(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】向上した送達および血漿半減期を有する局所用ロフルミラスト配合物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/44 20060101AFI20230323BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20230323BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20230323BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20230323BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20230323BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
A61K31/44
A61P17/00
A61P37/08
A61K47/10
A61K47/24
A61K9/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546613
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-10-03
(86)【国際出願番号】 US2021015740
(87)【国際公開番号】W WO2021155173
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518194257
【氏名又は名称】アーキュティス・バイオセラピューティクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】オズボーン,デビッド・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】チョウドリー,バスカー
(72)【発明者】
【氏名】サーストン,アーチー・ダブリュー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA07
4C076BB31
4C076CC07
4C076DD34
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD39
4C076DD45
4C076DD63F
4C076EE23
4C076FF31
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC17
4C086MA28
4C086MA63
4C086NA12
4C086ZA89
4C086ZB13
(57)【要約】
本発明は、ロフルミラストによる処遇の療法成績を向上させるための方法に向けられている。療法成績は、局所投与されるロフルミラスト組成物の一貫した送達および/またはより長い血漿半減期によって向上する。ロフルミラスト組成物は、好ましくはリン酸ジセチル、セテス-10リン酸、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよび/またはヘキシレングリコールを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロフルミラスト組成物の送達を向上させ、血漿半減期を延長するための方法であって、ロフルミラストを含む組成物にヘキシレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、リン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸を添加することを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記の組成物が、懸濁されたロフルミラスト粒子を含む方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記のヘキシレングリコールが、0.1~20%w/wの量で添加される方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記のリン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸が、界面活性剤ブレンドの一部として添加される方法。
【請求項5】
請求項5に記載の方法であって、前記の界面活性剤ブレンドが、リン酸ジセチル、セテス-10リン酸およびセテアリルアルコールを含む方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記の界面活性剤ブレンドが、10%w/wの量である方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記のロフルミラスト組成物が、水中油型エマルジョン、増粘水性ゲル、増粘ハイドロアルコール性ゲル、親水性ゲルおよび親水性または疎水性軟膏からなる群から選択される方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記のロフルミラスト組成物が、さらにアントラリン、アザチオプリン、タクロリムス、コールタール、メトトレキサート、メトキサレン、サリチル酸、乳酸アンモニウム、尿素、ヒドロキシ尿素、5-フルオロウラシル、プロピルチオウラシル(Propylthouracil)、6-チオグアニン、スルファサラジン、ミコフェノール酸モフェチル、フマル酸エステル類、コルチコステロイド類、コルチコトロピン、ビタミンD類似体、アシトレチン、タザロテン、シクロスポリン、レゾルシノール、コルヒチン、アダリムマブ、ウステキヌマブ、インフリキシマブ、気管支拡張薬および抗生物質からなる群から選択される追加の有効薬剤を含む方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記の組成物が、局所投与に適したキャリヤーを含む方法。
【請求項10】
ロフルミラストによる処置の療法成績を向上させるための方法であって、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、リン酸ジセチル、セテス-10リン酸およびロフルミラストを含む組成物をそのような処置を必要とする患者に毎日1回以上局所投与することを含み、前記の患者が2回連続で服用し忘れた場合にロフルミラストの血漿濃度が50%未満減少する方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記の患者が、アトピー性皮膚炎を患っている方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、3日服用し忘れた後にロフルミラストの血漿濃度が50%未満減少する方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、組成物が以下:
ロフルミラスト 0.3%w/w
白色ワセリン 10.0%w/w
パルミチン酸イソプロピル 5.0%w/w
セテアリルアルコール、リン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸 10.0%w/w
ヘキシレングリコール 2.0%w/w
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 25.0%w/w
メチルパラベン 0.2%w/w
プロピルパラベン 0.05%w/w、および
精製水 100まで十分量(47.25%)
を含み、pHが5.5に調整される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年9月20日に出願された米国一連番号16/136,804の一部継続出願であり、それは、2017年12月20日に出願された米国一連番号15/848,505(現在は2018年10月23日に発行された米国特許第10,105,354号)の継続出願であり、それは、2017年8月14日に出願された米国一連番号15/676,356(2018年2月6日に発行された米国特許第9,884,050号)の継続出願であり、それは、2017年6月7日に出願された米国一連番号15/616,409(2018年2月20日に発行された米国特許第9,895,359号)の分割出願であり、その開示は、参照によりそのまま本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、局所投与されたロフルミラストの排出動態を向上させるための方法に関する。より詳細には、本発明は、局所投与後の向上した送達およびより長い半減期を有するように配合された薬学的に許容可能なエマルジョン、懸濁液、ゲル、泡状物質または溶液に関する。
【背景技術】
【0003】
適切に処方された医薬的処置へのアドヒアランスの増大は、より良好な療法成績と関係する。この薬学の自明の理は、HIVの処置のための抗レトロウイルス(ART)療法の導入後に熱心な研究および定量化の対象であった。ART療法へのアドヒアランスに悪影響を及ぼす要因の決定(Schaecher 2013)は、患者のケア(罹患率および死亡率の低下)およびウイルス抑制の維持(HIV伝染のリスクを減らすための鍵)の両方に対して重要であった。ARC処置のアドヒアランスに強く影響を及ぼした2つの要因は、以下のものであった:1)処方された処置の遵守における困難、および2)処置に関連する副作用、特に胃腸の有害事象の発生。公衆衛生上の懸念はより少ないものの、乾癬のような慢性皮膚障害を患っている患者による処置のアドヒアランスも、研究されてきた(Kircik,2008)。ART療法と非常に類似して、乾癬処置のアドヒアランスは、処方された処置が日課に干渉するかまたは1日1回よりも頻繁な投与を必要とするためにそれに従うのが困難である場合、悪影響を受ける。乾癬の局所処置に関して、1日1回の投与計画に関するアドヒアランス率は、1日2回の投与計画に関する44%しかないアドヒアランス率と比較して、82%であった(Zaghloul,2004)。慢性の皮膚病に関して、処置へのアドヒアランスは、処置の期間が長い場合、低下する(Rosenstock,1985)。これは、局所適用の最初の週以内の乾癬性プラークの顕著な改善(大きさ、厚さまたは炎症における低減として定義される)は疾患の顕著な消失の前に3または4週間を必要とする療法と比較して処置のアドヒアランスを向上させることを意味している。
【0004】
処置の実施に関連するアドヒアランスは、局所療法の開始および中止の間の患者の実際の投与計画および処方された投与計画における一致のレベルである。乾癬患者に関して、療法の中止は、プラークが完全に消失するかもしくはほぼ消失した際に、または有害事象もしくは有効性の欠如により療法が放棄された際に起こる。処方された処置を守らないことは、アドヒアランス不全と呼ばれる。アドヒアランス不全は、連続しない服用し忘れ(missed doses)または偶然の2回連続の服用し忘れとして示され得るランダムな服用し忘れであることが最も多い。3回以上連続した服用し忘れは、この最も深刻なアドヒアランス不全を示すために休薬日と定義され得る。患者が“私が服用し忘れたら何が起こるのですか”と尋ねた場合、その質問は、アドヒアランス不全に関する患者の懸念と呼ばれる。1日2回または4回の投与と比較して、1日1回の処置計画を受ける人々のより一般的な懸念の1つが、アドヒアランス不全である。
【0005】
療法的成功が不完全なアドヒアランスの下でどれくらい影響を受けやすいかの状況は、“寛容性”として知られる特性によって駆動される(Urquhart、1997)。寛容な薬物は、療法成績が不完全なアドヒアランスの一般的なパターンに対して堅牢である薬物であろう。寛容性は、特定の配合物から投与される原薬の作用の持続時間および薬物製品の投与間隔の関数である。作用の持続時間が投与間隔を大きく超える場合、薬物は、寛容であると考えられる。寛容性指数は、薬物作用の最小限の喪失を伴なって起こり得る連続する服用し忘れの回数である。薬物作用の持続時間は、薬物物質に固有の薬物動態(PK)および薬力学(PD)特性ならびに薬物送達系の外因性PK特性に関する。
【0006】
薬物作用の持続時間の原因である1つの因子は、血漿半減期である。薬物の血漿濃度は、1半減期後に半減する。それぞれの後続する半減期において、血漿濃度は減少し、従ってより少ない薬物が排出される。従って、1半減期後に、吸収された薬物の50%が体内に残存し;2半減期後に、薬物の25%が体内に残存し、4半減期後に、薬物の6.25%が体内に残存し、それは、有意な療法的作用を有する可能性は低い。薬物の半減期は、適切な投与間隔を決定する上で重要である。短い半減期の薬物に関する半減期の小さな向上は、投与される用量を有意に低下させ得る。短い半減期は、結果として高いピーク対トラフ比をもたらし、より頻繁な投与を必要とする。より頻繁な投与は、結果として患者のコンプライアンスの低下(不完全なアドヒアランス)により不十分な患者の成績をもたらし得る。
【0007】
ロフルミラストは、気管支療法剤として、ならびに炎症性障害の処置に関して適切であることが知られている。ロフルミラストを含有する組成物は、ヒトおよび獣医学において使用され、炎症性およびアレルゲン誘発性気道障害(例えば気管支炎、喘息、COPD);皮膚疾患(例えば増殖性、炎症性およびアレルゲン誘発性皮膚障害);ならびに胃腸領域における汎発性炎症(クローン病および潰瘍性大腸炎)を含むがそれらに限定されない疾患の処置および予防に関して提案されてきた。
【0008】
ロフルミラストおよびその合成は、本明細書に参照により援用される米国特許第5,712,298号(”’298号特許”)において記載された。*(*別途示されない限り、本明細書に参照により援用される参考文献は、全ての目的に関してそのまま援用される。)ロフルミラストのようなホスホジエステラーゼ(PDE)阻害特性を有する医薬化合物は、乾癬およびアトピー性皮膚炎(’298号特許、第11欄(col)52~61行)ならびに他の慢性炎症性およびアレルゲン誘発性皮膚疾患を処置するために有用であることが、長い間認識されてきた。そのような皮膚疾患の処置のために、局所適用のためのロフルミラストエマルジョン、懸濁液、ゲルまたは溶液が、記載されている(’298号特許、第12欄、37~64行)。ロフルミラストの経口錠剤は、商品化されているが、その化合物の低い水溶性は、国際公開第95/01338号(’298号特許に対応し、参照により本明細書にそのまま援用される)において21℃でわずか0.53mg/lであると報告されている。この低い水溶性は、水を含有する非経口製剤および局所用エマルジョン、懸濁液、ゲルまたは溶液の開発に関して問題になっていた。米国特許第9,205,044号(参考により本明細書に援用される)において、ロフルミラストの不十分な水溶性は、非経口投与のための共溶媒としてアルコキシル化脂肪、特にポリオキシエチル化12-ヒドロキシステアリン酸を使用することによって克服された。欧州特許第1511516B1号(参考により本明細書に援用される米国特許出願公開第14/075,035号に対応する)では、ロフルミラストの低い水溶性は、局所用エマルジョン(クリーム)配合物において、水の重量百分率を10%未満に保ちながら62%(w/w)を超える濃度でポリエチレングリコール400(PEG 400)と共に配合することにより克服された。
【0009】
ロフルミラストのような強力な薬理学的薬剤の局所適用は、優れた送達、より低い全身曝露および患者に関するより大きな使用の容易さを提供することが、見出されている。化合物の分子構造は、製品が適用される組織の上皮を横切る薬物の能力を最終的に決定する。皮膚への局所適用に関して、配合物の構成要素の選択は、配合者(formulator)が達成することができる最大皮膚透過を決定する。クリーム、ローション、ゲル、軟膏および泡状物質は、皮膚への適用のための有効医薬成分(API)を含有する局所用製品のよりよく知られている形態のほんの少数である。皮膚中へのまたは皮膚を横切るAPIの一貫した送達を保証するため、それは、以下のどちらかでなければならない:1)局所用製品の貯蔵寿命にわたって溶解したままであるか、または2)局所用製品の貯蔵寿命にわたって不変の晶癖及び不変の粒径分布を有する粒子として懸濁されたままである。
【0010】
溶解した有効成分が皮膚の障壁を透過する能力は、その分子構造によって決定される。分子構造および皮膚浸透との間の周知の関係は、分子量の増大が皮膚を横切る有効物質の速度を低下させることである(JD Bos, MM Meinardi, Exp Dermatol. 2000 Jun;9(3):165-9)。別のよく理解されている関係は、親水性有効物質のオクタノール-水分配係数を増大させることは最初は有効物質が皮膚を透過する速度を増加させるが、次いで一度有効物質が親油性になりすぎて角質層を出て表皮の下層中に分配されなくなると、皮膚透過を減少させることである(D.W. Osborne and W.J. Lambert, Prodrugs for Dermal Delivery, K.B. Sloane ed., Marcel Dekker, New York 163-178 (1992))。最適なオクタノール-水分配係数は、通常は2~3のlog P値においてである。有効成分が生存可能な表皮中に入る(crosses into)速度は、局所用製品の組成に基づいてさらに修正され得る。溶解したイオン化した有効成分は典型的には電荷を担持しない有効成分ほど有効に皮膚を透過しないため、配合物の最終pHは、重要であり得る(N. Li, X. Wu, W. Jia, M.C. Zhang, F. Tan, and J Zhang. Drug Dev Indust Pharm 38(8)985-994)。機能性成分、例えば皮膚浸透促進剤(D.W. Osborne and J.J. Henke, Pharmaceutical Technology 21(11)58-66(1997))が、皮膚浸透を増大させるために局所用製品に添加されることができる。局所製剤中の溶解した有効物質に関して、薬物濃度が薬物製品を飽和させるために必要とされる有効物質の量に近いほど、有効物質が皮膚を横切る熱力学的駆動力がより大きくなり、すなわち有効物質の皮膚フラックスがより大きくなる。科学文献は、極性経路、非極性経路および細胞間脂質経路を通る浸透または経毛包(transfollicular)浸透をどれくらい増大させるかに関して配合者を導く。これらの理論および機序は時に矛盾しているが、局所用製品からの薬物の最も一貫した皮膚透過は有効成分が配合物中で溶解させられる際に起こることが、一般に受け入れられている。この理由のため、配合者は、一般にラベルで示された貯蔵指示に従う貯蔵の間に有効成分の粒子または結晶が沈殿するであろう局所用製品を開発することを避ける。有効成分の沈殿は、様々な理由で起こり得る。特定の有効成分は、特定の医薬的賦形剤と共に配合された際に、過飽和溶液を形成する傾向があるであろう。製造時には、有効成分の全ては、溶液中にあるであろう。数日、数週間または数ヶ月後、この準安定な局所用製品は、平衡化し、有効成分粒子が、形成されるであろう。局所用製品がエタノールのような揮発性溶媒を含有する場合、貯蔵時の溶媒の蒸発は、結果として有効成分の沈殿をもたらし得る。溶解性がより低い多形体(Pudipeddi and Serajuddin, J. Pharm. Sci., 94(5) 929-939 (2005))は、局所用製品中で核となり、再溶解しないであろう有効成分粒子を形成し得る。他の製品は、有効成分の飽和限界に近すぎるように配合される可能性があり、それは、貯蔵温度におけるわずかな変化が沈殿を引き起こすであろうという結果を伴う。輸送の間に起こり得る劇的な温度変化は有効成分の可逆的な沈殿を引き起こすことが予想されることは、留意されるべきである。理由にかかわらず、局所用製品の貯蔵の間の有効成分の不可逆的な沈殿は、溶解した有効成分のみが皮膚の上皮の最外層である無傷の角質層中に浸透することができるため、局所用製品の生物学的利用能および有効性への重大な作用を有し得る。
【0011】
懸濁された有効成分に関して、分子構造に加えて、特性が皮膚透過に影響を及ぼす。溶解した有効成分対懸濁された有効成分の比は、局所適用後に送達される有効物質の量に有意な影響を有し得る。最適な薬物送達は、特定の薬物および特定の疾患に関して、表皮の角質層を透過し全身的に利用可能になる能力を有する溶解した有効成分を表皮の角質層を容易に横切らない微粒子状態の有効成分と共に含む局所組成物を利用することによって達成され得ることが、示されている(参照により本明細書に援用される米国特許第5,863,560号)。懸濁された有効成分の、その送達に影響を及ぼす別の特性は、懸濁された粒子の大きさの分布である。6ミクロンの粒子は毛包を標的とし、終毛において500マイクロメートルの深さまで浸透するであろうことが、示されている。0.75ミクロン~1.5ミクロンの大きさの懸濁された粒子に関して、粒子は、800マイクロメートルの深さまで終毛幹に浸透する(A Patzelt, F Knorr, U Blume-Peytavi, W Sterry, J Lademann, Drug Discovery Today: Disease Mechanisms, 5(2)2008 pages e173-e181)。従って、懸濁された有効成分に関して、皮膚透過性は、以下の特性に依存する:1)溶解した有効成分の分子構造、2)懸濁された有効成分の粒子/結晶構造、3)懸濁された有効成分の粒径、および4)懸濁された有効成分の粒径分布。局所用製品組成物の皮膚透過を改変する能力は、懸濁された有効成分および溶解した有効成分に関して類似している。皮膚透過性は懸濁された有効成分のさらなる特性に依存するため、懸濁された有効物質を含有する局所用製品からの一貫した送達は、溶解した有効成分のみを含有する局所用製品に関するよりも維持することが困難である。
【0012】
局所用製品からの懸濁された有効成分の一貫した送達は、懸濁された粒子が製品の貯蔵寿命にわたって大きさまたは量において有意に変化しない製品中への配合によって保証される。溶解した有効成分対粒子状有効成分の比率における経時的な変化は、有効成分の皮膚透過を劇的に変化させ得る。溶解した有効成分の沈殿を引き起こし得る上記と同じ機序(過飽和、温度変化、蒸発、多形転移)は、懸濁された有効成分に関する溶解対粒子比を変化させ得る。分散した有効成分の粒径または粒径分布における経時変化も、有効成分の皮膚透過を劇的に変化させ得る。時には、粒径または粒径分布におけるこの変化は、粒子のオストワルド熟成によって説明され得る。オストワルド熟成は、局所用製品中の小さい粒子が溶解し、局所用製品の同じ容器中に懸濁されたより大きい粒子上に再析する際に起こる。時間の経過に伴い、この現象は、より小さい粒子を犠牲にしてより大きい粒子に向かって粒径分布をシフトさせる。より可溶性の低い多形体のオストワルド熟成および沈殿は、懸濁された有効物質を含有する局所用製品の開発における2つの主な問題である。
【0013】
局所用製品からの懸濁された有効成分の一貫した送達に加えて、処置の成功は、有効成分の排出動態にも依存する。薬物が患者の体の中に吸収された後、排出が始まり、それによって経時的に濃度を低下させる。半減期は、薬物が有効であろう時間の長さを決定する。即時放出経口ロフルミラスト(Huang,2018)の0.375mgの用量を複数回投与した場合、薬物の平均血漿半減期は約1日であることが見出された(12人の対象の平均値は、25.6時間であり、標準偏差は、8.5時間であった)。最高血漿濃度(1mLの血漿あたり11.4ngのロフルミラスト)は、ロフルミラストに関して経口投与の約1時間後に生じるため、最初に服用し忘れた時点(直近の投与の1日後)での平均血漿濃度は、おおよそ5.7ng/mL(11.4ng/mLの最高血漿濃度の半分)であろう。2回連続で服用し忘れられた場合、ロフルミラストの血漿濃度は、直近の投与の2日後に約2.8ng/mL、処置へのアドヒアランスに戻る直前に約1.4ng/mLであると考えられ、すなわち、患者は、3回連続で服用し忘れることはなく、ロフルミラストの直近の経口投与の72時間後に錠剤を服用する。ロフルミラストの半減期が増大させられることができ、その結果ロフルミラストの全身血漿レベルが1回服用し忘れられる日ごとに半分までは減少しない場合、薬物送達システムに関する寛容性指数は、増大するであろう。経口ロフルミラストに関して、Huangによって研究された即時放出錠の代わりの徐放性経口薬物送達システムの使用は、ロフルミラストを1回以上服用し忘れた患者に利益をもたらすであろう製品のアドヒアランス不全の寛容性を増大させるための外因性PK特性改変の一例であろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第5,712,298号
【特許文献2】国際公開第95/01338号
【特許文献3】米国特許第9,205,044号
【特許文献4】欧州特許第1511516B1号
【特許文献5】米国特許出願公開第14/075,035号
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Schaecher 2013
【非特許文献2】Kircik,2008
【非特許文献3】Zaghloul,2004
【非特許文献4】Rosenstock,1985
【非特許文献5】Urquhart,1997
【非特許文献6】JD Bos, MM Meinardi, Exp Dermatol. 2000 Jun;9(3):165-9
【非特許文献7】D.W. Osborne and W.J. Lambert, Prodrugs for Dermal Delivery, K.B. Sloane ed., Marcel Dekker, New York 163-178 (1992)
【非特許文献8】N. Li, X. Wu, W. Jia, M.C. Zhang, F. Tan, and J Zhang. Drug Dev Indust Pharm 38(8)985-994
【非特許文献9】D.W. Osborne and J.J. Henke, Pharmaceutical Technology 21(11)58-66(1997)
【非特許文献10】Pudipeddi and Serajuddin, J. Pharm. Sci., 94(5) 929-939 (2005)
【非特許文献11】A Patzelt, F Knorr, U Blume-Peytavi, W Sterry, J Lademann, Drug Discovery Today: Disease Mechanisms, 5(2)2008 pages e173-e181
【非特許文献12】Huang,2018
【発明の概要】
【0016】
乾癬のような慢性皮膚病を局所的に処置する場合、1日1回の投与を有する製品を開発することの処置アドヒアランスの利益は、1日1回局所適用する患者に関するアドヒアランス不全に関する増大した懸念によって相殺される。内因性PK/PD特性による1日の経口半減期を有する医薬有効物質であるロフルミラストでさえ、作用の持続時間を有意に増大させる、すなわち局所用ロフルミラストに関する血漿半減期を増大させる局所徐放性配合物から利益を得るであろう。
【0017】
より長い半減期および一貫した送達を有する局所用ロフルミラスト配合物は、有利であろう。複数回の局所適用後に1日、2日またはより多い日数の服用し忘れのようなアドヒアランス不全にもかかわらず一貫した送達および療法上有効な用量レベルを維持することができるロフルミラストを含有する医薬配合物を開発および提供することは、有利であろう。
【0018】
本発明によれば、ヘキシレングリコールは、薬学的に許容可能な溶媒を含有する配合物中で懸濁された、または沈殿したロフルミラスト粒子の結晶成長を阻害し、従って結果としてよりよい皮膚透過性のために局所適用される配合物により一貫した送達をもたらすことが発見されている。加えて、ロフルミラストを含有する局所配合物中に溶媒ならびにリン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸のリン酸エステル界面活性剤ブレンドを含めることは、血漿半減期および作用の持続時間を増大させる。増大した半減期および作用の持続時間は、アドヒアランス不全が療法の成功を減少させるであろうという懸念を取り除き、局所適用されたロフルミラストのアドヒアランス不全寛容性を増大させる。
【0019】
特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図を含む。カラーの図を有する本特許または特許出願公開のコピーは、請求し必要な料金を支払えば庁により提供されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、ferrer-Interquim S.A.バッチA14367Pからの試料19-2の“乾燥”ロフルミラスト結晶(本明細書における全ての実施例で用いられている原薬)を示す。ロフルミラスト結晶は、長さ0.01mm~0.02mmである。
【
図2】
図2は、室温で6週間貯蔵した後の等モルヘキシレングリコール:水溶液中に懸濁された試料20-3のロフルミラスト結晶を10倍の倍率下で示す。ロフルミラスト結晶は、長さ0.01mm~0.02mmである。
【
図3】
図3は、室温で6週間貯蔵した後の等モルジエチレングリコールモノエチルエーテル:水溶液中に懸濁された試料20-2のロフルミラスト結晶を示す。ロフルミラスト結晶は、長さ0.04mm~0.20mm、幅0.01mm~0.02mmである。
【
図4】
図4は、室温で6週間貯蔵した後の等モルヘキシレングリコール:水溶液中に懸濁された試料20-3のロフルミラスト結晶を4倍の倍率下で示す。ロフルミラスト結晶は、長さ0.01mm~0.02mmである。
【
図5】
図5は、室温で6週間貯蔵した後の等モルエタノール:水溶液中に懸濁された試料21-2のロフルミラスト結晶を示す。ロフルミラスト結晶は、長さ0.05mm~0.25mmおよび幅0.02mmである。
【
図6】
図6は、室温で6週間貯蔵した後の等モルPEG 400:水溶液中に懸濁された試料21-3のロフルミラスト結晶を示す。ロフルミラスト結晶は、長さ0.05mm~0.07mmおよび幅0.02mmである。
【
図7】
図7は、室温で6週間貯蔵した後の等モルDMSO:水溶液中に懸濁された試料21-4のロフルミラスト結晶を示す。ロフルミラスト結晶は、長さ0.10mm~0.67mmおよび幅0.02mm~0.10mmである。
【
図8】
図8は、室温で6週間貯蔵した後の等モルプロピレングリコール:水溶液中に懸濁された試料21-5のロフルミラスト結晶を示す。ロフルミラスト結晶は、長さ0.20mm~1.60mmおよび幅0.02mmである。
【
図9】
図9は、室温で6週間貯蔵した後の等モルNMP:水溶液中に懸濁された試料20-1のロフルミラスト結晶を示す。ロフルミラスト結晶は、長さ0.10mm~1.55mmおよび幅0.02mm~0.13mmである。
【
図10】
図10は、室温で6週間貯蔵した後のHG:NMP:水(水のモル分率=1.2)溶液中に懸濁された試料21-1のロフルミラスト結晶を示す。ロフルミラスト結晶は、長さ0.02mm~0.04mmおよび幅0.02mmである。
【
図11】
図11Aおよび11Bは、1回の凍結融解サイクルの後にクリーム組成物中で沈殿したロフルミラスト粒子を示す。
図11Aは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGEE)を含みヘキシレングリコールを含まないクリーム組成物中で沈殿した試料36-1のロフルミラスト粒子を示す。3個の最も大きいロフルミラスト粒子が測定され(0.07mm×0.09mm;0.06mm×0.06mm;および0.10mm×0.05mm)、5,000平方ミクロンの平均表面積を有することが分かった。
図11Bは、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGEE)およびヘキシレングリコールの両方を含むクリーム組成物中で沈殿した試料36-2のロフルミラスト粒子を示す。3個の最も大きいロフルミラスト粒子が測定され(0.05mm×0.03mm;0.05mm×0.03mmおよび0.05mm×0.03mm)、1,500平方ミクロンの平均表面積を有することが分かった。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ロフルミラストは、式(I)の化合物であり、
【0022】
【0023】
式中、R1は、ジフルオロメトキシであり、R2は、シクロプロピルメトキシであり、R3は、3,5-ジクロロピリド-4-イルである。
この化合物は、化学名N-(3,5-ジクロロピリド-4-イル)-3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシベンズアミド(INN:ロフルミラスト)を有する。
【0024】
ヘキシレングリコール(PharmaGrade.USP/NF)は、式(II)の2-メチル-2,4-ペンタンジオールである。
【0025】
【0026】
セテアリルアルコール(CAS 67762 30 0)、リン酸ジセチル(CAS 2197 63 9)およびセテス-10リン酸(CAS 50643-20-4)の乳化剤ブレンドは、Crodaにより商品名CRODAFOS(商標)CESの下で製造されている。この商業的に入手可能な乳化剤ブレンドは、主に10~20%のリン酸ジセチルおよび10~20%のセテス-10リン酸と組み合わせられた蝋状物質セテアリルアルコール(それは、セチルアルコール(C16H34O)およびステアリルアルコール(C18H38O)の混合物である)である自己乳化ワックスである。自己乳化ワックスは、水とブレンドされた際にエマルジョンを形成する。CRODAFOS(商標)CESが水に添加されると、それは、自発的に約3のpHを有するエマルジョンを形成する。水酸化ナトリウム溶液が、pHを所望の値まで上昇させるために添加される。
【0027】
【0028】
本発明は、ヘキシレングリコール、溶媒ならびに/またはリン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸のリン酸エステル界面活性剤ブレンドを水を含む薬学的に許容可能な溶媒を含有するロフルミラスト含有医薬組成物に添加して組成物中のロフルミラスト結晶の成長を阻害すること、および/または投与後の患者の体内でのロルフミラストの半減期を延長することに向けられている。
【0029】
懸濁されたロフルミラスト粒子または結晶を含有するように設計された局所用製品に関して、ロフルミラストを含有する組成物へのヘキシレングリコールの添加は、製品の貯蔵寿命にわたって粒径分布の変化を阻害し(すなわち、予防するかまたはヘキシレングリコールを含有しない組成物と比較して実質的に低減し)、一貫した生物学的利用能を保証する。ロフルミラストを完全に溶解させるように設計された局所用製品に関して、ヘキシレングリコールは、沈殿したロフルミラスト粒子の成長を阻害する。
【0030】
ラベルに表示された貯蔵条件に関して製品の貯蔵寿命にわたって完全に溶解した原薬を有する薬物製品は、製品が著しい熱力学的駆動力を維持するように配合されている場合、有効物質が沈殿するであろう。局所用医薬クリームに関する典型的な貯蔵条件は、以下の通りである:室温(60°F/15℃~80°F/26℃)で貯蔵する。凍結させない。局所用製品が常にこの温度範囲にわたって保管されるわけではないであろうことは、製品開発科学者および規制当局の審査官には理解されている。従って、FDAは、全ての局所用製品が凍結融解サイクルおよび温度逸脱(excursion)試験を受けることを要求する。有効物質は、製品がラベルに示された貯蔵条件の15℃(60°F)を劇的に下回る-20℃の温度に曝露された場合に、溶液中に留まることを必要とされず、留まることを期待されることもない。完全に溶解した薬物を含有する局所用製品は通常は飽和付近、すなわち最大熱力学的駆動力付近で配合されるため、ほとんどの局所用製品は、凍結融解サイクルまたは温度逸脱試験の間に有効成分の沈殿を経験する。ヘキシレングリコールの添加は、ラベルに表示された貯蔵条件より下の温度逸脱により沈殿が生じる場合にロフルミラストの結晶成長を予防する。結晶成長を阻害することは、一度生成物が制御された室温に戻ったら全ての沈殿した有効物質が完全に溶解した状態に迅速に戻るであろうことを保証する。沈殿したロフルミラストを完全に溶解した状態に迅速に戻すことは、局所適用される製品の一貫した再現性のある生物学的利用能、有効性および安全性を保証する。ヘキシレングリコールは、重量/重量基準で0.1%~20%、好ましくは重量/重量基準で0.25%~8%、最も好ましくは重量/重量基準で0.5%~2%添加されることができる。
【0031】
投与後の患者の体内でのロルフミラストの半減期を延長するために、リン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸自己乳化ワックスブレンドならびに溶媒が、配合物中に含まれる。ヒトにおける静脈内投与後のロフルミラストの血漿半減期は、約15時間であり;経口投与後は、血漿半減期は、約17~30時間である(Bethke et al., High Absolute Bioavailability of the New Oral Phosphodiesterase-4 Inhibitor Roflumilast, International Journal of Clinical Pharmacology and Therapeutics, vol. 49, No.1, 2011, pp.51-57を参照)。リン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸の自己乳化ワックスブレンドならびに溶媒を含む配合物の局所投与後のロフルミラストの血漿半減期は、3.4~3.7日(約81~89時間)である。
【0032】
ヘキシレングリコール、リン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸の自己乳化ワックスブレンドならびに/または溶媒の添加から利益を得る局所的ロフルミラスト製品配合物は、エアロゾル、泡状物質、スプレー、エマルジョン(クリーム、ローションまたは軟膏とも呼ばれ得る)、ゲル(二相または単相)、液体、軟膏、ペースト、シャンプー、懸濁液およびシステムを含むが、それらに限定されない。これらは、医薬有効成分を含有する剤形に関する概要分類学(compendia taxonomy)(米国薬局方<1151>)内の2段目(Tier2)の用語である。
【0033】
ロフルミラスト配合物は、当技術分野で既知の方法によって調製されることができる(例えば’298号特許および米国特許出願公開第14/075,035号を参照)。
好ましくは、ヘキシレングリコール、リン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸の自己乳化ワックスブレンドならびに/または溶媒が、0.005~2.0%ロフルミラストを含有する組成物に添加され、それは、以下の形態の1つであることができる:
水中油型エマルジョン:製品は、ヘキシレングリコール、リン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸の自己乳化ワックスブレンドならびに/または溶媒が疎水性構成要素の分離した相ならびに水および場合により1種類以上の極性親水性賦形剤ならびに追加の溶媒、共溶媒、塩類、界面活性剤、乳化剤および他の構成要素を含む連続した水相を含むエマルジョンに添加される配合物であることができる。これらのエマルジョンは、エマルジョンを安定化するのを助ける水溶性または水膨潤性ポリマーを含むことができる。好ましくは、乳化剤は、リン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸の自己乳化ワックスブレンドである。
【0034】
増粘水性ゲル:これらの系は、例えば下記のような適切な天然、改質天然または合成増粘剤によって増粘されている水相を含む。あるいは、増粘水性ゲルは、適切なポリエトキシレートアルキル鎖界面活性剤または他の非イオン系、陽イオン系もしくは陰イオン系を使用して増粘されることができる。
【0035】
増粘ハイドロアルコール性ゲル:これらの系は、下記のような適切な天然、改質天然または合成ポリマーによって増粘されている水およびアルコールのブレンドを極性相として含む。あるいは、増粘ハイドロアルコール性ゲルは、適切なポリエトキシレートアルキル鎖界面活性剤または他の非イオン系、陽イオン系もしく陰イオン系を使用して増粘されることができる。アルコールは、エタノール、イソプロピルアルコールまたは他の薬学的に許容可能なアルコールであり得る。
【0036】
親水性ゲル:これらは、連続相が水以外の少なくとも1種類の水溶性または水分散性親水性構成要素を含む系である。配合物は、場合により60重量%までの水も含有し得る。より高いレベルが、一部の組成物において適切であり得る。適切な親水性構成要素は、1種類以上のグリコール類、例えばポリオール類、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール類、ポリエチレングリコール類(PEG)、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドのランダムまたはブロックコポリマー、分子あたり1以上の疎水性部分を有するポリアルコキシル化界面活性剤、シリコーンコポリオール類、セテアレス-6およびステアリルアルコールのブレンドならびにそれらの組み合わせ等を含む。
【0037】
油中水型エマルジョン:組成物は、ロフルミラストが疎水性構成要素の連続相ならびに水および場合により1種類以上の極性親水性キャリヤー(単数または複数)ならびに塩類または他の構成要素を含む水相を含むエマルジョン中に組み込まれている配合物であることができる。これらのエマルジョンは、油溶性または油膨潤性ポリマーならびにエマルジョンの安定化を助ける1種類以上の乳化剤(単数または複数)を含み得る。好ましくは、乳化剤は、リン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸の自己乳化ワックスブレンドである。
【0038】
親水性または疎水性軟膏:組成物は、疎水性基剤(例えばワセリン、増粘またはゲル化水不溶性油等)と共に配合され、場合により微量の水溶性相を有する。親水性軟膏は、一般に1種類以上の界面活性剤または湿潤剤を含有する。
【0039】
溶媒
本発明に従う組成物は、局所用製品中の有効成分溶解度の所望のレベルを得るために1種類以上の溶媒または共溶媒を含み得る。溶媒は、配合物に含有される他の賦形剤の皮膚透過または活性も改変し得る。溶媒は、アセトン、エタノール、ベンジルアルコール、ブチルアルコール、セバシン酸ジエチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アジピン酸ジイソプロピル、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、N-メチルピロリジノン、ポリエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコールおよびSDアルコールを含むが、それらに限定されない。
【0040】
保湿剤
本発明に従う組成物は、水和のレベルを増大させるために保湿剤を含むことができる。保湿剤は、湿潤剤を含む親水性材料であることができ、またはそれは、皮膚軟化剤を含む疎水性材料であることができる。適切な保湿剤は、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,6-ヘキサンジオール、ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール200~8000、ステアリン酸ブチル、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルエステル類ワックス、パルミチン酸セチル、ココアバター、ココナッツ油、シクロメチコン、ジメチコン、ドコサノール、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、脂肪酸、イソステアリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、パルミチン酸グリセリル、ジステアリン酸グリコール、ステアリン酸グリコール、イソステアリン酸、イソステアリルアルコール、ラノリン、鉱油、リモネン、中鎖トリグリセリド類、メントール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、オレイン酸、オレイルアルコール、オレイン酸オレイル、オリーブ油、パラフィン、落花生油、ワセリン、Plastibase-50Wおよびステアリルアルコールを含むが、それらに限定されない。
【0041】
界面活性剤および乳化剤
本発明に従う組成物は、組成物を乳化させ、有効成分または賦形剤の表面を濡らすのを助けるために、場合により1種類以上の界面活性剤を含むことができる。本明細書で用いられる際、用語“界面活性剤”は、水の表面張力ならびに/または水および不混和性液体の間の界面張力を低減することができる両親媒性物質(共有結合している極性領域および非極性領域の両方を有する分子)を意味する。界面活性剤は、以下の界面活性剤を含むが、それらに限定されない:アルキルアリールナトリウムスルホネート、Amerchol-CAB、ラウリル硫酸アンモニウム、アプリコットカーネルオイルPEG-6エステル類、Arlacel、塩化ベンザルコニウム、Ceteareth-6、Ceteareth-12、Ceteareth-15、Ceteareth-30、セテアリルアルコール/セテアレス-20、セテアリルエチルヘキサノエート、セテス-10、セテス-2、セテス-20、セテス-23、コレス-24(choleth-24)、コカミドエーテルサルフェート、コカミンオキシド、ココベタイン、ココジエタノールアミド、ココモノエタノールアミド、ココカプリレート/カプレート、ココアンホジ酢酸二ナトリウム、スルホコハク酸ラウレス二ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸二ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、オレアミドモノエタノールアミンスルホコハク酸二ナトリウム、ドクサートナトリウム、ラウレス-2、ラウレス-23、ラウレス-4、ラウリン酸ジエタノールアミド、レシチン、メトキシPEG-16(mehoxy PEG-16)、メチルグルセス-10、メチルグルセス-20、メチルグルコースセスキステアレート、オレス-2、オレス-20、PEG 6~32ステアレート、PEG-100ステアレート、PEG-12グリセリルラウレート、PEG-120メチルグルコースジオレエート、PEG-15コカミン、PEG-150ジステアレート、PEG-2ステアレート、PEG-20メチルグルコースセスキステアレート、PEG-22メチルエーテル、PEG-25プロピレングリコールステアレート、PEG-4ジラウレート、PEG-4ラウレート、PEG-45/ドデシルグリコールコポリマー、PEG-5オレエート、PEG-50ステアレート、PEG-54硬化ヒマシ油、PEG-6イソステアレート、PEG-60硬化ヒマシ油、PEG-7メチルエーテル、PEG-75ラノリン、PEG-8ラウレート、PEG-8ステアレート、Pegoxol 7ステアレート、ペンタエリスリトールココエート、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー182、ポロキサマー188、ポロキサマー237、ポロキサマー407、ポリグリセリル-3オレエート、ポリオキシエチレンアルコール類、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシル20セトステアリルエーテル、ポリオキシル40硬化ヒマシ油、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシル6およびポリオキシル32、ポリオキシルグリセリルステアレート、ポリオキシルステアレート、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、PPG-26オレエート、PROMULGEN(商標)12、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジカプリレート、プロピレングリコールモノステアレート、キシレンスルホン酸ナトリウム、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ステアレス-2、ステアレス-20、ステアレス-21、ステアレス-40、獣脂グリセリド類ならびに乳化ワックス。好ましくは、乳化剤は、リン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸の自己乳化ワックスブレンドである。
【0042】
ポリマーおよび増粘剤
特定の適用に関して、可溶性、膨潤性または不溶性の有機性ポリマー性増粘剤、例えば天然および合成ポリマーまたは無機性増粘剤、例えばアクリレートコポリマー、カルボマー1382、カルボマーコポリマーB型、カルボマーホモポリマーA型、カルボマーホモポリマーB型、カルボマーホモポリマーC型、カルボオキシビニルコポリマー、カルボキシメチルセルロース、カルボキシポリメチレン、カラギーナン、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶ワックスおよびメチルセルロースで増粘されている製品を配合することが、望ましい可能性がある。
【0043】
追加の構成要素
本発明に従う組成物は、化粧用および医薬的局所用製品に従来見られる追加の構成要素、例えば増量剤、キャリヤーおよび賦形剤と共に配合されることができる。消泡剤、保存剤(例えばp-ヒドロキシ安息香酸エステル類、ベンジルアルコール、フェニル水銀塩類、クロロクレゾール)、抗酸化剤、封鎖剤、安定剤、緩衝剤、pH調整溶液、皮膚浸透増強剤、フィルム形成剤、色素、顔料、希釈剤、嵩高剤、芳香剤および安定性または美観を向上させるための他の賦形剤を含むがそれらに限定されない追加の構成要素が、組成物に添加されることができる。
【0044】
本発明に従う組成物は、処置されている病気に応じて追加の有効薬剤と共に配合されることができる。追加の有効薬剤は、以下の薬剤を含むが、それらに限定されない:NSAID(例えばアスピリン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン)、アプレミラスト、JAK阻害薬(例えばトファシチニブ、ルキソリチニブ、Oclacit)、ロイコトリエン阻害剤(例えばジロートン、ザフィルルカスト、モンテルカスト)、肥満細胞安定剤(例えばネドクロミル、クロモリンナトリウム、ケトチフェン、ペミロラスト)、アントラリン(ジトラノール)、アザチオプリン、タクロリムス、コールタール、メトトレキサート、メトキサレン、サリチル酸、乳酸アンモニウム、尿素、ヒドロキシ尿素、5-フルオロウラシル、プロピルチオウラシル(Propylthouracil)、6-チオグアニン、スルファサラジン、ミコフェノール酸モフェチル、フマル酸エステル類、コルチコステロイド類(例えばアクロメタゾン、アムシノニド、ベタメタゾン、クロベタゾール、クロコルトロン(Clocotolone)、モメタゾン、トリアムシノロン、フルオシノロン、フルオシノニド、フルランドレノリド、ジフロラゾン、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ハルシノニド、ハロベタソール、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニカルベート、プレドニゾン)、コルチコトロピン、ビタミンD類似体(例えばカルシポトリエン、カルシトリオール)、アシトレチン、タザロテン、シクロスポリン、レゾルシノール、コルヒチン、気管支拡張薬(bronchodialators)(例えばβ作動薬、抗コリン薬、テオフィリン)および抗生物質(例えばエリスロマイシン、シプロフロキサシン、メトロニダゾール)。
【0045】
投与および投与量
本発明に従う組成物は、経口、直腸、非経口(例えば皮内、皮下、筋肉内、静脈内、髄内、動脈内、髄腔内、硬膜外)、眼、吸入、噴霧、皮膚(局所)、経皮および粘膜(例えば舌下、頬側、鼻腔)を含むがそれらに限定されないあらゆる適切な投与経路によって投与されることができる。好ましい態様において、組成物は、局所投与される。
【0046】
適切な医薬剤形は、エマルジョン、懸濁液、スプレー、油、軟膏、脂肪軟膏、クリーム、ペースト、ゲル、泡状物質、経皮パッチおよび溶液(例えば注射用、経口)を含むが、それらに限定されない。
【0047】
本組成物は、好ましくは投与単位あたり0.005~2%w/w、より好ましくは0.05~1%w/w、最も好ましくは0.1~0.5%w/wの量のロフルミラスト、ロフルミラストの塩類、ロフルミラストのN-オキシドまたはそれらの塩類を含有する。
【0048】
組成物は、好ましくは0.1%~20%w/w、より好ましくは0.25%~8%w/w、最も好ましくは0.5%~2%w/wの量のヘキシレングリコールを含有する。
組成物は、好ましくは配合物中にリン酸エステル界面活性剤を含有し、それは、均一な小球サイズを有する安定なエマルジョンを生成するために十分な量である。リン酸エステル界面活性剤の濃度は、一般に1.0%~25%w/wのあらゆる濃度であり得る。好ましい濃度は、異なる投与形態に関して異なり得る。好ましい態様において、配合物がクリームまたは軟膏である場合、リン酸エステル界面活性剤の濃度は、2.5%~20%であり、より好ましい濃度範囲は、5%~15%であり、最も好ましい濃度は、約10%w/wである。配合物が泡状物質の形成である場合、濃度は、好ましくは1.0%~10%、より好ましくは1.0%~10%、最も好ましくは2%である。好ましくは、リン酸エステル界面活性剤は、リン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸の自己乳化ワックスブレンドにおいて提供される。
【0049】
組成物は、好ましくは配合物中の有効成分溶解度の所望のレベルを得るのに十分な量の溶媒を含有する。溶媒は、好ましくは10~30%(w/w)の量である。溶媒対水の比は、好ましくは1:10~20:1である。好ましくは、溶媒は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGEE)である。
【0050】
ロフルミラストを含有する局所配合物は、典型的には医学的障害の徴候および/または症状を改善するための所望の薬理学的作用を得るのに十分である量で皮膚に適用される。適用される配合物の量は、配合物内に含有されるロフルミラストの量、配合物内のロフルミラストの濃度および配合物が適用されることが意図される頻度に応じて変動し得る。一般に、配合物は、毎週~毎日数回、好ましくは1日おき~毎日3回、最も好ましくは毎日1回または2回の頻度で適用される。
【0051】
組成物は、以下の疾患を含むがそれらに限定されないロフルミラストを使用することによって処置可能であるかまたは予防可能であると考えられる全ての疾患の処置および予防のために獣医学においておよびヒト医学において使用され得る:急性および慢性気道障害、例えば気管支炎、アレルギー性気管支炎、喘息およびCOPD;増殖性、炎症性およびアレルギー性皮膚疾患、例えば乾癬、頭皮乾癬または逆乾癬(inverse psoriasis)、刺激性およびアレルギー性接触性湿疹、手湿疹、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、単純性苔癬、日焼け、アフタ性潰瘍、扁平苔癬、白斑、生殖器または肛門領域における掻痒、円形脱毛症、肥厚性瘢痕、円板状エリテマトーデス、濾胞性および広範囲の膿皮症、内因性および外因性ざ瘡、酒さ性ざ瘡、TNFおよびロイコトリエン類の過剰放出に基づく障害、PDE阻害剤により処置されることができる心臓の障害、胃腸系または中枢神経系における炎症、眼の障害、PDE阻害剤の組織弛緩作用により処置されることができる障害ならびに他の増殖性、炎症性およびアレルギー性皮膚障害;ならびに免疫介在性疾患、例えばリウマチ様関節炎、リウマチ様脊椎炎、骨関節炎および乾癬性関節炎を含む関節炎。好ましくは、組成物は、増殖性、炎症性およびアレルギー性皮膚疾患、例えば乾癬(尋常性)、湿疹、ざ瘡、単純性苔癬、日焼け、掻痒、円形脱毛症、肥厚性瘢痕、円板状エリテマトーデスおよび膿皮症を処置するために使用される。
【0052】
組成物は、患者の病気を処置するのに適した追加の有効薬剤を含むことができる。例えば、増殖性、炎症性およびアレルギー性皮膚疾患が治療される場合、組成物は、追加でアントラリン(ジトラノール)、アザチオプリン、タクロリムス、コールタール、メトトレキサート、メトキサレン、サリチル酸、乳酸アンモニウム、尿素、ヒドロキシ尿素、5-フルオロウラシル、プロピルチオウラシル(Propylthouracil)、6-チオグアニン、スルファサラジン、ミコフェノール酸モフェチル、フマル酸エステル類、コルチコステロイド類(例えばアクロメタゾン、アムシノニド、ベタメタゾン、クロベタゾール、クロコルトロンクロコルトロン(Clocotolone)、モメタゾン、トリアムシノロン、フルオシノロン、フルオシノニド、フルランドレノリド、ジフロラゾン、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニカルベート、プレドニゾン)、コルチコトロピン、ビタミンD類似体(例えばカルシポトリエン、カルシトリオール)、アシトレチン、タザロテン、シクロスポリン、レゾルシノール、コルヒチン、アダリムマブ、ウステキヌマブ、インフリキシマブおよび/または抗生物質を含むことができる。
【0053】
ロフルミラストを含有する局所適用のための配合物は、局所適用のための医薬配合物の製造の技術分野で典型的に使用されるプロセスによって調製されることができる。単相配合物、例えば液体を作製するために、配合物の構成要素が組み合わせられ、有効成分の均質な溶液または懸濁液が得られるまで混合されることができる。多相配合物、例えばエマルジョンを作製するために、例えば水相および油相の構成要素が別々に組み合わせられ、均質な溶液が得られるまで混合され、次いで水溶液および油溶液が、組み合わせられて例えば剪断混合によって混合され、配合物を形成することができる。1種類以上の薬物有効物質は、溶解(分子分散)される、錯体化される、もしくは賦形剤もしくは他の有効物質と会合させられることができ、または粒子状(非晶質または結晶質)であることができる。油相が、水相に添加されることができ、または水相が、油相に添加されることができる。相は、例えば50~90℃の高温で、または20~30℃である室温で、または室温および高温の間の温度で組み合わせられて混合されることができる。
【0054】
以下の実施例は、当業者が本発明の方法および組成物を作製および使用することを可能にするために提供される。これらの実施例は、本発明者らが彼らの発明とみなすものの範囲を限定することが意図されているわけではない。追加の利点および改変が、当業者には容易に明らかであろう。
【実施例】
【0055】
実施例1
数mgのロフルミラストAPI(Interquim S.A.からのバッチA14367P)乾燥粉末を顕微鏡用スライドガラス上に軽く叩いて落とし、カバーガラスを適切な位置に動かし、10倍対物レンズを用いた偏光顕微鏡を用いてAPIの晶癖および粒径を調べた(
図1、顕微鏡試料19-2)。
【0056】
0.0092グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)を液体シンチレーションバイアル中に秤量した。ヘキシレングリコール(ロット1AC0818、Spectrum)および蒸留水の等モルブレンドを、ロフルミラストを含有するバイアルに混合しながら滴加し、溶解限度を超えるロフルミラストの懸濁液を生成した。等モルブレンドは、重量/重量パーセント基準で86.7%のヘキシレングリコールおよび13.3%の水である。ヘキシレングリコール:水ブレンドの各添加を混合した後、きつく蓋を閉めたバイアルを25℃に設定された水浴に戻した。0.0092グラムのロフルミラストを完全に溶解させ、等モルのヘキシレングリコール:水中1.14%ロフルミラスト(wt/wt%)溶液を与えるために、0.7962グラムの等モルのヘキシレングリコール:水ブレンドが必要であった。0.0064gのロフルミラストをこの試料(12-3と表示)に添加して25℃で微細に分散した懸濁液を形成し、次いでバイアルを約15~18℃で乱さずに保管し、6週間光から保護した。ロフルミラスト結晶の試料をバイアルから取り出し、顕微鏡用スライドガラス上に(カバーガラスと共に)置き、次いで10倍対物レンズを使用して偏光顕微鏡を使用して調べた(
図2、顕微鏡試料20-3)。
【0057】
0.0111グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)を液体シンチレーションバイアル中に秤量した。ジエチレングリコール(DEGEE)(Transcutol P、ロット146063、Gattefosse)および蒸留水の等モルブレンドを、ロフルミラストを含有するバイアルに混合しながら滴加し、溶解限度を超えるロフルミラストの懸濁液を生成した。等モルブレンドは、重量/重量パーセント基準で88.3%のDEGEEおよび11.7%の水である。DEGEE:水ブレンドの各添加を混合した後、きつく蓋を閉めたバイアルを、25℃に設定された水浴に戻した。0.0111グラムのロフルミラストを完全に溶解させ、等モルのDEGEE:水中4.29%ロフルミラスト(wt/wt%)溶液を与えるために、0.2477グラムの等モルのDEGEE:水ブレンドが必要であった。この試料(13-1と表示)は、25℃のロフルミラストの溶液であり、次いでバイアルを約15~18℃で乱さずに保管し、6週間光から保護した。ロフルミラスト結晶が、より低温の保管温度のために沈殿した。ロフルミラスト結晶の試料をバイアルから取り出し、顕微鏡用スライドガラス上に(カバーガラスと共に)置き、次いで10倍対物レンズを使用して偏光顕微鏡を使用して調べた(
図3、顕微鏡試料20-2)。
【0058】
実施例2
0.0092グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)を液体シンチレーションバイアル中に秤量した。ヘキシレングリコール(ロット1AC0818、Spectrum)および蒸留水の等モルブレンドを、ロフルミラストを含有するバイアルに混合しながら滴加し、溶解限度を超えるロフルミラストの懸濁液を生成した。等モルブレンドは、重量/重量パーセント基準で86.7%のヘキシレングリコールおよび13.3%の水である。ヘキシレングリコール:水ブレンドの各添加を混合した後、きつく蓋を閉めたバイアルを25℃に設定された水浴に戻した。0.0092グラムのロフルミラストを完全に溶解させ、等モルのヘキシレングリコール:水中1.14%ロフルミラスト(wt/wt%)溶液を与えるために、0.7962グラムの等モルのヘキシレングリコール:水ブレンドが必要であった。0.0064gのロフルミラストをこの試料(12-3と表示)に添加して25℃で微細に分散した懸濁液を形成し、次いでバイアルを約15~18℃で乱さずに保管し、6週間光から保護した。ロフルミラスト結晶の試料をバイアルから取り出し、顕微鏡用スライドガラス上に(カバーガラスと共に)置き、次いで4倍対物レンズを使用して偏光顕微鏡を使用して調べた(
図4、顕微鏡試料20-3)。
【0059】
0.0260グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)を液体シンチレーションバイアル中に秤量した。1.0705グラムのエタノール:水ブレンド(重量/重量パーセント基準で74.98%のエタノールおよび25.02%の水または95体積%のアルコールであるEverclear)を添加して、溶解限度を超えるエタノール:水ブレンド中のロフルミラストの分散液を生成した。次いで、この試料(“Alc”ページ2と表示)を、約15~18℃で乱さずに保管し、6週間光から保護した。ロフルミラスト結晶の試料をバイアルから取り出し、顕微鏡用スライドガラス上に(カバーガラスと共に)置き、次いで4倍対物レンズを使用して偏光顕微鏡を使用して調べた(
図5、顕微鏡試料20-3)。
【0060】
0.0180グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)を液体シンチレーションバイアル中に秤量した。ポリエチレングリコール400(ロット1DE0880、Spectrum)を、ロフルミラストを含有するバイアルに混合しながら滴加し、溶解限度を超えるロフルミラストの懸濁液を生成した。ポリエチレングリコール400の各添加を混合した後、きつく蓋を閉めたバイアルを25℃に設定された水浴に戻した。0.0180グラムのロフルミラストを完全に溶解させ、ポリエチレングリコール400溶液中3.18%ロフルミラスト溶液を与えるために、0.5486グラムのプロピレングリコール400が必要であった。この試料(“PEG 400”と表示、ページ1)は、25℃の溶液であり、次いで約15~18℃で乱さずに保管し、6週間光から保護した。ロフルミラスト結晶は、より低温の保管温度のために沈殿した。ロフルミラスト結晶の試料をバイアルから取り出し、顕微鏡用スライドガラス上に(カバーガラスと共に)置き、次いで4倍対物レンズを使用して偏光顕微鏡を使用して調べた(
図6、顕微鏡試料21-3)。
【0061】
0.0103グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)を液体シンチレーションバイアル中に秤量し、0.2501グラムのジメチルスルホキシド(ロットUS150、Gaylord Chemical)と25℃で混合してロフルミラストの28.5%溶液を得た。次いで、この試料(“DMSO”と表示、ページ2)を約15~18℃で乱さずに保管し、6週間光から保護した。沈殿したロフルミラスト結晶の試料をバイアルから取り出し、顕微鏡用スライドガラス上に(カバーガラスと共に)置き、次いで4倍対物レンズを使用して偏光顕微鏡を使用して調べた(
図7、顕微鏡試料21-4)。
【0062】
0.0061グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)、1.9332グラムのプロピレングリコール(ロット1EC0004、Spectrum)および0.2335グラムの蒸留水を25℃で混合し、最初に透明な溶液を形成した。試料の組成は、重量/重量%基準で0.28%ロフルミラスト、88.97%プロピレングリコールおよび10.75%水であった。25℃で105分間保管した後、微細なロフルミラスト結晶の“粉塵”がバイアルの底に観察された。6日後、追加の結晶が、バイアルの底に沈降した。次いで、この試料(7-2と表示)を約15~18℃で乱さずに保管し、6週間光から保護した。沈殿したロフルミラスト結晶の試料をバイアルから取り出し、顕微鏡用スライドガラス上に(カバーガラスと共に)置き、次いで4倍対物レンズを使用して偏光顕微鏡を使用して調べた(
図8、顕微鏡試料21-5)。
【0063】
実施例3
薬物飽和を超えてロフルミラストを含有する等モルのN-メチルピロリドン:水溶液において、溶解限度を超えて添加されたロフルミラストを有するヘキシレングリコール:N-メチルピロリドン:水の12:4:3(wt/wt/wt)ブレンド(1.2モル分率の水)溶液と比較して、劇的に大きいロフルミラスト結晶成長が、観察された。
【0064】
0.0202グラムのロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)を、液体シンチレーションバイアル中で0.0682グラムの等モルのN-メチル-2-ピロリドン:水ブレンドと混合した。等モルブレンドは、重量/重量パーセント基準で84.5%のN-メチル-2-ピロリドン(ロットSYYN-HJ、TCI)および15.5%の水である。等モルのN-メチル-2ピロリドン:水中の22.85%ロフルミラストは、25℃で完全に溶解した。次いで、この試料(13-2と表示)を、約15~18℃で乱さずに保管し、6週間光から保護した。より低温の保管温度のため、ロフルミラスト結晶が沈殿した。ロフルミラスト結晶の試料をバイアルから取り出し、顕微鏡用スライドガラス上に(カバーガラスと共に)置き、次いで4倍対物レンズを使用して偏光顕微鏡を使用して調べた(
図10、顕微鏡試料20-1)。
【0065】
3.6%ロフルミラスト(Interquim S.A.からのバッチA14367P)、60.8%ヘキシレングリコール(ロット1AC0818、Spectrum)、20.0% N-メチル-2-ピロリドン(ロットSYYN-HJ、TCI)および15.6%蒸留水の0.8152グラムの試料を、重量/重量パーセントに基づいて混合した。この試料(13-4と表示)は、25℃でロフルミラストの微細に分散した懸濁液であった。次いで、試料を約15~18℃で乱さずに保管し、6週間光から保護した。ロフルミラスト結晶の試料をバイアルから取り出し、顕微鏡用スライドガラス上に(カバーガラスと共に)置き、次いで4倍対物レンズを使用して偏光顕微鏡を使用して調べた(
図11、顕微鏡試料21-1)。
【0066】
実施例4
ロフルミラストクリームを、以下の配合に従って調製した。
【0067】
【0068】
調製後、0.4222グラムの配合物1を1.0mL CryoTube(商標)バイアル中で密封し、36-1と表示した。同様に、0.3961グラムの配合物2を1.0mL CryoTube(商標)バイアル中で密封し、36-2と表示した。2つのCryoTube(商標)バイアルを封筒中で端と端をつないで固定し、冷凍庫中に17.5時間置いた。冷凍庫から取り出したらすぐに、各試料の顕微鏡用スライドを調製し、試料を室温(18℃)まで“解凍”した後、沈殿したロフルミラスト結晶成長における差異を特徴付けるために顕微鏡写真画像を取り込んだ。
図11Aおよび11Bを参照。
【0069】
実施例5
本発明の配合物(以下、配合物3と呼ぶ)を、0.3% w/wの濃度のロフルミラストをCrodafos CES(セトステアリルアルコールと組み合わせられたリン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸のリン酸エステル界面活性剤ブレンド)と組み合わせ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルならびに他の成分を添加して完全に市販可能な配合物を作り出すことによって作製した。この配合物をNaOHおよび水で緩衝して5.5のpHを得た。配合物3は、配合物3が0.3%のロフルミラストを含有し、配合物2が0.5%のロフルミラストを含有することを除いて、配合物2と同じである。
【0070】
本発明のものではない(以下、比較配合物4と呼ぶ)配合物を、0.3%w/wの濃度のロフルミラストをCrodafos CES(セトステアリルアルコールと組み合わせられたリン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸のリン酸エステル界面活性剤ブレンド)および水と組み合わせることによって作製した。配合物をNaOHで緩衝し、5.5のpHを得た。比較配合物4は、ジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはヘキシレングリコールを含有しない。
【0071】
本発明のものではない配合物(以下、比較配合物5と呼ぶ)を、ロフルミラストを0.2%の濃度で組み合わせることによって作製した。この配合物は、発明者に既知の最も近い先行技術の配合物であり、Bolleらの米国特許出願公開第2006/0084684号の実施例3において開示されている。
【0072】
本発明のものではない配合物(以下、比較配合物6と呼ぶ)を、ロフルミラストを0.3%の濃度で組み合わせることによって作製した。この配合物は、リン酸エステルセチルリン酸カリウム(Crodafos MCK)を乳化剤として含有するが、自己乳化ワックスCrodafos CESに含有されるリン酸エステル乳化剤であるリン酸ジセチルもセテス-10リン酸も含有しない。
【0073】
これらの配合物の組成を、以下の表1に示す。
【0074】
【0075】
【0076】
ステアリン酸グリセリル/PEG-100ステアレートは、商品名Arlacel(登録商標)165およびTego Care(登録商標)165を用いて販売されている非イオン性乳化剤ブレンドを記載するために米国食品医薬品局により使用される命名法である。
【0077】
中鎖トリグリセリドは、Miglyol(登録商標)812およびCrodamol(登録商標)GTCCを含む商品名を用いて販売されている化粧品成分カプリル(Capryli)/カプリン酸トリグリセリドを記載するために米国食品医薬品局により使用される命名法である。
【0078】
実施例6-実施例5の配合物の14日間投与後の排出動態
オスおよびメスのブタ(Gottingen Minipig(登録商標)品種)を、到着時に8~12kgの体重であるように注文する。実施例5の局所用クリーム半固体配合物の1つの投与の前日に、各動物の背中から毛髪を刈り取る。剃毛手順のためにブタを鎮静させる。皮膚を擦り剥くのを避けるように注意を払う。
【0079】
ブタの体重1kgに対して2(2)グラムの実施例5のクリーム配合物の1つを、ガラスの撹拌棒またはステンレス鋼のスパーテルを用いた優しい塗擦により剃毛した皮膚領域上に分布させる。クリーム配合物を、肩甲骨領域で始まり試験部位の上を覆って尾側に移動する薄い均一なフィルムで均等に適用する。試験部位領域の幅は、脊椎により両側に分割される。6頭のブタ(オス3頭およびメス3頭)に、配合物3、比較配合物4、比較配合物5または比較配合物6のいずれかを毎日1回14日間投与する。最後の用量投与の17、18、19および20日後に、胸郭入口を通して前大静脈から、または他の適当な静脈から血液を採取し、これらの4つのクリーム配合物からのロフルミラストの排出半減期を決定する。
【0080】
表2に示されるように、リン酸エステル界面活性剤Crodafos CES、ヘキシレングリコールおよび溶媒ジエチレングリコールモノエチルエーテルを含有する配合物は、局所適用後のロフルミラストの血漿半減期および作用の持続時間における有意な増大を示した。最も近い先行技術の配合物(比較配合物5)および比較配合物6(Crodafos CES(セトステアリルアルコールと組み合わせられたリン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸のリン酸エステル界面活性剤ブレンド)をCrodafos MKC(セトステアリルアルコールと組み合わせられたリン酸エステル界面活性剤セチルリン酸カリウム)で置き換えたクリーム配合物)は、Crodafos CESを含有する配合物3と比較して減少した血漿半減期を有していた。ヘキシレングリコールおよびジエチレングリコールモノエチルエーテルをセトステアリルアルコールと組み合わせられたリン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸のリン酸エステル界面活性剤ブレンド(Crodafos CES)と組み合わせなかった比較配合物4は、ブタにおける局所適用後に、増大した半減期およびロフルミラスト作用の持続時間を有しなかった。
【0081】
【0082】
実施例7-乾癬患者における配合物3の84日間投与後の排出動態
ロフルミラストクリームを、以下の配合に従って調製した。
【0083】
【0084】
ARQ-151クリーム0.3%(実施例5における配合物3)またはARQ-151クリーム0.15%(配合物7)またはビヒクルクリームが2~20%の体表面積(BSA)を含む慢性尋常性乾癬を有する対象に84日間QDで適用される並行群二重盲検ビヒクル対照試験が、実施された。
【0085】
米国およびカナダにあるおおよそ30の試験施設で、合計おおよそ約300人の対象が、登録された。対象は、慢性尋常性乾癬を有する成人(≧18歳)男性または女性であった。対象は、ベースラインにおいて少なくとも軽度(‘2’)の治験担当医師による疾患重症度の全般的評価(IGA)を有していた。‘軽度’(2)のIGAを有する対象(2)は、総登録の20%に限定された。‘重症’(4)のIGAを有する対象は、総登録の15%に限定された。対象は、少なくとも2%かつ20%より大きくない慢性尋常性乾癬の体表面積(BSA)を有していた。顔、体幹、生殖器/皮膚のひだまたは四肢(頭皮を除く)を含め、対象上の全ての乾癬病変が処置された。手掌および足底は、処置されたが、有効性の測定値(IGA、BSA、mPASI)には一切カウントされなかった。間擦領域の関与を有し、かつベースラインにおいて少なくとも‘軽度’(IGA≧2)の間擦領域病変の重症度を有する対象に関しては、4、6、8および12週目に‘I-IGA’スコアを記録した。主要エンドポイント(全身)に使用したものと同じIGAを‘間擦領域病変IGAスコア’(I-IGA)にも使用したが、間擦領域のみがI-IGAに関して評価され、体の残りの部分に関しては評価されなかった。
【0086】
1日目(ベースライン)ならびに4週目(29日目)および12週目(85日目)の投与前として、全ての施設において全ての対象から血液試料を採取した。収集されたPKデータの分析は、ICH-GCPに完全に準拠しているCFR 21 Part 11準拠ソフトウェアパッケージ(Phoenix WinNonlinバージョン8.1)を用いて実施した。PK集団内の全ての対象からの試料を評価した。PK分析から除外されたあらゆる対象またはデータは、このPK報告における除外に関する理由と共に同定された。BSAは、ベースライン、2週目、4週目、6週目および8週目の測定されたBSA値、スクリーニング値、12週目および16週目の値に基づいて平均され、あらゆる他の予定外の来院での値は除外された。4人の対象が、処置の終了時のロフルミラストおよびN-オキシドの排出を評価するための試験の完了時に任意の相に参加したが、3人のみが、ロフルミラストおよびN-オキシドの定量可能な濃度を有していた。3人の対象から、終末速度定数(ラムダz、λz)が、自然対数変換された濃度対時間データの回帰直線の傾きによって決定された。終末半減期(t1/2)が、ln(2)/λzとして計算された。
【0087】
BLQであると報告された濃度値(ロフルミラストおよびN-オキシドに関して<0.100)は、濃度データリストにおいて定量限界未満(BLQ)として報告され、非数値と考えられた。非数値は、公称時間要約統計量による濃度では無視された。要約統計量(すなわちN、算術平均、SD、CV%、最小値、中央値、最大値、幾何平均、幾何SD、算術平均および幾何平均の両方に関する95%信頼区間)が、各分析物、名目日(nominal day)および用量強度に関して血漿濃度に関して計算された。全ての濃度および記述統計値は、3つの有意な数字(figures)に報告された。
【0088】
2~20% BSAをカバーする尋常性乾癬の領域へのARQ-151の複数回の局所投与後、ロフルミラストおよびN-オキシドへの全身血漿曝露の証拠が、観察された(表3)。処置されたBSAの平均は、両方の処置群に関しておおよそ5%であった(表3)。平均ロフルミラスト投与前濃度は、29日目および85日目のARQ-151 0.3%の局所投与後、それぞれ1.82および1.50ng/mLであった(表3)。処置されたBSAを正規化すると、平均濃度値は、それぞれ0.424および0.344ng/mLであった。平均ロフルミラスト投与前濃度は、29日目および85日目のARQ-151 0.15%の局所投与後、それぞれ1.12および0.878ng/mLであった。処置されたBSAを正規化すると、平均濃度値は、それぞれ0.293および0.250ng/mLであった。
【0089】
平均N-オキシド投与前濃度は、29日目および85日目のARQ-151 0.3%の局所投与後、それぞれ11.2および9.18ng/mLであった。処置されたBSAを正規化すると、平均濃度値は、それぞれ2.66および2.10ng/mLであった。平均N-オキシド投与前濃度は、29日目および85日目のARQ-151 0.15%の局所投与後、それぞれ6.53および4.63ng/mLであった。処置されたBSAを正規化すると、平均濃度値は、それぞれ1.68および1.28ng/mLであった。全体として、平均ロフルミラストおよびN-オキシド投与前血漿濃度値は、29日目および85日目に互いに2倍以内であった。
【0090】
6.5%の平均BSA処置面積を有するアトピー性皮膚炎を有する患者(n=6)におけるARQ-151 0.15%の局所投与後の算術平均(AM)15日目投与前濃度は、1.99ng/mL(ARQ-151-102試験)であり、正規化された用量は0.306ng/mLであった。幾何平均(GM)値は、0.874ng/mLであり、正規化された値は、0.134ng/mLであった。5%BSAを処置する尋常性乾癬を有する対象における0.15%投与後のこの試験における29日目の用量正規化投与前濃度値(0.293ng/mLのAM値および0.187ng/mLのGM値)に対する比較は、互いに10%以内であり、これは、2つの疾患状態の間の全身曝露における最小限の差を示唆していた。定常状態における血漿濃度の平坦な性質のため、AUC値は、投与前濃度に24を乗じることによって外挿されることができる。ARQ-151-102試験から、AM AUClast値は、53.9であり、GM値は、21.9h*ng/mLであった。AMおよびGMの投与前値を用いると、ARQ-151-102試験に関する外挿されたAUC値は、47.8または21.0h*ng/mLであると考えられ-それは、測定値とよく一致する。この試験から、29日目の投与前濃度を用いて、外挿されたAMおよびGMのAUC値は、26.9および18.6h*ng/mLであろう。
【0091】
ロフルミラスト血漿投与前濃度値は、29日目および85日目に約1.6倍および1.7倍増大し、それぞれ投与強度における2倍の増大の間である。同様に、ロフルミラストN-オキシド(N-オキシド)血漿投与前濃度値は、29日目および85日目に約1.7倍および2.0倍増大し、それぞれ投与強度における2倍の増大の間である。
【0092】
一般に、平均N-オキシド投与前血漿濃度は、親投与前血漿濃度よりも5.3~6.2倍高く、それは、以前の研究と一致している。
3人の対象が、処置の終了時のロフルミラストおよびN-オキシドの排出を評価するために試験の完了の任意の相に参加した。半減期値は、ロフルミラストおよびN-オキシドの両方に関して約3.6日であった(表4参照)。
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
上記のように、静脈内投与後のロフルミラストの血漿半減期は、約15時間であり;経口投与後、血漿半減期は、約17~30時間である。ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Transcutol P)ならびにリン酸ジセチルおよびセテス-10リン酸の自己乳化ワックスブレンドを含む配合物の局所投与後のロフルミラストの血漿半減期は、3.4~3.7日(約81~89時間)である。増大した半減期および作用の持続時間は、アドヒアランス不全が療法的成功を減少させるであろうという懸念を取り除き、局所適用されるロフルミラストのアドヒアランス不全寛容性を増大させる。
【国際調査報告】