(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】長寿命レーザーダイオードパッケージ
(51)【国際特許分類】
H01S 5/022 20210101AFI20230323BHJP
H01S 5/02224 20210101ALI20230323BHJP
【FI】
H01S5/022
H01S5/02224
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547037
(86)(22)【出願日】2021-02-03
(85)【翻訳文提出日】2022-09-29
(86)【国際出願番号】 US2021016462
(87)【国際公開番号】W WO2021158696
(87)【国際公開日】2021-08-12
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316003531
【氏名又は名称】ヌブル インク
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ゼディカー, マーク
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MB01
5F173MC04
5F173MD64
5F173ME22
(57)【要約】
出力レベルなどの初期のビーム特性を維持し、性能又はビーム品質の劣化が少なくとも10,000時間の動作の間生じない、高出力で高輝度な固体レーザーシステムを提供する。内部環境内に酸素を包含し、シロキサンがない、高出力で高輝度な固体レーザーシステムを提供する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザービームを提供するための個別のレーザーダイオードをパッケージングする密封容器であって、内部空洞と内側表面を画定し、前記内側表面にはシリコン汚染物質がなく、それによって前記レーザーダイオードの動作中にSiO
2が形成されず、前記内部空洞が、前記内側表面上に炭素汚染物質が形成されるのを防止するための手段を包含する、密封容器。
【請求項2】
レーザービームを提供するための複数の個別のレーザーダイオードをパッケージングする密封容器であって、内部空洞と内側表面を画定し、前記内側表面にはシリコン汚染物質が実質的になく、それによって前記レーザーダイオードの動作中にSiO
2が形成されず、前記内部空洞が、前記内側表面上に炭素汚染物質が形成されるのを防止するための手段を包含する、密封容器。
【請求項3】
前記レーザービームが青色レーザービームである、請求項1又は2に記載の密封容器。
【請求項4】
前記レーザービームが緑色レーザービームである、請求項1又は2に記載の密封容器。
【請求項5】
前記レーザービームが、1Wから10,000Wの出力、約500Wの出力、又は約1,000Wの出力を有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の密封容器。
【請求項6】
前記レーザービームが、50mm mradから10mm mrad、20mm mradから1mm mrad、又は10mm mradから0.1mm mradのBPPを有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の密封容器。
【請求項7】
前記レーザービームが、0.5MW/cm
2から1,000MW/cm
2、少なくとも約1MW/cm
2、少なくとも約5MW/cm
2、又は少なくとも約10MW/cm
2の出力密度を有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の密封容器。
【請求項8】
前記内側表面上に炭素汚染物質が形成されるのを防止するための前記手段が、酸素含有雰囲気である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の密封容器。
【請求項9】
前記酸素含有雰囲気が、少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、又は5%から80%の酸素濃度を有する、請求項8に記載の密封容器。
【請求項10】
前記酸素含有雰囲気が、前記密封容器内に流入し且つ前記密封容器から流出している、請求項8又は9に記載の密封容器。
【請求項11】
前記内側表面上に炭素汚染物質が形成されるのを防止するための前記手段が、前記内側表面が炭素汚染物質を有さないことである、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の密封容器。
【請求項12】
前記密封容器が、少なくとも5,000時間の80%レーザー寿命を有する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の密封容器。
【請求項13】
前記密封容器が、少なくとも10,000時間の80%レーザー寿命を有する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の密封容器。
【請求項14】
前記密封容器が、5,000時間から10,000時間の80%レーザー寿命を有する、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の密封容器。
【請求項15】
前記劣化速度が、2.5%/khrs以下である、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の密封容器。
【請求項16】
前記劣化速度が、2.0%/khrs以下である、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の密封容器。
【請求項17】
前記劣化速度が、1.5%/khrs以下である、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の密封容器。
【請求項18】
ヒートシンクを備え、前記ダイオード又は前記複数のダイオードが前記ヒートシンク上に実装され、それによってレーザーダイオードの2次元アレイが形成されるようにされた、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の密封容器。
【請求項19】
バックプレーンを備え、前記ダイオード又は前記複数のダイオードが前記バックプレーン上に実装されている、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の密封容器。
【請求項20】
前記レーザービームを操作するための光学系を備える、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の密封容器。
【請求項21】
前記容器が、TO-9Canであるか又はTO-9Canを備える、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の密封容器。
【請求項22】
高品質な青色レーザービームを長時間に亘って前記レーザービームの特性の実質的な劣化なしで提供するレーザーシステムに統合するための、高出力で高輝度な固体レーザーデバイスパッケージであって、
a.内部空洞を画定するハウジングであって、前記内部空洞が前記ハウジングの外側にある環境から隔離されており、
b.前記内部空洞の一部を画定するウィンドウを有する、ハウジングと、
c.固体デバイスであって、レーザービームを前記固体デバイスの伝播面からレーザービーム経路に沿って伝播させるようにされ、前記レーザービームが410nmから500nmの範囲の波長を有し、前記レーザービームが前記伝播面において少なくとも約0.5MW/cm
2の出力密度を有する、固体デバイスと、を備え、
d.前記ウィンドウは、前記固体デバイスと光学的に連通し、且つ前記レーザービーム経路上にあり、
e.前記固体デバイスは、前記ハウジング内で前記内部空洞内に配置され、前記ウィンドウの内面は前記外部環境に露出しておらず、それによって前記固体デバイス及び前記ウィンドウの前記内面は前記外部環境から隔離されており、
f.前記レーザービームは、前記レーザービーム経路に沿って、前記伝播面から前記ウィンドウを通って前記外部環境ヘと伝送され、
g.前記内部空洞にはシリコンベースの汚染物質源がなく、それによって前記固体デバイスの動作中に前記内部空洞内でのSiO
2の生成が回避され、それによって前記内部空洞がSiO
2の堆積を回避し、それによって前記ビームの特性の前記劣化速度が2.3%/khrs以下であり、
h.前記内部空洞は、少なくとも1%の酸素を含む気体を有し、それにより前記固体デバイスの動作中に前記内部空洞内で炭素ベースの汚染物質からCO
2が生成されて、前記固体デバイスの伝播面及び前記ウィンドウの内面に炭素の堆積がないままとなるようにされた、パッケージ。
【請求項23】
前記密封容器が少なくとも5,000時間の80%レーザー寿命を有する、請求項22に記載のパッケージ。
【請求項24】
前記密封容器が少なくとも10,000時間の80%レーザー寿命を有する、請求項22に記載のパッケージ。
【請求項25】
前記密封容器が5,000時間から10,000時間の80%レーザー寿命を有する、請求項22に記載のパッケージ。
【請求項26】
前記ダイオードレーザーがTO-9Canである、請求項22に記載のパッケージ。
【請求項27】
前記出力密度が少なくとも約10MW/cm
2であり、前記レーザービームが少なくとも約2Wの出力を有し、前記劣化速度が2.0%/khrs以下である、請求項22乃至26のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項28】
前記出力密度が少なくとも約5MW/cm
2であり、前記レーザービームが少なくとも約1.5Wの出力を有し、前記劣化速度が1.8%/khrs以下である、請求項22乃至26のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項29】
前記出力密度が少なくとも約15MW/cm
2であり、前記レーザービームが少なくとも約5Wの出力を有し、前記劣化速度が2.3%/khrs以下である、請求項22乃至26のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項30】
少なくとも10%の酸素を有する、請求項22乃至29のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項31】
少なくとも40%の酸素を有する、請求項22乃至29のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項32】
少なくとも60%の酸素を有する、請求項22乃至29のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項33】
前記シリコンベースの汚染物質源が、シロキサン、重合シロキサン、直鎖状シロキサン、環状シロキサン、シクロメチコン、及びポリシロキサンからなる群から選択される、請求項1乃至32のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項34】
前記炭素ベースの汚染物質源が、溶媒残留物、オイル、指紋、及び炭化水素からなる群から選択される、請求項1乃至33のいずれか一項に記載のパッケージ又は密封容器。
【請求項35】
前記シリコン汚染物質が、前記パッケージ又は密封容器内で、0.01g未満、0.001g未満、0.0001g未満、0.00001g未満、又は0.000001g未満である、請求項1乃至34のいずれか一項に記載のパッケージ又は密封容器。
【請求項36】
前記シリコン汚染物質が、前記パッケージ又は密封容器内で、0.01ppm未満のシリコン、0.001ppm未満のシリコン、0.0001ppm未満のシリコン、又は0.00001ppm未満のシリコンを有する、請求項1乃至35のいずれか一項に記載のパッケージ又は密封容器。
【請求項37】
前記出力密度が少なくとも約10MW/cm
2であり、前記レーザービームが少なくとも約2Wの出力を有し、前記劣化速度が2.0%/khrs以下である、請求項1乃至36のいずれか一項に記載のパッケージ又は密封容器。
【請求項38】
前記ビーム特性の前記劣化速度が2.0%/hkrs以下である、請求項1乃至37のいずれか一項に記載のパッケージ又は密封容器。
【請求項39】
前記ビーム特性の前記劣化速度が1.8%/khrs以下である、請求項1乃至38のいずれか一項に記載のパッケージ又は密封容器。
【請求項40】
前記アセンブリが、10,000時間以上の寿命を有することによって特徴付けられた、請求項1乃至39のいずれか一項に記載のパッケージ又は密封容器。
【請求項41】
前記アセンブリが、30,000時間以上の寿命を有することによって特徴付けられた、請求項1乃至40のいずれか一項に記載のパッケージ又は密封容器。
【請求項42】
前記アセンブリが、50,000時間以上の寿命を有することによって特徴付けられた、請求項1乃至41のいずれか一項に記載のパッケージ又は密封容器。
【請求項43】
前記アセンブリが、70,000時間以上の寿命を有することによって特徴付けられた、請求項1乃至42のいずれか一項に記載のパッケージ又は密封容器。
【請求項44】
定格出力及び定格BPPを画定するビーム特性を有するレーザービームを伝播させるために個別のレーザーダイオードをパッケージングしている密封容器を動作させる方法であって、前記密封容器は、ウィンドウを備え、内部空洞及び内側表面を画定しており、
当該方法は、
a.合計で少なくとも5,000時間を有する動作時間の間、前記レーザービームを前記レーザーダイオードのファセットから前記空洞を通り前記ウィンドウから出て前記密封容器から離れるように伝播させるようにすることを含み、
b.前記レーザーダイオードの伝播の間に前記空洞の前記内側表面上にSiO
2が形成されず、
c.前記レーザーダイオードの伝播の間に前記内部空洞内でCO
2が形成され、
d.前記動作時間の間に、前記レーザービームがその定格出力の少なくとも80%とその定格BPPの少なくとも80%を維持し、それによって前記レーザービームの特性が前記動作時間に亘って最小限に劣化するようにされた、方法。
【請求項45】
定格出力及び定格BPPを画定するビーム特性を有する結合レーザービームを伝播させるために複数のレーザーダイオードをパッケージングしている密封容器を動作させる方法であって、前記密封容器は、ウィンドウを備え、内部空洞及び内側表面を画定しており、
当該方法は、
a.個別のレーザービームを前記レーザーダイオードのファセットから伝播させることと、前記空洞内で前記結合レーザービームを形成するように前記個別のレーザービームを結合することと、合計で少なくとも5、000時間を有する動作時間の間、前記結合レーザービームを前記ウィンドウの外に前記密封容器から離れるように向けるようにすることと、を含み、
b.前記レーザーダイオードの伝播の間に前記空洞の前記内側表面上にSiO
2が形成されず、
c.前記レーザーダイオードの伝播の間にCO
2が前記内部空洞内に形成され、
d.前記動作時間の間に、前記結合レーザービームがその定格出力の少なくとも80%とその定格BPPの少なくとも80%を維持し、それによって前記ビームの特性が前記動作時間に亘って最小限に劣化するようにされた、方法。
【請求項46】
前記レーザービームが青色レーザービームである、請求項44又は45に記載の方法。
【請求項47】
前記レーザービームが緑色レーザービームである、請求項44又は45に記載の方法。
【請求項48】
前記定格出力が、1Wから10,000、約500Wの出力、又は約1,000Wの出力である、請求項44乃至47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記定格BPPが、50mm mradから10mm mrad、20mm mradから1mm mrad、又は10mm mradから0.1mm mradである、請求項44乃至48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記レーザービームが、前記ファセット、前記ウィンドウ、又はその両方で、0.5MW/cm
2から1,000MW/cm
2、少なくとも約1MW/cm
2、少なくとも約5MW/cm
2、又は少なくとも約10MW/cm
2の出力密度を有する、請求項44乃至49の何れか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記内部空洞が気体酸素を含む、請求項44乃至50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記内部空洞が少なくとも1%の酸素を含む雰囲気を有する、請求項44乃至51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記動作時間が合計で少なくとも7,500時間を有する、請求項44乃至52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記動作時間が合計で少なくとも10,000時間を有する、請求項44乃至52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記定格出力の80%が、さらに2,500時間の動作時間の間維持される、請求項44乃至52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記定格出力の80%が、さらに5,000時間の動作時間の間維持される、請求項44乃至52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記容器は複数の断続的なデューティーサイクルに亘って動作され、各デューティーサイクルは動作のデューティーサイクル時間間隔を画定し、前記動作のデューティーサイクル時間間隔の前記合計は前記動作時間に等しい、請求項44乃至56のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2020年2月3日に出願された米国仮出願第62/969,541号の優先権の利益を主張し、また米国特許法第35条119(e)(1)に基づきその出願日の利益を主張し、その開示全体が参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、約10nm(ナノメーター)から約600nm、実施形態においては通常約350nmから約500nmの短い波長のレーザーエネルギーを提供する、高出力レーザーシステムに関し、またにアディティブマニュファクチャリング(additive manufacturing)及びサブトラクティブマニュファクチャリング(subtractive manufacturing)、材料加工、及びレーザー溶接の利用を含むこれらのシステム及びレーザービームの使用に関する。本発明はさらに、優れたビーム品質を有するレーザービームを提供し、実施形態では高品質で高出力なレーザービームを長時間にわたって維持するそのようなレーザーシステム及びそれらの利用に関する。
【背景技術】
【0003】
赤外(IR)に基づいた(700nmよりも大きな波長、特に1,000nmよりも大きな波長を有する)アディティブマニュファクチャリングシステムは、とりわけ造形体積と造形速度の両方、及びこれらのシステムの全体的な効率及び安全性が制限されるといういくつかの短所を抱えている。IRビームは、多くの金属に対して高反射性であり、よって金属のターゲット又は基板に対して結合されにくく、非効率である。乏しい結合性はまた、造形又は溶接プロセスにおいて制御を難しくし、またスプラッター、放出気体、及び粒子放出による健康リスク及び安全性リスクをもたらしうる。スポットサイズが大きく、造形部品の高解像度を得る能力が阻害され、それはさらに乏しい結合性及びプロセスを制御することの困難性によって妨げられる。また、これらのIRシステムは、非常に限定された寿命を有し、それらのビーム品質は時間とともに着実に劣化していき、場合によっては急速に劣化していく。この劣化により、停止時間、修理や部品交換のコスト増加、及び生産損失がもたらされる。
【0004】
現在のIRシステムに見られるこの経時的な劣化はまた、現在のUV、青色、及び緑色のレーザー並びにレーザーシステムに対する重大な問題である。
【0005】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、「UV」、「紫外」、「UVスペクトラム」、「スペクトラムのUV部分」、及び同様な用語は、最も広い意味を与えられるべきであり、約10nmから約400nm、及び10nmから400nmの波長、並びにこれらの範囲内の全ての波長の光を含む。
【0006】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、用語「レーザーダイオード」、「ダイオードエミッタ」、「レーザーダイオードバー」、「レーザーダイオードチップ」、及び「エミッタ」、並びに同様な用語は、最も広い意味を与えられるべきである。概して、レーザーダイオードは、レーザービームを放射する半導体デバイスであり、そのようなデバイスは、レーザー光が基板の端部から放射されるため、一般に端部放射レーザーダイオードと呼ばれる。典型的には、単一の放射領域(エミッタ)を有するダイオードレーザーはレーザーダイオードチップと呼ばれ、一方でエミッタの線形アレイを有するものはレーザーダイオードバーと呼ばれる。レーザービームを放射するエリアは「ファセット」と呼ばれる。
【0007】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、用語「高出力」レーザー及びレーザービーム、並びに同様な用語は、少なくとも100ワット(W)の出力及びより大きな出力、例えば100ワットから10kW(キロワット)、約100Wから約1kW、約500Wから約5kW、約10kWから約40kW、約5kWから約100kW、及びこれらの範囲内の全ての出力、並びにより高い出力を有するレーザービームを提供する又は伝播させるレーザービーム及びシステムを意味し、またそれらを含む。
【0008】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、用語「青色レーザービーム」、「青色レーザー」、及び「青色」は、最も広い意味を与えられるべきであり、また概してレーザービーム、レーザービーム、レーザー光源、例えば、約400nmから約495nm、400nmから495nm、及びこれらの範囲内の全ての波長を有するレーザービーム又は光を提供し、例えば伝播させる、レーザー及びダイオードレーザーを提供するシステムを参照する。典型的には、青色レーザーは、約405-495nmの範囲の波長を有する。青色レーザーは、450nm、約450nm、460nm、約460nm、470nm、約470nmの波長を含む。青色レーザーは、約10pm(ピコメーター)から約10nm、約5nm、約10nm、及び約20nm、並びにより大きな値及びより小さな値のバンド幅を有し得る。
【0009】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、用語「緑色レーザービーム」、「緑色レーザー」、及び「緑色」は、最も広い意味を与えられるべきであり、また概してレーザービーム、レーザービーム、レーザー光源、例えば、約500nmから約575nmの波長を有するレーザービーム又は光を提供し、例えば伝播させる、レーザー及びダイオードレーザーを提供するシステムを参照する。緑色レーザーは、515nm、約515nm、532nm、約531nm、550nm、約550nmの波長を含む。緑色レーザーは、約10pmから約10nm、約5nm、約10nm、及び約20nm、並びにより大きな値及びより小さな値のバンド幅を有し得る。
【0010】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、用語「高信頼性」、「高信頼性である」レーザー及びレーザーシステム並びに同様な用語は、少なくとも10,000時間以上、約20,000時間、約50,000時間、約100,000時間、約10時間から約100,000時間、10,000から20,000時間、10,000時間から50,000時間、20,000時間から約40,000時間、約30,000時間から約100,000時間、及びこれらの範囲内の全ての時間、並びにより大きな時間の寿命を有するレーザーを意味し、またそれらを含む。
【0011】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、用語「寿命」、「システム寿命」、及び「長寿命」、並びに同様な用語は、そのレーザーの出力、他の特性、及びその両方が、その定格値(「定格値」、「定格」、及び「定格___」、並びに同様な用語は、(i)製造者によって定義又は計算されたレーザーの定格出力、他の特性、及びその両方、又は(ii)全ての較正及び調整が行なわれた後の最初の使用時のレーザーの初期出力、他の特性、及びその両方、よりも大きなものを意味する)のあるパーセンテージに又はその付近に留まる間の時間として定義される。よって、例えば、「80%レーザー寿命」は、レーザー出力、他の特性、又はその両方が定格値の80%又はそれより上に維持される合計の動作時間、すなわちレーザー出力、他の特性又はその両方が定格値の80%より下に落ちるまでの動作時間として定義される。例えば、「50%レーザー寿命」は、レーザー出力、他の特性、又はその両方が定格値の50%又はそれより上に維持される合計の動作時間、すなわちレーザー出力、他の特性又はその両方が定格値の50%より下に落ちるまでの動作時間として定義される。
【0012】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り又はその文脈から明らかでない限り、用語「寿命」(数値表示又はパーセント表示なしで使用される場合)は、「80%レーザー寿命」を意味し、またそれとして定義される。
【0013】
概して、本明細書で使用する場合、用語「約」及び記号「~」は、特に明記しない限り、±10%の変化又は範囲、上述の値を取得するのに関連した実験的又は装置的エラー、及び好ましくはそれらのより大きな変化又は範囲を包含する。
【0014】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、「少なくとも」、「より大きい」のような用語は、「以上」も意味し、すなわち、そのような用語は特に明記しない限りそれより小さい値を排除する。
【0015】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、室温は25℃である。また、標準環境温度及び標準環境圧力は25℃及び1気圧である。特に明記しない限り、全てのテスト、テスト結果、物理的特性、並びに温度依存性の値、圧力依存性の値、又はそれら両方に依存する値は、標準環境温度及び標準環境圧力で与えられる。
【0016】
本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、値の範囲、範囲、約「x」から約「y」、及び同様な用語の引用並びに数量化は、その範囲内の別々の値を個別に参照するための単なる簡単な方法としての役割を果たす。よって、それらには、その範囲内に含まれる各アイテム、特徴、値、量、又は数量が含まれる。本明細書で使用する場合、特に明記しない限り、ある範囲内の各点及び全ての個別の点は、ここに個別に記載されているかのように本明細書に包含され、また本明細書の一部となる。
【0017】
本発明以前は、マルチ・ダイ(マルチ・ダイオード)レーザーダイオードパッケージなどの複数のレーザーダイオードを有するレーザーパッケージは、炭素汚染物質とシリコン汚染物質の組合せに悩まされ、それにより寿命が大幅に低下し、また出力の劣化速度などのビーム特性の劣化速度が大幅に増加していた。当該技術は、汚染物質を最小化して長寿命を達成する目的で、概してレーザーダイオードを個別にパッケージすることを行なっていた。しかしながら、この従来の手法は、現在のレーザー用途そして更に工業用レーザー用途、高輝度で高出力なシステムなどのレーザーシステムでのこれらのダイオードの使用に対する要求を満たすのに、依然として不効率で、未成功で、概して大幅に不十分である。プロセス要求の要望及びより多いレーザーダイオードに対する要望が大きくなるにつれて、この従来の手法の欠点がより顕著になり、またより問題となってきた。よって、レーザーダイオード寿命及びビーム品質の劣化の問題が大きくなってきた。この問題は、UV、青色及び緑色の波長のレーザーダイオード及びダイオードシステムに存在し、またそれらに対して大きくなってきた。
【0018】
背景技術は、本発明の実施形態に関連するであろう技術の様々な態様を紹介することを意図している。よって、この項での上述の記載は本発明をよりよく理解するためのフレームワークを提供しており、従来技術の承認として見なされるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
より信頼性のある高出力な青色、緑色、及び他の波長の固体レーザー及びシステムに対する継続的で高まる要求があり、このシステムには、溶接、アディティブマニュファクチャリング、及び他の材料加工に及ぶ様々な用途のためのレーザーダイオードシステムが含まれる。よって、特に複数のレーザーダイオードを単一の容器にパッケージして長寿命を達成することに対する長年に亘る高まる要求がある。より長い寿命のレーザーシステムに対する長年に亘る高まる要求があり、このレーザーシステムには、レーザーダイオード及びダイオードシステムを含む、青色、緑色、及び他の波長の固体レーザーシステムが含まれる。
【0020】
本発明は、とりわけ、これらの長年に亘る高まる要求を、とりわけ、ここに教示及び開示されている、改善、製造品、デバイス及びプロセスによって解決する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、
図12-17に示すように様々な形態でパッケージされ得るレーザーダイオードが提供される。これらのパッケージされたレーザーダイオードに対する長寿命を達成するために、部品及びパッケージは、シリコン汚染物質及び炭素汚染物質を取り除くために、パッケージを密封する前に適切に洗浄されてパッケージに組み立てられる。密封する前に、酸素を含む好ましくは酸素を豊富に含む環境がパッケージ内に取り込まれて、残余の炭素汚染物質を取り除き、それらをCO
2に変え、レーザーダイオードにとって無害にする。
【0022】
したがって、高品質なレーザービームを長時間に亘ってレーザービームの特性の実質的な劣化なしで提供するレーザーシステムに統合するための、高出力で高輝度な固体レーザーデバイスアセンブリを提供し、該アセンブリは:内部空洞を画定するハウジングであって;内部空洞がハウジングの外側にある環境から隔離されている、ハウジングと;固体デバイスであって、レーザービームを固体デバイスの伝播面からレーザービーム経路に沿って伝播させるようにされ、レーザービームが伝播面において少なくとも約0.5MW/cm2の出力密度を有する、固体デバイスと;固体デバイスと光学的に連通し、且つレーザービーム経路上にある光学アセンブリと;を備え、固体デバイス及び光学アセンブリはハウジング内で内部空洞内に配置され、それによって固体デバイス及び光学アセンブリは外部環境から隔離されており;ハウジングは、ハウジングの伝播面を有し、それによってレーザービームは、レーザービーム経路に沿って、ハウジングから外部環境へと伝送され;ハウジングの伝播面は、光学アセンブリと光学的に連通し、且つレーザービーム経路上にあり;ハウジングの伝播面を出たレーザービームは、ビーム特性によって特徴付けられ、該ビーム特性は:(i)少なくとも100Wの出力;並びに(ii)100mm mrad未満のBPP(beam parameter product ビームパラメータ積);及び内部空洞にシリコンベースの汚染物質源がなく、それによって固定デバイスの動作中に内部空洞でのSiO2の生成が回避され;それによって内部空洞がSiO2の堆積を回避し;それによってビーム特性の劣化速度が2.3%/khrs以下である。
【0023】
さらに、高品質な青色レーザービームを長時間に亘ってレーザービームの特性の実質的な劣化なしで提供するレーザーシステムに統合するための、高出力で高輝度な固体レーザーデバイスアセンブリを提供し、該アセンブリは:内部空洞を画定するハウジングであって;ハウジングの外側にある環境から隔離されている、ハウジングと;複数のレーザービームを複数のファセットから複数のダイオードレーザービーム経路に沿って伝播させるための複数のダイオードレーザーデバイスであって、レーザービームが400nmから500nmの範囲の波長を有し;各レーザービームがそれぞれのファセットで少なくとも約0.5MW/cm2の出力密度を有する、複数のダイオードレーザーデバイスと;ダイオードレーザーデバイスのそれぞれと光学的に連通し、且つレーザービーム経路上にある光学アセンブリであって;コリメート光学系、例えばコリメーティング光学系、及びビーム結合光学系を備え;複数のダイオードレーザービームを結合して結合レーザービーム経路に沿った結合レーザービームを提供する、光学アセンブリと;を備え、複数のダイオードレーザーデバイス及び光学アセンブリはハウジング526内で内部空洞内に配置され、それによって複数のダイオードレーザーデバイス及び光学アセンブリは外部環境から隔離され;ハウジングはハウジングの伝播面を有し、それによって結合レーザービームがハウジングから外部環境へと結合レーザービーム経路に沿って伝送され;ハウジングの伝播面は光学アセンブリと光学的に連通し且つ結合レーザービーム経路上にあり;ハウジングの伝播面から出た結合レーザービームはビーム特性によって特徴付けられ、そのビーム特性は:(i)少なくとも100Wの出力;並びに(ii)40mm mrad未満のBPPであり;また、内部空洞にはシリコンベースの汚染物質源がなく、それによって複数のダイオードレーザーデバイスの動作中にSiO2が内部空洞内で生成されず;それによって内部空洞がSiO2の堆積を回避し;それによって結合ビームの特性の劣化が2.3%/khrs以下である。
【0024】
またさらに、高品質な青色レーザービームをレーザービーム経路に沿って長時間に亘ってレーザービーム特性の実質的な劣化無しで伝播させるための高出力で高輝度な固体レーザーアセンブリを提供し、該アセンブリは:内部空洞を画定するハウジングであって;内部空洞が隔離された環境を画定する、ハウジングと;複数の光学的に活性な表面であって、青色レーザービームが光学的に活性な表面から伝播され、その中へと伝送され、又はそれによって反射され;複数の光学的に活性な表面はハウジングの内部空洞の隔離された環境内に配置され;光学的に活性な表面の少なくとも1つが固体レーザーデバイス上に配置された、複数の光学的に活性な表面と;を備え、レーザービームが1つ以上の光学的に活性な表面で少なくとも約0.5MW/cm2の出力密度を有し、また内部空洞にはシリコンベースの汚染物質源がなく、それによって固体レーザーデバイスの動作中に内部空洞内でのSiO2の生成が回避され;内部空洞が酸素を含む気体を有し;それによって固体レーザーデバイスの動作中にCO2が内部空洞内で炭素ベースの汚染物質から生成され;それによって複数の光学的に活性な表面が炭素及びSiO2の蓄積を回避し;それによって青色レーザービームの出力の劣化速度が2.3%/khrs以下である。
【0025】
さらに、高品質な青色レーザービームを長時間に亘ってレーザービームの特性の実質的な劣化なしで提供するレーザーシステムに統合するための高出力で高輝度な固体レーザーデバイスパッケージを提供し、該パッケージは:内部空洞を画定するハウジングであって;内部空洞がハウジングの外側にある環境から隔離され;内部空洞の一部を画定するウィンドウを有する、ハウジングと;レーザービームを固体デバイスの伝播面からレーザービーム経路に沿って伝播させるようにされ、レーザービームが410nmから500nmの範囲の波長を有する、固体デバイスと;を備え、レーザービームは伝播面で少なくとも約0.5MW/cm2の出力密度を有し;ウィンドウは、固体デバイスと光学的に連通し、且つレーザービーム経路上にあり;固体デバイスは、ハウジング内で内部空洞内に配置され、ウィンドウの内面は外部環境に露出しておらず、それによって固体デバイス及びウィンドウの内面は外部環境から隔離され;それによってレーザービームは、レーザービーム経路に沿って、ハウジングからウィンドウを通って外部環境へと伝送され;内部空洞にはシリコンベースの汚染物質源がなく、それによって固体デバイスの動作中に内部空洞内でのSiO2の生成が回避され;それによって内部空洞がSiO2の蓄積を回避し;それによってビーム特性の劣化速度が2.3%/khrs以下であり;また、内部空洞が少なくとも1%の酸素である気体を有し;それによって複数のダイオードレーザーデバイスの動作中に内部空洞内で炭素ベースの汚染物質からCO2が生成され、それによって伝播面及びウィンドウの内側表面が炭素の堆積がないままとされる。
【0026】
また、以下の特徴の1つ以上を有するシステム及び方法を提供する:固体デバイスの動作中にSiO2が内部空洞内で生成されない;それによって固体レーザーの動作中にSiO2が実質的に生成されず、内部空洞にはSiO2がないようにされる;動作中に内部空洞がSiO2がないままとなる;内部空洞にはSiO2がない;それによって固体デバイスの動作中に炭素の堆積物が内部空洞内に生成されない;それによって固体レーザーの動作中に炭素の堆積物が実質的に生成されず、内部空洞には炭素の堆積物がないようにされる;動作中に内部空洞が炭素の堆積物がないままとなる;内部空洞には炭素の堆積物がない;システムは、数十、数百、又は数千のレーザーダイオードを有し、システムは、青色波長でレーザービームを放射するレーザーダイオードを有する;システムは、約500nm以下の波長でレーザービームを放射するレーザーダイオードを有する;システムは、約500nmから約10nmの波長でレーザービームを放射するレーザーダイオードを有する;レーザービームのBPPは約100mm mrad未満である;レーザービームのBPPは約50mm mrad未満である;レーザービームのBPPは約40mm mrad未満である;レーザービームのBPPは約20mm mrad未満である;レーザービームのBPPは約15mm mrad未満である;システムは、500nmから10nmの波長でレーザービームを放射するレーザーダイオードを有する;レーザービームは、約20nm以下、約5nm以下、約1nm以下、約0.5nm以下のバンド幅、約20からnm約0.5nmのバンド幅、及びこれらの範囲内の全てのバンド幅を有する;レーザーシステムは集光光学系を有する;レーザーシステムはコリメート光学系を有する;レーザーシステムはスキャナーを有する;レーザーシステムは回折格子を有する;レーザーシステムは反射光学系を有し、レーザーシステムは、体積ブラッグ回折格子(VBG)、ブラッグ回折格子、エタロン、プリズム、可変減衰器、シャッター光ファイバー、屈折率分布型レンズ、レンズ、シリンドリカルレンズ、波長板、偏光結合器キューブ、モノリシック光学結合器アセンブリ、ラマン結晶、倍化結晶、誘電体反射鏡アセンブリ、ビームピックオフアセンブリ、出力モニタリングアセンブリを有する;内部空洞は少なくとも10%の酸素を含む気体を有し、それによって固体デバイスの動作中に内部空洞内で炭素ベースの汚染物質からCO2が生成されない;それによって固体デバイスの伝播面及び光学アセンブリが炭素の堆積物を回避する;内部空洞が、少なくとも1%の酸素を含む気体を有し、それによって固体デバイスの動作中に内部空洞内で炭素ベースの汚染物質からCO2が生成され;それによって固体デバイスの伝播面及び光学アセンブリが炭素の堆積物を回避する。
【0027】
さらに、高品質な青色レーザービームを長時間に亘ってレーザービーム特性の実質的な劣化なしで提供するレーザーシステムに統合するための高出力で高輝度な固体レーザーデバイスパッケージが提供され、該パッケージは:内部空洞を画定するハウジングであって;内部空洞がハウジングの外側の環境から隔離され;内部空洞の一部を画定するウィンドウを有する、ハウジングと;レーザービームを固体デバイスの伝播面からレーザービーム経路に沿って伝播させるための固体デバイスであって、レーザービームが410nmから500nmの波長を有し;レーザービームが伝播面で少なくとも約0.5MW/cm2の出力密度を有する、固体デバイスと;を備え、ウィンドウは、固体デバイスと光学的に連通し、且つレーザービーム経路上にあり;固体デバイスはハウジング内で内部空洞内に配置され、ウィンドウの内面は外部環境に露出しておらず、それによって固体デバイス及びウィンドウの内面は外部環境から隔離され;それによってレーザービームは、レーザービーム経路に沿って、ハウジングからウィンドウを通って外部環境へと伝送され;内部空洞にはシリコンベースの汚染物質源がなく、それによって固体デバイスの動作中に内部空洞内でのSiO2の生成が回避され;それによって内部空洞がSiO2の蓄積を回避し;それによってビーム特性の劣化速度が2.3%/khrs以下である;内部空洞が、少なくとも1%の酸素である気体を有し;それによって複数のダイオードレーザーデバイスの動作中に内部空洞内で炭素ベースの汚染物質からCO2が生成され、それによって伝播面及びウィンドウの内側表面が炭素の堆積物がないままである。
【0028】
さらに、レーザービームを提供するための個別のレーザーダイオードをパッケージングする密封容器が提供され;該密封容器は、内部空洞及び内側表面を画定し;内側表面にはシリコン汚染物質がなく、それによってレーザーダイオードの動作中にSiO2が形成されず;また内部空洞が、内側表面上に炭素汚染物質が形成されるのを防止するための手段を包含する。
【0029】
また、レーザービームを提供するための複数の個別のレーザーダイオードをパッケージングする密封容器が提供され、該密封容器は、内部空洞と内側表面を画定し、内側表面にはシリコン汚染物質が実質的になく、それによってレーザーダイオードの動作中にSiO2が形成されず、内部空洞が、内側表面上に炭素汚染物質が形成されるのを防止するための手段を包含する。
【0030】
またさらに、定格出力及び定格BPPを画定するビーム特性を有するレーザービームを伝播させるために個別のレーザーダイオードをパッケージングしている密封容器を動作させる方法が提供され、密封容器は、ウィンドウを備え、内部空洞及び内側表面を画定しており;当該方法は、次のステップを含む:合計で少なくとも5,000時間を有する動作時間の間、レーザービームをレーザーダイオードのファセットから空洞を通りウィンドウから出て密封容器から離れるように伝播させる;レーザーダイオードの伝播の間に空洞の内側表面上にSiO2が形成されず;レーザーダイオードの伝播の間に内部空洞内でCO2が形成され;動作時間の間に、レーザービームがその定格出力の少なくとも80%とその定格BPPの少なくとも80%を維持し、それによってレーザービームの特性が動作時間に亘って最小限に劣化する。
【0031】
加えて、定格出力及び定格BPPを画定するビーム特性を有する結合レーザービームを伝播させるために複数のレーザーダイオードをパッケージングしている密封容器を動作させる方法が提供され、密封容器は、ウィンドウを備え、内部空洞及び内側表面を画定しており;当該方法は、次のステップを含む:個別のレーザービームをレーザーダイオードのファセットから伝播させることと;空洞内で結合レーザービームを形成するように個別のレーザービームを結合することと、合計で少なくとも5、000時間を有する動作時間の間、結合レーザービームをウィンドウの外に密封容器から離れるように向けるようにすること;レーザーダイオードの伝播の間に空洞の内側表面上にSiO2が形成されず;レーザーダイオードの伝播の間にCO2が内部空洞内に形成され;動作時間の間に、結合レーザービームがその定格出力の少なくとも80%とその定格BPPの少なくとも80%を維持し、それによってビームの特性が動作時間に亘って最小限に劣化する。
【0032】
またさらに、以下の特徴のうちの1つ以上を有する、容器、パッケージ、アセンブリ、及び方法が提供される:レーザービームは青色レーザービームである;レーザービームは緑色レーザービームである;レーザービームが、1Wから10,000Wの出力、約500Wの出力、又は約1,000Wの出力を有する;レーザービームが、50mm mradから10mm mrad、20mm mradから1mm mrad、又は10mm mradから0.1mm mradのBPPを有する;レーザービームが、0.5MW/cm2から1,000MW/cm2、少なくとも約1MW/cm2、少なくとも約5MW/cm2、又は少なくとも約10MW/cm2の出力密度を有する;内側表面上に炭素汚染物質が形成されるのを防止するための手段が、酸素含有雰囲気である;酸素含有雰囲気が、少なくとも1%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、又は5%から80%の酸素濃度を有する;酸素含有雰囲気が、密封容器内に流入し且つ密封容器から流出している;内側表面上に炭素汚染物質が形成されるのを防止するための手段が、内側表面が炭素汚染物質を有さないことである;密封容器が、少なくとも5,000時間の80%レーザー寿命を有する;密封容器が、少なくとも10,000時間の80%レーザー寿命を有する;密封容器が、5,000時間から10,000時間の80%レーザー寿命を有する;劣化速度が、2.5%/khrs以下である;劣化速度が、2.0%/khrs以下である;劣化速度が、1.5%/khrs以下である;ヒートシンクを有するか又は使用し、ダイオード又は複数のダイオードがヒートシンク上に実装され、それによってレーザーダイオードの2次元アレイが形成される;バックプレーンを有するか又は使用し、ダイオード又は複数のダイオードがバックプレーン上に実装されている;レーザービームを操作するための光学系を備える;容器が、TO-9Canであるか又はTO-9Canを備える;出力密度が少なくとも約10MW/cm2であり、レーザービームが少なくとも約2Wの出力を有し、劣化速度が2.0%/khrs以下である;出力密度が少なくとも約5MW/cm2であり、レーザービームが少なくとも約1.5Wの出力を有し、劣化速度が1.8%/khrs以下である;出力密度が少なくとも約15MW/cm2であり、レーザービームが少なくとも約5Wの出力を有し、劣化速度が2.3%/khrs以下である;内部空洞が少なくとも10%の酸素を含む雰囲気を有する;内部空洞が少なくとも40%の酸素を含む雰囲気を有する;内部空洞が少なくとも60%の酸素を含む雰囲気を有する;シリコンベースの汚染物質源が、シロキサン、重合シロキサン、直鎖状シロキサン、環状シロキサン、シクロメチコン、及びポリシロキサンからなる群から選択される;炭素ベースの汚染物質源が、溶媒残留物、オイル、指紋、及び炭化水素からなる群から選択される;シリコン汚染物質が、パッケージ又は密封容器内で、0.01g未満、0.001g未満、0.0001g未満、0.00001g未満、又は0.000001g未満である;シリコン汚染物質が、パッケージ又は密封容器内で、0.01ppm未満のシリコン、0.001ppm未満のシリコン、0.0001ppm未満のシリコン、又は0.00001ppm未満のシリコンを有する;ビーム特性の劣化速度が2.0%/khrs以下である;ビーム特性の劣化速度が1.8%/khrs以下である;10,000時間以上の寿命を有することによって特徴付けられる;30,000時間以上の寿命を有することによって特徴付けられる;50,000時間以上の寿命を有することによって特徴付けられる;70,000時間以上の寿命を有することによって特徴付けられる;レーザービームが、ファセット、ウィンドウ、又はその両方で、0.5MW/cm2から1,000MW/cm2、少なくとも約1MW/cm2、少なくとも約5MW/cm2、又は少なくとも約10MW/cm2の出力密度を有する;内部空洞が少なくとも1%の酸素を含む雰囲気を有する;動作時間が合計で少なくとも7,500時間を有する;動作時間が合計で少なくとも10,000時間を有する;定格出力の80%が、さらに2,500時間の動作時間の間維持される;容器は複数の断続的なデューティーサイクルに亘って動作され、各デューティーサイクルは動作のデューティーサイクル時間間隔を画定し、動作のデューティーサイクル時間間隔の合計は動作時間に等しい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】出力対時間のグラフであり、高出力青色レーザーシステムにおける劣化速度を示す劣化曲線を提供する図である。
【0034】
【
図2】本発明にかかる、改善された出力の出力対時間の実施形態のグラフであり、4つの異なる高出力青色レーザーシステムにおける劣化速度を示す劣化曲線を提供する図である。
【0035】
【
図3】本発明にかかるレーザーシステムの概略図である。
【0036】
【
図4】本発明にかかるレーザーシステムの概略図である。
【0037】
【
図5】本発明にかかるレーザーシステムの概略図である。
【0038】
【
図6】本発明にかかるレーザーシステムの概略図である。
【0039】
【
図7】本発明にかかる、レーザーシステムの実施形態の、ワット(パーセンテージ)でのレーザー出力対動作時間(時間)のグラフである。
【0040】
【
図8】本発明にかかる、レーザーシステムの実施形態の、レーザー出力(ワット)対動作時間(時間)のグラフである。
【0041】
【
図9】本発明にかかる、汚染物質の堆積が生じうるが延長された寿命のレーザーの実施形態によって避けられる典型的なエリアを示しているダイオードレーザーの概略図である。
【0042】
【
図10】本発明にかかる、延長された寿命を提供するパッケージ内のダイオードレーザーの概略図である。
【0043】
【
図11】本発明にかかる、延長された寿命を提供するパッケージ内のダイオードレーザーの概略図である。
【0044】
【
図12】本発明にかかるTO-9Canレーザーダイオードの実施形態の断面概略図である。
【0045】
【
図13】本発明にかかるマルチ・レーザーパッケージの実施形態における、
図12のTO-9Canの実装の実施形態の実例である。
【0046】
【
図14】本発明にかかるマルチ・レーザーパッケージの実施形態における、
図12のTO-9Canの実装の実施形態の実例である。
【0047】
【
図15A】本発明にかかる複数のダイオードレーザーパッケージの実施形態の斜視図である。
【0048】
【0049】
【0050】
【
図16A】本発明にかかる複数のダイオードレーザーパッケージの平面概略図である。
【0051】
【0052】
【
図17A】本発明にかかる複数のダイオードレーザーパッケージの平面概略図である。
【0053】
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明は、概して、UV、青色、及び緑色の波長領域の高品質で高信頼性なレーザービームを生成するレーザーに関する。
【0055】
実施形態においては、本発明は、高品質、高信頼性、及び長寿命な青色レーザービームを生成するレーザー、レーザーパッケージ、及びハウジングに関する。
【0056】
実施形態においては、少なくとも5,000時間の寿命を有する、約400nmから約500nmの波長領域のレーザーシステム、及びそのようなシステムのための固体レーザーパッケージが提供される。
【0057】
本明細書は主として500nmの波長に焦点を当てているが、これは単なる例示であり、提供されるパッケージング、組み立て技術、及び洗浄技術は、青色、青色-緑色、緑色、より短い波長、及び潜在的に他の波長のレーザーシステム、特に高輝度で高出力なシステムに適用可能であることを理解されたい。
【0058】
概して、青色レーザーダイオードエミッタの出力は、通常1つのダイオード当り約5Wであり、典型的には1つのダイオード当り10W未満であるが、より高い出力とすることも可能である。複数のエミッタ、例えば、ダイオードからのビームを結合することによって、高出力な青色レーザーシステムが得られる。これらの青色レーザービームの結合は、単一のエミッタ、エミッタのバー、及びこれらの組合せ及び変形形態からとすることができる。これらのエミッタからのレーザービームは、例えば、空間的方法、スペクトル法、コヒーレント法、及び偏向法の組合せを使用して結合される。これらのビーム結合システムの例は、米国特許公報第2016/0322777号、第2018/0375296号、第2016/0067827号、第2019/0273365号、及び第2020/0086388号、並びに2019年11月25日に出願された米国特許出願第16/695,090号に教示及び開示されており、それぞれの開示の全体が参照によりここに組み込まれる。
【0059】
概して、複数のエミッタからのこれらのビームの結合は、ビームをコリメートして結合するための、レンズ、ミラー、回折格子、波長板などの受動光学素子の使用を含む。ラマン変換をビーム結合のために使用することもできる。溶接、ろう付け、又はアディティブマニュファクチャリングなどの多くの工業用途のために高輝度光源が必要とされ、これらは、典型的には、同じパッケージの内側のレーザーエミッタに近接して配置された非常に短い焦点距離のレンズを備える。以下では、パッケージ内の部品はレーザーアセンブリを形成する如何なる要素も参照し、それらは、光学的な機能部品(レンズ、回折格子、ミラー、波長板、ウィンドウなど)、機械的部品(パッケージハウジング、スペーサ、マウントなど)、及び位置決め部品(例えば接着剤、半田、機械的ハードウェア)として分類される。
【0060】
レーザーダイオード製造業者は、エミッタの高信頼性を確保にするために青色レーザーダイオードの設計及び製造において進歩してきた。同様に、青色波長での所望の反射性をもたらす一方で青色レーザーダイオード光源の典型的強度に適合する信頼性のある誘電体コーティングを利用できる。しかしながら、本発明以前には、高出力青色レーザーダイオードシステムは、工業用途での使用、特に工業用途でのコスト効率のよい使用に対して要求される信頼性のレベルには達していなかった。これは典型的には、システムの組み立て中にシステム内に取り込まれるシリコンベースの汚染物質及び炭素ベースの汚染物質源の存在に起因することが見出されており、それは、以下に述べるように、レーザーの動作中にシステムの活性光学面上に堆積物を形成し、レーザー性能を劣化させてレーザー及びレーザーシステムの寿命を短くする。
【0061】
高出力青色レーザーダイオードシステムの寿命の制限要因、実施形態においては主制限要因は、特にダイオード、光学アセンブリ、及びダイオードと光学アセンブリの両方のシステムのパッケージングに関連している。炭化水素又はポリシロキサンなどの揮発性有機化合物による汚染物質は、パッケージ中の接着剤又は他の材料の気体放出に起因する。他のよくある汚染物質源には、組み立て工程中の環境中に存在する空中浮遊汚染物質、いずれかの部品の保管容器からの残留物、その工程で使用された工具上に存在した表面汚染物質、及び一般にパッケージ中に使用される何らかの材料と接触する表面、が含まれる。一般に、レーザーの通常動作に関連した温度範囲内で微量の気体状汚染物質を生成するのに十分な蒸気圧を有する何らかの有機化合物がレーザーシステムの信頼性に潜在的に有害であると現在考えられている。青色レーザーの短い波長、及びより短い波長のレーザーは、二光子過程が、原子状の酸素、水素、又はオゾンなどの反応種をパッケージ内に効率的に生成することを可能にすると言われている。これらの反応種は、次いで、ビーム経路中の光学面、すなわち光学的に活性な表面上で様々な固体の堆積物又は積層物の原因となる揮発性有機汚染物質と気相反応し、これは時間の経過とともに光学的損失を増加させ、システムの出力を低下させ、レーザービームの特性を劣化させる。これらの堆積物及び積層物は、システムの寿命を徐々に低下させると考えられる。また、これらの堆積物及び積層物はシステムの寿命の終わりに達する主な理由であると考えられる。
【0062】
よって、本発明の実施形態は、本明細書で説明され教示されているように、これらの堆積物を最小限にし、低減し、回避し、また高信頼性、小さい劣化速度、及び長い寿命を有する青色、潜在的には緑色のレーザーシステムを提供する。
【0063】
図1には、シリコン汚染物質の量を低減していない典型的な青色レーザーシステムでの出力対時間のグラフが示されている。よって、このシステムはシリコンベースの汚染物質源を含み、よってシリコンベースの汚染物質源がなくはない。Piは定格値でもある初期出力101であり、Pfは約150時間の動作時間で定格値の88.73%に相当する最終出力102である。
【0064】
図1のシステムの乏しい性能に比べて、本発明の実施形態の性能では、
図2に示されるように、本発明の実施形態を使用したレーザー寿命の大幅な増加が見られる。
図2は、本発明の実施形態にかかる4つのレーザー201、202、203、204の出力対動作時間についての4つのプロット(線)を示している。400時間の時点で、これらのレーザーの全てが98%より大きなレーザー寿命を示している。
【0065】
図3には、高出力で高輝度な青色レーザーシステム300の概略的なブロック図がある。システム300は、レーザーダイオード、例えばエミッタ301の集合を有する。レーザーダイオード301は、ダイオードを取り付け、位置決めし、保持するための様々な機械的部品320を有する。これらの機械的部品320は、ベース321に、例えば取り付けられ、固定されるなどして直接的又は間接的に物理的に関連付けられている。ベース321は、内面323を有するカバー322に機械的に関連付けられている。カバー322は、ベース321に取り付けられてベースに密封され、外部環境335から隔離された内部空洞334を囲む又は包含するハウジング326を形成する。ベース321に直接的又は間接的に関連付けられた更なる機械的部品324に直接的又は間接的に物理的に関連付けられた光学部品302がある。レーザーダイオード301及び光学部品302は、ハウジング326によって外部環境335から隔離された内部空洞334内に収容されている。
【0066】
レーザーダイオードのそれぞれが、青色レーザービームが伝播されるファセット、例えば304(明確性のために1つだけが示されている)を有する。レーザービーム350は、レーザービーム経路350aに沿って(レーザービームはレーザービーム経路に沿って進み、よってレーザービーム経路と一致していることが理解される)、光学系302にまで進み、そしてハウジング326のウィンドウ325にまで進んでそこを通って伝播する。よって、レーザービームは、内部空洞334を通って、その空洞の外に及び外部環境335内へと伝播する。
【0067】
これらの実施形態の内部空洞、よってその空洞内の環境、好ましくは空洞内の全ての表面には、シロキサン、重合シロキサン、直鎖状シロキサン、環状シロキサン、シクロメチコン、及びポリシロキサンなどのシリコンベースの汚染物質源がない。特に、一実施形態においては、動作中に加熱される、レーザービームに曝される、好ましくはその両方であるハウジング内の表面及び接続部には、シリコンベースの汚染物質源がない。「ない」は、存在する汚染物質の量が、動作中に内部空洞内に放出されるシリコン(又は特定の汚染物質)の量が極僅か好ましくはゼロとなる程度に少ないことを意味する。このようにして、青色レーザービームが内部空洞を通って伝播する間に形成される反応性酸素が、実質的に、それと反応するシリコンを有さず、よってSiO2の形成を最小にし、好ましくはSiO2の形成を回避し、より好ましくはSiO2を形成せず、よってSiO2の堆積物を最小化し、SiO2の堆積物を回避し、そしてさらに好ましくは光学的に活性な表面空洞内の光学的に活性な表面上にSiO2の堆積物を形成させない。シリコンベースの汚染物質の量が回避され、よってSiO2を形成するのに利用されうるシリコンが僅少であるか、無視できるか、又は当該システムの実施形態よりも大きなレーザー劣化速度が生じうるレベルよりも下である程度に低いレベルにまで低減される。概して、光学的に活性な表面は、レーザービームが触れレーザービーム経路上にあるいずれの面でもあり、これにはファセット、ファイバーの面、ミラー、レンズ、ウィンドウ、伝播面、及び透過面が含まれうる。
【0068】
しかしながら、これらの実施形態の内部空洞、よってその空洞内の環境は、炭素ベースの汚染物質源を含み得る。したがって、炭素ベースの汚染物質の全て又は殆どが、組み立て中、例えばレーザーアセンブリ又はシステムのパッケージング中に、取り除かれる必要はない。そのような炭素ベースの汚染物質には、例えば、洗浄剤、溶媒、潤滑剤、オイル、人の指紋や油、及び概して他の炭化水素源が含まれうる。内部空洞は、動作中に、気体酸素、気体酸素源(例えば、動作中に酸素をシステムに供給するためのハウジングのポート又は流路)、又はその両方を含む。酸素は、青色レーザービームに曝されたときに反応性の原子状酸素を形成し、この反応性酸素は、炭素ベースの汚染物質源から放出された炭素と反応することによって気体CO2を形成し、したがって、内部空洞内の光学的に活性な表面上への炭素の堆積、沈着、又は積層が最小化され、好ましくは回避され、より好ましくは防止される。
【0069】
これらの様々な実施形態の内部空洞は、1%から100%の酸素、約5%から約80%の酸素、約10%から約50%の酸素、約30%から約80%の酸素、約5%から約30%の酸素、及び空気中に存在する大気での量の酸素(例えば、内部空洞はクリーンドライエアを含むことができる)を有することができる。内部空洞中の他の気体は、例えば、窒素とすることができる。
【0070】
これらの実施形態の内部空洞は、内部空洞内に存在するか又は利用できる、0.01ppm未満のシリコン、0.001ppm未満のシリコン、0.0001ppm未満のシリコン、及びより少ない量のシリコンを有する。
【0071】
レーザーアセンブリの内部空洞内の気体酸素と内部空洞内のシリコンベースの汚染物質源がないこととの一方及び好ましくは両方と、青色レーザービームとの組合せは、約5,000時間から約100,000時間、約10,000時間から約90,000時間、約5,000時間から約50,000時間、約30,000時間から約70,000時間、少なくとも約20,000時間、少なくとも約30,000時間、少なくとも約40,000時間、少なくとも約50,000時間、及びより長い時間の寿命を有しうる(及びそのような寿命を有するものとして正しく特徴付けられ、販売され、分類されることもできる)アセンブリを提供する。
【0072】
これらの高信頼性、すなわちこれらの長寿命を有する、レーザーシステム又はアセンブリの様々な実施形態は、青色レーザービーム(例えば、約410nmから約500nm、410nmから500nm、約405-495nm、450nm、約450nm、460nm、約460nm、470nm、及び約470nmの波長)を提供し又は伝播させることができる。これらの青色レーザービームは、約10pm(ピコメーター)から約10nm、約5nm、約10nm、約20nm、約10nmから約30nm、約5nmから約40nm、約20nm以下、約30nm以下、約15nm以下、約10nm以下、並びにより大きい及び小さい値のバンド幅を有することができる。これらの青色レーザービームは、約100W(ワット)から約100,000W、約100Wから約40,000W、約100Wから約1,000W、約200W、約250W、約500W、約1,000W、約10,000W、少なくとも約100W、少なくとも約200W、少なくとも約500W、少なくとも約1,000Wの出力、並びにより大きい及び小さい出力を有することができる。個別のダイオードのパッケージに対して、これらのレーザービームは、約1Wから約10W、約3W、約5W、約6W、及び約10W以上の出力を有することができる。これらの青色レーザービームは、約5mm mradから約50mm mrad、約40mm mrad未満、約30mm mrad未満、約20mm mrad未満、約15mm mrad未満、約10mm mrad未満、20mm mrad以下、15mm mrad以下、並びにより大きい及び小さい値のBPPを有することができる。ラマンレーザーベースのシステムに対して、これらの青色レーザービームのBPPは、5mm mrad未満、1mm mrad未満、約0.1から約1mm mrad、約0.1から約0.5mm mrad、約0.13mm mrad、及び約0.15mm mradとすることができる。
【0073】
レーザーシステム及びアセンブリのこれらの様々な実施形態のためのこれらのレーザービームは、ビーム特性(例えば、ビームの出力、BBP、バンド幅、又は他の特性、及びこれらの特性の1つ以上及び全ての組合せ)の約2.5%/khrs(1,000時間当り約2.5%)以下、約2.3%/khrs以下、約2.1%/khrs以下、約2.0%/khrs以下、約1.8%/khrs以下、約2.3%/khrsから約1.5%/khrs、並びにより大きい及び小さい量の劣化速度を有することができる。好ましい実施形態においては、これらの劣化速度は、レーザーに対する特性の「定格値」のときに、レーザーシステムの寿命内で、及びその両方で、存在する。好ましい実施形態においては、これらの劣化速度は、システムの寿命の全体に亘って存在する。より好ましい実施形態においては、レーザーシステムは、劣化曲線、すなわち劣化対時間のプロットがフラット、すなわち劣化速度がゼロであるそれら寿命期間を有するであろう。このゼロ劣化の期間は、1時間から500時間以上でありえ、寿命の10%、寿命の20%、寿命の30%、及びそれ以上の期間となりうる。
【0074】
これらの汚染物質(シリコンベース及び炭素ベース)は、レーザーがそれらの全動作範囲及び定格出力にわたって低出力及び高出力で動作したときに形成される。よって、これらの劣化速度は、特に明記しない限り、定格動作範囲内の定格出力での、又はそのようなレーザーに対する通常の確立された動作範囲での、レーザーの動作に対するものである。
【0075】
光学的に活性な表面上の堆積の蓄積に寄与する、よって青色レーザーシステムの寿命を低減させる2つの主要な成分がある、と考えられる。これらの成分は炭素とSiO2である。従来の考え方では、堆積に寄与する成分は組み立て中及びパッケージング中に低減されるか無くすことを提案していた。本発明は、このような慣習に対立し、しかしながら、残余の炭化水素の汚染物質を管理するためにSiO2の堆積物の量を潜在的に増加させうる酸素の量を増加させる。このようにして、残余の炭化水素の汚染物質は存在しうるが、システムは、上昇した酸素レベルにより、システムに対するリスクを回避し、好ましくはリスクがない。シロキサンの量は、低減され、好ましくはなくされる。よって、SiO2の堆積又は積層に必要な成分の一つが最小限にされ又は無くされ、酸素が個体炭素の堆積物又は積層材料の代わりにCO2を形成することによって炭化水素の堆積物及び積層物を中和することが可能となる。一実施形態においては、炭化水素の汚染物質の量を、好ましくは最小限にし、実質的に無くすことができる。
【0076】
シリコンベースの汚染物質源、炭素ベースの汚染物質源、及びその両方を取り除き、それらの存在を回避するために使用することができる、クリーンルームでの組み立て及びプロトコル、溶媒洗浄、摘出、プラズマ洗浄などの数多くの異なる洗浄及び組み立ての技術及び手順が知られている。当該洗浄及び組み立ての技術は、これらのレーザーシステムに対する適用可能性を有する多くの異なるそのような技術及び組合せの一例であり、当該実施形態の青色レーザーシステム、より短い波長のシステム、青色-緑色及び緑色のレーザーシステム、及び高出力システムに対して適用可能性を有するであろう。当該固体レーザー、光学アセンブリ、レーザーシステム、並びにそれらの組合せ及び変形形態に対する組み立て工程の実施形態においては、部品を洗浄して組み立てる様々な方法が、青色及び緑色のレーザーシステム、並びにより短い波長のシステムに対して見出された、様々な汚染物質現象の悪影響を最小限にするために使用することができる。実施形態においては、青色レーザーシステム、並びにより短い及び長い波長を有するシステムのための光学部品を洗浄及び組み立てる方法が、レーザー性能を時間経過にともなって劣化させる物質を軽減、最小化、又は無くすために用いられる。そのようなレーザー、光学アセンブリ、及びシステムのためのこれらの組み立て工程は、従来のシステムの信頼性の欠点に対処してそれを解決する。例えば、一実施形態においては、洗浄方法は、シリコンベースの汚染物質源を除去するために使用され、実施形態においては、動作方法は、組み立て工程の特定のステップで、部品上の特定の位置で、並びにそれらの組合せ及び変形形態で、対象とする汚染物質を除去するようにされる。この洗浄方法は、好ましくは標準的な分析技術では検出できないレベルのシリコンベースの汚染物質しか有さない、固体レーザー、光学アセンブリ、レーザーシステム(例えば、レーザー及び光学系)又はそれらの組合せを収容するパッケージの一実施形態を提供することが可能である。当該実施形態及び例を含むそのようなパッケージは、パッケージの隔離された環境内で、0.01g未満、0.001g未満、0.0001g未満、0.00001g未満、及び0.000001g未満のシリコンベースの汚染物質しかを有さないようにできる。当該実施形態及び例を含むそのようなパッケージは、(内部空洞の環境の成分、例えば、内部環境内に含まれる気体に基づくppmシリコンによって求められる)0.1ppm未満のシリコン、0.01ppm未満のシリコン、0.001ppm未満のシリコン、0.0001ppm未満のシリコン、0.00001ppm未満のシリコン、及びそれより少ない、内部空洞内のシリコンベースの汚染物質の量しか有さないようにできる。これらのシステム及び方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を有することができる:主としてポリシロキサンの揮発性の汚染物質が除去される;残留の揮発性炭化水素の除去の利点が提供される;他の動作パラメータが異なる汚染物質を除去するために選択される。
【0077】
組み立て工程の一実施形態においては、プラズマ洗浄が使用され、特にプラズマ洗浄がパッケージ内の部品の表面からの微量の汚染物質を除去し、汚染物質又は微粒子、例えばより多くの量のこの汚染物質又は微粒子を取り除く。一実施形態においては、プラズマ洗浄は、事前洗浄ステップとともに使用され、慎重に選択した溶媒を用いた事前洗浄では極性のものと非極性のものの両方が使用される。好ましくは、溶媒は、その極性が対象とする汚染物質の極性と合うように選ばれる。よって、複数の事前洗浄ステップ、洗浄ステップ、及びプラズマ洗浄のステップが行なわれ、またこれらのステップは特定の汚染物質に対して調整することができる。
【0078】
組み立て工程の一実施形態においては、システム部品は、全ての揮発性成分の気体放出を加速させるために、減圧下で所定の時間の間加熱され、残余の微量の揮発性汚染物質が除去される。この予加熱ステップは、本明細書に開示された他の組み立て技術とともに使用することができ、好ましくは使用される。温度と圧力の動作条件は、対象とする汚染物質の蒸気圧がオーブン内の実際の圧力よりも高いが部品にとって依然として安全であるように選ばれる。このステップはまた、事前洗浄ステップからの溶媒の如何なる残留物も部品から除去されることを確実にする。
【0079】
組み立て工程の実施形態は事前洗浄と洗浄のシーケンスを画定し、そのシーケンスにおいて、洗浄工程の様々な段階での洗浄される部品の表面自由エネルギーの極性成分及び非極性成分を測定するのに都合が良い。これは、実際の除去される汚染物質を対象とするために溶媒の適切な組合せと最適な気体混合物を選択するのに有益な情報を提供する。実施形態においては、各部品の製造、保管、及びハンドリングの様々な過程により、好ましいシーケンスはアセンブリの様々な部品に対して異なりうる。
【0080】
組み立て工程の一実施形態においては、これらの洗浄技術は、パッケージングの直前又はパッケージングのときに、追加の又は第二の若しくは第三の洗浄ステップ、例えば最終洗浄ステップとして、行なわれる。組み立てを行なう前の部品及び工具の丁寧な洗浄があったとしても、いくらかの汚染物質が統合化の間にパッケージ内に入り込む可能性がある。これは、例えば、組み立てエリア内に存在する空中の汚染物質からくる可能性があり、硬化中の接着剤からの気体放出が別の汚染物質源である。したがって、一実施形態においては、アセンブリの最終洗浄はパッケージを密封する直前に行なわれる。本明細書に記載された同じ洗浄方法を個別の部品に対して使用することができる。
【0081】
図9には、レーザーダイオード1000の概略図が示されている。ダイオードは、横断ガイドリッジ1010、フロントファセット1011、モード1012、及び垂直閉じ込め層1013を有する。動作中に形成される汚染物質は、典型的には、レーザーダイオードの垂直閉じ込め層1013に沿って蓄積し、モードの中心領域に最も多くの汚染物質が堆積し、典型的にはモードの強度とともに横方向に減少していく。当該システム及び方法の実施形態は、動作のときに、この堆積物並びに他の堆積物及び堆積物を回避し、最小化し、好ましくは生じることを防ぐシステムを提供する。
【0082】
外部の汚染物質の侵入を防止するために、高出力レーザーシステムは典型的には不活性雰囲気又は保護雰囲気、例えばほとんど酸素を含まない、好ましくは全く含まない雰囲気で密封されていた。しかしながら、この技術は、青色レーザーシステムに対しては効果的でなく、長寿命な青色レーザーシステムを提供するのには効果が無いことが分かっている。不活性雰囲気の従来の使用は、本明細書で説明される汚染物質の解離効果により青色レーザーシステムに対しては効果が無く、また緑色レーザーシステムに対しても効果が無いことが理論付けられており、また潜在的な他の理解されている現象とまだ完全には理解されていない現象の両方をこれらの青色波長レーザーシステム及び緑色レーザーシステムの通常動作中のレーザー性能の劣化に見ることができる、と理論付けられている。また、これらシステムの動作中に、パッケージ内部の温度が上昇し、それによりアセンブリ内のいずれかの部品からの気体放出をもたらされ、よって、熱気体放出からのこれらの微量な汚染物質がシステムの信頼性に悪影響を及ぼし、ある場合にはこの影響が非常に有害になりうる。
【0083】
青色波長システムのこれら問題が見出され、緑色レーザーシステム及びより短い波長のシステムである本発明の実施形態は、とりわけ、精密に洗浄し、組み立て、及び洗浄と組み立ての両方を行なうための適切な方法、及び組み立て工程中の光学パッケージ(及び固体レーザーなどのそのパッケージ内の部品)などのシステムのパッケージ又はハウジングの例を提供し、またこれらの有害な工程やレーザーシステムの劣化が起こるのを防ぐ。
【0084】
ビーム経路内の光学面上への揮発性有機汚染物質の蓄積に加え、別の問題は、レーザーダイオードのファセット又は他の光学部品の表面上への二酸化シリコン(SiO2)の蓄積である。この二酸化シリコンの蓄積は、コーティングの反射性に変化をもたらす。場合によっては、二酸化シリコンの蓄積は光学特性を変化させる。コリメート前の単一の青色レーザーダイオードは、レーザーダイオード自体の表面で非常に強い光場を有する。ファセットでの出力密度は、空洞内のモーダル・フィラメント(modal filaments)の形成のために、最大で20MW/cm2を超えうる。この高い出力密度がパッケージ内の雰囲気を解離する二光子反応をもたらすものであることが見出され、またそのように考えられている。解離されると、遊離酸素原子がいずれかの遊離シリコンと急速に結合してファセットにSiO2を形成する。SiO2は、同様にして、炭素ゲッタリングに堆積する。SiO2を形成して堆積させるこのプロセスは、コリメート光学系などの他の光学系の至るところで進み得るが、コリメート光学系では数kW/cm2のオーダーであり得るずっと低い出力密度のために、堆積速度はファセットよりも1,000倍小さいが、これは、システムのパッケージング、組み立て、及び洗浄において考慮されるべきである。
【0085】
当該システム及びアセンブリの固体レーザーデバイスのレーザービームが伝播される光学的に活性な表面、例えばファイバーの面、ウィンドウ、又はファセットは、少なくとも約0.5MW/cm2、少なくとも約1MW/cm2(平方センチ当りのメガワット)、少なくとも約10MW/cm2、少なくとも約20MW/cm2、少なくとも約50MW/cm2、少なくとも約100MW/cm2、少なくとも約500MW/cm2、約1,000MW/cm2以下、約10MW/cm2から約100MW/cm2、約5MW/cm2から約20MW/cm2、及び約50MW/cm2から約500MW/cm2の出力密度を有し得る。
【0086】
レーザービームを発生させて伝播させる固体デバイスを当該システム及びアセンブリで使用することができる。好ましくは、固体デバイスは、青色の波長、青色-緑色の波長、及び緑色の波長を有するレーザービームを伝播させる。そのような固体レーザーデバイスは、例えば、レーザーダイオード、ファイバーレーザー、ラマンファイバーレーザー、及び結晶(例えば、ダイアモンド、KGW、YVO4、Ba(NO3)2、など)に基づくラマンレーザー、並びにそれらの1つ以上の組合せ及び変形形態とすることができる。当該システムは、工業用途及び他の用途のために高出力で高輝度なレーザービームを提供するように結合されたビームを有する、1、2、3、5、10、数十、100、数百、及び数千の固体デバイスを備えることができる。
【0087】
本明細書は完成したレーザーシステムに焦点を当てているが、例えば、固体レーザーデバイス及び光学アセンブリを1つのパッケージ又はハウジング内に組み合わせるか又は統合することができ、その教示は、光学系を備えない独立型のレーザーデバイス、レーザーを備えない独立型の光学アセンブリ、並びにそれらの組合せ及び変形形態にも同様に適用可能であることを理解されたい。これらのアセンブリは、例えば光コネクタを備える光ファイバーによって、現場で又は出荷前に、光学的に統合、例えば接続されるようにできる。
【0088】
当該レーザーデバイス及びシステムの実施形態は、例えば電子記憶デバイス中の部品などの溶接部品のような、工業用途に使用することができる。
【0089】
ファセット上、レーザーダイオードの他の面上、及び他の光学的に活性な表面上に出力の損失をもたらす堆積物が生成されるプロセスは、二光子過程によって引き起こされるので、そのプロセスは、デバイスがパルス駆動されるか連続波駆動されるかに関わらず生じ得る。2つの動作モードの違いは、レーザーダイオードのファセットへのSiO2の堆積の速度である。堆積速度は出力密度に直接的に比例し、堆積量はその時間にわたる堆積速度の積分となる。その結果、10μm/khrsの速度で堆積が進めば、10%デューティーサイクルで動作したときに1,000時間の経過時間当り1μmのみが堆積するであろう。ここで使用される堆積速度は、単なる例示であり、多くの他の要因に依存し、主にパッケージ内に捕らえられたポリシロキサンの量に依存する。
【0090】
図1及び2の比較例では20個の単一エミッタダイオードから構成された60Wクラスの青色レーザーを使用し、そのそれぞれが速軸コリメーションレンズでコリメートされてデリバリーファイバー内に結合できるようにされている。レンズは、サブミクロン精度の位置決めの後にUV硬化性光学エポキシで取り付けられている。パッケージは金メッキ銅部品から作られていて、低温はんだが使用されている。レンズは、熱膨張係数が一致するようにガラス台座に取り付けられている。この極めて単純なアセンブリは、3つの異なる種類の光学接着剤、2つのはんだ、3つの異なる種類のガラス、及び2種類の金メッキ銅を使用している。組み立て工程には、様々な工具及び部品のための保管容器を用いた複数のステップが含まれ、全てのステップが表面を汚染する機会をもたらす。そのため、青色光と汚染物質との干渉は、時間の経過とともにデバイスからの出力の急速な劣化をもたらす。これは
図1に示されており、
図1は長時間のテストにわたる典型的なデバイスの性能を示し、レーザーの期待寿命はたったの200時間程度(定格出力の80%に到達した時間の定義に基づく)であり、生産工程に対しては明らかに十分ではない。
図1の曲線は、非常に典型的な-100%/khrsの劣化速度を示しており、デバイスの対応する寿命は200時間未満である。
図1と
図2の両方のデバイスは、同じ量の酸素60%を有していた。
【0091】
レーザー性能、特にレーザー性能に時間の経過とともに悪影響を与えるシステム内での少なくとも2つの青色光の干渉があることが見出された。まず、システムからの散乱光、反射光、及びその両方が、システムの表面を加熱してそれら表面からの気体放出を増加させ、また揮発する汚染物質の量を増加させ、それが堆積する汚染物質の量を増加させて、レーザーシステムの性能を劣化させる。次に、レーザービーム、二光子過程により光分解した酸素である。酸素原子は、パッケージ内の有機物と反応してCO2を形成し、ポリシロキサンと反応してSiO2を形成する。有機物の場合には、CO2はどの表面にも堆積せず、よって、炭化水素源は大して心配ではないが、ポリシロキサンは信頼性に対して非常に有害である。結果として、パッケージング環境(例えば、固体レーザーデバイス、ビーム経路、及び光学系を包含するハウジングの内部環境)は、信頼性のある動作を実現するために、水蒸気及び他の汚染物質が導入されることを防止するように組み立てられて密封される。
【0092】
図2は、内部環境内にシロキサンがなく酸素雰囲気を有するようにパッケージされて組み立てられた高出力青色レーザーデバイスの5つのサンプルからの出力の変化のグラフを示している。
図2のテストで使用されたレーザーデバイスは、当該実施形態に係る洗浄シーケンスの例を使用して洗浄された。シロキサンがないこれらのデバイスに対する平均劣化速度は、-2.3%/khrsであり、これは
図1のデバイスと比べて43倍の寿命の改善となる。
【0093】
以下の例は、当該組み立て方法、レーザーシステム、及び動作の様々な実施形態を例示するために提供される。これらの例は、例示目的であり、予言的であり得、本発明の範囲を限定するものとしてみられるべきではなく、また限定するものではない。
【0094】
例1
【0095】
図10には、ダイオードの延長された寿命をもたらす密封パッケージ内に組み立てられた
図9のレーザーダイオードの概略図が示されている。このパッケージは、そのシステムに延長された寿命をもたらすレーザーシステム内に後に統合することができる。ダイオード1000は、パッケージ又はレーザーダイオードのためのパッケージングを形成する密封ハウジング1050の内側に配置されており、またレーザーダイオードアセンブリである。ハウジング1050は、外部環境1052から隔離された内部環境1051を含む。ダイオード1000は、レーザービームをレーザービーム経路1056に沿ってウィンドウ1055を通して外部環境1052へと伝播させる。ウィンドウ1055の内面1080は、内部環境1051に露出し、また接触している。内部空洞内の全ての表面にシリコンベースの汚染物質はない。レーザービームは、青色波長領域内であり、3Wの出力を有する。内部環境は、60%の酸素を含み、それによって固体デバイスの動作中に、内部空洞内で洗浄後に存在している炭素ベースの汚染物質からCO
2が生成される。パッケージされたアセンブリは、2.0%/khrs未満の出力劣化速度と、少なくとも30,000時間のレーザー寿命を有する。
【0096】
例1A
【0097】
例1の実施形態においては、内部環境は、1%から80%の酸素を含み得る。レーザービーム出力は、約1Wから約10Wとし得る。出力の劣化速度は、3%/khrs未満、2.5%/khrs未満、2%/khrs未満、及び1.5%/khrs未満となり得る。実施形態は、少なくとも20,000時間、少なくとも40,000時間、少なくとも50,000時間、少なくとも100,000時間のレーザー寿命を有し得る。特に実施形態は、レーザーシステム内に組み立てられたとき、例えば光学系とともにパッケージされたときに、これらの寿命及び劣化速度を有し得る。
【0098】
例1B
【0099】
例1のレーザーダイオードはTO-9Canの青色レーザーダイオードであり、それの一実施形態が
図12に示されている。
【0100】
例1C
【0101】
図11には、ダイオードの延長された寿命を提供する密封パッケージに組み立てられて青色レーザービームを提供する4つのレーザーダイオードの概略図が示されている。このパッケージは、延長された寿命をシステムに提供するレーザーシステムに後に統合することができる。4つのレーザーダイオード1100a、1100b、1100c、1100dは、密封されて内部環境1151を有するハウジング1150内にパックされ、例えば収容される。ハウジング1150は、内部環境1151を外部環境1152から保護及び隔離する。4つのレーザーダイオードは、ビーム経路1156a、1156b、1156c、1156dに沿って進む約5Wの出力を有する青色レーザービームを伝播させる。レーザービームは、ハウジング1150からウィンドウ1155を通る各ビーム経路に沿って進み、外部環境1152へと進む。ウィンドウ1155の内面1180は、内部環境1151に露出して接している。4つの区切られたウィンドウ、すなわち各ダイオードに対して1つのウィンドウを使用することができる。内部空洞の全ての表面にはシリコンベースの汚染物質がない。レーザービームは、それぞれ、青色波長領域内であり、それぞれ約5Wの出力を有する。内部環境は60%の酸素を包含し、それによって固体デバイスの動作中に、洗浄後に残った炭素ベースの汚染物質からCO
2が内部空洞内で生成される。パッケージされたアセンブリは、2.0%未満の出力劣化速度と少なくとも30,000時間のレーザー寿命とを有する。
【0102】
例1D
【0103】
例1Cの実施形態においては、内部環境は、1%から80%の酸素を包含している。レーザービーム出力は約1Wから約10Wとすることができる。出力劣化速度は、3%/khrs未満、2.5%/khrs未満、2%/khrs未満、及び1.5%/khrs未満とすることができる。実施形態は、少なくとも20,000時間、少なくとも40,000時間、少なくとも50,000時間、及び少なくとも100,000時間のレーザー寿命を有することができる。特に実施形態は、レーザーシステム内に組み立てられたとき、例えば光学系とともにパッケージされたときに、これらの寿命及び劣化速度を有し得る。
【0104】
例1E
【0105】
例1CのレーザーダイオードはTO-9Canの青色レーザーダイオードであり、それの一実施形態が
図12に示されている。
【0106】
例2
【0107】
図4には、実質的なレーザービーム特性の劣化無しで高品質レーザービーム450を長時間に亘って提供するための高出力で高輝度な固体レーザーアセンブリ400又はレーザーシステムの実施形態が示されており、そのアセンブリは:内部空洞434を画定するハウジング426であって;内部空洞がハウジングの外側の環境435から隔離されている、ハウジングと:レーザービーム450を固体デバイスの伝播面404からレーザービーム経路450aに沿って伝播させるための固体デバイス401であって、レーザービームが伝播面404で少なくとも約0.5MW/cm
2の出力密度を有する、固体デバイスと;固体デバイス401と光学的に連通しレーザービーム経路450a上にある光学アセンブリ402と;を備え、固体デバイス及び光学アセンブリはハウジング426内で内部空洞434内に配置され、それによって固体デバイス及び光学アセンブリが外部環境435から隔離されており;ハウジングがハウジング伝播面425を有し、それによりレーザービーム450はハウジング426から外部環境435へとレーザービーム経路450aに沿って進み;ハウジング伝播面425は光学アセンブリ402と光学的に連通し且つレーザービーム経路450a上にあり;ハウジング伝播面から出たレーザービームはビーム特性によって特徴付けられ、そのビーム特性は:(i)少なくとも100Wの出力;(ii)40mm mrad未満のBPPを有し;内部空洞にはシリコンベースの汚染物質源がなく、それによって固体デバイスの動作中にSiO
2が内部空洞内で生成されず:それによって内部空洞はSiO
2の蓄積がないままとなり、それによってビーム特性の劣化速度は2.3%/khrs未満である。
【0108】
例3
【0109】
一実施形態においては、例2のレーザーアセンブリは、410nmから500nmの範囲の波長を有するレーザービームを生成する固体デバイスを有する。
【0110】
例4
【0111】
一実施形態においては、例2のレーザーアセンブリは、405nmから575nmの範囲の波長を有するレーザービームを生成する固体デバイスを有する。
【0112】
例5
【0113】
一実施形態においては、例2のレーザーアセンブリは、500nmから575nmの範囲の波長を有するレーザービームを生成する固体デバイスを有する。
【0114】
例6
【0115】
例2、3、4及び5のレーザーアセンブリの実施形態においては、固体デバイスは、ラマンファイバーレーザー、ダイオードレーザー、結晶ベースのラマンレーザー、並びにこれらの1つ以上の組合せ及び変形形態である。光学アセンブリは、コリメート光学系、集光光学系、レンズ、ミラー、ビーム結合光学系、並びにこれらの1つ以上の組合せ及び変形形態などの、光学素子を有する。ビーム特性はさらに、約20nm以下のバンド幅を有する。ハウジング伝播面は、ウィンドウ及びファイバーの面、並びにこれらの1つ以上の組合せ及び変形形態である。BPPは約15mm mrad未満であり、伝播面での出力密度は約1MW/cm2から約1,000MW/cm2である。
【0116】
例7
【0117】
例2、3、4、5及び6のレーザーアセンブリの実施形態においては、レーザービームの出力は約100Wから約1,000Wである。ビーム特性はさらに約20nm未満のバンド幅を有し、伝播面での出力密度は約0.5MW/cm2から約1,000MW/cm2であり、ビーム特性の劣化速度は2.0%/khrsである。
【0118】
例8
【0119】
例2-7及び13-26のレーザーアセンブリの実施形態においては、内部空洞が少なくとも1%の酸素からなる気体を有し、固体デバイスの動作中に内部空洞内で炭素ベースの汚染物質からCO2が生成され、それによって固体デバイス及び光学アセンブリの伝播面に炭素の堆積物がないままとなる。
【0120】
例9
【0121】
例2-7及び13-26のレーザーアセンブリの実施形態においては、内部空洞が少なくとも5%の酸素からなる気体を有し、固体デバイスの動作中に内部空洞内で炭素ベースの汚染物質からCO2が生成され、それによって固体デバイス及び光学アセンブリの伝播面に炭素の堆積物がないままとなる。
【0122】
例10
【0123】
例2-7及び13-26のレーザーアセンブリの実施形態においては、内部空洞が少なくとも10%の酸素からなる気体を有し、固体デバイスの動作中に内部空洞内で炭素ベースの汚染物質からCO2が生成され、それによって固体デバイス及び光学アセンブリの伝播面に炭素の堆積物がないままとなる。
【0124】
例11
【0125】
例2-7及び13-26のレーザーアセンブリの実施形態においては、内部空洞が少なくとも20%の酸素からなる気体を有し、固体デバイスの動作中に内部空洞内で炭素ベースの汚染物質からCO2が生成され、それによって固体デバイス及び光学アセンブリの伝播面に炭素の堆積物がないままとなる。
【0126】
例12
【0127】
例2-7及び13-26のレーザーアセンブリの実施形態においては、内部空洞が約5%から少なくとも約50%の酸素からなる気体を有し、固体デバイスの動作中に内部空洞内で炭素ベースの汚染物質からCO2が生成され、それによって固体デバイス及び光学アセンブリの伝播面に炭素の堆積物がないままとなる。
【0128】
例13
【0129】
例2-12及び17-26のレーザーアセンブリの実施形態においては、ビーム特性の劣化速度は、2.0%/khrs以下、2.0%/khrsから1%/khrsである。
【0130】
例13A
【0131】
例13の劣化速度は、5,000時間の寿命の間、7,000時間の寿命の間、及び10,000時間の寿命の間、維持される。
【0132】
例14
【0133】
例2-12及び17-26のレーザーアセンブリの実施形態においては、ビーム特性の劣化速度は、1.8%/khrs以下、1.8%/khrsから0.8%/khrsである。
【0134】
例14A
【0135】
例14の劣化速度は、5,000時間の寿命の間、7,000時間の寿命の間、及び10,000時間の寿命の間、維持される。
【0136】
例15
【0137】
例2-12及び17-26のレーザーアセンブリの実施形態においては、アセンブリは、10,000時間以上の延長された寿命を有し、またそれを有するものとして特徴付けられる。
【0138】
例16
【0139】
例2-12及び17-26のレーザーアセンブリの実施形態においては、アセンブリは、5,000時間以上の延長された寿命を有し、またそれを有するものとして特徴付けられる。
【0140】
例17
【0141】
図5には、高品質青色レーザービーム550を長時間にわたってレーザービーム特性の実質的な劣化なしで供給するための、高出力で高輝度な固体レーザーアセンブリ500の概略図が示されており、このアセンブリは;内部空洞534を画定するハウジング526であって、内部空洞がハウジング526の外側の環境535から隔離された、ハウジングと;複数のファセット、例えばファセット504から、複数のダイオードレーザービーム経路、例えば550に沿って、複数のレーザービーム、例えばビーム550を伝播させるための複数のダイオードレーザーデバイス501a、501b、501c、501d、501eであって、レーザービームが400nmから500nmの範囲の波長を有し;各レーザービームがそれぞれのファセットで少なくとも約0.5MW/cm
2の出力密度を有する、複数のダイオードレーザーデバイスと;ダイオードレーザーデバイスのそれぞれと光学的に連通し且つレーザービーム経路上にある光学アセンブリ502であって;コリメート光学系、例えばコリメーティング光学系560、及びビーム結合光学系565を有し;複数のダイオードレーザービームを結合して結合レーザービーム552を結合レーザービーム経路552aに沿って提供する、光学アセンブリ502と;を備え、複数のダイオードレーザーデバイス及び光学アセンブリは、ハウジング526内で内部空洞534の中に配置され、それによって複数のダイオードレーザーデバイス及び光学アセンブリは外部環境535から隔離され;ハウジングは、ハウジング伝播面525を有し、それによって結合レーザービームはハウジング526から外部環境535へと結合レーザービーム経路552aに沿って伝送され;ハウジング伝播面525は光学アセンブリ502と光学的に連通し且つ結合レーザービーム経路552a上にあり;ハウジング伝播面525から出た結合レーザービーム552はビーム特性によって特徴付けられ、そのビーム特性は:(i)少なくとも100Wの出力と;(ii)40mm mrad未満のBPPとを有し;内部空洞534には、シリコンベースの汚染物質源がなく、それによって、複数のダイオードレーザーデバイスの動作中にSiO
2が内部空洞内で生成されず;それによって内部空洞はSiO
2の堆積物がないままとされ;それによって結合ビームの特性の劣化速度が2.3%/khrs未満である。
【0142】
例18
【0143】
例17及び他の例のレーザーアセンブリの実施形態においては、ビーム特性はさらに、約15nm以下のバンド幅を有し;ハウジング伝播面は、ウィンドウとファイバーの面とからなる群から選択され;BPPは約15mm mrad未満であり;伝播面での出力密度は約0.5MW/cm2から約1,000MW/cm2である。
【0144】
例19
【0145】
例17及び他の例のレーザーアセンブリの実施形態においては、ビーム特性はさらに、約15nm以下のバンド幅を有し;結合レーザービームの出力は少なくとも約500Wであり;ハウジング伝播面はウィンドウとファイバーの面とからなる群から選択され;BPPは約30mm mrad未満であり;伝播面での出力密度は約0.5MW/cm2から約1,000MW/cm2である。
【0146】
例20
【0147】
図6には、高品質青色レーザービーム650をレーザービーム特性の実質的な劣化無しで長時間に亘ってレーザービーム経路650aに沿って提供するための、高出力で高輝度な固体レーザーアセンブリ600の概略図が示されており、このアセンブリは:内部空洞634を画定するハウジング626であって;内部空洞634が隔離された環境を画定する、ハウジングと;複数の光学的に活性な表面、例えば、面604a、面604b、面604c、面604d、面604eであって、青色レーザービームが、光学的に活性な表面から伝播され、その中に透過し、又はそれによって反射する、複数の光学的に活性な表面と;を備え、複数の光学的に活性な表面は、ハウジングの内部空洞634の隔離された環境内に配置され;光学的に活性な表面の少なくとも一つが固体レーザーデバイス601上に配置されており;レーザービームは、1つ以上の光学的に活性な表面、例えば、面604a、面604b、面604c、面604d、面604eにおいて、少なくとも約0.5MW/cm
2の出力密度を有し;内部空洞634にはシリコンベースの汚染物質源がなく、それによって固体レーザーデバイスの動作中にSiO
2が内部空洞内で生成されず;内部空洞634は酸素を含む気体を有し;それによって固体レーザーデバイスの動作中にCO
2が内部空洞内で炭素ベースの汚染物質から生成され;それによって複数の光学的に活性な表面は炭素及びSiO
2の堆積物がないままとなり;それによって青色レーザービームの出力の劣化速度が2.3%/khrs未満である。
【0148】
光学的に活性な表面604eは、レーザービーム650をハウジングの外へ及び外部環境635の中へ伝送するためのウィンドウである。
【0149】
例21
【0150】
図6のレーザーアセンブリ600及び
図5のレーザーアセンブリ500では、固体レーザーは緑色波長領域の波長を有するレーザービームを生成する。
【0151】
例21A
【0152】
例22の緑色固体レーザーは、ニオブ酸リチウム結晶で2倍化されたIRレーザーシステムである。そのシステムは、レーザーダイオード、外部空洞、及び外部空洞の焦点位置にニオブ酸リチウム結晶を有し、それらの全てがハウジング内に包含されている。
【0153】
例22
【0154】
例2-21、21Aのレーザーシステム及びアセンブリでは、レーザービームは、約5nm、約10nm、約20nm、約10nmから約30nm、約5nmから約40nm、約20nm以下、約30nm以下、約15nm以下、約10nm以下のバンド幅を有する。
【0155】
例23
【0156】
例2-22のレーザーシステム及びアセンブリでは、ビームがハウジングを出て外部環境へと伝播する点の又はその近くのレーザービームが、約100Wから約100,000W、約100Wから約40,000W、約100Wから約1,000W、約200W、約250W、約500W、約1,000W、約10,000W、少なくとも約100W、少なくとも約200W、少なくとも約500W、及び少なくとも約1,000Wの出力を有する。
【0157】
例24
【0158】
例2-23のレーザーシステム及びアセンブリでは、レーザービームは、約10mm mradから約50mm mrad、約40mm mrad未満、約30mm mrad未満、約20mm mrad未満、約15mm mrad未満、約10mm mrad未満のBPPを有する。
【0159】
例25
【0160】
例2-23のレーザーシステム及びアセンブリでは、除去されて最小化された潜在的なシリコンベースの汚染物質源は、シロキサン、重合シロキサン、直鎖状シロキサン、環状シロキサン、シクロメチコン、ポリシロキサン、並びにこれらの1つ以上の組合せ及び変形形態である。
【0161】
例26
【0162】
例2-25のレーザーシステム及びアセンブリでは、内部空洞内の酸素の存在によって軽減される炭素ベースの汚染物質源は、溶媒残留物、オイル、指紋、炭化水素の他源、並びにこれらの1つ以上の組合せ及び変形形態である。
【0163】
例27
【0164】
固定の高輝度な青色レーザーの実施形態が、表1に示されている。この表は、二次元のスペクトルでのビーム結合形態で2.5ワットのレーザーダイオードで達成することができる出力、輝度、及び性能を示している。この表は、ビルディングブロック350ワットモジュールに基づくレーザーシステムの出力及び輝度が、ファイバー結合器を使用してどのようにマルチ・kW出力レベルにまで上がってプロセスファイバーへと出射されるかを例示している。
【0165】
【0166】
表1のビームを提供するシステムは、約5%/khrsから約1.5%/khrs以下、2.5%/khrs以下、2.0%/khrs以下、1.8%/khrs以下、1.0%以下、及びより小さな値である表1の両ビーム特性の劣化速度を有する。表1(両ビーム特性)を提供するシステムは、少なくとも約5,000時間から約100,000時間、少なくとも約5,000時間、少なくとも約10,000時間、少なくとも約20,000時間、少なくとも約40,000時間、約10,000時間から約50,000時間の寿命、及びより長い寿命を有する。
【0167】
例28
【0168】
例27と同じモジュールは、輝度は保護するがモジュールの交換を僅かに複雑にする自由空間内で結合されるようにもできる。自由空間結合を使用して実現することができる出力及びビームパラメータ積が表2に示されている。
【0169】
【0170】
表2のビームを提供するシステムは、約5%から約15%/khrs以下、2.5%/khrs以下、2.0%/khrs以下、1.8%/khrs以下、1.0%/khrs以下、及びより小さい値である、表2の両ビーム特性の劣化速度を有する。表2(両ビーム特性)のビームを提供するシステムは、少なくとも約5,000時間から約100,000時間、少なくとも約5,000時間、少なくとも約10,000時間、少なくとも約20,000時間、少なくとも約40,000時間約10,000時間から約50,000時間の寿命、及びより長い寿命を有する。
【0171】
例29
【0172】
各デバイスが約6.5ワットであるより高出力の青色レーザーダイオードを使用したシステムのための固体の高輝度青色レーザーの実施形態が、表3に示されている。ベースモジュールは約900ワットであり、これらのモジュールは、表3に示すように、ファイバー結合器を使用して結合されて高出力で高輝度な青色レーザーダイオードシステムを構築する。
【0173】
【0174】
表3のビームを提供するシステムは、約5%から約1.5%/khrs以下、2.5%/khrs以下、2.0%/khrs以下、1.8%/khrs以下、1.0%/khrs以下、及びより小さい値である両ビーム特性の劣化速度を有する。表3(両特性)のビームを提供するシステムは、少なくとも約5,000時間から約100,000時間、少なくとも約5,000時間、少なくとも約10,000時間、少なくとも約20,000時間、少なくとも約40,000時間、約10,000時間から約50,000時間の寿命、及びより長い寿命を有する。
【0175】
例30
【0176】
図7は、レーザー出力対動作時間のグラフである。青色レーザーダイオードアセンブリが、劣化速度(プロット線701)が遅い動作プロファイルを提供することが分かる。劣化速度は、200時間あたりから550時間あたりに平らな部分702を有する。約800時間後、劣化速度は約0.7%/khrsである。800から1、600時間の時間703の間に示されるこの劣化速度は、システムの寿命の残りの間、同じに維持される(すなわち、プロット線の傾きが大きくは変化しない)。
【0177】
例31
【0178】
図8は、レーザー出力対動作時間のグラフである。青色レーザーダイオードアセンブリが、劣化速度(プロット線801)が遅い動作プロファイルを提供することが分かる。劣化速度は、150時間あたりから800時間あたりに平らな部分を有する。約800時間後、劣化速度は約0.7%/khrsである。800から1、600時間の時間の間に示されるこの劣化速度は、システムの寿命の残りの間、同じに維持される(すなわち、プロット線の傾きが大きくは変化しない)。
【0179】
例32
【0180】
図12は、TO-9Can、すなわちパッケージされたレーザーダイオードの一例である。レーザーダイオードのパッケージングにおいて、シリコンベースの汚染物質の量は低減され、パッケージは酸素に富んだ雰囲気で満たされる。TO-9Can1200は、ヒートシンク1204を備えるハウジング1205を形成するステンレス鋼の壁1201を有する。TO-9Canは、レーザーダイオード1203及びウィンドウ1206を有する。ハウジング1205は、酸素に富んだ雰囲気で満たされ、例えばそれを包含している。
【0181】
例33
【0182】
図13及び14は、複数のTO-9パッケージを各個別のTO-9パッケージを保持することができる適切に機械加工されたヒートシンクの中に実装することによって、標準的なTO-9のレーザーダイオードパッケージ1200がマルチ・レーザーパッケージ1250及び1250aの中にどのようにして配置されるかを示している。TO-9パッケージ内に実装されたレーザーダイオードは、最小限のシリコン汚染物質と炭素汚染物質(最小限にすることができる)を有する状態で密封されなければならならず、またそれらは酸素雰囲気によって軽減され、管理される。レーザーダイオードアセンブリが適切に洗浄されると、パッケージ1200は、パッケージの内側に酸素に富んだ環境を有して密封される。各パッケージは信頼性のある動作を確保するために個別に密封される。
【0183】
例34
【0184】
図15は、銅バー例えば1503上に実装されて垂直空間の放出源を生成する20個の個別のレーザーダイオード例えば1502を備えた、マルチ・ダイのレーザーダイオードパッケージ1501を示している。ダイオードのそれぞれは、銅バー上に精密に実装され、各バーはバックプレーンヒートシンク1504に精密に実装されている。ダイオードを後方反射から保護するために、またパッケージ及びウィンドウ1506内での迷光又は散乱光を最小限にするために、メタルマスク1505が加えられる。パッケージは、シリコン汚染物質の全ソースを除去し、また好ましくは炭素汚染物質源も除去及び低減するために、洗浄される。パッケージが密封されると、パッケージは、酸素に富んだ環境で満たされて、遊離炭素をレーザーダイオードにとって無害であり且つ青色光によって解離できないCO
2に変換するための手段を提供する。このアセンブリは、5,000時間より大きい寿命、及び10,000時間より大きい寿命を有することができる。
【0185】
例35
【0186】
図16は、バックプレーンヒートシンク1694上に実装された20個の個別のレーザーダイオード例えば1607を備えた、マルチ・ダイのレーザーダイオードパッケージ1600を示している。パッケージ1600は、反射鏡例えば1606とウィンドウ1602とを有し、レーザービーム経路、例えば1605に沿って進むレーザービームがそれらを通って進む。パッケージは、全てのシリコン汚染物質源を除去し、また好ましくは炭素汚染物質源も除去及び低減するために、洗浄される。パッケージが密封されると、パッケージは、酸素に富んだ環境で満たされて、遊離炭素をレーザーダイオードにとって無害であり且つ青色光によって解離できないCO
2に変換するための手段を提供する。このアセンブリは、5,000時間より大きい寿命、及び10,000時間より大きい寿命を有することができる。
【0187】
例36
【0188】
図17は、
図16に示したものと同様な方法及びアセンブリを示すが、このアセンブリ1700例えば1701は、各レーザーダイオード、例えば1707及び反射鏡、例えば1706を取り囲む個別の密封パッケージを有する。パッケージは、ウィンドウ、例えば1702を有し、レーザービームはそれを通ってレーザービーム経路、例えば1705に沿って進む。個別の密封パッケージ、例えば1701、及びレーザーダイオード、例えば1707は、ヒートシンク、例えば1704上に実装されている。各レーザーダイオードパッケージを取り囲む体積が小さいほど、より簡単に洗浄でき、シリコン汚染物質の可能性を低減し、また好ましくは炭素汚染物質源を除去及び低減して、より複雑なアセンブリの洗浄が必要になるのを避けることができる。レーザーダイオード及び反射鏡は、シリコン汚染物質を最小限にし、好ましくは炭素汚染物質源も除去及び低減するために、密封の前に洗浄されなければならない。各パッケージ、例えば1701は、酸素に富んだ環境で密封されて、残余の炭素をレーザーダイオードにとって無害であるCO
2に変換する。このプロセスは、レーザーダイオードに長寿命をもたらす。このアセンブリは、寿命5,000時間より大きな寿命、及び10,000時間より大きな寿命を有することができる。
【0189】
本発明の実施形態の主題であるか又はそれに関連する新規で革新的な、プロセス、材料、性能、他の長所、及び特性の根底にある理論を提供したり又はそれに取り組んだりする必要はないことに留意されたい。それにもかかわらず、本明細書には、この重要な分野、特にレーザー、レーザー加工、及びレーザー応用の重要な分野の技術をさらにすすめるために様々な理論が提供されている。本明細書で出されたこれらの理論は、明示的に記載されていなければ、請求項に記載された発明に与えられる保護範囲を全く限定も制限も狭めることもしない。これらの理論は、本発明を利用するために必要とされず又は実行されないかもしれない。本発明は、本発明の方法、物品、材料、デバイス、及びシステムの実施形態の動作、機能、及び特徴を説明するために新規でこれまで知られていない理論を導いており、後に開発されるそのような理論は本発明に与えられる保護範囲を制限しないことを理解されたい。
【0190】
本明細書に記載のレーザー、ダイオード、アレイ、モジュール、アセンブリ、活動、及び動作の様々な実施形態は、上記の分野及び様々な他の分野において使用することができる。加えて、これらの実施形態は、例えば、以下のものとともに使用することができる:既存のレーザー、アディティブマニュファクチャリングシステム、動作、及び活動、並びに他の既存装置;将来のレーザー、アディティブマニュファクチャリングシステム、動作、及び活動;本明細書の教示に部分的に基づいて改良されたようなアイテム。また、本明細書に記載された様々な実施形態は、相互に異なる様々な組み合わせで使用し得る。例えば、本明細書の様々な実施形態に提供されている構成は、相互に使用し得る。例えば、A、A’及びBを有する実施形態のコンポーネントとA”、C及びDを有する実施形態のコンポーネントは、本明細書の教示に従って、様々な組み合わせ、例えば、A、C、D、及びAや、A”C及びDなど、とすることができる。よって、本発明に与えられる保護範囲は、特定の実施形態、例、又は特定の図の実施形態に記載された、特定の実施形態、構成、又は配置に限定されるべきではない。
【0191】
本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書で具体的に開示されたもの以外の形態で具体化することができる。説明された実施形態は、あらゆる点で、例示的であり、限定的ではないと考えられるべきである。
【国際調査報告】