(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】水分散性ポリイソシアネートを含む色安定硬化剤組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 18/08 20060101AFI20230323BHJP
C08G 18/28 20060101ALI20230323BHJP
C08G 18/75 20060101ALI20230323BHJP
C08G 18/73 20060101ALI20230323BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20230323BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20230323BHJP
C08K 5/521 20060101ALI20230323BHJP
C08K 5/136 20060101ALI20230323BHJP
C09D 175/04 20060101ALI20230323BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20230323BHJP
【FI】
C08G18/08 038
C08G18/28 015
C08G18/75 010
C08G18/73
C08G18/00 C
C08L75/04
C08K5/521
C08K5/136
C09D175/04
C09D7/63
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546535
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(85)【翻訳文提出日】2022-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2021051339
(87)【国際公開番号】W WO2021151774
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】フレーデリク・ルーカス
(72)【発明者】
【氏名】セバスティアン・ローラー
【テーマコード(参考)】
4J002
4J034
4J038
【Fターム(参考)】
4J002CK021
4J002EJ007
4J002EW046
4J002FD036
4J002FD037
4J002GH01
4J034CA02
4J034CC08
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC03
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC71
4J034HC73
4J034MA12
4J034MA16
4J034QB17
4J034QC05
4J034RA07
4J038DG261
4J038JA19
4J038KA02
4J038MA10
4J038NA23
4J038NA25
(57)【要約】
(A)(c)少なくとも1種のジイソシアネート又はポリイソシアネート、(d)次の式(I)及び(II):[式中、R1及びR2は互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、又はアリールであり、上述の基の各々は、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子、及び/又は複素環によって置換されていてもよい]をベースとする化合物の混合物を含む、少なくとも1種の界面活性剤であって、上記式(I)及び(II)の化合物の混合物が、化合物(II)、すなわちモノエステル型化合物と化合物(I)、すなわちジエステル型化合物の間のモル比が5:95~95:5であることを特徴とする、少なくとも1種の界面活性剤、並びに(c)少なくとも1種の一官能性ポリアルキレングリコールを反応させることによって得ることができる、少なくとも1種のポリイソシアネートと、- (B)少なくとも1種の立体障害型フェノールとを含む、ポリイソシアネート組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- (A)
(a)少なくとも1種のジイソシアネート又はポリイソシアネート、
(b)次の式(I)及び(II):
【化1】
[式中、
R
1及びR
2は互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、又はアリールであり、上述の基の各々は、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子、及び/又は複素環によって置換されていてもよい]
をベースとする化合物の混合物を含む、少なくとも1種の界面活性剤であって、
前記式(I)及び(II)の化合物の混合物が、化合物(II)、すなわちモノエステル型化合物と化合物(I)、すなわちジエステル型化合物の間のモル比が5:95~95:5であることを特徴とする、少なくとも1種の界面活性剤、
並びに
(c)少なくとも1種の一官能性ポリアルキレングリコール
を反応させることによって得ることができる、少なくとも1種のポリイソシアネートと、
- (B)少なくとも1種の立体障害型フェノールと
を含む、ポリイソシアネート組成物。
【請求項2】
成分(a)が、脂肪族(脂環式)イソシアネートから合成されるポリイソシアネートである、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項3】
成分(a)が、イソホロンジイソシアネート及び/又は1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする、アロファネート及び/又はイソシアヌレート基を含有するポリイソシアネートである、請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項4】
成分(b)において、R
1及びR
2が互いに独立して、非置換アルキル又は非置換アリールでありうる、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項5】
R
1及びR
2が互いに独立して、フェニル、メチル、エチル、n-ブチル、及び2-エチルヘキシルからなる群から選択される、請求項4に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項6】
化合物(b)が、モノメチルホスフェート、ジメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、ジエチルホスフェート、モノn-ブチルホスフェート、ジn-ブチルホスフェート、モノ2-エチルヘキシルホスフェート、ジ2-エチルヘキシルホスフェート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項7】
化合物(c)が、式
R
4-O-[-X
i-]
k-H
[式中、
R
4は、C
1~C
20アルキル、1個若しくは複数の酸素及び/若しくは硫黄原子によって、並びに/又は1つ若しくは複数の置換若しくは非置換イミノ基によって割り込まれていない、又は割り込まれているC
2~C
20アルキルであり、或いはC
6~C
12アリール、C
5~C
12シクロアルキル、又は酸素、窒素及び/若しくは硫黄原子を含有する5員若しくは6員の複素環であり、上述の基の各々は、官能基、すなわち、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又は複素環によって置換されていてもよく、
kは、5~40の整数であり、
i=1~kである各X
iは独立して、-CH
2-CH
2-O-、-CH
2-CH(CH
3)-O-、-CH(CH
3)-CH
2-O-、-CH
2-C(CH
3)
2-O-、-C(CH
3)
2-CH
2-O-、-CH
2-CHVin-O-、-CHVin-CH
2-O-、-CH
2-CHPh-O-、及び-CHPh-CH
2-O-からなる群から選択することができ、
ここで、Phはフェニルであり、Vinはビニルである]
を満たす、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項8】
次のポリイソシアネート(A)の構成:合成成分(a)におけるイソシアネート基に対して、
(b)0.5~30質量%の式(I)及び/又は(II)の化合物、並びに
(c)(c)におけるイソシアネート反応性基に対して、少なくとも0.3質量%~最大25質量%
を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項9】
化合物(b)におけるホスフェート基が、少なくとも部分的に中和されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項10】
ホスフェート基が、第三級アミン(A1)によって少なくとも部分的に中和されている、請求項9に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項11】
化合物(B)が、2,6-ビス-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)、3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステル、ペンタエリストールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、3,3',3”,5,5',5”-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、イソオクチル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、及びオクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートからなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項12】
ポリイソシアネート(A)に加えて、少なくとも1種の立体障害型フェノール(B)を含むポリイソシアネート組成物を、安定化する方法。
【請求項13】
ポリウレタンコーティング材料を調製するための方法であって、請求項1から11のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物を、イソシアネート反応性基を含む少なくとも1種のバインダと反応させる工程を含む、方法。
【請求項14】
ポリウレタンコーティング材料を調製するための方法であって、請求項1から11のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物を、ポリアクリレート-ポリオール分散体、ポリエステル-ポリオール分散体、ポリエーテル-ポリオール分散体、ポリウレタン-ポリオール分散体、ポリカーボネート-ポリオール分散体、及びこれらのハイブリッドからなる群から選択される少なくとも1種のバインダと反応させる工程を含む、方法。
【請求項15】
再仕上げ、自動車再仕上げ、大型の乗り物用コーティング、及び木質コーティングの区分における、プライマー、サーフェーサー、着色トップコート、ベースコート、及びクリアコート材料における、コーティング組成物中の硬化剤としての、並びにまたコーティング材料、接着剤、及びシーラントにおける硬化剤としての、請求項1から11のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物の使用。
【請求項16】
(a)少なくとも1種のジイソシアネート又はポリイソシアネート、
(b)アミンと、次の式(I)及び(II):
【化2】
[式中、
R
1及びR
2は互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、又はアリールであり、上述の基の各々は、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子、及び/又は複素環によって置換されていてもよい]
をベースとする化合物の混合物とを含む、少なくとも1種の界面活性剤であって、
前記式(I)及び(II)の化合物の混合物が、化合物(II)、すなわちモノエステル型化合物と化合物(I)、すなわちジエステル型化合物の間のモル比が5:95~95:5であることを特徴とする、少なくとも1種の界面活性剤
を反応させることによって得ることができる、少なくとも1種のポリイソシアネート(A)を含む混合物の色数を低減するための、少なくとも1種の立体障害型フェノール(B)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪族(脂環式)ジイソシアネートの水分散性ポリイソシアネートの新規な色ズレ安定組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6376584(B1)号には、ジブチルスズジラウレートの存在下で、ポリイソシアネートをポリオールと反応させるポリウレタン組成物において使用される、様々な安定剤が記載されている。
【0003】
米国特許第7122588(B2)号には、より長い寿命を目的とし、変色に対抗するために、次亜リン酸のエステルによって安定化されている、ポリウレタンコーティング材料を含むコーティング材料が記載されている。
【0004】
その中で記載されている安定化はなおも十分ではなく、そのため、改善された安定性は引き続き必要とされている。
【0005】
DE19630903には、様々なリン化合物及びフェノール類を用いたイソシアネートの安定化が記載されている。
【0006】
WO2005/089085には、イソシアネート基と、それと反応性の基との間の反応のための触媒に加えて、ヒンダードフェノール及び第二級アリールアミン、並びにまた有機リン酸エステル、より特定的には亜リン酸トリアルキルから選択される安定剤混合物を含む、2K(2成分)ポリウレタンコーティング材料のための硬化剤としてのポリイソシアネート組成物が記載されている。実施例において、あるポリイソシアネート組成物、すなわち、1:1:0.5の酢酸ブチル/メチルアミルケトン/キシレン中、触媒としてのジブチルスズジラウレートを含む、イソシアヌレートであるTolonate HDTが、明示的に開示されている。
【0007】
しかしながら、亜リン酸エステル、特に亜リン酸トリアルキル、より特定的には亜リン酸トリブチルの欠点は、これらが非常に不快な悪臭を有することである。毒物学的分類の観点からは、亜リン酸トリブチルは、皮膚に接触すると健康に有害であり、腐食性である。亜リン酸トリフェニルは、眼及び皮膚への刺激物であり、水生生物には非常に毒性が高い。更に、亜リン酸エステルは、水分に高感度である。その結果、これらの化合物は、少なくともポリイソシアネート組成物に組み込む前及び組込み中には、健康、職業衛生、及び方法の見地から問題となっている。芳香族亜リン酸エステルの抗酸化作用が脂肪族の対応物の抗酸化作用よりも低い一方で、脂肪族亜リン酸エステルの利用性はより乏しい。
【0008】
特許明細書WO2008/116893、WO2008/116894、及びWO2008/116895に記載されている製品混合物は、必須のものとして、ポリイソシアネート、ルイス酸、一次抗酸化剤(立体障害型フェノール)、及び二次抗酸化剤:チオ化合物(WO2008/116893)、ホスホニット(WO2008/116895)、又はホスホン酸エステル(WO2008/116894)を含む。加えて、これらは任意選択で、ブレンステッド酸である酸性安定剤を含んでもよい。企図されるものとしては、有機カルボン酸、カルボニル塩化物、無機酸、例えばリン酸、亜リン酸、塩酸等、並びにジエステルが挙げられ、例は、リン酸及び/若しくは亜リン酸のアルキルジエステル及び/若しくはアリールジエステル、又は無機酸塩化物、例えばオキシ塩化リン若しくは塩化チオニル等である。酸性安定剤としての好ましい使用が見出されているものは、1~8個のC原子を有する脂肪族モノカルボン酸、例えばギ酸及び酢酸等、並びに2~6個のC原子を有する脂肪族ジカルボン酸、例えばシュウ酸、より特定的には、例えば2-エチルヘキサン酸、クロロプロピオン酸及び/又はメトキシ酢酸である。リン酸のアルキル及び/又はアリールジエステルは、好ましいとは言われない。スルホン酸誘導体は、述べられていない。
【0009】
本出願において指定するこれらのブレンステッド酸は、より特定的には、バルクにおける、すなわち無溶媒でのポリイソシアネートの粘度上昇又は更にはゲル化を防止するために使用される。したがって、WO2008/068197には、これに対応するメトキシ酢酸の使用が記載されており、EP643042には、同様に対応する使用が記載されている。立体障害型フェノールとの相乗作用において、貯蔵時の着色の低減のための使用は、記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第6376584(B1)号
【特許文献2】米国特許第7122588(B2)号
【特許文献3】DE19630903
【特許文献4】WO2005/089085
【特許文献5】WO2008/116893
【特許文献6】WO2008/116894
【特許文献7】WO2008/116895
【特許文献8】WO2008/068197
【特許文献9】EP643042
【特許文献10】EP-A-0126299
【特許文献11】米国特許第4596678号
【特許文献12】EP-A-126300
【特許文献13】米国特許第4596679号
【特許文献14】EP-A-355443
【特許文献15】米国特許第5087739号
【特許文献16】DE-A1 10013186
【特許文献17】DE-A1 10013187
【特許文献18】米国特許第3,278,457号
【特許文献19】米国特許第5,783,513号
【特許文献20】WO2008/116764
【特許文献21】WO2004/076519
【特許文献22】WO2004/076520
【特許文献23】EP358979
【特許文献24】米国特許第5075370号
【特許文献25】EP557844
【特許文献26】米国特許第6376602号
【特許文献27】EP1141066
【特許文献28】米国特許第6528573号
【特許文献29】EP496210
【特許文献30】米国特許第5304400号
【特許文献31】EP537568
【特許文献32】米国特許第5344873号
【特許文献33】EP610450
【特許文献34】米国特許第6319981号
【特許文献35】EP751197
【特許文献36】米国特許第5741849号
【特許文献37】EP469389
【特許文献38】米国特許第559805号
【特許文献39】EP758007
【特許文献40】EP424705
【特許文献41】米国特許第417998号
【特許文献42】EP496205
【特許文献43】米国特許第5387642号
【特許文献44】EP542085
【特許文献45】米国特許第5308912号
【特許文献46】EP542105
【特許文献47】米国特許第5331039号
【特許文献48】EP543228
【特許文献49】米国特許第5336711号
【特許文献50】EP578940
【特許文献51】米国特許第5349041号
【特許文献52】米国特許第5750613号
【特許文献53】EP1141065
【特許文献54】米国特許第6590028号
【特許文献55】EP678536
【特許文献56】米国特許第5654391号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】D.A. Wicks、Z.W. Wicks、Progress in Organic Coatings、36、148~172 (1999)
【非特許文献2】D.A. Wicks、Z.W. Wicks、Progress in Organic Coatings、41、1~83 (2001)
【非特許文献3】D.A. Wicks、Z.W. Wicks、Progress in Organic Coatings、43、131~140 (2001)
【非特許文献4】Blankら、Progress in Organic Coatings、1999、35巻、19~29頁
【非特許文献5】CD Rompp Chemie Lexikon - Version 1.0、Stuttgart/New York: Georg Thieme Verlag 1995
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
その安定剤によって、臭気、毒物学、及び/又は水分への感度の観点から問題のない職業衛生及び健康が可能となり、その安定化作用は、従来技術の安定化作用に少なくとも匹敵する、更なる貯蔵安定な水分散性ポリイソシアネート組成物を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、
- (A)
(a)少なくとも1種のジイソシアネート又はポリイソシアネート、
(b)次の式(I)及び(II):
【0014】
【0015】
[式中、
R1及びR2は互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、又はアリールであり、上述の基の各々は、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子、及び/又は複素環によって置換されていてもよい]
をベースとする化合物の混合物を含む、少なくとも1種の界面活性剤であって、
上記式(I)及び(II)の化合物の混合物が、化合物(II)、すなわちモノエステル型化合物と化合物(I)、すなわちジエステル型化合物の間のモル比が5:95~95:5であることを特徴とする、少なくとも1種の界面活性剤、
並びに
(c)少なくとも1種の一官能性ポリアルキレングリコール
を反応させることによって得ることができる、少なくとも1種のポリイソシアネートと、
- (B)少なくとも1種の立体障害型フェノールと
を含む、ポリイソシアネート組成物によって達成された。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この種類のポリイソシアネート組成物は、貯蔵(色ズレ)に関する経時的に良好な色安定性を特色とし、ポリウレタンコーティング材料中のイソシアネート反応性基を含む成分と反応させることができる。
【0017】
合成成分(a)は、少なくとも1種の、例えば1~3種の、好ましくは1~2種の、より好ましくは正確に1種のジイソシアネート又はポリイソシアネートである。
【0018】
使用するモノマー性イソシアネートは、芳香族、脂肪族、又は脂環式、好ましくは脂肪族又は脂環式であってよく、この文書においては短縮して、脂肪族(脂環式)と呼ばれる。脂肪族イソシアネートが特に好ましい。
【0019】
芳香族イソシアネートとは、少なくとも1つの芳香環系を含むイソシアネートであり、言い換えれば、純粋な芳香族化合物だけではなく、芳香脂肪族化合物も含む。
【0020】
脂環式イソシアネートとは、少なくとも1つの脂環式環系を含むイソシアネートである。
【0021】
脂肪族イソシアネートとは、専ら直鎖状又は分枝状鎖を含むイソシアネートであり、すなわち、非環式化合物である。
【0022】
モノマー性イソシアネートは、好ましくは、正確に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネートである。しかしながら、モノマー性イソシアネートは、原則的に、1つのイソシアネート基を有するモノイソシアネートであってもよい。原則的に、平均して2つ超のイソシアネート基を有する、より高級なイソシアネートも可能である。適合性は、例えば、トリイソシアネート、例えば、トリイソシアナトノナン、2,6-ジイソシアナト-1-ヘキサン酸2’-イソシアナトエチルエステル、2,4,6-トリイソシアナトトルエン、トリフェニルメタントリイソシアネート、若しくは2,4,4’-トリイソシアナトジフェニルエーテル、又は例えば、対応するアニリン/ホルムアルデヒド縮合体のホスゲン化によって得られ、メチレン架橋ポリフェニルポリイソシアネート及び対応する環水素化イソシアネートを表す、ジイソシアネート、トリイソシアネート、及びより高級なポリイソシアネートの混合物が保有する。
【0023】
これらのモノマー性イソシアネートは、イソシアネート基とイソシアネート自体との反応のいずれの生成物も、実質的に含有しない。
【0024】
モノマー性イソシアネートは、好ましくは、4~20個の炭素原子を有するイソシアネートである。典型的なジイソシアネートの例は、脂肪族ジイソシアネート、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6-ジイソシアナトヘキサン)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートの誘導体(例えば、リジンメチルエステルジイソシアネート、リジンエチルエステルジイソシアネート)、トリメチルヘキサンジイソシアネート、又はテトラメチルヘキサンジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、例えば、1,4-、1,3-若しくは1,2-ジイソシアナトシクロヘキサン、4,4’-若しくは2,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、1,3-若しくは1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、又は2,4-若しくは2,6-ジイソシアナト-1-メチルシクロヘキサン、及びまた3(若しくは4),8(若しくは9)-ビス(イソシアナトメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン異性体混合物、並びにまた芳香族ジイソシアネート、例えば、トリレン2,4-若しくは2,6-ジイソシアネート及びこれらの異性体混合物、m-若しくはp-キシリレンジイソシアネート、2,4’-若しくは4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン及びこれらの異性体混合物、フェニレン1,3-若しくは1,4-ジイソシアネート、1-クロロフェニレン2,4-ジイソシアネート、ナフチレン1,5-ジイソシアネート、ジフェニレン4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、3-メチルジフェニルメタン4,4’-ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトベンゼン、又はジフェニルエーテル4,4’-ジイソシアネートである。
【0025】
特に好ましいのは、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、及び4,4’-又は2,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、非常に特に好ましいのは、イソホロンジイソシアネート及びヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート、とりわけ好ましいのは、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートである。
【0026】
前記イソシアネートの混合物も存在してもよい。
【0027】
イソホロンイソシアネートは、通常は混合物、具体的にはシス及びトランス異性体の混合物、一般には約60:40~80:20(w/w)の割合における混合物、好ましくは約70:30~75:25の割合における混合物、より好ましくはおよそ75:25の割合における混合物の形態である。
【0028】
ジシクロヘキシルメタン4,4’-ジイソシアネートは、同様に、異なるシス及びトランス異性体の混合物の形態であってもよい。
【0029】
本発明については、対応するアミンをホスゲン化することによって得られるジイソシアネートだけでなく、ホスゲンを使用することなく、すなわちホスゲンフリープロセスによって調製されるものを使用することもできる。例えば、EP-A-0126299(米国特許第4596678号)、EP-A-126300(米国特許第4596679号)、及びEP-A-355443(米国特許第5087739号)によれば、脂肪族(脂環式)ジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネート(HDI)、アルキレン基に6個の炭素原子を有する異性体性の脂肪族ジイソシアネート、4,4’-又は2,4’-ジ(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、及び1-イソシアナト-3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート、すなわちIPDI)等は、脂肪族(脂環式)ジアミンを、例えば、尿素及びアルコールと反応させて脂肪族(脂環式)ビスカルバミン酸エステルを得て、上記エステルを熱開裂に供し、対応するジイソシアネートとアルコールとにすることによって、調製することができる。合成は通常、循環プロセスにおいて、適当な場合、N-非置換カルバミン酸エステル、ジアルキルカーボネート、及び反応プロセスから再利用される他の副生成物の存在下で、連続的に行われる。この方法において得られるジイソシアネートは、一般に、含有する塩素化化合物が非常に少量又は更には測定されないほどわずかであり、これは例えば、電子工業の用途において有利である。
【0030】
本発明の一実施形態では、使用するイソシアネートは、200ppm未満、好ましくは120ppm未満、より好ましくは80ppm未満、非常に好ましくは50ppm未満、特に15ppm未満、とりわけ10ppm未満の総加水分解性塩素含有量を有する。これは、例えば、ASTM 規格D4663-98によって測定することができる。けれども、当然のことながら、より多くの、例えば最大500ppmの塩素含有量を有するモノマー性イソシアネートを使用することもできる。
【0031】
脂肪族(脂環式)ジアミンを、例えば尿素及びアルコールと反応させ、得られた脂肪族(脂環式)ビスカルバミン酸エステルを開裂させることによって得られたモノマー性イソシアネートと、対応するアミンのホスゲン化によって得られたジイソシアネートとの混合物も、用いることができると理解されるであろう。
【0032】
モノマー性イソシアネートをオリゴマー化することによってできるポリイソシアネート(a)は、一般に、以下のことを特徴とする。
【0033】
このような化合物の平均NCO官能価は、一般に少なくとも1.8であり、最大8、好ましくは2~5、より好ましくは2.4~4でありうる。
【0034】
NCO=42g/molとして計算した、オリゴマー化後のイソシアネート基含有量は、別段の指定がない限り、一般に5質量%~25質量%である。
【0035】
ポリイソシアネート(a)は、好ましくは、以下の化合物である。
【0036】
1)イソシアヌレート基を含有し、芳香族、脂肪族、及び/又は脂環式ジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネート。この文脈において特に好ましいのは、対応する脂肪族及び/又は脂環式イソシアナトイソシアヌレート、特にヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートをベースとするものである。存在するイソシアヌレートは、特に、ジイソシアネートの環状三量体を構成する、トリスイソシアナトアルキル及び/若しくはトリスイソシアナトシクロアルキルイソシアヌレート、又は2つ以上のイソシアヌレート環を含有する、これらのより高級なホモログとの混合物である。イソシアナトイソシアヌレートは、一般に、10質量%~30質量%、特に15質量%~25質量%のNCO含有量、及び2.6~8の平均NCO官能価を有する。
【0037】
2)ウレトジオン基を含有し、芳香族、脂肪族、及び/又は脂環式基を介して結合した、好ましくは脂肪族及び/又は脂環式基を介して結合した、イソシアネート基を有するポリイソシアネート、特に、ヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導されたもの。ウレトジオンジイソシアネートは、ジイソシアネートの環状二量化生成物である。
【0038】
ウレトジオン基を含有するポリイソシアネートは、この発明の文脈において、他のポリイソシアネート、より特定的には1)に特定されるものとの混合物として得られる。この目的について、ジイソシアネートは、ウレトジオン基だけでなく他のポリイソシアネートも形成される反応条件下、又はウレトジオン基が初めに形成され、続く反応で他のポリイソシアネートを得る反応条件下、又はジイソシアネートがまず反応して他のポリイソシアネートを得て、続く反応でウレトジオン基を含有する生成物を得る反応条件下で、反応しうる。
【0039】
3)ビウレット基を含有し、芳香族、脂環式、又は脂肪族基を介して結合した、好ましくは脂環式又は脂肪族基を介して結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート、とりわけ、トリス(6-イソシアナトヘキシル)ビウレット、又はそのより高級なホモログとの混合物。ビウレット基を含有するこれらのポリイソシアネートは、一般に、18質量%~22質量%のNCO含有量、及び2.8~6の平均NCO官能価を有する。
【0040】
4)ウレタン及び/又はアロファネート基を含有し、芳香族、脂肪族、又は脂環式基を介して結合した、好ましくは脂肪族又は脂環式基を介して結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート、例えば、過剰量のジイソシアネート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートと、一価又は多価アルコールとを反応させることによって得ることができるもの等。ウレタン及び/又はアロファネート基を含有するこれらのポリイソシアネートは、一般に、12質量%~24質量%のNCO含有量、及び2.1~4.5の平均NCO官能価を有する。ウレタン及び/又はアロファネート基を含有するこの種類のポリイソシアネートは、触媒なしで、或いは好ましくは、例えばカルボン酸アンモニウム若しくは水酸化アンモニウム塩等の触媒、又は例えばZn(II)化合物等のアロファネート化触媒の存在下で、各場合において、一価、二価、又は多価、好ましくは一価アルコールの存在下で調製されうる。ウレタン及び/又はアロファネート基を含有するポリイソシアネートはまた、他のポリイソシアネート、より特定的には1)に特定されるものとの混合物中で調製することもできる。
【0041】
5)オキサジアジントリオン基を含み、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネート。オキサジアジントリオン基を含むこの種類のポリイソシアネートは、ジイソシアネート及び二酸化炭素から入手可能である。
【0042】
6)ウレトンイミン改質ポリイソシアネート。
【0043】
7)カルボジイミド改質ポリイソシアネート。
【0044】
8)例えばDE-A1 10013186又はDE-A1 10013187から公知である種類の高分枝ポリイソシアネート。
【0045】
9)ジ及び/又はポリイソシアネートとアルコールとからのポリウレタン-ポリイソシアネートプレポリマー。
【0046】
10)ポリ尿素-ポリイソシアネートプレポリマー。
【0047】
11)ポリイソシアネート1)~10)、好ましくは1)、3)、及び4)は、調製後に、ビウレット基又はウレタン/アロファネート基を含有し、芳香族、脂環式、又は脂肪族基を介して結合した、好ましくは脂肪族(脂環式)基を介して結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネートに変換することができる。例えば、ビウレット基の形成は、水、水供与体化合物(例えばtert-ブタノール)を加えることによって、又はアミンとの反応によって遂行される。ウレタン及び/又はアロファネート基の形成は、適当な場合は好適な触媒の存在下で、一価、二価、又は多価、好ましくは一価アルコールとの反応によって遂行される。ビウレット基、又はウレタン/アロファネート基を含有するこれらのポリイソシアネートは、一般に、18質量%~22質量%のNCO含有量、及び2.8~6の平均NCO官能価を有する。
【0048】
13)二重硬化用途のための改質ポリイソシアネート、すなわち、1~12に記載した基とともに、形式上、NCO-反応性基と、UV架橋性又は化学線照射架橋性基とを含有する分子を、上記分子のイソシアネート基に付加することから得られる基も含むポリイソシアネート。これらの分子は、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及び他のヒドロキシ-ビニル化合物である。
【0049】
上に列挙したジイソシアネート又はポリイソシアネートはまた、少なくとも部分的にブロック化された形態において存在してもよい。
【0050】
ブロック化に使用される化合物のクラスは、D.A. Wicks、Z.W. Wicks、Progress in Organic Coatings、36、148~172 (1999)、41、1~83 (2001)、及びまた43、131~140 (2001)に記載されている。
【0051】
ブロック化に使用される化合物のクラスの例は、フェノール類、イミダゾール類、トリアゾール類、ピラゾール類、オキシム、N-ヒドロキシイミド、ヒドロキシ安息香酸エステル、第二級アミン、ラクタム、CH-酸性環状ケトン、マロン酸エステル、又はアルキルアセトアセテートである。
【0052】
本発明の好ましい一実施形態では、ポリイソシアネート(a)は、イソシアヌレート、ビウレット、ウレタン、及びアロファネートからなる群から、好ましくはイソシアヌレート、ウレタン、及びアロファネートからなる群から、より好ましくはイソシアヌレート及びアロファネートからなる群から選択され、特に、イソシアヌレート基を含有するポリイソシアネートである。
【0053】
特に好ましい一実施形態では、ポリイソシアネート(a)は、イソシアヌレート基を含み、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートから得られるポリイソシアネートを包含する。
【0054】
更なる特に好ましい一実施形態では、ポリイソシアネート(a)は、イソシアヌレート基を含み、ヘキサメチレン1,6-ジイソシアネートから、並びにイソホロンジイソシアネート及び/又はペンタメチレン1,5-ジイソシアネートから得られるポリイソシアネートの混合物を包含する。
【0055】
この明細書では、別段述べられていない限り、DIN EN ISO 3219/A.3に従って、コーン/プレートシステムにおいて、250秒-1の剪断速度での23℃における粘度が指定される。
【0056】
合成成分(b)
本発明による組成物は、特に有利には、次の式(I)及び(II):
【0057】
【0058】
[R1及びR2は、式(I)及び(II)について上で定義した通りである]
をベースとする化合物の混合物を含有する。
【0059】
R1及びR2は互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、又はアリールであり、上述の基の各々は、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子、及び/又は複素環によって置換されていてもよい。
【0060】
それらにおける定義は次の通りである。
【0061】
適当な場合、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子、及び/又は複素環によって置換されているC1~C18アルキルとは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2-エチルヘキシル、2,4,4-トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、1,1-ジメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,1,3,3-テトラメチルブチル、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、α,α-ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p-トルイルメチル、1-(p-ブチルフェニル)エチル、p-クロロベンジル、2,4-ジクロロベンジル、p-メトキシベンジル、m-エトキシベンジル、2-シアノエチル、2-シアノプロピル、2-メトキシカーボンエチル、2-エトキシカルボニルエチル、2-ブトキシカルボニルプロピル、1,2-ジ(メトキシカルボニル)エチル、2-メトキシエチル、2-エトキシエチル、2-ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3-ジオキソラン-2-イル、1,3-ジオキサン-2-イル、2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、4-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル、2-イソプロポキシエチル、2-ブトキシプロピル、2-オクチルオキシエチル、クロロメチル、2-クロロエチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1-ジメチル-2-クロロエチル、2-メトキシイソプロピル、2-エトキシエチル、ブチルチオメチル、2-ドデシルチオエチル、2-フェニルチオエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2-フェノキシエチル、2-フェノキシプロピル、3-フェノキシプロピル、4-フェノキシブチル、6-フェノキシヘキシル、2-メトキシエチル、2-メトキシプロピル、3-メトキシプロピル、4-メトキシブチル、6-メトキシヘキシル、2-エトキシエチル、2-エトキシプロピル、3-エトキシプロピル、4-エトキシブチル、又は6-エトキシヘキシルであり、
【0062】
適当な場合、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子、及び/又は複素環によって置換されているC6~C12アリールとは、例えば、フェニル、トルイル、キシリル、α-ナフチル、β-ナフチル、4-ビフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert-ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6-ジメチルフェニル、2,4,6-トリメチルフェニル、2,6-ジ-メトキシフェニル、2,6-ジクロロフェニル、4-ブロモフェニル、2-若しくは4-ニトロフェニル、2,4-若しくは2,6-ジニトロフェニル、4-ジメチルアミノフェニル、4-アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル、又はエトキシメチルフェニルであり、
【0063】
適当な場合、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子、及び/又は複素環によって置換されているC5~C12シクロアルキルとは、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、及び飽和又は不飽和二環系、例えば、ノルボルニル又はノルボルネニル等である。
【0064】
C10~C30アルキルとは、例えば、n-デシル、2-プロピルヘプチル、n-ウンデシル、イソウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、イソトリデシル、エチルウンデシル、メチルドデシル、3,3,5,5,7-ペンタメチルオクチル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、イソヘプタデシル、3,3,5,5,7,7,9-ヘプタメチルデシル、n-オクタデシル、及びn-エイコシルである。
【0065】
好ましくは、R1及びR2は互いに独立して、非置換アルキル又は非置換アリール、より好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、フェニル、又はナフチル、非常に好ましくは、フェニル、メチル、エチル、n-ブチル、及び2-エチルヘキシル、より特定的には、エチル、n-ブチル、及び2-エチルヘキシルでありうる。
【0066】
化合物(b)の例は、モノセチルホスフェート、ジセチルホスフェート、セテアリルホスフェート、ジセテアリルホスフェートである。
【0067】
化合物(b)は、好ましくは、モノメチルホスフェート、ジメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、ジエチルホスフェート、モノn-ブチルホスフェート、ジn-ブチルホスフェート、モノ2-エチルヘキシルホスフェート、ジ2-エチルヘキシルホスフェート、及びこれらの混合物である。
【0068】
式(I)及び(II)の化合物の混合物は、化合物(II)、すなわちモノエステル型化合物と化合物(I)、すなわちジエステル型化合物の間のモル比が5:95~95:5、好ましくは20:80~80:20、特に好ましくは30:70~70:30、とりわけ好ましくは33:67~67:33であることを特徴とする。
【0069】
成分(c)は、好適な出発分子とポリアルキレンオキシドとの反応生成物である、一官能性ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールを包含する。
【0070】
一価ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールを調製するのに好適な出発分子は、チオール化合物、一般式
R4-O-H
のモノヒドロキシ化合物、
又は一般式
R5R6N-H
[式中、
R4、R5、及びR6は各々、互いに独立して、C1~C20アルキル、1個若しくは複数の酸素及び/若しくは硫黄原子によって、並びに/又は1つ若しくは複数の置換若しくは非置換イミノ基によって割り込まれていない、又は割り込まれているC2~C20アルキルであり、或いはC6~C12アリール、C5~C12シクロアルキル、又は酸素、窒素及び/若しくは硫黄原子を含有する5員~6員の複素環であり、或いはR5とR6とが一緒に、1個若しくは複数の酸素及び/若しくは硫黄原子によって、並びに/又は1つ若しくは複数の置換若しくは非置換イミノ基によって割り込まれていない、又は割り込まれている、不飽和、飽和、又は芳香環を形成しており、上述の基は各場合において、官能基、すなわち、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又は複素環によって置換されていてもよい]
の第二級モノアミンである。
【0071】
好ましくは、R4、R5、及びR6は互いに独立して、C1~C4アルキル、すなわち、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、又はtert-ブチルであり、より好ましくは、R4、R5、及びR6はメチルである。
【0072】
好適な一価出発分子の例は、飽和一価アルコール、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、異性体性のペンタノール類、ヘキサノール類、オクタノール類、及びノナノール類、n-デカノール、n-ドデカノール、n-テトラデカノール、n-ヘキサデカノール、n-オクタデカノール、シクロヘキサノール、シクロペンタノール、異性体性メチルシクロヘキサノール類、又はヒドロキシメチルシクロヘキサン、3-エチル-3-ヒドロキシ-メチルオキセタン、又はテトラヒドロフルフリルアルコール;不飽和アルコール、例えば、アリルアルコール、1,1-ジメチルアリルアルコール、又はオレイルアルコール、芳香族アルコール、例えば、フェノール、異性体性のクレゾール類又はメトキシフェノール類、脂環式アルコール、例えば、ベンジルアルコール、アシニルアルコール又はシンナミルアルコール;第二級モノアミン、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ビス(2-エチルヘキシル)アミン、N-メチル-及びN-エチルシクロヘキシルアミン、又はジシクロヘキシルアミン、複素環式第二級アミン、例えば、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、又は1H-ピラゾール、並びにまたアミノアルコール、例えば、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジイソプロピルアミノエタノール、2-ジブチルアミノエタノール、3-(ジメチルアミノ)-1-プロパノール、又は1-(ジメチルアミノ)-2-プロパノールである。
【0073】
アミンから出発して調製されたポリエーテルの例は、アミノ官能基を有するメチルキャップポリアルキレンオキシドを表す、Jeffamine(登録商標) Mシリーズ、例えば、およそ9:1のプロピレンオキシド(PO)/エチレンオキシド(EO)比とおよそ600のモル質量とを有する、M-600 (XTJ-505)、PO/EO比3:19、モル質量およそ1000のM-1000 (XTJ-506)、PO/EO比29:6、モル質量およそ2000のM-2005 (XTJ-507)、又はPO/EO比10:31、モル質量およそ2000のM-2070である。
【0074】
アルコキシル化反応に好適なアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、ビニルオキシラン、及び/又はスチレンオキシドであり、アルコキシル化反応において、任意の順序で、そうでなければ混合物において使用されうる。
【0075】
好ましいアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びこれらの混合物であり、エチレンオキシドが特に好ましい。
【0076】
好ましいポリエーテルアルコールは、ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールをベースとするものであり、その調製においては、上述の種類の飽和脂肪族又は脂環式アルコールが、出発分子として使用された。非常に特に好ましいのは、アルキル基に1~4個の炭素原子を有する飽和脂肪族アルコールを使用して調製される、ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールをベースとするものである。特に好ましいのは、メタノールから出発して調製されるポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールである。
【0077】
一価ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、平均して一般に、1分子当たり、少なくとも2個のアルキレンオキシド単位、好ましくは少なくとも5個のアルキレンオキシド単位、より好ましくは少なくとも7個、非常に好ましくは少なくとも10個のアルキレンオキシド単位、より特定的にはエチレンオキシド単位を有する。
【0078】
一価ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、平均して一般に、1分子当たり、最大50個のアルキレンオキシド単位、好ましくは最大45個、より好ましくは最大40個、非常に好ましくは最大30個のアルキレンオキシド単位、より特定的にはエチレンオキシド単位を有する。
【0079】
一価ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールの分子量は、好ましくは最大4000、より好ましくは2000g/mol以下、非常に好ましくは250以上、より特定的には500±100g/molである。
【0080】
そのため、好ましいポリエーテルアルコールは、式
R4-O-[-Xi-]k-H
[式中、
R4は上に定義した通りであり、
kは5~40、好ましくは7~20、より好ましくは10~15の整数であり、
i=1~kである各Xiは独立して、-CH2-CH2-O-、-CH2-CH(CH3)-O-、-CH(CH3)-CH2-O-、-CH2-C(CH3)2-O-、-C(CH3)2-CH2-O-、-CH2-CHVin-O-、-CHVin-CH2-O-、-CH2-CHPh-O-、及び-CHPh-CH2-O-からなる群から、好ましくは-CH2-CH2-O-、-CH2-CH(CH3)-O-、及び-CH(CH3)-CH2-O-からなる群から、より好ましくは-CH2-CH2-O-から選択することができ、
ここで、Phはフェニルであり、Vinはビニルである]
の化合物である。
【0081】
ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールは、一般に、触媒、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩、又は炭酸水素塩等の存在下で、出発化合物をアルコキシル化することによって調製される。
【0082】
ポリアルキレンオキシドポリエーテルアルコールはまた、しばしばDMC触媒とも呼ばれる複合金属シアン化化合物を用いて調製することもでき、DMC触媒は、長い間知られており、例えば米国特許第3,278,457号及び同5,783,513号等の文献に広く記載されている。
【0083】
DMC触媒は、典型的に、金属塩をシアノメタレート化合物と反応させることによって調製される。DMC触媒の特性を増強するため、反応中及び/又は反応後に、有機配位子を加えるのが慣例である。DMC触媒の調製の記載は、例えば米国特許第3,278,457(A)号に見出される。
【0084】
典型的なDMC触媒は、次の一般式
M1
a[M2(CN)b]d・fM1
jXk・h(H2O) eL・zP
[式中、
M1は、Zn2+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Ni2+、Mn2+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Al3+、Sr2+、Cr3+、Cd2+、Cu2+、La3+、Ce3+、Ce4+、Eu3+、Mg2+、Ti4+、Ag+、Rh2+、Ru2+、Ru3+、Pd2+を含む群から選択される金属イオンであり、
M2は、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Mn2+、Mn3+、Ni2+、Cr2+、Cr3+、Rh3+、Ru2+、Ir3+を含む群から選択される金属イオンであり、
M1とM2とは等しく、又は異なり、
Xは、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、シアン化物イオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、シアン酸イオン、カルボン酸イオン、シュウ酸イオン、硝酸イオン、若しくは亜硝酸イオン(NO2
-)を含む群から選択されるアニオン、又は前述のアニオンの2つ以上の混合物、又は前述のアニオンの1つ又は複数と、CO、H2O、及びNOから選択される非荷電種の1つとの混合物であり、
Yは、Xとは異なる、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、二硫酸イオン、亜硫酸イオン、スルホン酸イオン(=RSO3
-、ただしR=C1~C20アルキル、アリール、C1~C20アルキルアリール)、炭酸イオン、炭酸水素イオン、シアン化物イオン、チオシアン化物イオン、イソシアン化物イオン、イソチオシアン化物イオン、シアン酸イオン、カルボン酸イオン、シュウ酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、リン酸二水素イオン、二リン酸イオン、ホウ酸イオン、四ホウ酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、及びテトラフェニルホウ酸イオンを含む群から選択されるアニオンであり、
Lは、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、ポリエーテル、エステル、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素類、アミド、ニトリル、及び硫化物、又はこれらの混合物を含む群から選択される水混和性配位子であり、
Pは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアルキレングリコールソルビタンエステル、ポリアルキレングリコールグリシジルエーテル、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリルアミド-コ-アクリル酸)、ポリアクリル酸、ポリ(アクリルアミド-コ-マレイン酸)、ポリアクリルニトリル、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ-N-ビニルピロリドン、ポリ(N-ビニルピロリドン-コ-アクリル酸)、ポリビニルメチルケトン、ポリ(4-ビニルフェノール)、ポリ(アクリル酸-コ-スチレン)、オキサゾリンポリマー、ポリアルキレンイミン、マレイン酸と無水マレイン酸とのコポリマー、ヒドロキシルエチルセルロース、ポリアセテート、イオン性表面及び界面活性化合物、胆汁酸又はその塩、エステル、若しくはアミド、多価アルコールのカルボン酸エステル、並びにグリコシドを含む群から選択される有機添加剤であり、
且つ
a、b、d、g、n、r、s、j、k、及びtは、ゼロよりも大きい整数又は分数であり、
e、f、h、及びzは、ゼロ以上の整数又は分数であり、
ただし、a、b、d、g、n、j、k、及びr、並びにまたs及びtは、電気的中性が確保されるように選択され、
M3は、水素、又はアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属であり、
M4は、アルカリ金属イオン、又はアンモニウムイオン(NH4
+)若しくはアルキルアンモニウムイオン(R4N+、R3NH+、R2NH2
+、RNH3
+、ただしR=C1~C20アルキル)である]
を有する。
【0085】
本発明の特に好ましい一実施形態では、M1はZn2+であり、M2はCo3+又はCo2+である。
【0086】
金属M1とM2とは、特にこれらがコバルト、マンガン、又は鉄である場合、等しい。
【0087】
触媒の残留物は、得られる生成物中に残存してもよく、又は酸、好ましくは塩酸、硫酸、若しくは酢酸を使用して中和してもよく、続いて、塩は、好ましくは、例えば、洗浄若しくはイオン交換によって除去することができる。適当な場合、部分的な中和を行ってもよく、更に塩を除去することなく、生成物を更に使用してもよい。
【0088】
任意選択の合成化合物(d)は、高分子量のジオール又はポリオールを包含し、高分子量とは、少なくとも400、好ましくは400~6000の数平均分子量を意味する。
【0089】
問題の化合物は、より特定的には、二価又は多価のポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールであり、二価ポリオールが好ましい。
【0090】
好適なポリエステルポリオールとしては、特に、多価アルコールと、多塩基カルボン酸との従来の反応生成物が挙げられ、ただし、アルコール化合物は過剰に用いられる。多塩基カルボン酸は、事実上、脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式、又はエチレン性不飽和であってもよく、適当な場合、ハロゲン原子置換基も有してもよい。多塩基カルボン酸の代わりに、その無水物をエステル化することもできる。好適な多塩基出発カルボン酸の例としては、次のものが挙げられる:コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、グルタミン酸無水物、マレイン酸、無水マレイン酸、又はフマル酸。
【0091】
過剰に使用する多価アルコールとしては、次のものが挙げられる:エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ブテン-1,4-ジオール、ブチン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール及びその位置異性体、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2,2-ビス4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ヘキサン-1,2,6-トリオール、ブタン-1,2,4-トリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、378~900、好ましくは378~678の分子量を有するポリエチレングリコール、134~1178、好ましくは134~888の分子量を有するポリ-1,2-プロピレングリコール又はポリ-1,3-プロパンジオール、162~2000、好ましくは378から1458の間の、特に好ましくは378~678の分子量を有するポリTHF。
【0092】
好ましいのは、ジオールとジカルボン酸とから形成されるポリエステルポリオールである。
【0093】
更なる好適なポリエステルポリオールは、ラクトンの付加体、又は出発分子として使用される二価アルコールとのラクトン混合物である。好ましいラクトンの例は、ε-カプロラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、又はメチル-ε-カプロラクトンである。
【0094】
好適な出発分子は、より特定的には、ポリエステルポリオールのための合成成分として既に指定した低分子量二価アルコールである。
【0095】
当然のことながら、合成成分としてヒドロキシカルボン酸から形成されるポリエステルも好適である。ポリエステルとして好適な合成成分(d)は、更にはまた、例えば、ポリエステルポリオールのための合成成分として指定した、ホスゲン又は炭酸ジフェニルと、過剰の低分子量二価アルコールとから得られる種類のポリカーボネートである。
【0096】
ポリエーテルポリオールへの適合性を有する好適な合成成分(d)としては、好ましくは、例えば、三フッ化ホウ素によって触媒される、酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、テトラヒドロフラン、酸化スチレン、又はエピクロロヒドリンの、それ自体への又は互いへの結合によって、或いは個々の又は混合物における、これらの化合物と、反応性水素原子を含有する出発成分、例えば、水、多官能性のアルコール又はアミン、例えば、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、1,2-若しくは2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、又はアニリンとの付加反応によって得ることができる種類のポリエーテルジオールが挙げられる。更には、ポリエーテル-1,3-ジオールが、好ましく用いられる合成成分(d)であり、その例は、1つのOH基においてアルコキシル化され、その酸化アルキレン鎖が、1~18個のC原子を含むアルキル基によってキャッピングされているトリメチロールプロパンである。
【0097】
任意選択の合成成分(e)は、低分子量の二価又は多価アルコールでありうるが、その中でも、二価アルコールが好ましい。低分子量とは、ここでは、62~399の数平均分子量を示す。
【0098】
好適な合成成分(e)としては、エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ブテン-1,4-ジオール、ブチン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール及びその位置異性体、ヘキサン-1,6-ジオール、オクタン-1,8-ジオール、1,4-ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ヘキサン-1,2,6-トリオール、ブタン-1,2,4-トリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、低分子量ポリエチレングリコール、ポリ-1,2-プロピレングリコール、ポリ-1,3-プロパンジオール、又はポリTHF、ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレート、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールS、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-、1,2-、1,3-及び1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-、1,3-若しくは1,4-シクロヘキサンジオール、及びまた多価アルコール、例えば、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、グリセロール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリストール、又は糖アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリストール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、若しくはイソマルトが挙げられる。好ましいのは、直鎖状1,ω-ジヒドロキシアルカン、より好ましくは、ブタン-1,4-ジオール及びヘキサン-1,6-ジオールを使用することである。
【0099】
ポリイソシアネート(A)は、一般に、合成成分(a)におけるイソシアネート基(NCOが42g/molの分子量を有するものとして計算)に対して、次の構成を有する:
(b)0.5~30質量%、好ましくは0.8~25質量%、より好ましくは1.0~20質量%の式(I)及び/又は(II)の化合物、
(c)(c)におけるイソシアネート反応性基に対して、少なくとも0.3質量%、好ましくは少なくとも0.5、より好ましくは少なくとも1.0、非常に好ましくは少なくとも1.2質量%、及びまた最大25質量%、好ましくは最大20、より好ましくは最大15、非常に好ましくは最大10質量%、
(d)(d)におけるイソシアネート反応性基に対して、0~15質量%、好ましくは0~10質量%、より好ましくは0~5質量%、非常に好ましくは0質量%、並びに
(e)(e)におけるイソシアネート反応性基に対して、0~15質量%、好ましくは0~10質量%、より好ましくは0~5質量%、非常に好ましくは0質量%。
【0100】
本発明のポリイソシアネート(A)のNCO含有量は、一般に13質量%以上、好ましくは14質量%以上、より好ましくは15質量%以上、非常に好ましくは16質量%以上であり、非常に良好な水分散性と関連する。通常、22質量%を超えない。
【0101】
化合物(b)がポリイソシアネートに組み込まれているか否かは、本発明とは関係ない。理論に束縛されることを望むものではないが、式(II)の化合物(b)の少なくとも一部は、少なくとも1種の遊離アニオン性酸素基又はヒドロキシ基の反応によって、ポリイソシアネート(A)に組み込まれていると想定される。更に、式(II)の化合物が水相中に残存するものと想定される。単純化のために、化合物(b)は、実際の結合の状態とは関係なく、本記載全体を通じて、ポリイソシアネート(A)に「組み込まれている」ものとして言及する。
【0102】
好ましいポリイソシアネート(A)は、44g/molとして計算して、成分a)+b)+c)+d)+e)の和に対して、少なくとも5質量%、好ましくは少なくとも10質量%、より好ましくは少なくとも12質量%の構造単位-[-CH2-CH2-O-]-の画分を有する。一般に、画分は、25質量%以下、好ましくは22質量%以下、より好ましくは20質量%以下である。
【0103】
本発明のポリイソシアネートの数平均分子量Mn(溶媒としてTHF及び標準としてポリスチレンを使用したゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される)は、一般に少なくとも400、好ましくは少なくとも500、より好ましくは少なくとも700、非常に好ましくは少なくとも1000であり、且つ最大5000、好ましくは最大3000、より好ましくは最大2000、非常に好ましくは最大1500である。
【0104】
一般に、本発明の水乳化性ポリイソシアネートの粘度は、10000mPa*s未満、好ましくは9000mPa*s未満、より好ましくは8000mPa*s未満、非常に好ましくは7000mPa*s未満、より特定的には800mPa*sから6000mPa*sの間である。
【0105】
本発明のポリイソシアネート(A)は、しばしば、少なくとも1種の塩基(A1)によって少なくとも部分的に中和される。好ましくは、化合物(b)は、ポリイソシアネートに組み込まれる前に、少なくとも部分的に中和される。
【0106】
問題の塩基は、水酸化物、酸化物、炭酸水素塩又は炭酸塩の形態における、好ましくは水酸化物の形態における、塩基性のアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウムの塩、より特定的には、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、及びバリウムの塩、とりわけ、ナトリウム、カリウム、及びカルシウムの塩でありうる。
【0107】
しかしながら、好ましい化合物(A1)は、アンモニア又はアミンであり、好ましくは第三級アミンである。問題の第三級アミンは、好ましくは、専らアルキル置換された、及び/又はシクロアルキル置換されたものである。
【0108】
このようなアミンの例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジメチルフェニルアミン、トリエタノールアミン、シクロペンチルジメチルアミン、シクロペンチルジエチルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、及びシクロヘキシルジエチルアミンである。
【0109】
しかしながら、好ましさは劣るが、複素環式アミン、例えば、ピリジン、イミダゾール、N-アルキル化モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、又はピロリドンも考えられる。
【0110】
一般的に言えば、塩基(A1)は、(A)内に存在する酸基の10~100mol%、好ましくは20~100mol%、より好ましくは40~100mol%、非常に好ましくは50~100mol%、より特定的には70~100mol%を中和するために使用される。
【0111】
ポリイソシアネート(A)における成分(b)の少なくとも部分的な中和は、ポリイソシアネート(A)の調製の前、調製中、又は調製後、好ましくは調製後に行うことができる。
【0112】
本発明による有利な組成物は、化合物(A1)として、次の式(III):
【0113】
【0114】
[式中、R7、R8、及びR9は、炭化水素鎖を表し、有利にはシクロアルキル又はアリールから選択され、上述の基の各々は、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子、及び/又は複素環によって置換されていてもよい]
のアミンを含む。
【0115】
R7、R8、及びR9基は、環状構造を形成することもできる。したがって、R7とR8、又はR8とR9、又はR7とR9がともに、好ましくは3~6個の炭素原子で形成され、任意選択で少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは酸素又は硫黄から選択されるものを含有する、環状構造を形成してもよい。N-エチルモルホリン、N-メチルモルホリン、及び1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジンは、このタイプの環状構造の例である。
【0116】
有利には、前述の式(III)において、R7、R8、及びR9は独立して、適当な場合にはアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子、及び/若しくは複素環によって置換されているC1~C18アルキル、又は適当な場合にはアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子、及び/若しくは複素環によって置換されているC6~C12アリールを表す。
【0117】
N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ジメチルブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジドデシルアミン等は、本発明の範囲内で好適でありうるアミンの例である。
【0118】
ポリイソシアネート(A)は、一般に、任意の順序で合成成分を混合し、反応させることによって調製される。好ましいのは、ジイソシアネート又はポリイソシアネート(a)を最初に導入すること、合成成分(b)及び/又は(c)を、一緒に又は連続して加えること、並びに(b)及び(c)における反応性基が変換されるまで、反応を行うことである。続いて、所望の場合、化合物(d)及び/又は(e)を加えることができる。
【0119】
化合物(b)及び/又は(e)の存在下で、成分(a)としてのモノマー性ジイソシアネートを互いに反応させる反応レジームも考えられる。この種類の反応レジームは、本開示内容の一部として、参照により全体的に本明細書に組み込まれる、WO2008/116764に記載されている。
【0120】
反応は、一般に40℃から170℃の間、好ましくは45℃から160℃の間、より好ましくは50℃から150℃の間、非常に好ましくは60℃から140℃の間の温度において行われる。
【0121】
立体障害型フェノール(B)は、本発明の意味において、一次抗酸化剤としての機能を有する。これは、フリーラジカルを捕捉する化合物を指すために、当業者によって一般に使用される用語である。
【0122】
この種類の立体障害型フェノール(B)は、例えば、参照により、本明細書において本開示内容の一部をなす、WO2008/116894に記載されており、好ましいのは、その14頁10行目~16頁10行目に記載されている化合物である。
【0123】
問題のフェノールは、好ましくは、芳香環に正確に1つのフェノール性ヒドロキシル基を有するものであり、より好ましくは、置換基、好ましくはアルキル基をフェノール性ヒドロキシル基に対してオルト位に、非常に好ましくはオルト位とパラ位とに有し、好ましくはアルキル基を含有するものであり、より特定的には、アルキル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピロネート、又はこのような化合物の置換アルキル誘導体である。
【0124】
この種類のフェノール類は、複数のフェノール基を有するポリフェノール系:ペンタエリストールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピロネート(例えば、Irganox(登録商標) 1010);エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トルイル)プロピロネート)(例えば、Irganox 245);3,3',3”,5,5',5”-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール(例えば、Irganox(登録商標) 1330);1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(例えば、Irganox(登録商標) 3114)の構成要素であってもよく、各場合におけるこれらはCiba Spezialitatenchemie社、現在はBASF SE社の製品である。
【0125】
対応する製品は、例えば、Irganox(登録商標)(BASF SE社)、Sumitomo社からSumilizer(登録商標)、Great Lakes社からLowinox(登録商標)、及びCytec社からCyanox(登録商標)の商品名で入手可能である。
【0126】
例えば、チオジエチレンビス[3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオネート](Irganox(登録商標) 1035)及び6,6’-ジ-tert-ブチル-2,2’-チオジ-p-クレゾール(例えばIrganox(登録商標) 1081)も可能であり、これらはそれぞれBASF SE社の製品である。
【0127】
好ましいのは、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT);イソオクチル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox(登録商標) 1135、CAS No. 146598-26-7)、オクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox(登録商標) 1076、CAS No. 2082-79-3)、及びペンタエリストールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(CAS No. 6683-19-8;例えばIrganox(登録商標) 1010)である。
【0128】
ポリイソシアネート組成物は、ルイス酸性有機金属化合物(C)を更に含有してもよく、これは、スズ化合物、例えば、有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、スズ(II)ジアセテート、スズ(II)ジオクタノエート、スズ(II)ビス(エチルヘキサノエート)、及びスズ(II)ジラウレート、並びに有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えば、ジメチルスズジアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジブチレート、ジブチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジオクチルスズジラウレート、及びジオクチルスズジアセテートである。
【0129】
他の好ましいルイス酸性有機金属化合物は亜鉛塩であり、その例は、亜鉛(II)ジアセテート及び亜鉛(II)ジオクタノエートである。
【0130】
使用されるスズ不含及び亜鉛不含代替物としては、ビスマス、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、鉄、マンガン、ニッケル、及びコバルトの有機金属塩が挙げられる。
【0131】
これらは、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート(例えばKing Industries社製のK-KAT(登録商標) 4205);ジルコニウムジオネート(例えば、King Industries社製のK-KAT(登録商標) XC-9213;XC-A 209、及びXC-6212);ビスマス化合物、とりわけトリカルボキシレート(例えば、King Industries社製のK-KAT(登録商標) 348、XC-B221;XC-C227、XC 8203);アルミニウムジオネート(例えばKing Industries社製のK-KAT(登録商標) 5218)である。スズ不含及び亜鉛不含触媒は、それ以外では例えば、Borchers社からBorchi(登録商標) Kat、Goldschmidt社からTK、又はShepherd, Lausanne社からBICAT(登録商標)の商品名でも提供されている。
【0132】
ビスマス触媒及びコバルト触媒に加えて、セリウムオクタノエート等のセリウム塩、及びセシウム塩を、触媒として使用することができる。
【0133】
ビスマス触媒は、より特定的には、ビスマスカルボキシレート、とりわけ、ビスマスオクトエート、エチルヘキサノエート、ネオデカノエート、又はピバレートであり、その例は、King Industries社製のK-KAT 348及びXK-601、TIB Chemicals社製のTIB KAT 716、716LA、716XLA、718、720、789、及びShepherd Lausanne社製のもの、並びにまた、例えばビスマスオルガニル及び亜鉛オルガニルの触媒混合物である。
【0134】
更なる金属触媒は、Blankら、Progress in Organic Coatings、1999、35巻、19~29頁に記載されている。
【0135】
これらの触媒は、溶媒系、水系、及び/又はブロック系に好適である。
【0136】
モリブデン、タングステン、及びバナジウム触媒は、WO2004/076519及びWO2004/076520において、ブロック化ポリイソシアネートの反応について、より特定的に記載されている。
【0137】
セシウム塩も、触媒として使用することができる。好適なセシウム塩は、次のアニオン:F-、Cl-、ClO-、ClO3
-、ClO4
-、Br-、I-、IO3
-、CN-、OCN-、NO2
-、NO3
-、HCO3
-、CO3
2-、S2-、SH-、HSO3
-、SO3
2-、HSO4
-、SO4
2-、S2O2
2-、S2O4
2-、S2O5
2-、S2O6
2-、S2O7
2-、S2O8
2-、H2PO2
-、H2PO4
-、HPO4
2-、PO4
3-、P2O7
4-、(OCnH2n+1)-、(CnH2n-1O2)-、(CnH2n-3O2)-、及びまた(Cn+1H2n-2O4)2-[式中、nは1~20の数の意である]を用いた化合物である。ここで、アニオンが式(CnH2n-1O2)-及びまた(Cn+1H2n-2O4)2-[nは1~20である]に一致するセシウムカルボキシレートが好ましい。特に好ましいセシウム塩は、一般式(CnH2n-1O2)-[nは1~20の数の意である]のモノカルボキシレートアニオンを含有する。この文脈において特に言及に値するのは、ホルメート、アセテート、プロピオネート、ヘキサノエート、及び2-エチルヘキサノエートである。好ましいルイス酸性有機金属化合物は、ジメチルスズジアセテート、ジブチルスズジブチレート、ジブチルスズビス(2-エチルヘキサノエート)、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、亜鉛(II)ジアセテート、亜鉛(II)ジオクタノエート、ジルコニウムアセチルアセトネート、及びジルコニウム2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート、並びにビスマス化合物である。
【0138】
特に好ましいのは、ジブチルスズジラウレートである。
【0139】
ポリイソシアネート組成物は、ブレンステッド酸(D)を更に含有してもよい。ブレンステッド酸は、H酸性化合物である。これらは、好ましくは、D1)ジアルキルホスフェート、D2)アリールスルホン酸、及び/又はD3)ホスホン酸エステルである。
【0140】
ジアルキルホスフェートD1は、モノ-及びジ-C1~C12アルキルホスフェート並びにこれらの混合物であり、好ましくはジアルキルホスフェート、より好ましくはC1~C8アルキル基を有するもの、非常に好ましくはC2~C8アルキル基を有するもの、より特定的にはC4~C8アルキル基を有するものである。
【0141】
ここで、ジアルキルホスフェートにおけるアルキル基は、同一であっても異なってもよく、好ましくは同一である。
【0142】
C1~C12アルキル基の例は、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、2-エチルヘキシル、及び2-プロピルヘプチルである。これらのリン酸エステルは、より特定的には、モノアルキル及びジアルキルホスフェート、並びにこれらの混合物、例えば、
- ジ(エチルヘキシル)ホスフェート
- ジブチルホスフェート
- ジエチルホスフェート
- King Industries社製のNacure(登録商標) 4000 (以前のNacure(登録商標) C 207)、不特定のアルキルリン酸エステル
- King Industries社製のNacure(登録商標) 4054、不特定のアルキルリン酸エステル
- Cytec社製のCycat(登録商標) 296-9、不特定のアルキルリン酸エステル
である。
【0143】
100%製品の形態における、又はイソシアネート基に反応しない溶媒中での使用が、ポリイソシアネートに使用するのに好ましい。
【0144】
化合物D1は、一般に、ポリイソシアネートに対して、5~1000、好ましくは10~600、より好ましくは20~200、非常に好ましくは20~80質量ppmの量において加えられる。
【0145】
アリールスルホン酸D2は、例えば、ベンゼン誘導体又はナフタレン誘導体、より特定的には、アルキル化されたベンゼン又はナフタレン誘導体である。
【0146】
好ましいスルホン酸の例としては、6~12個のC原子のアルキル基を有する4-アルキルベンゼンスルホン酸、例えば、4-ヘキシルベンゼンスルホン酸、4-オクチルベンゼンスルホン酸、4-デシルベンゼンスルホン酸、又は4-ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。公知の方法では、原則的に、ここで問題となる化合物は、異なる長さで異なるアルキル基の分布を特色とする人為的製品であってもよい。
【0147】
特に好ましい酸としては、次のものが挙げられる。
- ベンゼンスルホン酸
- パラ-トルエンスルホン酸
- パラ-エチルベンゼンスルホン酸
- ドデシルベンゼンスルホン酸
- ビスノニルナフタレンスルホン酸
- ビスノニルナフタレンビススルホン酸
- ビスドデシルナフタレンスルホン酸
- Nacure(登録商標) XC-C210(King Industries社製の不特定の構造の疎水性酸触媒)
【0148】
化合物D1は、一般に、ポリイソシアネートに対して、1~600、好ましくは2~100、より好ましくは5~50質量ppmの量において加えられる。
【0149】
ホスホン酸エステルD3は、低い官能価及び酸性の特徴を有するリン含有化合物であり、より特定的には、ジアルキルホスホネートD3a)及びジアルキルジホスホネートD3b)である。
【0150】
【0151】
これらの例は、モノ-及びジ-C1~C12アルキルホスホネート並びにこれらの混合物であり、好ましくはジアルキルホスホネート、より好ましくはC1~C8アルキル基を有するもの、非常に好ましくはC1~C8アルキル基を有するもの、より特定的にはC1、C2、C4、又はC8アルキル基を有するものである。
【0152】
ジアルキルホスホネートにおけるアルキル基は、同一であっても異なってもよく、好ましくは同一である。
【0153】
C1~C12アルキル基の例は、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、2-エチルヘキシル、及び2-プロピルヘプチルである。
【0154】
WO2008/116895に記載されている例は、本明細書における本開示内容の一部である。明示的に与えられうる具体例としては、次のものが挙げられる。
- ジオクチルホスホネート、ジ-n-オクチルホスホネート、Irgafos(登録商標) OPH(上の画像参照)
- ジ-(2-エチルヘキシル)ホスホネート
- ジエチルホスホネート
【0155】
化合物D3は、一般に、ポリイソシアネートに対して、10~1000、好ましくは20~600、より好ましくは50~300質量ppmの量である。
【0156】
更には、溶媒又は溶媒混合物(E)も存在してもよい。
【0157】
ポリイソシアネート成分に、及びまたバインダに、並びに任意の他の成分に使用することができる溶媒は、イソシアネート基又はブロック化イソシアネート基に対して反応性の基を含有しないものであり、ポリイソシアネートは、少なくとも10質量%、好ましくは少なくとも25質量%、より好ましくは少なくとも50質量%、非常に好ましくは少なくとも75質量%、より特定的には少なくとも90質量%、とりわけ少なくとも95質量%の範囲で可溶性である。
【0158】
この種類の溶媒の例は、芳香族炭化水素(アルキル化ベンゼン及びナフタレン類を含む)及び/又は脂肪族(脂環式)炭化水素、並びにこれらの混合物、塩素化炭化水素、ケトン、エステル、アルコキシル化アルキルアルカノエート、エーテル、並びに溶媒の混合物である。
【0159】
好ましい芳香族炭化水素混合物は、主として芳香族C7~C14炭化水素を含むものであり、110~300℃の範囲内の沸点を包含してもよく、特に好ましいのは、トルエン、o-、m-又はp-キシレン、トリメチルベンゼン異性体、テトラメチルベンゼン異性体、エチルベンゼン、クメン、テトラヒドロナフタレン、及びこれらを含む混合物である。
【0160】
その例は、ExxonMobil Chemical社製のSolvesso(登録商標)製品、とりわけ、Solvesso(登録商標) 100(CAS No. 64742-95-6、主としてC9及びC10芳香族、沸点範囲約154~178℃)、150(沸点範囲約182~207℃)、及び200(CAS No. 64742-94-5)、並びにまたShell社製のShellsol(登録商標)製品、Petrochem Carless社製のCaromax(登録商標)(例えば、Caromax(登録商標) 18)、及びDHC社製のHydrosol(例えば、Hydrosol(登録商標) A 170として)である。パラフィン、シクロパラフィン、及び芳香族を含む炭化水素混合物も、Kristalloel(例えば、Kristalloel 30、沸点範囲約158~198℃又はKristalloel 60: CAS No. 64742-82-1)、ホワイトスピリット(同様に、例えばCAS No. 64742-82-1)、又は溶媒ナフサ(軽質:沸点範囲約155~180℃、重質:沸点範囲約225~300℃)の名称で市販されている。このような炭化水素混合物の芳香族含有量は、一般に90質量%超、好ましくは95質量%超、より好ましくは98質量%超、非常に好ましくは99質量%超である。特に少ないナフタレン含有量を有する炭化水素混合物を使用することが、得策でありうる。
【0161】
脂肪族(脂環式)炭化水素の例としては、デカリン、アルキル化デカリン、並びに直鎖状若しくは分枝状アルカン及び/又はシクロアルカンの異性体混合物が挙げられる。
【0162】
脂肪族炭化水素の量は、一般に5質量%未満、好ましくは2.5質量%未満、より好ましくは1質量%未満である。
【0163】
エステルは、例えば、プロピレングリコールジアセテート、n-ブチルアセテート、酢酸エチル、1-メトキシプロパ-2-イルアセテート、及び2-メトキシエチルアセテートである。
【0164】
エーテルは、例えば、THF、ジオキサン、及びまたエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール又はトリプロピレングリコールのジメチル、ジエチル又はジ-n-ブチルエーテルである。
【0165】
ケトンは、例えば、アセトン、ジエチルケトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトン、メチルアミルケトン、及びtert-ブチルメチルケトンである。
【0166】
好ましい溶媒は、n-ブチルアセテート、酢酸エチル、プロピレングリコールジアセテート、1-メトキシプロパ-2-イルアセテート、2-メトキシエチルアセテート、及びまたこれらの混合物、より特定的には、上に列挙した芳香族炭化水素混合物、とりわけキシレン及びSolvesso(登録商標) 100を含むものである。
【0167】
この種類の混合物は、5:1~1:5の体積比、好ましくは4:1~1:4の体積比、より好ましくは3:1~1:3の体積比、非常に好ましくは2:1~1:2の体積比において調製されうる。
【0168】
好ましい例は、酢酸ブチル/キシレン、メトキシプロピルアセテート/キシレンを1:1、酢酸ブチル/溶媒ナフサ100を1:1、酢酸ブチル/Solvesso(登録商標) 100を1:2、及びKristalloel 30/Shellsol(登録商標) Aを3:1である。
【0169】
好ましいのは、酢酸ブチル、1-メトキシプロパ-2-イルアセテート、メチルアミルケトン、キシレン、及びSolvesso(登録商標) 100である。
【0170】
驚くべきことに、述べられた目的に関して、溶媒が様々に問題となることが見出されている。ケトン又は芳香族の混合物(例えば溶媒ナフサ混合物)を含む本発明によるポリイソシアネート組成物は、特に、貯蔵時の色数の発現に関して、特に重大である。対照的に、エステル、エーテル、及びある特定の芳香族、例えばキシレン及びその異性体混合物の削減は、あまり問題とはならない。芳香族の混合物と同様に、色の発現に役割を果たしうる、ベンジル性水素原子を同じく有するキシレン類に関する限り、これは驚くべきことである。更なる因子は、溶媒ナフサ混合物が、ポリイソシアネート組成物に使用する場合、供給源及び貯蔵時間次第で、色数ズレに対して著しく異なる効果を有しうることである。
【0171】
更に、使用される典型的な添加剤(F)は、例えば、次のものでありうる:他の抗酸化剤、UV安定剤、例えばUV吸収剤及び好適なフリーラジカル捕捉剤(とりわけ、HALS化合物、ヒンダードアミン光安定剤)、活性化剤(促進剤)、乾燥剤、充填剤、顔料、染料、帯電防止剤、難燃剤、増粘剤、チキソトロープ剤、界面活性剤、粘度調整剤、可塑剤、又はキレート剤。UV安定剤が好ましい。
【0172】
他の一次抗酸化剤は、例えば、第二級アリールアミンである。
【0173】
二次抗酸化剤は、好ましくは、亜リン酸エステル、ホスホニット、ホスホン酸エステル、及びチオエーテルからなる群から選択される。
【0174】
亜リン酸エステルとは、P(ORa)(ORb) (ORc)タイプの化合物であり、ただし、Ra、Rb、及びRcは、同一である又は異なる、脂肪族又は芳香族基(環状又はスピロ構造を形成してもよい)である。
【0175】
好ましいホスホニットは、参照により、本明細書において本開示内容の一部をなす、WO2008/116894、特にその11頁8行目~14頁8行目に記載されている。
【0176】
好ましいホスホン酸エステルは、参照により、本明細書において本開示内容の一部をなす、WO2008/116895、特にその10頁38行目~12頁41行目に記載されている。
【0177】
これらは、より特定的には、ジアルキルホスホネート及びジアルキルジホスホネートである。
【0178】
【0179】
これらの例は、モノ-及びジ-C1~C12アルキルホスホネート及びこれらの混合物であり、好ましくはジアルキルホスホネート、より好ましくはC1~C8アルキル基を有するもの、非常に好ましくはC1~C8アルキル基を有するもの、より特定的にはC1、C2、C4、又はC8アルキル基を有するものである。
【0180】
ジアルキルホスホネートにおけるアルキル基は、同一であっても異なってもよく、好ましくは同一である。
【0181】
C1~C12アルキル基の例は、メチル、エチル、イソプロピル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、2-エチルヘキシル、及び2-プロピルヘプチル、より特定的には、ジ-n-オクチルホスホネート、Irgafos(登録商標) OPH(上の画像参照)、及びジ-(2-エチルヘキシル)ホスホネートである。
【0182】
好ましいチオエーテルは、参照により、本明細書において本開示内容の一部をなす、WO2008/116893、特にその11頁1行目~15頁37行目に記載されている。
【0183】
好適なUV吸収剤は、オキサリニド、トリアジン類及びベンゾトリアゾール(後者は例えば、BASF SE社製のTinuvin(登録商標)製品として入手可能)、並びにベンゾフェノン類(例えば、BASF SE社製のChimassorb(登録商標) 81)を含む。好ましいのは、例えば、95%ベンゼンプロパン酸、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-, C7~9-分枝状及び直鎖状アルキルエステル;5%1-メトキシ-2-プロピルアセテート(例えば、Tinuvin(登録商標) 384)及びα-[3-[3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロピル]-ω-ヒドロキシポリ(オキソ-1,2-エタンジイル)(例えば、Tinuvin(登録商標) 1130)であり、各場合において、例えばBASF SE社の製品である。DL-アルファ-トコフェロール、トコフェロール、ケイ皮酸誘導体、及びシアノアクリレートを、同様にこの目的のために使用することができる。
【0184】
これらは、単独で、又は好適なフリーラジカル捕捉剤と一緒に用いることができ、その例は、立体障害型アミン(HALS又はHAS化合物;ヒンダードアミン(光)安定剤として識別されることも多い)、例えば、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、2,6-ジ-tert-ブチルピペリジン又はこれらの誘導体、例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケートである。これらは、例えば、BASF SE社製のTinuvin(登録商標)製品及びChimassorb(登録商標)製品として入手可能である。しかしながら、ルイス酸との併用において好ましいのは、N-アルキル化されたヒンダードアミンであり、その例は、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート(例えば、BASF SE社製のTinuvin(登録商標) 144);ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートとメチル(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)セバケートとの混合物(例えば、BASF SE社製のTinuvin(登録商標) 292)であり;又はN-(O-アルキル化物)、例えば、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1-(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル、1,1-ジメチル-エチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物等(例えば、BASF SE社製のTinuvin(登録商標) 123)、並びにとりわけ、HALSトリアジン「シクロヘキサンと過酸化N-ブチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジンアミン-2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン反応生成物による、2-アミノエタノール反応生成物」(例えば、BASF SE社製のTinuvin(登録商標) 152)である。
【0185】
UV安定剤は、典型的に、調製中に存在する固体成分に対して、0.1質量%~5.0質量%の量において使用される。
【0186】
好適な増粘剤としては、フリーラジカルによって(共)重合した(コ)ポリマーに加えて、典型的な有機及び無機増粘剤、例えばヒドロキシメチルセルロース又はベントナイトが挙げられる。
【0187】
使用することができるキレート剤としては、例えば、エチレンジアミン酢酸及びその塩、並びにまたβ-ジケトンが挙げられる。
【0188】
加えて、成分(G)として、充填剤、染料、及び/又は顔料が存在してもよい。
【0189】
真の意味における顔料は、CD Rompp Chemie Lexikon - Version 1.0、Stuttgart/New York: Georg Thieme Verlag 1995によれば、DIN 55943を参照して、微粒子状の「有機又は無機、有彩又は無彩であり、適用媒体に事実上不溶性の着色剤」である。
【0190】
事実上不溶性とは、ここでは、25℃において、1g/1000g適用媒体未満、好ましくは0.5g/1000g適用媒体未満、より好ましくは0.25g/1000g適用媒体未満、非常に特に好ましくは0.1g/1000g適用媒体未満、特に0.05g/1000g適用媒体未満の溶解性を意味する。
【0191】
真の意味における顔料の例は、吸収顔料及び/又はエフェクト顔料、好ましくは吸収顔料の任意の所望の系を含む。顔料成分の数及び選択に関して、いかなる制限もない。これらは、所望される通りに、例えば工程a)に記載されるように、例えば所望の認識される色等の特定の要件に適合されうる。例えば、主剤は、標準化ミキサー系のすべての顔料成分が可能である。
【0192】
エフェクト顔料とは、小板形状の構成を呈し、表面コーティングに特定の装飾的色効果を与えるすべての顔料である。エフェクト顔料は、例えば、効果を付与する顔料のすべてであり、乗り物の仕上げ及び産業コーティングにおいて典型的に使用することができる。このようなエフェクト顔料の例は、例えば、純粋な金属顔料、例えば、アルミニウム、鉄、若しくは銅顔料;干渉顔料、例えば、二酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、混合酸化物被覆マイカ(例えば、二酸化チタンとFe2O3、又は二酸化チタンとCr2O3によるもの)、金属酸化物被覆アルミニウム;又は液晶顔料である。
【0193】
着色吸収顔料は、例えば、コーティング産業において使用することができる、典型的な有機又は無機吸収顔料である。有機吸収顔料の例は、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、及びピロロピロール顔料である。無機吸収顔料の例は、酸化鉄顔料、二酸化チタン、及びカーボンブラックである。
【0194】
染料とは、同様に着色剤であるが、適用媒体中の溶解性において顔料とは異なる。すなわち、染料は、25℃における適用媒体中、1g/1000g超の溶解性を有する。
【0195】
染料の例は、アゾ、アジン、アントラキノン、アクリジン、シアニン、オキサジン、ポリメチン、チアジン、及びトリアリールメタン染料である。これらの染料は、塩基性若しくはカチオン性染料、媒染染料、ダイレクト染料、分散染料、顕色染料、建染め染料、金属錯体染料、反応性染料、酸染料、硫黄染料、カップリング染料、又は直接染料として用途が見出されている場合がある。
【0196】
色に対して不活性な充填剤とは、一方では色に対して活性がなく、すなわち、低い固有吸収を呈し、且つコーティング媒体の屈折率と同様の屈折率を有し、他方では表面コーティング中の、すなわち適用されたコーティングフィルム中のエフェクト顔料の配向性(平行配列)に、及びコーティング又はコーティング組成物の特性、例えば、硬度又はレオロジー等にも影響を及ぼすことができる、すべての物質/化合物である。使用することができる不活性な物質/化合物を下に例として与えるが、色に対して不活性な、位相幾何学に影響を及ぼす充填剤の概念を、これらの例に限定するものではない。定義を満たす好適な不活性充填剤は、例えば、透明又は半透明の充填剤又は顔料、例えば、シリカゲル、永久白、ケイソウ土、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、結晶性二酸化ケイ素、アモルファスシリカ、酸化アルミニウム、0.1~50μmのサイズを有する、例えばガラス、セラミック又はポリマーから作製された微小球又は中空微小球でありうる。加えて、不活性充填剤として、任意の所望の固体不活性有機粒子、例えば、尿素-ホルムアルデヒド縮合体、微粉化ポリオレフィンワックス、及び微粉化アミドワックス等を用いることができる。不活性充填剤は、各場合において、混合物においても使用することができる。しかしながら、各場合において、1種のみの充填剤を使用することが好ましい。
【0197】
好ましい充填剤はシリケートを含み、その例は、四塩化ケイ素の加水分解によって得ることができるシリケート、例えばDegussa社製のAerosil(登録商標)、ケイ質土、タルク、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム等である。
【0198】
本発明のポリイソシアネート組成物の構成は、例えば、次の通りである:
(A)20質量%~99.998質量%、好ましくは30質量%~90質量%、より好ましくは40~80質量%、
(B)10~2500質量ppm、好ましくは250~1000質量ppm、より好ましくは50~500質量ppm、
(C)0~10000質量ppm、好ましくは20~2000質量ppm、より好ましくは50~1000質量ppm、
(D)0~1000質量ppm、好ましくは5~300質量ppm、より好ましくは10~50質量ppm、
及び
(E)0質量%~80質量%、好ましくは10~70質量%、より好ましくは20質量%~60質量%、
(F)0~5%の添加剤、
ただし、合計は常に100質量%となる。
(G)任意選択で、上記成分(A)~(F)に追加される顔料。
【0199】
成分(G)が存在する場合、成分(G)は、成分(A)~(F)の組成に含まれない。
【0200】
本発明のポリイソシアネート組成物は、ポリウレタンコーティング材料において、少なくとも1種のバインダに加えて、硬化剤成分として有利に使用することができる。
【0201】
バインダとの反応は、適当な場合、長時間経った後に起こりうるが、したがって、これにはポリイソシアネート組成物の貯蔵が伴う。ポリイソシアネート組成物は、好ましくは室温で貯蔵されるが、より高温において貯蔵することもできる。産業では、このようなポリイソシアネート組成物を、40℃、60℃及び最高80℃にさえ加熱することが、全面的に可能である。
【0202】
バインダは、例えば、ポリオールの水性溶液、エマルション、又は分散体:ポリアクリレート-オール、ポリエステル-オール、ポリウレタン-オール、ポリエーテル-オール、及びポリカーボネート-オール分散体、並びにまたこれらのハイブリッド及び/又は述べられたポリオールの混合物でありうる。ハイブリッドとは、化学的に結合した分子部分を含み、述べられたものとは異なる基(又は他の同様のもの)を有する、グラフトコポリマー及び他の化学反応生成物を意味する。好ましいのは、ポリアクリレート-ポリオール分散体、ポリエステル-ポリオール分散体、ポリエーテル-ポリオール分散体、ポリウレタン-ポリオール分散体、ポリカーボネート-ポリオール分散体、及びこれらのハイブリッドである。
【0203】
ポリアクリレート-オールは、一次又は二次分散体、エマルション、及び溶液として調製することができる。ポリアクリレート-オールは、オレフィン性不飽和モノマーから調製される。ポリアクリレート-オールは、第1に、酸基を含有する、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基及び/若しくはホスホン酸基を有するコモノマー又はその塩であり、例えば、(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、又はビニルホスホン酸等である。ポリアクリレート-オールは、第2に、ヒドロキシル基を含有するコモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル又はアミド、例えば、2-ヒドロキシエチル及び2若しくは3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等である。ポリアクリレート-オールは、第3に、酸性基もヒドロキシル基も含有しない不飽和コモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸、スチレン及びその誘導体、(メタ)アクリロニトリル、ビニルエステル、ハロゲン化ビニル、ビニルイミダゾール等のアルキルエステルである。特性は、例えばポリマーの組成を通じて、及び/又は例えば、(異なる硬度を有する)コモノマーのガラス転移温度を通じて、影響を受けることがある。
【0204】
水性適用のためのポリアクリレート-オールは、例えば、EP358979(米国特許第5075370号)、EP557844(米国特許第6376602号)、EP1141066(米国特許第6528573号)又はEP496210(米国特許第5304400号)に記載されている。市販の二次ポリアクリレートエマルションの一例は、Bayhydrol(登録商標) A 145(Bayer MaterialScience社の製品)である。一次ポリアクリレートエマルションの例は、Bayhydrol(登録商標) VP LS 2318(Bayer MaterialScience社の製品)及びBASF AG社製のLuhydran(登録商標)製品である。
【0205】
他の例は、Cytec社製のMacrynal(登録商標) VSM 6299w/42WA、及びNuplex Resins社製のSetalux(登録商標) AQ製品、例えば、Setalux(登録商標) 6510 AQ-42、Setalux(登録商標) 6511 AQ-47、Setalux(登録商標) 6520 AQ-45、Setalux(登録商標) 6801 AQ-24、Setalux(登録商標) 6802 AQ-24、及びBASF Resins社製のJoncryl(登録商標)である。
【0206】
ポリアクリレート-オールはまた、コア-シェル構造の場合のように、不均一構造を有してもよい。
【0207】
水性適用のためのポリエステル-オールは、例えば、EP537568(米国特許第5344873号)、EP610450(米国特許第6319981号、重縮合樹脂)、及びEP751197(米国特許第5741849号、ポリエステル-ポリウレタン混合物)に記載されている。水性適用のためのポリエステル-オールは、例えば、Worlee-Chemie GmbH社製のWorleePol製品、Ashland-Sudchemie-Kernfest GmbH社製のNecowel(登録商標)製品、及びNuplex Resins社製のSetalux(登録商標) 6306 SS-60である。
【0208】
水性適用のためのポリウレタン-ポリオール分散体は、例えば、EP469389(米国特許第559805号)に記載されている。ポリウレタン-ポリオール分散体は、例えば、DSM NV社からDaotan(登録商標)のブランド名で販売されている。
【0209】
水性適用のためのポリエーテル-オールは、例えば、EP758007に記載されている。
【0210】
様々なポリオールのハイブリッド及び混合物は、例えば、EP424705(米国特許第417998号)、EP496205(米国特許第5387642号)、EP542085(米国特許第5308912号、ポリアクリレート/ポリエーテル混合物)、EP542105(米国特許第5331039号)、EP543228(米国特許第5336711号、ポリエステル/ポリアクリレートハイブリッド)、EP578940(米国特許第5349041号、ポリエステル/ウレタン/カーボネート)、EP758007(米国特許第5750613号、ポリアクリレート-ポリエーテル混合物)、EP751197(米国特許第5741849号)、EP1141065(米国特許第6590028号)に記載されている。
【0211】
ポリエステル/ポリアクリレートは、例えば、EP678536(米国特許第5654391号)に記載されている。二次ポリエステル/ポリアクリレートエマルションの一例は、Bayhydrol(登録商標) VP LS 2139/2(Bayer MaterialScience社の製品)である。
【0212】
本発明の水乳化性ポリイソシアネートを組み込むためには、一般に、本発明によって得られるポリイソシアネートを、ポリオールの水性分散体に分散させれば十分である。エマルションを発生させるには、一般に、0~108W/m3以下のエネルギー投入が要求される。
【0213】
分散体は、一般に、10質量%~85質量%、好ましくは20質量%~70質量%の固体含有量、及び10~500mPa*sの粘度を有する。
【0214】
フィルムを硬化させるためには、ポリイソシアネート組成物とバインダとを互いに、0.2:1~5:1、好ましくは0.8:1~1.2:1、とりわけ0.9:1~1.1:1のイソシアネート基のイソシアネート反応性基に対するモル比において混合させるが、任意の更なる典型的なコーティング構成成分が、混合によって任意選択で組み込まれてもよく、得られた材料を基材に適用し、室温~150℃において硬化させる。
【0215】
好ましい一変形形態では、コーティング材料混合物は、室温から80℃まで、より好ましくは60℃までにおいて硬化させる(例えば、オーブンに載置することが困難な、再仕上げ用途又は大型物品の場合)。
【0216】
別の好ましい用途では、コーティング材料混合物を、110~150℃において、好ましくは120~140℃において硬化させる(例えば、OEM用途の場合)。
【0217】
本発明の文脈における「硬化させる」とは、基材に適用したコーティング組成物を、少なくとも所望の不粘着状態が生じるまで、少なくとも上に指示した温度で加熱することによる、基材上の不粘着コーティングの生成を指す。
【0218】
本明細書の文脈におけるコーティング組成物とは、フィルムを形成すること及び硬化後の不粘着コーティングを目的とする、少なくとも1種の基材のコーティングのために提供される、少なくとも成分の混合物を意味する。
【0219】
少なくとも1種のコーティング組成物が、所望の厚さにおいてコーティングする基材に適用され、任意選択で存在するコーティング組成物の揮発性構成成分が、任意選択で加熱によって除去される、当業者に公知の典型的な方法によって、基材がコーティングされる。この操作は、所望の場合、1回以上繰り返されてもよい。基材への適用は、例えば、噴霧、こて塗り、ナイフコーティング、はけ塗り、ロール塗り、ローラーコーティング、流し塗り、積層、背面射出成形、又は共押出による、公知の方法において行ってよい。
【0220】
この種類の硬化させるためのフィルムの厚さは、(コーティング材料から溶媒が除去された状態におけるコーティング材料に対して、)0.1μm~最大数mm、好ましくは1~2000μm、より好ましくは5~200μm、非常に好ましくは5~60μmでありうる。
【0221】
加えて、本発明のマルチコート塗料系によってコーティングされた基材が、本発明によって提供される。
【0222】
この種類のポリウレタンコーティング材料は、とりわけ、特に高い適用信頼性、外装耐候性、光学品質、耐溶媒性、耐薬品性、及び耐水性が要求される用途に好適である。
【0223】
得られた2成分コーティング組成物及びコーティング配合物は、木材、単板、紙、厚紙、板紙、織物、フィルム、皮革、不織布、プラスチック表面、ガラス、セラミック、成形セメントブロック及び繊維セメントスラブ等の無機建築材料、又は金属等の基材をコーティングするのに好適であり、これらは各場合において、任意選択で下塗り又は前処理されていてもよい。
【0224】
この種類のコーティング組成物は、内装若しくは外装コーティングとして、又はこれらにおいて、すなわち、日光に曝露されるコーティング用途において、好ましくは、建物の一部のコーティング、(大型の)乗り物及び航空機におけるコーティング、並びに産業用途、農業及び建築における多目的車、装飾コーティング、橋梁、建築物、送電塔、タンク、コンテナ、パイプライン、発電所、化学プラント、船舶、クレーン、支柱、矢板工法、バルブ、パイプ、取り付け具、フランジ、継ぎ手、ホール、屋根、及び構造用鋼材、家具、窓、ドア、フロアリングブロック張り、缶コーティング及びコイルコーティング、床用被覆、例えば、駐車場の地ならし又は病院におけるものにおいて、特にOEMとしての自動車仕上げ及び再仕上げ用途において、好適である。
【0225】
この種類のコーティング組成物は、好ましくは、室温から80℃まで、好ましくは60℃まで、より好ましくは40℃までの温度において使用される。問題の物品は、好ましくは、大型機械、航空機、大容量の乗り物、及び再仕上げ用途等、高温で硬化させることができない物品である。
【0226】
特に、本発明のコーティング組成物は、クリアコート、ベースコート、及びトップコート材料、プライマー、並びにサーフェーサーとして使用される。
【0227】
長期間にわたって、ポリイソシアネート混合物の色安定性が維持されることが、本発明のポリイソシアネート組成物の利点である。
【0228】
この種類のポリイソシアネート組成物は、コーティング材料、接着剤、及びシーラントにおける硬化剤として用いることができる。
【0229】
低い色数及び高い色安定性によって、特にクリアコート材料用のコーティング組成物のために、より関心が持たれている。再仕上げ用途が、より特に好ましい。
【実施例】
【0230】
原材料:
ポリイソシアネートA:
22.0%のNCO含有量及び23℃において3000mPa*sの粘度を有するHDI-イソシアヌレート(BASF SE社製のBasonat(登録商標) HI 100 NG)。
【0231】
ポリエーテルC:
一官能性ポリ(エチレンオキシド)、メタノールを用いて出発し、水酸化カリウム系触媒を使用、112のOH含有量(DIN 53240)及び500g/molの平均分子量を有する。生成物を酢酸によって中和し、様々な残存カリウム塩を除去した。
【0232】
リン酸塩D:
40.0gのジブチル/モノブチルホスフェート(モル比0.8/1.0)と19.0gのトリエチルアミンとの混合物
【0233】
ポリイソシアネートの架橋合成:
ポリイソシアネート1:
908.0gのポリイソシアネートA、28.3gのポリエーテルC、及び63.6gのリン酸塩Dを、温度計(温度調節オイルバスに連結されている)、機械的撹拌機、冷却水凝縮器、及び窒素注入口を装備した1000mLの3つ首丸底フラスコに投入する。反応混合物を撹拌し、90℃で加熱する。3時間後、NCO含有量は、19.0%の値に達した。反応混合物を室温に冷却し、対応するポリイソシアネートは、23℃において4200mPa.sの粘度を示した。
【0234】
貯蔵試験
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
Irganox 1135: ベンゼンプロパン酸,3,5-ビス(1,1-ジメチル-エチル)-4-ヒドロキシ-C7~C9分枝アルキルエステル
【0239】
【手続補正書】
【提出日】2022-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- (A)
(a)少なくとも1種のジイソシアネート又はポリイソシアネート、
(b)次の式(I)及び(II):
【化1】
[式中、
R
1及びR
2は互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、又はアリールであり、上述の基の各々は、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子、及び/又は複素環によって置換されていてもよい]
をベースとする化合物の混合物を含む、少なくとも1種の界面活性剤であって、
前記式(I)及び(II)の化合物の混合物が、化合物(II)、すなわちモノエステル型化合物と化合物(I)、すなわちジエステル型化合物の間のモル比が5:95~95:5であることを特徴とする、少なくとも1種の界面活性剤、
並びに
(c)少なくとも1種の一官能性ポリアルキレングリコール
を反応させることによって得ることができる、少なくとも1種のポリイソシアネートと、
- (B)少なくとも1種の立体障害型フェノールと
を含む、ポリイソシアネート組成物。
【請求項2】
成分(a)が、脂肪族(脂環式)イソシアネートから合成されるポリイソシアネートである、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項3】
成分(a)が、イソホロンジイソシアネート及び/又は1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする、アロファネート及び/又はイソシアヌレート基を含有するポリイソシアネートである、請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項4】
成分(b)において、R
1及びR
2が互いに独立して、非置換アルキル又は非置換アリールでありうる、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項5】
R
1及びR
2が互いに独立して、フェニル、メチル、エチル、n-ブチル、及び2-エチルヘキシルからなる群から選択される、請求項4に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項6】
化合物(b)が、モノメチルホスフェート、ジメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、ジエチルホスフェート、モノn-ブチルホスフェート、ジn-ブチルホスフェート、モノ2-エチルヘキシルホスフェート、ジ2-エチルヘキシルホスフェート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項7】
化合物(c)が、式
R
4-O-[-X
i-]
k-H
[式中、
R
4は、C
1~C
20アルキル、1個若しくは複数の酸素及び/若しくは硫黄原子によって、並びに/又は1つ若しくは複数の置換若しくは非置換イミノ基によって割り込まれていない、又は割り込まれているC
2~C
20アルキルであり、或いはC
6~C
12アリール、C
5~C
12シクロアルキル、又は酸素、窒素及び/若しくは硫黄原子を含有する5員若しくは6員の複素環であり、上述の基の各々は、官能基、すなわち、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又は複素環によって置換されていてもよく、
kは、5~40の整数であり、
i=1~kである各X
iは独立して、-CH
2-CH
2-O-、-CH
2-CH(CH
3)-O-、-CH(CH
3)-CH
2-O-、-CH
2-C(CH
3)
2-O-、-C(CH
3)
2-CH
2-O-、-CH
2-CHVin-O-、-CHVin-CH
2-O-、-CH
2-CHPh-O-、及び-CHPh-CH
2-O-からなる群から選択することができ、
ここで、Phはフェニルであり、Vinはビニルである]
を満たす、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項8】
次のポリイソシアネート(A)の構成:合成成分(a)におけるイソシアネート基に対して、
(b)0.5~30質量%の式(I)及び/又は(II)の化合物、並びに
(c)(c)におけるイソシアネート反応性基に対して、少なくとも0.3質量%~最大25質量%
を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項9】
化合物(b)におけるホスフェート基が、少なくとも部分的に中和されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項10】
ホスフェート基が、第三級アミン(A1)によって少なくとも部分的に中和されている、請求項9に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項11】
化合物(B)が、2,6-ビス-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)、3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステル、ペンタエリストールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、3,3',3”,5,5',5”-ヘキサ-tert-ブチル-a,a',a”-(メシチレン-2,4,6-トリイル)トリ-p-クレゾール、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、イソオクチル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、及びオクタデシル3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートからなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
【請求項12】
ポリイソシアネート(A)に加えて、少なくとも1種の立体障害型フェノール(B)を含むポリイソシアネート組成物を、安定化する方法。
【請求項13】
ポリウレタンコーティング材料を調製するための方法であって、請求項1から11のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物を、イソシアネート反応性基を含む少なくとも1種のバインダと反応させる工程を含む、方法。
【請求項14】
ポリウレタンコーティング材料を調製するための方法であって、請求項1から11のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物を、ポリアクリレート-ポリオール分散体、ポリエステル-ポリオール分散体、ポリエーテル-ポリオール分散体、ポリウレタン-ポリオール分散体、ポリカーボネート-ポリオール分散体、及びこれらのハイブリッドからなる群から選択される少なくとも1種のバインダと反応させる工程を含む、方法。
【請求項15】
再仕上げ、自動車再仕上げ、大型の乗り物用コーティング、及び木質コーティングの区分における、プライマー、サーフェーサー、着色トップコート、ベースコート、及びクリアコート材料における、コーティング組成物中の硬化剤としての、並びにまたコーティング材料、接着剤、及びシーラントにおける硬化剤としての、請求項1から11のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物の使用。
【請求項16】
(a)少なくとも1種のジイソシアネート又はポリイソシアネート、
(b)アミンと、次の式(I)及び(II):
【化2】
[式中、
R
1及びR
2は互いに独立して、アルキル、シクロアルキル、又はアリールであり、上述の基の各々は、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子、及び/又は複素環によって置換されていてもよい]
をベースとする化合物の混合物とを含む、少なくとも1種の界面活性剤であって、
前記式(I)及び(II)の化合物の混合物が、化合物(II)、すなわちモノエステル型化合物と化合物(I)、すなわちジエステル型化合物の間のモル比が5:95~95:5であることを特徴とする、少なくとも1種の界面活性剤
、
並びに
(c)少なくとも1種の一官能性ポリアルキレングリコール
を反応させることによって得ることができる、少なくとも1種のポリイソシアネート(A)を含む混合物の色数を低減するための、少なくとも1種の立体障害型フェノール(B)の使用。
【国際調査報告】