(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】制約のない環境での能動的に調整された還気の流れを流体力学的に分離するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
F24F 9/00 20060101AFI20230323BHJP
F24F 1/0378 20190101ALI20230323BHJP
F24F 5/00 20060101ALI20230323BHJP
F24F 1/02 20190101ALI20230323BHJP
【FI】
F24F9/00 F
F24F1/0378
F24F5/00 L
F24F5/00 101A
F24F1/02 441A
F24F1/02 441B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022547281
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(85)【翻訳文提出日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 US2021016584
(87)【国際公開番号】W WO2021158772
(87)【国際公開日】2021-08-12
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513217403
【氏名又は名称】フォノニック インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ ジェシー ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ムートー アンドリュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン デボン
(72)【発明者】
【氏名】ルイス オースティン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
3L050
3L054
【Fターム(参考)】
3L050BC05
3L054BF09
(57)【要約】
制約のない環境における能動的に調整された還気の流れの流体力学的な分離のためのシステム及び方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、制約のない環境において能動的に調整された還気の流れを流体力学的に分離するためのシステムは、被調整空気回路を作成するように構成されたヒートポンプサブシステムと、被調整空気回路をシステムの外部の環境から分離するエアカーテン空気回路を作成するように構成されたエアカーテンサブシステム、を含む。このようにして、以前は実用的でなかった空間に被調整空気を供給することができる。さらに、これは効率的な方法で行われる可能性がある。
【選択図】
図3C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制約のない環境で能動的に調整された還気の流れを流体力学的に分離するためのシステムであって、
被調整空気回路を作成するように構成されたヒートポンプサブシステムと、
前記被調整空気回路を前記システムの外部の環境から分離するエアカーテン空気回路を作成するように構成されたエアカーテンサブシステムと、
を含む、前記システム。
【請求項2】
前記ヒートポンプサブシステムによって作成された前記被調整空気回路を通って流れる被調整空気は、内部で再循環され、前記エアカーテンサブシステムによって作成された前記エアカーテン空気回路によって周囲空気との混合から保護される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
空気を前記ヒートポンプサブシステムから排除して前記システムの外部の前記環境へ向かわせる、及び/または前記環境から前記ヒートポンプサブシステムに調整のために空気を引き込むように構成された、周囲空気吸入/排出サブシステムをさらに備える、請求項1~2のいずれかに記載のシステム。
【請求項4】
前記システムに電力を供給するための1つまたは複数の太陽光発電またはエネルギー貯蔵構成要素を含む、電気/エネルギーサブシステム
をさらに備える、請求項1~3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記ヒートポンプサブシステムが熱電冷却器を含む、請求項1~4のいずれかに記載のシステム。
【請求項6】
前記エアカーテン空気回路が、回転軸に対して軸対称である再循環セルを含む、請求項1~5のいずれかに記載のシステム。
【請求項7】
前記エアカーテン空気回路が再循環セルを含み、前記システムのミラーラインに関して対称である、請求項1~5のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記ヒートポンプサブシステム及び前記エアカーテン空気回路のうちの1つまたは複数が少なくとも1つのファンを含む、請求項1~7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのファンがインペラ及び/または特定の方向のファンを含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記ヒートポンプサブシステムが、蒸発冷却器及び熱電冷却器を備えたハイブリッドシステムを含む、請求項1~9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
制約のない環境で能動的に調整された還気の流れを流体力学的に分離するためのシステムを動作させる方法であって、
前記システムのヒートポンプサブシステムを使用して、被調整空気回路を作成することと、
前記システムのエアカーテンサブシステムを使用して、前記被調整空気回路を前記システムの外部の環境から分離するエアカーテン空気回路を作成することと、
を含む、前記方法。
【請求項12】
前記ヒートポンプサブシステムによって作成された前記被調整空気回路を通って流れる被調整空気は、内部で再循環され、前記エアカーテンサブシステムによって作成された前記エアカーテン空気回路によって周囲空気との混合から保護される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
空気を前記ヒートポンプサブシステムから排除して前記システムの外部の前記環境へ向かわせる、及び/または前記システムの周囲空気吸入/排出サブシステムを使用して、前記環境から前記ヒートポンプサブシステムに調整のために空気を引き込むことをさらに含む、請求項11~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記システムに電力を供給するための1つまたは複数の太陽光発電またはエネルギー貯蔵構成要素を含む電気/エネルギーサブシステムを備える前記システムに給電すること、
をさらに含む、請求項11~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記ヒートポンプサブシステムが熱電冷却器を含む、請求項11~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記エアカーテン空気回路は、回転軸に関して軸対称である再循環セルを含む、請求項11~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記エアカーテン空気回路は、前記システムのミラーラインに関して対称である再循環セルを含む、請求項11~15のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記ヒートポンプサブシステム及び前記エアカーテン空気回路のうちの1つまたは複数が少なくとも1つのファンを含む、請求項11~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つのファンが、インペラ及び/または特定の方向のファンを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ヒートポンプサブシステムが、蒸発冷却器及び熱電冷却器を備えたハイブリッドシステムを含む、請求項11~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
広い空間を能動的に調整するためのシステムであって、
熱電ユニットを含むヒートポンプサブシステム、及び
前記ヒートポンプサブシステムを使用して前記広い空間から熱を除去する装置を備える、前記システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空間を能動的に調整することに関する。
【背景技術】
【0002】
世界中で、オープンな屋外スペースで設計された微細な気候に対する需要が高まっている。従来のHVACソリューションでは、壁と窓に依存して空気を封じ込め、空間を断熱する。屋外に壁や窓がないということは、新しい解決策が必要であることを意味する(例えば、
図1を参照)。エンジニアまたは建築家は、屋外スペースの熱的快適性を効率的かつ費用効果的に維持するために、いくつかの技術を採用する必要がある。占有者(occupant)のエネルギーバランスを考察する。放射熱伝達と対流熱伝達が主要であるが、熱伝達の第3のモードである伝導は無視できる。
図1は、屋外の気候制御の用途の例を示している。
【0003】
ファンは通常、流体力学的境界層と熱境界層の厚さを減らして占有者の表面での熱と物質の移動を増やすことにより、占有者の周りの対流冷却を増やすために使用される。穏やかな条件下では、ファンが最も費用効果が高くなる。周囲温度が上昇すると、占有者は発汗し始め、物質移動と蒸発冷却が強化される。温度及び/または湿度がさらに上昇すると、占有者は不快感を増し、能動的な冷却システムが必要になる。能動的な冷却の限界はいくつかの要因に依存する。説明のために、HVAC用途の従来の人間の快適ゾーンとともに、心理測定チャートの露点温度21℃で任意に定義されている(例えば、
図2を参照)。対流HVAC機器を使用した能動的な冷却は、かさばり、屋外環境では非効率的である。
図2A及び2Bは、露点温度の任意の限界(21℃)を示す心理測定チャートを示している。それを超えると、快適な状態と人間の快適さを備えた従来の方法を提供するために能動的な冷却が必要になる。
【0004】
放射熱伝達は、太陽(冷却用)または夜空(加熱用)のシェーディングと、占有者との大きな形態係数(立体角)を有する表面に低放射率コーティングを適用することによって制御される。
【発明の概要】
【0005】
制約のない環境における能動的に調整された還気の流れの流体力学的な分離のためのシステム及び方法が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、制約のない環境において能動的に調整された還気の流れを流体力学的に分離するためのシステムは、被調整空気回路を作成するよう構成されたヒートポンプサブシステム、及び被調整空気回路をシステムの外部の環境から分離するエアカーテン空気回路を作成するように構成されたエアカーテンサブシステムを含む。このようにして、以前は実用的でなかった空間に被調整空気を供給することができる。さらに、これは効率的な方法で行われる可能性がある。
【0006】
いくつかの実施形態では、ヒートポンプサブシステムによって作成された被調整空気回路を通って流れる被調整空気は、内部で再循環され、エアカーテンサブシステムによって作成されたエアカーテン空気回路によって周囲空気との混合から保護される。
【0007】
いくつかの実施形態では、システムはまた、空気をヒートポンプサブシステムから排除してシステムの外部の環境へ向かわせる、及び/または環境からヒートポンプサブシステムに調整のために空気を引き込むように構成された、周囲空気吸入/排出サブシステムを備える。
【0008】
いくつかの実施形態では、システムはまた、システムに電力を供給するための1つまたは複数の太陽光発電またはエネルギー貯蔵構成要素を備える電力/エネルギーサブシステムを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、ヒートポンプサブシステムは、熱電冷却器を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、エアカーテン空気回路は、回転軸に関して軸対称である再循環セルを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、エアカーテン空気回路は、システムのミラーラインに関して対称である再循環セルを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、ヒートポンプサブシステム及びエアカーテン空気回路のうちの1つまたは複数は、少なくとも1つのファンを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのファンはインペラ及び/または特定の方向のファンを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、ヒートポンプサブシステムは、蒸発冷却器及び熱電冷却器を備えたハイブリッドシステムを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、制約のない環境において能動的に調整された還気の流れを流体力学的に分離するためのシステムを動作させる方法は、システムのヒートポンプサブシステムを使用して被調整空気回路を作成すること、及びシステムのエアカーテンサブシステムを使用して、被調整空気回路をシステムの外部の環境から分離するエアカーテン空気回路を作成することを含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、ヒートポンプサブシステムによって作成された被調整空気回路を通って流れる被調整空気は、内部で再循環され、エアカーテンサブシステムによって作成されたエアカーテン空気回路によって周囲空気との混合から保護される。
【0016】
いくつかの実施形態では、方法はまた、空気をヒートポンプサブシステムから排除してシステムの外部の環境へ向かわせる、及び/またはシステムの周囲空気吸入/排出サブシステムを使用して、環境からヒートポンプサブシステムに調整のために空気を引き込むことを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、方法はまた、システムに電力を供給するための1つまたは複数の太陽光発電またはエネルギー貯蔵構成要素を備える電力/エネルギーサブシステムに関してシステムに給電することを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、ヒートポンプサブシステムは、熱電冷却器を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、エアカーテン空気回路は、回転軸に関して軸対称である再循環セルを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、エアカーテン空気回路は、システムのミラーラインに関して対称である再循環セルを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、ヒートポンプサブシステム及びエアカーテン空気回路のうちの1つまたは複数は、少なくとも1つのファンを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのファンはインペラ及び/または特定の方向のファンを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、ヒートポンプサブシステムは、蒸発冷却器及び熱電冷却器を備えたハイブリッドシステムを含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、広い空間を能動的に調整するためのシステムは、熱電ユニットを含むヒートポンプサブシステム、及びヒートポンプサブシステムを使用して広い空間から熱を除去する装置を含む。
【0024】
当業者であれば、添付図面に関連して好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後、本開示の範囲を理解し、その追加の態様を実現する。
【0025】
本明細書に援用されるとともに、本明細書の一部を形成する添付図面は、本開示のいくつかの態様を示し、説明と併せて、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2A】露点温度の任意の限界(21度)を示す心理測定チャートを示している。それを超えると、快適な状態と人間の快適さに関する従来の方法を提供するために能動的な冷却が必要になる。
【
図2B】露点温度の任意の限界(21度)を示す心理測定チャートを示している。それを超えると、快適な状態と人間の快適さに関する従来の方法を提供するために能動的な冷却が必要になる。
【
図3A】本開示のいくつかの実施形態による、システムで使用することができる再循環流構造体の2つの例を示している。
【
図3B】本開示のいくつかの実施形態による、システムで使用することができる再循環流構造体の2つの例を示している。
【
図3C】本開示のいくつかの実施形態による、システムで使用することができる再循環流構造体の2つの例を示している。
【
図3D】本開示のいくつかの実施形態による、システムで使用することができる再循環流構造体の2つの例を示している。
【
図4】本明細書に記載の実施形態の少なくともいくつかの態様による3つの動作モードの図である。
【
図5】本明細書に記載の実施形態の少なくともいくつかの態様による、制約のない環境における能動的に調整された還気の流れの流体力学的な分離のためのシステムの一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に記載されている実施形態は、当業者が実施形態を実施することを可能にするために必要な情報を表し、実施形態を実施する最良の形態を示す。添付図面を参照しながら、以下の説明を読むと、当業者であれば、本開示の概念を理解し、本明細書で特に言及されていないこれらの概念の用途を認識する。これらの概念及び用途は、本開示及び添付の例示的実施形態の範囲に含まれることを理解されたい。
【0028】
第1、第2などの用語は、様々な要素を説明するために本明細書で使用される場合があるが、これらの要素は、これらの用語により限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためだけに使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素は、第2の要素と呼ばれ、同様に第2の要素は、第1の要素と呼ばれてもよい。本明細書で使用される場合、「及び/または」という用語は、関連する列挙された項目の1つ以上のいずれか及び全ての組み合わせを含む。
【0029】
ある要素が別の要素に「接続される」または「結合される」と記載されているとき、他の要素に直接的に接続または結合されてもよく、介在する要素が存在してもよいことも理解されたい。対照的に、ある要素が別の要素に「直接的に接続される」または「直接的に結合される」と記載されているとき、介在する要素は存在しない。
【0030】
「上部」、「下部」、「底部」、「中間」、「中」、「上」などの用語は、様々な要素を説明するために本明細書で使用されてもよいが、これらの要素は、これらの用語により限定されるべきではないことを理解されたい。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためだけに使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、これらの要素の相対的な向きに応じて、第1の要素は、「上部」要素と呼ばれ、同様に、第2の要素は、「上部」要素と呼ばれてもよい。
【0031】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明する目的のみであり、本開示を限定するように意図するものではない。本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が別段に明確に示さない限り、複数形を含むことを意図する。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」及び/または「含む(including)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/または構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素及び/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解される。
【0032】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本開示が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、本明細書及び関連技術の文脈においてそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化または過度に形式的な意味で解釈されないことがさらに理解される。
【0033】
制約のない環境における能動的に調整された還気の流れの流体力学的な分離のためのシステム及び方法が本明細書に開示される。このシステムは、2つの独立したシステム、すなわち(1)再循環セルと(2)ヒートポンプに分離できる。いくつかの実施形態では、制約のない環境は、複数の側が周囲環境に開放されている領域である。いくつかの実施形態では、これは、360度の開口部を含む場合でさえ、複数の平面を含み得る。
【0034】
再循環セル
再循環セルに関して、再循環セルの最適化には、いくつかの競合する要因のバランスを取る必要がある。温度差、△T=|T周囲-T条件付け|、及びカバレッジエリアは、これらの条件を維持するため、総熱負荷を最小限に抑えながら、最大化する必要がある。再循環セルは、好ましくは、絶縁特性をもたらすために穏やかな領域を有するが、同時に、変動する風の負荷に対して安定的であり、より大きな風の負荷の後に迅速に再形成する。
【0035】
図3は、本開示のいくつかの実施形態によるシステムで使用できる再循環流構造体の2つの例を示す。これらの再循環流構造体は、2次元の流れとして近似できるように、実質的な対称性を備えている。一実施形態では、再循環セルは、回転軸に関して軸対称である。別の実施形態では、再循環セルはミラーラインに関して対称であり、構造体は長い歩行経路を作るように投影される。
【0036】
図3Dは、生成される可能性のある2つの異なる流れのパターンを示している。1つ目は単一レーンの歩道の例であり得、一方で2つ目は二重レーンの歩道の例であり得る。強制気流は誘導された気流を発生させる。
【0037】
一般に、システム(つまり、再循環流構造体)は、次の3つの空気回路を作成する。
1.フィルタリングされた(任意選択の)空気の制御された温度と湿度をもたらす被調整空気回路、
2.周囲の熱のリザーバーとの熱の伝達を可能にする周囲空気回路、及び
3.被調整空気回路を周囲から分離してパフォーマンスを向上させるエアカーテン空気回路。
被調整空気回路は、エアカーテン回路内に入れ子になっている。これは、「調整された供給」空気を封じ込めて「調整された戻り」に戻すための重要なモーメントをシステムに供給する。
【0038】
ヒートポンプ
再循環ゾーンを使用して、任意の能動的な冷却テクノロジーを実装できる。これには、ソリッドステート(熱電、磁気熱量、弾性熱量、電気熱量)、蒸発、吸着/吸収、蒸気圧縮、スターリング、及び熱音響技術が含まれるが、これらに限定されない。熱電システムは、微細な気候制御用のファンへ統合するのに最適である。いくつかの実施形態では、ファンはインペラ及び/または特定の方向のファンであり得る。いくつかの利点には、小さなフォームファクタ、長寿命、環境への配慮、及び加熱と冷却の両方を実行できる機能が含まれる。システムには、熱電の高温側と低温側に、別々の熱交換器がある。各熱交換器の空気の流れは、調整されている空間から発生する。システムの出力は、空間に向けられた被調整空気と、空間から離れていく方向に向けられた周囲空気回路になる。
【0039】
いくつかの実施形態では、熱電システムは、米国特許第10,012,417号として発行された「Thermoelectric refrigeration system control scheme for high efficiency performance」に開示された特徴を含み、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、米国特許第8,893,513号として発行された「Thermoelectric heat exchanger component including protective heat spreading lid and optimal thermal interface resistance」からのユニットのいずれかであり、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。熱電システムには、米国特許第9,144,180号として発行された「Thermoelectric heat pump with a surround and spacer(SAS)structure」のいずれかの機能も含まれ得る。
【0040】
ハイブリダイゼーション(一実施形態:蒸発冷却器+熱電):このシステムは、能動的冷却技術の組み合わせにも対応できる潜在可能性がある。一実施形態は、ソリッドステート及び蒸発冷却の使用である。この実施形態では、間接蒸発冷却器は、露点またはその近くでHTF(熱伝達流体(空気、水、またはその他))の流れを維持する。ソリッドステート(熱電)システムは、追加の温度降下と除湿、または高湿度の条件での直接的な冷却をもたらし得る。
図4は、3つの動作モードを示している。これらの3つのモードは次のように説明できる。
・ソリッドステート
・20℃から30℃の間の周囲温度で一時的な冷却/加熱をもたらす
・DTが最小である
・ソリッドステートシステムが最も効率的
・蒸発システム:
・30℃~40℃の周囲温度及びより低い相対湿度レベルで一次冷却をもたらす
・相対湿度が最も低い場合、蒸発システムが最も効果的
・ハイブリッド:
・40℃を超える周囲温度と高い相対湿度では、OACISと蒸発システムが連携して冷却をもたらす
【0041】
PV統合オフグリッド
いくつかの実施形態では、システムは、統合されたPV(太陽光発電)システム(複数可)を含む。このような屋外の能動的な冷却との統合には、いくつかの相乗的な利点がある。
・シェード:PVはシェードと電力の両方を同時に供給する
・オフグリッド:PV出力電力と熱冷却需要は、最大の熱的負荷が最大の出力電力と同時に発生するように、入射日射量に応じて調整される。これにより、サイジングの問題が単純化され、冷却に必要な造り込みのグリッド電力がほとんどまたはまったくなくなる。これにより、電池、またはインバーターなどのグリッドタイイン機器のコストが、最小限に抑えられるか、場合によっては排除される。
・直接DC:PVシステムはDC回路を生成する。これは、熱電及びDCファンで直接使用でき、インバーターのコストに関連するコストを削減できる。
【0042】
システムのブロック図と追加情報
図5は、本明細書に記載の実施形態の少なくともいくつかの態様による、制約のない環境における能動的に調整された還気の流れの流体力学的な分離のためのシステム500の一例を示す。図示のように、システム500は、以下のサブシステムを含む。
・ヒートポンプサブシステム502:ヒートポンプシステム502(例えば、能動的冷却システム)は、被調整空気回路を作成する(例えば、
図3を参照)。本明細書で説明するように、ヒートポンプサブシステム502は、任意のタイプのヒートポンプ(複数可)、または2つ以上のタイプのヒートポンプの任意の組み合わせを含む。ヒートポンプサブシステム502は、例えば、1つまたは複数の能動的ヒートポンプ(例えば、1つまたは複数の熱電冷却モジュール)、熱交換、熱輸送構成要素などを含むことができる。
・エアカーテンサブシステム504:エアカーテンサブシステム504は、「エアカーテン」空気回路を作成する。エアカーテンサブシステム504は、吸気口(複数可)(本明細書では「戻り(複数可)」とも称される)、排出ポート(複数可)(本明細書では「供給(複数可)」とも称される)、及びファン/ブロワ、つまり周囲から吸気口(複数可)を通って空気を吸い込み、排出ポート(複数可)から空気の流れを排出して、この空気の流れが吸気口(複数可)を通って再循環し、それによって、被調整空気を周囲から分離する「エアカーテン」(すなわち、エアカーテン空気回路)を作成するものを含む。ヒートポンプサブシステム502によって作成された被調整空気回路のライン(複数可)は、内部で再循環され、エアカーテンサブシステムによって外気(周囲)との混合から保護されていることに留意されたい。
・周囲空気吸気/排気サブシステム506:周囲空気吸気/排気サブシステム506は、周囲空気回路を作成する。周囲空気吸気/排気サブシステム506は、吸気口(複数可)及び排出ポート(複数可)を含む。ヒートポンプサブシステム502によって排除された熱風は、排除されて周囲空気吸気/排気サブシステム506の排出ポート(複数可)を通って周囲へ向かう。周囲空気は、吸気口(複数可)を通ってヒートポンプサブシステム502に引き込まれ得る。
・電力/エネルギー貯蔵サブシステム(複数可)508(任意選択):任意選択で、システム500は、例えば、システム500に電力を供給するために使用される1つまたは複数の電力またはエネルギー貯蔵サブシステム508を含む。加えて、または代わりに、システム500は、電力グリッドまたは他の何らかの電源に接続され得る。
【0043】
本明細書に開示される実施形態は、制御された微細な気候を能動的な冷却/加熱にもたらして、制御された温度、制御された湿度、及びフィルタリングされた空気を供給する。
【0044】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、シェードを備えるキャノピーなどの何らかの形態の放射熱伝達制御と統合する。
【0045】
以下の表1は、ここで使用されるいくつかの用語を定義している。
【表1】
【0046】
以下の表2は、各サブシステムのいくつかの例示的な実施形態を説明している。これらの実施形態は、互いに独立しているが、任意の所望の組み合わせで一緒に利用することができる。
【表2】
【0047】
当業者は、本開示の好ましい実施形態に対する改善及び修正を認識する。そのような全ての改善及び修正は、本明細書に開示される概念及び以下の例示的実施形態の範囲内で考慮される。
【国際調査報告】