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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】電気刺激療法用の形状制御
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20230323BHJP
   A61N 1/05 20060101ALN20230323BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546623
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 US2021015860
(87)【国際公開番号】W WO2021158445
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】16/780,633
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】ペスカー,シェリル
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,アリシア・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ハイルマン・キルベーン,スーザン・イー
(72)【発明者】
【氏名】ビーオール,ランス
(72)【発明者】
【氏名】ヤング-ディクソン,ブレンダン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ミロン,レベッカ・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ハーグ,レベッカ・ジェイ・エス
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB12
4C053JJ01
4C053JJ02
4C053JJ03
4C053JJ04
4C053JJ13
4C053JJ18
(57)【要約】
複数の電極間の治療パラメータの値の比率を維持しながら、複数の電極によって送達される電気刺激療法を定義する治療パラメータを調整するためのデバイス、システム、および技術が記載される。一例では、デバイスは2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を定義する2つ以上の電極に対する関係を定義する。デバイスは、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する治療パラメータの各値を調整するマスター調整を実行する。デバイスは、マスター調整に従って電気刺激療法の送達を制御する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
メモリと、
処理回路であって、前記メモリに動作可能に結合されており、かつ、
複数の電極のうちの2つ以上の電極に対する関係を定義することであって、前記関係が、前記2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を定義する、定義することと、
前記2つ以上の電極間の前記治療パラメータの前記値の前記比率を維持するように、前記関係によって指定された量だけ、前記2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する前記治療パラメータの各値を調整する、マスター調整を実行することと、
前記マスター調整に従って、電気刺激の送達を制御することと、を行うように構成されている、処理回路と、を備える、システム。
【請求項2】
前記関係が、前記2つ以上の電極の前記治療パラメータの各値に従って送達される前記電気刺激によって生成される電界の形状をさらに定義し、
前記マスター調整を実行するために、前記処理回路が、前記電気刺激によって生成される前記電界の前記形状を維持しながら、前記電気刺激によって活性化される患者の組織の体積を調整するために、前記関係によって指定された前記量だけ、前記2つ以上の電極の各それぞれの電極の前記治療パラメータの各値を調整するマスター調整を実行するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マスター調整を実行するために、前記処理回路が、前記2つ以上の電極間の前記治療パラメータの前記値の前記比率を維持するように、前記関係によって指定された前記量だけ、前記2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する前記治療パラメータの各値を増加させるように構成されている、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記マスター調整を実行するために、前記処理回路が、前記2つ以上の電極間の前記治療パラメータの前記値の前記比率を維持するように、前記関係によって指定された前記量だけ、前記2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する前記治療パラメータの各値を減少させるように構成されている、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項5】
前記処理回路が、
ユーザインターフェースを介して、前記複数の電極のうちの前記2つ以上の電極の選択を指定する第1の入力を受信することと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記2つ以上の電極の前記治療パラメータの前記値を指定する第2の入力を受信することと、を行うようにさらに構成されており、
前記複数の電極のうちの前記2つ以上の電極に対する前記関係を定義するために、前記処理回路が、前記ユーザインターフェースを介して、前記関係をロックすることを要求する第3の入力を受信することに応答して、前記複数の電極のうちの前記2つ以上の電極に対する前記関係を定義するように構成されており、
前記マスター調整を実行するために、前記処理回路が、前記ユーザインターフェースを介して、前記マスター調整を指定する第4の入力を受信することに応答して、前記マスター調整を実行するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理回路が、
前記ユーザインターフェースを介して、前記関係をロック解除するための第5の入力を受信することと、
前記ユーザインターフェースを介して、前記2つ以上の電極のうちの第1の電極の治療パラメータの値を指定する第6の入力を受信することと、
前記第5の入力および前記第6の入力を受信することに応答して、前記2つ以上の電極間の前記治療パラメータの前記値の前記比率を維持することなく、前記第1の電極の前記治療パラメータの前記値を調整するための調整を実行することと、を行うようにさらに構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理回路が、ユーザに対する表示のために、
前記関係が定義されている前記複数の電極のうちの前記2つ以上の電極の表現と、
前記関係が定義されていない前記複数の電極のうちの他の電極の表現と、
前記2つ以上の電極の各電極の前記治療パラメータの前記値の表現と、
前記マスター調整の表現と、を出力するようにさらに構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記治療パラメータが、
電圧振幅もしくは電流振幅のうちの1つ、
電気刺激パルス幅、電気刺激パルスカウント、もしくは前記電気刺激のデューティサイクル、または
電気刺激のパルス速度もしくは前記電気刺激の周波数、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の電極が、リード上に配設されており、
前記複数の電極が、複数の電極サブセットにグループ化されており、各電極サブセットが、前記リードの周囲の周りの異なる場所に配設されたいくつかの電極を備え、
前記2つ以上の電極が、前記複数の電極サブセットのうちの1つの電極サブセット内の2つ以上の電極を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の電極が、リード上に配設されており、
前記複数の電極が、複数の電極サブセットにグループ化されており、各電極サブセットが、前記リードの周囲の周りの異なる場所に配設されたいくつかの電極を備え、
前記2つ以上の電極が、
前記複数の電極サブセットのうちの第1の電極サブセット内の第1の位置にある、少なくとも第1の電極と、
前記複数の電極サブセットのうちの第2の電極サブセット内の前記第1の位置にある、少なくとも第2の電極と、を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数の電極と、
前記複数の電極に結合するように構成された植え込み型医療デバイスと、をさらに備え、前記マスター調整に従った電気刺激の送達を制御するために、前記処理回路が、前記選択された2つ以上の電極を介して、前記マスター調整に従って前記電気刺激を送達するように、前記植え込み型医療デバイスを制御するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記処理回路および前記メモリを備える、外部プログラマーと、
前記複数の電極を備える、医療デバイスと、をさらに備え、
前記外部プログラマーが、前記マスター調整に従って前記電気刺激を送達するように、前記医療デバイスを制御するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムが、ディスプレイをさらに備え、
前記処理回路が、前記2つ以上の電極間の前記治療パラメータの前記値の前記比率が維持されるように前記関係がロックされること、または前記2つ以上の電極間の前記治療パラメータの前記値の前記比率が維持されないように前記関係がロックされないことを示すアイコンを表示するように、前記ディスプレイを制御するようにさらに構成されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のシステムによって実行される方法。
【請求項15】
システムであって、
複数の電極のうちの2つ以上の電極に対する関係を定義するための手段であって、前記関係が、前記2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を定義する、手段と、
前記2つ以上の電極間の前記治療パラメータの前記値の前記比率を維持するように、前記関係によって指定された量だけ、前記2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する前記治療パラメータの各値を調整する、マスター調整を実行するための手段と、
前記マスター調整に従って、電気刺激の送達を制御するための手段と、を備える、システム。
【請求項16】
方法であって、
処理回路によって、複数の電極のうちの2つ以上の電極に対する関係を定義することであって、前記関係が、前記2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を定義する、定義することと、
前記処理回路によって、前記2つ以上の電極間の前記治療パラメータの前記値の前記比率を維持するように、前記関係によって指定された量だけ、前記2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する前記治療パラメータの各値を調整する、マスター調整を実行することと、
前記処理回路によって、前記マスター調整に従って、電気刺激の送達を制御することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記関係が、前記2つ以上の電極の前記治療パラメータの各値に従って送達される前記電気刺激によって生成される電界の形状をさらに定義し、
前記マスター調整を実行することは、前記電気刺激によって生成される前記電界の前記形状を維持しながら、前記電気刺激によって活性化された患者の組織の体積を調整するために、前記関係によって指定された前記量だけ、前記2つ以上の電極の各それぞれの電極の前記治療パラメータの各値を調整する前記マスター調整を実行することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記関係によって指定された前記量だけ、前記2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する前記治療パラメータの各値を調整する前記マスター調整を実行することは、前記2つ以上の電極間の前記治療パラメータの前記値の前記比率を維持するように、前記関係によって指定された前記量だけ、前記2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する前記治療パラメータの各値を増加させることを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記関係によって指定された前記量だけ、前記2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する前記治療パラメータの各値を調整する前記マスター調整を実行することは、前記2つ以上の電極間の前記治療パラメータの前記値の前記比率を維持するように、前記関係によって指定された前記量だけ、前記2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する前記治療パラメータの各値を減少させることを含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項20】
前記方法が、
前記処理回路によって、ユーザインターフェースを介して、前記複数の電極のうちの前記2つ以上の電極の選択を指定する第1の入力を受信することと、
前記処理回路によって、かつ前記ユーザインターフェースを介して、前記2つ以上の電極の前記治療パラメータの前記値を指定する第2の入力を受信することと、をさらに含み、
前記複数の電極のうちの前記2つ以上の電極に対する前記関係を定義することが、前記ユーザインターフェースを介して、前記関係をロックすることを要求する第3の入力を受信することに応答して、前記複数の電極のうちの前記2つ以上の電極に対して前記関係を定義することを含み、
前記マスター調整を実行することが、前記ユーザインターフェースを介して、前記マスター調整を指定する第4の入力を受信することに応答して、前記マスター調整を実行することを含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記処理回路によって、かつ前記ユーザインターフェースを介して、前記関係をロック解除するための第5の入力を受信することと、
前記処理回路によって、かつ前記ユーザインターフェースを介して、前記2つ以上の電極のうちの第1の電極の治療パラメータの値を指定する第6の入力を受信することと、
前記処理回路によって、かつ前記第5の入力および前記第6の入力を受信することに応答して、前記2つ以上の電極間の前記治療パラメータの前記値の前記比率を維持することなく、前記第1の電極の前記治療パラメータの前記値を調整するための調整を実行することと、をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記処理回路によって、かつユーザに対する表示のために、
前記関係が定義されている前記複数の電極のうちの前記2つ以上の電極の表現と、
前記関係が定義されていない前記複数の電極のうちの他の電極の表現と、
前記2つ以上の電極の各電極の前記治療パラメータの前記値の表現と、
前記マスター調整の表現と、を出力することをさらに含む、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記治療パラメータが、
電圧振幅もしくは電流振幅のうちの1つ、
電気刺激パルス幅、電気刺激パルスカウント、もしくは前記電気刺激のデューティサイクル、または
電気刺激のパルス速度もしくは前記電気刺激の周波数、のうちの少なくとも1つを含む、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の電極が、リード上に配設されており、
前記複数の電極が、複数の電極サブセットにグループ化されており、各電極サブセットが、前記リードの周囲の周りの異なる場所に配設されたいくつかの電極を備え、
前記2つ以上の電極が、前記複数の電極サブセットのうちの1つの電極サブセット内の2つ以上の電極を備える、請求項16~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の電極が、リード上に配設されており、
前記複数の電極が、複数の電極サブセットにグループ化されており、各電極サブセットが、前記リードの周囲の周りの異なる場所に配設されたいくつかの電極を備え、
前記2つ以上の電極が、
前記複数の電極サブセットのうちの第1の電極サブセット内の、第1の位置にある少なくとも第1の電極と、
前記複数の電極サブセットのうちの第2の電極サブセット内の、前記第1の位置にある少なくとも第2の電極と、を備える、請求項16~23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年2月3日に出願された「SHAPE CONTROL FOR ELECTRICAL STIMULATION THERAPY」と題された米国特許出願第16/780,633号の優先権および利益を主張し、その全容が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、医療デバイス、より具体的には、電気刺激療法を送達する医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
医療デバイスは、様々な病状を治療するために使用され得る。例えば、医療電気刺激デバイスは、電極を介して、患者に電気刺激療法を送達し得る。電気刺激療法は、神経、筋肉、脳組織、または患者内の他の組織の刺激を含み得る。電気刺激デバイスは、患者内に完全に植え込まれ得る。例えば、電気刺激デバイスは、植え込み型電気刺激発生器と、電極を搬送する1つ以上の植え込み型リードと、を含み得る。電気刺激デバイスは、リードレス刺激装置を含み得る。場合によっては、植え込み型電極は、1つ以上の経皮的リードまたは完全に植え込まれたリードを介して外部電気刺激発生器に結合され得る。
【0004】
医療電気刺激装置を使用して、慢性疼痛、振戦、パーキンソン病、うつ病、てんかん、尿失禁または糞便失禁、骨盤痛、性機能障害、肥満、または胃麻痺などの様々な症状または状態を緩和するために、患者に電気刺激療法を送達し得る。電気刺激装置は、脊髄、骨盤神経、胃腸器官、末梢神経に近接する、または患者の脳内にある電極を含むリードを介して電気刺激療法を送達するように構成され得る。脊髄に近接する刺激と脳内の刺激は、それぞれ脊髄刺激(SCS)および脳深部刺激(DBS)と称されることが多い。
【発明の概要】
【0005】
概して、本開示は、治療パラメータを調整するときに2つ以上の電極間の治療パラメータ値の比率を維持するためのデバイス、システム、および技術を記載している。治療パラメータは、各電極によって送達される電気刺激を定義し得る。一例では、植え込み型医療デバイス用の外部プログラマーなどのデバイスは、植え込み型医療デバイスの複数の電極のうちの2つ以上の電極に対する1つ以上の治療パラメータの関係を定義する。この関係は、2つ以上の電極の治療パラメータの値の比率を定義し得る。このようにして、比率は、1つ以上の電極と別の1つ以上の電極との間で設定され得る。治療パラメータは、電極を介して送達される電気刺激を少なくとも部分的に定義し得、例えば、電流振幅、電圧振幅、電気刺激パルスカウント、周波数、パルス幅などを含み得る。
【0006】
2つ以上の電極が治療パラメータの比率に「ロック」されているときに、デバイスは、関係によって指定された量だけ、2つ以上の電極の各々の治療パラメータの各値を調整するマスター調整を実行して、2つ以上の電極の治療パラメータの値の比率を維持することができる。したがって、デバイスは、マスター調整に従って電気刺激療法の送達を制御することができる。
【0007】
いくつかの例では、デバイスは、ユーザに対する表示のために、複数の電極の表現を含むユーザインターフェースを提示する。ユーザインターフェースは、例えば、複数の電極の各々に固有の治療パラメータの値、関係が定義される2つ以上の電極の選択、選択された2つ以上の電極に対するマスター調整の値などを描写し得る。ユーザインターフェースは、関係のステータスの表現をさらに描写し得る。例えば、ユーザインターフェースは、2つ以上の電極に対する関係が「ロック」されているかどうかを示し得る。ロックされているときに、ユーザは、ユーザインターフェースを介して、2つ以上の電極の治療パラメータの値の比率を維持するように、選択された電極の各々の治療パラメータにマスター調整を実行させるようにデバイスに要求し得る。追加的に、ユーザインターフェースは、2つ以上の電極に対する関係が「ロック解除」されているかどうかを示し得る。ロックが解除されているときに、ユーザは、ユーザインターフェースを介して、電極間の治療パラメータ値に対する任意の関係を維持することなく、デバイスが複数の電極の特定の電極の個々の治療パラメータの値を調整することを要求し得る。
【0008】
本開示の技術は、実用的な用途を有する神経刺激療法のコンピュータ関連分野に特定の改善を提供し得る。例えば、本明細書に記載の技術は、臨床医が電気刺激療法によって生成される電界の形状を定義することを可能にするユーザインターフェースを可能にする。さらに、本明細書に記載の技術は、臨床医が電気刺激療法によって生成される電界の所望の形状を維持しながら、電気刺激療法の1つ以上のパラメータ値を調整することを可能にするユーザインターフェースを可能にする。例えば、パラメータ値の関係にロックされた電極は、刺激の振幅を変更するときに、電界のその望ましい形状を維持し得る。このように、本開示の技術は、臨床医が電極間の特定の治療パラメータ関係を通して電気刺激療法の各電極の個々の治療パラメータの調整を簡略化しながら、電気刺激療法の高度に複雑な設定を容易に定義することを可能にするユーザインターフェースを記載し得る。したがって、本明細書に記載の技術を使用することにより、医療デバイスは、電気刺激療法の治療効果を高めるとともに、電気刺激療法の副作用の発生および/または重症度を低減するように、特定の患者に高度に調整された電気刺激療法を提供し得る。
【0009】
一例では、本開示は、処理回路によって、複数の電極のうちの2つ以上の電極に対する関係を定義することであって、関係が、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を定義する、定義することと、処理回路によって、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する治療パラメータの各値を調整するマスター調整を実行することと、処理回路によって、マスター調整に従って電気刺激の送達を制御することと、を含む、方法を記載する。
【0010】
別の例では、本開示は、メモリと、処理回路であって、メモリに動作可能に結合されており、かつ複数の電極のうちの2つ以上の電極に対する関係を定義することであって、関係が、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を定義する、定義することと、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する治療パラメータの各値を調整するマスター調整を実行することと、マスター調整に従って電気刺激の送達を制御することと、を実行するように構成されている処理回路と、を備えるシステムを記載する。
【0011】
別の例では、本開示は、ディスプレイと、メモリと、処理回路であって、メモリに動作可能に結合され、かつユーザに対する表示のために、複数の電極の表現を出力するようにディスプレイを制御することと、複数の電極のうちの2つ以上の電極の選択を指定する第1の入力を受信することと、ユーザに対する表示のために、第1の入力を受信することに応答して、選択された2つ以上の電極の表現を出力するようにディスプレイを制御することと、2つ以上の電極の各電極の治療パラメータの値を指定する第2の入力を受信することと、ユーザに対する表示のために、第2の入力を受信することに応答して、2つ以上の電極の各電極の治療パラメータの値の表現を出力するようにディスプレイを制御することと、複数の電極のうち選択された2つ以上の電極に対する関係をロックするための第3の入力を受信することであって、関係が、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を定義する、受信することと、ユーザに対する表示のために、第3の入力を受信することに応答して、複数の電極のうちの選択された2以上の電極に対する関係がロックされていることの指標を出力するようにディスプレイを制御することと、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、選択された2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する治療パラメータの各値を調整するマスター調整を指定する第4の入力を受信することと、ユーザに対する表示のために、第4の入力に応答して、2つ以上の電極の治療パラメータの値に対するマスター調整の表現を出力するようにディスプレイを制御することと、を行うように構成されている処理回路と、を備えるデバイスを記載する。
【0012】
本開示の技術の1つ以上の例の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本技術の他の特徴、目的および利点は、説明および図面から、かつ特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の様々な技術による、刺激リードに結合された電気刺激装置を含む例示的な治療システムを示す概念図である。
図2図1の例示的なプログラマーをさらに詳細に示すブロック図である。
図3図1の例示的な電気刺激装置をさらに詳細に示すブロック図である。
図4図3の電気刺激装置の電気刺激生成回路の例をさらに詳細に示すブロック図である。
図5】本開示の手法による例示的なユーザインターフェースを示すブロック図である。
図6A】本開示の手法を実行するための例示的な動作を示すフローチャートである。
図6B】本開示の手法を実行するための例示的な動作を示すフローチャートである。
図7A】本開示の手法による例示的なユーザインターフェースの画面を示す概念図である。
図7B】本開示の手法による例示的なユーザインターフェースの画面を示す概念図である。
図8A】本開示の手法による例示的なユーザインターフェースの画面を示す概念図である。
図8B】本開示の手法による例示的なユーザインターフェースの画面を示す概念図である。
【0014】
同様の参照文字は、図および説明全体を通して同様の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
治療パラメータを調整するときに2つ以上の電極間の治療パラメータ値の比率を維持するためのデバイス、システム、および技術が本明細書に記載されている。脳深部刺激(DBS)療法をプログラミングするときに、臨床医は電極構成を指定し、1つ以上の治療パラメータの値を個々の電極に割り当てる、および/またはこれらの治療パラメータの値を調整することによって、電極構成を介した電気刺激の送達を定義することができる。臨床医は通常、例えば、すべてのアクティブな電極に単一の振幅値を割り当てるか、各電極に単一の全体的な振幅のパーセンテージを割り当てて、それぞれの電極に2つ以上の別個の振幅値を達成することによって値を割り当てる。プログラミングに対するこの電極固有のアプローチは、特により複雑な電極構成をプログラミングするときに、臨床医にとって煩雑で非効率的で時間がかかる可能性がある。例えば、臨床医が刺激フィールドの全体的なサイズまたは刺激フィールドの特定の領域の全体的なサイズを調整することを所望する場合、臨床医は、所望の変化と関連付けられた各電極に対する振幅値を手動で調整する必要があり得る。
【0016】
ユーザが同時に2つ以上の電極を選択するための刺激設定(刺激振幅など)を制御または調整することを可能にする治療パラメータをプログラミングするためのデバイス、システム、および技術が本明細書に開示されている。本明細書に記載の技術は、所望の電極のグループを一緒に仮想的に「ロック」し、同時に刺激パラメータの値を比例的に増加または減少させて、それによって全体として刺激フィールド全体を調整することをシステムに要求するユーザ入力を受信することを可能にするソフトウェアユーザインターフェース(UI)要素または他のユーザインターフェースデバイスを提供する。ロックは、電気刺激を定義するパラメータの1つ以上に適用され得る。
【0017】
例えば、電極のグループは、2つ以上の活性電極を含み得、臨床医は、単一のリードリングレベル(例えば、リードに沿って同じ軸方向位置に位置するすべての電極に相関し得るレベル制御円)または全体的な刺激フィールド形状のいずれかで、バッチ/グループとして電極のグループに対する治療パラメータの値を一緒に調整し得る。ユーザは、医療デバイスをプログラミングするためのユーザインターフェースの選択可能な「ロック」ボタンの使用を通して電極を一緒にロックし得る。ユーザインターフェースは、同時に2つ以上の電極の1つ以上の刺激パラメータの値への調整を要求するユーザ入力を受信するように構成されている要素(例えば、選択可能なボタン、入力フィールドなど)をさらに含み得る(例えば、マスター振幅スライダー、患者制限フラグ)。ユーザインターフェースは、刺激パラメータへの任意の変更の結果としての刺激フィールド形状の増加または減少を描写する神経活性化(VNA)モデルの体積をさらに提示し得る。さらに、本明細書に開示される技術は、医療デバイスが、医療デバイスの画面に表示される治療パラメータおよび選択された電極の表現を介して、刺激フィールドの形状への任意の変更をユーザに表示することを可能にする。刺激パラメータを設定および調整するための本明細書に記載の技術は、複雑さを低減し、かつユーザのプログラミング体験の効率を増加させ得る。
【0018】
図1は、本開示の様々な技術による、刺激リード10に結合された電気刺激装置4を含む例示的な治療システム2を示す概念図である。治療システム2は、患者6に刺激療法を提供するように構成され得る。患者6は通常、必ずしもそうとは限らないが、人間であろう。一般に、治療システム2は、刺激リード延長部10上に配設された1つ以上の電極を介して患者6に電気刺激を送達する電気刺激装置4(例えば、植え込み型医療デバイス(IMD))を含む。電気刺激装置4は、リード延長部10に接続する1つ以上の医療リード12Aおよび12Bに沿って配置された1つ以上の電極48を介して、例えば電気刺激の形態で刺激療法を送達する。説明の目的で、電極48は、植え込み型電極として記載されている。しかしながら、例示的な技術は、植え込み型電極に限定されない。
【0019】
電極48は、医療用リード12Aおよび12Bなどの1つ以上の医療用リード上に、場合によってはハウジング電極上に展開され得る。電気刺激は、制御された電流パルスもしくは電圧パルス、または実質的に連続的な電流もしくは電圧波形の形態であり得る。刺激プログラムは、パルスまたは波形の様々なパラメータを定義し得る。パルスまたは波形は、実質的に連続的に、またはバースト、セグメント、またはパターンで送達され得、単独で、または1つ以上の他の刺激プログラムによって定義されるパルスまたは波形と組み合わせて送達され得る。場合によっては、1つ以上の電極は、電気刺激装置4のハウジング14上に位置し得る。加えて、植え込み型電極は、リードレス刺激装置上で展開され得る。
【0020】
いくつかの例では、電気刺激装置4は、例えば、リード12によって担持される電極を介して、患者6に脳深部刺激(DBS)または皮質刺激(CS)療法を送達し得る。図1は特定の刺激環境(例えば、DBS)を示しているが、本開示の技術はそれほど限定されておらず、電気刺激装置4は、Goetzらによる「PROGRAMMING TECHNIQUES FOR CONTROLLING RATE OF CHANGE OF ELECTRICAL STIMULATION THERAPY」と題される米国特許第8,560,080号、Goetzらによる「MANAGING ELECTRICAL STIMULATION THERAPY BASED ON VARIABLE ELECTRODE COMBINATIONS」と題される米国特許第8,996,123号に記載のように患者6の脊髄など、患者6の他の部分に刺激療法を提供し得る。例えば、他の電気刺激システムは、胃腸器官、骨盤神経または筋肉、末梢神経、または他の刺激部位に電気刺激を送達するように構成され得る。加えて、図1は完全な植え込み型電気刺激装置4を示しているが、本開示に記載の技術は、経皮リードを介して展開された電極を有する外部刺激装置に適用され得る。
【0021】
図1に示される例では、電気刺激装置4が患者6の鎖骨領域に植え込まれている。電気刺激装置4は、プログラム可能な電気刺激(例えば、電流または電圧波形または電流または電圧パルス)を生成し、刺激電極48のアレイを担持する医療リード10を介して刺激を送達する。一般に、制御された電流パルスを使用する電気刺激の送達は、例示の目的で本開示において記載される。場合によっては、電気刺激装置は、2つ以上リードを含み得る。図1の例では、リード10の遠位端は二股に分かれており、2つのリード12Aおよび12B(総称して「リード12」)を含む。リード12Aおよび12Bは各々、電極48のアレイの一部を形成する電極のセットを含む。様々な例において、リード12Aおよび12Bは、各々4つ、8つ、または16つの電極を担持し得。図1では、各リード12A、12Bは、リード12の遠位端の近くの異なる軸方向位置にリング電極として構成されている4つの電極を担持する。
【0022】
他の例では、リード12Aまたは12Bのうちの1つ以上は、異なる電極のアレイを含み得る。例えば、リード12Aは、リードの周りの異なる位置に電極を含み得る。一例では、3つ、4つ、またはそれより多い電極が、同じ軸方向位置にあるが、リードの周りの異なる円周方向位置にあり得る。異なる円周方向の位置にあるこれらの電極は、リードの周りのリングの「セグメント」を表すため、「セグメント化された電極」と称され得る。同じ軸方向位置にあるこれらの電極は、リードの同じ「レベル」に配設されていると称され得る。いくつかの例では、リードは、1つ以上のレベルの2つ以上の電極を含み得、1つ以上のレベルの2つ以上の電極に加えて、1つ以上の完全なリング(または円筒形の電極)を含み得る。例示的なリードは、リードの近位端から遠位端まで、近位リング電極、第1のレベルの3つの電極、第2のレベルの3つの電極、および遠位リング電極を含み得る。他の例では、リードは4つのレベルの電極を含み得、各レベルは2つ、3つ、4つ、またはそれより多い電極を有する。電極は、円周方向に位置合わせされるか、またはレベル間でオフセットされ得る。
【0023】
図1は、ハウジング電極13をさらに描写している。ハウジング電極13は、電気刺激装置4の密閉されたハウジング14の外面と一体的に形成され得るか、そうでなければハウジング14に結合され得る。一例では、ハウジング電極13は、電気刺激装置4上のアクティブな取り外し不可能な電極として記載され得る。いくつかの例では、ハウジング電極13は、電気刺激装置4のハウジング14の外向き部分の非絶縁部分によって画定される。ハウジング14の絶縁部分と非絶縁部分との間の他の分割を用いて、2つ以上のハウジング電極を画定し得る。いくつかの例では、ハウジング電極13は、実質的にハウジング14のすべて、ハウジング14の片側、ハウジング14の一部分、またはハウジング14の2つ以上の部分を含む。
【0024】
いくつかの例では、電気刺激装置4は、二股に分かれている場合があるか、二股に分かれていない場合がある、1つ以上のリードに結合され得る。そのような例では、リードは、直接、または共通のリード延長部(リード延長部10など)もしくは別個のリード延長部を介して、電気刺激装置4に結合され得る。リード延長部10の近位端は、電気刺激装置4のヘッダに結合され得る。リード本体の導体は、リード12上に位置する刺激電極を電気刺激装置4に電気的に接続し得る。リード延長部10は、リード12Aおよび12Bに結合する前に、患者6の首に沿って電気刺激装置4の植え込み部位から横断する。リード12Aおよび12Bは、患者6の脳16まで横断し続ける。いくつかの例では、リード12Aおよび12Bは、脳16のもう1つの領域に電気刺激を送達するために、それぞれ、右半球および左半球内に植え込まれ得る。
【0025】
リード12A、12Bは、患者6の頭蓋のそれぞれの穴を通して、脳16の所望の場所内に植え込まれ得る。リード12A、12Bは、リード12A、12B上に位置する電極が標的組織に電気刺激を提供することができるように、脳16内の任意の場所に配置され得る。リード12A、12Bの電極は、リング電極として示されている。いくつかの例では、リード12A、12Bの電極は、異なる構成を有し得る。例えば、リード12A、12Bの電極は、成形された電界を生成することができる複雑な電極アレイ形状を有し得る。複雑な電極アレイ形状は、各リード12A、12Bの周囲の周りに2つ以上の電極(例えば、部分的なリングまたは電極の「セグメント」)を含み得る。いくつかの例では、リード12は、図1に示されるような細長い円筒以外の形状を有し得る。例えば、リード12は、パドルリード、球形リード、曲げ可能なリード、または患者6の治療に有効な任意の他のタイプの形状であり得る。加えて、電極は、パドルリード上の電極パッド、リードの本体を取り囲む円形電極、順応性電極、カフ電極、セグメント化された電極、または単極、双極、多極などの電極構成を形成することができる任意の他のタイプの電極であり得る。
【0026】
いくつかの例では、電気刺激装置4は、所与の時間にプログラムグループに従って刺激を送達する。そのようなプログラムグループの各プログラムは、複数の治療パラメータの各々に対してそれぞれの値を含み得る。治療パラメータは、例えば、電流もしくは電圧振幅の1つ、パルス幅、パルス形状、パルス速度もしくはパルス周波数、パルスの数、または電極構成(例えば、電極の組み合わせおよび極性)を含み得る。電気刺激装置4は、プログラムグループの異なるプログラムに従って、パルスまたは他の信号をインターリーブし得る。そのような例では、プログラマー40を使用して、プログラムを作成し、プログラムをプログラムグループにアセンブルし得る。いくつかの例では、プログラマー40を使用して、プログラムグループの1つ以上のプログラムの刺激パラメータを調整し、電気刺激装置4による刺激の送達を制御するための現在のプログラムグループとしてプログラムグループを選択し得る。
【0027】
一般に、システム2は、定電流または定電圧波形または定電流または定電圧パルスの形態で患者6に刺激療法を送達する。パルスの形状は、異なる設計目的に応じて変動し得、傾斜または台形のパルス、正弦波または他の曲線のパルス、2つ以上の離散振幅を有する階段状パルス、間隔の狭いパルスのペア、ならびに上記のうちのいずれかの二相性(単一パルス内の正および負の態様)または単相性(単一パルス内の正のみもしくは負のみの態様)変動を含み得る。電流ベースの刺激の場合、電気刺激装置4は、調節された電極と称される1つ以上の電極によってソースまたはシンクされる電流を調節する。いくつかの例では、電極のうちの1つ以上は、調節されない場合がある。そのような構成では、ハウジング電極および/またはリード電極は、調節されていない電極であり得る。
【0028】
ソース電流は電極(アノード)から流れる正の電流を指し得、シンク電流は電極(カソード)に流れる負の電流を指し得る。調節されたソース電流が合計されて、より大きい全体的なソース電流が生成され得る(例えば、複数のソース電流からの電流が合計されて、全体的なソース電流を生成する)。同様に、調節されたシンク電流が合計されて、より大きい全体的なシンク電流が生成され得る(例えば、複数のシンク電流からの電流が合計されて、全体的なシンク電流を生成する)。調節されたソース電流と調整されたシンク電流は、互いに部分的または完全にキャンセルされ得、部分的なキャンセルの場合、正味のソース電流またはシンク電流の形態で正味の差を生成する。いくつかの例では、調節されていない電流経路は、この正味の差にほぼ等しい電流をソースまたはシンクすることができる。いくつかの例では、調節されたソース電流とシンク電流は、実質的に平衡化され得る。
【0029】
いくつかの例示的な実装形態(例えば、双極/多極構成)では、1つ以上の電極48は、アノードおよびソース電流として作用するように構成され得、一方、1つ以上の異なる電極48は、カソードおよびシンク電流として作用するように構成され得る。別の例示的な実装形態(例えば、単極構成)では、ハウジング電極13は、アノードおよびソース電流として作用するように構成され得、一方、1つ以上のリード上の1つ以上の電極48は、カソードおよびシンク電流として作用するように構成される。本開示の技術は、例えば、単極配置または双極/多極配置を使用して実装され得る。
【0030】
治療システム2は、臨床医または患者によって動作される外部プログラマーなどのプログラマー40を含み得る。いくつかの例では、プログラマー40は、臨床医がユーザインターフェースを介して患者6の刺激療法をプログラムすることを可能にする、ハンドヘルドコンピューティングデバイスであり得る。例えば、プログラマー40を使用して、臨床医は、刺激療法の送達に使用するための刺激パラメータを指定し得る。プログラマー40は、電気刺激装置4を用いて遠隔測定をサポートして、プログラムをダウンロードし、任意選択的に、電気刺激装置4によって記憶された動作データまたは生理学的データをアップロードし得る。プログラマー40はまた、患者6または臨床医がプログラマー40および電気刺激装置4と対話することを可能にするためのディスプレイおよび入力キーを含み得る。このようにして、プログラマー40は、電気刺激装置4によって送達される刺激療法を制御するためのユーザインターフェースを患者6に提供する。例えば、患者6は、プログラマー40を使用して、電気刺激を開始、停止、または調整し得る。特に、プログラマー40は、患者6が、持続時間、電流または電圧の振幅、パルス幅、パルス形状、およびパルス速度などのプログラムの刺激パラメータを調整することを可能にし得る。患者6はまた、電気刺激装置4による刺激の送達を制御するための現在のプログラムとして(例えば、複数の記憶されたプログラムの中から)プログラムを選択し得る。
【0031】
場合によっては、プログラマー40は、医師または臨床医のプログラマー40として特徴付けられ得る。例えば、プログラマー40が主に医師または臨床医によって使用されることを意図している場合、プログラマー40は、臨床医プログラマーを含み得る。他の場合では、プログラマー40が主に患者によって使用されることを意図している場合、プログラマー40は、患者プログラマーとして特徴付けられ得る。一般に、医師または臨床医プログラマーは、刺激装置4によって使用されるために臨床医によるプログラムの選択および生成をサポートし得るが、患者プログラマーは、通常の使用中に患者による、臨床医および/または臨床医プログラマーによって許可されているそのようなプログラムの調整および選択をサポートし得る。
【0032】
プログラマー40が臨床医または患者の使用のために構成されているかどうかにかかわらず、プログラマー40は、無線通信を介して電気刺激装置4または他の任意のコンピューティングデバイスと通信し得る。例えば、プログラマー40は、当技術分野で知られているRF遠隔測定技術を使用して、電気刺激装置4と無線通信を介して通信し得る。プログラマー40はまた、有線接続、または802.11もしくはBluetooth仕様セットに従った無線周波(RF)通信、IrDA(Infrared Data Association)に従った赤外通信、または他の標準もしくは独自の遠隔測定プロトコルなどの様々なローカル無線通信技術のいずれかを使用する無線接続を介して、別のプログラマーまたはコンピューティングデバイスと通信し得る。プログラマー40はまた、磁気ディスクもしくは光ディスク、メモリカード、またはスティックなどのリムーバブルメディアの交換を介して、別のプログラミングまたはコンピューティングデバイスと通信し得る。さらに、プログラマー40は、当技術分野で知られているリモート遠隔測定技術を介して電気刺激装置4および他のプログラミングデバイスと通信し得、例えばローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、公衆交換電話網(PSTN)、またはセルラ電話ネットワークを介して通信する。
【0033】
臨床医または患者6などのユーザは、プログラマー40のユーザインターフェースと対話して、電気刺激装置4をプログラムし得る。本開示に記載の様々な技術に従って、プログラマー40は、電気刺激装置4によって送達される電気刺激療法を定義するための1つ以上の療法パラメータを指定するユーザインターフェースを介して、ユーザ入力を受信するために使用され得る。プログラマー40は、電気刺激装置4を制御して、電気刺激装置4に、以下でより詳細に説明するように、指定された治療パラメータに従って電気刺激療法を送達させるか、他の方法で刺激装置4をプログラムし得る。電気刺激装置4のプログラミングは、一般に、電気刺激装置4の動作を制御するためのコマンド、プログラム、または他の情報の生成および転送を指し得る。例えば、プログラマー40は、電気刺激装置4の動作を制御するためのプログラム、パラメータ調整、プログラム選択、グループ選択、または他の情報を送信し得る。加えて、刺激装置4のプログラミングは、プログラマー40を介して、標的刺激ゾーンを示すユーザ入力を受信し、1つ以上の中間刺激ゾーンのシーケンスを介して電気刺激を初期刺激ゾーンから標的刺激ゾーンに移行するように電気刺激装置を制御することを含み得る。
【0034】
電気刺激装置4およびプログラマー40は、図1に示されるように、ケーブルまたは無線通信を介して通信し得る。例えば、プログラマー40は、RF遠隔測定技術を使用して、電気刺激装置4と無線通信を介して通信し得る。プログラマー40はまた、802.11もしくはBluetooth(商標)仕様セットに従ったRF通信、(例えば、IrDA)に従った赤外通信、または他の標準もしくは独自の遠隔測定プロトコルなどの様々なローカル無線通信技術のいずれかを使用して別のプログラマーと通信し得る。プログラマー40は、電気刺激装置4との双方向通信を可能にするトランシーバーを含み得る。
【0035】
本開示の技術によれば、システム2は、電極48の各々の各治療パラメータの値の比率を互いに維持しながら、電極48に送達される電気刺激療法を定義する治療パラメータの調整を可能にする。一例では、外部プログラマー40は、電気刺激装置4の複数の電極48の2つ以上の電極に対する関係を定義する。この関係は、1つ以上の電極の治療パラメータの値と、1つ以上の他の電極48に対する治療パラメータの値との比率を定義する。このように、値が変更されても、関係によって定義されるすべての電極の値の比率は一定のままである。治療パラメータは、電極48を介して送達される電気刺激を少なくとも部分的に定義し、例えば、電流振幅、電圧振幅、電気刺激パルスカウント、周波数、パルス幅などを含み得る。外部プログラマー40は、2つ以上の電極48の治療パラメータのそれぞれの値の比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、2つ以上の電極48の各それぞれの電極に対する治療パラメータの値を調整するマスター調整を実行する。外部プログラマー40は、マスター調整に従って患者6に電気刺激療法を提供するように電気刺激装置4を制御する。マスター調整は、調整を要求するユーザ入力に応答して行われるか、または感知された値またはプログラムされた変更に応答する自動調整であり得る。
【0036】
本開示の技術は、実用的な用途を有する神経刺激療法のコンピュータ関連分野に特定の改善を提供し得る。例えば、本明細書に記載の技術は、電気刺激療法によって生成される電界の形状を定義することを可能にするユーザインターフェースを可能にする。さらに、本明細書に記載の技術は、少なくともいくつか電極間の値の関係を介して電気刺激療法によって生成される電界の所望の形状を維持しながら、電気刺激療法の1つ以上のパラメータを調整することを要求するユーザ入力をユーザインターフェースが受信することを可能にする。このように、本開示の技術は、電気刺激療法の個々のパラメータの調整を簡略化しながら、臨床医が電気刺激療法の高度に複雑な設定を容易に定義することを可能にするユーザインターフェースを提供する。したがって、本明細書に記載の技術を使用することにより、医療デバイスは、電気刺激療法の治療効果を高めるとともに、電気刺激療法の副作用の発生および/または重症度を低減するように、特定の患者に高度に調整された電気刺激療法を提供し得る。
【0037】
図2は、図1の例示的なプログラマー40をさらに詳細に示すブロック図である。図2に示されるように、プログラマー40は、処理回路53、メモリ55、遠隔測定回路58、およびユーザインターフェース59を含む。一般に、処理回路53は、ユーザインターフェース59を制御し、メモリ55との間のデータを格納および検索し、遠隔測定回路58を介した電気刺激装置4によるデータの送信を制御する。処理回路53は、1つ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または同等のディスクリートまたは統合論理回路の形態を採り得る。本明細書の処理回路53に帰属する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組み合わせとして具体化され得る。
【0038】
メモリ55は、処理回路53に、本明細書のプログラマー40に起因する機能の様々な態様を提供させる命令を記憶し得る。メモリ55は、任意の固定または取り外し可能な磁気、光学、または電気媒体を含み得、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、磁気メモリ、電子的に消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、フラッシュメモリなどを含み得る。メモリ55はまた、メモリ更新またはメモリ容量の増加を提供するために使用され得る取り外し可能なメモリ部分を含み得る。リムーバブルメモリはまた、患者データをプログラマー40から別のコンピューティングデバイスに容易に転送することを可能にし得る。メモリ55はまた、電気刺激装置4の動作を制御する情報を記憶し得る。
【0039】
遠隔測定回路58は、電気刺激装置4との間でデータを転送するように構成されている。遠隔測定回路58は、予定された時間に、または遠隔測定回路58が電気刺激装置4の近接を検出したときに、電気刺激装置4と自動的に通信し得る。代替的には、遠隔測定回路58は、ユーザインターフェース59を介してユーザによって信号が送られるときに、電気刺激装置4と通信し得る。RF通信をサポートするために、遠隔測定回路58は、増幅器、フィルタ、ミキサー、エンコーダ、デコーダなどのような適切な電子部品を含み得る。
【0040】
いくつかの例では、プログラマー40は、例えば、RF通信または近位誘導対話を使用して、電気刺激装置4と無線で通信し得る。この無線通信は、アンテナに結合され得る遠隔測定回路58の使用を通して可能である。プログラマー40はまた、無線通信技術を介して別のコンピューティングデバイスと通信するか、または有線、例えばネットワーク接続を介して直接通信するように構成され得る。プログラマー40と別のコンピューティングデバイスとの間の通信を容易にするために用いられ得るローカル無線通信技術の例には、802.11またはBluetooth仕様セットに基づくRF通信、赤外線通信が含まれる。
【0041】
プログラマー40は、ユーザインターフェース59を含む。ユーザ(例えば、臨床医または患者6)は、ユーザインターフェース59を介してプログラマー40と対話して、例えば、プログラムを手動で選択、変更もしくは修正するか、特定の電極48または複数の電極48の1つ以上の治療パラメータを調整するか、または刺激データを視認し得る。ユーザインターフェース59は、1つ以上の入力デバイスおよび1つ以上の出力デバイスを含み得る。ユーザインターフェース59の入力デバイスは、キーボード、ポインティングデバイス、音声応答システム、ビデオカメラ、生体検出/応答システム、ボタン、センサ、コントロールパッド、マイクロフォン、プレゼンスセンシティブスクリーン、またはユーザからの入力を検出するための任意の他のタイプのデバイスを含み得る。
【0042】
ユーザインターフェース59の出力デバイスディスプレイ、サウンドカード、ビデオグラフィックアダプタカード、スピーカー、プレゼンスセンシティブスクリーン、1つ以上のUSBインターフェース、ビデオおよび/またはオーディオ出力インターフェース、または触覚、オーディオ、ビデオ、もしくは他の出力を生成することができる他のタイプのデバイスなどの通信ユニットを含み得る。ユーザインターフェース59の出力デバイスは、液晶ディスプレイ(LCD)、量子ドットディスプレイ、ドットマトリックスディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、カソード光線管(CRT)ディスプレイ、e-ink、またはモノクロ、カラー、もしくは触覚、オーディオ、および/または視覚出力を生成することができる他のタイプのディスプレイを含む技術を使用する出力デバイスとして機能し得るディスプレイデバイスを含み得る。他の例では、ユーザインターフェース59の出力デバイスは、サウンドカード、ビデオグラフィックアダプタカード、スピーカー、プレゼンスセンシティブスクリーン、1つ以上のUSBインターフェース、ビデオおよび/またはオーディオ出力インターフェース、または触覚、オーディオ、ビデオ、または他の出力を生成することができる他のタイプのデバイスなどを介して別の様式でユーザへの出力を生成し得る。いくつかの例では、ユーザインターフェース59の出力デバイスは、1つ以上の入力デバイスおよび1つ以上の出力デバイスの両方として動作するユーザインターフェースデバイスとして機能し得るプレゼンスセンシティブディスプレイを含み得る。ユーザインターフェース59の例に関する追加の詳細は、以下のように図5、7A~7B、および8A~8Bに関して記載される。
【0043】
本開示の技術によれば、ユーザインターフェース59は、電気刺激装置4の複数の電極48の表現を提示する。ユーザインターフェース59は、例えば、複数の電極48の各々に固有の治療パラメータの値、関係が定義される2つ以上の電極48の選択、選択された2つ以上の電極48に対するマスター調整の値などを提示する。ユーザインターフェース59は、入力可能なフィールド、または増加もしくは減少入力キーなどの他の調整入力デバイスを提供し得、これにより、ユーザは、調整対象の所与の電極48の調整パラメータの所望の値、調整対象の2つ以上の電極48に対する所望の値、または電気刺激装置4のマスター調整を入力することが可能となる。処理回路53は、ユーザインターフェース59を介してユーザから、ユーザインターフェース59に表示されるパラメータの対応する値の増加または減少を指定する入力を受信することによって、個々の治療パラメータの値に対する調整またはマスター調整を指定する入力を受信し得る。さらに、処理回路53は、ユーザから、プログラマー40のユーザインターフェースに表示される1つ以上の治療パラメータの値の増加または減少を指定する入力を受信することによって、各特定の電極48に対する治療パラメータのうちの1つ以上に対する調整を受信し得る。
【0044】
ユーザインターフェース59は、関係の状態の表現をさらに描写し得る。例えば、ユーザインターフェース59は、2つ以上の電極に対する関係が「ロック」されているかどうかを示し得、そのため、システムは、ユーザ入力要求に応答して、2つ以上の電極48の治療パラメータの値の比率を維持するように、選択された電極48の各々の治療パラメータに対するマスター調整を行うことができる。追加的に、ユーザインターフェース59は、2つ以上の電極48に対する関係が「ロック解除」されているかどうかを示し得、そのため、外部プログラマー40は、ユーザ要求に応答して、複数の電極48の特定の電極の個々の治療パラメータに対する調整を行い得る。場合によっては、プログラマー40のユーザインターフェース59は、治療パラメータのロックされた関係を描写するために、マスター調整および複数の電極48の各電極48の各治療パラメータと関連するマスター調整の分数の量を表示する。いくつかの例では、ユーザインターフェース59は、入力可能なフィールド、または増加もしくは減少入力キーなどの他の調整入力デバイスを提供し、これにより、ユーザは、調整対象の所与の電極48の調整パラメータの所望の値、調整対象の2つ以上の電極48に対する調整パラメータの調整パラメータの所望の値、またはマスター調整を入力することが可能となる。ユーザが他の電極とロックされている1つの電極を選択した場合、処理回路53は、ユーザが選択された個々の電極に対する調整を要求することを見越して、応答的に電極をロック解除し得る。
【0045】
動作中、処理回路53は、ユーザインターフェース59を介してユーザから、各特定の電極48に対応する1つ以上の治療パラメータを調整する要求を受信する。例えば、処理回路53は、プログラマー40のユーザインターフェースに表示された1つ以上の治療パラメータの値の増加または減少を指定する入力を受信し得る。処理回路53は、遠隔測定回路58を介して、指定された個々の治療パラメータを電気刺激4に送信して、2つ以上の電極48を介して、2つ以上の電極48の各々のそれぞれの治療パラメータに従って電気刺激療法を送達するように電気刺激装置4を制御する。
【0046】
さらに、処理回路53は、ユーザインターフェース59を介したユーザからの入力に応答して、2つ以上の電極48に対する関係をロックするための指標を受信し、遠隔測定回路58を介して、電気刺激装置4に、2つ以上の電極48間の関係をロックする命令を送信する。いくつかの例では、2つ以上の電極の関係を「ロックすること」によって、プログラマー40は、電気刺激装置4に、2つ以上の電極48の各他の電極の対応する治療パラメータの値に対する各電極の治療パラメータの値の比率を「ロック」(例えば、維持または保存)させ得る。例えば、処理回路53は、ロックされるすべての電極の選択、およびそれらの選択された電極をロックする要求を提出するロックアイコンの選択を受信し得る。
【0047】
続いて、処理回路53は、ユーザインターフェース59を介してユーザから、マスター調整を要求するユーザ入力の指標を受信することができる。処理回路53は、マスター調整に基づいて、一緒にロックされている2つ以上の電極48(例えば、電極48のすべてまたはすべてではないサブセット)の値の比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、2つ以上の電極48の各々の治療パラメータの各値を調整するように電気刺激装置4を制御する。このようにして、処理回路53は、他の電極48の対応する治療パラメータの値に対する治療パラメータの値の関係を維持しながら、特定の電極48の電気刺激の治療パラメータの値(例えば、電流振幅または電圧振幅のうちの1つ、電気刺激パルスカウント、周波数など)を調整するように電気刺激装置4を制御する。したがって、臨床医は、電気刺激療法の治療効果を最適化し、電気刺激療法の副作用の発生および/または重症度を低減するように、電気刺激療法を定義する様々な治療パラメータを調整するために、本明細書に記載された技術に従って動作する医療デバイスを使用し得る。
【0048】
図3は、図1の例示的な電気刺激装置4をさらに詳細に示すブロック図である。いくつかの例では、電気刺激装置4は、処理回路50、メモリ52、遠隔測定回路56、アンテナ57、および刺激生成回路60を含む。刺激生成回路60はまた、電極48A~Q(総称して「電極48」)に結合されて図3に示されている。いくつかの例では、電極48A~48Pは、植え込み可能であり得、1つ以上のリード12上に展開され得る。図1に関して、リード12Aおよび12Bは、それぞれ、電極48A~Hおよび電極48I~Pを担持し得る。場合によっては、1つ以上の追加の電極は、電気刺激装置4のハウジング上またはハウジング内に位置し得、例えば、共通もしくは接地電極またはハウジングアノードを提供し得る。いくつかの例では、リードまたはリードは、2×8電極構成を提供するために8つの電極を担持(各々8つの電極を有する2つのリード)、合計16の異なる電極を提供する。
【0049】
いくつかの例では、単一のリード、2つのリード、3つのリード、またはそれ超を備える異なる電極構成が提供され得る。加えて、リード上の電極カウントは変動し得、リードごとに同じまたは異なり得る。他の構成の例には、8つの電極を有する1つのリード(1×8)、12の電極を有する1つのリード(1×12)、16の電極を有する1つのリード(1×16)、各々4つの電極を有する2つのリード(2×4)、各々4つの電極を有する3つのリード(3×4)、各々8つの電極を有する3つのリード(3×8)、それぞれ4つ、8つ、もしくは4つの電極を有する3つのリード(4-8-4)、12もしくは16の電極を有する2つのリード(2×12、2×16)、11または13の電極を有する2つ以上のリード、または他の構成が含まれる。処理回路50は、異なる電極を選択して、様々な電極の組み合わせを形成し得る。加えて、処理回路50は、電極をアノードまたはカソードとして指定し、そこから追加の電極構成を形成するために、選択された電極に様々な極性を割り当て得る。他の例では、より少ないまたはより多い電極が電気刺激装置4によって制御され得る。例えば、刺激生成回路60は、2つのリードの各々での16の電極、8つの電極に結合され得る。例えば、各リードは、2つのリング電極と、リード周囲の異なる円周位置に2つのレベルの3つの電極を含み得る。
【0050】
電極48Qは、電気刺激装置4のハウジングに担持され得る1つ以上の電極を表す。電極48Qはまた、ハウジングから延びる専用の短いリード、または電極48A~48Pを担持するリードのうちの1つの近位部分であり得る。近位部分は、例えば、リードがハウジングに結合される点またはその近くで、ハウジングに密接に隣接し得る。電極48Qは、上記のように、1つ以上のリードのリード本体上に位置し得る電極48A~48Pの中で選択された調整および/または非調節電極を有する電極構成で使用するための調節または非調節電極として構成され得る。電極48Qは、電極を担持し、刺激生成回路60、処理回路50、メモリ52、および遠隔測定回路56などの電気刺激装置4の構成要素を収容するハウジング上に一緒に形成され得る。
【0051】
ハウジング電極48Qは、単極配置で電流をシンクするカソードとして使用するように構成された1つ以上の電極48A~48Pと実質的に同時に電流をソースするためのアノードとして使用するように構成され得る。特定の例として、電極48A、48B、およびハウジング電極48Qは各々、アノードとして使用するように構成され得る。電極48A、48Bは、ハウジング電極48Qを介して送達される電気刺激電流と実質的に同時に電気刺激電流を送達し得る。この図示では、アノード48A、48B、および48Qによってソースされた電流をシンクするためにリード上の他の電極(例えば、電極48C~48Pのいずれか)で、1つ以上のカソードが形成され得る。
【0052】
メモリ52は、回路50によって実行される命令、刺激療法データ、センサデータ、および/または患者6の治療に関する他の情報を記憶し得る。処理回路50は、メモリ52に記憶された複数のプログラムまたはプログラムグループのうちの選択された1つ以上に従って刺激を送達するように刺激生成回路60を制御し得る。メモリ52は、RAM、ROM、EEPROM、NVRAM、フラッシュメモリ、磁気メモリなどの任意の電子データ記憶媒体を含み得る。メモリ52は、処理回路50によって実行されると、処理回路に、本開示における処理回路50および電気刺激装置4に起因する様々な機能を実行させるプログラム命令を記憶し得る。
【0053】
処理回路50は、1つ以上のマイクロプロセッサ、DSP、ASIC、FPGA、または他のデジタル論理回路を含み得る。処理回路50は、電気刺激装置4の動作を制御する。例えば、処理回路50は、メモリ52から検索されて選択されたプログラムまたはプログラムグループに従って刺激療法を送達するように刺激生成回路60を制御し得る。いくつかの例では、処理回路50は、例えば、刺激パルスまたは連続波形として、1つ以上の刺激プログラムによって指定された電流振幅、パルス幅(該当する場合)、および速度で電気信号を送達するように刺激生成回路60を制御し得る。処理回路50はまた、電極の組み合わせとも称され電極48のサブセットを介して、1つ以上のプログラムによって指定された極性で刺激を選択的に送達するように刺激生成回路60を制御し得る。本明細書の処理回路50に帰属する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはそれらの任意の組み合わせとして具体化し得る。
【0054】
特定のプログラムグループを選択すると、処理回路50は、グループ内のプログラムに従って刺激を送達するように刺激生成回路60を制御し得る。各プログラムは、該当する場合、振幅、脈拍幅、およびパルス速度などの刺激パラメータのセットを指定し得る。連続波形の場合、パラメータには振幅と周波数が含まれ得る。加えて、各プログラムは、刺激を送達するための特定の電極の組み合わせ、および電極の極性および調節された/調節されていない状態に関する電極構成を指定し得る。電極の組み合わせは、単一のアレイまたは2つ以上のアレイ、ならびに単一のリードまたは2つ以上のリード間での特定の電極を指定し得る。電極の組み合わせは、電気刺激装置4のハウジング上の少なくとも1つのアノード(例えば、電極48Q)、リード上の少なくとも1つのアノード、およびリード上の少なくとも1つのカソードを含み得る。複数のリードが提供されている場合、リード由来のアノードおよびカソードは、同じリード上にあり得るか、または異なるリード上にあり得る。プログラムは、パラメータおよび電極を選択することによってか、または刺激ゾーンの操作または位置決めに応答してプログラマーがパラメータと電極を自動的に決定するゾーンベースのプログラミングによって直接定義され得る。
【0055】
刺激生成回路60は、図1のリード12などのそれぞれのリードの導体を介して電極48A~Pに電気的に結合されている。刺激生成回路60は、電気刺激装置4のハウジング内に配設された導電体を介して、1つ以上のハウジング電極48Qに電気的に結合され得る。ハウジング電極48Qは、電極48A~48Pのうちの1つ以上と併せて電極構成を形成するために、調節されたまたは調節されていない電極として構成され得る。ハウジング電極48Qは、アノードとして使用するように構成された1つ以上のリード上で、1つ以上の電極、例えば、電極48A~48Pのいずれかと実質的に同時に電流をソースするためのアノードとして使用するように構成され得る。
【0056】
刺激生成回路60は、刺激パルスまたは波形を生成するための刺激生成回路と、例えば、処理回路50による制御に応答して、異なる電極の組み合わせにわたって刺激を切り替えるための回路とを含み得る。刺激生成回路60は、処理回路50からの制御信号に基づくプログラムに従って、電気刺激信号を生成する。
【0057】
例示的な一実装形態では、刺激生成回路60は、電極48A~Pおよびハウジング電極48Qのうちの1つ以上を刺激電極、例えばアノードとして使用して刺激を送達するように構成され得る。リードおよびハウジング上のアノードは、リード上の1つ以上のカソードと併せて刺激を送達するために使用され得る。一例として、刺激電流を送達するために選択された電極の組み合わせは、ハウジングのアノード、リード上のアノード、および同じリードまたは異なるリード上のカソードを含み得る。他の例では、電極の組み合わせは、ハウジング14上の少なくとも1つのアノードと併せて、1つ以上のリード上の2つ以上のアノードおよび/または2つ以上のカソードを含み得る。いくつかの例では、電極の組み合わせは、1つ以上のリード上の1つ以上のアノード、および同じリードまたは異なるリード、例えば、双極/多極配置上の1つ以上のカソードを含み得る。
【0058】
遠隔測定回路56は、電気刺激装置4とプログラマー40との間の双方向通信を可能にするために、RFトランシーバーを含み得る。遠隔測定回路56は、様々な形態を採り得るアンテナ57を含み得る。例えば、アンテナ57は、医療デバイス4と関連付けられたハウジングに埋め込まれた導電性コイルまたはワイヤによって形成され得る。いくつかの例では、アンテナ57は、電気刺激装置4の他の構成要素を担持する回路基板に取り付けられるか、または回路基板上の回路トレースの形態を採り得る。このようにして、遠隔測定回路56は、図1のプログラマー40との通信を可能にして、例えば、新しいプログラムもしくはプログラムグループ、またはプログラムまたはプログラムグループに対する調整を受信し得る。遠隔測定回路56は、プログラマー40の遠隔測定回路58と同様であり得る。
【0059】
図4は、図3の電気刺激装置4の電気刺激生成回路60の例をさらに詳細に示すブロック図である。刺激生成回路60は、例えば、図3を参照して記載されるように、電気刺激装置とともに使用されて、刺激生成回路60の機能を実行し得る。図4の例では、刺激生成回路60は、電極48を介して電流刺激パルスを患者6に送達するように選択的に構成されている。しかしながら、この開示は、調節された電流パルスが送達される例に限定されない。他の例では、刺激生成回路60は、調節された電流パルスではなく、連続的な調節された電流波形を提供し得る。いくつかの例では、刺激生成回路60は、連続波形およびパルスの組み合わせを送達するか、または連続波形もしくはパルスのいずれかを選択的に送達し得る。刺激生成回路60は、パルスまたは連続波形の形態で、定電流ベースまたは定電圧ベースの刺激のいずれかを生成し得る。刺激生成回路60はまた、定電力(電流-電圧積)または制御された電荷刺激パルスを提供するように制御され得る。
【0060】
図4に示される例では、刺激生成回路60は、マスター電流/電圧64、および電流/電圧レギュレータアレイ68を含む。いくつかの例では、刺激生成回路60は、スイッチアレイ66をさらに含み得る。マスター電流/電圧64は、電流/電圧レギュレータアレイ68に動作電力を提供し得、マスター電流(例えば、マスター電流振幅)またはマスター電圧のレベルを設定する調節された電流または調節された電圧を含み得る。図4に示されるように、マスター電流/電圧64は、電流/電圧レギュレータアレイ68に動作電力を提供し、電極48への接続のために適切な場合には、マスター電流またはマスター電圧を提供するように結合され得る。電流レギュレータアレイ68を調節するために提供される最大動作電流レベルおよびマスター電流レベルは、任意の所与の時間で異なり得る。例えば、マスター電流振幅は、最大動作電流レベルよりも小さくてもよく、そのため、マスター電流振幅は、最小および最大動作条件に従って増加または減少し得る。いくつかの例では、以下の図5を参照して記載されるように、外部プログラマー40のユーザインターフェース59は、様々な電極の電流振幅を調整しながら、参照のためにユーザにそのような情報を表示し得る。
【0061】
処理回路50は、電極48を介して刺激を送達するように、(例えば、刺激コントローラを介して)スイッチアレイ66および電流/電圧レギュレータアレイ68を制御し得る。動作中、処理回路50は、電極の組み合わせ、電極の極性、刺激電流の振幅、パルス速度、および/またはパルス幅、ならびにハウジングアノードと1つ以上のリード上の1つ以上のリードアノードの間で分配されるか、またはこれらによって寄与されるソース電流のパーセンテージ、および1つ以上のカソードによってシンクされたシンク電流のパーセンテージなどの刺激パラメータを指定し得る1つ以上のプログラムに従って電気刺激の送達を制御し得る。プログラムは、外部コントローラを介してユーザによって定義され、電気刺激装置4にダウンロードされ得る。
【0062】
電流/電圧レギュレータアレイ68は、複数の調節された電流ソースまたはシンクを含む。電流レギュレータは、電流ソースもしくはシンクとして機能するか、またはソースもしくはシンクとして動作するように選択的に構成され得る。いくつかの例では、電流/電圧レギュレータアレイ68は、電流の代わりに、または電流に加えて、電圧を調節し得る。便宜上、「電流レギュレータ」という用語は、ソースまたはシンクのいずれかを指すためにいくつかの例において使用され得る。したがって、電流/電圧レギュレータアレイ68内の電流レギュレータの各々は、電極48の対応する1つを介して刺激を送達する調節された電流ソース、または電極48の対応する1つから電流を受ける調節された電流シンクとして動作し得、電極48は、リード上、刺激装置ハウジング上、リードレス刺激装置上、または他の配置において提供され得る。2つ以上の電流ソースまたはシンクが本明細書において記載されているが、電気刺激装置4は、他の例では単一の電流ソースまたはシンクを含み、依然として1つ以上の治療パラメータの値の比率を有する関係に2つ以上の電極をロックすることをサポートし得る。
【0063】
各電流レギュレータは、複数の電流レギュレータブランチに対応し得る。いくつかの例では、電流レギュレータブランチは、並列電流レギュレータブランチなどで並列に実装され得る。電流レギュレータブランチの数は、各電流レギュレータの分解能を定義する。例えば、電流レギュレータブランチの数は、いくつかの例では64であり得、そのため、電流振幅は、1/64の増分(すなわち、1/64の分解能)で所与の電極に対して調整され得る。例えば、64の電流ブランチが本開示全体を通して使用されるが、本開示の技術はそれほど限定されておらず、現在ブランチの数は、64のブランチよりも多いまたは少ない場合がある。例えば、いくつかの実装形態では、128の電流ブランチが使用され得、そのため、特定の電極に対する電流レギュレータは、1/128の増分(すなわち、1/128の分解能)で調整され得る。1/64の分解能で例示的な実装形態では、フル出力のリング電極が64のブランチ(例えば、64/64ths)を実装し得る。加えて、刺激生成回路60は、最高強度のアクティブゾーンの最も高い寄与する電極の各々に対して、64の並列電流レギュレータブランチすべてが使用されるように設定され得る。
【0064】
リードの周囲の周りの異なる円周位置に電極を有するリード(例えば、セグメント化された電極または複雑な電極アレイ)を含む例では、リード12の様々な軸方向位置にある電極は、セグメント化された電極のリング内の電極セグメントの数で除算した電極に利用可能な数にほぼ等しい分数の最大を有し得る。例えば、リング電極は、64の電流レギュレータブランチを伴う例では分数64/64の最大を有し得、一方、セグメント化された電極のリング内のNのセグメント化された電極の各々は、ほぼ分数64/Nの最大を有し得る。例示的な例では、リング内の3つのセグメント化された電極の場合に、各電極は、分数21/64の分数の最大を有し得る。いくつかの例では、リング電極を含む任意の所与の電極に対する分数の最大は、電流レギュレータブランチの全数(例えば、64ブランチ)に達し得る。すなわち、処理回路53または処理回路50は、使用中の特定の刺激生成回路60(例えば、電流レギュレータブランチの数)に基づいて、任意の分数の最大を課すように構成され得る。例えば、前の例のようにリング内の3つのセグメント化された電極の場合に、各電極は分数X/Xの分数の最大(例えば64/64分数)または処理回路53または処理回路50によって事前定義されているX/Xより小さい分数を有し得る。
【0065】
スイッチアレイ66を含む例では、スイッチアレイ66の各スイッチは、電極48の対応する1つを、電流/電圧レギュレータアレイ68の対応する双方向電流レギュレータまたはマスター電流/電圧64のいずれかに結合し得る。いくつかの例では、処理回路50は、スイッチアレイ66内のスイッチを選択的に開閉して、ハウジング電極(例えば、電極48Q)、および1つ以上のリード上の電極48A~48Pのうちの1つ以上を、電流/電圧レギュレータアレイ68の調節された電流ソースまたはシンクへの接続によって、調整された電極として構成する。いくつかの例では、処理回路50は、スイッチアレイ66内のスイッチを選択的に開閉して、ハウジング電極、例えば、電極48Q、またはマスター電流/電圧64への接続によって調節されていない電極としてリード上の電極のいずれかを構成し得る。加えて、処理回路50は、選択された電極に刺激電流パルスを送達するように、電流/電圧レギュレータアレイ68内の個々の調節された電流ソースまたはシンクを選択的に制御し得る。スイッチアレイ66が使用されない例では、それにもかかわらず、電極48は、電流/電圧レギュレータアレイ68および/またはマスター電流/電圧64に結合され得る。
【0066】
マスター電流/電圧64は、電極が調節されていない電源(高電圧レール)または調節されていないシンク(低電圧レール)のどちらにプログラムされているかに応じて、調節されていない電源によって供給される高電圧または低電圧であり得る。したがって、マスター電流/電圧64は、必要に応じて、調節されていない参照電極に選択的に結合するために、高および低マスター電流、または適切な場合、マスター電圧を生成し得る。調節された電源は、マスター電流/電圧64として使用するため、および電流/電圧レギュレータアレイ68の電力レールとして使用するために、1つ以上の調節された電圧レベルを生成し得る。同じマスター電流/電圧64が図4において電流/電圧レギュレータアレイ68に結合されているように示されているが、スイッチアレイ66に結合されたマスター電流および電流レギュレータアレイ68に提供される最大電流振幅に異なる電流振幅が使用され得る。いずれにせよ、調節された電源は、電源または1つ以上の電池(例えば、充電式電池)などの2つ以上の電源によって提供される電流から調節された電流振幅を生成し得る。
【0067】
処理回路50は、異なる刺激プログラムによって定義される電極構成を生成するように、スイッチアレイ66の動作を制御する。場合によっては、スイッチアレイ66のスイッチは、電子信号を切り替えるために使用される金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)または他の回路構成要素であり得る。スイッチアレイ66のスイッチは、マスター電流/電圧64と関連する調節されていない電流経路を通して対応する電極に結合され得る調節されていない電流の量を担持するように設計され得る。いくつかの例では、2つ以上の調節された電極48は、異なる量の電流を送達するように意図的にプログラムされ得、そのため、調節された電極が不平衡な電流分布を生成する。他の例では、実質的にすべての電流がそれぞれの調節された電流ソースおよびシンクを介してソースおよびシンクされ得るように、調節されたソースおよびシンク電流の平衡化され得る。
【0068】
調節された電極または調節されていない参照電極のいずれかとして電極48の個々の制御を提供するために、処理回路50は、スイッチアレイ66および電流/電圧レギュレータアレイ68の動作を制御する。刺激が患者6に送達されるとき、電流パルスの例の場合、処理回路50は、所望の電極の組み合わせのために選択された刺激電極を、電流/電圧レギュレータアレイ68のそれぞれの電流レギュレータに、または必要に応じて、マスター電流/電圧64に結合するようにスイッチアレイ66を制御する。処理回路50は、指定された量の電流をソースまたはシンクするために、調節された電極に結合された電流/電圧レギュレータアレイ68の調節された双方向電流ソースを制御する。例えば、処理回路50は、電流パルスを対応する電極に送達するように、選択された電流ソースまたはシンクをパルスごとに制御し得る。
【0069】
処理回路50はまた、非アクティブな電極、例えば、所与の電極構成において調節された電極としてアクティブではない電極につながれた電流/電圧レギュレータアレイ68の調節された双方向電流レギュレータを非アクティブにする。電流/電圧調整器アレイ68の各調節された双方向電流レギュレータは、電流調整器から調節された電力を切断するか、そうでなければ対応する電極が調節された電極として使用されないときに電流ソースを無効にする処理回路50によって制御される内部イネーブルスイッチを含み得る。
【0070】
本明細書に記載の刺激生成回路60の使用は、スイッチアレイ66および電流/電圧レギュレータアレイ68の電流レギュレータの部分的な使用に従って、分数の量の電流の送達を可能にする。このようにして、電気刺激装置4は、例えば、他の各電極48の電流振幅の分数の電流振幅を有する電極48の各々を介して電気刺激を送達し得る。したがって、刺激生成回路60の使用は、電気刺激療法が送達される電極48を定義する治療パラメータの調整を可能にすると同時に、電気刺激装置4が、互いに対する電極48の各々の各治療パラメータの値の比率を維持することを可能にする。
【0071】
例えば、外部プログラマー40は、電気刺激装置4の複数の電極48の2つ以上の電極に対する関係を定義する。この関係は、刺激を送達するために使用される1つ以上の他の電極48の値に対する1つ以上の電極の治療パラメータの値の比率を定義する。治療パラメータは、電極48を介して送達される電気刺激を定義し、例えば、電流振幅または電圧振幅の1つ、電気刺激パルスカウント、周波数などを含み得る。外部プログラマー40は、2つ以上の電極48の治療パラメータの値の比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、2つ以上の電極48の各々の治療パラメータの各値を調整するマスター調整を実行する。外部プログラマー40は、マスター調整に従って患者6に電気刺激療法を提供するように電気刺激装置4を制御する。電気刺激装置4は、刺激生成回路60を使用して、例えば、マスター調整を達成するために、他の各電極48の電流振幅の分数の電流振幅を有する電極48の各々を介して電気刺激を送達し得る。
【0072】
図5は、本開示の手法による例示的なユーザインターフェース500を示すブロック図である。いくつかの例では、ユーザインターフェース500は、図2の外部プログラマー40のユーザインターフェース59の例である。ユーザインターフェース500を使用して、1つ以上のリード12の1つ以上の電極48の1つ以上の治療パラメータを調整し得る。電極48は、図1の電極48の例である。図5は、一例のリードアイコン512を表示しているユーザインターフェース500の表示ウィンドウ502を描写している。いくつかの例では、ユーザインターフェース500は、それぞれのリードを表す複数のリードアイコンを表示し得、各リードは、1つ以上の電極48を有する。
【0073】
図5の例では、ウィンドウ502は、図1のリード12Aまたは12Bのうちの1つに対応し得る例示的なリードアイコン512をグラフで描写している。例示的な例では、リードアイコン512は、4つの電極アイコン、すなわち、電極アイコン548A~548D(総称して「電極アイコン548」と称される)を含む。リードアイコン512は、使用中の特定のリード構成に応じて、より多いまたはより少ない電極アイコン548を有し得、図1に示されるリード12Aおよび12Bの各々に対するアイコンなど、複数のリードアイコン512が画面502に表示され得る。図示を容易にするために、4つの電極アイコン548(または4つの電極の一部分)のみがリードアイコン512上に描写され、2つの電極アイコン548Aおよび548Bのみを使用して、様々な治療パラメータ調整の例を図示している。加えて、ウィンドウ502は、刺激ゾーン、電界ゾーン、活性化ゾーンなどを描写し得る(図示せず)。例えば、ゾーンは、リード12のソース電流の電極48のうちの1つ以上によって生成されるアノードゾーンであり得る。第2のゾーンは、リード12のシンク電流の電極48のうちの1つ以上によって生成されるカソードゾーンであり得る。
【0074】
図5の例では、4つの電極の各々に隣接して、表示ウィンドウ502は、電極48の各々または電極の組み合わせと関連する電流を示し得る。特に、電極アイコン548Aは、充填可能フィールドまたは他の方法で調整可能なフィールド514Aを含み得、電極アイコン548Bは、別の充填可能フィールドまたは他の方法で調整可能なフィールド514Bを含み得る(以下、「フィールド514」)。フィールド514は、電極48の各々の治療パラメータの値(例えば、図5の例における電流振幅)を示し得る。電極アイコン548Aおよび548B(すなわち、例えば、第1および第2の電極)に関してのみ示されているが、フィールド514は、セグメント化されたリード実装形態の場合のセグメント化された電極を含むすべての電極に等しく適用され得る。
【0075】
いくつかの例では、ユーザインターフェース500の表示ウィンドウ502は、それぞれ、マスター治療パラメータ値および/または最大治療パラメータ値に関する情報を示す表示ウィンドウ510および518を含み得る。いくつかの例では、ユーザインターフェース500は、ユーザがマスター治療パラメータ値および/または最大治療パラメータ値に関する情報を表示ウィンドウ502から隠すためのオプション(例えば、選択可能なトグルアイコンまたはメニュー選択)を提供し得る。このようにして、ユーザインターフェースは、ユーザが個々の電極48または電極48の組み合わせに対する治療パラメータを調整することに集中することを可能にし得る。いくつかの例では、ユーザインターフェース500は、所望の治療パラメータ値が治療パラメータの最大値に近づくと、ユーザに警告し得る。すなわち、ユーザインターフェース500は、それぞれの電極または電極の組み合わせに対する治療パラメータ値を表示することを好みで、表示ウィンドウ510または518から隠し得る。
【0076】
例示的な例では、ユーザインターフェース500は、ユーザが、フィールド514を使用して直接ユーザ入力を提供して、1つ以上の電極48に対する所望の治療パラメータ値を達成することを可能にし得る。例えば、ユーザインターフェース500は、ミリアンプ単位の電流振幅の値として、フィールド514Aにおける入力「1.1」およびフィールド514Bにおける「1.2」を受け入れ得る。場合によっては、一方または両方のフィールドに治療パラメータ値が自動入力され得、その場合に、ユーザは自動入力された値を調整値で調整し得る。一例では、ユーザインターフェース500は、フィールド514Aにおいて「1.1mA」を表示し得、電極アイコン548Aに対応する電極が、刺激電流振幅として1.1mAでプログラムされることを示す。したがって、ユーザインターフェース500は、入力として、第1の電極アイコン548Aに対する「1.1」からより高いまたはより低い電流振幅値への調整を受け入れ得る。例えば、ユーザインターフェース500は、第1の電極アイコン548Aの「1.1」~「1.3」への調整を受け入れ得る。フィールド514Bが、電極アイコン548Bに対応する電極に対する治療パラメータの事前入力された値を有する例では、フィールド514Bは、第1の電極アイコン548Aへの調整の前後に同じ値を表示し得る。
【0077】
いくつかの例では、ユーザは、ユーザインターフェース500を使用して治療パラメータの値を調整し得るが、ユーザがユーザインターフェース500を介して明示的なコマンドを提供するまで、変更は、有効にならない場合がある。例えば、ユーザは、電極アイコン548Aの電流振幅を「1.1mA」~「1.3mA」に調整し得るが、電極アイコン548Bに対応する電極が「1.2mA」の電流値に留まることを所望し得る。明示的なコマンドが使用されているかどうかに関係なく、ユーザはフィールド514Bを使用して電極アイコン548Aを「1.1mA」~「1.3mA」に調整し得、フィールド514Bは調整の前後に「1.2mA」を表示し、電気電極アイコン548Bに対応する電極に対する電流振幅は、「1.2mA」から変更されないままであることを示し得る。ユーザインターフェース500を介して受信されたユーザ入力は、プログラマー40から電気刺激装置4に転送され得る。すなわち、電気刺激装置4は、プログラマー40からユーザ入力を受信し、それに応じて様々なプログラミング要求を実装し得る。
【0078】
前述の例では、フィールド514Aおよび514Bは、ユーザに、それぞれ、電極アイコン548Aおよび548Bの各々に対応する電極に対する電流振幅の値を調整することを可能にしている。しかしながら、他の例では、ユーザは、電圧振幅または電流振幅の1つ、電気刺激パルス幅、電気刺激パルスカウント、電気刺激のデューティサイクル、電気刺激パルス速度または電気刺激の周波数などの1つ以上の他の治療パラメータを調整し得る。
【0079】
本開示の技法に従って、外部プログラマー40は、ユーザから、およびユーザインターフェース500を介して、それぞれ、フィールド514Aおよび514Bを介して電極アイコン548Aおよび548Bに対応する電極の電流振幅の値を受信する。外部プログラマー40は、電極の電流振幅の値を電気刺激4に送信して、電極を介して、各電極のそれぞれの電流振幅に従って電気刺激療法を提供するように電気刺激装置4を制御する。
【0080】
さらに、外部プログラマー40は、ロックボタン501の選択を介して、電極アイコン548Aおよび548Bに対応する電極に対する関係をロックするための指標をユーザから受信し得る。外部プログラマー40は、電極アイコン548Aおよび548Bに対応する電極の各々に対する治療パラメータの値の間の関係の指標を記憶する。例えば、外部プログラマー40は、電極アイコン548Aに対応する電極に指定された電流振幅の値と、電極アイコン548Bに対応する電極に指定された電流振幅の値との比率を決定し得る。いくつかの例では、電極アイコン548Aおよび548Bの関係を「ロックすること」によって、プログラマー40は、電気刺激装置4に、治療パラメータに対する後の調整のために、電極アイコン548Aと548Bに対応する電極の各々に対する治療パラメータの値を相互に「ロック」(例えば、維持または保存)させ得る。
【0081】
続いて、プログラマー40は、ユーザインターフェース500を介して、電極アイコン548Aおよび548Bに対応する電極の治療パラメータに対するマスター調整を要求するユーザ入力をユーザから受信することができる。プログラマー40は、マスター調整に基づいて、電極アイコン548Aおよび548Bに対応する各電極の治療パラメータの値の比率を維持するように、定義によって指定された量だけ、電極アイコン548Aおよび548Bに対応する電極の各々の治療パラメータの各値を調整するように電気刺激装置4を応答的に調整する。このようにして、プログラマー40は、例えば、電極アイコン548Aに対応する電極の治療パラメータの値と電極アイコン548Bに対応する電極の対応する治療パラメータの値の関係を維持しながら、電極アイコン548Aに対応する電極に対する電機刺激の治療パラメータの値(例えば、図5の例では、電流)を調整するように電気刺激装置4を調整する。したがって、臨床医は、電気刺激療法の治療効果を最適化し、電気刺激療法の副作用の発生および/または重症度を低減するように、電気刺激療法を定義する様々な治療パラメータを調整するために、本明細書に記載された技術に従って動作する医療デバイスを使用し得る。
【0082】
図6Aは、本開示の手法を実行するための例示的な動作を示すフローチャートである。具体的には、図6Aは、2つ以上の電極48に対する関係をロックするための動作を示している。便宜上、図6Aは、図1に対して記載されている。図6Aの例では、外部プログラマー40は、ユーザから、複数の電極48のうちの2つ以上の電極48の選択を受信する(602)。例えば、2つ以上の電極48は、複数の電極48のすべて、または複数の電極48のサブセットであり得る。追加的に、外部プログラマー40は、ユーザから、または事前に生成されたプログラムから、2つ以上の電極48に対する治療パラメータの値の指標を受信する(604)。治療パラメータの値の各々は、2つ以上の電極48の各電極48に対して、例えば、電圧振幅または電流振幅のうちの1つの値、電気刺激パルス幅、電気刺激パルスカウント、電気刺激のデューティサイクル、電気刺激パルス速度または電気刺激の周波数などの値を指定し得る。いくつかの例では、外部プログラマー40は、2つ以上の電極48の選択および2つ以上の電極48に対する治療パラメータの値を電気刺激装置4に送信して、指定された治療パラメータに従って2つ以上の電極48を介して電気刺激を送達するように電気刺激装置4を制御する。
【0083】
外部プログラマー40は、ユーザから、2つ以上の電極に対する関係をロックすることをプログラマー40に要求するユーザ入力を受信し(606)、それに応答して、プログラマー40は、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を定義する2つ以上の電極に対する関係を定義する(608)。いくつかの例では、外部プログラマー40は、2つ以上の電極48の各々に対する治療パラメータの値間の関係の指標を記憶する。一例として、外部プログラマー40は、例えば、電極48Aに指定された電流振幅の値と、例えば、電極48Bに指定された電流振幅の値の比率を決定し得る。
【0084】
続いて、外部プログラマー40は、ユーザから、治療パラメータの値に対するマスター調整を実行する指標を受信する(609)。指標を受信することに応答して、外部プログラマーは、比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する治療パラメータの各値を調整するマスター調整を実行する(610)。次いで、外部プログラマー40は、2つ以上の電極48の治療パラメータの調整された値を電気刺激装置4に送信して、マスター調整に従って電気刺激装置4による電気刺激の送達を制御する(612)。
【0085】
図6Bは、本開示の手法を実行するための例示的な動作を示すフローチャートである。具体的には、図6Bは、2つ以上の電極48に対する関係をロック解除するための動作を示している。便宜上、図6Bは、図1に対して記載されている。いくつかの例では、図6Bの動作は、図6Aに関して上記で記載された動作の後に発生し得る。図6Bの例では、外部プログラマー40は、ユーザから、複数の電極48のうちの2つ以上の電極48に対する関係のロック解除するための指標を受信する(652)。2つ以上の電極に対する関係は、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を定義する。治療パラメータの値の各々は、2つ以上の電極48の各電極48に対して、例えば、電圧振幅または電流振幅のうちの1つの値、電気刺激パルス幅、電気刺激パルスカウント、電気刺激のデューティサイクル、電気刺激パルス速度または電気刺激の周波数などの値を指定し得る。いくつかの例では、2つ以上の電極48は、複数の電極48のすべて、または複数の電極48のサブセットであり得る。
【0086】
いくつかの例では、ユーザは、ロックされた2つ以上の電極48の特定の1つに対応するプログラマー40のユーザインターフェース59によって表示されるアイコンを選択することによって、関係をロック解除するための指標を指定し得る。いくつかの例では、ユーザは、プログラマー40のユーザインターフェース59を介して、1つ以上の特定の電極48の振幅を変更することによって、関係をロック解除するための指標を指定し得る。関係をロック解除するための指標を受信することに応答して、外部プログラマー40は、2つ以上の電極48に対する関係をロック解除する(654)。例えば、外部プログラマー40は、電極48間の任意の以前の関係をクリアし得、電極48間の関係は定義されない。
【0087】
関係をクリアした後、外部プログラマー40は、2つ以上の電極48の第1の電極の治療パラメータの値に対する調整の指標を受信する(656)。外部プログラマー40は、以前の関係によって指定された2つ以上の電極48間の治療パラメータの値の比率を維持することなく、2つ以上の電極48の第1の電極の治療パラメータの値を調整するための調整を実行する(658)。次いで、外部プログラマー40は、2つ以上の電極48の第1の電極の治療パラメータの調整された値を電気刺激装置4に送信して、第1の電極の治療パラメータの調整された値に従って電気刺激装置4による電気刺激の送達を制御する(660)。
【0088】
図7A~7Bは、本開示の手法による例示的なユーザインターフェース700の画面を示す概念図である。ユーザインターフェース700は、図2のプログラマー40のユーザインターフェース59または図5のユーザインターフェース50の例であり得る。
【0089】
ユーザインターフェース700は、ディスプレイウィンドウ720内のリードアイコン712上に配設された電極アイコン748A~48D(以下、「電極アイコン748」)の表現を描写する。図7A~7Bの例では、電極アイコン748A~748Dの各々は、図1および3の電極48A~48Dのそれぞれの1つに対応し、リードアイコン712は、図1のリード12に対応する。図7Aの例では、電極アイコン748Dおよび748Bが、電極48Dおよび48Bがカソードとして作用するように選択されていることを示し、電極アイコン748Cが、電極48Cがアノードとして作用するように選択されていることを示す。ディスプレイウィンドウ720は、電極48B、48C、および48Dに対して選択された治療パラメータに従って、電気刺激装置4による電気刺激の送達によって生成される電界702の表現をさらに描写する。
【0090】
ユーザインターフェース700は、臨床医が、電極48B、48C、および48Dに対して選択された治療パラメータに従って、電気刺激装置4による電気刺激の送達をアクティブ化または非アクティブ化することを可能にするトグルボタン738を含む。ユーザインターフェース700は、臨床医が、現在選択されている電極48に対する治療パラメータの値を調整することを可能にする治療パラメータコントロールパネル722をさらに含む。図7Aの例では、臨床医は、電極アイコン748Cを選択し、電極48Cを介して送達される電気刺激の電流振幅に対して1.8ミリアンペアの値を設定している。ユーザは、増分増加ボタン732または増分減少ボタン734を押すことによって、電極48Cに対する治療パラメータの値を調整し得る。この例では、増分増加ボタン732および増分減少ボタン734は、治療パラメータの値を0.1ミリアンペアだけ調整する。さらに、臨床医は、電極48Cに対する治療パラメータの値を、最大ボタン730を押すことによって最大値に、または最小ボタン736を押すことによって最小値に調整し得る。最大値または最小値は、患者の快適性および刺激効果に基づいて事前に決定されるか、またはシステム制限に基づいて事前に決定され得る。代替的に、または加えて、ユーザは、振幅スライダーを使用して、アクティブ電極レベル全体の刺激フィールドを比例的に調整し得る。臨床医は、ミリアンペアボタン740、パルス持続時間ボタン742、またはパルス周波数ボタン744などの対応する治療パラメータタイプボタンを選択することによって、治療パラメータのタイプ(例えば、電流振幅、パルス持続時間、またはパルス周波数)を選択し得る。
【0091】
図7Bの例では、電極アイコン748Dおよび748Cが、電極48Dおよび電極48Cがアノードとして作用するように選択されていることを示している。電極48Bは、例えば、カソードとして作用し得、および/または刺激装置4上の遠隔電極は、電極として作用し得る。図7Bに描写されるように、ユーザインターフェース700は、電極選択パネル724をさらに含む。電極選択パネル724は、それぞれが電極48A~48Dの対応する1つに対する選択状態を描写するインジケータ758A~758D(総称して「インジケータ758」)を含む。図7Bに描写されるように、インジケータ758D(黒で網掛けされている)は、臨床医が治療パラメータ調整のために(例えば、治療パラメータ制御パネル722を介して)電極48Dを選択したことを示している。電極選択パネル724に描写されているように、臨床医は、電極48Dを介して送達される電気刺激の電流振幅に対して0.7ミリアンペアの値を設定している。インジケータ758C(灰色の網掛け)は、臨床医が刺激の送達のために電極48Cを選択したが、現在電極48Cの治療パラメータを調整していないことを示している。電極選択パネル724に描写されているように、臨床医は、電極48Cを介して送達される電気刺激の電流振幅に対して、以前に1.5ミリアンペアの値を設定している。インジケータ758Aおよび758B(白で網掛け)は、電極48Aおよび48Bが刺激の送達に使用されていないことを示す。電極選択パネル724に描写されているように、0.0ミリアンペアの値が、電極48Aおよび48Bを介して送達される電気刺激の電流振幅に対して設定されている。
【0092】
インジケータ758の状態色(例えば、黒、灰色、または白)は、それぞれの電極48を使用する電気刺激装置4による治療送達の現在の状態を示す。例えば、上で考察されたように、図7Bの黒色は、治療パラメータ制御パネル722を介して治療パラメータ調整のために現在選択されている電極を示す。別の例として、図7Bの灰色は、治療パラメータがゼロより大きい(例えば、電極が電気刺激療法の送達にアクティブに使用されるように)が、治療パラメータ制御パネル722を介して現在調整されていない電極を示す。別の例として、図7Bの白色は、治療パラメータがゼロに等しく(例えば、電極が電気刺激療法の送達に使用されないように)、治療パラメータ制御パネル722を介して現在調整されていない電極を示す。ユーザインターフェース700がタッチセンシティブディスプレイである例では、臨床医は、所望の電極48に対応するインジケータ758を押すことによって、治療パラメータ制御パネル722を介して調整のために特定の電極48を選択し得る。さらに、治療パラメータ制御パネル722は、現在選択されている電極アイコン758に対応する電極48に対する治療パラメータの値を表示するように自動的に更新し得る。図7Bの色は、例示を容易にするためにのみ提供されており、他の色を使用して、電極48の様々な状態または構成を示し得る。
【0093】
本開示の技法によれば、図7A~7Bのユーザディスプレイ700は、ロックボタン701をさらに含む。ユーザインターフェース700は、ユーザが電気刺激装置4による電気刺激の送達のための治療パラメータの値を定義することを可能にするとき、「ロック解除」または「ロック」構成において動作し得る。ユーザは、ロックボタン701を選択することにより、「ロック解除」構成と「ロック」構成をトグルし得る。ロックボタン701は、以下でさらに詳細に記載されるように、ユーザが電界702の形状を「ロック」することを可能にし得る。いくつかの例では、ロックボタン701は、ボタン、アイコン、および振幅値の3つの要素を含む。ロックボタン701は、ロックされた電極間のパラメータ値の比率を維持することによって、ユーザが刺激フィールド702の全体の形状を拡大または縮小することを可能にする。
【0094】
ユーザインターフェース700の「ロック解除」構成では、電極48のいずれの間の関係も定義されていない。ユーザは、電極48の各々の個々の治療パラメータの値を調整し得る。いくつかの例では、ユーザは、電極48の各々の個々の治療パラメータの値を調整して、選択された治療パラメータに従って刺激装置4による電気刺激の送達によって生成される電界702の所望の形状を達成する。「ロック解除」構成では、治療パラメータ制御パネル722の振幅刺激スライダーの値は、単一の選択された電極(例えば、電極アイコン758Dに対応する電極)の振幅を示す。
【0095】
ユーザインターフェース700の「ロック」構成では、プログラマー40は、選択された電極48(例えば、図7Bの電極アイコン758Dおよび758Cに対応する電極48)に対する関係を定義する。この関係は、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を定義する。「ロック」構成にある間、ユーザは、外部プログラマー40にマスター調整を実行するように要求し得る。マスター調整は、2つ以上の選択された電極48間の治療パラメータの値の比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、選択された電極48の各それぞれの電極に対する治療パラメータの各値を調整する。「ロック」構成では、治療パラメータ制御パネル722の振幅刺激スライダーの値は、マスター振幅を示している。
【0096】
マスター調整を実行した後、ユーザは再度ロックボタン701を選択して、ユーザインターフェース700を「ロック解除」構成に戻す。「ロック解除」構成にある間、電極48間の任意の以前の関係はすべてクリアされ、電極48間の関係は定義されない。いくつかの例では、ユーザインターフェース800は、単一の電極アイコン758を選択することによって、またはロックボタン701を選択することによって、「ロック解除」構成に移行し得る。ユーザは、以前に定義された関係を維持することなく、電極48の各々の個々の治療パラメータの値を再度調整し得る。このようにして、ユーザインターフェース700は、ユーザがフィールド形状を維持しながら刺激フィールドを迅速に増加または減少させることを可能にするように構成され得る。次に、ユーザは関係をロック解除し、単一の電極を調整し、必要に応じて刺激フィールドに対してより小さい調整を行うことができる。代替的に、または加えて、ユーザは、ロックボタン701を再度選択して、ユーザインターフェース700をもう一度「ロック」構成に移行させて、別のマスター調整などを実行し得る。
【0097】
図8A~8Bは、本開示の手法による例示的なユーザインターフェースを示すブロック図である。ユーザインターフェース800は、図2のプログラマー40のユーザインターフェース59または図5のユーザインターフェース50の例であり得る。
【0098】
図8Aに描写されるように、ユーザインターフェース800は、ディスプレイウィンドウ820内のリード812上に配設された電極アイコン848A、848B-1、848B-2、848B-3、848C-1、848C-2、848C-3、および848D(以下、「電極アイコン848」)の表現を描写する。
【0099】
図8A~8Bの例では、電極アイコン848A~848Dの各々は、図1および3の電極48のそれぞれの1つに対応し、リードアイコン812は、図1のリード12に対応する。
【0100】
図8Aの例では、電極アイコン848B-1、848B-2、848B-3(総称して「電極アイコン848B」)は、リード12の周りの異なる円周位置に配設された電極48の第1のサブセットを表す。同様に、電極アイコン848C-1、848C-2、848C-3(総称して「電極アイコン48C」)は、リード12の周りの異なる円周位置に配設された電極48の第2のサブセットを表す。図8Aの例では、電極48の第1のサブセットおよび電極48の第2のサブセットの各々は、3つの電極アイコン(例えば、第1のサブセットにおける電極アイコン848B-1、848B-2、848B-3、第2のサブセットにおける電極アイコン848C-1、848C-2、848C-3)によって表されるが、他の例では、電極48の各サブセットは、任意の数の電極(例えば、サブセット当たり3つより多いまたは少ない)を有し得る。さらに、図8Aの例では、リードアイコン812は、電極アイコン848のサブセットの2つのリングを有するが、他の例では、リードアイコン812は、電極アイコン848のより多くのリングを有するか、より少ないリングを有するか、またはリングを有しない場合があり、各リングは、リード12の実際の構成に応じて、1つ以上の電極848のサブセットを有する。
【0101】
図8Aの例では、電極アイコン848B-1、848B-2、848C-1、および848C-2は、対応する電極48が、図1の電気刺激装置4による電気刺激の送達のためのアノードとして作用するように選択されていることを示す。リング電極48D、48Aのうちの1つ以上、または図1の電気刺激装置4(図8Aには描写せず)などの医療デバイスのハウジングは、この例ではカソードとして作用し得る。ディスプレイウィンドウ820は、電極アイコン848B-1、848B-2、848C-1、および848C-2に対応する電極に対して選択された治療パラメータに従って、電気刺激装置4による電気刺激の送達によって生成される電界802の表現をさらに描写する。
【0102】
ユーザインターフェース800は、臨床医が、848B-1、848B-2、848C-1、および848C-2に対応する電極に対して選択された治療パラメータに従って、電気刺激装置4による電気刺激の送達をアクティブまたは非アクティブにすることを可能にするトグルボタン838を含む。トグルボタン838は、図7Aのトグルボタン738と実質的に同様に動作し得る。
【0103】
ユーザインターフェース800は、電極48の状態の側面図を表示する電極状態ウィンドウ826をさらに含む。例えば、図8Aの例に描写されるように、電極状態ウィンドウ826は、電気刺激装置4による電気刺激の送達のためにアノードとして作用する対応する電極48を示す電極アイコン848B-1、848B-2、848C-1、および848C-2を描写する。リード12が、リード12の周りのリング上に配設された電極48のサブセットを含む実装形態の場合、例えば、電極アイコン848B-1、848B-2、および848B-3に対応する電極の場合に、電極ステータス826の使用により、電極アイコン848のうちの1つ以上が、ディスプレイウィンドウ820内のリードアイコン812の三次元描写によって視界から隠されている可能性がある電極48の各々の状態を視認する際に臨床医が支援され得る。例えば、図8Aの例に描写されるように、電極アイコン848B-1および848C-1は、表示ウィンドウ820内のリードアイコン812の三次元描写によって少なくとも部分的に隠されている。
【0104】
ユーザインターフェース800は、電極選択パネル824をさらに含む。図8Aに描写されるように、電極選択パネル824は、インジケータ858A、858B-1、858B-2、858B-3、858C-1、858C-2、858C-3、および858Dを含み、各々、電極アイコン848A、848B-1、848B-2、848B-3、848C-1、848C-2、848C-3、および848Dの1つの対応する軸方向表現(例えば、電極の場所に対応する異なる軸方向位置の断面図)に対する選択状態を描写する。図8Aに描写されるように、インジケータ858C-1および858C-3(黒で網掛け)は、臨床医が、治療パラメータ調整のために(例えば、治療パラメータ制御パネル822を介して)電極アイコン848C-1および848C-3に対応する電極を選択したことを示す。電極選択パネル824に描写されるように、臨床医は、電極アイコン848C-1および848C-3に対応する電極の各々を介して送達される電気刺激の電流振幅に対して0.5ミリアンペアの値を設定している。インジケータ858B-1および858B-3(灰色の網掛け)は、臨床医が刺激の送達のために電極アイコン848B-1および848B-3に対応する電極48を選択したが、現在そのような電極の治療パラメータを調整していないことを示している。電極選択パネル824に描写されるように、臨床医は、電極アイコン848B-1および848B-3に対応する電極48の各々を介して送達される電気刺激の電流振幅に対して、以前に0.2ミリアンペアの値を設定している。インジケータ858A、858B-2、858C-2、および858B(白で網掛け)は、電極アイコン848A、848B-2、848C-2、および848Dに対応する電極48が現在刺激の送達に使用されていないことを示している。
【0105】
いくつかの例では、アクティブであるとき、インジケータ858は、インタラクティブ状態と選択された状態の両方における、振幅の値およびラベルを表示する。インジケータ858の制御は、単一の選択オプションであり、例えば、第2のボタンをタップすると、第1から第2に切り替わる。各インジケータ858は、対応する単一の電極48の振幅を表示する。いくつかの例では、ディスプレイウィンドウ820は、各リングに対する合計振幅または各リング内の各電極に対する振幅を表示する。
【0106】
電極選択パネル824は、リングトグルボタン828Bおよび828Cをさらに含む。リングトグルボタン828Bおよび828Cを使用すると、臨床医は1つのボタンでリングのすべての電極のオンとオフをトグルすることが可能になる。例えば、臨床医は、リングトグルボタン828Bを選択して、電極アイコン848B-1、848B-2、および848B-3に対応する電極48の各々を「オン」状態に移行させ得る。いくつかの例では、リングトグルボタン828Bを選択するときに、以前は「オフ」状態であった電極アイコン848B-1、848B-2、および848B-3に対応する電極の各々は、「オン」状態に移行し、電気刺激の送達のための治療パラメータの事前定義された値(例えば、初期電流振幅)を使用し得る。さらに、臨床医は、リングトグルボタン828Bをもう一度選択して、電極アイコン848B-1、848B-2、および848B-3に対応する電極の各々を「オフ」状態に移行させ得る。
【0107】
いくつかの例では、各リングトグルボタン828B、828Cは、アクティブである同じリング上の利用可能な電極のみを選択する。例えば、2つのセグメント858C-1と858C3のみが構成の一部である場合、リングトグルボタン828Cは、858C-1および858C3のみを選択し、858C-2は選択しない。
【0108】
ユーザインターフェース800は、臨床医が現在選択されている1つ以上の電極48に対する治療パラメータの値を調整することを可能にする治療パラメータコントロールパネル822をさらに含む。図8Aの例では、臨床医は、電極アイコン848C-1および848C-3に対応する電極48を選択し、電極を介して送達される電気刺激の電流振幅に対して0.5ミリアンペアの値を設定している。治療パラメータ制御パネル822は、図7A~7Bの治療パラメータ制御パネル722と実質的に同様に動作し得る。例えば、ユーザは、増分増加ボタン832、増分減少ボタン834、最大ボタン830、または最小ボタン836を押すことによって、電極アイコン848C-1および848C-3に対応する電極48に対する治療パラメータの値を調整し得、ボタンの各々は、図7Aのボタン732、734、730、または736などと実質的に同様に動作し得る。さらに、臨床医は、ミリアンペアボタン840、パルス持続時間ボタン842、またはパルス周波数ボタン844などの対応する治療パラメータタイプボタンを選択することによって、治療パラメータのタイプ(例えば、電流振幅、パルス持続時間、またはパルス周波数)を選択し得る。
【0109】
インジケータ858の状態色(例えば、黒、灰色、または白)は、それぞれの電極48を使用する電気刺激装置4による治療送達の現在の状態を示す。インジケータ858の状態カラーは、図7Aに関して上で考察されたインジケータ758の状態カラーと実質的に同様に動作し得る。一例としてユーザインターフェース700がタッチセンシティブディスプレイである例では、臨床医は、所望の電極48に対応するインジケータ858を押すことによって、治療パラメータ制御パネル822を介して調整のために特定の電極48を選択し得る。さらに、治療パラメータ制御パネル822は、現在選択されている電極48に対する治療パラメータの値を表示するように自動的に更新し得る。図8Aの色は、例示を容易にするためにのみ提供されており、他の色を使用して、電極48の様々な状態または構成を示し得る。
【0110】
電極選択パネル824は、ロックボタン801を含む。ユーザインターフェース800は、ユーザが電気刺激装置4による電気刺激の送達のための治療パラメータの値を定義することを可能にするとき、「ロック解除」または「ロック」構成において動作し得る。ユーザは、ロックボタン801を選択することにより、「ロック解除」構成と「ロック」構成をトグルし得る。ロックボタン801は、以下でさらに詳細に記載されるように、ユーザが電界802の形状を「ロック」することを可能にし得る。いくつかの例では、ロックボタン801は、ボタン、アイコン、および振幅値の3つの要素を含む。ロックボタン801は、ロックされた電極間のパラメータ値の比率を維持することによって、ユーザが刺激フィールド802の全体の形状を拡大または縮小することを可能にする。
【0111】
図8Aの例では、ユーザインターフェース800は「ロック解除」構成にある。「ロック解除」構成では、電極48のいずれの間の関係も定義されていない。ユーザは、電極48の各々の個々の治療パラメータの値を調整し得る。いくつかの例では、ユーザは、電極48の各々の個々の治療パラメータの値を調整して、選択された治療パラメータに従って刺激装置4による電気刺激の送達によって生成される電界802の所望の形状を達成する。
【0112】
ユーザがロックボタン801を選択することに応答して、ユーザインターフェース800は「ロック」構成に移行する。「ロック」構成へのこの移行中に、外部プログラマー40は、電極48の各々間の関係を定義する。いくつかの例では、関係は、他の電極48の各々の対応する治療パラメータの値に対する、電極48の各々の治療パラメータの値の比率を定義する。例えば、図8Aの例に描写されるように、電極アイコン858B-1および858B-3に対応する電極48は、0.2ミリアンペアの電流振幅に対する値を有し、電極858C-1および858C-3は、0.5ミリアンペアの電流振幅に対する値を有する。電極アイコン858B-1を参照すると、電極アイコン858B-1に対応する電極の電流振幅と、電極アイコン858B-3に対応する電極の比率1:1(例えば、0.2:0.2ミリアンペア)があり、電極アイコン858B-1に対応する電極の電流振幅と、電極アイコン858C-1および858C-3に対応する電極の各々の比率1:2.5(例えば、0.2:0.5ミリアンペア)がある。外部プログラマー40は、図8Bに関して、以下に追加的に詳細に記載されるように、ユーザインターフェース800が「ロック」構成にある間に、外部プログラマー40が、治療パラメータに対するマスター調整を実行するときに比率を維持し得るように、電極の各々に対する比率を記憶し得る。
【0113】
図8Bのユーザインターフェース800は、図8Aのユーザインターフェース800と実質的に同様に動作し得る。しかしながら、ユーザインターフェース800は、図8Aに関して上で考察されたように、ユーザがロックボタン801を選択することに応答して、「ロック」構成に移行している。いくつかの例では、ロックボタン801がオンにされるときに、電極構成におけるすべてのカソードが視覚的に選択され、マスター振幅がオフになるまで選択され続ける。治療パラメータ制御パネル822の振幅刺激スライダーの値は、マスター振幅を示している。
【0114】
図8Bの例に描写されるように、ユーザは、治療パラメータ制御パネル822を介して、プログラマー40が、ロックされた関係値を維持しながら、選択された電極48(例えば、電極アイコン858B-1、858B-3、858C-1、および858C-3)の各々の治療パラメータの各値を調整するマスター調整を実行する。図8の例では、ユーザは、858C-1および858C-3に対応する電極48を選択している。以前に、858C-1および858C-3に対応する電極48の各々を介して送達される電気刺激の電流振幅に0.5ミリアンペアの値が設定されており、858C-1および858C-3に対応する電極48の各々を介して送達される電気刺激の電流振幅の値を1.0ミリアンペアに調整するマスター調整を実行している。
【0115】
さらに、ユーザインターフェース800は「ロック」構成にあるため、外部プログラマー40は、マスター調整を実行するときに、電極858B-1、858B-3、858C-1、および858C-3の各々間の治療パラメータの比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、他の選択された電極48(例えば、電極アイコン858B-1および858B-3に対応する電極)の各々の治療パラメータの各値を調整する。例えば、上で考察されたように、電極アイコン858B-1に対応する電極に関して、外部プログラマー40は、電極アイコン858B-1に対応する電極の電流振幅と、電極アイコン858B-3に対応する電極の比率1:1(例えば、0.2:0.2ミリアンペア)、および電極アイコン858B-1に対応する電極の電流振幅と、電極アイコン858C-1および858C-3に対応する電極の各々の比率1:2.5(例えば、0.2:0.5ミリアンペア)を記憶している。したがって、電極アイコン858C-1および858C-3に対応する電極の各々を介して送達される電気刺激の電流振幅の値を0.5ミリアンペア~1.0ミリアンペアに調整するための調整を実行するときに、外部プログラマー40は、電極アイコン858B-1、858B-3、858C-1、および858C-3に対応する電極の各々の治療パラメータの互いに対する比率を維持するように、電極アイコン858C-1および858C-3に対応する電極の各々を介して送達される電気刺激の電流振幅の値を0.2ミリアンペア~0.4ミリアンペアにさらに調整する。
【0116】
したがって、マスター調整を実行すると、電極アイコン858B-1に対応する電極および電極アイコン858B-3に対応する電極は、0.4ミリアンペアの電流振幅の値を有し、電極アイコン858C-1および858C-3に対応する電極は、1.0ミリアンペアの値を有する。したがって、マスター調整を実行した後、電極アイコン858B-1に対応する電極の電流振幅と、電極アイコン858B-3に対応する電極の比率1:1(例えば、0.4:0.4ミリアンペア)があり、電極アイコン858B-1に対応する電極の電流振幅と、電極アイコン858C-1および858C-3に対応する電極の各々の比率1:2.5(例えば、0.4:1.0ミリアンペア)がある。さらに、図8Bの例に描写されるように、マスター調整を実行すると、電界802のサイズ(例えば、組織活性化の体積)は増加し、一方、電界802の全体的な形状は、マスター調整を実行する前の電界802(例えば、図8Aの電界802)の形状と実質的に同じである。その後、外部プログラマー40は、調整された治療パラメータに従って、かつ選択された電極アイコン858B-1、858B-3、858C-1、および858C-3に対応する電極48を介して患者6に電気刺激を送達するように電気刺激4を制御し得る。
【0117】
マスター調整を実行した後、ユーザは、ロックボタン801を再度選択して、ユーザインターフェース800を「ロック解除」構成に戻すように移行させ得る。「ロック解除」構成にある間、電極48間の任意の以前の関係はすべてクリアされ、電極48間の関係は定義されない。いくつかの例では、ユーザインターフェース800は、単一の電極アイコン848もしくは858を選択することによって、またはロックボタン801をオフにすることによって、「ロック解除」構成に移行し得る。ユーザは、以前に定義された関係を維持することなく、電極48の各々の個々の治療パラメータの値を再度調整し得る。このようにして、ユーザインターフェース800は、ユーザがフィールド形状を維持しながら刺激フィールドを迅速に増加または減少させることを可能にするように構成され得る。次に、ユーザは関係をロック解除し、単一の電極に対する調整を行い、必要に応じて刺激フィールドに対してより小さい調整を行うことができる。代替的に、または加えて、ユーザは、ロックボタン801を再度選択して、ユーザインターフェース800をもう一度「ロック」構成に移行させて、別のマスター調整などを実行し得る。
【0118】
図8A~8Bの例では、特定のリング内の電極(例えば、第1のリング内のインジケータ858B-1および858B-3によって表される電極、または第2のリング内のインジケータ858C-1および858C-3によって表される電極4)は、同じ治療パラメータ値を有する(例えば、インジケータ858B-1および858B-3に対しては0.2ミリアンペアであり、インジケータ858C-1および858C-3の場合は0.5ミリアンペアである)。この関係は、例としてのみ提供されている。図8A~8Bに明確に描写されていない他の例では、各リングの各電極48は、同じ治療パラメータに対して異なる値を有し得る。さらに、前述の例では、ユーザは、電極48のすべてを「ロック」し得る。本明細書に明示的に描写されていない他の例では、ユーザインターフェース800は、ユーザが電極48のすべてをロックすることを可能にすることに対して代替的に、またはこれに加えて、ユーザが電極48の別個のレベル(またはリング)をロックすることを可能にし得る(例えば、レベル858Aロック、レベル858Bロック、レベル858Cロック、および/またはレベル858Dロック)。
【0119】
図8A~8Bの例では、外部プログラマー40は、電極アイコン848B-1、848B-3、848C-1、および848C-3に対応する電極の各々の治療パラメータの値の互いに対する比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、電極アイコン848B-1、848B-3、848C-1、および848C-3に対応する電極48の各々治療パラメータの各値を増加させるマスター調整を実行する。しかしながら、他の例では、外部プログラマー40は、選択された電極48の各々の治療パラメータの各値の互いに対する比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、選択された電極48の各々の治療パラメータの各値を減少させるマスター調整を実行し得る。さらに、図8A~8Bの例では、調整された治療パラメータは、選択された電極48の電流振幅である。しかしながら、他の例では、電圧振幅または電流振幅の1つ、電気刺激パルス幅、電気刺激パルスカウント、電気刺激のデューティサイクル、電気刺激パルス速度または電気刺激の周波数などの電流振幅以外の治療パラメータが使用され得る。
【0120】
本明細書に記載のソフトウェアユーザインターフェースの設計は、独立電極制御(IEC)および指向性プログラミングの新しいプログラミング能力をサポートする。IECは、同じプログラム内での異なる刺激振幅を可能にし、指向性プログラミングは、リードのセグメント化された電極構成によって達成される。
【0121】
いくつかの例では、ユーザインターフェース800は、以下のモードおよび構成で動作し得る。
●電極選択モードユーザがリード上の電極構成を選択しているときに、刺激はロックされる。
●刺激モードユーザが電極構成を更新し、刺激制御が利用可能であるとき。
●レベル構成単一のセグメントがそのレベルで他の電極と異ならないとき。
●レベルモード新しいUI要素がそれらのレベルモード表示になっているとき。
●セグメント構成任意のセグメント化されたレベルがアクティブ化された電極と非アクティブ化された電極の組み合わせを有するか、または複数の振幅値を有する任意の構成を指す。
●セグメントモード新しいUI要素がセグメントモード表示になっているとき。
【0122】
以下の実施例は、本開示の1つ以上の態様を示し得る。
【0123】
実施例1.方法であって、処理回路によって、複数の電極のうちの2つ以上の電極に対する関係を定義することであって、関係が、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を定義する、定義することと、処理回路によって、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を維持するために、関係によって指定された量だけ、2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する治療パラメータの各値を調整するマスター調整を実行することと、処理回路によって、マスター調整に従って電気刺激の送達を制御することと、を含む、方法。
【0124】
実施例2.関係が、2つ以上の電極の治療パラメータの各値に従って送達される電気刺激によって生成される電界の形状をさらに定義し、マスター調整を実行することは、電気刺激によって生成される電界の形状を維持しながら、電気刺激によって活性化された患者の組織の体積を調整するために、関係によって指定された量だけ、2つ以上の電極の各それぞれの電極の治療パラメータの各値を調整するマスター調整を実行することを含む、実施例1に記載の方法。
【0125】
実施例3.関係によって指定された量だけ、2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する治療パラメータの各値を調整するマスター調整を実行することは、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する治療パラメータの各値を増加させることを含む、実施例1または2に記載の方法。
【0126】
実施例4.関係によって指定された量だけ、2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する治療パラメータの各値を調整するマスター調整を実行することは、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する治療パラメータの各値を減少させることを含む、実施例1または2に記載の方法。
【0127】
実施例5.マスター調整を実行することが、ユーザインターフェースを介して、マスター調整を要求する入力を受信することに応答して、マスター調整を実行することを含む、実施例1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
実施例6.方法が、処理回路によって、ユーザインターフェースを介して、複数の電極のうちの2つ以上の電極の選択を指定する第1の入力を受信することと、処理回路によって、かつユーザインターフェースを介して、2つ以上の電極の治療パラメータの値を指定する第2の入力を受信することと、をさらに含み、複数の電極のうちの2つ以上の電極に対する関係を定義することが、ユーザインターフェースを介して、関係をロックすることを要求する第3の入力を受信することに応答して、複数の電極のうちの2つ以上の電極の関係を定義することを含み、マスター調整を実行することが、ユーザインターフェースを介して、マスター調整を指定する第4の入力を受信することに応答して、マスター調整を実行することを含む、実施例1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
実施例7.処理回路によって、かつユーザインターフェースを介して、関係をロック解除するための第5の入力を受信することと、処理回路によって、かつユーザインターフェースを介して、2つ以上の電極のうちの第1の電極の治療パラメータの値を指定する第6の入力を受信することと、処理回路によって、かつ第5の入力および第6の入力を受信することに応答して、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を維持することなく、第1の電極の治療パラメータの値を調整するための調整を実行することと、をさらに含む、実施例6に記載の方法。
【0130】
実施例8.処理回路によって、かつユーザに対する表示のために、関係が定義されている複数の電極のうちの2つ以上の電極の表現と、関係が定義されていない複数の電極のうちの他の電極の表現と、2つ以上の電極の各電極の治療パラメータの値の表現と、マスター調整の表現と、を出力することをさらに含む、実施例1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
実施例9.治療パラメータが、電圧振幅または電流振幅のうちの1つを含む、実施例1~8のいずれか1つの方法。
【0132】
実施例10.治療パラメータが、電気刺激パルス幅、電気刺激パルスカウント、または電気刺激のデューティサイクルのうちの1つ以上を含む、実施例1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
実施例11.治療パラメータが、電気刺激のパルス速度または電気刺激の周波数のうちの1つを含む、実施例1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
実施例12.複数の電極が、リード上に配設されており、複数の電極が、複数の電極サブセットにグループ化されており、各電極サブセットが、リードの周囲の周りの異なる場所に配設されたいくつかの電極を備え、2つ以上の電極が、複数の電極サブセットのうちの1つの電極サブセット内の2つ以上の電極を備える、実施例1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
実施例13.複数の電極が、リード上に配設されており、複数の電極が、複数の電極サブセットにグループ化されており、各電極サブセットが、リードの周囲の周りの異なる場所に配設されたいくつかの電極を備え、2つ以上の電極が、複数の電極サブセットのうちの第1の電極サブセット内の、第1の位置にある少なくとも第1の電極と、複数の電極サブセットのうちの第2の電極サブセット内の、第1の位置にある少なくとも第2の電極と、を備える、実施例1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
実施例14.システムであって、メモリと、処理回路であって、メモリに動作可能に結合され、かつ複数の電極のうちの2つ以上の電極に対する関係を定義することであって、関係が、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を定義する、定義することと、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する治療パラメータの各値を調整するマスター調整を実行することと、マスター調整に従って電気刺激の送達を制御することと、を行うように構成されている、処理回路と、を備える、システム。
【0137】
実施例15.リード上に配設された複数の電極をさらに備える、実施例14に記載のシステム。
【0138】
実施例16.複数の電極と、複数の電極に結合するように構成されている植え込み型医療デバイスと、をさらに備え、マスター調整に従った電気刺激の送達を制御するために、処理回路が、選択された2つ以上の電極を介して、マスター調整に従って電気刺激を送達するように植え込み型医療デバイスを制御するように構成されている、実施例14または15に記載のシステム。
【0139】
実施例17.処理回路およびメモリを備える外部プログラマーと、複数の電極を含む医療デバイスと、をさらに備え、外部プログラマーが、マスター調整に従って電気刺激を送達するように医療デバイスを制御するように構成されている、実施例14~16のいずれか1つに記載のシステム。
【0140】
実施例18.システムが、ディスプレイをさらに備え、処理回路が、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率が維持されるように関係がロックされること、または2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率が維持されないように関係がロックされないことを示すアイコンを表示するようにディスプレイを制御するようにさらに構成されている、実施例14~17のいずれか1つに記載のシステム。
【0141】
実施例19.デバイスであって、ディスプレイと、メモリと、処理回路であって、メモリに動作可能に結合され、かつユーザに対する表示のために、複数の電極の表現を出力するようにディスプレイを制御することと、複数の電極のうちの2つ以上の電極の選択を指定する第1の入力を受信することと、ユーザに対する表示のために、第1の入力を受信することに応答して、選択された2つ以上の電極の表現を出力するようにディスプレイを制御することと、2つ以上の電極の各電極の治療パラメータの値を指定する第2の入力を受信することと、ユーザに対する表示のために、第2の入力を受信することに応答して、2つ以上の電極の各電極の治療パラメータの値の表現を出力するようにディスプレイを制御することと、複数の電極のうち選択された2つ以上の電極に対する関係をロックするための第3の入力を受信することであって、関係が、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を定義する、受信することと、ユーザに対する表示のために、第3の入力を受信することに応答して、複数の電極のうちの選択された2つ以上の電極に対する関係がロックされていることの指標を出力するようにディスプレイを制御することと、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、選択された2つ以上の電極の各それぞれの電極に対する治療パラメータの各値を調整するマスター調整を指定する第4の入力を受信することと、ユーザに対する表示のために、第4の入力に応答して、2つ以上の電極の治療パラメータの値に対するマスター調整の表現を出力するようにディスプレイを制御することと、を行うように構成されている処理回路と、を備える、デバイス。
【0142】
実施例20.処理回路が、2つ以上の電極間の治療パラメータの値の比率を維持するように、関係によって指定された量だけ、2つ以上の電極の各それぞれの電極を調整するマスター調整を実行することと、マスター調整に従って電気刺激を送達するように医療デバイスを制御することと、を行うようにさらに構成されている、実施例19に記載のデバイス。
【0143】
本明細書で開示される様々な態様は、説明および添付の図面に具体的に提示される組み合わせとは異なる組み合わせで組み合わされ得ることを理解されたい。本明細書に記載のプロセスまたは方法のいずれかの特定の行為または事象は、実施例に応じて異なる順序で行われ得、追加、併合、または完全に省略され得る(例えば、すべての記載された行為または事象は、本技術を実行するために必要ではない場合がある)ことも理解されたい。加えて、本開示の特定の態様は、明確にするために単一のモジュールまたはユニットによって行われるものとして説明されているが、本開示の技術は、例えば、医療デバイスと関連するユニットまたはモジュールの組み合わせによって行われ得ることを理解されたい。
【0144】
1つ以上の例では、説明される技術は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装され得る。ソフトウェアで実装される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上に1つ以上の命令またはコードとして記憶され、ハードウェアベースの処理ユニットによって実行され得る。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体(例えば、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、または命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用することができ、かつコンピュータによってアクセスすることができる任意の他の媒体)などの、有形媒体に対応する非一時的コンピュータ可読媒体を含み得る。
【0145】
命令は、1つ以上のデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)、または他の同等の集積もしくは離散論理回路などの、1つ以上のプロセッサによって実行され得る。したがって、本明細書に使用される「プロセッサ」という用語は、上記の構造のいずれか、または説明された技術の実装に好適な任意の他の物理的構造を指し得る。また、本技術は、1つ以上の回路または論理要素において完全に実装され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
【国際調査報告】