中の永久的な変形、たわみ、又は凹部の形成がもたらされる。圧縮永久歪みを低減するための配合物の修正は、気流を低減する傾向がある。親水性発泡体はまた、店頭で望まれる「清涼感触」特徴を欠いている。
【0005】
相変化材料又は「ゲル」は、多くの場合、「清涼感触」特徴を付与するために使用される。これらの材料は、ほぼ室温又は室温よりわずかに高い溶融温度又は相転移温度を有する。それらは、材料がその相変化を受けると、触れたときに体熱を効果的に吸収する。これにより、最初に触れたときに清涼感が引き起こされる。
【0006】
ゲルは、表面トッパーとして使用されるか、又は発泡体内に注入される。ゲルは、通気性ではないため、熱を効果的に伝達しない。ゲルが体温に加熱されると、ゲルは、熱を放散せずに閉じ込める傾向がある。ゲルはまた、粘着性である傾向があるため、通常、ポリマーフィルム内にカプセル化される。これにより、その通気性がさらに低減し、問題が悪化する。
【0007】
低い圧縮永久歪みと共に良好な吸湿を示すポリウレタン発泡体が、寝具及び他の快適性用途での使用に望まれる。理想的には、発泡体はまた、高気流及び感触に対する清涼感も示す。
【0008】
本発明は、一態様では、軟質ポリウレタン発泡体であって、
a)イソシアネート混合物であって、
a-1)第1のイソシアネート官能性プレポリマーであって、第1のイソシアネート官能性プレポリマーが、エチレンオキシドの少なくとも1つのヒドロキシル末端ポリマー並びに任意選択的にヒドロキシル官能性分岐剤及び/又はヒドロキシル官能性鎖延長剤と、ジフェニルメタンジイソシアネートの少なくとも50重量%が4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートである、過剰のジフェニルメタンジイソシアネートと、の反応生成物である、第1のイソシアネート官能性プレポリマーと、
a-2)任意選択的に、ジフェニルメタンジイソシアネートであって、成分a-1)及びa-2)が一緒に、成分a-1)及びa-2)の合計重量に基づいて、5~15重量%のイソシアネート含有量を有し、かつ30~75重量パーセントのオキシエチレン単位を含有し、成分a-1)及びa-2)が一緒に、イソシアネート混合物の総重量の40~60%を構成する、ジフェニルメタンジイソシアネートと、
a-3)第2のイソシアネート官能性プレポリマーであって、第2のイソシアネート官能性プレポリマーが、エチレンオキシドの少なくとも1つのヒドロキシル末端ポリマー並びに1分子当たり少なくとも3つのヒドロキシル基及び最大250g/当量のヒドロキシル当量を有するヒドロキシ官能性分岐剤と、過剰のトルエンジイソシアネートと、の反応生成物である、第2のイソシアネート官能性プレポリマーと、
a-4)任意選択的にトルエンジイソシアネートであって、a-3)及びa-4)が一緒に、成分a-3)及びa-4)の合計重量に基づいて、5~15重量%のイソシアネート含有量を有し、かつ30~75重量パーセントのオキシエチレン単位と、成分a-3)及びa-4)の合計重量に基づいて、2~5重量%のヒドロキシル官能性分岐剤からの残基と、を含有する、トルエンジイソシアネートと、を含み、成分a-3)及びa-4)が一緒に、イソシアネート混合物の総重量の40~60%を構成し、成分a-1)、a-2)、a-3)、及びa-4)が一緒に、イソシアネート混合物の重量全体を構成する、イソシアネート混合物と、
b)水と、
c)少なくとも1つのベースポリオール中に分散されたポリマー粒子を含む少なくとも1つのポリマーポリオールであって、ベースポリオールが、少なくとも50重量%のオキシプロピレン単位及び500~3000g/当量のヒドロキシル当量を有するポリエーテルである、少なくとも1つのポリマーポリオールと、
d)任意選択的にポリ(エチレンオキシド)であって、ポリ(エチレンオキシド)が、エチレンオキシドホモポリマーのホモポリマー、又は少なくとも80重量%のエチレンオキシド及び最大20重量%の別のアルキレンオキシドのランダム及び/若しくはブロックコポリマーであり、ポリ(エチレンオキシド)が、400~1200g/モルの数平均分子量を有する、ポリ(エチレンオキシド)と、
e)及びf)のうちの少なくとも1つであって、e)が、少なくとも1つのシリコーン界面活性剤であり、f)が、少なくとも1つのエチレンオキシド/高級アルキレンオキシドブロックコポリマーであり、ブロックコポリマーが、40~90重量%のオキシエチレン単位を含有し、かつ1500~12,000g/モルの数平均分子量を有する、e)及びf)のうちの少なくとも1つと、任意選択的に、
g)少なくとも1つの相変化材料であって、25~37℃の溶融温度又はガラス転移温度を有し、かつイソシアネート基又はイソシアネート反応性基を含有しない、少なくとも1つの相変化材料と、を含む、反応混合物の反応生成物を含み、
i)イソシアネート混合物が、成分a~gの合計重量の40~65%を構成し、
ii)水が、成分a~gの合計重量の15~41%を構成し、
iii)少なくとも1つのポリマーポリオールが、成分a~gの合計重量の8~20%を構成し、ポリマー粒子が、成分a~gの合計重量の0.5~10%を構成し、
iv)ポリ(エチレンオキシド)が、存在する場合、成分a~gの合計重量の最大5%を構成し、
v)少なくとも1つのシリコーン界面活性剤が、成分a~gの合計重量の0~3%を構成し、
vi)少なくとも1つのエチレンオキシド/高級アルキレンオキシドブロックコポリマーが、成分a~gの合計重量の0~3%を構成し、
vii)少なくとも1つの相変化材料が、成分a~gの合計重量の最大15%を構成し、
viii)成分a~gが、反応混合物の重量の少なくとも95%を構成する、軟質ポリウレタン発泡体である。
【0009】
本発明に従い生成される軟質ポリウレタン発泡体は、発泡体を、寝具、シート、及び他の「快適性」用途での使用に特に望ましくする独特な組み合わせの特性を有し、発泡体は、人間の使用者の体熱及び/又はそれから蒸発する水蒸気にさらされる。これらの特性には、非常に低い圧縮永久歪み、良好な吸湿挙動、及び適切な密度が含まれる。好ましい実施形態では、これらの特性はまた、25~37℃の温度範囲において良好な気流及び/又は非ゼロの潜熱を示す。良好な気流及び非ゼロの潜熱は各々、発泡体の「清涼感触」特徴を生じさせる。発泡体又は発泡体を含有する物品は、そのような用途において、人間の使用者の体重の少なくとも一部分を支え得る。
【0010】
本発明はまた、軟質ポリウレタン発泡体を作製する方法であって、
A.反応混合物を形成することであって、反応混合物が、
a)イソシアネート混合物であって、
a-1)第1のイソシアネート官能性プレポリマーであって、第1のイソシアネート官能性プレポリマーが、エチレンオキシドの少なくとも1つのヒドロキシル末端ポリマー並びに任意選択的にヒドロキシル官能性分岐剤及び/又はヒドロキシル官能性鎖延長剤と、ジフェニルメタンジイソシアネートの少なくとも50重量%が4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートである、過剰のジフェニルメタンジイソシアネートと、の反応生成物である、第1のイソシアネート官能性プレポリマーと、
a-2)任意選択的に、ジフェニルメタンジイソシアネートであって、成分a-1)及びa-2)が一緒に、成分a-1)及びa-2)の合計重量に基づいて、5~15重量%のイソシアネート含有量を有し、かつ30~75重量パーセントのオキシエチレン単位を含有し、成分a-1)及びa-2)が一緒に、イソシアネート混合物の総重量の40~60%を構成する、ジフェニルメタンジイソシアネートと、
a-3)第2のイソシアネート官能性プレポリマーであって、第2のイソシアネート官能性プレポリマーが、エチレンオキシドの少なくとも1つのヒドロキシル末端ポリマー並びに1分子当たり少なくとも3つのヒドロキシル基及び最大250g/当量のヒドロキシル当量を有するヒドロキシル官能性分岐剤と、過剰のトルエンジイソシアネートと、の反応生成物である、第2のイソシアネート官能性プレポリマーと、
a-4)任意選択的に、トルエンジイソシアネートであって、a-3)及びa-4)が一緒に、成分a-3)及びa-4)の合計重量に基づいて、5~15重量%のイソシアネート含有量を有し、かつ30~75重量パーセントのオキシエチレン単位と、成分a-3)及びa-4)の合計重量に基づいて、2~5重量%のヒドロキシル官能性分岐剤からの残基と、を含有する、トルエンジイソシアネートと、を含み、成分a-3)及びa-4)が一緒に、イソシアネート混合物の総重量の40~60%を構成し、成分a-1)、a-2)、a-3)、及びa-4)が一緒に、イソシアネート混合物の重量全体を構成する、イソシアネート混合物と、
b)水と、
c)少なくとも1つのベースポリオール中に分散されたポリマー粒子を含む少なくとも1つのポリマーポリオールであって、ベースポリオールが、少なくとも50重量%のオキシプロピレン単位及び500~3000g/当量のヒドロキシル当量を有するポリエーテルである、少なくとも1つのポリマーポリオールと、
d)任意選択的に、ポリ(エチレンオキシド)であって、ポリ(エチレンオキシド)が、エチレンオキシドホモポリマーのホモポリマー、又は少なくとも80重量%のエチレンオキシド及び最大20重量%の別のアルキレンオキシドのランダム及び/若しくはブロックコポリマーであり、ポリ(エチレンオキシド)が、400~1200g/モルの数平均分子量を有する、ポリ(エチレンオキシド)と、
e)及びf)のうちの少なくとも1つであって、e)が、少なくとも1つのシリコーン界面活性剤であり、f)が、少なくとも1つのエチレンオキシド/高級アルキレンオキシドブロックコポリマーであり、ブロックコポリマーが、40~90重量%のオキシエチレン単位を含有し、かつ1500~12,000g/モルの数平均分子量を有する、e)及びf)のうちの少なくとも1つと、任意選択的に、
g)少なくとも1つの相変化材料であって、25~37℃の溶融温度又はガラス転移温度を有し、かつイソシアネート基又はイソシアネート反応性基を含有しない、少なくとも1つの相変化材料と、を混合することによって形成され、
i)イソシアネート混合物が、成分a~gの合計重量の40~65%を構成し、
ii)水が、成分a~gの合計重量の15~41%を構成し、
iii)少なくとも1つのポリマーポリオールが、成分a~gの合計重量の8~20%を構成し、ポリマー粒子が、成分a~gの合計重量の0.5~10%を構成し、
iv)ポリ(エチレンオキシド)が、存在する場合、成分a~gの合計重量の最大5%を構成し、
v)少なくとも1つのシリコーン界面活性剤が、成分a~gの合計重量の0~3%を構成し、
vi)少なくとも1つのエチレンオキシド/高級アルキレンオキシドブロックコポリマーが、成分a~gの合計重量の0~3%を構成し、
vii)少なくとも1つの相変化材料が、成分a~gの合計重量の最大15%を構成し、
viii)成分a~gが、反応混合物の重量の少なくとも95%を構成する、形成することと、
B.反応混合物を反応させて、発泡体を生成することと、を含む、方法である。
【0011】
イソシアネート混合物の成分a-1)は、エチレンオキシドの少なくとも1つのヒドロキシル末端ポリマー並びに任意選択的にヒドロキシル含有分岐剤及び/又は鎖延長剤と、過剰のジフェニルメタンジイソシアネート(diphenylmethane diisocyanate、MDI)との反応生成物である、第1のイソシアネート末端プレポリマーである。MDIの重量の少なくとも50%は、4,4’-異性体である。いくつかの実施形態では、4,4’-異性体は、プレポリマーを作製するために使用されるジフェニルメタンジイソシアネートの重量の少なくとも60又は少なくとも70%を構成する。最大100%のジフェニルメタンジイソシアネートは、4,4’-異性体であり得る。2,4’-異性体は、存在する場合、ジフェニルメタンジイソシアネートの重量の少なくとも5%、少なくとも10%、又は少なくとも15%を構成し得る。2,2’-異性体は、存在する場合、プレポリマーを作製するために使用されるジフェニルメタンジイソシアネートの重量の最大5%、又は最大2%を構成し得る。
【0012】
エチレンオキシドのポリマーは、便宜的に、エチレンオキシドのヒドロキシル末端ホモポリマー、又はエチレンオキシドと1,2-プロピレンオキシドとのヒドロキシル末端ランダム若しくはブロックコポリマーである。ポリエーテルは、例えば、少なくとも50重量%又は少なくとも60重量%のオキシエチレン基、及び100重量%ものオキシエチレン基を含有し得る。特に興味深いポリエーテルは、ポリ(エチレンオキシド)ホモポリマーである。別のものは、50~99%、好ましくは60~95%のオキシエチレン基、及びそれに対応して5~50%、好ましくは5~40%のメチルオキシエチレン(オキシプロピレン)基を含有する、エチレンオキシドと1,2-プロピレンオキシドとのランダム又はブロックコポリマーである。
【0013】
ポリエーテルは、名目上、例えば、1分子当たり2~4個のヒドロキシル基の数平均を含有し得る。好ましい公称平均ヒドロキシル官能価は、2~3であり、より好ましい公称平均ヒドロキシル官能価は、2~2.5又は2~2.25である。公称官能価は、ポリエーテルの生成に使用される開始剤化合物上のオキシアルキル化可能な基の数を指す。一級アミノ基は、本発明の目的のために2つのオキシアルキル化可能な部位を含有すると考えられている。
【0014】
ポリエーテルのヒドロキシル当量は、好ましくは、少なくとも300又は少なくとも450であり、例えば、最大6000、最大3000、又は最大2000g/当量であり得る。特に好ましい当量範囲は、500~1800g/当量である。本明細書におけるすべてのヒドロキシル当量は、ASTM D4274-99などの滴定法によって決定される。
【0015】
上述の2つ以上のポリエーテルの混合物を使用して、第1のイソシアネート末端プレポリマーを作製し得る。
【0016】
第1のイソシアネート官能性プレポリマーは、MDIをポリエーテルと混合し、混合物を、イソシアネート基の一部分がポリエーテルのヒドロキシル基と反応してウレタン結合を形成する条件に供することによって、便宜的に調製される。ヒドロキシル含有分岐剤及び/又は鎖延長剤は、任意選択的に、第1のイソシアネート官能性プレポリマーが形成されるときに存在する。そのような分岐剤又は鎖延長剤は、最大250又は最大125のヒドロキシル当量を有し得、分岐剤の場合には1分子当たり少なくとも3(好ましくは3~8、3~6、又は3~4)個のヒドロキシル基、及び鎖延長剤の場合には1分子当たり厳密に2個のヒドロキシル基を有し得る。仮にこれらが存在する場合、それらは、好適には、ポリエーテル100重量部当たり最大5重量部、好ましくは最大2重量部の量で存在する。
【0017】
プレポリマー形成反応は、高温(60~180℃など)で、好ましくは窒素、ヘリウム、又はアルゴンなどの不活性雰囲気下で、便宜的に実行される。ヒドロキシル基に対して過剰のイソシアネート基が提供され、いくつかの実施形態では、MDI、ポリエーテル、並びに任意選択の分岐剤及び/又は鎖延長剤は、ヒドロキシル基の当量当たり0.95~1.5、特に0.95~1.25モルのポリイソシアネートの比率で組み合わされる。反応は、一般に、プレポリマーが一定のイソシアネート含有量に達し、ポリエーテルのヒドロキシル基が本質的にすべて消費されたことが示されるまで継続する。
【0018】
第1のイソシアネート末端プレポリマーは、好ましくは、ウレタン触媒、すなわち、イソシアネート基をヒドロキシル基と反応させてウレタンを形成するための触媒が実質的に存在しない状態で作製される。特に、第1のイソシアネート官能性プレポリマーを形成するための反応混合物は、好ましくは、1重量百万分率部以下の金属及び100重量百万分率部以下のアミン化合物を含有する。したがって、得られる第1のイソシアネート末端プレポリマーは、同様に少量のそのような物質を含有する(仮に存在する場合)。ポリエーテルは、好ましくは、アミン開始型ではなく、そうでなければウレタン触媒としての活性を示すアミン基を含有しない。
【0019】
プレポリマー形成反応の生成物は、存在する場合に未反応MDIがイソシアネート混合物の成分a-2)の全部又は一部を形成する、いくらかの量の未反応MDIを含有し得る。MDIは、所望であれば、第1のイソシアネート官能性プレポリマーと、及び/又はイソシアネート混合物の他の原料と別々に組み合わせられ得る。
【0020】
イソシアネート混合物中の第1のイソシアネート官能性プレポリマー及び任意の遊離MDIは一緒に、第1のイソシアネート官能性プレポリマー及び遊離MDIの合計重量に基づいて、5~15%のイソシアネート含有量を有する。イソシアネート含有量は、同じ基準で、少なくとも6%又は少なくとも7重量%であり得、例えば、最大12%又は最大10重量%であり得る。イソシアネート含有量は、周知の滴定法を使用して決定され得る。
【0021】
イソシアネート混合物中の第1のイソシアネート官能性プレポリマー及び任意の遊離MDIは一緒に、第1のイソシアネート官能性プレポリマー及び遊離MDIの合計重量に基づいて、30~70重量パーセントのオキシエチレン単位を含有する。オキシエチレン単位の含有量は、同じ基準で、少なくとも40重量パーセント、少なくとも50重量パーセント、又は少なくとも55重量パーセント及び最大70重量パーセント又は最大65重量パーセントであり得る。オキシエチレン単位のパーセンテージは、以下の関係を使用して決定される計算値であり、
【0022】
【数1】
式中、%オキシエチレンa1,a2は、イソシアネート混合物の成分a-1及びa-2中のオキシエチレン基の重量パーセントであり、%オキシエチレンpeは、第1のイソシアネート官能性プレポリマーの作製に使用されるポリエーテル中のオキシエチレン基の重量パーセントであり、wtpeは、第1のイソシアネート官能性プレポリマーの作製に使用されるポリエーテルの重量であり、wtbr,ceは、第1のイソシアネート官能性プレポリマーの作製に使用されるすべての分岐剤及び鎖延長剤の重量であり、wtMDIは、第1のイソシアネート官能性プレポリマーの作製に使用されるMDIとイソシアネート混合物中に存在する任意の他のMDIとの重量である。
【0023】
イソシアネート混合物の成分a-3)は、第2のイソシアネート末端プレポリマーであり、これは、エチレンオキシドの少なくとも1つのヒドロキシル末端ポリマー及びヒドロキシル含有分岐剤と、過剰のトルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate、TDI)との反応生成物である。TDIは、2,4-、2,5-、若しくは2,6-異性体、又はそれらのうちの任意の2つ以上の混合物であり得る。いくつかの実施形態におけるTDIは、50~85%の2,4-異性体と、残りの2,6-異性体との混合物である。
【0024】
エチレンオキシドのヒドロキシル末端ポリマーは、第1のイソシアネート官能性プレポリマーに関連して上に記載したとおりである。
【0025】
分岐剤は、一般に、第1のイソシアネート官能性プレポリマーに関して記載したとおりである。分岐剤は、1分子当たり少なくとも3つのヒドロキシル基を有し、いくつかの実施形態では、1分子当たり3~8、3~6、又は3~4個のヒドロキシル基を有する。そのヒドロキシル当量は、最大250、最大125、又は最大80であり得る。例としては、前述のヒドロキシル当量を有する前述のもののうちのいずれか1つ以上のグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ソルビトール、マンニトール、スクロース、ペンタエリスリトール、エリスリトール、トリエタノールアミン、及びアルコキシレートが挙げられる。
【0026】
分岐剤の量は、分岐剤の残基が成分a-3)及びa-4)の合計重量の2~5%、好ましくは3~5%を構成するように選択される。残基の重量は、以下のように、成分a-3)及びa-4)を作製する際に使用される出発材料の重量から計算され、
【0027】
【数2】
式中、Wtbrは、成分a-3)の作製に使用される分岐剤の重量であり、Wtpeは、成分a-3)の作製に使用されるポリエーテルの重量であり、Wtceは、成分a-3)の作製に使用される任意の鎖延長剤の重量であり、WtTDIは、成分a-3)の作製に使用されるTDIと成分a-4)の重量(存在する場合)との合計重量である。
【0028】
第2のイソシアネート官能性プレポリマーは、MDIをTDIに置換して、第1のイソシアネート官能性プレポリマーを作製するために上に記載したものと類似の方式で、便宜的に調製される。第2のイソシアネート末端プレポリマーはまた、好ましくは、ウレタン触媒、すなわち、イソシアネート基をヒドロキシル基と反応させてウレタンを形成するための触媒が実質的に存在しない状態で作製される。特に、第2のイソシアネート官能性プレポリマーを形成するための反応混合物は、好ましくは、1重量百万分率部以下の金属及び100重量百万分率部以下のアミン化合物を含有する。したがって、得られる第2のイソシアネート官能性プレポリマーは、同様に少量のそのような物質を含有する(仮に存在する場合)。前述のように、ポリエーテルは、好ましくは、アミン開始型ではなく、そうでなければウレタン触媒としての活性を示すアミン基を含有しない。
【0029】
プレポリマー形成反応の生成物は、存在する場合に未反応TDIがイソシアネート混合物の成分a-4)の全部又は一部を形成する、いくらかの量の未反応TDIを含有し得る。TDIは、所望であれば、第2のイソシアネート官能性プレポリマーと、及び/又はイソシアネート混合物の他の原料と別々に組み合わせられ得る。
【0030】
イソシアネート混合物中の第2のイソシアネート官能性プレポリマー及び任意の遊離TDIは一緒に、第2のイソシアネート官能性プレポリマー及び遊離TDIの合計重量に基づいて、5~15%のイソシアネート含有量を有する。イソシアネート含有量は、同じ基準で、少なくとも6%又は少なくとも7重量%であり得、例えば、最大12%又は最大10重量%であり得る。
【0031】
イソシアネート混合物中の第2のイソシアネート官能性プレポリマー及び任意の遊離TDIは一緒に、第2のイソシアネート官能性プレポリマー及び遊離TDIの合計重量に基づいて、30~70重量パーセントのオキシエチレン単位を含有する。オキシエチレン単位の含有量は、同じ基準で、少なくとも40重量パーセント又は少なくとも50重量パーセントであり得る。オキシエチレン単位のパーセンテージは、MDIの重量をTDIの重量に置き換えて、上に記載したものと類似の方式で計算される計算値である。
【0032】
イソシアネート混合物は、成分a~gの合計重量の40~65%を構成する。いくつかの実施形態におけるイソシアネート混合物は、成分a~gの合計重量の少なくとも45%、及びその最大62.5%、最大60%、又は最大55%を構成する。
【0033】
水(成分b))は、成分a~gの合計重量の15~41%を構成する。水は、その少なくとも17%、少なくとも19%、又は少なくとも20%を構成し得、その最大35%又は最大30%を構成し得る。
【0034】
ポリマーポリオール(成分c))は、液体ベースポリオール中のポリマー粒子の分散物であり、ベースポリオールは、連続相を形成する。ポリマー粒子の一部又はすべては、ベースポリオールにグラフトされ得る。ポリマーポリオールはまた、ポリマー粒子の一部又はすべてがグラフトされ得る1つ以上の安定剤を含み得る。
【0035】
ベースポリオールは、500~3000g/当量のヒドロキシル当量を有する1つ以上のポリエーテルである。ヒドロキシル当量は、少なくとも800、少なくとも1000、又は少なくとも1200であり得、例えば、最大2500、最大2000、又は最大1800g/当量であり得る。ベースポリオールは、少なくとも50重量%のオキシプロピレン単位を含有するプロピレンオキシドのポリマー又はコポリマーである。プロピレンオキシドのホモポリマー、並びに50~99重量%のプロピレンオキシドと1~50%のエチレンオキシドとのランダム及び/又はブロックコポリマーは、特に有用なベースポリオールである。
【0036】
ベースポリオールは、2~6、特に2~4、最も好ましくは2~3の公称官能価を有し得る。実際の官能価は、いくつかの事例では、公称官能価よりもいくらか低い場合がある。
【0037】
特に好ましい種類のベースポリオールは、二官能性又は三官能性開始剤上で、プロピレンオキシドを単独重合するか、又は75~99.9重量パーセントのプロピレンオキシドと、それに対応して0.1~25重量パーセントのエチレンオキシドとをランダムに共重合し、任意選択的に、得られるポリエーテルを最大30重量%(総生成物重量に基づく)のエチレンオキシドでキャッピングして、主に一級ヒドロキシル基を有するベースポリオールを形成することにより作製される。
【0038】
分散ポリマー粒子は、例えば、ポリマーポリオールの総重量の少なくとも1、少なくとも5、又は少なくとも10パーセントを構成し得、例えば、その総重量の最大60パーセント、最大50%、最大40%、最大30%、又は最大20%を構成し得る。
【0039】
いくつかの実施形態における分散ポリマー粒子は、100nm~25μm、より典型的には250nm~10μmの粒子サイズを有する。好ましくは、分散ポリマー粒子の少なくとも90体積%は、これらの範囲内のサイズを有する。粒子サイズは、同等の体積を有する球の直径として採用される。粒子サイズの測定は、Beckman-Coulter LX13320レーザー回折粒子サイズ分析器などの機器を使用して、レーザー回折法により得ることができる。
【0040】
分散ポリマー粒子は、例えば、ポリ尿素、ポリウレタン、及び/若しくはポリヒドラジド、並びに/又は1つ以上のビニルモノマーのポリマーであり得る。有用なビニルモノマーには、例えば、様々なポリオレフィン(エチレンのポリマー及びコポリマーなど)、様々なポリエステル、様々なポリアミド、様々なポリカーボネート、アクリル酸及び/又はメタクリル酸エステルの様々なポリマー及びコポリマー、スチレンのホモポリマー又はコポリマー、アクリロニトリルのホモポリマー又はコポリマーなどが含まれる。いくつかの実施形態では、分散粒子は、スチレン-アクリロニトリルコポリマー粒子である。
【0041】
分散ポリマー粒子の少なくとも一部分は、好ましくは、安定剤及び/又は連続相を形成するベースポリオール分子の少なくとも一部分にグラフトされる。
【0042】
ポリ尿素粒子の分散物は、ベースポリオールの存在下で、一級又は二級アミンをポリイソシアネートと反応させることによって調製され得る。ポリ尿素分散物を生成するための方法は、例えば、国際公開第2012/154831号に記載されている。
【0043】
ポリウレタン粒子の分散物は、ベースポリオールの存在下で、低当量のポリオール又はアミノアルコールをポリイソシアネートと反応させることによって調製され得る。そのような分散物を生成するための方法は、例えば、米国特許第4,305,857号、国際公開第94/20558号、国際公開第2012/154820号に記載されている。
【0044】
重合ビニルモノマーの分散物は、ベースポリオール中でのそのようなモノマーのその場での重合によって調製され得る。そのような方法は、例えば、米国特許第4,513,124号、米国特許第4,588,830号、米国特許第4,640,935号、及び米国特許第5,854,386号に記載されている。代替的に、この種類の分散物は、前に形成されたビニルポリマーが溶融され、ベースポリオールに分散される溶融分散プロセスで形成され得る。この種類の方法は、米国特許第6,613,827号及び国際公開第2009/155427号に記載されている。
【0045】
ポリマーポリオールは、成分a~gの合計重量の少なくとも8パーセントを構成する。いくつかの実施形態では、ポリマーポリオールは、その少なくとも9パーセントを構成する。ポリマーポリオールは、成分a~eの合計重量の最大20%を構成し、その最大18%、最大15%、又は最大12%を構成し得る。
【0046】
分散ポリマー粒子は、成分a~gの合計重量の0.5~10%を構成する。分散ポリマー粒子は、その少なくとも1%、少なくとも2%、又は少なくとも4%、及びその最大8%を構成し得る。
【0047】
ポリマーポリオールは、好ましくは、5重量百万分率部以下又は1重量百万分率部以下の金属及び100百万分率部以下のアミン化合物を含有する。ベースポリオールは、好ましくは、アミン開始型ではなく、そうでなければウレタン触媒としての活性を示すアミン基を含有しない。
【0048】
ポリ(エチレンオキシド)(成分d))は、エチレンオキシドのホモポリマー、又はアルキレンオキシドの少なくとも80重量%がエチレンオキシドであり、かつ最大20重量%が1つ以上の他のアルキレンオキシドである、アルキレンオキシドのランダム及び/若しくはブロックコポリマーである。他のアルキレンオキシドは、存在する場合、1,2-プロピレンオキシドを含み得るか、又はそれであり得る。ポリ(エチレンオキシド)は、GPCにより400~1200g/モルの分子量を有し得る。ポリ(エチレンオキシド)は、好ましくは、1分子当たり少なくとも1個のヒドロキシル基を含有する。ポリ(エチレンオキシド)は、より好ましくは、名目上、1分子当たり少なくとも2つのヒドロキシル基、及び1分子当たり最大6個、最大4個、又は最大3個のヒドロキシル基を含有する。
【0049】
有用なシリコーン界面活性剤(成分e))は、自己分散性及び/又は水溶性である。有用なシリコーン界面活性剤には、少なくとも1つのポリシロキサンブロック及び少なくとも1つのポリエーテルブロックを有するブロックコポリマーが含まれる。そのようなブロックコポリマーは、例えば、AB又はBAB型のコポリマーであり得、Aは、ポリシロキサンブロックを表し、各Bは、ポリエーテルブロックを表す。そのようなブロックコポリマーは、複数のポリエーテルブロックがポリシロキサンブロックに依存するペンダントグラフト型構造であり得る。各ポリエーテルブロックは、好ましくは、エチレンオキシドのホモポリマー又はコポリマーである。エチレンオキシドのコポリマーは、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマーであり得る。
【0050】
シリコーン界面活性剤は、例えば、シリコーン界面活性剤の総重量に基づいて、20~80重量%のポリシロキサン、20~75重量%の重合エチレンオキシド、及び0~50重量%の重合プロピレンオキシドを含有し得る。より好ましいシリコーン界面活性剤は、20~80重量%のポリシロキサン、20~75重量%の重合エチレンオキシド、及び0~20重量%の重合プロピレンオキシドを含有する。さらにより好ましいシリコーン界面活性剤は、25~50重量%のポリシロキサン、50~75重量%の重合エチレンオキシド、及び0~10重量%の重合プロピレンオキシドを含有する。
【0051】
好適なシリコーン界面活性剤は、市販されており、例えば、Silwet(登録商標)の製品名でMomentive Performance Productsより販売されている水溶性界面活性剤が含まれる。これには、例えば、Silwet(登録商標)L-7002、L-7200、L-7230、L-7600、L-7604、L-7605、及びL7657界面活性剤が含まれる。
【0052】
シリコーン界面活性剤は、成分a~gの合計重量の0~3%を構成する。シリコーン界面活性剤は、その少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、又は少なくとも1%を構成し得、その最大2.5%又は2%を構成し得る。
【0053】
エチレンオキシドと高級アルキレンオキシドとのブロックコポリマー(成分f))は、1つ以上のオキシエチレンブロック及び重合高級アルキレンオキシドの1つ以上のブロックを含有する。高級アルキレンオキシドは、例えば、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、又はそれらの混合物であり得る。そのようなブロックコポリマーは、例えば、40~90重量%のオキシエチレン単位を含有し、1500~12,000g/モルの数平均分子量(ポリスチレン標準物に対するゲル浸透クロマトグラフィーによる)を有し得る。そのようなブロックコポリマーは、1~4個のヒドロキシル基又は2~4個のヒドロキシル基などの1つ以上のヒドロキシル基を有し得る。好適なブロックコポリマーの例としては、The Dow Chemical CompanyよりTergitol(商標)の商品名で販売されているもの、及びBASFよりPluronics(商標)の商品名で販売されているものが挙げられる。
【0054】
エチレンオキシドと高級アルキレンオキシドとのブロックコポリマーは、好ましくは、5重量百万分率部以下又は1重量百万分率部以下の金属及び100百万分率部以下のアミン化合物を含有する。それは、好ましくはアミン開始型ではない。
【0055】
エチレンオキシドと高級アルキレンオキシドとのブロックコポリマーは、成分a~gの合計重量の0~3%を構成し得る。それは、その少なくとも0.5%、少なくとも0.75%、又は少なくとも1%を構成し得、その最大2.5%又は最大2%を構成し得る。
【0056】
相変化材料(成分g))は、25~37℃の溶融温度又はガラス転移温度を有し、かつイソシアネート基又はイソシアネート反応性基を含有しない1つ以上の材料である。相変化材料は、例えば、ポリエチレンワックス、ミツロウ、ラノリン、カルナバワックス、カンデリラワックス、オーリクリーワックス、サトウキビワックス、ホホバワックス、エピクチクラワックス、ココナツワックス、石油ワックス、又はパラフィンワックスなどの天然又は合成ワックスのうちのいずれか1つ以上であり得るか、又はそれを含有し得る。相変化材料は、好ましくは、25~32℃、特に28~32℃の溶融温度を有する。
【0057】
相変化材料は、好ましくはカプセル化されておらず、すなわち、相変化材料と残りの反応混合物の原料との間に物理的バリアを形成するフィルム又は他の容器内に含有されない。
【0058】
相変化材料は、存在する場合、成分a~gの合計重量の最大15%を構成する。いくつかの実施形態では、相変化材料は、その少なくとも1%、少なくとも2%、又は少なくとも2.5%構成し、いくつかの実施形態では、相変化材料は、その最大12.5又は最大10%を構成する。
【0059】
反応混合物は、上述の成分a~gに加えて、1つ以上の任意選択の原料を含有し得る。そのような任意選択の原料は、存在する場合、一緒に、反応混合物の重量の5%以下を構成する。
【0060】
好適な任意選択の原料には、準プレポリマーの調製に関連して前に記載したとおりの1つ以上の分岐剤及び/又は鎖延長剤があるが、これらは省略され得る。
【0061】
反応混合物はまた、着色剤、抗酸化剤、防腐剤、殺生物剤、香料、増粘剤(キサンタンガム、様々な水溶性セルロースエーテル又はポリアクリルアミドなど)、混合助剤、湿潤剤(充填剤が存在する場合)などの様々な原料を含有し得る。存在する場合、これらは、好ましくは、反応混合物の総重量の最大10%又は最大5%を構成する。
【0062】
ポリウレタン発泡体を作製するための反応混合物は、好ましくは、本質的に、硬化触媒、すなわち水及び/又はアルコール基に対するイソシアネート基の反応のための触媒を欠いている。特に、反応混合物は、好ましくは、5重量百万分率部以下、好ましくは、1重量百万分率部以下の金属及び100重量百万分率部以下のアミン化合物を含有する。
【0063】
反応混合物は、成分a~gに加えて、充填剤及び強化材などの1つ以上の固体成分を含有し得る。充填剤の例としては、粘土、珪藻土、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、粉砕ポリマー粒子、木粉、コルク粉、ガラス又は他のセラミック粒子、及び所望であれば、織り、編み、又は絡み合わせられ得る様々な種類の天然及び合成繊維が挙げられる。そのような固体成分は、反応混合物の総重量の最大75パーセントを構成し得る。
【0064】
ポリウレタン発泡体は、原料を組み合わせて反応混合物を形成し、得られた反応混合物を、イソシアネート官能性準プレポリマーと成分b~gのうちの1つ以上が反応して軟質ポリウレタン発泡体を形成する条件に供することによって作製される。
【0065】
原料a~gは、任意の順序で組み合わせられ得るが、残りの原料が添加され得る前に時期尚早の反応を避けるために、ポリイソシアネート混合物を最後に、又は他の原料と同時に添加することが好ましい。したがって、例えば、成分b~gは、最初に組み合わせてから、ポリイソシアネート混合物を添加し得る。代替的に、成分a~gは、すべて一度に組み合わせられ得る。ポリイソシアネート混合物が添加されるときに組み合わされる様々な部分組み合わせに、成分b~eを形成することも可能である。イソシアネート反応性又は水溶性である任意選択の原料が、水と一緒に、又は別々に添加され得る。
【0066】
硬化は、水をポリイソシアネート混合物と混合すると自然に発生するため、幅広い条件が反応の実行に好適である。硬化温度は、0℃まで低い、又は例えば、100℃まで高くてもよい。室温に近い温度又はわずかに高い温度が完全に好適であり、一般に好ましい。したがって、硬化温度は、少なくとも15℃又は少なくとも20℃及び最大50℃、最大40℃、又は最大35℃であり得る。硬化反応は、二酸化炭素ガスを生成し、それがセルを形成し、硬化が行われるときに反応混合物を膨張させる。
【0067】
硬化工程は、上昇する発泡体が大気の重量及び/又は薄膜の重量に対して膨張する開放型容器内で実行され得る。そのようなフリーライズプロセスは、反応混合物を、それが上昇して硬化するトラフに分配することにより実行され得る。
【0068】
硬化工程は、代わりに、密閉金型などの密閉容器内で実行されてもよく、そこで、膨張が空洞の内部寸法によって抑制されて、金型の空洞の大きさ及び形状に対応する大きさ及び形状を有する発泡体を生成する。
【0069】
反応混合物中の水の量は、イソシアネート混合物のイソシアネート基の量をはるかに超える。このため、硬化した発泡体は、少なくとも部分的に発泡体のセルに含有される液体の形であり得る有意な量の水分を含有することが多い。この過剰な水の一部又は全部を除去するために、乾燥工程が実行され得る。
【0070】
そのような乾燥工程は、例えば、乾燥ガスを発泡体に通すことにより、発泡体を乾燥雰囲気下に置くことにより、及び/又は発泡体を、例えば50~150℃の温度に加熱することにより実行され得る。乾燥は、任意の望ましい含水量が達成されるまで実行され得る。いくつかの実施形態では、一定の発泡体重量が達成され、発泡体からすべての残留水が除去されたことを示すまで乾燥が実行される。
【0071】
本発明の発泡体は、ASTM D3574に従って測定される場合、例えば40~144kg/mの乾燥後発泡体密度を有し得る。本発明の有意な利点は、80kg/m以下の発泡体密度が容易に得られることである。いくつかの実施形態では、発泡体密度は、48~80kg/mである。
【0072】
乾燥すると、本発明の発泡体は、低い発泡体密度に加えて、低い圧縮永久歪みを示す。圧縮永久歪みは、5×5×2.54cmのスキンレス試験片上でASTM D-3774:Dに従って測定される。試験片の厚さは、マイクロメータで測定する。次に、試験片を鋼板の間に挟み、その元の厚さの90%に圧縮し、70℃で22時間、圧縮下で熟成させる。次に、試験片を試験装置から取り出し、室温で30分間回復させてから、その厚さを再測定する。圧縮永久歪みは、[100%×(元の厚さ-最終的な厚さ)]÷元の厚さとして計算される。圧縮永久歪みは、典型的には、10%未満である。好ましい実施形態における圧縮永久歪みは、8%以下、6%以下、又はさらに5%以下であり得る。
【0073】
相変化材料(成分g))を含有する本発明の発泡体は、上に記載したように一定重量に乾燥させたとき、示差走査熱量測定によって測定される場合、少なくとも2.5J/gの27℃での潜熱を示し得る。その潜熱は、その温度で、少なくとも4J/g、少なくとも8J/g、少なくとも10J/g、又は少なくとも14J/gであり得る。いくつかの実施形態では、潜熱は、その温度で25J/g又は30J/gであるか、又はそれ以上であり得る。
【0074】
本発明の発泡体は、ASTM D3574試験Gに従って測定される場合に少なくとも0.8L/秒の気流を示し得る。気流は、少なくとも1.2L/秒又は少なくとも1.4L/秒であり得、例えば、最大5L/秒又は最大4L/秒であり得る。
【0075】
いくつかの実施形態における発泡体は、5秒以下、好ましくは4秒以下の吸湿時間を示す。吸湿時間は、一定の重量に乾燥させた5×5×2.54cmのスキンレス試料上で測定する。3mLの室温水をピペットから発泡体試料の上面にゆっくりと滴下し、発泡体が水を吸収するのに必要な時間量を吸湿時間として記録する。
【0076】
本発明の発泡体は、寝具、シート、及び他の「快適性」用途に有用である。快適性用途には、使用中に発泡体が、人間の使用者の体の体熱又はそれから蒸発する水蒸気にさらされる用途が含まれる。そのような用途における発泡体又は発泡体を含む物品は、多くの場合、人間の使用者の体重の少なくとも一部分を支え、使用中に圧縮される。そのような快適性用途の例としては、枕、マットレストッパー、マットレス、掛け布団、家具、及び/又は自動車のシート;キルト;断熱衣類などが挙げられる。目的の別の用途は、義肢用のパッドである。
【0077】
以下の実施例は、本発明を例示するために提示されるが、その範囲を限定することを意図するものではない。すべての部及びパーセンテージは、別途指示がない限り重量による。
【0078】
ポリイソシアネート1は、最初に1000g/モルの平均分子量のポリ(エチレンオキシド)ホモポリマー57.9部と、トリメチロールプロパン3.8部との混合物を80℃に予熱することによって作製される。別に、2,4-及び2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)の80/20混合物33.8部を40℃に加熱する。0.004部のベンゾイルクロライドをTDIに添加する。ポリオール混合物をTDIに添加し、8%の一定のイソシアネート含有量が達成されるまで、得られた反応混合物を74℃に加熱する。追加の4.4部のTDIをその中に混合する。得られた生成物を60℃未満に冷却する。イソシアネート含有量は、ASTM D5155に従って9.45~10.3重量%と測定される。粘度は、ASTM D4065に従って25℃で18,000~21,000mPa-sと測定される。ポリイソシアネート1は、約95.6重量パーセントのTDI及びポリオールのプレポリマーと、約3.8重量パーセントの分岐剤(トリメチロールプロパン)の残基と、約4.4重量パーセントの遊離TDIと、を含有する。ポリイソシアネート1は、計算によって57.9%のオキシエチレン単位を含有する。
【0079】
ポリイソシアネート2は、最初に1000g/モルの平均分子量のポリ(エチレンオキシド)ホモポリマー32部と、75%のオキシエチレン単位を含有するプロピレンオキシド及びエチレンオキシドの5000g/モルの数平均分子量の公称三官能性ランダムコポリマー13部との混合物を80℃に予熱することによって作製される。別に、4,4’-及び2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の79/21混合物35部を55℃に加熱する。0.003部のベンゾイルクロライドをMDIに添加する。ポリオール混合物及びMDIを組み合わせ、一定のイソシアネート含有量が達成されるまで、得られた反応混合物を75℃に加熱する。得られた生成物を60℃未満に冷却する。イソシアネート含有量は、ASTM D5155に従って7重量%と測定される。ポリイソシアネート2は、MDI及びポリオールのプレポリマーと、少量の遊離MDIとを含有する。ポリイソシアネート2は、計算によって61.75%のオキシエチレン単位を含有する。ポリイソシアネート2の粘度は、25℃で約20,000cpsである。
【0080】
ポリイソシアネート3は、最初に1000の平均分子量のポリ(エチレンオキシド)ホモポリマー71.1部と、トリメチロールプロパン1.1部との混合物を80℃に予熱することによって作製される。別に、2,4-及び2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)の80/20混合物27.8部を40℃に加熱する。0.007部のベンゾイルクロライドをTDIに添加する。ポリオール混合物をTDIに添加し、6.25%の一定のイソシアネート含有量が達成されるまで、得られた反応混合物を74℃に加熱する。得られた生成物を60℃未満に冷却する。ポリイソシアネート3は、TDI及びポリオールのプレポリマーを含有する。少量の遊離TDIが存在し得る。ポリイソシアネート3は、66.2%のオキシエチレン単位及び約1.1重量パーセントの分岐剤の残基を含有する。
【0081】
ポリイソシアネート4は、最初に1000の平均分子量のポリ(エチレンオキシド)ホモポリマー66.2部と、トリメチロールプロパン2.4部との混合物を80℃に予熱することによって作製される。別に、2,4-及び2,6-トルエンジイソシアネート(TDI)の80/20混合物30.4部を40℃に加熱する。0.05部のベンゾ-4,4-チオビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール)をTDIに添加する。ポリオール混合物をTDIに添加し、一定のイソシアネート含有量が達成されるまで、得られた反応混合物を74℃に加熱する。1部のジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネートをその中に混合する。得られた生成物を60℃未満に冷却する。イソシアネート含有量は、ASTM D5155に従って6.8重量%と測定される。ポリイソシアネート3は、TDI及びポリオールのプレポリマーを含有し、少量の遊離TDI及び/又は少量の遊離ジシクロヘキシルメタン-4-4’-ジイソシアネートを含有し得る。ポリイソシアネート4は、約66.2重量%のオキシエチレン単位及び約2.4%の分岐剤からの残基を含有する。
【0082】
ポリイソシアネート5は、最初に1000当量の公称二官能性プロピレンオキシドホモポリマーを80℃に予熱することによって作製される。別に、4,4’-及び2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の69/31混合物35部を55℃に加熱する。0.003部のベンゾイルクロライドをMDIに添加する。ポリオール混合物及びMDIを組み合わせ、7%の一定のイソシアネート含有量が達成されるまで、得られた反応混合物を75℃に加熱する。得られた生成物を60℃未満に冷却する。ポリイソシアネート5は、MDI及びポリオールのプレポリマーと、遊離MDIとを含有する。ポリイソシアネート5は、オキシエチレン単位を含有しない。
【0083】
界面活性剤Aは、Silwet(登録商標)の商品名でMomentive Performance Materialsによって販売されているオルガノシリコーン界面活性剤である。
【0084】
界面活性剤Bは、エチレンオキシド/プロピレンオキシド/エチレンオキシドトリブロックコポリマーである。コポリマーの中央ポリ(プロピレンオキシド)ブロックは、1750の分子量を有する。外側ポリ(エチレンオキシド)ブロックは、コポリマーの総重量の80%を構成する。コポリマーは、2の公称ヒドロキシル官能価を有する。
【0085】
PCM(相変化材料)は、28℃の溶融温度を有する非カプセル化パラフィンワックスである。
【0086】
CPPは、約22のヒドロキシル価を有するポリマーポリオールである。ベースポリオールは、プロピレンオキシド及びエチレンオキシドの公称三官能性の36.5のヒドロキシル価コポリマーであり、ベースポリオールのオキシエチレン含有量は、約20重量%である。分散相は、スチレン-アクリロニトリル粒子である。固形分(スチレン-アクリロニトリル粒子の重量)は、約40重量%である。
【0087】
ポリ(EO)は、270mgKOH/gのヒドロキシル価及び624g/モルの数平均分子量を有する、グリセリン開始型公称三官能性エチレンオキシドホモポリマーである。
【0088】
ポリウレタン発泡体は、以下の表1~4に示される原料を使用して作製される。各々の場合におけるポリイソシアネートを、高速実験室ミキサーで残りの原料と室温で20秒間組み合わせる。得られた反応混合物を、ポリエチレンシートで裏打ちされた開放金型に注ぐ。発泡体は、金型内で上昇して硬化する。寸法的に安定である場合、発泡体を脱型し、周囲条件下で少なくとも24時間硬化させる。特性試験のための試料を採取する前に、スキンを発泡体から除去する。
【0089】
吸湿時間は、一定の重量に乾燥させた5×5×2.54cmのスキンレス試料で測定する。3mLの室温水を、ピペットから発泡体試料の上面にゆっくりと滴下し、量
【0090】
発泡体密度をASTM D3574Aに従って測定する。
【0091】
圧縮永久歪みを、3つの2インチ×2インチ×1インチ(5.08cm×5.08cm×2.54cm)のコア試験片を使用して決定する。試料を、厚さについてライトマチックマイクロメータで測定し、0.1インチ(2.54mm)のスペーサで鋼プレート間に入れて、90%の偏向を測定する。発泡体を70℃のオーブンで22時間熟成させる。22時間後、試験片を取り出し、最終測定をASTM D3574:Dに従って行う前に30分間回復させる。
【0092】
気流を、ASTM D3574:Gに従って、破砕された発泡体試料上で測定する。
【0093】
潜熱を、示差走査熱量測定によって測定する。
【0094】
K因子を、75°F及び40°Fの試験温度差の平均試験温度で、レーザー比較熱流量計を使用して測定する。
【0095】
比較試料A~E
比較試料A~Eは、表1に記載されるレシピから作製される。これらの試料の発泡体試験の結果は、表1に示されるとおりである。
【0096】
【表1】
本発明の実施例ではない。
【0097】
これらの発泡体は、相変化材料を含まずに作製され、配合物を簡素化し、かつ様々なポリイソシアネート組成物の効果を単離する。各々の場合におけるゼロの27℃での潜熱は、相変化材料の不在を反映する。表1のデータが示すように、発泡体特性は、予測不可能な形で、ポリイソシアネートの選択に非常に依存する。
【0098】
ポリイソシアネート2(比較A)は、それ自体で、非常に高い圧縮永久歪みを有する発泡体をもたらす。ポリイソシアネート1と2とを30/70比率で一緒に使用する場合(比較B)、圧縮永久歪みが改善するが、31.2%の圧縮永久歪みは、この発泡体が寝具用途に有用であるためには、はるかに高過ぎる。
【0099】
ポリイソシアネート2と、ポリイソシアネート3(比較C)又はポリイソシアネート4(比較D)のいずれかとの50/50ブレンドは、高い圧縮永久歪みをもたらし、比較Dの気流も減少する。ポリイソシアネート1とポリイソシアネート5との50/50ブレンド(比較E)は、非常に低い圧縮永久歪みをもたらす。まとめると、これらの結果は、ポリイソシアネートの変化に起因した発泡特性における大きな変動性を実証し、いずれのポリイソシアネートも低い圧縮永久歪みの達成に有用ではない。
【0100】
実施例1~3
比較試料1~3は、表2に記載されるレシピから作製される。これらの試料の発泡体試験の結果は、表2に示されるとおりである。
【0101】
【表2】
【0102】
これらの結果は、ポリイソシアネート1と2との50/50混合物を、3つの異なる界面活性剤パッケージと一緒に使用する効果を示す。実施例1は、比較試料C(表1)との直接比較であり、違いは、比較試料C(プレポリマー3、1.1重量%の分岐剤)のTDIプレポリマーと比較して、実施例1(プレポリマー1、3.8重量%の分岐剤)のTDIプレポリマー中のより高いレベルの分岐である。より高度に分岐したプレポリマー1は、圧縮永久歪みの劇的な低減をもたらす(9.7%対比較試料Cの84.6%)。
【0103】
比較試料Bと比較した実施例1は、成分a-1)+a-2)対成分a-3)+a-4)の比率の効果を実証する。成分a-3)+a-4)が多過ぎると、圧縮永久歪みの大きな増加がもたらされる(比較試料Bの31.2対実施例1の9.7%のみ。
【0104】
実施例2及び3は、界面活性剤A及びBのうちの1つのみを使用する効果を示し、実施例1~3のすべてで非常に低い圧縮永久歪みが得られるが、実施例2及び3のように、界面活性剤のうちの1つのみが存在する場合、気流ははるかに低い。27℃での潜熱は、相変化材料の欠如に起因してゼロである。
【0105】
比較試料F及びG
比較試料F及びGは、表3に記載されるレシピから作製される。これらの試料の発泡体試験の結果は、表3に示されるとおりである。
【0106】
【表3】
本発明の実施例ではない。
【0107】
比較実施例F及びGは、実施例1(表2)と比較して、ポリイソシアネート1と2との50/50ブレンドと合わせたポリマーポリオールの量の増加(比較F)又は減少(比較G)の効果を例示する。圧縮永久歪みは、比較試料Fについていくらか増加する。この中程度の増加レベルであっても、圧縮永久歪みは、寝具用途に望まれるよりも高い。圧縮永久歪みは、比較試料Gにおいて非常に高くなる。この場合も、潜熱は、相変化材料の欠如に起因して、すべての場合においてゼロである。
【0108】
実施例4~8
実施例4~8は、表4に記載されるレシピから作製される。これらの試料の発泡体試験の結果は、表4に示されるとおりである。
【0109】
【表4】
本発明の実施例ではない。
【0110】
実施例4~8のすべては、非常に低い圧縮永久歪みを示す。
【0111】
実施例4における相変化材料の存在は、実施例1と比較して示されるように、3つの効果を有する。圧縮永久歪みは、実施例1よりもさらに低くなり、27℃で正の潜熱が見られる。いくらかの気流の損失が見られる。
【0112】
実施例5は、相変化材料が存在しない状態で、反応混合物中に成分f)を含む効果を示す。実施例1と比較すると、圧縮永久歪みは有意により低く、より高い気流が得られる。27℃での潜熱は、相変化材料の欠如に起因してゼロである。
【0113】
実施例6~8は、成分f)及び相変化材料の両方を含む効果を示す。相変化材料を有するが成分f)を含まない実施例4に対して、圧縮永久歪みは非常に低く、気流は改善される。これは、非常に高いレベルの相変化材料であっても見られる(実施例7)。実施例6及び8の気流は、相変化材料の存在にかかわらず、実施例1の気流に匹敵するか、又はそれよりも高い。

【国際調査報告】