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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】高効率ガス化炉及びその作動方法
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/48 20060101AFI20230323BHJP
   C10J 3/46 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
C10J3/48
C10J3/46 M
C10J3/46 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547262
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(85)【翻訳文提出日】2022-08-03
(86)【国際出願番号】 CN2021113995
(87)【国際公開番号】W WO2022148022
(87)【国際公開日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】202110027196.3
(32)【優先日】2021-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521438869
【氏名又は名称】中国華能集団清潔能源技術研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUANENG CLEAN ENERGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】Lab Block A, Huaneng Base, Beiqijia Future Science Park, Changping District, Beijing 102209, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】羅 麗珍
(72)【発明者】
【氏名】陶 継業
(72)【発明者】
【氏名】許 世森
(72)【発明者】
【氏名】王 鵬杰
(72)【発明者】
【氏名】任 永強
(72)【発明者】
【氏名】劉 剛
(72)【発明者】
【氏名】李 小宇
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲ゆぇん▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 智
(72)【発明者】
【氏名】樊 強
(57)【要約】
本願によって開示される高効率ガス化炉及びその作動方法は、ガス化炉技術の分野に属する。ガス化炉本体と、水蒸気流量検出及び制御装置と、酸素流量検出及び制御装置と、CO及びH質量分率オンラインアナライザと、合成ガス流量検出装置と、過熱蒸気流量検出及び制御装置と、制御システムと、過熱蒸気発生器とを含む。ガス化炉本体の内部は、基礎反応室及びフローフィールド反応室を含み、基礎反応室とフローフィールド反応室との間にネッキングが設けられており、基礎反応室内に基礎反応室ノズルが設けられており、フローフィールド反応室内にフローフィールド反応室ノズルが設けられており、ネッキングに効率向上ノズルが設けられており、過熱蒸気発生器がガス化炉本体内に設けられ、ガス化炉本体の上方に急冷ガスノズルが設けられており、制御システムの各所に設けられている検出及び制御装置により、制御システムがガス化炉の各所の供給量を正確に制御し、フィードバックに基づいて適時に調整し、ガス化炉の効率的で安定した運転を確保することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高効率ガス化炉であって、
ガス化炉本体と、水蒸気流量検出及び制御装置(5)と、酸素流量検出及び制御装置(6)と、CO及びH質量分率オンラインアナライザ(7)と、合成ガス流量検出装置(8)と、過熱蒸気流量検出及び制御装置(9)と、制御装置(10)と、過熱蒸気発生器(11)と、を含み、
ガス化炉本体の内部は、基礎反応室及びフローフィールド反応室を含み、基礎反応室がフローフィールド反応室の下方に設けられ、基礎反応室とフローフィールド反応室との間にネッキングが設けられており、基礎反応室内にいくつかの基礎反応室ノズル(3)が設けられており、基礎反応室ノズル(3)に乾式微粉炭、水蒸気及び酸素システムが接続されており、フローフィールド反応室内にいくつかのフローフィールド反応室ノズル(1)が設けられており、フローフィールド反応室ノズル(1)に乾式微粉炭システム及び酸素システムが接続されており、いくつかのフローフィールド反応室ノズル(1)は、同じ角度で斜め下方に偏向し、ネッキングにいくつかの効率向上ノズル(2)が設けられており、効率向上ノズル(2)に水蒸気システムが接続されており、いくつかの効率向上ノズル(2)は、同じ角度で水平方向に偏向し、過熱蒸気発生器(11)がガス化炉本体内に設けられ、過熱蒸気発生器(11)の入り口に高圧蒸気システムが接続されており、過熱蒸気発生器(11)の出口がフローフィールド反応室ノズル(1)に接続されており、ガス化炉本体の上方に急冷ガスノズルが設けられており、
CO及びH質量分率オンラインアナライザ(7)及び合成ガス流量検出装置(8)は、ガス化炉本体の廃熱ボイラの出口に設けられ、水蒸気流量検出及び制御装置(5)は、水蒸気システムと効率向上ノズル(2)との間の接続配管に設けられ、酸素流量検出及び制御装置(6)は、酸素システムとフローフィールド反応室ノズル(1)との間の接続配管に設けられ、過熱蒸気流量検出及び制御装置(9)は、過熱蒸気発生器(11)とフローフィールド反応室ノズル(1)との間の接続配管に設けられ、
水蒸気流量検出及び制御装置(5)、酸素流量検出及び制御装置(6)、CO及びH質量分率オンラインアナライザ(7)、合成ガス流量検出装置(8)、及び過熱蒸気流量検出及び制御装置(9)は、それぞれ制御システム(10)に接続されている、
ことを特徴とする高効率ガス化炉。
【請求項2】
過熱蒸気発生器(11)は、同じ平面内に配置されている蛇行状のベンド管であり、過熱蒸気発生器(11)は、ガス化炉内のフローフィールド反応室ノズル(1)と急冷ガスノズルとの間に水平に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の高効率ガス化炉。
【請求項3】
フローフィールド反応室ノズル(1)の水平方向の偏向角度は、1°~1.5°であり、鉛直方向の偏向角度αは、r×secα≦フローフィールド反応室ノズル(1)の最大射程を満たす、
ことを特徴とする請求項1に記載の高効率ガス化炉。
【請求項4】
効率向上ノズル(2)は、偏向角度が1.5°~5°である、
ことを特徴とする請求項1に記載の高効率ガス化炉。
【請求項5】
いくつかのフローフィールド反応室ノズル(1)、いくつかの効率向上ノズル(2)及びいくつかの基礎反応室ノズル(3)は、いずれも水平方向に均等に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の高効率ガス化炉。
【請求項6】
フローフィールド反応室ノズル(1)と効率向上ノズル(2)との水平方向の偏向方向が逆である、
ことを特徴とする請求項1に記載の高効率ガス化炉。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の高効率ガス化炉の作動方法であって、
基礎反応室ノズル(3)が乾式微粉炭、水蒸気及び酸素を基礎反応室に噴出して燃焼反応を行い、フローフィールド反応室ノズル(1)が過熱水蒸気及び乾式微粉炭をフローフィールド反応室に噴出して化学的急冷反応を行い、フローフィールド反応室ノズル(1)から噴出される過熱水蒸気を増加させて、コールドガス効率が向上しなくなった場合、フローフィールド反応室ノズル(1)が酸素を噴出して調整するステップであって、フローフィールド反応室ノズル(1)は、斜め下方に偏向して、下向きの強い混合フローフィールドが形成され、効率向上ノズル(2)は、水蒸気を噴出して、基礎反応室からの合成ガスとの混合を促進するステップと、
CO及びH質量分率オンラインアナライザ(7)及び合成ガス流量検出装置(8)によってコールドガス効率のリアルタイム監視を実現してデータを制御システム(10)にフィードバックし、制御システム(10)が、水蒸気流量検出及び制御装置(5)、酸素流量検出及び制御装置(6)及び過熱蒸気流量検出及び制御装置(9)によって各所の水蒸気、酸素及び過熱蒸気の供給量を制御し、コールドガス効率の制御によってガス化炉の効率を向上させるステップと、を含む、
ことを特徴とする高効率ガス化炉の作動方法。
【請求項8】
コールドガス効率Mは、次式によって決定され、
M=(x・F・3044kcal/Nm・4.184kJ/kcal+y・F・2576kcal/Nm・4.184kJ/kcal)/Q
xは、COのモル分率であり、yは、Hのモル分率であり、Fは、合成ガス流量であり、Qは、石炭の入炉総熱量であり、Q=石炭の受入ベース低位発熱量・微粉炭の受入ベース流量である、
ことを特徴とする請求項7に記載の高効率ガス化炉の作動方法。
【請求項9】
フローフィールド反応室ノズル(1)から噴出される過熱水蒸気を増加させて、3min以内にコールドガス効率のフィードバックがない場合、フローフィールド反応室ノズル(1)が酸素を噴出して調整し、酸素量Mが次式によって決定され、
=M×1.05×Z
は酸素量であり、Mは過熱水蒸気量であり、補正係数Zの値は、0.6~0.8である、
ことを特徴とする請求項7に記載の高効率ガス化炉の作動方法。
【請求項10】
各所の乾式微粉炭、酸素及び水蒸気量は、シミュレーション状況及び経験に基づいて供給されて初期反応を行い、制御システム(10)によって酸素及び水蒸気の量を制御し、効率向上ノズル(2)による水蒸気の初期噴出流量は、フローフィールド反応室内の総水蒸気量の1/5である、
ことを特徴とする請求項7に記載の高効率ガス化炉の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ガス化炉技術の分野に属し、具体的には、高効率ガス化炉及びその作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭ガス化技術は、石炭のクリーンかつ高効率利用のコア技術であり、進んだクリーンな石炭発電、石炭化学工業、石炭ベースの多連生産などのエネルギーシステムを発展する重要な技術であり、各システムの運転の信頼性及び経済性に重要な影響を与える。現代石炭化学工業プロジェクトの急速な発展による駆動下で、石炭ガス化技術は、大型化、クリーンで高効率、広い石炭種の適応性の方向に発展している。石炭ガス化技術の発展は、百花斉放の局面を呈しているが、現段階では高効率でクリーンな石炭ガス化技術の発展中に、依然として多くの問題が早急に解決されなければならない。
【0003】
現在、宇宙炉、GSP、シェル炉などのほとんどのガス化炉は、一室一段であり、反応出口の温度が高く、高温ガスを急冷するための大量の循環コールドガスが必要であり、設備が膨大で高価であり、ガス化のエネルギー消費量が高く、効率が低い。
【0004】
華能の二室二段式乾式微粉炭加圧ガス化技術は、一段目でガス化によって生じた高温ガスが、二段目で吹き付けた微粉炭及び水蒸気とさらにガス化反応を起こし、高温ガスの顕熱をより多くガスの有効な成分に変換し、二段目のガス化吸熱反応を利用してガスの温度を急速に低減させ(「化学的急冷」ともいう)、設備のコストを大幅に削減する。しかしながら、ガス化炉の二段目の反応温度が低く、微粉炭は、二段目で残炭の高い飛灰を発生させるため、ガス化炉全体のコールドガス効率が低くなり、ガス化炉のガス化効率を向上させることは、世界的な課題となっている。
【発明の概要】
【0005】
上記問題を解決するために、本願は、ガス化炉の効率を向上させ、ガス化炉の効率的で安定した運転を確保することができる高効率ガス化炉及びその作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、以下の技術案によって実現される。
【0007】
本願は、高効率ガス化炉を開示し、前記ガス化炉は、ガス化炉本体と、水蒸気流量検出及び制御装置と、酸素流量検出及び制御装置よ、CO及びH質量分率オンラインアナライザと、合成ガス流量検出装置と、過熱蒸気流量検出及び制御装置と、制御システムと、過熱蒸気発生器とを含み、
ガス化炉本体の内部は、基礎反応室及びフローフィールド反応室を含み、基礎反応室がフローフィールド反応室の下方に設けられ、基礎反応室とフローフィールド反応室との間にネッキングが設けられており、基礎反応室内にいくつかの基礎反応室ノズルが設けられており、基礎反応室ノズルに乾式微粉炭、水蒸気及び酸素システムが接続されており、フローフィールド反応室内にいくつかのフローフィールド反応室ノズルが設けられており、フローフィールド反応室ノズルに乾式微粉炭システム及び酸素システムが接続されており、いくつかのフローフィールド反応室ノズルは、同じ角度で斜め下方に偏向し、ネッキングにいくつかの効率向上ノズルが設けられており、効率向上ノズルに水蒸気システムが接続されており、いくつかの効率向上ノズルは、同じ角度で水平方向に偏向し、過熱蒸気発生器がガス化炉本体内に設けられ、過熱蒸気発生器の入り口に高圧蒸気システムが接続されており、過熱蒸気発生器の出口がフローフィールド反応室ノズルに接続されており、ガス化炉本体の上方に急冷ガスノズルが設けられており、
CO及びH質量分率オンラインアナライザ及び合成ガス流量検出装置は、ガス化炉本体の廃熱ボイラの出口に設けられ、水蒸気流量検出及び制御装置は、水蒸気システムと効率向上ノズルとの間の接続配管に設けられ、酸素流量検出及び制御装置は、酸素システムとフローフィールド反応室ノズルとの間の接続配管に設けられ、過熱蒸気流量検出及び制御装置は、過熱蒸気発生器とフローフィールド反応室ノズルとの間の接続配管に設けられ、
水蒸気流量検出及び制御装置、酸素流量検出及び制御装置、CO及びH質量分率オンラインアナライザ、合成ガス流量検出装置、及び過熱蒸気流量検出及び制御装置は、それぞれ制御システムに接続されている。
【0008】
好ましくは、過熱蒸気発生器は、同じ平面内に配置されている蛇行状のベンド管であり、過熱蒸気発生器は、ガス化炉内のフローフィールド反応室ノズルと急冷ガスノズルとの間に水平に設けられる。
【0009】
好ましくは、フローフィールド反応室ノズルの水平方向の偏向角度は、1°~1.5°であり、鉛直方向の偏向角度αは、r×secα≦フローフィールド反応室ノズルの最大射程を満たす。
【0010】
好ましくは、効率向上ノズルは、偏向角度が1.5°~5°である。
【0011】
好ましくは、いくつかのフローフィールド反応室ノズル、いくつかの効率向上ノズル及びいくつかの基礎反応室ノズルは、いずれも水平方向に均等に配置されている。
【0012】
好ましくは、フローフィールド反応室ノズルと効率向上ノズルとの水平方向の偏向方向が逆である。
【0013】
本願によって開示される上記高効率ガス化炉の作動方法は、
基礎反応室ノズルが乾式微粉炭、水蒸気及び酸素を基礎反応室に噴出して燃焼反応を行い、フローフィールド反応室ノズルが過熱水蒸気及び乾式微粉炭をフローフィールド反応室に噴出して化学的急冷反応を行い、フローフィールド反応室ノズルから噴出される過熱水蒸気を増加させて、コールドガス効率が向上しなくなった場合、フローフィールド反応室ノズルが酸素を噴出して調整するステップであって、フローフィールド反応室ノズルは、斜め下方に偏向して、下向きの強い混合フローフィールドが形成され、効率向上ノズルは、水蒸気を噴出して、基礎反応室からの合成ガスとの混合を促進するステップと、
CO及びH質量分率オンラインアナライザ及び合成ガス流量検出装置によってコールドガス効率のリアルタイム監視を実現してデータを制御システムにフィードバックし、制御システムが、水蒸気流量検出及び制御装置、酸素流量検出及び制御装置、及び過熱蒸気流量検出及び制御装置によって各所の水蒸気、酸素及び過熱蒸気の供給量を制御し、コールドガス効率の制御によってガス化炉の効率を向上させるステップと、を含む。
【0014】
好ましくは、コールドガス効率Mは、次式によって決定され、
M=(x・F・3044kcal/Nm・4.184kJ/kcal+y・F・2576kcal/Nm・4.184kJ/kcal)/Q
ここで、xは、COのモル分率であり、yは、Hのモル分率であり、Fは、合成ガス流量であり、Qは、石炭の入炉総熱量であり、Q=石炭の受入ベース低位発熱量・微粉炭の受入ベース流量である。
【0015】
好ましくは、フローフィールド反応室ノズルから噴出される過熱水蒸気を増加させて、3min以内にコールドガス効率のフィードバックがない場合、フローフィールド反応室ノズルが酸素を噴出して調整し、酸素量Mが次式によって決定され、
=M×1.05×Z
ここで、Mは酸素量であり、Mは過熱水蒸気量であり、補正係数Zの値は、0.6~0.8である。
【0016】
好ましくは、各所の乾式微粉炭、酸素及び水蒸気量は、シミュレーション状況及び経験に基づいて供給されて初期反応を行い、制御システムによって酸素及び水蒸気の量を制御し、ここで、効率向上ノズルによる水蒸気の初期噴出流量は、フローフィールド反応室内の総水蒸気量の1/5である。
【発明の効果】
【0017】
本願は、従来技術に比べて、以下の有益な技術的効果を有する。
本願によって開示される高効率ガス化炉は、メイン反応発生室として基礎反応室に基礎反応室ノズルが設けられ、フローフィールド反応室にフローフィールド反応室ノズルが設けられ、過熱水蒸気及び乾式微粉炭を噴出することによって、化学的急冷反応を起こし、合成ガスの顕熱を吸収し、合成ガスを物理的に冷却する一方、フローフィールド反応室内の反応k(化学反応速度定数)値を増加させ、石炭と水蒸気との吸熱反応を強化し、過熱水蒸気を増やしてもコールドガス効率を向上させることができない場合、酸素を噴出することによって、微粉炭と反応してCOを生成し、炭素の転化率を向上させることができる一方、酸素と乾式微粉炭との反応が発熱反応であり、熱量は、微粉炭と水との吸熱反応を促進することができる。基礎反応室とフローフィールド反応室との間にネッキングが設けられることで、基礎反応室のスラグ付着率を向上させることができ、基礎反応室及びフローフィールド反応室のネッキングに水蒸気を噴出する効率向上ノズルが設けられ、ネッキングでの流速が大きいため、高速の合成ガスは、水蒸気をばらばらにしてそれと均一に混合する。効率向上ノズルは、合成ガス中の水分含有量を増加させ、フローフィールド反応室の擾乱を強化し、水蒸気と微粉炭との混合を促進する一方、合成ガスの顕熱を吸収し、合成ガスを物理的に冷却する。いくつかのフローフィールド反応室ノズルは、斜め下方に偏向し、下向きの強い混合フローフィールドが形成され、効率向上ノズルは、水平方向に偏向し、基礎反応室からの合成ガスとの混合を促進し、フローフィールド反応室ノズルと効率向上ノズルとの組み合わせにより、強い混合反応場が形成され、水蒸気と微粉炭との混合が促進され、反応k値が増加し、ガス化炉の効率が向上する。各所に設けられる検出及び制御装置によって制御システムがガス化炉の各所への供給量を正確に制御し、フィードバックに基づいて適時に調整し、ガス化炉の効率的で安定した運転を確保することができる。
【0018】
さらに、過熱蒸気発生器は、同じ平面内に配置されている蛇行状のベンド管を採用し、熱交換効率が高い。
【0019】
さらに、フローフィールド反応室ノズルの偏向角度の設定により、形成されたフローフィールドが互いに干渉し、下向きの強い混合フローフィールドを形成することを保証することができる。
【0020】
さらに、効率向上ノズルの偏向角度の設定により、基礎反応室からの合成ガスとの混合効果を向上させることができる。
【0021】
さらに、いくつかのフローフィールド反応室ノズル、いくつかの効率向上ノズル及びいくつかの基礎反応室ノズルは、いずれも水平方向に均等に配置されており、ガス化炉の各所の反応が均一であることを保証する。
【0022】
さらに、フローフィールド反応室ノズルと効率向上ノズルとの水平方向の偏向方向が逆であり、混合効果を向上させ、反応度を向上させることができる。
【0023】
本願によって開示される上記の高効率ガス化炉の作動方法は、コールドガス効率を水蒸気や酸素と連動制御し、水蒸気を添加し、フローフィールド反応室の酸素を調整することによって、コールドガス効率が理想値に達するようにし、全過程は、フローフィールド反応室の水蒸気及び酸素量を正確に制御し、コールドガス効率を向上させ、ガス化効率を正確に制御し、省エネと効率向上の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本願の全体的な概略構成図である。
図2】本願の過熱蒸気発生器の概略平面図である。
図3】本願のフローフィールド反応室ノズルの偏向角度の概略図である。
図4】本願の効率向上ノズルの設定位置の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面と組み合わせて本願をさらに詳しく説明し、その内容は、本願を限定するものではなく、本願を説明するものである。
【0026】
図1に示すように、本願の高効率ガス化炉は、廃熱ボイラ入り口温度測定装置4と、水蒸気流量検出及び制御装置5と、酸素流量検出及び制御装置6と、CO及びH質量分率オンライアナライザ7と、合成ガス流量検出装置8と、過熱蒸気流量検出及び制御装置9と、制御システム10と、過熱蒸気発生器11と、を含む。
【0027】
ガス化炉本体の内部は、基礎反応室及びフローフィールド反応室を含み、基礎反応室がフローフィールド反応室の下方に設けられ、基礎反応室とフローフィールド反応室との間にネッキングが設けられており、基礎反応室内にいくつかの基礎反応室ノズル3が設けられており、基礎反応室ノズル3に乾式微粉炭、水蒸気及び酸素システムが接続されており、フローフィールド反応室内にいくつかのフローフィールド反応室ノズル1が設けられており、フローフィールド反応室ノズル1に乾式微粉炭システム及び酸素システムが接続されており、いくつかのフローフィールド反応室ノズル1は、同じ角度で斜め下方に偏向し、図3に示すように、好ましくは、フローフィールド反応室ノズル1の水平方向の偏向角度は、1°~1.5°であり、鉛直方向の偏向角度αは、r×secα≦フローフィールド反応室ノズル1の最大射程を満たす。ネッキングにいくつかの効率向上ノズル2が設けられており、効率向上ノズル2に水蒸気システムが接続されており、いくつかの効率向上ノズル2は、同じ角度で水平方向に偏向し、好ましくは、図4に示すように、効率向上ノズル2は、偏向角度が1.5°~5°である。好ましくは、フローフィールド反応室ノズル1と効率向上ノズル2との水平方向の偏向方向が逆である。好ましくは、いくつかのフローフィールド反応室ノズル1、いくつかの効率向上ノズル2及びいくつかの基礎反応室ノズル3は、いずれも水平方向に均等に配置されている。
【0028】
過熱蒸気発生器11がガス化炉本体内に設けられ、過熱蒸気発生器11の入り口に高圧蒸気システムが接続されており、過熱蒸気発生器11の出口がフローフィールド反応室ノズル1に接続されており、図2に示すように、好ましくは、過熱蒸気発生器11は、同じ平面内に配置されている蛇行状のベンド管であり、過熱蒸気発生器11は、ガス化炉内のフローフィールド反応室ノズル1と急冷ガスノズルとの間に水平に設けられる。ガス化炉本体の上方に急冷ガスノズルが設けられている。
【0029】
好ましくは、廃熱ボイラ入り口温度測定装置4は、ガス化炉本体の廃熱ボイラの入り口に設けられ、システムの正常運転を監視できる。CO及びH質量分率オンラインアナライザ7及び合成ガス流量検出装置8は、ガス化炉本体の廃熱ボイラの出口に設けられ、水蒸気流量検出及び制御装置5は、水蒸気システムと効率向上ノズル2との間の接続配管に設けられ、酸素流量検出及び制御装置6は、酸素システムとフローフィールド反応室ノズル1との間の接続配管に設けられ、過熱蒸気流量検出及び制御装置9は、過熱蒸気発生器11とフローフィールド反応室ノズル1との間の接続配管に設けられ、
廃熱ボイラ入り口温度測定装置4、水蒸気流量検出及び制御装置5、酸素流量検出及び制御装置6、CO及びH質量分率オンラインアナライザ7、合成ガス流量検出装置8、及び過熱蒸気流量検出及び制御装置9は、それぞれ制御システム10に接続されている。
【0030】
上記の高効率ガス化炉の作動方法は、以下のことを含む。
各所の乾式微粉炭、酸素及び水蒸気量は、シミュレーション状況及び経験に基づいて供給されて初期反応を行い、制御システム10によって酸素及び水蒸気の量を制御し、効率向上ノズル2による水蒸気の初期噴出流量は、フローフィールド反応室内の総水蒸気量の1/5である。
【0031】
基礎反応室ノズル3が乾式微粉炭、水蒸気及び酸素を基礎反応室に噴出して燃焼反応を行い、フローフィールド反応室ノズル1が過熱水蒸気及び乾式微粉炭をフローフィールド反応室に噴出して化学的急冷反応を行い、フローフィールド反応室ノズル1から噴出される過熱水蒸気を増加させて、コールドガス効率が向上しなくなった場合、フローフィールド反応室ノズル1が酸素を噴出して調整し、フローフィールド反応室ノズル1は、斜め下方に偏向して、下向きの強い混合フローフィールドが形成され、効率向上ノズル2は、水蒸気を噴出して、基礎反応室からの合成ガスとの混合を促進し、
CO及びH質量分率オンラインアナライザ7及び合成ガス流量検出装置8によってコールドガス効率のリアルタイム監視を実現してデータを制御システム10にフィードバックし、制御システム10が、水蒸気流量検出及び制御装置5、酸素流量検出及び制御装置6、過熱蒸気流量検出及び制御装置9によって各所の水蒸気、酸素及び過熱蒸気の供給量を制御し、コールドガス効率の制御によってガス化炉の効率を向上させる。
【0032】
コールドガス効率Mは、次式によって決定され、
M=(x・F・3044kcal/Nm・4.184kJ/kcal+y・F・2576kcal/Nm・4.184kJ/kcal)/Q
ここで、xは、COのモル分率であり、yは、Hのモル分率であり、Fは、合成ガス流量であり、Qは、石炭の入炉総熱量であり、Q=石炭の受入ベース低位発熱量・微粉炭の受入ベース流量である。
【0033】
フローフィールド反応室ノズル1から噴出される過熱水蒸気を増加させて、3min以内にコールドガス効率のフィードバックがない場合、フローフィールド反応室ノズル1が酸素を噴出して調整し、酸素量Mが次式によって決定され、
=M×1.05×Z
ここで、Mは酸素量であり、Mは過熱水蒸気量であり、補正係数Zの値は、0.6~0.8であり、主にガス化炉での副反応を考慮する。
【0034】
以下に、具体的な一実施例と組み合わせて本願の効果をさらに詳しく説明する。
【0035】
2000t/dの二段式乾式微粉炭加圧ガス化炉は、微粉炭の受入ベース低位発熱量が14.92MJ/kgである。
【0036】
シミュレーション及び実験を経て、ガス化炉の初期値は以下のデータである。
基礎反応室には、4つの基礎反応室ノズル3が設けられ、各基礎反応室ノズル3に18854kg/hで乾式微粉炭、15200kg/hで酸素、1638kg/hで水蒸気が添加され、
フローフィールド反応室には、2つのフローフィールド反応室ノズル1が設けられ、各フローフィールド反応室ノズル1に5938kg/hで乾式微粉炭、1697kg/hで過熱水蒸気が添加され、各フローフィールド反応室ノズル1は、時計回りに水平方向に1.5°、下方に10°偏向し、ガス化炉の半径は1.7mであり、ノズルの最大射程は1.73mであり、偏向角度αが10°と算出される。
【0037】
ガス化炉のネッキングには、2つの効率向上ノズル2が設けられ、効率向上ノズル2は、反時計回りに1.5°偏向し、水蒸気流量が339.4kg/hである。
【0038】
初期状態では、ガス化炉のコールドガス効率は82%であり、CO及びH質量分率オンラインアナライザ7、及び合成ガス流量検出装置8の数値を経て、制御システム10においてコールドガス効率をリアルタイムに算出する。
【0039】
初期状態では、フローフィールド反応室の各フローフィールド反応室ノズル1が過熱水蒸気量を増加させ、コールドガス効率が3min以内に反応がない場合、制御システム10は酸素流量検出及び制御装置6をオンにし、計算によりフローフィールド反応室に酸素を比例的に添加し、コールドガス効率を最適な位置に調整する。
【0040】
ガス化炉で扱われる主な反応は次のとおりである。
1、水蒸気転化反応
C+HO=CO+H-131KJ/mol
2、水性ガスシフト反応
CO+HO=CO+H+42KJ/mol
3、部分酸化反応
C+0.5O=CO+111KJ/mol
4、完全酸化(燃焼)反応
C+O=CO+394KJ/mol
5、メタン化反応
CO+2H=CH+74KJ/mol
6、Boudouard反応
C+CO=2CO+172KJ/mol
【0041】
上記は、本願の実施形態における一部のみであり、本願では一部の用語が使用されているが、他の用語が使用される可能性を排除するものではない。これらの用語は、単に本願の本質を説明及び解釈するために使用されるものであり、これらの用語を追加的な制限のいずれかと解釈することは、本願の精神に反する。上記の説明は、理解を容易にするために、実施例のみで本願の内容をさらに説明するものであるが、本願の実施形態がこれに限定されるものではなく、本願に基づいてなされた技術的拡張又は再創造は、いずれも本願によって保護される。
【符号の説明】
【0042】
1 フローフィールド反応室ノズル
2 効率向上ノズル
3 基礎反応室ノズル
4 廃熱ボイラ入り口温度測定装置
5 水蒸気流量検出及び制御装置
6 酸素流量検出及び制御装置
7 CO及びH2質量分率オンライアナライザ
8 合成ガス流量検出装置
9 過熱蒸気流量検出及び制御装置
10 制御システム
11 過熱蒸気発生器
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】